(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】組織に活性剤を送達するための拡張可能なデバイス
(51)【国際特許分類】
A61K 9/48 20060101AFI20240321BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240321BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240321BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K9/70
A61K45/00
A61K45/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556528
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 IL2022050290
(87)【国際公開番号】W WO2022195586
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523206138
【氏名又は名称】エピトミー メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ギル
(72)【発明者】
【氏名】アルタモノフ,バレリー
(72)【発明者】
【氏名】ハシムショニー,ダン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB01
4C084AA17
4C084AA18
4C084MA37
4C084NA05
4C084NA12
4C084NA13
(57)【要約】
本開示は、拡張可能なデバイス、具体的には、組織、例えば、腸組織への接着のための自己展開型デバイスに関する。本開示はまた、拡張可能なデバイス、具体的には、組織に又は組織にわって少なくとも1つの活性剤を送達するための自己展開型デバイスに関する。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織付着可能層を組織に付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスであって、前記デバイスが、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ
1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、前記コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、前記ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、前記コンパートメントを拡張させて、前記デバイスを前記崩壊された状態から前記拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、
前記コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層と、を備え、
その結果、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への前記デバイスの拡張が、前記組織に前記組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、前記コンパートメントの拡張を引き起こして、前記組織に向かって前記組織付着可能層を駆動させる、デバイス。
【請求項2】
前記組織付着可能層が、複数のマイクロニードルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記組織付着可能層が、粘液接着層である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記粘液接着層が、少なくとも1つの粘液接着材料を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記粘液接着層が、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記マイクロニードルが、少なくとも1つの活性剤が埋め込まれている高分子材料で構成されている、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記活性剤が、薬学的活性剤である、請求項5又は6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、前記少なくとも1つの活性剤とは異なる、少なくとも1つの追加の活性物質を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記変形可能なフィルムの前記1つ以上のセクションが、それらの液体透過性において互いに異なる、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記変形可能なフィルムが、分解可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記変形可能なフィルムが、機械的、化学的、又は生物学的に分解可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記変形可能なフィルムが、前記フィルムの断片化を可能にする弱化領域を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ゲル形成材料が、分解可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記崩壊された状態にあるときに、前記デバイスが、一次的な折り畳まれた構成で折り畳まれ、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への遷移中に折り畳み解除を受けるように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記一次的な折り畳まれた構成にあるときに、前記デバイスが、腸溶性エンベロープによって包まれる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記崩壊された状態にあるときに、前記デバイスが、二次的な巻回された構成を有し、それによって、前記折り畳まれたデバイスが、その軸の周りに更に巻回され、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への遷移中に、巻回解除及び折り畳み解除を同時に受けるように構成されている、請求項14又は15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記二次的な巻回された構成において、前記デバイスが、腸溶性エンベロープによって包まれる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記一次的な折り畳まれた構成において、前記デバイスが、第1の腸溶性エンベロープによって包まれ、前記二次的な巻回された構成において、前記デバイスが、第2の腸溶性エンベロープによって包まれる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記崩壊された状態にあるときに、前記デバイスが、その軸の周りに巻回され、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への遷移中に巻回解除を受けるように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスを、その崩壊された状態でカプセル化する、生分解性シェルを備える、請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
摂取可能なデバイスである、請求項1~20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記ゲル形成材料が、ゲルフィルムの形態である、請求項1~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ゲル形成材料が、ゲル粒子の形態である、請求項1~22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ゲル形成材料が、1つ以上のゲル形成化合物を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記崩壊された状態において、前記組織付着可能層は粘液接着材料のシートであり、前記粘液接着材料のシートは、前記組織付着可能層の一部分が前記コンパートメントの前記外面の少なくとも一領域をコーティングしている状態で、非延在(例えば、折り畳まれた、又は巻回された)構成を有し、かつ前記拡張された状態において、前記コンパートメントを越えて延在する(例えば、折り畳み解除されている、又は巻回解除されている)、延在構成を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
生分解性シェルにカプセル化された、請求項1~25のいずれか一項に記載の摂取可能な自己拡張可能なデバイスと、使用説明書と、を備える、キット。
【請求項27】
粘膜を介して、組織付着可能層を、それを必要とする対象の組織に付着させる方法であって、前記方法が、前記対象に、生分解性シェルにカプセル化された請求項1~25のいずれか一項に記載の自己拡張可能なデバイスを投与することを含む、方法。
【請求項28】
少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に送達する方法であって、前記方法が、前記対象に、生分解性シェルにカプセル化された請求項5~25のいずれか一項に記載の自己拡張可能なデバイスを投与することを含む、方法。
【請求項29】
少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に長期間送達する方法であって、前記方法が、前記対象に、生分解性シェルにカプセル化された請求項5~25のいずれか一項に記載の自己拡張可能なデバイスを投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織、例えば、腸組織への接着のための、及び、任意選択的に、組織に又は組織にわって少なくとも1つの活性剤を送達するための、拡張可能なデバイス、具体的には自己展開型デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に列挙する。
・PCT特許公開第WO2016/015648号
・PCT特許公開第WO2008/062440号
・PCT特許公開第WO2009/125432号
・PCT特許公開第WO2013/188819号
・PCT特許公開第WO2015/026552号
・PCT特許公開第WO2015/120471号
【0003】
本明細書における上記の参考文献の承認は、これらが本開示の主題の特許性にいかなる形でも関連することを意味するものとして推論されるべきではない。
【0004】
背景技術
様々な化合物及び活性剤の、組織(例えば、腸管の内層)への、又は組織にわたる効果的かつ標的化された送達は、長年にわたって課題であることが証明されている。水和環境及び生物学的表面の潤滑を提供するために種々の組織を覆う粘液分泌物のために、活性剤の標的送達は、予め定義された期間にわたって組織に付着することができ、それによって組織と活性剤との間のより長い接触時間を提供し、組織を通ってかつ/又は組織に活性剤をより長い時間吸収することを可能にする、粘液接着成分又は他の組織付着配置の使用をしばしば必要とする。
【0005】
利用されるアプローチの多くは、粒子形態の粘液接着成分を含む組成物(例えば、粘液接着粒子に分散された活性剤を含むカプセル、又は定義された条件に曝露されたときに粘液接着粒子を分散させるデバイス)を含むことが多いが、そのような組成物は、関連する組織の近くに一度分散することが困難であり、粘液接着剤が組織に接着される位置を十分に制御することはできない。更に、そのようなシステムは、接着力が不十分であり、かつ/又は標的部位での滞留時間が不十分であることがよくある。
【0006】
他のアプローチは、粘膜接着性物質を標的組織と接触させるために様々なアプリケータを利用することを提案している。そのようなアプリケータを利用することは、しばしば侵襲的な性質であり、したがって、内臓器官(消化管など)への活性剤の送達にはあまり適していない。
【0007】
一般的な説明
本開示は、自己拡張可能なデバイスを提供し、これは、対象に投与され、1つ以上の組織付着可能層(又はパッチ)、例えば、粘液接着材料の組織への制御された展開又は接着を受けることができる。この組織付着可能層は、組織付着可能層が付着された組織に送達され得る、かつ/又は組織付着可能層が付着された組織にわたって送達され得る、1つ以上の活性剤を含み得る。
【0008】
追加的に、粘液接着層の良好な接着性及び十分な接着時間を達成することができることは、組織を横切るイオン、分子、及び/又は小さい粒子の移動を遮断するのに有用であり得る。
【0009】
本開示のデバイスは、組織に向かって組織付着可能層又はパッチ、例えば、粘膜接着材料の層を駆動し、所望の場所で層又はパッチを組織に付着又は接着するために一時的にその上に力を加えるために、体積を増加させるように、体積を制御可能に増加させるように設計される。したがって、デバイスが投与されると、展開のための適切な条件に曝露されて、デバイスが拡張し、組織に組織付着可能層が送達される。
【0010】
したがって、本開示の一態様では、自己拡張可能なデバイスが提供されており、デバイスは、1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張するように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする、組織付着可能層と、を備え、デバイスは、ゲル形成材料と液体との接触時に、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に拡張することによって、組織付着可能層を組織に付着させるように構成されている。
【0011】
別の態様によって、本開示は、組織付着可能層を組織に付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスを提供しており、デバイスは、崩壊された状態及び拡張された状態を有する。デバイスは、1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントを備え、コンパートメントは、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料は、液体と接触すると膨張するように構成されており、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替える。デバイスはまた、コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする、組織付着可能層を備え、その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張は、組織に組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、組織に向かって組織付着可能層を駆動させる。
【0012】
更なる態様によって、本開示は、組織に及び/又は組織にわたって少なくとも1つの活性剤を送達するための自己拡張可能なデバイスを提供しており、デバイスは、崩壊された状態及び拡張された状態を有する。デバイスは、1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントを備え、コンパートメントは、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料は、液体と接触すると膨張するように構成されており、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替える。デバイスはまた、コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする、組織付着可能層を備え、組織付着可能層は、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤から構成される。崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張は、コンパートメントの拡張を引き起こし、したがって、組織に組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、組織に向かって組織付着可能層を駆動させて、組織への、かつ/又は組織を横断する活性剤の送達を可能にする。
【0013】
言い換えれば、デバイスは、1つ以上の液体透過性セクションを有する変形可能なフィルムから形成された閉じたコンパートメントを備え、1つ以上のゲル形成材料をその中に保持する。投与のために、デバイスは、崩壊された状態にあり、すなわち、所与の初期ボリュームを有するコンパクトな構成を有する。投与され、適切な条件にさらされると、以下で更に考察されるように、フィルムの液体透過性セクションを通る液体の貫通は、ゲル形成材料を膨張させ、それによって、ボリュームが増加し、デバイスを拡張された状態に不可逆的に展開させる。コンパートメントの外面は、組織付着可能層、例えば、粘液接着層によって少なくとも部分的にコーティングされている。したがって、拡張された状態へのコンパートメントの拡張は、組織に向かって組織付着可能層を駆動し、かつ/又は押し出し、組織と接触させて、組織に付着又は接着することを可能にする。
【0014】
別の態様では、組織付着可能層を組織付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスが提供されており、デバイスは、非拡張(崩壊された)状態、及び拡張された状態を有し、1つ以上の液体透過性セクションを有し、かつデバイスの非拡張状態で崩壊された構成を有する、実質的に連続した閉じた変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコアであって、フィルムが、液体と接触すると拡張するように構成された少なくとも1つのゲル形成材料を保持するボリュームを包み、それによって、コアのボリュームを増加させ、デバイスを非拡張状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように展開された構成にフィルムを展開する、少なくとも1つの自己拡張可能なコアと、コアの外面の少なくとも一部分をコーティングする、組織付着可能層と、を備え、その結果、デバイスの非拡張(崩壊された)状態から拡張された状態への拡張により、コアの展開が引き起こされ、組織付着可能層の少なくとも一部を組織に付着させるために組織付着可能層が当該組織に向かって駆動される。
【0015】
組織付着可能層は、組織、典型的には、粘膜上皮組織に自己付着することができる層を示すことを意味する。組織への組織付着可能層の付着は、機械的手段、例えば、マイクロニードル又はマイクロフックによって行うことができ、これは、自己拡張可能なコアによる圧力の印加時に組織内に一時的に固定することができる。代替的に、組織付着可能層は、粘液接着層とすることができる。
【0016】
組織付着可能層は、組織に送達される少なくとも1つの活性剤を含むか、又はそれを担持することができる。例えば、粘液接着層は、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤を含むことができ、そのような実施形態では、粘液接着層の組織への付着は、組織への、又は組織を横断する当該活性剤の送達を可能にする。別の実施例では、マイクロニードルは、少なくとも1つの活性剤が埋め込まれている高分子材料で構成されている。
【0017】
本開示の文脈において、組織という用語は、典型的には粘液又は粘膜(例えば、粘膜上皮組織)によってコーティングされ得る、任意の臓器表面又は生物学的膜を指す。例えば、組織は、胃組織、腸組織、直腸組織、膣組織、尿路組織、鼻組織などであり得る。
【0018】
粘液接着剤(又はその任意の舌変形)という用語は、典型的には、粘液又は粘膜を介して組織に接着することができる、化合物又は物質の組成物を示すことを意味する。粘液接着材料は、典型的には、組織上に存在するか、又は組織によって分泌される粘液と相互作用する(例えば、静電相互作用、物理的なもつれ又は相互貫通、拡散、吸着、機械的な連結などの1つ以上の相互作用)。
【0019】
粘液接着材料は、典型的には、天然、半合成、又は合成であり得るポリマーである。粘液接着剤の非限定的な例は、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、キサンタンガム、カラヤガム、ゲランガム、カラゲナン、可溶性デンプン、ゼラチン、キトサン、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC))、ポリアクリル酸(PAA)ポリマー(カルボマー、ポリカルボフィルなど)、ポリヒドロキシルエチルメチルアクリレート、ポリエチレンオキシド(PEO、典型的に、高分子量PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、レクチン、ペクチン、チオール化ポリマー(例えば、キトサン-イミノチオラン)、ポリ(アクリル酸)-システイン、ポリ(アクリル酸)ホモシステイン、ポリエチレングリコール、キトサン-トリコグリコール酸、キトサン-チタミン、アルギン酸-システイン、ポリ(メタクリル酸)-システイン、カルボキシメチルセルロースシステインナトリウム、及び他のものであり得る。
【0020】
一部の実施形態では、粘液接着層は、1つ以上の追加の成分を更に含むことができる。そのような追加の成分は、例えば、ポロキサマー又はカルボマーなどの乳化剤(界面活性剤)、カルボキシメチルセルロースなどの安定剤、セルロース、タルクなどの懸濁剤、クエン酸、アスコルビン酸などの酸性化剤、カルボポール、ポリエチレンオキシドなどの粘度増加剤、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの発泡剤、レシチンなどの可溶化剤、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの抗菌防腐剤、アルファトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、トゥイーン80、ラウリル硫酸ナトリウムなどの放出改質剤、エチルセルセルルロース、酢酸セルロースなどのコーティング剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、ステアリン酸、ワックスなどの硬化剤、ジエチルフタル酸、三エチルクリクエチレートなどのプラスチック製剤、及び他のものであり得る。
【0021】
標的部位及び粘液接着層と組織との間の所望の接触時間に応じて、粘液接着剤を選択して、組織により長い(より強い粘液接着)又はより短い(より弱い粘液接着)滞留時間を提供することができる。粘液接着強度は、とりわけ、ポリマーの分子量、架橋の程度、鎖の長さ及び可撓性、電荷及び極性、pH、粘液接着組成物の濃度などによって影響を受けることができる。
【0022】
組織付着可能層、例えば、粘液接着層は、コンパートメントの外面を少なくとも部分的にコーティングし、すなわち、組織付着可能層は、表面の1つ以上の領域、複数の離間した表面領域をコーティングすることができ、又は表面の連続コーティングであり得る。他の実施形態では、組織付着可能層は、コンパートメントの外面全体を実質的にコーティングする。
【0023】
なおも他の実施形態では、崩壊された状態において、組織付着可能層は粘液接着材料のシートであり、粘液接着材料のシートは、組織付着可能層の一部分がコンパートメントの外面の少なくとも一領域をコーティングしている状態で、非延在(例えば、折り畳まれた、又は巻回された)構成を有し、かつ拡張された状態において、コンパートメントを越えて延在する(例えば、折り畳み解除されている、又は巻回解除されている)、延在構成を有する。
【0024】
言い換えれば、組織付着可能層は、コンパートメントのものよりも大きい1つ以上の寸法(すなわち、長さ及び/又は幅)を有する粘液接着材料のシートから形成され得る。投与を可能にするために、シートは、シートの一部分がコンパートメントの少なくとも一領域をコーティングするように、非延在構成に折り畳まれ、かつ/又は巻回される。一旦投与されると、コンパートメントの拡張に伴い、粘液接着材料のシートは、延在シートがコンパートメントの寸法を超えて延在するように、延在構成を想定して折り畳み解除及び/又は巻回解除を受け得る。そのような配置は、コンパートメントよりも大きい寸法を有する組織付着可能層の送達及び展開を可能にする。
【0025】
一部の実施形態では、拡張された状態の延在構成にあるときに、組織付着可能層は、コンパートメントの外面の少なくとも一領域をコーティングする、第1の部分と、コンパートメントを超えて延在する、第2の部分と、を備え、第1の部分及び第2の部分は、粘液接着材料シートを形成するために他の部分と一体である。粘液接着材料シートの第2の位置に機械的支持を提供するために、組織付着可能層は、一部の実施形態によって、当該第2の部分の上にバッキング支持層を含み得る。そのような実施形態では、組織付着可能層は、組織に面する表面と、当該第2の部分の反対側の非組織に面する表面との一方又は両方の上に当該バッキング支持層を含むことができる。バッキング支持層は、任意の好適な材料、例えば、組織付着可能層の延長中若しくは延長後、及び/又はデバイスの拡張中若しくは拡張後に組織付着可能層の曝露を可能にするために分解するように構成され得る、非粘液接着材料から作製され得る。当該バッキング支持層が、当該第2の部分の組織に面する表面及び非組織に面する表面の両方を覆う場合、層のタイプは、組織に面する表面と非組織に面する表面とで異なる場合がある。
【0026】
典型的には、組織は、例えば、消化管(例えば、食道、胃、小腸、大腸)、副鼻腔、鼻腔、膣、子宮、卵管、尿路、直腸などのような、概して管腔臓器又は中空腔臓器のものである。
【0027】
上述したように、コンパートメントは、連続した変形可能なフィルムでできている。連続した変形可能なフィルムという用語は、モノリシックフィルム、1つのシームレスフィルムとして構築されたフィルム、及び連続構造を形成するために一緒に溶接されたフィルムセグメントから構築されたフィルムを示すことを意味する。連続した変形可能なフィルムは、コンパートメントへの液体の浸透及びゲル形成材料の拡張を可能にするための1つ以上の液体透過性セクションを有する。変形可能なフィルムの他のセクションは、液体に対して不透過性であり得る。したがって、一部の実施形態では、変形可能なフィルムは、液体透過性材料のその又はより多くのセクションを除いて、不透過性材料から作製され得る。言い換えれば、変形可能なフィルムは、互いに一体的に形成された2つ以上の異なる材料から作製され得、一方の材料は、液体透過性であり、他方の材料は、液体に対して透過性でない。
【0028】
一部の実施形態によって、変形可能なフィルムの当該1つ以上のセクションは、それらの液体透過性において互いに異なる。例えば、セクションは、それらの組成、多孔性、厚さ、サイズ、及び穿孔の密度などが異なる場合がある。
【0029】
他の実施形態によって、変形可能なフィルム全体は、液体透過性材料、すなわち、液体透過性材料の連続フィルムから作られる。そのような実施形態では、変形可能なフィルムは、その全体を単一の液体透過性材料から、又は2つ以上のセグメントから作製され得、2つ以上のセグメントは、変形可能なフィルムを形成するために互いに一体的に形成され、セグメントの各々は、異なる液体透過性材料で作製される。
【0030】
一部の実施形態では、変形可能なフィルム及び/又はゲル形成材料は、分解可能である。したがって、組織に組織付着可能層を拡張及び付着させた後、コンパートメント構成要素は、比較的迅速に(例えば、機械的、物理的、及び/又は化学的に)分解され、展開部位から除去されて、組織に組織付着可能層が付着されたままにすることができる。一部の実施形態では、変形可能なフィルムは、デバイスの拡張から所定の期間後にフィルムの断片化を可能にするように構成された弱化領域を備える。弱化領域は、例えば、フィルムの組成、フィルムの機械的構造、フィルムの構造(例えば、接着及び/又は溶接領域)などを局所的に制御することによって生成され得る。
【0031】
組織からの組織付着可能層のクリアランスは、典型的には、組織細胞の脱落及び標的部位からの剥離によって生じる。例えば、腸組織は数時間ごとに脱落し、したがって、それに付着された組織付着可能層は、脱落した組織とともに標的部位から除去される。したがって、標的部位における組織付着可能層の滞留時間は、それが付着することを標的とする組織の性質により、典型的には、排他的ではないが決定される。あるいは、組織からの組織付着可能層の滞留時間及び/又は剥離は、組織付着可能層の特性(すなわち、化学的又は物理的特性)によって制御され得る。
【0032】
一部の実施形態では、変形可能なフィルム及び/又はゲル形成材料は、化学的に分解可能である。他の実施形態では、変形可能なフィルム及び/又はゲル形成材料は、物理的に分解可能である。例えば、変形可能なフィルム及び/又はゲル形成材料は、デバイスが展開される臓器(例えば、消化管)内に長期の干渉を引き起こさないように、15分~3時間以内に分解するように調整されてもよい。
【0033】
拡張された状態では、デバイスは、円形、多角形、又は不規則な形状を有し得る。その拡張された状態では、デバイスは、デバイスが拡張(又は展開)する管腔又は空洞の少なくとも一セクションの形状に概して適合する三次元(3D)形状を想定するように設計されてもよい。
【0034】
他の実施形態では、拡張された状態では、デバイスは、環状又はリング状の形状を有し得る。
【0035】
一部の他の実施形態では、デバイスは、拡張された状態にあるときに実質的に円筒形状を想定して、中空管腔を画定するように構成され得る。そのような中空の円筒形状は、デバイスがその拡張された状態にあるときの管腔臓器又は臓器空洞の閉塞の形成を防止し、デバイスがその中に展開され、組織に付着している間、液体又は固体が臓器を通過することを可能にする。
【0036】
デバイスは、典型的には、管腔臓器又は臓器空洞内に展開されるので、デバイスは、拡張された状態にあるときに、細長い形状(例えば、円筒)を想定することができる。一部の実施形態では、拡張された状態にあるときに、デバイスは、約1.5より大きいL/Wの長さ対幅(W/L)比を有する。
【0037】
一部の実施形態によって、デバイスは、スリーブの形態であり、スリーブ壁は、変形可能なフィルムによって構成され、自己拡張可能なコンパートメントは、スリーブの円周に沿って画定され、組織付着可能層は、コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングし、スリーブの表面から外向きに面している。典型的には、コンパートメントは、スリーブの長手方向軸に沿って細長く、スリーブの周囲に沿って互いに平行に配設される。
【0038】
一部の実施形態によって、細長いコンパートメントの各々は、スリーブの長手方向軸に沿って長手方向に配設された2つ以上のサブコンパートメントを形成するために水平にセグメント化される。そのような実施形態によって、各サブコンパートメントは、その外面に組織付着可能層を担持し得る。水平セグメンテーションは、以下で更に開示されるように、摂取のために生分解性シェルにカプセル化するためのそのボリュームを減少させるために、水平セグメンテーションラインに沿ってデバイスを更に折り畳むことを可能にする、その崩壊された形態でデバイスに別の程度の柔軟性を提供し得る。
【0039】
デバイスは、単一のコンパートメントを有することができるが、デバイスはまた、類似又は異なった2つ以上のコンパートメントを備えることができることが想定される。上述のデバイスの様々な拡張形状は、複数のコンパートメントの使用によって生成され得る。例えば、中空の円筒形状は、それらの長手方向軸に沿って互いに取り付けられた複数の細長いコンパートメントを使用してリングを形成することによって作成され得る。したがって、一部の実施形態によって、デバイスは、互いに同一であるか、又は互いに異なる2つ以上のコンパートメント(例えば、サイズ、形状、活性剤、組織付着可能層のタイプ、サイズ又は形状、分解率などのうちのいずれか1つ)を備えることができる。一部の実施形態によれば、デバイスは、組織付着可能層を担持する1つ以上のコンパートメントを含むことができるが、デバイスの他のコンパートメントは、当該組織付着可能層を含まなくてもよい。
【0040】
デバイスが2つ以上のコンパートメントを備えるとき、コンパートメントの全ては、例えば、コンパートメントの周囲を画定するために分離領域を形成することによって(例えば、溶接によって)、連続した変形可能なフィルムから形成することができる。あるいは、各コンパートメントは、連続した変形可能なフィルムでできていてもよく、コンパートメントは、デバイスを形成するために、互いに付着されてもよい(例えば、溶接されてもよい)。
【0041】
コンパートメントのサイズ、形状、数など、並びにゲル形成材料及び/又は組織付着可能層のタイプを変化させることによって、異なる拡張速度、拡張形状、及び/又は標的送達を得ることができる。コンパートメントのサイズ、数、幾何学形状などを変えることも、デバイスの対称的又は非対称的な拡張形状を得るために利用することができる。ゲル形成材料及び/又は変形可能なフィルムの特性を変化させることはまた、その拡張された状態で、組織に組織付着可能層を付着させるために、デバイスによって組織に加えられる力を制御することを可能にすることができる。更に、デバイスを折り畳んで崩壊された状態を得ること、並びに/又は変形可能なフィルムの液体透過性セクションの数及び/若しくは位置を制御することによって、ゲル形成材料の液体への露出を制御することができ、したがってデバイスの全体的な拡張率を制御することができる。
【0042】
コンパートメントは、閉じた連続した変形可能なフィルムから作られるため、ゲル形成材料を保持する閉じた容積を画定する。言い換えれば、連続フィルムは、ゲル形成材料を完全に囲む。フィルムは、典型的には可撓性及び/又は変形可能であり、それによって、デバイスのサイズを縮小し、崩壊された状態を得るために、デバイスを必要とする患者に、かつ標的臓器又は臓器空洞に容易に投与することができるように、様々な方法での折り畳みを可能にする。一部の実施形態では、デバイスは、自己投与可能なカプセルにその崩壊された状態でカプセル化されて、患者によって飲み込まれる。
【0043】
一部の実施形態によって、崩壊された構成であるときに、隣接するコンパートメント間の距離は、約10mm以下、例えば、約1~5mmである。
【0044】
一部の実施形態によって、崩壊された構成であるときに、コンパートメントの幅は、約25mm以下、例えば、約8~20mmである。
【0045】
一部の実施形態では、崩壊された状態にあるときに、デバイスは、一次的な折り畳まれた構成で折り畳まれ、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に折り畳み解除を受けるように構成されている。言い換えれば、デバイスは、全体的な縮小されたサイズ又は全体的な縮小されたボリュームを有する、その崩壊された状態を想定するために折り畳まれ得る。液体が液体透過フィルムに浸透すると、ゲル形成材料は、膨張し始め、ボリュームが増加する。これは、次に、変形可能なフィルムに力を加え、その柔軟性及び/又は変形可能性のために、フィルムは、デバイスの拡張された状態を想定して展開される。
【0046】
一部の実施形態によって、デバイスは、一次的な折り畳まれた構成を得るために、長手方向軸に沿って、又はデバイスの長手方向軸に対して角度を付けられた軸(例えば、水平正中線に沿って)に沿って、少なくとも一度折り畳まれる。他の実施形態によって、デバイスは、その長手方向軸、及び一次的な折り畳まれた構成を得るためのデバイスの長手方向軸に対して角度を付けられた軸の両方に沿って、少なくとも一度折り畳まれる。
【0047】
一次的な折り畳まれた構成の場合、折り畳まれたデバイスは、一部の実施形態によって、腸溶性エンベロープによって包み込まれ得る。一部の実施形態によれば、腸溶性エンベロープは、腸溶性フィルムから形成される。そのような実施形態によれば、腸溶性フィルムは、1つ以上の腸溶性ポリマーを含むか、又はそれから構成される。腸溶性ポリマーという用語は、規定のpH範囲でのみ液体によって分解又は可溶化されるように構成される、ポリマー材料(すなわち、単一のポリマー又はポリマーの組成物)を示すことを意味する。例えば、好ましくは、腸溶性ポリマーは、酸性環境(例えば、胃内)に曝露されたときに安定であり(すなわち、その物理的及び化学的構造を維持する)、かつより多くのアルカリ性液体(腸内のものなど)によって可溶化される。
【0048】
一部の実施形態によれば、腸溶性エンベロープは、例えば、腸溶性エンベロープを、その一次的な折り畳まれた構成にあるときに、そのデバイスの寸法と同様の寸法を有するように形成することによって、その一次的な折り畳まれた構成にデバイスを保持するように構成されている。一部の実施形態によって、腸溶性エンベロープは、実質的に、腸溶性エンベロープとデバイスとの間に形成された空間を有せずに、その一次的な折り畳まれた構成でデバイスの上にしっかりと取り付けられる。
【0049】
一部の実施形態によって、腸溶性フィルムは、1つ以上の添加物、例えば、フィルム形成化合物、可塑剤、安定剤、充填剤などを含む。
【0050】
腸溶性エンベロープは、消化管が、摂取後に、腸溶性エンベロープを分解してデバイスを曝露し、その折り畳み解除及び拡張を可能にするGI管内の適切な条件(例えば、適切なpH)に達するまで、デバイスをその折り畳まれた構成に維持するように機能する。
【0051】
一部の実施形態によって、デバイスに加えて、腸溶性エンベロープは、デバイスが胃内の液体の表面上に浮遊することを防ぎ、カプセル化されたデバイスの腸への送達を改善するために、約1g/mlよりも高い密度を有する少なくとも1つの抗浮力要素をカプセル化する。抗浮力要素は、一部の実施形態では、腸溶性エンベロープのより大きな厚さの1つ以上の領域によって構成され得る。他の実施形態によって、抗浮力要素は、腸溶性エンベロープに取り付けられた、又は腸溶性エンベロープによって形成された空間内に配置された1つ以上の質量単位であり得る。一部の他の実施形態によって、腸溶性エンベロープによって画定される空間は、折り畳まれたデバイスを包む一次空間と、抗浮力要素を含む1つ以上の補助空間とに分割される。
【0052】
崩壊された状態で更にコンパクト化を得るために、デバイスは、一部の実施形態によって、二次的な巻回された構成を有し、それによって、折り畳まれたデバイスが、その軸の周りに更に巻回され、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に、巻回解除及び折り畳み解除を同時に受けるように構成されている。
【0053】
一部の実施形態によれば、その二次的な折り畳まれた構成にあるときに、デバイスは、腸溶性エンベロープに包まれ得る。あるいは、デバイスは、その一次的な折り畳まれた構成にあるときに第1の腸溶性エンベロープによって、及びその二次的な折り畳まれた構成にあるときに第2の腸溶性エンベロープによって包まれ得る。言い換えれば、デバイスは、それを一次的な折り畳まれた構成に折り畳んだ後、第1の腸溶性エンベロープによって包まれ、次いで、その二次的な折り畳まれた構成に折り畳まれ、又は巻回され、第2の腸溶性エンベロープによって包まれて、デバイスをその二次的な折り畳まれた構成に維持することができる。
【0054】
他の実施形態によれば、デバイスは、崩壊された状態を想定するために、最初に巻回され、次いで折り畳まれ得る。
【0055】
一部の他の実施形態によって、崩壊された状態では、デバイスは、その軸の周りに巻回され、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に(すなわち、折り畳み解除することなく)巻回解除を受けるように構成されている。
【0056】
一部の実施形態によれば、デバイスがその一次及び/又は二次的な折り畳まれた構成にあるときに、デバイスの外層がそれ自体に付着することを防ぐために、1つ以上の分離層は、デバイスの折り畳みのうちの1つ以上の間に配置される。これらの1つ以上の分離層は、デバイスがその一次及び/又は二次的な折り畳まれた構成に折り畳まれたときにそれらの位置及び機能を維持するために、デバイスに1つ以上の付着位置に付着され得る。あるいは、分離層は、デバイスに固定することなく(例えば、折り畳む前にデバイスの上にそのような層を配置し、次に分離層と一緒にデバイスを折り畳んで一次及び/又は二次的な折り畳まれた構成を形成することによって)、折り畳みの間に位置することができる。
【0057】
上述のように、コンパートメントは、1つ以上の液体透過性セクションを有する変形可能なフィルムから形成される。セクション(又は一部の実施形態では、変形可能なフィルム全体)は、液体透過性材料で作られる。本開示の文脈内で、液体透過性材料という用語は、そこを通る液体の拡散又は通過を可能にする材料(物質の化合物又は組成物)を示すことを意味する。例えば、液体透過性材料は、穿孔性又は多孔性であり得る。一部の実施形態によれば、液体透過性材料は、ヒプロメロースフタレート、酢酸セルロースフタレート、酢酸ヒプロメロースコハク酸塩、酢酸セルロース、酢酸セルロース酪酸セルロース、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリビニルアクリレートフタレート、ポリビニルアセテート、シェラック、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【0058】
液体透過性材料は、一部の実施形態によれば、少なくとも1つの結合剤、可塑剤、細孔形成剤、乳化剤、フィルム形成剤、及びそれらの任意の組み合わせを更に含み得る。
【0059】
デバイスの拡張後のコンパートメントの分解を可能にするために、液体透過性材料は、典型的には、生分解性であり、好ましくは、腸内分解性である。
【0060】
生分解性という用語は、投与及び拡張後の好適な生物学的条件への曝露によって引き起こされるデバイスの任意のタイプの解体を示すことを意味する。この用語は、機械的損壊、化学的若しくは物理的分解、化学的若しくは物理的解体、又は身体から排出するための消化管を通過する際のデバイスの完全性の任意の他のタイプの破壊を包含する。
【0061】
ゲル形成材料という用語は、液体を吸収することができ、それによって分子の三次元ボリュームネットワークを形成する、化合物又は組成物を示すことを意味する。ゲル形成材料は、物理的ゲル(すなわち、分子が物理的力によってネットワーク内に保持されるゲル)又は化学的ゲル(すなわち、分子が互いに化学的に結合して、ネットワーク構造を形成するゲル)を形成し得る。一部の実施形態によって、ゲル形成材料は、1つ以上のゲル形成化合物を含む。他の実施形態によって、ゲル形成材料は、1つ以上の添加剤を含む。
【0062】
一部の実施形態によれば、ゲル形成材料は、1つ以上のポリマーを含む。他の実施形態によれば、ゲル形成材料は、荷電又は中性であってもよい。
【0063】
一部の他の実施形態によれば、ゲル形成材料は、架橋されているか、又は架橋可能である。理論に縛られることを望まないが、ゲル形成材料の分子量及び架橋の程度は、ゲルの一貫性(例えば、硬度又は剛性)、並びにそのレオロジー特性(例えば、粘度)に重大な影響を与える。したがって、様々な分子量及び架橋度は、ゾーンの挙動を制御し、それによって、デバイスの展開速度及び/又は拡張サイズを制御するために使用することができる、パラメータの一部である。
【0064】
一部の実施形態では、ゲル形成材料は、ゼラチン、アルギン酸塩、キトサン、デキストラン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、エラスチン、ポリカルボフィルカルシウム、アクリルアミド、スチレンマレイン無水物、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは組成物から選択され得る。
【0065】
一部の実施形態によって、ゲル形成材料は、液体吸着時にPEC(ポリ電解質複合体)形成を構築する、少なくとも1つの荷電ゲル形成化合物と、反対の荷電を有する少なくとも1つの化合物と、を含む、組成物である。一部の実施形態では、当該少なくとも1つの荷電ゲル形成化合物は、ポリ酢酸ビニルジエチルアミノアセテート(AEA)、ポリリジン、キトサン、ポリメタクリレート(Eudragit E)、ポリアルギニンから選択される。他の実施形態では、当該反対側の荷電化合物は、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリアクリレートナトリウム、ヘパリン、ポリアクリル酸(カルボマー)、アルギン酸塩、ペクチン、カルボキシメチルセルロースから選択される。
【0066】
一部の他の実施形態では、ゲル形成材料は、少なくとも1つの超吸収性ポリマー(SAP)である。超吸収性ポリマーという用語は、ポリマーの乾燥質量に対して、水(又は水を含む液体)などの大量の液体を吸収及び保持することができる、ポリマー(典型的には架橋された)又はポリマー組成物を指す。SAPの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリアクリルアミド、アルギン酸、デキストラン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、プルラン、デンプン、及びそれらの任意の組み合わせである。
【0067】
一部の他の実施形態では、ゲル形成材料は、(37℃で1時間の消化管pHの条件下で)約10~100倍(w/w)の膨張率を有する。
【0068】
膨張率という用語は、液体(すなわち、乾燥又は半乾燥形態)を吸着する前の状態と、最大可能な量の液体を吸着した後の状態との間のゲル形成材料の拡張程度を示す。膨張率は、重量に基づいて決定され、以下の等式に従って計算される:
[(湿重量)-(乾燥重量)]/[(乾燥重量)]。
【0069】
ゲル形成材料は、ゲルフィルム(すなわち、ゲルの実質的に連続した層)の形態であってもよい。一部の実施形態によれば、ゲル形成材料は、ゲル粒子の形態である。他の実施形態によって、ゲル形成粒子は、ゲルフィルムの形態であり、ゲル粒子は、マトリックス内に埋め込まれてフィルムを形成する。一部の実施形態では、ゲルフィルム内のゲル形成粒子は、実質的にゲル粒子の単層で配置される。
【0070】
更に他の実施形態によれば、ゲル形成材料は、粉末の形態であり得る。一部の実施形態では、ゲル形成材料がゲル粒子の形態であるときに、ゲル形成材料の粒子の平均直径は、約100μm~約300μmの範囲であり得る。
【0071】
一部の追加の実施形態によれば、コンパートメントは、ゲル形成材料に加えてガス形成組成物を囲んでもよい。
【0072】
上述したように、デバイスは、2つ以上のコンパートメントを備えることができる。そのようなデバイスでは、コンパートメントの各々は、異なるゲル形成材料を含み得る。一部の他の実施形態では、全てのコンパートメントは、同じゲル形成材料を含むことができる。
【0073】
理解され得るように、デバイスは、構造層、すなわち、デバイスの構造形成を形成する層、又はデバイスの構造形成の一部である層から構成される。そのような層は、例えば、連続した変形可能なフィルムを構成する1つ以上の層、その一次的な折り畳まれた状態でデバイスを包む内側エンベロープなどである。更に、デバイスは、機能層、すなわち、所望の機能性を有し、かつ構造層、例えば、組織付着可能層と一体である層を備える。
【0074】
デバイスはまた、例えば、制御放出層、分離層、非粘液接着層などの様々な追加の機能を可能にするために、1つ以上の補助機能層を備えることができる。1つ以上の補助機能層は、連続的であってもよいし、又は離間した層セグメントであってもよい。1つ以上の補助機能層は、構造層及び/若しくは機能層と一体であってもよく、構造層及び/若しくは機能層に部分的に付着されてもよく、又は構造層及び/若しくは機能層に付着されなくてもよい。一部の実施形態によって、少なくとも1つの補助機能層は、組織付着可能層とコンパートメントの外面(例えば、組織付着可能層の完全性を保持/維持するためのバッキング層)との間に挟まれる。一部の実施形態によって、補助機能層は、分離層として機能する。
【0075】
デバイスを含む任意のタイプの層(例えば、構造層、機能層、補助機能層)自体が、多層構造から、又は他方と一体的に形成されたサブ層から構築され得ることを理解されたい。
【0076】
デバイスは、典型的には、組織を通って及び/又は組織にわって少なくとも1つの活性剤を標的部位に送達するように設計される。したがって、上述したように、組織付着可能層は、1つ以上のそのような活性剤を含むか、又は担持することができる。送達されるべき活性剤の種類(例えば、極性、疎水性/親水性、サイズなど)に応じて、薬剤は、組織付着可能層の表面(組織に面している外面、及び/又はゲル形成材料に面している内向きの表面)内又はその上に含まれ得る。
【0077】
一部の実施形態では、組織付着可能層が粘液接着層である場合、活性剤は、粘液接着材料内に埋め込まれる。例えば、活性剤は、粘液接着材料中に分散又は溶解させることができる。
【0078】
他の実施形態では、活性剤は、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、又はナノカプセルなどの様々な微粒子又はナノ粒子構造内にカプセル化され得、構造は、粘液接着材料内に分布する。
【0079】
別の実施形態によって、活性材料は、組織付着可能層の少なくとも表面部分をコーティングする。例えば、活性材料は、組織に面する表面又は組織付着可能層の変形可能なフィルムに面する表面の一方又は両方の少なくとも一部分をコーティングすることができる。
【0080】
更なる実施形態によれば、活性剤は、定義された生物学的条件に影響を受けやすい1つ以上のリンカー部位によって、そのような条件に一度曝露されると、活性剤のそこからの放出を可能にするように、粘液接着材料に連結されてもよい。
【0081】
一部の実施形態では、組織付着可能層がマイクロニードルを含む場合、活性剤は、マイクロニードル内、例えば、マイクロニードルが解釈されるポリマー内に埋め込むことができる。
【0082】
活性剤は、典型的には、薬学的活性剤である。薬学的活性剤という用語は、対象、典型的には、哺乳類における薬学的使用に安全かつ有効であり、所望の生物学的活性を有する、分子、化合物又は組成物を示すことを意味する。活性剤は、例えば、抗生物質、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、脂質、核酸、ホルモン、ステロイド、抗体、ビタミン、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、制吐薬、鎮痛薬、化学療法剤、予防薬、凝固因子、放射性医薬品、造影剤、電解質、栄養補助薬、小分子(約1,000Da未満又は約500Da未満の分子量の)などから選択され得る。
【0083】
他の実施形態では、微生物(例えば、腸に優しい細菌)及び/又はウイルスからなる、活性剤。
【0084】
他の実施形態では、活性剤は、栄養補助食品化合物であり得る。
【0085】
活性剤は、塩、酸付加塩、遊離塩基、水和物、溶媒和物、又はプロドラッグの形態であり得る。
【0086】
活性剤は、ヒトへの投与に好適であり得る。他の実施形態では、活性剤は、獣医学的活性剤であり得る。
【0087】
活性剤は、典型的には、治療有効量で組織付着可能層に存在する。本明細書の目的のための有効量は、当技術分野で知られているような考慮事項によって決定され得る。この量は、とりわけ、治療される疾患の種類及び重症度並びに治療レジームに依存して、所望の治療効果を達成するために有効でなければならない。有効量は、典型的には、適切に設計された臨床試験(用量範囲研究)で決定され、当業者は、有効量を決定するためにかかる試験を適切に実施する方法を知っているであろう。一般に知られているように、有効量は、リガンドの受容体への親和性、体内のその分布プロファイル、体内の半減期などの様々な薬理学的パラメータ、望ましくない副作用がある場合、年齢及び性別などの要因に起因する様々な要因に依存する。
【0088】
薬学的活性剤は、対象における望ましくない状態又は疾患の治療又は予防によって、少なくとも1つの効果、例えば、少なくとも1つの効果を誘発、強化、停止、又は減少させることができる、治療効果を誘発するように選択され得る。少なくとも1つの薬剤(物質、分子、元素、化合物、実体、又はそれらの組み合わせ)は、治療薬、すなわち、治療有効量で投与されたときに治療効果を誘導又は調節することができる薬剤の中から選択され得る。
【0089】
他の実施形態では、活性剤は、診断剤、すなわち、1つ以上の状態又は障害の診断を可能にする薬剤であり得る。診断有効量とは、使用される撮像技術(例えば、PET、SPECTなど)の種類、使用される特定の撮像技術の取得パラメータ、スキャンされた身体の面積、対象の身体状態、試験の目的、又は当業者に明らかな任意の他の要因に応じて、効率的な分子撮像を可能にする活性剤、放射性医薬品、又は診断用組成物の量を指す。
【0090】
一部の実施形態では、デバイスは、当該少なくとも1つの活性剤とは異なる、少なくとも1つの追加の活性物質を含み得る。追加の活性物質は、活性剤と同様の薬学的活性を有するか、又は活性剤の薬学的活性とは異なる薬学的活性を有することができる。
【0091】
一部の実施形態によって、粘液接着層は、追加の活性物質を含む。そのような実施形態では、活性剤及び追加の活性物質は、共治療効果、すなわち、追加的又は相乗的な効果を有することができる。例えば、追加の活性物質は、活性剤の透過性若しくは生物学的利用能を増加させるように機能することができ、又は活性剤の治療効果若しくは生物学的活性を増加若しくは向上させることができる。
【0092】
他の実施形態によって、追加の活性物質は、コンパートメント内に含まれてもよく、例えば、変形可能なフィルムと関連付けられてもよく、ゲル形成材料と関連付けられてもよく、又はゲル形成材料に混合されてもよい(又は分散されてもよい)。そのような場合、追加の活性物質は、即時又は短期の治療効果を有するように選択され得るが、活性剤は、長期又は持続的な治療効果を有するように選択され得る。
【0093】
他の実施形態では、活性剤及び追加の活性物質は、類似又は同一の治療効果を有する薬剤から選択され得る。例えば、活性剤及び追加の活性物質は、同じであり得るが、それぞれ、一方は、組織付着可能層内に含有され、他方は、コンパートメント内に含有される。そのような配置は、ゲル形成材料の拡張及び/又は分解の直後に薬剤の一部分が放出され、残りが一度組織に付着されると、組織付着可能層からゆっくりと吸収されるように、必要な用量の薬剤を分割するために利用され得る。別の実施例では、活性剤及び追加の活性物質は、同様の効果を有し得、追加の活性物質は、即効性を有し、活性剤は、長期的又は持続的な効果を有する。
【0094】
言い換えれば、デバイスを使用して、2つ以上の薬学的活性剤を同時に投与することができ、すなわち、1つずつ同時に投与することができる。同時投与は、併用物中の第1の投与薬剤の循環半減期濃度が、その後投与される他の薬剤と同時に治療有効量で存在することを条件として、併用物中の1つの薬剤を、他の薬剤の後の特定の期間(例えば、5分、10分、又は更には数時間)内に投与することを可能にし得る。薬剤の投与間の時間遅延は、薬剤の正確な性質、個々の薬剤間の相互作用、それらのそれぞれの半減期、及び熟練した技術者によって容易に認識されるような他の要因に応じて変動し得る。
【0095】
更なる実施例では、活性剤及び追加の物質は、異なる効果を有し得、デバイスは、連続投与のために設計され、これは、一方の薬剤を他方の薬剤に投与する間に時間差が存在することを意味する。そのような時間の差は、短い場合もあれば、有意な場合もある。すなわち、第1の投与された薬剤は、第2の(又は後続の)薬剤が投与されるときに、治療有効量で血流中にもはや存在しない(又は臨床下量で存在しない)場合がある。
【0096】
一部の追加の実施形態では、デバイスは、2つ以上のタイプの組織付着可能層を含み得る。コンパートメント及び/又は異なるコンパートメントの外面の異なる領域は、異なるタイプの組織付着可能層によってコーティングされてもよい。これらの異なるタイプの組織付着可能層は、異なるタイプの活性剤を含んでもよい。
【0097】
一部の追加の実施形態では、組織付着可能層(又はその一部)の組織に面する表面は、組織付着可能層の延長及び/又はデバイスの拡張の間又はその後に粘液接着層の曝露を可能にするために分解するように構成され得る、非粘液接着材料(層)によって覆われ得る。
【0098】
デバイスの望ましくない、若しくは事前に成熟した展開を防止するために、かつ/又はデバイスを適切な臓器内腔若しくは空洞に送達することを可能にするために、デバイスは、その崩壊された状態でデバイスをカプセル化する生分解性シェルを備え得る。したがって、生分解性シェルは、適切な生物学的条件(例えば、pH、特定の化学化合物の存在など)に曝露すると分解されるように選択される。
【0099】
デバイスが経口投与のために意図され、腸内に展開されるように設計される場合、生分解性シェルは、腸溶性コーティングから作製され得るか、又は腸溶性コーティングによってコーティングされ得る。
【0100】
一部の実施形態では、デバイスは、摂取可能なデバイスであり、例えば、胃又は腸内に展開されることを意図している。したがって、そのようなデバイスは、典型的には、消化トラック内で分解可能なシェル内にカプセル化され、その崩壊された状態でデバイスをカプセル化する。腸内での展開のために、シェルは、胃を通る安全な第1の通過を提供し、腸内で定義された条件に曝露された場合にのみ生分解するように、設計又は選択され得る。一部の実施形態によって、消化トラック分解性シェルは、環境のpHの関数として分解するように設計され、それによって、腸の所望の部分に展開される。例えば、消化管の異なる部分が異なるpH値を有することが知られている。一方で、胃は、典型的にはpH1.5~3.5を有するが、十二指腸のpHは、典型的には6であり、小腸では(末端回腸に到達するまで)徐々に約7.4に増加する。盲腸ではpHが5.7に低下するが、再び徐々に増加し、直腸ではpH6.7に達する。したがって、所定のpH値(又は値の範囲)で分解する消化トラック分解可能なシェルを利用することによって、消化トラックの所望の部分でのデバイスの展開を得ることができる。
【0101】
生分解性シェルは、例えば、カプセルであり得る。
【0102】
デバイスが摂取可能なデバイスである場合、生分解性カプセルは、典型的には、例えば、約「延長された000」又は000若しくは00カプセル以下(すなわち、約9.97mm以下の外径、約30.0mm以下の高さ又はロックされた長さ、及び約1.68ml以下の実際のボリューム)の嚥下に適したサイズを有する。以下の表1は、消化トラック分解性シェルとしての使用に適した非限定的なカプセルサイズを提供する。
【表1】
【0103】
デバイスが摂取可能なデバイスである場合、それは2つのタイプのシェルを有し得、一方が他方を包む。デバイスの嚥下を容易にするためのカプセルの形態の外側シェルがあり、それは、胃環境で分解可能であるように設計されている。第2の内側シェルは、デバイスをコーティング/カプセル化するコーティング層又はカプセル化層であり得、展開前の所定の期間、デバイスをその崩壊された状態に維持するように構成されている。例えば、内側シェルは、腸溶性材料から作製され得、したがって、胃内でのデバイスの展開を防止し、腸への進入時にのみその展開を可能にする。
【0104】
デバイスを使用して、少なくとも1つの活性剤を標的部位に送達することができるが、デバイスはまた、活性剤を欠くことができ、又はコンパートメント内に活性物質のみを含むことができる。例えば、デバイスを利用して、組織の壁にパッチを送達し、例えば、粘膜/上皮組織(管腔から、かつ/又は管腔への両方)を通過する物質の通過を一時的に遮断し、又は組織内の穿孔若しくは潰瘍を覆うことができる。
【0105】
上述したように、一部の実施形態では、組織付着可能層は活性剤を含有しない場合があるが、コンパートメント及び/又はゲル形成材料は、鎮痛剤又は抗炎症剤などの活性物質/薬剤を含み得、ゲル形成材料の分解中に放出されて、投与後比較的迅速に局所的に所望の効果を提供することができる。
【0106】
別の態様によれば、本開示は、少なくとも1つの活性剤を組織に送達するように構成された自己拡張可能なデバイスを提供し、デバイスは、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ崩壊された状態にあるときに分解可能なシェルにカプセル化され、デバイスは、1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層と、を備え、組織付着可能層は、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤を含み、その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張は、当該活性剤を組織に送達するために、組織に粘液接着層の少なくとも一部を付着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、当該組織に向かって組織付着可能層を駆動させる。
【0107】
更なる態様によれば、組織付着可能層を組織に付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスが提供されており、デバイスは、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ崩壊された状態にあるときに分解可能なシェルにカプセル化され、デバイスは、1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層と、を備え、その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張は、組織に粘液接着層の少なくとも一部を付着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、当該組織に向かって組織付着可能層を駆動させる。
【0108】
更に別の態様によれば、組織付着可能層を組織に付着するように構成された自己拡張可能なデバイスが提供され、デバイスは、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、実質的に連続した、変形可能なフィルムがスリーブに形成され、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントを画定し、当該コンパートメントは、1つ以上の液体透過性セクションを有し、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料は、液体との接触時に拡張するように構成され、それによって、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるようにコンパートメントを拡張させる。組織付着可能層は、デバイスの崩壊された状態から拡張された状態への拡張が、粘液接着層の少なくとも一部を組織に接着するために、組織付着可能層を当該組織に向かって駆動するように、当該コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする。
【0109】
別の態様によれば、生分解性シェルにカプセル化された、本明細書に記載されるような自己拡張可能なデバイスと、使用説明書と、を備える、キットが提供されている。
【0110】
その態様の別の1つによって、本開示は、少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に送達するための方法が提供されており、方法は、対象に、生分解性シェルにカプセル化された本明細書に開示されるような自己拡張可能なデバイスを投与することを含む。
【0111】
更なる態様によって、少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に長期間又は持続的に送達する方法が提供されており、方法は、対象に、生分解性シェルにカプセル化された本明細書に開示されるような自己拡張可能なデバイスを投与することを含む。したがって、本開示のデバイスは、標的部位に長期間送達される活性剤のリザーバを形成する。
【0112】
更に別の態様によって、粘膜を介して、組織付着可能層を、それを必要とする対象の組織に付着させる方法が提供されており、方法は、対象に、生分解性シェルにカプセル化された本明細書に開示されるような自己拡張可能なデバイスを投与することを含む。
【0113】
実施形態
以下では、本開示の実施形態は、番号付けされた実施形態によって説明される。これらの番号付き実施形態は、上記開示の追加として意図されている。
【0114】
1.組織付着可能層を組織に付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスであって、デバイスが、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ
1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、
コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層と、を備え、
その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張が、組織に組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、当該組織に向かって組織付着可能層を駆動させる、デバイス。
【0115】
2.組織付着可能層が、複数のマイクロニードルを備える、実施形態1に記載のデバイス。
【0116】
3.組織付着可能層が、粘液接着層である、実施形態1に記載のデバイス。
【0117】
4.粘液接着層が、少なくとも1つの粘液接着材料を含む、実施形態3に記載のデバイス。
【0118】
5.粘液接着層が、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤を含む、実施形態3に記載のデバイス。
【0119】
6.マイクロニードルが、少なくとも1つの活性剤が埋め込まれている高分子材料で構成されている、実施形態2に記載のデバイス。
【0120】
7.活性剤が、粘液接着材料内に埋め込まれている、実施形態6のデバイス。
【0121】
8.活性剤が、粘液接着材料中に分散又は溶解されている、実施形態7に記載のデバイス。
【0122】
9.活性剤が、粘液接着材料内に分布するリポソーム、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、又はナノカプセル内にカプセル化される、実施形態8に記載のデバイス。
【0123】
10.活性材料が、粘液接着層の少なくとも表面部分をコーティングする、実施形態6に記載のデバイス。
【0124】
11.活性材料が、粘液接着層の組織に面する表面又は変形可能なフィルムに面する表面のうちの一方又は両方の少なくとも一部分をコーティングする、実施形態10に記載のデバイス。
【0125】
12.活性剤が、薬学的活性剤である、実施形態5~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【0126】
13.デバイスが、当該少なくとも1つの活性剤とは異なる、少なくとも1つの追加の活性物質を含む、実施形態5~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【0127】
14.粘液接着層が、追加の活性物質を含む、実施形態13に記載のデバイス。
【0128】
15.追加の活性物質が、コンパートメント内に含まれる、実施形態14に記載のデバイス。
【0129】
16.追加の活性物質が、薬学的活性剤である、実施形態13~15のいずれか1つに記載のデバイス。
【0130】
17.変形可能なフィルムの当該1つ以上のセクションが、それらの液体透過性において互いに異なる、実施形態1~16のいずれか1つに記載のデバイス。
【0131】
18.変形可能なフィルムが、非透過性材料で作製される、液体透過性材料の当該セクション、又はより多くのセクションを保存する、実施形態17に記載のデバイス。
【0132】
19.変形可能なフィルムが、互いに一体的に形成された2つ以上の異なる材料から作製され、一方の材料は、液体透過性であり、他方の材料は、液体に対して透過性でない、実施形態17又は18に記載のデバイス。
【0133】
20.変形可能なフィルム全体が、液体透過性材料から作製される、実施形態1~19のいずれか1つに記載のデバイス。
【0134】
21.変形可能なフィルムが、2つ以上の異なる液体透過性材料から作製され、互いに一体的に形成される、実施形態20に記載のデバイス。
【0135】
22.変形可能なフィルムが、分解可能である、実施形態1~21のいずれか1つに記載のデバイス。
【0136】
23.変形可能なフィルムが、化学的又は生物学的に分解可能である、実施形態22に記載のデバイス。
【0137】
24.変形可能なフィルムが、機械的に分解可能である、実施形態22に記載のデバイス。
【0138】
25.変形可能なフィルムが、フィルムの断片化を可能にする弱化領域を含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載のデバイス。
【0139】
26.ゲル形成材料が、分解可能である、実施形態1~25のいずれか1つに記載のデバイス。
【0140】
27.組織が、胃組織、腸組織、直腸組織、膣組織、尿路組織、及び鼻組織から選択される、実施形態1又は26のいずれか1つに記載のデバイス。
【0141】
28.崩壊された状態にあるときに、デバイスが、一次的な折り畳まれた構成で折り畳まれ、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に折り畳み解除を受けるように構成されている、実施形態1~27のいずれか1つに記載のデバイス。
【0142】
29.当該一次的な折り畳まれた構成にあるときに、デバイスが、腸溶性エンベロープによって包まれる、実施形態28に記載のデバイス。
【0143】
30.腸溶性エンベロープが、約1g/mlよりも高い密度を有する少なくとも1つの抗浮力要素を含む、実施形態29に記載のデバイス。
【0144】
31.崩壊された状態にあるときに、デバイスが、二次的な巻回された構成を有し、それによって、折り畳まれたデバイスが、その軸の周りに更に巻回され、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に、巻回解除及び折り畳み解除を同時に受けるように構成されている、実施形態28~30のいずれか1つに記載のデバイス。
【0145】
32.当該二次的な巻回された構成において、デバイスが、腸溶性エンベロープによって包まれる、実施形態31に記載のデバイス。
【0146】
33.当該一次的な折り畳まれた構成において、デバイスが、第1の腸溶性エンベロープによって包まれ、当該二次的な巻回された構成において、デバイスが、第2の腸溶性エンベロープによって包まれる、実施形態31に記載のデバイス。
【0147】
34.崩壊された状態にあるときに、デバイスが、その軸の周りに巻回され、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に巻回解除を受けるように構成されている、実施形態1~33のいずれか1つに記載のデバイス。
【0148】
35.デバイスを、その崩壊された状態でカプセル化する、生分解性シェルを備える、実施形態1~34のいずれか1つに記載のデバイス。
【0149】
36.摂取可能なデバイスである、実施形態1~35のいずれか1つに記載のデバイス。
【0150】
37.デバイスを、その崩壊された状態でカプセル化する、消化トラック分解性シェルを備える、実施形態36に記載のデバイス。
【0151】
38.消化トラック分解性シェルが、胃分解性シェルである、実施形態37に記載のデバイス。
【0152】
39.胃環境で分解可能であるように構成されており、内側シェルコーティングを包むか、又はデバイスをカプセル化し、かつ展開前にデバイスを所定の期間その崩壊された状態に維持するように構成されている、外側シェルを備える、実施形態36に記載のデバイス。
【0153】
40.外側シェルが、胃分解性カプセルの形態である、実施形態39に記載のデバイス。
【0154】
41.内側シェルが、腸溶性材料から作製される、実施形態39又は40に記載のデバイス。
【0155】
42.ゲル形成材料が、ゲルフィルムの形態である、実施形態1~41のいずれか1つに記載のデバイス。
【0156】
43.ゲル形成材料が、ゲル粒子の形態である、実施形態1~42のいずれか1つに記載のデバイス。
【0157】
44.ゲル粒子が、マトリックス内に埋め込まれ、実質的に連続したゲルフィルムを形成する、実施形態43に記載のデバイス。
【0158】
45.ゲルフィルム中のゲル形成粒子が、実質的にゲル粒子の単層の形態である、実施形態43又は44に記載のデバイス。
【0159】
46.ゲル形成材料が、1つ以上のゲル形成化合物を含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載のデバイス。
【0160】
47.ゲル形成材料が、1つ以上の添加剤を含む、実施形態46に記載のデバイス。
【0161】
48.ゲル形成材料が、超吸収性ポリマー(SAP)を含む、実施形態1~47のいずれか1つに記載のデバイス。
【0162】
49.ゲル形成材料が、約1:10~1:100(v/v)の範囲の膨張率を有する、実施形態48に記載のデバイス。
【0163】
50.デバイスがその拡張された状態であるときに、少なくとも約1.5のL/Wの比率を有する、実施形態1~49のいずれか1つに記載のデバイス。
【0164】
51.拡張された状態において、デバイスが、環状又はリング状の形状を有する、実施形態1~50のいずれか1つに記載のデバイス。
【0165】
52.拡張された状態において、コンパートメントが、中空管腔の周りに画定される、実質的に円筒形状を想定するように構成されている、実施形態1~51のいずれか1つに記載のデバイス。
【0166】
53.互いに付着されて、当該円筒形状を形成する、当該コンパートメントのうちの2つ以上を含む、実施形態52に記載のデバイス。
【0167】
54.崩壊された状態において、組織付着可能層が粘液接着材料のシートであり、粘液接着材料のシートは、組織付着可能層の一部分がコンパートメントの外面の少なくとも一領域をコーティングしている状態で、非延在(例えば、折り畳まれた、又は巻回された)構成を有し、かつ拡張された状態において、コンパートメントを越えて延在する(例えば、折り畳み解除されている、又は巻回解除されている)、延在構成を有する、実施形態1~53のいずれか1つに記載のデバイス。
【0168】
55.組織付着可能層の延在構成において、当該シートが、コンパートメントの寸法よりも大きい1つ以上の寸法(すなわち、長さ及び/又は幅)を有する、実施形態54に記載のデバイス。
【0169】
56.拡張された状態の延在構成にあるときに、組織付着可能層が、コンパートメントの外面の少なくとも一領域をコーティングする、第1の部分と、コンパートメントを超えて延在する、第2の部分と、を備え、第1の部分及び第2の部分は、粘液接着材料のシートを形成するために他の部分と一体である、実施形態54又は55に記載のデバイス。
【0170】
57.当該組織付着可能層が、当該第2の部分の上にバッキング支持層を含む、実施形態56に記載のデバイス。
【0171】
58.当該組織付着可能層が、組織に面する表面と、当該第2の部分の反対側の非組織に面する表面との一方又は両方の上に当該バッキング支持層を含む、実施形態56又は57に記載のデバイス。
【0172】
59.生分解性シェルにカプセル化された、実施形態1~58のいずれか1つに記載の摂取可能な自己拡張可能なデバイスと、使用説明書と、を備える、キット。
【0173】
60.粘膜を介して、組織付着可能層を、それを必要とする対象の組織に付着させる方法であって、方法が、対象に、生分解性シェルにカプセル化された実施形態1~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスを投与することを含む、方法。
【0174】
61.少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に送達する方法であって、方法が、対象に、生分解性シェルにカプセル化された実施形態5~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスを投与することを含む、方法。
【0175】
62.少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に長期間送達する方法であって、方法が、対象に、生分解性シェルにカプセル化された実施形態5~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスを投与することを含む、方法。
【0176】
63.粘液接着層を組織に付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスであって、デバイスが、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ
スリーブに形成され、かつ少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントを画定する、実質的に連続した変形可能なフィルムであって、当該コンパートメントが、1つ以上の液体透過性セクションを有し、かつその中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、変形可能なフィルムと、
当該コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする粘液接着層と、を備え、
その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張が、組織に粘液接着層の少なくとも一部を接着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、当該組織に向かって粘液接着層を駆動させる、デバイス。
【0177】
64.少なくとも1つの活性剤を組織に送達するための自己拡張可能なデバイスであって、デバイスが、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ
1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、
コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層であって、組織付着可能層が、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤を含む、組織付着可能層と、を備え、
その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張が、組織への当該活性剤の送達のために、組織に組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、当該組織に向かって組織付着可能層を駆動させる、デバイス。
【0178】
65.少なくとも1つの活性剤を組織に送達するための自己拡張可能なデバイスであって、デバイスが、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ
1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、コンパートメントを拡張させて、デバイスを崩壊された状態から拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、
コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層であって、組織付着可能層が、少なくとも1つの活性剤を含む、複数のマイクロニードルを備える、組織付着可能層と、を備え、
その結果、崩壊された状態から拡張された状態へのデバイスの拡張が、組織への当該活性剤の送達のために、組織に組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、コンパートメントの拡張を引き起こして、当該組織に向かって組織付着可能層を駆動させる、デバイス。
【0179】
66.粘膜を介して、組織付着可能層を、それを必要とする対象の組織に付着させる方法における、実施形態1~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスの使用であって、自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、デバイスの使用。
【0180】
67.少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に送達する方法における、実施形態5~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスの使用であって、自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、デバイスの使用。
【0181】
68.少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に長期間送達する方法における、実施形態5~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスの使用であって、自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、デバイスの使用。
【0182】
69.粘膜を介して、組織付着可能層を、それを必要とする対象の組織に付着させる方法における使用のための実施形態1~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスであって、自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、デバイス。
【0183】
70.少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に送達する方法における使用のための実施形態5~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスであって、自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、デバイス。
【0184】
71.少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に長期間送達する方法における使用のための実施形態5~58のいずれか1つに記載の自己拡張可能なデバイスであって、自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、デバイス。
【0185】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、かつそれが実際にどのように実施され得るかを例示するために、実施形態は、非限定的な例としてのみ、添付の図面を参照してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【
図1A-1G】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、デバイスの概略図である。
【
図2A-2F】対象への投与後のデバイスの動作のシーケンスの概略図である。
【
図2G】本開示の実施形態による、非対称デバイスの概略図である。
【
図2H】組織への組織付着可能層の非対称的な接着の状態である、本開示によるデバイスの概略図である。
【
図3A-3D】その拡張された状態にある、デバイスの例示的な断面図である。
【
図3G-3H】デバイスが様々な断面を有する管腔又は空洞に一致するように設計された、断面図を示す。
【
図3I】デバイスが異なるサイズのコンパートメントを備える、断面図を示す。
【
図4A-4B】その拡張された状態にある、デバイスの更なる構成の例示的な断面図である。
【
図5A-5B】本開示のいくつかの更なる実施形態による、デバイスの概略図である。
【
図6A-6C】デバイスがスリーブとして構成されている、本開示の追加の実施形態によるデバイスの概略図である。
図6Aは、前面斜視図であり、
図6Bは、線V-Vを横切る上面断面図であり、
図6Cは、拡張形態でのデバイスを示す。
【
図6G-6H】腸溶性エンベロープに包まれた、
図6Eのデバイスの折り畳まれた構成-上面図(
図6G)及び側面図(
図6H)を示す。
【
図7C-7D】考えられる一次的な折り畳まれた構成における、
図7A又は
図7Bのデバイスを示す。
【
図7E-7F】それぞれ、腸溶性エンベロープで覆われた、
図7C及び
図7Dのデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0187】
以下では、本開示による例示的なデバイスについて説明する。特定の実施例は、デバイスが実質的に対称であることを示すが、デバイスはまた、非対称であってもよく、又は任意の他の形状であってもよいことを理解されたい。更に、デバイスの要素は、説明を容易にするために、一定の縮尺で示されていない。
【0188】
図1Aには、本開示の実施形態による、崩壊された(非拡張)状態の自己拡張可能なデバイスが示されている。デバイス100は、連続した変形可能なフィルム104から形成される、全体的に102と示される自己拡張可能なコンパートメントを含む。この特定の実施例では、変形可能なフィルム全体が液体透過性材料で作られているが、本明細書に記載されているように、変形可能なフィルムは、液体透過性である1つ以上のセクション(図示せず)、及び液体透過性でない他のセクションを有し得ることを理解されたい。コンパートメントのボリュームの少なくとも一部は、ゲル形成材料106で満たされる。この実施形態の組織付着可能層108、例えば、粘液接着層、又はマイクロニードル若しくはマイクロフックを含む層は、コンパートメント102の外面(すなわち、コンパートメントから外向きに面するフィルム104の面)を実質的にコーティングする。デバイスが1つ以上の活性剤を組織に送達することを意図している場合、組織付着可能層108は、活性剤を含む。例えば、腸内での展開のための経口摂取による投与を可能にするために、デバイスは、生分解性(例えば、胃分解性)カプセル110によってカプセル化され、これにより、デバイスは、無傷で展開されていない胃を通過することができる。
【0189】
デバイスの別の実施形態は、
図1Bに示されており、ここで、組織付着可能層は、コンパートメントの外面の空間別のゾーンをコーティングする。
【0190】
デバイスは、例えば、コンパートメント内に含まれる1つ以上の追加の活性物質、例えば、ゲル形成材料106との混合物を更に含むことができる。
【0191】
図1Cの実施形態では、経口摂取のための別のデバイスが示されており、組織付着可能層を腸に送達するように設計されている。この実施例では、デバイス100は、崩壊され、かつカプセル化された状態で示される。デバイスの嚥下を容易にするように設計され、かつ胃の中での分解を意図したカプセル110に加えて、第2の内側シェル116は、デバイスをコーティング又はカプセル化する腸溶性エンベロープである。腸溶性エンベロープは、デバイスが胃内にある限り、デバイスをその崩壊された状態に維持するように構成され、腸内の適切な条件に曝露すると分解され、したがって、胃内ではなく腸内でデバイスを展開することを可能にする。
【0192】
図1Dに示される別の実施例では、粘液接着層108は、コンパートメントの領域を部分的に非対称にコーティングする。
【0193】
別の実施例によって、コンパートメントは、
図1Eに見られるように、少なくとも2つの異なる変形可能なフィルム104及び105から形成されて、組織付着可能層の非対称的な展開を引き起こし得る。例えば、フィルム104は、液体透過性材料で作製され得、フィルム105は、非液体透過性フィルムで作製され得る。代替的に、フィルム104及び105は、それらの液体透過性の程度が異なり得る。
【0194】
図1F及び
図1Gに示される別の実施形態では、デバイスは、崩壊され、かつカプセル化された状態で示されており、カプセル110は、腸溶性エンベロープ116内に位置する抗浮力要素111を更に含む。要素111は、典型的には、胃液体の密度よりも高い密度、例えば、約1g/mlよりも高い密度を有して、胃液体中のカプセルの浸漬及びデバイスの腸への送達を確実にする。
【0195】
図1Fの実施例では、要素111は、腸溶性エンベロープの内面に付着されている。代替的に、要素111は、腸溶性エンベロープの他の領域よりも大きな厚さを有する腸溶性エンベロープの領域によって構成され得る。
【0196】
図1Gの実施例では、腸溶性エンベロープ116は、折り畳まれたデバイス102が包まれているメイン空間115と、抗浮力要素111を収容する2つの補助空間113とに分割された、内部空間を画定する。
【0197】
図2A~
図2Eに示されるのは、本開示のデバイスの動作の例示的なシーケンスである。この実施例は、腸内でのデバイスの展開を示すが、デバイスを投与し、任意の他の好適な体腔又は空洞内に展開することができることを理解されたい。例えば、デバイスは、例えば、尿路、膣、直腸、鼻腔内などの他の臓器に投与され得る。標的臓器又は空洞が比較的ユーザアクセス可能である場合、デバイスは、デバイスを臓器又は空洞内に挿入するために、専用のアプリケータ(図示せず)を利用することによって投与され得る。
【0198】
デバイスが、例えば、経口で投与された後、生分解性カプセル110は、胃を通過し、腸内の好適な条件に曝露されると分解を受け、したがって、デバイス100を曝露する。上述したように、いくつかの構成では、
図2Aに示されるように、生分解性カプセル110は、胃内で分解され、デバイスは、胃に沿って通過するときにデバイスを保護する腸溶性層(コーティング)116でカプセル化/コーティングされ、腸内の好適な条件に曝露されたときに分解するように設計されている。しかしながら、他の構成では、層116が不在であり得ることに留意されたい。腸溶性層は、典型的には、1つ以上の腸溶性ポリマーを含むか、又は1つ以上の腸溶性ポリマーから形成される。
【0199】
カプセル110(又は
図2Aに示すような腸溶層116)が分解すると、腸内の液体は、コンパートメント102の変形可能なフィルム104の液体透過性セクションに浸透し、そこに含まれるゲル形成材料106の拡張を引き起こす。ゲル形成材料の拡張は、
図2Bに示すように、コンパートメントの拡張及びフィルムの変形を引き起こし、デバイスにその拡張された状態を想定させる。拡張された状態では、ゲル形成材料の拡張は、矢印112の方向で力をフィルム104に加えることを引き起こし、組織付着可能層108を組織114と接触させ、かつ組織114に接着させる。したがって、デバイスの崩壊された状態から拡張された状態への遷移は、コンパートメントと関連付けられた粘液接着層を組織に向かって駆動し、かつ(拡張したゲル形成材料によって適用される)力の適用下でそれと密接に接触させる。
【0200】
図2G及び
図2Hに見られるように、粘液接着層108は、変形可能なフィルムを対称的にコーティングする必要はなく、かつ/又は非対称的な様式で組織に接着することができる。
【0201】
図2C及び
図2Dに示すように、変形可能なフィルム104及び/又はゲル形成材料106は、分解を受け、かつ腸の自然な動きによって標的部位から除去され、組織付着可能層を組織に付着させ、又は接着させたままにする。したがって、組織付着可能層108が活性剤を含む場合、
図2Eに見られるように、組織付着可能層が組織に付着したままである期間中に、粘液接着層内に含まれる活性剤が組織に送達される。
【0202】
組織が数時間ごとに腸壁から日常的に脱落するため、組織の脱落はまた、
図2Fに見られるように、組織付着可能層の分離及び分解、並びに組織付着可能層の腸からのクリアランスももたらす。
【0203】
一部の他の実施形態によって、崩壊された状態では、デバイスは、その軸の周りに巻回され、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に(すなわち、折り畳むことなく)巻回解除を受けるように構成されている。
【0204】
拡張された状態では、デバイスは、円形断面、多角形断面、又は不規則な形状断面を有してもよい。典型的には、その拡張された状態では、デバイスは、デバイスが拡張する(展開される)管腔又は空洞の少なくとも一セクションの形状に概して適合する三次元(3D)形状を想定することができる。特定の例示的な実施形態では、コンパートメントは、
図3Aに示されるような円形断面を有する、実質的に円筒形状を想定する。しかしながら、
図3Bに示されるような拡張された状態にあるときに、デバイスが異なる断面を有する異なる形状を想定することも可能である。
図3Bに見られるように、デバイスは、中空の管腔を有する、その拡張された状態での円筒形状を想定することができる。そのような中空の円筒形状は、デバイスがその拡張された状態にあるときの臓器空洞の閉塞の形成を防止し、デバイスがその中に展開され、組織に付着している間、液体又は固体が臓器を通過することを可能にする。
【0205】
典型的には、デバイスは単一のコンパートメントを有するが、例えば、
図3C及び
図3Dに示すように、デバイスは、類似の又は異なる2つ以上のコンパートメントを含むことができ、それらの間に中空管腔を形成して、デバイスの拡張後に流体及び固形物が臓器を通過することを可能にする(したがって、臓器の閉塞を防止する)ように配設され得ることがまた想起される。
【0206】
図3E~
図3Hは、
図3A~
図3Dに示されるものに対して垂直な方向のデバイスの断面の実施例を示す。
図3E及び
図3Fは、それぞれ、
図3A及び
図3Bに対応している。
図3F及び
図3Gは、デバイスが様々な断面を有する管腔又は空洞に一致するように設計された断面を示す。デバイスはまた、非円筒形状を有する空洞に適合するように設計されてもよい。
【0207】
図3Iは、異なる長さのコンパートメントからなる、
図3E~
図3Hと同じ方向のデバイスの断面を示す。
【0208】
図4A及び
図4Bに示されるように、デバイスは、他の拡張形状を有することができる。例えば、デバイスは、異なるサイズ及び構成を有するコンパートメントを含むことができ、異なる機械的強度を有する三次元(3D)形状をもたらす。更に、コンパートメントのうちのいくつかは、デバイスの拡張を制限して、所望の3D構成を形成するように、1つ以上の取り付け場所において互いに取り付けられ得る。例えば、
図3C及び
図3Dに示されるデバイスでは、各コンパートメントは、拡張された状態にあるときに中空の閉鎖形状を形成するために2つの隣接するコンパートメントに取り付けられているが、
図4Aのデバイスでは、コンパートメント102Bのいくつかは、2つの隣接するコンパートメントに取り付けられているが、コンパートメント102Aのいくつかは、3つ以上の隣接するコンパートメントに取り付けられており、それによって、拡張されたデバイスは強制的に砂時計の形状を想定される。そのような形状は、デバイスの剛性及び安定性を向上させることができる。そのような構成では、コンパートメントの全てが典型的には組織付着可能層を担持するわけではなく、例えば、コンパートメント102Aは、デバイスに機械的特性を提供するために利用されてもよく、一方で、コンパートメント102Bは、組織付着可能層(図示せず)を担持し、組織と接触することができる。
【0209】
代替的に、コンパートメントは、1つ以上の拘束要素120によって拘束されてもよく、
図4Bに見られるように、拡張された状態にあるときに、コンパートメントは所望の形状を強制的に想定される。
【0210】
更に、崩壊された(非拡張)状態のデバイスのコンパクト化を得るために、デバイスは、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中にその折り畳み解除(及び/又は巻回解除)を可能にするために、様々な折り畳まれた構成(すなわち、一次的な折り畳まれた構成(図示せず))及び/又は巻回構成(すなわち、二次的な巻回された構成)で折り畳まれ得る。言い換えれば、デバイスは、全体的な縮小されたサイズ又は全体的な縮小されたボリュームを有する、その崩壊された状態を想定するために折り畳まれ得る。液体が変形可能なフィルムに浸透すると、ゲル形成材料は、膨張し始め、ボリュームが増加する。これは、次に、変形可能なフィルムに力を加え、その柔軟性及び/又は変形可能性のために、フィルムは、デバイスの拡張された状態を想定して展開される。
【0211】
一部の追加の実施形態では、
図5A及び
図5Bに示されるように、組織付着可能層は、コンパートメントの外面を超えて延在する。そのような実施形態では、典型的には、組織付着可能層に対する支持を提供するために、追加のバッキング層118が使用される。
【0212】
一部の実施形態によって、
図3C及び
図3Dのデバイスと同様に、デバイスは、
図6A~
図7Bに示されるように、スリーブ状の形態を想定することができる。
図6A及び
図6Bのデバイス200は、全体的な円筒形のスリーブ状の形状を有し、集合的に202と示される、複数の、この場合は6つの自己拡張可能なコンパートメントを備え、連続した変形可能なフィルム204から形成される。この実施例では、6つのコンパートメントが示されているが、任意の数のコンパートメント、例えば、2、3、4、5、6、7、8、又は更にそれ以上のコンパートメントを利用することができることが理解されるべきである。
【0213】
この実施例では、スリーブ全体が変形可能なフィルムを構成し、コンパートメント202は、(液体透過性材料で作られ、かつ各々がゲル形成材料206を囲むポケットとして画定されている。組織付着可能層208は、各コンパートメント202の外面(すなわち、コンパートメントから外向きに面しているフィルム204の面)上に位置している。組織付着可能層208は、上述したように、組織に送達される1つ以上の活性剤を含むことができる。
【0214】
組織付着可能層208は、コンパートメント202の上のフィルム204に適用される(例えば、接着される)パッチとして提供され得る。例えば、組織付着可能層が粘液接着層である場合、パッチは、パッチをコンパートメントの外面上に接着又は付着させることを可能にし、かつ粘液接着材料の支持を提供する、バッキング層(図示せず)の上に重ねられた粘液接着材料を含むことができる。代替的に、粘液接着層を最初にフィルム204上の特定の場所に適用し、続いて粘液接着層を含むフィルムの領域に対応する場所でコンパートメント202を形成し、したがって多層フィルム構造を形成することができる。
【0215】
図6Cに示されるのは、拡張された形態、すなわち、ゲル形成材料の膨張を引き起こす液体に曝露された後、それによってデバイスが拡張された形態におけるデバイスである。
【0216】
図6D~
図6Fは、摂取のためのよりコンパクトな形態でデバイスをレンダリングするために、
図6A~
図6Cのデバイスを折り畳むための様々な構成を示している。視覚化を容易にするために、組織付着可能層208のみがフィルム204上に示されている。
図6Aに示される崩壊された状態にあるときに、デバイスは、
図6D~
図6Fに示される一次的な折り畳まれた構成のうちの1つに折り畳まれ、生分解性カプセル(図示せず)に収容され得る。生分解性カプセルの摂取及び分解後、GIトラック内の液体への曝露は、コンパートメント内のゲル形成材料の拡張を引き起こし、それによって、コンパートメントを拡張させ、少なくとも部分的な付随拡張及び拡張された状態への折り畳み解除を引き起こす。
【0217】
一次的な折り畳まれた構成に折り畳まれると、折り畳まれたデバイスは、例えば、
図6G及び
図6Hに示されるように、腸溶性エンベロープ209によって包まれ得、GI管内での展開のための適切な条件に到達するまで、デバイスをその一次的な折り畳まれた構成に維持するように機能する。
【0218】
崩壊された状態で更にコンパクト化を得るために、デバイスは、一部の実施形態によって、二次的な巻回された構成(図示せず)を有してもよく、それによって、折り畳まれたデバイスが、その軸の周りに更に巻回され、崩壊された状態から拡張された状態への遷移中に、巻回解除及び折り畳み解除を同時に受けるように構成される。腸溶性エンベロープは、代わりに、又はその一次的な折り畳まれた構成でデバイスを包む腸溶性エンベロープ209に加えて、その二次的な折り畳まれた構成(図示せず)でデバイスを包むことができることに留意されたい。デバイスが2つの腸溶性エンベロープを含む場合、第1及び第2のエンベロープは、同じ分解/溶解特性又は異なる分解/溶解特性を有するように構成され得る。
【0219】
図7A及び
図7Bは、
図6A及び
図6Bのデバイスの代替配置を示す。
図7Aに示されるデバイス200’において、各コンパートメント202’は、粘液接着材料の層208’によってコーティングされた2つの領域を含む。
図7A及び
図7Bの実施例では、2つの領域が示されているが、3つ以上の領域、例えば、3、4、5、6、又は更にそれ以上のそのような領域を各コンパートメントにわたって利用することができ、本明細書に記載されるデバイスは、そのような領域の数によって限定されないことを当業者は理解するであろうことに留意されたい。
【0220】
代替的に、
図7Bに見られるように、デバイス200”は、コンパートメント202”A、202”Bの対を含むことができ、各対のコンパートメントは、デバイスの長手方向軸210に沿って連続して配設され、各コンパートメント202A、202Bは、その外面に粘液接着層208”を担持する。
図7A及び
図7Bに示される配置は、線212に沿ったデバイスの追加の折り畳みを可能にし、それによって、デバイスが摂取に適した更なるコンパクト化された形態を想定することを可能にする。例えば、
図7Cに示されるように、
図7Bのデバイスは、平坦化され、次にライン212上で折り畳まれて、折り畳まれた崩壊されたデバイスを得ることができる。
図7Cのデバイスは、例えば、矢印214の方向に更に折り畳んで、デバイスのサイズを更に小さくし、
図7Dに示される一次的な折り畳み構成を得ることができる。
図7E及び
図7Fに見ることができるように、それらの一次的な折り畳まれた構成におけるデバイスは、少なくとも1つの腸溶性エンベロープ209”によって包まれ得る。
【0221】
デバイスはまた、活性剤とは異なる、少なくとも1つの追加の活性物質を含むことができる。追加の活性物質は、活性剤と同様の薬学的活性を有するか、又は活性剤の薬学的活性とは異なる薬学的活性を有することができる。例えば、追加の活性物質は、活性剤と同時に又は連続して放出される粘液接着層に含まれ得る。別の実施例によって、追加の活性物質は、活性剤の透過性若しくは生物学的利用能を増加させるように機能することができ、又は活性剤の治療効果若しくは生物学的活性を増加若しくは向上させることができる。
【0222】
更なる実施例によって、追加の活性物質は、コンパートメント内に含まれてもよく、例えば、変形可能なフィルムと関連付けられてもよく、ゲル形成材料と関連付けられてもよく、又はゲル形成材料に混合されてもよい(又は分散されてもよい)。そのような場合、追加の活性物質は、即時又は短期の治療効果を有するように選択され得るが、活性剤は、長期又は持続的な治療効果を有するように選択され得る。
【0223】
この実施例のデバイスを使用して、少なくとも1つの活性剤を標的部位に送達することができるが、デバイスはまた、活性剤を欠くことができ、又はコンパートメント内に活性物質のみを含むことができる。例えば、デバイスは、例えば、組織内の穿孔又は潰瘍を一時的に覆うために、組織の壁にパッチを送達するために利用され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織付着可能層を組織に付着させるように構成された自己拡張可能なデバイスであって、前記デバイスが、崩壊された状態及び拡張された状態を有し、かつ
1つ以上の液体透過性セクションを有する実質的に連続した変形可能なフィルムから形成された少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントであって、前記コンパートメントが、その中にゲル形成材料を囲み、前記ゲル形成材料が、液体と接触すると膨張し、それによって、前記コンパートメントを拡張させて、前記デバイスを前記崩壊された状態から前記拡張された状態に不可逆的に切り替えるように構成されている、少なくとも1つの自己拡張可能なコンパートメントと、
前記コンパートメントの外面の少なくとも一部分をコーティングする組織付着可能層と、を備え、
その結果、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への前記デバイスの拡張が、前記組織に前記組織付着可能層の少なくとも一部を付着させるために、前記コンパートメントの拡張を引き起こして、前記組織に向かって前記組織付着可能層を駆動させる、デバイス。
【請求項2】
前記組織付着可能層が、複数のマイクロニードルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記組織付着可能層が、粘液接着層である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記粘液接着層が、少なくとも1つの粘液接着材料を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記粘液接着層が、少なくとも1つの粘液接着材料及び少なくとも1つの活性剤を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記マイクロニードルが、少なくとも1つの活性剤が埋め込まれている高分子材料で構成されている、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記活性剤が、薬学的活性剤である、請求項
5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、前記少なくとも1つの活性剤とは異なる、少なくとも1つの追加の活性物質を含む、請求項
5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記変形可能なフィルムの前記1つ以上のセクションが、それらの液体透過性において互いに異なる、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記変形可能なフィルムが、分解可能である、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記変形可能なフィルムが、機械的、化学的、又は生物学的に分解可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記変形可能なフィルムが、前記フィルムの断片化を可能にする弱化領域を含む、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項13】
ゲル形成材料が、分解可能である、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記崩壊された状態にあるときに、前記デバイスが、一次的な折り畳まれた構成で折り畳まれ、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への遷移中に折り畳み解除を受けるように構成されている、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記一次的な折り畳まれた構成にあるときに、前記デバイスが、腸溶性エンベロープによって包まれる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記崩壊された状態にあるときに、前記デバイスが、二次的な巻回された構成を有し、それによって、前記折り畳まれたデバイスが、その軸の周りに更に巻回され、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への遷移中に、巻回解除及び折り畳み解除を同時に受けるように構成されている、請求項
14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記二次的な巻回された構成において、前記デバイスが、腸溶性エンベロープによって包まれる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記一次的な折り畳まれた構成において、前記デバイスが、第1の腸溶性エンベロープによって包まれ、前記二次的な巻回された構成において、前記デバイスが、第2の腸溶性エンベロープによって包まれる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記崩壊された状態にあるときに、前記デバイスが、その軸の周りに巻回され、前記崩壊された状態から前記拡張された状態への遷移中に巻回解除を受けるように構成されている、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスを、その崩壊された状態でカプセル化する、生分解性シェルを備える、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項21】
摂取可能なデバイスである、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記ゲル形成材料が、ゲルフィルムの形態である、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ゲル形成材料が、ゲル粒子の形態である、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ゲル形成材料が、1つ以上のゲル形成化合物を含む、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記崩壊された状態において、前記組織付着可能層
は、前記組織付着可能層の一部分が前記コンパートメントの前記外面の少なくとも
ある領域をコーティングしている状態で、
非延在構成を有し、かつ前記拡張された状態において
、前記シートが前記コンパートメントを越えて延在する、延在構成を有する、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項26】
生分解性シェルにカプセル化された、請求項1~25のいずれか一項に記載の摂取可能な自己拡張可能なデバイスと、使用説明書と、を備える、キット。
【請求項27】
粘膜を介して、組織付着可能層を、それを必要とする対象の組織に付着させる
際に使用するための、請求項1~25のいずれか一項に記載の自己拡張可能なデバイス
であって、前記自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、自己拡張可能なデバイス。
【請求項28】
少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に送達する
際に使用するための、請求項5~25のいずれか一項に記載の自己拡張可能なデバイス
であって、前記自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、自己拡張可能なデバイス。
【請求項29】
少なくとも1つの活性剤を、それを必要とする対象の組織に長期間送達する
際に使用するための、請求項5~25のいずれか一項に記載の自己拡張可能なデバイス
であって、前記自己拡張可能なデバイスが、生分解性シェルにカプセル化される、自己拡張可能なデバイス。
【国際調査報告】