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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】高温超電導磁束ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   H01F 6/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
H01F6/00 150
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562337
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2022103547
(87)【国際公開番号】W WO2023284572
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110783181.X
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507389842
【氏名又は名称】四川大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 為
(72)【発明者】
【氏名】叶 漢新
(72)【発明者】
【氏名】楊 超
(72)【発明者】
【氏名】李 洪
(72)【発明者】
【氏名】韋 家富
(72)【発明者】
【氏名】張 云天
(57)【要約】
【課題】本発明は高温超電導磁束ポンプシステムを得ることにある。
【解決手段】本発明は超電導磁性体励磁システムの技術分野に関し、高温超電導磁束ポンプシステムを開示する。それは磁束ポンプ本体と、超電導負荷と、固定子群とを含み、ダブルパンケーキ型コイル群は少なくとも1つのダブルパンケーキ型コイルを含み、固定子群は少なくとも1つの固定子を含み、磁束ポンプ本体は固定子群を設置するための空隙を有し、超電導負荷と固定子群は接続されて閉ループとなる。本発明は磁性体構造及び巻線コストを変更することなく構造を簡素化することができ、充電速度が遅いという問題を解決すると同時に電源コストを大幅に低減させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温超電導磁束ポンプシステムであって、
磁束ポンプ本体と、
超電導負荷と、
固定子群と、を含み、前記固定子群は少なくとも1つの固定子を含み、
そのうち、前記磁束ポンプ本体は、固定子群を設置するための空隙を有し、前記超電導負荷と固定子群は接続されて閉ループとなり、
前記超電導負荷がN個の単一負荷を有し、N≧2であり、Nは偶数であり、且つ前記固定子群を2つ有する場合、各固定子群はN/2個の固定子を有し、そのうちN/2個の単一負荷はそのうちの1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別のN/2個の単一負荷はもう1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、
前記超電導負荷がM個の単一負荷を有し、M≧3であり、Mは奇数であり、且つ前記固定子群を2つ有する場合、そのうちの1つの固定子群は(M-1)/2個の固定子を有し、もう1つの固定子群は(M+1)/2個の固定子を有し、超電導負荷において、そのうちの(M-1)/2個の単一負荷はそのうちの1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別の(M+1)/2個の単一負荷はもう1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、
前記磁束ポンプ本体は、
交流巻線と、
直流巻線であって、前記直流巻線は交流巻線のうちの一端に設置される、直流巻線と、
第1ヨークと、を含み、
そのうち、前記第1ヨークの一端は直流巻線と接続され、他端は交流巻線の当該直流巻線から離れた一端まで延在し、
固定子群を設置するための空隙は、交流巻線と第1ヨークの間に位置することを特徴とする、高温超電導磁束ポンプシステム。
【請求項2】
前記第1ヨークは2つであり、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、
前記超電導負荷は2つ有しており、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、各超電導負荷は同じ一端の固定子群と接続され、2つの閉ループが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の高温超電導磁束ポンプシステム。
【請求項3】
高温超電導磁束ポンプシステムであって、
磁束ポンプ本体と、
超電導負荷と、
固定子群と、を含み、前記固定子群は少なくとも1つの固定子を含み、
そのうち、前記磁束ポンプ本体は、固定子群を設置するための空隙を有し、前記超電導負荷はリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、リードイン線端部とリードアウト線端部はそれぞれ固定子群と接続されて閉ループを形成し、
前記超電導負荷がN個の単一負荷を有し、N≧2であり、Nは偶数であり、且つ前記固定子群を2つ有する場合、各固定子群はN/2個の固定子を有し、そのうちN/2個の単一負荷はそのうちの1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別のN/2個の単一負荷はもう1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、
前記超電導負荷がM個の単一負荷を有し、M≧3であり、Mは奇数であり、且つ前記固定子群を2つ有する場合、そのうちの1つの固定子群は(M-1)/2個の固定子を有し、もう1つの固定子群は(M+1)/2個の固定子を有し、超電導負荷において、そのうちの(M-1)/2個の単一負荷はそのうちの1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別の(M+1)/2個の単一負荷はもう1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、
前記磁束ポンプ本体は、
交流巻線と、
直流巻線であって、前記直流巻線は交流巻線の両端に設置される、直流巻線と、
第1ヨークと、を含み、
そのうち、前記第1ヨークのうちの一端は、交流巻線のうちの一端に位置する直流巻線と接続され、上述の第1ヨークの他端は、交流巻線の他端に位置する直流巻線と接続され、磁束ポンプの作動状態において磁気ループが形成され、交流巻線の両端の直流巻線の数は一致しており、
固定子群を設置するための空隙は、交流巻線と第1ヨークの間に位置し、
そのうち、前記第1ヨークは2つであり、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、且つそれぞれ交流巻線の両端この中で接続され、磁束ポンプの作動状態において2つの磁気ループが形成され、
そのうち、前記固定子群は2つ有しており、2つの固定子群は異なる空隙内に位置し、2つの固定子群は並列にされてから超電導負荷と接続されて閉ループとなることを特徴とする、高温超電導磁束ポンプシステム。
【請求項4】
並列接続後の2つの固定子群は2つの接続端部を有し、2つの接続端部に前記リードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれ接続されることを特徴とする、請求項3に記載の高温超電導磁束ポンプシステム。
【請求項5】
前記固定子群は少なくとも2つの固定子を含み、各固定子群のすべての固定子は並列に配置され、並列接続後の2つの固定子群は2つ以上の偶数個の接続端部を有し、接続端部はいずれも2つの部分に分けられ、そのうちの一部分はリードイン線端部と接続され、別の部分はリードアウト線端部と接続されることを特徴とする、請求項3に記載の高温超電導磁束ポンプシステム。
【請求項6】
前記超電導負荷は2つ有しており、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、各超電導負荷は同じ一端の固定子群と接続され、2つの閉ループが形成されることを特徴とする、請求項3に記載の高温超電導磁束ポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超電導磁性体励磁システムの技術分野に関し、特に、高温超電導磁束ポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超電導磁性体は、超電導電力の応用分野における極めて重要な部分であり、従来の永久磁石や一般的な電磁石と比較した場合、軽質量で体積が小さく、より強い磁場を発生させることができるうえに、損失が極めて低い。そうした優越性ゆえに、超電導磁性体は医療、エネルギー及び交通といった多くの分野で応用されている。
【0003】
現状における超電導磁性体の開発の難しさは、高温超電導コイルが永久電流モード中で動作しないことにある。磁束クリープと溶接抵抗による電流損失が未だ完全には解決されていないため、高温超電導磁気の閉ループにおける電流減衰も無視できない。
【0004】
現在の磁束ポンプは、磁化超電導負荷方法を提供することができ、当該方法は低温と常温環境の間に接触式電流リードを設ける必要がなく、低温と非低温環境の間の熱リンクを隔離することができる。
【0005】
しかしながら、従来設計の磁束ポンプには充電速度が遅い、構造が複雑であるといった欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の技術的課題を解決するために、本発明は、磁性体構造及び巻線コストを変更することなく構造を簡素化することができ、充電電流が数千アンペアに達すると同時に電源コストを低減し得る、高温超電導磁束ポンプシステムを開示する。本発明の具体的な技術的解決手段は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
高温超電導磁束ポンプシステムであって、
磁束ポンプ本体と、
超電導負荷と、
固定子群と、を含み、前記固定子群は少なくとも1つの固定子を含み、
そのうち、上述の磁束ポンプ本体は、固定子群を設置するための空隙を有し、上述の超電導負荷と固定子群は接続されて閉ループとなる。
【0008】
好適には、上述の磁束ポンプ本体は、
交流巻線と、
直流巻線であって、上述の直流巻線は交流巻線のうちの一端又は両端に設置される、直流巻線と、
第1ヨークと、を含み、
そのうち、交流巻線のうちの一端に直流巻線が設置される場合、上述の第1ヨークの一端は直流巻線と接続され、他端は交流巻線の当該直流巻線から離れた一端まで延在し、
交流巻線の両端に直流巻線が設置される場合、上述の第1ヨークのうちの一端は、交流巻線のうちの一端に位置する直流巻線と接続され、上述の第1ヨークの他端は、交流巻線の他端に位置する直流巻線と接続され、磁束ポンプの作動状態において磁気ループが形成され、交流巻線の両端の直流巻線の数は一致しており、
固定子群を設置するための空隙は、交流巻線と第1ヨークの間に位置する。
【0009】
好適には、上述の超電導負荷は、一対のリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、上述の固定子群の両端はそれぞれリードイン線端部とリードアウト線端部に接続されて、閉ループが形成される。
【0010】
好適には、少なくとも2つの超電導負荷を含み、各超電導負荷はいずれも一対のリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、リードイン線端部とリードアウト線端部の各対はそれぞれ固定子群に接続されて、それぞれが閉ループを形成する。
【0011】
好適には、上述の第1ヨークは2つであり、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、且つそれぞれ交流巻線の両端の直流巻線と接続され、磁束ポンプの作動状態において2つの磁気ループが形成される。
【0012】
そのうち、上述の固定子群は2つ有しており、2つの固定子群は異なる空隙内に位置し、2つの固定子群は並列にされてから超電導負荷と接続されて閉ループとなる。
【0013】
好適には、並列接続後の2つの固定子群は2つの接続端部を有し、2つの接続端部に上述のリードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれ接続される。
【0014】
好適には、上述の固定子群は少なくとも2つの固定子を含み、各固定子群のすべての固定子は並列に配置され、並列接続後の2つの固定子群は2つ以上の偶数個の接続端部を有し、接続端部はいずれも2つの部分に分けられ、そのうちの一部分はリードイン線端部と接続され、別の部分はリードアウト線端部と接続される。
【0015】
好適には、上述の超電導負荷はN個の単一負荷を有し、ここで、N≧2であり、Nは偶数である。
【0016】
上述の固定子群は2つ有しており、各固定子群はN/2個の固定子を有する。
【0017】
超電導負荷において、そのうちのN/2個の単一負荷はそのうちの1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別のN/2個の単一負荷はもう1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなる。
【0018】
好適には、前記超電導負荷はM個の単一負荷を有し、ここで、M≧3であり、Mは奇数である。
【0019】
上述の固定子群は2つ有しており、そのうちの1つの固定子群は(M-1)/2個の固定子を有し、もう1つの固定子は(M+1)/2個の固定子を有する。
【0020】
超電導負荷において、そのうちの(M-1)/2個の単一負荷はそのうちの1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別の(M+1)/2個の単一負荷はもう1つの固定子群中の固定子と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなる。
【0021】
好適には、上述の第1ヨークは2つであり、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、且つそれぞれ交流巻線の両端の直流巻線と接続され、磁束ポンプの作動状態において2つの磁気ループが形成される。
【0022】
上述の超電導負荷は2つ有しており、各々は交流巻線の長手方向の両端に位置し、各超電導負荷は同じ一端の固定子群と接続され、2つの閉ループが形成される。
【発明の効果】
【0023】
従来技術と比べて、本発明は、交流巻線と直流巻線を利用して固定子の超電導負荷に対する非接触式励磁を実現する。そのうち、上述の直流巻線は直流電流源によって給電し、電流振幅は可変であり、交流巻線は三相変調インバータによって給電し、交流電流振幅と電流の周波数は可変である。これにより、本システムは、磁束ポンプ本体が直流バイアスの進行波磁界を生じさせて、交流巻線に標準の正弦波磁界を生じさせ、直流巻線にバイアスの直流磁界を生じさせる。これを基に、本発明は簡単な構造によって充電速度を最適化し、効果的且つ顕著により速い充電速度を低コスト、高効率で提供する。また、本発明は非接触式励磁システムを得ており、数千アンペアの超電導直流出力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例における磁束ポンプ本体のうちの1つの概念図である。
図2図1の平面図である。
図3】本発明の実施例における磁束ポンプ本体の別の概念図である。
図4図3の平面図である。
図5】本発明の実施例における固定子群と第1ヨークの間の位置概念図である。
図6図5の正面図である。
図7図6のA部分の拡大図である。
図8】本発明の実施例における片側励磁システムのうちの1つの概念図である。
図9図8の平面図である。
図10図9のB部分の拡大図である。
図11】本発明の実施例における片側励磁システムの別の概念図である。
図12図11の平面図である。
図13】本発明の実施例における片側励磁システムのさらに別の概念図である。
図14】本発明の実施例における片側励磁システムが2つの超電導負荷を有する場合の1つの概念図である。
図15】本発明の実施例における片側励磁システムが2つの超電導負荷を有する場合の別の概念図である。
図16】本発明の実施例における片側励磁システムが2つの超電導負荷を有する場合のさらに別の概念図である。
図17】本発明の実施例における両側励磁システムのうちの1つの概念図である。
図18】本発明の実施例における両側励磁システムの別の概念図である。
図19】本発明の実施例におけるさらに別の両側励磁システム中の超電導負荷の数を偶数とした概念図である。
図20図19の平面図である。
図21図19の正面図である。
図22】本発明の実施例におけるさらに別の両側励磁システム中の超電導負荷の数を奇数とした概念図である。
図23図22の平面図である。
図24】本発明の実施例における片側励磁システムの4種類目の概念図である。
図25図24の平面図である。
図26】本発明の実施例における両側励磁システムの4種類目の概念図である。
図27】本発明の実施例におけるワイド型固定子が設置された概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
当業者が本発明の技術的解決手段をより良く理解できるように、以下では本発明を具体的な実施形態に基づいてさらに詳述する。
【0026】
技術的解決手段についてより明確な理解が得られるように、以下に詳述する実施例では、超電導負荷200を超電導負荷として説明するが、超電導負荷は超電導ケーブルなどでもよいことを理解されたい。
【実施例
【0027】
図1図10に示す通り、高温超電導磁束ポンプシステムは、磁束ポンプ本体100と、超電導負荷200と、固定子群300とを含み、上述の超電導負荷200は少なくとも1つの単一負荷201を含み、上述の固定子群300は少なくとも1つの固定子301を含み、上述の磁束ポンプ本体100は固定子群300を設置するための空隙400を有し、上述の超電導負荷200と固定子群300は接続されて閉ループとなる。
【0028】
本実施例中、単一負荷201と固定子301はいずれも高温超電導線材を有しており、具体的にはReBCO線材であるが、当該線材は基板のハステロイ層、ReBCO層及びバッファ層が下から上に積層設置されてなるものであり、その動作温度は77K以下であり、そのうちのReはレアアースである。ここで、上述の超電導負荷200はダブルパンケーキ型コイル群であり、単一負荷201はダブルパンケーキ型コイルである。つまり、上述の超電導負荷200は少なくとも1つの単一負荷201によって構成される。
【0029】
本実施例中、単一負荷201は、従来の円形状の単一負荷201以外に、標準的な400Mトラックに似たレーストラック形状の単一負荷201でもよい。もちろん、ダブルパンケーキ構造のコイル以外に、異なるタイプのシングルパンケーキ型コイルでもよく、ここでの説明は省略する。
【0030】
本実施例をより良く使用するために、上述の磁束ポンプ本体100は、交流巻線101と、直流巻線102と、第1ヨーク103とを含む。上述の直流巻線102は交流巻線101の両端に設置される。上述の第1ヨーク103の両端はそれぞれ交流巻線101の両端の直流巻線102と接続され、磁束ポンプの作動状態において磁気ループが形成され、固定子群300を設置するための空隙400は、交流巻線101と第1ヨーク103の間に位置する。
【0031】
上述の直流巻線102は交流巻線101の両端に設置され、上述の第1ヨーク103のうちの一端は、交流巻線101のうちの一端に位置する直流巻線102と接続され、上述の第1ヨーク103の他端は、交流巻線101の他端に位置する直流巻線102と接続され、磁束ポンプの作動状態において磁気ループが形成され、固定子群300を設置するための空隙400は、交流巻線101と第1ヨーク103の間に位置する。
【0032】
別の幾つかの実施例では、空隙400内に設置される固定子群300は、交流巻線101と第1ヨーク103の間において、第1ヨーク103又は交流巻線101と当接させることもできる。
【0033】
説明すべきこととして、上述の交流巻線101は、交流電線を巻回するための歯溝1011を有しており、これにより、固定子群300を設置するための空隙400は歯溝1011と第1ヨーク103の間に位置する。
【0034】
図13に示す通り、説明すべきこととして、本実施例中、上述の交流巻線101の両端は交流巻線101の対称線によって区分されており、具体的には、上述の対称線は交流巻線101の中心軸線に垂直である。なお、上述の対称線は歯溝1011の水平面投影の延在方向に平行であることを理解されたい。以下の実施例も同じ原理であるため、説明は省略する。
【0035】
さらに説明すべきこととして、本実施例中、上述の交流巻線の両端における直流巻線の数は一致している。これにより、磁界の対称性における使用要件が満たされる。
【0036】
また、図24及び図25に示す通り、異なる実施例では、上述の実施例と異なる構造的特徴を有しており、上述の実施例についていえば、直流巻線102は2つ有しており、各々は交流巻線101の両端に位置するが、別の実施例では、直流巻線102が1つである状況にも適用することができる。即ち、交流巻線101のうちの一端に直流巻線102が設置されている場合、上述の第1ヨーク103の一端は直流巻線102と接続され、他端は交流巻線101の直流巻線102から離れた一端まで延在する。
【0037】
図11及び図12に示す通り、本実施例をより良く使用するために、上述の超電導負荷200は、一対のリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、上述の固定子群300の両端はそれぞれリードイン線端部とリードアウト線端部に接続されて、閉ループが形成される。
【0038】
本実施例では、上述の超電導負荷200は1つの単一負荷201でもよいし、複数の単一負荷201で構成された超電導負荷200でもよい。いずれにしても、超電導負荷200は1つのリードイン線端部と1つのリードアウト線端部しか有しておらず、上述のリードイン線端部とリードアウト線端部を介して固定子群300の両端と接続されることにより、完全な閉ループが実現される。
【0039】
本実施例では、上述の超電導負荷200中の複数の単一負荷201は、間隔を置かず接触していてもよいし、互いに一定の間隔を置いてもよい。
【0040】
図13に示す通り、本実施例をより良く使用するために、上述の超電導負荷200は少なくとも2つの並列に設置された単一負荷201を含み、各単一負荷201はいずれも一対のリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、リードイン線端部とリードアウト線端部の各対はそれぞれ固定子群300に接続されて、それぞれが閉ループを形成する。
【0041】
本実施例中、上述の超電導負荷200は複数の単一負荷201を有する。前の実施例では、それらの単一負荷201を集成することができ、複数の単一負荷201を有する超電導負荷200が1つのリードイン線端部と1つのリードアウト線端部しか持たないようにさせるが、前の実施例と異なる点として、本実施例中、各単一負荷201はいずれも1つのリードイン線端部と1つのリードアウト線端部を有する。通常、当該実施例では、上述の固定子群300が有する固定子301の数は単一負荷201と一致するが、そうでない場合、その具体的な構造は、前の実施例における複数の単一負荷201が集成されて、1つの超電導負荷200が1つのリードイン線端部と1つのリードアウト線端部しか持たないようにさせる実施例と同じである。これを基にして、各固定子301はいずれも2つの接続端部を有し、それらは対応する単一負荷201のリードイン線端部及びリードアウト線端部と接続される。
【0042】
もちろん、固定子群300の固定子301の数が複数であり、超電導負荷200の単一負荷201が複数であり、且つ固定子301の数と単一負荷201の数が異なる場合にも、上述の実施例中の接続形式によって接続を行うことができる。当該実施例中、任意の2つの隣接する固定子301同士は適当な間隔を有するべきであり、この設置方式は、以下の実施例中で使用することができる。
【0043】
上述のすべての実施例についていえば、それらは片側励磁システムと言える。即ち、磁束ポンプ本体100の一端のみで励磁が実現される。本システムにおいて、各直流巻線102中には1組の直流コイルしかない。説明すべきこととして、各直流巻線102は、直流コイルを含むだけでなく、第1ヨーク103と接続された第2ヨーク104も含む。従って、理解すべきこととして、直流巻線102中、第2ヨーク104の一端は交流巻線101と接続され、他端は第1ヨーク103と接続され、直流コイルは第2ヨーク104上に巻回される。これは以下の実施例においても同様であり、説明は省略する。
【0044】
説明すべきこととして、別の幾つかの実施例では、片側励磁システム中、第2ヨーク104の役割は、交流巻線101を接続して閉ループを形成することであり、この場合、直流巻線102中の直流コイルは第1ヨーク103上に巻回することができ、第2ヨーク104に限らない。もちろん、このような巻回方式は以下の実施例中でも応用することができ、同じ原理についての説明は省略する。
【0045】
上述の任意の一実施例を基にして、磁束ポンプシステムは、その両端に励磁を実現させることもできる。図14図16に示す通り、上述の第1ヨーク103は2つであり、各々は交流巻線101の長手方向の両端に位置し、且つ各々は交流巻線101の両端の直流巻線102と接続され、磁束ポンプの作動状態において2つの磁気ループが形成される。上述の超電導負荷200は2つ有しており、各々は交流巻線101の長手方向の両端に位置し、各超電導負荷200は同一端の固定子群300と接続され、2つの閉ループが形成される。
【0046】
説明すべきこととして、どの実施例においても、第1ヨーク103及び/又は第2ヨーク104は鉄でもよいし、コバルト、ニッケルなどの透磁性の金属でもよいし、当然ながら、透磁性合金でもよい。本実施例では、鉄を採用している。
【0047】
当該実施例中、各直流巻線102はいずれも2つの直流コイルを有しており、2つの直流コイルはそれぞれ自身が位置する直流巻線102の両端に配置される。このように、当該実施例はやはり片側励磁システムである。
【0048】
当該実施例中、上述の磁束ポンプ本体100の両端それぞれが1つの超電導負荷200を有し、これによってそれぞれが励磁充電を実現するため、充電効率を安定して向上させることができる。
【0049】
また、上述の片側励磁システムは、従来技術を簡単に組み合わせた技術的解決手段では決してない。発明者は実際の研究過程において、励磁システムの充電効率が単純な固定子301の数の増減及び/又は単一負荷201の数の増減によるものではなく、その様々な組み合わせ形式も最終的な充電効果に顕著な差をもたらし、且つ従来技術を基に、磁性体構造及び巻線コストを変更しないことを基本として、充電効率を顕著に向上させるという目的が達成されることを発見した。以下の実施例中の両側励磁システムも同じ原理である。
【0050】
本実施例をより良く使用するために、片側励磁システムを基にした、両側励磁システムを提供する。
【0051】
即ち、上述の第1ヨーク103は2つであり、各々は交流巻線101の長手方向の両端に位置し、且つ各々は交流巻線101の両端の直流巻線102と接続され、磁束ポンプの作動状態において2つの磁気ループが形成される。そのうち、上述の固定子群300は2つ有しており、2つの固定子群300は異なる空隙400内に位置し、2つの固定子群300は並列にされてから超電導負荷200と接続されて閉ループとなる。
【0052】
本実施例中、各直流巻線102はいずれも2つの直流コイルを有しており、2つの直流コイルはそれぞれ自身が位置する直流巻線102の両端に配置される。上述の2つの閉ループを有する片側励磁システムと比べると、両側励磁システムでは、1つの閉ループのみを有し、当該閉ループには、並列接続された2つの固定子群300と、上述の2つの固定子群300に接続された1つの超電導負荷200が含まれている。
【0053】
図26に示す通り、片側励磁システムにおいて、交流巻線101のうちの一端に直流巻線102が設置される場合、上述の第1ヨーク103の一端は直流巻線102と接続され、他端は交流巻線101の直流巻線102から離れた一端まで延在するという状況は、上述の両側励磁システムにも同様に適用されるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
図17に示す通り、本実施例をより良く使用するために、並列接続後の2つの固定子群300は2つの接続端部を有し、2つの接続端部に上述のリードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれ接続される。
【0055】
本実施例中、並列接続後の2つの固定子群300は2つの接続端部だけを有しており、リードイン線端部とリードアウト線端部については、超電導負荷200が1つのリードイン線端部と1つのリードアウト線端部のみを有してもよいし、複数の単一負荷201が各々リードイン線端部とリードアウト線端部を有してもよい。
【0056】
図18に示す通り、本実施例をより良く使用するために、上述の固定子群300は少なくとも2つの固定子301を含み、各固定子群300のすべての固定子301は並列に配置され、並列接続後の2つの固定子群300は2つ以上の偶数個の接続端部を有し、接続端部はいずれも2つの部分に分けられ、そのうちの一部分はリードイン線端部と接続され、別の部分はリードアウト線端部と接続される。
【0057】
任意の1つの固定子301が2つの接続端部を有してはじめて超電導負荷200と接続されて閉ループとなるため、任意の1つの固定子群300又は任意の1つの固定子301において、その接続端部は偶数個でなければならない。
【0058】
本実施例では、そのうちの固定子群300が幾つかの固定子301を有するため、それらの固定子301のうちの半分の接続端部を1つに統合し、それらの固定子301のもう半分の接続端部を1つに統合することによって閉ループの接続が実現される。
【0059】
同時に、固定子群300が1つの固定子301だけを有し、超電導負荷200が複数の単一負荷201を有する場合にも、本実施例中の接続方式を用いて接続を行うことができる。即ち、すべての単一負荷201のリードイン線端部を統合して1つのリードイン線端部にし、すべての単一負荷201のリードアウト線端部を統合して1つのリードアウト線端部にしたうえで、固定子301の2つの接続端部とそれぞれ接続する。
【0060】
もちろん、固定子群300の固定子301の数が複数であり、超電導負荷200の単一負荷201が複数であり、且つ固定子301の数と単一負荷201の数が異なる場合にも、上述の実施例中の接続形式によって接続を行うことができる。
【0061】
図19図21に示す通り、本実施例をより良く使用するために、上述の超電導負荷200はN個の単一負荷201を有し、ここで、N≧2であり、Nは偶数であり、上述の固定子群300は2つ有しており、各固定子群300はN/2個の固定子301を有し、超電導負荷200において、そのうちのN/2個の単一負荷201はそのうちの1つの固定子群300中の固定子301と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別のN/2個の単一負荷201はもう1つの固定子群300中の固定子301と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなる。
【0062】
本実施例では、Nを10として説明を行う。超電導負荷200中に10個の単一負荷201を有する場合、各固定子群300はいずれも5個の固定子301を有する。これを基にして、各単一負荷201はいずれも各自のリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、各固定子301はいずれも各自の接続端部を有しており、これにより、そのうちの5個の単一負荷201の各自のリードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれそのうちの1つの固定子群300中の5個の固定子301の接続端部と接続され、別の5個の単一負荷201の各自のリードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれもう1つの固定子群300中の5個の固定子301の接続端部と接続される。
【0063】
これにより、Nが2、4……12、14……などのように偶数個であるとき、その接続形式は上述の実施例と一致する。
【0064】
図22図23に示す通り、本実施例をより良く使用するために、上述の超電導負荷200はM個の単一負荷201を有し、ここで、M≧3であり、Mは奇数であり、上述の固定子群300は2つ有しており、そのうちの1つの固定子群300は(M-1)/2個の固定子301を有し、もう1つの固定子群300は(M+1)/2個の固定子301を有し、超電導負荷200において、そのうちの(M-1)/2個の単一負荷201はそのうちの1つの固定子群300中の固定子301と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなり、別の(M+1)/2個の単一負荷201はもう1つの固定子群300中の固定子301と一つ一つ対応し、且つ接続されて閉ループとなる。
【0065】
本実施例では、Mを5として説明を行う。超電導負荷200中に5個の単一負荷201を有する場合、そのうちの1つの固定子群300は2個の固定子301を有し、もう1つの固定子群300は3個の固定子301を有する。これを基にして、各単一負荷201はいずれも各自のリードイン線端部とリードアウト線端部を有し、各固定子301はいずれも各自の接続端部を有しており、これにより、そのうちの2個の単一負荷201の各自のリードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれ2個の固定子301を有する固定子群300中の2個の固定子301と接続され、別の3個の単一負荷201の各自のリードイン線端部とリードアウト線端部がそれぞれ3個の固定子301を有する固定子群300中の3個の固定子301と接続される。
【0066】
これにより、Mが3、5、7、9……などのように奇数個であるとき、その接続形式は上述の実施例と一致する。
【0067】
図27に示す通り、上述した任意の1つの実施例について言えば、固定子群300はワイド型固定子500により代替でき、1つのワイド型固定子500は少なくとも1つの超電導負荷への給電を実現することができる。つまり、ワイド型固定子500を使用する実施例中、超電導負荷は1個、2個、3個又は複数個であり得る。
【0068】
上述は本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明は上述の好適な実施形態に限定されると見なすべきではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲が定めるところに準ずるものとする。当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに幾らかの改良及び修飾を行うことが可能であり、それらの改良及び修飾も本発明の保護範囲に属すると見なすべきである。
【符号の説明】
【0069】
100 磁束ポンプ
101 交流巻線
1011 歯溝
102 直流巻線
103 第1ヨーク
104 第2ヨーク
200 超電導負荷
201 単一負荷
300 固定子群
301 固定子
400 空隙
500 ワイド型固定子
図1
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【国際調査報告】