特表 2024-513979 ＨＭＥデバイス

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2024-03-27

(54)【発明の名称】ＨＭＥデバイス

(51)【国際特許分類】

   A61M 16/08 20060101AFI20240319BHJP

   A61M 16/16 20060101ALI20240319BHJP

【ＦＩ】

A61M16/08 330

A61M16/16 F

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2023562785

(86)(22)【出願日】2022-04-04

(85)【翻訳文提出日】2023-12-11

(86)【国際出願番号】 GB2022000047

(87)【国際公開番号】W WO2022219296

(87)【国際公開日】2022-10-20

(31)【優先権主張番号】2105159.4

(32)【優先日】2021-04-12

(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】509342843

【氏名又は名称】スミスズ メディカル インターナショナル リミテッド

(74)【代理人】

【識別番号】100177426

【弁理士】

【氏名又は名称】粟野 晴夫

(72)【発明者】

【氏名】ウサマ ハニフ

(72)【発明者】

【氏名】クリストファー ジョン ウーズナム

(72)【発明者】

【氏名】ティモシー ベイトマン

(72)【発明者】

【氏名】スティーヴン マーク タッパー

(57)【要約】

ＨＭＥデバイス（１）は、一方の部品（１３）のバヨネットラグ（１７）が他方の部品（１４）のバヨネットスロット（４８）に挿入されて捻られることにより相互に取外し可能に接続された２つの部品からなる外側ハウジング（１０）を有する。ＨＭＥユニット（５０）が、ハウジングの２つの部品を分離することにより取り外して交換することができるように一方の部品（１４）の内部ポート（４５）に外嵌されたテーパカップリングを一端に有する。ＨＭＥユニット（５０）の外側は、環状のバイパスチャネル（５５）によりハウジング（１０）の内側から離間している。セレクタ（３１）が、ＨＭＥユニットを通る通路又はバイパスチャネルのいずれかを覆うように移動させることができる回転可能なプレートを有する。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ＨＭＥデバイスであって、該デバイス（１）は、ＨＭＥモード又はバイパスモードに選択的に設定されることができ、該デバイスは、少なくとも２つの部品（１３、１４）を有する外側ハウジング（１０）を含み、前記少なくとも２つの部品は、前記ハウジングの内部へのアクセスを可能にするように相互に接続又は切断されることができ、前記部品の一方（２２）は、前記ハウジングにガスを流すことができる外部ポート（１１）及び該外部ポート（１１）と選択的に流体連通する内部ポート（４５）を有し、該デバイスは、前記内部ポート（４５）と相互に接続及び切断されるように配置されたＨＭＥユニット（５０）を含み、前記内部ポート（４５）上の前記ＨＭＥユニット（５０）の取外し及び交換を可能にするように前記ハウジングの前記２つの部品（１３、１４）を相互に分離できるようになっており、前記ＨＭＥユニット（５０）の外部及び前記外側ハウジングの内部は、相互間にバイパスチャネル（５５）を設けて、前記バイパスモード時に前記バイパスチャネルに沿って該デバイス（１）にガス流を通すよう構成され、該デバイスは、バイパス位置で、該デバイスを通るガス流が前記ＨＭＥユニット（５０）を迂回して代わりに前記バイパスチャネル（５５）に沿って流れるように前記内部ポート（４５）を通るガス流を選択的に遮断するセレクタ（３１）を含み、且つ該セレクタ（３１）は、ＨＭＥ位置で、前記ＨＭＥユニット（５０）を介して該デバイス（１）に流れを通して前記バイパスチャネル（５５）に沿った流れを遮断することを特徴とする、ＨＭＥデバイス。

【請求項2】

請求項１に記載のＨＭＥデバイスにおいて、前記外側ハウジング（１０）の前記２つの部品（１３、１４）は、一方の部品（１３）のバヨネットラグ（１７）と、前記２つの部品を相互に対して捻ると前記ラグ（１７）を受け入れるように配置された他方の部品（１４）のスロット（４８）とにより、相互に接続されることを特徴とするＨＭＥデバイス。

【請求項3】

請求項１又は２に記載のＨＭＥデバイスにおいて、前記バイパスチャネルは、前記ＨＭＥユニット（５０）の外側と前記外側ハウジング（１０）の内側との間の環状通路（５５）により設けられることを特徴とするＨＭＥデバイス。

【請求項4】

請求項１～３のいずれか１項に記載のＨＭＥデバイスにおいて、前記ＨＭＥユニット（５０）は、前記外側ハウジング（１０）の一方の部品（１４）のテーパフィッティング（４５）に取外し可能に外嵌されたテーパカップリング（５３）を一端に有することを特徴とするＨＭＥデバイス。

【請求項5】

請求項１～４のいずれか１項に記載のＨＭＥデバイスにおいて、前記セレクタ（３１）は、前記ＨＭＥユニット（５０）に通じる開口（４３）を覆ってバイパス開口（４６）を露出させる位置と前記ＨＭＥユニット（５０）に通じる前記開口（４３）を露出させて前記バイパス開口（４６）を覆う位置との間で該デバイス（１）の軸に対して直角な平面内で可動なシャッタプレート（３２）を含むことを特徴とするＨＭＥデバイス。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ＨＭＥデバイスに関する。

【背景技術】

【0002】

患者が気管切開チューブ又は気管内チューブ等の気管に挿入されたチューブを通して呼吸する場合、気管支へのガス流は、鼻を通過することにより加温も加湿もされない。ガスが何らかの方法で加温及び加湿されない限り、患者の喉に損傷や不快感を与える可能性がある。このガスは、換気回路の加湿器により調整することができるが、最も好都合なのは熱湿交換デバイス（ＨＭＥ）の使用である。ＨＭＥは、吸湿性物質で処理された紙又は発泡体等の１つ又は複数の交換要素を含む小型で軽量のデバイスである。患者が呼息すると、ガスが交換要素を通過してその熱及び水分の大部分をこの要素に引き渡す。患者が吸息すると、ガスが交換要素を逆方向に通過して交換要素内の熱及び水分の大部分を取り込むことで、患者が吸入したガスが加温及び加湿される。これらのＨＭＥデバイスは、低コストであり、１回使用毎に使い捨てである。ＨＭＥデバイスは、呼吸回路に接続するか又は気管チューブの機器側端に単純に接続して、患者が自発呼吸する大気に開放することができる。ＨＭＥは、フェイスマスク等の他の呼吸デバイスと併用することができる。

【0003】

ＨＭＥは、英国ケント州アシュフォードのSmiths Medical International LimitedによりＴｈｅｒｍｏｖｅｎｔの商品名で（ＴｈｅｒｍｏｖｅｎｔはSmiths Medical International Limitedの登録商標）、Hudson RCI ABによりＴｒａｃｈ Ｖｅｎｔの商品名で（Ｔｒａｃｈ ＶｅｎｔはHudson RCI ABの登録商標）、Dar、Medisize、Intersurgical
、及び他の製造業者により、販売されている。ＨＭＥの例は、特許文献１、特許文献２、特許文献３、特許文献４、特許文献５、特許文献６、特許文献７、特許文献８、特許文献９、特許文献１０、特許文献１１、特許文献１２、特許文献１３、特許文献１４、特許文献１５、特許文献１６、特許文献１７、特許文献１８、特許文献１９、特許文献２０、特許文献２１、特許文献２２、特許文献２３、及び特許文献２４に記載されている。Smiths Medicalにより販売されている「Ｔｈｅｒｍｏｖｅｎｔ Ｔ」ＨＭＥは、デバイスを気管切開チューブ等に装着する接続ポートの横断方向に延びる直管状ハウジングの両端に２つのＨＭＥエレメントが取り付けられたＴ字形構成を有する。ＨＭＥエレメント用の管状ハウジングは、特許文献２５に記載のように、首の解剖学的プロファイルに従って湾曲し得る。

【0004】

ＨＭＥは、噴霧により肺に薬剤を投与可能とする必要があり得る集中治療中の患者の呼吸回路で用いられることが多い。ＨＭＥ媒体を介した噴霧薬剤の投与は、噴霧薬剤と相互作用するか又は噴霧薬剤を捕捉して肺への到達量を減らす可能性があるので望ましくない。これは、ＨＭＥの効率も低下させる。このような状況では、呼吸回路を切断してＨＭＥを取り外し、ネブライザを接続する必要があり、患者は一時的に無換気になる。薬剤の投与後に、ＨＭＥは呼吸回路に再接続され、これもまた患者が一時的に無換気になることを意味する。これは患者にとって有害であり得ると共に、臨床医にとって時間がかかる。これを回避するために、バイパスシステムを用いることができ、このシステムでは、追加の長さの配管が二方弁により呼吸システムに接続されてＨＭＥの周りに延びることで、薬剤の投与が必要である場合にＨＭＥを通さずにこの配管を通ってガスが流れることができる。しかしながら、これらのシステムは、嵩張って扱いにくく、呼吸回路の重量及び死腔を増やす傾向がある。バイパス配管は、隣接する機器に引っ掛かる可能性もある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】英国特許第２３９１８１６号明細書

【特許文献2】国際公開第０１／７２３６５号パンフレット

【特許文献3】米国特許第５５０５７６８号明細書

【特許文献4】スウェーデン特許５１６６６６号明細書

【特許文献5】米国特許第３８８１４８２号明細書

【特許文献6】独国実用新案第２０３０２５８０号明細書

【特許文献7】独国実用新案第２０１１４３５５号明細書

【特許文献8】国際公開第９７／０１３６６号パンフレット

【特許文献9】米国特許出願公開第２００２／０１５７６６７号明細書

【特許文献10】米国特許第６４２２２３５号明細書

【特許文献11】欧州特許出願公開第１２０８８６６号明細書

【特許文献12】米国特許第４９７１０５４号明細書

【特許文献13】欧州特許出願公開第１６９９５１５号明細書

【特許文献14】米国特許第５０３５２３６号明細書

【特許文献15】欧州特許第５３５０１６号明細書

【特許文献16】米国特許第５６４７３４４号明細書

【特許文献17】英国特許第２２６７８４０号明細書

【特許文献18】欧州特許出願公開第８５６３２７号明細書

【特許文献19】欧州特許出願公開第１６９９５１５号明細書

【特許文献20】米国特許第７３６３９２５号明細書

【特許文献21】国際公開第１５／１０７３２０号パンフレット

【特許文献22】米国特許出願公開第２００８／００９９０１３号明細書

【特許文献23】英国特許第２５４０４５６号明細書

【特許文献24】国際公開第２０１７／２１６５０８号パンフレット

【特許文献25】欧州特許第１８８８１５７号明細書

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明の目的は、代替的なＨＭＥデバイスを提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明によれば、ＨＭＥデバイスであって、デバイスは、ＨＭＥモード又はバイパスモードに選択的に設定されることができ、デバイスは、少なくとも２つの部品を有する外側ハウジングを含み、部品は、ハウジングの内部へのアクセスを可能にするように相互に接続又は切断されることができ、部品の一方は、ハウジングにガスを流すことができる外部ポート及び外部ポートと選択的に流体連通する内部ポートを有し、デバイスは、内部ポートと相互に接続及び切断されるように配置されたＨＭＥユニットを含み、内部ポート上のＨＭＥユニットの取外し及び交換を可能にするようにハウジングの２つの部品を相互に分離できるようになっており、ＨＭＥユニットの外部及び外側ハウジングの内部は、相互間にバイパスチャネルを設けて、バイパスモード時にバイパスチャネルに沿ってデバイスにガス流を通すよう構成され、デバイスは、バイパス位置で、デバイスを通るガス流がＨＭＥユニットを迂回して代わりにバイパスチャネルに沿って流れるように内部ポートを通るガス流を選択的に遮断するセレクタを含み、且つセレクタは、ＨＭＥ位置で、ＨＭＥユニットを介してデバイスに流れを通してバイパスチャネルに沿った流れを遮断することを特徴とする、ＨＭＥデバイスが提供される。

【0008】

外側ハウジングの２つの部品は、一方の部品のバヨネットラグと、２つの部品を相互に対して捻るとラグを受け入れるように配置された他方の部品のスロットとにより、相互に接続され得る。バイパスチャネルは、ＨＭＥユニットの外側と外側ハウジングの内側との間の環状通路により設けられることが好ましい。ＨＭＥユニットは、外側ハウジングの一方の部品のテーパフィッティングに取外し可能に外嵌されたテーパカップリングを一端に有することが好ましい。セレクタは、ＨＭＥユニットに通じる開口を覆ってバイパス開口を露出させる位置とＨＭＥユニットに通じる開口を露出させてバイパス開口を覆う位置との間でデバイスの軸に対して直角な平面内で可動なシャッタプレートを含み得る。

【0009】

次に、本発明によるＨＭＥデバイスを例として添付図面を参照して説明する。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】患者側端からのＨＭＥデバイスの斜視図である。

【図2】機器側端からのＨＭＥデバイスの斜視図である。

【図3】ＨＭＥの側断面図である。

【図4】バイパスモードのＨＭＥデバイスの患者側端からの端面図である。

【図5】バイパスモードのデバイスの内部の端面図である。

【図6】ＨＭＥモードの患者側端からの端面図である。

【図7】ＨＭＥモードのデバイスの内部の端面図である。

【図8】解除され分離された外側ハウジングの２つの部品を示す機器側端からのデバイスの斜視図である。

【図9】ハウジングの２つの部品を分離し、ＨＭＥユニットを取外し及び交換のために外したデバイスの斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

まず図１～図３を参照すると、気管内又は気管切開チューブ等の呼吸デバイス（図示せず）の端にある相手方の雄コネクタに外嵌するようになされた患者側端カップリング又は入口１１を有する、円形断面の外側ハウジング１０を有するＨＭＥデバイス１が示されている。デバイス１の反対端では、機器側端カップリング又は出口１２が患者側端カップリング１１と軸方向に位置合わせされる。２つのカップリング１１と１２との間で、ハウジングは径方向に拡大されて円形断面を有する。外側ハウジング１０は、２つの部品１３及び１４を有し、これらは、ハウジングの内部へのアクセスを可能にするために分離できるように、解除可能で回転可能な結合構成により相互に接続される。より詳細には、左側の機器側端部品１３は、機器側端カップリング１２と、円筒形の拡径端部１６に向かってテーパ状となる中間部１５とを含む。図８及び図９に最も明確に示されているように、円筒部１６は、その自由端１６’に、円筒部の周りで等間隔に外方に突出した６つのバヨネットラグ１７を有する。

【0012】

外側ハウジング１０の他方の部品は、端同士が接合された２つの成形コンポーネント２１及び２２を含む右側の患者側端部品１４により提供される。右側の患者側端コンポーネント２１は、患者側端カップリング１１を含み、これは、気管チューブ又は他の呼吸デバイスの端にある標準１５ｍｍ雄カップリングと嵌合接続するようになされた内テーパ面２３を有する。患者側端コンポーネント２１は、拡径された円筒状のカラー２５まで外方にテーパ状となる中間部２４も有する。カラー２５は、その端に、他方のコンポーネント２２の右側の患者側端にある協働するテーパ面２７に接合されたテーパ内面２６を有する。患者側端コンポーネント２１のテーパ状の中間部２４には、短い外方に突出した小径のスリーブ２８も形成され、スリーブ２８内にモードセレクタ３１のノブ３０が支持される。次に図５及び図７も参照すると、モードセレクタ３１は、平面がＨＭＥデバイス１の軸に対して直角に延びる、Ｃ字形の湾曲した平面状のシャッタプレート３２を有する。ノブ３０には、ノブがスリーブ２８内で捻られるとノブの軸回りにプレートを回転させるように、プレート３２の一端が固着される。ノブ３０は、スリーブ２８の外端の２つのノッチの一方３４又は３５に位置付けることができる径方向外方に突出する短い係止フィンガ３３を有し、２つのノッチは相互に約６０°離間している。モードセレクタ３１の動作は、より詳細に後述する。

【0013】

患者側端部品１４の機器側端のコンポーネント２２は、その患者側端に僅かに拡径されたリム４０を有し、テーパ外面２７は、患者側端コンポーネント２１のカラー２５に内嵌されてその内部に接合される。コンポーネント２２の患者側端に、一体成形品として壁４２が横方向に延びる。壁４２は、軸方向の管状構造又はポート０．４５を貫通するボア４４と連通する円形の中央開口４３を有する。構造４５は、ハウジング１０と同軸にその機器側端に向かって患者側端部品１４の長さの約半分延びる。この管状構造４５は、その外面がテーパ状であり、標準１５ｍｍ雄カップリングと同じ形状及び寸法の内部ポートを提供する。壁４２には、壁の外縁寄りにデバイスの軸を中心として約１２０°にわたって延びる湾曲スロット４６（図５）により提供される第２開口も開いている。スロット４６の寸法は、図７に示すようにシャッタプレート３２が反時計周りで最大限に変位するとスロットを完全に覆うように、シャッタプレートの寸法よりも僅かに小さい。

【0014】

コンポーネント２２の反対側の機器側端には、機器側部品１３の患者側端１６’を受け入れるようになされた拡径リム４７が形成される。リム４７の端面は、６つのＬ字形スロット４８で中断される。スロット４８のサイズ及び形状は、機器側端部品１３のラグ１７を挿入し約３０°回転させて２つの部品１３及び１４同士を実質的に気密に係止することにより、２つの部品間を回転可能に結合させるように選択される。

【0015】

図３に示すように、デバイス１は、一端に患者側端カップリング５３を有する外側プラスチックハウジング５２内に収容されたＨＭＥエレメント５１を有する種類の従来のＨＭＥユニット５０を含む。患者側端カップリング５３は、内部ポート４５により設けられた１５ｍｍテーパ雄フィッティングに外嵌されるようになされた雌１５ｍｍフィッティングとなる内テーパ面を有する。その反対端で、ＨＭＥユニット５０は、１５ｍｍ雄フィッティングとなるようになされた外テーパ面を有する機器側端フィッティング５４を有する。この例では、ＨＭＥユニット５０の機器側端フィッティング５４は、外側ハウジング１０の内部に開口し、他のコンポーネントには接続されない。端フィッティング５３及び５４は、ＨＭＥユニット５０を通る全てのガス流がＨＭＥエレメントをいずれの方向にも通過するように、ＨＭＥエレメント５１を間に位置決めして相互に軸方向に位置合わせされる。ＨＭＥエレメント５１は、吸湿性塩で処理された段ボール紙のコイルを含むような従来の種類のものであり得る。代替として、ＨＭＥエレメント５１は発泡体とすることができる。ＨＭＥはフィルタも含むことができる。ＨＭＥユニット５０の最大外形は、ＨＭＥユニットの外側と外側ハウジング１０の内側との間にＨＭＥユニットの外側周囲に沿って延びる環状通路５５の形態のバイパスチャネルがあるように、外側ハウジング１０の内径よりも小さい。

【0016】

ＨＭＥデバイス１は、通常の使用中はＨＭＥモードに、又は噴霧又は薬剤を気道に送達する必要がある場合にはバイパスモードに設定することができる。バイパスモードでは、ガスがＨＭＥユニット５０を流れると、噴霧薬剤を吸収して患者への到達量が減り、これがＨＭＥのその後の有効性も低下させるので、ガスがＨＭＥユニット５０を流れるのを防止する。デバイス１は、ノブ３０を用いてシャッタプレート３２をデバイス１の軸に対して直角なその平面内で移動させることにより、２つのモード間で切り替えることができる。図６及び図７に示す状態では、ノブ３０は、反時計回りで最も遠い位置にあり、係止フィンガ３３が反時計回りのノッチ３５に位置付けられている。この位置では、シャッタプレート３２は、反時計回りに最大限に揺動してカラー２５の内側と係合する。したがって、シャッタプレート３２は、バイパス開口４６を覆って中央開口４３を内部ポート４５に、ひいてはＨＭＥユニット５０に露出させる。したがって、このモードでは、デバイスの２つのカップリング１１と１２との間に流れる全てのガスがＨＭＥユニット５０を流れる。

【0017】

臨床医は、噴霧薬剤を投与する必要がある場合に、ノブ３０の係止フィンガ３３をＨＭＥノッチ３５から引き上げて、係止フィンガが図４に示すようにバイパスノッチ３４に嵌まるまでノブを時計回りに最大限に（約６０°）捻る。図５は、この位置で、ＨＭＥに通じる中央開口４３を閉じるようにシャッタプレート３２が時計回りに最大限に揺動することを示す。シャッタプレート３２は、バイパス開口４６の大部分が覆われないようにバイパス開口４６からも遠ざかる。すると、ガスは、バイパス開口４６を通り、ＨＭＥユニット５０を流れずにＨＭＥユニットの外側周囲でバイパスチャネル５５に沿って端カップリング１１と１２との間を流れることができる。投薬が終わると、臨床医は、セレクタノブ３０をそのＨＭＥモード位置に単に捻り戻して、ガスがＨＭＥユニット５０を再び正逆方向に流れるようにする。

【0018】

従来のＨＭＥは、ＨＭＥエレメント内の細菌の蓄積を回避し且つ最大効率を維持するために約２４時間毎に交換する必要がある。本発明の構成においてこれを実行するには、外側ハウジング１０の機器側端部品１３のバヨネットラグ１７が外側ハウジング１０の患者側端部品１４のＬ字形スロット４８から係脱することにより外側ハウジングの２つの部品を図８に示すように相互に分離できるように、機器側端部品を患者側端部品に対して約３０°捻るだけである。これは、カップリング１１及び１２を呼吸回路から切断する必要なく達成することができる。この状態では、ＨＭＥユニット５０の機器側端は、ハウジング１０の患者側端部品１４の機器側端を越えて突出して、図９に示すようにＨＭＥユニットの患者側端を内部ポート４５から切断するために容易に把持して患者側端部品に対して捻ることができるようになっていることが分かる。このように、ＨＭＥユニット５０を外側ハウジング１０から取り外し、廃棄して新たなＨＭＥユニットと交換することができる。この後に、外側ハウジング１０の機器側端部品１３は、ハウジングの患者側端部品１４と再接続される。

【0019】

本発明の構成は、隣接する機器に絡まるか又は引っ掛かる可能性がある外部配管のない小型構成でＨＭＥにバイパスを設けることを可能にする。本発明は、デバイスの主要部分をいくつかの異なるＨＭＥと共に再使用することも可能にする。これにより、費用が節減されると共にプラスチック廃棄量が減り、これは、医療廃棄物の処分コストが従来の廃棄物よりも大きいことから医療機器で特に有利である。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【国際調査報告】