(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】造血幹細胞のウイルスによる標的化
(51)【国際特許分類】
C12N 15/867 20060101AFI20240319BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240319BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240319BHJP
C12N 15/49 20060101ALN20240319BHJP
C12N 15/45 20060101ALN20240319BHJP
C12N 15/47 20060101ALN20240319BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240319BHJP
C12N 5/0789 20100101ALN20240319BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240319BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240319BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N7/01
C12N15/09 110
C12N15/09 100
C12N15/49
C12N15/45
C12N15/47
C12N5/10
C12N5/0789
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562699
(86)(22)【出願日】2022-04-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022025142
(87)【国際公開番号】W WO2022221745
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーンバウム, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ドブソン, コナー
(72)【発明者】
【氏名】ガリオーネ, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ロイバル, コール
(72)【発明者】
【氏名】バーネット, カサンドラ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA97X
4B065AA97Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
(57)【要約】
造血幹細胞(HSC)への遺伝子送達のための、レトロウイルスの組成物およびこれを使用する方法であって、ここで上記レトロウイルスは、その天然の機能を減少させる少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、膜結合ドメインおよび細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含む組成物および方法が、本明細書で開示される。本明細書において、本発明者らは、天然の機能(例えば、向性)を消滅させる変異および第2の膜タンパク質の過剰発現の組み合わせが、その第2のタンパク質が造血幹細胞(HSC)へのウイルス侵入の足がかりとして機能することを可能にすることを明らかに示した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1またはこれより多くの核酸を造血幹細胞(HSC)に送達する方法であって、前記方法は、
(i)前記1またはこれより多くの核酸、その天然の機能を減少させる少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、および前記HSCの表面上のタンパク質に結合する細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含むレトロウイルスを提供する工程;ならびに
(ii)前記レトロウイルスと前記HSCとを接触させる工程
を包含し、それによって、前記1またはこれより多くの核酸を前記HSCに送達する方法。
【請求項2】
前記細胞外標的化ドメインは、幹細胞因子(SCF)、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)、またはトロンボポエチン(TPO)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HSCの表面上のタンパク質は、CD34、CD90、CD133、CD49f、CD201、c-Kit、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、またはトロンボポエチンレセプターである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞外標的化ドメインは、配列番号54~59のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1またはこれより多くの核酸のうちの少なくとも1つは、目的の遺伝子をコードし、必要に応じてここで前記目的の遺伝子は、目的のタンパク質をコードする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記目的のタンパク質は、遺伝子編集タンパク質である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記遺伝子編集タンパク質は、Casエンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼであり、必要に応じてここで前記Casエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1またはこれより多くの核酸のうちの少なくとも1つは、ガイドRNAである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記レトロウイルスは、前記工程(ii)の間に前記細胞に入るかまたは感染する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法
【請求項10】
前記レトロウイルスは、レンチウイルスである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gエンベロープタンパク質、麻疹ウイルスエンベロープタンパク質、ニパウイルスエンベロープタンパク質、またはコーカルウイルスGタンパク質である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記VSV-Gエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、H8、I41、K47、Y209、およびR354からなる群より選択される変異である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号16または配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVSV-Gエンベロープタンパク質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記麻疹ウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、Y481、R533、S548、およびF549からなる群より選択される変異である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む麻疹ウイルスエンベロープタンパク質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ニパウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、E501、W504、Q530、およびE533からなる群より選択される変異である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むニパウイルスエンベロープタンパク質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記コーカルウイルスGタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、K64およびR371からなる群より選択される変異である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むコーカルウイルスGタンパク質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
リンカーは、前記膜結合ドメインと前記細胞外標的化ドメインとの間に配置される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記リンカーは、剛性リンカーであり、必要に応じてPDGFRストークまたはCD8αストークを含む剛性リンカーである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リンカーは、可撓性リンカーであり、必要に応じてGAPGAS(配列番号5)またはGGGGS(配列番号7)を含むアミノ酸配列を含む可撓性リンカーである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記リンカーは、オリゴマー化リンカーであり、必要に応じてIgG4ヒンジまたはテトラマーのコイルドコイルを形成し得るアミノ酸配列を含むオリゴマー化リンカーである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記HSCは、マウスHSCまたはヒトHSCである、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記1またはこれより多くの核酸は、キメラ抗原レセプターをコードする、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
造血幹細胞(HSC)における遺伝子編集の方法であって、前記方法は、
(i)遺伝子編集組成物をコードする1またはこれより多くの核酸、その天然の機能を減少させる少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、および前記HSCの表面上のタンパク質に結合する細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含むレトロウイルスを提供する工程;ならびに
(ii)前記遺伝子編集組成物をコードする1またはこれより多くの核酸が前記HSCに送達されるように、前記レトロウイルスと前記HSCとを接触させる工程、
を包含し、ここで前記遺伝子編集組成物は、前記HSCの染色体DNAのセクションを特異的に標的化して、遺伝子改変を引き起こす方法。
【請求項27】
前記細胞外標的化ドメインは、幹細胞因子(SCF)、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)、またはトロンボポエチン(TPO)である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記HSCの表面上のタンパク質は、CD34、CD90、CD133、CD49f、CD201、c-Kit、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、またはトロンボポエチンレセプターである、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞外標的化ドメインは、配列番号54~59のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記遺伝子編集組成物は、前記1またはこれより多くの核酸のうちの1つを含み、前記1またはこれより多くの核酸は、遺伝子編集タンパク質および/またはガイドRNAをコードする、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記遺伝子編集タンパク質は、Casエンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼであり、必要に応じてここで前記Casエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記レトロウイルスは、前記工程(ii)の間に前記細胞に入るかまたは感染する、請求項26~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記レトロウイルスは、レンチウイルスである、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gエンベロープタンパク質、麻疹ウイルスエンベロープタンパク質、ニパウイルスエンベロープタンパク質、またはコーカルウイルスGタンパク質である、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
VSV-Gエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、H8、I41、K47、Y209、およびR354からなる群より選択される変異である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号16または配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むVSV-Gエンベロープタンパク質を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記麻疹ウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、Y481、R533、S548、およびF549からなる群より選択される変異である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む麻疹ウイルスエンベロープタンパク質を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記ニパウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、E501、W504、Q530、およびE533からなる群より選択される変異である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むニパウイルスエンベロープタンパク質を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記コーカルウイルスGタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、K64およびR371からなる群より選択される変異である、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むコーカルウイルスGタンパク質を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
リンカーは、前記膜結合ドメインと前記細胞外標的化ドメインとの間に配置される、請求項26~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記リンカーは、剛性リンカーであり、必要に応じてPDGFRストークまたはCD8αストークを含む剛性リンカーである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記リンカーは、可撓性リンカーであり、必要に応じてGAPGAS(配列番号5)またはGGGGS(配列番号7)を含むアミノ酸配列を含む可撓性リンカーである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記リンカーは、オリゴマー化リンカーであり、必要に応じてIgG4ヒンジまたはテトラマーのコイルドコイルを形成し得るアミノ酸配列を含むオリゴマー化リンカーである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記HSCは、マウスHSCまたはヒトHSCである、請求項26~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
キメラ抗原レセプターをコードする1またはこれより多くの核酸を前記HSCに送達する工程をさらに包含する、請求項26~46のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2021年4月16日出願の米国仮特許出願第63/176,120号(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
EFS-WEBを介してテキストファイルとして提出された配列表への言及
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体において本明細書に参考として援用される。上記ASCIIコピー(2022年4月11日作成)は、名称がM065670508WO00-SEQ-GICであり、サイズが105,1168バイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
造血幹細胞(HSC)は、血液および適応免疫系の細胞の生成を補助する前駆細胞である。よって、HSCは、免疫および正常な身体機能の維持にとって非常に重要である。HSCは自己再生し、分裂して、数十億もの血球を毎日作り出すことから、HSCの機能障害は、常に問題である。鎌状赤血球貧血または重症複合免疫不全症(SCID)のような遺伝的疾患は、重篤な罹患率および死亡率を引き起こし得る。さらに、HSC-lineage細胞およびそれらの子孫の増殖能力は、B細胞およびT細胞がそれらのゲノムを組み換える能力と合わさって、白血病およびリンパ腫のような血液のがんを生じる。
【0004】
現在、がんまたは遺伝的障害(例えば、HSC機能障害に関するもの)の最終選択肢の処置(last-line treatment)は、骨髄移植である。移植は有効であり得る一方で、いくつかの悪化因子(complicating factor)が存在する。HLAがマッチしたドナーを見つけることは困難である可能性があり、移植前のリンパ球除去前処理レジメン(lymphodepletion preconditioning regimen)は、毒性がありかつ寛容性が不十分である可能性がある。
【0005】
従って、HSCの直接的な遺伝子変更(genetic alteration)は、遺伝的疾患を矯正するかまたは操作された抗腫瘍免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)の自己再生源を作製するかのいずれかのために極めて強力である。しかし、これは、達成するには困難であった。HSCは、稀少かつ不均質である、つまり、効率的にかつ選択的にそれらのゲノムを改変することは、困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本明細書において、本発明者らは、天然の機能(例えば、向性)を消滅させる変異および第2の膜タンパク質の過剰発現の組み合わせが、その第2のタンパク質が造血幹細胞(HSC)へのウイルス侵入の足がかりとして機能することを可能にすることを明らかに示した。これらの発見は、本明細書に記載されるように、新たなかつ革新的な方法論、例えば、特異的抗原および機能をスクリーニングすることが極めて困難である細胞をスクリーニングすること、およびHSC特異的様式においてHSCに核酸を送達することを可能にする。
【0007】
本開示の一部の態様は、1またはこれより多くの核酸を造血幹細胞(HSC)に送達する方法を提供する。一部の実施形態において、1またはこれより多くの核酸をHSCに送達する方法は、(i)上記1またはこれより多くの核酸、その天然の機能を減少させる少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、および上記HSCの表面上のタンパク質に結合する細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含むレトロウイルスを提供する工程;ならびに(ii)上記レトロウイルスと上記HSCとを接触させる工程を包含し、それによって、上記1またはこれより多くの核酸を上記HSCに送達する。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記細胞外標的化ドメインは、幹細胞因子(SCF)、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)、またはトロンボポエチン(TPO)である。いくつかの実施形態において、上記HSCの表面上のタンパク質は、CD34、CD90、CD133、CD49f、CD201、c-Kit、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、またはトロンボポエチンレセプターである。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記1またはこれより多くの核酸のうちの少なくとも1つは、目的の遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、上記目的の遺伝子は、目的のタンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、上記目的のタンパク質は、遺伝子編集タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記遺伝子編集タンパク質は、Casエンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、上記Casエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、上記1またはこれより多くの核酸のうちの少なくとも1つは、ガイドRNAである。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスは、上記工程(ii)の間に上記細胞に入るかまたは感染する。いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態において、上記ウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gエンベロープタンパク質またはコーカルウイルスGタンパク質である。いくつかの実施形態において、上記VSV-Gエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、H8、I41、K47、Y209、およびR354からなる群より選択される変異である。いくつかの実施形態において、上記麻疹ウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、Y481、R533、S548、およびF549からなる群より選択される変異である。いくつかの実施形態において、上記ニパウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、E501、W504、Q530、およびE533からなる群より選択される変異である。いくつかの実施形態において、上記コーカルウイルスGタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、K64およびR371からなる群より選択される変異である。
【0011】
いくつかの実施形態において、リンカーは、上記膜結合ドメインと上記細胞外標的化ドメインとの間に配置される。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、剛性リンカーである。いくつかの実施形態において、剛性リンカーは、PDGFRストークまたはCD8αストークを含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、GAPGAS(配列番号5)またはGGGGS(配列番号7)を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、オリゴマー化リンカーである。いくつかの実施形態において、オリゴマー化リンカーは、IgG4ヒンジまたはテトラマーのコイルドコイルを形成し得るアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記HSCは、マウスHSCまたはヒトHSCである。いくつかの実施形態において、上記1またはこれより多くの核酸は、キメラ抗原レセプターをコードする。
【0013】
本開示のいくつかの態様は、造血幹細胞(HSC)における遺伝子編集の方法を提供する。いくつかの実施形態において、HSCにおける遺伝子編集の方法は、(i)遺伝子編集組成物をコードする1またはこれより多くの核酸、その天然の機能を減少させる少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、および上記HSCの表面上のタンパク質に結合する細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含むレトロウイルスを提供する工程;ならびに(ii)上記遺伝子編集組成物をコードする1またはこれより多くの核酸が上記HSCに送達されるように、上記レトロウイルスと上記HSCとを接触させる工程、を包含し、ここで上記遺伝子編集組成物は、上記HSCの染色体DNAのセクションを特異的に標的化して、遺伝子改変を引き起こす。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記細胞外標的化ドメインは、幹細胞因子(SCF)、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)、またはトロンボポエチン(TPO)である。いくつかの実施形態において、上記HSCの表面上のタンパク質は、CD34、CD90、CD133、CD49f、CD201、c-Kit、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、またはトロンボポエチンレセプターである。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記遺伝子編集組成物は、上記1またはこれより多くの核酸のうちの1つを含み、上記1またはこれより多くの核酸は、遺伝子編集タンパク質および/またはガイドRNAをコードする。いくつかの実施形態において、上記遺伝子編集タンパク質は、Casエンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、上記Casエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスは、上記工程(ii)の間に上記細胞に入るかまたは感染する。いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態において、上記ウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gエンベロープタンパク質またはコーカルウイルスGタンパク質である。いくつかの実施形態において、VSV-Gエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、H8、I41、K47、Y209、およびR354からなる群より選択される変異である。いくつかの実施形態において、上記麻疹ウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、Y481、R533、S548、およびF549からなる群より選択される変異である。いくつかの実施形態において、上記ニパウイルスエンベロープタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、E501、W504、Q530、およびE533からなる群より選択される変異である。いくつかの実施形態において、上記コーカルウイルスGタンパク質のうちの少なくとも1つの変異は、K64およびR371からなる群より選択される変異である。
【0017】
いくつかの実施形態において、リンカーは、上記膜結合ドメインと上記細胞外標的化ドメインとの間に配置される。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、剛性リンカーである。いくつかの実施形態において、上記剛性リンカーは、PDGFRストークまたはCD8αストークを含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施形態において、上記可撓性リンカーは、GAPGAS(配列番号5)またはGGGGS(配列番号7)を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、オリゴマー化リンカーである。いくつかの実施形態において、上記オリゴマー化リンカーは、IgG4ヒンジまたはテトラマーのコイルドコイルを形成し得るアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記HSCは、マウスHSCまたはヒトHSCである。いくつかの実施形態において、上記方法は、キメラ抗原レセプターをコードする1またはこれより多くの核酸を上記HSCに送達する工程をさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、SCFa PStalkおよびIgG4Hinge構築物に関するHEK細胞上でのHAタグの発現を示す。
【0020】
【
図2】
図2は、S4-3a PStalkおよびIgG4Hinge構築物に関するHEK細胞上でのHAタグの発現を示す。
【0021】
【
図3】
図3は、MC9 cKIT発現細胞と混合した後の非濃縮ウイルス(unconcentrated virus)発現を示す。MC9細胞:ウイルスは1:1比。
【0022】
【
図4】
図4は、MC9 cKIT発現細胞と混合した後の非濃縮ウイルス発現を示す。MC9細胞:ウイルスは2:1比。
【0023】
【
図5】
図5は、MC9 cKIT発現細胞と混合した後の非濃縮ウイルス発現を示す。MC9細胞:ウイルスは4:1比。
【0024】
【
図6】
図6は、ポリブレンの存在下または非存在下で、MC9細胞において5μL、2.5μL、1.25μLおよび0.625μL(左から右)でのmSCFa-IgG4Hinge-VSVdのウイルス進入を示す。
【0025】
【
図7】
図7は、ポリブレンの存在下または非存在下で、MC9細胞において5μL、2.5μL、1.25μLおよび0.625μL(左から右)でのmS4-3a-IgG4Hinge-VSVdのウイルス進入を示す。
【0026】
【
図8】
図8は、MC9細胞でのオフターゲットウイルスコントロール、mFLT3L-IgG4Hinge-VSVd、およびVSVdウイルス単独の発現を示す。
【0027】
【
図9】
図9は、VhCm非cKIT発現細胞でのウイルス構築物(5μL、ポリブレンあり)の発現を示す。
【0028】
【
図10】
図10は、初代マウス骨髄細胞でのSCF-WT、SCF-変異体、およびFLT3特異的レンチウイルスの効率および特異性を試験するための実験デザインの模式図を示す。
【0029】
【
図11】
図11は、MC9細胞(マウスマスト細胞株)においてSCFありおよびなしでのSCFウイルス改変体の効率を示す。
【0030】
【
図12A-12B】
図12A~12Bは、ソートしたLSK(Lin-、Sca-1+、cKIT+)、cKIT富化、lineage枯渇、およびWBM(全骨髄)細胞においてGFP+によって測定したSCF-ウイルス改変体の効率を示す。
【0031】
【
図13A-13B】
図13A~13Bは、SCFありおよびなしで、cKIT富化細胞においてGFP+によって測定したSCF-ウイルス改変体の効率を示す。
【0032】
【
図14】
図14は、ソートしたLSK(Lin-、Sca-1+、cKIT+)、lineage枯渇、およびWBM細胞においてGFP+によって測定したSCF-ウイルス改変体の特異性を示す。
【0033】
【
図15A】
図15A~15Cは、HSC-FLT3ソート、cKIT富化、lineage枯渇、およびWBM細胞においてGFP+によって測定したFLT3-ウイルス改変体の効率を示す。
【
図15B-15C】
図15A~15Cは、HSC-FLT3ソート、cKIT富化、lineage枯渇、およびWBM細胞においてGFP+によって測定したFLT3-ウイルス改変体の効率を示す。
【0034】
【
図16A-16B】
図16A~16Bは、FLT3ありおよびなしでのcKIT富化細胞においてGFP+によって測定したFLT3-ウイルス改変体の効率を示す。
【0035】
【
図17】
図17は、HSC-FLT3ソート、lineage枯渇、およびWBM細胞においてGFP+によって測定したFLT3-ウイルス改変体の特異性を示す。
【0036】
【
図18A-18C】
図18A~18Hは、本開示の例示的なマウス構築物を提供する。
【
図18D-18F】
図18A~18Hは、本開示の例示的なマウス構築物を提供する。
【
図18G-18H】
図18A~18Hは、本開示の例示的なマウス構築物を提供する。
【0037】
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
例えば、核酸を(例えば、遺伝子置き換えまたは遺伝子編集のために)送達して、標的特異的様式において細胞を標的化するための新たなかつ革新的な方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、例えば、造血幹細胞(HSC)への核酸送達(例えば、遺伝子をコードする核酸)を可能にするシステムが、本明細書で記載される。いくつかの実施形態において、分子相互作用に関して選択する方法としてウイルス向性を別の目的のために作り替え、野生型ウイルス表面タンパク質の結合機能を目的のタンパク質改変体の結合機能で(例えば、ウイルスを作製するために使用される相当する移入プラスミド上のこれらのタンパク質改変体をコードすることによって)置き換え、それによって、その生じたウイルスがその表面上にタンパク質改変体をディスプレイすることを確実にし、相当する遺伝子配列をパッケージングするレトロウイルスベースのシステムが,本明細書で記載される。よって、上記ウイルスが標的細胞(例えば、上記タンパク質改変体のディスプレイされた細胞外標的化ドメインを結合するレセプターを有する)に入る場合、細胞進入は、上記標的細胞のゲノムへと上記ディスプレイされたタンパク質の遺伝子配列の組み込みを生じる。
【0039】
「VSVdead」親和性除去ウイルス融合因子は、レンチウイルスの表面上にマウス幹細胞因子(mSCF)を含む構築物とともに共発現され得る。mSCFに基づく構築物:mSCFがPDGFRストークおよび膜貫通タンパク質につなぎとめられたモノマーバージョン、ならびにFcヒンジ領域を使用して予めダイマー化されたものが、本明細書で提供される。cKITレセプターに対して内因性の親和性を有する「野生型」mSCFを使用し、より効率的なウイルス進入を示し得るSCFの親和性変異バージョンであるS4-3a(Ho CCら, Cell 2017において以前に記載されるとおり)を同様に使用した。
【0040】
(a)これらのタンパク質が全てHEKウイルスパッケージング細胞株の表面上で発現する、(b)MC9細胞(これは、HSCではないが、cKIT+であるマスト細胞ベースの不死化細胞株である)への選択的ウイルス進入を可能にするSCF、および(c)cKIT-細胞に進入しないことが、本明細書において明らかに示された。これは、他のB細胞およびT細胞標的化アプローチに匹敵する効率で機能する。さらに、FLT3Lを介して標的化する構築物、有効性を示し得る別のリガンドを作製したところ、発現することが示された。これらのウイルスを、(a)マウスHSCにおいてインビトロで試験し、(b)インビボで送達した。
【0041】
本明細書で示される方法は、細胞療法および遺伝子治療において広い適用範囲を可能にし、コストを低減しながら達成され得ることの範囲を劇的に増大させ、広い範囲の疾患に潜在的に影響力があり得る。
【0042】
レトロウイルス
少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、膜結合ドメインおよび細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質、ならびにレポーターをコードする核酸を含むレトロウイルスが、本明細書で記載される。いくつかの実施形態において、レトロウイルスは、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、ならびに膜結合ドメインおよび細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含む。
【0043】
本明細書で開示されるレトロウイルスは、適切な種のレトロウイルスゲノム(天然に存在するかまたは改変されている)に由来する1またはこれより多くのエレメントを含む。レトロウイルスは、7つのファミリーを含む:アルファレトロウイルス(トリ白血病ウイルス)、ベータレトロウイルス(マウス乳腺腫瘍ウイルス)、ガンマレトロウイルス(マウス白血病ウイルス)、デルタレトロウイルス(ウシ白血病ウイルス)、エプシロンレトロウイルス(ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス)、レンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス1)、およびスプマウイルス(ヒトレトロウイルスゲノム)。レトロウイルスの6つのさらなる例は、米国特許第7,901,671号において提供される。
【0044】
いくつかの実施形態において、レトロウイルスは、レンチウイルスである。レンチウイルスは、宿主ゲノムへの組み込むそれらの能力に起因してゆっくりと発生する疾患を代表的には生じるレトロウイルスの属である。改変されたレンチウイルスゲノムは、宿主細胞への核酸の送達のためのウイルスベクターとして有用である。宿主細胞は、レンチウイルスベクターでトランスフェクトされ得、必要に応じてレンチウイルスパッケージングタンパク質(例えば、VSV-G、Rev、およびGag/Pol)を発現して、培養培地中にレンチウイルス粒子を生成するためのさらなるベクターでトランスフェクトされ得る。
【0045】
レトロウイルスおよびレンチウイルス構築物は、当該分野で周知であり、任意の適切なレトロウイルスは、本明細書で記載されるとおりの上記レトロウイルス(または複数のレトロウイルスまたはレトロウイルスのライブラリー)を構築するために使用され得る。レトロウイルス構築物の非限定的な例としては、レンチウイルスベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ベクター、トリ白血病ウイルス(ALV)ベクター、マウス白血病ウイルス(MLV)ベクター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)ベクター、マウス幹細胞ウイルス、およびヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)ベクターが挙げられる。これらのレトロウイルス構築物は、その相当するレトロウイルスに由来するプロウイルス配列を含む。
【0046】
本明細書で記載されるレトロウイルスは、1またこれより多くの適切なレトロウイルス(これは、1本鎖のプラスセンスRNA分子を有するRNAウイルスである)に由来する本明細書で記載されるもののようなウイルスエレメントを含み得る。レトロウイルスは、逆転写酵素およびインテグラーゼ酵素を含む。標的細胞へ入る際に、レトロウイルスは、それらの逆転写酵素を利用して、それらのRNA分子をDNA分子へと転写する。その後、上記インテグラーゼ酵素を使用して、上記DNA分子を宿主細胞ゲノムへと組み込む。宿主細胞ゲノムへと組み込まれる際に、上記レトロウイルスに由来する配列は、プロウイルス(例えば、プロウイルス配列(proviral sequence)またはプロウイルス配列(provirus sequence))といわれる。本明細書で記載されるレトロウイルスベクターはさらに、安全上の懸念に対処するおよび/またはベクター機能(例えば、パッケージング効率および/またはウイルス力価)を改善するために、当該分野で公知であるようにさらなる機能的エレメントを含み得る。さらなる情報は、US20150316511およびWO2015/117027(これらの各々の直接関連する開示は、本明細書で言及される目的および主題のために本明細書に参考として援用される)に見出され得る。レンチウイルスに関するさらなる情報は、例えば、WO2019/056015(その直接関連する開示は、この特定の目的のために本明細書に参考として援用される)において見出され得る。
【0047】
ウイルスエンベロープタンパク質
本明細書で記載されるレトロウイルスは、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質(例えば、非変異ウイルスエンベロープタンパク質の野生型機能)を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスエンベロープタンパク質は、任意のレトロウイルス(例えば、レンチウイルス)の任意のウイルスエンベロープタンパク質である。ウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gエンベロープタンパク質、麻疹ウイルスエンベロープタンパク質、ニパウイルスエンベロープタンパク質、またはコーカルウイルスGタンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、野生型または非変異VSV-Gエンベロープタンパク質は、配列番号12(リーダー配列あり)または配列番号13(リーダー配列なし)のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、野生型または非変異麻疹ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号19(リーダー配列あり)のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、野生型または非変異コーカルウイルスGタンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、ウイルスエンベロープタンパク質の変異によって減少される天然の機能は、ウイルス向性(例えば、細胞に感染する、細胞に結合するなどの能力)である。
【0048】
いくつかの実施形態において、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、変異されたVSV-Gエンベロープタンパク質である。いくつかの実施形態において、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、変異された麻疹ウイルスエンベロープタンパク質である。いくつかの実施形態において、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、変異されたニパウイルスエンベロープタンパク質である。いくつかの実施形態において、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、変異されたコーカルウイルスGタンパク質である。
【0049】
いくつかの実施形態において、変異されたVSV-Gエンベロープタンパク質は、H8、I41、K47、Y209、および/またはR354において変異を含む。その変異されたVSV-Gエンベロープタンパク質におけるアミノ酸置換の位置は、例えば、配列番号13に提供されるリーダー配列なしの野生型VSV-Gエンベロープタンパク質を参照して特定される。いくつかの実施形態において、変異されたVSV-Gエンベロープタンパク質は、H8A、I41L、K47A、K47Q、Y209A、R354A、および/またはR354Q変異を含む。いくつかの実施形態において、変異されたVSV-envタンパク質は、I41L、K47Q、およびR354A変異を含む(例えば、配列番号16に示される変異されたVSV-envタンパク質)。いくつかの実施形態において、変異されたVSV-envタンパク質は、K47QおよびR354A変異を含む(例えば、配列番号17に示される変異されたVSV-envタンパク質)。いくつかの実施形態において、変異されたVSV-Gエンベロープタンパク質は、Nikolicら,「Structural basis for the recognition of LDL-receptor family members by VSV glycoprotein.」 Nature Comm., 2018, 9:1029(その直接関連する開示は、この特定の目的のために本明細書に参考として援用される)に記載されるとおりである。
【0050】
いくつかの実施形態において、変異された麻疹ウイルスエンベロープタンパク質は、Y481、R533、S548、および/またはF549において変異を含む。いくつかの実施形態において、変異された麻疹ウイルスエンベロープタンパク質は、Y481A、R533A、S548L、および/またはF549S変異を含む。いくつかの実施形態において、変異された麻疹ウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号21に示される変異された麻疹ウイルスエンベロープタンパク質を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、変異されたニパウイルスエンベロープタンパク質は、E501、W504、Q530、および/またはE533において変異を含む。いくつかの実施形態において、変異された麻疹ウイルスエンベロープタンパク質は、E501A、W504A、Q530A、および/またはE533A変異を含む。いくつかの実施形態において、変異されたニパウイルスエンベロープタンパク質は、配列番号23に示される変異されたニパウイルスエンベロープタンパク質を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、変異されたコーカルウイルスGタンパク質は、K64および/またはR371において変異を含む。いくつかの実施形態において、変異されたコーカルウイルスGタンパク質は、K64Qおよび/またはR371Aにおいて変異を含む。その変異されたコーカルウイルスGタンパク質におけるアミノ酸置換の位置は、野生型コーカルウイルスGタンパク質(例えば、配列番号24において提供されるとおり)を参照して特定される。いくつかの実施形態において、変異されたコーカルウイルスGタンパク質は、K64QおよびR371A変異を含む(例えば、配列番号26に示される変異されたコーカルウイルスGタンパク質)。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記変異されたエンベロープタンパク質は、任意の他のエンベロープのあるウイルス(バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ワクシニアウイルス、A型肝炎、B型肝炎、またはC型肝炎ウイルス、ワクシニアウイルス、アルファウイルス、デングウイルス、黄熱ウイルス、ジカウイルス、インフルエンザウイルス、ハンタウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、コロナウイルス、およびrhabdoviridaeの他のメンバーが挙げられるが、これらに限定されない)に由来する。
【0054】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはこれより多くの変異を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、野生型ウイルスエンベロープタンパク質と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または97% 同一であるヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、野生型ウイルスエンベロープタンパク質の機能のうちの95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満を保持する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの変異を含むウイルスエンベロープタンパク質は、その天然の機能の全てを欠いている。いくつかの実施形態において、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質を含むレトロウイルスは、野生型ウイルスエンベロープタンパク質を含むレトロウイルスの細胞感染性の95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満を含む。
【0055】
非ウイルス性膜結合タンパク質
本明細書で記載されるレトロウイルスは、非ウイルス性膜結合タンパク質を含む。非ウイルス性膜結合タンパク質は、膜結合ドメインおよび造血幹細胞(HSC)の表面上のタンパク質に結合する細胞外標的化ドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、少なくとも2つの異なるタンパク質に由来する配列を含むキメラタンパク質である。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、1つのタンパク質に由来する配列を含む全長または短縮されたタンパク質である。
【0056】
膜結合ドメインは、そのタンパク質もしくはペプチドが、上記レトロウイルスの膜(例えば、エンベロープ)に完全にもしくは部分的に埋め込まれる、または会合されることを可能にするアミノ酸配列を有するタンパク質またはペプチドである。いくつかの実施形態において、膜結合ドメインは、細胞外環境への上記細胞外標的化ドメインの提示および送達を可能にする。いくつかの実施形態において、膜結合ドメインは、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態において、膜結合ドメインは、細胞内ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、上記膜結合ドメインは、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質またはそのフラグメントを含む。MHCタンパク質は、クラスIまたはクラスII MHCタンパク質であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、膜結合ドメインは、全体のアミノ酸のうちの10~50個、10~100個、25~100個、50~200個、50~150個、100~500個、100~250個、250~500個、または任意の妥当な数を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリー中に存在するレトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てと同じ膜結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリー中に存在する各レトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのいくらかまたは全てと比較して異なる膜結合ドメインを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、造血幹細胞(HSC)の表面上の標的分子またはリガンド(例えば、同族タンパク質)のアミノ酸配列を有し、結合パートナーである任意のタンパク質またはペプチドである。上記レトロウイルスの内部の範囲を超える細胞外環境に存在する場合、細胞外標的化ドメインは、HSCに結合する能力がある。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、HSCまたはHSCの集団の部分セットの細胞表面上に存在する同族タンパク質またはリガンド(例えば、標的HSC上に存在するタンパク質レセプター)に結合するかまたは標的化する。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、単一のHSCまたはHSCの集団の部分セットの細胞表面上に存在する同族タンパク質またはリガンドに結合する。いくつかの実施形態において、レトロウイルスの細胞外標的化ドメインと細胞の同族タンパク質またはリガンド戸の間の結合相互作用は、上記レトロウイルスがHSCに入ることを可能にする。
【0060】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、全アミノ酸のうちの10~50個、10~100個、25~100個、50~200個、50~150個、100~500個、100~250個、250~500個、または任意の妥当な数を含む。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、または少なくとも50個のアミノ酸を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、タンパク質、抗体またはペプチドである。いくつかの実施形態において、抗体は、全長抗体、抗体フラグメント、ナノボディー、または単鎖抗体(scFv)である。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、標的細胞の同族タンパク質に結合する抗体である。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、HSC抗原に結合する抗体である。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、レセプター(例えば、標的細胞の表面上に存在するレセプター)に結合するタンパク質またはペプチドである。
【0062】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、幹細胞因子(SCF)、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)、またはトロンボポエチン(TPO)である。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、配列番号54~59のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、CD34、CD90、CD133、CD49f、CD201、c-Kit、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、およびトロンボポエチンレセプターからなる群より選択される上記HSCの表面上のタンパク質に結合する。
【0064】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、サイトカインレセプター(例えば、インターロイキン-13(IL-13)レセプター)に結合するタンパク質またはペプチドである。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-6、IL-12、IL-13)である。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、ケモカインリガンド(例えば、CXCL9、CXCL10、CXCL11など)である。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、細胞レセプターであり、サイトカインレセプター(例えば、IL-13Rα1。IL-13Rα2、IL-2レセプター、共通γ鎖)、GPCRs(CSCR3、CXCR4などのようなケモカインレセプターを含む)、およびインテグリンが挙げられる。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、MHCタンパク質によってディスプレイされるペプチドである。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、MHCタンパク質またはフラグメントおよびMHCタンパク質によってディスプレイされるペプチドを含む細胞外標的化ドメインを含む膜結合ドメインを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、10-9~10-8M、10-8~10-7M、10-7~10-6M、10-6~10-5M、10-5~10-4M、10-4~10-3M、または10-3~10-2Mの結合親和性で標的細胞または細胞表面分子に結合する。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインは、10-9~10-8M、10-8~10-7M、10-7~10-6M、10-6~10-5M、10-5~10-4M、10-4~10-3M、または10-3~10-2Mの結合親和性で標的細胞の同族タンパク質またはリガンドに結合する。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインと同族タンパク質またはリガンドとの間の結合親和性は、ピコモル濃度またはナノモル濃度(例えば、約10-12~約10-9Mの間)の範囲にある。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインと同族タンパク質またはリガンドとの間の結合親和性は、ナノモル濃度からマイクロモル濃度の範囲(例えば、約10-9~約10-6Mの間)にある。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインと同族タンパク質またはリガンドとの間の結合親和性は、マイクロモル濃度からミリモル濃度(例えば、約10-6~約10-3Mの間)にある。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインと同族タンパク質またはリガンドとの間の結合親和性は、ピコモル濃度からマイクロモル濃度の範囲(例えば、約10-12~約10-6Mの間)にある。いくつかの実施形態において、細胞外標的化ドメインと同族タンパク質またはリガンドとの間の結合親和性は、ナノモル濃度からミリモル濃度の範囲(例えば、約10-9~約10-3Mの間)にある。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語抗体は、一般に、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質をいう。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書においてVHと略される)および/または軽(L)鎖可変領域(本明細書においてVLと略される)を含み得る。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域および/または2つの軽(L)鎖可変領域を含む。抗体は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM(ならびにこれらのサブタイプ)の構造特徴を有し得る。上記VHおよびVL領域は、より保存された「フレームワーク領域」(「FR」)と称される領域とともに点在する超可変性の領域(「相補性決定領域」(「CDR」)と称される)へとさらに細分され得る。各VHおよび/またはVLは、代表的には、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される: FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。上記抗体のVHまたはVL鎖は、免疫グロブリン重鎖または軽鎖を形成するために、それぞれ、重鎖または軽鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、上記抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖のテトラマーであり、ここで免疫グロブリン重鎖および軽鎖は、例えば、ジスルフィド結合によって内部で接続される。IgGでは、上記重鎖定常領域は、3つの免疫グロブリンドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーに存在するレトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てと同じ細胞外標的化ドメインを含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーに存在する各レトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てに対して異なる細胞外標的化ドメインを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、シグナル配列(局在化配列のシグナルペプチドともいわれる)をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記シグナル配列は、上記非ウイルス性膜結合タンパク質のN末端またはC末端にある。シグナル配列は、上記非ウイルス性膜結合タンパク質を上記レトロウイルスの膜(またはエンベロープ)へと位置を変えるように機能する。いくつかの実施形態において、シグナル配列は、5~10個、5~15個、10~20個、15~20個、15~30個、20~30個、または25~30個のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、上記シグナル配列は、Ig Kappaリーダー配列(例えば、METDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号1)を含むマウスIg Kappaリーダー配列)またはB2Mシグナルペプチド配列(例えば、MSRSVALAVLALLSLSGLEA(配列番号2)を含むB2Mシグナルペプチド配列)である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーに存在するレトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てと同じシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーに存在する各レトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てに対して異なるシグナル配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質をコードする核酸は、内部リボソーム進入部位(IRES)をさらに含む。IRESは、タンパク質合成の間に翻訳の開始を可能にするRNA配列である。いくつかの実施形態において、上記IRESは、C末端にまたはその付近に位置する。いくつかの実施形態において、上記IRESは、上記膜結合ドメインおよび上記細胞外標的化ドメインに対してC末端に位置する。いくつかの実施形態において、上記IRESは、ウイルスIRESである。いくつかの実施形態において、上記IRESは、上記レトロウイルスに対して天然であるIRESである。いくつかの実施形態において、上記IRESは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)に由来するである。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーに存在するレトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てと同じIRESを含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーに存在する各レトロウイルスは、上記ライブラリー中の他のレトロウイルスのうちのいくらかまたは全てに対して異なるIRESを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、上記膜結合ドメインと上記細胞外標的化ドメインとの間に配置されたリンカーをさらに含む。リンカーは、アミノ酸リンカーであり、剛性リンカー、可撓性リンカー、またはオリゴマー化リンカーであり得る。剛性リンカーは、可撓性を欠いている(例えば、少なくとも1個のプロリンを含み得る)アミノ酸配列である。いくつかの実施形態において、剛性リンカーは、血小板由来増殖因子レセプター(PDGFR)ストークまたはCD8αストークを含む。いくつかの実施形態において、PDGFRストークは、AVGQDTQEVIVVPHSLPFK(配列番号3)を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、PDGFRストークは、ASAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEAARPAAGGAVHTRGLDFAK(配列番号4)を含むアミノ酸配列を含む。可撓性リンカーは、多くの自由度を有する(例えば、小さな側鎖を有する複数のアミノ酸(例えば、グリシンまたはアラニン)を含み得る)アミノ酸配列である。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、GAPGAS(配列番号5)を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、GAPGSGGGGSGGGGSAS(配列番号6)を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、GGGGS(配列番号7)を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、(GAPGAS)N(配列番号52)または(G4S)N(配列番号53)(ここでNは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であるか、またはこれより大きい)を含むアミノ酸配列を含む。オリゴマー化リンカーは、別の関連するアミノ酸にオリゴマー化し得るアミノ酸である。いくつかの実施形態において、オリゴマー化リンカーは、ダイマー、トリマー、またはテトラマーを形成し得るアミノ酸配列である。いくつかの実施形態において、オリゴマー化リンカーは、IgG4ヒンジドメイン(例えば、ASESKYGPPCPPCPAVGQDTQEVIVVPHSLPFK(配列番号8))を含む。いくつかの実施形態において、オリゴマー化リンカーは、テトラマーのコイルドコイルを形成し得るアミノ酸配列(例えば、ASGGGGSGELAAIKQELAAIKKELAAIKWELAAIKQGAG(配列番号9))を含む。いくつかの実施形態において、オリゴマー化リンカーは、ダイマーのコイルドコイルを形成し得るアミノ酸配列(例えば、ASESKYGPPCPPCP (配列番号10))を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、SCFもしくはその短縮化バージョン、PGDFRストーク、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、S4-3aもしくはその短縮化バージョン、PGDFRストーク、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、FLT3L、PGDFRストーク、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、TPOもしくはその短縮化バージョン、PGDFRストーク、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、SCFもしくはその短縮化バージョン、IgG4ヒンジ、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、S4-3aもしくはその短縮化バージョン、IgG4ヒンジ、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、FLT3L、IgG4ヒンジ、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、TPOもしくはその短縮化バージョン、IgG4ヒンジ、およびPGDFRb膜貫通ドメインを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、非ウイルス性膜結合タンパク質は、配列番号28、29、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50のうちのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0074】
核酸を造血幹細胞(HSC)に送達する方法
核酸をHSCに送達する方法であって、上記方法は、(i)上記核酸、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、および上記細胞の同族リガンドに結合し得る細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含むレトロウイルス(上記に記載されるとおり)を提供する工程;ならびに(ii)上記レトロウイルスが上記細胞に入るかまたは感染するように、上記レトロウイルスと上記細胞とを接触させる工程を包含する方法が、本明細書で記載される。いくつかの実施形態において、上記核酸は、mRNA分子をコードする。いくつかの実施形態において、上記mRNAは、目的の遺伝子である。いくつかの実施形態において、上記核酸は、2本鎖RNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、または任意の他のRNA分子をコードする。いくつかの実施形態において、上記目的の遺伝子は、タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、上記目的の遺伝子は、治療用タンパク質(例えば、被験体における病的な状態を補償するタンパク質)をコードする。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、キメラ抗原レセプターをコードする。キメラ抗原レセプターは、いくつかの実施形態において、抗原結合ドメイン(例えば、scFvのような抗体)を含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む。いくつかの実施形態において、上記細胞外ドメインは、腫瘍抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、上記腫瘍抗原は、以下のうちのいずれか1つである: CD19、BCMA、アルファ葉酸レセプター、5T4、Abインテグリン、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD20、CD22、CD23、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD52、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、ErbB2(HER2)、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EpCAM、FAP、胎児AchR、FLT3、Fra、GD2、GD3、Glypican-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A2+MAGE1、HLA-A3+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、HLA-A2+NY-ESO-1、HLA-A3+NY-ESO-1、HLADR、IL-11Ralpha、IL-13 Ralpha2、Lambda、Lewis-Y、Kappa、メソセリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSMA、ROR1、SSX、Survivin、TAG72、TEMs、VEGFR2、BAFF-R、Claudin18.2、CD86、FcRL5、GPRC5、およびTACI。いくつかの実施形態において、キメラ抗原レセプターの上記細胞外ドメインは、抗原結合ドメイン、ならびにシグナルペプチドおよび/または細胞外スペーサードメイン(例えば、ヒンジドメイン)のうちの少なくとも一方を含む。いくつかの実施形態において、上記シグナルペプチドは、上記キメラ抗原レセプターの抗原特異性を増強する。いくつかの実施形態において、上記細胞外スペーサードメインは、上記キメラ抗原レセプターの上記抗原結合ドメインと上記膜貫通ドメインとの間に位置する。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、CD8a、CD4、CD28またはCD7に由来するヒンジドメインである。いくつかの実施形態において、上記膜貫通ドメインは、上記キメラ抗原レセプターに安定性を提供するために細胞膜にまたがる疎水性アルファヘリックスである。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、CD28、CD2、CD4、CD8a、CD5、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD9、CD16、CD22、CD25、CD27、CD33、CD37、CD40、CD45、CD64、CD79A、CD79B、CD80、CD86、CD95(Fas)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD154(CD40L)、CD200R、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD272(BTLA)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、CD279(PD-1)、CD300、CD357(GITR)、A2aR、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、GAL9、KIR、Lck、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、PTCH2、ROR2、Ryk、Slp76、SIRPα、pTα、TCRα、TCRβ、TIM3、TRIM、LPA5、およびZap70の膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態において、上記キメラ抗原レセプターの細胞質ドメインは、抗原認識の後に、上記細胞内でシグナル伝達を引き起こすタンパク質ドメインである。いくつかの実施形態において、上記細胞質ドメインは、シグナル伝達ドメインを含むITAMを含む。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインを含むITAMは、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD5、CD22、CD79a、CD278(ICOS)、DAP10、DAP12、FcRγ、およびCD66dのうちのいずれか1つの細胞内シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態において、上記細胞質ドメインは、1またはこれより多くの共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、以下のうちのいずれか1つの細胞内シグナル伝達ドメインである: CD27、CD28、CD40L、GITR、NKG2C、CARD1、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD226、CD270(HVEM)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、LFA-1、LIGHT、NKG2C、NKD2C、SLP76、TRIM、およびZAP70。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、遺伝子編集タンパク質をコードする。遺伝子編集タンパク質は、Casエンドヌクレアーゼ、Cpf1エンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼであり得る。
【0077】
Casエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、dead Casエンドヌクレアーゼ(dCas、例えば、dCas9)であり得る。いくつかの実施形態において、Casエンドヌクレアーゼは、Streptococcus pyogenesに由来する。Casエンドヌクレアーゼは、野生型Casエンドヌクレアーゼ、またはCasエンドヌクレアーゼの改変されたもしくは変異バージョンであり得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、ガイドRNAである。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、20~200、20~100、50~200、50~150、または約100ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、単一分子ガイドRNAである。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、標的遺伝子配列に結合するスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオチドの長さである。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、上記レトロウイルスが、工程(ii)の間に上記細胞に入るかまたは感染する場合に、上記細胞に送達される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される核酸を送達する方法は、トランスフェクション薬剤(例えば、Lipofectinのような親油性トランスフェクション薬剤)を必要としない。
【0080】
遺伝子を編集する方法
標的細胞(例えば、造血幹細胞(HSC))において遺伝子編集する方法であって、上記方法は、(i)遺伝子編集組成物をコードする1またはこれより多くの核酸、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、および上記標的細胞の表面面上の単に結合する細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含むレトロウイルスを提供する工程;ならびに(ii)上記遺伝子編集組成物をコードする1またはこれより多くの核酸が上記標的細胞に送達されるように、上記レトロウイルスと上記標的細胞とを接触させる工程を包含し、ここで上記遺伝子編集組成物は、上記標的細胞の染色体DNAのセクションを特異的に標的化して、遺伝子改変を引き起こす方法が、本明細書で記載される。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記遺伝子編集組成物は、1またはこれより多くの核酸を含み、ここで上記1またはこれより多くの核酸は、遺伝子編集タンパク質および/またはガイドRNAをコードする。いくつかの実施形態において、上記遺伝子編集組成物は、1またはこれより多くの核酸を含み、ここで上記1またはこれより多くの核酸は、遺伝子編集タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、上記遺伝子編集組成物は、1またはこれより多くの核酸を含み、ここで上記1またはこれより多くの核酸は、遺伝子編集タンパク質およびガイドRNAをコードする。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記遺伝子は、遺伝子欠損(これは、正常遺伝子が正常レベルより低く発現される欠損または機能的遺伝子生成物が発現されない欠損を含み得る)を矯正または改善するために使用され得る。あるいは、上記遺伝子は、細胞に、その細胞タイプにおいてまたは宿主において天然には発現されない生成物を提供し得る。遺伝子配列のあるタイプは、宿主細胞において発現される治療用タンパク質またはポリペプチドをコードする。本発明はさらに、多数の遺伝子を使用することを含む。ある特定の状況では、異なる遺伝子が、タンパク質の各サブユニットをコードするか、または異なるペプチドもしくはタンパク質をコードするために使用され得る。これは、タンパク質サブユニットをコードするDNAのサイズが大きい場合に望ましい。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、遺伝子編集タンパク質をコードする。遺伝子編集タンパク質は、Casエンドヌクレアーゼ、Cpf1エンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼであり得る。
【0084】
Casエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、dead Casエンドヌクレアーゼ(dCas、例えば、dCas9)であり得る。いくつかの実施形態において、Casエンドヌクレアーゼは、Streptococcus pyogenesに由来する。Casエンドヌクレアーゼは、野生型Casエンドヌクレアーゼ、またはCasエンドヌクレアーゼの改変されたもしくは変異バージョンであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、ガイドRNAである。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、20~200、20~100、50~200、50~150、または約100ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、単一分子ガイドRNAである。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、標的遺伝子配列に結合するスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオチドの長さである。
【0086】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集の方法はさらに、キメラ抗原レセプターをコードする核酸の送達を含む。キメラ抗原レセプターは、いくつかの実施形態において、抗原結合ドメイン(例えば、scFvのような抗体)を含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原レセプターの細胞外ドメインは、抗原結合ドメイン、ならびにシグナルペプチドおよび/またはヒンジドメインのうちの少なくとも一方を含む。いくつかの実施形態において、上記シグナルペプチドは、上記キメラ抗原レセプターの抗原特異性を増強する。いくつかの実施形態において、上記ヒンジドメインは、上記キメラ抗原レセプターの細胞外ドメインと上記膜貫通ドメインとの間に位置する。いくつかの実施形態において、上記膜貫通ドメインは、上記キメラ抗原レセプターに安定性を提供するために細胞膜にまたがる疎水性アルファヘリックスである。いくつかの実施形態において、上記キメラ抗原レセプターの細胞質ドメインは、抗原認識の後に、上記細胞内でシグナル伝達を引き起こすタンパク質ドメインである。
【0087】
核酸
本明細書で使用される場合、用語「核酸」は、一般に、多数の連結されたヌクレオチド(すなわち、交換可能な有機塩基(これは、ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)またはウラシル(U))またはプリン(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))のいずれかである)に連結された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)をいう。核酸は、DNA(例えば、D形態のDNAおよびL形態のDNA)およびRNA、ならびにこれらの種々の改変を含む。改変としては、塩基改変、糖改変、および骨格改変が挙げられる。
【0088】
レトロウイルスにおいて使用される核酸および本発明の方法が、天然において均質であっても不均質であってもよいことは、理解されるべきである。例として、それらは、天然において完全にDNAであってもよいし、それらは、DNAおよび非DNA(例えば、LNA)モノマーまたは配列から構成されてもよい。従って、核酸エレメントの任意の組み合わせが使用され得る。上記改変は、ある特定の条件下で、上記核酸をより安定にするおよび/または分解されにくくする可能性がある。例えば、場合によっては、上記核酸は、ヌクレアーゼ耐性である。核酸を合成するための方法(自動化核酸合成を含む)はまた、当該分野で公知である。
【0089】
上記核酸は、それらの塩基において改変を含み得る。改変された塩基としては、以下が挙げられる: 改変されたシトシン(例えば、5-置換されたシトシン(例えば、5-メチル-シトシン、5-フルオロ-シトシン、5-クロロ-シトシン、5-ブロモ-シトシン、5-ヨード-シトシン、5-ヒドロキシ-シトシン、5-ヒドロキシメチル-シトシン、5-ジフルオロメチル-シトシン、および置換されていないかまたは置換された5-アルキニル-シトシン)、6-置換されたシトシン、N4-置換されたシトシン(例えば、N4-エチル-シトシン)、5-アザ-シトシン、2-メルカプト-シトシン、イソシトシン、プソイド-イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ(例えば、N,N’-プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-ブロモビニル-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-ヒドロキシ-ウラシル、5-プロピニル-ウラシル)、改変されたグアニン(例えば、7 デアザグアニン、7 デアザ 7 置換されたグアニン(例えば、7 デアザ 7 (C2 C6)アルキニルグアニン)、7 デアザ 8 置換されたグアニン、ヒポキサンチン、N2-置換されたグアニン(例えば、N2-メチル-グアニン)、5-アミノ-3-メチル-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン、2,6 ジアミノプリン、2 アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換されたアデニン(例えば、N6-メチル-アデニン、8-オキソ-アデニン)、8 置換されたグアニン(例えば、8 ヒドロキシグアニンおよび8 ブロモグアニン)、ならびに6 チオグアニン。上記核酸は、ユニバーサル塩基(例えば、3-ニトロピロール、P-塩基、4-メチル-インドール、5-ニトロ-インドール、およびK-塩基)および/または芳香族環系(例えば、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾイミダゾールまたはジクロロ-ベンゾイミダゾール、1-メチル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-カルボン酸アミド)を含み得る。本発明のオリゴヌクレオチドへと組み込まれ得る特定の塩基対は、Yangら NAR, 2006, 34(21):6095-6101によって報告されるdZおよびdP非標準的核塩基対である。dZ、ピリミジンアナログは、6-アミノ-5-ニトロ-3-(1’-β-D-2’-デオキシリボフラノシル)-2(1H)-ピリドンであり、そのワトソン-クリック相補的dP、プリンアナログは、2-アミノ-8-(1’-β-D-1’-デオキシリボフラノシル)-イミダゾ[1,2-a]-1,3,5-トリアジン-4(8H)-オンである。
【0090】
アミノ酸置換
いくつかの実施形態において、アミノ酸残基バリエーションは、保存的アミノ酸残基置換である。本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換が行われるタンパク質の相対的電荷またはサイズ特性を変化させないアミノ酸置換をいう。改変体は、当業者に公知のポリペプチド配列を変化させるための方法に従って調製され得、例えば、以下のこのような方法を集めて記録する参考文献の中で見出される: 例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら編, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら編, John Wiley & Sons, Inc., New York。アミノ酸の保存的置換は、以下の群内のアミノ酸の中で行われる置換を含む: (a)M、I、L、V; (b)F、Y、W; (c)K、R、H; (d)A、G; (e)S、T; (f)Q、N;および(g)E、D。
【0091】
2つのアミノ酸配列の「パーセント同一性」は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77, 1993におけるように改変された、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズムを使用して決定される。このようなアルゴリズムは、Altschulら. J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)へと組み込まれる。BLASTタンパク質検索をXBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で行って、目的のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を入手し得る。2つの配列間にギャップが存在する場合、Gapped BLASTが、Altschulら, Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402, 1997に記載されるように利用され得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターが使用され得る。
【0092】
レポーター
いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるレトロウイルスは、レポーター(例えば、レポータータンパク質)を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるレトロウイルスは、レポーター(例えば、レポータータンパク質)をコードする核酸を含む。本明細書で使用される場合、レポーターは、一般に、レトロウイルスおよび/または標的細胞において発現される場合に検出され得るタンパク質または遺伝子である。いくつかの実施形態において、細胞の集団中での標的細胞または標的細胞の部分セットにおけるレポーターの存在または非存在は、細胞をソートする能力を可能にする(例えば、フローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化セルソーティングを使用する)。
【0093】
いくつかの実施形態において、レポーターは,蛍光タンパク質である。蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)であり得る。蛍光タンパク質は、米国特許第7,060,869号(発明の名称「Fluorescent protein sensors for detection of analytes」)に記載されるとおりであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、レポーターは、抗生物質耐性マーカーである。いくつかの実施形態において、抗生物質耐性マーカーは、上記マーカーを含む標的細胞に競争優位性を付与するタンパク質または遺伝子である。いくつかの実施形態において、上記抗生物質耐性マーカーは、ハイグロマイシン耐性タンパク質もしくは遺伝子、カナマイシン耐性タンパク質もしくは遺伝子、アンピシリン耐性タンパク質もしくは遺伝子、ストレプトマイシン耐性タンパク質もしくは遺伝子、またはネオマイシン耐性タンパク質もしくは遺伝子を含む。
【0095】
細胞
本明細書で記載されるとおりの細胞は、任意の細菌、哺乳動物、または酵母細胞であり得る。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒト、マウス、ラット、または非ヒト霊長類細胞である。いくつかの実施形態において、上記細胞は、幹細胞である。いくつかの実施形態において、上記細胞は、造血幹細胞(HSC)である。
【0096】
いくつかの実施形態において、細胞は、体細胞または生殖細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、上皮細胞、神経細胞、ホルモン分泌細胞、免疫細胞、分泌性の細胞、血球、間質細胞、または生殖系列細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、抗原特異的細胞(例えば、特異的抗原に結合する細胞)である。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞は、B細胞またはT細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、標的細胞(例えば、本明細書で記載されるレトロウイルスによって標的化され得る同族タンパク質またはリガンドを含む細胞)である。
【0097】
本明細書で記載されるとおりの細胞の集団は、任意の細菌、哺乳動物、または酵母細胞集団であり得る。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、ヒト、マウス、ラット、または非ヒト霊長類細胞の集団である。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、体細胞集団または生殖細胞集団である。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、上皮細胞、神経細胞、ホルモン分泌細胞、免疫細胞、分泌性の細胞、血球、間質細胞、および/または生殖系列細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、抗原特異的細胞(例えば、特異的抗原に結合する細胞)を含む。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞の集団は、免疫細胞を含む。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞の集団は、B細胞および/またはT細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、均質な細胞集団を含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、不均質な細胞集団を含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、被験体から単離された細胞の集団である。被験体は、ヒト被験体(例えば、疾患に罹患しているヒト被験体)、マウス被験体、ラット被験体、または非ヒト霊長類被験体である。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、被験体の血液または腫瘍から単離される。
【0099】
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、予め凍結および融解されている(例えば、1回、2回、3回、4回、5回、またはより多くの凍結/融解サイクル)。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、液体培養培地中で維持される。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、1回、2回、3回、4回、5回、またはより多くの回数、任意の公知の方法を使用して継代されている。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、あるレトロウイルスまたは複数のレトロウイルスと合わせられる前に、液体培養培地中で維持される。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、あるレトロウイルスまたは複数のレトロウイルスと合わせられた後に、液体培養培地中で維持される。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、あるレトロウイルスまたは複数のレトロウイルスと合わせられるに先立って、液体培養培地中で維持される。
【0100】
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、本明細書で記載されるレトロウイルスのうちのいずれかを含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団の部分セットは、本明細書で記載されるレトロウイルスのうちのいずれかを含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団の部分セットは、上記被験体の各細胞の内部に(例えば、上記被験体の各細胞の核の内部に)上記レトロウイルスを含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団またはその部分セットは、レポーター(例えば、蛍光タンパク質または抗生物質耐性マーカー)を発現する。いくつかの実施形態において、細胞の集団またはその部分セット(例えば、レトロウイルスを含む)は、レポーターの存在または非存在に基づいて単離および/またはソートされる。いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるレトロウイルスを含む細胞の集団の部分セットは、上記レトロウイルスを含まない集団の細胞から、レポーターの存在または非存在に基づいて単離および/またはソートされる。いくつかの実施形態において、細胞をソートする前に、細胞の集団のうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%は、レトロウイルスを含む。いくつかの実施形態において、細胞の集団のうちの少なくとも70%、80%、90%、95%、または100%は、レポーターの存在または非存在に基づいて単離および/またはソートされた後に、レトロウイルスを含む。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語「(組み)合わせる(combining)」(これは、いくつかの実施形態において、用語「提供する」および「接触させる」と同義である)は概して、上記レトロウイルスの細胞外標的化ドメインが上記集団の細胞の部分セット上に存在する同族リガンドに結合し得るように、レトロウイルスを細胞の集団と近接して物理的に接触した状態にするという行為に言及する。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団を合わせることは、レトロウイルスを含む溶液および細胞の集団を含む溶液が混合される場合に起こる。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団を合わせることは、凍結乾燥したレトロウイルスおよび上記細胞の集団を含む溶液が混合される場合に起こる。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団を合わせることは、凍結乾燥したレトロウイルスおよび凍結乾燥した細胞集団が混合され、溶液で再構成される場合に起こる。いくつかの実施形態において、上記集団の細胞は、細胞培養培地中で、細胞の単層において維持される、および/または組織培養プレートもしくはペトリ皿に付着される。
【0102】
一般に、レトロウイルスおよび細胞の集団は、規定の期間にわたって合わせられる(例えば、物理的に合わせられるかまたは接触される)。いくつかの実施形態において、期間は、秒、分、時間または日単位で測定される。いくつかの実施形態において、期間は、0~30秒、15~45秒、30~60秒、45~90秒、60~90秒、または60~120秒である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団は、0~30秒、15~45秒、30~60秒、45~90秒、60~90秒、または60~120秒にわたって合わされ、接触した状態である。いくつかの実施形態において、期間は、1~2分、1~5分、1~10分、2~10分、5~10分、5~20分、10~20分、25~30分、25~60分、30~45分、30~40分、40~60分、50~70分、または60~120分である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団は、1~2分、1~5分、1~10分、2~10分、5~10分、5~20分、10~20分、25~30分、25~60分、30~45分、30~40分、40~60分、50~70分、または60~120分にわたって合わされ、接触した状態である。いくつかの実施形態において、期間は、1~2時間、1~5時間、1~3時間、2~5時間、3~6時間、3~12時間、6~12時間、12~18時間、12~24時間、15~30時間、18~24時間、24~48時間、24~36時間、または36~50時間である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団は、1~2時間、1~5時間、1~3時間、2~5時間、3~6時間、3~12時間、6~12時間、12~18時間、12~24時間、15~30時間、18~24時間、24~48時間、24~36時間、または36~50時間にわたって合わされ、接触した状態である。いくつかの実施形態において、期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、または5~15に地である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスおよび細胞の集団は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日または5~15日にわたって合わされ、接触した状態である。
【0103】
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、上記レポーターの存在または非存在に基づいてソートされる。いくつかの実施形態において、上記レポーターを含む(例えば、上記レポーターを発現する)細胞の集団の部分セットは、上記レポーターを含まない細胞の集団の残りの部分セットからソートされる。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団のソートは、フローサイトメトリー(例えば、蛍光活性化セルソーティング)、次世代ゲノムシーケンシング(例えば、単一細胞次世代シーケンシング)、または抗生物質選択を使用して行われる。
【0104】
いくつかの実施形態において、上記細胞の集団の部分セットとの細胞間相互作用することを可能にする工程(ii)の条件は、上記レトロウイルスおよび上記細胞の集団を、規定の溶液、組成物の存在下で、および特定の温度において合わせることを含む。いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスおよび上記細胞の集団は、細胞培養培地(例えば、RPMIまたはDMEM細胞培養培地)の存在下で合わせられる。いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスおよび上記細胞の集団は、緩衝化塩類溶液の存在下で合わせられる。いくつかの実施形態において、緩衝化塩類溶液は、リン酸緩衝化生理食塩水またはHEPES緩衝化塩類溶液である。いくつかの実施形態において、緩衝化塩類溶液は、ウシ血清アルブミンおよび/またはEDTAを含む。いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスおよび上記細胞の集団は、レトロウイルス形質導入のエンハンサー(例えば、ヘパリン硫酸、ポリブレン、硫酸プロタミン、またはデキストラン)の存在下で合わせられる。いくつかの実施形態において、上記レトロウイルスおよび上記細胞の集団は、4℃~42℃、4℃~8℃、4°C~10℃、8°C~15℃、10℃~20℃、18℃~23℃、20℃~30℃、25℃~35℃、30℃~40℃、または37℃~42℃の範囲に及ぶ温度で(ii)において合わせられる。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるスクリーニング方法はさらに、工程(ii)と(iii)との間に、上記細胞の集団を洗浄溶液で洗浄する工程を包含する。いくつかの実施形態において、洗浄溶液は、健常細胞の維持を可能にする任意の液体溶液(例えば、中性pH、低~中程度のレベルのイオン強度を含む溶液)である。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団を洗浄する工程は、過剰なおよび/または残りのレトロウイルスを上記細胞の集団から除去する。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、細胞培養培地(例えば、RPMIまたはDMEM細胞培養培地)を使用して洗浄される。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、緩衝化塩類溶液を使用して洗浄される。いくつかの実施形態において、緩衝化塩類溶液は、リン酸緩衝化生理食塩水またはHEPES緩衝化塩類溶液である。いくつかの実施形態において、緩衝化塩類溶液は、ウシ血清アルブミンおよび/またはEDTAを含む。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、4℃~42℃、4℃~8℃、4°C~10℃、8°C~15℃、10℃~20℃、18℃~23℃、20℃~30℃、25℃~35℃、30℃~40℃、または37℃~42℃の範囲に及ぶ温度において洗浄される。
【0106】
いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、上記レトロウイルスと合わせられる前に、液体培養において維持される。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、上記レトロウイルスと合わせられた後に、液体培養において維持される。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、上記レトロウイルスと合わせる工程の間に、液体培養において維持される。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、組織培養プレートもしくはペトリ皿に付着される。いくつかの実施形態において、上記細胞の集団は、単層、胚様体、または任意の他の細胞集塊の中で維持される。
【0107】
ある特定の実施形態において、複数のレトロウイルスは、少なくとも102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、または1012の特有のレトロウイルスを含む。いくつかの実施形態において、複数のレトロウイルス中に少なくとも102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、または1012コピーの各特有のレトロウイルスが存在し得る。
【0108】
レトロウイルスのライブラリー
レトロウイルスのライブラリーが本明細書に記載され、ここでライブラリーは、複数の特有のレトロウイルスを含み、各特有のレトロウイルスは、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、膜結合ドメインおよび細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質、ならびにレポーターをコードする核酸を含み、各特有のレトロウイルスは、異なるかつ特有の細胞外標的化ドメインを含む。レトロウイルスを含む細胞のライブラリーがまた、本明細書で記載され、ここでライブラリーは、複数の特有の細胞を含み、各特有の細胞は、特有のレトロウイルスを含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、ライブラリーは、少なくとも102、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、少なくとも109、または少なくとも1010の特有のレトロウイルスを含む。いくつかの実施形態において、特有のレトロウイルスを含むライブラリーは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも50のアミノ酸の長さである細胞外標的化ドメインを含む。いくつかの実施形態において、各異なるかつ特有の細胞外標的化ドメインは、部位指向性変異誘発を通じて生成される。
【0110】
レトロウイルスまたは細胞のライブラリーは、数百から数十万、数百万、またはより多くの特有のレトロウイルスまたは特有の細胞までサイズが変動し得る。いくつかの実施形態において、本開示のライブラリーは、少なくとも500,000の特有のレトロウイルスまたは特有の細胞を含む。本発明のライブラリーは、レトロウイルスライブラリーおよび細胞ライブラリーを含む。ライブラリーは、共通するエレメントおよび少なくとも1つの別個のエレメントを有するメンバーの合成の(すなわち、単離され、合成して生成され、天然では細胞の中に一緒に見出される構成要素がなく、ライブラリーにされる前に精製される)集まりである。上記ライブラリーは、1000またはこれより多くの(例えば、少なくとも: 1,000; 2,000; 3,000; 4,000; 5,000; 10,000; 50,000; 100,000; 500,000; 600,000; 700,000; 800,000; 900,000; 1,000,000; 2,000,000; 3,000,000; 4,000,000;またはこれより多くの)メンバーを含む。上記ライブラリーサイズの上限は、メンバーの中で別個であることまたは多様性を提供するドメインまたはモジュールの組み合わせ理論によって規定される。例えば、上限は、4,000,000メンバーであり得る。従って、いくつかの実施形態において、上記ライブラリーは、非常に多様であり、少なくとも500,000の別個のメンバーを含む。その非常に多様なライブラリーは、106またはこれより大きい多様性を有し得る。いくつかの実施形態において、レトロウイルスのライブラリーは、本明細書で記載される核酸の部位指向性変異誘発を使用して生成される。いくつかの実施形態において、その部位指向性変異誘発は、本明細書で記載されるとおりの共通する核酸のランダム変異誘発を可能にするために。プライマーおよび低忠実度RNAポリメラーゼの使用を含む。
【0111】
検出方法
レトロウイルスと細胞との間の相互作用を検出する方法であって、上記方法は、(i)上記レトロウイルスおよび細胞を含むサンプルと、抗体とを接触させる工程であって、ここで上記レトロウイルスは、少なくとも1個の変異を含むウイルスエンベロープタンパク質、細胞外標的化ドメインを含む非ウイルス性膜結合タンパク質を含み、上記抗体は、上記レトロウイルスの上記細胞外標的化ドメインに結合する工程;(ii)必要に応じて、結合されていない抗体を上記サンプルから除去する工程;および(iii)上記サンプルを画像化して、上記抗体-レトロウイルス複合体が上記細胞に結合されるか否かを検出する工程を包含する方法が、本明細書で記載される。
【0112】
いくつかの実施形態において、上記抗体は、少なくとも1つの蛍光標識をさらに含む。いくつかの実施形態において、蛍光標識は、キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、Oregon green、エオシンおよびTexas red)、シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニンおよびメロシアニン)、ナフタレン誘導体(例えば、ダンシルおよびプロダン誘導体)、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾールおよびベンゾオキサジアゾール)、ピレン誘導体(例えば、カスケードブルー)、オキサジン誘導体(例えば、Nile red、Nile blue、クレシルバイオレットおよびオキサジン170)、アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジおよびアクリジンイエロー)、アリールメチン誘導体(arylmethine derivative)(例えば、オーラミン、クリスタルバイオレットおよびマラカイトグリーン)、またはテトラピロール誘導体(例えば、ポルフィン、フタロシアニンおよびビリルビン)である。上記蛍光標識は、上記抗体と非共有結合的に会合されていてもよいし、上記抗体に共有結合的に連結されていてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、上記サンプルは、共焦点顕微鏡検査法または蛍光顕微鏡検査法を使用して、工程(iii)において画像化される。いくつかの実施形態において、検出方法は、標準的な顕微鏡検査法設備(例えば、共焦点顕微鏡または蛍光顕微鏡)を使用して達成され得る。いくつかの実施形態において、サンプルは、標準的な共焦点顕微鏡または落射蛍光顕微鏡を試用して画像化すると同時に、超多重化フォーマットにおいて検出される。
【実施例】
【0114】
実施例1. SCFaおよびS4-3a PStalkおよびIgG4Hinge構築物の発現
標的化レンチウイルスを、変異VSV-G(VSVd)または野生型VSV-G(VSVwt)をコードするプラスミドを使用するHEK293T細胞のポリエチレンイミン(PEI)トランスフェクションによって生成した。野生型マウス幹細胞因子(mSCFa)と、cKITレセプターに対する内因性親和性、およびS4-3a(より効率的なウイルス進入を示すことが示されているSCFの親和性成熟バージョン(Ho CCら, Cell 2017))を含む構築物を、国際特許公報WO 2020/236263に記載される手順を使用して生成した。上記構築物のモノマーおよびプレダイマーバージョンを作製した。モノマーバージョンでは、mSCFを上記PDGFRストークおよび膜貫通タンパク質につなぎとめた(mSCFa-Pstalk(配列番号32)、mS4-3a-Pstalk(配列番号28))。上記プレダイマーバージョンでは、mSCFをIgG4ヒンジリンカータンパク質につなぎとめた(mSCFa-IgG4hinge(配列番号42)、mS4-3a-IgG4hinge(配列番号36))。上記構築物を、蛍光標識した抗体(HA-タグ: AF647)とともにVSVdまたはVSVwtに曝し、HEKウイルスパッケージング株の表面上での発現に関して試験した。
図1(mSCFa)および
図2(mS4-3a)に示されるように、全ての構築物は、HEK細胞上で発現することが見出された。
【0115】
実施例2. MC9 cKIT発現細胞における非濃縮ウイルスの発現
実施例1に記載される構築物のcKIT親和性を試験するために、上記構築物を、MC9細胞における発現に関して試験した。MC9細胞は、造血幹細胞(HSC)ではない。代わりに、MC9は、cKIT+であるマスト細胞ベースの不死化細胞株である。MC9細胞を、以下の比1:1(
図2)、2:1(
図4)および4:1(
図5)において、非濃縮VSVwt(コントロール)およびVSVdとピペットで混合することを介して混合した。結果は、SCFタンパク質がMC9細胞への選択的ウイルス進入を可能にすることを示す。最高の成績の構築物、mSCFa-IgG4hinge-VSVdおよびmS4-3a-IgG4hinge-VSVdを、さらなる実験のために選択した。
【0116】
実施例3. MC9 cKIT発現細胞およびVhCm non-cKIT発現細胞での濃縮ウイルスの発現
実施例2からのリード構築物を、MC9(cKIT発現)およびVhCm(非cKIT発現)細胞株へのウイルス進入に関してさらに試験した。各構築物を、5μL、2.5μL、1.25μLおよび0.625μLの容積において、ポリブレン(レトロウイルス形質導入のエンハンサー)の存在下または非存在下で、MC9ウイルス進入に関して試験した。2つのマーカーを測定した: FITC(ウイルスが存在したか否かを決定するため)およびBV421(cKITの存在を決定するため)。オフターゲットウイルス構築物(mFLT3L-IgG4Hinge-VSVd)および上記VSVdウイルス単独を、コントロールとして使用した。
図8に示されるように、上記mFLT3LGウイルスは、cKITを結合せず、cKIT+細胞に十分に感染しなかった。VSVd単独はまた、cKIT+細胞に十分に感染しなかった。3つの構築物を全て、cKIT-であるJ76(VhCm細胞)においても試験した。
図9に示されるように、ウイルスの最大容量(5μL)においておよびポリブレンの存在下ですら、上記ウイルスはいずれも、cKIT-細胞に感染しなかった。まとめると、これらの結果は、mSCFa-IgG4hinge-VSVd(
図6)およびmS4-3a-IgG4hinge-VSVd(
図7)の両方が、cKIT+細胞への用量依存性の選択的ウイルス進入を可能にしたことを示す。
【0117】
実施例4. 操作されたSCFおよびFLT3特異的ウイルスでの初代HSC形質導入
操作されたSCFおよびFLT3ウイルス構築物を試験して、それらが外因性サイトカイン(SCFおよびFLT3)の存在下または非存在下で、マウス造血幹細胞へのGFPタンパク質の送達において特異的かつ効率的であるか否かを決定した(
図10)。
【0118】
全骨髄細胞(WBM)を、7週間においてB6マウスから単離した。単離した細胞のアリコートを、WBMにおけるさらなる特異性試験のために取り出した。cKIT富化を行い、別のアリコートを、cKIT富化集団におけるさらなる特異性試験のために取り出した。次いで、上記細胞を、以下の基準: 1- Lineage陰性、cKIT陽性; 2- Lineage陰性、Sca-1陽性、cKIT陽性(LSK); 3- Lineage陰性、Sca-1陽性、cKIT陽性、FLT3陽性に従って3つのHSC集団へとソートした。次いで、上記細胞を、それぞれの群に関して、サイトカインありまたはなしで、培地中で培養した。全HSC初代細胞に関する通常培地は、FLT3L(50ng/mL)、TPO(50ng/mL)、およびSCF(50ng/mL)を含んだ。ソートして24時間後に、上記細胞(1M/mL)を、1:2の比において濃縮ウイルスとともにインキュベートした。24時間後、上記ウイルスを除去し、細胞を、サイトカイン完全培地にプレートした。48時間後、細胞を染色し、フローパネルを実行して、ある特定の集団内のGFP発現を決定した。
【0119】
SCFウイルスバリアントの効率および特異性
陽性コントロールを、SCFありおよびなしの培地中でSCF-WTおよびSCF変異ウイルスを有するMC9細胞を使用して実行した(
図11)。結果は、濃縮ウイルスがMC9コントロール細胞において良好な形質導入効率を有したこと、および形質導入の間に培養物中へ外因性SCFを添加することが、ウイルス送達に干渉したが、完全に阻害したわけではないことを示す。
【0120】
SCF-変異体を、LSK(Lin-、Sca-1+、cKIT+)、cKIT富化、lineage枯渇およびWBMにおいてSCF-WTに対して試験した(
図12A~12B)。結果は、GFP+細胞が主にlineage陰性「未成熟」細胞画分に入ることを示した。SCF-WTウイルスは、SCF-変異体よりわずかに高い形質導入効率を有した。しかし、精製集団(LSK)においてすら、効率は低かった。
【0121】
次いで、SCF特異性を、SCFありおよびなしの培地中のcKIT富化細胞において試験した(
図13A~13B)。結果は、生存性および拡大が短期間培養のSCF枯渇によって大きく変化しなかったことを示す。さらに、SCFを与えないでおくと、%GFP陽性画分が有意に変化しいないようであった。
【0122】
SCFウイルス特異性を、LSK(Lin-、Sca-1+、cKIT+)、lineage枯渇、およびWBM細胞集団において決定した(
図14)。結果は、GFP+細胞が主にcKIT陽性象限の中に入ったことを示す。さらに、cKIT発現が培養中に失われ得ることが示された。なぜならLSK培養物中の全ての細胞がある時点でcKIT+であり、従って、GFP+ cKIT-細胞の小さな割合が特異的感染に起因する可能性があったからである。最後に、相対的特異性(cKIT-と比較してcKIT+であるGFP+細胞数)は、培養物中の出発細胞にかかわらず、拡大縮小した。
【0123】
FLT3効率および特異性
FLT3ウイルス効率を、HSC-FLT3ソート、cKIT富化、lineage枯渇、およびWBM細胞において測定した(
図15A~15C)。結果は、FLT3ウイルスがSCF改変体よりわずかに良好な効率を有するようであったことを示す。全骨髄においてすら、効果的に形質導入された小さいが観察可能な集団が存在した。
【0124】
次いで、FLT3特異性を、FLT3ありよびなしの培地中で、cKIT富化細胞において試験した(
図16A~16B)。結果は、生存性および拡大が短期間培養のFLT3枯渇によって大きく変化しなかったことを示す。さらに、結果は、形質導入中の培養においてFLT3を与えないでおくことのわずかな利益があり得ることを示唆した。
【0125】
FLT3ウイルス特異性はまた、HSC-FLT3ソート、lineage枯渇、およびWBM細胞株において測定した(
図17)。FLT3抗体染色は、おそらく培養物中のFLT3のダウンレギュレーションに起因して、あまりよくなかった。結果として、cKITを代わりに使用した。結果は、相対的特異性(cKIT-と比較してcKIT+であるGFP+ 細胞数)が、精製集団において良好であるが、WBMにおいて決定するのは困難であることを示した。
【0126】
まとめると、これらの結果は、操作されたSCFおよびFLT3レンチウイルスが低効率の形質導入であるが、かなり特異的な標的化組み込みを明らかに示すことを示す。効率は低いものの、成功裡に(SCFおよびFLT3ウイルスの両方で)形質導入された細胞がcKIT陽性である点で、良好な特異性であるように思われる。概して、初期の培養条件からの1つのサイトカインの除去は、細胞の拡大および生存性を妨げるとは思われなかった。全体として、WBMは、培養条件において十分に機能しなかった。これは、形質導入-移植のために異なる環境が要求され得ることを示唆する。
【0127】
他の実施形態
本明細書で開示される特徴の全ては、任意の組み合わせにおいて組み合わされ得る。本明細書で開示される各特徴は、同じ、等価な、または類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられ得る。従って、別段明示的に述べられなければ、開示される各特徴は、等価なまたは類似の特徴の一般的な一連の例に過ぎない。
【0128】
上記の説明から、当業者は、発明の本質的な特徴を容易に確認し得、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の使用法および条件に適合させるために、本発明の種々の変更および改変を行い得る。従って、他の実施形態はまた、特許請求の範囲内にある。
【0129】
均等物
いくつかの本発明の実施形態が本明細書において記載および例証されてきたが、当業者は、機能を発揮するならびに/または結果および/もしくは本明細書で記載される利点の1またはこれより多くのものを得るために、種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、このようなバリエーションおよび/または改変の各々は、本明細書で記載される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般には、当業者は、本明細書で記載される全てのパラメーター、寸法、材料、および構成が、例示であることが意味されること、ならびに実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される具体的な適用に依存することを容易に認識する。当業者は、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載される具体的な本発明の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認し得る。従って、前述の実施形態が例示によってのみ提示されること、ならびに添付の特許請求の範囲およびこれに対する均等物の範囲内で、本発明の実施形態が、具体的に記載され、特許請求されるものとは別の傳で実施され得ることは理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書で記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に指向される。さらに、2またはこれより多くのこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しないのであれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0130】
全ての定義は、本明細書で定義および使用される場合、辞書の定義、援用される文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先することが理解されるべきである。
【0131】
本明細書で開示される全ての参考文献、特許および特許出願は、各々が引用され、そしていくらかの場合には文書の全体を包含し得る主題に関して参考として援用される。
【0132】
不定冠詞「a(1つの、ある)」および「an(1つの、ある)」は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、反対に明確に示されなければ、少なくとも1」を意味することが理解されるべきである。
【0133】
語句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には分離して存在する要素を意味することが理解されるべきである。「および/または」とともに列挙される多数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された要素の「1またはこれより多くのもの」であることが解釈されるべきである。他の要素は、必要に応じて、「および/または」の文節によって具体的に特定される要素以外にも、それらの具体的に特定された要素に関連しようがしまいが、存在し得る。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、制限のない文言(例えば、「含む」)とともに使用される場合、は、1つの実施形態ではAのみ(必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態ではBのみ(必要に応じて必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(必要に応じて他の要素を含む);などに言及し得る。
【0134】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、リストの中で項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、少なくとも1を含むが、1より多い、多くの要素または要素のリスト、および必要に応じて、さらなる列挙されていない項目をも含むとして解釈されるものとする。反対に明確に示される用語のみ(例えば、「のうちのただ1つ」または「のうちの正確に1つ」または特許請求の範囲において使用される場合には、「からなる」」は、多くの要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素の包含に言及する。一般に、用語「または」は、本明細書で使用される場合、排他性の用語(例えば、「のいずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」)が前にある場合、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であって、両方ではない)を示すとして解釈されるに過ぎないものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲において使用される場合、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0135】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1またはこれより多くの要素のリストに言及して語句「少なくとも1」は、要素のリストの中の要素のうちのいずれか1つまたはこれより多くのものから選択される少なくとも1つの要素を意味することが理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙される各要素および全ての要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除しない。この定義はまた、語句「少なくとも1」が言及する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外にも、これらの具体的に特定される要素に関連しようがしまいが、要素が必要に応じて存在し得ることを可能にする。従って、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも一方」(または等しく、「AまたはBのうちの少なくとも一方」、または等しく、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一方)は、1つの実施形態において、少なくとも1、必要に応じて1より多くのAを含むが、Bが存在しない(および必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態では、少なくとも1、必要に応じて1より多くのBを含むが、Aが存在しない(必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1、必要に応じて1より多くのAを含み、少なくとも1、必要に応じて1より多くのBを含む(および必要に応じて他の要素を含む);などに言及し得る。
【0136】
反対に明確に示されなければ、1より多くの工程または行為を含む特許請求される任意の方法において、上記方法の工程または行為の順序は、上記方法の工程または行為が記載されて居る順序に必ずしも限定されないことは理解されるべきである。
【0137】
配列
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【配列表】
【国際調査報告】