(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】おむつ用感知装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/42 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A61F13/42 F
A61F13/42 B
A61F13/42 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561643
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 GB2022050862
(87)【国際公開番号】W WO2022214807
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522140574
【氏名又は名称】オックスフォード ヘルステック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アル アイオウビ、モハマド ヤーシル
(72)【発明者】
【氏名】ハク、サイド エジャズール
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200BB11
3B200CA02
3B200DF02
3B200DF04
(57)【要約】
おむつの外面に取り付ける感知装置に関する。この感知装置は、複数の取付け点同士の間に延在する一つ以上の弾性部材から成る拡張可能部材を備え、各取付け点は、この拡張可能部材をおむつの外面に固定して取り付けるように構成されていて、一つ以上の弾性要素は、各取付け点が離れるにつれて伸びるように構成されることによって、拡張可能部材がおむつの膨張に従って拡張するように構成される。感知装置はさらに、拡張可能部材に結合された検出部を備え、この検出部は、拡張可能部材の拡張を検出するように構成され、さらに、拡張可能部材で検出される拡張に基づいておむつ膨満度パラメータを決定するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつの外面に取り付ける感知装置であって、
複数の取付け点同士の間に延在する一つ以上の弾性要素から成る拡張可能部材と、
前記拡張可能部材に結合された検出部と、を備え、
前記取付け点は、前記拡張可能部材を前記おむつの外面に固定して取り付けるように構成され、
一つ以上の前記弾性要素は、前記取付け点が離れるにつれて伸びるように構成されることによって、前記拡張可能部材が前記おむつの膨張に従って拡張するよう構成され、
前記検出部は、前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成され、さらに、前記拡張可能部材で検出される拡張に基づいておむつ膨満度パラメータを決定するように構成される
ことを特徴とする感知装置。
【請求項2】
前記拡張可能部材は、少なくとも前記取付け点のいくつかが前記おむつの複数の縁部またはその近くに配置されて、前記おむつの外面のかなりの領域を覆うような大きさおよび形状で形成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の感知装置。
【請求項3】
前記拡張可能部材は、前記おむつの股領域の全幅にわたって延在するような大きさおよび形状で形成される
ことを特徴とする、請求項2に記載の感知装置。
【請求項4】
前記検出部は、光学検出器、抵抗検出器、および静電容量検出器のうちの一つである
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項5】
一つ以上の前記弾性要素は、多角形に配置されてその多角形の一つ以上の隅に前記取付け点を有する多数の弾性要素から成る
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項6】
前記拡張可能部材は、多数の前記弾性要素同士の間に延在する一つ以上の横方向弾性要素をさらに含む
ことを特徴とする、請求項5に記載の感知装置。
【請求項7】
一つ以上の前記横方向弾性要素は、前記多角形の指定された領域内に集中している
ことを特徴とする、請求項6に記載の感知装置。
【請求項8】
一つ以上の前記弾性要素は、弾性パッチから成り、前記取付け点は前記弾性パッチの周縁部の取付け点から成る
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項9】
一つ以上の前記弾性要素は、弾性ネットから成り、前記取付け点は前記弾性ネットの周縁部の取付け点から成る
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記取付け点同士の間の相対変位を検出することによって前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成される
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項11】
前記取付け点は、前記検出部に直接に結合された検出部取付け点を含む
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項12】
前記検出部は、前記検出部取付け点と少なくとも一つの他の取付け点との間の相対変位を検出することによって前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成される
ことを特徴とする、請求項11に記載の感知装置。
【請求項13】
前記検出部取付け点と前記少なくとも一つの他の取付け点との間の相対変位によって、前記拡張可能部材が前記検出部取付け点を前記検出部から離れる方向に引っ張る
ことを特徴とする、請求項12に記載の感知装置。
【請求項14】
前記検出部は、光源と、光検出器と、を備え、
前記検出部は、前記光源から前記光検出器に到達する光の量が、前記検出部取付け点と前記少なくとも一つの他の取付け点との間の相対変位に応じて変化し、それによって、前記光検出器からの出力信号に変化が生じるように構成される
ことを特徴とする、請求項12または13に記載の感知装置。
【請求項15】
前記取付け点は、
長手方向弾性要素を介して前記検出部取付け点に接続された第一取付け点と、
一つ以上の横方向弾性要素を介して前記長手方向弾性要素に接続された一つ以上の第二取付け点と、をさらに含む
ことを特徴とする、請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項16】
中央弾性要素を介して前記検出部取付け点に接続された中央合流点をさらに備え、
前記取付け点は、前記中央合流点の周囲に間隔を空けて配置された多数の取付け点をさらに含み、前記多数の取付け点は、それぞれ放射状弾性要素を介して前記中央合流点に接続されている
ことを特徴とする、請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項17】
一つ以上の前記弾性要素は導電性であり、
前記検出部は、一つ以上の前記弾性要素のうち少なくとも一つの弾性要素の長さの変化を検出することによって前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項7および請求項9のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項18】
前記検出部は、前記長さの変化に起因する前記拡張可能部材の抵抗の変化を検出することによって、前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている
ことを特徴とする、請求項17に記載の感知装置。
【請求項19】
前記取付け点は、蛇行パターンを形成するように複数の弾性要素を介して接続され、前記取付け点は、前記蛇行パターンの各々の曲がり角に配置される
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4および請求項17乃至請求項18のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項20】
前記検出部は、少なくとも一つの前記弾性要素の長さの変化に起因する静電容量の変化を検出することによって、前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている
ことを特徴とする、請求項17に記載の感知装置。
【請求項21】
前記取付け点は、一つ以上の前記弾性要素のうち第一組の弾性要素を介して、第一指状パターンを形成するように接続された第一組の取付け点と、一つ以上の前記弾性要素のうち第二組の弾性要素を介して、第二指状パターンを形成するように接続された第二組の取付け点と、を含み、
前記第一指状パターンおよび第二指状パターンは、指部が互いにかみ合うパターンに配置される
ことを特徴とする、請求項20に記載の感知装置。
【請求項22】
前記検出部は、前記第一指状パターンおよび第二指状パターンの指部が互いにかみ合う状態の変化に起因する静電容量の変化を検出することによって、前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている
ことを特徴とする、請求項21に記載の感知装置。
【請求項23】
一つ以上の前記弾性要素にセンサ素子をさらに備え、
前記センサ素子は、センサ信号を前記検出部に提供するように構成され、
前記センサ信号は、一つ以上の前記弾性要素の伸張量に応じて変化する
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項24】
前記検出部は、光源と、光検出器と、を備え、
前記センサ素子は二本の光ファイバを備えて、前記二本の光ファイバは、一つ以上の前記弾性要素の伸長によって前記二本の光ファイバ同士の間に相対変位が生じるように配置され、
前記感知装置は、前記二本の光ファイバ同士の間の相対変位が前記光検出器に到達する光の量の変化をもたらし、それによって前記光検出器からの出力信号の変化を生じさせるように構成されている
ことを特徴とする、請求項23に記載の感知装置。
【請求項25】
前記検出部は、動きを検出するように構成されたジャイロスコープまたは加速度計を備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の感知装置。
【請求項26】
おむつと、
請求項1乃至請求項25のいずれか一項に記載の感知装置と、を備えるおむつ・感知装置結合体であって、
前記感知装置は自らに電力を供給するように構成された電子制御・電源部を備え、
前記拡張可能部材の取付け点は、前記おむつの外面に固定して取り付けられる
ことを特徴とするおむつ・感知装置結合体。
【請求項27】
前記電子制御・電源部は、前記検出部から成り、前記おむつのウエストバンド部分に装着される
ことを特徴とする、請求項26に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項28】
前記拡張可能部材の取付け点は、前記おむつの前部、前記おむつの後部、前記おむつの股領域、前記おむつの伸縮性縁部、前記おむつのウエストバンド部分、またはそれらの組み合わせのうちの一つに固定して取り付けられる
ことを特徴とする、請求項26または27に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項29】
請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の感知装置をさらに一つ以上追加で備え、
前記感知装置および一つ以上の追加感知装置は、前記おむつの外面の異なる位置での膨張を検出するように構成されている
ことを特徴とする、請求項26乃至請求項28のいずれか一項に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項30】
前記電子制御・電源部は、前記おむつの内部の尿や便の体積と、前記おむつの内部の尿の流量と、前記おむつの内部への尿や便の排泄の頻度と、のうちの少なくとも一つを計算するようにさらに構成される
ことを特徴とする、請求項26乃至請求項29のいずれか一項に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項31】
前記電子制御・電源部は、前記体積、流量、および/または頻度を、前記感知装置に保存された一つ以上のソフトウェア・アルゴリズムを使用して計算するように構成され、
一つ以上の前記ソフトウェア・アルゴリズムは、過去に収集された経験的データに基づく
ことを特徴とする、請求項30に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項32】
前記電子制御・電源部は、計算された前記体積、流量、および/または頻度のうち少なくとも一つを表示するように、さらに構成されている
ことを特徴とする、請求項30または31に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項33】
前記電子制御・電源部は、無線伝送機をさらに備え、
計算された前記体積、流量、および/または頻度を保存することと、
計算された前記体積、流量、および/または頻度をリモート装置に無線で送信することと、を行うようにさらに構成されている
ことを特徴とする、請求項30乃至請求項32のいずれか一項に記載のおむつ・感知装置結合体。
【請求項34】
前記感知装置の拡張可能部材は、前記おむつの外面に一体化されている
ことを特徴とする、請求項26乃至請求項33のいずれか一項に記載のおむつ・感知装置結合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつの膨満度パラメータを決定するためにおむつの外面に取り付ける感知装置に関する。本発明は、また、おむつ・感知装置結合体に関する。感知装置の各感知要素は、おむつの外面に取り付け可能であり当該外面と一体化することもできる。
【0002】
おむつ、失禁パッド、下着などの失禁用製品を使用すると、着用者はトイレを使用せずに排尿および/または排便を行うことができる。失禁用製品は、尿や便を収容し、外側の衣類への漏れを防ぐ吸収層を備えている。失禁用製品は、子供(夜尿症)だけでなく成人、特に失禁に関連する病気を持つ人にも使用できる。
【背景技術】
【0003】
おむつやその他の失禁用製品が尿や便で汚れた場合、通常は別の人 (介護者など) が交換する必要がある。おむつ着用者は自分でおむつを交換できないことが多く、またおむつ交換が必要であることを伝えることさえできないため、介護者は一日を通して定期的におむつが汚れていないか手作業で確認する必要がある。これには、おそらく不必要におむつを交換することが含まれ、それによって介護者の貴重な時間と関連コストが無駄になる。 一方で、おむつを十分に定期的に交換しないと、着用者の不快感、着用者の尊厳への悪影響、および/または発疹、褥瘡、感染症などの皮膚障害が発生し得る。
【0004】
したがって、おむつまたは他の失禁用製品の膨満を感知する一連の行為には改良の余地がある。おむつの膨満を感知することは、赤ちゃんにとっても有用である。
【0005】
本発明の第一の態様によれば、おむつの外面に取り付ける感知装置が提供される。この感知装置は拡張可能部材を備える。前記拡張可能部材は、複数の取付け点同士の間に延在する一つ以上の弾性部材から成る。前記取付け点は、前記拡張可能部材を前記おむつの外面に固定して取り付けるように構成されている。好ましくは、前記取付け点の一部またはすべては、伸縮性縁部などのおむつの縁部またはその近くに配置される。一つ以上の前記弾性要素は、前記取付け点が離れるにつれて伸びるように構成されることによって、前記拡張可能部材がおむつの膨張に従って(すなわち、おむつが満たされるにつれて)拡張するように構成される。感知装置はさらに、前記拡張可能部材に結合された検出部を備える。前記検出部は、前記拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている。前記検出部はさらに、前記拡張可能部材で検出される拡張に基づいておむつ膨満度パラメータを決定するように構成されている。
【0006】
本発明の第二の態様によれば、おむつと上述の前記感知装置とを備える、おむつ・感知装置結合体が提供される。前記感知装置はさらに、上述の前記感知装置に電力を供給するように構成された電子制御・電源部を備える。前記電子制御・電源部は、上述の前記検出部を備えることが好ましい。前記拡張可能部材の取付け点は前記おむつの外面に固定して取り付けられる。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの例では、前記感知装置は前記おむつの製造後にその外面に取り付けられる。他の例では、前記感知装置の拡張可能部材は、製造時に前記おむつの外面に一体化される(すなわち、その上に作成される)。次いで、前記検出部を、例えばループを介して前記拡張可能部材に取り付け得る。
【0008】
本発明には他の有益な態様もあり、以下の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明をより容易に理解できるように、ほんの一例として添付の図面を参照する。
【
図1】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の平面図である。
【
図2】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図3】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図4】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図5】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図6】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図7】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図8】おむつの外面に取り付けられた代表的な感知装置の代替構成の平面図である。
【
図9a】
図1~8のいずれかの感知装置とともに使用される代表的な光検出器の断面図である。
図9aでは、感知装置の拡張可能部材が非拡張状態にある。
【
図9c】感知装置の拡張可能部材が拡張状態にあるときの、
図9a~9bの代表的な光検出器の断面図である。
【
図10】
図1~8のいずれかの感知装置とともに使用される代表的な代替光検出器の平面図である。光検出器は複数のリンクを備える。
【
図11a】
図1~8のいずれかの感知装置とともに使用される代表的な代替光検出器の断面図である。
図11aでは、感知装置の拡張可能部材は非拡張状態にある。
【
図11b】感知装置の拡張可能部材が拡張状態にあるときの、
図11aの代表的な光検出器の断面図である。
【
図12】
図1~8のいずれかの感知装置とともに使用される代替の光検出器の平面図である。
【
図13】
図1~8のいずれかの感知装置とともに使用される複数の代表的な光検出器の平面図である。
【
図14】おむつの外面に取り付けられた代表的な代替感知装置の平面図であり、感知装置は三つのセンサ素子を備える。
【
図16】おむつの外面に取り付けられた代表的な代替感知装置の平面図である。
【
図17】おむつの外面に取り付けられた代表的な代替感知装置の平面図である。
【
図18】抵抗を測定し、
図16の代表的な感知装置とともに使用されるホイートストン・ブリッジの回路図である。
【
図19】静電容量を測定し、
図17の代表的な感知装置とともに使用される静電容量ブリッジの回路図である。
【
図20】任意の代表的な感知装置に電力を供給する代表的な電子制御・電源部の斜視図である。
【
図21】おむつ膨満度パラメータを決定するための体積対時間データの代表的なグラフである。
【
図22】おむつの外面の感知装置の代表的な統合センサ構成の平面図である。
【
図23a】動きを測定し、任意の代表的な感知装置とともに使用されるジャイロスコープの回路図である。
【
図23b】動きを測定し、任意の代表的な感知装置とともに使用される加速度計の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、おむつの外面に取り付けるのに適した感知装置について説明する。感知装置は、各々が拡張可能部材を備える。この拡張可能部材は、複数の取付け点同士の間に延在する一つ以上の弾性要素を備える。各取付け点は、拡張可能部材をおむつの外面に固定して取り付けるように構成されている。好ましくは、各取付け点の一部またはすべては、伸縮性縁部など、おむつの縁部またはその近くに配置される。一つ以上の弾性要素は各取付け点が離れるにつれて伸びるように構成されることによって、拡張可能部材がおむつの(体積)膨張に従って拡張するように構成される。感知装置はさらに、拡張可能部材に結合された検出部を備える。検出部は、拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている。検出部はさらに、拡張可能部材で検出される拡張に基づいておむつ膨満度パラメータを決定するように構成されている。検出部は、動きを検出するように構成されたジャイロスコープまたは加速度計から成り得る。例えば、ジャイロスコープまたは加速度計は、おむつ使用中におむつ着用者の動きを検出し得る。
【0011】
また、本明細書では、おむつと上述の感知装置とを備える、おむつ・感知装置結合体についても説明する。感知装置はさらに、感知装置に電力を供給するように構成された電子制御・電源部を備えている。電子制御・電源部は、上述の検出部を備えることが好ましい。拡張可能部材の各取付け点はおむつの外面に固定して取り付けられる。いくつかの例では、感知装置はおむつの製造後におむつの外面に取り付けられる。他の例では、感知装置の拡張可能部材は、製造時におむつの外面に一体化される(すなわち、その上に作成される)。次いで、検出部を、例えばループを介して拡張可能部材に取り付け得る。
【0012】
おむつ(nappy)は、本明細書では同様におむつ(diaper)とも参照され得る。おむつは、成人、子供、または乳児が着用できる大きさにすることができ、任意の適切なデザインおよび吸収性を有し得る。上述したように、感知装置はおむつとは別に製造し得るため、あらゆる種類のおむつまたは他の失禁用製品に適用することができる。感知装置は、おむつの製造後におむつの外面に取り付けられる。あるいは、感知装置の拡張可能部材はおむつの製造工程中におむつの外面に一体化(すなわち、その上に作成)され、検出部は後の時点で取り付けられてもよい。これらは、能動感知素子(電気素子や化学素子など)が個別に製造されておむつの内部に組み込まれ、能動感知素子が、複雑で高価なおむつの尿吸収層と物理的に接触する、従来のおむつの濡れ/膨満の感知技術とは対照的である。
【0013】
おむつに取り付けられた感知装置の例を
図1に示してある。
図1は、外面1590を有する、着用前のおむつ1600の平面図を示す。おむつ1600は、ウエストバンド部分31に接続された前部1530を含む。おむつ1600の前部1530は、股領域1540によっておむつ1600の後部1570に接続されている。おむつ1600が着用されると、おむつ1600の前部1530は着用者の陰部領域および下腹部に対して配置され、おむつ1600の後部1570は着用者の尻に対して配置され、おむつ1600の股領域1540は着用者の股間を覆って両脚の間に配置される。おむつ1600は、着用者の両脚の上部の周りに延びる伸縮性縁部1560を有する。伸縮性縁部1560は、おむつを快適に着用できるように伸縮性があり、着用者の体の輪郭に従って、おむつ1600から液体が漏れるのを防止する。おむつ1600の外面1590は、通常、非伸縮性材料で作られている。この場合、それにもかかわらず、おむつ1600は、伸縮性縁部1560のおかげで、また、着用者が最初におむつ1600を着用するとき(すなわち、おむつが便/尿を収容していないとき)に外面1590が比較的緩くなるよう構成されるので、膨張することができる。また、(後述のように)おむつの素材に折り目を付けると、膨張の助けとなる。
【0014】
図 1 には、おむつ1600に取り付けられた感知装置も示してある。感知装置は、検出部5に結合された拡張可能部材1602を備える。拡張可能部材1602は、複数の取付け点45、1510の間に延在する弾性要素1604を備える。各取付け点は、拡張可能部材1602をおむつ1600の外面に固定して取り付けるように構成されている。
【0015】
感知装置は、おむつが製造された後に各取付け点を介しておむつに取り付け得て、この場合、取り外し可能かつ再使用可能である。あるいは、拡張可能部材は、製造時におむつの外面に一体化(すなわち、その上に作成)され得る。この場合、拡張可能部材はおむつの製造工程中に、おむつの一体部分として、おむつの外面材料の最上部に作成される。これはさまざまな方法で実現でき得る。例えば、一部のおむつは、伸縮性ポリマー(例えば、ゴム状)の下層材料の最上部に配置されて接着された非伸縮性材料の上層を備えることがよく知られている。おむつの製造工程では、選択した領域で二つの層に折り目をつけ、伸縮性を有して着用可能なおむつを作成できる。例えば、おむつの折り目をつけた部分は、着用すると伸びる。おむつが伸縮性のある下層を備えていない場合、上面材料の組成を変更して弾性を持たせることができる(上面材料全体を弾性にすることも、選択した領域のみを弾性にすることもできる)。おむつの製造工程中に、拡張可能部材はおむつの外面のこれらの折り目領域に(例えば一体化して)作成することもあり得る。折り目領域は、製造工程の流れ方向に作成されるのが好ましい。
図22に、センサが統合された構成の例を示す。折り目領域318が、おむつが膨満するにつれて伸びると、中央要素402は引っ張られる。ジグザグの実線は、非伸縮性素材の最上層を表す。ジグザグの破線は、伸縮性ポリマーから成る下層材料を表す。中央要素402は、おむつの外面に一体化され(すなわち、その上に作成され)得る。中央要素402を引っ張ると、検出部5に引っ張り力が加わり、検出部5で生成される検出信号が変化する。この膨張に係わる測定については、以下でさらに詳しく説明する。
【0016】
(一般にそうであるように)おむつ1600の外面が非伸縮性材料で作られている場合、おむつが膨張したことを検知できるように、各取付け点の少なくとも一部がおむつ1600の縁部(例えば、伸縮性縁部1560)またはその近くに配置されることが重要である。この点に関して、
図1は概略図に過ぎず、隅取付け点1510は実際にはおむつの横方向(伸縮性)縁部1560の非常に近くに配置され得ることが理解できるであろう。あるいは、弾性要素1604をおむつ1600の伸縮性縁部1560に接続する追加の取付け点があり得る。しかしながら、製造工程中に拡張可能部材がおむつの外面に作成される場合、各取付け点をおむつの縁部またはその近くに配置する必要は必ずしもない。これは、おむつの体積が増加するにつれて(例えば、おむつが尿や便で満たされるにつれて)、おむつの折り目を付けた領域が自然に広がるからである。したがって、おむつの伸縮性縁部を利用する必要はない。検出部5は、おむつ1600のウエストバンド部分31に装着される。あるいは、検出部5は、おむつ1600の前部1530などウエストバンド部分31の近くの、おむつ1600の外面1590の任意の適切な他の部分に取り付け得る。検出部5は、拡張可能部材1602に結合される。例えば、
図1では、各取付け点は、検出部5に直接に結合された検出部取付け点45を含む。検出部取付け点45は、おむつ1600の前部1530の中央であっておむつ1600のウエストバンド部分31のすぐ下、または当該部分に配置される。検出部5は、おむつ1600が膨張するにつれて拡張可能部材1602の拡張を検出するように構成されている。検出部5は、光学検出器、抵抗検出器、静電容量検出器、または拡張可能部材1602の拡張を感知するのに適した他の検出器を備え得る。また、おむつ使用時におむつ着用者の動きを検出するように構成されたジャイロスコープまたは加速度計など、データ記憶および検出部5の内部通信のための追加の電子機器が存在してもよい。
【0017】
拡張可能部材1602の弾性要素1604は、
図1では弾性パッチである。各取付け点には、弾性パッチの隅にある各取付け点1510が含まれる。したがって、
図1の拡張可能部材1602は、複数の取付け点45、1510の間に延在し、おむつ1600の前部1530と、股領域1540と、後部1570と、のかなりの領域にわたって中央に配置された長方形の弾性パッチの形態の弾性要素1604を一つだけ含む。取付け点1510のうちの二つは、おむつ1600の前部1530において、ウエストバンド部分31から等距離にある、弾性パッチの最初の二つの隅に配置されている。さらに二つの取付け点1510は、おむつ1600の後部1570において、弾性パッチの残りの二つの隅に配置されている。弾性パッチ1604をおむつの伸縮性縁部1560に接続する追加の取付け点が存在し得る。弾性パッチは、おむつ1600の内部に尿や便が浸入した場合、おむつ1600の体積膨張に従って膨張することができる。
図1では、弾性パッチは長方形である。もちろん、弾性パッチは、正方形、円形、または楕円形などの任意の適切な形状であり得る。取付け点1510は、弾性パッチの隅、または縁部/周縁部の周りに配置してもよい。
【0018】
拡張可能部材1602は、
図1のおむつ1600の外面1590のかなりの領域を覆うような大きさおよび形状で形成される。いくつかの例では、拡張可能部材は、おむつの前部、おむつの後部、おむつの股領域、おむつの伸縮性縁部、またはそれらの組み合わせの各々のかなりの部分を覆い得る。例えば、
図1では、拡張可能部材1602は、おむつ1600の前部1530のかなりの部分と、おむつ1600の股領域1540のかなりの部分と、おむつ1600の後部1570のかなりの部分と、を覆う。他の例では、拡張可能部材1602は、おむつ1600の股領域1540の全幅にわたって延在するような大きさおよび形状で形成され得る(一例として、
図7を参照)。
【0019】
取付け点45、1510は、拡張可能部材1602をおむつ1600の外面1590に固定して取り付けるように構成されている。例えば、取付け点45、1510は、接着剤、粘着性物質、超音波接着、面ファスナーパッド、ポッパー、磁石、ステッチ、リベット留め、溶接、または任意の適切な他の取り付け機構などの取り付け機構を使用し、固定して取り付けられる。上述したように、固定はおむつの製造時または製造後に行われ得る。拡張可能部材1602の取付け点45、1510は、おむつ1600の前部1530、おむつ1600の後部1570、おむつ1600の股領域1540、おむつ1600の伸縮性縁部1560、またはそれらの組み合わせに固定して取り付けられる。
【0020】
おむつ1600が膨張するにつれて、取付け点45、1510はさらに離れるように移動し、後でより詳細に説明するように、検出部取付け点45に、検出部5から離れる方向に引っ張る力が生じる。弾性要素1604は、取付け点45、1510が離れるにつれて伸びることによって、弾性要素1604がおむつ1600の膨張に従って拡張するように構成されている。換言すれば、弾性要素1604は、おむつ1600が尿や便で満たされるにつれて、おむつ1600の膨張に従って長さと幅が自由に変化する。伸張しやすいように、弾性要素1604はエラストマー材料で作られてもよい。例えば、ヤング率が低く破壊歪みが大きいエラストマー材料である。エラストマーの材料特性は、おむつ素材に応じて機能するように選択される。例えば、エラストマー材料は、特におむつ1600の伸縮性縁部1560において、おむつ材料の拡張特性に厳密に従う。弾性要素1604は、導電性ポリマーまたは非導電性ポリマーから作成され得る。導電性エラストマー材料は、おむつ1600内に尿や便が浸入したときに当該材料がおむつ1600とともに膨張するにつれて、抵抗または静電容量の変化を検出するように感知装置が構成されている場合に特に有用である(
図16および17に関連して記載された下記の各例を参照)。
【0021】
使用中、感知装置は、拡張可能部材1602で検出される拡張に基づいておむつ膨満度パラメータを決定するように構成されている。おむつ1600は、尿や便で満たされるにつれて、膨張し始める。おむつ1600が膨張するにつれて、取付け点45、1510は互いに離れるように移動し、取付け点45、1510の間に相対的な変位が生じる。次に、これによって弾性要素1604が伸びる。検出部5は、取付け点45、1510の間の相対変位を(間接的に)検出することによって、拡張可能部材1602の拡張を検出するように構成されている。例えば、おむつ1600が膨張して取付け点45、1510が互いに離れると、取付け点45、1510の間に相対変位が生じる。弾性要素1604が伸びるにつれて、検出部取付け点45を介して検出部5に引っ張り力が加わり、その結果、検出部5で生成される検出信号が変化する。言い換えれば、検出部5は、おむつ1600の膨張に伴う検出部5の引っ張りを検出する。検出信号の変化は、おむつ1600内への尿や便の侵入による、おむつ1600全体の体積膨張に比例する。
図9~17を参照して以下でより詳細に説明するように、検出部5は、変位、したがっておむつの膨張を表す、アナログまたはデジタルの電気信号のいずれかの出力信号を生成する。拡張可能部材1602の検出された拡張は、尿や便がおむつ1600に侵入するにつれて生じるおむつ全体の膨張に比例する。したがって、検出部5は、おむつ1600の外面1590の取付け点45、1510の間の変位の変化に間接的に反応する。これは、おむつの内部の湿気センサを使用しておむつの湿気/濡れを感知するか、または圧力センサを使用して着用者とおむつの間の径方向の圧力の増加を感知して、おむつの膨満度を判定する従来のアプローチとは対照的である。検出部5は、任意の変位またはひずみ検出器技術を使用して変位を検出し得るが、以下に説明する好ましい例では、光検出器、静電容量検出器、および/または抵抗検出器が含まれる。
【0022】
図2は、おむつ1600の外面1590に取り付けられた感知装置の拡張可能部材1602の代替構成を示す。この構成では、各取付け点は、長手方向弾性要素4010を介して検出部取付け点45に接続された第一取付け点4080を含む。例えば、検出部取付け点45は、
図1にあるように、検出部5の隣に配置される。第一取付け点4080は、おむつ1600の後部1570の中央に配置される。長手方向弾性要素4010は、第一取付け点4080および検出部取付け点45でおむつ1600に取り付けられた中央の伸縮性ひも状体または糸状体であり得る。長手方向弾性要素4010の残りの長さは自由に拡張することができる。各取付け点は、一つ以上の横方向弾性要素4015、4030、4060を介して長手方向弾性要素4010に接続された一つ以上の第二取付け点4005も含む。第二取付け点4005は、おむつ1600の横方向(伸縮性)縁部1560の近くに位置する。
図2では、横方向弾性要素4015、4030、4060は、おむつ1600の前部1530に一つの4015と、おむつ1600の股領域1540に一つの4030と、おむつ1600の後部1570に一つの4060と、が存在するように配置されている。横方向弾性要素4015、4030、4060は、おむつ1600の伸縮性縁部1560におけるおむつの膨張を感知できるように、おむつ1600の伸縮性縁部1560に向かって延在する。横方向弾性要素4015、4030、4060はまた、伸縮性ひも状体または糸状体であり得て、それらの端部の各取付け点4005の間で自由に拡張することができる。おむつが膨張するにつれて、横方向弾性要素4015、4030、4060は、縦方向弾性要素4010に、それによって検出部5に、追加の力を加える。有利なことに、これらの横方向弾性要素4015、4030、4060は、拡張可能部材1602がおむつ1600の外面1590をより多く覆うことになるので、おむつ1600の膨張をより正確に測定することができる。弾性要素4010、4015、4030、4060は、二つの異なる方向(
図2の水平方向および垂直方向)に延在する。したがって、取付け点45、4080、4005の相対変位をより正確に検出することが可能になり、おむつ1600の体積膨張をより正確に決定することができる。一例では、横方向弾性要素4030は、おむつ1600の伸縮性縁部1560まで完全に延在し得る。この場合、横方向弾性要素4030の拡張は、伸縮性縁部1560の拡張に続くので、それによって着用者の体の動きを考慮するのに役立つ。
図2は、おむつが製造された後に感知装置がおむつの外面に取り付けられる例と、製造時に感知装置の拡張可能部材がおむつの外面に一体化される例と、に関する。
【0023】
図3は、感知装置の拡張可能部材1602の代替構成を示す。この構成では、中央弾性要素4010を介して検出部取付け点45に接続された中央合流点4045が存在する。(
図3の斜線円で示す)中央合流点4045は、おむつ1600の外面1590に固定されて取り付けられていないため、おむつ1600が膨張するにつれて自由に動くことができる。
図3では、中央合流点4045はおむつ1600の前部1530の中央の上方に位置し、中央弾性要素4010は、おむつ1600の前部1530の中央を横切って中央合流点4045と検出部取付け点45との間で延在する。各取付け点はまた、中央合流点4045の周囲に間隔を空けて配置された多数の取付け点4070、4080を含み、多数の取付け点4070、4080は、それぞれ放射状弾性要素4025を介して中央合流点4045に接続されている。
図3では、多数の取付け点4070、4080は、おむつ1600の伸縮性縁部1560に近い、おむつ1600の股領域1540に主に配置されている。また、多数の取付け点4070、4080のうちのいくつかは、おむつ1600の伸縮性縁部1560の近くで、おむつ1600の後部1570に配置される。取付け点4070、4080同士の間隔は、各々の放射状弾性要素4025が中央弾性要素4010、従って検出部5が受ける力を増加させるので、膨張を検出するのを助ける。弾性要素4010、4025は、取付け点45、4080、4070の間で自由に拡張することができる。拡張可能部材1602はまた、多数の取付け点4070、4080同士の間に接続された別の弾性要素を含み得る。例えば、
図3では、別の横方向弾性要素4075が、おむつ1600の伸縮性縁部1560に近い、おむつ1600の後部1570の各取付け点4070の間に接続されている。
図3は、おむつの製造後に感知装置がおむつの外面に取り付けられる例と、製造時に感知装置の拡張可能部材がおむつの外面に一体化される例と、に関する。
【0024】
図4~6は、感知装置の拡張可能部材の別の代替構成を示している。これらの構成では、拡張可能部材の各弾性要素は、多角形に配置されてその多角形の一つ以上の隅に取付け点を有する、多数の弾性要素を備える。例えば、
図4では、多数の弾性要素3050が、ひし形の二つの隅に二つの取付け点3070を有するひし形状に配置されている。これらの二つの取付け点3070は、股領域1540に配置され、一方は左側の伸縮性縁部1560の近くにあり他方は右側の伸縮性縁部の近くにあって、おむつ1600の外面1590に固定して取り付けられる。また、ひし形の他方の二つの隅で拡張可能要素3050に接続された(
図4の斜線の円で示す)二つの合流点3111もある。二つの合流点3111は、 おむつ1600の外面1590に取り付けられていないので、おむつ1600が膨張するにつれて自由に動くことができる。二つの合流点3111のうちの一方は、おむつ1600の前部1530の中央の上方に位置する前部合流点であり、他方は、おむつ1600の後部1570の中央の上方に位置する後部合流点である。このひし形は、おむつ1600の股領域1540の中央に主に配置され、おむつ1600の前部1530および後部1570を部分的に横切って延在している。また、(
図2の長手方向弾性要素4010と同様に)おむつ1600の中央に配置された長手方向弾性要素3090も存在する。長手方向弾性要素3090は、おむつ1600の後部1570の中央に位置する後部取付け点3040と、おむつ1600の前部1530の中央であって、検出部5の隣に位置する検出部取付け点45と、の間でおむつ1600に取り付けられる。後部取付け点3040および検出部取付け点45は、両方とも、おむつ1600の外面1590に固定して取り付けられる。長手方向弾性要素3090は、前部および後部の合流点3111にも接続されている。長手方向弾性要素3090に接続され、各取付け点3010でおむつ1600の外面1590に取り付けられる追加の弾性要素3020も存在し得る。例えば、
図4では、追加の弾性要素3020が、長手方向弾性要素3090を横切って直交するように、おむつ1600の前部1530上であって伸縮性縁部1560の近くで、おむつ1600の外面1590に各取付け点3010で取り付けられる。
【0025】
図5に示すように、ここでも、検出部取付け点45と後部取付け点3040との間でおむつ1600に取り付けられた長手方向中央弾性要素3090が存在する。後部取付け点3040は、
図4と同様に、おむつ1600の後部1570の中央に配置される。中央弾性要素3090はまた、多角形に配置された多数の弾性要素3050のうちの少なくとも一つに接続されている。
図5では、多数の弾性要素3050は長方形に配置されており、長方形の各々の隅に取付け点3070がある。この構成では、取付け点3070、3040、45の各々はおむつ1600の外面1590に、おむつ1600の縁部近くで固定して取り付けられる。この長方形は、
図1の弾性パッチ1604とほぼ同様の位置に配置される。具体的には、この長方形は、第一横方向弾性要素が、おむつ1600の前部1530を横切って、おむつ1600のウエストバンドにほぼ平行に配置される。第一横方向弾性要素からおむつ1600の股領域1540を横切って後部1570までほぼ垂直に延びる二つの縦方向弾性要素が存在する。おむつ1600の後部1570を横切って、第一横方向要素とほぼ平行な第二横方向弾性要素も存在する。正方形、五角形、六角形などの任意の適切な多角形構成も使用され得る。
【0026】
図6では拡張可能部材1602が二つの長手方向弾性要素同士の間に延在する複数の横方向弾性要素3005をさらに含むことを除いて、
図6は、
図5と同じ拡張可能部材1602の構成を示す。また、横方向弾性要素は、多角形の指定された領域515内に集中している。例えば、
図6では、指定された領域515は、おむつ1600の股領域1540のかなりの部分および後部1570のかなりの部分である。横方向弾性要素3005は、おむつ1600の膨張を検出する際の感度を高めるように、この領域515に集中している。尿(例えば、50~100ml)が最初におむつ1600に侵入すると、おむつ1600の膨張が最初にこの領域515で起こる。ただし、膨張は非常に少しであり得る。横方向弾性要素3005によって、この領域515における拡張力をより正確に捉えることができる。あるいは、
図1に示すように、各弾性要素は、同様の目的を果たす弾性パッチを備えてもよい。
【0027】
図7は、感知装置の拡張可能部材1602の別の代替構成を示す。この構成では、弾性要素は、弾性ネット5480から成り、各取付け点は弾性ネット5480の周縁部の各取付け点5160から成る。各取付け点には、おむつ1600の前部1530の中央であって(おむつ1600のウエストバンドに取り付けられる)検出部5の隣に位置する検出部取付け点45(上述の検出部取付け点45と同様)も含まれる。各弾性要素には、おむつ1600の前部1530の中央に配置された長手方向弾性要素4010も含まれる。長手方向弾性要素4010は、おむつ1600の前部1530の中央の上方に位置する前部合流点5050と、検出部取付け点45と、の間に延在する。(
図7の斜線の円で示す)前部合流点5050は、おむつ1600の外面1590に取り付けられていないため、おむつ1600が膨張するにつれて自由に動くことができる。検出部取付け点45はおむつ1600の外面1590に固定して取り付けられる。弾性ネット5480は、前方合流点5050で長手方向中央弾性要素4010に接続されている。弾性ネット5480は、おむつ1600の後部1570の中央の上方に位置する後部合流点5055にも取り付けられる。(同様に
図7に斜線円で示す)後部合流点5055は、おむつ1600の外面1590に取り付けられていないため、おむつ1600が膨張するにつれて自由に動くことができる。後部合流点5055から、おむつ1600の後部1570においてさらに上がった位置にある別の取付け点5060まで、短い弾性要素4015が延びている。取付け点5060はおむつ1600の外面1590に固定して取り付けられている。弾性ネット5480の周縁部の各取付け点5160は、おむつ1600の伸縮性縁部1560に沿って配置されている、すなわち、各取付け点5160は、おむつ1600が着用者の両脚の周りにぴったり合う、股領域1540の二つの湾曲縁部に配置されている。各取付け点5160はおむつ1600の外面1590に固定して取り付けられている。各取付け点5160と各合流点5050、5055との間では、弾性ネット5480は自由に伸びることができる。弾性ネット5480は、おむつ1600の股領域1540のかなりの部分を覆い得る。例えば、弾性ネット5480は、
図7に示すように、おむつ1600の股領域1540の全幅にわたって延在するような大きさで構成され得る。代替例では、弾性ネット5480は、おむつ1600の前部1530および後部1570の面のかなりの部分も覆い得る。有利なことに、弾性ネット5480を使用すると、検出部によって検出されるように、(膨張するおむつ1600からの)より大きな力が捕捉されて中央弾性要素4010に伝達されることが可能になる。
【0028】
図8は、感知装置の拡張可能部材1602の別の代替構成を示す。この構成では、各取付け点580は、蛇行パターンを形成するように一つ以上の弾性要素590を介して接続され、各取付け点580は蛇行パターンの各々の曲がり角に配置される。検出部5は、おむつ1600のウエストバンド部分に装着される。各取付け点には、おむつ1600の前部の中央であって検出部5の隣に位置する検出部取付け点45も含まれる。他の取付け点580は、おむつ1600の前部を横切ってほぼ直線状かつ横方向に配置された六つの前部取付け点と、おむつ1600の後部を横切ってほぼ直線状かつ横方向に配置された五つの後部取付け点と、から成る。六つの前部取付け点は、おむつの前部上縁の近くで(すなわち、ウエストバンドの近くで)おむつ1600の前部外面に固定して取り付けられる。五つの後部取付け点は、おむつの後部上縁の近くで(すなわち、後部ウエストバンドの近くで)おむつ1600の後部外面に固定して取り付けられる。弾性要素590のうちの一つは、中央検出部取付け点45から下方におむつ1600の前部を横方向に横切って二つの前部外側取付け点580に向かって延在する。残りの弾性要素590は、おむつ1600の外面の上方を蛇行パターンでほぼ長手方向(縦方向)に延在する。具体的には、二つの別の弾性要素590は、二つの前部外側取付け点580の各々から、おむつ1600の前部、股領域を下り、後部を上って、長手方向(縦方向)に延在し、二つの後部外側取付け点580に達する。次に、弾性要素590は、前部取付け点と後部取付け点との間を蛇行パターンを描き、各々の曲がり角に取付け点が存在しつつ、残りの取付け点580に接続される。各弾性要素590は、おむつ1600が膨張するにつれて、各取付け点580、45の間で自由に伸びることができる。各弾性要素590は、より容易に蛇行できるように、
図1~7の弾性要素よりも薄い。例えば、
図8では、各弾性要素590は、弾性材料の薄いひも、糸、またはワイヤから作製され得る。
図4~8は、おむつが製造された後に感知装置がおむつの外面に取り付けられる例と、製造時に感知装置の拡張可能部材がおむつの外面に一体化される例と、に関する。
【0029】
使用中、上述した構成のすべてにおいて、検出部5は、検出部取付け点45と少なくとも一つの他の取付け点との間の相対変位を感知することによって拡張可能部材1602の拡張を検出するように構成され得る。例えば(
図2を参照)、おむつ1600が膨張するにつれて、取付け点4080が検出部取付け点45から離れるように移動し、取付け点45、4080同士の間に相対変位が生じ得る。検出部取付け点45と少なくとも一つの他の取付け点4080との間の相対変位によって、拡張可能部材1602が検出部取付け点45を検出部5から離れる方向に引っ張る。これに比例して、検出部5を引っ張る力が生じる結果、検出信号の変化が検出部5で生じる。換言すれば、検出部は、おむつの膨張によって生じる検出部の引っ張りを検出する。検出信号の変化は、おむつ1600内への尿や便の侵入による、おむつ1600全体の体積膨張に比例する。次に、拡張可能部材1602の拡張を検出するためのさまざまな例について説明する。
【0030】
<光検出器>
図9a~9dは、上述した感知装置のいずれかと使用するために、光検出器を備える検出部2の例を示す。
図9aおよび9bはそれぞれ、非膨張状態のおむつ1上に配置された検出部2の正面断面図および平面図を示し、おむつ1は体に着用されているが使用されていない、すなわち、おむつ1に尿や便がない状態なので、おむつ1には(おむつを着用者に適合させるために必要な伸縮、例えば、着用者の両脚の最上部のまわりの伸縮性縁部の伸縮、および伸縮性のあるウエストバンドの伸縮を除いて)追加の伸縮がない。おむつ1は、
図1~8に関して上述したおむつ1600と同等である。
【0031】
検出部2は、筐体10、光源6、光検出器140、第一チューブ70、第二チューブ100、光ファイバ50、および拡張可能部材(例えば、上記の
図1~8のように拡張可能部材1602)の検出部取付け点45へのリンク56を備える。単純化するために、拡張可能部材は、検出部取付け点45を除いて、
図9a~9dには示していない。光源6は発光ダイオード(LED)であり得る。光検出器140は光センサであり得る。筐体10はおむつ1に装着される。例えば、筐体10はおむつ1のウエストバンドに装着され得る。
【0032】
筐体10は二つの部位からなる筐体であり、筐体10の二つの部位は開口部34によって分離されている。筐体10は二つの端部を有し、一方は筐体10の第一部位の遠端にあり、他方は筐体10の第二部位の遠端にある。光源6は筐体10の一端に備え付けられ、光検出器140は光源6とは反対側の、筐体10の他端に備え付けられる。第一チューブ70と第二チューブ100は、光源6と光検出器140との間の経路のそれぞれの部分に沿って、筐体10内に同軸上に取り付けられている。したがって、第一チューブ70は筐体10の第一部位の中に配置され、光源6は第一チューブ70の第一端に配置される。第二チューブ100は筐体10の第二部位の中に配置され、光検出器140は第二チューブ100の第二端に配置される。筐体10の二つの部位、ならびに第一チューブ70および第二チューブ100は、開口部34を隔てて(例えば、最大4cmまで)離間している。同様に、第一チューブ70および第二チューブ100も開口部34を隔てて離間している。
【0033】
光ファイバ50は、第一チューブ70および第二チューブ100を通って延在する。光ファイバ50の第一端は、光源6に隣接して配置され、光源6の前で固定されている。光ファイバ50の第二端は、光検出器140の近くに配置されているが、位置は固定されていない。光ファイバ50の第二端と光検出器140との間には隙間120がある。光ファイバ50の少なくとも中央部は、チューブ70、100の間の開口部34で露出している(すなわち、光ファイバ50の中央部は、チューブ70、100のいずれにも、あるいは筐体10内にも含まれない)。チューブ70、100内での光ファイバ50の動きがいくらか制限され使用中に光ファイバ50の大部分が同じ位置に留まるように、チューブ70、100の内径は、光ファイバ50の外径よりわずかに大きいのが好ましい。
【0034】
前述したように、検出部取付け点45は拡張可能部材の一部を形成し、拡張可能部材の残りの部分は、
図9a~9dには示されていない。検出部取付け点45は、拡張可能部材を検出部2に接続するために使用される。具体的には、非弾性リンク56が、検出部取付け点45と光ファイバ50の露出部分との間に延在する。
【0035】
使用中、検出部2には電子制御・電源部(図示せず)によって電力が供給される。電子制御・電源部は、バッテリなどの内部電源または外部電源であり得る。検出部2に電力が供給されると、光源6からの光が光ファイバ50および隙間120を通って光検出器140に到達する。光検出器140は、光源6から受け取った光の量に対応する出力信号を生成するように構成されている。おむつ1を着用時であっておむつ1が未膨張状態(すなわち、
図9aおよび9bのように、おむつ1内に尿や便がない)の場合 、拡張可能部材およびリンク56は最小限しか張り詰めておらず、光検出器140は、おむつ1の非膨張状態に対応する出力信号を生成する。この非膨張状態では、隙間120は長さd1を有する。
【0036】
図9cおよび9dは、検出部2と、おむつ1が尿や便で満たされ膨張し始める(すなわち、おむつ1の体積が膨張する)ので膨張状態になるおむつ1と、の正面断面図および平面図を示している。これによって、おむつ1の外面に取り付けられた拡張可能部材が拡張する。前述したように、拡張可能部材は、検出部取付け点45を除いて、
図9a~9dには示していない。この膨張は検出部2によって測定される。検出部2は、光源6から光検出器140に到達する光の量が、検出部取付け点45と少なくとも一つの他の取付け点との間の相対変位(例えば、
図2における、取付け点4080と検出部取付け点45間との間の相対変位)に応じて変化し、それによって、光検出器140からの出力信号に変化が生じるように構成されている。換言すれば、おむつ1が膨張するにつれて、拡張可能部材の各取付け点が互いに変位し、拡張可能部材の弾性要素(例えば、
図2の長手方向弾性要素4010)を伸張させる。すると、これによって、検出部取付け点45とリンク56とが引っ張られる。リンク56は、光ファイバ50がたわむように、光ファイバ50の露出した中央部を検出部取付け点45の方向、すなわち検出部2の筐体10から離れる方向に引っ張る。光ファイバ50は、拡張可能部材によって光ファイバ50に力が加えられた場合にのみ動きが拘束される。光ファイバ50のたわみは、
図9dで最も明確に見られ、光ファイバ50の第二端と光検出器140との間の隙間120に変化をもたらす。光ファイバ50の第二端は位置が固定されていないので、第二チューブ100を通って長手方向に自由に移動でき、それによって隙間120が変化できる。隙間120は、(
図9aおよび9bの非膨張状態時の)d1から(
図9cおよび9dの膨張状態時の)より大きな値d2へと増加する。隙間120のこの増加によって、光検出器140が光源6から受光する光の量が減少する。光検出器140に当たる放射光の割合は、隙間120の大きさが増すにつれて減少する。したがって、おむつ1の内部に尿や便が浸入すると、光検出器140によって生成される出力信号は減少し、おむつ1が膨張したことを示す。具体的には、光検出器140が受光する光信号は、おむつの膨張に反比例する。これに基づいて、おむつの膨満度パラメータを決定することができる。
【0037】
同様に、(例えば、おむつ1からの尿漏れによって)おむつ1の膨張が減少すると、光ファイバ50の露出した中央部の引っ張りが減少する。そのため、光ファイバ50の露出部分は、検出部取付け点45から離れる方向、すなわち検出部2に向かう方向に戻る。これによって、光ファイバ50と光検出器140との間の隙間120が減少する。この結果、光検出器140が光源6から光ファイバ50を介して受光する光の量が増加する。したがって、光検出器140によって生成される出力信号は増加し、おむつ1が縮んだことを示す。
【0038】
隙間120の変化は、おむつ1が作られる材料の特性、拡張可能部材の材料特性、および光ファイバ50の特性に依存する。露出領域における光ファイバ50の引っ張り方向へのたわみは、以下の式で表される。
【数1】
ここで、δは、引っ張り方向の光ファイバ50のたわみ(すなわち、引っ張り方向の伸張距離)であり、Fはリンク56の引っ張り力であり、Lは光ファイバ50の露出した中央領域の長さであり、Eは光ファイバ50の材料のヤング率であり、Iは光ファイバ50の慣性モーメントである。おむつ1が膨張すると、リンク56によって光ファイバ50に加えられる力Fが増加し、式(1)に従って光ファイバ50のたわみδが増加する。このたわみによって、光ファイバ50の第二端と光検出器140との間の距離d2が増加する。光検出器140が受光する光の強度は1/d
2に比例するので、光検出器140が生成する出力信号は減少する。したがって、隙間間隔dは光ファイバ50のたわみδに正比例するので、結果的に、光検出器140の出力はたわみの二乗に反比例する(すなわち、1/δ
2に比例する)ことになる。
【0039】
代替例では、光ファイバ50の第二端は光検出器140の前で固定され得るし、光ファイバ50の第一端は光源6に隣接して配置されるが位置は固定されずに第一チューブ70内で長手方向に移動できるようにし得る。その結果、隙間120は、光源6と光ファイバ50の第一端との間に配置されることになる。 式(1)は、この例にも同様に適用される。
【0040】
図10は、
図9a~9dの光検出部2の代替例である。
図9a~9dの光検出器と同様に、光源400は、光ファイバ425の第一端で光ファイバ425に光を注入する。光ファイバ425の第一端は、光源400に対して固定されている。光は、光ファイバ425を通って、光ファイバ425の第二端に配置された光検出器410まで進む。光ファイバ425の第二端は、光検出器410に対して位置が固定されていない。光ファイバ425は、
図10において光源400と光検出器410との間にほぼ直線の経路を提供する。ただし、
図10では、光ファイバ425が通過する、光源400と光検出器410との間のほぼ直線的な経路のそれぞれの部分に沿って配置された四つのチューブ区画480、490、500、および510がある。チューブ区画480、490、500、510は、光ファイバ425の導光部として機能する。四つのチューブ区画480、490、500、510の間には、光ファイバ425の三つの部分を露出させる開口部がある。三つのリンク550、460、570は、検出部取付け点45を光ファイバ425の三つの露出部分に結合する。四つのチューブ区画および三つのリンクの使用は単なる例示であり、異なる数のチューブ区画(例えば三つ以上)を使用して、光ファイバ425の異なる数の露出部分(例えば二つ以上)を提供することができるのが理解されよう。使用されるリンクの数は、光ファイバ425の露出部分の数に対応する。有利な点として、別々に離間した多数のリンク550、460、570を有することによって、検出部取付け点45が光ファイバ425をその長さに沿ってより均一に引っ張ることが可能になる。その結果、この構成はより安定しており、より大きなたわみδを発生させる。
【0041】
図11aおよび11bは、上述の感知装置のいずれか一つとともに使用するように構成された光検出部のさらに別の例を示す。単純化するために、拡張可能部材は、検出部取付け点45を除いて、
図11a~11bには示されていない。
図11aおよび
図11bでは、光検出部は、(
図11aに示すように)上から下まで以下の層、すなわち、積層層233と、二つの同軸区画285および430が空隙410で分離された光ファイバと、スペーサ間隔で隔てられた二つの部位324、325から成る剛性スペーサと、フレキシブル基板125と、を有する積層構造から成る。光ファイバは、よく知られているように、ファイバ芯250とファイバ被覆256とから成る。積層層233は、積層構造の上部を保護する薄いフレキシブルなプラスチック層である。二つの同軸区画285と430との間の空隙410は、剛性スペーサの部位325の第一端の上方でその隣に位置する。剛性スペーサの部位325の第一端は、垂直方向では、光ファイバの同軸区画430の第一端と整列しており、水平方向では、スペーサ間隔に隣接している。その結果、第一光ファイバ区画285のうち区画270は固定されておらず力が加えられると曲がることができる。第一光ファイバ区画285の非固定区画270は、非弾性リンク56を介して検出部取付け点45に接続されている。
図11aおよび11bは、光ファイバ、剛性スペーサ、およびフレキシブル基板125の断面図を示していて、リンク56は、実際には、光ファイバから検出部取付け点45までほぼ垂直に最後まで延びている(すなわち、実質的におむつの外面の平面内で最後まで延びている)。検出部取付け点45は、拡張可能部材の一部(例えば、上述の拡張可能部材1602の一つ)である。拡張可能部材は、おむつ(例えば、おむつ1600)の外面に固定して取り付けられる。
【0042】
図11aの検出部は、フレキシブル基板125上に剛性スペーサを配置し、その剛性スペーサ上に単一の光ファイバを配置し、次いで光ファイバの上に積層層233を配置することによって製造し得る。次に、当該構造の最上部に(例えば、熱または超音波を使用して)積層層を積層する。垂直方向の切断は、鋭利な道具(例えばブレード)を使用して光ファイバの非固定区画270に対して行い、空隙410とスペーサ間隔が単一空域を形成するように、スペーサ間隔の一端に空隙410を形成する。垂直方向の切断、その結果として空隙410は、積層層233、ファイバ被覆256、およびファイバ芯250の各々を通って延在することによって、光ファイバを二つの同軸区画285および430に分離している。垂直方向の切断は基板125を貫通していない。第一光ファイバ区画285の遠方(左)端(図示せず)は光源(図示せず)に結合し、第二光ファイバ区画430の遠方(右)端は光検出器(図示せず)に結合している。
【0043】
使用中、光源が第一光ファイバ区画285の遠端に光を照射すると、光は空隙410を通って第二光ファイバ区画430に入る。
図11aは、おむつが非膨張状態にあるときの検出部の構成を示している。この構成では、拡張可能部材および非弾性リンク56は最小限にしか張り詰めておらず、光検出器はおむつの非膨張状態に対応する出力信号を生成する。空隙410に起因して、光透過には小さな損失(例えば、20%程度)がある。
【0044】
図11bは、おむつが膨張状態にあるときの検出部の構成を示す。この構成では、おむつの膨張によって拡張可能部材が検出部取付け点45を引っ張るため、検出部取付け点45は検出部からさらに離れる。リンク56が非弾性であるため、拡張可能部材からの引っ張りは光ファイバに伝達され、それによって光ファイバの非固定区画270を第二光ファイバ区画430から引き離す。この引っ張りにより、光ファイバ区画285、430の位置がずれる。したがって、信号伝送は大幅に低下する (最大80%)。引っ張りが大きいほど、光検出器での信号の低下が大きくなる。信号の低下は、おむつの中に入る尿や便の量が増えるにつれて、おむつの体積の膨張に正比例する。光検出部の感度は、光ファイバおよび剛性スペーサの材料特性、検出部取付け点45によって加えられる力、および光ファイバの非固定区画270の寸法に依存する。
【0045】
図12は、上述の感知装置のいずれか一つとともに使用する光検出部の代替例を示す。この構成では、検出部600は、設置面積の小さい円形プリント回路基板655上に構築される。検出部600は、光源621(発光ダイオードなど)、光検出器601(光検出器など)、光ファイバ642、二つの直線ガイドレール625、および光ファイバ642を検出部取付け点675に接続するリンク666を備える。検出部取付け点675は、前述の検出部取付け点45と同等であり得て、拡張可能部材(例えば、拡張可能部材1602)の各取付け点の一つである。単純化するために、拡張可能部材は、検出部取付け点675を除いて、
図12には示していない。
【0046】
光源621は、プリント回路基板655の一端近くに配置される。光検出器601は、光源621の隣に配置される。光ファイバ642は、プリント回路基板665のかなりの領域にわたってU字形に配置される。光ファイバ642の第一端は、光ファイバ642の第一端と光源621の前部との間に第一間隙が存在するように、光源621の前に配置される。光ファイバ642の第二端は、光ファイバ642の第二端と光検出器601の前部との間に第二間隙が存在するように、光検出器601の前に配置される。二つの直線ガイドレール625は、プリント回路基板655上に平行に配置されて、光ファイバ642のU字形の二つの直線区画をガイドする、すなわち、一方のガイドレールは光源621に至る第一直線を形成し、他方のガイドレールは光検出器601に至る第二直線を形成する。各々のガイドレール625には、光ファイバ642が挿通されている。各ガイドレール625は、光ファイバ642を光源621および光検出器601の各々の光軸と位置合わせした状態に保つように構成されている。リンク666は、U字形の底部の中央で光ファイバ642に接続されている。
【0047】
光源621は、光を光ファイバ642に照射する。光はU字型の光ファイバ642を通って進み、光検出器601で検出される。拡張可能部材が検出部取付け点675を検出部600から離れる方向に引っ張るとき、光ファイバ642は光源621および/または光検出器601からさらに遠ざかり、それによって第一間隙および/または第二間隙の大きさが増す。このため検出される信号が減少する。検出される信号の低下は引っ張りに比例し、引っ張りはおむつ(例えば、おむつ1600)内の尿や便の量に比例する。それ故に、検出される信号の変化はおむつの膨張を示している。
【0048】
これまでのところ、おむつに取り付けられた感知装置は一つだけ示してきた。ただし、同じおむつに任意の適切な数の感知装置を使用し得る。例えば、おむつは一つ以上の追加感知装置と組み合わせ得る。感知装置および一つ以上の追加感知装置は、おむつの外面の異なる位置での膨張を検出するように構成されている。
図13には、第一検出部513、第二検出部530、および第三検出部542が存在する。三つの検出部513、530、542は各々、
図9a~9dで説明した検出部と同等であり、同様に動作する。例えば、第一検出部513は、光源400、光ファイバ425、第一チューブ440、第二チューブ450、光検出器410、および光ファイバ425を検出部取付け点715に接続するリンク50を備える。検出部取付け点715は、前述した検出部取付け点45と同等であり得る。検出部取付け点715は、関連する拡張可能部材の一部を形成し、拡張可能部材の残りの部分は
図13には示していない。
【0049】
検出部513、530、542の各々は、同じおむつ(例えば、おむつ1600)のウエストバンドに取り付け得る。検出部513、530、542の光ファイバは、それぞれ、別々の非弾性リンク460、576、585によって検出部取付け点701、715、725に接続される。検出部取付け点701、715、725は、各々、おむつ1600の外面1590、好ましくはおむつ1600のウエストバンドの近くに固定して取り付けられる。上述したように、検出部取付け点701、715、725は、各々、それぞれの拡張可能部材の一部を形成する(
図13には、拡張可能部材の検出部取付け点701、715、725のみを示してある)。各々の拡張可能部材は、おむつ1600の外面1590の異なる位置に固定して取り付け得る。例えば、第一拡張可能部材はおむつ1600の前部1530に配置され、第二拡張可能部材はおむつ1600の股領域1540に配置され、第三拡張可能部材はおむつ1600の後部1570に配置され得る。
図13には、光検出器のみを示してある。ただし、任意の適切な種類の検出部を使用し得る。有利なことに、二つ以上の感知装置を使用すると、信号発生が増加しおむつの膨張に対する感度が高くなる。別々の拡張可能部材がおむつ1600の外面1590の異なる位置に固定して取り付けられる場合に多数の感知装置を使用することによって、おむつ1600の膨満度を示す精度が向上する。さらに、複数の感知装置で測定された各変位を使用すれば、おむつ1600が液体(例えば、尿)または固体(例えば、便)で満たされているかどうかを判定し得る。
図13は、おむつの製造後に感知装置がおむつの外面に取り付けられる例と、製造時に感知装置の拡張可能部材がおむつの外面に一体化される例と、に関する。
【0050】
図14および15は、おむつ791の外面905に取り付けられた感知装置の代替例の平面図を示す。
図14で分かるように、おむつ791は、おむつ1600と同じ構成、すなわち、前部、おむつの伸縮性縁部同士の間の股領域、および後部を有する。おむつ791の前部はウエストバンド区画749に接続されている。あるいは、おむつの後部をウエストバンド区画749に接続し得る。感知装置は、検出部871および三つのセンサ素子1100、1122、1133を備えるが、必要に応じて、異なる数(例えば、一つ以上)のセンサ素子を使用することもできる。検出部871はウエストバンド区画に取り付けられている。代替例では、検出部871は、おむつ791の外面905の別の適切な位置に取り付けられ得る。例えば、おむつ791の前部、ウエストバンド区画749の近くである。検出部871は、三つの光源と三つの光検出器とを備える。光源/検出器のペアは、各々、三つのセンサ素子1100、1122、1133の一つに接続されている。
【0051】
感知装置は、取付け点3122でおむつ791の外面905に固定して取り付けられた一つ以上の拡張可能部材3334も備える。
図14では、拡張可能部材3334は、おむつ791が膨張するにつれて伸びるように構成された一つの弾性要素(
図1の弾性パッチと同様)を含む。拡張可能部材3334は、弾性パッチの各隅に位置する各取付け点3122でおむつ791の外面905に(例えば、接着剤またはベルクロなどによって)固定して取り付けられている。拡張可能部材3334は、おむつ791の外面905のかなりの領域を覆う。弾性パッチの代替として、拡張可能部材3334は、可撓性ポリマー基板であり得る。
【0052】
センサ素子1100、1122、1133は、各々、拡張可能部材3334の弾性要素に配置される。
図14は、一つの弾性パッチに配置されたセンサ素子1100、1122、1133を示しているが、任意の適切な数の弾性素子を使用し得る。例えば、センサ素子1100、1122、1133は、各々、専用の拡張可能部材3334に配置され得る(例えば、
図15は、それ専用の弾性要素3334に配置された単一のセンサ素子1133を示している)。
【0053】
センサ素子1100、1122、1133および拡張可能部材3334は、おむつ791を使用する前におむつ791の外面905に敷けるように構成された使い捨てパッチとして、一緒に製造され得る。センサ素子1133をより詳細に検討すると、検出部871は、センサ素子1133に関連付けられた光源897(発光ダイオードなど)および光検出器890(光検出器など)を備える。センサ素子1133は、二本の光ファイバ865、828と、二本の光ファイバ865、828同士の間に延在する微小チューブ911と、を備える。微小チューブ911は金属またはプラスチックであり得る。第一光ファイバ865の第一端は、光源897の前に配置され、取付け点901で検出部871に固定されている。第一光ファイバ865は、おむつ791の外面905の一部を横切って延在する。例えば、
図14では、第一光ファイバ865はおむつ791の前部を横切って延在する。第一光ファイバ865の第二端は、部分的に微小チューブ911の第一端内に延在する。
図14では、微小チューブ911はおむつ791の前部に配置されている。第二光ファイバ828の第一端は、検出部871内の光検出器890の前に配置される。第二光ファイバ828の第一端は、検出部891に固定されていないため、光検出器890に向かって、および離れる方向に自由に移動することができる。光検出器890と第二光ファイバ828の第一端との間には第一間隙がある。第二光ファイバ828は、おむつ791の外面905のかなりの長さにわたって延びる。例えば、
図14では、光ファイバ828は、おむつ791の前部、股領域、および後部を横切って延在し、微小チューブ911に向かって折り返す。第二光ファイバ828の第二端は、二本の光ファイバ865、828が微小チューブ911内でほぼ同軸となるように、部分的に微小チューブ911の第二端内に延在する。微小チューブ911内の二本の光ファイバ865、828の第二端同士の間には第二間隙855が存在する。センサ素子1100および1122は、センサ素子1133と同様の方法で構成され、それぞれの微小チューブ840および920がおむつ791に対して異なる位置に配置される。
【0054】
センサ素子1133の光ファイバ828、865は、光ファイバ828、865が自由に動くことができておむつ791の膨張を可能にするように、拡張可能部材3334に取り付けられる。例えば、光ファイバ828、865は、おむつ791が膨張するにつれて、光ファイバ828、865が特に微小チューブ911内で自由に移動できるように、特定の場所でのみ拡張可能部材3334に取り付けられ(例えば、接着され)得る。他の例では、光ファイバ828、865は、一つ以上の鞘の中に部分的または完全に収容され得る。各鞘は、任意の適切な取り付け機構(例えば、接着剤)で拡張可能部材3334に取り付けられる。光ファイバ828、865を各鞘の内部に収容しても、おむつ791が膨張するにつれて、光ファイバ828、865が微小チューブ911内で互いに離れるのは可能である。
【0055】
図15に示すように、拡張可能部材は、弾性パッチ3334上の各取付け点3233と、おむつ791の伸縮性縁部3324の各取付け点3232との間に取り付けられた二つの弾性重合体3525をさらに備える。おむつ791の伸縮性縁部3324は、前述したおむつ1600の伸縮性縁部1560と同等である。弾性重合体3525によって、拡張可能部材3334の拡張を検出する際の感度が高くなる。
【0056】
使用中、センサ素子1133は、センサ信号を検出部871に提供するように構成され、このセンサ信号は弾性要素の伸張量に応じて変化する。追加のセンサ素子1100、1122もまた、それぞれのセンサ信号を検出部871に提供するように構成され、各々のセンサ信号は弾性要素の伸張量に応じて変化する。例えば、検出部871は、二本の光ファイバ865、828同士の間の相対変位(これは、弾性要素の伸長によって引き起こされる)が、光検出器890に到達する光の量の変化をもたらし、それによって光検出器890からの出力信号の変化を生じさせるように構成されている。非膨張状態では、(光検出器890付近の)第一間隙および(微小チューブ911内の)第二間隙855は、各々、所定の大きさを有し、検出される信号は所定の値を有する。おむつ791の外面905が(おむつ791内への尿や便の侵入に起因して)膨張し、弾性要素が伸びるにつれて、微小チューブ911内の第二間隙855が増加する。おむつが膨張すると光ファイバ828の第二端が光検出器890からさらに遠ざかり、それによって第一間隙が増加し得る。これらの間隙が増加すると、光検出器890における信号が減少し(検出される信号は間隙の増加、したがっておむつの内部の尿や便の体積に比例する)、それによっておむつ791が膨張したことを示す。有利なことに、第一間隙の変化と第二間隙855の変化の組み合わせによって、おむつの膨張に対する感度がより高くなる。
【0057】
(各)隙間の増加はわずか数mmであるが、おむつ791の内部に尿や便が侵入する際の、おむつ791の外面905における(おむつの元の位置からの)距離全体の変化は、数センチになる。この大きな変化に適応するため、
図14に示すように複数のセンサ素子が使用される。おむつ791の外面905を横切って、三つのセンサ素子1100、1122、1133が間隔を空けて配置されている。例えば、微小チューブ911はおむつ791の前部に配置され、第二微小チューブ840はおむつ791の股領域に配置され、第三微小チューブ920はおむつ791の後部を目的として配置される。おむつ791のさまざまな位置に各微小チューブを配置すれば、検出される膨張の精度が向上する。例えば、おむつ791の股領域に配置された微小チューブ840は、着用者の鼠径部領域に配置されているため、おむつ791が尿や便で満たされるにつれて最初に膨張を検出する可能性が高い。また、着用者の姿勢に応じて最初に膨張するおむつ791の部分が異なるので、前述の位置を多様にすることは、例えば横たわっているときと立っているときなど着用者が異なる姿勢でいる場合にとって好都合である。
【0058】
<導電性検出器>
図16および17は、おむつ1600の外面の感知装置の代替例を示す。おむつ1600は、上記のおむつ1600、1、791と同等である。これらの例では、検出部は抵抗性検出器または静電容量性検出器から成り、各弾性要素は導電性である。例えば、各弾性要素は導電性ポリマー製であり得る。検出部は、各弾性要素のうち少なくとも一つの弾性要素の長さの変化を検出することによって拡張可能部材の拡張を検出するように構成されている。例えば、おむつが膨張するにつれて、各弾性要素が伸び、それによって(抵抗器の場合のように)長さが変化する。各弾性要素の長さの変化は、検出部で検出される信号の変化を引き起こし、拡張可能部材の拡張を示す。
【0059】
図16に示した例では、感知装置は、検出部取付け点45で拡張可能部材1602に直接結合された検出部5から成る。検出部取付け点45は、前述した検出部取付け点45と同等であり得る。拡張可能部材1602は、多数の取付け点617、45同士の間に延在する一つ以上の弾性要素625から成る。各取付け点617は、蛇行パターンを形成するように各弾性要素625を介して接続されている。各取付け点617は、蛇行パターンの各曲がり角に配置される。
図16では、検出部5がおむつ1600のウエストバンド区画に取り付けられている。ただし、いくつかの例では、検出部5は、ウエストバンド区画の下方など、おむつ1600の別の位置に配置され得る。検出部取付け点45は、おむつ1600の前部の中央であって、検出部5の隣に配置される。他の取付け点617は、おむつ1600の前部を横切ってほぼ直線状かつ横方向に配置された六つの前部取付け点と、おむつ1600の後部を横切ってほぼ直線状かつ横方向に配置された五つの後部取付け点と、から成る。六つの前部取付け点は、おむつの前部上縁の近く(すなわち、ウエストバンドの近く)でおむつ1600の外面前部に固定して取り付けられる。五つの後部取付け点は、おむつの後部上縁の近く(すなわち、後部ウエストバンドの近く)でおむつ1600の外面後部に固定して取り付けられる。二つの弾性要素625は、中央の検出部取付け点45から、おむつ1600の前部を横断して、二つの外側前部取付け点617に向かってそれぞれ反対方向に延在する。残りの弾性要素625は、おむつ1600の外面でほぼ長手方向(縦方向)に蛇行パターンで延在する。具体的には、二つの別の弾性要素625は、長手方向(縦方向)に延在して、二つの外側前部取付け点617の各々から、おむつ1600の前部、股領域を下って後部を上り、二つの外側後部取付け点617に到達する。次に、各弾性要素625は、前部取付け点と後部取付け点との間で、各曲がり角に取付け点が配置されて、蛇行しつつ残りの取付け点617を接続する。各弾性要素625は、おむつ1600が膨張するにつれて、取付け点617、45同士の間で自由に伸びることができる。各弾性要素625は、より容易に蛇行できるように、
図1~7の弾性要素よりも薄い。例えば、
図16では、各弾性要素625は、導電性の弾性材料の薄い布、糸、またはワイヤで作製され得る。
図16は、おむつの製造後に感知装置がおむつの外面に取り付けられる例と、製造時に感知装置の拡張可能部材がおむつの外面に一体化される例と、の両方を含む。
【0060】
使用中、検出部5は、長さの変化に起因する拡張可能部材1602の抵抗の変化を検出することによって、拡張可能部材1602の拡張を検出するように構成されている。各弾性要素625は導電性材料で構成されるため、弾性要素625は次の式で与えられる抵抗Rを有する。
【数2】
ここで、ρは導電性の弾性要素625の抵抗率、Lは弾性要素625の全経路長、Aは弾性要素625の断面積である。弾性要素625が(おむつ1600の膨張に起因して)伸ばされるにつれて、経路長Lが増加し、それによって導電性の弾性要素625を通る抵抗Rが増加する。抵抗の変化は、検出部5で標準的なホイートストン・ブリッジ回路を使用し検出することができる。弾性要素625の抵抗Rの変化は、おむつ1600の体積増加の直接的な結果である。換言すれば、抵抗はおむつ1600内の尿や便の体積によって変化する。標準的なホイートストン・ブリッジ回路を
図18に示してある。ホイートストン・ブリッジ回路のRxは、拡張された弾性要素625の未知の抵抗である。
【0061】
別の例では、
図17に示したように、各弾性要素は導電性であり、感知装置が可変コンデンサを形成するように電極として機能する。例えば、各弾性要素は導電性ポリマーから作製され得て、厚さは最大0.3mmであり得る。
図17では、感知装置は、検出部取付け点45で拡張可能部材1602に直接結合された検出部5から成る。検出部取付け点45は、前述した検出部取付け点45と同等であり得る。拡張可能部材1602は、多数の取付け点同士の間に延在する多数の弾性要素から成る。各取付け点は、一つ以上の第一弾性要素を介して、第一指状パターン700を形成するように接続された第一組の取付け点710を含む。一つ以上の第一弾性要素は、第一組の一つ以上の第一弾性要素を形成する。各取付け点はまた、一つ以上の第二弾性要素を介して、第二指状パターン705を形成するように接続された第二組の取付け点720を含む。一つ以上の第二弾性要素は、第一組の一つ以上の第二弾性要素を形成する。第一および第二指状パターン700、705は、指部が互いにかみ合うパターンに配置される。より詳細には、第一指状パターン700は、その一端が、第一組の取付け点のうちの一つの取付け点710で、おむつ1600の前部に固定して取り付けられ、その他端が、第一組の取付け点のうちの別の取付け点710で、おむつ1600の後部に固定して取り付けられる長手方向弾性要素750を含む。いくつかの横方向弾性要素755の第一端は、長手方向弾性要素750に接続されている。横方向弾性要素755も、各々、他端でそれぞれの取付け点に固定して取り付けられている。したがって、横方向弾性要素755は、事実上、第一指状パターン700の各指を形成する。各指はおむつ1600の中心線に向かって延在している。第二指状パターン705は、第一指状パターン700の鏡像であるが、指状パターン700、705のそれぞれの横方向弾性要素755、717が、指部が互いにかみ合うように、第一指状パターン700とはずれている。第二指状パターン705は、その一端が、第二組の取付け点のうちの一つの取付け点720で、おむつ1600の前部に固定して取り付けられ、その他端が、第二組の取付け点のうちの別の接続点720で、おむつ1600の後部に固定して取り付けられる長手方向弾性要素780を含む。いくつかの横方向弾性要素717の第一端は、長手方向弾性要素780に接続されている。横方向弾性要素717も、各々、他端でそれぞれの取付け点730に固定して取り付けられている。したがって、横方向弾性要素717は、事実上、第二指状パターン705の各指を形成する。各指はおむつ1600の中心線に向かって延在している。上述したように、第一および第二指状パターン700、705は相互結合して、指部が互いにかみ合うパターンを形成する。横方向弾性要素755、717は、 おむつ1600の幅に沿ってかなりの部分を覆う長さを有し得る(すなわち、各々がおむつ1600の伸縮性縁部1560同士の間でおむつ1600の中心線を越えて延在する)。二つの長手方向弾性要素750、780は、おむつ1600の長さ方向のかなりの部分を覆う長さを有する。例えば、二つの長手方向弾性要素750、780は、おむつ1600の前部、股領域、および後部のかなりの長さを覆う。二つの長手方向弾性要素750、780は、検出部取付け点45と、第一パターン700の各取付け点710の少なくとも一つおよび第二パターン705の各取付け点720の少なくとも一つと、の間の各導電性リンク766によって検出部5に接続される。
【0062】
第一および第二パターン700、705は、一方のパターンの長手方向弾性要素と他方のパターンの横方向弾性要素の遠位端との間の隙間(例えば、隙間740)によって離間している。例えば、
図17に示したように、第一パターン700の長手方向弾性要素750と、第二パターン705の横方向弾性要素717のうちの一つの遠位端の取付け点730との間には隙間740が存在する。また、各横方向弾性要素の遠位端同士の間には垂直方向の隙間も存在する(例えば、
図17の第一パターンの最上部の横方向弾性要素と第二パターンの最上部の横方向弾性要素との間に隙間が存在する)。
図17は、おむつの製造後に感知装置がおむつの外面に取り付けられる例と、製造時に感知装置の拡張可能部材がおむつの外面に一体化される例と、の両方を含む。
【0063】
使用中、検出部5は、弾性要素750、755、780、717のうち少なくとも一つの弾性要素の長さの変化に起因する静電容量の変化を検出することによって、拡張可能部材1602の拡張を検出するように構成されている。例えば、おむつ1600が膨張するにつれて、弾性要素750、755、780、717はおむつ1600とともに伸びるので長さが変化する。弾性要素750、755、780、717の長さ変化によって隙間740の大きさに変化が生じ、その結果、静電容量に変化が生じる。静電容量の変化は、おむつ1600が膨張したことを示す。換言すれば、おむつの膨張によって、隙間740の大きさが変化する。隙間740のこの変化は、第一および第二パターン700、705の指部が互いにかみ合う状態を変化させる。したがって、 検出部5は、第一および第二パターン700、704の指部が互いにかみ合う状態の変化に起因する静電容量の変化を検出することによって、拡張可能部材1602の拡張を検出するように構成されている。例えば、おむつ1600が膨張するにつれて、第一および第二指状パターン700、705が互いに離れ、パターン700、705の指部が互いにかみ合う量が変化する。静電容量の変化は、検出部5内の静電容量ブリッジを使用して検出される。
図19は、標準的な静電容量ブリッジ回路を示している。Csは正確な標準コンデンサであり、Cxは、おむつ1600に取り付けられ拡張する弾性要素750、755、780、717によって提供される未知の静電容量である。尿や便がおむつ1600に侵入すると、おむつ1600の体積が膨張し、静電容量が変化する。QとPは標準抵抗で、一方または両方が調整可能である。AC電源が使用されるので、ゼロ検出器DはAC機器でなければならない。ゼロ検出器としては低電流の整流電流計が使用され得る。Qはゼロ検出器がゼロを示すまで調整される。これが得られると、静電容量ブリッジが平衡を保つ。静電容量Cxの変化は、おむつ1600内の尿や便の体積を示す。静電容量の変化は、体積変化、すなわちおむつ1600内の尿や便の量に比例する。
【0064】
<体の動き>
おむつ着用者の体の動き (例えば、立ち上がる、歩き回る、横になるなど) は、感知装置の感知能力に影響を与え得る。体の動きによって検出される信号に変化が生じ、そのせいで膨張測定が不正確になり得る。MEMS(微小電気機械システム)のコンデンサ利用ジャイロスコープまたは加速度計を検出部内で使用して、おむつ着用者の体内のどのような動きでも記録し得る。その後、適切な補正を電子的および/またはソフトウェアで適用して、(尿や便の侵入とその結果の体積膨張による) 実際の信号と体の動きによって引き起こされる信号変化との差を把握し得る。
【0065】
図23aには、MEMSジャイロスコープを示してある。MEMSジャイロスコープは、共振質量を内包する内部フレームが共振運動に対して90度の角度でバネで基板に接続されるように構築されている。コリオリの加速度は、内部フレームと基板の間に取り付けた各電極での静電容量検出を通じて測定される。ジャイロスコープは(mV/度/秒で記された)角速度を測定する。
【0066】
図23bには、MEMS加速度計を示してある。これは単純な一軸の加速度計である。より多くの組のコンデンサを互いに90度に保てば、二軸または三軸の加速度計を製造できる。可動板と外側の固定板は各コンデンサ板として機能する。加速度が加わると、それに応じて試験質量が移動する。これによって、可動板と外側の固定板との間に静電容量が生じる。(体の動きのせいで)加速度が加わると、二枚の板同士の間の間隔が変化し、静電容量が変化する。加速度計は、(mV/gで記された)直線加速度を一つ以上の軸に沿って測定する。
【0067】
<電源>
図20は、上述の感知装置の任意の例とともに使用され得る電子制御・電源部1520を概略的に示してある。電子制御・電源部1520は、上述の検出部を収容し得る。電子制御・電源部1520は、信号増幅器、アナログ・デジタル変換器、マイクロコントローラまたは他のプロセッサ、メモリ、データロガー、無線伝送システム(例えば、Bluetooth(登録商標))、個別または統合された電子コンポーネント、FPGA、DSP、ASICなどを備え得る。電子制御・電源部は、瞬間的な体積測定値を表示するように構成されたデジタル表示器1530を有し得る。電子制御・電源部1520はまた、例えばおむつの中の尿や便の体積が目標範囲を超えた場合に警告を発するための音声表示器を備え得る。電子制御・電源部1520は、全体をその筐体内に収納し得る。
【0068】
感知装置によって決定された各測定値は、マイクロプロセッサで処理するに先立って、一定の間隔で取得してデータロガーに保存することができる。各測定値は、例えば毎分または毎時間など、所望の頻度で取得してデータロガーに記録し得る。データロガーまたはマイクロプロセッサからのデータは、送信システムによってリモート装置またはサーバに送信され得る。これは、スマートフォン、ラップトップ、ポケベル、またはその他の装置であり得る。リモート装置は、臨床評価に使用できる液量データの記録を保管できる。このデータロギングは、臨床医が患者の失禁レベルを監視するために使用され得る。
【0069】
電子制御・電源部1520は、電子制御・電源部1520の感知装置および電気部品に電力を供給するための充電式コイン電池をさらに備え得る。電子制御・電源部1520は5V以下の電圧を供給する。電子制御・電源部1520はさらに、データロガーからデータを取り出し得るUSBポート1500を備える。
【0070】
電子制御・電源部1520は、粘着パッド、面ファスナー接続機構などを介しておむつに取り付け得るし、感知装置の筐体またはケースに統合し得る。あるいは、電子制御・電源部1520は、感知装置に通信可能に結合され得る。例えば、電子制御・電源部1520は、ケーブルまたは他の適切な有線または無線の電力・通信リンクで接続され、感知装置から遠い場所に、例えば着用者が着ている服のポケットの中、またはベッド脇の手押し車の上に配置され得る。
【0071】
<分析>
前述の例のいずれかの感知装置を使用しつつ、検出される信号を使って体積対時間のデータを生成し得る。このデータから、a)尿や便の体積、b)尿の流量、c)排泄の頻度などのおむつ膨満度パラメータを、分析方法、例えば定積分を使用して計算し得る。これは失禁の判断に非常に役立つ。
【0072】
例えば、おむつ内の尿の体積は、経験的な方法を使用して計算し得る。大きさや吸収力の異なるさまざまなおむつで多数の実験が行われる。既知量の液体(例えば、生理食塩水)がおむつに注入され、光検出器(例えば、光検出器140)における出力信号が記録される。液体の量は最大数リットルにもなり得る。ソフトウェアを使用して、出力信号をおむつ内の液体の量に変換する。その結果は体積として表示される。出力信号 (mV) は(上記の経験的方法を使用して)液体の体積 (ml) に変換され、体積対時間のデータが収集され、体積対時間のグラフが生成され得る。定積分を使用すると、任意の所与の期間に着用者が排出した尿の体積を曲線の下の面積から推定できる。おむつ使用中の任意の時点での排出流量(dml/dt)も決定できる。これは、現在手動で行われている患者の失禁判断に特に役立つ。
【0073】
図21は、おむつの内部の液体の体積、流量、および排出頻度がどのように計算されるかを示すために使用される、時間対体積(ml)の代表的なグラフである。これは実験結果と相互に関連付けることができる。ソフトウェア・アルゴリズムを使用して各パラメータを決定し、その結果をデジタル表示できる。
図21に示したグラフの所与の期間に使用者が排出した尿/便の体積Vは、定積分を使用して計算できる。
【数3】
ここで、yは
図21の代表的な関数y=x
2+2であり、xは時間である。一般に、曲線 y=f(x)の方程式は、記録されたデータからソフトウェアを使用して生成できる。流量はdml/dtとして計算され、頻度は一定期間にわたる事象数から計算される。
【0074】
尿や便の侵入のせいでおむつが膨張すると弾性要素に圧力がかかる。この圧力は次のように計算できる。
【数4】
ここで、Pは弾性要素にかかる圧力、Fは弾性要素に加わる力、Aは弾性要素の総面積である。力Fは、力検出器を用いて検出することができる。上述した経験的な方法を使用すると、圧力Pをおむつの内部の液体の体積に関連付けることができる。経験的な方法では、おむつの内側に既知量の液体 (最大数リットル) を注入する。これは、使用中に任意の所与の時点でおむつの内部の体積を検出する代替方法を提供する。この方法に基づいて適切なソフトウェアを寄せ集め、おむつ内の尿や便の体積のデジタル値を生成し表示し得る。
【0075】
フィルタリング・アルゴリズムを使用して、着用者の動きによって引き起こされる誤検出を回避し得る。例えば、時間サンプリングを使用して、着用者の動きに起因する不要な信号を除去し得る。感知装置は、例えば歩き回ったり寝返りする際に着用者の動きによって引き起こされる一時的な特徴を除去するように、検出部からの出力信号を処理する構成になっている。センサ・データは、経時的に記録されて、着用者の排尿の頻度、流量、および/または体積を決定する処理が行われ得る。
【0076】
感知装置は、スピーカ、表示装置、または発光部品(例えば、LED)など、おむつの膨満度を表示する出力装置も備え得る。当該出力装置は、例えば親、保護者、または介護者の、例えばスマートフォンへ信号を送信するように構成された、例えば無線送信機などの電子回路を備え得る。当該表示は二値(例えば、満杯であるか満杯でないか)であるか、またはおむつの満杯度を表示し得る。
【0077】
感知装置は、おむつの中で検出される変位が所定の閾値を超えるときを決定するように構成され得る。出力装置は、検出される変位が所定の閾値を超えているとの判定が下されると、例えば信号を送信するなど、表示するように構成され得る。このようにすれば、感知装置を使用して、例えば乳児、幼児、小児、子供、大人、動物が着用するおむつが、例えば尿や便で満たされ交換する必要があることを、親、保護者、または介護者に警告を発し得る。
【0078】
拡張可能部材の最初の拡張は、おむつが装着される前または装着直後に測定されるか、または事前設定される。この最初の拡張は、おむつ1600が汚れていない「空」状態、すなわち非拡張状態にあるときのおむつ1600の状態または伸びを表す。時間の経過とともに、感知装置は、周期的に別の膨張測定値を記録する。別の膨張測定値は、各々、最初の膨張測定値と比較できる。検知装置が、最初の膨張測定値よりも所定の閾値だけ大きい膨張測定値を記録した場合、これはおむつの大幅な膨張を示し、感知装置は、例えば尿や便でおむつが満たされつつあるか、またはすでに満たされたと判断する。したがって、感知装置は、おむつが汚れているため交換する必要があることを、例えば無線メッセージを乳児モニター装置、または親または介護者の携帯電話のアプリに送信することによって、親または介護者に警告を発するように構成し得る。いくつかの例では、例えば着用者の動きのせいで生じる変化を除去するなど、当該膨張測定値のより複雑な処理を実行し得る。
【国際調査報告】