(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】球状化銅または他の金属粉末のマイクロ波プラズマ処理
(51)【国際特許分類】
B22F 1/142 20220101AFI20240319BHJP
B22F 9/00 20060101ALI20240319BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240319BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20240319BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20240319BHJP
B22F 1/06 20220101ALI20240319BHJP
【FI】
B22F1/142
B22F9/00 A
B22F1/00 L
B22F1/14 300
B22F1/05
B22F1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560697
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022021910
(87)【国際公開番号】W WO2022212192
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バドウェ,スニル バルチャンドラ
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA02
4K017BA05
4K017CA01
4K017CA07
4K017EA03
4K017EF01
4K018AA03
4K018AB10
4K018AC01
4K018BA02
4K018BB03
4K018BB04
4K018BC06
4K018BD09
(57)【要約】
マイクロ波プラズマ処理を用いて球状化金属または金属合金粉末を合成するためのシステムおよび方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、金属または金属合金は、高度な延性、軟質性、および/または可鍛性を有する金属または金属合金を含み、前記金属または金属合金の加工が困難または不可能なものであってよい。いくつかの実施形態では、揮発性材料が金属または金属合金原料中に分散しており、それによって原料の加工および前処理が可能である。いくつかの実施形態では、前記分散した揮発性材料は原料の物性を変化させ、高度な延性、軟質性、および/または可鍛性によって加工が困難な金属または金属合金が、前処理工程で容易に加工されるようにする。いくつかの実施形態では、前処理された原料をプラズマ処理装置に供給することができる。いくつかの実施形態では、原材料内に分散した揮発性材料は、マイクロ波プラズマ装置に曝露した際に気化してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅球状化粉末を製造するための方法であって、
銅原料を提供する工程;
前記銅原料を溶融し、前記溶融した銅原料を揮発性材料と混合することによって、前記銅原料内に前記揮発性材料を分散させる工程;
前記銅原料を加工して、マイクロ波プラズマ処理において原料として使用するのに適した所定の範囲内の粒子体積の金属粒子を生成する工程;および、
前記揮発性材料が気化して前記銅球状化粉末が形成されるように、前記マイクロ波プラズマ処理を前記金属粒子に適用する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
前記銅原料の加工に先立って、前記溶融した銅原料を冷却する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波プラズマ処理の適用前に、前記銅原料を所定の形態に鋳造する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子体積の所定の範囲が15~63ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属粒子への前記マイクロ波プラズマ処理の適用が、前記金属粒子をマイクロ波プラズマトーチの排気中または前記マイクロ波プラズマトーチのプルーム中に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記銅原料が、前記銅原料を脆化させることなく、前記銅原料を粉砕または破砕することによって加工される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分散した揮発性材料が前記銅原料の物性を変化させ、前記銅原料の加工を促進する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
銅球状化粉末を製造するための方法であって、
加工によって得られた金属粒子をマイクロ波プラズマトーチ内に導入する工程であって、前記金属粒子は、
銅;および
前記銅内に分散した揮発性材料;
を含む、前記工程;ならびに、
前記金属粒子を前記マイクロ波プラズマトーチ内で溶融および球状化して前記揮発性材料を気化させ、前記銅球状化粉末を形成する工程;
を含む、方法。
【請求項9】
前記銅を溶融し、前記揮発性材料を溶融銅と混合して前記金属粒子を形成する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属粒子の加工に先立って、前記金属粒子を冷却する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属粒子を前記マイクロ波プラズマトーチに導入するのに先立って、前記金属粒子を所定の形態に鋳造する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記金属粒子が、前記金属粒子を脆化させることなく、前記金属粒子の粉砕または破砕
を含む加工によって得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記金属粒子が、前記マイクロ波プラズマトーチによって、部分的にのみ表面溶融される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記分散した揮発性材料が前記金属粒子の物性を変化させ、前記金属粒子の加工を促進する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記銅球状化粉末が、メジアン球形度が少なくとも0.75である粒子を含む、請求項8~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記銅球状化粉末が、メジアン球形度が少なくとも0.90である粒子を含む、請求項8~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記球状化金属または金属合金粉末が、粒径分布範囲の下限において5~45ミクロンの間の粒径分布を有し、粒径分布範囲の上限において15~105ミクロンの間の粒径分布を有する、請求項8~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
加工によって得られた金属粒子をマイクロ波プラズマトーチに導入する工程であって、前記金属粒子が
銅;および
前記銅内に分散した揮発性材料;
を含む、前記工程;ならびに、
前記金属粒子を前記マイクロ波プラズマトーチ内で溶融および球状化して前記揮発性材料を気化させ、銅球状化粉末を形成する工程;
を含む方法によって製造された、球状化粉末。
【請求項19】
前記球状化粉末が、メジアン球形度が少なくとも0.75である粒子を含む、請求項18に記載の球状化粉末。
【請求項20】
前記球状化粉末が、メジアン球形度が少なくとも0.90である粒子を含む、請求項18に記載の球状化粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願の参照による組み込み
本願は、2022年3月31日に出願されたた米国仮出願第63/200848号の35 U.S.C. §119(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、参照によりその開示全体が本明細書に取り込まれたものとする。
【0002】
背景
分野
本開示のいくつかの実施形態は、金属、特に銅または他の軟質で、延性があり、および/または可鍛性の金属を、プラズマ処理を用いて、原材料から球形または球状粉末製品に合成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
説明
いくつかの形態の工業用粉末を調製する上で重要な側面の一つは、不規則な形状または角度の粉末を、球形の、低多孔性の粒子へと変換する、球状化プロセスである。このような球形粉末は、射出成形、溶射コーティング、積層造形などの用途において優れた特性を示す。
【0004】
球状金属粉末、特に軟質で、延性があり、および/または可鍛性の金属を含む金属粉末を生成する際には、多くの課題が生じうる。所望の球状形状、所望の水準の多孔性(例えば、非多孔性~高多孔性)、ならびに、所望の組成および微細構造を達成することは困難な場合がある。さらに、そのような金属は研削や粉砕などの加工が困難な場合がある。
【0005】
高度な粉体流を必要とする積層造形(AM)または粉末冶金(PM)用途において有用であるためには、金属粉末粒子は球形を示す必要があり、これは球状化のプロセスによって達成することができる。このプロセスは、高温環境で粒子を溶融させることによって液体金属の表面張力で各粒子を球状の形状に成形し、その後、冷却および再固化を行うことを伴う。
【0006】
軟質な、延性があり、および/または可鍛性の金属原料から球状金属粉末を合成するための既存のシステムおよびプロセスは不十分である。したがって、このような材料の球状化のための新規システムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本概要の目的のため、本発明の特定の態様、利点、および新規特徴を本明細書に記載する。そのような利点のすべてが、必ずしも本発明の任意の具体的な実施形態に従って達成されるわけではないと理解すべきである。したがって、例えば、当業者は、本明細書において教示または示唆されうる他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示される1つの利点または一群の利点を達成する様式で、本発明を具体化または実行してよいことを認識するであろう。
【0008】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、銅球状化粉末を製造するための方法であって、
銅原料を提供する工程;
前記銅原料を溶融し、溶融した銅原料を揮発性材料と混合することによって、前記銅原料内に前記揮発性材料を分散させる工程;
前記銅原料を加工して、マイクロ波プラズマ処理において原料として使用するのに適した所定の範囲内の粒子体積の金属粒子を生成する工程;および、
前記揮発性材料が気化して銅球状化粉末が形成されるように、マイクロ波プラズマ処理を前記金属粒子に適用する工程;
を含む、方法に関する。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、前記銅原料の加工に先立って、前記溶融銅原料を冷却する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、前記マイクロ波プラズマ処理適用前に、前記銅原料を所定の形態に鋳造する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記粒子体積の所定の範囲は15~63ミクロンである。いくつかの実施形態では、前記金属粒子への前記マイクロ波プラズマ処理の適用は、前記金属粒子をマイクロ波プラズマトーチの排気中またはマイクロ波プラズマトーチのプルーム中に導入することを含む。いくつかの実施形態では、前記銅原料は、前記銅原料を脆化させることなく、前記銅原料を粉砕または破砕することによって加工される。いくつかの実施形態では、前記分散した揮発性材料は前記銅原料の物性を変化させ、前記銅原料の加工を促進する。
【0010】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、銅球状化粉末を製造するための方法であって、
加工によって得られた金属粒子をマイクロ波プラズマトーチ内に導入する工程であって、前記金属粒子は、
銅;および
前記銅内に分散した揮発性材料;
を含む、前記工程;ならびに、
前記金属粒子をマイクロ波プラズマトーチ内で溶融および球状化して前記揮発性材料を気化させ、銅球状化粉末を形成する工程;
を含む、方法に関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、前記銅を溶融し、前記揮発性材料を溶融銅と混合して金属粒子を形成する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、前記金属粒子の加工に先立って、前記金属粒子を冷却する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、前記金属粒子を前記マイクロ波プラズマトーチに導入する工程に先立って、前記金属粒子を所定の形態に鋳造する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記金属粒子は、前記金属粒子を脆化させることなく、前記金属粒子の粉砕または破砕を含む加工によって得られる。いくつかの実施形態では、前記金属粒子は、前記マイクロ波プラズマトーチによって、部分的にのみ表面溶融される。いくつかの実施形態では、前記分散した揮発性材料は前記金属粒子の物性を変化させ、前記金属粒子の加工を促進する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記銅球状化粉末は、メジアン球形度が少なくとも0.75である粒子を含む。いくつかの実施形態では、前記銅球状化粉末は、メジアン球形度が少なくとも0.90である粒子を含む。いくつかの実施形態では、前記球状化金属または金属合金粉末は、粒径分布範囲の下限において5~45ミクロンの間の粒径分布を有し、粒径分布範囲の上限において15~105ミクロンの間の粒径分布を有する。
【0013】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、
銅原料を提供する工程;
前記銅原料を溶融し、溶融した銅原料を揮発性材料と混合することによって、前記銅原料内に前記揮発性材料を分散させる工程;
前記銅原料を加工して、マイクロ波プラズマ処理において原料として使用するのに適した所定の範囲内の粒子体積の金属粒子を生成する工程;および、
前記揮発性材料が気化して銅球状化粉末が形成されるように、マイクロ波プラズマ処理
を前記金属粒子に適用する工程;
を含む方法によって製造された、球状化粉末に関する。
【0014】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、
加工によって得られた金属粒子をマイクロ波プラズマトーチに導入する工程であって、前記金属粒子が
銅;および
前記銅内に分散した揮発性材料;
を含む、前記工程;ならびに、
前記金属粒子をマイクロ波プラズマトーチ内で溶融および球状化して前記揮発性材料を気化させ、銅球状化粉末を形成する工程;
を含む方法によって製造された、球状化粉末に関する。
【0015】
いくつかの実施形態は、前記球状化粉末が、メジアン球形度が少なくとも0.75である粒子を含む、請求項18に記載の球状化粉末である。いくつかの実施形態は、前記球状化粉末が、メジアン球形度が少なくとも0.90である粒子を含む、請求項18に記載の球状化粉末である。
【0016】
例示的実施形態を説明するために図面を提供するが、これらは本開示の範囲を限定することを意図したものではない。以下の記載を添付の図面と併せて参照することにより、本明細書に記載されているシステムおよび方法がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って球状化金属粉末材料を製造するためのプロセスのフローチャートの一例を示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、粉末の製造において使用することのできる上部供給マイクロ波プラズマトーチの一実施形態を示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示の側面供給ホッパーの実施形態による、粉末の製造において使用することのできるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の側面供給ホッパーの実施形態による、粉末の製造において使用することのできるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特定の好ましい実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明の主題は、具体的に開示されている実施形態を超えて、他の代替となる実施形態および/または使用にまで、ならびにそれらの改変物および同等物にまで及ぶものである。したがって、添付の請求の範囲は以下に記載する特定の実施形態のいずれによっても限定されることはない。例えば、本明細書に開示されている方法またはプロセスにおいては、その方法またはプロセスの行為または操作を、任意の適切な順序で実行してもよく、それらは必ずしも特定の開示された順序に限定されるものではない。各種操作が、特定の実施形態の理解の手助けとなりうる様式で、複数の別個の操作として順に記載されていることがある。しかし、記載の順序は、これらの操作が順序に依存することを意味するものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載されている構造、システム、および/または装置は、一体化した構成要素または別個の構成要素として具体化されてもよい。各種実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様と利点が記載される。必ずしも、このような態様または利点の全てが、任意の特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、例えば、本明細書において教示または示唆されうる他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示される1つの利点または一群の利点を達成または最適化する様式で、各種実施形態を実行してもよい。
【0019】
本明細書に開示されている装置の構造、機能、製造、および使用、ならびに方法の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的実施形態を以下に記載する。これらの実施形態の1つまたは複数の例を添付の図面に示す。本明細書に記載され、添付の図面に示された装置および方法は非限定的な例示的実施形態であること、そして、本発明の範囲が請求の範囲によってのみ定義されることを、当業者は理解するであろう。1つの例示的な実施形態と関連して説明または記載された特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。このような改変および変化は、本技術の範囲内に含まれることが意図される。
【0020】
マイクロ波プラズマ処理を用いた、原材料の球状化のための方法、装置、およびシステムの実施形態を本明細書に開示する。各種原材料には、それぞれ、所望の球状化を達成するため、初期原料の前処理およびマイクロ波プラズマトーチ内の処理において、重要で特殊な、そして独特の要件がある。具体的には、本明細書に開示される原材料として、軟質な、延性があり、および/または可鍛性の金属または金属合金の供給材料が適している。いくつかの実施形態では、球状化金属粒子を合成するため、原料は初期の前処理または特定のプラズマ処理を必要とする場合がある。本明細書に開示されているように、マイクロ波プラズマトーチでの処理には、原料をマイクロ波プラズマトーチ内に、マイクロ波プラズマトーチのプラズマプルーム内に、および/またはマイクロ波プラズマトーチの排気内に、供給することを含みうる。使用する原料の種類によって、その場所が異なりうる。また、各種要件に基づいて原料を選択することができる。要件の例としては、アスペクト比、粒径分布(PSD)、化学的性質、密度、直径、球形度、酸素化、硬度、および延性が挙げられる。
【0021】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、金属または金属合金原料から球状金属粉末を合成するためにマイクロ波プラズマ処理を使用するシステムおよび方法に関するものであり、前記金属または金属合金は高い延性、軟質性、および/または可鍛性などの物性を有する。いくつかの実施形態では、プラズマ処理に使用できる、このような金属を含む原料を得ることが非常に困難な場合がある。典型的には、比較的低い延性と高い硬度とを有する金属については、プラズマ処理原料は、例えばスクラップ金属などの形態の金属を加工(粉砕、スロッテング(slotting)、ドリリング(drilling)、タッピング(tapping)、座ぐり、面取り、ねじ切り、ローレット切り、ロウ付け、溝加工、トリミングなど)することによって得られる場合がある。一方、延性が高く硬度が低い金属や金属合金は加工が非常に困難である。このため、一部の産業では、加工性を向上させるために純金属の代わりに合金が形成される。しかし、場合によっては、AMまたはPM用途などの特定の用途で純粋な球状化金属粉末が必要となる。そのため、高延性で低硬度の金属または金属合金を含む、プラズマ処理のための原料を調製するための新規システムおよび方法が必要とされている。このような金属または金属合金の例として、低炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン、および銅が挙げられる。
【0022】
図1は、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って球状化金属粉末材料を製造するためのプロセスのフローチャートの例を示す。いくつかの実施形態では、102において、金属または金属合金原料が提供される。いくつかの実施形態では、金属または金属合金は、高度な延性、軟質性、および/または可鍛性を有する金属または金属合金を含み、前記金属または金属合金の加工が困難または不可能なものであってよい。いくつかの実施形態では、金属または金属合金原料は、低炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン、または銅を含む。いくつかの実施形態では、104において、揮発性材料が金属または金属合金原料中に分散される。いくつかの実施形態では、前記分散した揮発性材料は原料の物性を変化させ、高度な延性、軟質性、および/または可鍛性によって典型的には加工が困難な金属または金属合金が、前処理工程で容易に加工されるようにする。そのため、揮発性材料を分散させた原料は、106において、粉砕などの加工によって、より容易に前処理することができ、それによって所望の粒子形状、アスペクト比、および/またはサイズ分布を達成することができる。一部の実施形態では、前処理された原料を、108において、マイクロ波プラズマ処理のために、
図2および
図3A~3Bに示すようなプラズマ処理装置に供給することができる。いくつかの実施形態では、原材料内に分散した揮発性材料は、マイクロ波プラズマ装置に曝露した際に気化してもよい。いくつかの実施形態では、110において、前処理した原材料をプラズマ処理することにより、最終産物の揮発性材料イオンの混入を実質的に伴わずに、純粋な球状化金属または金属合金粒子を合成することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、原料の体積分布は、最終的な球状化粉末と同じでありうる。いくつかの実施形態では、原料の総体積は、一般的に、最終的な球状化粉末と同じでありうる。いくつかの実施形態では、原料の総体積は、最終的な球状化粉末の1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、もしくは20%(または、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、もしくは約20%)以内でありうる。
【0024】
いくつかの実施形態では、原料金属または金属合金を前処理した後でプラズマ処理に導入してよい。例えば、原料金属または金属合金をふるいにかけて大きな集塊を除去し、プラズマ中で処理するための所望のサイズへと選択してもよい。いくつかの実施形態では、原料金属または金属合金を、水、界面活性剤、洗剤、溶剤、または酸などの他の化学物質で洗浄し、混入物を除去してもよい。いくつかの実施形態では、原料金属または金属合金に任意の磁性材料が混入している場合に、その金属または金属合金を磁気的に洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、上記洗浄によってセラミックおよび油などの混入物が除去される。いくつかの実施形態では、原料金属または金属合金を前処理することによって酸素を除去することができる。いくつかの実施形態では、原料金属または金属合金を除塵することによって微粒子を除去することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される金属または金属合金原料は、低炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン、または銅を含みうる。チタンまたは銅は延性が高いため、曲げや変形しか起こらず、水素化や低温などによって脆化させること無しには適切に崩壊させて粉末にすることができないため、粉砕する上で特に問題が起こりうる。しかし、本開示の実施形態は、そのような脆化処理が無くとも、銅、銅合金、チタン、またはチタン合金を粉砕することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、原料の選択、原料のサイズ/アスペクト比、原料をプラズマ処理に適した材料へと成型する加工アプローチ、および最終的な所望の粒子体積の、相互関係の分析を、特定用途のための所望の粒径分布を生成するために含んでいてよい。いくつかの実施形態では、この最終的な特定用途は、例えば、15~45ミクロン(もしくは約15~約45ミクロン)、15~63ミクロン(もしくは約15~約63ミクロン)、または20~63ミクロン(もしくは約20~約63ミクロン)の粒径分布(PSD)のレーザー床融合(laser bed fusion)、または、45~105ミクロン(もしくは約45~約105ミクロン)、または105~150ミクロン(もしくは約105~約150ミクロン)の粒径分布でありうる電子ビーム加工、あるいは、金属射出成形(MIM)でありうる。いくつかの実施形態では、PSDは原料中の粒子のD50として表すことができる。いくつかの実施形態では、原料はジェット粉砕、湿式粉砕、またはボールミル粉砕によって処理される。いくつかの実施形態では、原料のPSDは、15~15ミクロン、15~45ミクロン、20~63ミクロン、45~105ミクロン、または105~150ミクロンである。PSDは、レーザー粉末床融合(laser powder bed fusion)、指向性エネルギー堆積法(direct energy deposition)、バインダージェット印刷、金属射出成形、および熱間静水圧プレス法などの、最終的な用途の粉末加工技術に応じて調整できる。
【0027】
いくつかの実施形態では、原料は、所望のPSDの処理済粉末の体積分布とほぼ等しい体積分布を有するように調整される。体積は4/3*π*r3に基づいて計算され、式中、「r」は処理済粉末の半径である。いくつかの実施形態では、原料粒子の大部分は約4/3π(x/2)3~約4/3π(y/2)3の範囲内の体積を有し、式中、xは所望の粒径分布の下限であり、yは所望の粒径分布の上限である。いくつかの実施形態では、実質的に全ての原料粒子は、約4/3π(x/2)3~4/3π(y/2)3の範囲内の体積を有する。一例として、前処理と処理を行った後の原料の体積分布は、約65.45μm3~約47,712.94μm3の間であってよく、これは処理済粉末の所望の粒径分布として5~15ミクロンに相当する。いくつかの実施形態では、前処理した原料の平均またはメジアンアスペクト比は、全体として、2:1~200:1の間、3:1~200:1の間、4:1~200:1の間、または5:1~200:1の間でありうる。しかし、開示されている比率/直径のいずれを用いて体積計算を行ってもよい。処理後、粒径分布は、一例として5~45ミクロンでありうる。他の粒径分布も意図され、その限定されない例として、PSD範囲の下限において5~45ミクロンの間、PSD範囲の上限において15~105ミクロンの間の粒径分布が挙げられる(例えば、5~15ミクロン、15~45ミクロン、45~105ミクロン)。
【0028】
粒径分布は、粉末流動性と、均一な粉末床密度を提供する能力とに直接影響する。これによって粉末粒を処理するために必要なエネルギー入力が決まり、表面仕上げもそれに影響される。例えば、AM法で使用可能な球状化粉末は、約15~45ミクロン、約20~63ミクロン、または約45~106ミクロンの間の粒径分布を有していてよい。しかし、本明細書に記載されている方法およびシステムによれば、球状化粉末は、ナノメートル範囲からミリメートル範囲の粒径分布を有していてよい。
【0029】
さらに、高度な粉体流を要する積層造形または粉末冶金(PM)用途において有用であるためには、金属粉末粒子は球形を示す必要があり、これはプラズマ球状化のプロセスによって達成することができる。このプロセスは、高温環境で粒子を完全に溶融させること、表面溶融させること、または部分的に溶融させることによって、液体金属の表面張力で各粒子を球状の形状に成形し、その後、冷却および再固化を行うことを伴う。
【0030】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理によって達成される最終的な粒子は球形(spherical)、球状化(spheroidized)、または球状(spheroidal)であることができ、これらの用語は互換的に使用されうる。有利には、開示された各種原料のそれぞれに関連する重要かつ具体的な開示を用いることにより、全ての原料を球形粉末に変換することができる。
【0031】
本開示の実施形態は、実質的に球状化されているか、または有意な球状化を経ている粒子を生成することに関する。いくつかの実施形態では、球形の、球状のまたは球状化粒子は、特定の閾値を超える球形度を有する粒子のことを指す。粒子の球形度は、次の式を使用して、球の表面積A
s,理想を、粒子の体積に適合する体積Vを用いて計算することによって、算出することができる。
【数1】
【数2】
【0032】
理想化された表面積を、測定された粒子の表面積A
s,実際と比較することができる。
【数3】
【0033】
いくつかの実施形態では、粒子は、0.5超、0.6超、0.7超、0.75超、0.8超、0.9超、0.91超、0.95超、もしくは0.99超(または、約0.5超、約0.6超、約0.7超、約0.75超、約0.8超、約0.8超、約0.91超、約0.95超、もしくは約0.99超)の球形度を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、0.75以上もしくは0.91以上(または、約0.75以上もしくは約0.91以上)の球形度を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、0.5未満、0.6未満、0.7未満、0.75未満、0.8未満、0.9未満、0.91未満、0.95未満、もしくは0.99未満(または、約0.5未満、約0.6未満、約0.7未満、約0.75未満、約0.8未満、約0.8未満、約0.91未満、約0.95未満、もしくは約0.99未満)の球形度を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子が前述の球形度値のいずれか以上の球形度を有する場合に、それを球形、球状または球状化されていると考える。いくつかの好ましい実施形態では、粒子の球形度が0.75以上もしくは約0.75以上であるか、または、0.91以上もしくは約0.91以上である場合に、それを球状であると考える。
【0034】
いくつかの実施形態では、与えられた粉末内の全粒子のメジアン球形度は、0.5超、0.6超、0.7超、0.75超、0.8超、0.9超、0.91超、0.95超、もしくは0.99超(または、約0.5超、約0.6超、約0.7超、約0.75超、約0.8超、約0.8超、約0.91超、約0.95超、もしくは約0.99超)でありうる。いくつかの実施形態では、与えられた粉末内の全粒子のメジアン球形度は、0.5未満、0.6未満、0.7未満、0.75未満、0.8未満、0.9未満、0.91未満、0.95未満、もしくは0.99未満(または、約0.5未満、約0.6未満、約0.7未満、約0.75未満、約0.8未満、約0.8未満、約0.91未満、約0.95未満、もしくは約0.99未満)でありうる。いくつかの実施形態では、粉末は、与えられた粉末に対して測定された全て、または(下記割合のいずれかによって記載されるような)ある閾値パーセンテージの粒子が、上述のいずれかの球形度値以上のメジアン球形度を有する場合に、球状化されていると考える。いくつかの好ましい実施形態では、粉末は、全て、またはある閾値パーセンテージの粒子が、0.75以上もしくは約0.75以上のメジアン球形度を有するか、または、0.91以上もしくは約0.91以上のメジアン球形度を有する場合に、球状化されていると考える。
【0035】
いくつかの実施形態では、上記のような与えられた球形度閾値を超えうる粉末内の粒子の割合は、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、もしくは99%超(または、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、もしくは約99%超)でありうる。いくつかの実施形態では、上記のような与えられた球形度閾値を超えうる粉末内の粒子の割合は、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満、95%未満、もしくは99%未満(または、約50%未満、約60%未満、約70%未満、約80%未満、約90%未満、約95%未満、もしくは約99%未満)でありうる。
【0036】
粒径分布および球形度は、SEM、光学顕微鏡、動的光散乱、レーザー回折、および画像解析ソフトウェアを使用した寸法の手動測定などの任意の適した公知の技術によって、例えば、同一材料の切片または試料の少なくとも3つの画像を対象とした、画像あたり約15~30箇所の測定に基づいて決定してもよく、任意の他の技術によって決定してもよい。
【0037】
図2は、本明細書のいくつかの実施形態による材料の製造において使用することのできる、マイクロ波プラズマトーチ200の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、原料を、1つ以上の原料投入口202を介してマイクロ波プラズマ204に導入する。いくつかの実施形態では、マイクロ波放射源206を介してプラズマ204を点火する前に、マイクロ波プラズマアプリケータ205にエントレインメントガス流(entrainment gas flow)および/またはシース流を注入して、プラズマアプリケータ内にフロー条件を生成してもよい。いくつかの実施形態では、エントレインメント流およびシース流は軸対称かつ層流であるが、他の実施形態では、これらのガス流は渦流である。いくつかの実施形態では、原料をマイクロ波プラズマトーチ200に導入し、そこで、プラズマ204へと材料を向かわせるガス流によって原料をエントレインしてもよい。
【0038】
ガス流は、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの、周期表の希ガスの列を含みうる。上記のガスを使用してもよいが、所望の材料と処理条件に応じて、各種のガスを使用できると理解されるべきである。いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマ204内で、原料は物理的および/または化学的変換を受けてもよい。投入口202は、処理ガスを導入して原料をプラズマ204に向けてエントレインし、加速するために使用できる。いくつかの実施形態では、第2のガス流を生成することで、プラズマアプリケータ204および反応室210の内壁に被覆(sheathing)を提供し、これらの構造をプラズマ204からの熱放射による溶融から保護することができる。
【0039】
プラズマアプリケータ205によって生成するマイクロ波プラズマ204の各種パラメータを、目的の材料を達成するために手動または自動で調整してもよい。これらのパラメータの例として、出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、延長チューブの存在、延長チューブの材料、反応室または延長チューブの絶縁レベル、延長チューブの被覆レベル、延長チューブの形状(テーパー状/ステップ状など)、供給材料のサイズ、供給材料の挿入速度、供給材料の投入口の位置、供給材料の投入口の向き、供給材料の投入口の数、プラズマ温度、滞留時間、および冷却速度が挙げられる。得られた材料は、プラズマから密閉室212に排出され、そこで急冷後に材料が回収される。
【0040】
いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」または「排気」内で処理を行うために、マイクロ波プラズマアプリケータよりも後に原料が注入される。したがって、マイクロ波プラズマトーチのプラズマは、プラズマトーチコアチューブ208の出口端、またはさらに下流でエンゲージする。いくつかの実施形態では、調整可能な下流供給により、温度レベルと滞留時間とを正確に標的化することで、原料の最適な溶融に適した温度で、原料が下流でプラズマプルームとエンゲージできるようにする。投入口の位置とプラズマ特性とを調整することによって、材料特性をさらにカスタマイズできるようにしてもよい。また、いくつかの実施形態では、出力、ガス流量、圧力、および装置の構成(延長チューブの導入など)を調整することによって、プラズマプルームの長さを調整してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、供給構成には、プラズマプルームを囲む1つ以上の個別の供給ノズルが含まれていてもよい。原料は、いずれの方向からプラズマに入ってもよく、投
入口202の配置と向きに応じて、プラズマの周囲360°から供給することができる。また、投入口202の配置を調整することによって、プラズマ204の長さに沿った特定の位置で原料がプラズマに入るようにしてもよく、その位置は、得られる材料の望ましい特性を提供するために、特定の温度が測定され、滞留時間が推定された位置である。
【0042】
いくつかの実施形態では、原料をプラズマ204に対して任意の角度で注入できるように、プラズマ204に対する投入口202の角度を調整してもよい。例えば、投入口202を調整して、原料を、プラズマ204の向きに対して約0°、約5°、約10°、約15°、約20°、約25°、約30°、約35°、約40°、約45°、約50°、約55°、約60°、約65°、約70°、約75°、約80°、約85°、もしくは約90°の角度で、または上記いずれかの値の間の角度で、プラズマへと注入してもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、下流注入法を実施するために、下流スワール(swirl)または急冷を使用することができる。下流スワールとは、プラズマアプリケータの下流に導入して、アプリケータ205、反応室210、および/または延長チューブ214の壁に粉末が接触しないようにすることができる、追加の渦成分のことを指す。
【0044】
いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマ装置の反応室210の長さは、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、もしくは約30フィート、または上記値の間の任意の値であってよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、プラズマ204の長さは、各種処理条件および装置構成を調整することによって延長可能であり、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、もしくは約30フィート、または上記値の間の任意の値であってよい。
【0046】
図3A~3Bは、
図2の実施形態に示す上部供給ホッパーではなく、側面供給ホッパーを備え、それにより下流供給が可能な、マイクロ波プラズマトーチの一例を示す。したがって、この実施においては、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」または「排気」内で処理を行うために、マイクロ波プラズマアプリケータよりも後に原料が注入される。したがって、マイクロ波プラズマトーチのプラズマはプラズマトーチの出口端でエンゲージし、それによって、
図2に関して論じた上部供給(すなわち上流供給)とは対照的に、原料の下流供給を可能にする。この下流供給はトーチの寿命を有利に延長することができる。これは、ホットゾーンライナーの壁上のあらゆる材料堆積物から、無制限にホットゾーンが保護されるためである。また、これにより、温度レベルと滞留時間とを正確に標的化することで、粉末の最適な溶融に適した温度で、下流でプラズマプルームとエンゲージさせることができる。例えば、プラズマプルームを含む急冷容器内のマイクロ波粉末、ガス流、および圧力を使用して、プルームの長さを調節することができる。
【0047】
一般に、下流球状化法においては、安定なプラズマプルームを確立するために、2つの主要なハードウェア構成、すなわち米国特許出願公開第2018/0297122号に記
載のような環状トーチ(annular torch)、または米国特許第8748785号および米国特許第9932673号に記載されるスワールトーチ(swirl torch)を利用することができる。
図2Aおよび
図2Bはともに、環状トーチまたはスワールトーチのいずれかによって実施することができる方法の実施形態を示す。プラズマトーチ出口でプラズマプルームと密接にカップルした供給システムを用いて粉末を軸対称に供給し、プロセスの均質性を維持する。他の供給形態には、プラズマプルームを取り囲む1個または複数個の、個別の供給ノズルが含まれていてもよい。
【0048】
供給材料314を、マイクロ波プラズマトーチ302に導入することができる。供給材料314をマイクロ波プラズマトーチ302、プルーム、または排気へと供給する前に、ホッパー306を使用して供給材料314を保管することができる。他の実施形態では、原料を、プラズマトーチの長手方向の軸に沿って注入することができる。マイクロ波放射を、導波管304を介してプラズマトーチに導入することができる。供給材料314をプラズマ室310に供給し、プラズマトーチ302によって生成されたプラズマと接触させる。プラズマ、プラズマプルーム、またはプラズマ排気に接触すると、供給材料は溶融する。供給材料314は、プラズマ室310にある間に冷えて固化し、次いで、容器312に回収される。あるいは、供給材料314を溶融相のままでプラズマ室310から排出させ、プラズマ室の外で冷却および固化することができる。いくつかの実施形態では急冷室を用いても良く、そこで陽圧を用いても用いなくともよい。
図2とは別に説明されているが、
図3A~3Bの実施形態は
図2の実施形態と類似の特徴および条件を用いると理解される。
【0049】
さらなる実施形態
上記明細においては、本発明を、その具体的な実施形態を参照しながら説明した。しかし、本発明のより広範な趣旨と範囲から逸脱することなく、各種改変および変更を行うことができることは明らかである。したがって、本明細書および図面は、限定ではなく例証を意味するものとみなされるべきである。
【0050】
実際に、本発明の開示は特定の実施形態および実施例と関連したものであるが、本発明が、具体的に開示された実施形態を超えて、本発明の他の代替となる実施形態および/または使用、ならびにその明白な改変物および等価物にも及ぶことを、当業者は理解するであろう。また、本発明の実施形態のいくつかの変形が示され、詳細に記載されているが、本発明の範囲内の他の改変についても、本開示に基づいて、当業者には十分に明らかであろう。また、実施形態の特定の特徴および態様の各種組み合わせ、または部分的な組み合わせを行ってもよく、それらも本発明の範囲内に含まれることが意図される。本開示の発明の実施形態の各種様式を形成するため、開示された実施形態の各種特徴および態様を、互いに結合または置き換え可能であることを理解すべきである。本明細書に開示されたいずれの方法も、記載された順序で実行されることを必要としない。したがって、本明細書に開示される発明の範囲は、上記の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0051】
本開示のシステムおよび方法は、それぞれがいくつかの革新的な側面を有しており、そのうちの単一の側面だけが本明細書に開示される望ましい特性に単独で関与する、または必要とされるわけではないことが理解されるであろう。上記の各種特徴およびプロセスは互いに独立に用いてもよく、各種方法で組み合わせてもよい。全ての可能な組み合わせ、および部分的組み合わせが、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0052】
本明細書において別々の実施形態で記載されている特定の各種特徴を、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態で記載されている各種特徴を、複数の実施形態において、別々に、または任意の適した部分的な組み合わせで、行う
こともできる。さらには、上記において、各種特徴が特定の組み合わせで働くものであるように説明されている場合や、あるいは最初からそう記載されている場合であってさえも、記載された組み合わせから1つまたは複数の特徴を削除し、記載された組み合わせを部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形となるようにしてもよい場合がある。単一の特徴または一群の特徴が実施形態の一つ一つに対して必要または不可欠であるということはない。
【0053】
また、本明細書で使用される、条件についての文言、例えば特に、「~し得る(can)」、「~の可能性がある(could)」、「~かもしれない(might)」、「~してもよい(may)」、「例えば(e.g.)」などは、特に断りが無い限り、またはそれが使用される文脈の範囲内で別の理解がされない限り、一般に、特定の実施形態には特定の特徴、要素、および/または工程が含まれるが、他の実施形態には含まれないということを意図している。したがって、このような条件についての文言は、一般に、特徴、要素、および/または工程が、どのような形であれ、1つまたは複数の実施形態に必要であるということを意図しているわけではなく、また、これらの特徴、要素、および/または工程が任意の特定の実施形態に含まれるか否か、あるいは任意の特定の実施形態で実行されるべきであるか否かを、オーサーによる入力またはプロンプト(author input or prompting)の有無を問わず判断するための論理を、1つまたは複数の実施形態が必然的に含んでいるということを意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は同義であり、制限しない様式で包括的に使用され、追加の要素、特徴、行為、および操作などを排除するものではない。さらに、「または(or)」という用語は、包括的な意味で(かつ排他的な意味ではなく)使用される。したがって、例えば、列挙された要素を結びつけるために用いられる場合、「または(or)」という用語は、列挙された要素のうちの1つ、一部、または全てのことを意味する。また、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」、および「the」は、特に断りが無い限り、「1つまたは複数」あるいは「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきである。同様に、特定の順序で操作が図面に示されることがあっても、このような操作は、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序もしくは一連の順序で実行される必要はなく、あるいは、全ての図示された操作が実施される必要はないと認識されるべきである。また、図面において、1つまたは複数のプロセスの例がフローチャートの形式で概略的に示される場合がある。しかし、図示されていない他の操作が、模式的に図示された例示的な方法およびプロセスに組み込まれてもよい。例えば、1つまたは複数の追加操作を、図示したいずれかの操作の前に、操作の後に、操作と同時に、または操作と操作の間に、実行してもよい。さらに、他の実施形態では、各種操作を再配置または再配列してもよい。特定の状況においては、マルチタスクおよび並列処理が有利な場合がある。また、上述の実施形態におけるさまざまなシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態でこのような分離が必要と理解されるべきではなく、記載のプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化してもよいと理解すべきである。さらに、他の実施形態も以下の特許請求の範囲に含まれる。場合によっては、特許請求の範囲に記載されている動作を異なる順序で実行しても、望ましい結果が達成されることがある。
【0054】
本明細書に記載の方法および装置は、様々な改変および代替の形態が可能であるが、その具体例が図面に示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかし、本発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるべきではなく、反対に、本発明は、記載された各種実施および添付の特許請求の範囲の趣旨と範囲内にある全ての改変物、等価物、および代替物に及ぶと理解されるべきである。さらに、実施または実施形態と関連した任意の具体的な特長(feature)、態様、方法、特性、特徴(characteristic)、品質、属性、または要素などの本明細書での開示は、本明細書に記載された
他のあらゆる実施または実施形態でも用いることができる。本明細書に開示されたいずれの方法も、記載された順序で実行されることを必要としない。本明細書に開示された方法は、専門家によって行われる特定の行為を含む場合がある。しかし、方法は、明示的または暗示的に、これらの行為に対する第三者の指示を含む場合もある。本明細書に開示される範囲は、あらゆる重複、部分範囲、およびそれらの組み合わせをも包含する。「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「~超(greater than)」、「~未満(less than)」、および「~の間(between)」などの文言は、記載された数字を包含する。「約(about)」または「およそ(approximately)」などの用語に続く数字は、記載された数字を包含しており、状況に基づいた解釈を行うべきである(例えば、その状況下で合理的かつ可能な限り正確な数字、例として、±5%、±10%、±15%など)。例えば、「約3.5mm」は「3.5mm」を包含する。「実質的に(substantially)」などの用語に続く語句は、記載された語句を包含しており、状況に基づいた(例えば、その状況下で合理的かつ可能な限り最大限の)解釈を行うべきである。例えば、「実質的に一定」には、「一定」が含まれる。特に断りの無い限り、全ての測定は、温度や圧力などを含め、標準的な条件下で行われる。
【0055】
本明細書で項目を列挙する際に使用される「少なくとも1つ(at least one of)」という語句は、個々の項目も含め、それら項目の任意の組み合わせのことを指す。例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つ」は、A;B;C;AおよびB;AおよびC;BおよびC;ならびに、A、B、およびC;を包含することが意図される。特に断りの無い限り、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」という語句などの接続語は、一般に、項目または用語などがX、Y、またはZの少なくとも1つでありうることを示すのに使用される文脈として理解される。したがって、そのような接続語は、一般に、特定の実施形態において、少なくとも1つのXと、少なくとも1つのYと、少なくとも1つのZとがそれぞれ存在することが必要ということを意図しているのではない。本明細書で見出しが提供されている場合、それは単に便宜上のものであり、本明細書で開示される装置および方法の範囲または意味に必ずしも影響を与えるものではない。
【0056】
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施形態に限定することを意図するものではなく、本開示、ならびに本明細書に開示される原理および新規特徴と矛盾しない、最大の範囲が与えられるべきである。
【国際調査報告】