(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】モノエチレングリコールの回収
(51)【国際特許分類】
C07C 29/80 20060101AFI20240319BHJP
C07C 31/20 20060101ALI20240319BHJP
B01D 3/14 20060101ALI20240319BHJP
B01D 3/16 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
C07C29/80
C07C31/20 A
B01D3/14 A
B01D3/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564020
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 FI2021050286
(87)【国際公開番号】W WO2022223867
(87)【国際公開日】2022-10-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(71)【出願人】
【識別番号】519450008
【氏名又は名称】チャンチュン メイヘ サイエンス アンド テクノロジー ディベロップメント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カヤント,イスコ
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D076AA16
4D076AA23
4D076AA24
4D076BB04
4D076BC01
4D076EA02Z
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4D076HA20
4H006AA02
4H006AB84
4H006AD11
4H006BC51
4H006BC52
4H006BD81
4H006FE11
4H006FG24
(57)【要約】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する方法が開示される。混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含む。この方法は、- 蒸留プロセスが行われる蒸留塔内に混合物供給材料を提供することであって、蒸留塔は、少なくとも80の理論段を含み、混合物供給材料は、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点で蒸留塔内に供給され、蒸留塔の全高は、理論段の数に基づいて決定され、蒸留プロセスは、20~200の還流比で行われる、提供することと、- モノエチレングリコールを回収することとを含む。蒸留装置が更に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する方法であって、前記混合物供給材料は、前記混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含み、前記方法は、
- 蒸留プロセスが行われる蒸留塔内に前記混合物供給材料を提供することであって、前記蒸留塔は、少なくとも80の理論段を含み、前記混合物供給材料は、前記蒸留塔の塔頂から計算される前記蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点で前記蒸留塔内に供給され、前記蒸留塔の前記全高は、理論段の数に基づいて決定され、前記蒸留プロセスは、20~200の還流比で行われる、提供することと、
- モノエチレングリコールを回収することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記混合物供給材料は、前記混合物供給材料の全重量の少なくとも85重量%又は少なくとも87重量%の量でモノエチレングリコールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物供給材料は、前記混合物供給材料の全重量の少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97重量%、又は少なくとも99重量%の量でモノエチレングリコール、モノプロピレングリコール及びブチレングリコールを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸留塔は、少なくとも85、又は少なくとも90、又は少なくとも100、又は少なくとも105、又は少なくとも110、又は少なくとも120、又は少なくとも150、又は少なくとも200の理論段を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物供給材料は、前記蒸留塔の前記塔頂から計算される前記蒸留塔の前記全高の7~18%、又は9~17%、又は12~16%、又は13~15%、又は14~16%の高さである地点で前記蒸留塔内に供給される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸留プロセスは、25~150、又は30~100、又は35~80、又は40~50、又は35~45の還流比で行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸留プロセスは、最大で160℃の塔頂温度及び最大で0.4バールの塔頂圧力で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記蒸留プロセスは、最大で159℃、又は最大で157℃、最大で155℃、又は最大で150℃の塔頂温度で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸留プロセスは、0.1~0.4バール、又は0.2~0.35バール、又は0.25~0.3バールの塔頂圧力で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記蒸留塔にわたる圧力低下は、0.02~0.2バール又は0.05~0.12バールである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの凝縮器は、前記蒸留プロセスで使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
リボイラーは、前記蒸留プロセスで使用され、前記リボイラーは、0.1~0.5バール又は0.3~0.5バールの圧力で動作される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
モノエチレングリコールを回収することは、前記混合物供給材料が前記蒸留塔内に供給される前記地点より下に位置する地点で前記蒸留塔からモノエチレングリコールを除去することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
モノエチレングリコールが前記蒸留塔から除去される前記地点は、前記蒸留塔の一番下の理論段の下に位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記蒸留塔から塔頂流を除去することを含み、前記塔頂流は、モノプロピレングリコールと、モノエチレングリコール及び1,2-ブチレングリコールの共沸混合物とを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも99.5重量%、又は少なくとも99.7重量%、又は少なくとも99.8重量%、又は少なくとも99.9重量%の濃度でモノエチレングリコールを回収することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収するための蒸留装置(9)であって、前記混合物供給材料(2)は、前記混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含み、前記蒸留装置は、
- 少なくとも80の理論段(5a、5b、...5n)を含む蒸留塔(1)であって、20~200の還流比で動作するように構成される蒸留塔(1)と、
- 蒸留プロセスが行われる前記蒸留塔(1)内に前記混合物供給材料を提供するための入口(2)であって、前記蒸留塔の塔頂(1a)から計算される前記蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点(6)に位置し、前記蒸留塔の前記全高は、理論段の数に基づいて決定される、入口(2)と、
- モノエチレングリコールを回収するための出口(3a
1、3a
2、3b)と
を含む、蒸留装置。
【請求項18】
前記蒸留塔(1)は、少なくとも85、又は少なくとも90、又は少なくとも100、又は少なくとも105、又は少なくとも110、又は少なくとも120、又は少なくとも150、又は少なくとも200の理論段(5a、5b、...5n)を含む、請求項17に記載の蒸留装置。
【請求項19】
前記入口(2)は、前記蒸留塔の前記塔頂から計算される前記蒸留塔の前記全高の7~18%、又は9~17%、又は12~16%、又は13~15%、又は14~16%の高さである地点(6)に位置する、請求項17又は18に記載の蒸留装置。
【請求項20】
前記蒸留塔(1)は、25~150、又は30~100、又は35~80、又は40~50、又は35~45の還流比で動作するように構成される、請求項17~19のいずれか一項に記載の蒸留装置。
【請求項21】
少なくとも1つの凝縮器(7)を含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の蒸留装置。
【請求項22】
リボイラー(8)を含み、前記リボイラーは、0.1~0.5バール又は0.3~0.5バールの圧力で動作するように構成される、請求項17~22のいずれか一項に記載の蒸留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する方法に関する。本開示は、生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収するための蒸留装置に更に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
エチレングリコール又はエタン-1,2-ジオールとも呼ばれるモノエチレングリコールは、式(CH2OH)2-を有する有機化合物である。モノエチレングリコールは、例えば、ポリエステル繊維の製造における原料として及び不凍液配合物のために使用され得る。モノエチレングリコールは、無臭、無色、甘味の粘性液体である。
【0003】
モノエチレングリコールは、モノプロピレングリコールなどの他のジオールと共に糖から製造され得る。しかしながら、糖からモノエチレングリコール及びモノプロピレングリコールなどのポリオール、他のジオールも製造される場合、アルコール及び他の物質が副産物として形成される。バイオマスベースのモノエチレングリコールの精製では、製造プロセス中、異なる反応により、モノエチレングリコールに近い沸点を有する、モノエチレングリコール以外のこれらの他のジオールも生成されるという課題に直面し得る。かかる物質の一例は、モノエチレングリコールとほぼ同じ沸点を有する1,2-ブタンジオールである。したがって、本発明者は、精製されたモノエチレングリコールを回収する方法を提供する必要性を認識している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する方法が開示される。混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含む。この方法は、- 蒸留プロセスが行われる蒸留塔内に混合物供給材料を提供することであって、蒸留塔は、少なくとも80の理論段を含み、混合物供給材料は、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点で蒸留塔内に供給され、蒸留塔の全高は、理論段の数に基づいて決定され、蒸留プロセスは、20~200の還流比で行われる、提供することと、- モノエチレングリコールを回収することとを含む。
【0005】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する蒸留装置が更に開示される。混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含む。蒸留装置は、
- 少なくとも80の理論段を含む蒸留塔であって、20~200の還流比で動作するように構成される蒸留塔と、
- 蒸留プロセスが行われる蒸留塔内に混合物供給材料を提供するための入口であって、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点に位置し、蒸留塔の全高は、理論段の数に基づいて決定される、入口と、
- モノエチレングリコールを回収するための出口と
を含む。
【0006】
図面の簡単な説明
実施形態の更なる理解を提供するために包含され、及び本明細書の一部を構成する添付の図面は、実施形態を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書に開示される蒸留装置の一実施形態を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する方法が開示される。混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含む。この方法は、- 蒸留プロセスが行われる蒸留塔内に混合物供給材料を提供することであって、蒸留塔は、少なくとも80の理論段を含み、混合物供給材料は、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点で蒸留塔内に供給され、蒸留塔の全高は、理論段の数に基づいて決定され、蒸留プロセスは、20~200の還流比で行われる、提供することと、- モノエチレングリコールを回収することとを含む。
【0009】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する蒸留装置が更に開示される。混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含む。蒸留装置は、
- 少なくとも80理論段を含む蒸留塔であって、20~200の還流比で動作するように構成される蒸留塔と、
- 蒸留プロセスが行われる蒸留塔内に混合物供給材料を提供するための入口であって、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点に位置し、蒸留塔の全高は、理論段の数に基づいて決定される、入口と、
- モノエチレングリコールを回収するための出口と
を含む。
【0010】
蒸留は、一般に、選択的な沸騰及び凝縮を用いて混合物から成分又は物質を分離するプロセスとみなされ得る。蒸留は、ほぼ純粋な成分への本質的に完全な分離又は混合物中の選択成分の濃度を高める部分的分離をもたらし得る。蒸留プロセスでは、混合物中の異なる成分の相対的な揮発性の差を利用する。
【0011】
多くの分離プロセスで使用され得る「理論段」、又は「理論プレート」、又は「蒸留段」は、それが言及される場合、物質の液相及び気相などの2つの相が互いに平衡状態を確立する仮定上の領域又は段としてみなすことができる。かかる平衡段は、平衡段、理想段又は理論トレイとも呼ばれ得る。多くの分離プロセスの性能は、連続した平衡段を有することに依存し、より多くのかかる段を提供することによって高められ得る。換言すると、理論段を増やすことにより、蒸留、吸収、クロマトグラフィ、吸着又は類似のプロセスのいずれかである分離プロセスの効率が高められる。
【0012】
特定の培地の蒸留を設計する場合、理論段の数は、通常、最初に設計又は検討され、次いで蒸留塔の物理的高さが定められる。蒸留塔における理論段又は蒸留段は、充填層とも呼ばれるトレイ又はパッキングによって形成され得る。充填層は、構造化充填層又はランダム充填層であり得る。
【0013】
本発明者は、驚くべきことに、指定数の理論段及び指定の還流比の組合せにより、生物由来ジオールを含む混合物供給材料から高純度又は高収率でモノエチレングリコールを効率的に分離することが可能となることを見出した。指定数の理論段及び指定の還流比の組合せは、高純度でのモノエチレングリコールの回収を有益に補助する蒸留塔に混合物供給材料を供給することを可能にする付加的な有用性を有する。
【0014】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料は、例えば、モノエチレングリコール(MEG、エチレングリコール又は1,2-エタンジオールとも呼ばれる)、モノプロピレングリコール(MPG、1,2-プロパンジオールとも呼ばれる)及びブチレングリコール(BDO、ブタンジオールとも呼ばれる)を含み得る。生物由来ジオールのかかる混合物供給材料は、例えば、モノエチレングリコールを製造するプロセスなどのグリコールを製造するプロセスから誘導され得る。一実施形態において、生物由来ジオールを含む混合物供給材料は、モノエチレングリコール、モノプロピレングリコール及びブチレングリコールを含む。ブチレングリコールは、OH単位が位置する互いに異なる構造で現れ得る。かかる構造は、例えば、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール及び1,4-ブタンジオールである。これらは、異なる沸点を有する。2,3-ブタンジオールは、モノエチレングリコールよりも低い沸点を有し、1,2-ブタンジオールは、モノエチレンとほぼ同じ沸点を有し、1,4-ブタンジオールは、モノエチレングリコールの沸点よりも高い沸点を有する。
【0015】
混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも85重量%又は少なくとも87重量%の量でモノエチレングリコールを含み得る。混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量の少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97重量%、又は少なくとも99重量%の量でモノエチレングリコール、モノプロピレングリコール及びブチレングリコールを含み得る。
【0016】
生物由来ジオールを含む混合物供給材料は、水を更に含み得る。一実施形態において、混合物供給材料は、混合物供給材料の全重量に基づいて0~2重量%又は0.5~1.5重量%の量で水を含む。一実施形態において、混合物供給材料は、本質的に水を含まない。
【0017】
混合物供給材料は、液体の状態において又はスチーム若しくは蒸気として蒸留塔内に供給され得る。
【0018】
モノエチレングリコール及びモノプロピレングリコールは、例えば、モノエチレングリコールを含むグリコールの液体組成物を調製するプロセスから製造され得る。グリコールのかかる液体組成物は、植物ベースの原料から調製され得る。植物ベースの原料は、堅木又は軟木などに由来する木材ベースの原料であり得る。木材ベースの原料は、例えば、マツ、ポプラ、ブナ、ハコヤナギ、エゾマツ、ユーカリ、トネリコ、オーク、カエデ、クリ、ヤナギ又はカバノキに由来し得る。木材ベースの原料は、これらのいずれかの組合せ又は混合物であり得る。
【0019】
グリコールの液体組成物を生成するかかる方法は、
- 木材ベースの原料に由来し、及び木材チップを含む木材ベースの供給原料を提供し、及び木材ベースの供給原料を少なくとも1つの前処理に供することであって、液体画分及び固体セルロース粒子を含む画分が形成される、提供及び供すること、
- 固体セルロース粒子を含む画分を酵素加水分解に供することであって、リグニン画分及び炭水化物画分が形成される、供することこと、
- 炭水化物画分を触媒転化に供することであって、グリコールの液体組成物が形成される、供すること
を含み得る。
【0020】
木材ベースの供給原料の提供は、木材ベースの原料の皮剥ぎ、チッピング、分割、切断、叩解、粉砕、破砕、スプリッティング、スクリーニング及び/又は洗浄から選択される機械的処理に木材ベースの原料を供して、木材ベースの供給原料を形成することを含み得る。木材ベースの供給原料の提供は、木材ベースの供給原料の購入を含み得る。
【0021】
木材ベースの供給原料の前処理は、木材ベースの供給原料をプレスチームすることと、木材ベースの供給原料を含浸処理に供することと、木材ベースの供給原料を蒸気爆発に供することとの少なくとも1つを含み得る。
【0022】
前処理は、プレスチームに木材ベースの供給原料を供することを含み得る。前処理は、含浸処理及び/又は蒸気爆発を含み得、含浸処理及び/又は蒸気爆発に木材ベースの供給原料を供する前に木材ベースの供給原料をプレスチームに供することを含み得る。木材ベースの供給原料のプレスチームは、大気圧において100~130℃の温度の蒸気で行われ得る。プレスチーム中、木材ベースの供給原料は、低圧の蒸気で処理される。プレスチームは、100℃未満、又は98℃未満、又は95℃未満の温度を有する蒸気でも行われ得る。
【0023】
更に、前処理は、含浸液での少なくとも1つの含侵処理に木材ベースの供給原料を供することを含み得る。含浸処理は、機械的処理及び/又はプレスチームから受け取った木材ベースの供給原料に対して行われ得る。前処理は、蒸気爆発に供する前に、水、少なくとも1種の酸、少なくとも1種のアルカリ、少なくとも1種のアルコール又はそのいずれかの組合せ若しくはその混合物から選択される含浸液を用いた少なくとも1つの含侵処理に木材ベースの供給原料を供することを含み得る。含浸液は、水、少なくとも1種の酸、少なくとも1種のアルカリ、少なくとも1種のアルコール又はそのいずれかの組合せ若しくはその混合物を含み得る。
【0024】
前処理は、木材ベースの供給原料を蒸気爆発に供することを含み得る。機械的処理、プレスチーム工程及び/又は含浸処理からの木材ベースの供給原料は、蒸気爆発に供され得る。
【0025】
前処理は、木材ベースの供給原料を形成するために、木材ベースの材料の機械的処理、木材ベースの供給原料のプレスチーム、木材ベースの供給原料の含浸処理及び木材ベースの供給原料の蒸気爆発の少なくとも1つを含み得る。前処理は、木材ベースの供給原料を形成するために、木材ベースの材料の機械的処理、木材ベースの供給原料のプレスチーム、プレスチームされた木材ベースの供給原料の含浸処理及び含浸された木材ベースの供給原料の蒸気爆発を含み得る。前処理は、木材ベースの供給原料のプレスチーム、プレスチームされた木材ベースの供給原料の含浸処理及び含浸処理された木材ベースの供給原料の蒸気爆発を含み得る。前処理は、木材ベースの供給原料の含浸処理及び含浸された木材ベースの供給原料の蒸気爆発を含み得る。すなわち、含浸処理に供されている木材ベースの供給原料は、その後、蒸気爆発に供され得る。プレスチームに供されている木材ベースの供給原料は、次に、含浸処理にも供され得、含浸処理に供されている木材ベースの供給原料は、その後、蒸気爆発に供され得る。
【0026】
本明細書において、「蒸気爆発」という用語は、0.17~3.25MPaGの圧力下で130~240℃の温度の蒸気において反応器内で木材ベースの供給原料処理し、続いて蒸気処理された木材ベースの供給原料の突然の爆発性減圧の結果、繊維構造の破裂が生じる、半加水分解のプロセスを意味し得る。蒸気爆発からのアウトプットは、適切な液体、例えば水と混合されて、固体セルロース粒子を含むスラリーが形成され得る。固体セルロース粒子を含む画分は、適切な分離法、例えば固液分離によって液体画分から分離され得る。
【0027】
固体セルロース粒子を含む画分の酵素加水分解は、30~70℃、又は35~65℃、又は40~60℃、又は45~55℃、又は48~53℃の温度において、固体セルロース粒子を含む画分のpHを3.5~6.5、又は4.0~6.0、又は4.5~5.5のpH値に維持しながら行われ得、酵素加水分解は、20~120時間、又は30~90時間、又は40~80時間続けられる。酵素加水分解の結果、リグニン画分及び炭水化物画分が形成され得る。酵素は、酵素加水分解のための触媒である。酵素反応によってpHが低下し、セルロース繊維の長さを短くすることによって粘度も下げられ得る。固体セルロース粒子を含む画分を酵素加水分解に供した結果、酵素でセルロースがグルコースモノマーに変換され得る。固体セルロース粒子を含む画分中に存在するリグニンは、本質的に固体状態のままであり得る。
【0028】
酵素加水分解を実施するために、少なくとも1種の酵素が使用され得る。少なくとも1種の酵素は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ラッカーゼ及びリグニンペルオキシダーゼからなる群から選択され得る。セルラーゼは、エキソ型及びエンド型セルラーゼ(グルカナーゼ)及びβ-グルコシダーゼ(セロビオース)に分けることができる、異なる比活性を有する相乗作用的酵素からなる多タンパク質複合体である。酵素は、市販のセルラーゼ混合物であるか、又は現場で製造されたものであり得る。
【0029】
炭水化物画分の触媒転化は、炭水化物画分を触媒水素化分解に供することを含み得る。すなわち、炭水化物画分は、水素の存在下で触媒に供され得る。触媒転化は、水の存在下で行われ得る。一実施形態において、炭水化物画分の触媒転化は、溶媒、好ましくは水及び触媒システムの存在下で炭水化物画分を触媒水素化に供することを含み得る。触媒転化は、1種又は複数の触媒を含む触媒システムの存在下で行われ得る。代わりに、触媒転化は、サトウキビ、サトウダイコン、トウモロコシ及び/又はコムギから誘導される炭水化物供給材料に対して行われ得る。
【0030】
炭水化物画分を触媒転化に供することにより、グリコールの液体組成物が生じ得る。触媒転化は、少なくとも水素化及び水素化分解反応を達成し、炭水化物画分の水素化及び水素化分解が達成され、その結果、グリコールの液体組成物が形成される。グリコールの液体組成物は、モノエチレングリコール、モノプロピレングリコール及びブチレングリコールを含み得るか、又はモノエチレングリコール、モノプロピレングリコール及びブチレングリコールからなり得る。これらのグリコールは、グリコールの液体組成物の全重量に基づいて0.1~40重量%の濃度で存在し得る。グリコールの液体組成物は、他の副産物も含み得る。液体組成物は、水も含み得る。
【0031】
例えば、モノエチレングリコールは、例えば、吸着、蒸発、蒸留、抽出蒸留、共沸混合物蒸留、真空蒸留、常圧蒸留、膜分離、濾過、反応精製又はそれらの組合せから選択される分離技術によってグリコールの液体組成物から回収され得る。
【0032】
しかしながら、本明細書において適用される生物由来ジオールを含む混合物供給材料は、グリコールを生成する他のプロセスからも提供され得る。本明細書に記載の方法は、グリコールの液体組成物を生成する上記のプロセスに拘束されると理解すべきではない。
【0033】
本明細書に記載の蒸留プロセス前に行われる1つ又は複数の分離又は精製プロセスが存在し得る。例えば、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール、有機酸、グリセロールなどの糖アルコール、触媒及び残留糖は、所望の順序において別々の工程で除去され得る。一般に、最も低い沸点を有する水及びアルコールが最初に除去され、続いてモノエチレングリコールよりも高い沸点を有する成分が除去され得る。残りの成分は、更なる精製工程において次いで分離され得る、モノエチレングリコールの沸点に近い沸点を有するジオールを主に含み得る。
【0034】
「生物由来ジオールを含む混合物供給材料」という表現は、本明細書において別段の指定がない限り、生物ベース起源又は原料から誘導される1種又は複数のジオールの混合物供給材料として理解すべきである。一実施形態において、生物由来ジオールは、植物由来ジオール、例えば木材由来ジオールである。したがって、ジオールは、例えば、堅木、軟木又はこれらの組合せから誘導され得る。ジオールは、広葉樹からも誘導され得る。ジオールは、マツ、ポプラ、ブナ、ハコヤナギ、エゾマツ、ユーカリ、トネリコ若しくはカバノキ又はこれらのいずれかの組合せ又は混合物から誘導され得る。ジオールは、サトウキビ、サトウダイコン、トウモロコシ、コムギ又はこれらのいずれかの組合せ若しくは混合物から更に誘導され得る。
【0035】
本明細書に記載の方法は、モノエチレングリコールに近い沸点を有する他のジオールも含む混合物供給材料から高純度でモノエチレングリコールを分離することを可能にする付加的な有用性を有する。かかる物質の一例は、モノエチレングリコールとほぼ同じ沸点を有する1,2-ブタンジオールである。モノエチレングリコール及び1,2-ブタンジオールは、モノエチレングリコールよりも低い沸点を有する共沸混合物も形成し、次いでモノエチレングリコールから分離することができる。したがって、共沸混合物中のモノエチレングリコールのいくらかの損失が蒸留プロセス中に起こり得る。しかしながら、共沸混合物中のモノエチレングリコールと1,2-ブタンジオールとのモル比は、約50:50、例えば45:55である。したがって、モノエチレングリコールがいくらか共沸混合物と共に失われたとしても、失われたモノエチレングリコールの量は、有利なモル比の結果としてむしろ少ない。
【0036】
共沸混合物は、気相及び液相において同じ濃度を示す混合物であるとみなされ得る。これは、一方の成分よりも一般に揮発性が高い、もう一方の成分とは対照的に理想的な溶液である。混合物が共沸混合物を形成する場合、蒸気及び液体濃度は、同じであり、このアプローチによって分離が防止され得る。
【0037】
本明細書に記載の蒸留プロセスは、蒸留塔において行われる。一実施形態において、蒸留塔は、少なくとも85、又は少なくとも90、又は少なくとも100、又は少なくとも105、又は少なくとも110、又は少なくとも120、又は少なくとも120、又は少なくとも150、又は少なくとも200の理論段を含み得る。蒸留塔は、最大で1000、又は最大で800、又は最大で600、又は最大で400の理論段を含み得る。少なくとも80である理論段の数は、むしろ高効率で分離を行うことを可能にする付加的な有用性を有する。
【0038】
混合物供給材料は、2つの理論段間に位置する地点で蒸留塔内に供給され得る。しかしながら、蒸留塔は、パッキング又は充填層を含み得、1つの充填層は、2つ以上の理論段を含む。かかる状況において、混合物供給材料は、2つのかかる充填層間の地点で蒸留塔に供給され得る。一実施形態において、混合物供給材料は、少なくとも1つ理論段の下に位置する地点で蒸留塔に供給され得る。
【0039】
一実施形態において、混合物供給材料は、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の7~18%、又は9~17%、又は12~16%、又は13~15%、又は14~16%の高さである地点で蒸留塔に供給される。一実施形態において、入口は、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の7~18%、又は9~17%、又は12~16%、又は13~15%、又は14~16%の高さである地点に位置する。
【0040】
一実施形態において、蒸留プロセスは、25~150、又は30~100、又は35~80、又は40~50、又は35~45の還流比を用いて行われる。一実施形態において、蒸留塔は、25~150、又は30~100、又は35~80、又は40~50、又は35~45の還流比で動作するように構成される。還流比は、一般に、生成物として蒸留塔から除去又は回収される液体によって割られる、蒸留塔に戻される塔頂液の比として定義される。
【0041】
本発明者は、意外にも、特に、用いられる還流比で混合物供給材料が蒸留塔に供給される地点の組合せが、高純度及び収率を有するモノエチレングリコールを回収することを可能にする付加的な有用性を有することを見出した。一実施形態において、この方法は、96~99重量%、又は97~98重量%、又は96~97重量%の濃度でモノエチレングリコールを回収することを含む。この収率は、混合物供給材料中のモノエチレングリコールと比較して、回収されたモノエチレングリコールの量のパーセンテージとして計算される。一実施形態において、モノエチレングリコールは、99.3~99.99重量%、又は99.5~99.9重量%、又は99.6~99.8重量%の純度で回収される。その純度は、回収された生成物フローの総量と比較して、回収生成物中のモノエチレングリコールの量のパーセンテージとして計算される。
【0042】
一実施形態において、蒸留プロセスは、最大で160℃の塔頂温度及び最大で0.4バールの塔頂圧力で行われる。一実施形態において、蒸留プロセスは、最大で159℃、又は最大で157℃、最大で155℃、又は最大で155℃、又は最大で150℃、又は最大で145℃の塔頂温度で行われる。一実施形態において、蒸留プロセスは、最大で0.35バール、又は最大で0.3バールの塔頂圧力で行われる。一実施形態において、蒸留プロセスは、50~160℃、又は65~155℃、又は75~150℃、又は100~145℃の塔頂温度で行われる。一実施形態において、蒸留プロセスは、0.1~0.4バール、又は0.2~0.35バール、又は0.25~0.3バールの塔頂圧力で行われる。
【0043】
一実施形態において、蒸留塔は、最大で160℃の塔頂温度及び最大で0.4バールの塔頂圧力で動作するように構成される。一実施形態において、蒸留塔は、最大で159℃、又は最大で157℃、最大で155℃、又は最大で155℃、又は最大で150℃、又は最大で145℃の塔頂温度で動作するように構成される。一実施形態において、蒸留塔は、最大で0.35バール、又は最大で0.3バールの塔頂圧力で動作するように構成される。一実施形態において、蒸留塔は、50~160℃、又は65~155℃、又は75~150℃、又は100~145℃の塔頂温度で動作するように構成される。一実施形態において、蒸留塔は、0.1~0.4バール、又は0.2~0.35バール、又は0.25~0.3バールの塔頂圧力で動作するように構成される。
【0044】
一実施形態において、蒸留塔にわたる圧力低下は、0.02~0.2バール又は0.05~0.12バールである。
【0045】
蒸留塔の塔底温度は、最大で170℃の温度に維持され得る。最大で170℃の温度に蒸留塔の塔底温度を維持することは、化合物の分解が起こることを防ぐか又は低減する付加的な有用性を有する。
【0046】
本明細書において、「塔頂温度」という用語は、一番上の充填層又は段より上にあり、及び蒸留塔の蒸気パイプより下にある、蒸留塔中の蒸気スペースの温度を意味するために使用される。蒸留塔自体の温度は、例えば、蒸留塔に動作可能に連結され得る凝縮器又はリボイラーにおける温度と異なり得ることは、当業者に明らかである。
【0047】
本明細書において、「塔頂圧力」という用語は、一番上の充填層又は段より上にあり、及び蒸留塔の蒸気パイプより下にある、蒸留塔中の蒸気スペースの圧力を意味するために使用される。
【0048】
一実施形態において、少なくとも1つの凝縮器が蒸留プロセスで使用される。一実施形態において、蒸留装置は、少なくとも1つの冷却器を含む。すなわち、1つの凝縮器又は一連の少なくとも2つの凝縮器が蒸留プロセスに使用され得る。例えば、一連の少なくとも2つの凝縮器が使用される場合、第1の凝縮器後の蒸気画分は、5~20%、例えば約15%であり得、第2凝縮器後の蒸気画分は、1%未満であり得る。使用される凝縮器は、(a)部分凝縮器、(a)全体凝縮器であり得るか、又はこれらの組合せが使用され得る。凝縮器は、熱交換型であり得るか、又は冷却水などの冷却媒体が使用され得るか、又は空気冷却で機能し得る。
【0049】
一実施形態において、リボイラーが蒸留プロセスにおいて使用される。一実施形態において、蒸留装置は、リボイラーを含む。リボイラーは、0.1~0.5バール又は0.3~0.5バールの蒸気圧で動作され得る。一実施形態において、蒸留装置は、リボイラーを含み、そのリボイラーは、0.1~0.5バール又は0.3~0.5バールの圧力で動作するように構成される。
【0050】
蒸留プロセス又は蒸留塔は、それぞれ熱交換器を含み得、少なくとも1つの凝縮器から回収される熱がリボイラーに誘導又は移動される。すなわち、少なくとも1つの凝縮器から回収される熱は、リボイラーで再利用され得る。
【0051】
一実施形態において、モノエチレングリコールを回収することは、混合物供給材が蒸留塔に供給される地点より下に位置する地点で蒸留塔からモノエチレングリコールを除去することを含む。一実施形態において、モノエチレングリコールを回収するための出口は、蒸留塔に混合物供給材料を供給するための入口が位置する地点より下に位置する地点に位置する。
【0052】
モノエチレングリコールは、いわゆるサイドドローとして蒸留塔又は蒸留塔のサイドから除去され得る。モノエチレングリコールは、一番下の充填層より下であるが、蒸留塔の塔底より上にあるサイドドローとして蒸留塔から除去され得る。蒸留塔に混合物供給材料を供給するための入口が位置する地点より下であるが、一番下の充填層よりも上にある地点でサイドドローとして蒸留塔からモノエチレングリコールが除去され得る。代わりに又は更に、モノエチレングリコールは、蒸留塔の塔底から取られた塔底流において蒸留塔から除去され得る。
【0053】
一実施形態において、モノエチレングリコールが蒸留塔から除去される地点は、蒸留塔の一番下の理論段より下に位置する。
【0054】
一実施形態において、この方法は、蒸留塔から塔頂流を除去することを含み、塔頂流は、モノプロピレングリコールと、モノエチレングリコールと1,2-ブチレングリコールの共沸混合物とを含む。
【0055】
本明細書に記載の方法は、モノエチレングリコールに近い沸点を有する他のジオールも含む混合物供給材料から高純度及び高収率でモノエチレングリコールを分離することを可能にする付加的な有用性を有する。
【0056】
本明細書に記載の方法は、混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収する経済的なプロセスであるという付加的な有用性を有する。
【実施例】
【0057】
実施例
様々な実施形態が詳細に参照される。
【0058】
以下の説明は、当業者が本開示に基づいて実施形態を利用することができるように詳細に一部の実施形態を開示する。工程又は特徴の多くは、本明細書に基づいて当業者に明らかであるため、実施形態のすべての工程又は特徴が詳細に説明されているわけではない。
【0059】
簡潔にするために、構成要素を繰り返す場合、以下の例示的な実施形態において項目番号が維持される。
【0060】
添付の
図1には、生物由来ジオールを含む混合物供給材料からモノエチレングリコールを回収するための蒸留装置9の実施形態の例が開示される。混合物供給材料2は、混合物供給材料の全重量の少なくとも80重量%の量でモノエチレングリコールを含む。最初に、混合物供給材料が蒸留塔1に供給され、蒸留プロセスが行われる。蒸留塔は、蒸留塔に混合物供給材料を供給するための入口2を含む。蒸留塔1は、少なくとも80の理論段5a、5b、...5nを含む充填層を含む。混合物供給材料2は、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔1の全高の5~20%の高さである地点6で蒸留塔1に供給される。蒸留塔の全高は、理論段5a、5b、...5nの数に基づいて決定される。蒸留塔は、20~200の還流比で動作するように構成される。混合物供給材料が蒸留塔内に供給される地点6よりも下に位置する地点(出口)3a1、3a2、3bで蒸留塔からモノエチレングリコールが回収される。
図1は、サイドドロー3a1及び/又はサイドドロー3a2として出口を通してモノエチレングリコールを除去する可能性を開示する。かかる事例では、例えば、重い化合物不純物は、蒸留塔の塔底から除去され得る。代わりに、モノエチレングリコールは、蒸留塔の塔底から塔底流3bとして出口を通して除去され得る。
【0061】
実施例1 - 生物由来ジオールを含む混合物の蒸留
この実施例において、生物ベースのジオールを含む混合物供給材料が蒸留プロセスに供された。
【0062】
混合物供給材料は、以下を含む。
【0063】
【0064】
蒸留塔から回収又は除去された分離生成物は、以下の組成及び割合を有した。
【0065】
【0066】
蒸留塔は、159℃の塔頂温度及び0.35バールの塔頂圧力で動作された。モノエチレングリコールは、一番下の理論段より下のサイドドローとして除去された(
図1における3al)。
【0067】
還流比及び理論段の数は、様々であり、混合物供給材料が蒸留塔内に供給される地点の高さが決定された。実施される試験に基づいて、請求項に記載の範囲内の蒸気のパラメーターを維持する場合、高収率及び高純度でモノエチレングリコールを回収することができることが注目された。
【0068】
この実施例におけるモノエチレングリコールの収率は、96重量%であった。目標純度は、ポリマーグレードのエチレングリコールの範囲にある99.8重量%で設定された。これは、適用された供給材料での理論最大値に近い。理論上の最高純度は、99.83重量%である。
【0069】
その結果を以下の表に示す。
【0070】
【0071】
更に、回収されたモノエチレングリコールの純度に対する還流比及び理論段の数の作用を試験し、測定した。その結果を以下の表に示す。
【0072】
【0073】
上記の表から分かるように、80以上の理論段を使用した場合、回収されたモノエチレングリコールの純度が増加する。表2は、理論段と還流比との様々な組合せで最高純度に到達したことを示す。表2から、理論段と還流比との組合せの大部分では、目標純度99.8重量%、更に最高純度99.83重量%に到達したことが分かる。
【0074】
表1から、使用される理論段が多くなり、及び還流比が高くなると、混合物供給材料が蒸留塔内に供給することができる、蒸留塔における地点が高くなることが分かる。
【0075】
実施例2 - 生物由来ジオール及び水を含む混合物の蒸留
この実施例では、混合物供給材料が追加量の水を含むことを除いて、実施例1と同じ混合物供給材料が適用された。
【0076】
混合物供給材料は、以下を含んだ。
【0077】
【0078】
蒸留塔から回収又は除去された分離生成物は、以下の組成及び割合を有した。
【0079】
【0080】
蒸留塔は、151~152℃の塔頂温度及び0.35バールの塔頂圧力で動作された。水が存在した結果、実施例1の温度と比較して、その温度は、同一圧力で低かった。モノエチレングリコールは、一番下の理論段より下のサイドドローとして除去された(
図1における3al)。
【0081】
還流比及び理論段の数は、様々であり、混合物供給材料が蒸留塔内に供給される地点の高さが決定された。実施される試験に基づいて、請求項に記載の範囲内の上記のパラメーターを維持する場合、高収率及び高純度でモノエチレングリコールを回収することができることが注目された。実施例1と比べて、高いエチレングリコールフローが使用され、したがって、エチレングリコール収率は、より高い97重量%であった。その結果を以下の表に示す。
【0082】
【0083】
この場合にも、蒸留塔の塔頂から計算される蒸留塔の全高の5~20%の高さである地点で混合物供給材料を蒸留塔内に供給した場合、目標純度に達した。実施例1と比較すると、これらの地点は、蒸留塔においてわずかに低かった。
【0084】
混合物供給材料中の水の存在の主な作用は、塔頂温度が低くなり、及び還流比が低くなることである。還流比は、留出物フローによって割られた、カラムに戻される還流フローであることから、水の量が還流フローを増加するため、還流比が減少した。
【0085】
【0086】
表4は、理論段と還流比との組合せの大部分で目標純度に到達したことを示す。
【0087】
技術の進歩を用いて、基本的な発案が様々な方法で実現され得ることが当業者に明らかである。したがって、実施形態は、上述の実施例に限定されず、代わりに特許請求の範囲内で異なり得る。
【0088】
本明細書で上述した実施形態は、互いとのいずれかの組合せで使用され得る。実施形態のいくつかを共に合わせて、更なる実施形態が形成され得る。本明細書に開示の方法及び蒸留装置は、上述の実施形態の少なくとも1つを含み得る。上述の利益及び利点は、1つの実施形態に関連し得るか、又はいくつかの実施形態に関連し得ることが理解されるであろう。実施形態は、指定の問題のいずれか若しくはすべてを解決する実施形態又は指定の利益及び利点のいずれか若しくはすべてを有する実施形態に限定されない。「1つ」の項目の言及は、それらの項目の1つ又は複数を意味すると更に理解される。「含む」という用語は、1つ又は複数の追加の特徴又は作用の存在を除外することなく、それ以降に続く特徴又は作用の包含を意味するために本明細書において使用される。
【国際調査報告】