(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ダイナミン1バリアントの発現の阻害のための産物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240321BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240321BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240321BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20240321BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/86 Z
C12N15/864 Z
C12N7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562865
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 US2022024885
(87)【国際公開番号】W WO2022221574
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515289842
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタル
(71)【出願人】
【識別番号】508344512
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー、スコット クエントン
(72)【発明者】
【氏名】フランケル、ウェイン エヌ.
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA44
(57)【要約】
病原性ダイナミン1バリアントの発現を阻害するためのRNA干渉ベースの方法及び産物が提供される。組換えアデノ随伴ウイルスなどの送達ビヒクルが、ダイナミン1バリアントの発現を阻害するRNAをコードするDNAを送達する。本方法は、例えば、発達性及びてんかん性脳症を治療する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸であって、
(a)配列番号1~17のうちのいずれか1つに示されるダイナミン1(DNM1)人工阻害性RNAをコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含む核酸、
(b)配列番号18~34のうちのいずれか1つに示される人工阻害性RNAポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含むDNM1人工阻害性RNAをコードする核酸、又は
(c)配列番号35~51のうちのいずれか1つに示されるアンチセンスガイド鎖ポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含むDNM1アンチセンスガイド鎖をコードする核酸を含む、核酸。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸又はそのうちのいずれか1つ以上の組み合わせを含む、ウイルスベクター。
【請求項3】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、又は合成ウイルスである、請求項2に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
前記ウイルスベクターが、AAVである、請求項3に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
前記AAVが、rep及びcap遺伝子を欠いている、請求項4に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
前記AAVが、組換えAAV(rAAV)又は自己相補的組換えAAV(scAAV)である、請求項4又は5に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
前記AAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、又はAAV rh.74のカプシド血清型を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
前記AAVが、AAV-9のカプシド血清型を有する、請求項4~7のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項9】
前記AAVが、偽型AAVである、請求項4~8のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項10】
前記AAVが、AAV2/8又はAAV2/9である、請求項9に記載のウイルスベクター。
【請求項11】
前記DNM1人工阻害性RNAをコードする前記核酸の発現が、U6プロモーターの制御下である、請求項4~10のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項12】
請求項1に記載の核酸と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項13】
請求項2~11のいずれか一項に記載のウイルスベクターと、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項14】
ニューロンに薬剤を送達することができる送達ビヒクルと、人工阻害性RNAをコードする核酸であって、前記人工阻害性RNAが、ダイナミン1(DNM1)遺伝子によってコードされたメッセンジャーRNA(mRNA)のセグメントに結合する、核酸と、任意選択で、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項15】
前記DNM1遺伝子が、配列番号52若しくは53のヒトエクソン配列、又は配列番号52若しくは53の配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を含むそれらのバリアントを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記送達ビヒクルが、ウイルスベクターである、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、又は合成ウイルスである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ウイルスベクターが、AAVである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記AAVが、rep及びcap遺伝子を欠いている、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記AAVが、組換えAAV(rAAV)、組換え一本鎖AAV(ssAAV)、又は自己相補的組換えAAV(scAAV)である、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項21】
前記AAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、及びAAV rh.74からなる群から選択されるカプシド血清型を有する、請求項18~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記AAVが、AAV-9のカプシド血清型を有する、請求項18~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記AAVが、偽型AAVである、請求項18~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記AAVが、AAV2/8又はAAV2/9である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記DNM1人工阻害性RNAをコードする前記核酸の発現が、U6プロモーターの制御下である、請求項12~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
ダイナミン1(DNM1)遺伝子を有するニューロンへ送達する方法であって、前記方法が、前記ニューロンを有する対象に、
(a)請求項1に記載の核酸、
(b)請求項2~11のいずれか一項に記載のベクター、又は
(c)請求項12~25のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月15日に出願された米国特許出願第17/231963号の優先権を主張し、それは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
米国政府権益の声明
本発明は、National Institutes of Healthによって付与されたR37 NS031348及びF31 NS111808の下で政府の支援とともに行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本出願は、本開示の別個の部分として、参照によってその全体が組み込まれ、以下のように特定されるコンピュータ可読形態での配列表を含む:2022年4月14日に作成されたファイルサイズ18,950バイトの「56694_SeqListing.txt」という名称のASCIIテキストファイル。
【0004】
病原性ダイナミン1バリアントの発現を阻害するためのRNA干渉ベースの方法及び産物が提供される。組換えアデノ随伴ウイルスなどの送達ビヒクルが、ダイナミン1バリアントの発現を阻害するRNAをコードするDNAを送達する。本方法は、発達性及びてんかん性脳症を治療する。
【背景技術】
【0005】
DNM1は、エンドサイトーシスを媒介するシナプス前に局在する重要な多量体脳特異的GTPアーゼ、ダイナミン1をコードする。病原性DNM1バリアントを有する個体は、最も重度な発達性及びてんかん性脳症(DEE)症候群のうちの2つ、レノックス-ガストー症候群及び幼児けいれんに罹患する。罹患した個人の特定は、今日では、DNM1が重度の小児てんかんのスクリーニングパネルに含まれるようになったため、増加する可能性が高い。DNM1変異を有する小児は、早期発病発作、全般的な発達遅延、深刻な知的障害、言語の欠如、筋緊張低下、ジストニア、及び痙縮として現れる難治性の状態に罹患している。罹患した個人は、多くのDEEの場合と同様に、抗てんかん薬への応答がよくなく、80%超の患者が発作を有したままである。
【0006】
病原性ヒトバリアントの特定の前には、DNM1と重度のてんかんとの間の最初の直接的な関係性は、「断続的(fitful)」と称される、マウスオルソログにおける自然発生的ミスセンス変異であった(遺伝子記号:Dnm1Ftfl)[非特許文献1]。この変異は、Dnm1aを定義するDnm1の中間ドメインの相互排他的な代替エクソンで生じ、それは、Dnm1bとともに、Dnm1の2つの機能的に半冗長なアイソフォームを含む。これらの非常に高度に保存されたエクソンによってコードされるペプチドは、エンドサイトーシスを行う環構造へのダイナミン単量体のオリゴマー化に重要なアセンブリドメインの一部を形成する[非特許文献2及びBoumil、上記非特許文献1]。
【0007】
Dnm1Ftfl/+ヘテロ接合マウスは、2~3か月齢の軽度の自然発生及び操作誘発性の発作のみを示し、正常な寿命を有するが、Dnm1Ftfl/Ftflホモ接合体は、出生後第3週の終わりまでに、重度の運動失調、発達遅延、及び完全浸透性致死性発作を伴うDEE様表現型を示す。Dnm1bは主に妊娠中に発現され、発現は出生後早期発達中に減少するが、Dnm1a発現は出生後早期発達中に増加し、出生後第2週中にピークを迎え、成人期の主要なアイソフォームになる。しかしながら、Dnm1a又はDnm1bのどちらのアイソフォーム特異的ホモ接合ノックアウトマウス(Dnm1Δa/Δa又はDnm1Δb/Δb)も、Dnm1Ftfl対立遺伝子に関連する発作又は他の明白な表現型特徴を示さない[非特許文献3及び非特許文献4]。これら及び他のインビボ及びインビトロ研究は、Dnm1Ftflが、全てのDNM1病原性バリアントについてモデル化又は予測されたように、タンパク質機能に対する優性阻害(dominant-negative)効果を発揮することを示唆している[非特許文献5、Asinof(2016)、上記非特許文献4、及びvon Spiczak、上記非特許文献2]。
【0008】
DEEの治療は現在、主に抗てんかん薬の使用による症状の治療に限定されている。薬物は、根底にある遺伝的欠陥に対処せず、したがって、疾患の進行を停止又は遅延させる期待はなく、長期間投与されると、有効性の喪失をもたらす可能性がある。
【0009】
したがって、当該技術分野では、DEEの治療のための産物及び方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Boumil et al.,PLoS Genet.,6:e1001046(2010)
【非特許文献2】von Spiczak et al.,Neurology,89:385-394(2017)
【非特許文献3】Asinof et al.,PLoS Genet.,11:e1005347(2015)
【非特許文献4】Asinofet al.,Neurobiol.Dis.,95:1-11(2016)
【非特許文献5】Dhindsa et al.,Neurol.Genet.,1:e4(2015)
【発明の概要】
【0011】
本明細書の開示は、DMN1 mRNAを標的化する人工阻害性RNAを発現するベクターを使用して、RNA干渉(RNAi)による有害なDNM1アイソフォームの発現停止を特異的に誘発する方法を提供する。企図される人工DMN1阻害性RNAには、病原性DNM1アイソフォームの発現を阻害する、低分子干渉RNA(siRNA)(短鎖干渉RNA、低分子阻害性RNA、又は短鎖阻害性RNAとも称される)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、及びmiRNAシャトル(人工miRNA)が含まれるが、これらに限定されない。人工阻害性RNAは、本明細書ではmiDNM1と称される。miDNM1は、小さな調節配列であり、例えば、DNM1 mRNAのコード領域又は3’UTRを逆相補的な様式で標的とすることによって転写後に作用し、DNM1のmRNA及びタンパク質レベルを低減させる。本方法及び産物の使用は、例えば、DEEの予防又は治療において示される。
【0012】
DNM1阻害性RNA及びRNAのうちの1つ以上をコードするポリヌクレオチドが提供される。提供される例示的なDNM1阻害性RNAは、Dnm1Ftflを収容するアイソフォームであるDnm1aを標的とするmiRNAである。提供される他の例示的な阻害性RNAは、10a及び10bと称される代替的スプライシングされたDNM1エクソン10において異なるヒトDNM1a及びDNM1bアイソフォームを標的とする。
【0013】
本明細書では、以下の例示的なmiRNA及び配列が提供される。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
本開示は、配列番号1~17のうちのいずれか1つに示される配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を含むRNAコード鋳型DNA配列を含む核酸を提供する。
【0021】
例示的なmiDNM1は、配列番号18~34のうちのいずれか1つに示される全長配列、又は配列番号18~34のうちのいずれか1つに示される配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を含むそのバリアントを含む。対応する最終的に処理されたアンチセンスガイド鎖配列は、配列番号35~51にそれぞれ示されているか、又は配列番号35~51のうちのいずれか1つに示される配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を含むそれらのバリアントである。処理されたアンチセンスガイド鎖は、最終的に配列特異的遺伝子発現停止に関与するRNA誘発発現停止複合体のRNA成分となる成熟miRNA二本鎖の鎖である。
【0022】
miDNM1は、ヒトDNM1遺伝子のエクソン10a(配列番号52)
ヒトDNM1エクソン10a(5’から3’へ)(配列番号52)
GACGGGCCTCTTCACACCTGACCTCGCTTTTGAAGCCACAGTGAAAAAGCAGGTGCAGAAGCTCAAAGAGCCCAGTATCAAGTGTGTGGATATGGTAGTCAGTGAGCTCACAGCCACCATCAGAAAGTGTAGCGAAAAG
又はエクソン10b
ヒトDNM1エクソン10b(5’から3’へ)(配列番号53)
AACGGGGCTGTTTACCCCAGACATGGCCTTTGAGACCATTGTGAAAAAGCAGGTGAAGAAGATCCGAGAACCGTGTCTCAAGTGTGTGGACATGGTTATCTCGGAGCTAATCAGCACCGTTAGACAGTGCACCAAGAAG
を含むが、これらに限定されない、ヒトDNM1遺伝子によってコードされるメッセンジャーRNA(mRNA)のセグメントに特異的に結合し得、このセグメントは、それぞれ、マウスDNM1遺伝子のエクソン10a(配列番号54)
マウスDnm1エクソン10a(5’から3’へ)(配列番号54)
GACGGGCCTCTTCACACCTGACCTCGCTTTTGAAGCCACAGTGAAAAAGCAGGTGCAGAAGCTCAAAGAGCCCAGTATCAAGTGTGTGGACATGGTAGTCAGTGAACTCACGTCCACCATCAGAAAGTGTAGTGAAAA
又はエクソン10b(配列番号55)
マウスDnm1エクソン10b(5’から3’へ)(配列番号55)
AACGGGGCTCTTTACCCCAGACATGGCCTTTGAAACCATTGTGAAAAAGCAGGTGAAGAAGATTCGAGAGCCGTGTCTCAAGTGTGTGGACATGGTTATCTCGGAGCTAATCAGCACGGTTAGACAGTGCACCAAGAAG
を含むが、これらに限定されない、野生型マウスDNM1遺伝子によってコードされるmRNAに対して保存されている。例えば、miDNM1は、配列番号52のヌクレオチド115~136内の配列に相補的であるmRNAセグメントに特異的に結合し得る。
【0023】
miDNM1をコードするDNAの送達は、DNAを細胞に送達する送達ビヒクルを使用して達成され得る。例えば、組換えAAV(rAAV)ベクターを使用して、miDNM1をコードするDNAを送達し得る。他のベクター(例えば、レンチウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ウマ随伴ウイルス、アルファウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、及びワクシニアウイルスなどの他のウイルスベクター)を使用して、miDNM1をコードするポリヌクレオチドを送達し得る。したがって、1つ以上のmiDNM1をコードするウイルスベクターもまた提供される。ウイルスベクターがrAAVである場合、rAAVは、AAVのrep及びcap遺伝子を欠いている。rAAVは、自己相補的(sc)AAVであり得る。別の例として、脂質ナノ粒子などの非ウイルスベクターが送達に使用され得る。
【0024】
各々miDNM1をコードするrAAVが本明細書に提供される。また、1つ以上のmiDNM1をコードするrAAVも提供される。1つ以上のmiDNM1をコードするrAAV(一本鎖ゲノムを有する、scAAV)は、1、2、3、4、5、6、7、又は8個のmiDNM1をコードし得る。1つ以上のmiDNM1をコードするscAAVは、1、2、3、又は4個のmiDNM1をコードし得る。
【0025】
本明細書に記載の核酸又はウイルスベクターを含む組成物が提供される。
細胞におけるDNM1遺伝子の発現の防止又は阻害する方法であって、細胞を、miDNM1をコードする送達ビヒクル(例えば、rAAV)と接触させることを含み、送達ビヒクルがrAAVである場合、rAAVは、rep及びcap遺伝子を欠いている、方法が更に提供される。本方法では、重複及び/又は変異DNM1対立遺伝子の発現は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98パーセント、少なくとも99パーセント、又は100パーセント阻害される。本方法では、野生型DNM1対立遺伝子の発現は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98パーセント、少なくとも99パーセント、又は100パーセント阻害される。
【0026】
miDNM1をコードするDNAの送達を必要とする対象にそれを行う方法であって、miDNM1をコードするDNAを含む送達ビヒクル(例えば、rAAV)を対象に投与することを含み、送達ビヒクルがrAAVである場合、rAAVは、rep及びcap遺伝子を欠いている、方法がなお更に提供される。miDNM1をコードするDNAの送達を必要とする対象にそれを行う他の方法は、1つ以上のmiDNM1をコードするDNAを含む送達ビヒクル(例えば、rAAV)を対象に投与することを含み、送達ビヒクルがrAAVである場合、rAAVは、rep及びcap遺伝子を欠いている。
【0027】
DEEを予防又は治療する方法であって、miDNM1をコードするDNAを含む送達ビヒクル(例えば、rAAV)を投与することを含み、送達ビヒクルがrAAVである場合、rAAVは、rep及びcap遺伝子を欠いている、方法もまた提供される。DEEを予防又は治療する他の方法は、1つ以上のmiDNM1をコードするDNAを含む送達ビヒクル(例えば、rAAV)を投与することを含み、送達ビヒクルがrAAVである場合、rAAVは、rep遺伝子及びcap遺伝子を欠いている。これらの方法は、罹患していない対象における正常なDNM1発現の少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98パーセント、少なくとも99パーセント、又は100パーセント以上のDNM1発現の回復をもたらす。
【0028】
本開示は、本明細書に記載の核酸及び/又はそのうちのいずれか1つ以上の組み合わせを含むウイルスベクターである送達ビヒクルを提供する。提供されるウイルスベクターには、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、又は合成ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。ウイルスベクターは、AAVであり得る。AAVは、rep及びcap遺伝子を欠いている。AAVは、組換えAAV(rAAV)又は自己相補的組換えAAV(scAAV)であり得る。AAVは、例えば、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、又はAAV rh.74である。AAVは、AAV-9であり得る。AAVは、偽型AAV、例えば、AAV2/8又はAAV2/9であり得る。
【0029】
本開示は、本明細書に記載の核酸と、薬学的に許容される担体と、を含む組成物を提供する。本開示は、本明細書に記載の核酸及び/又はそのうちのいずれか1つ以上の組み合わせを含むウイルスベクターと、薬学的に許容される担体と、を含む組成物を提供する。
【0030】
本開示は、組成物であって、miDNM1をコードする核酸を細胞に送達することができる送達ビヒクルであって、miDNM1が、ヒトDNM1遺伝子によってコードされるmRNAのセグメント(セグメントは、DEEに関連する変異を含む配列をコードするか又はコードしないかのいずれか)に結合し、セグメントが、野生型マウスDNM1遺伝子に対して保存されている、送達ビヒクルと、任意選択で、薬学的に許容される担体と、を含む組成物を提供する。ヒトDNM1遺伝子エクソン10aは、配列番号52の配列、又は少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を含むそのバリアントを含み得る。マウスDNM1遺伝子エクソン10aは、配列番号54の配列、又は少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を含むそのバリアントを含み得る。miDNM1は、例えば、配列番号52のヌクレオチド115~136内の配列に相補的であるmRNAセグメント(例えば、miDNM1a-4が結合するヌクレオチド)に特異的に結合する。ヒトDNM1遺伝子エクソン10bは、配列番号53の配列、又は少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を含むそのバリアントを含み得る。マウスDNM1遺伝子エクソン10bは、配列番号55の配列、又は少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を含むそのバリアントを含み得る。
【0031】
本開示は、ウイルスベクターである、組成物中の送達ビヒクルを提供する。組成物中のウイルスベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、又は合成ウイルスであり得る。ウイルスベクターは、AAVであり得る。AAVは、rep及びcap遺伝子を欠いている。AAVは、組換えAAV(rAAV)又は自己相補的組換えAAV(scAAV)であり得る。AAVは、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、及びAAV rh.74から選択されるカプシド血清型であるか、又はそれを有する。AAVは、AAV-9のカプシド血清型であり得るか、又はそれを有し得る。AAVは、AAV2/8又はAAV2/9などの偽型AAVであり得る。
【0032】
本開示は、重複及び/又は変異DNM1遺伝子を含むニューロンに、以下を送達する方法を提供する:(a)配列番号1~17のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含むmiDNM1をコードする鋳型核酸を含む核酸、配列番号9~16のうちのいずれか1つに示される全長miDNM1配列をコードする核酸、若しくは配列番号18~34のうちのいずれか1つに示される配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を含むそのバリアント、又は配列番号35~51のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含むmiDNM1の処理されたアンチセンスガイド鎖をコードする核酸、(b)本明細書に記載の核酸のうちの任意の1つ以上を含むベクター、あるいは(c)本明細書に記載の核酸又はベクターのうちの任意の1つ以上を含む組成物。
【0033】
本開示は、重複及び/又は変異DNM1遺伝子に罹患している対象を治療する方法であって、本方法が、対象に、(a)配列番号1~17のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含むmiDNM1をコードする鋳型核酸を含む核酸、配列番号9~16のうちのいずれか1つに示される全長miDNM1配列をコードする核酸、若しくは配列番号18~34のうちのいずれか1つに示される配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を含むそのバリアント、又は配列番号35~51のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を含むmiDNM1の処理されたアンチセンスガイド鎖をコードする核酸、(b)本明細書に記載の核酸のうちの任意の1つ以上を含むベクター、あるいは(c)本明細書に記載の核酸又はベクターのうちの任意の1つ以上を含む組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
本開示は、DEEに罹患している、本明細書の方法によって治療される対象を企図する。本開示はまた、DNM1遺伝子の変異によりDEEのリスクがある対象の治療を企図する。対象は、哺乳動物であり得る。対象は、ヒト対象であり得る。
【0035】
本開示はまた、病原性DNM1遺伝子バリアントに罹患している対象を治療するための医薬品の製造における、又はその治療における、本明細書に記載の少なくとも1つの核酸、本明細書に記載の少なくとも1つのウイルスベクター、又は本明細書に記載の組成物の使用を提供する。
【0036】
本開示はまた、DEEの治療を必要とする対象におけるDEEを治療するための医薬品の製造における、又はその治療における、本明細書に記載の少なくとも1つの核酸、本明細書に記載の少なくとも1つのウイルスベクター、又は本明細書に記載の組成物の使用を提供する。
【0037】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の図面の説明及び詳細な説明から明らかであろう。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正が、図面、詳細な説明、及び実施例から明らかとなるであろうから、図面、詳細な説明、及び実施例は、開示された主題の実施形態を示すが、例示のみを目的として与えられることが理解されるべきである。
【0038】
本特許又は出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な費用の支払いに応じて、米国特許商標庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】フォールディング及び処理部位を示す人工miRNAシャトル配列の例を示す。成熟ガイド鎖には下線が引かれている。灰色の矢じりは、Drosha切断部位を示し、黒色の矢じりは、Dicer切断部位を示す。5’及び3’最末端の影付き配列は、U6プロモーターの前のmiRNAシャトルをクローニングするために使用される鋳型DNAにおける制限部位である。
【
図2】
図2A~
図2Dは、scAAV9-miDnm1aがDnm1aを選択的に阻害することを示す。A)4つの異なるmiRNA構築物によるインビトロでのDnm1aのノックダウン有効性。miDnm1a-4は、95%のノックダウンで最も有効であった。B)PND0でICV注射を介して送達された実験構築物及び対照構築物。黒色のボックスは、ウイルス逆位末端反復を示し、pAは、SV40ポリアデニル化シグナルを示す。C)scAAV9-eGFP対照(n=6)と比較したscAAV9-miDnm1a(n=8)によるインビボでのDnm1aノックダウン有効性の検証は、scAAV9-miDnm1aで処置されたマウス由来の全脳抽出物においてDnm1aの有意な減少を示したが、Dnm1bは示さなかった(それぞれ、p<0.0001、ns、多重比較のためのSidakの補正を伴う二元配置ANOVA)。D)ICV注射の30日後のDnm1
Ftfl/Ftfl及びDnm1
+/+scAAV9-miDnm1aで処置されたマウスの両方の広範なウイルス形質導入。10倍の倍率で画像を撮影した。データは、平均±SEMとして報告した。脳全体のスケールバーは、500μmを表し、関心領域(ROI)のスケールバーは、20μmを表す。
【
図3】
図3A~
図3Dは、C57BL/6JマウスのscAAV9-miDnm1a処置が、生存、成長、及び発作転帰を改善することを示す。A)PND0で投与されるICV注射、PND4~PND11の間に実行される発達表現型決定、PND4~PND30(研究のエンドポイント)から評価される生存、発作、及び成長の測定、並びにPND18及びPND30で実施される細胞表現型決定を伴う実験設計。B)miDnm1aによる処置は、PND20の前に100%致死的であった対照が注射されたマウス(eGFP又は生理食塩水、n=27)と比較して、Dnm1
Ftfl/Ftflマウス(n=25)のPND30までの75%の生存をもたらした(p<0.0001、log-rank Mantel-Cox検定)。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置されたDnm1
+/+(n=24)又は対照が注射されたDnm1
+/+(n=19)マウスとは異なる(それぞれ、p=0.0239、p=0.0097、log-rank Mantel-Cox検定)。C)処置された、及び対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND8の早くに顕著に小さかったが、miDnm1aで処置されたDnm1
Ftfl/Ftflは、PND12で開始する成長改善を示した。遺伝子型処置効果(2つの対照処置、eGFP及び生理食塩水を組み合わせたもの)に加えて、性別、ウイルス用量、及び同腹子サイズを含む他の独立した変数を含む、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスが研究を終了したPND18まで反復測定ANOVAを実施した。処置されたDnm1
Ftfl/Ftfl対対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflでは、処置の効果は、同腹子サイズの有意な効果(p=1.4×10
-7)にもかかわらず、非常に有意であった(p=3.3×10
-13)が、ウイルスの用量又は性別の有意な影響はなかった。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflと処置された野生型との間のPND30研究エンドポイントにおける成長の差異は、有意であり(p=0.004)、同腹子サイズの適度な効果を有した(p=0.048)。同様の分析を使用して、処置された野生型マウスも、対照野生型と比較して成長の遅延(p=0.004)を示し、性別(p=0.01)及び同腹子サイズ(p=0.033)の適度な影響を示した。D)miDnm1aで処置された、及び対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの両方が発作様行動を示すが、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND14及びPND18で有意により多くの発作を有した。処置されたマウスの発作行動は、経時的に減少した。試料番号及び分析については表1を参照されたい。データは、平均±SEMとして報告した。
図4A~
図4Cも参照されたい。
【
図4】
図4A~
図4Cは、miDnm1aが、用量依存的に生存を改善することを示す(C57BL/6J系統バックグラウンドパイロット実験、
図2A~
図2Cに関連する)。A)パイロット研究のための実験計画。3つのmiDnm1a用量を新生児に投与し、生存及び成長について調べた。B)処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの生存曲線は、1.85x10
11(n=10)及び3.2x10
11(n=6)用量についてのみ、未処置のDnm1
Ftfl/Ftflマウスと有意に異なる(それぞれ、p=0.0001、p=0.01、log-rank Mantel-Cox検定)。C)これらの用量について、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、未処置のマウスと比較して成長改善を示す(p=0.003、反復測定ANOVA)。
【
図5】
図5A~
図5Fは、scAAV9-miDnm1a処置が発達転帰を改善することを示す。A)処置は、対照が注射された(n=28)マウスと比較して、Dnm1
Ftfl/Ftflマウス(n=30)のPND11での握力を有意に改善し(p=0.0009、ランク及び正規分位変換データを使用した最小二乗回帰)、同腹子サイズ、性別、又はウイルス用量の影響はなかった。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置された(n=24)又は対照が注射された(n=19)Dnm1
+/+マウスとは異ならなかった(TukeyのHSD事後検定を伴う上記と同じ検定、p>0.05)。B、C)感覚運動発達についてのアッセイでは、PND9及びPND11で、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、より高い潜時を有したが、容易な90°回転については有意ではなかった(p>0.05、ランク及び正規分位変換データを使用した最小二乗回帰、Dunnettの事後検定)。しかしながら、困難な180°回転については、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、他の3つの群と比較して、PND11で有意に高い潜時を示した(p<0.001、Dunnetの事後検定)。D)対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス(n=24)は、重度の運動失調を示し、重要なことに、miDnm1aでの処置(n=17)は、この表現型を排除し(p=6.9×10
-17、対数-Poisson検定)、Dnm1
Ftfl/Ftfl運動協調を、処置された(n=16)及び対照が注射された(n=23)Dnm1
+/+マウスのレベルに戻す(p=0.19混合モデルの対数-Poisson検定)。E、F)可能性のある多動性の代用として移動及び速度を使用して、全ての群間に有意差がなかったことを観察した(p>0.05、一元配置ANOVA)。
【
図6-1】
図6A~
図6Dは、miDnm1a処置が、PND18でのグリオーシス及び細胞変性をPND30までに減少させることを示す。A)対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと比較して、マーカーGFAPで特定される海馬CA1において特異的に顕著に増加したグリオーシスを示した(p=0.018)。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND18で、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスとは異ならなかった(p>0.05)。B)PND30まで、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflは、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスと比較して有意に多くのGFAP強度を示した(それぞれp=0.0052及びp=0.0072)。画像(A~B)を10倍の倍率で撮影し、分析を、通常の一元配置ANOVA、続くTukeyの多重比較検定を使用して行った。海馬全体のスケールバーは、200μmを表し、関心領域(ROI)のスケールバーは、20μmを表す。C、D)PND18でのFJC標識は、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスとは異なり、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス、特にCA1に沿った海馬における有意な細胞死を示した(p=0.015)。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスとは異ならなかった(p>0.05)。PND30までに、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、FJC標識によって特定されるほとんど明らかな細胞死を有しなかった。しかしながら、それらは、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスとは異ならなかった(p>0.05)。10倍の倍率で画像を撮影し、スケールバーは、100μmに対応した。分析は、JamoviのソフトウェアのGMLJモジュールのPoisson過分散オプションを使用して実行した。3~5匹のマウスをこれらの分析に使用し、データは、平均±SEMとして報告する。
図7A-
図7Bも参照されたい。
【
図7】
図7A~
図7Bは、PND18及びPND30の細胞表現型画像(GFAP及びFJC、2つの他の代表的な複製セット、
図6A~
図6Dに関連する)を示す。A)対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND18で、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス及びDnm1
+/+対照には存在しない海馬GFAPの増加を示す。PND30で、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、Dnm1
+/+対照と比較して、GFAPの有意な増加を示す。スケールバーは、200.Lmに対応する。B)対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、海馬CA1における細胞死を示す。この表現型は、PND18では、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス及びDnm1
+/+対照には存在しない。しかしながら、PND30までに、Dnm1
+/+対照と比較して、処置されたマウスのCA1にいくつかの顕著な細胞死がある。スケールバーは、100.Lmに対応する。
【
図8-1】
図8A~
図8Dは、miDnm1a処置が、PND18での代謝細胞活性をPND30までに改善することを示す。A)異常なNPY発現が、PND18で、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの海馬、及び特にCA3で観察された。miDnm1aでの処置は、この表現型を元に戻した(p=0.0012)。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスとは異ならなかった(p>0.05)。B)NPY発現は、PND30で、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス間で変化した。しかしながら、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置されたDnm1
+/+マウス(p=0.057)及び対照が注射されたDnm1
+/+マウス(p=0.074)と比較して、有意性に向かう傾向があった。C)PND18で、c-Fos染色は、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの海馬CA3においてニューロン活性化の増加を示し、これは、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスにおいて有意に減少した(p<0.00001)。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、Dnm1
+/+対照とは異ならなかった(p>0.05)。D)PND30までに、Dnm1
+/+対照と比較して、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの海馬、特にCA3領域において、ニューロン活性化の適度な増加があったが、この増加は有意ではなかった(p>0.05)。全ての画像(A~D)を10倍の倍率で撮影した。海馬全体のスケールバーは、200μmを表し、ROIのスケールバーは、20μmを表す。分析は、JamoviのソフトウェアのGMLJモジュールのPoisson過分散オプションを使用して実行した。3~5匹のマウスをこれらの分析に使用し、データは、平均±SEMとして報告する。
図9A-
図9Bも参照されたい。
【
図9】
図9A~
図9Bは、PND18及びPND30の細胞表現型画像(NPY及びc-Fos、2つの他の代表的な複製セット、
図8A~
図8Dに関連する)を示す。A)Dnm1Ftfl/Ftfl処置されたマウスは、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと比較して、PND18及びPND30で海馬におけるNPY+細胞の減少を示す。PND30までに、処置されたマウスは、CA3において、Dnm1
+/+対照と比較して、増加したNPYを示し始める。B)処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND18で、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと比較して、c-Fosの減少を示す。PND30までに、処置されたマウスは、Dnm1
+/+マウスと比較して、海馬のc-Fos発現の可変的な増加を示す。スケールバーは、200μmに対応する。
【
図10】miDNM1-10b-72が、ヒト及びマウスの転写産物において保存されているDNM1エクソン10配列を発現停止させることを実証するルシフェラーゼアッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面に関する統計解析
統計分析が、試験に応じて、Prism8ソフトウェア(GraphPad,Inc)、JMP14ソフトウェア(JMP,Inc)のいずれかを使用して行われた。qPCRデータ(
図2)を、二元配置ANOVA(Prism8)を使用して分析した。パイロット研究の生存分析(
図3)を、log-rank Mantel-Cox検定(Prism8)を使用して分析し、一次研究(
図4)については、リスク比を伴う比例ハザード検定を使用して、共変量を調整した(JMP14)。成長(
図3、
図4)を、反復測定MANOVA(JMP)を使用して分析した。発作様行動(
図3)を、2×2Fisher正確検定(JMP14)を使用して分析した。握力及び負の走地性(
図5)を、データのランク及び正規分位変換(JMP)後の最小二乗回帰を使用して分析した。運動失調(落下及びぐらつきの数)を、対数-Poisson検定及びコントラストモデリングを使用して分析し、特定の群を比較した(JMP14)。IHC定量を、Jamoviの線形モデルの一般化分析のモジュール(gamlj)のPoisson過分散オプションを使用して分析した
31。P値をBonferroni調整した。
【0041】
本明細書に記載の産物及び方法は、病原性DNM1アイソフォームに関連する疾患の治療において使用される。DNM1に関連する疾患としては、例えば、DEEが挙げられる。DEEには、Lennox-Gastout症候群及び幼児けいれんが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
主に重要なGTPase及びDNM1の中間ドメインにおいて、33人の患者において特定された少なくとも20個のヘテロ接合性デノボバリアントは、EuroEPINOMICS-RES Consortium,Am.J.Hum.Genet.,100:179(2017)、Asinof(2015)、上記、von Spiczak、上記、Brereton et al.,Mol.Genet.Genomic Med.,6:294-300(2018)、Kolnikova et al.,Seizure,56:31-33(2018)、及びLi et al.,Front.Pharmacol.,10:1454,(2019)において記載されている。
【0043】
ヒトDNM1エクソン10aをコードする核酸は、配列番号52に示されている。ヒトDNM1エクソン10bをコードする核酸は、配列番号53に示されている。本開示の様々な産物及び方法は、配列番号52又は53に示されるヒトDNM1ヌクレオチド配列のバリアントを標的とし得る。バリアントは、配列番号52又は53に示されるヌクレオチド配列と、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、及び70%の同一性を示し得る。
【0044】
マウスDNM1エクソン10aをコードする核酸は、配列番号54に示されている。マウスDNM1エクソン10bをコードする核酸は、配列番号54に示されている。本開示の様々な産物及び方法は、配列番号54又は55に示されるヌクレオチド配列のバリアントを標的とし得る。バリアントは、配列番号54又は55に示されるヌクレオチド配列と、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、及び70%の同一性を示し得る。
【0045】
本開示には、DNM1の過剰発現に起因する疾患又は障害を有する対象を改善及び/又は治療するために、DNM1の発現を阻害又は干渉するためのRNA干渉の使用が含まれる。RNA干渉(RNAi)は、真核細胞における遺伝子調節のメカニズムであり、様々な疾患の治療のために考慮されている。RNAiは、阻害性RNAによって媒介される遺伝子発現の転写後制御を指す。阻害性RNAは、同族メッセンジャーRNA(mRNA)と配列相同性を共有し、塩基対形成する、小さい(21~25ヌクレオチド)、非コードRNAである。阻害性RNAとmRNAとの間の相互作用は、mRNAの翻訳を防止するために細胞遺伝子発現停止機構を誘導する。RNAi経路は、Duan(Ed.),Muscle Gene Therapy,Chapter7,Section7.3,Springer Science+Business Media,LLC(2010)に要約されている。
【0046】
天然のRNAi経路の理解が進むにつれて、研究者は、疾患を治療するために、標的遺伝子の発現の調節に使用するための人工阻害性RNAを設計した。いくつかのクラスの低分子RNAは、哺乳動物細胞においてRNAiプロセスを誘発することが知られている[Davidson et al.,Nat.Rev.Genet.,12:329-40(2011)、Harper,Arch.Neurol.,66:933-938(2009)]。人工阻害性RNAは、プラスミド又はウイルスベースのベクターからインビボで発現され、ベクターが標的細胞核内に存在し、駆動プロモーターが活性である限り、1回の投与で長期の遺伝子発現停止を達成し得る[Davidson et al.,Methods Enzymol.,392:145-73,(2005)]。重要なことに、このベクター発現アプローチは、筋肉遺伝子療法の分野で既に数十年にわたって行われてきた進歩を活用しているが、タンパク質をコードする遺伝子を発現させる代わりに、RNAi療法戦略におけるベクターカーゴは、目的の疾患遺伝子を標的化する人工阻害性RNAカセットである。
【0047】
shRNAは、RNA干渉(RNAi)を介して標的遺伝子の発現を発現停止するために使用され得る緊密なヘアピンターンを有する人工RNA分子である。shRNAは、それが分解及び代謝回転の速度が比較的低いという点でRNAiの有利な媒介物であるが、それは発現ベクターの使用を必要とする。ベクターが宿主ゲノムを形質導入すると、次にshRNAは、プロモーター選択によってポリメラーゼI又はポリメラーゼIIIによって核内で転写される。産物は、プライマリーマイクロRNA(pri-miRNA)を模倣し、Droshaによって処理される。得られたプレ-shRNAは、エクスポーチン5によって核から排出される。次にこの産物はDicerによって処理され、RNA誘発発現停止複合体(RISC)中へとロードされる。センス(パッセンジャー)鎖は分解される。アンチセンス(ガイド)鎖は、相補的な配列を有するmRNAにRISCを配向する。完全な相補性の場合、RISCはmRNAを切断する。不完全な相補性の場合、RISCはmRNAの翻訳を阻止する。これらの場合ではどちらも、shRNAは標的遺伝子の発現停止を引き起こす。
【0048】
本開示は、人工DMN1阻害性RNAを発現するウイルスベクターの産生及び投与を含む。人工DMN1阻害性RNAの発現は、様々なプロモーターの使用によって調節される。本開示は、U6及びH1プロモーターなどのポリメラーゼIIIプロモーター、又はポリメラーゼIIプロモーターの使用を企図する。
【0049】
本明細書で提供される産物及び方法は、DNM1の発現を修飾する(例えば、発現をノックダウン又は阻害する)ためのmiRNAシャトルを含み得る。shRNAと同様に、miRNAシャトルは、DNA導入遺伝子から細胞内で発現される。miRNAシャトルは、典型的には、正しい処理を誘導するために必要な天然のmiRNA配列を含有するが、ステムにおける天然の成熟miRNA二重鎖は、(例えば、
図1に示されるように)意図された標的転写産物に特異的な配列によって置き換えられる。発現後、人工miRNAは、Drosha及びDicerによって切断されて、埋め込まれたsiRNA様領域を遊離する。U6及びH1プロモーターなどのポリメラーゼIIIプロモーター、並びにポリメラーゼIIプロモーターも、miRNAシャトルの発現を駆動するために使用される。
【0050】
本開示は、DNM1遺伝子の発現を阻害するためのmiDNM1をコードする配列を提供する。本開示は、配列番号18~34のうちのいずれか1つに示される全長miDNM!ポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を含む、miDNM1をコードする核酸を提供する。本開示は、配列番号35~51のうちのいずれか1つに示されるアンチセンスガイド鎖ポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を含む、miDNM1の処理されたアンチセンスガイド鎖をコードする核酸を提供する。
【0051】
本開示は、配列番号1~17のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を含む、miDNM1をコードする核酸を提供する。
【0052】
例示的なmiDNM1は、配列番号18~34のうちのいずれか1つ以上に示されるポリヌクレオチド配列、又は配列番号18~34のうちのいずれか1つと少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を含むそのバリアントを含む。配列番号18~34に対応する最終的に処理されたガイド鎖配列は、それぞれ配列番号35~51に示される。本開示は更に、図?に示されるアンチセンスガイド鎖を提供し、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一である、これらのアンチセンスガイド鎖の各々のバリアントを企図する。
【0053】
本開示は、これらの配列のうちの1つ以上のコピーをコードするポリヌクレオチドが、ベクターなどの単一の送達ビヒクルに組み合わされることを企図する。したがって、本開示は、本開示の核酸又は本開示の核酸の組み合わせを含む、ベクターを含む。本明細書に開示の核酸を送達するためのベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ウマ随伴ウイルス、アルファウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、ワクシニアウイルス、又は合成ウイルス、例えば、キメラウイルス、モザイクウイルス、若しくは偽型ウイルス、及び/若しくは外来タンパク質、合成ポリマー、ナノ粒子、若しくは小分子を含有するウイルスなど)が提供される。AAVベクターが例示される。
【0054】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、145ヌクレオチド逆位末端反復(ITR)を含む長さが約4.7kbである。AAVには複数の血清型がある。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は既知である。例えば、AAV-1の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_002077に提供されており、AAV-2の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001401及びSrivastava et al.,J.Virol.,45:555-564{1983)に提供されており、AAV-3の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_1829に提供されており、AAV-4の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001829に提供されており、AAV-5ゲノムは、GenBank受理番号AF085716に提供されており、AAV-6の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001862に提示されており、AAV-7及びAAV-8のゲノムの少なくとも一部は、それぞれ、GenBank受理番号AX753246及びAX753249に提供されており、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)に提供されており、AAV-10ゲノムは、Mol.Ther.,13(1):67-76(2006)に提供されており、AAV-11ゲノムは、Virology,330(2):375-383 (2004)で提供されており、AAV-12ゲノムの一部は、Genbank受理番号DQ813647に提供されており、AAV-13ゲノムの一部は、Genbank受理番号EU285562に提供されている。AAV rh.74ゲノムの配列は、米国特許第9,434,928号に提供されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。AAV-B1ゲノムの配列は、Choudhury et al.,Mol.Ther.,24(7):1247-1257(2016)に提供されている。ウイルスのDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、及び宿主細胞染色体への組み込みを誘導するシス作用性配列は、AAV ITR内に含まれる。3つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置にちなんでp5、p19、及びp40と名付けられている)は、rep遺伝子及びcap遺伝子をコードする2つのAAV内部のオープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロンの差次的スプライシング(ヌクレオチド2107及び2227における)と共役した、2つのrepプロモーター(p5及びp19)は、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、及びrep40)の産生をもたらす。repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を保有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのカプシドタンパク質(VP1、VP2、及びVP3)をコードする。選択的スプライシング及び非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連するカプシドタンパク質の産生に関与する。単一コンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVの生活環及び遺伝学は、Muzyczka, Current Topics in Microbiology and Immunology, 158:97-129(1992)において概説されている。
【0055】
AAVは、例えば、遺伝子療法において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的にする固有の特徴を有する。培養中の細胞のAAV感染は、非細胞傷害性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は、無症状及び無症候性である。更に、AAVは、多くの哺乳動物細胞に感染し、インビボで多くの異なる組織を標的化する可能性を与える。更に、AAVは、ゆっくりと分裂する細胞及び非分裂細胞を形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外エレメント)として本質的にそれらの細胞の生涯にわたって存続し得る。AAVプロウイルスゲノムは、組換えゲノムの構築を実現可能にするプラスミド中のクローン化DNAとして感染性である。更に、AAV複製、ゲノムカプシド形成、及び組み込みを誘導するシグナルが、AAVゲノムのITR内に含まれているため、内部の約4.3kbのゲノム(複製及び構造カプシドタンパク質をコードする、rep-cap)の一部又は全てを、外来DNAで置き換えることができる。rep及びcapタンパク質は、トランスで提供され得る。AAVの別の重要な特徴は、それが極めて安定した頑健なウイルスであることである。これは、アデノウイルスを不活性化するために使用される条件(56~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を低くする。AAVは、凍結乾燥することもできる。最後に、AAV感染細胞は、重複感染に耐性がない。
【0056】
本明細書に例示されるように、AAVベクターは、rep遺伝子及びcap遺伝子を欠いている。AAVは、組換えAAV(rAAV)又は自己相補的組換えAAV(scAAV)であり得る。AAVは、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、AAV rh.74、AAV rh.8、又はAAVrh.10由来であり得るカプシド血清型を有する。
【0057】
ウイルスベクターには、例えば、AAV1(すなわち、AAV1逆位末端反復(ITR)及びAAV1カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV2(すなわち、AAV2 ITR及びAAV2カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV3(すなわち、AAV3 ITR及びAAV3カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV4(すなわち、AAV4 ITR及びAAV4カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV5(すなわち、AAV5 ITR及びAAV5カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV6(すなわち、AAV6 ITR及びAAV6カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV7(すなわち、AAV7 ITR及びAAV7カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV8(すなわち、AAV8 ITR及びAAV8カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV9(すなわち、AAV9 ITR及びAAV9カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAVrh74(すなわち、AAVrh74 ITR及びAAVrh74カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAVrh.8(すなわち、AAVrh.8 ITR及びAAVrh.8カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAVrh.10(すなわち、AAVrh.10 ITR及びAAVrh.10カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV11(すなわち、AAV11 ITR及びAAV11カプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV12(すなわち、AAV12 ITR及びAAV12カプシドタンパク質を含有するAAV)、又はAAV13(すなわち、AAV13 ITR及びAAV13カプシドタンパク質を含有するAAV)が含まれる。
【0058】
本開示のDNAプラスミドは、本開示の組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む。DNAプラスミドは、rAAVゲノムを感染性ウイルス粒子に組み立てるために、AAVのヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、E1欠失アデノウイルス、又はヘルペスウイルス)の感染が許容される細胞に導入される。パッケージングされるAAVゲノム、rep遺伝子及びcap遺伝子、並びにヘルパーウイルス機能を細胞に提供するrAAV粒子を産生する技術は、当該技術分野において標準である。rAAVの産生は、以下の成分、rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離した(すなわち、その中に存在しない)AAV rep遺伝子及びcap遺伝子、並びにヘルパーウイルス機能が、単一細胞(本明細書でパッケージング細胞と表される)内に存在することを必要とする。AAV rep遺伝子は、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型由来であってもよく、rAAVゲノムITRとは異なるAAV血清型由来であってもよく、AAV血清型AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、及びAAV rh.74が挙げられるが、これらに限定されない。IAAVゲノムにおけるAAV DNAは、AAV血清型であるAAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80及びAAV-rh.74を含むが、これに限定されない、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型由来であり得る。他のタイプのrAAVバリアント、例えば、カプシド変異を有するrAAVも、本開示に含まれる。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。上述のとおり、様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が、当該技術分野において既知である。同族成分の使用が具体的に企図される。偽型rAAVの産生は、例えば、WO01/83692に開示されている(その全体が参照により本明細書に援用される)。
【0059】
AAVベクターは、1つのAAV血清型由来のITR及び異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を含有する偽型AAVであり得る。偽型AAVは、AAV2/9(すなわち、AAV2 ITR及びAAV9カプシドタンパク質を含有するAAV)であり得る。偽型AAVは、AAV2/8(すなわち、AAV2 ITR及びAAV8カプシドタンパク質を含有するAAV)であり得る。偽型AAVは、AAV2/1(すなわち、AAV2 ITR及びAAV1カプシドタンパク質を含有するAAV)であり得る。
【0060】
AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8若しくはAAVrh.10、AAV10、AAV11、AAV12、又はAAV13からのカプシドタンパク質のうちの1つ以上のキメラを含有するカプシドタンパク質などの組換えカプシドタンパク質を含有し得る。他のタイプのrAAVバリアント、例えば、カプシドバリアントを有するrAAVも企図される。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。上述のとおり、様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が、当該技術分野において既知である。
【0061】
本開示は、DNM1 mRNAを標的としてDNM1発現を阻害するmiDNM1を送達するためのAAVを提供する。AAVは、RNAポリメラーゼIII(Pol III)ベースのプロモーターの制御下で、miDNM1を送達するために使用され得る。AAVは、U6プロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。AAVは、H1プロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。AAVは、RNAポリメラーゼII(Pol II)ベースのプロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。AAVは、U7プロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。AAVは、ニューロン特異的プロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。例えば、AAVは、ニューロン特異的シナプシンプロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。AAVは、DNM1プロモーターの制御下でmiDNM1を送達するために使用される。
【0062】
自然界において、U6プロモーターは、スプライシングに関与し、十分に特徴付けられている低分子核内RNA(snRNA)であるU6RNAの発現を制御する[Kunkel et al.,Nature,322(6074):73-77(1986)、Kunkel et al.,Genes Dev.2(2):196-204(1988)、Paule et al.,Nuc.Acids Res.,28(6):1283-1298(2000)]。(1)プロモーターが、RNAポリメラーゼIII(ポリIII)によって認識され、かつRNAの高レベルの恒常的発現を制御し、(2)プロモーターが、大半の哺乳動物細胞型において活性であるため、U6プロモーターが、哺乳動物細胞におけるベクターベースの発現を制御するために使用される[Paddison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99(3):1443-1448(2002)、Paul et al.,Nat.Biotechnol.,20(5):505-518(2002)]。本開示は、マウス及びヒトU6プロモーターの両方の使用を含む。
【0063】
本明細書のAAVベクターは、rep及びcap遺伝子を欠いている。AAVは、組換えAAV、組換え一本鎖AAV(ssAAV)、又は組換え自己相補的AAV(scAAV)であり得る。
【0064】
本開示のrAAVゲノムは、例えば、1つ以上のmiDNM1をコードするポリヌクレオチドに隣接する1つ以上のAAV ITRを含む。Ambion Inc.(Austin,TX)、Darmacon Inc.(Lafayette,CO)、InvivoGen(San Diego,CA)、及びMolecular Research Laboratories,LLC(Herndon,VA)などの商業的プロバイダーが、カスタム阻害性RNA分子を作製する。加えて、市販のキットが、SILENCER(商標)siRNA構築キット(Ambion Inc.、Austin,TX)又はpsiRNAシステム(InvivoGen、San Diego,CA)などのカスタムsiRNA分子を産生するために利用可能である。
【0065】
パッケージング細胞を生成する方法は、AAV粒子の産生に必要な全ての成分を安定して発現する細胞株を作成することである。例えば、AAV rep及びcap遺伝子を欠くrAAVゲノム、rAAVゲノムから分離されたAAV rep及びcap遺伝子、並びに選択マーカー(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子)を含む、プラスミド(又は複数のプラスミド)が、細胞のゲノムに組み込まれる。AAVゲノムは、GCテーリング[Samulski et al.,Proc.Natl.Acad.S6.USA,79:2077-2081(1982)]、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有する合成リンカーの付加[Laughlin et al.,Gene,23:65-73(1983)]、又は直接的な平滑末端ライゲーション[Senapathy & Carter,J.Biol.Chem.,259:4661-4666(1984)]などの手順によって細菌プラスミドに導入されている。次いで、パッケージング細胞株を、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させる。この方法の利点は、細胞が選択可能であり、rAAVの大規模産生に好適であることである。好適な方法の他の例は、rAAVゲノム並びに/又はrep遺伝子及びcap遺伝子をパッケージング細胞に導入するためのプラスミドではなく、アデノウイルス又はバキュロウイルスを使用する。
【0066】
rAAV産生の一般的原理は、例えば、Carter,Current Opinions in Biotechnology,1533-1539(1992)、及びMuzyczka,Curr.Topics in Microbiol.and Immunol.,158:97-129(1992)に概説されている。様々なアプローチが以下に記載されている:Ratschin et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072(1984)、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466(1984)、Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251(1985)、McLaughlin et al.,J.Virol.,62:1963(1988)、及びLebkowski et al.,Mol.Cell.Biol.,7:349(1988)、Samulski et al.,J.Virol.,63:3822-3828(1989)、米国特許第5,173,414号、WO95/13365及び対応する米国特許第5,658.776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.,Vaccine,13:1244-1250(1995)、Paul et al.,Hum.Gene Ther.,4:609-615(1993)、Clark et al.,Gene Ther.,3:1124-1132(1996)、米国特許第5,786,211号、米国特許第5,871,982号、米国特許第6,258,595号、及びMcCarty,Mol.Ther.,16(10):1648-1656(2008)。前述の文書は、それらの全体が参照により本明細書に援用され、特に、rAAV産生に関する文書のセクションに重点を置く。自己相補的rAAVの産生及び使用が特に企図され、例示される。
【0067】
本開示は、AAVベクターを産生するパッケージング細胞を更に提供する。パッケージング細胞は、HeLa細胞、293細胞、及びPerC.6細胞(同族293株)などの安定して形質転換されたがん細胞であり得る。別の実施形態では、パッケージング細胞は、形質転換されたがん細胞ではない細胞、例えば、低継代数の293細胞(アデノウイルスのE1で形質転換されたヒト胎児腎細胞)、MRC-5細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、WI-38細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、Vero細胞(サル腎臓細胞)、及びFRhL-2細胞(アカゲザル胎児肺細胞)である。
【0068】
そのため、組換えAAV(rAAV)(すなわち、感染性カプシド化rAAV粒子)が本明細書に提供される。rAAVのゲノムは、AAV rep及びcap DNAを欠いており、すなわち、rAAVのゲノムのITR間にAAV rep又はcap DNAが存在しない。
【0069】
rAAVは、カラムクロマトグラフィー又は塩化セシウム勾配などの当該技術分野で標準的な方法によって精製され得る。ヘルパーウイルスからrAAVベクターを精製するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Clark et al.,Hum.Gene Ther.,10(6):1031-1039(1999)、Schenpp and Clark,Methods Mol.Med.,69:427-443(2002)、米国特許第6,566,118号、及びWO98/09657に開示された方法を含む。
【0070】
本開示の核酸及びウイルスベクターを含む組成物が提供される。本明細書に記載の送達ビヒクル(rAAVなど)を含む組成物が提供される。このような組成物はまた、薬学的に許容される担体を含む。組成物はまた、希釈剤及びアジュバントなどの他の成分も含み得る。許容される担体、希釈剤、及びアジュバントは、レシピエントに対して非毒性であり、好ましくは、用いられる投薬量及び濃度で不活性であり、緩衝剤(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、若しくは他の有機酸)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、低分子量ポリペプチド、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン)、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジン)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む)、キレート剤(例えば、EDTA)、糖アルコール(例えば、マンニトール若しくはソルビトール)、塩形成カウンターイオン(例えば、ナトリウム)、並びに/又は非イオン性界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)、プルロニック(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG))が含まれる。
【0071】
髄腔内送達を含むが、これらに限定されないCSF送達の場合、本明細書で提供される組成物は、イオビトリドール、イオヘキソール、イオメプロール、イオパミドール、イオペントール、イオプロミド、イオベルソール、又はイオキシランなどの非イオン性低浸透圧化合物又は造影剤を含有する、薬学的に許容される水性賦形剤を含み得、非イオン性低浸透圧化合物を含有する水性賦形剤は、以下の特性のうちの1つ以上を有し得る:約180mgI/mL、約322mOsm/kg水の蒸気圧浸透圧法によるオスモル濃度、約273mOsm/Lのオスモル濃度、20℃で約2.3cp及び37℃で約1.5cpの絶対粘度、並びに37℃で約1.164の比重。例示的な組成物は、約20~40%の非イオン性低浸透圧化合物、又は約25~35%の非イオン性低浸透圧化合物を含む。例示的な組成物は、20mMのトリス(pH8.0)、1mMのMgCl2、200mMのNaCl、0.001%のポロキサマー188、及び約25%~約35%の非イオン性低浸透圧化合物中に製剤化されたscAAV又はrAAVウイルス粒子を含む。別の例示的な組成物は、1×PBS及び0.001%のプルロニックF68中に製剤化されたscAAVを含む。
【0072】
本発明の方法で投与されるrAAVの力価は、例えば、特定のrAAV、投与方式、治療目標、個体、及び標的にされる細胞型に応じて異なり、当該技術分野で標準的な方法によって決定され得る。rAAVの力価は、ml当たり約1×106個、約1×107個、約1×108個、約1×109個、約1×1010個、約1×1011個、約1×1012個、約1×1013個、約1×1014個、約1×1016個、又はそれを超えるDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい。本明細書で企図される投薬量は、約1×107vg、約1×108vg、約1×109vg、約5×109vg、約6×109vg、約7×109vg、約8×109vg、約9×109vg、約1×1010vg、約2×1010vg、約3×1010vg、約4×1010vg、約5×1010vg、約1×1011vg、約1.1×1011vg、約1.2×1011vg、約1.3×1011vg、約1.2×1011vg、約1.3×1011vg、約1.4×1011vg、約1.5×1011vg、約1.6×1011vg、約1.7×1011vg、約1.8×1011vg、約1.9×1011vg、約2×1011vg、約3×1011vg、約4×1011vg、約5×1011vg、約1×1012vg、約1×1013vg、約1.1×1013vg、約1.2×1013vg、約1.3×1013vg、約1.5×1013vg、約2×1013vg、約2.5×1013vg、約3×1013vg、約3.5×1013vg、約4×1013vg、約4.5×1013vg、約5×1013vg、約6×1013vg、約1×1014vg、約2×1014vg、約3×1014vg、約4×1014vg、約5×1014vg、約1×1015vg、~約1×1016vg、又はそれを超える全ウイルスゲノムを含む。約1×109vg~約1×1010vg、約5×109vg~約5×1010vg、約1×1010vg~約1×1011vg、約1×1011vg~約1×1015vg、約1×1012vg~約1×1015vg、約1×1012vg~約1×1014vg、約1×1013vg~約6×1014vg、及び約6×1013vg~約1.0×1014vg、2.0×1014vg、3.0×1014vg、5.0×1014の投薬量も企図される。例えば、CSF用量は、年齢群に基づいて、約1×1013vg/患者~約1×1015vg/患者の範囲であり得る。例えば、静脈内送達用量は、1×1013vg/キログラム(kg)体重~2×1014vg/kgの範囲であり得る。
【0073】
インビボ又はインビトロで、標的細胞に送達ビヒクル(例えば、rAAV)を形質導入する方法が企図される。インビボ方法は、有効用量又は有効複数回用量の送達ビヒクル(rAAVなど)を含む組成物を、それを必要とする対象(ヒト患者を含む)に投与するステップを含む。用量が、障害/疾患の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量が、障害/疾患の発症後に投与される場合、投与は治療的である。有効用量は、治療される障害/疾患状態に関連する少なくとも1つの症状を緩和(排除若しくは低減)する用量であり、障害/疾患状態への進行を遅延若しくは予防する用量であり、障害/疾患状態の進行を遅延若しくは予防する用量であり、疾患の程度を軽減する用量であり、疾患の寛解(部分若しくは完全)をもたらす用量であり、並びに/又は生存を延長する用量である。本発明の方法による予防又は治療が企図される疾患の例は、DEEである。DEEには、レノックス-ガストー症候群及び幼児けいれんが含まれるが、これらに限定されない。病理学的DNM1遺伝子バリアントを保有することが知られている家族では、本方法は、疾患の発病前に行われ得る。他の患者では、本方法は診断後に行われる。
【0074】
髄腔内投与の場合、対象は、rAAVの注射後、トレンデレンブルク体位(頭低位)に維持され得る(例えば、約5、約10、約15、又は約20分間)。例えば、患者は、頭低位で約1度~約30度、約15~約30度、約30~約60度、約60~約90度、又は約90~約180度で傾けられてもよい。
【0075】
分子的、生化学的、組織学的、及び機能的な転帰尺度は、本方法の治療有効性を実証する。転帰尺度は、例えば、Aimiuwu et al.,Mol.Ther.,28(7):1706-1716(2020)に記載されている。転帰尺度には、罹患した組織における変異DNM1 mRNA若しくはタンパク質の低減又は除去、DNM1遺伝子のノックダウン、生存率の増加、成長の増加、及び発作の減少のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。他には、神経組織学の改善(軸索数、軸索サイズ、及びミエリン形成)、運動機能の改善、握力の改善、脳におけるグリオーシス及び神経変性の低減、並びに代謝活性の改善が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
本開示の方法では、対象における変異DNM1の発現は、治療前の対象における発現と比較して、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98パーセント、少なくとも99パーセント、又は100パーセント阻害される。
【0077】
併用療法も本発明によって企図される。本明細書で使用される組み合わせは、同時治療及び逐次治療の両方を含む。本明細書に記載の方法と標準的な医学的治療及び支持療法との組み合わせは、特に企図される。
【0078】
有効用量の本開示の核酸、ウイルスベクター、又は組成物の投与は、当該技術分野で標準的な経路によるものであり得、筋肉内、非経口、血管内、静脈内、経口、頬側、経鼻、経肺、頭蓋内、脳室内、髄腔内、骨内、眼内、経直腸、又は膣内が含まれるが、これらに限定されない。有効用量は、経路の組み合わせによって送達され得る。例えば、有効用量は、静脈内及び筋肉内、又は静脈内及び脳室内などで送達される。有効用量は、連続して又は逐次的に送達され得る。有効用量は、同時に送達され得る。本発明のrAAVのAAV成分(特に、AAV ITR及びカプシドタンパク質)の投与経路及び血清型は、治療される感染症及び/又は疾患状態、並びにmiRNAを発現する標的細胞/組織を考慮して、当業者によって選択及び/又は適合され得る。
【0079】
特に、送達ビヒクル(rAAVなど)の実際の投与は、送達ビヒクル(rAAVなど)を対象の標的細胞に輸送する任意の物理的方法を使用することによって達成され得る。投与としては、筋肉への注射、血流への注入、及び/又は神経系若しくは肝臓への直接注射が挙げられるが、これらに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水中にrAAVを単に再懸濁させることが、筋肉組織発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、rAAVと同時投与され得る担体又は他の成分に対する既知の制限はない(しかし、DNAを分解する組成物は、rAAVを用いる通常の方法において避ける必要がある)。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが神経細胞などの目的の特定の標的組織に標的化されるように改変され得る。例えば、WO02/053703を参照されたい(その開示は、参照により本明細書に援用される)。薬学的組成物は、注射用製剤として、又は経皮輸送により筋肉に送達される局所製剤として調製することができる。筋肉内注射及び経皮輸送の両方のための多数の製剤が既に開発されており、本発明を実施に使用することができる。送達ビヒクル(例えば、rAAV)は、投与及び取り扱いを容易にするために、任意の薬学的に許容される担体とともに使用することができる。
【0080】
送達ビヒクル(例えば、rAAV)の分散液はまた、グリセロール、ソルビトール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で、並びに油中で調製することができる。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。これに関連して、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準的な技術によって容易に入手可能である。
【0081】
注射用途に好適な薬学的形態には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる。全ての場合において、形態は無菌でなければならず、容易な通針性(syringeability)が存在する程度に流動性でなければならない。製造及び保管の条件下で安定していなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、ソルビトールなど)、それらの好適な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤を使用することによって、分散液の場合には、必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖類又は塩化ナトリウム)を含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を使用することによってもたらされ得る。
【0082】
滅菌注射用溶液は、必要な量のrAAVを適切な溶媒に、必要に応じて、上に列挙した他の様々な成分とともに組み込み、その後濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、滅菌した活性成分を、基本分散媒及び上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、それは、活性成分に加えて予め滅菌濾過したそれらの溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす。
【0083】
本明細書で提供されるrAAVでのニューロンなどの細胞の形質導入は、DNM1 miRNAの持続発現をもたらす。したがって、本発明は、DNM1 miRNAを発現するrAAVを、好ましくはヒトである対象に投与/送達する方法を提供する。これらの方法は、細胞及び組織(中枢神経系ニューロンを含むが、これらに限定されない)を本明細書に記載の1つ以上のrAAVで形質導入することを含む。形質導入は、細胞特異的制御エレメントを含む遺伝子カセットを用いて行うことができる。
【0084】
「形質導入」という用語は、例として、標的細胞によるmiDNM1の発現をもたらす本明細書に記載の複製欠損rAAVを介した、インビボ又はインビトロのいずれかでの標的細胞へのmiDNM1の投与/送達を指す。
【0085】
そのため、有効用量(又は本質的に同時に投与される用量若しくは間隔をおいて投与される用量)の本明細書に記載のrAAVを、それを必要とする患者に投与する方法が提供される。
【実施例】
【0086】
本発明の態様及び例示的な実施形態は、以下の実施例によって例示される。
実施例1
マウスDNM1を標的とするmiDNM1の設計及びインビトロ試験
Dnm1Ftflをノックダウンするために、マイクロRNAは、断続的な変異を有するマウスDnm1aアイソフォームを特異的かつ効率的に標的とするように設計された。
【0087】
人工miRNAは、天然のmir-30に基づいており、正常なmiRNAの生合成に必要な重要な構造及び配列エレメントを維持しているが、成熟mir-30配列が、DNM1遺伝子に相補的な22ntで置き換えられている。例示的な一般的なmiRNAシャトル構造を示す
図1を参照されたい。
【0088】
以前に、Wallace et al.,Mol.Ther.J.Am.Soc.Gene Ther.,20:1417-1423(2012)に記載されているように、Dnm1aを標的とする4つのマイクロRNA(miDnm1a-1からmiDnm1a-4と称される)を設計し、U6プロモーターによって駆動される発現を有するmir-30ベースの構築物にクローニングした。miDNM1配列は、概して、Boudreau et al.,Chapter 2 of Harper(Ed.),RNA Interference Techniques,Neuromethods,Vol.58,Springer Science+Business Media,LLC(2011)に従って設計された。適格なmiRNAは、22nt長であり、最初の4つ及び最後の4つのヌクレオチドが、それぞれ、少なくとも75%のGCリッチ及びAUリッチであった。加えて、22ヌクレオチドのストリングは、40%のAUリッチであった。Dnm1aのmiRNA特異的標的化は、Dnm1aとDnm1bとの間の42ntの差異を利用した。
【0089】
miRNAの活性を、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイを使用してインビトロで試験した。ルシフェラーゼアッセイは、それぞれ、ホタル及びRenilla reniformis由来の2つの異なるルシフェラーゼ遺伝子を含有するデュアルレポータープラスミドの開発を必要とする。DNM1遺伝子配列は、Renillaルシフェラーゼの3’UTRとして挿入され、ホタルルシフェラーゼは、内部対照として機能する。U6.miDNM1プラスミドを、デュアルルシフェラーゼプラスミドとともにHEK293細胞に共トランスフェクションする。DNM1遺伝子ノックダウンは、対照ホタルルシフェラーゼ活性に対して、DNM1配列でタグ付けされたRenillaルシフェラーゼの活性を測定することによって決定される。miDnm1a-1は、約84%のノックダウンを示し、miDnm1a-2は、約64%のノックダウンを示し、miDnm1a-3は、約80%のノックダウンを示した。miDnm1a-4は、Dnm1a mRNAの量の低減で最も効果的であり(
図2A)、約95%のノックダウンを示した。全長miDnm1a-4 miRNA配列は以下のとおりである。
【0090】
【0091】
成熟miRNA(下線付き)のアンチセンス鎖は、Dnm1a mRNAに結合する。
実施例2
miDNM1をコードするscAAV9の産生
次いで、インビボでの検証のために、miDnm1a-4鋳型DNAをscAAV9ウイルスベクターにクローニングした(scAAV9-miDnm1a)(
図2B)。
【0092】
miDNM1鋳型配列を、インビボ送達のために、一般的に「scAAV9-NPベクター」と称されるscAAV9構築物にクローニングした。scAAV9はまた、CMVプロモーター駆動型eGFPレポーター遺伝子も含有した。scAAV9は、自己相補的AAVゲノムのパッケージングを可能にする変異AAV2逆位末端反復(ITR)及び野生型AAV2 ITRを含んだ。得られたscAAV9は、「scAAV9-NPベクター」と称される。非標的化scAAVは、「AAV9-miRLacZ」(scAAV構築物scAAV-NP.U6.miRLacZ.CMV.eGFPの略)と称される。
【0093】
ScAAV9は、293細胞において、以前に記載されているように[Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)]、アデノウイルスヘルパープラスミドpHelper(Stratagene、Santa Clara,CA)とともにRep2Cap9配列をコードするプラスミドを有する二本鎖AAV2-ITRベースのベクターを使用した一過性トランスフェクション手順によって産生された。実験のためにscAAV9を、3つの別々のバッチで産生し、2つの塩化セシウム密度勾配精製ステップによって精製し、PBSに対して透析し、ウイルス凝集を防止するために0.001%プルロニック-F68を用いて製剤化し、4℃で保存した。全てのベクター調製物を、Taq-Man技術を使用して、定量的PCRによって滴定した。ベクターの純度を、4~12%のドデシル硫酸ナトリウム-アクリルアミドゲル電気泳動及び銀染色(Invitrogen、Carlsbad,CA)によって評価した。scAAV9ウイルスを、Nationwide Children’s HospitalのResearch InstituteでViral Vector Coreによって生成し、滴定した。
【0094】
実施例3
形質導入及びDnm1aノックダウンのインビボ定量化
マウスに、出生後日数0(PND0)に1回の両側脳室内(ICV)注射を介して、処置(scAAV9-miDnm1a)又は対照(scAAV9-eGFP)AAVのいずれかを投与した。
【0095】
scAAV9-miDnm1aのICV送達のために、PND0のDnm1+/+マウスを、適切に麻酔されるまで冷却された金属ブロック上に配置することによって、低体温を使用して麻酔した。注射部位は、ラムダ縫合から各眼までの距離の約2/5であった。全ての注射を、点スタイル4、33ゲージの針、及び10μL又は25μLのハミルトンシリンジ(カタログ番号65460-06及びカタログ番号65460-10)を使用して自由裁量で実行した。対照scAAV9-eGFP注射を、miDnm1a投薬量に一致させ、生理食塩水対照を注射したウイルスの量に一致させた。
【0096】
全脳を、PND14で6匹のeGFPが注射されたマウス及び8匹のmiDnm1aが注射されたマウスから単離した。組織を、2-メチルブタンで急速凍結し、-80℃で保存した。試料を、dounceを使用して均質化し、TRIzol試薬(ThermoFisher、Waltham,MA、カタログ番号15596018)を使用してRNAを単離した。RNAを、Invitrogen SuperScript III First-Strand Synthesis System(Carlsbad,CA,カタログ番号18080051)を使用して、cDNAに変換した。Dnm1aノックダウンを、プライマー5’-CTCGCTTTTGAAGCCACAGT-3’(配列番号56)及び3’-TTTCTGATGGTGGACGTGAG-5’(配列番号57)を使用して評価した。Dnm1b発現を、プライマー5’-GGCCTTTGAAACCATTGTGA-3’(配列番号58)及び3’-GCACTGTCTAACCGTGCTGA-5’(配列番号59)を使用して評価した。SYBR(商標)Select Master Mix(Applied Biosystems、Waltham,MA、カタログ番号4472903)を、Applied Biosystems-Quant Studio5を使用して実行したqPCRに使用した。
【0097】
結果を
図2C~
図2Dに示す。
実施例4
パイロット研究
生存延長におけるscAAV9-miDnm1aの有効性を評価するために、C57BL/6J(B6J)マウス系統バックグラウンドでパイロット研究を実施した。Dnm1
Ftfl/Ftflマウスは、マウス系統のバックグラウンドに関係なく、出生後第3週までに致死性をもたらす、重度の完全浸透性強直間代発作及び併存疾患を経験する
11。B6J-Dnm1
Ftfl/Ftflマウスを、3用量のmiDnm1a:1×10
10、1.85×10
11、3.25×10
11ベクターゲノム(vg)で処置した。
【0098】
Dnm1
Ftfl/Ftfl変異体の処置は、用量依存的に生存を延長した:後者の2つの用量でそれぞれ処置されたマウスの30%(p=0.0001)及び50%(p=0.01)は、PND30まで生存し、成長の改善を示した(p=0.003、
図4B~
図4C)。3.25×10
11vgでの最高用量は、明らかな副作用を生じなかった。
【0099】
実施例5
拡大研究
miDnm1aの有効性を更に評価するために、それらの大きな同腹子サイズ、動物サイズ、及び良好な母体ケアのため、(B6J×FVB/NJ)F
2ハイブリッドバックグラウンドマウスを使用した。Dnm1
Ftfl/Ftfl及びDnm1
+/+F
2ハイブリッドを、PND0で、処置(scAAV9-miDnm1a)又は対照の注射(すなわち、scAAV9-eGFP又は生理食塩水、
図3A)のいずれかを行った。F
2マウスを、取得した力価に基づいて、マウス当たり約5.2×10
11vg~6.0×10
11vgで処置した。マウスを、本研究のために選択されたエンドポイントであるPND30までの生存、発作活性、及び体重について観察した(
図3A)。
【0100】
研究設計
実験は、遺伝子型及び処置に対して盲検で実施され、必要に応じて無作為化された。出生後日数(PND)30は、典型的には、子マウスはPND22とPND28との間で離乳し、発達期間の終わりを示すため、成体エンドポイントとして先を見越して選択された。生きたDnm1Ftfl/Ftflマウスからの施設コンプライアンスデータ収集に準拠するために、瀕死時に停止した。変異Dnm1aの阻害からの改善の検出における95%信頼性については、80%の力で効果を検出するには、群当たり少なくとも12匹の動物(遺伝子型x処置、性別合わせて)が必要であった。一次研究では、可能な用量効果を評価するために、以下の2つのウイルス用量を表す、2つの実験をF2ハイブリッドバックグラウンドで実行した:約5.2x1011vg、約6.0x1011vg。マウスを、miDnm1a処置又はeGFP若しくは生理食塩水投与を含む対照条件のいずれかに無作為に割り当てた。単純化のための分析では、2つの対照条件は、効果に差異がなかったため、合わせた。したがって、処置された群対対照が注射された群をモデリングする分析のために、2つの用量実験及び性別(それぞれについてカテゴリー的指標変数を使用して)及び同腹子サイズを共変量として組み合わせた。細胞分析は、ほとんど全ての未処置又は対照が注射されたマウスが瀕死になる時点であるため、PND18、及び研究のエンドポイントであるPND30で実行された。この研究について、miDnm1a処置の効果の細胞特性評価のための3つの代表的な反復を示す。
【0101】
動物及び遺伝子型決定
これらの研究に使用したC57BL/6J-Dnm1Ftfl-floxマウス(以下、B6J-Dnm1Ftflと称する)を、Jackson Laboratory’s Genetic Engineering TechnologyコアによってDnm1Δ1a/Δ1aマウスで作製し、CRISPR/Cas9を使用してDnm1Ftfl変異を導入した。系統間F2ハイブリッドマウスを作製するために、B6J-Dnm1Ftfl/+マウスをFVB/NJ雌(JAX、Bar Harbor、ME、ストック004624)に交配させ、F1ハイブリッドマウスを系統間交配させた。マウスは、断片的対立遺伝子におけるloxP部位の存在を検出するように設計されたPCRプロトコルで遺伝子型決定された。遺伝子型決定プライマー5’-CCTCTCTGTCCACTTGTAGCCATT-3’(配列番号60)及び3’-ACTGGGTGATGCTCACTAGAACCT-5’(配列番号61)は、321bpの変異対立遺伝子及び215bpの野生型対立遺伝子を産生する。この研究のためのマウスは、0~30日齢であった。個々の子マウスを特定するために、Ketchum Animal Tattoo Ink(カタログ番号329AA)を使用して、AIMS子タトゥー識別システム(Budd Lake,NJ)に従って、それらをPND0でタトゥーを入れた。マウスはまた、PND10で耳切開された。PND21での離乳後、マウスは、ホームケージ内で自由に餌及び水を摂取することができた。子マウスは、一度に10分を超えてホームケージから分離されることはなかった。明かりを12時間の明暗サイクルで維持し、サイクルの明かりの部分の間に行動試験を行った。全ての手順は、Columbia University’s Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認され、実験動物のケア及び使用についての National Institute of Health Guideに従って実施された。
【0102】
実施例6
処置されたマウスにおける成長、発達、及び発作の評価
成長及び生存監視
PND4~PND30に、実施例5のマウスを隔日で体重測定した。加えて、一般的な健康及び生存を、PND0~PND30(研究エンドポイント)に毎日監視した。
【0103】
先行の研究[Boumil、上記]から示されるように、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND18~19までの瀕死又は末期発作事象まで、PND8から成長欠損を示し始めた(
図3B、C)。対照的に、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND30まで着実に成長したが、それぞれPND8及びPND18から開始した、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスより遅れた(
図3C)。全体として、PND18まで、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflと比較して、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスに有意な成長改善があった(反復測定ANOVA、p=3.3×10
-13)。処置されたDnm1
+/+マウスでさえ、対照が注射されたDnm1
+/+と比較して、PND8から始まるいくらかの成長遅延を示した(p=0.004、
図3C)。生殖細胞系Dnm1a nullマウスは、任意の明白な障害を欠くことが以前に報告された[Asinof(2015)、上記、Asinof(2015)、上記]が、処置されたDnm1
+/+に見られるような適度な成長遅延が、出生後Dnm1a除去の特徴であること考えられる。あるいは、処置されたDnm1
+/+マウスにおいて観察された成長欠損は、miDnm1aの予測不可能なオフターゲット効果に起因する可能性がある。それにもかかわらず、これらのデータは、Dnm1
Ftfl/Ftflマウスの成長転帰の改善におけるmiDnm1aの有効性を強化する。
【0104】
発作の定量化
発作表現型に対するmiDnm1aの効果を決定するために、処置された、及び対照が注射されたDnm1Ftfl/Ftflホモ接合体を、明らかな発作及び発作関連活動について評価した。子マウスの各同腹子は、体重測定中に約5分間監視された。発作活動は、野性的な走行、ストラウブ尾、その後の顔の毛づくろいを伴う10秒以上続く垂直ジャンプ、前肢及び後肢の連続的なけいれん、並びに強直間代発作によって特徴付けられた。観察窓内の全ての発作を1つの事象として計数した。評価は、体重検査セッション中のPND14から開始して、隔日で行われた。
【0105】
【0106】
処置された、及び対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの両方が発作行動を示したが、処置されたマウスは、PND14~18の間に全体的に観察された事象が少なかった(
図3D、表1)。PND18までに、全ての対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、瀕死であり、直立状態を維持することができなかった。処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND14~24の間の操作発作を示した(表1)。この期間後、観察された発作及び発作様事象の数及び強度は減少した(
図3D、表1)。これらのデータは、miDnm1a処置が、Dnm1
Ftfl/Ftflマウスにおける発作及び発作関連活動を減少させたことを示唆する。
【0107】
発達
子マウスにおける発達マイルストーンは、発達遅延の重要な読み出しである。試験を開始するために、各子マウスを巣から静かに取り出し、清潔なベンチプロテクターの上に配置した。巣の中の動揺を低減するために、ケージの蓋をすぐに穏やかに戻した。全ての評価は、3分以内に熟練の実験者によって完了された。セッションの終わりに、子マウスはすぐに巣に戻された。全ての行動について、両群からのマウス(遺伝子型x処置)を、PND4~12から毎日操作した。全ての偶数日(PND4~PND12)に体重測定し、奇数日(PND5~PND11)に強度及び感覚運動発達を評価した。PND14~PND30のマウスを、偶数日、隔日で体重測定した。試験を盲検で実行した。
【0108】
垂直スクリーンホールド
力を評価するために、マウスを垂直メッシュスクリーン上に置き、スクリーンから落下する潜時を記録した。マウスを30秒間観察し、課題を完了するための2回の試みを許可した。両方の試験のスコアを平均化した。この課題を実施するためのげっ歯類の平均齢がPND8であるため、マウスをPND9及びPND11で試験した。
【0109】
処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス(n=30)は、PND11で対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス(n=28)と比較して、握力の改善を示した(p=0.0009、
図5A)。しかしながら、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND9及びPND11では、処置された(n=24)、又は対照が注射された(n=19)Dnm1
+/+(p>0.05;
図5A)と握力は異ならなかった。
【0110】
負の走地性
可能性のある感覚運動障害を、負の走地性アッセイを使用して評価した。これは、運動協調のためにマウスの先天的な行動に挑戦して前庭合図を利用する。マウスは、45°の角度で設定されたメッシュスクリーン上に頭を下に配置される。子マウスが下向きの開始位置から90°(横向き)及び180°(頭上)に回転するための潜時を記録した。マウスに、課題を実施するために30秒を与え、2回の試みを許可した。両方の試みを分析のために平均化した。
【0111】
対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスとは異なり、野生型対照と同様に処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND11で90°及び180°回転するのにより短い潜時を示す傾向があったが、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと比較して、より困難な180°回転のみが統計的に有意であった(p=0.0004、
図5B、C)。
【0112】
オープンフィールド
運動失調表現型を定量化するために、EthoVision XTビデオト追跡ソフトウェア(Noldus)を使用して、オープンフィールドでPND14の子マウスを観察した。マウスを、100luxの発光を有する28.5cmアリーナで試験した。マウスを10分間記録した。続いて、10分間の窓にわたる移動中に各マウスがぐらついたり落下したりした回数を計数することによって、ビデオを盲検でスコア化した。100cm未満移動したマウスを除外した。加えて、移動距離及び各マウスの速度を定量した。
【0113】
予想通り、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、多数の運動失調事象(明らかにぐらついた歩行及び落下)を有したが、miDnm1a処置は、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスで観察されたこの運動失調表現型を完全に廃止した(p<0.0001、
図5D)。この時間中に歩行も定量化され、群間の移動距離又は速度のいずれにおいても差異は見られなかった(p>0.05、
図5E、F)。
【0114】
これらの結果は、miDnm1a処置が、Dnm1Ftfl/Ftflマウスの発達転帰を改善したことを示す。
要約
処置されたDnm1Ftfl/Ftflマウスは、生存の延長、成長の改善、致死性発作の減少、発達転帰の改善、及び運動失調の非存在を示した。これらのデータは、発作、成長、及び運動失調を含む最も重度な断続的な行動表現型の抑制又は排除、最終的にそれらの生活の質及びエンドポイントまでの生存の全体的な改善に至る、miDnm1aの有効性をともに示している。
【0115】
実施例7
組織学
重度の発作及び神経発達障害に対するDnm1Ftfl mRNA発現停止の顕著な緩和効果は、治療が根底にある細胞病理に影響を及ぼす程度の調査を促した。グリオーシス及び神経細胞死は、神経損傷及び再発性発作活動の特徴であり、Dnm1Ftflマウスモデルに関する公表された研究において以前に調査されていない特徴である。ここでは、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)及びFluoro-Jade C(FJC)を使用した免疫標識を介して、グリオーシス及び細胞変性の存在を調査した。
【0116】
各群から少なくとも3~5匹のマウス(遺伝子型:Dnm1Ftfl/Ftfl及びDnm1+/+X処置:miDnm1a及びeGFP)を、PND18での免疫組織化学的評価のための4%PFAで灌流した。また、PND30まで生存するDnm1Ftfl/Ftfl miDnm1aマウスを、及びDnm1+/+対照を評価した。全ての動物は、安楽死の前に同じ方法で処理された。脳を頭蓋骨から解剖し、4℃で一晩、4%PFA中で固定した。脳を、4℃で一晩、スクロースの勾配濃度(15%及び30%)に移した。飽和したら、脳をOCT(Fisher Healthcareカタログ番号4585)に埋め込み、凍結した。自由に浮遊する40μm切片を、クライオスタット(Leica CM3050S)を使用して収集した。切片を、PBS中の0.1%のTritonXで30分間透過化し、室温で1時間、PBS中の5%の正常ヤギ血清(ブロッキング緩衝液)でブロッキングした。薄片を、抗NPY(1:500、ImmunoStar、Hudson,WI カタログ番号22940)、抗c-Fos(1:250、Abcam、Cambridge,UK、カタログ番号ab190289)、抗GFP(1:250、Invitrogen、Carlsbad,CA、カタログ番号A11120)、又は抗GFAP(1:750、Sigma、Saint Louis,MO、カタログ番号M4403)のいずれかとともに、ブロッキング緩衝液中で、4℃で一晩インキュベーションした。その後、切片をPBSTで10分間洗浄し、AlexaFluor secondary555(1:1000、Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA、参照番号A31428及び参照番号A32727)中で、室温で2時間インキュベーションした。切片をDAPI中で5分間インキュベーションした後、PBSで洗浄した。切片を最終的にスライド上に取り付け、Fluoromount-G(Southern Biotech、Birmingham,AL、カタログ番号0100-01)でカバースリップをした。
【0117】
FJC標識のために、3~5匹のPND18及びPND30のマウス(遺伝子型x処置)を安楽死させ、それらの脳を解剖し、急速凍結した。20μmの厚さの切片をクライオスタットで収集し、ゼラチンコーティングされたスライド(FD NeuroTechnologies,Inc.Columbia,MD、カタログ番号PO101)上に取り付けた。切片を2%PFAで後固定し、PBSで洗浄した。スライドを50℃の加熱ブロック上で20~30分間空気乾燥させ、続いて、1%のNAOHからなる80%のエタノール溶液中に5分間置いた。スライドを70%のエタノールに2分間移動させ、脱イオン水中で2分間すすぎ、脱イオン水中の0.06%過マンガン酸カリウム中で10分間インキュベーションし、脱イオン水中で2分間すすぎ、最終的に0.1%酢酸中の0.0001%FJCからなるFJC作業溶液中で10分間インキュベーションした。最後に、スライドを脱イオン水中で各々2分間3回洗浄し、完全に空気乾燥させ、キシレン中で少なくとも1分間透明にした後、それらを取り付け媒体(DPX、Saint Louis,MO、カタログ番号06522)で覆った30。スライドを、Zeiss LSM-800共焦点顕微鏡及びZen v2.3を使用して画像化した。レーザー及びゲイン設定を一定に保ちながら、各切片について海馬の10倍の倍率のタイル画像を取得した。FJCについては、Axio X-Citeシリーズ120Q落射蛍光顕微鏡を使用し、10倍の倍率の画像を取得した。Adobe Photoshop(登録商標)で画像の後処理を行った。全ての画像処理は一貫性を保った。
【0118】
ImageJ(Fiji、nih.gov)を使用して、IHC画像を盲検で定量化した。画像を8ビットに変換し、明るさ及びコントラストを一定に保った。細胞計数器プラグインを使用して、海馬CA3全体における異常なNPY及びc-Fos陽性細胞を計数し、海馬CA1におけるFJC陽性細胞を計数した。GFAP蛍光強度は、CA1において関心領域(ROI)を有する測定ツールを使用して決定した。測定は、面積、最小及び最大灰色値、並びに統合密度を含むように設定した。蛍光強度測定のために、バックグラウンド強度を収集した。相対蛍光は、最初にCA1のROIの統合強度からバックグラウンドの統合強度を差し引くことによって計算し、バックグラウンド補正強度を得た。面積は、全ての強度測定にわたって一定に保たれた。次いで、野生型対照群の補正強度を平均化した。各補正強度を、野生型対照の補正強度の平均で割って、100を乗じた。
【0119】
PND18では、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウス(p=0.018)と比較して、海馬、特にCA1周辺で強力な原線維性グリオーシス(GFAP)を示し、これはストレス下での海馬を示す(
図6A)。対照的に、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、グリオーシスを示さず、それらの海馬は、野生型対照とは異ならなかった(p>0.05、
図6A、
図7A)。PND30での研究エンドポイントまでに、生存した処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスと比較して、海馬におけるGFAP強度の増加を示した(それぞれ、p=0.0059及びp=0.0072、
図6B、
図7A)。対照が注射されたDnm1
Ftfl/FtflマウスのFJC標識により、海馬における顕著な細胞変性が明らかになり、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと比較して、CA1領域においてよりそうであった(p=0.015、
図6C、
図7B)。この細胞死表現型は、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと差異がなかった処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスにおいて有意に減少した(
図6C)。PND30エンドポイントまで、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、いくらかの細胞死を示したが、しかしながら、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスと比較して有意に多くはなかった(
図6D、
図7B)。これらの結果は、海馬ニューロンのDnm1
Ftflに対する感受性を明らかにし
た。加えて、これらの結果は、miDnm1a処置が、PND18及びPND30でのDnm1
Ftfl/Ftflマウスの海馬におけるグリオーシス及び細胞変性を成功裏に抑制又は遅延させたことを示した。(
図6A~
図6D、
図7A~
図7B)。
【0120】
対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの海馬において観察されたグリオーシス及び細胞変性の増加を考慮して、海馬の関与を、典型的には再発性辺縁発作行動に関連する代謝活性の細胞フットプリントを使用することによって更に調べた。海馬におけるNPYの上方調節は、てんかんのげっ歯類モデルにおける過興奮性を証明する既知の方法であるため、ニューロペプチドY(NPY)を調査した。PND18で、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスと比較して、対照が注射されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスの海馬アンモン角領域、具体的にはCA3において異常な細胞NPY発現が観察された(p=0.0012、
図8A、
図9A)。しかしながら、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND18で、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスと同様のNPY発現を示した(p>0.05、
図8A、
図9A)。PND30までに、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスと依然として差異がなかったが、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、CA3において、より異常なNPY
+細胞を有する傾向にあった(p>0.05、
図8B、
図9A)。加えて、ニューロン活性の即時早期遺伝子マーカーであるc-Fosの免疫染色も実施した。海馬におけるc-Fos
+細胞の著しい増加が、特に、対照が注射されたDnm1
Ftfl/FtflマウスのCA3において見出された(
図8C、
図9B)。対照的に、この神経活性の増加は、PND18で、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスにおいて減少し(p<0.00001)、PND30まで持続した(
図8C~
図8D、
図9B)。更に、処置されたDnm1
Ftfl/Ftflマウスは、PND18又はPND30で、処置された、及び対照が注射されたDnm1
+/+マウスとは異ならなかった(p>0.05、
図8C~
図8D、
図9B)。これらの結果は、miDnm1a処置がDnm1
Ftfl/Ftflマウスの異常な細胞代謝活性を減少させたことを示唆する。
【0121】
全体的に、対照が注射されたDnm1Ftfl/Ftflマウスとは異なり、処置されたDnm1Ftfl/Ftflマウスは、PND18で、グリオーシス、細胞死、及び異常な神経細胞活性の減少を示し、これは持続し、PND30エンドポイントまで生存をもたらした。これらの結果はともに、miDnm1a処置が、Dnm1Ftfl変異に関連する細胞病理を減少させたことを示している。
【0122】
実施例8
ヒト及びマウスDNM1エクソン10bを標的とするmiDNM1の設計及びインビトロ試験
ヒトDNM1又はマウスDnm1をノックダウンするために、両方の種由来のエクソン10bを特異的かつ効率的に標的とするマイクロRNAを設計した。実施例1に記載の方法によって、miDNM1-10b-72 miRNAをmir-30ベースの構築物にクローニングした。完全な相補性でヒト及びマウスのエクソン10bの両方に結合する。全長miDnm1b-72 miRNA配列は以下のとおりである。
【0123】
5’CUCGAGUGAGCGAGUGUCUCAAGUGUGUGGACAUCUGUAAAGCCACAGAUGGGAUGUCCACACACUUGAGACACGUGCCUACUAGA 3’(配列番号29)
成熟アンチセンスガイド鎖配列は、配列番号46に示される(5’から3’へ)。
【0124】
miDNM1-10b-72の活性を、実施例1に記載のデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイを使用してインビトロで試験した。miDNM1-10B-72は、非標的化対照(空のU6プラスミド、U6T6又はmiLacZ)と比較して約90%のノックダウンを示した(
図10)。
【0125】
本発明は特定の実施形態といった点で記載された一方、その変更及び修正が生じることが当業者に理解されるだろう。したがって、特許請求の範囲内に見られるようなこのような制限のみが本発明に課せられるべきである。
【0126】
本出願で参照される全ての文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】