(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電子的に操縦可能なアンテナの配向を判定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/08 20060101AFI20240321BHJP
H01Q 3/30 20060101ALI20240321BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H01Q3/08
H01Q3/30
H04B7/08 802
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023553573
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021021415
(87)【国際公開番号】W WO2022191820
(87)【国際公開日】2022-09-15
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ビュアー,ケネス ヴイ.
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA01
5J021DB03
5J021EA04
5J021FA13
5J021GA02
5J021HA05
5J021JA10
(57)【要約】
衛星アンテナにおいて受信された信号を使用する、電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向の判定が記載される。衛星アンテナの設定された物理的配向は、アンテナに対して静的であり得る。次に、アンテナは、ある範囲の角度を通してビームを走査して、送信機(例えば、衛星)からの信号の信号強度を測定して、信号の入射方向を判定し得る。衛星の対応する既知の軌道位置からの信号の入射方向は、衛星アンテナが、設定された物理的配向を高精度に判定することを可能にする。具体的には、高精度は、非標的衛星への回避角度が、最小化されることを可能にして、より少ない干渉軽減動作でより効率的なアンテナ動作を可能にする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星通信システムにおける使用のための電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を判定するための方法であって、前記方法は、
地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置を判定することと、
少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星から複数の信号を受信することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを電子的に操縦して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナのボアサイト方向に対する前記複数の信号の各々の入射方向を判定することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記位置及び前記衛星からの前記信号の各々の前記入射方向に基づいて、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を計算することであって、前記複数の信号が受信される前記衛星は、前記地球に対する既知の軌道位置にあり、前記設定された物理的配向は、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの方位角、仰角、及び前記ボアサイト方向の回転を含む、計算することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームパターン射出プロファイルを判定することと、
前記ビームパターン射出プロファイルを前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記設定された物理的配向に関連付けることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビームパターン射出プロファイルは、非対称である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ビームを操縦して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナと標的衛星との間の信号を通信することと、
前記設定された物理的配向の前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ビームパターン射出プロファイルに基づいて干渉事象を検出することであって、前記干渉事象は、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナからの射出が、非標的衛星に対して所定のレベルに達することを含む、検出することと、を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記干渉事象は、前記ビームパターン射出プロファイルの主ビーム射出とは別に、サイドローブ射出に基づいている、いずれかの請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉事象に応答して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの送信を修正することを更に含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記干渉事象は、非標的衛星の地球同期軌道に関する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記干渉事象は、低地球軌道上の非標的衛星に関する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナは、フェーズドアレイ衛星アンテナを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ボアサイト方向に対する前記複数の信号の各々の前記入射方向を判定することは、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ビームを電子的に操縦して、方位角の範囲及び仰角の範囲にわたって走査することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の信号の各々の前記入射方向は、前記方位角の範囲及び前記仰角の範囲に対する前記信号の信号強度指標に基づいて判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、地球同期衛星を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、低地球軌道衛星を含み、前記地球に対する前記既知の軌道位置は、前記低地球軌道衛星からの信号の受信に対応する時間基準での前記低地球軌道衛星の衛星軌道データに基づいている、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記設定された物理的配向を前記計算することは、前記方位角、前記仰角、及び前記回転を約1度以下の誤差内で解析することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
衛星通信システムにおける使用のための電子的に操縦可能な衛星アンテナの配向を判定するように動作するシステムであって、
電子的に操縦可能な衛星アンテナであって、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを電子的に操縦して、少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星から複数の信号を受信する、電子的に操縦可能な衛星アンテナと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの地球に対する位置を判定する位置モジュールと、
地球に対する前記衛星の既知の軌道位置を考慮して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナのボアサイト方向に対する前記複数の信号の各々の入射方向を判定し、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記位置及び前記複数の信号の各々の前記入射方向に基づいて、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を計算する配向計算モジュールであって、前記設定された物理的配向は、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの方位角、仰角、及び前記ボアサイト方向の回転を含む、配向計算モジュールと、を備える、システム。
【請求項16】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナは、ビームパターン射出プロファイルを含み、前記配向計算モジュールは、前記ビームパターン射出プロファイルを、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記設定された物理的配向に関連付ける、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ビームパターン射出プロファイルは、非対称である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナは、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ビームを操縦して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナと標的衛星との間の信号を通信し、
前記設定された物理的配向における前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ビームパターン射出プロファイルに基づいて、干渉事象を検出するためのスケジューラであって、前記干渉事象は、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナからの射出が、非標的衛星に対して所定のレベルに達することを含む、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記干渉事象は、前記ビームパターン射出プロファイルの主ビーム射出とは別に、サイドローブ射出に基づいている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナは、前記干渉事象に応答して送信を修正する、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
前記干渉事象は、地球同期軌道上の非標的衛星に関する、請求項18~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記干渉事象は、低地球軌道上の非標的衛星に関する、請求項18~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナは、フェーズドアレイアンテナを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記配向計算モジュールは、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ビームを電子的に操縦して、方位角の範囲及び仰角の範囲にわたって走査して前記入射方向を識別することによって、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナの前記ボアサイト方向に対する前記複数の信号の各々の前記入射方向を判定する、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の信号の各々の前記入射方向は、前記方位角の範囲及び前記仰角の範囲に対する前記複数の信号の信号強度指標に基づいて判定される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、地球同期衛星を含む、請求項15~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、低地球軌道衛星を含み、前記地球に対する前記既知の軌道位置は、前記低地球軌道衛星からの信号の受信に対応する時間基準での前記低地球軌道衛星の衛星軌道データに基づいている、請求項15~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記配向計算モジュールは、前記方位角、前記仰角、及び前記回転を約1度以下の誤差内で解析する、請求項15~27のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
衛星通信システムは、地球上のユーザ端末と対地同期地球軌道(GEO)衛星との間の通信を容易にするために、GEO軌道上に衛星を含み得る。GEO衛星は、地球の自転周期に等しい軌道周期を有する。したがって、GEO衛星は、GEO衛星が一般に、ユーザ端末に対して空に静止しているか、非常に限られた範囲で循環しているように見えるように、静止又は準静止であり得る。静止GEO衛星の場合、軌道は地球の赤道の真上にある。したがって、衛星アンテナをユーザ端末に照準することは、衛星アンテナの照準が、アンテナの方向を再照準又は変更することを必要とせずに静的であり得るため、比較的簡単であり得る。更に、衛星アンテナの照準は静的であるため、他の衛星への干渉はごくわずかである。
【0002】
しかしながら、静止軌道のGEO衛星は赤道の上に位置しているため、静止軌道上で利用可能な「スロット」又は空間利用可能性の数は限られている。加えて、GEO衛星は比較的高い高度で地球を周回しているため、地球とGEO衛星との間で送信される信号に長い待ち時間が生じる。このような長い待ち時間は、特に、ある特定の、時間に制約のあるデータコンテキストでは不都合である。静止軌道スロットが利用不能であること、待ち時間が低減された衛星通信システムを提供したいという要望、及びGEO衛星に対する他の制約の結果として、衛星通信システムは、追加的又は代替的に、低地球軌道(LEO)衛星又は中地球軌道(MEO)衛星を使用してユーザ端末との通信を容易にし得る。LEO及びMEO衛星及び/又は軌道は、本明細書において、非地球同期(非GEO)と総称され得る。
【0003】
非GEO衛星は、地球の自転周期と等しくない軌道周期を有するため、非GEO衛星は、ユーザ端末に対して空中で静止しているようには見えない。非GEO衛星との通信のためのユーザ端末は、典型的には、ユーザ端末での衛星アンテナが、衛星アンテナ及び/又は衛星アンテナのビームを移動させることによって、非GEO衛星がユーザ端末に対して空を通過するときに、非GEO衛星を標的とすることを可能にする何らかの形態の追跡を採用している。追跡機能はユーザ局の複雑さを増大させるが、ユーザ端末との通信のために非GEO衛星を使用する能力は、ユーザ端末の追加の複雑さを相殺する利点を提供する。しかしながら、非GEO衛星の使用に関する欠点が存在し、それらを軽減することが好ましい。特に、ユーザ端末で衛星アンテナを使用して非GEO衛星を追跡する場合、ユーザ端末に対して空に存在する他の衛星への干渉を回避することが(例えば、動作状態を維持すること、又はライセンス制度の違反を回避する上で)有利であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの配向を判定して、例えば、非標的衛星に対する干渉角度をより正確に判定して、非標的衛星への干渉をより効率的に回避するのに役立てることに関する。本開示は、電子的に操縦可能なアンテナの配向が高レベルの精度で解析されることを可能にする。したがって、ユーザ端末の動作は、低減された干渉軽減動作を通じて改善された性能を経験し得る。具体的には、正確に配向を判定することにより、衛星アンテナの放射パターンが正確にモデル化され得るため、非標的衛星に対する回避角度の誤差範囲が、ユーザ端末の衛星アンテナに対して低減され得る。
【0005】
本開示は、概して、複数の送信機(例えば、1つ以上の衛星)から受信した信号を使用する三角測量に基づいて、電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を判定する。複数の送信機から受信された信号の入射方向を判定することによって、アンテナシステムは、アンテナの設定された物理的配向を解析し得る。信号の受信は、アンテナシステムによって自律的に実行され得るため、設定された物理的配向は、ユーザ又は技術者の介入を伴わずに(例えば、ユーザがアンテナの配向を物理的に測定することを必要とすることなく)解析され得る。
【0006】
上記を考慮して、本開示は、衛星通信システムで使用するための電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を判定することを容易にする。本開示は、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置を判定することを含む。複数の信号が、地球に対して既知の軌道位置にある少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星から受信される。明確にするために、複数の信号が受信され、そのうちの異なるそれぞれの1つは、アンテナに対して少なくとも2つの異なる軌道位置から受信され得る。信号の受信は、電子的に操縦可能な衛星アンテナを電子的に操縦して(例えば、電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを操縦して)、電子的に操縦可能な衛星アンテナに対する複数の信号の各々の入射方向を判定することを含み得る。次に、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向が、電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置及び衛星からの信号の各々の入射方向に基づいて計算される。設定された物理的配向は、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの方位角、仰角、及びボアサイト方向の回転を含む。
【0007】
本概要は、発明を実施するための形態において以下に更に説明される、選択された概念を簡略化された形態で導入するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものでも、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図されたものでもない。
【0008】
他の実装態様もまた、本明細書に記載及び列挙される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、衛星通信システムの一例を例解する。
【
図2】
図2は、本開示による電子的に操縦可能な衛星アンテナの一例を、ローカル座標系に関連付けて例解する。
【
図3】
図3は、ユーザ端末のアンテナシステムの概略図を例解する。
【
図4】
図4は、電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を判定するための例示的な動作を例解する。
【
図5】
図5は、電子的に操縦可能な衛星アンテナが複数の衛星から信号を受信する例示的な構成を例解する。
【
図6】
図6は、ユーザ端末の電子的に操縦可能な衛星アンテナと非標的衛星との間の干渉の軽減のための例示的な動作を例解する。
【
図7】
図7は、電子的に操縦可能な衛星アンテナの放射パターンの軸外射出が干渉事象を引き起こす場合がある例示的な構成を例解する。
【
図8】
図8は、本開示の特定の態様を実行することができるコンピューティングデバイスの一例を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、様々な修正及び代替的な形態の余地があるが、その具体的な実施形態は、図面において例として示されており、本明細書において詳細に記載する。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物を網羅するものであることを理解されたい。
【0011】
本開示は、非GEO衛星通信システムにおける衛星アンテナの性能又はユーザ端末を改善するアプローチに関する。本開示は、電子的に操縦可能な衛星アンテナを利用して、非GEO衛星がユーザ端末に対して空を通過する際に、1つ以上の非GEO衛星を追跡する利点を認識している。例えば、電子的に操縦可能な衛星アンテナの使用は、衛星アンテナを物理的に移動させるために、複雑で、高価で、故障しやすい機械的追跡機構を提供する必要性を回避し得る。むしろ、操縦可能衛星アンテナは、設定された物理的配向に設置され得、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、信号の受信及び/又は送信のためにビームの指向性を定めるように制御され得る。したがって、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、信号の送信及び/又は受信のための指向性ビームを提供し得る。本明細書では、ビーム又は放射パターンが操縦可能であることが言及されているが、そのような使用は、一般に、アンテナのボアサイト方向に対する所与の走査角にわたって、信号の送信の指向性を定めるか、又はアンテナでの信号の受信に対する感度の指向性を定めるかのいずれか能力について、アンテナのビームに関することが意図される。すなわち、操縦ビーム又は指向性ビーム又は放射パターンの記載は、アンテナからの信号の送信に限定されることを意図するものではなく、むしろ信号の受信のためにアンテナの感度の方向を制御することについても指す場合がある。
【0012】
衛星アンテナの設定された物理的配向は、本明細書に記載されるアプローチに従って正確かつ精密に判定され得る。アンテナの設定された物理的配向を判定することは、非標的衛星との干渉緩和のために衛星アンテナの放射パターンを監視することを可能にする。本明細書に記載されるアプローチによって提供される改善された精度により、非標的衛星に対する回避角度の許容誤差又は誤差の範囲が低減され得る。次に、アンテナ性能は、(例えば、GEOアーク内又は他の非GEOアーク内の)他の衛星への干渉を回避するために必要な干渉軽減動作の数を潜在的に低減することによって改善される。
【0013】
干渉事象は、衛星アンテナから送信された信号の放射ビームパターンが、非標的衛星に対する回避角度内のビーム電力に対して閾値に達する状況を指し得る。閾値は、非標的衛星の動作を維持するために許容可能な最大干渉量に関連し得る。例えば、非GEO衛星通信システムでは、非GEO衛星通信システムと同じ周波数帯域で動作するGEO静止通信衛星へのいかなる干渉も低減又は排除するように、GEOアークに信号を向けることを回避するために、ユーザ端末の衛星アンテナが、必要とされ得る。干渉はまた、非標的非GEO衛星(例えば、シニアライセンス衛星など)に関しても発生し得る。具体的には、回避角度は、衛星アンテナからの放射が何らかの閾値(例えば、動作パラメータに従って事前定義され得るか、政府規制によって定義され得るか、又はライセンス要件の対象となり得る)を超えない範囲を定義する、非標的衛星又はGEOアークに対して定義され得る。
【0014】
結果として、ユーザ端末は、標的衛星がGEOアークに対して、又は非標的衛星に対して回避角度へと横切る間に、干渉軽減動作(例えば、アンテナの送信をミュートする、送信のためのアンテナ電力を低減する、又は信号の送信のために異なる衛星に向ける)を実行する必要があり得る。これはシステム動作にとって不便であるため、非GEO衛星システムの有用性を最大化するために、GEOアーク又は他の非GEOアークのいずれかに対する回避角度を可能な限り最小化することが望ましい。
【0015】
上述したように、回避角度は、非GEOユーザ端末が、非標的衛星との干渉を回避する(例えば、アンテナ送信電力を閾値以下に維持する)ために信号の送信を回避する必要がある角度の範囲に関連する。回避角度は、衛星アンテナの主ビーム射出、並びに衛星アンテナの軸外射出の両方に適用され得る。そのような軸外射出は、放射パターンのサイドローブと称され得る。典型的には、回避角度は、干渉要件が満たされることを確実にするために誤差範囲を含む(例えば、衛星アンテナからの送信された放射は、回避角度の範囲内で閾値以下に留まる)。アンテナのビーム幅、したがって、生成される干渉の量は、アンテナの物理的配向に依存するため、誤差の範囲によって補償される誤差が生じる可能性がある。例えば、衛星アンテナは、それ自体の座標系における複数の自由度(例えば、方位角、仰角、及び回転)に対して配向され得る。衛星アンテナは、アンテナのボアサイト方向からの走査角に応じて変化するビーム幅を有し得る。したがって、同じ位置に設置されているが、異なる方向に配向されたボアサイト方向を有する2つの衛星アンテナは、同じ標的衛星と通信する場合に異なるビーム幅を有することになる。加えて、衛星アンテナは、狭いビーム幅軸及び広いビーム幅軸を有する非対称ビーをもたらす非円形開口を有し得る。したがって、非標的衛星に向けられた複合ビーム幅(したがって、干渉の量)は、設置された衛星アンテナの回転に依存する。更に、いくつかの文脈では、放射パターンのサイドローブと関連付けられた放射送信電力は、回避角度内で閾値に達し得る。したがって、軸外射出は、非標的衛星の回避角度内の干渉も受ける場合がある。
【0016】
回避角度は、地球上のアンテナの位置及びアンテナの特定の配向のために、各衛星アンテナに対して固有である。アンテナの位置(例えば、緯度、経度、及び仰角を使用して記述される)は、設置時に観察することができるか、又はローカルGPS受信機から取得することができるが、アンテナが訓練された技術者によって専門的に設置されている場合であっても、正確なアンテナ配向は、(例えば、回転、仰角、及び方位角において1度よりはるかに小さい精度まで)判定するのがそれほど容易ではない。また、アンテナが最初に正確に取り付けられ、位置調節されていても、アンテナは、環境問題(例えば、天候、地質学的沈下、地震)又は他の意図しない外乱(例えば、フットボール又は芝刈り機による衝突)によって経時的に移動し得る。衛星アンテナの配向の不確実性は、回避角度に数度の誤差を追加する可能性があり、場合によっては回避角度が倍増させる可能性がある。回避角度が大きいと、より多くの干渉事象が発生し、したがって、アンテナ性能を低減させる。したがって、衛星アンテナの設定された物理的配向を正確に判定することによって、回避角度は、アンテナの設定された物理的配向をより正確に判定することに応答して低減され得、干渉回避軽減動作は、低減され得る。したがって、本開示は、非GEO衛星通信システム内の各衛星アンテナが、設置の精度又は経時的な配向の変化にかかわらず、その正確な配向を判定することを可能にする方法及び装置の例を提示する。
【0017】
更に、衛星アンテナの正確な配向を知ることは、他の非GEOシステムとの効率的なスペクトル共有のための調整活動において利点を有する。非GEOシステムが空間的に分離されている場合、各システムは、干渉を伴わずに利用可能な全てのスペクトルを使用することができる。インライン事象がある場合、スペクトルは、共有されなければならない。したがって、他の非GEOシステムとの回避角度を最小化することは、スペクトルを共有する全ての非GEOシステムの容量及び速度においても大きな利点を有する。
【0018】
電子的に操縦可能な衛星アンテナの配向を正確に判定するためのシステム及び方法が本明細書に記載される。そうすることで、非標的衛星に対する回避角度は、誤差の範囲を低減して、正確に計算することができ、それによって衛星アンテナの最大限の使用を可能にする。以下により詳細に記載されるように、本開示は、概して、地球に対して既知の軌道位置にある少なくとも2つの異なる衛星から複数の信号を受信する電子的に操縦可能な衛星アンテナの使用を含む。一例では、アンテナによって受信された複数の信号のうちの1つ以上は、ビーコン信号を含み得る。他の例では、複数の信号のうちの1つ以上は、通信信号、位置信号、又は既知の軌道位置にある衛星から(例えば、衛星の既知の又は利用可能な衛星軌道データに基づいて)検出可能な任意の他のタイプの信号などの他のタイプの信号であり得る。
【0019】
加えて、地球に対する衛星アンテナの位置が判定され得る。地球に対する衛星アンテナの位置及び少なくとも2つの異なる衛星の既知の軌道位置を使用して、衛星アンテナで受信された複数の信号の入射方向が判定され得る。次に、判定された方程式系が計算され得、衛星アンテナの方位角、仰角、及び回転を含む衛星アンテナの設定された物理的配向を解析し得る。信号の受信に関連して、自動アルゴリズムは、既知の位置を有する2つ以上の衛星からの信号を求めて空を電子的に走査するアンテナによって(例えば、方位角及び仰角の範囲にわたって衛星アンテナのビームの方向を制御することによって)実行され得る。したがって、少なくとも2つの信号が見出され、識別されると、衛星アンテナは、信号が受信された(例えば、方位角及び仰角に対する)走査角に基づいて、正確な設定された物理的配向を計算することができる。この自動アルゴリズムは、衛星アンテナの寿命にわたって必要に応じて何度も繰り返すことができる。
【0020】
加えて、本開示は、電子的に操縦可能な衛星アンテナの放射パターンが、主放射ビーム、及び軸外射出又はアンテナの放射パターンのサイドローブと称されることもある補助ビーム成分を含むことを認識している。次に、主ビームと非標的衛星との間の干渉を回避することが重要である。アンテナの設定された物理的配向の正確な判定は、これらの目的のために主ビームパターンを精密にモデル化するのに役立つ。加えて、アンテナの設定された物理的配向の正確な判定は、放射パターンのサイドローブによって引き起こされる干渉を回避するためにも重要である。したがって、衛星アンテナの設定された物理的配向が判定されると、衛星アンテナの既知の放射パターンは、回避角度内の放射が閾値に達した場合に衛星アンテナの干渉事象を分析する際における使用のための設定された物理的配向に対して相関され得る。
【0021】
図1を参照して、本開示による、衛星通信システム100の一例が示される。システム100は、地球に対する設定された物理的配向に衛星アンテナ120を配置するために、取り付けブラケット122によって支持される衛星アンテナ120を含む。設定された物理的配向により、取り付けブラケット122は、アンテナ120を、例えば、天候事象、地質的沈下、地震、アンテナ120との偶発的な物理的接触などを含む、アンテナが曝露され得る通常の動作条件下で変化する静的な物理的配向に配置するように設計されることを意味する。以下でより詳細に記載するように、取り付けブラケット122は、方位角、仰角、及び回転角でのアンテナ120の設定された物理的配向を確立し得る。方位角、仰角、及び回転角度は、アンテナ120のローカル座標系又はグローバル座標系に関して測定され得る。更に、アンテナ120の配向は、必要に応じて、ローカル座標系とグローバル座標系との間で容易に変換され得ることが理解され得る。
【0022】
一例では、アンテナ120の配向は、アンテナ120のボアサイト方向に対して測定される。例えば、アンテナ120は、電子的に操縦可能な衛星アンテナを含み得る。この点で、アンテナ120は、アンテナ120の利得が最大であるボアサイト方向を含み得る。平面フェーズドアレイアンテナの場合、ボアサイト方向は、平面フェーズドアレイ表面に垂直なベクトルであり得る。電子的に操縦可能な衛星アンテナ120は、ボアサイト方向に対して(例えば、ボアサイト方向に対する走査角にわたって)ビームを操縦するように(例えば、送信方向及び/又は受信感度を制御することによって)動作し得るが、アンテナ120の設定された物理的配向は、アンテナ120のための固定された基準データとしてボアサイト方向を使用して測定され得る。
【0023】
アンテナ120は、地球の周りの軌道上の衛星(例えば、標的衛星110)と双方向通信し得る。標的衛星110はまた、地球上のゲートウェイ端末130と双方向通信し得る。ゲートウェイ端末130は、ネットワーク140と通信し得る。ゲートウェイ端末130は、ハブ又は地上局と称されることもある。ゲートウェイ端末130は、標的衛星110に順方向アップリンク信号132を送信し、標的衛星110から戻りダウンリンク信号134を受信するアンテナを含む。ゲートウェイ端末130はまた、アンテナ120へのトラフィックをスケジューリングすることができる。代替的に、スケジューリングは、衛星通信システム100の他の部分(例えば、コアノード、衛星アクセスノード、又は他の構成要素、図示せず)で実行され得る。ゲートウェイ端末130と標的衛星110との間で通信される通信信号132、134は、標的衛星110とアンテナ120との間で通信される通信信号136、138と同じ、重複する、又は異なる周波数を使用することができる。
【0024】
ネットワーク140は、ゲートウェイ端末130とインターフェースされる。ネットワーク140は、任意のタイプのネットワークであることができ、例えば、インターネット、IPネットワーク、イントラネット、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、仮想LAN(VLAN)、光ファイバネットワーク、ケーブルネットワーク、公衆交換電話網(PSTN)、公衆交換データネットワーク(PSDN)、公衆陸上モバイルネットワーク、及び/又は本明細書に記載されるようなデバイス間の任意の他のタイプのネットワークサポート通信を含むことができる。ネットワーク140は、有線接続と無線接続の両方、並びに光リンクを含むことができる。ネットワーク140は、標的衛星110及び/又は他の衛星と通信することができる複数のゲートウェイ端末130を接続することができる。
【0025】
ゲートウェイ端末130は、ネットワーク140と標的衛星110との間のインターフェースとして設けられ得る。ゲートウェイ端末130は、ネットワーク140を介してアクセス可能なソースからアンテナ120に向かうデータ及び情報を受信するように構成され得る。ゲートウェイ端末130は、データ及び情報をフォーマットし、アンテナ120に配信するために、標的衛星110に順方向アップリンク信号132を送信することができる。同様に、ゲートウェイ端末130は、ネットワーク140を介してアクセス可能な宛先に向けた、(例えば、アンテナ120に由来するデータ及び情報を含む)標的衛星110からの戻りダウンリンク信号134を受信するように構成され得る。ゲートウェイ端末130はまた、ネットワーク140上での送信のために、受信した戻りダウンリンク信号134をフォーマットすることができる。
【0026】
標的衛星110は、ゲートウェイ端末130から順方向アップリンク信号132を受信し、対応する順方向ダウンリンク信号136をアンテナ120に送信することができる。同様に、標的衛星110は、アンテナ120から戻りアップリンク信号138を受信し、対応する戻りダウンリンク信号134をゲートウェイ端末130に送信することができる。標的衛星110は、マルチスポットビームモードで動作し、地球上の異なる領域に向けたいくつかの狭いビームを送信及び受信することができる。代替的に、標的衛星110は、広域カバレッジビームモードで動作し、1つ以上の広域カバレッジビームを送信することができる。
【0027】
標的衛星110は、信号をそれらの宛先に再送信する前に、受信された信号の周波数及び偏波変換を実行する「ベントパイプ」衛星として構成され得る。別の例として、標的衛星110は、再送信の前に受信信号を復調及び再変調する再生衛星として構成され得る。
【0028】
図1に示されるように、衛星通信システム100はまた、別の衛星(以下、非標的衛星112と称される)も含む。非標的衛星112とアンテナ120との間の1つ以上の信号の通信は、所望又は意図されていない。図面の過度の複雑さを回避するために、1つの非標的衛星112のみが
図1に例解されているが、衛星通信システム100は、より多くの非標的衛星112を含むことができ、本明細書に記載される技術を使用して、非標的衛星112の各々への過度の干渉を回避することができる。非標的衛星112は、標的衛星110と同じ衛星コンステレーションの一部、又は異なる衛星コンステレーションのメンバーであり得る。非標的衛星112は、標的衛星110のものとは異なる衛星オペレータによって動作される衛星であり得る。例えば、いくつかの管轄区域では、ライセンス制度又は他のプロトコルは、非標的衛星112についての位置情報(例えば、衛星軌道データ)を提供し得、例えば、アンテナ120に可視であり得る複数の衛星間の優先度を含む干渉プロトコルを指示し得る。
【0029】
非標的衛星112は、例えば、ベントパイプ又は再生衛星として構成することができる。非標的衛星112は、1つ以上の地上局(図示せず)及び/又は他の端末(図示せず)と1つ以上の信号を通信することができる。
【0030】
アンテナ120は、非標的衛星112への過度の干渉も回避しながら、標的衛星110との通信を制御する制御システムを含み得る。そのようなアンテナシステムの例は、以下でより詳細に記載される。
【0031】
本明細書で使用される場合、非標的衛星112への干渉は、アップリンク干渉及び/又はダウンリンク干渉を指すことができる。アップリンク干渉は、非標的衛星112によって受信される、アンテナ120によって送信された戻りアップリンク信号138の一部分によって引き起こされる、非標的衛星112に対する干渉である。ダウンリンク干渉は、アンテナ120によって受信される、非標的衛星112によって送信された信号の一部分によって引き起こされる、アンテナ120への干渉である。
【0032】
非標的衛星112は、アンテナ120に対してGEOアーク内のGEO衛星であり得る。更に、アンテナ120に対するGEOアークへの干渉は、GEOアーク内の任意の特定のGEO衛星の識別にかかわらず回避され得る。代替的に、非標的衛星112は、その軌道位置情報が衛星軌道データによって提供され得る非GEO衛星であり得る。一例では、標的衛星110は、LEO衛星であり得、非標的衛星112は、GEO衛星であり得る。いくつかの実施形態では、非標的衛星112は、GEO衛星が分散されたGEOアーク内の複数のGEO衛星を含み得る。代替的な実施形態では、標的衛星110と非標的衛星112の一方又は両方は、LEO衛星であり得る。非標的衛星112は、例えば、標的衛星112に隣接することができる。本明細書で使用される場合、標的衛星110及び非標的衛星112は、アンテナ120で見たときのそれらの間の有効な角距離が10度以下である場合、「隣接している」。この点で、隣接する非標的衛星の回避角度は、干渉を回避するための誤差の範囲を提供するように、実際の角度分離よりも大きくあり得る。
【0033】
図2を更に参照すると、アンテナ200の例がより詳細に示される。アンテナ200は、フェーズドアレイアンテナなどの電子的に操縦可能な衛星アンテナを含み得る。他の例では、限定されないが、位相アレイアンテナ以外の他の電子的に操縦可能な衛星アンテナが提供され得る。例えば、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、液晶ポリマベースの開口を有するアンテナ、スロットプレートを結合したカウンタ回転開口を有するアンテナ、バリウムストロンチウムチタナイト又は他の同様の電圧依存誘電体材料を利用したアンテナ、又はメタマテリアルベースのアンテナを含み得る。一例では、アンテナ200は、複数のアンテナ素子224を含み得る。複数のアンテナ素子224は、操縦可能なビームを提供するためにまとめて制御され得る、アンテナアレイ及びビーム形成回路(例えば、位相シフタ、増幅器など)を含み得る。操縦可能なビームは、限定されないが、操縦されたビームの方向における信号の指向性受信及び/又は信号の指向性送信を可能にし得る。長方形のアンテナ素子224の長方形のアレイが
図2に示されているが、(例えば、制限されない任意の適切なアレイレイアウトの中に、三角形、六角形、八角形、又は他の多角形状などの異なる形状のアンテナ素子224を含む)アンテナ素子224の任意の構成、形状、及び/又はアレイが限定されずに提供され得ることが理解され得る。
【0034】
アンテナ220は、取り付けブラケット222によって支持され得る。次に、取り付けブラケット222は、基部226に固定され得る。基部226は、地球に対して永久的又は静的な構造であり得る。例えば、基部226は、設置パッド、建物、又は任意の他の静的構造を含み得る。取り付けブラケット222は、アンテナ220に1つ以上の自由度を提供してアンテナ220の物理的配向を設定し得る。一例では、取り付けブラケット222は、アンテナ220の方位角、仰角、及び回転角が調整され得る少なくとも3つの自由度を提供し得る。取り付けブラケット222の調整可能性にかかわらず、取り付けブラケット222は、設定された物理的配向でアンテナ220を配置するように固定され得る。上で記載されるように、設定された物理的配向は、アンテナ220にさらされる動作条件がアンテナ220を移動させないように静的であり得る。
【0035】
図2は、アンテナ220の設定された物理的配向が記載され得る例示的な座標系230を例解する。座標系230は、アンテナ220に対してローカル三次元座標系を画定するx軸、y軸、及びz軸を含み得る。アンテナ220のボアサイト方向240は、座標系230内に配置され得る。上で記載されるように、アンテナ220のボアサイト方向240は、アンテナ220の最大利得の軸を記述する。電子的に操縦可能な衛星アンテナの場合、ビームは、ボアサイト方向240に対する走査角にわたってアンテナ220の物理的移動を伴わずに操縦可能であり得る。
【0036】
ボアサイト方向240は、
図2に示されるように、方位角234、仰角232、及び回転角236によって座標系230内で記述され得る。座標系230が地球に対する基準フレーム内で静的であり得るため、方位角234、仰角232、及び回転角236は、地球に対するアンテナ220の設定された物理的配向を完全に記述し得る。すなわち、方位角234、仰角232、及び回転角236は、ローカル座標系(例えば、座標系230)と地球に対するグローバル座標系との間で換算され得る。
【0037】
アンテナ220を設置又は構成する場合、アンテナ220の設定された物理的配向を近似することが可能であり得る。しかしながら、そのような近似は、干渉角に対するより大きい誤差範囲をもたらすことによって、アンテナの性能に影響を与える可能性のある不正確さを導入し得る。例えば、アンテナ220の設定された物理的配向の比較的低い精度の測定値では、上で記載されるように、非標的衛星への干渉のリスクを許容可能に低減するように、干渉軽減に関する回避角度の許容誤差を増加させることが必要とされる場合がある。したがって、アンテナ220が、設置及び測定に関する訓練を受けた技術者によって設置された場合であっても、そのような測定で達成され得る精度は、アンテナ性能の低下を伴わずに干渉事象を正確に判定するのに十分でない場合がある。更に、多くの場合、アンテナ220は、配向又は配向の測定に関する訓練を受けることなく、住宅所有者又は他のエンドユーザなどの訓練を受けていないユーザによって設置及び/又は構成される。したがって、以下でより詳細に記載されるプロセスを使用して、アンテナ220の設定された物理的配向の自動測定を提供することが有利である。
【0038】
図3は、アンテナシステム300の概略図を提示する。アンテナ320は、アンテナ素子324と共に、取り付けブラケット322によって支持されているように概略的に例解されている。この点で、アンテナ320は、上で記載されたアンテナ220の前述の記載に対応し得る。
【0039】
アンテナ320は、アンテナコントローラ350と通信し得る。アンテナコントローラ350は、トランシーバ310と動作可能に通信し得る。トランシーバ310は、アンテナコントローラ350と連携し得、アンテナコントローラ350は、アンテナ320の動作を制御して、標的衛星(
図3には示されていない)との通信を容易にするための制御回路又は他の手段を含み得る。例えば、トランシーバ310は、アンテナコントローラ350に、アンテナ素子324を制御して、アンテナ320に対する方位角及び仰角に対する走査角にわたってアンテナ320のビームを操縦するように指示し得る。アンテナ素子324のそのような制御は、アンテナのビームが、アンテナのボアサイト方向に対する走査角の範囲にわたって方向付けられることを可能にする。
【0040】
トランシーバ310は、標的衛星からの順方向ダウンリンク信号(
図1に示されるように)を増幅し、次いでダウンコンバートして、モデム340への配信のための中間周波数(IF)受信信号を生成し得る。同様に、トランシーバ310は、モデム340から受信したIF送信信号をアップコンバートし、次いで増幅して、標的衛星に配信するための戻りアップリンク信号(
図1に示されるように)を生成し得る。標的衛星がマルチスポットビームモードで動作するいくつかの実施形態では、戻りアップリンク信号及び順方向ダウンリンク信号の周波数範囲及び/又は偏波は、様々なスポットビームに対して異なる場合がある。したがって、トランシーバ310は、1つ以上のスポットビームのカバレッジエリア内にあり得、特定のスポットビームの偏光及び周波数範囲に一致するように構成可能であり得る。モデム340は、例えば、アンテナ320が取り付けられている構造の内部に配置され得る。別の例として、モデム340は、トランシーバ310内に組み込まれるなど、アンテナ320上に配置され得る。いずれにせよ、トランシーバ310は、アンテナ320を介して信号を受信及び送信して、モデム340の通信能力を提供し得る(例えば、モデム340とネットワークとの間のアクセスを容易にし得る)。すなわち、モデム340はそれぞれ、IF受信及び送信信号を変調及び復調して、ルータ(図示せず)とデータを通信する。ルータは、例えば、ラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話などの1つ以上の接続デバイス342間でデータをルーティングして、双方向インターネット及び/又は電話サービスなどの双方向データ通信を提供し得る。
【0041】
アンテナコントローラ350はまた、配向計算モジュール312と通信し得る。配向計算モジュール312は、アンテナ320を制御してアンテナ320の設定された物理的配向を判定するためのアルゴリズムを実行するための機械可読命令にアクセスするメモリと動作可能に通信するプロセッサを備え得る。次に、配向計算モジュール312は、以下でより詳細に記載されるように、アンテナ320の配向を解析し得る。
【0042】
配向計算モジュール312は、位置モジュール314と通信し得る。位置モジュール314は、(例えば、緯度、経度、及び標高によって記述される)アンテナ320の位置を判定するように動作し得る。次に、位置モジュール314は、アンテナ320の設定された物理的配向を判定する際に使用するために、アンテナ320の位置を配向計算モジュール312に提供し得る。位置モジュール314は、例えば、地球上のアンテナ320の(例えば、緯度、経度、及び高度を使用するなどのユニバーサル座標系に対する)位置を解析することができる全地球測位システム(GPS)受信機を備え得る。任意の他の適切な位置判定技術が、限定されずに位置モジュール314によって使用され得る。
【0043】
配向計算モジュール312は、既知の軌道位置にある衛星から受信された信号からの入射方向を判定し得る。以下でより詳細に考察されるように、電子的に操縦可能な衛星アンテナによって実行される走査動作を使用して、既知の軌道位置の衛星から信号が受信される最初は初期未知の設定された物理的配向のアンテナに対する方向を判定し得る。一例では、軌道位置は、衛星のための衛星軌道データを利用して、配向計算モジュール312によって判定され得る。代替的に、衛星軌道データを使用して、位置情報が配向計算モジュール312に通信されるように、衛星の軌道位置を遠隔で判定し得る。
【0044】
配向計算モジュール312はまた、スケジューラ330と動作可能に通信し得る。スケジューラ330は、標的衛星及び/又は非標的衛星についての衛星軌道データを維持又は受信し得る。この点において、スケジューラ330の衛星軌道データが分析されて、アンテナ320によって射出された放射の干渉閾値が回避角度に達する干渉事象を識別し得る。上で考察されたように、干渉事象は、アンテナ320の主ビーム又は放射パターンのサイドローブに沿って送信される信号に関連し得る。スケジューラ330は、識別された干渉事象に応答して、適切な干渉緩和動作を判定し得る。干渉緩和動作は、干渉が回避される新しい標的衛星を標的にすることを含み得る。これは、衛星通信システムの代替標的衛星が(例えば、衛星アンテナ320の視野内で)利用可能であることを必要とし得る。したがって、干渉緩和動作は、代替的に、アンテナ320のビームの特性を修正することを含み得る。例えば、主ビームが損なわれ、又はビームの送信電力が低減されて、したがって、潜在的にビームの最大利得を低減させるが、潜在的に干渉放射を閾値以下に低減させることができる。更に、周波数、変調データレート、誤り訂正符号化、変調タイプ、符号化、又は他の特性などの送信特性を修正して、非標的衛星への干渉を(例えば、標的衛星と連携して)軽減し得る。
【0045】
いくつかの例では、アンテナコントローラ350、トランシーバ310、モデム340、配向計算モジュール312、位置モジュール314、及び/又はスケジュール330のうちの1つ以上は、明確さのために
図3に別個のモジュールとして示されているが、アンテナ320と一体化して提供され得る。更に、上記に列挙されたモジュールのうちのいくつかは、アンテナ320及び/又はアンテナと関連付けられたユーザ端末から遠隔に配置され得、その結果、モジュールの機能は、(例えば、標的衛星との通信を使用する通信を含む)ネットワーク通信を通じて容易化され得る。
【0046】
図4は、衛星アンテナの設定された物理的配向を判定するプロセスの例示的な動作400を例解する。動作400は、衛星アンテナが設定された物理的配向に設置される設置動作402を含み得る。上で記載されるように、設置動作402は、エンドユーザ、訓練を受けた技術者、又は何らかの他のユーザによって実行され得る。いずれにせよ、設置動作402は、衛星アンテナを固定構造に対して固定して、衛星アンテナを設定された物理的配向に静的に配置することを含み得る。
【0047】
動作400はまた、設置されるアンテナの位置が判定される位置判定動作404を含み得る。上で記載されるように、位置判定動作404は、位置モジュールによって実行され得る。一例では、位置判定動作404は、GPS受信機を使用して、地球に対する衛星アンテナの位置を解析することを含み得る。これは、地球に対する衛星アンテナの緯度、経度、及び高度の正確な判定を提供し得る。
【0048】
衛星アンテナの操縦可能なビームが、方位角及び仰角の範囲を通して走査される走査動作406が、実行され得る。すなわち、衛星アンテナは、操縦可能な主ビームが向けられ得る衛星のボアサイト方向に対する角度を記述する走査角を有して、衛星アンテナの視野を効果的に提供し得る。走査動作406と同時に、測定動作408は、1つ以上の信号の受信信号強度インジケータ(RSSI)を測定し得る。
【0049】
上で記載されるように、信号は、アンテナに対する信号の入射方向を判定する目的で具体的に提供されるビーコン信号を含み得る。他のタイプの信号も、1つ以上のビーコン信号と共に、又はその代替として利用され得る。例えば、信号は、衛星通信システムの衛星から受信され得る。そのような例では、衛星アンテナは、衛星信号の受信によって、又は別の通信ネットワークによって、システム制御メッセージを受信することが可能であり得る。次に、衛星アンテナは、システム制御メッセージから衛星を識別することが可能であり得る。この機能は、ユーザ端末によって提供されて、衛星システムの衛星との通信を取得及び確立し得る。
【0050】
代替的に、衛星通信システムの外部からの衛星が複数の信号のうちの1つ以上を受信するために利用される場合、そのような信号の受信は、一般に利用可能な情報に従って行われ得る。例えば、衛星がGPS衛星である場合、GPSプロトコルは、そのような信号を取得する、及び/又は(例えば、一般に利用可能な衛星軌道データに基づいて)軌道上の位置にある衛星の位置を判定する際に使用するために一般に利用可能であり得る。衛星が衛星通信システムの外部に第三者所有の衛星を含む場合、そのような衛星のライセンス申請又は他の公開記録の公開情報が提供され得る。この公開情報は、衛星アンテナが、周波数、キャリア帯域幅、変調タイプ、又は外部信号特性と称され得る他の信号特性と合致することを可能にし得る。外部信号特性は、信号を解釈又は復調する必要なく、受信機によって認識可能であり得る。したがって、外部信号特性から導き出された情報が判定及び使用されて、信号と関連付けられたメッセージを復調又は受信する必要なく、(例えば、一般に利用可能な衛星軌道データに基づいて)既知の位置にある衛星からの入射方向を識別し得る。むしろ、システムは、信号の外部信号特性を、それらの特性の公開の、又はそうでなければアクセス可能なデータベースと比較して、問題の衛星を一意に識別し得る。
【0051】
更に、システムは、最初に衛星通信システム内の衛星から信号を受信しようと試み得る。いかなる信号も利用可能でない場合、システムは、一般にアクセス可能なシステム(例えば、GPS信号)から信号を受信しようと試み得る。最後に、衛星通信システム信号又は公的にアクセス可能な信号が利用可能でない場合、一般に利用可能な外部特性を有する第三者所有の信号が利用され得る。更に、一例では、信号のうちの少なくとも1つは、無人航空機(UAV)、有人飛行プラットフォーム、気球、又は地球に対して既知の位置にある他の送信機プラットフォームなどの非衛星送信機から受信され得る。そのような例では、非衛星送信機の位置は、別様に(例えば、GPSなどを使用して)既知であり得るか、又は導き出され得る。
【0052】
次に、走査動作406及び測定動作408は、2つ以上の衛星から受信された複数の信号についての走査角にわたる信号強度に関する情報を生成し得る。上で記載されるように、衛星は、地球に対して既知の軌道位置にあり得る。例えば、衛星の衛星軌道データは、信号の送信時の衛星の正確な位置を判定するために、既知であり得るか、又は取得され得る。いずれにしても、複数の信号が受信される衛星の軌道位置に関する情報は、それぞれの複数の信号の入射方向が判定される判定動作410で使用され得る。
【0053】
一例では、走査動作406は、アンテナのビームが操縦され得る方位角及び仰角の全範囲にわたって(例えば、ボアサイト方向に対する全ての走査角の全掃引によって)アンテナのビームを走査することを含み得る。走査動作406は、電子的に操縦可能なアンテナのビームが制御される全電力走査を含み得る。別の例では、ビームは、より広い放射拡散感度がより少ない受信利得で提供されるように広げられ得る。より少ない最大受信利得を有するより広い放射パターン感度を使用して、ビームのより広い放射拡散感度のため、走査の方位角及び仰角にわたってより迅速に最初に走査し得る。信号が最初に位置決めされると、後続の走査は、最初の広域ビーム走査によって識別されたものよりも、方位角及び仰角の範囲のより限定された範囲でより高い利得を有するより狭いビームを使用して実行され得る。
【0054】
1つ以上の衛星からの複数の信号の受信を、
図5に更に例解する。
図5は、(例えば、GPS受信機によって判定される)地球530上の既知の位置にある衛星アンテナ520を例解する。衛星アンテナ520は、方位角及び仰角の範囲にわたってビームを走査するように制御され得る。走査の過程中、信号514、516のRSSIが測定され得る。信号514、516は、既知の軌道位置にある少なくとも2つの異なる衛星510、512から受信され得る。
【0055】
前述の開示から理解され得るように、アンテナ520の配向を判定する場合、未知の変数は、衛星アンテナ520の方位角、仰角、及び回転を含む。これらの3つの未知数について、衛星アンテナ520の方位角、仰角、及び回転の3つの未知数を求めるために、方程式系が生成され得る。方程式系は、アンテナ520の配向を含む未知の角度に関連する3つの入力を使用して解かれ得る。したがって、地球上のアンテナ520の既知の位置は、第1の入力を表し得る。この点で、(例えば、衛星510、512の衛星軌道データを使用して)既知の軌道位置の衛星510、512からアンテナ520で受信された2つ以上の信号は、追加の少なくとも2つの入力を提供して、3つの未知数を求めることを可能にする判定された方程式系を作成し得る。したがって、少なくとも2つの信号514、516が受信され得る。一例では、信号514、516は、複数の衛星510、512の各々から受信されて、アンテナ520の設定された物理的配向を求めるために必要な2つの入力を方程式系に提供し得る。信号の各々の対応する入射方向は、(例えば、地球上の衛星アンテナ520の既知の位置及び衛星510、512の既知の軌道位置を考慮して、それぞれのビーコン信号の信号強度が走査中に最大であった場所に基づいて)判定され得る。信号514、516の入射方向は、判定された系を提供してアンテナ520の方位角、仰角、及び回転角を判定するために必要な残りの2つの入力を提供し得る。
【0056】
図5に例解されるように、2つの衛星510、512は、アンテナ520に対して異なる軌道位置にあり得る。アンテナ520に対する異なる軌道位置での2つの異なる衛星を使用することで、改善された精密度の幾何学的希釈(GDOP)値を提供し得る。しかしながら、衛星が異なる軌道位置にあって十分なGDOPを提供する異なる時間に同じ衛星からの2つ以上の信号を測定することが可能であり得る。更なる例では、衛星510、512は各々、GEOアーク内の既知の軌道位置にあるGEO衛星であり得る。別の例では、衛星510、512のうちの1つ又は両方は、非GEO衛星であり得る。非GEO衛星の場合、信号514、516が送信された時間の衛星軌道データは、信号514、516が受信されたときの非GEO衛星の正確な軌道位置を判定することを可能にするように、アンテナ520に利用可能であり得る。
【0057】
図4に戻って参照すると、解析動作412は、衛星アンテナの方位角、上昇角、及び回転角を解析することを含み得る。解析動作412は、衛星アンテナの方位角、仰角、及び回転角の3つの未知の変数を求めるための入力として信号が受信されるそれぞれの衛星の既知の軌道位置から、地球上のアンテナの位置及びアンテナで受信された信号のための2つの入射方向を利用する、上で記載される方程式系を構築及び/又は解くことを含み得る。
【0058】
解析動作412は、衛星アンテナの設定された物理的配向を1度未満の精度で判定し得る。例えば、解析動作412は、衛星アンテナの設定された物理的配向を、約0.5度、0.1度、又は0.01度以下の精度で判定し得る。この点で、衛星アンテナで受信された信号に基づく解析動作412によって達成される精度は、物理的測定によって達成され得る精度、又は取り付けブラケットに対する衛星アンテナの操縦を通じて衛星アンテナを照準するユーザによって達成され得る精度をはるかに超え得る。より正確な配向を判定すると、非標的衛星に対する回避角度が低減され得る。次に、干渉緩和動作の数は、正確な衛星アンテナの配向の判定を考慮して達成され得る回避角度の低減に基づいて、低減され得る。
【0059】
図6は、電子的に操縦可能な衛星アンテナでの干渉を軽減するための例示的な動作600を例解する。動作600は、衛星アンテナの設定された物理的配向を判定するための判定動作602を含む。判定動作602は、限定されないが、上記の
図4に関連して記載された動作400を含み得る。
【0060】
動作600はまた、アンテナについての放射パターン情報を取得する取得動作604を含み得る。放射パターン情報は、アンテナで受信され得るか、又はローカルに判定され得る。放射パターンに関する情報は、ビームパターン射出プロファイルを含み得る。例えば、フェーズドアレイアンテナについて、アンテナの放射パターンをモデル化するための既知の方程式を提供し得る。具体的には、アンテナのビームパターン射出プロファイルは、アンテナのボアサイト方向に対して利用可能な全ての走査角にわたってアンテナのビームが操縦される任意の方向に対してモデル化され得る。
【0061】
次に、動作600はまた、アンテナのための送信放射パターンが設定された物理的配向と関連付けられている(例えば、それに対して位置調節されている)関連付け動作606を含み得る。例えば、ビームパターン射出プロファイルは、アンテナのビーム方向に対して様々な大きさの放射ベクトルとして特徴付けられ得る。配向が、地球に対するグローバル座標系におけるアンテナのボアサイト方向を特徴付けることができるように、関連付け動作606は、放射パターンが、アンテナのビームの任意の利用可能な走査角に対して地球に関して記述又は表現され得るように、放射パターンをグローバル座標系に変換することを含み得る。
【0062】
次に、動作600は、アンテナの送信放射パターンを記述する放射送信ベクトルが分析されて任意の潜在的な干渉事象を識別する分析動作608を含み得る。潜在的な干渉事象は、放射パターンの主ビーム及び/又は軸外射出の1つ以上のサイドローブに関して判定され得る。分析動作608は、(例えば、スケジューラ330から)非標的衛星及び標的衛星のための衛星軌道データを摂取することを含み得る。アンテナに対するGEOアークの相対的な位置が判定され、それに対する回避角度が確立され得る。追加的又は代替的に、回避角度は、1つ以上の非GEO非標的衛星に対して確立され得る。いずれにしても、放射射出が閾値以下に維持されなければならない回避角度が判定され得る。
【0063】
識別動作610は、アンテナからの放射射出が回避角度で閾値に達する干渉事象が判定された場合に発生し得る。識別動作610は、分析動作608中に受信された衛星軌道データを考慮して実施され得る。更に、識別動作610に関連して、衛星軌道データはまた、干渉緩和のための選択肢を判定するために分析され得る。例えば、干渉事象を識別することに関連して、新しい標的衛星が衛星アンテナを視野に入れているかどうか、及び衛星アンテナを新しい標的衛星に標的を変えることが干渉を軽減するかどうかも判定され得る。非GEOユーザ端末では、衛星アンテナに標的を変えることは、標的衛星が衛星アンテナから視界外に移行することを考慮すると定期的に発生し得ることが理解され得る。したがって、干渉事象を識別することに応答して、新しい標的衛星に標的を変えることは、スケジュール外の移行を含み得る。スケジュール外移行は、干渉事象を軽減するためにスケジュールよりも早く実行され得る計画された移行に対応し得る。代替的に、識別動作610は、干渉事象を識別することに応答して、衛星アンテナによって標的とするために事前にスケジュールされていなかった新しい標的衛星を識別することを含み得る。
【0064】
識別動作610は、アンテナ及び/又はユーザ端末でローカルに実行され得るか、又は遠隔で実行され得る。例えば、スケジューラモジュールは、アンテナに配置され得、定期的に衛星軌道データが取り込まれて、それにより更新され得る。したがって、ユーザ端末は、干渉事象を軽減する任意の標的変更を含む標的衛星のスケジュールを自律的に判定して、そのようなスケジュールを標的衛星と直接調整して、衛星アンテナと少なくとも1つの標的衛星との間の継続的な通信を維持し得る。代替的に、そのようなスケジューリングは、ユーザ端末からリモートで実行され得、スケジュールは、実行のためにユーザ端末に通信され得る。注目すべきことに、識別動作610は、干渉事象の実際の発生の前に、標的衛星及び非標的衛星の予測衛星軌道データに基づいて、任意のそのような干渉事象を予め識別し得る。
【0065】
更に、干渉事象は、識別動作610において、上述したように、衛星アンテナの主ビーム又は軸外射出に関連するものとして識別され得る。
図7を更に参照すると、例示的なシナリオ700が示される。
図7において、衛星アンテナ720は、送信放射パターン730の主ビーム722を、標的衛星710の方向に主ビーム軸724に沿って操縦している。注目すべきことに、主ビーム軸724は、GEOアーク又は非標的衛星のいずれかに関して任意の回避角度の外側にあり得る。しかしながら、放射パターン730はまた、サイドローブ726a及び726bを含む軸外射出を有し得る。理解され得るように、サイドローブ726bは、いかなる非標的衛星にも干渉していない場合がある。しかしながら、サイドローブ726aは、サイドローブ軸728aに沿って延在し得る。理解され得るように、サイドローブ軸728aは、非標的衛星712に対して回避角度にあり得る。更に、サイドローブ726aの放射射出の大きさは、非標的衛星712への干渉に対する閾値に達し得る。したがって、
図7では、干渉事象は、サイドローブ726aに関連して識別され得る。次に、アンテナ720の放射パターン730及び/又は他の送信特性は、サイドローブ726aと非標的衛星712との間の潜在的な干渉を軽減するために、以下に記載するように修正され得る。
【0066】
図6を参照すると、識別動作610に応答して、衛星アンテナからの送信が修正される修正動作612が実行され得る。修正動作612は、干渉事象が回避され得るように、新しい標的衛星に標的を変更することを含み得る。代替的な標的衛星に関するそのような情報は、スケジューラ330などによって提供され得る。追加的に又は代替的に、衛星アンテナの放射パターンのビーム形状は、干渉を回避するように修正され得る。これは、非標的衛星との回避角度内に向けられた任意の放射を閾値レベル未満に低減するように、放射パターン形状及び/又は電力を修正することを含み得る。
【0067】
図8は、上で記載される例に対応する、アンテナコントローラ850及び/又は配向判定モジュール852を含む開示される技術の態様を実施するのに好適なコンピューティングデバイス800の例示的な概略図を例解する。コンピューティングデバイス800は、1つ以上のプロセッサユニット802、メモリ804、ディスプレイ806、及び他のインターフェース808(例えば、ボタン)を含む。メモリ804は、一般に、揮発性メモリ(例えば、RAM)と不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)の両方を含む。Microsoft Windows(登録商標)オペレーティングシステム、Apple macOSオペレーティングシステム、又はLinuxオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステム810は、メモリ804に常駐し、プロセッサユニット(複数可)802によって実行されるが、他のオペレーティングシステムも採用され得ることを理解されたい。
【0068】
1つ以上のアプリケーション812は、メモリ804にロードされ、プロセッサユニット802によってオペレーティングシステム810上で実行される。アプリケーション812は、マイクロフォン834、入力アクセサリ835(例えば、キーパッド、マウス、スタイラス、タッチパッド、ジョイスティック、機器搭載入力など)などの様々な入力ローカルデバイスから入力を受信し得る。更に、アプリケーション812は、ネットワーク接続(例えば、携帯電話ネットワーク、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標))を提供するために、より多くの通信トランシーバ830及びアンテナ838を使用して、有線又は無線ネットワークを介してそのようなデバイスと通信することによって、遠隔に位置するスマートデバイスなどの1つ以上のリモートデバイスから入力を受信し得る。コンピューティングデバイス800はまた、測位システム(例えば、グローバル測位衛星トランシーバ)、1つ以上の加速度計、1つ以上のカメラ、オーディオインタフェース(例えば、マイクロフォン834、オーディオアンプ及びスピーカ及び/又はオーディオジャック)、並びに記憶デバイス828などの様々な他の構成要素を含み得る。他の構成もまた、採用され得る。
【0069】
コンピューティングデバイス800は、1つ以上のバッテリ又は他の電源によって電力を供給され、コンピューティングデバイス800の他の構成要素に電力を提供する電源816を更に含む。電源816はまた、内蔵バッテリ又は他の電源をオーバーライド又は再充電する外部電源(図示せず)に接続され得る。
【0070】
例示的な実装態様では、コンピューティングデバイス800は、メモリ804及び/又は記憶デバイス828に記憶され、プロセッサユニット(複数可)802によって処理される命令によって具現化されたハードウェア及び/又はソフトウェアを備える。メモリ804は、ホストデバイスのメモリであっても、ホストに結合するアクセサリのメモリであり得る。追加的に又は代替的に、コンピューティングデバイス800は、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は本明細書に記載される機能を提供することが可能な他のハードウェア/ソフトウェア/ファームウェアを備え得る。
【0071】
コンピューティングデバイス800は、様々な有形のプロセッサ可読記憶媒体及び無形のプロセッサ可読通信信号を含み得る。有形のプロセッサ可読記憶装置は、コンピューティングデバイス800によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体によって具現化することができ、揮発性及び不揮発性記憶媒体、取り外し可能及び取り外し不可能な記憶媒体の両方を含む。有形のプロセッサ可読記憶媒体は、無形の通信信号を除き、プロセッサ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術で実装された揮発性及び不揮発性の取り外し可能及び取り外し不可能な記憶媒体を含む。有形プロセッサ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CDROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶又は他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、かつコンピューティングデバイス800によってアクセスすることができる任意の他の有形媒体を含むが、これらに限定されない。有形のプロセッサ可読記憶媒体とは対照的に、無形のプロセッサ可読通信信号は、搬送波又は他の信号輸送機構などの変調されたデータ信号に存在する、プロセッサ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータを具現化し得る。「変調されたデータ信号」という用語は、信号内の情報を符号化するような様式で設定又は変更されたその特性のうちの1つ以上を有する無形の通信信号を意味する。限定ではなく、例として、無形の通信信号は、有線ネットワーク又は直接有線接続などの有線媒体、並びに音響、RF、赤外線、及び他の無線媒体などの無線媒体を通過する信号を含む。
【0072】
いくつかの実装態様は、製造物品を含み得る。製造物品は、ロジックを格納する有形の記憶媒体を備え得る。記憶媒体の例としては、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリ、取り外し可能若しくは取り外し不可能メモリ、消去可能若しくは消去不可能メモリ、書き込み可能若しくは再書き込み可能メモリなどを含む、電子データを記憶することができる1つ以上のタイプのプロセッサ可読記憶媒体を挙げることができる。ロジックの例としては、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、動作セグメント、方法、手順、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、単語、値、記号、又はこれらの任意の組み合わせなどの様々なソフトウェア要素を挙げることができる。一実装態様では、例えば、製造物品は、コンピュータによって実行される場合に、記載される実装態様に従ってコンピュータに方法及び/又は動作を実行させる実行可能なコンピュータプログラム命令を記憶し得る。実行可能コンピュータプログラム命令は、ソースコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード等のような任意の好適なタイプのコードを含み得る。実行可能コンピュータプログラム命令は、特定の動作セグメントを実行するようにコンピュータに指示するために、所定のコンピュータ言語、様式、又は構文に従って実装され得る。命令は、任意の好適な高レベル、低レベル、オブジェクト指向、ビジュアル、コンパイル及び/又は解釈されるプログラミング言語を使用して実装され得る。
【0073】
本開示の1つの一般的な態様は、衛星通信システムで使用するための電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を判定するための方法を含む。方法は、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置を判定することを含む。方法はまた、少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星から複数の信号を受信することを含む。方法は、電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを電子的に操縦して、電子的に操縦可能な衛星アンテナへのボアサイト方向に対する複数の信号の各々の入射方向を判定することを含む。次に、方法は、電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置及び衛星からの各信号の入射方向に基づいて、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を計算することを含む。複数の信号が受信される衛星は、地球に対して既知の軌道位置にある。設定された物理的配向は、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの方位角、仰角、及びボアサイト方向の回転を含む。
【0074】
実装態様は、以下の機能の1つ以上を含み得る。例えば、方法はまた、電子的に操縦可能な衛星アンテナのためのビームパターン射出プロファイルを判定することと、ビームパターン射出プロファイルを電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向に関連付けることと、を含み得る。一例では、ビームパターン射出プロファイルは、非対称である。
【0075】
一例では、この方法は、電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを操縦して、電子的に操縦可能な衛星アンテナと標的衛星との間の信号を通信することと、設定された物理的配向にある電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームパターン射出プロファイルに基づいて干渉事象を検出することと、を含む。干渉事象は、非標的衛星に関して所定のレベルに達する電子的に操縦可能な衛星アンテナからの射出を含み得る。一例では、干渉事象は、ビームパターン射出プロファイルの主ビーム射出とは別に、サイドローブ射出に基づき得る。
【0076】
方法は、干渉事象に応答して、電子的に操縦可能な衛星アンテナの送信を修正することを含み得る。一例では、干渉事象は、非標的衛星の地球同期軌道に関するものであり得る。追加的に又は代替的に、干渉事象は、低地球軌道上の非標的衛星に関するものであり得る。
【0077】
一例では、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、フェーズドアレイ衛星アンテナであり得る。電子的に操縦可能な衛星アンテナのボアサイト方向に対する複数の信号の各々の入射方向を判定することは、電子的に衛星アンテナのビームを電子的に操縦して、方位角の範囲及び仰角の範囲にわたって走査することを含み得る。複数の信号の各々の入射方向は、方位角の範囲及び仰角の範囲に対する信号の信号強度指標に基づいて判定され得る。
【0078】
一例では、2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、地球同期衛星を含む。一例では、2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、低地球軌道衛星であり得る。したがって、地球に対する既知の軌道位置は、低地球軌道衛星からの信号の受信に対応する時間基準における低地球軌道衛星の衛星軌道データに基づき得る。
【0079】
一例では、設定された物理的配向を計算することは、方位角、仰角、及び回転を約1度以下の誤差内で解析することを含み得る。
【0080】
本開示の別の一般的な態様は、衛星通信システムで使用するための電子的に操縦可能な衛星アンテナの配向を判定するように動作するシステムを含む。システムは、電子的に操縦可能な衛星アンテナを含む。電子的に操縦可能な衛星アンテナは、電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを電子的に操縦して、少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星から複数の信号を受信する。システムはまた、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置を判定する位置モジュールを含む。システムは、地球に対する既知の軌道位置を考慮して、電子的に操縦可能な衛星アンテナのボアサイト方向に対する複数の信号の各々の入射方向を判定する配向計算モジュールを更に含む。配向計算モジュールは、電子的に操縦可能な衛星アンテナの位置及び複数の信号の各々の入射方向に基づいて、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向を更に計算する。設定された物理的配向は、地球に対する電子的に操縦可能な衛星アンテナの方位角、仰角、及びボアサイト方向の回転を含む。
【0081】
実装態様は、以下の機能のうちの1つ以上を含み得る。例えば、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、ビームパターン射出プロファイルを有し得る。次に、配向計算モジュールは、ビームパターン射出プロファイルを、電子的に操縦可能な衛星アンテナの設定された物理的配向に関連付けることができる。一例では、ビームパターン射出プロファイルは、非対称であり得る。
【0082】
一例では、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを操縦して、電子的に操縦可能な衛星アンテナと標的衛星との間で信号を通信し得る。システムは、設定された物理的配向にある電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームパターン射出プロファイルに基づいて干渉事象を検出するスケジューラを含み得る。干渉事象は、非標的衛星に関して所定のレベルに達する電子的に操縦可能な衛星アンテナからの射出を含み得る。一例では、干渉事象は、ビームパターン射出プロファイルの主ビーム射出とは別に、サイドローブ射出に基づき得る。電子的に操縦可能な衛星アンテナは、干渉事象に応答して、かつ干渉事象の前に、送信を修正し得る。
【0083】
一例では、干渉事象は、地球同期軌道上の非標的衛星に関し得る。追加的に又は代替的に、干渉事象は、低地球軌道上の非標的衛星に関し得る。
【0084】
一実施形態では、電子的に操縦可能な衛星アンテナは、フェーズドアレイアンテナであり得る。配向計算モジュールは、電子的に操縦可能なアンテナのボアサイト方向に対する複数の信号の各々の入射方向を、電子的に操縦可能な衛星アンテナのビームを電子的に操縦して、方位角の範囲及び仰角の範囲にわたって走査して入射方向を識別することによって判定し得る。複数の信号の各々の入射方向は、方位角の範囲及び仰角の範囲に対する複数の信号の信号強度指標に基づいて判定され得る。
【0085】
一例では、2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、地球同期衛星を含む。追加的に又は代替的に、2つの異なるそれぞれの衛星のうちの少なくとも1つは、低地球軌道衛星であり得、地球に対する既知の軌道位置は、低地球軌道衛星からの信号の受信に対応する時間基準での低地球軌道衛星の衛星軌道データに基づいている。
【0086】
一例では、配向計算モジュールは、方位角、仰角、及び回転を約1度以下の誤差内で解析し得る。
【0087】
本明細書に記載される実装態様は、1つ以上のコンピュータシステムにおける論理ステップとして実装される。論理演算は、(1)1つ以上のコンピュータシステム内で実行されるプロセッサ実装ステップのシーケンスとして、及び(2)1つ以上のコンピュータシステム内の相互接続されたマシン又は回路モジュールとして実装され得る。実装態様は、利用されているコンピュータシステムの性能要件に依存して、選択の問題である。したがって、本明細書に記載される実装態様を構成する論理演算は、演算、ステップ、オブジェクト、又はモジュールと様々に称される。更に、論理演算は、別途明示的に特許請求されない限り、又は特定の順序が特許請求の範囲の言語によって本質的に必要とされる場合を除き、任意の順序で実行され得ることを理解されたい。
【0088】
本発明は、図面及び前述の記載で詳細に例解及び記載されているが、そのような例解及び記載は、例示的であり、特徴的に限定的ではないとみなされるべきである。例えば、上で記載されたある特定の実施形態は、他の記載された実施形態と組み合わせることができ、及び/又は他の方式で配置され得る(例えば、プロセス要素は、他のシーケンスで実行され得る)。したがって、好ましい実施形態及びその変形例のみが示され、記載されており、本発明の趣旨に含まれる全ての変更及び修正が保護されることが所望されることを理解されたい。
【0089】
本開示の目的のために、別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、サイズ、寸法、割合、形状、配合、パラメータ、パーセンテージ、量、特性、及び他の数値を表す全ての数は、「約」という用語が値、量、又は範囲で明示的に表示されない場合があるにもかかわらず、全ての例で「約」という用語によって修正されるものと理解されるべきである。したがって、それとは反対に示されない限り、本明細書に示される数値パラメータは正確ではなく、正確である必要はなく、所望に応じて、近似し得る及び/又はより大きく若しくはより小さくあり得、本開示の主題によって得ようとする所望の特性に応じて、許容誤差、変換係数、丸め、測定誤差など、及び当業者に既知の他の要因を反映する。例えば、値を指すとき、「約」という用語は、いくつかの例では+/-100%、いくつかの例では+/-50%、いくつかの例では+/-20%、いくつかの例では+/-10%、いくつかの例では+/-5%、いくつかの例では+/-1%、いくつかの例では+/-0.5%、及びいくつかの例では+/-0.1%の指定された量からの変動が、開示される方法を実行するために適切である際、このような変動を包含することを意味することができる。
【0090】
更に、「約」という用語は、1つ以上の数値又は数値範囲に関連して使用されるとき、範囲内の全ての数値を含む全てのそのような数値を指すと理解されるべきであり、記載された数値の上方及び下方の境界を拡張することによって、その範囲を修正する端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に含まれる全ての数、例えば、その分数を含む全整数(例えば、1~5の列挙は、1、2、3、4、及び5、並びにその分数、例えば、1.5、2.25、3.75、4.1などを含む)、及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星通信システムにおける使用のための電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の設定された物理的配向を判定するための方法であって、前記方法は、
地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の位置を判定することと、
少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星
(510)、(512)の各々から信号
(514)、(516)を受信することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)のビームを電子的に操縦
することによって、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)のボアサイト方向
(240)に対する
各前記信号
(514)、(516)の入射方向を判定することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の前記位置、及び前記衛星
(510)、(512)からの前記信号
(514)、(516)の各々の前記入射方向に基づいて、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の設定された物理的配向を計算することであって、前記信号
(514)、(516)が受信される前記衛星
(510)、(512)は、前記地球に対する既知の軌道位置にあり、前記設定された物理的配向は、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の方位角
(234)、仰角
(232)、及び前記ボアサイト方向
(240)の回転を含む、計算することと、を
含み、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記ボアサイト方向(240)に対する前記信号(516)(514)の各々の前記入射方向を判定することは、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記ビームを電子的に操縦して、方位角の範囲及び仰角の範囲にわたって走査することを含む、方法。
【請求項2】
電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)と非標的衛星(112)との間の干渉を軽減するための方法であって、前記方法は、
地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の位置を判定することと、
少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星(510)、(512)の各々から信号(514)、(516)を受信することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のビームを電子的に操縦することによって、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のボアサイト方向(240)に対する前記信号(514)、(516)の各々の入射方向を判定することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記位置、及び前記衛星(510)、(512)からの前記信号(514)、(516)の各々の前記入射方向に基づいて、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の設定された物理的配向を計算することであって、前記信号(514)、(516)が受信される前記衛星(510)、(512)は、前記地球に対する既知の軌道位置にあり、前記設定された物理的配向は、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の方位角(234)、仰角(232)、及び前記ボアサイト方向(240)の回転を含む、計算することと、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のビームパターン射出プロファイルを判定することと、
前記ビームパターン射出プロファイルを、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の前記設定された物理的配向に関連付けることと、
前記設定された物理的配向の前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記ビームパターン射出プロファイルに基づいて干渉事象を検出することであって、前記干渉事象は、非標的衛星(112)に対して所定のレベルに達する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)からの射出を含む、検出することと、
前記干渉事象に応答して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の送信を修正することと、を含む、方法。
【請求項3】
前記ビームパターン射出プロファイルは、非対称である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の前記ビームを操縦して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)と標的衛星
(110)との間で信号を通信することを更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記干渉事象は、前記ビームパターン射出プロファイルの主ビーム
(722)射出とは別に、サイドローブ
(726a)射出に基づいている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉事象
は、非標的衛星(712)の地球同期軌道に関する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記干渉事象は、
低地球軌道上の非標的衛星
(712)に関する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記
電子的に
操縦可能な衛星
アンテナ(120)は、フェイズドアレイ衛星アンテナ(220)を含む、請求項
1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記
信号(514)、(516)の各々の前記入射方向は、
前記方位角の範囲及び前記仰角の範囲に対する前記信号の信号強度指標に基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記
2つの異なるそれぞれの衛星
(510)、(512)の
うちの
少なくとも1つは、地球同期衛星を含む、請求項1
~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記2つの異なるそれぞれの衛星
(510)、(512)のうちの少なくとも1つは、低地球軌道衛星を含み、前記地球に対する前記既知の軌道位置は、前記低地球軌道衛星からの信号の受信に対応する時間基準での前記低地球軌道衛星の衛星軌道データに基づいている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記設定された物理的配向を前記計算することは、前記方位角(234)、前記仰角(232)、及び前記回転を約1度以下の誤差内で解析することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
衛星通信システムにおける使用のための電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の配向を判定するように動作するシステムであって、
電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)であって、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のビームを電子的に操縦して、少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星(510)、(512)の各々から信号(514)、(516)を受信する、電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)と、
地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の位置を判定するための位置モジュール(314)と、
前記衛星(510)、(512)の地球に対する既知の軌道位置を考慮して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のボアサイト方向(240)に対する前記信号(514)、(516)の各々の入射方向を判定し、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記位置及び前記信号(514)、(516)の各々の前記入射方向に基づいて、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の設定された物理的配向を計算するための配向計算モジュール(312)であって、前記設定された物理的配向は、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の方位角(234)、仰角(232)、及び前記ボアサイト方向(240)の回転を含む、配向計算モジュール(312)と、を備え、
前記配向計算モジュール(312)は、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記ビームを電子的に操縦して、方位角の範囲及び仰角の範囲にわたって走査して前記入射方向を識別することによって、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記ボアサイト方向(240)に対する前記信号(514)、(516)の各々の前記入射方向を判定する、システム。
【請求項14】
電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)と非標的衛星(112)との間の干渉を軽減するように動作するシステムであって、
電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)であって、前記
電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のビームを電子的に操縦して、少なくとも2つの異なるそれぞれの衛星(510)、(512)の各々から信号(514)、(516)を受信する、電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)と、
地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の位置を判定するための位置モジュール(314)と、
前記衛星(510)、(512)の地球に対する既知の軌道位置を考慮して、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)のボアサイト方向(240)に対する前記信号(514)、(516)の各々の入射方向を判定し、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記位置及び前記信号(514)、(516)の各々の前記入射方向に基づいて、前記地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の設定された物理的配向を計算する
ための配向計算モジュール(312)であって、前記設定された物理的配向は、前記
地球に対する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の方位角
(234)、仰角
(232)、及び前記
ボアサイト方向(240)の回転を含み、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)は、ビームパターン射出プロファイルを含み、前記配向計算モジュール(312)は、前記ビームパターン射出プロファイルを、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)の前記設定された物理的配向に関連付ける、配向計算モジュール(312)と、
前記設定された物理的配向における前記電子的に操縦可能衛星アンテナ(120)の前記ビームパターン射出プロファイルに基づいて干渉事象を検出するスケジューラ(330)であって、前記干渉事象は、前記非標的衛星(112)に対して所定のレベルに達する前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)からの射出を含み、
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ(120)は、前記干渉事象に応答して送信を修正する、スケジューラ(330)と、を備える、システム。
【請求項15】
前記
ビームパターン射出プロファイルは
非対称である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)は、前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)の前記
ビームを操縦して、前記電子的に
操縦可能な衛星アンテナ(120)と標的衛星(110)との間の信号を通信する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記
干渉事象は、前記ビームパターン射出プロファイル
の主ビーム(722)射出とは別に、サイドローブ(726a)射出に基づいている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記干渉事象は、
地球同期軌道内の非標的衛星(712)に関する、請求項16
又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記干渉事象は、
低地球軌道上の非標的衛星(712)に関する、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項20】
前記電子的に操縦可能な衛星アンテナ
(120)は、
フェーズドアレイアンテナ(220)を
含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記
信号(514)、(516)の各々の前記入射方向は、
前記方位角の範囲及び前記仰角の範囲に
対する前記信号(514)、(516)の信号強度指標に基づいて判定される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項22】
前記
2つの異なるそれぞれの衛星(510)、(512)のうちの少なくとも1つは、地球同期衛星を含む、請求項13~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記
2つの異なるそれぞれの衛星
(510)、(512)のうちの少なくとも1つは、
低地球軌道衛星を
含み、前記地球に対する前記既知の軌道位置は、前記低地球軌道衛星からの信号の受信に対応する基準時点での前記低地球軌道衛星の衛星軌道データに基づいている、請求項
13~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記配向計算モジュール
(312)は、前記方位角
(234)、前記仰角
(232)、及び前記回転を約1度以下の誤差内で解析する、請求項
13~23のいずれか一項に記載のシステム。
【国際調査報告】