(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】解剖学的構造のテンプレートベースの自動検出のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560465
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022022576
(87)【国際公開番号】W WO2022212526
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520030132
【氏名又は名称】スピンテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ハーケ エワート マーク
(72)【発明者】
【氏名】ワン イン
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB38
4C096AB44
4C096AC01
4C096AD14
4C096DC14
4C096DC19
4C096DD08
(57)【要約】
解剖学的構造を検出するためのシステム及び方法は、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、対応するMR画像と、複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者に基づいて、初期解剖テンプレートを生成することと、を含む。コンピューティングデバイスは、大域変換と、続く局所変換と、を適用することによって、他の訓練被験者のMR画像をテンプレート空間上にマッピングすることができ、マッピングされたMR画像を初期解剖学テンプレートと平均して、最終的な解剖学テンプレートを生成することができ、最終的な解剖学テンプレートに関心の解剖学的構造の境界を描画することができる。コンピューティングデバイスは、エッジ検出アルゴリズムを使用して境界を微調整することができる。最終的な解剖学テンプレートを使用して、非訓練被験者において、関心の解剖学的構造の境界を自動で(例えば、人間の介入なしに)識別することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング(MRI)システムであって、
磁気共鳴(MR)データを取得するように構成されたMRIスキャナと、
少なくとも1つのプロセッサと、
メモリであって、前記メモリ上にコンピュータコード命令が記憶されたメモリと、を備え、前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記MRIスキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することと、
前記複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することであって、前記初期解剖学テンプレート画像が、テンプレート空間を定義する、生成することと、
前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、
前記訓練被験者の前記MR画像に大域変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表す前記MR画像の第1のモーフィングバージョンを生成すること、及び
前記訓練被験者の前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者の前記MRデータの第2の推定値を表す前記MR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記初期解剖学テンプレート画像を、前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の前記MR画像の前記第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することと、
前記最終的な解剖学テンプレートに、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を描写することと、
前記最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者についての前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を識別することと、を行わせる、磁気共鳴イメージング(MRI)システム。
【請求項2】
前記MR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定する際に、前記少なくとも1つのプロセッサが、
境界検出アルゴリズムを使用して、前記最終的な解剖学テンプレートにおいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を微調整するように構成されている、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記MR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定する際に、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記MRIスキャナを介して、前記1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う非訓練被験者のMR画像を取得することと、
前記非訓練被験者のMR画像に前記大域変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成することと、
前記非訓練被験者のMR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記最終的な解剖学テンプレートから、前記非訓練被験者のMR画像の前記第2のモーフィングバージョン上に前記境界を投影して、前記非訓練被験者についての前記テンプレート空間内の前記1つ以上の関心の構造の前記境界の推定値を判定することと、
前記1つ以上の関心の構造の前記テンプレート空間内の前記境界の前記推定に逆変換を適用して、元の前記非訓練被験者のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第1の推定値を判定することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
境界検出アルゴリズムを使用して、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の前記第1の推定値を微調整し、前記非訓練被験者の前記第2のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第2の推定値を生成するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項5】
前記逆変換が、前記局所変換の逆と、続く前記大域変換の逆と、の連結を含む、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項6】
前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用することが、前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンのクロッピング領域に前記局所変換を適用することを含む、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項7】
前記対応するMR画像が、定量的感受性マップ(QSM)又はニューロメラニン画像を含む、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの体積を判定するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの平均値強度を判定するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第2のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの合計信号を判定するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項11】
方法であって、
MRIスキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することと、
コンピューティングデバイスによって、前記複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することであって、前記初期解剖学テンプレート画像が、テンプレート空間を定義する、生成することと、
前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、
前記訓練被験者の前記MR画像に大域変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表す前記MR画像の第1のモーフィングバージョンを生成すること、及び
前記訓練被験者の前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者の前記MRデータの第2の推定値を表す前記MR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記初期解剖学テンプレート画像を、前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の前記MR画像の前記第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することと、
前記最終的な解剖学テンプレートに、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を描写することと、
前記最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者についての前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を識別することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記MR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定することが、
境界検出アルゴリズムを使用して、前記最終的な解剖学テンプレートにおいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を微調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記MR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定することが、
前記MRIスキャナを介して、前記1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う非訓練被験者のMR画像を取得することと、
前記非訓練被験者のMR画像に前記大域変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成することと、
前記非訓練被験者のMR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記最終的な解剖学テンプレートから、前記非訓練被験者のMR画像の前記第2のモーフィングバージョン上に前記境界を投影して、前記非訓練被験者についての前記テンプレート空間内の前記1つ以上の関心の構造の前記境界の推定値を判定することと、
前記1つ以上の関心の構造の前記テンプレート空間内の前記境界の前記推定値に逆変換を適用して、元の前記非訓練被験者のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第1の推定値を判定することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
境界検出アルゴリズムを使用して、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の前記第1の推定値を微調整し、前記非訓練被験者の前記第2のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第2の推定値を生成することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記逆変換が、前記局所変換の逆と、続く前記大域変換の逆と、の連結を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用することが、前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンのクロッピング領域に前記局所変換を適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記対応するMR画像が、定量的感受性マップ(QSM)又はニューロメラニン画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの体積を判定するように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの平均値強度を判定すること、又は
前記第2のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの合計信号を判定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータコード命令を含み、前記コンピュータコード命令が、プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
MRIスキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することと、
前記複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することであって、前記初期解剖学テンプレート画像が、テンプレート空間を定義する、生成することと、
前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、
前記訓練被験者の前記MR画像に大域変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表す前記MR画像の第1のモーフィングバージョンを生成すること、及び
前記訓練被験者の前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者の前記MRデータの第2の推定値を表す前記MR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記初期解剖学テンプレート画像を、前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の前記MR画像の前記第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することと、
前記最終的な解剖学テンプレートに、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を描写することと、
前記最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者についての前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を識別することと、を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月2日に出願され、「SYSTEMS AND METHODS FOR AUTOMATIC TEMPLATE-BASED DETECTION OF ANATOMICAL STRUCTURES」と題された米国仮特許出願第63/170,229号の優先権及び利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、解剖学的構造の境界を検出又は識別する分野に関する。具体的には、本開示は、標準化されたテンプレートを生成し、かつそのようなテンプレートを使用して解剖学的構造の境界を自動で検出又は識別するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
解剖学的構造の境界の識別を必要とする1つの疾患は、パーキンソン病(PD)であり、これは、60歳超の個体のおよそ1%に影響を及ぼす慢性進行性神経変性障害である。PDは、黒質緻密部(SNpc)における神経黒質(NM)の早期神経変性と、黒質(SN)における鉄沈着の増加と、によって病理学的に特徴付けられる。SNの変性は、多数の神経変性疾患の進行の特徴である。進行性核上性麻痺(PSP)及び多系統萎縮(MSA)を含む非定型パーキンソン障害においては、SNpcの広範囲のニューロン損失も生じるが、これらの障害ではSNの種々のサブ領域が影響を受ける。
【0004】
SNは、解剖学的及び機能的に別異する2つの領域、SN網様部(SNpr)及びSNpcから構成されている。SNpcは、ドーパミン作動性ニューロンを含有するNMの密な分布を含有する一方、鉄含有量は、SNprにおいてより高い傾向がある。しかしながら、SNpcドーパミン作動性ニューロン(ニグロソームとして知られる)のクラスターは、SNpr内に深く埋め込まれており、それゆえに、SNprとSNpcとの間の境界は、特にSNの尾部領域において描写することが困難である。PDの領域選択性は、SNpcの腹側外側層における色素性ニューロンの50%~70%の損失(症状の発症時)に比較的に特異的である。SNについて、赤核(RN)及び視床下核(STN)の鉄沈着及び体積変化は、疾患ステータス及び進行率と関連付けられることが報告されており、また、PD患者における脳深部刺激(DBS)治療の重要な標的として機能する。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも1つの態様によれば、磁気共鳴メージング(MRI)システムは、磁気共鳴(MR)データを取得するように構成されたMRIスキャナと、少なくとも1つのプロセッサと、メモリであって、メモリ上にコンピュータコード命令が記憶されたメモリと、を備える。コンピュータコード命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、MRIスキャナを介して、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得させる。少なくとも1つのプロセッサは、複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することができる。初期解剖学テンプレート画像は、テンプレート空間を定義することができる。第1の訓練被験者以外の複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、少なくとも1つのプロセッサは、(i)訓練被験者のMR画像に大域変換を適用して、テンプレート空間において、訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表すMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成し、(ii)訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、テンプレート空間において、訓練被験者のMRデータの第2の推定値を表すMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することができる。少なくとも1つのプロセッサは、初期解剖学テンプレート画像と複数の訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンとを平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することができる。少なくとも1つのプロセッサは、最終的な解剖学テンプレートに1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を描写し、最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者の1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を識別することができる。
【0006】
少なくとも1つの態様によれば、方法は、MRIスキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することを含むことができる。方法は、コンピューティングデバイスが、複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することを含むことができる。初期解剖学テンプレート画像は、テンプレート空間を定義することができる。第1の訓練被験者以外の複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、コンピューティングデバイスは、(i)訓練被験者のMR画像に大域変換を適用して、テンプレート空間において、訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表すMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成し、(ii)訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、テンプレート空間において、訓練被験者のMRデータの第2の推定値を表すMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することができる。方法は、初期解剖学テンプレート画像を、第1の訓練被験者以外の複数の訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することを含むことができる。方法は、最終的な解剖学テンプレートに1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を描写することと、最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者の1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を識別することと、を含むことができる。
【0007】
少なくとも1つの態様によれば、非一時的コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータコード命令を含むことができる。コンピュータコード命令は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、MRIスキャナを介して、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得させることができる。プロセッサは、複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することができる。初期解剖学テンプレート画像は、テンプレート空間を定義することができる。第1の訓練被験者以外の複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、プロセッサは、(i)訓練被験者のMR画像に大域変換を適用して、テンプレート空間において、訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表すMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成し、(ii)訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、テンプレート空間において、訓練被験者のMRデータの第2の推定値を表すMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することができる。プロセッサは、初期解剖学テンプレート画像を、第1の訓練被験者以外の複数の訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することができる。プロセッサは、最終的な解剖学テンプレートに1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を描写し、最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者の1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の本発明の概念による、解剖学テンプレートを生成するための方法を例示するフローチャートである。
【
図2】本開示の本発明の概念による、解剖学的構造の特性の自動テンプレートベース識別の方法を例示するフローチャートである。
【
図3】本開示の本発明の概念による、解剖学的構造の境界を検出又は識別するためのシステムを例示する図を示す。
【
図4】NM-MRIテンプレート空間におけるNMの視点と、QSMテンプレート空間におけるSN、RN、及びSTNの視点と、を描写する磁気共鳴(MR)画像を示す。
【
図5】テンプレート空間から元の空間へNM境界をマッピングするための様々なステップを例示する画像を示す。
【
図6】テンプレート空間から元の空間へSN、RN境界及びSTN境界をマッピングするための様々なステップを例示する画像を示す。
【
図7A】様々なシナリオに基づいて、ニューロメラニン(NM)の体積比値に対してプロットされたダイス類似度係数を示す。
【
図7B】様々なシナリオに基づいて、ニューロメラニン(NM)の体積比値に対してプロットされたダイス類似度係数を示す。
【
図8A】様々なシナリオに基づいて、黒質(SN)の体積比値に対してプロットされたダイス類似度係数を示す。
【
図8B】様々なシナリオに基づいて、黒質(SN)の体積比値に対してプロットされたダイス類似度係数を示す。
【
図9】様々なシナリオに基づいて、赤核(RN)の体積比値に対してプロットされたダイス類似度係数を示す。
【
図10】様々なシナリオに基づいて、視床下核(STN)の体積比値に対してプロットされたダイス類似度係数を示す。
【
図11】30個の訓練症例(上部プロット)及び57個の検証症例(下部プロット)の手動及びテンプレートのセグメント化から結果として得られるSN、RN、及びSTNの鉄含有量間の相関を例示するプロットを示す。
【
図12】30人の健常対照についてのマニュアル及びテンプレートのニューロメラニン(NM)バックグラウンド測定値間の一致を描写するプロットを示す。
【
図13】動的プログラミングアルゴリズム(DPA)を使用して識別されたNM境界に対するバックグラウンド境界を例示する画像を示す。
【
図14】テンプレート空間から元の空間への変換後のバックグラウンド境界と、NM DPA境界と、を例示する画像を示す。
【
図15】DPAのパラメータαの種々の値で再構成された境界を例示する画像を示す。
【
図16】DPAを使用して、2つの異なる強度を有する矩形領域の境界を識別するためのシミュレーション結果を示す。
【
図17】DPAを使用して、2つの異なる強度を有する三日月形状領域の境界を識別するためのシミュレーション結果を示す。
【
図18】DPAを使用して、2つの異なる強度を有するカシュー形状領域の境界を識別するためのシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
パーキンソン病(PD)などのいくつかの疾患について、疾患の状態に関する情報、及び/又はいくつかの治療で有用な情報が、いくつかの解剖学的構造の体積若しくは他の幾何学的特性から推定され得る。PDの場合、黒質(SN)について、赤核(RN)及び視床下核(STN)の鉄沈着及び体積変化は、疾患ステータス及び進行率と関連付けられていることが知られており、また、PD患者における脳深部刺激(DBS)治療の重要な標的として機能する。したがって、SN及びSNのサブ領域、RN、並びにSTNの正確かつ包括的なインビボの描写が、PDと中脳に影響を及ぼす他の運動障害とにおける鉄及びニューロメラニン(NM)の組成の変化を十分に調査するのに有用であり得よう。したがって、SN、SNのサブ領域、並びに赤核(RN)及び視床下核(STN)などの他の中脳構造の正確なインビボの描写が、PDにおける鉄及びNMの変化を十分に調査するのに有用であり得よう。
【0010】
これまで、多くの研究が依然として、手動又は半自動のアプローチを使用して、脳深部灰白質を画定している。しかしながら、手動のセグメント化は、特に大量のデータを評価する必要がある場合に、時間がかかる。また、評価者が十分に訓練されていない限り、手動描画は、個体間で、又は部位間で、再現の信頼性が低い。インビボ描写のためのいくつかのアプローチは、鉄及びNMの含有量をマッピングするためのテンプレートの使用を含むことができる。そのようなアプローチでは、標準化されたテンプレートを作成することは、(a)鉄及びNMの分布の変化を認識すること、(b)そのような分布と関連付けられた体積を自動で計算すること、(c)鉄含有量とNM信号の変化とを定量化すること、及び(d)これらの測定値の信頼性に著しい影響を与え得る。従来の構造MRシーケンスを使用するSNの解剖学テンプレートは、いくつかの研究で以前に使用されている。T1加重(T1W)及びT2加重(T2W)画像を採用して、高分解能確率的インビボ皮質下核アトラスを作成することができ、これらの画像は、SNを黒質緻密部(SNpc)及び黒質網様部(SNpr)にセグメント化することができるようになった。そのようなアトラスは、若年成人集団(例えば、平均値±標準偏差の年齢:28.9±3.6歳)からの画像に基づく場合、高齢者を対象とした研究には好適でないことがある。更に、T1W及びT2Wのコントラスト画像の両方を、高齢者対象におけるSNpcとSNprとの間の高度に噛み合った境界を描写するために容易に使用することができない。脳の異なる部分へのSNサブ領域の解剖学的接続に基づいて、拡散ベースのトラクトグラフィーを使用して、SNをSNpc及びSNprにセグメント化するか、又はSN/腹側被蓋領域(VTA)を背内側及び腹外側のサブ領域に細分化することができる。しかしながら、推定される構造的接続性は、周知の偏倚を有し、データ取得及びファイバ追跡アルゴリズムに大きく依存し、拡散イメージングは、低分解能データ取得に悩まされている。それゆえに、高分解能イメージングを使用してSN及びSNのサブ領域の直接的な視覚化及びセグメント化が、特にSNの微妙な病理学的変化の検出に関して言えば、より正確な選択肢となろう。
【0011】
中脳核の境界を判定し、かつPD患者の病理学的変化を検討するための1つのアプローチは、鉄含有領域が低強度で現れる、T2*加重勾配エコー(GRE)イメージング及び感受性加重イメージング(SWI)の使用に基づき得る。一方、定量的感受性マッピング(QSM)の開発は、フェリチン及びヘモシデリンに貯蔵された鉄の定量化を可能にする。QSMベースの技法は、PD患者において組織の磁気感受性が脳内鉄とよく相関することを示している。加えて、DBSの術前標的誘導では、QSMは、伝統的なT2*Wイメージングよりも優れている。しかしながら、QSM単独では、SNpc及びSNprの両方が鉄を含有するため、SNpcをSNprから分離することができない。この制限は、過去数年間に開発されたニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)を使用することによって解決され得る。SNpc及び腹側被蓋領域(VTA)は、主にNMを含有するドーパミン作動性ニューロンで構成されているが、SNprは、そうではない。このゆえに、中脳におけるNM-MRIで見られる高強度信号は、SNpc及びVTAの領域と空間的に関連付けられている(このことは、死後の組織学的研究によって検証されている)。それゆえに、NMの体積(SNpcとVTAとを加えたもの)と鉄含有SNの体積(SNpcとSNprとを加えたもの)との間の重複は、SNpcを表すと考えられる。
【0012】
これまでのところ、既存のアプローチは、QSM及び/又はNM-MRIイメージングを使用してSNpcを正確かつ確実にセグメント化しない。SNアトラスは、QSMのみを使用して得られ得る。代替的に、例えば手動描画、自動セグメント化、又は人工知能を使用して作成された、NM-MRIイメージングに基づくNMテンプレートが採用され得る。テンプレートを使用する目的は、境界の識別を容易にすることであろう。しかしながら、テンプレートマッピングは、完璧ではなく、境界をマークするための理想的な空間は、元の無垢のデータ空間にある。テンプレート空間(他の全ての脳がマッピングされる、標準的な固定された脳又はボランティア)であろうと、元の空間(所与の個人用の元の脳イメージングデータ)であろうと、単純な閾値化方法には欠点がある。閾値を相対的に高い値又は相対的に低い値に設定することは、特に、重度のNM変性、及びSNにおける鉄沈着を有するPD患者において、NM又は鉄の含有量の推定量の劇的な変化につながる可能性がある。また、画像の可変コントラストが、領域成長などのいくつかのアルゴリズムを使用することを困難にする可能性がある。SNが周囲の領域と比較して高い鉄含有量を有するにもかかわらず、鉄が均一に分布しておらず、ニグロソーム1(N1)テリトリーで鉄の低減がある。N1テリトリーなどの構造のギャップはまた、SN及びNMの関心の領域(ROI)を自動でセグメント化することの困難さを増す可能性がある。
【0013】
現開示では、解剖学的構造を検出するためのシステム及び方法は、単一のマルチエコーNM MRIシーケンスからの高分解能イメージングを使用して、NM及び鉄のテンプレートの両方を作成し、かつテンプレート空間における各構造の境界を計算することを含むことができる。具体的には、単一の高分解能のNM MRIシーケンスからのNM及び鉄のテンプレートの両方を使用して、(i)テンプレート空間における各構造の境界を計算し、(ii)これらの境界を元の空間に戻してマッピングし、次いで(iii)動的プログラミングアルゴリズム(DPA)を使用して元の空間における境界を微調整して、各個人のNM及びSNの特徴の詳細にマッチさせることができる。SNのNMと、SN、STN、及びRNの鉄含有と、についての実験結果は全て、ダイス値及び体積比に関して強い一致を示し、前者は、それぞれ、0.85、0.87、0.75、及び0.92であり、後者は、それぞれ、0.99、0.95、0.89、1.05である。これらの高品質の結果は、体積、鉄含有量、及びニューロメラニン含有量などの組織属性を確度を伴って測定することが可能であることを示している。NM及び鉄に感受性がある複数のシーケンスも使用され得るが、その場合には、2つの間の共同位置合わせが必要とされ得る。
【0014】
図1を参照すると、本開示の本発明の概念に従って、解剖学テンプレートを生成するための方法100を例示するフローチャートが示されている。方法100は、コンピューティングデバイス又はシステムが、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、対応するMR画像を取得すること(ステップ102)と、複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の選択されたMR画像に基づいて、初期解剖学テンプレートを生成すること(ステップ104)と、を含むことができる。方法100は、コンピューティングデバイス又はシステムが、大域変換と、これに続く局所変換と、を適用することによって、他の訓練被験者のMR画像を初期解剖学テンプレートによって定義されたテンプレート空間上にマッピングすること(ステップ106)を含むことができる。方法100は、マッピングされたMR画像及び初期解剖学テンプレートを平均して、最終的な解剖学テンプレートを生成すること(ステップ108)を含むことができる。方法100は、最終的な解剖学テンプレートに関心の解剖学的構造の境界を描画すること(ステップ110)を含むことができる。方法100は、最終的な解剖学テンプレートを使用して、非訓練被験者における関心の解剖学的構造の境界を識別すること(ステップ112)を含むことができる。
【0015】
方法100は、コンピューティングデバイス又はシステムが、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、対応するMR画像を取得すること(ステップ102)を含むことができる。訓練被験者は、年齢、健康状態、又は各対象の病態及び/若しくは病歴などの、いくつかの事前定義された基準に基づいて選択され得る。本明細書に記載の研究は、地元の倫理委員会によって承認されたものであり、全ての被験者が同意書に署名した。87人の健康な被験者(平均年齢:63.4±6.2歳、範囲:45~81歳、53人の女性)を広告で地域から募集した。潜在的な訓練被験者用の除外基準は、(a)腫瘍、硬膜下血腫、又は以前の頭部外傷による挫傷などの構造的異常、(b)脳卒中、中毒、神経又は精神疾患の病歴、及び(c)大容積白質病変(例えば、FazekasグレードIII)を有する1つ以上の大血管疾患疾患を含んでいた。
【0016】
訓練被験者のMR画像は、MRIスキャナを介して取得され得る。例えば、実施された研究では、15チャンネルヘッドアレイコイルを使用して3T Ingeniaスキャナ(Philips Healthcare、Netherlands)でMRイメージングを実行した。作動磁化伝達コントラスト(MTC)パルスを用いる3D勾配エコーSWIシーケンスの撮像パラメータは、エコーまでの時間(TE)=7.5ms、合計7つのエコーを有するΔTE=7.5ms、繰り返し時間(TR)=62ms、フリップ角度=30°、画素帯域幅=174Hz/画素、マトリックスサイズ=384×144、スライス厚さ=2mm、スライス数=64、0.67×1.34mm2に補間された空間面内分解能=0.67×0.67mm2、感知係数2、k空間の楕円サンプリング、及び4分47秒に等しい合計スキャン時間を含む。磁化伝達(MT)共鳴状態高周波パルスは、90°の公称フリップ角、ゼロ周波数オフセット、及び各々が持続時間1.914ミリ秒(ms)の3ブロックパルスのセットを使用した。許容される最小限のTRは、特定の吸収率の安全性の考慮に基づいて使用された。この62msの長い反復時間に起因して、7つのエコーが収集された。
【0017】
いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス又はシステムは、エコーが主要MTコントラストを提供することから、MTC-SWI大きさ画像(TE=7.5ms)の第1のエコーを使用して、NMコンテンツを描写することができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、QSM再構成のために、第2のエコー(TE=15ms)、又は2つ以上のエコーからのQSM画像の組み合わせを使用して、SNにおける鉄沈着を評価することができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、(i)脳抽出ツール、BETを使用して、脳をセグメント化すること、(ii)3D位相展開アルゴリズム(3DSRNCP)を使用して、元の位相データを展開すること、(iii)高度高調波アーチファクト削減(SHARP)を使用して、不要なバックグラウンドフィールドを除去すること、及び(iv)最終的なQSMマップを再構成するための反復アプローチを用いる切断k空間分割(TKD)ベースの逆フィルタリング技法を使用することによって、感受性マップを作成することができる。
【0018】
関心の解剖学的構造の境界をトレースする際に、手動の関心の領域(ROI)セグメント化を採用することができる。NM及び鉄の含有量を測定するために、NM、SN、RN、及びSTNの関心の領域(ROI)を、SPINソフトウェア(SpinTech,Inc.、Bingham Farms,MI,USA)を使用して4倍に拡大されたMTCの大きさ及びQSMマップ上で単一の評価者によって手動でトレースすることができる。NMベースのSN境界を、2mmの厚さのスライスが使用される(又は8~10mmの総厚にわたって)場合に、NMが見えなくなるまで、4~5スライスの最後の尾部スライスから開始してトレースすることができる。鉄ベースのSN境界を、視床下核が見える最も頭蓋のスライスの下の1つのスライスから開始してトレースすることができ、最も尾部のスライスまで、又は8~12mmの総厚にわたって、4~6回連続したスライスを継続することができる。RN ROIを、最後の尾部スライスから開始して輪郭を描き、頭蓋のように、又は6~8mmの総厚さにわたって、3~4回のスライスを継続することができる。STN ROIを、2つのスライスについて、頭蓋のように、又は約4mmの総厚にわたって、トレースすることができる。全てのROIについて、動的プログラミングアルゴリズム(DPA)を使用して、主観的な偏倚を軽減するための最終的な境界を判定することができる。次いで、これらの境界を全て、第2の評価者によって1つずつレビューし、第1のレビュー者との合意で相応に修正することができる。
【0019】
上述したデータ取得パラメータ及び/又はデータ処理シナリオは、限定の目的ではなく、例示の目的で提供される例示的な実装態様を表すことを理解されたい。例えば、上記で提供されるスライス番号は、2mmに等しいスライス厚さを有する所与の分解能に固有である。1mmの厚さのスライスを使用するとすれば、これらのスライス番号は、全て2倍になる。更に、説明は、主に中脳のPD及び解剖学的構造への適用に焦点を当てているが、本明細書に記載の方法及び技法は、他の用途、又は深部小脳核若しくは線条核及び尾状核、又は他の任意の関心の領域などの、他の解剖学的領域にも適用され得る。
【0020】
いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス又はシステムは、MRスキャナに、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、MRデータ取得、例えば、元の全脳64スライスデータから開始して7.5msエコー時間MTCデータ取得を実行させることができる。MRスキャナは、訓練被験者ごとに、対応する取得されたMRデータに基づいて、対応する三次元(3D)画像(又は複数の対応する二次元(2D)画像)を構築することができる。複数の訓練被験者のMRデータを取得する際に、MRスキャナを、関心の1つ以上の解剖学的構造(例えば、SN、RN、及び/又はSTNの領域)を例示するコントラストを伴う/有するMR画像を生成するように選択されたパラメータで構成することができる。MRスキャナは、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、NM-MRIデータ(例えば、NM-MRI画像)及び/又はQSMデータ(QSM画像)を取得することができる。
【0021】
方法100は、コンピューティングデバイス又はシステムが、複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の選択されたMR画像に基づいて、初期解剖学テンプレートを生成すること(ステップ104)を含むことができる。コンピューティングデバイス又はシステム(又はそのユーザ)は、複数の訓練被験者のMR画像の中から、第1の訓練被験者の第1の3DのMR画像(又は対応する2D画像)を選択することができる。選択は、ランダムであり得るか、又は事前定義されたプリファレンス若しくは基準に従い得る。初期解剖学テンプレートを生成する際に、コンピューティングデバイス又はシステムは、第1の訓練被験者の全ての取得されたスライスについて、例えば、所望の最終的な分解能に応じて、2倍、4倍以上の係数で、第1の3D画像(又は対応する2D画像)を平面内で拡大することができる。このステップはまた、テンプレート空間内の等方分解能を得るためのスライス選択方向の補間を含むことができる。テンプレート空間を、所望の分解能、又は取得されたMRデータの分解能よりも高い分解能で定義することができる。いくつかの実装態様では、それぞれ、コンピューティングデバイス又はシステムは、第1の訓練被験者のNMデータ及びQSMデータに基づいて、初期NM-MRIテンプレート及び初期QSMテンプレートを生成することができる。以下で更に詳細に考察されるように、コンピューティングデバイス又はシステムは、初期解剖学テンプレートを使用して、他の訓練被験者のMR画像をテンプレート空間にマッピングすることができる。
【0022】
方法100は、コンピューティングデバイス又はシステムが、大域変換とこれに続く局所変換とを適用することによって、他の訓練被験者のMR画像を初期解剖学テンプレートによって定義されたテンプレート空間上にマッピングすること(ステップ106)を含むことができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、(第1の訓練被験者以外の)他の訓練被験者の画像の各々に大域変換及び局所変換を適用することができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、全てのスライスに対する拡大係数(例えば、2、4以上の係数)でMR画像の各MR画像を平面内で拡大した後、第1の訓練被験者以外の他の訓練被験者の各MR画像内の関心の領域を覆う一連のスライスにわたって、大域変換を適用することができる。例えば、中脳について、スライスの厚さが2mmである場合、関心の領域を覆う一連のスライスは、50個の中央スライスのセットであり得る。大域変換は、剛性変換と、例えば、洞察セグメント化及び位置合わせツールキットフリーウェア(ITK)を使用して、bスプライン補間を適用した、続くアフィン変換と、を含むことができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、同じ大域変換を適用して、他の訓練被験者の各々についてのQSMデータを初期QSMテンプレートにマッピングすることができる。
【0023】
コンピューティングデバイス又はシステムは、他の訓練被験者の各MR画像(例えば、QSM画像及び/又はNM-MRI画像)に大域変換を適用して、テンプレート空間において、初期テンプレートの対応するfirs推定を表すMR画像の対応する第1のモーフィングバージョンを生成することができる。すなわち、大域変換を使用して、(第1の訓練被験者以外の)他の訓練被験者の各MR画像をテンプレート空間における初期解剖学テンプレートとマッチさせる。しかしながら、大域変換は、通常、初期解剖学テンプレートにおける解剖学的構造との正確なマッチを提供しない。
【0024】
変換されたMR画像とテンプレート空間における初期解剖学テンプレートとの間のマッチングを改善するために、コンピューティングデバイス又はシステムは、(第1の訓練被験者以外の)他の訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用することができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、MR画像の第1のモーフィングバージョンを、中脳を覆うように平面内で、かつ約16個のスライスに(例えば、スライスの厚さが2mmの場合)クロッピングして、中脳テリトリーのカバレッジを確実にすることができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、クロッピングされた画像体積に局所変換を適用して、他の訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することができる。訓練被験者(訓練被験者以外)の各MR画像について、対応する第2のモーフィングバージョンは、テンプレート空間における初期解剖学テンプレートとのより良いマッチングを表す。
【0025】
例示的な実装態様として、合計26人の訓練被験者を使用することができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、これらの訓練被験者(本明細書では第1の訓練被験者と称される)のうちの1人のMRデータを選択して、初期解剖学テンプレートを生成することができる。次いで、コンピューティングデバイス又はシステムは、他の25人の訓練被験者の各々のMRデータに大域変換及び局所変換を適用して、大域変換及び局所変換を適用した後、他の25人の訓練被験者の各々のMRデータをテンプレート空間における初期解剖学テンプレートにマッピングすることができる。
【0026】
方法100は、マッピングされたMR画像及び初期解剖学テンプレートを平均して、最終的な解剖学テンプレートを生成すること(ステップ108)を含むことができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、マッピングされたMR画像を初期解剖学テンプレートと平均して、最終的な解剖学テンプレートを生成することができる。結果は、例えば中脳テリトリーを包含する16個のスライスについて定義された、平均されたテンプレートである。平均された解剖学テンプレートは、単一の訓練被験者のMRデータに基づいて生成された初期解剖学テンプレートと比較して、又は第1のモーフィングバージョンと初期解剖学テンプレートとを平均することによって生成されたテンプレートと比較して、関心の解剖学的構造のより代表的な境界を有する。コンピューティングデバイス又はシステムは、例えば0.167の等方性分解能(合計192スライス)を有するテンプレートを作成するために、スライス選択方向に、平均された解剖学テンプレートを線形補間することができる。
【0027】
方法100は、最終的な解剖学テンプレート上に関心の解剖学的構造の境界を描画すること(ステップ110)を含むことができる。関心の解剖学的構造(又は領域)の境界のトレースを、例えば医師又は放射線科医によって、手動で実行することができる。方法100のステップ102~108に従って生成された最終的な解剖学テンプレートは、関心の解剖学的構造の増強されたコントラストを示し、したがって、そのような構造の境界のより正確なトレースを可能にする。
【0028】
最終的な解剖学テンプレートでは、平均値を、境界を見つけるための確率マップを示すものとみなすことができる。いくつかの実装態様では、2つ以上の最終的な解剖学テンプレートを生成することができる。例えば、1つのQSMテンプレート及び1つのNM-MRIテンプレートを、それぞれ、NMデータ及びQSMデータに基づいて生成することができる。いくつかの実装態様では、NM、赤核(RN)、SN、及び視床下核(STN)の境界を、全て手動で描画することができる。ニューロメラニン(NM)データについて、合計192個の補間されたスライスからのスライス44~98を使用して境界を描画することができる一方、QSMデータスライス44~126を使用することができる。スライス番号の実際の選定は、使用される分解能及び補間の程度に依存する。
【0029】
方法100は、境界検出アルゴリズムを使用して、最終的な解剖学テンプレートにおける関心の解剖学的構造の境界を微調整することを更に含むことができる。境界検出アルゴリズムを、動的プログラミングアルゴリズム(DPA)として実装することができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、境界検出のためにDPAをラン(又は実行)して、テンプレート境界を確定することができる。DPAは、局所曲率半径及び信号勾配に依存するコスト関数を使用することができる。このアルゴリズムの更なる詳細は、以下で提供される。
【0030】
方法100は、コンピューティングデバイス又はシステムが、最終的な解剖学テンプレートを使用して、非訓練被験者における関心の解剖学的構造の境界を識別すること(ステップ112)を含むことができる。非訓練被験者における関心の解剖学的構造の境界を識別するための最終的な解剖学テンプレートの使用は、以下で
図2に関して詳細に考察される。
【0031】
ここで
図2を参照すると、本開示の本発明の概念に従って、解剖学的構造の特性の自動テンプレートベース識別の方法200を例示するフローチャートが示されている。方法200は、非訓練被験者のMR画像(又はMRデータ)を取得すること(ステップ202)を含むことができる。方法200は、大域変換と、続く局所変換と、を適用することによって、非訓練被験者のMR画像をテンプレート空間内の最終的な解剖学テンプレートにマッピングすること(ステップ204)を含むことができる。方法200は、最終的な解剖学テンプレートから、1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を、非訓練被験者のマッピングされたMR画像上に投影すること(ステップ206)を含むことができる。方法200はまた、関心の解剖学的構造の投影された境界に逆変換を適用して、非訓練被験者のMR画像における境界の推定値を生成すること(ステップ208)を含むことができる。
【0032】
方法200は、最終的な解剖学テンプレートを使用して、非訓練被験者の関心の解剖学的構造の境界の自動識別を可能にする。解剖学テンプレートを生成するための方法100は、人間の介入(例えば、ステップ110において境界を手動で描画すること)を伴い得るが、非訓練被験者についての関心の解剖学的構造の境界の自動識別のための方法200を、いかなる人間の介入もなく自動で実施/実行することができる。
【0033】
方法200は、コンピューティングデバイスが、非訓練被験者のMR画像(又はMRデータ)を取得すること(ステップ202)を含むことができる。MRスキャナは、
図1の方法100のステップ102に関して上で考察されたのと同様の方式で、非訓練被験者のMRデータ(例えば、3DのMR画像又は複数の2DのMR画像)を取得することができる。非訓練被験者は、最終的な解剖学テンプレートを生成するために方法100で使用される複数の訓練被験者に属さない者(例えば、患者又は研究被験者)であり得る。MRスキャナは、非訓練被験者のNMデータ及び/又はQSMデータを取得することができる。
【0034】
方法200は、大域変換と、続く局所変換と、を適用することによって、非訓練被験者のMR画像をテンプレート空間内の最終的な解剖学テンプレートにマッピングすること(ステップ204)を含むことができる。大域変換及び局所変換は、
図1の方法100のステップ106に関して記載されているものと同様であり得る。コンピューティングデバイス又はシステムは、まず、非訓練被験者のMR画像(例えば、NM画像及びQSM画像)に大域変換を適用して、非訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成することができる。
【0035】
大域変換を適用した後、コンピューティングデバイス又はシステムは、非訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンをクロッピングすることができる。例えば、コンピューティングデバイス又はシステムは、テンプレートデータの2つの中央スライスにおけるRNにラベルを付け、それらを元の全脳に戻すことができる。RNが依然として2つのスライスでのみ明らかである場合、最も低いスライスがスライス10に設定される。RNが3つのスライスにある場合、中間のスライスが、スライス10に設定される。このことは、テンプレート空間に戻る最終的な変換の前に、データを最良に中央に配置するための手段を提供する。コンピューティングデバイス又はシステムは、クロッピングされた画像体積を平面内で4倍(又は他の拡大係数)で拡大し、次いで、拡大されたクロッピングされた画像体積に局所変換を適用して、等方性画像を伴う非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンを取得することができる(変換は、スライス選択方向の補間とともに、画像を等方性にすることを可能にする)。非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンは、テンプレート空間における最終的な解剖学テンプレートの比較的良好なマッチを表す。補間された平面内分解能は、DPAアルゴリズムを使用して最終的なオブジェクトサイズを推定するためのより正確な手段を提供する。
【0036】
方法200は、最終的な解剖学テンプレートから、1つ以上の関心の解剖学的構造の境界を、非訓練被験者のマッピングされたMR画像上に投影すること(ステップ206)を含むことができる。非訓練被験者のMR画像が(大域変換及び局所変換を適用することによって)最終的な解剖学テンプレートにマッチング又はマッピングされると、コンピューティングデバイス又はシステムは、最終的な解剖学テンプレートに描画された関心の解剖学的構造の境界を、非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョン上に投影することができる。
【0037】
方法200は、関心の解剖学的構造の投影された境界に逆変換を適用して、非訓練被験者のMR画像における境界の推定値を生成すること(ステップ208)を含むことができる。逆変換は、関心の解剖学的構造のテンプレート境界を、非訓練被験者のMR画像の中脳上(例えば、元の画像空間上)に戻してマッピングするために実行される。しかしながら、誰もが異なっており、かつテンプレートマッピングが完璧ではないことから、投影された境界がうまく適合するという保証はない。
【0038】
方法200は、コンピューティングデバイス又はシステムが、境界検出アルゴリズム(又はDPA)を使用して、非訓練被験者の元の取得されたMR画像における関心の解剖学的構造の境界を微調整することを更に含むことができる。コンピューティングデバイス又はシステムは、QSMデータについて変換された境界の内側の領域に閾値を適用して、負の値を除去することができ、画像細線化を使用して対応する中心線を判定することができる。DPAについて初期開始点を最良に選定するために、Otsuヒストグラム分析及び閾値ベースのアプローチの両方を使用して、元の境界が関心の構造の外部に極端に広がっているかどうかを判定することができる。NMデータについて、コンピューティングデバイス又はシステムは、バックグラウンド強度と、下回った信号がゼロに設定される閾値を作成するために追加された、25人の訓練被験者(又は第1の訓練被験者以外の訓練被験者)全てにわたって平均されたバックグラウンド標準偏差の4倍に等しい定数と、を判定することができる。QSMデータについて、開始閾値をゼロに設定することができる。Otsu閾値が、関心の構造(又は領域)の内部の画素を除去させた値を与えるとき、テンプレート変換された境界は、相応に縮小され得る。QSMデータについて、Otsu閾値が30ppbを超える場合、閾値を、30ppbに設定することができる。最後に、コンピューティングデバイス又はシステムは、(
図1に関して上で考察されたように)テンプレート空間で使用される同じDPAを使用して、結果として生じる境界を再び修正することができる。このDPAは、RN境界とともに、SNのRNへの漏れを防止し、テンプレート境界の助けを借りて、STNをSNと区別することができる。
【0039】
図3を参照すると、本開示の本発明の概念による、解剖学的構造の境界を検出又は識別するためのシステム300を例示する図。システム300は、MRデータを取得するためのMRスキャナ302と、取得されたMRデータを処理して、解剖学的構造の境界を検出又は識別するためのコンピューティングデバイス304と、を含むことができる。コンピューティングデバイス304は、プロセッサ306及びメモリ308を含むことができる。メモリ308は、プロセッサ306による実行のためのコンピュータコード命令を記憶することができる。コンピュータコード命令は、プロセッサ306によって実行されるとき、コンピューティングデバイス304に、上で考察された方法100及び/又は方法200を実行させることができる。コンピューティングデバイス304は、MR画像を表示し、方法100及び/若しくは方法200の結果、又は他のデータを出力するためのディスプレイデバイス310を更に含み得る。
【0040】
いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス304は、MRスキャナ302から分離された電子デバイスであり得る。そのような実装態様では、コンピューティングデバイス304は、MRスキャナ302に通信可能に結合されてもよいし、結合されなくてもよい。例えば、MRスキャナ302によって取得されたMRデータは、フラッシュメモリ、コンパクトディスク(CD)、又は他の記憶デバイスを介してコンピューティングデバイス304に転送されてもよい。コンピューティングデバイス304がMRスキャナ302に通信可能に結合されている場合、MRスキャナ302によって取得されたMRデータは、MRスキャナ302とコンピューティングデバイス304との間の任意の通信リンクを介してコンピューティングデバイス304に転送され得る。
【0041】
いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス304を、MRスキャナ302内に統合することができる。例えば、プロセッサ306、メモリ308、及び/又はディスプレイデバイス310を、MRスキャナ302内に統合することができる。そのような実装態様では、MRスキャナ302は、MRデータを取得し、方法100及び/又は方法200を実施することができる。
【0042】
まとめると、SN、RN、及びSTNの各々について、テンプレート空間において最初に手動で境界を描画することができ、システム300又はコンピューティングデバイス304は、DPAをランして、境界を微調整することができる。システム300又はコンピューティングデバイス304は、これらの境界を元の空間にマッピングし、DPAを再度ランして、最終的な境界を提供し、これを完全に自動化されたプロセスにすることができる。手動図面が作成された後、システム300又はコンピューティングデバイス304は、最終的な境界判定を完全に自動化するDPAをランすることができる。最終的な境界を使用して、システム300又はコンピューティングデバイス304は、体積、信号強度、感受性、及び/又は重複分画を計算することができる。
【0043】
システム300又はコンピューティングデバイス304は、それぞれ、MTCデータ及びQSMデータから2つのROIを重ね合わせることによって、NM複合体体積(SNpcとVTAとを加えたもの)と、SN体積(SNpc及びSNpr)を含有する鉄と、の間の重複を計算することができる。システム300又はコンピューティングデバイス304は、以下に示されるように、基本的にSN体積全体に対するSNpc分画の尺度である全体的な重複分画(OOF)尺度を作成するSN体積を含有する鉄による重複を正規化することができる。
【0044】
上記の
図1に関して記載した最終的な解剖学テンプレートを生成するプロセスを、様々な対照被験者のMRデータを使用して評価した。評価は、関心の解剖学的構造の手動で描画された境界に対する、最終的な解剖学テンプレートを生成するプロセスの性能の比較に基づいた。
【0045】
合計87個の健常対照(HC)をスキャンした。SN、STN、及びRNを、全87個の症例について手動でトレースした。これらのうち、30人(試験データセット:17人の男性、13人の女性を含む、年齢範囲66±7.2歳)を、上述したテンプレートアプローチの初期訓練に使用した。アルゴリズムの全ての態様が整うと、次いで、次の57個の症例で方法を検証した(検証データセット:17人の男性、40人の女性を含む、年齢範囲61.9±5.0歳)。解剖学テンプレート生成プロセスの性能を評価するために、2つの尺度を使用した。これらは、手動セグメント化方法及びテンプレートセグメント化方法と関連付けられた構造間の空間的重複と、テンプレート体積を手動セグメント化の体積で除算したものからの構造の体積比(VR)と、を示すダイス類似度係数である。
【0046】
最後に、全てのデータを組み合わせて、構造体積、NM及び鉄の含有量、並びにSN領域とNM領域との間の重複、に関する定量的情報を生成した。総鉄含有量を、体積と、構造が描画された全てのスライスにわたる構造の平均感受性と、の積を総和することによって計算した。同様に、総NM含有量を、対応するスライスにわたるNM体積とNMコントラストとの積の総和から結果として得た。
【0047】
図4を参照すると、NM-MRIテンプレート空間におけるNMの視点と、QSMテンプレート空間におけるSN、RN、及びSTNの視点と、を示すMR画像が示されている。具体的には、画像(a)~(c)は、検証データセットを使用した、NM-MRIテンプレートにおけるNM402の様々な視点を例示している。NM402の境界は、手動で描画されている。画像(d)~(f)は、SN404、RN406、及びSTN408の視点を例示している。
図4の画像(d)~(f)におけるSN404、RN406、及びSTN408の境界は、手動で描画された。
【0048】
図5を参照すると、テンプレート空間から元の空間へNM境界をマッピングするための様々なステップを例示する画像が示されている。具体的には、0.167mmの等方性テンプレート空間における12番目のスライスごとにとられた16個のスライスからの境界が、元の2mmの厚さの中脳スライス上に重ねられ、NMデータのために示されている。中脳はこれらの4つのスライス上にのみ見られることから、境界は、これらのスライスの4つ上にのみ現れている。
図5における画像の各列は、別個のスライスを表す。行Aとして示される最上行の画像は、構築されたニューロメラニンテンプレートの様々なスライスの画像を示す。行Bとして示される第2行(上から)は、行Aと同じ画像を示すが、ニューロメラニンDPA境界502を有する。行Cとして示される第3行は、元の画像504上に変換された境界502を表す重ね合わせられたテンプレート境界504を示す。行Dとして示される最終行は、DPAを使用して、重ね合わされたテンプレート境界504を微調整することによって得られた、NMの最終境界506を有する被験者の中脳画像を示す。
【0049】
図6を参照すると、QSMデータについての、テンプレート空間から元の画像空間へのSN、RN、及びSTNの境界をマッピングするための様々なステップを例示する画像を示す、が示されている。各列は、異なるスライスを表す。行Aとして示される第1(最上)行は、構築されたQSMテンプレートの様々なスライスを示す画像を示す。行Bとして示される第2行は、SN602、RN604、及びSTN606についてのQSM DPA境界を有する同じ画像を示す。行Cとして示される第3行は、SN602、RN604、及びSTN606についての元の空間に変換された境界を示す。行Dとして示される最終行は、行Cにおける境界にDPAを適用した後に得られたSN602、RN604、及びSTN606の最終的な境界を有する被験者の様々な中脳スライスを示す画像を示す。
【0050】
テンプレートの初期トレーニングに関して、MTCデータ及びQSMデータについて30個の症例を処理した。テンプレート自動MTCバックグラウンド強度の完全性は、一方から他方に関連する傾きが0.99であり、かつR2が0.53、p値が0.001未満であるという事実によって実証されている。バックグラウンド値は、NM及び鉄の含有量信号を適正に閾値化するために重要である。
【0051】
ダイス類似度係数及び体積比(VR)の測定を、MTC画像及びQSM画像の両方について異なる閾値に対して行ったが、VRに対してプロットされたNM及びSNダイス係数と関連付けられたデータが、それぞれ、
図7A~7B及び
図8A~8Bに示されている。
図7A及び7Bを参照すると、様々なシナリオに基づいて、ニューロメラニン(NM)のVR値に対してプロットされたダイス類似度係数のプロットが示されている。
図7A及び7Bの両方で、プロットAは、閾値が適用されないシナリオに対応し、プロットBは、1000を超えるNMコントラストの閾値に対応し、プロットCは、1250を超えるNMコントラストの閾値に対応し、プロットDは、1500を超えるNMコントラストの閾値に対応する。
図7Aにおけるプロットは、30個の訓練症例についてのデータを使用して生成されている一方、
図7Bのプロットは、57個の検証症例についてのデータを使用して生成されている。テンプレートデータ及び手動で描画されたデータと関連付けられた平均ダイス、体積比、及び体積損失が、各閾値について引用されている。1000単位の閾値は、体積損失を最小限に保ち、優れた結果を生じさせる。
【0052】
図8A及び8Bを参照すると、様々なシナリオに基づいて、SNのVR値に対してプロットされたダイス類似度係数のプロットが示されている。
図8A及び8Bの両方で、プロットAは、適用されない閾値のシナリオに対応し、プロットBは、50ppbを超える感受性値の閾値に対応し、プロットCは、75ppbを超える感受性値の閾値に対応し、プロットDは、100ppbを超える感受性値の閾値に対応する。
図8Aにおけるプロットは、30個の訓練症例についてのデータを使用して生成されている一方、
図8Bのプロットは、57個の検証症例についてのデータを使用して生成されている。テンプレートデータ及び手動で描画されたデータと関連付けられた平均ダイス、体積比、及び体積損失が、各閾値について引用されている。50ppbの閾値は、SN体積において最小限の損失を生じさせる。
【0053】
閾値が高いほど、分布は、より密になり、理論的には最終的に両方の軸上で単一のものに近づく。しかしながら、より高い閾値はまた、体積のより高い損失を引き起こす。したがって、十分なダイスと、体積損失を伴う体積比と、の間にトレードオフがなければならない。1000の閾値を用いるNMコントラストについて、全ての症例についてのテンプレートデータの平均体積損失は、10%未満であり、それぞれ0.90及び0.95の平均ダイス及びVR値を生じさせる。1250などのより高い閾値は、10%をわずかに超える平均体積損失を生じさせ(平均ダイス=0.92、平均VR=0.96)、1500を超えるNMコントラストを示すデータは、より低い閾値よりも相対的に高いダイス及びVR(それぞれ0.94及び0.98)で、20%の平均損失を生じさせた。1000の閾値は、体積損失を10%未満に保ちながら、許容可能なダイス及びVR値をもたらすように見える。同様に、SNについて
図8A~8Bに示されるように、50ppbの平均感受性閾値は、わずか10%未満の平均体積損失を生じさせた一方、平均ダイス及びVR値は、それぞれ0.88及び0.94であった。
【0054】
図9は、様々なシナリオに基づいて、赤核(RN)のVR値に対してプロットされたダイス類似度係数のプロットを示す。プロットA(左列)は、閾値が適用されないシナリオに対応し、プロットB(右列)は、50ppbの閾値が適用されるシナリオに対応する。上行のプロットは、30個の訓練症例のデータセットを使用して生成されている一方、下行のプロットは、57個の検証症例のデータセットを使用して生成されている。選択された閾値のためのテンプレートデータ及び手動で描画されたデータと関連付けられた平均ダイス、体積比、及び体積損失が、各プロット内で引用されている。50ppbの閾値は、体積損失を大体10%に制限する。
【0055】
図10は、様々なシナリオに基づいて、視床下核(STN)のVR値に対してプロットされたダイス類似度係数のプロットを示す。プロットA(左列における)は、閾値が適用されないシナリオを表す一方、プロットB(右列)は、50ppbの閾値のシナリオを表す。上行のプロットは、30個の訓練症例のデータセットを使用して生成されている一方、下行のプロットは、57個の検証症例のデータセットを使用して生成されている。選択された閾値のためのテンプレートデータ及び手動で描画されたデータと関連付けられた平均ダイス、体積比、及び体積損失が、各プロット内で引用されている。50ppbの閾値は、体積損失を約10%に保つ。
【0056】
図9及び10に関して、QSMデータに任意の閾値を適用する前に、平均ダイス及び体積比は、RNについて0.93及び1.06であり、STNについて0.76及び0.95であった。しかしながら、QSMデータに50ppbの閾値を適用することは、RNについて0.95及び1.04の、STNについて0.83及び0.98の平均ダイス及びVRを生じさせる。1よりも大きい平均VRは、完全に自動化されたテンプレート/DPAアプローチによって見出された構造のほとんどが、手動/DPAアプローチでの構造よりも大きくなる傾向があることを示している。
【0057】
図11を参照すると、手動セグメント化及びテンプレートセグメント化から結果として得られるSN、RN、及びSTNの鉄含有量間の相関を例示するプロットが示されている。30個の訓練症例についての手動セグメント化及びテンプレートセグメント化から結果として得られるSN、RN、及びSTNの鉄含有量間の相関関係は、上側のプロットに示されている一方、57個の検証症例についての手動セグメント化及びテンプレートセグメント化から結果として得られるSN、RN、及びSTNの鉄含有量間の相関関係は、下側のプロットに示されている。SN、RN、及びSTNと関連付けられたROI、並びに50ppbの閾値を使用して、鉄含有量についての手動図面に対する、テンプレートの最終的な結果が、様々なプロットに示されている。SN、RN、及びSTNの構造の各々について、傾き及びR
2が、
図11のプロットの各々に示されている。p値は、SN及びRNについて0.001未満であり、STNについて0.006に等しい。
【0058】
テンプレートの検証に関して、検証データセットは、QSMデータ及びMTCデータの処理に使用された57個の症例を含んでいた。NM及びSNの両方のVR値に対して、ダイス類似度係数をプロットしたが、これらの結果は、それぞれ
図7B及び8Bに示されている。1000の閾値を用いるNMコントラストについて、それぞれ、全ての症例についてのテンプレートデータの平均体積損失は、約5%であったが、0.88及び1.06の平均ダイス及びVR値を生じさせる。同様に、SNの平均感受性について、それぞれ、50ppbの閾値は、ほぼ5%の平均体積損失を生じさせた一方、平均ダイス及びVR値は、0.89及び0.97であった。先のデータセットと同様に、NMコントラストについての1000の閾値、及びSNの平均感受性についての50ppbの閾値は、57個の症例にわたる平均ダイス、VR、及び体積損失に関して十分な結果を生じさせた。
【0059】
RN及びSTNについてのVRに対するダイス類似度係数が、それぞれ
図9及び
図10に示されている。QSMデータに任意の閾値を適用する前に、それぞれ、RN及びSTNについての平均ダイス値及びVR値は、0.92及び1.05、並びに0.74及び0.86であった。先のデータセットからの結果と同様に、閾値を適用することは、これらの値を改善した。QSMデータに対して50ppbの閾値を使用することは、RN及びSTNについて、それぞれ0.95及び1.03、並びに0.81及び0.90の平均ダイス及びVR、並びに両方の構造について、約12%のテンプレート平均体積損失を生じさせた。
【0060】
図11は、テンプレートデータ及び手動データについてのSN、RN、及びSTNの鉄含有量間の相関関係を示す。各構造について、対応する傾き及びR
2が
図10に示されている。p値は、SN及びRNについて0.001未満であり、STNについて0.008に等しい。以下の表1は、各構造についての推定されるテンプレート体積、VR尺度、及びダイス類似度係数と関連付けられた結果をまとめたものである。第1及び第2のデータセット並びにマージされたデータの平均値及び標準偏差値が示されている。
【表1】
表1.構造ごとの体積推定値、ダイス類似度係数、及び体積比(VR)の平均値及び標準偏差(SD)値。
【0061】
図4~12に関して記載された研究では、単一のシーケンス(5分未満の)から導出されたNM画像及びQSM画像を、非テンプレートベースの被験者についてのROIを手動で描画する必要を伴うことなく、元の空間におけるSN、STN、及びRNの自動セグメント化に使用した。テンプレート空間と、テンプレート空間からの戻り変換後の元の画像と、の両方における境界検出のためのDPAと組み合わせたマルチコントラストアトラスが、記載及び検証される。ダイス値及び体積比の両方が、自動テンプレートアプローチと手動描画との間の体積及び鉄含有量の尺度について優れた一致を示した。
【0062】
既存のテンプレートのほとんどが、NM、SN、STN、及びRNを含まず、この作業で提示されているほどの分解能を含んでいない。例えば、MNIテンプレートは1mm等方性である一方、本明細書に記載のアプローチは、補間された0.67mmの平面内等方性データを使用し、更にそれを3Dでの0.167mmの等方性分解能に補間した。実際には、ANT又はSpinITKのいずれかを使用して、0.67mmの等方性分解能を有する全脳大域変形可能位置合わせを使用すると、被験者全体で中脳構造の形状に一貫してうまくマッチし得る形態変換を得ることができないことが分かった。したがって、この問題を解決し、かつ大幅に改善された結果につなげるために、局所位置合わせ(本明細書では局所変換とも称する)ステップを追加した。この局所変換アプローチから、鉄及びニューロメラニンの両方のテンプレートを、単一の多重エコーシーケンスから作成した。
【0063】
以前の研究は、T1及び/又はT2加重シーケンスに基づく構造MRIアトラスを使用して、SNをセグメント化しようと試みた。しかしながら、SNは、これらの画像のコントラストが低い中脳における小さな構造であり、SN境界を正確に定義することを困難にする。この制限を克服するために、いくつかの他の研究は、NM-MRI又はQSMのいずれかを使用してSNアトラスを得ようとした。SNの自動セグメント化のためにNM増強された脳画像から構成された動的アトラスを使用することによって、一グループが、0.75未満のダイス値を示した。その者らの研究に適用されたNM感受性T1加重高速スピンエコーシーケンスは、SNを明確に描写するのに最適ではない。NMのコントラストは、MT-MRI取得シーケンスを使用することによって大幅に改善され得る。発明者らの知る限り、NM-MRI及びQSMの両方を使用してSN、SNpr、及びSNpcを自動セグメント化しようとした研究はない。
【0064】
以前の研究は、より若い(5歳超、かつ18歳未満)又はより高齢の(60歳超)被験者のいずれかを含むことによって、SNをセグメント化した。若い健常な被験者のみに基づくアトラスの使用は、中脳の構造に影響を及ぼす神経変性疾患を有する患者を研究するために適切ではないことがある。これらの被験者間及び被験者内の年齢関連及び疾患関連の形態測定変化は、重要であり、SNを局在化するときのテンプレートアプローチの使用の成功に影響を及ぼし得る。所与の研究のための最も適切なアトラスは、ネイティブ被験者空間からアトラス空間への大域的又は局所的な歪みを最小量にすることを必要とするものであり、したがって、高齢のHC被験者(平均年齢:63.4歳)を使用して、神経変性疾患を有する患者を研究するためのアトラスを作成した。被験者間の変動性によって引き起こされる偏倚を軽減するために、いくつかの研究は、確率的アトラスを使用し、NMS-MRIシーケンスに基づいてSNpcの確率的アトラスを構築して、PD患者における拡散MRIを使用してSNpcの微細構造異常を調査しようとした。その者らは、T1画像及び27HCのSNpcマスクをMNI空間上に位置合わせするための対称微分同相位置合わせを適用し、アトラスを50%の確率で閾値化した。しかしながら、アトラス対ヒト評価者についての平均ダイス係数は、0.61未満であった。閾値は、NMの描写における劇的な変化につながる可能性があり、それゆえに、アトラスの再現性を低下させる。
【0065】
検証段階に関して、第2のデータセットは、ダイス類似度係数及びVR値が構造のための第1のデータセットからのものに非常に近いことを示し、これにより、本明細書に提案の自動テンプレート処理アプローチによって生成される結果の一貫性が確認される。また、これらの値が単一のものに非常に近いという事実は、このアプローチの優れた性能を示す。
【0066】
本明細書に記載のアプローチでは、NMアトラスの妥当性を更に改善するために、SNpcの確率的アトラスを作成した後にDPA(エッジ検出アルゴリズムを実装する)が採用される。
【0067】
結論として、中脳(又は一般に解剖学的構造)における深部灰白質の完全自動セグメント化のための本明細書に記載の新しいアプローチは、テンプレートアプローチをガイドとして使用するが、元のデータを動的プログラミングアルゴリズムとともに使用して、境界を微調整する。このアプローチを用いると、SNにおけるニューロメラニンと、SN、STN、及びRNの全てについての体積及び鉄含有量と、を定量化することが可能である。このアプローチは、これらの構造の手動トレースを必要とせずに、多様な神経変性疾患についてのこれらのイメージングバイオマーカーの変化を研究することを可能にするはずである。
【0068】
ニューロメラニン(NM)バックグラウンド測定に関して、バックグラウンド値は、NM信号を適正に閾値化するために重要であることから、30個のMTC症例を処理して、ニューロメラニン(NM)バックグラウンド測定値を得た。
図12を参照すると、30人の健常な対照(又は訓練被験者)についての手動及びテンプレートのニューロメラニン(NM)バックグラウンド測定値間の一致を示すプロットが示されている。具体的には、プロットは、手動図面に対するテンプレート自動MTCバックグラウンド強度尺度の完全性を例示している。マニュアル及びテンプレートのMTCバックグラウンド尺度間の一致は、0.99の傾斜、0.53のR
2、及び0.001未満のp値を示す。
【0069】
DPAに関して、関心の全ての構造の最終的なテンプレート境界を、テンプレート空間及び元の空間の両方における境界検出のための動的プログラミングアルゴリズム(DPA)を使用して判定することができる。DPAアルゴリズムの例示的な詳細なステップは、以下のとおりであり得る。
1.初期境界を、NM及びQSMの両方のテンプレートデータ上に描画することができる。
2.次いで、
図13に示されるように、バックグラウンドをテンプレート画像に描画することができる。
図13では、NM702及びバックグラウンド領域704の両方が示されている。
3.次いで、境界及びバックグラウンドを、
図14に示されるように、元の空間に変換することができる。
図14では、NM領域802及びバックグラウンド領域804は、テンプレート空間から元の空間への変換後に示されている。バックグラウンド値に1000を加えたものを使用することにより、DPA境界を精緻化してより速い収束を提供し、かつアルゴリズムが元の境界外に漏れることを防止するためにより小さくかつより安全な探索半径を使用することが容易になる。
4.バックグラウンド平均値+4σ(式中、σは、本研究において大体250単位であることが見出された関心のバックグラウンド領域の標準偏差である)を、MTCデータに対する閾値として使用して、この閾値よりも低い全ての点を除去して、NM精緻化された境界を判定することができる。QSMデータについて、SN、STN、及びRNの全てについてDPAがランされる前に、ゼロppb未満の感受性を有する画素を除去することができる。
5.3×3ガウスフィルタを使用して、初期境界を平滑化することができる。
6.次いで、細線化法を使用して、中心線を判定することができる。
7.DPA前の境界精緻化:構造の周りに強度のいくつかの変動があり得ることから、大域閾値は、MTCデータにおける構造全体に有効でないことがあろう。したがって、Otsuの方法[参考文献:1979 IEEE“A Threshold Selection Method from Gray-Level Histograms”,Nobuyuki Otsu]を、各単一の中心線点の周りの40×40画素の正方形のフィルタリングされた局所画像にあてがうことができ、Otsu閾値よりも低い全ての点を除去することができる。初期境界がOtsu閾値によって得られた境界の外側にある場合、境界を、残っている最も近い点(Otsu境界と称される)に修正することができる。このステップは、DPAの収束を高速化するのに役立つ。
8.DPAの実装:中心線に沿った各点について、DPAを、対応する検索ボックスで実行することができる。湾曲形状を可能にするために、中心線の中心を使用して、初期光線を判定することができる。次いで、初期境界と関連付けられた中心線に沿って1つの画素をシフトさせることによって、DPAを次のセットの光線に適用することができる。各DPA反復について、中心線を更新することができる。終点に達すると、これらの光線を180°掃引することができる。次いで、アルゴリズムは、中心線があと180°掃引して反対の終点に達するまで、中心線に沿って戻ることができる。最後に、中心点は、開始点に戻る中心線に沿って戻り、境界を閉じることができる。このプロセスを5回繰り返して、境界の内側及び外側の両方を探索して、最良の結果を得ることができる。NM、STN、及びSNについて、このステップの後に、内側探索のみを使用して更に5回の反復を続けることができる。
【0070】
探索半径は、拡大された空間の境界の内側及び外側の両方で4画素に制限されたが、このDPAで使用されるコスト関数は、関心の構造の隣接するオブジェクトへの漏れを回避する微分係数項及び曲率半径項を含む。境界外の点について、中心線から外向きに探索するときに、負の微分値をゼロに設定した。この制限は、境界が近くの明るいオブジェクト中に漏れるのを防止した。コスト関数は、以下で与えられ、
式中、
並びにr番目の点におけるm番目の光線に沿った勾配及び半径は、それぞれ、G(r,m)及びR(r,m)によって示される。項G
maxは、画像の内部の最大の微分係数を表し、R
avgは、前の3つの半径にわたる平均半径である。定数αは、0と1との間の値に設定することができる、微分係数項及び半径項の相対的な重み付けを表す。関心の構造の形状が円に近いほど、より高いαを設定することができる。鋭いエッジがある場合、これらを、αの大きな選定によって平滑化することができる。0.05~0.15のαの値は全て、エッジを忠実に見出すことにおいて同様の役割を果たしたため、α=0.1の値を保存的であるように選定した。
【0071】
図15を参照すると、DPAのパラメータαの異なる値で再構成された境界を例示する画像が示されている。αの選定は、最終的なDPA境界に劇的に影響を及ぼし得る。左上の画像におけるNM境界は、α=0.05を使用して得られている。右上の画像では、NM境界は、α=0.10を使用して判定されている。左下の画像では、NM境界は、α=0.15を使用して得られている。右下の画像では、NM境界は、α=0.20を使用して得られている。αの値が小さいほど半径制約からの平滑化が小さくなることにつながる一方、αの値が大きいほど平滑化が大きくなることにつながることに留意されたい。αの値が高いほど、構造が丸くなり、かつより円に向かって縮小する傾向がある。低い値は、非常にジグザグのエッジを有する境界につながる。最後に、光線ごとに上述のコスト関数を最大化することによって、新しい境界についての候補点を選択することができる。
【0072】
種々の形状について、いくつかの例示的なシミュレーションが、
図16~18に示されている。
図16を参照すると、DPAを使用して、2つの異なる強度を有する矩形領域の境界を識別するためのシミュレーション結果が示されている。画像(a)は、2つの異なる強度を有する矩形領域を示す。画像(b)は、中央エリアの周りに境界が描画された矩形領域を示し、画像(c)は、5回反復してDPAを適用した後の見出された中心線及び更新された境界を更に示す。画像(d)は、第2の矩形境界内の中央領域と枠領域との信号強度の差に基づいて、7:1のコントラスト対ノイズ比(CNR)を有するノイズが追加されたことを除き、画像(b)と同様である。画像(e)は、1400画素の正しいエリアとマッチするDPAの5回の反復後に見出された最終的な境界を示す。
【0073】
図16に対応するシミュレーションについて、中央領域を100単位に設定し、第2の境界内であるが第1の境界の外側の外枠領域を30単位に設定し、第2の境界の外側のバックグラウンドをゼロに設定した。ゼロの平均値及び10単位の標準偏差を有するガウスノイズを画像に追加した。鋭く定義された角及び1400画素を有する矩形の第1の例が、
図16に示されている。ノイズの存在にもかかわらず、境界は依然として完全に見出された。
【0074】
図17は、DPAを使用して、2つの異なる強度を有する三日月形状領域の境界を識別するためのシミュレーション結果を示す。画像(a)は、2つの異なる強度を有する三日月形状領域を示し、画像(b)は、同じ領域が三日月形状領域の中心エリアの周りに描画された境界であったことを示す。画像(c)は、DPAの5回の反復後の対応する中心線及び更新された境界を有する三日月形状領域を示す。画像(d)及び(e)は、それぞれ、DPAの10回の反復及び15回の反復後の中心線及び境界の更新を示す。画像(f)は、適応的Otsu閾値アプローチを使用した場合の、わずか5回の反復後の中心線及び境界を示す。画像(g)は、CNRが7:1である、ノイズが追加された画像(c)と同様であり、画像(h)は、適応的Otsu閾値アプローチを使用する場合の、DPAのわずか5回の反復後の中心線及び境界を示す。
【0075】
図17の三日月形状領域を選定して、湾曲したオブジェクトの境界を検出するより困難な症例を模倣した。
図17は、異なる回数の反復をランした効果を示す。合計35回の反復をランした後の平均値(画像(f))は、1.5の標準偏差を有する990.5であることが分かった一方、10:1のSNRの存在下でOtsuアプローチを使用すると、平均値は984であり、標準偏差は2.0であった。
【0076】
図18は、DPAを使用して、2つの異なる強度を有するカシュー形状領域の境界を識別するためのシミュレーション結果を示す。画像(a)は、2つの異なる強度を有するカシュー形状領域を示し、画像(b)は、中央エリアの周りに描画された初期境界を有するカシュー形状領域を示す。画像(c)は、適応的Otsu閾値アプローチを使用する場合の、DPAの5回の反復後に更新された対応する中心線及び境界を有するカシュー形状領域を示す。画像(d)は、画像(b)と同様であるが、ノイズが追加されており、CNRが7:1である。適応的Otsu閾値アプローチを使用し、かつノイズの存在下での場合の、DPAの5回の反復後の境界及び中心線の最終結果が、画像(e)に示されている。
【0077】
最後に、
図18のカシュー形状領域を選定して、SNを模倣し、鋭いエッジが存在しない場合の方法を評価した。最初の35回の反復をランした後、平均値は1086.5であり、標準偏差=2.5であることが分かった。10:1のSNRの存在下でOtsuアプローチを使用し、かつあと30回の反復をランすると、平均値は1097であり、標準偏差が0.0であることが分かった。
【0078】
当業者は、本開示に記載のプロセスを、プロセッサによって実行可能なコンピュータコード命令を使用して実装することができることを理解するはずである。コンピュータコード命令を、メモリなどの非一時的又は有形のコンピュータ可読媒体に記憶することができる。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、キャッシュメモリ、ディスクメモリ、任意の他のメモリ、又は任意の他のコンピュータ可読媒体であり得る。本開示に記載のプロセスを、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は実行可能なコード命令を記憶したメモリを含む、装置によって実装することができる。コード命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、本開示に記載のプロセス又は動作のいずれかの実行を生じさせることができる。装置は、例えば、MRIスキャナ又はコンピューティングデバイスであり得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング(MRI)システムであって、
磁気共鳴(MR)データを取得するように構成されたMRIスキャナと、
少なくとも1つのプロセッサと、
メモリであって、前記メモリ上にコンピュータコード命令が記憶されたメモリと、を備え、前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記MRIスキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することと、
前記複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することであって、前記初期解剖学テンプレート画像が、テンプレート空間を定義する、生成することと、
前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、
前記訓練被験者の前記MR画像に大域変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表す前記MR画像の第1のモーフィングバージョンを生成すること、及び
前記訓練被験者の前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者の前記MRデータの第2の推定値を表す前記MR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記初期解剖学テンプレート画像を、前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の前記MR画像の前記第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することと、
前記最終的な解剖学テンプレートに、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を描写することと、
前記最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者についての前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を
判定することと、を行わせる、磁気共鳴イメージング(MRI)システム。
【請求項2】
前記
最終的な解剖学テンプレートを使用して、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定する際に、前記少なくとも1つのプロセッサが、
境界検出アルゴリズムを使用して、前記最終的な解剖学テンプレートにおいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を微調整するように構成されている、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記
最終的な解剖学テンプレートを使用して、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定する際に、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記MRIスキャナを介して、前記1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う非訓練被験者のMR画像を取得することと、
前記非訓練被験者のMR画像に前記大域変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成することと、
前記非訓練被験者のMR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記最終的な解剖学テンプレートから、前記非訓練被験者のMR画像の前記第2のモーフィングバージョン上に前記境界を投影して、前記非訓練被験者についての前記テンプレート空間内の前記1つ以上の関心の構造の前記境界の推定値を判定することと、
前記1つ以上の関心の構造の前記テンプレート空間内の前記境界の前記推定に逆変換を適用して、
前記非訓練被験者の
元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第1の推定値を判定することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
境界検出アルゴリズムを使用して、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の前記第1の推定値を微調整し、
前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第2の推定値を生成するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項5】
前記逆変換が、前記局所変換の逆と、続く前記大域変換の逆と、の連結を含む、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項6】
前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用することが、前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンのクロッピング領域に前記局所変換を適用することを含む、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項7】
前記対応するMR画像が、定量的感受性マップ(QSM)又はニューロメラニン画像を含む、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの体積を判定するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの平均値強度を判定するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記
非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの合計信号を判定するように構成されている、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項11】
方法であって、
磁気共鳴イメージング(MRI
)スキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することと、
コンピューティングデバイスによって、前記複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することであって、前記初期解剖学テンプレート画像が、テンプレート空間を定義する、生成することと、
前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、
前記訓練被験者の前記MR画像に大域変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表す前記MR画像の第1のモーフィングバージョンを生成すること、及び
前記訓練被験者の前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者の前記MRデータの第2の推定値を表す前記MR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記初期解剖学テンプレート画像を、前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の前記MR画像の前記第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することと、
前記最終的な解剖学テンプレートに、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を描写することと、
前記最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者についての前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を
判定することと、を含む、方法。
【請求項12】
最終的な解剖学テンプレートを使用して、前記MR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定することが、
境界検出アルゴリズムを使用して、前記最終的な解剖学テンプレートにおいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を微調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
最終的な解剖学テンプレートを使用して、前記MR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を判定することが、
前記MRIスキャナを介して、前記1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う非訓練被験者のMR画像を取得することと、
前記非訓練被験者のMR画像に前記大域変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第1のモーフィングバージョンを生成することと、
前記非訓練被験者のMR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用して、前記非訓練被験者のMR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記最終的な解剖学テンプレートから、前記非訓練被験者のMR画像の前記第2のモーフィングバージョン上に前記境界を投影して、前記非訓練被験者についての前記テンプレート空間内の前記1つ以上の関心の構造の前記境界の推定値を判定することと、
前記1つ以上の関心の構造の前記テンプレート空間内の前記境界の前記推定値に逆変換を適用して、
前記非訓練被験者の
元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第1の推定値を判定することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
境界検出アルゴリズムを使用して、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の前記第1の推定値を微調整し、前記非訓練被験者の前記第2のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界の第2の推定値を生成することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記逆変換が、前記局所変換の逆と、続く前記大域変換の逆と、の連結を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに前記局所変換を適用することが、前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンのクロッピング領域に前記局所変換を適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記対応するMR画像が、定量的感受性マップ(QSM)又はニューロメラニン画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの体積を判定するように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記非訓練被験者の元のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの平均値強度を判定すること、又は
前記第2のMR画像内の前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界に基づいて、前記1つ以上の関心の解剖学的構造のうちの少なくとも1つの合計信号を判定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータコード命令を含み、前記コンピュータコード命令が、プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
磁気共鳴イメージング(MRI
)スキャナを介して、複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、1つ以上の関心の解剖学的構造を例示するコントラストを伴う対応するMR画像を取得することと、
前記複数の訓練被験者のうちの第1の訓練被験者の第1のMRデータに基づいて、初期解剖学テンプレート画像を生成することであって、前記初期解剖学テンプレート画像が、テンプレート空間を定義する、生成することと、
前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の訓練被験者ごとに、
前記訓練被験者の前記MR画像に大域変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者のMRデータの第1の推定値を表す前記MR画像の第1のモーフィングバージョンを生成すること、及び
前記訓練被験者の前記MR画像の前記第1のモーフィングバージョンに局所変換を適用して、前記テンプレート空間において、前記訓練被験者の前記MRデータの第2の推定値を表す前記MR画像の第2のモーフィングバージョンを生成することと、
前記初期解剖学テンプレート画像を、前記第1の訓練被験者以外の前記複数の訓練被験者の前記MR画像の前記第2のモーフィングバージョンと平均して、最終的な解剖学テンプレート画像を生成することと、
前記最終的な解剖学テンプレートに、前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を描写することと、
前記最終的な解剖学テンプレートを使用して、他の非訓練被験者についての前記1つ以上の関心の解剖学的構造の前記境界を
判定することと、を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】