(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】一時的識別ラベルを備えたタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B60C19/00 K
B60C19/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563112
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2022059840
(87)【国際公開番号】W WO2022219025
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021000009365
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ ヨツィア
(72)【発明者】
【氏名】マリア クリスティーナ カッカミ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ギスレイン デボゲラー
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB03
3D131BC51
3D131BC55
3D131BC57
3D131LA05
3D131LA24
3D131LA40
(57)【要約】
中心キャビティ(6)を有し、少なくとも1つの本体プライ(9)から成るトロイダルカーカス(8)であって、本体プライ(9)は、それ自体の上に部分的に折り畳まれ、したがって、横方向に2つの折り返し部を有し、2つの折り返し部の各々は、本体プライ(9)の中間部分に当接している本体プライ(9)のエッジ部を有する、トロイダルカーカス(8)と;各々が本体プライ(9)により取り囲まれ、ビードコアおよびビードフィラー(12)を有する2つの環状ビード(10)と;のり付けによって取り外し可能に固定され、環状ビード(10)の周辺に配置され、遠隔で読み取られうる一時的RFID装置(20)を支持する識別ラベル(19)とを有するタイヤ(2)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心キャビティ(6)を有する、トロイダルカーカス(8)と、
それぞれ少なくとも1つのビードコア(11)を有する、2つの環状ビード(10)と、
好ましくはのり付けにより、取り外し可能に固定され、遠隔で読み取られうる一時的RFID装置(20)を支持する、識別ラベル(19)と、
を備えるタイヤ(2)であって、
前記識別ラベル(19)は、1つの環状ビード(10)の周辺に配置される、タイヤ(2)。
【請求項2】
前記識別ラベル(19)は、前記ビードコア(11)と半径方向に重なり、好ましくは前記ビードコア(11)を過ぎて半径方向に拡張しない、請求項1に記載のタイヤ(2)。
【請求項3】
前記識別ラベル(19)は、前記ビードコア(11)の周辺にのり付けされる外側部(21)と、前記タイヤ(2)の前記中心キャビティ(6)の環状のエッジ部から前記中心キャビティ(6)の中心点へと制限されずに、すなわちフラグのように、突出する内側部(22)とを有する、請求項1または2に記載のタイヤ(2)。
【請求項4】
前記識別ラベル(19)の前記外側部(21)は、前記ビードコア(11)の周辺にのり付けされる接続面を有する、請求項3に記載のタイヤ(2)。
【請求項5】
前記識別ラベル(19)の前記内側部(22)は、完全に自由であり、空中に浮いている、すなわち、前記内側部(22)の全ての面は、空中にある、請求項3または4に記載のタイヤ(2)。
【請求項6】
前記一時的RFID装置(20)は、前記外側部(21)に配置される第1の要素(24)と、前記内側部(22)に配置される第2の要素(25)とを有するアンテナを備える、請求項3、4、または5に記載のタイヤ(2)。
【請求項7】
前記一時的RFID装置(20)の前記アンテナの前記第1の要素(24)は、前記ビードコア(11)の周辺にあり、前記ビードコア(11)の金属部品を使用して、前記アンテナの性能を向上させる、請求項6に記載のタイヤ(2)。
【請求項8】
タイヤ(2)のための倉庫(1)を管理するロジスティックシステムであって、前記タイヤ(2)は、束で配置され、それぞれ、識別ラベル(19)を備え、前記タイヤ(2)の各々は、請求項1~7のいずれか一項に記載されている、ロジスティックシステム。
【請求項9】
遠隔で前記RFID装置を読み取るように設計され、少なくとも1つのアンテナ(30)を備える、リーダー装置(28)と、
使用中、前記リーダー装置(28)の前記アンテナ(30)近くに、特に、前記アンテナ(30)の下にまたは前記アンテナ(30)の隣に置かれる、識別されるタイヤ(2)の束であって、前記アンテナ(30)は、前記束を構成する前記タイヤ(2)の中心キャビティ(6)に面し、前記中心キャビティ(6)と一直線になっている、タイヤ(2)の束と、
を備える、請求項8に記載のロジスティックシステム。
【請求項10】
前記リーダー装置(28)は、選択的に作動され、読み取りによりカバーされる領域を増加させる複数のアンテナ(30)を備える、請求項8または9に記載のロジスティックシステム。
【請求項11】
識別ラベル(19)を各タイヤ(2)に適用し、前記タイヤ(2)を請求項1~7のいずれか一項に記載のものとする工程と、
前記タイヤ(2)を束に積み重ねる工程と、
を含む、タイヤ(2)のための倉庫(1)を管理する方法。
【請求項12】
遠隔で前記RFID装置を読み取るように設計され、少なくとも1つのアンテナ(30)を備えるリーダー装置(28)を設置する工程と、
前記リーダー装置(28)の前記アンテナ(30)近くに、特に、前記アンテナ(30)の下にまたは前記アンテナ(30)の隣に、識別されるタイヤ(2)の束を置く工程であって、前記アンテナ(30)は、前記束を構成する前記タイヤ(2)の中心キャビティ(6)に面し、前記中心キャビティ(6)と一直線になっている、工程と
を更に含む、請求項11に記載の管理方法。
【請求項13】
前記リーダー装置(28)は、選択的に作動され、読み取りによりカバーされる領域を増加させる複数のアンテナ(30)を備える、請求項11または12に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時的識別ラベル(すなわち、タイヤの取り扱い中のみ使用され、タイヤが対応するリムに取り付けられると取り除かれる識別ラベル)を備えたタイヤに関する。
【0002】
本発明は、いわゆるTBR(「トラック・バス用ラジアル」)タイヤ、すなわち、寸法が大きいタイヤの取り扱いにおいて有利な用途を見出し、一般性を失うことなく、以下の説明で明示的に参照される。
【背景技術】
【0003】
一般的に言えば、(典型的に、タイヤを貨物用コンテナに積み込むために)生産ラインの最後で、または倉庫で、タイヤを取り扱う必要があるとき、操作者は、(典型的に、タイヤの束がパレット上に載っているとき)(少なくとも)タイヤの束を下から持ち上げる一対のフォークを備えたフォークリフト、またはタイヤの束を横方向に留めるクランプを備えたフォークリフトを使用する。
【0004】
近年、RFID装置(ここで、RFIDは「無線周波数識別(Radio Frequency Identification)」を表し、典型的に、トランスポンダー)を備えた、いわゆる「スマート」タイヤが開発され、RFID装置は、タイヤの識別、特性、および履歴などの情報の項目の遠隔通信を可能にする。
【0005】
結果として、操作者には、フォークリフトを用いてタイヤを移動させるだけでなく、この情報にアクセスし、適切なリーダーによりタイヤと関連するRFID装置を読み取れることが求められる。これは、例えば、RFID装置が正しいタイヤで動作しているかを確認するため、および/またはタイヤの位置の起こりうる変更を電子レジスタに保存するためである。
【0006】
フォークリフトを操縦する操作者は、通常、手動リーダー(すなわち、容易に運べる軽量リーダー)を備える。タイヤをフォークリフトに積み込んだ後、操作者は、フォークリフトから降り、リーダーを持ってタイヤに近づき、特定の方法でタイヤを識別するため、対応するRFID装置を読み取る。しかしながら、操作者がフォークリフトから降りなければならない(したがって、フォークリフトを止め、フォークリフトを安全な駐車配置に置かなければならない)ため、この操作モードは、非効率で、多大な時間の無駄をもたらす。さらに、操作者は、対応するRFID装置を読み取るため、1つ1つのタイヤの近くに手動リーダーを置かなければならない(すなわち、既知の手動リーダーは、タイヤの束の全てのタイヤのRFID装置を同時に読み取ることができず、リーダーを束の1つ1つのタイヤの近くに置く必要がある)。
【0007】
この点で、単一のタイヤに組み込まれたRFID装置の最大読み取り距離は、おおよそ1~2メートルとなることが多く、タイヤの束は、通常3メートルを超える高さを有する(したがって、最大読み取り距離を上回る)ことが注目されるべきである。さらに、数個のタイヤが近くにある(一緒に積み重ねられている)とき、タイヤの金属部分が原因で遮蔽および/または反射現象が生じ、タイヤに組み込まれたRFID装置の最大読み取り距離が更に減少する可能性がある。
【0008】
タイヤのRFID装置を確実に読み取るため、製造業者は、取り外し可能に、かつタイヤの外表面に(すなわち、タイヤのトレッドに)識別ラベルを適用することを提案した。識別ラベルは、追加的で一時的なRFID装置(タイヤが最初に対応するリムに取り付けられると、取り除かれるのは明らかであるため)を支持し、当該RFID装置は、タイヤにより遮蔽されない(外側に配置される)ため、タイヤの構造内に組み込まれたRFID装置と比較して確実に遠い距離から読み取り可能である。しかしながら、本解決策は、問題を完全に解消するわけではない。それは、タイヤの束を横方向に留めるクランプを備えたフォークリフトを使用する場合、(明らかに金属製の)クランプは、トレッドに適用される追加的なRFID装置をカバーすることで、RFID装置を完全に遮蔽する可能性があるためである、または、最悪の事態では、クランプは、トレッドに適用される追加的なRFID装置を破壊する可能性さえあるためである。そのため、(それぞれが追加的で一時的なRFID装置を支持する)少なくとも2つの識別ラベルをトレッドに適用し、互いにおおよそ90°で配置する必要がある(この方法では、タイヤの束がクランプにより横方向に留められるとき、少なくとも1つの識別ラベルは常に自由である)。しかしながら、2つの異なる識別ラベルを各タイヤに適用しなければならないため、本解決策は費用が倍になる。さらに、本解決策によれば、各識別ラベルは、リーダーのアンテナに面していなければならない(すなわち、識別ラベルは、リーダーのアンテナの「見通し線(Line Of Sight:LOS)上になければならない)。したがって、リーダーのアンテナを、束の全てのタイヤの一時的RFID装置を読み取るためにタイヤの束の辺り一帯で移動させる必要がある。実際、識別ラベルがリーダーのアンテナに対してタイヤの反対側にあるとき、タイヤの全ての金属および「損失材料」が識別ラベルを遮蔽し(または、いずれにしても、識別ラベルの性能を危険にさらし)、対応する一時的RFID装置の読み取りを、不可能ではないにしても、困難にする。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、一時的識別ラベルを備えたタイヤを提供することであり、当該タイヤは、上述した欠点に影響を受けず、同時に、製造が容易で経済的である。
【0010】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の一時的識別ラベルを備えたタイヤが提供される。
【0011】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載するような、タイヤ倉庫を管理するロジスティックシステムおよびタイヤ倉庫を管理する方法も提供される。
【0012】
添付の特許請求の範囲は、本発明の好適な実施形態を記載し、本明細書の不可欠な部分を成す。
【0013】
以下、本発明を、その非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】顧客に配達するためコンテナまたはトラックに積み込まれる必要があり、各々が一時的識別ラベルを備えたタイヤのための倉庫の概略図である。
【
図2】
図1の倉庫にあるタイヤの束の概略図である。
【
図3】
図1の倉庫で得られるタイヤの概略断面図であり、明確にするために部品が取り除かれている。
【
図4】
図1の倉庫で得られるタイヤに固定された一時的識別ラベルの概略正面図である。
【
図5】
図1の倉庫で得られるタイヤに固定された一時的識別ラベルの概略側面図である。
【
図6】
図1のような垂直ではなく、水平に方向づけられたタイヤの束を強調した
図1の倉庫の概略図である。
【
図7】フォークリフトの変化形を有する
図1の倉庫の概略図である。
【
図8】フォークリフトの変化形を有する
図1の倉庫の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、数1は、全体として、顧客に配達するためにコンテナまたはトラックに積み込まれる必要がある、いわゆるTBR(「トラック・バス用ラジアル」)タイヤ2のための倉庫を示す。
【0016】
倉庫1の内部に、各々が地面から(すなわち、倉庫1の床面から)所与の距離で、タイヤ2の垂直に方向づけられた束を支持するように設計された複数の支持要素3がある。言い換えれば、支持要素3は、棚またはラックであり、タイヤ2の束を地面から持ち上げたまま保って支持する。タイヤ2の束は、垂直に(例えば、
図1に示すように)方向づけられうること、または水平に(例えば、
図6、
図7、または
図8に示すように)方向づけられうることが注目されるべきである。タイヤ2の垂直に方向づけられた束では、タイヤ2は互いの上に置かれ、束の高さが増す。一方、タイヤ2の水平に方向づけられた束では、タイヤ2は互いに隣に置かれ、束の長さが増す。同一の倉庫1において、タイヤ2の垂直に方向づけられた束も、タイヤ2の水平に方向づけられた束もありうるのは明らかである。
【0017】
一連のフォークリフト4が、倉庫1の内部で作動する。すなわち、一連のフォークリフト4は、タイヤ2の束を移動させ、特に、生産ラインから来たタイヤ2の束を支持要素3上に置き、タイヤ2の束をコンテナまたはトラックに入れるため、支持要素3からタイヤ2の束を取り出す。
【0018】
各フォークリフト4は、車輪を備えた操作手段であり、電動機、ディーゼルエンジン、またはガスエンジンにより作動される。また、各フォークリフト4は、前面に配置されてタイヤ2の束を取り上げるように設計されている保持装置5を備える。添付の図面に示す実施形態において、保持装置5は、一対のフォーク(それらの1つだけが添付の図面では見えている)から成り、底面からタイヤ2の束を持ち上げる。本明細書には示されていない異なる実施形態によれば、保持装置5は、タイヤ2の束を横方向に留めるクランプから成る。
【0019】
図2および
図3によれば、各タイヤ2は、中心キャビティ6を有する環状の形を有する。さらに、各タイヤ2は、情報(特に、タイヤ2と関連する一義的な識別コード)を保存することができ、無線周波数で通信が可能な、それ自体の永続的RFID装置7(特に、トランスポンダー、タグ、スマートラベル)、すなわち、(通常、パッシブな、すなわちそれ自体の電源を備えない)電子デバイスを備える。好適な実施形態によれば、各永続的RFID装置7は、ISO 20910規格に従っており、「GS1 EPC Tag Data」規格に従った「SGTIN-96」コーディング(「96ビット-シリアライズドグローバルトレードアイテムナンバー(96 bits - Serialized Global Trade Item Number)」)によりコード化された、タイヤ産業における用途のいわゆる「一意のアイテム識別子(Unique Item Identifier:UII)」を保存しうる。
【0020】
言い換えれば、各永続的RFID装置7は、リーダー(または質問装置)として知られる、タイヤ2の内部に統合され、適切な固定装置または携帯装置により遠隔でなされる質問に返答するように設計されている小型スマートラベルである。リーダーは、無線周波数で永続的RFID装置7と通信することにより、永続的RFID装置7に含まれる情報の読み取りおよび/または書き込みを可能とする。結果として、永続的RFID装置7は、いわゆるRFID(「無線周波数識別」)技術に従って作動する無線読み取りおよび/または書き込みシステムの一部である。
【0021】
図3によれば、各タイヤ2は、本体プライ9から成るトロイダル状のカーカス8を備え、本体プライ9は、それ自体の上に部分的に折り畳まれ、したがって、両側に2つの「折り返し部」(すなわち、2つの重なった層)を有する。本体プライ9の各折り返し部において、本体プライ9のエッジ部(すなわち、終端部)は、本体プライ9の中間部分に当接している。
【0022】
カーカス8の両側には、2つの環状ビード10があり、それぞれ、本体プライ9により取り囲まれ(すなわち、本体プライ9の折り返し部により取り囲まれ)、多数の金属線ループで補強されているビードコア11と、ビードフィラー12とを有する。言い換えれば、ビードコア11は、ゴムに埋め込まれた鋼線からなり、タイヤ2とリムとの間の完全結合を保証する。結果として、各ビードコア11は、基本的に金属材料から成る。すなわち、各ビードコア11は、比較的薄いゴム層によりカバーされた金属体である。
【0023】
カーカス8は、環状のトレッド13を支持する。カーカス8とトレッド13との間には、2つのトレッドプライ15を備えるトレッドベルト14が介在している。各トレッドプライ15は、多数のコード(図示せず)を備え、これらのコードは、ゴムベルト内に埋め込まれ、所与のピッチで互いに並んで配置され、タイヤ2の赤道面に関連して決定される傾き角度を形成する。
【0024】
本体プライ9の内側には、空気不透過性であり、インナーコーティングを構成し、タイヤ2のタイヤ圧を長期間維持するためにタイヤ2の内部に空気を保持する機能を有するインナーライナー16がある。
【0025】
本体プライ9は、トレッド13とビード10との間で本体プライ9の外側に配置されている一対の側壁17を支持する。
【0026】
最後に、本体プライ9は、側壁17の下の外側、かつビード10の周辺に配置されている一対の摩耗ガムストリップ18を支持する。
【0027】
各タイヤ2の内部、特に、側壁17(例えば、外側の側壁17、すなわち、タイヤ2がリムに取り付けられると、車両の外側に面する側壁)の周辺に、永続的RFID装置7が統合される(埋め込まれる)。
【0028】
図2および
図3によれば、各タイヤ2は、識別ラベル19も備え、識別ラベル19は、(少なくとも、)のり付けによって取り外し可能に固定され、遠隔で読み取られうる一時的RFID装置20を支持する(
図4に示す)。各タイヤ2において、永続的RFID装置7は、タイヤ2の内部に統合され、したがって、常にタイヤ2に結合されたままである(かつ、タイヤ2がリムに取り付けられたときに使用される)一方、一時的RFID装置20は、倉庫1の内部でのみ使用され、必要であれば、エンドユーザへのタイヤ2の輸送中にも使用されるが、通常、タイヤ2をリムに取り付ける前にタイヤ2から取り除かれる(したがって、廃棄される)ことが注目されるべきである。一時的RFID装置20は、(以下に記載するように)タイヤ2が束になっているときに(はるかに)読み取りやすくなるために使用される、永続的RFID装置7の「代役」である、すなわち、永続的RFID装置7の「複製」である。結果として、一時的RFID装置20は、永続的RFID装置7に含まれる情報の少なくとも一部を含み、特に、タイヤ2を識別できる情報(例えば、そのシリアルナンバー)を常に含む。特に、一時的RFID装置20は、上述した、いわゆる「一意のアイテム識別子(Unique Item Identifier:UII)」を含む。
【0029】
各タイヤ2において、(一時的RFID装置20を支持する)識別ラベル19は、環状ビード10の周辺に配置され、特に、ビードコア11と半径方向に重なる(好ましくは、必須ではないが、識別ラベル19は、ただ1つのビードコア11と半径方向に重なる、すなわち、ビードコア11を過ぎて拡張しないため、ビードフィラー12には達しない)。
図3は、タイヤ2における識別ラベル19の2つの異なる(かつ完全に対等の)位置を示す。識別ラベル19は、環状ビード10の外側エッジ部に連結されうる、または識別ラベル19は、環状ビード10の内側エッジ部に連結されうる。
図3は、2つの異なる位置における2つの識別ラベル19を示すが、実際には、単一の識別ラベル19のみが存在するのは明らかである。識別ラベル19は、ビードコア11の周辺に配置される(すなわち、ビードコア11と半径方向に重なる)が、ビードコア11の外側が摩耗ガムストリップ18によりカバーされているため、ビードコア11と直接的に接触していないことが注目されるべきである。
【0030】
図3、
図4、および
図5によれば、各識別ラベル19は、ビードコア11の周辺に固定され(のり付けされ)ている(すなわち、ビードコア11と半径方向に重なる)外側部21(すなわち、半径方向に、より外側に配置される)と、タイヤ2の中心キャビティ6の環状のエッジ部から中心キャビティ6の中心点に、制限されずに、すなわち、フラグのように、突出する内側部22(すなわち、半径方向に、より内側に配置される)とを有する。結果として、各識別ラベル19において、識別ラベル19の外側部21は、ビードコア11の周辺に固定される(特に、のり23を用いてのり付けされる)接続面を有する。一方で、各識別ラベル19において、識別ラベル19の内側部22は、完全に自由であり、周辺に垂れ下がっている。すなわち、内側部22の表面は全て、空中にあり、タイヤ2のいずれの箇所にも接触していない。
【0031】
各識別ラベル19は、のり23(接着剤23)を用いてタイヤ2の外表面に固定(のり付け)され、これにより、その後、比較的簡単な方法で識別ラベル19を取り除くことができる。例えば、不乾性の再粘着のり23(接着剤23)を使用することで、識別ラベル19を対応するタイヤ2の外表面から比較的容易に取り除くことが可能である。
【0032】
図4に示す好適な(だが、拘束力のない)実施形態によれば、各一時的RFID装置20は、外側部21(したがって、ビードコア11に隣接する片側)に配置される要素24と、内側部22(したがって、完全に空中)に配置される要素25とを含むアンテナを備える。図面によれば、要素24および25は、それぞれ、平らで長方形の(導電性の)金属板から成る。
【0033】
さらに、要素24は、好ましくは要素25より大きい。特に、要素24は、要素25の5~10倍の範囲で拡張している。各一時的RFID装置20のアンテナの要素24は、ビードコア11の周辺に配置され、一時的RFID装置20のアンテナの性能を向上させるため、ビードコア11の金属部品を放射要素またはラジエーター要素の一部として(すなわち、アンテナ部品として)使用する。
図4に示す実施形態において、一時的RFID装置20のアンテナは、モノポールアンテナ構造を有し、ここで、要素24は、地板であり、要素25または放射要素もしくはラジエーター要素は、寸法を最小化するために蛇行している。特に、一時的RFID装置20のアンテナの2つの要素24および25は、電磁場を遠隔照射する電流が流れる直線状の導電体を用いて得られる。さらに、各一時的RFID装置20は、2つのアンテナ24および25に接続され、不揮発性メモリ(典型的に、EEPROMまたはFRAMメモリ、後者はより高価だが、より技術的に進んでいる)を備えたマイクロチップ26(すなわち、小型電子回路)を備える。マイクロチップ26は、可読性能を最適化して向上させるため、その内部インピーダンスを自動的に調整可能な自動同調メカニズムを備え、それにより、識別ラベル19の生産および位置決めにおける許容度を増加させることができる。
【0034】
各識別ラベル19は、一時的RFID装置20が収容され、典型的に、マイラー、PETもしくはPVCなどのプラスチック、または他の類似の材料の薄いシートから成る支持材27を備える。
【0035】
添付の図面に示す実施形態において、各タイヤ2は、(少なくとも、)タイヤ2の内部に統合されている永続的RFID装置7と、(少なくとも、)タイヤ2の外側にのり付けされている一時的RFID装置20との両方を備える。異なる変化形によれば、タイヤ2は、(少なくとも、)タイヤ2の外側にのり付けされている一時的RFID装置20のみを備えうる。すなわち、タイヤ2は、タイヤ2の内部に統合される永続的RFID装置7を備えない可能性がある。
【0036】
図2に示す好適な実施形態によれば、各々が電子制御ユニット29とアンテナ30とを備えるリーダー装置28は、倉庫1内で定位置に配置されている。各アンテナ30は、「極超短波(Ultra High Frequency:UHF)」帯の、好ましくは860~960MHzの周波数の範囲内、より好ましくは865~868MHzの周波数の部分範囲内および/または902~928MHzの周波数の部分範囲内の周波数を有するRF信号を放射/受信するように動作する。さらに、各アンテナ30の任意要件として、0dBを超えるゲインおよび円偏光が挙げられることは好都合である。
【0037】
図1によれば、一部のアンテナ30は、(タイヤ2の束の最大高さよりも高い)所与の高さで水平に配置され、垂直な束のタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取る。
図6または
図8によれば、一部のアンテナ30は、水平の束のタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取るのに適切と見なされる位置に垂直に配置されている。例えば、1つまたは2つのアンテナ30は、タイヤ2の少なくとも1つの水平に配置された束を支持する支持要素3が通されるドア/ゲートの両側に配置されうる。一般的に言えば、水平のアンテナ30は、(
図8に示すように)垂直の束のタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取り可能である、または、垂直のアンテナ30は、水平の束のタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取り可能である。実際、束のタイヤ2の一時的RFID装置20を効果的に読み取るため、アンテナ30は、中心キャビティ6内に位置する全ての対応する一時的RFID装置20が「見える」ように、積み重ねられたタイヤ2の中心キャビティ6に面していなければならない。結果として、タイヤ2の垂直な束のタイヤ2の全ての一時的RFID装置20が「見える」ように、アンテナ30は、水平に方向づけられ、束の上または下に位置しなければならない。一方、タイヤ2の水平な束のタイヤ2の全ての一時的RFID装置20が「見える」ように、アンテナ30は、垂直に方向づけられ、束の傍に位置しなければならない。
【0038】
言い換えれば、識別されるタイヤ2の各束は、リーダー装置28のアンテナ30の近くに、特に、アンテナ30の下にまたはアンテナ30の隣に置かれ、アンテナ30は、束を構成するタイヤ2の中心キャビティ6に面し、中心キャビティ6と一直線になっている。
【0039】
好適な実施形態によれば、単一のアンテナ30でも、タイヤ2の束のタイヤ2の全ての一時的RFID装置20を読み取るのに十分である。すなわち、当該単一のアンテナ30は、束の(上、下、または、横の)1つの端に配置される。代替的に、より確実性(信頼性)を上げるため、2つのアンテナ30を使用して、タイヤ2の束のタイヤ2の全ての一時的RFID装置20を読み取ることも可能である。すなわち、2つのアンテナ30は、束の(上、下、または、横の)2つの端に、互いに反対に配置される。
【0040】
しかしながら、理論的に言うと、アンテナ30は、その向きにかかわらず、垂直および水平の両方に配置されている束のタイヤ2の一時的RFID装置20を、いずれにしても読み込み可能であることが注目されるべきである。
【0041】
使用中、識別されるタイヤ2の束は、リーダー装置28のアンテナ30の読み取り領域に(すなわち、アンテナ30の下に、またはアンテナ30の傍に)置かれ、リーダー装置28が全てのタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取れるようにする。特に、(通常、フォークリフト4の保持装置5により運搬される)タイヤ2の束は、リーダー装置28のアンテナ30の周辺で短時間停止しうる、またはリーダー装置28のアンテナ30の周辺で前にゆっくりと動かされうる。仮に、全てのタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取るのに加えて、リーダー装置28が、1つまたは複数の永続的RFID装置7も読み取ることになった場合、永続的RFID装置7の読み取りは、一時的RFID装置20の読み取りと比較して、単純に冗長となり、いかなる問題も生じることなく「代役」として無視されうる。特に、「RFID EPC Gen2 GS1」プロトコルによれば、同一の名前を有し、したがって、一義的なEPCがない2つのRFID装置7および20が読み取られたとき、読み取り領域に存在する単一のRFID装置7または20だけが、リーダー装置28の質問に続いて、示される。
【0042】
上記のため、倉庫1がロジスティックシステムを備えているのは明白であり、タイヤ2に結合された一時的RFID装置20の自律的な読み取りのおかげで(すなわち、操作者の手動的な介入なしに)、タイヤ2の取り扱いが高度に自動化されて管理される。特に、リーダー装置28は、倉庫1の制御サーバー31に接続されている(
図1に概略的に示す)。制御サーバー31は、フォークリフト4の操作者により使用されるタブレット型コンピューター32(または類似のポータブルデバイス)にも接続されている。タブレット型コンピューター32を通して、フォークリフト4の操作者は、制御サーバー31から操作支持を受け取り、制御サーバー31に割り当てられたタスクの実行を伝え、倉庫1の状態、すなわち、倉庫1で保存されている、取り出された、かつ現在存在しているタイヤ2の状態をリアルタイムで更新する。言い換えれば、制御サーバー31は、リーダー装置28と人である操作者(フォークリフト4を運転している操作者の一部)との間の通信を管理する管理ソフトウェアを起動させる。
【0043】
可能性のある(だが、拘束力のない)実施形態によれば、フォークリフト4の操作者が、リーダー装置28が、保持装置5により運搬される束(タイヤ2のサイズによって、互いに上に置かれる、または互いに隣に置かれる、通常、5~8個のTBRタイヤ2から成るTBRトラックタイヤ2の束)を構成するタイヤ2の全ての一時的RFID装置20を読み取ったことを、早急に、確信を持って確認するため、操作者は、毎回、タブレット型コンピューター32を使用して、保持装置5に積み込まれたタイヤ2の番号を入力(打ち込み)しなければならない(タブレット型コンピューター32にインストールされたソフトウェアは、保持装置5に積み込まれたタイヤ2の番号の予め定義された限定的な選択を、操作者に前々から提案しうる)。タブレット型コンピューター32にインストールされたソフトウェアは、リーダー装置28により読み取られた一時的RFID装置20の番号が、(操作者により提供された)フォークリフト4の保持装置5に積み込まれたタイヤ2の番号に対応する(すなわち、同一)かどうかをチェックする。番号が同一であった場合、ソフトウェアは、(例えば、緑の光を用いて)ポジティブ信号を提供し、一時的RFID装置20により実施された読み取り操作を完了させる。一方、番号が同一でなかった場合、ソフトウェアは、(例えば、赤い光および音声での警告を用いて)ネガティブ信号を提供し、一時的RFID装置20により実施された読み取り操作を繰り返さなければならない。
【0044】
同一のリーダー装置28が、異なる位置に(いずれにしても、互いに近くに)配置され、電子制御ユニットにより異なる瞬間に作動される数個のアンテナ30を備えうることも注目されるべきである。このようにすれば、複数のアンテナ30により、操作者が所定の設定ルートの周辺の比較的大きな領域をカバーできるため、(少なくとも)タイヤ2の束を運搬するフォークリフト4の運転手は、所定の設定ルートを正確にたどる必要がなく、(多かれ少なかれ偶然に)所定の設定ルートから逸脱することさえ可能である。
【0045】
図1、
図2、および
図6に示す実施形態において、リーダー装置28のアンテナ30は、倉庫1の内部に定位置で配置されている。すなわち、リーダー装置28のアンテナ30は、倉庫1の固定構造物に搭載されている。
図7および
図8に示す変化形において、少なくとも1つのリーダー装置28は、フォークリフト4上に設置されている。特に、フォークリフト4は、(例えば、フォークリフト4の屋根に搭載される)支援装置33を備える。支援装置33は、アンテナ30を支持し、フォークリフト4の保持装置5により運搬されるタイヤ2の束(またはタイヤ2の複数の束)の近くに(典型的に、必須ではないが、上に)アンテナ30を設置する。支援装置33は、必要なときにだけ、フォークリフト4の保持装置により運搬されるタイヤ2の束(またはタイヤ2の複数の束)の近くに(典型的に、必須ではないが、上に)アンテナ30を移動させる伸縮アームも有しうる。フォークリフト4上に設置されるリーダー装置28のアンテナ30(または複数のアンテナ30)は、保持装置5の骨組みにも搭載されうる。
【0046】
本明細書に記載された実施形態は、このような理由で本発明の保護範囲を超えることなく、互いに組み合わせることができる。
【0047】
上述したタイヤ2は、多数の利点を有する。
【0048】
第一に、上述したタイヤ2は、定位置に配置された単一のアンテナ30を備えたリーダー装置28を用いて(したがって、単純で、経済的、かつ使いやすいリーダー装置28を用いて)、束を構成する全てのタイヤ2の効率的(迅速)で効果的(確信的)な識別を可能にする。この結果は、タイヤ2が積み重ねられるときでも、常に確信を持って読み取り可能な、識別ラベル19の特定の位置決めによって得られる。実際、(識別ラベル19が位置する)タイヤ2の中心キャビティ6は、積み重ねられたタイヤ2が取り扱われるときでも、(タイヤ2の金属要素により作り出されたファラデーケージのため)電磁遮蔽から常に免れている。
【0049】
さらに、一時的RFID装置20のアンテナ24および25の特定の形態により、タイヤ2の金属塊の部分(すなわち、ビードコア11)を利用して、一時的RFID装置20の有効読み取り距離を拡張でき、金属塊の部分は、(永続的RFID装置20の読み取りに対する)憂慮すべき要素とはならず、(一時的RFID装置20の読み取りに対する)有益な要素となる。いくつかの実験により、水平にまたは垂直に方向づけられた単一のアンテナ30を備えたリーダー装置28が、アンテナ30から最も離れた束のタイヤ2から6~8メートルの距離まで、束の全てのタイヤ2の一時的RFID装置20を読み取ることができることが示された。
【0050】
加えて、タイヤ2の内部での(すなわち、タイヤ2の中心キャビティ6の周辺で、ビード10から内側に突出する)識別ラベル19の位置決めにより、識別ラベル19はしっかりと保護され、したがって、損傷または意図的でない脱離により実質的に影響を受けない。実際、ビード10の領域には、その取り扱い中、いかなる方法によっても決して接触することがない。
【0051】
最後に、一時的RFID装置20は、(タイヤ2の金属塊の一部を利用しているため)比較的小さなアンテナ24および25を有することができるため、識別ラベル19は、安価である(したがって、タイヤの総製造コストのごく一部しか成さない)。
【0052】
加えて、タイヤ2の向きおよび束が保持される方法にかかわらず、単一の識別ラベル19しかなくても常に上から読み取られるため、各タイヤ2に対して、常に、単一の識別ラベル19を適用すれば十分であることが注目されるべきである。いずれにしても、単一のタイヤ2を2つまたはそれ以上の識別ラベル19に結合することは、(実質的に無駄であっても)禁止されていないことが注目されるべきである。
【0053】
本発明は、いわゆるTBR(「トラック・バス用ラジアル」)タイヤ2の取り扱いにおいて有利な用途を見出すが、いずれにしても、本発明は、(いわゆるTBRタイヤ2より大きい、または小さい)いかなるタイプのタイヤ2にも適用されうる。
【符号の説明】
【0054】
1 倉庫
2 タイヤ
3 支持要素
4 フォークリフト
5 保持装置
6 中心キャビティ
7 永続的RFID装置
8 カーカス
9 本体プライ
10 ビード
11 ビードコア
12 ビードフィラー
13 トレッド
14 トレッドベルト
15 トレッドプライ
16 インナーライナー
17 側壁
18 摩耗ガムストリップ
19 識別ラベル
20 一時的RFID装置
21 内側部
22 外側部
23 のり
24 要素
25 要素
26 マイクロチップ
27 支持材
28 リーダー装置
29 電子制御ユニット
30 アンテナ
31 制御サーバー
32 タブレット型コンピューター
33 支援装置
【国際調査報告】