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特表2024-513917呼吸器合胞体ウイルスに対する免疫応答を誘発する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】呼吸器合胞体ウイルスに対する免疫応答を誘発する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20240319BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240319BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K39/12
A61P37/04
A61P11/00
A61K9/12
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561680
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022024068
(87)【国際公開番号】W WO2022217085
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,540
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519102071
【氏名又は名称】コーダジェニックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Codagenix Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】コールマン ジョン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】タスカー シビル
(72)【発明者】
【氏名】クシュニール アンナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076BB25
4C076CC06
4C076CC15
4C076CC35
4C076FF70
4C085AA03
4C085BA51
4C085EE01
4C085GG10
(57)【要約】
本発明は、ワクチン接種の方法、及び、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を投与することによってIgA免疫応答とT細胞免疫応答を含む細胞免疫応答とを誘発する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における免疫応答を誘発する方法であって、
前記免疫応答を誘発するために、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の1回または複数回用量を前記対象に鼻腔内投与することを含み、
前記有効量は、約10~10フォーカス形成単位(FFU)の前記脱最適化されたRSVであり、
前記免疫応答は、IgA免疫応答、細胞免疫応答、またはその両方を含む、
前記方法。
【請求項2】
前記有効量の前記組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することが、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の約28日後に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有効量の前記組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することが、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の少なくとも28日後に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有効量の前記組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することが、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の約28~35日後に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
鼻腔内投与することが点鼻薬を介して投与することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
鼻腔内投与することが鼻腔スプレーを介して投与することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有効量が約10である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有効量が約2×10である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有効量が約10である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有効量が約2×10である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記有効量の1回用量が約1mLの体積で提供される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記有効量の1回用量が約4つのアリコートで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第1のアリコートが第1の鼻孔に投与され、前記第1のアリコートが前記第1の鼻孔に投与されてから10分以内に第2のアリコートが第2の鼻孔に投与され、かつ
前記第2のアリコートが前記第2の鼻孔に投与されてから約5~20分後に、第3のアリコート及び第4のアリコートがいずれかの順序で前記第1の鼻孔及び前記第2の鼻孔に投与される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1のアリコートが第1の鼻孔に投与され、前記第1のアリコートが前記第1の鼻孔に投与されてから5分以内に第2のアリコートが第2の鼻孔に投与され、かつ
前記第2のアリコートが前記第2の鼻孔に投与されてから約10~15分後に、第3のアリコート及び第4のアリコートがいずれかの順序で前記第1の鼻孔及び前記第2の鼻孔に投与される、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞免疫応答がT細胞応答の発生を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記T細胞応答の前記発生が、プラセボ群に基づく応答の基準レベルとの比較、または前記対象のワクチン接種前の時点との比較である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.3倍の増加が示される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.4倍の増加が示される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.5倍の増加が示される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.6倍の増加が示される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.7倍の増加が示される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記有効量が約10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の統計的に有意な増加を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記有効量が約2×10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の統計的に有意な増加を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記有効量が約10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記有効量が約2×10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記有効量が約10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記有効量が約2×10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記有効量が約10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも1.1倍の上昇を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記有効量が約2×10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも1.1倍の上昇を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記有効量が約10~10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも1.3倍の上昇を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記有効量が約2×10~2×10FFUであり、かつ前記免疫応答を誘発することが、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも1.3倍の上昇を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記脱最適化されたRSVが、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が18歳未満である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が13歳未満である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が7歳未満である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が2歳未満である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が18~49歳である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が少なくとも50歳である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
対象におけるT細胞免疫応答を誘発する方法であって、
前記T細胞免疫応答を誘発するために、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を前記対象に鼻腔内投与することと、
前記第1の用量の約28~35日後に、前記脱最適化されたRSVを含む前記有効量の前記組成物の第2の用量を鼻腔内投与することと
を含み、
前記有効量は、約10または約2×10フォーカス形成単位(FFU)の前記脱最適化されたRSVであり、前記脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、前記T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む、
前記方法。
【請求項40】
対象におけるT細胞免疫応答を誘発する方法であって、
前記免疫応答を誘発するために、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を前記対象に鼻腔内投与すること、
前記第1の用量の約28~35日後に、前記脱最適化されたRSVを含む前記有効量の前記組成物の第2の用量を鼻腔内投与すること
を含み、
前記有効量は、約10または約2×10フォーカス形成単位(FFU)の前記脱最適化されたRSVであり、前記脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、前記T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む、
前記方法。
【請求項41】
対象におけるIgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方を誘発する方法であって、
前記免疫応答を誘発するために、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を前記対象に鼻腔内投与することと、
前記第1の用量の約28~35日後に、前記脱最適化されたRSVを含む前記有効量の前記組成物の第2の用量を鼻腔内投与することと
を含み、
前記有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の前記脱最適化されたRSVであり、前記脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムもしくはアンチゲノムを含み、前記対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.3倍の増加が示される、
または
前記有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の前記脱最適化されたRSVであり、前記脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムもしくはアンチゲノムを含み、前記免疫応答を誘発することは、前記対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2021年4月8日に出願された米国特許仮出願第63/172,540号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本発明は、ワクチン及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対する防御免疫応答の提供に関する。
【背景技術】
【0004】
本明細書における全ての刊行物は、個々の刊行物または特許出願が、参照により本明細書に組み入れられるように具体的かつ個別に示されているかのように、それと同程度まで、参照により組み入れられる。以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のいずれも、ここで特許請求される本発明に対する先行技術であること、もしくはそれに関連すること、または具体的もしくは暗黙的に言及されるいずれの刊行物も先行技術であることを認めるものではない。
【0005】
呼吸器合胞体ウイルスは、Pneumoviridae(ニューモウイルス)科(以前のParamyxoviridae(パラミクソウイルス)科)に属する非分節型一本鎖マイナス鎖エンベロープリボ核酸(RNA)ウイルスである。感染者との濃厚接触または汚染された表面もしくは物体との接触により呼吸器分泌物を介して伝播する。液性免疫応答は、通常は抗RSV中和抗体力価の発現をもたらすが、これらは乳児の初回感染時には最適以下であることがよくある。RSV感染に対する細胞免疫応答も、ウイルスの排除に重要である。この免疫応答は、RSVに対する宿主防御に不可欠であり、重度の下気道RSV細気管支炎の免疫病因にも関与している。潜伏期間は3~5日で、ウイルスの排出は通常3~8日間起こる。感染者との濃厚接触または汚染された表面もしくは物体との接触により呼吸器分泌物を介して伝播する。感染は、感染性粒子が眼、口、または鼻の粘膜に接触した際に起こる可能性があるほか、くしゃみや咳によって生じた飛沫を吸入した場合にも起こり得る。
【0006】
RSVは幼児の主な病原体であることが長い間知られていたが、高齢者におけるRSVの脅威が認識されるようになってきている。加齢に伴う免疫機能の低下は、RSVを含むさまざまな感染症のリスクを高め、一般社会に住む高齢者はRSVによる呼吸器疾患にかかりやすく、その後救急外来を受診したり入院したりするリスクが高まる。医療機関を受診している高齢者における臨床検査で確認されたRSVの発生率の割合を報告した10件の治験を対象とした遡及的疫学レビューでは、併存症について選択されていない高齢者における急性呼吸器疾患の最大12%でRSVが原因であると推定されており、臨床状況及び年によって差がみられる。基礎疾患を有することについて選択されていない高齢者における医療機関によるRSVの発生率は、年齢が上がるにつれて増加することが観察されており、慢性心肺疾患を患って入院している成人では、冬季に8%~13%がRSVに感染していた。全体として、高齢者のRSVによる入院期間は3~6日であり、かなりの割合の患者が集中治療室への入院と人工呼吸器を必要とした。RSVで入院した高齢者の死亡率は6~8%であった。
【0007】
現在、承認されたRSVワクチンはなく、当技術分野においては、個人、特に子供及び高齢者にワクチン接種する方法を提供する必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0008】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ例示的であることを意図する組成物及び方法に関連して説明及び例示される。
【0009】
本発明の様々な実施形態は、対象において免疫応答を誘発する方法を提供し、この方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の1回または複数回用量を対象に鼻腔内投与することを含み、有効量は、約10~10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、免疫応答は、IgA免疫応答、細胞免疫応答、またはその両方を含む。
【0010】
様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み得、第2の用量は第1の用量の約28日後に投与される。様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み得、第2の用量は第1の用量の少なくとも28日後に投与される。様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み得、第2の用量は第1の用量の約28~35日後に投与される。
【0011】
様々な実施形態において、鼻腔内投与することは、点鼻薬による投与を含むことができる。様々な実施形態において、鼻腔内投与することは、鼻腔スプレーによる投与を含むことができる。
【0012】
様々な実施形態において、有効量は約10であり得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10であり得る。様々な実施形態において、有効量は約10であり得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10であり得る。
【0013】
様々な実施形態において、有効量の1回用量は、約1mLの体積で提供され得る。様々な実施形態において、有効量の1回用量は、約4つのアリコートで投与され得る。
【0014】
様々な実施形態において、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与され得、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与されてから10分以内に第2のアリコートが第2の鼻孔に投与され得、第3のアリコート及び第4のアリコートが、第2のアリコートが第2の鼻孔に投与された約5~20分後に、いずれかの順序で第1の鼻孔及び第2の鼻孔に投与され得る。
【0015】
様々な実施形態において、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与され得、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与されてから5分以内に第2のアリコートが第2の鼻孔に投与され得、第3のアリコート及び第4のアリコートが、第2のアリコートが第2の鼻孔に投与された約10~15分後に、いずれかの順序で第1の鼻孔及び第2の鼻孔に投与され得る。
【0016】
様々な実施形態において、細胞免疫応答は、T細胞応答の発生を含み得る。様々な実施形態において、T細胞応答の発生は、プラセボ群に基づく応答の基準レベルと比較するか、または対象のワクチン接種前の時点と比較することができる。
【0017】
様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.3倍の増加が示され得る。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.4倍の増加が示され得る。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.5倍の増加が示され得る。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.6倍の増加が示され得る。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.7倍の増加が示され得る。
【0018】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の統計的に有意な増加を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の統計的に有意な増加を含み得る。
【0019】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の増加を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の増加を含み得る。
【0020】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり得、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり得、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含み得る。
【0021】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり得、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.1倍の上昇を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり得、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.1倍の上昇を含み得る。
【0022】
様々な実施形態において、有効量は約10~10FFUであり得、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.3倍の上昇を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10~2×10FFUであり得、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.3倍の上昇を含み得る。
【0023】
様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むことができる。
【0024】
様々な実施形態において、対象は18歳未満であり得る。様々な実施形態において、対象は13歳未満であり得る。様々な実施形態において、対象は7歳未満であり得る。様々な実施形態において、対象は2歳未満であり得る。様々な実施形態において、対象は18~49歳であり得る。様々な実施形態において、対象は、少なくとも50歳であり得る。
【0025】
様々な実施形態は、対象においてT細胞免疫応答を誘発する方法を提供し、この方法は、T細胞免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から約28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約10または約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む。
【0026】
様々な実施形態は、対象においてT細胞免疫応答を誘発する方法を提供し、この方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から約28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約10または約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む。
【0027】
様々な実施形態は、対象においてIgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方を誘発する方法を提供し、この方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から約28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.3倍の増加が示される。
【0028】
様々な実施形態は、対象においてIgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方を誘発する方法を提供し、この方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から約28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の実施形態の様々な特徴を例として図示する添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
例示的な実施形態を、参照される図面において図示する。本明細書に開示される実施形態及び図面は、限定的ではなく例示的であるとみなされることが意図される。
【0031】
図1A】プラセボとCodaVax-RSVワクチン接種ボランティアのELISPOTの総スポット数を示している。SFU(スポット形成単位)の数を10細胞に対して正規化し、Y軸にグラフ化した。
図1B】プラセボとCodaVax-RSVワクチン接種ボランティアのELISPOTの総スポット数を示している。SFU(スポット形成単位)の数を10細胞に対して正規化し、Y軸にグラフ化した。
図2】ワクチン接種後1日目と比較したSFU数の変化を示している。緑色の線は、T細胞応答の有意な誘導と考えられるSFUの1.3倍の増加を示している。
図3】T細胞応答-修正された治療意図集団における幾何平均上昇倍率を示している。略語:FFU=フォーカス形成単位。GMFR-幾何平均上昇倍率。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の説明
本明細書で引用される全ての参照文献は、完全に記載されるかのように、それらの全体が参照により組み込まれる。別段に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0033】
当業者は、本発明の実施に使用され得る、本明細書に記載のものに類似または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。実際、本発明は、記載される方法及び材料に対して限定されない。本発明の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
【0034】
本明細書で使用される場合、参照される数値表示と関連して使用される場合、「約」という用語は、本明細書で特に規定されない限り、参照される数値表示+または-その参照される数値表示の最大5%を意味する。例えば、言語「約50%」は、45%~55%の範囲を網羅する。様々な実施形態において、参照される数値表示と関連して使用される場合、「約」という用語は、特許請求の範囲で具体的に記載されている場合、参照される数値表示+または-その参照される数値表示の最大4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.25%を意味し得る。
【0035】
RSVなどのウイルスに関して本明細書で使用される「脱最適化された」とは、それらのゲノムまたはアンチゲノムが全体的または部分的に同義のコドン及び/またはコドン再配列及び/またはコドン対バイアスの変動を有する改変ウイルスを指す。この同義コドンの置換は、例えば、ゲノムまたはアンチゲノム内のコドンバイアスの減少、コドン対バイアスの減少、脱最適化コドン及び脱最適化コドン対の密度、RNA2次構造、CpGジヌクレオチド含量、C+G含量、UpAジヌクレオチド含量、翻訳フレームシフト部位、翻訳休止部位、組織特異的マイクロRNA認識配列の存在もしくは不在、またはこれらの任意の組合せを含めた様々なパラメーターを改変する。
【0036】
本明細書で使用される「アンチゲノム」とは、ウイルス粒子の内部に存在する実際のウイルスゲノム配列の逆相補を指す。例えば、RSVはネガティブセンスウイルスであり、リボソームによって読み取られる順方向のタンパク質コード配列を含むアンチゲノムセンスでゲノムを示すのが一般的である。
【0037】
本明細書で使用される「対象」とは、動物または人為的に修飾された動物を意味する。動物としては、限定されるものではないが、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、フェレット、げっ歯類(例えばマウス、ラット、及びモルモット)、コウモリ、ヘビ、ならびに鳥類が含まれる。人為的に修飾された動物としては、限定されるものではないが、ヒト免疫系を有するSCIDマウスが挙げられる。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0038】
「予防的に有効」とは、ウイルス感染しやすい、またはウイルス関連疾患に罹患しやすい対象に投与した場合に、対象をウイルス感染すること、または疾患に罹患することから守る免疫応答を誘導する、任意の量のワクチンまたはウイルス組成物である。対象を「保護する」とは、対象がウイルスに感染する可能性、または対象の疾患の発症の可能性を、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、25倍、50倍、または100倍減らすことのいずれかを意味する。例えば、対象がウイルスに感染する確率が1%である場合、対象がウイルスに感染する可能性を2倍減少させると、対象がウイルスに感染する確率は0.5%になる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「治療的に有効」とは、ワクチンが有効である疾患に罹患している対象に投与された場合に、対象に障害及び/またはその症状の軽減、寛解、または退行を生じさせる免疫応答を誘導する、任意の量のワクチンまたはウイルス組成物である。好ましい実施形態では、障害及び/またはその症状の再発が予防される。他の好ましい実施形態では、対象は障害及び/またはその症状が治癒する。
【0040】
CodaVax-RSVは、ヒト宿主細胞での翻訳を遅らせるためにウイルス遺伝子を「脱最適化」する合成生物学的手法である合成弱毒化ウイルス工学(SAVE)の原理を用いて作成された、MinL4.0と名付けられた生の弱毒RSVワクチン株に基づいている(Coleman 2008、Nouen 2017、あたかも完全に説明されているかのように参照により本明細書に組み込まれる)。弱毒化は、優先コドン及びコドン対をよりゆっくりと翻訳される同義コドンに置き換えるように設計されたコンピューターアルゴリズムを使用してウイルス遺伝子を大規模に再コードすることによって達成される。このプロセスは、コドン及びコドン対の脱最適化(CPD)と呼ばれる。CPDは、標的ウイルスのアミノ酸配列と100%同一のアミノ酸配列を生成する何百ものサイレント変異を産生するが、ウイルスを桁違いに減弱させる。再コードされたウイルスは新たに合成される。脱最適化されたウイルス遺伝子は野生型タンパク質配列をコードするが、CPDにより宿主細胞のリボソームが生成する標的タンパク質の量が減り、速度が遅くなる。その結果、ウイルスは大幅に弱毒化されるが、野生型感染と非常によく似た宿主細胞免疫応答を誘導する。配列は数百から数千のこのような脱最適化変異によって改変されるため、ウイルスの弱毒化表現型は遺伝的に安定である。
【0041】
CodaVax-RSVに含まれる弱毒化RSV株であるMinL4.0(例えば、配列番号1)は、RSV L遺伝子のCPDに4つの追加の点変異を加えて合成された。これら4つの追加の配列変更により、動物モデルにおける遺伝的安定性の向上、さらなる弱毒化、及び免疫原性の増加をもたらした。
【0042】
したがって、対象においてMinL4.0及び他の類似の脱最適化ウイルスを利用して免疫応答を誘発する方法が本明細書に提供される。
【0043】
本発明の様々な実施形態は、対象において免疫応答を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化された呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の1回または複数回用量を対象に鼻腔内投与することを含み、有効量は、約10~10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、免疫応答は、IgA免疫応答、細胞免疫応答、またはその両方を含む。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効な量である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効な量である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。
【0044】
様々な実施形態において、本方法は、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与する前に、RSVに対する免疫応答を誘発する必要がある対象を特定することをさらに含む。
【0045】
様々な実施形態において、免疫応答は、RSVに対する免疫応答である。様々な実施形態において、免疫応答は、RSVに対するIgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方である。様々な実施形態において、免疫応答は、RSVに対するT細胞免疫応答である。
【0046】
様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の約28日後に投与される。様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の少なくとも28日後に投与される。様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の28~35日後に投与される。様々な実施形態において、有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与することは、2回用量を投与することを含み、第2の用量は第1の用量の21~49日後に投与される。
【0047】
様々な実施形態において、本方法は、初回投与レジメンの1年以上後に1回または複数回のブースター用量を投与することをさらに含む。例えば、1年、2年、3年、4年、5年、10年、15年、20年、25年、30年、35年、40年、45年、50年、55年、60年、65年、70年。様々な実施形態において、1回または複数回のブースター用量は、対象が高齢になったときに投与され、例えば、子供として初回投与レジメンで投与され、対象が50歳を超えたときに、ブースター用量が投与される。様々な実施形態では、対象は、ヒト対象である。
【0048】
様々な実施形態において、鼻腔内投与することは、点鼻薬による投与を含む。点鼻薬は、適切な投与を支援するために、注射器を介して投与することができる。様々な実施形態において、鼻腔内投与することは、鼻腔スプレーによる投与を含む。
【0049】
様々な実施形態において、有効量は約10~10FFUの脱最適化されたRSVである。様々な実施形態において、有効量は約10~10FFUの脱最適化されたRSVである。例えば、約10~10FFUまたは約10~10FFUの脱最適化RSVが、成人対象における適切な有効量であり得る。様々な実施形態において、有効量は約10~10FFUの脱最適化されたRSVである。様々な実施形態において、有効量は約10~10FFUの脱最適化されたRSVである。例えば、約10~10FFUまたは約10~10FFUの脱最適化RSVが、小児対象における適切な有効量であり得る。
【0050】
様々な実施形態において、有効量は約2~3×10~10FFUの脱最適化されたRSVである。様々な実施形態において、有効量は約2~3×10~10FFUの脱最適化されたRSVである。例えば、約2~3×10~10FFUまたは約2~3×10~10FFUの脱最適化RSVが、成人対象における適切な有効量であり得る。様々な実施形態において、有効量は約2~3×10~10FFUの脱最適化されたRSVである。様々な実施形態において、有効量は約2~3×10~10FFUの脱最適化されたRSVである。例えば、約2~3×10~10FFUまたは約2~3×10~10FFUの脱最適化RSVが、小児対象における適切な有効量であり得る。
【0051】
様々な実施形態において、有効量は1回用量の量である。
【0052】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は1回用量の量である。例えば、有効量が約2×10FFUであり、かつ脱最適化されたRSVが2回用量として投与される場合、各用量は約2×10FFUを有するであろう。
【0053】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約10FFUである。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUである。
【0054】
様々な実施形態において、有効量の1回用量は、約1mLの体積で提供される。様々な実施形態において、有効量の1回用量は、約4つのアリコートで投与される。例えば、有効量が1mLの体積で提供される場合、各アリコートの体積は約250μLになる。様々な実施形態において、有効量の1回用量は、約2つのアリコートで提供される。様々な実施形態において、有効量の1回用量は、約6つのアリコートで提供される。
【0055】
様々な実施形態において、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与され、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与されてから10分以内に第2のアリコートが第2の鼻孔に投与され、第3のアリコート及び第4のアリコートが、第2のアリコートが第2の鼻孔に投与された約5~20分後に、いずれかの順序で第1の鼻孔及び第2の鼻孔に投与される。
【0056】
様々な実施形態において、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与され、第1のアリコートが第1の鼻孔に投与されてから5分以内に第2のアリコートが第2の鼻孔に投与され、第3のアリコート及び第4のアリコートが、第2のアリコートが第2の鼻孔に投与された約10~15分後に、いずれかの順序で第1の鼻孔及び第2の鼻孔に投与される。
【0057】
様々な実施形態において、細胞免疫応答は、T細胞応答の発生を含む。様々な実施形態において、T細胞応答の発生は、プラセボ群に基づく応答の基準レベルとの比較である。様々な実施形態において、応答の基準レベルは、プラセボ群の平均レベルであり得る。様々な実施形態において、応答の基準レベルは、プラセボ群の中央レベルであり得る。
【0058】
様々な実施形態において、T細胞応答の発生は、対象のワクチン接種前の時点との比較である。様々な実施形態において、方法は、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答が増加した免疫応答を誘発する。様々な実施形態において、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加は、統計的に有意な増加である。
【0059】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の統計的に有意な増加を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の統計的に有意な増加を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の増加を含み得る。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較してT細胞応答の増加を含み得る。
【0060】
本明細書で議論されるワクチン接種前の時点は、ワクチン接種の第1の投与の直前の時点であり得る。例えば、T細胞応答は、ワクチン接種と同じ日、ただしワクチン接種前に採取された血液から測定することができる。本明細書で論じられるワクチン接種前の時点は、ワクチン接種の約1日前、ワクチン接種の約5日前、ワクチン接種の約7日前、ワクチン接種の約10日前、ワクチン接種の約14日前、またはそれ以上などの時点であり得る。本明細書で論じられるワクチン接種前の時点は、ワクチン接種の1~7日前、ワクチン接種の1~2週間前、ワクチン接種の2~4週間前、ワクチン接種の4~8週間前、ワクチン接種の2~3か月前、ワクチン接種の3~6か月前またはそれ以上などの時点であり得る。
【0061】
様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.3倍の増加が示される。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.4倍の増加が示される。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.5倍の増加が示される。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.6倍の増加が示される。様々な実施形態において、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.7倍の増加が示される。
【0062】
様々な実施形態において、本方法は、ベースライン値を取得するために、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析を実行することをさらに含む。様々な実施形態において、本方法は、ワクチン接種後の対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析を1回または複数回実行することをさらに含む。
【0063】
様々な実施形態において、ベースラインを基準として、脱最適化されたRSVの投与前に得られた生体サンプルからベースラインを測定することができる。例えば、ベースライン測定のための生体サンプルは、脱最適化されたRSVの最初の投与の日に、投与の前に採取される。他の例では、ベースライン測定のための生体サンプルは、脱最適化されたRSVの最初の投与の日の数日または数週間前に採取することができる。一例として、ベースライン測定用の生体サンプルは、免疫応答、IgA免疫応答、細胞免疫応答、T細胞免疫応答を誘発する対象を特定することの一環として採取することができる。
【0064】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む。
【0065】
様々な実施形態において、有効量は約10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.1倍の上昇を含む。様々な実施形態において、有効量は約2×10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.1倍の上昇を含む。
【0066】
様々な実施形態において、有効量は約10~10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.3倍の上昇を含む。様々な実施形態において、有効量は約2×10~10FFUであり、かつ免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも1.3倍の上昇を含む。
【0067】
様々な実施形態において、IgAレベルの上昇は、第1の用量の脱最適化されたRSVが投与される前に対象が有するIgAレベルと比較され得る。他の実施形態において、IgAレベルの上昇は、次の用量の脱最適化されたRSVが投与される前に対象が有するIgAレベルと比較され得る。様々な実施形態において、これらのIgAレベルの上昇は、粘膜IgAにおけるものである。
【0068】
様々な実施形態において、本方法は、ベースライン値を取得するために対象からのIgAレベルを分析することをさらに含む。様々な実施形態において、本方法は、ワクチン接種後の対象から1回または複数回IgAレベルを分析することをさらに含む。
【0069】
様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含む。すなわち、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムによってコードされる。
【0070】
様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むが、最大12個のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むが、最大9個のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むが、最大6個のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むが、最大3個のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むが、最大2個のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含むが、最大1個のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。
【0071】
様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2014/015274号(WO2014/124238として公開)に記載されているような、脱最適化されたRSVのゲノムまたはアンチゲノムを含む。様々な実施形態において、脱最適化されたRSVは、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2017/053047号(WO2018/057950として公開)に記載されているような、脱最適化されたRSV、例えば、WO2018/057950のRSV Min_L-NPM2-1[N88K]Lのゲノムまたはアンチゲノムを含む。
【0072】
様々な実施形態において、対象は18歳未満である。様々な実施形態において、対象は17歳未満である。様々な実施形態において、対象は13歳未満である。様々な実施形態において、対象は7歳未満である。様々な実施形態において、対象は6歳未満である。様々な実施形態において、対象は2歳未満である。
【0073】
様々な実施形態において、対象は、6か月~2歳である。様々な実施形態において、対象は、3歳~5歳である。様々な実施形態において、対象は、6歳~11歳である。様々な実施形態において、対象は、12歳~17歳である。
【0074】
様々な実施形態において、対象は、18歳~49歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも50歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも55歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも60歳である。
【0075】
様々な実施形態は、対象においてIgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、第1の投与から28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析により、ベースライン値とワクチン接種後の時点での最高値との間でスポット形成単位(SFU)の少なくとも1.3倍の増加が示される。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。本発明の様々な実施形態は、対象においてIgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、第1の投与から28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、免疫応答を誘発することは、対象におけるIgAレベルの少なくとも2.4倍の上昇を含む。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。
【0076】
様々な実施形態において、本方法は、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与する前に、IgA免疫応答、細胞免疫応答、または両方を誘発する必要がある対象を特定することをさらに含む。
【0077】
様々な実施形態において、本方法は、ベースライン値を取得するために、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析を実行することをさらに含む。様々な実施形態において、本方法は、ワクチン接種後の対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析を1回または複数回実行することをさらに含む。
【0078】
様々な実施形態において、本方法は、ベースライン値を取得するために対象からのIgAレベルを分析することをさらに含む。様々な実施形態において、本方法は、ワクチン接種後の対象から1回または複数回IgAレベルを分析することをさらに含む。
【0079】
様々な実施形態において、対象は18歳未満である。様々な実施形態において、対象は17歳未満である。様々な実施形態において、対象は13歳未満である。様々な実施形態において、対象は7歳未満である。様々な実施形態において、対象は6歳未満である。様々な実施形態において、対象は2歳未満である。
【0080】
様々な実施形態において、対象は、6か月~2歳である。様々な実施形態において、対象は、3歳~5歳である。様々な実施形態において、対象は、6歳~11歳である。様々な実施形態において、対象は、12歳~17歳である。
【0081】
様々な実施形態において、対象は、18歳~49歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも50歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも55歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも60歳である。
【0082】
様々な実施形態は、対象においてT細胞免疫応答を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む。様々な実施形態において、増加は、統計的に有意な増加である。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。様々な実施形態は、対象においてT細胞免疫応答を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む。様々な実施形態において、増加は、統計的に有意な増加である。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。
【0083】
様々な実施形態は、対象においてT細胞免疫応答を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。
【0084】
様々な実施形態は、対象においてT細胞免疫応答を誘発する方法を提供し、本方法は、免疫応答を誘発するために、脱最適化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む有効量の組成物の第1の用量を対象に鼻腔内投与すること、及び、第1の投与から28~35日後に、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の第2の投与を鼻腔内投与すること、を含み、有効量は、約2×10フォーカス形成単位(FFU)の脱最適化されたRSVであり、脱最適化されたRSVは、配列番号1の配列を有するゲノムまたはアンチゲノムを含み、T細胞免疫応答を誘発することは、ワクチン接種前の時点と比較したT細胞応答の増加を含む。様々な実施形態において、有効量は予防的に有効な量である。様々な実施形態において、有効量は治療的に有効である。様々な実施形態において、本方法は防御免疫応答を誘発する。
【0085】
様々な実施形態において、本方法は、脱最適化されたRSVを含む有効量の組成物の1回または複数回用量を鼻腔内投与する前に、T細胞免疫応答を誘発する必要がある対象を特定することをさらに含む。
【0086】
様々な実施形態において、本方法は、ベースライン値を取得するために、対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析を実行することをさらに含む。様々な実施形態において、本方法は、ワクチン接種後の対象からの末梢血単核球(PBMC)の酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)分析を1回または複数回実行することをさらに含む。
【0087】
様々な実施形態において、本方法は、ベースライン値を取得するために対象からのT細胞免疫応答を分析することをさらに含む。様々な実施形態において、本方法は、ワクチン接種後の対象から1回または複数回T細胞免疫応答を分析することをさらに含む。
【0088】
様々な実施形態において、対象は18歳未満である。様々な実施形態において、対象は17歳未満である。様々な実施形態において、対象は13歳未満である。様々な実施形態において、対象は7歳未満である。様々な実施形態において、対象は6歳未満である。様々な実施形態において、対象は2歳未満である。
【0089】
様々な実施形態において、対象は、6か月~2歳である。様々な実施形態において、対象は、3歳~5歳である。様々な実施形態において、対象は、6歳~11歳である。様々な実施形態において、対象は、12歳~17歳である。
【0090】
様々な実施形態において、対象は、18歳~49歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも50歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも55歳である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも60歳である。
【0091】
本明細書で議論されるワクチン接種前の時点は、ワクチン接種の第1の投与の直前の時点であり得る。例えば、T細胞応答は、ワクチン接種と同じ日、ただしワクチン接種前に採取された血液から測定することができる。本明細書で論じられるワクチン接種前の時点は、ワクチン接種の約1日前、ワクチン接種の約5日前、ワクチン接種の約7日前、ワクチン接種の約10日前、ワクチン接種の約14日前、またはそれ以上などの時点であり得る。本明細書で論じられるワクチン接種前の時点は、ワクチン接種の1~7日前、ワクチン接種の1~2週間前、ワクチン接種の2~4週間前、ワクチン接種の4~8週間前、ワクチン接種の2~3か月前、ワクチン接種の3~6か月前またはそれ以上などの時点であり得る。
【実施例
【0092】
以下の実施例は、特許請求される発明をよりよく例示するために提供され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特定の材料が言及される範囲では、それは単に例示のためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、発明の能力を行使することなくかつ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物質を開発することができる。
【0093】
実施例1
以下の臨床試験プロトコルを使用して、実施例2及び3に記載のデータを生成した。このプロトコルには、選択基準、除外基準、投薬、避妊及びその他の制限等を含むが、これらの基準及び制限は、特許請求の範囲において除外されると特に記載されていない限り、特許請求の範囲に記載された発明の実施に対する制限と解釈してはならない。実際、この治験の対象から除外された特定の個人は、本明細書に記載の方法を受けることができ、受けるべき個人として企図される。
【0094】
CodaVax-RSVは、IN投与により投与される無菌溶液である。健康な高齢者を対象としたこのFIH第I相臨床試験では、1用量あたり約2×10及び2×10FFUの2つの名目用量レベルのCodaVax-RSVが28日間隔で投与される(つまり、1日目と29日目)。対象は、各群内でCodaVax-RSVまたは生理食塩水プラセボに2:1で無作為に割り当てられる。調査対象の用量レベルを表1に示す。
【0095】
センチネル投与後に投与を継続し、より高用量コホートに用量を段階的に増やすかの決定は、SMCによる新たな安全性データの検討に依存する。PIは、最初の2人のセンチネルの投与初日の安全性データを検討し、残りのセンチネルコホートを投与する前に残りのSMCにアドバイスする。その後、SMCは、すべてのセンチネル参加者及び低用量コホート参加者について、第8日目まで盲検化安全性データをレビューした後、各群の後続の参加者をランダム化し、各コホート参加者が2回目の投与を受け始める前に、利用可能な盲検化安全性データをレビューする。
【0096】
【表1】
【0097】
この治験は、センチネル群では18歳~49歳(インフォームドコンセント時において)、主要投与群では50歳~75歳(インフォームドコンセント時において)の健康な男性及び女性ボランティアを対象に実施される。
【0098】
妊娠可能な女性も含まれ、スクリーニングから2回目のワクチン接種後6か月までの治験期間中、避妊が必要となる。妊娠可能な女性は、スクリーニング時及び治験薬の投与前に妊娠検査で陰性を証明しなければならない。これは、規制に関するGuidance on Nonclinical Safety Studies for the Conduct of Human Clinical Trials and Marketing Authorization for Pharmaceuticals(米国食品医薬品局[FDA]2006)に準拠している。
【0099】
全体的な治験デザイン
本試験は、28日間の間隔を空けてIN投与される2回のCodaVax-RSV単独ワクチン接種の安全性、忍容性、及び免疫原性に関する第1相無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。この治験には、18~49歳の若年成人計6名からなる2つのセンチネル群と、それに続く50~75歳のベースラインRSV力価が低い健康な高齢者約36名が含まれる。
【0100】
適格な参加者は、2つの用量漸増コホートにおいてCodaVax-RSVまたはプラセボ(生理食塩水)に2:1で無作為に割り当てられる。すべての参加者は28日の間隔で2回の接種を受ける。低用量コホートには約2×10FFUの名目用量、高用量コホートには約2×10FFUの名目用量がIN投与され、各鼻孔に250μL、10~15分後に繰り返し、総量1mLが投与される。この治験の用量レベルと投与は次のとおりである(表2)。
【0101】
【表2】
【0102】
インフォームドコンセントを提供した後、適格と思われる参加者は、適格性を決定するための無作為化前の28日以内に実施される定期的な身体検査、ECG及び臨床検査(血液学、生化学、及び尿検査)によってスクリーニングされる。高齢者の参加者は、ベースラインのRSV抗体力価が低い人を特定するためにデザインされた以前のスクリーニング試験から募集される。1日目に、身体検査、PBMC及び血清抗体の採血、及び粘膜抗体のNPスワブの後、適格な参加者は、上記の表6のように定義された投与群に対し、非盲検統計医が現場の薬剤師に提供するブロックランダム化法を用いて、各投与群内で実薬治療またはプラセボのいずれかに無作為に割り当てる。参加者に2つのワクチンのうちの第1のワクチンを投与し、投与後2時間観察し、指定されたすべての評価が正常に完了した後に退院させる。
【0103】
参加者は、各ワクチン接種後7日間の口腔内温度、非自発的な症状の有無と重症度を記録する毎日の日誌を記入する。参加者は、評価スケジュールに従って、対象を絞った身体検査、血清採取、NPスワブ及びAE、及び付随する投薬レビューのために戻る。8日目に、安全性に関する臨床検査及びPBMCの収集も行われる。参加者は2回目のワクチン接種を受ける。
【0104】
初回接種から28日後(29日目)。参加者を投与後2時間観察し、指定されたすべての評価が正常に完了した後に退院させる。32日、36日、及び43日目の治験手順は、最初のワクチン接種後の手順と類似する。57日目に、参加者はフォローアップの妊娠検査及びECGが追加され類似した評価を受ける。
【0105】
治験の監督は、治験責任医師、治験依頼者のMM、及び独立したMMで構成されるSMCによって提供される。PIは、最初の2人のセンチネルの投与初日の安全性データを検討し、残りのセンチネルコホートを投与する前に残りのSMCにアドバイスする。その後、SMCは、すべてのセンチネル参加者及び低用量群について、8日目まで盲検化安全性データをレビューした後に参加者をそれ以降の群に無作為化し、各コホート参加者が2回目の投与を受け始める前に、利用可能な盲検化安全性データをレビューする。57日目以降に2回の後期フォローアップ来院が予定されている。
【0106】
後期フォローアップ期間中に呼吸器感染症の症状を発現した参加者は、呼吸器ウイルスPCRパネル用の検体が採取され(RSV陽性の場合はシーケンス確認が続く)、これは予定外の来院中であり得る。臨床的に重大な検査異常も、予定外の来院時に繰り返され得る。すべてのAE及び併用薬は57日目まで記録され、MAE、NCI、SAE、及び特に注目すべき併用薬(ワクチン及び免疫抑制薬)は1日目から209日目まで記録される(EOS)。治験来院と評価は、評価スケジュールに記載されているとおりに行われる。
【0107】
参加者の人数
約42名の参加者が無作為化される。
【0108】
治療の割り当て
無作為化
Clinical Network Servicesは、無作為化スケジュールのリクエストを作成し、この文書に従って適格な治験参加者の無作為化を管理する。無作為化リストは、NVT Biostatisticianによる統計ソフトウェアパッケージを使用して作成される。
【0109】
各参加者には、インフォームドコンセントの文書化の後に一意のスクリーニング番号が提供される。試験に参加する資格があると一度判断された参加者には、最初の投与の前に順次ランダム化番号が割り当てられる。必要なスクリーニング評価をすべて完了せずに治験参加を撤回した参加者は、いかなる理由であっても、スクリーニング不合格とみなされる。
【0110】
無作為化の詳細は、無作為化スケジュールのリクエストにさらに文書化される。
【0111】
安全性監視委員会
監督は、少なくとも、PI、治験依頼者のMM、及び独立MMを含むSMCによって提供され、前記SMCは、低用量コホートの残りの参加者の無作為化、高用量コホートへの用量漸増の前、及び参加者が各群で2回目のワクチン接種を受ける前に、センチネル群からの盲検化安全性データのレビューを実施する。
【0112】
各レビューの後、SMCは次の提案を行う:
・計画通りに治験を続ける
・変更を加えて治験を続ける
・治験を一時的に中断または終了する
・治験を一時的に中断または終了する決定がなされた場合、関連するSMC議事録がHRECに提出される。
【0113】
中止基準
以下の中止ルールのいずれかが満たされた場合、SMCが盲検化安全性データレビューを実施し、その後の治験参加者との関連性とリスクを評価するまで、無作為化と投与が中止される。
・関連する可能性のあるSAE
・グレード4の検査値またはAE
・2つ以上の類似したグレード3の事象または検査異常。このような盲検下レビューの記録はHRECに提出される。
【0114】
治験終了の基準
以下の場合を除き、治験は計画どおりに完了する。
・治験薬の安全性に関する新しい情報またはその他の評価が、その化合物の既知のリスク/利益プロファイルの変化を示しており、そのためそのリスク/利益が治験に参加する参加者にとってもはや許容できないものである。これは、治験依頼者、治験責任医師、地域のMM、SMC、HREC、または規制当局によって決定され得る。
・治験が管理上の理由により治験依頼者によって終了される。
・治験依頼者、HRECまたは規制当局が治験の実施または治験施設の参加を終了または中止することを選択した場合、治験依頼者は早期終了または中止のための治験実施計画固有の手続きを提供する。この手順は、終了または治験停止中に治験施設によって行われる。
【0115】
参加者の選択基準
この治験の参加資格を得るには、参加者は次の選択基準をすべて満たす必要がある。
1.主要投与群では50歳~75歳(インフォームドコンセント時において)の健康な男性及び女性、または、センチネル群では18歳~49歳(インフォームドコンセント時において)の健康な男性及び女性ボランティア。
2.BMI≧18.0kg/m2かつ≦35kg/m2。
3.参加者は、OGTRライセンス(DIR161)に従って、GMOの蔓延を防ぐために以下の条件を遵守する意思を有する必要がある。
a.治験薬の対人感染を防ぐことを目的とした衛生対策を実施する必要があり、これには、各ワクチン接種後14日以内の、石鹸または手指消毒剤を使用した頻繁な手洗い、呼吸器衛生、咳エチケットが含まれるが、これらに限定されない。
b.最初のワクチン接種時から最後のワクチン接種の6か月後までは、血液、組織、臓器を提供してはならない。
c.各ワクチン接種後14日以内は、除外対象者*、2歳以下の子供、高齢者施設の入居者との接触を避ける。
d.各ワクチン接種後14日間呼吸器分泌物を収集するために使用されるすべての組織と材料は、一次容器に密封され、二次容器内に置かれ、処分のために治験施設に戻されるまで子供や動物がアクセスできないようにする必要がある。
*除外対象者とは、妊娠中または妊娠の可能性のある女性、免疫系の完全または部分的な障害を引き起こす免疫不全または免疫抑制のある人を意味する。
4.瀉血を繰り返す場合の適切な静脈アクセス。
5.試験責任医師が臨床的非有意であることを記録した場合、スクリーニング検査の結果が正常範囲、またはグレード1の異常の範囲内にある。クレアチンキナーゼまたはビリルビンは、正常なALT及びASTと関連し、治験責任医師が激しい運動またはギルバート症候群のために結果が臨床的に有意でないとみなした場合、グレード2であり得る。
6.スクリーニングにおいて薬物及びアルコールのスクリーニングが陰性(処方された薬剤により説明されていない限り)である。
7.主要な投与群の参加者については、以前の血清疫学治験で定義された適格なRSV中和抗体力価。
8.妊娠可能な女性は、非妊娠及び非授乳でなければならず、スクリーニングから最終ワクチン接種後6か月まで、許容可能な非常に効果的な二重バリア避妊法を使用しなければならない。二重避妊法は、コンドームと以下に示すもう1つの別の避妊法として定義される:
・確立されたホルモン避妊法(OCP、長時間作用型埋め込み型ホルモン、注射型ホルモン)。
・膣リングまたはIUD。
・スクリーニングの少なくとも6か月前の外科的不妊手術の文書化された証拠(例えば:女性に対しては卵管閉塞、子宮摘出術、両側卵管切除、もしくは両側卵巣摘出術、または男性パートナーが唯一のパートナーである場合の、前記男性に対しては精管切除術[精液中に精子が存在しないことを示す精管切除術後の適切な記録付き])
妊娠可能でない女性は閉経後12カ月以上でなければならない。閉経後であることは、無月経の女性参加者のスクリーニング時にFSHレベルが40IU/mL以上であることをもって診断する。異性間性交渉を控えている女性も対象となる。
周期的禁欲法(例えば、カレンダー、排卵法、徴候体温法(symptothermal)、排卵後法)及び膣外射精法は、高い効果のある受胎調節方法とされない。
同性間での関係にある女性参加者は避妊をする必要はない。
WOCBPは、スクリーニング及び1日目に妊娠検査で陰性であり、治験全体を通じて必要に応じて追加の妊娠検査を受ける意思を有する必要がある。
男性は外科的に不妊(精管切除から30日超経過し生育可能な精子がない)であるか、禁欲しなければならない、またはWOCBPとの性的関係を持っている場合は、パートナーは外科的に不妊(例えば:卵管閉塞、子宮摘出術、両側卵管切除、両側卵巣摘出術)であるか、またはスクリーニングから最終ワクチン接種の6か月後まで、許容可能な非常に効果的な二重バリア避妊法を使用する必要がある。二重バリア避妊の許容可能な方法には、コンドームの使用と、OCP、長時間作用型埋め込み型ホルモン、注射型ホルモン、膣リングまたはIUDを含む女性パートナーのための効果的な避妊薬の使用とが含まれる。同性パートナー(陰茎と膣の性交を控えている)を持つ参加者は、これが自身の好ましい通常の生活習慣である場合に参加資格を有する。
9.男性は最終ワクチン接種後少なくとも6か月間は精子を提供してはならない。
10.参加者は、CRUへの必要な来院に参加する能力と意欲を持っていなければならない。
11.参加者は、治験手順を開始する前に、書面によるインフォームドコンセントを提供する意欲と能力がなければならない。
【0116】
参加者の除外基準
以下の除外基準のいずれかを満たす参加者は、治験から除外されなければならない。
1.スクリーニング時点で妊娠中または授乳中、または最終ワクチン接種後6か月以内に妊娠を計画している(自身またはパートナーが)。
2.2歳未満の子供または免疫力が低下している人の家族接触者または介護者(最終ワクチン接種後14日までの期間)。免疫低下状態の個人は次のように定義されるが、これらに限定されない:
a.HIV感染者
b.6カ月以内に化学療法を受けた者
c.免疫抑制薬の投与を受けている者
d.実質臓器または骨髄移植を受けて生活している人
3.スクリーニングでのHIV、HBV、またはHCVの陽性結果
4.重症度が軽度を超える喘息またはその他の慢性肺疾患。喘息または肺疾患に関連する以下のいずれかの病歴を有する参加者は特に除外される:
a.過去5年間に1週間を超えて毎日症状があった、
b.過去5年間における短時間作用型β2アゴニストの使用(例、アルブテロール)、
c.過去5年間の吸入ステロイド、テオフィリンまたはパルス全身性ステロイド薬の使用、または
d.喘息または他の慢性肺疾患に関連した挿管または入院の病歴。
5.糖尿病の病歴(妊娠糖尿病は、分娩後に治療が必要でなく、血清グルコース値が現在正常範囲内であれば許可される)
6.冠動脈疾患、不整脈、またはうっ血性心不全の病歴。
7.スクリーニング時に治験責任医師によって判定された、臨床的に重大なECG異常。
8.スクリーニング時または1日目の投与前に、コントロール不良の高血圧(収縮期血圧>150mmHgまたは拡張期血圧>95mmHg)。
9.アナフィラキシーまたは血管浮腫の病歴。
10.予防接種に対する重篤な反応の病歴。
11.ワクチン製剤のいずれかの成分に対する既知のアレルギー。
12.慢性鼻炎、鼻中隔欠損、口蓋裂、鼻ポリープ、または鼻粘膜を変化させてワクチン反応に影響を与える可能性のあるその他の鼻の異常の病歴。
13.過去に鼻の手術または鼻の焼灼を行ったことがある。
14.1日目の投与前の3日以内に鼻出血(鼻血)、上気道感染症の症状、または自覚的な発熱もしくは倦怠感がある(一時的な除外基準)。
15.IPの適切な投与または非自発的なAEの日誌の解釈を妨げる可能性のある1日目の症状または徴候(例:温度38℃超、鼻閉または鼻漏)(一時的な除外基準)
16 既知の悪性腫瘍または悪性腫瘍の疑い。ただし、非黒色腫皮膚癌及び治験責任医師が再発の可能性が非常に低いと考えている外科的に切除されたその他の初期段階の悪性腫瘍は除く。
17.1日目の投与前の90日以内のコルチコステロイド(INステロイドを含む)、アルキル化薬、代謝拮抗剤、放射線、免疫調節生物製剤、またはその他の免疫調節療法の使用を含む免疫不全、またはフォローアップ期間中にこれらのいずれかを使用する予定の参加者。皮膚に局所ステロイドクリームを使用することは許可される。
18.出血性疾患の病歴(例えば、特別な予防措置を必要とする因子欠乏症、凝固障害、または血小板疾患)。
19.自己免疫疾患または脱髄疾患の病歴。
20.過去10年間の精神病、精神疾患による入院、または自殺企図の病歴。
21.発作(小児熱性けいれんを除く)、認知症または進行性神経疾患の病歴。
22.1日目の30日前以内にIN医薬品(OTC医薬品を含むが生理食塩水を除く)を受けている。
23.1日目の30日前以内または5半減期以内(いずれか長い方)に任意の他のIPを受けている。
24.1日目の30日前以内にワクチン、TB皮膚検査、またはアレルギー抗原接種を受けている、または57日目までに受ける予定がある。
25.1日目の90日前以内にINワクチンを受けている。
26.認可済みまたは治験中のRSVワクチンを受けている。
27.1日目の90日前以内に輸血または血液製剤を受けている、または57日目までに受ける予定がある。
28.57日目までに計画的な入院または外科手術が予定されている。
29.記載されていないその他の慢性病状は、1日目から30日前以内に薬の変更を必要とせずに安定している必要がある。
30.IN違法薬物の過去の常用または現在の使用。
31.あらゆる種類の喫煙者(タバコ、電子タバコ、マリファナなど)。喫煙歴のある人は、1日目の少なくとも30日前に禁煙していなければならない。
32.高齢者施設入居者
33.Codagenix、ベンダー、または治験に関連する治験サイトの従業員。
34.治験責任医師の判断で、治験実施計画書の遵守、安全性(反応原性を含む)の評価、またはインフォームドコンセントを与える参加者の能力を妨げる、または禁忌となる医学的、精神医学的または社会的状態、または職業的またはその他の責任。
35.28日以内のCOVID-19のPCR検査の陽性結果、または既知のCOVID-19感染者もしくは感染疑いのある人との接触、または無作為化前14日以内に地域社会でCOVID-19が流行している地域への旅行
【0117】
投薬、避妊、及びその他の制限
投薬
以下の薬剤は57日目まで禁止されている:
・全身、鼻腔内または吸入ステロイド
・全身、鼻腔内、または吸入免疫抑制剤
・鼻腔内ワクチンまたは薬剤(生理食塩水以外)
・あらゆる種類のワクチン、またはTBやアレルギーの皮膚検査
・輸血または免疫グロブリン治療
・他のIP
【0118】
注:解熱薬及び鎮痛薬は、非自発的な事象及び体温を毎日記録した後、発熱または他の症状を管理するために使用することができ、併用薬として記録されるが、予防的に投与されるべきではない。
【0119】
RSVに対する治験ワクチンまたはその他の生物製剤の使用は、治験全体を通じて禁止されている。
【0120】
免疫抑制薬
免疫抑制薬(以下のリストを含むがこれらに限定されない)は、1日目の90日前から治験終了まで禁止されている。以下の免疫抑制剤の併用薬は、この治験の目的において特に注目すべき薬剤と考えられる。
コルチコステロイド
・プレドニゾン(Deltasone、Orasone)
・ブデソニド(Entocort EC)
・プレドニゾロン(Millipred)
カルシニューリン阻害剤
・シクロスポリン(Neoral、Sandimmune、SangCya)
・タクロリムス(Astagraf XL、Envarsus XR、Prograf)
ラパマイシン(mTOR)阻害剤の作用標的
・シロリムス(Rapamune)
・エベロリムス(Afinitor、Zortress)
イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMDH)阻害剤
・アザチオプリン(Azasan、Imuran)
・レフルノミド(Arava)
・ミコフェノール酸(CellCept、Myfortic)
生物製剤
・アバタセプト(Orencia)
・アダリムマブ(Humira)
・アナキンラ(Kineret)
・セルトリズマブ(Cimzia)
・エタネルセプト(Enbrel)
・ゴリムマブ(Simponi)
・インフリキシマブ(Remicade)
・イクセキズマブ(Taltz)
・ナタリズマブ(Tysabri)
・リツキシマブ(Rituxan)
・セクキヌマブ(Cosentyx)
・トシリズマブ(Actemra)
・ウステキヌマブ(Stelara)
・ベドリズマブ(Entyvio)
モノクローナル抗体
・バシリキシマブ(Simulect)
・ダクリズマブ(Zinbryta)
・ムロモナブ(Orthoclone OKT3)
【0121】
注目すべき追加の併用薬
以下の薬剤は、このプロトコルの目的における特に注目すべき併用薬剤と考えられるであろう。
・ワクチン
・血液製剤
・免疫グロブリン製品
【0122】
喫煙
あらゆる種類の喫煙者(タバコ、電子タバコ、マリファナなど)はこの治験から除外される。喫煙歴のある人は、1日目の少なくとも30日前に禁煙していなければならない。
【0123】
避妊
避妊要件はこの実施例で説明したとおりである。
【0124】
治験薬の説明
CodaVax-RSV
CodaVax-RSVは、計算アルゴリズムを使用して設計されたCPDオープンリーディングフレーム(ORF)によって生成された一本鎖ネガティブセンスRNA[(-)ssRNA]で構成されており(Coleman 2008、Mueller 2010)、RSV配列M74568(生物学的野生型RSV株A2)を基にしている(Nouen 2017)。
【0125】
CodaVax-RSVは注射器(針なし)を介してIN送達される。バイアルに入ったワクチンは、IN投与前に、診療所の薬局(クラスIIバイオセーフティキャビネット内)によって解凍され、注射器に充填される。LeibovitzのL-15培地を使用して現場で希釈することで、より低い試験量が達成される。さらなる詳細は薬局マニュアルに記載されている。
【0126】
プラセボ
この治験におけるプラセボは、注射器(針なし)を介してIN送達される生理食塩水である。
【0127】
併用薬剤
スクリーニング前の30日間に服用した、OTC医薬品、ビタミン、ハーブサプリメントを含むすべての医薬品は記録され、治験責任医師によって検討され、参加者が治験に参加するのに適しているかどうかが判断される。
【0128】
スクリーニングの30日前以内のIPまたは治験医療機器の使用は禁止されている。
【0129】
処方薬と非処方薬の両方を含む任意の薬剤による事前の治療または併用療法(治験薬投与後)については、AEを治療する必要がある場合、または治験責任医師が独立MMに相談する前に適切な医療を開始する必要がある場合を除き、治験薬の投与前に治験責任医師及び治験依頼者のMMと協議する必要がある。
【0130】
パラセタモール/アセトアミノフェン(週に1~2治療用量)は、治験責任医師の裁量により、治験依頼者のMMとの事前相談なしに、治験期間中に軽度の疾患に使用することができる。
【0131】
参加者が57日目までに服用した、OTC医薬品、ビタミン剤、ハーブサプリメントを含むすべての薬剤はeCRFに記録され、NVTで利用可能な最新のWHO医薬品辞書を使用してコード化される。57日目以降は、特に注目すべき併用薬剤のみが記録される。以前の投薬及び併用薬剤は参加者ごとにリストされ、解剖学的治療化学物質(ATC)及びPTによってまとめられる。
【0132】
盲検化
治験の盲検化手順は、データ管理計画及び薬局マニュアルに詳細に記載される。
【0133】
治験依頼者、治験責任医師、MM、治験担当者及び参加者は、どの治療法を受けているのかを特定しようとしてはならない。この治験では、治験薬を調製するために、盲検化されていない薬局(または他の資格のある施設)の職員が使用される。
【0134】
緊急事態の場合に限り、治験薬の知識が特定の参加者の臨床管理または福祉に不可欠である場合に限り、治験責任医師は参加者の治療割り当てを盲検解除することができる。ランダム化順序と治療コードのコピーは、治験現場の薬局に保管される。必要に応じて、治験責任医師は、盲検でない薬局スタッフのメンバーから参加者の治療割り当てを取得する場合がある。ただし、盲検化を解除する前に、治験責任医師は、MM、治験依頼者、または適切な治験担当者と選択肢について協議することが強く推奨される。治験責任医師は、原資料に、その参加者の盲検治療割り当てを明らかにした日付と理由、及び盲検解除された者の氏名と役割を記録する。
【0135】
治験責任医師は、何らかの理由で盲検化が壊れ、盲検化が解除される前に治験責任医師が治験依頼者に連絡できなかった場合、参加者の治験治療割り当てを明らかにすることなく(治験に残っている参加者の安全性にとって重要でない限り)、できるだけ早く治験依頼者に通知しなければならない。
【0136】
治験責任医師が、AEが関連する製品の正体と用量について直ちに具体的な知識を必要とするほどの重篤なものであると判断した場合、治験責任医師はその参加者の治験コードを解除することができる。
【0137】
すべての盲検解除事象は、MM、治験依頼者、及びCNSに速やかに報告しなければならない。
【0138】
57日目の来院後、データベースにソフトロックがかけられ、その時点で統計チームは盲検化が解除され、暫定的な表と数値が作成される。治験施設、治験モニター、医療モニター、及び治験依頼者は、治験終了まで個々の治療の割り当てについて知らされないままである。
【0139】
治験薬の保管
治験薬を受け取ったら、-80℃±10℃で保存する必要がある。
【0140】
充填されたシリンジは、使用前に5±3℃で4時間以内で保管し、氷上でクリニックに輸送する必要がある。
【0141】
治験責任医師または指定を受けた者は、治験実施施設内における治験薬の保全、アクセス性及び保管について完全に責任を負う。
【0142】
治験薬の調製
治験薬の調製と調剤に関する手順は、薬局マニュアルに概説されている。
【0143】
投与
治験責任医師または指定を受けた者は、治験薬の正しい投与に関する治験スタッフ及び参加者の研修に責任を負う。用量は1mLの体積で投与され、各鼻孔に250μL、第2の鼻孔に投与してから10~15分後に繰り返す。各適用時において、第2の鼻孔には、第1の鼻孔から5分以内に投与する必要がある。
【0144】
治験スケジュール
可能であれば、同じ評価時点にスケジュールされた評価は、侵襲性が最も低いものから最も侵襲性が高いものの順に実施するべきである。
【0145】
ワクチン接種後
参加者は、予定されている投与後の手順がすべて完了するまでCRU内に留まる。投与後に次の手順が行われる:
・投与後2時間(±30分)に集中的な身体検査。
・投与後2時間(±30分)のバイタルサイン(収縮期血圧及び拡張期血圧、呼吸数、脈拍数、口腔内温度)(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
【0146】
注:AE及び併用薬は、参加者がCRUから退院するまで継続的に監視する。
【0147】
参加者には日誌カードと体温計が支給され、口腔内体温と反応原性事象を記録する方法についての指示が与えられる。
【0148】
参加者は投与の約2時間後、すべての評価と手順が無事に完了した後に退院となる。
【0149】
電話フォローアップ(2日目)
参加者は施設スタッフから連絡を受ける。施設スタッフは、AEや併用薬の使用について日誌をつけ、質問する。呼吸器ウイルス感染症のグレード3の症状を報告する参加者は、予定外の来院に参加し、PCR用のNPスワブを提供するように求められる。
【0150】
フォローアップ(4日目及び8日目[±1日])
参加者は、4日目及び8日目(±1日)にフォローアップとしてCRUを再来院する。
【0151】
特に指示がない限り、フォローアップ来院のたびに次の手順が実行される:
・集中身体診察
・ワクチンシェディング評価用のNPスワブ
・バイタルサイン(収縮期血圧及び拡張期血圧、呼吸数、脈拍数、口腔内温度)(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
・臨床検査(血液学、生化学)のための採血(8日目のみ)
・血清中のウイルス血症を評価するための採血
・PBMCにおけるT細胞応答を評価するための採血(8日目のみ)
・反応原性事象に関する日誌のレビュー
・他のAE及び併用薬のレビュー
・日誌カードは来院4回目(8日目[±1日])で回収する。
【0152】
フォローアップ(15日目[±3日])
参加者は、15日目(±3日)にフォローアップとしてCRUを再来院する。フォローアップ来院では次の手順が実行される:
・集中身体診察
・ワクチンシェディング及び体液性免疫原性(IgA抗体)評価用のNPスワブ
・免疫原性(血清中の抗体)を評価するための採血
・他のAE及び併用薬のレビュー
【0153】
2回目のワクチン接種日(29日目[±3日])
ワクチン接種前
参加者はCRUに来院し、特に明記されていない限り、治験薬投与前2時間以内に以下の評価が実施される。
・参加者が引き続き治験に参加する資格があるかどうかを判断するための審査
・他のAE及び併用薬のレビュー
・尿薬物検査とアルコール呼気検査
・尿妊娠検査(WOCBPのみ)
・尿検査
・ワクチンシェディング及び体液性免疫原性(IgA抗体)評価用のNPスワブ
・バイタルサイン(収縮期血圧及び拡張期血圧、呼吸数、脈拍数、口腔内温度)(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
・臨床検査(血液学、生化学)のための採血
・免疫原性(血清中の抗体)を評価するための採血
・PBMCにおけるT細胞応答を評価するための採血
【0154】
ワクチンの接種
参加者には、割り当てられた治療に従って治験薬が投与される。治験薬は、割り当てられた臨床スタッフによって投与される。
【0155】
ワクチン接種後
参加者は、予定されている投与後の手順がすべて完了するまでCRU内に留まる。投与後に次の手順が行われる:
・投与後2時間(±30分)に集中的な身体検査
・投与後2時間(±30分)のバイタルサイン(収縮期血圧及び拡張期血圧、呼吸数、脈拍数、口腔内温度)(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
【0156】
注:AE及び併用薬は、参加者がCRUから退院するまで継続的に監視する。
【0157】
参加者には新しい日誌カードが発行され、口腔内体温と反応原性事象を記録する方法についての指示が与えられる。
【0158】
参加者は投与の約2時間後、すべての評価と手順が無事に完了した後に退院となる。
【0159】
電話フォローアップ(30日目)
参加者は施設スタッフから連絡を受ける。施設スタッフは、AEや併用薬の使用について質問する。呼吸器ウイルス感染症のグレード3の症状を報告する参加者は、予定外の来院に参加し、PCR用のNPスワブを提供するように求められる。
【0160】
フォローアップ(32日目及び36日目[±1日])
参加者は、32日目及び36日目(±1日)にフォローアップとしてCRUを再来院する。
【0161】
特に指示がない限り、フォローアップ来院のたびに次の手順が実行される:
・集中身体診察
・ワクチンシェディング評価用のNPスワブ
・バイタルサイン(収縮期血圧及び拡張期血圧、呼吸数、脈拍数、口腔内温度)(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
・臨床検査(血液学、生化学)のための採血(36日目のみ)
・血清中のウイルス血症を評価するための採血
・PBMCにおけるT細胞応答を評価するための採血(36日目のみ)
・反応原性事象に関する日誌のレビュー
・その他のAE及び併用薬のレビュー。日誌カードは来院8回目(36日目[±1日目])に回収する。
【0162】
フォローアップ(43日目[±2日])
参加者は、43日目(±2日)にフォローアップとしてCRUを再来院する。フォローアップ来院では次の手順が実行される:
・集中身体診察
・ワクチンシェディング及び体液性免疫原性(IgA抗体)評価用のNPスワブ
・免疫原性(血清中の抗体)を評価するための採血
・他のAE及び併用薬のレビュー
【0163】
フォローアップ(57日目[±3日])
参加者は、57日目(来院6回目の投与から28日±3日)にフォローアップとしてCRUを再来院する。
【0164】
フォローアップ来院では次の手順が実行される:
・尿妊娠検査(WOCBPのみ)
・尿検査
・バイタルサイン(収縮期血圧及び拡張期血圧、呼吸数、脈拍数、口腔内温度)(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
・集中身体診察
・ワクチンシェディング及び体液性免疫原性(IgA抗体)評価用のNPスワブ
・臨床検査(血液学、生化学)のための採血
・免疫原性(血清中の抗体)を評価するための採血
・他のAE及び併用薬のレビュー
・12誘導ECG(参加者が少なくとも5分間仰臥位で休んだ後)
【0165】
フォローアップ(113日目[±10日])
参加者は、113日目(来院6回目から84日目±10日)にフォローアップとしてCRUを再来院する。
【0166】
フォローアップ来院では次の手順が実行される:
・MAE、NCI、及びSAEのみのレビュー
・特に注目すべき併用薬のレビュー
・ワクチンシェディング評価用のNPスワブ
・免疫原性(血清中の抗体)を評価するための採血
【0167】
治験終了(209日目[±10日])
参加者は、209日目(来院6回目の投与から6か月±10日)にEOSフォローアップとしてCRUを再来院する。
【0168】
フォローアップ来院では次の手順が実行される:
・尿妊娠検査(WOCBPのみ)
・免疫原性(血清中の抗体)を評価するための採血
・MAE、NCI、及びSAEのみのレビュー
・特に注目すべき併用薬のレビュー。この来院が、この治験への最後の参加となる。
【0169】
免疫原性評価
血清サンプルの採取と分析
血清用の血液サンプルは、投与前及び評価スケジュールに記載された時点で、施設の標準操作手順及び臨床検査マニュアルに従って、分析のために採取、処理、及び発送される。血清は2時間以内に分離させ、-80℃(±10℃)で凍結させる。
【0170】
血清はCodagenixの研究所(Farmingdale NY USA)に冷凍で発送され、次のように検査される:
【0171】
RSV免疫グロブリンG
RSV特異的血清IgG抗体は、RSV-A2全ウイルス溶解物を標的抗原として使用し、ELISAによって分析される。簡単に説明すると、熱不活化血清サンプルを連続希釈し、RSV抗原でコーティングしたアッセイウェルと反応さる。結合したRSV特異的血清抗体は、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)と可溶性o-フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)に結合した二次抗ヒトIgG抗体を比色基質として用いる比色検出により検出する。結合したRSV特異的血清抗体の量は、各アッセイで並行して実行される精製ヒトIgG標準の標準曲線に基づいて計算される。RSV特異的IgG抗体力価は、ng/mL血清の濃度として報告される。詳細については、臨床検査マニュアルに概説される。
【0172】
RSV中和抗体
RSV特異的血清中和抗体は、RSV-A2ウイルスを標的として使用したマイクロ中和アッセイによって分析される。簡単に説明すると、熱不活化血清サンプルを連続希釈し、組織培養96ウェル内で100×TCID50のRSVウイルスと37℃で1時間反応させる。20,000個のVero細胞をウイルス基質として各ウェルに添加する。感染の72時間後、アッセイウェルを固定し、RSVマウスモノクローナル抗体2F7(Novus Biological)及びHRPと可溶性OPDに結合した二次ヤギ抗マウスIgGを比色基質として用いて免疫組織化学により染色する。RSV中和力価は、発色が50%減少する血清の希釈の逆数として報告される[すなわち、(阻害されていないウイルス対照-非感染細胞対照)/2のシグナル]。詳細については、臨床検査マニュアルに概説される。
【0173】
末梢血単核球の単離及び分析
PBMCの血液サンプルは、評価スケジュールに記載された時点で収集され、臨床検査マニュアルの概要に従って処理及び分析のために発送される。ELISpot法については、臨床検査マニュアルに概説される。
【0174】
上気道検体の採取及び分析
両方の鼻孔からの鼻咽頭スワブを、評価スケジュールに示されている時点で採取し、臨床検査マニュアルに概要が記載されているように、分析のために処理及び発送される。これらのサンプルはワクチン及びRSV特異的IgAについて分析される。
【0175】
免疫グロブリンA
RSV特異的IgA抗体は、RSV-A2全ウイルス溶解物を標的抗原として使用し、ELISAによって分析される。簡単に説明すると、ユニバーサルウイルス輸送培地(UVTM)中のNPスワブを段階的に希釈し、RSV抗原でコーティングされたアッセイウェルと反応させる。結合したRSV特異的血清抗体は、HRPと可溶性OPDに結合した二次抗ヒトIgA抗体を比色基質として用いる比色検出により検出する。
【0176】
結合したRSV特異的血清抗体の量は、各アッセイで並行して実行される精製ヒトIgA標準の標準曲線に基づいて計算される。RSV特異的IgG抗体力価は、ng/mL血清の濃度として報告される。詳細については、さらに臨床検査マニュアルに概説される。
【0177】
症候性呼吸器ウイルス感染症試験
治験責任医師の意見で、ウイルス性呼吸器感染症と一致する中等度から重度の疾患を患っている参加者は、呼吸器ウイルスのマルチプレックスPCRパネル用にNPスワブまたはその他の適切な検体を採取することになる。これは、NPスワブ検体、または(特に対象が外部施設にいる場合)喀痰や鼻洗浄液などの他の標準検体によって得ることができる。RSV陽性のサンプルはすべて冷凍され、配列分析のためにCodagenixに送られる。スワブは、臨床検査マニュアルに概要が記載されているように、分析のために収集、処理、及び発送される。
【0178】
この検査は治験責任医師の裁量で行われ、ワクチンウイルスシェディングの日常的なモニタリングに加えて行われ得る。
【0179】
PCRによるワクチンシェディング
鼻咽頭スワブを採取する。NP分泌物中のRSVシェディングの存在と規模は、Luminex ARIES診断プラットフォームで実行されるARIES Flu A/B & RSV Assay(Luminex Corporation、Ref#50-10020)を使用して治験依頼者の研究所で評価される。RSVシェディングの定量化を目的として、ARIES Flu A/B & RSV Assayは、既知量のRSV基準ウイルスの標準曲線に基づいてサンプル中に存在するウイルスの量を計算することにより、「治験専用」検査として変更される。シェディング力価は、FFU当量/mL(FFUeq/mL)として報告される。各ワクチン接種後、連続する2つのサンプルが検出未満の場合、後続のサンプルは検査されない。詳細については、臨床検査マニュアルに概説される。
【0180】
シェディングウイルスの配列解析
症候性RSV感染のエピソード中に得られた分離株と、各ワクチン接種後の最後の陽性シェディングサンプルは、市販の逆転写酵素PCRキットを使用してウイルスRNAをcDNAに変換した後、次世代シーケンシングによって配列決定される。詳細については、臨床検査マニュアルに概説される。
【0181】
PCRによるRSVウイルス血症
血清中のCodaVax-RSVの存在(ウイルス血症)は、本明細書に記載のLuminexアッセイを使用して治験依頼者の研究所で評価される。PCRで陽性となった血清サンプルはウイルス培養で確認される。さらなる詳細については、臨床検査マニュアルに概説される。
【0182】
反応原性
ワクチン接種後、参加者には日誌カードと体温計が提供され、各ワクチン接種後7日間の口腔内温度と非自発的反応原性事象及び重症度を記録する。
【0183】
日誌カードに記録された事象は、非自発的局所性事象または非自発的全身性事象とみなされ、FDA Guidance for Industry:Toxicity Grading Scale for Healthy Adult and Adolescent Volunteers Enrolled in Preventive Vaccine Clinical Trialsに沿って等級付けされる。
【0184】
施設スタッフは被験者と一緒に日誌のレビューをし、それが明瞭であり、等級付けが提供された毒性等級付けスケールと一致していることを確認する。施設スタッフは、指摘があれば被験者に級付けの調整を依頼する場合がある。
【0185】
日誌カードは、来院2回目(1日目)に参加者に発行され、来院4回目(8日目)に回集される。日誌カードは来院6回目(29日目)に再度に発行され、来院8回目(36日目)に回収される。事象が8日目または36日目以降も続いている場合、施設スタッフは症状が終了した治験日を原資料に記録し、この情報を反応原性事象/症状CRFに入力する。
【0186】
注:非自発的反応原性事象は、重篤(つまり、SAEの基準を満たす)でない限り、AEとして記録されない。
【0187】
注:2人以上の参加者が類似したグレード3事象を経験した場合、MMに通知される。
【0188】
非自発的局所性事象
収集される局所性反応原性症状は次のとおりである:鼻水、鼻詰まり、鼻の炎症/痛み、くしゃみ、咳、喉の痛み、目の痛み、耳の痛み、視力の変化、嗅覚の変化、味覚の変化
【0189】
非自発的全身性事象
収集される全身性反応原性症状は次のとおりである:頭痛、疲労、筋肉痛、関節痛、悪寒、発汗、嘔吐、下痢、胸痛/胸膜炎、息切れ
【0190】

体温(経口)は毎日自己評価によって測定し、各ワクチン接種からワクチン接種後7日間まで日誌カードに記録する必要がある。ワクチン接種前の4時間及びワクチン接種後72時間は解熱剤の予防的投与は許可されていないが、被験者は症状を治療するために市販の解熱剤及び/または鎮痛剤を使用することができる。症状と体温は、そのような薬を最後に投与してから少なくとも6時間後に記録する必要がある。
【0191】
免疫原性
免疫原性パラメーター値は参加者ごとにリストされ、PP集団を使用して用量レベル(CodaVax-RSV低用量、高用量、及びプラセボ)ごとに要約される。いずれかの用量レベルで参加者の10%超がPP集団から除外された場合、ITT集団も提示される。ELISAで測定したRSV特異的IgG(血清中)及びIgA(NPスワブ検体)抗体については、参加者をランダム効果とし、時間点(無秩序)及び治療群を固定効果とし、ベースライン力価を共変量とした線形混合効果モデルを用いて、時間点ごとのGMT及びGMRをモデル化する。血清変換を行う参加者の割合はN(%)として表され、95%のウィルソン信頼区間が各群について報告される。血清中で測定した中和抗体については、上記RSV特異的IgGと同じ線形混合効果モデルを用いて、時間点ごとのGMT及びGMRをモデル化する。各時点及び各治療群における血清変換率は、95%CIで表示される。ベースラインRSV中和抗体力価及びワクチン接種後の免疫原性測定の散布図を提示する。RSV/Aに対するT細胞の応答が参加者別にリストされ、治療及びプロトコルの指定時間点別に要約される。低及び高ベースラインRSV中和抗体力価による免疫原性測定量のサブグループ分析を完成させる。複数の比較に対する調整は適用されない。
【0192】
実施例2
次の実施例は、上記の実施例1で説明した臨床試験で収集されたデータに基づいている。
【0193】
360 Bioによって実行されたELISpotからのデータを再分析した。詳細な条件と計画された分析は、360 Bio研究所のアッセイレポートと統計分析計画に記載されている。この事後分析では、低用量コホートの1:10刺激(13人のワクチン接種者と7人のプラセボ接種者)からの値のみが含まれる。
【0194】
事後分析では、ベースライン(1日目)からワクチン接種後の任意の時点での最高値(ピーク)までの変化を評価し、ベースラインから1.3倍以上増加した被験者をレスポンダーと定義した。
【0195】
対応のあるT検定を使用して、ワクチン接種者とプラセボ接種者のベースライン値とピーク値を比較した。ベースラインからワクチン接種後のピークまでの倍率変化は、値<LLOQ(50SFU)を49SFUとして代入することによって計算した。マンホイットニー検定を使用して、ワクチン群とプラセボ群の倍率変化を比較した。
【0196】
結果:
検出可能なRSV特異的応答の総数:ワクチン接種ボランティアの10/13が、1日目と比較してスポット形成単位数の検出可能な増加を示し、T細胞応答の発生を示した(76.9%)。プラセボ群では、ボランティアの1/7(14.2%)でのみ増加が見られた。ワクチン群のベースライン値とピーク値は、対応のあるT検定では統計的に異なったが(p<0.01)、プラセボ群には差がなかった(p=0.39)。プラセボとCodaVax-RSVワクチン接種ボランティアの両方のベースラインとピークのSFU値を図1Aに示し、個々の変化を図1Bに示す。
【0197】
さらに、CodaVaxワクチン接種ボランティアの6/13(46%)では、プラセボ接種者の1/7(14.3%)と比較して、SFU数の1.3倍超の増加が見られた。ピーク日と1日目のSFU数の倍率変化を図2に示す。
【0198】
CodaVax-RSVをワクチン接種したボランティアでは、SFU数が平均1.5倍の増加を示したのに対し、プラセボで治療した群では-0.98倍の変化だった。マンホイットニー検定で評価した結果、プラセボ群とCodaVax-RSVワクチン接種群間のSFU増加の差は統計的に有意であった(p<0.03)。
【0199】
このELISpotデータの事後調査では、ワクチン接種後の細胞免疫応答の統計的に有意な増加が特定されたが、これは、ベースラインからワクチン接種後のピーク時点までではなく、ベースラインからワクチン接種後の各時点の評価に限定されていた計画された分析ではすぐには明らかではなかった。さらに、計画された分析には、ここで行われたようレスポンダーの定義は含まれていなかった。
【0200】
今後の治験では、1.3倍の上昇を使用してレスポンダーを定義する可能性があり、採血からより短い時間枠内で全血からPBMCを処理することも計画しており、これにより、壊れやすく輸送中に失われる可能性がある活性化リンパ球のより良い検出が可能になり得る。
【0201】
実施例3
次の実施例も、上記の実施例1で説明した臨床試験で収集されたデータに基づいている。
【0202】
来院時の鼻咽頭スワブにおけるELISAによって測定されたRSV特異的IgA対総IgA抗体。結果は、以下に提示される。
【0203】
実施例4
MinL-4.0(RSV-MinL NPM2-1(N88K)L、Le Nouen et al、2017)(配列番号1)
【0204】
RSV-MinL NPM2-1(N88K)L(MinL4.0)におけるMinL親(逆遺伝学により導入、Le Nouen 2017を参照)と比較した4つのヌクレオチドの違いは、A1547G、A2687T、C7758A、C11883Tである。
【0205】
実施例5
T細胞の応答
次の実施例も、上記の実施例1で説明した臨床試験で収集されたデータに基づいている。
【0206】
いずれの解析集団においても、RSV刺激PBMCによって測定された投与後T細胞応答(幾何平均SFU)の計画解析において、CodaVax-RSV用量群またはCodaVax-RSV群全体とプラセボ群の間に差は見られなかった。GMFRは0.9~1.3の範囲であった。
【0207】
レスポンダーをベースライン値からピーク値への増加を伴う参加者として定義した事後分析では、CodaVax-RSV群全体のレスポンダー率は66.7%(95%CI:46.7、82.0%)であったのに対し、プラセボは16.7%(95%CI:4.7、44.8%)であった。
【0208】
分析は、(SFU<50の変化をマスクするLLOQとしてLLOQ未満の値を代入するのではなく)生データを使用して繰り返した。この分析では、Coda Vax-RSVを受けた参加者はSFUが増加したが、プラセボ接種者には変化は認められなかった。図3に示すように、この応答には潜在的な用量効果が見られた。1/10ウイルス溶解物刺激を使用した8日目のGMFRは、2×10PFU群では3.6(95%CI:1.5、8.7)、2×10PFU群では1.4(95%CI:0.9、2.2)、CodaVax-RSV群全体では2.1(95%CI:1.3、3.4)であったが、プラセボ群では変化がなかった(GMFR:0.9[95%CI:0.4、2.1])。他の時点及び1/80ウイルス溶解物でも差は類似していた(図3)。
【0209】
細胞免疫応答は、投与1回目の後に現れた。
【0210】
図3では、縦の点線(1倍の変化)は変化がないことを意味する。点推定値の周囲の線は、95%信頼区間を示す。したがって、高用量及び実薬群全体の信頼区間が1を超えないという事実は、T細胞応答に有意な増加があることを示している。プラセボ群は変化せず、信頼区間は点線の両側にある。低用量群では増加の傾向があったが、信頼区間が1を下回ったという事実は、統計的に有意ではないことを示している。
【0211】
本発明の種々の実施形態は、上記の詳細な説明に記載される。これらの説明は、上記の実施形態を直接説明するが、当業者は、本明細書に示され、説明される特定の実施形態に対する修正及び/または変形を構想し得ることを理解されたい。本説明の範囲に含まれる任意のそのような修正または変形もまた、範囲に含まれることが意図される。特に注記されない限り、本明細書及び特許請求の範囲における単語及び語句は、適用技術分野(複数可)の当業者にとって通常かつ慣習的な意味を与えることが、発明者の意図である。
【0212】
本出願の出願時に出願人に知られている本発明の種々の実施形態の前述の説明は提示されており、例示及び説明の目的で意図されている。本説明は、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を開示される正確な形態に限定するものではなく、上記の教示を考慮すると、多くの修正及び変形が可能である。記載される実施形態は、本発明の原理とその実用的な用途を説明し、当業者が様々な実施形態で本発明を利用することを可能にし、意図される特定の用途に適した様々な修正を伴う。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【0213】
本発明の特定の実施形態が示され説明されているが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広範な態様から逸脱することなく変更及び修正が行われ得ることは当業者には明白であり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内であるように、それらの範囲内に全ての変更及び修正を包含するものとする。一般に、本明細書で使用される用語は、「非限定的」用語として一般的に意図されることが当業者によって理解されるであろう(例えば、「含むこと」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有すること」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである)。
【0214】
別途記述されない限り、本出願の特定の実施形態を説明する文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」及び「an」及び「the」という用語、ならびに類似の言及は、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈することができる。本明細書における値の範囲の引用は単に、範囲内に含まれる別個の各値に個々に言及する簡単な方法として機能することを意図している。本明細書で別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書で個別に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または別様には文脈に明らかに矛盾するものでない限り、任意の適切な順序で実行し得る。本明細書の特定の実施形態に関して提供される任意の及び全ての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本出願をより良く示すことのみを意図しており、他の方法で特許請求される本出願の範囲に制限をもたらすものではない。「e.g.」という略語は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書では非限定的な例を示すために使用される。よって、「e.g.」という略語は、「例えば」という用語と同義である。本明細書のいかなる言語も、本出願の実施に不可欠な任意の非請求の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0215】
「任意の」または「任意に」は、その後に記載される状況が起こっても起こらなくてもよく、記載が、状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0216】
本明細書に開示される本開示の代替の要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきでない。各グループの構成要素は、個別に参照及び請求され、またはグループの他構成要素または本明細書に記載の他の要素と任意に組み合わせて参照及び請求され得る。グループの1つ以上の構成要素は、便宜及び/または特許性の理由から、グループに含まれたり、グループから削除されたりする場合がある。そのような任意の包含または削除が生じた場合、本明細書は、修正されたグループを含有するとみなされ、従って、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの書面による説明を満たす。
図1A
図1B
図2
図3
【配列表】
2024513917000001.app
【国際調査報告】