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特表2024-514098ErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240321BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
C07D471/04 101
C07D471/04 CSP
C07D487/04 144
C07D471/04 107E
C07D487/04 142
C07D487/04 146
A61K31/506
A61K31/5377
A61K45/00
A61P35/04
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560644
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2022084650
(87)【国際公開番号】W WO2022206929
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110358192.3
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】514023416
【氏名又は名称】シャンハイ ファーマシューティカルズ ホールディング カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リ ディ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン リンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン ジーフー
(72)【発明者】
【氏名】シヤ グォンシン
(72)【発明者】
【氏名】クー イン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050EE04
4C050FF01
4C050GG03
4C050HH04
4C065AA03
4C065BB03
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD02
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ03
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP09
4C065PP18
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶の使用、特にErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における使用である。提供される化合物はErbB2突然変異体に対して阻害活性を有し、ErbB2突然変異腫瘍細胞の増殖を効果的に阻害することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における、化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶の使用。
【化1】
(ただし、Rは、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【化2】
であり、
各Rは独立して、
【化3】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。)
【請求項2】
前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【化4】
であり、
各Rは独立して、
【化5】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【化6】
であり、
各Rは独立して、
【化7】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
ErbB2突然変異体関連疾患を治療又は予防するための医薬の調製における、化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶の使用。
【化8】
(ただし、Rは、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【化9】
であり、
各Rは独立して、
【化10】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。)
【請求項5】
前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
ただし、Rは、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【化11】
であり、
各Rは独立して、
【化12】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【化13】
であり、
各Rは独立して、
【化14】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記化学式1において、Rがハロゲンである場合、前記ハロゲンはClであり、RがC1-アルカンである場合、前記C1-アルカンはメチルであり、
及び/又は、
nが1である場合、Rは、
【化15】
であり、好ましくは
【化16】
であり、
nが2である場合、Rは2つのオルト位基であり、そのうちの1つは、
【化17】
であり、もう1つの基は、
【化18】
であり、好ましくは
【化19】
であり、
及び/又は、Rは、
【化20】
であり、
好ましくは、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミド、ラパチニブ、ツカチニブ、ピロチニブ、ネラチニブ、
【化21】
から選択される一つ又は複数であることを特徴とする、請求項1又は4に記載の使用。
【請求項8】
前記ErbB2突然変異体の突然変異型は、D769H、D769Y、R896C、V777L、G766>VC及びA775_G776insYVMAのうちの一つ又は複数を含むことを特徴とする、請求項1~7の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項9】
前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C、V777L、G766>VC又はA775_G776insYVMAであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミドであり、
或いは、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C、V777L又はA775_G776insYVMAであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ラパチニブであり、
或いは、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ツカチニブであり、
或いは、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ピロチニブであり、
或いは、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ネラチニブであり、
或いは、前記rbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、下記の構造のいずれか一つであることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【化22】
【請求項10】
前記ErbB2突然変異関連疾患は、ErbB2突然変異がんであり、
前記ErbB2突然変異がんは、好ましくは、乳がん、結腸がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん、卵巣がん、肝臓がん又は肺がんを含み、
前記肺がんは、さらに好ましくは非小細胞肺がんであることを特徴とする、請求項4~6の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項11】
前記治療は、腫瘍の転移及び/又は増殖を阻害することであることを特徴とする、請求項4~6の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項12】
前記医薬は、薬学的に許容される担体をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項13】
前記化学式1で表される構造を含む化合物は、前記医薬の唯一の有効成分であるか、或いは、他のErbB2突然変異阻害剤又はがん治療薬と一緒に有効成分として作用することを特徴とする、請求項1~11の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項14】
前記医薬における前記化学式1で表される構造を含む化合物の含有量は、治療有効量を達成する含有量であることを特徴とする、請求項1~11の少なくとも一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は出願日が2021年04月01日である中国特許出願2021103581923の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、生物医薬の分野に関し、具体的にはErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ErbB2遺伝子増幅/タンパク質の過剰発現(ErbB2陽性と呼ばれる)は、ErbB2活性化の一般的な機序であり、過去20年間の研究により、ErbB2タンパク質の過剰発現は、遺伝子増幅又は転写不活化によるものであっても、多くの場合、様々な固形腫瘍の発がんと関連していることが確認された。臨床的には、ErbB2陽性の腫瘍としては、乳がん、胃がん、食道がん、卵巣がん、子宮内膜がん、結腸直腸がん、肺がんなどが挙げられ、その中で、乳がん、胃がん腫瘍ではErbB2の発現が比較的に高い。ErbB2は、発がん性促進因子として、乳がん及び胃がんの治療標的として認識されている。
【0004】
人類のがんゲノムのマッピングに関する知識の増加に伴い、ErbB2の周期的な体細胞の突然変異が認識され、通常は遺伝子増幅がない場合に発生する。BRAFやKRASなどの他の突然変異がん遺伝子とは異なり、単一の突然変異対立遺伝子が支配的ではなく、突然変異の正確な分布は腫瘍の種類によって異なる(Nature, 2018, 554(7691): 189-194.)。ErbB2突然変異は、いくつかの腫瘍種類、特に乳がん(3%)、結腸がん(2~3%)及び肺がん(2~3%)で低頻度で発生する。頭頸部がん、膀胱がん、胃がん、卵巣がん、肝臓がんなどを含む、他の種類のヒト腫瘍にもErbB2突然変異が含まれることが報告されている(Oncotarget, 2018, 9 (11): 9741-9750)。さらに、一部のErbB2陽性患者は抗ErbB2療法に抵抗性を示すことが報告されている。
【0005】
複数の耐性機序は、ErbB2の突然変異が重要な機序であることを示している。ErbB2の突然変異の活性化は、キナーゼドメインの挿入とミスセンス突然変異、細胞外ドメインのミスセンス突然変異、又は細胞外ドメインの欠失突然変異という3つの体細胞分子変化によって引き起こされ得、それによってErbB2の切断型が生じる(J Clin Oncol, 2020)。おそらく効果的な標的療法がないことも一部の原因であるが、ErbB2突然変異は他の発がん性促進因子に比べて予後がより悪い。
【0006】
肺がんは最も一般的に診断されるがんの1つであり、ErbB2突然変異が発がん性促進因子として、非小細胞肺がん(NSCLC)では発生率が2~3%であり、EGFR/ALK/ROS1トリプルネガティブNSCLCでは6.7%に達する場合がある(BMC Cancer 2016; 16:828)。ErbB2突然変異は肺腺がんではまれな突然変異であるが、肺腺がんの数が多いことを考えると、依然として潜在的な臨床的意義がある。ErbB2突然変異のある肺がん患者の治療中の脳転移の発生率は、KRAS突然変異のある患者よりも高く(28%対8%)、且つEGFR突然変異のある患者よりも高い傾向にあることが文献で報告されている(28%対16%)(Cancer, 2019 Aug 30.)。
【0007】
CN109422755Aは、非突然変異ErbB2を効果的に阻害できる一連の化合物を開示しているが、ErbB2突然変異によりその構造の変化をもたらすため、ErbB2突然変異体はErbB2阻害剤に対して耐性を持つようになり、従って、ErbB2突然変異体を標的とする有効な阻害剤が急務となっている。
【発明の概要】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術におけるErbB2突然変異体を標的とする有効な阻害剤がない欠点を克服するために、ErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における化合物の使用を提供することである。
【0009】
本発明によって提供される技術的解決策の1つは、ErbB2突然変異体を標的とする阻害薬の調製における、化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶の使用であり、
【0010】
【化1】
【0011】
ただし、Rは、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【0012】
【化2】
【0013】
であり、
各Rは独立して、
【0014】
【化3】
【0015】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。
【0016】
ある実施形態において、前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【0017】
【化4】
【0018】
であり、
各Rは独立して、
【0019】
【化5】
【0020】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。
【0021】
ある実施形態において、前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【0022】
【化6】
【0023】
であり、
各Rは独立して、
【0024】
【化7】
【0025】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。
【0026】
本発明によって提供される技術的解決策の1つは、ErbB2突然変異体関連疾患を治療又は予防するための医薬の調製における、化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶の使用であり、
【0027】
【化8】
【0028】
ただし、Rは、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【0029】
【化9】
【0030】
であり、
各Rは独立して、
【0031】
【化10】
【0032】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。
【0033】
ある実施形態において、前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【0034】
【化11】
【0035】
であり、
各Rは独立して、
【0036】
【化12】
【0037】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。
【0038】
ある実施形態において、前記化学式1で表される構造を含む化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、又は、その結晶において、
は、ハロゲン又はC1-アルカンであり、
は、
【0039】
【化13】
【0040】
であり、
各Rは独立して、
【0041】
【化14】
【0042】
であり、
nは、1又は2であり、
Gは、N又はC-CNである。
【0043】
本発明の前記化学式1において、Rがハロゲンである場合、前記ハロゲンは好ましくはClであり、RがC1-アルカンである場合、前記C1-アルカンは好ましくはメチルである。
【0044】
本発明のある実施形態において、Rは、
【0045】
【化15】
【0046】
である。
【0047】
さらに、本発明の一実施形態において、
nが1である場合、Rは、好ましくは、
【0048】
【化16】
【0049】
であり、好ましくは、
【0050】
【化17】
【0051】
であり、
或いは、nが2である場合、Rは好ましくは2つのオルト位基であり、そのうちの1つは、
【化18】
【0052】
であり、もう1つの基は、
【0053】
【化19】
【0054】
であり、好ましくは、
【0055】
【化20】
【0056】
である。
【0057】
前記化学式1で表される構造を含む化合物は、好ましくは、(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミド、ラパチニブ、ツカチニブ、ピロチニブ、ネラチニブ、
【0058】
【化21】
【0059】
【0060】
から選択される一つ又は複数である。
【0061】
本発明の前記ErbB2突然変異体の突然変異型は、好ましくは、D769H、D769Y、R896C、V777L、G766>VC及びA775_G776insYVMAのうちの一つ又は複数を含む。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C、V777L、G766>VC又はA775_G776insYVMAであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミドである。
【0063】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C、V777L又はA775_G776insYVMAであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ラパチニブである。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ツカチニブである。
【0065】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ピロチニブである。
【0066】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ErbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、ネラチニブである。
【0067】
本発明のある実施形態において、前記rbB2突然変異型は、D769H、D769Y、R896C又はV777Lであり、前記化学式1で表される構造を含む化合物は、下記の構造のいずれか一つである:
【0068】
【化22】
【0069】
【0070】
【0071】
、好ましくは、
【0072】
【化23】
【0073】
【0074】
である。
【0075】
本発明の前記ErbB2突然変異関連疾患は、好ましくはErbB2突然変異がんであり、
前記ErbB2突然変異がんは、好ましくは、乳がん、結腸がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん、卵巣がん、肝臓がん又は肺がんを含み、
前記肺がんは、さらに好ましくは非小細胞肺がんである。
【0076】
本発明の前記治療は、好ましくは、腫瘍の転移及び/又は増殖を阻害することであり、前記腫瘍の増殖を阻害することは、原発性腫瘍及び転移性腫瘍の増殖を阻害することを含み、前記転移性腫瘍は好ましくは脳転移腫瘍である。
【0077】
本発明の前記医薬は、好ましくは薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0078】
本発明の前記化学式1で表される構造を含む化合物は、好ましくは前記医薬の唯一の有効成分であるか、或いは、他のErbB2突然変異阻害剤又はがん治療薬と一緒に有効成分として作用する。
【0079】
本発明の前記医薬における前記化学式1で表される構造を含む化合物の含有量は、好ましくは治療有効量を達成する含有量である。
【0080】
本発明において、化合物(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミドは、化合物Iとして表される。
【化24】
【0081】
本発明で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、周期表のVIIa族の元素を指す。
【0082】
本発明で使用される場合、「アルカン」という用語は、分子内の炭素原子がすべて炭素-炭素単結合で連結され、残りの原子価結合がすべて水素と連結してなる化合物を指す。
【0083】
本発明で使用される場合、「治療」という用語は、治療的及び予防的治療を指すために使用することができる。ここで、予防とは、個人の病理学的状態又は疾患が緩和又は軽減されることを指すために使用することができる。「治療」という用語には、ヒトを含む哺乳動物における疾患を治療するための使用又は任意形態の投与が含まれる。さらに、当該用語には、疾患又は疾患の進行を阻害又は遅らせることも含まれる。疾患の部分的又は完全な緩和を達成するため、非効率なプロセスを刺激するため、或いは重篤な疾患を緩和するために、損なわれた又は失われた機能を回復又は修復するという意味が含まれる。
【0084】
本発明で使用される場合、「治療有効量」又は「薬学的有効量」という用語は、問題となっている疾患を予防又は治療するのに十分であり、妥当な利益/リスク比で疾患を治療するのに十分であり、且つ医療用途に適しており、悪影響を引き起こさない化合物又は組成物の量を指す。有効量のレベルは、患者の健康状態、疾患の重症度、薬物活性、薬物に対する患者の感受性、投与方法、投与時間、投与経路及び排泄速度、治療期間、製剤又は同時に投与される薬物、並びに当技術分野における公知の医療分野内の他の要因に基づいて決定することができる。本発明の一つの好ましい実施形態において、化合物Iの治療有効量は10~40mg/kgであり、例えば、10、15、20、25、30、35、又は40mg/kgである。
【0085】
ここで、薬学的に許容される担体とは、患者への送達に適した非毒性物質であれば、いかなる担体であってもよい。蒸留水、アルコール、脂肪、ワックス及び不活性固体を担体として含むことができ、薬学的に許容されるアジュバント(緩衝剤、分散剤)も含むことができる。
【0086】
具体的には、有効成分以外の薬学的に許容される担体を含むことにより、当技術分野における公知の通常の方法を使用して、その投与経路に応じて医薬組成物を製剤に調製することができる。ここで、「薬学的に許容される」という用語は、担体の毒性が投与(処方)される対象が適応できる量を超えないとともに、有効成分の活性を阻害しないことを指す。
【0087】
当該分野の常識に基づいて、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の各好ましい実例を得ることができる。
【0088】
本発明で使用される試薬及び原料はいずれも市販品として入手できる。
【0089】
本発明の積極的かつ進歩的な効果は、本発明によって提供される化合物がErbB2突然変異体に対して阻害活性を有し、ErbB2突然変異腫瘍細胞の増殖を効果的に阻害することができることである。好ましい実施形態において、本発明によって提供される化合物、特に化合物Iは、NCI-H1781及びBa/F3細胞株におけるErbB2突然変異の増殖に対して良好な阻害活性を有し、且つB細胞リンパ腫細胞系Ba/F3 ErbB2 A775_G776insYVMA細胞マウス異種移植モデルにおいて、腫瘍の増殖を効果的に阻害することができる。このタイプの化合物の潜在的な臨床応用価値を示している。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、それによって本発明は前記実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例において、具体的な条件が示されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選択される。
【0091】
実施例1 化合物Iの調製
【化25】
【0092】
化合物I:[(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミド]の調製
ステップA:7-エトキシ-6-ニトロキナゾリン-4-オールの調製:7-フルオロ-6-ニトロキナゾリン-4-オール(4000mg、19.13mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解させ、氷水浴で0℃まで冷却させ、ナトリウムエトキシド(4000mg、58.78mmol)の無水エタノール(20ml)溶液を反応溶液にゆっくりと滴下し、徐々に室温まで昇温させ、16時間撹拌した。氷水浴下で、酢酸で反応溶液のpH値を5~6に調節し、ろ過し、真空乾燥させて、4000mgの淡黄色固体を得、次のステップの反応に直接に使用した。
【0093】
ステップB:4-クロロ-7-エトキシ-6-ニトロキナゾリンの調製:7-エトキシ-6-ニトロキナゾリン-4-オール(4000mg、17.01mmol)をオキシ塩化リン(50ml)に溶解させ、撹拌しながら4時間加熱還流させた。次に反応溶液を減圧濃縮乾固し、残留物をジクロロメタン(500ml)に溶解させ、水(500ml)、飽和食塩水(500ml)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで2時間乾燥させ、減圧濃縮して、4000mgの淡黄色固体を得、収率は92.7%であり、次のステップの反応に直接に使用した。
【0094】
ステップC:N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-7-エトキシ-6-ニトロキナゾリン-4-アミンの調製:4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルアニリン(250mg、1.04mmol)、4-クロロ-7-エトキシ-6-ニトロキナゾリン(400mg、1.58mmol)、炭酸カリウム(290mg、2.10mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中で混合し、室温で撹拌した。ろ過し、ろ液にジクロロメタン(100ml)及び水(100ml)を加え、有機層を分離し、水(100ml)、飽和食塩水(100ml)で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過し、減圧濃縮して、590mgの黄色固体を得、次のステップの反応に直接に使用した。
【0095】
ステップD:N4-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-7-エトキシキナゾリン-4,6-ジアミンの調製:N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-7-エトキシ-6-ニトロキナゾリン-4-アミン(590mg、1.29mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、ラネーニッケルを加え、アルゴンガスで3回置換し、水素ガスを導入し、室温で2時間撹拌した。珪藻土でろ過し、減圧濃縮して、330mgの固体を得、次のステップの反応に直接に使用した。
【0096】
ステップE:ジエチル(2-((4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)アミノ)-1-フルオロ-2-オキソエチル)ホスフィンの調製:7-エトキシN4-[3-メチル-4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)フェニル]キナゾリン-4,6-ジアミン(1.15g、2.69mmol)及び2-ジエトキシホスホリル-2-フルオロ-酢酸(691mg、3.22mmol)を20mLのピリジンに加え、0℃で1.5mLのオキシ塩化リンを滴下し、1.5時間反応させた。反応を炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチングさせ、減圧濃縮して、残留物を得、ジクロロメタン及び水を加え、有機相を廃棄した。水相をジクロロメタン(60mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧濃縮して、粗生成物を得、カラムクロマトグラフィーにより分離・精製して、920mgの黄色固体を得、収率は55%であった。
【0097】
ステップF:tert-ブチル(R,Z/E)-2-(3-((4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)アミノ)-2-フルオロ-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル)ピロリジン-1-カルボキシレートの調製:水酸化ナトリウム(359mg、8.97mmol)を混合溶媒エタノール18mL及び水1.8mLに溶解させ、ジエチル(2-((4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)アミノ)-1-フルオロ-2-オキソエチル)ホスフィン(700mg、1.12mmol)を加え、溶液を清澄化させた後、0℃でtert-ブチル(2R)-2-ホルミルピロリジン-1-カルボキシレート(447mg、2.24mmol)を加え、反応溶液を室温まで昇温させ、3時間撹拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え、有機溶媒を減圧濃縮除去し、残留物をジクロロメタン(60mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧濃縮して、粗生成物を得、カラムクロマトグラフィーにより分離・精製して、565mgの黄色固体混合物を得、収率は75%であった。
【0098】
ステップG:(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロール-2-イル)アクリルアミドの調製:tert-ブチル(R,Z/E)-2-(3-((4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン)-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)アミノ)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)アミノ)-2-フルオロ-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート混合物(540mg、0.81mmol)を16mLのジクロロメタンに溶解させ、4mLのトリフルオロ酢酸を加え、室温で3時間撹拌した。減圧濃縮し、得られた残留物を20mLのメタノールに溶解させ、1mLの37%のホルムアルデヒド水溶液を加え、室温で1.5時間撹拌し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1g、4.69mmol)をゆっくりと加え、反応溶液を室温で16時間撹拌した。減圧濃縮して、残留物を得、ジクロロメタン及び炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機相を廃棄し、水相をジクロロメタン(80mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過し、減圧濃縮して、残留物を得、カラムクロマトグラフィーにより分離・精製して、粗生成物を得、次にSFCにより分離・精製して、134mgの目的化合物を得、収率は28%であった。
【0099】
下記の実施例において、化合物2~化合物7、化合物10~化合物15、化合物17はWO2019042409A1に開示され、当該特許出願に記載の調製方法に従って得られた;化合物8、化合物9及び化合物16はWO2017148391A1に開示され、当該特許出願に記載の調製方法に従って得られた。ラパチニブ、ツカチニブ、ピロチニブ、ネラチニブは市販品から購入した。
【0100】
実施例2 ErbB2突然変異体阻害試験
当該試験で使用された試薬材料及び試験プロセスは、Reaction Biology Corporationによって提供され、完了された。具体的なステップは下記の通りである。
【0101】
1.化合物の調製:試験化合物及び対照化合物(スタウロスポリン/Staurosporine)をすべてDMSOに溶解させた。
【0102】
2.酵素反応試験条件:試験化合物の培養時間は20分であり、ATP濃度は10μMであり、酵素反応時間は2時間であった。
【0103】
3.酵素反応実験のステップ
酵素反応緩衝液は、20mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、2mMのMnCl、1mMのEGTA、0.01%のBrij35、0.02mg/mlのBSA、0.1mMのNaVO、2mMのDTT、1%のDMSOであった。
【0104】
酵素反応のステップは下記の通りである。
【0105】
(1)各酵素反応に必要な基質を新たに調製した酵素反応緩衝液にそれぞれ溶解させた。
【0106】
(2)各酵素をそれぞれ上記の基質溶液に加え、均一に混合した。
【0107】
(3)試験化合物を対応する濃度で酵素-基質混合溶液にそれぞれ加え、室温で20分間培養した。
【0108】
(4)それぞれ33P-ATP(最終濃度:0.01μCi/μl)を加えて酵素反応を開始し、室温で2時間培養した。
【0109】
(5)酵素反応溶液をP81イオン交換紙(Whatman#3698-915)に加えた。
【0110】
(6)0.75%のリン酸で洗浄した。
【0111】
(7)紙上の放射性リン酸化基質を読み取った。
【0112】
4.データ分析:
キナーゼ活性%=(試験化合物試料の残りのキナーゼ活性/溶媒対照試料(DMSO)のキナーゼ活性)×100%。
【0113】
化合物のIC50は、異なる化合物濃度におけるキナーゼ活性%に基づいてフィッティング計算された。
【0114】
【表1】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
その中で、対照化合物はスタウロスポリン(Staurosporine)であり、強力な非選択的プロテインキナーゼ阻害剤であり、アポトーシス誘導剤であり、その役割は実験系が有効であることを証明することである。
【0119】
ラパチニブ、ツカチニブ、ピロチニブ、ネラチニブ及び化合物Iはいずれも化学式1で表される構造を含み、それらの構造はそれぞれ下記の通りである。
【0120】
化学式1:
【0121】
【化26】
【0122】
ラパチニブ:
【0123】
【化27】
【0124】
ツカチニブ:
【0125】
【化28】
【0126】
ピロチニブ:
【0127】
【化29】
【0128】
ネラチニブ:
【0129】
【化30】
【0130】
化合物I:
【0131】
【化31】
【0132】
対照化合物(スタウロスポリン):
【0133】
【化32】
【0134】
結果:ラパチニブ、ツカチニブ、ピロチニブ、ネラチニブ及び化学式1はいずれもErbB2突然変異体に対して阻害特性を有し、その中で、化学式1のほとんどの化合物はラパチニブ、ツカチニブ、ピロチニブ及びネラチニブよりも高い阻害特性を有する。
【0135】
実施例3 ErbB2突然変異細胞阻害試験
【0136】
【表2】
【0137】
細胞を培養し、対数増殖期にある細胞を回収し、血小板カウンターを使用して細胞を計数した。トリパンブルー排除法を使用して細胞生存率を検出し、細胞生存率が90%以上であることを確認した。in vitro培養後、2×10個の細胞を得た。細胞懸濁液を1×10細胞/ウェルで96ウェルプレート(90μL/ウェル)にそれぞれ加え、37℃、5%のCO、湿度95%の条件下で一晩培養した。10倍薬物溶液を調製し、検出用最高濃度は10μMであり、3倍に希釈して9個濃度とし、細胞を接種した96ウェルプレートの各ウェルに10μLの薬物溶液を加え、各薬物濃度に3つの複製ウェルを設定した。薬物を加えた96ウェルプレートの細胞を37℃、5%のCO、湿度95%の条件下で72時間培養し続け、次にCTG分析を実行した。
【0138】
【表3】
【0139】
結果:ラパチニブ及び化合物Iは、上記の2つの突然変異細胞株(これら2つの突然変異は肺がんに現れた)において良好な細胞増殖阻害の活性を有する。
【0140】
実施例4 NPSGマウス異種移植モデルにおける薬効試験
オスのNPSGマウス(Shanghai Jihui Experimental Animal Breeding Co., Ltd.、証明書:No.20170012006783)の右肩にBa/F3 ErbB2 A775_G776insYVMA細胞(in vitro培養、9×10細胞を得た)を皮下接種し、平均腫瘍体積が130mmに達した時点で、腫瘍体積及び体重に基づいてランダムに各群10匹で6群に分け、直ちに投与を開始した。投与後、マウスの体重及び腫瘍体積を週2回測定し、実験13日目まで投与を連続した。実験の14日目に、各群に対して薬物投与後の試料採取を実行した。
【0141】
【表4】
【0142】
注:データは平均値±標準誤差であり、対照群は化合物を投与しない群である。
【0143】
結論:データにより、B細胞リンパ腫細胞系Ba/F3 ErbB2 A775_G776insYVMA細胞マウス異種移植モデルで13日間の連続投与実験において、ピロチニブ及びネラチニブは20mg/kgの用量で中程度の有効性を示し、化合物Iは10mg/kg、20mg/kg、40mg/kgの用量でいずれも強い有効性を示し、その中で、化合物Iは40mg/kgの用量で最も強い腫瘍阻害効果を示し、他の各試験薬物群と統計的差異を示した(p値はいずれも0.01未満である)。各試験薬物群の動物は、試験期間中に有意な体重減少や死亡を示さなかった。
【0144】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、当業者であれば、これらは単なる例であり、本発明の原理及び本質から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更や修正を加えることができることを理解されたい。従って、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。
【国際調査報告】