(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】アクセスシステム、デバイス、及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240319BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562594
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022024666
(87)【国際公開番号】W WO2022221437
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】サティヤナラヤナン、ゴクルランガラジャン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA03
4C267BB02
4C267CC07
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH10
(57)【要約】
患者の体への内部アクセスのためのアクセスシステム、デバイス、および方法が開示される。例えば、急性透析カテーテルを配置するためのアクセスデバイスは、フレームと、ハウジングと、ガイドワイヤクランプ対と、フレーム上に配置された針と、フレームに結合された拡張器と、アクセスデバイスの準備完了状態にあるアクセスガイドワイヤとを含む。ガイドワイヤクランプ対は、アクセスガイドワイヤをクランプするために、フレームの端部とハウジングの遠位端との間のフレーム上に配置され得る。針の針ハブは、ガイドワイヤクランプ対間のフレーム上に配置され得る。拡張器は、フレームの端部から遠位方向に延び得る。針の針シャフトは、針が急性透析カテーテルのための挿入部位を確立できるように拡張器の遠位端を越えて遠位方向に延び得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体への内部アクセスのためのアクセスデバイスであって、
遠位端部を含む長尺状のフレームと、
前記フレーム上に配置された長尺状のハウジングと、
前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記フレームの前記端部と前記ハウジングの遠位端との間の前記フレーム上に配置されたガイドワイヤクランプ対であって、前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、前記アクセスデバイス内に配置されたアクセスガイドワイヤをクランプするように構成された、ガイドワイヤクランプ対と、
針ハブに結合された針シャフトを含む針であって、前記針ハブは、前記ガイドワイヤクランプ対間の前記フレーム上に配置されている、針と、
拡張器であって、前記アクセスデバイスの前記展開準備完了状態において、該拡張器が結合されるフレームの前記端部から延び、前記針シャフトは、前記針が前記患者の体への前記内部アクセスのための挿入部位を確立できるように、前記アクセスデバイスの前記展開準備完了状態において、前記拡張器の遠位端を越えて遠位方向に延びている、拡張器と
を備えるアクセスデバイス。
【請求項2】
前記フレームは、前記端部から近位方向に延びる複数のレールを含み、前記ハウジングは、前記複数のレールの第1のレール対を摺動可能に受け入れるように構成されたハウジングチャネル対を含み、前記針ハブは、前記複数のレールの第2のレール対を摺動可能に受け入れるように構成された少なくとも一対の針ハブ周辺部貫通孔を含む、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項3】
前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプは、前記第2のレール対を摺動可能に受け入れるように構成されたガイドワイヤクランプ周辺部貫通孔の対を含む、請求項2に記載のアクセスデバイス。
【請求項4】
前記針ハブ及び前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプは、前記第1のレール対を迂回するように構成された切欠の対を含む、請求項2又は3に記載のアクセスデバイス。
【請求項5】
前記第1のレール対と前記第2のレール対は、互いに直交する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のアクセスデバイス。
【請求項6】
前記第1のレール対が前記第2のレール対よりも長いことで、前記アクセスデバイスから少なくとも前記針を除去するために、前記ハウジングを前記第2のレール対の近位端を越えて摺動させることが可能になる、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のアクセスデバイス。
【請求項7】
前記ハウジングは、カテーテルチューブを受け入れるように構成され、前記ハウジングは、前記拡張器による前記挿入部位の拡張後の、前記アクセスデバイスによって前記患者の体内に前記カテーテルチューブを配置するための処置中に、前記カテーテルチューブの無菌性を維持するように構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアクセスデバイス。
【請求項8】
前記ハウジングが透明であることにより、前記ハウジングを前記フレーム上で遠位方向に前進させると同時に、前記カテーテルチューブを前記アクセスガイドワイヤの近位端上に通す間に、前記カテーテルチューブを視認することが可能になる、請求項7に記載のアクセスデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記ハウジングの側壁に配置された側壁ガイドワイヤクランプを含み、前記側壁ガイドワイヤクランプは、i)前記針によって前記挿入部位を確立する間、前記アクセスガイドワイヤを前記針シャフト内の定位置にクランプして保持するように構成され、ii)開いて、挿入部位を通して前記患者の体内に前記アクセスガイドワイヤを遠位方向に前進させることを可能にするように構成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアクセスデバイス。
【請求項10】
前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、拘束されているが可動のスライドを含み、前記可動のスライドは、前記アクセスガイドワイヤが前記ガイドワイヤクランプの中央貫通孔に通されると、前記ガイドワイヤクランプの溝に摺動して、前記アクセスガイドワイヤをクランプするように構成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアクセスデバイス。
【請求項11】
前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、前記中央貫通孔の前記可動のスライドと反対側にある前記ガイドワイヤクランプの前記溝に配置された静止スライドを含み、前記静止スライドは、前記アクセスガイドワイヤをクランプするときに前記可動のスライドに対向するように構成されている、請求項10に記載のアクセスデバイス。
【請求項12】
前記ガイドワイヤクランプ対は、近位側ガイドワイヤクランプ及び遠位側ガイドワイヤクランプを含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアクセスデバイス。
【請求項13】
前記遠位側ガイドワイヤクランプは、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記遠位側ガイドワイヤクランプが結合された前記フレームの前記端部から近位方向に延びる、請求項12に記載のアクセスデバイス。
【請求項14】
前記フレーム、前記ハウジング、前記拡張器、及び前記遠位側ガイドワイヤクランプは、前記アクセスガイドワイヤが挿入部位を通して前記患者の体内に配置されたときに、少なくとも前記アクセスガイドワイヤの周囲から除去するために、それらの長さに沿って分割するように構成されている、請求項12又は13に記載のアクセスデバイス。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のアクセスデバイスは、複数の留め具をさらに備え、前記複数の留め具は、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記アクセスデバイスの構成要素を共に留めるとともに、前記構成要素を定位置に維持するように構成され、前記構成要素は、少なくとも前記ハウジング、前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプ、前記針ハブ、及び前記拡張器を含む、アクセスデバイス。
【請求項16】
前記複数の留め具の各留め具は、ヒンジによってヒンジ側留め具レールに取り外し不能に結合されるとともに、前記アクセスデバイスの前記展開準備完了状態において、留め側留め具レールに取り外し可能に留められる、請求項15に記載のアクセスデバイス。
【請求項17】
前記複数の留め具のうちの少なくとも1つの留め具は、前記アクセスデバイスの前記展開準備完了状態にある前記ハウジングと、前記挿入部位から前記針を近位方向に抜去する間に前記アクセスガイドワイヤをクランプするために、前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプとを留めるために二つの役割を果たすように構成されている、請求項15又は16に記載のアクセスデバイス。
【請求項18】
患者の体への内部アクセスのためのアクセスシステムであって、
カテーテルと、
アクセスデバイスであって、
遠位端部を含む長尺状のフレームと、
長尺状のハウジングであって、前記フレーム上に配置されており、前記カテーテルのカテーテルチューブは、前記アクセスシステムの展開準備完了状態にある前記ハウジング内に配置されている、長尺状のハウジングと、
前記アクセスシステムの前記展開準備完了状態において、前記フレームの前記端部と前記ハウジングの遠位端との間の前記フレーム上に配置されたガイドワイヤクランプ対であって、前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、前記アクセスデバイス内に配置された前記アクセスガイドワイヤをクランプするように構成された、ガイドワイヤクランプ対と、
針ハブに結合された針シャフトを含む針であって、前記針ハブは、前記ガイドワイヤクランプ対間の前記フレーム上に配置されている、針と、
拡張器であって、前記アクセスシステムの前記展開準備完了状態において前記拡張器が結合されるフレームの前記端部から延びており、前記針シャフトは、前記アクセスシステムの前記展開準備完了状態において、前記針が前記患者の体への前記内部アクセスのための挿入部位を確立できるように、前記拡張器の遠位端を越えて遠位方向に延びている、拡張器と
を備えるアクセスシステム。
【請求項19】
前記カテーテルは急性透析カテーテルであり、前記患者の体への前記内部アクセスは、前記患者の頚静脈、鎖骨下静脈、又は大腿静脈を経由する血管アクセスである、請求項18に記載のアクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
急性透析カテーテルは、血液透析、血液潅流、又はアフェレーシス療法のために頚静脈、鎖骨下静脈、又は大腿静脈を経由して短期的な血管内アクセスを得るために示される。このような急性透析カテーテルは、手動で患者内に配置される。例えば、急性透析カテーテルは、少なくとも、以下の工程、すなわち、1)患者の静脈に針を挿入し、それによって挿入部位を形成する工程、2)針によって静脈内にアクセスガイドワイヤを前進させる工程、3)針を除去する工程、4)アクセスガイドワイヤ上の拡張器によって挿入部位を拡張する工程、5)アクセスガイドワイヤ上に急性透析カテーテルを挿入する工程、及び5)アクセスガイドワイヤを除去する工程を含む手順に従って、患者内に配置され得る。
【0002】
上記に従った急性透析カテーテルの配置に関する課題としては、1)挿入部位を形成する際の針ハブの割れ又は他の破損、2)相当数の工程及びそれらの工程間のアイドル時間による処置時間の長期化、及び3)急性透析カテーテルを配置するための処置中に無菌性を維持しなければならない相当数の異なる構成要素、が挙げられる。上記に鑑み、少なくとも急性透析カテーテルの配置に関する前述の課題に対処するためのアクセスシステム、デバイス、及びその方法が必要とされている。
【0003】
本明細書に開示されるのは、少なくとも急性透析カテーテルを配置するためのアクセスシステム、デバイス、及び方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示されるのは、患者の体への内部アクセスのためのアクセスデバイスである。アクセスデバイスは、いくつかの実施形態では、長尺状のフレームと、長尺状のハウジングと、ガイドワイヤクランプ対と、フレーム上に配置された針と、フレームに結合された拡張器とを含む。前記フレームは遠位端部を含む。前記ガイドワイヤクランプ対は、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記フレームの端部と前記ハウジングの遠位端との間の前記フレーム上に配置されている。前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、前記アクセスデバイス内に配置された前記アクセスガイドワイヤをクランプするように構成されている。前記針は、針ハブに結合された針シャフトを含む。前記針ハブは、前記ガイドワイヤクランプ対間の前記フレーム上に配置されている。前記拡張器は、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記フレームの前記端部から遠位方向に延びている。前記針シャフトは、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記針が前記患者の体への前記内部アクセスのための挿入部位を確立できるように、前記拡張器の遠位端を越えて遠位方向に延びている。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記フレームは、該フレームの前記端部から近位方向に延びる複数のレールを含む。前記ハウジングは、前記複数のレールの第1のレール対を摺動可能に受け入れるように構成されたハウジングチャネル対を含む。前記針ハブは、前記複数のレールの第2のレール対を摺動可能に受け入れるように構成された少なくとも一対の針ハブ周辺部貫通孔を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプは、ガイドワイヤクランプ周辺部貫通孔の対を含む。前記ガイドワイヤクランプ周辺部貫通孔の対は、前記第2のレール対を摺動可能に受け入れるように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記針ハブ及び前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプは、切欠の対を含む。前記切欠の対は、前記第1のレール対を迂回するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記第1のレール対と前記第2のレール対は、互いに直交する。
いくつかの実施形態では、前記第1のレール対は、前記第2のレール対よりも長い。前記第1のレール対が前記第2のレール対よりも長いことで、前記アクセスデバイスから少なくとも前記針を除去するために、前記ハウジングを前記第2のレール対の近位端を越えて摺動させることが可能になる。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記ハウジングは、カテーテルチューブを受け入れるように構成されている。前記ハウジングは、前記拡張器による前記挿入部位の拡張後の、前記アクセスデバイスによって前記患者の体内に前記カテーテルチューブを配置するための処置中に、前記カテーテルチューブの無菌性を維持するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記ハウジングは透明である。前記ハウジングが透明であることにより、前記ハウジングを前記フレーム上で遠位方向に前進させると同時に、前記カテーテルチューブを前記アクセスガイドワイヤの近位端上に通す間に、前記カテーテルチューブを視認することが可能になる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記ハウジングは、該ハウジングの側壁に配置された側壁ガイドワイヤクランプを含む。前記側壁ガイドワイヤクランプは、前記針によって前記挿入部位を確立する間、前記アクセスガイドワイヤを前記針シャフト内の定位置にクランプして保持するように構成されている。また、前記側壁ガイドワイヤクランプは、開いて、挿入部位を通して前記患者の体内に前記アクセスガイドワイヤを遠位方向に前進させることを可能にするように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、拘束されているが可動のスライドを含む。前記可動のスライドは、前記アクセスガイドワイヤが前記ガイドワイヤクランプの中央貫通孔に通されると、前記ガイドワイヤクランプの溝に摺動して、前記アクセスガイドワイヤをクランプするように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、前記中央貫通孔の前記可動のスライドと反対側にある前記ガイドワイヤクランプの前記溝に配置された静止スライドを含む。前記静止スライドは、前記アクセスガイドワイヤをクランプするときに前記可動のスライドに対向するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記ガイドワイヤクランプ対は、近位側ガイドワイヤクランプ及び遠位側ガイドワイヤクランプを含む。
いくつかの実施形態では、前記遠位側ガイドワイヤクランプは、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記遠位側ガイドワイヤクランプが結合された前記フレームの前記端部から近位方向に延びる。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記フレーム、前記ハウジング、前記拡張器、及び前記遠位側ガイドワイヤクランプは、前記アクセスガイドワイヤが挿入部位を通して前記患者の体内に配置されたときに、少なくとも前記アクセスガイドワイヤの周囲から除去するために、それらの長さに沿って分割するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記アクセスデバイスは、複数の留め具を更に含む。前記複数の留め具は、前記アクセスデバイスの展開準備完了状態において、前記アクセスデバイスの構成要素を共に留め、前記構成要素を定位置に維持するように構成されている。前記構成要素は、少なくとも前記ハウジング、前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプ、前記針ハブ、及び前記拡張器を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記複数の留め具の各留め具は、ヒンジによってヒンジ側留め具レールに取り外し不能に結合されている。前記複数の留め具の各留め具は、前記アクセスデバイスの前記展開準備完了状態において、留め側留め具レールに取り外し可能に留められている。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記複数の留め具の少なくとも1つの留め具は、前記ハウジング及び前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプを留めるために二つの役割を果たすように構成されている。前記少なくとも1つの留め具は、前記アクセスデバイスの前記展開準備完了状態において、前記ハウジングを留めるように構成されている。また、前記少なくとも1つの留め具は、前記挿入部位から前記針を近位方向に抜去する間に前記アクセスガイドワイヤをクランプするために、前記ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプを留めるように構成されている。
【0019】
また、本明細書に開示されるのは、患者の体への内部アクセスのためのアクセスシステムである。前記アクセスシステムは、いくつかの実施形態では、カテーテル及びアクセスデバイスを含む。前記アクセスデバイスは、長尺状のフレームと、長尺状のハウジングと、ガイドワイヤクランプ対と、前記フレーム上に配置された針と、前記フレームに結合された拡張器とを含む。前記フレームは遠位端部を含む。前記ハウジングは、前記フレーム上に配置されており、前記カテーテルのカテーテルチューブは、前記アクセスシステムの展開準備完了状態にある前記ハウジング内に配置されている。前記ガイドワイヤクランプ対は、前記アクセスシステムの展開準備完了状態において、前記フレームの前記端部と前記ハウジングの遠位端との間の前記フレーム上に配置されている。前記ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、前記アクセスデバイス内に配置された前記アクセスガイドワイヤをクランプするように構成されている。前記針は、針ハブに結合された針シャフトを含む。前記針ハブは、前記ガイドワイヤクランプ対間の前記フレーム上に配置されている。前記拡張器は、前記アクセスシステムの展開準備完了状態において、前記フレームの前記端部から遠位方向に延びている。前記針シャフトは、前記アクセスシステムの展開準備完了状態において、前記針が前記患者の体への前記内部アクセスのための挿入部位を確立できるように、前記拡張器の遠位端を越えて遠位方向に延びている。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルは急性透析カテーテルである。前記患者の体への前記内部アクセスは、前記患者の頚静脈、鎖骨下静脈、又は大腿静脈を経由する血管アクセスである。
【0021】
また、本明細書に開示されるのは、患者の体に内部アクセスするためのアクセスデバイスの方法である。本方法は、いくつかの実施形態では、挿入部位確立工程、アクセスガイドワイヤ前進工程、針抜去工程、拡張工程、構成要素除去工程、及びカテーテル挿入工程を含む。前記挿入部位確立工程は、前記アクセスデバイスの針によって挿入部位を確立することを含む。前記針は、針ハブに結合された針シャフトを含む。前記針ハブは、ガイドワイヤクランプ対の間のアクセスデバイスのフレーム上に配置されている。前記アクセスガイドワイヤ前進工程は、前記針を通して前記患者の体内へと前記アクセスガイドワイヤを遠位方向に前進させることを含む。前記アクセスガイドワイヤ前進工程は、前記アクセスデバイスのハウジングの側壁に配置された、開いた側壁ガイドワイヤクランプを通して前記アクセスガイドワイヤを送ることによって実施される。前記針抜去工程は、前記患者及び前記アクセスデバイスの両方から前記針を近位方向に抜去することを含む。前記アクセスデバイスからの前記針の抜去に関しては、前記針抜去工程は、前記フレームの複数のレールの第2のレール対の近位端を越えて前記針ハブを抜去することを含む。前記拡張工程は、前記アクセスガイドワイヤ上の拡張器によって前記挿入部位を拡張することを含む。前記拡張器は、該拡張器が結合された前記フレームの端部から遠位方向に延びる。前記構成要素除去工程は、前記アクセスデバイスの任意の残りの構成要素を前記アクセスガイドワイヤの周囲から除去することを含む。前記構成要素除去工程は、前記アクセスデバイスの残りの構成要素の上部と下部とを分離し、それらを前記アクセスガイドワイヤから抜去することによって実施される。前記カテーテル挿入工程は、カテーテルのカテーテルチューブを前記アクセスガイドワイヤ上で前記患者に挿入することを含む。
【0022】
本明細書に提供される概念のこれら及び他の特徴は、このような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明に鑑みれば、当業者にはより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】いくつかの実施形態による、その展開準備完了状態における、カテーテル及びアクセスデバイスを含むアクセスシステムを示す。
【
図2】いくつかの実施形態によるアクセスデバイスの分解図を示す。
【
図3】いくつかの実施形態による、アクセスデバイスのハウジングの側壁に配置された側壁ガイドワイヤクランプを示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、フレームの留め具レールの対に結合された複数の留め具を示す。
【
図5】いくつかの実施形態による、留め具レールの対の留め側留め具レールから解除された複数の留め具の留め具を示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、留め側留め具レールに留められた複数の留め具のうちの1つの留め具の断面図を示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、ハウジング上にあるが、留め側留め具レールから解除された複数の留め具の第1及び第2の留め具を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、フレームの上部レール及び下部レールから外れた状態で近位方向に抜去されているが、スターボード側レール及びポート側レール上に配置されたままのハウジングを示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、針の針ハブを示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、近位側ガイドワイヤクランプを示す。
【
図11】いくつかの実施形態による、近位側ガイドワイヤクランプ上にあるが、留め側留め具レールから解除された複数の留め具の第3の留め具を示す。
【
図12】いくつかの実施形態による、第1の留め具まで近位方向に抜去された近位側ガイドワイヤクランプを示す。
【
図13】いくつかの実施形態による、近位側ガイドワイヤクランプ上で留められた第1の留め具及び近位側ガイドワイヤクランプによってクランプされたアクセスガイドワイヤを示す。
【
図14】いくつかの実施形態による、針ハブ上にあるが、留め側留め具レールから解除された複数の留め具の第4の留め具を示す。
【
図15】いくつかの実施形態による、近位側ガイドワイヤクランプまで近位方向に抜去された針ハブを示す。
【
図16】いくつかの実施形態による、近位側ガイドワイヤクランプ上にあるが、留め側留め具レールから解除された第1の留め具を示す。
【
図17】いくつかの実施形態による、アクセスデバイスからの近位側ガイドワイヤクランプの除去を示す。
【
図18】いくつかの実施形態による、アクセスデバイスからの針の除去を示す。
【
図19】いくつかの実施形態による、アクセスデバイスの展開準備完了状態における、フレームの端部に隣接する遠位側ガイドワイヤクランプを示す。
【
図20】いくつかの実施形態による、フレームの上部レール及び下部レールの近位部まで近位方向に抜去された遠位側ガイドワイヤクランプ及び遠位側ガイドワイヤクランプによってクランプされたアクセスガイドワイヤを示す。
【
図21】いくつかの実施形態による、フレームの上部レール及び下部レールの近位部にある遠位側ガイドワイヤクランプまで遠位方向に前進させたハウジング及びアクセスガイドワイヤの近位端上に通されたカテーテルを示す。
【
図22】いくつかの実施形態による、フレームの端部まで遠位方向に前進させた遠位側ガイドワイヤクランプ及びアクセスガイドワイヤ上で更に通されたカテーテルを示す。
【
図23】いくつかの実施形態による、フレームの端部にある遠位側ガイドワイヤクランプまで前進させたハウジング及びアクセスガイドワイヤ上で完全に通されたカテーテルを示す。
【
図24】いくつかの実施形態による、拡張器上にあるが、留め側留め具レールから解除された複数の留め具の第5の留め具を示す。
【
図25】いくつかの実施形態による、患者の体の挿入部位の拡張のためにアクセスガイドワイヤ上で遠位方向に前進させた拡張器を示す。
【
図26】いくつかの実施形態による、拡張後にアクセスガイドワイヤ及びカテーテルの周囲からアクセスデバイスを除去するために、長さに沿って分割されたハウジング、フレーム、遠位側ガイドワイヤクランプ、及び拡張器を示す。
【
図27】いくつかの実施形態による、アクセスガイドワイヤ及びカテーテルの周囲からアクセスデバイスを除去した後のアクセスガイドワイヤ上のカテーテルを示す。
【
図28】いくつかの実施形態による、挿入部位に挿入されたカテーテルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0025】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、特に断りのない限り、順次、1つまたは複数の特徴もしくはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0026】
「近位」に関しては、例えばカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、本明細書に開示されたカテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0027】
「遠位」に関しては、例えば、カテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0028】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
上述したように、急性透析カテーテルの配置に関する課題としては、1)挿入部位を形成する際の針ハブの割れ又は他の破損、2)相当数の工程及びそれらの工程間のアイドル時間による処置時間の長期化、及び3)急性透析カテーテルを配置するための処置中に無菌性を維持しなければならない相当数の異なる構成要素、が挙げられる。上記に鑑み、少なくとも急性透析カテーテルの配置に関する前述の課題に対処するためのアクセスシステム、デバイス、及びその方法が必要とされている。したがって、少なくとも急性透析カテーテルを配置するためのアクセスシステム、デバイス、及び方法が開示される。
【0029】
本明細書に記載するアクセスシステム、デバイス、及び方法は、主として、急性透析カテーテルによる血管内アクセスの確立の観点から記載されているが、本明細書に記載するアクセスシステム、デバイス、及び方法は、これに限定されないことは理解すべきである。実際、本明細書に記載するアクセスシステム、デバイス、及び方法は、他のカテーテル(例えば、末梢挿入式中心静脈カテーテル「PICC」(peripherally inserted central catheter)、中心静脈カテーテル「CVC」(central venous catheter)など)による血管内アクセス、又は更には、他の医療デバイスによるより一般的な内部アクセスの確立に適合させることができる。
【0030】
アクセスシステム
図1は、いくつかの実施形態によるアクセスシステム100を示す。
図示のように、アクセスシステム100は、アクセスシステム100の展開準備完了状態において、カテーテル2700及びアクセスデバイス200を含む。アクセスデバイス200とカテーテル2700とを含むアクセスシステム100は、患者の体に内部アクセスするように構成されている。
【0031】
カテーテル2700は急性透析カテーテルであり、カテーテル2700が構成される対象となる患者の体への内部アクセスは、患者の頚静脈、鎖骨下静脈、又は大腿静脈を経由する血管アクセスである。上述したように、アクセスシステム100は、他のカテーテル又は医療デバイスに適合させることができる。当然ながら、アクセスシステム100が他のカテーテル又は医療デバイスに適合される場合、患者の体への内部アクセスは、他のカテーテル又は医療デバイスに応じて異なる。
【0032】
アクセスデバイス200については、以下の段落で詳述する。
アクセスデバイス
図1は、展開準備完了状態におけるアクセスシステム100及びそのアクセスデバイス200を示し、
図2は、いくつかの実施形態によるアクセスデバイス200の分解図を示す。
図3~
図26は、その様々な動作状態におけるアクセスデバイス200を示す。必要に応じて、
図3~
図26の図は、アクセスデバイス200の様々な動作状態並びにアクセスデバイス200を使用する工程に関する説明に従って、直後及び以下の段落で更に参照される。
【0033】
図示のように、アクセスデバイス200は、長尺状のフレーム202と、長尺状のハウジング204と、ガイドワイヤクランプ対(すなわち、近位側ガイドワイヤクランプ238及び遠位側ガイドワイヤクランプ240)と、針206と、拡張器208と、アクセスガイドワイヤ210とを含む。アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、ハウジング204はフレーム202上に配置され、ガイドワイヤクランプ対はフレーム202上に配置され、針206はフレーム202上に配置され、及び拡張器208はフレーム202に結合されている。更に、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、針206、又はより具体的には、針206の針シャフト252は、針206が患者の体への内部アクセスのための挿入部位を確立できるように、拡張器208の遠位端を越えて遠位方向に延びる。
【0034】
フレーム202は、遠位端部212(例えば、円板部又は環状部)と、フレーム202の端部212から近位方向に延びる複数のレール(例えば、第1のレール対214及び第2のレール対216)とを含む。特に、その端部212を含むフレーム202は、アクセスガイドワイヤ210が挿入部位を通して患者の体内に配置されたときに、少なくともアクセスガイドワイヤ210の周囲から除去するために、その長さに沿って分割するように構成されている。
【0035】
複数のレールは、互いに直交する第1のレール対214と第2のレール対216とを含む。第1のレール対214は、第2のレール対216よりも長い。第1のレール対214が第2のレール対216よりも長いことで、アクセスデバイス200から少なくとも針206及び近位側ガイドワイヤクランプ238を除去するために、ハウジング204を第2のレール対216の近位端を越えて摺動させることが可能になる。実際、以下に述べるように、ハウジング204が第2のレール対216の近位端を越えている間、針206及び近位側ガイドワイヤクランプ238の両方をアクセスデバイス200から除去するために第2のレール対216の近位端を越えて摺動させることが可能になる。
【0036】
第1のレール対214は、ハウジング204が摺動可能に及び任意選択的に拘束可能に配置されるサイドレールを含む。第1のレール対214は、断面が円形、正方形、矩形、六角形などであるロッドの対であり得る。ハウジング204が第1のレール対214上に拘束可能に配置された状態を維持するように構成されている場合、第1のレール対の各レールは、その近位端に停止部215を含み得る。以下で述べるように、停止部215は、ハウジング204がフレーム202の端部212から近位方向に抜去されるときに、ハウジング204の遠位部分が第1のレール対214から係合解除するのを阻止するように構成されている。
【0037】
第2のレール対216は、アクセスデバイス200の展開準備完了状態においてハウジング204が摺動可能に配置される上部レール及び下部レールを含む。第2のレール対216は、平坦な又は円弧状のバーの対であり得る。アクセスデバイス200のある動作状態において、ハウジング204は、アクセスデバイス200から針206及び近位側ガイドワイヤクランプ238の両方を除去するなどのために、第2のレール対216から除去される。この理由から、第2のレール対216には、第1のレール対の各レール214の近位端にある停止部215などの停止部がない。
【0038】
複数のレールは、フレーム202の端部212から近位方向に延びる留め具レールの対を更に含む。留め具レールの対は、第1のレール対214の外側にあるヒンジ側留め具レール218及び留め側留め具レール220を含む。以下で述べる複数の留め具222は、少なくともアクセスデバイス200の展開準備完了状態において、ヒンジによってヒンジ側留め具レール218に取り外し不能に結合されており、留め側留め具レール220に取り外し可能に留められている。
【0039】
図示のように、アクセスデバイス200は、少なくとも留め具222a、留め具222b、留め具222c、留め具222d、及び留め具222eを含む複数の留め具222を更に含み、留め具222a及び留め具222eはそれぞれ、アクセスデバイス200の複数の留め具222の最も近位側の留め具及び最も遠位側の留め具である。複数の留め具222の各留め具は、ヒンジによってヒンジ側留め具レール218に取り外し不能に結合されている。更に、複数の留め具222の各留め具は、少なくともアクセスデバイス200の展開準備完了状態において、留め側留め具レール220に取り外し可能に留められている。実際、
図5及び
図6に示すように、複数の留め具222の各留め具は、留め側留め具レール220の複数の収容部の収容部230内の相補的なインターロック特徴部228と相互係止するように構成されたインターロック特徴部226を含むタブ224を含む。
【0040】
複数の留め具222は、アクセスデバイス200の展開準備完了状態及びアクセスデバイス200の様々な動作状態において、アクセスデバイス200の構成要素を共に留め、構成要素を定位置に維持するように構成されている。そのような構成要素は、少なくともハウジング204、ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプ(例えば、近位側ガイドワイヤクランプ238)、針206又はより具体的には、針206の針ハブ254、及び拡張器208を含み、そのような構成要素の各構成要素は、複数の留め具222の留め具の本体を受け入れるように構成された相補的な溝223を含む。複数の留め具222の少なくとも1つの留め具(例えば、留め具222a)は、ハウジング204、及びガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプ(例えば、近位側ガイドワイヤクランプ238又は遠位側ガイドワイヤクランプ240)を留めるために二つの役割を果たすように構成されている。少なくとも1つの留め具は、アクセスデバイス200の展開準備完了状態においてハウジング204を留めるように構成されている。少なくとも1つの留め具はまた、針206、又はより具体的には、針シャフト252を患者の体の挿入部位から近位方向に抜去する間にアクセスガイドワイヤ210をクランプするために、ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプ(例えば、近位側ガイドワイヤクランプ238)を留めるように構成されている。
【0041】
図13に最も良く示されるように、ハウジングは、複数のレールの第1のレール対214を摺動可能に受け入れるように構成された第1のハウジングチャネル対232と、複数のレールの第2のレール対216を摺動可能に受け入れるように構成された第2のハウジングチャネル対234とを含む。第1のハウジングチャネル対232の各ハウジングチャネルは、ハウジングチャネルの遠位部分に狭窄部233を含み得る。狭窄部233は、停止部215がそこを通過するのを阻止するように構成されており、それにより、ハウジング204がフレーム202の端部212から近位方向に抜去されるときに、ハウジング204の遠位端部が第1のレール対214から係合解除するのを阻止する。第2のハウジングチャネル対234にはそのような狭窄部がないため、少なくとも針206及び近位側ガイドワイヤクランプ238のアクセスデバイス200からの除去は、第2のレール対216の近位端を越えてハウジング204を摺動させることによって可能となる。
【0042】
ハウジング204は、アクセスデバイス200を用いてカテーテルチューブ2702を患者の体内に配置する処置中に、その中にカテーテル2700のカテーテルチューブ2702を受け入れるように構成されている。処置中にカテーテルチューブ2702がハウジング204内に配置されているため、ハウジング204は、処置中にカテーテルチューブ2702の無菌性を維持する。有利には、ハウジング204は透明でもある。ハウジング204が透明であることにより、ハウジング204をフレーム202上で近位方向に前進させると同時に、カテーテルチューブ2702をアクセスガイドワイヤ210の近位端上に通し、その後に挿入部位を通してアクセスガイドワイヤ210上でカテーテルを患者の体内に前進させる間に、カテーテルチューブ2702を視認することが可能になる。特に、ハウジング204は、アクセスガイドワイヤ210が挿入部位を通して患者の体内に配置されたときに、少なくともアクセスガイドワイヤ210の周囲から除去するために、その長さに沿って分割するように構成されている。
【0043】
ハウジング204は、ハウジング204の側壁に配置された側壁ガイドワイヤクランプ236を更に含み、それにより、側壁ガイドワイヤクランプ236が閉じられているときにハウジング204の側壁の一部分を形成する。側壁ガイドワイヤクランプ236は、針206によって患者の体に挿入部位を確立する間、アクセスガイドワイヤ210を針シャフト252内の定位置にクランプして保持するように構成されている。また、側壁ガイドワイヤクランプ236は、開いて、挿入部位を通して患者の体内にアクセスガイドワイヤ210を遠位方向に前進させることを可能にするように構成されている。
【0044】
図示のように、ガイドワイヤクランプ対は、近位側ガイドワイヤクランプ238及び遠位側ガイドワイヤクランプ240を含む。アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、ガイドワイヤクランプ対は、フレーム202の端部212とハウジング204の遠位端との間のフレーム202上に配置されている。実際、遠位側ガイドワイヤクランプ240は、アクセスデバイスの展開準備完了状態において遠位側ガイドワイヤクランプが結合又は少なくとも当接するフレーム202の端部212から近位方向に延び、近位側ガイドワイヤクランプ238は、アクセスデバイス200の展開準備完了状態においてハウジング204の遠位端に当接する。
【0045】
図10に最も良く示されるように、ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプは、周辺部貫通孔の対242を含むが、本明細書中で図示及び説明するアクセスデバイス200の実施形態では、近位側ガイドワイヤクランプ238及び遠位側ガイドワイヤクランプ240の各ガイドワイヤクランプは、それを貫通する周辺部貫通孔の対242を含む。周辺部貫通孔の対242は、その中に第2のレール対216を摺動可能に受け入れるように構成されている。したがって、周辺部貫通孔の対242は、第2のレール対216の上部レール及び下部レールのための上部貫通孔及び下部貫通孔をそれぞれ含む。第2のレール対216は平坦な又は円弧状のバーの対であり得るため、周辺部貫通孔の対242はそれぞれ、平坦な又は円弧状の貫通孔の対であり得る。
【0046】
図10に更に示すように、ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプは、切欠の対244を含むが、本明細書中で図示及び説明するアクセスデバイス200の実施形態では、近位側ガイドワイヤクランプ238のみが切欠の対244を含む。切欠の対244は、近位側ガイドワイヤクランプ238がより短い第2のレール対216の近位端を越えて摺動したときにアクセスデバイス200から取り外し可能であるように、より長い第1のレール対214を迂回するように構成されている。したがって、切欠の対244は、第1のレール対214のサイドレールのためのサイド切欠をそれぞれ含む。切欠の対244は、より長い第1のレール対214を迂回するように構成されているため、切欠の対244は、第1のレール対214のものと一致している必要はなく、上述したように、断面が円形、正方形、矩形、六角形などであるロッドの対とすることができる。
【0047】
ガイドワイヤクランプ対は、アクセスデバイス200の展開準備完了状態及びアクセスデバイス200の様々な動作状態において、アクセスガイドワイヤ210をクランプするように構成されている。ガイドワイヤクランプ対の各ガイドワイヤクランプは、他方から独立してアクセスガイドワイヤ210をクランプするように構成されているため、各ガイドワイヤクランプは、アクセスガイドワイヤ210をクランプするために、中央貫通孔246と、拘束されているが可動のスライド248と、中央貫通孔246を挟んで可動スライド248と対向する静止スライド250とを含む。(
図10を参照)。可動スライド248は、アクセスガイドワイヤ210がガイドワイヤクランプの中央貫通孔246に通された後、近位側ガイドワイヤクランプ238又は遠位側ガイドワイヤクランプ240の溝251に摺動して、アクセスガイドワイヤ210をクランプするように構成されている。同じく、中央貫通孔246を横切る溝251内にある静止スライド250は、アクセスガイドワイヤ210をクランプするときに可動スライド248に対向するように構成されている。
【0048】
特に、少なくとも遠位側ガイドワイヤクランプ240は、アクセスガイドワイヤ210が挿入部位を通して患者の体内に配置されたときに、少なくともアクセスガイドワイヤ210の周囲から除去するために、同様に構成された構成要素(例えば、フレーム202、ハウジング204、及び拡張器208)に従って分割するように構成されている。
【0049】
図示のように、針206は、針ハブ254に結合された針シャフト252を含み、針ハブ254は、少なくともアクセスデバイス200の展開準備完了状態において、ガイドワイヤクランプ対と、遠位側ガイドワイヤクランプ240の中央貫通孔246を通って遠位方向に延びる針シャフト252との間のフレーム202上に配置されている。針シャフト252は、患者を経皮的に穿刺するように構成された針先253で終端する。実際、針シャフト252及びその針先253は、針206が、患者を経皮的に穿刺し、患者の体に挿入部位を確立することができるように、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、拡張器208の遠位端を越えて遠位方向に延びている。
【0050】
図10に最も良く示されるように、針ハブ254は、周辺部貫通孔の対256と、針シャフト252の管腔に沿った中央貫通孔258とを含む。周辺部貫通孔の対256は、その中に第2のレール対216を摺動可能に受け入れるように構成されている。したがって、周辺部貫通孔の対256は、第2のレール対216の上部レール及び下部レールのための上部貫通孔及び下部貫通孔をそれぞれ含む。第2のレール対216は平坦な又は円弧状のバーの対であり得るため、周辺部貫通孔の対256はそれぞれ、平坦な又は円弧状の貫通孔の対であり得る。
【0051】
図10に更に示すように、針ハブ254は、切欠の対260を含む。切欠の対260は、針ハブ254がより短い第2のレール対216の近位端を越えて摺動したときに、針206がアクセスデバイス200から取り外し可能であるように、より長い第1のレール対214を迂回するように構成されている。したがって、切欠の対260は、第1のレール対214のサイドレールのためのサイド切欠をそれぞれ含む。切欠の対260は、より長い第1のレール対214を迂回するように構成されているため、切欠の対260は、第1のレール対214のものと一致している必要はなく、上述したように、断面が円形、正方形、矩形、六角形などであるロッドの対とすることができる。
【0052】
図示のように、拡張器208は、少なくともアクセスデバイス200の展開準備完了状態において、それが結合されたフレーム202の端部212から遠位方向に延びる。拡張器208は、アクセスデバイス200から針206を除去した後に、アクセスガイドワイヤ210上で患者の体の挿入部位の1つ以上の組織を拡張させるための適切なテーパを有して構成されている。特に、少なくとも拡張器208は、アクセスガイドワイヤ210が挿入部位を通して患者の体内に配置されたときに、少なくともアクセスガイドワイヤ210の周囲から除去するために、その長さに沿って分割するように構成されている。
【0053】
方法
方法は、患者の体に内部アクセスするためにアクセスシステム100又はそのアクセスデバイス200を使用する方法を含む。大まかには、そのような方法は、挿入部位確立工程、アクセスガイドワイヤ前進工程、針抜去工程、拡張工程、構成要素除去工程、及びカテーテル挿入工程を含み得、その各工程について、以下に順次、追加の説明とともに述べる。
【0054】
挿入部位確立工程は、アクセスデバイス200の針206によって挿入部位を確立することを含む。上述したように、針206は、ガイドワイヤクランプ対(例えば、近位側ガイドワイヤクランプ238及び遠位側ガイドワイヤクランプ240)の間のアクセスデバイス200のフレーム202上に配置された針ハブ254に結合された針シャフト252を含む。
【0055】
アクセスガイドワイヤ前進工程は、針206を通して患者の体内へとアクセスガイドワイヤ210を遠位方向に前進させることを含む。アクセスガイドワイヤ前進工程は、側壁ガイドワイヤクランプ236が開いているときに、アクセスデバイス200のハウジング204の側壁に配置された側壁ガイドワイヤクランプ236を通してアクセスガイドワイヤ210を送ることによって実施される。
【0056】
針抜去工程は、患者及びアクセスデバイス200の両方から針206を近位方向に抜去することを含む。アクセスデバイス200からの針206の抜去に関しては、針抜去工程は、フレーム202の複数のレールの第2のレール対216の近位端を越えて針ハブ254を抜去することを含む。
【0057】
拡張工程は、アクセスガイドワイヤ210上の拡張器208によって挿入部位を拡張することを含む。拡張器208は、拡張器208が結合されたフレーム202の端部212から近位方向に延びる。
【0058】
構成要素除去工程は、アクセスデバイス200の任意の残りの構成要素をアクセスガイドワイヤ210の周囲から除去することを含む。構成要素除去工程は、アクセスデバイス200の残りの構成要素の上部と下部とを分離し、それらをアクセスガイドワイヤ210から抜去することによって実施される。そのような残る構成要素には、フレーム202、ハウジング204、ガイドワイヤクランプ対の少なくとも1つのガイドワイヤクランプ(例えば、遠位側ガイドワイヤクランプ240)、及び拡張器208が含まれる。
【0059】
カテーテル挿入工程は、カテーテル2700のカテーテルチューブ2702をアクセスガイドワイヤ210上で患者に挿入することを含む。
例
概説したアクセスシステム100又はそのアクセスデバイス200を使用する方法に続いて、患者の体に内部アクセスするためにアクセスシステム100又はアクセスデバイス200を使用するより詳細な段階的実施例を以下に記載し、上記の概説した方法に更なる詳細を追加する。便宜上、段階的実施例の各工程は、その段落で番号付きの工程として以下に記載するが、以下に記載するものと異なる数の工程が存在する可能性があるため、番号付きの工程は、連続的限定を提供するものではないと理解すべきである。実際、工程のいくつかは、ひいては、その後に番号付きの工程に介在する1つ以上の工程を含むことができる。更に、文脈で別段に示されない限り、工程のいくつかは、提示される順序と異なる順序で実施され得る。
【0060】
工程0:
図1に示されるアクセスシステム100の展開準備完了状態において、複数の留め具222の各留め具は留められ、それにより、患者の経皮的穿刺のために針シャフト252が拡張器208の遠位端から延びた状態で、アクセスデバイス200の全ての構成要素を単一の構造ユニットに共に留める。
【0061】
工程1:針206で患者の体を経皮的に穿刺し、患者の体に挿入部位を確立する。
工程2:
図3に示すように、アクセスデバイス200のハウジング204の側壁に配置された側壁ガイドワイヤクランプ236を開き、ハウジング204の側壁に開口部を作成する。
【0062】
工程3:
図3に更に示すように、側壁ガイドワイヤクランプ236を開くことによりハウジング204の側壁に作成された開口部を通して、並びに当初から開口し得る近位側ガイドワイヤクランプ238の中央貫通孔246、針ハブ254の中央貫通孔258、及び針シャフト252の管腔を通してアクセスガイドワイヤ210を送ることによって、アクセスガイドワイヤ210を患者内に前進させる。針シャフト252は、拡張器208の遠位端を越えて延びる前に、遠位側ガイドワイヤクランプ240及び拡張器208の両方を通過する。
【0063】
工程4:
図7及び
図8に示すように、留め具222a及び留め具222bを解除する。留め具222a及び留め具222bを解除することで、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、ハウジング204がその元の位置から移動することが可能になる。
【0064】
工程5:
図8に更に示すように、ハウジング204内に配置されたカテーテルチューブ2702が第2のレール対216の上部レール及び下部レールから外れた状態でハウジング204を近位方向に抜去するが、ハウジング204は、第1のレール対214のサイドレール上に配置されたままにしておく。
【0065】
工程6:
図11及び
図12示されるように、留め具222cを解除する。留め具222cを解除することで、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、アクセスデバイス200の近位側ガイドワイヤクランプ238がその元の位置から移動することが可能になる。
【0066】
工程7:
図12に更に示すように、第2のレール対216に沿って第2のレール対216の近位端の近辺のその近位部分まで近位側ガイドワイヤクランプ238を近位方向に抜去する。具体的には、第2のレール対の近位端の近辺の近位部分は、留め具222aの下にあるべきである。
【0067】
工程8:
図13に示すように、可動スライド248を近位側ガイドワイヤクランプ238の溝251内に更に押し込むことにより、アクセスガイドワイヤ210を近位側ガイドワイヤクランプ238内の定位置にクランプする。特に、図示のように、可動スライド248は、近位側ガイドワイヤクランプ238をクランプして開くために、可動スライド248の上にプッシュプルタブを含み得る。近位側ガイドワイヤクランプ238をクランプすると、可動スライド248と静止スライド250との間の中央貫通孔246は、可動スライド248が静止スライド250に向かって溝251内に更に挿入されるにつれて小さくなり、それによって、アクセスガイドワイヤ210を定位置にクランプする。
【0068】
工程9:
図13に更に示すように、留め具222aを留め、それによって、近位側ガイドワイヤクランプ238を第2のレール対216の近位端の近辺の定位置に維持する。第2のレール対216の近位端の近辺の定位置にあるとき、近位側ガイドワイヤクランプ238は、針ハブ254によってアクセスデバイス200から針206を抜去するために、アクセスガイドワイヤ210をより良好に保持する。
【0069】
工程10:
図14~
図16に示すように、留め具222dを解除する。留め具222dを解除することで、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、アクセスデバイス200の針ハブ254がその元の位置から移動することが可能になる。
【0070】
工程11:
図15に示すように、第2のレール対216の近位端の近辺の、留め具222aによって留められた近位側ガイドワイヤクランプ238まで、第2のレール対216に沿って針ハブ254を近位方向に抜去する。針ハブ254が近位側ガイドワイヤクランプ238の隣の位置にあるとき、針206の針シャフト252は、アクセスデバイス200の遠位端に残る構成要素、例えば遠位側ガイドワイヤクランプ240及び拡張器208から完全ではないにしても大半が抜去されている。
【0071】
工程12:
図16に示すように、留め具222aを解除する。留め具222aを解除することで、続いて、アクセスデバイス200からアクセスデバイス200の近位側ガイドワイヤクランプ238を除去することが可能になる。
【0072】
工程13:近位側ガイドワイヤクランプ238の溝251から可動スライド248を抜去することにより、近位側ガイドワイヤクランプ238を開く。この場合も、図示のように、可動スライド248は、近位側ガイドワイヤクランプ238をクランプして開くために、可動スライド248の上にプッシュプルタブを含み得る。近位側ガイドワイヤクランプ238を開くと、可動スライド248と静止スライド250との間の中央貫通孔246は、可動スライド248が静止スライド250から離れる方に溝251から抜去されるにつれて大きくなり、それによって、近位側ガイドワイヤクランプ238からアクセスガイドワイヤ210を解放する。
【0073】
工程14:
図17及び
図18に示すように、近位側ガイドワイヤクランプ238及び針ハブ254を第2のレール対216の近位端を越えて近位方向に完全に抜去することによって、アクセスデバイス200から近位側ガイドワイヤクランプ238及び針206を取り外す。針ハブ254が第2のレール対216の近位端を越えて抜去されると、針206の針シャフト252は拡張器208から完全に抜去される。針先253が第2のレール対216の近位端を越えて抜去されると、針206は、アクセスガイドワイヤ210上から完全ではないにしても大半が抜去される。
【0074】
工程15:第2のレール対216の近位端は越えず、第2のレール対216の近位端まで第2のレール対216に沿って遠位側ガイドワイヤクランプ240を近位方向に抜去する。
図19は、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、フレーム202の端部212に結合又は少なくとも当接する遠位側ガイドワイヤクランプ240を示し、
図20は、第2のレール対216の近位端まで抜去された遠位側ガイドワイヤクランプ240を示す。
【0075】
工程16:
図20に示すように、可動スライド248を遠位側ガイドワイヤクランプ240の溝251内に更に押し込むことにより、アクセスガイドワイヤ210を遠位側ガイドワイヤクランプ240内の定位置にクランプする。特に、図示のように、可動スライド248は、遠位側ガイドワイヤクランプ240をクランプして開くために、可動スライド248の上にプッシュプルタブを含み得る。近位側ガイドワイヤクランプ238をクランプすると、可動スライド248と静止スライド250との間の中央貫通孔246は、可動スライド248が静止スライド250に向かって溝251内に更に挿入されるにつれて小さくなり、それによって、アクセスガイドワイヤ210を定位置にクランプする。
【0076】
工程17:
図20と
図21との間で示すように、その中にカテーテルチューブ2702が配置されたハウジング204を第1のレール対214に沿って遠位側ガイドワイヤクランプ240まで遠位方向に前進させ、同じ動作で、遠位側ガイドワイヤクランプ240を越えて延びるアクセスガイドワイヤ210の近位端上にカテーテル2700の遠位管腔を通す。
【0077】
工程18:
図21に示すように、遠位側ガイドワイヤクランプ240の溝251から可動スライド248を抜去することにより遠位側ガイドワイヤクランプ240を開く。この場合も、図示のように、可動スライド248は、遠位側ガイドワイヤクランプ240をクランプして開くために、可動スライド248の上にプッシュプルタブを含み得る。遠位側ガイドワイヤクランプ240を開くと、可動スライド248と静止スライド250との間の中央貫通孔246は、可動スライド248が静止スライド250から離れる方に溝251から抜去されるにつれて大きくなり、それによって、遠位側ガイドワイヤクランプ240からアクセスガイドワイヤ210を解放する。
【0078】
工程19:遠位側ガイドワイヤクランプ240及びその中にカテーテルチューブ2702が配置されたハウジング204を別々に又は一緒に、遠位側ガイドワイヤクランプ240から開始して、フレーム202の端部212に当接するまで第2のレール対216に沿って遠位方向に前進させる。
図21~
図22は、遠位側ガイドワイヤクランプ240の前進を示し、
図22~
図23は、その中にカテーテルチューブ2702が配置されたハウジング204の前進を別々に示す。
【0079】
工程20:
図24に示すように、留め具222eを解除する。留め具222eを解除することで、アクセスデバイス200の展開準備完了状態において、アクセスデバイス200の拡張器208がその元の位置から移動することが可能になる。留め具222eを解除すると、アクセスガイドワイヤ210からの後の除去のために拡張器208をその長さに沿って分割することも可能になる。
【0080】
工程21:
図25に示すように、フレーム202の端部212から拡張器208を遠位方向に前進させ、それによって、アクセスデバイス200から拡張器208を分離する。
工程22:挿入部位まで拡張器208でアクセスガイドワイヤ210をたどり、挿入部位を拡張することにより、拡張器208によって患者の挿入部位を拡張し、それによって、拡張された挿入部位を確立する。
【0081】
工程23:拡張された挿入部位から拡張器208を抜去する。
工程24:
図26及び
図27に示すように、拡張器208の上部と下部とを分離し、アクセスガイドワイヤ210から拡張器208の上部及び下部を抜去することにより、アクセスガイドワイヤ210の周囲から拡張器208によって除去する。
【0082】
工程25:
図26と
図27との間で更に示されるように、アクセスデバイスの残部の上部と下部(例えば、フレーム202の上部及び下部、遠位側ガイドワイヤホルダ240の上部及び下部、並びにハウジング204の上部及び下部)を分離し、アクセスガイドワイヤ210からアクセスデバイス200の上部及び下部を抜去することにより、アクセスガイドワイヤ210の周囲からアクセスデバイス200の残部(例えば、フレーム202、遠位側ガイドワイヤホルダ240、及びハウジング204)を除去する。
【0083】
工程26.アクセスガイドワイヤ210上にカテーテルを挿入する。
工程27.患者からアクセスガイドワイヤ210を抜去する。
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合及び/又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合及び/又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
【国際調査報告】