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特表2024-514193ウイルス系の遺伝子治療のためのプロモータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ウイルス系の遺伝子治療のためのプロモータ
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20240321BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 5/0793 20100101ALI20240321BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240321BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/35 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/34 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240321BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
C12N15/86 Z
C12N7/01 ZNA
C12N15/09 110
C12N15/864 100Z
C12N5/10
C12N5/0793
C12N5/071
C12N15/12
C12N15/55
C12N15/35
C12N15/34
C12N15/11 Z
C12N15/63 Z
C12N15/52 Z
A61K35/76
A61K48/00
A61K35/763
A61K35/761
A61P25/00
A61P27/02
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563174
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022024878
(87)【国際公開番号】W WO2022221571
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,679
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127440
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイー・オブ・カリフオルニア
(71)【出願人】
【識別番号】523388308
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンズ・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェルスビー,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ピンウー
(72)【発明者】
【氏名】パテル,アミット
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ティアンルン
(72)【発明者】
【氏名】ザック,ドナルド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ナタリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA33
4C084ZA36
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA33
4C087ZA36
(57)【要約】
とりわけ、本明細書において複数の異種核酸を発現し得るプロモータを有するウイルス及び核酸を含む組成物が提供される。本組成物は、神経細胞において異種核酸を送達及び発現するために特に有用である。神経系、神経組織、及び神経細胞に関して、本明細書に列挙される組成物は、網膜神経変性疾患の治療に有効であると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルスであって、
i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、
ii)前記プロモータの3’末端に結合した、第1の異種核酸配列と、
iii)前記プロモータの5’末端に結合した、第2の異種核酸配列と、を含むゲノムを有する、ウイルス。
【請求項2】
前記第1の異種核酸配列が、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードし、前記第2の異種核酸配列が、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は
前記第1の異種核酸配列が、前記第2の治療剤若しくは前記第2の検出可能な作用因子をコードし、前記第2の異種核酸配列が、前記第1の治療剤若しくは前記第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である、請求項1に記載のウイルス。
【請求項3】
前記第1の治療剤及び前記第2の治療剤が独立して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、又は抗体である、請求項2に記載のウイルス。
【請求項4】
前記第1の治療剤がRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、前記第2の治療剤がgRNAであるか、又は前記第1の治療剤がgRNAであり、前記第2の治療剤がRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである、請求項3に記載のウイルス。
【請求項5】
前記RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼが、Cas9、Cas12a、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ、又はそれらの変異型である、請求項3に記載のウイルス。
【請求項6】
前記gRNAが、複数のgRNAを含む、請求項3に記載のウイルス。
【請求項7】
前記第1の検出可能な作用因子及び前記第2の検出可能な作用因子が、独立して、検出可能なタンパク質である、請求項2に記載のウイルス。
【請求項8】
前記検出可能なタンパク質が、EGFR、Scarlet、又はルシフェラーゼである、請求項7に記載のウイルス。
【請求項9】
前記プロモータが、約150~約300のヌクレオチド長である、請求項1に記載のウイルス。
【請求項10】
前記プロモータが、約200~約250のヌクレオチド長である、請求項9に記載のウイルス。
【請求項11】
前記プロモータが、配列番号10又は配列番号21の配列を含む、請求項1に記載のウイルス。
【請求項12】
前記プロモータが、配列番号10の配列を含む、請求項11に記載のウイルス。
【請求項13】
前記プロモータが、配列番号21の配列を含む、請求項11に記載のウイルス。
【請求項14】
前記ゲノムが、1つ以上の介在配列を更に含む、請求項1に記載のウイルス。
【請求項15】
前記介在配列が、前記プロモータを前記第1の異種核酸配列に連結する、又は前記プロモータを前記第2の異種核酸配列に連結する、請求項14に記載のウイルス。
【請求項16】
前記介在配列が、配列番号22又は配列番号23に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、請求項14に記載のウイルス。
【請求項17】
前記介在配列が、配列番号22又は配列番号23の配列を含む、請求項16に記載のウイルス。
【請求項18】
前記ゲノムが、1つ以上のインスレータ配列を更に含む、請求項1に記載のウイルス。
【請求項19】
前記インスレータ配列が、前記第1の異種核酸配列又は前記第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に結合している、請求項18に記載のウイルス。
【請求項20】
前記インスレータ配列が、配列番号24の配列を含む、請求項18に記載のウイルス。
【請求項21】
前記ウイルスが、単純ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、エンテロウイルス、パピローマウイルス、又はポリオウイルスである、請求項1に記載のウイルス。
【請求項22】
前記ウイルスがAAVである、請求項21に記載のウイルス。
【請求項23】
前記ゲノムが、一本鎖DNA又は二本鎖DNAを含む、請求項1に記載のウイルス。
【請求項24】
前記ゲノムが、一本鎖RNA又は二本鎖RNAを含む、請求項1に記載のウイルス。
【請求項25】
前記ウイルスが組換えウイルスである、請求項1に記載のウイルス。
【請求項26】
核酸であって、
i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、
ii)前記プロモータの3’末端に結合した、第1の異種核酸配列と、
iii)前記プロモータの5’末端に結合した、第2の異種核酸配列と、を含む、核酸。
【請求項27】
前記第1の異種核酸配列が、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードし、前記第2の異種核酸配列が、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は
前記第1の異種核酸配列が、前記第2の治療剤若しくは前記第2の検出可能な作用因子をコードし、前記第2の異種核酸配列が、前記第1の治療剤若しくは前記第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である、請求項26に記載の核酸。
【請求項28】
前記第1の治療剤及び前記第2の治療剤が、独立して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、又は抗体である、請求項27に記載の核酸。
【請求項29】
前記第1の治療剤がRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、前記第2の治療剤がgRNAであるか、又は
前記第1の治療剤がgRNAであり、前記第2の治療剤がRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである、請求項28に記載の核酸。
【請求項30】
前記RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼが、Cas9、Cas12a、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ、又はそれらの変異型である、請求項28に記載の核酸。
【請求項31】
前記gRNAが、複数のgRNAを含む、請求項28に記載の核酸。
【請求項32】
前記第1の検出可能な作用因子及び前記第2の検出可能な作用因子が、独立して、検出可能なタンパク質である、請求項27に記載の核酸。
【請求項33】
前記検出可能なタンパク質が、EGFR、Scarlet、又はルシフェラーゼである、請求項32に記載の核酸。
【請求項34】
前記プロモータが、約150~約300のヌクレオチド長である、請求項26に記載の核酸。
【請求項35】
前記プロモータが、約200~約250のヌクレオチド長である、請求項34に記載の核酸。
【請求項36】
前記プロモータが、配列番号10又は配列番号21の配列を含む、請求項26に記載の核酸。
【請求項37】
前記プロモータが、配列番号10の配列を含む、請求項36に記載の核酸。
【請求項38】
前記プロモータが、配列番号21の配列を含む、請求項36に記載の核酸。
【請求項39】
前記核酸が、1つ以上の介在配列を更に含む、請求項26に記載の核酸。
【請求項40】
前記介在配列が、前記プロモータを前記第1の異種核酸配列に連結する、又は前記プロモータを前記第2の異種核酸配列に連結する、請求項39に記載の核酸。
【請求項41】
前記介在配列が、配列番号22又は配列番号23に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、請求項39に記載の核酸。
【請求項42】
前記介在配列が、配列番号22又は配列番号23の配列を含む、請求項41に記載の核酸。
【請求項43】
前記核酸が、1つ以上のインスレータ配列を更に含む、請求項26に記載の核酸。
【請求項44】
前記インスレータ配列が、前記第1の異種核酸配列又は前記第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に結合している、請求項43に記載の核酸。
【請求項45】
前記インスレータ配列が、配列番号24の配列を含む、請求項43に記載の核酸。
【請求項46】
請求項26に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項47】
第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法であって、細胞を、請求項1に記載のウイルスと接触させることと、前記細胞に、前記1の異種核酸配列及び前記該第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法。
【請求項48】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が、哺乳動物神経細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は網膜色素上皮細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法であって、細胞を、請求項46に記載の発現ベクターと接触させることと、前記細胞に、前記第1の異種核酸配列及び前記第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法。
【請求項52】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞が、哺乳動物神経細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は色素上皮細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
請求項1に記載のウイルスを含む、細胞。
【請求項56】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項55に記載の細胞。
【請求項57】
前記細胞が、哺乳動物神経細胞である、請求項55に記載の細胞。
【請求項58】
前記細胞が、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は色素上皮細胞である、請求項55に記載の細胞。
【請求項59】
必要とする対象において疾患を治療する方法であって、前記方法が、請求項1に記載のウイルスの有効量を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項60】
前記疾患が、神経変性疾患である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患が、緑内症、加齢性黄斑変性症(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、近眼関連CNV、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、及び網膜静脈閉塞症、又は網膜色素変性症である、請求項59に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月14日に出願された米国仮特許出願第63/174,679号の権益を主張し、参照によりその全体が本出願において本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIファイルとして提出される「配列表」、表、又はコンピュータプログラムリスト付録書類の参照
2022年4月14日作成の12,288バイト、マシンフォーマットIBM-PC、MS Windowsオペレーティングシステムのファイル048537-652001WO_SequenceListing_ST25に記載された配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
連邦政府の助成による研究開発において行われた発明に対する権利に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された1R01EY029342の下で、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
ウイルス送達媒体にパッケージングされ得る遺伝情報の量の制限された能力は、遺伝子治療処置の開発における障害である。特に、遺伝子治療において一般的に使用されるアデノ随伴ウイルスは、約4.7キロ系の限定されたカーゴサイズ(パッケージング容量)を有し、約4.4キロベースのペイロードを送達し得る。双方向性プロモータは、単一のプロモータを用いて複数の遺伝子を発現させるための魅力的な解決策であるが、当該技術分野において周知の双方向性プロモータは、神経細胞において十分に機能しない。更に、多くのプロモータはいくらかのレベルの双方向性活性を有するが、実際に双方向での完全な遺伝子発現を可能にするのは少数のみである。この理由は、完全には解明されていない。2つの遺伝子組換えプロモータが存在する状況では、プロモータは、しばしば、互いに干渉し得る(例えば、Curtin et al.,Gene Therapy15:384-390,2008;Core et al.,Science 322:1845-1848,2008)これらのプロモータの大部分について、RNAポリメラーゼII(RNA Pol II)は伸長中に休止/停止し、それによって非常に低レベルの遺伝子発現をもたらす。
【0005】
したがって、複数の遺伝子を送達し得る双方向性プロモータが依然として必要とされている。特に、神経細胞において機能する双方向性プロモータは、疾患(例えば、神経変性網膜疾患)の治療のための治療実体の発現を可能にする。
【0006】
とりわけ、当該技術分野におけるこれらの問題及びその他の問題に対する解決策が本明細書に開示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Curtin et al.,Gene Therapy15:384-390,2008
【非特許文献2】Core et al.,Science 322:1845-1848,2008
【発明の概要】
【0008】
本開示は、それらの小型であるサイズ及び2つの転写物の堅牢な発現のために最適化されたプロモータを含む発現構築物を提供する。本プロモータは、神経細胞の細胞において、遺伝子を効果的に発現することが実証されている。
【0009】
一態様では、ウイルスであって、i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、ii)プロモータの3’末端に結合した第1の異種核酸配列と、iii)プロモータの5’末端に結合した第2の異種核酸配列と、を含むゲノムを有する、ウイルスが提供される。
【0010】
別の態様では、i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、ii)プロモータの3’末端に結合した第1の異種核酸配列と、iii)プロモータの5’末端に結合した第2の異種核酸配列と、を含む核酸が提供される。
【0011】
別の態様では、実施形態を含む本明細書に提供される核酸を含む発現ベクターが提供される。
【0012】
一態様では、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法が提供されるが、これは、細胞を、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルスと接触させることと、細胞に第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法が提供される。
【0013】
一態様では、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法が提供されるが、これは、細胞を、実施形態を含む本明細書に提供される核酸又は実施形態を含む本明細書に提供される発現ベクターと接触させることと、細胞に第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法が提供される。
【0014】
別の態様では、実施形態を含む本明細書で提供されるウイルス、実施形態を含む本明細書で提供される核酸、又は実施形態を含む本明細書で提供される発現ベクターを含む細胞が提供される。
【0015】
別の態様では、必要とする対象において疾患を治療する方法が提供され、方法は、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルス、実施形態を含む本明細書に提供される核酸の有効量又は実施形態を含む本明細書に提供される発現ベクターの有効量を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】プロモータ10又は対照CAGプロモータ/CMVプロモータを有するEGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)及びmScarletを発現する構築物でトランスフェクトされたHEK 293T細胞の代表的な画像である。トランスフェクションの24時間後に細胞を10倍の倍率で画像化した。
図2A】様々なプロモータ構築物でトランスフェクトしたHEK 293T細胞からの蛍光シグナルである。HEK 293T細胞をトランスフェクションの24時間後に画像化した。細胞数及び蛍光輝度を示す。蛍光輝度を細胞数及び蛍光輝度についての自動化アルゴリズムによって定量した(n=4)。図2A:Scarlet発現蛍光輝度(上パネル)及びScarletを発現する細胞の数(下パネル)。図2B:GFP発現蛍光輝度(上パネル)及びGFPを発現する細胞の数(下パネル)。
図2B】様々なプロモータ構築物でトランスフェクトしたHEK 293T細胞からの蛍光シグナルである。HEK 293T細胞をトランスフェクションの24時間後に画像化した。細胞数及び蛍光輝度を示す。蛍光輝度を細胞数及び蛍光輝度についての自動化アルゴリズムによって定量した(n=4)。図2A:Scarlet発現蛍光輝度(上パネル)及びScarletを発現する細胞の数(下パネル)。図2B:GFP発現蛍光輝度(上パネル)及びGFPを発現する細胞の数(下パネル)。
図3】プロモータ10構築物(左)及びヒトH1プロモータ参照構築物(右)でトランスフェクトしたmRGC(melanopsin-containing retinal ganglion cell、メラノプシン含有網膜神経節細胞)の代表的な画像である。トランスフェクションの24時間後に20倍の倍率で画像を撮影した。「EGFP」は緑色波長での発光を示し、「mScarlet」は赤色波長での発光を示す。「マージ」パネルは、観察されたプロモータ10トランスフェクト細胞の全てが両方の波長で発光したことを示す。
図4A】様々な候補双方向性プロモータ構築物でトランスフェクトしたmRGCsの定量的データである。細胞をトランスフェクションの48時間後に画像化し、細胞数及び蛍光輝度について、自動化アルゴリズムによって定量化した(n=4)。図4A:Scarlet発現。図4B:GFP発現。
図4B】様々な候補双方向性プロモータ構築物でトランスフェクトしたmRGCsの定量的データである。細胞をトランスフェクションの48時間後に画像化し、細胞数及び蛍光輝度について、自動化アルゴリズムによって定量化した(n=4)。図4A:Scarlet発現。図4B:GFP発現。
図5A】ヒトプロモータ10(配列番号10)と比較してマウスプロモータ10及びヒトプロモータ10の切断型の活性を示す、定量的データである。図5A:GFP発現。図5B:m-Scarlet発現。
図5B】ヒトプロモータ10(配列番号10)と比較してマウスプロモータ10及びヒトプロモータ10の切断型の活性を示す、定量的データである。図5A:GFP発現。図5B:m-Scarlet発現。
図6】ヒト(配列番号:10)及びマウスプロモータ(配列番号:25)ヌクレオチド配列のアラインメントである。共通塩基配列(配列番号27)が提供される。配列番号27において使用される「N」は、その位置のヌクレオチドが存在しないか、又はマウス若しくはヒト配列における対応する位置に示されるヌクレオチドであることを示す。その他の点では、ヌクレオチドの名称は、WIPO(World Intellectual Property Organization、世界知的所有権機関)標準、ST.26(2021)、Annex 1、Section 1に対応する。
図7A】RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism、制限酵素断片長多型)遺伝子編集アッセイにおけるCas12タンパク質の比較である。ヒトプロモータ10の片側からCas12タンパク質を発現する核外遺伝子を、ヒトプロモータ10の片側からDlk及びLzkを標的とするガイドRNAを含有する単一のgRNAアレイを発現する、核外遺伝子と組み合わせた。図7A:Dlk遺伝子編集。図7B:Lzk遺伝子編集。
図7B】RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism、制限酵素断片長多型)遺伝子編集アッセイにおけるCas12タンパク質の比較である。ヒトプロモータ10の片側からCas12タンパク質を発現する核外遺伝子を、ヒトプロモータ10の片側からDlk及びLzkを標的とするガイドRNAを含有する単一のgRNAアレイを発現する、核外遺伝子と組み合わせた。図7A:Dlk遺伝子編集。図7B:Lzk遺伝子編集。
図8A】ヒトプロモータ10の一方の側からのCas12a及びその他方の側からのgRNAアレイの発現を駆動するための単一核外遺伝子で得られた遺伝子編集に対する、2核外遺伝子系で得られたDlk遺伝子編集及びLzk遺伝子編集の比較である(図7A図7B)。図8A:Dlk遺伝子編集。図8B:Lzk遺伝子編集。
図8B】ヒトプロモータ10の一方の側からのCas12a及びその他方の側からのgRNAアレイの発現を駆動するための単一核外遺伝子で得られた遺伝子編集に対する、2核外遺伝子系で得られたDlk遺伝子編集及びLzk遺伝子編集の比較である(図7A図7B)。図8A:Dlk遺伝子編集。図8B:Lzk遺伝子編集。
図9A】プロモータ10(TMEM側)-INTRON SpyCas9-P2A EGFP snRP転写終結区でトランスフェクトしたHEK 293T細胞の代表的な画像である。GFPの発現を検出した。評価された介在配列は、MATLAT1、BRSK2、MAT2A、CCDC115、MDN1、CUEDC2(図9A)及びSV40、ZDHHC2、SLC35F2、SNF286A、未知の名称の遺伝子からの介在配列、MVM No.CBA、及びUQCRFS1(図9B)を含む。トランスフェクションの72時間後に10倍の倍率で画像を撮影した。
図9B】プロモータ10(TMEM側)-INTRON SpyCas9-P2A EGFP snRP転写終結区でトランスフェクトしたHEK 293T細胞の代表的な画像である。GFPの発現を検出した。評価された介在配列は、MATLAT1、BRSK2、MAT2A、CCDC115、MDN1、CUEDC2(図9A)及びSV40、ZDHHC2、SLC35F2、SNF286A、未知の名称の遺伝子からの介在配列、MVM No.CBA、及びUQCRFS1(図9B)を含む。トランスフェクションの72時間後に10倍の倍率で画像を撮影した。
図10】プロモータ10(TMEM側)-INTRON SpyCas9-P2A EGFP snRP転写終結区でトランスフェクトしたHEK 293T細胞の定量的データである。トランスフェクションの24時間後に画像を撮影した。
図11】一過性トランスフェクトN2a細胞における、プロモータ10(レーン4~5及び8~9)によって駆動されるDlk遺伝子座又はプロモータ10の反転(配列番号26)(レーン6~7)のCas12a媒介遺伝子編集の制限酵素破壊アッセイである。インスレータ配列による増強が示された(レーン8~9)。
図12】一過性トランスフェクトN2a細胞における、プロモータ10(レーン4~5及び8~9)によって駆動されるLzk遺伝子座又はプロモータ10の反転(配列番号26)(レーン6~7)のCas12a媒介性遺伝子編集の制限酵素破壊アッセイである。インスレータ配列による増強が示された(レーン8~9)。
図13】抗ヘマグルチニン(hemagglutinin,HA)免疫蛍光染色によって測定された、一過性トランスフェクト293細胞におけるHAタグ付きenAsCas12a発現の代表的な画像である。Cpf1(enAsCas12a)をプロモータ10のいずれかの側から発現させた。LT Cpf1構築物は、プロモータのTMEM208側でCpf1を発現する。TL Cpf1構築物は、プロモータのLRRC29側を有するCpf1を発現する。
図14】双方向性プロモータ並びにEGFP及びmScarletをコードするAAVベクターで形質導入されたマウス・メラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC)の代表的な画像である。図は、AAV-EGFP-Pro10-mScarletを硝子体内注射した14日後の網膜フラットマウントを示す。画像は、両方の導入遺伝子の強固な双方向性発現を示す。画像の平面(軸索によって証明される)は、両方の導入遺伝子の網膜神経節細胞発現を示す、神経節細胞層/網膜神経線維層(GCL(Ganglion Cell Layer)/RNFL(Retinal Nerve Fiber Layer))内にある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
とりわけ、遺伝子療法において使用されるウイルスベクターにおける2つのRNA転写物の発現を駆動するための双方向性プロモータが本明細書において提供される。双方向性プロモータは、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)成分、治療用タンパク質などのタンパク質、gRNAなどのRNA、及び阻害性RNAの送達に特に有用であると企図される。限定するものではないが、有用な双方向性プロモータとしては、配列番号10を含むプロモータ、その切断物、その断片、及びその変異型が挙げられる。一実施例では、有用な双方向性プロモータとしては、配列番号21、その切断物、その断片、及びその変異型を含むプロモータが挙げられる。
【0018】
本開示の様々な実施形態及び態様が本明細書に示され説明されているが、このような実施形態及び態様は例としてのみ提供されていることが、当業者には明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多くの変形形態、変更、及び置換を想到するであろう。本明細書に記載される実施形態の様々な代替案が本発明の実施において採用され得ることが理解されるべきである。
【0019】
本書で使用されている項目の見出しは、組織化の目的のためであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願で引用された全ての文書又は文書の一部(特許、特許出願、論説、書籍、マニュアル、論文を含むがこれらに限定されない)は、その全体が、本出願において参照によって明示的に組み込まれる。
【0020】
本明細書で使用される略語は、化学的分野内及び生物学的分野内の、それらの従来の意味を有する。本明細書に記載される化学構造及び式は、化学的分野に周知の化学原子価の標準規則に従って構築される。
【0021】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al.,Dictionary Of Microbiology And Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor,NY 1989)を参照のこと。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法、デバイス、及び材料を本発明の実施において使用し得る。以下の定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されており、本開示の範囲を限定するものではない。
【0022】
「核酸」とは、一本鎖、二本鎖、若しくは多重鎖のいずれかの形態のヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド)及びそれらのポリマー、又はそれらの相補体、あるいはヌクレオシド(例えば、デオキシリボヌクレオシド又はリボヌクレオシド)を指す。複数の実施形態では、「核酸」は、ヌクレオシドを含まない。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」などの用語は、通常の慣習的な意味で、ヌクレオチドの直鎖状配列を指す。「ヌクレオシド」という用語は、通常の及び慣習的な意味で、核酸塩基及び五炭糖(リボース又はデオキシリボース)を含むグリコシルアミンを指す。ヌクレオシドの非限定的な例としては、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジン、及びイノシンが挙げられる。「ヌクレオチド」という用語は、通常の及び慣習的な意味で、単一のポリヌクレオチド単位、すなわちモノマーを指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの修飾型であり得る。本明細書で企図されるポリヌクレオチドの例としては、一本鎖及び二本鎖のDNA、一本鎖及び二本鎖のRNA、並びに一本鎖及び二本鎖のDNAとRNAとの混合物を有するハイブリッド分子が挙げられる。本明細書で企図される核酸、例えば、ポリヌクレオチドの例としては、あらゆる種類のRNA、例えば、mRNA、siRNA、miRNA、及びガイドRNA、並びにあらゆる種類のDNA、ゲノムDNA、核外遺伝子DNA、及びミニサークルDNA、並びにそれらの任意の断片が挙げられる。ポリヌクレオチドの文脈における「二本鎖」という用語は、通常の及び慣習的な意味で、二本鎖性を指す。核酸は、直鎖状又は分岐鎖状であり得る。例えば核酸は、ヌクレオチドの直鎖であり得る、又は核酸は例えば、核酸がヌクレオチドの1つ以上のアーム又は分岐を含むように分岐し得る。任意には、分岐状核酸は、繰り返し分岐してデンドリマーなどの高次構造を形成する。
【0023】
本明細書で使用され得るように、「核酸」、「核酸分子」、「核酸オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸配列」、「核酸断片」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、様々な長さを有し得る互いに共有結合したヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのいずれか、又はそれらの類似体、誘導体若しくは修飾物を含むことが意図されるが、これらに限定されない。異なるポリヌクレオチドは、異なる三次元構造を有し、周知又は未知の様々な機能を実行し得る。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、介在配列、遺伝子間DNA(異質染色質のDNAを含むがこれらに限定されない)、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、核外遺伝子、ベクター、単離されたDNA配列、単離されたRNA配列、核酸プローブ、及びプライマーが挙げられる。例えば、本明細書で提供される核酸は、ベクターの一部であってもよい。例えば、本明細書で提供される核酸は、細胞に形質導入され得るアデノ随伴ウイルスベクターの一部であってもよい。本開示の方法において有用なポリヌクレオチドは、天然の核酸配列及びその変異型、人工核酸配列、又はこのような配列の組み合わせを含んでもよい。
【0024】
例えば、ホスホチオエート骨格を有する核酸を含む核酸は、1つ以上の反応性部分を含み得る。本明細書で使用される場合、反応性部分という用語は、共有結合、非共有結合、又はその他の相互作用を介して別の分子、例えば、核酸又はポリペプチドと反応し得る任意の基を含む。例として、核酸は、共有結合、非共有結合、又はその他の相互作用を介してタンパク質又はポリペプチド上のアミノ酸と反応するアミノ酸反応性部分を含み得る。
【0025】
この用語はまた、合成、天然に存在する及び天然に存在せず、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の方法で代謝される、既知のヌクレオチド類似体又は修飾された骨格残基若しくは結合を含有する核酸も包含する。このような類似体の例としては、例えば、ホスホルアミデート、ホスホロジアミデート、ホスホロチオエート(リン酸中の酸素を二重結合硫黄で置換するホスホチオエートとしても知られる)、ホスホロジアミデート、ホスホカルボン酸、ホスホノカルボキシレート、ホスホノ酢酸、ホスホノギ酸、メチルホスホネート、ボロンホスホネート、又はO-メチルホスホロアミダイト結合を含むホスホジエステル誘導体(Eckstein,OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH,Oxford University Pressを参照のこと)、並びに5-メチルシチジン又はシュードウリジンなどの場合にはヌクレオチド塩基に対する修飾、並びにペプチド核酸骨格及び結合が挙げられるが、これらに限定されない。その他の核酸類似体としては、正に帯電した骨格、非イオン性骨格、修飾糖、及び米国特許第5,235,033号及び同第5,034,506号、並びにSanghui及びCook編集のASC Symposium Series 580,チャプター6及び7のCarbohydrate Modifications in Antisense Researchに記載されているものを含む、非リボース骨格(例えば、当該技術分野で周知のホスホロジアミデートモルホリノオリゴ又はロックド核酸(Locked Nucleic Acids、LNA))を有するものが挙げられる。1つ以上の炭素環式糖を含有する核酸もまた、核酸の1つの定義内に含まれる。リボース-ホスフェート骨格の修飾は、例えば、生理学的環境におけるこのような分子の安定性及び半減期を増加させるために、又はバイオチップ上のプローブとして、様々な理由で行われてもよい。天然に存在する核酸と類似体の混合物は、作製することができ、あるいは、異なる核酸類似体の混合物並びに天然に存在する核酸と類似体の混合物が作製されてもよい。複数の実施形態では、DNA中のヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体、又は両方の組み合わせである。
【0026】
核酸は、非特異的配列を含み得る。本明細書で使用される場合、「非特異的配列」という用語は、任意のその他の核酸配列に相補的であるか、又は部分的にのみ相補的であるように設計されていない一連の残基を含有する、核酸配列を指す。例として、非特異的核酸配列は、細胞又は生物と接触した場合に阻害性核酸として機能しない核酸残基の配列である。
【0027】
ポリヌクレオチドは、一般的には、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、及びチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAである場合、チミン(T)の代わりにウラシル(U))の特定の配列で構成される。したがって、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表示であり、あるいは、この用語は、ポリヌクレオチド分子自体に使用される。このアルファベット表示は、中央処理装置を備えたコンピュータのデータ系に入力され得、機能ゲノミクス及び相同性検索などのバイオ・インフォマティクス・アプリケーションに使用され得る。ポリヌクレオチドは、非標準ヌクレオチド(複数可)、ヌクレオチド類似体(複数可)、及び/又は修飾ヌクレオチドを所望により含んでもよい。
【0028】
本明細書で使用される「相補体」という用語は、相補的なヌクレオチド又はヌクレオチドの配列と塩基対合することができるヌクレオチド(例えば、RNA又はDNA)又はヌクレオチドの配列を指す。本明細書に記載され、当該技術分野において一般的に知られているように、アデノシンの相補的(マッチング)ヌクレオチドは、チミジンであり、グアニジンの相補的(マッチング)ヌクレオチドは、シトシンである。したがって、相補体は、第2の核酸配列の対応する相補的ヌクレオチドと塩基対合するヌクレオチドの配列を含んでもよい。相補体のヌクレオチドは、第2の核酸配列のヌクレオチドと部分的に又は完全に一致してもよい。相補体のヌクレオチドが第2の核酸配列の各ヌクレオチドと完全に一致する場合、その相補体は、第2の核酸配列の各ヌクレオチドと塩基対を形成する。相補体のヌクレオチドが第2の核酸配列のヌクレオチドと部分的に一致する場合、相補体のヌクレオチドの一部のみが第2の核酸配列のヌクレオチドと塩基対を形成する。相補配列の例には、コード配列及び非コード配列が含まれ、非コード配列は、コード配列に対する相補的ヌクレオチドを含み、したがって、コード配列の相補体を形成する。相補配列の更なる例は、センス配列及びアンチセンス配列であり、センス配列は、アンチセンス配列に対する相補的ヌクレオチドを含み、したがって、アンチセンス配列の相補体を形成する。
【0029】
本明細書に記載されるように、配列の相補性が部分的である場合、一部の核酸のみが塩基対合に従って一致し、又は完全な場合、全ての核酸が塩基対合に従って一致する。したがって、互いに相補的な2つの配列は、特定のパーセンテージの同一ヌクレオチド(すなわち、特定領域にわたって約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の同一性)を有してもよい。
【0030】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコード化されたもの、並びに後に修飾されるアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリン)である。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、つまり、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合しているα炭素を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。「天然に存在しないアミノ酸」及び「非天然アミノ酸」という用語は、天然には見られないアミノ酸類似体、合成アミノ酸、及びアミノ酸模倣体を指す。
【0031】
アミノ酸は、本明細書では、それらの一般的に周知である3文字記号又はIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される1文字記号のいずれかによって参照されてもよい。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に認められている一文字コードによって参照されてもよい。
【0032】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用され、ポリマーは、アミノ酸から構成されない部分に結合されてもよい。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに対して適用される。「融合タンパク質」は、単一の部分として組換えにより発現される2つ以上の別個のタンパク質配列をコードするキメラタンパク質を指す。
【0033】
アミノ酸又はヌクレオチド塩基の「位置」は、N末端(又は5’末端)に対するその位置に基づき、参照配列中の各アミノ酸(又はヌクレオチド塩基)を順次同定する番号で示される。最適なアラインメントを決定する際に考慮しなければならない欠失、挿入、切断、融合などのため、一般に、単純にN末端からカウントすることによって決定される試験配列のアミノ酸残基数は、必ずしも参照配列の対応する位置の数と同じではない。例えば、変異型が整列された参照配列と比べて欠失を有する場合、欠失部位には参照配列の位置に対応する変異型のアミノ酸は存在しないことになる。整列された参照配列に挿入がある場合、その挿入は参照配列中の付番されたアミノ酸位置に対応しない。切断又は融合の場合、参照配列又は整列された配列のいずれかに、対応する配列のいずれのアミノ酸にも対応しないアミノ酸の区間が存在し得る。
【0034】
所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列の付番の文脈で使用される場合、「参照して付番される」又は「対応する」という用語は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列が参照配列と比較された場合の特定の参照配列の残基の付番を指す。タンパク質のアミノ酸残基は、所与の残基と同じタンパク質内の本質的な構造的位置を占める場合、所与の残基に「対応する」。当業者は、異なる番号付けシステムを用いたその他のタンパク質中のタンパク質(例えば、Cas9)の特定の位置に対応する残基の同一性及び位置を即座に認識するであろう。例えば、タンパク質(例えば、Cas9)との単純な配列アラインメントを実行することにより、タンパク質の特定の位置に対応する残基の同一性及び位置は、このタンパク質に整列されるその他のタンパク質配列で特定される。例えば、選択されたタンパク質の選択された残基は、選択された残基が位置138のグルタミン酸と同じ本質的な空間的又はその他の構造的関係を占める場合、位置138のグルタミン酸に対応する。いくつかの実施形態では、選択されたタンパク質がタンパク質で最大の相同性に対して整列される場合、グルタミン酸138と配列する整列された選択されたタンパク質における位置は、グルタミン酸138に対応すると言われている。一次配列整列の代わりに、三次元構造整列も使用することができるが、例えば、選択されたタンパク質の構造が、位置138でグルタミン酸との最大対応のために配列され、全体の構造が比較される。この場合、構造モデルにおいてグルタミン酸138と同じ必須位置を占めるアミノ酸は、グルタミン酸138残基に対応するものである。
【0035】
「保存的に修飾された変異型」は、アミノ酸及び核酸の両方の配列に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾された変異型」とは、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指す。遺伝コードの縮重のため、多くの核酸配列が任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって指定される全ての位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変更することなく、記載の対応するコドンのいずれかに変更され得る。このような核酸バリエーションは、保存的に修飾されたバリエーションの一種である「サイレントバリエーション」である。ポリペプチドをコードする本明細書の全核酸配列は、あらゆる可能な核酸のサイレントバリエーションについても記載する。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、及び通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が修飾されて機能的に同一の分子を生じ得ることを理解するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレントバリエーションは、記載された各配列の中に暗に示されている。
【0036】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コード配列の単一アミノ酸又はごく一部のアミノ酸を変更し、付加し、又は欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、又は付加が、これらの変更により、化学的に類似したアミノ酸でのアミノ酸の置換がもたらされる「保存的に修飾された変異型」であることを認識するであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野で周知である。このような保存的に修飾された変異型は、本開示の多型変異型、種間相同体、及び対立遺伝子に加えられ、それらを除外しない。
【0037】
次の8つのグループはそれぞれ、互いに保存的に置換されたアミノ酸を含む。
1)システイン(C)、メチオニン(M)
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リジン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、
7)セリン(S)、スレオニン(T)、及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照のこと)。
【0038】
ヌクレオチド配列は、特に指示がない限り、WIPO Standard,ST.26(2021),Annex 1,Section 1に従って表される。
【0039】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈における「同一の」又は「同一性」の割合という用語は、下記のデフォルトパラメータを用いたBLAST又はBLAST2.0配列比較アルゴリズムを使用するか、手動によるアラインメント及び目視検査によって測定されるように、同一又は同一である特定のパーセンテージ(すなわち、比較窓又は指定領域にわたって最大一致するように比較及び整列を行った場合に、特定領域にわたって約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%以上の同一性)のアミノ酸残基又はヌクレオチドを有する、2つ以上の配列又は部分配列を指す(例えば、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等を参照のこと)。したがって、このような配列は「実質的に同一」であると言える。この定義はまた、試験配列の相補物にも言及してもよい、又はそれに適用されてもよい。定義は、欠失及び/又は付加を有する配列、並びに置換を有する配列もまた含む。以下に説明するように、好ましいアルゴリズムは、ギャップ等を計算し得る。好ましくは、同一性は、少なくとも約25のアミノ酸長又はヌクレオチド長の領域にわたり、またより好ましくは、50~100のアミノ酸長、又はヌクレオチド長の領域にわたって存在する。
【0040】
「配列同一性のパーセンテージ」は、比較窓にわたって最適に整列された2つの配列を比較することによって決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列のアラインメントを最適にするために参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して付加又は欠失(すなわちギャップ)を含んでもよい。このパーセンテージは、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を生成し、そのマッチした位置の数を比較窓における位置の総数で除算し、その結果に100を乗算して、配列同一性のパーセンテージを生成することによって計算される。
【0041】
本明細書で使用される「比較窓」は、例えば、全長配列又は20~600、約50~約200、若しくは約100~約150のアミノ酸若しくはヌクレオチドからなる群から選択される、連続する位置数のいずれか1つのセグメントを指すことを含み、2つの配列が最適に整列された後、配列が同じ数の連続する位置の参照配列と比較されてもよい。比較のための配列のアラインメント方法は、当該技術分野で周知である。比較のためのアラインメントの最適な整列は、例えば、Smith and Waterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cのローカルホモロジーアルゴリズム(local homology algorithm)により、Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443のホモロジー整列アルゴリズムにより、Pearson and Lipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444により、これらのアルゴリズムのコンピュータ処理(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)によって行うことができる、又は、手動によるアラインメント及び目視検査(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995、supplement)を参照のこと)によって行うことができる。
【0042】
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、Altschul et al.(1977)Nuc.Acids Res.25:3389-3402、及びAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410に、それぞれ記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により一般的に入手可能である。このアルゴリズムは、データ系配列中の同じ長さのワードと整列した場合に、いくつかの正の値の閾値スコアTとマッチするか満たすかのいずれかである、問い合わせ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、高スコア配列ペア(high scoring sequence pairs、HSP)を最初に同定することを伴う。Tは、近傍ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と称される(上記のAltschulら)。これらの最初の近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシーズとして機能する。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って、双方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(一対のマッチ残基に対するリワードスコア(reward score)、常に>0)及びN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア、常に>0)、及びN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア、常に<0)を使用して、計算される。アミノ酸配列については、累積スコアを計算するために、スコアリングマトリックスが使用される。各方向におけるワードヒットの拡張は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下する場合、累積スコアが、1つ以上の負のスコアの残基アラインメントの累積に起因して、0以下になる場合、又はいずれかの配列の末端に到達する場合に停止される。BLASTアルゴリズムパラメータのW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)又は10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、ワード長3及び期待値(E)10をデフォルトとして用い、BLOSUM62スコア行列(Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915を参照のこと)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【0043】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873~5787)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列間又はアミノ酸配列間でのマッチが偶然起き得る確率の指標を提供する。例えば、試験核酸と参照核酸との比較において最小合計確率が、約0.2未満、より好ましくは、約0.01未満、最も好ましくは、約0.001未満である場合、核酸は、参照配列に類似していると考えられる。
【0044】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であるという指標は、以下に記載するように、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対する抗体と免疫学的に交差応答することである。したがって、ポリペプチドは、典型的には、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合には第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、以下に記載するように、2つの分子又はそれらの相補体が厳しい条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるという更に別の指標は、同じプライマーを使用して配列を増幅し得ることである。
【0045】
「RNAガイド(RNA-guided)DNAエンドヌクレアーゼ」などの用語は、通常の慣習的な意味で、DNAポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する酵素を指し、ホスホジエステル結合の認識は、別個のRNA配列によって促進される(例えば、シングルガイドRNA)。
【0046】
「ガイドRNA」、「gRNA」、「シングルガイドRNA」、及び「sgRNA」という用語は互換的に使用され、crRNA配列、及び所望によりtracrRNA配列を含む、ポリヌクレオチド配列を指す。複数の実施形態では、gRNAは、crRNA配列及びtracrRNA配列を含む。複数の実施形態では、gRNAは、tracrRNA配列を含まない。crRNA配列は、ガイド配列(すなわち、「ガイド」又は「スペーサー」)及びtracrメイト配列(すなわち、ダイレクトリピート(複数可))を含む。「ガイド配列」という用語は、標的部位を特定する配列を指す。一般に、tracrメイト配列は、(1)対応するtracr配列を含有する細胞におけるtracrメイト配列に隣接するガイド配列の切除、及び(2)tracr配列にハイブリダイズしたtracrメイト配列を含む複合体(例えば、CRISPR複合体)の標的配列における形成のうちの、1つ以上の数を促進するのに十分なtracrRNA配列との相補性を有する、任意の配列を含む。
【0047】
複数の実施形態では、gRNAは、一本鎖のリボ核酸である。複数の態様では、gRNAは、約10~約200の核酸残基長である。複数の態様では、gRNAは、約50~約150の核酸残基長である。複数の態様では、gRNAは、約80~約140の核酸残基長である。複数の態様では、gRNAは、約90~約130の核酸残基長である。複数の態様では、gRNAは、約100~約120の核酸残基長である。
【0048】
一般的に、ガイド配列は、標的ヌクレオチド配列と十分な相補性を有して、その標的配列とハイブリダイズし、CRISPR複合体の標的配列への直接配列特異的結合を有する、任意のポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、ガイド配列とそれに対応する標的配列との間の相補性の程度は、適切なアラインメントアルゴリズムを使用して最適に整列された場合、約50%以上、約60%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97.5%以上、約99%以上、又はそれ以上である。最適なアラインメントは、配列を整列させるための任意の適切なアルゴリズムを使用して決定されてもよく、その非限定的な例としては、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、ClustalW、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies、ELAND(Illumina、San Diego、CA)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、及びMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)が挙げられる。複数の実施形態では、ガイド配列は、約5超、10超、11超、12超、13超、14超、15超、16超、17超、18超、19超、20超、21超、22超、23超、24超、25超、26超、27超、28超、29超、30超、35超、40超、45超、50超、75超、又はそれ以上のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、ガイド配列は、約75未満、50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、15未満、12未満のヌクレオチド長である。CRISPR複合体の標的配列への配列特異的結合を導くガイド配列の能力は、任意の適切なアッセイによって評価されてもよい例えば、試験されるガイド配列を含む、CRISPR複合体を形成するのに十分なCRISPR系の構成要素は、CRISPR配列の構成要素をコードするベクターでのトランスフェクションなどによって、対応する標的配列を有する宿主細胞に提供され、その後、本明細書に記載されるSurveyorアッセイなどによって標的配列内の優先的切断が評価されてもよい。同様に、標的ポリヌクレオチド配列の切断は、標的配列、試験されるガイド配列及び試験ガイド配列とは異なる対照ガイド配列を含むCRISPR複合体の成分を提供し、試験ガイド配列反応と対照ガイド配列反応との間で標的配列における結合又は切断速度を比較することによって試験管内で評価されてもよい。その他のアッセイも可能であるが、これは当業者であれば想到するであろう。
【0049】
「クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ」という用語は、Cas9と同様のエンドヌクレアーゼ活性を持ち、クラスII CRISPRシステムに関与するエンドヌクレアーゼを指す。クラスII CRISPRシステムの例は、Streptococcus pyogenes SF370のII型CRISPR遺伝子座で、Cas9、Cas1、Cas2、Csn1の4つの遺伝子のクラスターと、2つの非コードRNAエレメント、tracrRNA、及び非反復配列(スペーサー、各約30bp)の短いストレッチによって間隔が空けられた反復配列(直接反復)の特徴的なアレイを含有する。Cpf1酵素は、推定上のV型CRISPR-Cas系に属している。II型とV型の両方の系は、CRISPR-Cas系のクラスIIに含まれている。C2c1(「クラス2候補1」)酵素は、クラスII V-B型酵素である。C2c2(「クラス2候補2」)酵素は、クラスII型VI-A酵素である。C2c3(「クラス2候補3」)酵素は、クラスII型V-C酵素である。非限定的な例示的CRISPR関連タンパク質としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、Cpf1、C2c1、C2c3、Cas12a、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas13a、Cas13b、及びCas13が挙げられる。
【0050】
したがって、本明細書で言及される「CRISPR関連タンパク質9」、「Cas9」、「Csn1」又は「Cas9タンパク質」は、Cas9エンドヌクレアーゼの組換え型又は天然型、Cas9エンドヌクレアーゼ酵素活性を維持する又はその変異型又はホモログのいずれかを含む(例えば、Cas9と比較して少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性内)。いくつかの態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するCas9タンパク質と比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、Cas9タンパク質は、UniProt参照番号Q99ZW2によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。Cas9は、当該技術分野において「ニッカーゼ(nickase)」としても周知のタンパク質を指す。複数の実施形態では、Cas9は、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)核酸配列に結合するRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ酵素である。
【0051】
本明細書で言及される「Cfp1」又は「Cfp1タンパク質」としては、Cfp1(CxxC fingerプロテイン1)エンドヌクレアーゼの組換え、又は天然に存在する形態、あるいはCfp1エンドヌクレアーゼ酵素活性を維持するその変異型又はホモログ(Cfp1と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性内)のいずれかが挙げられる。いくつかの態様では、上記変異型又はホモログは、天然に存在するCfp1proteinタンパク質と比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、Cfp1タンパク質は、UniProt参照番号Q9P0U4によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。
【0052】
「ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ酵素」などの用語は、通常の慣習的な意味で、DNAポリヌクレオチド内の特定のホスホジエステル結合を標的とするRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ(例えば、天然に存在するRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼの変異型)を指し、この場合、ホスホジエステル結合の認識は、別個のポリヌクレオチド配列(例えば、RNA配列(例えば、シングルガイドRNA(sgRNA))によって促進されるが、標的ホスホジエステル結合を有意な程度に切断することはできない(例えば、生理学的条件下でのホスホジエステル結合の測定可能な切断はない)。したがって、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と複合体を形成したときにDNA結合能力(例えば、標的配列への特異的結合)を保持するが、有意なエンドヌクレアーゼ活性(例えば、検出可能なエンドヌクレアーゼ活性の量)を欠く。複数の態様では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ酵素は、CRISPR関連タンパク質である。複数の態様では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドエンドヌクレアーゼは、dCas9、dCpf1、ddCpf1、Cas-phi、ヌクレアーゼ欠損Cas9変異型、ヌクレアーゼ欠損クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガードメイン、転写活性化因子様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector、TALE)、ロイシンジッパードメイン、ウィングドヘリックスドメイン、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ、ヘリックス-ループ-ヘリックスドメイン、HMBボックスドメイン、Wor3ドメイン、OBフォールドドメイン、免疫グロブリンドメイン、又はB3ドメインである。複数の態様では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ酵素は、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパードメイン、ウィングドへリックスドメイン、へリックス-ターン-へリックスモチーフ、へリックス-ループ-へリックスドメイン、HMBボックスドメイン、Wor3ドメイン、OBフォールドドメイン、免疫グロブリンドメイン、又はB3ドメインである。
【0053】
複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ酵素は、dCas9である。本明細書で言及される「dCas9」又は「dCas9タンパク質」という用語は、エンドヌクレアーゼ活性の両方の触媒部位に欠陥があるか、又は活性を欠いているCas9タンパク質である。複数の態様では、dCas9タンパク質は、S.pyogenesCas9のD10A及びH840Aに対応する位置に変異を有する。複数の態様では、dCas9タンパク質は、野生型Cas9の両方のエンドヌクレアーゼ触媒部位(RuvC及びHNH)での点変異のために、エンドヌクレアーゼ活性を欠いている。点変異は、D10AとH840Aであり得る。複数の態様では、dCas9は、検出可能なエンドヌクレアーゼ(例えば、エンドデオキシリボヌクレアーゼ)活性を実質的に有さない。
【0054】
複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ酵素は、「ddCpf1」又は「ddCas12a」である。「DNAse-deadCpf1」又は「ddCpf1」という用語は、Cpf1DNAse活性の不活性化をもたらす変異したアシドアミノコックス属(Acidaminococcus sp)のCpf1(AsCpf1)を指す。複数の態様では、ddCpf1は、AsCpf1のRuvCドメインにE993A変異を含む。複数の態様では、ddCpf1は、検出可能なエンドヌクレアーゼ(例えば、エンドデオキシリボヌクレアーゼ)活性を実質的に有さない。
【0055】
「RNAガイドRNAヌクレアーゼ」又は「RNAガイドRNase」などの用語は、通常の慣習的な意味で、RNAポリヌクレオチド内の特定のホスホジエステル結合を標的とするRNAガイドヌクレアーゼを指すが、ここで、ホスホジエステル結合は、別個のポリヌクレオチド配列(例えば、RNA配列(例えば、シングルガイドRNA(sgRNA)、ガイドRNA(gRNA)))によって促進される。典型的には、RNAガイドRNaseは、一本鎖のRNAを標的とする。複数の実施形態では、RNAガイドRNaseは、Cas13(例えば、Cas13a、Cas13b)である。
【0056】
本明細書で言及される「Cas13a」又は「Cas13aタンパク質」としては、Cas13a(CRISPR関連のエンドリボヌクレアーゼCas13a)エンドヌクレアーゼ(同様に、CRISPR関連のエンドリボヌクレアーゼC2c2、C2c2としても知られている)の組換え又は天然に存在する形態、あるいはCas13aエンドヌクレアーゼ酵素活性を維持するその変異型又はホモログ(Cas13aと比較して少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性内)のいずれかが挙げられる。いくつかの態様では、上記変異型又はホモログは、天然に存在するCas13aタンパク質と比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、Cas13aタンパク質は、UniProt参照番号C7NBY4によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。
【0057】
本明細書で言及される「Cas13b」又は「Cas13bタンパク質」としては、Cas13b(CRISPR関連のRNAガイド組換えCas13b)エンドヌクレアーゼの組換え、又は天然に存在する形態、あるいはCas13bヌクレアーゼ酵素活性を維持するその変異型又はホモログ(Cas13bと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性内)のいずれかが挙げられる。いくつかの態様では、上記変異型又はホモログは、天然に存在するCas13bタンパク質と比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、Cas13bタンパク質は、UniProt参照番号A0A8G0P913によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。
【0058】
本明細書で提供される「クルッペル関連ボックスドメイン」又は「KRABドメイン」という用語は、約400個のヒトジンクフィンガータンパク質系の転写因子に存在する転写抑制ドメインのカテゴリーを指す。KRABドメインは通常、約45~約75個のアミノ酸残基を含む。KRABドメインの説明(それらの機能及び使用を含む)は、例えば、Ecco,G.,Imbeault,M.,Trono,D.,KRAB zinc finger proteins,Development 144,2017、Lambert et al.、The human transcription factors,Cell 172,2018、Gilbert et al.,Cell(2013)、及びGilbert et al.,Cell(2014)、に見出され得る。複数の態様では、KRABドメインは、Kox 1のKRABドメインである。
【0059】
本明細書で提供される「VP64」又は「VP64タンパク質」という用語は、被包タンパク質VP16(VP64)(アルファ・トランス誘導タンパク質である、アルファ-TIFとしても知られている)の組換え、又は天然に存在する形態、あるいはVP64タンパク質活性を維持するその変異型又はホモログ(例えば、VP64タンパク質と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性の範囲内)のいずれかを含む。複数の態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するVP64タンパク質ポリペプチドと比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、VP64タンパク質は、UniProt参照番号P06492によって識別されるタンパク質、又はその変異型、ホモログ、若しくは機能的断片である。
【0060】
本明細書で提供される「Rta」又は「Rtaタンパク質」という用語は、複製及び転写活性化因子(Replication and transcription activator(Rta))(Rトランス活性化因子、前初期タンパク質Rtaとしても知られている)の組換え又は天然に存在する形態、あるいはRtaタンパク質活性を維持するその変異型又はホモログ(例えば、Rtaタンパク質と比較して少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性内にある)のいずれかを含む。複数の態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するRtaタンパク質ポリペプチドと比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、Rtaタンパク質は、UniProt参照番号P03209によって識別されるタンパク質、又はその変異型、ホモログ、若しくは機能的断片である。
【0061】
本明細書で提供される「p65」又は「p65タンパク質」という用語は、転写因子p65(p65)(核因子NF-kappa-B p65サブユニットとしても知られている)の組換え又は天然に存在する形態、あるいはp65活性を維持するそれらの変異型又はホモログ(例えば、p65タンパク質と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性の範囲内)を含む。複数の態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するp65タンパク質ポリペプチドと比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、p65タンパク質は、UniProt参照番号Q04206によって識別されるタンパク質、又はその変異型、ホモログ、若しくは機能的断片である。
【0062】
本明細書で提供される「DNAメチルトランスフェラーゼ」という用語は、メチル基のDNAへの転移を触媒する酵素を指す。DNAメチルトランスフェラーゼの非限定的な例としては、Dnmt1、Dnmt3A、及びDnmt3Bが挙げられる。複数の態様では、DNAメチルトランスフェラーゼは、哺乳動物DNAメチルトランスフェラーゼである。複数の態様では、DNAメチルトランスフェラーゼは、ヒトDNAメチルトランスフェラーゼである。複数の態様では、DNAメチルトランスフェラーゼは、マウスDNAメチルトランスフェラーゼである。複数の態様では、DNAメチルトランスフェラーゼは、細菌のシトシンメチルトランスフェラーゼ及び/又は細菌の非シトシンメチルトランスフェラーゼである。特定のDNAメチルトランスフェラーゼに応じて、DNAの様々な領域がメチル化される。例えば、Dnmt3Aは通常、メチル化のためにCpGジヌクレオチドを標的とする。DNAメチル化により、DNAメチルトランスフェラーゼは、DNA配列を変更することなく、DNAセグメントの活性(遺伝子発現など)を変性し得る。複数の態様では、DNAメチル化は、遺伝子転写の抑制及び/又はメチル化感受性転写因子若しくはCTCFの調節をもたらす。本明細書に記載されるように、融合タンパク質は、1種以上(例えば、2種)のDNAメチルトランスフェラーゼを含んでもよい。DNAメチルトランスフェラーゼが融合タンパク質の一部として含まれている場合、DNAメチルトランスフェラーゼは「DNAメチルトランスフェラーゼドメイン」と称される場合がある。
【0063】
本明細書で言及される「Dnmt3A」、「Dnmt3a」、「DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3A」又は「DNAメチルトランスフェラーゼ3a」タンパク質としては、Dnmt3A酵素の組換え型又は天然に存在する形態、あるいはDnmt3A酵素活性を維持するその変異型又はホモログ(例えば、Dnmt3Aと比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性内)のいずれかが挙げられる。複数の態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するDnmt3Aタンパク質と比較して、全配列又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたる少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の態様では、Dnmt3Aタンパク質は、UniProt参照番号Q9Y6K1によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。
【0064】
「デュアルロイシンジッパーキナーゼ(dual leucine zipper kinase)」、「DLK」又は「DLKタンパク質」は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ・キナーゼ・キナーゼ(Mitogen-Activated Protein kinase kinase kinase、MAP3K)混合系統のキナーゼファミリーのメンバー及びser/thrキナーゼスーパーファミリーである。DLKは、神経細胞死シグナル伝達を含む神経キナーゼシグナル伝達経路において、役割を果たす。DLKは、N末端ドメイン、触媒ドメイン、2つのロイシンジッパーを含むロイシンジッパードメイン、及びC末端ドメインを含む。ヒトDLKは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ・キナーゼ・キナーゼ12遺伝子(Mitogen-Activated Protein kinase kinase kinase 12 gene、MAP3K12)によってコードされ、これは染色体領域12q13.13に、細胞遺伝学的に局在する。「ヒトDLK」は、ヒトMAP3K12遺伝子によってコードされる任意の対立遺伝子形態を指し、スプライス変異型を含む。複数の態様では、DLKタンパク質は、UniProt参照番号Q12852で同定されるタンパク質、UniProtKB Q12852で指定される、例えば、アイソフォーム1及びアイソフォーム2と、実質的に同一である。「DLK」は、ヒト及び非ヒトDLKポリペプチド及びポリヌクレオチド、例えば、哺乳動物DLK配列、例えば、マウスDLK配列又はラットDLK配列を指す場合がある。
【0065】
「ロイシンジッパーキナーゼ(Leucine Zipper Kinase)」、「LZK」、又は「LZKタンパク質」は、DLKに構造的に関連するMAP3K属員であり、神経細胞の細胞死を含む神経シグナル伝達経路においてもまた役割を果たす。LZKは、N末端ドメイン、触媒ドメイン(「キナーゼドメイン」)、2つのロイシンジッパーを含むロイシンジッパードメイン、及びC末端ドメインを含む。ヒトLZKは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ13遺伝子(Mitogen-Activated Protein kinase kinase kinase 13 gene、MAP3K13)によってコードされるが、これは、染色体領域3q27.2に細胞遺伝学的に局在する。「ヒトLZK」とは、ヒトMAP3K13遺伝子によってコードされる任意の対立遺伝子形態を指し、スプライス改変体を含むが、実例的なヒトLZKポリペプチド配列は、UniProtKBエントリ0 43283の下で入手可能である。アイソフォーム1(O42283-1)は、UniProtエントリにおいて、標準アイソフォームとして指定されている。「LZK」は、ヒト及び非ヒトLZKポリペプチド及びポリヌクレオチド、例えば、哺乳動物LZK配列、例えば、マウスDLK配列及びラットDLK配列を指す場合がある。複数の態様では、LZKタンパク質は、UniProt参照番号O43283で実質的に同定されるタンパク質と同一である。
【0066】
DLK又はLZKに関する「顕性不活性(dominant negative)」という用語は、内在性野生型DLKが発現される神経細胞において発現される場合に、神経保護的である、顕性不活性DLK変異型(dnDLK)、又は顕性不活性形態のLZK(dnLZK)を指す。特定の機構に拘束されることを意図するものではないが、dnDLKは、DLK単独重合化を阻害し得、顕性不活性LZKは、DLK-LZKヘテロ二量体化を阻害し得る。
【0067】
本明細書で言及される「SARM1」又は「SARM1タンパク質」としては、SARM1(NAD(+)加水分解酵素SARM1、又はNADase SARM1としても知られている)の組換え、又は天然に存在する形態、あるいはSARM1活性を維持するその変異型又はホモログ(例えば、SARM1と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性内)のいずれかが挙げられる。複数の態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するSARM1タンパク質と比較して、全配列又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたる少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の態様では、SARM1タンパク質は、UniProt参照番号Q6SZW1によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。SARM1に関する「顕性不活性」という用語は、神経保護性である顕性不活性SARM1(dnSARM1)又はその変異型を指す。科学的理論に拘束されることを望むものではないが、顕性不活性SARM1は、野生型SARM1と非機能的複合体を形成し、それによって、野生型SARM1の軸索変性活性を阻害又は下方制御する場合がある。
【0068】
本明細書で言及される「NMNAT1」又は「NMNAT1タンパク質」としては、NMNAT1(ニコチンアミド/ニコチン酸モノヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼ1、ニコチンアミド-ヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼ1としても知られている)、又はNMNAT1活性を維持するその変異型若しくはホモログ(例えば、NMNAT1と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の活性内)のいずれかが挙げられる。複数の態様では、変異型又はホモログは、天然に存在するNMNAT1タンパク質と比較して、全配列又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたる少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の態様では、NMNAT1タンパク質は、UniProt参照番号Q9HAN9によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する変異型若しくは相同体と実質的に同一である。細胞質NMNATは、3つのヒトNMNATパラログのうちの1つである。細胞質NMNATは、脳において濃縮され得、神経細胞の細胞死を阻害し得る(Tang,B.L.「Why is NMNAT Protective against Neuronal Cell Death and Axon Degeneration,but Inhibitory of Axon Regeneration?」Cell,2019,8,267.https://doi.org/10.3390/cells8030267)。
【0069】
「抗体」という用語は、抗原に特異的に結合し、認識する、免疫グロブリン遺伝子又はその機能的断片によってコードされるポリペプチドを指す。認識される免疫グロブリン遺伝子としては、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミュー定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、これらは、同様に、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEをそれぞれ定義する。
【0070】
代表的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各テトラマーは、2つの同一の対のポリペプチド鎖からなり、各対は、1本の「軽」鎖(約25kDa)及び1本の「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110以上のアミノ酸の可変領域を規定している。「可変重鎖(variable heavy chain)」、「V」、又は「VH」という用語は、Fv、scFv、dsFv、又はFabを含む免疫グロブリン重鎖の可変領域を指すが、「可変軽鎖(variable light chain)」、「V」、又は「VL」という用語は、Fv、scFv、dsFv、又はFabを含む免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
【0071】
抗体機能性断片の例としては、完全抗体分子、Fvなどの抗体断片、一本鎖Fv(scFv)、相補性決定領域(CDR)、VL(軽鎖可変領域)、VH(重鎖可変領域)、Fab、F(ab)2’、及び標的抗原に結合し得る免疫グロブリンペプチドのそれらの又は任意のその他の機能的部分の任意の組み合わせ(例えば、Fundamental Immunology(Paul ed.,4th ed.2001を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者には理解されるように、様々な抗体断片は、様々な方法、例えば、ペプシンなどの酵素による無傷抗体の消化、又はデノボ合成によって得られ得る。抗体断片は、しばしば、化学的に又は組換えDNA方法論を使用することによってデノボ合成される。したがって、本明細書で使用される場合、抗体という用語は、全抗体の修飾によって産生されるか、又は組換えDNA方法論を使用してデノボ合成される(例えば、一本鎖Fv)か、又はファージディスプレイライブラリを使用して特定されるか、のいずれかの抗体断片を含む(例えば、McCafferty et al.,(1990)Nature 348:552を参照のこと)。「抗体」という用語には、二価又は二重特異性分子、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディもまた含まれる。二価及び二重特異性分子は、例えば、Kostelnyら(1992)J.Immunol.148:1547、Pack and Pluckthun(1992)Biochemistry 31:1579、Hollingerら(1993),PNAS.USA 90 6444、Gruberら(1994)J Immunol.152:5368、Zhuら(1997)Protein Sci.6:781、Hu et al.(1996)Cancer Res.56:3055,Adamsら(1993)Cancer Res.53:4026、及びMcCartneyら(1995)Protein Eng.8:338.に記載されている。
【0072】
ナノボディなどの単鎖抗体は、二重特異性プロモータを使用して発現させることができる。ナノボディは周知であり、例えば、Morrison C.,Nat Rev Drug Dis 18:485-487,2019:Pedersen D.V.,et al.,Mol Immunol 124:200-210、2020に記載されている。
【0073】
抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」又は「特異的に(又は選択的に)免疫反応する」という語句は、タンパク質又はペプチドを指す場合、多くはタンパク質及びその他の生物製剤の不均一な集団において、タンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10~100倍超で特定のタンパク質に結合する。このような条件下での抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対する特異性のために選択された抗体が必要である。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応性があり、その他のタンパク質とは免疫反応性がない抗体サブセットのみを得るように、選択され得る。この選択は、その他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成されてもよい。特定のタンパク質と特異的に免疫反応性のある抗体を選択するために、様々なイムノアッセイフォーマットを使用してもよい。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイの形式及び条件の記載については、Harlow & Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照のこと)。
【0074】
核酸は、別の核酸配列(例えば、プロモータ)と機能的な関係に位置する場合、「作動可能に連結」されている。一般に、プロモータ(例えば、プロモータ10など)又はエンハンサは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列(例えば、第1の異種核酸配列、第2の異種核酸配列)に作動可能に連結される。一般に、リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されたとは、連結されているヌクレオチド配列が典型的に隣接していることを意味する。しかし、エンハンサは一般に、プロモータから数キロベース離れている場合に機能し、介在配列は可変長であり得るので、いくつかのポリヌクレオチドエレメントは動作的に連結され得るが直接隣接しなくてもよく、異なる対立遺伝子又は染色体からであってもトランスに機能し得る。連結は、好都合な部位での核酸連結によって達成されてもよい。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが、従来の慣行に従って使用される。本明細書に記載されるプロモータに関して、プロモータがコード配列に対して配列の転写を制御(増加)する位置及び/又は配向にある場合、プロモータは、プロモータの5’側及び/又はプロモータの3’側のコード配列(例えば、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列)に作動可能に連結される(又は同等に「作動可能に配置される」)。コード配列(複数可)(例えば、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列)は、限定ではなく例示のために、DNA、mRNA、ガイドRNA、及び阻害性RNA(例えば、snRNA、miRNA、siRNA、shRNA)から独立して選択され得る。
【0075】
「遺伝子」という用語は、タンパク質の産生に関与するDNAのセグメントを意味する。これには、コード領域の前後の領域(リーダ及びトレーラ)、並びに個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(介在配列)が含まれる。リーダ、トレーラ、及び介在配列には、遺伝子の転写及び翻訳中に必要な調節エレメントが含まれている。更に、「タンパク質遺伝子産物」は、特定の遺伝子から発現されるタンパク質である。
【0076】
「核外遺伝子」、「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、遺伝子及び/又は遺伝子の発現に必要な調節エレメントをコードする核酸分子を指す。核外遺伝子からの遺伝子の発現は、シス又はトランスで起こり得る。遺伝子がシスで発現される場合、遺伝子と調節エレメントは同じ核外遺伝子にコードされる。トランスでの発現とは、遺伝子及び調節エレメントが別個の核外遺伝子によってコードされている場合を指す。
【0077】
ポリヌクレオチド(例えば、核酸配列又はオリゴヌクレオチド)又はペプチド(例えば、アミノ酸配列又はタンパク質)の文脈における用語「変異型」又は「誘導体」は、それらの参照配列に対していくらかの配列類似性を有するポリヌクレオチド配列又はペプチド配列を指す場合がある。いくつかの例において、変異型又は誘導体は、その参照配列に対して少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性(又は類似性若しくは相同性と同等に使用される)を有し得る。ポリヌクレオチド又はペプチド配列の文脈における「機能的誘導体」又は「機能的変異型」という用語は、活性を実質的なレベル、例えば、参照配列の活性の少なくとも30%以上に維持する任意の変異型又は誘導体を指してもよい。
【0078】
「組換え」という用語は、例えば、ウイルス、細胞、核酸、タンパク質、又はベクターに関して使用される場合、細胞、核酸、タンパク質又はベクターが異種核酸若しくはタンパク質の導入又は天然核酸若しくはタンパク質の変性によって変質されていること、又は細胞がそのように変質された細胞に由来することを示す。例えば、組換えウイルスは、組換え核酸技術を使用して核酸の部分を組み合わせることによって生成される。例えば、組換えウイルスは、1つ以上のウイルス遺伝子を異種遺伝子で置換することによって生成されてもよい。例えば、組換えウイルスは、ウイルスプロモータを異種プロモータ(例えば、異種プロモータ(例えば、プロモータ10など))で置換することによって生成されてもよい。したがって、複数の実施形態では、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルスは、組換えウイルスである。場合によっては、組換え細胞は、天然(非組換え)形態の細胞内に見出されない遺伝子を発現するか、又はそうでなければ異常に発現されるか、過小発現されるか、若しくは全く発現されない天然遺伝子を発現する。したがって、複数の実施形態では、実施形態を含む本明細書に提供される細胞(例えば、神経細胞、RGC、光受容細胞、RPE細胞(retinal pigmented epithelial cell、網膜色素上皮細胞)など)は、組換え細胞である。遺伝子組換え細胞及び植物は、典型的には、組換え法の結果として、異種遺伝子又はコード配列を発現するものである。
【0079】
核酸の部分に関して使用される場合の「異種」という用語は、核酸が、本質的に互いに同じ関係に見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には、組換え的に産生され、新しい機能的核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子由来の2つ以上の配列、例えば、ある供給源由来のプロモータ及び別の供給源由来のコード領域を有する。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が、天然では互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。核酸配列に関して使用される場合、「異種」は、核酸配列が、1つ以上の別個の核酸配列(例えば、プロモータ(例えば、プロモータ10))に対して天然において同じ関係で見出されないことを示し、ここで、核酸配列及び1つ以上の別個の核酸配列は、より長い核酸配列内の部分配列である。例えば、より長い配列は、典型的には、組換えにより産生され、新しい機能的核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子由来の2つ以上の部分配列、例えば、1つの供給源由来のプロモータ及び別の供給源由来のコード領域を有する。同様に、異種ペプチド配列は、ペプチド配列が別個のペプチド配列と天然において同じ関係で見出されないことを示し、ここで、ペプチド配列及び別個のペプチド配列は、より長いペプチド(例えば、融合タンパク質)内の部分配列である。核酸又はポリペプチドはまた、それが細胞において天然に存在する核酸又はポリペプチドの変性変形形態である場合、又は細胞に対する遺伝子操作が、遺伝子改変を伴わない細胞における発現レベルと比較して、変化した、例えば、過剰発現された発現を生じる場合、細胞に対して「異種」であると見なされる。
【0080】
「外因性」という用語は、所与の細胞、生物、又はウイルスの外部に由来する分子又は物質(例えば、化合物、核酸、又はタンパク質)を指す。逆に、「内因性」という用語は、所与の細胞、生物、若しくはウイルスに天然に備わっているか、又は細胞若しくは生物の中に由来する分子若しくは物質を指す。複数の実施形態では、実施形態を含む本明細書に提供されるプロモータ(例えば、プロモータ10)は、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルス(例えば、AAVなど)に対して外因性である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列は、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルス(例えば、AAVなど)に対して外因性である。
【0081】
「単離された」という用語は、核酸又はタンパク質に適用される場合、核酸又はタンパク質が天然の状態で関連するその他の細胞成分を、本質的に含まないことを意味する。これは、例えば、均一な状態であることができ、乾燥又は水溶液のいずれかであってもよい。純度及び均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を使用して決定される。製剤中に主たる種として存在する核酸は、実質的に精製されている。
【0082】
「トランスフェクション」、「形質導入」、「トランスフェクトする」又は「形質導入する」という用語は、交換可能に使用することができ、核酸分子及び/又はタンパク質を細胞に導入するプロセスとして定義される。非ウイルスの又はウイルス系の方法を使用して、核酸を細胞に導入し得る。核酸分子は、完全なタンパク質又はその機能的部分をコードする遺伝子配列であってよい。非ウイルストランスフェクション方法は、核酸分子を細胞に導入するための送達システムとしてウイルスDNA又はウイルス粒子を使用しない任意の適切なトランスフェクション方法を含む。代表的な非ウイルストランスフェクション方法としては、カルシウムホスフェートトランスフェクション、リポソームトランスフェクション、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、ヒートショックを通じたトランスフェクション、マグネトフェクション及びエレクトロポレーションが挙げられる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、当該技術分野において周知の標準的な手順に従って、エレクトロポレーションを使用して細胞に導入される。ウイルスベースのトランスフェクション法では、任意の有用なウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター)を本明細書に記載される方法で使用してもよい。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクター(Adeno-Associated Viral、AAV)が挙げられるが、これらに限定されない。複数の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである。複数の実施形態では、ウイルスベクターは、AAVベクターである。いくつかの実施形態では、核酸分子は、当該技術分野で周知の標準的な手順に従って、AAVベクターを使用して細胞に導入される。「トランスフェクション」又は「形質導入」という用語はまた、外部環境から細胞にタンパク質を導入することを指す。複数の実施形態では、タンパク質の形質導入又はトランスフェクションは、細胞膜を横断することができるペプチド又はタンパク質の、目的のタンパク質への結合に依存する。例えば、Fordら(2001)、Gene Therapy 8:1~4及びProchiantz(2007)、Nat.Methods 4:119~20を参照のこと。
【0083】
「形質導入する」又は「形質導入」は、それらの明白な通常の意味に従って使用され、1つ以上の外来核酸(すなわち、細胞中に天然に見出されないDNA)が細胞に導入されるプロセスを指す。典型的には、形質導入は、ウイルス又はウイルスベクター(例えば、AAVベクター)の細胞への導入によって生じる。例えば、双方向性プロモータを含むAAVベクターを細胞に形質導入してもよい。
【0084】
遺伝子への言及において本明細書で使用される場合、「発現」又は「発現された」という用語は、その遺伝子の転写及び/又は翻訳産物を意味する。細胞内のDNA分子の発現レベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量、又は細胞によって産生されるそのDNAによってコードされるタンパク質の量のいずれかに基づいて決定され得る。非コード核酸分子(例えば、siRNA)の発現レベルは、当該技術分野で周知の標準的なPCR又はノーザンブロット法によって検出されてもよい。Sambrook et al.,1989 Molecular Cloning:A Laboratory Manual,18.1-18.88を参照のこと。
【0085】
「標識」又は「検出可能部分」とは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的又はその他の物理的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般的に使用されているようなもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン又はハプテンと、例えば、標的ペプチドとの特異的反応性を持つペプチド又は抗体に放射性標識を導入することで検出可能にできるタンパク質又はそのその他の物質が挙げられる。抗体を標識に結合させるための、当該技術分野において周知の任意の適切な方法(例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques 1996,Academic Press,Inc.、San Diegoに記載の方法を使用する)が用いられてもよい。
【0086】
「接触させること(Contacting)」は、その平易な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子又は細胞を含む化学化合物)が反応、相互作用、又は物理的接触に十分近位になることを可能にするプロセスを指す。しかしながら、結果として生じる反応生成物は、添加された試薬間の反応から直接生成され得る、又は反応混合物中に生成され得る、添加された試薬のうちの1種以上からの中間体から生成され得ることが理解されるべきである。
【0087】
「接触させること」という用語は、2つの種が、反応し、相互作用し、又は物理的に接触することを可能にすることを含む場合があり、ここでいう2つの種は、本明細書に記載されるウイルス及び神経細胞であり得る。複数の実施形態では、接触させることは、例えば、本明細書に記載されるウイルスを細胞(例えば、神経細胞)に物理的に接触させることを含む。複数の実施形態では、接触させることは、例えば本明細書に記載される核酸を細胞(例えば、神経細胞)に物理的に接触させることを含む。
【0088】
「対照」又は「標準対照」とは、試験試料、測定値、又は値と比較するための参照、通常は周知の参照として機能する試料、測定値、あるいは値を指す。例えば、試験試料は、所与の疾患(例えば、癌)を有することが疑われる患者から採取され、周知の正常(非罹患)個体(例えば、標準対照対象)と比較され得る。標準対照はまた、所与の疾患を有さない同様の個体(例えば、標準対照対象)の集団(すなわち、標準対照集団)、例えば、同様の医学的背景、同じ年齢、体重などを有する健康な個体から集められた平均測定値又は値を表し得る。例えば、薬理学的データ(例えば、半減期)又は治療手段(例えば、副作用の比較)に基づいて治療効果を比較するための対照を考案し得る。対照はまた、データの有意性を判断するためにも有益である。例えば、所与のパラメータの値が対照において大きく変動する場合、試験試料の変動は有意であると見なされない。当業者は、任意の数のパラメータ(例えば、RNAレベル、タンパク質レベル、特定の細胞型、特定の体液、特定の組織など)の評価のために、標準対照を設計し得ることを、認識するであろう。
【0089】
当業者であれば、どの標準対照が所与の状況において最も適切であるかを理解し、標準対照値との比較に基づいてデータを分析し得るであろう。標準対照はまた、データの有意性(例えば、統計的な優位性)を決定するためにも有用である。例えば、所与のパラメータの値が標準対照において大きく変動する場合、試験試料の変動は有意であると見なされない。
【0090】
「生体試料」又は「試料」とは、対象若しくは患者から得たか、又はそれらに由来する材料を指す。生体試料には、生検試料及び解剖試料のような組織切片と、組織学上の目的で採取した凍結切片と、が含まれる。このような試料としては、血液、血液画分、又は血液生成物(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球など)、痰、組織、培養細胞(例えば、一次培養液、外植片、及び形質転換細胞)便、尿、滑液、関節組織、滑膜組織、滑膜細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ様滑膜細胞、免疫細胞、造血細胞、線維芽細胞、マクロファージ、T細胞などが挙げられる。生体試料は、典型的には、真核生物、例えば、哺乳動物(霊長類、例えば、チンパンジー又はヒト、ウシ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、又は鳥類、爬虫類、又は魚類などから得られる。
【0091】
本明細書で使用される「細胞」は、そのゲノムDNAを保存又は複製するのに十分な代謝機能又はその他の機能を実行する細胞を指す。細胞は、例えば、無傷の膜の存在、特定の染料による染色、子孫を産生する能力、又は配偶子の場合、第2の配偶子と組み合わせて、生存能力のある子孫を生み出す能力を含む、当該技術分野で周知の方法によって特定され得る。細胞には、原核細胞及び真核細胞が含まれてもよい。原核細胞には、細菌が含まれるが、これに限定されない。真核細胞には、酵母細胞並びに植物及び動物に由来する細胞、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞(例えば、スポドプテラ(spodoptera))、及びヒト細胞が含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。複数の実施形態では、細胞は、神経節細胞である。複数の実施形態では、細胞は、神経細胞である。細胞は、天然に非接着性であるか、又は例えばトリプシン処理によって表面に接着しないように処理されている場合に、有用であり得る。
【0092】
「網膜神経節細胞(Retinal Ganglion Cell)」又は「RGC」という用語は、眼の網膜の内面(神経節細胞層)の近くに位置する神経細胞の種類を指す。RGCは、2つの中間神経細胞の種類:双極細胞及びアマクリン細胞を介して、光受容体から情報を受け取り、脳の領域に情報を伝達する。RGCは、サイズ及び視覚刺激に対する応答に関して大きく異なるが、全てが脳に延びる長い軸索を有する。RGC喪失は、緑内障を含む多数の視神経症の特徴である。
【0093】
「光受容細胞」という用語は、網膜において見出される神経上皮細胞の種類を指す。光受容細胞は光子を吸収し、これが細胞膜電位の変化を引き起こして、感覚応答を刺激する。桿体光受容細胞は、光に敏感であり、薄暗い照明条件下で動作する。錐体光受容細胞は、周囲及び明るい照明条件下で機能し、光強度の変動に対して迅速な応答を示し、色覚及び高い視力に関与する。不十分な光受容体の発達、機能又は生存は、網膜色素変性症及び黄斑変性症を含む網膜疾患の特徴である。
【0094】
「網膜色素上皮細胞(Retinal Pigment Epithelium Cell)」又は「RPE細胞」という用語は、網膜の外側に着色層を形成する細胞を指す。色素性層は、ブルッフ膜(脈絡膜内部境界)と光受容体との間に位置する。RPEは、網膜に栄養素を供給するための中間体であり、網膜発生、光の吸収、成長因子の分泌、及び眼の免疫応答の媒介を含む多数の機能を補助する。RPEの機能不全は、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、ウエストナイルウイルス、及び黄斑変性を含む状態において、視力喪失又は失明をもたらす場合がある。
【0095】
「ウイルス」又は「ウイルス粒子」という用語は、ウイルスゲノム(例えば、DNA、RNA、一本鎖、二本鎖)を有するヴィリオンを指す。複数の実施形態では、ウイルスは、ウイルスカプシド及び関連タンパク質を含み、場合によっては(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス)、脂質及び所望により宿主細胞膜の成分を含むエンベロープ、並びに/又はウイルスタンパク質を含む。
【0096】
「ポックスウイルス」は、宿主の細胞質内で複製する脊椎動物及び無脊椎動物に感染し得る、ポックスウイルスファミリーのメンバーを指す。複数の実施形態では、ポックスウイルスヴィリオンは、直径約200nm及び長さ約300nmのサイズを有し、典型的には130~375キロベースのDNAの一本鎖セグメント、直鎖状セグメント、二本鎖セグメント中にゲノムを有する。複数の実施形態では、ポックスウイルスは、種痘疹ウイルスである。
【0097】
「単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus)」又は「HSV」という用語は、ヘルペスウイルスファミリーのメンバーを指す。単純ヘルペスウイルス1型及び2型(HSV-1及びHSV-2)は、ヒトヘルペスウイルスファミリーの2つのメンバーであり、ヒトの大部分においてウイルス感染を引き起こすウイルスのセットである。ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)は、DNAウイルスの大きな属であり、全てが共通の構造を共有し、脂質二重層膜に包まれた二十面体カプシド内にカプシド形成された100~200個の遺伝子をコードする、比較的大きな二本鎖の直鎖状DNAゲノムから構成される。腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、異なる種類のHSVに由来し得る。複数の態様では、腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、HSV-1である。複数の態様では、腫瘍溶解性ヘルペスウイルスは、HSV-2である。
【0098】
アデノウイルスは、ヌクレオカプシド及び二本鎖線状DNAゲノムから構成される中型(90~100nm)の非エンベロープ(裸状)の、二十面体ウイルスである。アデノウイルスは、宿主の複製機構を用いて哺乳動物細胞の核内で複製する。「アデノウイルス」という用語は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ブタ、マウス、及びサルアデノウイルス亜属を含むがこれらに限定されないアデノウイルス属科の任意のウイルスを指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、「レンチウイルス」という用語は、複合レトロウイルスの群(又は属)を指す。レンチウイルスは、RNAゲノムを有し、宿主細胞ゲノムに組み込まれる前にRNAをDNAに変換する逆転写酵素を含む。レンチウイルスとしては、HIV(Human Immunodeficiency Virus、ヒト免疫不全ウイルス、HIV1型及びHIV2型を含む)、ビスナ-マエディウイルス(Visna-Maedi Virus、VMV)ウイルス、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(Caprine Arthritis-Encephalitis Virus、CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(Equine Infectious Anemia Virus、EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(Feline Immunodeficiency Virus、FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(Bovine Immune deficiency Virus、BIV)、及びサル免疫不全ウイルス(Simian Immunodeficiency Virus、SIV)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
「複製する」という用語は、その単純な通常の意味に従って使用され、細胞又はウイルスが子孫を産生する能力を指す。当業者は、複製という用語が、DNAに関連して使用される場合、1つの元のDNA分子からDNAの2つの同一の複製を生成する生物学的プロセスを指すことを直ちに理解するであろう。したがって、「複製」という用語は、子孫細胞を継代及び再感染させることを含む。ウイルスの文脈において、「複製する」という用語は、ウイルスが宿主細胞において複製し(ウイルスゲノムを複製し、前記ゲノムをウイルス粒子にパッケージングし)、その後、宿主細胞から子孫ウイルスを放出し、その結果、宿主細胞が溶解する能力を含む。
【0101】
「プラーク形成単位」という用語は、ウイルス学におけるその明白な通常の意味に従って使用され、ウイルス粒子の体積当たりに形成され得る細胞単層中のプラークの量を指す。いくつかの実施形態では、単位は、感受性細胞の単層に感染した場合に形成され得るプラークの数に基づく。例えば、複数の実施形態では、1,000PFU/μlは、ウイルス粒子を含む1μlの溶液が、細胞単層中に1000個の感染性プラークを産生するのに十分なウイルス粒子を含有することを示す。複数の実施形態では、プラーク形成単位は、「PFU(Plaque Forming Units)」と略される。
【0102】
「感染多重度(Multiplicity Of Infection)」又は「MOI」という用語は、ウイルス学におけるその明白な通常の意味に従って使用され、所与の面積又は体積における、感染因子(例えば、アデノ随伴ウイルス)対標的(例えば、細胞)の比を指す。複数の実施形態では、面積又は体積は均質であると仮定される。
【0103】
「疾患」又は「状態」という用語は、本明細書に提供される化合物又は方法で治療し得る患者又は対象の存在状態又は健康状態を指す。疾患は、神経変性疾患であり得る。複数の実施形態では、神経変性性疾患は、緑内障(開放隅角緑内障及び狭/閉塞隅角緑内障、原発緑内障、及び続発性緑内障、正常眼圧緑内障、及び高IOP緑内障を含む)、乾性(非滲出型)及び湿性(滲出型、血管新生型)を含む加齢性黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration、AMD)AMD、脈絡膜血管新生(Choroidal Neo Vascularization、CNV)、脈絡膜新生血管膜(Choroidal Neo Vascular Membranes、CNVM)、嚢胞様黄斑浮腫(cystoid macular oedema、CME)、網膜上膜(epiretinal membranes、ERM)及び黄斑穿孔、近眼関連脈絡膜血管新生、血管及び血管縞、網膜剥離、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular oedema、DME)、網膜色素上皮における萎縮及び肥大病変、網膜静脈閉塞症、脈絡膜網膜静脈閉塞症、黄斑浮腫、腎静脈閉鎖に関連する黄斑浮腫、色素性網膜炎及びその他の遺伝的網膜変性(例えばシュタルガルト病)、未熟児網膜症、その他の視神経症、例えば中毒性視神経症(例えばメタノール、エタンブトール)、非動脈炎性虚血性視神経症、動脈炎性虚血性視神経症/側頭動脈炎、外傷性視神経症(外傷性脳傷害を含む)、突発性頭蓋内圧亢進/偽性脳障害、炎症性視神経症(例えば視神経炎)、圧迫性視神経症(例えば下垂体腺腫)、浸潤性視神経症(例えばサルコイドーシス、リンパ種)、自己免疫視神経症、脂肪蓄積症(例えばテイ-サックス)、栄養性視神経症、レーバー遺伝性視神経症、優性視神経症、フリードリヒ運動失調、放射線誘発性視神経症、医原性視神経症、宇宙飛行関連神経眼症候群(Space flight-Associated Neuro-ocular Syndrome、SANS)、眼の炎症性障害、例えばブドウ膜炎、強膜炎、混濁、屈折異常、例えば近眼、遠視、非点収差又は円錐角膜、神経栄養角膜症、角膜脱神経症、及び促進角膜神経再支配及び糖尿病性角膜症である。
【0104】
複数の実施形態では、疾患は、神経変性非眼科的疾患である。本明細書において提供される組成物(例えば、ウイルス及び核酸)を使用して治療され得る神経変性非眼科疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis、ALS)、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、外傷性脳傷害、パーキンソン-プラス病、ハンチングトン病、末梢神経障害、虚血、発作、頭蓋内出血、脳出血、重金属、工業溶媒、薬物及び化学療法薬からなる群より選択される毒性化合物への曝露によって引き起こされる神経損傷、物理的、機械的又は化学的外傷によって引き起こされる神経系への損傷、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、重症筋無力症、筋ジストロフィー、進行性筋萎縮、原発性側索硬化症(Primary Lateral Sclerosis、PLS)、脊髄性筋萎縮、遺伝性筋萎縮、無脊椎動物椎間板症候群、頚椎症、神経叢障害、胸部出口破壊症候群、ポルフィリン症、仮性球麻痺、進行性球麻痺、多系統萎縮症、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、レヴィー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脱髄疾患、ギラン・バレー症候群、多発性硬化、シャルコー・マリー・ツース病、プリオン疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群(Gerstmann-Straussler-Scheinker syndrome、GSS)、致死性家族性不眠症(Fatal Familial Insomnia、FFI)、ウシ海綿状脳症、ピック病、てんかん、AIDS痴呆症候群。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される顕性不活性ポリペプチドは、ヘルペスウイルス再活性化を予防するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される顕性不活性ポリペプチドは、異常な神経細胞再生を予防するために使用される。いくつかの実施形態では、疾患は、化学療法誘発性末梢神経障害(Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy、CIPN)であり、例えば、化学療法剤への曝露によって引き起こされる神経損傷である。いくつかの実施形態では、疾患は、難聴障害、例えば、加齢性難聴、化学療法誘発性難聴、遺伝性難聴、アミノグリコシド誘発性難聴、外傷誘発性難聴、及び騒音誘発性難聴である。
【0105】
疾患(例えば、緑内障)に関連する物質又は物質の活性若しくは機能の文脈において、「関連した(associated)」又は「~に関連する(associated with)」という用語は、その疾患が(全体的に又は部分的に)引き起こされるか、あるいはその疾患の症状が(全体的に又は部分的に)物質又は物質の活性若しくは機能によって引き起こされることを意味する。
【0106】
本明細書で使用される「異常な」という用語は、正常とは異なることを指す。酵素活性を説明するために使用される場合、異常とは、正常な対照又は正常な非疾患対照試料の平均よりも、大きい若しくは小さい活性を指す。異常な活性とは、疾患をもたらす活性の量を指してもよく、(例えば、本明細書に記載の方法を使用することによって)異常な活性を正常な量又は非疾患関連量に戻すことにより、疾患又は1つ以上の症状の低減がもたらされる。
【0107】
「患者」又は「必要とする対象」とは、本明細書に提供されるような組成物又は医薬組成物の投与によって治療し得る疾患(例えば、緑内障)又は状態に罹患しているか、又は罹患しやすい生物を指す。非限定的な例としては、ヒト、その他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、及びその他の非哺乳動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。
【0108】
本明細書で使用される場合、状態、疾患若しくは障害、又は状態、疾患若しくは障害に関連する症状を「治療すること(treating)」又は「の治療(treatment of)」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。有益な又は所望の臨床結果としては、1種以上の症状又は状態の緩和又は改善、状態、障害又は疾患の程度の減少、状態、障害又は疾患の状態の安定化、状態、障害又は疾患の発症の予防、状態、障害又は疾患の拡大の予防、状態、障害又は疾患の進行の遅延あるいは緩徐化、状態、障害又は疾患の発症の遅延あるいは緩徐化、状態、障害又は疾患の状態の改善あるいは緩和、及び寛解(部分的であれ全体的であれ)が挙げられ得るが、これらに限定されない。「治療すること」はまた、治療の非存在下で予測される生存を超えて、対象の生存を延長することを意味し得る。「治療すること」はまた、状態、障害又は疾患の進行を阻害すること、状態、障害又は疾患の進行を一時的に遅らせることを意味し得るが、場合によっては、状態、障害又は疾患の進行を永続的に停止させることを含む。本明細書で使用される場合、治療(treatment)、治療する(treat)、又は治療すること(treating)という用語は、プロテアーゼの発現によって特徴付けられる疾患若しくは状態の1種以上の症状、又はプロテアーゼの発現によって特徴付けられる疾患若しくは状態の症状の影響を低減する方法を指す。したがって、開示される方法において、治療は、確立された疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の低減を指し得る。例えば、疾患を治療するための方法は、対照と比較して対象における疾患の1種以上の症状の10%の低減がある場合、治療であると見なされる。したがって、低減は、天然又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は10%~100%の間の任意のパーセント低減であり得る。治療は、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の治癒又は完全な除去を必ずしも指すわけではないことが理解される。更に、本明細書で使用される場合、減少、低減、又は阻害への言及は、対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上の変化を含み、このような用語は、完全な排除を含み得るが、必ずしも含まない。
【0109】
本明細書で使用される「治療すること(Treating)」及び「治療(treatment)」には、予防的治療が含まれる。治療方法は、対象に、治療有効量の活性剤を投与することを含む。投与段階は、単回投与からなり得るか、又は一連の投与を含んでもよい。治療期間の長さは、状態の重症度、患者の年齢、活性剤の濃度、治療に使用される組成物の活性、又はそれらの組み合わせなどの様々な要因に依存する。治療又は予防のために使用される薬剤の有効投薬量が特定の治療計画又は予防計画の間に増減し得ることもまた、理解されよう。投薬量の変更は、当該技術分野で周知の標準的な診断アッセイによってもたらされ、かつそれによって明白になり得る。いくつかの場合、慢性投与が必要とされる場合がある。例えば、組成物は、患者を治療するのに十分な量と持続時間とで、対象に投与される。複数の実施形態では、治療すること又は治療は、予防的治療ではない。
【0110】
予防的使用のために、本明細書に記載される組成物の治療有効量は、早期発症の前又はその間に(例えば、癌の初期徴候及び症状の際に)対象に投与される。治療処置は、疾患の診断又は発症の後に、本明細書に記載される治療有効量の薬剤を対象に投与することを含む。
【0111】
「用量」及び「投薬量」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。用量は、各投与で個体に与えられる活性成分の量を指す。用量は、所与の治療のための正常な用量の範囲、投与頻度、個体の大きさ及び許容度、状態の重症度、副作用のリスク、及び投与経路を含む、いくつかの要因に応じて変化する。当業者は、用量が、上記の因子に依存して、又は治療の進行に基づいて変更され得ることを認識するであろう。「剤形」という用語は、医薬又は医薬組成物の特定の形式を指し、投与経路に依存する。例えば、剤形は、噴霧化のための液体形態(例えば、吸入剤)、錠剤若しくは液体(例えば、経口送達のため)、又は生理食塩水(例えば、注射のため)であり得る。
【0112】
本明細書で使用される「治療上有効な用量又は量」とは、それが投与される効果(例えば、疾患の治療又は予防)をもたらす用量を意味する。その正確な用量及び配合は、治療の目的に依存し、周知の技術を使用して当業者によって解明可能であろう(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20 th Edition,Gennaro,Editor(2003),and Pickar,Dosage Calculations(1999)を参照のこと)。例えば、所与のパラメータについて、治療有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、又は少なくとも100%の増減を示すであろう。治療有効性は、「~倍」の増減としても表され得る。例えば、治療有効量は、対照よりも少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、又はそれを超えて効果的であり得る。治療上有効な用量又は量は、疾患の1種以上の症状を改善し得る。治療上有効な用量又は量は、それが投与される効果が疾患を発症するリスクがある人物を治療することである場合、疾患又は疾患の1種以上の症状の発症を予防又は遅延させ得る。
【0113】
本明細書で使用される場合、「投与すること」という用語は、その単純かつ通常の意味に従って使用され、対象への、経口投与、坐薬としての投与、局所接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内、鼻腔内、若しくは皮下投与、又は徐放デバイス、例えば、小型浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は非経口及び経粘膜(例えば、口腔、舌下、口蓋、歯肉、経鼻、膣内、直腸内、又は経皮)を含む、任意の経路による。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内の投与が挙げられる。その他の送達様式としては、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が挙げられるが、これらに限定されない。複数の実施形態では、投与は、列挙された活性剤以外のいかなる活性剤の投与も含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロモータ10発現構築物及び組成物は、感覚神経細胞などの神経細胞に投与される。いくつかの実施形態では、プロモータ10発現組成物は、網膜細胞、例えばRGC、光受容細胞、RPE細胞、又は双極細胞、アマクリン細胞若しくは水平細胞などの眼神経細胞に投与される。いくつかの実施形態では、投与は、眼内送達、例えば、硝子体内注射による。
【0114】
「同時投与する」とは、本明細書に記載される組成物が、1種以上の更なる治療剤の投与、例えば、化学療法、ホルモン療法、放射線療法、又は免疫療法などの癌療法のための投与と同時に、その直前に、又はその直後に投与されることを意味する。本発明の化合物は、単独で投与され得るか、又は患者に同時投与され得る。同時投与は、個別に、又は組み合わせて(2種以上の化合物)化合物の同時投与又は順次投与を含むよう、意図される。このため、調製物は、所望の場合、(例えば、代謝分解を低減するために)その他の活性物質と組み合わせられ得る。本発明の組成物は、経皮的に送達することも、局所経路によって送達することも、アプリケータスティック、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、クリーム、軟膏、ナノ粒子、ペースト、ゼリー、塗布剤、粉末、及びエアロゾルとして製剤化することもできる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、「生理学的に許容可能な」及び「薬理学的に許容可能な」と同義的に使用される。医薬組成物は、一般に、緩衝剤及び貯蔵中の保存のための薬剤を含み、投与経路に応じて、適切な送達のための緩衝液及びキャリアを含み得る。
【0116】
「薬学的に許容可能な賦形剤」及び「薬学的に許容可能なキャリア」は、対象への活性剤の投与及び対象による吸収を補助し、患者に重大な有害毒性作用を引き起こすことなく、本発明の組成物に含まれ得る物質を指す。薬学的に許容可能な賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、標準生理食塩水、乳酸化リンガー液、標準スクロース、標準グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、食塩水(リンガー溶液等)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物、例えば、ラクトース、アミロース、又はデンプン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色剤等が挙げられる。このような調製物は、滅菌され得、所望の場合、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤、及び/又は本発明の化合物と有害に反応しない芳香物質などの助剤と混合し得る。当業者は、その他の薬学的賦形剤が、本発明において有用であることを認識するであろう。
【0117】
薬学的製剤は、好ましくは単位剤形である。このような形態では、調製物は、適切な量の活性成分を含む単位用量に細分化される。
【0118】
ウイルス組成物
とりわけ、本明細書で提供されるウイルス組成物は、細胞において核酸配列(例えば、第1の異種核酸配列、第2の異種核酸配列)を発現させるのに有用なウイルス組成物である。ウイルス発現系は、ウイルスゲノム(例えば、ウイルスベクター)にパッケージングされ得るヌクレオチドの能力によって制限され得る。例えば、アデノウイルス(adenoviruses、Ad)は約8.5キロベースの能力を有し、アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Viruses、AAV)は約4.7キロベースの能力を有し、レンチウイルスは約8.5キロベースの能力を有する。出願人は、ウイルスゲノムの能力における制限にもかかわらず、ウイルスにおける2つ以上の異種核酸配列の発現を可能にするプロモータを同定した。したがって、第2のプロモータの必要性が回避される。例えば、本明細書で提供されるプロモータは、反対方向(例えば、二本鎖DNAの一方の鎖からのセンス配向、及び二本鎖DNAの第2の鎖からのアンチセンス配向)の2つの別個の転写物の産生を可能にする。したがって、プロモータは、2つの作動可能に連結された核酸配列の同時発現を可能にする。
【0119】
本明細書で使用される場合、「プロモータ」は、核酸セグメント(例えば、転写解読枠を有する、導入遺伝子)に作動可能に連結された場合に、その核酸セグメントの転写を指向し得る、転写調節配列である。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10、配列番号21、配列番号25、又は配列番号26に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号25の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号26の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。
【0120】
本明細書で提供されるプロモータは、双方向性プロモータとして機能することが可能である。本明細書で使用される「双方向性プロモータ」は、DNAの相補鎖上に位置する2つの遺伝子間の遺伝子間領域に位置する、転写調節配列である。双方向性プロモータは、2つの遺伝子の転写を反対方向に指向する。例えば、双方向性プロモータは、センス配向及びアンチセンス配向で、2つの遺伝子の転写を付与することが可能である。したがって、複数の実施形態では、プロモータは双方向性プロモータである。
【0121】
本明細書で使用される場合、「異種核酸配列」は、実施形態を含む本明細書に提供されるプロモータに対して、天然では作動可能に連結されていない、核酸配列を指す。したがって、本明細書で提供される異種核酸配列は、本明細書で提供されるプロモータ(例えば、プロモータ10など)と同じ関係で、天然には見出されない。本明細書で提供される異種核酸配列は、治療剤又は検出可能な作用因子をコードする配列を含む。本明細書で提供されるウイルスは、ウイルスゲノム(例えば、ウイルスベクター)においてウイルス2Aエレメント又は弱いIRESエレメントを使用することが望ましくないか、又は実行可能でない場合に、有用であり得る。したがって、複数の実施形態では、本明細書で提供されるウイルスは、ウイルス2Aエレメント又はIRESエレメントを含まない。複数の実施形態では、本明細書で提供されるウイルスは、ウイルス2Aエレメントを含まない。複数の実施形態では、ウイルスは、IRESエレメントを含まない。
【0122】
一態様では、i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、ii)プロモータの3’末端に結合した第1の異種核酸配列と、iii)プロモータの5’末端に結合した第2の異種核酸配列と、を含む核酸が提供される。複数の実施形態では、プロモータはウイルスに対して外因性である。例えば、本明細書で提供されるプロモータは、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルスに由来しない。
【0123】
「結合する(Attach)」又は「結合(attachment)」とは、核酸配列の、別個の核酸配列への、直接的な共有結合又は間接的な共有結合を指す。例えば、核酸配列(例えば、プロモータ)は、間に介在配列を伴わずに、別個の核酸配列(例えば、第1の異種核酸配列又は第2の異種核酸配列)に直接結合されてもよい。あるいは、核酸配列(例えば、プロモータ)は、1つ以上の介在核酸配列(例えば、リンカー配列、介在配列、インスレータ配列など)を介して、別個の核酸配列(例えば、第1の異種核酸配列又は第2の異種核酸配列)に間接的に結合されてもよい。したがって、プロモータの3’末端への第1の異種核酸配列の結合は、間に介在配列を有さない直接結合であり得る。あるいは、プロモータの3’末端への第1の異種核酸配列の結合は、第1の異種核酸配列をプロモータに連結する1つ以上の介在配列(例えば、介在配列)との間接的な結合であり得る。
【0124】
本明細書において提供されるプロモータは、第1の異種核酸配列によってコードされる第1の治療剤又は検出剤の発現、及び第2の異種核酸の逆相補体によってコードされる第2の治療剤又は検出剤の発現を可能にする。例えば、一本鎖(single-stranded、ss)ゲノムの複製は、一方の鎖からの第1の治療剤又は検出可能な作用因子の発現、及び相補鎖上での第2の治療剤又は検出可能な作用因子の発現を可能にする。別の例では、二本鎖(double-stranded、ds)ゲノムは、一方の鎖からの第1の治療剤又は検出可能な作用因子の発現、及び相補鎖上での第2の治療剤又は検出可能な作用因子の発現を可能にする。
【0125】
本明細書で使用される「治療剤」は、対象に投与された場合に、意図される予防効果又は意図される治療効果を有する薬剤(例えば、本明細書に記載される化合物又は組成物)を指す。意図される予防効果は、損傷、疾患、病状若しくは状態の発症(若しくは再発)を予防若しくは遅延させること、又は損傷、疾患、病状若しくは状態、あるいはそれらの症状の発症(若しくは再発)の可能性を低減することを含み得る。意図される治療効果は、寛解、症状の減少、又は損傷、病状、若しくは状態を患者にとってより耐えられるようにすること、変性又は減退の速度を遅くすること、変性の最終点をそれほど衰弱させないこと、又は、患者の身体的な健康又は精神的な健康を改善すること、などの、治療の任意の客観的パラメータ又は主観的パラメータを含む、損傷、疾患、病状若しくは状態、あるいはそれらの症状の治療又は改善を含み得る。意図される予防効果又は治療効果は、疾患又は疾患の症状に関連する分子(例えば、遺伝子、タンパク質)の活性又は機能を調節することによって達成され得る。例えば、治療剤は、疾患に関連する遺伝子の変異型を修飾してもよい。治療剤は、疾患に関連するタンパク質の活性を減少させてもよい。別の例では、治療剤は、疾患又は疾患の症状に関連する分子のレベルを変性してもよい。例えば、治療剤は、疾患に関連する遺伝子の発現を阻害する場合がある。「核酸によってコードされる」生成物(例えば、第1の治療剤又は第2の治療剤)は、ポリペプチド(例えば、Cas9など)又は核酸(例えば、gRNAなど)であってもよい。
【0126】
本明細書で使用される「検出可能な作用因子」とは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又はその他の物理的手段によって検出可能な組成物を指す。検出可能な作用因子は、タンパク質であってもよい。例えば、検出可能な作用因子は、蛍光タンパク質又は発光タンパク質であってもよい。蛍光タンパク質としては、mCherry蛍光タンパク質、エメラルド蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質(GFP)、及び増強GFP(EGFP)が挙げられる。蛍光タンパク質としては、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン色蛍光タンパク質、及びサファイア蛍光タンパク質、並びにサンゴ色蛍光タンパク質が挙げられる。発光タンパク質としては、ルシフェラーゼ、エクオリン及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0127】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤又は第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤又は第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第2の治療剤又は第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤又は第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。
【0128】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は第1の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は第2の治療剤をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は第2の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は第1の治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第2の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤をコードする配列の逆相補体である。
【0129】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は、第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は第2の検出可能な作用物質をコードし、第2の異種核酸配列は第1の検出可能な作用物質をコードする配列の逆相補体である。
【0130】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、治療剤又は検出可能な作用因子をコードする。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、治療剤をコードする。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、検出可能な作用因子をコードする。複数の実施形態では、第2の異種核酸配列は、治療剤又は検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第2の異種核酸配列は、治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第2の異種核酸配列は、検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。
【0131】
複数の実施形態では、第1の治療剤及び第2の治療剤は独立して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、RNAガイドRNAヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、ガイドRNA(gRNA)である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、治療用タンパク質である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、抗体である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドRNAである。複数の実施形態では、第2の治療剤は、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第2の治療剤は、ガイドRNA(gRNA)である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、治療用タンパク質である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、抗体である。
【0132】
本出願人は、実施形態を含む本明細書に提供されるプロモータ(例えば、双方向性プロモータ)を使用して、CRISPR系(例えば、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、gRNAなど)を送達し得ることを、実証した。例えば、本明細書で提供されるプロモータ(例えば、双方向性プロモータ)は、Cas12a又はCas9を一方向(例えば、DNAアンチセンス鎖)に発現することが可能であるが、一方で、1つ以上のガイドRNAは、その他の方向(例えば、DNAセンス鎖)に発現される。当該技術分野で周知の一方向性プロモータと比較して、実施形態を含む本明細書に提供されるプロモータは、CRISPR系構成要素(例えば、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、gRNA等)の発現レベルの増加を示す。例えば、CRISPR系の構成要素が一方向性プロモータから発現されて単一の転写物を生成する場合、ある特定のCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9、Cas12a等)は、それら自体のmRNA転写物を切断することが可能であり、それによって発現レベルを低下させる。対照的に、本明細書で提供されるプロモータ系は、2つの別個のmRNAを生成することが可能であり、それによって、転写物切断の潜在的な問題を回避する。
【0133】
更に、本明細書で提供されるプロモータは、当該分野で周知の双方向性プロモータを改良する。例えば、双方向性プロモータ、例えば、ヒトH1プロモータ(例えば、米国特許公開第20160074535(A1)号に記載されている)は、一方の末端からの(例えば、センス方向における)Pol II発現、及びその他方の末端からの(例えば、アンチセンス方向における)Pol III発現を利用するが、発現系(例えば、ウイルス)の発現能力を、1種のタンパク質及び1種の比較的短いgRNAに制限する。科学的理論に拘束されることを望むものではないが、Pol IIIプロモータは、典型的には、短い転写物の発現に適しており、それによってPol IIIプロモータが(例えば、多重遺伝子編集のために)複数のgRNAを効果的に発現することを妨げる。対照的に、実施形態を含む本明細書に提供されるプロモータは、両端からのPol II発現を利用し、それによって2種のタンパク質又は1種のタンパク質及び複数のgRNAの発現が可能になる。更に、複数の実施形態を含む本明細書で提供されるプロモータは、神経細胞(例えば、網膜神経細胞)における、異種核酸配列の高発現レベルが可能である。当該技術分野で周知のその他の双方向性プロモータ(例えば、CAGプロモータ)は、神経細胞における遺伝子発現が可能である。しかしながら、本明細書で提供されるプロモータは、これらのプロモータの1/8の長さであり、同等の発現レベルを示す。
【0134】
複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。複数の実施形態では、第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a(Cpf1)、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ、又はそれらの変異型である。複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas9又はその変異型である。複数の実施形態では、RNAガイドエンドヌクレアーゼは、Cas12a(Cpf1)又はその変異型、例えば、enAsCas12aである(Kleinstiver,et al,2019,Nat Biotechnol.37(3):276-282)。複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ又はその変異型である。
【0135】
複数の実施形態では、第1の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。複数の実施形態では、第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、dCas9、dCpf1、又はddCpf1である。複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、dCas9である。複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、dCpf1である。複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、ddCpf1である。
【0136】
ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、1つ以上の転写活性化因子又は転写抑制因子に融合されてもよく、それによって1つ以上の標的遺伝子の発現レベルの調節が可能になる。したがって、複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、転写活性化因子又は転写抑制因子に融合される。「転写抑制因子」という用語は、遺伝子又は遺伝子のセットの、遺伝子転写を減少させるタンパク質を指す。「転写活性化因子」という用語は、遺伝子又は遺伝子セットの、遺伝子転写を増加させるタンパク質を指す。複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、転写抑制因子に融合される。複数の実施形態では、転写抑制因子は、KRABドメイン又はDNMTドメインである。複数の実施形態では、転写抑制因子は、KRABドメインである。複数の実施形態では、転写抑制因子は、DNMTドメインである。複数の実施形態では、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、転写活性化因子に融合される。複数の実施形態では、転写活性化因子は、VP64、p65、Rta、又はそれらの2つ以上の組み合わせである。複数の実施形態では、転写活性化因子は、VP64である。複数の実施形態では、転写活性化因子は、p65である。複数の実施形態では、転写活性化因子は、Rtaである。
【0137】
複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。複数の実施形態では、第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼである。複数の実施形態では、RNAガイドRNAヌクレアーゼは、Cas13である。
【0138】
複数の実施形態では、gRNAは、複数のgRNAを含む。例えば、gRNAは、1、2、3、4、5超のgRNAを含んでもよく、各gRNAは、異なる標的配列を有する。
【0139】
本明細書で提供されるウイルスについて、複数の実施形態では、第1の検出可能な作用物質及び第2の検出可能な作用物質は、独立して、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、第1の検出可能な作用因子は、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、第2の検出可能な作用因子は、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、GFP、eGFP、Scarlet、又はルシフェラーゼである。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、eGFPである。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、Scarletである。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、ルシフェラーゼである。
【0140】
本出願人は更に、本明細書において提供されるウイルス組成物が、神経細胞死を阻害する治療剤を発現させるために使用され得ることを、発見した。例えば、治療剤は、神経細胞(例えば、RGC)の生存を改善するペプチドを含んでもよい。治療剤は、顕性不活性SARM1、顕性不活性DLK、及び顕性不活性LZKペプチドを含んでもよい。顕性不活性DLK及び顕性不活性LZK並びにそれらを産生するための方法は、PCT国際公開特許WO2020/168111号、及びXu,Zらの「The MLK family mediates c-Jun N-terminal kinase activation in neuronal apoptosis」、Molecular and cellular biology vol.21,14(2001):4713-24.doi:10.1128/MCB.21.14.4713-4724.2001に、詳細に記載されており、それら全体が、本明細書に参照として組み込まれている。
【0141】
複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性SARM1であり、第2の治療剤は顕性不活性DLKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLKであり、第2の治療剤は顕性不活性SARM1である。顕性不活性SARM1及びそれを産生する方法は、PCT国際公開特許WO2019079572号、及びGeisler,Stefanie et al.,Gene therapy targeting SARM1 blocks pathological axon degeneration in mice.The Journal of Experimental Medicine vol.216,2(2019):294-303.doi:10.1084/jem.20181040.に記載されており、それら全体が本明細書に参照として組み込まれている。
【0142】
複数の実施形態では、第1の治療剤は、細胞質NMNAT1又はその断片であり、第2の治療薬は、顕性不活性SARM1である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、顕性不活性SARM1であり、第2の治療剤は、細胞質NMNAT1又はその断片である。複数の実施形態では、細胞質NMNAT1は、その核局在化シグナルに1つ以上の変異を含む。NMNAT1及びそれを産生するための方法は、当該技術分野において周知であり、Babetto et al.,2010、「PTargeting NMNAT1 to axons and synapses transforms its neuroprotective potency in vivo」 J Neurosci 30(40):13291-304)、及びBerger,et al.、Subcellular Compartmentation and Differential Catalytic properties of Three Human Nicotinamide Mononuclease Adenyltransferase Isoforms.J Biol Chem 280(43)、36334-36341,2005に詳細に記載されており、それら全体が、本明細書に参照として組み込まれている。核局在化シグナルにおける変異を含むNMNAT1及びそれを産生するための方法は、Sasaki et al,Stimulation of Nicotinamide adenine dinucleotide biosynthesis pathways delays axon degeneration after Axotomy.J.Neurosci 26:8484-8491,2006に詳細に記載されており、それら全体が、本明細書に参照として組み込まれている。
【0143】
複数の実施形態では、第1の治療剤は細胞質NMNAT1又はその断片であり、第2の治療剤は顕性不活性LZKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤は細胞質NMNAT1又はその断片である。
【0144】
複数の実施形態では、第1の治療剤はNMNAT2であり、第2の治療剤は顕性不活性DLKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLKであり、第2の治療剤はNMNAT2である。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLKであり、第2の治療剤はNMNAT2又は細胞内標的化ドメインに欠失を含むNMNAT2ペプチドである。複数の実施形態では、第1の治療剤はNMNAT2又は細胞内標的化ドメインに欠失を含むNMNAT2ペプチドであり、第2の治療剤は顕性不活性DLKである。
【0145】
複数の実施形態では、第1の治療剤はNMNAT2であり、第2の治療剤は顕性不活性LZKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤はNMNAT2である。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤はNMNAT2又は細胞内標的化ドメインに欠失を含むNMNAT2ペプチドである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、NMNAT2又は細胞内標的化ドメインに欠失を含むNMNAT2ペプチドであり、第2の治療剤は、顕性不活性LZKである。
【0146】
複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLK又は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤はオステオポンチンである。複数の実施形態では、第1の治療剤はオステオポンチンであり、第2の治療薬は顕性不活性DLK又は顕性不活性LZKである。例えば、Chen et al.,2011,Osteopontin reduced hypoxia ischemia neonatal brain injury by suppression of apoptosis in a rat pup model.Stroke 42(3):764-769)を参照のことであるが、それら全体が、本明細書に参照として組み込まれている。
【0147】
複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLK又は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤はグルカゴン様ペプチド-1又は脳由来神経栄養因子である。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLKであり、第2の治療薬はグルカゴン様ペプチド-1である。複数の実施形態では、第1の治療剤はグルカゴン様ペプチド-1であり、第2の治療薬は顕性不活性DLKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤はグルカゴン様ペプチド-1である。複数の実施形態では、第1の治療剤はグルカゴン様ペプチド-1であり、第2の治療剤は顕性不活性LZKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性DLKであり、第2の治療薬は脳由来神経栄養因子である。複数の実施形態では、第1の治療剤は脳由来神経栄養因子であり、第2の治療薬は顕性不活性DLKである。複数の実施形態では、第1の治療剤は顕性不活性LZKであり、第2の治療剤は脳由来神経栄養因子である。複数の実施形態では、第1の治療剤は脳由来神経栄養因子であり、第2の治療剤は顕性不活性LZKである。グルカゴン様ペプチド-1及びそれを産生するための方法は、Holscher,C.Potential Role of Glucagon-like Peptide-1(GLP-1)in Neuroprotection.CNS Drugs 26,871-882(2012)、Velmurugan et al.,Neuroprotective actions of Glucagon-like peptide-1 in differentiated human neuroprogenitor cells.J.Neurochem.123(6):919-931(2012)、及びPCT国際公開特許WO2009039964(A2)号に記載されており、それら全体が本明細書に参照として組み込まれている。脳由来神経栄養因子及びそれを産生するための方法は、Osborne,A.et al.Neuroprotection of retinal ganglion cells by a novel gene therapy construct that achieves sustained enhancement of brain-derived neurotrophic factor/tropomyosin-related kinase receptor-B signaling.Cell Death Dis9,1007(2018).https://doi.org/10.1038/s41419-018-1041-8.に記載されており、それら全体が本明細書に参照として組み込まれている。
【0148】
治療用dnDLK又はdnDLK/LZKと共に発現させ得る治療剤の更なる例としては、緩徐なワーラー変性ポリペプチド(wallerian degeneration polypeptide、Wld)、顕性不活性Rho-キナーゼ、又はMMP-3若しくはMMP-1などのマトリックス メタロプロテアーゼ(Matrix Metallo Protease、MMP)が挙げられる。Wld、Rho-キナーゼ、及びMMPは、Conforti P.,et al.、Faulty neuronal determination and cell polarization are reverted by modulating HD early phenotypes.Proc Natl Acad Sci U S A.2018年1月23日、115(4)、Amano M,Chihara K,Nakamura N,Kaneko T,Matsuura Y,KaibuchiK.The COOH terminus of Rho-kinase negatively regulates Rho-kinase activity.J Biol Chem 1999、274:32418-24.、O’Callaghan J,Crosbie DE,Cassidy PS,Sherwood JM,Flugel-Koch C,Lutjen-Drecoll E,Humphries MM,Reina-Torres E,Wallace D,Kiang AS,Campbell M,Stamer WD,Overby DR,O’Brien C,Tam LCS,Humphries P.Therapeutic potential of AAV-mediated MMP-3 secretion from corneal endothelium in treating glaucoma.Hum Mol Genet.2017年4月1日、26(7):1230-1246.doi:10.1093/hmg/ddx028.PMID:28158775、PMCID:PMC5390678、及びBorras T、Buie LK、Spiga MG.に、記載されている。ガイドscAAV2.GRE.MMP1は、ステロイド誘発性緑内障遺伝子治療のための大型動物モデルにおいて、IOPを長期的に低下させる。Gene Ther.2016、23:438-49 https://doi.org/10.1038/gt.2016.14に記載されており、それら全体が本明細書に参照として組み込まれている。
【0149】
神経保護が可能な治療剤の更なる例としては、SCG10/STMN2、BCL-XL、又はTRKB、アクアポリン、CNTF、BDNF、GDNF、NGF、補体阻害剤、GLP-1R若しくはGLP-1、CDKN2B-AS1、GLDN、CHL1、QPCT、TBX20、DGKG、TIMP2、EGR1、EOMES、JUNB、IGFBP2、OSTF1、FGF1、SEMA5A、ESRRG、KBTBD11、RAMP1、ETL4、PRKCQ、CTXN3、NDNF、MAN1A、SDK2、PRPH、SDK1、又はIFI27が挙げられる。
【0150】
複数の実施形態では、(例えば、dnDLK又はdnDLK/LZKをコードする)第1の異種核酸配列は、遺伝子の発現、又は神経保護を増強するための遺伝子によってコードされる産物の活性を阻害する治療剤をコードする、第2の異種核酸配列と共に発現される。複数の実施形態では、治療剤は、阻害される遺伝子を標的とする核酸、例えば、アンチセンスRNA又はshRNAである。複数の実施形態では、治療剤は、MEKK4、MLK2/MAP3K10、PUMA/BBC3、SARM1、ROCK1、ROCK2、TAOK1、TAOK2、TAOK3、TNIK、MAP4K4、MINK1、GSK-3β、GSK-3α、MAP2K7/MKK7、MAP2K4/MKK4、PERK、CHOP、HSP90、SNRK、JNK1(MAPK8)、JNK2(MAPK9)、JNK3(MAPK10)、JUN、ATF2、MEF2A、SOX11、MST1/STK4、MST2/STK3、END1、又はEND2を標的とする。
【0151】
複数の実施形態では、プロモータは、約150~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約160~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約170~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約180~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約190~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約200~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約210~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約220~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約230~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約240~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約250~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約260~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約270~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約280~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約290~約300のヌクレオチド長である。
【0152】
複数の実施形態では、プロモータは、約150~約290のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約280のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約270のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約260のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約240のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約230のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約220のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約210のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約200のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約190のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約180のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約170のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約160のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、又は300のヌクレオチド長である。
【0153】
複数の実施形態では、プロモータは、約200~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約210~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約215~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約220~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約225~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約230~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約235~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約240~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約245~約250のヌクレオチド長である。
【0154】
複数の実施形態では、プロモータは、約200~約245のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約200~約240のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約235のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約230のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約225のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約220のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約215のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約210のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205、210、215、220、225、230、235、240、245、又は250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、205のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約235のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、235のヌクレオチド長である。
【0155】
本明細書に記載される方法において使用されるプロモータは、以下及び実施例に記載されるように、双方向性プロモータ活性を有する。複数の実施形態では、本明細書に開示されるように使用されるプロモータ(例えば、双方向性プロモータ)は、配列番号10(ヒトプロモータ10)、配列番号25(マウスプロモータ10)、又は配列番号27(共通塩基プロモータ10)に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を有し、これらのそれぞれは、「プロモータ10参照配列」と称される場合がある。複数の実施形態では、本明細書に開示されるように使用されるプロモータ(例えば、双方向性プロモータ)は、配列番号21と少なくとも80%の同一性を有する配列を有する。実施例4に示すように、プロモータ10は、TMEM208側で切断され、双方向性プロモータ活性を保持し得る。LRRC29側での短い切断(一般に、約67塩基未満)もまた、活性を保持する場合がある。複数の実施形態では、プロモータのいずれかの末端(例えば、3’末端又は5’末端)における切断は、独立して、限定されないが、1~10の塩基対、10~20の塩基対、15~25の塩基対、20~35塩基の対、25~40の塩基対、30~40の塩基対、35~45の塩基対、40~50の塩基対、45~50の塩基対、又はそれより長い)であってもよい。したがって、配列番号10、配列番号25、又は配列番号27の断片は、双方向性プロモータとして使用されてもよい。なお、プロモータ活性は、参照配列に対してある程度の配列変異を許容し得、参照配列又は参照配列の断片の変異型は、短い欠失又は挿入(例えば、10塩基未満、又は20塩基未満)を含むがこれらに限定されない、双方向性プロモータとして使用され得る。
【0156】
更に、JASPERデータ系を用いてヒトプロモータ10配列(配列番号10)を評価して、転写因子結合部位の共通塩基配列を同定した。配列番号10の配列番号付けを参照して、以下の配列が同定された。Broad単細胞ポータルE2f4によれば、TFAP2C、PRDM9、EGR1、STAT3、THAP11、ZKSCAN5、FL2、ELK4、及びSTAT5bは、マウス成体RGCにおいて発現される(Tran et al,Neuron 104:1039-1055 E12,2019を参照のこと)。任意の特定の理論又は機構に拘束されることを意図するものではないが、1つ以上のドメインは、本発明の構築物が発現されるマウス及びヒト細胞において、TF結合部位として機能する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、独立して選択されるこれらの配列のうちの1つ以上は、本明細書に記載されるプロモータ10変異型及び断片において、保持されてもよい。
【0157】
【表1】
【0158】
プロモータが2つの導入遺伝子(例えば、EGFP及びScarlet)の発現を駆動し、配列番号10を使用して生成される蛍光輝度と比較して各導入遺伝子の蛍光輝度の少なくとも50%を生成する場合、プロモータ断片、切断、又は変異型は、特定の細胞型において、双方向性プロモータ活性を有する。複数の実施形態では、断片、切断、又は変異型は、配列番号10を用いて生成される各導入遺伝子の蛍光輝度の少なくとも75%、又は少なくとも100%を生成する場合、双方向性プロモータ活性を有する。複数の実施形態では、アッセイは、mScarlet(又は対応する断片若しくは変異型)をプロモータのTMEM208末端に、EGFP(又は対応する断片若しくは変異型)をプロモータのLRRC29末端に配置して行われる。
【0159】
複数の実施形態では、一方のDNA鎖上の第1の導入遺伝子の5’末端(例えば、5’末端)と、その他方の導入遺伝子(その他方のDNA鎖(例えば、相補鎖)上にコードされる)の5’末端(例えば、5’末端)の相補体とは、100~300のヌクレオチド、多くの場合、125~300のヌクレオチド、多くの場合、150~300のヌクレオチド、多くの場合、175~300のヌクレオチド、多くの場合、175~240のヌクレオチド、場合によっては、180~235のヌクレオチドの距離だけ、離れている。
【0160】
複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続塩基を含む部分)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性を有する。活性は、例えば、プロモータに作動可能に連結された異種核酸配列の発現レベルを測定することによって、例えば、qPCR、ウェスタンブロット(Western Blot)等、又は生物学分野において周知の任意のその他の方法によって評価され得る。発現レベルは、プロモータに作動可能に連結された異種核酸配列によってコードされる治療剤又は検出可能な作用因子の機能又は活性を検出することによって測定されてもよい。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも81%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも82%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも83%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも84%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも86%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも87%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも88%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも91%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも92%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも93%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも94%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。
【0161】
複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約80%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約81%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約82%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約83%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約84%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約85%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約86%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約87%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約88%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約89%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約90%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約91%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約92%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約93%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約94%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約95%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約96%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約97%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約98%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号10の配列に対して約99%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列を含む。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列である。
【0162】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10に対して少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性、又は少なくとも98%の配列同一性を有し、配列は、配列番号10ではない。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列を含まない。
【0163】
複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続塩基を含む部分)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性を有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも81%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも82%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも83%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも84%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも86%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも87%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも88%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも91%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも92%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも93%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも94%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。
【0164】
複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約80%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約81%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約82%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約83%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約84%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約85%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約86%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約87%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約88%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約89%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約90%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約91%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約92%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約93%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約94%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約95%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約96%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約97%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約98%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、ウイルスは、配列番号21の配列に対して約99%の配列同一性を有するプロモータを含む、ゲノムを有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列を含む。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列である。
【0165】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10のフラグメント又は部分を含む。複数の実施形態では、プロモータは、プロモータ10配列のLLRC29側のヌクレオチド配列(配列番号10)、又はマウスプロモータ10オルソログ配列のLLRC29側のヌクレオチド配列(配列番号25)を含む。
【0166】
本出願人は、ウイルスゲノム中に1つ以上の介在配列を含むことが、第1の治療剤及び/若しくは配列異種核酸配列によってコードされる治療剤並びに/又は検出可能な作用因子の発現を増加させ得ることを、発見した。「介在配列」という用語は、その明白な通常の意味に従って使用され、非コード核酸配列を指す。典型的には、天然に見出される場合、介在配列は、遺伝子内の領域に位置する。介在配列は、DNA配列又は対応するRNA転写物であり得る。天然において、介在配列は、典型的には、転写後及び翻訳前に行われるRNAスプライシングを介して、RNAプロセシング経路の間に除去される。本発明において、介在配列(例えば介在配列の配列)は、ウイルスゲノム内の位置に融合される。介在配列は、第1の異種核酸配列又は第2の核酸配列に結合されてもよい。介在配列は、プロモータの5’末端又は3’末端に結合されてもよい。
【0167】
複数の実施形態では、介在配列は、本明細書において提供されるウイルスに対して異種である。複数の実施形態では、ウイルスゲノムは、1つ以上の介在配列を含む。例えば、本明細書で提供されるゲノムは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の介在配列を含んでもよい。複数の実施形態では、介在配列は、プロモータを第1の異種核酸配列に連結するか、又はプロモータを第2の異種核酸配列に連結する。複数の実施形態では、介在配列は、プロモータを第1の異種核酸配列に連結する。したがって、この場合、介在配列は、プロモータの3’末端に結合される。複数の実施形態では、介在配列は、プロモータを第2の異種核酸配列に連結する。この場合、介在配列は、プロモータの5’末端に結合される。
【0168】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続塩基を含む部分)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0169】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約99%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22の配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22の配列である。
【0170】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続塩基を含む部分)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0171】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約99%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23の配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23の配列である。
【0172】
本出願人は更に、ウイルスゲノムに1つ以上のインスレータ配列を含めることにより、本明細書で提供される治療剤及び/又は検出可能な作用因子の1種以上の発現を増加させ得ることを、見出した。「インスレータ」又は「インスレータ配列」は、第1の異種核酸配列及び/又は第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に隣接する、短い(例えば、2のヌクレオチド~20のヌクレオチド長)核酸配列を指す。したがって、インスレータは、第1の異種核酸配列及び/又は配列異種核酸配列と、隣接配列と、の間に、短い連結エレメントを提供する。複数の実施形態では、ゲノムは、1つ以上のインスレータ配列を含む。
【0173】
複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1の異種核酸配列又は第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1の異種核酸配列の5’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第2の異種核酸配列の5’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1の異種核酸配列の3’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第2の異種核酸配列の3’末端に結合される。
【0174】
本出願人は、gRNAをコードする配列間に1つ以上のインスレータ配列を含めると、gRNAの発現が増加することを発見した。したがって、インスレータ配列は、gRNAをコードする複数の異種核酸配列を連結してもよい。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1のgRNAをコードする第1の核酸配列と、第2のgRNAをコードする第2の核酸配列と、を連結する。複数の実施形態では、インスレータ配列は、複数のgRNAをコードする第1、第2、第3、第4、又はそれ以上の核酸配列を連結する。インスレータ配列は、配列がgRNAをコードする配列の逆相補体である、複数の核酸配列を連結してもよい。複数の実施形態では、インスレータは、第1のgRNAをコードする配列の逆相補体と、第2のgRNAをコードする配列の逆相補体と、を連結する。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1、第2、第3、第4、又はそれ以上の配列を連結するが、これらの配列は、複数のgRNAをコードする配列の逆相補体である。
【0175】
複数の実施形態では、インスレータ配列は、配列番号24の配列を含む。複数の実施形態では、インスレータ配列は、配列番号24の配列である。
【0176】
複数の実施形態では、本明細書で提供されるウイルスは、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)、アデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus)、レンチウイルス(lentivirus)、アデノウイルス(adenovirus)、ワクシニアウイルス(vaccinia virus)、ポックスウイルス(poxvirus)、アルファウイルス(alphavirus)、エンテロウイルス(enterovirus)、パピローマウイルス(papillomavirus)、又はポリオウイルス(poliovirus)である。複数の実施形態では、ウイルスは、単純ヘルペスウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus、AAV)である。複数の実施形態では、ウイルスは、レンチウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、アデノウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、ワクシニアウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、ポックスウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、アルファウイルス・ポリオウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、エンテロウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、パピローマウイルスである。複数の実施形態では、ウイルスは、ポリオウイルスである。
【0177】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、約20nmの小さなウイルスであり、一本鎖DNAゲノムを含む。AAVは、逆方向末端反復(Inverted Terminal Repeats、ITR)を含めて、約4.7キロベースのカーゴ容量を有する。「逆方向末端反復」又は「ITR」は、当該技術分野におけるその通常の意味に従って使用され、その間に介在配列を有する核酸配列の逆相補体が続く、一本鎖核酸配列を指す。核酸配列とIRTの核酸配列の逆相補体との間のヌクレオチドの介在配列は、任意の長さであり得る。例えば、介在配列は、本明細書において提供されるプロモータ、並びに本明細書において提供される第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を含み得るAAVゲノムは、典型的には、ITRに隣接しており、ITRは、DNA複製のための自己プライミング構造として機能し得る。AAVは、一本鎖DNAゲノムを含む。宿主細胞に入ると、AAVゲノムの第2の鎖が合成され得、それによって遺伝子転写が可能になる。
【0178】
複数の実施形態では、AAVウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含むゲノムを有する。複数の実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV113、AAVrh.74、AAV2.7m8、AAV.ANC80、Anc80L65、及びそれらの誘導体、及びAAVDJ、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよい。代表的なAAV血清型(天然に存在するAAV血清型の変性体を含む)の広範なリストは、米国特許第10,662,425号(それら全体が、本明細書に参照として組み込まれている)において、提供される。複数の実施形態では、AAVベクターは、ヴィリオンへのDNAの複製及びパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされるAAVの配列を含む配列を含む。複数の実施形態では、AAVベクターは、全体又は一部が欠失したAAV WT遺伝子の1つ以上を有するが機能的な隣接ITR配列を保持する。
【0179】
複数の実施形態では、AAV(例えば、AAVヴィリオン又はAAV粒子)は、AAVカプシドタンパク質及びAAVベクターを含む。場合によっては、AAVは、ハイブリッド型AAV又はキメラAAVであり、例えば、AAV粒子は、カプシド血清型と比較して異種血清型であるITRを含み得る(例えば、AAV2 ITRとAAV5、AAV6、又はAAV8カプシド)。AAV ITRは、特定の適用に適した任意の血清型であってもよい。
【0180】
本明細書で提供されるウイルスについて、複数の実施形態では、ゲノムは、一本鎖若しくは二本鎖DNA、又は一本鎖若しくは二本鎖RNAを含む。複数の実施形態では、ゲノムは、一本鎖DNAを含む。複数の実施形態では、ゲノムは、二本鎖DNAを含む。複数の実施形態では、ゲノムは、一本鎖RNAを含む。複数の実施形態では、ゲノムは、二本鎖RNAを含む。複数の実施形態では、ウイルスは、組換えウイルスである。
【0181】
核酸
とりわけ、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されるプロモータ及び2つ以上の異種核酸配列を含む核酸である。一態様では、i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、ii)プロモータの3’末端に結合した第1の異種核酸配列と、iii)プロモータの5’末端に結合した第2の異種核酸配列と、を含む核酸が提供される。
【0182】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤又は第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤又は第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第2の治療剤又は第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤又は第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。
【0183】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は第1の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は第2の治療剤をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は第2の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は第1の治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第2の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤をコードする配列の逆相補体である。
【0184】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は、第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は第2の検出可能な作用物質をコードし、第2の異種核酸配列は第1の検出可能な作用物質をコードする配列の逆相補体である。
【0185】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、治療剤又は検出可能な作用因子をコードする。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、治療剤をコードする。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、検出可能な作用因子をコードする。複数の実施形態では、第2の異種核酸配列は、治療剤又は検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第2の異種核酸配列は、治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第2の異種核酸配列は、検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である。
【0186】
複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は第1の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は第2の治療剤をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は第2の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は第1の治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第1の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤をコードする配列の逆相補体である。複数の実施形態では、第1の異種核酸配列は、第2の治療剤をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤をコードする配列の逆相補体である。
【0187】
複数の実施形態では、第1の治療剤及び第2の治療剤は独立して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、RNAガイドRNAヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤は、ガイドRNA(gRNA)である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、治療用タンパク質である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、第1の治療剤は、抗体である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第2の治療剤は、RNAガイドRNAである。複数の実施形態では、第2の治療剤は、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第2の治療剤は、ガイドRNA(gRNA)である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、治療用タンパク質である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、検出可能なタンパク質である。複数の実施形態では、第2の治療剤は、抗体である。
【0188】
複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。複数の実施形態では、第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。
【0189】
複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ、又はそれらの変異型である。複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas9又はその変異型である。複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas12a又はその変異型である。複数の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ又はその変異型である。
【0190】
複数の実施形態では、第1の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。複数の実施形態では、第1の治療剤はヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。
【0191】
複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼである。複数の実施形態では、第1の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAである。複数の実施形態では、第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼである。
【0192】
複数の実施形態では、第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドRNAヌクレアーゼである。例えば、gRNAは、1、2、3、4、5超のgRNAを含んでもよく、各gRNAは、異なる標的配列を有する。
【0193】
複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、EGFR、Scarlet、又はルシフェラーゼである。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、EGFRである。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、Scarletである。複数の実施形態では、検出可能なタンパク質は、ルシフェラーゼである。
【0194】
本明細書で提供される核酸について、複数の実施形態では、プロモータは、約150~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約160~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約170~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約180~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約190~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約200~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約210~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約220~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約230~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約240~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約250~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約260~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約270~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約280~約300のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約290~約300のヌクレオチド長である。
【0195】
複数の実施形態では、プロモータは、約150~約290のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約280のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約270のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約260のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約240のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約230のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約220のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約210のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約200のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約190のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約180のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約170のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150~約160のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、又は300のヌクレオチド長である。
【0196】
本明細書で提供される核酸について、複数の実施形態では、プロモータは、約200~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約210~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約215~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約220~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約225~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約230~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約235~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約240~約250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約245~約250のヌクレオチド長である。
【0197】
複数の実施形態では、プロモータは、約200~約245のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約200~約240のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約235のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約230のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約225のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約220のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約215のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205~約210のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205、210、215、220、225、230、235、240、245、又は250のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約205のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、205のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、約235のヌクレオチド長である。複数の実施形態では、プロモータは、235のヌクレオチド長である。
【0198】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続ヌクレオチドを含むタンパク質)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも81%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも82%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも83%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも84%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも86%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも87%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも88%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0199】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約80%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約81%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約82%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約83%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約84%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約85%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約86%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約87%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約88%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約89%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約90%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約91%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約92%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約93%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約94%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約95%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約96%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約97%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約98%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列に対して約99%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列を含む。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列である。
【0200】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10に対して少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性、又は少なくとも98%の配列同一性を有し、配列は、配列番号10ではない。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号10の配列を含まない。
【0201】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続ヌクレオチドを含むタンパク質)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性を有する。活性は、例えば、プロモータに作動可能に連結された異種核酸配列の発現レベルを測定することによって、例えば、qPCR、ウェスタンブロット(Western Blot)等、又は生物学分野において周知の任意のその他の方法によって評価され得る。発現レベルは、プロモータに作動可能に連結された異種核酸配列によってコードされる治療剤又は検出可能な作用因子の機能又は活性を検出することによって測定されてもよい。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも81%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも82%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも83%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも84%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも86%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも87%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも88%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも89%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0202】
複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約80%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約81%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約82%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約83%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約84%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約85%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約86%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約87%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約88%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約89%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約90%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約91%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約92%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約93%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約94%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約95%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約96%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約97%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約98%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列に対して約99%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列を含む。複数の実施形態では、プロモータは、配列番号21の配列である。
【0203】
複数の実施形態では、核酸は、1つ以上の介在配列を更に含む。複数の実施形態では、介在配列は、プロモータを第1の異種核酸配列に連結するか、又はプロモータを第2の異種核酸配列に連結する。複数の実施形態では、介在配列は、プロモータを第1の異種核酸配列に連結する。複数の実施形態では、介在配列は、プロモータを第2の異種核酸配列に連結する。
【0204】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続ヌクレオチドを含む部分)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0205】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22に対して約99%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22の配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号22の配列である。
【0206】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、少なくとも20、30、又は40の連続ヌクレオチドを含む部分)にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0207】
複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約80%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約81%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約82%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約83%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約84%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約85%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約86%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約87%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約88%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約89%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約90%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約91%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約92%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約93%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約94%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約95%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約96%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約97%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約98%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23に対して約99%の配列同一性を有する配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23の配列を含む。複数の実施形態では、介在配列は、配列番号23の配列である。
【0208】
複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1の異種核酸配列又は第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1の異種核酸配列の5’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第2の異種核酸配列の5’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第1の異種核酸配列の3’末端に結合される。複数の実施形態では、インスレータ配列は、第2の異種核酸配列の3’末端に結合される。
【0209】
複数の実施形態では、インスレータ配列は、配列番号24の配列を含む。複数の実施形態では、インスレータ配列は、配列番号24の配列である。
【0210】
本明細書で提供される核酸について、複数の実施形態では、核酸は、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAである。複数の実施形態では、核酸は、一本鎖DNAである。複数の実施形態では、核酸は、二本鎖DNAである。複数の実施形態では、核酸は、RNAである。
【0211】
一態様では、本開示のヌクレオチド配列のいずれかを有する発現ベクターなどのベクターが提供される。したがって、複数の実施形態では、発現ベクターを使用して、本明細書で提供される第1の異種核酸配列及び/又は第2の異種核酸配列によってコードされる治療剤及び/又は検出可能な作用因子を、産生し得る。発現ベクターは、ウイルスにパッケージングされ得るか、又は細胞(例えば、哺乳動物細胞若しくはヒト細胞株などの真核細胞、又は大腸菌(Escherichia coli)などの原核細胞)にトランスフェクトされ得る。意図される発現ベクターとしては、種々のウイルス配列に基づくウイルスベクター(例えば、AAVベクター)、並びに真核生物標的細胞又は原核生物標的細胞について意図されるものが挙げられるが、これらに限定されない。「標的細胞」(例えば、網膜神経節細胞)は、発現ベクターがトランスフェクトされ、治療剤又は検出可能な作用因子をコードする異種核酸配列が発現される細胞を指す場合がある。したがって、一態様では、実施形態を含む本明細書に提供される核酸を含む発現ベクターが提供される。
【0212】
複数の実施形態では、発現ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。複数の実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV113、AAVrh.74、AAV2.7m8、AAV.ANC80、Anc80L65、及びそれらの誘導体、及びAAVDJ、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよい。代表的なAAV血清型(天然に存在するAAV血清型の変性体を含む)の広範なリストは、米国特許第10,662,425号(それら全体が、本明細書に参照として組み込まれている)において、提供される。
【0213】
複数の実施形態では、発現ベクターは、DNAの複製及びヴィリオンへのパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされるAAVの配列を含む配列を含む。複数の実施形態では、AAVベクターは、全体又は一部が欠失したAAV WT遺伝子の1つ以上を有するが機能的な隣接ITR配列を保持する。
【0214】
使用法
本明細書において提供される組成物(例えば、ウイルス及び核酸)は、細胞において1種以上の治療剤及び/又は検出可能な作用因子を発現させるのに有用であると、考えられる。組成物は、細胞(例えば、神経細胞)における遺伝子発現のための双方向性プロモータとして機能し得る、プロモータを含む。したがって、一態様では、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法であって、細胞を、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルスと接触させることと、細胞に第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法が提供される。
【0215】
複数の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。複数の実施形態では、細胞は、哺乳動物神経細胞である。複数の実施形態では、神経細胞は、感覚神経細胞である。複数の実施形態では、細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は網膜色素上皮(RPE)細胞である。複数の実施形態では、神経細胞は、双極神経細胞、アマクリン神経細胞、又は水平細胞などの、眼神経細胞である。複数の実施形態では、細胞は、網膜神経節細胞(RGC)である。複数の実施形態では、細胞は、感光体細胞である。複数の実施形態では、細胞は、RPE細胞である。
【0216】
別の態様では、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法であって、細胞を、実施形態を含む本明細書に提供される核酸又は実施形態を含む本明細書に提供される発現ベクターと接触させることと、細胞に、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法が提供される。
【0217】
複数の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。複数の実施形態では、細胞は、哺乳動物神経細胞である。複数の実施形態では、細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は網膜色素上皮(RPE)細胞である。複数の実施形態では、細胞は、網膜神経節細胞(RGC)である。複数の実施形態では、細胞は、感光体細胞である。複数の実施形態では、細胞は、RPE細胞である。
【0218】
本明細書で提供される組成物は、最適以下の神経細胞生存及び/又は最適以下の機能によって典型的に特徴付けられる疾患(例えば、緑内障)の治療に有効である、と考えられる。組成物は、驚くべきことに、治療剤をコードする異種核酸を神経細胞に送達し、それによって疾患の治療を可能にするという点で有効である。したがって、別の態様では、必要とする対象において疾患を治療する方法であって、有効量の本明細書に提供されるウイルス(実施形態を含む)、本明細書で提供される核酸(実施形態を含む)、又は本明細書に提供される発現ベクター(実施形態を含む)を、対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0219】
複数の実施形態では、本方法は、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルスの有効量を投与することを含む。複数の実施形態では、本方法は、実施形態を含む本明細書に提供される核酸の有効量を投与することを含む。複数の実施形態では、本方法は、実施形態を含む本明細書に提供される発現ベクターの有効量を投与することを含む。
【0220】
複数の実施形態では、疾患は、神経変性疾患である。複数の実施形態では、疾患は、眼の神経変性疾患である。複数の実施形態では、疾患は、緑内障、加齢性黄斑変性症(AMD)、又は脈絡膜血管新生(CNV)、近眼関連CNV、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、及び網膜静脈閉塞症、又は網膜色素変性症である。複数の実施形態では、疾患は、緑内障である。複数の実施形態では、疾患は、AMDである。複数の実施形態では、疾患は、CNVである。複数の実施形態では、疾患は、近視関連CNVである。複数の実施形態では、疾患は、糖尿病性網膜症である。複数の実施形態では、疾患は、黄斑浮腫である。複数の実施形態では、疾患は、網膜静脈閉塞症である。複数の実施形態では、疾患は、網膜色素変性症である。
【0221】
本明細書で提供される方法について、複数の実施形態では、プロモータのいずれかの側から第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現し得るプロモータ(例えば、プロモータ10又はその変異型など)を含むベクター(例えば、発現ベクター(例えば、AAVベクター))は、「有効量(effective amount)」又は「治療有効量(therapeutically effective amount)」、すなわち、所望の結果を達成するために必要な用量及び期間で有効である量で、投与される。例えば、細胞(例えば、眼神経細胞、RGC細胞など)における第1の治療剤及び第2の治療剤(例えば、神経保護剤)の発現に対する所望の効果は、軸索又は神経細胞保護に関連する症状における、検出可能な改善を含んでもよい、又は、疾患(例えば緑内障)の症状に関連してもよい。あるいは、本明細書で提供されるベクターが予防的に使用される場合、所望の結果は、疾患(例えば、緑内障)の1種以上の症状の実証可能な予防を含む。
【0222】
本明細書で提供される方法について、複数の実施形態では、ベクター(例えば、発現ベクター)は、薬学的に許容可能な媒体、賦形剤、又は希釈剤中で投与されるウイルスベクター、例えば、AAVベクターである。「薬学的に許容可能な(pharmaceutically acceptable)」とは、製剤のその他の成分と適合性であり、その受容個体に有害でないキャリア、希釈剤、賦形剤、及び/又は塩である。例としては、ポロキサマーを含むリン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、又は生理食塩水が挙げられる。治療剤は、懸濁液又は溶液などの様々な形態で提供されてもよい。治療剤は、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤、保存剤、並びに緩衝剤などの製剤化剤と共に投与するために、製剤化されてもよい。あるいは、治療剤は、使用前に適切な媒体(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)で構成するために、凍結乾燥物又は滅菌固体の無菌単離物として提供されてもよい。本発明の治療剤が投与のために調製される場合、それらは、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、又は賦形剤と組み合わされて、薬学的処方物又は単位投薬形態を形成してもよい。
【0223】
複数の実施形態では、投与は、例えば、硝子体内注射による、眼への投与である。複数の実施形態では、組成物(例えば、核酸、発現ベクター、AAVウイルスベクターなど)は、5~500マイクロリットル、多くの場合100~500マイクロリットル、より多くの場合100~400マイクロリットル、最も多くの場合100~250マイクロリットル、例えば100マイクロリットル、150マイクロリットル、200マイクロリットル、又は250マイクロリットルの体積で投与されてもよい。複数の実施形態では、組成物は、5マイクロリットル、100マイクロリットル、150マイクロリットル、200マイクロリットル、250マイクロリットル、400マイクロリットル、又は500マイクロリットルの体積で投与される。
【0224】
複数の実施形態では、ウイルスベクター(例えば、発現ベクター、aAAVウイルスベクターなど)のヒトへの投与は、注射あたり10~1013個のウイルスベクターの投薬量の投与を含む。複数の実施形態では、1回の注射当たり10~1010、1010~1011、1011~1012、又は1012~1013のウイルスベクターが投与される。複数の実施形態では、1回の注射当たり10、1010、1010、1011、1011、1012、又は1013個のウイルスベクターが投与される。
【0225】
複数の実施形態では、本明細書で提供されるベクター(例えば、発現ベクター、ウイルスベクター)は、ウイルス(例えば、ヴィリオン、ウイルス粒子)において投与される。複数の実施形態では、ベクター(例えば、発現ベクター)は、「裸状」DNA又はRNAとして投与されるが、ウイルス(例えば、ヴィリオン、ウイルス粒子)にパッケージングされていない。
【0226】
投薬措置は、最適な治療応答を提供するように調整されてもよい。例えば、一回のボーラス投与で投与してもよいし、いくつかに分けた投与量を経時的に投与してもよいし、あるいは、治療状況の緊急性が示されるのに応じて、投与量を相対的に減量又は増量してもよい。
【0227】
その他の遺伝子治療ベクターとの組み合わせを含む複数の治療を、対象の生涯にわたるものを含めて、任意の対象に施してもよい。
【0228】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示目的のみのためであり、それを考慮した様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれるべきであることが、理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0229】
細胞組成物
本明細書で提供される組成物は、細胞において異種核酸を送達及び発現させるのに有効であると考えられる。したがって、一態様では、実施形態を含む本明細書で提供されるウイルス、実施形態を含む本明細書で提供される核酸、又は実施形態を含む本明細書で提供される発現ベクターを含む細胞が提供される。複数の実施形態では、細胞は、実施形態を含む本明細書に提供されるウイルスを含む。複数の実施形態では、細胞は、実施形態を含む本明細書に提供される核酸を含む。複数の実施形態では、細胞は、実施形態を含む本明細書において提供される発現ベクターを含む。
【0230】
複数の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物神経細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、感覚神経細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は色素上皮細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、双極神経細胞、アマクリン神経細胞、又は水平細胞などの、眼神経細胞である。
【0231】
P実施形態
実施形態P1:遺伝子治療において2つのmRNAの発現を駆動するための、双方向性プロモータ。
【0232】
実施形態P2:プロモータ10である、実施形態P1に記載の双方向性プロモータ。
【0233】
実施形態P3:遺伝子治療がAAV系の遺伝子治療である、実施形態P1に記載の双方向性プロモータ。
【0234】
実施形態P4:プロモータが、神経細胞へのCRISPR機構の送達を可能にする、実施形態P1に記載の双方向性プロモータ。
【0235】
実施形態P5:遺伝子治療において2つのmRNAを発現させる方法であって、実施形態P1形態P1の双方向性プロモータを含む構築物を構築及び送達することを含む、方法。
【0236】
実施形態P6:双方向性プロモータがプロモータ10である、実施形態P5に記載の方法。
【0237】
実施形態P7:遺伝子治療が、AAVに基づく遺伝子治療である、実施形態P5に記載の方法。
【0238】
実施形態P8:プロモータが、神経細胞へのCRISPR機構の送達を可能にする、実施形態P5に記載の方法。
【0239】
実施形態
実施形態1:i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、ii)プロモータの3’末端に結合した第1の異種核酸配列と、iii)プロモータの5’末端に結合した第2の異種核酸配列と、を含むゲノムを有する、ウイルス。
【0240】
実施形態2:第1の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である、実施形態1に記載のウイルス。
【0241】
実施形態3:第1の治療剤及び第2の治療剤は独立して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、検出可能なタンパク質、又は抗体である、実施形態2に記載のウイルス。
【0242】
実施形態4:第1の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤はgRNAであり、第2の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである、実施形態3に記載のウイルス。
【0243】
実施形態5:RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a、クラスII CRISPRエンドヌクレアーゼ、又はそれらの変異型である、実施形態3又は4に記載のウイルス。
【0244】
実施形態6:gRNAは複数のgRNAを含む、実施形態3~5のいずれか一項に記載のウイルス。
【0245】
実施形態7:第1の検出可能な作用因子及び第2の検出可能な作用因子は、独立して検出可能なタンパク質である、実施形態2に記載のウイルス。
【0246】
実施形態8:検出可能なタンパク質は、EGFR、Scarlet、又はルシフェラーゼである、実施形態7に記載のウイルス。
【0247】
実施形態9:プロモータは、約150~約300のヌクレオチド長である、実施形態1~8のいずれか一項に記載のウイルス。
【0248】
実施形態10:プロモータは、約200~約250のヌクレオチド長である、実施形態9に記載のウイルス。
【0249】
実施形態11:プロモータは、配列番号10又は配列番号21の配列を含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載のウイルス。
【0250】
実施形態12:プロモータは、配列番号10の配列を含む、実施形態11に記載のウイルス。
【0251】
実施形態13:プロモータは、配列番号21の配列を含む、実施形態11に記載のウイルス。
【0252】
実施形態14:ゲノムは、1つ以上の介在配列を更に含む、実施形態1~13のいずれか一項に記載のウイルス。
【0253】
実施形態15:介在配列は、プロモータを第1の異種核酸配列に連結するか、又はプロモータを第2の異種核酸配列に連結する、実施形態14に記載のウイルス。
【0254】
実施形態16:介在配列は、配列番号22又は配列番号23に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、実施形態14又は15に記載のウイルス。
【0255】
実施形態17:介在配列は、配列番号22又は配列番号23の配列を含む、実施形態16に記載のウイルス。
【0256】
実施形態18:ゲノムは、1つ以上のインスレータ配列を更に含む、実施形態1~17のいずれか一項に記載のウイルス。
【0257】
実施形態19:インスレータ配列は、第1の異種核酸配列又は第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に結合している、実施形態18に記載のウイルス。
【0258】
実施形態20:インスレータ配列は、配列番号24の配列を含む、実施形態18又は19に記載のウイルス。
【0259】
実施形態21:ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、エンテロウイルス、パピローマウイルス、又はポリオウイルスである、実施形態1~21のいずれか一項に記載のウイルス。
【0260】
実施形態22:ウイルスは、AAVである、実施形態21に記載のウイルス。
【0261】
実施形態23:ゲノムは、一本鎖DNA又は二本鎖DNAを含む、実施形態1~22のいずれか一項に記載のウイルス。
【0262】
実施形態24:ゲノムは、一本鎖RNA又は二本鎖RNAを含む、実施形態1~21のいずれか一項に記載のウイルス。
【0263】
実施形態25:ウイルスは、組換えウイルスである、実施形態1~24のいずれか一項に記載のウイルス。
【0264】
実施形態26:i)配列番号10又は配列番号21の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するプロモータと、ii)プロモータの3’末端に結合した第1の異種核酸配列と、iii)プロモータの5’末端に結合した第2の異種核酸配列と、を含む、核酸。
【0265】
実施形態27:第1の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体であるか、又は第1の異種核酸配列は、第2の治療剤若しくは第2の検出可能な作用因子をコードし、第2の異種核酸配列は、第1の治療剤若しくは第1の検出可能な作用因子をコードする配列の逆相補体である、実施形態26に記載の核酸。
【0266】
実施形態28:第1の治療剤及び第2の治療剤は、独立して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、RNAガイドRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ欠損RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、ガイドRNA(gRNA)、治療用タンパク質、又は抗体である、実施形態27に記載の核酸。
【0267】
実施形態29:第1の治療剤はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであり、第2の治療剤はgRNAであるか、又は第1の治療剤がgRNAであり、第2の治療剤がRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼである、実施形態28に記載の核酸。
【0268】
実施形態30:RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a、クラスIIのCRISPRエンドヌクレアーゼ、又はそれらの変異型である、実施形態28又は29に記載の核酸。
【0269】
実施形態31:gRNAは、複数のgRNAを含む、実施形態28~30のいずれか一項に記載の核酸。
【0270】
実施形態32:第1の検出可能な作用因子及び第2の検出可能な作用因子は、独立して検出可能なタンパク質である、実施形態27に記載の核酸。
【0271】
実施形態33:検出可能なタンパク質は、EGFR、Scarlet、又はルシフェラーゼである、実施形態32に記載の核酸。
【0272】
実施形態34:プロモータは、約150~約300のヌクレオチド長である、実施形態26~33のいずれか一項に記載の核酸。
【0273】
実施形態35:プロモータは、約200~約250のヌクレオチド長である、実施形態34に記載の核酸。
【0274】
実施形態36:プロモータが、配列番号10又は配列番号21の配列を含む、実施形態26~35のいずれか一項に記載の核酸。
【0275】
実施形態37:プロモータは、配列番号10の配列を含む、実施形態36に記載の核酸。
【0276】
実施形態38:プロモータは、配列番号21の配列を含む、実施形態36に記載の核酸。
【0277】
実施形態39:1つ以上の介在配列を更に含む、実施形態26~38のいずれか一項に記載の核酸。
【0278】
実施形態40:介在配列は、プロモータを第1の異種核酸配列に連結するか、又はプロモータを第2の異種核酸配列に連結する、実施形態39に記載の核酸。
【0279】
実施形態41:介在配列は、配列番号22又は配列番号23に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、実施形態39又は40に記載の核酸。
【0280】
実施形態42:介在配列は、配列番号22又は配列番号23の配列を含む、実施形態41に記載の核酸。
【0281】
実施形態43:1つ以上のインスレータ配列を更に含む、実施形態26~42のいずれか一項に記載の核酸。
【0282】
実施形態44:インスレータ配列は、第1の異種核酸配列又は第2の異種核酸配列の5’末端又は3’末端に結合している、実施形態43に記載の核酸。
【0283】
実施形態45:インスレータ配列は、配列番号24の配列を含む、実施形態43又は44に記載の核酸。
【0284】
実施形態46:実施形態26~45のいずれか一項に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【0285】
実施形態47:第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法であって、細胞を実施形態1~25のいずれか一項に記載のウイルスと接触させることと、細胞に、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させることと、を含む、方法。
【0286】
実施形態48:細胞は、哺乳動物細胞である、実施形態47に記載の方法。
【0287】
実施形態49:細胞は、哺乳動物神経細胞である、実施形態47又は48に記載の方法。
【0288】
実施形態50:細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は網膜色素上皮細胞である、実施形態47~49のいずれか一項に記載の方法。
【0289】
実施形態51:第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させる方法であって、細胞を、実施形態26~45のいずれか一項に記載の核酸又は実施形態46に記載の発現ベクターと接触させることと、細胞に、第1の異種核酸配列及び第2の異種核酸配列を発現させることと、とを含む、方法。
【0290】
実施形態52:細胞は、哺乳動物細胞である、実施形態51に記載の方法。
【0291】
実施形態53:細胞は、哺乳動物神経細胞である、実施形態51又は52に記載の方法。
【0292】
実施形態54:細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は色素上皮細胞である、実施形態51~53のいずれか一項に記載の方法。
【0293】
実施形態55:実施形態1~25のいずれか一項に記載のウイルス、実施形態26~45のいずれか一項に記載の核酸、又は実施形態46に記載の発現ベクターを含む、細胞。
【0294】
実施形態56:細胞は、哺乳動物細胞である、実施形態55に記載の細胞。
【0295】
実施形態57:細胞は、哺乳動物神経細胞である、実施形態55又は56に記載の細胞。
【0296】
実施形態58:細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、光受容細胞、又は色素上皮細胞である、実施形態55~57のいずれか一項に記載の細胞。
【0297】
実施形態59:必要とする対象において疾患を治療する方法であって、実施形態1~25のいずれか一項に記載のウイルスの有効量、実施形態26~45のいずれか一項に記載の核酸、又は実施形態46に記載の発現ベクターを前記対象に投与することを含む、方法。
【0298】
実施形態60:疾患が、神経変性疾患である、実施形態59に記載の方法。
【0299】
実施形態61:疾患が、緑内障、加齢性黄斑変性症(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、近眼関連CNV、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、及び網膜静脈閉塞症、又は網膜色素変性症である、実施形態59又は60に記載の方法。
【実施例
【0300】
代表的な研究の紹介
アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用する遺伝子治療は、逆方向末端反復(ITR)を含むウイルスのパッケージング能力(約4.7キロベース(kb))によって制限される。本明細書で提供されるプロモータのコンパクトなサイズは、それらの転写処理能力及び複数の転写物を駆動する能力(実施形態を含む)と組み合わせることでより多くの構築物をコードするベクターの送達を可能にし、従来のAAV構築物よりも長い転写物の発現を可能にする。本明細書に記載される導入遺伝子及びベクターを使用して、治療用タンパク質、CRIS PR関連タンパク質、ガイドRNA、及び阻害性RNAをコードする転写物を標的細胞において発現させ得る。CRISPR系の場合、これは、Casタンパク質をコードする転写物並びにgRNAのアレイをコードする転写物の両方が単一のウイルスによって送達され得る、オールインワン設計を含む。
【0301】
以下に記載するように、20個の候補双方向性プロモータを、一方の側のGFP及びその他方の側のRFPの発現について試験した。それらのうち、一部のみが双方向性及び頑強であることが示され、1つのプロモータ(「プロモータ10」)のみが、中枢神経系(CNS)神経細胞(例えば、網膜神経節細胞)において活性であった。
【0302】
実施例1:プロモータ10は、ヒト胚性腎臓(HEK)293T細胞において強力な双方向性転写を駆動する
本発明者らは、Trinklein et al.,2004、Genome Res.14-62-66、によってバイオ・インフォマティクス的に同定された、推定上の双方向性プロモータを選択した。本発明者らは、一方向性プロモータとしての4つの細胞株において、以前に報告された発現レベル(Trinkleinらを参照のこと)に基づいてそれらを順位付けし、更なる試験のために20個を選択した。本発明者らはまた、長さが約0.35kb未満の候補プロモータに焦点を当てた。各候補プロモータを、mScarlet及びeGFPレポータの発現を同時にかつ外向きに駆動する核外遺伝子にクローニングした。CMVプロモータ及びCAGプロモータもまた、比較のためにそれぞれGFP及びmScarletを発現するために使用した。核外遺伝子をヒト胎児腎臓(HEK)293T細胞にトランスフェクトし、24時間後にMolecular Devices Image Xpress/MetaXpressシステムを用いて蛍光発現の効率を定量した。CMVプロモータを用いて得られたGFP発現及びCAGプロモータを用いて得られたmScalret発現と比較して、プロモータ10(EGFP-LRRC29/TMEM208-mScarlet)を用いたGFP及びmScarletの発現を示す画像を図1に示す。図2は、20個の試験プロモータ並びに比較CAG及びCMVプロモータからの発現を定量する。予期せぬことに、20個のプロモータのうち5個(プロモータ8、9、10、14、15)のみが有意な双方向性発現を有した。プロモータLRRC29/TMEM208(プロモータ10)(配列番号10)は、プロモータの両側で最高レベルの転写(蛍光発現として測定)を有していた。図1は、CAG又はCMVで得られた発現レベルに匹敵する発現レベルを示す。プロモータ干渉及び双方向性プロモータからの伸長に関する周知の問題を考慮すると(例えば、Curtin et al.,Gene Therapy 15:384-390,2008、Core et al.,Science 322:1845-1848,2008)、これは、プロモータ10が独自に干渉を回避し、2つのコードRNAの転写を同時に駆動し得ることを示唆する。
【0303】
実施例2:プロモータ10は、一次マウス網膜神経節細胞において双方向発現を駆動する
有糸分裂後神経細胞の転写因子ミリュー(transcription factor mileu)は、上記で使用した分裂細胞株とは必然的に異なるので、本発明者らは、CNS神経細胞において構築物を試験した。磁性ナノ粒子システム(NeuronMag,OzBiosciences)を使用して、本発明者らは、核外遺伝子を一次マウス網膜神経節細胞(mRGCs)に一過的にトランスフェクトし、24時間後に緑色及び赤色蛍光を画像化した。トランスフェクション効率は、一次神経細胞において、特にHEK293T細胞などの分裂細胞株と比較した場合に低い。したがって、核外遺伝子含有細胞の数は少ない。それにもかかわらず、まばらにトランスフェクトされた細胞において、プロモータ10(配列番号10)は、顕著な双方向発現を提供した(図4A及び図4B)。更に、緑色及び赤色の蛍光が同じ単細胞において観察された(図3)。同じ細胞における緑色及び赤色のこの可視化は、プロモータが、同じ細胞におけるプロモータの両方の末端から離れて転写を駆動し得ることを示唆する。したがって、2つの導入遺伝子を、単細胞で発現させ得る。
【0304】
実施例3:マウス・プロモータ10オルソログ
本発明者らは次に、プロモータ10(配列番号25)のマウス・オルソログをプロモータ10[配列番号10]と比較して試験し、ヒト細胞株HEK293Tにおいて類似の双方向性転写を見出した(図5A及び図5B、「mPromoter 10」=マウスプロモータ10)。ヒト及びマウスプロモータ配列のアラインメント(図6)は高レベルの配列保存を示す。
【0305】
実施例4:プロモータ10の切断の効果
本発明者らの遺伝子送達系のサイズを最適化するために、本発明者らは、プロモータ10を切断して、高レベルの双方向性発現を保持しながらプロモータをより小さくし得るかどうかを評価した。プロモータ活性を、HEK293T細胞において評価した(図5A及び図5B)。本発明者らは、プロモータ(配列番号21)のTMEM208側(LRRC29、hP10マイナスTMEM208と称される無処置の核外遺伝子(hP10-TMEM208))が、いずれの側でも遺伝子発現を有意に変化させず、これによって更に大きなペイロードを有するウイルス構築物設計が可能になることを見出した。対照的に、LRRC29側(無治療の、TMEM208、hP10マイナスLRRC29(hP10-LRRC29)と称されるプラスミド)の67bpでの切断によって双方向の遺伝子発現が破壊されるが、これは重要な転写因子結合部位の存在を示唆している。
【0306】
実施例5:マウスN2A細胞における、プロモータ10駆動CRISPR遺伝子編集系
CRISPR遺伝子編集を実施するためのプロモータ10システムにおける使用のための、Cas12aタンパク質及びgRNA配列を選択するために、本発明者らはまず、4つのCas12a変異型を比較した。Cas 12aタンパク質を、AsCas12a-Ultra(Zhang et al,Nat.Commun.12:3908,2021)、Lb2Cas12a(Tran et al,、Mol Ther.Nucleic Acids 24:40~53、2021)、OpAsCas12a(Gier et al,Commun.11:23455,2020)、及びenAsCas12a(Kleinstiver et al,Nat Biotechnol.37(3):276:282,2019)で評価した。各Cas12a変異型を、プロモータ10の一方の末端から核外遺伝子において発現させ、神経変性遺伝子Dlk及びLzkを標的とする単一のgRNAアレイを発現する、別個の核外遺伝子と組み合わせた(これもプロモータ10から発現される)。逆に、本発明者らはまた、gRNA設計を評価するために、Dlk及びLzkを標的とする一連のgRNA変異型を生成した。gRNAの各セットをプロモータ10の片側から発現させ、プロモータ10の一方の末端からenAsCas12aタンパク質を発現する別の核外遺伝子と組み合わせた。先行する実験は、Cas12a及びgRNA設計を最適化することを意図したものであったが、双方向性プロモータのどちら側が各タスク(すなわち、Casタンパク質発現及びgRNA発現)にとって最良であり得るかについては対処しなかった。これに対処するために、ヒトプロモータ10(配列番号10)を、LRRC29側又はTMEM208側からgRNAを発現する構築物にクローニングした。同様に、Cas12aを、双方向のプロモータと共にクローニングした。核外遺伝子を、神経細胞に分化することが可能なマウス神経堤由来細胞株であるN2A細胞にトランスフェクトした。
【0307】
制限断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism、RFLP)アッセイを使用して、ガイドRNAと複合体化したCas12aタンパク質によって産生された標的変異誘発を評価した。このアッセイのために、予測されるCas12a切断部位が制限酵素認識配列と重複するようにガイドRNAを選択した。内因性非相同末端結合機構(endogenous nonhomologous end joining machinery、NHEJ)によって修復されるCas12aガイド二本鎖切断(DSB)は、制限部位を破壊する挿入変異/欠失変異(「インデル」)を生成する。したがって、遺伝子座の制限酵素切断は、Cas12a遺伝子編集の量に反比例する。
【0308】
N2A抽出ゲノムDNAを用いてPCRを実施した後、RFLPアッセイを以下のように行った(以下の方法を参照のこと)。200ngのPCR産物を、制限エンドヌクレアーゼ反応に使用した。エンドヌクレアーゼACuI(NEB)を用いてDlk変異誘発を評価し、エンドヌクレアーゼAluI(NEB)を用いてLzk変異誘発を評価した。エンドヌクレアーゼについての製造業者のプロトコールに従って、反応物を37℃で1時間、及び80℃で20分間、培養した。制限断片を、1.5%のアガロースゲル上で分離した。図7Aは、Dlk標的遺伝子編集を評価するための結果を示す。図7Bは、Lzk標的遺伝子編集を評価するための結果を示す。各試料は、2つのレーンを有する。左レーンは、未消化のPCR産物である。右レーンは、制限酵素と共に培養したDNAである。
【0309】
最も顕著なゲノム編集は、その他のCas12a変異型と比較して、opAsCas12aを用いた場合にDlk遺伝子座及びLzk遺伝子座の両方において見られた。同様に、gRNAは、TMEM208側から離れて発現された場合(レーン7対5を比較)、Dlk遺伝子座及びLzk遺伝子座の両方で最も有効であった。各gRNAプロトスペーサーの3’末端に付加された小さなスペーサー配列もまた、Dlk遺伝子座(図11)及びLzk遺伝子座(図12)の両方において、遺伝子編集を改善するのに役立った(レーン9対5を比較のこと)。最後に、ヘマグルチニン(HA)タグ付きenAsCas12aの発現を、TMEM208側又はLRRC29側のいずれかからHA-enAsCas12aを駆動するプロモータ10でトランスフェクトした293T細胞の抗HA免疫蛍光染色によって測定した(図13)。対照CAGHA-enAsCas12a構築物に匹敵する発現が、いずれかの側からの発現で見られ、TMEM208側にわずかに優先的であった。
【0310】
本発明者らは、enAsCas12aを選択し、プロモータ10のTMEM208側でenAsCas12a発現を同時に駆動する単一核外遺伝子構築物と、LRRC29側でDlk及びLzk遺伝子を標的とする多重gRNAのアレイとを作製した。単一核外遺伝子構築物を使用する遺伝子編集を、2つの別個の核外遺伝子を使用して、(上記で行ったように)得られた編集と比較した。遺伝子編集を、RFLPアッセイで評価した。図8AはDlkについての結果を示し、図8BはLzkについての結果を示す。各場合において、遺伝子編集は、単一のオールインワン設計を用いて観察された。
【0311】
実施例6:介在配列の効果
プロモータ10による遺伝子発現を更に増強するために、本発明者らは、小さな介在配列を含めることがプロモータの力を改善するのに役立ち得るかどうかを試験した。
【0312】
本発明者らは、ゲノムにわたる小さな介在配列のバイオ・インフォマティクス評価を使用して、候補介在配列を同定した(Abebrese et al.、2017、PLoS One.2017、12(5):e0175393)。候補介在配列を、以下の核外遺伝子構築物にサブクローニングした:プロモータ10(TMEM側)-INTRON SpyCas9-P2A-EGFP snRP転写終結区。snRP転写終結区はあまり効率的ではないため、システムラインにおいてGFPレポータの発現は最小限であるか、又は全くない。本発明者らは、CCDC115、CUEDC2、MAT2A、UQCRFS1、MVM、BRSK2、SV40、ZDHHC2、SLC35F2、SNF286A、未知snf A、未知の名称の遺伝子由来の介在配列、MVM No CBA、及びUQCRFS1介在配列を含む介在配列(これらのそれぞれは、100bp未満である)を試験した。構築物を、HEK293T細胞にトランスフェクトし、24時間後に緑色蛍光についてアッセイした(図9図10)。結果は、CCDC115、CUEDC2、MAT2A、UNKNOWN、UQCRFS及びMVM介在配列からの活性を実証した。次に、同じ構築物をCNS神経細胞にトランスフェクトしたところ、CCDC115及びCUEDC2のみが活性であった。
【0313】
実施例7:インビトロ投与及び発現
プロモータがAAVエピソームの状況において機能するかどうかの第1の試験として、本発明者らは、mScarlet及びEGFPの双方向性転写を駆動するプロモータ10を有するウイルス構築物を作製した。AAV粒子を産生し、10個のウイルスゲノムを、成体C57Bl/6Jマウスに硝子体内注射した。2週間後、網膜をフラットマウントし、赤色/緑色蛍光について調べた。画像(図14)は、両方の導入遺伝子の強固な双方向性発現を示す。焦点面は、神経節細胞層/網膜神経線維層(網膜内軸索によって証明される)にあり、網膜神経節細胞における発現を示す。
【0314】
一方の側でCasタンパク質を、もう一方の側でDLK gRNA+/-介在配列増強を駆動するプロモータ10を使用するCRISPR遺伝子編集系を、DLKのノックアウトが確実に神経保護的であるモデルである視神経挫滅において評価し、RGC生存を評価する。
【0315】
実施例8:インスレータ配列
小さなインスレータ/スペーサー配列、例えば5’-AAAT-3’(配列番号24)の包含もまた、試験した。インスレータスペーサー配列の包含は、gRNAの間に挿入された場合、遺伝子編集を改善した(図12、レーン8~9を参照のこと)。Magnussun et al,、eLIFE 2021:10、e66406,1-20、doi 10.7554/eLife.66406.を参照のこと。
【0316】
実施例9:その他の変更
更なる実験(データは示さず)は、gRNAに続く転写終結区配列、gRNAの長さ、gRNAの順序、及びCas12a酵素上の核局在化シグナルが、遺伝子編集に対して相対的にほとんど影響を及ぼさなかったことを示唆する。
【0317】
実施例10:方法
細胞培養:HEK293細胞を培養し、10%FBSを含むDMEM中で維持した。一次マウスRGCを、パパイン中で網膜を解離させ、抗Thy1.2抗体でコーティングしたプレートを使用して免疫パニングすることによってP0-P2マウス仔から単離した。細胞を24ウェルプレート又は96ウェルプレートに播種し、Lipofectamine 3000又はNeuroMagを使用して、種々の核外遺伝子構築物でトランスフェクトした。
【0318】
画像化:Image Xpress imagerを使用して10倍又は20倍の倍率で細胞を画像化し、MetaXpress画像分析ソフトウェア(Molecular Devices)によって細胞数及びシグナル強度を定量化した。
【0319】
制限酵素消化に基づく遺伝子編集アッセイ:制限酵素消化部位と重複するCRISPR遺伝子編集標的部位を、選択した。PCRを用いて、標的遺伝子破壊部位の周囲に小さなDNA断片を生成した。DNA断片を適切な制限酵素で消化したが、制限酵素によるDNA断片の消化の欠如は、遺伝子標的が、CRISPR遺伝子編集によって破壊されたことを示す。N2AゲノムDNAの調製及び抽出:マウス神経芽細胞腫(N2A)細胞を解離させ、6ウェルプレート上に、ウェル当たりの細胞2.5×10で播種した。翌日、gRNA及びCas12a変異型の選択のために、2つの核外遺伝子を使用する実験において、細胞を、2μgのCas12a発現核外遺伝子、2μgのgRNA発現核外遺伝子、及び1μgのEGFP発現核外遺伝子でトランスフェクトし、又はCas12a並びにgRNA及びeGFP発現核外遺伝子のアレイの両方を含有する1つの発現核外遺伝子でトランスフェクトした。トランスフェクションの36時間後、蛍光活性化細胞選別(Fluorescent-Activated Cell Sorting、FACS)を用いて細胞を収集した。回収した細胞を16,000×gでの遠心分離によってペレット化し、ゲノムDNAを、QuickExtract DNA抽出溶液を用いて細胞から抽出した。
【0320】
【表2-1】
【0321】
【表2-2】
【0322】
【表2-3】
【0323】
CCDC115(80bp)(配列番号22)
CAGCCCTGCAGGGAGAGGAAAGCGGTGAGACTCAGTTTACGCCCGTGTACCC TCCTGCCCGCCCCAGGCGCCTACCTCCT
【0324】
CUEDC2(42bp)(配列番号23):
GGCGGCCCGTCCGGGGCCAGCGGCCGCGACAATAGTCGCGGC
【0325】
インスレータ(配列番号24):
5’-AAAT-3’
【0326】
マウス・プロモータ10(配列番号25):
ggggcctgtc cccgaccaag gcctgaagga ccgctcgctt cctctcacct ccagaggcag cgagtccgcc atcgcagttc tgccgtctcc gcccccacgc aaggttttct gggaagtgta gtcccaccga ctcagggggc ggggcttcgg aaggaaatga aatccacttc cgcccaggag cgaacgattg cgctctttac cggaagtgca tgtgctgccg atgtggtgtc tactgactg
【0327】
逆方向性プロモータ10(配列番号26):
caatcactaa gcaccacatc ggcagctcat gcacttccgg cgcagaccga agtcgtcagc ttttgcgacg gaaataggtc tcacttcctt cccaagcccc gccccaaaga ggcgagacta catttcccag aaagccttgc gcagtggggg cggaggcggc agggatgcga tggcggagtc gctgcccctg gaggtgagag gaagccgccc tcaggcctag ctctggacag gcccc
【0328】
ヒト及びマウスプロモータ10配列のアラインメントからの共通塩基配列(配列番号27)
GGGGCCTGTNCCMGASCWAGGCCTGARGGNNCGNNNGCTTCCTCTCACCTCCAGRGGCAGCGASTCCGCCATCGCAKYYCTGCCGYCTCCGCCCCCACNNNGCAAGGYTTTCTGGGAARTGTAGTCYCRCCNWCTNWKGGGGCGGGGCTTSGGAAGGAARTGARAYCYAYTTCCGYCNCARRAGCKRACGAYTKCGSTCTKYRCCGGAAGTGCATGWGCTGCCGATGTGGTGYYTASTGAYTG
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2024514193000001.app
【国際調査報告】