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特表2024-513986アミドを使用してカルバヌクレオシドを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】アミドを使用してカルバヌクレオシドを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 7/06 20060101AFI20240319BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07H7/06
C07D487/04 140
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562964
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022071736
(87)【国際公開番号】W WO2022221870
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/087731
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ユー, シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエイラ, ティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】ブレムナー, ステイシー
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ボラン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジェシー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シャオティアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジョンフー
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ヤオレイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, イーネン
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ルー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C057
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC07
4C050EE03
4C050FF02
4C050GG04
4C050HH01
4C057AA18
4C057AA21
4C057BB02
4C057DD02
4C057EE05
(57)【要約】
本開示は、カルバヌクレオシドを調製する方法を記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法であって、
【化66】
(a)第1の投入混合物を調製して、第1の出力混合物を提供することであって、前記第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含む、
【化67】
ことと、
(b)前記第1の出力混合物及び式(V)の化合物を含む第2の投入混合物を調製して、前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供することであって、前記式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化68】
式中、
は、
【化69】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIである、方法。
【請求項2】
前記式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するために、
【化70】
(a)前記第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、前記第1の投入混合物が、アミン保護剤、前記第1の塩基、前記メタル化剤、及び前記式(IV)の化合物を含み、
【化71】
前記第1の反応器が、前記第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)前記第1の出力混合物及び前記式(V)の化合物を添加して、前記第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、前記式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化72】
式中、
が、
【化73】
であり、
が、Li又はMgXであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
前記第2の反応器が、前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む前記第2の出力混合物を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するために、
【化74】
(a)前記第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、前記第1の投入混合物が、アミン保護剤、前記第1の塩基、前記メタル化剤、及び前記式(IV)の化合物を含み、
【化75】
前記第1の反応器が、前記第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)前記第1の出力混合物及び前記式(V)の化合物を添加して、前記第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、前記式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化76】
式中、
が、
【化77】
であり、
が、Li又はMgXであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
が、Cl、Br又はIであり、
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
前記第2の反応器が、前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む前記第2の出力混合物を提供し、
ただし、R
【化78】
であり、MがMgClであり、Rがメチルであるとき、Xは、Cl又はIである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するために、
【化79】
(a)前記第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、前記第1の投入混合物が、アミン保護剤、前記第1の塩基、前記メタル化剤、及び前記式(IV)の化合物を含み、
【化80】
前記第1の反応器が、前記第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)前記第1の出力混合物及び前記式(V)の化合物を添加して、前記第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、前記式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化81】
式中、
が、
【化82】
であり、
が、Li又はMgXであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
が、Cl、Br又はIであり、
前記メタル化剤が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
前記第2の反応器が、前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む前記第2の出力混合物を提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するために、
【化83】
(a)前記第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、前記第1の投入混合物が、アミン保護剤、前記第1の塩基、前記メタル化剤、及び前記式(IV)の化合物を含み、
【化84】
前記第1の反応器が、前記第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)前記第1の出力混合物及び前記式(V)の化合物を添加して、前記第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、前記式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化85】
式中、
が、
【化86】
であり、
が、Li又はMgXであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
が、Cl、Br又はIであり、
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
は、Cl、Br又はIであり、
前記メタル化剤が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
前記第2の反応器が、前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む前記第2の出力混合物を提供し、
ただし、R
【化87】
であり、MがMgClであり、Rがメチルであるとき、Xは、Cl又はIである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記アミン保護剤が、トリフルオロ酢酸無水物、ジ(tert-ブチル)ジカーボネート、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)、トリエチルシリルクロリド(TESCl)、トリイソプロピルシリルクロリド、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPSCl)、トリフェニルシリルクロリド、又は1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
ただし、Rがメチルであるとき、XはCl又はIである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl又はIである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の塩基が、RMgX又はRLiであり、
が、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl又はIである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の塩基が、PhMgClである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記メタル化剤が、RMgX又はRLiであり、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記メタル化剤が、iPrMgClである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アミン保護剤が、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)であり、
前記第1の塩基が、PhMgClであり、
前記メタル化剤が、iPrMgClであり、
が、MgClである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の投入混合物が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、n-ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、若しくはクロロベンゼン、又はこれらの組み合わせである第1の溶媒を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の反応器が、約-78℃~約20℃の温度に維持される、請求項2~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の反応器が、約-20℃~約0℃の温度に冷却される、請求項2~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の投入混合物が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、n-ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、若しくはクロロベンゼン、又はこれらの組み合わせである第2の溶媒を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の反応器が、約-20℃~約40℃の温度に維持される、請求項2~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の反応器が、約10℃~約30℃の温度に維持される、請求項2~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の反応器が、約20℃の温度に維持される、請求項2~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の出力混合物と酸とを組み合わせることを更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記酸が、有機酸若しくは鉱酸、又はこれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記酸が、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロパン酸、酪酸、安息香酸、リン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、又はこれらの組み合わせを含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記酸が、有機酸を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記酸が、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロパン酸、酪酸、又は安息香酸を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記酸が、酢酸を含む、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記式(V)の化合物を調製することを更に含み、前記方法は、
(a1)式(III)の化合物、
【化88】
式H-Rのアミン、及び
MgX又はRLiである第3の塩基を含む第3の反応混合物を形成することであって、
式中、
が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
が、Cl、Br、又はIであり、
それによって前記式(V)の化合物を提供する、ことを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記アミンが、以下の式を有する、請求項31に記載の方法。
【化89】
【請求項33】
前記アミンが、以下の式を有し、
【化90】
前記第3の塩基が、iPrMgClである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記第3の反応混合物が、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、n-ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、若しくはクロロベンゼン、又はこれらの組み合わせである第3の溶媒を更に含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第3の溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第3の反応混合物が、約-78℃~約40℃の温度に維持される、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第3の反応混合物が、約-20℃~約25℃の温度に維持される、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、
(a1)以下の構造を有する前記式(III)の化合物、
【化91】
以下の式を有する前記アミン、
【化92】
iPrMgClを含む前記第3の反応混合物を形成し、それによって以下の構造を有する前記式(V)の化合物を形成することと、
【化93】
(a)前記第1の投入混合物を前記第1の反応器に添加することであって、前記第1の投入混合物が、TMS-Cl、PhMgCl、iPrMgCl、及び以下の構造を有する前記式(IV)の化合物を含み、
【化94】
前記第1の反応器が、前記第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)前記第1の出力混合物及び前記式(V)の化合物を前記第2の反応器に添加し、それによって以下の構造を有する前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物を形成することと、を含む、請求項2~37のいずれか一項に記載の方法。
【化95】
【請求項39】
前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物の収率が、約60%~約90%である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記式(II-a)又は式(II-b)の化合物の純度が、約90%~約100%である、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の反応器及び前記第2の反応器が、異なる反応器である、請求項2~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の反応器及び前記第2の反応器が、同じタイプの反応器である、請求項2~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の反応器及び前記第2の反応器が、異なるタイプの反応器である、請求項2~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の反応器及び前記第2の反応器が、単一反応器である、請求項2~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記単一反応器が、連続フロー反応器、プラグフロー反応器、連続管状反応器、又は混合フロー反応器である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の反応器が、前記単一反応器内の第1の反応ゾーンであり、前記第2の反応器が、前記単一反応器内の第2の反応ゾーンである、請求項44又は45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月16日出願の国際出願PCT/CN2021/087731号、表題「METHODS OF PREPARING CARBANUCLEOSIDES USING AMIDES」の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
化合物7-((3S,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン及びその置換化合物は、重要な合成中間体である(例えば、国際公開第2016/069825号を参照されたい)。このような中間体、及び他のカルバヌクレオシドを調製する改善された方法が継続的に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/069825号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本開示は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法であって、
【化1】
(a)第1の投入混合物を調製して、第1の出力混合物を提供することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含む、
【化2】
ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を含む第2の投入混合物を調製して、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化3】
式中、
は、
【化4】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIである、方法を提供する。
別の実施形態では、本開示は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法であって、
【化5】
(a)第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含み、
【化6】
第1の反応器が、第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を添加して、第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化7】
式中、
は、
【化8】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第2の反応器が、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供する、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
I.概論
本開示は、カルバヌクレオシドを調製する方法を記載する。本明細書に記載の方法は、任意のスケールで実施することができる効率的で拡張可能なプロセスに関し得る。いくつかの実施形態では、方法は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を、
【化9】
式(V)の化合物から調製することを含み、
【化10】
式中、R及びMは、本明細書で定義されるとおりである。
II.定義
【0006】
値を指す場合、「約」は、記載された値の、記載された値+/-10%を含む。例えば、約50%は、45%~55%の範囲を含み、約20モル当量は、18~22モル当量の範囲を含む。したがって、範囲を指す場合、「約」は、範囲の各末端の記載された値の、記載された値+/-10%の各々を指す。例えば、約1~約3(重量/重量)の比は、0.9~3.3の範囲を含む。
【0007】
本明細書で使用される「投入混合物」は、反応器に入る1つ又は複数の試薬及び/又は溶媒の混合物を指す。
【0008】
本明細書で使用される「出力混合物」は、反応器を出る1つ又は複数の試薬及び/又は溶媒の混合物を指す。
【0009】
「反応器」は、化学物質及び試薬が投入混合物として添加され、化学物質、試薬、及び他の従属変数の変換が反応器内で行われるように構成された容器を指す。各反応器は、別々に、丸底フラスコ、バッチ反応器、連続フロー反応器、プラグフロー反応器、連続管状反応器、連続撹拌タンク反応器、混合フロー反応器、セミバッチ反応器、又はこれらの組み合わせであってもよい。本開示の方法では、1つ以上の反応器を使用することができる。複数の反応器が存在する場合、反応器は、同じ又は異なるタイプの反応器であってもよい。
【0010】
「触媒」は、それ自体が消費されることなく反応速度を増加させる化学反応物を指す。
【0011】
「ルイス酸」とは、電子対を供与することができる第2の化学基から電子対を受け入れることができる化学基を指す。ルイス酸は、三フッ化ホウ素等のホウ素塩、又は三塩化アルミニウム等のアルミニウム塩が挙げられるがこれらに限定されない無機化合物;トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(トリメチルシリルトリフラート又はTMSOTf)等の有機化合物塩;又は、塩化インジウム(III)又はジクロロジイソプロポキシチタン(IV)等の有機及び/又は無機配位子を含有する金属錯体であり得る。例示的なルイス酸としては、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(BF・EtO)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(トリメチルシリルトリフラート又はTMSOTf)、TiCl、SnCl、及びFeClが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
「ブレンステッド酸(Bronsted acid)」、「ブレンステッド酸(Bronsted acid)」、又は「ブレンステッド-ローリー酸(Bronsted-Lowry acid)」は、プロトンを供与し、共役塩基を形成することができる酸を指す。ブレンステッド酸の例としては、無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、テトラフルオロホウ酸水素、及び硫酸;並びに有機酸、例えば、酢酸及びトリフルオロ酢酸(TFA)などのカルボン酸、又はp-トルエンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なブレンステッド酸としては、ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
「無機酸」又は「鉱酸」は、1つ以上の無機化合物から誘導される酸である。無機酸は、水に溶解すると水素イオン及び共役塩基を形成する。例示的な無機酸としては、塩酸及びリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「有機酸」は、酸性部分を有する、炭素-水素結合を含有する化合物である有機化合物である。有機酸としては、酸性度がカルボキシル基-COOHに関連するアルカンカルボン酸、及び-SOOH基を含有するアリールスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な有機酸としては、酢酸及びp-トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「保護基」は、官能基の特性又は化合物の特性を全体として遮蔽又は変化させる化合物の部分を指す。保護基の化学構造は大きく異なる。保護基の1つの機能は、所望の化合物の合成における中間体として機能することである。保護/脱保護のための化学保護基及び戦略は、当該技術分野において周知である。Protective Groups in Organic Chemistry,Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,4th Ed.,2006も参照されたい。保護基は、多くの場合、ある特定の官能基の反応性を遮蔽して、所望の化学反応の有効性を助け、例えば、規則的にかつ計画的に化学結合を生成及び切断するのに利用される。「アミン保護基」は、少なくとも1個の非荷電水素を有するアミンを保護するのに有用な保護基を指す。
【0016】
「保護剤」は、保護基の結合をもたらすことができる化学反応物である。「アミン保護剤」は、アミンへのアミン保護基の結合をもたらすことができる反応物である。
【0017】
「メタル化剤」は、化合物からの有機配位子の移動をもたらすことができる化学反応物であり、配位子は、化合物上の金属原子に結合した炭素を有する。
III.調製方法
【0018】
本明細書では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を、マルチグラム又はキログラムスケールなどの様々なスケールで調製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法であって、
【化11】
(a)第1の投入混合物を調製して、第1の出力混合物を提供することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含む、
【化12】
ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を含む第2の投入混合物を調製して、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化13】
式中、
は、
【化14】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIである、方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法であって、
【化15】
(a)第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含み、
【化16】
第1の反応器が、第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を添加して、第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化17】
式中、
は、
【化18】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第2の反応器が、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供する、方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法であって、
【化19】
(a)第1の投入混合物を反応させて、第1の出力混合物を提供することと、
(b)第1の出力混合物を式(V)の化合物と反応させて、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を提供することであって、
第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含み、
【化20】
式(V)の化合物が、以下のとおりである、ことと、を含み、
【化21】
式中、
は、
【化22】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIである、方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するための方法は、
【化23】
(a)第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含み、
【化24】
第1の反応器が、第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を添加して、第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化25】
式中、
は、
【化26】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第1の塩基は、RMgX又はRLiであり、
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第2の反応器が、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供し、
ただし、R
【化27】
であり、MがMgClであり、Rがメチルであるとき、Xは、Cl又はIである。
【0022】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するための方法は、
【化28】
(a)第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含み、
【化29】
第1の反応器が、第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を添加して、第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化30】
式中、
は、
【化31】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
メタル化剤は、RMgX又はRLiであり、
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第2の反応器は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式II-b)の化合物を調製するための方法は、
【化32】
(a)第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、第1の投入混合物が、アミン保護剤、第1の塩基、メタル化剤、及び式(IV)の化合物を含み、
【化33】
第1の反応器が、第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を添加して、第2の投入混合物を第2の反応器で形成することであって、式(V)の化合物が、以下の構造を有する、ことと、を含み、
【化34】
式中、
は、
【化35】
であり、
は、Li又はMgXであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第1の塩基は、RMgX又はRLiであり、
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
は、Cl、Br又はIであり、
メタル化剤は、RMgX又はRLiであり、
は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
は、Cl、Br、又はIであり、
第2の反応器は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を提供し、
ただし、R
【化36】
であり、MがMgClであり、Rがメチルであるとき、Xは、Cl又はIである。
【0024】
いくつかの実施形態では、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、Xは、Br又はIである。いくつかの実施形態では、Xは、Clである。いくつかの実施形態では、Xは、Brである。いくつかの実施形態では、Xは、Iである。
【0025】
いくつかの実施形態では、Mは、Li又はMgXである。いくつかの実施形態では、Mは、Liである。いくつかの実施形態では、Mは、MgXである。いくつかの実施形態では、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、Mは、MgBrである。いくつかの実施形態では、Mは、MgIである。
【0026】
いくつかの実施形態では、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、Xは、Br又はIである。いくつかの実施形態では、Xは、Clである。いくつかの実施形態では、Xは、Brである。いくつかの実施形態では、Xは、Iである。
【0027】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は、以下の構造を有する。
【化37】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は、以下の構造を有する。
【化38】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は、以下の構造を有する。
【化39】
【0028】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化40】
である。
いくつかの実施形態では、Rは、
【化41】
である。
いくつかの実施形態では、Rは、
【化42】
である。
いくつかの実施形態では、Rは、
【化43】
である。
【0029】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は、以下の構造を有する。
【化44】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は、以下の構造を有する。
【化45】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は、以下の構造を有する。
【化46】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は、以下の構造を有する。
【化47】
【0030】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する際に、当該技術分野で周知の任意の好適なアミン保護剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、アミン保護剤は、無水物、シリルハライド、又はシリルトリフルオロメタンスルホネートである。好適な無水物としては、トリフルオロ酢酸無水物及びジ(tert-ブチル)ジカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。シリルハライドとしては、トリメチルシリルハライド(TMS-X)、トリエチルシリルハライド(TES-X)、トリイソプロピルシリルハライド(TIPS-X)、tert-ブチルジメチルシリルハライド(TBDMS-X)、tert-ブチルジフェニルシリルハライド(TBDPS-X)、トリフェニルシリルハライド(TPS-X)、1,2-ビス(ハロジメチルシリル)エタン(XMeSiCH-CHSiMe)が挙げられるが、これらに限定されず、式中、Xは、Cl、Br、又はIである。シリルトリフルオロメタンスルホネートとしては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TESOTf)、トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート、tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TBDMSOTf)、tert-ブチルジフェニルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TBDPSOTf)、及びトリフェニルシリルトリフルオロメタンスルホネートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アミン保護剤は、トリフルオロ酢酸無水物、ジ(tert-ブチル)ジカーボネート、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)、トリエチルシリルクロリド(TESCl)、トリイソプロピルシリルクロリド、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPSCl)、トリフェニルシリルクロリド、又は1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンである。いくつかの実施形態では、アミン保護剤は、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)である。
【0031】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する際に、式(IV)の化合物を脱プロトン化することができる任意の好適な第1の塩基を使用することができる。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、ハロゲン化リチウムと任意に錯体を形成したハロゲン化アルキルマグネシウム、例えば、iPrMgCl又はiPrMgCl-LiClなどのグリニャール試薬;アルキルリチウム試薬;アリールリチウム試薬;又は水素化ナトリウム若しくは水素化カリウムなどの無機水素化物である。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgX又はRLiである。Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIである。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgX又はRLiであり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIであるが、ただし、Rがメチルである場合、Xは、Cl又はIである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgX又はRLiであり、Rは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgX又はRLiであり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl又はIである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgX又はRLiであり、Rは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl又はIである。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgXであり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIであるが、ただし、Rがメチルである場合、Xは、Cl又はIである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgXであり、Rは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgXであり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl又はIである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgXであり、Rは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl又はIである。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の塩基は、RMgXである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピル又はフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態では、Xは、Clである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgCl又はPhMgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、PhMgClである。
【0035】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する際に、式(IV)の化合物のメタル交換反応をもたらすことができる任意の好適なメタル化剤を使用することができる。例えば、メタル化剤は、ハロゲン化リチウムと任意に錯体を形成したハロゲン化アルキルマグネシウム、例えば、iPrMgCl又はiPrMgCl-LiClなどのグリニャール試薬;アルキルリチウム試薬;又はアリールリチウム試薬である。いくつかの実施形態では、メタル化剤は、RMgX又はRLiであり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、メタル化剤は、RMgXである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピル又はフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態では、Xは、Clである。いくつかの実施形態では、メタル化剤は、iPrMgCl又はPhMgClである。いくつかの実施形態では、メタル化剤は、iPrMgClである。いくつかの実施形態では、メタル化剤は、PhMgClである。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の塩基及びメタル化剤は、それぞれアルキルリチウム試薬である。いくつかの実施形態では、第1の塩基及びメタル化剤の一方は、アルキルリチウム試薬であり、他方はグリニャール試薬である。いくつかの実施形態では、第1の塩基及びメタル化剤は、それぞれグリニャール試薬である。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgCl-LiClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgClであり、メタル化剤は、PhMgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgCl-LiClであり、メタル化剤は、iPrMgCl-LiClである。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClであり、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgCl-LiClであり、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgClであり、メタル化剤は、PhMgClであり、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClであり、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、第1の塩基は、iPrMgCl-LiClであり、メタル化剤は、iPrMgCl-LiClであり、Mは、MgClである。
【0038】
いくつかの実施形態では、アミン保護剤は、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)であり、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClであり、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、アミン保護剤は、トリエチルシリルクロリド(TESCl)であり、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClであり、Mは、MgClである。いくつかの実施形態では、アミン保護剤は、トリイソプロピルシリルクロリド、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPSCl)、トリフェニルシリルクロリド、又は1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンであり、第1の塩基は、PhMgClであり、メタル化剤は、iPrMgClであり、Mは、MgClである。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の投入混合物は、第1の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の出力混合物は、第1の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は、第1の反応器に添加される。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は、第2の反応器に添加される。式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する際に、第1の溶媒として任意の好適な溶媒を使用することができる。好適な溶媒としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、及びシクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒;トルエン及びn-ヘプタンなどの炭化水素溶媒;並びに1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、及びクロロベンゼンなどのハロゲン化溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の投入混合物は、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、n-ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、若しくはクロロベンゼン、又はこれらの組み合わせである第1の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0040】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために、当該技術分野で周知の任意の好適な反応器又は反応器の組み合わせを使用することができる。式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために使用することができる例示的な反応器としては、バッチ反応器、連続フロー反応器、プラグフロー反応器、連続管状反応器、連続撹拌タンク反応器、混合フロー反応器、セミバッチ反応器、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つの反応器を使用する。いくつかの実施形態では、2つの反応器を使用する。いくつかの実施形態では、3つの反応器を使用する。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、異なる反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、同じタイプの反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、異なるタイプの反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、単一反応器である。いくつかの実施形態では、単一反応器は、連続フロー反応器、プラグフロー反応器、連続管状反応器、又は混合フロー反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器は、単一反応器内の第1の反応ゾーンであり、第2の反応器は、単一反応器内の第2の反応ゾーンである。
【0042】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを有する1つの反応器を使用する。第1の投入混合物を、第1の温度及び第1の圧力を含む第1の一連の反応条件において、第1の時間にわたって、反応器の第1の反応ゾーンで調製することができる。第1の投入混合物を反応させて、混合物が第1の反応ゾーンから第2の反応ゾーンに移動する際に第1の出力混合物を提供することができる。式(V)の化合物を、第2の温度及び第2の圧力を含む第2の一連の反応条件において、第2の時間にわたって、反応器の第2の反応ゾーンに添加することができる。いくつかの実施形態では、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを有する1つの反応器は、プラグフロー反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを有する1つの反応器は、連続管状反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを有する1つの反応器は、再循環ループを含む。いくつかの実施形態では、第1の投入混合物及び式(V)の化合物を別々に添加する。いくつかの実施形態では、第1の投入混合物を第1の反応ゾーンに添加し、式(V)の化合物を第2の反応ゾーンに添加する。いくつかの実施形態では、第1の投入混合物及び式(V)の化合物を第1の反応ゾーンに同時に添加する。
【0043】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために、1つの反応ゾーンを有する1つの反応器を使用する。第1の投入混合物及び式(V)の化合物を、第1の温度及び第1の圧力を含む第1の一連の反応条件において、第1の時間にわたって、1つの反応ゾーンに添加することができる。次いで、1つの反応器の1つの反応ゾーンを、第2の時間にわたって、第2の温度及び第2の圧力を含む第2の一連の反応条件に移行させることができる。いくつかの実施形態では、1つの反応ゾーンを有する1つの反応器は、バッチ反応器である。いくつかの実施形態では、第1の投入混合物を第1の一連の反応条件で1つの反応ゾーンに添加し、次いで式(V)の化合物を1つの反応ゾーンに添加し、1つの反応器を第2の一連の反応条件に移行させる。いくつかの実施形態では、1つの反応ゾーンを有する1つの反応器は、セミバッチ反応器である。いくつかの実施形態では、第1の投入混合物及び式(V)の化合物を、約-20℃~約20℃の温度で、約0.1バール~約10バールの圧力で、約1時間~約24時間の時間にわたって、1つの反応ゾーンに添加して、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を生成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために、第1の反応器及び第2の反応器を含む2つの反応器を使用する。第1の反応器は、第1の温度及び第1の圧力を含む第1の一連の反応条件で動作することができる。第2の反応器は、第2の温度及び第2の圧力を含む第2の一連の反応条件で動作することができる。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、同じタイプの反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び/又は第2の反応器は、バッチ反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び/又は第2の反応器は、異なるタイプの反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び/又は第2の反応器は、セミバッチ反応器である。いくつかの実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、連続撹拌タンク反応器である。
【0045】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために、第1の反応器で任意の好適な温度を使用することができる。第1の反応器は、第1の出力混合物を適切な時間及び収率で提供するのに好適な第1の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第1の反応器は、約-78℃~約20℃の第1の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第1の反応器は、約-20℃~約0℃の第1の温度に冷却される。いくつかの実施形態では、第1の反応器は、約-20℃~約-5℃の第1の温度に冷却される。いくつかの実施形態では、第1の反応器は、約-20℃~約-10℃の第1の温度に冷却される。いくつかの実施形態では、第1の反応器は、約-20℃の第1の温度に冷却される。
【0046】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法は、任意の好適な圧力で実施することができる。例えば、第1の反応器は、第1の圧力を有することができる。好適な第1の圧力は、大気圧未満、大気圧、又は大気圧超であり得る。他の好適な第1の圧力は、0.1~10バール、0.2~9バール、0.3~8バール、0.4~7バール、0.5~6バール、0.6~5バール、0.7~4バール、0.8~3バール、0.9~2バール、又は約1バールであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、大気圧であり得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、約1バールであり得る。
【0047】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法は、任意の好適な時間で実施することができる。例えば、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するための第1の時間は、1~600分、30~600分、60~600分、60~300分、60~240分、60~180分、90~150分、又は約120分であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するための第1の時間は、約120分であり得る。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するための第1の時間は、約90分であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、第2の投入混合物は、第2の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第2の出力混合物は、第2の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第2の溶媒は、第2の反応器に添加される。いくつかの実施形態では、第2の溶媒は、第1の溶媒と同じである。いくつかの実施形態では、第2の溶媒は、第1の溶媒とは異なる。式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する際に、第2の溶媒として任意の好適な溶媒を使用することができる。好適な溶媒としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、及びシクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒;トルエン及びn-ヘプタンなどの炭化水素溶媒;並びに1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、及びクロロベンゼンなどのハロゲン化溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2の投入混合物は、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、n-ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、若しくはクロロベンゼン、又はこれらの組み合わせである第2の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第2の溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0049】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するために、第2の反応器で任意の好適な温度を使用することができる。第2の反応器は、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を含む第2の出力混合物を適切な時間及び収率で提供するのに好適な温度に維持される。いくつかの実施形態では、第2の反応器は、約-20℃~約40℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第2の反応器は、約10℃~約30℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第2の反応器は、約20℃の温度に維持される。
【0050】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法は、任意の好適な圧力で実施することができる。例えば、第2の反応器は、第2の圧力を有することができる。好適な第2の圧力は、大気圧未満、大気圧、又は大気圧超であり得る。他の好適な第1の圧力は、0.1~10バール、0.2~9バール、0.3~8バール、0.4~7バール、0.5~6バール、0.6~5バール、0.7~4バール、0.8~3バール、0.9~2バール、又は約1バールであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、大気圧であり得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、約1バールであり得る。
【0051】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法は、任意の好適な時間で実施することができる。例えば、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するための第2の時間は、1~50時間、1~48時間、1~40時間、1~30時間、1~24時間、2~12時間、4~12時間、6~10時間、6~24時間、10~20時間、又は12~18時間であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するための第2の時間は、約8時間であり得る。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製するための第2の時間は、12~18時間であり得る。
【0052】
式(II-a)又は式(II-b)の化合物は、濃縮、抽出、粉砕、結晶化、及び/又はクロマトグラフィを含む、当該技術分野で周知の任意の好適な方法によって単離することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の出力混合物と酸とを組み合わせることを更に含む。いくつかの実施形態では、酸は、ブレンステッド酸を含む。いくつかの実施形態では、酸は、有機酸若しくは鉱酸、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロパン酸、酪酸、安息香酸、リン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、酸は、有機酸を含む。いくつかの実施形態では、酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロパン酸、酪酸、又は安息香酸を含む。いくつかの実施形態では、酸は、酢酸を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物を調製する方法は、式(V)の化合物を調製することを更に含み、方法は、(a1)式(III)の化合物、
【化48】
式H-Rのアミン、及びRMgX又はRLiである第3の塩基を含む第3の反応混合物を形成することであって、式中、Rが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xが、Cl、Br、又はIであり、
それによって、式(V)の化合物を提供する、ことを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、アミンは、以下の式を有する。
【化49】
いくつかの実施形態では、アミンは、以下の式を有する。
【化50】
いくつかの実施形態では、アミンは、以下の式を有する。
【化51】
いくつかの実施形態では、アミンは、以下の式を有する。
【化52】
【0056】
いくつかの実施形態では、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、Xは、Br又はIである。いくつかの実施形態では、Xは、Clである。いくつかの実施形態では、Xは、Brである。いくつかの実施形態では、Xは、Iである。
【0057】
いくつかの実施形態では、第3の塩基は、RMgXであり、式中、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施形態では、第3の塩基は、RMgXであり、式中、Rは、メチル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、Xは、Cl又はBrである。いくつかの実施形態では、第3の塩基は、RMgClであり、Rは、メチル、イソプロピル、tert-ブチル、又はフェニルである。いくつかの実施形態では、第3の塩基は、MeMgCl、iPrMgCl、又はt-BuMgClである。いくつかの実施形態では、第3の塩基は、iPrMgClである。
【0058】
いくつかの実施形態では、アミンは、以下の式を有し、
【化53】
第3の塩基は、iPrMgClである。
いくつかの実施形態では、アミンは、以下の式を有し、
【化54】
第3の塩基は、iPrMgClである。
【0059】
本明細書に記載の方法で式(V)の化合物を調製する際に、任意の好適な溶媒を使用することができる。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、エーテル溶媒又は塩素化溶媒である第3の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、n-ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、若しくはクロロベンゼン、又はこれらの組み合わせである第3の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、又はこれらの組み合わせである第3の溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、第3の溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0060】
式(V)の化合物を調製する際に、任意の好適な温度を使用することができる。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約-78℃~約40℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約-20℃~約25℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約0℃~約25℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約10℃~約25℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約15℃~約25℃の温度に維持される。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約20℃の温度に維持される。
【0061】
いくつかの実施形態では、方法は、(a1)以下の構造を有する式(III)の化合物、
【化55】
以下の式を有するアミン、
【化56】
iPrMgClを含む第3の反応混合物を形成し、それによって以下の構造を有する式(V)の化合物を形成することと、
【化57】
(a)第1の投入混合物を第1の反応器で調製することであって、第1の投入混合物が、TMS-Cl、PhMgCl、iPrMgCl、及び以下の構造を有する式(IV)の化合物を含み、
【化58】
第1の反応器が、第1の出力混合物を提供する、ことと、
(b)第1の出力混合物及び式(V)の化合物を第2の反応器に添加し、それによって以下の構造を有する式(II-a)又は式(II-b)の化合物を形成することと、を含む。
【化59】
【0062】
以下の構造を有する式(II-a)の化合物は、
【化60】
(3R,4R,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-オールとしても知られている。
【0063】
当該技術分野で一般に理解されているように、以下の構造を有する式(II-a)の化合物は、
【化61】
以下の構造を有する式(II-b)の化合物と平衡状態で存在する。
【化62】
したがって、本明細書で使用される場合、上記の構造を有する式(II-a)の化合物は、単独で列挙されている場合、式(II-a)の化合物及び/若しくは式(II-b)の化合物又は2つの種の任意の組み合わせを意味すると理解される。
【0064】
本開示の方法は、式(III)の化合物からの式(II-a)又は式(II-b)の化合物のグラム~キログラム量の合成に適している。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、少なくとも50g、100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1kg、2kg、3kg、4kg、5kg、10kg、20kg、30kg、40kg、50kg、100kg、200kg、500kg、又は少なくとも1000kg以上の式(III)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、少なくとも1kgの式(III)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約50g~約100kg、例えば、約50g~約20kg、又は約30g~約20kgの式(III)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約5kg~約15kgの式(III)の化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第3の反応混合物は、約10kgの式(III)の化合物を含む。
【0065】
以下の構造を有する式(III)の化合物は、
【化63】
(3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-((ベンジルオキシ)メチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オンとしても知られている。
【0066】
以下の構造を有する式(IV)の化合物は、
【化64】
7-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミンとしても知られている。
【0067】
本開示の方法は、式(III)の化合物又は式(V)の化合物から任意の好適な収率で式(II-a)又は式(II-b)の化合物を提供することができる。例えば、式(II-a)又は式(II-b)の化合物は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は少なくとも99%の収率で調製することができる。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約60%~約100%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約70%~約80%又は約75%~約85%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約60%、約70%、約72%、約74%、約75%、約76%、約78%、約80%、約82%、約84%、約85%、約86%、約88%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約79%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約60%~約90%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約70%~約90%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約70%~約80%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の収率は、約75%~約85%である。
【0068】
本開示の方法は、式(III)の化合物又は式(V)の化合物から任意の好適な純度で式(II-a)又は式(II-b)の化合物を提供することができる。例えば、式(II-a)又は式(II-b)の化合物は、約95%~約100%、又は約98%~約100%等、約90%~約100%の純度で調製することができる。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物の純度は、約98%~約100%である。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物は、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、約99.9999%、又は約99.99999%の純度で調製される。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物は、約99.92%の純度で調製される。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物は、約95%~約99.999%、約98%~約99.999%、約98%~約99.99%、又は約99%~約99.99%の純度で調製される。いくつかの実施形態では、式(II-a)又は式(II-b)の化合物の純度は、約90%~約100%である。
IV.
【実施例
【0069】
実施例1.(3R,4R,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-オールの合成
【化65】
反応器に、大気圧の窒素ガス下で、式(IV)の化合物(1.2当量)及びテトラヒドロフラン(5.6体積)を入れた。内容物を約-5℃に冷却し、トリメチルシリルクロリド(2.4当量)を投入した。約30分間撹拌した後、内容物を約-10℃に冷却し、フェニルマグネシウムクロリド(2.4当量)を加えた。次いで、内容物を約-10℃で約30分間撹拌した後、約-20℃に調整した。イソプロピルマグネシウムクロリド(1.2当量)を加えた。内容物を約-20℃に調整し、約1時間撹拌した。第2の反応器に、式(III)の化合物(1.0当量、スケーリングファクター)、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン・HCl(1.1当量)及びテトラヒドロフラン(5.6体積)を投入した。内容物を約-20℃に冷却し、イソプロピルマグネシウムクロリド(2.25当量)を加えた。内容物を約20℃に調整し、約30分間撹拌した。2つの反応器の内容物を合わせ、次にテトラヒドロフラン(1.7体積)で洗い出した。混合物を約20℃で約8時間撹拌した。水(6体積)中の酢酸(0.95体積)の溶液に続いてトルエン(3.8体積)を添加し、混合物を約20℃で約30分間撹拌した。層を分離し(水層を廃棄)、有機層を10重量%重炭酸カリウム溶液(5体積)で洗浄し、次いで10重量%塩化ナトリウム溶液(5体積)で3回洗浄した。有機層を真空下で約5体積まで濃縮した。トルエン(10体積)を入れ、濃縮を繰り返した。次いで、内容物をポリッシュ濾過し、トルエン(1.5体積)で洗い出し、真空下で3体積まで濃縮した。メチルtert-ブチルエーテル(7.4体積)を加えた後、式(II-a)の化合物の種結晶(0.001×)を加え、約22℃で約1時間撹拌した。次いで、n-ヘプタン(4.4体積)を約1時間かけて添加し、内容物を約3時間かけて約0℃に調節した後、混合物を約0℃で約12時間撹拌した。スラリーを濾過し、ケークをn-ヘプタン(0.4体積)及びメチルtert-ブチルエーテル(1.5体積)ですすぎ、次いで真空下で乾燥させて、式(II-a)の化合物を得た。
【0070】
前述の開示は、理解を明確にするために説明及び例示としてある程度詳細に説明されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、特定の変更及び修正が実施されてもよいことを理解するであろう。加えて、本明細書において提供される各参考文献は、各参考文献が参照により個別に組み込まれているかのような程度まで、その全体が参照により組み込まれる。本出願と、本明細書に提供される参照文献との間に矛盾が存在する場合、本出願が優先するものとする。
【国際調査報告】