(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】アルキニルフェニルベンズアミド化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240319BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20240319BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K31/5025
A61K31/5377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564002
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2021117495
(87)【国際公開番号】W WO2022217821
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110395086.2
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523391238
【氏名又は名称】シェンツェン ニューデル バイオテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュ,シャオユン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チャン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ケ
(72)【発明者】
【氏名】シァン,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ト,ツェンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジーミン
(72)【発明者】
【氏名】タン,シャ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ズーキン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,シュン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シュイファ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ツェンウェイ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF02
4C050GG01
4C050HH01
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明はアルキニルフェニルベンズアミド化合物およびその使用に関する。本発明のアルキニルフェニルベンズアミド化合物は、式(I)に示される構造を有し、このような化
合物はプロテインキナーゼ阻害剤として使用され得、TRKプロテインキナーゼの活性なら
びに種々の腫瘍細胞の増殖、遊走および浸潤を効果的に阻害することができ、同時に良好な薬物動態学的特性を有し、毒性も低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示される構造を有する、アルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその
薬学的に許容される塩、立体異性体もしくはプロドラッグ分子;
【化1】
式中、R
1は、C
1~C
20アルキルから選択され;
R
2は、H、ハロゲン、C
1~C
20アルキル、C
1~C
20アルコキシまたはハロゲンによって置
換されているC
1~C
20アルキルから選択され;
R
3は、H、フルオロによって置換されているC
1~C
4アルキル、置換されているまたは置
換されていない1~3個のN環原子を含む5~6員複素環基から選択され;
R
4は、H、ハロゲン、ニトロ、置換されているまたは置換されていないC
1~C
20アルキル、置換されているまたは置換されていないC
1~C
20アルコキシ、置換されているまたは置
換されていない1~3個のN環原子を含む5~10員複素環基、置換されているまたは置換されていない1~3個のN環原子を含む5~10員ヘテロアリールから選択され;
R
5は-NR
6R
7であり;
R
6、R
7は、それぞれ独立して、-(CH
2)
mNR
8R
9、-(CH
2)
nCR
10R
11R
12、-(CH
2)
pOR
12から選択されるか、またはR
6、R
7はそれらが結合している窒素原子と一緒に置換されているまたは置換されていないヘテロ原子を含む単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し;
R
8、R
9は、それぞれ独立して、HもしくはC
1~C
20アルキルであるか;またはR
8、R
9はそれらが結合している窒素原子と一緒に置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し;
R
10、R
11はそれらが結合している炭素原子と一緒に置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し;
R
12はH、C
1~C
20アルキルから選択され;
m、n、pは、それぞれ独立して、0~10の整数である。
【請求項2】
R
4は、H、ハロゲン、ニトロ、C
1~C
8アルキル、ハロゲンによって置換されているC
1~C
8アルキル、C
1~C
8アルコキシ、ハロゲンによって置換されているC
1~C
8アルコキシ、-(CH
2)
xNR
17R
18、1~5個のR
19によって置換されているまたは置換されていない1~3個のN環
原子を含む5~6員複素環基、1~5個のR
19によって置換されているまたは置換されていな
い1~3個のN環原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され;xは1~5の整数であり;
R
17、R
18はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~5個のR
19によって置換されてい
るまたは置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
各R
19は、それぞれ独立して、C
1-C
5アルキルから選択される、請求項1に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項3】
R
4は、H、ハロゲン、ニトロ、C
1~C
4アルキル、ハロゲンによって置換されているC
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、ハロゲンによって置換されているC
1~C
4アルコキシ、-(CH
2)
xNR
17R
18、1~3個のR
19によって置換されているまたは置換されていないイミダゾリルから選択され;xは1、2または3であり;
R
17、R
18はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~3個のR
19によって置換されてい
るまたは置換されていないピペラジニルを形成し;
各R
19は、それぞれ独立して、C
1-C
5アルキルから選択される、請求項2に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項4】
R
4は、H、ハロゲン、ニトロ、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロ
ポキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、
【化2】
または
【化3】
から選択され;
各R
19は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピルから選択される、請求項3に
記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項5】
R
6、R
7は、それぞれ独立して、-(CH
2)
mNR
8R
9、-(CH
2)
nCR
10R
11R
12、-(CH
2)
pOR
12から選択されるか、またはR
6、R
7はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~5個のR
13によっ
て置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む3~15員単環、縮合
環、スピロ環または架橋環を形成し、ヘテロ原子はO、N、Sから選択され;
R
8、R
9は、それぞれ独立して、H、C
1~C
5アルキルであるか;またはR
8、R
9はそれらが
結合している窒素原子と一緒に1~5個のR
13によって置換されているまたは置換されてい
ない1~3個のヘテロ原子を含む3~10員単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し、
ヘテロ原子はO、Nから選択され;
R
10、R
11はそれらが結合している炭素原子と一緒に1~5個のR
13によって置換されてい
るまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む3~10員単環、縮合環、スピロ環ま
たは架橋環を形成し、ヘテロ原子はO、Nから選択され;
R
12は、H、C
1-C
5アルキルから選択され;
各R
13は、それぞれ独立して、H、C
1-C
5アルキル、C
1-C
5アルカノイル、ヒドロキシ、ヒドロキシによって置換されているC
1-C
5アルキル、アミノによって置換されているC
1-C
5アルキル、アミノによって置換されているC
1-C
5アルコキシ、C
3-C
7シクロアルキルによって置換されているC
1-C
3アルキル、-NR
15R
16、1~5個のR
14によって置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む3~10員単環、縮合環、スピロ環または架橋環
から選択され、ヘテロ原子はO、Nから選択され;
R
14、R
15、R
16は、それぞれ独立して、H、C
1-C
5アルキルから選択され;
m、n、pは、それぞれ独立して、0~5の整数である、請求項1に記載のアルキニルフェ
ニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項6】
R
6、R
7は、それぞれ独立して、-(CH
2)
mNR
8R
9、-(CH
2)
pOR
12から選択されるか、またはR
6、R
7はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~3個のR
13によって置換されているまたは置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R
8、R
9は、それぞれ独立して、H、C
1~C
5アルキルから選択されるか、またはR
8、R
9はそ
れらが結合している窒素原子と一緒に1~5個のR
13によって置換されているまたは置換さ
れていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R
12は、H、C
1-C
5アルキルから選択され;
各R
13は、それぞれ独立して、H、C
1-C
5アルキル、C
1-C
5アルカノイル、ヒドロキシ、-NR
15R
16、1~2個R
14によって置換されているまたは置換されていないオキセタニル、1~4
個R
14によって置換されているまたは置換されていないモルホリノから選択され;
R
14、R
15、R
16は、それぞれ独立して、H、C
1-C
3アルキルから選択され;
m、pは、それぞれ独立して、1、2、3、4または5である、請求項5に記載のアルキニル
フェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項7】
R
5は、下記の基のいずれかから選択される、請求項5に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子:
【化4】
。
【請求項8】
R
4はハロゲンであり;R
5は-NR
6R
7であり;
R
6、R
7は、それぞれ独立して、-(CH
2)
mNR
8R
9、-(CH
2)
pOR
12から選択されるか、またはR
6、R
7はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~3個のR
13によって置換されているまたは置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R
8、R
9は、それぞれ独立して、H、C
1-C
3アルキルから選択されるか、またはR
8、R
9はそ
れらが結合している窒素原子と一緒にを形成する1~2個R
13によって置換されているまた
は置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R
12は、H、C
1-C
3アルキルから選択され;
各R
13は、それぞれ独立して、H、C
1-C
3アルキル、アセチル、ヒドロキシ、-NR
15R
16、
オキセタニル、モルホリノから選択され;
R
15、R
16は、それぞれ独立して、H、C
1-C
3アルキルから選択され;
m、pは、それぞれ独立して、2、3または4である、請求項1に記載のアルキニルフェニ
ルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項9】
R
4は、Clであり、
R
5は、
【化5】
から選択される、請求項8に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項10】
R
4は、H、ハロゲン、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、
【化6】
から選択され、R
5は
【化7】
であるか、
または、R
4は、H、
【化8】
から選択され、R
5は、
【化9】
から選択されるか;
または、R
4は
【化10】
であり、R
5は、
【化11】
から選択される、請求項1に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項11】
R
1は、C
1~C
4アルキルから選択され;および/または、
R
2は、H、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、ハロゲンによって置換されているC
1~C
4アルキル
、C
1~C
4アルコキシから選択される、請求項1~10のいずれか1つに記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項12】
R
1は、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチルから選択され;および/または、
R
2は、H、フルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、ジフルオロメチル、ジ
フルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルから選択される、
請求項11に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項13】
R
3は、H、ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフル
オロエチルから選択される、請求項1~10のいずれか1つに記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子。
【請求項14】
式(II)に示される構造を有する、請求項1~10のいずれか1つに記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子:
【化12】
。
【請求項15】
前記アルキニルフェニルベンズアミド化合物は、以下の化合物から選択される、請求項1に記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはまたはその薬学的に許容される
塩もしくはその立体異性体。
:
【化13】
【化14】
【化15】
。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1つに記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子の、TRK阻害
剤の製造のための使用。
【請求項17】
請求項1~18のいずれか1つに記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子の、TRKチロ
シンキナーゼにより媒介される疾患を予防および/または治療するための医薬の製造のた
めの使用。
【請求項18】
前記TRKチロシンキナーゼにより媒介される疾患は、腫瘍であり、好ましくは非小細胞
肺癌、乳癌、結腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、乳房様分泌癌である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
腫瘍を予防および/または治療するための医薬組成物であって、請求項1~15のいず
れか1つに記載のアルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子を含む活性成分と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学医薬技術領域に関し、特にアルキニルフェニルベンズアミド化合物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
トロポミオシン受容体キナーゼTRK(tropomyosin receptor kinase)は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーに属し、TRKA、TRKBおよびTRKCの3つのサブタイプがあり、それぞれNTRK1、NTRK2およびNTRK3遺伝子によってコードされる。TRKは膜貫通タンパク質であり、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン(transmembrane domain、TM)、および細胞内ドメインからなる。TRKは主に神経栄養因子(Neurotrophic factors, NT)
と結合することでその役割を果たす。神経栄養因子とは、神経に支配された組織(筋肉など)やアストロサイトから産生され、神経細胞の成長や生存に必要なタンパク質分子である。現在、神経栄養因子として、主に神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF
)、神経栄養因子3(NT-3)、神経栄養因子4(NT-4)の4種類が発見されており、このう
ちNGFはTRKAに、BDNFおよびNT-4はTRKBに結合し、NT-3は3種類のTRKタンパク質に結合で
きるが、そのうちTRKCに対する結合能がより強い。シグナル誘導により活性化されると、TRKは自己二量化やリン酸化を介して下流のシグナル伝達経路を順に活性化させ、様々な
細胞生理機能を実現する。TRKの下流のシグナル伝達経路には、MAPK、PI3K/AKT、PLCγ/PKC経路が含まれ、これらの経路は、細胞の増殖、分化、遊走、アポトーシスなどの生理的プロセスを制御するとともに、神経シナプスの弾力性、神経樹状突起の成長および修復、ニューロン分解の予防および修復、感覚ニューロンの維持など、ニューロンに関連する様々な生理的活動を制御する。
【0003】
TRKの過剰発現、遺伝子融合および単一ヌクレオチドの変化が、非小細胞肺癌、乳癌、
結腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、悪性黒色腫、神経芽細胞腫および乳房様分泌癌などの様々な種類の腫瘍の発生や進展と密接に関連していることが、数多くの研究によって示されている。TRKの異常な活性化のメカニズムの中で、最も一般的なメカニズムはTRKの遺伝子融合である。医学研究において一番最初に発見されたNTRK融合遺伝子は、結腸癌サンプルから発見されたTPM3-NTRK1融合遺伝子であった。研究が進むにつれて、CD74-NTRK1、ETV6-NTRK2、QKI-NTRK2、ETV6-NTRK3など、さまざまなタイプの融合遺伝子が次々と発見されて
いる。NTRK融合遺伝子によって発現されるTRK融合タンパク質は、リガンド結合に依存せ
ずに下流のシグナル伝達経路を持続的に活性化することができ、それによって異常な細胞増殖を誘導し、腫瘍の発生や進展を促進する。従って、TRKは有効な抗癌剤治療標的であ
ると考えられている。
【0004】
現在、米国LOXO社が開発したTRK選択的阻害剤Larotrectinibが2018年にFDAから承認さ
れ、ロシュ社が開発したTRK阻害剤Entrectinibが2019年6月に日本で上市され、TESARO社
が開発したBelizatinibがいま臨床試験中である。さらに、カボザニチニブ(Cabozanitinib)、シトラバチニブ(Sitravatinib)、アルチラチニブ(Altiratinib)、などのマル
チターゲット阻害薬も良好なTRK阻害活性を有する。
【0005】
TRK阻害剤の連用によるNTRK遺伝子の点突然変異は、腫瘍の薬剤耐性の発生の重要な原
因となっている。臨床研究により、NTRK1のG595R、G667C、F589L、G667S、およびNTRK3のG623R、G696Aの変異が相次いで発見されている。しかし、これまでに、これらの変異を標的とした阻害剤は上市されておらず、第2世代のTRK阻害剤であるLOXO-195、TPX-0005、ONO-5390556は臨床試験中である。
【発明の概要】
【0006】
上記のことに鑑み、本発明は、プロテインキナーゼ阻害剤として使用することができ、TRKプロテインキナーゼの活性ならびに種々の腫瘍細胞の増殖、遊走および浸潤を効果的
に阻害することができ、特に良好な薬物動態学的特性および薬物耐性抵抗性も有する、アルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を提供する。
【0007】
具体的な技術的解決手段は以下の通りである:
式(I)に示される構造を有する、アルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬
学的に許容される塩、立体異性体もしくはプロドラッグ分子
【化1】
式中、R
1は、C
1~C
20アルキルから選択され;
R
2は、H、ハロゲン、C
1~C
20アルキル、C
1~C
20アルコキシまたはハロゲンによって置
換されているC
1~C
20アルキルから選択され;
R
3は、H、フルオロによって置換されているC
1~C
4アルキル、置換されているまたは置
換されていない1~3個のN環原子を含む5~6員複素環基から選択され;
R
4は、H、ハロゲン、ニトロ、置換されているまたは置換されていないC
1~C
20アルキル、置換されているまたは置換されていないC
1~C
20アルコキシ、置換されているまたは置
換されていない1~3個のN環原子を含む5~10員複素環基、置換されているまたは置換されていない1~3個のN環原子を含む5~10員ヘテロアリールから選択され;
R
5は-NR
6R
7であり;
R
6、R
7は、それぞれ独立して、-(CH
2)
mNR
8R
9、-(CH
2)
nCR
10R
11R
12、-(CH
2)
pOR
12から選択されるか、またはR
6、R
7はそれらが結合している窒素原子と一緒に置換されているまたは置換されていないヘテロ原子を含む単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し;
R
8、R
9は、それぞれ独立して、H、C
1~C
20アルキルであるか;またはR
8、R
9はそれらが結合している窒素原子と一緒に置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し;
R
10、R
11はそれらが結合している炭素原子と一緒に置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し;
R
12はH、C1~C
20アルキルから選択され;
m、n、pは、それぞれ独立して、0~10の整数である。
【0008】
いくつかの実施態様では、R4は、H、ハロゲン、ニトロ、C1~C10アルキル、ハロゲンによって置換されているC1~C10アルキル、C1~C10アルコキシ、ハロゲンによって置換されているC1~C10アルコキシ、-(CH2)xNR17R18、1~5個のR19によって置換されているまたは置換されていない1~3個のN環原子を含む5~10員複素環基、1~5個のR19によって置換さ
れているまたは置換されていない1~3個のN環原子を含む5~10員ヘテロアリールから選択され;xは、1~5の整数である
R17、R18はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~5個のR19によって置換されてい
るまたは置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
各R19は、それぞれ独立してC1-C5アルキルから選択される。
【0009】
いくつかの実施態様では、R4は、H、ハロゲン、ニトロ、C1~C8アルキル、ハロゲンに
よって置換されているC1~C8アルキル、C1~C8アルコキシ、ハロゲンによって置換されているC1~C8アルコキシ、-(CH2)xNR17R18、1~5個のR19によって置換されているまたは置
換されていない1~3個のN環原子を含む5~6員複素環基、1~5個のR19によって置換されているまたは置換されていない1~3個のN環原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され
;xは1~5の整数である。
【0010】
いくつかの実施態様では、R4は、H、ハロゲン、ニトロ、C1~C4アルキル、ハロゲンに
よって置換されているC1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、ハロゲンによって置換されているC1~C4アルコキシ、-(CH2)xNR17R18、1~3個のR19によって置換されているまたは置
換されていない1~3個のN環原子を含む5~6員複素環基、1~3個のR19によって置換されているまたは置換されていない1~3個のN環原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され
;xは、1~5の整数である。
【0011】
いくつかの実施態様では、R4は、H、ハロゲン、ニトロ、C1~C4アルキル、ハロゲンに
よって置換されているC1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、ハロゲンによって置換されているC1~C4アルコキシ、-(CH2)xNR17R18、1~3個のR19によって置換されているまたは置
換されていないイミダゾリルから選択され;xは1、2または3であり;
R17、R18はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~3個のR19によって置換されてい
るまたは置換されていないピペラジニルを形成し;
各R19は、それぞれ独立して、C1-C5アルキルから選択される。
【0012】
いくつかの実施態様では、R
4は、H、ハロゲン、ニトロ、メチル、エチル、プロピル、
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、
【化2】
、または
【化3】
から選択され;
各R
19は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピルから選択される。
【0013】
いくつかの実施態様では、R6、R7は、それぞれ独立して、-(CH2)mNR8R9、-(CH2)nCR10R11R12、-(CH2)pOR12から選択されるか、またはR6、R7はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~5個のR13によって置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子
を含む3~15員単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し、ヘテロ原子はO、N、Sから選択され;
R8、R9は、それぞれ独立して、H、C1~C5アルキルであるか;またはR8、R9はそれらが
結合している窒素原子と一緒に1~5個のR13によって置換されているまたは置換されてい
ない1~3個のヘテロ原子を含む3~10員単環、縮合環、スピロ環または架橋環を形成し、
ヘテロ原子はO、Nから選択され;
R10、R11はそれらが結合している炭素原子と一緒に1~5個のR13によって置換されてい
るまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む3~10員単環、縮合環、スピロ環ま
たは架橋環を形成し、ヘテロ原子はO、Nから選択され;
R12は、H、C1-C5アルキルから選択され;
各R13は、それぞれ独立して、H、C1-C5アルキル、C1-C5アルカノイル、ヒドロキシ、ヒドロキシによって置換されているC1-C5アルキル、アミノによって置換されているC1-C5アルキル、アミノによって置換されているC1-C5アルコキシ、C3-C7シクロアルキルによって置換されているC1-C3アルキル、-NR15R16、1~5個のR14によって置換されているまたは置換されていない1~3個のヘテロ原子を含む3~10員単環、縮合環、スピロ環または架橋環か
ら選択され、ヘテロ原子はO、Nから選択され;
R14、R15、R16は、それぞれ独立して、H、C1-C5アルキルから選択され;
m、n、pは、それぞれ独立して、0~5の整数である。
【0014】
いくつかの実施態様では、R6、R7は、それぞれ独立して、-(CH2)mNR8R9、-(CH2)pOR12
から選択されるか、またはR6、R7はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~3個のR13
によって置換されているまたは置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R8、R9は、それぞれ独立して、H、C1~C5アルキルから選択されるか、またはR8、R9はそ
れらが結合している窒素原子と一緒に1~5個のR13によって置換されているまたは置換さ
れていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R12は、H、C1-C5アルキルから選択され;
各R13は、それぞれ独立して、H、C1-C5アルキル、C1-C5アルカノイル、ヒドロキシ、-NR15R16、1~2個R14によって置換されているまたは置換されていないオキセタニル、1~4
個R14によって置換されているまたは置換されていないモルホリノから選択され;
R14、R15、R16は、それぞれ独立して、H、C1-C3アルキルから選択され;
m、pは、それぞれ独立して、1、2、3、4または5である。
【0015】
いくつかの実施態様では、R
5は、下記の基のいずれかから選択される:
【化4】
。
【0016】
いくつかの実施態様では、R4はハロゲンであり;R5は-NR6R7であり;
R6、R7は、それぞれ独立して、-(CH2)mNR8R9、-(CH2)pOR12から選択されるか、またはR6、R7はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~3個のR13によって置換されているまたは置換されていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R8、R9は、それぞれ独立して、H、C1-C3アルキルから選択されるか、またはR8、R9はそれらが結合している窒素原子と一緒に1~2個R13によって置換されているまたは置換され
ていないモルホリノ、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピペラジニルを形成し;
R12は、H、C1-C3アルキルから選択され;
各R13は、それぞれ独立して、H、C1-C3アルキル、アセチル、ヒドロキシ、-NR15R16、
オキセタニル、モルホリノから選択され;
R15、R16は、それぞれ独立して、H、C1-C3アルキルから選択され;
m、pは、それぞれ独立して、2、3または4である。
【0017】
いくつかの実施態様では、R
4は、Clであり、
R
5は、
【化4】
から選択される。
【0018】
いくつかの実施態様では、R
4は、H、ハロゲン、メチル、メトキシ、トリフルオロメチ
ル、ニトロ、
【化5】
から選択され、R
5は
【化6】
である。
【0019】
いくつかの実施態様では、R
4は、H、
【化7】
から選択され、R
5は、
【化8】
から選択される。
【0020】
いくつかの実施態様では、R
4は
【化9】
であり、R
5は、
【化10】
から選択される。
【0021】
いくつかの実施態様では、R1は、C1~C10アルキルから選択される。
【0022】
いくつかの実施態様では、R1は、C1~C4アルキルから選択される。
【0023】
いくつかの実施態様では、R1は、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチルから選択される。
【0024】
いくつかの実施態様では、R2は、H、ハロゲン、C1~C10アルキル、ハロゲンによって置換されているC1~C10アルキルから選択される。
【0025】
いくつかの実施態様では、R2は、H、ハロゲン、C1~C4アルキル、ハロゲンによって置
換されているC1~C4アルキル、C1~C4アルコキシから選択される。
【0026】
いくつかの実施態様では、R2は、H、フルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブ
チル、ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルから選択される。
【0027】
いくつかの実施態様では、R3は、H、ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフル
オロメチルまたはトリフルオロエチルから選択される。
【0028】
いくつかの実施態様では、前記アルキニルフェニルベンズアミド化合物は、式(II)に示される構造を有する:
【化11】
。
【0029】
本発明のもう一つの目的は、前記アルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子のTRK阻害剤の製造
のための使用を提供することである。
【0030】
本発明のもう一つの目的は、前記アルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子のTRKチロシンキナ
ーゼにより媒介される疾患を予防および/または治療するための医薬の製造のための使用
を提供することである。
【0031】
いくつかの実施態様では、前記由TRKチロシンキナーゼにより媒介される疾患は腫瘍で
あり、好ましくは非小細胞肺癌、乳癌、結腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、悪性黒色腫、神経芽細胞腫または乳房様分泌癌である。
【0032】
本発明のもう一つの目的は、活性成分および薬学的に許容される賦形剤を含み、前記活性成分は前記アルキニルフェニルベンズアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体もしくはそのプロドラッグ分子を含む、腫瘍を予防および/または治療す
るための医薬組成物、を提供することである。
【0033】
本発明により提供されるアルキニルフェニルベンズアミド化合物は、TRKsキナーゼに対して強い阻害活性を有し、Ba/F3-TRKs安定株の野生型細胞および薬剤耐性細胞の増殖に
対して強い阻害活性を有する。TRKチロシンキナーゼにより媒介される疾患、例えば、非
小細胞肺癌、乳癌、結腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、乳房様分泌癌などを予防または治療するための医薬の製造のために用いられる。また、良好な薬物動態学的特性と低毒性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、化合物XS3-55のインビボ抗腫瘍活性を示す。
【
図2】
図2は、化合物XS3-55のマウス体重に対する影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の以下の実施例において、具体的な条件が示されていない実験方法は、通常、従来の条件に従うか、または製造業者が提案する条件に従う。実施例において使用される種々の一般的な化学試薬は、全て市販品である。
【0036】
別途定義しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定を意図したものではないことが、理解されるべきである。
【0037】
本明細書において、「含む(including)」及び「有する(having)」といった用語及びこ
れらの任意の他の派生語は、非排他的包含に及ぶことが意図されている。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又はデバイスは、列挙されているステップ又はユニットに限定されないが、列挙されていないステップ又はユニットを任意選択的に更に含む、又は、プロセス、方法、製品又はデバイスの別の固有のステップ又はユニットを任意選択的に更に含む。
【0038】
本明細書において、「複数の」は、2又はそれより多くを意味し、「及び/又は」は、関連する対象物間の対応関係を説明するために用いられ、3つの関係が存在し得ることを示
すことを理解されるべき。例えば、「A及び/又はB」は、以下の3つ:Aのみが存在する、B
のみが存在する、及びA及びBの両方が存在するケースを示し得る。「/」という記号は、
概して、関連する対象物間の「又は」の関係を示す。
【0039】
本発明の化合物において、任意の変数(例えば、R10、R11など)が任意の構成要素中に二回以上現れる場合、各出現時におけるその定義は、他の各出現と独立である。また、置換基及び変数の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物を与える場合にのみ許容される。置換基から環系に引かれた線は、表記の結合が置換可能な還原子の何れに結合してもよいことを表している。環系が多環式である場合、前記結合は、近接した環上のみの適切な炭素原子の何れかに結合されるものとする。化学的に安定で、容易に利用可能な出発物質から、本分野において公知の技術及び以下に示されている方法によって、容易に合成できる化合物を提供するために、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは当業者によって選択され得ることが理解される。置換基自体が2個以上の基で置換されている場合
、これらの複数の基は、安定な構造をもたらす限り、同一の炭素又は異別の炭素上に存在し得るものと理解される。
【0040】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、指定された数の炭素原子を有する、分枝及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むものとする。例えば、「C1-C20アルキル」におけるような、C1-C20は、直鎖又は分枝配置で、1、2、3、4、5…又は20個
の炭素を有する基を含むものと定義される。「シクロアルキル」という用語は、指定された数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C3-C7シク
ロアルキル」には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが含まれる。
【0041】
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、アルキル基が酸素に直接結合した基、すなわち-O-アルキル構造を有する基を指す。例えば-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-O-CH2CH(CH3)2、-OCH2CH2CH2CH3、-O-CH(CH3)2など。
【0042】
本明細書において使用される「複素環基」という用語は、O、N及びSからなる群から選
択される1以上のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環を意味するものとし、例えばピリ
ジニル、テトラヒドロピロール(ピロリジニル)、モルホリノ、ピペラジニルなど。複素環基置換基の結合は、炭素原子を介して、又はヘテロ原子を介して行われ得る。
【0043】
本明細書において使用されるヘテロアリールという用語は、O、N及びSからなる群から
選択される1以上の複素原子を含有する、芳香環でありを意味するものとし、この定義の
範囲に属するヘテロアリール基には、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。キノリニル、ピラゾリル、ピロリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリダジニル、ベンゾイルフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾール、インドリルなど。「ヘテロアリール」も、任意の含窒素ヘテロアリールのN-オキシド誘導体を含むものと理解される。ヘテロアリールの結合は、炭素原子を介して、又はヘテロ原子を介して行われ得る。
【0044】
本明細書において、用語「置換された」とは、有機化合物の全ての許容し得る置換基を含むことを意図する。
【0045】
本明細書において、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0046】
本発明に含まれるのは、式(I)のまたは式(II)の化合物の遊離形態、並びに薬学的
に許容されるそれらの塩、立体異性体およびプロドラッグ分子である。「遊離形態」という用語は、非塩形態の化合物を表す。包含される薬学的に許容される塩には、本明細書中に記載されている具体的な化合物に対して例示される塩のみならず、式(I)または式(II)化合物の遊離形態の、薬学的に許容される典型的な全ての塩も含まれる。記載されて
いる具体的な塩化合物の遊離形態は、本分野で公知の技術を用いて単離することができる。例えば、前記遊離形態は、希NaOH水溶液、炭酸カリウム、アンモニア及び炭酸水素ナトリウムなどの、適切な希塩基水溶液で前記塩を処理することによって、再生することができる。遊離形態は、極性溶媒中での溶解度など、ある種の物理特性が、それらの各塩形態と若干異なる場合があるが、酸塩及び塩基塩は、本発明の目的に対して、それらの各遊離形態とそれ以外の点で薬学的に等価である。
【0047】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性部分又は酸性部分を含有する本発明の化合物から、慣用の化学的方法によって合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって調製され、又は、遊離塩基を、適切な溶媒又は様々な組み合わせの溶媒中で、所望の塩を形成する化学量論的な量若しくは過剰の無機酸若しくは有機酸と反応させることによって調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機塩基又は有機塩基との反応によって形成される。
【0048】
このように、本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、塩基性の本発明の化合物を無機酸又は有機酸と反応させることによって形成される、本発明の化合物の無毒な慣用の塩が含まれる。例えば、無毒な慣用の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から調製される塩;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グ
リコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から調製される塩が含まれる。
【0049】
本発明の化合物が酸性である場合には、適切な「薬学的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、薬学的に許容される無毒の塩基から調製される塩を表す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される無毒の有機塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン,N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサ
ミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンのような、天然に存在する置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂などの、一級、二級及び三級アミン、置換されたアミンの塩が含まれる。
【0050】
上記薬学的に許容される塩及びその他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、「Berg et al.,“Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci.,1977:66:1~19」にさらに詳しく記載されている。
【0051】
次に、具体的な実施例とともに本発明をさらに詳細に説明する。
【0052】
実施例1:3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチル-N-(3-((4-
メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS116と命名する)の調製
【化12】
工程1:メチル2-メチル-3-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾエート(化合物2
)の調製
【化13】
500mL三つ口フラスコ中に、化合物1 10g(36mmol)、ヨウ化第一銅689mg(3.6mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)ジクロリド1.27g(1.8mmol)、無水アセトニ
トリル150mL、N,N-ジイソプロピルエチルアミン9.3g(72mmol) を加え、アルゴンに置換
し、反応系を密封し、シリンジでトリメチルシリルアセチレン10.6g(10.8mmol)を注入
し、60℃で6時間攪拌した。反応液をセライトで濾過し、溶媒をエバポレーターで乾燥し
て黒色の混合物を得て、そのまま次の反応に用いられた。
【0053】
工程2:メチル2-エチニル-2-メチルベンゾエート(化合物3)の調製
【化14】
前工程の粗生成物をメタノールに溶解し、1mol/Lのテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を約20mL加え、室温で2時間攪拌した。反応系をエバポレー
ターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄棕色油状物4g(2つの工程にわたって収率63%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.80 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 4.27 (s, 1H), 3.85 (s, 3H), 2.37 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 175.5[M + H]
+ .
【0054】
工程3:3-エチニル-2-メチルベンゾエート(化合物4)の調製
【化15】
化合物3 1.5g(9mmol)を体積比が10:1:5であるテトラヒドロフラン、メタノールお
よび水の混合溶媒に溶解し、ヒドロキシリチウムの水和物1.8g(40mmol)を加え、60℃で1時間攪拌した。反応系を濾過し、エバポレーターで乾燥し、4M塩酸溶液を系が酸性にな
るまで加え、このとき、白色の固形物が析出した濾過で白色の固形物を収集し、乾燥して白色の固形物900mgを得た(収率65%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.09 (s, 1H), 7.77 (dd, J = 7.8, 0.9 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.29 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 4.47 (s, 1H), 2.61 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 158.9[M - H]
- .
【0055】
工程4:3-エチニル-2-メチル-N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(
トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(化合物6)の調製
【化16】
化合物4 2.3g、化合物5 3.4gをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF) 40mL中に溶解し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩 (HATU) 9.12g(24mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン2.3g(18mmol)を
添加した。70℃で2時間加熱攪拌した。反応系をエバポレーターで乾燥し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで溶媒を乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄色の油状物3.4gを得た(収率70%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.52 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 8.00(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.91 (m, 1H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.34 (s, 1H), 4.51 (s, 1H),3.53 (s, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.39 (s, 4H), 2.33 (s, 4H), 2.15 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 416.3 [M + H]
+ .
【0056】
工程5:3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチル-N-(3-((4-メ
チルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS116)の調製
【化17】
化合物6 210mg(0.51mmol) および化合物7 120mg(0.61mmol)を10mLの無水N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)中に溶解し、ヨウ化第一銅19mg(0.1mmol)、ビス(トリフェニル
ホスフィン)パラジウム)ジクロリド35mg(0.05mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン131mg(1.02mmol) を加え、アルゴンに置換し、反応系を密封した。80℃で加熱攪拌し、
一晩反応させた。反応液をセライトで濾過し、濾液をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄白色の固形物70mgを得た(収率26%)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.50 (dd, J = 4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.02 (dd, J = 9.2, 1.7 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.81 (d, J = 4.5 Hz, 2H), 7.73 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.32 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 3.62 (s, 2H), 2.76 (s, 3H), 2.64 (s,
8H), 2.41 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 533.3[M + H]
+ .
【0057】
実施例2:3-(イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イルエチニル)-2-メチル-N-(3-((4-メ
チルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS2-161と命名する)の調製
【化18】
合成方法は実施例1と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 9.06 (s, 1H), 8.64 (dd, J = 4.1, 2.0 Hz, 1H), 8.60 (dd, J = 6.8, 2.0 Hz, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.58
(dd, J = 7.8, 1.3 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 7.8, 1.3 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.25 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 6.8, 4.1 Hz, 1H), 3.70 (s, 2H), 3.11 (q, J = 7.3 Hz, 4H), 2.91 (d, J = 5.0 Hz, 4H), 2.73 (s, 3H), 2.61 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 533.2[M + H]
+ .
【0058】
実施例3: 3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチル-N-(3-(トリフ
ルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS2-106と命名する)の調製
【化19】
【0059】
工程1:3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチルベンゾエートメチ
ル(化合物3)の調製
【化20】
化合物1 2.5g(14mmol)および化合物2 3.4g(17mmol)を40mL無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、次にヨウ化第一銅533mg(2.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)ジクロリド982mg(1.4mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン3.6g(28mmol)を加え、アルゴンに置換し、反応系を密封した。80℃で加熱攪拌し、一晩反応させた。反応液をセライトで濾過し、濾液をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄色の粉末状の固形物1.38g(収率34%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.83 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.44 - 7.41 (m, 1H), 7.39
(d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.85(s, 3H)、 2.76 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 292.3[M + H]
+ .
【0060】
工程2:3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチルベンゾエート(化合物4)
【化21】
化合物3 1.38g(4.7mmol)を体積比が10:1:5であるテトラヒドロフラン、メタノールおよび水の混合溶媒中に溶解し、ヒドロキシリチウムの水和物を加え995mg(24mmol)、60℃で1時間攪拌した。反応系を濾過し、エバポレーターで乾燥し、4M塩酸溶液を系が酸性になるまで加え、このとき固形物が析出した。濾過で固形物を収集し、乾燥させ、黄色の固形物1.05gを得た(収率81%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 13.14 (s, 1H), 8.72 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 8.32 - 8.19 (m, 2H), 7.83 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.44 - 7.34 (m,
2H), 2.76 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 276.8[M - H]
-.
【0061】
工程3:3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチル-N-(3-(トリフ
ルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS2-106)
【化22】
化合物4 100mg(0.36mmol)、化合物5 48mg(0.3mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩 (HATU) 137mg(0.36mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン77mg(0.6mmol)を添加した。80°Cで加熱攪拌し、一晩反応させた。反応系をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄白色の固形物51mgを得た(収率40%)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.51 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 8.03 (dd, J = 23.3, 14.3 Hz, 3H), 7.89 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.50 (ddd, J
= 24.8, 16.6, 7.8 Hz, 3H), 7.32 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 9.1, 4.4 Hz,
1H), 2.76 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 419.2[M - H]
- .
【0062】
実施例4: N-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イルエチニル)-2-メチルベンズアミド(XS2-109と命名する)の調製
【化23】
合成方法は実施例3と同様である
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.53 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 8.08 (s, 2H), 7.91
(d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.74 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.50 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.33 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 2.75 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 437.6[M - H]
- .
【0063】
実施例5:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(イミダゾ[1,2-b]ピリ
ダジン-3-イルエチニル)-2-メチルベンズアミド(XS2-112と命名する)の調製
【化24】
合成方法は実施例3と同様である
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.50 (dd, J = 4.4, 1.5 Hz, 1H), 8.06 (d, J =
4.2 Hz, 2H), 8.01 (dd, J = 9.2, 1.6 Hz, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.74 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.32 (t, J = 7.7 Hz,
1H), 7.16 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 2.75 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 455.5[M + H]
+.
【0064】
実施例6:2-メチル-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS3-23と命名する)の調製
【化25】
【0065】
工程1: 3-エチニル-2-メチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
(化合物3)の調製
【化26】
化合物1 120mg(0.74mmol)、化合物2 101mg(0.62mmol)を15mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメ
チルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩 (HATU) 353mg(0.93mmol)、N,N-ジイソプロピ
ルエチルアミン160mg(1.24mmol)を添加した。80℃で2時間加熱攪拌した。反応系をエ
バポレーターで乾燥し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで溶媒を乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄色の油状物150mgを得た(収率80%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.75 (s, 1H), 8.26 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.95 - 7.90 (m, 1H), 7.63 - 7.58 (m, 2H), 7.53 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.49 - 7.45 (m, 1H), 7.35 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 4.52 (s, 1H)、2.47 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 304.1 [M + H]
+ .
【0066】
工程2:4-(3-ヨードイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)モルホリン(化合物5)の調製
【化27】
化合物4 300mg(1.07mmol)を15mLのジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、モルホ
リン280mg(3.22mmol)、フッ化カリウム744mg(12.84mg)を添加した。120℃で3時間加
熱攪拌した。反応系を濾過し、エバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄色の粉末状の固形物260mgを得た(収率74%)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.70 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 6.82
(d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.89 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.57 (t, J = 4.9 Hz, 4H). LC-MS (ESI) m/z 331.0 [M + H]
+ .
【0067】
工程3:2-メチル-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS3-23)の調製
【化28】
化合物3 138mg(0.45mmol)および化合物5 300mg(0.91mmol)を10mL無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、次にヨウ化第一銅7mg(0.036mmol)、トリス(ジベンジ
リデンアセトン)ジパラジウム21mg(0.023mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン9mg(0.045mmol)、炭酸カリウム124mg(0.9mmol) を添加し、アルゴンに置換し、反応系を密封した。80℃で加熱攪拌し、一晩反応させた。反応液をセライトで濾過し、濾液をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄白色の固形物120mgを得た(収率52%)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.06 - 7.98 (m, 2H), 7.91 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.87 - 7.74 (m, 2H), 7.64 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.47
(d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.87 (t, J = 4.7 Hz, 4H), 3.57 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.73 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 504.2 [M - H]
-.
【0068】
実施例7:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS3-61と命名する)の調製
【化29】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.92 (s, 1H), 8.13 (d, J = 2.5 Hz, 2H), 7.98 (d,
J = 10.0 Hz, 2H), 7.70 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.56 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.53 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.63 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 539.8 [M + H]
+ .
【0069】
実施例8:N-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS4-80と命名する)の調製
【化30】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.94 (s, 1H), 8.02 - 7.96 (m, 2H), 7.96 - 7.89 (m, 2H), 7.70 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.9, 6.3 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.53 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.63 (s, 3H). HRMS (ESI) for C
27H
21F
4N
5O
2 [M + H]
+: calcd
524.1704, found 524.1686.
【0070】
実施例9:2-メチル-N-(3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS4-81と命名する)の調製
【化31】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.68 (s, 1H), 8.05 - 7.90 (m, 3H), 7.80 (s, 1H),
7.68 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.52 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.34 - 7.28 (m, 2H), 3.74 (dd, J = 5.8, 3.9 Hz, 4H), 3.53 (t, J = 4.8
Hz, 4H), 2.62 (s, 3H), 2.40 (s, 3H). HRMS (ESI) for C
28H
24F
3N
5O
2 [M + H]
+: calcd 520.1955, found 520.1939.
【0071】
実施例10:N-(3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-モ
ルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS4-72と命名する)の調製
【化32】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.72 (s, 1H), 7.97 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.93 (s,
1H), 7.81 (s, 1H), 7.68 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.62 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 7.53 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.01 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.74 (dd, J = 5.8, 3.8 Hz, 4H), 3.53 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.62 (s, 3H). HRMS (ESI) for C
27H
21ClF
3N
5O
2 [M + H]
+: calcd 536.1904, found 536.1919.
【0072】
実施例11:N-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS4-76と命名する)の調製
【化33】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.07 (s, 1H), 8.44 (s, 2H), 7.98 (d, J = 10.0 Hz, 2H), 7.85 (s, 1H), 7.71 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.53 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.64 (s, 3H). HRMS (ESI) for C
28H
21F
6N
5O
2 [M + H]
+:
calcd 574.1672, found 574.1676.
【0073】
実施例12:2-メチル-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル
)-N-(3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS4-77と命名する)の調製
【化34】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.20 (s, 1H), 8.95 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 8.53 (s,
1H), 8.23 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.72 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.31 (dd, J = 10.1, 1.6 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.53 (t, J = 4.9 Hz, 4H), 2.65 (s, 3H). HRMS (ESI) for C
27H
21F
3N
6O
4 [M + H]
+: calcd 551.1649, found
551.1667.
【0074】
実施例13:2-メチル-N-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオ
ロメチル)フェニル)-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル) エチニル)ベンズアミド(XS3-68と命名する)の調製
【化35】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.22 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.70 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.45 - 7.40 (m, 2H), 7.26 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.88 - 3.84 (m, 4H), 3.59 (s, 2H), 3.57 - 3.53 (m, 4H), 2.71 (s, 3H), 2.52 (s, 8H), 2.32 (s, 3H).
LC-MS (ESI) m/z 618.3 [M + H]
+ .
【0075】
実施例14:(S)-3-((6-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミ
ド(XS3-35と命名する)の調製
【化36】
合成方法は実施例6と同様である。
【0076】
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.16 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.91 (d, J = 8.1
Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.65 - 7.57 (m, 2H), 7.54 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.24 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 6.58 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.03 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 4.42 (s, 1H), 3.62 - 3.50 (m, 3H), 3.40
(d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.67 (s, 3H), 2.10 - 1.98 (m, 1H), 1.92 (d, J = 12.9 Hz, 1H).
. LC-MS (ESI) m/z 504.2 [M - H]- .
【0077】
実施例15:(S)-N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-(3-ヒド
ロキシピロリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル) -2-メチル
ベンズアミド(XS3-58と命名する)の調製
【化37】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.27 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.64 - 7.59 (m, 2H), 7.44 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.25 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.60 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.66 (s, 1H), 3.70 - 3.54 (m, 5H), 2.71 (s, 3H), 2.16 (dd, J = 7.9, 3.9 Hz, 2H). LC-MS (ESI) m/z 540.0 [M + H]
+ .
【0078】
実施例16:(S)-3-((6-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジ
ン-3-イル)エチニル)-2-メチル-N-(3-((4-メチルピペラジン -1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS3-36と命名する)の調製
【化38】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.18 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.63 - 7.58 (m, 2H), 7.41 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.58 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 4.64 (dd, J = 4.3, 2.2 Hz, 1H), 3.68 - 3.56 (m, 7H), 2.74 (s, 3H), 2.51 (s, 8H), 2.31 (s, 3H), 2.17 - 2.09 (m, 2H). LC-MS (ESI) m/z 618.3 [M + H]
+ .
【0079】
実施例17: 3-((6-(4-(ジメチルアミノ)ピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズア
ミド(XS3-57と命名する)の調製
【化39】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.78 (s, 1H), 8.27 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.95 (d,
J = 2.6 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.68 (dd, J = 7.7, 1.4
Hz, 1H), 7.61 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.48 (d, J =
7.8 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 13.4 Hz, 2H), 2.97 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 2.65 (s, 3H), 2.34 (s, 6H), 1.90 (d, J = 12.1 Hz, 2H), 1.57 - 1.41 (m, 3H). LC-MS (ESI) m/z 547.2 [M + H]
+ .
【0080】
実施例18: N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-(4-(ジメチルアミノ)ピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)- 2-メチ
ルベンズアミド(XS3-56と命名する)の調製
【化40】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.30 (s, 1H), 8.09 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.86
(s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.66 - 7.60 (m, 2H), 7.44 (s, 1H), 7.40 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.28 - 7.23 (m, 1H), 6.90 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.26 (d, J = 12.9 Hz, 2H), 2.98 (t, J = 12.8 Hz, 2H), 2.72 (s, 3H), 2.41 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 2.33 (s, 6H), 2.01 - 1.93 (m, 2H), 1.66 - 1.54 (m, 2H). LC-MS (ESI) m/z 579.3 [M -H]
-.
【0081】
実施例19: 3-((6-(4-(ジメチルアミノ)ピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチル-N-(3-((4-メチルピペラジン- 1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS3-67と命名する)の調製
【化41】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.75 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.92 (d, J = 9.8 Hz,
2H), 7.89 (s, 1H), 7.67 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.40 (t,
J = 7.7 Hz, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.32 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.26 (d, J = 13.0 Hz,
2H), 3.54 (s, 2H), 2.96 (t, J = 12.1 Hz, 2H), 2.64 (s, 3H), 2.45 - 2.29 (m, 8H), 2.18 (s, 6H), 2.16 (s, 3H), 2.00 (q, J = 7.5 Hz, 1H), 1.83 (d, J = 11.5 Hz, 2H), 1.44 (q, J = 10.5, 9.3 Hz, 2H). LC-MS (ESI) m/z 658.3 [M +H]
+ .
【0082】
実施例20: N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-(4-
メチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル) ベンズアミド(XS3-51と命名する)の調製
【化42】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.08 (s, 2H), 7.86 (s, 1H), 7.83 (d, J = 3.4
Hz, 1H), 7.78 - 7.72 (m, 1H), 7.66 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.32 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.80 (s, 4H), 3.13 (s, 3H), 2.74 (s, 3H), 2.53 (d, J = 21.6 Hz, 4H). LC-MS (ESI) m/z 553.2 [M +H]
+.
【0083】
実施例21:(R)-N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-(3,4-ジ
メチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル) エチニル)-2-メチル
ベンズアミド(XS3-52と命名する)の調製
【化43】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.93 (s, 1H), 8.13 (s, 2H), 8.06 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.71 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.58 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.13-3.06 (m, 4H), 2.91 (s, 2H), 2.75 (m, 1H), 2.65 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 1.24 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 567.2 [M +H]
+ .
【0084】
実施例22:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-(4-ヒドロキシピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチルベンズアミド(XS3-55と命名する)の調製
【化44】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.93 (s, 1H), 8.14 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 7.94 - 7.88 (m, 2H), 7.69 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.56 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.71 (d, J = 4.2
Hz, 1H), 4.00 - 3.93 (m, 2H), 3.74 (m, 1H), 3.25 (t, J = 13.1 Hz, 2H), 2.64 (s,
3H), 1.82 (d, J = 12.8 Hz, 2H), 1.49 - 1.40 (m, 2H). LC-MS (ESI) m/z 552.1[M -H]
-.
【0085】
実施例23:3-((6-(4-アセチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イ
ル)エチニル)-N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルベンズア
ミド(XS3-54と命名する)の調製
【化45】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.93 (s, 1H), 8.14 (d, J = 1.7 Hz, 2H), 7.98 (d,
J = 9.9 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.71 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 2.0
Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.34 (d, J =
10.0 Hz, 1H), 3.66 - 3.53 (m, 8H), 2.65 (s, 3H), 2.04 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z581.5 [M +H]+ .
【0086】
実施例24:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-((2-モルホリノエチル)アミノ)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズア
ミド(XS3-53と命名する)の調製
【化46】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.28 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.66 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.34 (d, J = 7.9
Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 6.73 (s, 2H), 4.01 (s, 4H), 3.78 (s, 2H), 3.19 (s, 2H), 3.05 (s, 4H), 2.71 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z583.2 [M +H]+
【0087】
実施例25:3-((6-(4-ヒドロキシピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-
イル)エチニル)-2-メチル-N-(3-(((4-メチルピペラジン-1-イル )メチル)-5-(
トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS3-81と命名する)の調製
【化47】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.36 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.62 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.43 - 7.38 (m, 2H), 7.24 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.0 - 3.91 (m, 3H), 3.59 (s, 2H), 3.28 (t, J = 13.1 Hz, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.51 (s, 8H), 2.31 (s,
3H), 1.99 - 1.95 (m, 2H), 1.69 -1.61 (m, 2H).LC-MS (ESI) m/z632.3[M +H]
+ .
【0088】
実施例26:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-(4-
モルホリノピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズ
アミド(XS3-130と命名する)の調製
【化48】
合成方法は実施例6と同様である。
【0089】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.93 (s, 1H), 8.13 (s, 2H), 7.92 (d, J = 9.8 Hz,
2H), 7.69 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.56 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.42 (t,
J = 7.7 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 4.26 (d, J = 13.0 Hz, 2H), 3.54 (s, 4H), 2.97 (t, J = 12.3 Hz, 2H), 2.64 (s, 3H), 2.45 (s, 5H), 1.86 (d, J = 12.8 Hz, 2H), 1.45 (d, J = 12.2 Hz, 2H). HRMS (ESI) for C32H30ClF3N6O2 [M + H]+: calcd 623.2144, found 623.2126.
【0090】
実施例27:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチル-3-((6-(4-
(オキセタニル-3-イル)ピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS3-138と命名する)の調製
【化49】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.92 (s, 1H), 8.13 (s, 2H), 7.98 - 7.87 (m, 2H),
7.69 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.56 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.55 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.47 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.60 (t, J = 5.1 Hz, 4H), 3.45 ( m, 1H), 2.63 (s, 3H), 2.40 (t, J = 5
.0 Hz, 4H). HRMS (ESI) for C
30H
26ClF
3N
6O
2 [M + H]
+: calcd 595.1831, found 595.1811.
【0091】
実施例28:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチルベンズアミド(XS3-134と命名する)の調製
【化50】
合成方法は実施例6と同様である。
【0092】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.92 (s, 1H), 8.13 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 7.90 - 7.82 (m, 2H), 7.68 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.55 (dd,
J = 7.8, 1.3 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.64
(t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.09 (s, 3H), 2.63 (s, 3H), 2.45 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.16
(s, 6H). HRMS (ESI) for C28H26ClF3N6O [M + H]+: calcd 555.1881, found 555.1862.
【0093】
実施例29:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-((2-メトキシエチル)アミノ)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチルベンズアミ
ド(XS3-135と命名する)の調製
【化51】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.93 (s, 1H), 8.14 - 8.09 (m, 2H), 7.81 - 7.73 (m, 2H), 7.67 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.54 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.27 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 6.82 (d, J
= 9.6 Hz, 1H), 3.54 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 3.47 - 3.45 (m, 2H), 3.26 (s, 3H), 2.63 (s, 3H). HRMS (ESI) for C
26H
21ClF
3N
5O
2 [M + H]
+: calcd 528.1409, found 528.1394.
【0094】
実施例30:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-((4-ヒドロキシブチル)アミノ)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチルベンズア
ミド(XS3-139と命名する)の調製
【化52】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.92 (s, 1H), 8.12 (s, 2H), 7.76 (d, J = 9.6 Hz,
2H), 7.68 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.55 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.16 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.38 (t, J = 5.1 Hz, 1H), 3.43 - 3.37 (m, 2H), 3.30 - 3.25 (m, 2H), 2.65 (s, 3H), 1.70 - 1.59 (m, 2H), 1.53 - 1.46 (m, 2H). HRMS (ESI) for C
27H
23ClF
3N
5O
2[M + H]
+: calcd 542.1565, found 542.1552.
【0095】
実施例31:3-((6-(4-アミノピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル
)エチニル)-N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルベンズアミ
ド(XS3-131と命名する)の調製
【化53】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.96 (s, 1H), 8.15 (s, 2H), 7.96 (d, J = 9.9 Hz,
1H), 7.92 (s, 1H), 7.70 (dd, J = 7.8, 1.3 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.23 (d, J = 13.4 Hz, 2H), 3.17 (s, 2H), 3.12 - 3.02 (m, 2H), 2.65 (s, 3H), 2.63 (m, 1H), 1.89 (d, J = 11.2 Hz, 2H), 1.48 (q, J = 11.7, 10.8 Hz, 2H). HRMS (ESI) for C
28H
24ClF
3N
6O [M + H]
+: calcd 553.1725, found 553.1708.
【0096】
実施例32:(R)-3-((6-(3-アミノピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルベンズアミド(XS3-137と命名する)の調製
【化54】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.93 (s, 1H), 8.13 (s, 2H), 7.92 - 7.85 (m, 2H),
7.69 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.55 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.04 (dd, J = 10.6, 6.5 Hz, 2H), 2.98 (m, 1H), 2.78 - 2.69 (m, 2H), 2.65 (s, 3H), 1.86 (m, 1H), 1.74 (m, 1H), 1.61 - 1.43 (m, 2H). HRMS (ESI) for C
28H
24ClF
3N
6O [M + H]
+: calcd 553.1725, found 553.1706.
【0097】
実施例33:(S) -3-((6-(3-アミノピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルベン
ズアミド(XS3-136と命名する)の調製
【化55】
合成方法は実施例6と同様である。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.93 (s, 1H), 8.13 (s, 2H), 7.95 - 7.84 (m, 2H),
7.69 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.55 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.04 (dd, J = 11.5, 5.9 Hz, 2H), 3.04 - 2.93 (m, 2H), 2.80 - 2.70 (m, 2H), 2.65 (s, 3H), 1.86 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 1.74
(m, 1H), 1.53 (q, J = 11.8 Hz, 1H). HRMS (ESI) for C
28H
24ClF
3N
6O [M + H]
+: calcd 553.1725, found 553.1703.
【0098】
実施例34:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(6-(4-ヒドロキシ-4-メチルピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)エチニル)-2-メチル
ベンズアミド(XS3-153と命名する)の調製
【化56】
合成方法は実施例6と同様である。
【0099】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.93 (s, 1H), 8.13 (t, J = 2.1 Hz, 2H), 7.90 (d,
J = 10.2 Hz, 2H), 7.69 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.39 (s, 1H), 3.92 - 3.83 (m, 2H), 3.44 - 3.37 (m, 2H), 2.64 (s, 3H), 1.55 (t,
J = 5.6 Hz, 4H), 1.15 (s, 3H).HRMS (ESI) for C29H25ClF3N5O2 [M + H]+: calcd 568.1722, found 568.1699.
【0100】
実施例35:2-メチル-N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメ
チル)フェニル)-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b] ピリダジン-3-イル)エチニル)ベンズアミド(XS3-91と命名する)の調製
【化57】
【0101】
工程1:4-メチル-1-(3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾー
ル(化合物3)の調製
【化58】
化合物1 1g(4.5mmol)、化合物2 800mg(9.5mmol)を20mLジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、次に850mg(7mmol)炭酸カリウムを添加した。120℃で加熱攪拌し、一晩反応させた。反応系をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄白色の固形物430mg(収率36%)を得た。
【0102】
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.46 (q, J = 1.9 Hz, 2H), 8.02 - 7.97 (m, 2H), 7.17 (s, 1H), 2.36 (d, J = 1.0 Hz, 3H). LC-MS (ESI) m/z 272.1[M +H]+ .
【0103】
工程2:3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)アミノベ
ンゼン(化合物4)の調製
【化59】
化合物3 430mg(1.59mmol)をエタノール:水=7:3の混合溶媒中に溶解し、塩酸溶液を反応系が弱酸性になるまで添加し、次に444mg(7.93mmol)鉄粉を添加した。70℃で2時間
加熱攪拌した。反応系をセライトで濾過し、エバポレーターで乾燥し、粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
【0104】
工程3:3-エチニル-2-メチル-N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリ
フルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(化合物6)の調製
【化60】
化合物4 270mg(1.12mmol)、化合物5 215mg(1.3mmol)を15mLのN,N-ジメチルホルムア
ミド(DMF)中に溶解し、次に638mg(1.68mmol)O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩 (HATU) 、216mg(1.68mmol
)N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加した。80℃で加熱攪拌し、一晩反応
させた。反応系をエバポレーターで乾燥し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで溶媒を乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄色の油状物220 mg(収率51%)を得た。
【0105】
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 9.41 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.55 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.19 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 3.34 (s, 1H), 2.58 (s, 3H), 2.25 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 384.1[M +H]+ .
【0106】
工程4:2-メチル-N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((6-モルホリノイミダゾ[1,2-b]ピリジン并-3-イル エチニル)ベンズアミド(XS3-91と命名する)の調製
【化61】
化合物6 150mg(0.39mmol) および化合物7 130mg(0.47mmol)を10mL無水N,N-ジメチ
ルホルムアミド(DMF)中に溶解し、次にヨウ化第一銅6mg(0.03mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム17mg(0.019mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン8mg(0.039mmol)、炭酸カリウム107mg(0.78mmol)を添加し、アルゴンに置換し、反応系を密封し。80℃加熱で攪拌し、一晩反応させた。反応液をセライトで濾過し、濾液をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄白色の固形物40mg(収率18%)を得た。
【0107】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.92 (s, 1H), 8.20 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 8.10 (s,
1H), 7.98 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.72 - 7.69 (m, 1H),
7.57 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.44 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.77 - 3.72 (m, 4H), 3.54 (t, J = 4.9 Hz, 4H), 2.65 (s, 3H), 2.19 (d, J = 1.0 Hz, 3H). LC-MS (ESI) m/z 586.6[M +H]+.
【0108】
実施例36:3-((6-(4-ヒドロキシピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-
イル)エチニル)-2-メチル-N-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール- 1-イル)-5-(トリフ
ルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(XS3-87と命名する)の調製
【化62】
合成方法は実施例35と同様である。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.25 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.75 - 7.70 (m, 2H), 7.68 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.33 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 6.93 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 4.05 - 3.97 (m, 3H), 3.37 - 3.29 (m, 2H), 2.78 (s, 3H), 2.33 (d, J = 1.0 Hz, 3H), 2.03 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 1.69 (d, J = 9.5 Hz, 3H). LC-MS (ESI) m/z 600.0[M +H]
+ .
【0109】
実施例37 化合物のTRKsキナーゼに対するIC50の決定
キナーゼ活性の検出:蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づくZ´-LYTETM技術(
蛍光ベースの結合型酵素フォーマットを採用し、リン酸化されたペプチドとリン酸化されていないペプチドのタンパク質分解作用による切断への感度の差に基づく)を応用する、Z´-LYTETMFRETペプチド基質を用いて、TRK(TRK1、TRK2、TRK3)キナーゼ(American Life Technologies社製、PV3144、PV3616、PV3617)に対する化合物の阻害活性を二次反応により検出した。
【0110】
酵素反応: 384ウェルプレートに酵素-基質系[50mMの4-ヒドロキシエチルピペラジン
エタンスルホン酸(HEPES)pH7.5、0. 01% BRIJ-35(登録商標)、10 mMの塩化マグネシ
ウム(MgCl2)、1 mMのエチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA
)、2 μMのTyr 01ペプチド基質]を添加し、超微量液体分注装置Echo520を用いて5 nLの
(濃度勾配の)化合物を移した。室温で 10~20 分間振とうした後、超微量液体分注装置
echo520 を用いて ATP を200 nL、12.5 nL、25 nL 分注した(最終濃度はそれぞれ 400 uM、25 uM、50 uM)。振とう混合後、遠心分離し、30℃、暗所で1.5時間反応させた。
【0111】
検出反応: 各ウェルに展開液(Development Solution、1:128 希釈)2.5 μL を添加
し、37℃、暗所で 1 時間インキュベートした後、停止試薬 5 μL を添加した。
【0112】
プレートの読み取り:蛍光シグナル(励起波長は 400nm、発光波長は 460nm、535nm)
をPerkin Elmer EnVision Multimode Plate Reader で検出した。
【0113】
計算: 完全活性ウェルおよびコントロールシグナルウェルを通して、各ウェルの阻害
率を計算した。データ解析方法は以下の通りである:
リン酸化比率= 1 - { (発光率 × F100%- C100% ) / [C 0% - C 100%+発光率× (F100% -
F0%)] }× 100;
阻害率 = 100 × (1 - 化合物のリン酸化比率 / ネガティブコントロールのリン酸化比率)。
【0114】
IC50値は医療グラフ作成ソフト(GraphPad Prism5.0)で算出した。
【0115】
キナーゼ活性試験の結果は表1に示される。
【0116】
表1:化合物のキナーゼ活性試験の結果(IC
50:nM)
【表1】
IC
50: <10nM=*;10~100nM=**;100~1000nM=***;>1uM=****。
【0117】
表1のデータから、本発明のアルキニルフェニルベンズアミド化合物は、TRKsキナーゼ
に対しての強い阻害活性を有することが明らかにされている。
【0118】
実施例38:Ba/F3-TRKs安定株に基づく細胞増殖阻害活性研究
本研究で使用されるBaF3細胞(マウス前駆B細胞)は、日本の細胞バンクから購入され
、BaF3-CD74-NTRK1、BaF3-ETV6-NTRK2、BaF3-ETV6-NTRK3シングルクローン安定株はいず
れも本研究室で樹立したものであり、陽性薬剤、タンパク質発現および遺伝子配列決定などの実験により同定されたものである。
【0119】
安定株の構築の手順は、要するに、以下の通りである: CD74-NTRK1、ETV6-NTRK2、ETV6-NTRK3などの遺伝子を有するpCDNA3.1(+)プラスミドベクターを構築し;このプラスミドをAmaxa(登録商標) Cell Line Nucleofector(登録商標) Kit Vを用いてBa/F3細胞に
エレクトロポレーションし、;エレクトロポレーション48時間後に終濃度1000μg/mLのジェネティクイン(G418)を添加して2週間スクリーニングした後、インターロイキン3(IL3)
を除去してスクリーニングを継続し、ポリクローナル安定株を得た;その後、限界希釈法によりシングルクローンを選択した;さらに、安定株は、陽性薬剤、ウェスタンブロット(WB)、遺伝子配列決定により同定した;同定された正しいシングルクローンは、阻害剤の細胞増殖阻害活性に使用された。
【0120】
細胞増殖阻害活性研究:対数成長期にある細胞を8000~12000個/ウェルで96ウェルプレートに接種し、翌日に異なる濃度の阻害剤(0~10μM)を添加し、引き続き72時間培養し;その後1ウェルあたり10μLの Cell Counting Kit-8 細胞計数試薬(CCK-8試薬)を添加
し、引き続き1~3時間インキュベートした;Ultra plate readerで450nm及び650nmでの吸光度を測定した。半数阻害濃度(IC50)値は医療グラフ作成ソフト(GraphPad Prism 8.0.0)で算出した。
【0121】
測定の結果は、表2に示される。
【0122】
表2:化合物の細胞に対しての活性の測定結果(IC
50:nM)
【表2】
IC
50: <10nM=*;10~100nM= **;100~1000nM= ***;>1uM=****。
【0123】
表2のデータから、本発明のアルキニルフェニルベンズアミド化合物は、Ba/F3-TRKs安定株細胞の増殖に対しての強い阻害活性を有することが明らかにされている。
【0124】
実施例39:Ba/F3-TRKs安定株に基づく薬剤耐性細胞の増殖阻害活性研究
本研究で使用されるBaF3細胞(マウス前駆B細胞)は、日本の細胞バンクから購入され、BaF3-CD74-NTRK1-G667C、BaF3-CD74-NTRK1-F589L、BaF3-CD74-NTRK1-G595R、BaF3-CD74-NTRK1-G667A、BaF3-CD74-NTRK1-V573M、BaF3-ETV6-NTRK2-G639R、BaF3-ETV6-NTRK2-G709C、BaF3-ETV6-NTRK2-V617M、BaF3-ETV6-NTRK2-F633L、BaF3-ETV6-NTRK3-G696C、BaF3-ETV6-NTRK3-G696A、BaF3-ETV6-NTRK3-G623R、BaF3-ETV6-NTRK3-G623E、BaF3-ETV6-NTRK3-F617L
、BaF3-ETV6-NTRK3-V601Mシングルクローン安定株はいずれも本研究室で樹立したもので
あり、陽性薬剤、タンパク質発現および遺伝子配列決定などの実験により同定されたものである。
【0125】
安定株の構築の手順は、要するに、以下の通りである: BaF3-CD74-NTRK1-G667C、BaF3-CD74-NTRK1-F589L、BaF3-CD74-NTRK1-G595R、BaF3-CD74-NTRK1-G667A、BaF3-CD74-NTRK1-V573M、BaF3-ETV6-NTRK2-G639R、BaF3-ETV6-NTRK2-G709C、BaF3-ETV6-NTRK2-V617M、BaF3-ETV6-NTRK2-F633L、BaF3-ETV6-NTRK3-G696C、BaF3-ETV6-NTRK3-G696A、BaF3-ETV6-NTRK3-G623R、BaF3-ETV6-NTRK3-G623E、BaF3-ETV6-NTRK3-F617L、BaF3-ETV6-NTRK3-V601Mなどの遺伝子を有するpCDNA3.1(+)プラスミドベクターを構築し;このプラスミドをAmaxa(登録商標) Cell Line Nucleofector(登録商標) Kit Vを用いてBa/F3細胞にエレクトロポレーションし;エレクトロポレーション48時間後に終濃度1000μg/mLのジェネティクイン(G418)を添加して2週間スクリーニングした後、インターロイキン3(IL3)を除去してスク
リーニングを継続し、ポリクローナル安定株を得た;その後、限界希釈法によりシングルクローンを選択した;さらに、安定株は、陽性薬剤、ウェスタンブロット(WB)、遺伝子配列決定により同定した;同定された正しいシングルクローンは、阻害剤の細胞増殖阻害活性に使用された。
【0126】
細胞増殖阻害活性研究:対数成長期にある細胞を8000~12000個/ウェルで96ウェルプレートに接種し、翌日に異なる濃度の阻害剤(0~10μM)を添加し、引き続き72時間培養し;その後1ウェルあたり10μLの Cell Counting Kit-8 細胞計数試薬(CCK-8試薬)を添加
し、引き続き1~3時間インキュベートした;Ultra plate readerで450nm及び650nmでの吸光度を測定した。半数阻害濃度(IC50)値は医療グラフ作成ソフト(GraphPad Prism 8.0.0)で算出した。
【0127】
測定の結果は、表3に示される。
【0128】
表3:化合物の薬剤耐性細胞に対しての活性の測定結果(IC
50:nM)
【表3】
IC
50: <10nM=*;10~100nM= **;100~1000nM= ***;>1uM=****。
【0129】
表3のデータから、本発明のアルキニルフェニルベンズアミド化合物は、Ba/F3-TRKs安定株薬剤耐性細胞の増殖に対しての強い阻害活性を有することが明らかにされている。
【0130】
実施例40 化合物のXS3-55キナーゼ選択的IC50測定
キナーゼ活性の検出:蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づくZ´-LYTETM技術(
蛍光ベースの結合型酵素フォーマットを採用し、リン酸化されたペプチドとリン酸化されていないペプチドのタンパク質分解作用による切断への感度の差に基づく)を応用する、Z´-LYTETMFRETペプチド基質を用いて、Bcr-Abl、SRC、RET, PDGFRA, PDGFRB, VEGFR2及びKitキナーゼに対する、化合物XS3-55並びにコントロール分子であるXS4-128及びPonatinib(ポナチニブ)の阻害活性を二次反応により検出した。
【0131】
化合物XS4-128の構造式は以下の通りであり:
【化63】
その調製方法は以下の通りである:
【化64】
【0132】
工程1: 4-メチル-3-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチル(化合物2)の調製
【化65】
100mL三つ口フラスコ中に、化合物1 1g(3.6mmol)、ヨウ化第一銅69mg(0.36mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)ジクロリド127mg(0.18mmol)、無水アセトニトリル50mL、N,N-ジイソプロピルエチルアミン934mg(7.2mmol) を加え、アルゴンに置換し、反応系を密封し、シリンジでトリメチルシリルアセチレン10.6g(10.mmol)を注入し、60℃で6時間攪拌した。反応液をセライトで濾過し、溶媒をエバポレーターで乾燥して
黒色の混合物を得て、そのまま次の反応に用いられた。
【0133】
工程2:メチル3-エチニル-4-メチルベンゾエート(化合物3)の調製
【化66】
前工程の粗生成物をメタノールに溶解し、1mol/Lのテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を約2mL加え、室温で2時間攪拌し。反応系をエバポレータ
ーで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄棕色油状物470mg(2つの工程にわたっ
て収率75%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.06 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.76 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.25 (dd, J = 7.5, 1.0 Hz, 1H), 4.25 (s, 1H), 3.86 (s, 3H), 2.39 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 175.5[M + H]
+.
【0134】
工程3:3-エチニル-4-メチルベンゾエート(化合物4)の調製
【化67】
化合物3 400mg(2.29mmol)を体積比が10:1:5であるテトラヒドロフラン、メタノー
ルおよび水の混合溶媒中に溶解し、ヒドロキシリチウムの水和物482mg(11.4mmol)を加
え、60℃で1時間攪拌した。反応系を濾過し、エバポレーターで乾燥し、4M塩酸溶液を系
が酸性になるまで加え、このとき、白色の固形物が析出した。濾過で白色の固形物を収集し、乾燥して白色の固形物350mg(収率96%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 13.02 (s, 1H), 7.93 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.85 (dd, J = 7.9, 1.9 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.48 (s, 1H), 2.45 (s, 3H). LC-MS (ESI) m/z 160.9 [M + H]
+.
【0135】
工程4:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-エチニル-4-メチルベンズアミド(化合物6)の調製
【化68】
化合物4 300mg (1.9mmol)、化合物5 305mg(1.6mmol)を20mLのN,N-ジメチルホルム
アミド(DMF)中に溶解し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメ
チルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩 (HATU)912mg(2.4mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン413mg(3.2mmol)を添加した。70℃で2時間加熱攪拌した。反応系をエバポレーターで乾燥し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで溶媒を乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄色の油状物340mg(収率63%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.88 (s, 1H), 8.11 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 7.64 - 7.57 (m, 2H), 7.54 (dd, J = 7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 4.51 (s, 1H), 2.47 (s, 3H). MS (ESI) m/z 335.8 [M - H]
-.
【0136】
工程5:N-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3 - ((6-(4-ヒドロキシピぺリジン-1-イル)イミダゾ[1,2-B]ピリダジン-3-イル)エチニル)-4-メチルベンズアミド(XS4-128)の調製
【化69】
化合物6 70mg(0.2mmol) および化合物7 83mg(1.2mmol)を10mL無水N,N-ジメチルホ
ルムアミド(DMF)中に溶解し、次にヨウ化第一銅8mg(0.016mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)ジクロリド19mg(0.01mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン145mg(0.4mmol)を添加し、アルゴンに置換し、反応系を密封し。80℃加熱で攪拌し、一晩
反応させた。反応液をセライトで濾過し、濾液をエバポレーターで乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより黄白色の固形物80mgを得た(収率73%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.66 (s, 1H), 8.25 (s, 2H), 8.16 (d, J = 9.2 Hz,
2H), 7.96 (s, 1H), 7.90 (dd, J = 8.0, 1.9 Hz, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.52 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.34 (s, 1H), 4.75 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 3.98 (d, J = 14.5 Hz, 2H), 3.80 - 3.71(m , 1H), 3.26 (t, J = 11.5 Hz, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.89 - 1.78(m, 2H),
1.54 - 1.40 (m, 2H). HRMS (ESI) for C
28H
23ClF
3N
5O
2 [M + H]
+: calcd 554.1565, found 554.1562.
【0137】
酵素反応:384ウェルプレートに5 μL酵素-基質系[50 mMの4-ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(HEPES) pH 7.5、 0.01% BRIJ-35(登録商標), 10 mMの塩化マグ
ネシウム(MgCl2), 1 mMのエチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA), 2 μM Tyr 01 ペプチド基質] を添加し、超微量液体分注装置Echo520を用いて5 nLの(濃度勾配の)化合物を移した。室温で 10~20 分間振とうした後、超微量液体分注
装置 echo520 を用いて ATP を200 nL、12.5 nL、25 nL 分注した(最終濃度はそれぞれ 400 uM、25 uM、50 uM)。振とう混合後、遠心分離し、30℃、暗所で1.5時間反応させた
。
【0138】
検出反応:各ウェルに展開液(Development Solution、1:128 希釈)2.5 μL を添加し、37℃、暗所で 1 時間インキュベートした後、停止試薬 5 μL を添加した。
【0139】
プレートの読み取り:蛍光シグナル(励起波長は 400nm、発光波長は 460nm、535nm)
をPerkin Elmer EnVision Multimode Plate Reader で検出した。
【0140】
計算: 完全活性ウェルおよびコントロールシグナルウェルを通して、各ウェルの阻害
率を計算した。データ解析方法は以下の通りである:
リン酸化比率= 1 - { (発光率 × F100%- C100% ) / [C 0% - C 100%+発光率× (F100% -
F0%)] }× 100;
阻害率 = 100 × (1 - 化合物のリン酸化比率 / ネガティブコントロールのリン酸化比率)。
【0141】
IC50値は医療グラフ作成ソフト(GraphPad Prism5.0)で算出した。
【0142】
キナーゼ活性試験の結果は表4に示される。
【0143】
表4:化合物のキナーゼ活性試験の結果(IC
50:nM)
【表4】
【0144】
表4のデータから、本発明のアルキニルフェニルベンズアミド化合物の代表であるXS3-55は、TRKA, TRKB, TRKC以外の複数の代表的なチロシンキナーゼに対しての阻害活性が弱く、化合物XS4-128及びPonatinibよりもはるかに上回る良好なキナーゼ選択性を有する。したがって、本発明のアルキニルフェニルベンズアミド化合物は、良好な選択性を有し、毒性および副作用が低い。
【0145】
実施例41:薬物動態学的評価
SDラットで、薬物動態試験および経口バイオアベイラビリティ試験を実施した。薬物の溶解度により、薬物を経口および静脈内で単回投与した。異なる時点(0、0.5、1、2、4
、6、8、24時間)で動物血液サンプルを採取し、抗凝固剤としてヘパリンを添加した後、遠心分離して上清を得た。血液試料はHPLC-MSで分析し、データ解析にはDAS2.1を用い、
半減期(T1/2)、最高血中濃度(C
max)、ピーク時間(T
max)、濃度-時間曲線下面積(AUC)、バイオアベイラビリティ(BA)などの薬物動態データを検出した。化合物XS3-55および化合物9o(European Journal of Medicinal Chemistry 179(2019) 470~482)の薬物動態データの結果を表5に示す:
【化70】
【化71】
【0146】
【0147】
化合物XS3-55は、TRKsキナーゼに対して強い阻害活性を有し、Ba/F3-TRKs安定株の野生型細胞および薬剤耐性細胞の増殖に対しても強い阻害活性を有していた。また、化合物XS3-55の経口吸収性も良好であった。ラットに10 mg/kgを経口投与した場合、化合物XS3-55の半減期は15.19時間、最高血中濃度は44066.54 ng/mL、AUCは878346.33 h*ng/mLと高く
、薬物動態学的特性は対照化合物9oよりも有意に高かった。
【0148】
実施例42: 化合物XS3-55のインビボ抗腫瘍活性
化合物XS3-55のインビボ抗腫瘍効果を、Ba/F3-CD74-TRKAG667C同種移植マウスモデルで経口投与により評価した。培養したBaF3-CD74-TRKAG667C細胞を回収し、遠心分離し、生理
食塩水で2回洗浄した後、1×107細胞/mLの密度に調整して氷上に置き、できるだけ早くCB17-SCID雌マウス(北京Vital River社より購入、6~8週齢)の右腋窩に一匹200μLずつ皮下注射した。モデル化9日後、腫瘍体積が約200mm3に成長した時点で、マウスを無作為に
群に分け、対照群8匹、化合物XS3-55の4投与群(50、25、12.5、6.25mg/kg)は各群6匹
とし、投与を開始した。
【0149】
投与方法として、投与量に従い、化合物XS3-55粉末を適量秤量し、2%ジメチルスルホ
キシド(DMSO)+20%水添ヒマシ油+8%無水エタノール+70%生理食塩水の混合溶媒に
溶解し、淡黄色~黄色の透明な液体を得て、これを1日1回経口投与した。対照群には同量の混合溶媒を経口投与した。体重および腫瘍体積を2日ごとに記録した。
【0150】
図1に示されたように、化合物XS3-55を1日1回、2週間投与したところ、CD74 TRKA
G667C変異を有する同種移植マウスモデルの増殖を用量依存的に阻害した。腫瘍サイズの有意
な縮小は、最低用量の6.25 mg/kgで投与2日後に観察された。12日間投与後、化合物XS3-55は6.25 mg/kg/日、12.5 mg/kg/日、25 mg/kg/日、50 mg/kg/日の用量で優れたインビボ
抗腫瘍効果を示し、TGIはそれぞれ50.9%、76.3%、89.2%、91.6%であった。一方、対照群
マウスは14日目に死亡した。一方、インビボ研究では、化合物XS3-55の4つの異なる用量
は、いずれもマウスの体重に有意な悪影響を及ぼさなかった(
図1A)ことから、化合物XS3-55は良好な安全性を有することが明らかになった。
【0151】
上述の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴のすべての可能な組み合わせを説明していないが
、これらの技術的特徴の組み合わせの間に矛盾がない限り、これらはいずれも本明細書に記載されている範囲と見なされるべきである。
【0152】
上述の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表すだけであり、その説明はより具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。なお、当業者であれば、本発明の構想から逸脱することなく、いくつかの修正及びや改良を行うことができ、それらはいずれも本発明の保護範囲に属する。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【国際調査報告】