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特表2024-514137流体の流れに沿って公転しながら自転する回転力の生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】流体の流れに沿って公転しながら自転する回転力の生成装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20240321BHJP
   F03D 15/00 20160101ALI20240321BHJP
【FI】
F03D3/06 Z
F03D15/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562326
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 KR2022004985
(87)【国際公開番号】W WO2022220481
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0046837
(32)【優先日】2021-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517045071
【氏名又は名称】イ サンチョル
【氏名又は名称原語表記】LEE, SangCheol
【住所又は居所原語表記】198-27, Haengjusanseong-ro, Deogy ang-gu, Goyang-si, Gyeonggi-do 10440 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、サンチョル
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA16
3H178AA18
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB41
3H178CC05
3H178DD03X
(57)【要約】
流体の流れによって圧力を受圧すると、翼自転軸を中心として自転し、これと同時に翼公転軸を中心として公転する複数枚の回転翼が前記翼公転軸に回転力を与える垂直回転軸方式の回転力の生成装置に関するものであって、別途の左右方向制御動力装置がなくても前記回転力の生成装置に生成される回転力が極大化されるような位置と方向に前記翼公転軸がおのずから移動し、前記各回転翼の自転位相角と公転位相角とが効果的に互いに連動されていて、前記各回転翼がいかなる公転位相に位置するとしても、常に同一の回転方向に公転位相別に生成可能な最大の回転力を前記翼公転軸に与え、台風や洪水などにより前記流体の流速と流圧が過剰に増加する場合には、別途の上下方向制御動力装置がないにも拘わらず、前記回転力の生成装置の支柱と基礎に生じる転倒モーメントと前記回転翼の翼公転軸に生じる回転モーメントとが両方とも幾何級数的に減少するような方向に前記翼公転軸がおのずから傾いて、前記回転力の生成装置が過剰な流体の動荷重により転倒されたり、前記各翼公転軸など回転力の生成装置が過剰な回転速度により亡失されたりしないようにすることを特徴とする、エネルギー効率性と構造的な安全性が極大化された垂直回転軸方式の回転力の生成装置。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れによって圧力を受圧すると、翼自転軸を中心として自転し、これと同時に翼公転軸を中心として公転することにより、前記翼公転軸に回転力を与える回転翼を互いに同一の公転位相角の間隔にて2枚以上備えた翼公転軸回転機構を中央部位の左側と右側にそれぞれ1つ以上ずつ備えた左右回転機構結合体と、前記左右回転機構結合体が前記流体の流れの方向の変化に伴い、一定の距離において左右に回動する公転運動をすることが可能なように、前記左右回転機構結合体を支持し、かつ公転軸の役割を果たす回転機構結合体支持台を備えている流体の流れを用いた回転力の生成装置において、
前記回転機構結合体支持台には、前記左右回転機構結合体が公転運動をすることが可能なように公転軸の役割を果たす回転機構結合体公転軸と、前記左右回転機構結合体を前記回転機構結合体公転軸に左右対称となる方向に連結しかつ支持する公転腕役割を果たす回転機構結合体公転腕と、前記回転機構結合体公転軸を支持し、かつ軸受けの役割を果たす回転力の生成装置の基礎が設けられており、
前記左右回転機構結合体には、左側と右側にそれぞれ1つ以上ずつ設けられた翼公転軸回転機構を横方向に連結しかつ支持する左右回転機構結合腕と、前記左右回転機構結合腕の両側の部位にそれぞれ一定の間隔にて位置し、かつ前記各翼公転軸が嵌め込まれる翼公転軸受けが設けられており、
各前記翼公転軸回転機構には、各前記翼公転軸受けに嵌め込まれ、かつ縦方向に伸びる翼公転軸と、前記翼公転軸を中心として互いに同一の公転距離と位相間隔にて横方向に伸びた翼公転腕と、前記翼公転腕の末端部位に位置する翼自転軸受けと、前記翼自転軸受けに嵌め込まれ、かつ前記翼公転軸に平行な翼自転軸と、各前記翼自転軸が前記翼公転軸の反対の方向に0.5倍の角速度にて軸回転をすることが可能なように、前記翼公転軸の回転速度を変速して伝達する公転自転変速連動機が設けられており、
各前記翼自転軸には、形状と大きさが略同一の2つの薄い曲面体が前記翼自転軸を中心として互いに線対称をなすように結合した構造である回転翼が固定結合されており、
各前記回転翼の公転位相角と自転位相角との相互間の関係は、前記各隣り合う翼公転軸を直線状に連結する横方向と前記各翼自転軸の公転軌道とが交差する2つの公転位相のうちのどちらか一方においては、前記回転翼の翼面に垂直な方向が前記左右回転機構結合腕が伸びた方向と垂直となり、残りの他方の公転位相においては互いに平行になるように設定されていて、
前記流体の流れの方向が随時変わるとしても、前記左右回転機構結合体が前記流体の流れに押されて回動しながら最も下流側に移動するため、前記回転機構結合体公転腕は、常に流体の流れに平行な方向を向くことになり、前記左右回転翼結合体は、流体の流れに垂直な方向を向くことになり、これにつれて、各前記回転翼は、公転位相別に生成可能な最大の回転力が生成されることが可能な自転位相角を有することになることを特徴とする、自転しながら公転する回転翼を有する回転力の生成装置。
【請求項2】
前記左右回転機構結合体には、前記左右回転機構結合腕が縦方向に沿って2つ以上設けられており、
各前記左右回転機構結合腕の中央部位を縦方向に連結しかつ支持する左右回転機構結合柱が設けられており、前記左右回転機構結合柱には、横方向に伸びた部材である回転機構結合体回動水平軸が設けられており、
前記左右回転機構結合体の縦方向の重心よりも高い位置の前記左右回転機構結合柱上の一つの地点が前記回転機構結合体回動水平軸を介して前記回転機構結合体公転腕の末端部位にその場で回転可能なようにヒンジ結合されていて、前記流体の流速が増加すれば、前記左右回転機構結合体の傾斜も増加することにより、鉛直状態を保持する場合に比べて、前記回転力の生成装置に加えられる流体の動荷重負荷が幾何級数的に減少することを特徴とする、請求項1に記載の自転しながら公転する回転翼を有する回転力の生成装置。
【請求項3】
各前記翼公転軸回転機構の翼公転軸と各翼自転軸の末端部位には、互いに大きさが同一である2つ以上のクランク機構が互いに同一の回転位相間隔にて広がって前記クランク軸を中心として上下方向に固定結合されており、
互いに同一の回転位相を有する翼公転軸のクランクピンと各翼自転軸のクランクピンとの間には、前記各クランクピンが、互いに連動されて同一の位相角と角速度にてそれぞれのクランク軸を中心として公転することが可能なように、前記翼公転軸のクランクピンを中心としてそれぞれの翼自転軸に向かって放射状に伸びる連結部材である2つ以上の放射状クランクピン連結腕にそれぞれ蝶合されており、
前記左右回転機構結合腕の翼公転軸受けの周りには、前記翼公転軸の軸回転角速度が前記翼公転腕の公転角速度の0.5倍になるように変速する太陽歯車と衛星歯車などから構成された公転自転変速遊星歯車が固定結合されており、
前記翼公転軸は、前記クランク機構と固定結合する公転腕分離翼公転軸と、これを囲繞している円筒状の部材であって、各翼公転腕と固定結合する公転腕結合翼公転軸と、に分けられていて、
前記クランク機構の回転過程において偏心荷重による振動と慣性抵抗が生せず、回転力の増強のために翼公転腕の長さを増加させてもさらなる摩擦エネルギー損失が生じないことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自転しながら公転する回転翼を有する回転力の生成装置。
【請求項4】
前記回転機構結合体公転軸は、街灯、電信柱など垂直構造物の途中に、左右方向に相対回動をすることが可能なように、ヒンジ方式により結合された円筒状の構造であり、前記左右回転機構結合体は、前側が鳥の頭の形状であり、後側が鳥の尻尾の形状であり、回転機構結合体回動水平軸(14)の下側には、左側回転機構結合腕と右側回転機構結合腕とが互いに分離されていて、道路や鉄道など線状敷地の垂直構造物に容易に結合することができながら、風の変化に伴い、左右、上下の方向に回動しながら羽ばたきする鳥と略同一の造形美を生み出すことを特徴とする、請求項2に記載の自転しながら公転する回転翼を有する回転力の生成装置。
【請求項5】
左右回転機構結合体の中央部位が左側回転機構結合体と右側回転機構結合体とに分離されて、前記中央部位を頂点とする左右内角の大きさが増減する相対回動をすることが可能なように互いにヒンジ結合され、前記左側回転機構結合体と右側回転機構結合体は、それぞれ互いに異なる回転機構結合体公転腕にヒンジ結合され、各前記回転機構結合体公転腕は、前記回転機構結合体公転軸にヒンジ結合され、前記左右回転機構結合体の前記中央部位と前記回転機構結合体公転軸との間には、間隔調節機能をする引っ張りばねや長軸のターンバックルが設けられていて、
前記流体の流れが随時変わるとしても、前記左右回転機構結合体が前記回転機構結合体公転軸を中心として回動して前記流体の流れと正面から向き合うことになり、前記流体の流速と流圧が増減すれば、前記左右回転機構結合体の中央部位を頂点とする内角の大きさが変わりながら、動荷重負荷に対する緩衝作用をすることを特徴とする、請求項1に記載の自転しながら公転する回転翼を有する回転力の生成装置。
【請求項6】
流れる流体が各回転翼にぶつかった後に四方に散らばらず、回転翼の表面の横方向の峡谷に沿って流れるように誘導することが可能なように、前記回転翼の横方向の断面は、凹凸がない直線の形状であり、縦方向の断面は、凹凸や突起が形成されている形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自転しながら公転する回転翼を有する回転力の生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れによって圧力を受圧すると、翼自転軸を中心として自転し、これと同時に翼公転軸を中心として公転する複数枚の回転翼が前記翼公転軸に回転力を与える垂直回転軸方式の回転力の生成装置に関するものであって、
より詳細には、前記流体の流れの方向が随時変わり、別途の左右方向制御動力装置がなくても前記回転力の生成装置に生成される回転力が極大化されるような位置と方向に前記翼公転軸がおのずから移動し、前記各回転翼の自転位相角と公転位相角とが効果的に連動されていて、前記各回転翼がいかなる公転位相に位置するとしても、常に同一の回転方向に公転位相別に生成可能な最大の回転力を前記翼公転軸に与え、台風や洪水などにより前記流体の流速と流圧が過剰に増加する場合には、別途の上下方向制御動力装置がないにも拘わらず、前記回転力の生成装置の支柱と基礎に生じる転倒モーメントと前記回転翼の翼公転軸に生じる回転モーメントとが両方とも大幅に減少するような方向に前記翼公転軸がおのずから傾いて、前記回転力の生成装置が過剰な流体の動荷重により転倒または崩壊されたり、前記各翼公転軸など回転力の生成装置が過剰な回転速度により亡失されたりしないことを特徴とする、効率性と安全性が極大化された垂直回転軸方式の回転力の生成装置を提供するためのものである。
【背景技術】
【0002】
流れる流体の圧力により運動する回転翼(ブレード)が前記回転翼の回転軸に回転力を与える回転力の生成装置は、回転翼の回転軸方向が流体の流れの方向に平行な「水平回転軸」方式と、回転翼の回転軸方向が流体の流れの方向に垂直な「垂直回転軸」方式と、に大別でき、このような2種類の方式別の欠点は、下記の通りである。
【0003】
「水平回転軸」方式は、大型化には有利であるものの、回転翼の運動方向が流体の運動方向に直角であることから、回転する部材と支持する部材との間において摩擦、振動、騒音及びエネルギー損失が甚だしく生じる。これにより、水平回転軸風力発電機は、秒速6m以上の速い風を必要とする。
【0004】
「垂直回転」方式は、ダリウス型(Darrieus type)、サボニウス型など種類によって多少なりとも違いはあるものの、全体の360°の位相区間のうち、回転翼が流体の流れの方向に移動する180°の位相区間においては正方向(+)の回転力が生成されるが、流れを遡りながら移動する180°の位相区間においては逆方向(-)の回転力を生成するため、回転力生成のエネルギー効率が低い。
【0005】
一方、下記の先行特許文献1、2、3に開示された垂直回転軸方式は、回転翼が公転方向の反対の方向に1/2の角速度にて自転運動をするため、回転翼の翼公転軸から翼自転軸へと向かう方向が前記流体の流れの方向に直角となる2つの地点のうちのどちらか一方の地点において回転翼の翼面に垂直な方向が流体の流れの方向に垂直であり、残りの他方の地点においては平行になるように公転位相別の自転位相が設定さえできれば、前記回転翼がいかなる公転位相に位置するとしても、逆方向(-)の回転力は生成されないながら、流体の流れのエネルギーを回転翼の正方向(+)の回転エネルギーに最大限に変換することができる。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1、2または3による方式は、随時流れの方向が変わる場合には、流体の流れの方向と回転翼の公転位相角との関係を適期に正確に調整し難く、特に、別途の外部の動力を用いる方向制御装置が提供されてはじめて、正確な方向の調整を行うことが可能であるという根本的な限界性がある。また、水平回転軸方式に比べて、回転翼の面積が非常に広く、常に正面から大きな流圧を受圧しなければならないため、台風や洪水などにより流速が速くなると、崩壊や転倒が起こるリスクが幾何級数的に大きくなって回転力の生成装置を大型化させることができないという限界性もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2009-0102282号公報(風車翼自転型垂直軸風力発電機)
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1080323号公報(風力発電機用の回転ブレード方向調節装置)
【特許文献3】大韓民国登録特許第10-1525553号公報(垂直ローター型風力発電装置)
【特許文献4】大韓民国登録特許第10-0954760号公報(風力発電機用の風車)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1から3の風力による回転力の生成装置は、いずれも1本の翼公転軸の周りを2枚以上の回転翼が公転運動をしながら、これと同時に公転角速度の1/2の自転角速度にて前記公転運動方向の反対の方向に自転運動をして、翼公転軸の回転力を生じさせる。
【0009】
このような原理の垂直回転軸風力発電機は、回転翼が2枚であり、流体が流れる方向が公転位相角90°であると仮定したとき、公転位相角0°において前記2枚のうちのどちらか一方の回転翼の自転位相角が0°(反対側の回転翼は90°)になるときにエネルギー効率が最大となり、前記自転位相角が+45°(または、-45°)になるときには回転力生成のエネルギー効率が0(ゼロ)になる。
【0010】
しかしながら、流圧を受圧するすべての物体は、エネルギー損失を極力抑えるために流圧を受圧する面積が最小化される方向に移動する属性があるため、別途の方向調節装置を用いて人為的に変更しなければ、前記公転位相角が0°であるときに自転位相角が、どちらか一方の回転翼は+45°になり、反対側の回転翼は-45°になる方向に、前記翼自転軸が移動した後に停止することにより回転力の生成機能を失ってしまう。
【0011】
このような回転力の喪失の問題を解消するために、特許文献1の方式においては、風向計と同一の原理である方向舵をさらに設けて回転翼の方向を制御する方式を提示しているが、特許を取得することができなかった。また、特許文献2と3の方式は、風向感知センサーと別途の動力提供手段をさらに設けて回転翼の方向を制御する方式を提示してそれぞれ特許を取得している。
【0012】
ここで、前記特許文献1の方式は、方向舵によって僅かに回転翼の方向を変更することは可能であるとはいえ、変更される回転角が90°に大きく満たないため、回転力生成のエネルギー効率が非常に低くならざるを得ない。
【0013】
ところが、特許文献2と3の方式は、特許文献1の方式よりも回転力生成のエネルギー効率がさらに低くならざるを得ない。というのは、他のエネルギー損失が全くないと仮定する場合であっても、前記動力発生手段により回転翼の方向を制御するのにかかる力とエネルギーの大きさが、前記回転翼の自転運動と公転運動により生成される力とエネルギーの大きさよりもさらに大きくなってはじめて回転翼の方向を制御することが可能であるが、これは、熱力学第1法則(エネルギー保存の法則)に違背するからである。これに加えて、特許文献3の場合には、エアホイルの形状であるブレードとローターの回転方向が実際の現象の反対の方向であるかのように記述されているが、これは、ブレードの形状による抗力係数がどうしても揚力係数よりも大きくならざるを得ないという点を見逃したためであり、サボニウス型回転力の生成装置のブレードの形状とこれに伴う回転方向のみを見ても容易に確認することができる。
【0014】
一方、特許文献1から3において提示した形状の垂直回転軸方式は、いずれも流体の動荷重を受ける回転翼の面積が同一の大きさの水平回転軸(プロペラ)方式に比べて、少なくとも3倍以上大きいため、強風や洪水などの原因によって流速と流圧が急増する場合には、転倒と崩壊のリスクも回転翼の面積差に比例して増加する。
【0015】
したがって、特許文献1から3の回転力の生成装置は、エネルギー効率と実用性が非常に低いのみならず、転倒と崩壊のリスクが大きいため、水平回転軸方式のように大型風力発電機に活用されることができないという根本的な限界性が存在する。
【0016】
本発明は、このような既存の発明の問題を解消するために案出されたものであり、風車や水車のように流体の流れの方向の運動エネルギーを回転翼の公転方向の運動エネルギーに変換する回転力の生成装置において、
【0017】
(1)水平回転軸方式の欠点である、回転軸の方向に押される力に抗して回転する部材の間において生じる摩擦、騒音、振動及びこれに伴うエネルギー損失が生せず、
【0018】
(2)垂直回転軸方式でありながらも、回転翼が公転軸を中心として公転する360°の全体の公転区間において、公転位相別にできる限りの最大限の正方向(+)の回転エネルギーしか生成されず、
【0019】
(3)別途の方向舵や動力の提供がなくても、随時変わる流体の流れの方向に合わせて、各回転翼の公転位相別の方向(自転位相角)が最適の方向におのずから調整され、
【0020】
(4)流体の流速が過剰に速くなると、回転翼の流速方向の正射投影面積と流圧が幾何級数的に小さくなることにより、強風や洪水による崩壊や転倒のリスクなしに大型化を図ることができ、
【0021】
(5)流体の流速が過剰に速くなると、各回転翼の公転方向の流体圧力が幾何級数的に小さくなることにより、過速回転に起因する翼回転装置や発電設備などの亡失を防ぐことができ、
【0022】
(6)流体の種類と流速が同一である場合であっても、上記の特許文献1から3において提示した回転翼よりも少なくとも10%以上のエネルギーを生成することが可能な回転翼の形状を呈しており、
【0023】
(7)前記翼公転軸と各翼自転軸との間の回転力の伝達が、平歯車やかさ歯車またはチェーンベルト方式よりも簡単に、かつエネルギー効率が良好になるように行われることができ、
【0024】
(8)低い流速と流圧でも回転翼が効果的に公転しながら、大きな回転モーメントを生成することが可能なように翼公転腕の長さをいくら伸ばしてもさらなる摩擦エネルギー損失が生せず、
【0025】
(9)道路辺や鉄道辺、海岸など余裕敷地や街灯または電信柱など既存の構造物にも便利にかつ造形美よく設置して、新再生エネルギーの効率よい生成に利用することができる、
【0026】
風力や水力など流体の流れの運動エネルギーを用いた回転力の生成効率が極大化され、安全であり、しかも実用性に富んでいる他、発電機や水車などに産業的に活用価値の高い回転力の生成装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の課題を解決するための本発明の回転力の生成装置は、
片側に流れる流体によって圧力を受圧すると、翼自転軸を中心として自転し、これと同時に翼公転軸を中心として公転することにより、前記翼公転軸に回転力を与える回転翼を互いに同一の公転位相角の間隔にて2枚以上備えた翼公転軸回転機構を中央部位の左側と右側にそれぞれ1つ以上ずつ備えた左右回転機構結合体と、前記流体の流れの方向が随時変わるとしても、前記左右回転機構結合体が前記流体の流れの方向の流圧に押されて、前記回転力の生成装置に生成される回転力が極大化されるような位置と方向におのずから移動する公転運動をすることが可能なように、前記左右回転機構結合体を支持し、かつ公転軸の役割を果たす回転機構結合体支持台と、を備えている流体の流れを用いた回転力の生成装置に関するものであり、
【0028】
前記回転機構結合体支持台には、前記左右回転機構結合体が公転運動をすることが可能なように公転軸の役割を果たす回転機構結合体公転軸と、前記左右回転機構結合体を前記回転機構結合体公転軸に左右対称となる方向に連結しかつ支持する公転腕役割を果たす回転機構結合体公転腕と、前記回転機構結合体公転軸を支持し、かつ軸受けの役割を果たす回転力の生成装置の基礎と、が設けられている。
【0029】
前記左右回転機構結合体には、中央部位の左側と右側にそれぞれ1つ以上ずつ設けられた翼公転軸回転機構を横方向に連結しかつ支持する左右回転機構結合腕と、前記左右回転機構結合腕の両側の部位にそれぞれ一定の間隔にて位置し、かつ前記各翼公転軸が嵌め込まれる翼公転軸受けと、が設けられている。
【0030】
ここで、前記左右回転機構結合体に前記左右回転機構結合腕が縦方向に沿って上下に2つ以上設けられている場合には、各左右回転機構結合腕の中央部位を縦方向に連結しかつ支持する左右回転機構結合柱がさらに設けられていてもよい。
【0031】
各前記翼公転軸回転機構には、各前記翼公転軸受けに嵌め込まれ、かつ縦方向に伸びる翼公転軸と、前記翼公転軸を中心として互いに同一の公転距離と位相間隔にて横方向に伸びた翼公転腕と、前記翼公転腕の末端部位に位置する翼自転軸受けと、前記翼公転軸に平行な方向に前記翼自転軸受けに嵌め込まれる翼自転軸と、各前記翼自転軸が前記翼公転軸の回転の反対側に0.5倍の角速度にて軸回転をすることが可能なように、前記翼公転軸の回転速度を変速して伝達する公転自転変速連動機(power train)と、が設けられている。
【0032】
各前記翼自転軸には、形状と大きさが略同一である2つの薄い曲面体が前記翼自転軸を中心として互いに線対称をなすように結合した構造である回転翼が固定結合されており、各前記回転翼の公転位相角と自転位相角との相互間の関係は、前記各隣り合う翼公転軸を直線状に連結する横方向と前記各翼自転軸の公転軌道とが交差する2つの公転位相のうちのどちらか一方においては、前記回転翼の翼面に垂直な方向が前記左右回転機構結合腕が伸びた方向と垂直となり、残りの他方の公転位相においては平行になるように設定されている。
【0033】
これにより、前記流体の流れの方向が随時変わるとしても、前記左右回転機構結合体が前記流体の流れに押されて回動しながら最も下流側に移動することから、前記回転機構結合体公転腕は、常に流体の流れに平行な方向を向くことになり、前記左右回転翼結合体は、流体の流れに垂直な方向を向くことになり、これにつれて、各前記回転翼は、公転位相別に生成可能な最大の回転力が生成されることが可能な自転位相角を有することになる。
【0034】
そのため、流体の流れエネルギーを動力源として用いる本発明の前記回転力の生成装置は、流体の流れの方向がいつどのように変わり、しかも、各前記回転翼がいかなる公転位相に位置するとしても、常に同一の回転方向に、前記流体の流れを用いて生成可能な最大限の回転モーメント(torque)を前記翼公転軸に与えることになる。
【0035】
このような本発明の前記回転力の生成装置には、下記の各号に掲げるような課題解決手段がさらに配設されてもよい。
【0036】
(1)前記左右回転機構結合体の左右回転機構結合柱(または、左右回転機構結合腕)が横方向に伸びた部材である回転機構結合体回動水平軸を介して上下方向にその場で回転をすることが可能なように、前記回転機構結合体公転腕の末端部位にヒンジ結合されることが可能であり、このとき、前記左右回転機構結合体において、前記回転機構結合体回動水平軸が結合される地点は、縦方向の重心よりも高い位置にあらなければならない。
【0037】
このような機能的な構造を備えると、流体の流速が低いときには、前記左右回転機構結合体が自体の重さ(自重)により前記回転機構結合体回動水平軸を回転中心として略鉛直方向に吊り下がることになり、流速と流圧がどんどん増加すれば、これにつれて左右回転機構結合体の傾斜も増加するため、垂直状態を固守する場合に比べて、前記回転力の生成装置に加えられる流体の動荷重負荷が幾何級数的に減少することになる。
【0038】
(2)各前記回転翼は、横方向に沿って切った断面は、凹凸がない直線の形状であり、縦方向に沿って切った断面は、複数の凹凸や突起が形成されている形状を呈していてもよい。
【0039】
このような機能的な形状を呈すると、回転翼にぶつかった流体が四方に散らばらずに横方向の峡谷(trench)に沿って流れ、運動エネルギーを回転翼に完全に伝達することから、回転翼のエネルギー生成効率が少なくとも10%以上増加することができる。
【0040】
(3)前記公転自転変速連動機において、翼公転軸と翼自転軸の相互間に回転力を伝達する手段として、放射状クランクピン連結腕を備えるクランク機構が用いられ、回転力を変速する手段としては、公転自転変速遊星歯車が用いられることができる。
【0041】
これについてさらに詳しく述べると、各前記翼公転軸回転機構の翼公転軸と各翼自転軸の末端部位には、互いに大きさが同一である2つ以上の「クランク軸-クランクアーム-クランクピン」から構成されたクランク機構が互いに同一の回転位相間隔にて広がって前記クランク軸に上下方向の千鳥状に固定結合され、
【0042】
互いに同一の回転位相角を有する翼公転軸のクランクピンと各翼自転軸のクランクピンとの間には、前記各クランクピンが互いに連動されて同一の位相角と角速度にてそれぞれのクランク軸を中心として公転をすることが可能なように、前記翼公転軸のクランクピンを中心としてそれぞれの翼自転軸に向かって放射状に伸びる連結部材である放射状クランクピン連結腕にそれぞれ蝶合され、
【0043】
前記翼公転軸と前記翼公転軸受けとの間には、翼公転軸の軸回転角速度が翼公転腕の公転角速度の0.5倍になるように変速する太陽歯車と衛星歯車などから構成された公転自転変速遊星歯車が前記左右回転機構結合腕の一方の面に固定結合されてもよい。このとき、前記翼公転軸は、前記クランク機構と固定結合する公転腕分離翼公転軸と、これを囲繞している円筒状の部材であって、各翼公転腕と固定結合する公転腕結合翼公転軸と、に分けられる必要がある。
【発明の効果】
【0044】
(1)回転力の生成装置の翼公転軸と翼自転軸が流体の流れに垂直な垂直回転軸方式であることから、水平回転軸方式のように回転翼が流体に押されて回転軸受けを圧縮しながら回転しないので、摩擦、騒音、振動及びこれに伴うエネルギー損失が大きく生じない。
【0045】
(2)各回転翼の360°の全体の公転区間において正方向(+)の回転力しか生成されないことから、180°の公転区間においてしか正方向の回転力が生成されず、残りの180°の区間において逆方向の回転力が生成される既存の垂直回転軸方式に比べてエネルギー生成効率が少なくとも2倍以上高い。
【0046】
(3)流体の流れの方向が随時変わり、別途の動力の提供がなくても、前記左右回転翼結合体が常に流体の流れに垂直な方向を向くことになることから、各回転翼は、公転位相別に流体の流れを用いて生成可能な最大限の回転力を前記翼公転軸に与えることになる。
【0047】
これについてさらに詳しく述べると、まず、第一に、流体の流れの方向に平行な既存の方向舵よりも、流体の流れの方向に垂直方向である左右回転翼結合体の方が流体の圧力を数十倍大きく受圧しながら回動することから、遥かに効果的に方向舵の機能を行う。第二に、左右回転翼結合体の横方向が流体の流れの方向と平行であれば、回転力の生成機能が失われ、垂直方向に近づけば近づくほど、生成される回転力が大きくなることから、生産可能な最大限の回転力を生成する。一方、別途の動力装置を用いて方向を制御する方式は、熱力学第2法則に基づいて、方向の操縦にかかるエネルギーが翼回転により生成されるエネルギーよりもさらに多いため、実用性を確保することができない。
【0048】
(4)台風や洪水などにより前記流体の流速と流圧が過剰に増加するとしても、前記回転力の生成装置に加えられる流圧による動荷重と、これによる崩壊と転倒の可能性が大きく増加しない。したがって、垂直軸回転方式でありながらも、回転力の生成装置の大型化を実現することができる。
【0049】
というのは、流体の流速と流圧の増加に伴い、左右回転機構結合体が垂直から傾く角度をθとおくと、風圧による動荷重は、Cos(θ)の3乗に比例して減るからである。
【0050】
(5)台風や洪水などによって前記流体の流速と流圧が大きく増加するとしても、発電装置など関連システムの亡失などを吹き起こす過剰な回転速度が生じない。
【0051】
というのは、流速の増加に伴い、左右回転機構結合体が垂直から傾く角度をθとおくと、同一の流圧による回転モーメント(Torque)がCos(θ)の2乗に比例して減るからである。
【0052】
(6)各前記回転翼が、横方向の断面にはうねりがなく、縦方向の断面には多数の凹凸や突起がある形状である場合、単なる平面状に比べて回転翼にぶつかった流体のうち、翼自転軸の方向に散らばりながら失われる流体の流量は減り、翼自転軸に直角な方向に流れながら回転力を生成する流量は増加することになる。実際に、回転翼の形状別の抗力係数は、平面状が約1.98であり、凹んだ半球状が約2.3であることから、翼自転軸に直角の方向に流体の流れを誘導する凹凸や突起を形成すれば、回転力生成のエネルギー効率が10%以上増加する。
【0053】
(7)翼公転軸と翼自転軸との間の前記公転自転変速連動機として放射状クランクピン連結腕を備えるクランク機構と公転自転変速遊星歯車が用いられる場合、他の動力伝達方式に比べて、流体の流れの速度が低い場合であっても、効果的に回転力を生成することができる。
【0054】
というのは、歯車(ギヤ)やチェーンベルトによって回転力が伝達される場合には、翼公転腕の長さが長くなれば長くなるほど、歯車の数やチェーンの結節点の数が増加するため、それぞれの接続部位ごとに生じる引っ掛かりと摩擦によるエネルギー損失も増加するのに対し、前記クランク機構を用いる場合には、翼公転腕の長さがどんなに長くなるとしても、動力の伝達に必要な構成部品間の接続部位の数が増加しないことから、さらなる摩擦エネルギー損失がなく、したがって、前記翼公転腕と前記放射状クランクピン連結腕の長さを十分に長く形成することができ、翼公転腕の長さが長くなれば長くなるほど、同一の流体の流れの速度にて生成可能な翼公転軸の回転モーメント(Torque)が増加するからである。なお、2つ以上の放射状クランクピン連結腕が互いに同一の回転位相間隔にて離れ合ってクランク軸の周りを公転することから、偏心荷重による振動と慣性抵抗も生じないので、エネルギー効率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】(a)は特許文献1、(b)は特許文献2、(c)は特許文献3、(d)は特許文献4の代表図である。
図2】複数の平歯車が回転力を伝達する、2枚の回転翼をもった翼公転軸回転機構の2つが互いに対称となるように結合された本発明の一実施形態の斜視図である。
図3図2の実施形態において、回転翼の自転と公転とが互いに連動され、翼公転軸受け歯車と翼自転軸歯車との間に回転力が伝達される過程を示す平面図である。
図4図2の実施形態において、左側の翼公転軸歯車と右側の翼公転軸歯車とが互いに連動され、中央の発電機に回転力が伝達される方法と順序を示す平面図である。
図5】歯車の組み合わせとチェーンベルトにより回転力が伝達される、3枚の回転翼を持った回転力の生成装置の2つが互いに対称となるように結合された本発明の一実施形態の斜視図である。
図6図5の実施形態において、歯車の組み合わせとチェーンベルトにより回転力が伝達される部位を拡大して作動原理を細部的に例示する鳥瞰図である。
図7図5の実施形態において、各回転翼の公転運動と自転運動の回転方向及び回転力の伝達過程を巨視的に示す平面図である。
図8図2の実施形態において、回転翼の公転位相角と自転位相角及び翼公転軸に生成される回転モーメントの相互間の力学関係を示す概念図である。
図9図2の実施形態において、回転翼の公転位相角と自転位相角及び翼公転軸に生成される回転モーメントの相互間の力学関係を示す概念図である。
図10】かさ歯車により回転力が伝達される左右回転機構結合体が回転機構結合体回動水平軸を中心として上下方向に回動することが可能な本発明の回転力の生成装置の一実施形態の斜視図である。
図11図10の実施形態において、前記左右回転機構結合体が流体の流れの方向の圧力によって前側に傾く作動原理を示す中央断面の側面図である。
図12図11の実施形態において、流体の流速、左右回転機構結合体の傾斜、回転機構結合体支持台の転倒モーメントなどの力学的関係を示す概念図である。
図13】複数のクランク機構が回転力を伝達する、4枚の回転翼をもった翼公転軸回転機構の2つが互いに面対称となるように結合され、回転機構結合体回動水平軸を中心として上下方向に回動することが可能な本発明の回転力の生成装置の一実施形態の斜視図である。
図14図13の実施形態において、前記左右回転機構結合体が流体の流れの方向の圧力によって後側に傾く作動原理を示す側面図である。
図15】互いに点対称をなしながら翼公転軸の周りを公転する2つの放射状クランクピン連結腕と5つのクランク機構により、中央の翼公転軸から4本の翼自転軸へと回転力が伝達される原理と過程を示す斜視図である。
図16】翼公転軸と翼自転軸の回転角速度が回転翼の公転角速度の0.5倍になるように角速度を変換して伝達する公転自転変速遊星歯車の作動原理を例示する斜視図である。
図17】(a)から(c)は、図5において例示した方式の左右回転機構結合体が街灯や電信柱などの垂直構造物に設置された一実施形態の斜視図である。
図18】道路の中央と側面に多数設置された、風の速度と方向に応じてまるでぶらんこのように上下に回動しながら左右にも回動することが可能な、左右上下に4つの翼公転軸回転機構を有する本発明の回転力の生成装置を例示する斜視図である。
図19】多数の翼公転軸回転機構が面対称の三角形をなすように中央部位の左右に配置され、流速の変化に伴い、左右回転機構結合体の横方向の幅を増減することのできる本発明の一実施形態の斜視図である。
図20図20の実施形態において、左右回転機構結合体の横方向の幅が減少した形状と作動原理を示す斜視図である。
図21】(a)から(d)は、1本の翼公転軸と3本の翼自転軸との間に回転力を伝達する歯車の組み合わせとチェーンベルトの形状及び作動原理に関わる様々な実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、添付図面を参照しながら本発明を詳述する。但し、同一の構成により同一の機能を有する部分は、たとえ図面が異なるとしても、同一の符号を維持することにより、その詳しい説明を省略する場合がある。
【0057】
本発明の回転力の生成装置は、図2図5図10図13図17図18図19などに示されるように、流れる流体によって圧力を受圧すると、翼自転軸34を中心として自転し、これと同時に翼公転軸31を中心として公転することにより、前記翼公転軸31に回転力を与える回転翼35を互いに同一の公転位相角の間隔にて2枚以上備えた翼公転軸回転機構3を中央の左側と右側にそれぞれ1つ以上ずつ備えた左右回転機構結合体2、及び前記流体の流れの方向が随時変わるとしても、前記左右回転機構結合体2が前記流体の圧力に押されて下流方向に旋回しながら方向舵の機能を兼ね備えることが可能なように、前記左右回転機構結合体2を支持し、かつ公転軸の役割を果たす回転機構結合体支持台1を備えている流体の流れを用いた回転力の生成装置であって、本発明による回転力の生成装置を最も基本的な形態である図2図5の例示図などに基づいて説明すれば、下記の通りである。
【0058】
<部品の構成>
【0059】
(1)本発明の回転力の生成装置は、左右回転機構結合体2と回転機構結合体支持台1とに大別でき、左右回転機構結合体2には、縦方向の中心線を基準として左側と右側に同じ大きさと形状を有する翼公転軸回転機構3がそれぞれ1つ以上ずつ設けられている。
【0060】
(2)前記回転機構結合体支持台1には、左右回転機構結合体2が公転をすることが可能なように公転軸の役割を果たす回転機構結合体公転軸11と、左右回転機構結合体2を回転機構結合体公転軸11に左右対称となるように連結しかつ支持する回転機構結合体公転腕12と、回転機構結合体公転軸11を支持し、かつ軸受けの役割を果たす回転力の生成装置の基礎13と、が設けられている。
【0061】
(3)前記左右回転機構結合体2には、中央部位の左側と右側にそれぞれ1つ以上ずつ設けられた翼公転軸回転機構3を横方向に連結しかつ支持する左右回転機構結合腕21と、左右回転機構結合腕21の両側の部位にそれぞれ一定の間隔にて位置し、各前記翼公転軸31が嵌め込まれる翼公転軸受け22と、が設けられている。但し、図2の場合には、回転翼の左右の面積を最大化させるために、翼公転軸31の設置が省略されることに伴い、前記翼自転軸34が翼公転腕32と一体化された公転腕結合翼自転軸341と、前記公転腕結合翼自転軸341を囲繞している円筒状であって、前記回転翼35と結合して一緒に自転する翼結合翼自転軸342と、に大別可能である。
【0062】
ここで、前記左右回転機構結合腕21には、左側と右側にそれぞれ位置している各翼公転軸回転機構3の各翼公転腕32が互いに連動されて面対称をなしながら回転をすることが可能なように、複数の平歯車、かさ歯車またはクランク機構などから構成された左右翼公転位相連動機24が設けられることが好ましい。但し、図5に示すように、1つの翼公転軸回転機構3に回転翼35が3枚以上である場合には、左側と右側の翼公転軸回転機構3の間の回転翼35の公転位相差が大きくないので、左右翼公転位相連動機24が設けられなくてもよい。
【0063】
一方、前記左右回転機構結合腕21が上下に2つ以上設けられる場合には、各前記左右回転機構結合腕21の中央部位を縦方向に連結して支持する左右回転機構結合柱23がさらに設けられることが好ましい。
【0064】
(4)各前記翼公転軸回転機構3には、各前記翼公転軸受け22に嵌め込まれ、かつ縦方向に伸びた翼公転軸31と、前記翼公転軸を中心として互いに同一の公転距離と同一の位相間隔にて放射状に伸びた2つ以上の翼公転腕32と、各前記翼公転腕の末端部位に位置する翼自転軸受け33と、前記翼自転軸受け33に嵌め込まれ、かつ縦方向に伸びた翼自転軸34と、各前記翼自転軸34が前記翼公転軸31の回転方向の反対の方向に0.5倍の角速度にて回転するように翼公転軸31の回転力を変速しながら翼自転軸34に伝達する公転自転変速連動機36と、が設けられている。
【0065】
ここで、翼公転軸31は、前記翼公転腕32と同じ角速度にて回転する公転腕結合翼公転軸311と、前記翼公転腕32とは異なる角速度にて回転する公転腕分離翼公転軸312と、に大別できる。
【0066】
(5)図3図6などに示されるように、公転自転変速連動機36には、翼公転軸受け22が翼公転軸31の方向に突出して前記翼公転軸31を丸く囲繞している外歯歯車の形状である翼公転軸受け歯車51と、各翼自転軸34に固定結合した翼自転軸歯車53、及び前記翼公転軸受け歯車51と各前記翼自転軸歯車53との間に位置し、回転力を変速しながら伝達する回転力伝達部品6などが設けられてもよい。
【0067】
(6)各前記翼自転軸34には、形状と面積が略同一である2つの薄い曲面体が前記翼自転軸を中心として互いに線対称をなすように結合した形状である回転翼35が固定結合されている。
【0068】
(7)各回転翼35の公転位相角と自転位相角との相互間の関係は、図7に示されるように、左右回転機構結合腕21が伸びた横方向と前記各翼自転軸の公転軌道とが交差する2つの公転位相のうちのどちらか一方においては、前記左右回転機構結合腕21が伸びた横方向と前記各回転翼の左側と右側の端縁部を結ぶ横方向が平行であり、残りの他方の公転位相においては互いに90°の差がでるように設定されている。
【0069】
一方、前記回転力の生成装置には、次のようなさらなる解決手段が配設されてもよい。
【0070】
(1)図11図12図19などに示されるように、前記左右回転機構結合体2が、水平方向に伸びた回転軸である回転機構結合体回動水平軸14を介して、流体の流速と流圧の変化に伴い傾斜が変わる円弧往復運動をすることが可能なように、前記回転機構結合体公転腕12の末端部位にヒンジ結合されてもよい。
【0071】
(2)各前記回転翼35において、流れる流体が翼面にぶつかった後に四方に散らばらずに、横方向に沿って流れるように誘導するように、図11図13に示されるように、回転翼35の横方向の断面は、凹凸がない直線の形状であり、縦方向の断面は、凹凸や突起がある形状に形成されることが好ましい。
【0072】
(3)図13から図15に示されるように、各前記翼公転軸回転機構3の翼公転軸31と各翼自転軸34の末端部位には、それぞれクランク軸411とクランクアーム412とクランクピン413とを備えた2つ以上のクランク機構41が互いに同一のクランクアーム412の位相角間隔にて上下にそれぞれ固定結合され、
【0073】
互いに同一の回転位相角を有する翼公転軸31のクランクピン413と各翼自転軸34のクランクピン413は、前記クランクピン413が互いに連動されて同一の位相角と角速度にてそれぞれのクランク軸411を中心として公転をすることが可能なように、前記翼公転軸31のクランクピン413を中心としてそれぞれの翼自転軸34に向かって放射状に伸びる連結部材である公転自転クランク連動腕42にそれぞれその場で回転可能な方式により蝶合され、
【0074】
前記翼公転軸31と前記翼公転軸受け22との間には、図15図16に示されるように、翼公転軸31の回転角速度が翼自転軸の公転角速度の0.5倍となるように変速する太陽歯車と衛星歯車などから構成された公転自転変速遊星歯車43が設けられて前記左右回転機構結合腕21の一方の面に固定結合されてもよい。このとき、前記翼公転軸31は、前記クランク機構41と結合される公転腕分離翼公転軸312と、前記公転腕分離翼公転軸312を囲繞している各円筒状の部材であって、各翼公転腕と結合する公転腕結合翼公転軸313と、に分けられる必要がある。
【0075】
<作動原理>
【0076】
(1)図2図5などに示されるように、
左右回転機構結合体2は、左右対称の構造であり、回転機構結合体公転軸11を中心として一定の距離において回動する公転運動をすることができるので、流体の流れが随時変わり、別途の方向制御用の動力の提供がなくても、全体の回転翼面が流れる流体の圧力に押されて、流体の流れの方向に直角な左右対称の構造に最も下流側に位置するように、おのずから移動することになるので、各前記回転翼は、前記流体の流れが提供可能な最大の流圧を受圧しながら最大の回転力を生成することになる。
【0077】
(2)図3などに示されるように、
各前記回転翼35が流圧を受圧すると、翼公転軸31を中心として公転運動をすることになり、このとき、翼公転軸受け歯車51が翼公転軸受け22に固定結合されて回転しないため、翼公転軸受け歯車51と翼自転軸歯車53との間に位置している公転自転変速連動機36の従動平歯車61が翼公転軸受け歯車51の周りを公転しながら自転することになり、このような公転自転変速連動機36により翼公転軸31の回転が反対の方向に0.5倍の角速度にて変速されて翼自転軸歯車53に伝達されるため、前記回転翼35が自転運動と公転運動を並行にすることになる。
【0078】
(3)図4などに示されるように、
各翼公転軸31には、翼公転軸歯車52が固定結合されており、左右回転機構結合腕21には、左側と右側の各前記翼公転軸歯車52が互いに同一の角速度にて反対の方向に回転するように連動させる平歯車、かさ歯車またはクランク機構などから構成される左右翼公転位相連動機24が設けられてもよい。一方、このような左右翼公転位相連動機24の中央には、回転力を伝達される発電機7が設けられてもよい。
【0079】
(4)図5は、1本の翼公転軸31に3枚の回転翼35が結合され、チェーンベルト64を用いて駆動力が伝達される回転力の生成装置であって、回転力が伝達される構造と方式は、図6図23に示される通りである。このように、1本の翼公転軸31に3枚の回転翼35が結合する場合、図7に示されるように、回転翼の幅は、公転半径の最大で2倍までしか大きくなることができない。一方、図2に示されるように、1本の翼公転軸31に2枚の回転翼35が結合する場合には、回転翼が最大で2*(2^0.5)=2.8倍まで大幅に大きくなることができる。
【0080】
(5)図10から図14に示されるように、
台風や洪水などによって、前記流体の流速と流圧が増加する場合、各回転翼35に働く流圧の全体の合力の作用点が前記回転機構結合体回動水平軸14の上側に位置すれば、左右回転機構結合体2の上側の部位が流体が流れる方向に傾きながら、各回転翼35に働く流圧の全体の合力の作用点が前記回転機構結合体回動水平軸14の下側に位置すれば、その反対の方向に傾きながら高低角が小さくなる。
【0081】
これにより、左右回転機構結合体2の流体の流れの方向の正射投影面積が小さくなり、これに伴い、流体の圧力による前記回転力の生成装置の崩壊や転倒のリスクも低くなる。
【0082】
一方、左右回転機構結合体2が傾けば傾くほど、流体の流れの方向の圧力のうち、回転翼35の回転方向の分力の大きさも次第に小さくなるため、流速と流圧の大きさに応じて左右回転機構結合体2が傾く敏感度を適切に合わせると(重量、重心、翼面積、流圧作用点など)、別途の動力を与えなくても、回転翼35の公転速度が適正な範囲から逸脱しないように自動的に制御されることが可能になる。
【0083】
(5)図15は、1本の翼公転軸31のクランク機構41と4つの翼自転軸34のクランク機構41とを連動させる「+」字状の放射状クランクピン連結腕42の2つが翼公転軸31を中心として互いに点対称の位置において一緒に公転運動をすることにより、偏心荷重の発生なしに回転力を各翼自転軸34に伝達するクランク式公転自転連動機4の作動メカニズムを例示する。一方、前記放射状クランクピン連結腕42の形状は、翼自転軸の本数が3本であるときには「Y」字状になり、翼自転軸の本数が2本であるときには「I」字状になる。
【0084】
これに関し、図16は、回転翼35の公転角速度を1/2に低くして翼公転軸31に伝達する公転自転変速遊星歯車43の作動メカニズムを示している。すなわち、公転自転変速遊星歯車43が左右回転機構結合腕21に固定結合されており、公転腕結合翼公転軸311が公転腕分離翼公転軸312を丸く囲繞していて、回転翼が公転運動をすれば、公転腕結合翼公転軸311に固定された公転腕結合太陽歯車433がその場で回転をし、周りの衛星歯車の組み合わせにより変速されて公転腕分離翼公転軸312に固定された公転軸結合太陽歯車431に回転角速度を0.5倍に減速して伝達する。
【0085】
<流体力学的な解析>
【0086】
(1)回転力の生成効率:流体の速度が同じである場合、本発明による回転力の生成装置が既存の垂直回転軸方式に比べて2倍以上の回転力を生成し、これを回転翼35が動き始める停止時点を対象として、図8図9を用いて力学的に説明すれば、下記の通りである。
【0087】
まず、回転翼35の公転半径をR、公転位相角をθ、回転翼幅(wing span)をS、流体の密度をρ、翼公転軸34の位置をO、公転位相角が0である公転起点の翼自転軸6の位置をB、公転位相角がθであるときの翼自転軸34の位置をC、公転する1枚の回転翼35にぶつかる流量をQo、ぶつかった後の流量のうち、回転翼35翼面に沿って後側に流れる流速をV1、流量をQ1、前側に流れる流速をV2、流量をQ2、翼自転軸34を中心として回転翼35の翼面方向の座標体系(x'軸,y'軸)は、翼面の方向をx'軸、ここに垂直な方向をy'軸、回転翼35の公転軌道の方向の座標体系(s軸、r軸)は、接線方向をs軸、半径方向をr軸、水平面の方向の座標体系(x軸,y軸)は、水平方向をx軸、鉛直方向をy軸と仮定し、回転翼35の単位高さ当たりの回転力とモーメントを算出すれば、
【0088】
(a)Qoの単位時間当たりの運動量(Fo)は、Qo=S*Cos(θ/2)*Voであることから、
【0089】
Fo=ρ*Qo*Vo=ρ*S*Cos(θ/2)*(Vo)^2
【0090】
(b)Qoのx'-y'軸方向の流速は、
【0091】
Vox'=Vo*Sin(θ/2)、Voy'=Vo*Cos(θ/2)
【0092】
(c)ΣFx'=0において、
【0093】
ρ*Qo*Vo*Sin(θ/2)=-ρ*Q1*V1+ρ*Q2*V2
【0094】
(d)C点において、y'方向の圧力差はないことから、Vo=V1=V2であり、Qo=Q1+Q2において、
【0095】
Q1=0.5*Qo*{1-Sin(θ/2)}
【0096】
Q2=0.5*Qo*{1+Sin(θ/2)}
【0097】
(e)翼自転軸の公転軌道への接線方向の反力(Fs)と回転力(Ms)は、
【0098】
Fs=Δ(m*V)s=ρ*Qo*Vo*Cos(θ)-ρ*Q1*V1s+ρ*Q2*V2sであり、
【0099】
V1s=V2s=Vo*Sin(θ/2)であることから、
【0100】
ρ*Q1*V1s=0.5*ρ*Qo*Vo*{1-Sin(θ/2)}*{Sin(θ/2)}
【0101】
ρ*Q2*V2s=0.5*ρ*Qo*Vo*{1+Sin(θ/2)}*{Sin(θ/2)}となり、
【0102】
Qo=Vo*S*Cos(θ/2)であることから、
【0103】
Fs=ρ*S*(Vo^2)*Cos(θ/2)*[Cos(θ)+{Sin(θ/2)}^2]となる。
【0104】
ここで、{Sin(θ/2)}^2=0.5*{1-Cos(θ)}であることから、
【0105】
Fs(θ)=0.5*ρ*S*(Vo^2)*Cos(θ/2)*{1+Cos(θ)}
【0106】
Ms(θ)=0.5*ρ*S*R*(Vo^2)*Cos(θ/2)*{1+Cos(θ)}となり、
【0107】
ここで、"a=0.5*Cos(θ/2)*{1+Cos(θ)}"とおくと、
【0108】
公転位相(θ)別の回転モーメントMs(θ)=ρ*S*R*(Vo^2)*a
【0109】
(f)前記a=0.5*Cos(θ/2)*{1+Cos(θ)}を積分すれば、[2*sin(θ/2)-(2/3)*sin3(θ/2)]となることから、0°から180°まで積分すれば、1.312となる。
【0110】
そのため、回転翼が360°回転する間に生成される回転モーメントの瞬間最大値をMs(max)=Ms(0)=ρ*S*R*(Vo^2)とし、全体の平均値をMs(ave)とすれば、Ms(ave)=Ms(max)*(1.312*2)/(2π)=0.417*Ms(max)となる。
【0111】
一方、図1の(d)などに示すように、既存の垂直回転軸の風力発電機の場合には、位相角-90°~0°~90°の区間においてしか回転モーメントが生成されず、V1s=V1*cos(θ)、V2s=0であり、回転翼35のVoの方向の正射投影面積は、S*cos(θ)であることから、位相角別の回転モーメントをMs'(θ)とおくと、
【0112】
Ms'(θ)=0.5*ρ*S*R*(Vo^2)*Cos(θ)*{1+Cos(2θ)}となり、
【0113】
ここで、a=0.5*Cos(θ)*{1+Cos(2θ)}とおいて積分すれば、[3/4*sin(θ)+1/12*sin(3θ)]となることから、-90°から90°まで積分すれば、1.312となる。
【0114】
(g)そのため、回転翼が360°(2π radian)回転する間に生成される回転モーメントの瞬間最大値をMs'(max)=Ms'(0)=ρ*S*R*(Vo^2)、平均値をMs'(ave)とすれば、
【0115】
Ms'(ave)=Ms'(max)*(1.312)/(2π)=0.209*Ms'(max)となる。
【0116】
(h)したがって、既存の垂直回転軸の風力発電機の回転翼が位相角90°~270°の区間を通り過ぎるときに回転翼4が流体の流れを遡って移動することに伴う逆方向(-)の回転モーメントが全く生成されないと仮定するとしても、本発明の平均回転モーメントの生成量である0.417*M(max)が既存の方式の0.209*M(max)に比べて2倍以上の回転力を生成することになる。
【0117】
(2)安全性の向上効果:台風や洪水などにより流圧が急増する場合、本発明による回転力の生成装置が、既存の垂直回転軸方式と比較すれば、回転力の生成装置の転倒と崩壊のリスク及び回転翼35が過剰な速度にて回転してしまうリスクが幾何級数的に減る。
【0118】
例えば、秒速30m(時速108km)の規模の台風が吹くとき、左右回転機構結合体2が回転機構結合体回動水平軸14を中心として高低角90°から30°へと60°傾くように設計する場合、既存の垂直回転軸方式と比較して、回転機構結合体支持台1に加えられる転倒モーメントは約1/8に減少し、回転翼に加えられる回転力(Torque)は約1/4に減少することになるが、これを図12を用いて力学的に説明すれば、下記の通りである。
【0119】
まず、流体の流れに正面を向いた回転翼35の縦長s=5m、横長b=5m、鉛直方向を基準とした傾斜θ=60°、回転翼の重さ0、翼の下部の釣り合い睡W、回動水平軸と翼の下端との距離d、回動水平軸の高さh=3m、流速Vo=30m/sec、流量Qoと単に仮定し、回転翼の転倒モーメントと回転力を算出すれば、
【0120】
(a)Qo=Vo*s*b*Cos(θ)
【0121】
(b)翼に加えられる流圧P=ρ*Qo*Vo*Cos(θ)=ρ*s*b*(Vo^2)*[Cos(θ)]^2
【0122】
(c)A地点において、ΣM=0であることから、W*d*Sin(θ)=P*(s/2-d)
【0123】
W={0.5/sin(θ)}*P*(s/d-2)、ここで、k=d/sとおくと、
【0124】
W=0.5*(1/k-2)*[Cos(θ)/Tan(θ)]*ρ*s*b*(Vo^2)
【0125】
(d)B地点において、ΣM=0であることから、MB=(Px)*h
【0126】
ここで、Px=P*Cos(θ)であることから、MB=ρ*s*b*h*(Vo^2)*[Cos(θ)]^3
【0127】
(e)ここにVo=30m/sec、空気密度ρ=1.23kg/m3、θ=60°、s=5m、幅b=5m、支柱の高さh=3mを代入すれば、P=706.0kg重、Px=353.0kg重となり、支柱の基礎に働く転倒モーメントM=1,059.0kg重*mとなる。
【0128】
(f)このとき、k=d/s=0.3である場合には、釣り合い睡の重さW=543.4kg重がかかり、k=0.4である場合には、W=203.8kg重がかかり、このような釣り合い睡の機能は、前記回転装置の下部に発電機または蓄電器を設置すれば、手軽に実現することができる。
【0129】
参考までに、図14に示されるように、回転機構結合体回動水平軸14が回転翼縦の長さsの中央よりも高い地点に位置している場合には、別途の釣り合い睡Wを設けなくてもよい。
【0130】
(g)一方、左右回転機構結合体2が垂直状態(θ=0)で台風(V=30m/sec)に遭うと、P=1.23*5*5*(300^2)*1/9.8=2,824.0kg重となり、
【0131】
=1.23*5*5*3*(300^2)*1/9.8=8,472.0kg重*mとなる。
【0132】
(h)したがって、本発明による回転力の生成装置を風力発電機に活用すれば、秒速30m(時速108km)の強風が吹くときにも支柱に加えられる反りモーメントが大幅に減少(傾斜角60°である場合に1/8)して、転倒や崩壊するリスクを完全に解消することができる。
【0133】
(i)また、回転翼35の回転方向の流圧Pも、回転翼35がθ=60°傾くと、[Cos(60)]^2=0.25となることから、P(60°)=706kg重となり、鉛直状態の流圧P(90°)=2,824kg重に比べて1/4に減ることから、回転翼35が強風により過剰な速度にて回転することに伴い、部品と素材が破損されたり、過剰な電流により発電機に異常が生じたりしていた既存の風力発電方式の問題が根本的に解消されることが可能になる。
【0134】
<追加の例示図についての詳しい説明>
【0135】
図17は、街灯や電信柱のように垂直に伸びた垂直構造物の途中に左右方向に相対回動をすることが可能なようにヒンジ結合された円筒状の回転機構結合体公転軸11に、羽ばたきする鳥の形状の左右回転機構結合体2が上下方向に回動をすることが可能なように結合した構造である回転力の生成装置の例示図であって、下記のような長所を有している。
【0136】
(1)道路、鉄道、堤防など線状敷地に設置すれば、敷地を確保し難く、しかも、経済性に富んでいる。
【0137】
(2)道路など線状敷地に設置すれば、障害物がないことから、良好な流速を得ることができる。
【0138】
(3)台風などにより風速が急増すれば、上下回動をすることで、動荷重負荷を減らすことができる。
【0139】
(4)まるで鳥が羽ばたきするような形状であることから、道路、公園などに設置すれば、造形美を生み出す。
【0140】
(5)既存の垂直軸風力発電機よりも、回転力生成のエネルギー効率が2倍以上高い。
【0141】
これに関し、図17の(b)と(c)には、上下方向の回動のために回転機構結合体回動水平軸14の中心として、回転翼35の上側の部位の面積が下側の部位のそれよりも広く、回転機構結合体回動水平軸14の下側には、前記垂直構造物と干渉しないようにするために、左側回転機構結合腕211と右側回転機構結合腕212とが互いに分離されている形状を示している。
【0142】
また、左右回転機構結合体2の後側には、尻尾翼の形状の方向舵76がさらに設けられてもよいし、造形美と重さの釣り合いの確保のために前側に鳥の頭形状物が設けられてもよい。
【0143】
図18の風力発電機は、「H」字状の形状である左右回転機構結合体2が前記回転機構結合体回動水平軸14にまるで時計の振り子のように吊り下がって、風の強さに応じて前後に回動することが可能な構造であり、一方、ハート状を含む回転機構結合体公転軸11は、回転力の生成装置の基礎13の上側において風の方向に応じて左右に回動することができる。
【0144】
このような図17または図18において例示した鳥の形状の風力発電機は、図18に示されるように、平坦な道路、鉄道、堤防などの中央や側面の敷地を活用して連続して設置することができ、これを通じて生成される電気は、大型バッテリー(ESS)に蓄積されて、街灯照明、電気車の充電、ブラックアイスの融解など多種多様な用途に活用されることが可能である。
【0145】
一方、前記回転翼35は、翼自転軸34を中心として、翼公転軸31から遠い部位は、流体の流れと遭遇する翼面が凹形状であり、翼公転軸31に近い部位は凸形状(自転軸を中心として線対称)を呈することにより、翼公転軸31から遠い部位が翼公転軸31に近い部位よりもさらに大きな圧力を受圧するようにすることが好ましい。というのは、翼公転軸2から圧力を受圧する翼面までの距離であるモーメント腕の長さに比例して回転力(torque)が向上するからである。
【0146】
図19図20に示されるように、左右回転機構結合体2が4つ以上の翼公転軸回転機構3を備える場合には、左右回転機構結合体2が左側回転機構結合体21と右側回転機構結合体22とに分離されて互いに左右内角の大きさが増減する相対回動をすることが可能なようにヒンジ結合され、前記左側回転機構結合体21と右側回転機構結合体22は、それぞれ別々の回転機構結合体公転腕12により前記回転機構結合体公転軸11にヒンジ結合され、前記左右回転機構結合体2の中央の蝶合部位と前記回転機構結合体公転軸11との間には、間隔調節機能をする引っ張りばねやターンバックル(引き締めねじ、長ボルトとナット)が設けられてもよい。本発明の回転力の生成装置がこのような機能的な構造を備えると、左右回転機構結合体2が常に流体の流れと正面から向き合うように旋回することになり、左側回転機構結合体21と右側回転機構結合体22の挟角が流体の流速と流圧に応じて増減しながら動荷重負荷の緩衝作用をすることから、前記回転力の生成装置が流圧により崩壊や転倒されることが防がれ、各回転翼35の自転と公転の速度もまた適正なレベルを超えないように調節され、広い幅の流体の流れのエネルギーが回転力の生成に効果的に用いられることが可能になる。一方、翼公転軸31を基準として左右回転翼35が向く自転位相角は、図21の反対の方向に設けられてもよい。
【0147】
以上、特定の実施形態を挙げて本発明について説明したが、本発明は、これに何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている範囲内において行われた変形、改良、変更や改変は、いずれも本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0148】
1 回転機構結合体支持台
11 回転機構結合体公転軸
12 回転機構結合体公転腕
13 回転力の生成装置の基礎
14 回転機構結合体回動水平軸
2 左右回転機構結合体
21 左右回転機構結合腕
211 左側回転機構結合腕
212 右側回転機構結合腕
22 翼公転軸受け
23 左右回転機構結合柱
24 左右翼公転位相連動機
241 平歯車組合せ左右連動機
242 かさ歯車式左右連動機
243 クランク組合せ左右連動機
3 翼公転軸回転機構
31 翼公転軸
311 公転腕結合翼公転軸
312 公転腕分離翼公転軸
313 無回転翼公転軸
32 翼公転腕
33 翼自転軸受け
34 翼自転軸
341 公転腕結合翼公転軸
342 公転腕分離翼公転軸
35 回転翼
351 平面状回転翼
352 凹状回転翼
353 仕切り状回転翼
354 波動体状回転翼
36 公転自転変速連動機
361 平歯車式自転連動機
362 かさ歯車式自転連動機
364 チェーンベルト式自転連動機
4 クランク式公転自転連動機
41 クランク機構
411 クランク軸
412 クランクアーム
413 クランクピン
42 放射状クランクピン連結腕
43 公転自転変速遊星歯車
431 公転軸結合太陽歯車
432 公転軸連動衛星歯車
433 公転腕結合太陽歯車
434 公転腕連動衛星歯車
5 翼回転軸歯車
51 翼公転軸受け歯車
52 翼公転軸歯車
521 翼公転軸平歯車
522 翼公転軸かさ歯車
523 翼公転軸チェーン歯車
524 翼公転軸衛星歯車
525 公転軸受け衛星歯車
526 公転軸衛星チェーン歯車
53 翼自転軸歯車
531 翼自転軸平歯車
532 翼自転軸かさ歯車
533 翼自転軸チェーン歯車
6 回転力伝達部品
61 従動平歯車
62 従動かさ歯車
63 かさ歯車長軸
64 チェーンベルト
65 従動チェーン歯車
7 その他
71 発電機
72 発電機回転軸
73 発電機軸回転歯車
74 クランクコネクティングロッド
75 ターンバックル
76 方向舵
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】