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特表2024-514159ファイバ構成、光学システム、及び光学システムを動作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ファイバ構成、光学システム、及び光学システムを動作する方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/365 20060101AFI20240321BHJP
   G02B 6/032 20060101ALI20240321BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G02F1/365
G02B6/032 A
G02B6/02 451
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562855
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 DK2022050076
(87)【国際公開番号】W WO2022218491
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】PA202170177
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506179491
【氏名又は名称】エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】モーゼルンド、ピーター
【テーマコード(参考)】
2H250
2K102
【Fターム(参考)】
2H250AC53
2H250AF04
2H250AF28
2K102AA05
2K102BA20
2K102BB03
2K102BC02
2K102BC06
2K102CA18
2K102DA06
2K102DD01
2K102EB26
2K102EB30
(57)【要約】
ファイバ構成、特に広帯域光を提供するためのファイバ構成、好ましくは紫外周波数範囲において、広帯域光を提供するためのファイバ構成であって、中空コア光ファイバ(11)と、ピエゾデバイス(25)が配置されているチャンバ(27)を有する1つ以上のハウジング(15)と、を備え、前記ピエゾデバイス(25)は、可変長を有し、前記チャンバ(27)は、前記ピエゾデバイス(25)の長さの変化によって中空コア(13)及び前記チャンバ(27)が気体又は気体の混合物などの流体のために提供する体積(23)のサイズの変化が引き起こされるように、前記ファイバ(11)の前記中空コア(13)と流体連通状態にある、ファイバ構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバ構成、特に広帯域光を提供するためのファイバ構成、好ましくは紫外周波数範囲において、広帯域光を提供するためのファイバ構成であって、
中空コア光ファイバ(11)と、
ピエゾデバイス(25)が配置されているチャンバ(27)を有する1つ以上のハウジング(15)と、を備え、前記ピエゾデバイス(25)は、可変長を有し、前記チャンバ(27)は、前記ピエゾデバイス(25)の長さの変化によって中空コア(13)及び前記チャンバ(27)が気体又は気体の混合物などの流体のために提供する体積(23)のサイズの変化が引き起こされるように、前記ファイバ(11)の前記中空コア(13)と流体連通状態にある、ファイバ構成。
【請求項2】
前記ハウジング(15)は、前記ハウジング(15)の軸方向第1端における開口部と、前記ハウジング(15)の軸方向第2端における開口部と、を有する貫通孔を備え、前記ファイバ(11)は、前記貫通孔に挿入されている、請求項1に記載のファイバ構成。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記ファイバ(11)に対して取り付けられているフェルール(15)であり、前記フェルール(15)は、前記ファイバ(11)が挿入されている前記貫通孔を提供する管状本体(17)を備える、請求項2に記載のファイバ構成。
【請求項4】
前記ハウジング、特にフェルール(15)が、前記ファイバ(11)の一端に対して取り付けられているか、少なくとも2つのハウジング、特にフェルール(15)について、一方のハウジング(15)が前記ファイバ(11)の一端に対して取り付けられており、他方のハウジングが前記ファイバ(11)の他端に対して取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項5】
光学窓(19)がそれぞれの前記ハウジング(15)の前記軸方向第1端における前記貫通孔の前記開口部を閉じており、1つのファイバ端が前記ハウジング(15)の前記貫通孔の前記軸方向第2端に挿入されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項6】
前記チャンバ(27)は、環状形態を有し、前記ハウジング(15)の貫通孔の周りに周方向(C)に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項7】
前記チャンバ(27)は、前記ハウジング(15)の貫通孔の中心軸(A)に対して平行に又は角度をなして配置されている中心軸(B)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項8】
前記フェルール(15)は、前記ファイバ(11)を保持するとともに調芯するように構成されている光ファイバフェルール(15)であり、前記ピエゾデバイス(25)は、前記ファイバ(11)の前記体積が前記ピエゾデバイス(25)及び前記光ファイバフェルール(15)を介して制御されるように、前記フェルール(15)に配置されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項9】
充填物(37)、特に気密充填物、変形可能な材料の充填物、又はその両方が、前記ピエゾデバイス(25)の外面(39)と、前記チャンバ(27)の内面(41)との間に配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項10】
最大伸長位置において、前記ピエゾデバイス(25)は、前記ピエゾデバイス(25)が配置されている前記チャンバ(27)の全長にわたって延在する、請求項1~9のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項11】
1つ以上の流体チャンネル(29)が前記ハウジング(15)を通って径方向に延在して、前記チャンバ(27)を前記ハウジング(15)に設けられている前記貫通孔と流体接続する、請求項1~10のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項12】
いくつかの流体チャンネル(29)が前記貫通孔の周囲の周りに等間隔に離間して配置されているか、
前記貫通孔の周りに周方向(C)において、4つの流体チャンネル(29)が90°ずつずらして配置されている、請求項11に記載のファイバ構成。
【請求項13】
前記ファイバ構成は、気密である、請求項1~12のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項14】
前記ファイバ(11)は、反共振中空コアファイバであるか、中空コアフォトニックバンドギャップファイバである、請求項1~13のいずれか一項に記載のファイバ構成。
【請求項15】
光学システム、特に広帯域光を提供するための光学システムであって、
請求項1~14のいずれか一項に記載のファイバ構成と、
前記ファイバ構成にレーザパルスを提供するためのパルスレーザ源と、
前記ファイバ構成の1つ以上のハウジング(15)に配置されている前記ピエゾデバイス(25)を駆動するための1つ以上のピエゾ駆動体と、を備える光学システム。
【請求項16】
前記1つ以上のピエゾ駆動体(25)は、前記レーザパルスのパルス繰り返し率に応じて前記ピエゾデバイス(25)を駆動するように構成されているか、前記1つ以上のピエゾデバイス(25)の長さが変化することによる前記流体の密度又は圧力における変化が50%よりも大きいか、又はその両方である、請求項15に記載の光学システム。
【請求項17】
前記ファイバ構成は、前記ファイバ(11)に沿って互いから一定の距離に配置されている2つ以上のハウジング、特にフェルール(15)を備え、前記1つ以上のピエゾ駆動体は、前記2つ以上のハウジング(15)の前記ピエゾデバイス(25)を駆動するように構成されており、前記ファイバ(11)の前記中空コア(13)において所望の圧力分布を生成する、特に前記ファイバ(11)の前記中空コア(13)において均一な圧力分布又は圧力勾配を生成する、請求項15又は16に記載の光学システム。
【請求項18】
前記ファイバ構成は、各ファイバ端において1つ以上のハウジング、特にフェルール(15a,15b)を備え、随意で、前記ファイバ(11)の中間部分上に1つ以上のハウジング、特にフェルール(15c)を備える、請求項15~17のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか一項に記載の光学システムを用いて、光を生成する方法、特に広帯域光を、特にUV周波数範囲において、広帯域光を生成する方法であって、
レーザパルスを前記ファイバ構成の中に入力して、前記ファイバ構成によって出力されるパルス、特に広帯域パルスを生成する入力工程と、
前記入力工程の間に、前記1つ以上のハウジング(15)に配置されている前記ピエゾデバイス(25)を制御して、所望の周波数スペクトルを有する前記パルス、特に広帯域パルスを生成するか、異なるパルスが異なる周波数スペクトルを含むように前記パルスを生成する工程と、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファイバ構成、特に広帯域光を提供するためのファイバ構成、好ましくは紫外周波数範囲において、広帯域光を提供するためのファイバ構成と、光学システムと、光学システムを動作するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
中空コア光ファイバは、入力放射を広帯域放射に変換するために採用されることが可能である。そうした光ファイバの中空コアは、流体(特に気体)で充填されることが可能である。例えば、流体の充填された中空コアファイバは、紫外周波数範囲における広帯域光パルスをファイバの中空コアへの適当なレーザパルスの入力から生成するように使用されることが可能である。出力される広帯域光パルスは、例えば、約25nm~約125nmの間のスペクトル幅を有し、約375nm~約240nmの間の中心波長を有することが可能である。広帯域パルスの幅は、典型的には、その広帯域パルスの中心波長が小さいほど狭くなる。広帯域出力パルスの中心波長の位置は、中空コアにおける流体の圧力に依存する。広帯域出力パルスの中心波長は、典型的にはコアにおける流体の圧力が大きいほど大きくなる。ゆえに、様々な中心波長を有する複数の広帯域出力パルスがコアにおける流体についての様々な圧力を使用して生成されることが可能であり、これらの広帯域出力パルスは、例えば225nm~450nmの間の波長を有する紫外領域における広いスペクトル範囲をカバーすることが可能である。広帯域出力パルスによって提供されるスペクトルを迅速に変化させることが望ましいことがある。さらにまた、そうした複数の広帯域出力パルスによってカバーされる広いスペクトル範囲にわたって急速に掃引することが可能であることが望ましいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、レーザ光パルス(特に広帯域光パルス)を提供することが可能であり、例えば広いスペクトル範囲にわたる迅速な掃引を可能にするファイバ構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
該目的は、請求項1の特徴に従ったファイバ構成によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において説明されている。
いくつかの実施形態では、ファイバ構成、特に広帯域光を提供するためのファイバ構成、好ましくは紫外周波数範囲において、広帯域光を提供するためのファイバ構成は、中空コア光ファイバと、ピエゾデバイスが配置されているチャンバを有する1つ以上のハウジングと、を備え、前記ピエゾデバイスは、可変長を有し、前記チャンバは、前記ピエゾデバイスの長さの変化によって中空コア及び前記チャンバが気体又は気体の混合物などの流体のために提供する体積のサイズの変化が引き起こされるように、前記ファイバの前記中空コアと流体連通状態にある。
【0005】
ピエゾデバイスは、ファイバの中空コア及びチャンバにおける流体のために提供されている体積のサイズを変化させることが可能であるので、流体の圧力がそれに対応して変化することが可能である。特に、理想気体の法則P=nRT/V(Pが圧力、nがモル数、Rが気体定数、Tがケルビン温度、Vが体積である)は、圧力が体積の逆数に比例することを示す。従って、中空コア及びチャンバにおける流体のために利用可能な体積の減少によって圧力増加が引き起こされる一方で、体積の増加によって圧力減少が引き起こされる。
【0006】
体積の変化は、ピエゾデバイスの長さの変化から得られる。ピエゾデバイスの長さは、非常に迅速に(例えば約10kHzのオーダーにおいて)変化することが可能である。さらに、ピエゾデバイスは、通常、長期の信頼性を提供する。それにより、例えば、レーザパルスを流体の充填された中空コアファイバの中に入力することから得られる広帯域出力パルスのスペクトルは、ピエゾデバイスの長さに依存して高い再現性で迅速に変化することが可能である。
【0007】
ピエゾデバイスは、ピエゾ材料を含むか、ピエゾ材料から形成されることが可能である。ピエゾ材料は、ピエゾ材料に対して提供される電気信号に応答してその長さを変化させることが可能である。そうしたピエゾ材料自体は、従来技術において知られている。
【0008】
ハウジングは、ピエゾデバイスをチャンバにおいて気密に収容することが可能であるので、チャンバと中空コアとの間の流体連通が環境に対して気密である。
前記ハウジングは、前記ハウジングの軸方向第1端における開口部と、前記ハウジングの軸方向第2端における開口部と、を有する貫通孔を備えることが可能であり、前記ファイバは、前記貫通孔に挿入されていることが可能である。貫通孔は、ファイバを収容することが可能であり、チャンバは、貫通孔と流体連通状態にあることが可能である。貫通孔は、ファイバを気密に封止することが可能である。貫通孔の直径は、ファイバの外径に対応するか、ファイバの外径よりわずかに大きいことが可能である。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記ハウジングは、前記ファイバに対して取り付けられているフェルールであり、前記フェルールは、前記ファイバが挿入されている前記貫通孔を提供する管状本体を備える。フェルールは、特に気密に、ファイバに対して容易に固定されることが可能である。
【0010】
なお、本開示によれば、ハウジングがフェルールであり、ハウジングが一般的にハウジング(セル又はチャンバ等)であるこれらの実施形態では、ピエゾデバイスはハウジングに配置されている。これは、ピエゾデバイスが動作しており、その長さが変化する時、次いでまた、ファイバの長さも変化することを意味し得る。換言すると、本開示によって、ハウジングに配置されているピエゾデバイスを使用してハウジングの体積及び/又は長さを制御することによりファイバの長さを制御することによって、ファイバ内部の流体の体積の制御が提供される。係る特定の構成は、気体の圧力の迅速な変化だけでなく、気体の圧力の非常に正確な制御も保証する。従って、本開示によって、特に広帯域光パルスを非常に効率的に生成することが可能であるように、ファイバ内部の圧力を迅速かつ正確に制御するための解決策が提供される。
【0011】
欧州特許出願公開第3705942号明細書などの先行技術は、典型的に、圧力を直接制御することによって、ファイバ内部の圧力を制御する。
理想気体の法則は該分野において既知であるが、体積を制御することによってファイバの圧力を間接的に制御することは、単にファイバにおける圧力を直接制御することが最も明白かつ最も単純な手法であるので、以前には行われたことがない。さらに、圧力を調整すること(特に欧州特許出願公開第3705942号明細書におけるような高圧まで)及び/又は温度を調整することによって、圧力がファイバにおいて制御される時、ファイバのためのハウジングは、体積変化に対して非常に堅牢に作られており、従ってハウジングは、体積における変化に耐えるように構成されている。換言すると、特に広帯域光パルスの生成のためのファイバにおける流体の圧力制御に関する先行技術において、ファイバのためのハウジングの体積を変化させることは選択肢にない。
【0012】
今や本開示によって、その体積を変化させるように構成されているハウジングを使用して、特に広帯域光パルスの生成のために、ファイバにおける圧力を制御する分野に対して新たな知見が提供される。
【0013】
フェルールは、上記に説明されているように、ハウジングの一実施形態である。フェルールは、光ファイバの分野において既知であり、従って光ファイバフェルールとして既知である。光ファイバフェルールは、機械的固定具、一般的に剛性管であり、ファイバ又はファイバ束の被覆を剥ぎ取った端を閉じ込めるように構成され得る。光ファイバフェルールは、例えば光信号の散乱及び減衰を予防するために、光ファイバを調芯及び/又は研磨するように構成され得る。ほとんどの光ファイバフェルールは、ステンレス鋼などの金属製、アルミナ又はジルコニアなどのセラミックス製、又はプラスチック材料製である。また、ホウケイ酸ガラス及びガラス製の光ファイバフェルールも利用可能である。ほとんどの光ファイバフェルールは、直接ドロー(direct-draw)又はリドロー(redraw)プロセスを用いて製造されて、ダイヤモンドソーブレードを用いて所定の長さに切断される。スプライス損失及び端部空隙(エンドギャップ)などの問題を防止するために、それらの光ファイバフェルールでは、中心を通じてファイバクラッドの直径よりもわずかに大きい直径の孔が形成されている。次いで、引込部のブロー、酸エッチング、又はドリルでの皿穴形成が行われる。
【0014】
ハウジングがフェルール、特に上記のように光ファイバフェルールである実施形態では、フェルールは、ファイバの被覆を剥ぎ取った端を閉じ込めることと、ファイバにおける圧力を制御することとの両方の役割を果たし得る。ファイバにおける圧力は、前述したように、フェルール及びピエゾデバイスを介して制御される。一実施形態では、前記フェルールは、前記ファイバを保持するとともに調芯するように構成されている光ファイバフェルールであり、前記ピエゾデバイスは、前記ファイバの体積が前記ピエゾデバイス及び前記光ファイバフェルールを介して制御されるように、前記フェルールに配置されている。フェルールの材料は、係る実施形態では、ピエゾデバイスによって設定されるような体積変化に対する反応を決定し得る。ピエゾデバイスとの組み合わせにおいて光ファイバフェルールを使用することによって、ファイバ及び流体を保持することと、ファイバにおける流体の圧力を制御することとの両方が可能であるコンパクトな設計が可能になる。ピエゾデバイスが光ファイバフェルールに配置されている時、ファイバの長さが非常に正確に制御されることが可能である。従って、ファイバ内部の体積、従って圧力は、非常に正確かつ迅速に制御されることが可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記ハウジング、特にフェルールが、前記ファイバの一端に対して取り付けられているか、少なくとも2つのハウジング、特にフェルールについて、一方のハウジングが前記ファイバの一端に対して取り付けられており、他方のハウジングが前記ファイバの他端に対して取り付けられている。
【0016】
光学窓がそれぞれの前記ハウジングの前記軸方向第1端における前記貫通孔の前記開口部を閉じることが可能であり、1つのファイバ端が前記ハウジングの前記貫通孔の前記軸方向第2端に挿入されていることが可能である。ハウジングは、光学窓と併せて、ファイバの一端を封止するために使用されることが可能である。
【0017】
前記チャンバは、環状形態を有することが可能であり、前記ハウジングの貫通孔の周りに周方向に延在することが可能である。従って、コンパクトな構成が得られることが可能である。
【0018】
前記チャンバは、前記ハウジングの貫通孔の中心軸に対して平行に又は角度をなして配置されている中心軸を備えることが可能である。チャンバの中心軸は、ピエゾデバイスがその長さを変化させることが可能な方向を決定することが可能である。ピエゾデバイスがその長さを伸長することが可能な方向は、例えば、貫通孔の中心軸、従ってファイバの中心軸に対して90°の角度であることが可能である。
【0019】
チャンバは、ピエゾデバイスがチャンバに適切に収容されるように寸法が決定されていることが可能である。チャンバの形態は、ピエゾデバイスの形態に対応することが可能であり、チャンバの寸法は、ピエゾデバイスの寸法に少なくともほぼ対応することが可能である。
【0020】
いくつかの実施形態では、充填物、特に気密充填物、変形可能な材料の充填物、又はその両方が、前記ピエゾデバイスの外面と、前記チャンバの内面との間に配置されている。ピエゾデバイスは、充填物において緩衝されることが可能であり、ピエゾデバイスの長さが伸長される間、充填物は、ピエゾデバイスの外径の減少を埋め合わせることが可能である。充填物は、ピエゾデバイスの外面とチャンバの内面との間の領域を封止することが可能である。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記ピエゾデバイスの最大伸長位置において、前記ピエゾデバイスは、前記ピエゾデバイスが配置されている前記チャンバの全長にわたって延在する。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体チャンネルが前記ハウジングを通って径方向に延在して、前記チャンバを前記ハウジングに設けられている前記貫通孔と流体接続する。
【0023】
いくつかの実施形態では、いくつかの流体チャンネルが前記ハウジングの貫通孔の周囲の周りに等間隔に離間して配置されている。その数は、2,3,4,5,6等の任意の数であることが可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記貫通孔の周りに周方向において、4つの流体チャンネルが90°ずつずらして配置されている。
いくつかの実施形態では、前記ファイバ構成は、気密構成である。
【0025】
前記ファイバは、反共振中空コアファイバであるか、中空コアフォトニックバンドギャップファイバであることが可能である。
いくつかの実施形態では、本発明はファイバ構成に関し、ファイバ構成は、中空コア光ファイバと、ファイバに対して取り付けられている1つ以上のフェルールとを備える。フェルールは、ファイバが挿入される貫通孔を提供する管状本体を備える。フェルール及び中空コアは、気体又は気体の混合物などの流体のために体積を提供して、可変長を有するピエゾデバイスは、ピエゾデバイスの長さの変化によって、流体が利用可能な体積のサイズの変化が引き起こされるように、フェルールに配置されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、フェルールがファイバの一端に対して取り付けられ、光学窓がフェルールの軸方向第1端上に配置されており、1つのファイバ端は、管状本体の軸方向第2端の中に挿入されている。フェルールは、1つのファイバ端を気密に封止することが可能である。光学窓は、フェルールがファイバの入力端と出力端とのどちらに対して取り付けられているかによって、中空ファイバの中に放射を結合するか、ファイバから広帯域放射を出力するように機能することが可能である。好ましくは、ファイバ構成は少なくとも2つのフェルールを備え、一方のフェルールがファイバの入力端に対して取り付けられており、他方のフェルールがファイバの出力端に対して取り付けられている。
【0027】
1つ以上のフェルールがファイバの中間部分に配置されることが可能である。ファイバの中間部分は、ファイバ端ではないファイバの部分である。従って、ファイバは、フェルールの管状本体を通って突出することが可能である。いくつかの実施形態では、複数のフェルールが、ファイバの中間部分上に、例えば規則的な間隔で配置されている。ファイバの中間部分上に配置されている1つ以上のフェルールは、ファイバの中空コア内に均一な圧力分布を提供するのに役立つことが可能であるか、ファイバの中空コアの長さに沿って所望の圧力勾配を提供するのに役立つことが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、ピエゾデバイスは、フェルールのチャンバに配置されており、チャンバは、管状本体の内部及び中空ファイバと流体連通状態にある。フェルールは、ピエゾデバイスを収容するための保管場所として機能することが可能である。ピエゾデバイスに電気信号を提供するための電気線は、フェルールから、特に気密に導出されることが可能である。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記チャンバは、環状形態を有し、前記フェルールの前記管状本体の周りに周方向に配置されている。ピエゾデバイスは、また、輪状形態を有し、それは、環状チャンバの中に嵌装するように設計されることが可能である。環状チャンバの中心軸は、ファイバの中心軸に少なくともほぼ対応することが可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、チャンバは、円筒形態を有することが可能である。フェルールがファイバ上に取り付けられる時、円筒形チャンバの中心軸は、中空ファイバの中心軸に対して平行に又は角度(例えば90°)をなして配置されていることが可能である。
【0031】
いくつかの実施形態では、チャンバは、ピエゾデバイスがチャンバに適切に収容されるように寸法が決定されている。従って、チャンバは、ピエゾデバイスの外形に対応することが可能な形態を有することが可能である。
【0032】
いくつかの実施形態では、充填物、特に気密充填物、変形可能な材料の充填物、又はその両方が、前記ピエゾデバイスの外面と、前記チャンバの内面との間に配置されている。ピエゾデバイスは、充填物において緩衝されることが可能である。充填物は、ピエゾデバイスの長さが伸長される間、ピエゾデバイスの外径の減少を埋め合わせることが可能である。充填物は、ピエゾ素子の外面と、ピエゾ素子の外面に面するチャンバの内面との間の領域を特に封止することが可能である。それにより、ピエゾデバイスの長さの伸長のために利用可能であり得るスペースの中に流体は流入することが不可能であり、そのためピエゾ素子の外面とチャンバの内面との間の領域において、ピエゾ素子の外径が減少することが可能である。むしろ、ピエゾデバイスは、ピエゾデバイスの長さが伸長される時、チャンバの外に流体を押し出すことが可能であるピストンとして機能することが可能である。
【0033】
いくつかの実施形態では、ピエゾデバイスの長さは、最大伸長位置と最小伸長位置との間で変化可能である。これに対応して、体積は、ピエゾデバイスが最大伸長位置である時の最小体積と、ピエゾデバイスが最小伸長位置である時の最大体積との間で変化可能であることが可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、最大伸長位置において、前記ピエゾデバイスは、前記ピエゾデバイスが配置されている前記チャンバの全長にわたって延在することが可能である。
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体チャンネルが前記管状本体を通って径方向に延在して、前記チャンバを前記管状本体の内部と流体接続する。いくつかの実施形態では、いくつかの流体チャンネルが前記管状本体の周囲の周りに等間隔に離間して配置されている。流体チャンネルの数は、2,3,4,5等の任意の数であることが可能である。いくつかの実施形態では、周方向において、4つの流体チャンネルが90°ずつずらして配置されている。
【0035】
本開示は、また、光学システム、光パルス(広帯域光パルス等)を提供するための光学システムにも関する。該光学システムは、本発明に従ったファイバ構成と、前記ファイバ構成にレーザパルスを提供するためのパルスレーザ源と、前記ファイバ構成の1つ以上のハウジング(特にフェルール)に配置されている前記ピエゾデバイスを駆動するための1つ以上のピエゾ駆動体と、を備える。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上のピエゾ駆動体は、前記レーザパルスのパルス繰り返し率に応じて前記1つ以上のピエゾデバイスを駆動するように構成されている。
いくつかの実施形態では、前記ファイバ構成は、前記ファイバに沿って互いから一定の距離に配置されている2つ以上のハウジング、特にフェルールを備え、前記1つ以上のピエゾ駆動体は、前記2つ以上のハウジング(特にフェルール)の前記ピエゾデバイスを駆動するように構成されており、前記ファイバの前記中空コアにおいて所望の圧力分布を生成する。特に、前記ファイバの前記中空コアの長さに沿った均一な圧力分布又は圧力勾配が生成されることが可能である。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記ファイバ構成は、各ファイバ端において1つ以上のハウジング、特にフェルールを備え、随意で、前記ファイバの中間部分上に1つ以上のハウジング、特にフェルールを備える。
【0038】
本開示は、また、本発明に従った光学システムを用いた、光パルス、特に広帯域光パルス、特に紫外周波数範囲における広帯域光パルスを生成する方法にも関する。
いくつかの実施形態では、該方法は、レーザパルスを前記ファイバ構成の中に入力して、前記ファイバ構成によって出力される光パルス、特に広帯域光パルスを生成する入力工程と、前記入力工程の間に、前記1つ以上のハウジング(特にフェルール)に配置されている前記1つ以上のピエゾデバイスを制御して、所望の周波数スペクトルを有する前記光パルスを生成するか、異なるパルスが異なる周波数スペクトルを含むように前記パルスを生成する工程と、を備える。生成されたパルスは、特に広帯域光パルスであることが可能である。1つ以上のピエゾデバイスによって、ファイバの中空コアにおける流体の圧力分布を制御することが可能になる。結果として、生成された広帯域出力パルスによってカバーされるスペクトル範囲は、1つ以上のピエゾデバイスの長さに依存して制御されることが可能である。1つ以上のピエゾデバイスは、生成された出力パルスが所望のスペクトル範囲をカバーするように特に制御されることが可能である。他の実施形態では、一連の広帯域出力パルスのパルスがより大きいスペクトル範囲にわたって掃引されるように、1つ以上のピエゾデバイスが制御されることが可能である。
【0039】
生成された出力パルスは、紫外波長領域(例えば、380nm未満)における波長を有することが可能である。
本発明はまた、ファイバ構成、特に光パルス(広帯域光パルス等)を提供するためのファイバ構成、好ましくは紫外周波数範囲において、光パルスを提供するためのファイバ構成にも関する。該ファイバ構成は、中空コア及び流体(気体又は気体の混合物など)のための体積を有する中空コア光ファイバと、ピエゾデバイスの長さの変化によって、流体の体積における流体の密度又は圧力の変化が引き起こされるように配置されている可変長のピエゾデバイスと、を備える。
【0040】
説明される装置及び方法は、中空ファイバにおいて生じることが可能であり中空コアにおける流体の圧力に依存する、非線形効果を調整するために採用されることが可能である。従って、ピエゾデバイスは、ファイバの中空コアにおける流体の密度を変化させるか調整することが可能であり、それによって流体密度に依存する任意の非線形効果に影響を与えることが可能であり、これに対応して、ファイバにおける光パルスの生成に使用されることが可能である。
【0041】
本発明の好ましい実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】先行技術から知られているファイバ構成の概略断面図。
図2】本発明に従ったファイバ構成の一実施形態の概略断面図。
図3図2のファイバ構成の概略断面図。
図4図2のファイバ構成のさらなる概略断面図。
図5】本発明に従ったファイバ構成のさらなる実施形態の概略断面図。
図6】ファイバ構成のさらなる実施形態の概略断面図。
図7】本発明に従ったファイバ構成のさらなる実施形態の概略断面図。
図8】本発明に従った光学システムを概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示されるファイバ構成は、中空コア13を有する光ファイバ11を備える。コア13は、ファイバの長さに沿って延びており、そこでファイバ11の中心部分を形成する。コア13は、ファイバの1つ以上のクラッドによって囲まれている。コア13は中空なので、それは流体(例えば、気体又は気体の混合物)で充填されることが可能である。
【0044】
ファイバ構成11は、ハウジング15を備え、ハウジング15は、説明される例においては、フェルールである。フェルール15は、ファイバ11を挿入するための貫通孔を提供する管状本体17を有する。管状本体17の貫通孔は、軸方向の一端において開いている。ファイバ11の一端は、図1において示されるように、管状本体17の貫通孔の開放端の中に挿入される。フェルール15における貫通孔の軸方向の他端は、光学窓19を用いて閉じられており、光学窓19は、光ファイバ11の中に入力されるレーザパルスのための入射窓として機能することが可能である。
【0045】
また、ハウジングは、フェルール以外の別の要素であることも可能であり、例えば、それは、ピエゾデバイスのためのチャンバと、ファイバ11を挿入するための貫通孔とを提供する材料ブロック(図示せず)であることが可能である。
【0046】
集束レーザパルスの光円錐21が図1において示される。ファイバ11のファイバ端は、光学窓19から離れている。ゆえに、フェルール15の長さ内においても、レーザパルスがファイバコア13の直径よりも小さい断面スポットサイズまで集束されることが可能である。それにより、ファイバ11のクラッドの材料のアブレーションが避けられることが可能である。クラッドの典型的な材料は、シリカである。シリカ表面に対するアブレーション閾値は、典型的にはフェムト秒パルスに対しておよそ3J/mcである。ファイバコア13の直径の例示的な値は、27μmである。
【0047】
対応するフェルール15は、ファイバ11の反対側の端部において配置されることが可能であり(図示せず)、係るフェルールの光学窓19は、入力レーザパルスからファイバ11において生成される広帯域光パルスのための出力窓として機能することが可能である。両方のフェルール(すなわち、第1のファイバ端におけるフェルール15及び第2のファイバ端における他方のフェルール)は、ファイバ端を気密に閉じることが可能である。
【0048】
フェルール15の管状本体17の内部及び中空コア13において提供される体積23は、気体又は気体の混合物等の流体で充填されることが可能である。流体は、入力レーザパルスと相互作用して、例えば、入力光パルスと流体との間の相互作用中に生じる非線形プロセスによって、広帯域光パルス又はスーパーコンティニューム光パルスでさえ形成することが可能である。
【0049】
図2図4は、本発明に従ったファイバ構成の一実施形態を示す。ファイバ構成は、フェルール15に配置されているピエゾデバイス25を備える。より詳細には、ピエゾデバイス25は、フェルール15のチャンバ27に配置されている。チャンバ27は、管状本体17の内部及び中空ファイバ11のコア13と流体連通状態にある。
【0050】
図2図4の実施形態では、1つ以上の流体チャンネル29が管状本体17を通ってチャンバ27から管状本体17の内部まで径方向に延在する。ゆえに、流体のために利用可能な体積は、チャンバ27の体積によって拡張される。
【0051】
図4において示されるように、説明される実施形態では、4つの流体チャンネル29が周方向Cに対して90°ずつずらして配置されており、管状本体17を通って径方向に延在して、チャンバ27及び管状本体17の内部及び中空コア13を流体接続する。
【0052】
図2及び図3に関して示されるように、ピエゾデバイス25の長さは、可変である。ピエゾデバイス25の長さの変化によって、流体のために使用可能な体積のサイズの変化が引き起こされる。その結果、例えば理想気体の法則から明らかであるように、体積23における流体の圧力は、ピエゾデバイス25の長さに依存して変化することが可能である。
【0053】
図2図4の実施形態では、チャンバ27は、環状形態を有し、フェルール15の管状本体17の周りに周方向Cにおいて延在するハウジングセクション31に配置される。ハウジングセクション31及び管状本体17は、好ましくは単一片を形成する。さらにまた、好ましくは、チャンバ27は、ピエゾデバイス25がチャンバ27に適切に収容されるように寸法が決定されている。従って、ピエゾデバイス25は、チャンバ27を満たすことが可能である。特に、図3において示されるように、ピエゾデバイス25がその最大伸長位置に到達する時、ピエゾデバイス25は、チャンバ27の全長にわたって延在する。
【0054】
ピエゾデバイスは、例えば8mmの外径、4mmの内径、及び36mmの軸方向長さを有することが可能である。軸方向長さは、40kHzの共振周波数までの変調を用いて25μmだけ変化することが可能である。そうしたアクチュエータは、0.9mmまでの体積を調整することが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、そうしたピエゾデバイス25のうちの2つ以上を互いの後ろに直列に配置して、同じチャンバ27に配置することが可能であるので、さらに大きな体積調整が達成されることが可能である。
【0056】
図5において示されるファイバ構成の実施形態は、図5において示されるように、ピエゾデバイス25が環状形態を有するピエゾ素子33と、ピエゾ素子33の一端に固定される端板35とを備える点で、図2図4の前述の実施形態と異なる。端板35は、チャンバ27における流体のために利用可能な体積23に面する。端板35は、環状形態を有する。端板35の断面サイズは、径方向において見る時、チャンバ27の断面サイズにほぼ対応する。
【0057】
ピエゾ素子33は、ピエゾ素子33の軸方向長さを伸縮することが可能であるように、特にピエゾ素子33に対して接続されているピエゾコントローラ(図5に図示せず)を使用することによって、制御されることが可能である。ピエゾ素子33及び端板35は、ピエゾ素子35が伸長される時、流体をチャンバ27から押し出すことが可能であるか、ピエゾ素子35が収縮する時、チャンバ27の中に流体を引き込むことが可能であるピストンとして機能することが可能である。
【0058】
充填物37がピエゾ素子33の外面39とハウジングセクション31の内面41との間に配置されている。図5の実施形態では、内面41は、ピエゾ素子33を支持する案内リング43の表面である。案内リング43は、ピエゾ素子33の径方向内側及び径方向外側において同心円状に配置されて、ピエゾ素子33及び充填物37を適所に保持するとともにピエゾ素子33の長さにおける変化を支持することが可能である。
【0059】
充填物37は、また、端板35の径方向外面と、ハウジングセクション31の対向する内面との間にも延在することが可能である。充填物37は、変形可能な材料製であることが可能である。充填物37は、ハウジングセクション31におけるピエゾデバイス25によって占められるスペースに対してチャンバ27を封止することが可能である。特に、充填物37は、端板35の径方向外面と、ハウジングセクション31の内面との間の領域におけるシールを形成することが可能である。
【0060】
図2図4の実施形態を再び参照すると、それは、また、ピエゾデバイス25の径方向外端内面と、ハウジングセクション31及び管状本体17の対向面との間に充填物37も備えることが可能である。充填物は、気密シールとして機能し、ピエゾデバイス25の長さの伸長によって引き起こされるピエゾデバイス25の幅における減少を埋め合わせることが可能である。
【0061】
図6のファイバ構成では、ピエゾデバイス25は、管状本体17の外側に配置されているハウジングセクション31によって提供されるチャンバ27に配置されている。ハウジング31の中心軸Bは、フェルール15の管状本体17及び中空ファイバ11の中心軸Aに対して90°の角度をなして延在する。ハウジングセクション31は、任意の形状(例えば、円筒形、正方形、又は長方形)を有することが可能である。
【0062】
ハウジングセクション31の内面と、ピエゾデバイス25との間に充填物37が配置されている。充填物37は、可撓性材料製であり、また、シールとしても機能することが可能である。体積23は、ハウジングセクション31によって覆われる管状本体17の材料が完全に除去されるように、チャンバ27の中に延在することが可能である。換言すると、管状本体17を通る流体チャンネルは、チャンバ27の断面積にほぼ対応する断面積を有する管状本体17における相当大きな側壁によって形成される。
【0063】
図7において示されるファイバ構成は、図2図4の実施形態の設計に基づく。しかしながら、図7のファイバ構成のフェルール15は、光学窓19を備えていない。その代わりに、管状本体17の両端は、開放端であり、ファイバ11は、管状本体17を通って突出する。換言すると、フェルール15は、ファイバ11の中間部分に配置されており、流体チャンネル29は、管状本体17及びファイバ11を通って径方向に延びて、チャンバ27及びファイバ11の中空コア13を流体接続する。
【0064】
ファイバ11の長さに応じて、複数のフェルール15がファイバ11に配置されることが可能である(図示せず)。例えば、フェルール15は、ファイバ11に規則的な間隔において配置されることが可能である。
【0065】
図8は、広帯域光(特にスーパーコンティニューム光)を提供するための光学システムを概略的に示しており、その光学システムは、ファイバ構成47にレーザパルスを提供するためのパルスレーザ源45と、ピエゾ駆動体49とを備える。
【0066】
ファイバ構成47は、前述のように、中空コア13を有する光ファイバ11を備える。図8において示されるように、フェルール15aがファイバ11の第1端において配置されており、さらにフェルール15bがファイバ11の第2端において配置されている。フェルール15a,15bは、図2図6に関して前述したようなフェルールに特に対応することが可能である。随意で、ファイバ構成は、ファイバ11の中間部分に配置されているフェルール15cをさらに備えることが可能である。フェルール15cは、図7に関して説明されたようなフェルール15に特に対応することが可能である。
【0067】
ピエゾ駆動体19は、フェルール15a,15b,及び15cにおけるピエゾデバイス25(図2図7参照)に対して接続されており、各ピエゾデバイス25を個々に駆動するように構成されている。
【0068】
動作中、例えば、ピエゾ駆動体49は、ピエゾデバイス25を同位相において駆動することが可能である。次いで、全てのピエゾデバイス25は、同時にそれらの最大伸長長さ及びそれらの最小伸長長さに達する。別の例では、ピエゾデバイス25は、位相を異にして動作している。異なるピエゾデバイス25は、従ってそれらの最大伸長長さに異なる時間において達する。
【0069】
さらに、いくつかの実施形態では、各ピエゾデバイス25は、その長さが所定のプロファイルに従って経時的に変化するように制御されることが可能である。これは、ピエゾデバイス25が個々に制御されることが可能であるので、特に可能である。
【0070】
いくつかの実施形態では、ピエゾデバイス25は、所望の均一な圧力分布がファイバ11の中空コア13の長さに沿って得られるように制御される。
他の実施形態では、ピエゾデバイス25は、所望の圧力勾配がファイバ11の中空コア13の長さに沿って得られるように制御される。
【0071】
一実施形態では、ピエゾデバイスの長さ変化は、ある期間にわたって定常周波数において調整されることが可能である。1つのそうした実施形態では、パルスレーザが中空ファイバの中に集束されており、係るレーザのパルスが同じ時間間隔において第2の定常周波数に到達する。1つのそうした実施形態では、ピエゾの変調の周波数は、レーザパルスの周波数又はレーザパルスの周波数の整数分の1(例えば、1/2,1/3,1/4....1/n)に対応させる。1つのそうした実施形態では、レーザパルスの周波数とピエゾ変調の周波数との間の遅延または位相シフトをさらに制御することが可能である。
【0072】
いくつかの実施形態では、ファイバコア13と、体積23と、チャンバ27の体積とによって基本的に形成される封止された体積全体は、ピエゾデバイス25の長さの変化によって約3倍に変化させることが可能である。これは、次いで、流体の圧力及び密度を約3倍変化させ得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、流体の密度又は圧力における変化は、50%,60%,70%,80%、又は90%より大きい。
いくつかの実施形態では、流体の密度又は圧力における変化は、10%より大きく、例えば20%より大きく、例えば25%より大きく、例えば30%より大きく、例えば40%より大きく、例えば50%より大きく、例えば75%より大きく、例えば係数又は1:2に変化し、例えば係数又は1:3に変化し、例えば係数又は1:4に変化し、例えば係数又は1:5に変化し、例えば係数又は1:7.5に変化し、例えば係数又は1:10に変化する。
【0074】
参照符号リスト
11 光ファイバ
13 中空コア
15 フェルール、ハウジング
15a フェルール
15b フェルール
15c フェルール
17 管状本体
19 光学窓
21 光円錐
23 体積
25 ピエゾデバイス
27 チャンバ
29 流体チャンネル
31 ハウジングセクション
33 ピエゾ素子
35 端板
37 充填物
39 外面
41 内面
43 案内リング
45 パルスレーザ源
47 ファイバ構成
49 ピエゾ駆動体
A 中心軸
B 中心軸
C 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】