(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ポリオレフィンのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/08 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562879
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022059963
(87)【国際公開番号】W WO2022219092
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513276905
【氏名又は名称】ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】アル-ハジ アリ,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】スレイステル,ヘンリー
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401BA13
4F401CA22
4F401CA30
4F401CA51
4F401CA53
4F401CA54
4F401CA55
4F401CA56
4F401CB01
4F401CB18
4F401EA46
4F401EA54
4F401FA01Z
4F401FA02Z
(57)【要約】
ポリオレフィンリサイクル方法から生じる生成物流から少なくとも1つのポリオレフィンを分離するための方法であって、前記生成物流が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、生成物流をポリオレフィンリーン流とポリオレフィンリッチ流とに分離する工程;ポリオレフィンリッチ流を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流とに分離する工程;第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流と最終の凝縮ポリオレフィンリッチ流とに分離する工程を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンリサイクル方法から生じる生成物流(a)から少なくとも1つのポリオレフィンを分離するための方法であって、前記生成物流(a)が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、前記方法が以下の工程:
A)生成物流(a)をポリオレフィンリーン流(b)とポリオレフィンリッチ流(c)とに分離する工程;
B)ポリオレフィンリッチ流(c)を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)とに分離する工程;
C)第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流(b’’)と最終の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’’)とに分離する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
ポリオレフィンリーン流(b)および/または第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)が、ポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流(a’)に戻される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリオレフィンがポリプロピレンポリマーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10のn-アルカンまたはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程A)において、生成物流(a)から55~90重量%の溶媒が除去される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程B)において、ポリオレフィンリッチ流(c)から10~40重量%の溶媒が除去される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程C)において、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)から最大5重量%の溶媒が除去される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程A)がフラッシュ分離工程である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程A)が200~250℃の温度および2.5~10bargの圧力で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程B)がフラッシュ分離工程である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程B)が200~250℃の温度および1~10baraの圧力で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程C)が、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)へのストリッピング剤の先行添加を伴うフラッシュ分離工程、または押出/脱気工程である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
工程C)がフラッシュ分離工程であり、200~250℃の温度および真空圧力条件で実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の方法によって得られる、溶媒から分離されたポリオレフィン。
【請求項15】
150ppm未満の揮発性物質を含む、請求項14に記載のポリオレフィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンリサイクル方法の生成物流からポリオレフィンを分離する方法に関する。特に、本発明は、最終のリサイクルポリマー中の揮発性含有量の低減を可能にするような方法に関する。さらに、本発明は、分離工程の残留流をリサイクル工程の供給流に直接戻すことができるという点で、方法の簡略化に関する。さらに、本発明は、そのような方法から得られるポリオレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄積された廃プラスチックの処理という課題およびそれに対応する環境問題は、大衆および学識者から広く注目されている。そのため、プラスチック廃棄物全般の防止、特にプラスチック廃棄物の環境への流出防止の概念に加えて、廃プラスチック材料のリサイクルも重要なテーマとなっている。廃プラスチックを新しいプラスチック製品の資源に変えることができる。従って、廃プラスチック材料のリサイクルや再利用は、環境面と経済面を両立させることができる。
【0003】
90年代半ば、ヨーロッパのいくつかの国では、より差別化された廃棄物収集システム(リサイクル管理システム、循環経済法)が導入され、実際によりターゲットを絞った回収およびプラスチック材料と他の廃棄物との分別が可能になった。そのため、多かれ少なかれ効率的にポリマータイプを分離することで、処理後に最終的にポリマータイプが濃縮され、より容易にリサイクル可能な二次プラスチック材料片を得ることができる。適当な廃棄物収集システムの構築および、特には適当な廃棄物分離インフラの整備が、二次石油化学原料の供給源や市場を生み出すために、ここ数十年間に行われてきた。これと並行して、リサイクル可能なポリマー材料の達成可能な製品品質を向上させることを主な目標として、いくつかのプラスチックリサイクル方法が開発され、特に改良されてきた。
【0004】
一般的に知られているプラスチックリサイクルの種々の方法には、機械的な方法(マテリアルリサイクル)、高度な物理的または溶媒系(溶液)の方法および化学的な方法(原料リサイクル、熱分解やガス化などの熱化学、加溶媒分解)がある。これらの方法の中でも、機械的リサイクルおよび化学的リサイクルが最も広く実施されている。
【0005】
EUの公共回収および事前分別システムは、2018年にプラスチック回収率が76[重量%(Ger)]に達したが、高度な機械的リサイクル方法に関して、直接的なプラスチック材料のリサイクル率は低いレベルであった(例えば、2018年にはドイツでは12[%])。今日、高度な機械的リサイクルには、シュレッダー、振動、回転ふるい、分光法[例えばNIR/VIS]でサポートされる高度な分別方法、および、リサイクル可能なプラスチック材料の表面から発生する有機物、生物学的物質、および部分的な悪臭汚染物質を低減するための洗浄作業などの分離工程が含まれ、また、ポリマー種類が濃縮され、より均質なポリマーリサイクル片を達成している。これにより、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリスチレン(PS)のような、プラスチックタイプに富むなど、特にポリオレフィンに富んだ二次固形ストリーム(PO含有率>85重量%;<重量95%)が得られる。次いで、これらの分離された固形ストリームは、顆粒に加工(押出)され、製品に変換される特定の材料に加工される。とはいえ、達成可能な製品の品質は比較的低いままであり、食品接触用途および高性能用途の両方を実現することはできないため、今日、機械的にリサイクルされた材料として、植木鉢、ペンキバケツまたはシャンプーボトルなどの製品が一般的である。
【0006】
特に、改良された、かつ、より良い選別方法(例えば、着色フレーク選別)の実施が、特定のポリマータイプ片内の高濃度化および、二次洗浄操作の両方に影響を及ぼし、有害な汚染物質等をより効率的に低減したり、最終的な二次ポリマー原料の製品品質を向上したりすることが望ましい。後者は、排出量を可能な限り低くする一方で、総エネルギー消費量の増加に相まって、複雑なプロセス設計、廃水処理、排ガス処理、中間製品の乾燥などに関する追加支出を含む。
【0007】
しかしながら、多層材料やフィルム、または混合されたフレキシブルフィルム廃材のような廃材成分に起因して、機械的ポリマーリサイクルを高品質の最終用途に直接再製造することが困難であるという課題が依然としてある。さらに、特に歴史的に適用されてきた重合技術(ポリマー密度、平均分子量、分子量分布、分子構造、架橋度などの材料特性を定義する)および歴史的に適用されてきたコンパウンド技術(添加剤、フィラー濃度、および最終的には複数の顔料組成物)に関する、ポリマータイプ材料混合物の予測可能な、かつ、制御可能な均質性の低さに重要な理由を見出すことができる。これらの品質に関する要因はすべて、機械的に処理されたバルク固形混合物の内部に留まり、機械的分別および適用される精製方法ではカバーできず、最善の場合、リサイクル可能なポリマー材料混合物の表面で相互作用する。
【0008】
高度な機械的ポリマーリサイクルにおける低品質を克服するためのさらなるアプローチは、最終用途(非食品)に対して許容可能で市場性のある品質を達成するために、機械的ポリマーリサイクル品をバージンポリマーとブレンドすることであり、これにより、機械的にリサイクルされたポリマー材料の実施可能な含有量は、特に高品質/高性能の最終用途に関して低レベル(数[重量%])にとどまる。
【0009】
2番目に生じているプラスチックリサイクルルートは、加溶媒分解とサーモケミカル(熱化学)処理に関する化学的リサイクルまたは原料リサイクルである。2018年には、化学的プラスチックリサイクルの技術シェア率は、合計で2[%]未満であった。技術予測によると、サーモケミカルリサイクルのシェア率は2030年までに2[%]未満(2018年)から13[%]まで大幅に増加するはずである。しかし、化学的プラスチックリサイクルは、事前分別および事前処理された固形プラスチック廃材を回収し、石油化学産業用の原料を得るという有望な機会を提供し、これを再びプラスチック並びに化学製品および燃料にも加工できる。プラスチック固形混合物の重合体構造を分解し、より短い炭化水素をモノマー構成要素まで分解するためには、熱、触媒および溶媒を適用する必要がある。特定の技術にもよるが、化学的リサイクルのアプローチは、混合プラスチック片および不純物に対する許容度が非常に高く、したがって主に汚染されたポリマー材料混合物や二次ポリマー原料を扱うことができる。それにもかかわらず、ポリオレフィン系材料混合物とヘテロ原子ポリマー(N/O/S、ハロゲン)との相互汚染は好ましくは回避されなければならない。
【0010】
それにもかかわらず、特にサーモケミカルプラスチック加工、特にポリオレフィンリサイクル技術の抽象化は、むしろ、周知の伝統的なサーモケミカルのユニット操作を適用することにより、化石系の原油留分をすでに化石系の二次ポリマーリサイクル材料へ置き換えることを示し、それは二次原料源にコスト的に適合させる必要がある。熱を大量に消費する吸熱性のC-C結合やC-H結合の切断(クラッキング、分解)に関するエネルギー需要は残っているため、最終的に投入される総エネルギーは、原油からバージンポリマーへの加工と比較して著しく高く-主に、短鎖分子の分解(例えば、原油分別のナフサなど)は、長鎖および分岐ポリマーの分解に取って代わられる。それとは別に、過度にエネルギーを消費する熱分解が残っている。さらに、必要な適用エネルギーキャリアを再生可能/持続可能なエネルギーキャリアに容易に切り替えられない限り、このような方法のCO2排出量も高くなる。
【0011】
第3のプラスチックリサイクルルートは、先進的な物理的リサイクルまたは溶媒系リサイクル(SbR)であり、2018年にはドイツにおいて、1%未満のプラスチックリサイクル市場シェアを示した。SbR処理では、ポリマーは最初に適当な溶媒に溶解され、その後、非溶媒の添加(溶解/沈殿)によって溶解ポリマーの溶解度が低下する、および/または、熱的ユニット操作(蒸発、乾燥など)により、固化したポリマーから溶媒を好ましくは完全に分離することによってポリマーの固化が起こる。
【0012】
ポリオレフィン-SbR方法は、従来のPO重合方法と類似しており、それにより、モノマー(オレフィン)および一時的に形成されたオリゴマー(ワックス)および短鎖ポリマーに対する溶媒は、溶解度の限界を超える(重合中に長鎖ポリオレフィンが形成される)まで、例えば精製留分(ケロシンなど)であり、最終的なポリオレフィンはポリオレフィン-溶媒スラリーを形成して沈殿する(例えばChevronスラリー方法)。特別なポリオレフィン方法は、溶液PO重合方法であり、これにより、オレフィンは最初にパラフィン系溶媒ブレンドに溶解され、重合され、最終的なポリオレフィンは、減圧やフラッシュ脱揮によって工程条件が大きく変化するまで溶液中に留まる。
【0013】
したがって、ポリオレフィンのリサイクル技術、特に溶剤系のポリオレフィンリサイクル技術においては、揮発分含有量の低い製品を製造するために、製品流の下流処理が不可欠である。下流処理は、重量分析、すなわち液液分離、または、フラッシュ容器内で溶液を加熱および減圧する圧力フラッシュなどの分離工程を介して行われる。
【0014】
EP3339361(A1)には、廃ポリマーを110~170℃の温度および1,100~2,100psigの圧力でn-ブタンと接触させる工程を含む溶媒系ポリマーリサイクル方法が記載されている。この工程は4回繰り返される。続いて、この工程の残渣を、130~180℃および2,000~3,000psigでn-ブタンに再度溶解する。さらに、非溶解ポリマーの沈殿と除去が行われ、130~180℃、350~20,000psigで純粋なシリカ床、続いて酸化アルミニウム(ゼオライト)床を用いる吸着工程が追加される。次いで、ポリマーを溶媒から沈殿させる。最後に、蒸気-液体、液体-液体、または固体-液体の分離工程によってポリマーから溶媒を除去する。
【0015】
この方法の欠点は、特定の状況下において最終製品からすべての溶媒を除去できないことである。これは、医療および食品用途において特に問題となる。
【0016】
DE102016015199 A1は、産業廃棄物の分離、特にポリアミド、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンの分離に大気溶解法を使用している。用いる溶媒は、沸点温度が80~140℃の高級無極性ガソリン(ケロシン)留分である。
【0017】
この方法の欠点は、中間ポリマー生成物中の残留溶媒含有量が高いことである(最大5体積%)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3339361号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102016015199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
最新のポリオレフィンリサイクル方法における主な懸念事項の1つは、製品の品質だけでなく、エネルギー効率と費用に関する懸念である。従来技術は、ポリマーリサイクル方法、特に溶媒系のポリオレフィンリサイクル方法から回収されるポリマーの揮発性含有量をさらに低減するための、エネルギー効率の高い方法の説明を欠いている。
【0020】
したがって、よりエネルギー効率が高く、再生ポリマー中の揮発性含有量を低減できる、ポリオレフィンリサイクル方法の生成物流からポリオレフィンを分離する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚くべきことに、前記目的は、ポリオレフィンリサイクル方法から生じる生成物流から少なくとも1つのポリオレフィンを分離するための方法であって、前記生成物流が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、生成物流をポリオレフィンリーン流とポリオレフィンリッチ流とに分離する工程;ポリオレフィンリッチ流を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流とに分離する工程;第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流と最終の凝縮ポリオレフィンリッチ流とに分離する工程を含む、方法によって達成できることが判明した。
【0022】
ポリマーリサイクル方法と提供された分離方法との組み合わせにより、揮発性物質のレベルが減少したポリマーが得られるという利点がある。
【0023】
好ましくは、本発明の方法において、ポリオレフィンリーン流および第1のポリオレフィンリーン蒸気流は、ポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流に戻される。最も好ましくは、ポリオレフィンリーン流および第1のポリオレフィンリーン蒸気流は、さらに精製することなく、ポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流に戻される。
【0024】
前記流(ストリーム)をリサイクル方法に戻すと、動力と溶媒の消費が減り、よりエネルギー効率の高い方法が可能になる。さらに、精製なしで戻すことで工程が簡略化され、エネルギー消費も削減される。
【0025】
さらに驚くべきことに、上述の目的は、生成物流が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、生成物流をポリオレフィンリーン流とポリオレフィンリッチ流とに分離する工程;ポリオレフィンリッチ流を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流とに分離する工程;第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流と最終の凝縮ポリオレフィンリッチ流とに分離する工程を含む、ポリオレフィンリサイクル方法から生じる生成物流から少なくとも1つのポリオレフィンを分離する方法によって得られるポリオレフィンによって達成できることが判明した。
【0026】
最も好ましくは、ポリオレフィンは、ポリオレフィンリーン流および第1のポリオレフィンリーン蒸気流を、さらに精製することなくポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流に戻す方法によって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
<定義>
本明細書で使用される「揮発性」または「揮発性化合物」という表現は、本発明の方法で分離されるポリオレフィンと比較して著しく低い分子量を有する化合物として理解すべきである。このような化合物は、通常、フラッシュセパレータに曝される場合ガス状で存在する。一般に、揮発性化合物は揮発性炭化水素の混合物である。
【0029】
「フラッシュセパレータ」は、何十年も前から従来技術において既知である(低圧セパレータとしても知られる)。当該技術分野で周知なように、液体供給物は、減圧下で操作されるフラッシュ容器に送られる。それにより、液相の一部が蒸発し、オーバーヘッド流(または蒸気流)として低圧セパレータから取り出すことができる。次いで、液相に残留する部分は、凝縮流としてフラッシュ容器から取り出される。フラッシュ容器内に気相と液相の両方が存在するような条件下での低圧セパレータの操作が、この状況を説明するものである。
【0030】
本明細書で使用される「重力式分離器」または「液液分離器」は、二相(すなわち、液体/液体)系を分離できる容器を含む。より低い相対密度を有する液相(ポリオレフィンリーン相)は容器の上端から抜き出され、一方、より高い相対密度を有する液相(この場合、ポリオレフィンリッチ相)は容器の下端から抜き出される。
【0031】
本明細書で使用される用語「真空圧条件」は、5~100ミリバールの間の真空圧を意味する。5ミリバールより低い圧力は、エネルギー消費とそれに伴う費用の観点から不利である。圧力が100ミリバールより高いと、最終ポリマー中の揮発性物質の量が多くなりすぎる。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の最も一般的な実施形態において、ポリオレフィンリサイクル方法からの生成物流(a)に由来する少なくとも1つのポリオレフィンの分離方法は、生成物流(a)が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、以下の工程:
A)生成物流(a)をポリオレフィンリーン流(b)とポリオレフィンリッチ流(c)とに分離する工程;
B)ポリオレフィンリッチ流(c)を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)とに分離する工程;
C)第1のポリオレフィンリッチ凝集流(c)を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流(b’’)と最終のポリオレフィンリッチ凝集流(c’’)とに分離する工程
を含む。
【0034】
好ましくは、本発明の方法において、ポリオレフィンリーン流(b)および/または第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)は、ポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流(a’)に戻される。
【0035】
好ましくは、ポリオレフィンリサイクル方法は、溶媒系のポリオレフィンリサイクル方法である。このような方法においては、廃ポリオレフィン材料を高温高圧で溶媒に再溶解し、添加剤、顔料、その他の不要な廃棄物質などの不純物を除去する。
【0036】
溶媒は、通常、リサイクル方法により導入される。それにもかかわらず、廃ポリオレフィン材料中には、ポリオレフィン重合方法からの溶媒が依然として残っている可能性がある。これらの揮発性成分の含有量は、本発明の方法により低減できる。
【0037】
一般に、溶媒は、ポリオレフィン、特に、溶媒系リサイクル方法を可能にするために、本発明の方法で分離されるポリオレフィンを溶解できなければならない。したがって、溶媒は、非極性溶媒であることが好ましい。したがって、前記溶媒は、好ましくは炭化水素である。より好ましくは、溶媒は、ポリオレフィンのパラフィン性(「Similia similibus solventum」)によるパラフィン系溶媒である。芳香族炭化水素溶媒は、良好な溶媒特性で知られているため考慮され得る。それにもかかわらず、芳香族炭化水素の欠点は、ポリスチレンの溶解を促進することにある。一方、例えば、n-アルカンはポリスチレンを溶解しないことが知られている。最も重要なのは、溶媒がPET、PVC、PA、PC、PURなどの極性ポリマー、または、セルロース若しくはリグニンなどのバイオ系画分を溶解しないことである。さらに、好ましくは、溶媒はポリマーと化学的に反応すべきでない。さらに、溶媒の1bar圧力における沸点は70℃以上でなければならない。したがって、好ましくは、溶媒は、低沸点溶媒および高沸点溶媒のリストから選択される。低沸点溶媒には、トルエンおよびキシレンなどのn-アルカン並びに芳香族炭化水素が含まれる。低沸点溶媒の利点は、溶解したポリオレフィンから少ないエネルギー消費でそれらを分離できることである。高沸点溶媒には、パラフィン系軽油または真空軽油が含まれる。このような溶媒は、製品からの除去が困難であるという欠点を有する。したがって、好ましくは、溶媒(3)は、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10アルカンからなるリストから選択されるアルカン、またはそれらの混合物から選択され、より好ましくは、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10のn-アルカンからなるリストから選択されるn-アルカン、またはそれらの混合物から選択される。
【0038】
生成物流(a)中のポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびポリプロピレン(PP)からなるリストから選択されるポリマーの混合物であってもよい。好ましくは、生成物流(a)のポリオレフィンはポリプロピレンを含む。より好ましくは、生成物流(a)のポリオレフィンはポリプロピレンからなる。最も好ましくは、ポリプロピレンが生成物流(a)中に存在する唯一のポリマーである。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、工程A)において、55~90重量%、好ましくは60~70重量%の溶媒が生成物流(a)から除去される。同様に、本発明の好ましい実施形態では、工程B)において、10~40重量%、好ましくは25~30重量%の溶媒がポリオレフィンリッチ流(c)から除去される。さらに、本発明の好ましい実施形態では、工程C)において、最大5重量%の、好ましくは0.2~5重量%の溶媒が第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)から除去される。したがって、最も好ましくは、工程A)において、60~70重量%の溶媒が生成物流(a)から除去され、工程B)において、25~30重量%の溶媒がポリオレフィンリッチ流(c)から除去され、工程C)において、0.2~5重量%の溶媒が第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)から除去される。
【0040】
<工程A)>
好ましくは、工程A)は、気液分離工程として、または液液分離工程として実施できる。より好ましくは、工程A)は、気液分離工程として、最も好ましくはフラッシュ分離工程として実施される。好ましくは、ポリオレフィンリーン流(b)は、圧力および温度をリサイクル方法の要件に調整してからポリマーリサイクル方法に戻される。最も好ましくは、ポリオレフィンリーン流(b)は、さらに精製することなくリサイクル方法に戻される。
【0041】
工程A)が気液分離工程、より好ましくはフラッシュ分離工程である場合、それは、好ましくは150~300℃、好ましくは175~275℃、最も好ましくは200~250℃の温度で実施される。さらに、このような場合、工程A)は、好ましくは1~15バール、より好ましくは2~12バール、最も好ましくは2.5~10バールの圧力で実施される。最も好ましくは、このような場合、工程A)は、200~250℃の温度および2.5~10バールの圧力で実施される。
【0042】
工程A)が液液分離工程として実施される場合、分離温度は、好ましくは100~400℃、より好ましくは110~380℃、最も好ましくは120~370℃である。さらに、このような場合、工程A)は、好ましくは10~70barg、より好ましくは15~65barg、最も好ましくは20~60bargの圧力で実施される。最も好ましくは、このような場合、工程A)は、好ましくは120~370℃の温度および20~60bargの圧力で実施される。
【0043】
<工程B)>
また好ましくは、工程B)はフラッシュ分離工程として実施される。このような場合において、好ましくは、工程B)は150~300℃、より好ましくは175~275℃、最も好ましくは200~250℃の温度で実施される。さらに、このような場合、工程B)は、好ましくは1~15バール、より好ましくは2~12バール、最も好ましくは2.5~10バールの圧力で実施される。フラッシュ分離工程を連続して数回行う場合、圧力を段階的に低下させ、ポリオレフィンの温度は通常、段階的に上昇させる。したがって、工程A)がフラッシュ分離工程として実施される場合、工程B)の圧力は工程A)よりも低くなければならない。さらに、工程A)がフラッシュ分離工程として実施される場合、工程B)の温度は工程A)よりも高くなければならない。最も好ましくは、このような場合において工程B)は、200~250℃の温度および2.5~10baraの圧力で実施される。好ましくは、第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)は、圧力および温度をリサイクル方法の要件に調整してからポリマーリサイクル方法に戻される。最も好ましくは、第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)は、さらに精製することなくリサイクル方法に戻される。
【0044】
<工程C)>
本発明の好ましい実施形態において、工程C)は、好ましくは第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)へのストリッピング剤の先行添加を伴うフラッシュ分離工程、または押出/脱気工程である。
【0045】
工程C)がフラッシュ分離工程である場合、フラッシュセパレータに供給される前に、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)にストリッピング剤が添加されることが好ましい。より好ましくは、ストリッピング剤は、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)の総重量に対して2~4重量%の量で供給される。フラッシュ分離工程を連続して数回実行する場合、通常は段階的に圧力を低下させ、段階的に温度を上昇させる。したがって、工程C)がフラッシュ分離工程として実施される場合、工程C)の圧力は工程B)よりも低くなければならない。さらに、工程C)がフラッシュ分離工程として実施される場合、工程C)の温度は工程B)よりも高くなければならない。好ましくは、工程C)がフラッシュ分離工程である場合、工程C)は150~300℃、好ましくは175~275℃、最も好ましくは200~250℃の温度で実施される。さらに、このような場合において工程C)は、好ましくは真空圧力条件で実施される。したがって、最も好ましくは、工程C)がフラッシュ分離工程である場合、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)がフラッシュセパレータに入る前に、ストリッピング剤が第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)の総重量に対して2~4重量%の量で供給され、工程C)が200~250℃の温度および真空圧力条件で実施される。好ましくは、最終のポリオレフィンリーン蒸気流(b’’)が回収セクションで精製され、その後最初の供給流(a’)に戻される。
【0046】
工程C)が押出/脱気工程である場合、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)は、好ましくは脱揮押出機に供給される。好ましくは、押出機は、大気圧より0.5バール高い圧力から大気圧より0.5バール低い圧力の範囲、好ましくは大気圧で、逆方向脱気ドーム(ここで、大気圧とは、約1気圧で変化する地球大気の自然な大気圧を意味する)、および、真空状態での前方脱気ドームを有する。最も好ましくは、押出機は、脱気ドーム間に注入されるストリッピング剤を利用する。
【0047】
ストリッピング剤は、二酸化炭素、窒素および水からなる群から選択されることが好ましい。最も好ましくは、ストリッピング剤は水である。
【0048】
<ポリマー>
本発明の方法によって得られるポリオレフィンは、好ましくは500ppm未満の揮発分、好ましくは200ppm未満の揮発分、最も好ましくは150ppm以下の揮発分を含む。
【0049】
<試験方法>
a)揮発性物質の含有量
ポリオレフィンの揮発分は、ガスクロマトグラフおよびヘッドスペース法を用いるVDA277:1995に従ってヘッドスペース抽出を使用して測定できる。装置は、長さ30m、内径0.25 mm×1.0μm(膜厚1μm)のWCOT-キャピラリーカラム(ワックスタイプ)を備えたAgilent製ガスクロマトグラフであった。燃料ガスとしての水素とともに水素炎イオン化検出器を使用した。GC設定は以下の通りであった:50℃で3分間等温、12K/分で200℃まで加熱、200℃で4分間等温、注入温度:200℃、検出温度:250℃、キャリアヘリウム、流量-モード分割1:20、キャリアガス流量1ml/分。放出電位は、校正標準としてアセトンを用いたガスクロマトグラフィー分析および水素炎イオン化検出後の放出物質によって得られるすべての値の合計に基づいて測定した。サンプルの導入(ペレット、約2g)は、測定前に120℃で5時間コンディショニングした後、ヘッドスペース分析(20mlヘッドスペースバイアル)によって行った。単位はサンプル1グラムあたりの炭素のマイクログラム(ppm)である。
【実施例】
【0050】
以下の発明の実施例では、Aspen HYSYSによる計算を使用して本発明を例示する。
【0051】
本発明の実施例IE1
溶媒系のポリプロピレンリサイクル方法の溶解セクションから取込む典型的な生成物流は、温度150℃、圧力30bargでポリプロピレンとn-ヘキサンからなるものとしてモデル化される。次いで、出口流を230℃に加熱し、8bargで作動するフラッシュセパレータに供給する。この混合物はフラッシュセパレータで分離され、ポリプロピレンポリマーリッチな凝縮相が除去され、次の分離工程に使用される。ポリプロピレンポリマーリーン相は、さらに精製することなくリサイクル方法の溶解セクションに直接戻され、それによりポリマーから85重量%の溶媒が除去される。
【0052】
続いて、ポリプロピレンポリマーリッチ相を240~250℃に加熱し、1~2baraで操作されるフラッシュセパレータに供給する。フラッシュ操作によって、ポリプロピレンポリマーリッチ相の温度は190~210℃まで低下する。再びポリプロピレンポリマーリーン蒸気相を凝縮し、さらに精製することなくリサイクル方法の溶解セクションに直接戻す。
【0053】
フラッシュ分離工程のポリプロピレンポリマーリッチ相は、大気条件での逆方向脱気ドームと真空条件での前方向脱気ドームとを備えた典型的な脱揮押出機を使用して押し出される。脱気ドーム間への注水の利用により、揮発性物質が刺激されポリプロピレンポリマーから拡散する。ポリプロピレンポリマー中の揮発性物質のレベルは150ppm未満である。
【0054】
本発明の実施例IE2
フラッシュ分離工程を含むIE1の方法をフラッシュ分離工程まで利用する。
フラッシュ分離工程のポリプロピレンポリマーリッチ相を再度240~250℃に加熱し、ポリプロピレンポリマーリッチ相に、ポリプロピレンポリマーリッチ相の総重量に対して2~4重量%の量の水を混合する。強力な真空条件で操作される第2のフラッシュ容器を使用すると、揮発性物質の除去が促進される。ポリプロピレンポリマー中の揮発性物質のレベルは150ppm未満である。第2フラッシュ分離工程のポリプロピレンポリマーリーン相は、溶媒を精製するために回収セクションに供給される。ポリマー相は押出機に供給される。
【0055】
本発明の実施例IE3
溶媒系のポリプロピレンリサイクル方法の溶解セクションから取込む典型的な生成物流は、温度150℃、圧力30 bargでポリプロピレンとn-ヘキサンからなるものとしてモデル化される。この混合物は液液分離器で分離され、ポリプロピレンポリマーリッチ相が除去され、次の分離工程に使用される。ポリプロピレンポリマーリーン相は、さらに精製することなくリサイクル方法の溶解セクションに直接戻される。
【0056】
続いて、ポリプロピレンポリマーリッチ相を240~250℃に加熱し、1~2baraで操作されるフラッシュセパレータに供給する。フラッシュ操作によって、ポリプロピレンポリマーリッチ相の温度は190~210℃まで低下する。再びポリプロピレンポリマーリーン蒸気相を凝縮し、さらに精製することなくリサイクル方法の溶解セクションに直接戻す。
【0057】
フラッシュ分離工程のポリプロピレンポリマーリッチ相は、大気条件での逆方向脱気ドームと真空条件での前方向脱気ドームとを備えた典型的な脱揮押出機を使用して押し出される。脱気ドーム間への注水の利用により、揮発性物質が刺激されポリプロピレンポリマーから拡散する。ポリプロピレンポリマー中の揮発性物質のレベルは150ppm未満である。
【0058】
本発明の実施例IE4
フラッシュ分離工程を含むIE3の方法をフラッシュ分離工程まで利用する。
フラッシュ分離工程のポリプロピレンポリマーリッチ相を再度240~250℃に加熱し、ポリプロピレンポリマーリッチ相に、ポリプロピレンポリマーリッチ相の総重量に対して2~4重量%の量の水を混合する。強力な真空条件で操作される2番目のフラッシュ容器を使用すると、揮発性物質の除去が促進される。ポリプロピレンポリマー中の揮発性物質のレベルは150ppm未満である。第2フラッシュ分離工程のポリプロピレンポリマーリーン相は、溶媒を精製するために回収セクションに供給される。ポリマー相は押出機に供給される。
【符号の説明】
【0059】
A:第1の分離工程(工程A)
B:第2の分離工程(工程B)
C:第3の分離工程(工程C)
a:生成物の流れ
a’:初期供給流
b:工程Aのポリマーリーン流
c:工程Aのポリマーリッチ流
b’:工程Bの第1のポリマーリーン蒸気流
c’:工程Bの第1の凝縮ポリマーリッチ流
b’’:工程Cの最終のポリマーリーン蒸気流
c’’:工程Cの最終の凝縮ポリマーリッチ流
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンリサイクル方法から生じる生成物流(a)から少なくとも1つのポリオレフィンを分離するための方法であって、前記生成物流(a)が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、前記方法が以下の工程:
A)生成物流(a)をポリオレフィンリーン流(b)とポリオレフィンリッチ流(c)とに分離する工程;
B)ポリオレフィンリッチ流(c)を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)とに分離する工程;
C)第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流(b’’)と最終の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’’)とに分離する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
ポリオレフィンリーン流(b)および/または第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)が、ポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流(a’)に戻される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリオレフィンがポリプロピレンポリマーである、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10のn-アルカンまたはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程A)において、生成物流(a)から55~90重量%の溶媒が除去される、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
工程B)において、ポリオレフィンリッチ流(c)から10~40重量%の溶媒が除去される、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
工程C)において、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)から最大5重量%の溶媒が除去される、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
工程A)がフラッシュ分離工程である、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
工程A)が200~250℃の温度および2.5~10bargの圧力で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程B)がフラッシュ分離工程である、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
工程B)が200~250℃の温度および1~10baraの圧力で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程C)が、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)へのストリッピング剤の先行添加を伴うフラッシュ分離工程、または押出/脱気工程である、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
工程C)がフラッシュ分離工程であり、200~250℃の温度および真空圧力条件で実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項
1に記載の方法によって得られる、溶媒から分離されたポリオレフィン。
【請求項15】
150ppm未満の揮発性物質を含む、請求項14に記載のポリオレフィン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
A:第1の分離工程(工程A)
B:第2の分離工程(工程B)
C:第3の分離工程(工程C)
a:生成物の流れ
a’:初期供給流
b:工程Aのポリマーリーン流
c:工程Aのポリマーリッチ流
b’:工程Bの第1のポリマーリーン蒸気流
c’:工程Bの第1の凝縮ポリマーリッチ流
b’’:工程Cの最終のポリマーリーン蒸気流
c’’:工程Cの最終の凝縮ポリマーリッチ流
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
[1]ポリオレフィンリサイクル方法から生じる生成物流(a)から少なくとも1つのポリオレフィンを分離するための方法であって、前記生成物流(a)が少なくとも1つのポリオレフィンと溶媒とを含み、前記方法が以下の工程:
A)生成物流(a)をポリオレフィンリーン流(b)とポリオレフィンリッチ流(c)とに分離する工程;
B)ポリオレフィンリッチ流(c)を、第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)と第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)とに分離する工程;
C)第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)を、最終のポリオレフィンリーン蒸気流(b’’)と最終の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’’)とに分離する工程;
を含む、方法。
[2]ポリオレフィンリーン流(b)および/または第1のポリオレフィンリーン蒸気流(b’)が、ポリオレフィンリサイクル方法の最初の供給流(a’)に戻される、前記[1]に記載の方法。
[3]ポリオレフィンがポリプロピレンポリマーである、前記[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記溶媒が、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10のn-アルカンまたはそれらの混合物からなる群から選択される、前記[3]に記載の方法。
[5]工程A)において、生成物流(a)から55~90重量%の溶媒が除去される、前記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]工程B)において、ポリオレフィンリッチ流(c)から10~40重量%の溶媒が除去される、前記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]工程C)において、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)から最大5重量%の溶媒が除去される、前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]工程A)がフラッシュ分離工程である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]工程A)が200~250℃の温度および2.5~10bargの圧力で行われる、前記[8]に記載の方法。
[10]工程B)がフラッシュ分離工程である、前記[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]工程B)が200~250℃の温度および1~10baraの圧力で行われる、前記[10]に記載の方法。
[12]工程C)が、第1の凝縮ポリオレフィンリッチ流(c’)へのストリッピング剤の先行添加を伴うフラッシュ分離工程、または押出/脱気工程である、前記[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]工程C)がフラッシュ分離工程であり、200~250℃の温度および真空圧力条件で実施される、前記[12]に記載の方法。
[14]前記[1]~[13]のいずれかに記載の方法によって得られる、溶媒から分離されたポリオレフィン。
[15]150ppm未満の揮発性物質を含む、前記[14]に記載のポリオレフィン。
【国際調査報告】