(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ロックアウト機構を備える外科用ステープリング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559754
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2022053110
(87)【国際公開番号】W WO2022214936
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ウィットフィールド, ケネス
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス, ロアニット エー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
(57)【要約】
ツールアセンブリが、カートリッジアセンブリ、及びカートリッジアセンブリに枢動自在に固定され且つ開放位置とクランプ位置との間で可動であるアンビルアセンブリを含む。カートリッジアセンブリは、チャネル部材、チャネル部材内に支持されるステープルカートリッジ、及びステープルカートリッジ内に位置決めされる作動スレッドを含む。作動スレッドは、第1の位置から第2の位置まで可動であり、ステープルカートリッジからステープルを放出する。ツールアセンブリは、さらに、初期位置から前進位置まで可動であるクランプ部材を有して作動スレッドを第1の位置から第2の位置へ動かす駆動アセンブリ、及びチャネル部材に固定され且つ弛緩状態と撓み状態との間で可動であるロックアウト部材を含む。第1の位置から第2の位置の方へ向かう作動スレッドの動きによって、ロックアウト部材を撓み状態へ動かして、駆動アセンブリの前進を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状本体部分と;
前記長尺状本体部分に枢動自在に固定されたツールアセンブリであって、
チャネル部材、前記チャネル部材内に支持されるステープルカートリッジ、及び前記ステープルカートリッジ内に位置決めされる作動スレッドを含む、カートリッジアセンブリであって、前記作動スレッドは、第1の位置から第2の位置まで可動であり、前記ステープルカートリッジからステープルを放出する、カートリッジアセンブリ;
前記ツールアセンブリが開放位置とクランプ位置との間で可動であるように、前記カートリッジアセンブリに枢動自在に固定されたアンビルアセンブリ;
前記作動スレッドを前記第1の位置から前記第2の位置へ動かすために、初期位置から前進位置まで可動であるクランプ部材を含む、駆動アセンブリ;及び
前記チャネル部材に固定され且つ弛緩状態と撓み状態との間で可動であるロックアウト部材であって、前記第1の位置から前記第2の位置の方へ向かう前記作動スレッドの動きによって、前記ロックアウト部材を前記撓み状態へ動かして、前記駆動アセンブリの前進を可能にする、ロックアウト部材
を含む、ツールアセンブリと
を含む、外科用ステープリング装置。
【請求項2】
前記ロックアウト部材は、前記作動スレッドが前記第2の位置にあるとき、前記駆動アセンブリの前進を防止するように構成される、請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項3】
前記作動スレッドは、前記作動スレッドが前記第1の位置から前記第2の位置の方へ向かって動くとき、前記ロックアウト部材に係合するように位置決めされたランプ特徴を含む、請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項4】
前記ロックアウト部材は、前記チャネル部材に固定されたインターロックばねを含む、請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項5】
前記インターロックばねはブロック部分を含み、そのブロック部分は、前記ロッキング機構が前記弛緩状態にあるとき、前記チャネル部材に隣接する第1の位置にあり、且つ前記ロッキング機構が前記撓み状態にあるとき、前記チャネル部材から離間した第2の位置にある、請求項4に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項6】
前記インターロックばねは前記チャネル部材に溶接される、請求項4に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項7】
前記クランプ部材は、垂直方向ストラット、上部ビーム、及び下部ビームを含み、並びに前記垂直方向ストラットはナイフを含む、請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項8】
前記インターロックばねは、前記インターロックばねの前記ブロック部分から遠位側に延在する係合部分を含む、請求項4に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項9】
前記クランプ部材は、前記駆動アセンブリが前記前進位置から前記初期位置に戻るように動くときに、前記インターロックばねの前記係合部分によって係合される後退用ランプを含む、請求項8に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項10】
前記クランプ部材の前記後退用ランプとの前記インターロックばねの前記係合部分の係合によって、前記インターロックばねを前記弛緩状態から前記撓み状態へ動かす、請求項9に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項11】
チャネル部材、前記チャネル部材内に支持されるステープルカートリッジ、及び前記ステープルカートリッジ内に位置決めされる作動スレッドを含む、カートリッジアセンブリであって、前記作動スレッドは、第1の位置から第2の位置まで可動であり、前記ステープルカートリッジからステープルを放出する、カートリッジアセンブリ;
前記カートリッジアセンブリに枢動自在に固定され且つ前記カートリッジアセンブリに対して開放位置とクランプ位置との間で可動である、アンビルアセンブリ;
前記作動スレッドを前記第1の位置から前記第2の位置へ動かすために、初期位置から前進位置まで可動であるクランプ部材を含む、駆動アセンブリ;及び
前記チャネル部材に固定され且つ弛緩状態と撓み状態との間で可動であるロックアウト部材であって、前記第1の位置から前記第2の位置の方へ向かう前記作動スレッドの動きによって、前記ロックアウト部材を前記弛緩状態から前記撓み状態へ動かして、前記駆動アセンブリの前進を可能にする、ロックアウト部材
を含む、ツールアセンブリ。
【請求項12】
前記ロックアウト部材は、前記作動スレッドが前記第2の位置にあるとき、前記駆動アセンブリの前進を防止するように構成される、請求項11に記載のツールアセンブリ。
【請求項13】
前記作動スレッドは、前記作動スレッドが前記第1の位置から前記第2の位置の方へ向かって動くとき、前記ロックアウト部材に係合するように位置決めされたランプ特徴を含む、請求項11に記載のツールアセンブリ。
【請求項14】
前記ロックアウト部材は、前記チャネル部材に固定されたインターロックばねを含む、請求項11に記載のツールアセンブリ。
【請求項15】
前記インターロックばねはブロック部分を含み、そのブロック部分は、前記ロッキング機構が前記弛緩状態にあるとき、前記チャネル部材に隣接する第1の位置にあり、且つ前記ロッキング機構が前記撓み状態にあるとき、前記チャネル部材から離間した第2の位置にある、請求項14に記載のツールアセンブリ。
【請求項16】
前記インターロックばねは前記チャネル部材に溶接される、請求項14に記載のツールアセンブリ。
【請求項17】
前記クランプ部材は、垂直方向ストラット、上部ビーム、及び下部ビームを含み、並びに前記垂直方向ストラットはナイフを含む、請求項11に記載のツールアセンブリ。
【請求項18】
前記インターロックばねは、前記インターロックばねの前記ブロック部分から遠位側に延在する係合部分を含む、請求項14に記載のツールアセンブリ。
【請求項19】
前記クランプ部材は、前記駆動アセンブリが前記前進位置から前記初期位置に戻るように動くときに、前記インターロックばねの前記係合部分によって係合される後退用ランプを含む、請求項18に記載のツールアセンブリ。
【請求項20】
前記クランプ部材の前記後退用ランプとの前記インターロックばねの前記係合部分の係合によって、前記インターロックばねを前記弛緩状態から前記撓み状態へ動かす、請求項19に記載のツールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、(固定式の)使い捨て又は交換可能なカートリッジアセンブリを有する外科用ステープリング装置(surgical stapling devices)に関する。より詳細には、本開示は、作動スレッド(actuating sled)、カートリッジアセンブリがないとき、又は使用済のカートリッジアセンブリが存在するとき、外科用ステープリング装置の打ち出し(firing)を防止するためのロックアウト(lockout)機構を有する外科用ステープリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組織をステープリングするための外科用装置は当業界でよく知られており、典型的には、ハンドルアセンブリ、ハンドルアセンブリから遠位側に延在する本体部分、及び本体部分の遠位端部で支持されるツールアセンブリを含む。ツールアセンブリは、第1及び第2のジョーを含み、これらジョーは、開放位置とクランプ又は接近(approximated)位置との間で互いに対して可動である。第1のジョーはアンビルアセンブリを含み、及び第2のジョーは、複数のステープルを収納するステープルカートリッジを支える。
【0003】
公知の外科用ステープリング装置では、クランプ部材が、第1及び第2のジョーに係合して第1及び第2のジョーを開放位置からクランプ位置へと動かし、並びに第1及び第2のジョーに沿って可動であり、作動スレッドを前進させて、ステープルカートリッジからステープルを連続して放出するようにする。ステープルカートリッジがないとき、又は使用済のステープルカートリッジが存在するとき、すなわち、作動スレッドが欠けているか又は前進位置にある場合、クランプ部材が前進することによって、組織をステープリングせずに、組織の切断を引き起こし、合併症につながる。
【0004】
当業界では、作動スレッド又はステープルカートリッジが存在しないとき、及びステープルカートリッジが使用済であるとき、駆動アセンブリの望まれていない前進を防止するためのロックアウト機構を備える、外科用ステープリング装置に対するニーズが引き続き存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
外科用ステープリング装置が、長尺状本体部分、及び長尺状本体部分に枢動自在に固定されたツールアセンブリを含む。ツールアセンブリは、カートリッジアセンブリ、及びツールアセンブリが開放位置とクランプ位置との間で可動であるように、カートリッジアセンブリに枢動自在に固定されたアンビルアセンブリを含む。カートリッジアセンブリは、チャネル部材、チャネル部材内に支持されるステープルカートリッジ、及びステープルカートリッジ内に位置決めされる作動スレッドを含む。作動スレッドは、第1の位置から第2の位置まで可動であり、ステープルカートリッジからステープルを放出する。ツールアセンブリは、さらに、初期位置から前進位置まで可動であるクランプ部材を有して、作動スレッドを第1の位置から第2の位置へ動かす駆動アセンブリ、及びチャネル部材に固定され且つ弛緩状態と撓み状態との間で可動であるロックアウト部材を含む。第1の位置から第2の位置の方へ向かう作動スレッドの動きによって、ロックアウト部材を撓み状態へ動かして、駆動アセンブリの前進を可能にする。
【0006】
本開示のいくつかの態様では、ロックアウト部材は、作動スレッドが欠けているとき、又は第2の位置にあるとき、駆動アセンブリの前進を防止するように構成される。作動スレッドは、作動スレッドが第1の位置から第2の位置の方へ向かって動くとき、ロックアウト部材に係合するように位置決めされたランプ特徴を含み得る。ロックアウト部材は、チャネル部材に固定されたインターロックばねを含み得る。インターロックばねはブロック部分を含み得、ブロック部分は、ロッキング機構が弛緩状態にあるときに、チャネル部材に隣接する第1の位置にあり、及びロッキング機構が撓み状態にあるとき、チャネル部材から離間した第2の位置にある。インターロックばねはチャネル部材に溶接され得る。インターロックばねは、インターロックばねのブロック部分から遠位側に延在する係合部分を含み得る。
【0007】
本開示の他の態様では、クランプ部材は、垂直方向ストラット、上部ビーム、及び下部ビームを含む。垂直方向ストラットはナイフを含み得る。クランプ部材は、駆動アセンブリが前進位置から初期位置に戻るように動くときに、インターロックばねの係合部分によって係合される後退用ランプを含み得る。クランプ部材の後退用ランプによるインターロックばねの係合部分の係合によって、インターロックばねを弛緩状態から撓み状態へ動かし得る。
【0008】
ツールアセンブリが、カートリッジアセンブリ、及びカートリッジアセンブリに枢動自在に固定され且つカートリッジアセンブリに対して開放位置とクランプ位置との間で可動であるアンビルアセンブリを含む。カートリッジアセンブリは、チャネル部材、チャネル部材内に支持されるステープルカートリッジ、及びステープルカートリッジ内に位置決めされる作動スレッドを含む。作動スレッドは、第1の位置から第2の位置へ可動であり、ステープルカートリッジからステープルを放出する。ツールアセンブリは、さらに、初期位置から前進位置まで可動であるクランプ部材を有して、作動スレッドを第1の位置から第2の位置へ動かす駆動アセンブリ、及びチャネル部材に固定され且つ弛緩状態と撓み状態との間で可動であるロックアウト部材を含む。第1の位置から第2の位置の方へ向かう作動スレッドの動きによって、ロックアウト部材を弛緩状態から撓み状態へ動かして、駆動アセンブリの前進を可能にする。
【0009】
本開示のいくつかの態様では、ロックアウト部材は、作動スレッドが欠けているとき、又は第2の位置にあるとき、駆動アセンブリの前進を防止するように構成される。作動スレッドは、作動スレッドが第1の位置から第2の位置の方へ向かって動くとき、ロックアウト部材に係合するように位置決めされたランプ特徴を含み得る。ロックアウト部材は、チャネル部材に固定されたインターロックばねを含み得る。インターロックばねはブロック部分を含み得、ブロック部分は、ロッキング機構が弛緩状態にあるとき、チャネル部材に隣接する第1の位置にあり、及びロッキング機構が撓み状態にあるとき、チャネル部材から離間した第2の位置にある。インターロックばねはチャネル部材に溶接され得る。インターロックばねは、インターロックばねのブロック部分から遠位側に延在する係合部分を含み得る。
【0010】
本開示の他の態様では、クランプ部材は、垂直方向ストラット、上部ビーム、及び下部ビームを含む。垂直方向ストラットはナイフを含み得る。クランプ部材は、駆動アセンブリが前進位置から初期位置に戻るように動くときに、インターロックばねの係合部分によって係合される後退用ランプを含み得る。クランプ部材の後退用ランプによるインターロックばねの係合部分の係合によって、インターロックばねを弛緩状態から撓み状態へ動かし得る。
【0011】
本開示の様々な態様は、図面を参照して本明細書で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】開放位置にあるツールアセンブリを有する、本開示の態様による装填部を含む、電動外科用ステープリング装置の斜視的な側面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す装填部の、複数の部分が分離されている状態の、斜視的な側面図である。
【
図4】作動スレッドの、
図3に示す領域の詳細な拡大図である。
【
図5】
図4に示す作動スレッドの斜視的な底面図である。
【
図6】インターロックばねの、
図3に示す領域の詳細な拡大図である。
【
図7】複数の部分が分離されている状態の、
図2に示す装填部のチャネル部材及び
図6に示すインターロックばねの斜視的な上面図である。
【
図8】組み立て済の
図7に示すチャネル部材の近位部分及びインターロックばねの斜視的な上面図である。
【
図9】クランプ部材の、
図3に示す領域の詳細な斜視的な側面図である。
【
図10】
図9に示すクランプ部材の遠位端部からの斜視的な底面図である。
【
図11】
図9及び
図10に示すクランプ部材の近位端部からの斜視的な底面図である。
【
図13】ツールアセンブリが開放位置にある状態の、
図1に示す断面線13-13に沿って取った断面図である。
【
図15】ツールアセンブリがクランプ位置にあり、且つ駆動アセンブリが部分的な前進位置にある状態の、
図2に示す装填部のツールアセンブリの斜視的な底面図である。
【
図17】
図16に示す断面線17-17に沿って取った断面図である。
【
図18】駆動アセンブリがさらに部分的な前進位置にある状態の、
図16に示す斜視的な底面図である。
【
図19】
図18に示す断面線19-19に沿って取った断面図である。
【
図20】作動スレッドが十分な前進位置にあり、且つ駆動アセンブリが部分的に後退位置にある状態の、
図13に示す断面図である。
【
図22】駆動アセンブリが部分的に後退位置にあり、且つインターロックばねが撓み状態にある状態の、
図17に示す側面の断面図である。
【
図23】駆動アセンブリがさらに部分的に後退位置にあり、且つインターロックばねが初期又は非撓み状態にある状態の、
図22に示す側面の断面図である。
【
図24】駆動アセンブリのクランプ部材がツールアセンブリに対して逆にされ、且つ部分的な前進位置にある状態の、
図23に示す側面の断面図である。
【
図25】駆動アセンブリがさらに部分的な前進位置にある状態の、
図24に示す側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の外科用ステープリング装置について、ここで、図面を参照して詳細に説明し、図面では、同様の参照符号は、いくつかの図面のそれぞれにおいて同一又は対応する要素を指す。しかしながら、本開示の態様は、単に、本開示の例示であり、且つ様々な形で供されてもよいことを理解されたい。周知の機能又は構造体は、本開示を不要な詳細で曖昧にするのを回避するために、詳述しない。それゆえ、本明細書で開示する具体的な構造及び機能の詳細は、限定ではなく、単に、特許請求の範囲の根拠として、及び実質的に任意の適切な詳細な構造において本開示を様々に用いる当業者に教示するための代表的な根拠として、解釈される。さらに、方向の用語、例えば、前、後ろ、上部(upper)、下部(lower)、頂部、底部、遠位、近位、及び同様の用語は、説明の理解を支援するために使用され、本開示を限定することを意図するものではない。
【0014】
本説明では、用語「近位」は、一般的に、臨床家に近い装置の部分を指すために使用される一方で、用語「遠位」は、一般的に、臨床家から離れている装置の部分を指すために使用される。さらに、用語「臨床家」は、一般的に、医師、看護師、及び支援要員を含む、医療関係者を指すために使用される。
【0015】
本開示の外科用ステープリング装置は、作動スレッド、カートリッジアセンブリがないとき及び/又は以前打ち出した若しくは正常に機能しないカートリッジアセンブリが存在するとき、駆動アセンブリの前進を防止するためのロックアウト機構を含む。
【0016】
図1は、全体的にステープリング装置10として示す、本開示の例示的な態様による外科用ステープリング装置を示す。ステープリング装置10は、電動ハンドルアセンブリ20、電動ハンドルアセンブリ20に解放自在に固定されたアダプターアセンブリ30、及びアダプターアセンブリ30に解放自在に固定された装填部100を含む。ハンドルアセンブリ20は、組織のクランプ及び切断を含む、ステープリング装置10の様々な機能の動作を制御するための作動ボタン24a、24bを支持する静止グリップ22を含む。個別又は分離可能な構成要素として示すが、電動ハンドルアセンブリ20、アダプターアセンブリ30、及び装填部100のいずれか又は全ては、一体的に形成されてもよいことが構想される。
【0017】
ステープリング装置10は、1つ以上のバッテリー(図示せず)を支持し得る電動ハンドルアセンブリを含む電動ステープリング装置として示されている。電動ステープリング装置の例は、米国特許第9,055,943号明細書及び同第9,023,014号明細書に見出され得る。或いは、装填部100はまた、米国特許第6,238,908号明細書に開示されているような手動ステープリング装置、又は米国特許第9,962,159号明細書に開示されているような、ハンドルアセンブリを含まない、ロボットシステムと一緒に使用するように構成されるステープリング装置に組み込まれ得ることが構想される。
【0018】
図2は、本体部分102と、本体部分102に枢動自在に固定されたツールアセンブリ104とを含む、ステープリング装置10(
図1)の装填部100を示す。本体部分102の近位端部が、アダプターアセンブリ30(
図1)と解放自在に係合するように構成される。
【0019】
図3は、アンビルアセンブリ114とカートリッジアセンブリ116とを有するジョーアセンブリ106を含む、装填部100のツールアセンブリ104を示す。カートリッジアセンブリ116は、ステープルカートリッジ116aと、ステープルカートリッジ116aを受け入れるように構成されたチャネル部材118とを含む。本開示のいくつかの態様では、図示のように、ステープルカートリッジ116aは交換可能とし得る。アンビルアセンブリ114及びカートリッジアセンブリ116は、開放位置(
図2)と接近又はクランプ位置(
図15)との間で、互いに対して枢動自在である。アンビルアセンブリ114及びカートリッジアセンブリ116は、1つ以上のばね、例えば、板ばね180によって、開放位置へと付勢される。装填部100は、実質的に、米国特許第9,016,539号明細書(「’539号特許」)に説明されているようなものである。従って、’539号特許に開示されているものと共通である装填部100の構成要素は、本明細書では、ロックアウト機構140の態様及びその動作方法を十分に開示するのに必要な程度で説明されるにすぎない。
【0020】
駆動アセンブリ120が、装填部100の本体部分102(
図1)を通って及びそこから、ツールアセンブリ104中へと延在する。駆動アセンブリ120は、動的クランプ部材122と、動的クランプ部材122から装填部100の本体部分102中へと近位側に延在する駆動ビーム124とを含む。本開示のいくつかの態様では、駆動アセンブリ120の駆動ビーム124は、弾力材又は可撓性材料、例えばステンレス鋼で形成される複数の積み重ねられたシートから形成される。駆動ビーム124の近位端部が、アダプターアセンブリ30(
図1)及び/又は電動ハンドルアセンブリ20(
図1)の駆動部材(図示せず)に係合して、本体部分102及びツールアセンブリ104内で駆動アセンブリ120を前進させたり後退させたりするように構成される。
【0021】
ツールアセンブリ104のジョーアセンブリ106のアンビルアセンブリ114は、長手方向スロット151(
図13)と、長手方向スロット151のいずれかの側の内側クランプ面114aとを規定する。本開示のいくつかの態様では、アンビルアセンブリ114は、アンビル本体150と、アンビル本体150の下側に固定されたアンビルプレート152(
図13)とを含み、長手方向スロット151を形成する。アンビルプレート152は、複数のステープル受け入れ用窪み(図示せず)を含む。
【0022】
カートリッジアセンブリ116のチャネル部材118は、アンビルアセンブリ114に枢動自在に固定される。チャネル部材118は、カートリッジアセンブリ116を受け入れるチャネル119を規定する。ジョーアセンブリ106のカートリッジアセンブリ116のステープルカートリッジ116aは、カートリッジホルダー158に支えられたカートリッジ本体156、複数のステープル「S」、及びステープル打ち出しアセンブリ160を含む。ステープルカートリッジ116aのカートリッジ本体156は、例えば、スナップフィット接続によって、チャネル部材118のチャネル119内に固定される。他の形の接続が考えられ、且つチャネル部材118のチャネル119内にステープルカートリッジ116aを固定式に又は解放自在に固定するために、スナップフィット接続の代わりに、又はそれに加えて、使用されてもよい。チャネル部材118は、さらに、長手方向スロット161と、長手方向スロット161のいずれかの側にクランプ面118aとを規定する。
【0023】
ステープルカートリッジ116aのカートリッジ本体156は、ツールアセンブリがクランプ位置にあるとき、アンビルアセンブリ114のアンビルプレート152(
図13)内のステープル受け入れ用窪み(図示せず)と位置合わせして位置決めされる複数のラテラルに離間したステープル保持スロット153を規定する。各保持スロット153は、留め具又はステープル「S」、及びプッシャー164を受け入れる。ステープル打ち出しアセンブリ160は、作動スレッド162(
図3)及び複数のプッシャー部材164を含む。作動スレッド162は、ステープルカートリッジ116aのカートリッジ本体156内に位置決めされ、且つカートリッジ本体156を長手方向に通過して、プッシャー164と係合し、カートリッジ本体156内でプッシャーを持ち上げて、カートリッジ本体156からステープル「S」を連続して放出するように構成される。
【0024】
図4及び
図5は、ベース部分170と、ベース部分170から上方に延在する中心リブ部分172と、第1及び第2の対にされたカムリブ部分(camming rib portions)174a、174bとを含む、ステープル打ち出しアセンブリ160の作動スレッド162を示す。ランプ特徴176が、ベース部分170から下方に延在し、且つ角度付きの面176aを含む。角度付きの面176aは、遠位側に、すなわち、駆動アセンブリ120から離れるように向いている。ランプ特徴176は、チャネル部材118のハードストップ118b(
図20)に係合するための停止面(図示せず)を含み得る。
【0025】
図6は、ロックアウト機構140のインターロックばね142を示す。インターロックばね142は、一対の中子(tang)部分144と、中子部分144のそれぞれから延在する長尺状本体又はばね部分146と、長尺状本体部分146間に延在するブロック部分148とを含む。インターロックばね142の中子部分144は、互いに離間されて、チャネル145を規定し、そこを、駆動アセンブリ120(
図3)の動的クランプ部材122(
図3)が通過し得る。ブロック部分148から遠位側に係合部分150が延在する。インターロックばね142のブロック部分148は、ノッチ又はカム特徴149を規定する。
【0026】
図7及び
図8は、装填部100のカートリッジアセンブリ116のチャネル部材118へのロックアウト機構140のインターロックばね142の配置を示す。チャネル部材118は、インターロックばね142を受け入れるための切り欠き部117を規定する。切り欠き部117は、チャネル部材118の近位部分の下側に形成される。中子部分144のそれぞれは、チャネル部材118に、長手方向スロット161の両側で固定される。本開示のいくつかの態様では、中子部分144はチャネル部材118に溶接される。或いは、中子部分144は、接着剤、機械的な留め具、又は摩擦嵌めによることを含む、任意の好適な方法でチャネル部材118に固定され得る。インターロックばね142はチャネル部材118に位置決めされて、インターロックばね142の長尺状本体部分146が、長手方向スロット161の対向する側でチャネル部材118に沿って遠位側に延在するようにする。インターロックばね142がチャネル部材118に固定されると、インターロックばね142のブロック部分148は、長手方向スロット161を横切って延在して、ノッチ又はカム特徴149が、ロックばね142のブロック部分148内で中心にあるために長手方向スロット161と位置合わせされ、及び係合部分が、長手方向スロット161に沿って延在するようにする。インターロックばね142の中子部分144のみがチャネル部材118に固定された状態で、インターロックばね142の長尺状本体部分146は、チャネル部材118から離れるように外向きに撓むことができる。
【0027】
図9~11は、上部フランジ部分132、下部フランジ部分134、及び上部フランジ部分132と下部フランジ部分134を相互接続する垂直方向ストラット136を含む、駆動アセンブリ120の動的クランプ部材122を示す。上部フランジ部分132は、アンビルアセンブリ114の長手方向スロット151(
図13)内に摺動自在に受け入れられるようなサイズ及び寸法にされ、且つクランプ面132a(
図10)を含み、このクランプ面は、アンビルアセンブリ114の内側クランプ面114a(
図13)に係合して、カートリッジアセンブリ116に対してアンビルアセンブリ114を枢動させ、ツールアセンブリ104を開放位置からクランプ位置へ動かす。下部フランジ部分134は、チャネル部材118(
図15)の外面に沿って摺動自在に受け取られるようなサイズ及び寸法にされ、且つ動的クランプ部材122の上部フランジ部分132に対面するクランプ面134a(
図9)を含む。動的クランプ部材122の垂直方向ストラット136は、チャネル部材118の長手方向スロット161内に受け入れられ、且つナイフ136aを含む。
【0028】
駆動アセンブリ120の動的クランプ部材122は、下部フランジ部分134の近位部分に後退用ランプ133(
図11)を規定する。後退用ランプ133は、インターロックばね142の係合部分150(
図12)と位置合わせして位置決めされる。動的クランプ部材122の下部フランジ部分134は、先導面(lead-in surface)137(
図11)を含み、及び動的クランプ部材122の上部フランジ部分132は、先導面139(
図9)を含む。下記でさらに詳細に説明するように、下部フランジ部分134の先導面137は、角度付きの面137a及びブロック面137bを含み、並びに上部フランジ部分132の先導面139は、ブロック面139aを含む。
【0029】
図12~14は、打ち出し前状態にあるステープルカートリッジ116a及び後退位置にある駆動アセンブリ120を含む、ステープリング装置10(
図1)の装填部100を示す。打ち出し前状態では、カートリッジアセンブリ116の作動スレッド162は初期位置にあり、初期位置では、作動スレッド162のランプ特徴176がインターロックばね142のブロック部分148の近位側に位置決めされ、インターロックばね142を非撓み(unflexed)状態にする。駆動アセンブリ120が後退位置にあるとき、駆動アセンブリ120の動的クランプ部材122は、ジョーアセンブリ106のカートリッジアセンブリ116から長手方向に離間される。ばね180が、アンビルアセンブリ114及びカートリッジアセンブリ116を開放位置へ付勢させて、それぞれのアンビルアセンブリ114及びカートリッジアセンブリ116の組織接触面114b(
図13)と116bとの間に組織を配置することを可能にする。後退位置では、駆動アセンブリ120の動的クランプ部材122も、作動スレッド162から長手方向に離間される。
【0030】
図15及び
図16は、第1の部分的な前進位置にある装填部100の駆動アセンブリ120を示す。
図16の矢印「A」に示すような、第1の部分的な前進位置への駆動アセンブリ120の動きは、
図15の矢印「B」に示すように、ジョーアセンブリ106をクランプ位置へ枢動させる。より詳細には、動的クランプ部材122の上部フランジ部分132は、アンビルアセンブリ114のクランプ面114aに係合し、及び動的クランプ部材122の下部フランジ部分134はチャネル部材118のクランプ面118aに係合して、ステープルカートリッジ116aを含むチャネル部材118を、クランプ位置へ枢動させる。第1の部分的な前進位置では、駆動アセンブリ120の動的クランプ部材122は、図示の通り、作動スレッド162から長手方向に離間されて、ジョーアセンブリ106を閉じる最中の作動スレッド162のいずれの意図しない前進も防止し得る。
【0031】
図17は、第2の部分的な前進位置にある装填部100の駆動アセンブリ120を示す。矢印「C」によって示すような、第2の部分的な前進位置への駆動アセンブリ120の動きによって、動的クランプ部材122を作動スレッド162に係合させて、作動スレッド162の前進を引き起こす。作動スレッド162の前進によって、ノッチ又はカム特徴149において作動スレッド162のランプ特徴176をインターロックばね142のブロック部分148と係合させる。
【0032】
図18及び
図19は、矢印「D」に示すような、第3の部分的な前進位置への装填部100の駆動アセンブリ120の継続的な前進を示す。第3の部分的な前進位置への駆動アセンブリ120の継続的な前進によって、インターロックばね142に対する作動スレッド162の継続的な前進を生じる。作動スレッド142がインターロックばね142に対して遠位側に動くため、作動スレッド162のランプ特徴176は、ブロック部分148の真下で動き、インターロックばね142の長尺状部分を撓ませて、インターロックばね142のブロック部分148が、ランプ特徴176の上側で
図19の矢印「E」の方向に持ち上がり、及び動的クランプ部材122の下部フランジ部分134の先導面137の角度付きの面137a上にブロック部分148を位置決めする。インターロックばね142のブロック部分148がチャネル部材118から離れるように撓むため、動的クランプ部材122の下部フランジ部分134は、ブロック部分148を通過し得、それにより、駆動アセンブリ120の継続的な前進を可能にする。
【0033】
図20及び
図21は、ステープリング装置10(
図1)の作動ストロークに続く装填部100のジョーアセンブリ106を示す。カートリッジアセンブリ116の作動スレッド162は、装填部100の作動ストローク後のその最遠位位置にあり、及び駆動アセンブリ120を後退させる最中、最遠位位置に留まる。駆動アセンブリ120は、
図20の矢印「F」に示すように、第1の後退位置まで後退させられ、ここで、動的クランプ部材122はインターロックばね142に係合する。より詳細には、インターロックばね142の係合部分150は、後退用ランプ133において下部フランジ部分134に係合する。後退用ランプ133とのインターロックばね142の係合部分150の係合によって、インターロックばね142のブロック部分148を、
図21の矢印「G」によって示すように、チャネル部分118から離れるように撓ませ、動的クランプ部材122の下部フランジ部分134がブロック部分148を通り越して通過することができるようにし、それにより、駆動アセンブリを継続的に後退させることを可能にする。
【0034】
図22は、駆動アセンブリ120を継続的な後退を示す。より詳細には、ひとたびインターロックばね142のブロック部分148が動的クランプ部材122の後退用ランプ133を通り過ぎたら、インターロックばね142のブロック部分148は、動的クランプ部材122の下部フランジ部分134の外面と係合したままとなり、動的クランプ部材122がインターロックばね142のブロック部分148を通り過ぎることを可能にし、駆動アセンブリ120を、動的クランプ部材122の下部ビーム134がブロック部分148の近位側に位置決めされる位置まで、継続的に後退させることを可能にする。
【0035】
図23は、ロック位置にある駆動アセンブリ120を示す。ステープリング処置後に、駆動アセンブリ120は、下部ビーム134がインターロックばね142のブロック部分148の近位側に位置決めされる点まで、後退させられる。ひとたび下部ビーム134がインターロックばね142のブロック部分148の近位側に位置決めされると、駆動アセンブリ120は、再び前進させられることが防止される。より詳細には、作動スレッド162(
図19)がないとき、すなわち、作動スレッド162のランプ特徴176に起因するインターロックばね142の撓みがない状態では、インターロックばね142のブロック部分148は、動的クランプ部材122の下部フランジ部分134の先導面137のブロック面137bに係合する。動的クランプ部材122の下部フランジ部分134のブロック面137bの係合は、インターロックばね142のブロック部分148を通り過ぎる駆動アセンブリ120の継続的な前進を防止する。
【0036】
図24は、逆の又は上下逆さまの状態にある、装填部100のジョーアセンブリ104内の駆動アセンブリ120を示す。駆動アセンブリ120は、製造誤差の結果として、動的クランプ部材122がその正しい位置から180度(180°)に位置決めされる逆の状態にある。このようにして、ナイフ136aは、アンビル及びカートリッジアセンブリ114、116のそれぞれの組織接触面114b(
図13)と116bとの間に規定される間隙と位置合わせされない。駆動アセンブリ120が逆の位置にあるときの装填部100の打ち出しは、動的クランプ部材122のナイフ136aがジョーアセンブリ106と適切に位置合わせされていないため、ステープリング中の組織(図示せず)に対して著しい損傷を与え得る。
【0037】
図25は、矢印「H」によって示すような、駆動アセンブリ120が逆の状態にあるときの、駆動アセンブリ120の部分的な前進を示す。駆動アセンブリ120の部分的な前進は、作動スレッド162の前進を引き起こし、これにより、矢印「I」によって示すような、インターロックばね142の部分的な撓みを引き起こす。しかしながら、動的クランプ部材122が逆にされているため、インターロックばね142のブロック部分148は、動的クランプ部材122の下部フランジ部分134の先導面137の角度付きの面137aの代わりに、動的クランプ部材122の上部フランジ部分132の先導面139のブロック面139aに係合する。このようにして、作動スレッド162が存在しても、インターロックばね142は、駆動アセンブリの動的クランプ部材122がステープリング装置10に不適切に取り付けられるときに、駆動アセンブリ120のさらなる前進を防止する。
【0038】
当業者は、本明細書で具体的に説明され且つ添付図面に示される装置及び方法が非限定的な例示的な態様であることを理解するであろう。例示的な態様に関連して示される又は説明される要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱せずに、別の態様の要素及び特徴と組み合わせられてもよいことが構想される。そのうえ、当業者は、上述の態様に基づいて、本開示のさらなる特徴及び利点を認識するであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲に示されるものを除き、詳細に図示及び説明したものによって限定されない。
【国際調査報告】