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特表2024-513874シリコーン感圧接着剤およびその作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シリコーン感圧接着剤およびその作成方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/04 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
C09J183/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561138
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 US2022022420
(87)【国際公開番号】W WO2022216482
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】17/222,329
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】サニグラヒ,アリンダム
(72)【発明者】
【氏名】ナイク,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】メーラ,ミーナル
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,デバーシ
(72)【発明者】
【氏名】シクロヴァン,ティベリウ,ミルセア
(72)【発明者】
【氏名】チャン,クワンホ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EK031
4J040JB09
4J040LA01
4J040NA02
4J040NA19
(57)【要約】
シリコーン感圧接着剤を生成するためのプロセスが本願において示され、説明される。このプロセスは、MQシリコーンレジンをポリジオルガノシロキサンと溶媒の不存在下で反応させることを含む。MQシリコーンレジンは固体の無溶媒MQレジンである。反応は、触媒、連鎖延長剤、またはこれらの組み合わせの存在下に行われてよく、得られた感圧接着剤は溶媒に溶解して固形分含有量を調節することができる。本方法は、芳香族系溶媒のような不要な望ましくない材料を実質的に含まず、また環状シロキサン不純物を実質的に含まない、よりきれいな接着剤を提供する手法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤を生成するためのプロセスであって:
少なくとも1つのMQシリコーンレジンを少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンと反応させ、ここでMQシリコーンレジンは固体の無溶媒レジンであり、そして反応は溶媒の不存在下に行われる、プロセス。
【請求項2】
シリコーンレジンおよびポリジオルガノシロキサンの合計重量に基づいて、MQシリコーンレジンは約40重量%から約70重量%の量で存在し、そしてポリジオルガノシロキサンは約60重量%から約30重量%の量で存在する、請求項1のプロセス。
【請求項3】
反応は約25℃から約200℃の温度において行われる、請求項1または2のプロセス。
【請求項4】
反応は約50℃から約150℃の温度において行われる、請求項1から3のいずれかのプロセス。
【請求項5】
反応は触媒、連鎖延長剤、またはそれらの組み合わせの存在下に行われる、請求項1から4のいずれかのプロセス。
【請求項6】
塩酸、リン酸、ポリリン酸、カルボン酸、カルボン酸金属塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属シラノレート、アルカリ金属シロキサノレート、アルカリ金属アミド、アルキル金属、アンモニア、アミン、水酸化アンモニウム、四級ホスホニウム水酸化物、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される、請求項5のプロセス。
【請求項7】
シラザン、金属シラノレート、金属シロキサノレート、ビス(アルキルアミノ)ジアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)ジアルケニルシラン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される少なくとも1つの連鎖延長剤を含む、請求項5または6のプロセス。
【請求項8】
シラザンは、ジシラザン、トリシラザン、テトラシラザン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選ばれる、請求項7のプロセス。
【請求項9】
シラザンは、環の大きさが6または8であるアルキルまたはアルケニル置換シクロシラザン、直鎖アルキルまたはポリアルキル置換ポリシラザン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選ばれる、請求項7または8のプロセス。
【請求項10】
シラザンは、2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジシラ-1-アザシクロペンタン、2,2,6,6-テトラメチル-2,6-ジシラ-1-アザシクロヘキサン、ヘキサメチルジシラザン、2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザン、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン、2,2,4,4,6,6,8,8-オクタメチルシクロテトラシラザン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選ばれる、請求項7から9のいずれかのプロセス。
【請求項11】
金属シロキサノレートは、カリウムシロキサノレート、リチウムシロキサノレート、ナトリウムシロキサノレート、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選ばれる、請求項7から10のいずれかのプロセス。
【請求項12】
ビス(アルキルアミノ)ジアルキルシランまたはビス(アルキルアミノ)ジアルケニルシランは、ビス(メチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジビニルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-ネオペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-4-メトキシフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチル-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)エチル-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec-ブチルメチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec-ブチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)エチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)シクロペンチルシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(メチルアミノ)テキシルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチル-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(エチルアミノ)エチル-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec-ブチルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec-ブチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロペンチルシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)t-ブチルイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロへキシルテキシルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-ネオペンチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジネオペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロへキシルシラン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選ばれる、請求項7から11のいずれかのプロセス。
【請求項13】
触媒を分解し、または連鎖延長剤が用いられる場合にはアンモニア副生物、アミン副生物、またはこれらの組み合わせを除去するのに十分な温度で加熱を行うことをさらに含む、請求項5から12のいずれかのプロセス。
【請求項14】
ポリジオルガノシロキサンは式:
【化3】

を有し、式中Rのそれぞれは独立してアルキル、アルケニル、芳香族、アリールアルキル、およびフルオロアルキルから選択され、Rは-OHであり、そしてn+mは50またはより大きくポリジオルガノシロキサンは約500cPsから約200,000,000cPsの粘度を有する、請求項1から13のいずれかのプロセス。
【請求項15】
ポリジオルガノシロキサンは約20,000cPsから約200,000,000cPsの粘度を有する、請求項1から14のいずれかのプロセス。
【請求項16】
ポリジオルガノシロキサンは約25,000cPsから約150,000,000cPsの粘度を有する、請求項1から15のいずれかのプロセス。
【請求項17】
ポリジオルガノシロキサンは2つまたはより多くのポリジオルガノシロキサンの混合物を含む、請求項1から16のいずれかのプロセス。
【請求項18】
2つまたはより多くのポリジオルガノシロキサンの混合物は、約100,000cPsから約450,000cPsの第1の粘度の第1のポリジオルガノシロキサン、および約300,000cPsから約750,000cPsの第2の粘度の第2のポリジオルガノシロキサンを含み、ここで第2のポリジオルガノシロキサンは第1のポリジオルガノシロキサンよりも高い粘度を有する、請求項17のプロセス。
【請求項19】
MQシリコーンレジンは約0.3から約0.9g/cmの範囲の密度を有する、請求項1から18のいずれかのプロセス。
【請求項20】
MQシリコーンレジンはM単位のQ単位に対する比0.2:1から1.7:1を有する、請求項1から19のいずれかのプロセス。
【請求項21】
MQレジンは約2%から約12%の遊離Si-OH官能基を含む、請求項1から20のいずれかのプロセス。
【請求項22】
反応を窒素スパージングにより処理することを含む、請求項1から21のいずれかのプロセス。
【請求項23】
反応は所定時間真空下で行われる、請求項1から22のいずれかのプロセス。
【請求項24】
感圧接着剤を非芳香族溶媒に溶解することを含む、請求項1から23のいずれかのプロセス。
【請求項25】
本プロセスから生成される感圧接着剤は、約2000ppmまたはそれ未満の環状シロキサン含有量を有する、請求項1から24のいずれかのプロセス。
【請求項26】
本プロセスから生成される感圧接着剤は、約2000ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約2000ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約2000ppmまたはそれ未満のドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する、請求項1から25のいずれかのプロセス。
【請求項27】
本プロセスから生成される感圧接着剤は、約1000ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約1000ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約1000ppmまたはそれ未満のドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する、請求項1から26のいずれかのプロセス。
【請求項28】
本プロセスから生成される感圧接着剤は、約500ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約500ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約500ppmまたはそれ未満のドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する、請求項1から27のいずれかのプロセス。
【請求項29】
本プロセスから生成される感圧接着剤は、約250ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約250ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約250ppmのドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する、請求項1から22のいずれかのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン感圧接着剤およびそうした接着剤を作成するための方法に関する。特に本発明は、芳香族系溶媒および/または環状シロキサンを実質的に含まないシリコーン感圧接着剤およびそうした接着剤を作成するための方法に関し、そこにおいてこの方法は、溶媒の不存在下に実行される。
【背景技術】
【0002】
シリコーン感圧接着剤は、多種多様な用途に使用される、接着剤の重要な部類である。シリコーン感圧接着剤は、高温用途、工業用途、エレクトロニクス用途、医療/ヘルスケア用途、および薬物送達用途に用いられている。
【0003】
多くのシリコーン感圧接着剤は、縮合触媒の存在下において、分岐したシリコーンレジン(MQレジン)とポリジオルガノシロキサンの溶液縮合によって生成される。この反応は従来は溶媒中で実行され、溶媒は最も多くの場合ベンゼン、トルエン、および/またはキシレン(BTX溶媒)のような芳香族系溶媒であり、次いで過酸化物ラジカルを介して硬化される。シリコーン感圧接着剤を形成するための別の経路は、白金触媒を使用したビニル含有シロキサンとヒドリド含有シロキサンオリゴマーの付加硬化である。
【0004】
業界においては、シリコーン感圧接着剤を調製するためのより好ましい経路は一般的に、溶液縮合方法である。溶液縮合は通常、2成分の付加硬化方法を介して調製されるものと比較して、接着性および熱的挙動が良好な感圧接着剤をもたらす。加えて、殆どのMQ樹脂はBTXタイプの溶媒中で得られ、それによってプロセスは使用が容易なものとされる。縮合プロセスには、接着剤の着色や曇り、および縮合触媒の中和に基づく塩の形成/残留イオン含有といった、幾つかの欠点がある。それにも関わらず、縮合硬化性シリコーン感圧接着剤は本技術分野で周知であり、また文献に記載されている。
【0005】
米国特許第5,726,256号は、ベンゼンに可溶なMQレジンとポリジオルガノシロキサンゴムの縮合を触媒するために、弱い有機酸または金属塩を使用してシリコーンPSAを生成することを記載している。
【0006】
米国特許第5,861,472号は、ポリジオルガノシロキサンポリマー、シリコーンレジンコポリマー、熱安定剤、およびカリウムシラノレートのような平衡化触媒の混合物をトルエン中で加熱することにより、シリコーンPSA組成物を調製するための方法を記載している。
【0007】
米国特許第5,162,410号は、シリコーンゴム(フェニルメチル)およびMQレジン(キシレン溶液中)を炭酸アンモニウム触媒と均一に混合し、混合物を100℃に加熱することにより、ホットメルトシリコーンPSAを生成するためのプロセスを記載している。揮発性成分は続いて、100℃で除去される。
【0008】
国際公開2007/067332A2は、ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンポリマーをヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサンレジンおよび溶媒(キシレン)と混合することにより、シリコーンPSAを合成するための連続方法を記載している。この組成物は溶媒の蒸発点を超えて加熱され、すべての揮発性種は2軸押出機を使用して除去される。
【0009】
米国特許第5,175,058号は、感圧接着剤の2つの中間組成物のトルエン中の均一混合物を含むシリコーンPSA組成物を記載している。
【0010】
米国特許第5,602,214号は、優れた剥離接着強度、高い粘着性、およびクイックスティック性を有するシリコーンPSAをトルエン中で合成するための方法を記載している。
【0011】
米国特許第10,351,742号は、芳香族レジンを除去する無溶媒MQシリコーンレジンを提供し、次いでポリジオルガノシロキサンと混合および反応させる前に、そのMQレジンを異なる揮発性溶媒に再溶解することを記載している。出発物質のMQレジンは揮発性の芳香族溶媒を除去するように処理され、次いでポリジオルガノシロキサンと反応される前に、そうした芳香族系溶媒を含まない揮発性溶媒中に再溶解される。
【0012】
国際公開2011/031452A1は、低粘度のポリオルガノシロキサンゴムを縮合させ、そして重合プロセス中にキシレン溶媒またはシリコーン流体中のシリコーンMQレジンをゆっくりと添加することにより、シリコーンPSAを作成するためのプロセスを記載している。
【0013】
国際公開2018/132941A1は、ポリオルガノシロキサンレジンをシラノール末端ポリジオルガノシロキサンゴムと有機溶媒(トルエンとキシレンの混合物)中で混合し、続いてこの材料をアミノ官能性アルコキシシランおよびリン酸シリルエステル化合物と混合することにより、35℃を超えない温度でシリコーンPSA硬化性組成物を作成するためのプロセスを記載している。
【0014】
国際公開2020/090781は、塩基で触媒したMQレジンとポリオルガノシロキサンゴムのn-ヘプタン中での縮合により、低減された残存シラノール含有量を有するシリコーンPSAを作成するためのプロセスを記載している。
【0015】
国際公開2020/099999は、除去に際しての皮膚へのダメージおよび痛みを最小限にすると同時に、改善された接着特性を有するシリコーンPSAを作成するためのホットメルトプロセスを記載している。このプロセスは、非官能性直鎖オルガノポリシロキサンの存在下でのシラノール末端基含有直鎖オルガノポリシロキサンとシリケートMQレジン固体との、例えばアンモニアを使用する塩基で触媒された縮合を含んでいる。
【0016】
これらの種々のプロセスがあるにも関わらず、優れた接着特性を備えたよりきれいな感圧接着剤を生成するプロセスを提供することに対する関心は依然として存在する。
【発明の概要】
【0017】
以下に提示されるのは、幾つかの実施態様の基本的な理解をもたらすための、本開示の概要である。この概要は、重要なまたは必須の要素を特定することや、実施形態または特許請求の範囲に何らかの限定を規定することを意図するものではない。さらにまた、この概要は幾つかの実施態様の簡略化された概要をもたらすものであってよく、それらは本開示の他の箇所でより詳細に説明されてよい。
【0018】
提供されるのはシリコーン感圧接着剤およびそうした接着剤を生成するための方法である。シリコーン感圧接着剤は少なくとも1つの実質的に固体の、無溶媒MQレジンと少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンとを反応させることによって調製され、そこにおいて感圧接着剤は溶媒、特に芳香族系溶媒、より特定的にはベンゼン、トルエン、およびキシレンタイプの溶媒を実質的に含まない。
【0019】
本出願の目的に関して、溶媒を実質的に含まないとは、溶媒については<5ppmであること、そして環状物質については<100ppmであることを意味している。環状物質について好ましくは100ppm未満、より好ましくは<50ppm、そして最も好ましくは20ppm未満である。
【0020】
1つの実施形態において、シリコーン感圧接着剤の作成方法は、触媒の存在下でMQレジンをポリジオルガノシロキサンと反応させることを含んでおり、ここで反応は溶媒を含まない。反応において用いられるMQレジンは固体の、無溶媒MQレジンである。
【0021】
別の実施形態では、この方法は、MQレジン、ポリジオルガノシロキサン、およびヘキサアルキルシクロトリシラザンまたはビス(アルキルアミノ)シランから選択される連鎖延長剤を溶媒の不存在下に反応させて、シリコーン感圧接着剤材料を生成することを含んでいる。
【0022】
1つの実施形態において提供されるのは、感圧接着剤を生成するためのプロセスであり、これは:少なくとも1つのMQシリコーンレジンを少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンと反応させることを含み、ここでMQシリコーンレジンは固体の無溶媒レジンであり、そして反応は溶媒の不存在下で行われる。
【0023】
1つの実施形態において、MQシリコーンレジンおよびポリジオルガノシロキサンの合計重量に基づいて、MQシリコーンレジンは約40重量%から約70重量%の量で存在し、そしてポリジオルガノシロキサンは約60重量%から約30重量%の量で存在する。
【0024】
1つの実施形態において、反応は約25℃から約200℃の温度において実行される。
【0025】
1つの実施形態において、反応は約50℃から約150℃の温度において実行される。
【0026】
1つの実施形態において、反応は触媒、連鎖延長剤、またはこれらの組み合わせの存在下において実行される。
【0027】
1つの実施形態において、触媒は、塩酸、リン酸、ポリリン酸、カルボン酸、カンボン酸金属塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属シラノレート、アルカリ金属シロキサノレート、アルカリ金属アミド、アルキル金属、アンモニア、アミン、水酸化アンモニウム、四級ホスホニウム水酸化物、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0028】
1つの実施形態において、プロセスは、シラザン、金属シラノレート、金属シロキサノレート、ビス(アルキルアミノ)ジアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)ジアルケニルシラン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される少なくとも1つの連鎖延長剤を含む。
【0029】
1つの実施形態において、シラザンは、ジシラザン、トリシラザン、テトラシラザン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0030】
1つの実施形態において、シラザンは、環の大きさが6または8であるアルキルまたはアルケニル置換シクロシラザン、直鎖アルキルまたはポリアルキル置換ポリシラザン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0031】
1つの実施形態において、シラザンは、2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジシラ-1-アザシクロペンタン、2,2,6,6-テトラメチル-2,6-ジシラ-1-アザシクロヘキサン、ヘキサメチルジシラザン、2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザン、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン、2,2,4,4,6,6,8,8-オクタメチルシクロテトラシラザン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0032】
1つの実施形態において、金属シロキサノレートは、カリウムシロキサノレート、リチウムシロキサノレート、ナトリウムシロキサノレート、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0033】
1つの実施形態において、ビス(アルキルアミノ)ジアルキルシランまたはビス(アルキルアミノ)ジアルケニルシランは、ビス(メチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジビニルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-ネオペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-4-メトキシフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチル-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)エチル-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec-ブチルメチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec-ブチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)エチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)シクロペンチルシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(メチルアミノ)テキシルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチル-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(エチルアミノ)エチル-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec-ブチルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec-ブチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロペンチルシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)t-ブチルイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロへキシルテキシルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-ネオペンチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジネオペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロへキシルシラン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0034】
1つの実施形態において、このプロセスはさらに、触媒を分解し、また連鎖延長剤が用いられる場合にはアンモニア副生物、アミン副生物、またはこれらの組み合わせを除去するのに十分な温度で加熱を行うことを含んでいる。
【0035】
1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは式:
【化1】

を有し、式中Rのそれぞれは独立してアルキル、アルケニル、芳香族、アリールアルキル、およびフルオロアルキルから選択され、Rは-OHであり、そしてn+mは50またはより大きくポリジオルガノシロキサンは約500cPsから約200,000,000cPsの粘度を有する。
【0036】
1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは約20,000cPsから約200,000,000cPsの粘度を有する。
【0037】
1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは約25,000cPsから約150,000,000cPsの粘度を有する。
【0038】
1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは2つまたはより多くのポリジオルガノシロキサンの混合物を含む。
【0039】
1つの実施形態において、2つまたはより多くのポリジオルガノシロキサンの混合物は、約100,000cPsから約450,000cPsの第1の粘度の第1のポリジオルガノシロキサン、および約300,000cPsから約750,000cPsの第2の粘度の第2のポリジオルガノシロキサンを含み、ここで第2のポリジオルガノシロキサンは第1のポリジオルガノシロキサンよりも高い粘度を有する。
【0040】
1つの実施形態において、MQシリコーンレジンは約0.3から約0.9g/cmの範囲の密度を有する。
【0041】
1つの実施形態において、MQシリコーンレジンはM単位のQ単位に対する比0.2:1から1.7:1を有する。
【0042】
1つの実施形態において、MQレジンは約2%から約12%の遊離Si-OH官能基を含む。
【0043】
1つの実施形態において、プロセスは反応を窒素スパージングにより処理することを含む。
【0044】
1つの実施形態において、反応は所定時間真空下で行われる。
【0045】
1つの実施形態において、プロセスは感圧接着剤を非芳香族溶媒に溶解することを含む。
【0046】
1つの実施形態において、本プロセスから生成される感圧接着剤は約2000ppmまたはそれ未満の環状シロキサン含有量を有する。
【0047】
1つの実施形態において、本プロセスから生成される感圧接着剤は、約2000ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約2000ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約2000ppmまたはそれ未満のドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する。
【0048】
1つの実施形態において、本プロセスから生成される感圧接着剤は、約1000ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約1000ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約1000ppmまたはそれ未満のドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する。
【0049】
1つの実施形態において、本プロセスから生成される感圧接着剤は、約500ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約500ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約500ppmまたはそれ未満のドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する。
【0050】
1つの実施形態において、本プロセスから生成される感圧接着剤は、約250ppmまたはそれ未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量;約250ppmまたはそれ未満のデカメチルシクロペンタシロキサン含有量;および/または約250ppmのドデカメチルシクロヘキサシロキサン含有量を有する。
【0051】
出願人は、シリコーン感圧接着剤材料を生成するための縮合反応それ自体を溶媒の不存在下で行うことが可能であることを見出した。加えて、この方法は、低い環状シロキサン含有量を有するシリコーン感圧接着剤を生成することが見出されている。
【0052】
以下の説明は、種々の例示的な実施態様を開示している。改良点や新規な実施態様の幾つかは明示的に特定されているが、他のものは記載されたところから明らかなものであってよい。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では例示的な実施形態を参照するものとし、その例は説明および実施例に示されている。理解されるように、他の実施形態も用いられてよく、構造的および機能的な変更が行われてよい。さらにまた、種々の実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりしてよい。よって、以下の説明は例示としてのみ提示されるものであり、説明される実施形態に対して行われてよい種々の変更および修正をいかなる意味でも限定するものではない。本開示においては、多くの具体的な詳細事項が本開示の主題の完全な理解をもたらす。理解されねばならないのは、本開示の実施態様は、本願に記載したすべての実施態様を必ずしも含むことなしに、他の実施形態について実施されてよいといったことである。
【0054】
本願で使用するところでは、「例」または「例示的」という用語は、事例または実例を意味している。「例」または「例示的」という用語は、重要なまたは好ましい実施態様または実施形態であることを示すものではない。「または」という用語は、文脈が特段示唆しない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例えば、「AはBまたはCを用いる」という言い回しは、すべての包括的な置き換えを含んでいる(例えば、AはBを用いる;AはCを用いる;またはAはBおよびCの両方を用いる)。別の事項として、冠詞「ある」および「1つの」は一般に、文脈が特段示唆しない限り「1つまたはより多く」を意味することを意図している。
【0055】
本技術によるシリコーン感圧接着剤は、(i)揮発性溶媒を含まないMQシリコーンレジン、および(ii)ポリジオルガノシロキサンの反応によってもたらされ、ここで反応は揮発性溶媒の不存在下で行われる。この反応は、触媒の存在下に行われてよい。この触媒は、例えば加熱によって触媒を劣化させることによって除去されてよい。得られた感圧接着剤の粘度は、適切な非芳香族溶媒を介して調節されてよい。
【0056】
MQレジンは、いかなる揮発性溶媒も実質的に含まないレジン材料として提供される。特に、MQレジンは何らの芳香族系溶媒も含まず、そして特にベンゼン、トルエン、および/またはキシレンタイプの溶媒を実質的に含まない。MQレジンは固体の形態であってよい。本出願の目的に関して、本願の目的に関して溶媒を含まないとは、溶媒については<5ppmであること、そして環状物質については<100ppmであることを意味している。環状物質について好ましくは100ppm未満、より好ましくは<50ppm、そして最も好ましくは20ppm未満である。
【0057】
MQレジン材料は一般に、例えばBTXタイプのような芳香族溶媒に入れられて提供または取得される。この溶媒、任意の適切な手法で除去することができる。1つの実施形態において、無溶媒MQレジンは、押し出しプロセスを介して溶媒を除去することによって提供することができる。こうしたプロセスは、ここで参照することによってその全体を本願に取り入れる米国特許第8,017,712号に記載されている。別の実施形態では、無溶媒MQレジンは、米国特許第5,324,806号に記載されているように噴霧乾燥プロセスを介して溶媒を除去することによって提供することができる。
【0058】
MQレジンは特に限定されるものではなく、式R SiO1/2によって表されるM単位と式SiO4/2によって表されるQ単位のポリマーを含んでいる。MQレジンは主としてこうしたM単位およびQ単位から形成されるが、幾らかの残存D単位(R SiO2/2)およびT単位(RSiO3/2)を含んでいてよい。一般に、MQレジンは20モル%未満のD単位およびT単位、15モル%未満のD単位およびT単位、10モル%未満のD単位およびT単位、5モル%未満のD単位およびT単位、さらには1モル%未満のD単位およびT単位を含有している。
【0059】
MQレジンにおいて、R、R、およびRはそれぞれ独立して1価のC1~C6炭化水素、C5~C20脂環式ラジカル、C2~C6オレフィン系ラジカル、およびC6~C20芳香族ラジカルから選択される。適切な1価のC1~C6炭化水素ラジカルの例には、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、およびヘキシルが含まれる。適切な脂環式ラジカルの例には、限定するものではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、その他が含まれる。適切なC2~C6オレフィン系ラジカルの例には、限定するものではないが、ビニル、アリル、その他が含まれる。適切な芳香族ラジカルの例には、限定するものではないが、フェニルが含まれる。R、R、およびR基のそれぞれは、所与のM、D、またはT単位内で同一または異なることができる。1つの実施形態において、R、R、および/またはR基の約95から100%はメチルである。1つの実施形態において、R、R、および/またはR基の実質的にすべては不飽和を含まない。1つの実施形態において、MQレジンの有するR、R、およびR基の0から0.5モル%は何らかの不飽和を含む。
【0060】
固体の無溶媒MQレジンは、0.3から0.9g/cmの範囲にある密度を有する。M単位のQ単位に対する比は0.2:1程度であり、またはより大きい。1つの実施形態において、M単位のQ単位に対する比は0.2:1から1.7:1である。MQレジンは幾らかの遊離Si-OH基を含んでいてよい。実施形態において、MQレジンは約2%から約12%の遊離Si-OH官能基、約4%から約10%の遊離Si-OH官能基、または約5%から約8%の遊離Si-OH官能基を含む。
【0061】
ポリジオルガノシロキサンは、ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンから選択される。ポリジオルガノシロキサンはまた本願においては、シリコーンゴムとも称されてよい。本技術によれば、シリコーンゴムは低分子量から高分子量のゴムであってよい。
【0062】
1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは式:
【化2】

を有し、式中Rのそれぞれは独立してアルキル、アルケニル、芳香族、アリールアルキル、およびフルオロアルキルから選択され、そしてRは-OHであり、ここでn+mは50またはより大きく、ポリジオルガノシロキサンは約500cPsから約200,000,000cPsの粘度を有する。1つの実施形態において、RはC1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C6~C20芳香族、C7~C20アリールアルキル、およびC1~C10フルオロアルキルから独立して選択される。フルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の1つまたはより多くがフッ素原子で置換されている;実施形態において、フルオロアルキルはパーフルオロ化アルキル基から選択されてよい。1つの実施形態において、Rのそれぞれはアルキル基であり、そして実施形態ではRのそれぞれはメチルである。1つの実施形態において、m単位にあるR基はアルキルであり、そして実施形態ではメチルであり、またy単位にあるR基は芳香族基であり、そして実施形態ではフェニルである。
1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは、約500cPsから約200,000,000cPs;約25,000cPsから約150,000,000cPs;約50,000cPsから約100,000,000cPs;約75,000cPsから約75,000,000cPs;約100,000cPsから約50,000,000cPs;約125,000cPsから約800,000cPs;約150,000cPsから約750,000cPs;約200,000cPsから約500,000cPs;または約300,000cPsから約450,000cPsの粘度を有する。1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは、約50,000cPsから約150,000cPsまたは約75,000cPsから約100,000cPsの粘度を有する。別の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンは約100,000cPsから約450,000cPs;約150,000cPsから約400,000cPs;または約200,000から約300,000cPsの粘度を有する。別の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンは約300,000cPsから約750,000cPs;約400,000cPsから約700,000cPs;または約500,000cPsから約600,000cPsの粘度を有する。粘度は、任意の適切な方法を使用して評価してよい。1つの実施形態において、粘度は得られたPSAの溶融物を適切な溶媒中に固形分60%で溶解し、そしてブルックフィールド(DV1)粘度計を用いて25℃で粘度を測定することによって求められる。
【0063】
ポリジオルガノシロキサンは、粘度の異なるポリジオルガノシロキサンのブレンドを含むことができる。1つの実施形態において、ポリジオルガノシロキサンは約100,000cPsから約450,000cPsである第1の粘度の第1のポリジオルガノシロキサン、および約300,000cPsから約750,000cPsである第2の粘度の第2のポリジオルガノシロキサンを含み、ここで第2のポリジオルガノシロキサンは第1のポリジオルガノシロキサンよりも高い粘度を有する。
【0064】
接着剤を形成するにおいて、固体MQレジンは約20重量%から70重量%、約25重量%から約65重量%、約45重量%から約60重量%、または約50重量%から約55重量%の量で存在し;そしてポリジオルガノシロキサンは約30重量%から約80重量%、約35重量%から約75重量%、約40重量%から約55重量%、または約45重量%から約50重量%の量で存在する。
【0065】
触媒は特に限定されるものではなく、任意の適切な縮合触媒から選択されてよい。縮合触媒は例えば、酸触媒または塩基触媒であることができる。酸触媒は、無機酸触媒または有機酸触媒であることができる。無機酸触媒の例には、限定するものではないが、塩酸、リン酸、およびポリリン酸が含まれる。有機酸触媒の例には、限定するものではないが、カルボン酸、例えば限定するものではないが、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、およびカルボン酸金属塩が含まれ、ここで金属は、限定するものではないが、Li、Na、K、Ce、およびCaからなる群より選ばれる。カルボン酸金属塩の非限定的な例には、限定するものではないが、ギ酸カリウムまたは酢酸カリウムが含まれる。塩基触媒は、限定するものではないが、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属シラノレート、アルカリ金属シロキサノレート、アルカリ金属アミド、アルキル金属、アンモニア、アミン、および水酸化アンモニウムおよび置換された水酸化アンモニウムのようなアンモニア化合物から選択することができる。例示的なアルカリ金属酸化物は、限定するものではないが、酸化ナトリウムである。適切なアルカリ金属アルコキシドの例は、限定するものではないが、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、リウチムメトキシド、およびカリウムイソプロポキシドを含んでいる。適切なアルカリ金属水酸化物の例は、限定するものではないが、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および水酸化セシウムを含んでいる。適切なアルカリ金属アミドの例は、限定するものではないが、ナトリウムアミドおよびカリウムアミドを含んでいる。適切なアルキル金属の例は、限定するものではないが、ブチルリチウムを含んでいる。適切なアミンの例は、限定するものではないが、トリエチルアミンおよびアリルアミンを含んでいる。適切な水酸化アンモニウムの例は、限定するものではないが、テトラメチルアンモニウム水酸化物のような四級アンモニウム水酸化物を含んでいる。塩基触媒は代替的には、限定するものではないが、水酸化テトラブチルホスホニウムのような四級水酸化ホスホニウムであることができる。塩基触媒は代替的には、炭酸カリウムのような強塩基および弱酸の塩であることができる。
【0066】
1つの実施形態において、塩基触媒は、金属シロキサノレート、金属シラノレート、シラザン、ビス(アルキルアミノ)シラン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される、連鎖延長剤または封止剤から選択することができる。適切なアルカリ金属シラノレートの例には、限定するものではないが、カリウムシラノレート、リチウムシラノレート、およびナトリウムシラノレートが含まれる。適切な金属シロキサノレートの例には、限定するものではないが、カリウムシロキサノレート、リチウムシロキサノレート、およびナトリウムシロキサノレートが含まれる。シラザンの例には、限定するものではないが、適切なビスシラザン、トリシラザン、テトラシラザンが含まれる。こうした剤の例には、限定するものではないが、ヘキサメチルシクロトリシラザン、トリメチルトリビニルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、環の大きさが6または8であるアルキルまたはアルケニル置換シクロシラザン、直鎖アルキルまたはポリアルキル置換ポリシラザンが含まれる。適切なシラザンの幾つかのより特定的な例には、限定するものではないが、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン;2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジシラ-1-アザシクロペンタンおよび2,2,6,6-テトラメチル-2,6-ジシラ-1-アザシクロヘキサンのような環状ジシラザン化合物;2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザンおよび2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザンのような環状トリシラザン化合物;および2,2,4,4,6,6,8,8-オクタメチルシクロテトラシラザンのような環状テトラシラザン化合物が含まれる。
【0067】
適切なビス(アルキルアミノ)ジアルキルシランおよびビス(アルキルアミノ)ジアルケニルシランの例には、限定するものではないが、ビス(メチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジビニルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-n-ネオペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジ-4-メトキシフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチル-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(メチルアミノ)エチル-t-ブチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec-ブチルメチルシラン、ビス(メチルアミノ)sec-ブチルエチルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)エチルシクロペンチルシラン、ビス(メチルアミノ)シクロペンチルシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)メチルシクロへキシルシラン、ビス(メチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(メチルアミノ)テキシルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)ジデカヒドロナフチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチル-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルフェニルシラン、ビス(エチルアミノ)エチル-t-ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec-ブチルメチルシラン、ビス(エチルアミノ)sec-ブチルエチルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロペンチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロペンチルシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)メチルシクロへキシルシラン、ビス(エチルアミノ)t-ブチルイソブチルシラン、ビス(エチルアミノ)シクロへキシルテキシルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジ-n-ネオペンチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(n-プロピルアミノ)ジシクロへキシルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジビニルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-n-プロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソプロピルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-n-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジイソブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-sec-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジ-t-ブチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジネオペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロペンチルシラン、ビス(イソプロピルアミノ)ジシクロへキシルシラン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。
【0068】
組成物がこのような連鎖延長剤を含む場合、その使用量は利用可能なシラノール含有量に基づいて化学量論の50%から175%、好ましくは70から120%、そして最も好ましくは90%から110%であってよい。
【0069】
接着剤の形成において、触媒は約0.3重量%から10重量%、約0.5重量%から約5重量%、または約1重量%から約2重量%の量で存在する。
【0070】
シリコーン感圧接着剤を生成するためのプロセスは、(i)固体の無溶媒MQレジンをポリジオルガノシロキサンと混合して第1の混合物を形成し;(ii)触媒を第1の混合物に添加してMQレジンとポリジオルガノシロキサンの反応を触媒して感圧接着剤組成物を形成し;そして(iii)触媒を感圧接着剤組成物から除去することを含み、ここで反応は溶媒を含まない。このプロセスはさらに(iv)感圧接着剤組成物を非芳香族溶媒に溶解し、固形分含有量を所望に応じて調節することを含んでよい。
【0071】
固体の無溶媒MQレジンとポリジオルガノシロキサンを混合することは、MQレジンのポリジオルガノシロキサンへの十分な混合と分散をもたらすのに適切な温度において行うことができる。実施形態において、MQレジンとポリジオルガノシロキサンの混合物は、約25℃から約200℃、約50℃から約150℃、または約75℃から約100℃の温度に加熱することができる。1つの実施形態において、MQレジンとポリジオルガノシロキサンの混合物は、約120℃から約130℃の温度に加熱することができる。
【0072】
触媒をMQレジンとポリジオルガノシロキサンの混合物に添加した後、この混合物は縮合/架橋反応を完了するのに十分な時間にわたって継続して加熱することができる。実施形態において、MQレジン、ポリジオルガノシロキサン、および触媒または連鎖延長剤の混合物は、約60℃から約200℃、約75℃から約175℃、または約100℃から約150℃の温度に加熱することができる。加熱時間は変化してよい。実施形態において、加熱は1から10時間のどの長さにわたって行うこともできる。
【0073】
何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、利用可能なシラノール官能性に基づいて、低分子量のシラノール末端流体との反応を介して連鎖延長が生じてよく、その結果としてゴムがその場で形成され、続いてMQのシラノールとの縮合が行われて感圧接着剤が生成されるものと理解され得る。
【0074】
縮合触媒を含む混合物の温度は、少なくとも最初は、触媒が分解するような温度よりも低いことが理解されよう。反応は、縮合/架橋が完了することを許容するのに十分な長さの時間にわたって、触媒が分解する温度よりも低く維持されねばならない。縮合反応が終点に達した後、感圧接着剤組成物の温度は、触媒が分解する温度とすることができる。これは、他の場合には触媒を除去するために行われる別個の抽出工程または処理なしに、触媒を系から容易に除去することを可能にする。触媒を除去するための工程はまた、触媒の除去を容易にするために窒素雰囲気下または窒素パージを用いて行うことができる。
【0075】
連鎖延長剤を使用する場合に反応が行われる温度は、シラノール基を反応させ、また形成されうるアンモニアまたはアミン副生物を除去するのに十分なものであるが、連鎖延長剤が揮発して系から早期に除去されることがない十分に低い温度であることが理解されよう。
【0076】
本願の目的に関して、反応の完了または終点とは、所望の溶融粘度に達したことを示している。
【0077】
本プロセスはまた、接着剤の形成を促進するのに所望または適していてよい、適切な雰囲気条件の下で行うことができる。系および組成物から不要なガスを除去するために、系または混合物は窒素スパージングで処理することができる。加えて、組成物の混合はまた、所望に応じて減圧下または真空下で行うことができる。実施形態において、混合は約0.1torrから約760torr;約0.5torrから約500torr;約1torrから約250torr;または約10torrから約100torrの圧力下で行うことができる。1つの実施形態において、混合は約0.1torrから約100torrの圧力において行われる。
【0078】
得られる感圧接着剤は、ホットメルトからの転換プロセスが必要または利益となる用途を含む、種々の用途に適している。溶媒を必要とする用途については、接着剤は以下でさらに詳しく記載するように、接着剤は適切な溶媒に溶解してよい。
【0079】
得られる感圧接着剤の固形分含有量は、適当な溶媒を用いて所望に応じて調節することができる。感圧接着剤の固形分含有量は、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択することができる。1つの実施形態において、感圧接着剤の固形分含有量は、約30%から約80%、約40%から約70%、または約50%から約60%に調節することができる。溶媒は好ましくは非芳香族溶媒であり、またより好ましくはBTXタイプの溶媒以外の溶媒である。感圧接着剤を溶解するために使用されてよい適切な溶媒の例には、限定するものではないが、炭化水素溶媒、シリコーン溶媒、エステル、ケトン、またはエーテルが含まれる。
【0080】
適切な脂肪族炭化水素の例には、直鎖、分岐鎖、または6から16の炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素が含まれ、例えばヘプタン、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、イソヘキサデカンまたはドデカンまたはイソドデカンのような飽和非環状脂肪族炭化水素(パラフィン)、およびシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンまたはデカヒドロナフタレンのような環状脂肪族炭化水素である。脂肪族炭化水素溶媒は、アルケン、例えばヘプタン、シクロヘキサジエン、シクロヘキサン、または2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエンであることができる。脂肪族炭化水素の混合物、例えばISOPAR登録商標の下で販売されている分岐鎖パラフィンの混合物もまた適切である。
【0081】
適切な揮発性シリコーン溶媒の例には、限定するものではないが、直鎖、分岐鎖、および環状ポリジオルガノシロキサン、例えば0.65から5cPの粘度を25℃において有する直鎖トリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンのようなポリジメチルシロキサン、およびデカメチルシクロペンタシロキサンおよびオクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状ポリジメチルシロキサンが含まれる。揮発性シリコーン溶媒は、メチル以外の有機基、例えばより高級なアルキル基またはフェニル基を含むことができる。1つの例は3-オクチルヘプタメチルトリシロキサンである。1つの実施形態において、粘度は得られたPSAの溶融物を適切な溶媒中に固形分60%で溶融し、そしてブルックフィールド(DV1)粘度計を用いて25℃で粘度を測定することによって求められる。
【0082】
適切なエステル溶媒の例には、限定するものではないが、アルキルカルボン酸エステルのようなカルボン酸エステルおよびアルキル炭酸エステルのような炭酸エステルが含まれる。例えば揮発性溶媒は、酢酸エチルまたは酢酸ブチルのような、C2~C4カルボン酸のC1~C8アルキルエステルの少なくとも1つを含むことができる。適切な炭酸エステル溶媒の例には、限定するものではないが、炭酸ジエチルおよび炭酸ジカプリリルが含まれる。
【0083】
適切なケトン溶媒の例には、限定するものではないが、メチルイソブチルケトン(4-メチル-2-ペンタノン)、2-ペンタノン、3-ヘキサノン、およびメチルイソアミルケトン(5-メチル-2-ヘキサノン)が含まれる。
【0084】
適切なエーテル溶媒の例には、限定するものではないが、ジブチルエーテル、1-(プロポキシメトキシ)プロパンのような揮発性ポリエーテル、およびシクロペンタメチルエーテルのような環状エーテルが含まれる。
【0085】
本プロセスから生成される感圧接着剤は、多種多様な用途に使用することができる。本発明の方法によって調製されたシリコーン感圧接着剤は、可撓性であると剛性であるとを問わず、固体の支持体または基体に容易に付着して支持される。これらの感圧接着剤組成物は、ローリング、拡延、または噴霧のような任意の適切な手段によって、表面に対して適用されてよい。支持体の表面および支持体が取着される基体は、金属、紙、木材、皮革、繊維、有機ポリマー材料、塗装表面、コンクリート、レンガ、コンクリートブロックのような珪質材料、およびガラス布を含むガラスのような、任意の既知の固体材料であってよい。表面に対して適用された後に、接着剤は風乾、または例えば300℃までの温度における加熱によって硬化されてよい。
【0086】
加えて、本技術によって生成される感圧接着剤は、低濃度の環状シロキサンを含んでいてよい。実施形態において、感圧接着剤は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、またはドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)の1つまたはより多くを2000ppm未満、1800ppm未満、1500ppm未満、1250ppm未満、1000ppm未満、750ppm未満、500ppm未満、250ppm未満、さらには100ppm未満で含んでいる。1つの実施形態において、感圧接着剤は、D4、D5、またはD6環状シロキサンのそれぞれを2000ppm未満、1800ppm未満、1500ppm未満、1250ppm未満、1000ppm未満、750ppm未満、500ppm未満、250ppm未満、さらには100ppm未満の量で含んでいる。
【0087】
本技術は以上の詳細な説明において、種々の実施態様および実施形態を参照して説明されている。この技術は以下の実施例を参照してさらに理解され得る。実施例は本技術の実施態様および実施形態をさらに例示することを意図しているが、必ずしもそうした実施態様または実施形態に限定されるものではない。
【0088】
実施例
【0089】
MQシリコーンレジン
【0090】
感圧接着剤を調製するために使用された固体MQシリコーンレジンは、95473ppmから47746ppmのシラノール含有量を有している。用いられたMQレジンは、MQ1レジン(シラノール含有量95473ppm)、MQ2レジン(シラノール含有量47746ppm)、およびMQ3レジン(シラノール含有量56642ppm)と称される。
【0091】
シリコーンゴム
【0092】
実施例1~6
【0093】
実施例1~6は、実施例で用いられたシリコーンゴムおよび重量平均分子量(MW)および環状物質含有量のようなそれらの性質を示している。重量平均分子量は、クロロホルム溶媒を使用しポリスチレン標準を用いて較正されたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。材料の溶液粘度はスピンドル#2から#6を使用し、25℃においてブルックフィールド(DV1)粘度計で求めた。環状シロキサンの濃度は、ガスクロマトグラフィー法を使用して定量した。
【0094】
実施例1~6のシリコーンゴムを以下の表1に列挙する:
【表1】
【0095】
シリコーンPSAの調製
【0096】
実施例7~18
【0097】
実施例7
【0098】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた3リットルのプラネタリミキサーに、実施例1(287.23グラム)および実施例2(95.74グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ1レジン(517.02グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。7.5グラムのテトラメチルアンモニウムシロキサノレート(CAS番号68440-88-0)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~600グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で33500cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0099】
実施例8
【0100】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた3リットルのプラネタリミキサーに、実施例1(287.23グラム)および実施例2(95.74グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ1レジン(517.02グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。7.5グラムのテトラメチルアンモニウムシロキサノレート(CAS番号68440-88-0)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部のヘプタン(~600グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で15900cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0101】
実施例9
【0102】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例3(80グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ1レジン(100グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。1.2グラムのテトラメチルアンモニウムシロキサノレート(CAS番号68440-88-0)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部のヘプタン(~120グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で13120cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0103】
実施例10
【0104】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた3リットルのプラネタリミキサーに、実施例1(287.23グラム)および実施例2(95.74グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ1レジン(100グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。10.50グラムのメタノール中25%の水酸化テトラエチルアンモニウム(CAS番号77-98-5)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部のヘプタン(~600グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で10800cPsであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0105】
実施例11
【0106】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例4(127.34グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ2レジン(172.65グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この作業工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~200グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で780cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0107】
実施例12
【0108】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例5(133.33グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ2レジン(166.66グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~200グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で1100cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0109】
実施例13
【0110】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例5(133.33グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ2レジン(166.66グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部のヘプタン(~200グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で1060cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0111】
実施例14
【0112】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例4(120グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ2レジン(180グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~200グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で380cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0113】
実施例15
【0114】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例5(120グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ2レジン(180グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この作業工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~200グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で530cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0115】
実施例16
【0116】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例4(105.26グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ3レジン(194.73グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に125~130℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで1~4時間にわたって継続させた。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を150℃に昇温し、そしてその温度をN下に2~3時間にわたって保持した。この工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~200グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で240cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0117】
実施例17
【0118】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例6(45.28グラム)のシリコーンゴムを添加し、続いてMQ3レジン(74.71グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に55℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、125~130℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで6~8時間にわたって継続させた。0.3グラムのアリルアミン(CAS番号107-11-9)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続させた。最後に、反応装置の温度を55℃に昇温し、そしてその温度をN下に1時間にわたって保持した。この縮合工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部の酢酸エチル(~80グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で310cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0119】
実施例18
【0120】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えた1リットルのプラネタリミキサーに、実施例6(22.64グラム)および実施例5(22.64グラム)のゴムを添加し、続いてMQ3レジン(74.71グラム)を添加するか、または逆の順序で添加を行った。反応装置の温度は正の窒素流の下に90℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、90℃で撹拌した。この混合プロセスはMQレジンがゴム混合物中に完全に溶解または分散するまで4時間にわたって継続させた。0.3グラムのアリルアミン(CAS番号107-11-9)を添加し、反応を1時間にわたって継続させた。縮合工程の後、反応装置を冷却した。次いで得られた高粘度の塊を40部のヘプタン(~80グラム)中に50℃で溶解することにより、固形分含有量を60%に調節した。PSAの粘度は25℃で1170cPsであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0121】
実施例19
【0122】
矩形のブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えたロス社の2パイントのプラネタリミキサーに、実施例5のゴム(200.0グラム)を添加し、続いてMQ2レジン(250.0グラム)を3回に分けて添加した。反応装置の温度は正の窒素流の下に150℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、150℃で撹拌した。次いで窒素スパージ管を真空管に置き換え、混合プロセスを真空下に2から3時間にわたって継続した。0.30グラムのジメチルビス(イソプロピルアミノ)シラン(CAS番号6026-42-2)を添加し、反応を1から2時間にわたって継続した。縮合工程の後、反応装置を冷却した。おおよそ1.5gの固体生成物を、100℃に予備加熱したホットプレス上に置かれた10インチ×10インチの25μmのPETフィルム上に置いた。生成物を10分間かけて軟化したところで、ハウスウェル社のFL167フルオロシリコーン剥離ライナーで覆い、スペーサーと共に低圧力で圧縮して薄いフィルムとした。得られたフィルムは粘着性および剥離性の測定に使用した。
【0123】
実施例20
【0124】
矩形のブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えたロス社の2パイントのプラネタリミキサーに、実施例6のゴム(160.0グラム)を添加し、続いてMQ2レジン(200.0グラム)を3回に分けて添加した。反応装置の温度は正の窒素流の下に150℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、150℃で撹拌した。次いで窒素スパージ管を真空管に置き換え、混合プロセスを真空下に2から3時間にわたって継続した。0.35グラムのジメチルビス(イソプロピルアミノ)シラン(CAS番号6026-42-2)を添加し、反応を1から2時間にわたって継続した。縮合工程の後、反応装置を冷却した。おおよそ1.5gの固体生成物を、100℃に予備加熱したホットプレス上に置かれた10インチ×10インチの25μmのPETフィルム上に置いた。生成物を10分間かけて軟化したところで、ハウスウェル社のFL167フルオロシリコーン剥離ライナーで覆い、スペーサーと共に低圧力で圧縮して薄いフィルムとした。得られたフィルムは粘着性および剥離性の測定に使用した。
【0125】
実施例21
【0126】
矩形のブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えたロス社の2パイントのプラネタリミキサーに、実施例5のゴム(160.0グラム)を添加し、続いてMQ2レジン(200.0グラム)を3回に分けて添加した。反応装置の温度は正の窒素流の下に150℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、150℃で撹拌した。次いで窒素スパージ管を真空管に置き換え、混合プロセスを真空下に2から3時間にわたって継続した。1.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応を1から2時間にわたって継続した。縮合工程の後、反応装置を冷却した。おおよそ1.5gの固体生成物を、100℃に予備加熱したホットプレス上に置かれた10インチ×10インチの25μmのPETフィルム上に置いた。生成物を10分間かけて軟化したところで、ハウスウェル社のFL167フルオロシリコーン剥離ライナーで覆い、スペーサーと共に低圧力で圧縮して薄いフィルムとした。得られたフィルムは粘着性および剥離性の測定に使用した。
【0127】
実施例22
【0128】
矩形のブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nスパージング用)を備えたロス社の2パイントのプラネタリミキサーに、実施例6のゴム(160.0グラム)を添加し、続いてMQ2レジン(200.0グラム)を3回に分けて添加した。反応装置の温度は正の窒素流の下に150℃の温度に設定した。上記の混合物は、完全に均一な溶液/分散物が得られるまで、150℃で撹拌した。次いで窒素スパージ管を真空管に置き換え、混合プロセスを真空下に2から3時間にわたって継続した。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応を1から2時間にわたって継続した。縮合工程の後、反応装置を冷却した。おおよそ1.5gの固体生成物を、100℃に予備加熱したホットプレス上に置かれた10インチ×10インチの25μmのPETフィルム上に置いた。生成物を10分間かけて軟化したところで、ハウスウェル社のFL167フルオロシリコーン剥離ライナーで覆い、スペーサーと共に低圧力で圧縮して薄いフィルムとした。得られたフィルムは粘着性および剥離性の測定に使用した。
【0129】
比較例1~4
【0130】
比較例1
【0131】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nパージング用)並びにヘプタンで満たされたディーンスターク水トラップを備えた1リットルのプラネタリミキサーに、ヘプタン(68.1グラム)中における実施例1(76.59グラム)および実施例2(25.53グラム)とMQ3レジン(229.78)の溶液を添加した。この混合物は正の窒素流の下に90℃で3時間にわたって均一に混合した。1.5グラムの1%水酸化リチウム溶液を添加し、反応を3時間にわたって継続した。反応温度を110℃に昇温し、水の最後の痕跡が観察されるまで混合物を還流した。IPA中1%のリン酸を使用して、70℃で中和工程を実施した。PSAの粘度は25℃で9700cPであり、GPCはマルチモードのレジンおよびポリマーのピークを有していた。
【0132】
比較例2
【0133】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nパージング用)並びにヘプタンで満たされたディーンスターク水トラップを備えた1リットルのプラネタリミキサーに、ヘプタン(80グラム)中における実施例6(45.28グラム)とMQ3レジン(74.71)の溶液を添加した。この混合物は正の窒素流の下に90℃で3時間にわたって均一に混合した。0.3グラムのアリルアミン(CAS番号107-11-9)を添加した。反応混合物の粘度は迅速には増大しなかったため、反応はさらに8時間にわたって継続させた。6時間後にゲルが形成された。さらなる特性評価は行わなかった。
【0134】
比較例3
【0135】
螺旋形ブレード、加熱装置、熱電対、およびスパージ管(Nパージング用)並びにヘプタンで満たされたディーンスターク水トラップを備えた1リットルのプラネタリミキサーに、ヘプタン(200グラム)中における実施例4(125グラム)とMQ2レジン(175グラム)の溶液を添加した。この混合物は正の窒素流の下に80℃で3時間にわたって均一に混合した。2.0グラムの2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(CAS番号5505-72-6)を添加し、反応をさらに3時間にわたって継続した。粘度が増大した後に反応装置を冷却した。次いで固形分含有量を60%に調節して収容した。PSAの粘度は25℃で230cPsであった。この材料は1週間以内の貯蔵でゲル化した。PSAのさらなる特性評価は行わなかった。
【0136】
比較例4
【0137】
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社の市販品PSA610。
【0138】
PSA試料の試験
【0139】
PSAは、10重量%のトルエン溶液中2重量%の過酸化ベンゾイル(BPO)を使用して、または過酸化ベンゾイルの添加なしに配合し、25~35マイクロメートルの厚さとして、粘着性および接着性の測定を行った。この接着剤配合物はポリイミド基体に塗布し、90℃で2分間乾燥し、続いて強制循環式オーブン中において180℃で2分間硬化した。粘着性試験は、粘着性(タック)をグラム単位で測定するためのFINAT FTM9に従って行った。剥離接着試験はASTM D3330/D3330Mによって行い、180度の剥離角度で鏡面ステンレス鋼(SS)に対する接着性を測定した。剥離接着試験の結果は、1インチの試験ストリップについて、毎分12インチの剥離速度におけるステンレス鋼からの剥離強度N/インチとして記録した。SAFT試験は、FINAT FTM8標準にしたがって行った。得られた結果を表2に示す。材料の溶液粘度はスピンドル#2から#6を使用し、25℃においてブルックフィールド(DV1)粘度計で求めた。
【表2】
【0140】
環状物質の推計
【0141】
PSA中に存在する環状物質をガスクロマトグラフィー法を使用して定量した。試料は以下に記載するようにして24時間にわたって抽出した。
【0142】
実験方法:
およそ0.5gの試料を20mLのバイアル中に秤量した。試料の重量は正確に記録した。試料は、アセトンを溶媒として、そしてトルエンとドデカンを内部標準(0.05mg/mL)として使用して調製した10mLの作業溶液中で24時間にわたって抽出した。D4、D5およびD6についての較正プロットは、アセトン中で0.005から0.1mg/mLまで変化する濃度で種々の標準を調製することによって生成した。ピーク面積は、ドデカンについてのピーク面積で除算することによって正規化し、濃度に対してプロットした。試料中に存在する環状物質は、GCクロマトグラムにおける試料の正規化されたピーク面積と較正曲線を使用して計算した。
【0143】
GC条件
【0144】
装置:アジレント社製7890A GC
【0145】
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)350℃;H:30mL/分、空気:300mL/分、メイクアップフロー:25.4mL/min
【0146】
試料の導入:スプリット注入/225℃/50:1のスプリット比
【0147】
注入容量:2μL(アジレント社製7693オートサンプラー)
【0148】
キャリアガス:窒素(1.4mL/分、定流量モード)
【0149】
キャピラリカラム:アジレント社製HP-5(30m×0.32mm×0.25μm)
【0150】
温度プログラム:50℃(5分)から15℃/分で200℃へ、次いで315℃へ(20分)
【表3】
【0151】
シラノール含有量の推計
【0152】
シラノール含有量は、29Si核磁気共鳴技術を使用して求めた。
【0153】
実験方法:
試料は、~2gの試料を3mLのCDClに添加することによって調製した。30mgのクロム(III)アセチルアセトナートを緩和試薬として添加した。2.5mLの試料溶液を10mmのテフロン製チューブに移し、29Siスペクトルを取得した。NMRスペクトルのすべてのピークを積分するとモル%が与えられ、対応する種の繰り返し単位の重量を掛けることによって重量%に変換される。試料は、ブルカー社の400MHzNMR装置上で定量29SiNMR分光分析によって分析した。
実験パラメータ:
【0154】
システム:ブルカー社製400MHz
【0155】
プローブ:10mm29Siプローブ
【0156】
パルスプログラム:ZGIG45
【0157】
リサイクル遅延:5秒
【0158】
デカップリング方法:逆ゲート付き
【0159】
デカップリングシーケンス:WALTZ16
【0160】
スキャン回数:9472
【表4】
【0161】
粘弾性特性
【0162】
新規なプロセスによって作成されたシリコーンPSAの粘弾性特性を動的分光器(DHR3レオメーター、TAインスツルメント社)上で評価した。シリコーン接着剤は150℃で1時間にわたって乾燥し、次いで剥離ライナーから直径25mmの平行プレートに移し、大体1.0mmの厚さまで積み上げた。シリコーン接着剤は、30℃および0.01%歪相当またはそれ未満において、0.1から100rad/秒で掃引した角振動周波数で特徴付けた。
【0163】
貯蔵弾性率(G'')、損失弾性率(G'')および動粘度といった以下の粘弾性パラメータを、周波数の関数として評価した:
1.貯蔵弾性率(G'、ダイン/cm
2.損失弾性率(G''、ダイン/cm
3.動粘度(ポアズ)
【表5】
【0164】
上記に説明したところは本明細書による例を含んでいる。当然のこととして、本明細書を記述する目的について成分または方法のすべての認識可能な組み合わせを説明することは不可能であるが、技術分野の当業者は、本明細書における他の多くの組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識してよい。したがって本明細書は、特許請求の範囲の思想および範囲内に包含されるすべてのそうした変更、修正および変動を包囲することを意図している。さらにまた、発明の詳細な説明または特許請求の範囲において「含む」という用語が使用される場合、この用語は、「含む」という用語が特許請求の範囲において「含む」が転換語として用いられる場合に解釈されるのと類似の手法において、包括的であることを意図したものである。
【0165】
以上の記載は、シリコーン感圧接着剤を生成するための方法およびそうした方法によって生成される感圧接着剤についての、種々の非限定的な実施形態を特定している。技術分野の当業者、および本発明を作成および使用する者には、改変が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示目的のものであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された特定事項を限定することを意図するものではない。

【国際調査報告】