(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】基板の表面をプラズマ処理するための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 18/30 20060101AFI20240319BHJP
C23C 18/34 20060101ALI20240319BHJP
C23C 18/40 20060101ALI20240319BHJP
C25D 5/56 20060101ALI20240319BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240319BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C23C18/30
C23C18/34
C23C18/40
C25D5/56 A
C25D7/00 J
H05K3/18 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560712
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022058516
(87)【国際公開番号】W WO2022207769
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ブリューニング
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・デュンネバイル
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】エーディト・シュタインホイザー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ツァーヴェル
【テーマコード(参考)】
4K022
4K024
5E343
【Fターム(参考)】
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5E343AA11
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5E343GG11
(57)【要約】
本発明は、基板、特に誘電基板の表面をプラズマ処理するための方法であって、以下の工程:(t)基板の湿式化学処理された表面を得るためにデスミアプロセスの処理溶液で基板の表面を湿式化学処理する工程、(i)基板のプラズマ処理された表面を得るために、基板の表面を大気圧下プラズマビームで処理する工程、(ii)基板の活性化された表面を得るための、活性化組成物での基板のプラズマ処理された表面を活性化する工程、(iii)任意選択で、基板のめっき表面を得るための、基板の活性化された表面上の被覆金属を無電解析出する工程、及び(iv)任意選択で、任意選択の工程(iii)の後に得られる基板のめっき表面上の、又は工程(ii)の後に得られる基板の活性化された表面上の追加の被覆金属を電解析出する工程を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を備える誘電基板の表面をプラズマ処理するための方法であって、以下の工程:
(t)デスミアプロセスの処理溶液で前記基板の前記表面を湿式化学処理して前記基板の前記表面から残留物を除去し、前記基板の湿式化学処理された表面を得る工程、
(i)前記基板の前記湿式化学処理された表面を大気圧下プラズマビームで処理して前記基板のプラズマ処理された表面を得る工程、
(ii)活性化組成物での前記基板の前記プラズマ処理された表面を活性化して前記基板の活性化された表面を得る工程、
(iii)任意選択で、前記基板の前記活性化された表面上の被覆金属を無電解析出して前記基板のめっき表面を得る工程、及び
(iv)任意選択で、任意選択の工程(iii)の後に得られる前記基板の前記めっき表面上の、又は工程(ii)の後に得られる前記基板の前記活性化された表面上の追加の被覆金属を電解析出して、電解金属被覆された表面を得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程(t)が、前記基板の前記表面の膨潤、エッチング及び還元処理工程並びに任意選択ですすぎ及び/又は洗浄処理工程のためのサブ工程を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(t)が、サブ工程(t-1)、(t-2)及び(t-3)を含み、
サブ工程(t-1)が、第1の処理剤、好ましくは膨潤剤を前記基板の前記表面に適用して前記基板の膨潤した表面を得る工程を含み、
サブ工程(t-2)が、第2の処理剤、好ましくはエッチング剤を前記基板の前記表面に、好ましくは前記基板の前記膨潤した表面に適用して前記基板のエッチングされた表面を得ることを含み、
サブ工程(t-3)が、第3の処理剤、好ましくは還元剤を前記基板の前記表面に、好ましくは前記基板の前記エッチングされた表面に適用する工程を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
硬化性ポリマー層、好ましくは硬化性有機ポリマー層が、前記湿式化学処理された表面及び/又は前記プラズマ処理された表面上に析出されない、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)の前又は後に実施される以下の工程(p)、
(p)前記基板の表面を前処理プロセス、好ましくは洗浄プロセスで前処理して前記基板の前処理された表面を得る工程
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(p)が、サブ工程(p-1)、及び/又は(p-2)を含み、
サブ工程(p-1)が、第1の前処理剤、好ましくはコンディショニング剤を含む若しくは含まない洗浄剤を前記基板の前記表面に適用して前記基板の洗浄及びコンディショニングされた表面を得る工程を含み、且つ/又は
サブ工程(p-2)が、第2の前処理剤、好ましくはエッチング/洗浄剤を前記基板の前記表面に、好ましくは前記基板の前記洗浄及びコンディショニングされた表面に適用する工程を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(iii)が、被覆組成物を前記基板の前記活性化された表面に適用する工程を含み、前記被覆組成物が、前記被覆金属を含み、前記被覆金属は、好ましくは、銅、ニッケル、又はそれらの合金から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(iii)が、1分~30分、好ましくは1~4分若しくは20~30分の期間、且つ/又は10℃~50℃の温度で、好ましくは32℃~34℃で実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、有機ポリマー又は前記有機ポリマーとのガラスフィラー及び/若しくはシリカフィラー及び/若しくはガラスファブリックの混合物に基づく複合材を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板の前記表面が、前記スルーホール(TH)とブラインドマイクロビア(BMV)を区切る孔表面を含む前記基板の外部表面であり、工程(i)、(ii)、任意選択で(iii)及び任意選択で(iv)が、前記表面上で実施される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(i)中の前記プラズマビームが、空気プラズマ、生成ガスプラズマ、酸素ガスプラズマ又は不活性ガスプラズマ、好ましくは生成ガスプラズマにより生成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
発生するプラズマがそれを通じてプラズマ源を出るノズルを備えるプラズマ発生器により工程(i)中の前記プラズマビームが発生する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ノズルと前記基板の前記表面の間の距離が、工程(i)中一定に、好ましくは5mm~25mmに維持され、且つ/又は工程(i)中前記ノズルが、前記基板に対して一定速度で、好ましくは50mm/秒~250mm/秒の一定速度で移動される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(i)中に発生する前記プラズマビームが、250W~700W、好ましくは400Wのノズルあたりの放電電力を含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
工程(i)中前記プラズマビームに曝露される前記基板の前記表面の温度が、前記基板の固有のガラス転移温度Tgよりも好ましくは低い温度閾値未満に維持される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
サブ工程(t-2)が、1分~20分の、好ましくは2分~20分、より好ましくは2分~10分の期間実施される、請求項2から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
本発明の方法工程(t)~(iv)を実施した後の得られた基板表面の剥離強度接着が、工程(t)又は工程(i)のみを実施するよりも少なくとも25%改善される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
本発明の方法工程(t)~(iv)を実施した後の得られた基板表面の剥離強度接着が、5N/cm以上、好ましくは6N/cm以上である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法により得られる金属被覆された表面を有する基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様によれば、基板、特に誘電基板の表面をプラズマ処理するための方法に関する。
【0002】
特に、方法は、以下の工程、(i)基板のプラズマ処理された表面を得るために、基板の表面を大気圧下プラズマビームで処理する工程、(ii)基板の活性化された表面を得るための、活性化組成物での基板のプラズマ処理された表面の活性化、及び(iii)任意選択で、基板のめっき表面を得るための、基板の活性化された表面上の被覆金属の無電解析出を含む。
【0003】
第2の態様によれば、本発明は更に、第1の態様による方法により得られる金属被覆された表面を有する基板に関する。
【背景技術】
【0004】
基板表面上への金属層の湿式化学析出は、当技術分野において長い伝統を有する。この湿式化学析出は、被覆金属の電解又は無電解めっきにより達成され得る。無電解めっきは、電子の外部供給の補助がない被覆金属の連続膜の制御された自己触媒析出である。それに反して、電解めっきは、電子のそのような外部供給を必要とする。
【0005】
これらの方法は、エレクトロニクス産業において非常に重要であり、他の用途の中でも、プリント回路板、半導体デバイス及び類似品の製造において使用される。この点に関して最も重要な被覆金属は銅であり、前記物品において回路を形成する伝導線のビルドアップに銅が使用されるためである。
【0006】
ほとんどの従来の基板は、非金属性表面及びそれによって非伝導性表面を備えるので、前記基板表面は典型的には、それらを無電解及び/又は電解めっきプロセスに受容的にするために活性化されなければならない。ガラス基板、シリコン基板及びプラスチック基板等の非伝導性基板のこの活性化は、銅、銀、金、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、ルテニウム、イリジウム等の触媒金属又は伝導性有機ポリマー等の導電性被覆又はカーボンブラック、グラファイト、カーボンチューブ若しくはグラフェンのような炭素を使用することができる。そのような活性化、例えば触媒金属による活性化は通常、結果として離散層を生じないが、基板の表面上にスポットの島様構造を生じる。そのような活性化は、基板の表面上への触媒金属の吸着により達成され得る。そのような活性化により、基板上の金属又は金属合金の析出の前に基板を感受性化することが可能である。
【0007】
しかし、非金属性基板表面、すなわち非伝導性基板表面の活性化の前に、典型的には前処理プロセスが実施されなければならず、それは、とりわけデスミア、膨潤、エッチング、還元、すすぎ、又は洗浄プロセスを含む。これらのプロセスは、とりわけ、有機溶媒、酸性若しくはアルカリ水性溶液又は界面活性剤、還元剤及び/若しくは酸化剤を含む溶液での表面残留物の除去を含む。
【0008】
増えつつある小型化に対する需要に直面して、現代のエレクトロニクスメーカーは、ますます密に相互接続された多層プリント回路板へ向かうトレンドを追わなければならない。それらの低コストでバランスがよい物理化学的及び機械的特性のために、エポキシベースの複合基板が、主に選択される絶縁物質である。最新のエポキシビルドアップ積層板は、量が増えつつある球状ガラスフィラーを含み、それは、エポキシベースの樹脂マトリックスと電気めっき銅回路の間のCTE不整合を補償するために必要とされる。加えて、μm以下程度のそれらの小さいサイズは、ガラス繊維束強化ベース物質と比較して、より滑らかな表面トポグラフィーを可能にする。
【0009】
トレース、ブラインドマイクロビア(BMV)又はスルーホール(TH)として異なるリセスを例えばガラスフィラーを含む樹脂ベースの基板内に穿孔することにより挿入した後、典型的には、穿孔プロセスの残留物を除去するためにデスミアプロセスが適用される。工業的なデスミア処理中、基板の表面及びリセスの表面における露出したガラスフィラーの接着は弱くなり、周囲の樹脂マトリックスへのそれらのアンカリングは失われる又は損傷されることになる。このフィラーが除去されない場合、残っている弱く結合した、又は緩いフィラーが、エポキシ樹脂上のめっきされた銅の低接着、並びにブラインドマイクロビア(BMV)又はスルーホール(TH)内の汚染された銅-銅接続を起こすことがある。これは、生産における歩留まり率及び最終製品における信頼性に影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
ガラスフィラー汚染を克服する一般的なアプローチには、米国特許出願公開第2012/0298409(A1)号に記載されたフッ化物エッチ溶液及び米国特許出願公開第2007/0131243(A1)号に記載された超音波処理が含まれる。これらの戦略のいずれも、セミアディティブ処理(SAP)の垂直モードにおいて容易に適用可能ではない。フッ化物エッチング溶液の厳しい健康問題のため、それらは産業の大部分に対してすぐに不適格となる一方、垂直モードにおける超音波適用は、おそらくバスケット適用においてさえ、各パネルに対する十分に大きい影響を伴って均質に使用するのが極めて困難である。
【0011】
特開2010-229536は、デスミア処理等の後に基板表面上に露出するフィラー及びガラス繊維が除去されることになっている、シリカベースのフィラーを含む樹脂基板の表面を洗浄するための前処理剤を開示している。前処理剤は、アルカリ、非イオン性エーテル系界面活性剤、及びアミンベースの錯化剤を含む。
【0012】
国際公開第2019/206682号は、非金属性基板の金属めっきに関する。とりわけ、それは、特に滑らかなポリマー含有基板を銅、パラジウム、ニッケル、銀、ニッケルリン(Ni-P)、ニッケルホウ素(Ni-B)、キュプロニッケル又は他の金属等の金属でめっきするのに特に適した方法に関する。
【0013】
KR20080011259は、金属物質又はABS樹脂若しくはPCB等の非金属物質の湿式めっきにおいて従来の化学薬品前処理を回避するプラズマ前処理プロセスを開示している。
【0014】
米国特許出願公開第2010/272902(A1)号は、(a)触媒元素との相互作用を形成することができる官能基を少なくともその表面に有するめっきされる物体に触媒元素及び有機溶媒を含むめっき触媒液体を適用する工程;及び(b)めっき触媒液体が適用されためっきされる物体上にめっきを実施する工程を含むめっき方法に関する。
【0015】
米国特許出願公開第20170306496(A1)号は、多層状エラストマー物品及びその製造のための方法に関する。少なくとも1種のエラストマーを含むエラストマー組成物(C)で作られた多層状物品であって、-窒素含有基(N)及び-少なくとも1種の金属化合物(M)を含む、表面(S)に接着された少なくとも1つの層(LI)を含む少なくとも1つの前記表面(S)を有する、多層状物品。
【0016】
国際公開第2005/087979(A2)号は、基板の非伝導性表面上に金属層を析出させるための方法及びデバイスを開示している。方法内で、(a)金属イオンを含む液体組成物は、表面の少なくとも一部に向けられ、(b)還元剤は、表面の少なくとも一部に向けられる。金属イオンは、その上に(a)及び(b)の両方が向けられたそれらの部分において金属形態へとin situで還元される。還元反応及び非伝導性表面に対する接着性を大気性での処理等の物理的エネルギーでの処理により支持することができる。
【0017】
前述の従来のアプローチはしばしば、健康要素に対する危険を含む。更に、従来使用される溶液は、緩い、又は弱く結合したフィラーを十分に除去せず、不十分な表面前処理につながり、且つ望まれない発泡に更に向かう。したがって、その後の基板活性化は、基板の表面上で非特定の不十分な接着された触媒金属層の形成につながる可能性があり、次いで、それは、その後のめっきプロセスにおいて不完全な銅析出につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0298409(A1)号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0131243(A1)号
【特許文献3】特開2010-229536
【特許文献4】国際公開第2019/206682号
【特許文献5】KR20080011259
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/272902(A1)号
【特許文献7】米国特許出願公開第20170306496(A1)号
【特許文献8】国際公開第2005/087979(A2)号
【特許文献9】米国特許第7,220,296号
【特許文献10】国際公開第2017/037040(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の第1の目的は、先行技術の欠点を克服し、且つ多種多様なポリマー基板からの、特に、基板のブラインドマイクロビア(BMV)又はスルーホール(TH)内の表面残留物、すなわち、緩いガラスフィラーの除去を改善するための手段を提供することであった。
【0020】
したがって、本発明の第2の目的は、廃水処理を単純化し、エネルギー及び時間消費を節約し、それによって製造コストを削減するために、前処理プロセス、例えば、膨潤、エッチング、還元、すすぎを含むデスミアプロセス;又は多種多様なポリマー基板のための、特に、ブラインドマイクロビア(BMV)若しくはスルーホール(TH)を備える基板における他の洗浄プロセスの必要性を省略するか、又は少なくとも著しく低減することであった。
【0021】
したがって、本発明の第3の目的は、前記処理された表面のその後の活性化を、すなわち、改善された量の表面被覆率/分布及び活性化組成物の改善された接着により、特に基板のブラインドマイクロビア(BMV)又はスルーホール(TH)内で改善する多種多様な前記基板のための表面処理を提供することであった。ここで、基板表面の粗さは、デスミアプロセスとして湿式化学処理のみの従来使用と同等であり、少なくとも表面粗さは著しく増加しない。
【0022】
したがって、本発明の第4の目的は、優れた接着強度、特に電解析出された銅被覆の優れた接着強度を有し、且つ剥脱されるのが困難である、それぞれの基板上の金属被覆を特に基板のブラインドマイクロビア(BMV)又はスルーホール(TH)内で可能にする多種多様な基板のための表面処理を提供することであった。
【0023】
したがって、本発明の第5の目的は、著しく減少した表皮効果、信号損失を示すか、又は表皮効果、信号損失を示さない、それぞれの基板上の金属被覆を可能にする、多種多様な基板、特に低dk、低df物質ベースの基板のための表面処理を提供することであった。
【0024】
したがって、本発明の第6の目的は、製造コストを削減するために、他のプロセス工程を大きく修正することなく従来のプロセスシーケンスに含めることができる、多種多様な基板のための表面処理を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1の態様によれば、上述の第1~第6の目的は、スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を備える誘電基板の表面をプラズマ処理するための方法であって、以下の工程:
(t)基板の湿式化学処理された表面を得る目的で基板の表面から残留物を除去するためにデスミアプロセスの処理溶液、好ましくは水性溶液で基板の表面を湿式化学処理する工程、
(i)基板のプラズマ処理された表面を得るために、基板の湿式化学処理された表面を大気圧下プラズマビームで処理する工程、
(ii)基板の活性化された表面を得るための、活性化組成物での基板のプラズマ処理された表面の活性化、
(iii)任意選択で、基板のめっき表面を得るための、基板の活性化された表面上の被覆金属の無電解析出、及び
(iv)任意選択で、任意選択の工程(iii)の後に得られる基板のめっき表面上の、又は工程(ii)の後に得られる基板の活性化された表面上の追加の被覆金属の電解析出
を含む、方法により解決される。
【0026】
方法、特に湿式化学処理工程(t)とプラズマ処理工程(i)の組合せは、基板からの、特に、基板のブラインドマイクロビア(BMV)又はスルーホール(TH)内の緩く、又は弱く結合した表面残留物、すなわち、フィラー成分の効率的除去を可能にし、且つ化学的接着の支持のためにポリマー表面において官能基を生成又は改変し、ここで、標準的な手順と比較して、このその後の処理により、プラズマ処理された表面粗さは著しく増加しないが、低減することができる。方法は特に、基板とその後の析出された金属層の間の接着及び処理される誘電基板表面の金属被覆率を改善する。
【0027】
活性化工程(ii)を実施することにより、プラズマ処理された表面上に活性化層が析出され、その結果、それは、基板の前記活性化された表面を実現する。
【0028】
結果的に、プラズマ処理工程(i)に続くその後の活性化工程(ii)中、基板のプラズマ処理された表面を活性化組成物により効果的に活性化することができ、それは、ひいては、工程(iii)中、前記活性化された基板表面上の被覆金属、例えば銅の任意のその後の(任意選択の無電解)析出の効率を改善する。
【0029】
活性化工程(ii)中にのみ使用される特定の活性化組成物に応じて、電解金属析出工程が後から実施されてよいし、又はまず無電解金属析出工程、続いて電解金属析出工程の両方が後から実施されてよい。
【0030】
例えば、活性化組成物を適用することにより得られた基板の活性化された表面としてパラジウム金属が使用されるとき、第1に活性化工程(ii)の後に無電解被覆金属析出工程(iii)が実施され、第2に無電解被覆金属析出工程(iii)の後に電解金属析出工程が実施される。
【0031】
或いは、カーボンブラック、グラファイト、カーボンチューブ若しくはグラフェンのような炭素、コロイド状金属又は伝導性ポリマーが、活性化組成物を適用することにより基板の活性化された表面として使用されるとき、例えば任意選択の無電解金属析出工程(iii)を省略することができ、活性化工程(ii)の後に電解金属析出工程のみが実施される。
【0032】
結果的に、よく金属被覆された基板を得ることができ、ここで、金属被覆は、優れた接着強度、優れた光学的外観、及び優れた機械的強度を有する。加えて、基板における金属被覆の被覆率が改善される。
【0033】
更に、プラズマ処理工程(i)の高い効率のために、廃水の処理を単純化することができ、エネルギー及び時間消費を削減することができ、結果的に製造コストを削減することができるように、例えば膨潤、エッチング、還元、すすぎ及び/又は洗浄プロセスを含むデスミアプロセスを削減することができる。
【0034】
本発明は、デスミアプロセスを使用する湿式化学処理とその後の大気プラズマでの処理の組合せが有益であることを示す。独自の実験は、組合せが、デスミアプロセス又はプラズマ処理のみの適用と比較して、その後に析出された層の接着を改善することを示す。好ましい実施形態において、本発明の方法工程(t)~(iv)を実施した後の得られた基板表面の剥離強度接着は、5N/cm以上、好ましくは6N/cm以上、最も好ましくは5~10N/cmである。剥離強度試験は、IPC-TM-650エレクトロニクス規格に従って実施される。
【0035】
好ましくは、本発明の方法工程(t)~(iv)を実施した後の基板表面の剥離強度接着は、デスミアプロセスの処理溶液で基板の表面を湿式化学処理する工程(t)又は基板の湿式化学処理された表面を大気圧下プラズマビームで処理する工程(i)のみを実施するよりも少なくとも25%改善され、より好ましくは25%~150%改善される。より好ましくは、剥離強度接着は、50%~100%改善される。剥離強度試験は、IPC-TM-650エレクトロニクス規格に従って実施される。
【0036】
デスミアプロセスを適用することにより、処理された基板の表面粗さは、通常増加し、且つ洗浄されるが、時には、得られる表面粗さが強すぎ、それが、望まれないめっき効果を引き起こす。本発明の1つの実施形態において、短縮されたデスミアプロセスを実施することにより、組合せは、よく洗浄された表面及びその後の層の良好な接着に依然としてつながるが、対照的に、組み合わせられた処理の表面粗さは、適用された標準的なデスミアプロセスのみと比較してより小さかったことを驚くべきことに見出すことができた。したがって、例えば表面分布/被覆率並びにその後の析出された層の接着は改善され、表皮効果は減少する。
【0037】
プラズマ処理工程(i)は大気圧下で実施されるので、プラズマ処理される基板のために、真空シールされた区画を用意する必要はない。したがって、プラズマ処理工程(i)は、従来のめっきプロセスに効果的に組み込まれ得、それは、製造コストの効果的な削減も可能にする。
【0038】
第2の態様によれば、上述の第1~第6の目的は、第1の態様による方法により得られる金属被覆された表面を有する基板により解決される。
【0039】
前記基板は、前にまとめられた利点による優れた金属被覆を備える。
【0040】
実施例の簡単な説明
実施例1、2、3、4、5及び6において、剥脱試験中の被覆された金属の生じる接着強度に対する様々なプロセス工程における変形の影響が示される。
【0041】
更なる詳細が本明細書の以下の「実施例」セクションに記載される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の文脈において、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」という用語は、「1つ、2つ、3つ又は3つを超える」を表す(且つそれと交換可能である)。
【0043】
本発明の文脈において、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数のあらゆるすべての組合せを含む。
【0044】
本発明の文脈において、「析出」、「被覆」及び「めっき」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。本発明の文脈において、「層」、「被覆」及び「析出物」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0045】
本発明の文脈において、「誘電性」という用語は、非金属性及びそれによって非伝導性を意味する。
【0046】
本発明の文脈において、「水性溶液」という用語は、水性溶液が50質量%(w/w%)以上の水を含むことを意味する。
【0047】
本発明の文脈において、「デスミアプロセス」という用語は、基板内にスルーホール(TH、スルーホールビア(THV)とも呼ばれる)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を形成する誘電基板の表面内へのレーザー穿孔又は機械的穿孔により発生する微粒子としての残留物の除去のためのプロセスに特に関する湿式化学プロセスを意味する。湿式化学プロセスは、少なくともエッチング剤、好ましくは水性の酸性又はアルカリ過マンガン酸塩溶液を使用するエッチング剤を含む。
【0048】
本発明の文脈において、処理される誘電基板の表面は、基板内に穿孔されたスルーホール(TH)とブラインドマイクロビア(BMV)を区切る孔表面を含む基板の外部表面と理解される。外部表面は、例えば、孔表面ではない基板の上及び下平面を更に含んでよく、工程(i)、(ii)、任意選択で(iii)及び任意選択で(iv)が、前記表面上で実施される。少なくとも孔表面は、例えば工程(t)による湿式化学処理された表面を得るために、本発明の方法により処理される。
【0049】
第1の態様によれば、本発明は、スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を備える誘電基板の表面をプラズマ処理するための方法であって、以下の工程:
(t)基板の湿式化学処理された表面を得る目的で基板の表面から残留物を除去するためにデスミアプロセスの処理溶液、好ましくは水性溶液で基板の表面を湿式化学処理する工程、
(i)基板のプラズマ処理された表面を得るために、基板の湿式化学処理された表面を大気圧下プラズマビームで処理する工程、
(ii)基板の活性化された表面を得るための、活性化組成物での基板のプラズマ処理された表面を活性化する工程、
(iii)任意選択で、基板のめっき表面を得るための、基板の活性化された表面上の被覆金属を無電解析出する工程、及び
(iv)任意選択で、電解金属被覆された表面を得るための、任意選択の工程(iii)の後に得られる基板のめっき表面上の、又は工程(ii)の後に得られる基板の活性化された表面上の追加の被覆金属の電解析出する工程
を含む、方法に関する。
【0050】
プラズマビームでの処理は、湿式化学処理された表面とその後の層の間の接着層として機能するポリマー層を析出させることなく工程(t)の後に、湿式化学処理された表面に好ましくは直接適用される。それは、硬化性有機ポリマー層としてのポリマー層が、工程(i)の前に、湿式化学処理された表面上に析出されず、且つこれと共に排除されることを意味する。
【0051】
更に、工程ii)-基板のプラズマ処理された表面の活性化は、好ましくは、工程(i)を適用した直後に実施される。特に、活性化された表面を実現する活性化層のための接着層として機能する硬化性ポリマー層、例えば硬化性有機ポリマー層は析出されない。したがって、硬化したポリマー並びに/又はプラズマ処理された表面及び活性化された表面との化学的相互作用を実現するために有機ポリマーを硬化すること(例えば化学硬化、UV光照射又はプラズマビームによる硬化)により形成される接着層は必要とされず、且つ排除される。
【0052】
硬化性ポリマー層、好ましくは硬化性有機ポリマー層が、湿式化学処理された表面及び/又はプラズマ処理された表面上に析出されない方法が好ましい。
【0053】
好ましくは、本発明による基板には、微細なフィーチャを有するHDI、MLB生産及び/又はIC基板物品のための、より好ましくは1:3~1:18のスルーホール(TH)及び/又は1:0.5~1:2.3のブラインドマイクロビア(BMV)のアスペクト比を備える水平めっき適用のための、或いはより好ましくは1:3~約1:30のスルーホール(TH)及び/又は1:1若しくは1:1.15~1:2.3まで低いブラインドマイクロビア(BMV)のアスペクト比を備える垂直めっき適用のためのボードが含まれる。
【0054】
デスミアプロセス(t)は、特に、スルーホール(TH)又はブラインドマイクロビア(BMV)内に存在する表面残留物又はフィラーをデスミアプロセスにより効率的に除去することができるので、方法工程(i)中のその後のプラズマ処理のための基板の表面を調製するのに有益である。
【0055】
表面残留物の望ましい除去に加えて、デスミアプロセスも表面を粗面化し、ここである一定の表面粗さRaが得られる。Ra値は、DIN EN ISO 4287、DIN EN ISO 4288:1998、DIN EN ISO 13565、DIN EN 10049に従って測定される。
【0056】
デスミアプロセスが好ましくは、スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を挿入する穿孔プロセスの後に基板表面の膨潤、エッチング及び還元処理工程並びに任意選択ですすぎ及び/又は洗浄処理工程のためのサブ工程を適用することを含む、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。より好ましくはデスミアプロセスは、少なくとも3つのサブ工程:(t-1)膨潤工程、(t-2)エッチング工程及び(t-3)還元工程を含む。これらのサブ工程は、以下に示されるような処理剤の適用を含んでよい。
【0057】
工程(t)が、サブ工程(t-1)、(t-2)及び(t-3)を含み、
サブ工程(t-1)が、基板の膨潤した表面を得るために、第1の処理剤、好ましくは膨潤剤を基板の表面に適用する工程を含み、
サブ工程(t-2)が、基板のエッチングされた表面を得るために、第2の処理剤、好ましくはエッチング剤を基板の表面に、好ましくは基板の膨潤した表面に適用することを含み、
サブ工程(t-3)が、第3の処理剤、好ましくは還元剤を基板の表面に、好ましくは基板のエッチングされた表面に適用する工程を含む、
基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0058】
第1の処理剤、第2の処理剤及び第3の処理剤は、好ましくは水性溶液である。
【0059】
対応するサブ工程(t-1)、(t-2)及び(t-3)を適用することにより、特に効果的なデスミアプロセスを確保することができる。
【0060】
好ましくは、サブ工程(t-1)が第1の工程であり、第2の工程としてサブ工程(t-2)が続き、そして次に第3の工程としてサブ工程(t-3)が続く。
【0061】
好ましくは、第1の処理剤、より好ましくは膨潤剤は有機溶媒を含み、それは、最も好ましくはグリコールエーテル及び/又はラクタムとして選択され、且つスルーホール及びBMVの露出した樹脂表面内に浸透する。最も好ましくは、膨潤剤は、市販のSecuriganth MV Swellerとして選択される。
【0062】
好ましくは、第1の処理剤、より好ましくは膨潤剤は、第1の処理剤の総体積に対して200ml/l~500ml/lの濃度で適用される。
【0063】
好ましくは、第1の処理剤、より好ましくは膨潤剤は、9.5~12のpHを備える。
【0064】
好ましくは、サブ工程(t-1)は、55℃~85℃の、より好ましくは60℃~70℃の温度から実施される。
【0065】
好ましくは、サブ工程(t-1)は、2分~15分の、好ましくは5分~10分の期間実施される。
【0066】
好ましくは、第2の処理剤、より好ましくはエッチング剤は、酸を含む水性溶液、より好ましくは硫酸、及び/若しくは酸化剤、より好ましくは過酸化水素として選択されるか、又はアルカリ溶液、より好ましくは水酸化カリウム溶液、及び/若しくは酸化剤、より好ましくは過マンガン酸カリウムとして選択される。最も好ましくは、エッチング剤は、市販のSecuriganth P500として選択される。
【0067】
好ましくは、第2の処理剤、より好ましくはエッチング剤、更により好ましくは過マンガン酸塩が、第2の処理剤の総体積に対して35g/l~70g/lの濃度で適用される。
【0068】
好ましくは、第2の処理剤、より好ましくはエッチング剤は、第2の処理剤の総体積に対して35g/l~60g/lの水酸化ナトリウムを含む。
【0069】
好ましくは、サブ工程(t-2)は、60℃~90℃の、より好ましくは70℃~85℃の温度から、最も好ましくは80℃で実施される。
【0070】
好ましくは、サブ工程(t-2)は、1分~20分の、好ましくは2分~20分、より好ましくは2分~10分の期間実施される。
【0071】
驚くべきことに、粗さがより小さい表面がより有益である場合、湿式化学処理とプラズマ処理の本発明の組合せを通じて、湿式化学処理を短縮することができることが見出された。独自の実験は、20分(工程(i)中のプラズマ処理後に測定)とは対照的に2分~10分(工程(i)中のプラズマ処理後に測定)の短縮されたサブ工程(t-2)を使用することにより、プラズマ処理された表面の得られる表面粗さRaが30~50%減少したが、その後の金属層の接着は同じ所望の範囲内であったことを示した。
【0072】
好ましくは、第3の処理剤、より好ましくは還元剤は、酸、最も好ましくは硫酸又は塩酸、クエン酸のように先の工程の金属残物を還元することができる還元剤、アスコルビン酸ハイポホスフェート(ascorbic acid hypophosphate)、最も好ましくは硫酸ヒドロキシルアンモニウム又は過酸化水素、並びに窒素原子及び/又は正に荷電した窒素原子を含むポリマーを含む。最も好ましくは、還元剤は、市販のMV Reduction Conditioner又はReduction Solutionとして選択される。
【0073】
好ましくは、第3の処理剤、より好ましくは還元剤は、第2の処理剤の総体積に対して70ml/l~150ml/lの濃度で適用される。
【0074】
好ましくは、第3の処理剤、より好ましくは還元剤は、第2の処理剤の総体積に対して80ml/l~120ml/lの50w/w%硫酸を含む。
【0075】
好ましくは、サブ工程(t-3)は、40℃~55℃の、より好ましくは40℃~50℃の温度から、最も好ましくは50℃で実施される。
【0076】
好ましくは、サブ工程(t-3)は、0.5分~5分の期間、好ましくは4分間実施される。
【0077】
特に、本開示によるプラズマ処理を適用することにより、金属被覆の接着強度を著しく増加させることができ、それは、基板の機械的に安定な被覆層に結果としてつながり、ここで前記被覆は、基板から剥脱する可能性が低い。
【0078】
金属層のその後の析出の接着を改善するために、ある一定の表面粗さが望ましいが、発生した表面粗さが強すぎると、層の厚さ均一性及び層の平らな面の均一性の点から見て、その後の析出された金属層の表面品質に悪影響を及ぼす。これは、析出金属層の抵抗性及び被覆率の問題につながる可能性があり、望まれない表皮効果が増加し始める。
【0079】
スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を備える本発明による基板は、基板のプラズマ処理された表面を得るために、方法工程(i)中に大気圧下プラズマビームにより処理される。
【0080】
好ましくは、本発明による基板には、微細なフィーチャを有するHDI、MLB生産及び/又はIC基板物品のための、より好ましくは約1:3~約1:18のスルーホール(TH)及び/又は約1:0.5~1:2.3のブラインドマイクロビア(BMV)のアスペクト比を備える水平めっき適用のための、或いはより好ましくは約1:3~約1:30のスルーホール(TH)及び/又は約1:1若しくは1:1.15~1:2.3まで低いブラインドマイクロビア(BMV)のアスペクト比を備える垂直めっき適用のためのボードが含まれる。
【0081】
方法工程(i)中に発生するプラズマビームは、スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を区切る孔表面並びに平坦な上及び下面を含む表面を活性化組成物により後から有利に活性化し、それによって基板のスルーホール(TH)又はブラインドマイクロビア(BMV)における被覆の機械的欠陥を防止することができるような、これらの表面の処理において有用である。
【0082】
本開示によるプラズマビームは、約1barである大気圧下で発生するプラズマビームであり、それは、プラズマ処理される基板が真空チャンバー内に密封される必要がないことを意味する。したがって、プラズマ処理工程(i)は、そのようなプロセスを大幅に再設計する必要なく現存するめっき方法に効果的に組み込まれ得る。
【0083】
プラズマ処理工程(i)は、基板の活性化された表面を実現する活性化層の接着及び濡れ性を支持するために、基板のプラズマ処理された表面において官能基を与えることを特に可能にする(表面において基板物質を生成又は改変することによる)。それは、プラズマ処理工程(i)が、プラズマ処理された表面上への酸化又は還元生成物につながることを意味する。その結果、プラズマ処理された表面は、カルボニル、ヒドロキシ、ニトリド、ナイトレート、アミン、アミド、アルケニル及びアルキニルからなる群から選択される官能基を有する。工程(i)中に生成されるそのような官能基は、例えば大気空気プラズマでの処理後のエポキシベースのABFポリマーに好ましいカルボニル、ヒドロキシ、アミン、アルケニル及びアルキニルである。
【0084】
工程(i)の前又は後に実施される以下の工程(p)、
(p)基板の前処理された表面を得るために基板の表面を前処理プロセス、好ましくは洗浄プロセスで前処理する工程
を含むか、又は工程(i)が工程(p)中に実施される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0085】
前処理プロセス、好ましくは洗浄プロセスは、活性化工程(ii)中の基板の表面のその後の活性化を改善することができる。工程(p)中、好ましくは工程(i)の前に実施された場合、硬化性ポリマー層、好ましくは硬化性有機ポリマー層は析出されない。
【0086】
好ましくは、工程(p)は、方法のプラズマ処理工程(i)の後に実施される。それによって、工程(i)の後に得られる基板のプラズマ活性化された表面は、前処理工程(p)に供され、そして次に活性化工程(ii)が続く。
【0087】
工程(p)が、サブ工程(p-1)、及び/又は(p-2)を含み、
サブ工程(p-1)が、基板の洗浄及びコンディショニングされた表面を得るために、第1の前処理剤、好ましくはコンディショニング剤を含む若しくは含まない洗浄剤を基板の表面に適用する工程を含み、且つ/又は
サブ工程(p-2)が、第2の前処理剤、好ましくはエッチング/洗浄剤を基板の表面に、好ましくは基板の洗浄及びコンディショニングされた表面に適用する工程を含む、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0088】
第1の前処理剤及び第2の前処理剤は、水性溶液である。
【0089】
コンディショニング剤は、好ましくは、硬化性ポリマーではなく、且つ接着促進剤として機能しない。
【0090】
工程(p)が工程(i)の前に実施される場合、前処理剤は、更に硫酸ヒドロキシルアンモニウム又は過酸化水素等、二酸化マンガンを還元することができる薬剤を含み、コンディショニング剤が使用される場合、表面の濡れ性を改善するために好ましいコンディショニング剤が、湿式化学処理された表面の表面において吸着される。この場合、コンディショニング剤は、特に硬化性ポリマーではなく、且つプラズマ処理により硬化されない。例えば、Atotech Deutschland GmbH & Co. KG社から入手可能なSecuriganth(登録商標)MV Reduction Conditionerを前処理剤として使用することができる。
【0091】
対応するサブ工程(p-1)及び/又は(p-2)を適用することにより、特に効果的な前処理プロセス(p)を確保することができる。
【0092】
好ましくは、前処理プロセス(p)は、第1のサブ工程としてサブ工程(p-1)を含み、そして第2のサブ工程(p-2)が続く。
【0093】
好ましい代替として、前処理プロセス(p)は、サブ工程(p-1)のみを含む。
【0094】
好ましい代替として、前処理プロセス(p)は、サブ工程(p-2)のみを含む。
【0095】
好ましくは、第1の前処理剤、より好ましくは洗浄剤は、少なくとも1種の無機ベース、並びに/或いはアンモニア若しくは脂肪族アミン及び類似のもののようなアミン等の有機塩基、又は硫酸、塩酸等の無機酸、又はスルホン酸、炭酸、酢酸、グリコール酸等の有機酸を、好ましくは、界面活性剤として水の表面張力を低下させることができるコンディショニング剤のような添加剤と一緒に、より好ましくは、コンディショニングされた表面を生成する窒素原子及び/又は四級化窒素原子を有するポリマー等、前に処理された表面上に吸着することができるポリマーと共に使用することにより汚れ又は有機残物を除去することによりクリーンな基板及び/又は金属表面を生産することができる添加剤を含むことになる。最も好ましくは、洗浄剤は、市販のSecuriganth Cleaner V8、Cleaner 902又はCleaner GFRとして選択される。
【0096】
コンディショニング剤は、好ましくは、四級化窒素原子を含むポリマー、窒素原子を含むポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0097】
好ましくは、第1の前処理剤、より好ましくはコンディショニング剤を含む又は含まない洗浄剤は、第1の前処理剤の総体積に対して25ml/l~110ml/lの濃度で適用される。コンディショニング剤は、第1の前処理剤の総体積に対して0g/l~20g/l、好ましくは0.05g/l~20g/l使用される。
【0098】
好ましくは、第1の前処理剤、より好ましくはコンディショニング剤を含む又は含まない洗浄剤は、第1の前処理剤の総体積に対して0g/l~30g/lの水酸化ナトリウムを含む。
【0099】
好ましくは、サブ工程(p-1)は、40℃~70℃の、より好ましくは50℃~60℃の温度で、最も好ましくは60℃で実施される。
【0100】
好ましくは、サブ工程(p-2)は、0.5分~6分の、好ましくは1分~5分の期間実施される。
【0101】
好ましくは、第2の前処理剤、より好ましくはエッチング/洗浄剤は、H2O2又は過硫酸ナトリウム等、表面を酸化することができる酸及び酸化剤を含み、最も好ましくは、市販のEtch Cleaner NaPSとして選択される。
【0102】
好ましくは、第2の前処理剤、より好ましくはエッチング/洗浄剤は、第2の前処理剤の総体積に対して100g/l~300g/lの濃度で適用される。
【0103】
好ましくは、第2の前処理剤、より好ましくはエッチング/洗浄剤は、第2の前処理剤の総体積に対して20ml/l~50ml/lの60w/w%硫酸を含む。
【0104】
好ましくは、サブ工程(p-2)は、25℃~50℃の、より好ましくは25℃~30℃の温度で、最も好ましくは30℃で実施される。
【0105】
好ましくは、サブ工程(p-2)は、0.5分~2分の期間、好ましくは1分間実施される。
【0106】
好ましくは、基板のプラズマ処理された表面の活性化は、活性化組成物としてパラジウム種、伝導性ポリマー、又は炭素種を用いて実施される。
【0107】
好ましくは、プラズマ処理された表面の活性化は、例えば、その後の還元により膜又はコロイドとして、又はイオン形態で金属パラジウム又は金属銅として析出させることができるパラジウム層又は銅層を基板のプラズマ処理された表面上に析出させるために、パラジウム活性化組成物又は銅活性化組成物のような金属活性化組成物を加えることにより実施される。金属層は、純粋な金属層であり得、又は金属合金のように追加の金属を含み得る。
【0108】
好ましくは、金属活性化組成物は、例えばパラジウムイオン又は銅イオンの少なくとも1つの源を含む。加えて、溶液は、ルテニウムイオン源、ロジウムイオン源、パラジウムイオン源、オスミウムイオン源、イリジウムイオン源、白金イオン源、銅イオン源、銀イオン源、ニッケルイオン源、コバルトイオン源、金イオン源及びそれらの混合物のような金属イオンの他の源を含んでよい。パラジウムイオン又は銅イオン及び前記追加の金属イオンは、前記基板のプラズマ処理された表面上に吸着されており、更にその後に還元されるか、又は還元された金属、例えばコロイド若しくは粒子、例えばパラジウムコロイド若しくは銅コロイドとして吸着しており、ここでパラジウムコロイドはスズを含んでよく、又は銅コロイドはパラジウムを含んでよい。
【0109】
好ましくは、活性化組成物は、Atotech Deutschland GmbH & Co. KG社により入手可能な市販のNeoganth Activator U又はNeoganth Activator 834又はNeoganth MV Activatorとして選択される。
【0110】
好ましくは、活性化組成物は、その後の電解ダイレクトメタライゼーションのための炭素、伝導性ポリマー、又は例えば銅、パラジウム、パラジウム-スズを含む金属イオン若しくは金属コロイドを含んでよい。
【0111】
第1の態様による方法により達成される1つの利点は、プラズマ処理された表面を得るためのプラズマビームでの基板の表面の処理が、より効果的なその後の活性化工程(ii)を可能にし、したがって、それが、基板の有利な金属被覆に結果としてつながることである。
【0112】
工程(iii)中の基板の活性化された表面上の被覆金属の任意選択の無電解析出が実施されるとき、活性化は、好ましくは、活性化工程(ii)中に金属コロイド又は金属イオンにより行われる。
【0113】
工程(iii)中の基板の活性化された表面上の被覆金属の任意選択の無電解析出が実施されないとき、活性化は、好ましくは、活性化工程(ii)中に伝導性ポリマー又は炭素での被覆により行われる。
【0114】
好ましくは工程(ii)は、サブ工程(ii-1)、(ii-2)、(ii-3)、及び/又は(ii-4)を含んでよく、ここでサブ工程(ii-1)は、基板のディップされた表面を得るために、プレディップ剤を基板の表面に、好ましくは基板のプラズマ処理された表面に適用することを含み、
ここでサブ工程(ii-2)は、基板の活性化された表面を得るために、活性化組成物を基板のディップされた表面に適用することを含み、好ましくは活性化組成物は、金属、金属イオン又は炭素のような無機活性化物質を含み、
ここでサブ工程(ii-3)は任意選択であり、且つ活性化された表面が金属イオンを含む場合、基板の還元された表面を得るために、還元剤を基板の活性化された表面に適用することを含み、且つ/又は
ここでサブ工程(ii-4)は任意選択であり、且つ活性化された表面が金属を含む場合、工程(ii)の後に強化剤を基板の活性化された表面に適用することを含む。
【0115】
好ましくは、サブ工程(ii-1)が第1の工程であり、第2の工程としてサブ工程(ii-2)が続き、そして次に第3の工程としてサブ工程(ii-3)が続くか、又は第4の工程としてサブ工程(ii-4)が続く。好ましくはサブ工程(ii-4)を省略することができる。
【0116】
好ましくは、工程(ii-1)のプレディップ剤は、酸性溶液、より好ましくは塩酸溶液又は硫酸溶液を、任意選択でアルカリ金属塩、より好ましくは塩化ナトリウムと共に、又は任意選択で追加の界面活性剤と共に含む。最も好ましくは、Atotech Deutschland GmbH & Co. KG社による市販のPreDip A又はPreDip MVとして選択される。加えて、プレディップ剤は、塩基として、そしてアルカリ又はアルカリ土類水酸化物、金属水酸化物又は炭酸塩、リン酸塩若しくはホウ酸塩等の無機塩基のより好ましい使用により、或いは任意選択で追加の界面活性剤及び錯化剤と共に活性化工程(ii)中にアルカリ溶液を含み得る。最も好ましくは、アルカリプレディップは、Atotech Deutschland GmbH & Co. KG社による市販のPreDip W又はPreDip Eとして選択される。
【0117】
好ましくは、サブ工程(ii-1)は、20℃~35℃の温度から、好ましくは25℃又は30℃で実施される。
【0118】
好ましくは、サブ工程(ii-1)は、5秒~3分の期間、より好ましくは20秒~1分間実施される。
【0119】
好ましくは、サブ工程(ii-2)は、20℃~55℃の温度から、より好ましくは40℃~45℃で実施される。
【0120】
好ましくは、サブ工程(ii-2)は、5秒~10分の期間、より好ましくは40秒~4分間実施される。
【0121】
好ましくは、サブ工程(ii-3)において使用される還元剤には、ホウ素ベースの還元剤、次亜リン酸イオン源、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、アスコルビン酸、iso-アスコルビン酸、ホルムアルデヒド源、グリオキシル酸、グリオキシル酸源、グリコール酸、ギ酸、糖、及び/又は前述の酸の塩が含まれる。最も好ましくは、還元剤は、入手可能なNeoganth WA Reducerとして選択される。
【0122】
好ましくは、サブ工程(ii-3)は、20℃~50℃の温度から、より好ましくは30℃~35℃で実施される。
【0123】
好ましくは、サブ工程(ii-3)は、5秒~6分の期間、より好ましくは40秒~4分間実施される。
【0124】
好ましくは、サブ工程(ii-4)において使用される強化剤は、グリオキシル酸、次リン酸、又はホルムアルデヒドから選択され、最も好ましくはホルムアルデヒド溶液である。任意選択でpHを追加的にアルカリに調整することにより強化剤の効果を改善することができる。
【0125】
好ましくは、サブ工程(ii-4)は、20℃~50℃の温度で、好ましくは32℃~34℃で実施される。
【0126】
好ましくは、サブ工程(ii-4)は、5秒~6分の期間、好ましくは30秒~1分間実施される。
【0127】
別の態様によれば、本発明は更に、第1の態様による方法により得られる活性化された表面を有する基板に関する。
【0128】
工程(iii)が、被覆組成物を基板の活性化された表面に適用する工程を含み、被覆組成物が、少なくとも1種の被覆金属を含み、被覆金属は、好ましくは、銅、ニッケル、又はそれらの合金から選択され、より好ましくは銅として選択される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0129】
好ましくは、工程(iii)において使用される被覆組成物は、溶媒、より好ましくは水、及び析出される少なくとも1種の被覆金属を含む。好ましい溶媒は水である。例えばC1~C4-アルコール(例えばメタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-プロパノール、ブタノール及び/又はその位置異性体)等のアルコールのような水と混和する更なる液体、及び水と混和する他の極性有機液体が加えられてよい。好ましくは、その環境に優しい無害な特徴のために、工程(iii)において使用される少なくとも90.0wt.-%、より好ましくは99.0wt.-%以上の被覆組成物が水である。
【0130】
工程(iii)において使用される被覆組成物の更なる任意選択の成分は、前記被覆金属イオンの錯化剤若しくはキレート剤、前記被覆金属イオンの還元剤、安定化剤、共溶媒、湿潤剤、及び/又は光沢剤、促進剤、抑制剤、変色防止剤等の機能性添加剤である。工程(iii)において使用される被覆組成物は、ニッケルイオン源、コバルトイオン源及びそれらの混合物を更に含んでよい。
【0131】
水性溶液等の液体媒体中で銅イオンを遊離するのに適した任意の(水溶性)銅塩又は他の(水溶性)銅化合物により、好ましい銅イオンが、工程(iii)において使用される本発明の被覆組成物に含まれてよい。好ましくは、銅イオンが、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、メタンスルホン酸銅((CH3O3S)2Cu)、前述のいずれかの1種若しくは複数種の水和物又は前述の混合物として加えられる。工程(iii)において使用される本発明の被覆組成物中の銅イオンの濃度は、好ましくは、0.1g/l~20g/lの、より好ましくは1g/l~10g/Lの、更により好ましくは2g/l~5g/lの範囲である。
【0132】
好ましくは、工程(iii)において使用される被覆組成物は、銅イオンを金属銅に還元するのに適した少なくとも1種の還元剤を含む。したがって、前記少なくとも1種の還元剤は、工程(iii)において使用される被覆組成物中に存在する銅(I)イオン及び/又は銅(II)イオンを元素銅に変換することができる。還元剤は、好ましくは、ホルムアルデヒド;パラホルムアルデヒド;グリオキシル酸;グリオキシル酸源;ジメチルアミノボラン等のアミノボラン;NaBH4、KBH4等の水素化ホウ素アルカリ;ヒドラジン;多糖;グルコース等の糖;次リン酸;グリコール酸;ギ酸;アスコルビン酸;前述のいずれかの塩及び混合物からなる群から選択される。工程(iii)において使用される被覆組成物が1種を超える還元剤を含む場合、更なる還元剤は、還元剤として働くが、唯一の還元剤として使用することができない薬剤であることが好ましい(米国特許第7,220,296号、4段、20~43行及び54~62行参照)。そのような更なる還元剤は、この意味で「エンハンサー」とも呼ばれる。
【0133】
「グリオキシル酸源」という用語は、グリオキシル酸及び水性溶液等の液体媒体中でグリオキシル酸に変換することができるすべての化合物を包含する。水性溶液中、アルデヒド含有酸は、その水和物と平衡にある。適したグリオキシル酸源は、ジクロロ酢酸等のジハロ酢酸であり、それは、水性媒体等の液体媒体中でグリオキシル酸の水和物に加水分解する。グリオキシル酸の代替源は重亜硫酸塩付加物である。重亜硫酸塩付加物は、組成物に加えられてよく、又はin situで生成されてよい。重亜硫酸塩付加物は、グリオキシル酸塩及び重亜硫酸塩、亜硫酸塩又はメタ重亜硫酸塩のいずれかから作られてよい。
【0134】
工程(iii)において使用される被覆組成物中の少なくとも1種の還元剤の濃度は、好ましくは、0.02mol/l~0.3mol/lの、より好ましくは0.054mol/l~0.2mol/lの、更により好ましくは0.1mol/l~0.2mol/lの範囲である。1種を超える還元剤が、工程(iii)において使用される本発明の被覆組成物に含まれる場合、すべての還元剤の濃度の合計は、上記の範囲内である。
【0135】
好ましくは、工程(iii)において使用される被覆組成物は、銅イオンの少なくとも1種の錯化剤を含む。そのような錯化剤は、当技術分野においてキレート剤と呼ばれることがある。少なくとも1種の錯化剤は、工程(iii)において使用される被覆組成物中に存在する銅(I)イオン及び/又は銅(II)イオンと配位化合物を生成することができる。好ましい錯化剤は、キシリトール、マンニトール及びソルビトール等の糖アルコール;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;乳酸、クエン酸及び酒石酸等のヒドロキシカルボン酸;アミノトリス(メチルホスホン酸)等のアミノホスホン酸及びアミノポリホスホン酸;オリゴアミノモノコハク酸、エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸のようなオリゴアミノジコハク酸を含むポリアミノモノコハク酸、ポリアミノジコハク酸等のアミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N'-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン-N,N,N'-三酢酸(HEDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノポリカルボン酸、及びテトラキス-(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン及びN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、前述のいずれかの塩及び混合物である。
【0136】
より好ましくは、少なくとも1種の錯化剤は、キシリトール;酒石酸;エチレンジアミン四酢酸(EDTA);N'-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン-N,N,N'-三酢酸(HEDTA);テトラキス-(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン;前述のいずれかの塩及び混合物からなる群から選択される。
【0137】
好ましくは、工程(iii)において使用される被覆組成物中の少なくとも1種の錯化剤の濃度は、0.004mol/l~1.5mol/lの、より好ましくは0.02mol/l~0.6mol/lの、更により好ましくは0.04mol/l~0.4mol/lの範囲である。1種を超える錯化剤が使用される場合、すべての錯化剤の濃度は、好ましくは、上で定義した範囲内にある。
【0138】
好ましくは、少なくとも1種の錯化剤(これに関連して、すべての錯化剤の総量を意味する)の銅イオンに対するモル比は、1.3:1~5:1、より好ましくは2:1~5:1の範囲である。この実施形態は、工程(iii)において使用される被覆組成物が、析出中に撹拌される、好ましくは空気等のガスと撹拌される場合、及び/又はグリオキシル酸若しくはホルムアルデヒド等の第1の還元剤に加えて更なる還元剤(「エンハンサー」とも呼ばれる)が使用されるとき特に有利であり、ここで更なる還元剤は、好ましくは、グリコール酸、次リン酸、又はギ酸、最も好ましくはグリコール酸から選択される。
【0139】
好ましくは工程(iii)において使用される被覆組成物は、市販のPrintoganth P Plus又はPrintoganth MV TP1として選択される。
【0140】
工程(iii)が、1分~30分、好ましくは4分若しくは20~30分の期間、且つ/又は10℃~50℃の温度で、好ましくは32℃~34℃で実施される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0141】
基板の表面をプラズマ処理するための方法であって、以下の工程(iv)
(iv)任意選択の工程(iii)の後に得られる基板のめっき表面上の、又は工程(ii)の後に得られる基板の活性化された表面上の追加の被覆金属の電解析出
を含む、方法が好ましい。
【0142】
追加の被覆金属の電解析出は、電解金属被覆された表面を得るための、基板表面上の金属被覆の効果的な析出を可能にする。
【0143】
活性化工程(ii)中に使用される活性化組成物に応じて、例えば炭素又は伝導性ポリマーが活性化組成物として使用されるとき、電解析出工程(iv)中、活性化工程(ii)の後に得られる基板の活性化された表面上に追加の被覆金属を直接析出させることができるように、任意選択の無電解析出工程(iii)を省略することができる。
【0144】
活性化工程(ii)中に使用される活性化組成物に応じて、例えばパラジウム種が活性化組成物として使用されるとき、電解析出工程(iv)中、無電解析出工程(iii)の後に得られる基板のめっき表面上に追加の被覆金属が析出されるように、任意選択の無電解析出工程(iii)は電解析出工程(iv)の前に実施されなければならない。
【0145】
好ましくは、電解析出工程(iv)中に使用される追加の被覆金属は、銅、ニッケル又はそれらの合金から選択され、より好ましくは銅として選択される。
【0146】
好ましくは、電解析出工程(iv)は、電解銅めっき浴を適用することにより実施され、それは、この目的のために当技術分野において周知である。
【0147】
好ましくは、前記電解銅めっき浴は、銅イオン、電解質(典型的には硫酸、フルオロホウ酸又はメタンスルホン酸等の強酸)、塩化物イオン、任意選択で1種又は複数種のレベラー、任意選択で1種又は複数種の光沢剤及び任意選択で1種又は複数種のキャリアを含む。これらの化合物は、当技術分野において公知であり、且つ例えば国際公開第2017/037040(A1)号(21頁、1行~22頁、27行)に開示されている。
【0148】
好ましくは工程(iv)は、30分~120分の期間、好ましくは90分間、且つ/又は10℃~50℃の温度で、好ましくは32℃で実施される。
【0149】
好ましくは工程(iv)は、1ASD~25ASDの電流密度を適用することにより、好ましくは3ASD~15ASDの電流密度を適用することにより実施される。
【0150】
基板、特に、処理される少なくとも1つの誘電表面を有する誘電基板が、樹脂及び/又はプラスチック、並びにそれらのブレンドから選択される有機ポリマーを含み、樹脂及びプラスチックが、より好ましくは、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フェニレン樹脂、ポリエステルからなる群から選択され、更により好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)のような液晶ポリマー(LCP)、味の素社ビルドアップ膜(ABF、ABF/エポキシ系基板)、若しくは光画像形成可能な誘電体のために作られたプラスチック並びに前述の混合物及びブレンド、又は前記有機ポリマーとのガラスフィラー及び/若しくはシリカフィラー及び/若しくはガラスファブリックの混合物に基づく複合材から選択される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。基板は、ガラス基板又はシリコン基板であってもよい。
【0151】
したがって、プラズマ処理工程(i)は、多種多様な基板に適用することができる。
【0152】
樹脂及びプラスチックのような誘電基板は好ましくは、エレクトロニクス産業において典型的に使用される金属化される物質を含む。
【0153】
好ましくは、有機ポリマーは、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂を含み、ここでポリイミド樹脂は、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリエステル又は同種のものの添加により改質され得る。
【0154】
好ましくは、エポキシ樹脂は、高ガラス転移温度ガラスフィラーエポキシボード物質を構成する、エポキシ樹脂とガラスフィラーの組合せ、又は低熱膨張及び高ガラス転移温度を有するように改質されたそれを含むガラスフィラーエポキシボード物質であり得る。
【0155】
好ましくは、ガラスフィラーは、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、シリカガラス、及び/又はフッ素化ガラスから選択される。シリコンは好ましくは、ポリシリコン(p-ドープポリシリコン及びn-ドープポリシリコン等のドープポリシリコンを含む)及び単結晶シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン並びに酸窒化シリコンを含む。異なるフィラーのサイズは、直径0.01μm~5μmの範囲、好ましくは平均直径0.5μmを有する。
【0156】
ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、シリカガラス及び/又はフッ素化ガラスに由来するガラスフィラーと同様のガラスファブリックが選択される。それらは、直径においてサブマイクロメートルから数マイクロメートルまでの範囲の直径を有する個々のガラス繊維から織られる。それらは、使用される樹脂と一緒にプリント回路板に機械的安定性を与え、プリント回路板物質の機械的及び熱的特性に著しく影響する。
【0157】
好ましい非伝導性層の複合材は、ビルドアップ膜、例えばエポキシベース物質である。埋め込まれたガラスフィラーのサイズは、平均直径0.5μm、最大5.0μmを有する。
【0158】
基板の表面は、スルーホール(TH)とブラインドマイクロビア(BMV)を区切る孔表面を含む基板の外部表面であり、工程(i)、(ii)、任意選択で(iii)及び任意選択で(iv)が、前記表面上で実施される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0159】
これは、それぞれの孔表面の効果的なプラズマ処理を可能にする。
【0160】
工程(i)中のプラズマビームが基板の表面に向けられる、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0161】
これは、基板表面の特定の領域を処理することができるように、基板の表面に対してプラズマビームの正確な向きを可能にし、それは、基板表面の特定の領域に向けられず、その代わり基板全体に向けられる従来使用される拡散プラズマ雲とは特に対照的である。
【0162】
好ましくは、工程(i)中のプラズマビームは、基板の表面に集束される。
【0163】
工程(i)中のプラズマビームが、空気プラズマ、生成ガスプラズマ、酸素ガスプラズマ、又は窒素若しくはアルゴンプラズマのような不活性ガスプラズマにより生成される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。好ましい実施形態において工程(i)中のプラズマビームは、生成ガスプラズマにより生成される。
【0164】
これは、基板の必要な特性に従ってプラズマビームの最適な適合を可能にする。
【0165】
例えば空気プラズマ又は酸素ガスプラズマが工程(i)中のプラズマビームに使用される場合、基板の表面は酸化される。
【0166】
好ましくは、生成ガスは、不活性ガス、好ましくは窒素ガス、及び水素ガスを含み、ここで不活性ガスは、より好ましくは、生成ガスの総体積に対して90vol%~99vol%の、更により好ましくは90vol%~95vol%の濃度で存在する。
【0167】
例えば生成ガスプラズマが工程(i)中のプラズマビームに使用される場合、基板の表面は還元される。
【0168】
発生するプラズマがそれを通じてプラズマ源を出るノズルを備えるプラズマ発生器により工程(i)中のプラズマビームが発生する、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0169】
プラズマ発生器のノズルは、工程(i)中の基板の表面に向かってプラズマビームの正確な向きを可能にする。
【0170】
ノズルと基板の表面の間の距離が、工程(i)中一定に、好ましくは5mm~25mmに維持され、且つ/又は工程(i)中ノズルが、基板に対して一定速度で、好ましくは50mm/秒~250mm/秒の一定速度で移動する、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0171】
ノズルと基板の表面の間の一定距離を適用することにより、表面のある特定の領域をより高いエネルギー線量に曝露することなく基板の表面の均一なプラズマ処理が確保されることを確実にすることができる。
【0172】
ノズル及び表面の特定の距離に応じて、表面に向けられるプラズマの特性を変化させることができる。例えば、ノズルと表面の間の距離が10mmを下回る場合、基板表面とのプラズマビームのイオン性成分の相互作用は、ラジカル成分に対してより高く、それは、より高い面積あたりエネルギー線量に結果としてつながり、それは、基板表面上の活性化された表面基の増加に結果としてつながる。例えば、ノズルと表面の間の距離が10mmを上回る場合、基板表面とのイオン性成分の相互作用は、プラズマビームのラジカル成分に対して減少し、それは、物質タイプに応じて、その後に接着された活性化層の接着強度の増加に結果としてつながる。
【0173】
一定速度を適用することにより、ノズルは、基板の表面の上を移動することができ、それは、基板表面全体の均一なプラズマ処理を可能にする。
【0174】
工程(i)中に発生するプラズマビームが、250W~700W、好ましくは400Wのノズルあたりの放電電力を含む、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0175】
工程(i)中に発生するプラズマビームの特定の放電電力は、使用されるそれぞれの基板に従って特定の活性化プロファイルに適合させることができる。
【0176】
工程(i)が、1サイクル~5サイクルで、好ましくは1サイクル~3サイクルで実施される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0177】
工程(i)をその後のサイクルの間繰り返すことにより、プラズマ処理される基板の領域は、プラズマビームと複数回接触させられ、それは、特に効果的なプラズマ処理された表面を可能にし、それは、その後に接着される金属被覆の接着強度の増加を可能にする。
【0178】
工程(i)中プラズマビームに曝露される基板の表面の温度が、基板の固有のガラス転移温度Tgよりも好ましくは低い温度閾値未満に維持される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0179】
したがって、基板の固有のガラス転移温度Tg未満の温度を選択することにより、基板の損傷を防止することができる。
【0180】
方法工程(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)が水平プロセスにおいて、又は垂直プロセスにおいて実施される、基板の表面をプラズマ処理するための方法が好ましい。
【0181】
これは、いくつかの製造シナリオへの第1の態様による方法の効果的な適合を可能にし、それによって前記方法の柔軟性を高める。
【0182】
本発明によれば、水平又は垂直プロセスは、それぞれの方法工程(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)中の基板の方向を指す。
【0183】
水平プロセス中、特にプレートとして形成される基板は、基板の下側が床に向き、基板の上側が床と反対の方向を向くように方法工程(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)を通じて水平方向に移送される。水平プロセス中、基板は、好ましくは、それぞれの方法工程(i)、(ii)、(iii)、及び/又は(iv)中に異なる処理モジュール内で処理される運搬装置により輸送される。
【0184】
垂直プロセス中、特にプレートとして形成される基板は、基板の1つの側縁部が床に向き、基板の反対の側縁部が床と反対の方向を向くように方法工程(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)を通じて垂直方向に移送される。
【0185】
第2の態様によれば、本発明は更に、第1の態様による方法により得られる金属被覆された表面を有する基板に関する。
【0186】
好ましくは、本発明の第1の態様による方法に関する前述、好ましくは、好ましいと記載されることは、本発明の第2の態様の基板に同様に適用される。
【実施例】
【0187】
以下において、様々な例が、基板の表面をプラズマ処理するための方法を指定するために記載される。
【0188】
典型的には、以下の実施例において指定される方法は、サブ工程(t-1)、(t-2)及び(t-3)を含むデスミアプロセス(t)から開始し、そしてプラズマ処理工程(i)が続き、そして次にサブ工程(p-1)及び/又は(p-2)を含む任意選択の前処理プロセス(p)が続く。
【0189】
任意選択の前処理プロセス(p)の後に、サブ工程(ii-1)、(ii-2)及び(ii-3)を含む活性化工程(ii)が実施され、そして次に基板のめっき表面を得るための無電解被覆金属析出工程(iii)が続く。
【0190】
無電解析出工程(iii)の後に、金属被覆された基板を得るために、任意選択のアニーリング工程、その後の電解被覆金属析出工程(iv)、及び追加のその後のアニーリング工程が実施される。
【0191】
効果をよりよく比較するために、以下にまとめられる様々な実施例は、生成ガスを使用するプラズマ処理工程(i)、デスミアプロセス(t)及び前処理プロセス(p)を含むある特定の例を含む一方、ある特定の実施例は、前記プラズマ処理工程(i)、デスミアプロセス(t)及び/又は前処理プロセス(p)を含まないか、又はそれらのある特定のサブ工程を含まない。
【0192】
実施例によるそれぞれの基板の生じる金属被覆された表面は、それらの接着特性に対して、特に、基板から被覆を剥がすために必要とされる力を決定する剥離強度試験により分析され、ここで前記剥離力は、N/cm単位で測定される。剥離強度試験は、IPC-TM-650エレクトロニクス規格に従って実施される。
【0193】
(実施例1)
実施例1により、プラズマ処理工程なし(実験1-比較例参照)又はプラズマ処理工程あり(実験2-本発明の実施例参照)の被覆の接着特性の差を示す。
【0194】
実施例1によるめっきプロセスは、水平めっきプロセスを含む。
【0195】
実験1及び2の両方においてエポキシ系ポリマー基板(パナソニック社から入手された基板MEG6)を、第1のサブ工程(t-1)においてSecuriganth MV Swellerを70℃で5分間適用し、第2のサブ工程(t-2)においてSecuriganth P500を80℃で10分間適用し、第3のサブ工程(t-3)においてMV Reduction Conditionerを50℃で5分間適用したデスミアプロセス(t)に供した。
【0196】
その後、実験2のみについて、プラズマ処理工程(i)を、7mmのノズル-基板距離及び50mm/sの相対速度で400Wで3サイクルの間実施する。
【0197】
その後、実験1及び2の両方について、第1のサブ工程(p-1)においてSecuriganth Cleaner V8を60℃で1分間適用し、第2のサブ工程(p-2)においてEtch Cleaner NaPSを30℃で1分間適用した前処理工程(p)を実施する。
【0198】
その後、実験1及び2の両方について、溶液PreDip Bを25℃で20秒間適用した第1のサブ工程(ii-1)、Neoganth Activator Uを45℃で40秒間適用した第2のサブ工程(ii-2)、及びNeoganth WA Reducerを35℃で40秒間適用した第3のサブ工程(ii-3)を含む活性化工程(ii)を実施する。
【0199】
活性化工程(ii)の後に、実験1及び2の両方について、Printoganth P Plus溶液を32℃で6分間適用することにより無電解銅析出工程(iii)を実施し、アニーリングプロセスが120℃で30分間続き、電解銅析出工程が3.2Aで90分間続き、更に、180℃で60分間実施された更なるアニーリングプロセスが続いた。
【0200】
その後、得られた被覆層の接着特性を剥離強度試験において分析し、それぞれの結果をTable 1(表1)にまとめた。
【0201】
【0202】
table 1(表1)から導くことができるように、実験2(本発明の実施例)によるプラズマ処理工程は、プラズマ処理工程を実験1(比較例)に従って省略した方法と比較して、被覆層の接着の増加に結果としてつながる。
【0203】
(実施例2)
実施例2により、プラズマ処理工程なし(実験3、4-比較例参照)又はプラズマ処理工程あり(実験5、6-本発明の実施例参照)の被覆の接着特性の差を示す。
【0204】
実施例2によるめっきプロセスは、垂直めっきプロセスを使用したこと、及び以下の違いを除いて実施例1と同様である:
- サブ工程(t-1)中、Securiganth MV Swellerを60℃で10分間適用し、サブ工程(t-2)中、Securiganth P500を80℃で20分間適用した
- 実験4及び6について、サブ工程(t-3)中、MV Reduction Conditionerの代わりに、塩酸、クエン酸及び過酸化水素を含む還元溶液を50℃で5分間適用した
- サブ工程(p-1)中、Cleaner 902を60℃で5分間適用した
- サブ工程(ii-1)中、溶液PreDip MVを25℃で1分間適用し、サブ工程(ii-2)中、Neoganth Activator 834を40℃で4分間適用し、サブ工程(ii-3)中、Neoganth WA Reducerを35℃で3分間適用した
- 無電解銅析出工程(iii)中、Printoganth MV TP1を34℃で20分間適用した
【0205】
その後、得られた被覆層の接着特性を剥脱試験において分析し、それぞれの結果をTable 2(表2)にまとめた。
【0206】
【0207】
table 2(表2)から導くことができるように、実験5及び6(本発明の実施例)によるプラズマ処理工程は、プラズマ処理工程を実験3及び4(比較例)に従って省略した方法と比較して、被覆層の接着の増加に結果としてつながる。
【0208】
(実施例3)
実施例3により、プラズマ処理工程なし(実験7、8-比較例参照)又はプラズマ処理工程あり(実験9、10-本発明の実施例参照)の被覆の接着特性の差を示す。
【0209】
実施例3による水平めっきプロセスは、ABF/エポキシ系基板(味の素社から入手された基板GY16B)を使用したこと、及び以下の違いを除いて実施例1と同様である:
- 実験8及び10について、サブ工程(t-3)中、還元溶液を50℃で5分間適用した
【0210】
その後、得られた被覆層の接着特性を剥脱試験において分析し、それぞれの結果をTable 3(表3)にまとめた。
【0211】
【0212】
table 3(表3)から導くことができるように、実験9及び10(本発明の実施例)によるプラズマ処理工程、そして水平めっきプロセスにおけるABF/エポキシ系基板については、プラズマ処理工程を実験7及び8(比較例)に従って省略した方法と比較して、被覆層の接着の増加に結果としてつながる。
【0213】
同様の結果が、他のABF/エポキシ系基板又はエポキシ系基板(味の素社から入手された基板GL102及びGXT31についてはデータは示さず)に対する水平めっきプロセスに当てはまる。
【0214】
(実施例4)
実施例4により、プラズマ処理工程なし(実験11、12-比較例参照)又はプラズマ処理工程あり(実験13、14-本発明の実施例参照)の被覆の接着特性の差を示す。
【0215】
実施例4による垂直めっきプロセスは、ABF/エポキシ系基板(味の素社から入手された基板GY16B)を使用したことを除いて実施例2と同様である。
【0216】
その後、得られた被覆層の接着特性を剥脱試験において分析し、それぞれの結果をTable 4(表4)にまとめた。
【0217】
【0218】
table 4(表4)から導くことができるように、実験13及び14(本発明の実施例)によるプラズマ処理工程、そして垂直めっきプロセスにおけるABF/エポキシ系基板については、プラズマ処理工程を実験11及び12(比較例)に従って省略した方法と比較して、被覆層の接着の増加に結果としてつながる。
【0219】
同様の結果が、他のABF/エポキシ系基板又はエポキシ系基板(味の素社から入手された基板GL102及びGXT31についてはデータは示さず)に対する垂直めっきプロセスに当てはまる。
【0220】
(実施例5)
実施例5により、プラズマ処理工程なし(実験15-比較例参照)又はプラズマ処理工程あり(実験16及び17参照)の被覆の接着特性の差を示す。
【0221】
実施例5による水平めっきプロセスは、以下の違いを除いて実施例1と同様である:
- 実験15、16及び17について、日立社製エポキシ系基板HS100を使用した。
- 実験16(比較例)について、デスミアプロセス(t)及び前処理プロセス(p)を全く使用しなかった
- 実験16及び17について、プラズマ処理を、10mmのノズル-基板距離、及び100mm/sの相対速度で400Wで1サイクルの間実施した
【0222】
その後、得られた被覆層の接着特性を剥脱試験において分析し、それぞれの結果をTable 5(表5)にまとめた。
【0223】
【0224】
実験17(本発明の実施例)を実験16(比較例)と比較すると、デスミアプロセス(t)及び前処理プロセス(p)が省略されるとき、接着力の著しい増加を観察することができる。
【0225】
(実施例6)
実施例6により、プラズマ処理工程なし(実験18、20-比較例参照)又はプラズマ処理工程あり(実験19、21-本発明の実施例参照)の被覆の接着特性の差を示す。
【0226】
実施例6による垂直めっきプロセスは、液晶ポリマー基板を使用した(クラレ社から入手された基板CTQ-100)こと、及び以下の違いを除いて実施例2と同様である:
- サブ工程(t-3)におけるすべての実験18、19、20及び21において、還元溶液を50℃で5分間使用した
- 実験18及び19において、Securiganth Cleaner V8を60℃で1分間のサブ工程(p-1)中に使用した
- 実験20及び21において、Cleaner 902を60℃で5分間のサブ工程(p-1)中に使用した
【0227】
その後、得られた被覆層の接着特性を剥脱試験において分析し、それぞれの結果をTable 6(表6)にまとめた。
【0228】
【0229】
実験21及び19(本発明の実施例)を実験20及び18(比較例)とそれぞれ比較すると、プラズマ処理が実施されるとき、また、実施例2と比較して前処理工程(p-1)において異なる薬剤を使用するとき、接着力の著しい増加を観察することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホール(TH)及び/又はブラインドマイクロビア(BMV)を備える誘電基板の表面をプラズマ処理するための方法であって、以下の工程:
(t)デスミアプロセスの処理溶液で前記基板の前記表面を湿式化学処理して前記基板の前記表面から残留物を除去し、前記基板の湿式化学処理された表面を得る工程、
(i)前記基板の前記湿式化学処理された表面を大気圧下プラズマビームで処理して前記基板のプラズマ処理された表面を得る工程、
(ii)活性化組成物での前記基板の前記プラズマ処理された表面を活性化して前記基板の活性化された表面を得る工程、
(iii)任意選択で、前記基板の前記活性化された表面上の被覆金属を無電解析出して前記基板のめっき表面を得る工程、及び
(iv)任意選択で、任意選択の工程(iii)の後に得られる前記基板の前記めっき表面上の、又は工程(ii)の後に得られる前記基板の前記活性化された表面上の追加の被覆金属を電解析出して、電解金属被覆された表面を得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程(t)が、前記基板の前記表面の膨潤、エッチング及び還元処理工程並びに任意選択ですすぎ及び/又は洗浄処理工程のためのサブ工程を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(t)が、サブ工程(t-1)、(t-2)及び(t-3)を含み、
サブ工程(t-1)が、第1の処理
剤を前記基板の前記表面に適用して前記基板の膨潤した表面を得る工程を含み、
サブ工程(t-2)が、第2の処理
剤を前記基板の前記表面
に適用して前記基板のエッチングされた表面を得ることを含み、
サブ工程(t-3)が、第3の処理
剤を前記基板の前記表面
に適用する工程を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
硬化性ポリマー
層が、前記湿式化学処理された表面及び/又は前記プラズマ処理された表面上に析出されない、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)の前又は後に実施される以下の工程(p)、
(p)前記基板の表面を前処理プロセ
スで前処理して前記基板の前処理された表面を得る工程
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(p)が、サブ工程(p-1)、及び/又は(p-2)を含み、
サブ工程(p-1)が、第1の前処理
剤を前記基板の前記表面に適用して前記基板の洗浄及びコンディショニングされた表面を得る工程を含み、且つ/又は
サブ工程(p-2)が、第2の前処理
剤を前記基板の前記表面
に適用する工程を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(iii)が、被覆組成物を前記基板の前記活性化された表面に適用する工程を含み、前記被覆組成物が、前記被覆金属を含
む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(iii)が、1分~30
分の期間、且つ/又は10℃~50℃の温度
で実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、有機ポリマー又は前記有機ポリマーとのガラスフィラー及び/若しくはシリカフィラー及び/若しくはガラスファブリックの混合物に基づく複合材を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板の前記表面が、前記スルーホール(TH)とブラインドマイクロビア(BMV)を区切る孔表面を含む前記基板の外部表面であり、工程(i)、(ii)、任意選択で(iii)及び任意選択で(iv)が、前記表面上で実施される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(i)中の前記プラズマビームが、空気プラズマ、生成ガスプラズマ、酸素ガスプラズマ又は不活性ガスプラズ
マにより生成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
発生するプラズマがそれを通じてプラズマ源を出るノズルを備えるプラズマ発生器により工程(i)中の前記プラズマビームが発生する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ノズルと前記基板の前記表面の間の距離が、工程(i)中一定
に維持され、且つ/又は工程(i)中前記ノズルが、前記基板に対して一定速度
で移動される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(i)中に発生する前記プラズマビームが、250W~700
Wのノズルあたりの放電電力を含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
工程(i)中前記プラズマビームに曝露される前記基板の前記表面の温度
が温度閾値未満に維持される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
サブ工程(t-2)が、1分~20分
の期間実施される、請求項2から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
本発明の方法工程(t)~(iv)を実施した後の得られた基板表面の剥離強度接着が、工程(t)又は工程(i)のみを実施するよりも少なくとも25%改善される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
本発明の方法工程(t)~(iv)を実施した後の得られた基板表面の剥離強度接着が、5N/cm以
上である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法により得られる金属被覆された表面を有する基板。
【国際調査報告】