(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電池の電解質用の難燃剤
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240319BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240319BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240319BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240319BHJP
C07C 43/225 20060101ALI20240319BHJP
C07C 43/205 20060101ALI20240319BHJP
C09K 21/08 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/052
C07C43/225 C CSP
C07C43/205 C
C09K21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560915
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022022735
(87)【国際公開番号】W WO2022212637
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594066006
【氏名又は名称】アルベマール コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,チャールズ・ダニエル
【テーマコード(参考)】
4H006
4H028
5H029
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB80
4H006GP01
4H006GP03
4H006GP22
4H028AA26
4H028AA28
4H028BA05
5H029AJ12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
(57)【要約】
本発明は、リチウム電池用非水電解質溶液を提供する。当該非水電解質溶液は、液体電解質媒体と、リチウム含有塩と、少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用非水電解質溶液であって、前記溶液は、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤であって、
A)フェニル環に結合した2つまたは3つの臭素原子を有する1つのフェニル環、及び、酸素原子を介して、前記フェニル環に結合した少なくとも1つの含酸素基を含み、前記フェニル環のあらゆる残余の部位は、それぞれ水素原子に結合しており、含酸素基が1つだけであれば、前記含酸素基がアルコキシエーテル基である、臭素化ベンゼン、及び
B)フェニル環に結合した少なくとも1つの臭素原子を有する1つのフェニル環、前記フェニル環に結合した少なくとも1つのフッ素原子、及び、酸素原子を介して、前記フェニル環に結合した含酸素基を含み、前記含酸素基が、アルコキシエーテル基またはアルコキシ基である臭素化フルオロベンゼン、から選択する、前記少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤と、
を含む、前記溶液。
【請求項2】
前記含酸素臭素系難燃剤が、
約8~約20個の炭素原子、2~約10個の酸素原子を有しており、及び/または臭素含有量が、前記含酸素臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上である臭素化ベンゼンである、または
前記フェニル環に結合した1つのフッ素原子、前記フェニル環に結合した1つの臭素原子または2つの臭素原子を有しており、及び/または臭素含有量が、前記含酸素臭素系難燃剤の総重量に対して約35重量%以上である臭素化フルオロベンゼンである、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
前記含酸素臭素系難燃剤が、
前記フェニル環に2つの含酸素基を有しており、その含酸素基が、前記アルコキシエーテル基、及びヒドロカルビルオキシ基である臭素化ベンゼンである、または
臭素原子が、含酸素基に隣接している臭素化フルオロベンゼンである、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
前記含酸素臭素系難燃剤が、
前記フェニル環に結合した1つの含酸素基を有する臭素化ベンゼンである、または
前記フェニル環に結合した1つだけのフッ素原子を有しており、かつ、前記フッ素原子が、前記含酸素基に対してパラ位である臭素化フルオロベンゼンである、請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
前記臭素化フルオロベンゼンが、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、または4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンである、請求項1~4のいずれかに記載の溶液。
【請求項6】
前記含酸素臭素系難燃剤が、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3
,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、または、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼンである臭素化ベンゼンである、請求項3に記載の溶液。
【請求項7】
前記含酸素臭素系難燃剤が、前記含酸素基に隣接している少なくとも1つの臭素原子を有する臭素化ベンゼンである、請求項4に記載の溶液。
【請求項8】
前記臭素化ベンゼンが、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、または2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼンである、請求項7に記載の溶液。
【請求項9】
前記含酸素臭素系難燃剤が、前記フェニル環に3つの臭素原子を有しており、かつ、前記フェニル環に3つの含酸素基を有する臭素化ベンゼンであり、i)前記含酸素基の1つが、アルコキシエーテル基であり、及び、その他の2つの含酸素基が、ヒドロカルビルオキシ基である、または、ii)3つすべての含酸素基が、アルコキシエーテル基である、請求項1に記載の溶液。
【請求項10】
前記臭素化ベンゼンが、2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、または4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼンである、請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素化ベンゼンであり、それぞれのアルコキシエーテル基が、2~約10個の炭素原子、及び2~約8つの酸素原子を有する、請求項1~4または6~10のいずれかに記載の溶液。
【請求項12】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素の量が前記溶液の総重量に対して約12.5重量%以上の臭素化ベンゼンである、請求項1~4または6~10のいずれかに記載の溶液。
【請求項13】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素の量が前記溶液の総重量に対して約11.5重量%以上の臭素化フルオロベンゼンである、請求項1~5のいずれかに記載の溶液。
【請求項14】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはこれらの混合物、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項1~13のいずれかに記載の溶液。
【請求項15】
a)3~約6つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5つの炭素原子、及び1~約4つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネート、
c)3~約9つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)3~約8つの炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の溶液。
【請求項16】
前記電気化学的添加剤を、
a)3~約4つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約4つの炭素原子、及び1~約2つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネート、
c)3~約6つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約9つの炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)3~約4つの炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)5員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)6員環または7員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する、請求項15に記載の溶液。
【請求項17】
前記電気化学的添加剤を、
a)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約12重量%の量の不飽和環状カーボネート、
b)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約8重量%の量の含フッ素飽和環状カーボネート、
c)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.1重量%~約5重量%の量のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量のトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.25重量%~約5重量%の量の環状スルトン、
f)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量の飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.25重量%~約5重量%の量の飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量の環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量の別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する、請求項15または16に記載の溶液。
【請求項18】
各電気化学的添加剤を、その他の電気化学的添加剤と共に使用しない、請求項15~17のいずれかに記載の溶液。
【請求項19】
前記溶液が、ニトリル化合物をさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の溶液。
【請求項20】
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルである、請求項19に記載の溶液。
【請求項21】
前記溶液が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の溶液。
【請求項22】
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、かつ、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項21に記載の溶液。
【請求項23】
正極、負極、及び請求項1~22のいずれかに記載の非水電解質溶液を含む非水リチウム電池。
【請求項24】
リチウム電池用非水電解質溶液であって、前記溶液は、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-1-エトキシベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、及び、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンからなる群から選択する少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤と、を含む前記溶液。
【請求項25】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素の量が前記溶液の総重量に対して約12重量%以上のものである、請求項24に記載の溶液。
【請求項26】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項24に記載の溶液。
【請求項27】
前記溶液が、ニトリル化合物、またはニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項24~26のいずれかに記載の溶液。
【請求項28】
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルである、または前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、及び、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項27に記載の溶液。
【請求項29】
正極、負極、及び請求項24~28のいずれかに記載の非水電解質溶液を含む非水リチウム電池。
【請求項30】
リチウム電池用非水電解質溶液の製造プロセスであって、前記プロセスは、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤であって、
A)フェニル環に結合した2つまたは3つの臭素原子を有する1つのフェニル環、及び、酸素原子を介して、フェニル環に結合した少なくとも1つの含酸素基を含み、前記フェニル環のあらゆる残余の部位は、それぞれ水素原子に結合しており、含酸素基が1つだけであれば、前記含酸素基がアルコキシエーテル基である、臭素化ベンゼン、及び
B)フェニル環に結合した少なくとも1つの臭素原子を有する前記フェニル環、前記フェニル環に結合した少なくとも1つのフッ素原子、及び、酸素原子を介して、前記フェニル環に結合した含酸素基を含み、前記含酸素基が、アルコキシエーテル基またはアルコキシ基である臭素化フルオロベンゼン、から選択する前記少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤と、
を含む成分を配合することを含む、前記プロセス。
【請求項31】
前記成分が、
a)3~約6つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5つの炭素原子、及び1~約4つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネート、
c)3~約9つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)3~約8つの炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記成分が、ニトリル化合物、またはニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項30~31のいずれかに記載のプロセス。
【請求項33】
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルである、または前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、かつ、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
リチウム電池用非水電解質溶液の製造プロセスであって、前記プロセスは、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル
)-ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、及び、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンからなる群から選択する少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤、
を含む成分を配合することを含む前記プロセス。
【請求項35】
前記成分が、ビニレンカーボネート、4-フルオロ-エチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェイト、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、亜硫酸エチレン、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-四酸化物、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物、及び/または
ニトリル化合物、から選択する少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記成分が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含む。請求項34~35のいずれかに記載のプロセス。
【請求項38】
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、及び、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
以下のそれぞれの分子を、新規組成物として個別に特許請求する、
2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
3,4,5-トリブロモ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-1-エトキシベンゼン、
2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、
2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、
3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモシベンゼン、
4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電解質溶液のための臭素系難燃剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池の安全性に影響を与える要素の1つが、リチウム含有電解質溶液での可燃性溶媒の使用である。電解質溶液での難燃剤の利用が、これらの溶液の可燃性を緩和する1つの方法である。難燃剤を電解質溶液の適切な成分にするためには、電解質に対する溶解度、及び電池の作動範囲における電気化学的安定性、及び電池性能に及ぼす好ましくない影響の最小化が必要である。電池性能に及ぼす好ましくない影響として、活物質に対する導電性の化学的不安定性の低下、リチウムの消費、及び/または活物質の抵抗性界面の形成があり、初期サイクルの間での固体電解質界面(SEI)形成に有害な影響を及ぼし、電解質の化学的劣化を招く。
【0003】
リチウムイオン電池の電気化学的性能への影響を最小限に抑えつつ、リチウムイオン電池の燃焼性を効果的に抑制する、妥当な費用で実現可能な難燃剤が待望されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤を含むリチウム電池用非水電解質溶液を提供する。含酸素臭素系難燃剤(複数可)が存在していると、少なくとも実験室条件下では、これらの非水電解質溶液で火災を回避する。
【0005】
本発明の実施形態は、リチウム電池用非水電解質溶液であり、このものは、溶液が、i)液体電解質媒体;ii)リチウム含有塩;iii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤を含む。当該含酸素臭素系難燃剤は、A)フェニル環に結合した2つまたは3つの臭素原子を有する1つのフェニル環、及び、酸素原子を介して、フェニル環に結合した少なくとも1つの含酸素基を含み、当該フェニル環のあらゆる残余の部位は、それぞれ水素原子に結合しており、含酸素基が1つだけであれば、当該含酸素基がアルコキシエーテル基である、臭素化ベンゼン、及び、B)フェニル環に結合した少なくとも1つの臭素原子を有する1つのフェニル環、当該フェニル環に結合した少なくとも1つのフッ素原子、及び、酸素原子を介して、当該フェニル環に結合した含酸素基を含み、当該含酸素基が、アルコキシエーテル基またはアルコキシ基である臭素化フルオロベンゼン、から選択する。
【0006】
本発明の別の実施形態は、リチウム電池用非水電解質溶液であり、この溶液は、i)液体電解質媒体;ii)リチウム含有塩;iii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤を含む。当該含酸素臭素系難燃剤は、2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5、6-トリブロモ-1、2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4、7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-
4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン(2,6-ジブロモ-4-フルオロアニソール)、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン(4-フルオロ-2-ブロモアニソール)、及び、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンからなる群から選択する。
【0007】
本発明のこれら及びその他の実施形態及び特徴は、本明細書及び添付した特許請求の範囲から、さらに明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のさらなる詳細な説明
この文献全体を通して、語句「電解質溶液」は、語句「非水電解質溶液」と互換可能に使用する。
【0009】
液体電解質媒体は、1つ以上の溶媒から構成されており、一般的には、リチウム電池で使用するリチウム電解質溶液のための液体電解質媒体を形成するものであり、当該溶媒は、極性及び非プロトン性であり、電気化学的サイクルに対して安定であり、及び、好ましくは、低粘度である。これらの溶媒として、通常、非環状炭酸エステル、環状炭酸エステル、エーテル、含硫黄化合物、及びホウ酸のエステルがある。
【0010】
本発明の実施において液体電解質媒体を形成することができる溶媒として、エチレンカーボネート(1,3-ジオキソラン-2-オン)、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジオキソラン、ジメトキシエタン(グリム)、テトラヒドロフラン、亜硫酸エチレン、1,3-プロピレングリコールホウ酸エステル、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、及び前出のいずれか2つ以上の混合物がある。
【0011】
好ましい溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びこれらの混合物がある。より好ましいものは、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物であり、特に、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネートの体積比で、約20:80~約40:60、より好ましくは、約25:75~約35:65の比率のものがある。
【0012】
本発明の実施に好適なリチウム含有塩として、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム、チオシアン酸リチウム、アルミン酸リチウム、テトラクロロアルミン酸リチウム、テトラフルオロアルミン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、ヘキサフルオロアンチモン酸リチウム、チタン酸リチウム酸化物、マンガン酸リチウム酸化物、コバルトリチウム酸化物(LiCoO2)、ニッケルリチウム酸化物(LiNiO2)、アルキル基の炭素原子数が1~6であるリチウムアルキルカーボネート、メチルスルホン酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロフェニルスルホン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドリチウム、(エチルスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム、及び、前出のいずれか2つ以上の混合物がある。好ましいリチウム含有塩として、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、及びビス(オキサラート)ホウ酸リチウムがある。
【0013】
電解質溶液でのリチウム含有塩に関する一般的な濃度は、約0.1M~約2.5Mの範囲であり、好ましくは、約0.5M~約2M、より好ましくは、約0.75M~約1.75M、及び、なおもより好ましくは、約0.95M~約1.5Mである。2つ以上のリチウム含有塩が、リチウム含有電解質を形成する場合、その濃度は、電解質溶液に存在するすべてのリチウム含有塩の合計濃度のことを指す。
【0014】
電解質溶液は、リチウム塩の他にも、その他の塩を含むことができるが、そのようなその他の塩(複数可)は、所望の用途に関する電池の性能、または電解質溶液の難燃性のいずれかを実質的に低下させないものに限られる。リチウム塩以外の好適な電解質として、その他のアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、及びセシウム塩、ならびにアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、及びバリウム塩がある。一部の態様では、非水電解質溶液での塩は、1つ以上のリチウム塩だけである。
【0015】
電解質溶液に存在させることができる好適なアルカリ金属塩として、ナトリウム塩、例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、テトラクロロアルミン酸ナトリウム、テトラフルオロアルミン酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、及びヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ならびに、カリウム塩、例えば、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、チオシアン酸カリウム、アルミン酸カリウム、テトラクロロアルミン酸カリウム、テトラフルオロアルミン酸カリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウムなどがある。
【0016】
電解質溶液に存在させることができる好適なアルカリ土類金属塩として、マグネシウム塩、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、テトラクロロアルミン酸マグネシウム、テトラフルオロアルミン酸マグネシウム、テトラフェニルホウ酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、及びヘキサフルオロリン酸マグネシウム、ならびに、カルシウム塩として、例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、過塩素酸カルシウム、硝酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、テトラクロロアルミン酸カルシウム、テトラフルオロアルミン酸カルシウム、テトラフェニルホウ酸カルシウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、ヘキサフルオロリン酸カルシウムなどがある。
【0017】
本発明の実施において、液体臭素系難燃剤は、非水系電解質溶液の液体媒体に対して混和性を示すものであり、当該「混和性」とは、臭素系難燃剤が、電解質溶液とは別の相を形成しないことを意味する。より具体的には、臭素系難燃剤が、30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートとを含み、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む混合物で単相を形成していれば混和性とされ、マグネチックスターラーで一晩撹拌して固体化合物を溶解させた後に、攪拌を停止しても分離相は形成されず、及び、臭素系難燃剤は、非水電解質溶液で沈殿することもなく、または、懸濁液やスラリーも形成しない。臭素系難燃剤は、非水電解質溶液のその他の成分の沈殿物または懸濁液もしくはスラリーを形成しないものが推奨されており、また、好ましい。
【0018】
本発明の実施において、固体臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の液体媒体に可溶性を示すものであり、当該「可溶性」とは、臭素系難燃剤が、電解質溶液では沈殿物を作らないことを意味する。より具体的には、臭素系難燃剤が、30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートとを含み、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む混合物で単相を形成していると可用性であり、マグネチックスターラーで一
晩攪拌して固体化合物を溶解させた後に攪拌を停止しても分離相または沈殿物が形成されることはなく、及び、臭素系難燃剤は、非水電解質溶液では沈殿物を作ることもなく、または、懸濁液やスラリーも形成しない。臭素系難燃剤は、非水電解質溶液のその他の成分の沈殿物または懸濁液もしくはスラリーを形成しないものが推奨されており、また、好ましい。
【0019】
本発明の実施において、含酸素臭素系難燃剤は、一般的に、含酸素臭素系難燃剤の重量に基づいて、約30重量%以上、好ましくは、約35重量%以上の臭素含有量を有する。本発明の実施における含酸素臭素系難燃剤は、分子中に約30重量%~約70重量%、より好ましくは、約35重量%~約65重量%の範囲の臭素含有量を有する。
【0020】
本発明の臭素系難燃剤の沸点は、約75℃以上、好ましくは、約95℃以上である。一般的に、本発明の実施において使用する臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の溶媒または溶媒混合物の沸点近傍または沸点以上である。本明細書全体を通じて記載している沸点は、特記しない限り、標準温度及び圧力(標準条件)下でのものである。
【0021】
本発明の実施において使用する臭素系難燃剤は、一般的には、極性及び非プロトン性であり、電気化学的サイクルに対して安定である。また、液体臭素系難燃剤は、粘度が低く、及び/または、非水電解質溶液の粘度を著しく増加させないことが好ましい。
【0022】
本発明の含酸素臭素系難燃剤は、幾つかの全体的な特性を共有する。これらの臭素系難燃剤において、臭素含有量は、臭素系難燃剤分子の総重量に対して約30重量%以上、好ましくは、約30重量%~約70重量%、より好ましくは、約35重量%~約65重量%である。
【0023】
本発明の実施において、非水電解質溶液での難燃剤の量は、溶液が後述する修正水平UL-94試験に合格する上で十分な難燃剤が存在することを意味する。難燃剤の量は、臭素系難燃剤によって異なることがよくある。臭素化ベンゼンの場合、難燃剤の量は、通常、非水系電解質溶液の総重量に対して約12.5重量%以上の臭素、時には、13重量%以上の臭素である。臭素化フルオロベンゼン類の場合、難燃剤の量は、通常、非水系電解質溶液の総重量に対して約11.5重量%以上の臭素、時には、12重量%以上の臭素である。溶液に付与する難燃剤の量は、本発明の臭素系難燃剤では、一般的には、非水電解質溶液の総重量に対して約20重量%以上の難燃剤分子で存在し、25重量%以上の難燃剤分子の量で存在することもよくある。
【0024】
一部の実施態様では、含酸素臭素系難燃剤は、臭素化ベンゼンである。臭素化ベンゼンは、フェニル環に結合した2つまたは3つの臭素原子を有する1つのフェニル環、及び、酸素原子を介して、フェニル環に結合した少なくとも1つの含酸素基とを含む。この臭素化ベンゼンは、臭素系難燃剤の重量に基づいて、約30重量%以上、好ましくは、約30重量%~約70重量%、より好ましくは、約35重量%~約65重量%、さらにより好ましくは、約35重量%~約60重量%の臭素含有量を有する。
【0025】
一部の好ましい実施態様では、臭素化ベンゼンは、分子中に約8~約12個の炭素原子、好ましくは、8~約16個の炭素原子を有する。好ましくは、臭素化ベンゼンは、分子中に、2~約10個の酸素原子、より好ましくは、2~約8つの酸素原子を有する。
【0026】
臭素化ベンゼン分子中に含酸素基が1つしか存在しない場合、その基は、アルコキシエーテル基である。アルコキシエーテル基では、その基のヒドロカルビル部分は、飽和している。アルコキシエーテル基は、2~約10個の炭素原子、好ましくは、3~約8つの炭素原子を有する。アルコキシエーテル基は、2~約6つの酸素原子、好ましくは、2~約
5つの酸素原子を有する。より好ましくは、2つ以上の酸素原子を含むアルコキシエーテル基は、酸素原子のそれぞれのペアの間にエチレン単位を有しており、及び、末端基は、好ましくは、メチルまたはエチルである。好ましいアルコキシエーテル基として、2-メトキシエトキシ、2-エトキシエトキシ、及び1,4,7,10-テトラオキサウンデシルがある。
【0027】
一部の好ましい実施形態では、臭素化ベンゼンのフェニル環に2つ以上の含酸素基が存在する場合、一方の含酸素基は、ヒドロカルビルオキシ基である。より好ましくは、ヒドロカルビルオキシ基とは、1~約4つの炭素原子、好ましくは、1つまたは2つの炭素原子を有するアルコキシ基である。好ましいヒドロカルビルオキシ基として、メトキシ及びエトキシがある。
【0028】
その他の好ましい実施形態では、臭素化ベンゼンのフェニル環に2つの含酸素基がある場合、一方の含酸素基は、アルコキシエーテル基であり、及び、他方の含酸素基は、ヒドロカルビルオキシ基である;アルコキシエーテル基及びヒドロカルビルオキシ基の優先度は前出の通りである。より好ましくは、フェニル環に2つの臭素原子が存在する。
【0029】
さらにその他の好ましい実施形態では、フェニル環に3つの臭素原子がある場合は、臭素化ベンゼンのフェニル環に少なくとも2つ、好ましくは、3つの含酸素基が存在しており、及び、含酸素基の1つがアルコキシエーテル基であり、及び、その他の1つまたは2つの含酸素基は、それぞれ、ヒドロカルビルオキシ基である;アルコキシエーテル基及びヒドロカルビルオキシ基の優先度は前出の通りである。
【0030】
さらにその他の好ましい実施形態では、フェニル環に2つの臭素原子がある場合は、臭素原子は、好ましくは、互いにオルトまたはパラの関係にある;より好ましくは、臭素化ベンゼン類のフェニル環に1つまたは2つの含酸素基が存在する。
【0031】
さらにその他の好ましい実施形態では、フェニル環に3つの臭素原子がある場合は、好ましくは、臭素化ベンゼンのフェニル環に3つの含酸素基が存在し、及び、3つすべての含酸素基が、アルコキシエーテル基である;アルコキシエーテル基の優先度は前出の通りである。
【0032】
臭素化ベンゼン分子に含酸素基が1つしか存在しない場合は、少なくとも1つの臭素原子は、好ましくは、2つ以上の酸素原子を含む基に(オルト)隣接している;一部の好ましい実施形態では、2つの臭素原子は、アルコキシエーテル基に隣接している。臭素化ベンゼン分子中に含酸素基が1つしか存在しないその他の好ましい実施形態では、フェニル環に結合した1つ以上のフッ素原子、好ましくは、1つのフッ素原子が存在する。
【0033】
好ましくは、当該臭素化ベンゼンは、2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4、7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-
[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、または、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼンである。より好ましくは、当該臭素化ベンゼンは、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4、7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、または4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンである。
【0034】
別の実施形態では、含酸素臭素系難燃剤は、臭素化フルオロベンゼンである。当該臭素化フルオロベンゼンは、フェニル環に結合した1つ以上の臭素原子を有する1つのフェニル環、フェニル環に結合した1つ以上のフッ素原子、及び、酸素分子を介して、当該フェニル環に結合した含酸素基を含む。この臭素化フルオロブエンゼン類は、臭素系難燃剤の重量に基づいて、約35重量%以上、好ましくは約35重量%~約65重量%、より好ましくは約40重量%~約60重量%の臭素含有量を有する。
【0035】
一部の好ましい実施形態では、臭素化フルオロベンゼンは、フェニル環に結合した1つの臭素原子または2つの臭素原子を有しており、及び/または、フェニル環に結合した1つのフッ素原子を有する。より好ましくは、フェニル環に結合しているフッ素原子が1つしか存在しない場合には、それは、含酸素基に対してパラ位にある。臭素原子の環での好ましい位置は、含酸素基に隣接する(オルト)である;好ましくは、少なくとも1つの臭素原子が、含酸素基に隣接している。
【0036】
一部の好ましい実施態様では、臭素化フルオロベンゼンは、分子中に7~約15個の炭素原子、好ましくは7~約13個の炭素原子を有する。好ましくは、臭素化ベンゼンは、分子中に1~約4つの酸素原子、より好ましくは1~約2つの酸素原子を有する。
【0037】
臭素化フルオロベンゼンでの含酸素基は、アルコキシ基またはアルコキシエーテル基である。好ましくは、アルコキシ基は、1~約4つの炭素原子を有し、より好ましくは、1つまたは2つの炭素原子を有する。好ましいアルコキシ基として、メトキシ及びエトキシがある。アルコキシエーテル基において、当該基のヒドロカルビル部分は飽和している。アルコキシエーテル基は、2~約10個の炭素原子、好ましくは3~約8つの炭素原子を有する。アルコキシエーテル基は、2~約6つの酸素原子、好ましくは2~約5つの酸素原子を有する。より好ましくは、2つ以上の酸素原子を含むアルコキシエーテル基は、酸素原子のそれぞれのペアの間にエチレン単位を有しており、及び、末端基は、メチルまたはエチルであることが好ましい。好ましいアルコキシエーテル基として、2-メトキシエトキシ、2-エトキシエトキシ、及び1,4,7,10-テトラオキサウンデシルがある。
【0038】
好ましくは、臭素化フルオロベンゼンは、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、または4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンである。
【0039】
本発明の一部の好ましい実施形態では、液体電解質媒体は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはこれらの混合物である。より好ましくは、リチウム含有塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラート)ホウ酸リチウムである。
【0040】
本発明の一部の実施形態では、少なくとも1つの電気化学的添加剤を、非水電解質溶液
に含める。
【0041】
本発明の実施において、電気化学的添加剤は、非水電解質溶液の液体媒体に可溶性または混和性を示す。液体形態の電気化学的添加剤は、非水電解質溶液の液体媒体と混和性であり、当該「混和性」とは、電気化学的添加剤が、電解質溶液から別の相を形成しないことを意味する。より具体的には、電気化学的添加剤が、30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートとを含み、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む混合物で単相を形成しておれば混和性であり、マグネチックスターラーで一晩攪拌して固体化合物を溶解させた後に、攪拌を停止しても分離相を形成せず、及び、電気化学的添加剤は、非水電解質溶液で沈殿物を形成することもなく、または、懸濁液やスラリーも形成しない。
【0042】
固体形態の電気化学的添加剤に通常使用する用語である「可溶性」とは、一旦溶解すると、電気化学的添加剤が、非水電解質溶液で沈殿物を形成しない、または懸濁液もしくはスラリーを形成しないことを示す。より具体的には、電気化学的添加剤は、30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートとを含み、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含む混合物で溶解すれば可用性であり、マグネチックスターラーで一晩攪拌して固体化合物を溶解させた後に、攪拌を停止しても分離相は形成されない。電気化学的添加剤は、非水電解質溶液のその他の成分の沈殿物または懸濁液もしくはスラリーを形成しないものが推奨されており、また、好ましい。
【0043】
臭素系難燃剤、電気化学的添加剤、及びそれらの混合物は、一般的に、電気化学的サイクルに対して安定であり、好ましくは、低粘度であり、及び/または非水電解質溶液の粘度を著しく増加させない。
【0044】
様々な実施形態では、電気化学的添加剤を、a)3~約4つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、b)3~約4つの炭素原子、及び1~約2つのフッ素原子を含有する含フッ素飽和環状カーボネート、c)3~約6つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、d)3~約9つの炭素原子を含むトリヒドロカルビルリン酸塩、e)3~約4つの炭素原子を含む環状スルトン、f)5員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、g)5員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、h)6員環または7員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、i)別のリチウム含有塩、及びj)前出のいずれか2つ以上の混合物から選択する。
【0045】
一部の実施形態では、電気化学的添加剤は、3~約6つの炭素原子、好ましくは、3~約4つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネートである。好適な不飽和環状カーボネートとして、ビニレンカーボネート(1,3-ジオキソール-2-オン)、4-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン、及び4,5-ジメチル-1,3-ジオキソール-2-オンがある;ビニレンカーボネートは、好ましい不飽和環状カーボネートである。不飽和環状カーボネートは、好ましくは、非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約12重量%、より好ましくは約0.5重量%~約3重量%、または約8重量%~約11重量%の量で存在する。
【0046】
電気化学的添加剤が、3~約5つの炭素原子、好ましくは3~約4つの炭素原子、及び1~約4つのフッ素原子、好ましくは、1~約2つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネートである場合、好適な含フッ素飽和環状カーボネートとして、4-フルオロ-エチレンカーボネート、及び4,5-ジフルオロ-エチレンカーボネートがある。含フッ素飽和環状カーボネートとして、好ましくは、4-フルオロ-エチレンカーボネートがある。含フッ素飽和環状カーボネートは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは、
約0.5重量%~約8重量%、より好ましくは約1.5重量%~約5重量%の量で存在する。
【0047】
トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト電気化学的添加剤は、3~約9つの炭素原子、好ましくは、約3~約6つの炭素原子を含む;当該トリヒドロカルビルシリル基は、同一でもよく、相違していてもよい。好適なトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトとして、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリエチルシリル)ホスファイト、トリス(トリエチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリエチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリ-n-プロピルシリル)ホスファイト、及びトリス(トリ-n-プロピルシリル)ホスファイトがある;トリス(トリメチルシリル)ホスファイトは好ましいトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトである。トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトは、好ましくは、非水電解質溶液の総重量に対して約0.1重量%~約5重量%、より好ましくは約0.15重量%~約4重量%、さらにより好ましくは約0.2重量%~約3重量%の量で存在する。
【0048】
一部の実施形態では、電気化学的添加剤は、3~約12個の炭素原子、好ましくは、3~約9つの炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイトである。ヒドロカルビル基は、飽和または不飽和とし得る、及び、トリヒドロカルビルホスフェイトでのヒドロカルビル基は同一でもよく、相違していてもよい。好適なトリヒドロカルビルホスフェイトとして、トリメチルホスフェイト、トリエチルホスフェイト、ジメチルエチルホスフェイト、トリ-n-プロピルホスフェイト、トリアリルホスフェイト、及びトリビニルホスフェイトがある;トリアリルホスフェイトは、好ましいトリヒドロカルビルホスフェイトである。トリヒドロカルビルホスフェイトは、通常、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%~約5重量%、好ましくは、約1重量%~約5重量%、より好ましくは、約2重量%~約4重量%の量で存在する。
【0049】
電気化学的添加剤が、3~約8つの炭素原子、好ましくは、3~約4つの炭素原子を含む環状スルトンである場合、好適な環状スルトンとして、1-プロパン-1,3-スルトン(1,3-プロパンスルトン)、1-プロペン-1,2-スルトン(1,3-プロペンスルトン)、1,3-ブタンスルトン(5-メチル-1,2-オキサチオラン2,2-ジオキシド)、2,4-ブタンスルトン(3-メチル-1,2-オキサチオラン2,2-ジオキシド)、1,4-ブタンスルトン(1,2-オキサチアン2,2-ジオキシド)、2-ヒドロキシ-アルファ-トルエンスルホン酸スルトン(3H-1,2-ベンゾオキサチオール2,2-ジオキシド)、及び1,8-ナフトスルトンがある;好ましい環状スルトンとして、1-プロパン-1,3-スルトン、及び1-プロペン-1,3-スルトンがある。環状スルトンは、好ましくは、非水電解質溶液の総重量に対して約0.25重量%~約5重量%、より好ましくは、約0.5重量%~約4重量%の量で存在する。
【0050】
飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル電気化学的添加剤は、2~約6つの炭素原子、好ましくは、2~約4つの炭素原子を含み、及び、5員環または6員環、好ましくは、5員環を有する。1つ以上の置換基、例えば、メチル基またはエチル基、好ましくは、1つ以上のメチル基などを環に存在することができ、より好ましくは、環に置換基は存在させない。好適な飽和環状亜硫酸ヒドロカルビルとして、1,3,2-ジオキサチオラン、2-オキシド(1,2-亜硫酸エチレン)、1,2-亜硫酸プロパンジオール(1,2-亜硫酸プロピレン)、4,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサチオラン 2-オキシド、1,3,2-ジオキサチアン 2-オキシド、4-メチル-1,3-ジオキサチアン、2-オキシド(1,3-亜硫酸ブチレン)がある;好ましい環状亜硫酸ヒドロカルビルは、1,3,2-ジオキサチオラン,2-オキシド(1,2-亜硫酸エチレン)を含む。上記した環状亜硫酸ヒドロカルビルは、好ましくは、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量
%~約5重量%の量であり、より好ましくは、約1重量%~約4重量%である。
【0051】
一部の実施形態では、電気化学的添加剤は、2~約6つの炭素原子、好ましくは、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビルであり、5員環または6員環、好ましくは、5員環を有する。1つ以上の置換基は、メチル基またはエチル基、好ましくは、1つ以上のメチル基などを環に存在させることができ、より好ましくは、置換基を環に存在させない。好適な飽和環状硫酸ヒドロカルビルとして、1,3,2-ジオキサチオラン
2,2-ジオキシド(1,2-硫酸エチレン)、1,3,2-ジオキサチアン 2,2-ジオキシド(1,3-硫酸プロピレン)、4-メチル-1,3,2-ジオキサチアン 2,2-ジオキシド(1,3-硫酸ブチレン)、及び5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサチアン 2,2-ジオキシドがある。飽和環状硫酸ヒドロカルビルは、好ましくは、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%~約5重量%、より好ましくは、約1重量%~約4重量%の量で存在する。
【0052】
電気化学的添加剤が、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物である場合、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、2~約6つの炭素原子、好ましくは、2~約4つの炭素原子を含み、及び、6員、7員、または8員の環を有する。好ましくは、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、2~約4つの炭素原子を含み、かつ、6員環または7員環を有する。1つ以上の置換基、例えば、メチル基またはエチル基、好ましくは、1つ以上のメチル基などを環に存在させることができ、より好ましくは、環には置換基を存在させない。好適な環状ジオキサジチオポリオキシド化合物として、1,5,2,4-ジオキサジチアン 2,2,4,4-テトラオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチエパン 2,2,4,4-テトラオキシド(シクロジソン)、3-メチル-1,5,2,4-ジオキサジチエパン、2,2,4,4-テトラオキシド、及び1,5,2,4-ジオキサジチオカン、2,2,4,4-テトラオキシドがある;1,5,2,4-ジオキサジチアン 2,2,4,4-テトラオキシドが好ましい。環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、好ましくは、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%~約5重量%、より好ましくは、約1重量%~約4重量%の量で存在する。
【0053】
語句「別のリチウム含有塩」及び「その他のリチウム含有塩」は、電解質溶液の調製に使用する少なくとも2つのリチウム塩があることを指す。電気化学的添加剤が、その他のリチウム含有塩である場合、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%~約5重量%の量が好ましい。好適なリチウム含有塩として、先に列挙したリチウム含有塩のすべてがある;ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、及びビス(オキサラート)ホウ酸リチウムが好ましい。
【0054】
前出の電気化学的添加剤の2つ以上のあらゆる混合物は、同じタイプの異なる電気化学的添加剤、及び/または、異なるタイプの電気化学的添加剤などを使用することができる。電気化学的添加剤の混合物を使用する場合、電気化学的添加剤の併用量は、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%~約5重量%である。不飽和環状カーボネートと飽和環状亜硫酸ヒドロカルビルとの混合物、または環状スルトン、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトと、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物との混合物が好ましい。
【0055】
一部の実施形態では、電気化学的添加剤を使用する場合、その他の電気化学的添加剤を併用しないことが好ましい。
【0056】
リチウム電池用の電解質溶液によく利用する追加の成分も、本発明の電解質溶液に含めることができる。このような追加の成分として、スクシノニトリル及びペルフルオロアルキルニトリルなどのニトリル化合物、及びヘキサメチルジシラザンなどのシラザン化合物
がある。好ましい追加成分として、ニトリル化合物がある;スクシノニトリルは、好ましいニトリル化合物である。一般的には、任意成分の量は、非水電解質溶液の総重量に対して、約1重量%~約5重量%、好ましくは、約1重量%~約4重量%の範囲である。
【0057】
本発明の別の実施形態は、リチウム電池用非水電解質溶液の製造プロセスを提供する。このプロセスは、i)液体電解質媒体;ii)リチウム含有塩;及びiii)臭素化ベンゼン及び臭素化フルオロベンゼンから選択する少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤を含む成分を配合することを含む。任意に、これらの成分は、iv)上記した少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む。この含酸素臭素系難燃剤は、難燃量で電解質溶液に含める。これらの成分は、あらゆる順序で配合することができるが、すべての成分を、液体電解質媒体に添加することが好ましい。任意成分も、好ましくは、液体電解質媒体に添加する。液体電解質媒体、リチウム含有塩、含酸素臭素系難燃剤(複数可)、電気化学的添加剤(複数可)の特徴及び優先度、及びそれぞれの成分の量は、上記した通りである。
【0058】
一部の好ましい実施形態では、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩は、電解質溶液の成分である。ニトリル化合物、及びリチウム含有塩は、上記した通りである。好ましくは、ニトリル化合物は、スクシノニトリルであり、及び、その他のリチウム含有塩は、好ましくは、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態は、リチウム電池用非水電解質溶液の製造プロセスを提供する。このプロセスは、i)液体電解質媒体;ii)リチウム含有塩;及びiii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤を含む成分を配合することを含む。任意に、これらの成分は、iv)上記した少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む。当該含酸素臭素系難燃剤は、2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロアニソール、及び、4-フルオロ-2-ブロモアニソールからなる群から選択する。液体電解質媒体、リチウム含有塩、電気化学的添加剤(複数可)、及びそれぞれの成分の量の優先度は、上記した通りである。
【0060】
本発明の非水系電解質溶液は、1つ以上の臭素系難燃剤を含んでおり、一般的には、正極、負極、及び非水系電解質溶液を含む非水系リチウム電池に使用する。負極と正極との間に非水系電解質溶液を注入することで、任意に両極間に設けたセパレーター有する非水系リチウム電池を得ることができる。
【0061】
これらの分子2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1
-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-ベンゼン、及び2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼンは、新規の組成物である。また、本発明の難燃剤を形成するために臭素化する分子の一部も新規の組成物であり、特に、2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、及び4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンがある。
【0062】
以下の実施例は、例示の目的で示したものに過ぎず、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0063】
実施例1では、修正水平UL-94試験を実施した。この修正水平UL-94試験は、公知の公開された水平UL-94試験と非常によく似ている。この点については、例えば、Otsuki, M. et al. “Flame-Retardant Additives for Lithium-Ion Batteries.” Lithium-Ion Batteries. Ed. M. Yoshio et al. New York, Springer, 2009, 275-289を参照されたい。この修正UL-94試験は、以下の通りである。
円筒状のグラスファイバーの芯から芯を切り取り、及び、切り口を滑らかにした後に、芯の表面から埃や粒子を取り除いた。試験前に、芯を120℃で20時間乾燥させた。芯の長さは、5±0.1インチ(12.7±0.25cm)であった。
試験に供するそれぞれの試験片を,ドライボックスの中で,4オンス(120mL)のガラス瓶の中に準備し、所望の量の難燃剤と、存在する場合は、電気化学的添加剤を、所望の量の電解質溶液と配合して、例えば、20重量%の臭素系難燃剤、及び80重量%の電解質溶液を配合して、難燃剤を含有する電解質溶液を形成した。難燃剤と配合する前に、電解質溶液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)に1.2MのLiPF6を含ませた。それぞれの芯を、電解質溶液に30分間浸した。
それぞれの試験片を、電解質溶液から取り出し、及び、電解質溶液の上で液だれが生じなくなるまで保持し、次いで、4オンス(120mL)ガラス瓶に入れた;電解質溶液の蒸発を防ぐために、キャップを閉じた。
バーナーを点火し、高さ20±1mmの青色の炎を生成するように調整した。
試験片を、当該4オンス(120mL)ガラス瓶から取り出して、試験片を水平位置の金属支持固定具に置き、芯の一端を固定した。
排気扇が作動している場合は、試験のために停止させた。
炎を、水平の芯に対して45±2度の角度で向けた。バーナーにバーナーチューブがある場合に、これを実現するための1つの方法は、バーナーチューブの中心軸を、水平から45±2度の角度で試験片の端に向けて傾斜させるというものである。
試験片の位置を変えずに、試験片の自由端に30±1秒間、炎をあてた。バーナーは、30±1秒後に、または試験片の燃焼フロントが1インチ(2.54cm)の印に達した直後に取り外した。
試験炎を取り外した後も試験片が燃焼し続けた場合は、炎が消えるまで、または燃焼フロント(炎)が、1インチ(2.54cm)の印から4インチ(10.16cm)の印まで移動するまでの時間を秒単位で記録した。
【0064】
バーナーを取り外した際に炎が消えた場合、試験片は「可燃性ではない」とみなした。1インチ(2.54cm)の印に達する前に炎が消えた場合、試験片は「難燃性」であるとみなした。4インチ(10.16cm)の印に達する前に炎が消えた場合、試験片は「自己消火性」であるとみなした。
【0065】
以下に報告しているそれぞれの修正水平UL-94試験の結果は、3回実施した平均の
ものである。
【0066】
実施例1
異なる含酸素臭素系難燃剤を含む様々な非水電解質溶液を、上記したようにして調製して、前出の修正UL-94試験に供した。結果を以下の表1にまとめた。上記したように、報告した数値は3回実行して得た平均値である。
【表1】
【0067】
実施例2
コイン電池で、一部の難燃剤の試験も行った。コイン電池は、所望の量の難燃剤を含有する非水電解質溶液を使用して組み立てた。次に、このコイン電池は、CV部分でC/50の電流カットオフを備えており、C/5で4.2VにまでCCCV充電を行い、及び、C/5で3.0VにまでCC放電する、電気化学的サイクルに供した。
【0068】
1つの試料は、難燃剤を含まない非水電解質溶液であり、及び、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)に1.2M LiPF
6を含んでいた。残りの試料には、電解質溶液に所望の量の難燃剤を含んでいた。結果を、以下の表2にまとめた。クーロン効率の誤差範囲は、約±0.5%から約±1.0%である
【表2】
【0069】
実施例3
本発明の臭素系難燃剤及び比較分子のそれぞれを、実施例2に記載した電解質溶液溶解性試験に供して、前出の方法(一晩撹拌)を使用する。結果を、以下の表3にまとめた。
【表3】
【0070】
実施例4
4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、及び2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンの合成
窒素雰囲気下で、水素化ナトリウム(2.7g、0.11mol、1.5当量)を含む無水THF(250mL)のスラリーを、500mLのシュレンクフラスコにおいて調製した。このスラリーを、マグネチックスターラーで使用するために、0℃にまで冷却し、及びN2気流下で、4-エトキシフェノール(10.0g、0.072mol、1当量)を滴下した。反応混合物に気泡が認められ、このものは、青緑色に変色した。1時間撹拌した後に、N2の気流下で、モノメチル-終端1,4,7,10-テトラオキサウンデシル-メシラート(22.5g,0.093mol,1.3当量)を滴下すると、その間に、反応混合物は即座に青緑色から淡褐色に変色した。次いで、反応混合物を、60℃にまで加熱し、及び16時間撹拌した。冷却した後に、反応物を脱イオン水(1L)に慎重に加えて反応を停止した。次いで、生成物をCH2Cl2(200mL)で抽出し、及び、有機層を1Lの脱イオン水でさらに洗浄した。ロータリーエバポレーションを行ったところ、18.0gの淡黄色液体(収率88%)が得られた。この生成物を、1H-NMRで分析したところ、95%の4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンが、5%の残留メチル終端1,4,7,10-テトラオキサウンデシル-メシラートで汚染されていることが判明し、この生成物を、次工程(臭素化化合物の調製)で使用した。
【0071】
上記したようにして調製した4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンの一部(10.35g、36.4mmol、1当量)、及びヨウ素(0.26g)を含むCH2Cl2(500g)の溶液を調製した。この溶液を撹拌しながら、Br2(16.3g,160mmol,2.8当量)の添加を、蠕動ポンプ(Ismatec(登録商標)型番CP 78016-45)を介して、反応物の温度を5℃未満に維持する速度(20分の添加時間)で行った。この溶液を、0℃で、さらに2時間撹拌し、次いで、Na2SO3水溶液を加えて反応を停止した。相を分離し、及び、有機相をロータリーエバポレーションさせたところ、凝縮して淡黄色液体(14.46g;収率90%の2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン)を得て、このものを、カラムクロマトグラフィー(シリカ;溶離剤:93:7 CH2Cl2/MeOH)でさらに精製した。1H-NMR (CDCl3):δ7.16(s,1H);7.08(s,1H);4.12(m2H);4.03(q,2H);3.86(t,2H);3.76(m,2H);3.68-3.64(m,4H);3.54(m,2H);3.37(s,3H);1.43(t,3H).
【0072】
実施例5
2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、及び4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンの合成
N2下で、水素化ナトリウム(2.2g、92.5mmol、1.2当量)を含む無水DMF(250mL)のスラリーを、500mLのシュレンクフラスコにおいて調製した。このスラリーを、マグネチックスターラーで使用するために、0℃にまで冷却し、及び、2-エトキシフェノール(10.66g、77mmol、1当量)を滴下した:気泡が激しく生じた(H2放出)。2時間撹拌した後に、メチル終端1,4,7,10-テトラオキサウンデシル-メシラート(22g,93mmol,1.2当量)を滴下した。次いで、反応混合物を、60℃にまで加熱し、及び16時間撹拌した。1H-NMRで確認した後に、反応を終え、及び、反応物を、600mLのH2Oに注いで反応を停止した。次いで、生成物をCH2Cl2で抽出し、及び、5%HClの100mL部分で3回、次い
で、脱イオン水で有機相を洗浄した。有機相に関してロータリーエバポレーションを行ったところ、生成物は、残留DMFで汚染された透明な液体として得られた。減圧下(2mmHg)で、100℃で蒸留したところ,19.6gの2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンが、淡黄色油状物として得られた(90%)。
【0073】
2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン(5.75g、20.2mmol、1当量)及びヨウ素(0.43g)を含むCH2Cl2(100mL)の溶液を調製した。この溶液を撹拌しながら、Br2(7.0g,160mmol,2.18当量)の添加を、蠕動ポンプ(Ismatec(登録商標)型番CP 78016-45)を介して行って、反応物の温度を13℃未満に維持する速度(10分の添加時間)で行った。この溶液を、0℃でさらに2時間撹拌し、及び、周囲温度で一晩撹拌した。次いで、淡黄色の反応物に、亜硫酸ナトリウム水溶液を添加して反応を停止した。相を分離し、及び、有機相に関してロータリーエバポレーションを行ったところ、凝縮して淡黄色液体(7.89g;収率88%の4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ7.13 (s, 1H);7.05 (s, 1H);4.11 (m, 2H);4.01 (m, 2H);3.85 (m, 2H);3.71 (m, 2H);3.65 (m 4H);3.53 (m, 2H);3.36 (s, 3H);1.14 (t, 3H).この生成物は、20%フェノール含有不純物で汚染されていた。粗4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン(6g)に対して、NaH(0.210g)を含む乾燥DMF(20mL)のスラリーを、N2の定気流下で、0℃で滴下して、粗生成物をアルキル化条件に供することによって,フェノール含有不純物を、プロポキシ基に変換した。30分間撹拌した後に、n-プロピルブロミド(1.1g)を加えた。次いで、反応混合物を、60℃で、5時間還流し、その後、反応物を放冷し、次いで、水(500mL)に慎重に加えて反応を停止した。有機生成物を分離し、及び、残留DMFを、減圧下(21mmHg)でのショートパス蒸留を介して除去したところ、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンと、4,5-ジブロモ-2-プロポキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼンの4:1混合物を得た。
【0074】
実施例6
4,5-ジブロモ-2-エトキシフェノールの合成
2-エトキシフェノール(42.0g、0.304mol)及びヨウ素(50mg)を含む塩化メチレン(600mL)の溶液を調製した。この溶液を撹拌しながら、Br2(100g,0.625mol)を、5℃未満に温度を保ちながら1時間かけて滴下した。この反応混合物を、5℃でさらに2時間撹拌し、次いで、Na2SO3水溶液を加えて過剰の臭素の反応を停止したところ、赤色の溶液が変色した。相を分離し、有機相を無水Na2SO4上で乾燥させ、及び、ロータリーエバポレーションを介して、乾燥した有機相から塩化メチレンを剥がし取ったところ、白色の結晶性固形物を得た(86g、収率96%)。
【0075】
実施例7
2,3,4-トリブロモ-6-エトキシフェノールの合成
4,5-ジブロモ-2-エトキシフェノール(30.0g、0.101mol)及びヨウ素(46mg)を含む塩化メチレン(500mL)の溶液を調製した。この溶液を撹拌しながら、Br2(171g,0.106mol)を、12℃の温度を保ちながら15分かけて滴下した。この反応混合物を、周囲温度で、さらに2週間撹拌した。この反応混合物を、Na2SO3水溶液で処理して、過剰の臭素の反応を停止した。相を分離し、及び
、有機相を無水Na2SO4上で乾燥した。94%がトリブロモ化合物に転化した。第3の臭素原子は、1H-NMRスペクトルから、エトキシ基に対してオルトではなく、フェノールヒドロキシル基に対してオルトであることが判明した。
【0076】
1H-NMR(CDCl3):δ7.11(s,1H);5.11(s,1H,O-H);4.12(q,2H);1.47(t,3H).
【0077】
13C-NMR(CDCl3):δ145.65;144.04;118.82;115.41;114.49;112.23;65.72;14.78.
【0078】
実施例8
3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-ベンゼンの合成
6-エトキシ-2,3,4-トリブロモフェノール(1.25g、0.0033mol)、炭酸カリウム(2.2g、0.016mol)、及びメチル終端1,4,7,10-テトラオキサウンデシル-メシラート(1g、0.0041mol)を含むスラリーを含むアセトン(25mL)を、250mLの丸底フラスコにおいて調製した。このスラリーを、マグネチックスターラーで撹拌し、及び、還流下、65℃で、42時間加熱した。次いで、アセトンを混合物から剥がし取り、及び、得られた残渣を、ジクロロメタン(50mL)と水(50mL)の間で分けた。ジクロロメタン相をロータリーエバポレーションで濃縮し、及び、そこでの残渣を、ジクロロメタンを溶離液として、シリカゲル上でクロマトグラフィー処理したところ、透明な油状物の生成物が得られた(0.9g、収率52%)。
【0079】
1H-NMR (CDCl3): δ7.14 (s, 1H);4.15 (t, 2H);4.01 (q, 2H);3.82 (t, 2H);3.71 (m, 2H);3.65-3.61 (m, 4H);3.52 (m, 2H);3.35 (s, 1H);1.42 (t, 3H).
【0080】
13C-NMR (CDCl3): δ151.91;146.54;122.19;119.36;118.29;117.26;72.42;72.01;70.75;70.74;70.64;70.39;65.18;59.10;14.72.
【0081】
本明細書または特許請求の範囲のいずれかで化学名または化学式で記載している成分とは、単数または複数で記載しているか否かに関係なく、化学名または化学型で記載されている別の物質(例えば、別の成分、溶媒など)と接触する前に存在するものとして識別する。そのような変化、変換、及び/または反応は、特定の成分を、本開示に従って求められる条件下で一緒にして得られる自然な結果であるので、そうして得られる混合物または溶液で、どのような化学変化、変換、及び/または反応が、もしあったとしても、発生することを問題とすることはない。したがって、この成分は、所望の操作の実行、または所望の組成物の形成に関連して一緒にされる成分として識別する。また、以下の特許請求の範囲は、物質、構成要素、及び/または成分を現在形で記載している場合でも(「含む(comprises)」、「である(is)」など)、本開示による1つ以上のその他の物質、構成要素、及び/または成分と、このものとが、最初に接触する、融合する、または混合する直前の時点で、それが存在するかの如く、この物質、構成要素、または成分を記載している。物質、構成要素、または成分は、本開示及び化学者の通常の技術に従って実施した場合に、接触、融合、または混合の操作の過程で、化学反応または変換によって、当初の同一性を喪失した可能性があるという事実は、したがって、実質上問題はない。
【0082】
本発明は、本明細書に列挙した材料及び/または手順を含み得る、それらからなり得る
、または、それらから本質的になり得る。
【0083】
本明細書で使用する場合、本発明の組成物の量または本発明の方法で使用する成分の量を修飾する用語「約」は、例えば、一般的な測定、及び現実世界での濃縮物の作製または溶液の使用のために使われる液体処理手順によって;これらの手順の不注意による間違いによって;組成物の製造または方法の実行に使用する成分の製造、供給源、または純度の違いによって;などから生じ得る数的な量の変化のことを指す。また、約という用語は、特定の当初の混合物から生じる組成物の異なる平衡条件に起因して生じる異なる量をも含む。用語「約」で修飾されているか否かに関係なく、請求項は、その量と等価なものを含む。
【0084】
本明細書で使用する冠詞「a」または「an」は、本明細書で用いる場合、特に明示的に示される場合を除いて、詳細な説明または特許請求の範囲において、その冠詞が指す単一の要素に対して限定することを意図するものではなく、限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、冠詞「a」または「an」とは、本明細書で用いる場合は、本文で別段断りが無い限りは、1つ以上のそのような要素を網羅する、ことを意図している。
【0085】
本発明は、その実施において大きな変動を受けやすい。したがって、前出の説明は、本発明を上記した特定の例示に限定することを意図するものではなく、限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用非水電解質溶液であって、前記溶液は、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤であって、
A)フェニル環に結合した2つまたは3つの臭素原子を有する1つのフェニル環、及び、酸素原子を介して、前記フェニル環に結合した少なくとも1つの含酸素基を含み、前記フェニル環のあらゆる残余の部位は、それぞれ水素原子に結合しており、含酸素基が1つだけであれば、前記含酸素基がアルコキシエーテル基である、臭素化ベンゼン、及び
B)フェニル環に結合した少なくとも1つの臭素原子を有する1つのフェニル環、前記フェニル環に結合した少なくとも1つのフッ素原子、及び、酸素原子を介して、前記フェニル環に結合した含酸素基を含み、前記含酸素基が、アルコキシエーテル基またはアルコキシ基である臭素化フルオロベンゼン、から選択する、前記少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤と、
を含む、前記非水電解質溶液。
【請求項2】
前記含酸素臭素系難燃剤が、
約8~約20個の炭素原子、2~約10個の酸素原子を有しており、及び/または臭素含有量が、前記含酸素臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上である臭素化ベンゼンである、または
前記フェニル環に結合した1つのフッ素原子、前記フェニル環に結合した1つの臭素原子または2つの臭素原子を有しており、及び/または臭素含有量が、前記含酸素臭素系難燃剤の総重量に対して約35重量%以上である臭素化フルオロベンゼンである、請求項1に記載の非水電解質溶液。
【請求項3】
前記含酸素臭素系難燃剤が、
I)前記フェニル環に2つの含酸素基を有しており、その含酸素基が、前記アルコキシエーテル基、及びヒドロカルビルオキシ基である臭素化ベンゼンである、または
臭素原子が、含酸素基に隣接している臭素化フルオロベンゼンである、または、
II)前記フェニル環に結合した1つの含酸素基を有する臭素化ベンゼンである、また
は
前記フェニル環に結合した1つだけのフッ素原子を有しており、かつ、前記フッ素原子が、前記含酸素基に対してパラ位である臭素化フルオロベンゼンである、請求項1に記載の非水電解質溶液。
【請求項4】
前記臭素化フルオロベンゼンが、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、または4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンである、請求項1~3のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項5】
I)前記含酸素臭素系難燃剤が、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、または、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼンである臭素化ベンゼンである、
II)前記含酸素臭素系難燃剤が、前記含酸素基に隣接している少なくとも1つの臭素原子を有する臭素化ベンゼンであり、任意に、前記臭素化ベンゼンが、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、または2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼンである、請求項3に記載の非水電解質溶液。
【請求項6】
前記含酸素臭素系難燃剤が、前記フェニル環に3つの臭素原子を有しており、かつ、前記フェニル環に3つの含酸素基を有する臭素化ベンゼンであり、i)前記含酸素基の1つが、アルコキシエーテル基であり、及び、その他の2つの含酸素基が、ヒドロカルビルオキシ基である、または、ii)3つすべての含酸素基が、アルコキシエーテル基であり、任意に、前記臭素化ベンゼンが、2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、または4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼンである、請求項1に記載の非水電解質溶液。
【請求項7】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素化ベンゼンであり、それぞれのアルコキシエーテル基が、2~約10個の炭素原子、及び2~約8つの酸素原子を有する、及び/または、前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素の量が前記溶液の総重量に対して約12.5重量%以上の臭素化ベンゼンである、請求項1~3、5または6のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項8】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素の量が前記溶液の総重量に対して約11.5重量%以上の臭素化フルオロベンゼンである、請求項1~4のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項9】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはこれらの混合物、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項1~8のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項10】
I)
a)3~約6つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5つの炭素原子、及び1~約4つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネート、
c)3~約9つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)3~約8つの炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、または、
II)
a)3~約4つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約4つの炭素原子、及び1~約2つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネート、
c)3~約6つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約9つの炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)3~約4つの炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)5員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)6員環または7員環を有し、かつ、2~約4つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項11】
前記電気化学的添加剤を、
a)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約12重量%の量の不飽和環状カーボネート、
b)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約8重量%の量の含フッ素飽和環状カーボネート、
c)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.1重量%~約5重量%の量のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量のトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.25重量%~約5重量%の量の環状スルトン、
f)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量の飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.25重量%~約5重量%の量の飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量の環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)前記非水電解質溶液の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量の別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する、請求項10に記載の非水電解質溶液。
【請求項12】
各電気化学的添加剤を、その他の電気化学的添加剤と共に使用しない、請求項10または11のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項13】
前記溶液が、ニトリル化合物をさらに含み、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルである、または、前記溶液が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含み、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、かつ、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項1~11のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項14】
請求項1に記載のリチウム電池用非水電解質溶液であって、前記溶液は、
2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-1-エトキシベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、及び、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンからなる群から選択する少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤、を含む前記非水電解質溶液。
【請求項15】
前記含酸素臭素系難燃剤が、臭素の量が前記溶液の総重量に対して約12重量%以上のものである、請求項14に記載の非水電解質溶液。
【請求項16】
前記液体電解質媒体が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはこれらの混合物である、及び/または、前記リチウム含有塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項14に記載の非水電解質溶液。
【請求項17】
前記溶液が、ニトリル化合物をさらに含み、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、または、前記溶液が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩であり、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、及び、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項14~16のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項18】
正極、負極、及び請求項1~17のいずれかに記載の非水電解質溶液を含む非水リチウム電池。
【請求項19】
リチウム電池用非水電解質溶液の製造プロセスであって、前記プロセスは、
i)液体電解質媒体と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤であって、
A)フェニル環に結合した2つまたは3つの臭素原子を有する1つのフェニル環、及び、酸素原子を介して、フェニル環に結合した少なくとも1つの含酸素基を含み、前記フェニル環のあらゆる残余の部位は、それぞれ水素原子に結合しており、含酸素基が1つだけであれば、前記含酸素基がアルコキシエーテル基である、臭素化ベンゼン、及び
B)フェニル環に結合した少なくとも1つの臭素原子を有する前記フェニル環、前記フェニル環に結合した少なくとも1つのフッ素原子、及び、酸素原子を介して、前記フェニル環に結合した含酸素基を含み、前記含酸素基が、アルコキシエーテル基またはアルコキシ基である臭素化フルオロベンゼン、から選択する前記少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤と、
を含む成分を配合することを含む、前記プロセス。
【請求項20】
前記成分が、
a)3~約6つの炭素原子を含む不飽和環状カーボネート、
b)3~約5つの炭素原子、及び1~約4つのフッ素原子を含む含フッ素飽和環状カーボネート、
c)3~約9つの炭素原子を含むトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3~約12個の炭素原子を含むトリヒドロカルビルホスフェイト、
e)3~約8つの炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状亜硫酸ヒドロカルビル、
g)5員環または6員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む飽和環状硫酸ヒドロカルビル、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、かつ、2~約6つの炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前出のいずれか2つ以上の混合物、
から選択する少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記成分が、ニトリル化合物をさらに含み、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、または、前記溶液が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩であり、任意に、前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、及び、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項19~20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
請求項19に記載のリチウム電池用非水電解質溶液の製造プロセスであって、前記少なくとも1つの含酸素臭素系難燃剤が、
2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモベンゼン、4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4-ジブロモ-5-エトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,4
-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-メトキシベンゼン、2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-エトキシベンゼン、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼン、及び、4-フルオロ-2-ブロモ-1-メトキシベンゼンからなる群から選択される、前記プロセス。
【請求項23】
前記成分が、ビニレンカーボネート、4-フルオロ-エチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェイト、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、亜硫酸エチレン、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-四酸化物、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム、及びこれらのいずれか2つ以上の混合物、及び/またはニトリル化合物から選択する少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含み、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルである、または、前記成分が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含み、任意に、前記ニトリル化合物が、スクシノニトリルであり、及び、前記リチウム含有塩が、ジ(フルオロ)(オキサラート)ホウ酸リチウムである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
以下のそれぞれの分子を、新規組成物として個別に特許請求する、
2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
2,5-ジブロモ-4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
4,5-ジブロモ-2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
3,4.5-トリブロモ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-1-エトキシベンゼン、
2,4-ジブロモ-5-メトキシ-1-[(2-エトキシ)エトキシ]ベンゼン、
2,6-ジブロモ-4-フルオロ-1-[(2-メトキシ)エトキシ]ベンゼン、
3,4,5-トリブロモ-1-エトキシ-2-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
2-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
4-エトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)ベンゼン、
2,6-ジメトキシ-1-(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)-3,4,5-トリブロモシベンゼン、
4,5,6-トリブロモ-1,2,3-トリ(2-メトキシエトキシ)ベンゼン。
【国際調査報告】