(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光ビームスプリッタを有するマルチセンサシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563886
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 IB2022053891
(87)【国際公開番号】W WO2022238800
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021112575.8
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ツイシュク,ホルジャー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161FF40
4C161LL02
4C161LL08
4C161NN01
4C161PP06
4C161PP07
4C161PP08
4C161PP11
(57)【要約】
第1の画像取得手段と、第2の画像取得手段と、光束に基づいて第1の画像取得手段上に第1のシーンを画像化する第1の画像化装置と、光束に基づいて第2の画像取得手段上に第2のシーンを画像化する第2の画像化装置とを備えており、第1の画像化装置は、前方レンズを含む前方光学ユニット、光束を、第1の光束と、第1の光束とは異なる方向に伝播する第2の光束とに分割するビームスプリッタ、および第1の後方光学ユニットからなり、 第2の画像化装置は、前方光学ユニット、ビームスプリッタ、および第2の後方光学ユニットからなり、一方の画像化装置の焦点が、マクロ焦点であり、他方の画像化装置の焦点が、広角焦点であり、マクロ焦点は、前方レンズの前方0mm~1mmの範囲内にあり、広角焦点は、前方レンズの前方少なくとも3mmにある、画像化システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像取得手段と、
第2の画像取得手段と、
光束に基づいて被写体空間内の第1のシーンを前記第1の画像取得手段上に画像化するように構成された第1の画像化装置と、
前記光束に基づいて前記被写体空間内の第2のシーンを前記第2の画像取得手段上に画像化するように構成された第2の画像化装置と
を備えており、
前記第1の画像化装置は、前記光束の伝播方向に前記被写体空間側から前記第1の画像取得手段に向かって、
第1の非ゼロの屈折力を有しており、前記被写体空間に最も近い前方レンズを含んでいる前方光学ユニット、
前記光束および/または前記光束の強度を、第1の光束と、前記第1の光束とは異なる方向に伝播する第2の光束とに、分割するように構成されたビームスプリッタ、および
第1の非ゼロの屈折力を有しており、前記第1のシーンが中間画像を必要とせずに前記第1の光束によって前記第1の画像取得手段上に画像化されるように構成された第1の後方光学ユニット
から構成され、
前記第2の画像化装置は、前記光束の伝播方向に前記被写体空間側から前記第2の画像取得手段に向かって、
前記前方光学ユニット、
前記ビームスプリッタ、および
前記第2のシーンが中間画像を必要とせずに前記第2の光束によって前記第2の画像取得手段上に画像化されるように構成された第2の後方光学ユニット
から構成され、
前記第1の画像化装置または前記第2の画像化装置のいずれかの焦点が、マクロ焦点であり、
前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の他方の焦点が、広角焦点であり、
前記マクロ焦点は、前記被写体空間側の前記前方レンズの頂点の前方0mm~1mmの範囲内にあり、
前記広角焦点は、前記被写体空間側の前記前方レンズの頂点の前方3mm以上にある、画像化システム。
【請求項2】
前記第2の後方光学ユニットは、第2の非ゼロの屈折力を有する、請求項1に記載の画像化システム。
【請求項3】
前記第1の画像化装置の少なくとも1つの光学パラメータの値および/または前記第1の画像取得手段の平均感度が、前記第2の画像化装置の前記少なくとも1つの光学パラメータの値および前記第2の画像取得手段の平均感度から相違し、
前記少なくとも1つの光学パラメータは、前記それぞれの画像化装置の焦点幅、前記それぞれの画像化装置の焦点距離、前記それぞれの画像化装置の最大視野角、前記それぞれの画像化装置の絞り開口、および前記それぞれの画像化装置の透過率からなる群に属し、
前記それぞれの画像化装置の焦点距離は、前記それぞれの画像化手段の前方焦点からの前記それぞれの画像化装置の焦点の距離である、
請求項1または2に記載の画像化システム。
【請求項4】
以下の条件、すなわち
前記光学パラメータが前記前方焦点からの前記焦点の距離である場合に、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の一方の前記焦点の、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の前記一方の前記前方焦点からの距離が、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の他方の前記焦点の、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の前記他方の前記前方焦点からの距離から、少なくとも25%異なる、
前記光学パラメータが焦点距離である場合に、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の一方の前記焦点距離が、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の他方の前記焦点距離から、少なくとも10%異なる、
前記光学パラメータが最大視野角である場合に、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の一方の前記最大視野角が、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の他方の前記最大視野角から、少なくとも20%異なる、
前記光学パラメータが絞り開口である場合に、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の一方の前記絞り開口の表面が、前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の他方の前記絞り開口の表面から、少なくとも25%異なる、
460nm±5nm、532nm±5nm、および650nm±5nmの波長範囲のうちの1つの少なくとも1つの波長範囲に関して、前記光学パラメータが透過率である場合に、前記それぞれの波長範囲における前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の一方の平均透過率が、前記それぞれの波長範囲における前記第1の画像化装置および前記第2の画像化装置の他方の平均透過率から、少なくとも50%異なる、
460nm±5nm、532nm±5nm、および650nm±5nmの波長範囲のうちの1つの少なくとも1つの波長範囲に関して、前記それぞれの波長範囲における前記第1の画像取得手段および前記第2の画像取得手段の一方の前記平均感度が、前記それぞれの波長範囲における前記第1の画像化装置および前記第2の画像取得手段の他方の前記平均感度から相違する場合に、前記一方の画像取得手段の前記平均感度が、前記他方の画像取得手段の前記平均感度から、少なくとも25%異なる、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項3に記載の画像化システム。
【請求項5】
前記第1および第2の画像化装置の前記焦点距離は、互いに異なる、請求項3または4に記載の画像化システム。
【請求項6】
第1の波長範囲または第2の波長範囲または第3の波長範囲の第1の波長と、前記第1の波長範囲または前記第2の波長範囲または前記第3の波長範囲の第2の波長と、の各ペアに関して、前記第1の波長についての前記第1の画像化装置の透過率と前記第1の波長についての前記第1の画像取得手段の感度との積の、前記第1の波長についての前記第2の画像化装置の透過率と前記第1の波長についての前記第2の画像取得手段の感度との積に対する比が、前記第2の波長についての前記第1の画像化装置の透過率と前記第2の波長についての前記第1の画像取得手段の感度との積の、前記第2の波長についての前記第2の画像化装置の透過率と前記第2の波長についての前記第2の画像取得手段の感度との積に対する比から、50%よりも大きくは異ならず、
前記第1の波長範囲は、460nm±5nmであり、
前記第2の波長範囲は、532nm±5nmであり、
前記第3の波長範囲は、650nm±5nmである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項7】
前記第1の波長範囲および前記第2の波長範囲および前記第3の波長範囲の各々の波長に関して、前記第1の画像化装置の前記少なくとも1つの光学パラメータの前記それぞれの値および/または前記第1の画像取得手段の前記平均感度が、前記第2の画像化装置の前記少なくとも1つの光学パラメータの前記それぞれの値および前記第2の画像取得手段の前記平均感度からそれぞれ相違する、
請求項3に直接的または間接的に従属する請求項6に記載の画像化システム。
【請求項8】
前記パラメータは、透過率であり、前記ビームスプリッタは、前記第1の波長範囲、前記第2の波長範囲、および前記第3の波長範囲のうちの少なくとも1つの波長範囲に関して、前記第1の光束および前記第2の光束の一方についての前記それぞれの波長範囲における前記ビームスプリッタの平均透過率が、前記第1の光束および前記第2の光束の他方についての前記それぞれの波長範囲における前記ビームスプリッタの平均透過率よりも少なくとも25%高くなるように構成されている、請求項7に記載の画像化システム。
【請求項9】
第4の波長範囲、第5の波長範囲、第6の波長範囲、および第7の波長範囲から選択される少なくとも1つの選択された波長範囲に関して、前記選択された波長範囲の第3の波長と前記第1の波長との各ペアについて、前記第1の波長についての前記第1の画像化装置の透過率と前記第1の波長についての前記第1の画像取得手段の感度との積の、前記第1の波長についての前記第2の画像化装置の透過率と前記第1の波長についての前記第2の画像取得手段の感度との積に対する比が、前記第3の波長についての前記第1の画像化装置の透過率と前記第3の波長についての前記第1の画像取得手段の感度との積の、前記第3の波長についての前記第2の画像化装置の透過率と前記第3の波長についての前記第2の画像取得手段の感度との積に対する比から、50%よりも大きくは異ならず、
前記第4の波長範囲は、380nm~455nmであり、
前記第5の波長範囲は、465nm~527nmであり、
前記第6の波長範囲は、537nm~645nmであり、
前記第7の波長範囲は、655nm~900nmである、
請求項6~8のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項10】
前記第4の波長範囲、前記第5の波長範囲、前記第6の波長範囲、および前記第7の波長範囲のうちの少なくとも1つの各波長に関して、前記第1の画像化装置の前記少なくとも1つの光学パラメータのそれぞれの値および/または前記第1の画像取得手段の前記平均感度が、前記第2の画像化装置の前記少なくとも1つの光学パラメータのそれぞれの値および前記第2の画像取得手段の前記平均感度からそれぞれ相違する、
請求項7に直接的または間接的に従属する請求項9に記載の画像化システム。
【請求項11】
前記前方光学ユニットから見て、前記第1のシーンは前記第2のシーンに少なくとも部分的に重なり、前記第1の光束は、前記前方光学ユニットを通る前記光束の前記断面の第1の領域からもたらされ、前記第2の光束は、前記前方光学ユニットを通る前記光束の前記断面の第2の領域からもたらされ、前記第1の領域は前記第2の領域とは異なる、請求項1~10のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の画像化システムを収容した内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡であって、前記前方光学ユニットが、前記第1の後方光学ユニットおよび前記第2の後方光学ユニットよりも前記内視鏡先端部の遠位端に近い、内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項13】
請求項12に記載の内視鏡先端部と、
中空空間への挿入のための挿入シャフトと
を備え、
前記内視鏡先端部の近位端が、前記挿入シャフトの遠位端に直接的または間接的に接続される、
内視鏡装置。
【請求項14】
中空空間への挿入のための挿入シャフトと、
前記中空空間への挿入のための内視鏡先端部と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の画像化システムと、
中継光学系と
を備えており、
前記内視鏡先端部の近位端が、前記挿入シャフトの遠位端に直接的または間接的に接続され、
前記中継光学系は、前記光束を前記前方光学ユニットへと導くように構成され、
前記画像化システムは、前記内視鏡先端部の外部に配置される、内視鏡装置。
【請求項15】
中空空間への挿入のための挿入シャフトと、
前記中空空間への挿入のための内視鏡先端部と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の画像化システムと、
中継光学系と
を備えており、
前記内視鏡先端部の近位端が、前記挿入シャフトの遠位端に直接的または間接的に接続され、
前記前方光学ユニットは、前記内視鏡先端部に位置し、
前記中継光学系は、前記光束を前記前方光学ユニットから前記ビームスプリッタへと導くように構成され、
前記ビームスプリッタ、前記第1の後方光学ユニット、および前記第2の後方光学ユニットは、前記内視鏡先端部の外部に配置される、内視鏡装置。
【請求項16】
少なくとも前記第1の後方光学ユニットおよび前記第2の後方光学ユニットは、前記挿入シャフトの外部に配置される、
請求項14または15に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームスプリッタを有するマルチセンサシステムに関する。マルチセンサシステムは、好ましくは、内視鏡、とりわけ人体の中空空間に挿入される内視鏡において使用される。しかしながら、使用は、さらなる説明が主に内視鏡における使用に関するとしても、内視鏡に限られない。
【背景技術】
【0002】
固定の光学系を備え、ズーム対物レンズを備えている内視鏡が知られている。これらの内視鏡においては、被写体空間内のシーンの画像、が単一の撮像素子によって取得される。
【発明の概要】
【0003】
内視鏡の対物レンズは、2つ以上の撮像素子(画像取得手段)を含む。各々の撮像素子は、それぞれの画像化装置によって撮像素子上にそれぞれのシーンで形成される画像を取得する。画像化装置は、共通の前方光学ユニットおよび共通のビームスプリッタを有する。それぞれの後方光学ユニットが、ビームスプリッタの後方に続く。少なくとも前方光学ユニットは、非ゼロの光屈折力を有する。さらに、後方光学ユニットのうちの少なくとも1つは、非ゼロの屈折力を有するが、後方光学ユニットのいくつか、またはすべての後方光学ユニットが、非ゼロの屈折力を有してもよい。このようにして、異なる画像が撮像素子上で取得される。光束は、非二色性のやり方で分割されてよい。したがって、画像化装置とそれぞれの撮像素子との組み合わせは、それらの焦点に関して異なる。画像化装置のうちの1つ(「マクロ」)が、その焦点を最も前方のレンズの上または直前(被写体側における最も前方のレンズの頂点の前方最大1mm)に有する一方で、画像化装置のうちの別の1つ(「広角」)は、その焦点をさらに遠く(頂点の前方3mm以上、好ましくは頂点の前方3mm~12mmの範囲内)に有する。さらに、画像化装置は、それらの焦点幅(すなわち、それぞれの画像化装置の前方焦点からのそれぞれの画像化装置の焦点の距離)、それらの焦点距離、それらの最大視野角、それらの絞り開口、可視光のRGB波長範囲におけるそれらの平均透過率、および/または可視光のRGB波長範囲におけるそれらの撮像素子の平均感度によって相違してよい。ここで、RGB波長範囲は、それぞれ650nm±5nm、532nm±5nm、および460nm±5nmと定義される。例えば、後方光学ユニットは、前記パラメータの少なくとも1つについて異なる値を有してよく、かつ/または撮像素子が、関連の波長範囲において異なる平均感度を有してよい。
【0004】
撮像素子上の画像化は、中間の画像化を必要とせず、とくにはビームスプリッタ上の中間の画像化を必要とせずに行われる。これは、画像化誤差の蓄積の回避に役立つ。
【0005】
前方光学ユニットは画像化装置について同一であるため、撮像素子は、前方光学ユニットから見たときに、少なくとも部分的に重なり合い、あるいは同一ですらある特定のシーンを取得する。他方で、少なくとも焦点が異なるため、撮像素子上の画像は異なる。少なくとも2つの撮像素子の画像が組み合わせられる場合、単一の画像によって可能であるよりも高い被写界深度を達成することができる。画像化装置が異なる倍率を可能にすることが、別の選択肢である。例えば、撮像素子を切り替えることにより、多段階(例えば、2段階)のズームを形成することができる。とくには、この形式のズームに関して、画像化システムに可動部分は必要とされない。
【0006】
異なる焦点距離を有する異なる焦点の組み合わせは、同じシーンがそれぞれの画像化装置の焦点にあるときに2つの画像化装置による画像形成に関して異なる倍率が得られるため、とくに有利である。この場合、倍率は、被写体サイズに対する画像化サイズの比として定義される。これを、例えば以下のように内視鏡検査に利用することができる。
【0007】
医師は、最初に、共通の倍率で、より大きい距離から、焦点が比較的遠い(例えば、3mm以上)センサによって、検査対象の領域を検査することができる。医師は、観察されたシーン内の詳細をより正確に検査しようとする場合、内視鏡を組織に近づけることができ、あるいは組織上に配置することさえ可能である。次いで、医師は、画像化装置がより近い焦点およびより大きな倍率を有する別の撮像素子を利用する。このようにして、医師は、問題の部位を正確に検査することができる。医師が内視鏡を検査対象の部位に配置すると、検査対象の部位は、検査対象の組織を通過する内視鏡の照明装置からの散乱光によって照明される。
【0008】
従来は、医師は、そのような検査のために、ズーム光学系と調整可能な焦点とを備える内視鏡を使用するはずである。そのような内視鏡は、比較的高価であり、取り扱いが困難である。これとは対照的に、本発明による画像化システムを備える内視鏡では、医師は単に2つの撮像素子を切り替えるだけでよい。
【0009】
さらに、例えば、それぞれの画像化装置の透過率と対応する撮像素子の感度との積が、2つの画像化装置に関して、例えば2つの感度のうちの低い方の50%、好ましくは100%、さらには400%も違ってよい。このようにして、画像化のために、広いダイナミックレンジをカバーすることができる。具体的には、例えば、画像化装置の透過率を異ならせることができる。これを、例えば、ビームスプリッタが光束を対称に分割しないという事実によって達成することができ、さらには/あるいは2つの後方光学ユニットにおいて異なる大きさの絞りが使用されるという事実によって達成することができる。これにより、画像化のダイナミックレンジが拡大される。しかしながら、(代わりに、または追加で)撮像素子の感度も異なってよい。このような構成において、例えば、2つの後方光学ユニットは、光屈折力を有さなくてもよい。感度は、撮像素子に衝突する光子あたりの発生電荷数を表す。
【0010】
本発明によって達成され得る効果のいくつかは、以下の列挙に再び要約される。この列挙が網羅的ではなく、各々の実施形態においてこれらの効果のすべてが達成される必要は観察しなければならない。
【0011】
(A)マルチフォーカスシステム
単一の画像の組み合わせが、いかなる可動部品も必要とせずに被写界深度の増加を達成する。
【0012】
通常は、対物レンズからのセンサの距離が変更される(代案として、レンズの距離またはレンズの形状などの対物レンズの特性を動的に変化させる解決策も存在する)。これまでの解決策の欠点は、一度に1つの特定の焦点しか設定できないことである。異なる焦点を有するいくつかの画像を同時に取得することで、きわめて低い絞り段(これにより、画像全体の解像度が向上し、おそらくはカメラシステムの感度が向上する)が可能でありながら、きわめて高い被写界深度のアーチファクトのない生成が可能になる。
【0013】
(B)光学マルチズーム(マルチ倍率)
通常は、マルチズームシステムは、レンズ群の距離の動的な変更によって達成される。原則として、これは、高い技術的支出によらなければ実現することができず、多くの場合に干渉の影響を受けやすい。非可動システムは、潜在的に、干渉の影響を受けにくく、より細かい調整が可能である。さらに、固定のズーム段を容易に切り替えることができる。
【0014】
(C)HDR(高ダイナミックレンジ)画像化
通常は、LDR(低ダイナミックレンジ)センサ(光依存抵抗)によるHDR画像の形成のために、異なる露光段(照度)のいくつかの画像が取得される。代案として、同じ画像内で、解像度を犠牲にして異なる露出の画素を利用するシステムが存在する。提案されるシステムにおいては、一定の解像度で、HDR画像が、複数のLDRセンサによってアーチファクトのないやり方で(移動シーン内の被写体の時間シフトを伴わずに)生成される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態においては、適切な撮像素子を備える2つの画像化装置が使用される。本発明のいくつかの実施形態において、適切な撮像素子を備える3つ以上の画像化装置も使用可能である。例えば、直列に接続された複数のビームスプリッタによって光束を複数回分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による画像化システムを概略的に示している。
【
図2】本発明の一実施形態による画像化システムを備える内視鏡を概略的に示している。
【
図3】本発明の一実施形態による画像化システムを備える内視鏡システムを概略的に示している。
【
図4】本発明の第1の実施形態による画像化システムの断面図を示している。
【
図5】本発明の第2の実施形態による画像化システムの断面図を示している。
【
図6】本発明の実施形態によるいくつかの画像化システムにおいて使用されるビームスプリッタの正面図および側面図を示している。
【
図7】本発明の実施形態によるいくつかの画像化システムにおいて使用されるビームスプリッタの正面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下で、この類型の画像化システムの詳細を説明する。
【0018】
図1が、本発明のいくつかの実施形態による画像化システム1を概略的に示している。画像化システム1は、被写体空間内のそれぞれのシーンをそれぞれの撮像素子(画像取得手段)51および52上へと画像化する2つの画像化装置11および12を含む。画像化装置11は、前方光学ユニット2と、ビームスプリッタ3と、後方光学ユニット41とから構成されている。画像化装置12は、同じ前方光学ユニット2と、同じビームスプリッタ3と、後方光学ユニット41とは異なる後方光学ユニット42とから構成されている。
【0019】
撮像素子51、52は、CMOSチップまたはCCDチップなどの半導体センサであってよい。撮像素子51、52は、可視波長範囲、とりわけ650nm±5nm(赤色)、532nm±5nm(緑色)、および460nm±5nm(青色)の3つの波長範囲(以下では、RGB波長範囲ともいう)に感度を有する。例えば、各々の波長に関して、RGB波長範囲のうちの少なくとも1つにおける撮像素子51、52の各々について、感度は、それぞれの撮像素子の最大感度の50%よりも高くてよい。好ましくは、少なくとも1つのRGB波長範囲における感度は、それぞれの撮像素子の最大感度の60%よりも高い。すなわち、少なくとも1つのRGB波長範囲において、両方の画像取得手段は、適切な品質の画像検出のための充分な感度を有する。より好ましくは、少なくとも1つの波長範囲における感度は、70%よりも高く、あるいは80%よりも高い。いくつかの実施形態において、2つの撮像素子51および52は、少なくとも1つのRGB波長範囲にわたって同じ感度を有する。好ましくは、RGB波長範囲のうちの少なくとも1つについて本明細書で説明される特性は、3つのRGB波長範囲すべてに適用可能である。
【0020】
いくつかの実施形態において、後方光学ユニット41、42の少なくとも一方は、2つの画像化装置11、12の画像平面が1つの平面内に位置するように、それぞれの光束を(例えば、1つ以上のミラーによって、必要に応じて中継光学系も使用して)偏向させる。したがって、2つの別個の撮像素子の代わりに、ただ1つの撮像素子を使用することができ、1つの撮像素子の異なる領域が、2つの画像取得手段51、52に対応する。
【0021】
いくつかの実施形態においては、RGB波長範囲における画像化システム1の全体が、非二色性である。好ましくは、画像化システムの全体は、可視スペクトル(405nm~700nm)の全体にわたって非二色性であり、場合によっては、さらに可視スペクトルを過ぎて、例えば、それぞれ380nmおよび900nm(あるいは、800nmまたは850nm)まで非二色性である。とくには、ビームスプリッタ3も、それぞれの波長範囲において非二色性であってよい。本出願の目的において、「非二色性」という用語は、RGB波長範囲のうちの或る波長範囲の第1の波長と、RGB波長範囲のうちの別の波長範囲の第2の波長とからなる各ペアに関して、第1の波長についての第1の画像化装置11の透過率と第1の波長についての第1の画像取得手段51の感度との積の、第1の波長についての第2の画像化装置12の透過率と第1の波長についての第2の画像取得手段52の感度との積に対する比が、第2の波長についての第1の画像化装置11の透過率と第2の波長についての第1の画像取得手段51の感度との積の、第2の波長についての第2の画像化装置12の透過率と第2の波長についての第2の画像取得手段52の感度との積に対する比から、50%よりも大きくは異ならないことを意味する。好ましくは、これらの比の相違は25%未満であり、より好ましくは、関連の波長範囲からの2つの波長からなる各ペアについての比が等しい。上述のパーセンテージについての基準値は、2つの比が等しい場合を除き、2つの比のうちの小さい方である。
【0022】
前方光学ユニット2は、2つの画像化装置11、12に共通である。前方光学ユニット2は、非ゼロの屈折力を有する。前方光学ユニット2は、被写体空間に最も近い前方レンズを有する。さらに、前方光学ユニット2は、シーンからの光束の断面を決定することができる。すなわち、前方光学ユニット2は、絞り機能を有することができる。このようにして、例えば、最大可能視野角(FOV)は、前方光学ユニット2によって決定される。
【0023】
図6が、ビームスプリッタ3の一例を示している。ビームスプリッタ3は、光束の強度を分割し、後方光学ユニット41および42へとそれぞれ向かう異なる方向に導く。ビームスプリッタ3は、非二色性であってよい。ビームスプリッタ3は、例えば、漏れ全反射の原理に従って界面30において入射光束を分割する半透過ミラーまたはビームスプリッタキューブであってよい。ビームスプリッタ3は、光束の強度を両方向に均等に分割することができ、あるいは一方の方向に他方の方向よりも高い強度を向けることができる。
【0024】
別の可能なビームスプリッタ3が、
図7に示されている。このビームスプリッタ3は、光束を幾何学的に分割する。この例においては、ミラー31(例えば、円形ミラー)が光束の中心に(好ましくは、対称に)配置されている。ミラーは、第2の後方光学ユニット42へと光を導くように、前方光学ユニット2の光軸に対して(例えば、45°±30°の範囲内の)或る角度に傾けられる。ミラーは、少なくともRGB波長範囲(好ましくは、可視スペクトルの全体、場合によっては上述のように可視スペクトルを過ぎても)において、50%よりも高く、好ましくは75%よりも高く、さらにより好ましくは95%よりも高い反射率を有する。反射率は、100%であってもよい。ミラーは、同時に、画像化装置12の絞りであってもよい。
【0025】
前方光学ユニット2からの光束の一部のみが、ミラー31に入射する。光束の残りの部分が入射するビームスプリッタ3の領域32は、実質的に透明である。例えば、ビームスプリッタは、ミラーの反射層31が塗布されたガラスであってよい。したがって、このビームスプリッタは、画像化装置11のための環状の絞りとして機能する。RGB波長範囲(好ましくは、可視スペクトルの全体、場合によっては上述のように可視スペクトルを過ぎても)における領域32の透過率は、50%よりも高く、好ましくは75%よりも高く、さらにより好ましくは95%よりも高い。透過率は、100%であってもよい。
【0026】
ミラー31の形状に制限はない。例えば、丸みを帯びた形状(例えば、円形または楕円形)であってよい。しかしながら、ミラーは多角形(三角形、正方形、・・・)の形状をとってもよい。
【0027】
図7に示される例においては、中央の表面31が反射性であり、周囲の表面32が透過性である。しかしながら、いくつかの実施形態においては、代案として、中央の表面が透過性であってよく、周囲の表面が反射性であってよい。
【0028】
反射率および透過率は、それぞれ、勾配を有してもよく、光束の中心において反射率(または、透過率)が高く(例えば、90%超、あるいは100%でもよい)、縁部において低い反射率(または、透過率)(例えば、10%未満、あるいは0%でもよい)が達成されるように、外側へと連続的に減少してもよい。
【0029】
ビームスプリッタ3が二色性である場合、いくつかの実施形態において、2つの画像化装置41、42の少なくとも一方に、全体としての画像化システム1が非二色性となるように、ビームスプリッタ3の二色性を補償する構成要素(例えば、カラーフィルタ)を配置することができる。ビームスプリッタ3は、偏光に依存しても、偏光に依存しなくてもよい。
【0030】
後方光学ユニット41、42は、ビームスプリッタ3の後方において、前方光学ユニット2から撮像素子51、52への光の伝搬方向に位置している。いくつかの実施形態において、後方光学ユニット41、42は、非ゼロの屈折力を有し、あるいは後方光学ユニット41、42の一方がゼロの屈折力を有し、後方光学ユニット41、42の他方が非ゼロの屈折力を有する。それらは、ビームスプリッタ3または前方光学ユニット2が画像化装置41、42の少なくとも一方の有効絞りを構成しない場合には、それぞれの画像化装置41、42の有効絞りを含む。それらは、レンズおよび/または(曲面)ミラーを含むことができる。
【0031】
一方の画像化装置の焦点が、前方レンズの被写体側頂点の前方0~1mmの範囲にある(「マクロ焦点」)一方で、他方の画像化装置の焦点は、前方レンズの被写体側頂点の前方3mm~12mmの範囲にある(「広角焦点」)。焦点は、それぞれの画像化装置11、12の光軸と、それぞれの撮像素子51、52上に鮮明に画像化される被写体表面(例えば、被写体平面)との交点を指す。マクロ焦点を有する画像化手段の場合、光軸において測定される焦点から入射瞳までの距離が、画像化手段の焦点幅よりも大きく、例えば焦点幅の2~4倍の範囲である。焦点面は、光軸に対して垂直であり、平坦または凸状であってよい。凸状の焦点面の場合、曲率半径は、前方レンズの曲率半径よりも小さくてはならない。
【0032】
ビームスプリッタ3が光束の強度を異なるように分割し、したがって2つの画像化装置11、12の異なる透過率を引き起こす場合、および撮像素子の感度が異なる場合とは別に、2つの後方光学ユニット41、42は、2つの画像化装置11、12が(焦点の位置に加えて)少なくとも1つの光学パラメータによって相違し得るという事実を担当する。当然ながら、ビームスプリッタ3による光束の強度の分割も非対称であり得、2つの後方光学ユニット41、42は、少なくとも1つの光学パラメータによってさらに相違し得る。
【0033】
光学パラメータは、例えば、それぞれの画像化装置の焦点幅(すなわち、前方焦点からのそれぞれの画像化装置の焦点の距離)、それぞれの画像化装置11、12の焦点距離、それぞれの画像化装置11、12の最大視野角、それぞれの画像化装置11、12の絞り開口、および/またはRGB波長範囲(または、可視スペクトルの全体、および上述のように可視スペクトルを過ぎても)におけるそれぞれの画像化装置11、12の平均透過率であり得る。
【0034】
以下で、それぞれの相違の好ましい最小値を述べる。
【0035】
・光学パラメータが前方焦点からの焦点の距離である場合、第1の画像化装置および第2の画像化装置の一方の焦点の、第1の画像化装置および第2の画像化装置の一方の前方焦点からの距離は、第1の画像化装置および第2の画像化装置の他方の焦点の、第1の画像化装置および第2の画像化装置の他方の前方焦点からの距離から、少なくとも25%異なる。
・光学パラメータが焦点距離である場合、第1の画像化装置11の焦点距離は、第2の画像化装置12の焦点距離から少なくとも10%異なり、さらにより好ましくは、相違が少なくとも30%、あるいは少なくとも50%である。
・光学パラメータが最大視野角である場合、第1の画像化装置11の最大視野角は、第2の画像化装置12の最大視野角から少なくとも20%異なり、さらにより好ましくは、相違が少なくとも35%、あるいは50%である。
・光学パラメータが絞り開口である場合、第1の画像化装置11の絞り開口の表面は、第2の画像化装置12の絞り開口の表面から少なくとも25%異なり、さらにより好ましくは、相違が少なくとも50%、または少なくとも75%、あるいは少なくとも100%である。
・光学パラメータが透過率である場合、RGB波長範囲の少なくとも1つ(好ましくは、3つのすべてのRGB波長範囲または可視スペクトルの全体)における第1の画像化装置11の平均透過率は、それぞれの波長範囲における第2の画像化装置12の平均透過率から少なくとも50%異なり、さらにより好ましくは、相違が少なくとも100%、または少なくとも400%である。
・RGB波長範囲の少なくとも1つ(好ましくは、3つのすべてのRBG波長範囲または可視スペクトルの全体)における第1の画像取得手段51の平均感度が、それぞれの波長範囲における第2の画像取得手段52の平均感度と異なる場合、第1の画像取得手段51の平均感度は、第2の画像取得手段52の平均感度から少なくとも25%異なり、さらにより好ましくは、相違が少なくとも50%、少なくとも100%、または少なくとも400%である。
【0036】
透過率、感度、および透過率と感度との積の各々の平均は、それぞれ、それぞれの波長範囲にわたって形成される。上述のパーセンテージの各々の基準値は、それぞれ第1および第2の画像化装置ならびに関連の撮像素子に関する対応する値のうちの小さい方の値である。
【0037】
650nm±5nm(赤色)、532nm±5nm(緑色)、および460nm±5nm(青色)のRBG波長範囲について上述した特性は、好ましくは、これらの間の465nm~527nmおよび537nm~645nmの一方または両方の波長範囲にも適用可能である。さらに、好ましくは、UVまたは赤外光も含む380nm~455nmおよび655nm~900nmの上方および下方に隣接する波長範囲の少なくとも一方にも適用可能である。さらに、これらの範囲は、それぞれ405nmの下側波長ならびに850nmまたは800nmまたは700nmの上側波長によっても制限され得る。
【0038】
図2が、本発明のいくつかの実施形態による画像化システム1を内視鏡先端部110に収容した例を示している。内視鏡先端部は、腔(人体の腔など)への挿入に好適であり得る。したがって、前方光学ユニット2は、2つの後方光学ユニット41、42よりも内視鏡先端部110の遠位端に近い。
図2に示される例において、内視鏡先端部110は、内視鏡の挿入シャフト120に接続される。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態による内視鏡先端部110は、挿入シャフトを伴わずに単独で使用することもできる(いわゆる、カプセル型内視鏡検査)。挿入シャフト120は、剛体挿入シャフト(パイプまたは管)または可撓管のいずれかであってよい。内視鏡先端部110と挿入シャフト120との間に、内視鏡先端部110が挿入シャフト120に間接的にのみ接続されるように、角度セグメントが設けられてもよい(図示せず)。
【0039】
図2に示されるように、画像化システム1が、第1の画像化装置11が内視鏡先端部の軸線と平行に延在する一方で、第2の画像化装置12が内視鏡先端部の軸線に対して曲げられるように内視鏡先端部110に収容される場合、第1の画像化装置11は、好ましくは比較的大きい焦点距離を有し、第2の画像化装置12は、好ましくは比較的小さい焦点距離を有する。
【0040】
図2においては、画像化システム1の全体が内視鏡先端部110の内部に位置しているが、画像化システム1の一部が、内視鏡先端部110の外部に位置してもよい。この場合、中継光学系が、画像化システム1のうちの内視鏡先端部110の内側に位置する部分と、画像化システム1のうちの内視鏡先端部110の外部に位置する部分との間で光束を伝達する。とくには、画像化システム1の全体が内視鏡先端部110の外部に配置されてもよい。
図3に示されるように、この場合に、中継光学系130は、被写体空間からの光束を内視鏡先端部110の外部の前方光学ユニット2へと伝達する。中継光学系130として、例えば、ガラス繊維またはHopkins光学系などのロッド光学系が考えられる。
図3に概略的に示されているとしても、内視鏡先端部110、挿入シャフト120、および画像化システム1は、一列に並んでいてもよいが、一列に並んでいる必要はない。
【0041】
図4および
図5が、本発明による画像化システム1の第1および第2の実施形態を詳細に示している。個々のレンズ、絞り、およびビームスプリッタのパラメータは、表1および表2(
図4について)ならびに表4および表5(
図5について)に記載される。システムの光学特性は、表3(
図4について)および表6(
図5について)に示される。表1~表6における長さの値は、mmで記載される。ビームスプリッタ3を除き、
図4および
図5の2つの画像化システム1の光学部品は、光の伝播方向に円形断面を有する。
図6は、2つの画像化装置について、ビームスプリッタ3の正面図および側面図を示している。後者は、立方体形状(すなわち、断面が正方形)であり、側面図において、ビームスプリッタの部分反射面が対角線上に位置している。
【0042】
表7が、使用した種類のガラスの屈折率ndおよびアッベ係数vdを示している。屈折率は、587.6nmの波長について示されている。アッベ係数は、vd=(nd-1)/(nF-nC)として定義され、式中、nd、nF、およびnCは、フラウンホーファーのd、F、およびCスペクトル線の波長(それぞれ、587.6nm、486.1nm、および656.3nm)における材料の屈折率である。
【0043】
画像化装置1における屈折要素は、球面レンズに限定されない。レンズは非球面であってもよい。曲面ミラーなどの反射屈折要素も使用することができる。レンズまたはミラーを、例えばガラスまたはプラスチックから製作することができる。レンズまたはミラーをコーティングすることができる。画像化装置または画像化装置の少なくとも前方光学ユニットが内視鏡先端部に収容される場合、前方光学ユニットの少なくとも最前部の要素(例えば、レンズ)が、引っ掻きおよび衝撃に対する充分な耐性ならびに周囲媒体に対する耐性を有することが望ましい。
【0044】
【0045】
【0046】
第1の画像化装置:焦点距離大(顕微鏡)
システム開口 F/#=4
有効焦点距離: 0.8670161
全長: 14.50188
第2の画像化装置:焦点距離小(広角対物レンズ)
システム開口 F/#=4
有効焦点距離: 0.5218
全長: 13.05297
表3:第1の実施形態の光学パラメータ
【0047】
【0048】
【0049】
第1の画像化装置:焦点距離大(顕微鏡)
システム開口 F/#=4
有効焦点距離: 0.9331866
全長: 14.48277
第2の画像化装置:焦点距離小(広角対物レンズ)
システム開口 F/#=2.8
有効焦点距離: 0.5462332
全長: 12.33006
表6:第2の実施形態の光学パラメータ
【0050】
ガラス名 屈折率nd アッベ係数vd
BSM51Y 1.60311 60.65
L-TIM28P 1.69453 30.66
N-FK51A 1.48656 84.47
N-FK58 1.456 90.9
N-LAF21 1.788 47.49
N-LASF31A 1.883 40.76
N-LASF35 2.022 29.06
N-LASF9HT 1.8502 32.17
N-SK16 1.62041 60.32
N-SK5 1.58913 61.27
N-ZK7 1.50847 61.19
S-BSM10 1.6228 57.05
S-BSM16 1.62041 60.29
S-FTM16 1.5927 35.31
S-LAH55VS 1.83481 42.74
S-LAH58 1.883 40.76
S-LAH60MQ 1.834 37.17
S-LAL14 1.6968 55.5
S-LAL58 1.6935 50.81
S-NBH56 1.85478 24.8
S-NPH1 1.80809 22.76
S-NPH3 1.95906 17.47
S-PHM52 1.618 63.4
S-TIL27 1.57501 41.5
S-TIM28P 1.69453 30.66
表7:使用した種類のガラスの屈折率およびアッベ係数
【国際調査報告】