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特表2024-513996腐敗しやすい品物の寿命を延長するための制御放出送達組成物、並びにその製造方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】腐敗しやすい品物の寿命を延長するための制御放出送達組成物、並びにその製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/153 20060101AFI20240319BHJP
   A23B 9/24 20060101ALI20240319BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/275 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/206 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/288 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 29/294 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 3/3454 20060101ALI20240319BHJP
   A23B 9/18 20060101ALI20240319BHJP
   A23L 3/3409 20060101ALI20240319BHJP
   A23B 7/144 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A23B7/153
A23B9/24
A23L29/231
A23L29/275
A23L29/238
A23L29/256
A23L29/206
A23L29/262
A23L29/269
A23L29/281
A23L29/288
A23L29/294
A23L3/3454
A23B9/18
A23L3/3409
A23B7/144
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563042
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022025245
(87)【国際公開番号】W WO2022221776
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/176,030
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523387493
【氏名又は名称】アールワイピー・ラブス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アハメド・ソリマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ハルテン
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル・エメク・ユールドゥルム
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・ホルタペルス
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・グラディ・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ヨゼフ・ジェラルデュス・ファン・ダイク
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスカ・カルッチオ
【テーマコード(参考)】
4B021
4B041
4B169
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021LW02
4B021MC01
4B021MK02
4B021MK05
4B021MK17
4B021MK28
4B021MP07
4B041LC03
4B041LC10
4B041LD01
4B041LE02
4B041LH11
4B041LK05
4B041LK08
4B041LK19
4B041LP14
4B169AA04
4B169HA11
4B169KA01
4B169KB05
4B169KC11
4B169KC31
(57)【要約】
少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が含有される少なくとも1種のマトリックスを利用することにより、果物、野菜、及び植物の収穫後の腐敗の低減における使用のための制御放出送達組成物/系が開示される。制御放出送達組成物/系を含有する組立体、並びに制御放出送達組成物/系を製造及び使用する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物であって、
抗菌剤、免疫刺激性化合物、エチレン阻害剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤、並びに
少なくとも1種のマトリックスであり、実質的に固体又は半固体の物理的状態であり、乳化剤、ワックス、ポリマー、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種のマトリックス
を含み、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤がマトリックス内に含有され、制御された速度でマトリックスから放出され、
少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に位置付けるために、又は少なくとも1つの生産品が配設される容器内に位置付けるために設計される、制御放出送達組成物。
【請求項2】
マトリックスが固体の物理的状態を有する、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項3】
マトリックスが半固体の物理的状態を有する、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のマトリックスが、タンパク質、多糖、ガム、合成ポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのタンパク質が、コラーゲン、ゼラチン、絹、グルテン、ゼイン、カゼイン、ケラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの多糖が、セルロース、ペクチン、キトサン、キチン、アルギン酸、デンプン、カラギーナン、寒天、シェラック、ヒアルロン酸、イヌリン、リグニン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つのガムが、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、マスティック、ジェランガム、トウヒガム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は
少なくとも1つの合成ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ABS、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、ナイロン、PVC、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の制御放出送達組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のマトリックスが、ゼオライト、活性炭、シリカ、アルミナ、及びそれらの組合せからなる群から選択されるセラミックを含む、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項7】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤を更に含む、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の溶媒又は減粘剤を更に含み、少なくとも1種の溶媒又は減粘剤が、極性溶媒、水、油、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの極性溶媒が、エタノール、グリセロール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリルジアセテート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、クエン酸トリエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの油が、カノーラ油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、大豆油、パーム油、水素添加油、パラフィン油、ピーナッツ油、アーモンド油、ゴマ油、ベニバナ油、ヘキサン、ヘプタン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の制御放出送達組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の放出速度調節剤を更に含み、放出速度調節剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、フマル酸第一鉄(ferrous fumurate)、ピロリン酸鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄 (ferrous fluconate)、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化グアニジニウム、大環状化合物 (macrocycle)、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのナトリウム塩が、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム (sodium tartarate)、クエン酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つのカリウム塩が、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、リン酸二カリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つのマグネシウム塩が、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は
少なくとも1つのカルシウム塩が、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の制御放出送達組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の放出速度調節剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩の少なくとも1種を含み、少なくとも1種の放出速度調節剤が、粉末形態の少なくとも1種のセラミックと組み合わされる、請求項10に記載の制御放出送達組成物。
【請求項13】
粉末形態の少なくとも1種のセラミックが、アルミナ、シリカ、ゼオライト、粘土、酸化チタン、二酸化ケイ素、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の制御放出送達組成物。
【請求項14】
粘土が、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライト、タルク、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の制御放出送達組成物。
【請求項15】
大環状化合物が、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン、ムスコン、シベトン、クラウンエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の制御放出送達組成物。
【請求項16】
非晶質微細構造、半結晶微細構造、マイクロエマルジョン微細構造、微多孔質微細構造、メソポーラス微細構造、繊維状微細構造、発泡微細構造、粒子微細構造、及びそれらの組合せからなる群から選択される微細構造を有する、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項17】
少なくとも1つのマイクロエマルジョン微細構造が、ミセル、小胞、円筒状微細構造、シート微細構造、及びジャイロイド (gyroid)微細構造からなる群から選択され、
少なくとも1つの微多孔質微細構造が、陽極酸化アルミニウム、多孔質活性炭、又はそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つのメソポーラス微細構造がシリカゲルを含み、
少なくとも1つの繊維状微細構造が、紙、フェルト、リネン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの発泡微細構造が、コルク、発泡ポリスチレン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は
少なくとも1つの粒子微細構造が、ワックス微結晶、セラミック微結晶、及びそれらの組合せからなる群から選択され、粒子微細構造がマトリックス内に位置付けられる、請求項16に記載の制御放出送達組成物。
【請求項18】
制御放出送達組成物を少なくとも1つの生産品に放出可能に付着させるための、マトリックスの下面に配設された少なくとも1種の結合材料を更に含む、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤を含有するマトリックスが配設される多孔質包装を更に含み、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が多孔質包装を通って拡散することができる、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物であって、
抗菌剤、免疫刺激性化合物、エチレン阻害剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤、
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤、
ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、フマル酸第一鉄、ピロリン酸鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化グアニジニウム、大環状化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の放出速度調節剤、並びに
少なくとも1種のマトリックスであり、実質的に固体又は半固体の物理的状態にあり、乳化剤、ワックス、ポリマー、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤、少なくとも1種の酸化防止剤、及び少なくとも1種の放出速度調節剤がマトリックス内に含有され、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が制御された速度でマトリックスから放出される、少なくとも1種のマトリックス
を含み、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に位置付けるために、又は少なくとも1つの生産品が配設される容器内に位置付けるために設計される、制御放出送達組成物。
【請求項21】
制御放出送達組成物を少なくとも1つの生産品に放出可能に付着させるための、マトリックスの下面に配設された少なくとも1種の結合材料を更に含む、請求項20に記載の制御放出送達組成物。
【請求項22】
少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤を含有するマトリックスが配設される多孔質包装を更に含み、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が多孔質包装を通って拡散することができる、請求項20に記載の制御放出送達組成物。
【請求項23】
容器、
容器内に位置付けられた少なくとも1つの生産品、及び、
少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が制御放出送達組成物から放出されるように容器内に位置付けられる、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物
を含む、組立体。
【請求項24】
少なくとも1つの生産品、及び
少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面上に位置付けられる、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物
を含む、組立体。
【請求項25】
少なくとも1つの生産品の貯蔵寿命を延長する方法であって、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物を、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に放出可能に付着させる工程を含む、方法。
【請求項26】
少なくとも1つの生産品の貯蔵寿命を延長する方法であって、少なくとも1つの生産品が配設される容器中に、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物を配設する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による組込みの声明
本出願は、2021年4月16日に出願された米国仮出願第63/176,030号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。上記で参照された特許出願の全内容は、これにより参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
果物、野菜及び植物の腐敗は、著しい経済的損失の原因である。精油のような特定の貯蔵寿命延長剤は、活性化合物が貯蔵中に少なくとも1つの生産品の環境中で必要な濃度レベルに維持される場合、当該少なくとも1つの生産品の収穫後の寿命を延長する抗菌効果を有する。特に、微視的又は巨視的な小胞、マイクロエマルジョン及びナノエマルジョン、ナノ粒子、又はシェルが拡散バリアとして機能するカプセルに活性化合物を封入する様々な方法が、貯蔵寿命延長剤の放出速度を緩和するために使用されてきた。
【0003】
歴史的に、貯蔵寿命延長剤はまた、電気機械-熱-流体デバイスを介して環境中に導入されてきた。電気機械-熱-流体デバイスは、注入、霧化、噴霧化、ネブライゼーション又は類似の技術を含む様々な送達方法を使用して供給リザーバから貯蔵寿命延長化合物を分配する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第20200383343号
【特許文献2】米国特許公開第20200178576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの送達機構は、少なくとも1つの生産品の腐敗の低減を援助してきたが、果物、野菜、及び植物の腐敗の低減を更に支援するために、活性化合物の送達の増強をもたらすさらなる伝達系に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念は、その適用において、以下の説明に記載されている構造の詳細及び構成要素の配置、又は工程若しくは方法論に限定されないことを理解されたい。本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念は、他の実施形態、又は様々な方法で実践若しくは実施することが可能である。また、本明細書で利用される言い回し及び用語は説明を目的としており、限定的とみなされるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示による方法の非限定的な一実施形態による、例示的な容器内の制御放出送達組成物/系の位置付けを示す図である。
図2】72時間にわたって変化する拡散率における制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度のプロットを示す図である。
図3】少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の得られた蒸気圧濃度の経時的なプロットを示し、それにより、マトリックスを通る少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の拡散率が、貯蔵寿命延長剤の放出速度を制御することを示す図である。
図4】パラフィン油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C59)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図5】パラフィン油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C63)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図6】パラフィン油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C68)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図7】ブドウ種子油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C37)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図8】ブドウ種子油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C59)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図9】マトリックス、溶媒及び放出速度調節剤と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C37)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図10】マトリックス、溶媒及び放出速度調節剤と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C59)の濃度が平衡蒸気圧に影響を及ぼす影響のグラフ図である。
図11】マトリックス及び溶媒と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C37)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図12】マトリックス及び溶媒と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C59)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
図13】アラビアガム、水、及び脂肪酸塩を有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図である。
図14】クラフト紙、脂肪酸塩、及びグリセロールを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図である。
図15】クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、及びCa(OH)2を有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図である。
図16】クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びキトサンを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図である。
図17】クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、及びキトサンを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図である。
図18】繊維系マトリックスを有する例示的な制御放出送達組成物/系対対照を示す図であり、繊維系マトリックスのプロトタイプは、室温で5日間、本開示に従ってイチゴを有する容器内に位置付けられる。
図19】クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びチモールを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図であり、制御放出送達組成物/系は、冷蔵庫温度(2~6℃)で16日間、容器内に位置付けられたイチゴを有する容器の内面に位置付けられる。
図20】クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びチモールを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図であり、制御放出送達組成物/系は、室温(18~22℃)で20日間、容器内に位置付けられたブドウを有する容器の内面に位置付けられる。
図21】クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びクミンアルデヒドを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す図であり、制御放出送達組成物/系は、室温(18~22℃)で16日間、容器内に位置付けられたブルーベリーを有する容器の内面に位置付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で特に定義されない限り、本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念に関連して使用される専門用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって別段要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0009】
本明細書で言及されるすべての特許、公開特許出願、及び非特許刊行物は、本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念が属する分野の技術者の技術レベルを示す。本出願のいずれかの部分で言及されたすべての特許、公開特許出願、及び非特許刊行物は、各個々の特許又は刊行物が参照により組み込まれることが具体的且つ個々に示されているのと同じ程度まで、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0010】
本明細書に開示されるすべての物品及び/又は方法は、本開示に照らして過度の実験を伴うことなく作製及び実行することができる。本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念の物品及び方法が特定の実施形態の観点で説明されたが、当業者には、本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された物品及び/又は方法に対して、並びに方法の工程又は一連の工程において変形が適用され得ることが明らかである。
【0011】
本開示に従って利用される場合、別段の指示がない限り、以下の用語は以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0012】
特許請求の範囲及び/又は本明細書で用語「含む(comprising)」と組み合わせて使用される場合、用語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味してもよいが、「1つ又は複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は1つより多く」の意味とも一致する。そのため、「a」、「an」、及び「the」という用語は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、複数の参照語を含む。したがって、例えば、「化合物(a compound)」への言及は、1つ又は複数の化合物、2つ以上の化合物、3つ以上の化合物、4つ以上の化合物、又はそれ以上の数の化合物を指す場合がある。「複数」という用語は、「2つ以上」を指す。
【0013】
「少なくとも1つ」という用語の使用は、1つだけでなく、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等を含むがこれらに限定されない、1つより多い任意の量を含むと理解される。「少なくとも1つ」という用語は、それが付加される用語に応じて、100又は1000以上まで拡張することができる。更に、100/1000の量は、より高い限界値も満足のいく結果をもたらす可能性があるため、限定的とみなされるべきではない。更に、「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、及びZ単独、並びにX、Y、及びZの任意の組合せを含むと理解される。序数の用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等)の使用は、2つ以上の項目を区別する目的のためのみであり、例えば、別のものと比較したある項目に対する順序若しくは順番若しくは重要性、又は追加の順番を意味するものではない。
【0014】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、選択肢のみを指すように明示的に示されない限り、又は選択肢が相互に排他的でない限り、包括的な「及び/又は」を意味するように使用される。例えば、「A又はB」という条件は、以下のいずれかによって満たされる:Aは真であり(又は存在し)、Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在しない)、Bは真である(又は存在する)、及びAとBの両方が真である(又は存在する)。
【0015】
本明細書で使用される「一実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一例」、「例えば」、又は「例」への言及は、実施形態に関連して記載された特定の要素、特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所における「いくつかの実施形態では」又は「1つの例」という語句の出現は、例えば、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。更に、1つ又は複数の実施形態又は例へのすべての言及は、特許請求の範囲に対して非限定的であると解釈されるべきである。
【0016】
本出願全体を通じて、「約」及び「およそ」という用語は、値が、組成物/装置/デバイス、値を決定するために利用される方法の誤差の固有の変動、又は試験対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。すなわち、「約」及び「およそ」という用語並びにその変形は、用語によって修飾される正確な値だけでなく、そこからのいくつかのわずかな偏差、例えば測定誤差、製造公差、構成要素又は構造の磨耗及び損傷、懸濁液又は溶液からの細胞又は粒子の沈降又は沈殿、溶液の経時的な化学的又は生物学的劣化、構造に及ぼされる応力、及びそれらの組合せによって引き起こされる偏差も含むことを意図する。特に、例えば、限定するものではないが、「約」という用語が利用される場合、指定された値は、そのような変動が開示された方法を実施するために適切である場合、且つ当業者に理解されるように、指定された値からプラス又はマイナス20パーセント、又は15パーセント、又は12パーセント、又は11パーセント、又は10パーセント、又は9パーセント、又は8パーセント、又は7パーセント、又は6パーセント、又は5パーセント、又は4パーセント、又は3パーセント、又は2パーセント、又は1パーセント変動してもよい。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」等の有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」等の含む(including)の任意の形態)、又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」等の含有する(containing)の任意の形態)という語は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されない要素又は方法工程を除外しない。例えば、要素のリストを含む組成物、プロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない又はその中に本質的に存在する他の要素を含み得る。
【0018】
本明細書で使用される「又はその組合せ」という用語は、用語の前に列挙された項目のすべての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はその組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABC、及び特定の文脈で順番が重要な場合は、更にBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABの少なくとも1つを含むことを意図する。この例を続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等の1つ又は複数の項目又は用語の繰り返しを含む組合せが明示的に含まれる。当業者であれば、文脈から別段明らかでない限り、典型的にどのような組合せにおいても項目又は用語の数に制限はないことを理解する。
【0019】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、その後に記載される事象又は状況が完全に発生すること、又はその後に記載される事象又は状況がかなりの範囲又は程度に発生することを意味する。例えば、特定の事象又は状況に関連する場合、「実質的に」という用語は、その後に記載される事象又は状況が、少なくとも80%の確率、又は少なくとも85%の確率、又は少なくとも90%の確率、又は少なくとも95%の確率で発生することを意味する。「実質的に隣接する」という用語は、2つの項目が互いに100%隣接していること、又は2つの項目が互いに近接しているが互いに100%隣接していないこと、又は2つの項目の一方の一部が他方の項目に100%隣接していないが、他方の項目に近接していることを意味してもよい。
【0020】
本明細書で使用される「に付着する」、「に会合する」、及び「に接続する」という語句は、2つの部位の互いに対する直接的な会合/結合と、2つの部位の互いに対する間接的な会合/結合の両方を含む。会合/接続の非限定的な例としては、例えば、直接的な付着/結合による1つの部位の別の部位への共有又は非共有付着/結合、両方の部位に結合したスペーサー基による1つの部位の別の部位への非共有結合、1つの部位の別の部位への組込み(例えば、1つの部位を別の部位に溶解することによって、又は合成によって、又は1つの部位を別の部位に適用/コーティングすることによって)が挙げられる。
【0021】
本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念は、一般に、生産品の寿命を延長するため、並びに生産品の分解及び劣化(すなわち、腐敗)を低減し、それによりその寿命を延長するために、生産品の上又は生産品を取り囲む雰囲気中に貯蔵寿命延長剤を位置付けするための制御放出送達組成物/系に関する。制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品の環境(すなわち、少なくとも1つの生産品を取り囲む雰囲気)中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の所望の濃度を維持するために、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出を連続的且つ予測可能な方法で制御することにより、ある期間にわたって少なくとも1つの生産品の寿命を延長する。
【0022】
特定の非限定的な実施形態では、少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物/系は、マトリックス、及びマトリックス中に配設された少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤を含む。制御放出送達組成物/系は、任意選択で少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の酸化防止剤、及び/又は少なくとも1種の放出速度調節剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度は、貯蔵寿命延長剤が少なくとも1つの生産品に隣接する雰囲気/環境中に放出される速度である。
【0023】
少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度は、保護されるべき生産品に依存して所望される任意の速度であってもよい。例えば、限定するものではないが、放出速度は、ほぼ瞬時、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約1週間、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約2週間、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約3週間、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約4週間、約29日、約30日、約1カ月、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約5週間、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約6週間、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約7週間、約50日、約8週間、約2カ月、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約3カ月、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約4カ月、及びそれ以上、並びに上記の値のいずれかを含む範囲(すなわち、ほぼ瞬時~約4カ月の範囲、ほぼ瞬時~約1カ月の範囲、約1日~約1カ月の範囲等)であってもよい。更に、放出は、放出期間にわたって連続的及び/又は断続的であってもよい。
【0024】
1種又は複数種の生産品に隣接する雰囲気/環境への制御放出送達組成物/系の放出速度は、様々な要因に依存する。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響を及ぼす特定の要因は、内的及び外的であり得る。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響を及ぼす内的要因としては、(例えば、限定するものではないが)マトリックスの構造及び組成、平衡蒸気圧、マトリックスを通る少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の分子拡散率、制御放出送達組成物/系中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度等が挙げられる。
【0025】
制御放出送達組成物/系における少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤がマトリックスに対して有する化学的親和性及びマトリックス内に位置付けられた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度に依存し得る。少なくとも1種の貯蔵寿命延長化合物がマトリックスに関して有する化学的親和性が高いほど、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧が低下する可能性があり、一方、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の化学的親和性が低いほど、貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧が上昇する可能性がある。非限定的な一実施形態では、平衡蒸気圧は、放出速度調節剤も含む制御放出送達組成物/系によって調節され得る。
【0026】
複合体中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度又は相対分率も蒸気圧を調節する場合がある。一般に、制御放出送達組成物/系の平衡蒸気圧は、制御放出送達組成物中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度が増加するにつれて増加してもよい。したがって、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度及び制御放出送達組成物/系のマトリックスに対する貯蔵寿命延長剤の化学的親和性の影響により、非線形の平衡蒸気圧が得られる可能性がある。したがって、制御放出送達組成物/系のマトリックスを調節すること、及び/又は放出速度調節剤を更に含む制御放出送達組成物/系を有することは、制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
更に、少なくとも1つの生産品に隣接する環境を取り囲む追加のバリアを通る制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の分子拡散率は、制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響を及ぼす可能性がある。追加のバリアは、プラスチック、厚紙、xxx、又はそれらの組合せを含む容器であってもよい。更に、制御放出送達組成物/系の物理的実施形態は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の分子拡散率に影響を及ぼす可能性がある。他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系の化学化合物、並びに制御放出送達組成物/系の微細構造が、制御放出送達組成物/系の分子拡散率に影響を及ぼす可能性がある。例として、決して限定するものではないが、架橋ポリマーマトリックスを有するマトリックスは、より少ない架橋を有する同じポリマーに対して少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の拡散を遅らせる可能性がある。別の例では、決して限定するものではないが、制御放出送達組成物/系が微多孔質構造を有する場合、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤は、異なる屈曲度値を有してもよい。この場合、高い屈曲度を有する微多孔質構造を有する制御放出送達組成物/系の貯蔵寿命延長剤は、より低い屈曲度を有する微多孔質構造を有する制御放出送達組成物/系よりも高い拡散遅延効果を有する。
【0028】
更に、貯蔵寿命延長剤とマトリックス成分との間の化学的親和性が蒸気圧に有意に影響し得る方法と同様の様式で、化学的親和性は拡散速度及び放出速度に影響し得る。化学的親和性が強いほど拡散を遅らせる傾向があり、貯蔵寿命延長剤の放出速度を低下させる。いくつかの非限定的な実施形態では、放出速度調節剤は、全体的なマトリックスの化学的親和性又は全体的な拡散率のいずれか、又はそれらの組合せを調節することにより、貯蔵寿命延長剤の放出速度を変化させることができる。放出速度調節剤は、これらに限定されないが、水素結合ネットワークに影響を与えること、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤とマトリックスとの間の全体的な電荷密度に影響を与えること、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤とマトリックスとの間の相対的な疎水性を変化させること等を含め、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤のマトリックスに対する化学的親和性を変化させてもよい。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧及び/又は放出速度を増加又は減少させるために、放出速度調節剤を使用することができる。例として、決して限定するものではないが、放出速度調節剤は、アルコール貯蔵寿命延長剤の放出速度を増加させる一方で、炭化水素貯蔵寿命延長剤の放出速度を減少させることができる。放出速度調節剤はまた、マトリックスの化学的親和性を変化させることによって、又は制御放出送達組成物/系の微細構造を変化させることによって少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の分子拡散率を調整することができる。例として、決して限定するものではないが、放出速度調節剤は、制御放出送達組成物/系の結晶化度、制御放出送達組成物/系のマイクロエマルジョン微細構造、又は制御放出送達組成物/系の架橋密度を調節することができる。
【0029】
更に、制御放出送達組成物/系中の貯蔵寿命延長剤の濃度。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の高い濃度は、制御放出送達組成物/系のマトリックスの担持容量によって制限され得る。例えば、決して限定するものではないが、マトリックス及び微多孔質構造を有し、微多孔質構造がより高い多孔度を有する制御放出送達組成物/系は、マトリックス及び微多孔質構造を有し、微多孔質構造がより低い多孔度を有する制御放出送達組成物/系よりも、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤に対してより大きな担持容量を有する。いくつかの非限定的な実施形態では、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤は、微細構造の内部表面領域に自己偏析し、それにより制御放出送達組成物/系の担持容量に影響を及ぼす可能性がある。
【0030】
少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度は、制御放出送達組成物の構造及び/若しくは組成によって、並びに/又は外的要因によって影響され得る。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響し得る外的要因には、温度、湿度、光、及び制御放出送達組成物/系に隣接する環境の化学組成等の環境要因(ただし、これらに限定されない)が含まれ得る。更に、他の非限定的な実施形態では、少なくとも1つの生産品に隣接する環境中に存在する少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の追加の濃度は、追加の貯蔵寿命延長剤が制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤と熱力学的平衡にある可能性があるため、制御放出送達組成物の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響を及ぼし得る。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度は、約0.001~約10,000ppm/分/制御放出送達組成物1グラムの範囲内であってもよい。他の非限定的な実施形態では、他の外的要因はまた、制御放出送達組成物に力を及ぼす、環境中に存在する機械的振動又は運動であってもよい。
【0031】
貯蔵寿命延長剤は、抗菌化合物、免疫刺激性化合物、エチレン阻害剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。マトリックスは、乳化剤、ワックス、ポリマー、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。制御放出送達は、少なくとも1種の溶媒又は減粘剤を更に含み得る。特定の非限定的な実施形態では、溶媒又は減粘剤は、極性溶媒(これに限定されないが、アルコール等)、油、水、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0032】
少なくとも1つの生産品には、これらに限定されないが、果物、野菜、マメ科植物、塊茎、植物等が含まれ得る。非限定的な一実施形態では、制御放出送達組成物/系は、収穫前又は収穫後の少なくとも1つの生産品に隣接して位置付けられ得る。別の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面上に位置付けられる。
【0033】
貯蔵寿命延長剤は、少なくとも1種の抗菌化合物、少なくとも1種の免疫刺激性化合物、少なくとも1種のエチレン阻害剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0034】
いくつかの非限定的な実施形態では、貯蔵寿命延長剤は、少なくとも1種の精油を含む抗菌化合物(例えば、これらに限定されないが、抗真菌化合物)であってもよい。抗菌化合物は、高レベルの揮発性、中レベルの揮発性、及び低レベルの揮発性を有してもよい。高レベルの揮発性の抗菌化合物は、室温でおよそ400ppmより大きい平衡蒸気圧を有する。中レベルの揮発性を有する抗菌化合物は、室温でおよそ400ppm~100ppmの平衡蒸気圧を有する。低レベルの揮発性を有する抗菌化合物は、室温で100ppmより大きい平衡蒸気圧を有する。室温はおよそ20℃~25℃である。
【0035】
非限定的な一実施形態では、精油は、精油成分(EOC)としても公知である異なる有機分子の複合混合物であってもよい。その非限定的な例としては、モノテルペン、ジテルペン、セスキテルペン、又はそれらの酸素化形態、テルペノイド、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、フェノール、チオール、アルカロイド、及びそれらの組合せが挙げられる。非限定的な一実施形態では、精油化合物は、少なくとも1種の植物から蒸留又は抽出されてもよい。例えば、決して限定するものではないが、少なくとも1種の植物から蒸留又は抽出される精油化合物は、タイム油、ティーツリー油、シトラス油、それらの組合せ等であってもよい。精油の化学組成は、精油が収穫される時間帯、月、又は季節によって異なる場合がある。高レベルの揮発性を有する少なくとも1種の抗菌化合物は、ヘキサナール、ヘキセナール、リモネン、ピネン、ミルセン、オシメン、テルピネン、シメン、メンタン、フェランドレン、フェンケン、ボルニレン、カンフェン、カンファー、フェンコン、オクタナール、オクテナール、ノナナール、ノネナール、ノナジエノール、ヘキサノール、ヘキセノール、カルボン、o-アニサル、p-アニサル、及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0036】
中レベルの揮発性を有する少なくとも1種の抗菌化合物は、シトロネラール、シトラール、ノナジエナール、ゲラニアール、ネロール、ネラール、オクタノール、オクテノール、デカナール、デセナール、デカジエナール、メントン、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0037】
低レベルの揮発性を有する少なくとも1種の抗菌化合物は、クミナール、ペリラール、カルバクロール、チモール、ネロリドール、ロディノール、クミノール、メントール、シンナマール、テルピネン-4-オール、テルピネオール、ボルネオール、ミルテナール、ミルテノール、フェンコール、ピペロノール、ピペロナール、プレゴール、カルベオール、ペリロール.フェランドラール、ピペリトン、シトロネロール、デカノール、デセノール、ゲラニオール、ノナノール、ノネノール、ファルネソール、デカジエノール、ドデカナール、ドデカナール、ドデカジエナール、ピュレゴン、オイゲノール、リナロール、アネトール、ラズベリーケトン、イオノン、ダメセノン、ライラックアルデヒド、フラノン、ベルベノール、ミルセノール、ツヤノール、カリオフィレン、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0038】
いくつかの非限定的な実施形態では、抗菌化合物は合成油であってもよい。合成油の非限定的な例は、メントール、ユーカリプトール、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。合成油は、特定の精油のEOCの少なくとも1種を有してもよい。更に、合成油の化学組成はバッチごとに異なってもよい。抗菌化合物は、少なくとも1つの生産品の腐敗を引き起こし得る少なくとも1種の微生物の成長、拡散及び/又は増殖を抑制してもよい。少なくとも1種の微生物は、真菌、細菌、カビ、酵母等であってもよい。
【0039】
非限定的な一実施形態では、制御放出送達組成物/系は、少なくとも第1の抗菌化合物及び第2の抗菌化合物を含み得る。2種以上の抗菌化合物は、1種の抗菌化合物を含む制御放出送達組成物/系と比較して、少なくとも1つの生産品の寿命延長という相乗効果を生じ得る。制御放出送達組成物/系の2種以上の抗菌化合物は、協働して作用してもよいし、互いに独立して作用してもよい。
【0040】
非限定的な一実施形態では、本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念は、所望の生物学的結果を達成するためのマトリックス及び抗菌化合物を有する制御放出送達組成物/系であってもよい。マトリックス及び抗菌化合物を含む制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品損失の寿命の延長の増加という相乗効果を生じ得る。
【0041】
他の非限定的な実施形態では、貯蔵寿命延長剤は、少なくとも1種の免疫刺激性化合物であってもよい。免疫刺激性化合物は、ジャスモン酸メチル、サリチル酸メチル、桂皮酸メチル、ピネン、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。免疫刺激性化合物は、罹患生物に直接影響を与えず、少なくとも1つの生産品のDNAを変化させない化合物を指す。免疫刺激性化合物は、少なくとも1つの生産品の自然な防御機構を活性化する。免疫刺激性化合物という用語は、「植物活性化剤」としても公知であり得ることが当業者に理解される。制御放出送達組成物/系中の免疫刺激性化合物の濃度は、約.1質量%~約20質量%の範囲であってもよい。
【0042】
非限定的な一実施形態では、本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念は、マトリックス、少なくとも1種の抗菌化合物、及び少なくとも1種の免疫刺激性化合物を含む制御放出送達組成物/系であってもよい。例えば、少なくとも1種の抗菌化合物を含む制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品上の第1の真菌の成長及び拡散を抑制し得、免疫刺激性化合物は、第1の真菌に対する少なくとも1つの生産品の自然防御を活性化し得、それにより第1の真菌による少なくとも1つの生産品の損失を低減するという所望の生物学的結果を達成する。非限定的な一実施形態では、マトリックス、少なくとも1種の抗菌化合物、及び少なくとも1種の免疫刺激性化合物を含む制御放出送達組成物/系は、マトリックス、少なくとも1種の抗菌化合物、及び少なくとも1種の免疫刺激性化合物が少なくとも1つの生産品に個々に適用される場合の少なくとも1つの生産品の損失と比較して、少なくとも1つの生産品の損失の減少が増大するという相乗効果を生じ得る。別の実施形態では、より低濃度の抗菌化合物及びより低濃度の免疫刺激性化合物を有する制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品に適用されると、より高濃度の抗菌化合物を有する制御放出送達組成物/系、及びより高濃度の免疫刺激性化合物を有する制御放出送達組成物/系を少なくとも1つの生産品に個々に適用した場合と同じ所望の生物学的結果を達成し得る。
【0043】
他の非限定的な実施形態では、貯蔵寿命延長剤は、1-アルケン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、オイゲノール、リモネン、1-メチルシクロプロペン、リナロール、ミルセン、オシメン、ピネン、カンフェン、酢酸リナリル、ジヒドロタゲトン、エストラゴール、ネロリドール、チャビコール、4-アリルアニソール、及びそれらの組合せからなる群から選択されるエチレン阻害剤であってもよい。
【0044】
エチレン阻害剤は、少なくとも1つの生産品中のエチレンシグナル受容体を遮断するか、又は少なくとも1つの生産品によるエチレンの生合成を阻害することにより、少なくとも1つの生産品中のエチレン関連経路のシグナル伝達及び/又はエチレンの産生を阻害する化合物を指す。エチレンは「成熟ホルモン」として公知であり、生産品を成熟させることができる、いくつかの生産品によって放出されるガス状化合物である。食用スプレー又はコーティング組成物中のエチレン阻害剤の濃度は、約0.1質量%~約20質量%の範囲であってもよい。
【0045】
非限定的な一実施形態では、制御放出送達組成物/系は、生産品上の第1の真菌の成長及び拡散を抑制し得る抗菌化合物、並びにエチレン関連経路のシグナル伝達を遮断するように吸収し得る、及び/又は生産品によるエチレンの産生及び放出を阻害し得るエチレン阻害剤化合物を含み得る。制御放出送達組成物/系は、第1の真菌及びエチレンによる少なくとも1つの生産品の劣化を低減するという所望の生物学的結果を達成するために、少なくとも1つの生産品に隣接する環境中に位置付けられ得るか、又は少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面上に位置付けられ得る。抗菌化合物及びエチレン阻害剤を有する制御放出送達組成物/系は、抗菌化合物及びエチレン阻害剤が少なくとも1つの生産品の表面に個々に適用される場合の少なくとも1つの生産品の寿命の延長と比較して、少なくとも1つの生産品の寿命の延長の増大という相乗効果を生じ得る。
【0046】
他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物は、少なくとも1種の酸化防止剤を更に含み得る。特定の非限定的な実施形態では、酸化防止剤は、組成物の有効成分(すなわち、貯蔵寿命延長剤)を保存するように機能する。組成物の有効成分を保存するように機能することが可能な、当技術分野で公知の、又はそうでなければ本明細書で企図される任意の酸化防止剤を、本開示に従って利用することができる。利用され得る酸化防止剤の非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びそれらの組合せが挙げられる。制御放出送達組成物中の酸化防止剤の濃度は、約0.1質量%~約20質量%の範囲であってもよい。
【0047】
特定の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は、2種以上の揮発性貯蔵寿命延長剤、例えば(これらに限定されないが)、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上、26種以上、27種以上、28種以上、29種以上、30種以上、35種以上、40種以上、45種以上、又は50種以上の貯蔵寿命延長剤を含有する。2種以上の貯蔵寿命延長剤が存在する場合、薬剤は、同じ化合物群(すなわち、抗菌化合物、免疫刺激性化合物、エチレン阻害剤等)に由来してもよく、化合物群の組合せに由来してもよい。
【0048】
貯蔵寿命延長剤は、組成物が本明細書に記載されるように、又は別様に企図されるように機能することを可能にする任意の濃度パーセンテージで制御放出送達組成物/系中に存在することができる。例えば(限定するものではないが)、各貯蔵寿命延長剤は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、又はそれ以上のパーセント濃度で組成物中に存在し得る。更に、本開示の範囲には、上記に列挙された2つの値の組合せから形成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約30%の範囲、約0.05%~約25%の範囲、約0.1%~約20%の範囲等)に入る任意のパーセント濃度の組成物中の各貯蔵寿命延長剤の存在も含まれる。
【0049】
本明細書で開示される及び/又は特許請求される発明概念における少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物/系のマトリックスは、乳化剤、ワックス、セラミック、ポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。マトリックスは、ワックス片又は石鹸等の(ただし、これらに限定されない)硬質固体の物理的状態、又はゲル又はペースト等の(ただし、これらに限定されない)半固体又は軟質固体の物理的状態であってもよい。マトリックスは、生産品の少なくとも1つの表面上への制御放出送達組成物/系の配置等を介して少なくとも1つの生産品の腐敗を防止し得る。他の非限定的な実施形態では、マトリックスは、少なくとも1つの生産品に隣接する制御放出送達組成物/系の配置を介して少なくとも1つの生産品の腐敗を防止し得る。制御放出送達組成物/系は、担体内に位置付けられてもよい。他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品が位置付けられる容器の少なくとも1つの表面上に位置付けられてもよい。
【0050】
いくつかの非限定的な実施形態では、マトリックスは乳化剤であってもよい。乳化剤は、モノグリセリド、ジグリセリド、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪アルコール、レシチン、グリセロール、ステロール、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。制御放出送達組成物中の乳化剤の濃度は、約1質量%~約99質量%の範囲であってもよい。米国特許公開第20200383343号は、参照により本明細書に組み込まれる。他の非限定的な実施形態では、マトリックスはワックスであってもよい。ワックスは、蜜蝋、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ベイベリーワックス、大豆ワックス、パラフィンワックス、キャンドルワックス、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。少なくとも1つの生産品への適用時における制御放出送達組成物/系のマトリックス中のワックスの濃度は、約1質量%~約99質量%の範囲であってもよい。他の非限定的な実施形態では、マトリックスはセラミックであってもよい。セラミックは、ゼオライト、活性炭、シリカ、アルミナ、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、マトリックスはポリマーであってもよく、ポリマーは、タンパク質、多糖、ガム、合成ポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。タンパク質は、コラーゲン、ゼラチン、絹、グルテン、ゼイン、カゼイン、ケラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。制御放出送達組成物/系のマトリックス中のタンパク質の濃度は、約1質量%~約99.9質量%の範囲であってもよい。米国特許公開第20200178576号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
他の非限定的な実施形態では、マトリックスは多糖であってもよい。多糖は、セルロース、ペクチン、キトサン、キチン、アルギン酸、デンプン、カラギーナン寒天、シェラック、ヒアルロン酸、イヌリン、リグニン(lingin)、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。制御放出送達組成物/系のマトリックス中の多糖の濃度は、約1%~約90%の範囲であってもよい。他の非限定的な実施形態では、マトリックス材料はガムであってもよい。ガムは、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム(bum)、マスティック、ジェランガム、トウヒガム、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。制御放出送達組成物/系のマトリックス中のガムの濃度は、約1%~約90%の範囲であってもよい。他の非限定的な実施形態では、マトリックスは合成ポリマーであってもよい。合成ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ABS、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0053】
特定の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は、2種以上のマトリックス材料、例えば(これらに限定されないが)、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上、26種以上、27種以上、28種以上、29種以上、30種以上、35種以上、40種以上、45種以上、又は50種以上のマトリックス材料を含有する。2種以上のマトリックス材料が存在する場合、材料は同じ化合物群(すなわち、乳化剤、ワックス、ポリマー、セラミック等)に由来してもよく、化合物群の組合せに由来してもよい。
【0054】
マトリックス材料は、組成物が本明細書に記載されるように、又は別様に企図されるように機能することを可能にする任意の濃度パーセンテージで制御放出送達組成物/系中に存在することができる。例えば(限定するものではないが)、各担体又はフィルム形成材料は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又はそれ以上のパーセント濃度で組成物中に存在してもよい。更に、本開示の範囲には、上記で列挙された2つの値の組合せから形成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約90%の範囲、約0.05%~約50%の範囲、約0.1%~約50%の範囲、約0.1%~約20%の範囲等)に入る任意のパーセント濃度の組成物中の各マトリックス材料の存在も含まれる。
【0055】
存在する場合、本明細書に開示される及び/又は特許請求される発明概念における少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物/系の溶媒(又は減粘剤)は、アルコール、油、水、又はそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの非限定的な実施形態では、水は、溶媒として少なくとも1種の塩と組み合わせて使用され得る。いくつかの非限定的な実施形態では、極性溶媒は、エタノール、グリセロール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリルジアセテート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、クエン酸トリエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの非限定的な実施形態では、油は、カノーラ油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、大豆油、パーム油、水素添加油、パラフィン油、ピーナッツ油、アーモンド油、ゴマ油、ベニバナ油、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。制御放出送達組成物/系中の油の濃度は、約40%~約98%の範囲であってもよい。溶媒は、制御放出送達組成物/系の物理的状態を調節することができる。溶媒の添加により影響を受ける物理的状態は、液体状状態から固体状状態、固体状状態から液体、液体状状態から蒸気状態、蒸気状態から液体状状態等への制御放出送達組成物/系の変換であってもよい。
【0056】
特定の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は、2種以上の溶媒、例えば(これらに限定されないが)、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上の溶媒を含有する。2種以上の溶媒が存在する場合、溶媒は同じ化合物群(すなわち、アルコール、油、水等)に由来してもよく、化合物群の組合せに由来してもよい。
【0057】
溶媒は、組成物が本明細書に記載されるように、又は別様に企図されるように機能することを可能にする任意の濃度パーセンテージで制御放出送達組成物/系中に存在することができる。例えば(限定するものではないが)、各溶媒は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上のパーセント濃度で組成物中に存在してもよい。更に、本開示の範囲には、上記に列挙される2つの値の組合せから形成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約95%の範囲、約0.1%~約59%の範囲等)に入る任意のパーセント濃度の組成物中の各溶媒の存在も含まれる。
【0058】
非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、少なくとも1種の放出速度調節剤を更に含む。放出速度調節剤は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、大環状化合物、フマル酸第一鉄、ピロリン酸鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化グアニジニウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。大環状化合物は、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン、ムスコン、シベトン、クラウンエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの非限定的な実施形態では、放出速度調節剤は、粉末状形態の少なくとも1種のセラミックと組み合わせることができる(ここで、粉末状セラミックは、マトリックス中に存在し得る固体又は半固体のセラミックとは別である)。粉末状セラミックは、アルミナ、シリカ、ゼオライト、粘土、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライト、タルク、酸化チタン、二酸化ケイ素、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。放出速度調節剤は、貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧を変化させることにより、貯蔵寿命延長剤の気化速度に影響を与えることができる。
【0059】
特定の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は、2種以上の放出速度調節剤、例えば(これらに限定されないが)、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上の薬剤を含有する。2種以上の放出速度調節剤が存在する場合、薬剤は同じ化合物群に由来してもよく、化合物群の組合せに由来してもよい。
【0060】
放出速度調節剤は、組成物が本明細書に記載されるように、又は他の方法で企図されるように機能することを可能にする任意の濃度パーセンテージで制御放出送達組成物/系中に存在することができる。例えば(限定するものではないが)、各放出速度調節剤は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又はそれ以上のパーセント濃度で組成物中に存在してもよい。更に、本開示の範囲には、上記に列挙された2つの値の組合せから形成される任意の範囲(例えば、約0.01%~約95%の範囲、約0.1%~約59%の範囲等)に入る任意のパーセント濃度の組成物中の各放出速度調節剤の存在も含まれる。
【0061】
他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、ナノ構造及び/又は微細構造を有してもよい。微細構造は、非晶質微細構造、半結晶微細構造、マイクロエマルジョン微細構造、微多孔質微細構造、メソポーラス微細構造、繊維状微細構造、発泡微細構造、及びそれらの組合せであってもよい。非限定的な一実施形態では、制御放出送達組成物/系のマトリックスがポリマーから構成される場合、制御放出送達組成物/系は半結晶微細構造を有することができ、ここでマトリックスは0%~約80%の間の結晶化度を有する。制御放出送達組成物/系の結晶化度及び結晶粒構造は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤が様々な速度を有することを可能にし得る。非限定的な一例では、より高い結晶化度を有する制御放出送達組成物/系は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長化合物の放出速度をもたらす可能性がある。
【0062】
非限定的な一実施形態では、制御放出送達組成物/系は、マイクロエマルジョン微細構造を有する。例えば、マイクロエマルジョン微細構造は、小胞、ミセル、又は少なくとも1つの二重層シートであり得る。小胞マイクロエマルジョン微細構造は、球状、円筒状、ジャイロイド等であってもよい。制御放出送達組成物/系のマイクロエマルジョン微細構造は、約10nm~約500μmのサイズ範囲を有してもよい。ミセルマイクロエマルジョン微細構造は、約10nmのサイズを有してもよい。大きな小胞マイクロエマルジョン微細構造は、500μmのサイズを有してもよい。制御放出送達組成物/系のマイクロエマルジョン微細構造の形状、サイズ及び分布は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度に影響を及ぼす可能性がある。具体的には、マイクロエマルジョン微細構造のより小さい又はより曲がりくねった構造は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度を遅らせ得るのに対し、マイクロエマルジョン微細構造のより大きくより開いた構造は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤がより高い放出速度を有することが可能にし得る。
【0063】
他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、多孔質固体構造を有してもよい。他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、多孔質活性炭を含んでもよい。他の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系の多孔質固体構造は、微多孔質又はメソポーラス固体構造であってもよい。メソポーラス固体構造を有する制御放出送達組成物/系は、これに限定されないが、メソポーラスシリカゲルを含んでもよい。微多孔質固体構造を有する制御放出送達組成物/系は、これらに限定されないが、陽極酸化アルミニウムとしても公知の微多孔質アルミナを含んでもよい。制御放出送達組成物/系の多孔質固体構造は、約lOnm~約500μmの範囲の多孔質サイズを有することができる。
【0064】
他の非限定的な実施形態では、繊維状の微細構造を有する制御放出送達組成物は、セルロースのネットワークを含む繊維を含む紙、ケラチンの繊維ネットワークを含むフェルト、綿の繊維ネットワークを含むリネンからなる群から選択され得る。綿を含む繊維状微細構造は、セルロース、ワックス、タンパク質、又はそれらの組合せからなる群から選択され得る。特定の非限定的な実施形態では、発泡微細構造を有する制御放出送達組成物/系は、スポンジ、コルク、発泡ポリスチレン、ポリスチレンから構成されるスポンジ、及びそれらの組合せのものであってもよい。コルク材料は、リグニン及びセルロースを含んでもよい。特定の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、2つ以上の微細構造を有してもよい。一実施形態では、微細構造は、別の微細構造内に位置付けられた1つの微細構造であってもよい。例として、決して限定するものではないが、微多孔質微細構造は、固体又はゲル状状態を有するマトリックス内に位置付けられてもよい。例として、決して限定するものではないが、粒子微細構造がセラミック内に位置付けられてもよい。別の非限定的な例では、ワックス微細構造が固体又はゲル状制御放出送達組成物/系内に位置付けられてもよい。微結晶は、約100nm~約1mmの間のサイズを有することができる。
【0065】
特定の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は食用である。特定の他の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は非食用である。
【0066】
特定の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は、制御放出送達組成物を少なくとも1つの生産品に放出可能に付着させるために、その下面の少なくとも一部に配設された接着剤又は他の結合材料を含む。
【0067】
本開示の特定の非限定的な実施形態は、本明細書に開示される又は別様に企図される制御放出送達組成物のいずれかの少なくとも1種と組み合わせた、少なくとも1つの生産品を含む組立体に関する。具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、制御放出送達組成物は、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に(例えば、これに限定されないがステッカーの形態で)位置付け/配設される。他の具体的な(しかし非限定的な)実施形態では、
【0068】
本開示の特定の非限定的な実施形態は、少なくとも1つの生産品を劣化及び分解(例えば、腐敗)から保護し、少なくとも1つの生産品の寿命を延長するために、少なくとも1つの生産品に隣接する環境中に制御放出送達組成物/系を位置付けるための方法に関する。制御放出送達組成物/系は、容器内の環境中に位置付けられてもよく、少なくとも1つの生産品が位置付けられる容器上に位置付けられてもよい。例えば、制御放出送達組成物/系は、少なくとも1つの生産品が位置付けられる容器の少なくとも1つの側壁に位置付けられてもよい。制御放出送達組成物/系は、制御放出送達組成物/系と組み合わせたステッカーを更に含んでもよく、ステッカーは、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の少なくとも1つの生産品に隣接する環境への放出を可能にするために、容器の少なくとも1つの内面に位置付けられる。別の非限定的な実施形態では、制御放出送達組成物/系は、制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤が通って拡散し得る多孔質構造を有する袋内に位置付けられ得る。
【0069】
本開示の他の非限定的な実施形態は、少なくとも1つの生産品を劣化及び分解(例えば、腐敗)から保護し、少なくとも1つの生産品の寿命を延長するために、制御放出送達組成物/系を少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面上に位置付けるための方法に関する。例えば、制御放出送達組成物/系は、ステッカーと組み合わされてもよく、ステッカーは、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面上に位置付けられ、それにより少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の少なくとも1つの生産品に隣接する環境への放出を可能にする。他の実施形態では、少なくとも1つのステッカーの少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面への位置付けは、上記に開示されたように、少なくとも1つの生産品に直接影響を及ぼし得る。
【実施例
【0070】
実施例を以下に示す。しかし、本開示は、その適用において、本明細書で後に開示される特定の実験、結果、及び実験手順に限定されないと理解されるべきである。むしろ、実施例は、様々な実施形態の1つとして単に提供され、例示的であることを意図し、網羅的ではない。
【0071】
(実施例1)
蜜蝋を含むマトリックスを通る貯蔵寿命延長剤の分子拡散率1.4E-12m2/sは、以前に実験データから推定された。シミュレーションでは、制御放出送達組成物/系のマトリックスを通る少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の拡散率を変化させ、容器内の貯蔵寿命延長化合物の正味の濃度上昇を経時的に測定する。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の分子拡散率が高いほど、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の放出速度が高くなる。
【0072】
図1は、例示的な10cm×10cmの容器内に位置付けられた、例示的な2.24cm×0.45cmの制御放出送達組成物/系の位置付けを示す。この例の目的のために、制御放出送達組成物/系は無限揮発性であると仮定される。すなわち、制御放出送達組成物/系は、十分な時間が与えられれば、担体の表面から固相から気相へと形態を変換する。
【0073】
図2は、72時間にわたって変化する拡散率での、制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度のプロットを示す。
【0074】
図3は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の得られた蒸気圧濃度の経時的なプロットを示し、それによりマトリックスを通る少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の拡散率が貯蔵寿命延長剤の放出速度を制御することを示す。
【0075】
(実施例2)
本実施例のデータは、様々な微細構造を有する制御放出送達組成物/系の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の担持容量を示す。Tables 1-3(表1~表3)は、特定の微細構造を有するマトリックスによって吸収される1種の貯蔵寿命延長剤の量を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
以下のTable 4(表4)は、特定の微細構造を有するマトリックスによって吸収される、溶媒と組み合わせた2種以上の貯蔵寿命延長剤の量を示す。
【0080】
【表4】
【0081】
(実施例3)
以下の実施例は、溶媒と組み合わせた場合の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の拡散率が、平衡蒸気圧にどのように影響するかを示す。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤を溶媒又はゲル状マトリックスで希釈すると、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧が変化する。少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の揮発性の調節は、エントロピー(希釈倍率)及びエンタルピー(少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤と溶媒及びマトリックスとの間の化学的親和性)に依存する。これらの要因の間の相互作用には経験的な測定が必要である。したがって、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤、マトリックス、溶媒、及び放出速度調節化合物の組合せを変化させて平衡蒸気圧を調節する。具体例としては、溶媒との組合せの少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤が挙げられ、溶媒はパラフィン油、ブドウ種子油、ワックスオレオゲル、及び寒天ハイドロゲルからなる群から選択される。図4図6は、パラフィン油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長化合物の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。
【0082】
図7及び図8は、ブドウ種子油と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長化合物の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。図9及び図10は、マトリックス、溶媒及び放出速度調節剤と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の濃度が平衡蒸気圧に影響を及ぼす影響のグラフ図である。マトリックス材料はオレオゲルである。図11及び図12は、マトリックス及び溶媒と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(C59)の濃度が平衡蒸気圧に及ぼす影響のグラフ図である。マトリックスは寒天であり、溶媒は水である。
【0083】
(実施例4)
ポリマーフィルムは、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤を吸収し放出するために使用される。ポリマーの化学的性質及び機械的特性は、マトリックスの放出速度に影響する。以下の実施例では、ポリマーフィルムのマトリックスを、蒸気の物理的状態の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤に曝露した。蒸気はポリマーフィルムによって吸収され、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の量を測定した。貯蔵寿命延長剤、マトリックス、溶媒、及び/又は放出速度調節剤の様々な組合せにより、蒸気圧を調整するさらなる能力が可能になる。以下は、純粋な単一の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧と、ポリマー微細構造を有するマトリックスと組み合わせた、同じ純粋な単一の貯蔵寿命延長剤の蒸気圧を比較する測定である。
【0084】
【表5】
【0085】
(実施例5)
マトリックスを含む材料は、全体的な負荷されたマトリックス複合体の蒸気圧に影響を及ぼす。一般に、マトリックスは化学的に不活性ではなく、特にマトリックス成分が液体又はエマルジョン状態にあり、比較的容易に拡散することができる場合、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤及びマトリックス成分と相互作用する。したがって、マトリックスの化学的性質は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤とマトリックス成分との間の相互作用をモジュレートし、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の全体的な蒸気圧だけでなく、制御放出送達組成物/系の放出動態を変化させることができる。以下は、様々なマトリックス材料、並びにそれらが特定の純粋な少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤、及びエマルジョン又は油担体中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤とどのように相互作用するかを示す。異なるマトリックス材料に吸い上げられた純粋な少なくとも1種の貯蔵寿命延長化合物の平衡蒸気圧を測定し比較することにより、化合物に対する各表面の化学的親和性を間接的に測定した。より低い平衡蒸気圧はより高い親和性に対応し、その逆も同様である。異なるマトリックス材料に吸い上げられた純粋な化合物の平衡蒸気圧を測定し比較することにより、各表面が化合物に対して有する化学的親和性を間接的に測定することができる。より低い平衡蒸気圧はより高い親和性に対応し、その逆も同様である。Table 6(表6)は、中間マトリックスを有さない単一成分のマトリックス材料に適用された純粋な少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧を示す。
【0086】
【表6】
【0087】
Table 7(表7)は、減粘剤と組み合わせた少なくとも2種のマトリックス成分を含むマトリックス材料中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧の測定を示す。
【0088】
【表7】
【0089】
(実施例6)
平衡蒸気圧のさらなる調節は、マトリックス表面化学とマトリックス成分との間の相互作用を調節する塩又は高分子電解質の添加によって達成された。例えば、活性シリカ上エマルジョン、CaCl2塩で処理された活性シリカ上エマルジョン、及びキトサンで処理された活性シリカ上エマルジョンは、異なる平衡蒸気圧をもたらした。Table 8(表8)は、異なるマトリックス中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧の測定を示し、異なる複合体又は放出速度調節剤の効果を更に示す。制御放出送達組成物/系の例は、シリカ上エマルジョン、シリカ上エマルジョン及び塩、シリカ上エマルジョン及びキトサン、並びに塩を含むコルク上エマルジョン、塩を含まないコルク上エマルジョン、塩を含むフェルト上エマルジョン、並びに塩を含まないフェルト上エマルジョンである。
【0090】
【表8】
【0091】
一般に、最初にマトリックス表面上にある小さな塩イオンは、エマルジョン担体に混合する傾向があり、カプセル化された少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤に対する親和性を調節し、制御放出送達組成物/系の平衡蒸気圧を変化させる。CaCl2のようなカオトロピック塩の場合、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤とマトリックス成分との間の相互作用を減少させ、制御放出送達組成物/系の蒸気圧を増加させる。非限定的な例は、CaCl2ブラインで処理された場合のシリカマトリックスの平衡蒸気圧の上昇(約0ppmから50ppm)である。硫酸アンモニウム又はクエン酸カリウムのようなコスモトロピック塩の場合、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤とマトリックス成分との間の相互作用を増加させ、制御放出送達組成物/系の平衡圧力を低下させる可能性が高い。キトサンのような高分子電解質の場合、効果は異なる。特にマトリックスと高分子電解質との間に強い親和性がある場合、大きな分子はマトリックス表面から容易に離れない。シリカ(正味の負の表面電荷)及びキトサン(正味の正の電荷)の場合、キトサンは相互作用するバリア層をシリカ上に形成し、エマルジョンマトリックス及び少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤に対するシリカ親和性の親和性を低下させる。これにより、少なくとも平衡蒸気圧は、シリカを含む裸のマトリックスよりも高くなるが、シリカを含むCaCl2処理されたマトリックスよりも低い平衡蒸気圧になる。
【0092】
Table 9(表9)は、放出速度調節剤あり及びなしで加工されたマトリックスとの組合せの少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧の測定を示す。
【0093】
【表9】
【0094】
コルク及びウール繊維は、原料由来と加工由来のいずれも、天然に顕著な量の対イオンを含有する。これらのマトリックスを水に浸漬してこれらのイオンを除去することにより、その表面化学を調節し、結果として少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の蒸気圧をモジュレートすることができる。これは、マトリックス表面に由来する塩イオン(又はその欠如)がエマルジョン担体の組成を調節し、したがってマトリックスと少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤との間の相互作用を調節し、それにより少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の蒸気圧及び放出速度を変化させる別の例である。
【0095】
(実施例7)
有効成分配合物を含有する負荷されたマトリックス、及び様々な機構によりマトリックスを固化させて固体マトリックス複合体を形成する成分からなる制御放出材料。カプセル化エマルジョンの例は、天然油、天然脂肪酸塩、天然グリセロール、水、及び天然精油に由来する活性化合物の混合物であり得る。
【0096】
天然油は、カノーラ油、パーム油、ヤシ油、ゴマ油又はブドウ種子油等の、典型的に主にトリグリセリドから構成される、天然の供給源に由来するいずれの油脂であってもよい。この場合、カノーラ油を使用した。天然脂肪酸塩は、ナトリウム、カリウム又はマグネシウム等の正に帯電した陽イオンと、オレイン酸、リノール酸又はパルミチン酸等の天然脂肪酸との任意の組合せであり得る。この場合、脂肪酸塩は、主にオレイン酸ナトリウム(ナトリウム+オレイン酸)及びリノール酸ナトリウム(ナトリウム+リノール酸)であった。精油化合物又は精油化合物の混合物は、天然の揮発性化合物のリストから選択することができる。この例では、チモール及びクミンアルデヒドを使用した。マトリックスはまた、炭酸カルシウム粉末、水酸化カルシウム粉末、メタケイ酸ナトリウム、キトサン粉末、キトサンゲル、コラーゲン粉末、コラーゲンゲル(ゼラチン)、ポリ-リシンポリマー、シェラック、ワックス等の添加剤成分を含有してもよく、これらは互いに及び活性化合物と相互作用して、固体マトリックス複合体と呼ばれる固体又は高粘性材料を形成する。このような成分の組合せは、制御放出送達組成物/系の所望の機械的及び制御放出特性を達成するために使用された。
【0097】
マトリックス中の成分の比に応じて、担体は、液体、固体、又はチキソトロピー性(せん断されるまで固体であり、その後塑性変形を受ける)であってもよい。固体又はチキソトロピー性の場合、活性化合物は、混合すること(高せん断又は加熱)によって添加され、混合を停止すると最終混合物が固化し、固体マトリックス複合体が生成される。
【0098】
固体又はチキソトロピー性マトリックスの例としては、水、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤、脂肪酸塩、及び混合中にパテ状になり、固体マトリックスとして固まるアラビアガムの混合物、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤、及び混合して押し出すことができる軟質固体として作用するが、固体マトリックスとして固まる脂肪酸塩の混合物が挙げられる。液体、ゲル、又はエマルジョンマトリックスの場合、マトリックスと添加剤成分を組み合わせて混合すると、ゲル転移又は固化が生じ、固体担体複合体が生成される。液体、ゲル、又はエマルジョン担体及び添加剤成分の例としては、水、少なくとも1種の貯蔵寿命延長化合物、及び固体マトリックスとして硬化する、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、又はキトサン等の添加剤との粘性エマルジョンを形成する脂肪酸塩の混合物、油、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤、及び固体マトリックスとして固化する、溶融蜜蝋等の添加剤との粘性溶液を形成する脂肪酸塩の混合物、油、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤、及び架橋して固体マトリックスを形成することができるポリマーの混合物が挙げられる。以下のTable 10(表10)は、2種の異なる紙を使用するが、石鹸部分は同じである2種の異なる複合マトリックス中の少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の平衡蒸気圧を示す。石鹸部分は、脂肪酸塩とグリセロールの混合物である。具体的には、制御放出送達組成物/系は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(5%)+グリセロール(12%)+脂肪酸塩(33%)+紙(50%)である。
【0099】
【表10】
【0100】
【表11】
【0101】
上記Table 11(表11)は、種々の複合マトリックス、放出速度調節剤、及び減粘剤と組み合わせた少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤の蒸気圧の測定を示す。3つの複合マトリックスは、異なる放出速度調節剤(水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、キトサン)並びに脂肪酸塩、グリセロール及び水を含むエマルジョンを有する。例示的な制御放出送達組成物/系は、少なくとも1種の貯蔵寿命延長剤(2%)+グリセロール(1%)+脂肪酸塩(5%)+水(17%)+放出速度調節剤(25%)+紙(50%)である。図13図17は、制御放出送達組成物/系の例示的な実施例を示す。図13は、アラビアガム、水、及び脂肪酸塩を有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す。図14は、クラフト紙、脂肪酸塩、及びグリセロールを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す。図15は、クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、及びCa(OH)2を有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す。図16は、クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びキトサンを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す。図17は、クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、及びキトサンを有する例示的な制御放出送達組成物/系を示す。
【0102】
(実施例8)
油又はエマルジョン担体にカプセル化され、繊維又はセラミックを含むマトリックスに吸収された精油化合物は、少なくとも1つの生産品の保存性を高める。例えば、セルロースマトリックス、ポリプロピレンマトリックス、竹繊維マトリックス、フェルトマトリックス、及びコルクマトリックスはすべて効果的であるが、効果の大きさが異なる。更に、制御放出送達組成物/系の性能は、送達マトリックスの設計に影響される。例えば、マトリックス材料の多孔度は、系の制御放出特性に影響し、したがって制御放出送達組成物/系の活性寿命に影響する。
【0103】
例として、図18は、繊維系マトリックスを有する制御放出送達組成物/系対対照を示し、制御放出送達組成物/系は、室温(18~22℃の間)で5日間、本開示に従ってイチゴを有する容器内に位置付けられる。制御放出送達組成物/系の繊維系マトリックスは、ポリエチレン繊維、水、脂肪酸塩、グリセロール、及びチモールから構成される。図18は、イチゴ上のカビの成長の阻害を示す。図19は、クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びチモールを有する制御放出送達組成物/系を示し、制御放出送達組成物/系は、冷蔵庫温度(2~6℃)で16日間、容器内に位置付けられたイチゴを有する容器の内面に位置付けられる。その結果、イチゴ上のカビの成長は、イチゴの対照バッチよりも2日間長く阻害された。図20は、クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びチモールを有する制御放出送達組成物/系を示し、制御放出送達組成物/系は、室温(18~22℃)で20日間、容器内に位置付けられたブドウを有する容器の内面に位置付けられる。図21は、クラフト紙、脂肪酸塩、グリセロール、Ca(OH)2、及びクミンアルデヒドを有する制御放出送達組成物/系を示し、制御放出送達組成物/系は、室温(18~22℃)で16日間、容器内に位置付けられたブルーベリーを有する容器の内面に位置付けられる。
【0104】
マトリックス材料は、必要とされる使用事例に応じて、異なる形式に加工し、異なる基材上に配置することができる。例えば、マトリックスを接着ラベルに組み込み、生鮮品容器の蓋又は壁に配置することができる。別の例では、マトリックスをシートに組み込むことができ、このシートは、1つ又は複数の生産品の上に配置するか、又は生産品容器の底面に貼り付けることによって生産品の包装に組み込むことができる。
【0105】
したがって、本開示に従い、上記に示した目的及び利点を完全に満たす組成物、並びにそれを製造及び使用する方法が提供されてきた。本開示は、上記に示した特定の図面、実験、結果、及び文言と併せて記載されたが、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかであることは明白である。したがって、本開示の趣旨及び広範な範囲に入るそのような代替、修正及び変形をすべて包含することが意図される。
【0106】
以下は、本明細書に開示される発明概念の非限定的な例示的な実施形態の番号リストである。
【0107】
1.少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物であって、抗菌剤、免疫刺激性化合物、エチレン阻害剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤、並びに少なくとも1種のマトリックスであり、実質的に固体又は半固体の物理的状態であり、乳化剤、ワックス、ポリマー、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種のマトリックスを含み、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤がマトリックス内に含有され、制御された速度でマトリックスから放出され、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に位置付けるために、又は少なくとも1つの生産品が配設される容器内に位置付けるために設計される、制御放出送達組成物。
【0108】
2.マトリックスが固体の物理的状態を有する、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【0109】
3.マトリックスが半固体の物理的状態を有する、請求項1に記載の制御放出送達組成物。
【0110】
4.少なくとも1種のマトリックスが、タンパク質、多糖、ガム、合成ポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0111】
5.少なくとも1つのタンパク質が、コラーゲン、ゼラチン、絹、グルテン、ゼイン、カゼイン、ケラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つの多糖が、セルロース、ペクチン、キトサン、キチン、アルギン酸、デンプン、カラギーナン、寒天、シェラック、ヒアルロン酸、イヌリン、リグニン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つのガムが、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、マスティック、ジェランガム、トウヒガム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は少なくとも1つの合成ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ABS、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、ナイロン、PVC、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の制御放出送達組成物。
【0112】
6.少なくとも1種のマトリックスが、ゼオライト、活性炭、シリカ、アルミナ、及びそれらの組合せからなる群から選択されるセラミックを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0113】
7.ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0114】
8.少なくとも1種の溶媒又は減粘剤を更に含み、少なくとも1種の溶媒又は減粘剤が、極性溶媒、水、油、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0115】
9.少なくとも1つの極性溶媒が、エタノール、グリセロール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリルジアセテート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、クエン酸トリエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つの油が、カノーラ油、ブドウ種子油、アボカド油、クルミ油、ヤシ油、大豆油、パーム油、水素添加油、パラフィン油、ピーナッツ油、アーモンド油、ゴマ油、ベニバナ油、ヘキサン、ヘプタン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の制御放出送達組成物。
【0116】
10.少なくとも1種の放出速度調節剤を更に含み、放出速度調節剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、フマル酸第一鉄、ピロリン酸鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化グアニジニウム、大環状化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0117】
11.少なくとも1つのナトリウム塩が、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つのカリウム塩が、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、リン酸二カリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つのマグネシウム塩が、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は少なくとも1つのカルシウム塩が、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の制御放出送達組成物。
【0118】
12.少なくとも1種の放出速度調節剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩の少なくとも1種を含み、少なくとも1種の放出速度調節剤が、粉末形態の少なくとも1種のセラミックと組み合わされる、請求項10又は11に記載の制御放出送達組成物。
【0119】
13.粉末形態の少なくとも1種のセラミックが、アルミナ、シリカ、ゼオライト、粘土、酸化チタン、二酸化ケイ素、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の制御放出送達組成物。
【0120】
14.粘土が、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライト、タルク、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の制御放出送達組成物。
【0121】
15.大環状化合物が、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン、ムスコン、シベトン、クラウンエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10から14のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0122】
16.非晶質微細構造、半結晶微細構造、マイクロエマルジョン微細構造、微多孔質微細構造、メソポーラス微細構造、繊維状微細構造、発泡微細構造、粒子微細構造、及びそれらの組合せからなる群から選択される微細構造を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0123】
17.少なくとも1つのマイクロエマルジョン微細構造が、ミセル、小胞、円筒状微細構造、シート微細構造、及びジャイロイド微細構造からなる群から選択され、少なくとも1つの微多孔質微細構造が、陽極酸化アルミニウム、多孔質活性炭、又はそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つのメソポーラス微細構造がシリカゲルを含み、少なくとも1つの繊維状微細構造が、紙、フェルト、リネン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1つの発泡微細構造が、コルク、発泡ポリスチレン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は少なくとも1つの粒子微細構造が、ワックス微結晶、セラミック微結晶、及びそれらの組合せからなる群から選択され、粒子微細構造がマトリックス内に位置付けられる、請求項16に記載の制御放出送達組成物。
【0124】
18.制御放出送達組成物を少なくとも1つの生産品に放出可能に付着させるための、マトリックスの下面に配設された少なくとも1種の結合材料を更に含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0125】
19.少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤を含有するマトリックスが配設される多孔質包装を更に含み、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が多孔質包装を通って拡散することができる、請求項1から18のいずれか一項に記載の制御放出送達組成物。
【0126】
20.少なくとも1つの生産品の寿命を延長するための制御放出送達組成物であって、
抗菌剤、免疫刺激性化合物、エチレン阻害剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、チオール、トコフェロール、カテキン、アントシアニン、ポリフェノール、レスベラトロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、フマル酸第一鉄、ピロリン酸鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化グアニジニウム、大環状化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の放出速度調節剤、並びに少なくとも1種のマトリックスであり、実質的に固体又は半固体の物理的状態にあり、乳化剤、ワックス、ポリマー、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択され、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤、少なくとも1種の酸化防止剤、及び少なくとも1種の放出速度調節剤がマトリックス内に含有され、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が制御された速度でマトリックスから放出される、少なくとも1種のマトリックスを含み、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に位置付けるために、又は少なくとも1つの生産品が配設される容器内に位置付けるために設計される、制御放出送達組成物。
【0127】
21.制御放出送達組成物を少なくとも1つの生産品に放出可能に付着させるための、マトリックスの下面に配設された少なくとも1種の結合材料を更に含む、請求項20に記載の制御放出送達組成物。
【0128】
22.少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤を含有するマトリックスが配設される多孔質包装を更に含み、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が多孔質包装を通って拡散することができる、請求項20又は21に記載の制御放出送達組成物。
【0129】
23.容器、容器内に位置付けられた少なくとも1つの生産品、及び、少なくとも1種の揮発性貯蔵寿命延長剤が制御放出送達組成物から放出されるように容器内に位置付けられる、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物を含む、組立体。
【0130】
24.少なくとも1つの生産品、及び少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面上に位置付けられる、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物を含む、組立体。
【0131】
25.少なくとも1つの生産品の貯蔵寿命を延長する方法であって、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物を、少なくとも1つの生産品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に放出可能に付着させる工程を含む、方法。
【0132】
26. 少なくとも1つの生産品の貯蔵寿命を延長する方法であって、少なくとも1つの生産品が配設される容器中に、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の制御放出送達組成物を配設する工程を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】