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特表2024-514073空気力学的カバーを備えた車両ホイール(特に商用車用の車両ホイール)および車両ホイール(特に商用車用の車両ホイール)用の空気力学的カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】空気力学的カバーを備えた車両ホイール(特に商用車用の車両ホイール)および車両ホイール(特に商用車用の車両ホイール)用の空気力学的カバー
(51)【国際特許分類】
   B60B 3/16 20060101AFI20240321BHJP
   B60B 21/02 20060101ALI20240321BHJP
   B60B 7/06 20060101ALI20240321BHJP
   B60B 7/04 20060101ALI20240321BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B60B3/16 G
B60B21/02 H
B60B7/06 T
B60B7/04 C
B60B7/04 F
B60B7/04 S
B60B19/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559716
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 IB2022053062
(87)【国際公開番号】W WO2022208460
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202021101794.5
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515210455
【氏名又は名称】マキシオン ホイールズ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファニッツァ,イオセフ
(57)【要約】
本発明は、空気力学的ホイールディスクカバー用の締結装置を有する、商用車用の車両ホイールに関する。ディスクカバーの固定および容易な締結を可能にするために、締結装置は、ハブ接続フランジ21に配置された幾つかの締結孔30を備える。少なくとも1つの締結孔は、ハブ接続フランジの後側よりもホイールの前側でより小さい直径を有し、且つ形状嵌合によって作用する取り外し可能な保持手段のための当接部を形成する貫通孔からなり、および/または、少なくとも1つの締結孔30は、保持手段としての締結ねじ40をねじ込むための雌ねじが設けられた貫通孔からなり、および/または、中央孔は、形状嵌合によって作用するカバー側に配置された保持手段のための当接部を形成する狭窄部を含む内側円縁を有する。本発明はまた、カバーディスクに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ホイール(特に商用車用の車両ホイール)であって、
内側リムフランジおよび外側リムフランジ、内側リムショルダおよび外側リムショルダ、並びに、前記リムショルダ間のリムウェルベースを備えた金属製のリム(1)を有し、
前記リムの内側に配置され且つ前記リムに接続された金属製のホイールディスク(20)であって、中心孔とホイール車軸の周りのボルト円上に配置された幾つかのボルト孔とを有するハブ接続フランジ、通気孔が設けられた移行領域、並びに、ディスク縁部を有してなる金属製のホイールディスク(20)を有し、
ここで、前記ハブ接続フランジ、前記移行領域、前記外側リムフランジおよび前記外側リムショルダは、当該ホイールの前側(フロント側)を形成し、且つ、
空気力学的ホイールディスクカバー用の締結装置を有する、車両ホイールにおいて、
前記締結装置が、前記ハブ接続フランジ(21)に配置され、好ましくはホイールディスクカバー(50)用のホイール車軸の周りの孔円上に対称的に配置された、幾つかの締結孔(30等)を備え、
ここで、少なくとも1つの締結孔(130;230)が、孔軸を有する貫通孔からなり、前記孔軸に対し対称的に形成され、前記ハブ接続フランジの後側(リア側)よりも当該ホイールの前側でより小さな直径を有し、且つ、形状嵌合によって作用する取り外し可能な保持手段のための当接部を形成する、および/または、
少なくとも1つの締結孔(30)が、保持手段としての締結ねじ(40)をねじ込むための雌ねじが設けられた貫通孔からなる、および/または、
前記中心孔(27;327)が、形状嵌合によって作用するところのカバー側に配置された保持手段(396)のための当接部を形成する狭窄部(395)を備えた内側円縁を有する、
ことを特徴とする、車両ホイール。
【請求項2】
少なくとも1つの締結孔(230)は、前記ホイールの前側から前記ハブ接続フランジの後側に広がり、好ましくは円錐状に広がることを特徴とする、請求項1に記載の車両ホイール。
【請求項3】
少なくとも1つの締結孔(30)は、前記ホイールの前側と前記ハブ接続フランジの後側との間に段差(36)を有し、前記段差によって形成されたアンダーカットによって前記保持手段のための保持突起を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両ホイール。
【請求項4】
前記段差の前(フロント)にある前記締結孔の相対的に小さい内径(DI1)は、前記段差の相対的に大きい内径(DI2)よりも、少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1.5mm、特に好ましくは1.9mm超え小さく、および/または、
前記段差が、前記ホイールの前側から少なくとも1.5mmの距離(T)を有する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の車両ホイール。
【請求項5】
すべての締結孔が互いに同一に設計され、共通のボルト円上に対称に配置されていること、または、
幾つかの締結孔がボルト円上に対称に配置されており、前記締結孔は、前記ホイールの前側よりも後側でより大きい直径を有し、好ましくは、後側に向かって広がる締結孔に対して非対称に配置された雌ねじを有する少なくとも1つの締結孔が追加的に設けられる、
ことを特徴とする、請求項2、3または4に記載の車両ホイール。
【請求項6】
前記中心孔(327)の内側円縁上の前記狭窄部は、前記内側円縁が前記ハブ接続フランジの後側に合流する同心の円周方向テーパからなり、前記テーパは、好ましくは、前記内側円縁上にアンダーカット面を生成し、前記内側円の内径に対して少なくとも4mm、後側(323)で円周方向に跳ね返ることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両ホイール。
【請求項7】
前記中心孔の内側円縁上の前記狭窄部は、前記中心孔の内周にわたって延在する溝からなり、前記溝は、好ましくは、前記ハブ接続フランジの前側と後側との間の中央に配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両ホイール。
【請求項8】
前記貫通孔は、前記ハブ接続フランジ(21;121;221)の前記ボルト孔の直径よりも小さな最大直径を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両ホイール。
【請求項9】
前記外側リムフランジは、空気力学的ホイールディスクカバーの外周上の1つ又は複数のロック突起(70)のための当接部として、内側に円弧状に湾曲したロックリップを有しており、各ロック突起は、好ましくは、前記ロックリップ内に入り込むための少なくとも1つのビードを有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両ホイール。
【請求項10】
前記中心孔と前記外側リムフランジとの間で車両ホイールの前側(フロント側)を覆うための環状のカバー本体を備えると共に、前記車両ホイール上の締結装置と相互作用する少なくとも1つの保持手段とを備えた、好ましくは請求項1から9のいずれか一項に記載の車両ホイール用の空気力学的ホイールディスクカバーにおいて、
前記保持手段(180;290、291)は、ハブ接続フランジ(121;221)の後側(リア側)に向かって広がる狭窄部または締結孔(130;230)の中または背後に係合するように設計された、形状嵌合によって作用する保持手段からなる、または、
前記保持手段は、ハブ接続フランジ(21)上に雌ねじが設けられた締結孔(30)にねじ込むための締結ねじ(40)からなる、
ことを特徴とする、空気力学的ホイールディスクカバー。
【請求項11】
前記カバー本体(51;151)は、前記ホイールディスクの前記外側リムフランジ上のロックリップに係合するためのビードがそれぞれ設けられた1つ又は複数のロック突起(70;170)を外周に有することを特徴とする、請求項10に記載のホイールディスクカバー。
【請求項12】
前記カバー本体は、すべてのボルト孔ならびに当該ボルト孔にねじ込まれるホイールボルトねじを覆うように設計および寸法決めされていることを特徴とする、請求項10または11に記載のホイールディスクカバー。
【請求項13】
前記カバー本体(51)は、貫通開口部を有する幾つかの止まり孔凹部(58)を有し、前記保持手段は、スペーサスリーブ(42)を介在する締結ねじ(40)で構成され、前記スペーサスリーブは、前記締結ねじによって前記止まり孔凹部の底側に対してプレストレスがかけられ、前記カバーを前記車両ホイールにロックし、
下面にカム(67)を備える追加のカバーリング(65)が好ましくは設けられ、
前記カムの各々は、取り付け状態で前記本体の前記止まり孔凹部に形状嵌合によって係合するように意図され、且つそれに対応して配置され、および/または、
前記カバーリング(65)は、前記本体の内周の保持縁部の後ろに係合するための可逆的に屈曲可能な保持リップ(68)を伴って前記リングの内側に設けられている、ことを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のホイールディスクカバー。
【請求項14】
前記カバー本体(151)は、その下側に幾つかのロックピン(180)を有し、これらのピンは、ボルト円上に対称に配置され、それらの下側ピン端部にフック突起が設けられ、
各ロックピンは、好ましくは少なくとも2つの部分で設計され、当該ロックピンの部分要素(181;182)は、初期状態に対して押し広げられ、および/または半径方向に押し合わされ、各ロックピンには、前記ロックピンの前記部分要素を押し広げるための作動手段のための中央孔(183)が設けられている、ことを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のホイールディスクカバー。
【請求項15】
その下側に、その下側を越えて突出するピン(185)を備えたカバーリング(165)が更に設けられ、各ピン(185)は、取り付け状態において前記本体上の前記ロックピン(180)の中央孔のうちの1つに係合するように意図され、且つそれに対応して配置され、
前記カバーリング(165)は、好ましくは、当該リングの内側に、前記本体(151)の内周上の保持縁部の後ろに係合するための可逆的に屈曲可能な保持リップ(168)が設けられ、および/または、
前記ピン(185)は金属製である、ことを特徴とする、請求項14に記載のホイールディスクカバー。
【請求項16】
前記カバー本体(350)は、ホイール側のハブ接続フランジ(321)の前側の当接面として設計された底側面(355)を有すると共に、
前記底側面(355)を越えて部分的に突出し、且つ、車両ホイールのホイール側中心孔の内周の環状溝に係合するように、または車両ホイールのホイール側中心孔(327)の内周の後側のテーパの後ろに係合するように設計された可逆的に屈曲可能な保持リップ(396)が設けられている、ことを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のホイールディスクカバー。
【請求項17】
前記カバー本体および/または前記カバーリングがプラスチックで作られていること、および/または、
前記カバー本体の外周には、空気力学にさらに影響を与えるための流れ案内体、特に空気の乱流を低減するように設計された流れ案内体が設けられている、ことを特徴とする、請求項10から16のいずれか一項に記載のホイールディスクカバー。
【請求項18】
前記カバー本体は、平坦または円錐形の端面(53;153)を有し、好ましくは、前記端面に凹部(61;161)を有し、
好ましくは、取り付け状態の前記カバーリング(65;165)は、前記凹部(61;161)を満たし、前記端面(53;153)と同一平面上にあること、および/または、
前記カバーの本体は、取り付け状態において外側リムフランジ(7)の隣に軸方向にオフセットして配置されるエアダクトスロットを有するリング状の周辺ウェブ(56)を、外周に備えている、ことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のホイールディスクカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に商用車用の車両ホイールに関し、車両ホイールは、金属リムであって、内側リムフランジおよび外側リムフランジと、内側リムショルダおよび外側リムショルダと、リムショルダ間のリムウェルベースとを有する、金属リムと、リムの内側に配置され、リムに接続された金属ホイールディスクであって、中心孔とホイール車軸の周りのボルト円上に配置された幾つかのボルト孔とを有するハブ接続フランジと、通気孔が設けられた移行領域と、ディスク縁部とを有する、金属ホイールディスクと、を有し、ここで、ハブ接続フランジ、移行領域、外側リムフランジおよび外側リムショルダは、ホイールの前側を形成し、車両ホイールは、空気力学的ホイールディスクカバー用の締結装置を有するものである。本発明はまた、対応する車両ホイール、特に商用車両の車両ホイール用の空気力学的ホイールディスクカバーに関し、空気力学的ホイールディスクカバーは、中央孔と外側リムフランジとの間で車両ホイールの、ホイールの前側のディスク面を覆うための環状カバー本体と、車両ホイール上の締結装置と相互作用する少なくとも1つの保持手段とを有するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(DE 20 2018 105 357 U1)は、空気力学的カバーを有する商用車両用の一般的な車両ホイールを開示している。一般的な車両ホイールの場合、空気力学的カバーは、外側リムフランジの領域でホイールの前部に固定される。
【0003】
乗用車用の車両ホイールの場合、ハブキャップを設計要素として使用し、それらを異なる方法で金属車両ホイールの本体に取り付けることが知られている。ボルトに直接締結するプラグインの解決策が利用可能である。また、車両ホイール上の締結装置と適切な方法で相互作用する張力装置がハブキャップ上に配置される解決策が利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国出願公開第202018105357号(U1)
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、空気力学的ホイールディスクカバーを確実かつ容易に固定することを可能にし、設計者にホイールディスクカバーの形状について最大限の設計自由度を与える、特に商用車用の車両ホイールを作成することである。
【0006】
この問題を解決するために、本発明では、特に商用車用の車両ホイールについて、締結装置が、ハブ接続フランジ内に配置され、好ましくはホイール車軸の周りのボルト円上に対称的に配置された、ホイールディスクカバー用のいくつかの締結孔を有し、ここで、
少なくとも1つの締結孔が、孔軸を有する貫通孔からなり、孔軸に対称的に設計され、ハブ接続フランジの後側よりもホイールの前側でより小さい直径を有し、形状嵌合によって作用する取り外し可能な保持手段のための当接部を形成する、および/または、
少なくとも1つの締結孔が、保持手段としての締結ねじをねじ込むための雌ねじが設けられた貫通孔からなり、および/または、
中心孔が、形状嵌合によって作用するカバー側保持手段のための当接部として狭窄部が設けられた内側円縁を有すること、
が提案される。上述の3つの代替的な解決策の各々は、対応するホイールディスクカバーを車両ホイールに締結するための利点を提供し、同時に、組み立ての容易さおよび締結の信頼性を向上させる。
【0007】
本発明による第1の解決策は、締結装置が、ハブ接続フランジ内に配置され、好ましくはホイール車軸の周りのボルト円上に対称的に配置された、ホイールディスクカバー用のいくつかの締結孔を有することを提供し、1つの変形例によれば、少なくとも1つの締結孔は、これにより、形状嵌合によって作用する着脱可能な保持手段のための当接部を対応して提供するために、孔車軸を有する貫通孔からなり、孔車軸に対して対称に設計され、ハブ接続フランジの後側よりもホイールの前側でより小さい直径を有することができる。別の変形例によれば、少なくとも1つの締結孔は、保持手段として締結ねじをねじ込むための雌ねじが設けられた貫通孔からなることができる。
【0008】
ホイールの前側から後側に広がる締結孔を有する変形例では、1つの構成によれば、少なくとも1つの締結孔は、ホイールの前側からハブ接続フランジの後側に円錐状に広がることができる。異なる保持手段は、ホイールディスクカバーが外れるのを防止するために、円錐形に広がった締結孔にしっかりと取り付けることができる。最も単純な構成では、保持手段は、パネル要素を締結するために、またはストリップもしくはバンパーをいくつかの車両モデルの本体に締結するために車両の内部で使用されるものなどの締結クリップまたはプラスチック拡張ダボからなることができる。この構成のためには、ホイールディスクカバーが、締結クリップまたは拡張ダボを受け入れて貫通するための適切な締結孔、特に止まり孔を有することで十分である。しかしながら、保持手段は、空気力学的ホイールディスクカバーを参照して以下でさらに説明するように、カバーに一体化された要素から構成することもできる。
【0009】
拡幅締結孔を有する本発明による別の変形例では、少なくとも1つの締結孔は、ホイールの前側とハブ接続フランジの後側との間に段差を有し、段差によって形成されたアンダーカットによって保持手段のための保持突起を形成することができる。保持手段はまた、ここでは拡張ダボ、またはカバー上に一体的に形成された適切な固定要素から構成することもできる。十分なアンダーカットを形成するために、段差の後ろの締結孔のより大きい内径は、段差の前のより小さい内径よりも少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1.5mm、特に好ましくは少なくとも1.9mm大きくすることができる。
【0010】
車両ホイールでは、すべての締結孔を互いに同一に設計し、共通のボルト円上に対称に配置することができる。あるいは、いくつかの締結孔をボルト円上に対称に配置することができ、これらの締結孔は、ホイールの前側よりもハブ接続フランジの後側でより大きい直径を有し、ここで後側に向かって広がる締結孔に対して非対称に配置された雌ねじを有する少なくとも1つの締結孔をさらに設けることができる。これは、保持手段としての拡張ダボなどと共に締結ねじを組み合わせることを可能にする。
【0011】
貫通孔を有するすべての変形例において、貫通孔がハブ接続フランジ上のボルト孔の直径よりも小さい最大直径を有することが特に有利である。
【0012】
製造技術の点で非常に有利であり、したがって費用対効果が高い別の代替的な解決策は、中心孔の内側円縁に狭窄部を設けることにあってもよく、これにより、ホイールディスクカバー上で対応して設計された保持手段が相互作用してもよい。保持手段は、カバーの本体に形成され、この狭窄部の後ろまたは中に係合するフック突起を有する幾分可撓性の保持リップからなってもよい。このために、有利な設計は、中心孔の内側円縁に溝を形成することを提供することができ、溝内でフック突起はカバーの保持リップと係合する。別の有利な設計は、ハブ接続フランジの後側、すなわち、車両のハブ上のホイールボルトによって組み立てられた状態で車両ホイールが押圧されて固定されるその表面上に、十分な空間を提供するテーパによって自由表面が形成され、それにより、カバー上の対応するフック突起がこの自由空間の後ろに係合し、それによってホイールディスクカバーの可能な第1のロックを達成することができる。内側円縁がハブ接続フランジの後側に移行するテーパは、好ましくは、後側の内側円縁の内径に対して少なくとも4mm後退させることができる。中心孔で行われるこの第1のロックは、疑わしい場合に確実に締結するのに十分ではないため、例えばホイールボルト上のプラグ接続を介して、本発明による他の解決策の1つを用いて、または外側リムフランジと相互作用するロック手段を介して、追加のロックを提供することができる。
【0013】
中央孔に狭窄部を有する変形例では、他のすべての変形例においても、外側リムフランジは、空気力学的ホイールディスクカバーの外周上のロック突起またはいくつかのロック突起のための当接部として、ホイールディスクの内側に円弧状に湾曲したロックリップを有することができ、各ロック突起は、好ましくは、ロックリップと係合するための少なくとも1つのビードを有する。したがって、ロックリップおよびロック突起は、第2のまたは追加のロック手段を形成する。
【0014】
好ましい設計では、車両ホイールは商用車用の車両ホイールである。商用車用の車両ホイールでは、特にリムショルダは、15°のテーパを有する急勾配のショルダとして設計されている。本発明による車両ホイールは、原則として、追加の締結孔が設けられている場合であっても、商用車両の駆動車軸および後車軸の両方に取り付けることができる。しかしながら、締結孔を介してまたは(追加的に)中心孔においてロックされる空気力学的ホイールディスクカバーは、車両ホイールが単一のホイールとして、特に駆動車軸、通常は前ホイール車軸上に単一のホイールとして取り付けられる場合にのみ、ロックの場合に取り付けることができる。
【0015】
本発明による空気力学的ホイールディスクカバー、またはホイールディスクカバー用の締結装置は、特に商用車両の対応する車両ホイールと相互作用することを特徴とし、特に車両ホイールと相互作用する保持手段が、ハブ接続フランジの後側に向かって広がる狭窄部または締結孔の中または後ろに係合するために使用される形状嵌合によって作用する保持手段からなること、または保持手段が、ハブ接続フランジ上に雌ねじが設けられた締結孔にねじ込むための締結ねじからなることを特徴とする。既に上述したように、保持手段は、原則として、車両の内部で既に使用されているような拡張ダボまたは締結クリップからなることができる。すべての空気力学的ホイールディスクカバーにおいて、カバー本体が、車両ホイールの外側リムフランジ上のロックリップに係合するためのビードがそれぞれ設けられたロック突起またはいくつかのロック突起を外周に有することが、同時に有利である。したがって、本体の外周上の係止突起は、本発明による保持手段によって生成されたロックと共に、車両ホイール上のカバーのための第2の追加のロックおよび固定手段を形成する。有利な空気力学的効果を生み出すために、カバー本体は、好ましくは、すべてのボルト孔ならびにボルト孔にねじ込まれたホイールボルトねじを覆うように設計および寸法決めされる。
【0016】
特に好ましい設計によれば、カバー本体は、貫通開口部を有するいくつかの止まり孔凹部を有することができ、締結ねじからなる保持手段は、締結ねじが締結孔にねじ込まれるときにスペーサスリーブを介して止まり孔凹部の底側に対してプレストレスをかけることができるか、またはプレストレスをかける。したがって、締結ねじは、カバーを車両ホイールの半径方向内側にさらにロックさせる。しかしながら、このとき、止まり孔凹部は開いており、この点ではホイールディスクカバーの空気力学に悪影響を及ぼす可能性があるため、下側にカムが設けられた追加のカバーリングが設けられると特に有利であり、ここで、カムの各々は、この目的のために意図され、これにしたがって配置されて、取り付けられた状態で形状嵌合方式で本体の止まり孔凹部に係合する。
【0017】
特に有利な設計では、カバー本体は、一体的に形成された保持手段を有し、特に好ましい設計では、ボルト円上に対称的に配置された幾つかのロックピンを下側に形成することができ、これらのピンには、その下側ピン端部にフック突起が設けられ、各ロックピンは、好ましくは少なくとも2つの部分で設計され、半径方向の初期状態に対するロックピンの部分要素は、押し広げられ、および/または押し合わされることができ、各ロックピンには、ロックピンの部分要素を押し離すための作動手段のための中央孔が設けられていることが特に好ましく、ロックピンが押し離される限り、締結孔が後側に向かって円錐状に広がっているか、または段差を伴って広がっているかにかかわらず、ロックピンが関連する締結孔内で各ロックピンの形状嵌合ロックを引き起こすため、作動手段は固定手段を形成することもでき、円錐形の変形例は、取り外し中に円錐形のテーパが引き出し方向に作用し、この点でロックピンが円錐形の表面との相互作用によって押し合わされるため、取り外しが円錐形の表面によっても支持されるという追加の利点を有する。しかしながら、ロックピンは、それらのプレストレスに起因して通常押し合わされた状態をとるように成形することもでき、この点で、アンダーカットを有する段付きボアを用いていつでも分解することもできる。さらに、本体上のカバーリングもまた、非常に簡単な方法で意図しない緩みに対して固定することができるので、カバーリングを、ホイールディスクカバーの本体の内周上の保持縁の後ろに係合するための可逆的に屈曲可能な保持リップとともにリングの内側に設けることができる。カバーリングは、本体の端面の凹部を埋めることが好ましい。
【0018】
ロックピンの内側に中心孔を有する設計では、下側に下側を越えて突出するピンが設けられたカバーリングがさらに設けられると特に有利であり、ここで各ピンはこの目的のために意図され、これにしたがって、取り付け状態で本体上のロックピンの中心孔の1つに配置される。このとき、カバーリングの取り付けは、ロックピンが作動手段または固定手段を受け入れる凹部を閉じるだけでなく、すべてのロックピンの対応する固定も同時に行われる。さらに、カバーリングは、意図しない緩みに対してカバーリングを本体上に固定するために、本体の内周の保持縁部の後ろに係合するための可逆的に屈曲可能な保持リップをリングの内側に設けることができ、ホイールディスクカバーの好ましい設計では、一体的に形成されたロックピンおよびカバーリングもプラスチック製であるため、各ピンが金属製であれば有利であることが判明し得る。
【0019】
中央孔の内側円縁に狭窄部を設けた車両ホイールを特に対象としたさらに別の代替設計によれば、カバー本体は、ホイール側ハブ接続フランジの前側に当接面として形成された底側を有してもよく、底側には可逆的に屈曲可能な保持リップが設けられ、保持リップは、底側にわたって突出し、ホイールディスクのホイール側中央孔の内周の環状溝に係合するように、またはホイールディスクの中央孔の内周の後側のテーパの後ろに係合するように設計される。
【0020】
空気力学的カバーのすべての変形例において、カバー本体および/またはカバーリングがプラスチックで作られている場合、および/またはカバー本体が、空気力学にさらに影響を与えるために外周に流れ案内体を備え、特に空気の乱流を低減するように設計された流れ案内体を備えることが特に有利である。
【0021】
カバー本体は、特に、平坦な端面または円錐形の端面を有することができ、端面は好ましくは凹部を有し、カバーリングはこの凹部を充填し、その端面は、取り付け状態で本体の端面と同一平面にある。さらに、カバーには、取り付け状態で外側リムフランジに隣接する端面に配置された、空気案内スロットを有するリング状の外周ウェブを外周に設けることができる。このとき、空気案内スロットを有するエッジウェブは、ホイールの前側にわたって突出し、半径方向に整列した空気案内スロットは、ブレーキの必要な冷却を確実にすることができるだけでなく、乱流を最小限に抑えることもできる。
【0022】
本発明による車両ホイールまたは本発明による空気力学的ホイールディスクカバーのさらなる利点および設計は、例として図面に示される例示的な実施形態の以下の説明から生じる。
図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】カバー、車両ホイールおよび締結装置または保持手段の第1の実施形態による、部分的に破断されて開いた、取り付けられた空気力学的ホイールディスクカバーを有する本発明による車両ホイールの斜視図を概略的に示す。
図2】第1の実施形態によるカバー、車両ホイールおよび保持手段の分解図における図1の車両ホイールの詳細図を示す。
図3】カバー、車両ホイールおよび保持手段の取り付け状態における図2と同様の詳細図を示す。
図4】車両ホイール、カバーおよび締結装置または保持手段の第2の実施形態による、部分的に破断されて開いた、取り付けられた空気力学的ホイールディスクカバーを有する本発明による車両ホイールの斜視図を概略的に示す。
図5図4によるカバーを有する車両ホイールの部分断面詳細図を示す。
図6】第2の実施形態による車両ホイール、カバーおよび締結装置の詳細図を分解図で示す。
図7図5の拡大詳細図を示す。
図8】第3の実施形態の変形例による車両ホイール上のホイールディスクカバー用の締結装置の概略的な分解詳細図を示す。
図9】第4の実施形態の変形例による、取り付けられたホイールディスクカバーを有する車両ホイールの部分断面の概略的な側断面図を示す。
図10図9による車両ホイールの中心孔に対する図9によるカバーのロックの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、第1の例示的な実施形態による、全体として参照番号50で示される、取り付けられたホイールディスクカバーと共に商用車用の本発明による車両ホイール10を示す。車両ホイール10は、それ自体既知の方法で、車軸、特に図示しない商用車両の(前部)駆動車軸のハブに取り付けるためのサイズ、寸法、形状および厚さに関して適合された金属リム1からなる。したがって、リング状の閉じたリム1は、内側リムフランジ2、内側リムショルダ3、リムウェルベース4、移行部5、外側リムショルダ6、および外側リムフランジ7を有する。商用車用の車両ホイール10またはリム1の設計では、両リムショルダ3、6は、ホイール車軸に対して15°(15度)の角度を有する急勾配のショルダとして設計されている。
【0025】
リム1の内部には、全体として参照符号20で示されるホイールディスクが配置されており、これは、図示されている例示的な実施形態では、それ自体既知の方法で、ホイール車軸の周りに同心円状に形成されたハブ接続フランジ21を有し、これには、いくつか、例えば4、5または10個の、図示されていないホイールボルトを通すためのボルト円上に配置されたボルト孔22が設けられ、車両側ハブの後側23との接触面および当接面を形成する。ハブ接続フランジ21は、いくつかの通気孔25が設けられた移行領域24に半径方向外側に合流し、次いで、好ましくは溶接接続によってホイールディスク20がリムに接続されるディスク縁部26で終端する。ハブ接続フランジ21自体は、内側円縁28を有する中心孔27を有する。好ましくは金属製の複数部分からなる車両ホイールのこのような設計は、当業者に知られており、このため、ディスク形状およびリム形状の設計について考えられる変形例は、ここではこれ以上論じない。車両ホイールはまた、一体に設計され、例えばアルミニウムからなることができる。
【0026】
図示の例示的な実施形態では、ハブ接続フランジ21は、周方向外側リムフランジ7が広がる平面にわたって軸方向に突出する。内側リムフランジ2および外側リムフランジ7という名称は、外側リムフランジ7が外側にあるのに対して、内側リムフランジ2はホイールハウジングなどの内側に消えるため、このような車両ホイールの車両への取り付け状態を指す。したがって、車両ホイール1の外側の通常視認可能なホイールは、ハブ接続フランジ21の前側29、移行領域24、外側リムショルダ6の内側、および外側リムフランジ7の内側によって本質的に形成される。環状リムを参照すると、内側は半径方向内側を示しているが、図示されていないタイヤがリムの半径方向外側に取り付けられている。
【0027】
車両ホイール10の外側は、空気力学的なリング状のホイールディスクカバー50によってほぼ完全に覆われている。ホイールディスクカバー50は、本質的に、中心孔27から外側リムフランジ7まで延在する。図1による例示的な実施形態では、ホイールディスクカバー50は、いくつかの部分に分かれており、好ましくは適切なプラスチックで作られ、実質的にリング状の基本形状を有し、本質的に剛性であるカバー本体51を有する。ここで、カバー本体51は、外周52から半径方向内側および軸方向外側に円錐状に延びる端面53と、空洞60を共に囲む底面55とを有する。外周52にはウェブ56が延在し、これは好ましくはカバー本体51に一体的にまたは形状嵌合形成され、図1の下半分から特に明確に分かるように、これには複数の空気案内スロット57が設けられ、これを介して空気は、例えば、進行中の運転動作中にブレーキの適切な冷却を確実にするために、カバーの底面55とホイールディスク20の前側との間の中間空間に入ることができる。閉じた端面53とウェブ56上の空気案内スロット57の両方が、空気力学に、そして車両に取り付けられたときの車両ホイール10上の空気抵抗にこの程度まで決定的に影響を与える。本発明は本質的にホイールディスクカバー50が車両ホイール1に締結される方法に関するので、本発明には様々な設計の空気力学的カバーを使用することができる。
【0028】
ここで追加的に参照される図1ならびに図2および図3の例示的な実施形態では、ホイールディスク20が、車軸の周りのボルト円上に配置された複数の締結孔30を有するという点で、ホイールディスクカバー50をホイールディスク20に締結するための特別な変更が行われているが、そのうちの単一の締結孔30のみが示されている。締結孔30には雌ねじが設けられており、締結ねじ40が保持手段として締結孔30と相互作用する。締結孔30は、ボルト孔22のボルト円と同様のボルト円上に配置されるが、締結孔30は、図1から図3が明確に示すように、はるかに小さい直径を有する。カバー本体51は、締結ねじ40を配置するために底面55に貫通孔59を有する止まり孔凹部58を有し、止まり孔凹部58は、カバー本体51の空洞60を画定する円筒状の周壁を有する。ボルト円上に分布するいくつかの止まり孔凹部58は、それらの数および位置において、ハブ接続フランジ21の締結孔30の数および位置に対応する。止まり孔凹部58の深さゆえに、締結ねじ40の頭部41は、止まり孔凹部58の底部に対して直接作用せず、スリーブ42の間で使用され、スリーブを介して締結ねじ40の長さを止まり孔凹部58の深さに適合させることができる。この設計は、締結ねじ40のねじ付きシャンクがハブ接続フランジ21の後側で突出することなく、ねじ40を十分な締め付けトルクでねじ付き締結孔30にねじ込むことができるようなものでなければならない。
【0029】
止まり孔凹部58がホイールディスクカバー50の空気力学を損なわないように、個々の止まり孔凹部58は、端面53に対して窪んだ本体51の領域に配置される。この結果として生じる凹部61は、カバーリング65によって覆うことができ、カバーリングは、図示の例示的な実施形態では、各止まり孔凹部58のための円形カム67がその下側66にさらに設けられ、図3に特によく見られるように、取り付けられた状態で止まり孔凹部58に入り込むように設計され適合される。カバーリング65の保持力は、カム67の外周と止まり孔凹部58の内周との間の適切な隙間または移行ばめによって生成することができる。本体51上にカバーリング65をさらにロックするために、カバーリング65には、傾斜した可逆的に屈曲可能な保持リップ68が内側に設けられ、保持リップは、図3から特によく分かるように、本体51の半径方向内周に対応して配置され形成されたくさび面の後ろに係合するために、下端にオフセット69を有する。
【0030】
締結ねじ40およびねじ付き締結孔30によって形成された締結装置は、外側リムフランジ7の内側でも第2のロックが行われるため、空気力学的カバー50のための唯一のロック手段を形成しない。これに対応して、ホイールディスクカバー50の本体51には、外周52に追加のロック装置が設けられており、この追加のロック装置は、外側リムフランジ7の円弧状に湾曲した内側を、例えばビードまたは湾曲によって形成された形状嵌合体と係合させる単一の周方向ロック要素70を有し、形状嵌合によってカバー50の外周の領域で車両ホイールにカバー50をロックする。しかしながら、この追加のロック要素は、円周方向に形成される必要はなく、いくつかの個々の部品または互いに直接隣接する複数の個々の要素からなることもできる。しかしながら、カバーに一体的に形成されたロック要素であることが好ましい。外側リムフランジ7上の追加の支持およびロックはまた、ホイールディスクカバー50の車両ホイール10上への非常に良好なセンタリングを確実にする。
【0031】
図4図7は、対応して設置されたホイールディスクカバー150を有する車両ホイール110の第2の設計を示す。前述の実施形態と機能的に同一の構成要素には符号を100増やして示している。ここでも、車両ホイール110の外側は、ハブ接続フランジ121の前側129、通気孔125を有する移行部124、外側リムショルダ106の内側、および外側リムフランジ107の内側によって形成される。ホイールディスクカバー150は、先の例示的な実施形態におけるホイールディスクカバーと本質的に同じ基本形状を有し、円錐状に内側および軸方向前方に延びる端面153と、空気案内スロット(図示せず)を有する円周環状ウェブ156が配置される外周152とを有する。図4では、ロック要素170の形態の外側ロック手段を特によく見ることができ、ここで図4による例示的な実施形態では、ロック要素170には、ウェブ156から軸方向内側に位置し、ウェブに対してオフセットされたその端面に、別個の交換可能なビードリング175がさらに設けられ、これにより、ロック要素170は、外側リムフランジ107の内側によって形成されたロックリップに嵌合する形態で係合する。
【0032】
前の実施形態とは異なり、ハブ接続フランジ121には、ここでは、ねじ山を有さず、ハブ接続フランジ121の後側123よりも前側129の方が小さい内径を有するいくつかの取り付け孔130が設けられている。図4図7による例示的な実施形態では、ホイール車軸の周りのボルト円に配置された各締結孔130には、図6に特によく見られるように、段差136が設けられている。締結孔130の寸法を図7に示す。締結孔は、段差136の前方では内径DI1が小さく、段差136の後方では内径DI2が大きい。DI1とDI2との差は、好ましくは少なくとも0.8mm、特に1.9mmを超える。段差136によって形成されたアンダーカットは、前側129に対してわずかな深さTを有するが、直径DI2を有する断面は、著しく大きい深さTを有する。T/Tの比は、例えば1/1~1/5とすることができ、好ましくは1/2~1/3である。深さは少なくとも1.5mmである。
【0033】
段差付き締結孔130にホイールディスクカバー150をロックするために、本体151には、図5図7から容易に分かるように、底面155を越えて後方に延びる一体的に形成されたラッチピン(ロックピン)180が設けられている。各ロックピン180は、2つの部分に形成され、互いに押し込むことができ、または互いに離すことができる第1の可撓性部分要素181および第2の可撓性部分要素182を有する。2パーツ(型)ロックピン180の部分要素181、182は、それらが通常、わずかに内側に一緒に押し合わされるように、プレストレスされるか、または予め湾曲している。ロックピン180または部分要素181、182には、図示の例示的な実施形態では、好ましくは金属ピン185を作動要素および固定要素として挿入することができる中心孔183が設けられている。例えば、図5および図7に示すように、ピン185が中心孔183に挿入される場合、2つの部分要素181、182は押し合わされ得ず、むしろ締結孔130の段差136上で、ロックピン180の部分要素181、182の端面上のフック突起186と形状嵌合方式で係合する。しかしながら、ピン185が取り外されると、部分要素181、182は内側に移動することができ、ホイールディスクカバー150を取り外すことができる。
【0034】
ここでも、本体151のうちロックピン180が前方に一体に形成された凹部161には、止まり孔凹部158が形成されている。止まり孔凹部158は、カバーリング165の下側に保持カム167を凹状に受け入れるように機能し、これにより、後退した凹部区画161は、空気力学を最適化するために、本体151の端面153と同一平面に覆われ充填され得る。これらによってカバーリング165に保持されるピン185を有するカム167の数は、好ましくは、ハブ接続フランジ121の段差付き締結孔130の数に適合される。カバーリング165を取り付けることにより、すべてのピン185がロック突起180に挿入され、すべての保持手段のロックおよび固定がカバーリング165を介して行われる。これが本体151にさらに固定されるように、図5図7による例示的な実施形態では、カバーリング165は、カバー本体151上に対応して形成された合わせ面の後ろに係合するために、オフセット169を有する可撓性保持リップを有する。
【0035】
図8は、カバー250のための保持手段についての第3の実施形態変形例を、非常に簡略化された概略形態で示す。ハブ接続フランジ221には、図示するだけだが、いくつかの締結孔230が、車軸の周りのボルト円上に分布しており、各締結孔は、ハブ接続フランジ221の前側229から後側223まで円錐状に広がっている。後側223の最大直径Dに対する前側229の最小直径Dの比は、例えば0.5<D/D<0.85とすることができ、それによって円錐状コースは、円錐状貫通孔に係合する保持手段に十分な保持面を形成する。これにより、保持手段は、前述の例示的な実施形態と全く同じ方法で、対応する複数部品のロックピンを用いて設計することができ、円錐面は、分解中に部品要素が自動的に押し合わされるという利点を有する。あるいは、ホイールディスクカバー250は、図8に概略的に示すように、カバー250の適切な貫通孔を通過する拡張ダボ291およびプラグインリベット290によって締結孔230に固定することもできる。
【0036】
図9および図10は、車両ホイール310およびカバー350の第4の実施形態変形例を示し、この実施形態の変形例はまた、互いに離間した2つのロック面またはロック手段、すなわち、一方では、外側リムフランジ307の内側と相互作用するカバー350の外周352上のロック要素370と、カバー350上に一体的に形成され、ハブ接続フランジ321上の中心孔327の内側円縁329上の狭窄部395と相互作用するさらなる保持手段とを有する。ハブ接続フランジ321の後側323の狭窄部395は、図10の寸法によって示されるように、ハブ接続フランジ321の後側323にクリアランスまたはアンダーカットを提供するテーパによって形成される。ハブ接続フランジ321の領域におけるホイールディスクの総厚に関して、テーパの始まりは、ハブ接続フランジ321の前側329からの距離Tを有することができ、距離Tは、好ましくは、ハブ接続フランジの総厚のほぼ半分に等しいか、わずかに大きいだけである。テーパの内部オフセットTは、好ましくは距離Tよりも小さいが、テーパの全長Tは距離Tよりも長い。テーパまたは狭窄部395を適切に寸法決めすることにより、ホイールディスクカバー350を、端面にフック突起397を備えた可撓性であるが十分に剛性の保持リップ396を有する締結装置の第1の内側ロック手段または保持手段として提供することができる。保持リップ396の長さは、保持リップ396がホイールディスクカバー本体351の底側355を越えて後方に突出するように選択される。この長さは、ホイールディスクカバー350が車両ホイール310に取り付けられたときに、ハブの前側にぶつかることなく、フック突起397が狭窄部395に入り込むように、全体として寸法決めされる。保持リップもここではリング形状であるため、ホイールディスクカバー350は、車両ホイール310の中心孔327に同心の円周方向にさらにロックされる。
【0037】
また、第4の変形例には、狭窄部が、中心孔の内周からホイールディスクのハブ接続フランジの後側への移行部におけるテーパによってではなく、中心孔の内周に直接円周溝によって設計される代替形態もある。次いで、カバー350上の保持リップは、対応して設計されたフック突起が溝に係合することができるように、幾分短い長さを有する。
【0038】
添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている前述の説明から、多数の修正が当業者には明らかになるであろう。空気力学的ホイールディスクカバーの確実なロックを高めるために、個々の保持手段を互いに組み合わせることができることは、当業者には明らかである。図示の例示的な実施形態では、リム内のホイールディスクのオフセットは、ハブ接続フランジがリムの外側リムフランジ上に明確に突出することを保証する。車両ホイールの他の設計では、ハブ接続フランジはホイールの内側に位置することもでき、したがって、軸方向に見たときに外側リムフランジよりも突出しない。そのような実施形態では、ホイールディスクカバーは、全体的に平坦に、円錐なしで、または逆円錐で設計することができ、その結果、ブレーキを冷却するための空気案内スロットを、依然として外側リムフランジの軸方向外側に設けることができる。空気案内スロットは、好ましくは、車両ホイールの回転中の乱流を同時に低減するような流れ案内体によって形成される。
【0039】
本発明は、金属製の車両ホイールを参照して説明されている。車両ホイールは、特に軽金属から構成することもでき、一体に製造することもでき、および/または、材料の組み合わせから構成することもできる。したがって、特定の材料の命名は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 リム
10,110 車両ホイール
20 ホイールディスク
21,121,221,321 ハブ接続フランジ
30,130,230 締結孔
40 締結ねじ
50,150 ホイールディスクカバー
51,151 カバー本体
65,165 カバーリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】