(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】腐敗しやすい物品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物並びにその製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
A23B 7/153 20060101AFI20240319BHJP
A23L 3/3454 20060101ALI20240319BHJP
A23B 9/24 20060101ALI20240319BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20240319BHJP
A23L 29/25 20160101ALI20240319BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240319BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20240319BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20240319BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20240319BHJP
A23L 29/206 20160101ALI20240319BHJP
【FI】
A23B7/153
A23L3/3454
A23B9/24
A23L29/269
A23L29/25
A23L29/238
A23L29/262
A23L29/231
A23L29/256
A23L29/206
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563008
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022024674
(87)【国際公開番号】W WO2022221443
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523387493
【氏名又は名称】アールワイピー・ラブス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アハメド・ソリマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ハルテン
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル・ユールドゥルム
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・ホルタペルス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ファン・ダイク
(72)【発明者】
【氏名】ヌリア・ビベス
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・グラディ・ジョーンズ
【テーマコード(参考)】
4B021
4B041
4B169
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021LW02
4B021MC01
4B021MK02
4B021MK05
4B021MK16
4B021MK17
4B021MK21
4B021MK28
4B021MP02
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4B041LC03
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4B169KC39
(57)【要約】
様々な機能性剤のうちの少なくとも1種を少なくとも1種の担体又は膜形成材料と組み合わせて利用することによって果実、野菜、及び植物の収穫後の腐敗を低減する使用のための可食性スプレー又はコーティング組成物を開示する。少なくとも1種の有効保存期間延長剤は、少なくとも1種の揮発性化合物、少なくとも1種の植物免疫刺激化合物、少なくとも1種の不揮発性化合物、少なくとも1種の微生物、及び/又は少なくとも1種のエチレン阻害剤化合物であってもよい。可食性スプレー又はコーティング組成物を含有する組立物、並びに可食性スプレー又はコーティング組成物の製造及び使用方法も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物であって、
a)抗菌性化合物、生物防除剤、免疫刺激化合物、エチレン阻害剤、酸化防止剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有効保存期間延長剤と、
b)乳化剤、タンパク質、油、ワックス、多糖、ゴム、炭水化物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の担体又は膜形成材料と、
を含む、可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項2】
前記抗菌性化合物が、ヘキサナール、ヘキセナール、クミナル、ペリラル、カルバクロール、チモール、シトラール、シトロネラル、シトロネロール、メントール、シンナマル、テルピネン-4-オール、テルピネオール、カルボン、メントン、プレゴン、オイゲノール、リナロール、ネロール、ネラール、ゲラニオール、ゲラニアール、ヘキサノール、ヘキセノール、オクタナール、オクタノール、オクテノール、オクテナール、ノナノール、ノナナール、ノネノール、ノネナール、ノナジエノール、ノナジエナール、ファルネソール、リモネン、ピネン、ミルセン、オシメン、テルピネン、アネトール、ボルネオール、ミルテナール、ミルテノール、フェンコール、ピペロノール、ピペロナール、プレゴール、カルベオール、デカナール、デカノール、デセナール、デセノール、デカジエノール、デカジエナール、シメン、メンタン、フェランドレン、フェランドラール、カンフェン、カンフル、フェンコン、クミノール、o-アニサル、p-アニサル、ラズベリーケトン、イオノン、ダマセノン(damescenone)、ライラックアルデヒド、フェンケン、ボルニレン、ペリロール、ピペリトン、ゲラニアール、ネロリドール、ロジノール、フラノン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の精油を含む、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項3】
前記抗菌性化合物が、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、カプサイシン、酢酸、酢酸塩、ソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸、亜硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、ソルベート、ソルビン酸カリウム、安息香酸塩、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸塩、プロピオン酸カルシウム、クルクミン、クマリン、フェニルアラニン(phenylalaine)、バニリン、ヌートカトン、ナタマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項4】
前記生物防除剤が、バシラス属、シュードモナス属、クリプトコッカス属、クロノスタキス属、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項5】
前記免疫刺激化合物が、ジャスモン酸メチル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、ベータ-アミノ酪酸(BABA)、フィトアンチシピン、バイオ炭、アシベンゾラル-S-メチル、チアミン、ジャスモン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、フィトアレキシン、ピネン、キトサン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項6】
前記エチレン阻害剤が、1-アルケン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、オイゲノール、リモネン、1-メチルシクロプロペン、リナロール、ミルセン、オシメン、ピネン、カンフェン、酢酸リナリル、ジヒドロタゲトン、エストラゴール、ネロリドール、カビコール、4-アリルアニソール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項7】
前記酸化防止剤が、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項8】
前記乳化剤が、グリセロ脂質、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、レシチン、グリセロール、ステロール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項9】
前記タンパク質が、絹タンパク質、絹フィブロイン、コラーゲン、ゼラチン、絹、グルテン、ゼイン、カゼイン、ケラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項10】
前記油が、菜種油、サフラワー油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、ダイズ油、パーム油、硬化油、ピーナッツ油、ゴマ油、アーモンド油、パラフィン油、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項11】
前記ワックスが、ビーズワックス、ラノリン、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ベーベリワックス、ダイズワックス、石油ワックス、パラフィンワックス、キャンドルワックス、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項12】
前記多糖が、セルロース、変性セルロース、ペクチン、キトサン、キチン、アルギネート、デンプン、加工デンプン、カラギナン、アガー、シェラック、ヒアルロン酸、イヌリン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項13】
前記ゴムが、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、マスチック、ジェランガム、スプルースガム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の溶媒又は希釈剤を更に含み、前記溶媒又は前記希釈剤が、アルコール、油、水、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項15】
前記アルコールが、エタノール、グリセロール、ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項16】
前記油が、菜種油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、ダイズ油、パーム油、硬化油、ピーナッツ油、ゴマ油、アーモンド油、パラフィン油、サフラワー油、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の溶媒が、水及び少なくとも1種の塩を含む、請求項14に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物であって、
a.チモール、(R)-リモネン、クミナル、オクタナール、ジャスモン酸、ボルネオール、シトラール、1-オクテン、ノナナール、(S)-シトロネラル、2-(E)-ヘキサナール、キトサン、2,4-(E),(Z)-ノナジエナール、トコフェロール、ペリラル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有効保存期間延長剤と、
b.脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロール、絹フィブロイン、ゼイン、ワックス、キトサン、セルロース、脂肪アルコール、アラビアガム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の担体又は膜形成材料と、
c.アルコール、グリセロール、油、及び水からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒又は希釈剤と、
を含む、可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の溶媒又は希釈剤が、水及び少なくとも1種の塩を含む、請求項18に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの製品と、
前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部にスプレー又はコーティングされた可食性組成物と、
を含む、組立物であって、
前記少なくとも1つの製品に適用された前記可食性組成物が、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物である、組立物。
【請求項21】
少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、
前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物をスプレーする工程を含む、方法。
【請求項22】
少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、
前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物をコーティングする工程を含む、方法。
【請求項23】
少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、
前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部を、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物に浸漬する工程を含む、方法。
【請求項24】
少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、
前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物を注ぐ工程を含む、方法。
【請求項25】
少なくとも1つの製品の有効保存期間を延長する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物を、前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に適用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による援用の規定
本出願は、2021年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/174,392号についての米国特許法第119条(e)による利益を主張するものである。上記の特許出願の全内容は、参照により本明細書に明確に援用される。
【0002】
本出願で開示及び/又は主張される発明概念は、一般に、様々な機能性剤を担体と組み合わせて利用することによる、腐敗しやすい物品、すなわち、果実、野菜、植物、及び他の腐敗しやすい物品の収穫後の保存期間の延長に関する。担体が膜形成材料であってもよいことは当業者に公知である。より具体的には、限定されるものではないが、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念は、腐敗しやすい物品の収穫後の保存期間を延長する上での、担体と組み合わせた、少なくとも1種の有効保存期間延長剤を含み得る可食性スプレー又はコーティング組成物の適用を開示し、ここで、少なくとも1種の有効保存期間延長剤は、抗菌性化合物、生物防除剤、免疫刺激化合物、エチレン阻害剤、酸化防止剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【背景技術】
【0003】
植物及び生鮮製品等の腐敗しやすい物品は、環境に曝露されたとき、劣化及び分解(すなわち、品質低下)に対して高度の感受性を示す。農産物の劣化は、例えば、農産物の外面から大気への蒸発による湿り損失、環境から農産物中へ拡散する酸素による酸化、表面への物理的ダメージ、及び/又は光誘起劣化(すなわち、光崩壊)の結果として非生物的に生じ得る。更に、細菌、菌類、ウイルス、及び/又は害虫等の生物ストレッサーが、腐敗しやすい物品に侵入して分解し得る。
【0004】
様々な化合物が、様々な品質低下機構を標的とし、品質低下を引き起こす生物の増殖及び蔓延を阻害し、病原体による攻撃に対してより耐性にする植物の自然防御機構を刺激することによって、腐敗しやすい物品の品質低下を遅延させることが知られている。例えば、特許公報国際公開第2019/108241号は、一般に、少なくとも1つの製品の有効保存期間を延長するための品質劣化を防止する鮮度保持組成物を開示している。
【0005】
別の例では、米国特許公開第20180368427号は、一般に、水分又は質量損失率を低減し、それによって品質低下の速度が遅い高品質製品を得ることによって、製品の品質低下を減らす組成物及び方法を開示している。本開示は、製品の貯蔵及び出荷中に製品からの湿り損失を防止するためのコーティング及び製品のコーティング法を提供する。これは、ひいては、低い相対湿度(例えば、出荷及び貯蔵の産業基準より低い相対湿度又は約90%未満の相対湿度)で製品を出荷及び貯蔵することを可能にし、菌類、細菌、ウイルス、及び/又は害虫等の生物ストレッサーの増殖の遅延を助けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/108241号
【特許文献2】米国特許公開第20180368427号
【特許文献3】米国特許公開第20200383343号
【特許文献4】米国特許公開第20200178576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の組成物及び方法は、少なくとも1つの製品の品質低下に影響を与える個々の要因を標的とし、他の要因は対処されないままである。したがって、本産業において、同時に複数の要因に対処することによって少なくとも1つの製品の品質低下を減らすための、少なくとも1種の有効保存期間延長剤を担体又は膜形成材料と組み合わせて含む組成物の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】冷蔵温度で24日間の期間にわたって貯蔵される製品について、本開示に従って構成されたコーティング組成物の非限定的な一実施形態を適用した効果を示すグラフである。
【
図2】
図1に示す方法を終えた時点の結果を示す写真を含む図である。左の写真は未処理の製品を示し、一方で、右の写真は、本開示による組成物で処理した製品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念は、その適用が、以下の記述中に記載されている成分又は工程又は方法の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念は、他の実施形態又は様々な方法で実践若しくは実施することができる。また、本明細書で使用される語句及び用語は、説明を目的としたものであり、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0010】
別段に本明細書に規定されない限り、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念に関連して使用される専門用語は、当業者が一般に理解する意味を有するものとする。更に、文脈上別に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0011】
本明細書で言及される全ての特許、公開されている特許出願、及び非特許刊行物は、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念に関する当業者の技能のレベルを示す。本出願の任意の部分で参照される全ての特許、公開されている特許出願、及び非特許刊行物は、それぞれの個々の特許又は刊行物が参照により援用されることが特定的に且つ個別に示された場合と同じ程度まで、参照によりそれらの全内容が本明細書中に明確に援用される。
【0012】
本明細書で開示される全ての物品及び/又は方法は、本開示を鑑みた必要以上の実験をすることなく作成且つ実行され得る。本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念の物品及び方法を好ましい実施形態によって説明したが、当業者は、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の物品及び/又は方法に、方法の工程又は一連の工程中に変更を加えることができることを理解するであろう。
【0013】
本開示に従って利用する場合、以下の用語は、別段の指定がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0014】
単語「ある(a)」又は「ある(an)」は、用語「含む(comprising)」と共に使用されるとき、「1(one)」を意味し得るが、「1以上」、「少なくとも1」、及び「1又は2以上」の意味とも一致する。本開示は「及び/又は」のみを指す定義を支持するが、用語「又は(or)」は明示されない限り、選択肢が互いに排他的である場合のみ、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用される。本出願を通して、用語「約」は、値が、測定機器(その方法は値を決定するために用いられる)の固有の誤差変動、又は試験対象の中で存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、限定されるものではないが、用語「約」を利用するとき、指定の値は、12パーセント、又は11パーセント、又は10パーセント、又は9パーセント、又は8パーセント、又は7パーセント、又は6パーセント、又は5パーセント、又は4パーセント、又は3パーセント、又は2パーセント、又は1パーセントのプラス又はマイナス範囲内で変動し得る。用語「少なくとも1」の使用は、1及び1超の任意の量(これらに限定されないが2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等を含む)を含むと理解されるであろう。用語「少なくとも1」は、付けられる用語に応じて、最大100又は1000以上にまで及び得、加えて、更に小さい限界値又は更に大きい限界値も満足な結果を生み得るため、100/1000の量は限定されるとは見なされない。加えて、「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、及びZのみ、並びにX、Y、及びZの任意の組合せを含むと理解されるであろう。序数用語(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等)は、2つ以上のものを区別するためだけに使用され、例えば、任意の配列又は順序、又は、片方のものが他方より重要性があること、又は任意の追加の順序を示唆することを意味しない。
【0015】
本明細書で使用される場合、単語「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の任意の形態のcomprising)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」等の任意の形態のhaving)、「含めた(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」等の任意の形態のincluding)又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」等の任意の形態のcontaining)は、両端を含む又は無制限であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除かない。用語「又はこれらの組合せ」は、本明細書で使用される場合、用語の前の列挙されたものの全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はこれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCのうちの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の文脈において順序が重要な場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含まれ得ることが意図される。この例に続いて、1つ又は複数のもの又は用語の繰り返しを含有する組合せ、例えばBB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等が明確に含まれる。当業者は、典型的には、文脈上、別段に明確でない限り、もの又は用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0016】
本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念は、一般に、少なくとも1種の有効保存期間延長剤、担体又は膜形成材料、及び任意選択の溶媒を含む、少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物に関する。有効保存期間延長剤は、抗菌性化合物、生物防除剤、免疫刺激化合物、エチレン阻害剤、酸化防止剤、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。担体又は膜形成材料は、乳化剤、タンパク質、ワックス、多糖、ゴム、炭水化物、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0017】
組成物が可食性スプレー組成物であるとき、組成物は、溶媒又は希釈剤を更に含んでもよい。溶媒又は希釈剤は、アルコール、油、及び水からなる群から選択され得る。
【0018】
少なくとも1つの製品は、これらに限定されないが、果実、野菜、マメ、塊茎、植物等を挙げることができる。可食性スプレー又はコーティング組成物は、収穫前又は収穫後に、少なくとも1つの製品の外面に提供され得る。
【0019】
有効保存期間延長剤は、少なくとも1種の抗菌性化合物、少なくとも1種の生物防除剤、少なくとも1種の免疫刺激化合物、少なくとも1種のエチレン阻害剤、少なくとも1種の酸化防止剤、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。一部の非限定的な実施形態において、有効保存期間延長剤は、少なくとも1種の精油を含む抗菌性化合物(限定されないが抗真菌化合物等)であってもよい。少なくとも1種の精油は、ヘキサナール、ヘキセナール、クミナル、ペリラル、カルバクロール、チモール、シトラール、シトロネラル、シトロネロール、メントール、シンナマル、テルピネン-4-オール、テルピネオール、カルボン、メントン、プレゴン、オイゲノール、リナロール、ネロール、ネラール、ゲラニオール、ゲラニアール、ヘキサノール、ヘキセノール、オクタナール、オクタノール、オクテノール、オクテナール、ノナノール、ノナナール、ノネノール、ノネナール、ノナジエノール、ノナジエナール、ファルネソール、リモネン、ピネン、ミルセン、オシメン、テルピネン、アネトール、ボルネオール、ミルテナール、ミルテノール、フェンコール、ピペロナール、プレゴール、カルベオール、デカナール、デカノール、デセナール、デセノール、デカジエノール、デカジエナール、シメン、メンタン、フェランドレン、フェランドラール、カンフェン、カンフル、フェンコン、クミノール、o-アニサル、p-アニサル、ラズベリーケトン、イオノン、ダマセノン(damescenone)、ライラックアルデヒド、フェンケン、ボルニレン、ペリロール、ピペリトン、ゲラニアール、ネロリドール、ロジノール、フラノン、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。非限定的な一実施形態では、精油は、精油成分(EOC)としても知られる種々の有機分子の複合混合物であってもよく、その非限定例としては、モノテルペン、ジテルペン、セスキテルペン、又はこれらの酸化形態、テルペノイド、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、フェノール、チオール、アルカロイド、及びこれらの組合せが挙げられる。非限定的な一実施形態では、精油化合物は、少なくとも1種の植物から蒸留又は抽出されたものでもよい。例えば、決して限定されるものではないが、少なくとも1種の植物から蒸留又は抽出された精油化合物は、タイム油、ティーツリー油、柑橘油、これらの組合せ等であってもよい。精油の化学組成は、精油が収穫される日、月、又は季節の時に応じて変動し得る。他の非限定的な実施形態では、抗菌性化合物は、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、カプサイシン、酢酸、酢酸塩、ソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸、亜硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、ソルベート、ソルビン酸カリウム、安息香酸塩、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸塩、プロピオン酸カルシウム、ナイシン(nicin)、クルクミン、クマリン、フェニルアラニン(phenylalaine)、バニリン、ヌートカトン、ナタマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される非精油を含む。アルカロイドの例としては、これらに限定されないが、カプサイシンを挙げることができる。一部の非限定的な実施形態では、抗菌性化合物は、合成油であってもよい。合成油の非限定例は、メントール、ユーカリプトール、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。合成油は、特定の精油のEOCの少なくとも1つを有し得る。更に、合成油の化学組成は、バッチごとに変わり得る。抗菌性化合物は、少なくとも1つの製品の品質低下を引き起こし得る少なくとも1種の微生物の増殖、蔓延、及び/又は繁殖を抑えることができる。少なくとも1種の微生物は、菌類、細菌、かび、酵母等であってもよい。
【0020】
非限定例な一実施形態では、可食性スプレー又はコーティング組成物は、少なくとも第1の抗菌性化合物及び第2の抗菌性化合物を含んでもよい。2種以上の抗菌性化合物は、1種の抗菌性化合物を含む可食性スプレー又はコーティング組成物と比較して、少なくとも1つの製品の延長された保存期間の相乗効果を生み出すことができる。可食性スプレー又はコーティング組成物の2種以上の抗菌性化合物は、一致した作用をすることも、互いに独立して作用することもできる。一部の非限定的な実施形態では、可食性スプレー又はコーティング組成物の第2の適用によるプラスの相互作用結果を得るために、可食性スプレー又はコーティング組成物の第1の適用に関するマイナスの相互作用結果が許容され得る。
【0021】
他の非限定的な実施形態では、有効保存期間延長剤は、少なくとも1種の生物防除剤であってもよい。生物防除剤は、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、クロノスタキス属(Clonostachys)、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。非限定的な一実施形態では、生物防除剤は、少なくとも1種の微生物を含んでもよい。可食性スプレー又はコーティング組成物は、品質低下を引き起こす生物と競合するか又はそうでなければ阻止して所望の生物学的結果を実現するために生物防除剤を有してもよい。生物防除剤は、可食性スプレー又はコーティング組成物が本開示に従って機能することを可能にする任意の濃度で存在し得る。非限定的な一実施形態では、可食性スプレー又はコーティング組成物中に存在する生物防除剤の濃度は、最大で約1×109cfu/gであり得る。
【0022】
非限定的な一実施形態では、生物防除剤は微生物であり、微生物は、休止状態又は活性状態の組成物中に配置され得る。非限定的な一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、乾燥粉末の形態であってもよい。一例として、限定するものではないが、乾燥粉末の形態の休止状態の少なくとも1種の微生物は、凍結乾燥粉末であってもよい。一部の非限定的な実施形態では、担体又は膜形成材料は、少なくとも1種の微生物の増殖を促進するための必須栄養素を有していてもよい。少なくとも1種の微生物は、(例えば、限定されるものではないが)細菌、菌類、又はウイルスであってもよい。
【0023】
別の実施形態では、少なくとも1つの製品の皮の状態が変化し始めたとき、少なくとも1種の生物防除剤は、休止状態から活性状態へ変換され得る。少なくとも1つの製品の皮の状態における変化としては、これらに限定されないが、表面の傷み、少なくとも1つの製品の表面上の水分の増加、少なくとも1つの製品の表面の裂け目、少なくとも1つの製品の表面上の病原性生物の増加、及びこれらの組合せが挙げられる。製品の表面上の病原性生物の増加は、生物防御の栄養源になる製品の劣化に起因して生物防除剤の増殖をもたらし得る。製品の表面の劣化は、製品の表面上の水の存在を増加し得、且つ可食性スプレー又はコーティング組成物中に存在する生物防除剤の栄養源を提供し得る。可食性スプレー又はコーティング組成物中に存在しながら、生物防除剤が休止状態から活性状態へ変換されると、負のフィードバックループ中で生物防除剤により病原体の蔓延及び増殖を制御することによって少なくとも1種の病原体の存在を抑えることができる。
【0024】
非限定的な一実施形態では、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念は、担体又は膜形成材料、抗菌性化合物、及び所望の生物学的結果を実現するための生物防除剤を含む可食性スプレー又はコーティング組成物であってもよい。担体又は膜形成材料、抗菌性化合物、及び生物防除剤を含む可食性スプレー又はコーティング組成物は、担体若しくは膜形成材料又は抗菌性化合物又は生物防除剤のみを含む可食性スプレー又はコーティング組成物が個別に少なくとも1つの製品に適用されて有する少なくとも1つの製品の保存期間の延長と比較して、少なくとも1つの製品の保存期間の延長を延ばす相乗効果を生み出すことができる。
【0025】
他の非限定的な実施形態では、有効保存期間延長剤は、少なくとも1種の免疫刺激化合物であってもよい。免疫刺激化合物は、ジャスモン酸メチル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、ベータ-アミノ酪酸(BABA)、フィトアンチシピン(phytoanticipine)、バイオ炭、アシベンゾラル-S-メチル、チアミン、ジャスモン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、フィトアレキシン、ピネン、キトサン、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。免疫刺激化合物は、罹患生物に直接影響せず、少なくとも1つの製品のDNAも変更しない化合物を指す。免疫刺激化合物は、少なくとも1つの製品の自然防御機構を活性化する。当業者は、免疫刺激化合物という用語が「植物活性化剤」としても知られ得ることを理解する。可食性スプレー又はコーティング組成物中の免疫刺激化合物の濃度は、約0.1質量%から約20質量%の範囲であってもよい。
【0026】
非限定的な一実施形態では、本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念は、担体又は膜形成材料、少なくとも1種の抗菌性化合物、及び少なくとも1種の免疫刺激化合物を含む可食性スプレー又はコーティング組成物であってもよい。例えば、少なくとも1種の抗菌性化合物を含む可食性スプレー又はコーティング組成物は、少なくとも1つの製品上の第1の菌類の増殖及び蔓延を阻止することができ、且つ免疫刺激化合物は、第1の菌類に対する少なくとも1つの製品の自然防御を活性化することによって、第1の菌類に起因する少なくとも1つの製品の損失を減少する所望の生物学的結果を実現することができる。非限定的な一実施形態では、担体、少なくとも1種の抗菌性化合物、及び少なくとも1種の免疫刺激化合物を含む可食性スプレー又はコーティング組成物は、担体、少なくとも1種の抗菌性化合物、及び少なくとも1種の免疫刺激化合物が個別に適用された少なくとも1つの製品の損失と比較して、少なくとも1つの製品の損失を更に抑える相乗効果を生み出すことができる。別の実施形態では、より低濃度の抗菌性化合物及びより低濃度の免疫刺激化合物を有する可食性スプレー又はコーティング組成物は、少なくとも1つの製品に適用すれば、少なくとも1つの製品に個別に適用された、より高濃度の抗菌性化合物を有する可食性スプレー又はコーティング組成物及びより高濃度の免疫刺激化合物を有する可食性スプレー又はコーティング組成物と同じ所望の生物学的結果を実現することができる。
【0027】
他の非限定的な実施形態では、有効保存期間延長剤は、1-アルケン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、オイゲノール、リモネン、1-メチルシクロプロペン、リナロール、ミルセン、オシメン、ピネン、カンフェン、酢酸リナリル、ジヒドロタゲトン、エストラゴール、ネロリドール、カビコール、4-アリルアニソール、及びこれらの組合せからなる群から選択されるエチレン阻害剤であってもよい。エチレン阻害剤は、少なくとも1つの製品中のエチレンシグナル受容体を遮断する又は少なくとも1つの製品によるエチレンの生合成を阻害することによって、少なくとも1つの製品中のエチレン関連経路のシグナル伝達及び/又はエチレンの生成を阻害する化合物を指す。エチレンは、「成熟ホルモン」として知られ、製品を成熟させ得る、一部の製品によって放出されるガス状化合物である。可食性スプレー又はコーティング組成物中のエチレン阻害剤の濃度は、約0.1質量%から約20質量%の範囲であってもよい。
【0028】
非限定的な一実施形態では、可食性スプレー又はコーティング組成物は、製品上の第1の菌類の増殖及び蔓延を阻止することができる抗菌性化合物と、エチレン関連経路のシグナル伝達を遮断し且つ/又は製品によるエチレンの生成及び放出を阻害することができるエチレン阻害剤化合物と、を含んでもよい。可食性スプレー又はコーティング組成物は、第1の菌類及びエチレンに起因する少なくとも1つの製品の劣化を低減する所望の生物学的結果を実現するために、製品の表面上にスプレー、コーティング、又は別法で適用され得る。抗菌性化合物及びエチレン阻害剤を含む可食性スプレー又はコーティング組成物は、抗菌性化合物及びエチレン阻害剤が個別に少なくとも1つの製品の表面に適用されるときの少なくとも1つの製品の保存期間の延長と比較して、少なくとも1つの製品の保存期間を更に延長させる相乗効果を生むことができる。
【0029】
他の非限定的な実施形態では、有効保存期間延長剤は酸化防止剤であってもよい。酸化防止剤は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。可食性スプレー又はコーティング組成物中の酸化防止剤の濃度は、約.1質量%から約20質量%の範囲であってもよい。
【0030】
特定の(非限定的な)実施形態では、可食性スプレー又はコーティング組成物は、2種以上の有効保存期間延長剤、例えば(これらに限定されないが)、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上、26種以上、27種以上、28種以上、29種以上、30種以上、35種以上、40種以上、45種以上、又は50種以上の有効保存期間延長剤を含有する。2種以上の有効保存期間延長剤が存在するとき、該有効保存期間延長剤は、同じ部類の化合物(すなわち、抗菌性化合物、生物防除剤、免疫刺激化合物、エチレン阻害剤、酸化防止剤等)由来又は化合物類の組合せ由来であってもよい。
【0031】
有効保存期間延長剤は、可食性スプレー又はコーティング組成物中に、組成物を本明細書に記載されるように又は別法で企図されるように機能させる任意の百分率の濃度で存在し得る。例えば(限定されるものではないが)、各有効保存期間延長剤は、組成物中に、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、又はそれ以上の百分率濃度で存在してもよい。加えて、本開示の範囲は、上記の2つの値の組合せで構成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約30%の範囲、約0.05%~約25%の範囲、約0.1%~約20%の範囲等)内に含まれる任意の百分率濃度の、組成物中の各有効保存期間延長剤の存在も含む。
【0032】
本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念における少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物の担体又は膜形成材料は、乳化剤、タンパク質、ワックス、多糖、ゴム、炭水化物、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。担体又は膜形成材料は、少なくとも1つの製品の表面上への有効保存期間延長剤の配置等により製品の表面を交換又は補強することを通じて、少なくとも1つの製品の品質低下を防止することができる。担体又は膜形成材料は、腐敗しやすい物品の有効保存期間を増加する働きをすることができ、且つ/又は少なくとも1つの製品の品質低下を低減する働きをすることができる。
【0033】
一部の非限定的な実施形態では、担体又は膜形成材料は、乳化剤であってもよい。乳化剤は、グリセロ脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪アルコール、レシチン、グリセロール、ステロール、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。可食性スプレー又はコーティング組成物中の乳化剤の濃度は、約.1質量%から約20質量%の範囲であってもよい。米国特許公開第20200383343号は、参照により本明細書に援用される。
【0034】
一部の実施形態では、担体又は膜形成材料はタンパク質であってもよい。タンパク質は、絹タンパク質、絹フィブロイン、コラーゲン、ゼラチン、絹、グルテン、ゼイン、カゼイン、ケラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。可食性スプレー又はコーティング組成物中のタンパク質の濃度は、約0.5質量%から約20質量%の範囲であってもよい。米国特許公開第20200178576号は、参照により本明細書に援用される。
【0035】
他の非限定的な実施形態では、担体又は膜形成材料はワックスであってもよい。ワックスは、ビーズワックス、ラノリン、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ベーベリワックス、ダイズワックス、石油ワックス、パラフィンワックス、キャンドルワックス、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよく、又は油でもよい。他の非限定的な実施形態では、担体又は膜形成材料は、油であってもよい。油は、菜種油、サフラワー油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、ダイズ油、パーム油、硬化油、ピーナッツ油、ゴマ油、アーモンド油、パラフィン油、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。少なくとも1つの製品への適用時の可食性スプレー又はコーティング組成物中のワックスの濃度は、約.1質量%から約10質量%の範囲であってもよい。少なくとも1つの製品への適用時の可食性スプレー又はコーティング組成物中の油の濃度は、約40%から約98%の範囲であってもよい。
【0036】
他の非限定的な実施形態では、担体又は膜形成材料は、多糖又はゴムであってもよい。多糖は、セルロース、変性セルロース、ペクチン、キトサン、キチン、アルギネート、デンプン、加工デンプン、カラギナン、アガー、シェラック、ヒアルロン酸、イヌリン、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。ゴムは、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、マスチック、ジェランガム、スプルースガム、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。アラビアガムは、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、及びグルクロン酸(glucoronic acid)で構成される。アラビアガムは、水を有する溶媒中で油を安定化させることができる。非限定的な一実施形態では、少なくとも1つの製品の保存期間を延長するために、約10%のアラビアガムを、デンプン、マルトデキストリン、インスリン、及び精油のうちの少なくとも1つと組み合わせて使用してもよい。
【0037】
特定の(非限定的な)実施形態では、可食性スプレー又はコーティング組成物は、2種以上の担体又は膜形成材料、例えば(これらに限定されないが)、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上、26種以上、27種以上、28種以上、29種以上、30種以上、35種以上、40種以上、45種以上、又は50種以上の担体又は膜形成材料を含有する。2種以上の担体又は膜形成材料が存在するとき、材料は、同じ部類の化合物(すなわち、乳化剤、タンパク質、ワックス、多糖、ゴム、炭水化物等)由来又は化合物類の組合せ由来であってもよい。
【0038】
担体又は膜形成材料は、可食性スプレー又はコーティング組成物中に、組成物を本明細書に記載されるように又は別法で企図されるように機能させる任意の百分率の濃度で存在し得る。例えば(限定されるものではないが)、各担体又は膜形成材料は、組成物中に、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又はそれ以上の百分率濃度で存在してもよい。加えて、本開示の範囲は、上記の2つの値の組合せで構成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約90%の範囲、約0.05%~約50%の範囲、約0.1%~約50%の範囲、約0.1%~約20%の範囲等)内に含まれる任意の百分率濃度の、組成物中の各担体又は膜形成材料の存在も含む。
【0039】
本開示の及び/又は特許請求の範囲の発明概念における少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー組成物の溶媒は、存在する場合、アルコール、油、水、又はこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。一部の非限定的な実施形態では、溶媒として水を少なくとも1種の塩と組み合わせて使用することがある。一部の非限定的な実施形態では、アルコールは、エタノール、グリセロール、ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。一部の非限定的な実施形態では、油は、菜種油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、ダイズ油、パーム油、硬化油、ピーナッツ油、ゴマ油、アーモンド油、パラフィン油、サフラワー油、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0040】
特定の(非限定的な)実施形態では、溶媒は、2種以上の溶媒、例えば(これらに限定されないが)3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上を含有する。2種以上の溶媒が存在するとき、溶媒は、同じ部類の化合物(すなわち、アルコール、油、水等)由来又は化合物類の組合せ由来であってもよい。
【0041】
溶媒は、組成物を本明細書に記載されるように又は別法で企図されるように機能させる任意の百分率の濃度で、可食性スプレー又はコーティング組成物中に存在してもよい。例えば(限定されるものではないが)、各溶媒は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上の百分率濃度で、組成物中に存在してもよい。加えて、本開示の範囲は、上記の2つの値の組合せで構成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約95%の範囲、約0.1%~約59%の範囲等)内に含まれる任意の百分率濃度の、組成物中の各溶媒の存在も含む。
【0042】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、劣化及び分解(例えば、品質低下)から少なくとも1つの製品を保護し、且つ少なくとも1つの製品の保存期間を延長するために、可食性スプレー又はコーティング組成物を、少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面上に適用する方法を対象とする。可食性スプレー又はコーティング組成物は、当該技術分野において公知の又は別法で本明細書において企図される任意の方法、例えば(これらに限定されないが)、スプレー、コーティング、浸漬、注入、ブラッシング、噴霧等によって、少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に適用され得る。可食性スプレー又はコーティング組成物を少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面上へ適用する方法は、少なくとも1つの製品の表面上に保護コーティングを形成する。可食性スプレー又はコーティング組成物を少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面上に適用する方法は、(例えば、限定されるものではないが)約100ミクロン以下の平均直径を有する混合物の小滴を形成する霧を形成する工程と、霧を少なくとも1つの製品の表面と接触させ、混合物の一部が少なくとも1つの製品の表面の少なくとも一部に蓄積する工程も、含み得る。可食性スプレー又はコーティング組成物の溶媒は、蒸発又は強制対流によって表面から部分的に除去され得る。少なくとも1つの製品の表面上に残留した可食性スプレー又はコーティング組成物は、保護コーティングを形成する。保護コーティングは、少なくとも1つの製品を、物理的ダメージ、質量又は湿り損失等の生物又は非生物ストレッサー、酸化、かび、菌類、及び侵襲から保護することによって、少なくとも1つの製品の保存期間を延長する。
【0043】
一部の非限定的な実施形態では、少なくとも1つの製品を保存する方法は、少なくとも1つの製品を殺菌することを含んでもよい。少なくとも1つの製品の殺菌及び保存の方法は、可食性スプレー又はコーティング組成物及び殺菌剤を含む消毒液を生成する工程を含んでもよい。消毒液は、保護コーティングを固化及び形成するように構成されている。消毒液は、少なくとも1つの製品を殺菌するのに十分な時間、腐敗しやすい物品の表面に適用され得る。可食性スプレー又はコーティング組成物の少なくとも一部の溶媒及び殺菌剤は、蒸発又は強制対流によって製品の表面から除去される。製品の表面上に残留する消毒液が保護コーティングを形成することができる。殺菌剤は、(例えば、限定されるものではないが)卵又は植物製品から誘導される天然界面活性剤であってもよい。一部の非限定的な実施形態では、殺菌剤は、エタノール、アセトン、イソプロパノール、及び/又は酢酸エチル(例えば、水に溶解されている)からなる群から選択されてもよい。一部の非限定的な実施形態では、殺菌剤は、少なくとも30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)のエタノールを含有する。一部の非限定的な実施形態では、殺菌剤は、製品の表面と可食性スプレー又はコーティング組成物との間に位置してよく、可食性スプレー又はコーティング組成物と製品の表面との間の連結剤として作用することができる。殺菌剤はまた、コーティング剤が崩壊して層になるのを防止する層間剥離剤としても作用し得る。
【0044】
上記の態様のいずれかの一部の非限定的な実施形態では、溶媒は水を含んでもよい。一部の非限定的な実施形態では、殺菌剤はアルコールでもよい。殺菌剤は、エタノール、アセトン、イソプロパノール、又は酢酸エチル(例えば、水に溶解されている)を含んでもよい。一部の非限定的な実施形態では、殺菌剤は、少なくとも30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)のエタノールを含有する。一部の非限定的な実施形態では、可食性基材の殺菌は、可食性基材上の菌類の増殖を防止することができる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を記載する。しかしながら、本開示は、その用途が、本明細書中での後に開示する特定の実験、結果、及び実験手順に限定されないことを理解されたい。むしろ、実施例は、単純に、様々な実施形態の1つとして提供されるものであり、限定されず、例示的であることを意味する。
【0046】
(実施例1)
この実施例では、可食性スプレー又はコーティング組成物を、浸漬コーティング法によって第1の製品群(この場合はイチゴ)に適用した。第2の製品群は可食性スプレー又はコーティング組成物でコーティングせず、対照群として残した。
【0047】
第1及び第2の製品群を2~6℃の標準冷蔵装置中に4週間貯蔵した。毎日、かびに感染した製品の数を測定した。可食性スプレー又はコーティング組成物は、精油化合物、水、並びに天然油の混合物、脂肪酸塩、及びグリセロールを含めた担体を含んでいた。担体を形成する方法は、担体が均一な固体状態になるまで、天然油の混合物をアルカリ剤と合わせた。アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二カリウム、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択した。天然油の混合物は、菜種油、パーム油、ヤシ油、ゴマ油、ブドウ種子油、及びこれらの組合せからなる群から選択した。実験中、アルカリ剤は水酸化ナトリウムであり、使用した天然油は菜種油だった。水酸化ナトリウムと菜種油を組み合わせると、鹸化反応が生じ、菜種油のトリグリセリドが水酸化ナトリウムと反応してグリセロール及び脂肪酸塩を形成する。菜種油の使用により、脂肪酸塩は、オレイン酸ナトリウム及びリノール酸ナトリウムを含んでいた。担体は、14から7の範囲のpHを有していてもよい。実験中、担体は、10未満のpHを有していた。担体を、0.3w%の担体及び99.7w%の水を含む溶媒に添加して、粘稠液又はゲルを形成した。粘性を調整するための添加剤は一切混合物に添加しなかった。しかしながら、一部の非限定的な実施形態では、天然添加剤を可食性スプレー又はコーティング組成物中に添加して、組成物の粘性を調整してもよい。天然添加剤は、(例えば、限定されるものではないが)アルギン酸塩、キトサン、シェラック、アラビアガム、カラギナン、セルロース、デンプン、少なくとも1種の精油、ヤシ油、ダイズ油、少なくとも1種の酸化防止剤、トコフェロール、塩、及びこれらの組合せであってもよい。次の工程は、有効保存期間延長剤を担体及び溶媒組成物に添加する工程だった。この実施例では、クミンアルデヒドを添加して最終濃度4w%が達成された。実験の次の工程として、30℃までの短時間のアニールを適用し、可食性スプレー又はコーティング組成物を形成するために超音波処理を適用した。浸漬法により、可食性スプレー又はコーティング組成物を第1の群の少なくとも1つの製品に適用した。第1の群の少なくとも1つの製品を約10秒間浸漬させ、次いで容器中に保存した。
図1及び
図2で確認できるように、第1の群の少なくとも1つの製品は、第2の群の少なくとも1つの製品よりかなり低い真菌感染率を有していた。
【0048】
(実施例2)
この実施例は、本開示に従って構成された可食性スプレー又はコーティング組成物の配合の様々な非限定的な実施形態を提供する。
【0049】
以下は、少なくとも1種の有効保存期間延長剤、少なくとも1種の担体又は膜形成材料、及び少なくとも1種の溶媒を含む可食性スプレー又はコーティング組成物の非限定的な実施例であり、ここで、少なくとも1種の有効保存期間延長剤は少なくとも1種の精油を含み、少なくとも1種の担体又は膜形成材料は少なくとも1種の乳化剤を含み、溶媒又は希釈剤は水を含む:
1)チモール(0.5~20%)、(R)-リモネン(0.5~20%)、脂肪酸の混合物(0.5~20%)、及び水(40~98.5%)、
2)クミナル(0.5~20%)、グリセロ脂質の混合物(0.5~20%)、油(0.5~20%)、及び水(40~98.5%)、並びに
3)クミナル(0.5~20%)、脂肪酸の混合物(0.5~20%)、グリセロール(0.1~20%)、水(40~98.5%)、及び油(0~50%)。
【0050】
以下は、少なくとも1種の有効保存期間延長剤、少なくとも1種の担体又は膜形成材料、及び少なくとも1種の溶媒を含む可食性スプレー又はコーティング組成物の非限定的な実施例であり、ここで、少なくとも1種の有効保存期間延長剤は精油を含み、少なくとも1種の担体又は膜形成材料は少なくとも1種のタンパク質を含み、少なくとも1種の溶媒又は希釈剤は水を含む:
1)オクタナール(0.5~20%)、ジャスモン酸(0.05~10%)、絹フィブロイン(0.5~50%)、及び水(20~98%)、
2)ボルネオール(0.5~20%)、ゼイン(0.5~50%)、アルコール(0~98%)、及び水(0~98%)。
【0051】
以下は、少なくとも1種の有効保存期間延長剤及び少なくとも1種の担体又は膜形成材料を含む可食性スプレー又はコーティング組成物の非限定的な実施例であり、ここで、少なくとも1種の有効保存期間延長剤は精油を含み、少なくとも1種の担体又は膜形成材料は、ワックス、油、及びこれらの組合せからなる群から選択され、ここで、油は更に溶媒として作用し得る:
1)シトラール(0.5~20%)、1-オクテン(0.5~20%)、ワックス(0.1~10%)、及び油(50~98%)、
2)ノナナール(0.5~20%)、(S)-シトロネラル(0.5~20%)、ワックス(0.1~10%)、及び油(50~98%)。
【0052】
以下は、少なくとも1種の有効保存期間延長剤及び少なくとも1種の担体又は膜形成材料を含む可食性スプレー又はコーティング組成物の非限定的な実施例であり、ここで、少なくとも1種の有効保存期間延長剤は精油を含み、少なくとも1種の担体又は膜形成材料は炭水化物及び/又はゴムを含み、少なくとも1種の溶媒又は希釈剤は水を含む:
1)2-(E)-ヘキサナール(0.1~20%)、キトサン(0.1~50%)、及び水(30~98%)、
2)2,4-(E),(Z)-ノナジエナール(0.5~20%)、トコフェロール(0.1~20%)、セルロース(20~60%)、及び水(20~98%)。
【0053】
以下は、少なくとも1種の有効保存期間延長剤、少なくとも1種の担体又は膜形成材料、及び少なくとも1種の溶媒を含む可食性スプレー又はコーティング組成物の非限定的な実施例であり、ここで、少なくとも1種の有効保存期間延長剤は精油を含み、少なくとも1種の担体又は膜形成材料は、炭水化物、ゴム、ワックス、油、タンパク質、及び/又は乳化剤を含み、少なくとも1種の溶媒又は希釈剤は、水又は油を含む:
1)ペリラル(0.5~20%)、ワックス(0.1~20%)、脂肪アルコール(0.1~10%)、グリセロール(0.1~20%)、及び油(40~98%)、
2)チモール(0.5~20%)、アラビアガム(0.1~20%)、脂肪酸の混合物(0.1~20%)、及び水(0.5~98%)。
【0054】
したがって、本開示によれば、上記の目的及び利点を完全に満たす、組成物並びにその製造及び使用方法を提供した。本開示を、特定の図面、実験、結果、及び上記の言語と併せて記載してきたが、多くの改変、修正、及び変更が当業者にとって明らかになることは明確である。これに応じて、本開示の趣旨及び広範囲内に含まれる該改変、修正、及び変更の全てが包含されることが意図される。
【0055】
以下は、本明細書で開示される発明概念の非限定的な例示的実施形態のリストである。
【0056】
1.少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物であって、a.抗菌性化合物、生物防除剤、免疫刺激化合物、エチレン阻害剤、酸化防止剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有効保存期間延長剤と、b.乳化剤、タンパク質、ワックス、多糖、ゴム、炭水化物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の担体又は膜形成材料と、を含む、可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0057】
2.抗菌性化合物が、ヘキサナール、ヘキセナール、クミナル、クミンアルデヒド(cuninaldehyde)、ペリラル、カルバクロール、チモール、シトラール、シトロネラル、シトロネロール、メントール、シンナマル、テルピネン-4-オール、テルピネオール、カルボン、メントン、プレゴン、オイゲノール、リナロール、ネロール、ネラール、ゲラニオール、ゲラニアール、ヘキサノール、ヘキセノール、オクタナール、オクタノール、オクテノール、オクテナール、ノナノール、ノナナール、ノネノール、ノネナール、ノナジエノール、ノナジエナール、ファルネソール、リモネン、ピネン、ミルセン、オシメン、テルピネン、アネトール、ボルネオール、ミルテナール、ミルテノール、フェンコール、ピペロノール、ピペロナール、プレゴール、カルベオール、デカナール、デカノール、デセナール、デセノール、デカジエノール、デカジエナール、シメン、メンタン、フェランドレン、フェランドラール、カンフェン、カンフル、フェンコン、クミノール、o-アニサル、p-アニサル、ラズベリーケトン、イオノン、ダマセノン(damescenone)、ライラックアルデヒド、フェンケン、ボルニレン、ペリロール、ピペリトン、ゲラニアール、ネロリドール、ロジノール、フラノン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の精油を含む、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0058】
3.抗菌性化合物が、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、カプサイシン、酢酸、酢酸塩、ソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸、亜硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、ソルベート、ソルビン酸カリウム、安息香酸塩、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸塩、プロピオン酸カルシウム、クルクミン、クマリン、フェニルアラニン(phenylalaine)、バニリン、ヌートカトン、ナタマイシン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0059】
4.生物防除剤が、バシラス属、シュードモナス属、クリプトコッカス属、クロノスタキス属、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0060】
5.免疫刺激化合物が、ジャスモン酸メチル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、ベータ-アミノ酪酸(BABA)、フィトアンチシピン、バイオ炭、アシベンゾラル-S-メチル、チアミン、ジャスモン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、フィトアレキシン、ピネン、カンフェン、キトサン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0061】
6.エチレン阻害剤が、1-アルケン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、オイゲノール、リモネン、1-メチルシクロプロペン、リナロール、ミルセン、オシメン、ピネン、カンフェン、酢酸リナリル、ジヒドロタゲトン、エストラゴール、ネロリドール、カビコール、4-アリルアニソール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0062】
7.酸化防止剤が、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0063】
8.乳化剤が、グリセロ脂質、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、レシチン、グリセロール、ステロール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性プレー又はコーティング組成物。
【0064】
9.タンパク質が、絹タンパク質、絹フィブロイン、コラーゲン、ゼラチン、絹、グルテン、ゼイン、カゼイン、ケラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性プレー又はコーティング組成物。
【0065】
10.油が、菜種油、サフラワー油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、ダイズ油、パーム油、硬化油、ピーナッツ油、ゴマ油、アーモンド油、パラフィン油、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性プレー又はコーティング組成物。
【0066】
11.ワックスが、ビーズワックス、ラノリン、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ベーベリワックス、ダイズワックス、石油ワックス、パラフィンワックス、キャンドルワックス、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0067】
12.多糖が、セルロース、変性セルロース、ペクチン、キトサン、キチン、アルギネート、デンプン、加工デンプン、カラギナン、アガー、シェラック、ヒアルロン酸、イヌリン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0068】
13.ゴムが、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、マスチック、ジェランガム、スプルースガム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0069】
14.少なくとも1種の溶媒又は希釈剤を更に含み、溶媒又は前記希釈剤が、アルコール、油、水、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0070】
15.アルコールが、エタノール、グリセロール、ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0071】
16.油が、菜種油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、ダイズ油、パーム油、硬化油、ピーナッツ油、ゴマ油、アーモンド油、パラフィン油、サフラワー油、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0072】
17.少なくとも1種の溶媒が、水及び少なくとも1種の塩を含む、請求項14に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0073】
18.少なくとも1つの製品の保存期間を延長するための可食性スプレー又はコーティング組成物であって、a.チモール、(R)-リモネン、クミナル、オクタナール、ジャスモン酸、ボルネオール、シトラール、1-オクテン、ノナナール、(S)-シトロネラル、2-(E)-ヘキサナール、キトサン、2,4-(E),(Z)-ノナジエナール、トコフェロール、ペリラル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の有効保存期間延長剤と、b.脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロール、絹フィブロイン、ゼイン、ワックス、キトサン、セルロース、脂肪アルコール、アラビアガム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の担体又は膜形成材料と、c.アルコール、グリセロール、油、及び水からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒又は希釈剤と、を含む、可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0074】
19.少なくとも1種の溶媒又は希釈剤が、水及び少なくとも1種の塩を含む、請求項18に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物。
【0075】
20.少なくとも1つの製品と、少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部にスプレー又はコーティングされた可食性組成物と、を含む、組立物であって、少なくとも1つの製品に適用された可食性組成物が、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物である、組立物。
【0076】
21.少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物をスプレーする工程を含む、方法。
【0077】
22.少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物をコーティングする工程を含む、方法。
【0078】
23.少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物を浸漬する工程を含む、方法。
【0079】
24.少なくとも1つの製品の表面上に可食性スプレー又はコーティング組成物を適用する方法であって、前記少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物を注ぐ工程を含む、方法。
【0080】
25.少なくとも1つの製品の有効保存期間を延長する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の可食性スプレー又はコーティング組成物を、少なくとも1つの製品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に適用する工程を含む、方法。
【国際調査報告】