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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ブラシレスモーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20240319BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H02K1/22 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561409
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 KR2022003792
(87)【国際公開番号】W WO2022231127
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0054205
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ソン グック
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョン ゼ
(72)【発明者】
【氏名】イム,ホ ビン
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA27
5H601CC01
5H601DD01
5H601DD11
5H601FF05
5H601GB22
(57)【要約】
【課題】ポールシューの対向面の形状、ロータの外周面の形状、及び永久磁石の形状ないし配置などの設計構造により、モーターのコギングトルクとトルクリップルを低減することができるブラシレスモーターを提供する。
【解決手段】ポールシューは、ロータと対向する前記ポールシューの対向面が1つ以上の一定の曲率を有する曲面形状に形成され、ロータは、ロータの外周面の位置によってロータの外周面とロータの回転中心との間の距離が変化する異方性円形に形成されることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアの内側に複数のティースが互いに離隔して備えられ、前記ティースのそれぞれの先端にポールシューが形成されたステータと、
前記ステータの内側に回転可能に配置され、複数の永久磁石が備えられるロータと、を含み、
前記ポールシューは、前記ロータと対向する前記ポールシューの対向面が1つ以上の一定の曲率を有する曲面形状に形成され、
前記ロータは、前記ロータの外周面の位置によって前記ロータの外周面と前記ロータの回転中心との間の距離が変化する異方性円形に形成されることを特徴とする、ブラシレスモーター。
【請求項2】
前記ロータは、
前記ロータの回転中心から前記ロータのq軸における前記ロータの外周面までの距離が、前記ロータの回転中心から前記ロータのd軸における前記ロータの外周面までの距離に比べて小さく形成され、
前記ロータのd軸付近で前記ロータの外周面が円弧状をなすことを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモーター。
【請求項3】
前記ロータのd軸付近で前記ロータの外周面が円弧状をなす部分をd軸ロータ部とし、
前記d軸ロータ部の曲率半径は、前記ロータの回転中心から前記d軸ロータ部までの距離に比べて小さいことを特徴とする、請求項2に記載のブラシレスモーター。
【請求項4】
前記ポールシューの対向面は、内側に凹む円弧状に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のブラシレスモーター。
【請求項5】
前記ポールシューの対向面の曲率中心は、前記ティースの幅方向中心線と同一線上に位置することを特徴とする、請求項4に記載のブラシレスモーター。
【請求項6】
前記ポールシューの対向面の曲率半径は、前記d軸ロータ部の曲率半径に比べて大きいことを特徴とする、請求項4に記載のブラシレスモーター。
【請求項7】
前記ポールシューの対向面の曲率半径は、前記ロータの回転中心から前記ロータの外周面までの距離に比べて大きいことを特徴とする、請求項4に記載のブラシレスモーター。
【請求項8】
前記ポールシューの対向面は、前記ポールシューの幅方向中心を基準に一側と他側がそれぞれ円弧状に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のブラシレスモーター。
【請求項9】
前記ポールシューの幅方向中心を基準に前記ポールシューの対抗面の一側を第1円弧部とし、前記ポールシューの幅方向中心を基準に前記ポールシューの対抗面の他側を第2円弧部とし、
前記第1円弧部の曲率半径と前記第2円弧部の曲率半径が互いに同一であることを特徴とする、請求項8に記載のブラシレスモーター。
【請求項10】
前記第1円弧部の円周方向の中心と前記第1円弧部の曲率中心とを連結した線と、前記第2円弧部の円周方向の中心と前記第2円弧部の曲率中心とを連結した線とは、互いに平行であることを特徴とする、請求項9に記載のブラシレスモーター。
【請求項11】
前記第1円弧部の円周方向の中心と前記第1円弧部の曲率中心とを連結した線と、前記第2円弧部の円周方向の中心と前記第2円弧部の曲率中心とを連結した線とは、前記ポールシューの対向面の上部側で交差するように互いに所定の角度をなすことを特徴とする、請求項9に記載のブラシレスモーター。
【請求項12】
前記第1円弧部の円周方向の中心と前記第1円弧部の曲率中心とを連結した線と、前記第2円弧部の円周方向の中心と前記第2円弧部の曲率中心とを連結した線とは、前記ポールシューの対向面の下部側で交差するように互いに所定の角度をなすことを特徴とする、請求項9に記載のブラシレスモーター。
【請求項13】
前記第1円弧部と前記第2円弧部は、前記ティースの幅方向中心線を基準に互いに対称であることを特徴とする、請求項9に記載のブラシレスモーター。
【請求項14】
前記第1円弧部の曲率半径と前記第2円弧部の曲率半径は、前記d軸ロータ部の曲率半径に比べて大きいことを特徴とする、請求項9に記載のブラシレスモーター。
【請求項15】
前記複数の永久磁石のそれぞれは一対の単位永久磁石からなり、
前記一対の単位永久磁石のそれぞれは直線状永久磁石であることを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモーター。
【請求項16】
前記一対の単位永久磁石は、前記ロータの回転中心に向かってV字状に配置され、
前記一対の単位永久磁石がなす角は130゜以上140゜度以下であることを特徴とする、請求項15に記載のブラシレスモーター。
【請求項17】
前記複数の永久磁石のそれぞれは直線状永久磁石であることを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモーター。
【請求項18】
前記ロータの外周面の円周方向に沿って凸面と凹面が交互に形成され、
前記複数の永久磁石のそれぞれは前記凸面の内側に配置されるが、隣接した2つの永久磁石は、それらの間に位置する凹面を基準に互いに対称をなすことを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモーター。
【請求項19】
前記ロータのフラックスバリアの端部が前記ロータの外周面に平行な形態に形成され、ロータブリッジの厚さが一定に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモーター。
【請求項20】
前記ステータコアの内側に12個の前記ティースが備えられ、
前記ロータに8個の前記永久磁石が備えられることを特徴とする、請求項1に記載のブラシレスモーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモーターに係り、ポールシューの対向面の形状、ロータの外周面の形状及び永久磁石の形状ないし配置などの設計構造により、モーターのコギングトルクとトルクリップルを低減することができるブラシレスモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレス直流(BLDC、Brushless direct current)モーターは、従来の直流モーターが有する短所である摩擦及び摩耗を防止でき、相対的に効率が高い点から、最近、ハイブリッド自動車の場合、冷却ファン回転用モーターとしてBLDCモーターを適用する傾向がある。
このようなBLDCモーターは、DCモーターでブラシと整流子を除去し、電子的な整流機構を設置したモーターである。また、BLDCモーターのうちインナーロータ型BLDCモーターは、中心に永久磁石が備えられて回転するロータが備えられ、その周りに駆動コイルが巻き取られたステータが固定される。すなわち、外側に駆動コイルが巻き取られたステータが固定され、内側で永久磁石を備えたロータが回転するように構成される。
【0003】
図1は、従来のブラシレスモーターを概略的に示す断面図であり、図示するように、従来のブラシレスモーター1は、ステータ2の内側にロータ5が一定間隔離隔して配置され、ステータ2は、リング状に形成され内側に複数のティース3が突出形成されて放射状に配置され、ティース3に駆動コイルが巻き取られ、ロータ5に隣接したティース3の内側端部にはポールシュー4が形成される。また、ロータ5には、複数の永久磁石6が結合され、永久磁石6は、円周方向に沿って離隔して配列される。
【0004】
ところで、このようなブラシレスモーターは、ロータの回転時に回転する位置によって磁気抵抗(磁束が流れることを妨害する程度)の大きさが異なり、このような磁気抵抗の差によってモータートルクの脈動が発生する。このような永久磁石型モーターにおいて、モーターのコイルに電気を印加する前にロータの回転時に発生するトルクの脈動現象をコギングトルクと呼び、このようなトルクの脈動によってモーターが振動及び騒音に対して加振源を有するようになり、結局、モーターを用いて駆動されるシステムであるクーリングファンなどにモーターの騒音を引き起こすという問題がある。
【0005】
これによって、ブラシレスモーターのコギングトルクの変動幅であるトルクリップルを低減させ、モーターの騒音及び振動特性を改善させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第1603667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであり、ポールシューの対向面の形状、ロータの外周面の形状及び永久磁石の形状ないし配置などの設計構造により、モーターのコギングトルクとトルクリップルを低減することができるブラシレスモーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるブラシレスモーターは、ステータコアの内側に複数のティースが互いに離隔して備えられ、前記ティースのそれぞれの先端にポールシューが形成されたステータと、前記ステータの内側に回転可能に配置され、複数の永久磁石が備えられるロータと、を含み、前記ポールシューは、前記ロータと対向する前記ポールシューの対向面が1つ以上の一定の曲率を有する曲面形状に形成され、前記ロータは、前記ロータの外周面の位置によって前記ロータの外周面と前記ロータの回転中心との間の距離が変化する異方性円形に形成されてもよい。
【0009】
前記ロータは、前記ロータの回転中心から前記ロータのq軸における前記ロータの外周面までの距離が、前記ロータの回転中心から前記ロータのd軸における前記ロータの外周面までの距離に比べて小さく形成され、前記ロータのd軸付近で前記ロータの外周面が円弧状をなしてもよい。
【0010】
前記ロータのd軸付近で前記ロータの外周面が円弧状をなす部分をd軸ロータ部と呼び、前記d軸ロータ部の曲率半径は、前記ロータの回転中心から前記d軸ロータ部までの距離に比べて小さくてもよい。
【0011】
本発明の第1実施形態によるブラシレスモーターは、前記ポールシューの対向面が内側に凹む円弧状に形成されてもよい。
【0012】
前記ポールシューの対向面の曲率中心は、前記ティースの幅方向中心線と同一線上に位置してもよい。
【0013】
前記ポールシューの対向面の曲率半径は、前記d軸ロータ部の曲率半径に比べて大きくてもよい。
【0014】
前記ポールシューの対向面の曲率半径は、前記ロータの回転中心から前記ロータの外周面までの距離に比べて大きくてもよい。
【0015】
本発明の第2実施形態によるブラシレスモーターは、前記ポールシューの対向面が前記ポールシューの幅方向中心を基準に一側と他側がそれぞれ円弧状に形成されてもよい。
【0016】
前記ポールシューの幅方向中心を基準に前記ポールシューの対抗面の一側を第1円弧部とし、前記ポールシューの幅方向中心を基準に前記ポールシューの対抗面の他側を第2円弧部とし、前記第1円弧部の曲率半径と前記第2円弧部の曲率半径が互いに同一であってもよい。
【0017】
前記第1円弧部の円周方向の中心と前記第1円弧部の曲率中心とを連結した線と、前記第2円弧部の円周方向の中心と前記第2円弧部の曲率中心とを連結した線とは、互いに平行であってもよい。
【0018】
前記第1円弧部の円周方向の中心と前記第1円弧部の曲率中心とを連結した線と、前記第2円弧部の円周方向の中心と前記第2円弧部の曲率中心とを連結した線とは、前記ポールシューの対向面の上部側で交差するように互いに所定の角度をなしてもよい。
【0019】
前記第1円弧部の円周方向の中心と前記第1円弧部の曲率中心とを連結した線と、前記第2円弧部の円周方向の中心と前記第2円弧部の曲率中心とを連結した線とは、前記ポールシューの対向面の下部側で交差するように互いに所定の角度をなしてもよい。
【0020】
前記第1円弧部と前記第2円弧部は、前記ティースの幅方向中心線を基準に互いに対称であってもよい。
【0021】
前記第1円弧部の曲率半径と前記第2円弧部の曲率半径は、前記d軸ロータ部の曲率半径に比べて大きくてもよい。
【0022】
本発明の一例によるブラシレスモーターは、前記複数の永久磁石のそれぞれが一対の単位永久磁石からなり、前記一対の単位永久磁石のそれぞれが直線状永久磁石であってもよい。
【0023】
前記一対の単位永久磁石は、前記ロータの回転中心に向かってV字状に配置され、前記一対の単位永久磁石がなす角は130゜以上140゜度以下であってもよい。
【0024】
本発明のまた他の例によるブラシレスモーターは、前記複数の永久磁石のそれぞれが直線状永久磁石であってもよい。
【0025】
本発明によるブラシレスモーターは、前記ロータの外周面が円周方向に沿って凸面と凹面が交互に形成され、前記複数の永久磁石のそれぞれが前記凸面の内側に配置され、隣接する2つの永久磁石は、それらの間に位置する凹面を基準に互いに対称をなしてもよい。
【0026】
前記ロータのフラックスバリアの端部が前記ロータの外周面に平行な形態に形成され、ロータブリッジの厚さが一定に形成されてもよい。
【0027】
本発明によるブラシレスモーターは、前記ステータコアの内側に12個の前記ティースが備えられ、前記ロータに8個の前記永久磁石が備えられてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、ロータの回転ごとの位置によって空隙の大きさが変わり、空隙の位置変化による磁気抵抗の変化を大きく低減することができ、これによって、モーターのコギングトルクを画期的に減少させ、逆起電力空間高調波に対する歪曲率を減少させることで、可能な限り正弦的な形状を有する逆起電力波形を構成することができ、これにより、トルクリップルを低減させ、モーターで発生する空間高調波による騒音を低減すると共に、逆起電力波形に追従するモーター制御アルゴリズムを良好に維持することができる。
また、磁束の時間的変化を最小に維持することで、永久磁石を鎖交する磁束の時間的変化を減らし、永久磁石の渦電流損失を低減することができ、これによって、モーターのエネルギー効率を増大させ、エネルギー消費低減及びモーターの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来のブラシレスモーターを概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一例によるブラシレスモーターを概略的に示す断面図である。
図3図2に示す本発明を従来技術と比較して示す図である。
図4図2を再び示す図である。
図5】本発明の第1実施形態によるポールシューを説明するための断面図である。
図6】本発明の第1実施形態によるポールシューを説明するための断面図である。
図7】本発明の第2実施形態によるポールシューの拡大断面図である。
図8】本発明の第2実施形態によるまた他のポールシューの拡大断面図である。
図9】本発明の第2実施形態によるまた他のポールシューの拡大断面図である。
図10】本発明のロータとステータの関係を説明するための図である。
図11】従来のモーターと本発明のモーターのコギングトルクを比較したグラフである。
図12】従来のモーターと本発明のモーターのトルクリップルを比較したグラフである。
図13】従来のモーターと本発明のモーターのトルクリップルを比較したグラフである。
図14】本発明の一例による永久磁石を説明するための図である。
図15】本発明の他の例による永久磁石を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明について説明する。
図2は、本発明の一例によるブラシレスモーターを概略的に示す断面図であり、モーター断面全体の第一象限を示す。図示するように、本発明のブラシレスモーター10は、円筒状でなり断面が円状でなってもよく、外側にステータ100が備えられ、内側にロータ200が備えられてもよい。
【0031】
ステータ100は、ステータコア110と、ステータコアの内側に互いに離隔して備えられる複数のティース120とを含み、ティース120のそれぞれの先端にポールシュー130が形成されてもよい。ティース120には、電流が印加されるコイル400が取り巻かれ、隣接するティース120の間には空の空間であるスロット150が形成されてもよく、ポールシュー130は、各ティース120の先端で円周方向両側それぞれに所定距離だけ延長形成されてもよい。
【0032】
ロータ200は、ステータ100の内側に回転可能に配置され、複数の永久磁石300が備えられてもよい。永久磁石300は、ロータ200に形成されたスリット250に個別に安着し、ロータ200の外周面の内側に放射状に配置されてもよい。
【0033】
図3は、図2に示す本発明を従来技術と比較して示す図であり、図3に点線で示した部分のように、一般に従来のロータの外周面RS’は完全な円状に形成され、ロータと対向するポールシューの対向面PS’は、ロータの外周面と同一の間隔を有するようにロータの外周面と同一の曲率を有する円弧状に形成される。
【0034】
これに対して、本発明は、図3に示すように、ロータの外周面RSが完全な円状でなく異方性円形(Anistropic Rotor)に形成され、ポールシューの対向面PSが曲面形状(Curved Pole Shoe Chamfer)を有してもよい。
【0035】
まず、本発明のロータ200に対して具体的に検討する。図2、3を再び参照すると、本発明によるロータ200は、ロータの外周面RSの位置によってロータの外周面RSとロータの回転中心Oとの距離が変化する形状を有してもよい。すなわち、上述したように、本発明のロータ200は、従来のようにロータの外周面RS’が完全な円状に形成されるのではなく、一定部分は他の部分に比べて凸状に形成され、他の部分は一定部分に比べて凹状に形成され、異方性円形に形成されてもよい。
【0036】
より具体的に、本発明によるロータの外周面RSは、円周方向に沿って凸状に形成される部分である凸面と、凹状に形成される部分である凹面とが交互に形成され、このとき、図示するように、本発明は、複数の永久磁石300のそれぞれがロータの外周面における凸面の内側に備えられてもよい。これによって、ロータの外周面RSの凸面はロータのd軸(d-axis)に該当し、ロータの外周面RSの凹面はロータのq軸(q-axis)に該当するようになり、ロータの外周面RSにおける凸面の数と永久磁石300の数が同一に形成され得る。
【0037】
ロータのd軸は、磁束が集中される軸であり、ロータの回転中心Oと刺激部すなわち永久磁石300のそれぞれの中心とを連結する線に該当し、ロータのq軸は、d軸と電気角に直交する軸であり、ロータの回転中心Oと、隣接する2つの永久磁石300の離隔した間の中心とを連結する線に該当する。すなわち、本発明のロータ200は、ロータの回転中心Oからq軸におけるロータの外周面RSまでの距離が、ロータの回転中心Oからd軸におけるロータの外周面RSまでの距離に比べて小さく形成されてもよい。
【0038】
このようにロータの外周面RSが異方性円形に形成されることによって、ロータ200の回転時に、ロータ200とステータ100との間の空隙の大きさが周期的に変化し、空隙の位置変化による磁気抵抗の変化を減少させることができる。これは、後述する本発明のロータの対向面RSの形状と結合され、磁気抵抗変化率の減少効果を極大化することができるようになる。
【0039】
但し、本発明において、ロータの外周面RSが異方性円形に形成されても、フラックスバリア(flux barrier)の形状を適切に構成することによって、ロータブリッジ(bridge)の厚さが一定に維持されるようにすることが好ましい。より具体的に、図4は、図2を再び示すものであり、図示するように、本発明は、ロータのフラックスバリアの端部F.Eがロータの外周面RSに平行な形態に形成され、ロータブリッジの厚さを一定に形成することができ、例えば、フラックスバリアの端部F.Eとロータの外周面RSとの距離を0.5mm以下で一定に形成することができる。
【0040】
次いで、本発明によるポールシュー130について説明する。本発明のポールシュー130は、上述したように、ポールシューの対向面PSが曲面形状に形成されてもよく、曲面形状について具体的な実施形態を通じて説明する。
【0041】
まず、図5、6を参照して本発明の第1実施形態によるポールシューについて説明する。図5、6は、本発明の第1実施形態によるポールシューを説明するための断面図であり、図示するように、本例のポールシュー130は、ポールシューの対向面PSが内側に凹む円弧状に形成されてもよい。
【0042】
本例のポールシューは、ポールシューの対向面全体にわたってポールシューの対向面内側に凹むように円弧状に形成されてもよく、これによって、ポールシューの対向面の一端から他端まで同一の曲率を有する曲面で形成され得る。
【0043】
このとき、図5、6に示すように、ポールシューの対向面の曲率中心130-oは、ティースの幅方向中心線CLと同一線上に位置してもよく、これは、ポールシューの対向面PSがティースの幅方向中心線CLを基準に互いに対称をなすようにする。ポールシューの対向面PSの曲率中心130-oは、一定の曲率を有して円弧をなすポールシューの対向面を延ばした円の仮想の中心に該当する。
【0044】
また、本例において、ポールシューの対向面CLの曲率半径R_pは、上述したd軸ロータ部の半径R_dに比べて大きく形成されてもよく、ロータの回転中心Oからロータの外周面RSまでの距離Dに比べて大きく形成されてもよい。すなわち、図5のように、ポールシューの対向面CLの曲率半径R_pと、ロータの回転中心Oからロータの外周面RSまでの距離Dと、d軸ロータ部の半径R_dとは以下のような関係を満たすことができる。R_p>D>R_d。このように構成されることによって、ポールシューの対向面とロータの外周面との距離が、ポールシューの対向面の円周方向の中心で最も小さく、両端に行くほど次第に増加する形態になり、このような距離変化の形態がロータのd軸付近でより顕著になり得る。
【0045】
ここで、ロータの回転中心Oと、d軸ロータ部の曲率中心200d-oと、ポールシューの対向面の曲率中心130-oとはいずれも一直線上に配置されてもよく、これは、ティースの幅方向中心線CLと一致することができる。
【0046】
次いで、図7ないし図10を参照して本発明の第2実施形態によるポールシューについて説明する。図7は、本発明の第2実施形態によるポールシューの拡大断面図であり、図示するように本例のポールシュー130は、ロータ200と対向するポールシューの対向面PSがポールシューの幅方向中心PCを基準に一側と他側がそれぞれ円弧状に形成されてもよい。
【0047】
ポールシューの幅方向中心PCとは、ポールシューの対向面PSの中心を意味し、ティース120の幅方向中心線CLと一致してもよく、ティース120の幅方向中心線CLはロータの回転中心Oを通してもよい。以下では、ポールシューの幅方向中心PCを基準に、ポールシューの対向面PSの一側(図面上の左側)を第1円弧部Aとし、ポールシューの対向面PSの他側(図面上の右側)を第2円弧部Bとする。
【0048】
本発明は、ポールシューの対向面PSがその中心PCを基準に一側と他側にそれぞれ第1円弧部Aと第2円弧部Bが形成され、これによって、ポールシューの対向面PSとロータの外周面RSとの空隙(gap)が各位置ごとに異なるように形成され得る。より具体的に、ロータの回転方向に沿って、ポールシューの対向面の一側端部からポールシューの幅方向中心PCまで第1円弧部Aが形成されることで、第1円弧部Aでロータの外周面RSとの空隙が位置ごとに変化し、ポールシューの幅方向中心PCからポールシューの対向面の他側端部まで第2円弧部Bが形成されることで、第2円弧部Bでロータの外周面との空隙が位置ごとに変化し得る。このように、本発明によると、1つのポールシュー130で2つの位置ごとの空隙変化が形成され得る。
【0049】
これは、コギングトルクを低減するためであり、本発明は、このようなポールシューの形状設計によって、ポールシューの対向面PSとロータの外周面RSとの間の空隙の変化を意図的に増加させることで、隣接する2つのポールシュー間の空隙における磁気抵抗の変化率を最小化することができる。
【0050】
[数1]

Tcogging=-(1/2)Φg(dR/dθ)

(ここで、Tcoggingはコギングトルク、Φgは鎖交磁束、Rは磁気抵抗、θは回転角度を意味する)
【0051】
上記の[数1]はモーターにおけるコギングトルクを算出する式であり、[数1]のように、コギングトルクは空隙を通過する鎖交磁束量(Φg)の二乗に比例し、空隙の位置変化による磁気抵抗の変化率(dR/dθ)に比例するので、結局、コギングトルクを低減するためには、空隙における磁気抵抗の変化率を最小とすることが好ましい。本発明によると、ポールシューの対向面PSで位置ごとに空隙が変わることで、磁気抵抗(R)及び磁気抵抗変化率(dR/dθ)が減少し、これによって、コギングトルク及びコギングトルクの変動幅であるトルクリップルが減少することができる。
【0052】
以下、本例のポールシュー130に対してより具体化した実施形態について説明する。本例のポールシュー130は、上述したように、ポールシューの対向面PSが第1円弧部Aと第2円弧部Bからなり、このとき、第1円弧部Aの円周方向の中心A-cと第1円弧部Aを延ばした円の中心A-oとを連結した線である第1連結線ALと、第2円弧部Bの円周方向の中心B-cと第2円弧部Bを延ばした円の中心B-oとを連結した線である第2連結線BLとが、互いに平行になるか又は互いに所定の角度をなしてもよい。
【0053】
図7を再び参照して説明すると、第1円弧部Aの円周方向の中心A-Cは、ポールシューの幅方向中心PCとポールシューの対向面の一端との間の中心に該当し、第1円弧部Aを延ばした円の中心は、第1円弧部Aの曲率を維持しながら第1円弧部を延ばしたときに生じる仮想の円の中心(すなわち、円弧部の曲率中心、以下同様)に該当し、第2円弧部Bの円周方向の中心B-Cは、ポールシューの幅方向中心PCとポールシューの対向面の他端との間の中心に該当し、第2円弧部Bを延ばした円の中心B-oは、第2円弧部の曲率を維持しながら第2円弧部を延ばしたときに生じる仮想の円の中心に該当する。
【0054】
このとき、図7による例では、第1連結線ALと第2連結線BLが平行になってもよい。この場合は、ポールシューの対向面PSの一端、中心、及び他端が同一線上に形成されてもよい。
【0055】
図8及び図9は、本発明のまた他の例によるポールシューの拡大断面図であり、本例では、第1連結線ALと第2連結線BLとが所定の角度(Angle)をなしてもよい。このとき、図8は、第1連結線ALと第2連結線BLとが交差する地点がポールシューの対向面を基準にポールシューの対向面の外側、すなわちポールシューの対向面の上部側に形成されるときのポールシューの対向面PSの形状を示し、図9は、第1連結線ALと第2連結線BLとが交差する地点がポールシューの対向面を基準にポールシューの対向面の内側、すなわちポールシューの対向面の下部側に形成されるときのポールシューの対向面PSの形状を示す。この場合には、ポールシューの対向面PSの一端、中心、及び他端が同一線上に形成されていなくてもよく、図7の場合には、ポールシューの対向面中心PCの高さが、ポールシューの対向面の両端の高さに比べて低く形成されてもよく、図8の場合には、ポールシューの対向面中心PCの高さが、ポールシューの対向面の両端の高さに比べて高く形成されてもよい。
【0056】
また、上述した例において、図7ないし図9に示すように、第1円弧部Aと第2円弧部Bとは、ティースの幅方向中心線CLを基準に互いに対称をなしてもよい。このように、本発明によると、ポールシューの対向面の形状を様々な方法によって設計することで、位置ごとにポールシューの対向面とロータの外周面との間の空隙を変化させ、磁束変化ないし磁気抵抗の変化率を低減することができる。
【0057】
図10は、本発明のロータとステータとの関係を説明するための図であり、図示するように、本発明は、ロータのd軸付近でロータの外周面RSが所定の半径を有し、所定の曲率を有する円弧状になってもよい。ここで、上述したように、ロータのd軸付近でロータの外周面が円弧状をなす部分をd軸ロータ部200dとすると、d軸ロータ部200dの半径R_dは、ロータの回転中心Oからd軸ロータ部200dまでの距離Dに比べて小さくてもよい。すなわち、本発明のロータの外周面RSは、d軸で相対的に小さな半径を有する円弧状が形成され、隣接する2つのd軸の円弧状は、それらの間に位置するq軸で接する形状を有してもよい。
【0058】
さらに、本発明は、上述したポールシューの対向面RSの一側に該当する第1円弧部Aの半径R_Aと、ポールシューの対向面RSの他側に該当する第2円弧部Bの半径R_Bのそれぞれが、d軸ロータ部200dの半径R_dに比べて大きく形成されてもよい。図10を再び参照すると、第1円弧部Aの半径R_Aと、第2円弧部Bの半径R_Bのそれぞれは、d軸ロータ部200dの半径R_dに比べて大きく形成されてもよい。図10で200d-oは、d軸ロータ部200dを延ばした円の中心に該当する。ここで、第1円弧部の半径R_Aと第2円弧部の半径R_Bは互いに同一であってもよく、第1円弧部Aと第2円弧部Bとがティース120の幅中心CLを基準に対称をなしてもよいことは上述した通りである。
【0059】
図11は、従来のモーターと本発明のモーターのコギングトルク(Cogging Torque)を比較したグラフであり、図12及び図13は、従来のモーターと本発明のモーターのトルクリップルを比較したグラフである。
【0060】
図11に示すように、従来のモーター(Base)の場合、コギングトルクが約±0.11の間で変化してコギングトルクの大きさが約0.215(Nm)であったことに比べて、本発明のモーター(Improved)の場合、コギングトルクが約±0.03の間で変化すてコギングトルクの大きさが約0.06(Nm)であり、従来に比べて約72%低減されたことが確認された。
【0061】
また、図12に示すように、モーターに相対的に高電流(30A)が印加される場合、従来のモーター(Base)は、約1.14Nmのトルクリップルが発生することに比べて、本発明のモーター(Improved)は、それより小さな約0.87Nmのトルクリップルが発生し、モーターに相対的に低電流(16A)が印加される場合、従来のモーター(Base)は、約0.44Nmのトルクリップルが発生することに比べて、本発明のモーター(Improved)は、それより小さな約0.14Nmのトルクリップル(Torque Ripple)が発生することが確認された。また、図13に示すように、モーターに印加される電流(Current)強度ごとの全区間において、本発明(Improved)が従来技術(Base)に比べてトルクリップルの大きさが小さいことが確認された。
【0062】
このように本発明は、ステータ、より具体的にはポールシューの対向面とロータの外周面とが上述したような形状ないし構造で設計されることで、ロータの回転ごとの位置によって空隙の大きさが変わり、空隙の位置変化による磁気抵抗の変化を大きく低減することができ、これによって、モーターのコギングトルクを画期的に減少させ、逆起電力空間高調波に対する歪曲率を減少させることで、可能な限り正弦的な形状を有する逆起電力波形を構成することができ、これにより、トルクリップルを低減させ、モーターで発生する空間高調波による騒音を低減すると共に、逆起電力波形に追従するモーター制御アルゴリズムを良好に維持することができる。
【0063】
また、磁束の時間的変化を最小に維持することで、永久磁石を鎖交する磁束の時間的変化を減らし、永久磁石の渦電流損失を低減することができ、これによって、モーターのエネルギー効率を増大させることで、エネルギー消費低減及びモーターの性能を向上させることができる。
【0064】
以下では本発明の永久磁石300について説明する。図14は、図2を再び示す図であり、本発明の一例による永久磁石を説明するための図である。図示するように、永久磁石300は、ロータ200の外周面の内側に形成されたスリット250に個別に装着され、ロータ200上に放射状に配置されてもよい。
【0065】
本発明の一例による永久磁石300のそれぞれは、一対の単位永久磁石301、302でなってもよく、このとき、一対の単位永久磁石301、302のそれぞれは、直線状永久磁石であってもよい。直線状永久磁石は、図13に示すように、その断面形状が直線状に形成された磁石であり、断面の積層方向に複数の磁性体薄板が積層された形態であるか、又は磁石全体が一体になった形態であってもよい。
【0066】
ここで、図14に示すように、一対の単位永久磁石301、302は、ロータの回転中心に向かってV字状に配置されてもよく、一対の単位永久磁石301、302がなす角M_Aは130゜以上140゜以下であってもよい。このように、永久磁石が一対の単位永久磁石からなり、一対の単位永久磁石が互いに所定の角度をなすように配置されることによって、d軸で凝集する磁束の強度が増加し得る。
【0067】
或いは、これとは異なり、本発明の他の例によると、永久磁石300のそれぞれは、直線状永久磁石でなってもよい。図15は、本発明の他の例による永久磁石を説明するための図であり、図示するように、各永久磁石300は、図15で説明したように、一対の単位永久磁石でなるものでなく、単一の直線状永久磁石でなってもよい。この場合、永久磁石300がロータの外周面RS側にさらに近接するように配置されることで、ロータの回転時における鎖交磁束の量を増加させると共に、磁気抵抗変化率を減少させることができる。ここで、本場合においても、ロータブリッジの厚さが一定に形成されるように、図15のようにフラックスバリアの端部F.Eがロータの外周面RSに平行な形態に形成されてもよい。
【0068】
一方、前述したように、本発明によるロータの外周面RSは、円周方向に沿って凸面と凹面が交互に形成され、各永久磁石300は、凸面の内側に備えられてもよい。このとき、本発明は、各永久磁石のうち隣接した2つの永久磁石が、当該2つの永久磁石の間に位置する凹面を基準に互いに対称をなす構造でなってもよい。より具体的に、図15を参照して説明すると、各永久磁石300は、ロータの外周面RSの各凸面RS_aの内側に備えられ、このとき、隣接した2つの永久磁石300-1、300-2は、2つの永久磁石の間に位置する凹面RS_bの中心とロータの回転中心とを連結した線QLを中心に互いに対称をなすように構成されてもよい。ここで、凹面RS_bの中心とロータの回転中心とを連結した線QLは、図3に示すq軸(q-axis)と一致してもよいことはもちろんである。
【0069】
さらに、本発明のより具体的な実施形態として、本発明のモーターは、ステータコア110の内側に12個のティース120が備えられてステータ100に全12個のスロット150が形成され、ロータ200に8個の永久磁石300が備えられてロータ200に全8極が形成されることで、8極12スロットを有するインナーロータ型モーターで構成されてもよい。
【0070】
以上で説明したように、本発明は、ポールシュー、ロータ、及び永久磁石に対する上述の具体的な構造ないし形態が互いに結合されることで、モーターで発生するコギングトルクとトルクリップルを画期的に低減することができる。
【0071】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。従って、上記で説明した実施形態はすべての点で例示的であり、限定的ではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0072】
1、10 ブラシレスモーター
2、100 ステータ
3、120 ティース
4、130 ポールシュー
5、200 ロータ
6、300 永久磁石
110 ステータコア
150 スロット
200d d軸ロータ部
250 スリット
301、302 単位永久磁石
400 コイル
A 第1円弧部
B 第2円弧部
PS ポールシューの対向面
RS ロータの外周面


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】