(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】レチノール製剤(I)
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20240321BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240321BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/31
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557141
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022059823
(87)【国際公開番号】W WO2022219016
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヘンデル, リンダ
(72)【発明者】
【氏名】コーラー, リーズ
(72)【発明者】
【氏名】ポルタ, ファビオラ
(72)【発明者】
【氏名】ジーバー, パスカル, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ツェコウ, クリストス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB242
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC252
4C083AC302
4C083AC332
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC782
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD532
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、特定の溶媒中に混合トコフェロールの存在下で多量のレチノールを含む新規の製剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤であって、
前記製剤の総重量を基準として40~75重量%(wt%)のレチノールと、
前記製剤の総重量を基準として20~55重量%の少なくとも1種の溶媒と、
前記製剤の総重量を基準として0.1~5重量%の混合トコフェロールと
を含み、
前記少なくとも1種の溶媒が、アルコール基もエステル基も伴わない無極性の親油性炭化水素である製剤。
【請求項2】
製剤であって、
前記製剤の総重量を基準として40~75重量%のレチノールと、
前記製剤の総重量を基準として20~55重量%の少なくとも1種の溶媒と、
前記製剤の総重量を基準として0.1~5重量%の混合トコフェロールと
から(実質的に)なり、
前記少なくとも1種の溶媒が、アルコール基もエステル基も伴わない無極性の親油性炭化水素である製剤。
【請求項3】
前記製剤の総重量を基準として40~70重量%のレチノールを含む、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記少なくとも1種の溶媒が、鎖状でも分岐でもよいC
8~C
42アルカンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記少なくとも1種の溶媒が、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデセン、ノナデカン、イコサン、ヘニコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン及びテトラコンタンからなる群から選択され、これらのアルカンが、鎖状でも分岐でもよい、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記製剤の総重量を基準として、25~55重量%の前記少なくとも1種の溶媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記混合トコフェロールが、
前記混合トコフェロールの総重量を基準として、最大20重量%までのα-トコフェロールと、
前記混合トコフェロールの総重量を基準として、最大5重量%までのβ-トコフェロールと、
前記混合トコフェロールの総重量を基準として、最大75重量%までのγ-トコフェロールと、
前記混合トコフェロールの総重量を基準として、最大35重量%までのδ-トコフェロールと
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤が、いかなる酸化防止剤(前記混合トコフェロール以外)も更に含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤の総重量を基準として、0.2~4.5重量%の混合トコフェロールを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の製剤を製造する方法であって、以下の
・前記レチノールと前記混合トコフェロールを高温(40~65℃)で混合するステップ
・前記少なくとも1種の溶媒を前記レチノール/混合トコフェロール混合物と同様な温度(40~65℃)まで加熱するステップ
・高温(40~65℃)で前記少なくとも1種の溶媒を前記レチノール/混合トコフェロール混合物に加え(又はその逆でもよい)、この温度でそれを混合するステップ
・前記混合物をゆっくりと冷却するステップ
を含む方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの製剤の食品、飼料、医薬品及びパーソナルケア製品(好ましくはパーソナルケア製品)における使用。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの製剤を含む食品、飼料、医薬品及びパーソナルケア、パーソナルケア製品。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの製剤を含むパーソナルケア、パーソナルケア製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特定の溶媒中に、混合トコフェロールの存在下、多量のレチノールを含む新規の製剤に関する。
【0002】
レチノールは、以下の式
【化1】
の化合物であり、
様々な分野での用途において非常に興味深い特性を有する化合物である。
【0003】
食品、飼料、医薬品における用途に次いで、レチノールは、パーソナルケア用途においても非常に有用である。
【0004】
パーソナルケアの分野で使用される場合には、レチノールは、主に肌のメンテナンスに使用される。
【0005】
レチノールの局所的な塗布には、以下の利点が含まれる:
・シワを最小限に抑える効果によりシワを予防するだけでなく、既存の小じわ及びシワも滑らかにする。
・細胞レベルで角質を除去することにより、くすんだ肌を明るくし、それが、より明るく滑らかな新しい肌をもたらす。
・脂性肌を調節して、吹き出物を最小限に抑える。
・濃い加齢によるシミ、日焼けによるシミ、及び色素沈着を薄くし、時間とともにむらのない顔色にする。
【0006】
(クリームなどのような)最終市場製品の製造には、最終市場製品に組み込むことができるレチノールを含む製剤を提供することが必要である。
【0007】
最終市場製品を製造するのに使用される製剤が、多量のレチノールを含み、それが溶媒及び他の成分がそれほど多く存在しないことを意味することは非常に有利である。これは、最終市場製品中でこのような溶媒及び他の成分の濃度を低く保つことができ、本発明の製剤を広範囲の用途に使用できることを意味する。
【0008】
更に、多量のレチノールを有するこのような製剤は、製剤の保管中にレチノールの含量が減少しないように、安定性であることが必要である。
【0009】
更に、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)又はブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)などの酸化防止剤は、特定の用途に対して様々な国で禁止されているので、それらの酸化防止剤を使用しないことも目標であった。
【0010】
特定の溶媒(レチノール用)及び混合トコフェロール(酸化防止剤として)を選択した場合に、高濃度で且つ安定性のレチノール製剤を製造することが可能であることを見出した。
【0011】
特定の溶媒の選択は、本発明による製剤にとって非常に重要である。レチノールを溶解する溶媒は、いかなるアルコール基も含んではならない。
【0012】
使用されている溶媒は、アルコール基もエステル基も伴わない無極性の親油性炭化水素である。
【0013】
本発明は、
製剤の総重量を基準として40~75重量%(wt%)のレチノールと、
製剤の総重量を基準として20~55重量%の少なくとも1種の溶媒と、
製剤の総重量を基準として0.1~5重量%の混合トコフェロールと
を含む製剤(F)であって、
少なくとも1種の溶媒が、アルコール基もエステル基も伴わない無極性の親油性炭化水素である製剤(F)に関する。
【0014】
本発明は、
製剤の総重量を基準として40~75重量%のレチノールと、
製剤の総重量を基準として20~55重量%の少なくとも1種の溶媒と、
製剤の総重量を基準として0.1~5重量%の混合トコフェロールと
からなる製剤(F1)であって、
少なくとも1種の溶媒が、アルコール基もエステル基も伴わない無極性の親油性炭化水素である製剤(F1)に関する。
【0015】
本発明は、
製剤の総重量を基準として40~75重量%のレチノールと、
製剤の総重量を基準として20~55重量%の少なくとも1種の溶媒と、
製剤の総重量を基準として0.1~5重量%の混合トコフェロールと
から実質的になる製剤(F2)であって、
少なくとも1種の溶媒が、アルコール基もエステル基も伴わない無極性の親油性炭化水素である製剤(F2)に関する。
【0016】
本特許出願に開示される全ての製剤の百分率が常に合計して100になることは明らかである。
【0017】
本発明による製剤は、エマルションではない。本発明による製剤は、オイル製剤である。これは、本発明の製剤の含水量を可能な限り少なく保つことができることを意味する。意図的に製剤に水を加えることはない。本発明による製剤の成分が微量の水を含有している可能性もある。
【0018】
本発明の溶媒を可溶化剤として使用する本発明によるレチノールのオイル製剤は、そのような有効成分の乳化経路(より多くの成分を有する)が最終的な用途に有害な影響を及ぼす一方、更なる用途においてそのような溶液の容易で且つ柔軟な使用を確実にする。
【0019】
本発明は、製剤(F)である製剤(F’)であって、その製剤が、製剤の総重量を基準として、2重量%未満の水を含む製剤(F’)に関する。
【0020】
本発明は、製剤(F)である製剤(F’’)であって、その製剤が、製剤の総重量を基準として、1重量%未満の水を含む製剤(F’’)に関する。
【0021】
本発明は、製剤(F)である製剤(F’’’)であって、その製剤が、製剤の総重量を基準として、0.5重量%未満の水を含む製剤(F’’’)に関する。
【0022】
レチノールは、天然の供給源からでもよく、又は化学的に生成してもよい。又そのように供給されたレチノールの混合物も使用することができる。微量の他の成分(不純物)が、その製造又は抽出に応じて、多少存在することがある。しかし、これらの不純物は、通常は1重量%未満(レチノールの重量を基準として)の量で存在する。
【0023】
本発明による製剤中のレチノールの量は、製剤の総重量を基準として40~75重量%である。
【0024】
本発明による製剤は、常に製剤の総重量を基準として、好ましくは40~70重量%、より好ましくは42~70重量%、42~65重量%、45~65重量%、45~60重量%、45~55重量%のレチノールを含む。
【0025】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)又は(F2)である製剤(F3)であって、製剤の総重量を基準として、40~70重量%のレチノールを含む製剤(F3)に関する。
【0026】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)又は(F2)である製剤(F3’)であって、製剤の総重量を基準として、42~70重量%のレチノールを含む製剤(F3’)に関する。
【0027】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)又は(F2)である製剤(F3’’)であって、製剤の総重量を基準として、42~65重量%のレチノールを含む製剤(F3’’)に関する。
【0028】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)又は(F2)である製剤(F3’’’)であって、製剤の総重量を基準として、45~65重量%のレチノールを含む製剤(F3’’’)に関する。
【0029】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)又は(F2)である製剤(F3’’’’)であって、常に製剤の総重量を基準として、45~60重量%のレチノールを含む製剤(F3’’’’)に関する。
【0030】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)又は(F2)である製剤(F3’’’’’)であって、製剤の総重量を基準として、45~55重量%のレチノールを含む製剤(F3’’’’’)に関する。
【0031】
上述のように、溶媒の選択は、本発明による製剤の安定性にとって非常に重要である。
【0032】
アルコール基もエステル基も伴わない少なくとも1種の無極性親油性炭化水素は、本発明による製剤に使用される。
【0033】
好ましい溶媒は、8~42個の炭素原子を有するアルカンであり、それらは、鎖状でも分岐であってもよい。
【0034】
より好ましくは、鎖状又は分岐のC10~C40アルカンである。
【0035】
殊に好ましいのは、以下の溶媒(それ自体又は混合物として)、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデセン、ノナデカン、イコサン、ヘニコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン及びテトラコンタンである。これらのアルカン全ては、鎖状でも分岐でもよい。
【0036】
最も好ましくは、ウンデカン、トリデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデセン、ノナデカン及びトリアコンタンである。
【0037】
このような好適な溶媒は、様々な製造業者(BASF、Seppic、及びAprinnovaなど)から、Emogreen L19、Emogreen L15、Cetiol Ultimate及びNeossance Squalaneなどの商品名で入手可能である。
【0038】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)又は(F3’’’’’)である製剤(F4)であって、少なくとも1種の溶媒が、鎖状でも分岐でもよいC8~C42アルカンである製剤(F4)に関する。
【0039】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)又は(F3’’’’’)である製剤(F4’)であって、少なくとも1種の溶媒が、鎖状でも分岐でもよいC10~C40アルカンである製剤(F4’)に関する。
【0040】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)又は(F3’’’’’)である製剤(F4’’)であって、少なくとも1種の溶媒が、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデセン、ノナデカン、イコサン、ヘニコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン及びテトラコンタンからなる群から選択され、これらのアルカンが、鎖状でも分岐のアルカンでもよい製剤(F4’’)に関する。
【0041】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)又は(F3’’’’’)である製剤(F4’’’)であって、少なくとも1種の溶媒が、ウンデカン、トリデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデセン、ノナデカン及びトリアコンタンからなる群から選択され、これらのアルカンが、鎖状でも分岐のアルカンでもよい製剤(F4’’’)に関する。
【0042】
本発明による製剤は、製剤の総重量を基準として、20~55重量%の少なくとも1種の溶媒を含む。
【0043】
常に製剤の総重量を基準として25~55重量%、28~55重量%、35~55重量%の少なくとも1種の溶媒が好ましい。
【0044】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)又は(F4’’’)である製剤(F5)であって、製剤の総重量を基準として25~55重量%の少なくとも1種の溶媒を含む製剤(F5)に関する。
【0045】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)又は(F4’’’)である製剤(F5’)であって、製剤の総重量を基準として、28~55重量%の少なくとも1種の溶媒を含む製剤(F5’)に関する。
【0046】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)又は(F4’’’)である製剤(F5’’)であって、製剤の総重量を基準として、35~55重量%の少なくとも1種の溶媒を含む製剤(F5’’)に関する。
【0047】
本発明による製剤は、酸化防止剤として混合トコフェロール(製剤の総重量を基準として0.1~5重量%)を含む。
【0048】
混合トコフェロールは、以下の4つの化合物
α-トコフェロールと、
β-トコフェロールと、
γ-トコフェロールと、
δ-トコフェロールとの混合物である。
【0049】
通常、混合トコフェロールは、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大20重量%までのα-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大5重量%までのβ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大75重量%までのγ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大35重量%までのδ-トコフェロールと
を含む。
【0050】
好ましい混合トコフェロールは、
混合トコフェロールの総重量を基準として、10~20重量%のα-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、1~5重量%のβ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、50~75重量%のγ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、15~35重量%のδ-トコフェロールと
を含む。
【0051】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)又は(F5’’)である製剤(F6)であって、混合トコフェロールが、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大20重量%までのα-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大5重量%までのβ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大75重量%までのγ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、最大35重量%までのδ-トコフェロールと
を含む製剤(F6)に関する。
【0052】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)又は(F5’’)である製剤(F6’)であって、混合トコフェロールが、
混合トコフェロールの総重量を基準として、10~20重量%のα-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、1~5重量%のβ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、50~75重量%のγ-トコフェロールと、
混合トコフェロールの総重量を基準として、15~35重量%のδ-トコフェロールと
を含む製剤(F6’)に関する。
【0053】
混合トコフェロールは、様々な製造業者(BASF、DuPont、Merck及びDSMなど)から市販されている。
【0054】
本発明による製剤は、混合トコフェロール以外のいかなる酸化防止剤(即ち、BHA及びBHTなど)も更に含まない。
【0055】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)又は(F6’)である製剤(F7)であって、その製剤が、いかなる酸化防止剤(混合トコフェロール以外)も更に含まない製剤(F7)に関する。
【0056】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)又は(F6’)である製剤(F7’)であって、その製剤が、BHAもBHTも(実質的に)含まない製剤(F7’)に関する。
【0057】
本発明による製剤は、本発明の総重量を基準として0.1~5重量%の混合トコフェロールを含む。
【0058】
好ましくは、本発明による製剤は、常に製剤の総重量を基準として、0.2~4.5重量%、0.2~4重量%、0.3~4重量%、0.4~3.5重量%、0.4~3重量%、0.4~2.5重量%、0.4~2重量%の混合トコフェロールを含む。
【0059】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8)であって、製剤の総重量を基準として、0.2~4.5重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8)に関する。
【0060】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8’)であって、製剤の総重量を基準として、0.2~4重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8’)に関する。
【0061】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8’’)であって、製剤の総重量を基準として、0.3~4重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8’’)に関する。
【0062】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8’’’)であって、製剤の総重量を基準として、0.4~3.5重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8’’’)に関する。
【0063】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8’’’’)であって、製剤の総重量を基準として、0.4~3重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8’’’’)に関する。
【0064】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8’’’’’)であって、製剤の総重量を基準として、0.4~2.5重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8’’’’’)に関する。
【0065】
したがって、本発明は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)又は(F7’)である製剤(F8’’’’’’)であって、製剤の総重量を基準として、0.4~2重量%の混合トコフェロールを含む製剤(F8’’’’’’)に関する。
【0066】
本発明による製剤は、一般的に既知の方法を使用し、一般的に使用される装置を用いて製造される。
【0067】
本発明による製剤を製造する一般的な方法は、以下の通りである:
・レチノールと混合トコフェロールを高温(通常、40~65℃の温度範囲)で混合する
・少なくとも1種の溶媒をレチノール/混合トコフェロール混合物と同様な温度(通常、40~65℃の温度範囲)まで加熱する
・高温(通常、40~65℃の温度範囲)で少なくとも1種の溶媒をレチノール/混合トコフェロール混合物に加え(又はその逆でもよい)、この温度でそれを混合する
・その混合物をゆっくりと冷却する。
【0068】
したがって、本発明は又、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)、(F7’)、(F8)、(F8’)、(F8’’)、(F8’’’)、(F8’’’’)、(F8’’’’’)又は(F8’’’’’’)のいずれかを製造する方法であって、以下の
・レチノールと混合トコフェロールを高温(通常、40~65℃の温度範囲)で混合するステップ、
・少なくとも1種の溶媒をレチノール/混合トコフェロール混合物と同様な温度(通常、40~65℃の温度範囲)まで加熱するステップ、
・高温(通常、40~65℃の温度範囲)で少なくとも1種の溶媒をレチノール/混合トコフェロール混合物に加え(又はその逆でもよい)、この温度でそれを混合するステップ、
・その混合物をゆっくりと冷却するステップ、
を含む方法に関する。
【0069】
最初にレチノールを溶媒中で(通常、40~65℃の温度範囲で)混合した後に、それを混合トコフェロールと(通常、40~65℃の温度範囲)で混合し、混合物をゆっくりと冷却することも可能である。
【0070】
最初に混合トコフェロールを溶媒中で(通常、40~65℃の温度範囲で)混合した後に、それをレチノールと(通常、40~65℃の温度範囲)で混合し、混合物をゆっくりと冷却することも可能である。
【0071】
本発明による製剤は、食品、飼料、医薬品及びパーソナルケアなどの様々な分野の用途に、使用することができる。
【0072】
本発明による製剤は、パーソナルケア製品(クリーム、ローションなど)に組み込むように使用されるのが好ましい。
【0073】
したがって、本発明は又、少なくとも1種の製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)、(F7’)、(F8)、(F8’)、(F8’’)、(F8’’’)、(F8’’’’)、(F8’’’’’)又は(F8’’’’’’)の食品、飼料、医薬品及びパーソナルケア製品での使用にも関する。
【0074】
したがって、本発明は又、少なくとも1種の製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)、(F7’)、(F8)、(F8’)、(F8’’)、(F8’’’)、(F8’’’’)、(F8’’’’’)又は(F8’’’’’’)のパーソナルケア製品(クリーム、ローションなど)での使用にも関する。
【0075】
更に、本発明は又、少なくとも1種の製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)、(F7’)、(F8)、(F8’)、(F8’’)、(F8’’’)、(F8’’’’)、(F8’’’’’)又は(F8’’’’’’)を含む食品、飼料、医薬品及びパーソナルケア、パーソナルケア製品にも関する。
【0076】
更に、本発明は又、少なくとも1種の製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F1)、(F2)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、(F3’’’)、(F3’’’’)、(F3’’’’’)、(F4)、(F4’)、(F4’’)、(F4’’’)、(F5)、(F5’)、(F5’’)、(F6)、(F6’)、(F7)、(F7’)、(F8)、(F8’)、(F8’’)、(F8’’’)、(F8’’’’)、(F8’’’’’)又は(F8’’’’’’)を含むパーソナルケア製品(クリーム、ローションなど)にも関する。
【0077】
上述のように、本発明による製剤の利点のひとつは、レチノールが多量にあること(したがって、他の成分が少ないこと)である。別の重要な利点は、製剤が油状であり、古典的なエマルションの形態ではないことである。
【0078】
最終市場製品(食品、飼料、医薬品及びパーソナルケア、パーソナルケア製品)に組み込まれた場合には、製剤の量は、これらの最終製品に必要なレチノールの量に応じて異なる。
【0079】
以下の実施例は、本発明を説明する役目をする。
【0080】
[実施例]
以下の実施例の全ては、以下の方法により行われる:
レチノールと混合トコフェロールとを63℃~65℃の温度で、約5~10分間、窒素下で溶解して混合する;
次に、溶媒を63℃~65℃の温度まで加熱する。
【0081】
その後、レチノール/混合トコフェロール混合物と溶媒を63℃~65℃で、数分、2~5分間、混合(撹拌しながら)して、製剤を室温までゆっくりと冷却させる。
【0082】
使用したのは以下の溶媒である
Emogreen L19(Seppicから):これは、C15~C19アルカン混合物である
Cetiol Ultimate(BASFから):これは、ウンデカンとトリデカンの混合物である
Cetiol 5(BASFから):これは、ココカプリレートである(比較例)
Eutanol G(BASFから):これは、オクチルドデカノールである(比較例)
【0083】
混合トコフェロールは、Mixed Tocopherols 95(DSMから)である
【0084】
【0085】
これらの製剤の安定性を定めるために、それらを(40℃で)2週間及び6週間保管した。そして、レチノールの損失を測定した(初期値は100%であった)。
【0086】
【0087】
表から、本発明による製剤は、非常に安定であることが分かり、並びに比較例3及び4の安定性が、本発明の製剤よりも如何に低いかが分かる。
【0088】
上述のように、本発明の独創性があるレチノール製剤は、様々な組成物に組み込まれることが可能である。
【0089】
例えば、以下の表に列挙する以下のパーソナルケア組成物において(全ての値を組成物の総重量に基づいて重量%で表す)。
【0090】
【0091】
【0092】
【国際調査報告】