(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】細胞分離制御装置{APPARATUS TO CONTROL CELL SEPARATION}
(51)【国際特許分類】
C12M 1/28 20060101AFI20240321BHJP
B04B 5/00 20060101ALI20240321BHJP
B04B 15/02 20060101ALI20240321BHJP
B04B 7/08 20060101ALI20240321BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240321BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240321BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20240321BHJP
C12M 1/10 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
C12M1/28
B04B5/00 Z
B04B15/02
B04B7/08
G01N37/00 101
G01N1/10 H
G01N1/04 H
C12M1/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560812
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 KR2022004357
(87)【国際公開番号】W WO2022211429
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0042400
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523077457
【氏名又は名称】シーティーセルズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CTCELLS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン マン
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4D057
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AA33
2G052AD12
2G052AD29
2G052DA09
2G052DA21
2G052ED17
4B029AA09
4B029AA11
4B029BB01
4B029CC01
4B029GB02
4B029GB04
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4D057AA03
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4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057BA21
4D057BA33
(57)【要約】
本発明の実施例に係る細胞分離制御装置は、複数個のチャンバを備え、回転によって発生する遠心力によって試料から標的物質を分離させる分離ディスクと、前記分離ディスクに結合され、前記分離ディスクの前記複数個のチャンバを連結させるチャンネル内の弁に熱を伝達するヒーティング端子が備えられる印刷回路基板および前記印刷回路基板上に備えられ、前記ヒーティング端子それぞれを前記弁方向に加圧することで、前記ヒーティング端子から前記弁に熱が伝達されるようにする複数個の加圧部を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のチャンバを備え、回転によって発生する遠心力によって試料から標的物質を分離させる分離ディスク;
前記分離ディスクに結合され、前記分離ディスクの前記複数個のチャンバを連結させるチャンネル内の弁に熱を伝達するヒーティング端子が備えられる印刷回路基板;および
前記印刷回路基板上に備えられ、前記ヒーティング端子それぞれを前記弁方向に加圧することで、前記ヒーティング端子から前記弁に熱が伝達されるようにする複数個の加圧部;
を含むことを特徴とする、細胞分離制御装置。
【請求項2】
前記複数個の加圧部は、加圧プレートに結合されて前記加圧プレートが前記印刷回路基板に対して固定されるとき、前記加圧部が前記ヒーティング端子を加圧することを特徴とする、請求項1に記載の細胞分離制御装置。
【請求項3】
前記複数個の加圧部それぞれは、
前記ヒーティング端子に対応するように、前記加圧プレートに固定される固定棒;
前記固定棒の長さ方向に移動可能であるように前記固定棒に結合されて前記ヒーティング端子を押す加圧棒;および
前記固定棒内に取り付けられ、前記加圧棒を前記ヒーティング端子方向に押す力を発生させるバネを含むことを特徴とする、請求項2に記載の細胞分離制御装置。
【請求項4】
前記分離ディスクと、前記印刷回路基板と、前記加圧プレートと、回転力を発生させるローターは、それぞれの中央を貫通するロッキング部によって結合されることを特徴とする、請求項3に記載の細胞分離制御装置。
【請求項5】
前記ローターの中央には、前記ロッキング部の端部を係止する係止溝が備えられ、前記ロッキング部の端部を前記係止溝に挿入させた後、回転させると、係止が行われることを特徴とする、請求項4に記載の細胞分離制御装置。
【請求項6】
前記ロッキング部によって、前記分離ディスクと、前記印刷回路基板と、前記加圧プレートおよび前記ローターの係止が行われると、前記ヒーティング端子それぞれに対する前記加圧部のそれぞれの加圧が行われることを特徴とする、請求項4に記載の細胞分離制御装置。
【請求項7】
前記分離ディスクに対する前記印刷回路基板の結合が複数個の係止ボルトによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の細胞分離制御装置。
【請求項8】
前記係止ボルトの端部には、前記係止ボルトの長さ方向の垂直方向である両方向に延長して、一字を形成する固定ピンが備えられ、
前記印刷回路基板には、前記固定ピンの形状に対応するピン穴が貫通され、
前記分離ディスクのカバーには、前記固定ピンが貫通される貫通穴が形成され、前記カバーの内側面には、前記固定ピンが固定される固定溝が形成されることを特徴とする、請求項7に記載の細胞分離制御装置。
【請求項9】
前記チャンネル内の前記弁を成す物質は、熱可塑性樹脂または常温で固体状態であり、熱を通じて相転移が起きる相転移物質であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞分離制御装置。
【請求項10】
前記チャンネル内の前記弁を成す相転移物質は、ワックスであり、
前記パラフィンワックス(paraffin wax)、マイクロクリスタリンワックス(microcrystalline wax)、ペトロラタムワックス(petrolatum wax)、動物性または植物性合成ワックス(synthetic wax)または天然ワックス(natural wax)であることを特徴とする、請求項9に記載の細胞分離制御装置。
【請求項11】
前記分離ディスクには上面から深さ方向に貫通された窪み穴が形成され、
前記窪み穴に対応するように、前記分離ディスクのカバーにはカバー穴が形成され、
前記前記カバー穴に対応するように、前記印刷回路基板には基板穴が形成され、
前記基板穴に対応するように、前記加圧プレートにはアライン穴が形成され、
前記アライン穴、前記基板穴、前記カバー穴および前記窪み穴にアラインのためのアラインピンが結合されることを特徴とする、請求項2に記載の細胞分離制御装置。
【請求項12】
前記アラインピンは、下端部は下に行くほど直径が減少する円錐形状を有し、
前記アラインピンの中央部は、前記円柱形状を有し、
前記アラインピンの上端部は、前記アライン穴に比べて直径が大きいため、前記アライン穴に対して支持されることを特徴とする、請求項11に記載の細胞分離制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞分離制御装置に関し、より詳細には、分離ディスクのチャンバとチャンバとの間を連結するチャンネルに備えられた弁に熱伝達をまともにすることで、弁の開閉作動が正確且つ円滑に行われ得る細胞分離制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍と関連する死亡は、殆ど最初に腫瘍が発生した箇所から離れた組織および機関への転移による。よって、転移を早期に見つけることは、がん患者の生存確率に対する重要な決定要素である。
【0003】
腫瘍の早期発見および腫瘍の成長をモニタリングすることは、がん患者の成功的な治療に非常に重要な要素とされる。
【0004】
がんの診断は、一般的に組織病理学(histopathology)による診断技法を利用する。組織病理学診断技法は、生検体から得られる組織試料を使用して腫瘍を診断する技法である。このような組織病理学によるアプローチは、腫瘍細胞を直接的に観察できるようにする。
【0005】
一方、循環腫瘍細胞(CTCs、Circulating Tumor Cells)は、最初に腫瘍が検出される以前に患者から発見されると知られている。よって、循環腫瘍細胞は、がんの早期診断および予測において重要な役割をすることができる。概して、がんは、血液を通じて転移されるという点で、循環腫瘍細胞は、がんの転移の有無を診断することができる標識になり得る。
【0006】
このために、血液のような試料から循環腫瘍細胞のような標的細胞を抽出するディスクタイプの装置が研究および開発中にある。
【0007】
従来のディスク装置は、例えば、複数個のチャンバを備えるディスクを含み、このディスクを回転させて遠心力を発生させ、この遠心力を利用して血液から循環腫瘍細胞のような標的細胞を分離する方式を取っている。
【0008】
複数個のチャンバは、概略的にメインチャンバと、これにチャンネルで連結された分離チャンバなどを含むことができるが、チャンネル内に弁が備えられて弁の開閉動作によって物質の移動が行われ得る。
【0009】
ところが、従来のディスク装置においては、弁が一般的に熱によって反応するワックスなどからなっているが、この弁に熱がまともに伝達されず弁の作動にエラーが発生する恐れがあった。
【0010】
よって、弁の作動を正確にして、標的細胞の分離作業を正確且つ円滑に遂行できるようにする新たな構成の細胞分離制御装置の開発が要求される実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0143578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施例は、分離ディスクのチャンバとチャンバとの間を連結するチャンネルに備えられた弁に熱伝達をまともにすることで、弁の開閉作動が正確且つ円滑に行われ得る細胞分離制御装置を提供する。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施例に係る細胞分離制御装置は、複数個のチャンバを備え、回転によって発生する遠心力によって試料から標的物質を分離させる分離ディスクと、前記分離ディスクに結合され、前記分離ディスクの前記複数個のチャンバを連結させるチャンネル内の弁に熱を伝達するヒーティング端子が備えられる印刷回路基板と、前記印刷回路基板上に備えられ、前記ヒーティング端子それぞれを前記弁方向に加圧することで、前記ヒーティング端子から前記弁に熱が伝達されるようにする複数個の加圧部を含むことができる。
【0015】
一側によれば、前記複数個の加圧部は、加圧プレートに結合されて前記加圧プレートが前記印刷回路基板に対して固定されるとき、前記加圧部が前記ヒーティング端子を加圧することができる。
【0016】
一側によれば、前記複数個の加圧部それぞれは、前記ヒーティング端子に対応するように、前記加圧プレートに固定される固定棒と、前記固定棒の長さ方向に移動可能であるように前記固定棒に結合されて前記ヒーティング端子を押す加圧棒および前記固定棒内に取り付けられ、前記加圧棒を前記ヒーティング端子方向に押す力を発生させるバネを含むことができる。
【0017】
一側によれば、前記分離ディスクと、前記印刷回路基板と、前記加圧プレートと、回転力を発生させるローターは、それぞれの中央を貫通するロッキング部によって結合されることができる。
【0018】
一側によれば、前記ローターの中央には、前記ロッキング部の端部を係止する係止溝が備えられ、前記ロッキング部の端部を前記係止溝に挿入させた後、回転させると、係止が行われ得る。
【0019】
一側によれば、前記ロッキング部によって、前記分離ディスクと、前記印刷回路基板と、前記加圧プレートおよび前記ローターの係止が行われると、前記ヒーティング端子それぞれに対する前記加圧部のそれぞれの加圧が行われ得る。
【0020】
一側によれば、前記分離ディスクに対する前記印刷回路基板の結合が複数個の係止ボルトによって行われ得る。
【0021】
一側によれば、前記係止ボルトの端部には、前記係止ボルトの長さ方向の垂直方向である両方向に延長して、一字を形成する固定ピンが備えられ、前記印刷回路基板には、前記固定ピンの形状に対応するピン穴が貫通され、前記分離ディスクのカバーには、前記固定ピンが貫通される貫通穴が形成され、前記カバーの内側面には、前記固定ピンが固定される固定溝が形成されることができる。
【0022】
一側によれば、前記チャンネル内の前記弁を成す物質は、熱可塑性樹脂または常温で固体状態であり、熱を通じて相転移が起きる相転移物質であってよい。
【0023】
一側によれば、前記チャンネル内の前記弁を成す相転移物質は、ワックスであり、前記パラフィンワックス(paraffin wax)、マイクロクリスタリンワックス(microcrystalline wax)、ペトロラタムワックス(petrolatum wax)、動物性または植物性合成ワックス(synthetic wax)または天然ワックス(natural wax)と言える。
【0024】
一側によれば、前記分離ディスクには上面から深さ方向に貫通された窪み穴が形成され、前記窪み穴に対応するように、前記分離ディスクのカバーにはカバー穴が形成され、前記前記カバー穴に対応するように、前記印刷回路基板には基板穴が形成され、前記基板穴に対応するように、前記加圧プレートにはアライン穴が形成され、前記アライン穴、前記基板穴、前記カバー穴および前記窪み穴にアラインのためのアラインピンが結合されることができる。
【0025】
一側によれば、前記アラインピンは、下端部は下に行くほど直径が減少する円錐形状を有し、前記アラインピンの中央部は、前記円柱形状を有し、前記アラインピンの上端部は、前記アライン穴に比べて直径が大きいため、前記アライン穴に対して支持されることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施例によれば、分離ディスクのチャンバとチャンバとの間を連結するチャンネルに備えられた弁に熱伝達をまともにすることで、弁の開閉作動が正確且つ円滑に行われることができ、よって、分離ディスク内で標的細胞の分離作業が信頼性があるように行われ得る。
【0027】
また、係止ボルトによって分離ディスクに対する印刷回路基板の結合を迅速且つ簡単にすることができ、ローターと、分離ディスクと、印刷回路基板と、加圧プレートをロッキング部によって容易に結束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例に係る細胞分離制御装置の一部を切り取った斜視図である。
【
図2】
図1に図示された細胞分離制御装置の構成がロッキング部によって結合された状態を切り取って示した斜視図である。
【
図3】
図1に図示された加圧部によるヒーティング端子の加圧を概略的に表現した図面である。
【
図4】
図1に図示された印刷回路基板と分離ディスクが係止ボルトによって結合されることを図示した図面である。
【
図5】
図5に図示された係止ボルトによって係止が行われる過程を順次に図示した図面である。
【
図6】本発明の一実施例に係る細胞分離制御装置の分解斜視図である。
【
図7】
図6に図示されたアラインピンの構成を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の利点および/または特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面とともに詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になるはずである。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されるはずであり、単に、本実施例は、本発明の開示が完全であるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって正義されるだけである。明細書全体にわたって、同一参照符号は、同一構成要素を指称する。
【0030】
以下においては、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例に係る細胞分離制御装置の一部を切り取った斜視図であり、
図2は、
図1に図示された細胞分離制御装置の構成がロッキング部によって結合された状態を切り取って示した斜視図であり、
図3は、
図1に図示された加圧部によるヒーティング端子の加圧を概略的に表現した図であり、
図4は、
図1に図示された印刷回路基板と分離ディスクが係止ボルトによって結合されることを図示した図であり、
図5は、
図5に図示された係止ボルトによって係止が行われる過程を順次に図示した図であり、
図6は、本発明の一実施例に係る細胞分離制御装置の分解斜視図であり、
図7は、
図6に図示されたアラインピンの構成を説明するための図面である。
【0032】
これらの図面に図示されたように、本発明の一実施例に係る細胞分離制御装置100は、回転のための駆動力を発生させるローター110と、ローター110に結合されてローター110の回転とともに回転し、このときに発生する遠心力を利用して血液から標的細胞を分離させる分離ディスク120と、分離ディスク120の上部で分離ディスク120と結合され、ヒーティング端子145が備えられる印刷回路基板140と、印刷回路基板140上部で印刷回路基板140に結合され、ヒーティング端子145を加圧する加圧部160と、加圧部が結合されて加圧部160がヒーティング端子を押すようにする加圧プレート150と、前述した構成の中央に貫通されて、前記構成を一つに結合させるロッキング部170を含むことができる。
【0033】
それぞれの構成について説明すると、先ず、本実施例のローター110は、ロッキング部170によって分離ディスク120、印刷回路基板140そして加圧プレート150と結合され、ローター110の回転によって結合された構成が一緒に回転することができる。
【0034】
このようなローター110は、本装置100の制御部の制御によって回転速度などが決まることができ、回転速度によって遠心力が発生して分離ディスク120内で血液からの標的細胞の分離が行われ得る。
【0035】
付け加えると、本実施例においては、分離ディスク120の作動を通じて血液から循環腫瘍細胞のような標的細胞が分離する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、本実施例の制御装置100を利用して生物学的試料に含まれた所望の粒子または細胞の分離が可能であり、例えば、その細胞が循環腫瘍細胞(CTC)であってよい。
【0036】
本実施例の分離ディスク120は、ディスク形状のディスク本体121と、その対面から溝形状に備えられる複数個のチャンバを含むことができる。よって、ローター110の回転によって分離ディスク120が回転されるときに発生する遠心力を利用し、例えば、血液からの標的細胞の分離が行われ得る。
【0037】
本実施例の複数個のチャンバは、
図1および
図2に概略的に図示されたように、メインチャンバ122と、プラズマ分離チャンバと、混合チャンバと、分離チャンバと、標的細胞収容チャンバなどを含むことができる。
【0038】
このようなチャンバ構造を通じて、例えば、血液から標的細胞を分離することができ、その過程が円滑に進行されるためには、チャンバを繋ぐチャンネル130の弁135の作動が円滑に行われることが必須である。
【0039】
すなわち、チャンネル130内の弁135に熱をまともに伝達することで、弁135の開閉が正確に行われるようにしなければならないが、本実施例の場合、このために印刷回路基板140と加圧プレート150が熱伝達構造を有している。
【0040】
先ず、本実施例のチャンネル130に備えられる弁135について説明すると、本実施例の弁135は、チャンネル130の通路を遮断するときは、固体状態を維持して、熱を加えると溶融される熱可塑性樹脂または相転移物質であってよい。
【0041】
本実施例の場合、弁135は、相転移物質としてワックス(wax)が適用されてよい。ワックスとしては、パラフィンワックス(paraffin wax)、マイクロクリスタリンワックス(microcrystalline wax)、ペトロラタムワックス(petrolatum wax)、動物性または植物性合成ワックス(synthetic wax)または天然ワックス(natural wax)のうちいずれか一つが使用されてよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0042】
一方、弁135に熱可塑性樹脂が適用されてよいが、熱可塑性樹脂としては、COC(cyclic olefin copolymer)、PMMA(polymethylmethacrylate)、PC(polycarbonate)、PS(polystyrene)、POM(polyoxymethylene)、PFA(perfluoralkoxy)、PVC(polyvinylchloride)、PP(polypropylene)、PET(polyethylene terephthalate)、PEEK(polyetheretherketone)、PA(polyamide)、PSU(polysulfone)およびPVDF(polyvinylidene fluoride)などであってよい。
【0043】
図1ないし
図3を参照すれば、本実施例の印刷回路基板140には、分離ディスク120に備えられる弁135の各位置に対応するようにヒーティング端子145が備えられている。よって、ヒーティング端子145からワックスで設けられる弁135に熱を加えるか、または熱伝達を中止することで、弁135を通じてチャンネル130の通路を開くか閉じることができるものである。
【0044】
付け加えると、
図1に図示されたように、例えば、メインチャンバ122とプラズマ分離チャンバを連結するチャンネル130に弁135が備えられるものであり、この弁135の位置に対応するように、印刷回路基板140上にヒーティング端子145が備えられるものである。
【0045】
ところが、ヒーティング端子145で熱が発生するしても、その熱の伝達がまともに行われなければ、弁135の開閉がまともに行われないことがあるため、ヒーティング端子145を弁135方向に加圧して、熱伝達がまともに行われるようにすることが重要である。
【0046】
したがって、本実施例の場合、加圧プレート150上に加圧部160が備えられ、それぞれの加圧部160がヒーティング端子145を弁135方向に加圧することで、ヒーティング端子145から分離ディスクのカバー127(ディスクの上板)を経て弁135に熱伝達がまともに行われ得る。
【0047】
本実施例の加圧プレート150は、
図1に図示されたように、原型のプレートタイプで設けられ、ヒーティング端子145の位置に対応するように加圧部160が固定されている。
【0048】
このような加圧部160は、それぞれ、
図1および
図2、特に
図3に図示されたように、ヒーティング端子145に対応するように加圧プレート150に固定される固定棒161と、固定棒161の長さ方向に移動可能であるように固定棒161に結合されてヒーティング端子145を押す加圧棒163と、固定棒161内に取り付けられて加圧棒163をヒーティング端子145方向に押す力を発生させるバネ165を含むことができる。
【0049】
図3を参照すれば、固定棒161内のバネ165が加圧棒163をヒーティング端子145方向に押し出すことで、加圧棒163の下端部がヒーティング端子145に力を加えることができ、ヒーティング端子145は、弁135に熱伝達をまともにすることができ、弁135の動作によるチャンネル130の開閉がまともに行われ得る。
【0050】
すなわち、加圧部160によってヒーティング端子145から弁135への熱伝達効率を高めることで、弁135開閉の効率を高めることができ、よって、前述したように、分離ディスク120内で血液から標的細胞の分離過程が信頼性があるように行われ得る。
【0051】
一方、
図1および
図2を参照すれば、前述したように、本実施例は、ロッキング部170によって、加圧プレート150、印刷回路基板140、分離ディスク120およびローター110が一体で結合されることができる。
【0052】
すなわち、加圧プレート150、印刷回路基板140、分離ディスク120には、ロッキング部170が貫通される穴が形成され、ローター110の中央には、ロッキング部170が挿入される係止溝111が形成され、ロッキング部170をこの穴および係止溝111に結合させた後、ロッキング部170を一方向に回転させることで、加圧プレート150、印刷回路基板140、分離ディスク120およびローター110にロッキング部170の係止を行うことができる。
【0053】
併せて、ロッキング部170によって各構成に対する係止が行われると、
図2に図示されたように、加圧部160がヒーティング端子145に密着されることで、ヒーティング端子145から弁135への熱伝達がまともに行われ得る。
【0054】
一方、
図4および
図5を参照すれば、分離ディスク120と印刷回路基板140の結合が複数個の係止ボルト180によって簡単に行われ得る。
図4を見れば、印刷回路基板140の4つの領域に係止ボルト180の結合のためのピン穴146が形成され、これに対応する分離ディスク120のカバー127にもピン穴146の位置に対応する貫通穴128が形成されることができる。
【0055】
図4に図示されたように、係止ボルト180の端部には、係止ボルト180の長さ方向の垂直方向である両方向に延長される一字形状の固定ピン181が備えられ、印刷回路基板140に形成されたピン穴146は、固定ピン181に対応する形状を有することができる。
【0056】
併せて、
図5に図示されたように、分離ディスク120のカバー127に形成された貫通穴128は、ピン穴146の形状と対応する形状を有し、よって、係止ボルト180の固定ピン181をピン穴146、貫通穴128を貫通させた後、係止ボルト180を回転させることで、分離ディスク120に対する印刷回路基板140の結束を行うことができる。
【0057】
付け加えると、カバー127の内側面には、固定ピン181が固定される固定溝129が形成されるが、この固定溝129は、貫通穴128に対して垂直方向を持つことで、貫通穴128と固定溝129は全体的に十字形状を有することができる。
【0058】
よって、
図5に図示されたように、係止ボルト180の固定ピン181を貫通穴128に貫通させた後、係止ボルト180を90度回転させた後、係止ボルト180を引くと、固定ピン181が固定溝129に挿入され、これを通じて分離ディスク120に対する印刷回路基板140の結束が行われ得るものである。
【0059】
このように、係止ボルト180によって分離ディスク120と印刷回路基板140の結合が簡単且つ堅固に行われ得る。
【0060】
一方、本実施例の場合、前述したように、弁135に対する加圧部160の位置をまともにアライン(align)することが重要であり、このために、
図6および
図7に図示されたように、それぞれの構成にはアラインのための穴が形成され、そして、このような穴にアラインのためのアラインピン180が結合されることで、熱利用弁制御構造を構築することができる。
【0061】
図7を参照すれば、分離ディスク120には、対面から深さ方向に貫通された窪み穴120hが形成され、窪み穴120hに対応するように、分離ディスク120のカバー127には、カバー穴127hが形成されることができる。また、カバー穴127hに対応するように、印刷回路基板140には基板穴140hが形成され、基板穴140hに対応するように、加圧プレート150にはアライン穴150hが形成されることができる。
【0062】
そして、このようなアライン穴150h、基板穴140h、カバー穴127hおよび窪み穴120hにアラインのためのアラインピン190を結合させることで、各構成の位置が正確にアラインされることができ、これによって、弁135に対する加圧部160の位置もまた正確にアラインすることができる。
【0063】
本実施例のアラインピン190は、
図7に図示されたように、その下端部193が下に行くほど直径が減少する円錐形状を有することができ、これによって、下端部193を窪み穴120hおよびカバー穴127h、そして基板穴140hに容易に挿入させることができる。
【0064】
アラインピン190の中央部191は、円柱形状に設けられ、外面にはバネ197が取り付けられ、印刷回路基板140に対する加圧プレート150の位置を堅固に維持することができる。
【0065】
そして、アラインピン190の上端部195は、アライン穴150hに比べて大きい直径を有し、よって、加圧プレート150の位置を固定させることができる。アラインピン190の上端部195は、中央部191に対して着脱可能な構造を有することができ、よって、
図4に図示されたように、アラインピン190を加圧プレート150上に結合させた後、アライン過程が行われ得る。
【0066】
このように、本発明の一実施例によれば、分離ディスク120のチャンバとチャンバとの間を連結するチャンネル130に備えられた弁135に熱伝達をまともにすることで、弁135の開閉作動が正確且つ円滑に行われることができ、よって、分離ディスク120内で標的細胞の分離作業が信頼性があるように行われ得る。
【0067】
また、係止ボルト180によって分離ディスク120に対する印刷回路基板140の結合を迅速且つ簡単にすることができ、ローター110と、分離ディスク120と、印刷回路基板140と、加圧プレート150をロッキング部170によって容易に結束させることができる。
【0068】
これまで本発明に係る具体的な実施例に関して説明したが、本発明の範囲から外れない限り、多様な変形が可能であることはもちろんである。そのため、本発明の範囲は、説明された実施例に限って定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけではなくこの特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【0069】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、これは、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。よって、本発明の思想は、下記に記載された特許請求の範囲によってのみ把握されなければならず、この均等または等価的変形のすべては、本発明思想の範疇に属すると言えるだろう。
【符号の説明】
【0070】
100・・・細胞分離制御装置
110・・・ローター
111・・・係止溝
120・・・分離ディスク
121・・・ディスク本体
122・・・メインチャンバ
127・・・カバー
128・・・貫通穴
129・・・固定溝
130・・・チャンネル
135・・・弁
140・・・印刷回路基板
145・・・ヒーティング端子
146・・・ピン穴
150・・・加圧プレート
160・・・加圧部
161・・・固定棒
163・・・加圧棒
165・・・バネ
170・・・ロッキング部
180・・・係止ボルト
181・・・固定ピン
190・・・アラインピン
【国際調査報告】