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特表2024-513913ハンチンチンタンパク質をイメージングするためのイソインドリノン化合物及びイメージング剤
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  • 特表-ハンチンチンタンパク質をイメージングするためのイソインドリノン化合物及びイメージング剤 図1
  • 特表-ハンチンチンタンパク質をイメージングするためのイソインドリノン化合物及びイメージング剤 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ハンチンチンタンパク質をイメージングするためのイソインドリノン化合物及びイメージング剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20240319BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20240319BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240319BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20240319BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07D401/04
A61P25/14
A61P25/00
A61P25/28
A61P21/02
A61P25/16
A61K51/04 200
C07D401/14 CSP
C07D403/04
C07D471/04 104H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561668
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022023861
(87)【国際公開番号】W WO2022216947
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,617
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511027183
【氏名又は名称】シーエイチディーアイ ファウンデーション,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ロンビン
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス,セリア
(72)【発明者】
【氏名】バード,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリストファー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シューメイ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク-フルー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ,マシュー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ピーター デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ガダロ,エリス
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C085
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB02
4C063BB08
4C063CC12
4C063CC28
4C063CC34
4C063DD07
4C063EE01
4C065AA04
4C065BB04
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065JJ03
4C065KK09
4C065LL04
4C065PP12
4C065PP14
4C085HH03
4C085JJ01
4C085KA29
4C085KA36
4C085KB56
4C085LL13
(57)【要約】
タンパク質凝集に関連する疾患又は状態を検出するために有用な特定のイソインドリノン化合物及びイメージング剤、それらの組成物、並びにそれらの使用の方法が、本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
【化2】
は、
【化3】
又は
【化4】
であり;
R1は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
R10は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
環Aは、5~6員ヘテロアリールであり;
Xは、CR11又はNであり;
R11は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Y1は、CR12又はNであり;
Y2は、CR13又はNであり;
R12及びR13のそれぞれは、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R2は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Lは、1~6個のフルオロで場合によって置換されているC1~C3アルキレンであり;
R3は、水素、フルオロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
各R4は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
各R5は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R6は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、-SO2F、又はL1-R7であり;
L1は、-O-、-SO2-、又は-OSO2-であり;
R7は、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり、R7のC1~6アルキル又はC1~6ハロアルキルは、-SO2-アリール、-OSO2-アリール、1~6個の重水素原子、又はこれらの組合せで場合によって置換されており、-SO2-アリール又は-OSO2-アリールは、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシでさらに場合によって置換されており;
mは、0、1、2、又は3であり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項2】
式II:
【化5】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項3】
式III:
【化6】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項4】
式IV:
【化7】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項5】
式V:
【化8】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項6】
式VI:
【化9】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項7】
式VII:
【化10】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項8】
式VIII:
【化11】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項9】
式IX:
【化12】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項10】
式X:
【化13】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項11】
式XI:
【化14】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項12】
式XII:
【化15】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項13】
式XIII:
【化16】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項14】
式XIV:
【化17】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項15】
式XV:
【化18】
の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項16】
R1が水素又はC1~6アルキルである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
R1がC1~6アルキルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
R1がメチルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
R2が水素である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R3が水素である、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R4がハロである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
R4がフルオロである、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
nが1である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
nが0である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
R11が水素である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
mが1である、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
R5がハロである、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
R5がフルオロである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
mが0である、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
R6がL1-R7であり、L1が-O-である、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
R7がC1~6ハロアルキル又はC1~6アルキルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
R7が、1~6個の重水素原子で置換されているC1~6ハロアルキルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
R6がメトキシである、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
XがNである、請求項1~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
LがCH2である、請求項1~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
Y1がNであり、Y2がCHである、請求項1~35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
環Aがピリジニルである、請求項1~36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
環Aがピリジン-2-イルである、請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
【化19】
が、
【化20】
であり、R10がC1~6アルキルである、請求項1~38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
R1、R4、R5、R6、及びR11のうちの少なくとも1つが、フッ素原子を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
1つのR4又は1つのR11が、フルオロである、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
表1の化合物から選択される化合物であって、場合によって放射性同位体で標識された化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
【請求項43】
化合物が、放射性同位体で標識されている、請求項1~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
化合物が、11C、13N、15O、及び18Fから選択されるポジトロン放出放射性同位体を含有する、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
請求項43又は44に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含む、イメージング剤。
【請求項46】
有効量の請求項43又は44に記載の化合物又は請求項45に記載のイメージング剤を個体に投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、個体における凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法。
【請求項47】
個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することが、画像を生成して画像中で凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
凝集を生じやすいタンパク質が、ハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
HTTタンパク質が、大脳基底核に見出される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
タンパク質凝集体の存在又は非存在が、神経変性疾患の存在又は非存在に対応する、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項51】
神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
神経変性疾患が、ハンチントン病(HD)である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
化合物又はイメージング剤の有効量が、約0.1~約20mCiを含む、請求項46~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
化合物又はイメージング剤の有効量が、約10mCiを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
画像を生成することが、ポジトロン断層法(PET)イメージング、同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージング、又はこれらの組合せを含む、請求項46~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
画像を生成することが、PETイメージングを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
HTTタンパク質が、オリゴマー若しくは凝集体又はこれらの組合せとして存在する、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項58】
HTTタンパク質が、変異体である、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項59】
身体部分又は身体領域が、頭部、脊髄、肢、胸部、又は腹部である、請求項46~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
身体部分又は身体領域が、脳である、請求項46~58のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2021年4月8日出願の米国特許仮出願第63/172,617号の優先権を主張し、これをすべての目的のため参照により本明細書に組み込む。
【0002】
タンパク質凝集に関連する疾患又は状態を検出、治療、又は予防するために有用な化合物及びイメージング剤、それらの組成物、並びにそれらの使用の方法が、本明細書で提供される。
【背景技術】
【0003】
ポジトロン断層法(positron emission tomography)(PET)及び単一光子放射断層撮影法(single photon emission computed tomography)(SPECT)などの分子イメージング手法の登場は、症状発現前及び臨床環境における身体全体にわたる分子及び細胞機構の測定を可能にした。このような測定は、広範にわたる診断上の有用性を有し、治療応答の評価のため、及び薬物開発を支援するためのその使用が、急速に広がっている。高分解能分子イメージング技術の導入は、多くの専門家によって大きな飛躍的進歩として捉えられている。
【0004】
PETは、ポジトロン放出放射性核種トレーサーの対象への投与、その後の、体内でのポジトロン放出(対消滅)事象の検出を伴う。放射性核種トレーサーは、典型的に、1つ以上のタイプのポジトロン放出放射性核種が内部に組み込まれた標的分子で構成される。
【0005】
ポジトロン放出放射性核種で標識された分子プローブ及び関連するPETイメージングアッセイは、種々の疾患に関連した種々の細胞外及び細胞内の分子及び過程の標的化、検出、可視化、及び定量化を行うために開発中である。
【0006】
ハンチントン病(HD)は、遺伝性の進行性神経変性障害であり、運動、認知、及び精神障害並びに神経変性を特徴とし、脳萎縮が線条体及び皮質内で始まり他の皮質下脳領域に拡大する。HDは、ハンチンチン遺伝子(HTT)のエクソン-1領域における伸長したCAGトリヌクレオチド繰り返しによって引き起こされる。結果として生じたポリグルタミン酸ドメイン伸長は、変異体ハンチンチン(mHTT)タンパク質においてミスフォールディング及びコンフォメーション変化を誘発し、タンパク質凝集体の形成を引き起こし得る。HDは、世界全体で100,000人あたり5~10件の罹患率を有し、最も一般的な遺伝性及び単一遺伝子性神経変性障害となっている。
【0007】
他の医学的状態と同じく、HDの治療は、理想的には、疾患の初期の徴候があった時点又はそれより前に開始される。よって、疾患発症の早期指標及び疾患進行の信頼できる薬力学バイオマーカーが極めて望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
HDを含む神経変性状態の病因における凝集形態のタンパク質の蓄積の中心的役割という観点から、高い感度及び特異性によりそのようなタンパク質と結合し、分子イメージングを可能にする分子が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、ハンチンチンタンパク質をイメージングするために有用な化合物に関する。一部の実施形態は、本明細書に記載されている式Iの化合物であって、1つ以上の放射性同位体で場合によって標識された化合物を提供する。一部の実施形態では、式Iの化合物は、11C、13N、15O、及び18Fから選択される1つ以上のポジトロン放出放射性同位体を含有する。
【0010】
一部の実施形態では、式Iの化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含むイメージング剤が提供される。
【0011】
本明細書に記載されている化合物を含むイメージング剤であって、化合物が1つ以上のポジトロン放出放射性核種で標識された、イメージング剤もまた提供される。一部の実施形態では、化合物は11C、13N、15O、及び18Fから選択される1つ以上のポジトロン放出放射性核種を含有する。
【0012】
個体における凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又は本明細書に記載されている化合物を含むイメージング剤を投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、方法もまた提供される。
【0013】
一部の実施形態では、個体において凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在の検出に使用するための化合物又はイメージング剤であって、使用が、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を個体に投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0014】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することが、画像中で凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出することを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、凝集を生じやすいタンパク質がハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)である、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、HTTタンパク質が大脳基底核に見出される、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0015】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、タンパク質凝集体の存在又は非存在が神経変性疾患の存在又は非存在に対応する、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、神経変性疾患がハンチントン病(HD)である、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、イメージング剤の有効量が約0.1~約20mCiを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、イメージング剤の有効量が約10mCiを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、画像を生成することが、ポジトロン断層法(PET)イメージング、同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージング、又はこれらの組合せを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、画像を生成することがPETイメージングを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、HTTタンパク質がオリゴマー若しくは凝集体、又はこれらの組合せとして存在する、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、HTTタンパク質が変異体である、化合物又はイメージング剤が提供される。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、身体部分又は身体領域が頭部、脊髄、肢、胸部、又は腹部である、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、身体部分又は身体領域が脳である、化合物又はイメージング剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、HDマウスモデルである12ヶ月齢のHOM zQ175の皮質組織において決定された、濃度の範囲にわたる、試験放射性リガンド化合物の特異的及び飽和結合を示す。
図2図2は、死後のヒト脳組織の様々な試料(健康な対象[CTRL]、ハンチントン病[HD]、及びアルツハイマー病[AD])における[3H]-化合物1-6の特異的結合を示す。
図3図3は、死後のヒト脳組織の様々な試料(健康な対象[CTRL]、ハンチントン病[HD]、及びアルツハイマー病[AD])において、[3H]-化合物1-6の特異的結合を、[3H]-比較化合物3及び[3H]-比較化合物4と比較する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次の記載は、本技術の例示的実施形態を記載している。しかし、そのような記載が、本開示の範囲の限定として意図されておらず、むしろ例示的実施形態の記載として提供されていることは認識されるべきである。
【0023】
定義
本明細書で使用される場合、以下の語、句及び記号は、一般に、ここでそれらが使用される文脈が別のことを示す程度までを除き、以下に述べる意味を有することが意図される。
【0024】
本明細書に記載されている化合物とは、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、又はXVIIのものを含む本明細書に記載されている任意の式の化合物、又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は実施例を含む本明細書のどこかに記載されている化合物、又は表1の化合物、又は本明細書で定義されたようなそのような化合物の標識された異性体、又はそのような化合物又は標識化合物を含むイメージング剤若しくは医薬組成物を指す。
【0025】
2つの文字間又は2つの記号間のものではないダッシュ記号(「-」)は、置換基について親構造への結合点を示すために使用される。例えば、-C(O)NH2は、炭素原子を通じて親構造に結合される。化学基の前又は末端のダッシュ記号は利便性のためである;化学基は、1つ以上のダッシュ記号と共に又は1つ以上のダッシュ記号無しで、これらの通常の意味を失うことなく図示することができる。構造において結合を介して描かれている波線は特定された結合点を示す。化学的又は構造的に必要とされない限り、いかなる方向性又は立体化学も、化学基が書かれた又は命名された順序によって示されない、又は暗示されない。
【0026】
接頭辞「Cu~v」は、さらなる置換を除いて、以下の基がu~v個の炭素原子を有することを示している。例えば、「C1~6アルキル」は1~6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
【0027】
本明細書の「約」値又はパラメーターという言及は、その値又はパラメーターそれ自体を対象とする実施形態を含む(及びそれについて記載している)。ある特定の実施形態では、用語「約」は示された量の±10%を含む。他の実施形態では、用語「約」は示された量の±5%を含む。ある特定の他の実施形態では、用語「約」は示された量の±1%を含む。また、用語「約X」は「X」の記載を含む。また、単数形「a」及び「the」は、文脈が別のことを明確に指示しない限り、それらの複数形を含む。よって、例えば、「the compound」についての言及は複数のこのような化合物を含み、「the assay」についての言及は、1つ以上のアッセイ及び当業者に公知のその同等物についての言及を含む。
【0028】
「アルキル」とは、非分枝又は分枝の飽和した炭化水素鎖を指す。本明細書で使用される場合、アルキルは、1~20個の炭素原子(すなわち、C1~20アルキル)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1~12アルキル)、1~9個の炭素原子(すなわち、C1~9アルキル)、1~8個の炭素原子(すなわち、C1~8アルキル)、1~6個の炭素原子(すなわち、C1~6アルキル)又は1~4個の炭素原子(すなわち、C1~4アルキル)を有する。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル及び3-メチルペンチルが挙げられる。特定の数の炭素を有するアルキル残基が化学名により名付けられるか、又は分子式で特定されるとき、その数の炭素を有するすべての位置異性体が包含され得る;よって、例えば、「ブチル」はn-ブチル(すなわち、-(CH2)3CH3)、sec-ブチル(すなわち、-CH(CH3)CH2CH3)、イソブチル(すなわち、-CH2CH(CH3)2)及びtert-ブチル(すなわち、-C(CH3)3)を含み、「プロピル」はn-プロピル(すなわち、-(CH2)2CH3)及びイソプロピル(すなわち、-CH(CH3)2)を含む。
【0029】
本明細書で提供される用語の代わりに、当業者に公知の代替の化学名を使用することができる。例えば、二価の基、例えば、二価「アルキル」基、二価「アリール」基などはまた、「アルキレン」又は「アリーレン」基とそれぞれ呼ぶこともできる。また、(例えば、ダッシュ記号によって)別のことが明示的に示されない限り、基の組合せが本明細書で1つの部分として、例えば、アリールアルキル又はアラルキルとして参照されている場合、最後に記述された基が、その部分を分子の残りに結合している原子を含有する。
【0030】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~20アルケニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2~8アルケニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2~6アルケニル)又は2~4個の炭素原子(すなわち、C2~4アルケニル)を有する炭化水素基を指す。アルケニル基の例としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブタジエニル(1,2-ブタジエニル及び1,3-ブタジエニルを含む)、及びイソプレニルが挙げられる。
【0031】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有し、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~20アルキニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2~8アルキニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2~6アルキニル)又は2~4個の炭素原子(すなわち、C2~4アルキニル)を有する炭化水素基を指す。用語「アルキニル」はまた、三重結合及び二重結合を有するような基も含む。
【0032】
「アルコキシ」は「アルキル-O-」基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ及び1,2-ジメチルブトキシが挙げられる。
【0033】
「アルキルアミノ」は、「アルキル-NH-」基を指す。アルキルアミノ基の例としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、イソ-プロピルアミノ、tert-ブチルアミノ、及びn-ヘキシルアミノが挙げられる。「ジアルキルアミノ」は「(アルキル)2N-」基を指す。ジアルキルアミノ基の例としては、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、(イソ-プロピル)(メチル)アミノ、(n-ペンチル)(tert-ブチル)アミノ、及びジ-n-ヘキシルアミノが挙げられる。
【0034】
「アルキルチオ」は「アルキル-S-」基を指す。「アルキルスルフィニル」は「アルキル-S(O)-」基を指す。「アルキルスルホニル」は「アルキル-S(O)2-」基を指す。「アルキルスルホニルアルキル」は-アルキル-S(O)2-アルキルを指す。
【0035】
「アシル」は、-C(O)Ry基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。アシルの例としては、例えば、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチル-カルボニル及びベンゾイルが挙げられる。
【0036】
「アミド」は、-C(O)NRyRz基を指す「C-アミド」基と、-NRyC(O)Rz基を指す「N-アミド」基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよく、又はRy及びRzは一緒になって、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルを形成し、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)の両方を指す。
【0037】
「アミノ」は、-NRyRz基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。一部の実施形態では、「アミノ」はNH2基を指す。
【0038】
「アミジノ」は、-C(=NRy)NRz 2基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
【0039】
「アリール」は、単環(例えば、単環式)又は縮合系を含む多環(例えば、二環式又は三環式)を有する芳香族炭素環式基を指す。本明細書で使用される場合、アリールは6~20個の環炭素原子(すなわち、C6~20アリール)又は6~10個の炭素環原子(すなわち、C6~10アリール)を有する。アリール基の例としては、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル及びアントリルが挙げられる。しかし、アリールは、以下に定義されるヘテロアリールを決して包含しておらず、又はこれと重なってもいない。1つ以上のアリール基がヘテロアリールに縮合されている場合、生成した環系はヘテロアリールである。1つ以上のアリール基がヘテロシクリルに縮合されている場合、生成した環系はヘテロシクリルである。
【0040】
「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、「アリール-アルキル-」基を指す。
【0041】
「カルバモイル」は、-O-C(O)NRyRz基を指す「O-カルバモイル」基と-NRyC(O)ORz基を指す「N-カルバモイル」基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)の両方を指す。
【0042】
「カルボキシルエステル」又は「エステル」は、-OC(O)Rxと-C(O)ORx(式中、Rxはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)の両方を指す。
【0043】
「シクロアルキル」は、単環、又は縮合、架橋及びスピロ環系を含む多環を有する飽和した又は一部不飽和の環式アルキル基を指す。用語「シクロアルキル」は、シクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有する環式基)及び少なくとも1つのsp3環炭素原子を有する炭素環式縮合環系(すなわち、少なくとも1つの非芳香族環)を含む。本明細書で使用される場合、シクロアルキルは、3~20個の環炭素原子(すなわち、C3~20シクロアルキル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12シクロアルキル)、3~10個の環炭素原子(すなわち、C3~10シクロアルキル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3~8シクロアルキル)、又は3~6個の環炭素原子(すなわち、C3~6シクロアルキル)を有する。単環式基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。多環式基は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、ノルボルニル、ノルボルネニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。さらに、用語シクロアルキルは、分子の残りの部分への結合に関わらず、縮合アリール環を含み得る任意の非芳香族環系を包含することを意図する。またさらに、シクロアルキルはまた、「スピロシクロアルキル」、例えばスピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル、又はスピロ[5.5]ウンデカニルを含む。親構造において、置換に対して炭素原子上に2つの位置が存在する場合、置換基としてのシクロアルキルはスピロシクロアルキルを含んでもよい。シクロアルキルは、親構造への結合のその炭素原子において置換されていてもよい。
【0044】
「シクロアルコキシ」は「-O-シクロアルキル」基を指す。
【0045】
「シクロアルキルアルキル」は「シクロアルキル-アルキル-」基を指す。
【0046】
「グアニジノ」は、-NRyC(=NRz)NRyRz(式中、各Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
【0047】
「イミノ」は、-C(=NRy)Rz基(式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
【0048】
「イミド」は、-C(O)NRyC(O)Rz基(式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
【0049】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、周期表のVIIA族の置換原子、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0050】
「ハロアルキル」は、すべての水素原子まで及びすべての水素原子を含む、1個以上の(例えば、1~6又は1~3個の)水素原子がハロゲンで置き換えられている、上で定義されたような非分枝又は分枝のアルキル基を指す。例えば、残基が2個以上のハロゲンで置換されている場合、結合しているハロゲン部分の数に対応する接頭辞を使用してこれを参照することもできる。ジハロアルキル及びトリハロアルキルは、2つ(「ジ」)又は3つ(「トリ」)のハロ基で置換されているアルキルを指し、これらは同じハロゲンであってもよいが、必ずしも同じハロゲンである必要はない。ペルハロアルキル基はすべての水素置換基がハロで置き換えられているハロアルキル基である。ハロアルキルの例としては、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどが挙げられる。
【0051】
「ハロアルコキシ」は、すべての水素原子まで及びすべての水素原子を含む1個以上の(例えば、1~6又は1~3個の)水素原子がハロゲンで置き換えられている、上で定義されたようなアルコキシ基を指す。
【0052】
「ヒドロキシアルキル」は、1個以上の(例えば、1~6又は1~3個の)水素原子がヒドロキシ基で置き換えられている、上で定義されたようなアルキル基を指す。
【0053】
「ヘテロアルキル」は、アルキル鎖の1個以上の炭素原子(及び付随するあらゆる水素原子)がそれぞれ独立して、同一又は異なるヘテロ原子の基で置き換えられており、ただし、分子の残りへの結合点が炭素原子を介するものとする、アルキル基を指す。用語「ヘテロアルキル」は炭素及びヘテロ原子を有する非分枝又は分枝の飽和した鎖を含む。例として、1、2又は3個の炭素原子が、独立して、同一又は異なるヘテロ原子の基で置き換えられていてもよい。ヘテロ原子の基として、これらに限定されないが、-NRy-、-C(O)NRy-、-NRyC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、及び-S(O)2-(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)が挙げられる。ヘテロアルキル基の例としては、例えば、エーテル(例えば、-CH2OCH3、-CH(CH3)OCH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH2OCH3など)、チオエーテル(例えば、-CH2SCH3、-CH(CH3)SCH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CH2SCH2CH2SCH3など)、スルホン(例えば、-CH2S(O)2CH3、-CH(CH3)S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH2CH2OCH3など)及びアミノアルキル(例えば、-CH2NRyCH3、-CH(CH3)NRyCH3、-CH2CH2NRyCH3、-CH2CH2NRyCH2CH2NRyCH3など、ここで、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)が挙げられる。本明細書で使用される場合、ヘテロアルキルは、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子、及び1~3個のヘテロ原子、1~2個のヘテロ原子、又は1個のヘテロ原子を含む。
【0054】
「ヘテロアリール」は、1個以上の環ヘテロ原子が、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択され、1個以上の(例えば、1~3個の)N-オキシド(-O-)部分を含み得る、単環又は多環式縮合環を有する芳香族基を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールは、1~20個の環炭素原子(すなわち、C1~20ヘテロアリール)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12ヘテロアリール)、又は3~8個の炭素環原子(すなわち、C3~8ヘテロアリール)、及び窒素、酸素及び硫黄から独立に選択される、1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を含む。ある特定の事例では、ヘテロアリールは、それぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄から独立に選択される、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を有する5~10員環系、5~7員環系、又は5~6員環系を含む。ヘテロアリール基の例としては、例えば、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、イソキノリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、フェナジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル及びトリアジニルが挙げられる。縮合ヘテロアリール環の例としては、これらに限定されないが、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル及びイミダゾ[1,5-a]ピリジニルが挙げられ、ヘテロアリールは縮合系のいずれかの環を介して結合していることができる。分子の残りへの結合に関わらず(すなわち、縮合環のいずれか1つを介した)、少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する単一又は多重縮合環を有する任意の芳香族環系はヘテロアリールと考えられる。ヘテロアリールは、上で定義されたようなアリールを包含することも、又はこれと重複することもない。
【0055】
「ヘテロアリールアルキル」は、「ヘテロアリール-アルキル-」基を指す。
【0056】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1個以上の環ヘテロ原子を有する飽和した又は一部不飽和の環式アルキル基を指し、窒素又は硫黄原子は、場合によって酸化されて、N-オキシド、スルフィニル(-S(O)-)、又はスルホキシド(-S(O)2-)を形成する。用語「ヘテロシクリル」は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋ヘテロシクリル基、縮合ヘテロシクリル基、スピロ-ヘテロシクリル基、及びオキソ-ヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環又は多環であってよく、多環は、縮合、架橋又はスピロであってもよい。列挙された置換基に関わらず、ヘテロシクリルは、特に明示しない限り、1個つ以上の(例えば、1~3個の)オキソ(=O)又はN-オキシド(-O-)部分を含み得る。ヘテロシクリルは、原子価が許す限り、炭素原子又はヘテロ原子を介して結合していることができる。さらに、用語ヘテロシクリルは、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する非芳香族環又は環系を含む任意の環系を包含し、この環は分子の残りへの結合に関わらずアリール又はヘテロアリール環に縮合していてもよい。ヘテロシクリルは、芳香族(例えば、ピリジン-2(1H)-オン-1-イル)である帯電した共鳴構造を有してもよい。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリルは、3~14個の環原子、3~10個の環原子、3~6個の環原子、又は5~6個の環原子、及び/又は2~12個の環炭素原子(すなわち、C2~12ヘテロシクリル)、2~10個の環炭素原子(すなわち、C2~10ヘテロシクリル)、2~8個の環炭素原子(すなわち、C2~8ヘテロシクリル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12ヘテロシクリル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3~8ヘテロシクリル)、又は3~6個の環炭素原子(すなわち、C3~6ヘテロシクリル)を含んでもよく、1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を有してもよい。ヘテロシクリル基の例としては、例えば、アゼチジニル、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラノニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラニル、ヒドロピラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、フラノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリジニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、オキセタニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチアニル、テトラヒドロキノリニル、チオフェニル(すなわち、チエニル)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。用語「ヘテロシクリル」はまた「スピロ-ヘテロシクリル」を含む。スピロ-ヘテロシクリル環の例としては、例えば、二環式及び三環式環系、例えば、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニル及び6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタニルが挙げられる。親構造において、置換に対して炭素原子上に2つの位置が存在する場合、置換基としてのヘテロシクリルはスピロ-ヘテロシクリルを含んでもよい。架橋ヘテロシクリル環の例としては、これらに限定されないが、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。縮合ヘテロシクリル環の例としては、これらに限定されないが、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、インドリニル及びイソインドリニルが挙げられ、ヘテロシクリルは、縮合系のいずれかの環を介して結合していることができる。「オキソ-ヘテロシクリル」基は、追加の置換基が許されるかどうかに関わらず、少なくとも1つのオキソ置換基(例えば、1、又は1~2個のオキソ置換基)を含むヘテロシクリルである(すなわち、非置換のオキソ-ヘテロシクリルはオキソを含み、他の置換は含まない)。一部の実施形態では、オキソ-ヘテロシクリルは環式アミド部分を含む。
【0057】
「ヘテロシクリルアルキル」は、「ヘテロシクリル-アルキル-」基を指す。
【0058】
「オキシム」は、-CRy(=NOH)基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
【0059】
「スルホニル」は、-S(O)2Ry基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。スルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル及びトルエンスルホニルである。
【0060】
「スルフィニル」は、-S(O)Ry基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。スルフィニルの例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル及びトルエンスルフィニルである。
【0061】
「スルホンアミド」は、-SO2NRyRz及び-NRySO2Rz基(式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
【0062】
用語「場合による」又は「場合によって」は、続いて記載されている事象又は状況が、生じてもよいし、生じなくてもよく、記載が、前記事象又は状況が生じる事例及び生じない事例を含むことを意味する。また、用語「場合によって置換されている」は非置換又は置換の基を指す。
【0063】
本明細書で使用されている用語「置換されている」は、いずれか1個以上の(例えば、1~5又は1~3個の)水素原子が、非水素基、例えば、これらに限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アミド、アミノ、アミジノ、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバモイル、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-NHNH2、=NNH2、イミノ、イミド、ヒドロキシ、オキソ、オキシム、ニトロ、スルホニル、スルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオシアネート、-S(O)OH、-S(O)2OH、スルホンアミド、チオール、チオキソ、N-オキシド又は-Si(Ry)3(式中、各Ryは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである)により置き換えられている基を指す。
【0064】
ある特定の実施形態では、「置換されている」は、1個以上の(例えば、1~5又は1~3個の)水素原子が、独立して、重水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、アジド、オキソ、チオキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-NRgRh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgRh、-NRgC(=O)ORh、-NRgS(=O)1~2Rh、-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-OC(=O)ORg、-OC(=O)Rg、-C(=O)NRgRh、-OC(=O)NRgRh、-ORg、-SRg、-S(=O)Rg、-S(=O)2Rg、-OS(=O)1~2Rg、-S(=O)1~2ORg、-NRgS(=O)1~2NRgRh、=NSO2Rg、=NORg、-S(=O)1~2NRgRh、-SF5、又は-SCF3で置き換えられている基を指す。ある特定の実施形態では、「置換されている」はまた、1個以上の(例えば、1~5又は1~3個の)水素原子が-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgRh、-CH2SO2Rg、又は-CH2SO2NRgRhで置き換えられている基を意味する。前述において、Rg及びRhは同一若しくは異なり、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、及び/若しくはヘテロアリールアルキルであり、又はRg及びRhの2つは、これらが結合している原子と一緒になって、オキソ、ハロ、又はオキソ、ハロ、アミノ、ヒドロキシル、若しくはアルコキシで場合によって置換されているアルキルで場合によって置換されているヘテロシクリル環を形成する。
【0065】
無限に付加されるさらなる置換基を有する置換基を定義することにより到達するポリマー又は類似の不定の構造(例えば、それ自体置換アリール基(置換ヘテロアルキル基などでさらに置換されている)で置換されている置換アルキルを有する置換アリール)は上記定義から生じることを意図していない。別途明示されていない限り、本明細書に記載されている化合物における連続的な置換の最大数は3である。例えば、2つの他の置換アリール基を有する置換アリール基の連続的な置換は((置換アリール)置換アリール)置換アリールに限定される。同様に、上記定義は化学的に実現不可能又は分離不可能な置換パターンを有する化合物(例えば、5個のフッ素で置換されているメチル又は3個の連続した酸素環原子を有するヘテロアリール基)を包含することを意図していない。このような容認できない置換パターンは当業者には周知である。化学基を修飾するために使用される場合、用語「置換されている」は本明細書で定義された他の化学基を記載し得る。
【0066】
ある特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、句「1つ以上」は1~5つを指す。ある特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、句「1つ以上」は1~3つを指す。
【0067】
本明細書で付与されている任意の化合物又は構造は、化合物の非標識の形態並びに「同位体富化された類似体」を表すことを意図している。化合物の同位体富化された形態はまた「標識された」と呼ぶこともできる。同位体富化された類似体は、1個以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する同位体が富化されていることを除いて、本明細書で示されている構造を有する。本明細書に記載されている化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられる。同位体富化された類似体は、一般に、同位体の天然存在度(例えば、地球の表面における)より上の任意の同位体富化を有する化合物を含む。様々な同位体標識された化合物、例えば、放射性同位体、例えば、3H、18F、11C、及び14Cが組み込まれたものなどが本開示に含まれる。18F、3H、又は11Cで標識された化合物は、代謝性研究、反応速度論的研究、検出又はイメージング技術、例えば、薬物又は基質組織分布アッセイを含むポジトロン断層法(PET)又は単一光子放射断層撮影法(SPECT)、又は患者の放射線治療において有用であり得る。
【0068】
用語「同位体富化された類似体」は、1個以上の水素、例えば、炭素原子上の水素が重水素により置き換えられた、本明細書に記載されている化合物の「重水素化類似体」を含む。このような化合物は代謝に対する耐性の増加を示すことができ、よって哺乳動物、特にヒトに投与された場合、任意の化合物の半減期を増加させるのに有用である。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci. 5巻(12号):524~527頁 (1984年)を参照されたい。このような化合物は、当技術分野で周知の手段、例えば、1個以上の水素が重水素で置き換えられた出発物質を利用することにより合成される。
【0069】
重水素標識された又は置換されている本開示の治療用化合物は、分布、代謝及び排出(ADME)に関して、改善されたDMPK(薬物代謝及び薬物動態)特性を有することができる。より重い同位体、例えば、重水素による置換は、より高い代謝安定性からもたらされるある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の増加、必要用量の減少及び/又は治療指数の改善を生じることができる。本開示の同位体標識された化合物及びそのプロドラッグは、非同位体標識試薬を容易に入手できる同位体標識試薬で置換することにより、以下に記載されているスキームにおいて又は実施例及び調製において開示された手順を実行することにより一般的に調製することができる。化合物が重水素化類似体と記載されている場合、化合物は重水素を置換基として描くことができる。
【0070】
このようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体の富化係数により定義することができる。本開示の化合物において、特定の同位体として特に示されていない任意の原子はその原子の任意の安定した同位体を表すことが意味される。他に述べられていない限り、ある位置が特に「H」又は「水素」として指定されている場合、この位置は水素及びその同位体をこれらの天然存在度において有することが理解される。
【0071】
多くの場合、本開示の化合物は、アミノ及び/又はカルボキシル基又はこれらに類似の基の存在によって酸及び/又は塩基塩を形成することが可能である。
【0072】
本明細書に記載されている化合物の同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、及び立体異性体の混合物もまた提供される。「薬学的に許容される」又は「生理学的に許容される」とは、獣医学的又はヒトの薬学的使用に適した医薬組成物の調製に有用な化合物、塩、組成物、剤形及び他の材料を指す。
【0073】
本明細書に記載されている化合物の用語「薬学的に許容される塩」とは、所与の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的に、又はその他の点で不適切ではない塩を指す。本明細書に記載されている化合物の「薬学的に許容される塩」又は「生理学的に許容される塩」は、例えば、塩基性官能基を有する化合物を、酸と相互作用させることにより得られる酸付加塩、及び酸性官能基を有する化合物を、塩基と相互作用させることにより得られる塩基付加塩を含む。化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。逆に、化合物が遊離塩基(例えば、アミンの化合物)である場合、付加塩は、適切な有機溶媒に遊離塩基を溶解し、この溶液を酸で処理することにより生成することができる。当業者であれば、非毒性の、薬学的に許容される付加塩を調製するのに使用されてもよい種々の合成方法を認識する。本明細書に記載されている化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸から調製することができる。適切な無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。適切な有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。同様に、薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩としては、単なる例示により、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、これらに限定されないが、第一級、第二級及び第三級アミン、例えば、アルキルアミン(すなわち、NH2(アルキル))、ジアルキルアミン(すなわち、HN(アルキル)2)、トリアルキルアミン(すなわち、N(アルキル)3)、置換アルキルアミン(すなわち、NH2(置換アルキル))、ジ(置換アルキル)アミン(すなわち、HN(置換アルキル)2)、トリ(置換アルキル)アミン(すなわち、N(置換アルキル)3)、アルケニルアミン(すなわち、NH2(アルケニル))、ジアルケニルアミン(すなわち、HN(アルケニル)2)、トリアルケニルアミン(すなわち、N(アルケニル)3)、置換アルケニルアミン(すなわち、NH2(置換アルケニル))、ジ(置換アルケニル)アミン(すなわち、HN(置換アルケニル)2)、トリ(置換アルケニル)アミン(すなわち、N(置換アルケニル)3、モノシクロアルキルアミン、ジシクロアルキルアミン又はトリシクロアルキルアミン(すなわち、NH2(シクロアルキル)、HN(シクロアルキル)2、N(シクロアルキル)3)、モノアリールアミン、ジアリールアミン又はトリアリールアミン(すなわち、NH2(アリール)、HN(アリール)2、N(アリール)3)、環式アミン(例えば、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、芳香族アミン(例えば、ピリジン、キノリン)、又は混合したアミンなどの塩が挙げられる。適切なアミンの具体例としては、単なる例示により、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ-プロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0074】
本明細書に記載されている一部の化合物は互変異性体として存在してもよい。例えば、化合物がアミドを含むとして描かれている場合、化合物はイミド酸互変異性体として存在してもよく、化合物がケトンを含むとして描かれている場合、化合物はまたエノール互変異性体として存在してもよい。どちらの互変異性体が示されているかに関わらず、及び互変異性体の間で平衡の性質に関わらず、化合物は、当業者により両方の互変異性体を含むと理解されている。よって、例えば、アミドを含有する化合物は、これらのイミド酸互変異性体を含むと理解されており、イミド酸を含有する化合物はこれらのアミド互変異性体を含むと理解されている。
【0075】
本明細書に記載されている化合物は不斉中心を含むことができ、よってエナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の点から、アミノ酸に対して(R)-若しくは(S)-、又は(D)-若しくは(L)-と定義することができる他の立体異性形態を生じることができる。本明細書に記載されている化合物は、すべてのこのような可能な異性体、並びにこれらのラセミ及び光学的に純粋な形態を含むことが意味される。光学活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製してもよいし、又は従来の技術、例えば、クロマトグラフィー及び分別結晶化を使用して分割してもよい。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用した、ラセミ体(又は塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に記載されている化合物が二重結合又は幾何学的非対称の他の中心を含有する場合、及び他に特定されていない限り、化合物はcis-及びtrans-又はE-及びZ-幾何異性体の両方を含むことが意図されている。
【0076】
「立体異性体」は、同じ結合によって結合された同じ原子で構成されているが異なる三次元構造を有する一連の化合物の1つを指す。様々な立体異性体及びこれらの混合物は、互いに重ね合わせることができないミラーイメージである立体異性化合物を指す「エナンチオマー」を含むことが想定されている。
【0077】
「ジアステレオマー」は互いにミラーイメージではない少なくとも2個の非対称的原子を有する一連の立体異性体の1つである。
【0078】
「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与された場合にin vivoで本明細書に記載される化合物による活性があると推定される親薬物を放出する任意の分子である。プロドラッグは、in vivoで修飾が切断されて親化合物を放出し得るように修飾された本明細書に記載されている化合物のある形態であってもよい。プロドラッグは、通常の操作で又はin vivoのいずれかで親化合物へと修飾が切断されるように、本明細書に記載されている化合物に存在する官能基を修飾することによって調製され得る。プロドラッグは、本明細書に記載されている化合物中のヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、又はスルフヒドリル基が、in vivoで切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシ、アミノ、又はスルフヒドリル基を再生成し得る任意の基に結合されている本明細書に記載されている化合物を含む。プロドラッグの例として、本明細書に記載されている化合物中のヒドロキシ官能基などのエステル(例えば、アセテート、ホルメート及びベンゾエート誘導体)、アミド、グアニジン、カルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)が挙げられるがこれらに限定されない。プロドラッグの調製、選択及び使用は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、T. Higuchi及びV. Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、the A.C.S. Symposium Seriesの14巻;「Design of Prodrugs」、H. Bundgaard編、Elsevier、1985年;及びBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年において考察されている。
【0079】
一部の実施形態では、用語「神経変性疾患」は、対象の神経系の機能が損なわれる疾患又は状態を指す。神経変性疾患の例としては、本明細書に記載されているものが挙げられる。
【0080】
本明細書に記載されている方法は、in vivoで又はex vivoで細胞集団に適用することができる。「in vivo」とは、動物又はヒト内のような生きている個体内を意味する。この文脈において、本明細書に記載されている方法は個体において治療的に使用することができる。「ex vivo」は生きている個体外を意味する。ex vivo細胞集団の例としては、in vitroの細胞培養物及び個体から得た流体又は組織試料を含む生体試料が挙げられる。このような試料は当技術分野で周知の方法により得ることができる。例示的な生物学的流体試料としては、血液、脳脊髄液、尿、及び唾液が挙げられる。この文脈において、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、治療的及び実験的目的を含む様々な目的に使用することができる。例えば、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、ex vivoで使用して、所与の徴候、細胞型、個体、及び他のパラメーターに対する本開示の化合物の投与の最適なスケジュール及び/又は投薬を決定することができる。このような使用から収集した情報は、実験的目的のため、又はin vivo治療に対するプロトコルを設定するために臨床において使用することができる。本明細書に記載されている化合物及び組成物を適合することができる他のex vivo使用は以下に記載されている、又は当業者には明らかである。選択された化合物は、さらに特性決定することによって、ヒト又は非ヒト対象における安全性又は忍容性用量を調査することができる。このような特性は、当業者に一般的に公知の方法を使用して調査することができる。
【0081】
上記列挙された用語はまたin vitro及びex vivoの方法を含む。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「基」、「部分」、「ラジカル」、「置換基」、及び「断片」は、同義語であり、例えば示された結合点又は結合を介して、分子の他の一部へ結合可能である、分子の一部を示すことが意図される。
【0083】
用語「活性薬剤」は、疾患又は状態の治療、寛解、又は予防において生物活性を有する化合物を示すために使用される。一部の実施形態では、「活性薬剤」は、医薬上の有用性を有する化合物又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体若しくは立体異性体の混合物である。例えば活性薬剤は、抗神経変性の治療剤であってもよい。
【0084】
用語「有効量」は、個体又は患者に所望の応答をもたらすのに十分な、例えば、本明細書に記載されている化合物の量を意味する。イメージング剤の使用との関係においては、有効量は、診断上又は治療上の有用性を有する画像を生成するために必要とされる量であってもよい。用語「治療有効量」は、ヒト又は非ヒトの患者に投与されるときに、症状の寛解、疾患の進行の遅延、又は疾患の予防などの治療上の有益性を付与するのに有効な量を意味し、例えば、治療有効量は、本明細書に記載されている疾患の症状を減少させるのに十分な量であってもよい。(治療的)有効量は、治療を受けている対象、及び疾患又は状態、対象の体重及び年齢、疾患又は状態の重症度、並びに投与方式に応じて変動してもよく、当業者により容易に決定することができる。
【0085】
用語「ハンチンチンタンパク質」又は「HTTタンパク質」は、本明細書で使用される場合、16.3位にある染色体4の短(p)腕に位置しているヒトハンチンチン遺伝子(HTT遺伝子)によってコードされるタンパク質を指す。より正確には、HTTタンパク質をコードするIT15遺伝子は、染色体4上の塩基対3,076,407から塩基対3,245,686に位置している。
【0086】
用語「タンパク質凝集体」は、本明細書で使用される場合、例えば、ミスフォールディングされたHTTタンパク質分子(「HTTタンパク質凝集体」)又はミスフォールディングされたβ-アミロイドタンパク質分子(「β-アミロイド凝集体」)を含む不溶性線維性アミロイドであり得る、タンパク質の凝集体を指す。「凝集を生じやすいタンパク質」とは、その野生型又は変異形態において、このような凝集体を形成することが可能なタンパク質である。
【0087】
用語「イメージング剤」は、本明細書で使用される場合、1つ以上のポジトロン放出同位体又は放射性核種により標識されている、本明細書に記載されている化合物、又は標識された化合物を含む組成物を指す。ポジトロン放出体標識化合物は、特定の用途に適した技法を用いて検出を可能にする程度に、検出可能な同位体で富化されていることしか必要としない。
【0088】
用語「PETイメージング」(ポジトロン断層法イメージングと呼ぶこともできる)は、本明細書で使用される場合、ポジトロン放出体標識化合物を使用してヒト又は動物の身体の内部構造の画像を生成することを指す。
【0089】
用語「ポジトロン放出放射性核種」は、本明細書で使用される場合、放射性核種の核内部のプロトンが、ポジトロン及び電子ニュートリノ(νe)を放出しながら、ニュートロンに変換される、β+減衰と称される、放射性減衰の特定のタイプを示す放射性同位体を指す。ポジトロン放出放射性核種の一部の例には、15O、13N、11C、18F、76Br、及び124Iが含まれる。
【0090】
用語「標識された」は、本明細書で使用される場合、天然の存在度より大きい1つ以上のポジトロン放出放射性核種と関連する化合物を指す。例えば、本明細書に記載されている標識された化合物は、(示された置換基内の原子を含む)分子内の原子がポジトロン放出同位体として存在する1つ以上のポジトロン放出放射性核種を含有していてよい。
【0091】
用語「断層撮影法」は、本明細書で使用される場合、区分毎のイメージング法を指す。画像は、一連の二次元の切片として個別に、又はコンピューターにより生成された三次元表示として一緒に見ることができる。
【0092】
一部の実施形態では、用語「神経変性疾患」は、対象の神経系の機能が損なわれる疾患又は状態を指す。神経変性疾患の例としては、本明細書に記載されているものが挙げられる。
【0093】
「治療」又は「治療する」は、患者における疾患状態の任意の治療を意味し、
a)疾患を阻害すること(例えば、疾患又は状態からもたらされる1種以上の症状を低減させること、及び/又は疾患又は状態の程度を減退させること);
b)疾患若しくは状態に関連する臨床的症状の発症を遅らせる又は停止させること(例えば、疾患若しくは状態を安定化させること、疾患若しくは状態の悪化若しくは進行を予防若しくは遅延させること、及び/又は疾患若しくは状態の拡散(例えば、転移)を予防若しくは遅延させること);並びに/又は
c)疾患を緩和すること、つまり、臨床的症状の退行をもたらすこと(例えば、病態を寛解させること、疾患又は状態の部分的又は全部の緩解を提供すること、別の薬物の作用を促進すること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を向上させること及び/又は生存を延長させること)
を含む。
【0094】
「予防」又は「予防する」とは、疾患又は状態の臨床的症状を発症させないようにする疾患又は状態の任意の治療を意味する。化合物は、一部の実施形態では、リスクがあり(例えば、遺伝的若しくはエピジェネティックなマーカーを有している、疾患若しくは状態に関連する活動に従事していた、又は環境条件に曝露されてきた)又は疾患若しくは状態の家族歴を有する対象(ヒトを含む)に投与することができる。
【0095】
「対象」又は「患者」は、治療、観察又は実験の対象である又は対象であることになる、動物、例えば哺乳動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒトの療法及び獣医学の適用の双方において有用であり得る。一部の実施形態では、対象又は患者は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象又は患者はヒトである。
【0096】
用語「キュリー」(Ci)は、放射能の測定単位であり、当業者にとって慣用的な意味を有する。
【0097】
用語「診断用イメージング」は、本明細書で使用される場合、診断目的のために、電磁線照射を使用してヒト又は動物の身体の内部構造の画像を生成することを指す。
【0098】
明確にするために、別々の実施形態に関連して記載される、本明細書に記載したいくつかの特徴は、単一の実施形態において組合せの形態で提供することもできるということを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される、本明細書に記載した種々の特徴は、別々に又は任意の適当なサブコンビネーションで提供することもできる。式I又は任意の他の式中に含まれる可変物によって表される化学基に関する実施形態のすべての組合せは、そのような組合せが、安定した化合物(すなわち、単離し、特性決定し、生物活性について試験することができる化合物)をもたらす限り、それぞれの及びあらゆる組合せが個々に及び明示的に列挙されたかのように、特に本明細書に包含される。さらに、そのような可変物を記載している実施形態に列挙される化学基のすべてのサブコンビネーション、並びに本明細書に記載した使用及び医療適用のすべてのサブコンビネーションはまた、化学基のそれぞれの及びあらゆるサブコンビネーション並びに使用及び医療適用のサブコンビネーションが、個々に及び明示的に本明細書に列挙されたかのように、特に本明細書に包含される。さらに、いくつかの実施形態には、それぞれの及びあらゆる組合せが、個々に及び明示的に列挙されたかのように、本明細書に開示される1種以上の追加の薬剤のあらゆる組合せが含まれる。
【0099】
【表1】
【0100】
化合物
本開示は、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、ハンチンチンタンパク質をイメージングするのに有用な化合物に関する。一部の実施形態は、式I:
【0101】
【化1】
[式中、
【0102】
【化2】
は、
【0103】
【化3】
又は
【0104】
【化4】
であり;
R1は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
R10は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
環Aは、5~6員ヘテロアリールであり;
Xは、CR11又はNであり;
R11は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Y1は、CR12又はNであり;
Y2は、CR13又はNであり;
R12及びR13のそれぞれは、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R2は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Lは、1~6個のフルオロで場合によって置換されているC1~C3アルキレンであり;
R3は、水素、フルオロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
各R4は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
各R5は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R6は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、-SO2F、又はL1-R7であり;
L1は、-O-、-SO2-、又は-OSO2-であり;
R7は、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり、R7のC1~6アルキル又はC1~6ハロアルキルは、-SO2-アリール、-OSO2-アリール、1~6個の重水素原子、又はこれらの組合せで場合によって置換されており、-SO2-アリール又は-OSO2-アリールは、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシでさらに場合によって置換されており;
mは、0、1、2、又は3であり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を提供する。
【0105】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式II:
【0106】
【化5】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0107】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式III:
【0108】
【化6】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0109】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式IV:
【0110】
【化7】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0111】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式V:
【0112】
【化8】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0113】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式VI:
【0114】
【化9】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0115】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式VII:
【0116】
【化10】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0117】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式VIII:
【0118】
【化11】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0119】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式IX:
【0120】
【化12】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0121】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式X:
【0122】
【化13】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0123】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XI:
【0124】
【化14】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0125】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XII:
【0126】
【化15】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0127】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XIII:
【0128】
【化16】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0129】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XIV:
【0130】
【化17】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0131】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XV:
【0132】
【化18】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0133】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XVI:
【0134】
【化19】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0135】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式XVII:
【0136】
【化20】
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
【0137】
一部の実施形態では、R1は水素又はC1~6アルキルである。一部の実施形態では、R1はC1~6アルキルである。一部の実施形態では、R1はC1~6ハロアルキルである。一部の実施形態では、R1はメチルである。
【0138】
一部の実施形態では、R2は水素である。一部の実施形態では、R3は水素である。
【0139】
一部の実施形態では、R4はハロである。一部の実施形態では、R4はフルオロである。
【0140】
一部の実施形態では、nは1である。一部の実施形態では、nは0である。
【0141】
一部の実施形態では、R11は水素である。
【0142】
一部の実施形態では、mは1である。
【0143】
一部の実施形態では、R5はハロである。一部の実施形態では、R5はフルオロである。一部の実施形態では、nは1であり、R5はフルオロである。
【0144】
一部の実施形態では、mは0である。
【0145】
一部の実施形態では、R6はF又はL1-R7である。一部の実施形態では、R6はL1-R7であり、L1は-O-である。
【0146】
一部の実施形態では、R7はC1~6ハロアルキル又はC1~6アルキルである。一部の実施形態では、R7は、1~6個の重水素原子で置換されているC1~6ハロアルキルである。
【0147】
一部の実施形態では、R6はメトキシである。
【0148】
一部の実施形態では、XはNである。一部の実施形態では、XはCR11である。一部の実施形態では、XはC-Hである。
【0149】
一部の実施形態では、LはCH2である。
【0150】
一部の実施形態では、Y1はNであり、Y2はCHである。
【0151】
一部の実施形態では、環Aは、1又は2つの環窒素原子を含有するヘテロアリールである。一部の実施形態では、環Aは、1つの環窒素原子を含有するヘテロアリールである。一部の実施形態では、環Aはピリジニルである。一部の実施形態では、環Aはピリジン-2-イルである。
【0152】
一部の実施形態では、
【0153】
【化21】
は、
【0154】
【化22】
であり、R10はC1~6アルキルである。
【0155】
一部の実施形態では、化合物は少なくとも1つのハロを含む。一部の実施形態では、化合物は少なくとも1つのフルオロを含む。一部の実施形態では、化合物は1つのフルオロを含む。一部の実施形態では、化合物は少なくとも1つのフルオロによって置換されている。一部の実施形態では、R1、R4、R5、R6、及びR11のうちの少なくとも1つは、フッ素原子を含む。一部の実施形態では、R4、R5、R6、及びR11のうちの少なくとも1つは、フッ素原子を含む。一部の実施形態では、R4、R5、又はR11のうちの1つは、フルオロである。一部の実施形態では、1つのR4又は1つのR11は、フルオロである。一部の実施形態では、R4又はR11のうちの1つはフルオロである。
【0156】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、1つ以上の放射性同位体で標識されている。
【0157】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、11C、13N、15O、及び18Fから選択される1つ以上のポジトロン放出放射性同位体を含有する。
【0158】
一部の実施形態では、式Iの化合物又は本明細書に記載されている任意の化合物は、3H、11C、13N、15O、又は18Fで標識されている。一部の実施形態では、式Iの化合物又は本明細書に記載されている任意の化合物は、3H、11C、又は18Fで標識されている。
【0159】
一部の実施形態では、式Iの化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含むイメージング剤が提供される。
【0160】
本明細書に記載されている追加の化合物もまた提供される。一部の実施形態では、表1から選択される化合物、又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物が提供される。
【0161】
一部の実施形態では、表1の化合物から選択される化合物であって、場合によって1つ以上の放射性同位体で標識された化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物が提供される。
【0162】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0163】
非金属放射性核種は、最新技術から周知の反応によって、本明細書に記載されている化合物に共有結合することができる。放射性核種が、金属のポジトロン放出体である場合、標識化はキレート剤の使用を必要とすることがあることが理解される。こうしたキレート剤は、最新技術から周知である。
【0164】
一部の実施形態では、本明細書に提供される実施例セクションに記載された化合物から選択される化合物が提供される。
【0165】
表1から選択される化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物もまた提供される:
【0166】
【表2】
【0167】
診断方法及び使用
一部の実施形態では、個体において凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を個体に投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、方法が提供される。個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することは、画像を生成して画像中で凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出することを含み得る。よって、本明細書中に開示される化合物は、タンパク質凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を検出するのに有用である。一部の実施形態では、タンパク質凝集体の存在又は非存在は、神経変性疾患の存在又は非存在に対応している。一部の実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される。
【0168】
ポジトロン断層法(PET)を使用して診断画像を生成する方法、及び凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法が提供される。PETイメージングは、当業者に知られている通り、又は以下の通り、実施されてよい。PETイメージングは、ポジトロン放出放射性核種トレーサー、例えば、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の個体への投与を含み得る。次いで、トレーサーは、十分な時間をかけて目的タンパク質と結合させ、この時点で個体を、シンチレーション検出器リングを備えたスキャン装置内に配置する。放出されたポジトロンは、電子と相互作用するまで、個体の組織内を短い(同位体に依存する)距離、移動する。この相互作用は電子とポジトロンの両方を消滅させ、一対の光子を生成する。光子は、スキャン装置内のシンチレーターによって検出される。対に至らない光子は、無視される。
【0169】
同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、又は単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージングを含む、診断画像を生成する方法、及び凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法もまた提供される。一般に、コンピューター断層撮影は、脳の構造を検出するためにX線又はガンマ線を使用するが、磁気共鳴イメージングは、磁場及び電波を使用する。
【0170】
よって、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は本明細書に記載されているものを含む当技術分野で公知の方法により投与することができる。化合物又はイメージング剤は、循環に入り、凝集を生じやすいタンパク質、又はその凝集体と結合することができる。化合物又はイメージング剤が放射性同位体で標識されると、放出される粒子を検出することができる。
【0171】
一部の実施形態では、化合物又はイメージング剤は、個体の血管系に投与される。化合物又はイメージング剤は、血液脳関門を通過することができる。したがって、画像を生成することは、個体の脳の少なくとも一部、例えば化合物が分配される部分の画像を生成することを含み得る。
【0172】
生体試料を有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤と接触させること、及び生体試料に関連する画像を生成することを含む、生体試料における診断画像を生成する方法、及び凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法もまた提供される。一部の実施形態では、接触させること及び生成することは、in vitroで実施されてよい。一部の実施形態では、接触させることはin vivoであり、生成することはin vitroである。
【0173】
個体において、タンパク質凝集を生じやすいタンパク質、例えばハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)に関連する病理過程の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を投与すること;画像を生成して画像中でハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)の存在又は非存在を検出すること;及び病理過程、例えば神経変性疾患の存在又は非存在を検出することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態では、HTTタンパク質は、モノマー、オリゴマー、若しくは凝集体、又はこれらの組合せとして存在する。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質はハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)である。HTTタンパク質は変異体であってよい。一部の実施形態では、HTTタンパク質は脳、例えば、大脳基底核に見出される。
【0174】
一部の実施形態では、身体部分又は身体領域は、頭部、脊髄、肢、胸部、及び/又は腹部から選択される。一部の実施形態では、身体部分又は身体領域は、脳である。一部の実施形態では、HTTタンパク質は、大脳基底核に見出される。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、HTTタンパク質は、個体の脳、肝臓、心臓、及び/又は筋肉に存在する。一部の実施形態では、画像を生成することは、ポジトロン断層法(PET)イメージング、同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージング、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、画像を生成することは、PETイメージングを含む。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、HTTタンパク質は、個体の脳の大脳基底核、皮質、海馬、及び/又は脳幹に存在する。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、HTTタンパク質は、モノマー、オリゴマー、若しくは凝集体、又はこれらの組合せとして存在する。
【0175】
一部の実施形態では、個体は、ハンチントン病を有する又は有することが発見される。
【0176】
個体において、β-アミロイドタンパク質に関連する病理過程の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を投与すること;個体の身体部分又は身体領域の画像を生成すること;及び病理過程の存在又は非存在を検出することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態では、個体は、アルツハイマー病(AD)を有する又は有することが発見される。
【0177】
患者において凝集を生じやすいタンパク質のレベルの変化を定量することによって、患者における疾患進行を監視するために、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を使用する診断方法もまた提供される。
【0178】
一部の実施形態では、イメージング剤として機能するために好適なタンパク質凝集体、例えばHTTタンパク質凝集体又はβ-アミロイドタンパク質凝集体の結合速度を有する化合物が提供される。したがって、本明細書に記載されている化合物は、1)そのようなタンパク質凝集体に対する高い親和性;2)隣接構造に対する低い親和性;及び/又は3)そのようなタンパク質凝集体からの低速な解離速度のうちの1つ以上によって特徴づけられ得る。解離速度は、以下の式(式中、A及びBはタンパク質凝集体及びイメージング剤を指し、kassnは会合速度定数である)に定義される通り解離速度定数kdissとして表され得る。
d[AB]/dt = kassn[A][B] - kdiss[AB]
【0179】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の有効量は、約0.1~約20mCiを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の有効量は、約0.1、約0.3、約0.5、約0.7、約1、約3、約5、約7、約10、約15、又は約20mCi、又はこれらの間の範囲の値を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の有効量は、約10mCiを含む。
【0180】
本明細書に記載されている化合物に組み込むことができる適切な放射性核種として、これらに限定されないが、3H(Tとも書かれる)、11C、18F、35S、123I、125I、75Br、76Br、77Br、82Br、131I、15O、13N、及び211Atが挙げられる。化合物に組み込まれる放射性核種は、特定のイメージング用途に依存する。PETイメージングを含む一部の実施形態では、11C、18F、123I、131I、75Br、76Br又は77Brから選択される放射性核種を組み込む化合物が使用されてよい。特定の用途において、99mTcなどのキレート化放射性核種の組み込みも有用であり得る。一部の実施形態では、18Fのより長い半減期により、より強い信号が発生するのに十分に長い時間にわたってイメージングが実行され得るため、18Fが11Cよりも好ましいことがある。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、ポジトロン放出放射性核種又はガンマ放出放射性核種で標識され得る。ポジトロン放出放射性核種のいくつかの例には、15O、13N、11C、18F、76Br、及び124Iが含まれ、それぞれ約2、10、20、110分、16時間、及び4.2日の半減期を有する。
【0181】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、3H、11C、又は18Fで標識されてよい。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、11C及び18Fから選択されるポジトロン放出体で標識されてよい。11C導入のための方法は、[11C]ヨードメタン又は[11C]メチルトリフレートによるアルキル化を含み得るがこれに限定されない。炭素11はおよそ20分間の半減期を有し、よって11Cは一般的に現場のサイクロトロン内で作る必要があり、[11C]二酸化炭素として生成することができる。[11C]二酸化炭素は、直接標識法に適した化学種(一般に[11C]ヨードメタンなど)に変換され、放射性医薬品の合成は、適切な放射化学純度及び比放射能が決定された後に、PETイメージング研究において現場で完了し使用される。18Fを導入する典型的な方法として、これらに限定されないが求核的方法及び求電子的方法が挙げられる。求核的方法は、ハロゲン化物、トシレート、又は他の脱離基を、標識されたフッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、又はフッ化カリウムkryptofix-222で置換することを含む。[18F]同位体を導入するのに適切となり得る求電子剤として、標識された三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、三フッ化ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄(Deoxofluor)、N-フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)、N-フルオロピリジニウム塩、1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(Selectfluor)、N-フルオロピリジニウムトリフレート、フッ化キセノン、2-ピリジンスルホニルフルオリド(PyFluor)、3-ピリジンスルホニルフルオリド、4-ピリジンスルホニルフルオリド、4-クロロ-2-ピリジンスルホニルフルオリド、エテンスルホニルフルオリド、フルオロ-ベンゾヨードキソール、p-フルオロフェニルアミノ硫黄トリフルオリド、p-ニトロフェニルアミノ硫黄トリフルオリド、又はペンタフルオロフェニルアミノ硫黄トリフルオリドが挙げられる。ポジトロン放出体の導入のための一般的方法は文献(例えば、Millerら、Angewandte Chemie International Edition, 47巻 (2008年)、8998~9033頁; Jacobson, O.ら、Bioconjugate Chem.、26巻 (2015年)、1~18頁; Deng, X.ら、Angewandte Chemie International Edition、58巻(9号)、(2019年)、2580~2605頁を参照されたい)に記載されている。トリチウムを導入する方法は、当技術分野で公知の方法、例えば、合成法、反跳、又は交換反応に従って達成することができる。
【0182】
フッ素18は、およそ110分の半減期を有し、したがって[18F]放射性医薬品の合成は、必ずしもサイクロトロンのある場所で行われる必要はなく、PETイメージング研究センターの近位で行われる必要もない。フッ素18はまた、高いポジトロン減衰比(97%)、比較的に短い半減期(109.7分)、及び低いポジトロンエネルギー(0.635MeVまで)を含めて、好ましい核及び物理的特性を示すと考えられる。このポジトロンエネルギーは、PET画像の優れた解像限界を提供し得る、in vivoでの短い拡散範囲(<2.4mm)に対応することができる。
【0183】
認識されるように、本明細書に記載されている方法のステップは、特定の回数又は特定の順序で実行される必要はない。本開示のさらなる目的、利点及び新規な特徴は、以下に示される実施例の説明の際に当業者にとって明らかになるが、これは例示を意図したものであり、限定するものではない。
【0184】
適応症及び治療方法
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、HTTタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を治療するのに有用である。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態の治療は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の投与を含んでもよい。治療は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤と、1つ以上の他の活性薬剤及び/又は治療法の同時投与を含んでもよい。したがって、一部の実施形態では、それを必要とする患者において、凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を治療する又は予防する方法であって、前記患者に、治療有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を投与することを含む、方法が提供される。
【0185】
例示的疾患及び状態を以下に示す。
【0186】
ハンチントン病(HD)
ハンチントン病(HD)は、遺伝性の進行性神経変性障害であり、運動、認知、及び精神障害、並びに神経変性及び脳萎縮を特徴とする。萎縮は、線条体及び皮質内で始まり、他の皮質下脳領域に拡大し得る。HDは、伸長したCAG繰り返し配列が、コードされたタンパク質におけるポリグルタミン(polyQ)の長い伸長部(stretch)をもたらす、一群の神経変性疾患に属する。上記の群はまた、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)及び脊髄小脳失調症(SCAs)を含む。HDでは、線条体のγ-アミノ酪酸放出有棘投射ニューロン(spiny-projection neurons)の選択的神経変性が観察されたが、多くの他の脳領域におけるニューロン喪失も報告されている。HDの症状は、運動制御の喪失、精神医学的症状、記憶及び/又は認知機能障害を含む。
【0187】
HDタンパク質ハンチンチン(HTTタンパク質)は、そのアミノ末端に多型のグルタミン/プロリン豊富なドメインを含有する348kDaのマルチドメインタンパク質である。コードするIT15遺伝子におけるCAG繰り返しの数は、健康な個体において6から35まで変化し、36回以上の繰り返しがHD対立遺伝子を規定する。CAG伸長の長さは疾患発症年齢と逆相関し、若年発症の症例は伸長の60超の繰り返しによって特徴づけられる。より長いpolyQドメインは、HTTタンパク質におけるコンフォメーション変化を引き起こし、これが、多くの場合に核封入体として現れる細胞内凝集を形成すると考えられている。ただし、凝集体は、核の外部に形成されることもある。HTTタンパク質は、ニューロンの核、細胞体、樹状突起及び神経終末に存在し、ゴルジ体、小胞体及びミトコンドリアを含む多くの細胞器官とも関連している。
【0188】
HDによって最も影響を受ける脳の部分、したがってHTTタンパク質異常を含む可能性が最も高いと考えられる脳の部分は、大脳基底核と総称される脳の基底部にある一群の神経細胞である。この大脳基底核は、筋肉により推進される身体の運動、又は「運動活動」を組織化する。大脳基底核の主な構成成分は、尾状核及び被殻(線条体として一緒に公知である)及び淡蒼球(外部及び内部領域)である。黒質及び視床下核は、多くの場合、同様に、大脳基底核の一部として含まれる。
【0189】
大脳基底核は、運動制御を主に担い、加えて、他の役割、例えば運動学習、実行機能及び行動並びに感情を担う一群の皮質下核である。大脳基底核網状組織の破壊は、いくつかの運動障害につながると考えられている。大脳基底核の正常な機能には、任意の所与の時点における運動促進又は抑制の程度を決定するために各核内でのニューロン興奮性の微調整が必要である。これは、線条体の複合組織によって媒介され、中型有棘ニューロンの興奮性は、いくつかのシナプス前及び後機構並びに介在ニューロン活性によって制御され、いくつかの回帰性又は内部大脳基底核回路によって確保される。大脳基底核の運動回路は、線条体及び視床下核という2つの入力点、並びに運動視床を介して皮質に接続する、淡蒼球内節という1つの出力点を有する。
【0190】
本明細書に記載されている化合物の投与は、本明細書に記載されている疾患又は状態の1種以上の症状において、減少、例えば、少なくとも10%の減少(例えば、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は100%)をもたらし得る。疾患又は状態は、神経系以外への一次作用を有する疾患、状態、又は療法に続発する神経系の障害;物理的、機械的若しくは化学的外傷により引き起こされた神経系への損傷;自己免疫性神経変性;感染症に続発する神経変性;及び/又は眼の神経変性であってもよい。神経変性の症状として、例えば、振戦、動作緩慢、運動失調、平衡感覚障害、うつ病、認知機能低下、短期記憶喪失、長期記憶喪失、混乱、性格の変化、言語問題、知覚の喪失、触れられた時の感受性、四肢における無感覚、筋力低下、筋まひ、筋肉の痙攣、筋けいれん、食習慣の著しい変化、過剰な不安又は懸念、不眠症、妄想、幻覚、疲労、背痛、胸痛、消化不良、頭痛、速い心拍数、めまい、かすみ目、視力の影又は欠落領域、変視症、色覚における機能障害、明るい光への曝露後の目視機能回復の低下、及び目視による対比感度の喪失が挙げられる。
【0191】
神経変性疾患は、対象の神経系の機能が損なわれる疾患又は状態である。神経変性疾患の例としては、例えば、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、運動失調末梢血管拡張症、バッテン病(シュピールマイアーフォークトシェーグレンバッテン病としても公知)、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケイン症候群、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、前頭側頭認知症、ゲルストマンストロイスラーシャインカー症候群、ハンチントン病、HIVに伴う認知症、ケネディ病、クラッベ病、クールー、レビー小体認知症、マシャドジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多発性硬化症、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウスメルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性脊髄連合変性症、統合失調症、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スティールリチャードソンオルゼウスキー病、インスリン抵抗性又は脊髄癆が挙げられる。
【0192】
一部の実施形態では、疾患又は状態は、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、脊髄及び/又は脳傷害、慢性肺高血圧症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳海綿状血管腫、心血管疾患、アルツハイマー病(AD)、緑内障、多発性硬化症(MS)、角膜病変、糖尿病、慢性及び/又は神経因性疼痛、脳卒中、虚血、網膜疾患、脊髄性筋萎縮症(SMA)、勃起不全、(非高血圧性)腎症、高血圧性腎症、高血圧(高血圧症)、視神経損傷、肝線維症、狼瘡、移植後の肝不全、脳脊髄炎、てんかん、並びに神経グリア芽細胞腫から選択される。
【0193】
本明細書に記載されている化合物は、対象に投与された場合、ニューロン変性を阻害し得る。一部の実施形態では、ニューロン変性を阻害することはニューロンにおけるアクソン又はニューロンの変性を阻害することを含んでもよい。全ニューロン又はその一部分、例えば、ニューロン細胞体、アクソン及び樹状突起に関するこのような阻害。これは、例えば、当技術分野で公知の方法による神経系機能の分析により評価することができる。本明細書に記載されている化合物の投与は、1種以上の本明細書に記載されている化合物が投与されていないニューロン集団又は対象において変性するニューロンの数(又はそのニューロン体、アクソン、若しくは樹状突起)と比較して、ニューロン集団又は対象において変性するニューロンの数(又はそのニューロン体、アクソン、若しくは樹状突起)の少なくとも10%の減少(例えば、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%)をもたらし得る。
【0194】
ニューロンは、組織及び器官から中枢神経系(求心性神経又は感覚ニューロン)へと情報を伝え、中枢神経系からエフェクター細胞(遠心性神経又は運動ニューロン)へと信号を伝達することができる。他のニューロン、指定された介在ニューロンは、中枢神経系(脳及び脊柱)内のニューロンを接続する。本開示による治療の対象となり得るニューロン型のある特定の具体例としては、小脳顆粒ニューロン、後根神経節ニューロン、PNSニューロン(例えば感覚ニューロン)、及び皮質ニューロンが挙げられる。本開示による治療の対象となり得る細胞型の他の例としては、アストロサイト及びミクログリアが挙げられる。
【0195】
さらに、本明細書に記載されている化合物は、記憶喪失の予防又は治療に使用することができる。喪失により影響を受け、よって本開示により治療することができる記憶の種類として、エピソード記憶、意味記憶、短期記憶、及び長期記憶が挙げられる。
【0196】
一部の実施形態では、疾患又は状態は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される神経変性疾患である。一部の実施形態では、神経変性疾患は、トリプレットリピート病として分類される。一部の実施形態では、トリプレットリピート病は、カテゴリI、カテゴリII、又はカテゴリIIIに属するものとして分類される。
【0197】
一部の実施形態では、病理過程は、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、脊髄及び/又は脳傷害、慢性肺高血圧症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳海綿状血管腫、心血管疾患、アルツハイマー病(AD)、緑内障、多発性硬化症(MS)、角膜病変、糖尿病、慢性及び/又は神経因性疼痛、脳卒中、虚血、網膜疾患、脊髄性筋萎縮症(SMA)、勃起不全、(非高血圧性)腎症、高血圧性腎症、高血圧(高血圧症)、視神経損傷、肝線維症、狼瘡、移植後の肝不全、脳脊髄炎、てんかん、並びに神経グリア芽細胞腫から選択される疾患又は状態に伴う、又は引き起こされる。一部の実施形態では、病理過程は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される神経変性疾患である。一部の実施形態では、神経変性疾患は、トリプレットリピート病として分類される。一部の実施形態では、トリプレットリピート病は、カテゴリI、カテゴリII、又はカテゴリIIIに属するものとして分類される。
【0198】
一部の実施形態では、神経変性疾患は、ハンチントン病である。
【0199】
本明細書に記載されている疾患又は状態の診断、予防、又は治療における使用のための医薬の製造のための本明細書に記載されている化合物の使用もまた提供される。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってよい。
【0200】
イメージング剤及び医薬組成物
イメージング剤は、一般に、ポジトロン放出放射性核種で標識された本明細書に記載されている化合物を含む。ポジトロン放出放射性核種で標識されたイメージング剤は、放射性核種の短い半減期により、直後(例えば、合成の1時間以内)に静脈内注射を介して一般的に投与される。必要とされるイメージング剤の量は、通常、処方医師により決定される。用量は、これらに限定されないが、化合物の会合速度、使用される放射性核種からの放出量、放射性核種の半減期、画像化すべき身体の部分、身体の領域、及び/又は組織、並びに個体の特徴を含む様々な要因により変動し得る。当業者は、有効量は、一般的に約0.1~約20mCi又は約l~約5mCiの範囲の放出を生じさせるのに十分な標識化合物の量となることを理解するであろう。イメージング剤の有効量における標識化合物の質量は、約0.1~約500mgであってよい。
【0201】
一般に、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、任意の好適な経路を介して、それを必要とする患者に投与することができる。投与経路には、例えばドリップパッチによる、例えば皮下、筋肉内、静脈内などの非経口的投与が含まれ得る。さらなる好適な投与経路には、例えば噴霧器若しくは吸入器による、又はインプラントによる、経口、直腸、鼻腔内、局所(口腔内及び舌下を含む)、注入、膣、皮内、腹腔内、頭蓋内、髄腔内及び硬膜外投与又は経口若しくは鼻腔吸入を介した投与が含まれるがこれらに限定されない。
【0202】
PETイメージングに関して、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の個体への投与は、静脈内によるものであってよい。医薬組成物は、滅菌注入可能水性又は油性懸濁液の形態をとっていてもよい。この懸濁液は、上に挙げられた、これらの好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する公知の技術に従って製剤化されてもよい。無菌の注射可能な製品はまた、非毒性の、非経口的に許容されるビヒクル中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。利用されてもよい、許容されるビヒクルの中では、水、リンガー溶液、及び等張性の塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の、不揮発性油が、溶媒又は懸濁性媒質として従来技術で利用されている。この目的では、合成のモノ又はジグリセリドを含む、任意の非刺激性の不揮発性油が利用されてもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物の調製において有用であり得る。そのような溶液は、0.01%~10%の等張液、pH5~7として、適当な塩で製剤化されてもよい。
【0203】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、滅菌媒質中で非経口投与されてもよい。非経口的投与には、皮下注入、静脈内、筋肉内、髄腔内注入又は点滴技法が含まれる。本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、使用されるビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁又は溶解させてよい。有利には、局部麻酔薬、保存剤及び緩衝剤などのアジュバントが、ビヒクル中に溶解されることができる。非経口投与のための多くの医薬組成物では、担体は、組成物の総計の少なくとも90重量%を占める。一部の実施形態では、非経口投与のための担体は、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノール、及びゴマ油から選択される。
【0204】
医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物は、シクロデキストリンを含むことができる。シクロデキストリンは、例えば、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン又はスルホブチルエーテルシクロデキストリンであってもよい。シクロデキストリンは、例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、又はγ-シクロデキストリンであってもよい。
【0205】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、マイクロスフィア、リポソーム、他の微粒子送達系又は血液を含む特定の組織内に配置される徐放製剤を介して投与してもよい。徐放担体の好適な例には、共用商品、例えば座剤又はマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスが含まれる。上記の技法及びプロトコル並びに本発明に従って使用され得る他の技法及びプロトコルの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、18版、Gennaro, A. R.、Lippincott Williams & Wilkins; 20版 (2000年12月15日) ISBN 0-912734-04-3及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Ansel, N. C.ら、7版、ISBN 0-683305-72-7に見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、医薬組成物として投与される。したがって、担体、アジュバント、及び賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容されるビヒクルと一緒に、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物又はイメージング剤を含む医薬組成物が提供される。本開示の化合物又はイメージング剤は、当業者に公知の技法を使用して、医薬組成物へと製剤化され得る。
【0207】
薬学的に許容されるビヒクルは、それらを、治療される動物への投与に好適なものとするために、純度が十分に高く、毒性が十分に低いものでなければならない。ビヒクルは、不活性とすることができ、又はそれは医薬上の有益性を有することができる。化合物又はイメージング剤と共に用いられるビヒクルの量は、化合物又はイメージング剤の用量ごとの投与のための材料の実際量を提供するのに十分なものであってよい。
【0208】
例示できる薬学的に許容される担体又はその成分は、糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びメチルセルロース;粉末化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;固体滑沢剤、例えばステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;合成油;植物油、例えばピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、及びトウモロコシ油;ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;アルギン酸;リン酸塩緩衝溶液;乳化剤、例えばTWEEN(登録商標);湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;着色剤;芳香剤;錠剤化剤;安定剤;抗酸化剤;保存剤;ピロゲンを含まない水;等張性食塩水;並びにリン酸塩緩衝溶液である。
【0209】
場合による活性薬剤が、医薬組成物に含まれてもよく、これは、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の活性を実質的に妨げない。
【0210】
有効濃度の本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物又はイメージング剤が、好適な薬学的に許容されるビヒクルと混合される。化合物又はイメージング剤が不十分な溶解度を示す場合、化合物を可溶化するための方法が使用されてよい。そのような方法は、当業者に公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒を使用すること、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤を使用すること、又は水性緩衝液、例えば重炭酸ナトリウム中への溶解を含むがこれらに限定されない。
【0211】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の混合又は添加時に、得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどであり得る。得られた混合物の形態は、意図された投与方法及び選択したビヒクル中での化合物又はイメージング剤の溶解度を含む、多くの要素に依存する。イメージング又は治療に十分な有効濃度は、当技術分野において公知の方法により実験的に決定され得る。
【0212】
医薬組成物は、経口使用、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性の懸濁液、分散可能な粉末又は顆粒、エマルション、硬カプセル若しくは軟カプセル、又はシロップ若しくはエリキシルのために製剤化されてもよい。経口使用が意図された医薬組成物は、医薬組成物の製造のための、当業者に公知の任意の方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、医薬として簡潔であり味のよい製品を提供するために、1種以上の薬剤、例えば甘味剤、芳香剤、着色剤及び保存剤を含有してもよい。一部の実施形態では、経口医薬組成物は、0.1~99%の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含有する。一部の実施形態では、経口医薬組成物は、少なくとも5%(重量%)の化合物又はイメージング剤を含有する。いくつかの実施形態は、25%~50%又は5%~75%の化合物又はイメージング剤を含有する。
【0213】
経口で投与される医薬組成物としてはまた、液体溶液、エマルション、懸濁液、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ、シロップなども挙げられる。そのような組成物の調製に好適な薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知である。経口の医薬組成物は、保存剤、芳香剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味剤、味覚マスキング剤、及び着色剤を含有してもよい。
【0214】
シロップ、エリキシル、エマルション及び懸濁液のための担体の典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースで製剤化されてもよい。そのような医薬組成物はまた、緩和薬も含有してもよい。
【0215】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルション、シロップ、又はエリキシルなどの経口の液体製品中へ組み込まれ得る。さらに、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含有する医薬組成物は、使用前に水又は他の好適なビヒクルを用いて構成するための乾燥製品として提示され得る。そのような液体製品は、従来技術の添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムのゲル、及び水素化された食用の脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアカシア)、非水性のビヒクルを含有することができ、これらは、食用油(例えばアーモンド油、分画されたココナツ油、シリルエステル、プロピレングリコール及びエチルアルコール)、並びに保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル、及びソルビン酸)を含み得る。
【0216】
懸濁液のために、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、Avicel(登録商標)RC-591、トラガカント及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ、典型的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ、且つ典型的な保存剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。
【0217】
水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合において化合物又はイメージング剤を含有する水性懸濁液が提供される。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えばレシチンであってもよく、又はアルキレンオキシドの、脂肪酸との縮合製品、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドの、長鎖脂肪族アルコールとの縮合製品、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合製品、例えばポリオキシエチレンソルビトール置換体、又はエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合製品、例えばポリエチレンソルビタン置換体であってもよい。水性懸濁液はまた、1種以上の保存剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチル又はn-プロピルも含有してもよい。
【0218】
油性懸濁液は、植物油、例えばピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン中に化合物又はイメージング剤を懸濁させることにより製剤化され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してよい。上に明らかにしたものなどの甘味剤、及び芳香剤が、味の良い経口製品を提供するために加えられてもよい。これらの医薬組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることによって保存されてもよい。
【0219】
医薬組成物は、水中油型エマルションの形態をとっていてもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油若しくはピーナッツ油、若しくは鉱油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物であってよい。好適な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えばアカシアゴム又はトラガカントゴム、天然に存在するホスファチド、例えばダイズ、レシチン、及び脂肪酸及びヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、無水物、例えばモノオレイン酸ソルビタン、並びに前記部分エステルの、エチレンオキシドとの縮合製品、例えばモノオレイン酸ソルビタンポリオキシエチレンであってもよい。
【0220】
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散可能な粉末及び顆粒は、有効成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1種以上の保存剤との混合において提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上に既に挙げたものによって例証される。
【0221】
錠剤は、不活性希釈剤として、従来技術の薬学的に許容されるアジュバント、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロース;結着剤、例えばデンプン、ゼラチン及びスクロース;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸及びクロスカルメロース;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクを、典型的に含む。流動促進剤、例えば二酸化ケイ素が、粉末混合物の流れ特性を改善させるために使用され得る。着色剤、例えばFD&C染料が、外見のために添加され得る。甘味剤及び芳香剤、例えばアスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、及び果物の芳香が、咀嚼可能な錠剤のための有用なアジュバントであり得る。カプセル(時間放出性製剤及び徐放性製剤を含む)は、上で開示されている1種以上の固体希釈剤を典型的に含む。担体成分の選択は、味覚、コスト、及び貯蔵安定性のような二次的な検討事項によることが多い。
【0222】
医薬組成物は、化合物又はイメージング剤が、所望の局所適用の付近で、又は所望の作用を延長するため種々の回数で、胃腸管内に放出されるように、従来の方法により、典型的にはpH又は時間依存性コーティングにより、コーティングされてもよい。そのような剤形は、1種以上の酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、Eudragit(登録商標)コーティング、ワックス及びシェラックを典型的に含むがこれらに限定されない。
【0223】
経口使用のための医薬組成物はまた、硬質ゼラチンカプセルとして提供されてよく、ここで、有効成分は、不活性固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合され、又は軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよく、ここで、有効成分は、水又は油性媒質、例えばピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合される。
【0224】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、薬物の直腸投与のために座剤の形態で投与されてもよい。これらの医薬組成物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温では液体である好適な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製されることが可能であり、したがって、直腸中で溶融して薬物を放出することになる。そのような材料としては、カカオバター及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0225】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、局部又は局所の適用のために、例えば皮膚、及び眼の中などの粘膜のための局所適用のために、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、並びに眼への適用のために製剤化されてもよい。局所用の医薬組成物は、例えば溶液、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、乳液、クレンザー、モイスチャライザー、スプレー、スキンパッチなどを含む任意の形態にあってもよい。
【0226】
本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物、又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含む局所用の医薬組成物は、当技術分野で周知の種々の担体材料、例えば水、アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG-2プロピオン酸ミリスチルなどと混合され得る。
【0227】
局所用の担体中での使用に好適な他の材料としては、例えば軟化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤及び粉末が挙げられる。単独で、又は1種以上の材料との混合物として使用され得るこれらのタイプの材料のそれぞれの例は、以下の通りである。
【0228】
代表的な軟化剤としては、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、及びミリスチン酸ミリスチルが挙げられ;噴霧剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、及び亜酸化窒素が挙げられ;溶媒としては、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランが挙げられ;保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ナトリウム2-ピロリドン-5-カルボキシレート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、及びゼラチンが挙げられ;並びに粉末としては、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム、コロイド状の二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイトのクレイ、水和されたケイ酸アルミニウム、フュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びモノステアリン酸エチレングリコールが挙げられる。
【0229】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤はまた、経皮パッチとして経皮投与のために製剤化されてもよい。
【0230】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤はまた、リポソーム送達系において投与されてもよい。リポソームは、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、及び多層ベシクルに分類され得る。リポソームは、種々の両親媒性分子、特にリン脂質から形成され得る。リポソームの構成物としては、コレステロール、ステアリルアミン及び/又はホスファチジルコリンが挙げられる。リポソームは、局所及び種々の組織への注射を含む種々の投与の経路のために好適である。そのため、リポソームの硝子体内(例えば、緑内障の治療において)、腹腔内、静脈内、血管内、関節内、及び筋肉内投与が考えられる。
【0231】
化合物又はイメージング剤の全身系送達を達成するのに有用である他の医薬組成物は、舌下、口腔内及び鼻腔内投薬形態を含む。そのような医薬組成物は、可溶性フィラー物質、例えばスクロース、ソルビトール及びマンニトール、並びに結着剤、例えばアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種以上を典型的に含む。上に開示された流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、抗酸化剤及び芳香剤がまた、含まれてもよい。
【0232】
吸入のための医薬組成物は、溶液、懸濁液又はエマルションの形態において典型的に提供されることができ、それは、乾燥粉末として又は従来技術の噴霧剤(例えばジクロロジフルオロメタン若しくはトリクロロフルオロメタン)を使用するエアロゾルの形態において投与され得る。
【0233】
医薬組成物は、活性増強剤を場合によって含んでもよい。活性増強剤は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の治療効果を増強する又はそれに依存しない様々な態様で機能する多種多様な分子から選択され得る。特定の部類の活性増強剤は、皮膚浸透増強剤及び吸収増強剤を含む。
【0234】
医薬組成物は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の治療効果を増強する様々な態様で機能し得る多種多様な分子から選択され得る、追加の活性薬剤を含有してもよい。これらの任意の他の活性薬剤は、存在するとき、医薬組成物中に、0.01%~15%の範囲のレベルで典型的に利用される。一部の実施形態では、組成物の0.1重量%~10重量%を占める。他の実施形態では、組成物の0.5重量%~5重量%を占める。
【0235】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の用量は、他の考慮事項の中で、治療又は検出されるべき特定の病理過程、個体の生理学、症状の重症度、投与経路、投薬間隔の頻度、利用される特定の化合物、化合物の有効性、中毒学プロファイル、薬物動態プロファイル、及び有毒性副作用の存在を含む種々の要素に依存する。所定の状況下での用量は、一般に施術者によって、上記及び他の要素に基づいて適宜決定される。
【0236】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、典型的に、投薬レベルで、医師などの施術者によって決定された態様で投与される。例えば、化合物又はイメージング剤は、一般に0.001~100mg/kg、例えば0.01~100mg/kg、例えば0.1~70mg/kg、例えば0.5~10mg/kgの投薬レベルで、単回又は多回投薬により投与され得る。用量は、例えば、1日1回又は1日2回の投与に対するものであってよい。単位剤形は、一般に0.01~1000mg、例えば0.1~50mgの本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含有してよい。静脈内投与については、化合物又はイメージング剤は、例えば、0.001~50mg/kg、例えば0.001~10mg/kg、例えば0.01~1mg/kgの投薬レベルで、単回又は多回投薬により投与されてよい。単位剤形は、例えば、0.1~10mgの化合物又はイメージング剤を含有してよい。
【0237】
キット及びパッケージング
本明細書に記載されている化合物及び適切なパッケージングを含むキットもまた本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、キットはさらに使用のための指示書を含む。一部の実施形態では、キットは本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤並びに本明細書に記載されている疾患又は状態を含む適応症の治療における化合物の使用のためのラベル及び/又は指示書を含む。
【0238】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を適切な容器に含む製造物品もまた本明細書で提供される。容器はバイアル、瓶、アンプル、予め充填されたシリンジ及び静注用バッグであってもよい。
【0239】
パッケージングされた医薬組成物もまた提供される。このようなパッケージングされた組成物は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含む医薬組成物、及び対象(典型的にはヒト患者)を治療するために組成物を使用するための指示書を含む。一部の実施形態では、指示書は、本明細書に記載されている疾患又は状態を検出するために医薬組成物を使用するためのものである。パッケージングされた医薬組成物は、例えば、患者又は保健医療提供者への、又はパッケージングされた医薬組成物のラベルとしての、処方情報を含み得る。処方情報は、例えば、医薬組成物に関する有効性、用量及び投与、禁忌及び有害反応情報を含み得る。
【0240】
前述の全記載において、化合物又はイメージング剤は、単独で、混合物として、又は他の活性薬剤と組み合わせて投与され得る。
【0241】
本明細書に記載されている疾患又は状態の診断、予防、又は治療における使用のための医薬の製造のための、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の使用もまた提供される。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってもよい。
【0242】
本明細書に記載されている疾患又は状態の診断、予防、又は治療における使用のためのイメージング剤の製造のための、本明細書に記載されている化合物の使用もまた提供される。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってもよい。
【0243】
併用治療
本明細書に記載されている方法は、本明細書に記載されている疾患又は状態を検出、治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤及び1つ以上の追加の活性薬剤を同時に又は連続的に対象に投与することを含む、方法を含む。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってもよい。同時投与を使用する方法において、薬剤は、組み合わされた組成物中に存在し得る又は別々に投与され得る。1つ以上の追加の活性薬剤と組み合わせて使用される場合、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、追加の活性薬剤の投与の前に、それと同時に、又はその後に、投与されてよい。投与は同じ経路でも、異なる経路であってもよい。
【0244】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤及びハンチントン病の治療に使用される1つ以上の追加の活性薬剤、例えば、これらに限定されないがカルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、フルオキセチン、エスシタロプラム、バルプロエート、ラモトリギン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピン、及びリスペリドンを含む医薬組成物もまた提供される。同様に、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含む医薬組成物、及びハンチントン病の治療に使用される1つ以上の追加の活性薬剤、例えば、これらに限定されないがカルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、フルオキセチン、エスシタロプラム、バルプロエート、ラモトリギン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピン、及びリスペリドンを含む別の組成物を含むパッケージングされた医薬組成物もまた提供される。一部の実施形態では、活性薬剤は、カルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、フルオキセチン、エスシタロプラム、バルプロエート、ラモトリギン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピン、又はリスペリドンである。
【0245】
アルツハイマー病に関連した記憶及び/又は認知機能障害を治療することを含む、アルツハイマー病を治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤及び1つ以上の追加の薬剤を同時に又は連続的に対象に投与することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態では、活性薬剤はReminyl(登録商標)、Cognex(登録商標)、Aricept(登録商標)、Exelon(登録商標)、Akatinol(登録商標)、Neotropin(商標)、Eldepryl(登録商標)、エストロゲン、又はクリオキノールである。
【0246】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、パーキンソン病を治療するための活性薬剤と共に、例えば、L-ドパ、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、カベルゴリン、アポモルフィン、及びリスリド)、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、レボドパ、ベンセラジド、及びカルビドパ)、及び/又はMAO-B阻害剤(例えば、セレギリン及びラサギリン)と共に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、アルツハイマー病を治療するための活性薬剤と共に、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、ガランタミン、及びリバスチグミン)及び/又はNMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン)と共に投与することができる。
【0247】
化合物の合成
本明細書に記載されている化合物は、本明細書に開示されている方法、及び本明細書の開示及び当技術分野において周知の方法から明らかであるその通例の変法を使用して調製され得る。従来の及び周知の合成方法は、本明細書の教示に加えて使用され得る。本明細書に記載されている典型的な化合物の合成は、以下の実施例において記載される通り達成され得る。利用可能な場合、試薬は、市販で、例えばSigma Aldrich又は他の化学物質供給者から購入できる。
【0248】
本明細書に記載されている化合物は、例えば、以下の一般的な方法及び手順を使用して、容易に入手できる出発物質から調製され得る。典型的又は好ましい工程条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他に述べられていない限り他の工程条件も使用できることは理解される。最適な反応条件は、具体的な反応物又は使用される溶媒で変化する場合があるが、そのような条件は、通常の最適化手順によって当業者によって決定され得る。
【0249】
加えて、当業者に明らかである通り、従来の保護基が、特定の官能基が望ましくない反応を受けることを防ぐために必要である場合がある。種々の官能基のための好適な保護基並びに特定の官能基を保護する及び脱保護するための好適な条件は、当技術分野において周知である。例えば多数の保護基が、Wuts, P. G. M.、Greene, T. W.、& Greene, T. W. (2006年)、Greene's protective groups in organic synthesis. Hoboken, N.J.、Wiley-Interscience及びこれに引用されている参考文献に記載されている。
【0250】
さらに、本明細書に記載されている化合物は、1つ以上の不斉(「キラル」)中心を含有し得る。それにより所望により、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち個別のエナンチオマー若しくはジアステレオマーとして、又は立体異性体富化混合物として調製又は単離され得る。すべてのそのような立体異性体(及び富化混合物)は、他に示されない限り、本開示の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(又は富化混合物)は、例えば、当技術分野において周知の光学的に活性な出発物質又は立体選択的な試薬を使用して調製され得る。代替的に、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー、キラル分割剤などを使用して分離され得る。エナンチオマーとして純粋な又は富化された化合物が所望される場合、キラルクロマトグラフィー及び/又はエナンチオマーとして純粋な若しくは富化された出発物質を、当技術分野で慣例的に使用されているように又は実施例に記載されているように利用することができる。
【0251】
以下の反応についての出発物質は、一般に公知の化合物である、又は公知の手順若しくはその明らかな変法によって調製され得る。例えば、多くの出発物質が業者、例えば、Sigma Aldrich、Alfa Aesarなどから利用可能である。他は、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley, and Sons、1991年)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1~5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers、1989年) organic Reactions、1~40巻(John Wiley, and Sons、1991年)、March's Advanced Organic Chemistry、(John Wiley, and Sons、第5版、2001年)並びにLarock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989年)などの標準的な参考文献に記載されている手順又はその明らかな変法によって調製され得る。
【0252】
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」及び「不活性溶媒」は、それと併せて記載されている反応の条件下で不活性な溶媒を指す(例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(又はジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどが挙げられる)。一般的に、用語不活性は、溶媒に関して本明細書で使用される場合、炭素-炭素結合形成反応によって目的の標的化合物を形成する反応を起こさない材料を指す。そうでないと指定されない限り、本開示の反応で使用される溶媒は、不活性有機溶媒であり、反応は不活性ガス、好ましくは窒素又はアルゴン下で実行される。
【0253】
用語「q.s.」は、述べられた機能を達成するため、例えば、溶液を所望の体積(すなわち、100%)にするために十分な量を加えることを意味する。
【0254】
下記の各スキームにおいて任意の置換基の付加が、そのいずれか又はすべてが従来の技術を使用して単離及び精製され得る多数の異性体の生成物(それだけには限らないが、エナンチオマー又は1個以上のジアステレオマーを含む)の生成をもたらし得ることも理解される。
【0255】
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤への標識の組み込みは、好適な出発物質を、放射性同位体を含む試薬と反応させることによって行われてよい。方法は通常標準的な有機化学反応と同じ原理に従い、本開示に提供されるものを含めて当業者に公知の任意の方法で行うことができる。
【0256】
スキーム1は、本明細書で提供される化合物(例えば、式Iの化合物)の合成に対する例示的な合成経路を提供する。式Iの化合物、又は本明細書に開示されている他の式又は化合物は、典型的には、まず、例えば化合物1又は化合物1aを調製し、次いで、好適な条件(例えば、求核付加又はクロスカップリング)を使用して所望の置換基を結合することによって調製される。
【0257】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物の合成は、スキーム1に従って進行する。
【0258】
【化23】
【0259】
スキーム1では、R2、R3、R4、R5、R6、R10、Y1、Y2、L、X、m、n、及び環Aは、本明細書に定義されている通りである。Rは、本明細書に定義されているR1であるか、又はRは、保護基(例えば、以下の実施例に記載されている窒素保護基)である。LGは、脱離基(例えば、ハロゲン、トリフレート、メシレート、トシレート、又は任意の他の好適な脱離基)である。
【0260】
スキーム1では、XがCR11であり、R11が本明細書に定義されている通りである場合、化合物1は、当技術分野で公知の方法を使用して調製され、及び/又は市販のジヒドロイソインドリノンから出発して、1つ以上のステップにより式Iの化合物へと変換される。ジヒドロイソインドリノン1は、塩基(例えば、リン酸カリウム、炭酸セシウム、又は任意の他の好適な塩基)の存在下での遷移金属に基づくカップリング(例えば、パラジウムに基づく試薬、例えばPd2(dba)3又は任意の他の好適な試薬の存在下で)により化合物2とカップリングされて、化合物3を生じる。化合物1、2、又は3における脱離基(各例においてブロモとして図示される)は、任意の他の好適な脱離基(例えば、トリフレート)であってもよいことが理解されるであろう。化合物3は、ボロネート4へと変換され、次いでこれは以下の実施例セクションに記載される方法を使用してヒドロキシ化合物5へと変換される。ヒドロキシ化合物5は、化合物6とO-アルキル化され、式Iの化合物を生じる。LGは、クロロ、ヨード、ブロモ、又はトリフレート基を含むがこれらに限定されない任意の好適な脱離基であってよい。一部の実施形態では、式IにおいてR1がHである場合、さらなる脱保護ステップが、窒素原子上の保護基を除去するために必要とされ得る。
【0261】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物の合成は、スキーム2に従って進行する。
【0262】
【化24】
【0263】
ジヒドロイソインドリノン1aは、(例えば、商業的供給源から、又は当技術分野で公知のプロセスにより得られた)出発物質として使用され、化合物2とカップリングされて、化合物5aを生じ、次いで、化合物5aのヒドロキシ基が、化合物6とO-アルキル化されて、 式Iの化合物を生じ得る。
【0264】
当業者であれば、化合物1、2、及び6のいずれも、特定の実施形態について業者から入手可能であり得ることを理解するであろう。あるいは、化合物1,2、及び6の合成は、本明細書に記載されている通り又は当業者に公知の通りであってよい。
【実施例
【0265】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示されている技術は、本開示の実施において良好に機能する技術を代表しており、よって、その実施のための特定のモードを構成すると見なされ得ることが、当業者には理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態に多くの変更を行い、依然として本開示の精神及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0266】
1.一般的実験手順
市販の試薬及び溶媒(HPLCグレード)をさらに精製することなく使用した。重水素化溶媒中でBruker製DRX 500MHz分光計、又はBruker製DPX 250MHz分光計、又はBruker製AVANCE 300若しくはBruker製AVANCE 500分光計で、1H NMRスペクトルを記録した。化学シフト(δ)は、百万分率で表される。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、実験項で記録された、適切な大きさのSNAP又はKPNH予備パックシリカカラム及び溶媒を使用するBiotage Isoleraシステム、又は実験項で記録された、適切な大きさの予備パックシリカカラム及び溶媒を使用するIsco Combiflash Rfシステムでの自動化精製を指す。逆相MPLCクロマトグラフィーは、実験項で記録された、適切な大きさの予備パックC18カラム及び溶媒を使用するIsco Combiflash Rfシステムで実施した。Kieselgel 60 F254 (Merck)プレートにより薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を実施し、UV光を使用して可視化した。メタノール中で試料をロードし、メタノール、次いでメタノール中5%アンモニアで溶出するBiotage製Isolute Flash SCX-2を用いて、SCXクロマトグラフィーを実施した。
【0267】
2.分析法
酸性相HPLC法
島津製LCMS-2010EVシステムで、Kinetix製Core-Shell C18逆相カラム(5μm、2.1×50mm)を使用して、カラム温度40℃、勾配5~100%B(A=水/0.1%ギ酸、B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)にて、1.2分間、次いで、100%B、0.1分間、注入容積3μL、流速=1.2mL/分にて、分析HPLC-MS(METCR1410)を実施した。該方法の他のすべての態様は変更しなかった。
【0268】
別の方法として、島津製LCMS-2010EVシステムで、Atlantis dC18逆相カラム(3μm、2.1×50mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%ギ酸、B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)、3分間、注入容積3μL、流速=1.0mL/分にて、(METCR1278)分析HPLC-MSを実施した。215nmにて、SPD-M20Aフォトダイオードアレイ検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。LCMS2010EVを使用して、毎秒スキャン2回のサンプリング速度にて、m/z150~850の範囲にわたり、質量スペクトルを得た。島津製LCMS-Solutions及びPsiPortソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
【0269】
別の方法として、Waters製PDA及びELS検出器を備えたWaters製Acquity UPLCシステムで、Phenomenex製Kinetex-XB C-18カラム(1.7μm、2.1mm×100mm)を使用して、カラム温度40℃、勾配5~100%B(A=水/0.1%ギ酸;B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)にて、5.3分間、次いで、100%B、0.5分間、流速=0.6mL/分にて、(MET-uHPLC-AB-101)分析HPLC-MSを実施した。215nmにて、Waters製Acquity PDA検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。Waters製ZQを使用して、毎秒スキャン2回のサンプリング速度にて、m/z150~850の範囲にわたり、質量スペクトルを得た。OpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
【0270】
別の方法として、Waters製UPLCTM BEHTM C18カラム(2.1mm×50mm、1.7μm;温度:40℃)を使用した逆相システムで、注入容積1μL、流速0.9mL/分、勾配5~100%B(A=水中の0.1%ギ酸;B=アセトニトリル中の0.1%ギ酸)にて、1.1分間、次いで、100%B、0.25分間、(METCR1704)分析UHPLC-MSを実施した。次いで、第2の勾配100~5%Bを0.05分間適用し、0.1分間保持した。215nm、スペクトル範囲:200~400nmにてUVスペクトルを記録した。Waters製SQD又はQDA検出器;イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブ又はネガティブを使用して、質量スペクトルを得た。Waters製MassLynx及びOpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
【0271】
別の方法として、Waters製Acquity H-Classシステムで、Acquity UPLC BEH C18カラム(1.7μm、2.1×75mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、6.0分間、次いで、100%B、2.0分間、流速=0.5mL/分にて、UHPLC(MET-uHPLC-001)を実施した。254及び215nmにてUVスペクトルを記録した。
【0272】
別の方法として、Waters製Acquity H-Classシステムで、Acquity UPLC BEH C18カラム(1.7μm、2.1×75mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、6.0分間、次いで、100%B、2.0分間、流速=0.4mL/分にて、UHPLC(MET-uHPLC-002)を実施した。254及び215nmにてUVスペクトルを記録した。
【0273】
別の方法として、Varian Pro Star 210システムで、XBridge C18カラム(3.5μm、4.6×150mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、20.0分間、次いで、100%B、5.0分間、流速=1.0mL/分にて、分析HPLC(MET-uHPLC-003)を実施した。254及び215nmにて、Varian Pro Star 330(PDA)検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。
【0274】
別の方法として、Varian Pro Star 210システムで、Luna C18(2)カラム(5μm、4.6×250mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、20.0分間、次いで、100%B、5.0分間、流速=1.5mL/分にて、分析HPLC(MET-uHPLC-004)を実施した。254nmにて、Varian Pro Star 330(PDA)検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。
【0275】
別の方法として、Varian Pro Star 210システムで、Luna C18(2)カラム(5μm、4.6×150mm)を使用して、勾配5~90%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、15.0分間、次いで、90%B、5.0分間、流速=1.15mL/分にて、分析HPLC(MET-uHPLC-005)を実施した。254及び215nmにて、Varian Pro Star 330(PDA)検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。
【0276】
別の方法として、Waters製Acquity SQD(ESI、UP-LCMS)システム又はAgilent G6100A SQ LCMSシステムを使用して、質量スペクトル及びLCMS分析を得た。
【0277】
塩基性相HPLC法
Hewlett Packard製HPLCシステムで、Phenomenex製Gemini C18逆相カラム(3μm、2.0×50mm)を使用して、カラム温度60℃、勾配1~100%B(A=pH10に緩衝化した水中2mM重炭酸アンモニウム、B=アセトニトリル)にて、1.8分間、次いで、100%B、0.3分間、注入容積3μL、流速=1mL/分にて、分析HPLC-MS(METCR0990)を実施した。215nmにて、Waters製PDA検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。Waters製ZQを使用して、毎秒スキャン2回のサンプリング速度にて、m/z150~850の範囲にわたり、質量スペクトルを得た。OpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
【0278】
Hewlett Packard製HPLCシステムで、Phenomenex製Gemini C18逆相カラム(3μm、2.0×100mm)を使用して、勾配5~100%B(A=pH10に緩衝化した水中2mM重炭酸アンモニウム、B=アセトニトリル)にて、5.5分間、次いで、100%B、0.4分間、注入容積3μL、流速=0.5mL/分にて、分析HPLC-MS(METCR1600)を実施した。215nmにて、Waters製PDA検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。Waters製ZQを使用して、毎秒スキャン2回のサンプリング速度にて、m/z150~850の範囲にわたり、質量スペクトルを得た。OpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
【0279】
別の方法として、Waters製UPLCTM BEHTM C18カラム(2.1mm×30mm、1.7μm;温度40℃)を使用した逆相で、注入容積1μL、流速=1.0mL/分、勾配1~100%B(A=pH10に緩衝化した水中2mM重炭酸アンモニウム;B=アセトニトリル)にて、1.1分間、次いで、100%B、0.25分間、(MET-uHPLC-AB-2005)分析UHPLC-MSを実施した。次いで、第2の勾配100~1%Bを0.05分間適用し、0.4分間保持した。215nm、スペクトル範囲:200~400nmにてUVスペクトルを記録した。Waters製Quattro Premier XE質量検出器又はWaters製SQD2;イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブ又はネガティブを使用して、質量スペクトルを得た。Waters製MassLynx及びOpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
【0280】
別の方法として、Waters製Acquity H-Classシステムで、Acquity UPLC BEH C18カラム(1.7μm、2.1×75mm)を使用して、勾配5~100%B(水酸化アンモニウムでpH10に緩衝化した水中10mMギ酸アンモニウム、B=95:5アセトニトリル/水)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、6.0分間、次いで、100%B、2.0分間、流速=0.4mL/分にて、UHPLC(MET-uHPLC-006)を実施した。254及び215nmにてUVスペクトルを記録した。
【0281】
すべての実施例化合物は、特に明示しない限り、>95%のLC純度を示す。
【0282】
分取HPLC法
Varian Prep HPLCシステムで、Varian SD-1分取LCポンプ及びProStar 325 UV/Vis検出器を使用して、分取HPLC分離を実施した。XBridge Prep C18 OBDカラム(5μm、19×250mm)を使用し、溶媒勾配法2に従って溶出した。
【0283】
【表3】
【0284】
中間体
中間体1:(5-(フルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
【0285】
【化25】
【0286】
ステップ1:メチレンビス(4-メチルベンゼンスルホネート)
p-トルエンスルホン酸銀(11.5g、41.1mmol)及びMeCN(43.4mL)の混合物をジヨードメタン(5.00g、18.7mmol)で処理し、混合物を還流で16時間撹拌した。この後、混合物を周囲温度に冷却し、濾過し、濾過ケーキをMeCN(3×20mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮した。DCM(40mL)を残留物に加え、懸濁液を濾過し、濾過ケーキをDCM(3×20mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮し、得られた残留物をEtOH(30mL)から再結晶化した。単離された生成物を真空で乾燥させ、表題化合物(4.09g、62%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.59 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.25 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 5.81 (s, 2H), 2.45 (s, 6H).
【0287】
ステップ2:フルオロメチル4-メチルベンゼンスルホネート
メチレンビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(4.09g、11.5mmol)及びMeCN(26.7mL)の混合物をTHF中の1M TBAF(12.6mL、12.6mmol)で処理し、混合物を還流で2時間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、得られた残留物をEtOAc(40mL)に溶解した。溶液をブライン(40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、ヘプタン中の0~50%EtOAc)により精製し、表題化合物(609mg、26%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.84 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 5.74 (d, J = 51.0 Hz, 2H), 2.64 (s, 3H).
【0288】
ステップ3:(5-(フルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(300mg、2.40mmol)、フルオロメチル4-メチルベンゼンスルホネート(588mg、2.88mmol)、及びアセトン(9.0mL)の混合物を炭酸カリウム(994mg、7.19mmol)で処理し、混合物を70℃で16時間加熱した。この後、混合物を周囲温度に冷却し、DCM(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物(108mg、29%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.32 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.90 (d, J = 54.0 Hz, 2H), 5.41 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 5.7 Hz, 2H).
【0289】
中間体2:2-((6-(クロロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート
【0290】
【化26】
【0291】
ステップ1:エタン-1,2-ジイル-d4ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)
p-トルエンスルホニルクロリド(5.77g、30.3mmol)を、DCM(80mL)中のエチレングリコール-d4(0.673mL、12.1mmol)及びトリエチルアミン(8.41mL、60.5mmol)の混合物に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、DCM(40mL)を加え、混合物を水(100mL)で洗浄した。水層をDCM(100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%EtOAc)により精製し、表題化合物(3.84g、85%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.34 (d, J = 7.8 Hz, 4H), 2.46 (s, 6H). MS (ES+) (M+H)+ 375.
【0292】
ステップ2:2-((6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート
エタン-1,2-ジイル-d4ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(4.51g、11.8mmol)を、MeCN(49.3mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(492mg、3.93mmol)及び炭酸セシウム(3.84g、11.8mmol)の混合物に加え、混合物を80℃で2.5時間撹拌した。この後、反応混合物を冷却し、珪藻土を通して濾過した。濾過ケーキをEtOAc(2×50mL)ですすぎ、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物(450mg、34%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.13 (dd, J = 2.4, 0.9 Hz, 1H), 7.83 - 7.80 (m, 2H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.18 - 7.11 (m, 2H), 4.70 (s, 2H), 3.34 (br s, 1H), 2.46 (s, 3H).
【0293】
ステップ3:2-((6-(クロロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート
塩化チオニル(0.197mL、2.70mmol)を、0℃のDCM(9.4mL)中の2-((6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート(450mg、1.35mmol)の混合物に加え、溶液を0℃で1時間撹拌した。この後、水(25mL)を加え、層を分離し、水層をDCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物(475mg、99%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.13 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.83 - 7.80 (m, 2H), 7.37 - 7.34 (m, 3H), 7.12 (dd, J = 8.4, 3.0 Hz, 1H), 4.63 (s, 2H), 2.46 (s, 3H).
【0294】
中間体3:2-(クロロメチル)-5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン
【0295】
【化27】
【0296】
ステップ1:2-フルオロエチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート
THF中の1.0M TBAF(8.97mL、8.97mmol)を、MeCN(17.4mL)中のエタン-1,2-ジイル-d4ビス(4-メチル-ベンゼンスルホネート)(2.80g、7.48mmol)に加え、混合物を還流で2時間撹拌した。この後、混合物を冷却し、DCM(100mL)で希釈し、水(40mL)で洗浄した。水層をDCM(100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、ヘプタン中の0~100%DCM)により精製し、表題化合物(601mg、36%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 2.46 (s, 3H).
【0297】
ステップ2:(5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メタノール
MeCN(20.0mL)中の2-フルオロエチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート(363mg、1.60mmol)、6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(200mg、1.60mmol)及び炭酸セシウム(1.56g、4.80mmol)の混合物を80℃で2.5時間撹拌した。この後、反応混合物を冷却し、珪藻土を通して濾過した。濾過ケーキをEtOAc(2×50mL)ですすぎ、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物(133mg、47%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.29 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.29 - 7.19 (m, 2H), 4.72 (s, 2H), 3.39 (br s, 1H).
【0298】
ステップ3:2-(クロロメチル)-5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン
塩化チオニル(0.139mL、1.91mmol)を、DCM(6.7mL)中の(5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メタノール(167mg、0.953mmol)の混合物に加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。この後、混合物を水(25mL)に注ぎ、層を分離し、水層をDCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物(180mg、98%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.30 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 4.72 (s, 2H).
【0299】
中間体4:4-クロロ-2-(クロロメチル)-5-メトキシピリジン
【0300】
【化28】
【0301】
MeCN(2mL)中の2-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシピリジン-4-オール(50mg、0.32mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(0.090mL、0.98mmol)を加え、混合物を70℃で22時間加熱した。この後、追加のオキシ塩化リン(0.090mL、0.98mmol)を加え、加熱を20時間続けた。次いで、オキシ塩化リン(0.090mL、0.98mmol)の第3の部分を加え、加熱を20時間続けた。この後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をEtOAc(20mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和した。層を分離し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~10%MeOH)により精製し、表題化合物(22mg、35%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.22 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.01 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 192.
【0302】
中間体5:2-(クロロメチル)-5-(1-フルオロエトキシ)ピリジン塩酸塩
【0303】
【化29】
【0304】
ステップ1:エタン-1,1-ジイルビス(4-メチルベンゼンスルホネート)
MeCN(20mL)中の1,1-ジヨードエタン(500mg、1.77mmol)及びp-トルエンスルホン酸銀(990mg、3.55mmol)の混合物を、室温で3日間撹拌した。この後、揮発物を真空下で除去し、得られた残留物をDCMに懸濁した。固体を濾過により除去し、濾液を真空下で室温で濃縮し、表題化合物(570mg、87%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.70 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 7.31 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 6.39 (q, J = 5.3 Hz, 1H), 2.45 (s, 6H), 1.54 (d, J = 5.3 Hz, 3H).
【0305】
ステップ2:1-フルオロエチル4-メチルベンゼンスルホネート
THF(30mL)中のエタン-1,1-ジイルビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(550mg、1.48mmol)及びTBAF(THF中1M、1.63mL、1.63mmol)の混合物を室温で5日間撹拌した。この後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、ヘキサン中の0~10%EtOAc)により精製し、表題化合物(67mg、20%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.82 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.23 (dq, J = 57.0, 5.0 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H), 1.56 (dd, J = 20.6, 5.5 Hz, 3H).
【0306】
ステップ3:(5-(1-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
室温のDMF(10mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(103mg、0.825mmol)及び炭酸水素カリウム(165mg、1.65mmol)の混合物に、1-フルオロエチル4-メチルベンゼン-スルホネート(60mg、0.27mmol)を加え、混合物を100℃で一晩加熱した。この後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~50%MeOH)により精製し、表題化合物(20mg、42%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.38 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.3, 2.2 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.94 (dq, J = 62.3, 4.8 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 1.69 (dd, J = 20.0, 4.9 Hz, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 172.
【0307】
ステップ4:2-(クロロメチル)-5-(1-フルオロエトキシ)ピリジン塩酸塩
室温のDCM(5mL)中の(5-(1-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール(16mg、0.093mmol)の混合物に、塩化チオニル(111mg、0.930mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。この後、溶媒を減圧下で除去し、表題化合物(23mg、>99%)を得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) 8.30 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.63 - 7.50 (m, 2H), 6.14 (dq, J = 61.9, 4.8 Hz, 1H), 4.67 (s, 2H), 1.65 (dd, J = 20.2, 4.8 Hz, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 190.
【0308】
中間体6:6-ブロモ-2-(2-フルオロエチル)ピリダジン-3(2H)-オン
【0309】
【化30】
【0310】
反応バイアル中の6-ブロモピリダジン-3(2H)-オン(50mg、0.29mmol)に、炭酸カリウム(79mg、0.57mmol)を加え、続いて、DMF(1mL)、及び1,4-ジオキサン(2mL)中の1-ブロモ-2-フルオロエタン(58mg、0.46mmol)の溶液を加えた。反応バイアルを密封し、130℃で1時間加熱した。この後、反応混合物を室温に冷却し、減圧下で乾燥するまで濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、ヘキサン中の0~50%EtOAc)により精製し、表題化合物(48mg、76%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.29 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.79 (dt, J = 47.1, 5.0 Hz, 2H), 4.44 (dt, J = 24.6, 5.0 Hz, 2H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -225.67. MS (ES+) (M+H)+ 221.
【0311】
中間体7:6-(クロロメチル)-2-フルオロ-3-メトキシ-ピリジン
【0312】
【化31】
【0313】
ステップ1:tert-ブチル-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-ジメチル-シラン
(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(750mg、5.39mmol)及びイミダゾール(404mg、5.93mmol)をDCM(20mL)に溶解し、tert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン(2.03g、13.5mmol)を加えた。反応物を室温で4時間撹拌した。反応混合物をH2O(15mL)で希釈し、有機画分を抽出した。水相をDCM(10mL)で再抽出し、合わせた有機物をブライン溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。粗残留物をFCC(シリカ、ヘプタン中の0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物(1.26g、83%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.19 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.38 - 7.31 (m, 1H), 4.68 (s, 2H), 3.81 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.07 (s, 6H). Tr(METCR1704) = 1.00分, m/z (ES)+ [M+H]+ = 254.2, 100%.
【0314】
ステップ2:tert-ブチル-[(6-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-ジメチル-シラン
-78℃の無水THF(10mL)中のtert-ブチル-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-ジメチル-シラン(400mg、1.58mmol)の溶液に、2.5Mブチルリチウム(0.82mL、2.05mmol)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。次いで、N-フルオロ-N-(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(647mg、2.05mmol)を加え、反応混合物を室温に温め、1.5時間撹拌した。反応混合物をブライン溶液及びEtOAcで希釈し、有機画分を抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。粗残留物をFCC(シリカ、ヘプタン中の0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物(84mg、18%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.66 (dd, J = 10.6, 8.1 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.86 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.08 (s, 6H). Tr(METCR1704) = 1.18分, m/z (ES)+ [M+H]+ = 272.1, 90%.
【0315】
ステップ3:(6-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メタノール
室温のTHF(2mL)中のtert-ブチル-[(6-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-ジメチル-シラン(84mg、0.31mmol)の溶液に、THF中の1M TBAF(0.31mL、0.31mmol)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(3mL)で希釈し、生成物をEtOAc(2×5mL)で抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中の0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物(40mg、77%収率)を得た。Tr(METCR1704) = 0.45分, m/z (ES)+ [M+H]+ = 158.0, 94%.
【0316】
ステップ4:6-(クロロメチル)-2-フルオロ-3-メトキシ-ピリジン
(6-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メタノール(40mg、0.255mmol)をDCM(2mL)に溶解し、塩化チオニル(0.19mL、2.55mmol)を加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、DCM(×2)及びEt2Oと共沸させ、表題化合物(50mg、98%収率)を得た。Tr(METCR1704) = 0.74分, m/z (ES)+ [M+H]+ = 176.0, 177.9, 88%.
【0317】
中間体8:2-(クロロメチル)-4-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン
【0318】
【化32】
【0319】
ステップ1:メチル5-(メトキシメトキシ)ピリジン-2-カルボキシレート
THF(60mL)を含有するN2下の室温のRBFに、連続的に、トリエチルアミン(6.8mL、49.0mmol)、メチル5-ヒドロキシピリジン-2-カルボキシレート(5.00g、32.6mmol)(一度に)を加え、続いて、クロロ(メトキシ)メタン(3.7mL、49.0mmol)を5分かけて滴下添加した。混合物をN2でフラッシュしてすべてのフュームを排出させ、生じた懸濁液を室温で一晩撹拌した。反応物を水(50mL)の上に注ぐことによりクエンチした。EtOAc(2×50mL)で抽出した後、合わせた有機物をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空で濃縮した。粗残留物(淡黄色固体)をカラムクロマトグラフィー(Biotage Sfar Duo 50gカートリッジ、ヘプタン中の0~40%EtOAc、生成物を30%EtOAcで溶出した)により精製し、表題化合物(5.50g、83%収率)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.43 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 5.36 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.41 (s, 3H). Tr(METCR1704) = 0.55分, m/z (ES+) [M+H]+ = 198.0, 97%.
【0320】
ステップ2:[5-(メトキシメトキシ)-2-ピリジル]メタノール
窒素下、無水トルエン(200mL)中のメチル5-(メトキシメトキシ)ピリジン-2-カルボキシレート(5.50g、27.9mmol)の溶液を-78℃に冷却し、DIBAL(ヘプタン中1M、73mL、73mmol)を45分かけて加えた。反応物を0℃に温め、2時間撹拌した。反応物を0℃でさらなるDIBAL(ヘプタン中1M、11mL、11mmol)で再処理し、撹拌をさらに1時間続けた。反応物を水(50mL)の添加によりクエンチした。EtOAcを加えた(200mL)。MgSO4の添加後、混合物を濾過し、さらなるEtOAcで溶出し、濾液を濃縮し、表題化合物(2.50g、48%収率)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.23 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.6, 2.8 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.31 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.49 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-2005) = 0.38分 m/z (ES+)(M+H)+ 470, 91%.
【0321】
ステップ3:tert-ブチル-[[5-(メトキシメトキシ)-2-ピリジル]メトキシ]-ジメチル-シラン
[5-(メトキシメトキシ)-2-ピリジル]メタノール(2.50g、14.8mmol)及び1H-イミダゾール(1.1g、16.3mmol)をDCM(100mL)に溶解し、tert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン(2.90g、19.2mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。さらなる1H-イミダゾール(250mg、3.7mmol)及びtert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン(500mg、3.3mmol)を加え、撹拌を室温でさらに1.75時間続けた。反応混合物を水(50mL)で希釈した。分離後、水相をCH2Cl2(2×50mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン溶液(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空で濃縮した。粗残留物をBiotage Sfar Duo 2×25gカートリッジ、ヘプタン中の0~40%EtOAcを使用してカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(3.5g、84%)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.25 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.36 (d, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.68 (s, 2H), 3.38 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.08 (s, 6H). Tr(METCR1704) = 1.03分, m/z (ES+) [M+H]+ = 284.2, 100%.
【0322】
ステップ4:tert-ブチル-[[4-フルオロ-5-(メトキシメトキシ)-2-ピリジル]メトキシ]-ジメチル-シラン
-78℃の無水THF(35mL)中のtert-ブチル-[[5-(メトキシメトキシ)-2-ピリジル]メトキシ]-ジメチル-シラン(2.2g、7.06mmol)の溶液に、N-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、3.7mL、9.17mmol)を加え、反応混合物をその温度で1時間撹拌した。次いで、N-フルオロ-N-(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(NFSI)(2.89g、9.17mmol)を10秒かけて固体として直接加え、反応混合物を室温に温め、40分間撹拌した。反応物をブライン溶液(50mL)上に注ぐことによりクエンチした。EtOAc(2×40mL)で抽出した後、合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空で濃縮した。残留物をBiotage Isolera(Sfar Duo 25g、ヘプタン中の2~30%EtOAc、DCMを用いてローディング)を使用してFCCにより精製し、表題化合物(1.4g、55%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.39 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.28 - 7.25 (m, 1H), 5.21 (s, 2H), 4.75 (d, J = 0.7 Hz, 2H), 3.54 (s, 3H), 0.95 (s, 9H), 0.12 (s, 6H). Tr(METCR1704) = 1.13分, m/z (ES+) [M+H]+ = 302.2, 68%.
【0323】
ステップ5:6-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-フルオロ-ピリジン-3-オール
DCM(20.26mL)中のtert-ブチル-[[4-フルオロ-5-(メトキシメトキシ)-2-ピリジル]メトキシ]-ジメチル-シラン(1013mg、3.36mmol)の溶液に、二臭化亜鉛(1.5g、6.72mmol)及びプロパン-1-チオール(0.61mL、6.72mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、その後、飽和NaHCO3水溶液(10mL)の添加によりクエンチした。0℃で15分間撹拌した。水(25mL)を加え、DCM(3×30mL)で抽出した後、合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮し、暗い橙色の油を得た。残留物をBiotage Isolera(Sfar Duo 50g、ヘプタン中の12~80%EtOAc、DCMを用いてローディング)を使用してFCCにより精製し、表題化合物(388mg、43%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.24 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 4.75 (s, 2H), 0.95 (s, 9H), 0.11 (s, 6H). Tr(METCR1704) = 0.91分, m/z (ES+) [M+H]+ = 258.2, 94%.
【0324】
ステップ6:tert-ブチル-[(4-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-ジメチル-シラン
DMF(5mL)中の6-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-フルオロ-ピリジン-3-オール(385mg、1.50mmol)の溶液に、炭酸セシウム(585mg、1.80mmol)を加え、続いてヨードメタン(0.11mL、1.80mmol)を加えた。混合物を35℃に加熱し、その温度で3時間撹拌した。冷却後、反応物を飽和NaHCO3水溶液(10mL)上に注ぐことによりクエンチし、水(10mL)を加えた。Et2O(3×20mL)で抽出した後、合わせた有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空で濃縮した。残留物をBiotage Isolera(10g、ヘプタン中の2~30%EtOAc、DCMを用いてローディング)を使用してFCCにより精製し、 表題化合物(243mg、59%収率)を無色の流動性のよい油として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.21 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.26 - 7.23 (m, 1H), 4.74 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 0.95 (s, 9H), 0.12 (s, 6H). Tr(METCR1704) = 1.11分, m/z (ES+) [M+H]+ = 272.2, 98%.
【0325】
ステップ7:(4-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メタノール
5℃のTHF(6mL)中のtert-ブチル-[(4-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-ジメチル-シラン(98%、243mg、0.877mmol)の溶液に、TBAF(THF中1M、1.1mL、1.05mmol)を加え、溶液を5~10℃で1.5時間撹拌した。反応物を飽和NaHCO3水溶液(10mL)上に注ぐことによりクエンチした。水(10mL)及びEtOAc(10mL)を加えた。分離が不十分だったため、ブライン(5mL)を加えた。分離後、水相をEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空で濃縮した。残留物をBiotage Isolera(10g、DCM中の5~30%メタノール、DCMを用いてローディング)を使用してFCCにより精製し、表題化合物(125mg、86%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.26 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 4.69 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.34 (s, 1H). Tr(MET-uHPLC-AB-2005) = 0.38分 m/z (ES+) (M+H)+ 158.1, 95%.
【0326】
ステップ8:2-(クロロメチル)-4-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン
(4-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メタノール(30mg、0.191mmol)をDCM(1.5mL)に溶解し、塩化チオニル(0.07mL、0.955mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をN2流下で濃縮した。Et2O(2×)でトリチュレーションし、揮発物を蒸発させ(N2流下で)、続いて、真空オーブンで乾燥させ、表題化合物(33mg、95%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.42 (s, 1H), 7.67 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.08 (s, 2H), 4.12 (s, 3H). Tr(METCR1704) = 0.66分, m/z (ES+) (M+H)+ = 176.0, 178.0, 96%.
【0327】
方法
方法1
方法1のスキーム
【0328】
【化33】
【0329】
ステップ1:5-メトキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(22.8mL)中の5-メトキシ-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オン(546mg、3.35mmol)、6-ブロモ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノン(759mg、4.02mmol)、RuPhos(234mg、0.502mmol)、炭酸セシウム(3.27g、10.0mmol)、及びPd2(dba)3(153mg、0.167mmol)の混合物を、100℃で16時間加熱した。この後、反応混合物を冷却し、水(50mL)を加えた。形成した固体を濾過により収集し、真空で乾燥させ、表題化合物(691mg、76%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.11-7.07 (m, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.64 (s, 3H).
【0330】
ステップ2:5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
DCM中の1.0M三臭化ホウ素(27.6mL、27.6mmol)を、1,2-ジクロロエタン(276mL)中の5-メトキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(691mg、2.55mmol)の溶液に加え、混合物を還流で16時間撹拌した。この後、混合物を冷却し、氷を加え、続いて飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)を加えた。形成した固体を濾過により収集し、真空で乾燥させ、次いで、メタノール(659mL)に懸濁し、混合物を還流で1時間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、水(100mL)を加え、混合物を10分間超音波処理した。生成物を濾過により収集し、真空で乾燥させ、表題化合物(540mg、82%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 10.47 (br s, 1H), 8.58 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.00 (s, 1H), 6.91 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.83 (s, 2H), 3.63 (s, 3H).
【0331】
ステップ3:2-(クロロメチル)-5-フルオロピリジン
塩化チオニル(0.057mL、0.79mmol)を、DCM(2.7mL)中の(5-フルオロピリジン-2-イル)メタノール(50mg、0.39mmol)の混合物に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。この後、混合物を水(25mL)に注ぎ、DCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物(57mg、99%収率)を得て、これを精製することなく次のステップに使用した。
【0332】
ステップ4:5-((5-フルオロピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
DMSO(2mL)中の5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(50mg、0.19mmol)、2-(クロロメチル)-5-フルオロピリジン(50mg、0.34mmol)、及び炭酸カリウム(81mg、0.58mmol)の溶液を70℃で20時間加熱した。この後、水(20mL)を加え、形成した固体を濾過により収集し、MeOH(10mL)中でトリチュレーションした。この材料をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、収集した生成物をMeCN(10mL)中でトリチュレーションし、1:2 MeCN/水(10mL)から凍結乾燥させ、表題化合物(28mg、39%)を得た。
【0333】
実施例1-1:5-((5-フルオロピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.61 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.81 (td, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 9.0, 4.5 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -128.32. Tr(MET-uHPLC-001) = 4.90分, (ES+) (M+H)+ 367, 99%.
【0334】
方法1によって以下の追加の化合物を調製した:
【0335】
実施例1-2:5-メトキシ-2-(ピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0336】
【化34】
【0337】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 - 8.47 (m, 2H), 7.91 - 7.82 (m, 2H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 8.5, 2.3 Hz, 1H), 4.98 (s, 2H), 3.89 (s, 3H). Tr (MET-uHPLC-AB-101) = 1.27分, (ES+) (M+H)+ 241, 99%.
【0338】
実施例1-3:5-[(5-ヨードピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0339】
【化35】
【0340】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.83 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.24 (dd, J = 8.2, 2.2 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.2 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 3.63 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 3.12分, (ES+) (M+H)+ 475, 98%.
【0341】
実施例1-4(比較実施例2):5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(ピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0342】
【化36】
【0343】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.56 - 8.48 (m, 2H), 8.31 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.90 - 7.85 (m, 2H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.97 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 1.59分, (ES+) (M+H)+ 348, 99%.
【0344】
実施例1-5:5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0345】
【化37】
【0346】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 10.46 (s, 1H), 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.91 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 4.83 (s, 2H), 3.63 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 1.66分 m/z (ES+)(M+H)+ 258.1, 96%.
【0347】
実施例1-6:5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0348】
【化38】
【0349】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.63 (s, 3H). Tr(MET-HPLC-004) = 11.42分 m/z (ES+) (M+H)+ 379.0, 99%.
【0350】
実施例1-7:5-[(3-フルオロ-5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0351】
【化39】
【0352】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.53 (dd, J = 11.5, 2.5 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -123.35. Tr(MET-uHPLC-001) = 4.93分 m/z (ES+) (M+H)+ 397.2, 99%.
【0353】
実施例1-8:5-({5-[2-フルオロ(1,1,2,2-2H4)エトキシ]ピリジン-2-イル}メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0354】
【化40】
【0355】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.34 (dd, J = 3.0, 0.5 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -224.24. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.85分 m/z (ES+) (M+H)+ 415.2, 98%.
【0356】
実施例1-9:2-{[6-({[2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]オキシ}メチル)ピリジン-3-イル]オキシ}(1,1,2,2-2H4)エチル4-メチルベンゼン-1-スルホネート
【0357】
【化41】
【0358】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.49 - 7.45 (m, 3H), 7.37 - 7.33 (m, 2H), 7.17 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.21 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.64 (s, 3H), 2.41 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-001) = 5.02分 m/z (ES+) (M+H)+ 567.2, 99%.
【0359】
実施例1-10:5-{[5-(1-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メトキシ}-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0360】
【化42】
【0361】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.41 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.3, 2.5 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.2 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 6.31 (dq, J = 62.2, 4.8 Hz, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.63 (s, 3H), 1.62 (dd, J = 20.5, 4.8 Hz, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -117.10. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.34分 m/z (ES+) (M+H)+ 411.1, 99%.
【0362】
実施例1-11:5-[(4-クロロ-5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0363】
【化43】
【0364】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) 8.74 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.12 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.21 (s, 2H), 4.85 (s, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.76 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-001) = 5.45分 m/z (ES+) (M+H)+ 413.1, 98%.
【0365】
実施例1-12:6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0366】
【化44】
【0367】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.56 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.5, 2.7 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.21 (s, 2H), 4.86 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.64 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-001) = 4.00分 m/z (ES+) (M+H)+ 379.2, 98%.
【0368】
実施例1-13:5-[(6-フルオロ-5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
【0369】
【化45】
【0370】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.75 - 7.66 (m, 2H), 7.48 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.3 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (471 MHz, DMSO-d6) -85.49 (d, J = 10.5 Hz). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.78分 m/z (ES+)(M+H)+ 397.2, 96%.
【0371】
実施例1-14:5-[(4-フルオロ-5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0372】
【化46】
【0373】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.71 (d, J =7.6 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.19 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) -125.50. Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.64分 m/z (ES+)(M+H)+ 397.2, 97%.
【0374】
方法2
方法2のスキーム
【0375】
【化47】
【0376】
ステップ1:(5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
無水MeCN(6mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(270mg、2.16mmol)及び炭酸カリウム(447mg、3.23mmol)の混合物を、1-ブロモ-2-フルオロエタン(0.32mL、4.3mmol)で処理し、生じた反応混合物を70℃で24時間、密封チューブ中で加熱した。この後、反応混合物を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、表題化合物(202mg、55%)を橙色~茶色の油として得て、これを精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.22 (dd, J = 2.7, 0.6 Hz, 1H), 7.45 - 7.37 (m, 2H), 5.32 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 4.85 - 4.82 (m, 1H), 4.69 - 4.66 (m, 1H), 4.49 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 4.37 - 4.34 (m, 1H), 4.27 - 4.24 (m, 1H). MS (ES+) (M+H)+ 172.
【0377】
ステップ2:5-{[5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メトキシ}-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
トルエン(20mL)中の5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(80mg、0.31mmol)及び(5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール(106mg、0.622mmol)の混合物に、CMBP(188mg、0.777mmol)を加えた。混合物を120℃で密封チューブ中で48時間加熱した。この後、溶媒を真空下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~10%MeOH)により精製した。生成物を分取HPLC(水-MeCN)により再精製し、表題化合物(31mg、24%)を得た。
【0378】
実施例2-1:5-{[5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メトキシ}-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-ピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.8 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 4.82 - 4.71 (m, 2H), 4.38 - 4.31 (m, 2H), 3.63 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -222.34. Tr(MET-HPLC-005) = 8.78分, (ES+) (M+H)+ 411.1, 99%.
【0379】
方法2によって以下の追加の化合物を調製した:
【0380】
実施例2-2:5-{[5-(フルオロメトキシ)ピリジン-2-イル]メトキシ}-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0381】
【化48】
【0382】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.59 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.45 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.69 - 7.57 (m, 2H), 7.35 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.3 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 53.7 Hz, 2H), 5.27 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -151.56. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.84分, (ES+) (M+H)+ 397.3, 99%.
【0383】
実施例2-3:5-[(4-クロロ-5-フルオロピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0384】
【化49】
【0385】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.75 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -132.59. Tr(MET-uHPLC-001) = 5.65分 m/z (ES+) (M+H)+ 401.1, 98%.
【0386】
方法3
方法3のスキーム
【0387】
【化50】
【0388】
ステップ1:5-[(5-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
MeOH(2.0mL)及びTHF(2.0mL)中の5-((4-クロロ-5-フルオロピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(68mg、0.16mmol)の溶液に、MeOH中のナトリウムメトキシドの25wt%溶液(0.041mL、0.18mmol)を加え、反応混合物を65℃で16時間加熱した。この後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を水中でトリチュレーションし、FCC(シリカ、EtOAc中の0~15%MeOH)により2回精製した。収集した材料をFCC(シリカ、DCM中の0~10%MeOH)により再度精製し、MeCNから再結晶化させ、表題化合物(23mg、35%)を得た。
【0389】
実施例3-1:5-[(5-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -152.71. Tr(MET-uHPLC-001) = 4.42分, (ES+) (M+H)+ 397.0, 99%.
【0390】
方法4
方法4のスキーム
【0391】
【化51】
【0392】
ステップ1:(5-(アリルオキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
水(4mL)中の炭酸カリウム(1.65g、11.9mmol)の溶液を、アセトン(10mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(1.00g、7.99mmol)及び臭化アリル(0.80mL、9.3mmol)の混合物に15分かけて滴下添加し、反応混合物を60℃で2時間、密封チューブ中で加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、MTBE(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、表題化合物(713mg、54%)を赤色~茶色の油として得て、これを精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.19 (dd, J = 2.5, 0.5 Hz, 1H), 7.49 - 7.35 (m, 2H), 6.07 - 5.99 (m, 1H), 5.40 (dq, J = 17.5, 1.5 Hz, 1H), 5.29 - 5.25 (m, 2H), 4.63 (dt, J = 5.0, 1.5 Hz, 2H), 4.48 (d, J = 5.5 Hz, 2H).
【0393】
ステップ2:5-((5-(アリルオキシ)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
CMBP(586mg、2.43mmol)を、トルエン(36.0mL)中の5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(250mg、0.972mmol)及び(5-(アリルオキシ)ピリジン-2-イル)メタノール(321mg、1.94mmol)の溶液に加え、溶液を120℃で3日間加熱した。この後、溶媒を真空で除去した。得られた残留物をDCM(5mL)及びヘプタン(5mL)に懸濁し、濾過した。濾過ケーキをヘプタン(5mL)で洗浄し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製した。得られた生成物をヘプタン(5mL)でトリチュレーションし、濾過により収集し、ヘプタン(5mL)で洗浄し、表題化合物(45mg、12%)を褐色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.4, 2.7 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 6.11 - 5.99 (m, 1H), 5.42 (dq, J = 17.1, 1.5, Hz, 1H), 5.29 (dd, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 4.67 (dt, J = 5.1, 1.2 Hz, 2H), 3.64 (s, 3H).
【0394】
ステップ3:5-[(5-ヒドロキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1,3-ジメチルバルビツール酸(57mg、0.37mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10.5mg、0.00915mmol)を、MeOH(6.6mL)中の5-((5-(アリルオキシ)-ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(74mg、0.18mmol)の溶液に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、DCM(20mL)を加えた。混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、層を分離し、水層をDCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、生成物をMeCN(10mL)及び水(10mL)から凍結乾燥させ、表題化合物(41mg、46%)を得た。
【0395】
実施例4-1:5-[(5-ヒドロキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 10.01 (br s, 1H), 8.57 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 3.64 (s, 3H). Tr(MET-HPLC-003) = 10.48分, (ES+) (M+H)+ 365.2, 99%.
【0396】
方法5
方法5のスキーム
【0397】
【化52】
【0398】
ステップ1:[6-({[2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]オキシ}メチル)ピリジン-3-イル]オキシダンスルホン酸
クロロスルホン酸(0.091mL、1.4mmol)を、-15℃のピリジン(6.3mL)中の5-((5-ヒドロキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(50mg、0.14mmol)の混合物に加えた。添加完了後、混合物を室温に温め、2日間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、水(5.0mL)を加えた。混合物を2.5日間熟成させた。この後、形成した固体を濾過により収集し、水(5.0mL)で洗浄し、真空で乾燥させた。乾燥した固体をDCM(7.9mL)でトリチュレーションし、次いで、逆相クロマトグラフィー(MPLC、水-MeCN)により精製した。得られた生成物を凍結乾燥させ、次いで水(15.0mL)で2時間トリチュレーションし、濾過により収集し、真空下で乾燥させ、表題化合物(27mg、44%)を得た。
【0399】
実施例5-1:[6-({[2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]オキシ}メチル)ピリジン-3-イル]オキシダンスルホン酸
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.79 - 7.72 (m, 2H), 7.59 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36 (s, 1H), 7.20 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 3.64 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-001) = 2.90分, (ES-) (M-H)- 443.3, 98%.
【0400】
方法6
方法6のスキーム
【0401】
【化53】
【0402】
ステップ1:5-ブロモ-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
密封チューブ中で、1,4-ジオキサン(16.9mL)中の5-ブロモイソインドリン-1-オン(700mg、3.30mmol)、6-ブロモ-2-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)ピリダジン-3(2H)-オン(1.21g、3.96mmol)、RuPhos(231mg、0.495mmol)、炭酸セシウム(3.23g、9.90mmol)、及びPd2(dba)3(151mg、0.165mmol)の混合物を、窒素下で100℃で16時間加熱した。この後、反応混合物を他のバッチと合わせ、水(250mL)で希釈し、EtOAc(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~40%EtOAc)により精製し、表題化合物(1.438g、>99%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.62 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.78 - 7.77 (m, 2H), 7.17 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.35 (s, 2H), 4.95 (s, 2H), 3.72 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.91 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.02 (s, 9H); MS (ES+) (M+H)+ 437.
【0403】
ステップ2:2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソインドリン-1-オン
Pd(dppf)Cl2(134mg、0.165mmol)を、マイクロ波バイアル中の5-ブロモ-2-(6-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(718mg、1.65mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(627mg、2.47mmol)、酢酸カリウム(404mg、4.11mmol)、及び1,4-ジオキサン(14mL)の混合物に加えた。懸濁液をアルゴンでスパージし、バイアルを密封し、90℃で2時間加熱した。この後、反応混合物を別のバッチと合わせ、減圧下で濃縮した。得られた残留物をEtOAc(100mL)と水(100mL)との間で分配した。層を分離し、水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、表題化合物(2.947g)を得て、これを精製することなく次のステップに使用した。
【0404】
ステップ3:5-ヒドロキシ-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
水(21mL)中の過ホウ酸ナトリウム四水和物(1.27g、8.23mmol)の懸濁液を、THF(41mL)中の粗2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソインドリン-1-オン(推定3.29mmol)の懸濁液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液(75mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮した。得られた残留物をMeOHで希釈し、pHを2N HClで3に調整した。MeOHを減圧下で除去し、得られた残留物を水に懸濁し、室温で16時間熟成させた。生じた固体を濾過により収集し、水ですすぎ、乾燥させた。この材料をFCC(シリカ、DCM中の0~40%EtOAc、次いでDCM中の0~10%MeOH)により精製し、表題化合物(499mg、40%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 10.49 (s, 1H), 8.61 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.91 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 5.31 (s, 2H), 4.82 (s, 2H), 3.70 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 0.89 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.01 (s, 9H). MS (ES+) (M+H)+ 374.
【0405】
ステップ4:5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
炭酸カリウム(554mg、4.01mmol)を、DMF(17mL)中の5-ヒドロキシ-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(499mg、1.34mmol)及び2-(クロロメチル)-5-メトキシピリジン(253mg、1.60mmol)の混合物に加え、混合物を70℃で1時間加熱した。この後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を80:20 DCM/MeOHに溶解し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成混合物をFCC(シリカ、DCM中の20~80%EtOAc、次いでDCM中の0~20%MeOH)により精製し、表題化合物(494mg、75%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.63 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.4, 2.7 Hz, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.20 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.34 (s, 2H), 5.24 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.72 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 0.91 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.02 (s, 9H). MS (ES+) (M+H)+ 495.
【0406】
ステップ5:5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
TFA(1.9mL)を、DCM(5.7mL)中の5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-((2-(トリメチル-シリル)エトキシ)メトキシ)ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(494mg、0.999mmol)の溶液に加え、混合物を室温で2時間撹拌した。この後、ヘプタン(73mL)を加え、揮発物を減圧下で除去した。得られた残留物をEtOAc(14mL)及びヘプタン(73mL)と溶媒交換し、残留物を50:50 水/MeOH(145mL)中で1時間室温でトリチュレーションした。混合物を3日にわたり熟成させ、固体を濾過により収集し、水(28mL)、MeOH(14mL)、及びヘプタン(27mL)で洗浄した。生じた固体をFCC(シリカ、EtOAc中の0~20%MeOH、次いでDCM中の0~20%MeOH)により精製した。得られた生成物を以前のバッチと合わせ、逆相クロマトグラフィー(MPLC、MeCN-水、0.1% v/v TFA)により精製した。得られたきれいな画分を飽和重炭酸ナトリウムに注いだ。溶液のpHを2N HClで6に調整し、生じた沈殿物を濾過により収集し、水及びMeCNで洗浄し、表題化合物(264mg)を得た。
【0407】
実施例6-1:5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.77 (s, 1H), 8.56 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 9.0, 3.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.86 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-001) = 3.36分, (ES+) (M+H)+ 365.1, 100%.
【0408】
方法7
方法7のスキーム
【0409】
【化54】
【0410】
ステップ1:5-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]イソインドリン-1-オン
(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(100mg、0.719mmol)をDCM(2mL)に溶解した。塩化チオニル(0.104mL、1.44mmol)を加え、反応混合物をN2下で1時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、残留物をDCM(3×10mL)と共蒸留し、真空で濃縮し、2-(クロロメチル)-5-メトキシ-ピリジンを得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0411】
5-ヒドロキシイソインドリン-1-オン(100mg、0.670mmol)、KI(111mg、0.670mmol)、及びCs2CO3(0.107mL、1.34mmol)をDMF(6mL)に溶解し、反応混合物を室温で10分間撹拌した。2-(クロロメチル)-5-メトキシ-ピリジン(116mg、0.738mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。DMFを真空で除去し、残留物をH2O(10mL)及びEtOH(10mL)でトリチュレーションし、表題化合物(140mg、77%収率)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.29 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 5.18 (s, 2H), 4.30 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). Tr(METCR1600) = 3.07分, (ES+) (M+H)+ 271.1, 100%.
【0412】
ステップ2:5-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-2-[(6-メトキシ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1-オン
NaH(油中60%、41mg、1.04mmol)及びTHF(6mL)を、5-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]イソインドリン-1-オン(140mg、0.518mmol)の溶液に加え、反応混合物を70℃に還流下で1時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、2:1 THF:DMF(6mL)中の5-(クロロメチル)-2-メトキシ-ピリジン(ステップ1についてのように調製した)(98mg、0.622mmol)を加えた。反応混合物を一晩室温で撹拌した。追加のNaH(油中60%、41mg、1.036mmol)を反応混合物に加え、次いでこれを還流下で30分間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、5-(クロロメチル)-2-メトキシ-ピリジン(98mg、0.622mmol)を加え、反応混合物を3日間撹拌した。混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、H2O(2×15mL)で洗浄した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLC(MeCN-水、2mM NH4HCO3)により精製し、表題化合物(11.5mg、5%)を得た。
【0413】
実施例7-1:5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-[(6-メトキシピリジン-3-イル)メチル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.28 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.63 - 7.58 (m, 2H), 7.47 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 4.63 (s, 2H), 4.30 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.83 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.49分, (ES+) (M+H)+ 392, 96%.
【0414】
方法8
方法8のスキーム
【0415】
【化55】
【0416】
ステップ1:6-ブロモ-2-(フルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン
反応バイアル中の1,4-ジオキサン(5mL)中の6-ブロモピリダジン-3(2H)-オン(150mg、0.857mmol)の溶液に、炭酸カリウム(237mg、1.71mmol)を加え、続いてDMF(3mL)を加えた。反応バイアルを密封し、ブロモフルオロメタン(MeCN中2.0M、0.69mL、1.4mmol)の冷溶液を加えた。混合物を150℃で1.5時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、乾燥するまで減圧下で濃縮した。得られた残留物をシリカゲル上に吸着させ、FCC(シリカ、ヘキサン中の0~50%EtOAc)により精製し、表題化合物(90mg、51%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.30 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 50.7 Hz, 2H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -176.17. MS (ES+) (M + H)+ 207.0.
【0417】
ステップ2:2-(1-(フルオロメチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(2mL)中の5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(35mg、0.13mmol)、6-ブロモ-2-(フルオロメチル)ピリダジン-3(2H)-オン(32mg、0.16mmol)、RuPhos(9mg、0.02mmol)、及び炭酸セシウム(127mg、0.390mmol)の混合物を窒素で2分間パージし、Pd2(dba)3(6.70mg、0.00732mmol)を加えた。反応バイアルを密封し、110℃で4時間加熱した。この後、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~40%MeOH)により精製した。生成物を酢酸エチル中でトリチュレーションし、固体を濾過により収集し、真空下で50℃で3時間乾燥させ、表題化合物(46mg、90%)を得た。
【0418】
実施例8-1:2-(1-(フルオロメチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.68 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 9.0, 3.0 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.19-7.17 (m, 2H), 5.98 (d, J = 51.5 Hz, 2H), 5.22 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -174.59. Tr(MET-uHPLC-001) = 2.81分, (ES+) (M+H)+ 397.0, 100%.
【0419】
方法8によって以下の追加の化合物を調製した:
【0420】
実施例8-2:2-[1-(2-フルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル]-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0421】
【化56】
【0422】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.59 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 4.82 (dt, J = 47.0, 5.0 Hz, 2H), 4.35 (dt, J = 26.5, 5.0 Hz, 2H), 3.84 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -224.07. Tr(MET-uHPLC-001) = 2.75分 m/z (ES+) (M+H)+ 411.1, 100%.
【0423】
方法9
方法9のスキーム
【0424】
【化57】
【0425】
ステップ1:5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]イソインドリン-1-オン
5-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン(400mg、2.68mmol)、2-(クロロメチル)-5-フルオロ-ピリジン(468mg、3.22mmol)、及び炭酸カリウム(1.11g、8.05mmol)をDMF(50mL)中で合わせ、70℃で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、DCM(30mL)と水(10mL)との間で分配した。生じた沈殿物を収集し、真空濾過により乾燥させ、表題化合物(667mg、92%収率)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.60 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.80 (td, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 8.7, 4.5 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 8.4, 2.3 Hz, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.31 (s, 2H). 19F NMR (471 MHz, DMSO-d6) -128.46 (dd, J = 8.8, 4.5 Hz). Tr(METCR1410) = 0.94分, (ES+) (M+H)+ 259.0, 96%.
【0426】
ステップ2:2-[(6-ブロモピリダジン-3-イル)オキシメトキシ]エチル-トリメチル-シラン
2-(クロロメトキシ)エチル-トリメチル-シラン(8.0mL、45.7mmol)を、室温のDMF(80mL)中の3-ブロモ-1H-ピリダジン-6-オン(4.00g、22.9mmol)及び炭酸カリウム(9.48g、68.6mmol)の溶液に加えた。反応物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を2-(クロロメトキシ)エチル-トリメチル-シラン(4.9mL、27.4mmol)で再処理し、さらに2時間撹拌し、乾燥するまで濃縮した。DCM(75mL)を加え、有機相を水(2×50mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中の0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物(4.27g、61%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 7.62 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 3.68 - 3.58 (m, 2H), 0.91 - 0.82 (m, 2H), -0.04 (s, 9H). Tr(METCR1410) = 1.31分, (ES+) (M+H)+ 356.8, 358.7, 100%.
【0427】
ステップ3:5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]-2-[6-オキソ-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピリダジン-3-イル]イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(15mL)中の5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]イソインドリン-1-オン(200mg、0.774mmol)及び6-ブロモ-2-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピリダジン-3-オン(260mg、0.852mmol)の溶液を圧力チューブ中で5分間脱気し、次いで、RuPhos(11mg、0.0232mmol)及びPd2(dba)3(21mg、0.023mmol)を加えた。反応物をさらに5分間脱気し、Cs2CO3(0.30g、0.929mmol)を加えた。反応物を5分間脱気し、100℃で2時間撹拌した。冷却した反応混合物を5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]イソインドリン-1-オン(50mg、0.19mmol)で再処理し、一晩撹拌した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物をDCM(20mL)に懸濁し、洗浄した(10mL)。有機相を、セパレーターカートリッジを使用して乾燥させ、真空で濃縮した。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中の0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物(281mg、74%収率)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.65 - 8.57 (m, 2H), 7.80 (td, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 8.7, 4.5 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.5, 2.3 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.38 - 5.24 (m, 4H), 4.87 (s, 2H), 3.74 - 3.66 (m, 2H), 0.92 - 0.87 (m, 2H), -0.03 (s, 9H). Tr(METCR1410) = 1.38分, (ES+) (M+H)+ 483.0, 100%.
【0428】
ステップ4:5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1H-ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
TFA(1.1mL、14.6mmol)を、DCM(9mL)中の5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]-2-[6-オキソ-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピリダジン-3-イル]イソインドリン-1-オン(100%、281mg、0.582mmol)の溶液に加え、反応物を室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、DCMに再溶解し、再度濃縮した(×3)。粗残留物をDCM(3mL)と飽和NaHCO3溶液(2mL)との間で分配し、有機画分を分離し、セパレーターカートリッジを使用して乾燥させた。乾燥した有機画分を真空で濃縮し、表題化合物(24mg、11%収率)を得た。
【0429】
実施例9-1:5-[(5-フルオロ-2-ピリジル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1H-ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.78 (s, 1H), 8.61 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.60 - 8.53 (m, 1H), 7.81 (td, J = 8.8, 2.9 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.67 (dt, J = 8.8, 4.6 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.24 - 7.16 (m, 1H), 7.05 (m, 1H), 5.31 (s, 2H), 4.87 (m, 2H). 19F NMR (471 MHz, DMSO-d6) -128.31 (ddd, J = 13.3, 8.8, 4.6 Hz). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.26分 m/z (ES+)(M+H)+ 353.1, 99%.
【0430】
方法9によって以下の追加の化合物を調製した:
【0431】
実施例9-2:5-((5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-2H4)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
【0432】
【化58】
【0433】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.77 (s, 1H), 8.56 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.86 (s, 2H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -224.22. Tr(MET-uHPLC-006) = 3.83分 m/z (ES+) (M+H)+ 401.1, 99%.
【0434】
実施例9-3:5-((5-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
【0435】
【化59】
【0436】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.77 (s, 1H), 8.57 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 3.95 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -152.73. Tr(MET-uHPLC-006) = 3.88分 m/z (ES+) (M+H)+ 383.1, 99%.
【0437】
方法10
方法10のスキーム
【0438】
【化60】
【0439】
ステップ1:7-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(15.7mL)中の5-ブロモ-7-フルオロイソインドリン-1-オン(500mg、2.17mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(828mg、3.26mmol)、酢酸カリウム(533mg、5.43mmol)、及びPd(dppf)Cl2(159mg、0.217mmol)の混合物を、90℃で2時間加熱した。この後、反応混合物を冷却し、水(50mL)に注ぎ、DCM(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物(870mg、>99%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.67 (s, 1H), 7.52 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.53 (br s, 1H), 4.45 (s, 2H), 1.24 (s,12H). MS (ES+) (M+H)+ 278.
【0440】
ステップ2:7-フルオロ-5-ヒドロキシイソインドリン-1-オン
水(53.6mL)中の過ホウ酸ナトリウム四水和物(580mg、3.77mmol)の溶液を、THF(53.7mL)中の7-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソインドリン-1-オン(870mg、3.14mmol)の溶液に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を加え、揮発物を真空で除去した。残った水性混合物を3:1 クロロホルム/IPA(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~10%MeOH)により精製し、表題化合物(111mg、31%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 10.56 (br s, 1H), 8.22 (br s, 1H), 6.73 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.55 (dd, J = 11.7, 1.8 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H). MS (ES+) (M+H)+ 168.
【0441】
ステップ3:7-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン
炭酸カリウム(521mg、3.77mmol)を、DMF(9.7mL)中の7-フルオロ-5-ヒドロキシイソインドリン-1-オン(210mg、1.26mmol)及び2-(クロロメチル)-5-メトキシピリジン(198mg、1.26mmol)の溶液に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、水(100mL)を加え、混合物をDCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物(200mg、55%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.37 (br s, 1H), 8.30 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.94 (dd, J = 11.4, 1.8 Hz, 1H), 5.18 (s, 2H), 4.32 (s, 2H), 3.84 (s, 3H).
【0442】
ステップ4:7-フルオロ-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1,4-ジオキサン(11.1mL)中の7-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(100mg、0.347mmol)、6-ブロモ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノン(79mg、0.42mmol)、RuPhos(24mg、0.052mmol)、炭酸セシウム(339mg、1.04mmol)、及びPd2(dba)3(16mg、0.017mmol)の混合物を、100℃で16時間加熱した。この後、反応混合物を冷却し、水(50mL)と合わせ、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物(81mg、59%)を得た。
【0443】
実施例10-1:7-フルオロ-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.50 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.09 - 7.05 (m, 2H), 5.22 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.63 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -116.43. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.65分, (ES+) (M+H)+ 397.1, 100%.
【0444】
方法10によって以下の追加の化合物を調製した:
【0445】
実施例10-2:7-フルオロ-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0446】
【化61】
【0447】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.80 (s, 1H), 8.49 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 9.0, 3.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 11.5, 2.0 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 10.0, 1.5 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.86 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -116.59. Tr(MET-uHPLC-001) = 2.50分 m/z (ES+) (M+H)+ 383.1, 100%.
【0448】
方法11
方法11のスキーム
【0449】
【化62】
【0450】
ステップ1:5-ニトロ-2-[(ピリジン-2-イル)メトキシ]ピリジン
ピリジン-3-イルメタノール(0.31mL、3.15mmol)を、テトラヒドロフラン(10mL)中の水素化ナトリウム(132mg、3.31mmol)の懸濁液に、窒素下で氷冷しながら滴下添加した。混合物を10分間撹拌した。次いで、テトラヒドロフラン(5mL)中の2-クロロ-5-ニトロピリジン(500mg、3.15mmol)の溶液をゆっくりと加えた。混合物を氷冷しながら1時間撹拌した。混合物を、水(1mL)を使用してクエンチし、さらに水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、表題化合物(737mg、定量的収率)を得た。1H NMR (250 MHz, DMSO-d6) 9.18 - 9.07 (m, 1H), 8.71 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.56 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 8.52 (dd, J = 9.1, 2.9 Hz, 1H), 7.91 (dt, J = 7.8, 2.0 Hz, 1H), 7.48 - 7.39 (m, 1H), 7.12 (dd, J = 9.1, 0.5 Hz, 1H), 5.53 (s, 2H). Tr(METCR1278) = 1.16分, (ES+) (M+H)+ 232, 100%.
【0451】
ステップ2:6-[(ピリジン-2-イル)メトキシ]ピリジン-3-アミン
エタノール(15mL)中の5-ニトロ-2-[(ピリジン-2-イル)メトキシ]ピリジン(729mg、3.15mmol)の撹拌懸濁液を70℃に加熱した。次いで、水(5mL)中の塩化アンモニウム(1.65g、31.5mmol)を加え、続いて一度に鉄粉末(0.704g、12.6mmol)を加えた。反応物を80℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を、ガラス繊維フィルターを通して濾過し、無機物を酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)で洗浄した。次いで、濾液を、酢酸エチル(80mL)と水(80mL)との間で分配した。次いで、水性抽出物を酢酸エチル(80mL)でさらに抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮し、表題化合物(0.62g、98%収率)を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.62 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.50 (dd, J = 4.8, 1.5 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 7.8, 4.8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 6.62 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.79 (s, 2H). Tr(METCR1278) = 溶媒先端, (ES+) (M+H)+ 202.
【0452】
ステップ3:エチル2-(ブロモメチル)-4-メトキシベンゾエート
エチル4-メトキシ-2-メチルベンゾエート(900mg、4.63mmol)及びNBS(907mg、5.10mmol)をDCE(35mL)に溶解した。AIBN(76mg、0.46mmol)を反応混合物に加え、生じた溶液を還流まで2時間加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮した。粗残留物のカラムクロマトグラフィー(シリカ、2~20%EtOAc-ヘプタン)により、表題化合物(806mg、64%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) 7.99 (d, J = 8.75 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.63 Hz, 1H), 6.86 (dd, J = 2.64, 8.76 Hz, 1H), 4.96 (s, 2H), 4.37 (q, J = 7.13 Hz, 2H), 3.86 (s, 3H), 1.41 (t, J = 7.14 Hz, 3H). Tr(METCR1278) = 2.17分, (ES+) (M+H)+ 273, 275, 99%.
【0453】
ステップ4:5-メトキシ-2-{6-[(ピリジン-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
N,N-ジエチルイソプロピルアミン(0.038mL、0.22mmol)を、エタノール(2mL)中の6-(ピリジン-3-イルメトキシ)ピリジン-3-アミン(37mg、0.18mmol)及びエチル2-(ブロモメチル)-4-メトキシベンゾエート(50mg、0.18mmol)に加え、窒素下で加えた。混合物を110℃で密封チューブ中で一晩加熱した。次いで、混合物を水(4mL)で希釈し、濾過した。次いで、収集した固体をFCC(シリカ、ジクロロメタン中の0~5%メタノール)により精製し、次いで分取HPLC(水-アセトニトリル)により精製し、表題化合物(6.1mg、10%収率)を得た。
【0454】
実施例11-1:5-メトキシ-2-{6-[(ピリジン-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.69 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.61 - 8.48 (m, 2H), 8.30 (dd, J = 9.0, 2.8 Hz, 1H), 7.88 (dt, J = 7.8, 2.0 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 7.8, 4.8 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 8.4, 2.3 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.40 (s, 2H), 4.96 (s, 2H), 3.87 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 1.87分, (ES+) (M+H)+ 348, 97%
【0455】
方法12
方法12のスキーム
【0456】
【化63】
【0457】
ステップ1:メチル4-ブロモ-2-(ジブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート
四塩化炭素(40mL)中のメチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルベンゾエート(600mg、2.43mmol)の溶液に、NBS(1.08g、6.07mmol)及びAIBN(8mg、0.05mmol)を加え、混合物を80℃で一晩撹拌した。この後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、ヘキサン中の0~5%EtOAc)により精製し、表題化合物(720mg、73%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.37 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.65 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H).
【0458】
ステップ2:メチル4-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート
THF(70mL)中のメチル4-ブロモ-2-(ジブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(670mg、1.65mmol)及びDIPEA(91mg、6.6mmol)の溶液に、ホスホン酸ジエチル(856mg、6.62mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。この後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、ヘキサン中の0~5%EtOAc)により精製し、表題化合物(346mg、64%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.77-7.66 (m, 2H), 4.89 (s, 2H), 3.95 (s, 3H).
【0459】
ステップ3:5-ブロモ-6-フルオロ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
6-アミノ-2-メチルピリダジン-3(2H)-オン(286mg、2.29mmol)及びDIPEA(0.906mL、5.20mmol)を、DMF(14.6mL)中のメチル4-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(339mg、1.04mmol)の溶液に加え、混合物を80℃で16時間撹拌した。この後、反応混合物を真空で濃縮した。得られた残留物をTHF(7.3mL)及びEtOH(7.3mL)に懸濁し、水酸化リチウム(65.0mg、2.70mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。この後、揮発物を真空で除去し、水(10mL)を加えた。形成した固体を濾過により収集し、真空で乾燥させ、表題化合物(217mg、62%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.54 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 4.92 (s, 2H), 3.65 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 339.
【0460】
ステップ4:6-フルオロ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサ-ボロラン-2-イル)イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(8.2mL)中の5-ブロモ-6-フルオロ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(154mg、0.455mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(173mg、0.683mmol)、酢酸カリウム(112mg、1.14mmol)、及びPd(dppf)Cl2(33mg、0.046mmol)の混合物を、90℃で6時間加熱した。この後、反応混合物を冷却し、真空で濃縮した。得られた残留物を水(5mL)中でトリチュレーションし、形成した固体を濾過により収集し、水(5mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、表題化合物(172mg、98%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.72 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.87 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 1.40 (s, 12H). MS (ES+) (M+H)+ 386.
【0461】
ステップ5:6-フルオロ-5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
水(2.6mL)中の過ホウ酸ナトリウム四水和物(172mg、1.12mmol)の溶液を、MeCN(12.9mL)中の6-フルオロ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソインドリン-1-オン(172mg、0.447mmol)の溶液に加え、混合物を室温で2時間撹拌した。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液(1mL)を加え、混合物を真空で濃縮した。水(10mL)を加え、pHを2N塩酸で5に調整し、混合物を16時間静置した。この後、形成した固体を濾過により収集し、真空で乾燥させ、MeOH(8mL)中でトリチュレーションし、表題化合物(95mg、76%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 11.02 (br s, 1H), 8.55 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.82 (s, 2H), 3.63 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 276.
【0462】
ステップ6:6-フルオロ-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
炭酸カリウム(143mg、1.04mmol)を、DMF(6.3mL)中の6-フルオロ-5-ヒドロキシ-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(95mg、0.35mmol)及び2-(クロロメチル)-5-メトキシピリジン(65mg、0.41mmol)の溶液に加え、混合物を30℃で16時間撹拌した。この後、水(20mL)を加え、混合物をDCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物(83mg、61%)をオフホワイト色の固体として得た。生成物を別のロット(19mg)と合わせ、DCM(10mL)に溶解した。溶液をヘキサン(75mL)に滴下添加し、形成した固体を濾過により収集し、ヘキサン(50mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、表題化合物(73mg)を得た。
【0463】
実施例12-1:6-フルオロ-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.69 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.27 - 7.24 (m, 1H), 7.17 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.31 (s, 2H), 4.81 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.75 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -131.86. Tr(MET-uHPLC-001) = 4.53分, (ES+) (M+H)+ 397.1, 100%.
【0464】
方法12によって以下の追加の化合物を調製した:
【0465】
実施例12-2:4-フルオロ-5-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0466】
【化64】
【0467】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.55 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.58-7.42 (m, 3H), 7.10 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.31 (s, 2H), 4.98 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.65 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -141.12. Tr(MET-uHPLC-006) = 4.28分 m/z (ES+) (M+H)+ 397.0, 99%.
【0468】
実施例12-3:4-フルオロ-6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0469】
【化65】
【0470】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.52 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 10.5, 2.0 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.92 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.65 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -117.70. Tr(MET-uHPLC-001) = 4.33分 m/z (ES+) (M+H)+ 397.2, 99%.
【0471】
実施例12-4:5-フルオロ-6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0472】
【化66】
【0473】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.54 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.85 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.63 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -125.54. Tr(MET-uHPLC-001) = 4.41分 m/z (ES+) (M+H)+ 397.0, 99%.
【0474】
実施例12-5:6-{3-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-7-オキソ-5H,6H,7H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-イル}-2-メチル-2,3-ジヒドロピリダジン-3-オン
【0475】
【化67】
【0476】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.65 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-001) = 4.39分, (ES+) (M+H)+ 380.3, 99%.
【0477】
実施例12-6:6-(3-{[5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メトキシ}-7-オキソ-5H,6H,7H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-2-メチル-2,3-ジヒドロピリダジン-3-オン
【0478】
【化68】
【0479】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.35 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 8.5, 2.9 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.31 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 4.77 (dt, J = 47.7, 3.9 Hz, 2H), 4.36 (dt, J = 31.0, 4.0 Hz, 2H), 3.65 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -222.32. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.23分, (ES+) (M+H)+ 412.4, 98%.
【0480】
実施例12-7:6-{3-[(5-フルオロピリジン-2-イル)メトキシ]-7-オキソ-5H,6H,7H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-イル}-2-メチル-2,3-ジヒドロピリダジン-3-オン
【0481】
【化69】
【0482】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) 8.78 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.60 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.49 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 9.0, 4.5 Hz, 1H), 7.49 (td, J = 8.0, 3.0 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.33 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.76 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -126.65. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.76分 m/z (ES+) (M+H)+ 368.1, 100%.
【0483】
実施例12-8:6-{3-[(3-フルオロ-5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-7-オキソ-5H,6H,7H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-イル}-2-メチル-2,3-ジヒドロピリダジン-3-オン
【0484】
【化70】
【0485】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.53 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 11.5, 2.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.36 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 4.90 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 3.66 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -123.19. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.96分 m/z (ES+) (M+H)+ 398.4, 99%.
【0486】
実施例12-9:6-[3-({5-[2-フルオロ(1,1,2,2-2H4)エトキシ]ピリジン-2-イル}メトキシ)-7-オキソ-5H,6H,7H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-イル]-2-メチル-2,3-ジヒドロピリダジン-3-オン
【0487】
【化71】
【0488】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.35 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.89 (s, 2H), 3.65 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -224.24. Tr(MET-uHPLC-002) = 2.67分 m/z (ES+) (M+H)+ 416.2, 100%.
【0489】
実施例12-10:7-フルオロ-6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-2-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【0490】
【化72】
【0491】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.49 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.61 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.25 (s, 2H), 4.85 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.63 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -141.33. Tr(MET-uHPLC-002) = 2.92分 m/z (ES+) (M+H)+ 397.0, 99%.
【0492】
方法13
方法13のスキーム
【0493】
【化73】
【0494】
ステップ1:5-ブロモ-6-フルオロイソインドリン-1-オン
アンモニアガスを、MeOH(10mL)中のメチル4-ブロモ-2-(ブロモメチル)-5-フルオロベンゾエート(330mg、1.01mmol)の溶液に室温で飽和するまで通気し、混合物を一晩撹拌した。この後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物を1:1 MeOH/水に懸濁し、濾過した。得られた固体を水で洗浄し、真空下で乾燥させ、表題化合物(217mg、93%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.81 (s, 1H), 7.99 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.36 (s, 2H).
【0495】
ステップ2:6-フルオロ-5-ヒドロキシイソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(20mL)中の5-ブロモ-6-フルオロイソインドリン-1-オン(210mg、0.913mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(348mg、1.37mmol)及び酢酸カリウム(224mg、2.28mmol)の混合物に、Pd(dppf)Cl2(33mg、0.046mmol)を加え、混合物を100℃で18時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、水(6mL)中の過ホウ酸ナトリウム四水和物(351mg、2.28mmol)の溶液を加えた。混合物を2時間撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~20%MeOH)により精製し、表題化合物(107mg、70%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 10.58 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.36 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.24 (s, 2H).
【0496】
ステップ3:6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン
室温のDMF(10mL)中の6-フルオロ-5-ヒドロキシイソインドリン-1-オン(100mg、0.598mmol)及び炭酸カリウム(248mg、1.79mmol)の混合物に、2-(クロロメチル)-5-メトキシピリジン塩酸塩(174mg、0.897mmol)を加え、混合物を60℃で一晩加熱した。この後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~100%MeOH)により精製し、表題化合物(85mg、49%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.50 (s, 1H), 8.31 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.53-7.40 (m, 4H), 5.24 (s, 2H), 4.30 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 289.
【0497】
ステップ4:6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(10mL)中の6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(80mg、0.28mmol)、3-ブロモ-6-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)ピリダジン(0.127g、0.416mmol)、RuPhos(0.013g、0.028mmol)、及び炭酸セシウム(0.271g、0.833mmol)の混合物に、Pd2(dba)3(0.038g、0.042mmol)を加え、混合物を100℃で一晩加熱した。この後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、ヘキサン中の0~100%EtOAc)により精製し、6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(0.103g、72%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.55 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.47 (dd, J = 8.5, 2.9 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.31 (s, 2H), 5.29 (s, 2H), 4.85 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.69 (t, J = 15.9 Hz, 2H), 0.88 (t, J = 7.8 Hz, 2H), -0.024 (s, 9H). MS (ES+) (M+H)+ 513.
【0498】
ステップ5:6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
TFA(2.00mL、26.9mmol)及び6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン(103mg、0.201mmol)の混合物を室温で30分間撹拌した。この後、揮発物を真空下で除去し、得られた残留物を分取HPLC(MeCN-水、0.1% v/v ギ酸)により精製した。得られた生成物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~20%MeOH)により再精製し、表題化合物(44mg、57%)を得た。
【0499】
実施例13-1:6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.78 (br s, 1H), 8.53 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.65-7.60 (m, 2H), 7.54 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 4.85 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -133.41. Tr(MET-uHPLC-002) = 2.94分, (ES+) (M+H)+ 383.1, 98%.
【0500】
方法13によって以下の追加の化合物を調製した:
【0501】
実施例13-2:5-フルオロ-6-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1H-ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
【0502】
【化74】
【0503】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.87 (s, 1H), 8.51 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 10.6, 1.9 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.91 (s, 2H), 3.84 (s, 3H).19F NMR (471 MHz, DMSO-d6) -117.76 (d, J = 10.5 Hz). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.21分 m/z (ES+)(M+H)+ 383.2, 98%.
【0504】
実施例13-3:4-フルオロ-6-[(5-メトキシ-2-ピリジル)メトキシ]-2-(6-オキソ-1H-ピリダジン-3-イル)イソインドリン-1-オン
【0505】
【化75】
【0506】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 12.87 (s, 1H), 8.51 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.32 - 7.23 (m, 2H), 7.05 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.91 (s, 2H), 3.84 (s, 3H).19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) -117.76. Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.26分 m/z (ES+)(M+H)+ 383.2, 100%.
【0507】
方法14
方法14のスキーム
【0508】
【化76】
【0509】
ステップ1:メチル5-ブロモ-2-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゾエート
四塩化炭素(15mL)中のメチル5-ブロモ-4-フルオロ-2-メチルベンゾエート(400mg、1.62mmol)の溶液に、NBS(288mg、1.62mmol)及びAIBN(5.3mg、0.032mmol)を加え、混合物を80℃で一晩撹拌した。この後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、ヘキサン中の0~5%EtOAc)により精製し、表題化合物(487mg、92%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.23 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.89 (s, 2H), 3.94 (s, 3H).
【0510】
ステップ2:6-ブロモ-5-フルオロイソインドリン-1-オン
MeOH(6mL)中のメチル5-ブロモ-2-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゾエート(172mg、0.528mmol)の溶液に、MeOH中の7Nアンモニア(0.45mL、3.2mmol)を加え、続いて水酸化アンモニウム(2mL、0.53mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。この後、揮発物を減圧下で除去した。得られた残留物を水(15mL)に懸濁し、混合物を1N HClで中和した。生じた固体を濾過により収集し、高真空下で乾燥させ、表題化合物(119mg、98%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.08 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.51 (br s, 1H), 4.42 (s, 2H).
【0511】
ステップ3:5-フルオロ-6-ヒドロキシイソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(7mL)中の6-ブロモ-5-フルオロイソインドリン-1-オン(118mg、0.513mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(195mg、0.768mmol)、及び酢酸カリウム(126mg、1.28mmol)の混合物を窒素で2分間パージした。Pd(dppf)Cl2(38mg、0.051mmol)を加え、反応混合物を密封チューブ中で100℃で1.5時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、乾燥するまで減圧下で濃縮した。得られた残留物をTHF(5.0mL)及び水(5.0mL)に懸濁し、過ホウ酸ナトリウム四水和物(197mg、1.28mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。この後、塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加えた。揮発物を減圧下で除去し、得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~20%MeOH)により精製し、表題化合物(66mg、62%)を得た。MS (ES+) (M+H)+ 168.
【0512】
ステップ4:5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン
炭酸カリウム(133mg、0.962mmol)を、DMF(5mL)中の5-フルオロ-6-ヒドロキシイソインドリン-1-オン(66mg、0.32mmol)及び2-(クロロメチル)-5-メトキシピリジン(71mg、0.45mmol)の溶液に加え、混合物を70℃で2時間撹拌した。この後、混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~20%MeOH、次いでDCM中の0~20%MeOH)により精製し、表題化合物(85mg、92%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.56 (s, 1H), 8.30 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.50-7.42 (m, 4H), 5.25 (s, 2H), 4.28 (s, 2H), 3.83 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 289.
【0513】
ステップ5:2-(5-ブロモピラジン-2-イル)-5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(10mL)中の5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(84mg、0.29mmol)、2,5-ジブロモピラジン(83mg、0.35mmol)、キサントホス(15mg、0.026mmol)、及び炭酸セシウム(285mg、0.875mmol)の混合物を窒素で2分間パージした。Pd2(dba)3(8mg、0.009mmol)を加え、反応混合物を密封バイアル中で120℃で4時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~100%EtOAc、次いでDCM中の0~10%MeOH)により精製し、表題化合物(53mg、41%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 9.52 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.32 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.53 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 5.32 (s, 2H), 4.96 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 445.
【0514】
ステップ6:5-フルオロ-2-(5-ヒドロキシピラジン-2-イル)-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン
1,4-ジオキサン(1.5mL)及び水(1.5mL)中の2-(5-ブロモピラジン-2-イル)-5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(52mg、0.12mmol)、tBuXPhos(5.9mg、0.014mmol)、及び新たにすりつぶしたKOH(13mg、0.23mmol)の混合物を窒素で2分間パージした。Pd2(dba)3(6.4mg、0.0070mmol)を加え、反応混合物を密封バイアル中で100℃で2時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、1N HClで中和し、乾燥するまで減圧下で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、EtOAc中の0~20%MeOH)により精製し、表題化合物(11mg、25%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.81 (br s, 1H), 8.31 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.63-7.56 (m, 2H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 8.5, 2.7 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.91 (s, 2H), 3.84 (s, 3H). MS (ES+) (M+H)+ 383.
【0515】
ステップ7:5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)イソインドリン-1-オン及び5-フルオロ-2-(5-メトキシピラジン-2-イル)-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-イソインドリン-1-オン
メチル4-ニトロベンゼンスルホネート(8mg、0.04mmol)を、DMF(2mL)中の炭酸カリウム(11mg、0.078mmol)及び5-フルオロ-2-(5-ヒドロキシピラジン-2-イル)-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(10mg、0.029mmol)の混合物に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、反応混合物を乾燥するまで減圧下で濃縮し、得られた残留物をシリカゲル上に吸収させ、FCC(シリカ、EtOAc中の0~15%MeOH)により精製し、5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)イソインドリン-1-オン(5mg、48%)、及び5-フルオロ-2-(5-メトキシピラジン-2-イル)-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)イソインドリン-1-オン(5mg、48%)を得た。
【0516】
実施例14-1:5-フルオロ-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)イソインドリン-1-オン
1H NMR (500 MHz, CDCl3) 8.61 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.24 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.62 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -124.82. Tr(MET-uHPLC-001) = 2.90分 (ES+) (M+H)+ 397.2, 97%.
【0517】
実施例14-2:5-フルオロ-2-(5-メトキシピラジン-2-イル)-6-((5-メトキシピリジン-2-イル)-メトキシ)イソインドリン-1-オン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.23 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.63-7.59 (m, 2H), 7.52 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 5.31 (s, 2H), 4.95 (s, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.84 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -126.16. Tr(MET-uHPLC-001) = 3.56分, (ES+) (M+H)+ 397.0, 98%.
【0518】
方法14によって以下の追加の化合物を調製した:
【0519】
実施例14-3:6-フルオロ-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)イソインドリン-1-オン
【0520】
【化77】
【0521】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 8.53 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.5, 2.9 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 4.90 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.54 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -133.49. Tr(MET-uHPLC-006) = 4.02分 m/z (ES+) (M+H)+ 397.0, 97%.
【0522】
生物学的アッセイ
エクソン1-Q46放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイ(RBA)に関して、MBP-HTT(1-89)Q46-His(6×)(「エクソン1-Q46」)タンパク質を以前の出版物(Scherzingerら、Cell、90巻、549~558頁、1997年8月8日)に基づいて生成した。実験に関しては、30μMのMBP-エクソン1-Q46を、アッセイ用緩衝液(150mM NaCl、50mM Tris pH8.0)中の150μg/mLトロンビン及び2mM CaCl2と共に、37℃で16時間インキュベートした。卓上遠心分離器中13,000rmpで5分間、凝集したエクソン1-Q46を遠心分離することによってペレット化し、同体積のアッセイ用緩衝液中に再溶解した。試験化合物は、DMSO中で滴定することにより63μMから2nMまでの11種の濃度で調製した。RBAに関しては、エクソン1-Q46タンパク質凝集体及び試験化合物を、96ウェルプレート(pp、丸底)中100μL/ウェルで、アッセイ用緩衝液中、室温で20分間、予備インキュベートした。次いで、リガンドを50μL/ウェルで加え、37℃で60分間インキュベートした。最終アッセイ濃度は、1μMから30pMの試験化合物、1μMのエクソン1-Q46タンパク質(当量モノマー濃度)及び0.3nMのリガンド[3H3-メチル]-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(ピラジン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾールであった。試料をGF/Bフィルタープレート上に移し、フィルターメイトハーベスターを使用して200μL PBSで2回洗浄した。フィルタープレートを55℃で1時間乾燥した後、このプレートの裏側を箔で密封し、30μL/ウェルのシンチレーション用流体(Packard MicroScint 40)を加え、暗所で15分間インキュベートし、MicroBetaリーダーで計数した。分析に関しては、独立したアッセイプレートからの反復データを、ビヒクルの対照ウェル(0%阻害)及び1μMの非標識化[3H3-メチル]-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(ピラジン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール(100%阻害)を使用して0%阻害及び100%阻害に正規化した。IC50値は、正規化した反復データを使用し、全体的適合において4つの変数(上部、下部、傾き、IC50)を用いるS次阻害モデルで決定した。
【0523】
様々な実施例化合物に対する結果は以下の表に提供されている通りであった(+++<100nM;++100~500nM;+>500nM;ND:未確定):
【0524】
【表4】
【0525】
PETイメージング例
以下の実施例は、臨床環境において個体に対するPETイメージング研究を実施する場合に利用され得る例示的で非限定的な手順を示す。個体は、非標識化合物を投薬されていない又は前もって投薬されている。個体は、PETイメージングの前に絶食してよく、自由に水を摂取することが許されている。イメージング剤の投与のために、20Gの2インチ静脈内カテーテルが対側尺骨静脈に挿入される。
【0526】
ヒト対象をPETカメラ内に配置し、静脈内カテーテルを介してイメージング剤のトレーサー用量を投与する。血漿中の未代謝化合物の割合を分析し定量するために、PETスキャン中に適切な時間間隔で動脈又は静脈血試料を取得する。最大120分間にわたり画像が得られる。放射性トレーサーの注入から10分以内に、及びイメージングセッションの終わりに、PETトレーサーの前に投与されていた場合がある任意の未標識イメージング剤化合物(又はその他の介入の化合物)の血漿濃度を決定するために、1mLの血液試料を得る。
【0527】
画像再構成により断層撮影画像を得る。例えば、イメージング剤の分布を決定するために、再構成画像上に関心領域(ROI)を設定する。脳画像における関心領域は、例えば、線条体、小脳、又は大脳基底核を含んでもよい。これらの領域における時間経過に伴うイメージング剤取り込みは、時間放射能曲線(TAC)を生成するために使用されてよい。データは、放射能毎単位時間毎単位容積(例えば、μCi/cc/mCi注入用量)又は放射能毎単位容積として表すことができる。TACデータは、定量的パラメーター、例えば結合能(BP)を得るために、当分野で公知の種々の方法により処理することができる。イメージング手順のさらなる記載については、例えば、Waxman A.D.ら、Society of Nuclear Medicine Procedure Guideline for FDG PET Brain Imaging、ver.1.0、(2009年2月8日)を参照されたい。
【0528】
非結合脳分率
化合物を、非結合脳分率(又は脳中遊離型分率、fu,brain)について試験した。脳中の非結合分率が低い(<5%)化合物は、標的結合の検出には望ましくない高い非特異的結合バックグラウンドを有する可能性があるというのが、CNS PETイメージング分野で受け入れられている標準である。結果として、fu,brainは、脳イメージング用のPETリガンドの設計において重要な特性である[Zhangら、Design and selection parameters to accelerate the discovery of novel central nervous system positron emission tomography (PET) ligands and their application in the development of a novel phosphodiesterase 2A PET ligand. J Med Chem 2013年、56巻(11号)、4568~79頁; Liuら、Imaging Mutant Huntingtin Aggregates: Development of a Potential PET Ligand. J Med Chem 2020年、63巻(15号)、8608~8633頁を参照されたい]。
【0529】
【表5】
【0530】
平衡透析によるマウス脳におけるfu,brainの決定。透析膜(12~14kDa)(HTDialysis、Connecticut)をリン酸塩緩衝液(10mMリン酸カリウム及び0.8%塩化ナトリウム緩衝液、pH7.4、37℃)に最低1時間浸し、この時点でエタノールを加え(20%v/vの最終濃度)、膜を30分間浸し続けた。マウス脳組織をリン酸塩緩衝液に1:4比(w/v)で希釈し、Precellys 24(Stretton Scientific、UK)を使用してホモジナイズし、20%脳ホモジネートの最終濃度を達成した。
【0531】
0.5mMのDMSOストックとして調製した試験化合物を、5μMの最終基質濃度(1%DMSO)を達成するように脳ホモジネートに希釈し、50μLを400μLのクエンチ溶液(0.1%ギ酸及びスルフィソキサゾール/トルブタミド/イミプラミン/ラベタロール200nMを含有するアセトニトリル)にサンプリングすることによって、t=0試料を調製した。試料を、50μLのアッセイ用緩衝液を加えてマトリックスマッチさせた。HTDialysis Teflonブロック(HTDialysis、Connecticut)を、各レシーバーウェルとドナーウェルとの間に予め浸した膜を用いて組み立て、ステンレス鋼圧力プレート(HTDialysis、Connecticut)に固定した。下部区画(アクセプター側)には120μLの緩衝液を投与し、上部区画(ドナー側)には120μLのホモジネート中の化合物を投与した。すべての試験化合物及び対照を3連で完了した。HT透析プレートを密封し、250rpmで振盪しながら37℃で6時間インキュベートした。
【0532】
インキュベーション後、50μLの試料をすべてのドナーウェル及びアクセプターウェルから取り出し、400μLのクエンチ溶液を含有するクエンチプレートに移した。すべての試料を、50μLの代替ブランクマトリックスを用いてマトリックスマッチさせた。分析試料を、Janus Robotを使用して水で1:1に希釈し、LC-MS/MSにより分析した。
【0533】
ドナー区画及びアクセプター区画のピーク面積を比較して、非結合パーセント(%fu)を決定し、3連測定値の平均を報告した。参照T0試料を使用して、試料回収(%)を計算した。対照化合物を歴史的値及び文献値と比較して、アッセイの機能性を確実にした。
【0534】
化合物の平均遊離型脳分率が5%未満である場合、望ましくない無差別結合によりバックグラウンドシグナルが増加する。よって、当業者は、5%を超える平均遊離型脳分率が、mHTTなどの凝集タンパク質を含有する脳構造を適切に検出するためのイメージングPETトレーサーにとって望ましいことを理解する。データは、本明細書に記載されている化合物が、比較化合物よりも高い遊離型脳分率を有し、同時にmHTTタンパク質種への良好な結合も提供することを示す。よって、本明細書に記載されている化合物は、イメージング剤としてin vivo使用に好ましい特性を有する。
【0535】
In Situオートラジオグラフィー(ARG)
In situオートラジオグラフィー(ARG)を使用して、HDマウスモデルである12ヶ月齢HOM zQ175、並びに健康及びHD遺伝子伸長保因者(HDGEC)由来のヒト死後脳における、トリチウム標識化合物1-6(「[3H]-化合物1-6」)の薬理学的結合特性を調査した;結合の特異性を、他の病理学的凝集体(例えば、Aベータ含有プラーク及びリン酸化Tau発現タングル)を含有するアルツハイマー病(AD)患者からの試料を含めることによって調査した。飽和結合実験を、冠状脳切片で実施した;[3H]-化合物1-6結合を濃度測定分析によって定量化し、特異的結合を皮質(CTX)で決定した。各関心領域(ROI)について、親和性(KD)及び結合部位の最大数(Bmax)を決定した。
【0536】
組織調製及び切片化
適切な月齢で、異なる系統のHDマウス及びWTマウスを頸椎脱臼により屠殺し、小脳を含む脳を解剖し、氷冷PBSで洗浄した。続いて、脳をペーパータオル上で軽く押さえて水気を取り、-30℃から-40℃の間の温度に冷却したイソペンタンを満たした6ウェルプレートに移した。切片化するまで、凍結脳を-80℃で保存した。
【0537】
非固定及び非包埋の凍結脳を、-18℃でクライオスタットを使用して切片化した。これにより、厚さ20μmの一連の冠状組織切片をスーパーフロストスライド上にマウントし、室温でおよそ90分間乾燥させた。様々な実験を実施するまで、スライドを-80℃で保存したが、3週間を超えないようにした。同様の手順を、新鮮凍結ヒト死後脳ブロック(健康な対象{CTRL}、ハンチントン病{HD}、及びアルツハイマー病{AD})を用いて実施した。
【0538】
アッセイ手順
それぞれの組織切片を含有する適切な数のスライドを、30分間室温に順化させた。次いで、スライドを40mLアッセイ用緩衝液に室温で20分間浸すことにより予備インキュベートした。この予備インキュベーションステップ後、それぞれ室温で60分間、1匹の動物あたり1枚のスライドを、30mLの10nM、3nM、1nM、0.3nM、0.1nM、0.03nM、0.01nM、又は0.003nMの[3H]-化合物1-6溶液に浸すことによってインキュベートし、1枚のスライドを、30mLの10nM、3nM、1nM、0.3nM、0.1nM、0.03nM、0.01nM、又は0.003nMの[3H]-化合物1-6+10μMの非標識化合物1-6溶液に浸すことによってインキュベートした。同様のパラダイムを、トリチウム標識比較化合物3(「[3H]-比較化合物3」)及びトリチウム標識比較化合物4(「[3H]-比較化合物4」)を用いて実施した。これらの比較化合物及び化合物1-6の構造を以下に示す。
【0539】
【表6】
【0540】
その後、スライドを4℃の氷冷洗浄緩衝液200mLで10分間3回洗浄し、氷冷蒸留水に3秒間浸して緩衝塩を除去した。スライドを30℃で3時間乾燥させ、較正済みトリチウム標準ART 0123C及びART 0123Bと共にFuji BAS-TR 2015トリチウム燐光体スクリーンに96時間曝露した。スクリーン上に蓄積された放射エネルギーを、ホスフォイメージャーTyphoon FLA 7000を使用してスキャンした。
【0541】
データ分析
濃度測定データ分析を、MCID Analysis 7.1ソフトウェア(Interfocus Imaging Ltd.)を使用して実施した。各脳切片内で、適切な試料ツールを使用して、STR、CTX、及びHPCについて関心領域(ROI)を規定し、ソフトウェアにより、規定されたROI内のすべてのピクセルのグレーレベル値から密度測定値(単位面積あたりの分子動力学カウント、MDC/mm2)を計算した。濃度測定較正は、光学密度を、較正済みトリチウム標準からの放射能の既知濃度(fmol/mg組織)に関連付け、平均値を個々の脳の各ROIについて計算した。放射性リガンドの総結合(TB)及び非特異的結合(NSB)を定量化し、各脳及びROIについて、それぞれ、TBからNSBを差し引くことによって、特異的結合(SB)を導き出した(SB=TB-NSB)。続いて、各ROI及び実験条件について、群平均±標準偏差(SD)を計算した。GraphPad Prismソフトウェアにおける非線形回帰法を使用して、データを1部位結合方程式に適合させた。
【0542】
飽和結合:HOM zQ175 HDマウスモデル
図1に見られるように、[3H]-化合物1-6は、HOM zQ175脳切片に存在するmHTT凝集体に対して濃度依存的な特異的結合及び低いナノモル親和性を示した;皮質では、1.4nMのKD平均値が得られた。特異的結合部位の濃度についての測定値として計算されたBmaxは、皮質において448.6fmol/mg組織に達した。これらの結果は、脳のこの領域で発現されるmHTT凝集体の量及び密度を反映していると考えられる。
【0543】
WT脳切片への結合はわずかで、調査した2つの最高濃度である3nM及び10nMで定量下限(LLoQ、0.5fmol/mg組織)を超えて検出可能であったにすぎない。結合曲線は確立できず、KD値もBmax値も決定できず、このことは、HOM zQ175(12ヶ月齢)脳切片のみで発現されたmHTT凝集体に対する[3H]-化合物1-6の特異的結合を裏付けた。
【0544】
皮質において決定され、[3H]-比較化合物4及び[3H]-比較化合物3と比較された、放射性リガンド濃度の範囲にわたる、[3H]-化合物1-6の特異的及び飽和結合を、図1にさらに示す。以下の表に示すように、[3H]-化合物1-6のBmax(448fmol/mg)は、[3H]-比較化合物4(149fmol/mg)及び[3H]-比較化合物3(169fmol/mg)と比較して顕著により高かった。
【0545】
【表7】
【0546】
このデータは、化合物1-6が比較化合物4及び比較化合物3より多くの及び/又は異なるmHTTエピトープに結合していることを示唆すると考えられる。
【0547】
結合:ヒト死後脳切片
次いで、このmHTT凝集体結合剤の普遍的な変換可能性、特に病理学特異性及び種選択性に関する情報を提供するために、マウスHDモデル由来の組織からのin situ結合の観察を、死後のヒト脳組織に拡張した。[3H]-化合物1-6は、死後のヒトHD脳においてmHTT特異的結合を示した。
【0548】
図2に見られるように、[3H]-化合物1-6は、CTRL組織と比較して、HDドナーからの前頭皮質切片に対して、低いが、有意により高い結合を示した(HDでは0.8±0.2fmol/mg組織、対、CTRLでは0.0±0.0;p<0.01、HD対CTRLを比較)。[3H]-化合物1-6は、灰白質領域で異なる特異的結合を示し、白質結合が非常に低かった(≦0.5fmol/mg組織)。これらのデータは、mHTT凝集体が、主に皮質ニューロン(灰白質)に見られ、白質ではまれに発現されるという観察と一致している。
【0549】
次いで、[3H]-化合物1-6が、疾患の異なる形態において異なる結合特性を示すかどうかを決定するためのさらなる調査を行った。これに対処するために、死後の成人発症HD脳に加えて、若年性HD試料(1件)を試験した。若年性HDは、成人HDと比較して、早期発症及びはるかに速い進行を特徴とする。[3H]-化合物1-6は、若年性HD脳に対して最も高い結合密度を示し(図2及び図3の白三角)、このことは、この化合物が、疾患の両方の形態においてmHTT凝集体を認識し、成人発症のHD脳と対比して若年発症HD脳において発現される追加のエピトープを認識している可能性があることを示した。
【0550】
[3H]-化合物1-6はまた、図2に見られるように、AD患者の脳切片と比較して、HD患者の皮質において有意により高い結合を示した(0.1±0.0fmol/mg組織;p<0.01、HD対ADを比較;CTRL対ADを比較した場合、有意性は明らかでなかった)。AD患者の皮質における[3H]-化合物1-6の低SBは、この放射性リガンドの、Aβ及びPHF-tau(これらは両方ともこれらのAD試料において発現されている(IHCによる;データ示さず))と対比したmHTTに対する選択性を裏付ける。
【0551】
図3に見られるように、有意な特異的HD結合は、0.3nM[3H]-化合物1-6で検出可能であったが、HD結合は、[3H]-比較化合物4又は[3H]-比較化合物3のいずれかについて0.3nMで検出可能ではなく、このことは、[3H]-比較化合物4又は[3H]-比較化合物3放射性リガンドと比較した、[3H]-化合物1-6による、HD患者の脳で発現されるmHTT凝集体に対する異なる結合エピトープ及び/又はより大きな親和性の認識を示唆した。
【0552】
結論
[3H]-化合物1-6は、HOM zQ175 HDマウスの皮質への濃度依存的な特異的結合を示す。WT脳切片への結合はわずかで、2つの最高濃度である3nM及び10nMで定量下限(LLoQ、0.5fmol/mg組織)を超えて検出可能であるにすぎない。[3H]-化合物1-6は、低ナノモル親和性でHDマウス脳においてmHTT凝集体に結合し、組換えエクソン1-Q46タンパク質を使用して生成されたin vitro結合データと一致する1.4nMのKD値を示す。
【0553】
さらに、[3H]-化合物1-6は、[3H]-比較化合物4又は[3H]-比較化合物3のいずれかに対するHD結合を明らかにできなかった放射性リガンドの濃度である0.3nMでヒトHD脳切片に選択的に結合し、このことは、化合物1-6に対する新規エピトープ認識及び/又はより高い親和性結合を示唆する。
【0554】
最後に、[3H]-化合物1-6は、HD患者の脳切片への結合に対して選択性を示したが、健康な対照又はアルツハイマー病の脳切片のいずれかにはほとんど又は全く結合しなかった。
【0555】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0556】
本明細書に例示的に記載された開示は、本明細書に具体的に開示されていない、何らかの1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定なしに、適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、開放的に、非限定的に解釈するべきである。さらに、本明細書で使用される用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、図示及び説明される特徴又はその一部の同等物を排除する意図はないが、本開示の範囲内で種々の変更が可能であると認識される。
【0557】
本明細書において述べられているすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それぞれが個々に参照により組み込まれる場合と同様に、その全体が明確に参照により組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】