(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法のための溶解方法および溶解設備
(51)【国際特許分類】
C08J 11/08 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562866
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022059961
(87)【国際公開番号】W WO2022219090
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513276905
【氏名又は名称】ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】アル-ハジ アリ,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】スレイステル,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】デブール,トム
(72)【発明者】
【氏名】ソブチャク,ルーカス
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401BA13
4F401CA51
4F401CA58
4F401CB01
4F401CB14
4F401EA54
4F401FA01Z
4F401FA02Z
(57)【要約】
連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料からポリオレフィンを溶媒に溶解してポリオレフィン溶液スラリーを生成するための溶解設備であって、該ポリオレフィン溶液スラリーは、ポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解装置は、乾式供給装置、湿式供給装置、溶融供給装置、および溶液供給装置からなるリストから選択される少なくとも1つの供給装置、少なくとも1つの溶解装置を含み、少なくとも1つの溶解装置は、少なくとも1つの供給装置の出口に流体的に接続された、廃ポリオレフィン材料を導入するための少なくとも1つの第1入口を有し、少なくとも1つの溶解装置は溶媒を導入するための少なくとも1つの第2入口を有し、少なくとも1つの溶解装置はポリオレフィン溶液スラリーを取り出すための少なくとも1つの出口を有し、溶解装置は撹拌機を含む容器を含む、溶解設備。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解してポリオレフィン溶液スラリー(4)を生成するための溶解設備であって、該ポリオレフィン溶液スラリー(4)は、ポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解設備は、以下:
- 乾式供給装置、湿式供給装置、溶融供給装置、および溶液供給装置からなるリストから選択される少なくとも1つの供給装置(5)、
- 少なくとも1つの溶解装置(6)
を含み、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、少なくとも1つの供給装置(5)の出口に流体的に接続された、廃ポリオレフィン材料(1)を導入するための少なくとも1つの第1入口を有し、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、溶媒(3)を導入するための少なくとも1つの第2入口を有し、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、かつ
前記溶解装置(6)は、撹拌機を含む容器を含む、溶解設備。
【請求項2】
前記少なくとも1つの供給装置(5)は、溶融供給装置および溶液供給装置からなるリストから選択される、請求項1に記載の溶解設備。
【請求項3】
前記少なくとも1つの供給装置(5)は、溶液供給装置である、請求項1または2に記載の溶解設備。
【請求項4】
溶解装置(6)は、前記容器内に混合パターンを形成するのに適当であり、前記混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の上部への上向き流と前記容器の壁に沿った各下向き流とを含む、または、前記混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の底部への下向き流と前記容器の壁に沿った各上向き流とを含む、請求項1~3のいずれかに記載の溶解設備。
【請求項5】
溶解装置(6)の前記容器は、2~12個のバッフルを含む、請求項1~4のいずれかに記載の溶解設備。
【請求項6】
前記バッフルは、前記容器の上部および底部に、前記容器の壁との距離を置き、撹拌機の軸に向くように配置され、バッフルの幅bは、好ましくは、前記容器の直径Tの1/4から1/24の範囲であり、前記バッフルと前記容器の壁との間の距離aは、1/80から1/40の範囲である、請求項5に記載の溶解設備。
【請求項7】
前記容器の形状は好ましくは円筒形であり、前記容器の上部および底部はコルボゲン形状(korbbogen shape)に形成されている、請求項1~6のいずれかに記載の溶解設備。
【請求項8】
前記容器の高さ/直径の比(H/T)は1~3の範囲内である、請求項1~7のいずれかに記載の溶解設備。
【請求項9】
供給点は前記容器の底部にあり、排出点は前記容器の上部にある、請求項2~8のいずれかに記載の溶解設備。
【請求項10】
前記撹拌機は、容器の直径T×0.5~0.9の範囲の直径を有する少なくとも1つのインペラを含む、請求項1~9のいずれかに記載の溶解設備。
【請求項11】
連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)中に溶解して、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を生成するための溶解方法であって、該ポリオレフィン溶液スラリーはポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解方法は以下の工程;
a)廃ポリオレフィン材料(1)を供給する工程、
b)請求項1~10のいずれかに記載の溶解装置を使用して、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解する工程
を含む、溶解方法。
【請求項12】
連続法である、請求項11に記載の溶解方法。
【請求項13】
工程a)は、乾式供給、湿式供給、溶融供給、溶液供給、およびそれらの混合からなるリストから選択される、請求項11または12に記載の溶解方法。
【請求項14】
工程a)は溶液供給工程である、請求項11~13のいずれかに記載の溶解方法。
【請求項15】
工程b)は、110~350℃の温度および7~100バールの圧力で実施される、請求項11~14のいずれかに記載の溶解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法において使用される溶解設備および溶解方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
蓄積された廃プラスチックの処理という課題およびそれに対応する環境問題は、大衆および学識者から広く注目されている。そのため、プラスチック廃棄物全般の防止、特にプラスチック廃棄物の環境への流出防止の概念に加えて、廃プラスチック材料のリサイクルも重要なテーマとなっている。廃プラスチックを新しいプラスチック製品の資源に変えることができる。従って、廃プラスチック材料のリサイクルや再利用は、環境面と経済面を両立させることができる。
【0003】
90年代半ば、ヨーロッパのいくつかの国では、より差別化された廃棄物収集システム(リサイクル管理システム、循環経済法)が導入され、実際によりターゲットを絞った回収およびプラスチック材料と他の廃棄物との分別が可能になった。そのため、多かれ少なかれ効率的にポリマーの種類を互いに分離することで、処理後に最終的にポリマー種類が濃縮され、したがってより容易にリサイクル可能な二次プラスチック材料片を得ることができる。適当な廃棄物収集システムの構築および、特には適当な廃棄物分離インフラの整備が、二次石油化学原料の供給源や市場を生み出すために、ここ数十年の間に行われた。これと並行して、リサイクル可能なポリマー材料の達成可能な製品品質を向上させることを主な目標として、いくつかのプラスチックリサイクル方法が開発され、特に改良されてきた。
【0004】
一般的に知られているプラスチックリサイクルの種々の方法には、機械的な方法(マテリアルリサイクル)、高度な物理的または溶媒系(溶液)の方法および化学的な方法(原料リサイクル、熱分解やガス化などの熱化学、加溶媒分解)がある。これらの方法の中で、メカニカルリサイクルおよびケミカルリサイクルが最も広く実施されている。
【0005】
EUの公共回収および事前分別システムは、2018年にプラスチック回収率が76[重量%(Ger)]に達したが、高度なメカニカルリサイクル方法では、直接的なプラスチック材料のリサイクル率は低いレベルであった(例えば、2018年にはドイツでは12[%])。今日、高度なメカニカルリサイクルには、シュレッダー、振動、回転ふるい、分光法[例えばNIR/VIS]でサポートされる高度な分別方法、および、リサイクル可能なプラスチック材料の表面から発生する有機物、生物学的物質、および部分的な悪臭汚染物質を低減するための洗浄作業などの分離工程が含まれ、また、ポリマー種類が濃縮され、より均質なポリマーリサイクル片を達成している。これにより、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリスチレン(PS)のような、プラスチックタイプに富む等、特にポリオレフィンに富んだ二次固形ストリーム(PO含有率>85%;<95%)が得られる。その後、これらの分離された固形ストリームは、顆粒に加工(押出)され、製品に変換される特定の材料に加工される。とはいえ、達成可能な製品の品質は比較的低いままであり、食品接触用途および高性能用途の両方を実現することはできないため、今日メカニカルにリサイクルされた材料として植木鉢、ペンキバケツまたはシャンプーボトルなどの製品が一般的である。
【0006】
特に、改良された、かつ、より良い選別方法(例えば、着色フレーク選別)の実施が、特定のポリマータイプ片内の高濃度化および、二次洗浄操作の両方に影響を及ぼし、有害な汚染物質等をより効率的に削減したり、最終的な二次ポリマー原料の製品品質を向上させたりすることが望ましい。後者は、排出量を可能な限り低く抑えられる一方で、総エネルギー消費量の増加に相まって、複雑なプロセス設計、廃水処理、排ガス処理、中間製品の乾燥などに関する追加支出を含む。
【0007】
しかしながら、多層材料やフィルム、または混合されたフレキシブルフィルム廃材のような廃材成分に起因して、メカニカルポリマーリサイクルを高品質の最終用途に直接再製造することが難しいという課題が残っている。さらに、特に歴史的に適用されてきた重合技術(ポリマー密度、平均分子量、分子量分布、分子構造、架橋度などの材料特性を定義する)および歴史的に適用されてきたコンパウンド技術(添加剤、充填剤濃度、および最終的には複数の顔料組成物)に関するポリマータイプ材料混合物の予測可能な且つ制御可能な均質性の低さに重要な理由を見出すことができる。これらの品質に関する要因はすべて、メカニカルに処理されたバルク固形混合物の内部に留まり、メカニカル分別および適用される精製方法ではカバーできず、最善の場合は、リサイクル可能なポリマー材料混合物の表面で相互作用する。
【0008】
高度なメカニカルポリマーリサイクルにおける低品質を克服するためのさらなるアプローチは、最終用途(非食品)に対して許容可能で市場性のある品質を達成するために、メカニカルポリマーリサイクル品をバージンポリマーとブレンドすることであり、これにより、メカニカルにリサイクルされたポリマー材料の実施可能な含有量は、特に高品質/高性能の最終用途では低いレベル(数[重量%])にとどまる。
【0009】
2番目に生じているプラスチックリサイクルルートは、加溶媒分解とサーモケミカル(熱化学)処理に関するケミカルリサイクルまたは原料リサイクルである。2018年には、ケミカルプラスチックリサイクルの技術シェア率は、合計で2[%]未満であった。技術予測によると、サーモケミカルリサイクルのシェア率は2030年までに2[%]未満(2018年)から13[%]まで大幅に増加するはずである。しかし、ケミカルプラスチックリサイクルは、事前分別および事前処理された固形プラスチック廃棄物を回収し、石油化学産業用の原料を得るという有望な機会を提供し、これを再びプラスチック並びに化学製品および燃料にも加工できる。プラスチック固形混合物の重合体構造を分解し、より短い炭化水素をモノマー構成要素まで分解するためには、熱や溶媒を適用する必要がある。特定の技術にもよるが、ケミカルリサイクルのアプローチは、混合プラスチック画分および不純物に対する許容度が非常に高く、したがって主に汚染されたポリマー材料混合物や二次ポリマー原料を扱うことができる。それにもかかわらず、ポリオレフィン系原料混合物とヘテロ原子ポリマー(N/O/S、ハロゲン)との相互汚染は好ましくは避けなければならない。
【0010】
それにもかかわらず、特にサーモケミカルプラスチック処理、特にポリオレフィンリサイクル技術の抽象化は、むしろ、周知の伝統的なサーモケミカル単位操作を適用することにより、化石系の原油留分を、すでに化石系の二次ポリマーリサイクル材料へ置き換えることを示し、それは二次原料源にコスト的に適合させる必要がある。熱を大量に消費する吸熱性のC-C結合やC-H結合の切断(クラッキング、分解)に関するエネルギー需要は残っているため、最終的に投入される総エネルギーは、原油からバージンポリマーへの加工処理と比較して著しく高く-主に、短鎖分子の分解(例えば、原油分別のナフサなど)は、長鎖および分岐ポリマーの分解に取って代わられる。それとは別に、過度にエネルギーを消費する熱分解が残っている。さらに、必要な適用エネルギーキャリアを再生可能/持続可能なエネルギーキャリアに容易に切り替えられない限り、このような方法のCO2排出量も高くなる。
【0011】
第3のプラスチックリサイクルルートは、先進的な物理的リサイクルまたは溶媒系リサイクル(SbR)であり、2018年にはドイツにおいて、1%未満のプラスチックリサイクル市場シェアを示した。SbR処理では、ポリマーは最初に適当な溶媒に溶解され、その後、溶解ポリマーの溶解度が非溶媒の添加(溶解/沈殿)によって低下するか、および/または、熱的ユニット操作(蒸発、乾燥など)により、固化したポリマーから溶媒を好ましくは完全に分離することによってポリマーの固化が起こる。
【0012】
ポリオレフィン-SbR方法は、従来のPO重合方法と類似しており、それにより、モノマー(オレフィン)および一時的に形成されたオリゴマー(ワックス)および短鎖ポリマーに対する溶媒は、溶解度の限界を超える(重合中に長鎖ポリオレフィンが形成される)まで、例えば精製留分(ケロシンなど)であり、最終的なポリオレフィンはポリオレフィン-溶媒スラリーを形成して沈殿する(例えばChevronスラリー方法)。特別なポリオレフィン方法は、溶液PO重合方法であり、これにより、オレフィンは最初にパラフィン系溶媒ブレンドに溶解され、重合され、最終的なポリオレフィンは、減圧やフラッシュ脱揮によって方法条件が大きく変化するまで溶液中に留まる。
【0013】
一般的に知られる廃プラスチック材料の溶媒系のリサイクル方法の枠組みは、不純物の除去、溶解、およびポリマーの再沈殿/再結晶化および/または脱揮を含む。具体的には、1種以上のポリマーを1種以上の溶媒に溶解し、その後、各ポリマーを選択的に沈殿/結晶化させる。理想的には、溶媒が対象ポリマーまたは対象ポリマー以外の全ての他のポリマーのいずれかを溶解できれば、選択的溶解に使用できる。
【0014】
一般的に、廃プラスチック材料の溶媒系のリサイクル方法によってバージンライクポリマーを製造することが望まれているが、バージンライクとは、汚染がなく、顔料を含まず、臭いがなく、均質で、かつ一般的に重合したてのポリマーと同様の特性を持つものと定義される。高品質でバージンライクな再生樹脂の必要性は、食品包装のような食品および医薬品に接触する用途において特に重要である。不純物および混合着色剤で汚染されていることに加え、再生樹脂製品の多くは化学組成において不均質であることが多く、再生ポリプロピレンにポリエチレンが混入する、およびその逆などといった、かなりの量のポリマー汚染が含まれる可能性がある。
【0015】
効率的な溶媒系のポリオレフィンリサイクル方法の鍵は、溶解工程である。この工程では、ポリマーを溶媒に溶解する。溶解セクションを出るストリームの均質な組成を達成するためには、溶液の高い均質性が有利である。これは、再生ポリオレフィンの品質を一定に保つために必要である。さらに、要求される均質性までポリマーを溶解するのに必要な時間も可能な限り短いことが望ましい。特に、CAPEXおよびOPEXの両面で経済的なプロセスを持つことが要求される。
【0016】
溶媒系のポリオレフィンリサイクル方法における廃ポリオレフィンの溶解のための混合装置の設計に考慮しなければならない様々な設計基準の中で、混合容器内の混合は非常に困難である。まず、混合容器内の成分の粘度は比較的高い。一般的に、粘度はポリオレフィンリサイクル方法、リサイクルされるポリオレフィン(平均分子量)、および溶解のために容器内で使用される対応する条件(圧力および温度)によって決まる。例示的な粘度は0.1Pa・s程度であり得る。
【0017】
通常、特にその後の分離工程の観点から、完全に可溶化されたポリオレフィン溶液を製造する必要がある。これを達成するために、混合容器の設計は通常、成分の最大均質性を目指している。
【0018】
さらに、最適かつ迅速な溶解を確保するために、熱の制御が必要である。均質性を向上させる混合容器内の各混合パターンは、通常、熱対流を向上させ、その結果、制御も向上させる。
【0019】
したがって、混合容器内の成分の均質性、熱制御の改善、相制御の改善、溶解時間の短縮、および混合パターンの特定の制御の観点から最適化された混合装置が、溶媒系のポリオレフィンリサイクルの分野で一般的に必要とされている。
【0020】
CA 2376488 A1は、2種類の溶媒、すなわちn-ヘキサンと石油スピリットとを使用して、種々のポリオレフィン(ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE))を分離する溶媒系の方法を開示している。出発材料を140℃程度の高温で溶媒と接触させる。その後、濾過、遠心分離、またはその他の機械的分離方法を用いて、1以上の工程において溶液から未溶解固形分を除去する。未溶解固形分の除去後、溶液は主に溶媒と溶解したポリオレフィンとからなる。各ポリオレフィンは、同時剪断作用下での結晶化を用いた溶液から次々と沈殿する。これにより、各ポリマーの種類は分離され、ワックス、ポリマー鎖片、および様々な添加剤は溶液中に保持される。溶解工程のために、ミキシングノズルが開示される。混合については、他の手段は明確に開示されていない。したがって、CA 2376488 A1の開示からは、混合時間および均質性のさらなる改善は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】カナダ特許出願公開第2376488 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、本発明の目的は、ポリオレフィン溶液のより短い溶解時間および改善された均質性を可能にする、ポリオレフィンの溶媒系リサイクル方法のための溶解装置および溶解方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことに、前記目的は、連続的なポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料からポリオレフィンを溶媒に溶解してポリオレフィン溶液スラリーを得るための溶解設備であって、該ポリオレフィン溶液スラリーが、ポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解設備が、乾式供給装置、湿式供給装置、溶融供給装置、および溶液供給装置からなるリストから選択される少なくとも1つの供給装置、少なくとも1つの溶解装置を含み、前記少なくとも1つの溶解装置が、少なくとも1つの供給装置の出口に流体的に接続された廃ポリオレフィン材料を導入するための少なくとも1つの第1入口を有し、該少なくとも1つの溶解装置が溶媒を導入するための少なくとも1つの第2入口を有し、該少なくとも1つの溶解装置がポリオレフィン溶液スラリーを取り出すための少なくとも1つの出口を有し、該溶解装置が撹拌機を含む容器を含む、溶解設備によって達成されることが見出された。
【0024】
さらに驚くべきことに、前記目的は、連続的なポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料からポリオレフィンを溶媒に溶解してポリオレフィン溶液スラリーを得るための溶解方法であって、該ポリオレフィン溶液スラリーが、ポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解方法が、廃ポリオレフィン材料を供給する工程、本発明による溶解設備を用いて、廃ポリオレフィン材料からポリオレフィンを溶媒に溶解する工程を含む、溶解方法によって達成されることが見出された。
【0025】
<定義>
本明細書で使用される「揮発性」または「揮発性化合物」という表現は、本発明の方法で分離されるポリオレフィンと比較して著しく低い分子量を有する化合物として理解されなければならない。このような化合物は、通常、フラッシュセパレーターに曝露される際に気体状で存在する。一般に、揮発性化合物は、揮発性炭化水素の混合物である。好ましくは、揮発性炭化水素の混合物は、少なくとも1つの溶媒を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は乾式供給装置を含むバッチ方式で実施される本発明の一実施形態を示す。
【
図2】
図2は湿式供給装置を含むバッチ方式で実施される本発明の一実施形態を示す。
【
図3】
図3は溶融供給装置を含む連続方式で実施される本発明の一実施形態を示す。
【
図4】
図4は溶液供給装置を含む連続方式で実施される本発明の一実施形態を示す。
【
図5】
図5は乾式供給装置を含む連続方式で実施される本発明の一実施形態を示す。
【
図6】
図6は湿式供給装置を含む連続方式で実施される本発明の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[溶解工程]
本発明の方法を
図1~6に基づいて説明する。本発明の方法の基本概念は、少なくとも1つの廃ポリオレフィンの溶媒への溶解であることに留意すべきである。
【0028】
本発明の溶解方法は、一般に2つの工程を含む:
a)廃ポリオレフィン材料(1)を溶解工程である工程b)に供給する供給工程、該溶解工程において、遅くともポリオレフィン(2)は溶媒(3)と接触し、それにより廃ポリオレフィン材料(1)から溶解され、溶媒(3)に溶解されたポリオレフィン(2)および未溶解の残留物を含むポリオレフィン溶液スラリー(4)が得られる。任意に、溶解工程は均質化工程c)を含み得る。
【0029】
[廃ポリオレフィン材料]
廃ポリオレフィン材料は、事前分別および洗浄、さらには抽出のためのいくつかの先行工程を既に受けた粉砕された形態で通常、提供される。このような工程は、通常、一般廃棄物から廃ポリオレフィン材料(1)を調製する工程であり、廃棄物を含むポリオレフィンから不要な材料を除去するために、水溶液および/または苛性溶液で該廃棄物を洗浄することを含む。さらに、廃棄物を含むポリマー片の大きさは、好ましくは、切断、粉砕、および剪断、またはそれらの混合によって、好ましくは予め削減される。従って、廃ポリオレフィン材料(1)は、粉砕された形態、好ましくはフレークの形態で提供され、好ましくは4cm以下、より好ましくは3cm以下、典型的には0.5cm以上の最大直径を有する。廃ポリオレフィン材料(1)は、ポリオレフィンフレークの表面にいかなる廃棄物も本質的に含まない。従って、本発明の方法は、本質的に廃ポリオレフィンフレークの溶解を対象とする。
【0030】
[ポリオレフィン]
廃ポリオレフィン材料(1)は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PUR)およびポリアミド(PA)などの種々のプラスチックを含み得る。好ましくは、廃ポリオレフィン材料(1)は、廃ポリオレフィン材料(1)の総重量に対して75重量%より高い、より好ましくは80重量%より高い、最も好ましくは85重量%より高いポリオレフィン含有量を有する。廃ポリオレフィン材料(1)は、酸化防止剤、食品残留物、残留香料成分、染料および顔料などの一般的な添加剤、並びに一般に生産および使用によってプラスチック廃材中に不可避的に導入される成分などの廃棄不純物をさらに含み得る。汚染に加えて、多くのリサイクル樹脂製品は化学組成が不均質であることが多く、リサイクルPP中のPE汚染およびその逆のような、かなりの量のポリマー汚染を含む場合がある。
【0031】
本発明の方法によってリサイクルされるポリオレフィン(2)は、ポリプロピレンまたはポリエチレンのようなポリオレフィン類の混合物であり得る。しかし、好ましくは、ポリオレフィン(2)は、好ましくは、単一のポリオレフィン類からなる。最も好ましくは、ポリオレフィン(2)はポリプロピレンを含み、好ましくはポリプロピレンからなる。後者の場合、ポリエチレン残留物は、同じ溶解溶媒(3)を用いて上昇した温度および増加した滞留時間で再度溶解し、本発明に従って分離され得ることを理解すべきである。
【0032】
[溶媒]
一般に、溶媒(3)はポリオレフィン、特にポリオレフィン(2)を溶解できなければならない。したがって、好ましくは、溶媒(3)は非極性溶媒またはその混合物である。したがって、好ましくは、溶媒は炭化水素または炭化水素の混合物である。より好ましくは、溶媒(3)は、ポリオレフィンのパラフィン性質(‘Similia similibus solventum’)に起因するパラフィン系溶媒またはパラフィン系溶媒の混合物である。芳香族炭化水素溶媒は良好な溶媒特性で知られているため、考慮され得る。しかしながら、芳香族炭化水素の欠点は、ポリスチレンの溶解を促進することにある。一方、例えばn-アルカンはポリスチレンを溶解しないことが知られている。最も重要なことには、溶媒がPET、PVC、PA、PC、PURのような極性ポリマー、またはセルロースもしくはリグニンのようなバイオ系画分を溶解しないことが望ましい。さらに好ましくは、溶媒(3)の1バール圧力での沸点は70℃より高い。したがって、好ましくは、溶媒は、低沸点溶媒および高沸点溶媒またはそれらの混合物のリストから選択される。低沸点溶媒には、例えばトルエンおよびキシレンなどのn-アルカンおよび芳香族炭化水素が含まれる。低沸点溶媒の利点は、溶解したポリオレフィンから低沸点溶媒を蒸発によって分離できることである。高沸点溶媒にはパラフィン系軽油または真空軽油が含まれる。このような溶媒は、製品からの除去が困難であるという欠点を有する。一方、芳香族系溶媒は、分離後の残留量により臭気の問題を引き起こす可能性があり、また、食品認可が要求される用途を対象とする場合に問題を引き起こす可能性がある。したがって、好ましくは、溶媒(3)は、1バール圧力での、70℃超、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらにより好ましくは100℃以下、最も好ましくは90℃以下の沸点を有するn-アルカンまたはそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、溶媒(3)は、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、およびn-デカン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
[未溶解残留物]
未溶解残留物は一般に、未溶解の固体残留物または液体残留物であり得る。最も一般的には、未溶解の液体残留物は、本方法で選択された条件および溶媒において溶解しない他のポリマーである。未溶解の固体は、溶解溶媒(3)に溶解しない顔料もしくは添加剤のような非ポリマー性の固体、またはポリマーのいずれかである。このようなポリマーは、使用される溶媒に溶解しない極性ポリマー、または溶解工程で使用される条件下では溶解しない非極性ポリマーのいずれかである。
【0034】
[供給工程a)]
廃ポリオレフィン材料(1)は、供給工程a)において、溶解工程b)に供給される。供給工程a)は、本方法のバッチ運転または連続運転のいずれかとなり得る。その理由は、工程b)における加圧溶解であり(下記参照)、これは、溶解操作中にポリオレフィンを供給する供給工程ができない。すなわち、乾式供給または湿式供給はバッチ式操作を引き起こす。一方、溶融供給および溶液供給は、連続的に行われる方法において使用できる。従って、これら4つの供給工程が以下に詳述される。
【0035】
a)乾式供給(
図1)
乾式供給の工程は、溶解工程b)において、固体形状のポリオレフィンフレークの溶媒への直接供給を含む。通常、固体ポリオレフィンフレークは、供給工程a)に続いてパージされ、固体材料中に含まれる酸素成分または他のガス状物質をベントする。溶解工程b)における操作圧力が高いほど、より多くのベントが必要となる。固体乾燥供給用に使用される典型的な設定は「ロックホッパー(Lockhoppers)」であり、これは加圧容器にも使用され得る。欠点は、ポリオレフィンフレークを投入する際に溶媒がロックホッパー構造に入るのを抑制するために、溶解に使用される容器がレベル表示を必要とすることであり得る。さらに、気体が固体ポリオレフィンフレークと共に溶解工程b)に持ち込まれる可能性があり、後に除去を必要とする。
【0036】
固体ポリオレフィンフレークフィードを加熱するために、最終溶解温度よりも高い温度を有する高温溶媒が、溶解工程b)に別途供給されることが望ましい。乾式供給は溶解時間が長くなる。効率的な混合は、ホモジナイザー内の材料および熱の分布、並びに、出口の一定の品質をそれぞれ確保するために必要である。さらに、効率的な混合は、ポリオレフィンを溶媒に可溶化するために必要な滞留時間を短縮し、プラントOPEX(運転経費)およびCAPEX(資本経費)にプラスの効果をもたらす。加圧溶解工程b)の好ましいケースの場合、乾燥供給はバッチ式で行われる必要がある。
【0037】
b)湿式供給(
図2)
固体ポリオレフィンフレークを湿式供給で供給することは、予めポリオレフィンフレークが溶媒の一部と混合されることを意味する。好ましくは、溶媒は溶解に使用されたものと同じである。固体ポリオレフィンと溶媒との密度差は、工程b)に先行する大気条件下での余分な混合工程の必要をもたらし得る。さらに、この場合、ポリオレフィンフィードのフレークサイズは、後のスラリーの圧送を可能にするために狭い範囲内である必要がある。酸素成分は、固体ポリオレフィンフレークが溶媒に添加される前にパージされることが望ましい。スラリー供給は、例えば特定のスラリーポンプを使用して行うことができる。溶解工程b)は、ガス相を伴わずに実施できる。しかしながら、ポリオレフィン(2)を最終的に可溶化するために適当な混合が必要であり、それにより、必要なエネルギーが増大するという、乾式供給工程の場合と同様の問題が生じる。高温溶媒は、最終溶解温度よりも高い温度で溶解工程b)に別途供給され、スラリーフィードを加熱する。加圧溶解工程b)の好ましい場合には、湿式供給はバッチ式で行われる必要がある。
【0038】
c)溶融供給(
図3)
溶融供給工程では、固体ポリオレフィンフレークは溶解工程b)に供給される前に溶融される。溶融ポリオレフィンフィードの温度は、好ましくは工程b)における溶解温度またはそれ以上である。より好ましくは、溶融ポリオレフィンフィードの温度は、工程b)における温度よりも高い。その理由は、溶融が好ましくは最高200℃またはそれ以上の温度が適用される押出機で行われるからである。溶融ポリオレフィンフィードは、気相を伴わずに、工程b)、すなわち溶媒および溶融ポリオレフィンで完全に満たされた溶解容器に導入され得る。このようなセットアップの利点は、乾式または湿式供給と比較して、溶融ポリオレフィンが溶媒と速く混合し、また溶媒に速く溶解することである。溶融物と溶媒との粘度差は依然として大きいため、混合は依然として過酷である。したがって、混合が悪いと、溶液中の温度分布が不均一になり、特にポリオレフィンの温度が比較的高い値(すなわちポリプロピレンの場合は250℃)に達した場合、ポリマー材料に影響を与え得るため、効率的な混合が必要とされる。高温溶媒は最終溶解温度よりも高い温度で溶解工程b)に別途供給され、スラリーフィードを加熱する。溶融フィードは溶解工程における圧力に合わせて加圧され得るため、溶融供給は連続式で実施され得る。
図3に示すような実施形態は、溶融供給に関する本発明の最も好ましい実施形態である。溶解装置(6)の出口におけるポリオレフィン溶液スラリー(4)の要求される均質性が達成されない場合、均質性を高めるために2つの選択肢を使用できる。第1の選択肢は、溶解装置の寸法、好ましくは容器および/または撹拌機の寸法を変更すること、および任意に滞留時間を増加させることを含む。第2の選択肢は、湿式供給システムの一部として
図6に示すような実施形態に匹敵する実施形態において、最終溶解装置の入口の上流に配置された2つより多くのバッチ溶解装置の使用を含む。
【0039】
溶融供給工程中のポリオレフィンフィードの更なる劣化を防止する目的で、好ましくはポリエチレンおよび/またはポリプロピレン、より好ましくはポリプロピレンを含むポリオレフィンフレークを、溶融工程前または溶融工程中に以下のように安定化させることができる:ポリオレフィンフレーク組成物の総重量に対して、
(a)0~3500ppm、より好ましくは100~3000ppm、さらにより好ましくは1000~2500ppmのフェノール系酸化防止剤の添加、および/または
(b)0~3500ppm、より好ましくは100~3500ppm、さらにより好ましくは1000~3300ppmの有機ホスファイト系安定剤の添加;および/または
(c)0~6000ppm、好ましくは100~5000ppm、さらにより好ましくは1000~4000ppmの硫黄含有安定剤の添加;および/または
(d)0~2500ppm、好ましくは50~2500ppm、さらにより好ましくは100~2000ppmの酸捕捉剤(例えばステアリン酸カルシウムまたはハイドロタルサイト)の添加。
【0040】
d)溶液供給(
図4)
溶液供給は溶融供給と同様に行われる。しかし、溶融ポリオレフィンの供給、すなわち押出機からの供給は、溶媒の少なくとも一部とさらに混合され、溶媒は既に加熱されている。混合後のポリオレフィン濃度は、好ましくは溶解工程b)で必要とされる最終濃度である。この場合、溶解工程b)では、溶液の均質性のみが改善される。好ましくは、溶解工程b)への高温溶媒の別個の供給は必要ない。溶液供給の利点は、溶解工程b)における溶解ポリオレフィンフィードおよびポリオレフィン溶液間の粘度差が、溶融供給の場合よりもさらに低いことであり、それにより工程b)において必要とされるエネルギーがさらに低減される。溶液供給は、溶解工程の圧力に合わせて加圧できるため、連続的に行うことができる。
【0041】
[溶解工程b)]
工程b)は溶解工程であり、それにより廃ポリオレフィン材料(1)を少なくとも1つの溶媒(3)と接触させる。したがって、工程b)において、ポリオレフィン(2)は溶解溶媒(3)に溶解される。一方、得られるポリオレフィン溶液スラリー(4)は、ポリオレフィン溶液以外に未溶解残留物をなお含み得る。前記未溶解残留物の分離は、本発明の工程b)の下流で行われることに留意されたい。
【0042】
工程b)は、単一の対象ポリオレフィンのみを溶解溶媒(3)に溶解させて実施され得る。このような構成は、対象ポリオレフィンが廃ポリオレフィン材料(1)中に存在する他の全てのポリオレフィンよりも低い温度で溶解する場合に特に適用可能である。工程b)の別の実施形態では、2つ以上のポリオレフィンでさえ、すなわちポリオレフィンAおよびポリオレフィンBが溶解されるように条件が選択される。このような場合、可溶化したポリオレフィンを互いに分離するために、後続の液-液分離工程が有益である(下記参照)。主にポリプロピレンは、ポリプロピレンのハンセン溶解度パラメータと類似/近似ハンセン溶解度パラメータを有する非極性溶媒を用いて、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物から溶解され得る。好ましくは、条件は、100~350℃、より好ましくは100~300℃、さらにより好ましくは110~290℃、最も好ましくは120~280℃の間の温度を示すように選択される。好ましくは、工程b)で使用される圧力は、5~100バール、より好ましくは5~50バール、さらにより好ましくは7~45バール、最も好ましくは10~40バールの範囲である。
【0043】
本発明の溶解方法は、バッチ式または連続式で行われ得る。好ましくは、本発明の溶解方法は連続式で実施される。その場合、供給工程a)は、加圧溶解での連続操作をサポートする必要がある。これは特に溶融供給および溶液供給について当てはまる。しかし、
図5および
図6に示すように、また以下に説明するように、乾式供給および湿式供給においても連続運転が可能である。
【0044】
図5は、1つの溶解工程のみではなく、2つのバッチ溶解工程b)への乾式供給を含む方法を示す。各溶解工程では、高温溶媒(3)が導入され、固体ポリオレフィンフレークは溶媒に溶解される。しかしながら、得られたポリオレフィン溶液スラリー(4)は、均質化工程c)に供給され、そこで両スラリーが混合され、均質化される。この均質化工程c)から、得られたポリオレフィン溶液スラリー(4)が連続的に取り出され、下流の方法に供給され得る。2つの溶解工程の操作時間は同一ではなく、重複する。したがって、最初の溶解工程が固体ポリオレフィンフレークをバッチ式で供給される必要がある場合には、他の溶解工程から依然としてスラリーが均質化工程c)に供給され得る。したがって、均質化工程c)は、受容されたストリームを均質化することに加えて、リザーバとして機能する。2つより多くの溶解工程b)が並行して使用され得ることで、均質化工程c)の空運転および連続方法の中断のリスクが低減されることに留意すべきである。しかし、溶解工程b)の数が多すぎると、更なる信頼性の寄与なくコストだけが上昇する。したがって、並行溶解工程b)の好ましい範囲は2~4であり、最も好ましくは2つの溶解工程b)が並行して存在する。一般に、並行溶解工程b)への供給は低圧、好ましくは大気圧で行われ、固体ポリオレフィンフレークを溶解するために供給が終了した後に圧力が高められる。理想的かつ好ましくは、並行溶解工程b)と均質化工程c)との間の移送は、重力を使用して行われる。均質化工程c)は、並行溶解工程b)で使用される装置よりも小さい寸法を有する装置を使用できることにも留意すべきである。最も好ましい実施形態では、均質化工程c)を完全に省略することさえできる。しかしながら、このような実施形態の要件は、並行溶解工程b)によって生成されるポリオレフィン溶液スラリーの均質性およびポリオレフィン濃度がほぼ同一であることである。
【0045】
図6は、1つのみの溶解工程b)の代わりに、2つの並行溶解工程b)への湿式供給を含む方法を示す。追加のセットアップは、
図5の実施形態で使用された追加の装置と同一である。したがって、並行溶解工程b)が均質化工程c)に供給され、それによってポリオレフィン溶液スラリー(4)の連続流が生成される。好ましくは、湿式供給工程の湿式工程に供給される溶媒(3)の温度は、並行溶解工程b)に供給される溶媒(3)の温度よりも低い。
【0046】
したがって、溶解方法において、供給工程a)は、乾式供給、湿式供給、溶融供給、および溶液供給のリストから選択される少なくとも1つの工程を含む。
【0047】
好ましくは、本発明の溶解方法が連続式で行われる場合、供給工程a)は、乾式供給、湿式供給、溶融供給、および溶液供給のリストから選択される少なくとも1つの工程を含む。
【0048】
連続モードでの乾式供給および湿式供給は比較的複雑で制御が難しいため、本発明の溶解方法が連続式で行われる場合、より好ましくは、供給工程a)は、溶融供給および溶液供給のリストから選択される少なくとも1つの供給工程を含む。
【0049】
最も好ましくは、供給工程a)は溶液供給工程のみを含む。上記で説明したように、溶液供給は溶解工程b)において最も低い粘度差を提供することができ、それにより完全な均質化および可溶化に必要な時間を最も短縮することができる。
【0050】
最も好ましくは、本発明の溶解方法は、以下に説明する本発明の溶解設備を使用して実施される。
【0051】
[本発明に係る溶解設備]
廃ポリオレフィン材料(1)から少なくとも1つのポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解するための本発明による溶解設備は、少なくとも1つの供給装置(5)および少なくとも1つの溶解装置(6)を含む。任意に、本発明による溶解装置は、均質化装置(7)をさらに備える。
【0052】
[供給装置]
可能な供給装置は、既に上記で説明した供給工程と並行している。従って、それらについては適宜説明される。
【0053】
[乾式供給装置(
図1)]
好ましくは、乾式供給装置は、溶解装置に接続されたラインに供給する1以上のロックホッパーを含む。ラインに供給され得るためには、ラインは加圧されるべきではない。従って、乾式供給装置は加圧された溶解装置に供給できず、バッチ式操作を引き起こす。
【0054】
[湿式供給装置(
図2)]
好ましくは、湿式供給装置は、湿式装置(8)に接続されたラインに供給する1以上のロックホッパーを含む。湿式装置(8)は、好ましくは容器であり、より好ましくは撹拌機を備えた容器である。湿式装置は、以下に溶解装置について説明されるように、実装され得る。湿式装置の出口は、好ましくは、溶解装置に入る前に湿式装置からスラリーを加圧できるポンプ(9)に接続される。乾式供給装置と同じ理由により、湿式供給装置も加圧溶解装置に供給できないため、バッチ式操作を引き起こす。
【0055】
[溶融供給装置(
図3)]
溶融供給装置は、好ましくは、溶解装置に流体接続された押出機(10)を含む。このようなセットアップは、連続的に操作され得る。より好ましい場合には、溶融供給装置は、ポリオレフィン溶融物から固体を濾過するための溶融フィルターを含む。
【0056】
[溶液供給装置(
図4)]
溶液供給装置は溶融供給装置と同様の設備装置を備える。しかしながら、さらに、溶融ストリームはミキサー(11)に供給され、溶媒(3)もそこに供給され得る。好ましくは、ミキサー(11)は静止型ミキサーまたはダイナミックミキサーである。最も好ましくは、ミキサーは静止型ミキサーである。溶融供給装置と同様に、このようなセットアップは連続的に操作され得る。より好ましい場合には、溶液供給装置は、ポリオレフィン溶融物から固体を濾過するための溶融フィルターも含む。
【0057】
[溶解装置]
好ましくは、溶解装置(6)は、溶媒(3)を導入するための少なくとも1つの第1入口、廃ポリオレフィン材料(1)を導入するための少なくとも1つの第2入口、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を取り出すための少なくとも1つの出口、およびミキサーを含む(
図7参照)。
【0058】
ミキサーおよび容器は、最も効果的な混合パターンを達成するように構成される。最も効果的な混合パターンにより、ポリオレフィン(2)は溶媒(3)に迅速かつ完全に溶解し、均質化される。好ましくは、混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の上部への上向き流と前記容器の壁に沿った各下向き流とを含む。同様に、前記撹拌機の軸に沿った下向き流と前記容器の壁に沿った各上向き流とを含む逆混合パターンも考えられる。
【0059】
このような挙動は、容器内のバッフルの存在によって裏付けられる。好ましくは、容器内に2~12個のバッフルが含まれる。より好ましくは、容器内に4~11個のバッフルが含まれ、さらにより好ましくは6~9個のバッフルが含まれる。最も好ましくは、容器は8つのバッフルを含む。好ましくは、バッフルは容器の上部および底部に取り付けられ、容器の壁から距離を置き、内側、好ましくは撹拌機の軸へ向けられる。バッフルの幅bは、好ましくは容器直径Tの1/4~1/24の範囲であり、より好ましくはTの1/6~1/18、最も好ましくは、Tの1/12である。さらに、バッフルと容器の壁との間の距離aは、好ましくは容器直径Tの1/80~1/40、より好ましくはTの1/70~1/50、最も好ましくはTの1/60である。
【0060】
容器の形状は、好ましくは円筒形である。より好ましくは、容器の上部および/または底部はコルボゲン形状(korbbogen shape)である。コルボゲン形状とは、DIN 28013に従って定義された半楕円形鏡板とも呼ばれる皿形鏡板(torispherical head)である。皿の内半径は、容器の円筒の外径の80%である(r1=0.8×T)。ナックルの半径は(r2 = 0.154×T)である。
【0061】
好ましくは、容器の高さ/直径の比(H/T)は1~3、好ましくは1.5~2.5の範囲であり、最も好ましくは比H/Tは2である。
【0062】
容器の供給が溶融供給または溶液供給によって実施される場合、好ましくは、供給点は容器の底部にあり、容器の排出点は上部にある。
【0063】
撹拌機は、容器の対称軸と平行である軸を含む。さらに、撹拌機は、軸から容器の壁に向かって10°を超える角度で延びる少なくとも1つのインペラを含む。好ましくは、インペラは互いに反対の2方向に延びる。
【0064】
このような場合、インペラの直径は、好ましくは容器直径Tの0.5~0.9の範囲であり、より好ましくはTの0.6~0.8の範囲である。最も好ましくは、インペラの直径は0.7×Tである。
【0065】
本発明の溶解設備の溶解装置の撹拌機は、好ましくは1~8つのインペラ、より好ましくは3~6つのインペラを含む。最も好ましくは、撹拌機は4つのインペラを含む。
【0066】
インペラは、好ましくは、MIG型、またはIntermig型、またはParavisc型である。最も好ましくは、インペラはIntermig型インペラである。
【0067】
本発明のミキサーは、非常に高い軸方向混合と低い半径方向混合を有し、0.03~10Pa・sの粘度範囲で操作され得る。
【0068】
さらに、本発明のミキサーは、容器内における上方または下方に、次いで容器の壁を介して反対方向(下方または上方)に循環を引き起こし、最小の半径方向混合および最大の軸方向混合を作り出す。
【0069】
好ましくは、本発明の溶解装置は、1分未満、好ましくは20秒未満のポリオレフィン溶液の循環時間を有する。
【0070】
撹拌機は、好ましくは20~200rpm、より好ましくは80~120rpm、最も好ましく100rpmの範囲内で、回転される。回転速度が速すぎるとエネルギーがあまりにも多く消費される。回転速度が低すぎると、均質になるまでの時間が長すぎる。さらに、レイノルズ数の減少に伴い混合効率が低下するため、これはミキサー内容物の均質性に影響を及ぼす。
【0071】
[均質化装置]
均質化装置(7)は、上記のような溶解装置と同一であってもよい。しかしながら、均質化装置の寸法は、溶解装置の寸法より小さくてよい。溶解装置内の混合がすでに非常に均質である場合、均質化装置は、単にリザーバ機能を有する容器、または溶解装置からのスラリーストリームを組み合わせるための単なる分岐したラインでさえあり得る。
【0072】
一般に、任意の供給装置を、上記のような溶解装置と組み合わせることができる。それにもかかわらず、乾式および湿式供給装置は、バッチ式操作が必要となる。
【0073】
しかしながら、すでに上述したように、
図5および
図6に示す溶解装置はこの欠点を克服し、乾式および湿式供給装置を連続モードで運転させることができる。
【0074】
図5の実施形態は、乾式供給装置(5)に2つの溶解装置(6)を組み合わせているが、乾式供給装置(5)の出口は、少なくとも2つの溶解装置(6)の廃ポリオレフィン材料(1)を導入するための、少なくとも1つの入口に流体的に接続される。さらに、任意に、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を取り出すための少なくとも1つの出口は、均質化装置(6)の入口に流体的に接続される。
【0075】
同様に、
図6の実施形態は、湿式供給装置(5)を2つの溶解装置(6)と組み合わせているが、湿式供給装置(5)の湿式装置の出口は、少なくとも2つの溶解装置(6)の廃ポリオレフィン材料(1)を導入するための少なくとも1つの入口に流体的に接続される。さらに、任意に、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を取り出すための少なくとも1つの出口は、均質化装置(6)の入口に流体的に接続される。
【0076】
本発明の好ましい実施形態は、
図3~6に示され、説明された実施形態を含む、連続モードに適した実施形態であり、乾式および湿式供給装置を含む連続操作可能な実施形態の複雑さの増加のため、より好ましいのは、溶融または溶液供給装置を含む溶解設備である。
【0077】
最も好ましいのは、溶液供給装置のみを含む溶解装置である。
【0078】
一般に、好ましくは、湿式装置(8)、溶解装置(6)および均質化装置(8)は、互いに独立して、液体および任意に固体で完全に充填されるように操作され、それにより、装置内に気相が存在することを許さない。
【0079】
本発明による最も好ましい溶解設備は、溶解装置(6)の少なくとも1つの入口に流体連通している1以上の溶液供給装置(5)を含み、溶解装置(6)は撹拌機を備え、容器はコルボゲン形状の上部および底部である円筒形状を有し、容器の直径に対する高さの比が1~3の範囲内にあり、供給点が容器の底部にあり、容器の排出点が上部にあり、撹拌機が、容器の対称軸に平行な軸、および4つのIntermigインペラを含み、ここで、前記インペラの直径は、0.5~0.9×容器の直径Tの範囲内である。
【符号の説明】
【0080】
1 廃ポリオレフィン材料
2 対象ポリオレフィン
3 溶媒
4 ポリオレフィン溶液スラリー
5 供給装置
6 溶解装置
7 均質化装置
8 湿式装置
9 ポンプ
10 押出機
11 静止型ミキサー
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解してポリオレフィン溶液スラリー(4)を生成するための溶解設備であって、該ポリオレフィン溶液スラリー(4)は、ポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解設備は、以下:
- 乾式供給装置、湿式供給装置、溶融供給装置、および溶液供給装置からなるリストから選択される少なくとも1つの供給装置(5)、
- 少なくとも1つの溶解装置(6)
を含み、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、少なくとも1つの供給装置(5)の出口に流体的に接続された、廃ポリオレフィン材料(1)を導入するための少なくとも1つの第1入口を有し、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、溶媒(3)を導入するための少なくとも1つの第2入口を有し、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、かつ
前記溶解装置(6)は、撹拌機を含む容器を含む、溶解設備。
【請求項2】
前記少なくとも1つの供給装置(5)は、溶融供給装置および溶液供給装置からなるリストから選択される、請求項1に記載の溶解設備。
【請求項3】
前記少なくとも1つの供給装置(5)は、溶液供給装置である、請求項
1に記載の溶解設備。
【請求項4】
溶解装置(6)は、前記容器内に混合パターンを形成するのに適当であり、前記混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の上部への上向き流と前記容器の壁に沿った各下向き流とを含む、または、前記混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の底部への下向き流と前記容器の壁に沿った各上向き流とを含む、請求項
1に記載の溶解設備。
【請求項5】
溶解装置(6)の前記容器は、2~12個のバッフルを含む、請求項
1に記載の溶解設備。
【請求項6】
前記バッフルは、前記容器の上部および底部に、前記容器の壁との距離を置き、撹拌機の軸に向くように配置され、バッフルの幅bは、好ましくは、前記容器の直径Tの1/4から1/24の範囲であり、前記バッフルと前記容器の壁との間の距離aは、1/80から1/40の範囲である、請求項5に記載の溶解設備。
【請求項7】
前記容器の形状は好ましくは円筒形であり、前記容器の上部および底部はコルボゲン形状(korbbogen shape)に形成されている、請求項
1に記載の溶解設備。
【請求項8】
前記容器の高さ/直径の比(H/T)は1~3の範囲内である、請求項
1に記載の溶解設備。
【請求項9】
供給点は前記容器の底部にあり、排出点は前記容器の上部にある、請求項
2に記載の溶解設備。
【請求項10】
前記撹拌機は、容器の直径T×0.5~0.9の範囲の直径を有する少なくとも1つのインペラを含む、請求項
1に記載の溶解設備。
【請求項11】
連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)中に溶解して、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を生成するための溶解方法であって、該ポリオレフィン溶液スラリーはポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解方法は以下の工程;
a)廃ポリオレフィン材料(1)を供給する工程、
b)請求項
1に記載の溶解装置を使用して、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解する工程
を含む、溶解方法。
【請求項12】
連続法である、請求項11に記載の溶解方法。
【請求項13】
工程a)は、乾式供給、湿式供給、溶融供給、溶液供給、およびそれらの混合からなるリストから選択される、請求項
11に記載の溶解方法。
【請求項14】
工程a)は溶液供給工程である、請求項
11に記載の溶解方法。
【請求項15】
工程b)は、110~350℃の温度および7~100バールの圧力で実施される、請求項
11に記載の溶解方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
1 廃ポリオレフィン材料
2 対象ポリオレフィン
3 溶媒
4 ポリオレフィン溶液スラリー
5 供給装置
6 溶解装置
7 均質化装置
8 湿式装置
9 ポンプ
10 押出機
11 静止型ミキサー
本明細書の好ましい態様は、少なくとも下記を包含する。
[1]連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解してポリオレフィン溶液スラリー(4)を生成するための溶解設備であって、該ポリオレフィン溶液スラリー(4)は、ポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解設備は、以下:
- 乾式供給装置、湿式供給装置、溶融供給装置、および溶液供給装置からなるリストから選択される少なくとも1つの供給装置(5)、
- 少なくとも1つの溶解装置(6)
を含み、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、少なくとも1つの供給装置(5)の出口に流体的に接続された、廃ポリオレフィン材料(1)を導入するための少なくとも1つの第1入口を有し、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、溶媒(3)を導入するための少なくとも1つの第2入口を有し、
前記少なくとも1つの溶解装置(6)は、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を取り出すための少なくとも1つの出口を有し、かつ
前記溶解装置(6)は、撹拌機を含む容器を含む、溶解設備。
[2]前記少なくとも1つの供給装置(5)は、溶融供給装置および溶液供給装置からなるリストから選択される、[1]に記載の溶解設備。
[3]前記少なくとも1つの供給装置(5)は、溶液供給装置である、[1]または[2]に記載の溶解設備。
[4]溶解装置(6)は、前記容器内に混合パターンを形成するのに適当であり、前記混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の上部への上向き流と前記容器の壁に沿った各下向き流とを含む、または、前記混合パターンは、前記撹拌機の軸に沿った前記容器の底部への下向き流と前記容器の壁に沿った各上向き流とを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の溶解設備。
[5]溶解装置(6)の前記容器は、2~12個のバッフルを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の溶解設備。
[6]前記バッフルは、前記容器の上部および底部に、前記容器の壁との距離を置き、撹拌機の軸に向くように配置され、バッフルの幅bは、好ましくは、前記容器の直径Tの1/4から1/24の範囲であり、前記バッフルと前記容器の壁との間の距離aは、1/80から1/40の範囲である、[5]に記載の溶解設備。
[7]前記容器の形状は好ましくは円筒形であり、前記容器の上部および底部はコルボゲン形状(korbbogen shape)に形成されている、[1]~[6]のいずれかに記載の溶解設備。
[8]前記容器の高さ/直径の比(H/T)は1~3の範囲内である、[1]~[7]のいずれかに記載の溶解設備。
[9]供給点は前記容器の底部にあり、排出点は前記容器の上部にある、[2]~[8]のいずれかに記載の溶解設備。
[10]前記撹拌機は、容器の直径T×0.5~0.9の範囲の直径を有する少なくとも1つのインペラを含む、[1]~[9]のいずれかに記載の溶解設備。
[11]連続的ポリオレフィンリサイクル方法のために、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)中に溶解して、ポリオレフィン溶液スラリー(4)を生成するための溶解方法であって、該ポリオレフィン溶液スラリーはポリオレフィン溶液および未溶解残留物を含み、該溶解方法は以下の工程;
a)廃ポリオレフィン材料(1)を供給する工程、
b)[1]~[10]のいずれかに記載の溶解装置を使用して、廃ポリオレフィン材料(1)からポリオレフィン(2)を溶媒(3)に溶解する工程
を含む、溶解方法。
[12]連続法である、[11]に記載の溶解方法。
[13]工程a)は、乾式供給、湿式供給、溶融供給、溶液供給、およびそれらの混合からなるリストから選択される、[11]または[12]に記載の溶解方法。
[14]工程a)は溶液供給工程である、[11]~[13]のいずれかに記載の溶解方法。
[15]工程b)は、110~350℃の温度および7~100バールの圧力で実施される、[11]~[14]のいずれかに記載の溶解方法。
【国際調査報告】