(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ヘアトリートメント組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/365 20060101AFI20240319BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240319BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/46
A61Q5/02
A61Q5/12
A61K8/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561341
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022058899
(87)【国際公開番号】W WO2022214437
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ルイーザ・ゾーイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,コリン・クリストファー・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,グリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ロンロン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AB332
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC781
4C083AC782
4C083AD152
4C083BB05
4C083BB44
4C083BB48
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD27
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
i)グルコン酸ナトリウムである、アルドン酸のアルカリ金属塩0.9~2重量%、ii)組成物全体の重量の0.1~2重量%のクエン酸、およびiii)アニオン性界面活性剤、iv)安息香酸ナトリウムである防腐剤、を含むシャンプー組成物であって、3~5のpHを有するシャンプー組成物は、毛髪の損傷した内部タンパク質に対する修復を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)グルコン酸ナトリウムである、アルドン酸のアルカリ金属塩0.9~2重量%、
ii)組成物全体の重量の0.1~2重量%のクエン酸、および
iii)アニオン性界面活性剤、
iv)安息香酸ナトリウムである防腐剤、
を含み、
3~5のpHを有する、シャンプー組成物。
【請求項2】
前記アルドン酸が、グルコノラクトン、ガラクトノラクトン、グルクロノラクトン、ガラクツロノラクトン、グロノラクトン、リボノラクトン、サッカリン酸ラクトン、パントイルラクトン、グルコヘプトノラクトン、マンノノラクトン、ガラクトヘプトノラクトンおよびそれらの混合物から選択されるラクトンに由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ラクトンがグルコノラクトンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アルドン酸のアルカリ金属塩の量が、組成物全体の重量の1~1.5重量%の範囲内にある、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
クエン酸の量が、組成物全体の重量の0.15~1.5重量%の範囲内にある、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の組成物を塗布する工程を含む、毛髪の損傷した内部タンパク質を修復する方法。
【請求項7】
内部毛髪タンパク質への損傷を修復するための、請求項1または2に定義される組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪損傷の修復におけるヘアトリートメント組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、毛髪に集中的なトリートメント、ならびにケアおよびスタイリングのルーチンを定期的に施して、所望の外観を得るのを促進する。消費者によって行われるこの行動は、毛髪ケラチンタンパク質の化学的性質に改変を導入し、これにより、微細構造および巨大構造の変化がもたらされ、ひいては、繊維の物理的特性が変化する。これらの結果は、消費者によって損傷として一般に認識される。
【0003】
毛髪のコーミングおよびブラッシングは、繊維キューティクルを機械的に摩耗させ、繊維キューティクルの粗さを増大させ、摩擦特性を増加させる。毛髪の色を薄くすること、例えば、脱色または着色処理は、メラニンを分解し、新しい毛髪の色を発現させる酸化工程を一般に伴うが、これらのプロセスはまた、毛髪繊維タンパク質および内因性脂質を酸化する。これらの反応は、繊維内の共有結合および非共有結合の数および種類を変化させ、毛髪の熱安定性および機械的特性に影響を与える。損傷した毛髪の内部タンパク質では、典型的には、バージン毛髪の内部タンパク質と比較して変性温度が低下している。
【0004】
損傷した毛髪のトリートメントに使用するために、様々な有機分子およびそれらの組合せが提案されている。
【0005】
国際公開第2004054526号は、二糖、特にトレハロースを含む、損傷した毛髪のケアおよび修復のための、ならびに毛髪の扱いやすさを改善するためのヘアトリートメント組成物を記載している。
【0006】
国際公開第2004054525号は、二糖、特にトレハロース、およびジオール、特に3-メチル-1,3-ブタンジオールを含む、損傷した毛髪のケアおよび修復のための、ならびに毛髪の扱いやすさを改善するためのヘアトリートメント組成物を記載している。
【0007】
国際公開第2009040240号は、乾燥した、損傷した、および/または扱いにくい毛髪のトリートメントのための、ラクトンおよび二糖を含むヘアトリートメント組成物を開示している。
【0008】
米国特許第5635167号明細書は、少なくとも1つのキレート剤を含有する組成物を用いて、ヒトの毛髪に付着した外因性金属イオンを除去するプロセスを開示している。
【0009】
国際公開第2016/188691号は、毛髪タンパク質への損傷を修復するための毛髪のトリートメント中に、3~6.5のpHを有する、ラクトン、二糖、無機塩および有機酸またはその塩を含む組成物の使用を開示している。
【0010】
カナダ特許第2949527号明細書は、水溶液を含むための50~60%の蒸留水と、ペーストを生成するのに十分な日の量と、シャンプー後の毛髪にべたつき感のある皮膜を残すことなく、毛髪束に水分を付与するのに有効な保湿剤成分の量と、強化毛髪剤としても作用する植物タンパク質の量とを含むヘアマスク組成物を開示している。
【0011】
国際公開第2019/030034号は、グルコノラクトン、クエン酸、ラウレス硫酸ナトリウム界面活性剤、および防腐剤としての硫酸ナトリウムを含む、損傷した毛髪タンパク質のトリートメントのためのシャンプー組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004054526号
【特許文献2】国際公開第2004054525号
【特許文献3】国際公開第2009040240号
【特許文献4】米国特許第5635167号明細書
【特許文献5】国際公開第2016/188691号
【特許文献6】カナダ特許第2949527号明細書
【特許文献7】国際公開第2019/030034号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
先行技術にもかかわらず、容易に供給され得る、毛髪タンパク質への損傷の迅速な修復が依然として必要とされている。損傷した内部毛髪タンパク質、例えば、脱色毛髪のさらに迅速な修復を提供し、バージン状態に戻すトリートメントが非常に望ましい。
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、損傷した内部毛髪タンパク質の高レベルの修復が、クエン酸と組み合わせたアルドン酸のアルカリ金属塩の特定量を含むシャンプー単独を用いたトリートメントから供給され得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様では、
i)グルコン酸ナトリウムである、アルドン酸のアルカリ金属塩0.9~2重量%、
ii)組成物全体の重量の0.1~2重量%のクエン酸、
iii)アニオン性界面活性剤、
iv)安息香酸ナトリウムである防腐剤、
を含むシャンプー組成物であって、
3~5のpHを有するシャンプー組成物が提供される。
【0016】
本発明は、毛髪の内部タンパク質に対する迅速な損傷修復を提供する。これは、毛髪の内部タンパク質の変性温度の上昇によって示され得る。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様の組成物を塗布する工程を含む、毛髪の損傷した内部タンパク質を修復する方法を提供する。
【0018】
好ましくはアルドン酸のアルカリ金属塩が1~1.5重量%、さらに好ましくは1重量%のレベルで存在する、内部毛髪タンパク質への損傷を修復するための第1の態様の組成物の使用も提供される。
【0019】
好ましくは、使用は、組成物全体の重量の0.9~2重量%の範囲外、好ましくは1~1.5重量%の範囲外のレベルの、アルドン酸のアルカリ金属塩を含む同様の組成物を使用して達成されるよりも大きい修復を提供し、さらに好ましくは、同様の組成物は、組成物全体の重量の1重量%超または1重量%未満、すなわち、1重量%ではない量の、アルドン酸のアルカリ金属塩を含む。最も好ましくは、0.9重量%未満のレベルの、アルドン酸のアルカリ金属塩を含む同様の組成物と比較される。
【0020】
毛髪
毛髪とは、毛髪の内部タンパク質の変性温度が低下している損傷した毛髪である。
【0021】
損傷は、機械的手段、例えば、コーミングおよびブラッシング、化学的手段、熱への曝露、太陽光などの環境的手段、ならびに損傷エネルギー源、例えば、UV光などの光への曝露によって引き起こされ得る。化学的手段には、酸化工程を伴う処理、例えば、毛髪の色を薄くすること、例えば、脱色、および着色処理が含まれる。好ましくは、毛髪は脱色され、さらに好ましくは複数回、例えば、2回脱色されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
アルドン酸
本発明の組成物は、グルコン酸ナトリウムである、アルドン酸のアルカリ金属塩を含む。
【0023】
アルドン酸は、カルボン酸基へのアルドースのアルデヒド基の酸化から生じるポリヒドロキシ酸であり、その酸は、以下の一般式によって表され得る:
R(CHOH)nCH(OH)COOH
式中、Rは、Hまたはアルキル基(通常H)であり、nは、1~6の整数である。
【0024】
アルドン酸は、カルボキシル基と1つのヒドロキシル基との間の1モルの水を除去することによって分子内ラクトンを形成する。
【0025】
本発明では、アルドン酸のアルカリ金属塩はグルコン酸ナトリウムである。
【0026】
本発明のヘアトリートメント組成物中のアルドン酸のアルカリ金属塩の総量は、組成物の総重量の0.9~2重量%、好ましくは1~1.5重量%、最も好ましくは1重量%~の範囲である。
【0027】
本発明で使用するための組成物は、クエン酸またはその塩を含む。
【0028】
クエン酸の量は、組成物全体の重量の0.1~2重量%、好ましくは0.25~1.5重量%、最も好ましくは0.3~1重量%である。
【0029】
ヘアトリートメント組成物
本発明によるヘアトリートメント組成物はシャンプーである。
【0030】
好ましくは、ヘアトリートメント組成物は、リンスオフヘアトリートメント組成物である。
ヘアトリートメント組成物は、アニオン性界面活性剤を含む。
【0031】
本発明の組成物は、一般に水性であり、すなわち、それらは、それらの主成分として水または水溶液またはリオトロピック液晶相を有する。
【0032】
好適には、組成物は、組成物の総重量に基づいて、50~98重量%、好ましくは60~90重量%の水を含む。
【0033】
本発明による組成物は、化粧品的に許容可能であり、毛髪への局所塗布および毛髪のクレンジングに適したアニオン性界面活性剤を含む。
【0034】
好適なアニオン性クレンジング界面活性剤の例には、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩、特に、それらのナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩ならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩がある。アルキル基およびアシル基は、一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であり得る。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位を含み得る。
【0035】
本発明のシャンプー組成物に使用するための典型的なアニオン性クレンジング界面活性剤には、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸およびN-ラウリルサルコシン酸ナトリウムが含まれる。
【0036】
好ましいアニオン性クレンジング界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(nは1~3である)、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム(n)EO(nは1~3である)、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム(n)EO(nは1~3である)、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(nは10~20である)である。
【0037】
前述のアニオン性クレンジング界面活性剤のいずれかの混合物も好適であり得る。
【0038】
本発明のシャンプー組成物中のアニオン性クレンジング界面活性剤の総量は、一般に、組成物の総重量に基づいて、アニオン性クレンジング界面活性剤の総重量の0.5~45%、好ましくは1.5~35%、さらに好ましくは5~20%の範囲である。
【0039】
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるために、以下に記載されるようなさらなる成分を含有していてもよい。
【0040】
組成物は、組成物に審美的特性、物理的特性またはクレンジング特性を付与するのを助けるために、共界面活性剤を含むことができる。
【0041】
共界面活性剤の例には非イオン性界面活性剤があり、非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて0.5~8重量%、好ましくは2~5重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0042】
例えば、本発明のシャンプー組成物に含まれ得る代表的な非イオン性界面活性剤には、一般に6~30個のエチレンオキシド基を有する、脂肪族(C8~C18)の第一級または第二級の直鎖または分岐鎖のアルコールまたはフェノールとアルキレンオキシド、通常エチレンオキシドとの縮合生成物が含まれる。
【0043】
他の代表的な非イオン性界面活性剤には、モノ-またはジ-アルキルアルカノールアミドが含まれる。例には、ココモノ-またはジ-エタノールアミド、およびココモノ-イソプロパノールアミドが挙げられる。
【0044】
本発明のシャンプー組成物に含まれ得るさらなる非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。典型的には、APGは、1つ以上のグリコシル基のブロックに(場合により架橋基を介して)結合したアルキル基を含むものである。好ましいAPGは、以下の式によって定義される:
RO-(G)n
式中、Rは、飽和であっても不飽和であってもよい分岐鎖または直鎖のアルキル基であり、Gは糖基である。
【0045】
Rは、約C5~約C20の平均アルキル鎖長を表し得る。好ましくは、Rは、約C8~約C12の平均アルキル鎖長を表す。最も好ましくは、Rの値は約9.5~約10.5である。Gは、C5またはC6単糖残基から選択され得、好ましくはグルコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノースおよびそれらの誘導体を含む群から選択され得る。好ましくは、Gはグルコースである。
【0046】
重合度nは、約1~約10以上の値を有してもよい。好ましくは、nの値は約1.1~約2である。最も好ましくは、nの値は約1.3~約1.5である。
【0047】
本発明に使用するのに適したアルキルポリグリコシドは、市販されており、例えば、Seppic製のOramix NS10、Henkel製のPlantaren 1200およびPlantaren 2000として特定される材料を含む。
【0048】
本発明の組成物に含まれ得る他の糖由来非イオン性界面活性剤には、例えば、国際公開第9206154号および米国特許第5194639号に記載されているC12~C18 N-メチルグルカミドなどのC10~C18 N-アルキル(Cl~C6)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ならびにC10~C18 N-(3-メトキシプロピル)グルカミドなどのN-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが含まれる。
【0049】
共界面活性剤の好ましい例には、組成物の総重量に基づいて0.5~約8重量%、好ましくは1~4重量%の範囲の量で含まれ得る両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤がある。
【0050】
両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤の例には、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートが挙げられ、ここで、アルキル基およびアシル基は、8~19個の炭素原子を有する。本発明のシャンプーに使用するための典型的な両性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤には、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびココアンホ酢酸ナトリウムが含まれる。
【0051】
特に好ましい両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤は、コカミドプロピルベタインである。
【0052】
前述の両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤のいずれかの混合物も好適であり得る。好ましい混合物は、コカミドプロピルベタインと上記のさらなる両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤との混合物である。好ましいさらなる両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤は、ココアンホ酢酸ナトリウムである。
【0053】
本発明のシャンプー組成物中の界面活性剤(任意の共界面活性剤および/または任意の乳化剤を含む)の総量は、一般に、組成物の総重量に基づいて、界面活性剤の総重量の1~50%、好ましくは2~40%、さらに好ましくは10~25%である。
【0054】
カチオン性ポリマーは、コンディショニング性能を高めるための本発明のシャンプー組成物中の好ましい成分である。
【0055】
好適なカチオン性ポリマーは、カチオン置換されているホモポリマーであり得るか、または2種類以上のモノマーから形成され得る。ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、一般に100000~200万ダルトンである。ポリマーは、第四級アンモニウム基もしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物などのカチオン性窒素含有基を有する。ポリマーの分子量が低すぎると、コンディショニング効果は不十分である。高すぎると、注いだ際に組成物の曳糸性をもたらす高い伸長粘度という問題が存在し得る。
【0056】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、それはスペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。そのようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory,3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、一般に0.2~3.0meq/gmである必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方に記載されているケルダール法により、窒素決定のための化学試験下で好適に決定される。
【0057】
好適なカチオン性ポリマーには、例えば、カチオン性アミン官能基または第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンならびにビニルピロリジンとのコポリマーが含まれる。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、さらに好ましくはC1~3アルキル基を有する。他の好適なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。
【0058】
カチオン性アミンは、組成物の特定の種およびpHに応じて、第一級、第二級または第三級アミンであり得る。一般に、第二級および第三級アミン、特に第三級アミンが好ましい。
【0059】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミン形態で重合し、次いで四級化によってアンモニウムに変換され得る。
【0060】
カチオン性ポリマーは、アミン置換モノマーおよび/または第四級アンモニウム置換モノマーおよび/または適合性スペーサーモノマーに由来するモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0061】
好適なカチオン性ポリマーには、例えば、以下が含まれる:
・例えば、該業界(CTFA)ではそれぞれポリクオタニウム6およびポリクオタニウム7と呼ばれている、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、およびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含むカチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー;
・3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩、(米国特許第4,009,256号に記載);
・カチオン性ポリアクリルアミド(国際公開第95/22311号に記載)。
【0062】
使用することができる他のカチオン性ポリマーには、カチオン性多糖ポリマー、例えば、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体およびカチオン性グアーガム誘導体が含まれる。
【0063】
本発明の組成物に使用するのに適したカチオン性多糖ポリマーには、以下の式のモノマーが含まれる:
A-O-[R-N+(R1)(R2)(R3)X-]
式中、Aは、デンプン無水グルコース残基またはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基またはそれらの組合せである。R1、R2およびR3は、独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシアリール基を表し、各基は最大約18個の炭素原子を含む。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R1、R2およびR3の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0064】
別の種類のカチオン性セルロースには、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの高分子第四級アンモニウム塩が含まれ、これは該業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれている。これらの材料は、例えば、商品名Polymer LM-200の下、Amerchol Corporationから入手可能である。
【0065】
他の好適なカチオン性多糖ポリマーには、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号に記載されている)、およびエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号に記載されている)が含まれる。
【0066】
使用することができる特に好適な種類のカチオン性多糖ポリマーには、カチオン性グアーガム誘導体、例えば、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(RhodiaからJAGUAR商標シリーズで市販されている)がある。そのような材料の例には、JAGUAR C13S、JAGUAR C14、JAGUAR C15およびJAGUAR C17がある。
【0067】
上記カチオン性ポリマーのいずれかの混合物を使用してもよい。
【0068】
カチオン性ポリマーは、一般に、組成物の総重量に基づいて、カチオン性ポリマーの総重量の0.01~5%、好ましくは0.05~1%、さらに好ましくは0.08~0.5%のレベルで、本発明のシャンプー組成物中に存在する。
【0069】
好ましくは、本発明の水性シャンプー組成物は、懸濁剤をさらに含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するため、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤によって架橋されたアクリル酸のポリマーも使用され得る。これらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの好適なコポリマーの例には、Carbopol 1342がある。Carbopol(商標)材料はいずれも、Goodrichから入手可能である。
【0070】
アクリル酸とアクリレートエステルとの好適な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。好適なヘテロ多糖ガムは、キサンタンガム、例えば、Kelzan muとして入手可能なものである。
【0071】
上記懸濁剤のいずれかの混合物を使用してもよい。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0072】
懸濁剤は、一般に、組成物の総重量に基づいて、懸濁剤の総重量の0.1~10%、好ましくは0.5~6%、さらに好ましくは0.9~4%のレベルで、本発明のシャンプー組成物中に存在する。
【0073】
防腐剤
本発明の組成物は、安息香酸ナトリウムである防腐剤を含む。
【0074】
防腐剤は、組成物の総重量の0.01~2重量%、さらに好ましくは0.01~1重量%、最も好ましくは0.1~1重量%の量で存在することが好ましい。
【0075】
組成物の形態
本発明によるヘアトリートメント組成物は、好ましくは、1つ以上のシリコーンコンディショニング剤も含有する。
【0076】
特に好ましいシリコーンコンディショニング剤は、シリコーンエマルジョン、例えば、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサン、CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、およびCTFA名称アモジメチコンを有するアミノ官能性ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンから形成されたものである。
【0077】
エマルジョン液滴は、典型的には、本発明の組成物中で、0.01~20マイクロメートル、さらに好ましくは0.2~10マイクロメートルの範囲のザウター平均液滴径(D3,2)を有し得る。
【0078】
ザウター平均液滴径(D3,2)を測定する好適な方法は、Malvern Mastersizerなどの機器を使用したレーザー光散乱によるものである。
【0079】
本発明の組成物に使用するのに適したシリコーンエマルジョンは、シリコーンの供給業者、例えば、Dow CorningおよびGE Siliconesから入手可能である。そのような予め形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、シリコーン粒径の加工および制御を容易にするために好ましい。そのような予め形成されたシリコーンエマルジョンは、典型的には、好適な乳化剤、例えば、アニオン性乳化剤もしくは非イオン性乳化剤、またはそれらの混合物をさらに含み、乳化重合などの化学的乳化プロセスによって、または高剪断ミキサーを使用した機械的乳化によって調製され得る。0.15マイクロメートル未満のザウター平均液滴径(D3,2)を有する予め形成されたシリコーンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと呼ばれる。
【0080】
好適な予め形成されたシリコーンエマルジョンの例には、いずれもDow Corningから入手可能なエマルジョンDC2-1766、DC2-1784、DC-1785、DC-1786、DC-1788ならびにマイクロエマルジョンDC2-1865およびDC2-1870が挙げられる。これらはいずれもジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。DC2-8177およびDC939(Dow Corning製)ならびにSME253(GE Silicones製)などのアモジメチコンエマルジョンも適している。
【0081】
また、例えば国際公開第03/094874号に記載されているように、高分子量の特定の種類の表面活性ブロックコポリマーがシリコーンエマルジョン液滴とブレンドされたシリコーンエマルジョンも適している。このような材料では、シリコーンエマルジョン液滴は、好ましくは、上記のようなポリジオルガノシロキサンから形成される。表面活性ブロックコポリマーの1つの好ましい形態は、以下の式によるものである:
HO(CH2CH2O)x(CH(CH3)CH2O)y(CH2CH2O)x H
式中、xの平均値は4以上であり、yの平均値は25以上である。
【0082】
表面活性ブロックコポリマーの別の好ましい形態は、以下の式によるものである:
(HO(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b)2-N-CH2-CH2-N((OCH2CH(CH3))b(OCH2CH2)a OH)2
式中、aの平均値は2以上であり、bの平均値は6以上である。
【0083】
上記のシリコーンエマルジョンのいずれかの混合物を使用してもよい。
【0084】
上記のシリコーンエマルジョンは、一般に、組成物の総重量に基づいて、シリコーンの総重量の0.05~10%、好ましくは0.05~5%、さらに好ましくは0.5~2%のレベルで、本発明の組成物中に存在する。
【0085】
他の成分
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるための他の成分を含有してもよい。そのような成分には、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、ならびに粘度調整剤が含まれる。これらの成分のそれぞれは、その目的を達成するのに有効な量で存在する。一般に、これらの任意成分は、それぞれ組成物全体の最大5重量%の濃度で含まれる。
【0086】
本発明のヘアトリートメント組成物は、主に、乾燥した、損傷した、および/または扱いにくい毛髪のトリートメントのために、リンスオフのいずれかで、ヒト対象の毛髪および/または頭皮に局所塗布することが意図されている。
【0087】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明され、非限定的な実施例では、特に明記しない限り、引用されるすべてのパーセンテージは総重量に基づく重量単位である。
【0088】
[実施例]
毛髪
バージン:以下の実施例で使用した毛髪は、ダークブラウンのヨーロッパ人の毛髪束5グラムおよび長さ10インチであった。
【0089】
脱色:以下のプロトコルに従って、バージン毛髪束を脱色した。9%クリーム過酸化物、30’vol’(Excel GS Ltd、UK)と混合したPlatine Precision White Compact Lightening Powder(L’Oreal Professionnel Paris、Paris,France)(クリーム過酸化物120gと混合した粉末60g)を用いて、毛髪を30分かけて脱色した。次いで、毛髪を14%SLES溶液を用いて洗浄した後、乾燥させた。
【0090】
二重脱色毛髪を、実験前に蒸留水5L中で72時間かけて透析し、水をこの期間にわたって3回交換した。透析後、制御された環境(20℃および相対湿度50%)で毛髪束を一晩乾燥させた。
【0091】
組成物
以下の組成物を調製した:
組成物1はシャンプーである。
先行技術に従って使用するための組成物2~5は、シャンプー組成物である。
本発明に従って使用するための組成物6は、シャンプー組成物である。
組成物1~5は、比較目的のためのものである。
【0092】
【0093】
毛髪のトリートメント
30秒間の泡立ておよび水道水での30秒間のすすぎを使用して、0.1ml/1gの毛髪で、14%のラウレスエーテル硫酸ナトリウム(SLES)を含有する水性組成物によって、毛髪(バージンおよび二重脱色)を最初に2回トリートメントした。
【0094】
次いで、以下の方法を使用して、組成物1~5または6によって毛髪をトリートメントした:
0.1ml/1gの毛髪を30秒間泡立て、水道水で30秒間すすぐ。
【0095】
次いで、毛髪束を20℃、相対湿度50%で一晩乾燥させた。
【0096】
組成物1~6によるトリートメントの効果
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、トリートメントの効果を測定した。
【0097】
【0098】
本発明による組成物6によってトリートメントした脱色毛髪の変性温度は、5回の洗浄サイクル後にバージン毛髪の変性温度と同等のレベルまで約2.7℃上昇した。対照的に、組成物1によってトリートメントした脱色毛髪では、毛髪変性温度が0.34℃上昇したのみであった。先行技術による組成物2~5によってトリートメントした毛髪では、毛髪変性温度が約1.8℃上昇するのみである。
【国際調査報告】