(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】動的ラミネートグレージング
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20240321BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20240321BHJP
B32B 27/06 20060101ALI20240321BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20240321BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
C03C27/12 N
C03C27/12 F
B32B17/10
B32B27/06
B60J3/04
B60J1/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561352
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022059694
(87)【国際公開番号】W WO2022218953
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】青木 時彦
(72)【発明者】
【氏名】ジラール, クエンティン
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニー, マレク
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AK25D
4F100AK25E
4F100AK41D
4F100AK41E
4F100AK51D
4F100AK51E
4F100AK52D
4F100AK52E
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4F100AK53E
4F100AK57D
4F100AK57E
4F100AR00C
4F100BA05
4F100BA06
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4F100BA10B
4F100GB32
4F100JB13D
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4F100JB14D
4F100JB14E
4F100JN08C
4G061AA03
4G061AA26
4G061AA31
4G061AA33
4G061BA02
4G061CB03
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA24
(57)【要約】
本発明は、自動車用湾曲ラミネートグレージング(1)に関し、これは、(i)外側面(P1)及び内側面(P2)を有する第1ガラスシート(11)と、(ii)電気的にパワー供給される機能性フィルム(13)と、(iii)外側面(P3)及び内側面(P4)を有する第2ガラスシート(12)と、(iv)液体樹脂から重合又は硬化された且つ前記機能性フィルムと少なくとも第1ガラスシート(11)及び/又は第2ガラスシート(12)との間に提供されたポリマーの層である少なくとも1つの光学結合材料(14)とを含む。本発明によれば、湾曲ラミネートグレージングは、75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)を有する第1ガラスシート(11)の外側面(P1)及び第2ガラスシート(12)の内側面(P4)の合計表面積の少なくとも50%を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用湾曲ラミネートグレージング(1)であって、少なくとも、
a.外側面(P1)及び内側面(P2)を有する第1ガラスシート(11)と、
b.電気的にパワー供給される機能性フィルム(13)と、
c.外側面(P3)及び内側面(P4)を有する第2ガラスシート(12)と、
d.液体樹脂から重合又は硬化され、前記機能性フィルムと前記少なくとも第1ガラスシート(11)及び/又は第2ガラスシート(12)との間に提供されたポリマーの層である、少なくとも1つの光学結合材料(14、14’)と、
を含み、
前記湾曲ラミネートグレージングは、75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)を有する前記第1ガラスシート(11)の外側面(P1)及び前記第2ガラスシート(12)の内側面(P4)の合計表面積の少なくとも50%を有する、ラミネートグレージング。
【請求項2】
前記光学結合材料(14、14’)は、前記機能性フィルム(13)と前記少なくとも第1ガラスシート(11)及び/又は第2ガラスシート(12)との間の距離(d)を維持するために、前記機能性フィルム(13)との接触状態にある、請求項1に記載のラミネートグレージング(1)。
【請求項3】
前記電気的にパワー供給される機能性フィルムは、懸濁粒子ディスプレイ(SPD)フィルム、エレクトロクロミック材料フィルム、又はサーモクロミック材料又は液晶(LC)フィルムのうちから選択されたスイッチング可能なフィルムである、請求項1に記載のラミネートグレージング(1)。
【請求項4】
前記スイッチング可能なフィルム(13)は、液晶(LC)材料を含む、請求項1に記載のラミネートグレージング(1)。
【請求項5】
前記グレージングは、スイッチング可能なフィルム及び能動型マトリックス有機発光ダイオードの組合せを含む、請求項1に記載のラミネートグレージング(1)。
【請求項6】
前記液体樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又はシリコーン樹脂、又はポリエステル樹脂、又はエポキシ樹脂、又はポリサルファイド樹脂である、請求項1に記載のラミネートグレージング(1)。
【請求項7】
前記液体樹脂は、光硬化可能であるか、又はUV硬化可能であるか、又は温度硬化可能であるか、或いは、化学的に硬化可能又は日光硬化可能である、請求項1に記載のラミネートグレージング(1)。
【請求項8】
請求項1に記載の自動車用湾曲ラミネートグレージング(1)を製造する方法であって、
a.外側面及び内側面を有する第1ガラスシート(11)を提供するステップと、
b.電気的にパワー供給される機能性フィルム(13)を前記第1ガラスシート(11)の前記内側面(P2)上に提供するステップと、
c.外側面及び内側面を有する第2ガラスシート(12)を前記機能性フィルム(13)の他面上に提供するステップと、
d.光学結合材料(14)を付与することにより、少なくとも前記第1ガラスシート及び/又は前記第2ガラスシート(11、12)と前記機能性フィルム(13)とをラミネートするステップであって、前記光学結合材料(14)は、液体樹脂から重合又は硬化されたポリマーの層であり、前記光学材料(14)は、前記第1及び/又は前記第2ガラスシートの間の表面の少なくとも一部分上に提供される、ステップと、
を含み、
前記第1ガラスシートの前記外側面及び前記第2ガラスシートの前記内側面は、前記ラミネーションステップの後に計測すると、その合計表面積の少なくとも50%上に、75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)の曲率を有する、方法。
【請求項9】
前記第1シート及び/又は前記第2シートは、請求項8に記載の前記接合ステップc)の前に曲げられている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学結合材料(14)は、前記外側ガラスシートの前記内側面(P2)上に、又は前記内側ガラスシートの前記内側面(P3)上に提供される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記光学結合材料(14)は、液体樹脂から重合されたポリマーの層である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1ガラスシート及び/又は前記第2ガラスシートと前記機能性フィルムとの間にスペーサが提供され、前記スペーサは、前記光学結合材料(14)内に埋め込まれている、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記機能性フィルムの一面上に提供される前記光学結合材料(14)は、液体樹脂から重合されたポリマーの層であり、前記機能性フィルムの反対面上において、前記光学結合材料(14)は、液体樹脂から硬化されたポリマーの層である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記スイッチング可能なフィルムは、液晶(LC)材料及び/又はOLEDフィルムを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記スイッチング可能なフィルムは、懸濁粒子ディスプレイ(SPD)材料又はエレクトロクロミック材料又はサーモクロミック材料を含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用湾曲ラミネートグレージングに関し、更に詳しくは、動的グレージングとして使用されるように意図されたラミネートグレージングに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、主には、自動車用グレージングに適用されるように意図されている。本発明は、特に前記グレージングが特に熱処理及び/又は圧力の観点からその製造又はその使用に制約に晒されている際の機能性フィルムを有する任意のグレージングに関する。例えば、建築分野においては、このようなグレージングは、太陽の熱及びグレアから保護するために特に電子的に意図的に暗くされ得る、動的グレージングである。建設分野には、スマートウィンドウは、天気が晴れている際には部屋への光の通過を防止するために意図的に暗くすることが可能であり、或いは、天気が曇りである際には、光の通過、或いは、動的グレージングが統合型ディスプレイを有するケースにおいては、ディスプレイからの光の通過をもう一度極大化させるために明るくすることができる。但し、建築分野においては、グレージングは、通常、フラットであるか又はわずかな曲がりしか有していない。
【0003】
自動車分野においては、このようなグレージングは、例えば、車両のルーフ、ウィンドシールド、リアウィンドウ、及びサイドウィンドウとして使用されている。具体的には、グレージングルーフが、車両のボディの一部分を形成している従来のルーフを益々置換している。建築分野におけると同様に、これらのルーフの選択肢は、業者がこの選択肢をその顧客に提供した結果であり、この選択肢は、これらのルーフが従来のセダンの快適さレベルを維持していることから、オープンカーの欠点を伴うことなしに、オープンカーのように車両が外部に開放した感覚を与えてくれる。
【0004】
また、温熱快適性及び/又はプライバシー及び音響快適性を目的として、車両の内側に進入する光レベルを制御するために、スイッチング可能なフィルムなどの機能性フィルムが提供されたサイド又はリアウィンドウを有することが設計者及び自動車製造者から益々要求されている。これは、ラミネートされた構造の存在により、維持され、実際には改善すらもされている。中間層プラスチックシートによってラミネートすることが知られており、且つ一般的である。但し、機能性フィルムを有する曲げられた又は強化されたガラスは、要求されている平坦性の欠如に起因して、中間層ラミネーションに使用することが困難である。
【0005】
また、自動車設計者は、自動車グレージングの少なくとも1つをディスプレイとして使用することを追求している。従って、ディスプレイをグレージング内に、且つ、更に詳しくは、ラミネートされたグレージング内に、統合することが望ましい。但し、曲げられたグレージング内にディスプレイをラミネートすることは困難である。更には、ディスプレイは、温熱快適性及び/又はプライバシーを維持しつつ光のコントラストを増大させるために、スイッチング可能なフィルムと組み合わせることもできる。
【0006】
ルーフ、ウィンドシールド、バックライト、及びサイドライトなどの自動車用グレージングは、一般に、自動車の設計にフィットするように曲げられている。曲げられた形状は、曲率の値が大きくなるのに伴って、益々複雑化している。曲げられた形状は、一般には、圧力及び/又は熱をラミネートグレージングに印加することにより、得られる。本発明によれば、自動車及び/又は建築用ラミネートグレージングを曲げるための曲げプロセスについては、当業者に共通的に且つ十分に知られている。
【0007】
従来技術においては、制御可能な視覚的隔離を提供する方式として、グレージングに液晶(LC)フィルムを使用することが想定されてきた。これらの用途においては、主な機能は、基本的に透明なグレージングを単純に半透明であるグレージングに変換するというものである。これらの用途は、特定の曲げ特性を必要としてはいなかった。
【0008】
残念ながら、スイッチング可能なグレージングとしての使用が意図された他の機能性フィルムとしての液晶(LC)フィルムは、圧力の影響を受け易く、これにより、自動車用の曲げられたサンルーフ、ウィンドシールドの一部分、サイドライト、バックライトなどの複雑な形状のグレージングにおけるその使用が結果的に制限されている。また、機能性フィルムは、機能性フィルムとこれがラミネートされるグレージングの間の厚さ変動の影響を受け易い場合もある。従って、組立プロセスにおける不均一な圧力から生じる黒点が、このような機能性フィルムを有する曲げられたラミネートグレージング内に出現し、これにより、自動車製造者及び最終顧客によって一般的に拒絶される美しくないグレージングをもたらし得る。
【0009】
また、相対的に薄いガラスシートに伴う組立動作は特に困難であることから、機能性フィルム及び第3ガラスシートとの最終的なラミネーションの前に、少なくとも1枚の相対的に厚いガラスシート(例えば、5mm)を使用する又は2枚の薄いガラスシート(例えば、2.1mm/中間層/2.1mm)を事前ラミネートすることが知られている。残念ながら、これらの技法が問題の解決をより容易にする場合にも、これらは、また、ほとんどの自動車製造者にとって受け入れられない非標準的な且つ相対的に重い製品構造をもたらしている。本発明は、このような策略を考慮することなしに圧力の影響を受け易い機能性フィルムの統合の課題に取り組むことを主張している。
【0010】
従って、機能性フィルムを、更に詳しくは、圧力の影響を受け易い機能性フィルムを、湾曲したラミネートグレージング内にラミネートするためのプロセスに対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、曲げられた形状グレージング内に統合され得る機能性フィルムを有するラミネートグレージングを提供する。
【0012】
更に詳しくは、本発明は、少なくとも、
a.外側面(P1)及び内側面(P2)を有する第1ガラスシートと、
b.電気的にパワー供給される機能性フィルムと、
c.外側面(P3)及び内側面(P4)を有する第2ガラスシートと、
d.液体樹脂から重合又は硬化され、前記機能性フィルムと少なくとも第1及び/又は第2ガラスシートとの間に提供されたポリマーの層である、少なくとも1つの光学結合材料と、
を含む自動車用湾曲ラミネートグレージングに関する。
【0013】
本発明によれば、湾曲ラミネートグレージングは、75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)を有する第1ガラスシート(11)の外側面(P1)及び第2ガラスシート(12)の内側面(P4)の合計表面積の少なくとも50%を有する。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、光学結合材料は、機能性フィルムと少なくとも第1及び/又は第2ガラスシートとの間の距離を維持するために、機能性フィルムとの接触状態にある。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第1又は第2ガラスシートとフィルムとの間の光学結合によって生成される距離は、100μm~2mmである。更に詳しくは、光学結合は、内側ガラスとフィルムとの間には約200μmの、外側ガラスとフィルムとの間には約1mmの厚さを有することができる。従って、ガラスと機能性フィルムとの間の線形熱膨張の差を管理することができる。
【0016】
また、本発明は、圧力の影響を受け易い機能性フィルムを有する自動車用湾曲ラミネートグレージングにも関する。本発明によれば、グレージングは、3次元(3D)の曲がりを有する。
【0017】
本発明によれば、機能性フィルム及び特に圧力の影響を受け易い機能性フィルム、並びに、更に詳しくは液晶フィルムなどのスイッチング可能なフィルムは、自動車用の曲げられたルーフ、サイドウィンドウ(ライト)、ウィンドシールドの一部分、などのようなラミネートグレージング内に使用することができる。
【0018】
現在、サンルーフ、ウィンドシールド、ラテラルウィンドウ(「サイドライト」とも呼称される)などの自動車用グレージングは、大きな曲がりを必要とすることにより、形状の観点から益々複雑化しており、且つ、スイッチング可能なフィルム、ディスプレイ、などのような益々多くの機能性フィルムを有するようになっている。ガラスシートは、必要とされているラミネートグレージングの形状に到達するように、曲げられている。但し、機能性フィルムは、一般に、自動車分野に使用される一般的なラミネーションプロセスに提供される高圧(0.04MPa~0.14MPa)及び高温(90℃超)の影響を受け易い。
【0019】
圧力の影響を受け易い機能性フィルムを有する曲げられたガラスシートの従来の既知のラミネーションプロセスは、自動車製造者及び顧客にとっては受け入れられないスポットの存在及び美しくないグレージングをもたらしている。
【0020】
本発明の目的は、良好な美観を有する圧力の影響を受け易い機能性フィルムを有するラミネートグレージング及びこのようなグレージングを製造するためのプロセスを得るという点にある。
【0021】
「圧力の影響を受け易い」は、第1ガラスシートと第2ガラスシートとの間に機能性フィルムをラミネートするために使用される圧力の影響を受け易いことを意味している。圧力は、一般に、0.04~0.14MPaである。
【0022】
「液体樹脂から重合又は硬化されるポリマーの層である光学結合材料」は、光学クリア接着剤又は光学クリア樹脂を意味している。液体樹脂は、好ましくは、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリサルファイド樹脂、又はこれらの混合物のうちから選択されている。光学結合クリア接着剤は、光学結合接着剤又はOCAとも呼称されるフィルムタイプの接着剤の形態を有し得る。光学樹脂は、粘性状態で事前に付与されており、且つ、その結果、これは、液体光学結合接着剤又はLOCAと呼称されている。光学クリア樹脂を使用する利点は、ガラス形状とは無関係に又はフィルム上に機械的パターンが存在している場合にも、フィルムの周囲全体をカバーし得るという点にある。
【0023】
「電気的にパワー供給される機能性フィルム」は、例えば、これらのグレージング内に含まれている組成中の着色されたイオンの状態を変更することによって変化が得られるエレクトロクロミック手段を意味している。また、これは、懸濁粒子装置(SPD)と呼称されるシステムなどの懸濁液中に、電圧の印加に応じて制御されるか又はされない粒子の層、又は場合によっては電圧の印加の影響を受け易い液晶を含むポリマーから構成されたポリマー分散液晶(PDLC)フィルムを有するグレージングの問題である。更に詳しくは、「電気的にパワー供給されるフィルム」は、制御可能な視覚的隔離を提供する液晶(LC)フィルムである。これらの用途においては、主な機能は、基本的に透明なグレージングを単純に半透明であるグレージングに変換することである。電気的にパワー供給される機能性フィルムは、グレージングが配置されている車両の外側及び/又は内側から観察される写真及び/又はビデオを示すように電気的に動作するディスプレイフィルムであってよい。「電気的にパワー供給される機能性フィルム」は、OLED及び更に詳しくは周知のAMOLEDから製造することができる。本発明によるグレージングは、1つのスイッチング可能なフィルム及びOLEDフィルムの組合せを有することができる。
【0024】
本発明によれば、「湾曲」という用語は、「湾曲ラミネートグレージングは、その合計表面積の少なくとも50%が75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)を有する」という基準により、定義されている。従って、例として標準的な自動車用ラミネートグレージングを考慮すれば、(車両の外側から内側へ)P1、P2、P3、及びP4とも呼称される通常は1(外側表面)から4(内側表面)まで付番されている4つの主要なガラス表面も存在している。これらのガラス表面は、好ましくは、組立の前に、非常に類似した形状を有する。本発明の範囲において、第1ガラスシートの外側表面P1及び第2ガラスシートの内側表面P4は、組立の後にその表面積の少なくとも50%が75~8500mmの最小曲率半径を有する。表面のそれぞれの地点において(それぞれの方向ごとに1つ)曲率半径の無限性が評価されていることに留意されたい。これらの半径のうちで、最小値「Rmin」及び最大値「Rmax」値(のみならず、その関連する方向)を識別することができる。当然のことながら、「Rmin」及び「Rmax」(並びに、その関連する方向)は、表面上の1つの地点から別の地点へと変化することになる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、複数のスペーサが機能性フィルムと第1及び/又は第2ガラスシートの間に提供されており、前記スペーサは、機能性フィルムと少なくとも外部及び内部ガラスシートの間に所定の距離を維持するために、機能性フィルムの表面の少なくとも一部分上に又は機能性フィルムとの接触状態にある第1及び/又は第2ガラスシートの表面の少なくとも一部分上に配置され、前記光学結合材料内に埋め込まれている。
【0026】
スペーサ及び光学結合材料は、実質的に同一の屈折率を有する。好適な一実施形態において、光学結合材料とスペーサの屈折率の値の間の差は最大で15%であり、好ましくは10%未満である。本発明によれば、スペーサは光学クリア樹脂内に埋め込まれており、光学クリア樹脂は、機能性フィルムを第1及び第2ガラスシートに接着するために使用されている。
【0027】
本発明によれば、前記機能性フィルムと少なくとも第1ガラスシート及び第2ガラスシートとの間に提供される光学結合材料は、1.38~1.5、好ましくは1.4~1.45、の屈折率を有する。この結果、スペーサは透明である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、光学結合材料及びスペーサの透明度は、スペーサの指定された高さにおいて、90%超、好ましくは95%超、更に好ましくは99%超である。
【0029】
従って、スペーサは、車両のコンパートメントから「可視状態」にはない。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、スペーサは、0.3~0.7mm、好ましくは0.35~0.6mm、更に好ましくは0.4~0.55mm、の高さを有する。従って、機能性フィルムは、0.3~0.7mm、好ましくは0.35~0.6mm、更に好ましくは0.4~0.555mmだけ、ガラスシートの第1及び/又は第2シートから離れている。相対的に短いスペーサを有することは、第1及び/又は第2ガラスシートへの機能性フィルムの粘着をもたらすことになることから、その結果、組立体の取り扱いが困難になる。逆に、スペーサの高さが0.6mm超である場合には、ラミネートグレージングの合計厚さが増大することになり、これは、特に車両のサイドライトの場合には、車両にとって受け入れられるものではない。
【0031】
好適な一実施形態において、スペーサは、第1及び第2ガラスシートとの接触状態にある機能性フィルムの両面上に配置されている。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、スペーサを含む又は含まない状態において、太陽光制御フィルム/中間層を第1外側ガラスシート(P2)と光学結合材料の間に提供することができる。この結果、スペーサは、ガラスシート上において表面との直接的な接触状態にはない。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、すべてのスペーサは、20~70mm、並びに、好ましくは30~60mm、のピッチPによって互いに分離されている。20mmのピッチP未満においてはスペーサの数が過剰に大きくなり、これにより、組立体の操作の難しさをもたらす。また、スペーサは、その大きな数に起因して相対的に可視状態ともなる。70mmのピッチP超においては、それぞれのスペーサの間に相対的に大きなスペースが存在することになり、これにより、機能性フィルムの相対的に大きな表面が第1及び/又は第2ガラスシートとの直接的接触状態となることをもたらす。この結果、取り扱いの際に機能性フィルムがガラスに粘着することになるというリスクが存在することになる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、スペーサは、シリコーンから製造されている。従って、スペーサは、光学結合材料によって第1及び第2ガラスシートに機能性フィルムを接合する際に、機能性フィルム及び第1及び/又は第2ガラスシートに固定することができる。
【0035】
また、特に圧力の影響を受け易い電気的にパワー供給されるフィルムを有する自動車用湾曲ラミネートグレージングを製造するためのプロセスも提供される。
【0036】
本発明による方法は、
a.内側面及び外側面を有する第1ガラスシートを提供するステップと、
b.電気的にパワー供給される機能性フィルムを第1ガラスシートの内側面上に提供するステップと、
c.機能性フィルムの他面上に第2ガラスシートを提供するステップと、
d.光学結合材料を付与することにより、少なくとも第1及び/又は第2ガラスシートと機能性フィルムとをラミネートするステップであって、光学結合材料は、液体樹脂から重合又は硬化されたポリマーの層であり、光学材料は、第1及び/又は第2ガラスシートの間の表面の少なくとも一部分上に提供される、ステップと、
を有し、
この場合に、第1及び第2ガラスシートは、グレージングがラミネートされた後に、グレージングが、75~8500mmの間に含まれる最小曲率半径(Rmin)を有するその合計表面積の少なくとも50%を有する、曲率を有する。
【0037】
本発明の方法の一実施形態によれば、第1及び/又は第2ガラスシートは、第1及び/又は第2ガラスシートの少なくとも1つの表面上に機能性フィルムを提供する前の以前のステップにおいて曲げられている。
【0038】
本発明によれば、「ラミネート」という用語は、層化された構造を提供するステップを意味しており、この場合に、機能性フィルム、並びに、更に詳しくは単独の又は別の機能性フィルムとの組合せにおけるスイッチング可能なフィルム、並びに、1つ又は複数のガラスシートは、機能性フィルムと機能性フィルムに対向するガラスの間の実質的に全体インターフェイスに跨って延在する接着性中間層により分離されている。ラミネーションステップは、機能性フィルムのキャストラミネーション又は機能性フィルムのローラーラミネーションであってもよく、或いは、集合的に液体樹脂ラミネーションと呼称することもできる。キャスティング方法は、空パネル形成、液体樹脂充填、及び樹脂硬化を含む。ローラーラミネーション方法は、液体樹脂分配及び樹脂硬化を含む。本発明によるグレージングは、第1ガラスシートと第2ガラスシートとの間に位置決めされた機能性フィルム、並びに、更に詳しくはスイッチング可能及び/又はディスプレイフィルム、並びに、更に詳しくは圧力の影響を受け易いスイッチング可能及び/又はディスプレイフィルムを有する。硬化された又は部分的に硬化された樹脂層は、機能性フィルムの外側表面及び機能性フィルムに対向するガラスの内側表面に接合している。但し、その他の構成及び装置の包含又は省略が可能であり得る。「ラミネーション」及び「樹脂ラミネーション」という用語は、第1及び/又は第2ガラスシートと機能性フィルムとの間に固体又は半固体層を生成するステップを含むものと理解されたい。「液体樹脂ラミネーション」は、キャストラミネーション及びローラーラミネーションを含む。例えば、アクリル系又はポリウレタン系又はエポキシ系又はポリエステル系又はシリコーン系又はポリサルファイドなどの液体樹脂が、機能性フィルムと機能性フィルムに対向するガラスの間の空間を充填するために使用されており、且つ、本発明によるキャストラミネートグレージングを形成するために硬化されている。硬化された樹脂は、ラミネートグレージング、並びに、更に詳しくはスイッチング可能なグレージング内で中間層になっている。また、ローラーラミネーションも、ラミネートグレージングを製造し得る。キャストラミネーション及びローラーラミネーションは、集合的に「液体樹脂ラミネーション」と呼称することができる。液体樹脂は、重力充填、真空充填、又は圧力充填によってガラス層の間に充填することができる。
【0039】
本発明の方法の一実施形態によれば、エッジ封止材料が、ガラスの第1及び/又は第2シートの周囲に沿って提供される。封止材料は、その他のプロパティに加えて、光学結合材料の境界を定める役割を演じている。エッジ封止は、第1ガラスシートと第2ガラスシートとの間に空洞を形成するように、グレージングを封止するために使用されている。空洞は、液体樹脂(液体光学結合接着剤又は液体光学クリア接着剤(LOCA)とも呼称される)により、或いは、光学結合接着剤又は光学クリア接着剤とも呼称される液体樹脂(OCA)から重合されたポリマー層により、充填されている。例えば、様々な実施形態において、機能性フィルムとガラスシートの間の距離を均一に維持するために、且つ、液体樹脂が、機能性フィルム及び更に詳しくはスイッチング可能なフィルムの全体表面、並びに、機能性フィルムに対向するガラスシートの表面を容易にカバーし得ることを保証するために、液体樹脂が硬化される前にスペーサを硬化された樹脂の層内に追加することができる。ガラスシートの2つの層の間の接合を改善するためにエッジ封止がガラスシートのエッジをカバーし得るように、永久テープ又は封止をガラスシートの境界線上に使用することができる。適切なエッジ封止材料は、接着テープ、液体接着剤、又はゼラチン接着剤を含み得る。接着剤は、パターン供給システムによって付与することができる。樹脂の硬化の後に、接着剤又はその他のシーラント材料は、グレージング内に留まることが許容されてもよく、或いは除去されてもよい。
【0040】
上述の詳細な説明は、主には理解の明瞭性を目的として付与されており、本開示を参照した際に、当業者によって変更が実施され得、変更は本発明の精神を逸脱することなしに実施され得るので、これらの説明が不必要な制限であると理解されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
添付図面との関連において以下の説明を参照すれば、本発明の更に良好な理解が得られることになろう。
【0042】
【
図1】本発明のラミネートグレージングの一実施形態の概略図である。
【0043】
【
図2】本発明による自動車ルーフの一例の概略図である。
【0044】
【
図3】本発明の一実施形態による自動車ルーフの拡大された概略図である。
【0045】
【
図4】分散地点が計測されているサイドラミネートグレージングの表面エリアの概略図である。
【
図5】分散地点が計測されているサイドラミネートグレージングの表面エリアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
わかりやすさを目的として、説明の継続部におけるガラスシートの付番は、グレージングのために従来から使用されている付番方式を参照している。従って、車両の外部の環境との接触状態にあるラミネートガラスの面は面1であるものとして知られ、内部媒体、即ち、車両の乗員コンパートメントとの接触状態にある表面は面4として知られており、本発明による機能性組立体は、損傷から保護され得る面2と3との間に位置決めされている。
【0047】
任意の疑義を回避するために、「外部」及び「内部」という用語は、車両内のグレージングとしての設置の際のグレージングの向きを参照している。
【0048】
現在、電気的にパワー供給されるフィルムを有するルーフ、バックライト、などの益々多くの曲げられたグレージングが設計者及び/又は自動車製造者によって要求されている。
【0049】
残念ながら、現時点においては、従来の且つ周知の自動車用ラミネートグレージングに印加されるものなどの圧力の影響を受け易いLCフィルムなどの機能性フィルムとの間に大きな湾曲したグレージングをラミネートするための解決策は、提案されていない。
【0050】
従って、本発明は、少なくともこれら2つの問題点、即ち、電気的にパワー供給されるフィルムを曲げることと、自動車への固定の準備が完了したグレージングを形成するためにこれをラミネートすることと、を同時に解決するための解決策を提案している。
【0051】
本発明の一例によれば、
図1は、ラミネートされた自動車ルーフを示しており、ルーフは、車両のボディ上に固定されることが意図されている。本発明は、ルーフに限定されるものではなく、且つ、本発明の別の好適な実施形態においては、ラテラル(或いは、サイド)車両ウィンドウ(「サイドライト」とも呼称される)をも対象としていることを理解されたい。
【0052】
本発明の一実施形態として
図1に示されているグレージング1は、外部表面(P1)及び内側表面(P2)を有するガラスの第1外側シート11と、内側表面(P3)及び外側表面(P4)を有するガラスの第1内側シート12と、を有する。このようなグレージング1は、ラミネートされている。グレージング1のガラスの外側シート11は、車両の外部との接触状態にあるシートである。ガラスの内側シート12は、車両の内側空間との接触状態にあるシートである。
【0053】
本発明によれば、電気的にパワー供給されるフィルム13が、ガラスの外側シート11と内側シート12との間に提供される。本発明の一実施形態によれば、電気的にパワー供給されるフィルム13は、グレージングのオートクレーブ曲げ(Autoclave bend a glazing)を含む従来のラミネーションプロセスの際に印加される圧力などの圧力の影響を受け易いフィルムである。この種の圧力は、0.04MPa~0.14MPaの圧力である。機能性フィルムは、例えば、圧力の影響を受け易いことが判明しているLCフィルムである。機能性フィルムは、LCフィルム、OLEDフィルム、PDLCフィルム、SPDフィルム、或いは、上述のように圧力の影響を受け易いその他の機能性フィルムであり得ることを理解されたい。
【0054】
本発明の本実施形態によれば、第1又は第2ガラスシート11、12の少なくとも1つ及び機能性フィルム13は、本発明によるラミネートグレージング1を生成するために、光学結合材料14、14’との接触状態に保持されており、この場合に、光学結合材料14、14’は、液体樹脂から重合又は硬化されたポリマーの層である。光学結合材料14、14’は、接着の機能を果たし、ガラスの第1又は第2シートの少なくとも1つとの間に接触している。この例には、光学結合材料14、14’は、ガラスの内側シートの第1表面(P3)とガラスの外側シートの第2表面(P2)の間の接触のために提供される。光学樹脂14、14’を付与するための方式の一例については、後述する。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、光学クリア樹脂14は、約1.4~1.45の屈折率を有する。光学クリア樹脂14、14’は、LCディスプレイ(LCD)を製造するために従来使用されているものであってよい。このような光学クリア樹脂は、例えば、伸びの大きな熱硬化タイプのシリコーンゲルである。光学クリア樹脂は、好ましくは、25~30分の期間に70℃よりも低い温度にソフトな粘着性のゲルに硬化している。この製品のソフトな特性及び緩衝効果は、外部の湿気、機械的衝撃、及び振動からの電子組立体の優れた保護を提供している。このような光学クリア樹脂は、例えば、Momentive(登録商標)社によって供給されている市販のOP4012L(登録商標)である。
【0056】
本発明の一実施形態による光学クリア樹脂14、14’は、ガラスの外側シート11及び内側シート12の間の良好な接着及び封止を保証するために機能性フィルム13の両面のすべての表面をカバーしている。本発明の一実施形態によれば、光学クリア樹脂14、14’は、機能性フィルムと第1及び/又は第2ガラスシートとの間に、且つ機能性フィルム13の表面上に注入されている。
【0057】
本発明によれば、光学結合材料14は、接着フィルムとして液体樹脂から重合されたポリマーの層の形態において機能性フィルムの一面上に、且つ液体樹脂から硬化されたポリマーの形態において反対面上に提供することができる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、封止材料17がガラスの周辺エッジに沿って付与されている。封止材料17は、充填プロセスにおいて光学結合樹脂14が流出することを停止している。封止材料17は、光学クリア樹脂14を付与するエリアの境界を定めている。本発明の好適な一実施形態において、光学結合樹脂14は、機能性フィルム13のすべての表面をカバーし、且つ、更には、封止材料17までそのエッジをカバーするように延在している。このような封止材料は、例えば、Momentive(登録商標)社によって供給される市販のTN8000又はHenkel(登録商標)社によって供給されるMS9320又はKonishi(登録商標)社からのSL420HWである。封止材料17は、湿気などの外部損傷からの機能性フィルムの保護を改善するために2つ以上の材料から構成することができる。本発明によれば、光学結合材料(14)は、機能性フィルム(13)と少なくとも第1ガラスシート(11)及び/又は第2ガラスシート(12)の間の距離(d)を維持するために機能性フィルム(13)との接触状態にあり、且つ、この場合に、湾曲ラミネートグレージングは、75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)を有するその合計表面積の少なくとも50%を有する。
【0059】
一般に、本発明によるこのようなラミネートグレージング、並びに、特に車両ルーフ、サイドウィンドウの準備の際には、グレージングの成形/曲げ及び組立を実行するために使用される処理に耐えるための構成要素の能力を考慮することが推奨され得る。実際に、とりわけSPDフィルム又は場合によってはPDLCフィルムなどの機能性フィルム、AMOLEDフィルムなどのOLEDフィルムは、圧力上昇の影響を受け易い。機能性フィルムを有するラミネートグレージングをラミネートするために使用される圧力である0.04MPa超では、圧力の影響を受け易いフィルムは劣化し得る。機能性フィルムが、圧力に対する、特に0.03MPa超及び更に具体的には0.04MPa超の圧力に対する、長期の曝露に晒された際には、機能性フィルム(LCフィルム、PDLCフィルム、SPDフィルム、OLED、など)は、損傷し得る(フィルムの、且つ、例えば、スイッチング機能の、劣化)。
【0060】
理論的な観点から正しい場合には、実際にラミネートグレージングの「湾曲」特性を評価する際には、これを特徴付けるために提案されている基準に異なる解釈が適用される可能性がある。従って、以下の実際的な方法論を基準として提案する。
1.「湾曲している」又はそうではないと評価する対象のガラス表面を選択する。この表面は、湾曲ラミネートグレージングの第1ガラスシートの外側面(P1)又は第2ガラスシートの内側面(P4)であり得る。
2.ステップ1において選択された表面を有限数の地点「n_total」に低減する。規則的なパターンを有する又はそうではない地点の任意の分布が考慮され得るが、いずれのケースにおいても、なんらの地点をも有していない1cm
2超の表面が見出され得ないように、全体表面が地点によってカバーされていなければならない。
図4a及び
図4bは、選択された表面41(この例の場合には、自動車用ラミネートサイドライトのP1又はP4表面)上の有効な地点の分布を示している。
図5a及び
図5bは、選択された表面51(この例の場合には、自動車用ラミネートサイドライトのP1又はP4表面)上の無効な地点の分布を示しており、その理由は、全体表面が地点によってカバーされていないからである(地点を有していない1cm
2超の矩形エリアの存在)。
3.それぞれの地点におけるRmin値を計測し、且つ、Rminが[75~8500]mmの内側であるかどうかを判定し、
-Rminが範囲[75~8500]mmの内側である場合には、「n_criteria_ok」カウンタが1だけ増分され、
-Rminが範囲[75~8500]mmの外側である場合には、「n_criteria_ko」カウンタが1だけ増分される。
この動作の末尾において、「n_criteria_ok」及び「n_criteria_ko」の合計は、選択された表面上の地点の合計数である「n_total」に等しくなる。
4.「n_total」によって除算された「n_criteria_ok」という比率を演算し、
-この比率が少なくとも50%である場合には、選択された表面は、本発明による基準によれば、「湾曲」しており、
-さもなければ、選択された表面は、本発明による基準によれば、「湾曲」していない。
【0061】
従って、機能性フィルムは、ラミネートグレージング内に内蔵され且つ具体的にはグレージングルーフ又はサイドウィンドウとして車両上に位置決めされた際に、有利には、良好な美観と、スイッチング可能なフィルムのケースにおいては、モードON/OFFにおける迅速なスイッチングと、OLEDディスプレイなどの統合型のディスプレイのケースにはクリア画像/情報/ビデオと、を有していなければならない。
【0062】
従って、本発明は、強化されるかどうかとは無関係に、圧力の影響を受け易い機能性フィルムを有する任意のラミネートグレージングに関し、且つ、グレージングは、自動車の設計にフィットするように複雑な曲がりを有する。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、機能性フィルムと第1及び/又は第2ガラスシートとの間に提供される光学結合材料は、光学クリア液体樹脂である。この結果、光学クリア樹脂は、粘性状態で(液体樹脂)、機能性フィルムの、且つ、更に詳しくはスイッチング可能なフィルムの、一面の表面上に(AMOLEDディスプレイのような別の機能性フィルムとの組合せに、又はそうではない状態に)付与されている。この結果、光学樹脂は、第2ガラスシートとの接触状態にあり、これは、ガラスシートの外側表面P3を意味している。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、機能性フィルムと第1及び/又は第2ガラスシートとの間に提供される光学結合材料は、光学クリア液体樹脂である。この結果、光学クリア樹脂は、第1及び第2ガラスシートとの接触状態にある機能性フィルムの両面の表面上に粘性状態(液体樹脂)に付与されている。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、機能性フィルムと第1及び/又は第2ガラスシートの間に提供される光学結合材料は、光学クリア液体樹脂である。この結果、光学クリア樹脂は、第1又は第2ガラスシートとの接触状態にある機能性フィルムの一面の、且つ、フィルムの形態に重合された液体樹脂から製造された光学結合材料上の機能性フィルムの他面(反対面)の、表面上に粘性状態で付与されている。従って、層は、光学結合接着剤である。
【0066】
好適な一実施形態において、本発明による光学クリア樹脂及び更に一般的には光学結合材料は、そのエッジをカバーするために機能性フィルム上に延在している。更に好適な一実施形態には、光学結合材料は、第1及び第2ガラスシートのエッジまで延在している。従って、機能性フィルムは、湿気から保護されている。光学クリア樹脂は、ディスプレイ産業に広く使用されている。これらを使用する利点は、自動車ラミネーションプロセスに適用されているものなどの高度な透明性、小さなヘイズ、及び相対的に穏やかな温度及び圧力プロセス条件である。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、光学結合材料及び更に詳しくは光学クリア樹脂は、伸びの大きな熱硬化タイプのシリコーンゲルである。また、これは、2成分タイプであってもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、且つ、
図3に例として示されているように、機能性フィルムと第1及び/又は第2ガラスシート11、12との間に複数のスペーサ16が提供されており、前記スペーサは、機能性フィルムと少なくとも外部及び内部ガラスシート11、12の間の距離dを維持するために、機能性フィルム又は機能性フィルム13との接触状態にある第1及び第2ガラスシート11、12の表面の少なくとも一部分にわたって配置され、前記光学クリア樹脂14内に埋め込まれている。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、スペーサ16は、20~70mm及び好ましくは30~60mmの距離Pによって互いに分離され、且つ、0.3~0.7mm、好ましくは0.35~0.6mm、更に好ましくは0.4~0.55mmの距離dに等しい高さhを有する。従って、スペーサは、ラミネーションプロセスに印加される圧力について補償することができる。本発明の一実施形態において、スペーサ16は、円筒形形状を有する。スペーサは、好ましくは、光学結合材料14による均一充填を許容する形状を有する。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、スペーサ16は、1成分のソフトシリコーンゴムから製造されている。従って、UV照射によって活性化された際に、スペーサは、短期間に中程度の硬さの材料に硬化し、これにより、機能性フィルム13とガラスの外側及び内側シート11、12の間の距離を維持している。
【0071】
例えば、スペーサ16は、Momentive(登録商標)社からの市販の成分であるInvisisil OP4921(登録商標)から製造されている。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、スペーサ16が、ガラスの外側シート11の内側表面P2及びガラスの内側シート12の内側表面P3との接触状態にある機能性フィルム13の表面の少なくとも一部分にわたって提供され、次いで、光学クリア樹脂14が、注入により、機能性フィルム13とガラスの外側シート11及び内側シート12との間に提供される。次いで、複数のスペーサ16が、光学クリア樹脂14内に埋め込まれ、且つ、固定されている。次いで、光学クリア樹脂14が、機能性フィルム13とガラスの外側シート11及び内側シート12の間の空間を充填している。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、光学クリア樹脂14及びスペーサ16の透明度は、スペーサの指定された高さにおいて、90%超、好ましくは95%超、更に好ましくは99%超である。従って、ラミネートグレージングは、機能性フィルム13、光学クリア樹脂14、及びスペーサ16を有する場合にも、透明状態に留まっている。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、機能性フィルムは、ガラスの第1及び第2シートよりも小さなサイズを有する。
【0075】
本発明によれば、機能性フィルム13は、柔軟なコネクタ18を通じて電気的にパワー供給されている。機能性フィルム13をパワーに接続するための方式については、周知である。
【0076】
本発明によれば、ガラスは、ソーダ-ライム-シリカ、アルミノシリケート、又はボロシリケートタイプ、及びこれらに類似したもののガラスであってよい。通常、ガラスシートは、0.5~12mmの厚さを有するフロートガラスである。輸送用途においては、ガラスは、1~8mmの厚さ範囲を有し得る一方で、これらは、また、建設アプリケーションにおいては、1~8mmの厚さに加えて、0.5~1mmの極薄ガラス又は8~12mmの相対的に厚いガラスのように、更に薄い又は厚いものであってよい。
【0077】
好適な一実施形態において、本発明は、0.5~4mmの小さな厚さの2つの湾曲ガラスシートの間における圧力の影響を受け易い機能性フィルムの統合に関する。このような薄い湾曲したガラスシートの使用は、組立動作を特に困難なものにしている。実際に、その小さな厚さに起因して、これらの2つのガラスシートは、組立ステップにおいて容易に変形する可能性があり、且つ、従って、機能性フィルムに対して不均一な圧力を印加する可能性があり、これが最終的には透過において可視状態の美的な欠陥(例えば、局所的な相対的に暗いエリア)をもたらす。従って、本発明によれば、このような策略の考慮を伴うことなしに圧力の影響を受け易い機能性フィルム統合の問題に取り組むことができる。
【0078】
前記ガラスシートが輸送用途に適している場合には、グレージングの組成は、本発明を目的とした場合には、重要ではない。ガラスは、望ましい効果の関数として適切な量において1つ又は複数の成分/着色料を有するクリアガラス、ウルトラクリアガラス、又は着色ガラスであってよい。着色ガラスは、灰色、緑色、又は青色フロートガラスを含む。いくつかの状況において、着色ガラスは、最終的な適切且つ望ましい色のグレージングを提供するために有利であり得る。
【0079】
本発明によれば、ラミネートグレージングには、熱損失を極小化するために被覆を提供することができる。低e層(低放出層)を乗員コンパートメントに対向するグレージングの面上に提供することができる。ラミネートグレージングの面の従来の表記法においては、これは、位置4である。面の付番は、外部雰囲気に曝露されている面から始まることにより行われる。対象の層は、乗員コンパートメントから放出された遠赤外線を選択的に反射するフィルタとして機能する。
【0080】
グレージングには、温熱快適性の改善を可能にする任意の被覆を提供することができる。グレージングには、周知の反射防止及び/又は防指紋被覆を提供することができる。
【0081】
本発明によれば、グレージングは、75~8500mmの最小曲率半径(Rmin)を有するその合計表面積の少なくとも50%を有する外側ガラスシートの外側面(P1)及び内側シートの内側面(P4)を有する湾曲ラミネートグレージングである。
【0082】
ラミネーション前のガラスシートは、用途に必要とされている形状としてガラス支持部の特定の設計に正しくフィットするために要求されている最終的なグレージングの曲率に到達するように全体的に又は部分的に湾曲させることができる。
【0083】
一実施形態によれば、ラミネートグレージングは、第3のガラスシートを更に有することができる。ラミネートグレージング1は、熱可塑性中間層に起因して別のガラスのシートにラミネートすることができる。また、ラミネートグレージング1は、複合的なグレージングの一部分であってもよい。中間層は、一般的に、通常は0.3~1.5mmの合計厚さを有するポリビニルブチラル(PVB)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、又はこれらの複数の層などの熱可塑性材料を含むことができる。中間層は、着色料を含むことができると共に、従って、着色された中間層であってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、ガラスの外部シート11の第2表面P2は、更なる被覆による又は更なるフィルムの提供によるUVカット機能及び/又はIRカット機能を有する。
【0085】
ある場合には、機械的制約に対するその抵抗力を改善するために熱処理によって外側ガラスシートを機械的に補強することが有用であり得る。また、特定の用途の場合には高温において車両グレージングを曲げることが必要となり得る。
【0086】
本グレージングは、輸送用途に有用であり得るが、この場合に、圧力の影響を受け易い電気的にパワー供給される機能性フィルムは、曲がりを有するグレージング内に提供される。
【0087】
輸送用途は、道路上、空中、水中及び水上の輸送のための車両、具体的には自動車、バス、列車、船、航空機、宇宙船、宇宙ステーション、及びその他の車両を含む。
【0088】
従って、本グレージングは、鋭い画像の表示が有用であり得るウィンドシールド、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、サンルーフ、パノラマルーフ、又は自動車用の有用な任意のその他のウィンドウ、或いは、任意のその他の輸送装置用の任意のグレージングであってよい。表示される情報は、方向又は交通密度などの任意の交通情報、或いは、速度、温度、又はこれらに類似したものなどの任意の車両状態情報を含み得る。
【0089】
また、本発明の一実施形態によれば、本発明は、
a.内側面及び外側面を有する第1ガラスシートを提供するステップと、
b.第1ガラスシートの内側面上に電気的にパワー供給される機能性フィルムを提供するステップと、
c.機能性フィルムの他面上に第2ガラスシートを提供するステップと、
d.機能性フィルムとガラスの第1及び第2シートの間に複数のスペーサを提供するステップと、
e.光学結合材料を付与することにより、ガラスの第1及び第2のシートと機能性フィルムをラミネートするステップと、
を有し、
f.前記スペーサは、機能性フィルムと少なくとも第1及び/又は第2ガラスシートの間の距離dを維持するために、機能性フィルム又は機能性フィルムとの接触状態にある第1及び/又は第2ガラスシートの表面の少なくとも一部分にわたって配置され、且つ、前記光学結合材料内に埋め込まれている、
ラミネートグレージングを製造するための方法を提案している。
【0090】
機能性フィルムを有するラミネートグレージングを製造する方法の一実施形態によれば、方法は、
a.電気的にパワー供給される機能性フィルムを提供するステップと、
b.機能性フィルムの両面の両方の主表面上に複数のスペーサを提供するステップと、
c.少なくとも第1ガラスシートを曲げるステップであって、ガラスシートは、内側面及び外側面を有する、ステップと、
d.複数のスペーサが提供された機能性フィルムを第1ガラスシートの内側面上に提供するステップと、
e.第2ガラスシートを機能性フィルムの他面上に提供するステップと、
f.電気材料を機能性フィルムと第1又は第2ガラスシートの間の電気的にパワー供給される機能性フィルムに提供するステップと、
g.光学結合材料を機能性フィルムと第1及び第2ガラスシートとの間に付与するステップであって、複数のスペーサが前記光学結合材料内に埋め込まれている、ステップと、
を有する。
【0091】
本発明の一実施形態によれば、スペーサは、UV硬化シリコーンから製造されている。
【0092】
スペーサは、スペーサの望ましい形状、厚さを有するマスクを通じて付与することができる。また、マスクは、それぞれのスペーサの位置及びそれぞれのスペーサの間の距離(ピッチ)を考慮して設計されている。
【0093】
次いで、スペーサは、UV硬化に起因して凝固されている。スペーサは、第1及び第2ガラスシートの内側面に対向する機能性フィルムの両面上に付与されている。
【0094】
本発明によれば、機能性フィルムを第1又は第2ガラスシートの面上に提供する前に、封止材料(ダム)がガラスの周囲エッジに沿って付与されている。封止材料は、光学結合樹脂が充填プロセスに流出することを停止している。封止材料は、光学クリア樹脂を付与するエリアの境界を定めている。本発明の好適な一実施形態において、光学結合樹脂は、機能性フィルムのすべての表面をカバーし、且つ、更には、そのエッジをカバーするために封止材料まで延在している。
【0095】
本発明によれば、光学結合材料は、光学結合樹脂である。光学結合材料は、機能性フィルムと第1及び第2ガラスシートとの間に注入することができる。
【0096】
本発明によれば、機能性フィルムを第1又は第2ガラスシートの面上に提供する前に、周辺封止材料は、2つ又はいくつかのニードルの存在によって局所的に中断させることができる。これらのニードルは、光学結合樹脂をグレージング内に注入するために有用である。ニードルは、異なる形状又は直径(好ましくは、0.5~2.5mm)を有し得る。ニードルは、グレージングの周囲に沿って任意の場所に挿入することができる。好ましくは、反対コーナーに配置された2つのニードルを有する構成(一方は、入口として使用され、他方は、出口として使用される)が、注入ステップにおいては非常に便利であるものと思われる。任意の構成がグレージングの寸法及び形状に応じて定義され得ることを理解されたい。注入プロセスの後に、ニードルは除去され得るが、その存在は、最終的な製品上の周辺封止における不連続性の形態において可視状態に留まり得る。この不連続性のサイズは、ニードルの直径に直接的にリンクされている。
【0097】
本発明によれば、機能性フィルムに電気的にパワー供給するための手段が、周知のプロセスに従ってラミネートグレージング内に提供される。
【0098】
本発明の別の実施形態によれば、複数のスペーサが、機能性フィルムとの接触状態にある第1及び第2ガラスシートの面上に提供される。
【国際調査報告】