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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-27
(54)【発明の名称】材料のAIで加速された特徴付け
(51)【国際特許分類】
   G16C 20/30 20190101AFI20240319BHJP
   G16C 20/70 20190101ALI20240319BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240319BHJP
【FI】
G16C20/30
G16C20/70
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504908
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022023416
(87)【国際公開番号】W WO2022216661
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/171,038
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523379133
【氏名又は名称】ストイケイア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・イヴァンキン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・エイチ・スウィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・アシュリー
(57)【要約】
材料特徴付けのためのデバイス、システム、および方法は、運用データとして知られている属性に従って位置エンコードされた材料サンプルから定義データを検出すること、サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けること、および機械学習モデルを介して訓練データを処理して、モデルを訓練しおよび/または訓練データに基づいて残りのサンプルを特徴付けることを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料コレクションを特徴付ける方法であって、
知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って少なくとも1つの基板上で材料サンプルのセットを運用データとして位置エンコードするステップと、
前記材料サンプルの少なくともいくつかからの定義データを定義サンプルとして検出するステップと、
前記定義データを前記運用データと相関させるステップと、
前記定義データと前記運用データとの相関関係に基づき前記定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップと、
前記特徴付け訓練データを機械学習モデルに入力し、前記特徴付け訓練データに基づき、前記定義サンプル以外の材料サンプルの前記セットの少なくとも一部の特徴付けを出力するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップは、前記機械学習モデルによって、訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の場所を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するステップは、予測出力を決定するステップと、実験出力を決定するステップと、前記予測出力と実験出力とを比較して予測誤差値を決定するステップと、前記予測誤差値に基づき前記材料サンプルの各々の予測出力に対する信頼値を決定するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
特徴付けのために前記次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するステップは、前記信頼値を最大の量だけ大きくするために前記次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップは、所定の閾値信頼値に達すると、完了であると決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するステップは、前記訓練データを前記機械学習モデルに入力するステップと、検出のための次の場所および前記対応するサンプルの予測出力を出力するステップと、前記次の材料サンプルの定義データを検出するステップと、前記検出された定義データを前記予測出力と比較するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
運用データとしての物理的、化学的、および/または処理属性は、前記少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の前駆体勾配、前記少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の化学成分勾配、および前記少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の異なる波長の照射への曝露による処理勾配のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
定義データを検出するステップは、触媒活性、電気化学的活性、反応の結果生じる化学生成物分布、元素分布および/もしくは幾何学的形状、機械的-物理的特性、熱的特性、光学的特性、触媒および/もしくは腐食進展、ならびに/または蛍光強度のうちの1つまたは複数を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
さらなる特徴付けのために次の材料コレクションの1つまたは複数の物理的、化学的、および/または処理属性を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
定義データを検出するステップは、前記定義サンプルの少なくともいくつかとして別の知られている材料コレクションの材料サンプルに関する定義データを取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記材料サンプルは、各々ナノスケールまたはマイクロスケールで定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記材料サンプルの少なくともいくつかから定義データを検出するステップは、前記ナノスケールまたはマイクロスケールで材料サンプル間を移動するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
材料コレクション特徴付けシステムであって、
材料サンプルのセットの少なくともいくつかの材料サンプルからの定義データを定義サンプルとして検出するように構成されている少なくとも1つのセンサを備えるデータ収集システムであって、前記材料サンプルは、知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って少なくとも1つの基板上で運用データとして位置エンコードされる、データ収集システムと、
前記少なくとも1つの基板上で材料サンプルの前記セットの特徴付けを実施するためにメモリ上に記憶されている命令を実行するように構成されている少なくとも1つのプロセッサを備える特徴付け制御システムであって、前記特徴付け制御システムは前記データ収集システムを操作して前記材料サンプルの少なくともいくつかからの定義データを定義サンプルとして検出し、前記定義データを前記運用データと相関させ、抽出された定義データと運用データとの前記相関関係に基づき前記定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるように構成され、前記特徴付け制御システムは、前記特徴付け訓練データを入力として受け取り、前記特徴付け訓練データに基づき、前記定義サンプル以外の材料サンプルの前記セットの少なくとも一部の特徴付けを出力するように構成されている機械学習モデルを含む、特徴付け制御システムとを備える、材料コレクション特徴付けシステム。
【請求項14】
前記定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるための構成は、前記機械学習モデルによって、訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の場所を決定するための構成を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するための構成は、予測出力を決定し、実験出力を決定し、前記予測出力と実験出力とを比較して予測誤差値を決定し、前記予測誤差値に基づき前記材料サンプルの各々の予測出力に対する信頼値を決定するための構成を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
特徴付けのために前記次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するための構成は、前記信頼値を最大の量だけ大きくするために前記次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するための構成を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記定義サンプルの少なくともいくつかの訓練データとしての特徴付けは、所定の閾値信頼値に達すると、完了であると決定される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの前記少なくとも1つの基板上の前記場所を決定するための構成は、前記訓練データを前記機械学習モデルに入力することと、検出のための次の場所および前記対応するサンプルの予測出力を出力することと、前記サンプルの定義データを検出することと、前記検出された定義データを前記予測出力と比較することとを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
運用データとしての物理的、化学的、および/または処理属性は、前記少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の前駆体勾配、前記少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の化学成分勾配、および前記少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の異なる波長の照射への曝露による処理勾配のうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
定義データを検出するための構成は、触媒活性、電気化学的活性、反応の結果生じる化学生成物分布、元素分布および/もしくは幾何学的形状、機械的-物理的特性、熱的特性、光学的特性、触媒および/もしくは腐食進展、ならびに/または蛍光強度のうちの1つまたは複数を決定するための構成を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記特徴付け制御システムは、さらなる特徴付けのための次の材料コレクションの1つまたは複数のパラメータを決定するようにさらに構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
定義データを検出するための構成は、前記定義サンプルの少なくともいくつかとして別の知られている材料コレクションの材料サンプルに関する定義データを取得することをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記材料サンプルは、各々ナノスケールまたはマイクロスケールで定義される、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
前記材料サンプルの少なくともいくつかから定義データを検出するための構成は、異なる材料サンプルのデータを前記ナノスケールまたはマイクロスケールで収集するために前記データ収集システムを位置決めするための構成を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項25】
材料チップを特徴付ける方法であって、
材料サンプルからの定義データを定義サンプルとして検出するステップであって、前記材料サンプルは知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って基板上で運用データとして位置エンコードされる、ステップと、
前記定義データを前記運用データと相関させるステップであって、知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って、基板上で運用データとして位置エンコードされた材料サンプルを有する別の材料チップから取得された定義データに基づき相関させることを含む、ステップと、
前記定義データと前記運用データとの相関関係に基づき前記定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップと、
前記特徴付け訓練データを機械学習モデルに入力し、前記特徴付け訓練データに基づき、前記定義サンプル以外の材料サンプルのセットの少なくとも一部の特徴付けを出力するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本実用出願は、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている2022年4月5日に出願した米国仮特許出願第63/171,038号、名称「AI-ACCELERATED CHARACTERIZATION OF MATERIALS」の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、材料の特徴付け(characterization of materials)のためのデバイス、システム、および方法に関する。より具体的には、本開示は、人工知能(AI)ベースの、材料の特徴付けのためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本出願は、付属の請求項に記載されている特徴の1つもしくは複数、および/または単独でもしくは任意の組合せで、特許可能な主題を含み得る次に示す特徴を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,372,397号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、材料コレクション(material collection)を特徴付ける方法は、知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って少なくとも1つの基板上で材料サンプルのセットを運用データ(operational data)として位置エンコード(positionally encoding)するステップと、材料サンプルの少なくともいくつかからの定義データ(definitional data)を定義サンプル(definitional sample)として検出するステップと、定義データを運用データと相関させるステップと、定義データと運用データとの相関関係に基づき定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップとを含み得る。いくつかの実施形態において、この方法は、特徴付け訓練データを機械学習モデルに入力するステップと、特徴付け訓練データに基づき、定義サンプル以外の材料サンプルのセットの少なくとも一部の特徴付けを出力するステップとを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップは、機械学習モデルによって、訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するステップを含み得る。訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するステップは、予測出力を決定するステップと、実験出力を決定するステップと、予測出力と実験出力とを比較して予測誤差値を決定するステップと、予測誤差値に基づき材料サンプルの各々の予測出力に対する信頼値を決定するステップとを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するステップは、信頼値を最大の量だけ大きくするために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するステップを含み得る。定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けするステップは、所定の閾値信頼値に達すると、完了であると決定され得る。いくつかの実施形態において、訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するステップは、訓練データを機械学習モデルに入力するステップと、検出のための次の場所および対応するサンプルの予測出力を出力するステップと、次の材料サンプルの定義データを検出するステップと、検出された定義データを予測出力と比較するステップとを含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、運用データとしての物理的、化学的、および/または処理属性は、少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の前駆体勾配、少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の化学成分勾配、および少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の異なる波長の照射への曝露による処理勾配のうちの1つまたは複数を含み得る。定義データを検出するステップは、触媒活性、電気化学的活性、反応の結果生じる化学生成物分布、元素分布および/もしくは幾何学的形状、機械的-物理的特性、熱的特性、光学的特性、触媒および/もしくは腐食進展、ならびに/または蛍光強度のうちの1つまたは複数を決定するステップを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、方法は、さらなる特徴付けのために次の材料コレクションの1つまたは複数の物理的、化学的、および/または処理属性を決定するステップをさらに含み得る。定義データを検出するステップは、定義サンプルの少なくともいくつかとして別の知られている材料コレクションの材料サンプルに関する定義データを取得するステップをさらに含み得る。材料サンプルは、各々、ナノスケールまたはマイクロスケールで定義されてよい。材料サンプルの少なくともいくつかからの定義データを検出するステップは、ナノスケールまたはマイクロスケールで材料サンプル間を移動するステップを含み得る。
【0010】
本開示の別の態様によれば、材料コレクション特徴付けシステムは、材料サンプルのセットの少なくともいくつかの材料サンプルからの定義データを定義サンプルとして検出するように構成されている少なくとも1つのセンサを備えるデータ収集システムであって、材料サンプルは、知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って少なくとも1つの基板上で運用データとして位置エンコードされる、データ収集システムと、少なくとも1つの基板上で材料サンプルのセットの特徴付けを実施するためにメモリ上に記憶されている命令を実行するように構成されている少なくとも1つのプロセッサを備える特徴付け制御システムとを含み得る。特徴付け制御システムは、データ収集システムを操作して材料サンプルの少なくともいくつかからの定義データを定義サンプルとして検出し、定義データを運用データと相関させ、抽出された定義データと運用データとの相関関係に基づき定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるように構成されるものとしてよく、特徴付け制御システムは、特徴付け訓練データを入力として受け取り、特徴付け訓練データに基づき、定義サンプル以外の材料サンプルのセットの少なくとも一部の特徴付けを出力するように構成されている機械学習モデルを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるための構成は、機械学習モデルによって、訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するための構成を含み得る。訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するための構成は、予測出力を決定し、実験出力を決定し、予測出力と実験出力とを比較して予測誤差値を決定し、予測誤差値に基づき材料サンプルの各々の予測出力に対する信頼値を決定するための構成を含み得る。特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するための構成は、信頼値を最大の量だけ大きくするために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するための構成を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、訓練データとしての定義サンプルの少なくともいくつかの特徴付けは、所定の閾値信頼値に達すると、完了であると決定され得る。訓練データとしての特徴付けのために次の材料サンプルの少なくとも1つの基板上の場所を決定するための構成は、訓練データを機械学習モデルに入力することと、検出のための次の場所および対応するサンプルの予測出力を出力することと、サンプルの定義データを検出することと、検出された定義データを予測出力と比較することとを含み得る。いくつかの実施形態において、運用データとしての物理的、化学的、および/または処理属性は、少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の前駆体勾配、少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の化学成分勾配、および少なくとも1つの基板にわたる材料サンプルの間の異なる波長の照射への曝露による処理勾配のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、定義データを検出するための構成は、触媒活性、電気化学的活性、反応の結果生じる化学生成物分布、元素分布および/もしくは幾何学的形状、機械的-物理的特性、熱的特性、光学的特性、触媒および/もしくは腐食進展、ならびに/または蛍光強度のうちの1つまたは複数を決定するための構成を含み得る。特徴付け制御システムは、さらなる特徴付けのための次の材料コレクションの1つまたは複数のパラメータを決定するようにさらに構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、定義データを検出するための構成は、定義サンプルの少なくともいくつかとして別の知られている材料コレクションの材料サンプルに関する定義データを取得することをさらに含み得る。材料サンプルは、各々、ナノスケールまたはマイクロスケールで定義されてよい。材料サンプルの少なくともいくつかからの定義データを検出するための構成は、異なる材料サンプルのデータをナノスケールまたはマイクロスケールで収集するためにデータ収集システムを位置決めするための構成を含み得る。
【0015】
本開示の別の態様によれば、材料チップ(material chip)を特徴付ける方法は、材料サンプルからの定義データを定義サンプルとして検出するステップであって、材料サンプルは知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って基板上で運用データとして位置エンコードされる、ステップと、定義データを運用データと相関させるステップであって、知られている物理的、化学的、および/または処理属性に従って、基板上で運用データとして位置エンコードされた材料サンプルを有する別の材料チップから取得された定義データに基づき相関させることを含む、ステップと、定義データと運用データとの相関関係に基づき定義サンプルの少なくともいくつかを訓練データとして特徴付けるステップとを含み得る。この方法は、特徴付け訓練データを機械学習モデルに入力するステップと、特徴付け訓練データに基づき、定義サンプル以外の材料サンプルのセットの少なくとも一部の特徴付けを出力するステップとを含み得る。
【0016】
上に列挙されている特徴および請求項に列挙されている特徴を含む、単独でまたは任意の他の特徴と組み合わせて、特許可能な主題を含み得る追加の特徴は、現在認識されているような本発明を実施する最良の態様を例示する例示的な実施形態の次に詳細に示す説明を考察した後に当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】機械学習によって材料サンプルのより広範なセットの特徴付けを実施するために材料サンプルのセットのサンプルのうちのいくつかのサンプルを考察する例示的な道筋の線図であり、サンプルセットの情報に基づく選択が材料サンプルのより広範なセットの特徴付けにおける不確実性を低減できることを示す図である。
図2】本開示の態様による材料の特徴付けのための操作を例示する流れ図である。
図3】本開示の態様による材料特徴付けシステムの線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
経済成長を育み続けながら持続可能な経済を達成することは、材料における根本的な進歩を含み得る。たとえば、そのような進歩は、電気分解を介した水素製造、付加価値のある化学物質および燃料へのCOの変換、太陽エネルギーのハーベスティング、および/または電池へのクリーンエネルギーの効率的貯蔵などの環境に優しいプロセスを触媒するために使用される材料においてあり得る。これらの分野では、大きな課題に直面する可能性がある。たとえば、現在の計算的および/または実験的な材料発見戦略は、一見果てしなく多い材料ゲノムを探索するのに非常に時間がかかり、および/または効果がない可能性がある。
【0019】
化学者および材料科学者は、伝統的に、著しい進歩を達成するまでに何年もの間過去の結果を反復することによって総当たり的なアプローチに頼ってきた。新しい材料の人工知能(AI)誘導設計は、これらの課題の解決手段となっていない。ナノ材料における構造-機能関係に関する大規模高品質訓練データセットが欠如しているので、新しい材料のAI誘導設計の有効性は限られている。これらの問題に対処することは、持続可能な未来を構築するため、および/または材料ベースの技術の進歩の傾向を維持するために最も重要であると考えられる。
【0020】
本開示は、材料発見のためのデバイス、システム、および方法を含む。たとえば、本開示内のデバイス、システム、および方法は、材料ライブラリ、または「メガライブラリ」技術ですら実装して、材料発見のプロセスを著しく加速することができる。非限定的な一例では、このプロセスは、各々設計により異なるサイズおよび/または組成を有する、多数(たとえば、数百万個)の多金属ナノ粒子における、好適なライブラリまたはメガライブラリの合成を含み得る。そのようなライブラリまたはメガライブラリのサンプルでは、ナノ粒子は、チップ上に位置エンコードされ得る。このようなエンコードは、化学気相成長法(CVD)、電子ビーム蒸着法、熱蒸着法、および/またはポリマーペンリソグラフィ(PPL)によって実行されるものとしてよく、これは、限定はしないが、材料の蒸着に関する部分を含む、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,372,397号において開示されている通りである。そのようなチップは、特徴付け装置、たとえば、走査型電子顕微鏡(SEM)または走査型液滴電気化学セルに装填され、材料候補に関する構造的および/または機能的洞察を引き出すことができる。
【0021】
極めて大きなライブラリ(たとえば、数百万個のナノ粒子のライブラリ)から各個別の材料を特徴付けることは、途方もない(ほとんど不可能な)作業である。たとえば、そのような個別の材料の特徴付けは、単一のナノ粒子を十分に特徴付けるのに数十分かかることもある高分解能技術を適用してもよいことを考慮する。
【0022】
本開示の範囲内で、機械学習(ML)は、誘導材料スクリーニングを達成するために適用することができる。たとえば、自動化と能動MLとベイズ最適化(BO)とを組み合わせることで、材料スクリーニングを誘導することを支援することができる。たとえば、数十から数百のデータ点から構成される初期訓練セットの取得に続いて、本開示の範囲内のデバイス、システム、および方法は、特徴付けのための誘導を定義し得る。たとえば、AIベースのコントローラは、機械学習および新規材料の迅速な発見のために、どの候補(または候補のバッチ)を次に特徴付けるかをリアルタイムで定義し得る。
【0023】
そのような誘導は、任意の様式の所望の機能性、たとえば触媒活性/選択性、安定性、発光などに向けられ得る。材料発見における能動MLは、以前にも試みられている可能性があるが、そのような試みは、アルゴリズムによって示唆される各材料候補の反復合成によって制約を受け得る。しかしながら、「メガライブラリ」を適用することで、すべての可能な候補をチップ上ですでに事前合成されているものとして利用可能にすることによって、個別の候補合成の課題を軽減することができる。AIベースのコントローラは、材料ライブラリまたはメガライブラリにアクセスして、オンデマンドで特徴付けを行うものとしてよい。そのような配置構成は、予測アルゴリズムを構築するための時間および/もしくはコスト、ならびに/または優れた性能を有する新しい触媒および/もしくは他の材料を識別するための時間および/もしくはコストを劇的に削減することができる。
【0024】
経済成長を維持し、持続可能な未来を実現するためには、かつてないほどの速さで新しい材料を発見する必要がある。それにもかかわらず、材料発見の伝統的なアプローチは、この難題に立ち向かうには、いぜんとして、ひどく時間がかかり、および/または非効率的である。今日のハイスループット実験(HTE)方法は、1週間に数百から数千の候補物質の合成とスクリーニングを可能にし得るが、それでも推定される数の可能性(たとえば、>1060)に比べれば大海の一滴に過ぎない。現代の密度汎関数理論(DFT)および量子化学シミュレーション技術も、非常に低速であり、大きな計算負荷を必要とし、限られた複雑さのシステムしか記述できない。また、HTE方法では、多種多様な材料について大規模で高品質な訓練データセットを迅速に生成することができないことで、AI誘導材料設計戦略の潜在的可能性が大きく制限される。
【0025】
本開示の範囲内で、デバイス、システム、および方法は、「メガライブラリ」技術、たとえば、イリノイ州スコーキー所在のStoicheia, Inc.によって提供される「megalibrary」を実装することによって劇的に加速された材料発見戦略を達成することができる。高分解能および/または高スループットのアディティブプリンティングツールを適用して、個別のブロック共重合体ナノリアクタを堆積することで、数百万個の多金属ナノ粒子の迅速な合成が達成され得る。ナノリアクタは各々、設計によって異なるサイズおよび/または組成で形成され、平方センチメートルスケールのチップ上に位置エンコードされ得る。
【0026】
単一の「メガライブラリ」チップは、従来のHTE法のものに比べて3~5桁多い材料候補を収容することができる(たとえば、従来のHTE法の週次生産)。それに加えて、単一のメガライブラリを適用することは、現在の技術では容易に達成できない材料組成および/または構造、たとえば、化学量論が精密に制御された7元素ナノ粒子へのアクセスを可能にすることができる。さらに、これらの材料は、各々、同一条件の下で合成されおよび/またはスクリーニングされ得る。この一貫したアプローチは、実験毎のばらつきを減らし、および/または収集されたデータの質を大幅に改善することができる。さらに、高度ML予測技術をそのようなメガライブラリと組み合わせることで、追加の利点がもたらされる。たとえば、MLアプローチで実装される場合、単一のサンプルは、すでに事前合成された注目するすべての可能な材料(すなわち、サンプル毎に>90,000個の独自の材料)を含み得るので、「メガライブラリ」は、また、スクリーニングおよび/またはAI訓練のボトルネックを克服するまたとない機会を提供し得る。メガライブラリを、たとえばベイズ最適化(BO)に基づく能動MLアプローチと組み合わせることで、1つの非限定的アプローチで、特徴付けのための材料候補を選択的に探索するが、最も有望なナノ粒子しか評価しない。そのような選択的操作は、従来の進化アルゴリズムと比較して特徴付けおよび/または将来のシミュレーションのコストを著しく削減することができる。「メガライブラリ」は、注目するパラメータ空間に対してすべての可能なナノ粒子をチップ上に事前合成しておくので、例示的なMLアルゴリズムは、自動化された特徴付けツールを使用して最も有望な候補にオンデマンドでアクセスすることができる。
【0027】
本開示の範囲内で、AIコントローラは、実験内最適化(自動化スクリーニングプロセスは効率的サンプリングで代表的データセットを取得することを可能にし得る能動学習を通じてインテリジェントデータ収集システムとして大幅に加速化され得る)および実験間最適化(AIコントローラはこれらのデータセットを使用して次の合成実験を示唆しより良い材料を設計することができる)の両方に十分に適したものとすることができる。大きな材料ライブラリをスクリーニングする際の典型的なボトルネックプロセスを自動化し、最適化し、MLアルゴリズムを継続的に訓練できる十分に大きいナノ材料の構造(入力)および特性(出力)を記述したデータセットを生成することによって、強化された材料を見つけるために材料空間を探索する時間および/またはリソースが大幅に削減され得る。このワークフローは、転移可能であり、および/または異なる材料およびスクリーニング方法論に横断的に適用され得る。
【0028】
材料合成戦略は、材料プロセス評価を前進させるために追求されている。たとえば、イリノイ州スコーキー所在のMirkin Groupは、ナノ粒子メガライブラリ形成を可能にすることができる合成戦略を開発している。走査プローブブロック共重合体リソグラフィ(SPBCL)は、サイズおよび/または組成に関して明確に定義されたナノ材料を調製することができるティップ指向合成(tip-directed synthesis)技術であり、走査プローブが「ナノリアクタ」内に極小体積のナノ粒子前駆体を堆積し、前駆体原子は合体し粗大化して単一粒子になる。ポリマーペンリソグラフィー(PPL)を介したこの合成戦略の2D並列化は、並行して動作する>90,000個のティップによって堆積された明確に定義されたナノ粒子の2Dアレイを作成することを可能にし得る。いくつかのインキング技術および/または印刷技術が、2Dナノ粒子アレイ全体にわたって化学的および/またはサイズ勾配を形成するために使用され得る。結果として得られるメガライブラリは、>200,000,000個の個別のナノ粒子、および組成およびサイズの>90,000個の独自の組合せを含むことができる。この技術は、Stoicheia, Inc.によって商業化されており、同社は現在、史上最高のスループットを誇る材料合成および発見企業になる態勢にある。
【0029】
Mirkin GroupおよびStoicheia, Inc.における進歩を介して合成リスクの多くは最近数年にわたって軽減されているが、ナノ粒子メガライブラリから意味のあるデータを抽出することには大きな課題が残っている。たとえば、単一のナノ粒子の元素マップは、エネルギー分散X線分光法(EDS)を使用して容易に取得され得るが、人間オペレータが単一のチップ(>2億個)上で合成されたすべてのナノ粒子についてこのプロセスを繰り返すことは実行可能とは言えない。特定の開示された合成プラットフォームの潜在的可能性を完全に実現するために、ナノ粒子特徴付けのための自動化技術が実装され得る。
【0030】
ナノ粒子ライブラリまたはメガライブラリは、空間的規則性(粒子間距離が制御された2Dナノ粒子アレイ)および空間エンコード(spatially encoded)された構造特性(特定の軸に沿った組成/サイズ勾配)に起因して、単一粒子レベルであっても、自動化スクリーニング技術に対して親和性がある。
【0031】
複数(>2個)の検出器の使用または環状検出器の設計を通じてX線検出の強化と相まって、SEMを介したナノ粒子メガライブラリの構造および組成の特徴付けの自動化が実装され得る。そのような自動化技術は、ライブラリまたはメガライブラリの特徴付けにかかる人件費を削減することができ、および/または触媒スクリーニング後に構造と特性とを関係付けることを可能にし得る。それに加えて、ナノスケール特徴付けにおけるSEMの有用性の著しい向上が達成され得る。大規模自動化も元素マッピングも、SEMを使用して、この分解能(たとえばサブナノメートル)で確実に達成されたことはない。したがって、そのような実装形態は、そのようなナノ材料の特徴付けにおける大きなパラダイムシフトをもたらすことができる。いくつかの実施形態において、限定はしないが、原子間力顕微鏡法(AFM)、透過電子顕微鏡法(TEM)、共焦点顕微鏡法、走査型ラマン分光法を含む、任意の好適な特徴付け/スクリーニング技術が適用され得る。
【0032】
ナノ触媒パターンの触媒活性をスクリーニングするために、いくつかの相補的高スループット/高分解能スクリーニング技術が使用され得る。最も注目すべきは、走査型液滴電気化学セル(SDC)計測器が、ナノ触媒チップ上の連続的に流れる電解液の液滴中でCV走査を実行するために使用され得ることである。非限定的な例として、ネットゼロ炭素経済の確保に向けて大きな関心を集めている2つの反応、すなわち、水素発生反応(HER)および二酸化炭素還元反応(CORR)は、電解質を切り替え、CORRの場合にはバックグラウンドHERを差し引くだけで、相前後してスクリーニングされ得る。
【0033】
HERについては、開始電位、過電位、および/または電流が測定され得る。HERに対して必要な電位では競合するファラデー過程がないので、これらの測定値は、触媒活性に直接的に相関し得る。CORRの場合、全体的な活性は、バックグラウンドHERが差し引かれた後に同じ測定基準で測定され得るが、競合する経路が多数あることにより、選択性は、I-V曲線を取得するだけでは測定され得ない。IR/MSによって流出電解質中の揮発性物質を濃縮し分析することは、CORRの高スループット選択性スクリーニングのための実現可能な方法である。
【0034】
安定性は、各点で長時間/複数回の実験を実行することによって、または一定時間にわたるバルク電解(すなわちバルク電解液中)を条件として初期SDCスクリーニングを実行し、次いで、各点で触媒性能がどのように変化するかを測定するために別のSDCスクリーニングを実行することによって測定され得る。典型的なSDC計測器は、約<1μmのX-Y分解能を有し、したがって個々のナノ粒子パターンのピッチ(50μm)に相当する増分で触媒にわたってラスタリングするか、または液滴の直径に相当する増分で移動して、1回の測定/材料のみを実行することができる。
【0035】
図1を参照すると、AIベースのコントローラによって達成される誘導の一例が図示され、提供される選択的動作を例示している。機械学習モジュールが実装され、特徴付け操作における誘導を提供することができる。そのような誘導は、SEMおよびSDCについて説明されているような実験内最適化を含むことができる。たとえば、これは、リアルタイムデータ分析、および単一のチップ内で次にどの場所をプローブするか、および/またはライブラリ全体の特性を正確にマッピングするためにどれくらいのデータ点が必要であるかについての意思決定を含み得る。誘導は、実験間最適化を含み得る。たとえば、誘導は、次にどのライブラリを作成するかを決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、機械学習モジュールは、オーバーラップ/アンサンブルSDC測定値の畳み込み/逆畳み込みを実施し得る。
【0036】
図1では、データ点12の多数の代表的なセットが、順次検討するために例示的に選択されている。たとえば、要素14は、情報を検出する評価のための第1の材料サンプルとして、任意、またはいくつかの高度入力のいずれかで、最初に選択された。検出された情報は、サンプル収集の知られている運用データとの相関に対して同じサンプルの機能特性を定義するために使用され得る。要素16は、例示的に検出のために次に選択され、図1の経路によって示唆されるように要素18、20が続く。しかしながら、特定の経路、したがって、その順序における次の材料サンプルは、例示的なものに過ぎず、評価の順序の方式を限定するものではない。本明細書においてさらに詳細に説明されるように、システムは、評価用の次の材料サンプルの場所を能動的にまたは受動的に決定し得る。
【0037】
例示的な実施形態において、知られている運用データは、材料のセットの物理的、化学的、および/または処理属性に関するデータを含み得る。たとえば、材料サンプルの収集は、知られている材料勾配を形成するための基板上へのスパッタコーティングなどによる物理的サイズ、化学組成、または前駆体などの、そのような属性の先験的知識、および/または知られている処理勾配を形成するための異なる(知られている)波長の光を基板上のサンプルの所定の部分に照射することおよび/または様々な異なる(知られている)電場/磁場への曝露などの処理、を含むことができる。
【0038】
次に、図2を参照すると、流れ図が本開示の範囲内の操作を例示している。ボックス110において、材料コレクションのサンプルセットが取得される。例示的な実施形態において、サンプルを取得することは、たとえば、基板上に材料サンプルを位置エンコードすることによって、ライブラリコンストラクト(library construct)を定義することを含む。いくつかの実施形態において、材料サンプルのセットの一部または全部は、事前エンコードされたライブラリから取得してもよく、および/または情報がすでに知られている材料のセットを識別するときに取得してもよく、したがって、このセットをエンコードすることは知られている状況の下では任意選択であってもよい。
【0039】
ボックス112において、1つまたは複数のサンプルの定義データが検出される。例示的な実施形態において、定義データの検出は、1つのサンプルを評価し、次いで別のサンプルを評価することを順次行うことを含む。例示的なボックス112の検出は、各個々のサンプルの評価と、それに続く、次の材料サンプルに関する検出を示す動作ループとを含む。しかしながら、いくつかの実施形態において、ボックス112の検出は、複数のサンプルに関する検出を含んでもよく、たとえば、探索操作(exploration operation)として基板上の特定の場所に近い位置にある2つまたはそれ以上のサンプルの検出、たとえば、領域に関して多くのことを知ることができるように同じ一般的な場所にある2つまたはそれ以上のサンプルの無作為抽出を含んでもよく、動作ループは、知られている情報が考慮され適用され、次のサンプル場所を肯定的決定として決定する探索操作として1つまたは複数の他の材料サンプルからの情報を検出するために別の(一般的な)場所に進むことを指示する。いくつかの実施形態において、探索操作は、材料サンプルの制約されたサブロケーションセット(sub-location-set)、たとえば、1つまたは複数のパラメータについて統計的に決定された変動(たとえば、2シグマ)のバンド内の何らかの情報に基づく場所検出を含み得る。
【0040】
定義データは、特徴付けられるべき材料サンプルに関して観察され得る任意の好適な記述的/機能的情報を含み得る。たとえば、定義データは、電気化学的活性、反応の結果生じる化学生成物分布、元素分布および/もしくは幾何学的形状、機械的特性、蛍光強度、触媒活性、磁気的もしくは電気的特性などの物理的特性、熱安定性および/もしくは膨張特性、光学的特性、たとえば発光、プラズモン特性など、ならびに/または触媒作用および/もしくは腐食の過程における構造的および/または機能的進化の動的進化特性を含むことができる。
【0041】
ボックス114では、定義データと運用データとの間の相関が実施され得る。いくつかの実施形態において、相関は、ボックス112における検出の一部として含まれ得る。相関は、定義データおよび運用データの統計分析を実施してそれらの間の関係、たとえば、明確に定義されたプロセスパラメータの下での測定された電流読み取り値と予測された電流読み取り値との間の絶対誤差を決定することを定時的に含む。
【0042】
ボックス116では、サンプル特徴付けが実施され得る。例示的な実施形態において、定義データが検出されたサンプルの少なくともいくつかは、訓練データとして特徴付けられ得る。訓練データとしての特徴付けは、定義データおよび運用データのいくつかまたはすべての間の相関に基づく対応するサンプルの材料特徴付けを含み得る。訓練データは、定義データの検出、相関、および/または特徴付けのための訓練データとして特徴付けに関してサンプルの次の場所を決定する際に適用され得る。
【0043】
訓練データとしての特徴付けのための次の材料サンプルを決定することは、例示的に、訓練データとしてのさらなる特徴付けのための定義データの検出のための次の材料サンプルを決定することを含む。たとえば、定義サンプルの少なくともいくつかの訓練データとしての特徴付けの後、訓練データが機械学習モデルに入力され、出力として、検討のための次の材料サンプルの基板上の場所を提供することができる。例示的な実施形態において、検討のための次の材料サンプルの場所を決定することは、予測出力を決定することと、実験出力を決定することと、予測出力および実験出力を互いに比較することとを含む。いくつかの実施形態において、予測出力は、対応する場所における材料サンプルの先験的知識に基づくものとしてよい。実験出力は、関連する場所におけるサンプルの実験的試験としての定義データの検出からの検出値を含み得る。予測出力と実験出力とを比較することは、実験的に観測された出力と予測出力との間の差としてその間の予測誤差値を決定することを例示的に含むことができる。信頼値は、誤差値に基づき決定され得る。たとえば、信頼値は、基板上の1つまたは複数の新しく選択された材料サンプルの場所に対して生じる検出に基づき誤差値を低減する可能性を含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、他の機械学習入力は、次の材料サンプルを決定するために適用され得る。たとえば、機械学習モデルは、以前の定義データおよび/または運用データに従って訓練された敵対的生成ネットワーク(GAN)などの追加的な特徴を含み得る。GANは、たとえば、注目する機能特性を有する材料の物理的または化学的構造を予測することを試みることができ、予測された構造に対応する基板上の場所を決定し、予測された場所におけるサンプルの性能を測定し、測定値を予測値と比較し、測定値と予測値との間の不一致に基づきGANモデルを調整し、および/または次の予測を提供するものとしてよい。
【0045】
材料コレクションの適切な特徴付けデータは、サンプルの十分な信頼性に基づき決定され得る。信頼区間の例示的な例において、所定の閾値信頼値が適用され、材料コレクションの適切な特徴付けを決定し得る。十分な特徴付けデータが蓄積された後、訓練データは、機械学習モデルに入力され、まだ特徴付けされていないサンプルの少なくとも一部分を含む、材料コレクション全体の特徴付けを出力することができる。
【0046】
次に、図3を参照すると、開示された実施形態による、材料特徴付けシステム22は、データ収集システム24および特徴付け制御システム26を、例示的に含む。データ収集システム24は、材料コレクションの選択された材料サンプルから定義データを決定するためのセンサ28を、例示的に含む。センサ28は、たとえば、視覚(たとえば、カメラ、顕微鏡、熱)、化学(たとえば、生成物/反応物、プロセス、電気化学)、および/または挙動(たとえば、光反応、電磁気応答、周波数応答)情報の検出のための、任意の1つまたは複数の好適な分析機器を備え得る。
【0047】
センサ28は、コレクションのサンプルとサンプルとの間で検出の焦点を移動させるように構成されているアーマチュア30を例示的に装備する。アーマチュア30は、その上に基板を受け入れるための材料プラットフォームとして例示的に具現化され、プラットフォームは、1つまたは複数のモータオペレータを通して高精度多軸移動を行い各サンプルを選択的に配置構成しセンサ28による検査/検出を行うように配置構成される。いくつかの実施形態において、センサ28は、静止したサンプルに関してアーマチュア30上で移動するように装着され、および/またはそれに連動して移動され得る。データ収集システム24は、本明細書において開示されているような技術による、メモリ34上に記憶されている命令を実行するためのプロセッサ32と、少なくとも検出、相関、およびアーマチュア30の移動の誘導を含むデータ収集システムの動作を実施し様々なサンプルを検査するためにプロセッサ32からの誘導に基づき命令を送受信するための通信回路36とを備える。
【0048】
特徴付け制御システム26は、メモリ40上に記憶されている命令を実行するためのプロセッサ38と、少なくともいくつかの定義サンプルを少なくとも特徴付けることと、44として例示されている機械学習モデルから入力/出力することとを含む、特徴付け制御システム動作を実施するためにプロセッサ38からの誘導に基づき命令を送受信するための通信回路42とを例示的に備える。機械学習モデル44は、メモリ40上に記憶されている命令から例示的に構成されるが、いくつかの実施形態において、全体的または部分的に、制御システム26と通信する別個のシステムとして具現化されてもよい。いくつかの実施形態において、データ収集制御システム24および特徴付け制御システム28は、部分的にまたは全体的に、それらの動作を実施するためのプロセッサ、メモリ、および/または通信回路を共有してもよい。
【0049】
誘導は、SEMおよび/またはSDCデータ中のノイズに対する信号の役割を含むものとしてよい。たとえば、誘導は、閾値信号値の決定、および/またはデータ品質に対する取得率および/またはスループットのバランスをとることを含み得る。しかしながら、AIコントローラを介したリアルタイム動作は、ロバスト性および/またはスケーラビリティのための追加の強化を必要とし得る。たとえば、そのような強化は、データ収集の異なる段階(小規模から大規模まで)との互換性、「メガライブラリ」の拡大するプールサイズ、および/または広範囲の可能な設計シナリオに対応するための考慮を必要とし得る。
【0050】
本開示の範囲内において、材料特徴付けのためのデバイス、システム、および方法は、質量特徴付けライブラリまたはメガライブラリサンプルを示す(および任意選択で組成勾配に対する制御を確認する)、ナノ粒子ライブラリまたはメガライブラリにまたがる、SEMおよびEDSデータ収集の自動化、主反応(たとえば、Cu、Au、Ptを使用するHERおよびCORR)に対する最適化された触媒の電気化学的スクリーニング、ならびに実験内および実験間ML最適化の両方を使用する実験の最適化を含み得る。したがって、無機材料に対する強力なコンビナトリアル合成およびスクリーニングプラットフォームが実装され得る。
【0051】
AI支援材料発見を用いて、本開示の範囲内のデバイス、システム、および方法は、数百万の可能な設計組合せの特徴付けを、類似の物理的原理に従う選択された材料ファミリについては数百まで、または基礎となる物理的挙動が大幅に異なる複数ファミリ探索については数千まで、減らすことができる。そのようなアプローチは、数年にわたる材料設計サイクルタイムを数日にまで短縮することができる。本開示の範囲内において、限定はしないが、金属、金属酸化物、金属硫化物、ペロブスカイト、および他のハイブリッド材料、有機金属フレームワーク(MOF)を含む、多くの形態の材料が考慮され得る。
【0052】
本開示内のデバイス、システム、および/または方法は、それらの開示された動作のための制御システムを実装し得る。そのような制御システムは、たとえばマイクロプロセッサとして具現化された1つまたは複数のプロセッサ、プロセッサにより実行する命令を記憶するためのメモリ、およびプロセッサに従って様々な動作を実施するための通信回路を含み得る。好適なプロセッサの例は、他にもあるがとりわけ、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、集積回路、システムオンチップ(SoC)を含み得る。好適なメモリの例は、他にもあるがとりわけ、1つもしくは複数の一次記憶装置および/もしくは非一次記憶装置(たとえば、二次、三次などの記憶装置)、永久的記憶装置、半永久記憶装置および/もしくは一時記憶装置、ならびに/または限定はしないが、ハードドライブ(たとえば、磁気、ソリッドステート)、光ディスク(たとえば、CD-ROM、DVD-ROM)、RAM(たとえば、DRAM、SRAM、DRDRAM)、ROM(たとえば、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュEEPROM)、揮発性メモリ、および/もしくは不揮発性メモリを含むメモリ記憶装置デバイスを含み得る。通信回路は、プロセッサの動作を円滑にするためのコンポーネントを含むものとしてよく、たとえば、好適なコンポーネントは、送信機、受信機、変調器、復調器、フィルタ、モデム、アナログ/デジタル(ADもしくはDA)コンバータ、ダイオード、スイッチ、オペアンプ、および/または集積回路を含み得る。AIおよび/または機械学習の実装形態は、開示された動作のためにプロセッサにより実行するメモリ上に記憶されている命令を含み得る。AIおよび/または機械学習の実装形態は、ニューラルネットワーク、決定木学習、回帰分析、ガウス過程、ベイズ最適化、およびその関連付けられている取得関数のうちの1つまたは複数として具現化されてもよく、これは、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、SVM、ナイーブベイズ、kNN、k-平均、次元削減アルゴリズム、勾配ブースティングアルゴリズム(たとえば、GBM、LightGBM、CatBoost)スタイルのモデル、GAN、およびトランスフォーマモデルなどの、任意の好適な態様のモデル、たとえば、限定はしないが、教師あり、準教師あり、および/または教師なし学習モデルを含む。
【0053】
したがって、本発明の様々な実施形態は、上で開示されているように、例示的であることを意図され、限定することを意図されていない。本発明の精神と範囲とから逸脱することなく、様々な修正が加えられ得る。その結果、当業者には、説明されている例示的な実施形態は例に過ぎず、様々な修正が、付属の請求項において定義されているような本発明の範囲内でなされ得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0054】
12 データ点
14、16、18、20 要素
22 材料特徴付けシステム
24 データ収集システム
26 特徴付け制御システム
28 センサ
30 アーマチュア
32 プロセッサ
34 メモリ
36 通信回路
38 プロセッサ
40 メモリ
42 通信回路
44 機械学習モデル
図1
図2
図3
【国際調査報告】