(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電極アレイ、ならびにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20240321BHJP
A61N 1/40 20060101ALN20240321BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023555816
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 IB2022052182
(87)【国際公開番号】W WO2022190043
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】スタス・オブチョフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ナタリヤ・クプレニク
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB04
4C053BB26
4C053LL12
(57)【要約】
方法について説明する。方法は、支持層の第1の側上の標的位置の第1の所定のパターンで支持層上に第1の導電性ゲルを分配し、複数の第1の導電性ゲル層を形成するステップを含む。支持層は、支持層の第1の側および第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料である。第2の導電性ゲルは、標的位置の第2の所定のパターンで支持層の第2の側上に分配されて複数の第2の導電性ゲル層を形成し、第2の導電性ゲル層の各々は、対応する第1の導電性ゲル層と重なり合い導電性ゲル要素を形成する。次いで、第1の導電性ゲルおよび第2の導電性ゲルを硬化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層の第1の側上の標的位置の第1の所定のパターンで前記支持層上に第1の導電性ゲルを分配し、複数の第1の導電性ゲル層を形成するステップであって、前記支持層は、前記支持層の前記第1の側および第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料である、ステップと、
標的位置の第2の所定のパターンで前記支持層の前記第2の側上に第2の導電性ゲルを分配して複数の第2の導電性ゲル層を形成するステップであって、前記第2の導電性ゲル層の各々は、対応する第1の導電性ゲル層と重なり合い導電性ゲル要素を形成する、ステップと、
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルを硬化させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記導電性ゲルは、複数の所定の標的位置で前記支持層上に分配される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の被絶縁ゲル領域を、複数の被絶縁導電性領域を形成する複数の電極要素に接続するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的位置それぞれは、前記電極要素の被絶縁導電性誘電体領域に対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電極要素は、誘電体材料で構築された電極支持層を含み、第1の被絶縁ゲル領域を前記電極支持層に接続するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的位置それぞれは、所定の距離だけ離間され、隣接する前記標的位置から隔離される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記標的位置それぞれは、モールドを使用して隣接する前記標的位置から隔離される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルは、異なる導電性ゲルで構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルは、同じ導電性ゲルで構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記支持層は、非導電性材料で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記支持層は、不織布メッシュで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
トランスデューサアレイを形成する方法であって、
TTFieldとして電気信号を発生する発生器から電気信号を受信するように構成された複数の電極要素を有する電極層を設けるステップであって、前記電極要素は、電気的に絶縁されている、ステップと、
支持層の第1の側を前記電極要素に接続するステップと、
前記支持層の第2の側上に導電性ゲル要素を形成するステップであって、前記導電性ゲル要素は、複数の被絶縁ゲル領域を有し、前記被絶縁ゲル領域の少なくともいくつかは、対応する前記電極要素と整列される、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記支持層の第1の側を前記電極要素に接続するステップは、
フレキシブル回路上に前記電極要素を設けるステップと、接合材料を使用して前記支持層の前記第1の側を前記フレキシブル回路の少なくとも一部に接合するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接合材料は、接着剤および粘着剤からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記支持層は、前記第1の側および前記第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料であり、前記支持層の前記第1の側を前記電極要素に接続し、前記支持層の前記第2の側上に前記導電性ゲル要素を形成する前記ステップは、前記導電性ゲル要素が前記空隙を通過し、前記支持層を前記電極要素に接合することによって同時に達成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
トップコート層と、
第1のパターンで前記トップコート層に接続された複数の電極要素であって、前記電極要素は、TTFieldとして電気信号を発生する発生器から電気信号を受信するように構成され、複数の前記電極要素は、複数の別個の導電性領域を形成する、複数の電極要素と、
前記トップコート層とは別個であり、前記導電性領域のうちの少なくとも2つの間に延びる支持層と、
前記第1のパターンに対応する第2のパターンを有する複数の被絶縁導電性ゲル要素であって、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第1の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第1の電極要素と整列され、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第2の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第2の電極要素と整列され、前記第1の被絶縁導電性ゲル要素および前記第1の電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つであり、前記第2の被絶縁導電性ゲル要素および前記第2の前記電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つである、複数の被絶縁導電性ゲル要素と
を備える、トランスデューサアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および参照による援用
本特許出願は、2021年3月12日に出願された「Hydrogel-Electrode Assemblies and Methods of Production and Use thereof」と題する米国特許出願第63/160,174号明細書、2021年3月31日に出願された「Electrode Array and Methods of Production and Use thereof」と題する米国特許出願第63/168,689号明細書、および2021年8月6日出願された「Electrode Array and Methods of Production and Use thereof」と題する米国特許出願第63/230,310号明細書によって識別される仮特許出願の優先権を主張し、上記の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腫瘍処理場(TTFieldまたはTTF)は、有糸分裂を破壊することによって固形腫瘍を標的とする中間周波数範囲(100kHz~500kHz)内の低強度(例えば、1V/cm~3V/cm)交流電場である。この非侵襲的処置は、固形腫瘍を標的とし、例えば、特許文献1~9に記載されており、上記の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
TTFieldは、典型的には、処置された腫瘍内に垂直フィールドを生成する2対のトランスデューサアレイを介して送達される。これらの対の各々を構成するトランスデューサアレイは、処置されている身体部分の両側に位置決めされる。例えば、OPTUNE(登録商標)システム(Novocure Limited製、ニュージャージー州セントへリアに主たる営業所を有する)を使用する場合、トランスデューサアレイの少なくとも1対の電極は、腫瘍の左右(LR)に位置し、少なくとも1対の電極は、腫瘍の前後(AP)に位置する。
【0004】
OPTUNE(登録商標)システムでTTFieldの送達に使用される各トランスデューサアレイは、患者の皮膚に結合された少なくとも1組の非導電性セラミックディスク電極を備える。例えば、OPTUNE(登録商標)システムは、非導電性セラミックディスク電極が導電性医療用ゲルの層を介して患者の皮膚に結合された状態で、患者の剃毛された頭部(例えば、神経膠芽腫の処置、以下「GBM」)にトランスデューサアレイを位置決めすることができる。
【0005】
セラミックディスク電極を形成するために、導電層が非導電性セラミック材料の上面に形成される。非導電性セラミック材料の底面は、導電性医療用ゲルに結合される。非導電性セラミック材料は、直流信号が意図せずに患者に伝達されるのを確実に阻止するための安全機能である。導電層と導電性医療用ゲルとの間に非導電性セラミック材料を介在させることによって、従来技術のシステムは、患者が保護されたままであることを確実にすると考えられていた。医療用ゲルは、身体の輪郭に一致するように変形し、アレイと皮膚との間の電気的接触を提供することができる。したがって、医療用ゲル界面は皮膚を架橋し、干渉を低減する。デバイスは、衛生管理および(必要に応じて)再剃毛のために取り外され、続いて新しいアレイセットで再適用される前に、患者によって2日間~4日間連続的に着用されることを意図している。したがって、医療用ゲルは、一度に2~4日の期間にわたって、患者の皮膚のエリアと実質的に連続的に接触したままである。さらに、より多くの医療用ゲルが塗布される前に、皮膚のエリアが覆われておらず環境に曝されている時間が短期間だけ存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,016,725号明細書
【特許文献2】米国特許第第7,089,054号明細書
【特許文献3】米国特許第第7,333,852号明細書
【特許文献4】米国特許第第7,565,205号明細書
【特許文献5】米国特許第第8,244,345号明細書
【特許文献6】米国特許第第8,715,203号明細書
【特許文献7】米国特許第第8,764,675号明細書
【特許文献8】米国特許第第10,188,851号明細書
【特許文献9】米国特許第第10,441,776号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、医療用ゲルは手作業で電極要素に塗布され、これは労働集約的で面倒であり、かつ高価な手順である。さらに、医療用ゲルは、患者の側方に移動する傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、医療用ゲルの側方の動きを低減するために、製造を高速化し、医療用ゲルを電極アレイに固定する新しい改善されたアレイアセンブリ、およびアレイアセンブリを作製する方法が望ましい。本開示は、そのようなアセンブリ、およびアセンブリを製造および使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】生体組織に適用される電極の概略図の例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】TTFieldを生成するように構成された電子デバイスの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3A】電極要素の第1のレイアウトを有するトランスデューサアレイの一実施形態の分解図である。
【
図3B】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用されるフレキシブル回路の平面図である。
【
図3C】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される電極要素の平面図である。
【
図3D】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される補強材の平面図である。
【
図3E】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される導電性ヒドロゲルディスクの平面図である。
【
図3F】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用されるヒドロゲルバリアの平面図である。
【
図3G】患者の皮膚によって「見られる」ヒドロゲルディスクおよびヒドロゲルバリアの図である。
【
図3H】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される皮膚面接着層の平面図である。
【
図3I】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される支持層の平面図である。
【
図3J】患者の皮膚によって「見られる」最上層に接続された
図3Jの支持層の平面図である。
【
図3K】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される発泡体層の平面図である。
【
図3L】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される上部被覆裏面接着性層(top, covering adhesive-backed layer)の平面図である。
【
図3M】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用されるスロットカバーの平面図である。
【
図3N】
図3Aに示されるトランスデューサアレイを患者に適用した場合の外観を示す平面図である。
【
図3O】
図3Aに示されるトランスデューサアレイで使用される剥離ライナの平面図である。
【
図3P】ヒドロゲル材料でフレキシブル回路に接着された支持層の平面図である。
【
図4】本開示による支持層の両側に導電性ゲル層を有する導電性ゲルアセンブリの分解側面図である。
【
図5A】本開示による導電性ゲット層を形成する例示的な方法のフローチャートである。
【
図5B】本開示に従って構築された例示的なトランスデューサアレイの部分概略図である。
【
図5C】複数の電極要素のインライン加工にモールドを使用した場合の上面図である。
【
図5D】本開示に従って構築された別の例示的なトランスデューサアレイの部分概略図である。
【
図6】本開示による電子装置を使用する例示的な方法のフローチャートである。
【
図7A】本開示に従って構築された別の例示的なトランスデューサアレイの部分概略図である。
【
図7B】導電性プレートおよび誘電体材料が設けられた電極要素の側面図である。
【
図8A】本開示に従って構築されたトランスデューサアレイの別の実施形態の部分概略図である。
【
図8B】テクスチャ加工表面を有する導電層が設けられた電極要素の別の実施形態の側面図である。
【
図9】本開示に従って構築されたゲル塗布システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図10】本開示による少なくとも1つの腫瘍処理場電極を作製するためのプロセスを示す図である。
【
図11】本開示によるトランスデューサアレイを作製するためのプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な文言および結果によって詳細に本発明の概念の少なくとも1つの実施形態を説明する前に、本発明の概念は、その適用において、以下の説明に記載される構成要素の構築および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明の概念は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実行されることが可能である。したがって、本明細書で使用される文言は、可能な限り最も広い範囲および意味が与えられることを意図しており、実施形態は、例示的であることを意味しており、網羅的ではない。また、本明細書で用いられる表現法および専門用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0011】
本明細書で別段定義されない限り、現在開示されている本発明の概念に関連して使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0012】
本開示に従って利用される場合、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0013】
特許請求の範囲および/または明細書において「備える」という用語と組み合わせて使用される場合の「a」または「an」という用語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1以上」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」の意味とも一致する。したがって、「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、1以上の化合物、2つ以上の化合物、3つ以上の化合物、4つ以上の化合物、またはそれを超える数の化合物を指し得る。「複数」という用語は、「2つ以上」を指す。
【0014】
「少なくとも1つ」という用語の使用は、1つ、ならびに限定はしないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含む任意の2つ以上の量を含むと理解される。加えて、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」という用語の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX、Y、およびZの任意の組み合わせを含むと理解される。序数の専門用語(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)の使用は、2つ以上の項目を区別することのみを目的としており、例えば、ある項目の別の項目に対する順番、順序、もしくは重要性または追加の順序を意味するものではない。
【0015】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すことが明示的に示されていない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、包括的な「および/または」を意味するために使用される。例えば、条件「AまたはB」は、Aが真(または存在する)でありBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でありBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)のいずれかによって満たされる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「一実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一例」、「例えば」、または「例」への任意の言及は、実施形態に関連して説明される特定の要素、特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「いくつかの実施形態では」または「一例」という語句の出現は、例えば、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、1以上の実施形態または例へのすべての言及は、特許請求の範囲に対する非限定的なものとして解釈されるべきである。
【0017】
本出願を通して、「約」という用語は、ある値が組成物/装置/デバイス、その値を決定するために用いられている方法の固有の誤差変動、または研究対象間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0018】
本明細書および請求項で使用される場合、「備える(comprising)」(ならびに「備える(comprise)」および「備える(comprises)」などの任意の形態のcomprising)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの任意の形態のhaving)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの任意の形態のincluding)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの任意の形態のcontaining)という用語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。
【0019】
本明細書で使用される「またはそれらの組み合わせ」という用語は、この用語に先行する列挙された項目のすべての置換および組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含み、特定の状況において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含むことを意図している。
【0020】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、続いて記載される事象もしくは状況が完全に発生すること、または続いて記載される事象もしくは状況がかなりの程度まで発生することを意味する。例えば、特定の事象または状況に関連する場合、「実質的に」という用語は、続いて記載される事象または状況がその時間の少なくとも80%、またはその時間の少なくとも85%、またはその時間の少なくとも90%、またはその時間の少なくとも95%発生することを意味する。例えば、「実質的に隣接する」という用語は、2つのアイテムが互いに100%隣接していること、または2つのアイテムが互いに近接しているが互いに100%隣接していないこと、または2つのアイテムの一方の一部が他方のアイテムに100%隣接しておらず、他方のアイテムに近接していることを意味し得る。
【0021】
本明細書で使用される「患者」という用語は、ヒトおよび獣医学的被験体を含む。処置の目的のための「哺乳動物」は、哺乳動物として分類される任意の動物、例えば(限定はしないが)ヒト、家畜、非ヒト霊長類、ならびに乳腺組織を有する任意の他の動物を指す。
【0022】
本明細書で使用される「液体ヒドロゲル」および「流動可能なヒドロゲル」という用語は、少なくとも部分的に流動可能な形態の未硬化ヒドロゲル製剤を指すと理解され得る。すなわち、「液体ヒドロゲル」という用語は、硬化前のヒドロゲル製剤であって、紫外線(UV)放射線または電離高エネルギー放射線によって硬化可能なヒドロゲル製剤を指す。
【0023】
ここで図面、特に
図1を参照すると、外部TTField12の影響下にある分裂細胞10の例示的な実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、外部TTFieldは、約100KHZ~約300KHZの周波数範囲の交流フィールド12を含んでもよい。いくつかの実施形態では、TTFieldは、約50KHZ~約500KHZの周波数範囲の交流フィールド12を含んでもよい。いくつかの実施形態では、TTFieldは、約50KHz~約1MHzの周波数範囲の交流フィールド12を含んでもよい。フィールド12は、電場発生器32の負の出力に接続された第1の電極14a、および正の出力に接続された第2の電極14bによって生成され得る。微小管16、ならびに分裂細胞10内または分裂細胞10を囲む他の極性高分子は、感受性をそのようなTTField12に提供する強い双極子モーメントを有し得る。微小管16の正の出力は、中心小体18に位置決めされ得る。少なくとも1つの負極は、分裂細胞10の中心20に位置決めされてもよく、少なくとも1つの負極は、分裂細胞10の細胞膜24への微小管16の取付点22に位置決めされてもよい。正の出力および負の出力の位置は、少なくとも1組の二重双極子を形成する。少なくとも1組の二重双極子は、感受性を異なる方向のTTField12に提供することができる。本明細書で使用される場合、交流電場は、電場またはTTField12と呼ばれる場合がある。TTField12は、体内の腫瘍の部位に印加される周波数固有の交流電場であり得る。いくつかの実施形態では、分裂細胞10の膜の透過性を高めるために、1以上の電場を分裂細胞10に印加することができる。例えば、1以上の化学物質、薬物、DNA、および/または染色体が分裂細胞に導入され得るように(すなわち、エレクトロポレーションを介して)分裂細胞10の膜の透過性を高めるために、1以上の電場が分裂細胞10に印加され得る。
【0024】
図2は、本開示によるTTField12を生成するように構成された例示的な電子装置30の概略図を示している。記載されたTTField12は、1以上の腫瘍細胞を破壊することが可能であり得る。本明細書に記載の電子装置30全体および/または電子装置30の個々の構成要素としての電子装置30の仕様は、TTField(例えば、50KHZ~500KHZまたは50KHZ~1MHZ)の周波数で、誘電体性質ではなく「オーム」性質に従って挙動する生体システムによって影響され得る。
【0025】
一般に、電子装置30は、電場発生器32と、2つ以上の導電性リード34とを含むことができる。例えば、
図2では、電子装置は、第1の導電性リード34aと、第2の導電性リード34bとを含む。第1の導電性リード34aは、第1の端部36aと、第2の端部40aとを含む。第1の導電性リード34aの第1の端部36aは、電場発生器32に導電的に取り付けられ、第1の導電性リード34aの第2の端部40aは、第1のパッド42aに接続される。同様に、第2の導電性リード34bは、第1の端部36bと、第2の端部40bとを含む。第2の導電性リード34bの第1の端部36bは、電場発生器32に導電的に取り付けられ、第2の導電性リード34bの第2の端部40bは、第2のパッド42bに接続される。第1のパッド42aおよび第2のパッド42bは、第1の電極14aまたは第2の電極14bなどの電極または電極パッドとも呼ばれる場合がある。
【0026】
電場発生器32は、出力として波形および/またはパルス列の形状の1以上の電気信号(TTField信号)を提供するように構成される。各パッド42aおよび42bには、パッド42aおよび42bを電気信号(例えば、波形)によって身体に取り付けた際に電流を生成する電気信号(例えば、波形)による電位差が設けられる。第1のパッド42aおよび第2のパッド42bの各々には周波数および振幅を有する電気信号が提供されるため、第1のパッド42aおよび第2のパッド42bが人体などの導電性材料に適用されると、第1のパッド42aと第2のパッド42bとの間に電流が流れる。
【0027】
電場発生器32は、約50KHZ~約1GHzの範囲、およびその範囲内(すなわち、約50KHz~約1mHz、約50KHz~約500KHz)の周波数で交流電圧波形を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電場発生器32は、約100KHZ~約300KHZ(すなわち、TTField)の範囲の周波数で交流電圧波形を生成するように構成される。電圧は、処置エリア内の組織における電場強度が約0.1V/cm~約10V/cmの範囲内にあるようなものである。このフィールドを達成するために、第1のパッド42aまたは第2のパッド42bの各々における2つの導体14(すなわち、以下で詳細に説明され
図4に示す電極要素82)間の電位差は、身体の相対インピーダンスによって決定されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のパッド42aおよび第2のパッド42bは、患者の標的領域内に交流電場を生成するように構成されてもよい。標的領域は、例えば、腫瘍の少なくとも一部を含み得る。交流電場の生成は、腫瘍の少なくとも一部の成長を選択的に破壊および/または阻害するように構成され得る。交流電場は、腫瘍の少なくとも一部の成長を選択的に破壊および/または阻害することが可能な任意の周波数で生成することができる。例えば(限定はしないが)、交流電場は、約50kHz~約1mHzの範囲内の周波数、ならびにその任意の値内から形成された範囲(すなわち、約50kHz~約1mHzの範囲、約100kHz~約150kHzの範囲、約150kHz~約300kHzの範囲など)、および上記参照値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせる範囲(すなわち、約32kHz~約333kHzの範囲、約78kHz~約298kHzの範囲など)を有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、交流電場は、2つ以上の異なる周波数で課されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる周波数の各々は、上記参照値のいずれか、または上記参照値のいずれかから形成された範囲、または上記参照値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせる範囲から選択されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のパッド42aおよび第2のパッド42b(すなわち、1対のパッド)は、1対のパッド42aおよび42bが使用される用途に応じて異なって構成されてもよい。いくつかの実施形態では、1対のパッド42aおよび42bは、患者の組織内に提供される電場(TTField)の生成と共に患者に外部から適用されてもよい(例えば、患者の皮膚の表皮層に適用される)。一般に、第1のパッド42aおよび第2のパッド42bの各々は、電場が所定の処置エリア内の患者の組織にわたって生成するように構成されるように、ユーザによって患者の皮膚の表皮上に載置される。外部から適用されるTTFieldは、局所タイプまたは広く分布したタイプ、例えば、皮膚腫瘍の処置および皮膚表面に近い病変の処置であり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、ユーザは、医師、看護師、療法士、または医師、看護師、もしくは療法士の指示の下で行動する他の人などの医療専門家であってもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは患者であってもよく、すなわち、患者は、所定の処置エリア内の表皮層上にパッド42aおよび42bを載置することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、電子装置30は、任意選択で、制御ボックス44と、制御ボックス44に結合された1以上の温度センサ46とを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の温度センサ46は、所定の処置エリアにおける温度を検知するように位置決めされてもよい。1以上の温度センサ46は、限定はしないが、サーミスタ、熱電対、RTD、Analog Devices AD590およびTexas Instruments LM135などの集積回路温度センサ、ならびに/またはそれらの組み合わせを含んでもよい。所定の処置エリアの正確なおよび/または的確な温度読み取り値を提供するように構成される場合、当技術分野で知られている任意の温度センサ46を使用することができると企図される。制御ボックス44は、処置エリアに過剰な加熱を生成しないように電場の振幅を制御するように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、制御ボックス44は、電場発生器32の出力を制御するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、制御ボックス44は、出力がユーザによって事前設定された値で一定のままであるように電場発生器32の出力を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、制御ボックス44は、最大値に電場発生器32の出力を設定するように構成されてもよく、最大値は、過剰な熱が所定の処置エリアに提供されないように構成される。いくつかの実施形態では、制御ボックス44は、1以上のフィードバックインジケータを提供するように構成することができる。例えば、制御ボックス44は、(温度センサ746によって検知された)所定の処置エリアの温度が事前設定された限界を超えたときにフィードバックインジケータ(例えば、音、光)を提供するように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、制御ボックス44は、温度センサ46の1以上の読み取り値に基づいて電場発生器32の出力を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1以上の温度センサ46は、第1のパッド42aもしくは第2のパッド42bに接続され、かつ/または関連付けられ、第1のパッド42aもしくは第2のパッド42bのいずれか一方または両方で表皮および/もしくは処置エリアの温度を検知するように構成されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、導電性リード34のうちの1以上は、可撓性金属シールドを有する標準的な絶縁導体であってもよい。いくつかの実施形態では、可撓性金属シールドは、1以上の導電性リード34によって生成された任意の電場の広がりを防止するために接地されてもよい。
【0036】
パッド42aおよび42bは、処置エリアでTTFieldの構成、方向、および強度をもたらすように成形され、サイズ決めされ、かつ位置決めされてもよい。その目的のために、パッド42aおよび42bは、正方形、長方形、円形、楕円形、または任意の想像上の形状であってもよい。
【0037】
図3Aから
図3Pは、パッド42aおよび42bを組み込んだトランスデューサアレイ100の第1の実施形態を図示する。以下、パッド42aおよび42bは、「電極要素」と呼ばれる。トランスデューサアレイ100は、本明細書では「電極装置」とも呼ばれ、電極要素の第1のレイアウトを有し、
図3Aは、様々な構成要素のすべておよびそれらの互いに対する配置を示す分解図または組立図である。
図3Bから
図3Pは、より詳細に個々の構成要素を示す。
【0038】
トランスデューサアレイ100の構成を画定する構成要素のうちの1つは、フレキシブル回路102(
図3Aおよび
図3B)であり、これは、当技術分野で周知のように、フレキシブル回路102の分岐部に沿って延びる電気トレースで作製することができる。フレキシブル回路102は、分岐または枝状構成を有する。長手方向に延びる、中央トランク108a~108gが存在する。フレキシブル回路102のトランク108a~gの両側から側方に延びる、複数の分岐部もまた存在する。いくつかの実施形態(
図3A、
図3B、および
図3Kに図示される実施形態を含む)では、これらの分岐部は、長手方向に垂直であり、フレキシブル回路102の列106a~106eとして配置される。図示されている実施形態では、フレキシブル回路102の列106a~eの各々は、2つの分岐部を含み、一方はトランク108a~108gの両側にある。各分岐部の近位端は、フレキシブル回路102のトランク108a~gに接続され、そこから延びているが、各分岐部の遠位端は自由のままである。有利には、この構成は、フレキシブル回路102の柔軟性を改善し、皮膚の動き(曲げ、伸張、捻り、呼吸など)によってトランスデューサアレイ100に加えられる引張応力を低減し、それによって皮膚へのトランスデューサアレイ100の接着性を改善および延長する。トランスデューサアレイ100はまた、ユーザの快適性を改善し、皮膚損傷を低減する。
図3Aおよび
図3Bに示される実施形態では、トランク108a~108gは、フレキシブル回路102の連続する列の間のセグメントで前後にシフトすることに留意されたい。これらの実施形態では、セグメント108a、108c、108e、および108gの一部のみが長手方向に延び、これらの長手方向セグメントは、側方方向に延びる追加のセグメント108b、108d、および108fによって相互接続される。その結果、これらの実施形態では、トランク108a、108c、108e、および108gが長手方向に延びるにつれて、トランク108b、108d、および108fが側方方向に前後にシフトする。代替の実施形態では、トランクは、直線状である。
【0039】
フレキシブル回路102は、列106a~106eに沿って配置されたいくつかの実装パッド104を含む。いくつかの電極要素110(
図3Aおよび
図3C)、例えば、典型的なサイズの成人男性用の
図3Aの実施形態に示すような20個の電極要素110は、電極要素110の各々とフレキシブル回路102との間の導電性接続によって、(
図3Aおよび
図3Bに示す)フレキシブル回路102の実装パッド104の内(すなわち、皮膚に面する)側に配置される。電極要素110は、厚さ1mmおよび直径2cm程度であってもよく、任意選択で、実装パッド104よりも直径がわずかに小さくてもよい。電極要素110の各々は、当技術分野で知られているように、セラミック誘電体材料でコーティングされた円形導電性プレートから形成されてもよく、円形導体は、フレキシブル回路102の電気接点に電気的に接続される。セラミック誘電体材料は、(好ましくは、以下に記載されるヒドロゲルの介在層を介して)患者の皮膚と接触することができるように、患者の身体の方を向いている。誘電体材料は、セラミック材料、非可撓性ポリマー、または可撓性ポリマーフィルムであってもよい。
【0040】
電極要素110には、外側111aおよび内側111bが設けられる。簡潔にするために、電極要素110の一方のみに符号111aおよび111bを付している。対応する数の補強材112(
図3Aおよび
図3D)が、任意選択で、内側111bに取り付けられた電極要素110にほぼ対向するフレキシブル回路102の実装パッド104の外側111aに取り付けられてもよい。補強材112は、厚さ1mm程度であってもよく、実装パッド104よりも直径がわずかに小さくてもよい。補強材112は、任意の適切な材料(例えば、堅い非導電性プラスチック)から作製されてもよい。一般に、補強材112は、フレキシブル回路102の可撓性の性質、および電極要素110に使用されるセラミック誘電体の薄くて脆い性質を考慮すると、電極要素110が破損するのを防止するのに役立つ。
【0041】
いくつかの実施形態では、電極要素110の各々は、患者の皮膚との良好な導電性を確立するために、電極要素110の内側111bに配置された導電性ゲル要素114(
図3A、
図3P、および
図4)の対応するディスクを有する。いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、電極要素110よりも直径がわずかに大きい。材料は、好ましくはガンマ滅菌適合性である。例えば、導電性ゲル要素114は、Axelgaardから入手可能なAG625製のヒドロゲルであってもよく、厚さは635マイクロメートル程度であり、体積抵抗率は最大1000オーム-cmである。いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、1以上の導電性ゲル層106(
図4参照)を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、電極アレイは、1以上の導電性ゲル要素114と、1以上の導電性ゲル要素114に接続された支持層115とを含む導電性ゲルアセンブリ107を含む。導電性ゲル要素114は、電極要素110上に含める前に予め製作することができる1以上の導電性ゲル層106を含む。いくつかの実施形態では、1以上の導電性ゲル層106を液体形態で電極要素110上に塗布し、次いで電極要素110および/またはトランスデューサアレイ100の他の部分上に直接硬化(例えば、UV硬化、電子ビーム硬化)することができる。支持層115は、導電性ゲル層106および1以上の電極要素110を覆うように塗布することができ、液体形態または硬化形態の別の量の導電性ゲルを支持層115に塗布し、それにより導電性ゲル要素114のうちの1つを形成する導電性ゲル層106を整列させ、支持層115を挟むようにすることができる。いくつかの実施形態では、1以上の導電性ゲル層106は、例えば、支持層115上で直接硬化され、その後、電極要素110に塗布されてもよい。支持層115は、第1の側115aと、第2の側115bとを含む。支持層115は、1以上の電極要素110の上に延びるようなサイズおよび寸法にされる。導電性ゲル層106aは、支持層115の第1の側115a上に配置され、第1の側115aに取り付けられる。導電性ゲル層106bは、支持層115の第2の側115b上に配置され、第2の側115bに取り付けられる。支持層115は、導電性ゲル層106aと106bとの間の支持層115の一部を封入するために、第1の側115aと第2の側115bの両方に配置することができる。導電性ゲルアセンブリ107は、トランスデューサアレイ100の他の構成要素とは別個に製造され、続いてトランスデューサアレイ100に接続され得る。または、導電性ゲルアセンブリ107は、電極要素110の上に支持層115を塗布する前または後のいずれかに電極要素110上に導電性ゲル層106を形成することなどによって、トランスデューサアレイ100を用いて製造することができる。
【0043】
バルク電子輸送剤は、導電性ゲルの電気導電性および/または熱導電性を高めることが可能な任意の物質であり得る。特定の非限定的な実施形態では、バルク電子輸送剤は、1以上のイオン性化合物、1以上の金属、または1以上の非金属、ならびにそれらの任意の組み合わせを含む。特定の非限定的な実施形態では、バルク電子輸送剤は、非晶質炭素および/または結晶性炭素を含む。本開示に従って利用され得るバルク電子輸送剤の特定の(しかし非限定的な)例には、カーボンブラック、グラフェン、およびグラファイトが挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114および/または1以上の導電性ゲル層106は、以下に説明するような導電性ゲルまたは半固体導電性ゲルで主に形成される。導電性ゲル要素114は、電極要素110が本開示に従って機能することを可能にする任意の形態であってもよい。例えば(限定はしないが)、導電性ゲル要素114は、ヒドロゲルまたはヒドロコロイドの形態であってもよい。
【0045】
導電性ゲル要素114は、限定はしないが、長期間にわたる高い導電性、粘着性、および/または生体適合性を含む性質を有することができる。例えば、導電性ゲル要素84は、カリフォルニア州フォールブルックに主たる営業所を有するAmGel Technologiesから入手可能なAG603 Hydrogelを含むことができる。
【0046】
導電性ゲル要素114は、限定はしないが、穿孔、凹部、および/または突起を含む修飾ヒドロゲルと共に使用することができる。そのような特徴は、2021年5月6日に出願された「Conductive Gel Compositions Comprising Bulk Electron Transport Agents and Methods of Production and Use Thereof」と題する米国特許出願第17/313,114号明細書にさらに詳細に開示されており、上記の開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、無菌であってもよい。いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、例えば、ガンマ線またはエチレンオキシドガスを含む滅菌条件に曝されたときに導電性ゲル要素114が実質的に分解しないように構成されてもよい。
【0048】
導電性ゲル要素114は、導電性ゲル要素114が本開示に従って機能することを可能にする任意の親水性ポリマーで形成されてもよい。例えば(限定はしないが)、導電性ゲル要素114は、ポリアクリル酸ゲル、ポビドンゲル、またはセルロースゲルであってもよい。加えて、導電性ゲルは、キトサン、アルギネート、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロナン、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ポリ-1-リジン、プロテオグリカン、フィブリン糊、操作された組織および/または天然組織の脱細胞化によって作製されたゲル、ならびにそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含み得る。さらに、導電性ゲル要素84は、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PolyHEMA)、ポリ(グリセロールセバケート)、ポリウレタン、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、以下の化学的および構造的特徴/性質:約1nm~約200nmの範囲のポリマー鎖長、約6~約8の範囲のpH、約100オーム-インチ未満の体積抵抗率、少なくとも約100g/インチの皮膚接着速度、および約10ミル~約50ミルの範囲の厚さのうちの1以上を含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、長期間にわたる体温(すなわち、約34℃~約40℃の範囲内)での使用のために最適化され得る。
【0051】
導電性ゲル要素84のポリマーには、導電性ゲル要素114の組成物が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意のポリマー鎖長を設けることができる。例えば(限定はしないが)、ポリマー鎖長は、約1nm~約200nm、および上記の範囲、ならびにその値内のうちの任意の2つを組み合わせる範囲(すなわち、約3nm~約175nmの範囲、約5nm~約150nmの範囲、または約10nm~約125nmの範囲、約15nm~約100nmの範囲など)、および上記参照値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせる範囲(すなわち、約3nm~約157nmの範囲など)内であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポリマー鎖長の範囲は、交流電場の周波数に依存し得る。例えば(限定はしないが)、ポリマー鎖長の範囲は、交流電場の周波数の範囲に基づいてもよい。非限定的な例には、交流電場が約50kHz~約150kHzの範囲の周波数を有する場合、約5nm~約50nmの範囲、交流電場が約150kHz~約300kHzの範囲の周波数を有する場合、約50nm~約100nmの範囲などが挙げられる。
【0053】
導電性ゲル要素114には、患者の皮膚を損傷しない任意のpHを設けることができる。例えば(限定はしないが)、導電性ゲル要素84は、約6、約6.5、約7、約7.5、約8のpH、ならびに上記の値のいずれかから形成された範囲(すなわち、約6~約8の範囲、約6.5~約7.5の範囲など)を有し得る。
【0054】
導電性ゲル要素114には、ゲルの導電性を最大化する任意のレベルの体積抵抗率を設けることができる。例えば(限定はしないが)、導電性ゲル要素114は、約100オーム-インチ未満~約10オーム-インチ未満、またはそれ以下の範囲内の体積抵抗率、ならびにその上記の値内のいずれかで形成された範囲(すなわち、約10オーム-インチ~約100オーム-インチの範囲など)、および上記参照値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせる範囲(すなわち、約13オーム-インチ~約96オーム-インチの範囲など)を有することができる。
【0055】
導電性ゲル要素114には、導電性ゲル要素114が本開示に従って機能することを可能にする任意の皮膚接着速度を設けることができる。例えば(限定はしないが)、ゲルの皮膚接着速度は、少なくとも約100g/インチ~少なくとも約300g/インチ以上の範囲、ならびにその上記の値内のいずれかの範囲(約120g/インチ~約300g/インチの範囲など)、および上記参照値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせる範囲(すなわち、約115g/インチ~約295g/インチの範囲など)内であってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、少なくとも1つの添加剤をさらに含んでもよい。導電性ゲル要素114が本開示に従って機能することを可能にし、任意選択で導電性ゲルの導電性および非増感性質をさらに高めることができる任意のタイプの添加剤を、本開示に従って利用することができる。利用され得る添加剤の非限定的な例には、保湿剤、保存剤、抗菌剤、ビタミン、モイスチャライザ、またはそれらの任意の組み合わせなどの少なくとも1つが挙げられる。
【0057】
導電性ゲル要素114には、ゲル組成物が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の濃度の1以上の塩を設けることができる。遊離塩濃度は、少なくとも約0.1mM~約1M以上の範囲、ならびにその値内のいずれか2つを組み合わせる任意の範囲(例えば、約0.1mM~約100mMの範囲、約1mM~約50mMの範囲)であり得る。
【0058】
導電性ゲルアセンブリ107には、導電性ゲル要素84が本開示に従って機能することを可能にする任意の厚さt1を設けることができる。本開示に従って利用され得る厚さt1の非限定的な例には、約1ミル~約100ミル以上の範囲、ならびに上記参照値のいずれか2つを組み合わせる範囲(すなわち、約10ミル~約50ミルの範囲など)、および上記参照値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせる範囲(すなわち、約12ミル~約48ミルの範囲など)が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、導電性ゲルアセンブリ107および導電性ゲル要素114は、少なくとも約6ヶ月の貯蔵寿命を有することができる。例えば(限定はしないが)、導電性ゲル要素114は、少なくとも約9ヶ月または少なくとも約12ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0060】
1以上の支持層115は、
図3Aに示すように、導電性ゲル要素114(
図4に示す)内または導電性要素の外側に設けられてもよい。一般に、1以上の支持層115は、導電性ゲル要素114が患者の皮膚に塗布されたときに導電性ゲル要素114の側方の動きを防止するために、補強を導電性ゲル要素114に提供するように構成されてもよい。その目的のために、1以上の支持層115は、強度および/または支持を1以上の導電層106(例えば、導電性ゲル層106aおよび/または106b)に提供することができる。1以上の支持層115は、織布または不織布材料で構築することができる。いくつかの実施形態では、1以上の支持層115の少なくとも一部は、Reemay(すなわち、紡糸ナイロン)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1以上の支持層115の少なくとも一部または全体は、非導電性材料で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、1以上の支持層115の少なくとも一部または全体は、炭素などの非金属導電性材料で構築されてもよい。
【0061】
支持層115は、例えば導電性ゲル層106によって提供される任意の接合とは別個の接合を用いて、支持層を電極要素110またはフレキシブル回路102に取り付けることによって、導電性ゲル層106と、電極要素110またはフレキシブル回路102などのトランスデューサアレイ100内の1以上の他の構成要素との間のアンカーとして機能することができる。いくつかの実施形態では、支持層115の少なくとも一部は、電極要素110または導電性ゲル要素114などのトランスデューサアレイ100の少なくとも2つの構成要素の間に延びてもよい。例えば、
図3Aに示されるように、支持層115は、電極要素110と導電性ゲル要素114との間に延びる。いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、各導電性ゲル要素114が一方の電極要素110と整列されるように位置決めされてもよい。
【0062】
各電極要素110が任意の隣接する電極要素110から離れて位置決めされるように、各電極要素110の間にギャップが存在してもよい。その目的のために、導電性ゲル層106aおよび/または106bを形成する液体形態または半固体導電性ゲルの導電性ゲルは、トランスデューサアレイ100(例えば、単一の電極要素110に対応する、2つの電極要素110に対応する、複数の電極要素110に対応するなど)の形成中に所定の特定の位置で支持層115上に分配され得る。いくつかの実施形態では、例えば、隣接する絶縁された電極要素110の間のギャップ内に1以上の誘電体材料を位置決めすることができる。
【0063】
加えて、導電性ゲル要素114の各々を囲むリング状のヒドロゲルバリア116(
図3A、
図3F、
図3G、および
図3J)が任意選択で設けられる。一般に、ヒドロゲルバリア116は、摩耗の持続期間を通して導電性ゲル要素114の完全性を維持し、ヒドロゲルが電極要素110の下のその正しい位置から移動するのを防止するのに役立つ。ヒドロゲルバリア116は、例えば、ポリエチレン発泡体であるVancive Medical Technologiesから入手可能なMED 5695Rから作製されてもよく、同じくVancive Medical Technologiesから入手可能なWetStick(商標)合成ゴム接着剤でシングルコーティングされてもよい。ヒドロゲルバリア116は、厚さ500マイクロメートルであってもよく、好ましくはガンマ滅菌適合性である。
【0064】
患者の快適性を増加させるために、トランスデューサアレイ100は、任意選択で、フレキシブル回路102の下に位置決めされ、フレキシブル回路102の分岐構成に厳密に従うように成形されたコンフォーマル発泡体層122(
図3Aおよび
図3K)を含むことができる。フレキシブル回路102(電極要素110のための中実の円形実装パッド104を有する)とは異なり、発泡体層122は、電極要素110と患者の皮膚との間に介在しないように電極要素110を囲むリング状領域123を有することに留意されたい。コンフォーマル発泡体層122についての適切な厚さは、1mm程度であり、発泡体層122は、好ましくは電極要素110と同じ厚さである。発泡体層122は、好ましくは、トランスデューサアレイ100の全体的な柔軟性および適合性を維持しながら、可撓性フレキシブル回路102の表面全体(電極要素110が位置決めされる領域を除く)を覆う。しかし、代替の実施形態では、発泡体層122は、可撓性フレキシブル回路102の表面の一部のみを覆う。いくつかの実施形態では、発泡体層122のサイズは、トランスデューサアレイ100の全体的な通気性および流体気化性質を低下させないように、可能な限り最小化することができる。
【0065】
コンフォーマル発泡体層122は、例えば、Vancive Medical Technologiesから入手可能なMED 5696Rなどのポリエチレン発泡体から作製することができる。コンフォーマル発泡体層122は、適切な接着剤(例えば、同じくVancive Medical Technologiesから入手可能なWetStick(商標)合成ゴム接着剤)を使用してフレキシブル回路102に固定することができる。発泡体層122は、有利には、フレキシブル回路102上の導電性トレースの潜在的に鋭い縁部から患者を保護する。これは、トランスデューサアレイ100を屈曲させると平坦な導電性トレースが捻れる可能性があり、それによりそれらの導電性トレースの潜在的に鋭い縁部が患者の皮膚に向かって下方に傾斜する可能性があるため、可撓性トランスデューサアレイの場面において特に重要である。特に、フレキシブル回路102の導電性トレースと患者の皮膚との間に発泡体層122を介在させることにより、それらの潜在的に鋭い縁部によって引き起こされ得る切り傷および/または痛みから患者を保護する。
【0066】
トランスデューサアレイ100はまた、
図3A、
図3H、および
図3Jに示すように、発泡体層122の下に配置された皮膚面接着層(skin-level layer of adhesive)118aを含む。(皮膚面接着部118aは、
図3Gにも現れる。)一般に、皮膚面接着層118aは、フレキシブル回路102および発泡体層122の分岐構成に従うが、皮膚面接着部118aの様々な分岐部およびトランク部分は、フレキシブル回路102および発泡体層122の対応する部分よりもわずかに広く、それによりフレキシブル回路102の分岐部と発泡体層122との間の空間と少なくとも部分的に重なり合う。なお、皮膚面接着部118aは、接着剤の分岐部に沿った切り欠き120aと、接着剤の分岐部の自由端に設けられた切り欠き120bとを含む。これらの切り欠き120a、120bは、電極要素110または導電性ゲル要素114と患者の皮膚との間に介在しない形状となっている。皮膚面接着層118aはまた、患者の皮膚に対する電極要素110の動きを防止するように電極要素110の周りの中央エリアを安定させるための構築要素として機能する。
【0067】
皮膚面接着層118aは、厚さ30マイクロメートルである3M(登録商標)9917などのポリエステル/レーヨン混合スパンレース不織布テープ材料から作製されてもよい。テープは、皮膚に面する側で剥離強度(例えば、23lbf/インチ)を提供し、反対側の外側でより高い剥離強度(例えば、27lbf/インチ)を提供するために、アクリレート接着剤で二重にコーティングされてもよい。材料は、好ましくは低刺激性であり、高度に適合性であり、通気性であり、高い水蒸気透過率を有し、好ましくはガンマ滅菌適合性である。過剰な発汗および水分がトランスデューサアレイ100の下に閉じ込められるのを防止するために、例えば、フレキシブル回路102および発泡体層122の対応する部分よりもわずかに広くすることによって、皮膚面接着層118aの全表面積を最小化することができる。
【0068】
コンフォーマル発泡体層122が省略される実施形態では、接着層118aは、その間に配置される介在する構成要素なしでフレキシブル回路102に直接接続されてもよいことに留意されたい。あるいは、コンフォーマル発泡体層122が設けられる実施形態では、接着層118は、その間に発泡体層122が配置された状態で、フレキシブル回路102に間接的に接続されてもよい。これらの実施形態では、発泡体層122は、接着剤または粘着剤などの接合材料でフレキシブル回路102に接続されてもよい。
【0069】
支持層115の例示的な実施形態を、
図3Iおよび
図3Jに示す。支持層115(
図3A、
図3I、および
図3L)は、フレキシブル回路102の内側、電極要素110の内側111b、またはそれらの組み合わせの下に位置決めされ、それらに接続される。支持層115は、支持層115をいくつかの別個のフィンガ124に分割するいくつかのスロット123を有し、各フィンガは、フレキシブル回路102のそれぞれの分岐部の下にある。支持層115には、8つのスロット123a~h、および10個のフィンガ124a~jが設けられる。スロット123a~hは、好ましくはフィンガ124a~jよりも著しく狭く、フィンガ124a~jは、好ましくは電極要素110の直径よりも広い。この構成により、支持層115のフィンガ124a~jは、フレキシブル回路102の分岐部間の空間と重なり合う。トランスデューサアレイ100にはまた、支持層115をフレキシブル回路102に固定するために、支持層115とフレキシブル回路102との間に位置決めされた接着層118bが設けられてもよい。フィンガ124a~jは、導電性ゲル要素114の上に重なってそれらの間に延びる。フィンガ124a~jは、導電性ゲル要素114に接続され、導電性ゲル要素114が患者の皮膚に塗布されたときに導電性ゲル要素114が側方に移動するのを防止するように、導電性ゲル要素114に対して側方の支持を提供するように機能する。支持層115の可撓性の性質により、フィンガ124a~jは、フレキシブル回路102の分岐部が互いに独立して移動するときに互いに独立して移動することができる。これは、次に、患者が動くときでも、トランスデューサアレイ100の適合性および患者の皮膚への接着性を維持するのに役立つ。
【0070】
上部被覆裏面接着性層126(
図3A、
図3L、および
図3N)が、フレキシブル回路102の外側の上方に位置決めされ、フレキシブル回路102の外側に接続される。被覆裏面接着性層126は、被覆裏面接着性層126をいくつかの別個のフィンガ130に分割するいくつかのスロット128を有し、各フィンガは、フレキシブル回路102のそれぞれの分岐部の上に重なる。スロット128は、好ましくはフィンガ130よりも著しく狭く、フィンガ130は、電極要素110の直径よりも広くてもよい。この構成により、被覆裏面接着性層126のフィンガ130は、フレキシブル回路102の分岐部間の空間と重なり合い、電極要素の周りの患者の皮膚への被覆裏面接着性層126の最大の接着性を提供しながら、被覆接着層のフィンガ130が、フレキシブル回路102の分岐部が互いに独立して移動するときに互いに独立して移動することを可能にする。これは、次に、患者が動くときでも、トランスデューサアレイ100の適合性および患者の皮膚への接着性を維持するのに役立つ。加えて、被覆裏面接着性層126は、好ましくは、フレキシブル回路102の周囲を越えて延び、トランスデューサアレイ100の外側境界で追加の接着性を皮膚に提供する。
【0071】
被覆裏面接着性層126は、例えば、100%ポリエステルのスパンレース不織布テープである3M(登録商標)9916から作製されてもよい。この材料は、被覆裏面接着性層126をフレキシブル回路102の外面に接着する、皮膚に面する側のアクリレート接着剤でシングルコーティングされてもよい。被覆裏面接着性層126を形成する材料は、40マイクロメートルの厚さを有することができる。被覆裏面接着性層126は、低刺激性であり、高度に適合性であり、通気性であり、かつ/またはガンマ滅菌適合性であり得る。
【0072】
図3Jに示すように、支持層115は、層126の範囲内にあるように成形されてもよい。さらに、支持層115は、フィンガ124がフィンガ130と共に移動するように、支持層のフィンガ124が層126のフィンガ130の下にあり、フィンガ130と整列されるように成形されてもよい。
【0073】
図3Pには、フレキシブル回路102に接着され、導電性ゲル要素114とフレキシブル回路102との間に位置決めされた支持層115を図示するトランスデューサアセンブリ100の一部の底面図が示されている。いくつかの実施形態では、トランスデューサアレイ100は、電極要素110が支持層115とフレキシブル回路102との間にあるように、支持層115をフレキシブル回路102に取り付けることによって作製することができる。この位置において、導電性ゲル要素114は、電極要素110の真上の支持層115に液体形態で塗布され、次いで硬化され得る。この実施形態では、導電性ゲル要素114を形成する液体の少なくとも一部は、支持層115を通過することができ、それによって硬化時に導電性ゲル要素114内に支持層115を封入する層106aおよび106bを形成する。さらに、導電性ゲル要素114は、硬化すると、電極要素110に接着することができ、それによって支持層115をフレキシブル回路102に取り付ける接着層118bとは別個の導電性ゲル要素114に対してさらなる側方の支持を提供する。いくつかの実施形態では、支持層115は、接着剤以外の方式でフレキシブル回路102に固定することができる。例えば、支持層115をフレキシブル回路102に接続するために、ネジ、ステープル、またはリベットなどの機械的リンクを使用することができる。
【0074】
特に有利には、2つの別個の要因が、患者の皮膚へのトランスデューサアレイ100全体の接着性に寄与する。第1の要因は、フレキシブル回路102の分岐部間の空間を通ってフレキシブル回路102の周囲を越えて皮膚に接触する上部接着層126の下面の部分である。第2の要因は、発泡体層122と人の皮膚との間(または、発泡体層122を含まない実施形態では、フレキシブル回路102と人の皮膚との間)に配置された接着層118aである。これらの2つの別個の接着構成要素を含めることにより、患者の皮膚へのトランスデューサアレイ100の接着性が著しく改善される。トランスデューサアレイ100のこの特徴は、電極要素の周りの患者の皮膚に対するトランスデューサアレイ100の接着度を高め、その結果、トランスデューサアレイ全体の上に重なる裏面接着性パッチによって唯一の接着が提供された構成と比較して、長時間のより良好な皮膚/電極接触が得られる。
【0075】
いくつかの実施形態では、被覆裏面接着性層126は、中央開口135と、スロット128のうちの1つの最も内側の端部129、特に、中央開口135に最も近い最も内側のスリット端部から延びるスリット132とを含む。中央開口135は、フレキシブル回路102の背面から突出する電気ケーブル134(
図3Nに示す)が被覆裏面接着性層126を通って延びることを可能にする。この電気ケーブル134は、コネクタを介してフレキシブル回路102をTTField治療コントローラ(図示せず)に接続するために使用される。スリット132は、組立プロセス中にケーブル134がフレキシブル回路102に接続された後、フレキシブル回路102の上に裏面接着性層126を位置決めするのに有用である。特に、被覆裏面接着性層126の一部は、スリット132を開くために互いから離れるように移動させることができ、それにより被覆裏面接着性層126を両側で電気ケーブル134の周りに通過させることができ、次いで裏面接着性層全体を適切な位置に押し込むことができる。
【0076】
被覆裏面接着性層126が適所にトランスデューサアレイ100を固定した状態で、トランスデューサアレイ100が患者の皮膚に適切に取り付けられると、中央開口135は、保護のために、上部裏面接着性スロットカバー136(
図3A、
図3M、および
図3N)で覆われてもよい。スロットカバー136は、被覆裏面接着性層126と同じ材料および同じ方式で形成されたディスク形状のアイテムであってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、スロットカバー136は、電気ケーブル134が通過するためのスロット138を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、上述の構成要素のアセンブリ全体は、患者に使用する前に、二部構成の剥離ライナ140(
図3Aおよび
図3O)で保護される。剥離ライナ140は、一般的には被覆裏面接着性層126の外周に沿うが、それよりもわずかに大きくてもよい全体形状を有する。剥離ライナ140は、例えば、厚さ50マイクロメートルの白色シリコーンコーティングPET(ポリエチレンテレフタレート)材料である、Adhesive Researchから入手可能なAR W4000から作製されてもよい。
【0078】
上述のトランスデューサアレイ100の
図3Aから
図3Oの実施形態では、連続する列の各々に2つ、5つ、6つ、5つ、および2つの電極要素を有する5つの列に配置された20個の電極要素が存在する。(列は、フレキシブル回路102の分岐部に対応し、トランク108が延びる長手方向に垂直である。したがって、トランスデューサアレイ100が
図1において配向され、フレキシブル回路102が
図2において配向されると、列は水平に配向され、トランク108は垂直に配向される)しかし、患者のサイズ、性別、年齢などの要因に応じて、本明細書に開示される本発明の概念を依然として遵守しながら、より多くのまたはより少ない数の電極要素110が異なる構成で配置されてもよい。
【0079】
図3Aから
図3Pの両方の実施形態では、フレキシブル回路102は、トランク領域の各側方側に延びる複数の分岐部を有する。しかし、代替の実施形態では、分岐部は、トランク領域の単一の側方側にのみ存在してもよい(この場合、トランク領域は、装置の1つの縁部の近くに位置する。
【0080】
いくつかの実施形態(限定はしないが、
図3Aから
図3Pの実施形態を含む)では、フレキシブル回路102は、フレキシブル回路102上の任意の所与の交差部から3つ以下の経路が生じるように構成される。例えば、
図3Bでは、フレキシブル回路102の一方の経路は、実装パッド104aにおける交差部から生じ、フレキシブル回路102の2つの経路は、実装パッド104bにおける交差部から生じ、フレキシブル回路の3つの経路は、実装パッド104cにおける交差部から生じる。特に、フレキシブル回路102には、そこから4つ以上の経路が生じる交差部は存在しない。これは、実装パッド104に位置決めされる交差部と、一方の実装パッド104に位置決めされない交差部(例えば、T字形の交差部105)の両方に当てはまる。
【0081】
図3Aから
図3Pの実施形態を含むいくつかの実施形態では、フレキシブル回路102のすべてのセグメントは、直線状である。
【0082】
図3Aから
図3Pの実施形態を含むいくつかの実施形態では、電気ケーブルは、(
図3Nに最もよく見られるように)フレキシブル回路102上で終端する。任意選択で、これらの実施形態では、(
図3Bに最もよく見られるように)各分岐部の遠位端の近くのフレキシブル回路102のセグメントは、電気ケーブルが終端する位置(例えば、セグメント108d)に隣接するフレキシブル回路102のセグメントの少なくともいくつかよりも薄い。この構成により、フレキシブル回路の柔軟性が増加し、装置全体の柔軟性の改善にも寄与する。
【0083】
図5Aは、本開示による例示的な導電性ゲル要素114を形成する例示的な方法のフローチャート200を示している。ステップ204において、支持層115は、電極要素110およびフレキシブル回路102上に位置決めされ、任意選択でそれらに固定されてもよい。ステップ206において、(液体形態の)導電性ゲルまたは半固体導電性ゲルを支持層115の少なくとも一部に所定のパターンで分配して硬化(例えば、UV硬化、電子ビーム硬化)させ、導電性ゲル要素114を形成することができる。導電性ゲル要素114を形成する際、導電性ゲルまたは半固体導電性ゲルは、電極要素110上に対する1以上の所定の標的位置に分配されてもよい。電極要素110は、所定のパターンで設けられ、所定のサイズを有してもよい。これらの実施形態では、導電性ゲルが分配される所定の標的位置は、導電性ゲル要素114が電極要素110上に設置されるとき、導電性ゲル要素114が各々少なくとも1つの電極要素110に対応するように、電極要素110の所定のパターンおよび所定のサイズに対応し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、モールドおよび/またはスペーサを使用して、1以上の所定の標的位置で(液体形態の)導電性ゲルまたは半固体導電性ゲルを分配することができる。例えば、
図5Bは、電極要素110の表面502上に配置された例示的なモールド500を示している。電極要素110は、導電性材料層504と、ポリマー層506とを含む。一般に、モールド500は、(液体形態の)導電性ゲル要素114を塗布する前に位置決めされ得る。モールド500の側壁508は、電極要素110を越えて延び、半固体導電性ゲル要素114についての厚さを画定することができる。あるいは、モールド500は、電極要素110と導電性ゲル要素114の両方を受け入れるようなサイズおよび形状であってもよい。この例では、電極要素110を越えて延びるモールド500の側壁508の一部がその上に製造された半固体導電性ゲル要素114についての厚さを画定するように、電極要素110の高さよりも高い側壁高さを有するモールド500内に電極要素110を最初に配置することができる。次いで、導電性ゲル要素114は、モールド500が導電性ゲル要素114に望ましい所定の厚さに等しい境界および壁の高さを提供するように、放射線源510を介して硬化(例えば、UV硬化)させることができる。硬化は、重合導電性ゲル要素114を提供する。いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、特定の電極要素110の表面積の約75%~100%に重なり合う表面積を有することができる。いくつかの実施形態では、導電性ゲル要素114は、特定の電極要素110の表面積の約50%~100%に重なり合う表面積を有することができる。
【0085】
電極要素110上に直接導電性ゲル要素114を硬化させることにより、インライン加工が可能になる。
図5Cは、3つの別個の電極要素110の第1の表面502a、502b、および502cに接触するモールド500aを使用する複数の要素110またはアレイ100のインライン加工を図示する。バッチまたは連続形式の任意の数の要素110またはアレイの製造が企図されることに留意されたい。
【0086】
いくつかの実施形態では、硬化中に石英プレート512(
図5B参照)を任意選択で使用してもよい。石英プレート512は、硬化前に電極要素110の表面502に塗布された液体または半固体導電性ゲル要素114上に配置されてもよい。石英プレート512は、硬化ステップの一部またはすべての間、導電性ゲル要素114上に保持されてもよい。石英プレート512の任意選択の使用は、放射線(例えば、UV光)を通過させ、重合導電性ゲル要素114の均質な厚さを提供することができる。
【0087】
図5Dを参照すると、いくつかの実施形態では、電極要素110上に導電性ゲル要素114を維持するために、電極要素110の表面502dに1以上のバリア520を適用することができる。バリア520は、電極要素110の表面502dに取り付けられ、周囲側壁および導電性ゲル要素114のための収容空間を維持するように構成された任意の材料で形成されてもよい。バリア520がポリマーまたは他の多孔質材料(例えば、限定はしないが、Vancive Medical Technologiesから入手可能なMED 5695R、ポリエチレン発泡体)で形成される場合、導電性ゲル要素114は、硬化前にバリア520に浸透し、導電性ゲル要素114と電極要素110との間の接着性を増加させることができる。さらに、バリア520がポリマーで形成される場合、導電性ゲル要素114は、硬化中にバリア520のポリマーに架橋し、導電性ゲル要素114と電極要素110との間の接着性をさらに増加させることができる。バリア520は、
図3A、
図3F、
図3G、および
図3Jに示すヒドロゲルバリア116と同様であってもよい。
【0088】
バリア520は、任意の構造/構成の電極と共に利用することができ、本明細書に記載の任意の材料から製造することができる。ヒドロゲルはセラミックに架橋することができないので、ヒドロゲルバリアの使用は、セラミック電極が利用される場合(または少なくとも液体ヒドロゲルが配置される表面がセラミック材料で形成される場合)に特に有利であり得、この実施形態では、ヒドロゲルバリアは、ヒドロゲルを電極に固定し、ヒドロゲルが電極上のその正しい位置から移動するのを防止するように機能する。
【0089】
いくつかの実施形態では、トランスデューサアレイ100に接続された電場発生器32は、第1の電力および第1の周波数を有する第1の電気信号を第1の瞬間に第1のグループの1以上の電極要素110に供給し、第1のTTFieldを生成してもよい。電場発生器32は、第2の瞬間において、第1の電力と同じかまたは異なる第2の電力と、第1の周波数と同じかまたは異なる第2の周波数とを有する第2の電気信号を第2のグループの電極要素110に供給し、第2のTTFieldを生成してもよい。第1のTTFieldおよび第2のTTFieldは、同じ標的領域を標的とし得るか、または異なる標的エリアを標的とし得る。一実施形態では、第1の瞬間と第2の瞬間は重なり合ってもよく、すなわち、電場発生器32は、第1の電気信号を第1のグループに供給しながら、第2の電気信号を第2のグループに供給してもよい。そのような実施形態では、第1のグループおよび第2のグループは、相互に排他的であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、トランスデューサアレイ100に接続された電場発生器32は、第1の電力および第1の周波数を有する第1の電気信号を第1のグループの1以上の電極要素110に供給し、第2の電力および第2の周波数を有する第2の電気信号を同じ瞬間に第2のグループの電極要素110に供給してもよい。すなわち、電場発生器32は、第1の電気信号を第1のグループに、第2の電気信号を第2のグループに同時に供給することができる。上記の実施形態は、第1のグループおよび第2のグループのみを説明しているが、3つ以上のグループが存在してもよいことが理解される。一実施形態では、グループの数は、導電性領域56a~hの組み合わせの数に依存する。
【0091】
再び
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、リード34aおよび34bは、ブロッキングコンデンサ160aおよび160bなどのDCブロッキング構成要素を含むことができる。ブロッキングコンデンサは、DC電流がパッド42aおよび42bに流れるのを阻止するように動作可能であり得る。ブロッキングコンデンサ160aおよび160bは、AC電圧をパッド42aおよび42bに渡し、電場発生器32によって生成されるか、あるいは電気信号内に存在するDC電圧またはDCオフセットが患者に渡されるか患者を通過するのを防止するように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、ブロッキングコンデンサ160aおよび160bは、無分極コンデンサであってもよい。いくつかの実施形態では、ブロッキングコンデンサ160aおよび160bは、約1μFの静電容量を有することができる。いくつかの実施形態では、ブロッキングコンデンサは、KEMET Electronics Corporation(フロリダ州フォートローダーデール)製の「Goldmax,300 Series,Conformally Coated,X7R Dielectric,25-250 VDC(商用グレード)」有鉛無分極(leaded non-polarized)セラミックコンデンサである。
【0092】
いくつかの実施形態では、ブロッキングコンデンサ160aおよび160bは、リード34aおよび34bの構成要素、または第1のパッド42aおよび第2のパッド42bの電極要素82と電場発生器32との間の任意の位置における追加の構成要素であってもよい。例えば、ブロッキングコンデンサ160aおよび160bは、第2の導電性リード34bの第1の端部36aと電場発生器32との中間であってもよいし、第2の導電性リード34bの第2の端部40bと第2のパッド42bとの中間であってもよい。いくつかの実施形態では、パッド42aおよび42bから離れて、1以上のブロッキングコンデンサ160aおよび160bを設けることができる。例えば、1以上のブロッキングコンデンサ160aおよび160bは、電極要素82の非患者側に位置してもよい。
【0093】
本開示の特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載の電子装置30などのTTField生成システムの構成要素を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、パッド42aおよび42bのうちの1以上、またはトランスデューサアレイ100は、キットの一部としてパッケージ化されてもよい。いくつかの実施形態では、キットは、電極要素110に接続された第1のパッド42aおよびリード34aを含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、第1のパッド42aおよび第2のパッド42bと、トランスデューサアレイ100と、リード34aおよび34bとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、リード34aは、第1のパッド42aに機械的に結合されてもよく、第2の導電性リード34bは、例えば、リベット、はんだ、接着剤、溶接、および/または他の導電性結合手段によって第2のパッド42bに機械的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、キットは、電気信号がブロッキングコンデンサ160aまたは160bを通過するように位置決めされたブロッキングコンデンサ160aまたは160bをさらに含んでもよい。
【0094】
ここで
図6を参照すると、電子装置30およびトランスデューサアレイ100を使用してTTFieldを患者に適用する例示的な方法のフローチャート300が示されている。ステップ302において、トランスデューサアレイ100を患者の皮膚に取り付けることができる。例えば、電極要素110は、腫瘍の両側で患者の皮膚に取り付けられてもよい。脳腫瘍の場面では、電極110は、人の頭部の中心に位置決めされてもよい。例えば、一方の電極要素110が人の頭部の右側に位置決めされてもよく、他方の電極要素110が人の頭部の左側に位置決めされてもよい。1以上の電極要素110は、ユーザによって患者の皮膚に適用されてもよい。
【0095】
ステップ304において、AC電圧が電極要素110間に印加される。例えば、電場発生器32は、TTFフィールドを患者に送達するために患者に適用される電極要素110に対して一定期間にわたって約50kHz~約1MHzの範囲の周波数を有する交流電場を提供する。いくつかの実施形態では、ユーザは、制御ボックス28を介して電場発生器32の生成を開始することができる。いくつかの実施形態では、AC電圧の印加は、その期間内に2回以上実施されてもよい。AC電圧の複数の印加の持続期間は、同様であっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、AC電圧の非印加の期間は、AC電圧の印加の間にあってもよい。
【0096】
図7Aは、本開示に従って構築されたトランスデューサアレイ100の部分概略図である。
図7Aは、電極要素110の1つを切断した断面図である。電極要素110は、導電性プレート210と、導電性プレート210に隣接して位置決めされ、導電性プレート210を覆う誘電体材料214とを含む。導電性プレート210は、銅、アルミニウムなどの導電性材料で構築される。誘電体材料214は、セラミック材料、ポリマー材料などの非導電性材料で構築される。
【0097】
トランスデューサアレイ100はまた、複数の被絶縁導電性ゲル要素(isolated conductive gel element)114を含み、そのうちの1つが
図7Aに例として示されている。被絶縁導電性ゲル要素114は、電極要素110と接触している。誘電体材料214は、被絶縁導電性ゲル要素114の間に位置決めされ、導電性プレート210と被絶縁導電性ゲル要素114を容量結合するように機能する。被絶縁導電性ゲル要素114は、第1の導電性ゲル層106aと、第2の導電性ゲル層106bとを含む。支持層115は任意選択であり、存在する場合、第2の導電性ゲル層106bにおける第1の導電性ゲル層106aの間に位置決めされてもよい。
図7Aに示すように、第1の導電性ゲル層106aは、第2の導電性ゲル層106bと重なり合う。以下により詳細に説明するように、第1の導電性ゲル層106aは、流動可能な状態で複数の電極要素110に塗布された後、電極要素110上で硬化され得る。支持層115の第1の側115aを第1の導電性ゲル層106a上に塗布し、流動可能な状態の第2の導電性ゲル層106bを支持層115の第2の側115b上に塗布し、それにより電極要素110の各々の上の第1および第2の導電性ゲル層106aおよび106bが重なり合うようにすることができる。第2の導電性ゲル層106bが塗布されると、第2の導電性ゲル層106bは、支持層115の第2の側115b上で硬化され得る。上述のように、支持層115には複数の細孔が設けられてもよく、第2の導電性ゲル層106bを硬化させる前に、第2の導電性ゲル層106bが細孔を通って流れ、第1の導電性ゲル層106aと係合することを可能にする。
【0098】
剥離ライナ140は、第2の導電性ゲル層106bと接触して覆っている。剥離ライナ140は、第2の導電性ゲル層106bを硬化させた後、第2の導電性ゲル層106bに塗布されてもよい。
【0099】
第1の導電性ゲル層106aは、約0.1mm~約4mmの範囲内の厚さ、およびその中の組み合わせ(例えば、0.1mm~約1.4mmの範囲、約.2mm~約3mmの範囲など)を有することができる。第2の導電性ゲル層106bは、約0.1mm~約4mmの範囲内の厚さ、およびその中の組み合わせ(例えば、0.1mm~約1.4mmの範囲、約.2mm~約3mmの範囲など)を有することができる。
【0100】
当技術分野で知られているか、あるいは本明細書で企図される任意の誘電体ポリマー材料が、本開示に従って利用される電極中に存在してもよい。電極を形成するために(特に、電極のポリマー層を形成するために)利用され得るポリマーの非限定的な例には、PVDF、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン)、および/またはポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-1-クロロフルオロエチレン)が挙げられる。これらの2つのポリマーは、本明細書ではそれぞれ「ポリ(VDF-TrFE-CtFE)」および「ポリ(VDF-TrFE-CFE)」と略される。これらのポリマーは、高い誘電率(すなわち、40程度)を有する。あるいは、高レベルの静電容量(すなわち、少なくとも20の誘電率、100kHz~500kHzの少なくとも1つの周波数)を提供する他のポリマーを使用してもよい。
【0101】
加えて、特定の非限定的な実施形態では、セラミックナノ粒子をポリマーに混合し、「ナノコンポジット」を形成することができる。任意選択で、これらのセラミックナノ粒子は、強誘電性金属酸化物(例えば、チタン酸バリウムおよびチタン酸バリウムストロンチウムのうちの少なくとも1つ)を含んでもよい。
【0102】
電極要素110が導電性材料層および可撓性ポリマー層を含む場合、導電性材料の層は、少なくとも1つの金属(例えば、限定はしないが、ステンレス鋼、金、および/または銅)を含んでもよい。
【0103】
誘電体材料214がセラミック材料で構築される場合、セラミック材料は、多孔質であってもよい。第1の導電性ゲル層106aを誘電体材料214に塗布する際、第1の導電性ゲル層106aを硬化させる前に、流動可能な状態の第1の導電性ゲル層106aの一部が細孔内に流入し、それによって誘電体材料に浸透することができる。硬化すると、誘電体材料214に浸透する第1の導電性ゲル層106aの部分は、誘電体材料214に対する第1の導電性ゲル層106aの接着性を高める。
【0104】
誘電体材料214が可撓性または非可撓性ポリマー材料などの非セラミック材料で構築される場合、ポリマー材料の表面は、第1の導電性ゲル層106aと誘電体材料214との間の接着性を高めるように処置されてもよい。電極要素110の製造におけるポリマーの使用は、硬化ステップ中に導電性ゲル要素114と電極要素110のポリマーとの間の架橋を提供することができる。化学接合は、セラミック材料のみで形成された電極では達成することができないそれらの間の機械的接続を提供することができる。そのような接合は、より長期間にわたってアレイ上の導電性ゲル要素114を維持すること、より長期間にわたって接着速度を改善すること、患者の皮膚との接触を改善すること、アレイの交換速度を低下させることなどを助けることができる。ポリマー材料を処置する方式の例を、以下に説明する。
【0105】
図7Aに示すように、電極要素110は、フレキシブル回路102に接続され、フレキシブル回路102によって支持される。示すように、電極要素110は、フレキシブル回路102の一部にわたって延びる。フレキシブル回路102は、被覆裏面接着性層126に接続される。
【0106】
ここで
図7Bを参照すると、電極要素110が示されている。電極要素110には、上述した導電性プレート210および誘電体材料214が設けられる。
図7Bに示す例では、誘電体材料214は、ポリマーなどの非多孔質材料で構築される。導電性ゲル層106aとの接着性を高めるために、誘電体材料214には、テクスチャ加工表面220が設けられる。テクスチャ加工表面220は、研磨、化学エッチング、ブラスト加工、研削、プラズマ処理、オゾン処理などの任意の適切なプロセスによって形成することができる。テクスチャ加工表面220は、導電性プレート210からある距離だけ離間される。
【0107】
ここで
図8Aを参照すると、本開示に従って構築されたトランスデューサアレイ100aの別の実施形態の部分概略図が示されている。トランスデューサアレイ100aは、トランスデューサアレイ100aに複数の電極要素110aが設けられていることを除いて、上述したトランスデューサアレイ100と構築および機能が同一である。
図8Aは、電極要素110aの1つを切断した断面図である。電極要素110aには、第1の導電性ゲル層106aに機械的かつ電気的に接続された導電層230が設けられる。
【0108】
ここで
図8Bを参照すると、電極要素110aが示されている。電極要素110aには、上述したように導電層230が設けられる。導電性ゲル層106aとの接着性を高めるために、導電層230には、テクスチャ加工表面232が設けられる。テクスチャ加工表面232は、研磨、化学エッチング、ブラスト加工、研削、プラズマ処理、オゾン処理などの任意の適切なプロセスによって形成することができる。
【0109】
ここで
図9を参照すると、第1の導電性ゲル層106aおよび/または第2の導電性ゲル層106bを電極要素110または110aに塗布する、本開示に従って構築されたゲル塗布システム250の例示的な実施形態の図が示されている。ゲル塗布システム250は、1以上のアプリケータ254と、ハウジング262に移動可能に取り付けられたプラットフォーム258とを備える。簡潔にするために、1つのアプリケータ254のみが示されている。複数のアプリケータ254を使用することもできることを理解されたい。1以上のアプリケータ254は、上記でより詳細に説明した導電性ゲルを吐出するための少なくともノズル266をさらに備える。プラットフォーム258は、トランスデューサアレイ100または100aの複数の電極要素110または110aを支持する。複数の電極要素110または110aは、上述の第1の所定のパターンでフレキシブル回路102および/または被覆裏面接着性層126に接続されて支持されてもよい。被覆裏面接着性層126は、プラットフォーム258と係合し、プラットフォーム258によって支持され得る。一実施形態では、アプリケータ254は、第1の方向270もしくは第2の方向274の一方に、または第1の方向270と第2の方向274の組み合わせに移動することができる。一実施形態では、プラットフォーム258は、第1の方向270もしくは第2の方向274の一方に、または第1の方向270と第2の方向274の組み合わせに移動することができる。一実施形態では、ゲル塗布システム250は、プラットフォーム258の動きを制御するため、および/またはアプリケータ254の動きを制御するためのコントローラ278を含む。
【0110】
一実施形態では、ノズル266は、プラットフォーム258からノズル266の間の距離によって決定される塗布距離を有し、塗布圧力で(液体形態の)導電性ゲルを吐出し、プラットフォーム258に対して塗布速度で移動する。塗布距離、塗布圧力、および塗布速度を調整することによって、ノズル266による導電性ゲルの塗布量を調整することができる。塗布速度は、アプリケータ254および/またはプラットフォーム258を第1の方向270、第2の方向274、または第1の方向270と第2の方向274の組み合わせのうちの1つに移動させることによって引き起こされ得る。
【0111】
一実施形態では、塗布圧力は、誘電体材料214が多孔質であるときに導電性ゲルの一部が誘電体材料214の細孔内に吸い込まれるように、または電極要素110もしくは110aと第1の導電性ゲル層106aの接触面積である接触面積が増加するように谷部224もしくは236内に吸い込まれるように選択される。例えば、より高い圧力で導電性ゲルを吐出し、導電性ゲルをセラミック材料内にさらに浸透させることが望ましい場合がある。セラミック材料への浸透性を増加させることによって、電極要素110と第1の導電性ゲル層106aとの間の接着性を増加させることができる。
【0112】
一実施形態では、ゲル塗布システム250は、液体形態(例えば、流動可能な状態)の導電性ゲルをテクスチャ加工表面220または232上に吐出する。ゲル塗布システム250が導電性ゲルを特定の電極要素110または110a上に吐出すると、ゲル塗布システム250は、導電性ゲルが電極要素110または110aのすべてに塗布されるまで、導電性ゲルを電極要素110または110aの別の1以上に対して吐出することができる。導電性ゲルが塗布されると、導電性ゲルは、電極要素110または110a上で硬化する。例えば、液体導電性ゲルは、液体導電性ゲルを硬化させて流動不能な状態、例えば、重合状態にするために、UV源によって放出されたUV光に曝露されてもよい。重合導電性ゲルは、第1の導電性ゲル層106aを形成し得る。
【0113】
一実施形態では、アプリケータ254は手持ち式であってもよく、すなわち、アプリケータ254は、ハウジング262に移動可能に取り付けられる代わりにユーザによって保持および/または移動されてもよい。そのような実施形態では、ユーザは、アプリケータ254を使用して、導電性ゲルを導電層230の誘電体材料214上に吐出することができる。
【0114】
第1の導電性ゲル層106aが形成されると、支持層115を電極要素110または110aに塗布することができ、次いでアプリケータ254を使用して導電性ゲルを支持層115上に塗布し、第2の導電性ゲル層106bを形成することができる。上述したように、支持層115は任意選択であり、したがって支持層115を第1の導電性ゲル層106aに塗布することも任意選択である。
【0115】
図10には、少なくとも1つの腫瘍処理場電極280(
図7Aおよび
図7B参照)を作製するためのプロセス1000が示されている。腫瘍処理場電極280は、導電性ゲルアセンブリである。より詳細には、ステップ1002において、導電性ゲルが、流動可能な状態で、腫瘍処理場を送達するために動作可能なトランスデューサアレイ100または100aの電極要素110または110aの一方に分配される。そして、ステップ1004において、導電性ゲルが流動不能な状態となるように、電極要素110または110a上で導電性ゲルを硬化させる。
【0116】
図11には、トランスデューサアレイ100または100aを作製するためのプロセス1100が示されている。ステップ1102において、TTFieldとして電気信号を発生する電場発生器から電気信号を受信するように構成された複数の電極要素110または110aを有する電極層が設けられる。電極要素110または110aは、電気的に絶縁されている。ステップ1104において、導電性ゲル要素114を流動可能な状態で複数の電極要素110または110aに塗布する。ステップ1106において、導電性ゲル要素が電極要素上で硬化される。
【0117】
以下は、本明細書に開示される本発明の概念の非限定的な例示的な実施形態の番号リストである。
【0118】
請求項1.少なくとも1つの腫瘍処理場電極を作製する方法であって、
流動可能な状態で、腫瘍処理場を送達するために動作可能なトランスデューサアレイの電極要素上に導電性ゲルを分配するステップと、
前記導電性ゲルが流動不能な状態となるように、前記電極要素上の前記導電性ゲルを硬化させるステップと
を含む、方法。
【0119】
請求項2.前記導電性ゲルを分配する前に、前記方法は、前記電極要素の表面の少なくとも一部をテクスチャ加工してテクスチャ加工表面を形成するステップをさらに含み、前記導電性ゲルを分配するステップは、前記流動可能な状態で、前記導電性ゲルを前記テクスチャ加工表面上に分配するステップとしてさらに定義される、請求項1に記載の方法。
【0120】
請求項3.前記電極要素は、外面を有する誘電体材料を含み、前記電極要素の前記表面の少なくとも前記一部をテクスチャ加工する前記ステップは、前記誘電体材料の前記外面をテクスチャ加工するステップとしてさらに定義される、請求項2に記載の方法。
【0121】
請求項4.前記電極要素は、外面を有する導電性材料を含み、前記電極要素の前記表面の少なくとも前記一部をテクスチャ加工する前記ステップは、前記導電性材料の前記外面をテクスチャ加工するステップとしてさらに定義される、請求項2に記載の方法。
【0122】
請求項5.前記電極要素は、第1の電極要素であり、前記方法は、前記流動可能な状態で、腫瘍処理場を送達するために動作可能な前記トランスデューサアレイの第2の電極要素上に前記導電性ゲルを分配するステップと、前記第2の電極要素上の前記導電性ゲルが前記流動不能な状態となるように、前記第2の電極要素上の前記導電性ゲルを硬化させるステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0123】
請求項6.支持層が前記第1の電極要素と前記第2の電極要素との間に延びるように、前記支持層を前記第1の電極要素および前記第2の電極要素に塗布するステップをさらに含み、前記支持層は、非導電性材料で構築される、請求項5に記載の方法。
【0124】
請求項7.前記電極要素は、外面を有する誘電体材料を含み、前記誘電体材料は、多孔質である、請求項1に記載の方法。
【0125】
請求項8.前記誘電体材料は、セラミック材料である、請求項7に記載の方法。
【0126】
請求項9.前記導電性ゲルを分配する前に、前記電極要素の表面の周りにモールドを配置するステップをさらに含み、前記モールドの側壁は、前記電極要素の前記表面を越えて延び、前記流動不能な状態の前記導電性ゲルについての厚さを画定する、請求項1に記載の方法。
【0127】
請求項10.前記トランスデューサアレイは、ポリマーで形成された少なくとも1つのバリアを備え、前記バリアは、前記電極要素の周囲に関連付けられ、前記電極要素の周囲を囲み、前記導電性ゲルを硬化させる前記ステップは、前記導電性ゲルと前記バリアのポリマーとの間に架橋を引き起こす、請求項1に記載の方法。
【0128】
請求項11.前記電極要素に塗布された前記導電性ゲルの石英プレートを配置し、前記導電性ゲルを硬化させる前記ステップの間、所定の位置に前記石英プレートを保持するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0129】
請求項12.トランスデューサアレイを作製する方法であって、
TTFieldとして電気信号を発生する電場発生器から電気信号を受信するように構成された複数の電極要素を有する電極層を設けるステップであって、前記電極要素は、電気的に絶縁されているステップと、
流動可能な状態の導電性ゲル要素を複数の前記電極要素に塗布するステップと、
前記電極要素上の前記導電性ゲル要素を硬化させるステップと
を含む、方法。
【0130】
請求項13.さらに前記電極要素は、第1のパターンにあり、前記導電性ゲル要素は、第1の導電性ゲル層と、第2の導電性ゲル層とを含み、前記流動可能な状態の導電性ゲル要素を複数の前記電極要素に塗布する前記ステップは、前記第1の導電性ゲル層を複数の前記電極要素に塗布するステップと、支持層の第1の側を前記第1の導電性ゲル層上に塗布するステップと、前記電極要素の各々の上の前記第1および第2の導電性ゲル層が重なり合うように、前記流動可能な状態で、第2の導電性ゲル層を前記第1のパターンに対応する第2のパターンにおいて前記支持層の第2の側上に塗布するステップとを含む、請求項12に記載の方法。
【0131】
請求項14.前記支持層は、前記第1の側および前記第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料であり、前記第2の導電性ゲル層は、前記空隙を通過し、前記支持層を前記第1の導電性ゲル層に接合する、請求項13に記載の方法。
【0132】
請求項15.フレキシブル回路上に前記電極要素を設けるステップと、接合材料を使用して前記支持層の第1の側を前記フレキシブル回路の少なくとも一部に接合するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【0133】
請求項16.前記接合材料は、接着剤および粘着剤からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【0134】
請求項17.前記流動可能な状態の導電性ゲル要素を複数の前記電極要素に塗布する前に、前記方法は、前記電極要素の表面の少なくとも一部をテクスチャ加工して複数のテクスチャ加工表面を形成するステップをさらに含み、前記流動可能な状態の導電性ゲル要素を塗布する前記ステップは、前記流動可能な状態の導電性ゲル要素を複数の前記電極要素の前記テクスチャ加工表面上に塗布するステップとしてさらに定義される、請求項12に記載の方法。
【0135】
請求項18.前記電極要素は、外面を有する誘電体材料を含み、前記電極要素の前記表面の少なくとも前記一部をテクスチャ加工する前記ステップは、前記誘電体材料の前記外面をテクスチャ加工するステップとしてさらに定義される、請求項17に記載の方法。
【0136】
請求項19.前記電極要素は、外面を有する導電性材料を含み、前記電極要素の前記表面の少なくとも前記一部をテクスチャ加工する前記ステップは、前記導電性材料の前記外面をテクスチャ加工するステップとしてさらに定義される、請求項17に記載の方法。
【0137】
請求項20.前記電極要素は、外面を有する誘電体材料を含み、前記誘電体材料は、多孔質であり、前記流動可能な状態の前記導電性ゲル要素の少なくとも一部を受け入れ、前記誘電体材料と前記導電性ゲル要素との間の接着性を高める、請求項12に記載の方法。
【0138】
請求項21.第1のパターンの複数の電極要素であって、前記電極要素は、TTFieldとして電気信号を発生する電場発生器から電気信号を受信するように構成され、複数の前記電極要素は、複数の別個の導電性領域を形成する複数の電極要素と、
前記第1のパターンに対応する第2のパターンを有する複数の被絶縁導電性ゲル要素であって、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第1の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第1の電極要素と接触しており、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第2の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第2の電極要素と接触しており、前記第1の被絶縁導電性ゲル要素および前記第1の電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つであり、前記第2の被絶縁導電性ゲル要素および前記第2の電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つであり、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素は、流動可能な状態である複数の被絶縁導電性ゲル要素と
を備える、トランスデューサアレイ。
【0139】
請求項22.複数の前記電極要素における前記電極要素は、テクスチャ加工表面を有し、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素の各々は、複数の前記電極要素のそれぞれの前記テクスチャ加工表面と接触している、請求項21に記載のトランスデューサアレイ。
【0140】
請求項23.前記電極要素は、前記テクスチャ加工表面を有する誘電体材料を含む、請求項22に記載のトランスデューサアレイ。
【0141】
請求項24.前記電極要素は、前記テクスチャ加工表面を有する導電性材料を含む、請求項22に記載のトランスデューサアレイ。
【0142】
請求項25.前記電極要素は、外面を有する誘電体材料を含み、前記誘電体材料は、多孔質であり、前記流動可能な状態の複数の前記被絶縁導電性ゲル要素の少なくとも一部を受け入れ、前記誘電体材料と前記被絶縁導電性ゲル要素との間の接着性を高める、請求項21に記載のトランスデューサアレイ。
【0143】
請求項26.前記支持層の第1の側上の標的位置の第1の所定のパターンで支持層上に第1の導電性ゲルを分配し、複数の第1の導電性ゲル層を形成するステップであって、前記支持層は、前記支持層の前記第1の側および第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料であるステップと、
標的位置の第2の所定のパターンで前記支持層の前記第2の側上に第2の導電性ゲルを分配して複数の第2の導電性ゲル層を形成し、前記第2の導電性ゲル層の各々は、対応する第1の導電性ゲル層と重なり合い導電性ゲル要素を形成するステップと、
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルを硬化させるステップと
を含む、方法。
【0144】
請求項27.前記導電性ゲルは、複数の所定の標的位置で前記支持層上に分配される、請求項26に記載の方法。
【0145】
請求項28.前記第1の被絶縁ゲル領域を、複数の被絶縁導電性領域を形成する複数の電極要素に接続するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【0146】
請求項29.各標的位置は、前記電極要素の被絶縁導電性誘電体領域に対応する、請求項28に記載の方法。
【0147】
請求項30.前記電極要素は、誘電体材料で構築された電極支持層を含み、前記第1の被絶縁ゲル領域を前記電極支持層に接続するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【0148】
請求項31.各標的位置は、ある距離だけ離間され、隣接する標的位置から隔離される、請求項29に記載の方法。
【0149】
請求項32.各標的位置は、モールドを使用して隣接する標的位置から隔離される、請求項26に記載の方法。
【0150】
請求項33.前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルは、異なる導電性ゲルで構築される、請求項26に記載の方法。
【0151】
請求項34.前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルは、同じ導電性ゲルで構築される、請求項26に記載の方法。
【0152】
請求項35.前記支持層は、非導電性材料で形成される、請求項26に記載の方法。
【0153】
請求項36.前記支持層は、不織布メッシュで形成される、請求項26に記載の方法。
【0154】
請求項37.トランスデューサアレイを形成する方法であって、
TTFieldとして電気信号を発生する発生器から電気信号を受信するように構成された複数の電極要素を有する電極層を設けるステップであって、前記電極要素は、電気的に絶縁されているステップと、
前記支持層の第1の側を前記電極要素に接続するステップと、
前記支持層の第2の側上に導電性ゲル要素を形成するステップであって、前記導電性ゲル要素は、複数の被絶縁ゲル領域を有し、前記被絶縁ゲル領域の少なくともいくつかは、対応する電極要素と整列されるステップと
を含む、方法。
【0155】
請求項38.前記支持層の第1の側を前記電極要素に接続するステップは、フレキシブル回路上に前記電極要素を設けるステップと、接合材料を使用して前記支持層の前記第1の側を前記フレキシブル回路の少なくとも一部に接合するステップとを含む、請求項37に記載の方法。
【0156】
請求項39.前記接合材料は、接着剤および粘着剤からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【0157】
請求項40.前記支持層は、前記第1の側および前記第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料であり、前記支持層の前記第1の側を前記電極要素に接続し、前記支持層の前記第2の側上に前記導電性ゲル要素を形成する前記ステップは、前記導電性ゲル要素が前記空隙を通過し、前記支持層を前記電極要素に接合することによって同時に達成される、請求項37に記載の方法。
【0158】
請求項41.トップコート層と、
第1のパターンで前記トップコート層に接続された複数の電極要素であって、前記電極要素は、TTFieldとして電気信号を発生する発生器から電気信号を受信するように構成され、複数の前記電極要素は、複数の別個の導電性領域を形成する複数の電極要素と、
前記トップコート層とは別個であり、前記導電性領域のうちの少なくとも2つの間に延びる支持層と、
前記第1のパターンに対応する第2のパターンを有する複数の被絶縁導電性ゲル要素であって、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第1の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第1の電極要素と整列され、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第2の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第2の電極要素と整列され、前記第1の被絶縁導電性ゲル要素および前記第1の電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つであり、前記第2の被絶縁導電性ゲル要素および前記第2の前記電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つである複数の被絶縁導電性ゲル要素と
を備える、トランスデューサアレイ。
【0159】
上記の説明から、本明細書に開示および特許請求される本発明の概念は、本発明に固有のものだけでなく、目的を実行し、本明細書に記載の利点を達成するのによく適合していることは明らかである。本開示の目的のために本発明の概念の例示的な実施形態を説明してきたが、当業者に容易に示唆され、本明細書に開示および特許請求される本発明の概念の精神の範囲内で達成される多数の変更を行うことができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0160】
10 分裂細胞、12 外部TTField/交流フィールド、14 導体、14a 第1の電極、14b 第2の電極、16 微小管、18 中心小体、20 中心、22 取付点、24 細胞膜、30 電子装置、32 電場発生器、34 導電性リード、34a 第1の導電性リード、34b 第2の導電性リード、36a 第1の端部、36b 第1の端部、40a 第2の端部、40b 第2の端部、42a 第1のパッド、42b 第2のパッド、44 制御ボックス、46 温度センサ、100 トランスデューサアレイ、102 フレキシブル回路、104 実装パッド、104a 実装パッド、104b 実装パッド、104c 実装パッド、105 T字形の交差部、106 導電性ゲル層、106a 列/第1の導電性ゲル層、106b 列/第2の導電性ゲル層、106c 列、106d 列、106e 列、107 導電性ゲルアセンブリ、108a 中央トランク/セグメント、108b 中央トランク/セグメント、108c 中央トランク/セグメント、108d 中央トランク/セグメント、108e 中央トランク/セグメント、108f 中央トランク/セグメント、108g 中央トランク/セグメント、110 電極要素、110a 電極要素、111a 外側、111b 内側、112 補強材、114 被絶縁導電性ゲル要素、115 支持層、115a 第1の側、115b 第2の側、116 ヒドロゲルバリア、118 接着層、118a 皮膚面接着層/皮膚面接着部、118b 接着層、120a 切り欠き、120b 切り欠き、122 コンフォーマル発泡体層、123 リング状領域/スロット、123a スロット、123b スロット、123c スロット、123d スロット、123e スロット、123f スロット、123g スロット、123h スロット、124 フィンガ、124a フィンガ、124b フィンガ、124c フィンガ、124d フィンガ、124e フィンガ、124f フィンガ、124g フィンガ、124h フィンガ、124i フィンガ、124j フィンガ、126 上部被覆裏面接着性層、128 スロット、129 最も内側の端部、130 フィンガ、132 スリット、134 電気ケーブル、135 中央開口、136 上部裏面接着性スロットカバー、138 スロット、140 剥離ライナ、160a ブロッキングコンデンサ、160b ブロッキングコンデンサ、200 フローチャート、210 導電性プレート、214 誘電体材料、220 テクスチャ加工表面、230 導電層、232 テクスチャ加工表面、250 ゲル塗布システム、254 アプリケータ、258 プラットフォーム、262 ハウジング、266 ノズル、270 第1の方向、274 第2の方向、278 コントローラ、280 腫瘍処理場電極、300 フローチャート、500 モールド、500a モールド、502 表面、502a 第1の表面、502b 第1の表面、502c 第1の表面、502d 表面、504 導電性材料層、506 ポリマー層、510 放射線源、512 石英プレート、520 バリア、1000 プロセス、1100 プロセス
【手続補正書】
【提出日】2022-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層の第1の側上の標的位置の第1の所定のパターンで前記支持層上に第1の導電性ゲルを分配し、複数の第1の導電性ゲル層を形成するステップであって、前記支持層は、前記支持層の前記第1の側および第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料である、ステップと、
標的位置の第2の所定のパターンで前記支持層の前記第2の側上に第2の導電性ゲルを分配して複数の第2の導電性ゲル層を形成するステップであって、前記第2の導電性ゲル層の各々は、対応する第1の導電性ゲル層と重なり合い導電性ゲル要素を形成する、ステップと、
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルを硬化させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記
第2の導電性ゲルは、複数の所定の標的位置で前記支持層上に分配される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
導電性ゲル要素を、複数の被絶縁導電性領域を形成する複数の電極要素に接続するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的位置それぞれは、前記電極要素の被絶縁導電性誘電体領域に対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電極要素は、誘電体材料を含み、第1の被絶縁ゲル領域を前記
誘電体材料に接続するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的位置それぞれは、所定の距離だけ離間され、隣接する前記標的位置から隔離される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記標的位置それぞれは、モールドを使用して隣接する前記標的位置から隔離される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルは、異なる導電性ゲルで構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電性ゲルおよび前記第2の導電性ゲルは、同じ導電性ゲルで構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記支持層は、非導電性材料で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記支持層は、不織布メッシュで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
トランスデューサアレイを形成する方法であって、
TTFieldとして電気信号を発生する発生器から電気信号を受信するように構成された複数の電極要素を有する電極層を設けるステップであって、前記電極要素は、電気的に絶縁されている、ステップと、
支持層の第1の側を前記電極要素に接続するステップと、
前記支持層の第2の側上に導電性ゲル要素を形成するステップであって、前記導電性ゲル要素は、複数の被絶縁ゲル領域を有し、前記被絶縁ゲル領域の少なくともいくつかは、対応する前記電極要素と整列される、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記支持層の第1の側を前記電極要素に接続するステップは、
フレキシブル回路上に前記電極要素を設けるステップと、接合材料を使用して前記支持層の前記第1の側を前記フレキシブル回路の少なくとも一部に接合するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接合材料は、接着剤および粘着剤からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記支持層は、前記第1の側および前記第2の側と交差する複数の空隙を有する可撓性材料であり、前記支持層の前記第1の側を前記電極要素に接続し、前記支持層の前記第2の側上に前記導電性ゲル要素を形成する前記ステップは、前記導電性ゲル要素が前記空隙を通過し、前記支持層を前記電極要素に接合することによって同時に達成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
トップコート層と、
第1のパターンで前記トップコート層に接続された複数の電極要素であって、前記電極要素は、TTFieldとして電気信号を発生する発生器から電気信号を受信するように構成され、複数の前記電極要素は、複数の別個の導電性領域を形成する、複数の電極要素と、
前記トップコート層とは別個であり、前記導電性領域のうちの少なくとも2つの間に延びる支持層と、
前記第1のパターンに対応する第2のパターンを有する複数の被絶縁導電性ゲル要素であって、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第1の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第1の電極要素と整列され、複数の前記被絶縁導電性ゲル要素のうちの第2の被絶縁導電性ゲル要素は、複数の前記電極要素のうちの第2の電極要素と整列され、前記第1の被絶縁導電性ゲル要素および前記第1の電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つであり、前記第2の被絶縁導電性ゲル要素および前記第2の前記電極要素は、容量結合されているか電気結合されているかの少なくとも1つである、複数の被絶縁導電性ゲル要素と
を備える、トランスデューサアレイ。
【国際調査報告】