(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】複合結晶の製造方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240319BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240319BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/205
C23C16/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561027
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2021085469
(87)【国際公開番号】W WO2022205480
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523374747
【氏名又は名称】眉山博雅新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 田
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA06
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5F131EB67
(57)【要約】
本明細書の実施例は、複数のキャビティを含むマルチキャビティ式成長装置(200)において行われた複合結晶の製造方法を開示し、前記方法は、基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップと、前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む複合結晶を得るステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャビティを含むマルチキャビティ式成長装置において行われた複合結晶の製造方法であって、
少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップと、
前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で目標結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得るステップと、を含む複合結晶の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する前に、前記方法は、
前記少なくとも1つの基板に対して研磨処理を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する前に、前記方法は、
前記少なくとも1つの基板に対して洗浄処理を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1温度区間において、エッチング液を使用して前記複合結晶を第1時間超音波洗浄して、基底面転位密度が120~2000cm
-2の前記目標結晶を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マルチキャビティ式成長装置は、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ及び搬送アセンブリを少なくとも含み、前記搬送アセンブリにより、少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティに通過させて処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基板を順に前記複数のキャビティの間に搬送及び処理することを完了する前に、別のロットの少なくとも1つの基板を複数のキャビティの間に搬送及び処理することを開始し、2つのロットの前記少なくとも1つの基板を異なるキャビティにそれぞれ同時に搬送及び処理するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マルチキャビティ式成長装置は、真空キャビティを含み、前記方法は、
前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ内に処理する前に、前記少なくとも1つの基板を前記真空キャビティ内に置くステップと、
前記真空キャビティの圧力及び前記インサイチュエッチングキャビティの圧力を第1圧力区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティに搬送するステップと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ内に処理するステップは、
第2時間の範囲内に、前記インサイチュエッチングキャビティの圧力を第2圧力区間に維持し、温度を第2温度区間に維持するステップと、
前記インサイチュエッチングキャビティの圧力が常圧になるまで水素ガスを導入し、第3時間の範囲内に前記インサイチュエッチングキャビティの温度を第3温度区間に維持するとともにインサイチュエッチング処理を行うステップと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの基板を前記炭化キャビティ内に処理するステップは、
第4時間内に、炭化キャビティの圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行うステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化処理は、
前記炭化キャビティの温度を前記第3温度区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記炭化キャビティ内に搬送するステップと、
前記炭化キャビティの温度を第5温度区間に調整し、圧力を第4圧力区間に調整し、第3圧力区間になるまでプロパンガス及び水素ガスを同時に導入し、かつ第4時間内に、炭化キャビティの圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行うステップと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティ内に処理するステップは、
成長キャビティの温度を第6温度区間に維持し、圧力を前記第4圧力区間に維持し、反応原料を導入し、圧力を第5圧力区間に調整するとともに結晶成長プロセスを行うステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記結晶成長プロセスは、
前記成長キャビティの温度を前記第4温度区間に調整し、圧力を前記第3圧力区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティに搬送するステップと、
前記成長キャビティの温度を第6温度区間に調整し、圧力を前記第4圧力区間に調整し、第5圧力区間になるまでシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入して、結晶成長を行うステップと、
前記目標結晶の厚さが目標厚さになると、結晶成長を停止するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの基板を前記バッファキャビティ内に処理するステップは、
第5時間内に、バッファキャビティの温度を第7温度区間に維持するとともに、冷却降温処理を行うステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
冷却降温処理は、
前記バッファキャビティの温度を前記第6温度区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリにより、前記複合結晶を前記バッファキャビティに搬送するステップと、
前記バッファキャビティの温度を第7温度区間に調整し、第5時間内に、バッファキャビティの温度を第7温度区間に維持するとともに、冷却降温処理を行うステップと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マルチキャビティ式成長装置は、端末キャビティを含み、前記方法は、前記端末キャビティの温度を室温に維持するステップと、
前記搬送アセンブリにより、前記複合結晶を前記端末キャビティに搬送するステップと、
前記複合結晶を室温に冷却するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
結晶製造プロセスに適用される複合結晶の製造システムであって、
コンピュータ命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリと通信し、前記コンピュータ命令を実行する場合、前記システムに、
少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップ、及び
前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で目標結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得るステップを実行させる少なくとも1つのプロセッサと、を含む、複合結晶の製造システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
第1温度区間において、エッチング液を使用して前記複合結晶を第1時間超音波洗浄して、基底面転位密度が120~2000cm
-2の前記目標結晶を得るステップを実行させる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記マルチキャビティ式成長装置は、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ及び搬送アセンブリを少なくとも含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
搬送アセンブリにより、少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティに通過させて処理するステップを実行させる、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記少なくとも1つの基板を順に前記複数のキャビティの間に搬送及び処理することを完了する前に、別のロットの少なくとも1つの基板を複数のキャビティの間に搬送及び処理することを開始し、2つのロットの前記少なくとも1つの基板を異なるキャビティにそれぞれ同時に搬送及び処理するステップを実行させる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータ命令を記憶し、前記コンピュータ命令がプロセッサにより実行される場合、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法を実現する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
インサイチュエッチングキャビティと、
炭化キャビティと、
気相成長法で目標結晶を成長させて、基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得る成長キャビティと、
バッファキャビティと、
搬送アセンブリと、を含み、前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティに通過させて処理する、結晶製造プロセスに適用されるマルチキャビティ式成長装置。
【請求項22】
真空キャビティをさらに含む、請求項21に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項23】
端末キャビティをさらに含む、請求項21に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項24】
前記搬送アセンブリは、平行に配列した少なくとも2つの回転可能な円柱状ローラを含み、前記回転可能な円柱状ローラは、各キャビティの下方に並んで位置する、請求項21に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項25】
トレイを含み、前記トレイには、少なくとも1つの基板を置く少なくとも1つの溝が設置される、請求項21に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項26】
前記成長キャビティは、回転軸を含む、請求項25に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項27】
前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ及び前記成長キャビティはそれぞれ、少なくとも1つの吸気管路を含む、請求項21に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項28】
前記真空キャビティ、前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ及び前記成長キャビティはそれぞれ、少なくとも1つの排気管路を含む、請求項22に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【請求項29】
前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティにはそれぞれ、加熱体が設置される、請求項21に記載のマルチキャビティ式成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、結晶の製造の技術分野に関し、特に複合結晶の製造方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展につれて、半導体結晶に対する需要がますます大きくなる。半導体結晶は、サイズが小さく、厚さが薄いなどの特徴を有するため、結晶のカット及び研磨プロセスに対する要件が高く、例えば、カットされた結晶のサイズ及び厚さが均一ではなく、或いは、研磨された結晶が平坦ではない場合、半導体結晶に対する要件を満たすことができない。
【0003】
したがって、加工及びカットを必要としない目標結晶を製造する複合結晶の製造方法及びシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の実施例の一態様に係る、複数のキャビティを含むマルチキャビティ式成長装置において行われた複合結晶の製造方法は、少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップと、前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で目標結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得るステップと、を含む。
【0005】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する前に、前記方法は、前記少なくとも1つの基板に対して研磨処理を行うステップをさらに含む。
【0006】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する前に、前記方法は、前記少なくとも1つの基板に対して洗浄処理を行うステップをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記方法は、第1温度区間において、エッチング液を使用して前記複合結晶を第1時間超音波洗浄して、基底面転位密度が120~2000cm-2の前記目標結晶を得るステップをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ及び搬送アセンブリを少なくとも含み、前記搬送アセンブリにより、少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティに通過させて処理する。
【0009】
いくつかの実施例では、前記方法は、前記少なくとも1つの基板を順に前記複数のキャビティの間に搬送及び処理することを完了する前に、別のロットの少なくとも1つの基板を複数のキャビティの間に搬送及び処理することを開始し、2つのロットの前記少なくとも1つの基板を異なるキャビティにそれぞれ同時に搬送及び処理するステップをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、真空キャビティを含み、前記方法は、前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ内に処理する前に、前記少なくとも1つの基板を前記真空キャビティ内に置くステップと、前記真空キャビティの圧力及び前記インサイチュエッチングキャビティの圧力を第1圧力区間に調整するステップと、前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティに搬送するステップと、を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ内に処理するステップは、第2時間の範囲内に、前記インサイチュエッチングキャビティの圧力を第2圧力区間に維持し、温度を第2温度区間に維持するステップと、前記インサイチュエッチングキャビティの圧力が常圧になるまで水素ガスを導入し、第3時間の範囲内に前記インサイチュエッチングキャビティの温度を第3温度区間に維持するとともにインサイチュエッチング処理を行うステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの基板を前記炭化キャビティ内に処理するステップは、第4時間内に、炭化キャビティの圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行うステップを含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記炭化処理は、前記炭化キャビティの温度を前記第3温度区間に調整するステップと、前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記炭化キャビティ内に搬送するステップと、前記炭化キャビティの温度を第5温度区間に調整し、圧力を第4圧力区間に調整し、第3圧力区間になるまでプロパンガス及び水素ガスを同時に導入し、かつ第4時間内に、炭化キャビティの圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行うステップと、を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティ内に処理するステップは、成長キャビティの温度を第6温度区間に維持し、圧力を前記第4圧力区間に維持し、反応原料を導入し、圧力を第5圧力区間に調整して、結晶成長プロセスを行うステップを含む。
【0015】
いくつかの実施例では、前記結晶成長プロセスは、前記成長キャビティの温度を前記第4温度区間に調整し、圧力を前記第3圧力区間に調整するステップと、前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティに搬送するステップと、前記成長キャビティの温度を第6温度区間に調整し、圧力を前記第4圧力区間に調整し、第5圧力区間になるまでシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入して、結晶成長を行うステップと、前記目標結晶の厚さが目標厚さになると、結晶成長を停止するステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、ポジショナーを含み、前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティに搬送するステップは、前記ポジショナーが、前記少なくとも1つの基板が前記成長キャビティ内の所定の位置にあることを決定した場合、前記搬送アセンブリの動作を停止するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの基板を前記バッファキャビティ内に処理するステップは、第5時間内に、バッファキャビティの温度を第7温度区間に維持するとともに、冷却降温処理を行うステップを含む。
【0018】
いくつかの実施例では、冷却降温処理は、前記バッファキャビティの温度を前記第6温度区間に調整するステップと、前記搬送アセンブリにより、前記複合結晶を前記バッファキャビティに搬送するステップと、前記バッファキャビティの温度を第7温度区間に調整し、第5時間内に、バッファキャビティの温度を第7温度区間に維持するとともに、冷却降温処理を行うステップと、を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、端末キャビティを含み、前記方法は、前記端末キャビティの温度を室温に維持するステップと、前記搬送アセンブリにより、前記複合結晶を前記端末キャビティに搬送するステップと、前記複合結晶を室温に冷却するステップと、をさらに含む。
【0020】
本明細書の実施例の一態様に係る、結晶製造プロセスに適用される複合結晶の製造システムは、コンピュータ命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、前記少なくとも1つのメモリと通信し、前記コンピュータ命令を実行する場合、前記システムに、少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップ、及び前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で目標結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得るステップを実行させる少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0021】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、第1温度区間において、エッチング液を使用して前記複合結晶を第1時間超音波洗浄して、基底面転位密度が120~2000cm-2の前記目標結晶を得るステップを実行させる。
【0022】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ及び搬送アセンブリを少なくとも含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、搬送アセンブリにより、少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティに通過させて処理するステップを実行させる。
【0023】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、前記少なくとも1つの基板を順に前記複数のキャビティの間に搬送及び処理することを完了する前に、別のロットの少なくとも1つの基板を複数のキャビティの間に搬送及び処理することを開始し、2つのロットの前記少なくとも1つの基板を異なるキャビティにそれぞれ同時に搬送及び処理するステップを実行させる。
【0024】
本明細書の実施例の一態様に係るコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ命令を記憶し、前記コンピュータ命令がプロセッサにより実行される場合、本明細書の実施例のいずれかの実施例に記載の方法を実現する。
【0025】
本明細書の実施例の一態様に係る、結晶製造プロセスに適用されるマルチキャビティ式成長装置は、インサイチュエッチングキャビティと、炭化キャビティと、気相成長法で目標結晶を成長させて、基板及び目標結晶の少なくとも1つの複合結晶を得る成長キャビティと、バッファキャビティと、搬送アセンブリと、を含み、前記搬送アセンブリにより、前記少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティに通過させて処理する。
【0026】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、真空キャビティをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、端末キャビティをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施例では、前記搬送アセンブリは、平行に配列した少なくとも2つの回転可能な円柱状ローラを含み、前記回転可能な円柱状ローラは、各キャビティの下方に並んで位置する。
【0029】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、トレイを含み、前記トレイには、少なくとも1つの基板を置く少なくとも1つの溝が設置される。
【0030】
いくつかの実施例では、前記成長キャビティは、回転軸を含む。
【0031】
いくつかの実施例では、前記マルチキャビティ式成長装置は、ポジショナーを含む。
【0032】
いくつかの実施例では、前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ及び前記成長キャビティはそれぞれ、少なくとも1つの吸気管路を含む。
【0033】
いくつかの実施例では、前記真空キャビティ、前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ及び前記成長キャビティはそれぞれ、少なくとも1つの排気管路を含む。
【0034】
いくつかの実施例では、前記インサイチュエッチングキャビティ、前記炭化キャビティ、前記成長キャビティ及び前記バッファキャビティにはそれぞれ、加熱体が設置される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】いくつかの実施例に係る結晶製造システムの例示的なハードウェア及び/又はソフトウェアの概略図である。
【
図2A】いくつかの実施例に係るマルチキャビティ式成長装置の例示的な概略構成図である。
【
図2B】いくつかの実施例に係るマルチキャビティ式成長装置内の各キャビティの例示的な分布の上面図である。
【
図3A】別の実施例に係るマルチキャビティ式成長装置の例示的な概略構成図である。
【
図3B】別の実施例に係るマルチキャビティ式成長装置内の各キャビティの例示的な分布の上面図である。
【
図4】いくつかの実施例に係る第1種のキャビティの例示的な概略構成図である。
【
図5】いくつかの実施例に係る第2種のキャビティの例示的な概略構成図である。
【
図6】いくつかの実施例に係る第3種のキャビティの例示的な概略構成図である。
【
図7】いくつかの実施例に係るトレイの例示的な概略構成図である。
【
図8】いくつかの実施例に係る搬送アセンブリの例示的な概略構成図である。
【
図9】いくつかの実施例に係る炭化珪素結晶の製造方法の例示的な流れ図である。
【
図10】いくつかの実施例に係る基板の表面処理プロセスの例示的な流れ図である。
【
図11】いくつかの実施例に係る基板を各キャビティの間に搬送及び処理する場合の例示的な流れ図である。
【
図12】いくつかの実施例に係る真空処理の例示的な流れ図である。
【
図13】いくつかの実施例に係るインサイチュエッチング処理の例示的な流れ図である。
【
図14】いくつかの実施例に係る炭化処理の例示的な流れ図である。
【
図15】いくつかの実施例に係る基板を炭化キャビティから成長キャビティに搬送する場合の例示的な流れ図である。
【
図16】いくつかの実施例に係る結晶成長の例示的な流れ図である。
【
図17】いくつかの実施例に係るバッファ及び降温処理の例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は、本明細書のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、更に、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似状況に適用することができる。言語環境において明らかでないか又は別に説明しない限り、図における同じ符号は、同じ構造又は操作を表す。
【0037】
本明細書に使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、異なるレベルの異なるアセンブリ、素子、部材、部分又は組み立てを区別する方法である。しかしながら、他の単語が同じ目的を達成することができれば、他の表現により上記単語を置き換えることができることを理解されたい。
【0038】
本明細書及び特許請求の範囲に示されるように、コンテキストには例外な状況を明らかに示さない限り、「一」、「1つ」、「1種」及び/又は「当該」などの単語は、単数を特に指すことではなく、複数を意味することができる。一般的には、用語「含む」及び「含有する」は、既に明らかに識別されたステップ及び要素を含むことを示すものに過ぎないが、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列を構成せず、方法又はデバイスは、他のステップ及び要素も含む可能性がある。
【0039】
本明細書では、フローチャートを使用して本明細書の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。前又は後の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されない。逆に、逆の順序で、又は同時に各ステップを処理してもよい。同時に、他の操作をこれらのプロセスに添加してもよく、これらのプロセスからあるステップ又は複数のステップの操作を除去してもよいことを理解されたい。
【0040】
図1は、いくつかの実施例に係る結晶製造システムの例示的なハードウェア及び/又はソフトウェアの概略図である。
【0041】
図1に示すように、結晶製造システム100は、制御モジュール101、検出モジュール102、加熱モジュール103、研磨モジュール104、洗浄モジュール105、真空モジュール106、エッチングモジュール107、炭化モジュール108、成長モジュール109、駆動モジュール110、機械構造111、通信モジュール112、給電モジュール113及び入力/出力モジュール114を含んでもよい。本明細書に記載されているモジュール、ユニット及びサブユニットは、ハードウェア、ソフトウェア又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現される。ハードウェアの実現方式は、実体部材で構成された回路又は構造により実現されることを含んでもよく、ソフトウェアの実現方式は、モジュール、ユニット及びサブユニットに対応する操作をコードの形態でメモリに記憶して、適切なハードウェア、例えば、マイクロプロセッサにより実行することを含んでもよい。本明細書に記載されているモジュール、ユニット及びサブユニットがその操作を実行する場合、特に説明しない限り、当該機能を含むソフトウェアコードが実行されることを指してもよく、当該機能を有するハードウェアが使用されることを指してもよい。また、本明細書に記載されているモジュール、ユニット及びサブユニットがハードウェアに対応する場合に、その対応するハードウェアの構造を限定せず、その機能を実現できるハードウェアであれば、いずれも本明細書の保護範囲に含まれる。例えば、本明細書に記載されている異なるモジュール、ユニット及びサブユニットは、同一のハードウェア構造に対応してもよい。また例えば、本明細書に記載されている同一のモジュール、ユニット及びサブユニットは、複数の独立したハードウェア構造に対応してもよい。
【0042】
制御モジュール101は、他のモジュールに関連付けることができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、他のモジュール(例えば、検出モジュール102、加熱モジュール103、駆動モジュール110、通信モジュール112、給電モジュール113など)の動作状態を制御することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、駆動モジュール110を起動又は停止するように制御することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、給電モジュール113の給電電力、給電時間などを制御することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、通信モジュール112のデータ取得又は送信プロセスを管理することができる。
【0043】
検出モジュール102は、システムのプロセスパラメータ、例えば、温度、圧力、ガス流速、結晶の成長した厚さなどを検出する。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、システムのプロセスパラメータの検出結果を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、検出結果に基づいて後続の操作又は命令を実行することができる。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、成長キャビティ内の温度を監視し、かつ温度データを制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、検出モジュール102によりリアルタイムにフィードバックされた温度データに基づいて、加熱モジュール103の動作パラメータ(例えば、加熱電流、加熱電力など)を調整して成長キャビティ内の温度を制御するか否かを決定する。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、真空キャビティ内の圧力を監視し、かつ圧力データを制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、検出モジュール102によりリアルタイムにフィードバックされた圧力データに基づいて、真空キャビティに対して真空排気を行い続けるか否かを決定し、そうであれば、制御モジュール101は、真空キャビティに対して真空排気を行うように真空モジュール106を制御することができ、そうでなければ、制御モジュール101は、真空排気を停止して現在の真空度を維持するように真空モジュール106を制御することができる。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、各種のガス原料の流量を監視し、かつ流量データを制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、検出モジュール102によりリアルタイムにフィードバックされたガス原料の流量に基づいて、各種のガス原料の流量を調整してガス原料の成分割合又は結晶の成長した厚さを制御するか否かを決定する。
【0044】
加熱モジュール103は、システムに必要な熱エネルギーを提供する。いくつかの実施例では、加熱モジュール103は、成長キャビティ又はインサイチュエッチングキャビティを加熱することができる。いくつかの実施例では、加熱モジュール103は、抵抗加熱体、誘導コイルなどの加熱アセンブリを含んでもよい。抵抗加熱体は、黒鉛抵抗又はグローバー抵抗を含んでもよい。いくつかの実施例では、加熱モジュール103は、1つ以上の他のモジュール又はキャビティと組み合わせて使用されるか、又は1つ以上の他のモジュール又はキャビティ内又はキャビティ外に取り付けられて、当該他のモジュール又はキャビティに必要な熱エネルギーを提供することができる。いくつかの実施例では、成長キャビティ及びインサイチュエッチングキャビティ内の温度をそれぞれ制御するように、成長キャビティ及びインサイチュエッチングキャビティにそれぞれ、加熱モジュール103のサブシステムが取り付けられる。
【0045】
いくつかの実施例では、研磨モジュール104は、基板の研磨処理プロセスを制御する。いくつかの実施例では、基板を利用して結晶を製造する前に、基板の表面(特に、結晶成長面)を清潔で平坦に維持するように基板の表面に対して前処理を行う必要がある。いくつかの実施例では、前処理は、研磨処理及び洗浄処理を含んでもよい。いくつかの実施例では、研磨処理は、研磨装置において完了する。研磨装置は、研磨機を含んでもよい。いくつかの実施例では、基板を機械構造111(例えば、マニピュレータ)により研磨装置に置き、研磨する。いくつかの実施例では、研磨モジュールは、まず基板の裏面(結晶成長面の対向面)を研磨し、その表面を平坦にし、次に、基板の正面(結晶成長面)に対して精密研磨を行って、表面のカット傷及び欠陥を除去するように研磨装置を制御することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、洗浄モジュール105は、基板の洗浄プロセスを制御する。いくつかの実施例では、洗浄処理は、洗浄装置において完了する。いくつかの実施例では、洗浄装置は、超音波洗浄機を含んでもよい。基板を機械構造111(例えば、マニピュレータ)により洗浄装置内に置き、少なくとも1種の洗浄液及び超音波の作用で、基板を少なくとも2回洗浄し、洗浄完了後、機械構造111により洗浄液から取り出し、かつガスで基板の表面を吹き付けて乾燥することができる。いくつかの実施例では、洗浄液は、アセトン、アルコール又は脱イオン水を含んでもよい。いくつかの実施例では、アセトン、アルコール又は脱イオン水を使用して順に基板を洗浄することができる。いくつかの実施例では、基板の表面を吹き付けて乾燥するガスは、不活性ガスである。いくつかの実施例では、基板の表面を吹き付けて乾燥するガスは、純度が99%を超える窒素ガスである。
【0047】
いくつかの実施例では、洗浄モジュール105は、複合結晶の化学エッチングプロセス及び洗浄プロセスを制御することができる。いくつかの実施例では、化学エッチングプロセス及び洗浄プロセスは、洗浄装置において完了することができる。いくつかの実施例では、機械構造111(例えば、マニピュレータ)により、複合結晶を洗浄装置内に置き、一定の温度、アルカリ溶液及び超音波の作用で、複合結晶上の基板を溶解して除去して、目標結晶(例えば、炭化珪素結晶)を得ることができる。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、NaOH溶液又はKOH溶液を含んでもよい。基板を除去した炭化珪素結晶を機械構造111(例えば、マニピュレータ)により洗浄装置内に継続的に置き、洗浄液(例えば、イソプロパノール又は脱イオン水)及び超音波の作用で、洗浄して、基板を含まない炭化珪素結晶を得ることができる。基底面転位密度(単位面積の欠陥の数)で炭化珪素結晶の品質を示す。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の基底面転位密度が100~2200cm-2である。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の基底面転位密度が120~2000cm-2である。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の基底面転位密度が200~1800cm-2である。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の基底面転位密度が500~1500cm-2である。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の基底面転位密度が700~1300cm-2である。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の基底面転位密度が900~1100cm-2である。
【0048】
いくつかの実施例では、真空モジュール106は、システムの真空排気プロセスを制御する。真空排気プロセスは、真空排気装置を制御して、一定のガス圧力になるまで各キャビティ(例えば、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ)をそれぞれ真空排気するものである。いくつかの実施例では、真空排気装置は、真空ポンプを含んでもよい。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、各キャビティ内の圧力をそれぞれ検出し、かつ圧力データを制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、圧力データに基づいて後続の操作又は命令を実行する。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、インサイチュエッチングキャビティ又は真空キャビティ内の圧力データを制御モジュール101に送信し、制御モジュール101は、当該圧力データに基づいて、インサイチュエッチングキャビティ又は真空キャビティを真空排気し続ける必要があると判断した場合、インサイチュエッチングキャビティ又は真空キャビティを真空排気し続けるように真空排気装置を制御する。いくつかの実施例では、真空排気装置は、少なくとも1つの真空ポンプを含んでもよく、少なくとも1つの真空ポンプはそれぞれ、圧力制御を必要とする各キャビティに接続されて、各キャビティを独立して真空排気することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、エッチングモジュール107は、基板のインサイチュエッチング処理を制御する。いくつかの実施例では、インサイチュエッチング処理は、インサイチュエッチングキャビティ内に行われる。インサイチュエッチングキャビティは、1つ以上の通路、1つ以上のガス入出口、加熱アセンブリ及び搬送アセンブリを含む。いくつかの実施例では、機械構造111により基板をインサイチュエッチングキャビティ内に搬送し、一定の温度、一定の圧力及びガスの作用で、基板の表面にインサイチュエッチング処理を行う。いくつかの実施例では、真空モジュール106は、一定のガス圧力になるまでインサイチュエッチングキャビティを真空排気して、一定の温度に緩やかに昇温させた後に一定の時間維持し、常圧になるまでガス(例えば、水素ガス)を導入して、一定の温度に昇温させた後に一定の時間維持するとともに、インサイチュエッチング処理を行う。
【0050】
インサイチュエッチング処理プロセスにおいて、検出モジュール102は、インサイチュエッチングキャビティ内の温度及び圧力をリアルタイムに監視し、かつ温度及び圧力データを制御モジュール101に伝送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、検出モジュール102により伝送された温度に基づいて、加熱アセンブリの動作パラメータを調整することにより、インサイチュエッチングキャビティ内の温度を調整するように加熱モジュール103を制御することができる。制御モジュール101は、検出モジュール102により伝送された圧力データに基づいて、真空排気装置の動作パラメータを調整するように真空モジュール106を制御するか、又はガスの流量を調整するように機械構造111を制御することにより、インサイチュエッチングキャビティ内の圧力を調整することができる。インサイチュエッチング処理完了後、基板をインサイチュエッチングキャビティ外に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、インサイチュエッチングキャビティ上の1つ以上の通路を開き、機械構造111(例えば、搬送アセンブリ)により基板をインサイチュエッチングキャビティ外に搬送するように、駆動モジュール110を制御することができる。
【0051】
いくつかの実施例では、炭化モジュール108は、基板の炭化処理プロセスを制御する。いくつかの実施例では、炭化処理は、炭化キャビティ内に行われる。炭化キャビティは、1つ以上の通路、1つ以上のガス入出口、加熱アセンブリ及び搬送アセンブリを含む。いくつかの実施例では、機械構造111により基板を炭化キャビティ内に搬送し、一定の温度、一定の圧力及びガスの作用で、基板に対して炭化処理を行う。いくつかの実施例では、炭化キャビティを一定の温度に予め昇温させ、搬送アセンブリにより基板を炭化キャビティに搬送した後、炭化キャビティを別の温度に降温させ、かつ一定のガス圧力になるまで真空排気した後に昇温し始め、一定のガス圧力になるまでガス(例えば、プロパンガス、水素ガス)を同時に導入し、温度が一定の温度になった後に一定の時間維持されるとともに、炭化処理を行うことができる。
【0052】
炭化処理プロセスにおいて、検出モジュール102は、炭化キャビティ内の温度及び圧力データをリアルタイムに監視し、かつ温度及び圧力データを制御モジュール101に伝送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、検出モジュール102により伝送された温度に基づいて、加熱アセンブリの動作パラメータを調整することにより、炭化キャビティ内の温度を調整するように加熱モジュール103を制御することができる。制御モジュール101は、検出モジュール102により伝送された圧力データに基づいて、真空装置の動作パラメータを調整するように真空モジュール106を制御するか、又はガスの流量を調整するように機械構造111を制御することにより、炭化キャビティ内の圧力を調整することができる。炭化処理完了後、基板を炭化キャビティ外に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、炭化キャビティ上の1つ以上の通路を開き、機械構造111(例えば、搬送アセンブリ)により基板を成長キャビティ外に搬送するように、駆動モジュール110を制御することができる。
【0053】
いくつかの実施例では、成長モジュール109は、結晶成長プロセスを制御する。結晶成長方法は、気相成長法、液相成長法、引上法、水熱合成法、ベルヌーイ法などを含んでもよい。特に、気相成長法は、薄膜元素を構成するガス状反応物及び液状反応物を含有する蒸気又は反応に必要な他のガスを反応環境内に導入し、基板の表面に化学反応が発生し、かつ固体生成物を基板の表面に堆積して薄膜を生成することである。気相成長法は、物理気相成長法及び化学気相成長法を含んでもよい。いくつかの実施例では、化学気相成長法は、有機金属気相成長法(MOCVD)、プラズマ化学気相成長法(PCVD)、レーザー化学気相成長法(LCVD)、減圧化学気相成長法(LPCVD)、超高真空化学気相成長法(UHVCVD)、超音波化学気相成長法(UWCVD)などであってもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、結晶成長は、成長キャビティ内に完了する。成長キャビティは、槽式成長キャビティであってもよく、管式成長キャビティ、塔式成長キャビティ、流動床又は固定床であってもよい。
【0055】
いくつかの実施例では、成長キャビティは、1つ以上の通路、1つ以上のガス入出口、加熱アセンブリ及び回転アセンブリを含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施例では、機械構造111により基板を成長キャビティ内に搬送し、一定の温度及び一定の圧力の場合、基板の表面に結晶成長プロセスを行う。具体的には、成長キャビティをある所定の温度に昇温させることができ、当該温度は、成長した結晶によって異なり、成長プロセス全体において一定に維持されてもよく、結晶成長方法に応じて成長プロセスにおいて調整されてもよい。当該温度は、検出モジュール102により監視され、かつ制御モジュール101が加熱モジュール103を制御することにより正確に制御することができる。いくつかのガスを導入する。成長プロセスにおいて、成長キャビティをある所定の圧力に維持することができ、当該圧力は、成長した結晶によって異なり、成長プロセス全体において一定に維持されてもよく、結晶成長方法に応じて成長プロセスにおいて調整されてもよい。当該圧力は、検出モジュール102により監視され、かつ制御モジュール101が駆動モジュール110を制御することにより正確に制御することができる。温度及び圧力を制御する場合、成長キャビティ内に、基板の表面に気相成長を行って結晶を成長させる。検出モジュール102は、結晶の成長した厚さを監視することができ、結晶の成長速度、厚さなどのパラメータに基づいて、制御モジュール101は、成長キャビティの温度、圧力及び各種のガスの流量を制御する。結晶が所定の厚さになる場合、制御モジュール101は、駆動モジュール110を制御することにより、機械構造111を制御して、結晶の成長を停止する。具体的には、制御モジュール101は、1つ以上の通路を開き、機械構造111(例えば、搬送アセンブリ)により、結晶が成長された基板を成長キャビティから搬送するように、駆動モジュール110を制御することができる。
【0057】
いくつかの実施例では、結晶成長装置は、複合結晶を冷却するバッファキャビティを含んでもよい。バッファキャビティは、1つ以上の通路、1つ以上のガス入出口、加熱アセンブリ及び搬送アセンブリを含む。いくつかの実施例では、機械構造111により複合結晶をバッファキャビティ内に搬送し、一定の温度で冷却する。冷却後の複合結晶をバッファキャビティ外に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、バッファキャビティ上の1つ以上の通路を開き、機械構造111(例えば、搬送アセンブリ)により複合結晶をバッファキャビティから搬送するように、駆動モジュール110を制御することができる。
【0058】
いくつかの実施例では、結晶成長装置は、複合結晶をさらに冷却する端末キャビティを含んでもよい。端末キャビティは、1つ以上の通路、1つ以上のガス入出口、加熱アセンブリ及び搬送アセンブリを含む。バッファキャビティ内の冷却後の複合結晶を機械構造111により端末キャビティ内に搬送し、一定の温度でさらに冷却する。冷却後の複合結晶を端末キャビティ外に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、端末キャビティ上の1つ以上の通路を開き、機械構造111(例えば、搬送アセンブリ)により複合結晶を端末キャビティ外に搬送するように、駆動モジュール110を制御することができる。
【0059】
いくつかの実施例では、駆動モジュール110は、1つ以上の駆動力供給源を含んでもよい。いくつかの実施例では、駆動力供給源は、電気駆動を使用する駆動モータを含んでもよい。いくつかの実施例では、駆動モータは、直流モータ、交流誘導モータ、永久磁石モータ及びスイッチトリラクタンスモータなどのうちの一種又は複数種の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、駆動モジュール110は、1つ以上の駆動モータを含んでもよい。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、結晶の成長した厚さが工程要件を満たしたことを検出し、制御モジュール101は、駆動モジュール110を動作させるように制御して、対応する操作を実行するように機械構造111を駆動する。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、命令を送信し、当該命令は、必要な動作状態及び持続時間を含む1つの電気信号を含む。駆動モジュール110の駆動力供給源は、電気信号の内容に基づいて対応して設定され(例えば、駆動モジュール110における駆動モータは、対応して、1分間当たり特定の回転速度で特定の時間回転する)、駆動モータの回転により、駆動モータに接続された機械構造111の状態を変更するように動かして(例えば、搬送アセンブリの前進及び停止、キャビティ通路の開閉、ガス入出口の開閉)、複合結晶を成長キャビティから搬送する。いくつかの実施例では、研磨モジュール104が基板に対して研磨処理を行う場合、制御モジュール101は、制御命令を駆動モジュール110に送信し、駆動モジュール110は、当該制御命令に基づいて研磨装置を動作させるように駆動する。
【0060】
機械構造111は、上記搬送アセンブリ、通路、ガス入出口、研磨装置などに限定されず、他の構造であってもよく、具体的な構造は、結晶製造システム100に必要な構造種類に準じ、ここでは限定されない。本明細書に含まれる結晶製造方法を使用できる任意の装置の機械構造は、いずれも本明細書の保護範囲に含まれる。
【0061】
いくつかの実施例では、通信モジュール112は、情報又はデータの交換に使用することができる。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、結晶製造システム100の内部アセンブリ(例えば、制御モジュール101、検出モジュール102、加熱モジュール103、真空モジュール106、入力/出力モジュール114及び/又は駆動モジュール110)の間の通信に使用することができる。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、システムの情報(例えば、温度、圧力、ガス流量などのデータ)を通信モジュール112に送信することができ、通信モジュール112は、当該情報を制御モジュール101に送信できることにより、制御モジュール101は、他のモジュール(例えば、加熱モジュール103、真空モジュール106)の動作パラメータを調整するか否かを決定する。動作パラメータを調整する必要があることを決定した場合、制御モジュール101は、通信モジュール112により、調整後の動作パラメータを関連するモジュールに送信する。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、結晶製造システム100及び他の外部機器(例えば、サーバ、ユーザ端末など)の間の通信に使用することができる。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、結晶製造システム100の状態情報(例えば、動作パラメータなど)をユーザ端末に送信することができ、ユーザ端末は、当該状態情報に基づいて結晶製造システム100を監視することができる。通信モジュール112は、有線、無線及び有線/無線混合技術を使用することができる。有線技術は、金属ケーブル、混合ケーブル、光ケーブルなどの1種又は複数種の光ケーブル組み合わせ方式に基づく。無線技術は、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)、無線ネットワーク(Wi-Fi)、ジグビー(ZigBee)、近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)、無線自動識別(Radio Frequency Identification、RFID)、セルラーネットワーク(GSM、CDMA、3G、4G、5Gなどを含む)、セルラーベースの狭帯域モノのインターネット(Narrow Band Internet of Things、NBIoT)などを含んでもよい。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、1種又は複数種の符号化方式を使用して、伝送された情報に対して符号化処理を行うことができ、例えば、符号化方式は、位相符号化、非ゼロ復帰符号化、差動マンチェスター符号化などを含んでもよい。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、伝送を必要とするデータタイプ又はネットワークタイプに基づいて、異なる伝送及び符号化方式を選択することができる。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、異なる通信方式に使用される1つ以上の通信インタフェースを含んでもよい。いくつかの実施例では、結晶製造システム100における他のモジュール(例えば、加熱モジュール103)は、複数のキャビティに分散してもよく、このような場合に、他の各モジュールはそれぞれ、モジュールの間の情報伝送を行う1つ以上の通信モジュール112を含んでもよい。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、1つの受信機及び1つの送信機を含んでもよい。別の実施例では、通信モジュール112は、1つの送受信機を含んでもよい。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、報知及び/又は警報機能を有してもよい。いくつかの実施例では、結晶製造システム100の動作が不良である(例えば、結晶成長の温度又は圧力が限界値を超える)場合、通信モジュール112は、現場の操作者及び/又はユーザ端末に報知情報又は警報情報を送信することができる。いくつかの実施例では、警報方式は、音声警報、ライト警報、遠隔警報など、又は他の任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、警報方式が遠隔警報である場合、通信モジュール112は、関連するユーザ端末に報知情報又は警報情報を送信することができ、さらに、現場の操作者と関連するユーザ端末との間の通信(例えば、音声通話、ビデオ通話)を確立することができる。いくつかの実施例では、結晶製造システム100の動作が良好である場合、通信モジュール112は、現場の操作者及び/又はユーザ端末に提示情報を送信することもできる。いくつかの実施例では、通信モジュール112は、温度又は圧力が工程要件を満たすという提示情報を関連するユーザ端末に送信することができる。
【0062】
いくつかの実施例では、給電モジュール113は、結晶製造システム100における他のモジュール及びアセンブリ(例えば、検出モジュール102、制御モジュール101、通信モジュール112、入力/出力モジュール114、駆動モジュール110)に電力を供給することができる。給電モジュール113は、制御モジュール101から制御信号を受信して、結晶製造システム100の電力出力を制御することができる。いくつかの実施例では、一定の期間(例えば、1s、2s、3s又は4s)内に制御モジュール101のいくつかのモジュールに対する任意の操作を受信していない場合に、給電モジュール113は、動作しているモジュールのみに給電できることにより、結晶製造システム100が節電モードになる。いくつかの実施例では、結晶製造システム100の全てのモジュールは、一定の期間(例えば、1s、2s、3s又は4s)内に任意の操作を受信していない場合に、給電モジュール113は、他のモジュールに対する給電を停止して、結晶製造システム100におけるデータをハードディスクにダンプすることができる。いくつかの実施例では、給電モジュール113は、少なくとも1つの電源を含んでもよい。上記電源は、石油火力発電機、天然ガス火力発電機、石炭火力発電機、太陽光発電機、風力発電機、水力発電機などのうちの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。上記石油火力発電機、天然ガス火力発電機、石炭火力発電機は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換して給電モジュール113に貯蔵することができる。上記太陽光発電機は、光エネルギーを電気エネルギーに変換して給電モジュール113に貯蔵することができる。上記風力発電機は、風力エネルギーを電気エネルギーに変換して給電モジュール113に貯蔵することができる。上記水力発電機は、力学的エネルギーを電気エネルギーに変換して給電モジュール113に貯蔵することができる。いくつかの実施例では、給電モジュール113の電圧が安定しない場合、制御モジュール101は、通信モジュール112に制御信号を送信することができ、当該制御信号は、ユーザ端末及び/又は現場の操作者に音声報知を送信するように通信モジュール112を制御することができる。当該音声報知は、上記給電モジュール113の電圧が安定しないという情報を含んでもよい。いくつかの実施例では、給電モジュール113は、予備電源を含んでもよく、緊急事態(例えば、回路故障、外部電力システムが停電して給電できないこと)で、予備電源を使用して一時的に給電することができる。
【0063】
入力/出力モジュール114は、信号を取得、伝送及び送信することができる。入力/出力モジュール114は、結晶製造システム100における他のアセンブリと接続又は通信することができる。結晶製造システム100における他のアセンブリは、入力/出力モジュール114により接続又は通信を実現することができる。入力/出力モジュール114は、有線のUSBポート、シリアル通信インタフェース、パラレル通信ポートであってもよく、無線のブルートゥース(登録商標)、赤外線、無線自動識別(Radio-frequency identification、RFID)、無線ローカルエリアネットワーク認証暗号化インフラストラクチャー(Wlan Authentication and Privacy Infrastructure、WAPI)、汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service、GPRS)、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access、CDMA)など、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、入力/出力モジュール114は、ネットワークに接続され、かつネットワークを介して情報を取得することができる。いくつかの実施例では、入力/出力モジュール114は、ネットワーク又は通信モジュール112を介して検出モジュール102から結晶成長情報を取得して出力することができる。いくつかの実施例では、入力/出力モジュール114は、ネットワーク又は通信モジュール112を介して制御モジュール101から報知又は制御命令を取得することができる。いくつかの実施例では、入力/出力モジュール114は、VCC、GND、RS-232、RS-485(例えば、RS485-A、RS485-B)及び汎用ネットワークインタフェースなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、入力/出力モジュール114は、1種又は複数種の符号化方式を使用して、伝送された信号に対して符号化処理を行うことができる。上記符号化方式は、位相符号化、非ゼロ復帰符号化、差動マンチェスター符号化など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0064】
図1に示すシステム及び他のモジュールが各種の方式を利用して実現できることを理解されたい。例えば、いくつかの実施例では、システム及びそのモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現することができる。ハードウェア部分は、専用ロジックを利用して実現することができ、ソフトウェア部分は、メモリに記憶し、適切な命令実行システム、例えば、マイクロプロセッサ又は専用設計ハードウェアにより実行することができる。当業者であれば理解できるように、上記方法及びシステムは、コンピュータ実行可能命令を使用し、及び/又はプロセッサ制御コードに含まれることにより実現することができ、例えば、磁気ディスク、CD又はDVD-ROMなどのキャリア媒体、読み出し専用メモリ(ファームウェア)などのプログラマブルメモリ、又は光信号又は電子信号キャリアなどのデータキャリアに、このようなコードが提供される。本明細書の1つ以上の実施例のシステム及びそのモジュールは、超大規模集積回路若しくはゲートアレイ、ロジックチップ及びトランジスタなどの半導体、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ及びプログラマブルロジックデバイスなどのプログラマブルハードウェアデバイスのハードウェア回路により実現されてもよく、例えば、各種のタイプのプロセッサにより実行されるソフトウェアを使用して実現されてもよく、上記ハードウェア回路とソフトウェアとの組み合わせ(例えば、ファームウェア)により実現されてもよい。
【0065】
結晶製造システム及びそのモジュールに対する以上の説明は、説明を容易にするためのものに過ぎず、本明細書の1つ以上の実施例を挙げられた実施例の範囲内に限定するものではないことを注意されたい。理解できるように、当業者にとって、当該システムの原理を理解した後、この原理から逸脱しない場合、各モジュールを任意に組み合わせるか、又はサブシステムと他のモジュールとの接続を構成するか、又はそのうちの1つ以上のモジュールを省略することができる。いくつかの実施例では、検出モジュール102及び制御モジュール101は、1つのモジュールであってもよく、当該モジュールは、結晶成長情報を検出及び制御する機能を有してもよい。このような変形は、いずれも本明細書の1つ以上の実施例の保護範囲内に含まれる。
【0066】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置は、基板及び目標結晶を含む複合結晶を製造することができる。いくつかの実施例では、目標結晶は、炭化珪素結晶、窒化珪素結晶、二硫化モリブデン結晶、窒化ホウ素結晶、グラフェン結晶などを含んでもよい。いくつかの実施例では、複合結晶は、基板及び炭化珪素結晶を含む複合結晶である。いくつかの実施例では、基板の表面に少なくとも1層の炭化珪素結晶を堆積して複合結晶を製造することができる。
【0067】
図2Aは、いくつかの実施例に係るマルチキャビティ式成長装置の例示的な概略構成図であり、
図2Bは、いくつかの実施例に係るマルチキャビティ式成長装置内の各キャビティの例示的な分布の上面図である。説明の便宜上、
図2A及び
図2Bにおけるマルチキャビティ式装置内の各キャビティの横断面が矩形であり(対応する各キャビティが立方体である)、なお、各キャビティの横断面が円形、多角形又は他の形状であり、対応する各キャビティが円柱体、多角柱体又は他の形状であってもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、
図2Aに示すように、マルチキャビティ式成長装置200は、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205、トレイ207、搬送アセンブリ208及び制御アセンブリ(図示せず)を含んでもよい。
【0069】
インサイチュエッチングキャビティ202は、インサイチュエッチング処理の空間を提供し、一定の反応条件で、その内部にガスを導入して基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。基板の表面に気相成長を行って薄膜を生成することができ、基板は、表面に堆積された薄膜を支持及び改善する特性を有する。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により基板をインサイチュエッチングキャビティ202内に搬送し、一定の温度、一定のガス圧力及び水素ガスの作用で、基板の表面にインサイチュエッチング処理を行う。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ202を所定の圧力に真空排気して、搬送アセンブリ208により基板をインサイチュエッチングキャビティ202に搬送し、インサイチュエッチングキャビティ202をより低い所定の圧力に真空排気し続け、温度をある温度に緩やかに調整した後に一定の時間維持し、常圧になるまでエッチングガス(例えば、水素ガス、テトラフルオロメタン、六フッ化硫黄、三フッ化窒素など)を導入し、かつ温度をある温度に調整した後に一定の時間維持し、基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことに関するより多くの内容について、
図13の説明を参照することができる。
【0070】
炭化キャビティ203は、炭化処理の空間を提供し、一定の反応条件で、その内部にガスを導入して基板に対して炭化処理を行うことができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により基板を炭化キャビティ203内に搬送し、一定の温度、炭化ガス(例えば、メタンガス、プロパンガス、ブタンガスなど)及び水素ガスの作用で、基板の表面に炭化処理を行う。いくつかの実施例では、炭化キャビティ203の温度をある温度に調整し、次に、インサイチュエッチングキャビティ202と炭化キャビティ203との間の第3通路を開き、搬送アセンブリ208により基板を炭化キャビティ203内に搬送して、第3通路を閉じるように制御し、炭化キャビティをある温度に降温させ、かつ一定の圧力になるまで真空排気した後に昇温し始め、所定の圧力になるまで炭化ガス(例えば、メタンガス、プロパンガス、ブタンガスなど)及び水素ガスを同時に導入し、温度をある温度に調整した後に一定の時間維持するとともに、炭化処理を行うことができる。基板に対して炭化処理を行うことに関するより多くの内容について、
図14の説明を参照することができる。
【0071】
成長キャビティ204は、気相成長の反応空間を提供し、一定の反応条件で、反応原料で基板の表面に気相成長を行って結晶を成長させて、基板及び炭化珪素結晶を含む複合結晶を得ることができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により基板を成長キャビティ204内に搬送し、一定の温度、炭化ガス(例えば、メタンガス、プロパンガス、ブタンガスなど)及び水素ガスの作用で、基板の表面に結晶成長を行う。いくつかの実施例では、成長キャビティ204に対して温度をある温度に調整して、所定の圧力になるまで加圧し、炭化キャビティ203と成長キャビティ204との間の第4通路を開き、搬送アセンブリ208により基板を成長キャビティ204内に搬送して、第4通路を閉じるように制御し、次に、成長キャビティ204に対して温度をある温度に調整して、所定の圧力になるまでシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入し、基板の表面に結晶成長を行い、結晶の成長した厚さが目標厚さになると、結晶成長を停止して、複合結晶を得ることができる。結晶成長を行うことに関するより多くの内容について、
図15及び
図16の説明を参照することができる。
【0072】
バッファキャビティ205は、複合結晶を降温させて冷却することができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により複合結晶をバッファキャビティ205内に搬送し、一定の温度及び一定のガス圧力で、複合結晶を降温させて冷却する。いくつかの実施例では、バッファキャビティ205をある温度に加熱し、成長キャビティ204とバッファキャビティ205との間の第5通路を開き、搬送アセンブリ208により複合結晶をバッファキャビティ205内に搬送して、第5通路を閉じるように制御し、バッファキャビティ205をある温度に降温させた後に一定の時間維持し、複合結晶を冷却して降温させることができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により複合結晶をバッファキャビティ205内に搬送し、常温及び常圧で、複合結晶を降温させて冷却する。複合結晶を冷却して降温させることに関するより多くの内容について、
図17の説明を参照することができる。
【0073】
搬送アセンブリ208は、各キャビティ(例えば、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204及びバッファキャビティ205)の内部の下端部に設置され、基板又は複合結晶を順に各キャビティの間に搬送することができる。搬送アセンブリ208は、機械構造111とも呼ばれてもよい。搬送アセンブリ208に関するより多くの内容について、
図8の説明を参照することができる。
【0074】
制御アセンブリは、搬送アセンブリ208を回転するように制御して、基板又は複合結晶を順に各キャビティ(例えば、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204及びバッファキャビティ205)の間に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御アセンブリは、駆動モータを動作させるように制御して、搬送アセンブリ208を駆動して回転させて、基板又は複合結晶を順に各キャビティの間に搬送することができる。制御アセンブリは、制御モジュール101であってもよく、駆動モータは、駆動モジュール110であってもよい。
【0075】
いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204及びバッファキャビティ205は、順に、略「一字型」に配列してもよく、各キャビティ内の搬送アセンブリ208は、エンドツーエンドで順に接続され、基板又は複合結晶の各キャビティの間での搬送経路は、実質的に直線である。いくつかの実施例では、
図2Aに示すように、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204及びバッファキャビティ205は、順に、「一字型」に配列してもよく、各キャビティ内の搬送アセンブリ208は、エンドツーエンドで順に接続され、基板又は複合結晶の各キャビティの間での搬送経路は、直線である。いくつかの代替的な実施例では、
図2Aにおける各キャビティの分布図を全体的に任意の角度回転して、各キャビティを設定することができる。
【0076】
いくつかの実施例では、
図2Bに示すように、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204及びバッファキャビティ205は、順に、「田字型」に配列してもよく、インサイチュエッチングキャビティ202は、炭化キャビティ203の隣接する両側のうちの一側に位置し、成長キャビティ204は、炭化キャビティ203の隣接する両側のうちの他側に位置し、バッファキャビティ205は、インサイチュエッチングキャビティ202及び成長キャビティ204に隣接し、各キャビティ内の搬送アセンブリ208は、エンドツーエンドで順に接続され、搬送アセンブリ208は、順に各キャビティの間に循環する。
【0077】
図3Aは、別の実施例に係るマルチキャビティ式成長装置の例示的な概略構成図であり、
図3Bは、別の実施例に係るマルチキャビティ式成長装置内の各キャビティの例示的な分布の上面図である。説明の便宜上、
図3A及び
図3Bにおけるマルチキャビティ式装置内の各キャビティの横断面が矩形であり(対応する各キャビティが立方体である)、なお、各キャビティの横断面が円形、多角形又は他の形状であり、対応する各キャビティが円柱体、多角柱体又は他の形状であってもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置は、真空キャビティをさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置は、端末キャビティをさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、
図3Aに示すように、マルチキャビティ式成長装置300は、真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205、端末キャビティ206、トレイ207、搬送アセンブリ208及び制御アセンブリ(図示せず)を含んでもよく、真空キャビティ201は、インサイチュエッチングキャビティ202に隣接し、端末キャビティ206は、バッファキャビティ205に隣接する。
【0079】
真空キャビティ201は、基板を真空環境に位置させることができる。いくつかの実施例では、基板を真空キャビティ201内に置き、真空キャビティ201を真空排気して、基板を真空環境に位置させる。いくつかの実施例では、真空キャビティの第1通路を閉じて、所定の圧力になるまで真空キャビティを真空排気することができる。基板に対して真空処理を行うことに関するより多くの内容について、
図12の説明を参照することができる。
【0080】
端末キャビティ206は、複合結晶を室温に降温させることができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により複合結晶をバッファキャビティ205から端末キャビティ206内に搬送し、常温及び常圧で、複合結晶を降温させて冷却する。いくつかの実施例では、バッファキャビティ205と端末キャビティ206との間の第6通路を開き、搬送アセンブリ208により複合結晶を端末キャビティ206内に搬送して、第6通路を閉じるように制御し、複合結晶を冷却して降温させる。複合結晶を冷却して降温させることに関するより多くの内容について、
図17の説明を参照することができる。
【0081】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置の各キャビティは、直線状に配列してもよく、非直線状に配列してもよい。いくつかの実施例では、
図3Aに示すように、各キャビティ(真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205及び端末キャビティ206)は、順に、直線状で「一字型」に配列してもよく、各キャビティ内の搬送アセンブリ208は、エンドツーエンドで順に接続され、各キャビティの間の搬送経路は、直線である。いくつかの代替的な実施例では、真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205及び端末キャビティ206は、順に、略「一字型」に配列してもよく、各キャビティ内の搬送アセンブリ208は、エンドツーエンドで順に接続され、基板又は複合結晶の各キャビティの間での搬送経路は、実質的に直線である。いくつかの代替的な実施例では、
図3A及び上記例における各キャビティの分布図を全体的に任意の角度回転して、各キャビティを設定することができる。
【0082】
いくつかの実施例では、
図3Bに示すように、真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205及び端末キャビティ206は、順に積み上げられてもよく、真空キャビティ201は、インサイチュエッチングキャビティ202の対向する両側のうちの一側に位置し、炭化キャビティ203は、インサイチュエッチングキャビティ202の対向する両側のうちの他側に位置し、成長キャビティ204は、バッファキャビティ205及び炭化キャビティに隣接し、端末キャビティ206は、バッファキャビティ205の他側に位置し、各キャビティ内の搬送アセンブリ208は、エンドツーエンドで順に接続され、搬送アセンブリ208は、順に各キャビティの間に循環する。いくつかの代替的な実施例では、
図3B及び上記例における各キャビティの分布図を全体的に任意の角度回転して、各キャビティを設定することができる。
【0083】
なお、真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205及び端末キャビティ206が、順に、基板又は複合結晶が各キャビティの間に順に搬送可能な任意の形状に配列することは、いずれも本明細書の保護範囲内に含まれる。真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205及び端末キャビティ206のサイズは、同じであってもよく、異なってもよく、ここでは、限定されない。
【0084】
本明細書のいくつかの実施例に係る各種のキャビティは、第1種のキャビティ、第2種のキャビティ及び第3種のキャビティなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、第1種のキャビティは、基板又は複合結晶が所定の圧力又はある温度にある場所を提供することができる。いくつかの実施例では、第2種のキャビティは、基板を処理する場所、又は複合結晶がある温度にある場所を提供することができる。いくつかの実施例では、第3種のキャビティは、基板の表面に結晶成長を行う場所を提供することができる。
【0085】
図4は、いくつかの実施例に係る第1種のキャビティの例示的な概略構成図である。
【0086】
図4に示すように、第1種のキャビティ400の側壁に入口通路401及び出口通路402が設置され、第1種のキャビティ400の内部に搬送アセンブリ404が取り付けられ、搬送アセンブリ404は、入口通路401と出口通路402とを連通させて、入口通路501と出口通路502との間に基板又は複合結晶を搬送する。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402は、入口通路401、搬送アセンブリ404及び出口通路402が直線状に配列するように第1種のキャビティ400の対向する2つの側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402は、入口通路401、搬送アセンブリ404及び出口通路402がL字状に配列するように第1種のキャビティ400の隣接する2つの側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402は、入口通路401、搬送アセンブリ404及び出口通路402がU字状に配列するように第1種のキャビティ400の同一の側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402は、第1種のキャビティ400の側壁の頂部、中間部、底端部に設置されてもよい。例のみとして、
図4に示すように、入口通路401及び出口通路402はそれぞれ、第1種のキャビティ400の対向する2つの側壁の底端部に設置され、搬送アセンブリ404は、第1種のキャビティ400の底部に設置される。搬送アセンブリ404に関するより多くの内容について、
図8の説明を参照することができる。
【0087】
いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402の形状は、矩形、円形、楕円形、及び他の任意の規則的又は不規則的な形状を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402の数はそれぞれ、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402の数は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402は、数が同じであるとともに対をなして設置される。いくつかの実施例では、2組以上の入口通路401及び出口通路402が設置され、各組の入口通路401と出口通路402との間にそれぞれ搬送アセンブリ404が設置されてもよく、異なる経路に沿って基板又は複合結晶を同時に搬送することができる。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402の数が異なる。いくつかの実施例では、2つ以上の入口通路401及び1つの出口通路402が設置されてもよく、基板又は複合結晶は、複数の入口通路401から第1種のキャビティ400内に搬送され、1つの出口通路402から第1種のキャビティ400外に搬送されてもよい。
【0088】
いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402にはいずれも、自動制御弁が取り付けられることにより、制御モジュール101は、入口通路401及び出口通路402の開閉を制御しやすい。いくつかの実施例では、入口通路401及び出口通路402は、互換的に使用することができる。
【0089】
図4に示すように、第1種のキャビティ400には、第1種のキャビティ400の圧力が必要な圧力になるように、第1種のキャビティ400内のガスを排出するか又は第1種のキャビティ400内にガスを導入する少なくとも1つのガス管路403が設置される。
【0090】
いくつかの実施例では、ガス管路403は、真空排気装置と連通することができ、真空装置の動作パラメータ(例えば、電力、回転速度、動作時間など)を制御することにより、真空排気の速度及び時間を調整して、第1種のキャビティ400内の圧力の変化を制御することができる。いくつかの実施例では、真空排気装置は、真空ポンプを含んでもよい。いくつかの実施例では、ガス管路403の数は、1つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、真空ポンプは、1台の真空ポンプ又は2台以上の真空ポンプであってもよい。いくつかの実施例では、ガス管路403は、第1種のキャビティ400の頂部、側壁、底部に設置されてもよい。例えば、
図4に示すように、ガス管路403は、第1種のキャビティ400の底部に設置される。いくつかの実施例では、ガス管路403は、第1種のキャビティ400のいずれか1つの側壁又は頂部に設置される。いくつかの実施例では、ガス管路403は、管路を介してガス貯蔵タンクと連通することができ、かつ導入したガスの流量及び流速を制御する流量調整弁が管路に設置される。
【0091】
いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400は、真空キャビティ201であってもよく、端末キャビティ206であってもよい。
【0092】
真空キャビティ201は、マルチキャビティ式結晶成長装置の1番目のキャビティであってもよい。ガス管路403により真空キャビティを真空排気することができる。
【0093】
端末キャビティ206は、マルチキャビティ式結晶成長装置の最後のキャビティであってもよい。いくつかの実施例では、端末キャビティ206は、ガス管路403を使用しなくてもよく、すなわち、ガス管路403は、閉じ状態にある。いくつかの実施例では、ガス管路403は、2つ以上含まれ、ガス管路403のうちの1つ以上のガス管路403により端末キャビティ206内にガス(例えば、置換ガス)を導入し、ガス管路403のうちの別の1つ以上のガス管路403により端末キャビティ206内のガスを排出することにより、端末キャビティ206内の降温速度を速くすることができる。
【0094】
いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400の形状は、円柱形、角柱形、直方体、四角柱形などの規則的又は不規則的な形状を含んでもよいが、これらに限定されない。第1種のキャビティ400のサイズは、実際の製造需要に応じて設定されてもよい。いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、20~500mmであってもよい。いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、50~400mmであってもよい。いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、100~300mmであってもよい。いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、150~250mmであってもよい。
【0095】
いくつかの実施例では、第1種のキャビティ400の材質は、高強度ステンレス鋼又は高強度アルミニウム合金であってもよい。高強度ステンレス鋼又は高強度アルミニウム合金の強度により、製造安全性を保証することができ、製造プロセスにおいて第1種のキャビティ400が変形せず、割れない。
【0096】
図5は、いくつかの実施例に係る第2種のキャビティの例示的な概略構成図である。
【0097】
図5に示すように、第2種のキャビティ500の側壁に入口通路501及び出口通路502が設置され、第2種のキャビティ500の内部に搬送アセンブリ506が取り付けられ、搬送アセンブリ506は、入口通路501と出口通路502とを連通させて、入口通路501と出口通路502との間に基板又は複合結晶を搬送する。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502は、入口通路501、搬送アセンブリ506及び出口通路502が直線状に配列するように第2種のキャビティ500の対向する2つの側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502は、入口通路501、搬送アセンブリ506及び出口通路502がL字状に配列するように第2種のキャビティ500の隣接する2つの側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502は、入口通路501、搬送アセンブリ506及び出口通路502がU字状に配列するように第2種のキャビティ500の同一の側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502は、第2種のキャビティ500の側壁の頂部、中間部、底端部に設置される。例のみとして、
図5に示すように、入口通路501及び出口通路502はそれぞれ、第2種のキャビティ500の対向する2つの側壁の底端部に設置され、搬送アセンブリ506は、第2種のキャビティ500の底部に設置される。搬送アセンブリ506に関するより多くの内容について、
図8の説明を参照することができる。
【0098】
いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502の形状は、矩形、円形、楕円形、及び他の任意の規則的又は不規則的な形状を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502の数はそれぞれ、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502の数は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502は、数が同じであるとともに対をなして設置される。いくつかの実施例では、2組以上の入口通路501及び出口通路502が設置され、各組の入口通路501と出口通路502との間にそれぞれ搬送アセンブリ506が設置されてもよく、異なる経路に沿って基板又は複合結晶を同時に搬送することができる。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502の数が異なる。いくつかの実施例では、2つ以上の入口通路501及び1つの出口通路502が設置されてもよく、基板又は複合結晶は、複数の入口通路501から第2種のキャビティ500内に搬送され、1つの出口通路502から第2種のキャビティ500外に搬送されてもよい。
【0099】
いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502にはいずれも、自動制御弁が取り付けられることにより、制御モジュール101は、入口通路501及び出口通路502の開閉を制御しやすい。いくつかの実施例では、入口通路501及び出口通路502は、互換的に使用することができる。
【0100】
図5に示すように、第2種のキャビティ500は、第2種のキャビティ500の圧力が必要な圧力になるように、第2種のキャビティ500を真空排気する少なくとも1つの排気管路503を含む。いくつかの実施例では、排気管路503は、第2種のキャビティ500の底部、頂部又は側壁に設置されてもよい。例えば、
図5に示すように、排気管路503は、第2種のキャビティ500の底部に設置される。いくつかの実施例では、排気管路503は、第2種のキャビティ500のいずれか1つの側壁又は頂部に設置される。いくつかの実施例では、排気管路503は、真空排気装置と連通することができ、真空装置の動作パラメータ(例えば、電力、回転速度、動作時間など)を制御することにより、真空排気の速度及び時間を調整して、第2種のキャビティ500内の圧力の変化を制御することができる。いくつかの実施例では、真空排気装置は、真空ポンプを含んでもよい。いくつかの実施例では、排気管路503の数は、1つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、真空ポンプの数は、1台又は2台以上であってもよい。
【0101】
いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500は、第2種のキャビティ500内にガスを導入する少なくとも1つの吸気管路504を含む。いくつかの実施例では、吸気管路504は、第2種のキャビティ500の底部、頂部又は側壁に設置されてもよい。例えば、
図5に示すように、吸気管路504は、第2種のキャビティ500の頂部に設置される。いくつかの実施例では、吸気管路504の数は、1つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、1つの吸気管路504が設置され、全てのガスは、同一の吸気管路504から第2種のキャビティ500内に導入されてもよい。いくつかの実施例では、2つ以上の吸気管路504が設置され、異なるガスはそれぞれ、異なる吸気管路504から第2種のキャビティ500内に導入されてもよい。いくつかの実施例では、各吸気管路504にはいずれも、各ガスの流量を制御することにより各ガスの配合比率(例えば、質量比又はモル比)を制御する流量調整弁が設置されてもよい。
【0102】
図5に示すように、第2種のキャビティ500には、第2種のキャビティ500に対して温度調整を行って、第2種のキャビティ500内の温度を必要な温度に制御する加熱体505がさらに設置される。いくつかの実施例では、加熱体505の加熱電力及び加熱時間を制御することにより、第2種のキャビティ500内の温度を調整することができる。いくつかの実施例では、加熱体505は、第2種のキャビティ500の外頂壁、外側壁、内頂壁、内側壁又はそれらの任意の組み合わせに設置されてもよい。例えば、
図5に示すように、加熱体505は、第2種のキャビティ500の内側壁に設置される。
【0103】
いくつかの実施例では、加熱体505は、抵抗加熱アセンブリ及び/又は電磁誘導加熱アセンブリなどを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、抵抗加熱アセンブリは、黒鉛抵抗又はグローバー抵抗を含んでもよい。黒鉛抵抗又はグローバー抵抗に通電した後に、電流が上記抵抗を流れて発生したジュール効果による熱エネルギーを利用して第2種のキャビティ500に対して温度調整を行うことができる。いくつかの実施例では、電磁誘導加熱アセンブリは、誘導コイルを含んでもよい。誘導コイルは、異なる周波数の交流電の作用で、第2種のキャビティ500に渦電流が生じることができ、渦電流の作用で、第2種のキャビティ500に生じた電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、第2種のキャビティ500に対して温度調整を行うことができる。
【0104】
いくつかの実施例では、加熱体505は、1つ以上の加熱部材を含んでもよい。
【0105】
いくつかの実施例では、加熱体505は、1つ以上の抵抗加熱アセンブリを含んでもよく、各抵抗加熱アセンブリは、第2種のキャビティ500の側壁に均一又は不均一に設置されてもよい。いくつかの実施例では、加熱体505は、5つの黒鉛抵抗を含んでもよく、第2種のキャビティ500は、円柱形であってもよく、5つの黒鉛抵抗は、第2種のキャビティ500の側壁に等距離で周設され、すなわち、各黒鉛抵抗はそれぞれ、第2種のキャビティ500の側壁の5分の1の位置にある。いくつかの実施例では、加熱体505は、4つの黒鉛抵抗を含んでもよく、第2種のキャビティ500は、四角柱形であってもよく、4つの黒鉛抵抗はそれぞれ、第2種のキャビティ500の4つの側壁に設置されてもよく、第2種のキャビティ500の4つのコーナー位置にあってもよい。
【0106】
いくつかの実施例では、加熱体505は、1つ以上の誘導加熱アセンブリを含んでもよく、各誘導加熱アセンブリは、第2種のキャビティ500の外側壁に均一又は不均一に設置されてもよい。いくつかの実施例では、加熱体505は、複数回の誘導コイルを含んでもよく、誘導コイルは、第2種のキャビティ500の外側壁に螺旋状に巻き付けられてもよい。さらに、誘導コイルは、第2種のキャビティ500の外側壁全体に巻き付けられてもよく、トレイがある位置に対応する第2種のキャビティ500の外側壁に巻き付けられてもよい。
【0107】
いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500は、インサイチュエッチングキャビティ202であってもよく、炭化キャビティ203又はバッファキャビティ205であってもよい。
【0108】
インサイチュエッチングキャビティ202は、真空キャビティ201と隣接するように設置されてもよい。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ202と真空キャビティ201とは、同一の通路を共用してもよく、すなわち、真空キャビティ201の出口通路402とインサイチュエッチングキャビティ202の入口通路501とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ202と真空キャビティ201とは、同一の通路を共用しなくてもよく、真空キャビティ201の出口通路402とインサイチュエッチングキャビティ202の入口通路501とは、2つの通路であるとともに、隣接するように設置される。いくつかの実施例では、加熱体505によりインサイチュエッチングキャビティ202に対して温度調整を行い、排気管路503によりインサイチュエッチングキャビティ202を真空排気することができ、吸気管路504により、インサイチュエッチングキャビティ202内に水素ガスを導入して基板に対してインサイチュエッチングを行うことができる。
【0109】
炭化キャビティ203は、インサイチュエッチングキャビティ202と隣接するように設置されてもよい。いくつかの実施例では、炭化キャビティ203とインサイチュエッチングキャビティ202とは、同一の通路を共用してもよく、すなわち、インサイチュエッチングキャビティ202の出口通路と炭化キャビティ203の入口通路とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、炭化キャビティ203とインサイチュエッチングキャビティ202とは、同一の通路を共用しなくてもよく、インサイチュエッチングキャビティ202の出口通路と炭化キャビティ203の入口通路とは、2つの通路であるとともに、隣接するように設置される。いくつかの実施例では、加熱体505により炭化キャビティ203に対して温度調整を行い、排気管路503により炭化キャビティ203を真空排気し、吸気管路504により、炭化キャビティ203内に炭化ガス(例えば、メタンガス、プロパンガス、ブタンガスなど)及び水素ガスを導入して基板に対して炭化処理を行うことができる。
【0110】
バッファキャビティ205は、端末キャビティ206と隣接するように設置されてもよい。いくつかの実施例では、バッファキャビティ205と端末キャビティ206とは、同一の通路を共用してもよく、すなわち、バッファキャビティ205の出口通路502と端末キャビティ206の入口通路401とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、バッファキャビティ205と端末キャビティ206とは、同一の通路を共用しなくてもよく、バッファキャビティ205の出口通路502と端末キャビティ206の入口通路401とは、2つの通路であるとともに、隣接するように設置される。いくつかの実施例では、加熱体505によりバッファキャビティ205に対して温度調整を行うことができる。いくつかの実施例では、バッファキャビティ205は、排気管路503及び吸気管路504を使用しなくてもよく、すなわち、排気管路503及び吸気管路504は、閉じ状態にある。いくつかの実施例では、吸気管路504によりバッファキャビティ205内にガスを導入し、排気管路503によりバッファキャビティ205内のガスを排出することにより、バッファキャビティ205内の降温速度を速くすることができる。
【0111】
いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の形状は、円柱形、角柱形、直方体、四角柱形などの規則的又は不規則的な形状を含むが、これらに限定されない。第2種のキャビティ500のサイズは、実際の製造需要に応じて設定されてもよい。いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、20~300mmであってもよい。いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、50~200mmであってもよい。いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、70~180mmであってもよい。いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の頂壁と複合結晶成長面との間の距離は、100~150mmであってもよい。
【0112】
いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の壁は、二層で中空の高強度ステンレス鋼又はアルミニウム合金で製造され、中空キャビティ内に冷却水を導入して壁を冷却し、断熱及び放熱の作用を果たす。いくつかの実施例では、第2種のキャビティ500の壁の内側に1層以上の保温材料が設置される。いくつかの実施例では、保温材料は、黒鉛フェルト及びジルコニアフェルトを含んでもよい。
【0113】
図6は、いくつかの実施例に係る第3種のキャビティの例示的な概略構成図である。
【0114】
いくつかの実施例では、第3種のキャビティ600は、成長キャビティ204であってもよい。
図6に示すように、第3種のキャビティ600(成長キャビティ204とも呼ばれる)の側壁に入口通路601及び出口通路602が設置され、第3種のキャビティ600の内部に搬送アセンブリ608が取り付けられ、搬送アセンブリ608は、入口通路601と出口通路602とを連通させて、入口通路601と出口通路602との間に基板又は複合結晶を搬送する。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602は、入口通路601、搬送アセンブリ608及び出口通路602が直線状に配列するように第3種のキャビティ600の対向する2つの側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602は、入口通路601、搬送アセンブリ608及び出口通路602がL字状に配列するように第3種のキャビティ600の隣接する2つの側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602は、入口通路601、搬送アセンブリ608及び出口通路602がU字状に配列するように第3種のキャビティ600の同一の側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602は、第3種のキャビティ600の側壁の頂部、中間部、底端部に設置されてもよい。例のみとして、
図6に示すように、入口通路601及び出口通路602はそれぞれ、第3種のキャビティ600の対向する2つの側壁の底端部に設置され、搬送アセンブリ608は、第3種のキャビティ600の底部に設置される。搬送アセンブリ608に関するより多くの内容について、
図8の説明を参照することができる。
【0115】
いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602の形状は、矩形、円形、楕円形、及び他の任意の規則的又は不規則的な形状を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602の数はそれぞれ、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602の数は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602は、数が同じであるとともに対をなして設置される。いくつかの実施例では、2組以上の入口通路601及び出口通路602が設置され、各組の入口通路601と出口通路602との間にそれぞれ搬送アセンブリ608が設置されてもよく、異なる経路に沿って基板又は複合結晶を同時に搬送することができる。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602の数が異なる。いくつかの実施例では、2つ以上の入口通路601及び1つの出口通路602が設置されてもよく、基板又は複合結晶は、複数の入口通路601から第3種のキャビティ600内に搬送され、1つの出口通路602から第3種のキャビティ600外に搬送されてもよい。
【0116】
いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602にはいずれも、自動制御弁が取り付けられることにより、制御モジュール101は、入口通路601及び出口通路602の開閉を制御しやすい。いくつかの実施例では、入口通路601及び出口通路602は、互換的に使用することができる。
【0117】
いくつかの実施例では、第3種のキャビティ600は、第3種のキャビティ600内の圧力が必要な圧力になるように、第3種のキャビティ600を真空排気する少なくとも1つの排気管路603を含む。いくつかの実施例では、排気管路603は、第3種のキャビティ600の底部、頂部又は側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、
図6に示すように、排気管路603は、第3種のキャビティ600の底部に設置される。いくつかの実施例では、排気管路603は、第3種のキャビティ600のいずれか1つの側壁又は頂部に設置される。いくつかの実施例では、排気管路603は、真空排気装置と連通することができ、真空装置の動作パラメータ(例えば、電力、回転速度、動作時間など)を制御することにより、真空排気の速度及び時間を調整して、第3種のキャビティ600内の圧力の変化を制御することができる。いくつかの実施例では、真空排気装置は、真空ポンプを含んでもよい。いくつかの実施例では、排気管路603の数は、1つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、真空ポンプの数は、1台又は2台以上に設定されてもよい。
【0118】
いくつかの実施例では、第3種のキャビティ600は、反応ガス、例えば、シラン及びプロパンガスを導入する少なくとも1つの吸気管路604を含む。いくつかの実施例では、吸気管路604は、第3種のキャビティ600の頂部、底部又は側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例では、
図6に示すように、吸気管路604は、第3種のキャビティ600の頂部に設置される。いくつかの実施例では、吸気管路604の数は、1つ以上であってもよい。いくつかの実施例では、1つの吸気管路604が設置されてもよく、全てのガスは、同一の吸気管路604から第3種のキャビティ600内に導入される。いくつかの実施例では、2つ以上の吸気管路604が設置されてもよく、異なるガスはそれぞれ、異なる吸気管路604から第3種のキャビティ600内に導入される。いくつかの実施例では、各吸気管路604にはいずれも、各ガスの流量を制御することにより各ガスの配合比率(例えば、質量比又はモル比)を制御する流量調整弁が設置されてもよい。
【0119】
いくつかの実施例では、第3種のキャビティ600(成長キャビティ204とも呼ばれる)には、成長キャビティ204に対して温度調整を行って、成長キャビティ204内の温度を必要な温度に制御する加熱体605が設置される。いくつかの実施例では、加熱体605の加熱電力及び加熱時間を制御することにより、成長キャビティ204内の温度を調整することができる。いくつかの実施例では、加熱体605は、成長キャビティ204の外頂壁、外側壁、内頂壁、内側壁又はそれらの任意の組み合わせに設置されてもよい。いくつかの実施例では、
図6に示すように、加熱体605は、成長キャビティ204の内側壁に設置される。
【0120】
いくつかの実施例では、加熱体605は、抵抗加熱アセンブリ及び/又は電磁誘導加熱アセンブリなどを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、抵抗加熱アセンブリは、黒鉛抵抗又はグローバー抵抗を含んでもよい。いくつかの実施例では、電磁誘導加熱アセンブリは、誘導コイルを含んでもよい。加熱体605に関するより多くの内容について、加熱体505の説明を参照することができる。
【0121】
いくつかの実施例では、成長キャビティ204は、回転軸606(回転軸207とも呼ばれる)をさらに含み、回転軸606は、成長キャビティ204の底部に設置され、トレイ607を成長キャビティ204の中間部に突き上げる。トレイに関するより多くの内容について、
図7の説明を参照することができる。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、10~200mmであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、20~180mmであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、30~150mmであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、40~130mmであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、50~100mmであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、60~80mmであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、成長キャビティ204の高さの10分の1からその1倍であってもよい。回転軸606の高さは、成長キャビティ204の高さの10分の2から10分の9であってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、成長キャビティ204の高さの10分の3から10分の8であってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、成長キャビティ204の高さの10分の4から10分の7であってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の高さは、成長キャビティ204の高さの10分の5から10分の6であってもよい。
【0122】
いくつかの実施例では、回転軸606には、トレイ607の位置を検出するポジショナー(図示せず)が取り付けられる。いくつかの実施例では、ポジショナーは、変位センサであってもよい。いくつかの実施例では、回転軸606の頂端部にポジショナーが設置されてもよく、トレイ607の位置をリアルタイムに検出し、回転軸606によりトレイ607を成長キャビティ204の中間部に突き上げることができる。いくつかの実施例では、ポジショナーは、トレイ607の位置をリアルタイムに検出し、かつトレイ607の位置情報を制御モジュール101に送信し、ポジショナーが、トレイ607が搬送アセンブリ608により回転軸606の真上に搬送されたことを検出した場合、制御モジュール101は、駆動モジュール110により、回転を停止するように搬送アセンブリ608を制御し、かつトレイ607を成長キャビティ204の中間部に穏やかに突き上げるように回転軸606を制御することができる。いくつかの実施例では、成長プロセスにおいて、回転軸606が持続的に回転できることにより、基板の各位置の反応が均一になる。いくつかの実施例では、ポジショナーは、GPSポジショナーであってもよい。いくつかの実施例では、GPSポジショナーは、トレイ607に取り付けられ、トレイ607の位置情報を制御モジュール101にリアルタイムに送信することができる。
【0123】
図7は、いくつかの実施例に係るトレイの例示的な概略構成図である。
【0124】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置は、トレイ207を含む。いくつかの実施例では、
図7に示すように、トレイ207には、少なくとも1つの溝207-1が設置され、各溝207-1は、1つの基板を置くことができる。いくつかの実施例では、トレイ207の形状は、円形、楕円形、三角形、矩形、多角形、又は他の任意の規則的又は不規則的な形状を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、各トレイ207の上表面には、1つ又は2つ以上の溝207-1が設置されてもよい。いくつかの実施例では、溝207-1の数は、1つ、2つ、4つ、7つ、11個などであってもよい。いくつかの実施例では、溝207-1の配列方式について、均一に配列してもよく、不均一に配列してもよい。いくつかの実施例では、
図7に示すように、トレイ207は、円形であり、6つの溝207-1は、トレイ207の上表面に周方向に均一に配列する。
【0125】
いくつかの実施例では、トレイ207の中心部には、回転軸606に係合する突き上げ構造がさらに設置され、トレイ207が回転軸606の真上に搬送された場合、回転軸606は、当該突き上げ構造に係合することにより、トレイ207を必要な高さに穏やかに突き上げる。いくつかの実施例では、突き上げ構造は、回転軸606に係着されてもよい。いくつかの実施例では、突き上げ構造は、トレイ207の中心部にある位置決め孔207-2であってもよく、回転軸606は、頂端部の断面積が中間部又は底端部の断面積より小さい軸であり、回転軸606の頂端部は、位置決め孔207-2内に挿入されることにより、回転軸606は、トレイ207を穏やかに突き上げることができる。
【0126】
図8は、いくつかの実施例に係る搬送アセンブリの例示的な概略構成図である。
【0127】
図8に示すように、搬送アセンブリ208は、平行に配列した少なくとも2つの円柱状ローラ208-1と、円柱状ローラ208-1の上下両端部に平行に設置された2本の搬送フレーム208-2とを含み、2本の搬送フレーム208-2は、各キャビティの下方に固定的に設置されることにより(
図8に示されない)、円柱状ローラ208-1は、その軸方向において2本の搬送フレーム208-2の間に制限されるとともに、自体の軸を中心に回転することができる。いくつかの実施例では、円柱状ローラ208-1の上下両端部は、円柱形であり、かつ断面積が中間部の断面積より小さく、搬送フレーム208-2には、断面積が円柱状ローラ208-1の上下両端部の断面積より大きい複数の孔が設置されることにより、円柱状ローラ208-1の上下両端部は、2本の搬送フレーム208-2の間に挿入されるとともに、自体の軸を中心に回転することができる。
図8に示すように、トレイ207は、円柱状ローラ208-1に置かれ、円柱状ローラ208-1の回転につれて、トレイ207の底部と円柱状ローラ208-1との間の静止摩擦力により、前向きに搬送される。
【0128】
いくつかの実施例では、円柱状ローラ208-1の数は、搬送フレーム208-2の長さ及び円柱状ローラ208-1の上下両端部の直径に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施例では、円柱状ローラ208-1の上下両端部の直径と円柱状ローラ208-1の数との積は、搬送フレーム208-2の長さ以下である。いくつかの実施例では、円柱状ローラ208-1の数は、7本、8本、9本又は10本であってもよい。いくつかの実施例では、円柱状ローラ208-1の間の間隔は、実際の製造需要に応じて設定されてもよく、円柱状ローラ208-1の回転につれてトレイ207を前向きに搬送できることを保証することができればよい。
【0129】
いくつかの実施例では、搬送フレーム208-2は、直線状に設定されてもよく、コーナーがあるように設定されてもよい。いくつかの実施例では、2本の搬送フレーム208-2はそれぞれ、90°のL字状フレームとして設定されるとともに、円柱状ローラ208-1の間に平行に設置される。なお、搬送フレーム208-2の設置形式を限定せず、搬送アセンブリ208が各キャビティの入口通路と出口通路とを連通させて、トレイ207の各キャビティの間の搬送を実現できることを保証すればよい。
【0130】
真空キャビティ201、インサイチュエッチングキャビティ202、炭化キャビティ203、成長キャビティ204、バッファキャビティ205及び端末キャビティ206にはいずれも、入口通路、出口通路及び搬送アセンブリ208が設置され、搬送アセンブリ208は、各キャビティの入口通路と出口通路とを連通させ、トレイ207を搬送アセンブリ208に置いて、搬送アセンブリ208によりトレイ207を各キャビティの間に搬送することができる。いくつかの実施例では、入口通路及び出口通路の位置にはいずれも、自動制御弁が取り付けられ、自動制御弁により、入口通路及び出口通路を開閉することにより、トレイ207の対応するキャビティへの出入りを制御することができる。いくつかの実施例では、トレイ207の数は、1つであってもよく、複数であってもよく、基板が置かれた複数のトレイ207を搬送アセンブリ208に置けば、各キャビティの間にトレイ207をパイプライン的に大量に搬送するとともに、基板及び炭化珪素結晶を含む複合結晶を成長させることができる。
【0131】
図9は、いくつかの実施例に係る炭化珪素結晶の製造方法の例示的な流れ図である。
【0132】
いくつかの実施例では、当該炭化珪素結晶の製造プロセス900は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス900は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス900を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス900は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図9に示す操作の順序は、限定的なものではない。
【0133】
いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の製造方法は、マルチキャビティ式成長装置(例えば、マルチキャビティ式成長装置200、マルチキャビティ式成長装置300)において行われてもよく、マルチキャビティ式成長装置は、順に配列した複数のキャビティを含み、マルチキャビティ式成長装置に関しては、
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bを参照することができる。いくつかの実施例では、炭化珪素結晶の製造方法は、単一のキャビティ又は1つの反応室において行われてもよく、単一のキャビティ又は1つの反応室は、マルチキャビティ式成長装置に対応する全ての機能(例えば、真空排気、加熱、置換ガスの導入など)を有し、すなわち、炭化珪素結晶の製造プロセスにおける各ステップ(例えば、真空処理プロセス、インサイチュエッチング処理プロセス、炭化処理プロセス、結晶成長プロセス、冷却降温プロセスなど)は、同一の反応室において行われてもよい。炭化珪素結晶の製造プロセス900は、ステップ910及びステップ920を含む。
【0134】
ステップ910では、基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する。いくつかの実施例では、当該ステップ910は、制御モジュール101により実行されてもよい。
【0135】
基板は、特定の結晶面、及び適切な電気、光学及び機械的特性を有する単結晶シートであり、エピタキシャル層(例えば、目標結晶)を成長させて、目標結晶を支持し目標結晶の特性を改善する作用を果たすことができる。基板を選択する場合に、構造特性(目標結晶の格子構造と基板の格子構造が同じであるか又は類似し、格子定数不整合度が小さく、結晶性が高い)、界面特性(目標結晶の成長、粘着性が高い)、化学的安定性(目標結晶成長の温度及び雰囲気において分解及び腐食されにくい)、熱的特性(熱伝導性が高く、熱的不整合度が小さい)、優れた導電性、高い光学特性(光に対する吸収が少ない)、高い機械的特性(研磨及びカットなどの加工を行いやすい)、サイズ(直径が2インチより小さい)という条件を総合的に考慮することができる。いくつかの実施例では、基板の材料は、サファイア(Al2O3)、珪素(Si)、炭化珪素(SiC)、アルシニジンガリウム(GaAs)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)を含んでもよい。
【0136】
いくつかの実施例では、基板は、単結晶シリコンを含んでもよい。単結晶シリコンは、太陽光発電レベルの単結晶シリコンである。いくつかの実施例では、単結晶シリコンの純度は、99.9999%より大きい。いくつかの実施例では、単結晶シリコンの純度は、99.99999%より大きい。いくつかの実施例では、単結晶シリコンの純度は、99.999999%より大きい。いくつかの実施例では、単結晶シリコンの純度は、99.9999999%より大きい。いくつかの実施例では、基板の1つの方向(X方向と呼ばれる)におけるサイズは、X方向に垂直な別の方向における横断面のサイズより小さくてもよい。いくつかの実施例では、基板のX方向に垂直な方向における横断面の形状は、円形、楕円形、多角形、規則的又は不規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例では、基板のX方向に垂直な方向における横断面の形状は、円形であり、基板のX方向に垂直な方向における横断面のサイズは、実際の製造需要に応じて設定されてもよい。基板のX方向に垂直な方向における横断面のサイズは、基板の縁部における距離が最も遠い2つの点の間の直線距離であってもよい。いくつかの実施例では、基板のX方向に垂直な方向における横断面の形状は、円形であり、円形の直径は、1~10インチである。いくつかの実施例では、円形の直径は、1.5~8インチである。いくつかの実施例では、円形の直径は、2~6インチである。いくつかの実施例では、円形の直径は、3~5インチである。いくつかの実施例では、円形の直径は、3~4インチである。基板のX方向に垂直な方向における横断面のサイズは、実際の製造需要に応じて製造された目標結晶のサイズに基づいて選択されてもよく、例えば、X方向に垂直な方向における横断面のサイズが大きい目標結晶を製造する必要があれば、X方向に垂直な方向における横断面のサイズが大きい結晶を選択することができる。X方向におけるサイズは、基板の厚さと呼ばれてもよい。いくつかの実施例では、基板の異なる領域の厚さが同じである。厚さが同じであることは、基板の最大厚さ領域と最小厚さ領域との厚さの差が厚さ閾値(例えば、10μm又は15μm)より小さいことであってもよい。厚さが同じである平坦な基板により、結晶成長プロセスにおいて応力を均一にさせて、結晶形が一致する結晶を形成することができる。いくつかの実施例では、基板の厚さは、100μm~400μmである。いくつかの実施例では、基板の厚さは、160μm~300μmである。いくつかの実施例では、基板の厚さは、180μm~280μmであってもよい。いくつかの実施例では、基板の厚さは、200μm~260μmであってもよい。いくつかの実施例では、基板の厚さは、220μm~240μmであってもよい。上記基板の厚さは、量産型太陽光発電単結晶ウェハの厚さに近づき、達成しやすく、基板が薄いため、コストが低くなる。
【0137】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置は、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ及び搬送アセンブリを少なくとも含み、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ及びバッファキャビティは、順に配列する。いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置は、真空キャビティ、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ、端末キャビティ及び搬送アセンブリを含んでもよく、インサイチュエッチングキャビティ、炭化キャビティ、成長キャビティ、バッファキャビティ及び端末キャビティは、順に配列する。いくつかの実施例では、各キャビティにはいずれも、入口通路及び出口通路が形成され、基板は、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)により各キャビティの間に搬送することができる。マルチキャビティ式装置に関するより多くの内容について、
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bの内容を参照することができる。
【0138】
いくつかの実施例では、基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理して、基板及び複合結晶に対してそれぞれ異なる工程を実行することができる。例えば、基板又は複合結晶に対してインサイチュエッチング処理、炭化処理、結晶成長、バッファ処理、降温冷却などの工程を行う。基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理することに関するより多くの内容について、
図11の説明を参照することができる。
【0139】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式装置において複数の基板(1組又は1ロットの基板とも呼ばれる)を同時に搬送して、結晶成長を行って、複合結晶の大量製造を実現することができる。いくつかの実施例では、マルチキャビティ式装置において複数組又は複数ロットの基板を順に搬送して、結晶成長を行って、複合結晶の連続的かつパイプライン的な製造を実現することができる。いくつかの実施例では、少なくとも1組又は1ロットの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理することを完了する前に、別のロットの少なくとも1つの基板を複数のキャビティの間に搬送及び処理することを開始し、2つのロットの上記少なくとも1つの基板を異なるキャビティにそれぞれ同時に搬送及び処理する。
【0140】
ステップ920では、複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で基板の表面に目標結晶を成長させて、基板及び目標結晶を含む複合結晶を得る。いくつかの実施例では、当該ステップ920は、制御モジュール101により実行されてもよい。
【0141】
いくつかの実施例では、マルチキャビティ式成長装置のうちの1つのキャビティは、成長キャビティであってもよい。いくつかの実施例では、成長キャビティ内に、気相成長法で基板の表面に目標結晶成長プロセスを行って、基板及び目標結晶を含む複合結晶を製造する。気相成長法は、薄膜元素を構成するガス状反応物及び液状反応物を含有する蒸気又は反応に必要な他のガスを反応環境内に導入し、基板の表面に化学反応が発生し、かつ固体生成物を基板の表面に堆積して薄膜を生成することである。
【0142】
いくつかの実施例では、目標結晶は、炭化珪素結晶、窒化珪素結晶、二硫化モリブデン結晶、窒化ホウ素結晶、グラフェン結晶などを含んでもよい。以下、主に、炭化珪素結晶を例として、複合結晶の製造プロセスを説明し、本明細書における目標結晶は、炭化珪素結晶に限定されず、気相成長法で製造できる任意の複合結晶であってもよいことを注意されたい。
【0143】
いくつかの実施例では、複合結晶を製造する反応物は、珪素源及び炭素源を含んでもよい。いくつかの実施例では、珪素源は、シラン(SiH4)、クロロシラン、及びクロロトリメチルシランを含んでもよい。いくつかの実施例では、炭素源は、プロパンガス(C3H8)、ブタンガス、エタン、及びアセチレンを含んでもよい。いくつかの実施例では、シラン及びプロパンガスを成長キャビティ内に導入して基板の表面に結晶成長プロセスを行うことができる。いくつかの実施例では、キャリアガスを使用して反応物ガズを運んで成長キャビティ内に導入することができる。キャリアガスが反応に参加せず、反応物ガズを運ぶ作用のみを果たすため、不活性ガス又は化学的安定性が高いガスを選択することができる。いくつかの実施例では、キャリアガスは、H2、N2、Ar又はHeであってもよい。いくつかの実施例では、価格及び化学的安定性を総合的に考慮すると、キャリアガスは、H2、及びN2であってもよい。
【0144】
いくつかの実施例では、複合結晶に対して化学エッチングを行って複合結晶上の基板を除去して、炭化珪素結晶を得ることができる。炭化珪素結晶の硬さと基板の硬さが異なり、炭化珪素結晶の耐酸性又は耐アルカリ性がより高いため、酸溶液又はアルカリ溶液により基板を溶解除去して、炭化珪素結晶を保留することができる。
【0145】
いくつかの実施例では、第1温度区間において、エッチング液を使用して複合結晶を第1時間超音波洗浄して、基板を溶解除去して炭化珪素結晶を得ることができる。いくつかの実施例では、第1温度区間は、50℃~100℃であってもよい。いくつかの実施例では、第1温度区間は、65℃~80℃であってもよい。いくつかの実施例では、第1温度区間は、67~78℃であってもよい。いくつかの実施例では、第1温度区間は、70~76℃であってもよい。いくつかの実施例では、第1温度区間は、72~74℃であってもよい。第1温度区間を50℃~100℃に設定することにより、エッチング速度を速くすることができる。
【0146】
いくつかの実施例では、エッチング液は、アルカリ溶液又は酸溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、NaOH溶液、KOH溶液又はNH4OH溶液を含んでもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、5%~30%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、10%~25%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、15%~20%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、10%~25%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、12%~23%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、14%~21%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、アルカリ溶液は、16%~18%のNaOH溶液であってもよい。いくつかの実施例では、酸溶液は、塩酸溶液、希硫酸溶液、硝酸溶液、フッ化水素酸又は次亜塩素酸溶液を含んでもよい。いくつかの実施例では、上記アルカリ溶液又は酸溶液の純度を限定しなくてもよい。例えば、上記アルカリ溶液及び酸溶液については、他のプロセス(例えば、太陽光発電又は半導体素子の製造プロセス)から回収された酸溶液及びアルカリ溶液を使用することができ、資源を循環利用し、コストを低減することができ、製造方式が環境に優しい。
【0147】
いくつかの実施例では、第1時間は、基板の厚さと正相関し、基板が厚いほど、当該基板をエッチング除去することに必要な第1時間が長くなる。いくつかの実施例では、第1時間は、少なくとも40分間であってもよい。いくつかの実施例では、第1時間は、40~90分間であってもよい。いくつかの実施例では、第1時間は、50~80分間であってもよい。いくつかの実施例では、第1時間は、55~75分間であってもよい。いくつかの実施例では、第1時間は、60~70分間であってもよい。いくつかの実施例では、第1時間は、63~68分間であってもよい。超音波洗浄の時間を40~90分間に設定することにより、複合結晶上の基板をエッチング除去して、基板を含まない炭化珪素結晶を得ることができる。いくつかの実施例では、人間の目で観察するか、又は成分検出を行うことにより、基板のエッチングが完了したか否かを決定することができる。基底面転位密度(単位面積の欠陥の数)で炭化珪素結晶の品質を示す。基底面転位密度に関する内容について、
図1の説明を参照することができる。
【0148】
いくつかの実施例では、基板が除去された炭化珪素結晶を洗浄することができる。いくつかの実施例では、洗浄液(例えば、イソプロパノール又は脱イオン水)を使用して50℃~80℃及び超音波の作用で、基板を含まない炭化珪素結晶を一定の時間(例えば、3~10分間)洗浄することができる。炭化珪素結晶を洗浄することにより、表面が清潔な炭化珪素結晶を得ることができる。
【0149】
図10は、いくつかの実施例に係る基板の表面処理プロセスの例示的な流れ図である。いくつかの実施例では、基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する前に、基板の表面、特に、結晶を成長させる表面を清潔で平坦に維持するように基板の表面に対して前処理を行うこともできる。
【0150】
いくつかの実施例では、当該基板表面処理プロセス1000は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1000は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1000を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1000は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図10に示す操作の順序は、限定的なものではない。
【0151】
ステップ1010では、基板の表面に対して研磨処理を行う。いくつかの実施例では、当該ステップ1010は、研磨モジュール104により実行されてもよい。
【0152】
いくつかの実施例では、基板を研磨装置(例えば、研磨機)に置いて、研磨する。いくつかの実施例では、まず基板の裏面(結晶成長面の対向面)を研磨し、次に、基板の正面(結晶成長面)に対して精密研磨を行うことができる。いくつかの実施例では、基板の正面(結晶成長面)に対して精密研磨を行うことができる。いくつかの実施例では、基板の裏面(結晶成長面の対向面)を研磨することができる。基板の裏面を研磨して、基板の裏面のカット傷及び欠陥を除去することにより、基板が平坦になり、基板搬送プロセスにおいて結晶成長面の平坦さが維持される。基板の正面(結晶成長面)に対して精密研磨を行うことにより、その表面が平坦になり、結晶成長時に反応生成物が結晶成長面に均一に結晶化しやすい。
【0153】
いくつかの実施例では、研磨処理が行われた基板を乾燥することができる。例えば、窒素ガス又はヘリウムガスで基板の各表面を吹き付けて乾燥する。
【0154】
ステップ1020では、基板の表面に対して洗浄処理を行う。いくつかの実施例では、当該ステップ1010は、洗浄モジュール105により実行されてもよい。
【0155】
いくつかの実施例では、洗浄装置(例えば、超音波洗浄装置)を使用して基板の表面に対して洗浄処理を行って、研磨処理において生成したカスを除去することができる。いくつかの実施例では、少なくとも1つの洗浄液を使用して基板の表面を少なくとも1回洗浄することができる。いくつかの実施例では、アセトン、アルコール及び脱イオン水を順に使用して、それぞれ基板の表面を1回超音波洗浄することができる。いくつかの実施例では、1回の洗浄時間は、少なくとも5分間であってもよい。いくつかの実施例では、1回の洗浄時間は、少なくとも5~30分間であってもよい。いくつかの実施例では、1回の洗浄時間は、少なくとも10~20分間であってもよい。いくつかの実施例では、1回の洗浄時間は、少なくとも15~18分間であってもよい。いくつかの実施例では、洗浄処理が行われた基板を乾燥することができる。例えば、基板の洗浄が完了した後、窒素ガス又はヘリウムガスで基板の各表面を吹き付けて乾燥する。
【0156】
いくつかの実施例では、基板の表面に対して研磨処理及び洗浄処理を行った後、基板に対してさらなる洗浄処理を行うこともできる。いくつかの実施例では、研磨処理及び洗浄処理が行われた基板を強酸溶液に一定の時間浸漬して、さらなる洗浄処理を行うことができる。いくつかの実施例では、強酸溶液は、塩酸、硫酸、硝酸溶液、フッ化水素酸又は次亜塩素酸溶液を含んでもよい。いくつかの実施例では、強酸溶液は、30%~40%のフッ化水素酸(HF)溶液を含んでもよい。いくつかの実施例では、強酸溶液を希釈した後、基板を希釈後の酸溶液に入れて浸漬して、酸溶液の濃度が高すぎることにより基板を損傷することを回避することができる。いくつかの実施例では、30%~40%のHF溶液を1%のHF溶液に希釈して、基板を1%~3%のHF溶液に入れて一定の時間浸漬して、超音波洗浄装置を使用してさらなる洗浄処理を行うことができる。いくつかの実施例では、単結晶シリコン基板を1%~3%のHF溶液に入れて5~8分間浸漬して、脱イオン水でさらに5~10分間超音波洗浄することができる。いくつかの実施例では、さらなる洗浄処理が行われた基板を乾燥することができる。例えば、さらなる洗浄が完了した基板に対して、窒素ガス又はヘリウムガスで基板の各表面を吹き付けて乾燥する。
【0157】
図11は、いくつかの実施例に係る基板を各キャビティの間に搬送及び処理する場合の例示的な流れ図である。
【0158】
いくつかの実施例では、各キャビティの間の搬送及び処理プロセス1100は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1100は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1100を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1100は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図11に示す操作の順序は、限定的なものではない。
【0159】
マルチキャビティ式成長装置に関するより多くの内容について、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B及び
図9の内容を参照することができる。基板を各キャビティの間に搬送及び処理するプロセス1100は、ステップ1110~ステップ1140を含む。
【0160】
ステップ1110では、インサイチュエッチングキャビティ内に、基板に対してインサイチュエッチング処理を行う。
【0161】
いくつかの実施例では、少なくとも1枚の基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。例えば、1枚以上の基板をトレイに置いて、インサイチュエッチングキャビティ内に搬送してインサイチュエッチング処理を行うことができる。いくつかの実施例では、一定のガス圧力、一定の温度及び処理ガスの反応条件で基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。いくつかの実施例では、第2時間の範囲内に、インサイチュエッチングキャビティの圧力を第2圧力区間に維持し、温度を第2温度区間に維持し、次に、インサイチュエッチングキャビティの圧力が常圧になるまで水素ガスを導入し、第3時間の範囲内にインサイチュエッチングキャビティの温度を第3温度区間に維持するとともに基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。基板に対してインサイチュ処理を行うことに関するより多くの内容について、
図13の説明を参照することができる。
【0162】
基板に対してインサイチュエッチング処理を行って、基板の結晶成長面の欠陥を除去し、基板の表面に結晶形が一致し、品質が高い炭化珪素結晶を容易に成長させることができる。
【0163】
ステップ1120では、搬送アセンブリにより、基板をインサイチュエッチングキャビティから炭化キャビティに搬送して、炭化処理を行う。
【0164】
インサイチュエッチング処理が行われた基板に対して、さらなる炭化処理を行うことができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)により、基板をインサイチュエッチングキャビティから炭化キャビティ内に搬送して、炭化処理を行うことができる。いくつかの実施例では、一定のガス圧力、一定の温度及び処理ガスの反応条件で基板に対して炭化処理を行うことができる。いくつかの実施例では、第4時間内に、炭化キャビティの圧力を第3圧力区間に維持し、温度がインサイチュエッチングキャビティの温度に等しいか又は近いように維持し(温度差が5℃以下である)、次に、インサイチュエッチングキャビティと炭化キャビティとの間の第3通路を開き、搬送アセンブリ208により基板を炭化キャビティ内に搬送して、第3通路を閉じるように制御した後、炭化キャビティを第5温度区間に降温させ、かつ第4圧力区間になるまで真空排気した後に、炭化キャビティを第4温度区間に徐々に昇温させ、第3圧力になるまで炭化ガス(例えば、メタンガス、プロパンガス、ブタンガスなど)及び水素ガスを同時に導入して、炭化処理を行うことができる。基板に対して炭化処理を行うことに関するより多くの内容について、
図14の説明を参照することができる。
【0165】
基板に対して炭化処理を行うことにより、基板の結晶成長面に炭化バッファ層を製造でき、炭化珪素結晶の基板の表面での結晶化に役立つ。
【0166】
ステップ1130では、搬送アセンブリにより、基板を炭化キャビティから成長キャビティに搬送して、気相成長を行って複合結晶を得る。
【0167】
炭化処理が行われた基板に対して、基板の結晶成長面に炭化珪素結晶を成長させることができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)により、基板を炭化キャビティから成長キャビティ内に搬送することができる。いくつかの実施例では、成長キャビティを第4温度区間に昇温させ、圧力を第3圧力区間に加圧し、次に、炭化キャビティと成長キャビティとの間の第4通路を開き、搬送アセンブリ208により基板を成長キャビティ内に搬送して、第4通路を閉じるように制御することができる。基板を炭化キャビティから成長キャビティ内に搬送することに関するより多くの内容について、
図15の説明を参照することができる。
【0168】
いくつかの実施例では、成長キャビティ内に、気相成長法で基板の結晶成長面に対して結晶成長を行って、基板及び炭化珪素結晶を含む複合結晶を製造する。いくつかの実施例では、成長キャビティを第6温度区間に昇温させ、第5圧力区間になるまでシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入して、結晶成長を行い、成長した目標結晶の厚さが目標厚さになると、結晶成長を停止する。成長キャビティ内に結晶成長を行うことに関するより多くの内容について、
図16の説明を参照することができる。
【0169】
ステップ1140では、搬送アセンブリにより、複合結晶を成長キャビティからバッファキャビティに搬送して、降温させて冷却する。
【0170】
成長が完了した複合結晶をさらに降温させることができる。いくつかの実施例では、搬送アセンブリ208により、複合結晶を成長キャビティからバッファキャビティに搬送して、バッファキャビティ内に降温させて冷却することができる。いくつかの実施例では、バッファキャビティを第6温度区間に昇温させ、成長キャビティとバッファキャビティとの間の第5通路を開き、搬送アセンブリ208により複合結晶をバッファキャビティ内に搬送して、第5通路を閉じるように制御し、次に、バッファキャビティを第7温度区間に徐々に降温させ、第5時間維持する。バッファキャビティ内に冷却して降温させることに関するより多くの内容について、
図17の説明を参照することができる。
【0171】
図12は、いくつかの実施例に係る真空処理の例示的な流れ図である。いくつかの実施例では、基板に対してインサイチュエッチング処理を行う前に、基板に対して真空処理を行うことができる。
【0172】
いくつかの実施例では、当該真空処理プロセス1200は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1200は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1200を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1200は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図12に示す操作の順序は、限定的なものではない。
【0173】
いくつかの実施例では、真空キャビティ内に基板に対して真空処理を行うことができる。真空キャビティに関するより多くの内容について、
図3A及び
図3Bの内容を参照することができる。基板に対して真空処理を行うプロセス1200は、ステップ1210~ステップ1230を含む。
【0174】
ステップ1210では、基板を真空キャビティ内に置く。
【0175】
いくつかの実施例では、研磨処理及び洗浄処理が行われた基板に対して真空処理を行うことができる。いくつかの実施例では、人間が手動で基板を真空キャビティ内に置いてもよく、人間が手動で基板を搬送アセンブリ208に置いて、搬送アセンブリ208により基板を真空キャビティ内に搬送してもよい。別の実施例では、機械構造111(例えば、マニピュレータ)により基板を真空キャビティ内に置いてもよく、機械構造111により基板を搬送アセンブリ208に置いて、搬送アセンブリ208により基板を真空キャビティ内に搬送してもよい。いくつかの実施例では、1つ以上の基板を真空キャビティ内に置いてもよい。いくつかの実施例では、複数組の基板を真空キャビティ内に連続的で順に置いてもよい。
【0176】
ステップ1220では、真空キャビティの第1通路を閉じて、真空キャビティの圧力及びインサイチュエッチングキャビティの圧力を第1圧力区間に調整する。
【0177】
いくつかの実施例では、第1通路は、真空キャビティの入口通路(例えば、入口通路401)である。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティの圧力が真空キャビティの圧力に等しいか又は近いように調整した(差が5Pa以下である)後、基板をインサイチュエッチングキャビティに搬送することができる。いくつかの実施例では、基板を真空キャビティに置いた後、真空キャビティの第1通路を閉じて、第1圧力区間になるまで真空キャビティ及びインサイチュエッチングキャビティをそれぞれ真空排気する。いくつかの実施例では、第1圧力区間は、3~15Paであってもよい。いくつかの実施例では、第1圧力区間は、5~10Paであってもよい。いくつかの実施例では、第1圧力区間は、6~9Paであってもよい。いくつかの実施例では、第1圧力区間は、7~8Paであってもよい。真空キャビティの圧力とインサイチュエッチングキャビティの圧力とを第1圧力区間に調整することにより、真空キャビティとインサイチュエッチングキャビティとの圧力差を減少させて、基板を相対的に安定する環境に位置させることができる。
【0178】
いくつかの実施例では、真空キャビティ及びインサイチュエッチングキャビティを同時に真空排気することができる。いくつかの実施例では、真空キャビティの排気管路及びインサイチュエッチングキャビティの排気管路(例えば、排気管路403及び排気管路503)を接続して1つの真空排気装置と連通させ、真空排気装置の動作速度及び時間を制御して真空排気を行う。いくつかの実施例では、真空キャビティ及びインサイチュエッチングキャビティをそれぞれ真空排気し、圧力をリアルタイムに監視することができる。いくつかの実施例では、真空キャビティの排気管路及びインサイチュエッチングキャビティの排気管路を複数の真空排気装置とそれぞれ連通させ、真空排気装置の動作速度及び時間を制御して、真空キャビティ及びインサイチュエッチングキャビティをそれぞれ真空排気し、圧力をリアルタイムに監視する。いくつかの実施例では、機械式ポンプ及び分子ポンプを組み合わせて使用して真空排気を行うことができる。いくつかの実施例では、まず機械式ポンプにより真空キャビティ及び/又はインサイチュエッチングキャビティを一定の真空度に真空排気し、次に、分子ポンプにより、第1圧力区間になるまで真空キャビティ及び/又はインサイチュエッチングキャビティを真空排気し続ける。
【0179】
ステップ1230では、搬送アセンブリにより、真空キャビティとインサイチュエッチングキャビティとの間の第2通路により、基板をインサイチュエッチングキャビティに搬送する。
【0180】
いくつかの実施例では、真空キャビティの圧力がインサイチュエッチングキャビティの圧力に等しいか又は近くて第1圧力区間になると、基板をインサイチュエッチングキャビティ内に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、真空キャビティとインサイチュエッチングキャビティとの間の第2通路を開き、搬送アセンブリ208を起動して基板をインサイチュエッチングキャビティ内の特定の位置に搬送して、第2通路を閉じ、搬送アセンブリ208の動作を停止するように制御することができる。第2通路は、真空キャビティとインサイチュエッチングキャビティとの隣接する通路であってもよく、例えば、第2通路は、インサイチュエッチングキャビティの入口通路501又は真空キャビティの出口通路402であってもよい。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティの入口通路501と真空キャビティの出口通路402とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ内の特定の位置は、インサイチュエッチングキャビティの底部の中心領域であってもよい。いくつかの実施例では、検出モジュール102(例えば、センサ)により基板の位置を検出することができる。いくつかの実施例では、検出モジュール102は、基板がインサイチュエッチングキャビティの底部の中心領域に位置することを検出した場合、基板の位置情報を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、動作を停止するように機械構造111(例えば、搬送アセンブリ208)を制御することができる。
【0181】
図13は、いくつかの実施例に係るインサイチュエッチング処理の例示的な流れ図である。
【0182】
いくつかの実施例では、当該インサイチュエッチング処理プロセス1300は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1300は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1300を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1300は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図13に示す操作の順序は、限定的なものではない。
【0183】
いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ内に、基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。インサイチュエッチングキャビティに関するより多くの内容について、
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bの内容を参照することができる。基板に対してインサイチュエッチング処理を行うプロセス1300は、ステップ1310及びステップ1320を含む。
【0184】
ステップ1310では、第2時間の範囲内に、インサイチュエッチングキャビティの圧力を第2圧力区間に維持し、温度を第2温度区間に維持する。
【0185】
いくつかの実施例では、第1条件で水素ガスを導入して、基板に対してインサイチュエッチング処理を行うことができる。いくつかの実施例では、第1条件は、第2時間の範囲内に、圧力を第2圧力区間に維持し、温度を第2温度区間に維持することを含んでもよい。いくつかの実施例では、第2圧力区間は、圧力が5×10-3Paより小さい範囲である。いくつかの実施例では、第2圧力区間は、圧力が1×10-3Paより小さい範囲である。いくつかの実施例では、第2圧力区間は、圧力が0.8×10-3Paより小さい範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2圧力区間は、圧力が0.5×10-3Paより小さい範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2圧力区間は、圧力が1×10-4Paより小さい範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2圧力区間は、圧力が1×10-5Paより小さい範囲である。インサイチュエッチングキャビティの圧力を5×10-3Paの範囲内に設定することにより、インサイチュエッチング処理プロセスにおいて生成したガスが基板の表面から脱離することに有利であり、脱離効果がより高くなる。
【0186】
基板を損傷しない前提で、インサイチュエッチングキャビティ内のガスをできる限り除去するために、第2温度については、適切な温度区間を選択すべきである。例えば、窒素ガス又は酸素ガスが基板の表面に吸着され、温度が低すぎると、上記ガスの脱離に不利であり、温度が高すぎると、基板を窒化又は酸化しやすい。いくつかの実施例では、第2温度区間は、400~900℃を含んでもよい。いくつかの実施例では、第2温度区間は、500~800℃を含んでもよい。いくつかの実施例では、第2温度区間は、550~750℃を含んでもよい。いくつかの実施例では、第2温度区間は、600~700℃を含んでもよい。いくつかの実施例では、第2温度区間は、630~680℃を含んでもよい。いくつかの実施例では、加熱体505によりインサイチュエッチングキャビティに対して温度調整を行うことができる。加熱体505に関するより多くの内容について、
図5の説明を参照することができる。
【0187】
いくつかの実施例では、第2時間は、少なくとも10分間であってもよい。いくつかの実施例では、第2時間は、10~90分間であってもよい。いくつかの実施例では、第2時間は、20~80分間であってもよい。いくつかの実施例では、第2時間は、25~75分間であってもよい。いくつかの実施例では、第2時間は、30~70分間であってもよい。いくつかの実施例では、第2時間は、40~60分間であってもよい。第2温度区間を10~90分間維持することにより、インサイチュエッチングキャビティ内の温度を安定して維持することができ、後続きに基板を均一で効果的にエッチングすることに役立つ。
【0188】
いくつかの実施例では、基板をインサイチュエッチングキャビティに搬送した後、制御モジュール101は、インサイチュエッチングキャビティを真空排気して、インサイチュエッチングキャビティ内の圧力を第2圧力区間にするように真空排気装置を制御し、第2温度区間に緩やかに昇温した後に第2時間維持することにより、インサイチュエッチングキャビティ内のガスを十分に排出することができる。
【0189】
ステップ1320では、常圧になるまで水素ガスを導入し、第3時間の範囲内にインサイチュエッチングキャビティの温度を第3温度区間に維持するとともにインサイチュエッチング処理を行う。
【0190】
いくつかの実施例では、第3温度区間は、900~1300℃であってもよい。いくつかの実施例では、第3温度区間は、1000~1200℃であってもよい。いくつかの実施例では、第3温度区間は、1050~1150℃であってもよい。いくつかの実施例では、第3温度区間は、1080~1130℃であってもよい。インサイチュエッチングキャビティの温度を第3温度区間に設定することにより、水素ガスが基板の表面に付着した酸化物と反応し、酸化物が還元されてインサイチュエッチング処理が完了する。
【0191】
いくつかの実施例では、第3時間は、少なくとも0.5分間であってもよい。いくつかの実施例では、第3時間は、0.5~5分間であってもよい。いくつかの実施例では、第3時間は、1~3分間であってもよい。いくつかの実施例では、第3時間は、1.5~2.8分間であってもよい。いくつかの実施例では、第3時間は、1.8~2.5分間であってもよい。いくつかの実施例では、第3時間は、2分間であってもよい。常圧及び第3温度区間で第3時間エッチングすることにより、基板を十分にエッチングすることができる。
【0192】
いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ内のガスを排出した後に、制御モジュール101は、制御を行うことにより、インサイチュエッチングキャビティ内に水素ガスを導入させてインサイチュエッチング処理を行わせることができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、吸気管路504上の弁を開き、常圧になるまでインサイチュエッチングキャビティ内に水素ガスを導入するように制御し、次に、加熱を行って、インサイチュエッチングキャビティを第3温度区間に昇温させた後に第3時間維持するように加熱体505を制御し、基板の結晶成長面にインサイチュエッチングを行って、結晶成長面の欠陥を除去することができる。
【0193】
図14は、いくつかの実施例に係る炭化処理の例示的な流れ図である。いくつかの実施例では、インサイチュエッチング処理が行われた基板を炭化キャビティに搬送し、基板の結晶成長面に対して炭化処理を行って、結晶成長面に炭化バッファ層を形成することができる。
【0194】
いくつかの実施例では、当該炭化処理プロセス1400は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1400は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1400を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1400は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図14に示す操作の順序は、限定的なものではない。炭化処理プロセス1400は、ステップ1410~ステップ1430を含んでもよい。
【0195】
ステップ1410では、炭化キャビティの温度を第3温度区間に調整する。
【0196】
いくつかの実施例では、炭化キャビティ内の加熱体により炭化キャビティを第3温度区間に昇温させることができる。加熱体及び第3温度区間に関するより多くの内容について、他の部分の説明を参照することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、炭化キャビティを第3温度区間に昇温させるように加熱モジュール103(例えば、加熱体)を制御することができる。
【0197】
炭化キャビティの温度がインサイチュエッチングキャビティの温度に等しいか又は近いように昇温させた(温度差が5℃以下である)後、基板を炭化キャビティ内に搬送することにより、温度の急変による基板の変形又は変性が回避される。
【0198】
ステップ1420では、搬送アセンブリにより、基板を炭化キャビティ内に搬送する。
【0199】
いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティ及び炭化キャビティの温度がいずれも第3温度区間に維持された場合、基板を炭化キャビティ内に搬送することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、インサイチュエッチングキャビティと炭化キャビティとの間の第3通路を開き、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)を起動して基板を炭化キャビティ内の特定の位置に搬送して、第3通路を閉じ、搬送アセンブリの動作を停止するように制御することができる。第3通路とは、インサイチュエッチングキャビティと炭化キャビティとの隣接する通路を指し、例えば、第3通路は、インサイチュエッチングキャビティの出口通路502又は炭化キャビティの入口通路501であってもよい。いくつかの実施例では、インサイチュエッチングキャビティの出口通路502と炭化キャビティの入口通路501とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、炭化キャビティ内の特定の位置は、炭化キャビティの底部の中心領域であってもよい。いくつかの実施例では、検出モジュール102(例えば、センサ)により基板の位置を検出することができる。いくつかの実施例では、センサは、基板がインサイチュエッチングキャビティの底部の中心領域に位置することを検出した場合、基板の位置情報を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、動作を停止するように機械構造111(例えば、搬送アセンブリ208)を制御することができる。
【0200】
ステップ1430では、炭化キャビティの温度を第5温度区間に調整し、圧力を第4圧力区間に調整し、第3圧力区間になるまでプロパンガス及び水素ガスを同時に導入し、かつ第4時間内に、炭化キャビティの圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行う。
【0201】
基板は、インサイチュエッチングキャビティ内にインサイチュエッチング処理が行われた後に温度が高く(900~1300℃)、基板を炭化キャビティに直接的に搬送すれば、基板が炭化処理ガスと直接的に反応することにより圧力及びガス成分が不安定になる可能性があるため、まず炭化キャビティ内の温度を低下させて、圧力及びガス成分が安定した後に炭化処理に必要な温度に昇温させることができる。いくつかの実施例では、第2条件でプロパンガス及び水素ガスを導入して、基板に対して炭化処理を行うことができる。いくつかの実施例では、第2条件は、圧力を第4圧力区間に維持し、温度を第5温度区間に維持することを含んでもよい。
【0202】
いくつかの実施例では、第5温度区間は、700~1100℃であってもよい。いくつかの実施例では、第5温度区間は、800~1000℃であってもよい。いくつかの実施例では、第5温度区間は、850~980℃であってもよい。いくつかの実施例では、第5温度区間は、900~950℃であってもよい。いくつかの実施例では、第4圧力区間は、5×10-5Paより小さくてもよい。いくつかの実施例では、第4圧力区間は、1×10-5Paより小さくてもよい。いくつかの実施例では、第4圧力区間は、0.5×10-5Paより小さくてもよい。いくつかの実施例では、第4圧力区間は、10-6Paより小さくてもよい。基板を炭化キャビティに搬送した後、炭化キャビティを第5温度区間に降温させ、かつ第4圧力区間になるまで真空排気することにより、炭化キャビティ内のガスをさらに排出することができる。
【0203】
いくつかの実施例では、第3圧力区間は、1×103~1×105Paであってもよい。いくつかの実施例では、第3圧力区間は、1×103~6×104Paであってもよい。いくつかの実施例では、第3圧力区間は、2×103~6×103Paであってもよい。いくつかの実施例では、第4温度区間は、1000~1500℃であってもよい。いくつかの実施例では、第4温度区間は、1100~1400℃であってもよい。いくつかの実施例では、第4温度区間は、1200~1350℃であってもよい。いくつかの実施例では、第4温度区間は、1250~1300℃であってもよい。いくつかの実施例では、第4時間は、少なくとも0.5分間であってもよい。いくつかの実施例では、第4時間は、0.5~5分間であってもよい。いくつかの実施例では、第4時間は、1~3分間であってもよい。いくつかの実施例では、第4時間は、1.5~2.5分間であってもよい。いくつかの実施例では、第4時間は、2分間であってもよい。いくつかの実施例では、プロパンガス(C3H8)の流量は、3~25sccmである。いくつかの実施例では、プロパンガス(C3H8)の流量は、5~20sccmである。いくつかの実施例では、プロパンガス(C3H8)の流量は、7~18sccmである。いくつかの実施例では、プロパンガス(C3H8)の流量は、10~15sccmである。いくつかの実施例では、水素ガスの流量は、0.5~25L/分間である。いくつかの実施例では、水素ガスの流量は、1~20L/分間である。いくつかの実施例では、水素ガスの流量は、5~15L/分間である。いくつかの実施例では、水素ガスの流量は、7~12L/分間である。
【0204】
いくつかの実施例では、制御モジュール101は、炭化キャビティを第5温度区間に降温させ、かつ第4圧力区間になるまで真空排気した後に昇温させ始め、圧力が第3圧力区間になるまでプロパンガス及び水素ガスを同時に導入し、第4温度区間に昇温させ、恒温及び定圧を第4時間維持するとともに炭化処理を行うように制御する。
【0205】
図15は、いくつかの実施例に係る基板を炭化キャビティから成長キャビティに搬送する場合の例示的な流れ図である。いくつかの実施例では、インサイチュエッチング処理が行われた基板を成長キャビティに搬送して、基板の結晶成長面に炭化珪素結晶を成長させることができる。
【0206】
いくつかの実施例では、基板を炭化キャビティから成長キャビティに搬送するプロセス1500は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1500は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1500を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1500は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図15に示す操作の順序は、限定的なものではない。基板を炭化キャビティから成長キャビティに搬送するプロセス1500は、ステップ1510及びステップ1520を含んでもよい。
【0207】
ステップ1510では、成長キャビティの温度を第4温度区間に調整し、圧力を第3圧力区間に調整する。
【0208】
いくつかの実施例では、成長キャビティ内の加熱体により成長キャビティを第4温度区間に昇温させることができる。加熱体及び第4温度区間に関するより多くの内容について、他の部分の説明を参照することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、成長キャビティを第4温度区間に昇温させるように加熱モジュール103(例えば、加熱体)を制御することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、成長キャビティを真空排気して成長キャビティ内の圧力を第3圧力区間に調整するように真空排気装置を制御することができる。第3圧力区間に関するより多くの内容について、
図14の説明を参照することができる。
【0209】
成長キャビティの温度が炭化キャビティの温度に等しいか又は近いように昇温させる(温度差が5℃以下である)とともに、圧力が炭化キャビティの圧力に等しいか又は近いように真空排気した(圧力差が10Pa以下である)後、基板を成長キャビティ内に搬送することにより、温度及び圧力の急変による基板の変形又は変性が回避される。
【0210】
ステップ1520では、炭化キャビティと成長キャビティとの間の第4通路を開き、搬送アセンブリにより基板を成長キャビティに搬送するように制御する。
【0211】
いくつかの実施例では、成長キャビティ及び炭化キャビティの温度がいずれも第4温度区間、圧力がいずれも第3圧力区間に維持された場合、基板を成長キャビティ内に搬送することができる。いくつかの実施例では、成長キャビティの温度が第4温度区間になり、圧力が第3圧力区間になった後、制御モジュール101は、成長キャビティと炭化キャビティとの間の第4通路を開き、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)を起動して基板を成長キャビティ内の特定の位置に搬送して、第4通路を閉じ、搬送アセンブリの動作を停止するように制御することができる。第4通路とは、成長キャビティと炭化キャビティとの隣接する通路を指し、例えば、第4通路は、炭化キャビティの出口通路502又は成長キャビティの入口通路601であってもよい。いくつかの実施例では、炭化キャビティの出口通路502と成長キャビティの入口通路601とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、成長キャビティ内の特定の位置は、成長キャビティの底部にある回転軸606の真上であってもよい。
【0212】
いくつかの実施例では、検出モジュール102(例えば、ポジショナー)により基板の位置を検出することができる。基板の位置情報を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、動作を停止するように機械構造111(例えば、搬送アセンブリ208)を制御することができる。
【0213】
いくつかの実施例では、ポジショナーは、基板が成長キャビティの所定の位置にあることを決定した場合、基板の位置情報を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、搬送を停止するように機械構造111(例えば、搬送アセンブリ208)を制御することができる。いくつかの実施例では、成長キャビティの所定の位置は、回転軸606の真上であってもよい。いくつかの実施例では、ポジショナーは、回転軸に設置されてもよい。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、回転軸606を上昇させるように制御して、基板を成長キャビティの中間部に突き上げることができる。いくつかの実施例では、回転軸は、時計回り又は反時計回りに回転するように基板を駆動することができる。いくつかの実施例では、回転軸の回転速度が調整されてもよい。
【0214】
図16は、いくつかの実施例に係る結晶成長の例示的な流れ図である。
【0215】
いくつかの実施例では、成長キャビティ内に、基板の結晶成長面に対して気相成長を行って、基板及び炭化珪素結晶を含む複合結晶を製造することができる。成長キャビティに関するより多くの内容について、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B及び
図6の内容を参照することができる。
【0216】
いくつかの実施例では、当該結晶成長プロセス1600は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1600は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1600を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1600は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図16に示す操作の順序は、限定的なものではない。結晶成長プロセス1600は、ステップ1610~ステップ1630を含んでもよい。
【0217】
ステップ1610では、成長キャビティを第6温度区間に昇温させ、圧力を第4圧力区間に調整する。
【0218】
いくつかの実施例では、第3条件でシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入して、気相成長法で基板に対して目標結晶(例えば、炭化珪素結晶)を成長させることができる。いくつかの実施例では、第3条件は、圧力を第4圧力区間に維持し、温度を第6温度区間に維持することを含んでもよい。第6温度区間は、成長される結晶のタイプによって異なる。いくつかの実施例では、第6温度区間は、1300~1750℃であってもよい。いくつかの実施例では、第6温度区間は、1400~1700℃であってもよい。いくつかの実施例では、第6温度区間は、1450~1650℃であってもよい。いくつかの実施例では、第6温度区間は、1500~1600℃であってもよい。いくつかの実施例では、第6温度区間は、1520~1570℃であってもよい。いくつかの実施例では、第6温度区間は、成長プロセス全体において一定に維持されてもよく、結晶成長プロセスの異なる段階に応じて調整されてもよい。
【0219】
いくつかの実施例では、制御モジュール101は、成長キャビティを第6温度区間に昇温させるように加熱モジュール103(例えば、成長キャビティ内の加熱体)を制御することができる。加熱体に関するより多くの内容について、他の部分の説明を参照することができる。
【0220】
いくつかの実施例では、真空装置(例えば、真空ポンプ)により成長キャビティを第4圧力区間に真空排気することができる。第4圧力区間に関するより多くの内容について、
図14の説明を参照することができる。
【0221】
ステップ1620では、第5圧力区間になるまでシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入して、結晶成長を行う。
【0222】
第5圧力区間は、成長される結晶のタイプによって異なり、ある特定の結晶(例えば、炭化珪素結晶)に対して、第5圧力区間が小さすぎ、結晶成長速度が低く、第5圧力が大きすぎ、結晶成長プロセスにおいて欠陥を形成しやすい。いくつかの実施例では、第5圧力区間は、20~100Paであってもよい。いくつかの実施例では、第5圧力区間は、30~90Paであってもよい。いくつかの実施例では、第5圧力区間は、40~80Paであってもよい。いくつかの実施例では、第5圧力区間は、50~70Paであってもよい。いくつかの実施例では、第5圧力区間は、55~65Paであってもよい。いくつかの実施例では、第5圧力区間は、成長プロセス全体において一定に維持されてもよく、結晶成長プロセスの異なる段階に応じて調整されてもよい。
【0223】
いくつかの実施例では、導入したシラン(SiH4)の流量は、300~800sccmであってもよい。いくつかの実施例では、導入したシラン(SiH4)の流量は、400~600sccmであってもよい。いくつかの実施例では、導入したシラン(SiH4)の流量は、450~550sccmであってもよい。いくつかの実施例では、導入したシラン(SiH4)の流量は、480~520sccmであってもよい。いくつかの実施例では、導入したプロパンガス(C3H8)の流量は、100~250sccmである。いくつかの実施例では、導入したプロパンガス(C3H8)の流量は、133~200sccmである。いくつかの実施例では、導入したプロパンガス(C3H8)の流量は、150~180sccmである。いくつかの実施例では、導入したプロパンガス(C3H8)の流量は、160~170sccmである。いくつかの実施例では、導入した水素ガス(H2)の流量は、10~90L/分間である。いくつかの実施例では、導入した水素ガス(H2)の流量は、20~80L/分間である。いくつかの実施例では、導入した水素ガス(H2)の流量は、30~70L/分間である。いくつかの実施例では、導入した水素ガス(H2)の流量は、40~60L/分間である。
【0224】
いくつかの実施例では、制御モジュール101は、成長キャビティ内に導入したシラン、プロパンガス及び水素ガスの流量をそれぞれ制御して成長キャビティの圧力を第5圧力区間にすることができる。成長キャビティ内に、基板に対して第6温度区間、第5圧力区間及び反応物(シラン、プロパンガス及び水素ガス)の条件で結晶成長を行う。
【0225】
ステップ1630では、目標結晶の厚さが目標厚さになると、結晶成長を停止する。
【0226】
いくつかの実施例では、目標厚さは、200~600μmであってもよい。いくつかの実施例では、目標厚さは、300~500μmであってもよい。いくつかの実施例では、目標厚さは、320~480μmであってもよい。いくつかの実施例では、目標厚さは、350~450μmであってもよい。いくつかの実施例では、目標厚さは、380~420μmであってもよい。いくつかの実施例では、目標厚さは、390~410μmであってもよい。目標厚さを200~600μmに設定することにより、カット加工などの後続きの処理を行う必要がなく、直接的に研磨を行うことにより所定の厚さのウェハを取得することができ、製造効率を向上させ、加工コストを低減し、工業的応用に有利である。
【0227】
いくつかの実施例では、結晶成長プロセスにおいて、結晶の成長した厚さを監視し、結晶成長の速度、厚さなどのパラメータに基づいて、成長キャビティの温度、圧力及びシラン、プロパンガス及び水素ガスの流量比を制御することができる。いくつかの実施例では、反射高速電子線回折装置(RHEED)を使用して、結晶の成長した厚さを監視することができる。いくつかの実施例では、加熱体の発熱電力を制御することにより、成長キャビティの温度を調整することができる。いくつかの実施例では、シラン及びプロパンガスの流量をそれぞれ調整することにより、反応物中の珪素源及び炭素源の配合比率を調整することができる。いくつかの実施例では、導入したシラン、プロパンガス及び水素ガスの流量を調整することにより、成長キャビティの圧力を調整することができる。
【0228】
いくつかの実施例では、結晶が目標厚さまで成長した場合、制御モジュール101は、結晶成長を停止するように制御することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、シラン、プロパンガス及び水素ガスの導入を停止するように制御するとともに、加熱体の成長キャビティに対する加熱を停止するように制御することができる。
【0229】
図17は、いくつかの実施例に係るバッファ及び降温処理の例示的な流れ図である。
【0230】
いくつかの実施例では、成長キャビティに対してバッファキャビティ及び端末キャビティが隣接して設置されることにより、結晶成長の終了後の操作を行いやすく、例えば、製造された複合結晶を冷却する。搬送アセンブリにより、複合結晶を成長キャビティからバッファキャビティに搬送して、一定の温度(例えば、第7温度区間)に降温させて冷却し、次に、複合結晶を端末キャビティ内に搬送して室温に冷却する。バッファキャビティが設置されており、まず、複合結晶をバッファキャビティ内に第7温度区間(500~1200℃)に降温させ、次に、複合結晶を端末キャビティ内に搬送して室温に冷却することにより、環境温度が急に下がる(複合結晶を成長キャビティから端末キャビティ内に直接的に搬送する)ことにより複合結晶が割れる状況が発生することを回避する。
【0231】
いくつかの実施例では、当該バッファ及び降温処理プロセス1700は、制御装置(例えば、制御モジュール101)により実行されてもよい。例えば、プロセス1700は、プログラム又は命令の形式で記憶装置に記憶されてもよく、制御モジュール101がプログラム又は命令を実行する場合、プロセス1700を実現することができる。いくつかの実施例では、プロセス1700は、以下に説明されない1つ以上の追加的な操作を利用して完了することができ、及び/又は以下に検討されている1つ以上の操作を利用せずに完了することができる。また、
図17に示す操作の順序は、限定的なものではない。
【0232】
ステップ1710では、バッファキャビティの温度を第6温度区間に調整する。
【0233】
いくつかの実施例では、バッファキャビティ内の加熱体によりバッファキャビティの温度を第6温度区間に加熱することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、バッファキャビティを第6温度区間に昇温させるように加熱モジュール103(例えば、加熱体)を制御することができる。加熱体及び第6温度区間に関するより多くの内容について、他の部分の説明を参照することができる。
【0234】
バッファキャビティの温度が成長キャビティの温度に等しいか又は近いように加熱する(温度差が5℃以下である)ことにより、バッファキャビティと成長キャビティとの温度差が大きすぎることにより、温度が急変して、複合結晶の変形又は変性が引き起こされることが回避される。
【0235】
ステップ1720では、搬送アセンブリにより、複合結晶をバッファキャビティに搬送する。
【0236】
いくつかの実施例では、バッファキャビティの温度が第6温度区間になると、成長キャビティとバッファキャビティとの間の第5通路を開き、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)を起動して、複合結晶をバッファキャビティ内の特定の位置に搬送して、第5通路を閉じ、搬送アセンブリの動作を停止することができる。第5通路とは、成長キャビティとバッファキャビティとの隣接する通路を指し、例えば、第5通路は、成長キャビティの出口通路602又はバッファキャビティの入口通路501であってもよい。いくつかの実施例では、成長キャビティの出口通路602とバッファキャビティの入口通路501とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、バッファキャビティ内の特定の位置は、バッファキャビティの底部の中心領域であってもよい。いくつかの実施例では、検出モジュール102(例えば、センサ)により基板の位置を検出することができる。いくつかの実施例では、センサは、基板がバッファキャビティの底部の中心領域に位置することを検出した場合、基板の位置情報を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、動作を停止するように機械構造111(例えば、搬送アセンブリ208)を制御することができる。
【0237】
ステップ1730では、バッファキャビティの温度を第7温度区間に調整し、第5時間維持するとともに、冷却降温処理を行う。
【0238】
いくつかの実施例では、第7温度区間は、500~1200℃であってもよい。いくつかの実施例では、第7温度区間は、550~1000℃であってもよい。いくつかの実施例では、第7温度区間は、600~800℃であってもよい。いくつかの実施例では、第7温度区間は、650~750℃であってもよい。いくつかの実施例では、第7温度区間は、680~720℃であってもよい。いくつかの実施例では、第5時間は、少なくとも1hであってもよい。いくつかの実施例では、第5時間は、1~7hであってもよい。いくつかの実施例では、第5時間は、2~6hであってもよい。いくつかの実施例では、第5時間は、2.5~5.5hであってもよい。いくつかの実施例では、第5時間は、3~5hであってもよい。いくつかの実施例では、第5時間は、3.5~4.5hであってもよい。
【0239】
いくつかの実施例では、制御モジュール101は、バッファキャビティを第7温度区間に徐々に降温させるように制御することができる。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、吸気管路504の弁を開き、吸気管路504によりバッファキャビティ内に置換ガス(例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス又はヘリウムガス)を導入するように制御することができるとともに、バッファキャビティを排気して、バッファキャビティ内の圧力を常圧の近くに維持するように真空排気装置を制御することができる。いくつかの実施例では、バッファキャビティの温度が第7温度区間である場合、制御モジュール101は、バッファキャビティを第7温度区間に第5時間維持するように制御することにより、バッファキャビティ内の部材又は複合結晶の温度を第7温度区間に維持することができる。
【0240】
ステップ1740では、搬送アセンブリにより、複合結晶を端末キャビティに搬送する。
【0241】
いくつかの実施例では、複合結晶を端末キャビティ内に搬送してさらに冷却して降温させることができる。いくつかの実施例では、端末キャビティの温度は、室温であってもよい。いくつかの実施例では、制御モジュール101は、バッファキャビティと端末キャビティとの間の第6通路を開き、搬送アセンブリ(例えば、搬送アセンブリ208)を起動して複合結晶を端末キャビティ内の特定の位置に搬送して、第6通路を閉じ、搬送アセンブリの動作を停止するように制御することができる。第6通路とは、バッファキャビティと端末キャビティとの隣接する通路を指し、例えば、第6通路は、バッファキャビティの出口通路502又は端末キャビティの入口通路401であってもよい。いくつかの実施例では、バッファキャビティの出口通路502と端末キャビティの入口通路401とは、同一の通路である。いくつかの実施例では、バッファキャビティ内の特定の位置は、バッファキャビティの底部の中心領域又は他の特定の領域であってもよい。いくつかの実施例では、検出モジュール102(例えば、センサ)により複合結晶の位置を検出することができる。いくつかの実施例では、センサは、複合結晶が端末キャビティの底部の中心領域又は他の特定の領域に位置することを検出した場合、複合結晶の位置情報を制御モジュール101に送信することができ、制御モジュール101は、動作を停止するように機械構造111(例えば、搬送アセンブリ208)を制御することができる。
【0242】
ステップ1750では、複合結晶を室温に冷却する。
【0243】
複合結晶を端末キャビティ内に室温に冷却し続ける。いくつかの実施例では、複合結晶を端末キャビティ内に8~12h自然に冷却して、室温にすることができる。いくつかの実施例では、端末キャビティ内に置換ガスを導入して複合結晶を冷却することができる。いくつかの実施例では、端末キャビティには、吸気管路及び排気管路が設置され、制御モジュール101は、吸気管路の弁を開き、吸気管路により端末キャビティ内に置換ガス(例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス又はヘリウムガス)を導入するように制御することができるとともに、端末キャビティを排気して、端末キャビティ内の圧力を常圧の近くに維持するように真空排気装置を制御することができる。
【0244】
いくつかの実施例では、複合結晶を室温に冷却した後、制御モジュール101は、端末キャビティの出口通路402を開き、搬送アセンブリ208により複合結晶を端末キャビティの出口通路402の近傍に搬送するように制御して、人間が手動で又はマニピュレータにより複合結晶を取り出すことができる。複合結晶を取り出した後、複合結晶に対して化学エッチングを行って複合結晶上の基板を除去して、炭化珪素結晶を得ることができる。化学エッチングに関するより多くの内容について、
図9の説明を参照することができる。
【0245】
いくつかの実施例では、プロセス1700は、ステップ1740及びステップ1750を含まなくてもよく、すなわち、端末キャビティがなく、バッファキャビティから複合結晶を直接的に取り出した後、自然環境で冷却して降温させる。
【0246】
以下は、本発明の1つの具体的な実施例である。マルチキャビティ式成長装置により炭化珪素結晶を製造するプロセスは、以下のステップ(1)~(9)を含んでもよい。
【0247】
(1)研磨処理及び洗浄処理ステップでは、結晶成長面が(111)面であり、厚さが100~400μmであり、直径が1~10インチである円形の単結晶シリコンウェハを研磨機で研磨し、まず、表面が平坦になるように(11―1)面を研磨し、次に、(111)面に対して精密研磨を行って、表面のカット傷及び欠陥を除去する。洗浄液(例えば、アセトン、アルコール、脱イオン水)を使用して研磨後の単結晶シリコンウェハをそれぞれ10~20分間超音波洗浄し、かつ高純度の窒素ガス又はヘリウムガスで吹き付けて乾燥する。そして、単結晶シリコンウェハを1%~3%のHF溶液に入れて5~8分間浸漬し、かつ脱イオン水で5~10分間超音波洗浄する。洗浄完了後、窒素ガス又はヘリウムガスで単結晶シリコンウェハを吹き付けて乾燥する。
【0248】
(2)真空処理ステップでは、少なくとも1つの単結晶シリコンウェハをトレイの溝の位置に入れて固定し、単結晶シリコンウェハの(111)面を上向きに置く。トレイを真空キャビティ内に入れて、真空キャビティを3~15Paに真空排気する。この間、インサイチュエッチングキャビティの圧力が真空キャビティの圧力に等しいか又は近いように真空排気する(差が5Pa以下である)。
【0249】
(3)インサイチュエッチング処理ステップでは、少なくとも1つの単結晶シリコンウェハが置かれたトレイをインサイチュエッチングキャビティ内に搬送する。インサイチュエッチングキャビティを5×10-3Pa以下に真空排気し続け、400~900℃に緩やかに加熱し、10~90min保温し、高温排気を行い、次に、常圧になるまでインサイチュエッチングキャビティ内に水素ガスを導入し、1000~1200℃に加熱し、常圧に維持して1~3分間保温し、インサイチュエッチング処理を行い、結晶成長面の欠陥を除去する。
【0250】
(4)炭化処理ステップでは、少なくとも1つの単結晶シリコンウェハが置かれたトレイを炭化キャビティ内に搬送し、結晶成長面に対して炭化処理を行って、炭化バッファ層を製造する。まず、炭化キャビティを800~1000℃に降温させ、真空排気し、真空圧力が1×10-5Paより小さくなった後、昇温し始め、炭化キャビティ内に5~20sccmのプロパンガス(C3H8)及び1~20L/分間の水素ガスを導入し、炭化キャビティの圧力を1×103~6×104Paに維持する。炭化キャビティを1100~1400℃に昇温させ、1~3分間保温する。この間、成長キャビティの温度を1100~1400℃に制御する。
【0251】
(5)結晶成長ステップでは、少なくとも1つの単結晶シリコンウェハが置かれたトレイを成長キャビティ内に搬送し、成長キャビティの温度を1400~1700℃に制御する。成長キャビティ内に400~600sccmのSiH4、133~200sccmのC3H8、20~80L/分間のH2を導入し、成長キャビティの圧力を30~90Paに維持し、成長キャビティ内に結晶成長を行う。この間、バッファキャビティの温度を1400~1700℃に制御する。成長キャビティ内に10~12h成長させた後、トレイをバッファキャビティ内に搬送する。
【0252】
(6)冷却降温ステップでは、トレイをバッファキャビティに搬送した後、2~6hを経てバッファキャビティを500~1200℃に降温させて冷却する。次に、トレイを端末キャビティ内に搬送し、8~12hを経て室温に冷却する。複合結晶を取り出す。
【0253】
(7)化学エッチング処理ステップでは、複合結晶を取り出した後、10%~25%のNaOH溶液を使用して、65~80℃の条件で、超音波洗浄して迅速にエッチングし、50~80分間持続して、化学エッチング後の炭化珪素結晶を得る。
【0254】
(8)洗浄処理ステップでは、炭化珪素結晶を洗浄液(例えば、イソプロパノール)に入れ、50~80℃の条件で、3~10分間超音波洗浄する。次に、脱イオン水を使用して3~10分間超音波洗浄して、炭化珪素結晶を得る。
【0255】
(9)測定ステップでは、測定により、製造された炭化珪素結晶の厚さが300~500μmであり、ウェハに明らかな反りがなく、表面が滑らかである。
【0256】
炭化珪素結晶の製造方法に対する以上の説明は、説明を容易にするためのものに過ぎず、本明細書を挙げられた実施例の範囲内に限定するものではないことを注意されたい。当業者にとって、本明細書の原理を理解した後、この原理から逸脱しない限り、上記流れ及びシステム、装置、機器に対して形式と詳細の様々な修正及び変更を行うことができる。しかしながら、これらの変更及び修正は、本明細書の範囲から逸脱するものではない。
【0257】
本明細書の実施例による有益な効果は、以下を含むが、これらに限定されない。(1)マルチキャビティ式成長装置を使用して結晶製造を行うプロセスにおいて、少なくとも1つの基板又は複合結晶を各キャビティの間に搬送し、各キャビティ内にそれぞれ異なるプロセス処理工程を行い、結晶をパイプライン的に大量に製造することを実現する。(2)成長プロセスにおいて、目標結晶の厚さを監視し、目標厚さを有する目標結晶を製造し、化学エッチング後に単一の目標ウェハの完成品を得て、カットする必要がなく、結晶製造周期が短く、加工コストが低く、効率が高い。(3)単結晶シリコンウェハを基板として使用し、気相成長法で基板に目標結晶を製造して複合結晶を得て、他のプロセス(例えば、太陽光発電又は半導体素子の製造プロセス)において使用された酸溶液又はアルカリ溶液を使用して複合結晶に対して化学エッチングを行って基板を除去し、コストを低減し、資源の循環利用を実現することにより、製造方式がより環境に優しくなる。
【0258】
なお、異なる実施例が達成可能な有益な効果が異なり、異なる実施例では、達成可能な有益な効果は、以上の任意の1種又は複数種の組み合わせであってもよく、他の任意の取得可能な有益な効果であってもよい。
【0259】
以上の内容は、本明細書及び/又はいくつかの他の例を説明する。上記内容に基づいて、本明細書に対して異なる変形を行うことができる。本明細書に開示された主題は、異なる形式及び例により実現でき、かつ本明細書は、大量のアプリケーションに適用することができる。後の請求項において特許請求された全ての適用、修飾及び変更はいずれも、本明細書の範囲に属する。
【0260】
また、本明細書は、特定の単語を使用して本明細書の実施例を説明する。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」及び/又は「いくつかの実施例」とは、本明細書の少なくとも1つの実施例に関連するある特徴、構造又は特性を指す。したがって、本明細書において異なる位置で2回以上言及された「一実施例」、「1つの実施例」、「1つの代替的な実施例」、「別の実施例」又は「別の1つの実施例」は、必ずしも同一の実施例を指すものではないことに強調及び注意されるべきである。また、本明細書の1つ以上の実施例のある特徴、構造又は特性を適宜組み合わせることができる。
【0261】
当業者であれば、本明細書に開示された内容は、複数の変形及び改善を有することができる。例えば、以上に説明された異なるシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスによって実現されるが、ソフトウェアの解決手段のみによって実現されてもよく、例えば、従来のサーバにシステムをインストールすることにより実現されてもよい。また、本明細書に開示された位置情報の提供は、1つのファームウェア、ファームウェア/ソフトウェアの組み合わせ、ファームウェア/ハードウェアの組み合わせ、又はハードウェア/ファームウェア/ソフトウェアの組み合わせにより実現される可能性がある。
【0262】
全てのソフトウェア又はそのうちの一部は、インターネット又は他の通信ネットワークなどのネットワークを介して通信することがある。このような通信は、ソフトウェアを1つのコンピュータ装置又はプロセッサから別のコンピュータ装置又はプロセッサにロードすることができる。例えば、放射線治療システムの1つの管理サーバ又はホストコンピュータから1つのコンピュータ環境のハードウェアプラットフォーム、又はシステムを実現する他のコンピュータ環境、又は車椅子目標構造パラメータの決定に必要な情報に関する類似の機能を提供するシステムにロードする。したがって、ソフトウェア素子を搬送することができる別の媒体は、ローカルデバイス間の物理的接続として使用されてもよく、例えば、光波、電波、電磁波などは、ケーブル、光ケーブル、又は空気を介して伝搬される。波の伝搬に用いられる物理媒体、例えばケーブル、無線接続又は光ケーブルなどの類似のデバイスは、ソフトウェアを搬送する媒体と見なされてもよい。ここでの使用法は、有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械の「可読媒体」を表す他の用語は、いずれもプロセッサが任意の命令を実行するプロセスにおいて関与する媒体を表す。
【0263】
本明細書の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向型プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran2003、Perl、COBOL2002、PHP、ABAPなどの従来の手続型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語で記述することができる。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されるか、又は独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されるか、又は部分的にユーザコンピュータ上で実行され、部分的にリモートコンピュータ上で実行されるか、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者の状況では、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形式でユーザコンピュータに接続されても、(例えば、インターネットを介して)外部コンピュータに接続されても、クラウドコンピューティング環境において使用されても、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして使用されてもよい。
【0264】
また、請求項に記載されていない限り、本明細書の上記記載の処理要素及びシーケンスの順序、数字のアルファベットの使用、又はその他の名称の使用は、本明細書の流れ及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において様々な例によって現在では有用であると考えられるいくつかの発明の実施例を検討したが、そのような詳細が説明の目的のみで提供され、付加的な請求項が開示された実施例に限定されず、逆に、請求項は本明細書の実施例の実質及び範囲に合致するすべての修正及び等価な組み合わせをカバーすることを意図することに理解されるべきである。例えば、以上に説明されたシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスによって実現されるが、ソフトウェアの解決手段のみによって実現されてもよく、例えば、従来のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実現されてもよい。
【0265】
同様に、本明細書に開示された記述を簡略化して、1つ以上の発明の実施例に対する理解を助けるために、本明細書の実施例に対する上述した説明において、複数の特徴を1つの実施例、図面又はそれに対する説明に統合する場合があることに注意されるべきである。しかしながら、このような開示方法は、本明細書の対象に必要な特徴が請求項に言及された特徴より多いいということを意味するものではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示の単一の実施例の全ての特徴より少ない。
【0266】
いくつかの実施例では、属性、数量を説明した数字を使用するが、理解すべきことは、このような実施例の説明に使用された数字が、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「大体」などを使用して修飾されることである。特に説明しない限り、「約」、「ほぼ」又は「大体」は、上記数字の±20%の変化が許容されることを示す。対応的に、いくつかの実施例では、明細書及び請求項に使用される数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特徴に応じて変更することができる近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについて、所定の有効桁数を考慮し、かつ一般的な丸め手法を使用すべきである。本明細書のいくつかの実施例では、その範囲を確認する数値範囲及びパラメータが近似値であるが、具体的な実施例では、このような数値は、実行可能な範囲内にできるだけ正確に設定される。
【0267】
本明細書が引用する各特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書、物品などの他の資料は、本明細書の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又はその後に本明細書に付加される)本明細書の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除外して、特にその全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。なお、本明細書の付属材料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本明細書の上記内容と一致しないか又は矛盾すれば、本明細書の説明、定義及び/又は用語の使用を基準とする。
【0268】
最後に、本明細書における上記実施例が本明細書の実施例の原則を説明するためのものに過ぎないことを理解されたい。他の変形は本明細書の範囲に属する可能性がある。したがって、限定ではなく例として、本明細書の実施例の代替構成は本明細書の教示と一致するものと見なすことができる。対応的に、本明細書の実施例は、本明細書に明確に説明及び記載された実施例に限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャビティを含むマルチキャビティ式成長装置
(200)において行われた複合結晶の製造方法であって、
少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップと、
前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で目標結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得るステップと、を含む複合結晶の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理する前に、前記方法は、
前記少なくとも1つの基板に対して研磨処理を行うステップ
及び/又は前記少なくとも1つの基板に対して洗浄処理を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1温度区間において、エッチング液を使用して前記複合結晶を第1時間超音波洗浄して、基底面転位密度が120~2000cm
-2の前記目標結晶を得るステップをさらに含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マルチキャビティ式成長装置
(200)は、インサイチュエッチングキャビティ
(202)、炭化キャビティ
(203)、成長キャビティ
(204)、バッファキャビティ
(205)及び搬送アセンブリ
(208)を少なくとも含み、前記搬送アセンブリ
(208)により、少なくとも1つの基板を順に前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)、前記炭化キャビティ
(203)、前記成長キャビティ
(204)及び前記バッファキャビティ
(205)に通過させて処理する、請求項1
から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基板を順に前記複数のキャビティの間に搬送及び処理することを完了する前に、別のロットの少なくとも1つの基板を複数のキャビティの間に搬送及び処理することを開始し、2つのロットの前記少なくとも1つの基板を異なるキャビティにそれぞれ同時に搬送及び処理するステップをさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記マルチキャビティ式成長装置
(200)は、真空キャビティ
(201)を含み、前記方法は、
前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)内に処理する前に、前記少なくとも1つの基板を前記真空キャビティ
(201)内に置くステップと、
前記真空キャビティ
(201)の圧力及び前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)の圧力を第1圧力区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリ
(208)により、前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)に搬送するステップと、を含む、請求項
4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの基板を前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)内に処理するステップは、
第2時間の範囲内に、前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)の圧力を第2圧力区間に維持し、温度を第2温度区間に維持するステップと、
前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)の圧力が常圧になるまで水素ガスを導入し、第3時間の範囲内に前記インサイチュエッチングキャビティ
(202)の温度を第3温度区間に維持するとともにインサイチュエッチング処理を行うステップと、を含む、請求項
4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの基板を前記炭化キャビティ
(203)内に処理するステップは、
第4時間内に、炭化キャビティ
(203)の圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行うステップを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化処理は、
前記炭化キャビティ
(203)の温度を前記第3温度区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリ
(208)により、前記少なくとも1つの基板を前記炭化キャビティ
(203)内に搬送するステップと、
前記炭化キャビティ
(203)の温度を第5温度区間に調整し、圧力を第4圧力区間に調整し、第3圧力区間になるまでプロパンガス及び水素ガスを同時に導入し、かつ第4時間内に、炭化キャビティ
(203)の圧力を第3圧力区間に維持し、温度を第4温度区間に維持するとともに炭化処理を行うステップと、を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティ
(204)内に処理するステップは、
成長キャビティ
(204)の温度を第6温度区間に維持し、圧力を前記第4圧力区間に維持し、反応原料を導入し、圧力を第5圧力区間に調整するとともに結晶成長プロセスを行うステップを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶成長プロセスは、
前記成長キャビティ
(204)の温度を前記第4温度区間に調整し、圧力を前記第3圧力区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリ
(208)により、前記少なくとも1つの基板を前記成長キャビティ
(204)に搬送するステップと、
前記成長キャビティ
(204)の温度を第6温度区間に調整し、圧力を前記第4圧力区間に調整し、第5圧力区間になるまでシラン、プロパンガス及び水素ガスを導入して、結晶成長を行うステップと、
前記目標結晶の厚さが目標厚さになると、結晶成長を停止するステップと、を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの基板を前記バッファキャビティ
(205)内に処理するステップは、
第5時間内に、バッファキャビティ
(205)の温度を第7温度区間に維持するとともに、冷却降温処理を行うステップを含む、請求項
10又は11に記載の方法。
【請求項13】
冷却降温処理は、
前記バッファキャビティ
(205)の温度を前記第6温度区間に調整するステップと、
前記搬送アセンブリ
(208)により、前記複合結晶を前記バッファキャビティ
(205)に搬送するステップと、
前記バッファキャビティ
(205)の温度を第7温度区間に調整し、第5時間内に、バッファキャビティ
(205)の温度を第7温度区間に維持するとともに、冷却降温処理を行うステップと、を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記マルチキャビティ式成長装置
(200)は、端末キャビティ
(206)を含み、前記方法は、前記端末キャビティ
(206)の温度を室温に維持するステップと、
前記搬送アセンブリ
(208)により、前記複合結晶を前記端末キャビティ
(206)に搬送するステップと、
前記複合結晶を室温に冷却するステップと、をさらに含む、請求項
12又は13に記載の方法。
【請求項15】
結晶製造プロセスに適用される複合結晶の製造システム
(100)であって、
コンピュータ命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリと通信し、前記コンピュータ命令を実行する場合、前記システム
(100)に、
少なくとも1つの基板を順に複数のキャビティの間に搬送及び処理するステップ、及び
前記複数のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、気相成長法で目標結晶を成長させて、前記基板及び目標結晶を含む少なくとも1つの複合結晶を得るステップを実行させる少なくとも1つのプロセッサと、を含む、複合結晶の製造システム
(100)。
【国際調査報告】