(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】uPARを標的とするCAR-T細胞及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20240321BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240321BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240321BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240321BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240321BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240321BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240321BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240321BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240321BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240321BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240321BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240321BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240321BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240321BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240321BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240321BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20240321BHJP
C07K 14/725 20060101ALN20240321BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240321BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240321BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240321BHJP
【FI】
A61K35/17
A61P31/14
A61P11/00
A61K39/395 N
A61K31/7088
A61K48/00
A61P35/00
A61P1/00
A61P3/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K47/64
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/113 140Z
C07K19/00
C07K16/30
C07K14/725
C12N5/10
C07K16/28
C12N15/63 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562791
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022024396
(87)【国際公開番号】W WO2022221265
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン-ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】522023761
【氏名又は名称】メモリアル ホスピタル フォー キャンサー アンド アライド ディジージズ
(71)【出願人】
【識別番号】399026731
【氏名又は名称】スローン - ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ロウ スコット ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ベガス コリーナ アモール
(72)【発明者】
【氏名】ロメッサー ポール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90Y
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB40
4C076CC15
4C076CC27
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA56
4C084MA66
4C084MA70
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZB26
4C084ZB33
4C084ZC21
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
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4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG10
4C086AA01
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4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA56
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4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZC21
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB65
4C087MA56
4C087MA66
4C087MA70
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZC21
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、対象におけるCovid関連肺線維症又は直腸がんを治療するための方法を提供する。また、老化の影響の遅延又は軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法が、本明細書に開示される。本技術の方法は、uPAR特異的キメラ抗原受容体を発現する、有効量の操作された免疫細胞を対象に投与することを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Covid関連肺線維症の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記対象に、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含む、方法。
【請求項2】
放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている対象における直腸がんを治療するための方法であって、前記対象に、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含む、方法。
【請求項3】
直腸がんと診断された対象における養子細胞療法の有効性を改善するための方法であって、前記対象に、有効線量の放射線療法又は化学放射線療法と、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞と、を投与することを含む、方法。
【請求項4】
加齢による体力低下の影響の軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記対象に、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含む、方法。
【請求項5】
前記uPAR抗原結合断片が、
それぞれ、GFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のV
HCDR1配列、V
HCDR2配列、及びV
HCDR3配列、並びに/又は
それぞれ、RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43)、若しくは
それぞれ、KASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のV
LCDR1配列、V
LCDR2配列、及びV
LCDR3配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記uPAR抗原結合断片が、配列番号48のV
Hアミノ酸配列及び/又は配列番号50若しくは配列番号51のV
Lアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記uPAR抗原結合断片が、配列番号52、配列番号53、及び配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記受容体をコードする前記核酸が、プロモーターに作動可能に連結される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロモーターが、条件的プロモーターである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記条件的プロモーターが、前記受容体の、uPAR抗原への結合によって誘導される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記受容体が、T細胞受容体又は非天然細胞受容体である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記受容体が、キメラ抗原受容体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記uPAR抗原結合断片が、scFv、Fab、又はF(ab)2である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記受容体が、レポーター又は選択マーカーに連結される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記レポーター又は選択マーカーが、GFP又はLNGFRである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記受容体が、自己切断リンカーを介して前記レポーター又は選択マーカーに連結される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記キメラ抗原受容体が、(i)細胞外抗原結合ドメイン、(ii)膜貫通ドメイン、及び(iii)細胞内ドメインを含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞外抗原結合ドメインが、一本鎖可変断片(scFv)を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞外抗原結合ドメインが、ヒトscFvを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞外抗原結合ドメインが、配列番号52~54のうちのいずれか1つのuPAR scFvを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞外抗原結合ドメインが、配列番号52~54のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するuPAR scFvを含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞外抗原結合ドメインが、前記細胞外抗原結合ドメインのN末端に共有結合されたシグナルペプチドを含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記膜貫通ドメインが、CD8膜貫通ドメイン又はCD28膜貫通ドメインを含む、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞内ドメインが、1つ以上の共刺激ドメインを含む、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、OX40共刺激ドメイン、ICOS共刺激ドメイン、DAP-10共刺激ドメイン、PD-1共刺激ドメイン、CTLA-4共刺激ドメイン、LAG-3共刺激ドメイン、2B4共刺激ドメイン、BTLA共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、又はそれらの任意の組み合わせの中から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記操作された免疫細胞が、リンパ球又は誘導多能性幹(iPS)細胞に由来する任意の免疫細胞である、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、又はナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記T細胞が、CD4+T細胞又はCD8+T細胞である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記操作された免疫細胞が、自己ドナー又は同種異系ドナーに由来する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
Covid関連肺線維症の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記対象に、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、前記操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、方法。
【請求項32】
放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている対象における直腸がんを治療するための方法であって、前記対象に、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、前記操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、方法。
【請求項33】
直腸がんと診断された対象における養子細胞療法の有効性を改善するための方法であって、前記対象に、有効線量の放射線療法又は化学放射線療法及び治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、前記操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、方法。
【請求項34】
加齢による体力低下の影響の軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記対象に、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、前記操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む、方法。
【請求項35】
前記受容体が、非天然細胞受容体である、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記受容体が、T細胞受容体である、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記受容体が、キメラ抗原受容体である、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記受容体をコードする前記核酸が、プロモーターに作動可能に連結される、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記プロモーターが、条件的プロモーターである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記条件的プロモーターが、前記受容体の、uPARポリペプチドへの結合によって誘導される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記受容体が、レポーター又は選択マーカーに連結される、請求項31~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記レポーター又は選択マーカーが、GFP又はLNGFRである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記受容体が、自己切断リンカーを介して前記レポーター又は選択マーカーに連結される、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記キメラ抗原受容体が、(i)uPARポリペプチドに結合するように構成された細胞外uPA断片、(ii)膜貫通ドメイン、及び(iii)細胞内ドメインを含む、請求項31~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞外uPA断片が、ヒトuPA断片を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞外uPA断片が、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞外uPA断片が、配列番号59又は配列番号60に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記キメラ抗原受容体の前記細胞外uPA断片が、前記細胞外uPA断片のN末端に共有結合されたシグナルペプチドを含む、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記膜貫通ドメインが、CD8膜貫通ドメイン又はCD28膜貫通ドメインを含む、請求項45~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞内ドメインが、1つ以上の共刺激ドメインを含む、請求項45~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ以上の共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、OX40共刺激ドメイン、ICOS共刺激ドメイン、DAP-10共刺激ドメイン、PD-1共刺激ドメイン、CTLA-4共刺激ドメイン、LAG-3共刺激ドメイン、2B4共刺激ドメイン、BTLA共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、又はそれらの任意の組み合わせの中から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記操作された免疫細胞が、リンパ球又は誘導多能性幹(iPS)細胞に由来する任意の免疫細胞である、請求項31~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、又はナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記T細胞が、CD4+T細胞又はCD8+T細胞である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記操作された免疫細胞が、自己ドナー又は同種異系ドナーに由来する、請求項31~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、Covidを有する疑いがあるか、Covidを有するリスクがあるか、又はCovidを有すると診断されている、請求項1、5~31、又は35~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、肺の線維性病変、発熱及び咳、胸内苦悶、息切れ、肺異常、頭痛、呼吸困難、疲労、筋肉痛、腸症状、下痢、嘔吐、両側性肺炎、及び胸水からなる群から選択される1つ以上の徴候又は症状を示す、請求項1、5~31、又は35~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記操作された免疫細胞が、全身的に、静脈内に、皮下に、腹腔内に、皮内に、イオン泳動的に、経粘膜に、髄腔内に、筋肉内に、脳内に、結節内に、胸膜内に、又は脳室内に投与される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象に、少なくとも1つの追加の治療剤を別々に、連続的に、又は同時に投与することを更に含む、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの追加の治療剤が、酸素療法、抗ウイルス薬(ロピナビル、リトナビル、リバビリン、ファビピラビル(T-705)、レムデシビル、オセルタミビル、クロロキン、メリメポジブ、及びインターフェロン)、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、抗炎症療法、回復期血漿療法、バムラニビマブ、カシリビマブ、及びイムデビマブからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、前記操作された免疫細胞を使用してCovid関連肺線維症を治療するための指示書と、を含む、キットであって、前記uPAR抗原結合断片が、
それぞれ、GFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のV
HCDR1配列、V
HCDR2配列、及びV
HCDR3配列、並びに/又は
それぞれ、RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43)、若しくは
それぞれ、KASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のV
LCDR1配列、V
LCDR2配列、及びV
LCDR3配列を含む、キット。
【請求項63】
uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、前記操作された免疫細胞を使用して直腸がんを治療するための指示書と、を含む、キットであって、前記uPAR抗原結合断片が、
それぞれ、GFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のV
HCDR1配列、V
HCDR2配列、及びV
HCDR3配列、並びに/又は
それぞれ、RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43)、若しくは
それぞれ、KASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のV
LCDR1配列、V
LCDR2配列、及びV
LCDR3配列を含む、キット。
【請求項64】
uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、前記操作された免疫細胞を使用して加齢による体力低下を軽減するための指示書と、を含む、キットであって、前記uPAR抗原結合断片が、
それぞれ、GFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のV
HCDR1配列、V
HCDR2配列、及びV
HCDR3配列、並びに/又は
それぞれ、RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43)、若しくは
それぞれ、KASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のV
LCDR1配列、V
LCDR2配列、及びV
LCDR3配列を含む、キット。
【請求項65】
前記uPAR抗原結合断片が、配列番号48のV
Hアミノ酸配列及び/又は配列番号50若しくは配列番号51のV
Lアミノ酸配列を含む、請求項62~64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項66】
前記uPAR抗原結合断片が、配列番号52、配列番号53、及び配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項62~65のいずれか一項に記載のキット。
【請求項67】
uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、前記操作された免疫細胞を使用してCovid関連肺線維症を治療するための指示書と、を含む、キットであって、前記uPAR抗原結合断片が、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む、キット。
【請求項68】
配列番号55、配列番号56、及び配列番号57からなる群から選択される核酸配列を含むベクターと、前記ベクターを形質導入された免疫細胞を使用して、Covid関連肺線維症を治療するための説明書と、を含む、キット。
【請求項69】
uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、前記操作された免疫細胞を使用して直腸がんを治療するための指示書と、を含む、キットであって、前記uPAR抗原結合断片が、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む、キット。
【請求項70】
配列番号55、配列番号56、及び配列番号57からなる群から選択される核酸配列を含むベクターと、前記ベクターを形質導入された免疫細胞を使用して、直腸がんを治療するための説明書と、を含む、キット。
【請求項71】
uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は前記受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、前記操作された免疫細胞を使用して加齢による体力低下を軽減するための指示書と、を含む、キットであって、前記uPAR抗原結合断片が、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む、キット。
【請求項72】
配列番号55、配列番号56、及び配列番号57からなる群から選択される核酸配列を含むベクターと、前記ベクターを形質導入された免疫細胞を使用して、加齢による体力低下を軽減するための説明書と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/174,277号に対する利益及び優先権を主張するものであり、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般に、Covid関連肺線維症又は直腸がんの治療を必要とする対象においてそれを行うための方法に関する。また、老化の影響の遅延又は軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法が、本明細書に開示される。本技術の方法は、uPAR特異的キメラ抗原受容体を発現する操作された免疫細胞を含む、有効量の組成物を対象に投与することを含む。
【背景技術】
【0003】
本技術の背景の以下の説明は、単に本技術を理解する際の補助として提供され、本技術の先行技術を説明又は構成するとは認められていない。
【0004】
コロナウイルスは、ヒト及び他の動物において上気道、胃腸及び中枢神経系疾患を引き起こす、大型のエンベローププラス鎖RNAウイルスのファミリーである。コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質(CoV-S)は、ウイルスゲノムによってコードされる4つの構造タンパク質のうちの1つである。これは、ビリオン表面上に突出したスパイクを形成するI型膜貫通糖タンパク質であり、宿主受容体及び膜融合に結合するために重要である。コロナウイルスS糖タンパク質は、約1,300個のアミノ酸からなる前駆体タンパク質として合成され、次いで、アミノ(N)末端S1サブユニット(約700個のアミノ酸)及びカルボキシル(C)末端S2サブユニット(約600個のアミノ酸)に切断される。3つのS1/S2ヘテロ二量体が集合して、ウイルスエンベロープから突出する三量体スパイクを形成する。S1サブユニットは、受容体結合ドメイン(RBD)を含有し、一方、S2サブユニットは、疎水性融合ペプチド及び2つのヘプタド反復領域を含有する。
【0005】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)及び中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、それぞれ10%及び35%の死亡率を有する地域的及び世界的なアウトブレイクを引き起こした人畜共通感染症コロナウイルスである。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2019年12月に中国の武漢で出現し、エピデミックで緊急の世界的な公衆衛生上の懸念を引き起こした(Zhou et al.,Nature,2020、Holshue et al.,NEJM 2020)。2019-nCoVはコウモリに由来する可能性が高く、BatCoVRaTG13と呼ばれるコウモリコロナウイルスと96.2%の配列同一性を共有することが報告された(Zhou,et al.Nature 2020を参照されたい)。センザンコウは中間宿主として機能する可能性がある。このウイルス及びこのウイルスに関連する感染症であるCOVID-19に対する治療法の開発が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、Covid関連肺線維症の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含む、方法を提供する。
【0007】
一態様では、本開示は、放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている対象における直腸がんを治療するための方法であって、対象に、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含む、方法を提供する。別の態様では、本開示は、直腸がんと診断された対象における養子細胞療法の有効性を改善するための方法であって、対象に、有効線量の放射線療法又は化学放射線療法と、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞と、を投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
また別の態様では、本開示は、加齢による体力低下の影響の軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、uPAR抗原結合断片は、それぞれ、GFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のVHCDR1配列、VHCDR2配列、及びVHCDR3配列、並びに/又はそれぞれ、RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43)、若しくはそれぞれ、KASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のVLCDR1配列、VLCDR2配列、及びVLCDR3配列を含む。uPAR抗原結合断片は、配列番号48のVHアミノ酸配列及び/又は配列番号50若しくは配列番号51のVLアミノ酸配列を含んでもよい。加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、uPAR抗原結合断片は、配列番号52、配列番号53、及び配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
本明細書に開示される方法の他の実施形態では、uPAR抗原結合断片は、それぞれ、GFTFSNY(配列番号32)、STGGGN(配列番号33)、及びQGGGYSDSFDY(配列番号34)のVHCDR1配列、VHCDR2配列、及びVHCDR3配列、並びにそれぞれ、KASKSISKYLA(配列番号38)、SGSTLQS(配列番号39)、及びQQHNEYPLT(配列番号40)のVLCDR1配列、VLCDR2配列、及びVLCDR3配列、並びに/又は受容体をコードする核酸を含む。uPAR抗原結合断片は、配列番号47のVHアミノ酸配列及び/又は配列番号49のVLアミノ酸配列を含んでもよい。
【0011】
本明細書に開示される方法の実施形態のうちのいずれかでは、受容体は、T細胞受容体又はuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドである。受容体は、非天然受容体(例えば、非天然T細胞受容体)、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)などの操作された受容体であってもよい。加えて又はあるいは、本技術の方法のいくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片は、scFv、Fab、又は(Fab)2である。加えて又はあるいは、本技術の方法のいくつかの実施形態では、受容体は、レポーター又は選択マーカー(例えば、GFP又はLNGFR)に連結されてもよい。特定の実施形態では、受容体は、自己切断リンカーを介してレポーター又は選択マーカーに連結される。いくつかの実施形態では、自己切断ペプチドは、P2A自己切断ペプチドである。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、又はMHC分子の文脈で提示されるuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、又はHLA-A2分子の文脈で提示されるuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、本明細書で提供する、uPARを標的とする操作された免疫細胞は、1つ以上のT細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)又は追加の標的に結合する他の細胞表面リガンドを更に発現する。そのような追加の標的の例としては、GRAMD1A、KCNK3、RAI2、NPL、STC1、TOM1、F3、SLC6A8、SLC22A4、SERINC3、DDIT4L、LY96、NFASC、IFNGR1、DNER、SLC22A1、ITGB3、LRP10、ICAM1、ULBP2、SLC22A15、APLP1、ABTB2、AFF1、AGPAT2、AGTRAP、AKAP6、BFSP1、BHLHE40、CARD6、CCDC69、CCDC71L、FAM219A、FAM219B、FAM43A、FAM8A1、FOLR3、GSAP、GYS1、HECW2、HIF1A、INHBA、MAP3K8、MT-ND5、MT-ND6、PRICKLE2、LRP12、SLC6A8、ITGB3、LRP10、BTN2A2、ICAM1、ABCA1、SLC22A23、TMEM63B、SLC37A1、SLC22A4、ENPP4、VNN1、SERINC3、ITGA11、SERINC2、ULBP2、SLC22A15、APLP1、DPP4、ABCA3、TPCN1、ABTB2、AFF1、AGPAT2、AGTRAP、AHNAK2、AK4、AKAP6、ALS2CL、AMPD3、ANKRD1、ANKRD29、ANKRD42、AOX1、ARHGEF37、ARRDC4、ATP6V1H、BFSP1、BHLHE40、BHLHE41、BTG2、C3、CARD6、CASP4、CCDC69、CCDC71L、CDKN1A、CHST15、COQ10B、CPPED1、CTSB、CYB5R1、CYBA、CYFIP2、CYP26B1、DDIT4L、DIRC3、DNAJB9、DTX4、DYNLT3、ELL2、ELOVL7、EML1、FADS3、FAM210B、FAM219A、FAM219B、FAM43A、FAM8A1、FILIP1L、FOLR3、FOXO1、GFPT2、GM2A、GPX3、GRAMD1A、GRB10、GSAP、GYS1、HECW2、HIF1A、HIST2H2BE、IDS、IGFN1、INHBA、JUN、KCNJ15、KCNK3、KDM6B、KIAA1217、KLHL21、LCP1、LINC00862、LY96、LYPLAL1、LZTS3、MAP1LC3B、MAP3K10、MAP3K8、MAP7、MAPRE3、MAST3、MOAP1、MSC、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MXD1、MYO1D、NABP1、NOV、NPL、OGFRL1、P4HA2、PGM2L1、PHYH、PLA2G15、PLA2G4C、PLD1、PLEKHG5、PLOD2、PPARGC1A、PPP2R5B、PRICKLE2、PSAP、RAB29、RAB36、RAB6B、RAG1、RAI2、RETSAT、RIOK3、RNF11、RNF14、RSPH3、RUSC2、SAT1、SCG5、SEL1L3、SERPINI1、SESN2、SIAE、SOD2、SPATA18、SPTBN2、SRPX2、ST20-AS1、STC1、STK38L、STON2、SUSD6、TAF13、TAP1、TBC1D2、TFEC、TNFAIP3、TNFAIP8L3、TOM1、TPRG1L、TSKU、TTC9、TXNIP、UBA6-AS1、VPS18、WDR78、ZFHX2、及びZNFX1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、リンパ球、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又は誘導多能性幹(iPS)細胞に由来する任意の他の免疫細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞又はCD8+T細胞である。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、自己ドナー又は同種異系ドナーに由来する。
【0014】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法の特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、キメラ抗原受容体及び/又はキメラ抗原受容体をコードする核酸を含み、キメラ抗原受容体は、(i)細胞外抗原結合ドメイン、(ii)膜貫通ドメイン、及び(iii)細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原に結合する。
【0015】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合ドメインは、一本鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合ドメインは、ヒトscFvを含む。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合ドメインは、配列番号52、配列番号53、及び配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むuPAR抗原結合断片(例えば、scFv)を含む。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合ドメインは、配列番号52~54のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するuPAR抗原結合断片(例えば、scFv)を含む。
【0016】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合ドメインは、細胞外抗原結合ドメインのN末端に共有結合されたシグナルペプチド(例えば、CD8シグナルペプチド)を含む。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメイン又はCD28膜貫通ドメインを含む。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞内ドメインは、1つ以上の共刺激ドメインを含む。1つ以上の共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、OX40共刺激ドメイン、ICOS共刺激ドメイン、DAP-10共刺激ドメイン、PD-1共刺激ドメイン、CTLA-4共刺激ドメイン、LAG-3共刺激ドメイン、2B4共刺激ドメイン、BTLA共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、又はそれらの任意の組み合わせの中から選択されてもよい。
【0017】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、受容体をコードする核酸は、プロモーターに作動可能に連結される。プロモーターは、構成的プロモーター又は条件的プロモーターであってもよい。いくつかの実施形態では、条件的プロモーターは、受容体(例えば、CAR)の、uPAR抗原への結合によって誘導可能である。
【0018】
別の態様では、本開示は、Covid関連肺線維症の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸(例えば、配列番号61若しくは配列番号62)を含む、方法を提供する。
【0019】
一態様では、本開示は、放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている対象における直腸がんを治療するための方法であって、対象に、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、方法を提供する。別の態様では、本開示は、直腸がんと診断された対象における養子細胞療法の有効性を改善するための方法であって、対象に、有効線量の放射線療法又は化学放射線療法及び治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、方法を提供する。
【0020】
更に別の態様では、本開示は、加齢による体力低下の影響の軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、治療有効量の操作された免疫細胞を投与することを含み、操作された免疫細胞が、配列番号59若しくは配列番号60のアミノ酸配列を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む、方法を提供する。
【0021】
本明細書に開示される方法の実施形態のうちのいずれかでは、受容体は、T細胞受容体である。受容体は、非天然受容体(例えば、非天然T細胞受容体)、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)などの操作された受容体であってもよい。加えて又はあるいは、本技術の方法のいくつかの実施形態では、受容体は、レポーター又は選択マーカー(例えば、GFP又はLNGFR)に連結されてもよい。特定の実施形態では、受容体は、自己切断リンカーを介してレポーター又は選択マーカーに連結される。いくつかの実施形態では、自己切断ペプチドは、P2A自己切断ペプチドである。
【0022】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、リンパ球、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又は誘導多能性幹(iPS)細胞に由来する任意の他の免疫細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞又はCD8+T細胞である。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、自己ドナー又は同種異系ドナーに由来する。
【0023】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、(i)uPARポリペプチドに結合するように構成された細胞外uPA断片、(ii)膜貫通ドメイン、及び(iii)細胞内ドメインを含む。細胞外uPA断片は、ヒトuPA断片を含んでもよい。特定の実施形態では、細胞外uPA断片は、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、細胞外uPA断片は、配列番号59又は配列番号60に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される方法の先行する実施形態のいずれか及び全てでは、キメラ抗原受容体の細胞外uPA断片は、細胞外uPA断片のN末端に共有結合されたシグナルペプチド(例えば、CD8シグナルペプチド)を含む。
【0024】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメイン又はCD28膜貫通ドメインを含む。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞内ドメインは、1つ以上の共刺激ドメインを含む。1つ以上の共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、OX40共刺激ドメイン、ICOS共刺激ドメイン、DAP-10共刺激ドメイン、PD-1共刺激ドメイン、CTLA-4共刺激ドメイン、LAG-3共刺激ドメイン、2B4共刺激ドメイン、BTLA共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、又はそれらの任意の組み合わせの中から選択されてもよい。
【0025】
加えて又はあるいは、方法のいくつかの実施形態では、受容体をコードする核酸は、プロモーターに作動可能に連結される。プロモーターは、構成的プロモーター又は条件的プロモーターであってもよい。いくつかの実施形態では、条件付きプロモーターは、受容体の、uPARポリペプチドへの結合によって誘導可能である。
【0026】
本明細書に開示される方法のいずれか及び全ての実施形態では、対象は、Covidを有する疑いがあるか、Covidを有するリスクがあるか、又はCovidを有すると診断される。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、肺の線維性病変、発熱及び咳、胸内苦悶、息切れ、肺異常、頭痛、呼吸困難、疲労、筋肉痛、腸症状、下痢、嘔吐、両側性肺炎、及び胸水からなる群から選択される1つ以上の徴候又は症状を示す。
【0027】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、全身的に、静脈内に、皮下に、腹腔内に、皮内に、イオン泳動的に、経粘膜に、髄腔内に、筋肉内に、脳内に、結節内に、胸膜内に、又は脳室内に投与される。
【0028】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、本技術の方法は、対象に、少なくとも1つの追加の治療剤を別々に、連続的に、又は同時に投与することを更に含む。追加の治療剤の例としては、酸素療法、抗ウイルス薬(ロピナビル、リトナビル、リバビリン、ファビピラビル(T-705)、レムデシビル、オセルタミビル、クロロキン、メリメポジブ、及びインターフェロン)、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、抗炎症療法、回復期血漿療法、バムラニビマブ、カシリビマブ、及びイムデビマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
一態様では、本開示は、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、操作された免疫細胞を使用してCovid関連肺線維症若しくは直腸がんを治療するための又は加齢による体力低下を軽減するための指示書と、を含む、キットであって、uPAR抗原結合断片が、それぞれ、GFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のVHCDR1配列、VHCDR2配列、及びVHCDR3配列、並びに/又はそれぞれ、RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43)、若しくはそれぞれ、KASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のVLCDR1配列、VLCDR2配列、及びVLCDR3配列を含む、キットを提供する。uPAR抗原結合断片は、配列番号48のVHアミノ酸配列及び/又は配列番号50若しくは配列番号51のVLアミノ酸配列を含んでもよい。加えて又はあるいは、本技術のキットのいくつかの実施形態では、uPAR抗原結合断片は、配列番号52、配列番号53、及び配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0030】
別の態様では、本開示は、uPAR抗原結合断片を含む受容体及び/又は受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞と、操作された免疫細胞を使用してCovid関連肺線維症若しくは直腸がんを治療するための又は加齢による体力低下を軽減するための指示書と、を含む、キットであって、uPAR抗原結合断片が、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む、キットを提供する。
【0031】
また、本明細書に開示されるのは、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57からなる群から選択される核酸配列を含むベクターと、当該ベクターを形質導入された免疫細胞を使用してCovid関連肺線維症若しくは直腸がんを治療するための又は加齢による体力低下を軽減するための指示書と、を含む、キットである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】質量分析によって決定される、記載される細胞型におけるuPARの発現プロファイルを示す。
【
図1B】IHCによって決定される、異なる器官におけるuPARの発現レベルを示す。骨髄における発現は、単球に限定され、肺カテゴリにおける発現は、肺実質にではなく、上咽頭及び気管支の上皮層に対応する。
【
図1C】現在の臨床試験における他のCAR標的の発現プロファイルと比較して、ヒトプロテオームマップ(HPM)によって決定されるヒト生命組織におけるヒトuPAR(PLAUR)の発現プロファイルを示すヒートマップを示す。
【
図1D】死亡したCovid患者から得られた肺組織におけるuPAR発現を示す。
【
図1E】死亡したCovid患者から得られた肺組織におけるuPAR発現を示す。
【
図2】肺線維症(気管内ブレオマイシン1mg/kgでの処置)のマウスモデルにおけるuPAR(IHCによって決定される)の発現を示し、IFは、線維化巣におけるuPARと平滑筋アクチンとの共局在を示す。
【
図3A】血清suPARレベルが肺線維症と相関することを示す。
図3Aは、肺線維症のモデルの概略図を示す。NSGマウスを、気管内ブレオマイシン(1U/Kg)又はPBSで処置した。
【
図3B】血清suPARレベルが肺線維症と相関することを示す。
図3Bは、ブレオマイシン処置コホートにおける線維症の誘導及び線維化巣におけるuPARの上方調節を示す代表的なIHC画像を示す。
【
図3C】血清suPARレベルが肺線維症と相関することを示す。
図3Cは、肺線維症のマウスモデルにおけるsuPARの血清レベルを示す。
【
図4A】ヒトh.uPAR-h.28z及びh.CD19-h.28z CAR T細胞、並びにマウスm.uPAR-m.28z及びm.CD19-m.28z CARをコードする構築物マップを示す。
【
図4B】V
Hドメイン、GSリンカー、及びV
Lドメインを含む抗マウスuPAR scFvの代表的なヌクレオチド配列(配列番号55)を示す。
【
図4C】V
Hドメイン、GSリンカー、及びV
Lドメインを含む抗マウスuPAR scFvの代表的なアミノ酸配列(配列番号52)を示す。V
HCDR及びV
LCDR配列は、太字フォントで示される。
【
図4D】ヒトm.uPAR-h.28z及びh.19-h.28zヒトCAR T細胞のキメラ抗原受容体(CAR)及び低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)の発現レベルを示すフローサイトメトリー分析を示す。4つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図4E】本技術の抗ヒトuPAR scFvの非限定的な例を示す。
図4Eは、V
Hドメイン、GSリンカー、及びV
Lドメインを含む抗ヒトuPAR scFv(構築物1)のヌクレオチド配列(配列番号56)を示す。
【
図4F】本技術の抗ヒトuPAR scFvの非限定的な例を示す。
図4Fは、V
Hドメイン、GSリンカー、及びV
Lドメインを含む抗ヒトuPAR scFv(構築物1)のアミノ酸配列(配列番号53)を示す。V
HCDR及びV
LCDR配列は、太字フォントで示される。
【
図4G】本技術の抗ヒトuPAR scFvの非限定的な例を示す。
図4Gは、V
Hドメイン、GSリンカー、及びV
Lドメインを含む抗ヒトuPAR scFv(構築物2)のヌクレオチド配列(配列番号57)を示す。
【
図4H】本技術の抗ヒトuPAR scFvの非限定的な例を示す。
図4Hは、V
Hドメイン、GSリンカー、及びV
Lドメインを含む抗ヒトuPAR scFv(構築物2)のアミノ酸配列(配列番号54)を示す。V
HCDR及びV
LCDR配列は、太字フォントで示される。
【
図5A】野生型(WT)NALM6細胞上及びマウスuPARを過剰発現するように操作されたNALM6細胞(NALM6-m.uPAR)上のマウスuPAR(m.uPAR)及びヒトCD19(h.CD19)のフローサイトメトリー分析を示す。3つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図5B】FFLuc発現NALM6 WT又はNALM6-m.uPARを標的として、18時間の生物発光アッセイによって決定される細胞傷害活性を示す。3つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図5C】FFLuc発現野生型(WT)NALM6又はNALM6-m.uPARを標的として、4時間のカルセインアッセイによって決定される、m.uPAR-h.28z、h.19-h.28z及び形質導入されていない(UT)T細胞の細胞傷害活性を示す。3つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図5D】細胞内サイトカイン染色によって決定される、NALM6 WT、NALM6-m.uPAR又は老化KP細胞との共培養の18時間後の、CD4+及びCD8+m.uPAR-h.28z又はh.19-h.28z CAR T細胞上のグランザイムB(GrB)及びインターフェロンγ(IFNγ)発現を示す。1つの独立した実験の結果が示される。
【
図5E】24時間のNALM6-m.uPAR細胞との共培養後の、形質導入されていないT細胞(UT)と比較した、m.uPAR-h.28z及びh.CD19-h.28z CAR T細胞上の活性化及び疲弊マーカーの発現を示す。1つの独立した実験の結果が示される。
【
図5F】CD62L/CD45RAのフローサイトメトリー発現によって決定される、NALM6-m.uPAR細胞との24時間の共培養なしの(左)及び共培養後の(右)m.uPAR-h.28z及びh.CD19-h.28z CAR T細胞の表現型を示す。1つの独立した実験の結果が示される。
【
図5G】FMO対照と比較した、マウスm.uPAR-m.28z、m.CD19-m.28z及びUT T細胞の表面上のマウスuPAR(m.uPAR)の発現を示す。
【
図6A】形質導入されていない(UT)対照と比較した、マウスm.uPAR-m.28z及びm.19-m.28z CAR T細胞のMycタグの発現レベルを示すフローサイトメトリー分析を示す。3つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図6B】野生型(WT)Eμ-ALL01細胞上及びマウスuPARを過剰発現させるように操作されたEμ-ALL01細胞(Eμ-ALL01-m.uPAR)上のマウスuPAR(m.uPAR)及びマウスCD19(m.CD19)発現のフローサイトメトリー分析を示す。3つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図6C】FFLuc発現Eμ-ALL01 WT又はEμ-ALL01-m.uPARを標的として、18時間の生物発光アッセイによって決定される細胞傷害活性を示す。2つの独立した実験の代表的な結果が示される。
【
図7A】抗uPAR CAR-T細胞が、インビボでuPAR陽性細胞を選択的に標的とすることを示す。
図7Aは、抗uPAR CAR T細胞のインビボ細胞傷害性をアッセイするために使用される実験スキームを示す。NSGマウスに0日目に0.5×10
6個のNALM6-uPAR細胞を注射した。5日目に、マウスは、処置なし、形質導入されていないT細胞(UT)、又はCD19-28z-CAR T細胞(CD19 CAR T)、又はuPAR-28z-CAR T細胞(uPAR CAR T)のいずれかを受けた。
【
図7B】抗uPAR CAR-T細胞が、インビボでuPAR陽性細胞を選択的に標的とすることを示す。
図7Bは、NALM6-uPAR注射の12日後(CAR T注射の7日後)のルシフェラーゼシグナルによって示される腫瘍測定値を示す。
【
図7C】抗uPAR CAR-T細胞が、インビボでuPAR陽性細胞を選択的に標的とすることを示す。
図7Cは、異なるコホートにおける腫瘍成長を示す(各ラインは、異なるマウスを表す)
【
図7D】抗uPAR CAR-T細胞が、インビボでuPAR陽性細胞を選択的に標的とすることを示す。
図7Dは、フローサイトメトリーによって測定した、15日目の骨髄中のCAR T細胞の数、NALM6腫瘍細胞の数、及びCAR T細胞/NALM6腫瘍細胞の比率を示す。
【
図7E】抗uPAR CAR-T細胞が、インビボでuPAR陽性細胞を選択的に標的とすることを示す。
図7Eは、異なる処置群についてのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。
【
図8A】老化及びSASP阻害が、免疫応答性マウスにおいては電離放射線(IR)耐性をもたらすが、免疫不全性マウスにおいては電離放射線(IR)耐性をもたらさないことを示す。
図8Aは、親、shRen、及びshp65 AKP直腸内腫瘍細胞のエクスビボクローン生成アッセイを示す。エラーバーは平均値の標準偏差(SE)を表す。
【
図8B】老化及びSASP阻害が、免疫応答性マウスにおいては電離放射線(IR)耐性をもたらすが、免疫不全性マウスにおいては電離放射線(IR)耐性をもたらさないことを示す。
図8Bは、免疫応答性C57/Bl6及び免疫不全性NSGマウスにおけるSASPプロフィシエント(shRen)及びSASP欠損(shp65)腫瘍の腫瘍増殖曲線を示す。*両側t検定により、P<0.05(shRen対shp65 AKP腫瘍体積パーセント変化、IR後28日時点)。
【
図9A】IR及びチェックポイント遮断によって誘発される全身性抗腫瘍応答(すなわち、アブスコパル効果)が、老化/SASP阻害によって鈍化されることを示す。
図9Aは、例示的な実験スキーマを示す。
【
図9B】IR及びチェックポイント遮断によって誘発される全身性抗腫瘍応答(すなわち、アブスコパル効果)が、老化/SASP阻害によって鈍化されることを示す。
図9Bは、未処置の指標腫瘍成長曲線を示す。
【
図9C】IR及びチェックポイント遮断によって誘発される全身性抗腫瘍応答(すなわち、アブスコパル効果)が、老化/SASP阻害によって鈍化されることを示す。
図9Cは、αPD1指標腫瘍成長曲線を示す。
【
図9D】IR及びチェックポイント遮断によって誘発される全身性抗腫瘍応答(すなわち、アブスコパル効果)が、老化/SASP阻害によって鈍化されることを示す。
図9Dは、15Gy指標腫瘍成長曲線を示す。
【
図9E】IR及びチェックポイント遮断によって誘発される全身性抗腫瘍応答(すなわち、アブスコパル効果)が、老化/SASP阻害によって鈍化されることを示す。
図9Eは、αPD1+15Gy指標腫瘍成長曲線を示す。N=1コホート当たり5匹のマウス、IRから28日後の腫瘍体積を比較する(shRen対shp65+shBrd4)両側t検定。エラーバーは、SEを表す。
【
図10A】放射線療法がuPARを誘発できることを示す。
図10Aは、15Gy電離放射線前後のAKP直腸内腫瘍におけるuPAR及びKi67の免疫蛍光染色を示す。
【
図10B】放射線療法がuPARを誘発できることを示す。
図10Bは、高倍率視野ごとのuPAR+細胞の定量を示す。両側t検定による比較。
【
図10C】放射線療法がuPARを誘発できることを示す。
図10Cは、条件オルガノイド培地+/-10GyIRからのsuPARを示す。両側t検定による比較。
【
図10D】放射線療法がuPARを誘発できることを示す。
図10Dは、直腸がんに対する化学放射線療法を受けている患者の末梢血からのsuPARを示す。両側t検定による5週目とベースラインとの比較。
【
図11A】CAR T細胞を標的とするuPARが、老化においてセノリティックである(senolytic in aging)ことを示す。
図11Aは、例示的な実験スキーマを示す。12ヶ月のp16
ルシフェラーゼマウスに、マウスuPAR又はヒトCD19又は形質導入されていないT細胞を標的とする0.5×10
6個のCAR T細胞を注射した。
【
図11B】CAR T細胞を標的とするuPARが、老化においてセノリティックである(senolytic in aging)ことを示す。
図11B~11Cは、T細胞注射後の経時的なルシフェラーゼシグナルの倍率変化を示す。
【
図11C】CAR T細胞を標的とするuPARが、老化においてセノリティックである(senolytic in aging)ことを示す。
図11B~11Cは、T細胞注射後の経時的なルシフェラーゼシグナルの倍率変化を示す。
【
図12A】老齢マウスにおいて、セノリティックCAR T細胞が体力を改善することを示す。
図12Aは、例示的な実験スキーマを示す。3ヶ月、12ヶ月又は20ヶ月のBl/6マウスに、マウスuPAR又はヒトCD19又は形質導入されていないT細胞のいずれかを標的とする0.5×10
6個のCAR T細胞を注射した。
【
図12B】老齢マウスにおいて、セノリティックCAR T細胞が体力を改善することを示す。
図12Bは、T細胞注射の5ヶ月後に代謝ケージを通して測定されるマウスの1日の活動(Km/d)を示す。
【
図12C】老齢マウスにおいて、セノリティックCAR T細胞が体力を改善することを示す。
図12Cは、T細胞注射の5ヶ月後のマウスのトレッドミル上の最大走行速度(m/分)を示す。
【
図12D】老齢マウスにおいて、セノリティックCAR T細胞が体力を改善することを示す。
図12Dは、T細胞注射の100日後の握力(N/g)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本技術の実質的な理解を提供するために、本方法の特定の態様、モード、実施形態、変形、及び特徴が、以下に様々な詳細さのレベルで記載されることを理解されたい。
【0034】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態の観点で限定されるものではなく、本開示の個々の態様の単一の例示として意図される。本開示の様々な実施形態の全ては本明細書に記載されない。当業者には明らかであるように、本開示の多くの修正及び変形は、その精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び装置は、前述の説明から当業者には明白であろう。かかる修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図する。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ制限されるべきである。
【0035】
本開示は、特定の用途、方法、試薬、化合物、組成物、又は生体系に限定されず、これらは、もちろん変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することが意図されないことも理解されるべきである。
【0036】
本方法を実施する際には、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生物学、微生物学、及び組換えDNAにおける多くの従来の技法が用いられる。例えば、Sambrook and Russell eds.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition、the series Ausubel et al.eds.(2007)Current Protocols in Molecular Biology、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.)、MacPherson et al.(1991)PCR 1:A Practical Approach(IRL Press at Oxford University Press)、MacPherson et al.(1995)PCR 2:A Practical Approach、Harlow and Lane eds.(1999)Antibodies,A Laboratory Manual、Freshney(2005)Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,5th edition、Gait ed.(1984)Oligonucleotide Synthesis、米国特許第4,683,195号、Hames and Higgins eds.(1984)Nucleic Acid Hybridization、Anderson(1999)Nucleic Acid Hybridization、Hames and Higgins eds.(1984)Transcription and Translation、Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press(1986))、Perbal(1984)A Practical Guide to Molecular Cloning、Miller and Calos eds.(1987)Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Cold Spring Harbor Laboratory)、Makrides ed.(2003)Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells、Mayer and Walker eds.(1987)Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(Academic Press,London)、及びHerzenberg et al.eds(1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunologyを参照されたい。
【0037】
定義
他の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本開示で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(編集),Springer Verlag(1991)、及びHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下にそれらに帰属する意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定することは意図されていない。
【0038】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数形も同様に含むことが意図される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差範囲内であることを意味し、それは、部分的には、その値がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従って、3以内又は3を超える標準偏差を意味し得る。代替として、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、又は1%までの範囲を意味し得る。代替として、特に生体系又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁以内、5倍以内、又は2倍以内であることを意味し得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、対象に対する薬剤の「投与」という用語は、その意図された機能を発揮するために対象に薬剤を導入又は送達する任意の経路を含む。投与は、限定されないが、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、及び本明細書に記載の他の好適な経路を含む、任意の好適な経路によって行われ得る。投与には、自己投与及び他者による投与が含まれる。
【0041】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然にコードされるアミノ酸は、20個の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン)、並びにピロリジン及びセレノシステインである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合するα炭素)を有する薬剤を指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)、又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを形成するアミノ酸は、D形態である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを形成するアミノ酸は、L形態である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを形成する第1の複数のアミノ酸は、D形態であり、第2の複数のアミノ酸は、L形態である。
【0042】
アミノ酸は、それらの一般的に知られている3文字の記号によって、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字の記号のいずれかによって、本明細書で言及される。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に受け入れられている1文字コードによって言及される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「類似体」という用語は、参照ポリペプチド又は核酸分子の機能を有する構造的に関連するポリペプチド又は核酸分子を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷の抗体分子だけではなく、免疫原結合能力を保持する抗体分子の断片も意味する。そのような断片も、当該技術分野で周知であり、通常、インビトロ及びインビボの両方で使用される。したがって、本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン分子だけでなく、周知の活性断片F(ab’)2、及びFabも意味する。F(ab’)2、及び無傷の抗体のFc断片を欠くFab断片は、循環からより迅速に排泄され、無傷の抗体の非特異的組織結合が、より少なくなる場合がある(Wahl et al.,J.Nucl.Med.24:316-325(1983))。抗体は、天然の抗体全体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’、一本鎖V領域断片(scFv)、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ及び単一ドメインラクダ抗体)、VNAR断片、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)抗体、ミニボディ、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体、イントラボディ、融合ポリペプチド、上のいずれかの従来のものではない抗体及び抗原結合断片を含んでもよい。特に、抗体としては、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち、抗原結合部位を含有する分子が挙げられる。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl、及びIgA2)、又はサブクラスのものであり得る。
【0045】
特定の実施形態では、抗体は、ジスルフィド結合によって相互に接続された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)及び重鎖定常(CH)領域で構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)及び軽鎖定常CL領域で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLで構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域へと更に細分することができる。各々のVH及びVLは、アミノ酸末端からカルボキシ末端まで、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で整列した3個のCDR及び4個のFRで構成される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)、及び古典的な補体系の第1の構成成分(Cl q)を含む、宿主組織又は因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介し得る。本明細書で相互に置き換え可能に使用される場合、抗体の「抗原結合部分」、「抗原結合断片」、又は「抗原結合領域」という用語は、抗原に結合し、抗体に抗原特異性を付与する抗体の領域又は部分を指し、抗原結合タンパク質の断片、例えば、抗体は、抗原(例えば、ペプチド/HLA複合体)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を含む。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって発揮され得ることが示されている。抗体の「抗体断片」という用語に包含される抗原結合部分の例としては、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片、VH及びCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544-546(1989))、並びに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。「単離された抗体」又は「単離された抗原結合タンパク質」は、その天然環境の構成成分から特定され、分離され、かつ/又は回収されたものである。「合成抗体」又は「組換え抗体」は、一般に、組換え技術を使用して、又は当業者に既知のペプチド合成技術を使用して生成される。
【0046】
抗体及び抗体断片は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、ラット、ウサギ、及びヒツジ)、又は非哺乳動物である抗体生成動物(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ヘビ、及び有尾両生類)に完全に、又は部分的に由来し得る。抗体及び抗体断片は、動物において生成されてもよく、又は動物の外側で、例えば、酵母若しくはファージから(例えば、単一抗体若しくは抗体断片として、又は抗体ライブラリの一部として)生成されてもよい。
【0047】
更に、Fv断片の2つのドメインVL及びVHが、別々の遺伝子によってコードされているが、これらを、VL及びVH領域が対形成して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーによって、組換え方法を使用して接続することができる。これらは、一本鎖Fv(scFv)として知られており、例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988)、及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883(1988)を参照されたい。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を使用して得られ、断片は、無傷の抗体と同じ方法で、有用性についてスクリーニングされる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「抗原」は、抗体が選択的に結合することができる分子を指す。標的抗原は、タンパク質(例えば、抗原ペプチド)、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、又は他の天然に存在する若しくは合成された化合物であり得る。抗原はまた、対象において免疫応答を生成するために、動物対象に投与されてもよい。
【0049】
「結合親和性」とは、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の総非共有相互作用の強度を意味する。理論に拘束されることを望むものではないが、親和性は、抗体を組み合わせた部位と抗原決定基との間の立体化学的適合性の近さ、それらの間の接触領域の大きさ、並びに帯電基及び疎水性基の分布に依存する。親和性はまた、可逆的複合体(例えば、一価又は多価のいずれか)の形成後の抗原-抗体結合の強度を指す、「アビディティ」という用語を含む。親和性を計算するための結合実験の使用を含む、抗原に対する抗体の親和性を計算するための方法は、当該技術分野で既知である。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)によって表すことができる。低親和性複合体は、一般的に抗原から容易に解離する傾向がある抗体を含み、一方、高親和性複合体は、一般的に抗原に長期間結合し続ける傾向がある抗体を含む。機能的アッセイ(例えば、フローサイトメトリーアッセイ)における抗体活性は、抗体親和性も反映する。抗体及び親和性は、表現型によって特性決定され、機能的アッセイ(例えば、フローサイトメトリーアッセイ)を使用して比較することができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th U. S. Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987)を参照されたい。一般に、抗体は、可変領域中に3つの重鎖及び3つの軽鎖のCDR又はCDR領域を含む。CDRは、抗原又はエピトープに対する抗体の結合のための接触残基の大部分を提供する。特定の実施形態では、CDR領域は、Kabatシステムを使用して描写される(Kabat,E.A.,et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991))。
【0051】
本明細書で使用される場合、「細胞集団」という用語は、類似又は異なる表現型を発現する少なくとも2つの細胞の群を指す。非限定的な例では、細胞集団は、類似若しくは異なる表現型を発現する、少なくとも約10個、少なくとも約100個、少なくとも約200個、少なくとも約300個、少なくとも約400個、少なくとも約500個、少なくとも約600個、少なくとも約700個、少なくとも約800個、少なくとも約900個、少なくとも約1000個の細胞、少なくとも約10,000個の細胞、少なくとも約100,000個の細胞、少なくとも約1×106個の細胞、少なくとも約1×107個の細胞、少なくとも約1×108個の細胞、少なくとも約1×109個の細胞、少なくとも約1×1010個の細胞、少なくとも約1×1011個の細胞、少なくとも約1×1012個の細胞、又はそれ以上の細胞を含むことができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「キメラ共刺激受容体」又は「CCR」という用語は、抗原に結合し、共刺激シグナルを提供するが、T細胞活性化シグナルを提供しないキメラ受容体を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含む本明細書に開示されるCAR(例えば、CARの細胞外抗原結合ドメイン)の結合特徴に著しく影響しないか、又はその結合特徴を著しく変化させないアミノ酸修飾を指す。保存的修飾は、アミノ酸置換、付加、及び欠失を含み得る。修飾は、部位特異的変異誘発及びPCRによる変異誘発などの当該技術分野で既知の標準的な技術によって、本明細書に開示されるCARのヒトscFvに導入することができる。アミノ酸は、電荷及び極性などの物理化学的特性に従って、グループに分類することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同じグループ内のアミノ酸で置き換えられたものである。例えば、アミノ酸は、電荷によって分類することができ、正に帯電したアミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられ、負に帯電したアミノ酸としては、アスパラギン酸、及びグルタミン酸が挙げられ、中性電荷のアミノ酸としては、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが挙げられる。加えて、アミノ酸は、極性によって分類することができ、極性アミノ酸としては、アルギニン(塩基性極性)、アスパラギン、アスパラギン酸(酸性極性)、グルタミン酸(酸性極性)、グルタミン、ヒスチジン(塩基性極性)、リジン(塩基性極性)、セリン、トレオニン、及びチロシンが挙げられ、非極性アミノ酸としては、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、及びバリンが挙げられる。したがって、CDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基を、同じグループからの他のアミノ酸残基と置き換えることができ、改変された抗体を、本明細書に記載の機能的アッセイを使用して、保持された機能(すなわち、上の(c)~(1)に示される機能)について試験することができる。特定の実施形態では、指定された配列又はCDR領域内の1つ以下、2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下の残基が改変される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「対照」は、比較目的のために実験で使用される代替試料である。対照は、「陽性」又は「陰性」であり得る。例えば、実験の目的が、特定の種類の疾患に対する治療のための治療剤の有効性の相関関係を決定することである場合、陽性対照(所望の治療効果を示すことが知られている組成物)及び陰性対照(療法を受けないか、又はプラセボを受ける対象若しくは試料)が典型的に使用される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル伝達ドメイン」又は「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの部分を指す。共刺激分子は、抗原に結合するとTリンパ球の効率的な活性化及び機能に必要とされる第2のシグナルを提供する、抗原受容体又はFc受容体以外の細胞表面分子である。そのような共刺激分子の例としては、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS(CD278)、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKD2C、B7-H2、及びCD83を特異的に結合するリガンドが挙げられる。したがって、本開示は、CD28及び4-1BBに由来する例示的な共刺激ドメインを提供するが、本明細書に記載のCARとともに使用するために、他の共刺激ドメインが企図される。1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含むことにより、CAR受容体を発現するT細胞の有効性及び増幅を増強することができる。細胞内シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのカルボキシル末端に、任意の順序でタンデムに連結することができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、処置時に有利な又は所望の臨床結果を達成するのに十分な薬剤の量を指す。療法用途の文脈では、対象に投与される治療剤の量は、疾患又は状態の種類及び重症度、並びに一般的な健康、年齢、性別、体重、投与される操作された免疫細胞の有効濃度、及び薬物に対する耐容性などの個体の特徴に依存し得る。疾患の程度、重症度、及び種類にも依存する可能性がある。当業者は、これらの因子及び他の因子に応じて適切な投薬量を決定することができるであろう。有効量は、1回以上の用量で対象に投与され得る。治療の観点から、有効量は、疾患の進行を緩和するか、改善するか、安定化するか、逆行させるか、又は遅らせる、あるいは疾患の病理学的結果をその他の方法で減少させるのに十分な量である。有効量は、一般に、症例ごとに医師によって決定され、当業者の技能の範囲内である。
【0057】
本明細書で使用される場合、放射線療法又は化学放射線療法の「有効線量」という用語は、本技術のuPAR抗原結合断片を含むuPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞と併せて提供される場合、がん細胞損傷又はがん細胞死の増加をもたらす放射線(例えば、電離放射線)又は化学放射線療法の線量を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、及び/又は転写されたmRNAがその後にペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質へと翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核生物細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。遺伝子の発現レベルは、細胞又は組織試料中のmRNA又はタンパク質の量を測定することによって決定することができる。一態様では、1つの試料からの遺伝子の発現レベルを、対照又は参照試料からのその遺伝子の発現レベルと直接的に比較することができる。別の態様では、1つの試料からの遺伝子の発現レベルを、本明細書に開示される組成物の投与後の同じ試料からのその遺伝子の発現レベルと直接的に比較することができる。「発現」という用語はまた、以下の事象のうちの1つ以上を指す。(1)細胞内でのDNA配列からのRNAテンプレートの生成(例えば、転写による)、(2)細胞内でのRNA転写産物の処理(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/又は3’末端形成による)、(3)細胞内でのポリペプチド又はタンパク質へのRNA配列の翻訳、(4)細胞内でのポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾、(5)細胞表面上のポリペプチド又はタンパク質の提示、並びに(6)細胞からのポリペプチド又はタンパク質の分泌又は提示又は放出。ポリペプチドの発現レベルは、例えば、宿主細胞から産生されるポリペプチドの量を決定する方法を含む、当該技術分野で知られている任意の方法を使用して評価することができる。かかる方法は、ELISAによる細胞溶解物中のポリペプチドの定量、ゲル電気泳動後のクーマシーブルー染色、ローリータンパク質アッセイ、及びブラッドフォードタンパク質アッセイを含むことができるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、「F(ab)」は、抗原に結合するが、一価であり、Fc部分を有しない抗体構造の断片を指し、例えば、酵素パパインによって消化される抗体は、2つのF(ab)断片及びFc断片(重(H)鎖定常領域、抗原に結合しないFc領域)を生成する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「F(ab’)2」は、全IgG抗体のペプシン消化によって生成される抗体断片を指し、この断片は、2つの抗原結合(ab’)(二価)領域を有し、各(ab’)領域は、抗原を結合するためにS-S結合によって連結されるH鎖の一部及び軽(L)鎖の2つの別個のアミノ酸鎖を含み、残りのH鎖部分が、一緒に連結される。「F(ab’)2」断片は、2つの個々のFab’断片に分けることができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「異種核酸分子又はポリペプチド」という用語は、細胞、又は細胞から得られた試料中に通常は存在しない、核酸分子(例えば、cDNA、DNA、若しくはRNA分子)、又はポリペプチドを指す。この核酸は、別の生物由来であってもよく、又は例えば、細胞若しくは試料において通常は発現しないmRNA分子であってもよい。
【0062】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」は、ベクターを受容、維持、複製及び増幅するために使用される細胞である。宿主細胞は、ベクターによってコードされるポリペプチドを発現させるために使用することもできる。ベクターに含まれる核酸は、宿主細胞が分裂するときに複製され、それによって核酸が増幅される。
【0063】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は、対象の免疫応答において役割を果たす任意の細胞を指す。免疫細胞は造血起源のものであり、免疫細胞には、リンパ球、例えば、B細胞及びT細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、好酸球、好中球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「操作された免疫細胞」は、遺伝子修飾された免疫細胞を意味する。本明細書で使用される場合、用語「天然免疫細胞」は、免疫系において天然に生じる免疫細胞を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「免疫応答性細胞」という用語は、免疫応答において機能する細胞若しくは前駆細胞、又はその子孫を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「増加する」という用語は、限定されないが、約5%、約10%、約25%、約30%、約50%、約75%、又は約100%の正方向の変化を含む、少なくとも約5%の正方向の変化を意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「単離された細胞」という用語は、細胞に天然に伴う分子及び/又は細胞構成成分から分離される細胞を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」、「精製された」、又は「生物学的に純粋な」は、天然状態で見られるように通常それに伴う成分から様々な程度に遊離している材料を指す。「単離する」は、元の供給源又は周囲からの分離の程度を示す。「精製する」は、単離よりも高い分離の程度を示す。「精製された」又は「生物学的に純粋な」タンパク質は、任意の不純物がタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を及ぼさないか、又は他の有害な結果を引き起こさないように、他の材料を十分に含まない。すなわち、本明細書に開示される主題の核酸又はポリペプチドは、それが、組換えDNA技法によって産生される場合には細胞物質、ウイルス物質、若しくは培養培地を、又は化学的に合成される場合には化学前駆体若しくは他の化学物質を、実質的に含まない場合に精製される。純度及び均一性は、典型的には、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーを使用して判定される。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が、電気泳動ゲル内で本質的に1つのバンドを生じることを示すことができる。修飾、例えば、リン酸化又はグリコシル化に供することができるタンパク質について、異なる修飾は、別々に精製することができる異なる単離されたタンパク質を生じ得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「リガンド」という用語は、受容体に結合する分子を指す。特に、リガンドは、別の細胞上の受容体を結合し、細胞間の認識及び/又は相互作用を可能にする。
【0069】
「リンカー」という用語は、2つの配列を接続するか、又は連結する、例えば、2つのポリペプチドドメインを連結する、合成配列(例えば、アミノ酸配列)を指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基を含有する。
【0070】
「リンパ球」という用語は、組織特異的及び特殊化された品種を含むリンパ系前駆体に由来する全ての未成熟、成熟、未分化、及び分化の白血球集団を指し、非限定的な例として、B細胞、T細胞、NKT細胞、及びNK細胞を包含する。いくつかの実施形態では、リンパ球は、プレB細胞、前駆B細胞、早期プロB細胞、後期プロB細胞、大型プレB細胞、小型プレB細胞、未成熟B細胞、成熟B細胞、形質B細胞、メモリーB細胞、B-1細胞、B-2細胞、及びアネルギーAN1/T3細胞集団を含む全てのB細胞系統を含む。
【0071】
本明細書で使用される場合、「調節する」という用語は、正又は負の変化を意味する。例示的な調節としては、約1%、約2%、約5%、約10%、約25%、約50%、約75%、又は約100%の変化が挙げられる。
【0072】
本明細書で使用される場合、核酸配列、領域、要素、又はドメインに関して「作動可能に連結された」とは、核酸領域が互いに機能的に関連していることを意味する。例えば、リーダーペプチドをコードする核酸は、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結され得、それによって、核酸は、転写及び翻訳されて、機能的融合タンパク質を発現することができ、リーダーペプチドは、融合ポリペプチドの分泌に影響を与える。いくつかの事例において、第1のポリペプチド(例えば、リーダーペプチド)をコードする核酸は、第2のポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結され、核酸は、単一のmRNA転写産物として転写されるが、mRNA転写産物の翻訳は、2つのポリペプチドのうちの1つの発現をもたらし得る。例えば、アンバー停止コドンは、第1のポリペプチドをコードする核酸と第2のポリペプチドをコードする核酸との間に位置することができ、その結果、部分的なアンバーサプレッサー細胞に導入されると、得られる単一のmRNA転写産物を翻訳して、第1及び第2のポリペプチドを含有する融合タンパク質を産生するか、又は翻訳して、第1のポリペプチドのみを産生することができる。別の例では、プロモーターは、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結され得、それによって、プロモーターは、核酸の転写を調節又は媒介する。
【0073】
本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列間の「相同性パーセント」は、2つの配列間の同一性パーセントに等しい。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの2つの配列の最適アラインメントのために導入される必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、それらの配列によって共有された同一の位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0074】
2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の相同性パーセントは、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用した、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Meyers and W.Miller(Comput.Appl.Biosci.,4:1 1-17(1988))のアルゴリズムを使用して決定され得る。加えて、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、Blossum62行列又はPAM250行列のいずれか、及びギャップ重み16、14、12、10、8、6、又は4、及び長さ重み1、2、3、4、5、又は6を使用した、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで利用可能なもの)内のGAPプログラムに組み込まれたNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.48:444-453(1970))のアルゴリズムを使用して決定され得る。
【0075】
加えて又はあるいは、本明細書に開示される主題のタンパク質配列は、例えば、関連配列を特定するために、公開データベースに対する検索を実行するための「問い合わせ配列」として更に使用され得る。かかる検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行され得る。本明細書に開示される特定の配列に相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索が、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行され得る。比較目的のためにギャップドアラインメントを得るために、ギャップドBLASTがAltschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402に記載されるように利用され得る。BLAST、Gapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。
【0076】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で相互に置き換え可能に使用される。その用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマー、並びに1つ以上のアミノ酸残基が天然に存在しないアミノ酸、例えば、アミノ酸類似体であるアミノ酸ポリマーに適用される。その用語は、全長タンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖を包含し、アミノ酸残基は、共有結合性ペプチド結合によって連結される。
【0077】
本明細書で使用される場合、「減少する」という用語は、限定されないが、約5%、約10%、約25%、約30%、約50%、約75%、又は約100%の負方向の変化を含む、少なくとも約5%の負方向の変化を意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合、核酸分子の「調節領域」は、作動可能に連結された遺伝子の発現に正又は負の影響を与えるシス作動ヌクレオチド配列を意味する。調節領域は、遺伝子の誘導性(すなわち、転写の増加のための物質又は刺激を必要とする)発現を付与するヌクレオチドの配列を含む。誘導剤が存在する場合、又は増加した濃度で、遺伝子発現を増加させることができる。調節領域はまた、遺伝子発現の抑制(すなわち、物質又は刺激が転写を減少させる)を付与する配列を含む。リプレッサーが存在する場合、又は増加した濃度では、遺伝子発現を低下させることができる。調節領域は、細胞増殖、細胞成長及び細胞死、細胞分化、並びに免疫調節を含む多くのインビボ生物学的活性に影響を与えるか、それを調節するか、又はそれを制御することが知られている。調節領域は、典型的には、1つ以上のトランス作用タンパク質に結合し、遺伝子の転写の増加又は減少のいずれかをもたらす。
【0079】
遺伝子調節領域の具体的な例は、プロモーター及びエンハンサーである。プロモーターは、典型的には翻訳開始部位の5’に位置する、転写又は翻訳開始部位の周りに位置する配列である。プロモーターは、通常、翻訳開始部位から1Kb以内に位置するが、例えば、2Kb、3Kb、4Kb、5Kb、又はそれ以上、最大で10Kbを含む、より遠くに位置することができる。エンハンサーは、遺伝子の5’又は3’に位置するとき、又はエクソン若しくはイントロンに位置するとき、又はその一部に位置するとき、遺伝子発現に影響を与えることが知られている。エンハンサーはまた、遺伝子から有意な距離、例えば、約3Kb、5Kb、7Kb、10Kb、15Kb、又はそれ以上の距離で機能することができる。調節領域はまた、プロモーター領域に加えて、翻訳を容易にする配列、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAのフレーム内翻訳を可能にするための遺伝子の正しいリーディングフレームの維持、停止コドン、リーダー配列及び融合パートナー配列、多重遺伝子の作製のための内部リボソーム結合部位(IRES)要素、又はポリシストロニック、メッセージ、対象となる遺伝子の転写産物の適切なポリアデニル化及び停止コドンを提供するためのポリアデニル化シグナルを含むが、これらに限定されず、任意選択で発現ベクターに含まれ得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、対象から得られた臨床試料を指す。特定の実施形態では、試料は、対象から収集された組織、体液、又は微生物などの、生物源(すなわち、「生物試料」)から得られる。試料源としては、粘液、痰、気管支肺胞洗浄液(BAL)、気管支洗浄液(BW)、全血、体液、脳脊髄液(CSF)、尿、血漿、血清、又は組織が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドに関して「分泌される」という用語は、内質網、ゴルジ装置を通る分泌経路を介して細胞から放出され、細胞質膜で一過的に融合して、細胞外にタンパク質を放出する小胞として放出されるポリペプチドを意味する。薬物などの小分子は、膜を通って細胞外に拡散されることによっても分泌され得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「別個の」治療的使用は、異なる経路による、同時の又は実質的に同時の少なくとも2つの活性成分の投与を意味する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「連続的な」治療的使用という用語は、異なる時間における少なくとも2つの活性成分の投与を指し、投与経路は同一であるか、又は異なる。より具体的には、連続使用とは、他の活性成分の投与が開始される前の、活性成分のうちの1つの全投与を指す。したがって、他の有効成分を投与する前に、数分、数時間、又は数日間にわたって有効成分のうちの1つを投与することが可能である。この場合、同時治療はない。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「同時の」治療的使用は、同じ経路によって、及び同時に、又は実質的に同時に、少なくとも2つの活性成分の投与を指す。
【0085】
本明細書で使用される場合、「一本鎖可変断片」又は「scFv」という用語は、VH:VLヘテロ二量体を形成するように共有結合される免疫グロブリン(例えば、マウス又はヒト)の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。重鎖(VH)及び軽鎖(VL)は、直接的に接合されるか、又はペプチドをコードするリンカー(例えば、約10、15、20、25個のアミノ酸)によって接合されるかのいずれかであり、VHのN末端をVLのC末端に接合するか、又はVHのC末端をVLのN末端に接合する。リンカーは通常、可撓性のためにグリシンが豊富であり、溶解性のためにセリン又はトレオニンが豊富である。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を連結し得る。特定の実施形態では、リンカーは、以下に示される配列番号1に記載される配列を有するアミノ酸を含む:GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号1).特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸配列は、以下に示される配列番号2に記載されている:ggcggcggcggatctggaggtggtggctcaggtggcggaggctcc(配列番号2)。
【0086】
定常領域の除去及びリンカーの導入にもかかわらず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。一本鎖Fvポリペプチド抗体は、Hustonら(Proc.Nat.Acad.Sci.USA,85:5879-5883(1988))によって記載されるように、VH及びVLをコードする配列を含む核酸から発現することができる。また、米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号、及び同第4,956,778号、並びに米国特許公開第2005/0196754号及び同第2005/0196754号を参照されたい。阻害活性を有する拮抗性scFvが記載されている(例えば、Zhao et al.,Hybridoma(Larchmt)27(6):455-51(2008)、Peter et al.,J Cachexia Sarcopenia Muscle(2012)、Shieh et al.,J Imunol 183(4):2277-85(2009)、Giomarelli et al.,Thromb Haemost 97(6):955-63(2007)、Fife eta.,J Clin Invst 116(8):2252-61(2006)、Brocks et al.,Immunotechnology 3(3):173-84(1997)、Moosmayer et al.,Ther Immunol 2(10):31-40(1995)を参照されたい)。刺激活性を有する作動性scFvが記載されている(例えば、Peter et al.,J Biol Chem 25278(38):36740-7(2003)、Xie et al.,Nat Biotech 15(8):768-71(1997)、Ledbetter et al.,Crit Rev Immunol 17(5-6):427-55(1997)、Ho et al.,Bio Chim Biophys Acta 1638(3):257-66(2003)を参照されたい)。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」又は「に特異的に結合する」又は「特異的に標的とする」は、目的の分子(例えば、抗原)を認識し、結合するが、他の分子を実質的に認識せず、結合しない分子(例えば、ポリペプチド又はその断片)を指す。本明細書で使用される場合、「特異的結合」、「に特異的に結合する」、又は特定の分子(例えば、抗原)に対して「特異的である」という用語は、例えば、それが結合する分子に対して約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、又は10-12MのKdを有する分子によって示すことができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「対象」、「個体」、又は「患者」という用語は、相互に置き換え可能に使用され、個々の生物、脊椎動物、又は哺乳動物を指し、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類など(例えば、特定の治療の受容者であるか、又は細胞の採取元である)を含み得る。特定の実施形態では、個体、患者、又は対象は、ヒトである。
【0089】
「実質的に相同な」又は「実質的に同一の」という用語は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のうちのいずれか1つ)に対して少なくとも50%以上の相同性又は同一性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味する。例えば、かかる配列は、アミノ酸レベル又は核酸において、比較のために使用される配列(例えば、野生型又は天然の配列)に対して少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約99%相同であるか、又は同一である。いくつかの実施形態では、実質的に相同又は実質的に同一のポリペプチドは、比較のために使用される配列と比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を含有する。いくつかの実施形態では、実質的に相同又は実質的に同一のポリペプチドは、相同な配列を置き換えるためのD-アミノ酸及びレトロインベルソアミノを含む1つ以上の非天然アミノ酸又はアミノ酸類似体を含有する。
【0090】
配列相同性又は配列同一性は、典型的には、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue,Madison,Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び/又は他の修飾に対して相同性の程度を割り当てることによって、同一又は類似の配列を一致させる。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムが使用されてもよく、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連する配列を示している。
【0091】
本明細書に開示される主題において有用な核酸分子としては、ポリペプチド又はその断片をコードする任意の核酸分子が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示される主題において有用な核酸分子は、抗体又はその抗原結合部分をコードする核酸分子を含む。かかる核酸分子は、内因性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示す。内因性配列に対して「実質的な相同性」又は「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることができる。「ハイブリダイズする」とは、様々なストリンジェンシー条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)、又はその一部分の間で二本鎖分子を形成する対を意味する。(例えば、Wahl,G.M.and S.L.Berger,Methods Enzymol.152:399(1987)、Kimmel,A.R.Methods Enzymol.152:507(1987)を参照されたい)。例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウム未満、約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウム未満、又は約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウム未満である。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えば、ホルムアミドの不在下で得ることができるが、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35% w/vホルムアミド、又は少なくとも約50% w/vホルムアミドの存在下で得ることができる。厳しい温度条件は、通常、少なくとも約30℃、少なくとも約37℃、又は少なくとも約42℃の温度を含む。ハイブリダイゼーション時間、洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の濃度、並びにキャリアDNAの包含又は除外などの変化する追加のパラメータは、当業者によく知られている。様々なレベルのストリンジェンシーは、必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることによって達成される。特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1% w/vのSDS中で30℃で行われるであろう。特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1% w/vのSDS、35% w/vのホルムアミド、及び100μg/mlの変性サーモン精子DNA(ssDNA)中、37℃で行われるであろう。特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1% w/vのSDS、50% w/vのホルムアミド、及び200μgのssDNA中で42℃で行われるであろう。これらの条件についての有用な変形は、当業者には容易に明らかであろう。
【0092】
ほとんどの用途について、ハイブリダイゼーションに続く洗浄ステップのストリンジェンシーも様々であろう。洗浄ストリンジェンシー条件は、塩濃度及び温度によって定義することができる。上記のように、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を減少させることによって、又は温度を増加させることによって増加させることができる。例えば、洗浄ステップのストリンジェントな塩濃度は、約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウム未満、又は約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウム未満である。洗浄ステップのための厳しい温度条件は、通常、少なくとも約25℃、少なくとも約42℃、又は少なくとも約68℃の温度を含むであろう。特定の実施形態では、洗浄ステップは、25℃で、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1% w/vのSDS中で行われる。特定の実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1% w/vのSDS中、42℃で行われる。特定の実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1% w/vのSDS中、68℃で行われる。これらの条件についての更なる変形は、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis(Science 196:180(1977))、Grunstein and Rogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 72:3961(1975))、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001)、Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York)、and Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkを参照されたい。
【0093】
本明細書で使用される場合、例えば、合成核酸分子、合成遺伝子、又は合成ペプチドに関して、「合成」は、組換え方法及び/又は化学合成方法によって産生される核酸分子又はポリペプチド分子を指す。本明細書で使用される場合、「組換えDNA方法を使用することによる組換え手段による産生」は、クローンDNAによってコードされるタンパク質を発現させるための分子生物学の周知の方法の使用を意味する。
【0094】
本明細書で使用される場合、「T細胞」という用語は、ナイーブT細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、メモリーT細胞、活性化T細胞、アネルギーT細胞、寛容T細胞、キメラB細胞、及び抗原特異的T細胞を含む。
【0095】
本明細書で使用される「治療すること」又は「治療」は、ヒトなどの対象における本明細書に記載される疾患又は障害の治療を包含し、(i)疾患若しくは障害を阻害すること、すなわち、その発生を阻止すること、(ii)疾患若しくは障害を緩和すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすこと、(iii)疾患の進行を遅らせること、及び/又は(iv)疾患若しくは障害の1つ以上の症状の進行を阻害、緩和、若しくは遅延させることを含む。治療の治療効果としては、限定されないが、疾患の再発を阻害すること、症状の緩和、疾患の任意の直接的若しくは間接的な病理学的結果の軽減、転移を予防すること、疾患進行の速度を低減すること、疾患状態の改善若しくは緩和、並びに寛解又は改善された予後が挙げられる。
【0096】
また、本明細書に記載される疾患の様々な治療様式は、「実質的な」ことを意味するように意図されており、これには、全治療が含まれるが、また、全治療未満であり、いくつかの生物学的又は医学的に関連する結果が達成されることも理解されるべきである。治療は、慢性疾患のための連続的な長期治療、又は急性状態の治療のための単回若しくは数回の投与であってもよい。
【0097】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、ベクターが適切な宿主細胞に形質転換されるときに、1つ以上の異種タンパク質が発現され得る複製可能な核酸である。ベクターへの言及は、典型的には、制限消化及びライゲーションによって、ポリペプチド又はその断片をコードする核酸を導入することができるベクターを含む。ベクターへの言及はまた、ポリペプチドをコードする核酸を含むそれらのベクターを含む。ベクターは、核酸の増幅又は核酸によってコードされるポリペプチドの発現/表示のために、ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入するために使用される。ベクターは、典型的には、エピソームのままであるが、遺伝子又はその部分をゲノムの染色体に組み込むように設計することができる。また、酵母人工染色体及び哺乳動物人工染色体などの人工染色体であるベクターも企図される。そのようなビヒクルの選択及び使用は、当業者によく知られている。ベクターはまた、「ウイルスベクター」又は「ウイルスベクター」を含む。ウイルスベクターは、(ビヒクル又はシャトルとして)外因性遺伝子を細胞に移すために、外因性遺伝子に作動可能に連結される操作されたウイルスである。本明細書で使用される場合、「発現ベクター」は、そのようなDNA断片の発現を達成することができる調節配列(例えば、プロモーター領域)と作動可能に連結されたDNAを発現することができるベクターを含む。そのような追加のセグメントは、プロモーター及びターミネーター配列を含み得、任意選択で、1つ以上の複製起点、1つ以上の選択可能なマーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどを含み得る。発現ベクターは、一般に、プラスミド若しくはウイルスDNAに由来するか、又は両方の要素を含有し得る。したがって、発現ベクターは、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、又は適切な宿主細胞への導入時にクローンDNAの発現をもたらす他のベクターなどの組換えDNA又はRNA構築物を指す。適切な発現ベクターは、当業者に周知であり、真核細胞及び/又は原核細胞において複製可能であるもの、並びにエピソームのままであるもの、又は宿主細胞ゲノムに組み込まれるものを含む。
【0098】
キメラ抗原受容体
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、少なくとも1つのキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。CARは、免疫エフェクター細胞上に目的の特異性を移植するか、又は付与する操作された受容体である。例えば、CARを使用して、T細胞などの免疫細胞上にモノクローナル抗体の特異性を移植することができる。いくつかの実施形態では、CARのコード配列の移行は、レトロウイルスベクターなどの核酸ベクターによって促進される。
【0099】
現在、3世代のCARがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、「第一世代」のCARを発現する。「第一世代」のCARは、典型的には、T細胞受容体(TCR)鎖の細胞質/細胞内ドメインに融合された膜貫通ドメインに融合された細胞外抗原結合ドメイン(例えば、一本鎖可変断片(scFv))で構成される。「第一世代」のCARは、典型的には、内因性TCRからのシグナルの主要伝達物質であるCD3ζ鎖からの細胞内ドメインを有する。「第一世代」CARは、新規抗原認識を提供し、HLA媒介抗原提示とは無関係に、単一の融合分子中のCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを介してCD4+及びCD8+T細胞の両方の活性化を引き起こすことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、「第二世代」のCARを発現する。「第二世代」のCARは、様々な共刺激分子(例えば、CD28、4-1BB、ICOS、OX40)からの細胞内シグナル伝達ドメインをCARの細胞質尾部に付加して、T細胞に追加のシグナルを提供する。「第二世代」のCARは、共刺激(例えば、CD28又は4-1BB)及び活性化(例えば、CD3ζ)の両方を提供するものを含む。前臨床の研究では、「第二世代」のCARが、T細胞の抗腫瘍活性を改善し得ることが示されている。例えば、「第二世代」のCAR修飾T細胞の堅牢な有効性は、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する患者におけるCD19分子を標的とする臨床試験において示された。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、「第三世代」のCARを発現する。「第三世代」のCARは、複数の共刺激(例えば、CD28及び4-1BB)及び活性化(例えば、CD3ζ)を提供するものを含む。
【0102】
本明細書に開示される主題によれば、本明細書で提供する操作された免疫細胞のCARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含む。
【0103】
CARの細胞外抗原結合ドメイン特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原を特異的に結合する。特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原に結合するモノクローナル抗体(mAb)に由来する。いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、scFvを含む。いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、任意選択で架橋されるFabを含む。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、F(ab)2を含む。いくつかの実施形態では、前述の分子のうちのいずれかは、異種配列を有する融合タンパク質に含まれて、細胞外抗原結合ドメインを形成する。特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原に特異的に結合するヒトscFvを含む。特定の実施形態では、scFvは、scFvファージライブラリをuPAR抗原-Fc融合タンパク質でスクリーニングすることによって特定される。
【0104】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるCARの細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原に対する高い結合特異性及び高い結合親和性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメイン(例えば、ヒトscFv又はその類似体において具体化される)は、約1×10-5M以下の解離定数(Kd)で特定のuPAR抗原に結合する。特定の実施形態では、Kdは、約5×10-6M以下、約1×10-6M以下、約5×10-7M以下、約1×10-7M以下、約5×10-8M以下、約1×10-8M以下、約5×10-9以下、約4×10-9以下、約3×10-9以下、約2×10-9以下、又は約1×10-9M以下である。特定の非限定的な実施形態では、Kdは、約3×10-9M以下である。特定の非限定的な実施形態では、Kdは、約3×10-9~約2×10-7である。
【0105】
本明細書に開示されるuPAR特異的CARの細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFv又はその類似体における実施形態)の結合は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、又はウエスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイのそれぞれは、一般に、目的の複合体に特異的な標識された試薬(例えば、抗体、又はscFv)を使用することによって、特定の目的のタンパク質-抗体複合体の存在を検出する。例えば、scFvは、放射性標識され、ラジオイムノアッセイ(RIA)において使用され得る(例えば、Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,March,1986(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。放射性同位体は、γカウンター若しくはシンチレーションカウンターの使用、又は自己放射線検査のような手段によって検出され得る。特定の実施形態では、uPAR特異的CARの細胞外抗原結合ドメインは、蛍光マーカーで標識される。蛍光マーカーの非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(例えば、EBFP、EBFP2、アズライト、及びmKalamal)、シアン蛍光タンパク質(例えば、ECFP、セルリアン、及びCyPet)、並びに黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、シトリン、Venus、及びYPet)が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるuPAR特異的CARのscFvは、GFPで標識される。
【0106】
いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、Covid患者の肺組織又は直腸腫瘍において発現されるuPAR抗原に結合する。いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、直腸腫瘍の表面上又はCovid患者の肺組織の表面上に発現されるuPAR抗原に結合する。いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、Covid患者におけるMHCタンパク質と組み合わせて肺組織の表面上に発現されるuPAR抗原に結合する。いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、直腸がん患者におけるMHCタンパク質と組み合わせて直腸腫瘍の表面上に発現されるuPAR抗原に結合する。いくつかの実施形態では、MHCタンパク質は、MHCクラスIタンパク質である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、又はHLA-C分子である。いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、患者におけるMHCタンパク質と組み合わせていないuPAR抗原に結合する。
【0107】
いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原に結合する。いくつかの実施形態では、発現されたCARの細胞外抗原結合ドメインは、MHC分子の文脈で提示されるuPAR抗原に結合する。いくつかの実施形態では、発現CARの細胞外抗原結合ドメインは、HLA-A2分子の文脈で提示されるuPAR抗原に結合する。
【0108】
特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、ヒトscFv)は、重鎖可変(VH)領域と、任意選択で、重鎖可変(VH)領域と軽鎖可変(VL)領域との間のリンカー配列、例えば、リンカーペプチド(例えば、配列番号1)と連結された軽鎖可変(VL)領域と、を含む。特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、VH及びVL領域を有するヒトscFv-Fc融合タンパク質又は全長ヒトIgGである。
【0109】
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示されるCARの細胞外抗原結合ドメインは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を接続するリンカーを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「リンカー」は、互いに接続されるように、2つ以上のポリペプチド又は核酸を共有結合する官能基(例えば、化学的又はポリペプチド)を指す。本明細書で使用される場合、「ペプチドリンカー」は、2つのタンパク質を一緒にカップリングする(例えば、VH及びVLドメインをカップリングする)ために使用される1つ以上のアミノ酸を指す。特定の実施形態では、リンカーは、配列番号1に記載される配列を有するアミノ酸を含む。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2に記載されている。
【0110】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、新生タンパク質を内皮小胞体内に導くリーダー又はシグナルペプチド配列を含むことができる。CARがグリコシル化され、細胞膜内に固定される場合、シグナルペプチド又はリーダーは、必須であり得る。シグナル配列又はリーダー配列は、新しく合成されたタンパク質のN末端に存在するペプチド配列(約5個、約10個、約15個、約20個、約25個又は約30個のアミノ酸長)であってもよく、これらは分泌経路へのそれらの侵入を導く。
【0111】
特定の実施形態では、シグナルペプチドは、細胞外抗原結合ドメインのN末端に共有結合される。特定の実施形態では、シグナルペプチドは、以下に提供される配列番号3に記載される配列を有するアミノ酸を含むヒトCD8シグナルポリペプチドを含む:MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号3)。
【0112】
配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、以下に提供される配列番号4に記載されている:ATGGCCCTGCCAGTAACGGCTCTGCTGCTGCCACTTGCTCTGCTCCTCCATGCAGCCAGGCCT(配列番号4)。
【0113】
特定の実施形態では、シグナルペプチドは、以下に提供される配列番号5に記載される配列を有するアミノ酸を含むヒトCD8シグナルポリペプチドを含む:MALPVTALLLPLALLLHA(配列番号5)。
【0114】
配列番号5のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、以下に提供される配列番号6に記載されている:ATGGCTCTCCCAGTGACTGCCCTACTGCTTCCCCTAGCGCTTCTCCTGCATGCA(配列番号6)。
【0115】
特定の実施形態では、シグナルペプチドは、以下に提供される配列番号7に記載される配列を有するアミノ酸を含むマウスCD8シグナルポリペプチドを含む:MASPLTRFLSLNLLLLGESII(配列番号7)。
【0116】
配列番号7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、以下に提供される配列番号8に記載されている:
【0117】
ATGGCCAGCCCCCTGACCAGGTTCCTGAGCCTGAACCTGCTGCTGCTGGGCGAGAGCATCATC(配列番号8)。
【0118】
特定の実施形態では、シグナルペプチドは、以下に提供される配列番号9に記載される配列を有するアミノ酸を含むマウスCD8シグナルポリペプチドを含む:MASPLTRFLSLNLLLLGE(配列番号9)。
【0119】
配列番号9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、以下に提供される配列番号10に記載されている:ATGGCCAGCCCCCTGACCAGGTTCCTGAGCCTGAACCTGCTGCTGCTGGGCGAG(配列番号10)。
【0120】
CARの膜貫通ドメイン特定の非限定的な実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、膜の少なくとも一部分にまたがる疎水性アルファヘリックスを含む。異なる膜貫通ドメインは、異なる受容体安定性をもたらす。抗原認識後、受容体がクラスター化し、シグナルが細胞に伝達される。本明細書に開示される主題によれば、CARの膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD4ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、BTLAポリペプチド、合成ペプチド(例えば、免疫応答に関連するタンパク質に基づかない膜貫通ペプチド)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0121】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるCARの膜貫通ドメインは、CD28ポリペプチドを含む。CD28ポリペプチドは、UniProtKB参照番号P10747若しくはNCBI参照番号NP006130(配列番号11)又はその断片を有する配列に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号11の連続部分である、少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、及び最大220個のアミノ酸長であるアミノ酸配列を有することができる。加えて又はあるいは、非限定的な様々な実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸1~220、1~50、50~100、100~150、114~220、150~200、又は200~220のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、本開示のCARは、CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメインと、任意選択で、CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内ドメインと、を含む。特定の実施形態では、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインに含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸114~220のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、膜貫通ドメインに含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸153~179のアミノ酸配列を有する。
【0122】
配列番号11を以下に提供する。MLRLLLALNLFPSIQVTGNKILVKQSPMLVAYDNALSCKYSYNLFSREFRASLHKGLDSAVEVCWYGNYSQQLQVYSKTGFNCDGKLGNESVTFYLQNLYQTDIYFCKIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVWGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号11)
【0123】
本明細書に開示される主題によれば、「CD28核酸分子」は、CD28ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。特定の実施形態では、本明細書に開示されるCAR(例えば、配列番号11のアミノ酸114~220又は配列番号11のアミノ酸153~179)の膜貫通ドメイン(及び任意選択で、細胞内ドメイン(例えば、共刺激シグナル伝達領域))に含まれるCD28ポリペプチドをコードするCD28核酸分子は、以下に提供されるような配列番号12に記載される配列の少なくとも一部分を含む。attgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccttttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcc(配列番号12)
【0124】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチドを含む。CD8ポリペプチドは、以下に提供されるように、配列番号13に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%)相同であるアミノ酸配列(本明細書での相同性は、BLAST又はFASTAなどの標準ソフトウェアを使用して決定され得る)、又はその断片を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号13の連続部分である、少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、及び最大235個のアミノ酸長であるアミノ酸配列を有することができる。加えて又はあるいは、様々な実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸1~235、1~50、50~100、100~150、150~200、又は200~235のアミノ酸配列を有する。
【0125】
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPWKSGDKPSLSARYV(配列番号13)
【0126】
特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、以下に提供される配列番号14に記載される配列を有するアミノ酸を含むCD8ポリペプチドを含む:
【0127】
PTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCN(配列番号14)
【0128】
本明細書に開示される主題によれば、「CD8核酸分子」は、CD8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。特定の実施形態では、本明細書に開示されるCAR(配列番号14)の膜貫通ドメインに含まれるCD8ポリペプチドをコードするCD8核酸分子は、以下に提供されるような配列番号15に記載される配列を有する核酸を含む。
【0129】
CCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACCCCGGCGCCCACGATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCCTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAC(配列番号15)
【0130】
特定の非限定的な実施形態では、CARはまた、細胞外抗原結合ドメインを膜貫通ドメインに連結するスペーサー領域を含むことができる。スペーサー領域は、抗原結合ドメインが異なる方向に配向して、CARの活性化活性を維持しながら抗原認識を促進することを可能にするのに十分な柔軟性を有することができる。特定の非限定的な実施形態では、スペーサー領域は、IgGlからのヒンジ領域、免疫グロブリンのCH2CH3領域及びCD3の一部分、CD28ポリペプチドの一部分(例えば、配列番号11)、CD8ポリペプチドの一部分(例えば、配列番号13)、それに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、若しくは少なくとも約95%相同である前述のうちのいずれかの変形、又は合成スペーサー配列であり得る。特定の非限定的な実施形態では、スペーサー領域は、約1~50個(例えば、5~25個、10~30個、又は30~50個)のアミノ酸長を有し得る。
【0131】
CARの細胞内ドメイン特定の非限定的な実施形態では、CARの細胞内ドメインは、細胞(例えば、リンパ系統の細胞、例えば、T細胞)を活性化又は刺激することができるCD3ζポリペプチドを含むことができる。CD3ζは、3つのITAMを含み、抗原が結合した後、活性化シグナルを細胞(例えば、リンパ系統の細胞、例えば、T細胞)に伝達する。CD3ζポリペプチドは、NCBI参照番号NP_932170(配列番号16)又はその断片を有する配列に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0132】
特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、配列番号17の連続部分である、少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、及び最大164個のアミノ酸長であるアミノ酸配列を有することができる。加えて又はあるいは、様々な実施形態では、CD3ζポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸1~164、1~50、50~100、100~150、又は150~164のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸52~164のアミノ酸配列を有する。
【0133】
配列番号17を以下に提供する。MKWKALFTAAILQAQLPITEAQSFGLLDPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号17)
【0134】
特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、以下に提供される配列番号18に記載されるアミノ酸配列を有する。RVKFSRSAEPPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号18)
【0135】
特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、以下に提供される配列番号19に記載されるアミノ酸配列を有する。RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号19)
【0136】
本明細書に開示される主題によれば、「CD3ζ核酸分子」は、CD3ζポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。特定の実施形態では、本明細書に開示されるCARの細胞内ドメインに含まれるCD3ζポリペプチド(配列番号18)をコードするCD3ζ核酸分子は、以下に提供されるような配列番号20に記載されるヌクレオチド配列を含む。AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGAGCCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCG(配列番号20)
【0137】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるCARの細胞内ドメインに含まれるCD3ζポリペプチド(配列番号19)をコードするCD3ζ核酸分子は、以下に提供されるような配列番号21に記載されるヌクレオチド配列を含む。AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA(配列番号21)
【0138】
特定の非限定的な実施形態では、CARの細胞内ドメインは、少なくとも1つのシグナル伝達領域を更に含む。少なくとも1つのシグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、BTLAポリペプチド、合成ペプチド(免疫応答に関連するタンパク質に基づかない)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0139】
特定の実施形態では、シグナル伝達領域は、共刺激シグナル伝達領域である。
【0140】
特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域は、最適なリンパ球活性化を提供することができる、少なくとも1つの共刺激分子を含む。本明細書で使用される場合、「共刺激分子」は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要とされる、抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子である。少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、又はそれらの組み合わせを含むことができる。共刺激分子は、共刺激リガンドに結合することができ、これは、その受容体に結合すると、共刺激応答、すなわち、抗原がそのCAR分子に結合するときに提供される刺激に影響を与える細胞内応答を生成する、細胞表面上に発現されるタンパク質である。共刺激リガンドとしては、CD80、CD86、CD70、OX40L、4-1BBL、CD48、TNFRSF14、及びPD-Llが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、4-1BBリガンド(すなわち、4-1BBL)は、CARシグナルと組み合わせてCAR+T細胞のエフェクター細胞機能を誘導する細胞内シグナルを提供するために、4-1BB(「CD137」としても知られる)に結合し得る。4-1BB、ICOS又はDAP-10を含む共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内ドメインを含むCARは、米国特許第7,446,190号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。特定の実施形態では、CARの細胞内ドメインは、CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。特定の実施形態では、CARの細胞内ドメインは、2つの共刺激分子:CD28及び4-1BB又はCD28及びOX40を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0141】
4-1BBは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして機能し、刺激活性を有することができる。4-1BBポリペプチドは、UniProtKB参照番号P41273若しくはNCBI参照番号NP_001552(配列番号22)又はその断片を有する配列に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0142】
配列番号22を以下に提供する。MGNSCYNIVATLLLVLNFERTRSLQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFSSAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCKQGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLGTKERDWCGPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSWKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号22)
【0143】
特定の実施形態では、4-1BB共刺激ドメインは、以下に提供される配列番号23に記載されるアミノ酸配列を有する。KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号23)
【0144】
本明細書に開示される主題によれば、「4-1BB核酸分子」は、4-1BBポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。特定の実施形態では、本明細書に開示されるCARの細胞内ドメインに含まれる4-1BBポリペプチド(配列番号23)をコードする4-1BB核酸分子は、以下に提供されるような配列番号24に記載されるヌクレオチド配列を含む。AAACGGGGCAGAAAGAAGCTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG(配列番号24)
【0145】
OX40ポリペプチドは、UniProtKB参照番号P43489若しくはNCBI参照番号NP_003318(配列番号25)又はその断片を有する配列に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0146】
配列番号25を以下に提供する。MCVGARRLGRGPCAALLLLGLGLSTVTGLHCVGDTYPSNDRCCHECRPGNGMVSRCSRSQNTVCRPCGPGFYNDWSSKPCKPCTWCNLRSGSERKQLCTATQDTVCRCRAGTQPLDSYKPGVDCAPCPPGHFSPGDNQACKPWTNCTLAGKHTLQPASNSSDAICEDRDPPATQPQETQGPPARPITVQPTEAWPRTSQGPSTRPVEVPGGRAVAAILGLGLVLGLLGPLAILLALYLLRRDQRLPPDAHKPPGGGSFRTPIQEEQADAHSTLAKI(配列番号25)
【0147】
本明細書に開示される主題によれば、「OX40核酸分子」は、OX40ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0148】
ICOSペプチドは、NCBI参照番号NP_036224(配列番号26)又はその断片を有する配列に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0149】
配列番号26を以下に提供する。MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGCAAFVWCILGCILICWLTKKKYSSSVHDPNGEYMFMRATAKKSRLTDVTL(配列番号26)
【0150】
本明細書に開示される主題によれば、「ICOS核酸分子」は、ICOSポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0151】
CTLA-4は、活性化されたT細胞によって発現される阻害受容体であり、これは、その対応するリガンド(それぞれCD80及びCD86、B7-1及びB7-2)によって係合されたときに、活性化されたT細胞阻害又はアネルギーを媒介する。前臨床研究及び臨床研究の両方において、全身抗体注入によるCTLA-4遮断は、臨床現場では予期せぬ重大な毒性を伴うものの、内因性抗腫瘍応答を増強した。
【0152】
CTLA-4は、細胞外Vドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質尾部を含有する。異なるアイソフォームをコードする代替スプライスバリアントが特徴付けられている。膜結合アイソフォームは、ジスルフィド結合によって相互接続されたホモ二量体として機能する一方、可溶性アイソフォームは、単量体として機能する。細胞内ドメインは、それが固有の触媒活性を持たず、かつPI3K、PP2A、及びSHP-2を結合することができる1つのYVKMモチーフと、SH3含有タンパク質を結合することができる1つのプロリンに富んだモチーフと、を含有するという点で、CD28のものと同様である。CTLA-4のT細胞応答を阻害する1つの役割は、CD3及びLATのようなTCR近位シグナル伝達タンパク質のSHP-2及びPP2A脱リン酸化を直接介するものであるように思われる。CTLA-4は、CD80/86結合についてのCD28との競合を介して間接的にシグナル伝達に影響することもできる。CTLA-4はまた、PI3K、CD80、AP2M1、及びPPP2R5Aを結合する及び/又はそれと相互作用することが示されている。
【0153】
本明細書に開示される主題によれば、CTLA-4ポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号P16410.3(配列番号27)に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列(本明細書での相同性は、BLAST又はFASTAなどの標準ソフトウェアを使用して決定され得る)、又はその断片を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0154】
配列番号27を以下に提供する。MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAWLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(配列番号27)
【0155】
本明細書に開示される主題によれば、「CTLA-4核酸分子」は、CTLA-4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0156】
PD-1は、内因性マクロファージ及び樹状細胞上で発現される対応するリガンドPD-L1及びPD-L2との係合時に、活性化T細胞の陰性免疫調節因子である。PD-1は、268個のアミノ酸のI型膜タンパク質である。PD-1は、B7ファミリーのメンバーである2つのリガンドPD-L1及びPD-L2を有する。タンパク質の構造は、細胞外IgVドメイン、続いて膜貫通領域及び細胞内尾部を含む。細胞内尾部は、PD-1がTCRシグナルを負に調節する、免疫受容体チロシンベース抑制性モチーフ及び免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフに位置する2つのリン酸化部位を含有する。SHP-I及びSHP-2ホスファターゼは、リガンド結合上でPD-1の細胞質尾部に結合する。PD-L1の上方調節は、腫瘍細胞が宿主免疫系を回避し得る1つの機構である。前臨床試験及び臨床試験では、拮抗性抗体によるPD-1遮断は、宿主内因性免疫系を介して媒介される抗腫瘍応答を誘導した。本明細書に開示される主題によれば、PD-1ポリペプチドは、NCBI参考番号NP_005009.2(配列番号28)に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列、又はその断片を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0157】
配列番号28を以下に提供する。MQIPQAPWPVVWAVLQLGWRPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLWTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVVGWGGLLGSLVLLVWVLAVICSRAARGTIGARRTGQPLKEDPSAVPVFSVDYGELDFQWREKTPEPPVPCVPEQTEYATIVFPSGMGTSSPARRGSADGPRSAQPLRPEDGHCSWPL(配列番号28)
【0158】
本明細書に開示される主題によれば、「PD-1核酸分子」は、PD-1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0159】
リンパ球活性化タンパク質3(LAG-3)は、免疫細胞の陰性免疫調節因子である。LAG-3は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属し、4つの細胞外Ig様ドメインを含有する。LAG3遺伝子は、8個のエキソンを含有する。配列データ、エクソン/イントロン組織、及び染色体局在は全て、LAG3とCD4との密接な関係を示す。LAG3はまた、CD223(分化クラスター223)とも称されている。
【0160】
本明細書に開示される主題によれば、LAG-3ポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号P18627.5(配列番号29)に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列、又はその断片を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0161】
配列番号29を以下に提供する。MWEAQFLGLLFLQPLWVAPVKPLQPGAEVPWWAQEGAPAQLPCSPTIPLQDLSLLRRAGVTWQHQPDSGPPAAAPGHPLAPGPHPAAPSSWGPRPRRYTVLSVGPGGLRSGRLPLQPRVQLDERGRQRGDFSLWLRPARRADAGEYRAAVHLRDRALSCRLRLRLGQASMTASPPGSLRASDWVILNCSFSRPDRPASVHWFRNRGQGRVPVRESPHHHLAESFLFLPQVSPMDSGPWGCILTYRDGFNVSIMYNLTVLGLEPPTPLTVYAGAGSRVGLPCRLPAGVGTRSFLTAKWTPPGGGPDLLVTGDNGDFTLRLEDVSQAQAGTYTCHIHLQEQQLNATVTLAIITVTPKSFGSPGSLGKLLCEVTPVSGQERFVWSSLDTPSQRSFSGPWLEAQEAQLLSQPWQCQLYQGERLLGAAVYFTELSSPGAQRSGRAPGALPAGHLLLFLILGVLSLLLLVTGAFGFHLWRRQWRPRRFSALEQGIHPPQAQSKIEELEQEPEPEPEPEPEPEPEPEPEQL(配列番号29)
【0162】
本明細書に開示される主題によれば、「LAG-3核酸分子」は、LAG-3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0163】
ナチュラルキラー細胞受容体2B4(2B4)は、NK細胞及びT細胞のサブセット上の非MHC制限細胞死滅を媒介する。今日まで、2B4の機能は依然として調査中であり、2B4-Sアイソフォームは活性化受容体であると考えられ、2B4-Lアイソフォームは免疫細胞の陰性免疫調節因子であると考えられる。2B4は、その高親和性リガンドCD48を結合すると係合する。2B4は、チロシンベーススイッチモチーフ、タンパク質が様々なホスファターゼと会合することを可能にする分子スイッチを含有する。2B4はまた、CD244(分化クラスター244)とも称されている。
【0164】
本明細書に開示される主題によれば、2B4ポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号Q9BZW8.2(配列番号30)に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列、又はその断片を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0165】
配列番号30を以下に提供する。MLGQWTLILLLLLKVYQGKGCQGSADHWSISGVPLQLQPNSIQTKVDSIAWKKLLPSQNGFHHILKWENGSLPSNTSNDRFSFIVKNLSLLIKAAQQQDSGLYCLEVTSISGKVQTATFQVFVFESLLPDKVEKPRLQGQGKILDRGRCQVALSCLVSRDGNVSYAWYRGSKLIQTAGNLTYLDEEVDINGTHTYTCNVSNPVSWESHTLNLTQDCQNAHQEFRFWPFLVIIVILSALFLGTLACFCVWRRKRKEKQSETSPKEFLTIYEDVKDLKTRRNHEQEQTFPGGGSTIYSMIQSQSSAPTSQEPAYTLYSLIQPSRKSGSRKRNHSPSFNSTIYEVIGKSQPKAQNPARLSRKELENFDVYS(配列番号30)
【0166】
本明細書に開示される主題によれば、「2B4核酸分子」は、2B4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0167】
B及びTリンパ球減衰器(BTLA)発現は、T細胞の活性化中に誘導され、BTLAは、Thl細胞上で発現されたままであるが、Th2細胞上では発現されない。PD1及びCTLA4と同様に、BTLAは、B7ホモログB7H4と相互作用する。しかしながら、PD-1及びCTLA-4とは異なり、BTLAは、細胞表面受容体のB7ファミリーだけでなく、腫瘍壊死ファミリー受容体(TNF-R)との相互作用を介してT細胞阻害を示す。BTLAは、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)としても知られる、腫瘍壊死因子(受容体)スーパーファミリー、メンバー14(TNFRSF14)のリガンドである。BTLA-HVEM複合体は、T細胞免疫応答を負に調節する。BTLA活性化は、ヒトCD8+がん特異的T細胞の機能を阻害することが示されている。BTLAはまた、CD272(分化クラスター272)として指定されている。
【0168】
本明細書に開示される主題によれば、BTLAポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号Q7Z6A9.3(配列番号31)に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列、又はその断片を有することができ、かつ/又は任意選択で、最大1つ、最大2つ、又は最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0169】
配列番号31を以下に提供する。MKTLPAMLGTGKLFWVFFLIPYLDIWNIHGKESCDVQLYIKRQSEHSILAGDPFELECPVKYCANRPHVTWCKLNGTTCVKLEDRQTSWKEEKNISFFILHFEPVLPNDNGSYRCSANFQSNLIESHSTTLYVTDVKSASERPSKDEMASRPWLLYRLLPLGGLPLLITTCFCLFCCLRRHQGKQNELSDTAGREINLVDAHLKSEQTEASTRQNSQVLLSETGIYDNDPDLCFRMQEGSEVYSNPCLEENKPGIVYASLNHSVIGPNSRLARNVKEAPTEYASICVRS(配列番号31)
【0170】
本明細書に開示される主題によれば、「BTLA核酸分子」は、BTLAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0171】
本技術の操作された免疫細胞
本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)、又はuPAR抗原などの標的抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。細胞表面リガンドは、免疫細胞を標的部位(例えば、肺における線維性病変)に導く任意の分子であり得る。例示的な細胞表面リガンドとしては、例えば、操作された受容体、又は免疫細胞を標的部位に標的化することを達成するための他の特異的リガンドが挙げられる。いくつかの実施形態では、受容体は、T細胞受容体である。いくつかの実施形態では、受容体、例えば、T細胞受容体は、非天然受容体(例えば、免疫細胞に内因性ではない)である。いくつかの実施形態では、受容体は、標的抗原(uPAR)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)、例えば、T細胞CARである。
【0172】
いくつかの実施形態では、標的uPAR抗原は、Covid患者の肺組織又は直腸腫瘍において発現される。いくつかの実施形態では、標的uPAR抗原は、Covid患者の肺組織の表面上又は直腸腫瘍の表面上に発現される。いくつかの実施形態では、標的uPAR抗原は、細胞表面受容体である。いくつかの実施形態では、標的uPAR抗原は、細胞表面糖タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的uPAR抗原は、MHC分子の文脈で提示される。いくつかの実施形態では、MHCタンパク質は、MHCクラスIタンパク質である。いくつかの実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A、HLA-B、又はHLA-C分子である。いくつかの実施形態では、標的uPAR抗原は、HLA-A2分子の文脈で提示される。
【0173】
本明細書に記載されるように、免疫細胞は、Covid患者の肺組織の表面上又は直腸腫瘍の表面上に存在するuPAR抗原に結合する抗uPAR抗原結合断片を構成的又は条件的に発現するように操作することができる。本技術の操作された免疫細胞は、免疫細胞の標的細胞への送達を可能にする抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)を含むキメラ抗原受容体を発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)、又はuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。いくつかの実施形態では、T細胞受容体は、キメラT細胞受容体(CAR)である。
【0174】
本明細書に提供される例示的な実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、又はuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、又はMHC分子の文脈で提示されるuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する操作された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、又はHLA-A2分子の文脈で提示されるuPAR抗原に結合する他の細胞表面リガンドを発現する。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、本明細書で提供する、uPARを標的とする操作された免疫細胞は、1つ以上のT細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)又は追加の標的に結合する他の細胞表面リガンドを更に発現する。かかる追加の標的の例としては、GRAMD1A、KCNK3、RAI2、NPL、STC1、TOM1、F3、SLC6A8、SLC22A4、SERINC3、DDIT4L、LY96、NFASC、IFNGR1、DNER、SLC22A1、ITGB3、LRP10、ICAM1、ULBP2、SLC22A15、APLP1、ABTB2、AFF1、AGPAT2、AGTRAP、AKAP6、BFSP1、BHLHE40、CARD6、CCDC69、CCDC71L、FAM219A、FAM219B、FAM43A、FAM8A1、FOLR3、GSAP、GYS1、HECW2、HIF1A、INHBA、MAP3K8、MT-ND5、MT-ND6、及びPRICKLE2が挙げられるが、これらに限定されない。かかる追加の標的の他の例としては、LRP12、SLC6A8、ITGB3、LRP10、BTN2A2、ICAM1、ABCA1、SLC22A23、TMEM63B、SLC37A1、SLC22A4、ENPP4、VNN1、SERINC3、ITGA11、SERINC2、ULBP2、SLC22A15、APLP1、DPP4、ABCA3、TPCN1、ABTB2、AFF1、AGPAT2、AGTRAP、AHNAK2、AK4、AKAP6、ALS2CL、AMPD3、ANKRD1、ANKRD29、ANKRD42、AOX1、ARHGEF37、ARRDC4、ATP6V1H、BFSP1、BHLHE40、BHLHE41、BTG2、C3、CARD6、CASP4、CCDC69、CCDC71L、CDKN1A、CHST15、COQ10B、CPPED1、CTSB、CYB5R1、CYBA、CYFIP2、CYP26B1、DDIT4L、DIRC3、DNAJB9、DTX4、DYNLT3、ELL2、ELOVL7、EML1、FADS3、FAM210B、FAM219A、FAM219B、FAM43A、FAM8A1、FILIP1L、FOLR3、FOXO1、GFPT2、GM2A、GPX3、GRAMD1A、GRB10、GSAP、GYS1、HECW2、HIF1A、HIST2H2BE、IDS、IGFN1、INHBA、JUN、KCNJ15、KCNK3、KDM6B、KIAA1217、KLHL21、LCP1、LINC00862、LY96、LYPLAL1、LZTS3、MAP1LC3B、MAP3K10、MAP3K8、MAP7、MAPRE3、MAST3、MOAP1、MSC、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MXD1、MYO1D、NABP1、NOV、NPL、OGFRL1、P4HA2、PGM2L1、PHYH、PLA2G15、PLA2G4C、PLD1、PLEKHG5、PLOD2、PPARGC1A、PPP2R5B、PRICKLE2、PSAP、RAB29、RAB36、RAB6B、RAG1、RAI2、RETSAT、RIOK3、RNF11、RNF14、RSPH3、RUSC2、SAT1、SCG5、SEL1L3、SERPINI1、SESN2、SIAE、SOD2、SPATA18、SPTBN2、SRPX2、ST20-AS1、STC1、STK38L、STON2、SUSD6、TAF13、TAP1、TBC1D2、TFEC、TNFAIP3、TNFAIP8L3、TOM1、TPRG1L、TSKU、TTC9、TXNIP、UBA6-AS1、VPS18、WDR78、ZFHX2、及びZNFX1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
本明細書で提供されるのは、直腸腫瘍を効果的に標的とするuPAR特異的抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体、又はCovid患者の感染した肺組織を発現する操作された免疫細胞(例えば、CAR T細胞)である。
【0176】
特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、組織部位でuPAR抗原に遭遇すると、広範囲に(例えば、100回以上)増殖し、したがって、抗uPAR抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体の産生を著しく増加させる。操作された免疫細胞(例えば、CAR T細胞)は、抗uPAR抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体をコードする核酸を用いた免疫細胞のインビトロ形質導入によって生成され得る。更に、操作された免疫細胞(例えば、CAR T細胞)の活性は、キメラ抗原受容体に含まれる共刺激分子の選択によって調整することができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、それぞれ、GFTFSNY(配列番号32)、STGGGN(配列番号33)、及びQGGGYSDSFDY(配列番号34);又はGFSLSTSGM(配列番号35)、WWDDD(配列番号36)、及びIGGSSGYMDY(配列番号37)のVHCDR1配列、VHCDR2配列、及びVHCDR3配列を含むuPAR抗原結合断片(例えば、scFv)を含む。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、それぞれ、KASKSISKYLA(配列番号38)、SGSTLQS(配列番号39)、及びQQHNEYPLT(配列番号40);RASESVDSYGNSFMH(配列番号41)、RASNLKS(配列番号42)、及びQQSNEDPWT(配列番号43);又はKASENVVTYVS(配列番号44)、GASNRYT(配列番号45)、及びGQGYSYPYT(配列番号46)のVLCDR1配列、VLCDR2配列、及びVLCDR3配列を含む。
【0178】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)のVHのアミノ酸配列は、EVQLVESGGGLVQPGRSLKLSCAASGFTFSNYAMAWVRQAPTKGLEWVASISTGGGNTYYRDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMDSLRSEDTATYYCARQGGGYSDSFDYWGQGVMVTVSS(配列番号47)、又はQVTLKESGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGVGWIRQPSGKGLEWLAHIWWDDDKRYNPALKSRLTISKDPSSNQVFLKIASVDTADIATYYCVRIGGSSGYMDYWGQGTSVTVSS(配列番号48)である。
【0179】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)のVLのアミノ酸配列は、
DVQMTQSPSNLAASPGESVSINCKASKSISKYLAWYQQKPGKANKLLIYSGSTLQSGTPSRFSGSGSGTDFTLTIRNLEPEDFGLYYCQQHNEYPLTFGSGTKLEIKR(配列番号49)、DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYRASNLKSGIPARFSGSGSGTDFTLTINPVEADDVATYCCQQSNEDPWTFGGGTKLEIKR(配列番号50)、又はNIVMTQSPKSMSMSVGERVTLTCKASENVVTYVSWYQQKPEQSPKLLIYGASNRYTGVPDRFTGSGSATDFTLTISSVQAEDLADYHCGQGYSYPYTFGGGTKLEIKR(配列番号51)である。
【0180】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、EVQLVESGGGLVQPGRSLKLSCAASGFTFSNYAMAWVRQAPTKGLEWVASISTGGGNTYYRDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMDSLRSEDTATYYCARQGGGYSDSFDYWGQGVMVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDVQMTQSPSNLAASPGESVSINCKASKSISKYLAWYQQKPGKANKLLIYSGSTLQSGTPSRFSGSGSGTDFTLTIRNLEPEDFGLYYCQQHNEYPLTFGSGTKLEIKR(配列番号52)、QVTLKESGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGVGWIRQPSGKGLEWLAHIWWDDDKRYNPALKSRLTISKDPSSNQVFLKIASVDTADIATYYCVRIGGSSGYMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYRASNLKSGIPARFSGSGSGTDFTLTINPVEADDVATYCCQQSNEDPWTFGGGTKLEIKR(配列番号53)、及びQVTLKESGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGVGWIRQPSGKGLEWLAHIWWDDDKRYNPALKSRLTISKDPSSNQVFLKIASVDTADIATYYCVRIGGSSGYMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSNIVMTQSPKSMSMSVGERVTLTCKASENVVTYVSWYQQKPEQSPKLLIYGASNRYTGVPDRFTGSGSATDFTLTISSVQAEDLADYHCGQGYSYPYTFGGGTKLEIKR(配列番号54)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0181】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、配列番号52~54のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、配列番号52~54に対して約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片は、scFv、Fab、又は(Fab)2である。
【0182】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、GAAGTCCAACTCGTTGAAAGCGGCGGTGGTCTTGTCCAGCCAGGCAGATCACTGAAACTGTCATGCGCCGCCAGTGGCTTCACTTTCTCCAATTACGCAATGGCGTGGGTTAGACAGGCCCCCACGAAAGGCTTGGAGTGGGTCGCATCAATCAGTACAGGAGGTGGAAACACTTACTATCGCGATAGTGTTAAGGGGAGATTCACGATTAGCCGGGACAACGCGAAAAACACGTTGTATCTGCAGATGGACTCACTTAGATCCGAGGACACAGCGACTTACTACTGTGCGAGGCAGGGCGGAGGGTATAGTGATAGCTTTGATTACTGGGGCCAGGGCGTAATGGTAACTGTTAGTTCTGGTGGAGGTGGATCAGGTGGAGGTGGATCTGGTGGAGGTGGATCTGATGTGCAGATGACACAGAGTCCTTCAAATTTGGCCGCTTCACCCGGAGAATCAGTAAGTATCAACTGTAAAGCGTCCAAGTCCATTTCAAAGTATTTGGCATGGTATCAACAGAAGCCGGGAAAGGCGAACAAACTCCTGATTTATAGCGGGAGTACCTTGCAGTCCGGCACGCCTAGTAGATTTTCAGGCTCCGGTTCTGGGACCGACTTCACTTTGACGATTCGCAATTTGGAACCAGAGGATTTTGGGCTGTACTATTGTCAGCAGCACAACGAATACCCGTTGACTTTTGGTAGTGGTACAAAGCTGGAAATCAAGAGAGCGGCC(配列番号55)、CAGGTGACCCTGAAGGAGTCCGGCCCCGGCATCCTGCAGCCCAGCCAGACCCTGAGCCTGACCTGCTCCTTCAGCGGCTTCTCCCTGTCCACCTCCGGCATGGGCGTGGGCTGGATCAGACAGCCCAGCGGCAAGGGCCTGGAGTGGCTGGCCCACATCTGGTGGGACGATGACAAGAGATACAACCCCGCTCTGAAGAGCCGGCTGACAATCAGCAAGGACCCTAGCAGTAACCAGGTGTTCCTGAAGATCGCTTCCGTGGACACAGCAGACATCGCAACATACTATTGCGTGCGGATCGGCGGAAGCAGTGGATACATGGACTACTGGGGACAGGGAACCAGCGTGACCGTGAGCAGTGGTGGAGGTGGATCAGGTGGAGGTGGATCTGGTGGAGGTGGATCTGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCAGCTAGCTTGGCAGTGAGCCTGGGACAGAGGGCTACCATCAGCTGCAGAGCTTCAGAGAGCGTGGACAGCTACGGAAACAGCTTCATGCACTGGTACCAGCAGAAGCCAGGACAGCCACCTAAGCTGCTGATCTACCGGGCTAGCAACCTGAAGTCCGGAATCCCTGCTCGGTTTAGCGGAAGCGGTAGCGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAACCCAGTGGAGGCCGACGATGTGGCAACCTACTGCTGTCAGCAGAGCAACGAGGACCCATGGACCTTCGGCGGTGGAACCAAACTGGAGATCAAGAGA(配列番号56)、及びCAGGTGACCCTGAAGGAGTCCGGCCCCGGCATCCTGCAGCCCAGCCAGACCCTGAGCCTGACCTGCTCCTTCAGCGGCTTCTCCCTGTCCACCTCCGGCATGGGCGTGGGCTGGATCAGACAGCCCAGCGGCAAGGGCCTGGAGTGGCTGGCCCACATCTGGTGGGACGATGACAAGAGATACAACCCCGCTCTGAAGAGCCGGCTGACAATCAGCAAGGACCCTAGCAGTAACCAGGTGTTCCTGAAGATCGCTTCCGTGGACACAGCAGACATCGCAACATACTATTGCGTGCGGATCGGCGGAAGCAGTGGATACATGGACTACTGGGGACAGGGAACCAGCGTGACCGTGAGCAGTGGTGGAGGTGGATCAGGTGGAGGTGGATCTGGTGGAGGTGGATCTAACATCGTGATGACCCAGTCCCCTAAGAGCATGAGCATGAGCGTGGGCGAGAGAGTGACCCTGACCTGCAAAGCCTCCGAGAACGTGGTGACCTACGTGAGCTGGTACCAGCAGAAGCCTGAGCAGAGCCCTAAGCTGCTGATCTACGGCGCTTCCAACAGATACACCGGAGTGCCTGACAGATTCACCGGCAGCGGAAGCGCAACCGACTTCACCTTGACCATCAGCAGCGTGCAGGCTGAGGACCTGGCCGACTACCACTGCGGCCAGGGCTACAGCTACCCTTACACCTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGG(配列番号57)からなる群から選択される核酸配列によってコードされる。
【0183】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、配列番号55~57のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、抗uPAR抗原結合断片(例えば、scFv)は、配列番号55~57に対して約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である核酸配列によってコードされる。
【0184】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、アミノ酸配列:
MRALLARLLLCVLVVSDSKGSNELHQVPSNCDCLNGGTCVSNKYFSNIHWCNCPKKFGGQHCEIDKSKTCYEGNGHFYRGKASTDTMGRPCLPWNSATVLQQTYHAHRSDALQLGLGKHNYCRNPDNRRRPWCYVQVGLKPLVQECMVHDCADGKKP(配列番号59)又は
MRALLARLLLCVLVVSDSKGSNELHQVPSNCDCLNGGTCVSNKYFSNIHWCNCPKKFGGQHCEIDKSKTCYEGNGHFYRGKASTDTMGRPCLPWNSATVLQQTYHAHRSDALQLGLGKHNYCRNPDNRRRPW(配列番号60)を含む、uPAR結合断片(例えば、uPA断片)を含む。
【0185】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、uPAR結合断片(例えば、uPa断片)は、配列番号59又は配列番号60に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、uPAR結合断片(例えば、uPa断片)は、配列番号59又は配列番号60に対して約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0186】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、uPAR結合断片(例えば、uPA断片)は、
ATGAGAGCCCTGCTGGCGCGCCTGCTTCTCTGCGTCCTGGTCGTGAGCGACTCCAAAGGCAGCAATGAACTTCATCAAGTTCCATCGAACTGTGACTGTCTAAATGGAGGAACATGTGTGTCCAACAAGTACTTCTCCAACATTCACTGGTGCAACTGCCCAAAGAAATTCGGAGGGCAGCACTGTGAAATAGATAAGTCAAAAACCTGCTATGAGGGGAATGGTCACTTTTACCGAGGAAAGGCCAGCACTGACACCATGGGCCGGCCCTGCCTGCCCTGGAACTCTGCCACTGTCCTTCAGCAAACGTACCATGCCCACAGATCTGATGCTCTTCAGCTGGGCCTGGGGAAACATAATTACTGCAGGAACCCAGACAACCGGAGGCGACCCTGGTGCTATGTGCAGGTGGGCCTAAAGCCGCTTGTCCAAGAGTGCATGGTGCATGACTGCGCAGATGGAAAAAAGCCC(配列番号61)、又はATGAGAGCCCTGCTGGCGCGCCTGCTTCTCTGCGTCCTGGTCGTGAGCGACTCCAAAGGCAGCAATGAACTTCATCAAGTTCCATCGAACTGTGACTGTCTAAATGGAGGAACATGTGTGTCCAACAAGTACTTCTCCAACATTCACTGGTGCAACTGCCCAAAGAAATTCGGAGGGCAGCACTGTGAAATAGATAAGTCAAAAACCTGCTATGAGGGGAATGGTCACTTTTACCGAGGAAAGGCCAGCACTGACACCATGGGCCGGCCCTGCCTGCCCTGGAACTCTGCCACTGTCCTTCAGCAAACGTACCATGCCCACAGATCTGATGCTCTTCAGCTGGGCCTGGGGAAACATAATTACTGCAGGAACCCAGACAACCGGAGGCGACCCTGG(配列番号62)からなる群から選択される核酸配列によってコードされる。
【0187】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、uPAR結合断片は、配列番号61~62のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、uPAR結合断片は、配列番号61~62に対して約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である核酸によってコードされる。
【0188】
加えて又はあるいは、特定の実施形態では、本技術のuPAR特異的CAR及びレポーター又は選択マーカー(例えば、GFP、LNGFR)は、P2Aリンカーなどの自己切断リンカーによって連結された単一のポリペプチドとして発現される。特定の実施形態では、CAR及びレポーター又は選択マーカー(例えば、GFP、LNGFR)は、2つの別々のポリペプチドとして発現される。
【0189】
先行する実施形態のうちのいずれか及び全てにおいて、CARは、uPAR抗原又はポリペプチドに特異的に結合する細胞外結合断片(例えば、抗uPAR scFv又はuPA断片)、CD28ポリペプチド及び/又はCD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、並びにCD3ζポリペプチドと、任意選択で、本明細書に開示される共刺激シグナル伝達領域とを含む細胞内ドメインを含む。CARはまた、細胞外uPAR結合断片のN末端に共有結合したシグナルペプチド又はリーダー配列を含んでもよい。シグナルペプチドは、配列番号3、配列番号5、配列番号7、又は配列番号9に記載の配列を有するアミノ酸を含む。
【0190】
加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、本技術のCARをコードする核酸は、誘導性プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、本技術のCARをコードする核酸は、構成的プロモーターに作動可能に連結される。
【0191】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、CAR T細胞内で活性化可能な合成Notchプロモーターであり、CARの細胞内ドメインは、CARとuPAR抗原/ポリペプチドとの係合が膜内タンパク質分解を誘導するときに膜から放出される転写調節因子を含有する(例えば、Morsut et al.,Cell 164(4):780-791(2016)を参照されたい)。したがって、uPAR特異的CARの更なる転写は、操作された免疫細胞のuPAR抗原/ポリペプチドとの結合時に誘導される。
【0192】
本明細書に開示される主題はまた、本明細書に記載のCAR構築物又はその機能部分をコードする単離された核酸分子を提供する。特定の実施形態では、単離された核酸分子は、(a)uPAR抗原に特異的に結合するuPAR結合断片(例えば、抗uPAR scFv又はuPA断片)、(b)CD8ポリペプチド又はCD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、並びに(c)CD3ζポリペプチドと、任意選択で、本明細書に開示される共刺激シグナル伝達領域、P2A自己切断ペプチド、及び/又は本明細書に提供されるレポーター若しくは選択マーカー(例えば、GFP、LNGFR)のうちの1つ以上とを含む細胞内ドメインを含む、抗uPAR標的化CARをコードする。少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、BTLAポリペプチド、合成ペプチド(免疫応答に関連するタンパク質に基づかない)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0193】
特定の実施形態では、単離された核酸分子は、uPAR抗原/ポリペプチドに特異的に結合し、合成Notch膜貫通ドメイン及び細胞内切断可能転写因子に融合するuPAR結合断片(例えば、抗uPAR scFv又はuPA断片)を含むuPAR標的化CARをコードする。特定の実施形態では、本開示は、合成Notch系の転写因子の放出によって誘導可能なuPAR特異的CARをコードする単離された核酸分子を提供する。
【0194】
特定の実施形態では、単離された核酸分子は、本明細書に開示されるCAR構築物の機能部分をコードする。本明細書で使用される場合、「機能部分」という用語は、CARの任意の部分、一部、又は断片を指し、その部分、一部、又は断片は、親CARの生物学的活性を保持する。例えば、機能部分は、標的細胞を認識し、Covid関連肺線維症、直腸がん、又は加齢による体力低下を親CARと同様、同じ、又は更に高い程度まで治療する能力を保持する、uPAR特異的CARの部分、一部、又は断片を包含する。特定の実施形態では、uPAR特異的CARの機能部分をコードする単離された核酸分子は、例えば、親CARの約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、及び約95%、又はそれ以上を含むタンパク質をコードすることができる。
【0195】
本明細書に開示される主題は、uPAR特異的T細胞受容体(例えば、CAR)を発現する操作された免疫細胞、又は細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含む他のリガンドを提供し、細胞外抗原結合ドメインは、uPAR抗原/ポリペプチドを特異的に結合する。特定の実施形態では、免疫細胞に、細胞がCARを発現するように、本明細書に開示されるCAR構築物を形質導入することができる。本明細書に開示される主題はまた、Covid関連肺線維症、直腸がん、又は加齢による体力低下の治療のためにそのような細胞を使用する方法を提供する。
【0196】
本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞は、リンパ系統又は骨髄系統の細胞であり得る。骨髄系統は、単球、マクロファージ、樹状細胞、好酸球、好中球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球を含み得る。B、T、及びナチュラルキラー(NK)細胞を含むリンパ系統は、抗体の産生、細胞免疫系の調節、血液中の外来物質の検出、宿主に外来の細胞の検出などを提供する。リンパ系統の免疫細胞の非限定的な例としては、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、胚性幹細胞、及び多能性幹細胞(例えば、リンパ系細胞が分化し得るもの)が挙げられる。T細胞は、胸腺内で成熟し、主に細胞媒介性免疫に関与するリンパ球であり得る。T細胞は、適応免疫系に関与している。本明細書に開示される主題のT細胞は、Tヘルパー細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞(セントラルメモリーT細胞、幹細胞様メモリーT細胞(又は幹細胞様メモリーT細胞)、及び2つのタイプのエフェクターメモリーT細胞:例えば、TEM細胞及びTEMRA細胞、調節性T細胞(サプレッサーT細胞としても知られる)、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、及びγδ T細胞を含むが、これらに限定されない、任意のタイプのT細胞であり得る。細胞傷害性T細胞(CTL又はキラーT細胞)は、感染した体細胞又は腫瘍細胞の死を誘導することができるTリンパ球のサブセットである。特定の実施形態では、CAR発現T細胞は、Foxp3を発現して、T調節表現型を達成及び維持する。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、誘導多能性幹(iPS)細胞に由来する任意の免疫細胞である。
【0197】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、細胞媒介性免疫の一部であり、先天性免疫応答中に作用するリンパ球であり得る。NK細胞は、標的細胞に対する細胞傷害性効果を実行するために、事前の活性化を必要としない。
【0198】
本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞は、Covid関連肺線維症、直腸がん、又は加齢による体力低下の治療のために、uPAR抗原に特異的に結合する、細胞外uPAR結合ドメイン(例えば、抗uPAR scFv、任意選択で架橋される抗uPAR Fab、抗uPAR F(ab)2、又はuPA断片)を発現することができる。このような操作された免疫細胞は、Covid関連肺線維症、直腸がん、又は加齢による体力低下の治療のために、その投与を必要とする対象(例えば、ヒト対象)に投与され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又は誘導多能性幹(iPS)細胞に由来する任意の他の免疫細胞などのリンパ球である。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、T細胞である。T細胞は、CD4+T細胞又はCD8+T細胞であり得る。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。
【0199】
本開示の操作された免疫細胞は、少なくとも1つの組換え又は外因性共刺激リガンドを更に含むことができる。例えば、本開示の操作された免疫細胞には、操作された免疫細胞がuPAR特異的CAR及び少なくとも1つの共刺激リガンドを共発現するか、又は共発現するように誘導されるように、少なくとも1つの共刺激リガンドが更に形質導入され得る。uPAR特異的CARと少なくとも1つの共刺激リガンドとの間の相互作用は、免疫細胞(例えば、T細胞)の完全な活性化に重要な非抗原特異的シグナルを提供する。共刺激リガンドとしては、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバー、及び免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。TNFは、全身の炎症に関与するサイトカインであり、急性期反応を刺激する。その主な役割は、免疫細胞の調節にある。TNFスーパーファミリーのメンバーは、いくつかの共通の特徴を共有する。TNFスーパーファミリーメンバーの大部分は、短い細胞質セグメント及び比較的長い細胞外領域を含有するII型膜貫通タンパク質(細胞外C末端)として合成される。TNFスーパーファミリーメンバーとしては、神経成長因子(NGF)、CD40L(CD40L)/CD154、CD137L/4-1BBL、TNF-α、CD134L/OX40L/CD252、CD27L/CD70、Fasリガンド(FasL)、CD30L/CD153、腫瘍壊死因子ベータ(TNFP)/リンパ毒素-アルファ(LT-α)、リンパ毒素-ベータ(LΤ-β)、CD257/B細胞活性化因子(BAFF)/BLYS/THANK/TALL-1、グルココルチコイド誘導TNF受容体リガンド(GITRL)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、及びLIGHT(TNFSF14)が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーは、細胞の認識、結合、又は接着プロセスに関与する細胞表面及び可溶性タンパク質の大規模な群である。これらのタンパク質は、免疫グロブリンと構造的特徴を共有しており、免疫グロブリンドメイン(倍率)を有する。免疫グロブリンスーパーファミリーリガンドとしては、CD80及びCD86(いずれもCD28に対するリガンド)、又はPD-1に対するリガンドであるPD-L1/(B7-H1)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激リガンドは、4-1BBL、CD80、CD86、CD70、OX40L、CD48、TNFRSF14、PD-L1、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、1つの組換え共刺激リガンド(例えば、4-1BBL)を含む。特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、2つの組換え共刺激リガンド(例えば、4-1BBL及びCD80)を含む。少なくとも1つの共刺激リガンドを含むCARは、米国特許第8,389,282号(参照によりその全体が組み込まれる)に記載されている。
【0200】
更に、本開示の操作された免疫細胞は、少なくとも1つの外因性サイトカインを更に含み得る。例えば、本明細書に開示される操作された免疫細胞には、操作された免疫細胞が少なくとも1つのサイトカインを分泌するとともに、uPAR特異的CARを発現するように、少なくとも1つのサイトカインを更に形質導入することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのサイトカインは、IL-2、IL-3、IL-6、IL-7、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、及びIL-21からなる群から選択される。
【0201】
操作された免疫細胞は、末梢ドナーリンパ球、例えば、Sadelain,M.,et al.,Nat Rev Cancer 3 :35-45(2003)(CARを発現するように遺伝子修飾された末梢ドナーリンパ球を開示している)、Morgan,R.A.et al.,Science 314:126-129(2006)(α及びβヘテロ二量体を含む完全長腫瘍抗原認識T細胞受容体複合体を発現するように遺伝子修飾された末梢ドナーリンパ球を開示する)、Panelli et al.,J Immunol 164:495-504(2000)、Panelli et al.,J Immunol 164:4382-4392(2000)(腫瘍生検における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に由来するリンパ球培養物を開示する)、並びにDupont et al.,Cancer Res 65:5417-5427(2005)、Papanicolaou et al.,Blood 102:2498-2505(2003)(人工抗原提示細胞(AAPC)又はパルス樹状細胞を使用する選択的にinv/Yro増殖された抗原特異的末梢血白血球を開示する)に開示されるものから生成され得る。操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、自己、非自己(例えば、同種異系)、又は操作された前駆細胞若しくは幹細胞にインビトロで由来することができる。
【0202】
特定の実施形態では、本開示の操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、本明細書に開示されるuPAR特異的CARの細胞当たり、約1~約5、約1~約4、約2~約5、約2~約4、約3~約5、約3~約4、約4~約5、約1~約2、約2~約3、約3~約4、又は約4~約5のベクターコピー数を発現する。
【0203】
例えば、操作された免疫細胞におけるCAR発現レベルが高いほど、操作された免疫細胞は、より大きな細胞傷害性及びサイトカイン産生を示す。高いuPAR特異的CAR発現レベルを有する操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、抗原特異的サイトカイン産生又は分泌を誘導し、かつ/又は低発現レベルのuPAR特異的CAR、例えば、約2,000以下、約1,000以下、約900以下、約800以下、約700以下、約600以下、約500以下、約400以下、約300以下、約200以下、約100以下のuPAR抗原結合部位/細胞を有する組織又は細胞に細胞傷害性を示すことができる。加えて又はあるいは、本明細書に開示される操作された免疫細胞(例えば、T細胞)の細胞傷害性及びサイトカイン産生は、標的組織又は標的細胞におけるuPAR抗原の発現レベルに比例する。例えば、標的におけるuPAR抗原の発現レベルが高いほど、操作された免疫細胞が示す細胞傷害性及びサイトカイン産生が大きくなる。
【0204】
免疫細胞の未精製の供給源は、当該技術分野で既知の任意の供給源、例えば、骨髄、胎児、新生児若しくは成人、又は他の造血細胞供給源、例えば、胎児肝臓、末梢血若しくは臍帯血であってもよい。細胞を分離するために様々な技術を用いることができる。例えば、陰性選択方法は、最初に非免疫細胞を除去することができる。モノクローナル抗体は、陽性選択及び陰性選択の両方についての特定の細胞系統及び/又は分化段階に関連するマーカーを特定するために特に有用である。
【0205】
末端分化細胞の大部分は、比較的粗い分離によって最初に除去することができる。例えば、磁気ビーズ分離を最初に使用して、多数の無関係な細胞を除去することができる。好適には、細胞単離の前に、全造血細胞の少なくとも約80%、通常は少なくとも70%が除去されるであろう。
【0206】
分離のための手順としては、限定されないが、密度勾配遠心分離、リセット、細胞密度を変更する粒子へのカップリング、抗体コーティングされた磁気ビーズによる磁気分離、親和性クロマトグラフィー、mAbに接合された、又はmAbと併せて使用される細胞傷害性薬剤(補体及び細胞毒素を含むがこれらに限定されない)、並びに固体マトリックス、例えば、プレート、チップ、溶出、又は任意の他の好都合な技術に結合された抗体を用いたパンニングが挙げられる。
【0207】
分離及び分析のための技術は、限定されないが、フローサイトメトリーを含み、フローサイトメトリーは、様々な程度の洗練度、例えば、複数のカラーチャネル、低角度及び鈍角の光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルを有することができる。
【0208】
細胞は、ヨウ化プロピジウム(PI)などの死細胞と会合する染料を用いることによって、死細胞に対して選択することができる。通常、細胞は、2%ウシ胎仔血清(FCS)、0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)、又は任意の他の好適な(例えば、無菌)等張培地を含む培地において収集される。
【0209】
いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、1つ以上の追加の修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、第1のuPAR抗原とは異なる第2の抗原に結合する抗原認識受容体を含み、発現する(形質導入されて発現する)。操作された免疫細胞上の本明細書に開示されるCARに加えて抗原認識受容体を含めることは、標的細胞上のCAR(又はそれを含む操作された免疫細胞)の親和性を増加させることができ、特に、CARは、特定のuPAR抗原に対する低い結合親和性、例えば、約2×10-8M以上、約5×10-8M以上、約8×10-8M以上、約9×10-8M以上、約1×10-7M以上、約2×10-7M以上、又は約5×10-7M以上のKdを有するものである。
【0210】
いくつかの実施形態では、抗原認識受容体は、キメラ共刺激受容体(CCR)である。CCRは、Krause,et al.,J.Exp.Med.188(4):619-626(1998)及びUS20020018783(その内容全体が参照により明細書に組み込まれる)に記載されている。CCRは、共刺激シグナルを模倣するが、CARとは異なり、T細胞活性化シグナルを提供せず、例えば、CCRは、CD3ζポリペプチドを欠く。CCRは、抗原提示細胞上の天然共刺激リガンドの不在下で、共刺激、例えば、CD28様シグナルを提供する。組み合わせ抗原認識、すなわちCARと組み合わせたCCRの使用は、二重抗原発現細胞に対するT細胞反応性を増強することができ、それによって選択的標的化を改善する。Klossらは、各抗原を個別に発現する細胞を節約しながら、抗原の組み合わせを発現する標的細胞を排除するT細胞を生成するために、T細胞の活性化及び共刺激の組み合わせ抗原認識、スプリットシグナル伝達、並びに、重要なことに、バランスのとれた強度を統合する戦略を記載している(Kloss et al.,Nature Biotechnology 31(l):71-75(2013))。このアプローチでは、T細胞活性化は、1つの抗原のCAR媒介認識を必要とするが、共刺激は、第2の抗原に特異的なCCRによって独立して媒介される。
【0211】
標的選択性を達成するために、組み合わせ抗原認識アプローチは、T細胞活性化の効率を、第2の抗原の同時CCR認識によって提供される救済なしに、無効であるレベルまで低下させる。特定の実施形態では、CCRは、(a)第1のuPAR抗原とは異なる抗原に結合する細胞外抗原結合ドメイン、(b)膜貫通ドメイン、並びに(c)CD28、4-1BB、OX40、ICOS、PD-1、CTLA-4、LAG-3、2B4、及びBTLAを含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの共刺激分子を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。特定の実施形態では、CCRの共刺激シグナル伝達領域は、1つの共刺激シグナル伝達分子を含む。特定の実施形態では、1つの共刺激シグナル伝達分子は、CD28である。特定の実施形態では、1つの共刺激シグナル伝達分子は、4-1BBである。特定の実施形態では、CCRの共刺激シグナル伝達領域は、2つの共刺激シグナル伝達分子を含む。特定の実施形態では、2つの共刺激シグナル伝達分子は、CD28及び4-1BBである。第2の抗原は、第1のuPAR抗原及び第2の抗原の両方の発現が標的細胞(例えば、Covid感染肺組織における線維化細胞又は直腸がん)に限定されるように選択される。CARと同様に、細胞外抗原結合ドメインは、scFv、Fab、F(ab)2、又は細胞外抗原結合ドメインを形成するための異種配列を有する融合タンパク質であり得る。特定の実施形態では、CCRは、CD138に結合するscFvと、CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメインと、CD28及び4-1BBである2つの共刺激シグナル伝達分子を含む共刺激シグナル伝達領域と、を含む。
【0212】
特定の実施形態では、抗原認識受容体は、切断型CARである。「切断型CAR」は、細胞内シグナル伝達ドメインを欠くことにより、CARとは異なる。例えば、切断型CARは、細胞外抗原結合ドメイン及び膜貫通ドメインを含み、細胞内シグナル伝達ドメインを欠いている。本明細書に開示される主題によれば、切断型CARは、標的細胞上に発現される第2の抗原に対して高い結合親和性を有する。切断型CARは、本明細書に開示されるCAR、特に、uPAR抗原に対する結合親和性が低いCARの親和性を増強する接着分子として機能し、それによって、本明細書に開示されるCAR又はそれを含む操作された免疫細胞(例えば、T細胞)の有効性を改善する。特定の実施形態では、切断型CARは、CD138に結合する細胞外抗原結合ドメインと、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメインと、を含む。本明細書に開示されるT細胞は、uPAR抗原を標的とする本明細書に開示されるCARと、CD138を標的とする切断型CARと、を含むか、又は発現するように形質導入される。特定の実施形態では、標的細胞は、Covid感染肺組織における線維化細胞又は直腸がんである。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、1つ以上の遺伝子の発現を抑制するように更に修飾される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、ゲノム編集を介して更に修飾される。ゲノムDNAの標的切断のための様々な方法及び組成物が記載されている。そのような標的切断事象は、例えば、標的変異誘発、細胞DNA配列の標的欠失の誘導、及び所定の染色体遺伝子座における標的組換えの促進に使用され得る。例えば、米国特許第7,888,121号、同第7,972,854号、同第7,914,796号、同第7,951,925号、同第8,110,379号、同第8,409,861号、同第8,586,526号、米国特許公開第2003/0232410号、同第2005/0208489号、同第2005/0026157号、同第2005/0064474号、同第2006/0063231号、同第2010/00218264号、同第2012/0017290号、同第2011/0265198号、同第2013/0137104号、同第2013/0122591号、同第2013/0177983、及び同第2013/0177960号を参照されたい。これらの方法は、多くの場合、非相同末端接合(NHEJ)又は修復テンプレートを使用した修復などのエラーに起因するプロセスによる破断の修復が、遺伝子のノックアウト又は目的の配列の挿入(標的組み込み)をもたらし得るように、標的DNA配列における二本鎖破断(DSB)又はニックを誘導するための操作された切断系を使用することを伴う。切断は、操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)などの特異的なヌクレアーゼの使用、又は操作されたcrRNA/tracr RNA(「単一ガイドRNA」)を用いたCRISPR/Cas系を使用して、特異的な切断を誘導することによって生じ得る。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、内因性T細胞受容体遺伝子の発現を破壊又は低減するように修飾される(例えば、WO2014/153470(参照によりその全体が組み込まれる)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、PD1、PDL-1、又はCTLA-4(例えば、米国特許公開第2014/0120622号を参照されたい)、又は当該技術分野で既知の他の免疫抑制因子(Wu et al.(2015)Oncoimmunology 4(7):e1016700,Mahoney et al.(2015)Nature Reviews Drug Discovery 14,561-584)の破壊又は阻害をもたらすように修飾される。
【0213】
ベクター
多くの発現ベクターが利用可能であり、当業者に既知であり、本明細書に提供されるポリペプチドの発現に使用することができる。発現ベクターの選択は、宿主発現系の選択によって影響されるであろう。そのような選択は、十分に当業者の技術レベルの範囲内である。一般に、発現ベクターは、転写プロモーター及び任意選択でエンハンサー、翻訳シグナル、並びに転写及び翻訳終止シグナルを含むことができる。安定した形質転換に使用される発現ベクターは、典型的には、形質転換された細胞の選択及び維持を可能にする選択可能なマーカーを有する。いくつかの場合では、細胞内のベクターコピー数を増幅するために、複製起点を使用することができる。
【0214】
ベクターはまた、ライゲーションされた核酸分子に作動可能に連結された追加のヌクレオチド配列、例えば、局在化などのためのエピトープタグ、例えば、ヘキサ-hisタグ又はmycタグ(例えば、EQKLISEEDL(配列番号58))、ヘマグルチニンタグ又は精製のためのタグ、例えば、GST融合、並びにタンパク質分泌及び/又は膜会合を指示するための配列を含有することができる。
【0215】
抗体又はその抗原結合断片の発現は、当該技術分野で知られている任意のプロモーター/エンハンサーによって制御することができる。好適な細菌プロモーターは、当該技術分野で周知であり、本明細書の以下に記載される。哺乳動物細胞、酵母、及び昆虫細胞に適した他のプロモーターは、当該技術分野で周知であり、一部を以下に例示する。異種核酸の発現を指示するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存し、当業者の技能レベル内である。使用され得るプロモーターとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:SV40初期プロモーターを含有する真核発現ベクター(Bernoist and Chambon,Nature 290:304-310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamoto et al.,Cell 22:787-797(1980))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1441-1445(1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al.,Nature 296:39-42(1982))、β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Jay et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:5543(1981))又はtacプロモーター(DeBoer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 50:21-25(1983));また、”Useful Proteins from Recombinant Bacteria”:in Scientific American 242:79-94(1980))も参照されたい;ノパリン合成酵素プロモーターを含有する植物発現ベクター(Herrera- Estrella et al.,Nature 505:209-213(1984))又はカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardner et al.,Nucleic Acids Res.9:2871(1981))、及び光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al.,Nature 510:1 15-120(1984));Gal4プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼプロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、及び組織特異性を示し、トランスジェニック動物で使用されている以下の動物転写制御領域などの酵母及び他の真菌由来のプロモーター要素:膵腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,Cell 55:639-646(1984)、Ornitz et al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409(1986)、MacDonald,Hepatology 7:425-515(1987));膵ベータ細胞で活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan et al.,Nature 515:115-122(1985))、リンパ球細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,Cell 55:647-658(1984)、Adams et al.,Nature 515:533-538(1985)、Alexander et al.,Mol.Cell Biol.7:1436-1444(1987))、精巣、乳房、リンパ系及び肥満細胞に活性であるマウス乳がんウイルス制御領域(Leder et al.,Cell 15:485-495(1986))、肝臓で活性を示すアルブミン遺伝子制御領域(Pinckert et al.,Genes and Devel.1:268-276(1987))、肝臓において活性であるアルファ-フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,Mol.Cell.Biol.5:1639-403(1985))、Hammer et al.,Science 255:53-58(1987))、肝臓において活性であるアルファ-1抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,Genes and Devel.7:161-171(1987))、骨髄細胞において活性であるベータグロビン遺伝子制御領域(Magram et al.,Nature 515:338-340(1985))、Kollias et al.,Cell 5:89-94(1986))、脳の寡突起膠細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,Cell 15:703-712(1987))、骨格筋において活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Shani,Nature 514:283-286(1985))、並びに視床下部の性腺栄養細胞において活性である性腺栄養放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,Science 254:1372- 1378(1986))。
【0216】
プロモーターに加えて、発現ベクターは、典型的には、宿主細胞における抗体又はその抗原結合断片の発現に必要な全ての追加の要素を含有する転写単位又は発現カセットを含む。したがって、典型的な発現カセットは、目的のポリペプチド鎖をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター、並びに転写産物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、及び翻訳終結に必要なシグナルを含有する。カセットの追加要素は、エンハンサーを含むことができる。更に、カセットは通常、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含有し得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、又は異なる遺伝子から得ることができる。
【0217】
いくつかの発現系は、チミジンキナーゼ及びジヒドロ葉酸レダクターゼなどの遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。あるいは、多面体プロモーター又は他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指示下で生殖細胞系抗体鎖をコードする核酸配列を用いて、昆虫細胞内でバキュロウイルスベクターを使用するなど、遺伝子増幅を伴わない高収率発現系も好適である。
【0218】
DNA断片をベクターに挿入するための、当業者に既知の任意の方法を使用して、本明細書に提供されるポリペプチドのうちのいずれかをコードする核酸を含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、インビトロ組換えDNA及び合成技法、並びにインビボ組換え(遺伝子組換え)を含み得る。クローニングベクターへの挿入は、例えば、DNA断片を相補的な粘着末端を有するクローニングベクターにライゲーションすることによって達成することができる。DNAを断片化するために使用される相補的制限酵素切断部位がクローニングベクターに存在しない場合、DNA分子の末端を酵素修飾することができる。あるいは、所望の任意の部位は、ヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端にライゲーションすることによって産生され得、これらのライゲーションしたリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学的に合成された核酸を含有し得る。
【0219】
本明細書に提供されるポリペプチドを産生するのに有用な例示的なプラスミドベクターは、HCMV即時初期エンハンサー/プロモーター又はMHCクラスIプロモーターなどの強力なプロモーター、HCMV即時初期遺伝子イントロンAなどの転写産物の処理を強化するイントロン、及び後期SV40 polyAシグナルなどのポリアデニル化(ポリA)シグナルを含有する。
【0220】
操作された免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の遺伝子修飾は、組換えDNA又はRNA構築物を用いて実質的に均質な細胞組成物を形質導入することによって達成することができる。ベクターは、宿主細胞ゲノムへのDNA又はRNA構築物の導入に用いられるレトロウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルス)であり得る。例えば、uPAR特異的CARをコードするポリヌクレオチドを、レトロウイルスベクターにクローニングすることができ、発現を、その内因性プロモーター、レトロウイルス長末端反復、又は代替の内部プロモーターから駆動することができる。
【0221】
非ウイルスベクター又はRNAも同様に使用され得る。ランダム染色体組み込み、又は標的組み込み(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及び/若しくはクラスター化して規則的な配置の短い回文配列反復(CRISPR)を使用する)、又は導入遺伝子発現(例えば、天然若しくは化学的に修飾されたRNAを使用する)を使用することができる。
【0222】
uPAR特異的CAR発現細胞を提供するための細胞の初期遺伝子修飾のために、レトロウイルスベクターが一般的に形質導入のために使用されるが、任意の他の好適なウイルスベクター又は非ウイルス送達系を使用することができる。少なくとも2つの共刺激リガンドを含む抗原提示複合体を含む細胞を提供するための細胞のその後の遺伝子修飾のために、レトロウイルス遺伝子導入(形質導入)も同様に有効であることが証明される。レトロウイルスベクターと適切なパッケージングラインとの組み合わせも好適であり、カプシドタンパク質はヒト細胞に感染するために機能するであろう。PA12(Miller,et al.,Mol.Cell.Biol.5:431-437(1985))、PA317(Miller,et al.,Mol.Cell.Biol.6:2895-2902(1986))、及びCRIP(Danos,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6460-6464(1988))を含むが、これらに限定されない様々な両種性ウイルス産生細胞株が知られている。非両種性粒子、例えば、VSVG、RD114又はGALVエンベロープ及び当該技術分野で既知の任意の他のもので偽型化された(pseudotyped)粒子も好適である。
【0223】
形質導入の可能な方法としてはまた、例えば、Bregni,et al.,Blood 80:1418-1422(1992)の方法による、細胞とプロデューサー細胞の直接共培養、又は例えば、Xu,et al.,Exp.Hemat.22:223-230(1994)及びHughes,et al.,J.Clin.Invest.89:1817(1992)の方法による、適切な成長因子及びポリカチオンの有無にかかわらない、ウイルス上清単独又は濃縮ベクターストックを用いた培養が挙げられる。
【0224】
形質導入ウイルスベクターを使用して、操作された免疫細胞内で共刺激リガンドを発現し、かつ/又はサイトカイン(例えば、4-1BBL及び/又はIL-12)を分泌することができる。いくつかの実施形態では、選択されたベクターは、高い感染効率及び安定した組み込み及び発現を示す(例えば、Cayouette et al.,Human Gene Therapy 8:423-430(1997)、Kido et al.,Current Eye Research 15:833-844(1996)、Bloomer et al.,Journal of Virology 71 :6641-6649,1997、Naldini et al.,Science 272:263 267(1996)、and Miyoshi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:10319,(1997)を参照されたい)。使用することができる他のウイルスベクターとしては、例えば、アデノウイルス、レンチウイルス、及びアデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、又はエプスタインバーウイルスなどのヘルペスウイルスが挙げられる(例えば、Miller,Human Gene Therapy 15-14,(1990)、Friedman,Science 244:1275-1281(1989)、Eglitis et al.,BioTechniques 6:608-614,(1988)、Tolstoshev et al.,Current Opinion in Biotechnology 1:55-61(1990)、Sharp,The Lancet 337:1277-1278(1991)、Cornetta et al.,Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322(1987)、Anderson,Science 226:401-409(1984)、Moen,Blood Cells 17:407-416(1991)、Miller et al.,Biotechnology 7:980-990(1989)、Le Gal La Salle et al.,Science 259:988-990(1993)、及びJohnson,Chest 107:77S-83S(1995)も参照されたい)。レトロウイルスベクターは、特に十分に開発されており、臨床現場で使用されている(Rosenberg et al.,N.Engl.J.Med 323:370(1990)、Anderson et al.の米国特許第5,399,346号)。
【0225】
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示されるuPAR特異的CARを発現するベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、オンコレトロウイルスベクターである。
【0226】
非ウイルスアプローチはまた、細胞におけるタンパク質の発現のために用いることができる。例えば、核酸分子は、リポフェクション(Feigner et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.U.S.A.84:7413,(1987)、Ono et al.,Neuroscience Letters 17:259(1990)、Brigham et al.,Am.J.Med.Sci.298:278,(1989)、Staubinger et al.,Methods in Enzymology 101:512(1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリジンコンジュゲーション(Wu et al.,Journal of Biological Chemistry 263:14621(1988)、Wu et al.,Journal of Biological Chemistry 264:16985(1989))の存在下で核酸を投与することによって、又は外科的条件下での微量注射によって(Wolff et al.,Science 247:1465(1990))、細胞に導入することができる。遺伝子導入のための他の非ウイルス手段には、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、及びプロトプラスト融合を使用したインビトロでのトランスフェクションが含まれる。リポソームはまた、DNAの細胞への送達に潜在的に有益であり得る。正常な遺伝子の対象の罹患組織への移植は、正常な核酸をエクスビボで培養可能な細胞型(例えば、自己若しくは異種の一次細胞又はその子孫)に移入することによっても達成され得、その後、細胞(又はその子孫)が標的組織に注射されるか、又は全身的に注射される。組換え受容体は、トランスポザーゼ又は標的化ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、又はTALEヌクレアーゼ)を使用して誘導又は取得することもできる。一過性発現は、RNAエレクトロポレーションによって得られ得る。
【0227】
ポリヌクレオチド療法方法で使用するためのcDNA発現は、任意の好適なプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、又はメタロチオネインプロモーター)から誘導され、任意の適切な哺乳動物調節要素又はイントロン(例えば、伸長因子laエンハンサー/プロモーター/イントロン構造)によって調節され得る。例えば、必要に応じて、特定の細胞型における遺伝子発現を優先的に指示することが知られているエンハンサーを使用して、核酸の発現を指示することができる。使用されるエンハンサーは、限定されないが、組織又は細胞特異的エンハンサーとして特徴付けられるものを含むことができる。あるいは、ゲノムクローンが治療用構築物として使用される場合、調節は、同族の調節配列によって、又は必要に応じて、上述のプロモーター又は調節要素のうちのいずれかを含む、異種源に由来する調節配列によって媒介され得る。
【0228】
得られた細胞は、修飾されていない細胞のためのものと同様の条件下で成長することができ、それによって修飾された細胞は、様々な目的のために拡大及び使用することができる。
【0229】
ポリペプチド及び類似体及びポリヌクレオチド
また、本明細書に開示される主題には、uPAR抗原(例えば、ヒトuPAR抗原)(例えば、scFv(例えば、ヒトscFv)、Fab、又は(Fab)2)、CD3ζ、CD8、CD28など、又はそれらの断片に特異的に結合する細胞外抗原結合断片を含むポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドが含まれ、これらは、操作された免疫細胞で発現されたときにそれらの生物学的活性を高める方法で修飾される。本明細書に開示される主題は、配列における変化を産生することによって、アミノ酸配列又は核酸配列を最適化する方法を提供する。そのような変化は、特定の変異、欠失、挿入、又は翻訳後修飾を含み得る。本明細書に開示される主題は、本明細書に開示される主題の任意の天然に存在するポリペプチドの類似体を更に含む。類似体は、アミノ酸配列の違い、翻訳後修飾、又はその両方によって、本明細書に開示される主題の天然に存在するポリペプチドと異なることができる。本明細書に開示される主題の類似体は、一般に、本明細書に開示される主題の天然に存在するアミノ酸配列の全部又は一部と、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれ以上の同一性又は相同性を示すことができる。配列比較の長さは、少なくとも約5個、約10個、約15個、約20個、約25個、約50個、約75個、約100個、又はそれ以上のアミノ酸残基である。再び、同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムが使用されてもよく、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連する配列を示している。修飾は、ポリペプチドのインビボ及びインビトロの化学的誘導体化、例えば、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、又はグリコシル化を含み、かかる修飾は、ポリペプチドの合成中、処理中、又は単離された修飾酵素による処理の後に生じ得る。類似体はまた、一次配列の変化によって、本明細書に開示される主題の天然に存在するポリペプチドとは異なることができる。これらには、天然の遺伝子バリアントと誘導された遺伝子バリアント(例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd ed.),CSH Press,1989又はAusubel et al.(前掲)に記載されるような、放射線照射若しくはエタンメチル硫酸への曝露によるランダム変異誘発から、又は部位特異的変異誘発によって生じるもの)の両方が含まれる。L-アミノ酸以外の残基、例えば、D-アミノ酸、又は天然に存在しない若しくは合成されたアミノ酸、例えば、ベータ(β)又はガンマ(γ)アミノ酸を含有する環化ペプチド、分子、及び類似体も含まれる。
【0230】
完全長ポリペプチドに加えて、本明細書に開示される主題はまた、本明細書に開示される主題のポリペプチド又はペプチドドメインのうちのいずれか1つの断片を提供する。断片は、少なくとも約5個、約10個、約13個、又は約15個のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、断片は、少なくとも約20個の連続アミノ酸、少なくとも約30個の連続アミノ酸、又は少なくとも約50個の連続アミノ酸である。一部の実施形態では、断片は、少なくとも約60~約80個、約100個、約200個、約300個、又はそれ以上の連続アミノ酸である。本明細書に開示される主題の断片は、当業者に既知の方法によって生成され得るか、又は通常のタンパク質処理(例えば、生物学的活性に必要とされない新生ポリペプチドからのアミノ酸の除去、又は代替のmRNAスプライシング若しくは代替のタンパク質処理イベントによるアミノ酸の除去)から生じ得る。
【0231】
非タンパク質類似体は、本技術のタンパク質の機能的活性を模倣するように設計された化学構造を有する。かかる類似体は、本明細書に開示される主題の方法に従って投与される。そのような類似体は、元のポリペプチドの生理学的活性を超え得る。類似体設計の方法は当該技術分野で周知であり、類似体の合成は、そのような方法に従って、得られる類似体が操作された免疫細胞で発現されたときに元のポリペプチドの活性を増加させるように化学構造を修飾することによって行うことができる。これらの化学修飾としては、代替のR基を置換し、参照ポリペプチドの特定の炭素原子における飽和度を変化させることが挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質類似体は、インビボでの分解に比較的耐性があり、投与時により長期の治療効果をもたらすことができる。機能的活性を測定するためのアッセイとしては、以下の実施例に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0232】
本明細書に開示される主題によれば、uPAR抗原(例えば、ヒトuPAR抗原)(例えば、scFv(例えば、ヒトscFv)、Fab、又は(Fab)2)、CD3、CD8、CD28に特異的に結合する細胞外抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、コドン最適化によって修飾することができる。コドン最適化は、天然に存在する遺伝子配列及び組換え遺伝子配列の両方を変化させて、任意の所与の発現系において可能な限り高いレベルの生産性を達成することができる。タンパク質発現の異なる段階に関与する因子には、転写及び翻訳におけるコドン適応性、mRNA構造、及び様々なシス要素が含まれる。当業者に既知の任意の好適なコドン最適化方法又は技術を使用して、OptimumGene(商標)、Encor最適化、及びBlue Heronを含むが、これらに限定されない、本明細書に開示される主題のポリヌクレオチドを修飾することができる。
【0233】
投与
本明細書に開示される主題のuPAR抗原結合断片を含むuPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞は、Covid関連肺線維症又は直腸がんを治療するため、又は加齢による体力低下を軽減するために、対象に全身的に又は直接的に提供することができる。特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、目的の臓器(例えば、Covidに罹患した肺又は直腸がん)に直接注射される。加えて又はあるいは、操作された免疫細胞は、例えば、循環系又は目的の組織への投与によって、目的の臓器に間接的に提供される。増殖剤及び分化剤は、インビトロ又はインビボでT細胞の産生を増加させるために、細胞及び組成物の投与前、投与中又は投与後に提供することができる。
【0234】
本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞は、任意の生理学的に許容されるビヒクルにおいて、全身的若しくは局所的に、通常は血管内に、腹腔内に、髄腔内に、又は胸膜内に投与され得るが、それらはまた、骨又は他の好都合な部位に導入され得、そこで細胞は、再生及び分化のための適切な部位(例えば、胸腺)を見出すことができる。特定の実施形態では、少なくとも1×105個の細胞が投与され得、最終的に1×1010個又はそれ以上に達する。特定の実施形態では、少なくとも1×106個の細胞を投与することができる。操作された免疫細胞を含む細胞集団は、精製された細胞集団を含むことができる。当業者は、蛍光活性化細胞選別(FACS)などの様々な周知の方法を使用して、細胞集団における操作された免疫細胞のパーセンテージを容易に決定することができる。操作された免疫細胞を含む細胞集団における純度の範囲は、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95~約100%であることができる。投与量は、当業者によって容易に調整することができる(例えば、純度を低下させるには、投与量を増加させることが必要であり得る)。操作された免疫細胞は、注射、カテーテルなどによって導入され得る。所望される場合、インターロイキン、例えば、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、並びに他のインターロイキン、コロニー刺激因子、例えば、G-、M-、及びGM-CSF、インターフェロン、例えば、γ-インターフェロンを含むが、これらに限定されない、因子も含まれ得る。
【0235】
特定の実施形態では、本明細書に開示される主題の組成物は、uPAR特異的CARを薬学的に許容される担体とともに発現する操作された免疫細胞を含む、薬学的組成物を含む。投与は、自己又は非自己であり得る。例えば、uPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞及びそれを含む組成物は、1対象から得て、同じ対象又は異なる適合性の対象に投与することができる。本明細書に開示される主題又はそれらの子孫の末梢血由来T細胞(例えば、インビボ、エクスビボ、又はインビトロ由来)は、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、又は非経口投与を含む局所注射を介して投与され得る。本明細書に開示される主題の薬学的組成物(例えば、uPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞を含む薬学的組成物)を投与する場合、それは、単位用量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルション)で製剤化され得る。
【0236】
製剤
uPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞、及びそれを含む組成物は、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、又は粘性組成物として便利に提供することができ、これらは、選択されたpHに緩衝化されてもよい。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、及び固体組成物よりも調製が容易である。更に、液体組成物は、特に注射によって投与することがいくらかより便利である。一方、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘度範囲内で製剤化することができる。液体又は粘性組成物は、担体を含むことができ、担体は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含む、溶媒又は分散媒体であり得る。
【0237】
滅菌注射可能溶液は、本明細書に開示される主題の組成物、例えば、操作された免疫細胞を含む組成物を、必要な量の適切な溶媒に、必要に応じて様々な量の他の成分とともに組み込むことによって調製することができる。そのような組成物は、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの好適な担体、希釈剤、又は賦形剤との混合物中にあってもよい。組成物を凍結乾燥することもできる。組成物は、投与経路及び所望の調製物に応じて、湿潤剤、分散剤、又は乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化剤若しくは粘度増強添加剤、防腐剤、香料剤、色素などの補助物質を含有することができる。“REMINGTON’ S PHARMACEUTICAL SCIENCE”,17th edition,1985(参照により本明細書に組み込まれる)などの標準的なテキストを、過度の実験なしに好適な調製物を調製するために参照してもよい。
【0238】
組成物の安定性及び無菌性を向上させる様々な添加剤(抗菌防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、及び緩衝剤を含む)を添加することができる。微生物作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。注射可能な薬学的形態の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらされ得る。しかしながら、本明細書に開示される主題によれば、使用される任意のビヒクル、希釈剤、又は添加剤は、本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞と適合性でなければならない。
【0239】
これらの組成物は、等張であることができ、すなわち、それらは、血液及び涙液と同じ浸透圧を有することができる。本明細書に開示される主題の組成物の所望の等張性は、塩化ナトリウム、又はデキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、又は他の無機若しくは有機溶質などの他の薬学的に許容される薬剤を使用して達成され得る。塩化ナトリウムは、ナトリウムイオンを含有する緩衝液に特に好適である。
【0240】
組成物の粘度は、所望であれば、薬学的に許容される増粘剤を使用して、選択されたレベルで維持することができる。メチルセルロースは、容易かつ経済的に入手可能であり、取り扱いが容易であるため、使用可能である。他の好適な増粘剤として、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが挙げられる。増粘剤の濃度は、選択された薬剤に依存する。重要な点は、選択した粘度を達成する量を使用することである。明らかに、好適な担体及び他の添加剤の選択は、正確な投与経路及び特定の剤形、例えば液体剤形の性質(例えば、組成物が溶液、懸濁液、ゲル又は時間放出形態又は液体充填形態などの別の液体形態に製剤化されるかどうか)に依存する。
【0241】
当業者は、組成物の成分が化学的に不活性であるように選択されるべきであり、本明細書に開示される主題に記載されるような操作された免疫細胞の生存能又は有効性に影響を及ぼさないことを認識するであろう。これは、本開示及び本明細書に引用される文書から、化学的及び薬学的原理の当業者に問題を提示しないか、又は標準的なテキストを参照することによって、又は単純な実験(過度の実験を伴わない)によって問題を容易に回避することができる。
【0242】
本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞の治療的使用に関する1つの考慮事項は、最適な効果を達成するために必要な細胞の量である。投与される細胞の量は、治療されている対象によって異なるであろう。特定の実施形態では、約102~約1012、約103~約1011、約104~約1010、約105~約109、又は約106~約108個の、本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞を対象に投与する。より効果的な細胞は、更に少ない数で投与してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される主題の少なくとも約1×108個、約2×108個、約3×108個、約4×108個、約5×108個、約1×109個、約5×109個、約1×1010個、約5×1010個、約1×1011個、約5×1011個、約1×1012個、又はそれ以上の操作された免疫細胞をヒト対象に投与する。有効用量とみなされるものの正確な決定は、特定の対象のサイズ、年齢、性別、体重、及び状態を含む、各対象に個々の要因に基づいてもよい。投与量は、本開示及び当業者の知識から当業者によって容易に確認され得る。一般に、操作された免疫細胞は、非毒性であるか、又は患者に忍容性のある用量で投与される。
【0243】
当業者は、本明細書に開示される主題の方法で投与される組成物中の細胞及び任意の添加剤、ビヒクル、及び/又は単体の量を容易に決定することができる。典型的には、任意の添加剤(活性細胞及び/又は作用物質に加えて)は、リン酸緩衝生理食塩水溶液中に約0.001重量%~約50重量%)溶液の量で存在し、有効成分は、約0.0001重量%~約5重量%、約0.0001重量%~約1重量%、約0.0001重量%~約0.05重量%、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約10重量%、又は約0.05重量%~約5重量%などの、マイクログラム~ミリグラムのオーダーで存在する。動物又はヒトに投与される任意の組成物について、及び任意の特定の投与方法について、例えば、好適な動物モデル、例えば、マウスなどのげっ歯類における致死量(LD)及びLD50、並びに組成物の投与量、その中の成分の濃度、及び好適な応答を誘発する組成物の投与時期を決定することによって、毒性が決定されるべきである。そのような決定は、当業者の知識、本開示、及び本明細書で引用される文書からの過度の実験を必要としない。また、連続投与の時間は、過度の実験をすることなく確認することができる。
【0244】
本技術の操作された免疫細胞の治療的使用
治療のために、本明細書で提供する操作された免疫細胞の投与量は、それを必要とする対象において、所望の効果、例えば、Covid関連肺線維症若しくは直腸がんの影響及び/若しくは症状の治療若しくは改善、又は加齢による体力低下の影響の軽減を生み出すのに有効な量である。有効量は、本明細書で提供する操作された免疫細胞の1回の投与又は一連の投与で提供され得る。有効量は、ボーラスで、又は連続灌流によって提供することができる。
【0245】
抗原特異的T細胞を使用する養子免疫療法の場合、約106~約1010個の範囲の細胞用量が典型的に注入されるが、低用量、例えば、約104~約108個の操作された免疫細胞が投与されてもよい。例えば、ドナーリンパ球注入及びCAR T細胞療法を含む、養子細胞療法のための細胞投与方法、並びに投与のためのレジメンが、当該技術分野において知られており、本明細書で提供する操作された免疫細胞の投与のために用いられ得る。
【0246】
操作された免疫細胞を対象に投与すると、uPAR抗原に対して特異的に指向される操作された免疫細胞が誘導される。本明細書に開示される主題の操作された免疫細胞は、胸膜投与、静脈内投与、皮下投与、結節内投与、髄腔内投与、胸膜内投与、腹腔内投与、及び胸腺への直接投与を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の方法によって投与され得る。特定の実施形態では、操作された免疫細胞及びそれを含む組成物は、必要とする対象に静脈内に投与される。
【0247】
治療用途のために、本技術の操作された免疫細胞を含む薬学的組成物が、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、1日に1回、2回、3回、4回、又は5回投与される。いくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、1日5回を超えて投与される。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、毎日、隔日、3日毎、4日毎、5日毎、又は6日毎に投与される。いくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、毎週、隔週、3週間毎、又は毎月投与される。いくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、1週間、2週間、3週間、4週間、又は5週間投与される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、6週間以上投与される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、12週間以上投与される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、1年未満の期間投与される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、1年を超える期間投与される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、対象の生涯にわたって投与される。
【0248】
本技術の方法のいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、1週間以上毎日投与される。本技術の方法のいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、2週間以上毎日投与される。本技術の方法のいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、3週間以上毎日投与される。本技術の方法のいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、4週間以上毎日投与される。本技術の方法のいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、6週間以上毎日投与される。本技術の方法のいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、12週間以上毎日投与される。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、対象の生涯にわたって投与される。
【0249】
本明細書に開示される主題は、uPAR特異的受容体(例えば、CAR)を発現する、本明細書で提供する操作された免疫細胞(例えば、T細胞)を使用する様々な方法を提供する。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、本明細書で提供する、uPARを標的とする操作された免疫細胞は、1つ以上のT細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)又は追加の標的に結合する他の細胞表面リガンドを更に発現する。かかる追加の標的の例としては、GRAMD1A、KCNK3、RAI2、NPL、STC1、TOM1、F3、SLC6A8、SLC22A4、SERINC3、DDIT4L、LY96、NFASC、IFNGR1、DNER、SLC22A1、ITGB3、LRP10、ICAM1、ULBP2、SLC22A15、APLP1、ABTB2、AFF1、AGPAT2、AGTRAP、AKAP6、BFSP1、BHLHE40、CARD6、CCDC69、CCDC71L、FAM219A、FAM219B、FAM43A、FAM8A1、FOLR3、GSAP、GYS1、HECW2、HIF1A、INHBA、MAP3K8、MT-ND5、MT-ND6、及びPRICKLE2が挙げられるが、これらに限定されない。かかる追加の標的の他の例としては、LRP12、SLC6A8、ITGB3、LRP10、BTN2A2、ICAM1、ABCA1、SLC22A23、TMEM63B、SLC37A1、SLC22A4、ENPP4、VNN1、SERINC3、ITGA11、SERINC2、ULBP2、SLC22A15、APLP1、DPP4、ABCA3、TPCN1、ABTB2、AFF1、AGPAT2、AGTRAP、AHNAK2、AK4、AKAP6、ALS2CL、AMPD3、ANKRD1、ANKRD29、ANKRD42、AOX1、ARHGEF37、ARRDC4、ATP6V1H、BFSP1、BHLHE40、BHLHE41、BTG2、C3、CARD6、CASP4、CCDC69、CCDC71L、CDKN1A、CHST15、COQ10B、CPPED1、CTSB、CYB5R1、CYBA、CYFIP2、CYP26B1、DDIT4L、DIRC3、DNAJB9、DTX4、DYNLT3、ELL2、ELOVL7、EML1、FADS3、FAM210B、FAM219A、FAM219B、FAM43A、FAM8A1、FILIP1L、FOLR3、FOXO1、GFPT2、GM2A、GPX3、GRAMD1A、GRB10、GSAP、GYS1、HECW2、HIF1A、HIST2H2BE、IDS、IGFN1、INHBA、JUN、KCNJ15、KCNK3、KDM6B、KIAA1217、KLHL21、LCP1、LINC00862、LY96、LYPLAL1、LZTS3、MAP1LC3B、MAP3K10、MAP3K8、MAP7、MAPRE3、MAST3、MOAP1、MSC、MT-ND3、MT-ND5、MT-ND6、MXD1、MYO1D、NABP1、NOV、NPL、OGFRL1、P4HA2、PGM2L1、PHYH、PLA2G15、PLA2G4C、PLD1、PLEKHG5、PLOD2、PPARGC1A、PPP2R5B、PRICKLE2、PSAP、RAB29、RAB36、RAB6B、RAG1、RAI2、RETSAT、RIOK3、RNF11、RNF14、RSPH3、RUSC2、SAT1、SCG5、SEL1L3、SERPINI1、SESN2、SIAE、SOD2、SPATA18、SPTBN2、SRPX2、ST20-AS1、STC1、STK38L、STON2、SUSD6、TAF13、TAP1、TBC1D2、TFEC、TNFAIP3、TNFAIP8L3、TOM1、TPRG1L、TSKU、TTC9、TXNIP、UBA6-AS1、VPS18、WDR78、ZFHX2、及びZNFX1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
本明細書に開示される主題はまた、Covid関連肺線維症又は直腸がんを有する対象の生存時間を増加又は延長する方法を提供する。1つの非限定的な例では、Covid関連肺線維症又は直腸がんを有する対象の生存時間を増加又は延長する方法は、有効量の、本明細書に開示される操作された免疫細胞を対象に投与することを含み、それによって、対象の生存時間を増加又は延長する。本明細書に開示される主題は、対象における直腸がん又はCovid関連肺線維症を治療するための方法であって、本明細書に開示される操作された免疫細胞を対象に投与することを含む、方法を更に提供する。本明細書に開示される主題は、加齢による体力低下の影響の軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、本明細書に開示される操作された免疫細胞を対象に投与することを含む、方法を更に提供する。また、本明細書では、対象におけるCovid関連肺線維症を治療するための方法であって、感染した線維性肺細胞を、有効量の本明細書で提供する操作された免疫細胞のうちのいずれかと接触させることを含む、方法が提供される。
【0251】
対象は、進行した形態の疾患を有し得、その場合、治療目的は、疾患進行の緩和若しくは逆転、及び/又は副作用の改善を含み得る。対象は、既に治療されている状態の病歴を有することができ、その場合、治療目的は、典型的には、再発のリスクの低下又は遅延を含む。
【0252】
更なる修飾を、uPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞(例えば、T細胞)に導入して、免疫学的合併症(「悪性T細胞形質転換」として知られる)、例えば、移植片対宿主病(GvHD)のリスクを回避又は最小化することができる。操作された免疫細胞の修飾は、自殺遺伝子をuPAR特異的CAR発現T細胞内に操作することを含み得る。好適な自殺遺伝子としては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(hsv-tk)、誘導性カスパーゼ9自殺遺伝子(iCasp-9)、及び切断型ヒト上皮成長因子受容体(EGFRt)ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、自殺遺伝子は、EGFRtポリペプチドである。EGFRtポリペプチドは、抗EGFRモノクローナル抗体(例えば、セツキシマブ)を投与することによって、T細胞排除を可能にすることができる。EGFRtは、uPAR特異的CARの細胞内ドメインのC末端に共有結合することができる。自殺遺伝子は、本明細書に開示されるuPAR特異的CARをコードする核酸を含むベクター内に含むことができる。本明細書に開示されるuPAR特異的CARに自殺遺伝子を組み込むことにより、非常に短い期間内に大部分のCAR T細胞を排除する能力を伴う更なる安全性レベルが得られる。自殺遺伝子を組み込まれた本明細書に開示される操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、CAR T細胞注入後の所与の時点で先制的に排除されるか、又は最も初期の毒性徴候で根絶され得る。
【0253】
別の態様では、本開示は、Covid関連肺線維症の影響の治療又は改善を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の操作された免疫細胞のうちのいずれかを投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、Covidを有すると診断されているか、有する疑いがあるか、有するリスクがある。
【0254】
一態様では、本開示は、放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている対象における直腸がんを治療又は改善するための方法であって、対象に、治療有効量の、本明細書に記載の操作された免疫細胞のうちのいずれかを投与することを含む、方法を提供する。別の態様では、本開示は、直腸がんと診断された対象における養子細胞療法の有効性を改善するための方法であって、対象に、有効線量の放射線療法又は化学放射線療法と、治療有効量の操作された免疫細胞のうちのいずれかと、を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、直腸がんを有する疑いがあるか、直腸がんを有するリスクがあるか、又は直腸がんを有すると診断されている。
【0255】
別の態様では、本開示は、加齢による体力低下の影響の軽減を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の操作された免疫細胞のうちのいずれかを投与することを含む、方法を提供する。
【0256】
治療用途において、本技術の操作された免疫細胞を含む薬学的組成物又は医薬品は、疾患又は状態の発症におけるその合併症及び中間病理学的表現型を含む疾患の症状を治癒するか、又は少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、Covid関連肺線維症、直腸がん、又は加齢による体力低下の疑いがあるか、又は既にそれに罹患している対象に投与される。
【0257】
Covid関連肺線維症又は直腸がんに罹患している対象は、当該技術分野において既知の診断又は予後アッセイのいずれか又は組み合わせによって特定され得る。例えば、Covid関連肺線維症に罹患している対象の典型的な症状には、肺の線維性病変、発熱及び咳、胸内苦悶、息切れ、肺異常、頭痛、呼吸困難、疲労、筋肉痛、腸症状、下痢、嘔吐、両側性肺炎、及び胸水が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Covid関連肺線維症に罹患している対象は、正常な対照対象と比較して、リンパ球減少症、血小板異常、好中球、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、及び炎症性バイオマーカー(例えば、反応性タンパク質C)の上昇を示し得、これは、当該技術分野で公知の技術を使用して測定可能である。特定の実施形態では、本技術の操作された免疫細胞で治療されるCovid関連肺線維症に罹患している対象は、以下の症状:肺の線維性病変、発熱及び咳、胸内苦悶、息切れ、肺異常、頭痛、呼吸困難、疲労、筋肉痛、腸症状、下痢、嘔吐、両側性肺炎、及び胸水のうちの1つ以上の症状の改善又は排除を示す。特定の実施形態では、本技術の操作された免疫細胞で治療されるCovid関連肺線維症を有する対象は、Covid関連肺線維症を有する未治療の対象と比較して、リンパ球減少症、血小板異常、好中球、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、及び炎症性バイオマーカー(例えば、反応性タンパク質C)のレベルが低下していることを示す。
【0258】
例えば、直腸がんに罹患している対象の典型的な症状としては、疲労、体重減少、血便、下痢及び/又は便秘、腹痛、膨満感、腸を空にすることができない感覚、持続性咳、骨痛、息切れ、食欲不振、黄疸、手足のむくみ、並びに視力又は発話の変化が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本技術の操作された免疫細胞で治療される直腸がんに罹患している対象は、以下の症状:疲労、体重減少、血便、下痢及び/又は便秘、腹痛、膨満感、腸を空にすることができない感覚、持続性咳、骨痛、息切れ、食欲不振、黄疸、手足のむくみ、並びに視力又は発話の変化のうちの1つ以上の改善又は除去を示す。
【0259】
放射線療法
放射線は、がんを治療するのに好適な任意の種類から選択されてもよい。放射線は、体外の機械から照射される(外部放射線)か、体内に配置される(内部放射線)か、又は全身を通過する非密封放射性同位元素を使用する(全身放射線療法)場合がある。投与される放射線の種類は、がんの種類、その場所、放射線が体内にどのくらい侵入する必要があるか、患者の一般的な健康歴及び病歴、患者が他の種類のがん治療を受けるかどうか、並びに他の要因に依存する。特定の実施形態では、放射線は、2つ以上の様式、例えば、内部放射線及び外部放射線で送達される。
【0260】
腫瘍部位に局在する放射線は、がん性又は非がん性細胞に接触し得る。特定の実施形態では、腫瘍部位に局在する放射線は、非がん細胞、すなわち、良性細胞に接触し得る。例えば、本方法は、がんの再発を防止するために、例えば、正常組織構造にまで及ぶ可能性がある任意の微視的疾患の照射により、腫瘍部位を取り囲む非がん性細胞を放射線で治療することを含み得る。
【0261】
特定の実施形態では、放射線療法で送達される放射線は、電離である。電離放射線は、電子、陽子(例えば、陽子線放射線)、中性子、パイオン、又は炭素イオンなどの荷電粒子線を使用する、荷電粒子放射線としても知られる粒子線放射線であり得る。電離放射線はまた、X線、UV光、γ線又はマイクロ波から選択されてもよい。
【0262】
特定の態様では、SBRT又はSRSなどの定位照射は、直腸がんを治療するために、本技術のuPAR抗原結合断片を含むuPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、SBRT又はSRSは、単回線量で送達されるか、又は数時間、数日間、若しくは数週間の期間にわたってなどの2回又は複数回の線量で分割される。他の実施形態では、SBRT又はSRSは、直腸腫瘍で交差するように2つ以上の曝露角度から送達され、周囲の健康な組織よりも大きな吸収線量を提供する。各単回線量は、同じ腫瘍部位又は異なる腫瘍部位を標的とし得る。特定の実施形態では、2つ以上の単一の放射線量は、同じ腫瘍部位に標的化される。
【0263】
タイミングは、放射線療法の投与と、本技術のuPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞との間で変化し得る。特定の態様では、患者は、放射線療法を受け、uPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞を、互いに約30~60分以内に、又は約1~24時間以内に、又は約1~7日以内に、又は約1~30週間以内に、又は30週間超以内に投与される。したがって、uPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞は、放射線療法又は化学放射線療法の約30~60分後、又は約1~24時間後、又は約1~7日後、又は約1~30週間後、又は30週間超後に投与され得る。
【0264】
1つ以上の形態の放射線を、本技術のuPAR特異的CARを発現する操作された免疫細胞と結び付けることができる。患者が2つ以上の形態の放射線療法を受けるこれらの実施形態では、患者は、2つ以上の形態の放射線療法を同時に、連続して、同時に分割線量で、又は連続して分割線量で、交互に分割線量で、及び/又はそれらの任意の組み合わせで受けることができる。
【0265】
放射線療法は、1~100Gyの線量での患者の累積外部照射を含み得る。照射線量の範囲は、1~60Gyであってもよい。特定の実施形態では、放射線療法の線量は、90Gy未満、例えば、80Gy未満、例えば、70Gy未満、例えば、60Gy未満、例えば、50Gy未満、例えば、40Gy未満、例えば、30Gy未満、例えば、20Gy未満である。特定の実施形態では、線量又は放射線療法は、約10~100Gy、例えば、約20~80Gy、例えば、約30~70Gy、例えば、約40~60Gyである。特定の実施形態では、照射線量は、5~25Gy(10~20Gyなど)から選択される。
【0266】
外部照射線量は、5~30分割線量などの1~60分割線量で投与され得る。特定の実施形態では、分割線量は、分割線量当たり約1.5~約2Gy(例えば、約1.5Gy、例えば、約1.6Gy、例えば、約1.7Gy、例えば、約1.8Gy、例えば、約1.9Gy、例えば、約2.0Gy、例えば、約2.1Gy、例えば、約2.2Gy、例えば、約2.3Gy、例えば、約2.4Gy、例えば、約2.5Gy)で投与される。
【0267】
放射線療法の分割線量は、間隔をおいて投与されてもよい。特定の実施形態では、分割線量は、例えば、1~26週間、例えば、約1~15週間、例えば、2~12週間など、数分、数時間、又は数週間の期間にわたって投与される。特定の実施形態では、分割線量は、約15週間未満、例えば、約14週間未満、例えば、約13週間未満、例えば、約12週間未満、例えば、約11週間未満、例えば、約10週間未満、例えば、約9週間未満、例えば、約8週間未満、例えば、約7週間未満、例えば、約6週間未満、例えば、約5週間未満、例えば、約4週間未満の期間にわたって投与される。特定の実施形態では、累積外部照射は、細胞を死滅させるための治療有効量の放射線である。
【0268】
他の実施形態では、放射線療法は、分割線量ではなく単回線量で投与される。例えば、単回線量は、1線量当たり約1~30Gy、例えば、5~20Gy、又は例えば、約10~15Gyで投与されてもよい。
【0269】
放射線療法に使用されるエネルギー源は、いずれも電磁放射線の形態であるX線又はガンマ線から選択されてもよい。X線は、線形加速器と呼ばれる機械によって生成される。X線が有するエネルギーの量に応じて、それらを使用して、身体の表面上にあるがん細胞を破壊する(すなわち、より低いエネルギー)か、又は組織及び臓器のより深くまで破壊する(すなわち、より高いエネルギー)ことができる。他の種類の放射線と比較して、X線は比較的大きな領域に放射線を送達することができる。ガンマ線は、イリジウム及びコバルト60などの特定の元素の同位体が崩壊して放射線エネルギーを放出するときに生成される。各元素は特定の速度で減衰し、それぞれが異なる量のエネルギーを放出する。これは、体内への侵入の深さに影響する。コバルト60の崩壊によって生成されるガンマ線は、「ガンマナイフ」と呼ばれる治療に使用される。
【0270】
放射線療法のためのエネルギー源は、光子の代わりに高速移動する亜原子粒子を使用する粒子線から選択されてもよい。この種類の放射線は、粒子線放射線療法又は粒子放射線と呼ばれることもある。粒子線は、この種類の放射線療法に必要な粒子を生成し、加速させる線形加速器であるシンクロトロン、ベータトロン、及びサイクロトロンによって生成され得る。粒子線療法は、電子線放射と呼ばれるX線管によって生成される電子、放射性元素及び特殊装置によって生成される中性子、陽子、炭素イオン及びヘリウムなどの重イオン、並びに加速器及び磁石系によって生成される小さな負荷電粒子であるパイオンとも呼ばれるパイメゾンを使用してもよい。X線及びガンマ線とは異なり、一部の粒子線は、エネルギーに応じて、組織内にわずかな距離しか侵入できない。したがって、それらは、皮膚の表面上又は皮膚のすぐ下に位置するがんを治療するためにしばしば使用される。
【0271】
「電離放射線」という用語は、十分なエネルギーを有するか、又はイオン化、すなわち、電子の利得又は損失を生成するために核相互作用を介して十分なエネルギーを生成することができる粒子又は光子を含む放射線を意味する。所与の細胞を殺すために必要な電離放射線の量は、一般に、その細胞の性質に依存する。有効量の放射線を決定するための手段は、当該技術分野で周知である。
【0272】
特定の実施形態では、放射線療法は、電離放射線、特に電子線放射線を含む。特定の実施形態では、電子線療法システムは、システムによって生成された一次X線、並びに散乱放射線について、健康な組織に適切なシールドを提供する。
【0273】
特定の実施形態では、粒子線療法は、陽子線療法である。陽子は、ブラッグピークと呼ばれる非常に小さな体積にエネルギーを蓄積する。ブラッグピークは、高線量の陽子線療法を腫瘍に標的化しながら、腫瘍の前後の正常な組織への損傷を少なくするために使用することができる。
【0274】
放射線療法は、定位体内放射線療法又はSBRTであり得る。定位放射線療法は、標的組織に放射線を送達するために定位放射線手術と本質的に同じアプローチを使用するが、定位放射線療法は、一般に、1つの大きな線量とは対照的に、複数の小さな放射線画分を使用するが、SBRTの特定の用途は、依然として単一の画分で達成され得る。
【0275】
放射線療法の供給源が内部にある場合、内部放射線で使用されるエネルギーは、様々な供給源から得ることができる。例えば、放射性同位体は、放射性ヨウ素、例えば、ヨウ素125又はヨウ素131、ストロンチウム89、リン、パラジウム、セシウム、イリジウム、リン酸塩、コバルト、又は当業者に知られている任意の他の同位体であり得る。特定の実施形態では、内部放射線は、近接照射療法、各シードから放射線を放出する埋め込まれた放射性シードに基づく放射線治療として投与される。
【0276】
放射線は、放射線標識された抗体の使用、すなわち、放射免疫療法によってがんに直接送達され得る。いくつかの腫瘍細胞は、腫瘍特異的抗体の産生を誘発する特異的抗原を含有する。大量のこれらの抗体は、放射性物質に付着することができ、これは放射性標識として知られているプロセスである。一度体内に注射されると、抗体は、放射線によって破壊されるがん細胞を探す。このアプローチは、健康な細胞への放射線損傷のリスクを減少させるか、又は最小限に抑えることができる。
【0277】
特定の実施形態では、放射線治療は、二次元(幅及び高さ)又は3次元で、例えば、三次元(3D)原体照射療法を用いて実行される。特定の実施形態では、3D原体照射療法は、コンピュータ技術を使用して、医師が放射線ビーム(幅、高さ、及び深さを使用して)を用いて腫瘍をより正確に標的とすることを可能にする。腫瘍の3D画像は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)を使用して得ることができる。画像からの情報を使用して、特別なコンピュータプログラムは、腫瘍の形状に「適合」する放射線ビームを設計し得る。特定の実施形態では、腫瘍を取り囲む健康な組織は、この技術によって主に損傷を免れるため、より高い線量の放射線を使用して、がんを治療することができる。
【0278】
特定の特定の実施形態では、放射線療法は、強度変調放射線療法(IMRT)である。IMRTは、放射線ビーム、例えば、異なる強度のX線を使用して、異なる線量の放射線を同時に組織の小さな領域に送達する、3D原体照射療法の一種である。この技術は、腫瘍内に高線量の放射線を送達し、近くの健康な組織に低線量を送達することを可能にする。いくつかの技術は、毎日より高い線量の放射線を患者に送達し、潜在的に全体的な治療時間を短縮し、治療の成功を改善する。IMRTはまた、治療中の副作用がより少なくなる可能性がある。特定の実施形態では、放射線は、マルチリーフコリメータを装備した線形加速器によって送達される(コリメータは、放射線のビームを成形又は整形するのに役立つ)。装置は、放射線ビームが最良の角度から送信されるように、患者の周りを回転させることができる。ビームは、可能な限り腫瘍の形状に一致する。
【0279】
組み合わせ療法
また、本明細書では、Covid関連肺線維症の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、有効量の、本明細書で提供する操作された免疫細胞のうちのいずれかを投与することを含む、方法も提供される。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、全身的に、鼻腔内に、胸膜内に、静脈内に、腹腔内に、皮下に、又は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0280】
肺線維症を治療するための方法は、対象に、酸素療法、抗ウイルス薬(ロピナビル、リトナビル、リバビリン、ファビピラビル(T-705)、レムデシビル、オセルタミビル、クロロキン、メリメポジブ、及びインターフェロン)、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、抗炎症療法、回復期血漿療法、バムラニビマブ、カシリビマブ、及びイムデビマブの中から選択される少なくとも1つの追加の療法を、順次、別個に、又は同時に投与することを更に含み得る。
【0281】
また、本明細書では、直腸がんの治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、対象に、有効量の、本明細書で提供する操作された免疫細胞のうちのいずれかを投与することを含む、方法も開示される。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、全身的に、鼻腔内に、胸膜内に、静脈内に、腹腔内に、皮下に、腫瘍内に、又は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、直腸がんに罹患している対象は、放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている。
【0282】
直腸がんを治療するための方法は、対象に、ベバシズマブ、塩酸イリノテカン、カペシタビン、セツキシマブ、ラムシルマブ、フルオロウラシル、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ロイコボリンカルシウム、トリフルリジン及び塩酸チピラシル、ニボルマブ、オキサリプラチン、パニツムマブ、レゴラフェニブ、及びziv-アフリベルセプトの中から選択される少なくとも1つの追加の療法を、順次、別個に、又は同時に投与することを更に含み得る。
【0283】
いずれの場合も、複数の治療剤は、任意の順序で、又は同時に投与されてもよい。同時にである場合、複数の治療剤は、単一の統合された形態で、又は複数の形態(単なる例として、単一の丸剤として、又は2つの別個の丸剤として)で提供され得る。治療剤のうちの1つは、複数用量で投与されてもよく、又は両方が複数用量として投与されてもよい。同時ではない場合、複数の用量間のタイミングは、0週間超~4週間未満で変動し得る。加えて、組み合わせ方法、組成物、及び製剤は、2つの薬剤のみの使用に限定されるものではない。
【0284】
キット
一態様では、本技術のキットは、単位剤形で本明細書に開示される操作された免疫細胞のうちのいずれか、及び/又は本明細書に開示される核酸のいずれかを含むベクターを含む治療用組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される操作された免疫細胞を含む治療用組成物を収容する滅菌容器を含み、そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、パウチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で既知の他の好適な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、積層紙、金属ホイル、又は医薬品を保持するのに適した他の材料で作製することができる。
【0285】
キットのいくつかの実施形態では、本技術の操作された免疫細胞は、操作された免疫細胞を対象に投与するための説明書と併せて提供することができる。いくつかの実施形態では、対象は、Covid関連肺線維症と診断されているか、又はそれに罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、直腸がんと診断されているか、又はそれに罹患している。加えて又はあるいは、いくつかの実施形態では、直腸がんに罹患している対象は、放射線療法又は化学放射線療法を受けたか、又は受けている。いくつかの実施形態では、対象は、加齢による体力低下を示す。キットの特定の実施形態では、本明細書に開示される核酸のいずれかを含むベクターは、当該ベクターで形質導入された免疫細胞を使用して、本明細書に記載の任意の疾患又は状態を治療又は軽減するための説明書とともに提供され得る。
【0286】
説明書は、概して、本明細書に記載される任意の疾患又は状態を治療するための組成物の使用に関する情報を含む。他の実施形態では、説明書は、以下のうちの少なくとも1つを含む:治療剤の説明;本明細書に記載される任意の疾患若しくは状態又はその症状の治療のための投与スケジュール及び投与;予防措置;警告;適応症;対抗適応症;過剰投与情報;有害反応;動物薬理学;臨床研究;及び/又は参考事項。説明書は、容器に直接(存在する場合)、又は容器に適用されるラベルとして、又は容器内若しくは容器とともに供給される別個のシート、パンフレット、カード、若しくはフォルダとして印刷され得る。
【0287】
いくつかの実施形態では、本技術の少なくとも1つの操作された免疫細胞は、細胞表面上でuPARを発現する標的細胞に結合する。本技術の少なくとも1つの操作された免疫細胞は、無菌の液体製剤又は凍結乾燥調製物を含有するプレフィルドシリンジ又は自動注射ペンの形態で提供され得る(例えば、Kivitz et al.,Clin.Ther.28:1619-29(2006))。
【0288】
投与経路を通してキット構成要素を送達することができるデバイスが含まれてもよい。そのようなデバイスの例としては、シリンジ(非経口投与用)又は吸入デバイスが挙げられる。
【0289】
キット構成要素は、一緒に包装され得るか、又は2つ以上の容器に分離され得る。いくつかの実施形態では、容器は、再構成に好適な本技術の操作された免疫細胞組成物の無菌凍結乾燥製剤を含有するバイアルであり得る。キットはまた、他の試薬の再構成及び/又は希釈に好適な1つ以上の緩衝液を含有し得る。使用され得る他の容器としては、パウチ、トレイ、ボックス、チューブなどが挙げられるが、これらに限定されない。キット構成要素は、容器内で無菌に包装及び維持され得る。
【実施例】
【0290】
実施例1:一般実験方法
RNA-seqリードマッピング、差次的発現分析、及びヒートマップ視覚化:得られたRNA-Seqデータを、Trimmomaticを使用してアダプター配列を除去することによって分析した。Bolger et al.,Bioinformatics 30:2114-2120(2014)。次いで、RNA-SeqリードをSTAR50でGRCm38.91(mm10)にアラインメントし、featureCounts(Liao et al.,Bioinformatics 30:730 923-930(2014))を使用して転写産物カウントを定量し、生のカウント行列を生成した。多重比較のための差次的遺伝子発現分析及び調整は、Rに実装された条件ごとの2つの独立した生物学的複製を使用して、実験条件間でDESeq2パッケージ(Love et al.,Genome Biol 15:550(2014))を用いて実行した。差次的発現遺伝子(DEG)は、調整されたP値が0.05未満の遺伝子発現の2倍超の変化によって決定した。DEGのヒートマップ視覚化のために、試料をzスコア正規化し、Rのpheatmapパッケージを使用してプロットした。
【0291】
qRT-PCR。全RNAは、RNeasy Mini Kit(Qiagen,Hilden Germany)を使用して単離し、相補的DNA(cDNA)は、TaqMan逆転写試薬(Applied Biosystems,Foster City CA)を使用して得た。ViiA 7 Real-Time PCR System(Invitrogen,Carlsbad CA)上でSYBR green PCR master mix(Applied Biosystems,Foster City CA)を使用して、リアルタイムPCRを3回実行した。GAPDH又はB-アクチンは、マウス及びヒト試料の内因性正規化対照として機能した。
【0292】
マウス。マウスは、特定の病原体を含まない条件下で維持し、食物及び水は自由に提供した。以下のマウスを使用した:C57BL/6Jバックグラウンド及びNOD-scid IL2Rgヌル(NSG)マウス(The Jackson Laboratoryから購入)。マウスを8~12週齢(異種移植実験の場合は5~7週齢)で使用し、群飼で保持した。マウスを、実験群に無作為に割り当てた。
【0293】
組織学的分析。組織を10%ホルマリン中で一晩固定し、パラフィン中に包埋し、5μmの切片に切断した。切片を、ヘマトキシリン及びエオシン染色、並びに線維症検出のためのシリウスレッド染色に供した。線維症定量のために、各動物からの少なくとも3つの切片全体をスキャンし、画像をNIH ImageJソフトウェアを使用して定量した。線維化組織の量は、前述のように、分析された総肝臓面積に対して計算した。Lujambio et al.,Cell 153:449-460(2013)。免疫組織化学染色及び免疫蛍光染色を、標準プロトコルに従って実行した。以下の一次抗体を使用した:ヒトuPAR(R&D.AF807)、及びマウスuPAR(R&D、AF534)。
【0294】
フローサイトメトリー。CAR染色を、Alexa Fluor 647 AffiniPure F(ab)2断片ヤギ抗ラットIgG(Jackson ImmunoResearch、#112-6606-072)で実行した。細胞計数のために、CountBright絶対計数ビーズを製造業者の指示に従って添加した(Invitrogen)。インビボ実験のために、Fc受容体を、FcR遮断試薬、マウス(Miltenyi Biotec)を使用して遮断した。細胞内サイトカイン分泌アッセイでは、細胞を固定し、製造業者の指示に従って、Cytofix/Cytoperm Fixation/Permeabilization Solution Kit(BD Biosciences)を使用して透過処理した。フローサイトメトリーは、LSRFortessa機器(BD Biosciences)又はCytek Aurora(CYTEK)上で実行し、データはFlowJo(TreeStar)を使用して分析した。
【0295】
suPARレベルの検出。マウス血漿の細胞培養上清からのsuPARレベルを、製造業者のプロトコル(R&D systems、DY531(マウス)又はDY807(ヒト))に従って、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって評価した。
【0296】
ヒトT細胞の単離、増殖及び形質導入。全ての血液試料は、必要な倫理的及び安全性の手順に従って処理した。末梢血は、健康なボランティアから得られ、匿名の健康なドナーからのバフィーコートは、ニューヨーク血液センターから購入した。末梢血単核細胞は、密度勾配遠心分離によって単離した。T細胞を、ヒトPan T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec)を使用して精製し、記載されるように(Feucht et al.,Nat Med 25:82-88(2019))、CD3/CD28 T細胞活性化因子Dynabeads(Invitrogen)で刺激し、5%のヒト血清(Gemini Bio-Products)、5ng/mlのインターロイキン-7、及び5ng/mlのインターロイキン-15(PeproTech)を補充したX-VIVO 15(Lonza)中で培養した。T細胞は、自動化された細胞カウンター(Nexcelom Bioscience)を使用して数えた。
【0297】
T細胞の活性化を開始した48時間後、T細胞に、RetroNectinでコーティングされたプレート(Takara)上での遠心分離によって、レトロウイルス上清を形質導入した。形質導入効率は、4日後にフローサイトメトリーによって決定し、CAR T細胞を、マウスに養子移入するか、又はインビトロ実験のために使用した。
【0298】
マウスT細胞の単離、増殖及び形質導入。マウスを安楽死させ、脾臓を採取した。組織解離及び赤血球溶解後、マウスPan T cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec)を使用して、初代マウスT細胞を精製した。精製T細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone)、10mMのHEPES(Invitrogen)、2mMのL-グルタミン(Invitrogen)、MEM非必須アミノ酸1×(Invitrogen)、0.55mMのβ-メルカプトエタノール、1mMのピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)、100IU/mLの組換えヒトIL-2(Proleukin、Novartis)、及びマウス抗CD3/28 Dynabeads(Gibco)を補充したRPMI-1640中で、ビーズ:細胞比1:2で培養した。記載されるように、T細胞を、初期T細胞増殖の24時間後に、Phoenix-ECO細胞から収集されたレトロウイルス上清でスピノキュレートし(Kuhn et al.,Cancer Cell 35:473-488(2019))、3~4日後に機能分析に使用した。
【0299】
T細胞の遺伝子修飾。ヒト及びマウスSFG γ-レトロウイルスm.uPAR-28ζプラスミドは、前述のように、SFG-1928ζ骨格を使用して、ステップワイズGibson Assembly(New England BioLabs)によって構築した。Brentjens et al.,Nat Med 9:279-286(2003)、Davila et al.,PLoS One 8:e61338(2013)、Maher et al.,Nat Biotechnol 20:70-75(2002)、Brentjens et al.,Clin Cancer Res 13:5426-5435(2007)、Hagani et al.,J Gene Med 1:341-351(1999)。マウスuPARに特異的な一本鎖可変断片(scFv)のアミノ酸配列は、マウスuPARに対する選択的モノクローナル抗体(R&D.MAB531-100)の重鎖及び軽鎖可変領域から、Bioinformatics Solutions,Inc.によって実行される質量分析によって得られた。ヒトSFG-m.uPAR-h28z CARにおいて、m.uPAR scFvの前には、ヒトCD8aリーダーペプチドがあり、その後に、CD28ヒンジ-膜貫通-細胞内領域、及びP2A配列に連結し、切断型低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)の共発現を誘導するCD3ζ細胞内ドメインが続いた。マウスSFG-m.uPAR-m28z CARにおいて、m.uPAR scFvの前には、マウスCD8 aリーダーペプチドがあり、その後に、Mycタグ配列(EQKLISEEDL(配列番号58))、マウスCD28膜貫通ドメイン及び細胞内ドメイン、並びにマウスCD3ζ細胞内ドメインが続く。Kuhn et al.,Cancer Cell 35:473-488(2019)。SFGγレトロウイルスベクターをコードするプラスミドを使用して、gpg29線維芽細胞(H29)にトランスフェクトし、VSV-G偽型化レトロウイルス上清を生成し、これを使用して、記載されるように、安定なレトロウイルス産生細胞株を構築した。Brentjens et al.,Nat Med 9: 279-286 (2003)、Kuhn et al.,Cancer Cell 35: 473-488 (2019)。
【0300】
細胞傷害性アッセイ。CAR T細胞の細胞傷害性は、標準ルシフェラーゼベースのアッセイによって、又はカルセイン-AMベースの細胞傷害性アッセイによって決定した。ルシフェラーゼベースのアッセイでは、ホタルルシフェラーゼ(FFluc-GFP)を発現する標的細胞を、それぞれRPMI又はDMEM培地中でウェル当たり100μlの総体積で5×104個(NALM6及びEμ-ALL01の場合)又は1.5×104個(KPの場合)の標的細胞を有する黒壁96ウェルプレートを使用して、示されたエフェクター:標的比で3回CAR T細胞と共培養した。標的細胞のみを、同じ細胞密度でプレーティングして、最大ルシフェラーゼ発現(相対光単位(RLU))を決定した。4又は18時間後、100μlのルシフェラーゼ基質(Bright-Glo、Promega)を各ウェルに直接加えた。発光した光を、発光プレートリーダーで検出した。溶解は、(1-(RLU試料)/(RLUmax))×100として決定した。
【0301】
カルセイン-AMベースのアッセイについて、標的細胞(NALM6)に、20μMのカルセイン-AM(Thermo Fisher Scientific)を37℃で30分間充填し、2回洗浄し、完全培地中のウェル当たり200μlの総体積で、5×103個の標的細胞を有する96ウェルの丸底プレートにおいて、指示されたエフェクター:標的比で3回CAR T細胞と共インキュベートした。標的細胞単独を同じ細胞密度でプレーティングして自発的放出を決定し、2% Triton-X100(Sigma)で標的をインキュベートすることによって最大放出を決定した。4時間の共培養の後、上清を採取し、Sparkプレートリーダー(Tecan)を使用して遊離カルセインを定量した。溶解は、以下のように計算した。((実験的放出-自発的放出)/(最大放出-自発的放出))×100
【0302】
統計解析。データは、平均±s.e.m.又は平均±s.d.として表される。GraphPad Prism 6.0(GraphPad Software)を使用して、スチューデントのt検定によって統計分析を実行した。P値<0.05は、統計学的有意であるとみなした。生存時間は、カプラン・マイヤー法を使用して決定した。動物実験において試料サイズを予め決定するために統計的方法を使用しなかった。動物を処置群に無作為に割り当てた。
【0303】
実施例2:正常組織、肺線維症試料、及びCovid感染肺組織におけるuPAR発現
uPARは、以前に定義された基準(Perna,F.et al.Cancer Cell 32:506-519(2017)を参照されたい)によって、重要なヒト及びマウス組織においては発現されない(
図1A~1B)。
図1Cは、現在の臨床試験における他のCAR標的の発現プロファイルと比較して、ヒトプロテオームマップ(HPM)によって決定されるヒト生命組織におけるヒトuPAR(PLAUR)の発現プロファイルを示すヒートマップを示す。uPARは、肺線維症試料においても上方調節される(Munoz-Espin,D.et al.EMBO Mol Med 10:e9355(2018)を参照されたい)(
図2)。ブレオマイシン誘発性肺線維症を有するマウスの血漿において、より高いレベルのsuPARも検出された(
図3A~3C)。
【0304】
COVIDに罹患していた死亡患者からの組織学的スライドを検査した。
図1D~1Eに示されるように、uPAR陽性が、Covid患者の肺で観察された。シグナルの一部は、マクロファージ(lba1+細胞)及び線維化領域の線維芽細胞において観察された。
【0305】
実施例3:uPAR-CAR T細胞は、uPAR陽性標的細胞を選択的に標的とする
マウス及びヒトuPARに対して指向されるCAR T細胞を開発した(
図4B~4C及び4E~4H)。選択的モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を、質量分析によって決定した。その後、コードヌクレオチド配列は、選択的モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖のそれぞれのアミノ酸配列に由来した。SFGマウスuPAR28ζ CAR構築物を形質導入した初代ヒトT細胞は、その形質膜においてCARを効果的に発現した。T細胞を操作して、CD28共刺激及びCD3ζシグナル伝達ドメイン(m.uPAR-28z)に連結された抗マウス又は抗ヒトuPAR(m.uPAR)一本鎖可変断片(scFv)を含むuPAR特異的CARを発現させた(
図4A、4D、及び6Aを参照されたい)。
【0306】
CD19 CARの十分に特徴付けられた文脈におけるCAR活性を決定するために(Brentjens et al.,Nat Med 9:279-286(2003)、Davila et al.,PLoS One 8:e61338(2013))、ヒトCD19
+プレB急性リンパ芽球性白血病細胞株(B-ALL)NALM6及びマウスCD19
+B-ALL細胞株Eμ-ALL01を、マウスuPARを構成的に過剰発現させるように操作し、それらをCAR T細胞標的化のためのモデルとして使用した。
図5A及び
図6Bに示されるように、m.uPar-h.28zは、マウスuPARを発現する標的細胞に結合したが、マウスuPARを欠く対照細胞には結合しなかった。
図5Gは、FMO対照と比較した、マウスm.uPAR-m.28z、m.CD19-m.28z及び形質導入されていないT細胞の表面上のマウスuPAR(m.uPAR)の発現を示す。
【0307】
図5B~5C、及び6Cに示されるように、レトロウイルス形質導入されたヒト及びマウスm.uPAR-28z CARは、uPAR陰性細胞を同時に保護しながら、同じ細胞株においてm.uPAR又は内因性CD19を標的とする場合、それぞれのCD19 CAR(1928z又は.19-h.28z)対照と同等のインビトロ細胞傷害性を指向した。抗原特異的CAR活性は、
図5E~5Fに示されるように、抗原刺激時のT細胞活性化マーカーの増加した発現及び増強されたT細胞分化によって更に確認された。重要なことに、
図5Dに示されるように、内因性m.uPARを発現する標的細胞に対してCARの機能が衰えてないことは、老化KP細胞を標的としたときの高い細胞溶解活性及び抗原特異的グランザイムB(GrB)、並びにm.uPAR-28z CARのIFNγ分泌によって示されるように明らかであった。したがって、ヒト及びマウスm.uPAR-28z CAR T細胞の両方が、インビトロで選択的かつ効率的にuPAR陽性細胞を標的とした。
【0308】
抗マウスuPAR CAR T細胞がインビボでも選択的かつ有効であったかどうかを決定し、抗uPAR CAR T細胞の潜在的毒性を分析するために、uPAR-Nalm6細胞をNSGマウスに注射し、5日後に、形質導入されていないT細胞、抗ヒトCD19 CAR T細胞又は抗マウスuPAR CAR T細胞のいずれかを注入した(
図7A)。腫瘍成長は、形質導入されていないT細胞を受けたマウス又は未処置のマウスと比較して、抗マウスuPAR CAR T細胞で処置されたマウスにおいて著しく低下し、この低下は、抗ヒトCD19 CAR T細胞で処置されたマウスにおいて観察されたものと同等であった(
図7B~7D)。したがって、抗uPAR CAR T細胞で処置されたマウスは、未処置のマウス又は形質導入されていないT細胞で処置されたマウスと比較して、有意に増加した生存時間を示した(
図7E)。理論に拘束されることを望むものではないが、uPAR CAR T処置マウスで12日目から観察される腫瘍進行は、標的腫瘍細胞におけるuPAR発現の下方調節に起因すると考えられる。
【0309】
実施例4:uPAR-CAR T細胞は、肺線維症を治療するための方法において有効である。
uPARは、Covid感染患者(
図1D~1E)及び肺線維症のマウスモデル(
図2)からの肺において高度に発現されるため、セノリティック抗uPAR CAR T細胞は、COVID感染によって誘導される肺線維症の治療において治療効果があることが予想される。
【0310】
肺線維症の治療における抗m.uPAR CAR T細胞の有効性を試験するために、ブレオマイシン誘発性肺線維症の堅牢なマウスモデルを使用する。2~8ヶ月のこのC57Bl/6又はBABL/cマウスについて、前述のように、気管内送達を介して、2U/kgのブレオマイシン又はPBS(対照として)のいずれかを受ける。気管内送達マウスの7日後に、0.5~2×106個の抗m.uPAR CAR T細胞、m.19 CAR T細胞、又は形質導入されていないT細胞を対照として投与する。マウスを、気管内滴下の4週間後に回収し、それらの肺を、線維化の徴候について分析する。更に、動物を安楽死させる前に、プレチスモグラフィーを介してそれらに対して呼吸機能試験を実行する。肝線維症の文脈におけるuPAR CAR T細胞の有効性に基づいて、及び肺線維症のこのブレオマイシン誘導マウスモデルにおけるuPARの高発現を考慮すると、本技術のuPAR CAR T細胞による治療は、線維症の重症度を低減し、したがって肺線維症(COVID感染に起因する肺線維症を含む)を改善することが予想される。
【0311】
実施例5:uPAR-CAR T細胞は、放射線療法又は化学放射線療法を受けた患者の直腸腫瘍の治療に効果的である
変異型Krasの活性化、並びにApc及びp53(Apc
-/-、Kras
G12D/+、Tp53
-/-、以下、AKPと称する)の不活性化を伴う同系マウス直腸がん(RC)細胞株を作製し、これは、ヒトRC患者における共通の遺伝的組み合わせを表す。IR shRNAに対する抗腫瘍応答への放射線誘発性老化(RIS)の寄与を評価するために、RIS SASP誘導に必要とされるNF-κBサブユニットp65(RelA)をノックダウンするために使用した(Chien Y,Scuoppo C,Wang X,et al.Genes Dev.2011;25(20):2125-2136)。照射されたshRen(shRNA対照)では、主要なSASP因子のレベルの上昇が観察されたが、shp65 AKP細胞では観察されず、インビトロでは、SASPの抑制は、老化誘導又は内因性IR感受性に影響を及ぼさなかった(
図8A)。それにもかかわらず、免疫応答性レシピエントに移植された腫瘍の成長を抑制するIRの能力は、p65抑制によって損なわれた。移植された腫瘍は、免疫不全性NOD/SCID/IL2Rγヌル(NSG)マウスにおけるshp65発現にかかわらず、障害応答を示したので、この効果は、無傷の免疫系に依存する(
図8B)。総合すると、これらの結果は、RIS及びSASPが、おそらく免疫依存性エフェクターを介して、IR後の局所的な腫瘍退縮に寄与することを示す。
【0312】
RIS及びSASPが、マウスでの腹部効果に寄与するかどうかを試験するために、SASPプロフィシエントAKP腫瘍を左側腹部(指標腫瘍)に誘導し、SASPプロフィシエントshRen又はSASP欠損shp65若しくはshBrd4 AKP腫瘍を右側腹部(標的腫瘍)に誘導した(
図9A)。Brd4は、多くのSASP遺伝子に隣接するスーパーエンハンサーの形成を指示する重要なSASP調節因子であり(Tasdemir N, Banito A, Roe JS, et al.Cancer Discov.2016;6(6):612-629)、その抑制は、SASP機能を尋問する直交手段を提供する。注目すべきことに、小分子薬物を使用する全身性NF-kb又はBrd4阻害とは対照的に、このアプローチは、結果を解釈するための重要な特徴である腫瘍細胞におけるp65及びBrd4のみを破壊する。αPD-1を伴う指標腫瘍の成長は、IRの非存在下でも同様の増殖速度を示したが(
図9B~9C)、これらのフィールド外腫瘍は、対側標的腫瘍(15Gy)の照射後の有意な成長遅延を示し(
図9D)、αPD-1の添加によって増強された効果を示した(
図9E)。この「アブスコパル効果(abscopal effect)」は、標的腫瘍におけるshp65及びshBrd4ノックダウンによって軽減され(
図9D~9E)、これらの効果を媒介するSASPの役割を示した。3つの独立した細胞株で同様の結果が観察された(データは示さず)。したがって、老化及びSASPを誘導するIRの能力は、ある程度のレベルの抗腫瘍免疫を刺激することができるように見える。
【0313】
次に、uPAR発現がIR後に増加するかどうかを評価しようと試みた。uPARは翻訳後レベルで調節されているため、表面タンパク質発現を評価するためにIFを使用した。uPAR表面発現は、中程度のベースライン発現を上回るAKP腫瘍細胞においてIRによって誘導される(
図10A)。uPARの発現は、我々のAKP管腔内RCモデル(
図10B)において、IR後に有意に増加する。uPARはまた、切断され、可溶性uPAR(suPAR)として分泌され得る。IRがsuPARのレベルの上昇を認めた8日後に、ヒトRCオルガノイドから収集した条件培地(
図10C)。更に、RC患者において、suPARレベルは、IR療法とともに時間的に増加することが示された(
図10D)。IRは、マウス及びヒトモデルにおいて、老化及びuPAR発現並びにsuPAR分泌を誘導する。
【0314】
実施例6:uPAR-CAR T細胞は、老齢マウスにおける体力の改善に効果的である
p16-lucは、老化細胞において活性化され、年齢とともに発現が上昇することが知られている。12ヶ月のp16
ルシフェラーゼマウスに、マウスuPAR、ヒトCD19、又は形質導入されていないT細胞を標的とする0.5×10
6個のCAR T細胞を注射した(
図11A)。
図11B~11Cに示すように、老齢マウスをuPAR CAR-T細胞で処置すると、p16
ルシフェラーゼシグナルが有意に減少した。
【0315】
3ヶ月、12ヶ月又は20ヶ月のBl/6マウスに、マウスuPAR又はヒトCD19又は形質導入されていないT細胞のいずれかを標的とする0.5×10
6個のCAR T細胞を注射した(
図12A)。uPAR CAR T細胞で処置された老齢マウスは、トレッドミル走行(
図12B)及び握力(
図12D)の改善を示した。
【0316】
均等物
本技術は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではなく、これは本技術の個々の態様の単一の例示として意図される。当業者に明白であろうように、本技術の多くの修飾及び変形は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本技術の範囲内の機能的に等価な方法及び装置は、前述の説明から当業者には明白であろう。そのような修飾及び変形は、本技術の範囲内に入ることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物組成物、又は生物学的システムに限定されず、これは、もちろん、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0317】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、当業者は、本開示が、それによってマーカッシュ群のいずれかの個々のメンバー又はメンバーのサブグループの観点からも記載されることを認識するであろう。
【0318】
当業者によって理解されるであろうように、いずれか又は全ての目的のために、特に書面による説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、いずれか及び全ての可能な部分範囲並びにそれらの部分範囲の組み合わせを包含する。いずれかの列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に説明し、それを可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下位3分の1、中位3分の1、及び上位3分の1などに容易に分解することができる。また当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などの全ての言語は、列挙された数を含み、上記で考察されるように部分範囲にその後分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるであろうように、範囲は、各個々のメンバーを含む。よって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1、2、又は3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4、又は5個の細胞を有する群を指し、同じように続く。
【0319】
本明細書で言及又は引用される全ての特許、特許出願、仮出願、及び刊行物は、それらが本明細書の明示的な教示と矛盾しない限り、全ての図及び表を含む、それらの全体が参照により組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】