IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨンの特許一覧

<>
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図1
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図2
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図3
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図4
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図5
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図6
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図7
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図8A
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図8B
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図9
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図10
  • 特表-単回使用可撓性スパージャ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】単回使用可撓性スパージャ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/04 20060101AFI20240321BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
C12M1/04
C12M1/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562881
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022024843
(87)【国際公開番号】W WO2022221549
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/175,696
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーハ,マリサ
(72)【発明者】
【氏名】ベルティ・ペレス,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,アン
(72)【発明者】
【氏名】ライン,ノア
(72)【発明者】
【氏名】メイ,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ガラルサ,スアリネス
(72)【発明者】
【氏名】コールメア,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マルドゥーン,ジョセフ・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,エイミー
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029DB15
4B029DB16
4B029DF07
(57)【要約】
底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置された第1の内側メッシュと、中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置された第2の内側メッシュと、上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置された多層可撓性スパージャにガスを送達することができるポートと、を有し、中間フィルム層がドリル孔を備え、上部フィルム層がドリル孔を備える、多層可撓性スパージャ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層可撓性スパージャであって、
底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、
底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置された第1の内側メッシュと、
中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置された第2の内側メッシュと、
上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置された多層可撓性スパージャにガスを送達することができるポートと、
を備え、
中間フィルム層はドリル孔を備え、上部フィルム層はドリル孔を備える、多層可撓性スパージャ。
【請求項2】
底部フィルム層と中間フィルム層との間に接合部をさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項3】
上部フィルム層と中間フィルム層との間に接合部をさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項4】
ポートを収容するためのフランジをさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項5】
中間フィルム層のドリル孔の総面積は、上部フィルム層のドリル孔の総面積よりも小さく、背圧が生成される、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項6】
中間フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンである、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項7】
上部フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンである、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項8】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも大きい、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項9】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも小さい、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項10】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも数が少ない、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項11】
中間フィルム層のドリル孔は50~800ミクロンであり、上部フィルム層のドリル孔は20ミクロンである、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項12】
中間フィルム層は20~200個の穿孔を備え、上部フィルム層は1000~36,000個の穿孔を備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項13】
多層可撓性スパージャの外周の周りに接合部をさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項14】
多層可撓性スパージャの外周の周りに、上部フィルム層と、中間フィルム層と、底部フィルム層とを接合する接合部をさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項15】
多層可撓性スパージャの中央に中央接合部をさらに備え、中央接合部は、上部フィルム層から中間フィルム層を貫通して形成され、底部フィルム層を含む、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項16】
中央接合部から周囲接合部に、ならびに上部フィルム層及び中間フィルム層から延在する少なくとも2つの半径方向接合部をさらに備え、2つのフローポケットが形成されている、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項17】
ドリル孔は、十字、スロット、及び/又は鉤の輪郭を備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項18】
中央接合部から周囲接合部に、ならびに上部フィルム層及び中間フィルム層から延在する少なくとも8つの半径方向接合部をさらに備え、8つのフローポケットが形成されている、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項19】
少なくとも1つのフローポケット内にスポットボンドをさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項20】
ポートは、チューブ、コネクタ又は無菌コネクタに取り付けるように構成される、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項21】
多層可撓性スパージャにガスを送達することができるポートは、上部フィルム層と中間フィルム層との間に配置される、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項22】
バイオリアクタと、
その中に配置された、請求項1に記載の多層可撓性スパージャと、
を備える、バイオリアクタシステム。
【請求項23】
複数の多層可撓性スパージャをさらに備える、請求項22に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項24】
バイオリアクタは、50リットル~5000リットルの作業容積を有する、請求項22に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項25】
バイオリアクタは、200リットル~2000リットルの作業容積を有する、請求項22に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項26】
マルチゾーン多層可撓性スパージャであって、
底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、
底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置され、かつ接合された第1の内側メッシュと、
中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置され、かつ接合された第2の内側メッシュと、
ポートであって、上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置されたマルチゾーン多層可撓性スパージャ内の少なくとも2つのスパージングゾーンにガスを送達することができるポートと、
を備え、
中間フィルム層はドリル孔を備え、上部フィルム層はドリル孔を備える、マルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項27】
4つのスパージングゾーンを備える、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項28】
ポートは、4つのスパージングゾーンの中央にある、請求項27に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項29】
中間フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンである、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項30】
上部フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンである、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項31】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも大きい、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項32】
中間フィルム層のドリル孔は50~800ミクロンであり、上部フィルム層のドリル孔は20ミクロンである、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項33】
中間フィルム層は80~800個の穿孔を備え、上部フィルム層は4000~144,000個の穿孔を備える、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項34】
中間フィルム層のドリル孔は10~800ミクロンであり、上部フィルム層のドリル孔は10~800ミクロンである、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項35】
中間フィルム層は10~800ミクロンを具備し、上部フィルム層のドリル孔は10~800ミクロンである、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項36】
多層可撓性スパージャの外周の周りに接合部をさらに備える、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項37】
中間フィルム層のドリル孔の総面積は、上部フィルム層のドリル孔の総面積よりも小さく、背圧が生成される、請求項26に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月16日に出願された米国仮特許出願第63/175,696号の利益を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、生物学的流体のバイオ処理のための装置に関する。より詳細には、装置は、バイオリアクタ、例えば50~5000リットルの容積を有する単回使用撹拌タンクバイオリアクタなどの、コンテナ又は容器内で使用するための曝気装置を含む。
【背景技術】
【0003】
従来、生体物質などの流体は、ステンレス鋼コンテナ又は容器を利用するシステムで処理されてきた。これらのコンテナは、使用後に滅菌され、再使用することができる。滅菌手順は高価で面倒であり、時には効果がない。製造においてより大きな柔軟性を提供し、機器の有効な再生を達成するのに必要な時間を短縮するために、製造業者は、使い捨て滅菌コンテナ及び/又は折り畳み式バッグなどのバイオリアクタを利用し始めており、これらは一度使用され、その後廃棄される。これらの使い捨て又は単回使用バッグの使用例は、少なくとも一方が液体であり、他方(複数可)が液体又は固体である2つ以上の成分を混合するためのシステム内にあり、バッグは、内容物を可能な限り均一に混合するための混合要素などを有する。使い捨てコンテナの一例は、細胞が懸濁液中又はマイクロキャリア上にあり、コンテナが液体、気体、及び場合によっては細胞をコンテナの内部で循環させるための混合システムを有するバイオリアクタ又は発酵バッグである。
【0004】
典型的には3リットル~50リットル以下及び50リットル以上、すなわち5000リットルのサイズに及ぶ、多くの従来の混合バッグは、使い捨てバッグが取って代わるステンレス鋼タンクの形状を模倣するために、バッグの底部が任意選択で円錐を形成する円筒形状である。円筒形状のバイオリアクタは、バッグの内容物を効率的な方法で混合することを可能にする。典型的には、バッグは、内容物を混合又は循環させるためのミキサ、例えば、磁気的に結合された、バッグ内に収容されたインペラ及び、インペラを遠隔で回転させるバッグの外側の磁気モータなどを含む。容器はまた、気泡をコンテナの内容物に導入させる1つ以上の曝気装置、例えばガススパージャを含むことができる。内容物は、典型的には、生物医薬品又は他の生物学的流体である。そのような流体は、典型的には、細胞培養培地及びアジュバントを含有する。コンテナは、空気、酸素、二酸化炭素、窒素などの気体を収容する。50~5000リットルのバイオリアクタと共に使用するためのスパージャは、バイオリアクタの底部を通して空気を供給される。50~5000リットルの流体の圧力のために、スパージャは逆止弁を有しなければならないか、又は通気中に液体がスパージャに逆流するのを防ぐのに必要な背圧を生成するために高圧を使用しなければならない。
【0005】
バイオリアクタ内の生物学的流体の通気は、スペアリング装置を介した細胞培養酸素化を支援するために一般的である。しかしながら、kLaとして測定される高レベルの酸素化を達成するために使用される高ガス流量の使用は、細胞せん断を引き起こし、細胞死を誘発し得る高速で非常に小さい気泡をもたらし得る。ここで、kLaは、ガス移動係数、例えば、培養物に酸素を移動するバイオリアクタの能力の測定値である。高速で小さな気泡は、望ましくないバイオプロセス製品の損失又は製品品質の変化をもたらす可能性があるが、例えば灌流プロセスにおいて高い細胞密度を達成するには高いkLaが必要である。したがって、特定の流れ要件に適したスパージングを使用することによって、ガス流の分布が達成されて、高いkLaを達成するためにガス移動を最大化することができる。
【0006】
スパージング器具の過去の試みには、フィルム又は金型から作られた穿孔スパージャが含まれる。これらの器具は、気泡サイズ及び/又は空気の出口ガス速度を制御することを目的としていた。しかしながら、フィルムスパージャの場合、フィルム材料の可撓性は、スパージャ領域にわたる制御された圧力勾配の欠如をもたらし、より低い酸素移動、気泡サイズのより広い分布及び漏れをもたらした。成形装置は高価でかさばり、単回使用バイオリアクタ内のかなりの空間を占有し、輸送中にバイオリアクタの内部を損傷する可能性がある。2つのフィルム層を備える別の従来技術の可撓性スパージャは、空気の均一な分布を欠いている、すなわち、空気流はスパージャの最高点から出て、スパージャの全領域に、例えば個別のポケットのみに空気を分布させなかった。
【0007】
上記のように、通気ガスの気泡サイズは重要である。バイオリアクタ用途では、例えば、気液相からの又はその逆の物質移動が、著しいせん断又は発泡などの負の培養効果を防止しながらプロセスに十分となるように気泡数及びサイズを管理するためのバランスが、存在する。一般に、気泡サイズが小さいほど、表面積が増大するため、気泡から液体又は生物学的流体にガスを移動するのにより効率的である。しかしながら、気泡が小さいほど、細胞と同様のサイズ及び液体表面上の泡の蓄積を促進する可能性のために、気泡サイズが大きい場合と比較して、細胞に対する潜在的な損傷が大きくなる。同様に、培養中の細胞などのコンテナの内容物に対してほぼ均一な環境を生成及び維持することも、バイオリアクタ/バイオ処理操作において重要である。バイオリアクタ内に領域及び/又は勾配、すなわち混合(pH、栄養素、及び溶存ガス)、せん断、温度などの差を有することは望ましくない。一部の細胞培養プロセスは、可能な限り最高の物質移動能力を必要とし得るが、他のプロセスは、感受性細胞が損なわれないように十分に大きい特定の気泡サイズを必要とし得る。これまで、気泡サイズとせん断及び泡の発生とのバランスをとるのに適したスパージング器具はなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、生物学的流体用の使い捨て又は単回使用コンテナ又はバイオリアクタなどのコンテナ又はバイオリアクタを提供することが進歩であり、スパージング器具(複数可)は、小型で柔軟であり、気泡サイズ、せん断、発泡、空気分布、及び他のバイオ処理条件の競合する態様のバランスをとることができるものを提供することによって、最適な細胞培養増殖性能及び生存能力を支援する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特許請求の範囲においてより完全に記載される、図面の少なくとも1つに実質的に示される及び/又はそれに関連して説明される、3つのフィルム層及び2つのメッシュ層を備える、多層穿孔可撓性スパージャの実施形態が開示される。本開示の新規かつ発明的な特徴、ならびにその例示的な実施形態の詳細は、以下の説明及び図面からより完全に理解されるであろう。本開示の或る実施形態は、多層可撓性スパージャであって、底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置された第1の内側メッシュと、中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置された第2の内側メッシュと、上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置された多層可撓性スパージャにガスを送達することができるポートと、を有し、中間フィルム層はドリル孔を備え、上部フィルム層はドリル孔を備える、多層可撓性スパージャを含む。本開示の或る実施形態は、マルチゾーン多層可撓性スパージャであって、底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置されて接合された第1の内側メッシュと、中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置されて接合された第2の内側メッシュと、上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置されたマルチゾーン多層可撓性スパージャ内の少なくとも2つのスパージングゾーンにガスを送達することができるポートと、を有し、中間フィルム層はドリル孔を備え、上部フィルム層はドリル孔を備える、マルチゾーン多層可撓性スパージャを含む。
【0010】
或る実施形態では、多層可撓性穿孔スパージャは、単回使用スパージャである。或る実施形態は、中間フィルム層は、空気流に抵抗し、中間フィルム層と底部フィルム層との間に背圧を生成する少ない数の小さな穿孔を具備することを備える。中間層は、少ない数、例えば、上部層と比較して1%~50%の数の穿孔及び/又はより小さい穿孔を有する。或る実施形態では、中間層は、上部層の5~25%の数の孔を備える。或る実施形態では、中間層は、上部層の10~20%の数の孔を備える。また、例えば、5~1000ミクロンの間の直径を有する穿孔は、中間層の上に背圧及びガス分布を促進する。本開示の実施形態は、空気流に抵抗し、中間フィルム層と底部フィルム層との間に背圧を生成する穿孔の数及びサイズを有する中間フィルム層を含む。また、例えば、5~1000ミクロンの間の直径を有する穿孔は、中間層の上に背圧及びガス分布を促進する。上部フィルム層は、特定の出口ガス速度及び気泡サイズのために設計された穿孔を包含する。メッシュ層は、上部フィルム層と中間フィルム層との間に存在して、フィルムの支持と、空気流がスパージングエリアにわたって分布するようにフィルム層の物理的分離とをもたらす。
【0011】
上部フィルム層は、特定の出口ガス速度及び気泡サイズのために設計された穿孔を包含する。メッシュ層は、上部フィルム層と中間フィルム層との間に存在して、フィルムの支持と、空気流がスパージングエリアにわたって分布するようにフィルム層の物理的分離とをもたらす。上部及び中間フィルム層は、スパージャの向きにかかわらず、空気流を特定の領域に制限する区画に接合される。少なくとも3つのフィルム層は、スパージャの外周及びスパージャの中央の領域に接合される。本明細書に開示されるスパージャの実施形態は、スパージャの向きにかかわらず、スパージャ全体にわたってガス流量の実質的に等しい分布を示す。本明細書に開示されるスパージャの実施形態は、ガス流量とは無関係に均一な気泡サイズを提供する。本明細書に開示されるスパージャの実施形態は、本明細書のスパージャ設計が最適性能窓を広げ、細胞密度の増加のための高いkLa、製造の容易さ、及び既存のバイオリアクタ及びコンテナ内への統合の容易さのための柔軟性を提供するので、技術を進歩させる。或る実施形態は、1つのバイオリアクタ内の複数のスパージャの使用を含む。或る実施形態は、異なる孔サイズ及び/又はkLa特性を有するスパージャ間の切り替えのための手段を含む。そのような手段は、マイクロプロセッサ制御バイオリアクタ及びマスフローコントローラによって制御されるマニホールド及び制御スキームを使用してガス流範囲を最適化及び変化させることを備える。或る実施形態では、所望のkLa特性は、マイクロプロセッサ制御バイオリアクタ及びマスフローコントローラを使用して達成され、さらに異なる気泡サイズを生成することができる複数のスパージャと組み合わされる。本明細書で具現化されるこれらの進歩及びその他は、以下の説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。本開示の様々な利点、態様、新規及び発明的特徴、ならびにその例示的な実施形態の詳細は、以下の説明及び図面からより完全に理解されるであろう。したがって、本明細書に開示された特徴を詳細に理解することができる方法で、上で簡単に要約された本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、説明された実施形態は、他の同等に効果的なバッグ、バイオコンテナ、フィルム、及び/又は材料を許容することができるため、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。また、一実施形態の要素及び特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に見出すことができ、図に共通する同等の要素を示すために同一の参照符号が使用されることがあることも理解されたい。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象も含む。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、これらの実施形態が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の或る実施形態による、多層可撓性スパージャの側面分解斜視図を示す。
図2】本開示の或る実施形態による、フランジを有する多層可撓性スパージャの上面斜視図を示す。
図3】本開示の或る実施形態による、図2の多層可撓性スパージャの側面図を示す。
図4】本開示の或る実施形態による、図2の多層可撓性スパージャの上面図を示す。
図5】本開示の或る実施形態による、バイオリアクタ内に配置された多層可撓性スパージャの側面図を示す。
図6】本開示の或る実施形態による、2つの多層可撓性スパージャ及びインペラを示す、図5の線6-6に沿ったバイオリアクタの底部内面の拡大上面図を示す。
図7】本開示の或る実施形態による、任意選択の位置決めタブを有する多層スパージャの上面図を示す。
図8A図7の多層スパージャの上面斜視図を示す。
図8B図7の多層スパージャの上部フィルム層のドリル孔の拡大図を示す。
図9図7の多層スパージャの分解図を示す。
図10】本開示の或る実施形態による、任意選択の位置決めタブを有するマルチゾーン多層スパージャの上面図を示す。
図11図10のマルチゾーン多層スパージャの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の意味におけるフィルムという用語は、任意の可撓性材料を意味し、この可撓性材料は、ポリマーシート、複合体、積層体、単層及び/又は多層ポリマー材料を含むが、これらに限定されない、別の可撓性フィルムと融合することができるものである。これらのフィルムは、プラスチック網、織物、不織布、ニット、及び/又は金属箔ならびに他の可撓性構造体及び材料を具備し得る基材をさらに備えてもよい。フィルムは、例えば、ポリオレフィン系材料、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及び他のポリオレフィンを含有してもよい。或る実施形態では、可撓性フィルムは、外部の高融点ポリマーの内部に、より低い融点材料を有するラミネートフィルム構造体を備える。また、或る実施形態では、可撓性フィルムは、より高い融点の織布、ニット又は不織布材料を取り囲む、より低い融点の材料を有するラミネートフィルム構造体を備える。或る実施形態では、底部フィルム、中間フィルム、又は上部フィルムのいずれか又はすべては、参照によりその全体が組み込まれる国際公開第2020101848号に記載されているフィルムのいずれかを備える。或る実施形態では、これらのフィルムの1つ以上は、米国マサチューセッツ州バーリントンのEMD Millipore Corporationによって市販されているPUREFLEX(R)、PUREFLEX PLUS(R)又はULTIMUS(R)フィルムと実質的に同様である。本明細書で論じられるフィルムは、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、エチルビニルアルコール、及び他の材料の1つ以上の層を備える多層フィルムであってよい。或る実施形態では、底部フィルム、中間フィルム、及び/又は上部フィルムのいずれか又はすべては、ネット、織物、不織布、ニット、ならびに、例えば、ナイロン、ポリアミド、及び他の耐摩耗性材料で作られた他の構造体である基板を備え、様々な結合層、例えば、ポリウレタンが、層間に配置されてもよい。
【0014】
バイオコンテナという用語は、内部容積又は領域内に流体を保持することができる任意の可撓性コンテナ又は容器として広く定義され、二次元、三次元、及び/又は多面のバッグ若しくはバイオリアクタの形態であってもよい。或る態様では、バイオコンテナ又はバイオリアクタは、内部に組み込まれたバッフルを有し、バッフルは、インペラなどのミキサが液体を混合するときに形成される液体内の渦を撹乱することができる。
【0015】
図1は、本開示の或る実施形態による、多層可撓性スパージャ100の側面分解斜視図を示す。図1に示すように、多層可撓性スパージャは、支持ベースとして作用する、スパージング孔を有さない底部フィルム層102を備え、第1の内側メッシュ104は、底部フィルム層102に隣接して配置される。第1の内側メッシュ104は、底部フィルム層102を支持し、スパージングエリアにわたって空気流を分布させるための手段である(より詳細に後述する)。或る実施形態では、第1の内側メッシュ104は、スパージングエリア全体にわたって空気流を分布させる。多層可撓性スパージャは、底部フィルム層102と、複数の穿孔112を有する上部フィルム層110との間に配置された第2のフィルム106をさらに備える。言い換えれば、第2のフィルム層106は中間フィルム層である。中間フィルム層106はまた、或る実施形態では、上部フィルム層110の穿孔112の数よりも概して少ない数の穿孔112を備える。或る実施形態では、中間フィルム層106又は上部フィルム層110の両方に約10個~50,000個の穿孔がある。或る例示的な実施形態では、中間フィルム層106は、20~200個の穿孔を備える。或る例示的な実施形態では、上部フィルム層110は、1000~36,000個の穿孔を備える。穿孔は、ポロゲン又は様々なレーザの使用などの任意の適切なプロセスによって形成されてもよいことを理解されたい。中間フィルム層106はより少ない穿孔112を備えるので、中間層106は空気流の背圧を生成することができる。背圧は、スパージングエリアにわたるガス又は空気流の均一な分布を促進する。或る実施形態では、可撓性スパージャ100は、中間フィルム層106と上部フィルム層110との間に配置される第2の内側メッシュ114を備える。第1の内側メッシュ104及び第2の内側メッシュ114の厚さも、スパージング性能に影響を与えるように変更されてもよい。理論によって制限されることを意図するものではないが、より厚いメッシュは、底部フィルム層102と中間フィルム層106とをさらに離間させたままにすることができ、より良好なスパージング性能をもたらすと考えられる。例えば、より厚いメッシュは、均一な空気流分布を促進すると考えられる。同様に、より厚いメッシュは、中間フィルム層106と上部フィルム層110とをさらに離間させたままにすることができ、より良好なスパージング性能をもたらすことができると考えられる。或る実施形態では、上部フィルム層110は、1つの特定の出口ガス速度及び気泡サイズで設計された穿孔112を備える。また、フィルム層の穿孔112は、スパージャ内の不織布構造又は膜構造よりも一貫性が向上し、一定かつ予測可能な気泡サイズを提供すると考えられる。或る実施形態では、中間フィルム層106及び上部フィルム層110は、ガス流を特定の領域に制限するために区画内で接合される。3つのフィルム層、すなわち底部フィルム層102、中間フィルム層106、及び上部フィルム層110はすべて、可撓性スパージャの外周及び中央で接合される。多層可撓性スパージャ100はさらに、多層可撓性スパージャ100がバイオリアクタ(図示せず)内にある向きに関係なく、バイオリアクタ内への垂直ガス流を可能にする。言い換えれば、ガス又は空気流は、向きに関係なく、可撓性スパージャにわたって均一なままである。さらに或る他の実施形態では、可撓性スパージャ100は中間フィルム層106を有さない。言い換えれば、多層可撓性スパージャ100は、底部フィルム層102と、ドリル孔112を有する上部フィルム層110と、それらの間に配置されたメッシュ114とを備える。或る実施形態では、中間フィルム層106のドリル孔112は、直径10ミクロン~800ミクロンのサイズの範囲にわたる。或る実施形態では、上部フィルム層110のドリル孔112は、直径10ミクロン~800ミクロンの範囲にわたる。或る実施形態では、上部フィルム層110のドリル孔112は、直径100ミクロン未満である。本明細書の可撓性スパージャのすべての実施形態は、空気又は別のガスを可撓性スパージャに供給するためのポートを備える。ポートは、可撓性スパージャの上部(上部フィルム層の中央になど)、可撓性スパージャの底部(底部フィルム層の中央になど)、又は可撓性スパージャの側面に配置されてもよい。可撓性スパージャは、略円形形状、又は、例えば円形形状の領域(例えば、ゴム製クッション)に隣接するフランジを有する略円形形状を備えることができる。或る実施形態では、ポートは、フランジを介して可撓性スパージャに空気又はガスを供給する。
【0016】
図2は、本開示の或る実施形態による、フランジ202を有する可撓性スパージャ200の上面斜視図を示す。可撓性スパージャ200は、略円形であるが、フランジ202は、任意の適切な形状であってもよい。図示のように、フランジ202は矩形形状である。フランジ202は、フランジ202の上部から突出するポート204を備える。或る実施形態では、ポート204は、フランジ202の下部から突出してもよい。ポート204は、空気又は酸素などのガス供給源に接続されると、可撓性スパージャ200内に空気を送達する。或る実施形態では、ポート204は、チューブ(図示せず)、コネクタ、又は無菌コネクタとの接続のためのバーブ206などのコネクタを備える。或る実施形態では、ポート204は、中間フィルム層106及び/又は上部フィルム層110に接続される。
【0017】
或る実施形態では、第1及び/又は第2の内側メッシュは、織られた又は押し出されたメッシュ、エンボス加工された及び/又は穴開きフィルム、或いは空気が中間層のすべての開口部を通って分布されるように背圧を生成するための中間層として低開口面積(ガス流に開口する面積)を有する膜を備える。或る実施形態では、フローポケットは、フィルムの層を一緒に封止することによって生成され、空気又はガス流は、可撓性スパージャの特定の領域に向けられ、可撓性スパージャ内のガス流の実質的に均一な分布を達成し、スパージャ配向角、ガス流量、又はヘッド圧力にかかわらず、可撓性スパージャの表面にわたって一貫した気泡サイズ及び気泡速度をもたらす。例えば、可撓性スパージャ200は、フローポケット208をさらに備える。図示のように、8個のフローポケット208がある。フローポケット208は、超音波溶接、熱溶接、接着剤など、及び当業者に知られているようなプラスチックフィルムを接合するための他の方法によって作製することができる接合によって形成される。或る実施形態では、接合部は、高周波/無線周波数(RF)接合を使用して形成される。或る実施形態では、RF接合プロセスは、2ステップRF接合プロセスである。或る実施形態では、RF接合プロセスは、3ステップRF接合プロセスである。RF溶接は、2つの対向する金属プレート間のプラスチック材料の配置である。圧力がプレートに、したがってプラスチックに加えられる一方で、RF波がプレートを通って送られ、プラスチックを一緒に溶融する熱を生成する。接合部210は、可撓性スパージャ200の外周のすぐ内側に作られる。中央接合部212は、中央に作られ、すべての層が一緒に接合される。中央接合部212及び周囲接合部210から突出する8つの半径方向脚部214。周囲接合部210は、底部フィルム層102、中間フィルム層106、及び上部フィルム層110を包括して貫通して形成される。フローポケット208は、上部フィルム層110及び中間フィルム層106を封止することによって形成される。任意選択で、中間層106を第2の内側メッシュ114と接合することによって、各フローポケット208内にスポットボンド216が作られる。
【0018】
図3は、本開示の或る実施形態による、図2の多層可撓性スパージャ200の分解側面図の断面を示す。図示のように、底部フィルム層102、中間フィルム層106、及び上部フィルム層110は、多層可撓性スパージャ200内に存在する。ポート204は、フランジに組み込まれているものとして示される。ポート204は、バーブ型206ポートであり、中間フィルム層106及び上部フィルム層110に取り付けるための肩部218を備える。ポート204は、中間フィルム層106と底部フィルム層102との間に突出しているので、それらの間にも空気又は他のガスが供給される。第1の内側メッシュ104及び第2の内側メッシュ114も示される。或る実施形態では、図示のように、第1の内側メッシュ104及び第2の内側メッシュ114は、底部フィルム層102、中間フィルム層106及び上部フィルム層110が周囲接合部210で接合されることができるように、可撓性スパージャ200の直径よりも小さい。或る実施形態では、第1の内側メッシュ104及び第2の内側メッシュ114は、本質的に同じ直径であり、したがって周囲接合部210の一部になる(図3には示さず)。
【0019】
図4は、本開示の或る実施形態による、図2の多層可撓性スパージャ200の上面図を示す。上面図は、8個のフローポケット208の各々にならびに外側境界及び中央接合部212領域の周囲接合部210の周りに半径方向脚部214を有する多層可撓性スパージャ200を示す。スポットボンド216は、各フローポケット208に対してそれぞれ1つずつ示されている。ポート204は、フランジ202内に示される。接合部222も示されており、接合部222は、上部フィルム層110と中間フィルム層106との間にあり、フローポケット208のうちの2つを完成させる。或る実施形態における多層可撓性スパージャ100、200をさらに支持する、接合部222の2つの対向する側面の間に配置された任意選択の接合部。
【0020】
図5は、本開示の或る実施形態による、バイオリアクタ300内に配置された、図2の多層可撓性スパージャ200などの可撓性スパージャの側面図を示す。本開示の或る実施形態は、上述のようなバイオリアクタ及び多層可撓性スパージャ100、200を有するバイオリアクタシステムを備える。多層可撓性スパージャ100、200は、バイオリアクタ300の底部内面に配置されてもよい。また、多層可撓性スパージャ100、200は、バイオリアクタの幾何学的中心又は中心から外れて(図示のように)バイオリアクタ300の底部内面308に配置されてもよい。或る実施形態では、多層可撓性スパージャ100、200は、バイオリアクタ300の底部内面308に取り付けられるか、又はバイオリアクタ300内で浮遊している。或る実施形態では、複数の多層スパージャ100、200がバイオリアクタ300内に配置される。例えば、2つ(図6に示すように)~8つの多層スパージャ。バイオリアクタ300などの本明細書に記載のバイオリアクタのいずれも、50リットル~3000リットルの作業容積310を有してもよい。或る実施形態では、バイオリアクタ300の作業容積310は、200リットル~2000リットルである。図示のように、バイオリアクタ300は、作業容積310からガス又は液体を送達又は除去するためのポート304をさらに備える。バッフル302が示される。作動容積310内で液体を混合するためのインペラ306も示される。
【0021】
図6は、本開示の或る実施形態による、2つの多層可撓性スパージャ100、200及びインペラ306を示す、図5の線6-6に沿ったバイオリアクタ300の底部内面308の拡大上面図を示す。多層可撓性スパージャ100、200は、穿孔112及びポート204を示す。ポート204は、バイオリアクタ300の外側にあるポート304又は他のポートによって供給されることができる。
【0022】
図7は、本開示の或る実施形態による、任意選択の位置決めタブを有する多層スパージャ400の上面図を示す。多層スパージャ400は、8つのフローポケット448の各々に隣接し、外側境界及び中央接合部413a、413b領域の周囲接合部442の周りに半径方向脚部414を備える。半径方向脚部414は接合領域である。接合部は、多層スパージャ400の2つ以上の層内に形成される。或る実施形態では、半径方向脚部414は、多層スパージャ400のすべての層を接合する接合部である。多層スパージャ400は、少なくとも上部層に穿孔450を備える(後述)。穿孔450はまた、中間層にあってもよい(後述)。或る実施形態では、穿孔450は、5ミクロン~1000ミクロンのサイズ、又はそれらの間の任意のサイズを有する。簡素化のため、穿孔450は、8つのフローポケット448のうちの1つに示される。穿孔450は、フローポケット448のすべてに存在してもよいことを理解されたい。穿孔450は、同じフローポケット448内で様々なサイズであってもよいことをさらに理解されたい。或る実施形態では、中間フィルム層の総孔面積、ドリル孔450の数及びドリル孔450のサイズの関数は、上部フィルム層の総孔面積よりも小さく、それにより背圧が生成される。
【0023】
図示のように、多層スパージャ400は、弓形の外周を有する。中央接合部413a、413bは、或る実施形態では、中央孔444を形成する。任意選択である中央孔444は、例えばバイオリアクタ(図示せず)内のポスト上に多層スパージャ400を配置、接合、取り外し可能に取り付けるなどのために使用されることができる。ポート404は、フランジ401内に示される。フランジ401は、多層スパージャ400を形成する層のうちの1つ以上から形成される。接合部427も示され、これは5層すべての間にある。以下に示すように、接合部427は、必ずしも5層すべてに材料を含有するとは限らない。例えば、或る実施形態では、以下に説明するように、窓417が或る層に存在する。また、或る実施形態では、タブ421は、任意選択で多層スパージャ400内に配置される。
【0024】
図8Aは、図7の多層スパージャ400の上面斜視図を示す。或る実施形態では、第1の内側メッシュ408及び第2の内側メッシュ416は、底部フィルム層402、中間フィルム層406及び上部フィルム層410が外周に沿って接合されることができるように可撓性スパージャ400の直径よりも小さい直径を有する。或る実施形態では、図示のように、第1の内側メッシュ408及び第2の内側メッシュ416は、底部フィルム層402、中間フィルム層406及び上部フィルム層410と同じ直径を有する。図示のように、第1の内側メッシュ408、第2の内側メッシュ416、底部フィルム層402、中間フィルム層406及び上部フィルム層410は、多層スパージャ400の中央孔444を形成するため中央孔444a、444b及び444cを備える。多層スパージャ400は、任意選択で、多層スパージャ400の外周に様々なタブを備える。例えば、底部、中間部、及び上部フィルム層402、406、410は、製造中、例えば接合、溶接などの間に層を配置するために使用されることができる任意選択のタブ403、407、409、411を備える。同様に、第1の内側メッシュ408及び第2の内側メッシュ416もタブを備えることができる。図8Bは、図7の多層スパージャの上部フィルム層のドリル孔の拡大図を示す。簡略化のために、ドリル孔450は、上部フィルム層410の一区画に示されている。8つの区画すべて又は区画の任意の組み合わせが、ドリル孔450を有してもよいことを理解されたい。また、上述したように、中間フィルム層406は、すべての区画又はそれらの任意の組み合わせにドリル孔450(この図には示さず)を備えることができる。
【0025】
図9は、図7の多層スパージャの分解図を示す。底部フィルム層402は、フランジ401と、タブ403とを備える。図から分かるように、中間フィルム層406の孔444bは、第1のメッシュ層408の孔444cの直径よりも小さい直径を有する。孔444cの直径が大きいほど、底部層402と中間層406との間の接合をより強固にすることに寄与する。任意選択で2つの孔を備えるタブ419は、製造中に上部フィルム層410を配置するため、及びバイオリアクタバッグのポスト又は他の特徴部に取り付けるための両方に使用されることができる。第1のメッシュ層408はまた、中央接合部413c領域と、中央孔444cと、タブ405とを備える。中間層406にはポート404も取り付けられている。接合中、ポート404は、他の層、例えば上部層410と接合する前に中間層406に接合されてもよく、或いは、ポート404は、すべての層に同時に接合、例えばRF溶接されてもよいことを理解されたい。第1のメッシュ層408は、任意選択で窓417をさらに備える。窓417は、底部フィルム層402の中間層406への接合を容易にする第1のメッシュ層408の切り欠きである。中間フィルム層406は、タブ407、中央接合部413b領域、及び孔444bを備える。中間フィルム層406の一部分にドリル孔450も示されているが、中間フィルム層406のすべての部分がドリル孔450を備えてもよいことが理解される。図示のように、ドリル孔450は、上部フィルム層410の一区画に示される。8つの区画すべて又は区画の任意の組み合わせが、ドリル孔450を有してもよいことを理解されたい。また、上述したように、中間フィルム層406は、すべての区画又はそれらの任意の組み合わせにドリル孔450を備えてもよい。
【0026】
ポート孔415bは、組み立て中にポート404が貫通することを可能にする。第2のメッシュ層416は、タブ409と半径方向脚部414とを備える。図示のように、半径方向脚部414は、第2のメッシュ層416の切り欠きである。第2のメッシュ層は外周切り欠き438を任意選択で備え、外周切り欠き438は、隣接する層、例えば中間フィルム層406及び上部フィルム層410への接合を促進することができる。上部フィルム層は、バイオプロセス中に生物学的流体にガス(複数可)を送達するドリル孔450を備える。上部フィルム層410は、ポスト孔444a及びポート孔415aを取り囲む中央接合部413a領域をさらに備える。上部フィルム層410は、バイオリアクタに配置又は固定するための2つの孔を有するタブ419をさらに備える。上部フィルム層410は、タブ411及び任意選択でタブ421をさらに備える。また、タブ421は、チューブ管理、すなわちポート404に接続されるガス供給チューブ用に使用されることができる任意選択のスリット446を備えてもよい。ポート404を介して多層スパージャ400内に送達されるガスは、第1のメッシュ層408の辺り、底部フィルム層402と中間フィルム層406との間を移動する。そこから、ガスは、中間フィルム層406のドリル孔450を通って、8つのフローポケット448に入り、上部フィルム層410のドリル孔450を通ってバイオリアクタバッグ内の流体へ進むことができる。
【0027】
図10は、本開示の或る実施形態による、任意選択の位置決めタブを有するマルチゾーン多層スパージャ500の上面図を示す。マルチゾーン多層スパージャ500は、上述した多層スパージャ400と同様である。多ゾーン多層スパージャ500は、一体層を有する多層スパージャ400のうちの4つである。言い換えれば、マルチゾーン多層スパージャ500は、多層スパージャ400と同様の材料、層、及び特徴を有する。マルチゾーン多層スパージャ500は、中央領域513によって囲まれた中央ポート504と、32個のポケット448にガスを供給するポート504と、4つのスパージングゾーンの各々の中に8つのポケット448とを備える。図示のように、中央ポート504は、第1のメッシュ層408上にある。ただし、これは便宜上である。実際には、中央ポート504は、組み立て中に第1のメッシュ層408上に配置される。中央ポート504は、熱かしめ又は他の方法で接合することによって中間フィルム層406に取り付けられることができる。代替で、5つの層は、中央ポート504を間に配置して積み重ねられてもよく、アセンブリ全体が、例えばRF溶接によって接合される。図から分かるように、中央領域513はまた、4つの接合部517を備え、接合部は、上述した窓417と同様に、窓の上に形成される。マルチゾーン多層スパージャ500はまた、任意選択で、チューブ管理のため1つ以上のタブ421を備える。4つのスパージングゾーンの各々はまた、バイオリアクタバッグと接合するため中央孔444を任意選択で備える。スパージャ内で任意の合理的な数のスパージングゾーンが使用され得ることを理解されたい。例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのスパージングゾーンである。
【0028】
図11は、図10のマルチゾーン多層スパージャ500の分解図を示す。或る実施形態では、上記のように、底部フィルム層402、中間フィルム層406及び上部フィルム層410は、外周に沿って接合されることができるように、第1の内側メッシュ408及び第2の内側メッシュ416は、マルチゾーン多層スパージャ500の直径よりも小さい直径を有し、3つの層及び任意の他の層、例えば、第1の内側メッシュ408及び第2の内側メッシュ416が接合される。或る実施形態では、図示のように、第1の内側メッシュ408及び第2の内側メッシュ416は、底部フィルム層402、中間フィルム層406及び上部フィルム層410と同じ直径を有する。図示のように、第1の内側メッシュ408、第2の内側メッシュ416、底部フィルム層402、中間フィルム層406及び上部フィルム層410は、ポート504を収容するために使用されることができる中央孔513を備える。孔413は、スパージャ500をバイオリアクタに取り外し可能に接合するために、1つ又は全部が使用されることができる。上記のように、マルチゾーン多層可撓性スパージャ500は、中間フィルム層406に直径10~800ミクロンのドリル孔450を備えることができる。マルチゾーン多層可撓性スパージャ500は、上部フィルム層410に直径10~800ミクロンのドリル孔450を備えてもよい。マルチゾーン多層可撓性スパージャ500は、中間フィルム層406に上部フィルム層410のドリル孔450より大きいドリル孔450を備えることができる。多層可撓性スパージャ500は、50~800ミクロンである中間フィルム層406のドリル孔450と、20ミクロンである上部フィルム層410のドリル孔450とを備えてもよい。マルチゾーン多層可撓性スパージャ500は、80~800個の穿孔を備える中間フィルム層406と、4000~144,000個の穿孔を備える上部フィルム層410とを備えてもよい。マルチゾーン多層可撓性スパージャ500の或る実施形態では、中間フィルム層406の総孔面積、ドリル孔450の数及びドリル孔450のサイズの関数は、上部フィルム層410の総孔面積よりも小さく、それにより背圧が生成される。多層可撓性スパージャ500の外周の周りに結合部をさらに備えるマルチゾーン多層可撓性スパージャ500。
【0029】
さらに、可撓性スパージャ(複数可)の或る実施形態は、バイオリアクタの傾斜、圧力の必要性、及び/又は穿孔の構成に応じて、異なる数の区画及び区画形状を有するように設計されてもよい。或る実施形態では、織られた又は押し出されたメッシュ、エンボス加工された及び/又は穴開きフィルム、或いはレーザ又は針で穿孔されたフィルム、織られた若しくは押し出されたメッシュ、又は膜のうちの2つの接合された片の間に配置された膜は、ガス流の均一な分布を可能にして、高いkLaを達成するためガス移動を最大化する。可撓性スパージャによって生成される気泡サイズは、メッシュ(複数可)及び/又はフィルム層の間のより大きい又はより小さい開口面積(ガス流に対して開いた面積)を使用して制御されることができる。追加で、気泡サイズは、異なる形状、例えば十字、スロット、及び/又は鉤の形状或いは輪郭の開口面積などを使用することによって制御されることができる。バイオプロセスのガス要件に対してkLaを最適化するために、開口面積のパターン及び間隔(密度)が調整されることができる。ガス速度は、kLaの重要な因子として特定されている。メッシュ又は有孔フィルムの開口面積のパターン及び間隔は、ある範囲の流量に対するガス速度計算によって決定される。開口面積のパターン及び間隔ならびに最大流量から計算されたガス速度は、バイオリアクタシステムの一定速度及び最大流量(複数可)を維持することに基づいて、50~2000Lのバイオリアクタのサイズからのスケーラブルな解決策(複数可)を可能にする。
【0030】
可撓性スパージャの総スパージングエリアは、特定の流れ要件(これは、例えば、細胞密度起因の)に適合するように変更することができ、その結果、空気流又はガス流の範囲にわたって一貫した気泡速度が得られる。或る実施形態では、複数のスパージャ(又は複数の区画を備える単一の可撓性スパージャ)は、フィルムシートの単一のセットから製造されることができる。或る実施形態では、可撓性スパージャの1つ以上の区画は、低いガス流量では利用されない。部分的な封止は、低い流量でスパージング区画間の分離を維持し、より高いガス流量で破裂し、総スパージングエリアを増加させることによってガス流範囲にわたって一貫した気泡速度を可能にする。
【0031】
本明細書に記載の本開示の或る実施形態はスパージャ間の切り替え手段を備え、スパージャ間の切り替え手段は異なる細孔サイズ及びkLa性能を有し、これらは新しい質量流量コントローラ、新しいマニホールド、及び新しい制御方式を利用することによってコンピュータ化されたバイオリアクタ制御プラットフォームを使用する、ガス流量範囲/要件に依存する。異なる気泡サイズを有する複数のスパージャを有することは、異なるkLa性能をもたらす。kLa性能の複数の選択肢を有することにより、特定の細胞株の正確な制御が可能になる。可撓性スパージャの設計により、kLaを改善するためのバイオリアクタバッグの底部で最適化可能な形状及び配置が可能になる。可撓性スパージャ(複数可)の或る実施形態は、せん断又は著しい発泡によって容器の流体内容物に悪影響を与えることなく、均質な環境を作り出しながら、流体試料の適切な通気を可能にする。
【0032】
ガス速度は、kLaの重要な因子として特定される。メッシュ又は有孔フィルムのいずれかの開口面積のパターン及び間隔は、ある範囲の流量に対するガス速度計算によって決定される。特定の細胞株では、高い気泡速度がせん断の原因となる可能性があり、ガス速度を30m/sの動作範囲未満に保つことが推奨される。大部分の細胞株に対して細胞を安全に保ち、可能な限り最高の性能を有するために、可撓性スパージャの或る実施形態は、バイオリアクタシステムの最大流量で一定のガス速度付近で設計される。より高性能の可撓性スパージャの場合、せん断限界を決定するために、システムの最大流量ではなく、より低い流量が使用されてもよい。
【0033】
【数1】
、式中、mはメートルであり、sは秒を示す。
【0034】
上記のガス速度式内で、スパージャの開口面積は、各穿孔の面積にスパージングエリア内の穿孔の間隔及びパターンによって定義される孔の数を掛けたものによって定義される。システムの最大流量で30m/sの定数に従ってガス速度を計算し、穿孔パターンを定義することは、予測可能なkLa性能を特定すること、及びスケーラビリティのための戦略などの複数の利点を有する。例えば、孔サイズ、したがって気泡サイズを変更することによってスケールアップするのではなく、速度計算を使用してスケーラビリティが実行されるので、性能限界及び一定速度に応じて各スケールに対して孔の数及び孔のサイズが選択されてもよい。これにより、穿孔スパージャのスケーリングの成功が証明された。
【0035】
グラフ1は、本開示の実施形態による、4つの200リットルの可撓性スパージャの比較データを示す。
【0036】
【表1】
【0037】
グラフ2は、本開示の実施形態による、200リットル及び2000リットルのバイオリアクタの可撓性スパージャの比較データを示す。システムの最大流量は、本明細書で定義されるように、kLaに対してプロットされる。200Lのバイオリアクタシステムの場合、0~50SLPMの範囲が示されており、例えば、50SLPMは最大流量の100%である。図から分かるように、高出力でのより高性能のスパージャ(すなわち、最良の場合)及び低出力でのより低性能のスパージャ(すなわち、最悪の場合)の性能曲線は、200Lと2000Lの両方のスケールで実質的に同様である。結果は、サイズ間で予測可能でスケーラブルなkLaをもたらした。スケーリングはまた、それぞれ一定の面積を有するスパージャの数ではなく、孔の数及び他のバイオリアクタサイズのスパージングエリアの変更によって行われてもよい。より大きなバイオリアクタ、例えば、1000L超の場合、流量が増大されてもよく、代替で、指定された流量に合わせて可撓性スパージャの数が増加されてもよい。
【0038】
【表2】
【0039】
グラフ3は、本明細書の開示の実施形態による、成形スパージャ対、成形スパージャに対する新規の多層可撓性スパージャの比較データを示し、200Lバイオリアクタ内のkLaに対して流量(標準リットル/分(SLPM))がプロットされる。可撓性スパージャは、空気の分布が不足し、スパージング材料を適切に抑制することができないことによって性能にリスクをもたらす可能性がある。しかしながら、本明細書に記載の実施形態による新規の多層可撓性スパージャの性能(複数可)は、成形スパージャと同等か又はそれより優れており、可撓性スパージャはより容易に製造及びパッケージ化されることに留意されたい。さらに、或る実施形態は、5ミクロン~1000ミクロンのサイズ又はそれらの間の任意のサイズを有する穿孔を備える。或る実施形態では、穿孔は直径20ミクロン~800ミクロンである。或る実施形態では、穿孔は直径20ミクロン~150ミクロン及びその間の任意の直径である。或る実施形態では、穿孔は直径70ミクロン~150ミクロン及びその間の任意の直径である。或る実施形態では、穿孔は直径150ミクロン~500ミクロン及びその間の任意の直径である。任意の可撓性スパージャにおいて、穿孔の数は、速度空気を一定に維持することによって選択されることができる。また、穿孔のサイズは、バイオプロセスにおける任意の細胞によって許容されるせん断に依存する。具体的には、5ミクロンの穿孔は、より大きなせん断を生じる。したがって、せん断感受性細胞は、例えば20ミクロンの穿孔を有する可撓性スパージャを使用してより良好に処理することができる。2つの20ミクロン曲線は20SLPMで45kLaを示し、2つの150ミクロン曲線は20SLPMで約30kLaを示す。
【0040】
【表3】
【0041】
グラフ4は、更新された可撓性プロトタイプ気泡サイズ分析を示す。気泡サイズ(マイクロメートル単位)は、流量(vvmによって測定)にかかわらず標準偏差内で一定のままであることが分かる。例えば、1分当たり1容器容積(vvm)(L/L/m)は、1分間に1リットルの媒体を通過する1リットルの空気があることを意味する。したがって、一定の予測可能な気泡サイズが知られ、維持される。
【0042】
【表4】
【0043】
また、他のスパージャに対する別の前進は、より大きい又はより小さい穿孔が使用されるかどうかにかかわらず、使用する孔の数、したがってスケーラビリティを決定するために、開口面積を一定に保つことが使用され得るという決定によるものであることも理解されたい。さらに、例えば2000Lなどのより大きなバッグ又はバイオリアクタの場合、より大きな孔を有する単一のスパージャを使用するのとは対照的に、より多くのスパージャ、例えば4つ、5つ又は6つのスパージャが使用されることができる。
【0044】
グラフ5は、可撓性スパージャの異なる実施形態についての10~800ミクロンの孔サイズに及ぶ、様々な孔サイズについての30m/sの空気流の速度限界に基づいて、可撓性スパージャ設計のため複数の孔(0から8000個の孔)を選択するのに有用なプロセスである。左から右に、示されている曲線は、直径が800ミクロン、150ミクロン、及び20ミクロンである。
【0045】
【表5】
【0046】
グラフ6は、指定された空気流速で200Lバイオリアクタ及び2000Lバイオリアクタに使用され得るスパージャの数を指定するのに有用なプロセスである。一方のスパージャは、30m/sの空気流で200Lのバイオリアクタに使用されることができる。速度を30m/sで一定に保つために、2000Lのスケールで4つのスパージャを使用するか、又はスパージングエリアを増大させて孔の数を4倍にする。或る実施形態では、複数のスパージャ、例えば2~8個のスパージャが使用される。
【0047】
【表6】
【0048】
バイオ処理中、或る動作モードが可能である。例えば、バイオリアクタ、例えば単回使用バイオリアクタへのスパージングは、連続ガスフローモード、ソフトウェア及びマイクロプロセッサを介したレシピモード又はフィードバック制御ループ、流量の手動操作、及び/又は弁マニホールドの使用による特定のスパージャの指定を含むことができる。或るバイオプロセスは、これらのスパージングモードのうちの2つ以上を含むことができることをさらに理解されたい。
【0049】
本明細書に列挙されるすべての範囲は、それらの間の範囲を含み、終点を含むか又は除外することができる。任意選択で含まれる範囲は、それらの間の整数値からの(又は1つの元の終点を含む)ものであり、列挙された大きさの順又は次に小さい大きさの順である。例えば、下限値が0.2である場合、任意選択で含まれる終点は、0.3、0.4、...1.1、1.2など、ならびに1、2、3などであり得る。上限が8である場合、任意選択で含まれる終点は、7、6など、ならびに7.9、7.8などとなり得る。3以上などの一方的な区域も同様に、列挙された大きさの順又は1つ下の整数値から始まる一貫した区域(又は範囲)を含む。例えば、3以上は、4又は3.1以上を含む。
【0050】
本明細書を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」、「或る実施形態」、又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体を通して、「1つ又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、「或る実施形態では」、又は「実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。それにもかかわらず、本明細書に記載された任意の特徴は、本明細書に開示された任意の実施形態(複数可)に組み込まれることができることを理解されたい。本明細書で引用された特許出願及び特許及び他の非特許文献の刊行物は、あたかも各個々の刊行物又は参考文献が、完全に記載されているように参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、引用された部分全体にその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願が優先権を主張する任意の特許出願も、刊行物及び参考文献について上述した方法で参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層可撓性スパージャであって、
底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、
底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置された第1の内側メッシュと、
中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置された第2の内側メッシュと、
上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置された多層可撓性スパージャにガスを送達することができるポートと、
を備え、
中間フィルム層はドリル孔を備え、上部フィルム層はドリル孔を備える、多層可撓性スパージャ。
【請求項2】
底部フィルム層と中間フィルム層との間の接合部と、上部フィルム層と中間フィルム層との間の接合部と、をさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項3】
ポートを収容するためのフランジをさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項4】
中間フィルム層のドリル孔の総面積は、上部フィルム層のドリル孔の総面積よりも小さく、背圧が生成される、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項5】
中間フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンであり、上部フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンである、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項6】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも大きい、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項7】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも小さい、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項8】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも数が少ない、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項9】
中間フィルム層は20~200個の穿孔を備え、上部フィルム層は1000~36,000個の穿孔を備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項10】
請求項1に記載の多層可撓性スパージャであって、
多層可撓性スパージャの外周の周りの接合部であって、上部フィルム層と、中間フィルム層と、底部フィルム層とを接合する接合部と、
多層可撓性スパージャ中央の中央接合部であって、上部フィルム層から中間フィルム層を貫通して形成され、底部フィルム層を含む中央接合部と、
少なくとも2つの半径方向接合部であって、中央接合部から周囲接合部に、ならびに上部フィルム層及び中間フィルム層から延在し、2つのフローポケットが形成されている半径方向接合部と、
をさらに備える、多層可撓性スパージャ。
【請求項11】
ドリル孔は、十字、スロット、及び/又は鉤の輪郭を備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項12】
少なくとも1つのフローポケット内にスポットボンドをさらに備える、請求項1に記載の多層可撓性スパージャ。
【請求項13】
バイオリアクタと、
その中に配置された、請求項1に記載の多層可撓性スパージャと、
を備える、バイオリアクタシステム。
【請求項14】
マルチゾーン多層可撓性スパージャであって、
底部フィルム層と、中間フィルム層と、上部フィルム層と、
底部フィルム層と中間フィルム層との間に配置され、かつ接合された第1の内側メッシュと、
中間フィルム層と上部フィルム層との間に配置され、かつ接合された第2の内側メッシュと、
ポートであって、上部フィルム層と底部フィルム層との間に配置されたマルチゾーン多層可撓性スパージャ内の少なくとも2つのスパージングゾーンにガスを送達することができるポートと、
を備え、
中間フィルム層はドリル孔を備え、上部フィルム層はドリル孔を備える、マルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項15】
4つのスパージングゾーンを備え、ポートは、4つのスパージングゾーンの中央にある、請求項14に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項16】
中間フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンであり、上部フィルム層のドリル孔は、直径10~800ミクロンである、請求項14に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項17】
中間フィルム層のドリル孔は、上部フィルム層のドリル孔よりも大きい、請求項14に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項18】
中間フィルム層は80~800個の穿孔を備え、上部フィルム層は4000~144,000個の穿孔を備える、請求項14に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項19】
多層可撓性スパージャの外周の周りに接合部をさらに備える、請求項14に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【請求項20】
中間フィルム層のドリル孔の総面積は、上部フィルム層のドリル孔の総面積よりも小さく、背圧が生成される、請求項14に記載のマルチゾーン多層可撓性スパージャ。
【国際調査報告】