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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】濾過媒体
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/34 20060101AFI20240321BHJP
   A61M 1/18 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 69/08 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 61/28 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/16 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/34 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/38 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/42 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/44 20060101ALI20240321BHJP
   B01D 71/66 20060101ALI20240321BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20240321BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240321BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61M1/34 100
A61M1/18 500
B01D69/08
B01D61/28
B01D71/16
B01D71/26
B01D71/34
B01D71/38
B01D71/42
B01D71/44
B01D71/66
B01J20/22 C
B01J20/26 H
B01J20/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561171
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022022748
(87)【国際公開番号】W WO2022216510
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/171,476
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516315694
【氏名又は名称】エクスセラ メディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エス.ワード
(72)【発明者】
【氏名】キース アール.マクリア
【テーマコード(参考)】
4C077
4D006
4G066
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB02
4C077CC03
4C077HH03
4C077HH17
4C077HH20
4C077JJ03
4C077JJ18
4C077JJ22
4C077KK12
4C077KK13
4C077KK15
4C077LL05
4C077MM07
4C077NN15
4C077PP08
4C077PP12
4C077PP15
4D006GA13
4D006HA02
4D006JA13Z
4D006JA25A
4D006JA27Z
4D006JB04
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4D006MC29
4D006MC33
4D006MC37
4D006MC39
4D006MC62
4D006MC63
4D006PA01
4D006PB09
4D006PB70
4D006PC47
4G066AB26B
4G066AC01B
4G066AC03B
4G066AC12B
4G066AC27B
4G066BA09
4G066BA26
4G066CA01
4G066CA20
4G066DA12
(57)【要約】
本開示は、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを備える、濾過媒体を提供する。本開示はさらに、デバイスを提供し、該デバイスは、濾過媒体を備え、該濾過媒体は、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過媒体であって、中空糸膜と吸着媒体の組み合わせを備える、濾過媒体。
【請求項2】
前記中空糸膜は、ポリマーで作製される、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項3】
前記ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン処理ポリアクリロニトリル(AN69)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスルホン(PSf)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルローストリアセテート(CA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項2記載の濾過媒体。
【請求項4】
吸着媒体は、表面コーティングされた固体基質である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項5】
前記表面コーティングは、ヘパリン、ポリエチレンイミン(PEI)、シアル酸、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項4に記載の濾過媒体。
【請求項6】
前記表面コーティングは、モノクローナル抗体、タンパク質、炭水化物、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項7】
前記吸着媒体の表面積は、約5mと約50mの間である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項8】
前記吸着媒体の表面積は、約10mと約20mの間である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項9】
前記吸着媒体は、前記中空糸膜の内径よりも大きいサイズである、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項10】
前記吸着媒体は、ビーズである、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項11】
デバイスであって、前記デバイスは、濾過媒体を備え、前記濾過媒体は、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを含む、デバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、第1エンドキャップ及び第2エンドキャップを有し、前記濾過媒体は、それらの間に配置される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記濾過媒体は、第1吸着媒体部分、中空糸膜部分、及び第2吸着媒体部分のサンドイッチ構成であり、前記中空糸膜は、前記第1吸着媒体部分と前記第2吸着媒体部分の間に挟まれている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1吸着媒体及び前記第2吸着媒体は、同一の材料である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1吸着媒体及び前記第2吸着媒体は、異なる材料である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記中空糸膜は、ポリマーで作製される、請求項11ないし15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン処理ポリアクリロニトリル(AN69)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスルホン(PSf)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルローストリアセテート(CA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項11ないし16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
吸着媒体は、表面コーティングされた固体基質である、請求項11ないし17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記表面コーティングは、ヘパリン、ポリエチレンイミン(PEI)、シアル酸、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記表面コーティングは、モノクローナル抗体、タンパク質、炭水化物、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項18ないし19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記吸着媒体の表面積は、約5mと約50mの間である、請求項11ないし20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記吸着媒体の表面積は、約10mと約20mの間である、請求項11ないし21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記吸着媒体は、前記中空糸膜の内径よりも大きいサイズである、請求項11ないし22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
スクリーニングフィルタ又は保持フィルタが、前記中空糸と前記吸着媒体の間に配置される、請求項11ないし23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1エンドキャップ及び前記第2エンドキャップは、前記デバイスの体液入口及び/又は体液出口のためのアタッチメントを有する、請求項12ないし24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記アタッチメントは、ルアーフィッティングである、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第1吸着媒体部分は、保持プレートの組の間に配置される、請求項13ないし26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記保持プレートの組は、スクリーニング用基質又は多孔質基質である、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第2吸着媒体部分は、保持プレートの組の間に配置される、請求項13ないし26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記保持プレートの組は、スクリーニング用基質又は多孔質基質である、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記第1エンドキャップは、穴を備える、請求項12ないし28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記第2エンドキャップは、穴を備える、請求項12ないし31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記デバイスは、透析器又は他の臓器補助デバイスに対して取付けられる、請求項11ないし32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記デバイスは、血液透析、血液濾過、腎代替療法(RRT)、血液灌流、及び/又は糖衣置換療法、から成る群から選択される要素である治療法のために用いられる、請求項11ないし33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記デバイスは、急性腎障害(AKI)のために、又は血流感染又は他の炎症状態に罹患している患者のために、用いられる、請求項11ないし33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記中空糸は、腎毒素を除去し、一方、前記吸着媒体は、病原体と、炎症性分子と、病原体関連分子パターン(PAMP)と、ダメージ関連分子パターン(DAMP)と、毒素と、タンパク質結合尿毒症毒素と、循環腫瘍細胞(CTC)と、他の敗血症性メディエータと、を除去する、請求項11ないし33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
透析器を使用中の患者の炎症を軽減するための方法であって、前記方法は、透析後の体液を吸着媒体に接触させることを備え、前記吸着媒体は、表面コーティングされた固体基質を備える、方法。
【請求項38】
前記表面コーティングは、ヘパリン、ポリエチレンイミン(PEI)、シアル酸、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記表面コーティングは、モノクローナル抗体、タンパク質、炭水化物、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される要素である、請求項37ないし38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記吸着媒体の表面積は、約5mと約50mの間である、請求項37ないし39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記吸着媒体の表面積は、約10mと約20mの間である、請求項37ないし40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記吸着媒体は、上流に位置する中空糸膜の内径よりも大きいサイズである、請求項37ないし41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記吸着媒体は、ビーズである、請求項37ないし42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年4月6日に出願された、米国仮特許出願第63/171476号に対する優先権を主張する。その内容全体は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ExThera Medical社のSeraph(登録商標) 100は、血流感染時の病原体を減少させるための、CEマーク取得デバイスである。Seraph(登録商標) 100を用いた治療では、体外式フィルタを通過するたびに、流入してきた患者の血液中の病原体の34%より多くを、99%までを、除去することができる。慢性透析及び持続的腎代替療法において用いられる典型的な血液流量では、この治療によって、患者の血流は、治療開始後わずか数時間で大きく減少する。
【0003】
さらに最近では、Seraph(登録商標) 100は、新型コロナウイルス感染症(2019)において、機械換気及び昇圧剤のサポートを必要とする事例で血行力学的安定性を改善することが示されている。COVID-19の昇圧剤投与治療において、体温、インターロイキン-6、及びC反応性タンパクのレベルは、Seraph(登録商標) 100による治療後に低下した。SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)ウイルス血症が、検査を受けた患者に確認され、治療の完了までに除去された(非特許文献1を参照)。COVID-19患者の推奨される治療という理由で、Seraph(登録商標) 100は、FDAによって、呼吸器に影響を受けたCOVID-19患者の治療のための緊急使用許可(EUA)を認められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】SW Olson et al., Crit Care Explor, 2020年8月, 第8号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日まで成されてきた進歩にもかかわらず、急性腎障害(AKI)の患者の治療、又は、血流感染又は他の炎症状態に罹患した患者の治療のための新たな濾過媒体が必要とされている。本開示は、これらのニーズを満たしつつ、他の有利な点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態では、本開示は、濾過媒体であって、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを備える、濾過媒体を提供する。
【0007】
他の実施形態では、本開示は、デバイスであって、該デバイスは、濾過媒体を備え、該濾過媒体は、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを含む、デバイスを提供する。
【0008】
ある例では、上記の(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせにより、体外式デバイスを通過させられる患者の血液量の総量が減少し、このことにより、患者の安全性が向上する。さらに、透析器内で、ヘパリン化された媒体等の吸着媒体を中空糸膜の後又は下流に配置することにより、透析器によって引き起こされる炎症(例えば、炎症性メディエータの細胞活性化又は放出)が、低減又は排除される。さらに、単一のハウジング又はデバイス内で(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体を組み合わせることにより、患者の血液が接触させられるハウジングの表面積の総量は減少し、異物免疫応答を低減させる可能性もある。さらに、技術を1つのデバイス内で組み合わせることにより、必要とされるチューブが少なくなり、このことによって、血液量及びチューブに接触する表面積はさらに減少させられる。最後に、両方の技術を1つのデバイス内で組み合わせることにより、プライミングが簡略化され、2つのデバイスを適切に脱気する必要があったことに代わって、デバイス1つのみを脱気する必要がある。これにより、セットアップが簡略化され、かつ、空気塞栓のリスクも低減される。
【0009】
これらの、及び他の、態様、目的、及び実施形態は、後続の詳細な説明及び図を読むことで、より明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態を示している。
図2図2は、本発明の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
体外循環用血液回路は、一般的に、以下を備える。患者から採血するためのデュアルルーメン又は複数ルーメンの針又は動脈側穿刺針を有する動脈血液回路、血液を患者に戻すための静脈側穿刺針を先端に有する静脈血液回路、及び、動脈血液回路と静脈血液回路の間にあるフィルタ。
【0012】
ある実施形態では、本開示は、濾過媒体であって、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを備える、濾過媒体を提供する。本開示の濾過媒体、方法及びデバイスは、血液透析及び血液濾過において用いられるような血液浄化法において用いられる。例えば、可撓性チューブ及び濾過装置から成る血液回路を用いて、対象者の血液は、本明細書で開示されるような濾過媒体を通って体外循環させられる。
【0013】
本開示の濾過媒体を有する血液回路は、血液透析、血液濾過、又は、持続的又は間歇的腎代替療法(RRT)において使用され得る。本デバイスはまた、血液が保管及び保存される、血液バンクの文脈においても使用され得る。
【0014】
ある態様では、動脈血液回路、濾過媒体、及び静脈血液回路は、可撓性チューブを介して接続されており、かつ、患者から取り出された血液は、その可撓性チューブを介して、デバイス及び濾過媒体に接触させられる。
【0015】
対象者の血液は、動脈血液回路を介して対象者の体内から体外へと取り出され、そして、血液回路に導入される。その後、血液は、血液回路中の可撓性チューブを通り、その分離した媒体を備えるデバイスへと流れる。
【0016】
ある実施形態では、本開示は、濾過媒体であって、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを備える、濾過媒体を提供する。濾過媒体を通過した後に該媒体から排出された血液は、尿毒症性物質、病原体、炎症性分子、病原体関連分子パターン(PAMP)、ダメージ関連分子パターン(DAMP)、毒素、蛋白質結合尿毒症毒素、他の敗血症性メディエータ、及び/又は循環腫瘍細胞(CTC)、の濃度が低下させられた血液として、例えば静脈血液回路を介して、対象者の体の外部から内部へと戻される。
【0017】
本開示の濾過媒体は、尿毒症性物質、病原体、及び炎症性分子を減少させるために有用であり、かつ、急性又は慢性腎障害(AKI)の患者に対して適用することができ、それによって、AKI又は慢性腎臓病の患者の血液中の尿毒素及び/又は炎症性分子の濃度を低下させることができるのである。
【0018】
本開示の濾過媒体は、多くの場合、(i)中空糸膜及び(ii)吸着媒体を備える。この濾過媒体は、血液は通過させるが、毒素、病原体、及び他の有害物質を吸着する。中空糸膜は、複数の中空糸膜であってよい。
【0019】
ある態様では、中空糸膜は、ポリマーで作製される。適したポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン処理ポリアクリロニトリル(polyethyleneimine-treated polyacrylonitrile:AN69)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスルホン(PSf)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルローストリアセテート(CA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びそれらの組み合わせ、を含むが、それらに限定はされない。該中空糸膜は、人工透析、血液濾過、血漿分離等で用いられる。
【0020】
中空糸膜は、血液適合的であり得る。ある態様では、中空糸膜は、ポリスルホンから成るポリマー、又は、ポリスルホンとポリビニルピロリドン等の他のポリマーの混合物、を備える。このポリマーの組み合わせは、一緒に紡糸することができるか、又は中空糸膜をコーティングするために用いることができるものである。
【0021】
ある態様では、中空糸膜の厚さは、約0.01mmから約5mmであり、例えば、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、0.8mm、0.9mm、3mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、及び/又は5mm、である。ある態様では、該中空糸膜は、ハウジング、容器、又はデバイス内に挿入される中空糸膜型モジュールとして用いられる。
【0022】
ある態様では、中空糸膜はハウジング内に収容される。例えば、多数の短尺又は中尺の中空糸膜から成る中空糸膜の束が、中空糸膜カラムとして、円筒形のハウジング内に挿入される。
【0023】
ある態様では、本開示は、濾過媒体であって、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを備える、濾過媒体を提供する。この(ii)吸着媒体は、典型的には、コーティングされた基質である。吸着媒体に適した基質は、ポリマービーズ、粒子、又は充填剤(packing)を含む非多孔質硬質ビーズ、網状発泡体(reticulated foam)、(例えば、焼結ビーズ又は粒子から形成された)硬質モノリシック層、織布又は不織布を充填されたカラム、糸を、又は、固体又は中空緻密(マイクロポーラスではない)モノフィラメント繊維を、充填されたカラム、平坦なフィルム又は緻密な膜から形成された渦巻形のカートリッジ、又は、混合ビーズ/繊維のカートリッジ等の媒体の組み合わせ、を含むが、それらに限定はされない。本開示で使用するのに適した基質は、当初はマイクロポーラスであるが、例えば、末端付着した(end-point-attached)ヘパリン等の多糖類でコーティングされた吸着部位の形成前、形成中、又は形成後に表面が処理されるときに、本質的に非多孔質となる基質である。
【0024】
ある態様では、吸着媒体は、大きな圧力低下及び高い剪断速度を防ぎつつ、血液又は血清に対して高い表面積を提供するマクロポーラス構造を有する。高い圧力低下は、溶血によって血液を損傷する可能性があることに加えて、圧力低下に反応する自動シャットオフ機能を搭載した体外式回路をシャットダウンし得るため、避けられるべきである。基質は、例えば渦巻形の構成の、緻密なバリア膜の形態を取ることもできる。ある態様では、非多孔質フィルムの表面は、例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、又は他の吸着性の多糖類を、ヘパリン、ヘパラン硫酸、又は吸着性の多糖類に由来しない任意の吸着基とともに、膜の表面に結合させる、といったコーティングによって修飾される。
【0025】
ある態様では、吸着媒体は、表面コーティングされた固体基質である。適した表面コーティングは、ヘパリン、ポリエチレンイミン(PEI)、シアル酸、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びそれらの組み合わせ、を含む。
【0026】
他のある態様では、表面コーティングは、モノクローナル抗体、タンパク質、炭水化物、多糖類、及びそれらの組み合わせ、を含むが、それらに限定はされない。
【0027】
ある態様では、吸着媒体の表面積は、約5mと約50mの間であり、例えば、約10mと約20mの間である。
【0028】
ある態様では、濾過媒体は、中空糸膜と吸着媒体の組み合わせを、流れる血液中で運ばれていってしまうことなく(「媒体の流動を防止して」)保持するように設計されたカラム等の容器又はハウジングの内部に充填されて提供され、かつ、本質的に媒体の表面すべてを通過する血液の流れを可能にする。
【0029】
ある態様では、吸着媒体は、ビーズである。
【0030】
ある態様では、吸着媒体の基質は、固体のビーズ又は粒子の形態である。この「ビーズ」は、直面させられる流量又は圧力下において変形/圧縮に抵抗するのに十分に硬質である材料(例えば、ポリマービーズ)で作製され得る。変形に対する耐性は、充填層コンタクタの格子間寸法及び自由体積全体を維持し、かつ、その後の圧力低下を低く維持するために、有利である。充填層の寸法の安定性は、血液細胞の濾過を避けるのに十分なビーズ間の分離を維持するうえでも重要である。基質の大部分にはアクセス可能な孔部が実質的にないため、吸着物が吸着/結合に先立って孔内へと拡散してしまう必要は排除される。本開示の吸着部位は、主として媒体の表面上にあり、従って、多くは対流輸送によってその表面に運ばれる血液中の吸着物に対してアクセス可能な位置にある。適した基質は、その表面が完全になめらかである必要はなく、というのも、粗さは、例えばヘパリンのイオン結合又は好ましくは共有結合による付着のための結合部位の表面積の望ましい増加を生じさせるからである。一方で、分子の寸法でアクセス可能な内部孔は、吸着物が結合部位に付着する前に孔内へと拡散してしまう必要を排除するために、多くは避けられる。
【0031】
本開示では、様々な種類のビーズが用いられ得る。適したビーズは、本方法で使用中の変形/圧縮を避けるのに十分なサイズ及び硬質性を有し、かつ、ヘパリンでコーティングして本方法で使用することができるために十分な表面積を有する。
【0032】
ビーズ又は他の高表面積基質は、例えば、天然ポリマー又は合成ポリマー、又は、ガラス、セラミック及び金属を含む非ポリマー材料等の、溶出性の不純物を本質的に含まない多数の異なる生体適合的材料から作製されてもよい。幾つかの例示的なポリマーとしては、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン又はエチレンと他のモノマーの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリプロピレン、及びポリイソブチレン、が含まれる。有用な基質の例には、非多孔質の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が含まれる。他の適したビーズは、任意に架橋されたポリスチレン、高密度及び低密度ポリエチレン、シリカ、ポリ尿素、及びキトサンである。
【0033】
そのようなビーズを作製する方法は、当該技術分野では公知である。ポリエチレンビーズ及び他のポリオレフィンビーズは、ポリマー合成プロセス中に直接製造され、かつ、多くの場合、サイズをさらに縮減することなしに用いることが可能である。他のポリマーは、所望のサイズ分布及び形状のビーズを形成するために、粉砕、又は、噴霧乾燥及び分類、又は、その他の処理、を行われる必要がある場合がある。
【0034】
ある態様では、体外式血液濾過のための個々のビーズ間の流路又は格子間空間のサイズは、カートリッジの入口と出口の間の高い圧力低下を低減又は排除し、高流量環境において個々のビーズの間を血液細胞が安全に通過することを可能にし、かつ、多糖類の吸着剤を血液中の毒素、サイトカイン、又は病原体に結合させるのに適切な格子間表面積を提供する。300ミクロンの概ね球形のビーズが近接した充填層においては、適切な格子間孔のサイズは、直径にして約68ミクロンである。有用なビーズは、直径にして約100ミクロンから500ミクロン以上の範囲のサイズを有し、例えば、100ミクロン、125ミクロン、150ミクロン、175ミクロン、200ミクロン、125ミクロン、250ミクロン、275ミクロン、300ミクロン、325ミクロン、350ミクロン、375ミクロン、400ミクロン、425ミクロン、450ミクロン、475ミクロン、及び/又は500ミクロン、のサイズを有する。ビーズの平均的なサイズは、150ミクロンから450ミクロンであり得る。例えば、0.3mmの平均直径を有する、Polymer Technology Group(米国バークレー所在)のポリエチレンビーズが適している。格子間孔は、ビーズのサイズの関数である。使用に際しては、適したビーズが、カラム等の容器内に収容される。
【0035】
ある態様では、他の適した形態の基質が、網状発泡体を含む。網状発泡体は、オープンセルを有し、かつ、例えばポリウレタン及びポリエチレンから作製される。孔サイズの制御は、製造方法の制御によって達成され得る。一般的に、網状発泡体は、3-100孔/2.54cm(1インチ)を有することができ、かつ、66cmよりも大きな表面積を示すことができる。
【0036】
ある態様では、ビーズは、化学的又は物理的手段のいずれかを通じて、モノリシック多孔質構造へと焼結され得る。ポリエチレンビーズは、ビーズを、カートリッジ内で融解温度を超えて加熱し、かつ、圧力を加えることによって焼結され得る。結果得られる格子間孔のサイズは、同等のサイズの非焼結ビーズの充填層の格子間孔のサイズよりもわずかに減少させられている。この減少は、経験的に決定することができ、かつ、所望の最終的な格子間孔のサイズを生み出すために用いることができる。
【0037】
ある態様では、吸着媒体の吸着性を持つ多糖類が、共有結合性付着又はイオン結合性付着を含む様々な方法で、固体基質(例えば、ビーズ)の表面に結合され得る。吸着媒体は、固体基質の表面に共有結合で結合されたヘパリンを備え得る。一実施形態においては、このヘパリンは、共有結合性末端付着(covalent end-point attachment)によって固体基質に付着される。この方法は、血流に入り得る基質表面からのヘパリンの放出を減少又は排除することにより、デバイスの安全性を向上させる。血液による血液内へのヘパリンの溶出は、出血及びヘパリン起因性血小板減少症のリスクを高めるので、避けられるべきである。多糖類の、例えばヘパリンの、固体基質への共有結合性付着は、非共有結合性付着と比較すると、固定化された分子の表面密度及び配向といったパラメタのよりよい制御を提供する。これらのパラメタは、アンチトロンビンIII、サイトカイン、又は病原体の、固定化された炭水化物分子への最適な結合を提供するために有利であることが示されている。固体基質上のヘパリンの表面密度は、多くの場合、1-10μg/cmの範囲である。共有結合性末端付着は、多糖類が、例えばヘパリンが、ヘパリン分子の末端残基を介して固体基質に共有結合で付着されることを意味する。ヘパリンはまた、複数の点で表面に結合する場合もある。しかしながら、末端付着が好ましい。
【0038】
ある態様では、ヘパリンは、15-25kDaの範囲の平均分子量を、例えば約21kDa以上の平均分子量を有する、完全長(full length)ヘパリンである。
【0039】
ある態様では、ヘパリンは、1-20μg/cmの、例えば約5-15μg/cmの、表面密度を有する。
【0040】
ある態様では、ヘパリンは、安定な第二級アミノ基を介して、固体基質に共有結合で付着される、完全長ヘパリンである。
【0041】
ある態様では、固体基質の総表面積は、0.5-3mの範囲である。
【0042】
ある態様では、ビーズは、多糖類の、例えばヘパリン又は他の組成物の、付着に先立って、親水化されてもよい。ビーズを調製する可能な方法には、酸エッチング、プラズマ処理、及び、過マンガン酸カリウム等の強酸化剤にさらすこと、が含まれる。
【0043】
ある態様では、吸着媒体は、中空糸膜の内径よりも大きいサイズである。
【0044】
他の例では、吸着媒体は、Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filterのフィルタ又は濾過デバイスに類似の材料を含んでいるが、これは、病原体が人体に侵入する際にコロニー形成に使用するヒト細胞上の受容体を模倣した分子受容体部位でコーティングされたマイクロビーズを、体液が通過できるようにする、フィルタである。吸着媒体は、共有結合で固定化されたヘパリン又はヘパラン硫酸を用いるフレキシブルなプラットフォームであり、その特有の結合能力を利用するためである。例えば、米国特許第8663148号明細書、米国特許第8758286号明細書、又は米国特許第9173989号明細書を参照すると、これらは、少なくとも1つの多糖類の吸着剤、又は固定化されたヘパリンを開示している。それらの特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
他の例では、例えば、吸着媒体は、CytoSorbent社のCytoSorbのような生体適合的な吸着ビーズ技術を例とする、サイトカインを循環血液から取り除くための体外式血液吸着フィルタデバイスと、類似の材料であってよい。CytoSorbの血液吸着ビーズは、生体適合的なポリビニル-ピロリドンコーティングを有する、ポリスチレン-ジビニルベンゼン多孔質粒子(平均粒径450μm、孔径0.8-5nm、表面積850m/g)である。例えば、ポリスチレン-ジビニルベンゼン共重合体及びポリビニル-ピロリドン重合体を備える組成物を使用する方法を主張する、米国特許第8647666号明細書を参照のこと。
【0046】
一実施形態では、本開示は、デバイスであって、該デバイスは、濾過媒体を備え、該濾過媒体は、(i)中空糸膜と(ii)吸着媒体の組み合わせを含む、デバイスを提供する。
【0047】
ここで図1に目を向けると、そこで示されているように、本開示のデバイス100の一実施形態は、濾過媒体を収容又は保持するカラム、ハウジング又は容器であって、該濾過媒体は、中空糸膜と吸着媒体の組み合わせを含む。この実施形態では、デバイス100は、第1端101と、中空糸膜106を収容する実質的に円筒形の部分102と、第2端108と、を有する。血液がデバイス100を通る間、血液又は体液の全体は、ルアー接続装置のような接続装置又はアダプタ110を通ってデバイス100に入る。体液は、このデバイスを時計回りに通過する場合もあれば、又は反時計回りに通過する場合もある。図1に示されているように、該デバイスは、第1エンドキャップ115a及び第2エンドキャップ115bを有する。この構成では、吸着媒体145aは、第1エンドキャップ115aと円筒形の部分102の間で、デバイスの部分122a内に収容されている。図示されているように、デバイス100は、第1吸着媒体145aと、中空糸膜106と、第2吸着媒体145bと、を含み、ここで、中空糸膜106は、第1吸着媒体145aと第2吸着媒体145bに挟まれている。吸着媒体145a及び145bは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
ハウジング又はデバイス100は、流体を(例えば、血液又は体液の全体を)第1吸着媒体145aと、中空糸膜106と、第2吸着媒体145bと、を通って(101から108に向かう矢印の方向に)流すように、流体のための入口ポート110及び出口ポート152を有する。ある態様では、第1吸収媒体145aは、又は、その代わりに第2吸着媒体145bは、オプションであり得る。この構成においては、122a又は122bは省略され、かつ、該デバイスは1つのみの吸着媒体部分を有する。
【0049】
ある態様では、第1吸着媒体145a及び第2吸着媒体145bは、同一の材料であり、例えば、ヘパリンでコーティングされたビーズである。
【0050】
ある態様では、第1吸着媒体145a及び第2吸着媒体145bは、異なる材料である。例えば、ビーズは異なる多糖類コーティング又は異なる多糖類の組み合わせを有し得る。
【0051】
ある態様では、スクリーニングフィルタ又は保持フィルタ158aは、第1端101で、中空糸106と吸着媒体145aの間に配置される。同様に、スクリーニングフィルタ又は保持フィルタ158bは、第2端108で、中空糸106と吸着媒体145bの間に配置される。
【0052】
ある態様では、第1エンドキャップ115a及び第2エンドキャップ115bは、デバイスの体液入口110及び/又は体液出口152のためのアタッチメントを有する。ある態様では、アタッチメントは、ルアーフィッティングである。デバイスの体液入口110及び体液出口152が図示されているが、代替的な態様では、体液は、体液入口152及び体液出口110と、逆方向にデバイスを流れる場合もある。
【0053】
ある態様では、第1吸着媒体145aは、保持プレート158a、160aの組の間に配置される。同様に、ある態様では、第2吸着媒体145bは、保持プレート158b、160bの組の間に配置される。
【0054】
ある態様では、保持プレートの組は、スクリーニング用基質又は多孔質基質である。
【0055】
ある態様では、第1エンドキャップ115aは、穴112aを備える。
【0056】
ある態様では、第2エンドキャップ115bは、穴112bを備える。
【0057】
ある態様では、デバイスは、第1エンドキャップ115a及び第2エンドキャップ115bを有し、濾過媒体は、それらの間に、145a、106、145bの間に、配置される。代替的な実施形態では、145a又は145bのいずれかが省略される。
【0058】
ある態様では、デバイスは、保持プレートとポッティング材の間にギャップ170a及び170bを有する。
【0059】
ある態様では、デバイスは、媒体充填ポート182を有する。
【0060】
ここで、図2に目を向けると、本開示は、透析器に直接的に取付けられるデバイス200を提供する。換言すれば、ある態様では、デバイス200は、取付けられる際、市販の透析器が図1のデバイス100と同様に機能することを可能にする。例えば、市販の透析器は、典型的には、ポリスルホン(PSf)、変性セルロース、又はエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVAL)等で作製された中空糸膜を含む。デバイス200は、透析器の上又は下のいずれかに直接的に取付けられてもよいし、又は、2つのデバイスでもって透析器の上下両方に直接的に取付けられさえしてもよい。
【0061】
図2は、吸着媒体を収容するカラム、ハウジング又は容器である、本開示のデバイス200を示している。この実施形態では、デバイス200は、第1端201と、吸着媒体245を収容する部分222と、第2端208と、を有する。血液がデバイス200を流れる間、血液又は体液の全体は、第1端201で、ルアー接続装置(例えば、雄アダプタ)のような接続装置又はアダプタ210を通ってデバイス200に入る。図2で示されているように、該デバイスは、第1エンドキャップ215a及び第2エンドキャップ215bを有する。この構成では、吸収媒体245は、第1エンドキャップ215aと円筒形の部分222の間に収容されている。
【0062】
ある態様では、スクリーニングフィルタ又は保持フィルタ258aは、第1端201で、吸着媒体245の間に配置される。同様に、スクリーニングフィルタ又は保持フィルタ258bは、第2端208で、吸着媒体245の間に配置される。
【0063】
ある態様では、第1エンドキャップ215a及び第2エンドキャップ215bは、デバイスの体液入口210及び/又は体液出口252のためのアタッチメントを有する。ある態様では、アタッチメントは、ルアーフィッティングである。デバイスの体液入口210及び体液出口252が図示されているが、代替的な態様では、体液は、体液入口252及び体液出口210と、逆方向にデバイスを流れる場合もある。
【0064】
ある態様では、吸着媒体245は、保持プレート258a、258bの組の間に配置される。
【0065】
ある態様では、保持プレートの組は、スクリーニング用基質又は多孔質基質である。
【0066】
ある態様では、第1エンドキャップ215aは、穴212aを備える。
【0067】
ある態様では、第2エンドキャップ215bは、穴212bを備える。
【0068】
ある態様では、デバイスは、オプションとして、媒体充填ポート282を有する。
【0069】
ある態様では、デバイスは、血液透析、血液濾過、腎代替療法(RRT)、血液灌流、及び/又は糖衣置換療法(glycocalyx replacement therapy)、から成る群から選択される要素である治療法のために用いられる。
【0070】
本開示のデバイス及び方法は、透析器に加え、体外式膜型人工肺、体外式CO除去器(extracorporeal CO removal:ECCOR)、及び体外式肝臓補助器、のような体外式臓器補助デバイス(ECOS)と組み合わせて用いられ得る。
【0071】
ある態様では、デバイスは、急性腎障害(AKI)のために、又は血流感染又は他の炎症状態に罹患している患者のために、用いられる。
【0072】
ある態様では、中空糸は、腎毒素(renal toxin)を除去し、一方、吸着媒体は、病原体と、炎症性分子と、病原体関連分子パターン(PAMP)と、ダメージ関連分子パターン(DAMP)と、毒素と、循環腫瘍細胞(CTC)と、タンパク質結合尿毒症毒素と、他の敗血症性メディエータと、を除去する。
【0073】
(比較例1)
透析血液回路を、市販の透析器を用いて構築する。血液及び透析器の透析液の側の両方を、500mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用い、200ml/分の流量でプライミングする。その後、尿素及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を備える哺乳類血液のテストサンプルが、該システムを通過させられる。相当量の尿素が透析器によって除去されるが、しかしながら、MRSAは血液中に残存する。血液サンプルが該血液回路を数回通過した後には、IL-1β、TNF-α、IL-6、及びIL-15等の炎症性メディエータ、ならびに、IL-8及びGRO-α等のケモカインが、該血液サンプル中の濃度の上昇を示す。
【0074】
(比較例2)
透析血液回路を、Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filterを用いて構築する。血液及びSeraph(登録商標)を備える血液濾過デバイスの透析液の側の両方を、500mlのPBSを用いて、200ml/分の流量でプライミングする。その後、尿素及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を備える哺乳類血液のテストサンプルが、該システムを通過させられる。MRSAのみが該サンプルから除去され、尿素は血液サンプル中に残存する。
【0075】
(実験例1)
透析血液回路を、市販の透析器及びSeraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filterを用いて構成する。血液及びこの透析器とフィルタの組み合わせの透析液の側の両方を、500mlのPBSを用いて、200ml/分の流量でプライミングする。相当量の尿素が透析器によって除去され、かつ、MRSAがSeraph(登録商標)のフィルタによって除去される。血液サンプルが該血液回路を数回通過した後には、炎症性メディエータは、該血液サンプル中に全く存在しない。
【0076】
(比較例3)
第1の血液回路では、該血液回路は、組み合わせて用いられる(i)Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filter及び(ii)市販の透析器デバイスという2つのデバイスを直列に有する。第2の血液回路では、本発明のデバイスが、Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filterと透析器(中空糸膜)の組み合わせである単一のデバイスとして用いられる。2つのカラムの技術(回路1)を本発明の第2の血液回路(Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filter+透析器の中空糸膜)に組み合わせ、単一のカラムにすることにより、幾つかの有利な点が実現される。本発明の単一のカラムは、追加的なカラムのエンドキャップ2つの必要を排除することによって、血液量を減少させる。各カラムは、単独では2つのエンドキャップを有するが、これは体積を取るものであり、かつ、最初の血液回路内を直列に走ることは、4つのエンドキャップが存在することを意味する。本発明のハイブリッドなデバイスは、エンドキャップを2つのみ必要とし、従って、総血液量は少なくなる。
【0077】
例えば、推定として、血液回路1(Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filter+透析器)内の総血液量は、約250mLと推定される。Seraph(登録商標)のエンドキャップの各々の血液量は、約25mLであり、透析器のエンドキャップは、約5mLである。従って、すべてのエンドキャップを血液回路1に組み合わせることにより、使用中にその容量を充填するためには約60mLの血液が必要であると推定される。
【0078】
対照的に、本発明のハイブリッドなデバイスは、エンドキャップが2つ少ない(Seraph(登録商標)から1つ少なく、かつ、透析器から1つ少ない)ため、30mLと推定される。この結果、治療の間に患者から除去される血液はより少なくなり、より安全なデバイスとなる。体外式セッションの開始時、治療の最初の数分間の間に血液が「失われる」ことによってしばしば発生する低血圧イベントも、血液の量がより少ないことにより、発生数がより少なくなる可能性がある。
【0079】
Seraph(登録商標)の血液フィルタは、透析器の上流に位置していてもよいし、又は下流に位置していてもよいが、Seraph(登録商標) Microbind(登録商標) Affinity Blood Filterを透析器の直上流で使用することにより、微小凝固血液が透析器の中空糸膜に侵入し、それを閉塞させることを防止するデプスフィルタとして機能しつつ、一方では、透析器内での血液凝固を防止するよう機能することも可能な抗血栓性表面を提供しもする。これにより、透析器の最大効率での稼働を維持し、かつ、ヘルスケアワーカーの関与を必要とするアラームを防止しもする。病原体を除去するための小型Seraph(登録商標)カートリッジの定期的又は間歇的な予防的使用を介して、安全性は向上し、それによって、慢性透析患者間での死亡原因の第2位である重篤な血流感染/敗血症を防止することができる。
【0080】
当業者であれば、上の説明は網羅的なものではないこと、及び、開示された主題の態様は、上で具体的に開示された以外で実施され得ること、は容易に理解できるだろう。実際、開示された主題の実施形態は、当業者にとっては既知であるか、又は当業者によって後に開発される、本明細書で提供された機能的説明から適用可能な任意のシステム、構造、デバイス、及び/又はソフトウェアを用いて、ハードウェア及び/又はソフトウェア内で実施され得る。
【0081】
本出願において、特に断りのない限り、単数形の使用は複数形を包含し、かつ、「又は(or)」及び「及び(and)」の別個の使用は、もう一方を含む、すなわち「及び/又は(and/or)」を含む。さらに、「含み(including)」又は「有し(having)」という単語、及び「含み(includes)」、「含まれる(included)」、「有する(has)」、又は「有される(had)」等の他の態は、「備えて(comprising)」と同じ効果を有することが意図されており、従って、限定するものとして理解されるべきではない。
【0082】
本明細書に記載のいかなる範囲も、端点及び端点間のすべての値を含むものと理解されたい。「実質的に(substantially)」、「約(approximately)」、「本質的に(essentially)」、「付近(near)」、又は同様の表現は、いつも特定の値と組み合わせて使用され、特に明示的な断りのない限り、その値の10%までの変動、及び、その値の10%を包含する変動、が意図されている。
【0083】
従って、本開示に従って、バッチ処理を実施する体外式血液治療システム及び方法が提供されることは明らかである。本開示により、多くの代替、修正、及び変形が可能になる。本発明の原理の適用を説明するために、特定の例が図示され、かつ詳細に記述されてきた一方で、本発明はそれらの原理を逸脱することなく、他のやり方で具現化され得るということを、理解されたい。例えば、開示された特徴は、組み合わせられ、並べ直され、省略されるなどして、追加的な実施形態を提供し得る。一方で、特定の開示された特徴が、他の特徴の対応する使用なく、有利に使用されることもある。従って、出願人は、本発明の精神及び範囲の内にあるそれらの代替、修正、等価物、及び変形のすべてを包含することを意図する。本開示を通じて言及された文献すべては、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
【国際調査報告】