(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】プラントベースのシュニッツェル製品
(51)【国際特許分類】
A23L 13/60 20160101AFI20240321BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240321BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20240321BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240321BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240321BHJP
A23J 3/26 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A23L13/60 Z
A23L13/00 A
A23J3/00 503
A23J3/14
A23L11/00 F
A23L11/00 Z
A23J3/26 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559787
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022059134
(87)【国際公開番号】W WO2022214548
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ピバロ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツ, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ダバイユ, ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】リマ, アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ペルー, シンディー
【テーマコード(参考)】
4B020
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB19
4B020LC04
4B020LG04
4B020LG09
4B020LK02
4B020LK07
4B020LK09
4B020LK19
4B020LK20
4B020LP03
4B020LP07
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4B020LP30
4B042AC05
4B042AD36
4B042AE03
4B042AK01
4B042AK10
4B042AK12
4B042AK13
4B042AP05
4B042AP19
4B042AP23
4B042AP30
(57)【要約】
本発明は、プラントベースのシュニッツェル製品に関し、製品は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含む植物性タンパク質ベース押出物と、植物性タンパク質ベース押出物を覆うパン粉コーティングとを含み、植物性タンパク質ベース押出物が、実質的に同じ方向に整列された繊維を含み、植物性タンパク質ベース押出物が、単一の押出スラブとして、又は2枚以上の押出スラブによる層として存在する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントベースのシュニッツェル製品であって、
a.少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含む植物性タンパク質ベース押出物と、
b.前記植物性タンパク質ベース押出物を覆うパン粉コーティングと、を含み、
前記植物性タンパク質ベース押出物が、実質的に同じ方向に整列された繊維を含み、
前記植物性タンパク質ベース押出物が、単一の押出スラブとして、又は2枚以上の押出スラブによる層として存在する、プラントベースのシュニッツェル製品。
【請求項2】
前記製品を前記繊維方向に対して垂直に切断するのに必要な公称最大力値の、前記繊維方向に平行に又は沿って切断するのに必要な公称最大力値に対する比が、1.55より大きく、好ましくは2より大きい、請求項1に記載のプラントベースのシュニッツェル製品。
【請求項3】
前記製品が、1.2未満の緻密性スコア及び2.3を超える噛み応えスコアを有する、請求項1又は2に記載のプラントベースのシュニッツェル製品。
【請求項4】
前記2枚以上の押出スラブによる層の間に結着剤が存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の植物性タンパク質ベースのシュニッツェル製品。
【請求項5】
前記植物性タンパク質が、小麦グルテンと、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、である、請求項1~3のいずれか一項に記載の植物性タンパク質ベースのシュニッツェル製品。
【請求項6】
5重量%~15重量%の小麦グルテンと、19重量%~29重量%のエンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物性タンパク質ベースのシュニッツェル製品。
【請求項7】
5重量%~15重量%の小麦グルテンと、19重量%~29重量%のダイズタンパク質、例えば、ダイズタンパク質濃縮物又はダイズタンパク質単離物、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物性タンパク質ベースのシュニッツェル製品。
【請求項8】
前記植物性タンパク質ベース押出物が、不溶性粒子、例えば炭酸カルシウム、好ましくは沈降炭酸カルシウムをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の植物性タンパク質ベースのシュニッツェル製品。
【請求項9】
前記植物性タンパク質押出物が香味料をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の植物性タンパク質ベースのシュニッツェル製品。
【請求項10】
プラントベースのシュニッツェル製品を作製する方法であって、
a.少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質と水とを含む組成物を押出機バレルに供給する工程と、
b.前記組成物を130℃~190℃の最高温度で押し出す工程と、
c.ダイを通して前記組成物を冷却する工程と、
d.前記組成物を切断してスラブを形成する工程と、
e.前記スラブを又はスラブの配置された層を調理して、調理済みのスラブ又はスラブの配置された層を形成する工程と、
f.前記調理済みのスラブに又は調理済みのスラブの配置された層にパン粉コーティングを施し、任意選択で予備フライする工程と、
g.任意選択で成形する工程と、を含む、方法。
【請求項11】
ダイが円錐状のコートハンガー型ショートダイである、プラントベースのシュニッツェル製品を作製する方法。
【請求項12】
前記組成物が、55重量%~65重量%の水を含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記スラブが又はスラブの配置された層が、調理前又は調理中に圧縮される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記スラブの配置された層の間に結着溶液が塗布される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記結着溶液がダイズタンパク質単離物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結着溶液が、1:1混合物中に約12%のダイズタンパク質単離物と約10%のトランスグルタミナーゼとを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記結着溶液が、ダイズタンパク質単離物、小麦粉、及びデンプンを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
香味料が、前記結着溶液と共に、又は前記スラブ中に注入することによって添加される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記スラブが約45℃で、次いで約90℃で調理される、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項10~19のいずれか一項に記載の方法によって作製された、プラントベースのシュニッツェル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シュニッツェルは、ドイツで人気のある柔らかい肉料理としてよく知られている。いくつかのレシピとしては、仔牛肉で作られたウィンナー・シュニッツェル、豚肉で作られたシュヴァイネ・シュニッツェル、七面鳥で作られたプーテン・シュニッツェル、鶏肉で作られたヘンヒェン・シュニッツェルなどが挙げられる。
【0002】
近年、肉ベースの製品のプラントベースバージョンに対する強い消費者動向が見られている。プラントベースのシュニッツェルは市場に存在する。そのほとんどはテクスチャー調整した植物性タンパク質で作製されており、押出物を小片に粉砕して結着剤でまとめて接着させることを含む。一般に、現在市販されている製品は、肉ベースのシュニッツェルとは著しく異なるテクスチャー及び口当たりを有する。
【0003】
市販の製品は、典型的には、増粘剤(キサンタンガム)、結着剤(メチルセルロース、マルトデキストリン)、及び防腐剤を含む原材料の長いリストを有する。このような原材料は、消費者からは親しみのあるものとしては認識されない。
【0004】
改良された、本物の肉のテクスチャーと、クリーンラベルであり短い原材料リストとを有する、プラントベースのシュニッツェルを提供することの明らかなニーズが存在する。
【0005】
[発明の概要]
本発明は、概して、プラントベースのシュニッツェル製品に関する。
【0006】
より具体的には、本発明は、植物性タンパク質ベース押出物を含むプラントベースのシュニッツェル製品に関する。
【0007】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル製品は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含む植物性タンパク質ベース押出物を含む。
【0008】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル製品は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含む植物性タンパク質ベース押出物と、植物性タンパク質ベース押出物を覆うパン粉コーティングとを含む。
【0009】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル製品は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含む植物性タンパク質ベース押出物と、植物性タンパク質ベース押出物を覆うパン粉コーティングとを含み、植物性タンパク質ベース押出物は、実質的に同じ方向に整列した繊維を含む。好ましくは、繊維の50%超が実質的に同じ方向に整列している。好ましくは、繊維は、1ミリメートルを超える長さ及び5~500マイクロメートルの厚さを有する束にまとめられる。好ましくは、植物性タンパク質ベース押出物は、コートハンガー型ダイ、好ましくは3次元のコートハンガー型ダイ、最も好ましくは3次元のコートハンガー型ショートダイを使用して得られる。
【0010】
一実施形態では、植物性タンパク質押出物は、単一の押出スラブとして存在する。一実施形態では、植物性タンパク質押出物は、2枚以上の押出スラブによる層として存在する。
【0011】
好ましくは、単一の押出スラブは、又は2枚以上の押出スラブによる層は、5~20mmの厚さを有する。例えば、3枚の押出スラブによる層は、約16mmの厚さを有してもよく、又は2枚の押出スラブによる層は、約10mmの厚さを有してもよい。
【0012】
一実施形態では、製品を繊維方向に対して垂直に切断するのに必要な公称最大力値(nominal maximal force values)の、繊維方向に平行に又は沿って切断するのに必要な公称最大力値に対する比は、1.55より大きく、好ましくは2より大きい。
【0013】
一実施形態では、製品は、2.5を超える線維質官能性スコア(sensory fibrous attribute score)を有する。一実施形態では、製品は1.2未満の緻密性スコア(compact score)を有する。一実施形態では、製品は、2.3を超える噛み応えスコア(chewy score)を有する。
【0014】
一実施形態では、2枚以上の押出スラブによる層の間には結着剤が存在する。
【0015】
一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質のうちの1種類は小麦グルテンである。一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質のうちの1種類は、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物である。好ましくは、小麦グルテン対エンドウマメタンパク質の重量%比は30:70である。一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物は、コムギグルテンと、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、又はダイズタンパク質、好ましくはダイズタンパク質濃縮物、である。一実施形態では、押出物は、5重量%~15重量%の小麦グルテン、好ましくは約12.5重量%の小麦グルテンを含む。一実施形態では、押出物は、19重量%~29重量%(好ましくは約26.5重量%)のエンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、又はダイズタンパク質、好ましくはダイズタンパク質濃縮物を含む。一実施形態では、押出物は、2.0重量%~6.0重量%、好ましくは約4.0重量%の10重量%酢溶液又はその等価物を含む。
【0016】
一実施形態では、植物性タンパク質ベース押出物は、不溶性粒子、例えば炭酸カルシウムをさらに含む。一実施形態では、押出物は、0.5重量%~10重量%、又は2重量%~10重量%の沈降炭酸カルシウムを含む。炭酸カルシウムは、好ましくは沈降炭酸カルシウムである。
【0017】
一実施形態では、植物性タンパク質押出物は、香味料(flavoring)をさらに含む。
【0018】
一実施形態では、本発明の製品は添加物不含有である。
【0019】
一実施形態では、本発明の製品は、動物性製品を含まない。
【0020】
本発明はさらに、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含む植物性タンパク質ベース押出物と、植物性タンパク質ベース押出物を覆うパン粉コーティングとを含むプラントベースのシュニッツェル製品に関する。好ましくは、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質の1種類は、小麦グルテンである。一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質のうちの1種類は、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物である。好ましくは、小麦グルテン対エンドウマメタンパク質の重量%比は30:70である。一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質は、コムギグルテンと、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、又はダイズタンパク質、好ましくはダイズタンパク質濃縮物である。一実施形態では、押出物は、5重量%~15重量%の小麦グルテン、好ましくは約12.5重量%の小麦グルテンを含む。一実施形態では、押出物は、10重量%~29重量%(好ましくは約26.5重量%)のエンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、又はダイズタンパク質、好ましくはダイズタンパク質濃縮物を含む。一実施形態では、押出物は、2.0重量%~6.0重量%、好ましくは約4.0重量%の10重量%酢溶液又はその等価物を含む。
【0021】
一実施形態では、植物性タンパク質ベース押出物は、不溶性粒子、例えば炭酸カルシウムをさらに含む。一実施形態では、押出物は、0.5重量%~10重量%、又は2重量%~10重量%の沈降炭酸カルシウムを含む。炭酸カルシウムは、好ましくは沈降炭酸カルシウムである。
【0022】
一実施形態では、植物性タンパク質押出物は、香味料をさらに含む。
【0023】
一実施形態では、本発明の製品は添加物不含有である。
【0024】
一実施形態では、本発明の製品は、動物性製品を含まない。
【0025】
本発明はさらに、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質を含むプラントベースの製品を作製する方法に関する。
【0026】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル製品を作製する方法は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質と水とを含む組成物を押出機バレルに供給する工程、及び組成物を押し出す工程を含む。
【0027】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル製品を作製する方法は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質と水とを含む組成物を押出機バレルに供給する工程と、組成物を130℃~190℃の温度で押し出す工程とを含む。
【0028】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル製品を作製する方法は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質と水とを含む組成物を押出機バレルに供給する工程と、組成物を130℃~190℃の温度で押し出す工程と、
ダイを通して組成物を冷却する工程と、
組成物を切断してスラブを形成する工程と、
スラブを又はスラブの配置された層を調理して、調理済みスラブを形成する工程と、
調理済みのスラブに又は調理済みのスラブの配置された層にパン粉コーティングを施す工程と、任意選択で成形する工程と、を含む。
【0029】
より具体的には、プラントベースのシュニッツェル生成物を作製する方法は、ショートダイの使用を含む。
【0030】
ショートダイは、Lをダイ長さとし、πDを平均出口周長として、L/πD比が1未満であるダイとして定義される。L/πD比は、長さを平均出口周長(πD、ここでD=(d1+d2)/2)で割った値を定義する。応力は、それぞれL及びπDについて、生地の流れ方向及びその垂直方向に加えられる。典型的には、L/πD比は、0.1~0.99、又は約0.45、又は約0.513、又は約0.53である。
【0031】
この方法は、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質と水とを含む組成物を押出機バレルに供給する工程と、組成物を130℃~190℃の温度で押し出す工程と、
ダイを通して組成物を冷却する工程と、
組成物を切断してスラブを形成する工程と、
スラブを又はスラブの配置された層を調理して、調理済みスラブを形成する工程と、
調理済みのスラブに又は調理済みのスラブの配置された層にパン粉コーティングを施す工程と、任意選択で成形する工程と、を含む。好ましくは、パン粉コーティングは揚げられる。
【0032】
一実施形態では、ダイは、冷却ダイ、例えば、本明細書に記載される冷却ダイである。一実施形態では、冷却ダイはショートダイであり、ショートダイは、ダイの長さよりも大きい直径を有する円形スリットを有する。長さは、ダイ入口とスリット出口との間の距離である。一実施形態では、ショートダイは円筒形チャネルを有する。好ましくは、ダイは、スリット出口の前に位置する延長チャンバを含む。
【0033】
一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質のうちの1種類は、小麦グルテンである。一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物性タンパク質のうちの1種類は、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物、又はダイズタンパク質、好ましくはダイズタンパク質濃縮物である。一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物は、小麦グルテンと、エンドウマメタンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質単離物である。
【0034】
一実施形態では、少なくとも2種類の異なる植物は、小麦グルテンと、ダイズタンパク質、好ましくはダイズタンパク質濃縮物である。典型的には、植物性タンパク質ベース押出物の90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは実質的にすべてが、小麦グルテンと、ダイズタンパク質と、から構成される。
【0035】
一実施形態では、組成物は、55重量%~65重量%の水を含む。
【0036】
一実施形態では、スラブは、又はスラブの配置された層は、調理前又は調理中に圧縮される。
【0037】
一実施形態では、結着溶液は、スラブの配置された層の間に塗布される。
【0038】
一実施形態では、結着溶液は、ダイズタンパク質単離物、好ましくは約12%のダイズタンパク質単離物と、約10%のトランスグルタミナーゼとを1:1混合物中に含む。
【0039】
一実施形態では、結着溶液は、ダイズタンパク質単離物と、小麦粉と、デンプンとを含む。一実施形態では、結着溶液は繊維を含む。
【0040】
一実施形態では、香味料は、結着溶液と共に、又はスラブ中に注入することによって、添加される。一実施形態では、香味料は、パン粉付け前のスラブのコーティング中に添加される。
【0041】
一実施形態では、スラブは、約45℃で、次いで約90℃で調理される。
【0042】
本発明はまた、本発明による方法によって作製されるプラントベースのシュニッツェル製品に関する。
【0043】
一実施形態では、製品は、空隙によって分離されている繊維束状に組織化された長繊維から構成されている構造を有する、スラブを含む、又はスラブの配置された層を含む。
【0044】
一実施形態では、繊維は中間の弾性(intermediate elasticity)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、官能分析からのデータをPCAバイプロット上にまとめた図である。
【
図2】
図2は、
図2は、S04、S10、SP3.1と市販製品A~Hとの間の繊維質性の官能属性についての図である。
【
図3】
図3は、緻密性スコア及び噛み応えスコアについての図である。
【
図4】
図4は、横断方向の正規化最大力と縦断方向の正規化最大力との間の比を示す図である。
【
図6】
図6は、インサート、コア、冷却手段についての図である。
【
図8】
図8は、円筒形部分と頂端部を備えるコアについての図である。
【
図10】
図10は、円錐状コアの円筒形部分と円錐状コアの頂端部との間の表面の角度について説明する図である。
【
図11】
図11は、繊維方向を通るシュニッツェル横断方向での切断時の構造を示す図である。
【0046】
[発明を実施するための形態]
本明細書では、方法、製品、及び使用の詳細な実施形態が開示される。しかしながら、開示される実施形態は単なる例示であり、さまざまな形態で実施され得ることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される具体的な機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本開示をさまざまに採用するために当業者に教示するための代表的な例としての、特許請求の範囲の単なる基礎として解釈されるべきである。本発明の製品、方法及び使用の実施形態の特徴は、自由に組み合わせることができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「実質的に同じ繊維方向に整列している」とは、せん断された繊維の50%超が同じ方向+/-15度に整列していることを意味すると解釈されるべきである。「インサートの内側から実質的に等距離」とは、コアの最も広い直径におけるコア周囲上の点の80%超、より好ましくは90%超、最も好ましくはすべてがインサートの内側から等距離であることを意味すると解釈されるべきである。
【0048】
本明細書で使用される場合、「約」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-30%から+30%の範囲内、又は参照数字の-20%から+20%の範囲内、又は参照数字の-10%から+10%の範囲内、又は参照数字の-5%から+5%の範囲内、又は参照数字の-1%から+1%の範囲内の数を指すものと理解されたい。本明細書におけるすべての数値範囲は、その範囲内のすべての整数又は分数を含むと理解されるべきである。さらに、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。
【0049】
本明細書に開示される製品には、本明細書にて具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む/から本質的に構成される(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「を含む」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「を本質的に含む」実施形態、及び特定されている工程「からなる」実施形態の開示を含む。別途記載のない限り及び直接的に明言のない限り、本明細書に開示される任意の実施形態を、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることもできる。
【0050】
別途記載のない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語、並びにいかなる略語も、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書に記載のものに類似又は等価の任意の組成物、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料を本発明の実施に使用できるが、好ましい組成物、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料が本明細書に記載される。
【0051】
本明細書で使用される場合、「添加物」という用語としては、親水コロイド(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コンニャクガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、アガー、アラビアガム、ゼラチン、カラヤガム、カシアガム、微結晶性セルロース、エチルセルロース)、乳化剤(例えば、レシチン、モノグリセリド及びジグリセリド、PGPR)、白色付与剤(例えば、二酸化チタン)、可塑剤(例えば、グリセリン)、アンチケーキング剤(例えば、二酸化ケイ素)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0052】
本明細書に記載のすべてのパーセンテージは、別途記載のない限りプラントベースのシュニッツェル及び/又は対応するエマルジョンの合計重量によるものである。
【0053】
「円錐状」という用語は、押出ダイのコアの形状を指す。好ましくは、コアは、円対称性を有する円錐状コアである。コアは別の形状であってもよい。例えば、楕円錐又は6個、7個、8個、9個、若しくは10個を超える複数の角部(edges)を有する錐体などのその他の形状も可能である。
【0054】
「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」という用語は、ヒト又はペットを含む動物によって摂取されることが意図され、動物に少なくとも1種類の栄養素を供給するシュニッツェル製品又はシュニッツェル組成物を意味する。
【0055】
「シュニッツェル類似物」又は「プラントベースのシュニッツェル製品」は、外観、テクスチャー、及び物理的構造に関して、動物原料に由来するシュニッツェルに類似する。本明細書で使用される場合、プラントベースのシュニッツェル又はシュニッツェル類似物は、動物原料に由来する肉を含まない。
【0056】
プラントベースのシュニッツェル製品の具体的な特徴は、視認できる(macroscopic)、タンパク質ベースの繊維構造が存在することである。
【0057】
プラントベースのシュニッツェルは、好ましくは、本明細書に記載されるような冷却ダイを使用して作製される。冷却ダイは、ダイの流路に対して実質的に垂直な向きでダイ内で形成された繊維を有する、プラントベースのシュニッツェルを作り出す。
【0058】
一実施形態では、ダイは、入口及び出口、又はダイ出口を備える。ダイは、好ましくはショートダイである。ダイは、生地をダイ入口に導くライン接続を含んでもよい。ライン接続は、肉類似物製造システムの他の要素、例えば押出装置に接続されて、本発明のプラントベースのシュニッツェル製品を作製するプロセスのため生の及び/又は前処理された肉類似物及び/又は生地を受け入れてもよい。
【0059】
ダイは、本体とも呼ばれるインサート、コア、好ましくは円錐状コア、及び流路を備える。好ましくは、ダイはショートダイである。好ましくは、ダイはコートハンガー型である。コートハンガーの形状は、ダイのスリット出口(26)の直前に位置する膨張チャンバ(27)を特徴とする。この特定の幾何学的形状により、一連の圧縮、減圧(27)、圧縮(26)、及び大気圧への減圧を作り出し、特定の繊維束を作製する。コートハンガーの形状は、プラスチックフィルムの流延ダイに由来し、ダイのスリット出口の直前に位置する膨張チャンバを特徴とする。この特定の幾何学的形状により、一連の圧縮、減圧、圧縮、及び大気圧への減圧を作り出し、特定の繊維束組織を作り出す。好ましくは、ダイは、インサート内のコアの移動を容易にするための手段を備える。
図5を参照すると、ダイ10は、インサート又は本体20と、円錐状コア30とを備える。フレーム40は、円錐状コア30及びインサート又は本体20と接続され、インサート又は本体20内での円錐コア30の移動を容易にする。フレーム40は、円錐状コア30とインサート又は本体20との間に同心の空間関係を提供する。
【0060】
流路は、インサート又は本体とコアとの間の空間である。インサートとコアは、それぞれ第1の内面と第2の内面を備える。第1の内面及び第2の内面は、流路を画定する。インサート及び/又はコアは冷却手段を備える。
図6を参照すると、インサート20とコア30は、それぞれ第1の内面22と第2の内面32を備える。第1の内面22及び第2の内面32は、流路23を画定する。流路23は、生地がダイ10を通って移動するときの生地の経路を表す。インサート20及び/又はコア30は、冷却手段24、冷却手段25を備える。冷却手段は、生地がダイを通って移動するときに生地の温度を制御する。
【0061】
コアは、生地の温度を制御するための冷却手段を備えてもよい。インサートは、生地の温度を制御するための冷却手段を備えてもよい。
図6を参照すると、コア30の冷却手段25は、インサート20の冷却手段24とは独立して制御されてもよい。
【0062】
フレームは、接続手段、例えば軸又はロッドによってインサートに接続されてもよい。位置決め手段、例えばねじシステムを使用して、コアをインサート内に位置決めすることができる。
図6を参照すると、ダイ10はフレーム40を備える。フレーム40は、軸42によってインサート20に接続されてもよい。フレーム40は、コア30とインサート20との間に同心の空間関係を提供する。フレーム40は、ねじシステム44を備えてもよい。ねじシステムは、インサート20内のコア30の移動を容易にする。移動は、インサート20のz幾何学軸に平行であってもよい。コア30及びインサート20は、コア30とインサート20との間に流路23を形成するために任意の適切な位置で固定されてもよい。
【0063】
コアとインサートとの間の間隙はダイ出口を形成する。典型的には、ダイ出口は円形である。典型的には、ダイ出口は予め定められた間隙サイズを有する。典型的には、ダイ出口は、1.4~3.5mm、例えば2.5mmの間隙サイズを有する。典型的には、ダイ出口は、400mm超、好ましくは400mm~500mm、例えば450mmの外周を有する。コアとインサートは、同心の空間関係を有する。二重らせん状マントル(mantle)をインサートの内側にねじ留め(screwed)してもよい。冷却手段は、温度センサ(図示せず)によって調節することもできる。
図7を参照すると、円錐状コアとインサートとの間の間隙がダイ出口26を形成する。二重らせん状マントル27をインサート20の内側にねじ留めしてもよい。二重らせん状マントル27は、冷却手段への入口接続部(inlet connection)28及び出口接続部(outlet connection)29を有してもよい。
【0064】
典型的には、コアは円筒形部分と頂端部とを備える。典型的には、頂端部は丸みを帯びている。頂端部は、その表面上にらせんチャネルを備えてもよい。マントルは、頂端部を塞ぐように調整されてもよい。コアは、中心軸によってフレームに接続されてもよい。
図8を参照すると、円錐状コア30は頂端部31を備える。頂端部31は丸みを帯びている。頂端部31は、その表面34上にらせんチャネル33を有する。円錐状マントル35は、頂端部31を塞いで、円錐状コア30の内部に外部冷却への入口接続部37及び出口接続部38を有する冷却回路36を形成するように調整されている。円錐状コア30は、中心軸39によってフレームに接続され、冷却剤又は冷却流体が円状錐コア冷却回路36に供給される。
【0065】
フレームは、案内手段、例えばねじ山をさらに備える。これにより、インサート内でのコアの正確な位置決めが容易になる。フレーム及びインサートは、修正せずに固定位置に維持することもできる。さらに、流路を調整することができる。
図9を参照すると、フレーム40は、軸受ガイド41をインサートと中心合わせするように調整された幾何形状を有し、3本のねじ留めされたロッド(screwed rods)45によってインサートに接続されたフランジ43の内側の軸受ガイド41から構成される。中心軸39は、一方の側では円錐状コアに接続され、他方の側では細いねじ山46を有する軸受ガイド41に接続されることで、インサート内で円錐コアを正確に位置決めさせ、さらに流路の調整を可能にする。
【0066】
一実施形態では、コアは、円筒部分と頂端部とを備える。コアの円筒形部分とコアの頂端部との間の表面の角度を変えることができ、例えば、コアの円筒形部分とコアの頂端部との間の等距離の点における表面の角度を変えることができる。コアの円筒形部分とコアの頂端部との間の表面の角度、例えば、コアの円筒形部分とコアの頂端部との間の等距離の点における表面の角度は、100°~170°、又は110°~160°、又は120°~150°、又は130°~140°、又は約135°であり得る。角度が135°以下である場合、コアの円筒形部分とコアの頂端部との間の表面の角度、例えば、コアの円筒形部分とコアの頂端部との間の等距離の点における表面の角度は、100°~135°、又は105°~130°、又は110°~125°、又は115°~120°、又は約117°であり得る。角度が135°以上である場合、コアの円筒形セクションとコアの頂端部との間の表面の角度は、135°~170°、又は140°~165°、又は145°~160°、又は150°~155°、又は約152°であり得る。
【0067】
図10に示すように、円錐状コア30の円筒形部分と円錐状コア30の頂端部31との間の表面の角度47を増加又は減少させることができ、この増加又は減少によって流路23内の圧力勾配を調整することができる。角度47が例えば135°以下に減少すると、生地の流路は円錐状コア30の頂端部31で広がり、次いで流路23が減少するにつれて生地の圧力が増加する。別の実施形態では、角度47が例えば135°以上に増加する場合、生地の流路は円錐状コア30の頂端部31で狭くなり、次いで生地の流れは流路23が増加するにつれて広くなる。角度47が円錐状コア30の円筒部分の間隙50を調整するために修正されるときに、円錐状コア30の直径48、又は円錐状コア30の頂端部31からダイ入口49までの距離51も調整される。角度47、直径48、及び距離51の値を調整することによって、ダイ出口26で得られる製品の構造及びテクスチャーを変更することができる。例えば、膨張、密度、及び繊維組織を変えることができる。
【0068】
一実施形態では、切断手段は、押出物がダイを出るときに押出物を一点で切断して、押出物の単一片を得る。一実施形態では、切断手段は、押出物がダイを出るときに1つを超える点で押出物を切断して、押出物の1つを超える片を得る。
【0069】
本発明はさらに、プラントベースのシュニッツェル製品を作製する方法であって、押出機内の生地に熱及び/又は圧力を加える工程と、押出機の一部であり、かつ/又は押出機に接続されているダイに生地を通過させる工程であって、ダイが、インサート、コア、好ましくは円錐状コア、及び流路を備える、工程と、を含み、流路が、インサート及びコアによって画定されている、方法を提供する。好ましくは、ダイは、本明細書に記載の本発明によるものである。好ましくは、ダイはコートハンガー型のショートダイである。
【0070】
一実施形態では、方法は、インサート及び/又は円錐状コアを一定温度に維持する工程をさらに含む。
【0071】
一実施形態では、方法は、生地が流路を通過する際にインサート及び/又は円錐状コアの温度を感知する温度センサから受信した温度情報に基づいて、インサート及び/又は円錐状コアの一定温度を調整する工程をさらに含む。
【0072】
一実施形態では、生地は、20kg/h~300kg/h、好ましくは75kg/h~300kg/hの質量流量で流路を通って移動する。
【0073】
一実施形態では、肉類似物は、ダイの流路に対して実質的に垂直な向きで形成される繊維を含む。一実施形態では、ダイの流路の方向に対して、縦断方向に繊維を切断する最大力に対する、横断方向に繊維を切断する最大力の比の値は、約2、より好ましくは2超である。
【0074】
一実施形態では、本方法は、プラントベースのシュニッツェルがダイを出た後にプラントベースのシュニッツェルを切断する工程をさらに含む。
【0075】
本発明はさらに、本発明によるプラントベースのシュニッツェルを作製するための、本明細書に記載のダイにおけるコア、好ましくは円対称を有する円錐状コアの使用に関する。
【0076】
本発明はさらに、本発明によるプラントベースのシュニッツェルを作製するための、本明細書に記載されるダイの使用に関する。好ましくは、本発明は、本発明によるプラントベースのシュニッツェルを作製するためのダイの使用に関し、ダイは、円対称性を有する円錐状コアを含む。
【0077】
肉類似物押出システムは、まず生地を生地調製領域で前処理することができる。例えば、生地は、複数の原材料を含んでもよく、複数の原材料は、さらなる加工の前に混合を必要とし得る。混合は、手作業で実施されてもよく、及び/又はメカニカルミキサー、例えばブレンダーによって実施されてもよい。
【0078】
生地は、肉類似物押出システムのポンプ、例えばピストンポンプ内に配置されてもよい。生地は、手作業でポンプ内に配置されてもよく、及び/又は生地調製領域からポンプへと自動的に送り込まれてもよい。ポンプは、ラインを通して生地を移動させてもよい。ラインは、押出機に接続されてもよい。例えば、ラインは、二軸押出機に接続されてもよい。肉類似物押出システムの一実施形態では、ラインは含まれず、ポンプは押出機に直接接続される。
【0079】
押出機、例えば二軸押出機は、ポンプにより生地に圧力を加えて、押出機のある側から、押出機の反対側に生地を移動させることができる。押出機は、加えて又は代替的に生地に熱を加えることができる。押出機は、加えて又は代替的に、生地が押出機を通って移動する際に、水及び/又は別の材料を生地に注入するための注入ポートを備えて構成されてもよい。
【0080】
本明細書に記載される実施例に対するさまざまな変更及び改変が、当業者には明らかであることは理解されるべきである。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。さらに、本実施形態は、上記の方法又は構成の厳密な詳細に限定されるものではなく、したがって、本実施形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。さらに、特に明記しない限り、「第1の」、「第2の」などの用語のいかなる使用も、なんらかの順序又は重要性を示すものではなく、むしろ、「第1の」、「第2」などの用語は、単に1つの要素を別の要素と区別するために使用される。
【0081】
[実施例]
実施例1
市販のプラントベースのシュニッツェルとの比較
プラントベースのシュニッツェルのレシピS04、S10、及びSP3.1を本発明に従って調製した。それぞれ10重量%の小麦グルテンと、24重量%のエンドウマメタンパク質単離物と、を含めた。それぞれのレシピは、以下の表に示すようにさまざまな量の水分及び沈降炭酸カルシウム(PCC)を有していた。すべてのレシピは、150℃の押出温度を用いて調製した。
【0082】
【0083】
12.5%の小麦グルテンと、26.5%のエンドウマメタンパク質単離物と、2%の炭酸カルシウムと、4%の酢(10%溶液)と、53%の水とを使用して、他のレシピも開発した。
【0084】
S04製品とS10製品はそれぞれ3層の押出物を含み、16mmの厚さを有していた。SP3.1は2層の押出物を含み、10mmの厚さを有していた。
【0085】
官能分析、テクスチャー分析、及び顕微鏡分析による手法は、A~Hとラベルした市販の8種類のプラントベースシュニッツェル製品及び試験した市販の2種類の肉ベースシュニッツェル製品と、S04、S10、及びSP3.1のシュニッツェルとを区別することができた。
【0086】
RATA(Rate-All-That-Apply)アプローチによる官能方法論を用い、9名のパネリストが、試料の官能特性の記述に使用するすべての属性をチェックした、又はチェックマークを入れた。選択したそれぞれの属性を、5点強度スケール(わずかに強い=1から非常に強い=5まで)で評価した。パネリストの訓練プログラムは3つのセッションを含んでいた。第1のセッションは用語集の提示を含み、5日後、肉シュニッツェル及びビーガンシュニッツェルを用いたスケール較正を含むセッションが続き、1週間後、肉シュニッツェル+ビーガンシュニッツェルを用いた第2のスケール較正が続く。それぞれのパネリストは、1cm×2cm×2cmを1回分の分量としてそれぞれの試料を3回受けた。調理方法は、ヒマワリ油を用いてフライヤーで2~3分間揚げる調理法とした。
【0087】
試験した競合製品A~Hと比較して、本発明によるビーガンシュニッツェルは、著しくより繊維質であり、緻密性は著しく低く、より噛み応えがあり、ジューシーさは少なかった。官能分析からのデータをPCAバイプロット上にまとめる(
図1)。マップ上のドットによって表される結果(products)は、結果クラスタリングアルゴリズム(product clustering algorithm、K平均)の結果に従ってクラスタリングされる。S04、S10、及びSP3.1の製品は、「緻密性」の記述子の方向性とは逆に、繊維質及び噛み応えの方向性においてより高い値を有するとして、1つの特定の群として明確に区別された。市販製品は、緻密性の記述子のラインより上に存在するもの(製品D、H、F、及びC)、並びに緻密性の記述子のラインより下に存在するもの(製品B、A、E、及びG)の2つのグループに分類することができる。
【0088】
統計分析を行って、製品の特異性を評価した。それぞれの官能尺度又は物理尺度について分散分析(ANOVA)を行った。S04、S10、及びSP3.1と市販製品との間には有意差が見られた。最も顕著な差異を抽出し、目的の変数についてx-yグラフ上に表示した。官能分析データとテクスチャー分析データとの間の相関により、
図1に示されるようにS04、S10及びSP3.1の特異性が確認される。
【0089】
繊維質のテクスチャーを測定する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、De Angelis et al(Foods 2020,9,1754;doi:10.3390/foods9121754)では、著者らは、肉類似物の繊維質の外観を評価している。繊維の数を視覚的に評価する。Pena-Gonzalez et al(Ital.Food Sci.,vol 29,2017,pg 463-475)は、超音波処理した牛肉の品質を評価した。Pena-Gonzalezらは、官能分析において、口腔でのテクスチャー評価の用語集に「繊維質」の属性も導入した。Knowles et al(Food Res.Int.,vol.137,2020,109655 https://doi.org/10.1016/j.foodres.2020.109655)では、羊肉評価のためのテクスチャー属性に繊維質性も組み込まれた。
【0090】
すべてのテクスチャー分析尺度(特に、最大負荷力、及び2つの切断方向における最大正規化力の比)は、S04、S10、SP3.1を市販製品と比較したときの差に強く関連し、繊維質性及び噛みごたえのある感覚認知と強く相関する。
図2は、S04、S10、SP3.1と市販製品A~Hとの間の繊維質性の官能属性の差異を実証する。製品Hは、再水和ダイズを含むことが知られており、最も繊維性の市販製品であった。
【0091】
図3は、SP3.1、S04、及びS10がすべて、1.2未満の緻密性スコア及び2.3を超える噛み応えスコアを有することを示す。エラーバー=1/2 LSD。重複がない場合、差異は有意である。
【0092】
テクスチャー分析は、Stable Micro Systems Ltd,Godalming,United KingdomからのTAXT.plus装置を用いて行った。ナイフを1つ有するプローブで試料を切断する。45°で1.5mmの傾斜を有するHDP/KS10からの標準ブレード及び50kgのロードセルを使用した。測定パラメータは、試験速度:1mm/s、距離:30mm、トリガー力:0.100Nとした。
【0093】
製品1種毎に、それぞれ4×8cmの寸法を有する合計10個の試料を分析した。それぞれの試料に2つの切断方向を使用した(1-繊維を横切る切断(横断方向)及び2-繊維に沿った切断(縦方向))。これにより、本物の肉の構造に見られるような好ましい方向に繊維が整列しているかどうかを測定することができた。それぞれの測定について最大負荷力を記録した。平均及び標準偏差をそれぞれの試料について計算した。分析した製品はさまざまな厚みを有していたため、最大負荷力値は、厚さ値によって正規化し、すなわち、最大負荷力値は、測定された厚さによって除算した。
【0094】
図4は、S04、S10、及びSP3.1が、市販製品と比較してはるかに高い正規化横断方向切断力を有しており、横断方向の正規化最大力と縦断方向の正規化最大力との間の比が1.55のスコアを超えることを示す。組織学的調製物により顕微鏡分析を行った。試料調製は、標準ISO NF 04-417に従うパラフィン包埋による標準的な組織学的調製に従って行った。
図11は、繊維方向を通るシュニッツェル横断方向での切断時の構造を示す。本発明の方法で製造された試料SP3a及びS10は、市販の従来技術のシュニッツェル類似物の構造と比較して、本物の肉のシュニッツェル構造により類似した構造を明らかに有する。主な違いは、本発明の方法で得られた肉類似物の構造にあり、本願肉類似物は本物の肉のように数ミリメートル長の長さで連続している繊維束を示すのに対し、従来技術の肉類似物は向きの方向性がなく(non oriented)距離の短い繊維構造を示す。従来技術の肉類似物と比較してのこれらの差異は、本発明で得られる肉類似物の口腔認知が、堅さ、噛み応え、及び緻密性の特性に関して本物の肉により近いという利点を説明する。
【0095】
実施例2
押出物がそれぞれ10重量%の小麦グルテンと、24重量%のダイズタンパク質濃縮物又はダイズタンパク質単離物と、を含んでいたことを除いて、実施例1と同じレシピを調製した。
【国際調査報告】