(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】機能性抗原結合タンパク質のスクリーニングに用いられるベクターおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/85 20060101AFI20240319BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240319BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C12N15/85 Z
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/09
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561051
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2022084229
(87)【国際公開番号】W WO2022206868
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110350207.1
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523375249
【氏名又は名称】ディーディーバイオ.カンパニー、リミテッド、(シャンハイ)
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チェン
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
機能性抗原結合タンパク質を選択する方法であって、それはバクテリオファージのディスプレイ法および/または細胞ディスプレイ法によって、既知の配列および機能の参照抗原結合タンパク質の軽鎖またはそのフラグメント、または参照抗原結合タンパク質の重鎖またはそのフラグメント構築発現ベクターを使用し、それによって参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する機能性抗原結合タンパク質を選択する。本願はさらに前記方法によって得られる機能性抗原結合タンパク質を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、機能性抗原結合タンパク質を選択する方法:
a)第一ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR1-核酸フラグメントI-R2を含み、前記核酸フラグメントIは抗原結合フラグメントIをコードすることができる;
b)第二ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR3-参照核酸フラグメントII-R4を含み、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合フラグメントIIをコードでき、前記参照抗原結合フラグメントIIは参照核酸フラグメントIをコードする参照抗原結合フラグメントIと参照抗原結合タンパク質を形成できる;
c)第一ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR2-ベクターフラグメントI-R3を含む;
d)第二ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR4-ベクターフラグメントII-R1を含む;
e)制限エンドヌクレアーゼで前記第一ポリヌクレオチド、前記第二ポリヌクレオチド、前記第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第一ポリヌクレオチド、切断後の第二ポリヌクレオチド、切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得ること;
f)前記切断後の第一ポリヌクレオチド、前記切断後の第二ポリヌクレオチド、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第一スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;
g)前記第一スクリーニング対象ベクターを発現し、以下の性質を有する発現産物を発現できる第一スクリーニング対象ベクターを第一置換ベクターとして選択すること:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力は前記参照抗原結合タンパク質と前記標の結合能力の30%以上である;
h)前記第一置換ベクターから前記機能性抗原結合タンパク質を得ること;
ここで、前記R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【請求項2】
前記R1およびR2を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第一ポリヌクレオチドを切断し、切断後の第一ポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記R3およびR4を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第二ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第二ポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記R2およびR3を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第一ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項1-~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記R4およびR1を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項1-~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記R1は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R2、R3およびR4のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記R2は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端が前記R1、R3およびR4いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記R3は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R1、R2およびR4いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記R4は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R1、R2およびR3いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記制限エンドヌクレアーゼがSfiIおよびBsmBIから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第一スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記第一スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第一スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記第一スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ベクターフラグメントIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIIがディスプレイベクターに由来する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIが前記リンカーを含み、前記参照核酸フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIIが前記ディスプレイベクターに由来する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記R1がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項13~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記R2がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記R3がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記R4がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ベクターフラグメントIIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIがディスプレイベクターに由来する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIは前記ディスプレイベクターに由来し、前記参照核酸フラグメントIIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIIは前記リンカーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記R1がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項19~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記R2がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記R3はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記R4がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ディスプレイベクターがpComb3xベクターに由来する、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記リンカーがシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む、請求項13~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記リンカーの長さが約50から約200塩基である、請求項13~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法であって、前記第一スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記第一スクリーニング対象ベクターのDNAを得て、前記第一スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む、前記方法。
【請求項29】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ベクターフラグメントIおよび/または前記ベクターフラグメントIIが哺乳動物細胞発現ベクターに由来する、請求項28~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳動物細胞発現ベクターがpDGB4に由来する、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参照核酸フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記R1がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記R2がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記R3がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記R4がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項28~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記核酸フラグメントIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参照核酸フラグメントIIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記R1がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記R2がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記R3がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記R4がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
以下を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法:
a)第三ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR5~核酸フラグメントI’~R6を含む;
b)第四ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR7~核酸フラグメントII’~R8を含み、前記核酸フラグメントII’は抗原結合タンパク質II’をコードでき、且つ前記抗原結合フラグメントII’は前記参照抗原結合フラグメントIに結合して以下の性質を有する抗原結合タンパク質を形成できる:参照抗原結合タンパク質が結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;
c)第三ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR6~ベクターフラグメントIII~R7を含む;
d)第四ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR8~ベクターフラグメントIV~R5を含む;
e)制限エンドヌクレアーゼで前記第三ポリヌクレオチド、前記第四ポリヌクレオチド、前記第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第三ポリヌクレオチド、切断後の第四ポリヌクレオチド、切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得る;
f)前記切断後の第三ポリヌクレオチド、前記切断後の第四ポリヌクレオチド、前記切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして二重置換スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;
g)前記二重置換スクリーニング対象ベクターを発現させ、以下の性質を有する発現産物を発現できる二重置換スクリーニング対象ベクターを二重置換ベクターとして選択すること:前記標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;
h)前記二重置換ベクターから前記機能性抗原結合タンパク質を得ること;
ここで、前記R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して前記制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【請求項43】
前記R5およびR6を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第三ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第三ポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記R7およびR8を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第四ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第四ポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項42~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記R6およびR7を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第三ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第三ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記R8およびR5を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記R5は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R6、R7およびR8いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記R6は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R5、R7およびR8いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記R7は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R5、R6およびR8いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記R8は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R5、R6およびR7いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項42~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記制限エンドヌクレアーゼがSfiIおよびBsmBIから選択される、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記二重置換スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む、請求項42~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記二重置換スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む、請求項42~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ベクターフラグメントIIIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIVがディスプレイベクターに由来する、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記核酸フラグメントI’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIIIが前記リンカーを含み、前記核酸フラグメントII’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIVが前記ディスプレイベクターに由来する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記R5がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記R6がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項42~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記R7がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項42~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記R8がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項42~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ベクターフラグメントIVがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIIIがディスプレイベクターに由来する、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記核酸フラグメントI’が抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIIIが前記ディスプレイベクターに由来し、前記核酸フラグメントII’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIVが前記リンカーを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記R5がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項60~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記R6がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記R7がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記R8がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記ディスプレイベクターがpComb3xベクターに由来する、請求項54~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記リンカーがシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む、請求項54~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記リンカーの長さが約50から約200塩基である、請求項54~67に記載の方法。
【請求項69】
請求項42~52のいずれか一項に記載の方法であって、前記二重ディスプレイスクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記二重ディスプレイスクリーニング対象ベクターのDNAを取得し、前記二重ディスプレイスクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む、前記方法。
【請求項70】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記ベクターフラグメントIIIおよび/または前記ベクターフラグメントIVが哺乳動物発現ベクターに由来する、請求項69~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記哺乳動物発現ベクターがpDGB4に由来する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記核酸フラグメントI’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記核酸フラグメントII’が抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする、請求項69~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記R5がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項69~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記R6がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項69~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記R7がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項69~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記R8がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項69~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記核酸フラグメントI’が抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記核酸フラグメントII’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする、請求項69~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記R5がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記R6がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項78~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記R7がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項78~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記R8がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項78~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
以下を含む、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法:
a)第五ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR9~参照核酸フラグメントI~R10を含む;
b)第六ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR11~参照核酸フラグメントII~R12を含む;
c)第五ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR10~ベクターフラグメントV~R11を含む;
d)第六ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR12~ベクターフラグメントVI~R9を含む;
e)制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチド、前記第六ポリヌクレオチド、前記第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第五ポリヌクレオチド、切断後の第六ポリヌクレオチド、切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得ること;
f)前記切断後の第五ポリヌクレオチド、前記切断後の第六ポリヌクレオチド、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第二スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;
g)前記第二スクリーニング対象ベクターを発現させ、以下の性質を有する発現産物を発現できる第二スクリーニング対象ベクターを第二置換ベクターとして選択すること:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;
h)前記第二置換ベクターの核酸フラグメントIIを前記核酸フラグメントII’として選択する;
ここで、前記R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【請求項84】
前記R9およびR10を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第五ポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記R11およびR12を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第六ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第六ポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項83~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記R10およびR11を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第五ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項83~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記R12およびR9を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む、請求項83~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記R9は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R10、R11およびR12いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項83~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記R10は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R11、R12およびR9いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項83~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記R11は特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R9、R10およびR12いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項83~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記R12は特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R9、R10およびR11いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、請求項83~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記制限エンドヌクレアーゼがSfiIおよびBsmBIから選択される、請求項83~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記第二スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記第二スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む、請求項83~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記第二スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記第二スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを調製し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む、請求項83~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記ベクターフラグメントVがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントVIがディスプレイベクターに由来する、請求項83~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記参照核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントVが前記リンカーを含み、前記核酸フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントVIが前記ディスプレイベクターに由来する、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記R9がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項83~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記R10がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項83~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記R11がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項83~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記R12がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項83~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記ベクターフラグメントVIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントVがディスプレイベクターに由来する、請求項83~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記参照核酸フラグメントIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントVが前記ディスプレイベクターに由来し、前記核酸フラグメントIIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントVIが前記リンカーを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記R9がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項101~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記R10がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項101~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記R11がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記R12がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項101~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記ディスプレイベクターがpComb3xベクターに由来する、請求項95~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記リンカーがシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む、請求項95~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記リンカーの長さが約50から約200塩基である、請求項95~108に記載の方法。
【請求項110】
請求項83~93のいずれか一項に記載の方法であって、前記第二スクリーニング対象ベクターを細菌に導入すること、前記細菌から前記第二スクリーニング対象ベクターのDNAを取得すること、前記第二スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入すること;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ること、を含む、前記方法。
【請求項111】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記ベクターフラグメントVおよび/または前記ベクターフラグメントVIが哺乳動物発現ベクターに由来する、請求項110~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記哺乳動物発現ベクターがpDGB4に由来する、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記参照核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参照フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする、請求項110~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記R9がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項110~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記R10はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項110~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記R11がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項110~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記R12がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項110~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記参照核酸フラグメントIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記核酸フラグメントIIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする、請求項110~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記R9がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記R10がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項119~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記R11がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記R12がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記抗原結合タンパク質が抗体または抗体フラグメントを含む、請求項1~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記抗体フラグメントがscFv,Fab,Fab’,(Fab)
2および/または(Fab’)
2を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記一定方向のライゲーションがリガーゼを使用することを含む、請求項1~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記リガーゼがDNAリガーゼである、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
抗原結合タンパク質を製造する方法であって、請求項1~127のいずれか一項に記載の第一置換ベクター、請求項83~127のいずれか一項に記載の第二置換ベクターおよび/または請求項42~127のいずれか一項に記載の二重置換ベクターを発現させる条件下で、請求項1~127のいずれか一項に記載の第一置換ベクター、請求項83~127のいずれか一項に記載の第二置換ベクターおよび/または請求項42~127のいずれか一項に記載の二重置換ベクターを発現させることを含む、前記方法。
【請求項129】
請求項1~127のいずれか一項に記載の方法によって得られた第一置換ベクター。
【請求項130】
請求項83~127のいずれか一項に記載の方法によって得られた第二置換ベクター。
【請求項131】
請求項42~127のいずれか一項に記載の方法によって得られた二重置換ベクター。
【請求項132】
請求項1~127のいずれか一項に記載の方法によって得られた機能性抗原結合タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本願は生物医学分野に関し、具体的には抗原結合タンパク質を発現するベクター、および機能性抗原結合タンパク質のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連する技術の説明
現在、抗体工業において、所望の性質を有する機能性抗体またはその抗原結合フラグメントを得るために応用する方法には主にハイブリドーマ技術および抗体ライブラリ技術がある。しかし、ハイブリドーマ技術には候補クローンの数が少なく、陽性クローンが失われやすいという問題が存在し、且つ陽性クローンの選択、特に複雑な機能スクリーニングには、大量の時間と作業量を必要とする。抗体ライブラリ技術は遺伝子工学を利用した方法で体重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子をプラスミドまたはバクテリオファージにクローニングして発現させ、その後異なる抗原スクリーニングを利用して特異的抗体遺伝子を有するクローンをスクリーニングし、それは主にバクテリオファージディスプレイ法および酵母表面ディスプレイ法を含む。抗体ライブラリ技術は貯蔵量を大幅に向上させ、目標抗原は一般的に複数(例えば、数個、数十個、さらには数百個)の抗原決定基を有するが、所望の生物機能を有する抗原決定基は一つまたは数個のみである可能性がある。目標ターゲットの抗原特異性抗体またはその抗原結合フラグメントをスクリーニングする際に、どの抗原決定基が所望の生物学機能を有するか分からない。従来技術は一般的にまず抗原特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを獲得し、さらに逐一分析して同定し、特定抗原決定基と結合し、所望の生物学機能を有する抗体またはその抗原結合フラグメントを探し、長い時間と大量の作業量を必要とし、且つスクリーニング効果が低い。従って、新たな抗体またはその抗原結合フラグメント発現技術によって、リード分子の品質を向上させ、数量および多様性を向上させ、薬物の開発速度を加速させ、開発成功率を向上させる必要がある。
【0003】
一方で、本願は機能性抗原結合タンパク質を選択する方法を提供し、ただし、それは以下を含む:a)第一ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR1-核酸フラグメントI-R2を含み、前記核酸フラグメントIは抗原結合フラグメントIをコードできる;b)第二ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR3-参照核酸フラグメントII-R4を含み、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合フラグメントIIをコードでき、前記参照抗原結合フラグメントIIは参照核酸フラグメントIによってコードされる参照抗原結合フラグメントIと参照抗原結合タンパク質を形成できる;c)第一ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR2-ベクターフラグメントI-R3を含む;d)第二ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR4-ベクターフラグメントII-R1を含む;e)制限エンドヌクレアーゼで前記第一ポリヌクレオチド、前記第二ポリヌクレオチド、前記第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第一ポリヌクレオチド、切断後の第二ポリヌクレオチド、切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得ること;f)前記切断後の第一ポリヌクレオチド、前記切断後の第二ポリヌクレオチド、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第一スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;g)前記第一スクリーニング対象ベクターを発現させ、以下の性質を有する発現産物を発現できる第一スクリーニング対象ベクターを第一置換ベクターとして選択すること:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;h)前記第一置換ベクターから前記機能性抗原結合タンパク質を得ること;ここで、前記R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【0004】
ある実施形態では、前記方法は前記R1およびR2を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第一ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第一ポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0005】
ある実施形態では、前記方法は前記R3およびR4を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第二ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第二ポリヌクレオチドを含む。
【0006】
ある実施形態では、前記方法は前記R2およびR3を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第一ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0007】
ある実施形態では、前記方法は用前記R4およびR1を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0008】
ある実施形態では、前記R1は特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R2、R3およびR4のいずれに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成されるいずれの末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0009】
ある実施形態では、前記R2は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R1、R3およびR4のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0010】
ある実施形態では、前記R3は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R1、R2およびR4のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0011】
ある実施形態では、前記R4は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R1、R2およびR3のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0012】
ある実施形態では、前記制限エンドヌクレアーゼはSfiIおよびBsmBIから選択される。
【0013】
ある実施形態では、前記方法は前記第一スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記第一スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む。
【0014】
ある実施形態では、前記方法は前記第一スクリーニングベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記第一スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む。
【0015】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントIはリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIIはディスプレイベクターに由来する。
【0016】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIは前記リンカーを含み、前記参照核酸フラグメントIIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIIは前記ディスプレイベクターに由来する。
【0017】
ある実施形態では、前記R1はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0018】
ある実施形態では、前記R2はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0019】
ある実施形態では、前記R3はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0020】
ある実施形態では、前記R4はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0021】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントIIはリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIはディスプレイベクターに由来する。
【0022】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIは前記ディスプレイベクターに由来し、前記参照核酸フラグメントIIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIIは前記リンカーを含む。
【0023】
ある実施形態では、前記R1はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0024】
ある実施形態では、前記R2はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0025】
ある実施形態では、前記R3はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0026】
ある実施形態では、前記R4はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0027】
ある実施形態では、前記ディスプレイベクターはpComb3xベクターに由来する。
【0028】
ある実施形態では、前記リンカーはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。
【0029】
ある実施形態では、前記リンカーの長さは約50から約200塩基である。
【0030】
ある実施形態では、前記方法は前記第一スクリーニングベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記第一スクリーニング対象ベクターのDNAを取得し、前記第一スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む。
【0031】
ある実施形態では、前記細胞は哺乳動物細胞である。
【0032】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントIおよび/または前記ベクターフラグメントIIは哺乳動物細胞発現ベクターに由来する。
【0033】
ある実施形態では、前記哺乳動物細胞発現ベクターはpDGB4に由来する。
【0034】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参照核酸フラグメントIIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする。
【0035】
ある実施形態では、前記R1はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0036】
ある実施形態では、前記R2はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0037】
ある実施形態では、前記R3はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0038】
ある実施形態では、前記R4はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0039】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参照核酸フラグメントIIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする。
【0040】
ある実施形態では、前記R1はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0041】
ある実施形態では、前記R2はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0042】
ある実施形態では、前記R3はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0043】
ある実施形態では、前記R4はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0044】
ある実施形態では、前記方法は以下を含む:a)第三ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR5-核酸フラグメントI’-R6を含む;b)第四ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR7-核酸フラグメントII’-R8を含み、前記核酸フラグメントII’は抗原結合タンパク質II’をコードでき、且つ前記抗原結合フラグメントII’は前記参照抗原結合フラグメントIに結合して以下の性質を有する抗原結合タンパク質を形成できる:参照抗原結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;c)第三ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR6-ベクターフラグメントIII-R7を含む;d)第四ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR8-ベクターフラグメントIV-R5を含む;e)制限エンドヌクレアーゼで前記第三ポリヌクレオチド、前記第四ポリヌクレオチド、前記第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第三ポリヌクレオチド、切断後の第四ポリヌクレオチド、切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得ること;f)前記切断後の第三ポリヌクレオチド、前記切断後の第四ポリヌクレオチド、前記切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして二重置換スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;g)前記二重置換スクリーニング対象ベクターを発現させ、以下の性質を有する発現産物を発現する二重置換スクリーニング対象ベクターを二重置換ベクターとして選択すること:前記標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;h)前記二重置換ベクターから前記機能性抗原結合タンパク質を得ること;ここで、前記R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して前記制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【0045】
ある実施形態では、前記方法は前記R5およびR6を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第三ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第三ポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0046】
ある実施形態では、前記方法は前記R7およびR8を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第四ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第四ポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0047】
ある実施形態では、前記方法は前記R6およびR7を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第三ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第三ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0048】
ある実施形態では、前記方法は用前記R8およびR5を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0049】
ある実施形態では、前記R5は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R6、R7およびR8のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成されるいずれの末端に対しても、相互に識別されるかまたは結合しない。
【0050】
ある実施形態では、前記R6は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R5、R7およびR8のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0051】
ある実施形態では、前記R7は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R5、R6およびR8のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0052】
ある実施形態では、前記R8は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R5、R6およびR7のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0053】
ある実施形態では、前記制限エンドヌクレアーゼはSfiIおよびBsmBIから選択される。
【0054】
ある実施形態では、前記方法は前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記二重置換スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む。
【0055】
ある実施形態では、前記方法は前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記二重置換スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む。
【0056】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントIIIはリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIVはディスプレイベクターに由来する。
【0057】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントI’は抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIIIは前記リンカーを含み、前記核酸フラグメントII’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIVは前記ディスプレイベクターに由来する。
【0058】
ある実施形態では、前記R5はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0059】
ある実施形態では、前記R6はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0060】
ある実施形態では、前記R7はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0061】
ある実施形態では、前記R8はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0062】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントIVはリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIIIはディスプレイベクターに由来する。
【0063】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントI’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIIIは前記ディスプレイベクターに由来し、前記核酸フラグメントII’は抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントIVは前記リンカーを含む。
【0064】
ある実施形態では、前記R5はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0065】
ある実施形態では、前記R6はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0066】
ある実施形態では、前記R7はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0067】
ある実施形態では、前記R8はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0068】
ある実施形態では、前記ディスプレイベクターはpComb3xベクターに由来する。
【0069】
ある実施形態では、前記リンカーはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。
【0070】
ある実施形態では、前記リンカーの長さは約50から約200塩基である。
【0071】
ある実施形態では、前記方法は前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記二重置換スクリーニング対象ベクターのDNAを取得し、前記二重置換スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む。
【0072】
ある実施形態では、前記細胞は哺乳動物細胞である。
【0073】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントIIIおよび/または前記ベクターフラグメントIVは哺乳動物発現ベクターに由来する。
【0074】
ある実施形態では、前記哺乳動物発現ベクターはpDGB4に由来する。
【0075】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントI’は抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記核酸フラグメントII’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする。
【0076】
ある実施形態では、前記R5はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0077】
ある実施形態では、前記R6はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0078】
ある実施形態では、前記R7はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0079】
ある実施形態では、前記R8はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0080】
ある実施形態では、前記核酸フラグメントI’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記核酸フラグメントII’は抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする。
【0081】
ある実施形態では、前記R5はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0082】
ある実施形態では、前記R6はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0083】
ある実施形態では、前記R7はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0084】
ある実施形態では、前記R8はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0085】
ある実施形態では、前記方法は以下を含む:a)第五ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR9-参照核酸フラグメントI-R10を含む;b)第六ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR11-核酸フラグメントII-R12を含む;c)第五ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR10-ベクターフラグメントV-R11;d)第六ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR12-ベクターフラグメントVI-R9を含む;e)制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチド、前記第六ポリヌクレオチド、前記第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第五ポリヌクレオチド、切断後の第六ポリヌクレオチド、切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得ること;f)前記切断後の第五ポリヌクレオチド、前記切断後の第六ポリヌクレオチド、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第二スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;g)前記第二スクリーニング対象ベクターを発現させ,以下の性質を有する発現産物を発現できる第二スクリーニング対象ベクターを第二置換ベクターとして選択すること:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;h)前記第二置換ベクターの核酸フラグメントIIを前記核酸フラグメントII’として選択すること;ここで、前記R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【0086】
ある実施形態では、前記方法は前記R9およびR10を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第五ポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0087】
ある実施形態では、前記方法は前記R11およびR12を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第六ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第六ポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0088】
ある実施形態では、前記方法は前記R10およびR11を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第五ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0089】
ある実施形態では、前記方法は前記R12およびR9を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得ることを含む。
【0090】
ある実施形態では、前記R9は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R10、R11およびR12のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0091】
ある実施形態では、前記R10は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R11、R12およびR9のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0092】
ある実施形態では、前記R11は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R9、R10およびR12のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0093】
ある実施形態では、前記R12は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端は、前記R9、R10およびR11のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない。
【0094】
ある実施形態では、前記制限エンドヌクレアーゼはSfiIおよびBsmBIから選択される。
【0095】
ある実施形態では、前記方法は前記第二スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記第二スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む。
【0096】
ある実施形態では、前記方法は前記第二スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記第二スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む。
【0097】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントVはリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントVIはディスプレイベクターに由来する。
【0098】
ある実施形態では、前記参照核酸フラグメントIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントVは前記リンカーを含み、前記核酸フラグメントIIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントVIは前記ディスプレイベクターに由来する。
【0099】
ある実施形態では、前記R9はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0100】
ある実施形態では、前記R10はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0101】
ある実施形態では、前記R11はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0102】
ある実施形態では、前記R12はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0103】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントVIはリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントVはディスプレイベクターに由来する。
【0104】
ある実施形態では、前記参照核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントVは前記ディスプレイベクターに由来し、前記核酸フラグメントIIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記ベクターフラグメントVIは前記リンカーを含む。
【0105】
ある実施形態では、前記R9はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0106】
ある実施形態では、前記R10はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0107】
ある実施形態では、前記R11はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0108】
ある実施形態では、前記R12はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0109】
ある実施形態では、前記ディスプレイベクターはpComb3xベクターに由来する。
【0110】
ある実施形態では、前記リンカーはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。
【0111】
ある実施形態では、前記リンカーの長さは約50から約200塩基である。
【0112】
ある実施形態では、前記方法は前記第二スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記第二スクリーニング対象ベクターのDNAを取得し、前記第二スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む。
【0113】
ある実施形態では、前記細胞は哺乳動物細胞である。
【0114】
ある実施形態では、前記ベクターフラグメントVおよび/または前記ベクターフラグメントVIは哺乳動物発現ベクターに由来する。
【0115】
ある実施形態では、前記哺乳動物発現ベクターはpDGB4に由来する。
【0116】
ある実施形態では、前記参照核酸フラグメントIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参比フラグメントIIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする。
【0117】
ある実施形態では、前記R9はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0118】
ある実施形態では、前記R10はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0119】
ある実施形態では、前記R11はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0120】
ある実施形態では、前記R12はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0121】
ある実施形態では、前記参照核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記核酸フラグメントIIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする。
【0122】
ある実施形態では、前記R9はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0123】
ある実施形態では、前記R10はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0124】
ある実施形態では、前記R11はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0125】
ある実施形態では、前記R12はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0126】
ある実施形態では、前記抗原結合タンパク質は抗体または抗体フラグメントを含む。
【0127】
ある実施形態では、前記抗体フラグメントはscFv,Fab,Fab’、(Fab)2および/または(Fab’)2を含む。
【0128】
ある実施形態では、前記一定方向のライゲーションはリガーゼを使用することを含む。
【0129】
ある実施形態では、前記リガーゼはDNAリガーゼである。
【0130】
他方では、本願は抗原結合タンパク質を製造する方法を提供し、ただし、それは前記第一置換ベクター、前記第二置換ベクターおよび/または前記二重置換ベクターが発現する条件下において、前記第一置換ベクター、前記第二置換ベクターおよび/または前記二重置換ベクターを発現させる。
【0131】
別の態様によれば、本願は前記方法に基づいて製造される第一置換ベクターを提供する。
【0132】
他方では、本願は前記方法に基づいて製造される第二置換ベクターを提供する。
【0133】
他方では、本願は前記方法に基づいて製造される二重置換ベクターを提供する。
【0134】
他方では、本願は前記方法に基づいて製造して得られる機能性抗原結合タンパク質を提供する。
【0135】
[発明の簡単な概要]
本願は機能性抗原結合タンパク質を選択する方法を提供し、ただし、前記方法は、べクター(例えば、前記二重置換スクリーニング対象ベクター、前記第一のスクリーニング対象ベクターおよび/または前記第二のスクリーニング対象ベクター)の構築を、既知の配列および/または該ベクターを発現する機能を有する参照抗原結合タンパク質の参照抗原結合フラグメント(例えば、参照抗原結合フラグメントIおよび/または参照抗原結合フラグメントII)を利用して行い、その後前記ベクターの発現産物と前記参照抗原結合タンパク質が識別できる標的との結合活性に基づき、前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを包含する。本願はさらに前記ベクターを構築する方法、および前記ベクターによって得る機能性抗原結合タンパク質を提供する。本願は従来技術において既知の配列および/または機能の参照抗原結合タンパク質の軽重鎖またはそのフラグメントによって、抗体のバクテリオファージディスプレイ法または細胞表面ディスプレイ法スクリーニングを組み合わせて所望の性質を有する新規な機能性抗原結合タンパク質を得る;スクリーニングして得られた前記機能性抗原結合タンパク質と参照抗原結合タンパク質は、同じまたは近いエピトープに結合する可能性が高く、生物活性を有する可能性が高く、スクリーニング効率が高く、且つスクリーニング時間が短い可能性が高い。
【0136】
当業者であれば以下の詳細な説明から本願のその他の様態および利点について容易に理解できる。以下の詳細な説明では本願の例示的な実施形態のみを示し、説明する。当業者であれば理解できるように、本願の内容は当業者が発明の精神および範囲から逸脱することなく開示された具体的な実施形態に変更を行うことができる。また、本願の図面および明細書における説明は例示的なものにすぎず、制限することを意図するものでもない。
本願に関する発明の具体的な特徴は添付されている特許請求の範囲に示される。以下の詳細説明における例示的な実施方式および図面を参照することによって本願に関する発明の特徴および利点をよりよく理解することができる。付随する図面の簡単な説明は以下のとおりである:
【図面の簡単な説明】
【0137】
【
図1】
図1に示されるのは本願の前記第一スクリーニング対象ベクターの例示的な構造である;
【
図2】
図2に示されるのは本願の前記二重置換スクリーニング対象ベクターの例示的な構造である;
【
図3】
図3に示されるのは本願の前記第二スクリーニング対象ベクターの例示的な構造である。
【
図4】
図4に示されるのは本願の前記方法によって得られた抗体の抗体アゴニスト活性の分析結果である。
【
図5】
図5に示されるのは本願の前記方法によって得られた抗体の抗体エンドサイトーシス活性の分析結果である。
【
図6】
図6に示されるのは本願の前記方法で得られた抗体を単独で使用した抗腫瘍効果である。
【
図7】
図7に示されるのは本願の前記方法で得られた抗体を組み合わせて使用した抗腫瘍効果である。
【0138】
[発明の詳細な説明]
以下の特定の具体的な実施例によって本願の発明の実施態様を説明し、当業者であれば本明細書に開示された内容から本願のその他の利点および効果を理解できる。
【0139】
[用語の定義]
【0140】
本願において、用語「参照抗原結合タンパク質」は一般的には少なくとも一つの所望の生物学機能を有する抗原結合タンパク質を指す。例えば、高い親和力である標的に特異的に結合でき、あるタンパク質と特定の配位子の結合を遮断でき、および/または免疫細胞を刺激してサイトカインを分泌できるなどである。参照抗原結合タンパク質は従来技術において既知のアミノ酸配列および/または機能的抗原結合タンパク質(例えば、抗体)に由来してもよい。ある実施形態では、前記参照抗原結合タンパク質は商業化された抗体製品および/または臨床試験における抗体に由来する。どの参照抗原結合タンパク質(および「参照抗原結合フラグメントI」および/または「参照抗原結合フラグメントII」)を選択するかはどの生物学機能を有する抗原結合タンパク質を所望するかによって決まる。例えば、PD-1に特異的に結合する抗原結合タンパク質場合を獲得したい場合、PD-1抗体Nivolumab、PembrolizumabまたはCemiplimabを参照抗原結合タンパク質として選択できる。例えば、PD-L1に特異的に結合する抗原結合タンパク質を得たい場合、PD-1抗体Atezolizumab、AvelumabまたはDurvalumabを参照抗原結合タンパク質として選択できる。
【0141】
本願において、用語「参照核酸フラグメントI」は一般的には参照抗原結合フラグメントIをコードできる核酸フラグメントを指す。
【0142】
本願において、用語「参照核酸フラグメントII」は一般的には参照抗原結合フラグメントIIをコードできる核酸フラグメントを指す。
【0143】
本願において、用語「参照抗原結合フラグメントI」は一般的には参照抗原結合タンパク質を形成できるポリペプチドフラグメントを指す。前記「参照抗原結合フラグメントI」は抗体重鎖または重鎖可変領域、または重鎖フラグメントであってもよく、抗体軽鎖または軽鎖可変領域、または軽鎖フラグメントであってもよい。
【0144】
本願において、用語「参照抗原結合フラグメントII」は一般的には参照抗原結合タンパク質を形成できるポリペプチドフラグメントを指す。前記「参照抗原結合フラグメントII」は抗体重鎖または重鎖可変領域、または重鎖フラグメントであってもよく、抗体軽鎖または軽鎖可変領域、または軽鎖フラグメントであってもよい。
【0145】
「参照抗原結合フラグメントI」は「参照抗原結合フラグメントII」と抗原結合タンパク質を形成できる(例えば、参照抗原結合タンパク質)。
【0146】
本願において、用語「抗原結合タンパク質」は一般的には結合抗原部分を含むタンパク質、および任意に結合抗原の一部が抗原結合タンパク質と抗原の結合を促進することを可能にする配座の足場または骨格部分を指す。抗原結合タンパク質は典型的には抗体軽鎖可変領域(VL)、抗体重鎖可変領域(VH)または前記の両者、およびその機能性フラグメントを含んでも良い。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原と互いに作用する結合構造域を含む。抗原結合タンパク質の実例は抗体、抗原結合フラグメント、免疫コンジュゲート、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、抗体フラグメント、抗体誘導体、抗体に類似した物または融合融合タンパク質などを含むがそれらに限らず、それらが必要とする抗原結合活性を示せばよい。
【0147】
本願において、用語「抗体」は一般的には指定のタンパク質またはペプチドまたはそのフラグメントに対して反応性を有する免疫グロブリンを指す。抗体はいずれかに由来する抗体であってもよく、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgE、およびいずれかのサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)に由来する抗体を含んでもよいが、これらに限定されない。抗体は自例えばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有することができる。抗体はさらに例えばkappa(κ)またはlambda(λ)から選択される軽鎖を有してもよい。本願の抗体はいかなる種に由来してもよい。
【0148】
本願において、用語「抗原結合タンパク質」は抗体分子のある部分を指すことができ、該部分はアミノ酸残基を含み、該アミノ酸残基と抗原は相互に作用して抗体に抗原に対する特異性および親和力を付与する。本願において、用語「抗原結合タンパク質」は抗体または抗体フラグメントを含んでもよく、特にそれらの抗体軽鎖またはそのフラグメント(例えば、VL)および抗体重鎖またはそのフラグメント(例えば、VH)の抗体部分を含むことを指す。前記抗原結合タンパク質において、抗体軽鎖またはそのフラグメント(例えば、VL)および抗体重鎖またはそのフラグメント(例えば、VH)はリンカーによって(例えばペプチドリンカー)N末端またはC末端にライゲーションでき、ポリペプチド鎖を形成する。前記抗原結合タンパク質において、抗体軽鎖またはそのフラグメント(例えば、VL)および抗体重鎖またはそのフラグメント(例えば、VH)は鎖間の化学結合(例えばジスルフィド結合)によってライゲーションされ、二量体を形成してもよい。抗原結合タンパク質の実例はFab,Fab’、F(ab)2、Fvフラグメント、F(ab’)2、scFv,di-scFvおよび/またはdAbを含むが、それらに限定されない。例えば、前記抗原結合タンパク質はscFvまたはFabであってもよい。
【0149】
本願において、用語「Fab」は一般的にはパパインによって完全な構造を有する抗体を消化して(例えば、Fc領域およびヒンジ領域を除去する)2つの同じ抗原結合フラグメントを生成することを指す。Fabは完全な軽鎖、重鎖可変領域(VH)および重鎖の第一定常領域(CH1)から組成されてもよい。各Fabは単一の抗原結合部位を有してもよい。
【0150】
本願において、用語「scFv」は一般的には抗体的1つの重鎖可変構造領域および1つの軽鎖可変構造領域は柔軟なペプチドリンカーによって共有ライゲーションされて対形成される一価分子を指す。
【0151】
本願において、用語「機能性抗原結合タンパク質」は一般的には本願の方法に基づいて選択して得られた所望の機能を有する抗原結合タンパク質を指す。例えば、高い親和力である標的に特異的に結合でき、あるタンパク質と特定の配位子の結合を遮断でき、および/または免疫細胞を刺激してサイトカインを分泌できるなどである。前記機能性抗原結合タンパク質は以下の性質を有する:本願の参照結合タンパク質が結合できる標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。機能性抗原結合タンパク質は参照抗原結合フラグメントIおよび抗原結合フラグメントII’を含んでもよい。機能性抗原結合タンパク質は参照抗原結合フラグメントIIおよび抗原結合フラグメントI’を含んでもよい。機能性抗原結合タンパク質は抗原結合フラグメントI’および抗原結合フラグメントII’を含んでもよい。
【0152】
本願において、用語「核酸フラグメントI」は一般的には抗原結合フラグメントIを発現できる核酸分子を指す。核酸フラグメントIにおいて、以下の性質を有する核酸フラグメントIは核酸フラグメントI’として選択される:それが発現する抗原結合フラグメントIは参照核酸フラグメントIIが発現する参照抗原結合フラグメントIIと抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。各核酸フラグメントIがいずれも核酸フラグメントI’である訳ではない。各核酸フラグメントIが発現する抗原結合フラグメントIはいずれも参照核酸フラグメントIIが発現する参照抗原結合フラグメントIIと抗原結合タンパク質を形成することができる。
【0153】
本願において、用語“核酸フラグメントI’ ”は一般的には抗原結合フラグメントI’を発現できる核酸分子である。前記核酸フラグメントI’が発現する抗原結合フラグメントI’は参照核酸フラグメントIIが発現する参照抗原結合フラグメントIIと機能性抗原結合タンパク質を発現でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。
【0154】
本願において、用語「核酸フラグメントII」は一般的には抗原結合フラグメントIIを発現できる核酸分子である。核酸フラグメントIIにおいて、以下の性質を有する核酸フラグメントIIが核酸フラグメントII’として選択される:それが発現する抗原結合フラグメントIIは参照核酸フラグメントIが発現する参照抗原結合フラグメントIと抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。各核酸フラグメントIIがいずれも核酸フラグメントII’である訳ではない。各核酸フラグメントIIが発現する抗原結合フラグメントIIはいずれも参照核酸フラグメントIが発現する参照抗原結合フラグメントIと抗原結合タンパク質を形成することができる。
【0155】
本願において、用語「核酸フラグメントII’ 」は一般的には抗原結合フラグメントII’を発現できる核酸分子である。前記核酸フラグメントII’が発現する抗原結合タンパク質II’は参照核酸フラグメントIが発現する参照抗原結合フラグメントIと機能性抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。
【0156】
本願において、用語「抗原結合フラグメントI」は一般的には核酸フラグメントIによる発現産物であり、それは核酸フラグメントIによってコードされる。抗原結合フラグメントIにおいて、以下の性質を有する抗原結合フラグメントIは抗原結合フラグメントI’として選択できる:参照抗原結合フラグメントIIと抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。各抗原結合フラグメントIがいずれも抗原結合フラグメントI’である訳ではない。前記「抗原結合フラグメントI」は抗体重鎖または重鎖可変領域、または重鎖フラグメントであってもよく、抗体軽鎖または軽鎖可変領域、または軽鎖フラグメントであってもよい。
【0157】
本願において、用語「抗原結合フラグメントI’ 」は一般的には核酸フラグメントI’による発現産物であり、それは核酸フラグメントI’によってコードされる。抗原結合フラグメントI’は抗原結合フラグメントIにおいて参照抗原結合フラグメントIIと結合して機能性抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。
【0158】
本願において、用語「抗原結合フラグメントII」は一般的には核酸フラグメントIIによる発現産物であり、それは核酸フラグメントIIによってコードされる。抗原結合フラグメントIIにおいて、以下の性質を有する抗原結合フラグメントIIは抗原結合フラグメントII’として選択できる:参照抗原結合フラグメントIと抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。各抗原結合フラグメントIIがいずれも抗原結合フラグメントII’である訳ではない。前記「抗原結合フラグメントII」は抗体重鎖または重鎖可変領域、または重鎖フラグメントであってもよく、抗体軽鎖または軽鎖可変領域、または軽鎖フラグメントであってもよい。
【0159】
本願において、用語「抗原結合フラグメントII’」は一般的には核酸フラグメントII’の発現産物であり、それは核酸フラグメントII’によってコードされることを指す。抗原結合フラグメントII’は抗原結合フラグメントIIにおいて参照抗原結合フラグメントIに結合して機能性抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下性質を有する:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。
【0160】
本願において、用語「第一ポリヌクレオチド」は一般的には核酸フラグメントIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第一ポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)認識部位を有する。例えば、前記第一ポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R1-核酸フラグメントI-R2を含み、ここで前記R1、R2は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第一ポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R1およびR2を識別する制限エンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第一ポリヌクレオチドは前記核酸フラグメントIを含んでもよい。
【0161】
本願において、用語「第一ベクターポリヌクレオチド」は一般的にはベクターフラグメントIを含むポリヌクレオチドである。本願において、前記第一ベクターポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第一ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R2-ベクターフラグメントI-R3を含んでもよく、ここで前記R2、R3は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第一ベクターポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R2およびR3を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第一ベクターポリヌクレオチドは前記ベクターフラグメントIを含んでもよい。
【0162】
本願において、用語「第二ポリヌクレオチド」は一般的には参照核酸フラグメントIIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第二ポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第二ポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R3-参照核酸フラグメントII-R4を含んでもよく、ここで前記R3、R4は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第二ポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R3およびR4を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第二ポリヌクレオチドは前記参照核酸フラグメントIIを含んでもよい。
【0163】
本願において、用語「第二ベクターポリヌクレオチド」は一般的にはベクターフラグメントIIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第二ベクターポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第二ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R4-ベクターフラグメントII-R1を含んでもよく、ここで前記R4、R1は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第二ベクターポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R4およびR1を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第二ベクターポリヌクレオチドは前記ベクターフラグメントIIを含んでもよい。
【0164】
本願において、用語「第三ポリヌクレオチド」は一般的には核酸フラグメントI’を含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第三ポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第三ポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R5-核酸フラグメントI’-R6を含み、ここで前記R5、R6は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第三ポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R5およびR6を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第三ポリヌクレオチドは前記核酸フラグメントI’を含んでもよい。
【0165】
本願において、用語「第三ベクターポリヌクレオチド」は一般的にはベクターフラグメントIIIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第三ベクターポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第三ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R6-ベクターフラグメントIII-R7を含み、ここで前記R6、R7は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第三ベクターポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R6およびR7を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第三ベクターポリヌクレオチドは前記ベクターフラグメントIIIを含んでもよい。
【0166】
本願において、用語「第四ポリヌクレオチド」は一般的には核酸フラグメントII’を含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第四ポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第四ポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R7-核酸フラグメントII’-R8を含み、ここで前記R7、R8は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第四ポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R7およびR8を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第二ポリヌクレオチドは前記核酸フラグメントII’を含んでもよい。
【0167】
本願において、用語「第四ベクターポリヌクレオチド」は一般的にはベクターフラグメントIVを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第四ベクターポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第四ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R8-ベクターフラグメントIV-R5を含み、ここで前記R8、R5は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第四ベクターポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R8およびR5を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第四ベクターポリヌクレオチドは前記ベクターフラグメントIVを含んでもよい。
【0168】
本願において、用語「第五ポリヌクレオチド」は一般的には参照核酸フラグメントIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第五ポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第五ポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R9-参照核酸フラグメントI-R10を含み、ここで前記R9、R10は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第五ポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R9およびR10を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第五ポリヌクレオチドは前記参照核酸フラグメントIを含んでもよい。
【0169】
本願において、用語「第五ベクターポリヌクレオチド」は一般的にはベクターフラグメントVを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第五ベクターポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第五ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R10-ベクターフラグメントV-R11を含み、ここで前記R10、R11は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第五ベクターポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R10およびR11を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第五ベクターポリヌクレオチドは前記ベクターフラグメントVを含んでもよい。
【0170】
本願において、用語「第六ポリヌクレオチド」は一般的には核酸フラグメントIIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第六ポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第六ポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R11-核酸フラグメントII-R12を含み、ここで前記R11、R12は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第六ポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R11およびR12を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第六ポリヌクレオチドは前記核酸フラグメントIIを含んでもよい。
【0171】
本願において、用語「第六ベクターポリヌクレオチド」は一般的にはベクターフラグメントVIを含むポリヌクレオチドを指す。本願において、前記第六ベクターポリヌクレオチドはさらに5’末端および/または3’末端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)が存在する認識部位であってもよい。例えば、前記第六ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向に構造R12-ベクターフラグメントVI-R9を含み、ここで前記R12、R9は制限エンドヌクレアーゼの認識部位であってもよい。例えば、前記第六ベクターポリヌクレオチド内のエンドヌクレアーゼ認識部位を識別するエンドヌクレアーゼ(例えば、R12およびR9を識別するエンドヌクレアーゼ、例えばSfiIまたはBsmBI)によって酵素切断処理され、酵素切断処理された前記第六ベクターポリヌクレオチドは前記ベクターフラグメントVIを含んでもよい。
【0172】
本願において、用語「切断後の第一ポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第一ポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第一ポリヌクレオチド」は核酸フラグメントI、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0173】
本願において、用語「切断後の第一ベクターポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第一ベクターポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第一ベクターポリヌクレオチド」はベクターフラグメントI、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0174】
本願において、用語「切断後の第二ポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第二ポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第二ポリヌクレオチド」は参照核酸フラグメントII、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0175】
本願において、用語「切断後の第二ベクターポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第二ベクターポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第二ベクターポリヌクレオチド」はベクターフラグメントII、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0176】
本願において、用語「切断後の第三ポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第三ポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第三ポリヌクレオチド」は核酸フラグメントI’、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0177】
本願において、用語「切断後の第三ベクターポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第三ベクターポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第三ベクターポリヌクレオチド」はベクターフラグメントIII、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0178】
本願において、用語「切断後の第四ポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第四ポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第四ポリヌクレオチド」は参照核酸フラグメントII’、及び両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0179】
本願において、用語「切断後の第四ベクターポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第四ベクターポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第四ベクターポリヌクレオチド」はベクターフラグメントIV、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0180】
本願において、用語「切断後の第五ポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第五ポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第五ポリヌクレオチド」は参照核酸フラグメントI、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0181】
本願において、用語「切断後の第五ベクターポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第五ベクターポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第五ベクターポリヌクレオチド」はベクターフラグメントV、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0182】
本願において、用語「切断後の第六ポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第六ポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第六ポリヌクレオチド」は核酸フラグメントII、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0183】
本願において、用語「切断後の第六ベクターポリヌクレオチド」は一般的には制限エンドヌクレアーゼで第六ベクターポリヌクレオチドを処理して得られた核酸分子を指す。「切断後の第六ベクターポリヌクレオチド」はベクターフラグメントVI、および両端の制限エンドヌクレアーゼを処理して得られた特定の配列を有する末端を含む。
【0184】
本願において、用語「第一スクリーニング対象ベクター」は一般的には核酸フラグメントI、参照核酸フラグメントII、ベクターフラグメントIおよびベクターフラグメントII的環状核酸分子を含むことを指す。ある実施形態では、前記「第一スクリーニング対象ベクター」は切断後の第一ポリヌクレオチド、切断後の第二ポリヌクレオチド、切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを一定方向にライゲーションしてなることを指す。ある場合において、「第一スクリーニング対象ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成できる。別の場合において、「第一スクリーニング対象ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成できない。「第一スクリーニング対象ベクター」の発現によって形成された抗原結合タンパク質が一種または複数の以下の性質を有する場合:参照抗原結合タンパク質に特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である場合(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)、前記「第一スクリーニング対象ベクター」は「第一置換ベクター」と呼ぶことができ、且つ前記「第一スクリーニング対象ベクター」の核酸フラグメントIは核酸フラグメントI’と呼ぶことができる。「第一スクリーニング対象ベクターライブラリ」は一つまたは複数の第一スクリーニング対象ベクターを含む。
【0185】
本願において、用語「第一置換ベクター」は一般的には核酸フラグメントI’、参照核酸フラグメントII、ベクターフラグメントIおよびベクターフラグメントIIの環状核酸分子を含み、「第一置換ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は一種または複数の以下の性質を有することを指す:参照抗原結合タンパク質に特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。「第一置換ベクターライブラリ」は一つまたは複数の「第一置換ベクター」を含み、且つそれらが発現して形成した抗原結合タンパク質が一種または複数の以下の性質を有さない第一スクリーニング対象ベクターを含まない:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。
【0186】
本願において、用語「第二スクリーニング対象ベクター」は一般的には核酸フラグメントII、参照核酸フラグメントI、ベクターフラグメントVおよびベクターフラグメントVIを含む環状核酸分子を指す。ある実施形態では、前記「第二スクリーニング対象ベクター」は切断後の第五ポリヌクレオチド、切断後の第六ポリヌクレオチド、切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第六ベクターポリヌクレオチドに一定方向にライゲーションしてなる。「第二スクリーニング対象ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成できる。「第二スクリーニング対象ベクター」が発現によって形成する抗原結合タンパク質が以下の性質を有する場合:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上であり、前記「第二スクリーニング対象ベクター」は「第二置換ベクター」と呼ぶことができ、且つ前記「第二スクリーニング対象ベクター」における核酸フラグメントIIは核酸フラグメントII’と呼ぶことができる。「第二スクリーニング対象ベクターライブラリ」は一つまたは複数の第二スクリーニング対象ベクターを含む。
【0187】
本願において、用語「第二置換ベクター」は一般的には核酸フラグメントII’、参照核酸フラグメントI、ベクターフラグメントVおよびベクターフラグメントVIの環状核酸分子を含むことを指し、「第二置換ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成でき、且つ前記抗原結合タンパク質は以下の性質を有する:参照抗原結合タンパク質に特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。本願において、前記「第二置換ベクターライブラリ」は一つまたは複数の「第二置換ベクター」を含み、且つそれらの発現によって形成される抗原結合タンパク質は以下の性質を有さない第二スクリーニング対象ベクターを含まない:前記参照抗原結合タンパク質の特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上)。
【0188】
本願において、用語「二重置換スクリーニング対象ベクター」は一般的には核酸フラグメントI’、核酸フラグメントII’、ベクターフラグメントIおよびベクターフラグメントIIを含む環状核酸分子を指す。前記「二重置換スクリーニング対象ベクター」は一般的には切断後の第一ポリヌクレオチド、前記切断後の第二ポリヌクレオチド、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドに一定方向にライゲーションしてなることを指す。ある場合において、「二重置換スクリーニング対象ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成できる。別の場合において、「二重置換スクリーニング対象ベクター」は発現によって抗原結合タンパク質を形成できない。二重置換スクリーニング対象ベクターの発現産物が以下の性質を有する場合:参照抗原結合タンパク質に特異的に結合する標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である場合(例えば、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上、1倍以上、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、3倍以上)、すなわち前記二重置換スクリーニング対象ベクターは二重置換ベクターと呼ぶことができる。「二重置換スクリーニング対象ベクターライブラリ」は一つまたは複数の「二重置換スクリーニング対象ベクター」を含む。
【0189】
本願において、用語「切断」は一般的に制限エンドヌクレアーゼおよびポリヌクレオチドを切断できる条件下で接触させることを指す。前記切断は一般的にはヌクレオチドの糖類分子とヌクレオチド分子に隣接するリン酸の間の結合を切断することを指し、例えば、前記切断は一般的には2つのヌクレオチドの間のホスホジエステル結合切断を指す。制限エンドヌクレアーゼを使用して切断した後に、前記ポリヌクレオチドは特定配列の末端を生成できる。
【0190】
本願において、用語「ライゲーション」(linkage)は一般的には2つ以上のポリヌクレオチド分子を一つにライゲーション(結合)することを指す。例えば、前記ライゲーションはリガーゼ(例えば、DNAリガーゼ)によって実現できる。例えば、1つのポリヌクレオチドの3’末端ともう1つのポリヌクレオチドの5’末端をライゲーションし、それによって1つの完全なポリヌクレオチド分子を形成する。「ディレクショナルライゲーション」は一般的には2つ以上のポリヌクレオチド分子を一定の順序に従って一つにライゲーションすることを指す。
【0191】
本願において、用語「導入」は一般的には外来ポリヌクレオチドを細胞内に転移または導入する過程を指す。前記細胞は宿主細胞であってもよい。前記導入する細胞は包括対象の初代細胞およびその子孫を含む。前記細胞は原核細胞であってもよく、例えば,細菌細胞であってもよい。前記細胞は真核細胞であってもよく、例えば,哺乳動物細胞または酵母細胞であってもよい。
【0192】
本願において、用語「リンカー」は一般的には2種以上のポリヌクレオチド分子またはそのフラグメントをライゲーションする試薬を指す。前記リンカーはポリヌクレオチドまたはそのフラグメントであってもよい。本願において、前記リンカーは異なる長さを備えていてもよい。例えば,前記リンカーの長さは40bp以上、50bp以上、60bp以上、70bp以上、80bp以上、90bp以上、100bp以上、150bp以上、200bp以上であってもよい。ある場合において、前記リンカーはシグナルペプチドを含み、用語「シグナルペプチドpelB」は一般的にはペクチナーゼ分解酵素のシグナルペプチドを指し、例えば、抗原結合タンパク質がFabである場合である。前記シグナルペプチドpelBは一般的には原核発現系に用いられる。例えば、前記シグナルペプチドpelBはGenBankの登録番号がABS75961.1であってもよい。ある場合において、前記リンカーはシグナルペプチドを含まず、例えば、抗原結合タンパク質がscFvであるという場合である。ある場合において、前記第一ポリヌクレオチドはVHをコードする核酸分子を含んでもよく、且つ前記第二ポリヌクレオチドはVLをコードする核酸分子を含んでもよい;ある場合において、前記第一ポリヌクレオチドはVLをコードする核酸分子を含んでもよい,且つ前記第二ポリヌクレオチドはVHをコードする核酸分子を含んでもよい。
【0193】
本願において、用語「軽鎖またはそのフラグメント」は一般的には同一または類似した抗体の重鎖に互いに結合する能力を備えたアミノ酸フラグメントを指す。本願において、前記軽鎖またはそのフラグメントは軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を含んでもよい。前記軽鎖定常領域はκ型およびλ型に分けることができる。前記軽鎖はさらにκ定常領域(C-κ)にライゲーションされるλ可変領域(V-λ)またはλ定常領域(C-λ)にライゲーションされるκ可変領域(V-κ)を有する軽鎖を含む。
【0194】
本願において、用語「重鎖またはそのフラグメント」は一般的には同一または類似した抗体の軽鎖に互いに結合する能力を備えたアミノ酸フラグメントを指す。本願において、前記重鎖またはそのフラグメントは同一または類似した抗体の軽鎖に互いに結合する能力を備える。本願において、前記重鎖または重鎖フラグメントは重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を含んでもよい。前記重鎖定常領域はCH1構造域、ヒンジ領域、CH2構造域およびCH3構造域を含んでもよい。IgE、IgMおよびIgYの場合には、前記重鎖定常領域はCH4構造を含んでもよいがヒンジ領域を有さない。本願において、前記「重鎖定常領域」はCH1、ヒンジ領域、CH2、CH3、CH4構造域またはそのいずれかの組み合わせであってもよい。
【0195】
本願において、用語「制限エンドヌクレアーゼ」は一般的には二本鎖DNAを切断する酵素を指す。前記制限エンドヌクレアーゼ一本鎖DNAが突出した粘着性末端を生成でき、それによってDNAリガーゼに接着する。本願において、前記制限エンドヌクレアーゼ識別および制限切断の作用を備えることができる。例えば、前記制限エンドヌクレアーゼの切断部位はその認識部位から一定の距離が存在する。例えば、前記制限エンドヌクレアーゼはSfiI,BsmBIおよびEsp3Iから選択されてもよい。
【0196】
本願において、用語「ポリヌクレオチド」は一般的にはヌクレオチドを指し、すなわち一つにライゲーションされる少なくとも2つのヌクレオチドである。前記ポリヌクレオチドはいずれかの長さのポリマーであってもよく、例えば200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000、100,000などを含んでもよい。前記ポリヌクレオチドはホスホジエステル結合を含んでも良い。
【0197】
本願において、用語「含む」は一般的には明確に指定された特徴を含むことを指すが、その他の要素を排除するものではない。
【0198】
本願において、用語「約」は一般的に指定の数値以上または以下0.5%-10%の範囲内の変動を指し、例えば指定の数値以上または以下0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%の範囲内の変動を指す。
【0199】
[発明の詳細な説明]
【0200】
本願は鎖置換技術および抗体ディスプレイ法(例えば、バクテリオファージディスプレイ法および哺乳動物細胞ディスプレイ法)を組み合わせ、機能性抗原結合タンパク質を選択する方法を提供する。
【0201】
一回目の置換
【0202】
本願において、前記方法は参照抗原結合タンパク質の抗体重鎖またはそのフラグメント(または抗体軽鎖またはそのフラグメント)を使用し、複数の抗体軽鎖またはそのフラグメント(または抗体重鎖またはそのフラグメント)と、第一スクリーニング対象ベクターを含むスクリーニング対象ライブラリを構築する。前記第一スクリーニング対象ベクターは、バクテリオファージディスプレイベクターまたは細胞ディスプレイベクターであってもよく、または実際の条件に基づいて選択されたその他いずれかのディスプレイベクターであってもよい。具体的には、前記方法は以下を含む:a)第一ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR1-核酸フラグメントI-R2を含み、前記核酸フラグメントIは抗原結合フラグメントIをコードできる;b)第二ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR3-参照核酸フラグメントII-R4を含み、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合フラグメントIIをコードでき、前記参照抗原結合フラグメントIIは参照核酸フラグメントIによってコードされる参照抗原結合フラグメントIと参照抗原結合タンパク質を形成できる;c)第一ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR2-ベクターフラグメントI-R3を含む;d)第二ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR4-ベクターフラグメントII-R1を含む;e)制限エンドヌクレアーゼで前記第一ポリヌクレオチド、前記第二ポリヌクレオチド、前記第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第一ポリヌクレオチド、切断後の第二ポリヌクレオチド、切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得る;f)前記切断後の第一ポリヌクレオチド、前記切断後の第二ポリヌクレオチド、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第一スクリーニング対象ベクターを環化形成させる。前記第一スクリーニング対象ベクターの構造は
図1を参照されたい。前記方法はさらに前記スクリーニング対象ベクターを発現させ、参照抗原結合タンパク質(またはその他の陽性対照抗体)と比較することによって、以下の性質を有する抗原結合タンパク質を機能性抗原結合タンパク質として選択することを含む:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である。
【0203】
本願において、前記核酸フラグメントIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合タンパク質の重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIはリンカーペプチドを含んでもよく、前記ベクターフラグメントIIはバクテリオファージディスプレイベクターに由来してもよい(例えばpComb3xベクター)。ある場合において、前記核酸フラグメントIは抗体軽鎖をコードし、前記リンカーペプチドはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ある場合において、前記核酸フラグメントIは抗体軽鎖可変領域をコードする。前記R1はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R2はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R3はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R4はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0204】
本願において、前記核酸フラグメントIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合タンパク質の重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIおよび/または前記ベクターフラグメントIIは哺乳動物細胞発現ベクターに由来してもよい(例えばpDGB4ベクター)。前記R1はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R2はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R3はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R4はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0205】
本願において、前記核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合タンパク質の軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIIはリンカーペプチドを含んでもよく、前記ベクターフラグメントIバクテリオファージディスプレイベクターに由来してもよい(例えばpComb3xベクター)。ある場合において、前記参照核酸フラグメントIIは抗体軽鎖をコードし、前記リンカーペプチドはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ある場合において、前記参照核酸フラグメントIIは抗体軽鎖可変領域をコードする。前記R1はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R2はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R3はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R4はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0206】
本願において、前記核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合タンパク質の軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIおよび/または前記ベクターフラグメントIIは哺乳動物細胞発現ベクターに由来するものであってよい(例えばpDGB4ベクター)。前記R1はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R2はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R3はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R4はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0207】
機能性抗原結合タンパク質を発現できる第一スクリーニング対象ベクターを第一置換ベクターと呼び、対応して、機能性抗原結合タンパク質を発現できる第一スクリーニング対象ベクターの核酸フラグメントIを第一置換ベクターの核酸フラグメントI’と呼ぶ。
【0208】
二回目の置換
【0209】
本願の方法はさらに以下を含んでよい:核酸フラグメントI’を獲得してから、核酸フラグメントII’と二重置換スクリーニング対象ベクターを構築する。前記核酸フラグメントII’は本分野の任意の方法によって獲得でき、例えば、参照抗原結合タンパク質の参照抗原結合フラグメントによって置換して得られ、それは以下の条件を満たしていればよい:抗原結合タンパク質II’をコードでき、且つ前記抗原結合フラグメントII’は前記参照抗原結合フラグメントIに結合して以下の性質を有する抗原結合タンパク質を形成できる:参照抗原結合が結合できる標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力は前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である。
【0210】
ある場合において、第二スクリーニング対象ベクターを構築することによって前記核酸フラグメントII’を得る。本願前記方法はさらに以下を含む:a)第五ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR9-参照核酸フラグメントI-R10を含む;b)第六ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR11-核酸フラグメントII-R12を含む;c)第五ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR10-ベクターフラグメントV-R11を含む;d)第六ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR12-ベクターフラグメントVI-R9を含む;e)制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチド、前記第六ポリヌクレオチド、前記第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第五ポリヌクレオチド、切断後の第六ポリヌクレオチド、切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得る;f)前記切断後の第五ポリヌクレオチド、前記切断後の第六ポリヌクレオチド、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第二スクリーニング対象ベクターを環化形成させる。前記第二スクリーニング対象ベクターの構造は
図3を参照されたい。前記方法はさらに前記スクリーニング対象ベクターを発現させ、参照抗原結合タンパク質(またはその他の陽性対照抗体)と比較することによって、以下の性質を有する抗原結合タンパク質を機能性抗原結合タンパク質として選択する:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力は前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である。
【0211】
前記核酸フラグメントIIがコードするのが抗体軽鎖もしくはそのフラグメントまたは抗体重鎖もしくはそのフラグメントであるかは、核酸フラグメントIのタイプに依存する。核酸フラグメントIIをコードするポリペプチド及び核酸フラグメントIをコードするポリペプチドの両者の内一つが抗体軽鎖またはそのフラグメントである場合、他方は抗体重鎖またはそのフラグメントである。
【0212】
本願において、前記参照核酸フラグメントIは参照抗原結合タンパク質の抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントIIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントVはリンカーペプチドを含んでもよく、前記ベクターフラグメントVIはバクテリオファージディスプレイベクターに由来してもよい(例えばpComb3xベクター)。ある場合において、前記参照核酸フラグメントIは抗体軽鎖をコードし、前記リンカーペプチドはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ある場合において、前記参照核酸フラグメントIは抗体軽鎖可変領域をコードする。前記R9はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R10はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R11はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R12はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0213】
本願において、前記参照核酸フラグメントIは参照抗原結合タンパク質の抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントIIは重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントVおよび/または前記ベクターフラグメントVIは哺乳動物細胞発現ベクターに由来するものであってよい(例えばpDGB4ベクター)。前記R9はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R10はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R11はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R12はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0214】
本願において、前記参照核酸フラグメントIは参照抗原結合タンパク質をコードできる抗体重鎖またはそのフラグメントであり、前記核酸フラグメントIIは抗原結合タンパク質をコードできる軽鎖またはそのフラグメントであり、前記ベクターフラグメントVIはリンカーペプチドを含んでもよく、前記ベクターフラグメントVバクテリオファージディスプレイベクターに由来してもよい(例えばpComb3xベクター)。ある場合において、前記核酸フラグメントIIは抗体軽鎖をコードし、前記リンカーペプチドはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ある場合において、前記核酸フラグメントIIは抗体軽鎖可変領域をコードする。前記R9はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R10はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R11はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R12はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0215】
本願において、前記参照核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントIIは参照抗原結合タンパク質の軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントVおよび/または前記ベクターフラグメントVIは哺乳動物細胞発現ベクターに由来するものであってよい(例えばpDGB4ベクター)。前記R9はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R10はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R11はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R12はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0216】
二重置換
【0217】
本願の前記方法はさらに以下を含む:a)核酸フラグメントI’および核酸フラグメントII’を獲得し、且つ核酸フラグメントI’がコードするポリペプチドは核酸フラグメントII’がコードするポリペプチドの両者のうち一つが抗体軽鎖またはそのフラグメントであり、他方は抗体重鎖またはそのフラグメントである;b)第三ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR5-核酸フラグメントI’-R6を含む;c)第四ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR7-核酸フラグメントII’-R8を含み、前記核酸フラグメントII’は抗原結合タンパク質II’をコードでき、且つ前記抗原結合フラグメントII’は前記参照抗原結合フラグメントIに結合して以下の性質を有する抗原結合タンパク質を形成できる:参照抗原結合に結合できる標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;d)第三ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR6-ベクターフラグメントIII-R7を含む;e)第四ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR8-ベクターフラグメントIV-R5を含む;f)制限エンドヌクレアーゼで前記第三ポリヌクレオチド、前記第四ポリヌクレオチド、前記第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第三ポリヌクレオチド、切断後の第四ポリヌクレオチド、切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得る;g)前記切断後の第三ポリヌクレオチド、前記切断後の第四ポリヌクレオチド、前記切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして二重置換スクリーニング対象ベクターを環化形成させる。前記二重置換スクリーニング対象ベクターの構造は
図2を参照されたい。前記方法はさらに前記スクリーニング対象ベクター発現を発現させ、参照抗原結合タンパク質(またはその他の陽性対照抗体)との比較によって、以下の性質を有する抗原結合タンパク質を機能性抗原結合タンパク質として選択する:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力は前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である。
【0218】
本願において、前記核酸フラグメントI’は参照抗原結合タンパク質の抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントII’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIIIはリンカーペプチドを含んでもよく、前記ベクターフラグメントIVバクテリオファージディスプレイベクターに由来してもよい(例えばpComb3xベクター)。ある場合において、前記核酸フラグメントI’は抗体軽鎖をコードし、前記リンカーペプチドはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ある場合において、前記核酸フラグメントI’は抗体軽鎖可変領域をコードする。前記R5はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R6はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R7はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R8はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0219】
本願において、前記核酸フラグメントI’は参照抗原結合タンパク質の抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントII’は重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIIIおよび/または前記ベクターフラグメントIVは哺乳動物細胞発現ベクターに由来してもよい(例えばpDGB4ベクター)。前記R5はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R6はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R7はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R8はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0220】
本願において、前記核酸フラグメントI’は参照抗原結合タンパク質的抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントII’は抗原結合タンパク質的軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIVはリンカーペプチドを含んでもよく、前記ベクターフラグメントIIIはバクテリオファージディスプレイベクターに由来してもよい(例えばpComb3xベクター)。ある場合において、前記核酸フラグメントII’は抗体軽鎖をコードし、前記リンカーペプチドはシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む。ある場合において、前記核酸フラグメントII’は抗体軽鎖可変領域をコードする。前記R5はSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R6はSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R7はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R8はSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0221】
本願において、前記核酸フラグメントI’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記核酸フラグメントII’は参照抗原結合タンパク質の軽鎖またはそのフラグメントをコードでき、前記ベクターフラグメントIIIおよび/または前記ベクターフラグメントIVは哺乳動物細胞発現ベクターに由来してもよい(例えばpDGB4ベクター)。前記R5はSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R6はSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R7はSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含んでもよく、前記R8はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0222】
本願の前記方法は、同時に、複数のターゲットを標的とする機能性抗原結合タンパク質、及び1つのターゲットに対して複数の結合部位をを選択するために用い得る。本願の方法を用いる際、及び、第一スクリーニング対象ベクターおよび/または第二スクリーニング対象ベクターを構築する際には、同一抗原に対して異なるエピトープに結合する複数の参照抗原結合タンパク質を同時に使用することができ、複数の参照抗原結合フラグメントを含むスクリーニング対象ベクターを獲得し、同一の抗原をコードするが異なるエピトープに結合する複数の機能性抗原結合タンパク質のフラグメント(核酸フラグメントI’または核酸フラグメントII’)を得るために用いられる。本願の方法を用いる際には、異なる抗原に対する複数の参照抗原結合タンパク質も同時に使用でき、複数の参照抗原結合フラグメントを含むスクリーニング対象ベクターを獲得し、異なる抗原に対する複数の機能性抗原結合タンパク質をコードするフラグメント(核酸フラグメントI’または核酸フラグメントII’)を得るために用いられる。
【0223】
例えば、前記第一スクリーニング対象ベクターライブラリには複数の参照核酸フラグメントIIを含む第一スクリーニング対象ベクターを含んでもよく、前記参照核酸フラグメントIは同一抗原に結合する2種、3種、4種またはそれ以上の参照抗原結合タンパク質のフラグメントをコードする。例えば、前記第二スクリーニング対象ベクターライブラリには複数の参照核酸フラグメントIを含む第二スクリーニング対象ベクターを含んでもよく、前記参照核酸フラグメントIは同一抗原に結合する2種、3種、4種またはそれ以上の参照抗原結合タンパク質のフラグメントをコードする。
【0224】
例えば、前記第一スクリーニング対象ベクターライブラリには複数の参照核酸フラグメントIIを含む第一スクリーニング対象ベクターを含んでもよく、前記参照核酸フラグメントIIは複数の(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれ以上の)抗原に結合する異なる参照抗原結合タンパク質のフラグメントをコードする。例えば、前記第二スクリーニング対象ベクターライブラリには複数の参照核酸フラグメントIを含む第二スクリーニング対象ベクターを含んでもよく、前記参照核酸フラグメントIは複数の(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれ以上の)抗原に結合する異なる参照抗原結合タンパク質のフラグメントをコードする。
【0225】
したがって、一種または複数の二重置換スクリーニング対象ベクターの二重置換スクリーニング対象ベクターライブラリには、複数の(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれ以上の)抗原に対する複数の(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種またはそれ以上の)抗原結合タンパク質を含んでもよい。
【0226】
本願において、バクテリオファージ発現に用いられるスクリーニング対象ベクターを構築する部分については、PCT国際出願PCT/CN2020/085706を参照されたい。
【0227】
本願において、前記リンカーはシグナルペプチドpelBをコードするフラグメントの核酸配列を含んでもよく、その残りのシグナルペプチドpelBをコードするフラグメントの核酸配列はさらに前記ポリヌクレオチドの認識部位に位置してもよい。例えば、前記シグナルペプチドpelBをコードするフラグメントの核酸配列の3’末端のヌクレオチドは前記酵素切断部位に位置してもよい。例えば、当2つの切断後のポリヌクレオチドをライゲーションする時に、一つのポリヌクレオチドに含まれるシグナルペプチドpelBをコードするフラグメントの核酸配列はもう一つのポリヌクレオチドに含まれるシグナルペプチドpelBをコードするフラグメントの核酸配列にライゲーションされてもよく、それによって完全なシグナルペプチドpelBをコードする核酸配列を形成する。
【0228】
本願において、前記リンカーの長さは約50から約200塩基であってもよい。例えば,前記リンカーの長さは約50から約200塩基、約50から約180塩基、約50から約160塩基、約50から約140塩基、約50から約120塩基、約50から約100塩基、約50から約90塩基、約50から約80塩基、約50から約75塩基、約50から約70塩基、約50から約60塩基であってもよい。
【0229】
本願において、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12のいずれか一項の制限エンドヌクレアーゼの切断後に生成される末端は非回文配列であってもよい。
【0230】
エンドヌクレアーゼ認識部位を選択する場合(例えば、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12の場合)、核酸フラグメント(例えば、核酸フラグメントI、核酸フラグメントII、核酸フラグメントI’、核酸フラグメントII’、参照核酸フラグメントI、参照核酸フラグメントII’)に実質的に含まれない配列はそれがコードする抗原結合フラグメントの機能領域(例えば、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)の完全性を可能な限り保持することによって、酵素切断時の破壊を防止する(例えば、分解)抗体遺伝子ライブラリを選択できる。さらに、前記核酸酵素認識部位は制限エンドヌクレアーゼによって切断された後に形成される末端が非回文配列であってもよく、それによってその自己ライゲーションを防止し、さらに非目的ライゲーションの低減を実現する。さらに、前記エンドヌクレアーゼ認識部位の選択によって複数のフラグメントの一方向ライゲーションを可能にし、それによってライゲーション効率を向上させる。
【0231】
本願において、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12のうち2つ以上(例えば、2項、3項、4項、5項、6項、7項、8項、9項、10項、11項または12項)は同じ制限エンドヌクレアーゼによって識別および切断することができる。
【0232】
本願において、前記制限エンドヌクレアーゼはSfiI,BsmBIおよびEsp3Iから選択されてもよい。本願において、前記BsmBIおよびEsp3Iはアイソザイムであってもよく、それは同じ制限エンドヌクレアーゼの認識部位を識別できる。
【0233】
例えば、SfiIは13個の塩基から構成される配列(5’から3’)GGCCNNNN/NGGCC(SEQ ID NO:9)を識別でき、それは酵素切断によって3’末端の突出配列(overhang、例えば3個の塩基を含む一本鎖配列)を形成でき、ここでNはGATCの四種の塩基のうちいずれか一種を表すことができる。したがって、64種の異なる配列がSfiIによって識別される。
【0234】
例えば、BsmBIおよびEsp3Iは12個の塩基によって構成される配列(5’から3’)CGTCTCN/NNNNN(SEQ ID NO:10)を識別でき、それは酵素切断によって5’末端の突出配列(overhang、例えば4個の塩基を含む一本鎖配列)を形成でき、ここでNはGATCの四種の塩基のうちいずれか一種を表すことができる。したがって、264種の異なる配列がBsmBIおよびEsp3Iによって識別される。
【0235】
本願では、本願のベクターを構築するために、前記バクテリオファージディスプレイベクターまたは哺乳動物細胞ディスプレイベクター(例えば、pDGB4および/またはpComb3xベクター)に改変/修飾を行うことができる。例えば、部位特異的変異導入によって前記ベクターのうち一つまたは複数のエンドヌクレアーゼ認識部位を除去することができる。ある場合において、部位特異的変異導入によって前記ベクター内で一つまたは複数のエンドヌクレアーゼ認識部位を増加させることもできる。
【0236】
例えば、前記pComb3xベクターを修飾することによって本願の目的に適合させることができる。例えば、前記pComb3xベクターは1つの5’末端に位置するSfiI認識部位および1つの3’末端に位置するSfiI認識部位を含んでもよく、前記修飾において、部位特異的変異導入によって前記pComb3xベクター内の3’末端のSfiI認識部位を除去することができる。ある場合において、前記部位特異的変異導入は前記ベクター内のタンパク質(例えば、抗体重鎖フラグメントおよび/または抗体軽鎖フラグメント)のインフレーム発現に影響しない。例えば、前記突然変異はナンセンス突然変異であってもよく、例えば塩基配列のみを変えるがアミノ酸配列を変えない突然変異である。
【0237】
ある場合において、前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクターおよび/または前記スクリーニング対象二重置換ベクターに哺乳動物細胞の発現を使用する場合、前記ベクターフラグメント(例えばベクターフラグメントI、ベクターフラグメントII、ベクターフラグメントIII、ベクターフラグメントIV、ベクターフラグメントVおよびベクターフラグメントVI)はいずれか1つの目的遺伝子を発現できるベクターに由来してもよい。例えば,前記ベクターフラグメントはディスプレイベクターpDGB4に由来するフラグメントであってもよい(pDGB4についてはIvan Zhou, et al., “Four-way ligation for construction of a mammalian cell-based full-length antibody display library”, Acta Biochim Biophys Sin 2011, 43: 232-238を参照されたい)。
【0238】
本願のベクターフラグメント(例えば、ベクターフラグメントI、ベクターフラグメントII、ベクターフラグメントIII、ベクターフラグメントIV、ベクターフラグメントVおよびベクターフラグメントVI)は特定の機能を有するヌクレオチド配列は、プロモーター遺伝子、エンハンサー、シグナルペプチド、スクリーニングマーカー(例えば、酵素の認識部位、抗性遺伝子、レポーター遺伝子、スクリーニング遺伝子を含んでもよい)を含んでもよいがこれらに限定されず、当業者は所望の機能に基づいてベクターフラグメント内で調整することができる(前記特定の機能を有するヌクレオチド配列を挿入/置換および/または欠失するなど)。ある場合において、前記ベクターフラグメントは異なる条件において調整されて異なるヌクレオチド配列を得てよい。
【0239】
本願において、前記ベクターは一つまたは複数の適切なマーカー(例えば、精製/識別/スクリーニングに用いられるマーカー)を含むかコードしてもよく、前記マーカーは、例えばHis tag、Flag Tag、蛍光タンパク質、選択的抗生物質、および/またはアビジンなどであってもよい。
【0240】
発現しようとする抗原結合フラグメントの長さまたは性質、酵素切断部位の長さまたは性質に基づいてそれぞれな長さまたは種類のベクターフラグメント(例えば、ベクターフラグメントI、ベクターフラグメントII、ベクターフラグメントIII、ベクターフラグメントIV、ベクターフラグメントVおよび/またはベクターフラグメントVI)を選択できる。
【0241】
本願では、サンプル材料によって前記核酸フラグメントIおよび前記核酸フラグメントIIを得ることができる。本願において、前記サンプル材料は末梢血リンパ球サンプルに由来する材料を含んでもよい。本願において、前記末梢血リンパ球はヒト末梢血リンパ球であってもよい。本願において、前記サンプル材料その他の任意の組織および/または細胞に由来してもよく、前記末梢血リンパ球サンプルに限定されない。
【0242】
例えば、従来技術においてすでに構築されている抗体軽鎖またはそのフラグメントライブラリまたはすでに構築されている抗体重鎖またはそのフラグメントライブラリによって前記核酸フラグメントIおよび前記核酸フラグメントIIを得てよいできる。前記方法は一種または複数の抗体重鎖またはそのフラグメント、または一種または複数の抗体軽鎖またはそのフラグメントの両端に本願の前記酵素切断部位を加えることを含む。
【0243】
本願では、複数の方法を使用して前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクターおよび/または前記二重置換スクリーニング対象ベクターの発現産物と前記標的の結合能力を検出することができる。スクリーニング対象ベクターの発現産物および参照抗原結合タンパク質またはその他の陽性対照の結合能力の比較は定量または不定量の方法によって比較できる。
【0244】
ある面では、例えば酵素結合免疫吸着測定(ELISA)、ウェスタンブロット(例えば、ウェスタンブロッティング)、フローサイトメトリー(例えば、FACS)、免疫組織化学、免疫蛍光などのような既知の方法によって本願の抗原結合タンパク質が標的に結合する活性を測定できる。ある場合において、結合親和力は表面プラズモン共鳴法(SPR)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、結合抗原沈殿法、平衡透析法、バイオレイヤー干渉(BLI)によって測定できる。ある場合において、PD-1抗原結合タンパク質のPD-1に対する結合親和力およびKD値はバイオレイヤー干渉(BLI)によって測定できる。例えば、ELISA法を使用して測定できる。例えば、前記抗原結合タンパク質および/または前記参照抗原結合タンパク質が前記標的に結合できる条件下において、前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクターおよび/または前記スクリーニング対象二重置換ベクターの発現産物および/または前記参照抗原結合タンパク質を前記標(例えば、抗原)に接触させ、前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクターおよび/または前記スクリーニング対象二重置換ベクターの発現産物と前記標の間に複合体が形成されるか否かを検出し、および前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の間に複合体が形成されるか否かを検出する。
【0245】
定量方法については、前記標的結合能力は、標的への結合についてのEC50値、標的への結合についてのKD値、標的に結合して形成される複合体のOD値および/または標的に結合して形成される複合体の吸光度を含んでもよい。前記EC50値、KD値、標的に結合して形成される複合体のOD値および/または第一のスクリーニング対象ベクター、第二のスクリーニング対象ベクターおよび/または前記スクリーニング対象二重置換ベクターが標的に結合して形成される複合体の吸光度が、前記参照抗体が標的に結合して形成される複合体のEC50値、KD値、OD値および/または標的に結合して形成される複合体の吸光度の30%以上(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%、110%または120%以上)の場合、前記発現産物は前記標的に特異的に結合できると考えてよい。または、EC50値、KD値、複合体のOD値および/または前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクターおよび/または前記スクリーニング対象二重置換ベクターが標的に結合して形成される複合体の吸光度が、前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクター、前記スクリーニング対象二重置換ベクター、および/または前記参照抗原結合タンパク質の発現産物がない陰性対照の2倍以上(例えば、2.5倍、3倍、3.5倍以上)である場合にも、前記発現産物は前記標的に特異的に結合できると考えてよい。
【0246】
他方では、本願は前記機能性抗原結合タンパク質を製造する方法を提供し、ただし、それは前記第一スクリーニング対象ベクター、第二スクリーニング対象ベクターおよび/または前記スクリーニング対象二重置換ベクターを使用することを含む。
【0247】
他方では、本願は本願の前記方法によって得られる機能性抗原結合タンパク質を提供する。
【0248】
いかなる理論に限定されるものでもなく、以下の実施例は本願の前記方法および本願の前記方法によって得られる機能性抗原結合タンパク質などを説明するためのものに過ぎず、本願の発明の範囲を制限するために用いられるべきものではない。
【0249】
実施例
【0250】
実施例1 16個の参照抗体Fabバクテリオファージディスプレイベクターを有するTG1細菌の製造
【0251】
1.1 16個の参照抗体の全長軽鎖および重鎖可変領域遺伝子の合成:
【0252】
文献の検索によって以下の16個の参照抗体の全長軽鎖および重鎖可変領域のアミノ酸配列を得た:Secukinumab,Selicrelumab,APX-005M,Tafasitamab,Ublituximab,Epratuzumab,Relatlimab,Leramilimab,Coblimab,Tiraglumab,Vibostolimab,Etigilimab,Amatuximab,TRX-518,Bleselumab,Iscalimab。
【0253】
例えば、文献の検索によってSelicrelumab全長軽鎖および全長重鎖のアミノ酸配列(WO2018220100の関連する配列応報を参照)を得た。ここで、Selicrelumab全長軽鎖のアミノ酸配はSEQ ID NO. 11に示され、Selicrelumab全長重鎖のアミノ酸配はSEQ ID NO. 12に示される。
【0254】
Selicrelumab全長軽鎖および重鎖可変領域のアミノ酸配列を大腸菌で発現できる塩基配列に変換し、配列の両端にバクテリオファージディスプレイベクターと一致する適切な酵素切断配列および(または)シグナルペプチド配列を含む塩基配列を加え、遺伝子を合成し、pUC57ベクター(GENEWIZが合成)を挿入した。
【0255】
ここで、合成された全長軽鎖を含むヌクレオチド配列はSEQ ID NO. 13に示され、合成された重鎖可変領域を含むヌクレオチド配列はSEQ ID NO. 14に示されるものであった。
【0256】
16個の参照抗体の全長軽鎖および重鎖可変領域のアミノ酸配列を大腸菌で発現できる塩基配列に変換し、配列の両端にバクテリオファージディスプレイベクターと一致する適切な酵素切断配列および(または)シグナルペプチド配列を含む塩基配列を加え、遺伝子を合成し、pUC57ベクター(GENEWIZ)を挿入した。
【0257】
1.2 16個の参照抗体Fabバクテリオファージのディスプレイベクターの構築
【0258】
SfiI酵素で合成された16個の全長軽鎖塩基配列を含むpUC 57ベクターを切断し、16個の全長軽鎖フラグメントを得た。このフラグメントはすなわち
図1の第一ポリヌクレオチドである。
【0259】
SfiI+Esp3Iで合成された16個の重鎖可変領域塩基配列を含むpUC 57ベクターを二重酵素切断し、16個の重鎖可変領域フラグメントを得た。このフラグメントがすなわち
図1 の第二ポリヌクレオチドである。
【0260】
得られた16個の全長軽鎖フラグメント(すなわち本願の
図1の第一ポリヌクレオチド)、16個の重鎖可変領域フラグメント(すなわち本願の
図1の第二ポリヌクレオチド)を、参照抗体に対応する軽鎖フラグメントに従って、重鎖可変領域フラグメントを
図1に示される第一ベクターポリヌクレオチド、第二ベクターポリヌクレオチドと16個の4フラグメントライゲーションを行い、クローンの塩基配列をシークエンシングして分析し、16個の陽性参照抗体Fabのバクテリオファージディスプレイベクターを得た。第一ベクターポリヌクレオチドおよび第二ベクターポリヌクレオチドの説明および製造については特許出願WO2020216191A1の関連するステップを参照されたい。
【0261】
例えば、得られたSelicrelumab全長軽鎖フラグメント(第一ポリヌクレオチド)を、Selicrelumab重鎖可変領域フラグメント(第二ポリヌクレオチド)と
図1に示される第一ベクターポリヌクレオチド、第二ベクターポリヌクレオチドと4フラグメントライゲーションを行い、クローンの塩基配列をシークエンシングして分析し、陽性基準抗体Selicrelumab-Fabのバクテリオファージディスプレイベクターを得た。第一ベクターポリヌクレオチドおよび第二ベクターポリヌクレオチドの説明および製造についてはWO2020216191A1の関連するステップを参照されたい。
【0262】
具体的には、前記第一ベクターポリヌクレオチドはWO2020216191A1の実施例1.6に記載されている:リンカーコンポーネントプラスミドまたは実施例1.4.4におけるリンカー保存ベクターをテンプレートとし、リンカーのフォワードプライマー(WO2020216191A1のSEQ ID NO : 79)およびリンカーのリバースプライマー(WO2020216191A1的SEQ ID NO : 80)を用いてリンカーを含む0.8kbのフラグメントを増幅させ、その後制限エンドヌクレアーゼR3およびR4を用いて該0.8kbのPCR産物を酵素切断し、ゲル電気泳動によって精製回収して(小フラグメントゲルを利用して試薬キットを回収、莱楓生物より購入、Cat# DK402)72pbのリンカーフラグメントを得た。
【0263】
前記第二ベクターポリヌクレオチドはWO2020216191A1実施例1.8に記載されたものである:制限エンドヌクレアーゼR7および制限エンドヌクレアーゼR8を利用して酵素切断して実施例1.7で製造されるディスプレイベクターDDB-R1R2R5R6,3.6kbディスプレイベクターフラグメントを得た。
【0264】
1.3 16個の参照抗体Fabバクテリオファージディスプレイベクターを有するTG1細菌の製造
【0265】
16個の参照抗体Fabのバクテリオファージディスプレイベクターを導入TG1誘導菌(electrocompetent cells)(Lucigen,Cat#:60502)に導入し、各参照抗体Fabバクテリオファージディスプレイベクターを有するTG1細菌を得た。
【0266】
例えば、陽性基準抗体Selicrelumab-FabのバクテリオファージディスプレイベクターをTG1誘導菌に導入し、基準抗体Selicrelumab-Fabバクテリオファージディスプレイベクターを有するTG1細菌を得た。
【0267】
実施例2 多参照抗体軽鎖置換遺伝子ライブラリ、細菌ライブラリおよびバクテリオファージライブラリの構築
【0268】
1.SfiIを用いて全ヒト由来Kappa軽鎖およびLambda軽鎖サブライブラリを酵素切断し、Kappa軽鎖ライブラリおよびLambda軽鎖ライブラリ挿入フラグメントを調製した。
【0269】
2.得られたKappa軽鎖ライブラリおよびLambda軽鎖ライブラリ挿入フラグメント(第一ポリヌクレオチド)、16個の参照抗体重鎖可変領域フラグメント(第二ポリヌクレオチド)と
図1に示される第一ベクターポリヌクレオチド,第二ベクターポリヌクレオチド(ライブラリ構築の特許を参照)4フラグメントライゲーションを行い、軽鎖置換ライブラリを構築する。4つのフラグメントを1:1:1:1の分子数が等しい割合で混合し、総量は2345ngであり、20度で一晩ライゲーションさせた(15時間)。
【0270】
3.ライゲーション産物を精製し、1062ngの軽鎖置換ライブラリのライゲーション産物を得た(遺伝子ライブラリ)。
【0271】
4.3つのTG1誘導菌を形質転換し、菌液総量6000μl、37度/250rpmで60分間培養してから、10μlの菌液を取ってライゲーション形質転換効率の滴定を行った。10倍希釈を8回行い、各希釈度で5μlを皿に取り、32℃で一晩培養した。
【0272】
5.残りの菌液は、220mlの2YT-Amp-2% glucose培養液で希釈し、37度℃、250rpmで3時間培養し、OD600=0.6(細菌ライブラリ)の測定値を得た。
【0273】
6.ステップ7の細菌ライブラリ菌液50mlを、150mlの振とうフラスコに移し、37度、250rpmで4時間培養を継続し、遠心分離して菌を収集し、4mlの2TY-Amp-7%DMSOで細菌を懸濁し、二つの管に分け、マイナス80度で冷凍保存した。
【0274】
7.ステップ7の残りの細菌ライブラリ菌液(170ml)に、3mlのヘルパーバクテリオファージ(2.9x1013/ml)を加えて37℃で40分間し、37℃、250rpm40分間培養した。
【0275】
8.ヘルパーバクテリオファージに感染した細菌を遠心分離によって収集し、3500Gで15分間遠心分離し、上清を廃棄し、500mlの2YT-Amp-Kanで培養液細菌を再懸濁し、30℃、250rpmで一晩培養した。
【0276】
9.翌日、ステップ4で滴定して皿に広げた結果に基づき、軽鎖置換細菌ライブラリのライブラリ容量を分析して計算したところ、1.2x109であった。ステップ10で一晩培養した細菌を遠心分離して沈殿させ、上清500mlを取って125mlの20% PEG-5MのNaClと均一に混合し、2時間氷浴し、さらに軽鎖置換バクテリオファージライブラリを遠心分離して収集した。
【0277】
10.5mlのPBSを用いて遠心分離して沈殿させた軽鎖置換バクテリオファージライブラリを懸濁し、卓上高速遠心分離機を使用し、4度、18000gで5分間遠心分離し、上清を取り、OD280を測定し、軽鎖置換バクテリオファージライブラリ濃度を計算した:OD280=13.7、バクテリオファージ濃度3.2x1013/ml。
【0278】
11.軽鎖置換バクテリオファージライブラリを冷凍保存した:5mlのバクテリオファージライブラリ+2mlの80%高圧滅菌グリセリン+ 0.5mlのPBS= 7.5mlを、均一に混合し、0.5ml/1x1013/管に分注し、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0279】
実施例3 多参照抗体重鎖置換遺伝子ライブラリ、細菌ライブラリおよびバクテリオファージライブラリの構築
【0280】
1.SfiIおよびEsp3Iを用いて全ヒト由来重鎖可変領域(Vh)サブライブラリを二重酵素切断し、Vhライブラリ挿入フラグメントを製造した。
【0281】
2.実施例1に記載のステップを参照し、得られた16個の参照抗体軽鎖をフラグメント(第一ポリヌクレオチド)に挿入し、Vhライブラリをフラグメント(第二ポリヌクレオチド)に挿入して
図1 に示される第一ベクターポリヌクレオチド、第二ベクターポリヌクレオチドと4フラグメントライゲーションし、軽鎖置換ライブラリを構築した。4つのフラグメントを1:1:1:1の分子数などの比例で混合し、総量は2345ngであり、20℃で一晩ライゲーションさせた(15時間)。
【0282】
3.ライゲーション産物を精製し、1134ngの重鎖置換ライブラリのライゲーション産物(遺伝子ライブラリ)を得た。
【0283】
4.3つのTG1誘導菌を形質転換し、菌液総量6000μl、37℃/250rpmで60分間培養してから、10μlの菌液を取ってライゲーション形質転換効率の滴定を行った。10倍希釈を8回行い、各希釈度で5μlを皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0284】
5.残りの菌液は、220mlの 2YT-Amp-2%glucose培養液で希釈し、37℃、250rpmで3時間培養し、OD600=0.6(細菌ライブラリ)を測定した。
【0285】
6.ステップ7の細菌ライブラリ菌液50mlを、150mlの振とうフラスコに移し、37℃、250rpmで4時間培養を継続し、遠心分離して菌を収集し、4mlの2TY-Amp-7%DMSOで細菌を懸濁し、二つの管に分け、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0286】
7.ステップ7の残りの細菌ライブラリ菌液(170ml)に、3mlのヘルパーバクテリオファージ(2.9x1013/ml)を加え、37℃で40分間静止し、37℃、250rpmで40分間培養した。
【0287】
8.ヘルパーバクテリオファージに感染した細菌を遠心分離によって収集し、3500Gで15分間遠心分離し、上清を廃棄し、500mlの2YT-Amp-Kanで培養液細菌を再懸濁し、30℃、250rpmで一晩培養した。
【0288】
9.翌日、ステップ4で皿に滴定した結果に基づき、重鎖置換細菌ライブラリのライブラリ容量を分析して計算したところ、1.2x109であった。ステップ10で一晩培養した細菌を遠心分離して沈殿させ、上清500mlを取って125mlの20% PEG-5MのNaClと均一に混合し、2時間氷浴し、さらに重鎖置換バクテリオファージライブラリを遠心分離して収集した。
【0289】
10.5mlのPBSを用いて遠心分離して沈殿させた重鎖置換バクテリオファージライブラリを懸濁し、卓上高速遠心分離機を使用し、4℃、18000gで5分間遠心分離し、上清を取り、OD280を測定し、重鎖置換バクテリオファージライブラリ濃度を計算した:OD280=20.3、バクテリオファージ濃度4.7x1013/ml。
【0290】
11.重鎖置換バクテリオファージライブラリを冷凍保存した:5mlのバクテリオファージライブラリ+2mlの80%高圧滅菌グリセリン+0.5mlのPBS= 7.5mlを、均一に混合し、0.5ml/1x1013/管に分注し、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0291】
実施例4 参照抗体(Her3/Patritumab)Fabバクテリオファージディスプレイベクターを有するTg1の調製および単一参照抗体(Patritumab)軽鎖置換および重鎖置換遺伝子ライブラリ、細菌ライブラリおよびバクテリオファージライブラリの構築
【0292】
1.実施例1のフローを参照し、参照抗体(Patritumab)Fabバクテリオファージディスプレイベクターを有するTg1細菌を調製した。ここで、Patritumabの関連するCDR配列はCN 102633881Bを参照されたい。Patritumabの軽鎖重鎖配列はUS 7705130B2を参照されたい。
【0293】
2.多参照抗体軽鎖重鎖置換ライブラリの構築フローを参照して単一参照抗体Patritumabの軽鎖置換ライブラリおよび重鎖置換ライブラリを構築した。
【0294】
3.軽鎖置換ライブラリおよび質量置換ライブラリの2つのライゲーション系は、それぞれライゲーションフラグメント総量が各1173ng、ライゲーションが6時間であり、ライゲーション産物を精製して、それぞれ550ngを得た。
【0295】
4.それぞれ250ngを取り、TG1誘導菌を形質転換した。形質転換菌液の体積は各2mlであり、各10μlを取って滴定し、のこりの菌液はそれぞれ1つの大皿と1つの中皿に広げた。32℃で一晩培養した。
【0296】
5.2日目に、滴定結果に基づいて細菌ライブラリのライブラリ容量を計算し、重鎖置換ライブラリは2.4 x10e8、軽鎖置換ライブラリは4.4 x 10e8であった。それぞれ2つの細菌ライブラリのコロニーを全て収集し、各ライブラリにそれぞれ50ml培養液(2YT-0.2%glucose-Amp)、適量の菌液を加え、OD600が0.12前後であることを測定した。
【0297】
6.37℃、250rpmで50分間培養し、測定OD600が0.25前後であることを測定した。それぞれ250μlのヘルパーバクテリオファージ(OD280=13)を加えた。均一に混合してから37℃で30分間静止培養し、37℃、250rpmで30分間培養した。
【0298】
7.遠心分離して細菌を収集し、それぞれ100mlの培養液を用いて(2YT-Amp-Kana)細菌を再懸濁し、30℃、250rpmで6時間培養した(3pm-9pm)。遠心分離して細菌を沈殿させ、上清を収集し、それぞれ25mの5xPEG-NaClを加え、均一に混合してから4℃でバクテリオファージを一晩沈殿させた。
【0299】
8.3日目に、軽鎖置換バクテリオファージライブラリおよび重鎖置換バクテリオファージライブラリを遠心分離して収集した。それぞれ2mlのPBSでバクテリオファージライブラリを懸濁し、4つの管に分注し、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0300】
実施例5 単一参照抗体(CD40/Selicrelumab)重鎖置換遺伝子ライブラリ、細菌ライブラリおよびバクテリオファージライブラリの構築
【0301】
1.多参照抗体重鎖置換ライブラリの構築フロー(実施例3)を参照して単一参照抗体Selicrelumabの重鎖置換ライブラリを構築した。
【0302】
2.実施例1のフローを参照し、得られたSelicrelumab軽鎖をフラグメント(第一ポリヌクレオチド)に挿入し、全ヒト由来Vhライブラリをフラグメント(第二ポリヌクレオチド)に挿入して
図1に示される第一ベクターポリヌクレオチド、第二ベクターポリヌクレオチドと4フラグメントライゲーションし、重鎖置換ライブラリを構築した。4つのフラグメントを1:1:1:1の分子数などの比例で混合し、総量は1175ngであり、20℃で一晩ライゲーションさせた(15時間)。
【0303】
3.ライゲーション産物を精製し、513ngの重鎖置換ライブラリのライゲーション産物(遺伝子ライブラリ)を得た。
【0304】
4.300ngを取ってTG1誘導菌を形質転換し、形質転換菌液の総量は2000μlであり、37℃/250rpmで60分間培養してから,10μlの菌液を取ってライゲーション形質転換効率の滴定を行った。10倍希釈を8回行い、各希釈度で5μlを皿に取り、32℃で一晩培養した。
【0305】
5.残りの菌液は、いずれも2つの大皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0306】
6.翌日、ステップ4の滴定結果に基づき、重鎖置換ライブラリのライブラリ容量を分析して計算したところ、3.2x108であった。ステップ5で一晩培養した2つの大皿のコロニーを全て収集し、菌液の総量は15mlであった。収集菌液のOD600=20を測定した。3ml取り、DMSO(終濃度7%)を加え、二つの管に分け、マイナス80℃で冷凍保存した(細菌ライブラリ)。
【0307】
7.ステップ6で収集した冷凍保存菌液を200μlとり、50mlの2YT-Amp-0.2%glucose培養液に加え、OD600=0.109を測定し、37℃、250rpmで60分間培養し、OD600=0.247を測定した。
【0308】
8.250μlのヘルパーバクテリオファージ(OD280=13)を加え、均一に混合し、37℃で30分間静止し、37℃、250rpmで30分間培養した。
【0309】
9.ヘルパーバクテリオファージに感染した細菌を遠心分離によって収集し、100mlの2YT-Amp-Kana培養液に再懸濁し、30℃、250rpmで8時間培養した。遠心分離して細菌を沈殿させ、上清を収集し、25mlの5 x PEG-NaCLと均一に混合し、4℃でバクテリオファージを一晩沈殿させた。
【0310】
10.翌日、ステップ9のバクテリオファージライブラリを遠心分離して沈殿させ、2mlのPBSを用いて懸濁してバクテリオファージを沈殿させ、バクテリオファージライブラリを得た。OD280=13を測定し、バクテリオファージ濃度は3x1013/mlであり、0.2mlの重鎖置換バクテリオファージライブラリを取って1回目のスクリーニングに用いた。
【0311】
11.重鎖置換バクテリオファージライブラリを冷凍保存した:0.6mlの高圧滅菌した80%のグリセリン溶液をグリセリン終濃度が20%になるまで加え、均一に混合し、4管に分注し、0.6ml/管であり、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0312】
実施例6 :CD40抗原特異的Selicrelumab軽鎖置換陽性クローンのスクリーニング
【0313】
抗原の調製:
ビオチン標識されたCD40抗原(AcroBio, Cat#:CD0-H82E8)およびビオチン標識されていないCD40抗原(AcroBio, Cat#:CD0-H5253)を購入し、指示書に従って凍結乾燥を溶解させ、ビオチン標識抗原5μg/管に分注し、ビオチン標識がない抗原を10μg/管に分注し、マイナス80℃で保存した。
【0314】
1回目のスクリーニング:
1.マイナス80℃で冷凍保存した多参照抗体軽鎖置換バクテリオファージライブラリの一管(バクテリオファージ濃度1x1013/0.5ml、実施例2)を取り、氷浴解凍し、100μlのMPBST(12%Milk、0.05%Tweenの1X PBSを含む)と混合し、最終体積は0.6mlであり、Milkの終濃度は2%であった。
【0315】
2.60μl洗浄して再懸濁した磁気ビーズ(Invitrogen,Cat#:11206D)を加え、室温で30分間回転させ、磁気ビーズを結合できる非特異的バクテリオファージを吸着させた。
【0316】
3.磁力フレーム(Invitrogen Cat#:12321D)に磁気ビーズを吸着させて廃棄し、バクテリオファージライブラリ溶液を新しい2%MPBSTでで密閉した2mlのEP管に移した。
【0317】
4.5μgのビオチン標識の抗原を取って軽鎖置換バクテリオファージライブラリと混合し(最終抗原濃度5μg/0.6ml)、室温で2時間回転して振とうさせ、抗原特異的Fabを示すバクテリオファージとビオチン標識の抗原を結合させた。
【0318】
5.60μlの洗浄して再懸濁した磁気ビーズをバクテリオファージライブラリ溶液に加え、室温で20分間回転して振とうさせ、磁気ビーズ表面のアビジンとビオチンの結合によって抗原特異的バクテリオファージを捕捉し、磁気ビーズ-アビジン-ビオチン-抗原-Fab抗体フラグメント架橋結合体を形成した。
【0319】
6.磁力フレームによってステップ5で形成された抗原特異的Fabを有する架橋結合体の磁気ビーズを収集した。
【0320】
7.1xPBSTを用いて磁気ビーズを4回洗浄し、さらに1xPBSを用いて磁気ビーズを4回洗浄した。
【0321】
8.300μl、pH2.2のグリシン溶液を用いて磁気ビーズを懸濁し、室温で10分間回転して振とうさせ、抗原特異的Fabを示すバクテリオファージを溶出した。
【0322】
9.磁力フレームによって磁気ビーズを収集し、磁気ビーズを含まない溶出上清を新しい1.5mlのEP管に移し、110μl、 pH8.0のTris緩衝液を用いてpH7.0になるまで中和した。
【0323】
10.100μl 、pH2.2のグリシン溶液を用いて磁気ビーズを再懸濁し、5分間回転して振とうさせ、抗原特異的Fabを示すバクテリオファージを溶出した。
【0324】
11.磁力フレームによって磁気ビーズを収集し、磁気ビーズを含まない溶出上清を新しい1.5mlのEP管に移し、35μl、 pH8.0のTris緩衝液を用いてpH7.0になるまで中和した。
【0325】
12.ステップ9およびステップ11で得られた中和溶出バクテリオファージ溶液約540μlを合わせ、氷上で保存して後の使用に備えた。
【0326】
13.あらかじめ40mlのTG1細菌を培養し、OD600は0.2-0.3に達するのを監視した。
【0327】
14.3mlのTG1菌液を、400μlの溶出中和バクテリオファージ溶液と混合し、37℃で30分間静止した。
【0328】
15.10μlのバクテリオファージライブラリに感染した菌液を取り、2YT培養液を用いて8回10倍希釈し、各希釈度5μlを取って2YT-Ampのシャーレに広げ、32℃で一晩培養し、スクリーニング効率滴定をした。
【0329】
16.残りの菌液は、2つの大きなシャーレに広げ(Thermo Cat#:8-1030-051)、32℃で一晩培養した。
【0330】
17.残りの140μl溶出中和バクテリオファージ溶液を4℃で保存した。
【0331】
18.翌日、軽鎖置換バクテリオファージライブラリの1回目スクリーニングで得られたバクテリオファージ総数(output)を分析して計算したところ 8.8 x 108であった。
【0332】
1回目のスクリーニングで得られたバクテリオファージライブラリのパッケージング、増幅、および沈殿の収集:
1.1回目のoutputにおける大皿二つのコロニー(最終菌液体積10ml)を収集し、4ml冷凍保存した2つの管を取った(2ml /7%DMSO/管)。
【0333】
2.20μlの収集した菌液を取り、2YTを用いて50倍希釈し、OD600=0.7、原菌液OD600=35を測定した。
【0334】
3.60ml 2YT-Amp-2%Glocose培養液,200μl OD600=0.7の細菌ライブラリ菌液を加え、37℃、250rpmで1時間培養し、OD600が0.35前後であることを測定した。
【0335】
4.0.5mlのヘルパーバクテリオファージを加え(OD280=13)、細菌ライブラリ菌液と混合し、MOIは500-1000の間であった。37℃で30分間静止し、37℃、250rpmで30分間培養した。
【0336】
5.遠心分離して菌を収集し、100mlの2YT-Amp-Kanで培養液細菌を再懸濁し、30℃、250rpmで一晩培養し、パッケージングして1回目のoutputバクテリオファージを増幅した。
【0337】
6.翌日、4℃、9000rpm(ベックマン、JA-10)で、15分間遠心分離し、上清を取って25mlの20% PEG-5M NaClと均一に混合し、2時間氷浴した。
【0338】
7.4℃、9000rpm(ベックマン、JA-10)で、15分間遠心分離し、上清を廃棄し、4℃で5分間再び遠心分離し、バクテリオファージを遠心分離管底部に沈殿させて集中させ、ピペットチップで残った上清を吸い取って廃棄した。
【0339】
8.2mlのPBSを用いてバクテリオファージライブラリを懸濁し、卓上高速遠心分離機を使用し、4℃、18000gで5分間遠心分離し、上清を取り、OD280=16を測定し、バクテリオファージ濃度を計算したところ、 3.73 x 1013/mlであった。
【0340】
9.0.5mlのバクテリオファージライブラリを取り、2回目のスクリーニングを行った。
【0341】
10.残りのバクテリオファージライブラリは、1/3の高圧滅菌した80%のグリセリン溶液(グリセリン終濃度20%)を加え、均一に混合し、各ライブラリを3つの管に分注し、0.5ml/管であり、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0342】
2-5回目のスクリーニング:
1.0.5mlの増幅して収集した1回目のスクリーニングで得られたバクテリオファージライブラリを取り、2回目スクリーニングを行った。スクリーニングフローは1回目のスクリーニングと同じであったが、スクリーニング時の抗原終濃度は1μg/0.6mlであり、540μlの溶出中和バクテリオファージ溶液を得た。
【0343】
2.0.5ml 2回目の溶出中和バクテリオファージ溶液を取り、増幅せず、直接3回目のスクリーニングを行い、スクリーニングフローは1回目のスクリーニングと同じであり、スクリーニング時の抗原終濃度は1μg/0.6mlであり、270μl溶出中和バクテリオファージ溶液を得た。
【0344】
3.200μl3回目の溶出中和バクテリオファージ溶液を取り、1mlのTG1細菌に感染させ、37℃、30minであり、10μlを取って滴定に用い、8つの勾配にて希釈し、各希釈度を5μl取って2YT-Ampのシャーレに広げ、32℃で一晩培養し、スクリーニング効率滴定した。残りの菌液は、750μlを大皿に広げ、250μlを大皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0345】
4.翌日、3回目の200μlの溶出中和バクテリオファージ溶液に含まれる軽鎖置換バクテリオファージ総数を計算した:2.6 x 105。
【0346】
5.パッケージングして増幅し3回目のスクリーニングで得られたバクテリオファージライブラリを沈殿させて収集し、フローは1回目と同じであった。
【0347】
6.0.5mlの増幅して収集した3回目のスクリーニングで得られたバクテリオファージライブラリを取り、4回目と5回目のスクリーニングを行った。スクリーニングフローは2回目および3回目のスクリーニングと同じであり、スクリーニング時の抗原終濃度は1μg/0.6mlであった。
【0348】
7.200μlの5回目の溶出中和バクテリオファージ溶液を取り、1mlのTG1細菌に感染させ、37℃で30minであり、10μlを取って滴定に用い、残りの菌液は、750μlを大皿に広げ、250μlを大皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0349】
8.翌日、5回目の200μlのバクテリオファージ溶液に含まれる軽鎖置換バクテリオファージ総数を計算した:1.7 x 106。
【0350】
ディープウェルプレートに接種し、IPTGによってFabの発現を誘導した:
1.接種培養液2YT-Amp-0.2% Glucoseを調製し、各ディープウェルプレート40mlであり、400μl/ウェルに分注した。
【0351】
2.第5回目のスクリーニングコロニーに接種し(ディープウェルプレート)、通気性膜でディープウェルプレートを覆い、37℃、250rpmで6時間培養した。
【0352】
3.IPTG誘導培養液2YT-Amp-2mM-IPTGを調製し、各ディープウェルプレート40mlであり、誘導培養液(400μl/ウェル)を接種済の6時間培養したディープウェルプレートに加えた(IPTG 終濃度1mM)。
【0353】
4.培養条件を30℃,250rpmに調整し、誘導して一晩培養した。
【0354】
5.CD40特異的抗原被覆液(9.5mlの ddH2O+0.5mlの20x被覆液+10μgのビオチン標識がないCD40抗原)を調製し、1つのELISAプレート (100μl/ウェル)に被覆し、4℃で被覆して一晩静置した。
【0355】
ELISA分析及びCD40抗原特異的軽鎖置換陽性クローンのスクリーニング:
1.3%のMPBST(10ml/ELISAプレート)、PBST(200μl/毎回板を洗浄/ウェル)を調製した。
【0356】
2.4℃で被覆して一晩静置したELISAプレートを取り出し、被覆液を廃棄し、PBSTを用いて3回洗浄した。
【0357】
3.3%のMPBST(100μl/ウェル),を加え、非通気性膜で覆い、37℃で60分間密封した。
【0358】
4.ブロッキング液を廃棄し、PBSTを用いて3回洗浄した。
【0359】
5.一晩誘導したディープウェルプレートから均一に混合した菌液100μl/ウェルを取ってELISAプレートの対応するウェルに加え、非通気性膜で覆い、37℃で60分間インキュベートした。
【0360】
6.菌液を廃棄し、PBSTを用いて3回洗浄した。
【0361】
7.二次抗体溶液を調製した:5μl Anti-flag-HRP溶液 (ジェンスクリプトCat# A0148-100、ddH2Oを用いて溶解させ、0.5μg/μl)を取り、PBSを5ml加えた。調製した二次抗体溶液を加ELISAプレートに加え、50μl/ウェルであり、非通気性膜で覆い、37℃で45分間インキュベートした。
【0362】
8.二次抗体溶液を廃棄し、PBSTを用いて3回洗浄した。
【0363】
9.呈色液(ABTS、Invitrogen、Cat# MD21704)を加え、50μl/ウェルであり、室温で30分間呈色させた。
【0364】
10.停止液(0.1Mのクエン酸)を加え、50μl/ウェルであり、均一に混合し、OD405の数値を読み取る。
【0365】
11.OD405が1.2より大きいクローンをシークエンシングして分析し、43個のSelicrelumab軽鎖置換陽性クローンを得て、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0366】
実施例7:CD40の抗原特異的Selicrelumab重鎖置換陽性クローンのスクリーニング
【0367】
1回目のスクリーニング:
200μl(バクテリオファージ濃度3x1013/ml、実施例5)を取って新鮮なグリセリンを加えていない単一参照抗体重鎖置換バクテリオファージライブラリを製造し、200μlのMPBST( 4%のMilk、0.05%のTweenを含む1X PBS)と混合し、最終体積は0.4mlであり、Milkの終濃度は2%であった。
【0368】
液相磁気ビーズ法で重鎖置換バクテリオファージをスクリーニングし、スクリーニングフローは軽鎖置換バクテリオファージライブラリの1回目のスクリーニングフローと同じであった。抗原濃度は1μg/400μlであり、最終的な溶出中和バクテリオファージ溶液は540μlであった。400μlの溶出中和液を1mlのTG1細菌に感染させ、10μlの菌液を取って滴定し、1mlの菌液を取って大皿に広げ、残りの菌液はもう1つの大皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0369】
重鎖鎖置換バクテリオファージライブラリの1回目のスクリーニングで得られたバクテリオファージ総数(output)は 8.5 x 105であった。
【0370】
パッケージングして増幅させ1回目のスクリーニングで得られた重鎖置換バクテリオファージライブラリを沈殿させて収集した:
基本フローは1回目のスクリーニングで得られた軽鎖置換バクテリオファージライブラリをパッケージングして増幅させ、沈殿して収集するフローと同じであった。概要は以下のとおりである:
1mlの菌液大皿に広げたコロニーを全て収集し(6.3x10e5),総体積は8mlであり、2管を冷凍保存した。140μlの収集した菌液と50mlの培養液(2YT-A-G)を均一に混合し、OD600=0.114を測定し、37℃で60分間培養し、OD600=0.234を測定し、250μlのM13KO7ヘルパーバクテリオファージ(OD280=13)を加え、均一に混合し、37℃で30分間し、37℃、250rpmで30分間培養した。遠心分離して細菌を収集し、100mlの2YT-Amp-Kana培養液に再懸濁し、30℃で8時間培養した。培養液上清を遠心分離して収集し、25mlの5 x PEG-NaCLと均一に混合し、4℃でバクテリオファージを一晩沈殿させた。翌日、バクテリオファージライブラリを遠心分離して収集し、2mlのPBSを用いて懸濁し、OD280=7を測定し、終濃度20%になるまでグリセリンを加え、0.5ml/管に分注し、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0371】
ディープウェルプレートに接種し、IPTGによってFabの発現を誘導した:
重鎖置換バクテリオファージライブラリの1回目のスクリーニングに接種して0.4ml菌液の大皿のコロニー(ディープウェルプレート)に広げ、試薬材料の準備およびFabフローの誘導発現は軽鎖置換クローンと同じであった。
【0372】
ELISA分析によってCD40の抗原特異的重鎖置換陽性クローンをスクリーニングした:
スクリーニングフローは軽鎖置換クローンの分析およびスクリーニングと同じであった。
【0373】
サンプルを送付してELISA読み取り値が0.8より大きいクローンをシーケンシングして分析し、28個の重鎖置換陽性クローンを得て、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0374】
実施例8 CD40の抗原特異的Selicrelumab軽鎖重鎖二重置換陽性クローンのスクリーニング
【0375】
製造軽鎖置換陽性クローンの軽鎖フラグメント(
図2、第三ポリヌクレオチドを参照)および重鎖置換陽性クローンの重鎖可変領域フラグメント(
図2、第四ポリヌクレオチドを参照)を調製した:
室温で37個の軽鎖置換陽性クローン(実施例6)および28個の重鎖置換陽性クローン(実施例7)の冷凍保存菌液を解凍させ、それぞれ5μl取って混合し、CD40-LC-ZH-M37菌液およびCD40-VH-ZH-M28菌液を得た。それぞれ50μlの混合菌液+500μl の2YT-Ampを取り、混合後それぞれ1つの大皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0376】
翌日、二つの大皿のコロニーを全て収集した。各2つを冷凍保存し、マイナス80℃で保存した。
【0377】
CD40-VH-ZH-M28(26μg)およびCD40-LC-ZH-M37(32μg)のベクターDNAを抽出した。
【0378】
Esp3IおよびSfiI酵素を用いて5μg CD40-VH-ZH-M28ベクターDNAを切断し、精製M28-VHフラグメント(324ng)(
図2、第四ポリヌクレオチドを参照)を電気泳動によって分析した。
【0379】
SfiIを用いて5μg CD40-LC-ZH-M37ベクターDNAを酵素切断し、精製M37-LCフラグメントを電気泳動によって分析した(432ng)(
図2、第三ポリヌクレオチドを参照)。
【0380】
軽鎖重鎖二重置換ライブラリの構築:
調製されたM37-LCをフラグメント(第三ポリヌクレオチド)に挿入し、M28-VHをフラグメントに挿入して(第四ポリヌクレオチド)
図2に示される第三ベクターポリヌクレオチド、第四ベクターポリヌクレオチドと4フラグメントライゲーションし、軽鎖重鎖二重置換遺伝子を構築した。4つのフラグメントを1:1:1:1の分子数が等しい割合で混合し、総量は596ngであり、20℃で4時間ライゲーションした。
【0381】
ライゲーション産物を精製し、450ngの軽鎖重鎖二重置換遺伝子ライブラリを得た。
【0382】
50ngの精製ライゲーション産物を取り、TG1誘導菌を形質転換し、滴定し、皿に広げ、32℃で一晩培養した。
【0383】
翌日、軽鎖重鎖二重置換細菌ライブラリのライブラリ容量を分析して計算したところ2x106であった。
【0384】
コロニーに接種し、Fabの発現を誘導した:
2つのディープウェルプレートに接種し、IPTGによって30℃で一晩誘導して培養した。CD40抗原を2つのELISAプレートで被覆し、100ng/ウェルであり、4℃で一晩静置した。
【0385】
ELISA分析及びCD40の抗原特異的軽鎖重鎖二重置換陽性クローンのスクリーニング:
分析およびスクリーニングのフローは単一置換クローンと同じであった。
【0386】
ELISAの読み取り値が1.5より大きい陽性クローンをシーケンシングして分析し、10個の独特な新しいVH、19個の独特な新しいLCを得て、30個の二重置換陽性クローンを構成し、マイナス80℃で冷凍保存した。
【0387】
実施例9 CD40抗原特異的Selicrelumab軽鎖置換、重鎖置換、軽鎖重鎖二重置換陽性クローンの機能の分析
【0388】
抗体発現:
293細胞を一過性形質転換して発現させて精製した16個の(#2-17)スクリーニングしたELISAの読み取り値と陽性対照に相当するCD40の抗原特異の陽性クローンの全長抗体(KLC/IgG1)を選択して確定し、同時に参照抗体Selicrelumab(#1)を陽性対照として発現させた。
【0389】
陽性対照1個:Selicrelumab,#1;
軽鎖置換クローン6個:#2-7;
重鎖置換クローン6個:#8-13;
軽鎖重鎖二重置換クローン4個:#14-17。
【0390】
計15個の精製抗体を得た(クローン#8および#17は発現せず)
【0391】
【0392】
抗体アゴニスト活性の分析:
参考文献(Scandinavian Journal of Immunology 65, 479-486)を参照し、抗体をヒトPBMCと5日間共培養し(抗体濃度100nM)、培養液上清のIFN-γ濃度(pg/ml)を検出し、15個の抗体のアゴニスト活性を分析した。結果によると、陽性抗体Selicrelumab(#1)と比較し、全部14個のスクリーニングした抗体はいずれも異なる程度のアゴニスト活性を示し、ここで#2、3、4、5、6、7および#16のアゴニスト活性は陽性対照抗体に相当するものであった。
【0393】
【0394】
六つの鎖置換機能抗体のVhおよび全長軽鎖のアミノ酸配列:
2つの軽鎖置換クローン #2 ,#3;2つの重鎖置換クローン、#12,#13;2つの軽鎖重鎖二重置換クローン,#14,#16のアミノ酸配列の比較から示されるように、陽性対照抗体Selicrelumabの対応する軽鎖または重鎖アミノ酸配列に比べ、スクリーニングした軽鎖(軽鎖置換クローン)、重鎖(重鎖置換クローン)、軽鎖および重鎖(軽鎖重鎖二重置換クローン)、CDR領域のアミノ酸配列は顕著に異なった。表2参照。
【表2】
【0395】
実施例10 Her3抗原特異的Patritumab軽鎖置換陽性クローンのスクリーニング
【0396】
実施例6のスクリーニングフローを参照し、Her3抗原特異的Patritumab軽鎖置換陽性クローンおよび重鎖置換陽性クローンをスクリーニングした。
【0397】
Patritumab軽鎖置換バクテリオファージライブラリ(実施例4)を取って1回目のスクリーニングを行い、得られた軽鎖置換バクテリオファージ総数(output)は 1 x 105であった。
【0398】
菌を収集し、増幅し、1回目のoutputをパッケージングし、1回目のoutputの軽鎖置換バクテリオファージライブラリを得て、2回目および3回目のスクリーニングを行った。3回目のスクリーニングの軽鎖置換バクテリオファージ総数(output)は 2.2x107であった。
【0399】
軽鎖置換バクテリオファージライブラリクローンに接種し、2つのディープウェルプレートを、32℃、250rpmで一晩培養し、IPTGによってFabの発現を誘導した。
【0400】
ELISA分析によってスクリーニングHer3抗原特異的軽鎖置換陽性クローンをスクリーニングし、サンプルを送付してOD405が高いクローン計51個をシーケンシングし、独特の軽鎖置換陽性クローン28個を得た。
【0401】
実施例11 Her3抗原特異のPatritumab軽鎖置換陽性クローンの機能分析
【0402】
抗体発現:
293細胞によって一過性形質転換して発現させた精製Patritumab(#1)および12個のスクリーニングしたELISAの読み取り値と陽性対照に相当するHer3抗原特異的軽鎖置換陽性クローンの全長抗体(#2-13,KLC/IgG1)を選択して確定した。
【0403】
抗体のエンドサイトーシス活性の分析:
胃がんオルガノイド(3-27-T)を回収し、7日培養した;胃がんオルガノイドを収集し、洗浄してマトリゲルを除去し、フェノールレッドを含まないD-Hanks懸濁液で適切なボリュームになるまで懸濁し、均一に混合した; 96ウェルプレートに分注し、各ウェル50μLであった。
【0404】
参考文献(ThermoFisher/Invitrogen,ZenonTM pHrodoTM iFL IgG Labeling Reagents,Catalog Nos. Z25609, Z25610, Z25611, Z25612,Pub. No. MAN0017436 Rev. B.0)を参照し、160nMの抗体溶液および4 xカップリング試薬を調製し、両者を1:1の比率で混合し、室温で5分間培養した。
【0405】
抗体-カップリング試薬混合液を胃がんオルガノイドを分注した96ウェルプレートに加え、酵素ウェル50μlであり、室温で60分間インキュベートした。
【0406】
顕微鏡で観察し、蛍光場携帯を撮影して記録し、抗体のエンドサイトーシス活性を分析した。
【0407】
結果は
図5に示される。結果に示されるように、DDBK004-2、DDBK004-3、DDBK004-7、DDBK004-13の4つの抗体は緑色蛍光を有し、エンドサイトーシス活性を有することを示したが、陽性対照より弱い;DDBK004-11の蛍光強度は陽性対照に相当し、この抗体のエンドサイトーシス活性は陽性抗体に相当することを示した;DDBK004-9の蛍光強度が最も強く、陽性対照より高く、この抗体のエンドサイトーシス活性は陽性対照より高いことを示した。
【0408】
前記抗体のCDRおよび可変領域の配列は表3に示すとおりであった:
【表3】
【0409】
実施例12 TIGIT抗原特異的参照抗体Tiragolumab軽鎖置換陽性クローン、重鎖置換陽性クローンのスクリーニングおよび二重置換陽性クローン、陽性クローンの生物学機能の分析
【0410】
鎖置換陽性クローンのスクリーニング:
実施例6を参照して抗原を準備し、軽鎖置換バクテリオファージライブラリおよび重鎖置換バクテリオファージライブラリからTIGIT抗原特異的軽鎖置換陽性クローンおよび重鎖置換陽性クローンをスクリーニングした。
【0411】
1000近くのクローンをELISA分析した。ELISA分析結果に基づき、陽性対照クローンのOD405読み取り値を参照し、読み取り値が高い400個あまりのクローンを選択してサンプルを送付してシーケンシングし、TIGIT抗原特異的軽鎖置換陽性クローンおよび重鎖置換陽性クローンを確定した。
【0412】
実施例8を参照し、軽鎖置換固有配列陽性クローンおよび重鎖置換固有配列陽性クローンを選択し、固有配列軽鎖フラグメント(
図2、第三ポリヌクレオチドを参照)および重鎖フラグメント(
図2、第四ポリヌクレオチドを参照)を製造し、
図2 に示される第三ベクターポリヌクレオチド、第四ベクターポリヌクレオチドと4フラグメントライゲーションし、軽重鎖二重置換遺伝子ライブラリ、細菌ライブラリおよびバクテリオファージライブラリを構築し、スクリーニングして二重置換固有配列陽性クローンを得た。
【0413】
293細胞によって一過性形質転換して発現させて精製した15個の(#2-16)スクリーニングしたELISAの読み取り値が陽性対照に相当するかまたはより高いTIGIT抗原特異的陽性クローンの全長抗体(KLC/IgG1)を選択して確定し、同時に参照抗体Tiragolumab(#1)を陽性対照として発現した。表4に示すとおり、計15個の精製抗体が得られた(クローン#3は発現せず):
【表4】
【0414】
ここでTiragolumabのアミノ酸配列はWO2009126688A2に見いだされる。
【0415】
抗体の腫瘍細胞の殺傷活性分析:
実験によってTIGIT抗体とPD-1抗体(Pembrolizomab)を非小細胞肺がん器官に併用した殺傷活性を観察した。複数回の予備実験結果に基づき、表4における番号#5,10,12,14,15の計5個の抗体は異なる程度の殺傷活性を示した。予備実験の結果を比較してより確認するために、実験はTIGIT/PD-1抗体の併用(1-8)およびTIGIT抗体の単独使用(9-16)の2組に分け、各群8個のウェルであった。
【0416】
実験のフローは以下のとおりであった:
1,参考文献(Tumor organoid-T-cell coculture systems ; NATURE PROTOCOLS| VOL 15 JANUARY 2020 15-39)を参照し、非小細胞肺がん器官(4-11-T)を組成させ、IFNγ(200 ng/mL)を含む培養液中で24時間培養し、オルガノイドを収集し、洗浄してマトリゲルを除去し、培養液を用いて適切な体積になるまえで懸濁し、均一に混合して使用に備えた。
【0417】
2,PBMC(4-11-PBMC)を取って計数し、活力と細胞数を計算し、収集して洗浄し、T細胞培養液(RPMI1640,10%のFBS、1%の二重抗体、2mMのグルタミン、 IL2を添加)を用いて適切な濃度になるまで懸濁して調整し、96ウェルのU型プレート、5x103PBMC/ウェルに分けた。
【0418】
3,各ウェルに適量の非小細胞肺がん器官を加え、終体積が200μL/ウェルになるまで調整した。
【0419】
4,ウェル1-8にPD-1抗体(Pembrolizomab)を加え、終濃度は100nMであり、その後ウェル1から8に順次陽性対照抗体(P)、Isotype抗体(I)、PBSおよび5つの予備実験陽性クローン抗体を加え、ここで1つのウェルにPBSをブランク対照として加えた。ウェル9-16には、PD-1抗体(Pembrolizomab)を加えず、その他の試薬はウェル1-8と同じであった。結果は表5に示すとおりであった。
【表5】
【0420】
5,顕微鏡での観察を続け、定期的にオルガノイドおよびリンパ細胞の変化を撮影して記録し、抗体の非小細胞肺がん器官に対する殺傷活性を分析した。
【0421】
6,TIGIT抗体を単独使用した結果に示されるように(
図6)、PBSブランク対照およびIsotype抗体と比較して、単独のTIGIT抗体は非小細胞肺がん器官に対して明らかな殺傷活性がない。
【0422】
7,TIGIT抗体とPD-1抗体を併用した結果は、以下を示す(
図7):
1)「陰性」対照ウェル(PD1+I;PD1+PBS)にはPD-1抗体単独の非小細胞肺がん器官に対する明らかな殺傷活性は見られなかった;
2)陽性対照ウェル(PD1+P)は、第11日目に(D11)TIGIT抗体とPD-1抗体の組み合わせは非小細胞肺がん器官に対して明らかな殺傷活性を有することを示した;
3)5つの実験ウェル、TIGIT抗体#5、 #10、#12、#14および#15とPD-1抗体の併用(PD1+005,PD1+010,PD1+012,PD1+014,PD1+015)の、非小細胞肺がん器官に対する殺傷活性は陽性対照(PD1+P)に相当し、第11日目に(D11)明らかな殺傷活性を示した。
【0423】
前記抗体のCDRおよび可変領域の配列は表6に示すとおりであった:
【表6】
【0424】
前記詳細な説明は説明および例示にために提供されたものであり、添付されている特許請求の範囲を制限するものではない。本願に列挙されている実施方式の今日までの複数の変形は当業者にとって明らかであり、且つ請求項およびその等価の実施形態の範囲内に包含される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、機能性抗原結合タンパク質を選択する方法:
a)第一ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR1-核酸フラグメントI-R2を含み、前記核酸フラグメントIは抗原結合フラグメントIをコードすることができる;
b)第二ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR3-参照核酸フラグメントII-R4を含み、前記参照核酸フラグメントIIは参照抗原結合フラグメントIIをコードでき、前記参照抗原結合フラグメントIIは参照核酸フラグメントIをコードする参照抗原結合フラグメントIと参照抗原結合タンパク質を形成できる;
c)第一ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第一ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR2-ベクターフラグメントI-R3を含む;
d)第二ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第二ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR4-ベクターフラグメントII-R1を含む;
e)制限エンドヌクレアーゼで前記第一ポリヌクレオチド、前記第二ポリヌクレオチド、前記第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第一ポリヌクレオチド、切断後の第二ポリヌクレオチド、切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得ること;
f)前記切断後の第一ポリヌクレオチド、前記切断後の第二ポリヌクレオチド、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第一スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;
g)前記第一スクリーニング対象ベクターを発現し、以下の性質を有する発現産物を発現できる第一スクリーニング対象ベクターを第一置換ベクターとして選択すること:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力は前記参照抗原結合タンパク質と前記標の結合能力の30%以上である;
h)前記第一置換ベクターから前記機能性抗原結合タンパク質を得ること;
ここで、前記R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【請求項2】
以下を含む、請求項1に記載の方法、
前記R1およびR2を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第一ポリヌクレオチドを切断し、切断後の第一ポリヌクレオチドを得ること、
前記R3およびR4を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第二ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第二ポリヌクレオチドを得ること、
前記R2およびR3を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第一ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第一ベクターポリヌクレオチドを得ること、及び/又は
前記R4およびR1を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第二ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第二ベクターポリヌクレオチドを得ること。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項に記載の方法であって、前記R1は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R2、R3およびR4のいずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;
前記R2は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端が前記R1、R3およびR4いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;
前記R3は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R1、R2およびR4いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;及び/又は
前記R4は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R1、R2およびR3いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、前記方法。
【請求項4】
前記制限エンドヌクレアーゼがSfiIおよびBsmBIから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記第一スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、前記第一スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記第一スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む;及び/又は
前記ディスプレイベクターがpComb3xベクターに由来する;及び/又は
前記リンカーがシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む;及び/又は
前記リンカーの長さが約50から約200塩基である;及び/又は
a)前記ベクターフラグメントIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIIがディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、前記ベクターフラグメントIが前記リンカーを含み;前記参照核酸フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記ベクターフラグメントIIが前記ディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記R1がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R2がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R3がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R4がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む;または
b)前記ベクターフラグメントIIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIがディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記核酸フラグメントIは抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし;前記ベクターフラグメントIは前記ディスプレイベクターに由来し;前記参照核酸フラグメントIIは抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記ベクターフラグメントIIは前記リンカーを含む;及び/又は
前記R1がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R2がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R3はSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R4がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法であって、前記第一スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記第一スクリーニング対象ベクターのDNAを得て、前記第一スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む;及び/又は
前記細胞が哺乳動物細胞である;及び/又は
前記ベクターフラグメントIおよび/または前記ベクターフラグメントIIが哺乳動物細胞発現ベクターに由来する;及び/又は
前記哺乳動物細胞発現ベクターがpDGB4に由来する;及び/又は
a)前記核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし、且つ前記参照核酸フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする;及び/又は
前記R1がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R2がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R3がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R4がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む;又は
b)前記核酸フラグメントIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記参照核酸フラグメントIIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする;及び/又は
前記R1がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R2がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R3がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R4がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項8】
以下を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法:
a)第三ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR5~核酸フラグメントI’~R6を含む;
b)第四ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR7~核酸フラグメントII’~R8を含み、前記核酸フラグメントII’は抗原結合タンパク質II’をコードでき、且つ前記抗原結合フラグメントII’は前記参照抗原結合フラグメントIに結合して以下の性質を有する抗原結合タンパク質を形成できる:参照抗原結合タンパク質が結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;
c)第三ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第三ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR6~ベクターフラグメントIII~R7を含む;
d)第四ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第四ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR8~ベクターフラグメントIV~R5を含む;
e)制限エンドヌクレアーゼで前記第三ポリヌクレオチド、前記第四ポリヌクレオチド、前記第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第三ポリヌクレオチド、切断後の第四ポリヌクレオチド、切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得る;
f)前記切断後の第三ポリヌクレオチド、前記切断後の第四ポリヌクレオチド、前記切断後の第三ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして二重置換スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;
g)前記二重置換スクリーニング対象ベクターを発現させ、以下の性質を有する発現産物を発現できる二重置換スクリーニング対象ベクターを二重置換ベクターとして選択すること:前記標的に結合でき、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;
h)前記二重置換ベクターから前記機能性抗原結合タンパク質を得ること;
ここで、前記R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して前記制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記R5およびR6を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第三ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第三ポリヌクレオチドを得ること;
前記R7およびR8を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第四ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第四ポリヌクレオチドを得ること;
前記R6およびR7を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第三ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第三ベクターポリヌクレオチドを得ること;及び/又は
前記R8およびR5を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記第四ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第四ベクターポリヌクレオチドを得ること、を含む、前記方法。
【請求項10】
請求項8~9のいずれか一項に記載の方法であって、前記R5は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R6、R7およびR8いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;
前記R6は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R5、R7およびR8いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;
前記R7は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R5、R6およびR8いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;及び/又は
前記R8は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R5、R6およびR7いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、前記方法。
【請求項11】
前記制限エンドヌクレアーゼがSfiIおよびBsmBIから選択される、請求項
8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記二重置換スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む、請求項
8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項
8~12のいずれか一項に記載の方法であって、前記二重置換スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記二重置換スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを製造し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む;及び/又は
前記リンカーがシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む;及び/又は
前記リンカーの長さが約50から約200塩基である;及び/又は
a)前記ベクターフラグメントIIIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIVがディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記核酸フラグメントI’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし;前記ベクターフラグメントIIIが前記リンカーを含む;前記核酸フラグメントII’は抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする;且つ前記ベクターフラグメントIVが前記ディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記R5がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R6がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R7がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R8がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む;又は
b)前記ベクターフラグメントIVがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントIIIがディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記核酸フラグメントI’が抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする;前記ベクターフラグメントIIIが前記ディスプレイベクターに由来する;前記核酸フラグメントII’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする;且つ前記ベクターフラグメントIVが前記リンカーを含む;及び/又は
前記R5がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R6がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含み;前記R7がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R8がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項14】
請求項
8~12のいずれか一項に記載の方法であって、前記二重
置換スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、前記細菌から前記二重
置換スクリーニング対象ベクターのDNAを取得し、前記二重
置換スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入する;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ることを含む;及び/又は
前記細胞が哺乳動物細胞である;及び/又は
前記ベクターフラグメントIIIおよび/または前記ベクターフラグメントIVが哺乳動物発現ベクターに由来する;及び/又は
前記哺乳動物発現ベクターがpDGB4に由来する;及び/又は
a)前記核酸フラグメントI’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする;且つ前記核酸フラグメントII’が抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする;及び/又は
前記R5がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R6がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R7がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R8がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む、又は
b)前記核酸フラグメントI’が抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする;且つ前記核酸フラグメントII’が抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする;及び/又は
前記R5がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R6がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R7がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含み、及び/又は前記R8がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項15】
以下を含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法:
a)第五ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR9~参照核酸フラグメントI~R10を含む;
b)第六ポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ポリヌクレオチドは5’から3’方向にR11~参照核酸フラグメントII~R12を含む;
c)第五ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第五ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR10~ベクターフラグメントV~R11を含む;
d)第六ベクターポリヌクレオチドを提供すること、ただし、前記第六ベクターポリヌクレオチドは5’から3’方向にR12~ベクターフラグメントVI~R9を含む;
e)制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチド、前記第六ポリヌクレオチド、前記第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第五ポリヌクレオチド、切断後の第六ポリヌクレオチド、切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得ること;
f)前記切断後の第五ポリヌクレオチド、前記切断後の第六ポリヌクレオチド、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドおよび前記切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを混合し、それによってそれを一定方向にライゲーションして第二スクリーニング対象ベクターを環化形成させること;
g)前記第二スクリーニング対象ベクターを発現させ、以下の性質を有する発現産物を発現できる第二スクリーニング対象ベクターを第二置換ベクターとして選択すること:前記参照結合タンパク質は結合可能な標的に結合可能であり、且つ前記標的の結合能力が前記参照抗原結合タンパク質と前記標的の結合能力の30%以上である;
h)前記第二置換ベクターの核酸フラグメントIIを前記核酸フラグメントII’として選択する;
ここで、前記R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位である。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記R9およびR10を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第五ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第五ポリヌクレオチドを得ること;
前記R11およびR12を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第六ポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第六ポリヌクレオチドを得ること;
前記R10およびR11を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第五ベクターポリヌクレオチドを切断し、前記切断後の第五ベクターポリヌクレオチドを得ること;及び/又は
前記R12およびR9を特異的に識別する制限エンドヌクレアーゼで前記第六ベクターポリヌクレオチドを切断し、切断後の第六ベクターポリヌクレオチドを得ること、を含む、
前記方法。
【請求項17】
請求項15~16のいずれか一項に記載の方法であって、前記R9は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R10、R11およびR12いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;
前記R10は、特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R11、R12およびR9いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;
前記R11は特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R9、R10およびR12いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない;及び/又は
前記R12は特異的識別によってその制限エンドヌクレアーゼを特異的に切断して生成される末端は、前記R9、R10およびR11いずれかに対応する制限エンドヌクレアーゼに特異的に切断されて生成される末端に対しても、相互に識別しないかまたは結合しない、前記方法。
【請求項18】
前記制限エンドヌクレアーゼがSfiIおよびBsmBIから選択される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第二スクリーニング対象ベクターを細胞に導入し、前記第二スクリーニング対象ベクターを発現させることを含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれか一項に記載の方法であって、前記第二スクリーニング対象ベクターを細菌に導入し、一つまたは複数の前記第二スクリーニング対象ベクターを含むバクテリオファージライブラリを調製し、前記バクテリオファージライブラリによって前記機能性抗原結合タンパク質を得ることを含む;及び/又は
前記ディスプレイベクターがpComb3xベクターに由来する;及び/又は
前記リンカーがシグナルペプチドpelBまたはそのフラグメントをコードする核酸配列を含む;及び/又は
前記リンカーの長さが約50から約200塩基である;及び/又は
a)前記ベクターフラグメントVがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントVIがディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記参照核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし;前記ベクターフラグメントVが前記リンカーを含み;前記核酸フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記ベクターフラグメントVIが前記ディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記R9がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R10がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R11がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R12がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含む;又は
b)前記ベクターフラグメントVIがリンカーを含み、且つ前記ベクターフラグメントVがディスプレイベクターに由来する;及び/又は
前記参照核酸フラグメントIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし;前記ベクターフラグメントVが前記ディスプレイベクターに由来し;前記核酸フラグメントIIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記ベクターフラグメントVIが前記リンカーを含む;及び/又は
前記R9がSEQ ID NO: 3に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R10がSEQ ID NO: 4に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R11がSEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R12がSEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項21】
請求項
15~19のいずれか一項に記載の方法であって、前記第二スクリーニング対象ベクターを細菌に導入すること、前記細菌から前記第二スクリーニング対象ベクターのDNAを取得すること、前記第二スクリーニング対象ベクターのDNAを細胞に導入すること;前記細胞によって前記機能性抗原特異性結合ポリペプチドを得ること、を含む;及び/又は
前記細胞が哺乳動物細胞である;及び/又は
前記ベクターフラグメントIおよび/または前記ベクターフラグメントIIが哺乳動物発現ベクターに由来する;及び/又は
前記哺乳動物発現ベクターがpDGB4に由来する;及び/又は
a)前記参照核酸フラグメントIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記参照フラグメントIIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードする;及び/又は
前記R9がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R10はSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R11がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R12がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含む;または
b)前記参照核酸フラグメントIが抗体重鎖またはそのフラグメントをコードし;且つ前記核酸フラグメントIIが抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードする;及び/又は
前記R9がSEQ ID NO: 5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R10がSEQ ID NO: 6に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R11がSEQ ID NO: 7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記R12がSEQ ID NO: 8に示されるヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の方法であって、 前記抗原結合タンパク質が抗体または抗体フラグメントを含み、及び/又は前記抗体フラグメントがscFv,Fab,Fab’,(Fab)
2および/または(Fab’)
2を含む、前記方法。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法であって、記一定方向のライゲーションがリガーゼを使用することを含む、及び/又は前記リガーゼがDNAリガーゼである、前記方法。
【請求項24】
抗原結合タンパク質を製造する方法であって、請求項1~
23のいずれか一項に記載の第一置換ベクター、請求項
15~
23のいずれか一項に記載の第二置換ベクターおよび/または請求項
8~
23のいずれか一項に記載の二重置換ベクターを発現させる条件下で、請求項1~
23のいずれか一項に記載の第一置換ベクター、請求項
15~
23のいずれか一項に記載の第二置換ベクターおよび/または請求項
8~
23のいずれか一項に記載の二重置換ベクターを発現させることを含む、前記方法。
【請求項25】
請求項1~
23のいずれか一項に記載の方法によって
調製された第一置換ベクター、請求項
15~
23のいずれか一項に記載の方法によって
調製された第二置換ベクター、又は請求項
15~
23のいずれか一項に記載の方法によって
調製された二重置換ベクターである、ベクター。
【国際調査報告】