(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】アルツハイマー病関連状態を診断するための生物流体ベースの方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240321BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/53 U
G01N33/53 S
G01N33/543 511B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557084
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022020304
(87)【国際公開番号】W WO2022197651
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523351645
【氏名又は名称】ニューロビジョン イメージング, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン, レイラ
(72)【発明者】
【氏名】ファンデルスティヘレ, フーゴ
(72)【発明者】
【氏名】バードゥーナー, スティーブン アール.
(57)【要約】
本発明はマトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための方法を提供し、その方法は(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識された分子とを混合する工程であって、その標識された分子はその状態に罹患している対象におけるその適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合にはその対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合にはその対象はその状態に罹患していない。本発明はまた関連する方法、キットおよび組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための方法であって、
(a)(i)該対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識された分子とを混合する工程であって、該標識された分子は、該状態に罹患している対象における該適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、および
(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程
を含み、
工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量が該状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患しており、
該量が該状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患していない、方法。
【請求項2】
工程(a)が、前記標識された分子を、工程(b)における該標識された分子の測定を容易にする様式で処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標識された分子を、工程(b)における該標識された分子の測定を容易にする様式で処理することが、該標識された分子と、適切な量の、該標識された分子に特異的に結合する抗体とを接触させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)が、前記適切な量の標識された分子と、前記流体の複数の段階希釈されたサンプルとを混合することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための方法であって、
(a)(i)該対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識された分子および第2の標識された分子とを混合する工程であって、該標識された分子は、該状態に罹患している対象における該適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、および
(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識された分子とマトリックスの影響を受けていない第2の標識された分子との間の定量的関係を決定する工程
を含み、
工程(b)において決定された該関係が該状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患しており、
該関係が該状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患していない、
方法。
【請求項6】
工程(a)が、前記標識された分子を、工程(b)における該標識された分子の測定を容易にする様式で処理することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標識された分子を、工程(b)における該標識された分子の測定を容易にする様式で処理することが、各々の標識された分子と、適切な量の該各々の標識された分子に特異的に結合する抗体とを接触させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)が、前記適切な量の標識された分子と、前記流体の複数の段階希釈されたサンプルとを混合することを含む、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記対象がヒトである、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、軽度認知障害、および非アルツハイマー病認知症からなる群より選択される神経変性障害に関連する状態である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記状態が、アミロイドパチー、タウオパチー、ニューロン損傷、シヌクレイノパチー、大脳プロテイノパチー、プログラニュリノパチー、およびニューロン炎症からなる群より選択される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記適切な流体が、全血、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、涙液、眼球液、鼻腔液、硝子体液、および間質液からなる群より選択される、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記標識された分子が、標識されたAβペプチドまたはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレインまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項1~4および9~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第1の標識された分子および第2の標識された分子が、標識されたAβペプチドまたはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレインまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項5~12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定することにおける使用のためのキットであって、
(a)該状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、標識された分子、および
(b)該標識された分子を処理してマトリックスの影響を受けていない形態での該標識された分子の測定を容易にするために有用な作用物質
を別個の区画に含む、キット。
【請求項16】
前記標識された分子をそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を、別個の区画にさらに含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記標識された分子が、標識されたAβペプチドまたはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレインまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項15または16に記載のキット。
【請求項18】
マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定することにおける使用のためのキットであって、
(a)標識された分子各々が、該状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、第1の標識された分子および第2の標識された分子、および
(b)該第1の標識された分子および第2の標識された分子の各々を処理してマトリックスの影響を受けていない形態での該標識された分子の測定を容易にするために有用な作用物質
を別個の区画に含む、キット。
【請求項19】
前記第1の標識された分子および第2の標識された分子の各々をそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を1個またはそれより多くの別個の区画にさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記第1の標識された分子および第2の標識された分子が、標識されたAβペプチドまたはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレインまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項18または19に記載のキット。
【請求項21】
アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定するための方法であって、
(a)(i)該対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたAβペプチドとを混合する工程、および
(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量を決定する工程
を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量が該状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患しており、該量が該状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患していない、方法。
【請求項22】
工程(a)が、前記標識されたAβペプチドを、工程(b)における該標識されたAβペプチドの測定を容易にする様式で処理することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程(a)が、前記適切な量の標識されたAβペプチドと、前記流体の複数の段階希釈されたサンプルとを混合することを含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記標識されたAβペプチドが、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、および標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項21~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記標識されたAβペプチドがビオチン化Aβ40ペプチドまたはビオチン化Aβ42ペプチドである、請求項21~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定するための方法であって、
(a)(i)該対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドとを混合する工程、ならびに
(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識されたAβペプチドとマトリックスの影響を受けていない第2の標識されたAβペプチドとの間の定量的関係を決定する工程
を含み、
工程(b)において決定された関係が該状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患しており、
該関係が該状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、該対象は該状態に罹患していない、
方法。
【請求項27】
工程(a)が、前記標識されたAβペプチドを、工程(b)における該標識されたAβペプチドの測定を容易にする様式で処理することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程(a)が、前記適切な量の標識されたAβペプチドと、前記流体の複数の段階希釈されたサンプルとを混合することを含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記標識されたAβペプチドの各々が、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、および標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項26~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドがビオチン化Aβ40ペプチドおよびビオチン化Aβ42ペプチドである、請求項26~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記状態が、アミロイドパチー、タウオパチー、ニューロン損傷、シヌクレイノパチー、大脳プロテイノパチー、プログラニュリノパチー、およびニューロン炎症からなる群より選択される、請求項21~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記適切な流体が、全血、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、涙液、眼球液、鼻腔液、硝子体液、および間質液からなる群より選択される、請求項21~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
(a)標識されたAβペプチド、および
(b)該標識されたAβペプチドを処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態での該標識されたAβペプチドの測定を容易にするために有用な作用物質
を別個の区画に含む、キット。
【請求項34】
前記標識されたAβペプチドをそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質
を別個の区画にさらに含む、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記標識されたAβペプチドが、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、および標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項33または34に記載のキット。
【請求項36】
前記標識されたAβペプチドがビオチン化Aβ40ペプチドまたはビオチン化Aβ42ペプチドである、請求項33~35のいずれかに記載のキット。
【請求項37】
(a)第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチド、ならびに
(b)該第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドの各々を処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態での該標識されたAβペプチドの測定を容易にするために有用な作用物質
を別個の区画に含む、キット。
【請求項38】
前記第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドの各々をそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質
を1個またはそれより多くの別個の区画にさらに含む、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
前記標識されたAβペプチドの各々が、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、および標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドがビオチン化Aβ40ペプチドおよびビオチン化Aβ42ペプチドである、請求項37~39のいずれかに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月16日に出願された米国仮出願第63/161,524号の利益を主張し、この米国仮出願の内容は参照によって本明細書において援用される。
【0002】
本出願全体を通して、種々の公開物が引用される。これらの公開物の開示は、本発明が属する分野の技術水準をより十分に記載するために本明細書によって参照によって本出願に援用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための特定の方法に関する。これらの状態は、特定の障害(例えば、アルツハイマー病)について診断に役立ち得、予後判定に役立ち得、かつ/またはその特定の障害についての疾患の進行と相関関係があり得る。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
アルツハイマー病は、種々の病態の重篤度の連続的変化(例えば、脳におけるβ-アミロイド(Aβ)蓄積)として特徴付けられる。他のアルツハイマー病関連病態としては、例えば、タウオパチーおよびシナプス喪失が挙げられる。種々の血漿Aβペプチドまたは(ホスホ)タウを測定することに基づくアルツハイマー病の診断方法および予後判定方法が、開発されてきた。しかし、これらの方法は矛盾する結果を生じており、健常対照の対象と罹患対象との間での絶対値の区別は制限されている。したがって、アルツハイマー病を診断するため、アルツハイマー病の発症を予測するため、およびアルツハイマー病の進行を評価するための、正確な生物流体ベースの方法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための第1の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識された分子とを混合する工程であって、その標識された分子は、その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第1の方法を提供する。
【0006】
本発明はまた、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための第2の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識された分子および第2の標識された分子とを混合する工程であって、その標識された分子は、その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識された分子とマトリックスの影響を受けていない第2の標識された分子との間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第2の方法を提供する。
【0007】
本発明はさらに、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象(好ましくはヒト対象)が有するかどうかを決定することにおける使用のための第1のキットであって、(a)その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、標識された分子、および(b)その標識された分子を処理してマトリックスの影響を受けていない形態での標識された分子の測定を容易にするために有用な作用物質を別個の区画に含む、第1のキットを提供する。
【0008】
本発明はなおさらに、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象(好ましくはヒト対象)が有するかどうかを決定することにおける使用のための第2のキットであって、(a)標識された分子各々が、その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、第1の標識された分子および第2の標識された分子、および(b)第1の標識された分子および第2の標識された分子の各々を処理してマトリックスの影響を受けていない形態での標識された分子の測定を容易にするために有用な作用物質を別個の区画に含む、第2のキットを提供する。
【0009】
本発明は、アルツハイマー病と相関関係がある状態(すなわち、その対象が実際にアルツハイマー病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するための第1の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたAβペプチドとを混合する工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第1の方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、アルツハイマー病と相関関係がある状態(すなわち、その対象が実際にアルツハイマー病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)有するかどうかを決定するための第2の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドとを混合する工程、ならびに(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識されたAβペプチドとマトリックスの影響を受けていない第2の標識されたAβペプチドとの間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第2の方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第1のキットを提供し、そのキットは、(a)標識されたAβペプチド、および(b)その標識されたAβペプチドを処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのその標識されたAβペプチドの測定を容易にするために有用な作用物質(agent)を、別個の区画に含む。
【0012】
本発明はなおさらに、アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第2のキットを提供し、そのキットは、(a)第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチド、ならびに(b)その第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドの各々を処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのそれらの標識されたAβペプチドの測定を容易にするために有用な作用物質を、別個の区画に含む。
【0013】
本発明は、パーキンソン病と相関関係がある状態(すなわち、対象が実際にパーキンソン病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するための第1の方法を提供し、その方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたα-シヌクレインとを混合する工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインの量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインの量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。
【0014】
本発明はまた、パーキンソン病と相関関係がある状態(すなわち、対象が実際にパーキンソン病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するための第2の方法を提供し、その方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレインとを混合する工程、ならびに(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識されたα-シヌクレインとマトリックスの影響を受けていない第2の標識されたα-シヌクレインとの間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。
【0015】
本発明はさらに、パーキンソン病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第1のキットを提供し、そのキットは、(a)標識されたα-シヌクレイン、および(b)その標識されたα-シヌクレインを処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのその標識されたα-シヌクレインの測定を容易にするために有用な作用物質を、別個の区画に含む。
【0016】
最後に、本発明は、パーキンソン病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第2のキットを提供し、そのキットは、(a)第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレイン、ならびに(b)その第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレインの各々を処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのそれらの標識されたα-シヌクレインの測定を容易にするために有用な作用物質を、別個の区画に含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この図は、下記の実施例2において記載されるアッセイ1からの結果を示す。結果は、各研究について箱ひげ図として示されている。アウトカムパラメータに関する詳細は、表1に記載されている。
【0018】
【
図2】この図は、下記の実施例3において記載されるアッセイ2からの結果を示す。結果は、平均±標準誤差(n=8)として表されている。
【0019】
【
図3】この図は、下記の実施例4において記載されるアッセイ3からの結果を示す。結果は、1種のサンプルについて、そのサンプルの種々の希釈での百万分率(ppm)値として示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための特定の方法を提供する。これらのマトリックスに関連する相関関係は、特定の障害(特に、神経変性障害)について診断の役に立ち得、かつ/または予後判定の役に立ち得る。
【0021】
(定義)
本出願において、以下のとおりに示される意味を有する特定の用語が、使用される。
【0022】
本明細書において使用される場合、「Aβペプチド」としては、実施例5において示されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられるが、それらに限定はされない。Aβペプチドとしてはまた、Aβ1-37ペプチド、Aβ1-38ペプチド、Aβ1-40ペプチド、Aβ1-42ペプチド、Aβ1-43ペプチド、Aβ1-10ペプチド、Aβ1-16ペプチド、Aβ(-3)-37ペプチド、Aβ(-3)-38ペプチド、Aβ(-3)-40ペプチド、Aβ(-3)-42ペプチド、Aβ(-3)-43ペプチド、Aβ(-3)-10ペプチド、またはAβ(-3)-16ペプチドのいずれかのフラグメントが挙げられるが、それらに限定はされない。これらのフラグメントとしては、例えば、(i)Aβ1-37ペプチドのN末端切断型フラグメント、Aβ1-38ペプチドのN末端切断型フラグメント、Aβ1-40ペプチドのN末端切断型フラグメント、Aβ1-42ペプチドのN末端切断型フラグメント、Aβ1-43ペプチドのN末端切断型フラグメント、Aβ1-10ペプチドのN末端切断型フラグメント、およびAβ1-16ペプチドのN末端切断型フラグメント;(ii)Aβ37位置で終端するC末端切断型フラグメント、Aβ38位置で終端するC末端切断型フラグメント、Aβ40位置で終端するC末端切断型フラグメント、Aβ42位置で終端するC末端切断型フラグメント、Aβ43位置で終端するC末端切断型フラグメント、Aβ10位置で終端するC末端切断型フラグメント、およびAβ16位置で終端するC末端切断型フラグメント;ならびに(iii)Aβ37ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメント、Aβ38ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメント、Aβ40ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメント、Aβ42ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメント、Aβ43ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメント、Aβ10ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメント、ならびにAβ16ペプチドのN末端およびC末端の両方で切断または伸長されたフラグメントが挙げられる。
【0023】
本明細書において企図されるAβペプチドフラグメントとしては、例えば、(i)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34,35、または36の長さを有するAβ37ペプチドフラグメント;(ii)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34,35、36、または37の長さを有するAβ38ペプチドフラグメント;(iii)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34,35、36、37、38、または39の長さを有するAβ40ペプチドフラグメント;(iv)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34,35、36、37、38、39、40、または41の長さを有するAβ42ペプチドフラグメント;(v)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34,35、36、37、38、39、40、41、または42の長さを有するAβ43ペプチドフラグメント;(vi)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、または9の長さを有するAβ10ペプチドフラグメント;および(vii)(アミノ酸残基で)5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の長さを有するAβ16ペプチドフラグメントが挙げられる。
【0024】
本明細書において企図されるAβペプチドフラグメントとしてはまた、例えば、以下が挙げられ、そのフラグメントのN末端は、その全長対応物Aβペプチドの対応するアミノ酸残基数として定義される:(i)残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27にそのN末端を有するAβ37ペプチドフラグメント;(ii)残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28にそのN末端を有するAβ38ペプチドフラグメント;(iii)残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30にそのN末端を有するAβ40ペプチドフラグメント;(iv)残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32にそのN末端を有するAβ42ペプチドフラグメント;(v)残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または33にそのN末端を有するAβ43ペプチドフラグメント;(vi)残基2、3、4、または5にそのN末端を有するAβ10ペプチドフラグメント;および(vii)残基2、3、4、5、または6にそのN末端を有するAβ16ペプチドフラグメント。Aβペプチドおよびそのフラグメントは、アミノ酸誘導体(例えば、ピログルタミン酸(例えば、アミノ酸残基3および/または11でのピログルタミン酸置換))を必要に応じて含み得る(GuおよびViles(2016)、ならびにRezaei-Ghalehら(2016))。
【0025】
本明細書において使用される場合、「マトリックス効果と相関関係がある状態」としては、アミロイドパチー(amyloidopathy)、タウオパチー、ニューロン損傷、シヌクレイノパチー、大脳プロテイノパチー(cerebral proteinopathy)(例えば、TDP-43プロテイノパチー)、プログラニュリノパチー(progranulinopathy)、およびニューロン炎症が挙げられるが、それらに限定はされない。本発明において、以下の状態(それらに限定はされない)が、マトリックス効果の影響を受け標識された場合に本方法を実施するために有用である、以下のタンパク質およびペプチドと一緒に想定される。(i)アミロイドパチー(β-アミロイド;BACE1(アミロイド前駆体タンパク質βサイト切断酵素);およびAPP(β-アミロイド前駆体タンパク質))。(ii)タウオパチー(タウおよびリン酸化タウ)。(iii)シヌクレイノパチー(synucleopathy)(α-シヌクレイン;ニューログラニン;SNAP-25(シナプトソーム関連タンパク質25);GAP-43(成長関連タンパク質43またはニューロモジュリン);シナプトタグミン;VAMP2(小胞結合膜タンパク質2)およびシナプトブレビン(synpatobrevin))。(iv)TDP-43病態(TDP-43(トランス活性応答DNA結合タンパク質))。(v)神経炎症およびグリア活性化(sTREM2 B36(骨髄性細胞上に発現する可溶性トリガー受容体2);YKL-40(キチナーゼ3様タンパク質1);IP-10(インターフェロンγ誘導性タンパク質10);GFAP(グリア線維性酸性タンパク質);プログラニュリン;オステオポンチン;MCP-1(単球走化性タンパク質1);およびIL-6(インターロイキン6))。(vi)血管調節不全(hFABP(心臓型脂肪酸結合タンパク質))。(vii)ニューロン損傷(VILIP-1(ビジニン様タンパク質1);およびニューロフィラメント)。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「抗体」としては、(a)2本の重鎖(すなわち、H鎖、例えば、μ、δ、γ、αおよびε)と2本の軽鎖(すなわち、L鎖、例えば、λおよびκ)とを含み抗原を認識する、免疫グロブリン分子;(b)ポリクローナル免疫グロブリン分子およびモノクローナル免疫グロブリン分子;(c)それらの一価フラグメントおよび二価フラグメント、ならびに(d)それらの二重特異性形態が挙げられるが、それらに限定はされない。免疫グロブリン分子は、一般的に公知であるクラス(IgA、分泌IgA、IgGおよびIgMが挙げられるが、それらに限定はされない)のいずれかに由来し得る。IgGサブクラスもまた当業者に周知であり、それらとしては、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3およびヒトIgG4が挙げられるが、それらに限定はされない。抗体は、天然に存在する抗体および天然に存在しない抗体の両方であり得る。さらに、抗体としては、キメラ抗体、全合成抗体、単鎖抗体(例えば、scFv)、およびそれらのフラグメントが挙げられる。抗体は、例えば、定常領域(例えば、Fc領域)および可変領域のすべてもしくは一部を含み得、または可変領域(抗原結合を担う)のみを含み得る。抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、または非ヒト(例えば、ラクダ)抗体であり得る。
【0027】
本明細書において使用される場合、「ヒト対象」は任意の年齢、性別、人種、または併存症状態のひと対象であり得る。一実施形態においてその対象は男性であり、別の実施形態においてその対象は女性である。別の実施形態において、その対象は、60歳よりも若いか、55歳よりも若いか、50歳よりも若いか、45歳よりも若いか、40歳よりも若いか、35歳よりも若いか、30歳よりも若いか、25歳よりも若いか、または20歳よりも若い。別の実施形態において、その対象は、アルツハイマー病の早期発症と相関関係がある遺伝子変異(例えば、APPにおける変異)を保有する。なお別の実施形態において、その対象は、少なくとも60歳、少なくとも65歳、少なくとも70歳、少なくとも75歳、少なくとも80歳、少なくとも85歳、または少なくとも90歳である。さらなる実施形態において、そのヒト対象は、本方法を使用して検出される状態と関連がある障害(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)の症状がある。なおさらなる実施形態において、そのヒト対象は、本方法を使用して検出される状態と関連がある障害(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)の症状がない。
【0028】
本明細書において使用される場合、分子に関する「標識された」とは、検出可能な部分に共有結合または非共有結合で固定されていることを意味する。一実施形態において、その検出可能な部分は、その分子に直接固定されている(すなわち、その検出可能な部分は、中間部分を介して結合されることなく、その分子に結合されている)。別の実施形態において、その検出可能な部分は、その分子に間接的に固定されている(すなわち、その検出可能な部分は、中間部分(例えば、ポリペプチドまたは他の型のリンカー)を介してその分子に結合されている)。検出可能な部分としては、例えば、放射性同位体(例えば、32P、35S、および125I)、フルオロフォア、ならびに他の非放射性化合物(例えば、ビオチン)が挙げられる。その標識された分子がペプチドまたはタンパク質である場合、例えば、その標識は、N末端に、C末端に、中央ドメインに、あるいはそのペプチドのアミノ酸残基またはタンパク質のアミノ酸残基の一部もしくはすべてに固定され得る。標識されたペプチドおよび標識されたタンパク質としては、例えば、標識されたβ-アミロイド、標識されたタウ、標識されたシヌクレイン、および標識されたTDP-43が挙げられる。例えば、標識されたペプチドがビオチン標識されたAβ40ペプチドである場合には、そのビオチンは、N末端に結合されていても、C末端に結合されていても、または中央ドメインに結合されていてもよい。ビオチン標識されたペプチドのさらなる例としては、以下が挙げられる:(i)N末端標識されたAβ37ペプチド、C末端標識されたAβ37ペプチド、および中央を標識されたAβ37ペプチド;(ii)N末端標識されたAβ38ペプチド、C末端標識されたAβ38ペプチド、および中央を標識されたAβ38ペプチド;(iii)N末端標識されたAβ42ペプチド、C末端標識されたAβ42ペプチド、および中央を標識されたAβ42ペプチド;(iv)N末端標識されたAβ43ペプチド、C末端標識されたAβ43ペプチド、および中央を標識されたAβ43ペプチド;(v)N末端標識されたAβ10ペプチド、C末端標識されたAβ10ペプチド、および中央を標識されたAβ10ペプチド;(vi)N末端標識されたα-シヌクレイン、C末端標識されたα-シヌクレイン、および中央を標識されたα-シヌクレイン;(vii)N末端標識されたタウタンパク質、C末端標識されたタウタンパク質、および中央を標識されたタウタンパク質;(viii)N末端標識されたTDP-43、C末端標識されたTDP-43、および中央を標識されたTDP-43;(ix)N末端標識されたプログラニュリン、C末端標識されたプログラニュリン、および中央を標識されたプログラニュリン;(x)N末端標識されたGFAP、C末端標識されたGFAP、および中央を標識されたGFAP;(xi)N末端標識されたニューログラニン、C末端標識されたニューログラニン、および中央を標識されたニューログラニン;(xii)N末端標識されたニューロフィラメント、C末端標識されたニューロフィラメント、および中央を標識されたニューロフィラメント;ならびに(xiii)N末端標識されたリン酸化タウタンパク質、C末端標識されたリン酸化タウタンパク質、および中央を標識されたリン酸化タウタンパク質。上記の項目(i)~(xiii)において示された標識されたペプチドおよび標識されたタンパク質の各々のN末端標識されたフラグメント、C末端標識されたフラグメント、および中央を標識された.フラグメントもまた、本発明において想定される。好ましくは、標識された分子(例えば、ビオチン標識されたたAβペプチド)について、その標識は、(i)その標識された分子の測定にも、(ii)捕捉抗体への結合にも干渉しない様式で、その分子に結合されている。分子を標識してその目的と達成するための理想的な様式は、使用される分子、標識、および測定方法に依存する。したがって、例えば、その分子がAβ40ペプチドであり、その標識がビオチンであり、使用される測定方法が抗ビオチン抗体、アビジン、またはストレプトアビジン(例えば、放射性標識されたストレプトアビジン、酵素標識されたストレプトアビジン、もしくは磁性粒子に結合されたストレプトアビジン)を使用する場合、Aβ40ペプチドをビオチンで標識するために理想的な様式は、ビオチンをそのペプチドのN末端に結合することであり得る。
【0029】
本明細書において使用される場合、「マトリックス効果」とは、対象における特定の状態(例えば、アミロイドパチー)に関して、その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプル(例えば、32倍希釈された血漿サンプル)が、適切な量の標識された分子(例えば、100pg/mlのビオチン標識されたAβペプチド)と適切な条件下で適切な時間(例えば、室温にて3時間)混合された場合に、その流体がその状態を有する対象に由来する場合には、その状態を有しない対象に由来するよりも多量のマトリックスの影響を受けていない標識された分子を(すなわち、その流体中の生体分子(例えば、キャリアタンパク質)に結合する標識された分子の量がより少ない)生じる、現象である。例えば、マトリックス効果は、アミロイドパチーを有する対象について、その対象に由来する32倍希釈された血漿サンプルが100pg/mlのビオチン標識されたAβ40ペプチドと室温にて3時間混合されて、アミロイドパチーを有しない対象に由来する血漿サンプルよりも多量のマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドを生じる場合に、実証される。いかなる特定の科学的理論によっても拘束されることは望まないが、その希釈された流体サンプル中のキャリアタンパク質(例えば、シャペロンタンパク質)などの利用可能な生体分子はその標識された分子に関して「マトリックス」として作用すると考えられ、その理由は、このマトリックスが、検出される状態の存在または非存在と相関関係がある程度までその標識された分子に結合するからである。詳細には、その状態が存在する場合は、そのマトリックスは、その状態が存在しない場合に有し得るのとは異なる量の利用可能な結合タンパク質、改変型三次元構造を有する結合タンパク質、二次修飾(例えば、リン酸化、ニトロ化、および糖化)を有する結合タンパク質、またはその標識された分子を担持する能力が減少しており、したがって、より少量のその標識された分子に結合する結合タンパク質を有し得る。したがって、その状態が存在する場合には、その状態が存在しない場合よりも多量のマトリックスの影響を受けていない標識された分子が生じる。
【0030】
本明細書において使用される場合、「マトリックスの影響を受けていない」標識された分子とは、対象の流体サンプルに由来しその標識された分子の検出に干渉するいかなる生体分子(例えば、キャリアタンパク質)にも吸着されず他の方法で結合もされない、標識された分子を意味する。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語「分子」としては、アプタマー、ポリペプチド(例えば、ペプチド(例えば、合成ペプチド)またはタンパク質(例えば、組換えタンパク質))、核酸(例えば、DNA分子またはRNA分子)、リポタンパク質、および炭水化物が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0032】
本明細書において使用される場合、本方法に関する「陰性対照」としては、(i)試験される状態を有しないことが既知である対象に由来する流体を使用して併せて実施される並列方法において決定される、マトリックスの影響を受けていない標識された分子(または、適用可能である場合には、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子および第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子)の量;(ii)試験される状態を有しないことが既知である対象に由来する流体を使用して以前に実施された並列方法において決定された、マトリックスの影響を受けていない標識された分子(または、適用可能である場合には、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子および第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子)の量;(iii)試験される状態を有しないことが既知である1または複数の対象に由来する流体を使用して以前に実施された複数の並列方法において決定された、マトリックスの影響を受けていない標識された分子(または、適用可能である場合には、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子および第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子)の平均もしくは中央値の量(±15%);ならびに(iv)試験される状態を有しないことが既知である1または複数の対象に由来する流体を使用して以前に実施された複数の並列方法において決定された、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子と第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子との間の平均もしくは中央値の関係(例えば、平均比)が挙げられるが、それらに限定はされない。例として、一実施形態において、本方法は、アルツハイマー病と相関関係があるアミロイドパチーをヒト対象が有するかどうかを決定するためのものである。その方法は、(a)(i)その対象に由来する血漿の32倍希釈されたサンプルと(ii)100pg/mlのビオチン標識されたAβ40ペプチドとを混合する工程、および(b)室温にて3時間後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの量を決定する工程を含む。その陰性対照が100ppmであると仮定する。それは、以前に実施された20の並列方法(すなわち、本方法と同様に実施されたが、但し、それらの方法は、アルツハイマー病と相関関係があるアミロイドパチーを有しないことが既知である20の対象に由来する32倍希釈された血漿を使用する)において決定された、マトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの平均量である。また、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの量が100ppmであると決定されると仮定する。その対象は、アミロイドパチーを有しない。その理由は、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量が、アミロイドパチーについての陰性対照と相関があるからである。本発明において、陰性対照との完全な相関関係は、試験される状態をその対象が有しないことを決定するためには必要ではない。例えば、上記の例において、混合物に存在するマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの量が125ppmであると決定され、その陰性対照が100ppmであり、その陽性対照(本明細書において考察されている)が300ppmであった場合には、アミロイドパチーをその対象が有しないと依然として決定し得る。
【0033】
本明細書において使用される場合、「神経変性障害」としては、アルツハイマー病およびパーキンソン病が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0034】
本明細書において使用される場合、「複数の段階希釈されたサンプル」(例えば、血漿サンプル)としては、種々の希釈係数の2種もしくはそれより多くのサンプルが挙げられるが、それらに限定はされない。一実施形態において、複数の段階希釈されたサンプルは、そのサンプル中の流体が(i)4倍および8倍;(ii)8倍および16倍;(iii)16倍および32倍;(iv)32倍および64倍;(v)64倍および128倍;ならびに(vi)128倍および256倍希釈されている、2種のサンプルを含む。別の実施形態において、複数の段階希釈されたサンプルは、そのサンプル中の流体が(i)4倍、8倍、および16倍;(ii)8倍、16倍、および32倍;(iii)16倍、32倍、および64倍;(iv)32倍、64倍、および128倍;ならびに(v)64倍、128倍、および256倍希釈されている、3種のサンプルを含む。さらなる実施形態において、複数の段階希釈されたサンプルは、そのサンプル中の流体が(i)4倍、8倍、16倍、および32倍;(ii)8倍、16倍、32倍、および64倍;(iii)16倍、32倍、64倍、および128倍;ならびに(iv)32倍、64倍、128倍、および256倍希釈されている、4種のサンプルを含む。なおさらなる実施形態において、複数の段階希釈されたサンプルは、そのサンプル中の流体が(i)4倍、8倍、16倍、32倍、および64倍;(ii)8倍、16倍、32倍、64倍、および128倍;ならびに(iii)16倍、32倍、64倍、128倍、および256倍希釈されている、5種のサンプルを含む。なおさらなる実施形態において、複数の段階希釈されたサンプルは、そのサンプル中の流体が(i)4倍、8倍、16倍、32倍、64倍、および128倍;ならびに(ii)8倍、16倍、32倍、64倍、128倍、および256倍希釈されている、6種のサンプルを含む。なおさらなる実施形態において、複数の段階希釈されたサンプルは、そのサンプル中の流体が4倍、8倍、16倍、32倍、64倍、128倍、および256倍希釈されている、7種のサンプルを含む。
【0035】
本明細書において使用される場合、本方法に関する「陽性対照」としては、(i)試験される状態を有することが既知である対象に由来する流体を使用して併せて実施される並列方法において決定される、マトリックスの影響を受けていない標識された分子(または、適用可能である場合には、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子および第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子)の量;(ii)試験される状態を有することが既知である対象に由来する流体を使用して以前に実施された並列方法において決定された、マトリックスの影響を受けていない標識された分子(または、適用可能である場合には、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子および第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子)の量;(iii)試験される状態を有することが既知である1または複数の対象に由来する流体を使用して以前に実施された複数の並列方法において決定された、マトリックスの影響を受けていない標識された分子(または、適用可能である場合には、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子および第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子)の平均もしくは中央値の量;ならびに(iv)試験される状態を有することが既知である1または複数の対象に由来する流体を使用して以前に実施された複数の並列方法において決定された、第1のマトリックスの影響を受けていない標識された分子と第2のマトリックスの影響を受けていない標識された分子との間の平均もしくは中央値の関係(例えば、平均比)が挙げられるが、それらに限定はされない。例として、一実施形態において、本方法は、アルツハイマー病と相関関係があるアミロイドパチーをヒト対象が有するかどうかを決定するためのものである。その方法は、(a)(i)その対象に由来する血漿の32倍希釈されたサンプルと(ii)100pg/mlのビオチン標識されたAβ40ペプチドとを混合する工程、および(b)室温にて3時間後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの量を決定する工程を含む。その陽性対照が300ppmであると仮定する。それは、以前に実施された20の並列方法(すなわち、本方法と同様に実施されたが、但し、それらの方法は、アルツハイマー病と相関関係があるアミロイドパチーを有することが既知である20の対象に由来する32倍希釈された血漿を使用する)において決定された、マトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの平均量である。また、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの量が300ppmであると決定されると仮定する。その対象は、アミロイドパチーを有する。その理由は、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量が、アミロイドパチーについての陽性対照と相関があるからである。本発明において、陽性対照との完全な相関関係は、試験される状態をその対象が有することを決定するためには必要ではない。例えば、上記の例において、混合物に存在するマトリックスの影響を受けていないビオチン標識されたAβ40ペプチドの量が275ppmであると決定され、その陽性対照が300ppmであり、その陰性対照(本明細書において考察されている)が100ppmであった場合には、アミロイドパチーをその対象が有すると依然として決定し得る。
【0036】
本明細書において使用される場合、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識された分子とマトリックスの影響を受けていない第2の標識された分子との間の「量的関係」としては、(i)それらの分子のうちの一方における、他方に対する変化;(ii)それら2種の分子のうちの一方の量と他方の量との比(例えば、マトリックスの影響を受けていない第1の標識された分子とマトリックスの影響を受けていない第2の標識された分子との比);(iii)アルゴリズムによって規定された関係(例えば、x*A+b*B+z);(iv)各分子の希釈曲線の勾配間の関係;(v)各分子の相対的最終希釈力価;および(vi)それらの組合せが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0037】
本明細書において使用される場合、抗体は、その抗体が以下のうちの少なくとも1つを行う場合に、その標的(例えば、Aβペプチド上のエピトープ)に「特異的に結合する」:(i)その抗体が他のいかなる標的に結合するよりも大きな親和性でその標的に結合する;または(ii)その標的に少なくとも5×10-4M(例えば、少なくとも1×10-4M、少なくとも5×10-5M、少なくとも1×10-5M、少なくとも5×10-6M、少なくとも1×10-6M、少なくとも5×10-7M、少なくとも1×10-7M、少なくとも5×10-8M、少なくとも1×10-8M、少なくとも5×10-9M、もしくは少なくとも1×10-9M)の親和性(すなわち、平衡解離定数)で結合する。好ましくは、抗体は、その抗体が上記の項目(i)および(ii)の両方を行う場合に、その標的に特異的に結合する。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「対象」としては、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウサギ、ブタ、ハムスター、ラットおよびマウスが挙げられるが、それらに限定はされない。本方法は本発明においてヒト対象のためのものであるので、必要な変更を加えて、本方法を、これらの非ヒト実施形態について、想定する。
【0039】
本明細書において使用される場合、標識された分子の「適切な量」とは、本方法の工程(b)においてマトリックスの影響を受けていない形態でのその分子の実験による検出を可能にするのに十分な量である。標識された分子の適切な量としては、(i)1pg/ml(すなわち、1pg/mlの濃度を達成する標的分子の量)、5pg/ml、10pg/ml、20pg/ml、30pg/ml、40pg/ml、50pg/ml、60pg/ml、70pg/ml、80pg/ml、90pg/ml、100pg/ml、110pg/ml、120pg/ml、130pg/ml、140pg/ml、150pg/ml、160pg/ml、170pg/ml、180pg/ml、190pg/ml、200pg/ml、300pg/ml、400pg/ml、500pg/ml、600pg/ml、700pg/ml、800pg/ml、900pg/ml、1ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、50ng/ml、および100ng/ml;(ii)1pg/ml~20pg/ml、20pg/ml~50pg/ml、50pg/ml~100pg/ml、100pg/ml~150pg/ml、150pg/ml~200pg/ml、200pg/ml~500pg/ml、500pg/ml~1ng/ml、1ng/ml~10ng/ml、および10ng/ml~100ng/ml;ならびに(iii)1pg/ml~100pg/ml、100pg/ml~1ng/ml、1ng/ml~10ng/ml、および10ng/ml~100ng/mlが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0040】
本明細書において使用される場合、「適切な流体」としては、全血、血清、血漿(例えば、未処理の血漿、ならびにEDTAで処理した血漿、ヘパリンで処理した血漿、および/またはシトレートで処理した血漿)、脳脊髄液(例えば、腰椎脳脊髄液、脳室脳脊髄液、または大槽脳脊髄液であり、シャントによって収集したかドレーンによって収集したかに関わらない)、硝子体液、唾液、涙液、眼球液、鼻腔液、および間質液が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0041】
本明細書において使用される場合、本方法の工程(b)に関する「適切な条件」としては、(i)室温、37℃、および/または2℃~8℃;(ii)回転、オービタル振盪(orbital shaking)および/または静置;(iii)新鮮、凍結(種々のサイクル/方法)(例えば、その温度が凍結まで低下する)、加熱(すなわち、その温度が56℃またはそれより高く上昇する)、および/または不変;(iv)超音波処理;(v)変性(例えば、GuHCl、ギ酸、高濃度の界面活性剤、およびそれらの組合せによる);ならびに(vi)それらの組合せが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0042】
本明細書において使用される場合、本方法の工程(b)に関する「適切な期間」としては、5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、またはより長い期間が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0043】
本明細書において使用される場合、適切な流体(例えば、血漿)の「適切に希釈された」サンプルとしては、その流体が4倍希釈されているサンプル、8倍希釈されているサンプル、16倍希釈されているサンプル、32倍希釈されているサンプル、64倍希釈されているサンプル、128倍希釈されているサンプル、および256倍希釈されているサンプルが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0044】
本明細書において使用される場合、標識された分子をその測定を容易にする様式で(直接的であろうと、または間接的であろうと)「処理すること」としては、(i)その分子と、その分子に(例えば、N末端で、C末端で、中央ドメインで、または他の任意のドメインで)特異的に結合する抗体とを接触させること;(ii)その分子を(例えば、酸性化、アルカリ化、加熱、凍結、および/または超音波処理によって)前処理すること;ならびに(ii)その分子を(例えば、リン酸化、脱リン酸化、酸化、および/またはオリゴマー化によって)化学的に処理することが挙げられるが、それらに限定はされない。他の作用物質、例えば、色素またはクルクミンが、この目的のために抗体の代わりに使用され得る。標識された分子をその測定を容易にする様式で処理するために有用な抗体としては、3D6(Johnson-Woodら(1997)、およびVandersticheleら(2005));1E8(Wiltfangら(2001));WO2(Vandersticheleら(2005));82E1(Horikoshiaら(2004));6E10(Baghallabら(2018)およびVandersticheleら(2005));2G3(Vandersticheleら(2005));ならびに21F12(Johnson-Woodら(1997)、およびVandersticheleら(2005))挙げられるが、それらに限定はされない。
【0045】
(発明の実施形態)
本発明は、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための特定の方法を提供する。これらの状態(例えば、アミロイドパチー)は、特定の障害(例えば、アルツハイマー病)について診断に役立ち得、かつ/または予後判定に役立ち得る。
【0046】
具体的には、本発明は、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための第1の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識された分子とを混合する工程であって、その標識された分子は、その状態に罹患している対象におけるその適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第1の方法を提供する。
【0047】
第1の方法の一実施形態において、工程(a)は、その標識された分子を、工程(b)における標識された分子の測定を容易にする様式で処理することをさらに含む。好ましくは、その標識された分子を、工程(b)における標識された分子の測定を容易にする様式で処理することは、その標識された分子と、適切な量の、その標識された分子に特異的に結合する抗体とを接触させることを含む。
【0048】
第1の方法において、工程(a)は、その適切な量の標識された分子と、その流体の1回希釈されたサンプル、またはその流体の複数の段階希釈されたサンプルのいずれかとを混合することによって、実施され得る。
【0049】
本発明はまた、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象が有するかどうかを決定するための第2の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識された分子および第2の標識された分子(および必要に応じて3種もしくはそれより多くの標識分子)とを混合する工程であって、その標識された分子は、その状態に罹患している対象におけるその適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識された分子とマトリックスの影響を受けていない第2の標識された分子との間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象は状態に罹患しており、関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象は状態に罹患していない、第2の方法を提供する。
【0050】
一実施形態において、第2の方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の3種もしくはそれより多くの標識された分子(例えば、標識されたAβ40ペプチド、標識されたAβ42ペプチド、および標識されたAβ10ペプチド)とを混合する工程であって、その標識された分子は、その状態に罹患している対象におけるその適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、工程、ならびに(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない分子の各々の間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。
【0051】
第2の方法の別の実施形態において、工程(a)は、その標識された分子を、工程(b)における標識された分子の測定を容易にする様式で処理することをさらに含む。好ましくは、その標識された分子を、工程(b)における標識された分子の測定を容易にする様式で処理することは、各々の標識された分子と、適切な量の各々の標識された分子に特異的に結合する抗体とを接触させることを含む。
【0052】
第2の方法において、工程(a)は、その適切な量の標識された分子と、その流体の1回希釈されたサンプル、またはその流体の複数の段階希釈されたサンプルのいずれかとを混合することによって、実施され得る。
【0053】
第1の方法および第2の方法において、その対象は好ましくはヒトである。
【0054】
第1の方法および第2の方法の一実施形態において、その状態は、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、軽度認知障害、非アルツハイマー病認知症、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性(例えば、滲出型加齢黄斑変性)、およびレビー小体型認知症)に関連する状態である。この実施形態において、その対象は、(i)アルツハイマー病、パーキンソン病、軽度認知障害、非アルツハイマー病認知症、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性、もしくはレビー小体型認知症の症状があるか、または(ii)アルツハイマー病、パーキンソン病、軽度認知障害、非アルツハイマー病認知症、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性、もしくはレビー小体型認知症の症状がないかのいずれかであり得る。第1の方法および第2の方法の別の実施形態において、その状態は、ダウン症候群に関連する状態である。第1の方法および第2の方法のさらなる実施形態において、その状態は、アミロイドパチー、タウオパチー、ニューロン損傷、シヌクレイノパチー、大脳プロテイノパチー(例えば、TDPプロテイノパチー)、プログラニュリノパチー、およびニューロン炎症である。
【0055】
第1の方法および第2の方法において、その適切な流体は、好ましくは、全血、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、涙液、眼球液、硝子体液、鼻腔液、および間質液である。
【0056】
第1の方法の好ましい実施形態において、その標識された分子は、標識されたAβペプチド(例えば、標識されたAβ40ペプチド、標識されたAβ42ペプチド、標識されたAβ37ペプチド、標識されたAβ38ペプチド、標識されたAβ10ペプチド、標識されたAβ16ペプチド、もしくは標識されたAβ43ペプチド)またはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、あるいは標識されたシヌクレイン(例えば、α-シヌクレインもしくはβ-シヌクレイン)またはそのフラグメントである。
【0057】
第2の方法の好ましい実施形態において、その第1の標識された分子および第2の標識された分子は、標識されたAβペプチド(例えば、標識されたAβ40ペプチド、標識されたAβ42ペプチド、標識されたAβ37ペプチド、標識されたAβ38ペプチド、標識されたAβ10ペプチド、標識されたAβ16ペプチド、もしくは標識されたAβ43ペプチド)またはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレイン(例えば、α-シヌクレインもしくはβ-シヌクレイン)またはそのフラグメントからなる群より選択される。
【0058】
第1の方法および第2の方法において、マトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程は、絶対的に(例えば、pg/mlもしくは総pgで)または比較により(例えば、別の分子と比較したppmまたは倍数の差で)達成され得る。
【0059】
本発明において、マトリックス効果と相関関係がある状態の対象における進行を測定するための方法が想定され、その方法は、(a)上記の第1の方法を複数の時点(例えば、1か月間隔、2か月間隔、または3か月間隔)で実施する工程、および(b)それらの時点の各々でその第1の方法によって決定されたマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を互いに比較する工程を含む。この方法の一実施形態において、その対象はその状態についての処置を経験中であり、この方法はその処置の成功をモニターするために使用される。本発明において、マトリックス効果と相関関係がある状態の対象における進行を測定するための別の方法が想定され、その方法は、(a)上記の第2の方法を複数の時点(例えば、1か月間隔、2か月間隔、または3か月間隔)で実施する工程、および(b)それらの時点の各々でその第2の方法によって決定されたマトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を互いに比較する工程を含む。この方法の一実施形態において、その対象はその状態についての処置を経験中であり、この方法はその処置の成功をモニターするために使用される。これらの状態の進行を測定する方法の種々の実施形態は本発明の第1の方法および第2の方法のためのものであるので、必要な変更を加えて、これらの状態の進行を測定する方法の種々の実施形態を想定する。
【0060】
本発明はさらに、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象(好ましくはヒト対象)が有するかどうかを決定することにおける使用のための第1のキットであって、(a)その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、標識された分子、および(b)その標識された分子を処理してマトリックスの影響を受けていない形態での標識された分子の測定を容易にするために有用な作用物質を別個の区画に含む、第1のキットを提供する。第1のキットの好ましい実施形態において、そのキットは、その標識された分子をそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を、別個の区画にさらに含む。第1のキットの別の好ましい実施形態において、その標識された分子は、標識されたAβペプチド(例えば、標識されたAβ40ペプチド、標識されたAβ42ペプチド、標識されたAβ37ペプチド、標識されたAβ38ペプチド、標識されたAβ10ペプチド、標識されたAβ16ペプチド、もしくは標識されたAβ43ペプチド)またはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレイン(例えば、α-シヌクレイン)またはそのフラグメントからなる群より選択される。
【0061】
本発明はなおさらに、マトリックス効果と相関関係がある状態を対象(好ましくはヒト対象)が有するかどうかを決定することにおける使用のための第2のキットであって、(a)標識された分子各々が、その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、第1の標識された分子および第2の標識された分子、および(b)第1の標識された分子および第2の標識された分子の各々を処理してマトリックスの影響を受けていない形態での標識された分子の測定を容易にするために有用な作用物質を別個の区画に含む、第2のキットを提供する。第2のキットの好ましい実施形態において、そのキットは、第1の標識された分子および第2の標識された分子の各々をそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を1個またはそれより多くの別個の区画にさらに含む。第2のキットの別の好ましい実施形態において、第1の標識された分子および第2の標識された分子は、標識されたAβペプチド(例えば、標識されたAβ40ペプチド、標識されたAβ42ペプチド、標識されたAβ37ペプチド、標識されたAβ38ペプチド、標識されたAβ10ペプチド、標識されたAβ16ペプチド、もしくは標識されたAβ43ペプチド)またはそのフラグメント、標識されたタウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたリン酸化タウタンパク質またはそのフラグメント、標識されたプログラニュリンまたはそのフラグメント、標識されたTDP-43またはそのフラグメント、標識されたGFAPまたはそのフラグメント、標識されたニューログラニンまたはそのフラグメント、標識されたニューロフィラメントまたはそのフラグメント、および標識されたシヌクレイン(例えば、α-シヌクレイン)またはそのフラグメントからなる群より選択される。
【0062】
一実施形態において、第2のキットは、(a)3種もしくはそれより多くの標識された分子(例えば、標識されたAβ40ペプチド、標識されたAβ42ペプチド、および標識されたAβ10ペプチド)であって、標識された分子各々は、その状態に罹患している対象における適切な流体に関してマトリックス効果の影響を受ける、3種もしくはそれより多くの標識された分子;ならびに(b)それらの標識された分子を処理してマトリックスの影響を受けていない形態でのそれらの測定を容易にするために有用な1種もしくはそれより多くの作用物質を、別個の区画に含む。
【0063】
本発明は、アルツハイマー病と相関関係がある状態(すなわち、その対象が実際にアルツハイマー病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するための第1の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたAβペプチドとを混合する工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第1の方法を提供する。
【0064】
一実施形態において、第1の方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の第1の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたAβペプチドとを混合する工程であって、(i)その対象に由来する適切な流体の第2の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたAβペプチドとを別に混合する、混合する工程、(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在する第1の希釈でのマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドと、第2の希釈でのマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドとの間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。例えば、一実施形態において、決定される関係は、1:8で希釈された血漿サンプル(第1の適切に希釈されたサンプル)について測定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドと、1:128で希釈された血漿サンプル(第2の適切に希釈されたサンプル)について測定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドとの比である。
【0065】
第1の方法の別の実施形態において、工程(a)は、その標識されたAβペプチドを工程(b)におけるその標識されたAβペプチドの測定を容易にする様式で処理することをさらに含む。好ましくは、その標識されたAβペプチドを工程(b)におけるその標識されたAβペプチドの測定を容易にする様式で処理することは、その標識されたAβペプチドと、その標識されたAβペプチドに(好ましくは特異的に)結合する適切な量の作用物質(例えば、抗体)とを接触させることを含む。そのような作用物質としては、抗体3D6(Johnson-Woodら(1997)、およびVandersticheleら(2005));抗体1E8(Wiltfangら(2001));抗体WO2(Vandersticheleら(2005));抗体82E1(Horikoshiaら(2004));抗体6E10(Baghallabら(2018)およびVandersticheleら(2005));抗体2G3(Vandersticheleら(2005));ならびに抗体21F12(Johnson-Woodら(1997)、およびVandersticheleら(2005))が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0066】
第1の方法において、工程(a)は、その適切な量の標識されたAβペプチドと、その流体の1回希釈されたサンプル、またはその流体の複数の段階希釈されたサンプルのいずれかとを混合することによって、実施され得る。
【0067】
第1の方法の好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドは、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、あるいは標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントである。第1の方法のさらに好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドはビオチン化Aβ40ペプチド、ビオチン化Aβ42ペプチド、またはそれらのフラグメントである。
【0068】
本発明はまた、アルツハイマー病と相関関係がある状態(すなわち、その対象が実際にアルツハイマー病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)有するかどうかを決定するための第2の方法であって、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドとを混合する工程、ならびに(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識されたAβペプチドとマトリックスの影響を受けていない第2の標識されたAβペプチドとの間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない、第2の方法を提供する。
【0069】
第2の方法の一実施形態において、工程(a)は、その標識されたAβペプチドを工程(b)におけるその標識されたAβペプチドの測定を容易にする様式で処理することをさらに含む。好ましくは、その標識されたAβペプチドを工程(b)におけるその標識されたAβペプチドの測定を容易にする様式で処理することは、その標識されたAβペプチドと、その標識されたAβペプチドに(好ましくは特異的に)結合する適切な量の作用物質(例えば、抗体)とを接触させることを含む。そのような作用物質としては、抗体3D6(Johnson-Woodら(1997)、およびVandersticheleら(2005));抗体1E8(Wiltfangら(2001));抗体WO2(Vandersticheleら(2005));抗体82E1(Horikoshiaら(2004));抗体6E10(Baghallabら(2018)およびVandersticheleら(2005));抗体2G3(Vandersticheleら(2005));ならびに抗体21F12(Johnson-Woodら(1997)、およびVandersticheleら(2005))が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0070】
第2の方法において、工程(a)は、その適切な量の標識されたAβペプチドと、その流体の1回希釈されたサンプル、またはその流体の複数の段階希釈されたサンプルのいずれかとを混合することによって、実施され得る。
【0071】
第2の方法の好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドの各々は、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、あるいは標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントである。第2の方法のさらに好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドの各々は、ビオチン化Aβ40ペプチド、ビオチン化Aβ42ペプチド、またはそれらのフラグメントである。
【0072】
第1の方法および第2の方法において、アルツハイマー病と相関関係がある状態は、その相関関係を有すると同時にマトリックス効果ともまた相関関係がある、任意のそのような状態であり得る。好ましくは、その状態は、アミロイドパチー、タウオパチー、ニューロン損傷、シヌクレイノパチー、大脳プロテイノパチー(例えば、TDP-43)、プログラニュリノパチー、およびニューロン炎症である。
【0073】
第1の方法および第2の方法において、その適切な流体は、好ましくは、全血、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、涙液、眼球液、硝子体液、鼻腔液、または間質液である。
【0074】
第1の方法および第2の方法において、マトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程は、絶対的に(例えば、pg/mlもしくは総pgで)または比較により(例えば、別の分子と比較したppmまたは倍数の差で)達成され得る。
【0075】
本発明において、アルツハイマー病と相関関係がある状態の対象における進行を測定するための方法が想定され、その方法は、(a)上記の第1の方法を複数の時点(例えば、1か月間隔、2か月間隔、または3か月間隔)で実施する工程、および(b)それらの時点の各々でその第1の方法によって決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量を互いに比較する工程を含む。この方法の一実施形態において、その対象はその状態についての処置を経験中であり、この方法はその処置の成功をモニターするために使用される。本発明において、アルツハイマー病と相関関係がある状態の対象における進行を測定するための別の方法が想定され、その方法は、(a)上記の第2の方法を複数の時点(例えば、1か月間隔、2か月間隔、または3か月間隔)で実施する工程、および(b)それらの時点の各々でその第2の方法によって決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたAβペプチドの量を互いに比較する工程を含む。この方法の一実施形態において、その対象はその状態についての処置を経験中であり、この方法はその処置の成功をモニターするために使用される。これらの状態の進行を測定する方法の種々の実施形態は発明の第1の方法および第2の方法のためのものであるので、必要な変更を加えて、これらの状態の進行を測定する方法の種々の実施形態を想定する。
【0076】
本発明はさらに、アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第1のキットを提供し、そのキットは、(a)標識されたAβペプチド、および(b)その標識されたAβペプチドを処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのその標識されたAβペプチドの測定を容易にするために有用な作用物質(agent)を、別個の区画に含む。第1のキットの好ましい実施形態において、そのキットは、その標識されたAβペプチドをそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を別個の区画にさらに含む。第1のキットの別の好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドは、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、あるいは標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントである。第1のキットのさらに好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドはビオチン化Aβ40ペプチドもしくはビオチン化Aβ42ペプチド、またはそれらのフラグメントである。
【0077】
本発明はなおさらに、アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第2のキットを提供し、そのキットは、(a)第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチド、ならびに(b)その第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドの各々を処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのそれらの標識されたAβペプチドの測定を容易にするために有用な作用物質を、別個の区画に含む。第2のキットの好ましい実施形態において、そのキットは、第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドの各々をそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を1個またはそれより多くの別個の区画にさらに含む。第2のキットの別の好ましい実施形態において、その標識されたAβペプチドの各々は、標識されたAβ40ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ42ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ37ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ38ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ10ペプチドまたはそのフラグメント、標識されたAβ16ペプチドまたはそのフラグメント、あるいは標識されたAβ43ペプチドまたはそのフラグメントである。第2のキットのさらに好ましい実施形態において、第1の標識されたAβペプチドおよび第2の標識されたAβペプチドは、ビオチン化Aβ40ペプチドおよびビオチン化Aβ42ペプチド、またはそれらのフラグメントである。
【0078】
本発明は、パーキンソン病と相関関係がある状態(すなわち、対象が実際にパーキンソン病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するための第1の方法を提供し、その方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたα-シヌクレインとを混合する工程、および(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインの量を決定する工程を含み、工程(b)において決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインの量がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その量がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。
【0079】
一実施形態において、第1の方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の第1の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたα-シヌクレインとを混合する工程であって、(i)その対象に由来する適切な流体の第2の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の標識されたα-シヌクレインとを別に混合する、混合する工程、(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在する第1の希釈でのマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインと、第2の希釈でのマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインとの間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。例えば、一実施形態において、決定される関係は、1:8で希釈された血漿サンプル(第1の適切に希釈されたサンプル)について測定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインと、1:128で希釈された血漿サンプル(第2の適切に希釈されたサンプル)について測定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインとの比である。
【0080】
第1の方法の別の実施形態において、工程(a)は、その標識されたα-シヌクレインを工程(b)におけるその標識されたα-シヌクレインの測定を容易にする様式で処理することをさらに含む。好ましくは、その標識されたα-シヌクレインを工程(b)におけるその標識されたα-シヌクレインの測定を容易にする様式で処理することは、その標識されたα-シヌクレインと、その標識されたα-シヌクレインに特異的に結合する適切な量の抗体とを接触させることを含む。
【0081】
第1の方法において、工程(a)は、その適切な量の標識されたα-シヌクレインと、その流体の1回希釈されたサンプル、またはその流体の複数の段階希釈されたサンプルのいずれかとを混合することによって、実施され得る。
【0082】
本発明はまた、パーキンソン病と相関関係がある状態(すなわち、対象が実際にパーキンソン病に罹患しているかもしれず、またはまだ罹患していないかもしれない)をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するための第2の方法を提供し、その方法は、(a)(i)その対象に由来する適切な流体の適切に希釈されたサンプルと(ii)適切な量の第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレインとを混合する工程、ならびに(b)適切な条件下での適切な期間の後に、生じた混合物に存在するマトリックスの影響を受けていない第1の標識されたα-シヌクレインとマトリックスの影響を受けていない第2の標識されたα-シヌクレインとの間の定量的関係を決定する工程を含み、工程(b)において決定された関係がその状態についての陽性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患しており、その関係がその状態についての陰性対照と相関関係がある場合には、その対象はその状態に罹患していない。
【0083】
第2の方法の一実施形態において、工程(a)は、その標識されたα-シヌクレインを工程(b)におけるその標識されたα-シヌクレインの測定を容易にする様式で処理することをさらに含む。好ましくは、その標識されたα-シヌクレインを工程(b)におけるその標識されたα-シヌクレインの測定を容易にする様式で処理することは、その標識されたα-シヌクレインと、その標識されたα-シヌクレインに特異的に結合する適切な量の抗体とを接触させることを含む。
【0084】
第2の方法において、工程(a)は、その適切な量の標識されたα-シヌクレインと、その流体の1回希釈されたサンプル、またはその流体の複数の段階希釈されたサンプルのいずれかとを混合することによって、実施され得る。
【0085】
第1の方法および第2の方法において、その適切な流体は、好ましくは、全血、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、涙液、鼻腔液、眼球液、硝子体液、または間質液である。
【0086】
第1の方法および第2の方法において、マトリックスの影響を受けていない標識された分子の量を決定する工程は、絶対的に(例えば、pg/mlもしくは総pgで)または比較により(例えば、別の分子と比較したppmまたは倍数の差で)達成され得る。
【0087】
本発明において、パーキンソン病と相関関係がある状態の対象における進行を測定するための方法が想定され、その方法は、(a)上記の第1の方法を複数の時点(例えば、1か月間隔、2か月間隔、または3か月間隔)で実施する工程、および(b)それらの時点の各々でその第1の方法によって決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインの量を互いに比較する工程を含む。この方法の一実施形態において、その対象はその状態についての処置を経験中であり、この方法はその処置の成功をモニターするために使用される。本発明において、パーキンソン病と相関関係がある状態の対象における進行を測定するための別の方法が想定され、その方法は、(a)上記の第2の方法を複数の時点(例えば、1か月間隔、2か月間隔、または3か月間隔)で実施する工程、および(b)それらの時点の各々でその第2の方法によって決定されたマトリックスの影響を受けていない標識されたα-シヌクレインの量を互いに比較する工程を含む。この方法の一実施形態において、その対象はその状態についての処置を経験中であり、この方法はその処置の成功をモニターするために使用される。これらの状態の進行を測定する方法の種々の実施形態は本発明の第1の方法および第2の方法のためのものであるので、必要な変更を加えて、これらの状態の進行を測定する方法の種々の実施形態を想定する。
【0088】
本発明はさらに、パーキンソン病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第1のキットを提供し、そのキットは、(a)標識されたα-シヌクレイン、および(b)その標識されたα-シヌクレインを処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのその標識されたα-シヌクレインの測定を容易にするために有用な作用物質を、別個の区画に含む。第1のキットの好ましい実施形態において、そのキットは、その標識されたα-シヌクレインをそのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を、別個の区画にさらに含む。第1のキットのさらに好ましい実施形態において、その標識されたα-シヌクレインはビオチン化α-シヌクレインまたはそのフラグメントである。
【0089】
本発明は、パーキンソン病と相関関係がある状態をヒト対象が有するかどうかを決定することにおける使用のための第2のキットをなおさらに提供し、そのキットは、(a)第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレイン、ならびに(b)その第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレインの各々を処理してそのマトリックスの影響を受けていない形態でのそれらの標識されたα-シヌクレインの測定を容易にするために有用な作用物質を、別個の区画に含む。第2キットの好ましい実施形態において、そのキットは、その第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレインの各々をそれらのマトリックスの影響を受けていない形態で測定するために有用な作用物質を、1個またはそれより多くの別個の区画にさらに含む。第2キットのさらに好ましい実施形態において、その第1の標識されたα-シヌクレインおよび第2の標識されたα-シヌクレインはビオチン化α-シヌクレイン、またはそのフラグメントである。
【0090】
パーキンソン病に関する使用のための上記の第1の方法および第2の方法ならびに第1のキットおよび第2のキットにおいて、α-シヌクレインは、1種またはそれより多くのリン酸化タンパク質、ニューログラニン、あるいは1種またはそれより多くのRabタンパク質で置換され得る。
【0091】
最後に、本発明は、特定の組成物を提供する。第1の組成物は、標識されたAβペプチド(例えば、ビオチン化Aβペプチド)と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、(i)ビオチン化Aβ37ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(ii)ビオチン化Aβ38ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(iii)ビオチン化Aβ40ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(iv)ビオチン化Aβ42ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(v)ビオチン化Aβ43ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(vi)ビオチン化Aβ10ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;あるいは(vii)ビオチン化Aβ16ペプチド(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。第2の組成物は、標識されたAβペプチド(またはそのフラグメント)と、その標識されたAβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、(i)ビオチン化Aβ37ペプチド(またはそのフラグメント)と、その標識されたAβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(ii)ビオチン化Aβ38ペプチド(またはそのフラグメント)と、その標識されたAβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(iii)ビオチン化Aβ40ペプチド(またはそのフラグメント)と、その標識されたAβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(iv)ビオチン化Aβ42ペプチド(またはそのフラグメント)と、その標識されたAβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(v)ビオチン化Aβ43ペプチド(またはそのフラグメント)と、そのビオチン化Aβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;(vi)ビオチン化Aβ10ペプチド(またはそのフラグメント)と、そのビオチン化Aβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物;あるいは(vii)ビオチン化Aβ16ペプチド(またはそのフラグメント)と、そのビオチン化Aβペプチド(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。
【0092】
第3の組成物は、標識されたタウタンパク質(例えば、ビオチン化タウタンパク質)(またはそのフラグメント)と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、ビオチン化タウタンパク質(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。第4の組成物は、標識されたタウタンパク質(またはそのフラグメント)と、その標識されたタウタンパク質(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、ビオチン化タウタンパク質(またはそのフラグメント)と、そのビオチン化タウタンパク質(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。
【0093】
第5の組成物は、標識されたリン酸化タウタンパク質(例えば、ビオチン化リン酸化タウタンパク質)(またはそのフラグメント)と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、ビオチン化リン酸化タウタンパク質(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。第6の組成物は、標識されたリン酸化タウタンパク質(またはそのフラグメント)と、その標識されたリン酸化タウタンパク質(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、ビオチン化リン酸化タウタンパク質(またはそのフラグメント)と、そのビオチン化リン酸化タウタンパク質(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。
【0094】
第7の組成物は、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルと標識されたシヌクレイン(例えば、ビオチン化α-シヌクレイン)(またはそのフラグメント)との混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、ビオチン化α-シヌクレイン(またはそのフラグメント)と希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。第8の組成物は、標識されたシヌクレイン(またはそのフラグメント)と、その標識されたシヌクレイン(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルとの混合物を含む。一実施形態において、その組成物は、ビオチン化α-シヌクレイン(またはそのフラグメント)と、そのビオチン化α-シヌクレイン(またはそのフラグメント)に特異的に結合する抗体と、希釈されたヒト血漿サンプルとの混合物を含む。
【0095】
第9の組成物は、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルと標識されたプログラニュリン(例えば、ビオチン化プログラニュリン)(またはそのフラグメント)との混合物を含む。第10の組成物は、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルと標識されたTDP-43(例えば、ビオチン化TDP-43)(またはそのフラグメント)との混合物を含む。第11の組成物は、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルと標識されたGFAP(例えば、ビオチン化GFAP)(またはそのフラグメント)との混合物を含む。第12の組成物は、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルと標識されたニューログラニン(例えば、ビオチン化ニューログラニン)(またはそのフラグメント)との混合物を含む。第13の組成物は、ヒト対象に由来する希釈された流体サンプルと標識されたニューロフィラメント(例えば、ビオチン化ニューロフィラメント)(またはそのフラグメント)との混合物を含む。
【0096】
本方法および本キットは本発明においてAβペプチドベースの方法およびキットのためのものであるので、必要な変更を加えて、本方法および本キットを、タウタンパク質ベースの方法およびタウタンパク質ベースのキット、リン酸化タウタンパク質ベースの方法およびリン酸化タウタンパク質ベースのキット、ならびにシヌクレインベースの方法およびシヌクレインベースのキットについて、想定する。
【0097】
本方法および本キットは本発明において標識された分子のためのものであるので、必要な変更を加えて、本方法および本キットを、標識されていない分子(例えば、α-シヌクレイン)について、想定する。本方法および本キットは本発明において、アルツハイマー病と相関関係がある状態をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するためのものであるので、必要な変更を加えて、本方法および本キットをまた、認知機能低下と相関関係がある状態をヒト対象(症候性かまたは無症候性かのいずれか)が有するかどうかを決定するために、想定する。
【0098】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより良く理解されるが、当業者は、詳述されるそれらの具体的な実施例は、添付の特許請求の範囲においてより十分に記載されるとおりの本発明を単に例示するに過ぎないことを容易に認識する。
【実施例】
【0099】
(実施例1-技術)
図1におけるすべてのデータは、MagArray technology(Milpitas、California)で生成された。そのアッセイは、MagArray MR-813機器システム(すなわち、Hannoインキュベーションユニット、およびReaderユニット)で行った。MagArray Giant Magneto-resistive(GMR)センサー技術および関連機器は、光学もマイクロフルイディクスも必要としない多重化形式で低量の生体分子の超高感度検出を可能にし、それと同時に、同時リアルタイム読取りを提供する(J.R.Leeら(2017)およびR.S.Gasterら(2009))。
【0100】
本研究において使用するアッセイ形式は、プリント回路基板(PCB)のセンサーにスポットした1種またはそれより多くのモノクローナル抗体(mAb)で構成される。各PCBは、8個のチップを含む。各チップは、同じ抗体または異なる抗体をスポットされ得る80個のセンサーを含む。数個のセンサーには、より強固で正確な分析物ごとまたは標的抗原ごとのシグナルを得るために、同じ抗体をスポットした。結合された分析物(ビオチン化ペプチド)を、Miltenyi Biotec(California、USA)から得られた特製磁性ナノテクノロジー(磁性ナノ粒子(MNP)に結合された抗ビオチン抗体)を使用して検出した。すべてのPCBは、MagArrayによって、専用のプロセスを使用して表面処理され調製された。PCB表面処理の後に、抗体をスポットし、新たに調製したか、新鮮なまま凍結したか、または焼いて凍結したかのいずれかである、これらの事前に機能を持たせたPCBを使用した。凍結保存した場合、PCBは、このアッセイにおいて使用する前に室温(RT)に戻した。一部のセンサーには、ウシ血清アルブミンを参照タンパク質としてスポットした。参照タンパク質センサーシグナルを使用して、センサーの行および列におけるチップ特異的変動性について正規化し、一方では、空のセンサーによって、臨床サンプルにおける非特異的シグナルの評価を可能にした。
【0101】
(実施例2-アッセイ1)
このアッセイは、MagArray MR-813機器システム(すなわち、Hannoインキュベーションユニット、およびReaderユニット)で行った。各血漿サンプルを、安定化緩衝溶液としてアルブミンを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液で段階希釈した。各成分を、同じPBS緩衝液中で調製した。簡単に述べると、このプロセスは、特定の濃度のN末端ビオチン化Aβ1-40ペプチドまたはN末端ビオチン化Aβ1-42ペプチド(rPeptide、Watkinsville、Georgia、US)を含む前希釈したEDTA-血漿サンプル(希釈係数:1/8~1/1024)のオービタルシェーカーでのプレインキュベーション工程と、その後に続く、血漿サンプルをチップ上の捕捉抗体に曝露するHannoユニットでの室温にて2時間のインキュベーションとを含む。その後、PCBをReaderユニットに移し、上記のMNP試薬に磁場の存在下で20分間~30分間浸漬し、その間に、各GMRセンサーからのシグナルを得る。
【0102】
(抗体)
モノクローナル抗体を種々の供給源から入手した。抗体21F12、抗体2G3、および抗体3D6の特徴が、以前に記載された(Johnson-Woodら(1997)およびBardら(2003))。さらに、エピトープマッピング実験が、Vandersticheleら(2005)に記載された。
【0103】
(サンプル)
EDTA-血漿サンプルを、PrecisionMed(Solana Beach、California、US)、GoldonWest Biosolutions(Temecula、California、USA)またはUniversity Centersから入手した。性別、年齢、ミニメンタルステート検査(mini mental status examinations)(MMSE)、およびCSFバイオマーカープロファイルに関する詳細な情報は、それらのサンプルを注文した時点で入手可能であった。サンプルはドライアイス上で輸送され、実験室に到着してすぐに、それを<-20℃で保存した。サンプルの調製中またはアリコート中は、タンパク質吸着能力が低いポリプロピレン受容容器(recipient)を常に使うように注意を払った。
【0104】
3種の異なるサンプルセットを使用した(研究1、研究2、研究3)。各サンプルセットを、健常対照から得られたEDTA-血漿またはアルツハイマー病と診断された対象から得られたEDTA-血漿に分割した。対象の数は、研究プロトコルの関数として、ならびにこのアッセイの研究設計またはアウトカムに関して、異なる(表1を参照のこと)。
【0105】
各サンプルを、安定化緩衝溶液としてアルブミンを含むPBS溶液で段階希釈した。
【0106】
【0107】
(実施例3-アッセイ2)
このアッセイプロトコルは、MagArray MR-813機器システムで行った。各サンプルを、安定化緩衝溶液としてアルブミンを含むPBS溶液で段階希釈した。各成分を、同じPBS緩衝液中で調製した。簡単に述べると、このプロセスは、特定の濃度のAβ1-10-bio(AnaSpec、Fremont、California、USA)を含む前希釈したEDTA-血漿サンプル(希釈係数:1/8~1/1024)のオービタルシェーカーでのプレインキュベーション工程と、その後に続く、血漿サンプルをチップ上の捕捉抗体に曝露するHannoユニットでの室温にて2時間のインキュベーションとを含む。その後、PCBをReaderユニットに移し、上記のMNP試薬に磁場の存在下で20分間~30分間浸漬し、その間に、各GMRセンサーからのシグナルを得る。
【0108】
(抗体)
抗体21F12、抗体2G3、および抗体3D6の特徴が、以前に記載された(Johnson-Woodら(1997)およびBardら(2003))。さらに、エピトープマッピング実験が、Vandersticheleら(2005)に記載された。
【0109】
(サンプル)
EDTA-血漿サンプルを、PrecisionMed(Solana Beach、California、US)、GoldonWest Biosolutions(Temecula、California、USA)、またはUniversity Centersから入手した。性別、年齢、MMSE、およびCSFバイオマーカープロファイルに関する詳細な情報は、それらの材料を注文した時点で入手可能であった。材料はドライアイス上で輸送され、実験室に到着してすぐに、それを<-20℃で保存した。サンプルの調製中またはアリコート中は、タンパク質吸着能力が低いポリプロピレン受容容器を常に使うように注意を払った。健常対照およびアルツハイマー病と診断された4人の対象から得られた4種のEDTA-血漿サンプルを、この研究において使用した。各サンプルを、安定化剤としてアルブミンを含むPBS溶液で段階希釈した。各サンプルを、陰性対照、内部コントロール、および実行検証コントロールとして使用する他のmAbとともに3D6でコーティングした4種の異なる基板にて、個別に試験した。
【0110】
(実施例4-アッセイ3)
基板を、タウ特異的捕捉抗体またはホスホタウ特異的捕捉抗体の混合物を使用して調製した。モノクローナル抗体を、Thermo Fisher Scientific(Waltham、MA、USA)から入手した。この実施例において、AT270(181位でリン酸化されたタウに特異的なmAb)を捕捉抗体として使用し、一方で、ビオチン化HT7(このタウタンパク質のエピトープ159~163)を検出抗体として使用した。これらのmAbの特徴は、以前に公開された(E.Vanmechelenら(2000)およびH.Vandersticheleら(2006))。EDTA-血漿サンプルをGoldonWest Biosolutions(Temecula、California、USA)から入手した。サンプルはドライアイス上で輸送され、実験室に到着してすぐに、それを<-20℃で保存した。その血漿の種々の希釈物の調製中は、タンパク質吸着能力が低いポリプロピレン受容容器を常に使うように注意を払った。
【0111】
このアッセイは、MagArray MR-813機器システムで行った。このアッセイにおけるすべての成分(ペプチド、希釈された血漿、およびビオチン化抗体)は、同じPBS緩衝液を使用して調製した。血漿サンプルを、安定化タンパク質としてアルブミンを含むPBSで(1:2から1:32まで)段階希釈した。240μLのこの前希釈した血漿を、HT7のエピトープを含み181位でリン酸化された2,500pg/mLの合成ペプチド(Proteogenix、Schiltigheim、Franceから入手した)を含む10μLの緩衝液と、混合した。この添加したペプチドは、ビオチン化していなかった。その後、ビオチン化HT7(200ng/mL)を含む等体積の緩衝液を添加した。この混合物を、Hannoユニットにて室温で1時間プレインキュベートし、その後、PCBにて上記の捕捉抗体とともに4時間のインキュベーションを行った。このインキュベーション時間の終わりに、このPCBを上記のMNP試薬に磁場の存在下で20分間~30分間浸漬し、その間に、各GMRセンサーからのシグナルを得た。
【0112】
(実施例5-特定のヒトAβペプチドのアミノ酸配列)
この実施例は、特定のヒトAβペプチドのアミノ酸配列を示す。
Aβ1-37のアミノ酸配列は以下のとおりである:1-DAEFRHDSGYEVHHQKL-VFFAEDVGSNKGAIIGLMVG-37。Aβ1-38のアミノ酸配列は以下のとおりである:1-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGG-38。Aβ1-40のアミノ酸配列は以下のとおりである:1-DAEFRHDSGYEVHHQKL-VFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVV-40。Aβ1-42のアミノ酸配列は以下のとおりである:1-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA-42。Aβ43のアミノ酸配列は以下のとおりである:1-DAEFRHDSGYEVHHQKLV-FFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIAT-43。Aβ-3-40のアミノ酸配列は以下のとおりである:(-3)-VKMDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMV-GGVV-40。
【0113】
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【配列表】
【国際調査報告】