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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】縦型バイポーラ接合トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/331 20060101AFI20240321BHJP
   H01L 21/8222 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H01L29/72 H
H01L27/082 B
H01L27/06 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559978
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2022052519
(87)【国際公開番号】W WO2022219433
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】17/301,807
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヘクマットショアータバリ、バーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニン、タク
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、リイン
【テーマコード(参考)】
5F003
5F082
【Fターム(参考)】
5F003AP01
5F003AP04
5F003BA96
5F003BB02
5F003BB04
5F003BB05
5F003BB90
5F003BM02
5F003BM03
5F003BN04
5F003BP31
5F003BP96
5F082AA06
5F082AA08
5F082AA11
5F082AA17
5F082BA26
5F082BA28
5F082BC01
5F082CA02
5F082CA03
5F082EA14
5F082EA17
5F082EA18
5F082EA22
(57)【要約】
縦型バイポーラ接合トランジスタは、第1のエミッタまたはコレクタ上にエピタキシャル成長した真性ベースであって、組成的に傾斜されている真性ベースと、真性ベース上に形成された第2のコレクタまたはエミッタと、真性ベースの全周囲に形成された外因性ベースとを含む。外因性ベースは、第1のスペーサによって第1のエミッタまたはコレクタから分離される。外因性ベースは、第2のスペーサによって第2のコレクタまたはエミッタから分離される。外因性ベースは、真性ベースよりも大きなバンドギャップを有し得る。真性ベースはp型ドーパントでドープされ、第1のエミッタまたはコレクタ、および第2のコレクタまたはエミッタはn型ドーパントでドープされる。第1のエミッタまたはコレクタ、真性ベース、および第2のコレクタまたはエミッタは、III-V族半導体材料で製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型バイポーラ接合トランジスタであって、
第1のエミッタまたはコレクタ上にエピタキシャル成長された真性ベースであって、前記真性ベースは組成的に傾斜されている、前記真性ベースと、
前記真性ベース上に形成された第2のコレクタまたはエミッタと、
前記真性ベースの全周囲に形成された外因性ベースであって、前記外因性ベースは第1のスペーサによって前記第1のエミッタまたはコレクタから分離され、前記外因性ベースは第2のスペーサによって前記第2のコレクタまたはエミッタから分離されている、前記外因性ベースと
を備える縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項2】
エミッタまたはコレクタが前記真性ベースよりも大きなバンドギャップを有する、請求項1に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項3】
前記外因性ベースが前記真性ベースよりも大きなバンドギャップを有する、請求項1に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項4】
前記真性ベースはp型ドーパントでドープされ、前記第1のエミッタまたはコレクタ、および前記第2のコレクタまたはエミッタがn型ドーパントでドープされている、請求項1に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項5】
前記真性ベースはn型ドーパントでドープされ、前記第1のエミッタまたはコレクタ、および前記第2のコレクタまたはエミッタがp型ドーパントでドープされている、請求項1に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項6】
前記第1のエミッタまたはコレクタ、前記真性ベース、および前記第2のコレクタまたはエミッタが、III-V族半導体材料で製造されている、請求項1に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項7】
縦型バイポーラ接合トランジスタであって、
第1のエミッタまたはコレクタ上にエピタキシャル成長された真性ベースであって、前記真性ベースが組成的に傾斜されている、前記真性ベースと、
前記第1のエミッタまたはコレクタを前記基板から隔離する分離層と、
前記真性ベース上に形成された第2のコレクタまたはエミッタと、
前記真性ベースの全周囲に形成された外因性ベースであって、前記外因性ベースは第1のスペーサによって前記第1のエミッタまたはコレクタから分離され、前記外因性ベースは第2のスペーサによって前記第2のコレクタまたはエミッタから分離されている、前記外因性ベースと
を備える、縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項8】
エミッタまたはコレクタが前記真性ベースよりも大きなバンドギャップを有する、請求項7に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項9】
前記外因性ベースが前記真性ベースよりも大きなバンドギャップを有する、請求項7に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項10】
前記真性ベースはp型ドーパントでドープされ、前記第1のエミッタまたはコレクタ、および前記第2のコレクタまたはエミッタがn型ドーパントでドープされている、請求項7に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項11】
前記真性ベースはn型ドーパントでドープされ、前記第1のエミッタまたはコレクタ、および前記第2のコレクタまたはエミッタがp型ドーパントでドープされている、請求項7に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項12】
前記第1のエミッタまたはコレクタ、前記真性ベース、および前記第2のコレクタまたはエミッタが、III-V族半導体材料で製造されている、請求項7に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタ。
【請求項13】
縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法であって、
第1のエミッタまたはコレクタ上に真性ベースをエピタキシャル成長させることと、
前記真性ベース上に第2のコレクタまたはエミッタをエピタキシャル成長させることと、
前記真性ベースの全周囲に外因性ベースをエピタキシャル成長させることであって、前記外因性ベースは第1のスペーサによって前記第1のエミッタまたはコレクタから分離され、前記外因性ベースは第2のスペーサによって前記第2のコレクタまたはエミッタから分離される、前記外因性ベースをエピタキシャル成長させることと
を含む、縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項14】
前記真性ベースが組成的に傾斜されている、請求項13に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項15】
前記組成的に傾斜された真性ベースがヒ化インジウムアルミニウムガリウムで製造されており、前記真性ベースを組成的に傾斜させることが、前記真性ベース内のアルミニウム含有量を増加させ、ガリウム含有量を減少させることを含む、請求項14の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項16】
前記真性ベース内の前記アルミニウム含有量を増加させ、前記ガリウム含有量を減少させることにより、前記真性ベースのバンドギャップを拡大させる、請求項15に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項17】
前記真性ベースの前記バンドギャップが、前記真性ベースのガリウムを多く含みかつアルミニウムを少なく含む部分において小さくなる、請求項16に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項18】
エミッタまたはコレクタが前記真性ベースよりも大きなバンドギャップを有する、請求項13に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項19】
前記外因性ベースが前記真性ベースよりも大きなバンドギャップを有する、請求項13に記載の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【請求項20】
前記真性ベースはp型ドーパントでドープされ、前記第1のエミッタまたはコレクタ、および前記第2のコレクタまたはエミッタがn型ドーパントでドープされている、請求項13の縦型バイポーラ接合トランジスタを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体構造体およびそれを形成する方法に関する。より詳細には、本発明は、全周外因性ベース(all-around extrinsic base)と、エピタキシャル成長によって組成的に傾斜された真性ベースとをもつ縦型バイポーラ接合トランジスタ(BJT)を含む半導体構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物半導体で構成されたバイポーラ・トランジスタは、幅広い応用を可能にし得る。バイポーラ・トランジスタは、ナロー・バンドギャップの半導体材料に基づく高速デバイスとして利用され得る。バイポーラ・トランジスタは、ワイド・バンドギャップ半導体材料に基づく高電圧デバイスとしても利用され得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施形態によれば、半導体構造体が提供される。半導体構造体は、縦型バイポーラ接合トランジスタを含み得る。本縦型バイポーラ接合トランジスタは、第1のエミッタまたはコレクタ上にエピタキシャル成長されて組成的に傾斜された真性ベースと、真性ベース上に形成された第2のコレクタまたはエミッタと、真性ベースの全周囲に形成された外因性ベースとを含み得る。外因性ベースは、第1のスペーサによって第1のエミッタまたはコレクタから分離され得る。外因性ベースは、第2のスペーサによって第2のコレクタまたはエミッタから分離され得る。外因性ベースは、真性ベースよりも大きなバンドギャップを有し得る。真性ベースはp型ドーパントでドープされ得、第1のエミッタまたはコレクタ、および第2のコレクタまたはエミッタはn型ドーパントでドープされ得る。第1のエミッタまたはコレクタ、真性ベース、および第2のコレクタまたはエミッタは、III-V族半導体材料で製造され得る。
【0004】
本発明の別の実施形態によれば、半導体構造体が提供される。半導体構造体は、縦型バイポーラ接合トランジスタを含み得る。本縦型バイポーラ接合トランジスタは、第1のエミッタまたはコレクタ上にエピタキシャル成長された真性ベースであって組成的に傾斜され得る真性ベースと、第1のエミッタまたはコレクタを基板から隔離する分離層と、真性ベース上に形成された第2のコレクタまたはエミッタと、真性ベースの全周囲に形成された外因性ベースとを含み得る。外因性ベースは、第1のスペーサによって第1のエミッタまたはコレクタから分離され得、外因性ベースは、第2のスペーサによって第2のコレクタまたはエミッタから分離され得る。外因性ベースは、真性ベースよりも大きなバンドギャップを有し得る。真性ベースはp型ドーパントでドープされ得、第1のエミッタまたはコレクタ、および第2のコレクタまたはエミッタはn型ドーパントでドープされ得る。第1のエミッタまたはコレクタ、真性ベース、および第2のコレクタまたはエミッタは、III-V族半導体材料で製造され得る。
【0005】
本発明の別の実施形態によれば、方法が提供される。本方法は、第1のエミッタまたはコレクタ上に真性ベースをエピタキシャル成長させ、真性ベース上に第2のコレクタまたはエミッタをエピタキシャル成長させ、真性ベースの全周囲に外因性ベースをエピタキシャル成長させて、縦型バイポーラ接合トランジスタを形成することを含み得る。外因性ベースは、第1のスペーサによって第1のエミッタまたはコレクタから分離され得る。外因性ベースは、第2のスペーサによって第2のコレクタまたはエミッタから分離され得る。真性ベースは、組成的に傾斜され得る。組成的に傾斜された真性ベースは、ヒ化インジウムアルミニウムガリウムで製造され得る。真性ベースを組成的に傾斜させることは、真性ベース内のアルミニウム含有量を増加させ、ガリウム含有量を減少させることを含み得る。真性ベース内のアルミニウムの含有量を増加させ、ガリウムの含有量を減少させることで、真性ベースのバンドギャップを拡大させ得る。真性ベースのバンドギャップは、真性ベースのガリウムを多く含みアルミニウムを少なく含む部分で小さくなり得る。外因性ベースは、真性ベースよりも大きなバンドギャップを有し得る。真性ベースはp型ドーパントでドープされ得、第1のエミッタまたはコレクタ、および第2のコレクタまたはエミッタはn型ドーパントでドープされ得る。
【0006】
以下の詳細な説明は例示の目的で与えられ、本発明をそれのみに限定することを意図するものではなく、添付の図面と併せて最もよく理解されることになろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的な一実施形態による、基板上に配置されたエミッタ、犠牲層、および第1の誘電体層を示す断面図である。
図2】例示的な一実施形態による、エミッタを露出するために形成されたトレンチを示す断面図である。
図3】例示的な一実施形態による真性ベースを示す断面図である。
図4】例示的な一実施形態による、第2の誘電体層の最上部上に形成された第1のマスクを示す断面図である。
図5】例示的な一実施形態に従って除去された、第1の誘電体層、第2の誘電体層、第2のスペーサ、および犠牲層の一部を示す断面図である。
図6】例示的な一実施形態に従って犠牲層が除去された後の真性ベースの露出された側壁を示す断面図である。
図7】例示的な一実施形態による、真性ベースを取り囲む外因性ベースを示す断面図である。
図8】例示的な一実施形態に従って、外因性ベースの一部をエッチングし、層間誘電体を堆積させることを示す断面図である。
図9】例示的な一実施形態に従って、第1のマスクを除去して第2の誘電体層の最上面を露出させることを示す断面図である。
図10】例示的な一実施形態に従って、第1および第2の誘電体層内に開口部を形成することを示す断面図である。
図11】例示的な一実施形態に従ってコレクタを形成することを示す断面図である。
図12】例示的な一実施形態に従って、コレクタの最上部上に第2の層間誘電体を堆積させることを示す断面図である。
図13a】例示的な一実施形態に従ってコンタクトを形成することを示す断面図である。
図13b】例示的な一実施形態によるコンタクトを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面は、必ずしも正確な比率ではない。図面は単なる概略の表現に過ぎず、本発明の具体的なパラメータを表現することを意図していない。図面は、本発明の典型的な実施形態のみを描写することを意図している。図面では、類似の番号は類似の要素を表現している。
【0009】
特許請求される構造体および方法の詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示される実施形態は、様々な形態で具体化され得る特許請求される構造体および方法の単なる例示に過ぎないことは理解され得る。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定して解釈されるべきでない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、この開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者にこの発明の範囲を完全に伝達することになるように提供される。本明細書において、提示された実施形態を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られた特徴および技術の詳説は省略され得る。
【0010】
以下に本明細書の説明のために、「上の(upper)」、「下の(lower)」、「右の(right)」、「左の(left)」、「縦の(vertical)」、「横の(horizontal)」、「最上部の(top)」、「最下部の(bottom)」という用語、およびその派生語は、図面において方向が定められているように、開示された構造体および方法に関するものとする。「覆う(overlying)」、「最上部に(atop)」、「最上部上に(on top)」、「上に配置された(positioned on)」または「最上部に配置された(positioned atop)」という用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素上に存在することを意味し、第1の要素と第2の要素との間には、界面構造などの介在要素が存在し得る。「直接接触(direct contact)」という用語は、第1の構造などの第1の要素と第2の構造などの第2の要素とが、2つの要素の界面に仲介的な導電層、絶縁層、または半導体層を介さずに接続されることを意味する。
【0011】
本発明の実施形態の提示することを不明瞭にしないために、以下の詳細な説明において、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは操作は、提示および説明のために一緒に組み合わされていることがあり、いくつかの例では、詳細には説明されていないことがある。他の例では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは操作が全く説明されないことがある。以下の説明が、かなり本発明の様々な実施形態の弁別的な特徴または要素に焦点を当てたものであることは理解されるべきである。
【0012】
本発明の実施形態は、一般に、半導体構造体およびそれを形成する方法に関する。より詳細には、本発明は、全周外因性ベースと、エピタキシャル成長によって組成的に傾斜された真性ベースとをもつ縦型バイポーラ接合トランジスタ(BJT)を含む半導体構造体に関する。
【0013】
バイポーラ接合トランジスタ(BJT)は、電子とホールの両方を電荷キャリアとして用いるトランジスタの一種である。BJTは、その端子の1つに注入された小さな電流が他の2つの端子間を流れるはるかに大きな電流を制御することが可能になり、その結果、デバイスが増幅またはスイッチングすることができるようになり得る。
【0014】
従来の縦型BJTは、様々なバンドギャップを有する様々な半導体層で構成される化合物半導体スタックを含み得る。半導体スタックが形成されると、半導体スタックは選択性を有するエッチャントを用いて階段状にパターニングされて、必要なコンタクトを作り得る。その結果、最上部スタックは、最上部が中間部より狭く、中間部が最下部より狭い、テーパの付いた構造を有する。これは、面積がコンタクトに食われ、デバイスの密度の低下をもたらすことになり得る。さらに、コンタクトを形成するためのエッチングのプロセスでは、スタックの側壁に損傷を与え得る。さらに、縦型BJTのコンタクトと活性領域との間の横方向の隔離は、コンタクト抵抗を増大させることになる。したがって、コンタクト抵抗が小さく、実質的に損傷のない側壁をもつ稠密な縦型BJTを形成する必要がある。
【0015】
本発明の実施形態は、真性ベースに伴う全周外因性ベースをもつ縦型BJTを提案する。より具体的には、本発明の実施形態は真性ベースを取り囲む外因性ベースを提案し、この外因性ベースは、真性ベースのバンドギャップと比較してより広いバンドギャップを有する。真性ベースを取り囲むように全周外因性ベースを配置すると、ベースのリークが減少し、コンタクト抵抗が下がり、真性ベースの電気的制御性が改善する。さらに、本発明の実施形態により、真性ベースおよび外因性ベースの側壁を損傷することなくコンタクトが形成されることが可能になる。
【0016】
図1図13は、一実施形態による、全周外因性ベースとエピタキシャル成長によって組成的に傾斜された真性ベースとをもつ縦型BJTの例示的な構造体、ならびにそれを製造する方法を示す。当技術分野で知られているように、エミッタ端子とコレクタ端子の名称は、動作中にバイポーラ・トランジスタに印加される電圧の極性に依存していることは理解されるであろう。例えば、n-p-nトランジスタでは、コレクタはエミッタに対して正の電圧極性でバイアスされ、p-n-pトランジスタでは、コレクタはエミッタに対して負の電圧極性でバイアスされる。したがって、バイポーラ・トランジスタに印加される電圧の極性によっては、エミッタ(例えば図1図13の106)がコレクタとして機能し得、コレクタ(例えば図11図13の134)がエミッタとして機能し得る。したがって、前記領域および端子のエミッタまたはコレクタとしての名称(例えば、106および134)は、交換可能である。
【0017】
次に図1を参照すると、一実施形態による構造体100が示されている。構造体100は、基板102と、分離層104と、エミッタ106と、第1のスペーサ108と、犠牲層110と、第2のスペーサ112と、第1の誘電体層114とを含み得る。基板102は、1つまたは複数の半導体材料を含み得る。例えば一実施形態では、基板102は、リン化インジウム・ウェーハであり得る。別の実施形態では、基板102は、III-V族材料、例えば、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウム、またはヒ化アルミニウムなどで製造され得、リン化インジウムで製造された最上面を伴っている。さらなる実施形態では、基板102は、III-V族材料の緩衝層とリン化インジウムの最上面とをもつシリコン・ウェーハであり得る。さらに別の実施形態では、基板102は、説明したデバイス構造の格子整合による形成が可能になる半導体材料である。BJTは、シリコン、シリコン-ゲルマニウム(SiGe)、および/または、ゲルマニウムの組合せを用いても形成され得る。さらにヒ化ガリウムやゲルマニウムまたは他の格子整合された半導体等価物が使用され得る。
【0018】
分離層104は、基板102の最上面上に成長され、いくつかの実施形態では50~100nmの間の厚さを有し得る。分離層104は、バンドギャップが広く、ドーピング濃度が低い半絶縁性半導体で構成されている。基板102の最上面がリン化インジウムで構成されている例示的な一実施形態では、分離層104は、リン化インジウムと格子整合し、リン化インジウムより広いバンドギャップを有するヒ化インジウムアルミニウム(In0.52Al0.48As)で製造される。好ましい実施形態では、分離層104は、実質的にアンドープであり、基板102より広いバンドギャップを有する。
【0019】
分離層104が所望の厚さに成長されると、次にエミッタ106が分離層104の最上面上に成長される。エミッタ106は、第1のエミッタまたはコレクタ106と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、エミッタ106は、10~50nmの範囲の厚さを有し得るが、より薄いまたはより厚い層も用いられ得る。エミッタ106は、n型ドーパント、例えばテルルなどを用いてその場(in-situ)で重度にドープされる。分離層104がヒ化インジウムアルミニウムで製造されている例示的な一実施形態では、エミッタ106は、エピタキシャル成長によってヒ化インジウムガリウムアルミニウムで製造されている。バンドギャップはヒ化インジウムガリウム(In0.53Ga0.47As)のバンドギャップよりわずかに大きいが、十分に導電性が高い組成が選択される。ヒ化インジウムガリウムアルミニウムの1つの例示的な組成は、In0.53Al0.02Ga0.45Asになる。上記の適用要件に合致する他の格子整合したInGaAlAsの組成は選択され得る。アルミニウムの含有量は、1~最大10%であり得る。
【0020】
前記InGaAlAsを形成するために、インジウム、ガリウムおよびアルミニウムのエピタキシャル前駆体は、ヒ素ソースと一緒にプロセス反応器内に同時に流される。Inソース、Gaソース、Alソースの比率ならびに処理条件は、成長する組成を規定する。インジウム・ソースはトリメチルインジウム(TMIn)であり得、ガリウム・ソースはトリメチルガリウム(TMGa)であり得、アルミニウム・ソースはトリメチルアルミニウム(TMAl)であり得る。ヒ素ソースはアルシン(AsH)、または第三ブチルアルシン(TBAs)のような有機ヒ素金属化合物であり得る。いくつかの実施形態では、エミッタ106は、(直列抵抗を低減するために)n型ドーパントで重度にドープされた最下部と、(オージェ再結合を抑えるために)同型の比較的低度のドーピングを伴う、例えばn型ドーパントで適度にドープされた最上部とを有する。基板が半絶縁性ヒ化ガリウムで構成される別の例示的な実施形態では、エミッタ106は、エピタキシャル成長された重度にドープされたn型ヒ化ガリウムまたはヒ化インジウムガリウムで構成されている。
【0021】
次に、犠牲層110は、第1のスペーサ108と第2のスペーサ112との間でエミッタ106上に堆積される。第1のスペーサ108はエミッタ106上に堆積され、犠牲層110が第1のスペーサ108上に堆積され、第2のスペーサ112が犠牲層110上に堆積される。第1のスペーサ108は最下部スペーサとも呼ばれ得る。第2のスペーサ112は最上部スペーサとも呼ばれ得る。
【0022】
第1のスペーサ108および第2のスペーサ112は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、SiOCN、またはSiBCNなどの絶縁材料を含み得る。第1のスペーサ108および第2のスペーサ112の材料の他の非限定的な例は、誘電体酸化物(例えば酸化シリコン)、誘電体窒化物(例えば窒化シリコン)、誘電体酸窒化物、またはそれらの任意の組合せを含み得る。第1のスペーサ108および第2のスペーサ112の材料は、堆積プロセス、例えば化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)または物理気相成長(PVD:physicalvapor deposition)などによって堆積される。第1のスペーサ108および第2のスペーサ112は、各々約3~約15nm、または約5~約10nmの厚さを有し得る。
【0023】
犠牲層110は、犠牲ゲート材料、例えば非晶質シリコン(α-Si)または多結晶シリコン(polysilicon)を含み得る。犠牲材料は、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)、誘導結合プラズマ化学気相成長(ICP CVD:inductively coupled plasma chemical vapor deposition)、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない堆積プロセスによって堆積され得る。犠牲層110を形成する犠牲材料は、約8nm~約100nm、または約10nm~約30nmの厚さを有し得る。
【0024】
第1の誘電体層114は、犠牲層110の上にある第2のスペーサ112の最上面上に堆積される。第1の誘電体層114は、酸化膜層とも呼ばれ得る。第1の誘電体層114の材料の非限定的な例は、二酸化シリコン、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)酸化物、高アスペクト比プラズマ(HARP:high aspect ratio plasma)酸化物、高温酸化物(HTO:hightemperature oxide)、高密度プラズマ(HDP:high density plasma)酸化物、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)プロセスによって形成された酸化物(例えば酸化シリコン)、またはそれらの任意の組合せを含み得る。第1の誘電体層114は、約30nmから約200nm、または約50nmから約100nmの範囲の厚さを有し得る。第1の誘電体層114が堆積された後、構造体100は、第1の誘電体層114の最上面を平滑化するために、平坦化プロセス、例えば化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)プロセスなどで処理され得る。
【0025】
次に図2を参照すると、一実施形態による、トレンチ116をもつ構造体100が示されている。トレンチ116は、第1の誘電体層114の最上面からエミッタ106まで延びてエミッタ106の最上面を露出させる。トレンチ116は、エミッタ106の材料に対して選択性があり(実質的に除去しない)、エミッタ106の材料で停止する1つまたは複数のエッチング・プロセスを実行することによって形成される。エッチング・プロセスは、例えば反応性イオン・エッチングであり得る。例えば、第1の誘電体層114、第2のスペーサ112、および犠牲層110の一部を除去するために、第1のスペーサ108の材料に選択性のある第1のエッチング・プロセスが実行され得る。
【0026】
第1のスペーサ108の最上面が露出されると、第2のスペーサ112の露出された側壁部分と犠牲層110の露出された側壁部分とが酸化される。この酸化は、酸化膜の層118が犠牲層110および第2のスペーサ112の露出した側壁に沿って形成されることを可能にする。この酸化は、酸化膜118の層を形成するプラズマ酸化プロセスまたは他の酸化プロセスによって実行され得る。第2のエッチング・プロセスが実行されて、第1のスペーサ108の露出された部分を除去してエミッタ106の最上面を露出させる。その結果形成されるトレンチ116は、第1の誘電体層114の最上面を貫いて、エミッタ106の露出された部分の最上面まで延び得る。
【0027】
次に図3を参照すると、一実施形態による、真性ベース120をもつ構造体100が示されている。第1のスペーサ108がトレンチ116の底から取り除かれると、エミッタ106の露出された最上面上にエピタキシャル層が成長されて真性ベース120を形成する。真性ベース120は、適切な成長プロセス、例えば、化学気相成長(CVD)(液相(LP:liquid phase)または減圧化学気相成長(RPCVD:reducedpressure chemical vapor deposition))、気相エピタキシ(VPE:vapor-phaseepitaxy)、分子線エピタキシ(MBE:molecular-beam epitaxy)、液相エピタキシ(LPE:liquid-phase epitaxy)、有機金属化学気相成長(MOCVD:metalorganic chemical vapor deposition)、または他の適切なプロセスを用いて成長され得る。
【0028】
真性ベース120は、エミッタ106の格子定数と同一または実質的に同一である格子定数を有する。さらに、真性ベース120の組成は、エピタキシャル成長中に変えられて(すなわち、傾斜されて)、傾斜されたバンドギャップを実現する。一例では、真性ベース120はヒ化インジウムアルミニウムガリウムを含み得、当技術分野で知られているように、図1に関して本明細書に記載したように、実質的に同一の格子定数を維持しながらアルミニウム含有量を徐々に増やし、かつガリウム含有量を徐々に減らすことによって、真性ベース120のバンドギャップがエピタキシャル成長中に徐々に拡大され得る。したがって、エミッタ106に最も近い真性ベース120の最下部は、第1の誘電体層114の最上面に最も近い真性ベース120の最上部よりも多くのガリウムと少ないアルミニウムとを含む。真性ベース120の最下部は、真性ベース120の最上部よりも多くのガリウムと少ないアルミニウムを含むので、真性ベース120の最下部は、真性ベース120の最上部のバンドギャップと比較するとより小さいバンドギャップを有する。アルミニウムとガリウムの組成が真性ベース120内部で変化することで、真性ベース120内部に組成勾配が形成される。当技術分野で知られるように、徐々に変化する(すなわち、傾斜されている)バンドギャップ・プロファイルは、急激に変化するバンドギャップ・プロファイルと比較して、ベース中のキャリア輸送効率を促進するのに有益であり得る。他の一実施形態では、エミッタ106がコレクタとして機能する場合、真性ベース120の最上部は、真性ベース120の最下部より多くのガリウムと少ないアルミニウムを含み得る。その結果、真性ベース120の最上部は、真性ベース120の最下部のバンドギャップと比較すると、より小さいバンドギャップを有し得る。
【0029】
真性ベース120は、p型ドーパント、例えばマグネシウムなどを用いてその場(in-situ)でドープされる。真性ベース120のドーパントは、エミッタ106のドーパントと異なる。例えば、エミッタ106がn型ドーパントでドープされている場合、真性ベース120はp型ドーパントでドープされる。さらに、ドーピング・レベルも異なる。例えば、エミッタ106はn型ドーパントで重度にドープされ得るが、真性ベース120はp型ドーパントで適度にまたは軽度にドープされ得る。真性ベース120のドーピングは、エピタキシャル成長中は実質的に一定のレベルに保たれ、または所望通りに変化(傾斜)され得る。
【0030】
成長プロセス中に、真性ベース120のエピタキシャル成長は、第1の誘電体層114の上を超えて垂直に延びることがある(図示せず)。第1の誘電体層114の上のエピタキシャル成長の過剰成長分を除去するために、平坦化プロセス、例えば化学機械研磨(CMP)プロセスなどが用いられ得る。その結果、真性ベース120の最上面は、第1の誘電体層114の最上面と実質的に同一平面となる。
【0031】
次に図4を参照すると、一実施形態による、第2の誘電体層122と第1のマスク124とをもつ構造体100が示されている。第2の誘電体層122は、公知の堆積技術、例えば原子層堆積法などを用いて、第1の誘電体層114と真性ベース120の最上面上に堆積される。第2の誘電体層122は、第1の誘電体層114の材料と同一または実質的に同一の材料で製造され得る。構造体100の最上面から第2の誘電体層122の過剰分を除去するために、第2の誘電体層122の堆積後、CMPなどの平坦化プロセスが用いられ得る。
【0032】
第1のマスク124は、第1のマスク124の一部が真性ベース120に重なって真性ベース120を超えて延びるように、第1のマスク124が真性ベース120よりも広く真性ベース120を覆うように、第2の誘電体層122の最上面上に堆積される。第1のマスク124は、公知の堆積技術、例えば原子層堆積法などを用いて堆積される。第1のマスク124は、様々なエッチング・プロセスに対して耐性をもつ材料で製造され、それにより後続のエッチング・プロセス中、構造体100の、第1のマスク124によって覆われた部分を保護し得る。
【0033】
次に図5を参照すると、一実施形態に従って、第1の誘電体層114、第2の誘電体層122、第2のスペーサ112、および犠牲層110の一部が除去された構造体100が示されている。第1のマスク124が形成された後、エッチング・プロセス、例えば反応性イオン・エッチ・プロセスなどが用いられて、第2の誘電体層122、第1の誘電体層114、第2のスペーサ112および犠牲層110の一部をリセスさせる。犠牲層110は、第1のスペーサ108の最上面が露出しない程度にリセスされている。その結果、第1のスペーサ108の最上面に沿った犠牲層110の一部が残存する。
【0034】
次に図6を参照すると、一実施形態による、真性ベース120の側壁が露出した構造体100が示されている。実質的にすべての犠牲層110および酸化膜118が除去される。犠牲層110を除去するために、第1のエッチング・プロセス、例えばウェット・エッチング・プロセスなどが用いられ得、それにより第1のスペーサ108の最上面、第2のスペーサ112の最下面、および酸化膜118(図2図5に図示)が露出される。酸化膜118を除去するために、別のエッチング・プロセス、例えば緩衝酸化物エッチングまたは別の形態の等方性エッチングなどが用いられ得、それにより真性ベース120の側壁が露出される。
【0035】
次に図7を参照すると、一実施形態による、外因性ベース126をもつ構造体100が示されている。大粒径多結晶エピタキシャル層が、第1のスペーサ108の露出された最上面上、および真性ベース120の露出した側壁沿いに成長されて、外因性ベース126を形成する。外因性ベース126は、適切な成長プロセス、例えば、化学気相成長(CVD)(液相(LP)または減圧化学気相成長(RPCVD))、気相エピタキシ(VPE)、分子線エピタキシ(MBE)、液相エピタキシ(LPE)、有機金属化学気相成長(MOCVD)、または他の適切なプロセスを用いて成長され得る。外因性ベース126は、III-V族材料などの化合物半導体、またはポリシリコンなどの元素半導体で構成され得る。
【0036】
外因性ベース126は、例えば化合物半導体の場合はマグネシウム、ポリシリコンの場合はホウ素などのp型ドーパントを用いてその場(in-situ)で高度にドープされる。外因性ベース126は、真性ベース120と同型のドーパントでドープされている。外因性ベース126は、典型的には、低抵抗の外因性コンタクトの形成を容易にし、また少数キャリアを押し戻すことによってベース再結合電流(したがってベースリーク)を抑えるために、真性ベース120より高いレベルのドーパントを含む。全周外因性ベース126は、ベースのアクセス抵抗の低減ならびに真性ベース120に対する静電制御を改善するのに有利である。いくつかの実施形態では、外因性ベース126は、真性ベース120と比較してより広いバンドギャップを有し、これが少数キャリアを押し戻し、したがってベースリークを抑えるのに有利である。
【0037】
次に図8を参照すると、一実施形態による、第1の層間絶縁膜(ILD:interlayerdielectric)128をもつ構造体100が示されている。外因性ベース126が形成された構造体100は、反応性イオン・エッチング・プロセスなどのエッチング・プロセスを経て、それにより外因性ベース126の第1のマスク124を超えて延びる部分を除去して第1のスペーサ108の最上面の一部を露出させる。第1のILD128は、第1のスペーサ108の最上面の露出された部分の上に堆積され得る。
【0038】
第1のILD128は、第1のILD128の最上面がマスク124の最上面と実質的に同一平面となるように堆積される。第1のILD128は、例えば、酸化シリコン、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されないlow-k誘電体材料(k<4.0をもつ)から形成され得る。第1のILD128は、CVD、PVD、プラズマ強化CVD、原子層堆積(ALD)、蒸着、化学溶液堆積、または同様のプロセスを含むがこれらに限定されない堆積プロセスによって堆積される。第1のILD128が堆積された後、構造体100の最上面から過剰な第1のILD128を除去するために、平坦化プロセス、例えばCMPプロセスなどが用いられ得る。
【0039】
次に図9を参照すると、一実施形態に従って、第1のマスク124が除去された構造体100が示されている。第2の酸化膜層122の最上面を露出させるために、第1のマスク124は公知の技術を用いて除去される。第1のマスク124が除去された後、この第1のマスク124の痕跡を第2の酸化膜層122の最上面から除去するために、任意選択の平坦化プロセス、例えばCMPプロセスなどが用いられ得る。
【0040】
次に図10を参照すると、一実施形態による、開口部132をもつ構造体100が示されている。第2のマスク130は、公知の堆積技術、例えば原子層堆積法などを用いて堆積される。第2のマスク130は、第1のマスク124の材料と同一または実質的に同一の材料で製造され得る。次に、真性ベース120上の第2の誘電体層122の最上面部分が、公知のパターニング技術を用いて(例えば、パターニングされたフォトレジストをエッチング・マスクとして用いて)除去される。第2のマスク130は、後続の製造プロセスの間、構造体100の、第2のマスク130によって覆われた部分を損傷から保護する。
【0041】
第2のマスク130が堆積された後、エッチング・プロセス、例えば反応性イオン・エッチング・プロセスなどが用いられて、第2の誘電体層122の、第2のマスク130によって覆われていない部分を除去する。このエッチング・プロセスは、第1の誘電体層114の一部も除去して開口部132を形成し、第2のスペーサ112の最上面を露出させる。開口部132は、第2のマスク130の最上面から第2のスペーサ112の最上面まで延びている。開口部132は、真性ベース120よりも広く、真性ベース120を包含している。
【0042】
次に図11を参照すると、一実施形態による、コレクタ134をもつ構造体100が示されている。真性ベース120および第2のスペーサ112の露出された最上面に、単結晶層または大粒径多結晶層がエピタキシャル成長されて、コレクタ134を形成する。コレクタ134は、適切な成長プロセス、例えば、化学気相成長(CVD)(液相(LP)または減圧化学気相成長(RPCVD))、気相エピタキシ(VPE)、分子線エピタキシ(MBE)、液相エピタキシ(LPE)、有機金属化学気相成長(MOCVD)、または他の適切なプロセスを用いて成長され得る。コレクタ134は、いくつかの実施形態において、ヒ化インジウムアルミニウム、リン化インジウム、またはリン化インジウムガリウムで製造され得る。
【0043】
コレクタ134は、n型ドーパント、例えばテルルなどで高度にドープされる。コレクタ134は、エミッタ106と同一のドーパントでドープされ得るが、真性ベース120および外因性ベース126とは異なるドーパントでドープされ得る。いくつかの実施形態では、コレクタ134は、(例えば、直列抵抗を低減するために)n型ドーパントで高度にドープされた最上部と、(例えば、オージェ再結合を抑えるために)同型の比較的低度のドーピングを伴う、例えばn型ドーパントで適度にドープされた最下部とを有する。一実施形態では、コレクタ134およびエミッタ106は、n型ドーパントで高度にドープされ得るが、真性ベース120および外因性ベース126は、マグネシウムなどのp型ドーパントでドープされ得る。さらに、外因性ベース126はより高いレベルにドープされ得るが、真性ベース120はより低いレベルにドープされ得る。一実施形態では、コレクタ134は、第2のエミッタまたはコレクタ134と呼ばれることがある。
【0044】
次に図12を参照すると、一実施形態による、第2の層間絶縁膜(ILD)136をもつ構造体100が示されている。コレクタ134がエピタキシャル成長されると、第2のマスク130は除去される。第2のマスク130のすべての痕跡を第2の酸化膜層122および第1のILD128の最上面から除去するために、任意選択の平坦化プロセス、例えばCMPプロセスなどが用いられ得る。第2のILD136は、コレクタ134の最上面が第2のILD136によって完全に覆われるように堆積され得る。第2のILD136は、第1のILD128の材料と同一または実質的に同一の材料で製造され得る。第2のILD136は、CVD、PVD、プラズマ強化CVD、原子層堆積(ALD)、蒸着、化学溶液堆積、または類似のプロセスを含むがこれらに限定されない堆積プロセスによって堆積される。第2のILD136が堆積された後、過剰な第2のILD136を構造体100の最上面から除去するために、平坦化プロセス、例えばCMPプロセスなどが用いられ得る。
【0045】
次に図13aを参照すると、一実施形態による、コレクタ・コンタクト138と外因性ベース・コンタクト140とをもつ構造体100が示されている。コレクタ・コンタクト138は、第2のILD136を貫通してコレクタ134まで延び、トレンチ内に形成されている。第2のILD136を除去し、コレクタ・コンタクト・トレンチを形成するために、フォトレジストなどのレジストが堆積され、パターニングされ得る。RIE(reactive ion etching)などのエッチング・プロセスは、パターニングされたレジストをエッチング・マスクとして用いて実行されて、コレクタ134が露出するまで第2のILD136を除去し得る。コレクタ・コンタクト・トレンチは、導電性材料または導電性材料の組合せで充填されてコレクタ・コンタクト138を形成する。導電性材料充填物は、導電性金属、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはそれらの任意の組合せであり得る。導電性材料は、例えば、CVD、PECVD、PVD、メッキ、加熱または電子ビーム蒸着、あるいはスパッタリングなどの適切な堆積プロセスによって堆積され得る。平坦化プロセス、例えばCMPが実行されて第2のILD136の表面からすべての導電性材料を除去する。
【0046】
外因性ベース・コンタクト140は、第2のILD136の表面から、第2の誘電体層122、第1の誘電体層114、第2のスペーサ112を通って、外因性ベース126まで延びる。外因性ベース・コンタクト140は、第2のILD136にトレンチをパターニングすることによって形成される。第2のILD136、第2の誘電体層122、第1の誘電体層114、第2のスペーサ112、および外因性ベース126を除去して外因性ベース・コンタクト・トレンチを形成するために、フォトレジストなどのレジストが堆積され、パターニングされ得る。このパターニングされたレジストをエッチング・マスクとして用いてRIEなどのエッチング・プロセスが実行されて、第2のILD136、第1および第2の誘電体層114、122、第2のスペーサ112を、外因性ベース126が露出されるまで除去し得る。ベース・コンタクトのトレンチは、導電性材料または導電性材料の組合せで充填されて外因性ベース・コンタクト140を形成する。導電性材料は、導電性金属、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはそれらの任意の組合せであり得る。導電性材料は、適切な堆積プロセス、例えば、CVD、PECVD、PVD、メッキ、加熱または電子ビーム蒸着、あるいはスパッタリングなどによって堆積され得る。平坦化プロセス、例えばCMPが実行されて第2のILD136の表面からすべての導電性材料を除去する。
【0047】
次に図13bを参照すると、一実施形態による、コレクタ・コンタクト138と、外因性ベース・コンタクト140と、エミッタ・コンタクト142とをもつ構造体100の上面図が示されている。エミッタ・コンタクト142は、エミッタ106の上方に、エミッタ106に直接接触して形成される。エミッタ・コンタクト142は、導電性金属、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはそれらの任意の組合せで製造され得る。
【0048】
図13a~図13bに示すように、結果として得られる構造体100は、傾斜された真性ベース120を取り囲む全周外因性ベース126をもつ縦型化合物半導体BJTを含む。BJT構造体全体をエピタキシャル成長で形成することにより、各エピタキシャル成長層、例えば、エミッタ106、真性ベース120、外因性ベース126、およびコレクタ134などが、エピタキシャル成長中に所望通りに精密に制御され、かつまた徐々に変化され(すなわち傾斜され)得るバンドギャップを有することを可能にする。加えて、前記エピタキシャル成長層の各々は、様々なドーパントおよび様々なドーピング・レベルでドープされ得、それらはエピタキシャル成長中に所望通りに変化もされ得る。これは、ナロー・バンドギャップ半導体材料に基づく高速デバイスやワイド・バンドギャップ半導体材料に基づく高電圧デバイスなど、BJTの幅広い応用のためのカスタム・チューニングを可能にする。エミッタ106、真性ベース120、およびコレクタ134は、III-V族半導体材料で製造され得る。図1図13に関して説明した例示的な実施形態はn-p-nバイポーラ・トランジスタであるが、ドーピング型を逆にすることによってp-n-pバイポーラ・トランジスタが同様の方法で形成され得ることは理解されよう。
【0049】
真性ベース120を外因性ベース126で取り囲むことにより、ベースのアクセス抵抗を低減し、デバイスの静電特性を向上させる。加えて、本発明の実施形態は、異なる層へのコンタクト形成のアクセス領域を作り出すための側壁エッチングすなわちデバイス層に段階状にテーパを付けることや、デバイス層を段階状にパターニングすることを不要にし、それによって全周外因性ベース126をもつ高密度の縦型トランジスタの製造が可能になる。側壁のエッチングをなくすことによって、側壁のエッチング損傷もなくなり、したがって側壁の損傷に伴う再結合電流および結果として生じるリークもなくなる。
【0050】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、開示された実施形態が網羅的であることまたは限定することを意図していない。多くの改変および変形は、説明した実施形態の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本明細書で使用する用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用、または技術的改良を最もよく説明するために、あるいは当業者が本明細書に開示した実施形態を理解できるようにするために選択したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
【国際調査報告】