(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】付加製造処理に適したコルゲート受動高周波装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/02 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
H01Q13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561806
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 IB2022053737
(87)【国際公開番号】W WO2022224190
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523209748
【氏名又は名称】スイストゥトゥウェルヴ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】メナルゲス・ゴメス・エステバン
(72)【発明者】
【氏名】カプデビラ・カスカンテ・サンティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】デボゴヴィッチ・トミスラフ
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AB06
5J045DA01
5J045EA01
5J045LA01
5J045LA04
5J045MA00
(57)【要約】
【課題】付加製造に適したコルゲート高周波装置を提供する。
【解決手段】本発明は、コルゲート受動高周波装置(1)、特に導波管又はホーン型アンテナに関する。この装置(1)は、波をフィルタして導くチャネル(3)を画定する、少なくとも1つの内部表面(4、5、6、7、12)を備えるコア(2)を備える。チャネルの少なくとも1つの内部表面(4、5、6、7、12)は、複数の空洞(9)又は溝(10)を備える。チャネルを通過する波をフィルタする各空洞(9)又は各溝(10)は、実質的に平行な隣り合う壁(11a、11b)によって形成されている。隣り合う壁(11a、11b)は、チャネル(3)の中心軸に対して傾斜している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波をフィルタして導くチャネル(3)を画定する少なくとも1つの内部面(4,5,6,7、12)を備えるコア(2)を備えるコルゲート受動高周波装置(1)であって、前記チャネルの前記少なくとも1つの内部面(4,5,6,7、12)が、複数の空洞(9)又は溝(10)を備え、前記チャネルを通過する前記波をフィルタするべく各空洞(9)又は各溝(10)が、実質的に平行な隣り合う壁(11a,11b)によって形成されている、コルゲート受動高周波装置(1)において、
前記隣り合う壁(11a,11b)が前記チャネル(3)の中心軸線に対して傾斜されていることを特徴とする、コルゲート受動高周波装置(1)。
【請求項2】
前記コアが複数の内部面(4、5、6、7)を備え、2つの対向する内部面(4、5)はそれぞれ複数の前記空洞(9)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項3】
前記空洞(9)又は前記溝(10)を形成している前記隣り合う壁(11a、11b)は、前記チャネル(3)の前記中心軸線に対して20°から55°の間の角度(α)で傾斜していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項4】
前記角度(α)は、前記チャネル(3)の前記中心軸線に対して40°から50°の間であり、好ましくは45°の角度であることを特徴とする、請求項3に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項5】
複数の前記空洞(9)又は環状溝(10)を形成している前記隣り合う壁(11a、11b)の傾斜は、1空洞又は1溝において、他の空洞又は他の溝に対して実質的に同一であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項6】
前記高周波装置の前記中心軸線に対する前記空洞(9)の分布の周期性(p)は一定であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項7】
前記高周波装置の前記中心軸線に対する前記空洞(9)の分布の周期性(p)が異なっていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項8】
複数の前記空洞(9)の互いに対する深さが一定であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項9】
複数の前記空洞(9)の互いに対する深さが異なっていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項10】
前記高周波装置は、導波路であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項11】
前記高周波装置はホーン型アンテナであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項12】
前記環状溝(10)を形成している前記隣り合う壁(11a、11b)は、前記アンテナの内部表面に対して30°から80°の間の第2角度で傾斜していることを特徴とする、請求項11に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項13】
前記環状溝(10)を形成している前記隣り合う壁(11a、11b)は、円錐形の内部表面(12)に配置される円形の壁であり、前記環状溝の直径は前記中心軸線に沿って単調又は非単調に変化していることを特徴とする、請求項11又は12に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項14】
前記アンテナの前記中心軸線に対する、前記隣り合う環状溝の周期性(p)は一定であることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項15】
前記アンテナの前記中心軸線に対する、前記隣り合う環状溝の周期性(p)が異なっていることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項16】
前記円形の壁(11a、11b)は、互いに対して同じ厚さ(t)を持つことを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項17】
前記円形の壁(11a、11b)は、互いに異なる厚さ(t)を持つことを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項18】
前記環状溝(10)の互いに対する深さは一定又は異なっていることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【請求項19】
前記環状溝を形成している前記隣り合う壁(11a、11b)が、前記アンテナの前記中心軸線の方向に丸みを付けられていることを特徴とする、請求項11から18のいずれか一項に記載の受動高周波装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動高周波装置に関し、特に、付加製造処理に適したコルゲート(ひだのある)導波路フィルタ又はコルゲートホーン型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
受動高周波装置は、能動電子部品を使用せずに高周波信号を伝搬又は操作するために使用される。受動無線周波数装置には、例えば、中空金属チャネル内の導波路に基づく受動導波路、フィルタ、アンテナ、モード変換器などが含まれる。このような装置は、信号ルーティング、周波数フィルタリング、信号分離又は再結合、自由空間内又は自由空間からの送信又は受信などに使用され得る。
【0003】
導波路フィルタには様々な種類がある。例えば、でこぼこのある導波路フィルタは、うねのある導波路フィルタやコルゲート導波路フィルタとしても知られていて、導波路の内部高さを周期的に減少させる多数のうね又は歯を持つチャネルを持つ。広い帯域幅、良好な帯域幅マッチング、広いストップバンドを同時に必要とする用途で使用される。一般的にバンドパスである他の多くの形状とは異なり、基本的にローパス設計である。歯と歯の間の距離は、他のタイプのフィルタで一般的なλ/4の要素間の距離よりもはるかに小さい。
【0004】
一例として、特許文献1(US2010/308938)には、長方形の金属導波路からなるコルゲート導波路が記載されている。この導波路は、2つの対向する壁面に、互いに向かい合う正弦波輪郭に従って導波路に沿って延在する一連の第1コルゲート及び一連の第2コルゲートを備える。第1コルゲート及び第2コルゲートは、拒絶要素として機能する。
【0005】
導電性材料の上述の導波路は、例えば、押し出し、曲げ、切断、電鋳によって製造できる。このような従来の製造方法では、複雑な断面を持つ導波路、特にコルゲート導波路フィルタを製造することは困難であり、費用もかかる。
【0006】
しかし、最近の研究では、付加製造法を用いてフィルタを備える導波路を製造する可能性が示されている。特に、導電性材料から形成された導波路の付加製造が知られている。
【0007】
ポリマーやセラミックのような非導電性材料からなる壁を付加製造法で製造し、金属メッキで覆った導波路も提案されている。例えば、特許文献2(US2012/00849)は、三次元印刷を用いた導波路の製造を提案している。この目的のために、非導電性プラスチックコアを付加製造法で印刷し、電気メッキによって金属メッキで覆う。導波路の内部表面は、動作のためには導電性でなければならない。
【0008】
非導電性コアを使うことで、一方では装置の軽量化と費用削減を可能にし、他方ではポリマーやセラミックに適合した三次元印刷法を実施し、壁面粗さの小さな高精度部品の製造を可能にする。
【0009】
最先端の技術には、三次元印刷で製造された金属コアを持つ導波路も含まれる。この場合、付加製造法により、製造可能な形状に大きな自由度がある。
【0010】
付加製造は通常、フィルタの断面に平行な連続層で行われるため、印刷中は導波路を貫通する開口部の長手方向軸線が垂直になる。この配置により、開口部の形状が保証され、異なる方向に印刷した場合に硬化前に開口部の上壁が崩壊して生じる変形を回避可能になる。
【0011】
とはいうものの、一部の導波路フィルタ、特に共振空洞を持つ導波路フィルタ(コルゲート導波路フィルタ)は、その形状により、付加製造法による製造が困難である。これは、付加製造処理を用いてフィルタを製造しようとした結果、導波路フィルタの特定の部分、特にコルゲート導波路フィルタの空洞壁又は歯が片持ち梁になる場合があるのがわかったためである。そのため、これらの片持ち梁部品は、製造処理工程中に重力で崩壊する可能性がある。
【0012】
そのため、(3D)印刷される構造体の安定性の確保には、製造工程中に付加製造処理を中断して補強材を加える必要があるが、これは複雑で面倒な作業であり、付加製造法によるこの種のフィルタの製造速度や制御に大きな影響を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/308938号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/00849号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、したがって、付加製造処理により適したコルゲート受動高周波装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、波動をフィルタして導くためのチャネルを画定する少なくとも1つの内部表面を含むコアを備えるコルゲート受動高周波装置によって達成される。チャネルの少なくとも1つの内壁面は、複数の空洞又は複数の溝を備える。各空洞又は溝は、チャネルを通過する波を濾過するため、実質的に平行な隣り合う壁によって形成される。各空洞又は溝の隣り合う壁は、チャネルの中心軸線に対して傾斜している。
【0016】
一実施形態では、コアは複数の内部面を備える。2つの対向する内部面は、それぞれ前記複数の空洞を備える。
【0017】
一実施形態では、空洞又は溝を形成している隣り合う壁は、チャネルの中心軸線に対して20°から55°の間の角度で傾斜している。
【0018】
一実施形態では、その角度はチャネルの中心軸線に対して40°から50°の間であり、好ましくは45°の角度である。
【0019】
一実施形態では、空洞又は溝を形成している隣り合う壁の傾斜は、互いに実質的に同一である。
【0020】
一実施形態では、空洞又は溝を形成している隣り合う壁の傾斜は、他の空洞又は溝を形成している隣り合う壁の傾斜と同一である。
【0021】
一実施形態では、高周波装置の中心軸線に対する空洞の分布の周期性は一定である。
【0022】
一実施形態では、高周波装置の中心軸線に対する空洞分布の周期性は異なっている。
【0023】
一実施形態では、空洞の深さは一定又は異なっている。
【0024】
一実施形態では、高周波装置は導波路である。
【0025】
一実施形態では、高周波装置はホーン型アンテナである。
【0026】
一実施形態では、環状溝を形成している隣り合う壁は、アンテナの内部表面に対して30°から80°の間の第2角度で傾斜している。
【0027】
一実施形態では、環状溝を形成している隣り合う壁は、円錐形の内部表面に配置された円形の壁である。環状溝の直径は、中心軸線に沿って単調又は非単調に異なっている。
【0028】
一実施形態では、アンテナの中心軸線に対する、隣り合う環状溝の周期性は一定である。
【0029】
一実施形態では、アンテナの中心軸線に対する、隣り合う環状溝の周期性は異なっている。
【0030】
一実施形態では、円形壁は互いに一定の厚さである。
【0031】
一実施形態では、円形の壁の厚さは互いに異なる。
【0032】
一実施形態では、互いに対する環状溝の深さは一定又は異なっている。
【0033】
一実施形態では、環状溝を形成している隣り合う壁はアンテナの中心軸線方向に丸みを帯びている。
【0034】
本発明の実施例は、添付の図によって表されている説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、当技術分野におけるコルゲート導波路フィルタの縦断面を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるコルゲート導波路フィルタの縦断面を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態によるコルゲート導波路フィルタの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態によるコルゲートホーンアンテナの斜視図である、
【
図6】
図6は、
図4に示したホーンアンテナの内部表面の部分図である。
【
図7a】
図7aは、コアの異なる輪郭を持つホーンアンテナの軸方向断面を模式的に示す。
【
図7b】
図7bは、コアの異なる輪郭を持つホーンアンテナの軸方向断面を模式的に示す。
【
図7c】
図7cは、コアの異なる輪郭を持つホーンアンテナの軸方向断面を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一実施形態では、コルゲート受動高周波装置は導波路フィルタ1であり、例えば
図2及び
図3に示すような様々な形態をとり得る。フィルタは、複数の内部表面4、5、6、7を含むコア2から構成され、これらの内部表面4、5、6、7は、予め定義された通過帯域及び動作帯域に従って電磁信号をフィルタするように構成されたチャネル3を画定する。例えば、フィルタは、1GHzから80GHzのオーダーの周波数範囲内の狭い帯域幅を通過するように設計されている。
【0037】
コア2は、チャネル3の中心軸線に対して傾斜した面内に延在する、実質的に平行な隣り合う壁11a、11bをそれぞれ持つ、例えば直柱に似た形状の複数の延長部8を含む外周面からなる。
図2では、これらの直線プリズムは、決められた周波数範囲の高周波信号をフィルタするために、チャネル3に沿って延在する複数の共振空洞9を形成するように中空になっている。
【0038】
各延長部8の隣り合う壁11a、11bは、チャネル3の長手方向軸線に対して傾斜している。
図3に示す導波路フィルタのコア2は、例えば、複数の内部表面4、5、6、7からなる(
図2も参照)。対向する2つの内部表面4、5のそれぞれは、第1の複数の空洞9、第2の複数の空洞9を備える。
【0039】
空洞9をなして隣り合う壁11a、11bは、流路3の中心軸線に対して20°から55°の間の角度αで傾斜している。角度αは、好ましくは、流路3の軸線に対して40°から50°の間、例えば45°である。
【0040】
空洞9を形成している導波路フィルタの隣り合う壁11a、11bの傾斜は、互いに、及び他の空洞の隣り合う壁11a、11bと実質的に同一である。しかしながら、空洞を形成する壁面間の傾斜は、一実施形態では、他の空洞の壁面の傾斜に対して異なってもよい。
【0041】
さらに、導波路1のチャネル3の中心軸線に対する空洞9の分布の周期性pは一定であるか、又は実行の変形に応じて異なるものとしてよい。導波路1の空洞9の互いに対する深さは一定でも異なってもよい。
【0042】
図4から
図6に示す別の実施形態では、コルゲート受動高周波装置はホーン型アンテナ1である。このアンテナは、円錐形の内部表面12を持つコア2からなる。複数の円形壁11a、11bが円錐の表面からアンテナ1の中心軸線に向かって延び、複数の環状溝10を形成するように隣り合っている。これらの環状溝はアンテナ1の中心軸線と同心であり、各環状溝10の直径は隣り合う環状溝の直径と異なる。
【0043】
図6では、環状溝10を形成する環状壁11a、11bは、アンテナの中心軸線に対して20°から55°の間の角度αで傾斜している。角度αは、好ましくは、チャネル3の長手方向軸線に対して40°から50°の間、例えば45°である。
【0044】
さらに、環状溝10をなして隣り合う環状壁11a、11bの傾斜は、互いに、及び他の環状溝の隣り合う壁11a、11bと実質的に同一である。しかしながら、環状溝を形成する円形壁間の傾斜は、実施態様の変形に従って、他の環状溝の壁の傾斜に対して異なってもよい。
【0045】
図5に示されるように、環状溝を形成する円形壁11a及び11bは、ホーンアンテナの内部表面に対して90°未満の角度で傾斜させてもよい。一実施形態では、この角度は30°から80°の間である。
【0046】
一方では、この傾斜によってアンテナの帯域幅スペクトルに影響を与えることが可能になる。他方では、この傾斜はアンテナの付加製造を容易にする。環状溝をなして隣り合う壁のような片持ち梁の表面は、製造中に支持体を使用せずに製造することは困難であり、その後、支持体を除去しなければならない。環状溝をなして隣り合う壁をアンテナホーンの内部表面に対して傾斜させることで、片持ち梁の面の応力が低減され、製造時の支持の必要性が回避される。
【0047】
アンテナホーンの開口角に応じて、環状溝をなして隣り合う壁は、アンテナの中心軸線に対して20°から55°の間の角度だけ傾斜させてよく、アンテナホーンの表面に対して30°から80°の間の角度だけ傾斜させてよい。このようにアンテナの中心軸線に対してもホーンの内部表面に対しても傾斜させることで、付加製造時の片持ち部品による応力を最小限に抑えられる。
【0048】
アンテナ1の中心軸線に対する隣り合う環状溝の周期性pは一定又は異なっている。
【0049】
環状壁は、互いに対して同じ厚さtを持っていてもよいし、異なる厚さを持っていてもよい。互いに対する環状溝の深さは一定でも異なってもよい。
【0050】
図7a、
図7b、
図7cによって示される他の実施形態では、ホーンアンテナ1は、その輪郭が任意の方法で中心軸線に沿って異なっているコア2を持ち得る。例えば、
図7a及び
図7bによるアンテナコアの輪郭は、単調関数に従って中心軸線に沿って異なり、一方、
図7cによるアンテナコアの輪郭は、非単調関数に従って中心軸線に沿って異なっている。
【0051】
図7Aに示す実施形態では、環状溝をなして隣り合う壁とアンテナの中心軸線との間の角度は、アンテナの長さに沿って一定であり、隣り合う壁とアンテナホーンの表面との間の角度も一定である。
【0052】
図7b及び
図7cに示される実施形態では、隣り合う壁とアンテナの中心軸線との間の角度は、アンテナの長さに沿って一定であるが、隣り合う壁とホーンの表面との間の角度は、アンテナの輪郭が中心軸線に沿って変わるにつれて異なる。
【0053】
例えば、コア2の幾何学的形状は、所望の帯域幅の関数としてコンピュータソフトウェアによって決定できる。計算された幾何学的形状は、コンピュータデータ媒体に格納できる。
【0054】
コア2は、付加製造処理を用いて製造される。本願において、「付加製造」という表現は、コンピュータ媒体に記憶され、コア2の幾何学的形状を定義するコンピュータデータに従って、材料を追加することによってコア2を製造する任意の処理を指す。
【0055】
コア2は、例えば、SLM(選択的レーザー溶融)タイプの付加製造処理によって製造できる。コア2はまた、液体又は粉末の硬化又は凝固などの他の付加製造方法によって製造可能であり、これには、ステレオリソグラフィ、バインダー噴射、DED(指向性エネルギー堆積法)、EBFF(電子ビームによる自由形状加工)、FDM(溶融物堆積法)、PFF(プラスチックフリー造形)、エアロゾル、BPM(弾道粒子製造法)、SLS(選択的焼結積層造形)、ALM(付加積層製造法)、ポリジェット、EBM(電子ビーム溶融法)、光重合などに基づいた方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
コア2は、例えば、付加製造処理において、紫外線照射によって硬化した液体ポリマーの複数の表面層によって製造されたフォトポリマーでできていてもよい。
【0057】
コア2は、レーザー又は電子ビームが粉末状材料の複数の薄層を溶融又は焼結するSLMタイプの付加製造処理によって、導電性材料、例えば金属材料から形成してもよい。
【0058】
一実施形態では、コア2の内部表面4、5、6、7に電気めっき又はガルバノプラスティにより金属層(図示せず)を膜として堆積させる。金属化により、コア2の内側面を導電層で覆えるようになる。
【0059】
金属層の塗布は、金属層の接着を促進するため、コア2の内部表面4、5、6、7上の表面処理ステップに先行させてよい。表面処理には、表面粗さを高めることと、中間接合層を堆積させることとの少なくとも一方が含まれる。
【0060】
従来の付加製造処理は、しかしながら、従来の導波路フィルタ、特に
図1に示すような多数の空洞を特徴とするコルゲート導波路フィルタには特に適していない。なぜなら、これらの空洞の配置により、チャネルの外側に片持ち部分が生じ、個々の層の印刷時にこれを維持することが困難だからである。したがって、これらの片持ち梁部分の補強は、これらの部品が重力の影響で崩壊するのを防ぐために、付加製造処理中に配置する必要がある。
【0061】
一観点では、この欠点を改善するため、導波路1は、チャネル3の長手方向軸線zが垂直、又は少なくとも実質的に垂直になるように印刷される。
【0062】
この実施例による導波路フィルタ1の幾何学的構成は、コア2の製造処理中に、重力の影響によるコアの一部の崩壊の回避を意図した補強に頼ることなく、コア2を重力と反対の垂直方向に付加製造処理による製造を可能にするという有利点がある。実際、好ましくは、水平に対する片持ちの延長部の角度αは、印刷中に硬化する前に重ね合わされた層が接着するのに十分である。
【0063】
楕円形や楕円形の断面を持つ導波路の製造も可能である。
【0064】
図6に示す一実施形態では、環状溝をなして隣り合う壁11a及び
図11bは、アンテナ3の軸線方向に丸みを付けている。特に、この丸みにより、これらの片持ち梁の要素の付加製造が容易になる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動高周波装置に関し、特に、付加製造処理に適したコルゲート(ひだのある)導波路フィルタ又はコルゲートホーン型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
受動高周波装置は、能動電子部品を使用せずに高周波信号を伝搬又は操作するために使用される。受動無線周波数装置には、例えば、中空金属チャネル内の導波路に基づく受動導波路、フィルタ、アンテナ、モード変換器などが含まれる。このような装置は、信号ルーティング、周波数フィルタリング、信号分離又は再結合、自由空間内又は自由空間からの送信又は受信などに使用され得る。
【0003】
導波路フィルタには様々な種類がある。例えば、でこぼこのある導波路フィルタは、うねのある導波路フィルタやコルゲート導波路フィルタとしても知られていて、導波路の内部高さを周期的に減少させる多数のうね又は歯を持つチャネルを持つ。広い帯域幅、良好な帯域幅マッチング、広いストップバンドを同時に必要とする用途で使用される。一般的にバンドパスである他の多くの形状とは異なり、基本的にローパス設計である。歯と歯の間の距離は、他のタイプのフィルタで一般的なλ/4の要素間の距離よりもはるかに小さい。
【0004】
一例として、特許文献1(US2010/308938)には、長方形の金属導波路からなるコルゲート導波路が記載されている。この導波路は、2つの対向する壁面に、互いに向かい合う正弦波輪郭に従って導波路に沿って延在する一連の第1コルゲート及び一連の第2コルゲートを備える。第1コルゲート及び第2コルゲートは、拒絶要素として機能する。
【0005】
導電性材料の上述の導波路は、例えば、押し出し、曲げ、切断、電鋳によって製造できる。このような従来の製造方法では、複雑な断面を持つ導波路、特にコルゲート導波路フィルタを製造することは困難であり、費用もかかる。
【0006】
しかし、最近の研究では、付加製造法を用いてフィルタを備える導波路を製造する可能性が示されている。特に、導電性材料から形成された導波路の付加製造が知られている。
【0007】
ポリマーやセラミックのような非導電性材料からなる壁を付加製造法で製造し、金属メッキで覆った導波路も提案されている。例えば、特許文献2(US2012/00849)は、三次元印刷を用いた導波路の製造を提案している。この目的のために、非導電性プラスチックコアを付加製造法で印刷し、電気メッキによって金属メッキで覆う。導波路の内部表面は、動作のためには導電性でなければならない。
【0008】
非導電性コアを使うことで、一方では装置の軽量化と費用削減を可能にし、他方ではポリマーやセラミックに適合した三次元印刷法を実施し、壁面粗さの小さな高精度部品の製造を可能にする。
【0009】
最先端の技術には、三次元印刷で製造された金属コアを持つ導波路も含まれる。この場合、付加製造法により、製造可能な形状に大きな自由度がある。
【0010】
付加製造は通常、フィルタの断面に平行な連続層で行われるため、印刷中は導波路を貫通する開口部の長手方向軸線が垂直になる。この配置により、開口部の形状が保証され、異なる方向に印刷した場合に硬化前に開口部の上壁が崩壊して生じる変形を回避可能になる。
【0011】
とはいうものの、一部の導波路フィルタ、特に共振空洞を持つ導波路フィルタ(コルゲート導波路フィルタ)は、その形状により、付加製造法による製造が困難である。これは、付加製造処理を用いてフィルタを製造しようとした結果、導波路フィルタの特定の部分、特にコルゲート導波路フィルタの空洞壁又は歯が片持ち梁になる場合があるのがわかったためである。そのため、これらの片持ち梁部品は、製造処理工程中に重力で崩壊する可能性がある。
【0012】
そのため、(3D)印刷される構造体の安定性の確保には、製造工程中に付加製造処理を中断して補強材を加える必要があるが、これは複雑で面倒な作業であり、付加製造法によるこの種のフィルタの製造速度や制御に大きな影響を与える可能性がある。
【0013】
非特許文献1は、付加製造に適した横方向の空洞が設けられた導波路フィルタを開示している。
【0014】
特許文献3は、Aは、同心円状の波形を備えたマイクロ波ホーンアンテナを開示する。ホーンの内面に対するこのアンテナの波形の向きは、不可能ではないにしても、付加製造を困難にしている。
【0015】
特許文献4は、ホーンが同心円状の波形を備え得るパラボラアンテナを開示している。繰り返しになるが、ホーンの内面に対するこのアンテナの波形の向きは、不可能ではないにしても、付加製造を困難にしている。
【0016】
特許文献5は、同心コルゲートを備えるホーンを備えたアンテナを開示している。繰り返しになるが、ホーンの内面に対するこのアンテナの波形の向きは、不可能ではないにしても、付加製造を困難にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/308938号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/00849号明細書
【特許文献3】米国特許第3274603号明細書
【特許文献4】米国特許第4012743号明細書
【特許文献5】米国特許第4472721号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Peverini O.他、“Selective Laser Melting Manufacturing of Microwave Waveguide Devices”,Proceedings of the IEEE,Vol.105,No. 4,April 1,2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、したがって、付加製造処理により適したコルゲート受動高周波装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、波動をフィルタして導くためのチャネルを画定する少なくとも1つの内部表面を含むコアを備えるコルゲート受動高周波装置によって達成される。チャネルの少なくとも1つの内壁面は、複数の空洞又は複数の溝を備える。各空洞又は溝は、チャネルを通過する波を濾過するため、実質的に平行な隣り合う壁によって形成される。各空洞又は溝の隣り合う壁は、チャネルの中心軸線に対して傾斜している。
【0021】
一実施形態では、コアは複数の内部面を備える。2つの対向する内部面は、それぞれ前記複数の空洞を備える。
【0022】
一実施形態では、空洞又は溝を形成している隣り合う壁は、チャネルの中心軸線に対して20°から55°の間の角度で傾斜している。
【0023】
一実施形態では、その角度はチャネルの中心軸線に対して40°から50°の間であり、好ましくは45°の角度である。
【0024】
一実施形態では、空洞又は溝を形成している隣り合う壁の傾斜は、互いに実質的に同一である。
【0025】
一実施形態では、空洞又は溝を形成している隣り合う壁の傾斜は、他の空洞又は溝を形成している隣り合う壁の傾斜と同一である。
【0026】
一実施形態では、高周波装置の中心軸線に対する空洞の分布の周期性は一定である。
【0027】
一実施形態では、高周波装置の中心軸線に対する空洞分布の周期性は異なっている。
【0028】
一実施形態では、空洞の深さは一定又は異なっている。
【0029】
一実施形態では、高周波装置は導波路である。
【0030】
一実施形態では、高周波装置はホーン型アンテナである。
【0031】
一実施形態では、環状溝を形成している隣り合う壁は、アンテナの内部表面に対して30°から80°の間の第2角度で傾斜している。
【0032】
一実施形態では、環状溝を形成している隣り合う壁は、円錐形の内部表面に配置された円形の壁である。環状溝の直径は、中心軸線に沿って単調又は非単調に異なっている。
【0033】
一実施形態では、アンテナの中心軸線に対する、隣り合う環状溝の周期性は一定である。
【0034】
一実施形態では、アンテナの中心軸線に対する、隣り合う環状溝の周期性は異なっている。
【0035】
一実施形態では、円形壁は互いに一定の厚さである。
【0036】
一実施形態では、円形の壁の厚さは互いに異なる。
【0037】
一実施形態では、互いに対する環状溝の深さは一定又は異なっている。
【0038】
一実施形態では、環状溝を形成している隣り合う壁はアンテナの中心軸線方向に丸みを帯びている。
【0039】
本発明の実施例は、添付の図によって表されている説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、当技術分野におけるコルゲート導波路フィルタの縦断面を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるコルゲート導波路フィルタの縦断面を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態によるコルゲート導波路フィルタの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態によるコルゲートホーンアンテナの斜視図である、
【
図6】
図6は、
図4に示したホーンアンテナの内部表面の部分図である。
【
図7a】
図7aは、コアの異なる輪郭を持つホーンアンテナの軸方向断面を模式的に示す。
【
図7b】
図7bは、コアの異なる輪郭を持つホーンアンテナの軸方向断面を模式的に示す。
【
図7c】
図7cは、コアの異なる輪郭を持つホーンアンテナの軸方向断面を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
一実施形態では、コルゲート受動高周波装置は導波路フィルタ1であり、例えば
図2及び
図3に示すような様々な形態をとり得る。フィルタは、複数の内部表面4、5、6、7を含むコア2から構成され、これらの内部表面4、5、6、7は、予め定義された通過帯域及び動作帯域に従って電磁信号をフィルタするように構成されたチャネル3を画定する。例えば、フィルタは、1GHzから80GHzのオーダーの周波数範囲内の狭い帯域幅を通過するように設計されている。
【0042】
コア2は、チャネル3の中心軸線に対して傾斜した面内に延在する、実質的に平行な隣り合う壁11a、11bをそれぞれ持つ、例えば直柱に似た形状の複数の延長部8を含む外周面からなる。
図2では、これらの直線プリズムは、決められた周波数範囲の高周波信号をフィルタするために、チャネル3に沿って延在する複数の共振空洞9を形成するように中空になっている。
【0043】
各延長部8の隣り合う壁11a、11bは、チャネル3の長手方向軸線に対して傾斜している。
図3に示す導波路フィルタのコア2は、例えば、複数の内部表面4、5、6、7からなる(
図2も参照)。対向する2つの内部表面4、5のそれぞれは、第1の複数の空洞9、第2の複数の空洞9を備える。
【0044】
空洞9をなして隣り合う壁11a、11bは、流路3の中心軸線に対して20°から55°の間の角度αで傾斜している。角度αは、好ましくは、流路3の軸線に対して40°から50°の間、例えば45°である。
【0045】
空洞9を形成している導波路フィルタの隣り合う壁11a、11bの傾斜は、互いに、及び他の空洞の隣り合う壁11a、11bと実質的に同一である。しかしながら、空洞を形成する壁面間の傾斜は、一実施形態では、他の空洞の壁面の傾斜に対して異なってもよい。
【0046】
さらに、導波路1のチャネル3の中心軸線に対する空洞9の分布の周期性pは一定であるか、又は実行の変形に応じて異なるものとしてよい。導波路1の空洞9の互いに対する深さは一定でも異なってもよい。
【0047】
図4から
図6に示す別の実施形態では、コルゲート受動高周波装置はホーン型アンテナ1である。このアンテナは、円錐形の内部表面12を持つコア2からなる。複数の円形壁11a、11bが円錐の表面からアンテナ1の中心軸線に向かって延び、複数の環状溝10を形成するように隣り合っている。これらの環状溝はアンテナ1の中心軸線と同心であり、各環状溝10の直径は隣り合う環状溝の直径と異なる。
【0048】
図6では、環状溝10を形成する環状壁11a、11bは、アンテナの中心軸線に対して20°から55°の間の角度αで傾斜している。角度αは、好ましくは、チャネル3の長手方向軸線に対して40°から50°の間、例えば45°である。
【0049】
さらに、環状溝10をなして隣り合う環状壁11a、11bの傾斜は、互いに、及び他の環状溝の隣り合う壁11a、11bと実質的に同一である。しかしながら、環状溝を形成する円形壁間の傾斜は、実施態様の変形に従って、他の環状溝の壁の傾斜に対して異なってもよい。
【0050】
図5に示されるように、環状溝を形成する円形壁11a及び11bは、ホーンアンテナの内部表面に対して90°未満の角度で傾斜させてもよい。一実施形態では、この角度は30°から80°の間である。
【0051】
一方では、この傾斜によってアンテナの帯域幅スペクトルに影響を与えることが可能になる。他方では、この傾斜はアンテナの付加製造を容易にする。環状溝をなして隣り合う壁のような片持ち梁の表面は、製造中に支持体を使用せずに製造することは困難であり、その後、支持体を除去しなければならない。環状溝をなして隣り合う壁をアンテナホーンの内部表面に対して傾斜させることで、片持ち梁の面の応力が低減され、製造時の支持の必要性が回避される。
【0052】
アンテナホーンの開口角に応じて、環状溝をなして隣り合う壁は、アンテナの中心軸線に対して20°から55°の間の角度だけ傾斜させてよく、アンテナホーンの表面に対して30°から80°の間の角度だけ傾斜させてよい。このようにアンテナの中心軸線に対してもホーンの内部表面に対しても傾斜させることで、付加製造時の片持ち部品による応力を最小限に抑えられる。
【0053】
アンテナ1の中心軸線に対する隣り合う環状溝の周期性pは一定又は異なっている。
【0054】
環状壁は、互いに対して同じ厚さtを持っていてもよいし、異なる厚さを持っていてもよい。互いに対する環状溝の深さは一定でも異なってもよい。
【0055】
図7a、
図7b、
図7cによって示される他の実施形態では、ホーンアンテナ1は、その輪郭が任意の方法で中心軸線に沿って異なっているコア2を持ち得る。例えば、
図7a及び
図7bによるアンテナコアの輪郭は、単調関数に従って中心軸線に沿って異なり、一方、
図7cによるアンテナコアの輪郭は、非単調関数に従って中心軸線に沿って異なっている。
【0056】
図7Aに示す実施形態では、環状溝をなして隣り合う壁とアンテナの中心軸線との間の角度は、アンテナの長さに沿って一定であり、隣り合う壁とアンテナホーンの表面との間の角度も一定である。
【0057】
図7b及び
図7cに示される実施形態では、隣り合う壁とアンテナの中心軸線との間の角度は、アンテナの長さに沿って一定であるが、隣り合う壁とホーンの表面との間の角度は、アンテナの輪郭が中心軸線に沿って変わるにつれて異なる。
【0058】
例えば、コア2の幾何学的形状は、所望の帯域幅の関数としてコンピュータソフトウェアによって決定できる。計算された幾何学的形状は、コンピュータデータ媒体に格納できる。
【0059】
コア2は、付加製造処理を用いて製造される。本願において、「付加製造」という表現は、コンピュータ媒体に記憶され、コア2の幾何学的形状を定義するコンピュータデータに従って、材料を追加することによってコア2を製造する任意の処理を指す。
【0060】
コア2は、例えば、SLM(選択的レーザー溶融)タイプの付加製造処理によって製造できる。コア2はまた、液体又は粉末の硬化又は凝固などの他の付加製造方法によって製造可能であり、これには、ステレオリソグラフィ、バインダー噴射、DED(指向性エネルギー堆積法)、EBFF(電子ビームによる自由形状加工)、FDM(溶融物堆積法)、PFF(プラスチックフリー造形)、エアロゾル、BPM(弾道粒子製造法)、SLS(選択的焼結積層造形)、ALM(付加積層製造法)、ポリジェット、EBM(電子ビーム溶融法)、光重合などに基づいた方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
コア2は、例えば、付加製造処理において、紫外線照射によって硬化した液体ポリマーの複数の表面層によって製造されたフォトポリマーでできていてもよい。
【0062】
コア2は、レーザー又は電子ビームが粉末状材料の複数の薄層を溶融又は焼結するSLMタイプの付加製造処理によって、導電性材料、例えば金属材料から形成してもよい。
【0063】
一実施形態では、コア2の内部表面4、5、6、7に電気めっき又はガルバノプラスティにより金属層(図示せず)を膜として堆積させる。金属化により、コア2の内側面を導電層で覆えるようになる。
【0064】
金属層の塗布は、金属層の接着を促進するため、コア2の内部表面4、5、6、7上の表面処理ステップに先行させてよい。表面処理には、表面粗さを高めることと、中間接合層を堆積させることとの少なくとも一方が含まれる。
【0065】
従来の付加製造処理は、しかしながら、従来の導波路フィルタ、特に
図1に示すような多数の空洞を特徴とするコルゲート導波路フィルタには特に適していない。なぜなら、これらの空洞の配置により、チャネルの外側に片持ち部分が生じ、個々の層の印刷時にこれを維持することが困難だからである。したがって、これらの片持ち梁部分の補強は、これらの部品が重力の影響で崩壊するのを防ぐために、付加製造処理中に配置する必要がある。
【0066】
一観点では、この欠点を改善するため、導波路1は、チャネル3の長手方向軸線zが垂直、又は少なくとも実質的に垂直になるように印刷される。
【0067】
この実施例による導波路フィルタ1の幾何学的構成は、コア2の製造処理中に、重力の影響によるコアの一部の崩壊の回避を意図した補強に頼ることなく、コア2を重力と反対の垂直方向に付加製造処理による製造を可能にするという有利点がある。実際、好ましくは、水平に対する片持ちの延長部の角度αは、印刷中に硬化する前に重ね合わされた層が接着するのに十分である。
【0068】
楕円形や楕円形の断面を持つ導波路の製造も可能である。
【0069】
図6に示す一実施形態では、環状溝をなして隣り合う壁11a及び
図11bは、アンテナ3の軸線方向に丸みを付けている。特に、この丸みにより、これらの片持ち梁の要素の付加製造が容易になる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波をフィルタして導くチャネ
ルを画定する少なくとも1つの内部
面を備えるコ
アを備えるコルゲート受動
ホーン型アンテナであって、前記チャネルの前記少なくとも1つの内部
面が、複数
の環状溝を備え、前記チャネルを通過する前記波をフィルタするべく
前記環状溝が、実質的に平行な隣り合う
壁によって形成されている、コルゲート受動
ホーン型アンテナにおいて、
前記隣り合う
壁が前記チャネ
ルの中心軸線に対して傾斜されてい
て、
前記環状溝を形成している前記隣り合う壁が、前記アンテナの内部表面に対して30°から80°の間の第2角度で傾斜されている、コルゲート受動
ホーン型アンテナ。
【請求項2】
前
記環状溝を形成している前記隣り合う
壁は、前記チャネ
ルの前記中心軸線に対して20°から55°の間の角
度で傾斜してい
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項3】
前記角
度は、前記チャネ
ルの前記中心軸線に対して40°から50°の間であり、好ましくは45°の角度であ
る、請求項
2に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項4】
複数の
前記環状溝を形成している前記隣り合う
壁の傾斜は
、1環状溝において
、他の環状溝に対して実質的に同一であ
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項5】
前記環状
溝を形成している前記隣り合う
壁は、円錐形の内部表
面に配置される円形の壁であり、前記環状溝の直径は前記中心軸線に沿って単調又は非単調に変化してい
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項6】
前記
チャネルの前記中心軸線に対する、前記隣り合う環状溝の周期
性は一定であ
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項7】
前記アンテナの前記中心軸線に対する、前記隣り合う環状溝の周期
性が異なってい
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項8】
前記円形の
壁は、互いに対して同じ厚
さを持
つ、請求項
5に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項9】
前記円形の
壁は、互いに異なる厚
さを持
つ、請求項
5に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項10】
前記環状
溝の互いに対する深さは一定又は異なってい
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【請求項11】
前記環状溝を形成している前記隣り合う
壁が、前記アンテナの前記中心軸線の方向に丸みを付けられてい
る、請求項
1に記載の受動
ホーン型アンテナ。
【国際調査報告】