IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-514003硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの製造
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの製造
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/09 20060101AFI20240319BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20240319BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240319BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C08G18/09 020
C08G18/22
C08G18/00 H
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563118
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2022057460
(87)【国際公開番号】W WO2022218657
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21168269.5
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン グロース
(72)【発明者】
【氏名】ヨープスト グリミンガー
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034AA06
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DC25
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG06
4J034DG15
4J034DG16
4J034KB02
4J034KB03
4J034KC02
4J034KC08
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD07
4J034KD11
4J034KD12
4J034KE02
4J034NA01
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA06
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QB14
4J034QB16
4J034QC01
4J034QC03
4J034RA05
4J034RA12
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の組成物であって、該組成物は、少なくとも1つのイソシアネート成分と、ポリオール成分と、任意にフォーム安定剤と、任意に発泡剤とを含み、該組成物は、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する少なくとも1つの触媒を含み、該触媒は、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を含む、組成物が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の組成物であって、前記組成物は、少なくとも1つのイソシアネート成分と、ポリオール成分と、任意にフォーム安定剤と、任意に発泡剤とを含み、前記組成物は、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する少なくとも1つの触媒を含む、組成物において、前記触媒が、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物には、亜鉛(II)塩、有利にはカルボン酸亜鉛(II)が包含され、ここで、前記カルボン酸塩は、不飽和または芳香族単位を含んでいてもよい炭素数1~34のカルボン酸をベースとしており、前記カルボン酸塩には特に、酢酸亜鉛(II)、プロピオン酸亜鉛(II)、ピバリン酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸亜鉛(II)(オクタン酸亜鉛(II))、イソノナン酸亜鉛(II)(3,5,5-トリメチルヘキサン酸亜鉛(II))、ネオデカン酸亜鉛(II)、リシノール酸亜鉛(II)、パルミチン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、オレイン酸亜鉛(II)、ラウリン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)および/または安息香酸亜鉛(II)が包含され、ここで、最も好ましいのは、酢酸亜鉛(II)および/またはリシノール酸亜鉛(II)であり、かつ/または前記カルボン酸塩は、ヘテロ原子としてNおよびOを有することもでき、前記カルボン酸塩には特に、乳酸亜鉛(II)、グリシン酸亜鉛(II)、ヒプル酸亜鉛(II)、クエン酸亜鉛(II)および/または亜鉛(II)石鹸、例えば特にオレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛および/またはステアリン酸亜鉛が包含される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
使用される前記カルボン酸亜鉛(II)が、化学量論的形態で存在し、すなわち、Znとカルボン酸塩とを1:2のモル比で含み、すなわち特にカルボン酸塩またはカルボン酸を過剰に含まない、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記亜鉛含有調合物が、キャリア媒体中の亜鉛塩、有利には亜鉛(II)塩、特にカルボン酸亜鉛(II)を含み、前記キャリア媒体には特に、グリコール、アルコキシレートならびに/または合成および/もしくは天然由来の油が包含される、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの窒素含有化合物がさらに含まれており、前記窒素含有化合物には有利には、アミン、アミンアルコキシレート、アミノ酸および/または複数の酸官能基を有するアミンが包含され、これには特に、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、脂肪アミンエトキシレート、例えばタロウアミンエトキシレート、ココアミンエトキシレート、セチル/ステアリルアミンエトキシレートもしくはPEG-3-タロウアミノプロピルアミン、PPG-3-タロウアミノプロピルアミン、グリシン、リジン、アルギニン、サルコシン、エチレンジアミンテトラアセテートおよび/またはエチレンジアミントリアセテートココスアルキルアセトアミドが包含され、特に好ましくは脂肪アミンアルコキシレートが使用可能であり、ここで、前記少なくとも1つの窒素含有化合物は特に、前記亜鉛含有調合物中に含まれている、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの追加の三量化触媒がさらに含まれており、有利であるのは、アンモニウム、カリウムおよび/または他のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩であり、さらに好ましいのは、カルボン酸カリウム、特に酢酸カリウム、ギ酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、ヘプタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、ピバリン酸カリウム、オクタン酸カリウム、酪酸カリウム、イソ酪酸カリウム、ノナン酸カリウム、デカン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ステアリン酸カリウムおよび/もしくはネオデカン酸カリウム、ならびに/またはアンモニウムカチオンのカルボン酸塩、例えば特に、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジメチルジアリルアンモニウム、トリメチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリエチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリプロピル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリブチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリブチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムおよび/もしくはジメチルベンジル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウムのカルボン酸塩である、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の塩がさらに使用され、前記塩は形式的には、芳香族カルボン酸とアミノ酸との反応から誘導可能であり、前記塩は特に、アミノ酸と芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸ハロゲン化物および/または芳香族カルボン酸無水物との反応によって得ることができる、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
さらなる触媒として第三級アミンがさらに含まれており、追加の前記第三級アミンは有利には、1分子当たり少なくとも2個の窒素原子を含み、特に好ましく使用可能な追加の第三級アミンは、第1の群から選択され、前記第1の群は、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-N-メチル-1,3-プロパンジアミン、2-{[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ}エタノール、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、N-メチル-N-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロパノール、N-メチル-N-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノエタノール、1-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール、1,1’[[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール、3,3’-イミノビス(N,N-ジメチルプロピルアミン)、ジイソプロピルトリメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)メチルアミン、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、3-ジメチルアミノ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルアミノプロピルアミン、1-(3-アミノプロピル)ピロリジン、1-(2-アミノエチル)ピロリジン、1-(1-ピロリジニル)-2-プロパンアミン、N,N-ジメチル-1-(ピロリジン-1-イル)プロパン-2-アミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N,N’N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素、1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパンおよびN,N,N’N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンからなり、前記アミンの混合物も使用可能であり、かつ/または、有利にはまたは、前記特に好ましく使用可能な追加の第三級アミンは、構造式(III):
【化1】
[式中、
mは、1または2であり、
Aは、O、SまたはN-Rであり、
、R、R、RおよびRは、炭素数1~20のアルキルまたは官能化アルキルである]を満たし、かつ/または、有利にはまたは、前記特に好ましく使用可能な追加の第三級アミンは、構造式IV、VまたはVI:
【化2】
[式中、
mは、1または2であり、
は、H、メチル、エチル、イソプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、3-アミノプロピル、2-アミノプロピルまたはアミノエチルであり、ここで、2つの前記基は、異なっていても同一であってもよい]を満たす、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
完成したポリウレタンフォームに対する前記亜鉛含有調合物の全重量割合が、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%である、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、亜鉛含有調合物を含み、前記亜鉛含有調合物が、
(i)カルボン酸亜鉛(II)であって、有利には請求項2および/または請求項3で定義されたものを、2重量%~50重量%、有利には5重量%~45重量%、特に好ましくは10重量%~40重量%の量で、
(ii)キャリア媒体であって、有利には請求項4で定義されたものを、10重量%~95重量%、有利には15重量%~90重量%、特に好ましくは20重量%~70重量%の量で、
(iii)窒素含有化合物であって、有利には請求項5で定義されたものを、1重量%~70重量%、有利には2重量%~60重量%、特に好ましくは5重量%~50重量%の量で
含み、ここで、重量%は、前記亜鉛含有調合物全体に対するものである、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、
亜鉛含有調合物であって、亜鉛(II)塩、キャリア媒体および窒素含有化合物、特に請求項10で定義されたものを含む、亜鉛含有調合物
を含み、さらなる構成成分として、前記組成物がさらに
(i)追加の三量化触媒であって、特に請求項6で定義されたもの、および
(ii)追加の第三級アミンであって、特に請求項8で定義されたもの
を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、水および/または発泡剤、任意に少なくとも1つの難燃剤および/または硬質ポリウレタンもしくはポリイソシアヌレートフォームの製造において有利に使用可能なさらなる添加剤をさらに含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
1つ以上のポリオール成分と1つ以上のイソシアネート成分との反応による硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、前記反応を、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する触媒の存在下で行う方法において、有利には請求項1から12までのいずれか1項で定義された組成物の使用下で、特に請求項10に示される亜鉛含有調合物の使用下で、前記触媒が亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの製造における触媒としての、好ましくは硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの使用特性を向上させるための、特に、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの、DIN EN ISO 844:2014-11に準拠して測定可能な圧縮硬度を、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を使用せずに製造された硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームよりも早い時点で増加させるための、特に請求項1から12までのいずれか1項で定義された本発明による組成物の使用下での亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物の使用。
【請求項15】
本発明による請求項13記載の方法によって得ることができる、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム。
【請求項16】
断熱目的での、有利には断熱ボードおよび断熱具としての、ならびに冷却装備への、請求項15記載の硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン(PU)およびポリイソシアヌレート(PIR)、特に硬質PUまたはPIRフォームの分野に関する。本発明は特に、亜鉛塩を使用した硬質PUまたはPIRフォームの製造、さらにそれを使用して製造されたフォームの使用に関する。本発明において、該フォームは、硬質PUまたはPIRフォームである。
【0002】
本発明において、ポリウレタン(PU)とは特に、ポリイソシアネートとポリオールまたはイソシアネート反応性基を有する化合物との反応により得ることができる生成物を意味すると理解される。ここで、ポリウレタンに加えて、例えばウレトジオン、カルボジイミド、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、ウレアおよび/またはウレトンイミンなどのさらなる官能基も形成され得る。したがって、本発明の趣意におけるPUとは、ポリウレタンだけでなく、ポリイソシアヌレート、ポリウレア、ならびにウレトジオン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビウレット基およびウレトンイミン基を含むポリイソシアネート反応生成物をも意味すると理解される。本発明において、ポリウレタンフォーム(PUフォーム)とは特に、ポリイソシアネートとポリオールまたはイソシアネート反応性基を有する化合物とをベースとする反応生成物として得られるフォームを意味すると理解される。ここで、名称が挙げられたポリウレタンの他に、例えばアロファネート、ビウレット、ウレア、カルボジイミド、ウレトジオン、イソシアヌレートまたはウレトンイミンなどのさらなる官能基も形成され得る。
【0003】
本発明において対象となるのは、特にポリイソシアヌレートの形成である。この反応は、形式的には3つのイソシアネート基が反応してイソシアヌレート環が生成されることから、三量化と呼ばれる。硬質PIRフォームの製造は文献に記載されており、通常、ポリイソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物、通常はポリエーテルオール、ポリエステルオールまたはその双方と反応させることによって行われ、イソシアネート指数は、有利には180以上である。これにより、イソシアネートと反応性水素原子を有する化合物との反応により生じるウレタン構造に加えて、イソシアネート基同士の反応により、イソシアヌレート構造、またはイソシアネート基と他の基、例えばポリウレタン基との反応により生じるさらなる構造が生じる。
【0004】
硬質ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォームの製造では、発泡の反応プロファイルおよびフォームの使用特性に好影響を与えるために様々な触媒が使用される。その際、ポリイソシアヌレートの形成は、良好な機械的特性(高い圧縮硬度)および難燃性の向上につながるため、有利である。
【0005】
硬質PUまたはPIRフォームの製造における三量化反応を促進することにより圧縮硬度を向上させるための触媒の使用に関しては、様々な刊行物が知られている。
【0006】
欧州特許出願公開第1878493号明細書には、三量化触媒としてのカルボカチオン化合物の使用が記載されており、その際、該アニオンは、ジカルボニル化合物をベースとする。カルボン酸亜鉛の使用に関する記述はない。
【0007】
米国特許第4452829号明細書には、1000g/molを超えるモル質量を有するトリオールを使用したスプレーフォームの製造が記載されている。ここでは、クリーミング、すなわち水とのPU反応の開始を促進するために、Zn塩がK塩と組み合わせて使用されている。クリームタイムを短縮するため、すなわち反応を促進するために、K含有触媒にはZn含有触媒(オクタン酸亜鉛)も添加される。
【0008】
米国特許第4200699号明細書には、カルボン酸Zn、カルボン酸Kおよびカルボン酸Sbを含有する硬質PUフォームを製造するためのゲル触媒組成物が記載されており、有利には、第三級アミン、無機スズ化合物または有機スズ化合物の群からのさらなるゲル触媒が使用される。
【0009】
欧州特許出願公開第1745847号明細書には、オクタン酸カリウムおよびイソシアネートとの反応に関して不活性な溶媒をベースとする三量化触媒が記載されている。
【0010】
国際公開第2016/201675号には、イソシアネート反応性基を有する立体障害カルボン酸塩および第三級アミンをベースとする組成物からなる三量化触媒が記載されている。
【0011】
国際公開第2010/054317号には、三量化触媒としてのイミニウム塩が記載されている。
【0012】
国際公開第2013/074907号には、ポリウレタンフォーム用触媒としての芳香族カルボン酸のテトラアルキルグアニジン塩の使用が記載されている。
【0013】
本発明の課題は、特に短い反応時間後でも良好な圧縮硬度および/または押込硬度などの特に有利な使用特性を有する硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの提供を可能にすることであった。しかしその際、ライズプロファイルへの影響を有利には最小限に抑えることが望まれていた。
【0014】
驚くべきことに、今般、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物の使用によりこの課題を解決できることが見出された。
【0015】
したがって、本発明の主題は、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム製造用の組成物であって、該組成物は、少なくとも1つのイソシアネート成分と、ポリオール成分と、任意にフォーム安定剤と、任意に発泡剤とを含み、該組成物は、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する少なくとも1つの触媒を含み、該触媒は、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を含む、組成物である。
【0016】
本発明の趣意において、亜鉛含有調合物とは、亜鉛を含む調合物である。さらに調合物とは、2つ以上の物質からなるブレンド、混合物または溶液である。したがって、本発明の趣意における亜鉛含有調合物とは、亜鉛と少なくとも1つのさらなる成分とを含有する調合物である。
【0017】
この亜鉛含有調合物は、任意の所望のさらなる成分を含んでもよいが、好ましくは、溶媒と少なくとも1つの窒素含有化合物とを含む。
【0018】
溶媒および少なくとも1つの窒素含有化合物については、詳細に後述する。したがって、本発明の趣意における好ましい亜鉛含有調合物は、亜鉛塩と、溶媒と、少なくとも1つの窒素含有化合物とを、特にそれぞれ以下で定義するとおりに含む。
【0019】
硬質PUまたはPIRフォームの製造における本発明による組成物の使用により、使用特性の向上を示す対応する硬質フォームが得られることを見出すことができた。特に、三量化が改善され、その結果、フォームが迅速に硬化し、つまり、フォームは、早い時点ですでに高い圧縮硬度および高い押込硬度を有する。本発明の特に有利な点はさらに、それにもかかわらず、本発明による組成物の使用により、ライズプロファイルへの影響を最小限に抑えることができることである。このことは、さもなければ反応混合物の流動性に問題が生じかねず、これは加工上の重大な問題につながることから、非常に有利である。本発明による組成物を用いることで、場合によってはライズプロファイルを遅くすることも可能であり、これによりフォーム系の反応性を調整するための多種多様な選択肢が可能となる。
【0020】
亜鉛含有化合物の添加によりPU反応を遅くすることができるという効果は、驚くべきものであり、新規である。先行技術によれば、亜鉛含有化合物は、例えば米国特許第442829号明細書に記載されているように、反応の促進、すなわちクリームタイムまたはゲルタイムの短縮をもたらす。
【0021】
よって、本発明による解決策により、硬質PUまたはPIRフォームをベースとする製品、例えば断熱パネルまたは冷却ユニットを非常に特に高品質で製造することが可能となるとともに、硬質PUまたはPIRフォームの製造工程をより効率的に構築することができる。
【0022】
本発明のさらなる利点は、使用可能な化学物質、特に亜鉛塩または亜鉛含有調合物の環境毒性分類が良好であることである。それというのも、先行技術ではしばしば、毒物学的に問題のある特性を有する金属化合物が使用されているためである(Sn、Pbなど)。
【0023】
本発明は、フォーム欠陥がわずかである硬質PUまたはPIRフォームの製造に使用することができるというさらなる利点を有する。
【0024】
本発明の好ましい一実施形態によれば、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物には、亜鉛(II)塩、有利にはカルボン酸亜鉛(II)が包含され、ここで、該カルボン酸塩は、不飽和または芳香族単位を含んでいてもよい炭素数1~34のカルボン酸をベースとしており、該カルボン酸塩には特に、酢酸亜鉛(II)、プロピオン酸亜鉛(II)、ピバリン酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸亜鉛(II)(オクタン酸亜鉛(II))、イソノナン酸亜鉛(II)(3,5,5-トリメチルヘキサン酸亜鉛(II))、ネオデカン酸亜鉛(II)、リシノール酸亜鉛(II)、パルミチン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、オレイン酸亜鉛(II)、ラウリン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)および/または安息香酸亜鉛(II)が包含され、ここで、最も好ましいのは、酢酸亜鉛(II)および/またはリシノール酸亜鉛(II)であり、かつ/または該カルボン酸塩は、ヘテロ原子としてNおよびOを有することもでき、該カルボン酸塩には特に、乳酸亜鉛(II)、グリシン酸亜鉛(II)、ヒプル酸亜鉛(II)および/またはクエン酸亜鉛(II)および/または亜鉛(II)石鹸、例えば特にオレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛および/またはステアリン酸亜鉛が包含される。
【0025】
本発明による組成物は好ましくは、カルボン酸亜鉛を化学量論的形態で含み、すなわち、Znとカルボン酸塩とを1:2のモル比で含み、すなわち特にカルボン酸塩またはカルボン酸を過剰に含まない。亜鉛塩の工業的な製造方法では、親酸が過剰に使用されるため、最終生成物が依然として過剰の酸を含むことがよくある。このことは、ここでは有利でない。
【0026】
亜鉛塩の総使用量は、組成物全体に対して有利には0.025重量%~2重量%、好ましくは0.05重量%~1.6重量%、特に好ましくは0.1重量%~1.2重量%の範囲である。
【0027】
本発明の趣意において、PUまたはPIR反応混合物に使用するための亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を溶解形態で導入することが非常に特に好ましい。
【0028】
したがって、本発明の好ましい一実施形態によれば、キャリア媒体中の本発明による亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物が反応混合物に添加されるか、あるいは亜鉛含有調合物が有利には、キャリア媒体を含む。キャリア媒体および溶媒という用語は、本発明の趣意において同義で用いられる。
【0029】
特に、好ましい亜鉛含有調合物は、キャリア媒体中の亜鉛塩、有利には亜鉛(II)塩、特にカルボン酸亜鉛(II)を含み、該キャリア媒体には特に、グリコール、アルコキシレートならびに/または合成および/もしくは天然由来の油が包含される。これは、本発明の好ましい一実施形態に相当する。
【0030】
原則として、溶媒として適したすべての物質をキャリア媒体として使用することができる。好ましくは、例えば、グリコール、アルコキシレートならびに/または合成および/もしくは天然由来の油が挙げられる。プロトン性溶媒を使用することも、非プロトン性溶媒を使用することも可能である。
【0031】
本発明による亜鉛含有調合物を、各種キャリア媒体を有する組成物の構成要素として使用することも可能である。
【0032】
簡便に使用できる亜鉛含有調合物を提供するためには、キャリア媒体の使用が好ましい。その場合、調合物がポンプや他の工業機器に特定の要求を課すことのないよう、可能な限り低粘度であることが好ましい。好ましい粘度は、DIN 53655に記載されているHoeppler法により25℃で測定した場合に、10Pa・s未満、好ましくは8Pa・s未満、特に好ましくは6Pa・s未満である。
【0033】
加えて、本発明による組成物が少なくとも1つの窒素含有化合物をさらに含む場合、本発明の趣意において非常に特に好ましい。この窒素含有化合物は、各種キャリア媒体への亜鉛塩の溶解性を最適に促進することができる。ここでは好ましくは、アミン、アミンアルコキシレート、アミノ酸および/または複数の酸官能基を有するアミン、特にN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、脂肪アミンエトキシレート、例えばタロウアミンエトキシレート、ココアミンエトキシレート、セチル/ステアリルアミンエトキシレート、PEG-3-タロウアミノプロピルアミン、PPG-3-タロウアミノプロピルアミン、グリシン、リジン、アルギニン、サルコシン、エチレンジアミンテトラアセテートおよび/またはエチレンジアミントリアセテートココスアルキルアセトアミドを使用することが可能であり、特に好ましくは脂肪アミンアルコキシレートが使用可能であり、ここで、少なくとも1つの窒素含有化合物は特に、亜鉛含有調合物中に含まれている。N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよび/またはN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンが最も好ましい。
【0034】
これらの付加的に使用可能な窒素含有化合物は有利には、本発明による組成物全体に対して0.01重量%~3重量%、好ましくは0.02重量%~2重量%、特に好ましくは0.1重量%~1.5重量%の量で含まれている。
【0035】
したがって、非常に特に好ましい亜鉛含有調合物は、以下のものを含む:
(a)亜鉛塩(有利には亜鉛(II)塩、特にカルボン酸亜鉛(II))であって、特に上述のもの、
(b)キャリア媒体(特に、グリコール、アルコキシレートまたは合成および/もしくは天然由来の油が包含される)、
(c)窒素含有化合物であって、特に上述のものであり、その際、窒素含有化合物として、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよび/またはN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンが非常に特に好ましい。
【0036】
さらに、本発明による組成物に少なくとも1つの追加の三量化触媒がさらに含まれている場合、これは本発明の好ましい一実施形態に相当する。この追加の三量化触媒は、それ自体は亜鉛を含んでおらず、本発明の好ましい一実施形態によれば追加的に添加される。
【0037】
追加の三量化触媒によって、所望に応じて反応速度を所望の程度に調整することができる。追加の三量化触媒はまた、亜鉛含有調合物の構成成分であってもよく、これは好ましい一実施形態に相当する。別の好ましい一実施形態では、追加の三量化触媒は、亜鉛含有調合物の構成成分ではなく、本発明による組成物に別個に供給される。
【0038】
原理的には、既知のすべての三量化触媒を使用することが可能である。特に適した追加の三量化触媒は、例えば、アンモニウムカチオンのカルボン酸塩であり、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジメチルジアリルアンモニウム、トリメチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリエチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリプロピル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリブチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリブチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウムのカルボン酸塩などである。同様にカチオンとして該当するのは、カリウムまたは他のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属であり、特に欧州特許出願公開第1745847号明細書および国際公開第2016/201675号およびそこに含まれる引用文献に記載されているとおりである。有利には、カルボン酸カリウム、特に酢酸カリウム、ギ酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、ヘプタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、ピバリン酸カリウム、オクタン酸カリウム、酪酸カリウム、イソ酪酸カリウム、ノナン酸カリウム、デカン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ステアリン酸カリウムおよび/またはネオデカン酸カリウムが使用される。
【0039】
本発明による好ましい組成物は、追加の三量化触媒を、本発明による組成物全体に対して0.2重量%~9重量%、有利には0.5重量%~7重量%の量で含む。
【0040】
したがって、本発明による好ましい組成物は、亜鉛塩(有利には亜鉛(II)塩、特にカルボン酸亜鉛(II))、キャリア媒体、窒素含有化合物および任意に(有利には必須成分として)追加の三量化触媒を含む。ここで、任意に(有利には必須成分として)使用可能な追加の三量化触媒が、亜鉛含有調合物の構成要素でないことが好ましい。
【0041】
さらに、本発明による組成物が、カルボン酸Sbおよび/またはカルボン酸Snを含まない場合、これは本発明の好ましい一実施形態に相当する。
【0042】
本発明による組成物が、さらなる触媒として第三級アミン(すなわち、追加の第三級アミン)をさらに含み、この追加の第三級アミンが有利には、1分子当たり少なくとも2個の窒素原子を含む場合、これは本発明のさらなる好ましい一実施形態に相当する。
【0043】
特に好ましく使用可能な追加の第三級アミンは、第1の群から選択される。この第1の群は、以下のアミン:ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-N-メチル-1,3-プロパンジアミン、2-{[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ}エタノール、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、N-メチル-N-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロパノール、N-メチル-N-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノエタノール、1-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール、1,1’[[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール、3,3’-イミノビス(N,N-ジメチルプロピルアミン)、ジイソプロピルトリメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)メチルアミン、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、3-ジメチルアミノ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルアミノプロピルアミン、1-(3-アミノプロピル)ピロリジン、1-(2-アミノエチル)ピロリジン、1-(1-ピロリジニル)-2-プロパンアミン、N,N-ジメチル-1-(ピロリジン-1-イル)プロパン-2-アミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N,N’N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、N,N’-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素、1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパンおよびN,N,N’N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンからなり、前述のアミンの混合物も使用可能である。これは、例えば、前述の第1の群の任意の単一のアミンを使用することも、前述の第1の群のアミンの混合物を使用することも有利に可能であることを意味する。このことは、本発明の好ましい一実施形態に相当する。
【0044】
有利に使用可能な追加の第三級アミンはさらに、構造式(III):
【化1】
[式中、
mは、1または2であり、
Aは、O、SまたはN-Rであり、
、R、R、RおよびRは、炭素数1~20のアルキルまたは官能化アルキルである]を満たす第三級アミンである。構造式(III)の第三級アミンの使用は、本発明の好ましい一実施形態に相当する。
【0045】
有利に使用可能なさらなる追加の第三級アミンは、以下の構造式IV、VまたはVI:
【化2】
[式中、
mは、1または2であり、
は、H、メチル、エチル、イソプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、3-アミノプロピル、2-アミノプロピルまたはアミノエチルであり、ここで、これらの2つの基は、異なっていても同一であってもよい]を満たす。構造式IV、VまたはVIのアミンの使用は、本発明の好ましい一実施形態に相当する。ここで、対応するアミン混合物を使用することも可能である。
【0046】
付加的に使用可能である、有利には上述の、特に第1の群から選択されかつ/または式III、IV、VもしくはVIによる第三級アミンは、触媒として作用する機能を有しているのに対して、上述の窒素含有化合物、特にN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよび/またはN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンは、亜鉛塩の溶解性をさらに向上させる役割を果たす。
【0047】
本発明による非常に特に好ましい組成物は、付加的に使用可能である、有利には上述の、好ましくは第1の群から選択されかつ/または式III、IV、VもしくはVIによる第三級アミンを、本発明による組成物全体に対して0.05重量%~3重量%、有利には0.1重量%~2重量%の量で含む。
【0048】
よって、本発明による非常に特に好ましい組成物は、亜鉛塩(有利には亜鉛(II)塩、特にカルボン酸亜鉛(II))、キャリア媒体、窒素含有化合物、任意に、有利には必須成分として追加の三量化触媒および追加の第三級アミン、有利には上述の、好ましくは第1の群から選択されかつ/または式III、IV、VもしくはVIによる第三級アミンを含む。ここで、追加の第三級アミンが、亜鉛含有調合物の構成要素でないことが好ましい。
【0049】
したがって、本発明による非常に特に好ましい組成物は、
(i)亜鉛含有調合物であって、亜鉛(II)塩、特にカルボン酸亜鉛(II)、キャリア媒体および窒素含有化合物、有利には上述のものを含む、亜鉛含有調合物
を含み、さらなる構成成分として、好ましい組成物はさらに
追加の三量化触媒であって、有利には上述のもの、および
追加の第三級アミンであって、有利には上述の、好ましくは第1の群から選択されかつ/または式III、IV、VもしくはVIによる第三級アミン
を含む。
【0050】
本発明のさらなる好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の塩をさらに含む。
【0051】
アミノ酸またはアミノ酸誘導体のこれらの塩は、形式的には芳香族カルボン酸とアミノ酸との反応から誘導可能であり、それらは特に、アミノ酸と芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸ハロゲン化物および/または芳香族カルボン酸無水物との反応によっても得ることができ、これは本発明の好ましい一実施形態に相当する。ここで、塩への変換は、慣用の方法によって、例えば慣用の塩基、例えばKOH、NaOHまたは対応する水酸化アンモニウムとの反応によって実施することができる。
【0052】
本発明による特に好ましいアミノ酸またはアミノ酸誘導体の塩は、以下の式(I):
【化3】
[式中、
は、芳香族基、任意に多環式芳香族基であり、該基は、置換基を有することができ、任意にさらなるカルボキシ官能基を有していてもよく、該カルボキシ官能基にさらなるアミノ酸が結合していてもよく、
ここで、Rは有利には、
【化4】
であり、
、R、Rは、互いに独立して、H、C~C18アルキル、アルケニル、アリールまたはアルキルアリールであり、これらは置換されていてもよく、
は、カチオン、例えば有利には、アルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンまたは置換アンモニウムカチオン、好ましくはLi、Na、K、Rb、Csまたはアンモニウム化合物、例えば有益にはテトラアルキルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム、ベンジルトリアルキルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ジメチルジアリルアンモニウム、トリメチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリエチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリプロピル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリブチル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2-ヒドロキシプロピル)アンモニウムまたはジメチルベンジル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムおよびそれらの組み合わせを表す]を満たす。
【0053】
ここで特に好ましいのは、Rがフェニル、アルキルフェニルを表すか、またはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸もしくはピロメリット酸から誘導される基を表すことである。
【0054】
アミノ酸誘導体の塩が、以下の式(II):
【化5】
[式中、
、R、Mは、上記で定義されたとおりであり、ここで、有利には、
は、それぞれHであり、ここで、さらに好ましくは、
およびRは、それぞれHであり、ここで、特に、
およびRは、それぞれHであり
は、Na、KまたはNR を表し、
は、上記で定義されたとおりである]を満たす場合、特に好ましい一実施形態が存在する。
【0055】
したがって、特に好ましい構造は、
【化6】
および
【化7】
[式中、
およびRは、上記で定義されたとおりである]である。
【0056】
特に好ましいのは、ヒプル酸の塩
【化8】
[式中、
は、上記で定義されたとおりであり、有利には、カチオンとしてのナトリウム、カリウムまたはアンモニウムである]であり、特に好ましいのは、ナトリウム塩
【化9】
である。
【0057】
本発明により使用可能な塩の製造は、既知の方法により行うことができる。
【0058】
ヒプル酸およびその塩は、市販されている。製造は、当業者に知られている。ヒプル酸の製造は、例えば、塩化ベンゾイルとグリシンとの反応によって行うことができる(Schotten Baumann法)。安息香酸エステル(メチルエステル)とグリシンとをベースとしたアミド化も同様に行うことができる。その場合、塩の製造は、例えば対応する塩基、例えばKOH、NaOHまたは対応する水酸化アンモニウムを用いて行われる。
【0059】
本発明による好ましい組成物は、付加的に使用可能なアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の塩を、本発明による組成物全体に対して2重量%~50重量%、有利には4重量%~45重量%の量で含むことができる。
【0060】
製造工程からのいかなる二次成分もフォーム製造に影響しないため、PUまたはPIRフォームでの使用には、テクニカルグレードの品質で十分であることが多い。これは、本発明のさらなる大きな利点である。
【0061】
本発明の好ましい一実施形態によれば、キャリア媒体中のアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の塩を反応混合物に添加することができる。キャリア媒体としては、溶媒として適したすべての物質を使用することができる。例えば、グリコール、アルコキシレートまたは合成および/もしくは天然由来の油が挙げられる。アミノ酸誘導体の塩にキャリア媒体を使用することは、本発明の好ましい一実施形態に相当する。本発明による塩を、各種キャリア媒体を有する組成物の構成要素として使用することも可能である。
【0062】
完成したポリウレタンフォームに対する本発明による亜鉛含有調合物の全重量割合が、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%である場合、これは本発明の好ましい一実施形態に相当する。
【0063】
本発明による組成物が、水および/または発泡剤、任意に少なくとも1つの難燃剤および/または硬質ポリウレタンもしくはポリイソシアヌレートフォームの製造において有利に使用可能なさらなる添加剤を含む場合、これは本発明の好ましい一実施形態に相当する。本発明による亜鉛含有調合物に加えてさらに、さらなる触媒が含まれていてもよい。
【0064】
本発明による特に好ましい組成物は、以下の成分を含む:
a)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分、特にポリオール、
b)少なくとも1つのポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマー、
c)上述の本発明による触媒(特に本発明による亜鉛含有調合物)、
d)(任意に)さらなる触媒、
e)(任意に)シロキサンまたは他の界面活性剤をベースとするフォーム安定化成分、
f)1つ以上の発泡剤、
g)さらなる添加剤、充填剤、難燃剤など。
【0065】
本発明において使用可能な好ましい亜鉛含有調合物は、該調合物に対して
(i)カルボン酸亜鉛(II)であって、有利には上記で定義されたものを、2重量%~50重量%、有利には5重量%~45重量%、特に好ましくは10重量%~40重量%の量で、
(ii)キャリア媒体であって、有利には上記で定義されたものを、10重量%~95重量%、有利には15重量%~90重量%、特に好ましくは20重量%~70重量%の量で、
(iii)窒素含有化合物であって、有利には上記で定義されたものを、1重量%~70重量%、有利には2重量%~60重量%、特に好ましくは5重量%~30重量%の量で
含み、ここで、重量%はそれぞれ、該亜鉛含有調合物全体に対するものである。
【0066】
本発明において使用可能な特に好ましい亜鉛含有調合物は、該調合物に対して
(i)カルボン酸亜鉛(II)であって、有利には上記で定義されたものを、2重量%~50重量%、有利には5重量%~45重量%、特に好ましくは10重量%~40重量%の量で、
(ii)キャリア媒体であって、有利には上記で定義されたものを、10重量%~95重量%、有利には15重量%~90重量%、特に好ましくは20重量%~70重量%の量で、
(iii)窒素含有化合物であって、有利には上記で定義されたものを、1重量%~70重量%、有利には2重量%~60重量%、特に好ましくは5重量%~30重量%の量で、
(iv)上記で定義された追加の三量化触媒を、5重量%~75重量%、有利には10重量%~70重量%、特に好ましくは15重量%~60重量%の量で
含み、ここで、重量%はそれぞれ、該亜鉛含有調合物全体に対するものである。
【0067】
本発明による非常に特に好ましい組成物は、今しがた規定した亜鉛含有調合物と、さらに追加の第三級アミンであって、有利には上記で定義された、好ましくは第1の群から選択されかつ/または式III、IV、VもしくはVIによる第三級アミンとを含む。
【0068】
本発明のさらなる主題は、1つ以上のポリオール成分と1つ以上のイソシアネート成分との反応による硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、該反応を、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する触媒の存在下で行い、好ましくは上述の本発明による組成物の使用下で、該触媒は、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物であって、特に上述のものを含む、方法である。ここで、好ましく使用可能な本発明による亜鉛含有調合物に加えてさらに、さらなる触媒を使用することも可能である。
【0069】
ここで、キャリア媒体中で硬質PUまたはPIRフォームを製造するための反応混合物に亜鉛含有調合物を供給することが好ましく、このキャリア媒体には有利には、グリコール、アルコキシレートまたは合成および/もしくは天然由来の油が包含される。
【0070】
本発明のさらなる主題は、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの製造における触媒としての、好ましくは硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの使用特性を向上させるための、特に、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの、DIN EN ISO 844:2014-11に準拠して測定可能な圧縮硬度を、亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物を使用せずに製造された硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームよりも早い時点で増加させるための、特に上述の本発明による組成物の使用下での亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物の使用である。
【0071】
本発明のさらなる主題は、上記のとおりの本発明による方法によって得ることができる硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームである。
【0072】
本発明の主題はさらに、断熱目的での、有利には断熱ボードおよび断熱具としての、ならびに本発明による硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを断熱材として含む冷却装備への、本発明による硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの使用である。
【0073】
以下に、個々の使用可能な成分(ここでは、a)~g)として示す)についてさらに詳細に説明する。成分c)については、すでに説明した。
【0074】
本発明の趣意においてポリオール成分a)として適したポリオールは、2つ以上のイソシアネート反応性基、有利にOH基を有するすべての有機物質、およびその調製物である。好ましいポリオールは、ポリウレタン系、特にポリウレタンコーティング、ポリウレタンエラストマーまたはさらにはフォームの製造に慣用的に使用される、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはヒドロキシル基含有脂肪族ポリカーボネート、特にポリエーテルポリカーボネートポリオールおよび/または天然由来のポリオール、いわゆる「天然油系ポリオール」(NOP)のすべてである。ポリオールは通常、1.8~8の官能基数および500~15000の範囲の数平均分子量を有する。通常は、10~1200mgKOH/gの範囲の水酸基価を有するポリオールが使用される。
【0075】
ポリエーテルポリオールを使用することができる。ポリエーテルポリオールは、既知の方法によって製造することができ、例えば、触媒としてのアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドもしくはアミンの存在下での、好ましくは2もしくは3個の反応性水素原子を結合形態で含む少なくとも1つのスターター分子を付加したアルキレンオキシドのアニオン重合によって、またはルイス酸、例えば五塩化アンチモンもしくは三フッ化ホウ素エーテル化合物の存在下でのアルキレンオキシドのカチオン重合によって、または複合金属シアン化物触媒反応によって製造することができる。適切なアルキレンオキシドは、アルキレン基に2~4個の炭素原子を含む。例としては、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-あるいは2,3-ブチレンオキシドが挙げられ、有利には、エチレンオキシドおよび1,2-プロピレンオキシドが使用される。アルキレンオキシドは、個々に、累積的に、ブロック状で、交互に、または混合物として使用することができる。
【0076】
スターター分子としては、特に、少なくとも2個、有利には2~8個のヒドロキシル基を有する化合物、または分子内に少なくとも2個の第一級アミノ基を有する化合物が使用される。スターター分子として使用することができるのは、例えば、水、二価、三価もしくは四価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-および-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油等、高級多官能性ポリオール、特に糖化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マンニトールおよびスクロース、多価フェノール、レゾール、例えばフェノールとホルムアルデヒドとのオリゴマー縮合生成物、ならびにフェノールとホルムアルデヒドとジアルカノールアミンとのマンニッヒ縮合物、ならびにメラミン、またはアミン、例えばアニリン、EDA、TDA、MDAおよびPMDA、特に好ましくはTDAおよびPMDAである。適切なスターター分子の選択は、ポリウレタン製造に際して得られるポリエーテルポリオールのそれぞれの適用分野に依存する。
【0077】
ポリエステルポリオールを使用することができる。ポリエステルポリオールは、好ましくは2~12個の炭素原子を有する多価脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルをベースとする。脂肪族カルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸およびフマル酸である。芳香族カルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸および異性体のナフタレンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールは、これらの多価カルボン酸と、多価アルコール、有利に2~12個、特に好ましくは2~6個の炭素原子を有するジオールまたはトリオール、好ましくはトリメチロールプロパンおよびグリセリンとの縮合により得られる。
【0078】
ポリエーテルカーボネートポリオールを使用することができる。ポリエーテルカーボネートポリオールは、二酸化炭素をカーボネートとして結合状態で含むポリオールである。二酸化炭素は化学工業の多くのプロセスで副産物として大量に生成されるため、アルキレンオキシド重合におけるコモノマーとしての二酸化炭素の使用は、商業的観点から特に重要である。ポリオール中のアルキレンオキシドの一部を二酸化炭素で置き換えることで、ポリオールの製造コストを明らかに削減できる可能性がある。さらに、COをコモノマーとして使用することは、温室効果ガスをポリマーに変換する反応であるため、環境面でも非常に有利である。触媒を使用してH官能性スターター物質にアルキレンオキシドおよび二酸化炭素を付加させることによりポリエーテルポリカーボネートポリオールを製造することは、長年知られている。この場合、様々な触媒系を使用することができる。第一世代は、例えば米国特許第3900424号明細書または米国特許第3953383号明細書に記載されているように、不均一系の亜鉛塩またはアルミニウム塩である。さらに、単核および二核金属錯体は、COとアルキレンオキシドとの共重合にうまく使用されている(国際公開第2010/028362号、国際公開第2009/130470号、国際公開第2013/022932号または国際公開第2011/163133号)。二酸化炭素とアルキレンオキシドとの共重合の触媒系の最も重要なクラスは、DMC触媒とも呼ばれる複合金属シアン化物触媒である(米国特許第4500704号明細書、国際公開第2008/058913号)。適切なアルキレンオキシドおよびH官能性スターター物質は、上述のように、カーボネートを含まないポリエーテルポリオールの製造にも使用されるものである。
【0079】
再生可能な原料をベースとするポリオールである「天然油系ポリオール」(NOPs)を使用することができる。ポリウレタンフォーム製造用のNOPは、化石資源、すなわち石油、石炭およびガスの利用可能性の長期的限界に鑑み、また原油価格の高騰を背景として重要性が高まっており、このような用途においてすでに何度も記載されている(国際公開第2005/033167号;米国特許出願公開第2006/0293400号明細書;国際公開第2006/094227号;国際公開第2004/096882号;米国特許出願公開第2002/0103091号明細書;国際公開第2006/116456号および欧州特許第1678232号明細書)。これらのポリオールの多くは、現在、様々な製造業者から市販されている(国際公開第2004/020497号、米国特許出願公開第2006/0229375号明細書、国際公開第2009/058367号)。ベースとなる原料(例えば、大豆油、パーム油またはヒマシ油)およびその後の処理によって、様々な特性プロファイルを有するポリオールが得られる。ここで、実質的に以下の2つの群に区別することができる:a)再生可能な原料をベースにしたポリオールであって、ポリウレタンの製造に100%使用できるように改良されたもの(国際公開第2004/020497号、米国特許出願公開第2006/0229375号明細書);b)再生可能な原料をベースにしたポリオールであって、処理や特性により、石油化学ベースのポリオールと一定の割合でしか置き換えられないもの(国際公開第2009/058367号)。
【0080】
使用可能なポリオールのさらなるクラスの1つに、いわゆる充填ポリオール(ポリマーポリオール)が挙げられる。このポリオールの特徴は、固形分が40%以上である固形有機フィラーを分散分布した状態で含むことである。使用可能であるのは特に、SANポリオール、PUDポリオール、およびPIPAポリオールである。SANポリオールは、スチレン/アクリロニトリル(SAN)をベースとするコポリマーを分散した状態で含む高反応性ポリオールである。PUDポリオールは、ポリウレアを同様に分散した形態で含む高反応性ポリオールである。PIPAポリオールは、例えば従来のポリオール中でイソシアネートとアルカノールアミンとをイン・サイチュ反応させることによって形成されたポリウレタンを分散した形態で含む高反応性ポリオールである。
【0081】
好ましくは、モル質量が1000g/mol未満のポリオールが使用される。さらに好ましいのは、官能基数が3未満のポリオールである。特に、モル質量が1000g/molを超えるトリオールを使用しないことが好ましい。これはそれぞれ、本発明の特に好ましい形態に相当する。
【0082】
イソシアネートとポリオールとの好ましい比は、配合の指数として表され、すなわちイソシアネート基とイソシアネート反応性基(例えばOH基、NH基)との化学量論比を100倍したものとして表されるが、このイソシアネートとポリオールとの好ましい比は、10~1000、好ましくは40~700、特に好ましくは60~600、特に好ましくは150~550の範囲内である。さらに好ましい範囲は、250~500、なおもさらに好ましくは300~450である。
【0083】
指数が100であることは、反応性基のモル比が1:1であることを表す。
【0084】
本発明によれば、ポリオール成分中の少なくとも70%、80%または90%のポリエステルをベースとするPIR配合物が好ましい。
【0085】
特に好ましい一実施形態では、芳香族カルボン酸をベースとするポリエステルポリオールが、ポリオール成分100重量部に対して50pphpを超える、好ましくは70pphpを超える量で使用される。
【0086】
好ましい芳香族ポリエステルポリオールは、150~400mgKOH/g、好ましくは170~350、非常に特に好ましくは180~300mgKOH/gの範囲の水酸基価を有する。
【0087】
イソシアネート成分b)として有利には、2つ以上のイソシアネート官能基を有する1つ以上の有機ポリイソシアネートが使用される。ポリオール成分として、有利には2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つ以上のポリオールが使用される。
【0088】
本発明の趣意におけるイソシアネート成分として適したイソシアネートは、イソシアネート基を少なくとも2つ有するすべてのイソシアネートである。総じて、それ自体既知の脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、有利には芳香族多官能性イソシアネートのすべてを使用することが可能である。特に好ましくは、イソシアネート消費成分の合計に対して60~200モル%の範囲のイソシアネートが使用される。
【0089】
ここで、例示的に挙げることができるのは、アルキレン基に4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えば、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、および有利に1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、脂環式ジイソシアネート、例えば、1,3-および1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたは略称IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、ならびに有利に芳香族ジおよびポリイソシアネート、例えば2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ならびに対応する異性体混合物、ナフタレンジイソシアネート、ジエチルトルエンジイソシアネート、2,4’-および2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートとの混合物(粗製MDI)、ならびに粗製MDIとトルエンジイソシアネート(TDI)との混合物である。有機ジイソシアネートおよびポリイソシアネートは、個別に、またはそれらの混合物の形態で使用することができる。また、ジイソシアネートの対応する「オリゴマー」(イソシアヌレートをベースとするIPDI三量体、ビウレット、ウレトジオン)を使用することも同様に可能である。さらに、上記のイソシアネートをベースとするプレポリマーの使用も可能である。
【0090】
また、ウレタン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、アロファネート基などの導入により変性されたイソシアネート、いわゆる変性イソシアネートの使用も可能である。
【0091】
特に適しており、したがって特に有利に使用される有機ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートの種々の異性体(純粋な形態での、または組成の異なる異性体混合物としての2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI))、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、いわゆる「粗製MDI」または「ポリメリックMDI」(MDIの4,4’異性体に加え、2,4’および2,2’異性体、および多核生成物を含む)、ならびに主に2,4’異性体と4,4’異性体との混合物あるいはそのプレポリマーからなる「純MDI」と称される2核生成物である。特に適したイソシアネートの例は、例えば欧州特許第1712578号明細書、欧州特許第1161474号明細書、国際公開第00/58383号、米国特許出願公開第2007/0072951号明細書、欧州特許第1678232号明細書および国際公開第2005/085310号に詳述されており、これらは参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0092】
本発明による触媒、すなわち上述の亜鉛塩および/または亜鉛含有調合物に加えて、任意の触媒d)を使用することができる。
【0093】
本発明の趣意における適した追加の任意の触媒d)は、イソシアネートとOH官能基、NH官能基または他のイソシアネート反応性基との反応、およびイソシアネート同士の反応を促進させることができるすべての化合物である。ここでは、例えばアミン(環状、非環状;モノアミン、ジアミン、1つ以上のアミノ基を有するオリゴマー)、アンモニウム化合物、有機金属化合物および金属塩、有利にはカリウム、スズ、鉄、ビスマスの塩を含む先行技術から知られている慣用的な触媒を用いることができる。特に、複数の成分の混合物を触媒として使用することができる。
【0094】
成分e)として、Si不含の界面活性剤または有機変性シロキサンを使用することも可能である。
【0095】
このような物質の硬質フォームへの使用は知られている。ここで、本発明において、フォームの生成を支援する(安定化、セル調節、セル開口など)すべての化合物を使用することが可能である。これらの化合物は、先行技術から十分に知られている。
【0096】
本発明の趣意において使用可能な対応するシロキサンは、例えば以下の特許明細書に記載されている:中国特許第103665385号明細書、中国特許第103657518号明細書、中国特許第103055759号明細書、中国特許第103044687号明細書、米国特許出願公開第2008/0125503号明細書、米国特許出願公開第2015/0057384号明細書、欧州特許出願公開第1520870号明細書、欧州特許第1211279号明細書、欧州特許第0867464号明細書、欧州特許第0867465号明細書、欧州特許第0275563号明細書。挙げられたこれらの文献は、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の開示内容の一部を構成するものとみなされる。ポリエーテル変性シロキサンの使用が特に好ましい。
【0097】
発泡剤f)の使用は、どの発泡方法を用いるかに応じて任意である。化学発泡剤および物理発泡剤を用いて作業することが可能である。ここでの発泡剤の選択は、系の性質に強く依存する。
【0098】
特に好ましい一実施形態では、発泡剤としてHFOは使用されない。
【0099】
発泡剤の使用量によって、高密度フォームまたは低密度フォームが製造される。例えば、5kg/m~900kg/mの密度を有するフォームを製造することができる。好ましい密度は、8~800、特に好ましくは10~600kg/m、特に30~150kg/mである。
【0100】
物理発泡剤として、適切な沸点を有する対応する化合物を使用することができる。また、例えば水やギ酸といった、NCO基と反応してガスを放出する化学発泡剤を使用することも同様に可能である。発泡剤の例は、液化CO、窒素、空気、易揮発性液体、例えば3、4もしくは5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロペンタン、イソペンタンおよびn-ペンタン、ハイドロフルオロカーボン、好ましくはHFC245fa、HFC134aもしくはHFC365mfc、クロロフルオロカーボン、好ましくはHCFC141b、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)もしくはハイドロハロオレフィン、例えば1234ze、1234yf、1233zd(E)もしくは1336mzz、酸素含有化合物、例えばギ酸メチル、アセトンおよびジメトキシメタン、または塩素化炭化水素、好ましくはジクロロメタンおよび1,2-ジクロロエタンである。
【0101】
本発明の趣意における適切な水の含有量は、水に加えて1つ以上の発泡剤をさらに使用するか否かによって異なる。純粋な水発泡性フォームの場合、その値は有利には、1~20pphpであり、他の発泡剤が追加的に使用される場合、使用される水の量は、有利には0.1~5pphpに低減される。
【0102】
添加剤g)として、ポリウレタン、特にポリウレタンフォームの製造の際に使用される先行技術から知られているすべての物質を使用することができ、例えば、架橋剤および鎖延長剤、酸化劣化に対する安定剤(いわゆる酸化防止剤)、難燃剤、界面活性剤、殺生物剤、セル改良添加剤、セル開口剤、固体充填剤、帯電防止添加剤、核剤、増粘剤、染料、顔料、カラーペースト、香料、乳化剤などを使用することができる。
【0103】
本発明による硬質PUまたはPIRフォームの製造方法は、既知の方法、例えばハンドミキシング法または好ましくは発泡機を用いて実施することができる。発泡機を用いて本方法を実施する場合、高圧機または低圧機を使用することが可能である。本発明による方法は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。
【0104】
本発明の趣意における好ましい硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム配合物は、5~900kg/mのフォーム密度をもたらし、有利には表1に示す組成を有する。
【0105】
【表1】
【0106】
本発明の方法のさらなる好ましい実施形態および構成については、さらに、本発明による組成物に関連して上記ですでに与えられた詳細も参照されたい。
【0107】
すでに述べたように、本発明のさらなる主題は、上述の方法によって得ることができる硬質PUまたはPIRフォームである。
【0108】
硬質PUまたはPIRフォームは、確立された技術用語である。軟質フォームと硬質フォームとの既知の基本的な相違点は、軟質フォームが弾性挙動を示し、それゆえ変形が可逆的であることである。対照的に、硬質フォームは永久的に変形する。本発明において、硬質PUまたはPIRフォームとは特に、DIN 7726:1982-05に準拠するフォームであって、DIN 53 421/DIN EN ISO 604:2003-12による圧縮強度が、有益には≧20kPa、有利には≧80kPa、好ましくは≧100kPa、さらに好ましくは≧150kPa、特に好ましくは≧180kPaであるフォームを意味すると理解される。加えて、DIN EN ISO 4590:2016-12によれば、硬質PUまたはPIRフォームは有益には、50%超、有利には80%超、特に好ましくは90%超の独立気泡率を有する。
【0109】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ポリウレタンフォームは、有利には5~900kg/m、好ましくは8~800、特に好ましくは10~600kg/m、特に30~150kg/mのフォーム密度を有する。
【0110】
特に、主に独立気泡フォームを製造することが可能である。独立気泡率は、有益には>80%、有利には>90%である。
【0111】
本発明による硬質PUまたはPIRフォームは、断熱材、有利には断熱ボード、冷蔵庫、断熱フォーム、ルーフライナー、包装用フォームもしくはスプレーフォームとして、またはその製造に使用することができる。
【0112】
本発明によるPUまたはPIRフォームは特に、冷却倉庫産業、冷蔵器具産業および家庭用電化製品産業において、例えば、屋根および壁用の断熱ボードの製造に、冷凍商品用のコンテナおよび倉庫の断熱材として、ならびに冷蔵および冷凍器具に有利に使用することができる。
【0113】
さらなる好ましい使用分野は、車両構造、特に車両インナールーフライナー、車体部品、内装トリム、冷却用車両、大型コンテナ、輸送用パレット、包装用ラミネートの製造、家具産業、例えば家具部品、ドア、ライニング、電子機器用途である。
【0114】
本発明による冷却装備は、断熱材として、本発明によるPUまたはPIRフォーム(ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム)を有する。
【0115】
本発明のさらなる主題は、低温技術、冷却ユニット、建設分野、自動車分野、造船分野および/またはエレクトロニクス分野における断熱材としての、断熱ボードとしての、スプレーフォームとしての、一液型フォームとしての、硬質PUまたはPIRフォームの使用である。
【0116】
本発明による主題について上記で説明し、また以下に例示的に説明するが、本発明は、これらの例示的な実施形態に限定されるものではない。範囲、一般式または化合物のクラスが示されている場合、これらには、明示的に言及された対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を選び出すことによって得られうるすべての部分範囲および部分化合物群も包含される。本明細書において文書が引用されている場合、その内容全体、特に当該文書が引用されている文脈を形成する事柄に関する内容全体が、本発明の開示内容に組み込まれるものとする。特に断らない限り、パーセントデータは、重量パーセントデータである。平均値が記載されている場合、特に断りのない限り、これらは重量平均値である。測定によって求められたパラメータが記載されている場合、測定は、特に断らない限り、温度25℃、圧力101,325Paで実施されたものである。
【0117】
以下に示す実施例は、本発明を例示的に説明するものであり、本明細書全体および特許請求の範囲からその適用範囲が明らかとなる本発明を、実施例で挙げられた実施形態に限定する意図はない。
【0118】
実施例
フォームの製造に、以下の原料を用いた:
Stepanpol(登録商標)PS 2352:Stepan社製ポリエステルポリオール
Daltolac(登録商標)R 471:Huntsman社製ポリエーテルポリオール
TCPP:ICL社製トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート
KOSMOS(登録商標)75、Evonik Operations GmbH社製オクタン酸カリウム系触媒
KOSMOS(登録商標)45 MEG、Evonik Operations GmbH社製オクタン酸カリウム系触媒
POLYCAT(登録商標)5、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
POLYCAT(登録商標)DP、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
POLYCAT(登録商標)9、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
POLYCAT(登録商標)206、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
POLYCAT(登録商標)77、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
TEGOAMIN(登録商標)BDE、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
DABCO(登録商標)T、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
DABCO(登録商標)NE 300、Evonik Operations GmbH社製アミン触媒
DABCO(登録商標)TMR 31、Evonik Operations GmbH社製最終硬化用触媒
MDI (44V20):Desmodur(登録商標)44V20L、Covestro社製ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)ならびに異性体および高官能性同族体
Tegostab(登録商標)B 8460、Evonik Operations GmbH社製フォーム安定化界面活性剤
【0119】
本発明による亜鉛含有調合物の製造:
各成分を製造し、次いでこれらを発泡操作において組み合わせることで、本発明による(または本発明によらない)組成物を得ることができる。
【0120】
対応する成分/組成物は、予め配合された形態で、または個々の成分として、発泡させる反応混合物に添加することができる。亜鉛を含む例は、本発明によるものである。
【0121】
成分A:酢酸亜鉛系
12.5gの酢酸亜鉛二水和物(Sigma-Aldrichより入手可能)を、15gのN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンとともにモノエチレングリコールに溶解させたところ、酢酸亜鉛の含有量は11%であった。
【0122】
成分B:プロピオン酸亜鉛系
12gのプロピオン酸亜鉛(Sigma-Aldrichより入手可能)を、15gのN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンとともにモノエチレングリコールに溶解させたところ、プロピオン酸亜鉛の含有量は12%であった。
成分C:リシノール酸亜鉛系:Kosmos(登録商標)54、Evonik Operations GmbH。
【0123】
例で使用される、さらなるZn不含成分:
D成分:
ヒプル酸Na(Sigma-Aldrichより入手可能)をモノエチレングリコールに溶解させたところ、ヒプル酸Naの含有量は25%であった。
【0124】
成分E:酢酸カリウム系:Evonik Operations GmbH社製Kosmos(登録商標)45 MEG。
【0125】
成分F:プロピオン酸カリウム系:
プロピオン酸カリウム(Sigma-Aldrichより入手可能)をモノエチレングリコールに溶解させたところ、プロピオン酸カリウムの含有量は30%であった。
【0126】
成分G:オクタン酸カリウム系:Evonik Operations GmbH社製Kosmos(登録商標)75。
【0127】
成分H:ピバリン酸カリウム系:Evonik Operations GmbH社製DABCO(登録商標)TMR 20。
【0128】
成分I:Evonik Operations GmbH社製DABCO(登録商標)TMR 31。
【0129】
実施例:
PUフォームの製造:
発泡を、ハンドミキシング法で行った。この目的のために、本発明による化合物、ポリオール、難燃剤、本発明によるまたは本発明によらない触媒、水、シロキサン系界面活性剤および発泡剤をビーカーにはかり入れ、ディスク型スターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。再秤量により、混合過程で蒸発した発泡剤の量を調べ、これを補充した。その後、イソシアネート(MDI)を添加し、反応混合物を記載のスターラーで3000rpmにて5秒間撹拌した。
【0130】
フリーライズフォームを得るために、反応混合物を、上縁の直径が20cmの適切なビーカーに導入した。反応混合物の量は、端部でのドーム状フォームの先端がビーカーの上縁から10~15cmの高さになるように選択した。
【0131】
発泡中、発泡速度に対する触媒の影響を評価するため、ゲルタイムを測定した。3分後、ビーカーの上縁でドーム状フォームを切断し、丸いフォーム表面が得られるようにした。この表面でフォームの押込硬度を測定した。
【0132】
押込硬度の測定方法:
このために、直径4cmの圧子をフォームに押し込む力を測定した。押込深さ5mmでの押込力を測定した。測定を、4分後、6分後、8分後および10分後に行い、その際、切断面の、円形に配置された4つの異なる箇所で圧子を押し込んだ。
【0133】
圧縮硬度の測定方法:
フォームの圧縮強度を、辺長5cmの立方体試験体について、DIN EN ISO 844:2014-11に準拠して圧縮度10%まで測定する(この測定範囲で生じる最大圧縮応力を報告する)。
【0134】
表2に、使用したフォーム配合物(配合物1~配合物9)をまとめた。
【表2-1】
【表2-2】
【0135】
本発明による三量化触媒を用いた発泡結果
表3:
本発明による各種触媒およびフォーム配合物を用いた発泡試験の概要
【0136】
報告されているのは、使用した成分(Cmp.A-I、組成に応じて本発明によるものであるか、本発明によらないもの)、その供給量(Dos.pphp)、使用した表2の配合物、ゲルタイム(GT)(秒)、および(MDIとの混合後の)分単位で示された時間後の押込硬度(ニュートン)である。Zn不含の触媒組成物は、本発明によるものではない。
【表3-1】
【表3-2】
【0137】
本発明によるフォームは、それぞれ比較例よりも明らかに高い押込硬度を示す。
【0138】
このことから、本発明による三量化触媒が、様々な配合物においてフォームの硬化の改善を可能にすることは明らかである。その際、一部ではゲルタイムを延長することや、同等のゲルタイムで、完全硬化に対する好影響をさらに改善することさえ可能である。
【0139】
このことは、非常に大きな利点であり、なぜならば、ゲルタイムに対する影響がわずかであることにより、反応混合物の加工性、例えば発泡混合物の流動性に関する加工性を維持しつつ、フォームの硬化が促進されるためである。
【0140】
本発明による三量化触媒がフォームの硬化の改善につながることは、実験から明らかである。本発明によるフォームの押込硬度について上述した非常に良好な結果は、圧縮硬度についても同様である。
【国際調査報告】