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特表2024-514203CD5陽性がんを標的とするキメラ抗原受容体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】CD5陽性がんを標的とするキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240321BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/19 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20240321BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240321BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240321BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240321BHJP
   C12N 15/88 20060101ALN20240321BHJP
   C12N 5/0781 20100101ALN20240321BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20240321BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALN20240321BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALN20240321BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240321BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/19
C12N15/33
C12N15/63 Z
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/861 Z
C12N5/10
C12N5/0775
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K35/12
A61K45/00
A61P35/04
A61K35/17
A61K35/15
A61K35/51
A61K35/545
A61K35/28
A61K39/395 N
A61K39/395 T
C12N15/13
C12N15/88 Z
C12N5/0781
C12N5/0783
C12N5/0784
C12N5/0786
C12N15/09 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563211
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2022024842
(87)【国際公開番号】W WO2022221548
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,990
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】シュポール、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】バサール、ラフェット
(72)【発明者】
【氏名】ダヘール、メイ
(72)【発明者】
【氏名】アチャリヤ、スニル
(72)【発明者】
【氏名】ウプレティ、ナディマ
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス コルテス、アナ カレン
(72)【発明者】
【氏名】エンスリー、エミリー
(72)【発明者】
【氏名】マリン コスタ、ダビド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA44
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB44
4C087BB59
4C087BB64
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA44
4C087MA63
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
(57)【要約】
【課題】 CD5(例えば、分化クラスター5またはLEU1またはT1としても知られている)を標的とする操作された細胞受容体に関連する方法および組成物
【解決手段】 本開示の実施形態には、特定の操作された受容体を用いたCD5発現細胞の標的化に関連する方法および組成物が含まれる。特定の実施形態において、NK細胞は、特定のキメラ抗原受容体構築物を用いてCD5抗原と結合するように特異的に操作される。特定の実施形態では、CD5標的化CARを発現するベクターは、特定の自殺遺伝子および/または1つ以上の特定のサイトカインも発現する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されたCD5特異的受容体をコードする配列を含む発現構築物であって、前記受容体は:
(a)CD28膜貫通ドメイン(TM)およびCD28細胞質内ドメイン(ICD);
(b)CD28 TM、CD28 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(c)CD28 TMおよびDAP12 ICD;
(d)CD28 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(e)DAP12 TMおよびDAP12 ICD;
(f)DAP12 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(g)CD28 TMおよび4-1BB ICD;(h)CD28 TM、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(h)CD28 TM、CD28 ICD、および4-1BB ICD;
(i)CD28 TM、CD28 ICD、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(j)CD28 TMおよびDAP10 ICD;
(k)CD28 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(l)DAP10 TMおよびDAP10 ICD;
(m)DAP10 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(n)NKG2D ICD;
(o)NKG2D TM;
(p)NKG2D TMおよびNKG2D ICD;
(q)NKG2D TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(r)CD28 TMおよびNKG2D ICD;
(s)NKG2D ICDおよびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(t)CD28 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(u)4-1BB TMおよび4-1BB ICD;
(v)共刺激ドメインであるICDの不在下でのCD28 TMおよびCD3ゼータ;
(w)CD8 TMおよびCD28細胞質内ドメイン(ICD);
(x)CD8 TM、CD28 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(y)CD8 TMおよびDAP12 ICD;
(z)CD8 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(aa)CD8 TMおよびDAP12 ICD;
(bb)CD8 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(cc)CD8 TMおよび4-1BB ICD;(ee)CD8 TM、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(dd)CD8 TM、CD28 ICD、および4-1BB ICD;
(ee)CD8 TM、CD28 ICD、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(ff)CD8 TMおよびDAP10 ICD;
(gg)CD8 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(hh)CD8 TMおよびDAP10 ICD;
(ii)CD8 ICD;
(jj)CD8 TM;
(kk)CD8 TMおよびNKG2D ICD;
(ll)CD8 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(mm)共刺激ドメインであるICDの不在下でのCD8 TMおよびCD3ゼータ
(nn)CD27 TMおよびCD28細胞質内ドメイン(ICD);
(oo)CD27 TM、CD28 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(pp)CD27 TMおよびDAP12 ICD;
(qq)CD27 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(rr)CD27 TMおよびDAP12 ICD;
(ss)CD27 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(tt)CD27 TMおよび4-1BB ICD;
(uu)CD27 TM、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(vv)CD27 TM、CD28 ICD、および4-1BB ICD;
(ww)CD27 TM、CD28 ICD、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(xx)CD27 TMおよびDAP10 ICD;
(yy)CD27 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;
(zz)CD27 TMおよびDAP10 ICD;
(aaa)CD27 TM;
(bbb)CD27 TMおよびNKG2D ICD;
(ccc)CD27 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;または
(ddd)共刺激ドメインであるICDの不在下でのCD27 TMおよびCD 3ゼータ
のうちの1つを含む、発現構築体。
【請求項2】
前記操作されたCD5特異的受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体である、請求項1に記載の発現構築物。
【請求項3】
前記操作されたCD5特異的受容体はCARである、発現構築物。
【請求項4】
前記CARは、CD5に対するscFvまたはリガンドであるCD標的化細胞外ドメインを含む、請求項3に記載の発現構築物。
【請求項5】
前記CD5特異的CARは、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み、前記CARをコードする配列内の重鎖は、5’から3’方向において軽鎖の上流にある、請求項4に記載の発現構築物。
【請求項6】
前記CD5特異的CARは、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み、前記CARをコードする配列内の重鎖は、5’から3’方向において軽鎖の下流にある、請求項4に記載の発現構築物。
【請求項7】
前記CD5特異的CARは、コドン最適化されたscFvを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項8】
前記CD5特異的CARは、ヒト化scFvを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項9】
前記scFvは、配列番号1によってコードされる、請求項4~6および8のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項10】
前記scFvは、配列番号2を含む、請求項4~6および8のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項11】
前記scFvは、配列番号3によってコードされる、請求項4~6のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項12】
前記scFvは、配列番号4を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項13】
前記CD5特異的CARは、シグナル伝達ペプチドを含む、請求項3~12のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項14】
前記シグナル伝達ペプチドは、CD8アルファ、Ig重鎖、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、CD3シグナル伝達ペプチド、CD4シグナル伝達ペプチド、または1つ以上の他の表面受容体に由来するシグナルペプチドに由来する、請求項13に記載の発現構築物。
【請求項15】
前記TMは、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、または配列番号13によってコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項16】
前記TMは、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、または配列番号14を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項17】
前記ICDは、配列番号15、配列番号17、配列番号19、または配列番号21によってコードされる、請求項1~16のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項18】
前記ICDは、配列番号16、配列番号18、配列番号20、または配列番号22を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項19】
前記受容体はさらに、CD27、OX-40(CD134)、CD40L、2B4、DNAM、CS1、CD48、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80、ICOS、またはそれらの組合せに由来するICDを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項20】
前記操作されたCD5特異的受容体は、CD5特異的scFvと前記膜貫通ドメインとの間にヒンジを含むCD5特異的CARである、請求項1~19のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項21】
前記ヒンジは、IgGヒンジ、CD28ヒンジ、CD8-アルファヒンジであり、前記ヒンジは、Gly3で構成される人工スペーサを含むか、または前記ヒンジは、IgGのCH1、CH2、および/もしくはCH3ドメインを含む、請求項20に記載の発現構築物。
【請求項22】
前記IgGヒンジは、IgG1ヒンジ、IgG2ヒンジ、IgG3ヒンジ、またはIgG4ヒンジである、請求項21に記載の発現構築物。
【請求項23】
前記ヒンジは、配列番号23または25によってコードされる、請求項21に記載の発現構築物。
【請求項24】
前記ヒンジは、配列番号24または配列番号26を含む、請求項21に記載の発現構築物。
【請求項25】
前記サイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、IL-7、IL-23、またはそれらの組合せである、請求項1~24のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項26】
前記操作されたCD5特異的受容体は、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、または配列番号47によってコードされるCARである、請求項1~25のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項27】
前記操作されたCD5特異的受容体は、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、または配列番号48を含むCARである、請求項1~25のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項28】
前記操作されたCD5特異的受容体以外の目的のポリペプチドをコードする、請求項1~27のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項29】
前記目的のポリペプチドおよび前記操作されたCD特異的受容体は、2A要素またはIRES要素によって前記構築物上で分離されている、請求項28に記載の発現構築物。
【請求項30】
前記2A要素は、E2A、T2A、またはP2Aである、請求項29に記載の発現構築物。
【請求項31】
前記E2A要素は、配列番号31によってコードされる、請求項30に記載の発現構築物。
【請求項32】
前記E2A要素は配列番号32を含む、請求項30に記載の発現構築物。
【請求項33】
前記目的のポリペプチドは、治療用タンパク質、または含まれる細胞の細胞活性、増殖、および/もしくは持続性を増強するタンパク質である、請求項28~32のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項34】
前記目的のポリペプチドは、自殺遺伝子;サイトカイン;含まれる細胞の増殖、拡大、および/もしくは代謝フィットネスを増強するヒトもしくはウイルスタンパク質;またはそれらの組合せである、請求項28~33のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項35】
前記自殺遺伝子は、非分泌性変異TNF-アルファ、誘導性カスパーゼ9、HSV-チミジンキナーゼ、CD19、CD20、CD52、またはEGFRv3である、請求項34に記載の発現構築物。
【請求項36】
前記サイトカインは、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7、またはそれらの組合せである、請求項34または35に記載の発現構築物。
【請求項37】
前記IL-15は配列番号29によってコードされる、請求項36に記載の発現構築物。
【請求項38】
前記IL-15は配列番号30を含む、請求項36に記載の発現構築物。
【請求項39】
請求項1~38のいずれか一項に記載の発現構築物を含むベクター。
【請求項40】
ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、請求項39に記載のベクター。
【請求項41】
前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターである、請求項40に記載のベクター。
【請求項42】
前記非ウイルスベクターは、プラスミド、リポソーム、ナノ粒子、脂質、炭水化物、またはそれらの組合せである、請求項40に記載のベクター。
【請求項43】
請求項1~38のいずれか一項に記載の発現構築物または請求項39~42のいずれか一項に記載のベクターを含む免疫細胞。
【請求項44】
前記免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、MSC、または樹状細胞である、請求項43に記載の免疫細胞。
【請求項45】
NK細胞である、請求項43または44に記載の免疫細胞。
【請求項46】
前記NK細胞は、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、ヒト胚性幹細胞、骨髄、または細胞株に由来する、請求項44または45に記載の免疫細胞。
【請求項47】
前記NK細胞株は、NK-92細胞株、または腫瘍に由来する別のNK細胞株、または健康なNK細胞もしくは前駆細胞である、請求項46に記載の免疫細胞。
【請求項48】
前記NK細胞は、臍帯血単核細胞に由来する、請求項44~47のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項49】
前記NK細胞は、CD56+NK細胞である、請求項44~48のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項50】
前記NK細胞は、1つ以上の外因的に提供されるサイトカインを発現する、請求項43~49のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項51】
前記サイトカインは、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-7、IL-23、またはそれらの組合せである、請求項50に記載の免疫細胞。
【請求項52】
前記免疫細胞内での1つ以上の内因性遺伝子の発現が修飾されている、請求項43~51のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項53】
前記発現は、発現が部分的または完全に引き下げられている、請求項52に記載の免疫細胞。
【請求項54】
前記1つ以上の遺伝子の発現が、CRISPRまたはTALENを用いて修飾されている、請求項52または53に記載の免疫細胞。
【請求項55】
前記遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、IL10R、CD5、CD7、CTLA-4、TDAG8、CD38、CREM、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項52~54のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項56】
前記細胞は、適切な培地中に存在する、請求項43~55のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
【請求項57】
前記集団は、貯蔵施設に収容されている、請求項56に記載の集団。
【請求項58】
前記集団は凍結されている、請求項56または57に記載の集団。
【請求項59】
前記培地は、1つ以上のサイトカインを有する凍結保護剤、または1つ以上のサイトカインを有していない凍結保護剤を含む、請求項56~58のいずれか一項に記載の集団。
【請求項60】
前記免疫細胞はNK細胞である、請求項56~59のいずれか一項に記載の集団。
【請求項61】
前記免疫細胞は、CARおよびサイトカインをコードする発現構築物を含むNK細胞である、請求項56~60のいずれか一項に記載の集団。
【請求項62】
前記免疫細胞は、CARおよびIL-15をコードする発現構築物を含むNK細胞である、請求項56~61のいずれか一項に記載の集団。
【請求項63】
前記CARおよびIL-15は、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、または配列番号47によってコードされる、請求項61または62に記載の集団。
【請求項64】
前記CARおよびIL-15は、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、または配列番号48に含まれる、請求項61または62に記載の集団。
【請求項65】
個体においてCD5陽性細胞を死滅させる方法であって、請求項1~38のいずれか一項に記載の発現構築物を有する有効量の細胞を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項66】
前記細胞は免疫細胞である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記免疫細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの混合物である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記NK細胞は、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、ヒト胚性幹細胞、骨髄、細胞株、またはそれらの混合物に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記NK細胞は、臍帯血単核細胞に由来する、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
前記個体はがんを有する、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記がんは固形腫瘍のものである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記がんは血液がんである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記細胞は、前記個体に対して同種異系である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記細胞は、前記個体に対して自己由来である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記個体はヒトである、請求項65~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞は、前記個体に1回以上投与される、請求項65~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記個体への前記細胞の投与間の期間は、1~24時間、1~7日、1~4週、1~12ヶ月、または1年以上である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記個体に有効量の追加の療法を施す工程をさらに含む、請求項65~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記追加の療法は、外科手術、放射線、遺伝子療法、免疫療法、またはホルモン療法を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記追加の療法は、1つ以上の抗体を含む、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記細胞は、注射によって、静脈内、動脈内、腹腔内、胸膜内、気管内、腫瘍内、筋肉内、内視鏡的、病変内、頭蓋内、髄腔内、経皮的、皮下、局所的に、灌流によって、腫瘍微小環境内に、またはそれらを組み合わせて前記個体に投与される、請求項65~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記個体においてCD5陽性がんを特定する工程をさらに含む、請求項65~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記発現構築物を有する前記細胞を生成する工程をさらに含む、請求項65~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
個体においてがんを予防するか、またはがんの転移を予防する方法であって、治療有効量の、請求項1~38のいずれか一項に記載の発現構築物を有する細胞を前記個体に投与する工程を含む方法。
【請求項85】
前記個体は、がんのリスクがあるか、または以前にがんを患ったことがある、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記投与工程が1回行われる、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
前記投与工程が複数回行われる、請求項84または85に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月14日に出願された米国仮特許出願シリアルNo.63/174,990(2021年4月14日出願)の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、細胞生物学、分子生物学、免疫学、およびがん医学を含む医学の分野を少なくとも含む。
【背景技術】
【0003】
再発難治性のT細胞悪性腫瘍は、特に予後不良な血液悪性腫瘍の一群を代表し、新規治療が切実に必要とされている。CD5はT細胞悪性腫瘍の大部分に存在するpan T細胞表面マーカーである。CD5はマントル細胞リンパ腫(MCL)や慢性リンパ性白血病(CLL)のような一部のB細胞性悪性腫瘍にも発現している(1,2)。一方、正常細胞によるCD5の発現は胸腺細胞、末梢T細胞、Bリンパ球のごく一部に限られており、他の造血細胞では発現していない。したがって、CD5はCARを用いた養子細胞療法の標的抗原として最適である。しかし、T細胞由来の新生物を標的とするCAR-T細胞の開発は、ほとんどの標的抗原が悪性Tリンパ球と正常Tリンパ球の両方に共通して発現しているため、CAR-T細胞のフラトリサイドを促進する可能性があり、妨げられてきた(3)。フラトリサイドの問題があるにもかかわらず、CD5 CAR-T細胞は開発に成功し、前臨床での有効性(4)と臨床での安全性、T細胞悪性腫瘍患者における臨床的有効性の初期徴候を予備報告で示している。とはいえ、CD5を表面に発現しない代替免疫エフェクター細胞を使うことは、フラトリサイドの心配がなくなるので、魅力的なアプローチである。NK細胞は、CD5抗原を表面に発現していないため、CD5を標的とするCAR工学のプラットフォームとして魅力的な選択肢である。CAR工学におけるNK細胞のもう一つの利点は、T細胞とは対照的に、同種移植において移植片対宿主病(GVHD)を引き起こさないことである。そして、ポイント・オブ・ケアで使用される、完全に既製の細胞製品を製造する可能性を開く。CB由来のNK細胞を遺伝子改変し、CARを発現させ、IL-15を異所的に産生させ、生体内でのNK細胞の増殖と持続性をサポートし、自殺遺伝子である誘導性カスパーゼ9(iC9)を発現させることで、潜在的な安全性の懸念に対処する新しいプラットフォームが開発された。これらのiC9/CAR19/IL15-NK細胞は、前臨床試験および臨床試験において、B細胞悪性腫瘍に対する有効性を示した(6,7)。サイトカイン放出症候群(CRS)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)、またはCAR-NK細胞産物に関連するその他の毒性は観察されていない。(7)本開示は、CD5を含む他のがん抗原を標的とするCAR-NK細胞プラットフォームの拡張に関するものであり、この療法の臨床的影響を拡大させる。
【0004】
複数の研究により、CAR-T細胞における共刺激ドメインの選択が、その機能、持続性、代謝プロファイルに影響を与えることが実証されている(8-10)。CAR-NK細胞の分野では、臨床で試験された最初の構築物は、CAR-T細胞の設計から借用したT細胞特異的共刺激ドメインであるCD28を組み込んでいる。様々なNK特異的共刺激分子の機能を調べた前臨床CAR-NK細胞研究はあるが、共刺激ドメインがNK細胞の増殖、トランスクリプトーム、プロテオームプロフィール、多機能性、代謝、体力に与える影響を系統的に調べた研究はない。本開示では、NK細胞生物学にとってより関連性の高いものも含め、共刺激ドメインの影響を包括的に研究して系統的に調べる目的を達成せんしている。特に、主要なアダプタータンパク質であり、ヒトNK細胞におけるNKG2Dの唯一のシグナル伝達中間体であるDNAX活性化タンパク質10(DAP10)、複数の活性化レセプター(NKG2C、NKp44、活性化KIRなど)と会合する重要なアダプター分子であるDNAX活性化タンパク質12(DAP12)、抗腫瘍免疫に不可欠な最も強力なNK細胞傷害性レセプターの一つであるNKG2Dなどである(11)。その結果、DAP10共刺激分子を有するCD5 CAR-NK細胞は、他の共刺激分子を有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、in vitroおよびin vivoで有意に優れた性能を示し、抗腫瘍活性を増強する多機能性、代謝適性、メモリー様特性を示すことが示された。これらの前臨床データに基づいて、CD5-DAP10-CD3ζ CAR-NK細胞の安全性と有効性を評価する第I/II相臨床試験が準備中である。
【0005】
このように、本開示は、特定の実施形態において、CD5陽性がんを含むがんを標的とする、ヒトNK細胞を含む養子細胞療法用の細胞の遺伝子工学的操作に関する方法及び組成物に関する。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、CD5(例えば、分化クラスター5またはLEU1またはT1としても知られている)を標的とする操作された細胞受容体に関連する方法および組成物を包含する。特定の実施形態において、CD5を標的とする操作された受容体は、ポリヌクレオチド、ポリペプチドの形態であるか、または免疫細胞が挙げられるあらゆる種類の細胞の表面上に含まれる。特定の場合には、細胞は免疫細胞であり、特定の実施形態において、免疫細胞は、あらゆる源由来のNK細胞、NK T細胞、インバリアントNKT細胞、ガンマデルタT細胞、制御性T細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞(MSC)、樹状細胞等である。特定の実施形態において、臍帯血(CB-NK)由来の再プログラム化NK細胞が、CD5分子を発現するがんを標的とするために包含される。
【0007】
CD5は、慢性リンパ増殖性障害/リンパ腫、T細胞白血病(T-ALL)、T細胞リンパ腫、ならびに慢性リンパ性白血病およびマントル細胞リンパ腫等のいくつかのB細胞悪性腫瘍が挙げられる多数のがんで発現されるので、方法および組成物に標的抗原として利用される。また、胸腺がん、ならびに甲状腺がん、肝臓がん、結腸直腸がん、および子宮頸がんで発現される。
【0008】
特定の実施形態において、NK細胞療法が挙げられる本開示の養子細胞療法は、がんに再曝露されてすらがん細胞の根絶を可能にするのに特に有効である。したがって、一部の実施形態において、個体は、個体において検出可能ながんの不在下で、本明細書中に包含されるあらゆる細胞療法が施され得る。特定の場合には、個体は、一般集団よりも高いリスク等の、あらゆる種類のがんのリスクがあり得る。場合によっては、個体は、がんのための1つ以上の処置を受けた場合があり、本開示の細胞療法の投与時には、がんがないとみなされる場合もあるし、みなされない場合もある。ゆえに、種々の実施形態において、個体においてがんを予防するか、またはがんの転移を予防する方法であって、治療有効量の、本明細書中に包含されるいずれかの細胞を個体に投与する工程を含む方法が存在する。投与工程は、1回以上行われ得る。複数回行われる場合、投与間に適切なあらゆる期間が存在し得、投与間に1~24時間、1~7日、1~4週、1~12ヶ月、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年、もしくはそれを超える年数が挙げられる。
【0009】
CD5標的化CAR T細胞の一部の実施形態が、T細胞悪性腫瘍の処置について試験されてきた。しかしながら、CD5は、正常なT細胞によって、そしてT細胞白血病/リンパ腫上で構成的に発現され、そしてCAR T細胞療法におけるその使用は、CAR T製造中のフラトリサイドを妨げるためにCD5遺伝子の遺伝子欠失を必要とする。対照的に、正常なNK細胞はCD5を発現しないので、フラトリサイドに曝されない。ゆえに、本開示の特定の実施形態において、NK細胞(臍帯血(CB)由来のものが挙げられる)は、CD5を発現するがんを標的とするように再プログラム化されたNK細胞である。本開示は、いくつかの新規のCAR分子を含み、このCAR分子には、ヒトCD5抗原を標的とするscFvの、1つ以上の活性化シグナル伝達エンドドメインとの融合物が含まれ、場合によっては、CD3ζを単独で、または共刺激シグナル伝達ドメインもしくはアダプターシグナル伝達ドメイン、例えば、NKG2D、41BB、CD28、DAP10、および/またはDAP12と組み合わせて組み込むことが含まれる。特定の場合には、同種異系CB-NK細胞は、CD5 CARを発現するようにレトロウイルスにより形質導入される。
【0010】
特定の実施形態において、CD5 CAR分子を包含する本開示の免疫細胞はまた、その生存および増殖を支持する1つ以上のタンパク質を発現する。特定の場合には、免疫細胞は、細胞の増殖および持続を促進する1つ以上のサイトカインを発現するように操作される。特定の場合には、サイトカインは、免疫細胞(例えばNK細胞)の生存および維持を助けるインターロイキン15(IL-15)、IL-2、IL-7、IL-12、IL-18、および/またはIL-21である。特定の態様において、CARをコードするベクターはまた、サイトカインをコードし、それぞれが最終的に別々のポリペプチドとして産生される。
【0011】
本開示の実施形態は、1つ以上のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζの細胞質部分、ならびにCD28、DAP10、DAP12、およびNKG2Dの1つ以上を含むものが挙げられる)に異種融合したCD5 scFvを組み込んだ種々の新規の特異的CAR構築物を包含する。scFvは、場合によっては、ヒトCD5抗原に対する特異性を有するマウス抗体またはヒト抗体の重(V)鎖および軽(V)鎖に由来する可変断片の融合物を含み得る。ベクターはまた、NK細胞の生存および維持を助けるヒトIL-1、IL-2、IL-21、IL-12、IL-7、IL-23、および/またはIL-18を産生する遺伝子が挙げられる1つ以上のサイトカイン遺伝子を含み得る。一例として、このように修飾されたCB-NK細胞は、CARとは別個の分子として産生されるIL15に加えて、1つ以上の共刺激ドメインおよびCD3ζを含むCAR内のCD5 scFvをコードするベクターを含む。
【0012】
本開示の特定の実施形態は、レシピエント個体に対して同種異系であり、あらゆる種類のCD5陽性細胞を標的とし、かつIL15、IL-2、IL-21、IL-12、IL-7、IL-23、および/またはIL-18等の1つ以上のサイトカインを発現するように形質導入されていてもされていなくてもよい、少なくともNK細胞が挙げられる既製の免疫細胞の使用を可能にする。
【0013】
本開示の特定の実施形態において、免疫細胞における1つ以上の内因性遺伝子の発現が修飾されており、例えば、発現は、発現が部分的または完全に引き下げられ得る。修飾は、あらゆる手段によって生じ得るが、特定の実施形態において、1つ以上の遺伝子の発現は、例えば発現レベルが引き下げられることによって修飾されており、これは、CRISPRまたは他のあらゆる遺伝子編集技術が挙げられる適切なあらゆる手段によって生じ得る。単なる例として、内因性遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、IL10R、CD5、CD7、CTLA-4、TDAG8、CD38、CREM、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0014】
一実施形態において、操作されたCD5特異的受容体をコードし、かつ任意選択で以下の一方または双方をコードする配列を含む発現構築物が存在する:(a)自殺遺伝子;(b)サイトカイン。特定の場合には、操作されたCD5特異的受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体である。CD5特異的CARは、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み得、CARをコードする配列内の重鎖は、5’から3’方向において軽鎖の上流にある。他の場合には、CD5特異的CARは、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み、CARをコードする配列内の重鎖は、5’から3’方向において軽鎖の下流にある。本明細書中のいずれの場合においても、CD5特異的CARは、コドン最適化されたscFvを含むか、または含まない。本明細書中のいずれの場合においても、CD5特異的CARは、ヒト化scFvを含むか、または含まない。本明細書中のいずれの場合においても、CD5特異的CARは、CD8アルファ、Ig重鎖、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体由来のもの等のシグナル伝達ペプチド、または1つ以上の他の表面受容体に由来するシグナルペプチドを含むか、または含まない。特定の実施形態において、CD5特異的CARは、1つ以上の共刺激ドメイン、例えばCD28、CD27、OX-40(CD134)、DAP10、DAP12、4-1BB(CD137)、CD40L、2B4、DNAM、CS1、CD48、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80、ICOS、またはそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の共刺激ドメインを含む。
【0015】
あらゆるCD5特異的CARは、scFvと膜貫通ドメインとの間にCD3ゼータおよび/またはヒンジを含んでも含まなくてもよい。特定の場合には、ヒンジはCD8-アルファヒンジであり、ヒンジは、Gly3で構成される人工スペーサを含み、またはヒンジは、IgGのCH1、CH2、および/もしくはCH3ドメインを含む。特定の実施形態において、サイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、IL-7、またはそれらの組合せである。自殺遺伝子が使用される場合、自殺遺伝子は、変異TNF-アルファ(操作された非分泌性変異体等)、誘導性カスパーゼ9、HSV-チミジンキナーゼ、CD19、CD20、CD52、またはEGFRv3であり得る。
【0016】
本開示の実施形態は、本明細書中に包含されるあらゆる発現を含むあらゆる種類の免疫細胞を含む。特定の実施形態において、免疫細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、MSC、樹状細胞、またはそれらの混合物である。免疫細胞がNK細胞である場合、NK細胞は、臍帯血(プールされた臍帯血単位が挙げられる)、末梢血、人工多能性幹細胞、骨髄、および/または細胞株に由来し得る。具体的な態様において、NK細胞株は、NK-92細胞株、または腫瘍に由来する別のNK細胞株、または健康なNK細胞もしくは前駆細胞である。
【0017】
特定の実施形態において、免疫細胞は、NK細胞、例えば臍帯血に、例えば臍帯血単核細胞に由来するものである。NK細胞は、特定の場合には、CD56+NK細胞であり得る。NK細胞は、1つ以上の外因的に提供されるサイトカイン、例えば、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-7、またはそれらの組合せを発現し得る。特定の実施形態は、本開示のあらゆる種類の免疫細胞の集団を含み、細胞は、適切な培地またはあらゆる種類の適切な担体中に存在し得る。
【0018】
一実施形態において、個体においてCD5陽性細胞を死滅させる方法であって、本開示によって包含されるあらゆる発現構築物を有する有効量の細胞を個体に投与する工程を含む方法が存在する。特定の実施形態において、細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、ガンマデルタT細胞、または樹状細胞である。NK細胞は、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、骨髄、または細胞株に由来し得る。NK細胞は、臍帯血単核細胞に由来し得る。場合によっては、CD5陽性細胞は、例えば造血がんまたは固形腫瘍に由来する、がん細胞である。細胞は、ヒトであってもなくてもよい個体に対して、同種異系であっても自己由来であってもよい。細胞は、注射によって、静脈内、動脈内、腹腔内、気管内、胸膜内、腫瘍内、筋肉内、内視鏡的、病変内、頭蓋内、経皮的、皮下、局所的に、灌流によって、腫瘍微小環境内に、またはそれらを組み合わせて個体に投与され得る。
【0019】
本方法の特定の実施形態において、細胞は、個体に1回以上投与され得る。個体への細胞の投与間の期間は、1~24時間、1~7日、1~4週、1~12ヶ月、または1年以上であり得る。方法はさらに、有効量の追加の療法、例えば、外科手術、放射線、遺伝子療法、免疫療法、および/またはホルモン療法を個体に施す工程を含み得る。追加の療法は、場合によっては、1つ以上の抗体または抗体ベースの剤を含み得る。本方法の一部の態様において、本方法はさらに、個体においてCD5陽性細胞を特定する工程を含み得る。
【0020】
本開示の実施形態は、操作されたCD5特異的受容体をコードする配列を含む発現構築物を含み、前記受容体は、以下のうちの1つを含む:(a)CD28膜貫通ドメイン(TM)およびCD28細胞質内ドメイン(ICD);(b)CD28 TM、CD28 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(c)CD28 TMおよびDAP12 ICD;(d)CD28 TM、DAP12 ICD、およびCD 3ゼータシグナル伝達ドメイン;(e)DAP12 TMおよびDAP12 ICD;(f)DAP12 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(g)CD28 TMおよび4-1BB ICD;(h)CD28 TM、CD28 ICD、および4-1BB ICD;(i)CD28 TM、CD28 ICD、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(j)CD28 TMおよびDAP10 ICD;(k)CD28 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(l)DAP10 TMおよびDAP10 ICD;(m)DAP10 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(n)NKG2D ICD;(o)NKG2D TM;(p)NKG2D TMおよびNKG2D ICD;(q)NKG2D TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(r)CD28 TMおよびNKG2D ICD;(s)NKG2D ICDおよびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(t)CD28 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(u)4-1BB TMおよび4-1BB ICD;(v)共刺激ドメインであるICDの不存在下でのCD28 TMおよびCD3ゼータ;(w)CD8 TMおよびCD28細胞質内ドメイン(ICD);(x)CD8 TM、CD28 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(y)CD8 TMおよびDAP12 ICD;(z)CD8 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(aa)CD8 TMおよびDAP12 ICD;(bb)CD8 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(cc)CD8 TMおよび4-1BB ICD;(dd)CD8 TM、CD28 ICD、および4-1BB ICD;(ee)CD8 TM、CD28 ICD、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(ff)CD8 TMおよびDAP10 ICD;(gg)CD8 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(hh)CD8 TMおよびDAP10 ICD;(ii)CD8 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(jj)CD8 ICD;(kk)CD8 TM;(II)CD8 TMおよびNKG2D ICD;(mm)CD8 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(nn)CD8 TMおよびNKG2D ICD;(oo)CD8、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(pp)CD8 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(qq)CD8 TMおよび4-1BB ICD;または(rr)共刺激ドメインであるICDの不在下でのCD8 TMおよびCD3ゼータ。場合によっては、操作されたCD5特異的受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体である。操作されたCD5特異的受容体がCARである場合、CARは、CD5に対するscFvまたはリガンドであるCD標的化細胞外ドメインを含み得る。CD5特異的CARは、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み得、CARをコードする配列内の重鎖は、5’から3’方向において軽鎖の上流にある。CD5特異的CARは、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み得、CARをコードする配列内の重鎖は、5’から3’方向において軽鎖の下流にある。特定の場合には、CD5特異的CARは、コドン最適化されたscFvを含むか、またはヒト化scFvを含む。scFvは、配列番号1または配列番号3によってコードされ得る。scFvは、配列番号2または配列番号4を含み得る。
【0021】
特定の実施形態において、CD5特異的CARは、CD8アルファ、Ig重鎖、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、CD3シグナル伝達ペプチド、CD4シグナル伝達ペプチド、または1つ以上の他の表面受容体に由来するシグナルペプチドに由来するもの等のシグナル伝達ペプチドを含む。
【0022】
CD5特異的CARの一部の実施形態において、TMは、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、または配列番号13によってコードされる。TMは、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、または配列番号14を含み得る。特定のICDが利用される場合、これは、配列番号15、配列番号17、配列番号19、または配列番号21によってコードされ得る。ICDは、配列番号16、配列番号18、配列番号20、または配列番号22を含み得る。特定の場合には、CD5特異的CARは、CD27、OX-40(CD134)、CD40L、2B4、DNAM、CS1、CD48、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80、ICOS、またはそれらの組合せに由来するICDを含む。
【0023】
特定の実施形態において、操作されたCD5特異的受容体は、CD5特異的scFvと膜貫通ドメインとの間にヒンジを含むCD5特異的CARである。ヒンジは、IgGヒンジ(IgG1ヒンジ、IgG2ヒンジ、IgG3ヒンジ、またはIgG4ヒンジ、CD28ヒンジ、CD8-アルファヒンジ等)であってよく、ヒンジは、Gly3で構成される人工スペーサを含むか、またはヒンジは、IgGのCH1、CH2、および/もしくはCH3ドメインを含む。ヒンジは、配列番号23もしくは25によってコードされ得るか、または配列番号24もしくは配列番号26を含み得る。
【0024】
発現構築物は、操作されたCD5特異的受容体以外の目的のポリペプチドをコードし得、これは、2A要素(例えば、E2A(配列番号31によってコードされるものを含むか、または配列番号32を含む))またはIRES要素によって構築物上で分離され得る。目的のポリペプチドは、治療用タンパク質、または細胞の活性、増殖、および/もしくは持続性を増強するタンパク質であり得る。目的のポリペプチドは、自殺遺伝子(例えば、非分泌性変異型TNF-アルファ、誘導性カスパーゼ9、HSV-チミジンキナーゼ、CD19、CD20、CD52、またはEGFRv3)、サイトカイン、増殖、拡大、および/もしくは代謝フィットネスを増強するヒトもしくはウイルスタンパク質、またはそれらの組合せであり得る。特定の実施形態において、発現構築物は、CD5特異的CARに加えて、1つ以上のサイトカインをコードし、サイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7、またはそれらの組合せであり得る。IL-15が利用される場合、これは、配列番号29によってコードされ得るか、または配列番号30を含み得る。
【0025】
特定の場合には、発現構築物は、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、または配列番号47によってコードされるCD5特異的CARをコードする。操作されたCD5特異的受容体は、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、または配列番号48を含むCARであり得る。
【0026】
実施形態として、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはレトロウイルスベクター)または非ウイルスベクター(プラスミド、リポソーム、ナノ粒子、脂質、炭水化物、またはそれらの組合せ)が挙げられる、本明細書中に包含されるあらゆる発現構築物を含むあらゆるベクターが挙げられる。また、実施形態として、本開示の発現構築物を含むあらゆる免疫細胞が挙げられ、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、MSC、または樹状細胞であり得る。免疫細胞がNK細胞である場合、NK細胞は、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、骨髄、または細胞株に由来し得る。NK細胞株は、NK-92細胞株、または腫瘍に由来する別のNK細胞株、または健康なNK細胞もしくは前駆細胞であり得る。特定の場合には、NK細胞は、臍帯血単核細胞に由来する。NK細胞は、CD56+NK細胞であり得る。NK細胞は、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7、またはそれらの組合せが挙げられる、1つ以上の外因的に提供されるサイトカインを発現し得る。免疫細胞において、1つ以上の内因性遺伝子は、例えばCRISPRを用いて、発現が部分的または完全に引き下げられるように、発現が修飾され得る。内因性遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、IL10R、CD5、CD7、CTLA-4、TDAG8、CD38、CREM、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0027】
本開示の実施形態は、本明細書中に記載される免疫細胞の集団を含み、前記細胞は、適切な培地中に存在する。集団は、例えば凍結状態で、貯蔵施設に収容されてよく、培地は、1つ以上の凍結保護剤を含んでよい。特定の実施形態において、免疫細胞の集団は、CARおよびIL-15をコードする発現構築物を含むNK細胞である。CARおよびIL-15は、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、または配列番号47によってコードされ得、そして配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、または配列番号48に含まれ得る。
【0028】
本開示の実施形態は、個体、例えばCD5陽性がんを有する個体においてCD5陽性細胞を死滅させる方法であって、本明細書中に包含されるあらゆる発現構築物を有する有効量の細胞を個体に投与する工程を含む方法を含む。細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、ガンマデルタT細胞、樹状細胞、またはそれらの混合物等の免疫細胞であり得る。NK細胞は、臍帯血、臍帯血単核細胞、末梢血、人工多能性幹細胞、骨髄、細胞株、またはそれらの混合物に由来し得る。細胞は、個体に対して、同種異系であっても自己由来であってもよい。個体は、ヒト等の哺乳動物であり得る。細胞は、個体に1回以上投与され得る。個体への細胞の投与間の期間は、1~24時間、1~7日、1~4週、1~12ヶ月、または1年以上であり得る。あらゆる処置方法はさらに、有効量の追加の療法、例えば、外科手術、放射線、遺伝子療法、免疫療法(1つ以上の抗体を含む)、またはホルモン療法を個体に施す工程を含み得る。細胞は、注射によって、静脈内、動脈内、腹腔内、気管内、腫瘍内、筋肉内、内視鏡的、病変内、頭蓋内、経皮的、皮下、局所的、全身に、灌流によって、腫瘍微小環境内に、またはそれらを組み合わせて個体に投与され得る。本方法はさらに、個体においてCD5陽性がんを特定する工程、および/または発現構築物を有する細胞を生成する工程を含み得る。
【0029】
本発明の一実施形態に関して論じられるあらゆる限定が、本発明の他のあらゆる実施形態に当て嵌まり得ることが具体的に企図される。さらに、本発明のあらゆる組成物が、本発明のあらゆる方法に用いられ得、そして本発明のあらゆる方法が用いられて、本発明のあらゆる組成物が製造または利用され得る。また、実施例に記載される実施形態の態様は、発明の概要、発明の詳細な説明、特許請求の範囲、および図面の簡単な説明等、異なる実施例における他の場所または本出願における他の場所で論じられる実施形態の文脈において実施され得る実施形態である。
【0030】
上記は、以下の発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本開示の特徴および技術的利点をかなり広く概説している。特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴および利点を、本明細書中で以降に説明する。開示される概念および特定の実施形態は、本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者によって理解されるべきである。また、そのような等価の構成は、添付の特許請求の範囲に示される精神および範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。更なる目的および利点と共に、構成および操作方法の双方に関して、本明細書中で開示される設計の特徴であると考えられる新規の特徴は、添付の図面に関連して考慮される場合、以下の説明からよりよく理解されるであろう。しかしながら、各図は、例示および説明のみを目的として提供されており、本開示の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【0031】
次に、本開示をより完全に理解するために、以下の説明を、添付の図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物のマップ。
図1B】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。非形質導入(NT)NK細胞と比較して、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物を形質導入したNK細胞の形質導入効率を示す棒グラフ(左から右へ、バーは、形質導入されていない細胞、CD5CAR 41BB-CD3ζを有する細胞、およびCD5 CAR CD28-CD3ζを有する細胞を表す)。
図1C】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。NT NK細胞と比較したCD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR-NK細胞の倍率変化増殖を示すグラフであり、ここで0日目は形質導入の日を示す。
図1D】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。CD5+CCRF-CEM腫瘍と6時間共培養した後のNT NK細胞と比較した、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR-NK細胞のサイトカイン産生(IFNg、TNFα)および脱顆粒(CD107a)のパーセンテージを示す棒グラフ(左から右へ、バーは、形質導入されていない細胞、CD5CAR 41BB-CD3ζを有する細胞、およびCD5CAR CD28-CD3ζを有する細胞を表す)。
図1E】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。CD5-CD28-CD3ζまたはCD5-41BB-CD3ζ CAR-NK細胞またはNT NK細胞と4時間共培養した後のCD5+CCRF-CEMの溶解パーセントを示すグラフ(NTが下部にあり、CD5CAR CD28-CD3ζが上部にある)。
図1F】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。ホタルルシフェラーゼ(Ffluc)を形質導入し、そして未処置のままにしたか、またはNT NK細胞もしくはCD5-CD28-CD3ζもしくはCD5-41BB-CD3ζ CAR-NK細胞で処置したCD5+CCRF-CEM腫瘍移植マウスにおいて、経時的な腫瘍増殖を示す生物発光イメージング(BLI)。
図1G】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。1Fパネルに示すマウスの様々な群を比較するBLIデータの平均放射輝度をプロットしたグラフ(CCRF-CEM単独が左に、CCRF-CEM+CD5CAR CD28-CD3ζが右にある)。
図1H】臍帯血NK細胞は、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζ CAR構築物により首尾よく形質導入され得、そしてCD5+腫瘍細胞を標的とし得るが、インビボで長期治癒をもたらさない。1Fパネルに示すマウスの様々な群の生存曲線を示すグラフ(CCRF-CEM単独が左に、CCRF-CEM+CD5CAR CD28-CD3ζが右にある)。
【0033】
図2A】NK細胞生物学に関連する共刺激分子を組み込むことによるCD5 CAR構築物設計の最適化。膜貫通ドメインおよび共刺激ドメインが異なる種々のCD5 CAR構築物のマップ。
図2B】NK細胞生物学に関連する共刺激分子を組み込むことによるCD5 CAR構築物設計の最適化。非形質導入(NT)NK細胞と比較した、種々のCD5 CAR構築物を形質導入したNK細胞の形質導入効率を示す棒グラフである。
図2C】NK細胞生物学に関連する共刺激分子を組み込むことによるCD5 CAR構築物設計の最適化。NT NK細胞と比較した種々のCD5 CAR-NK細胞生成物の拡大(経時的な百万単位の細胞数)を示すグラフであり、ここで0日目は形質導入の日を示す。
図2D】NK細胞生物学に関連する共刺激分子を組み込むことによるCD5 CAR構築物設計の最適化。CD5+CCRF-CEM腫瘍と6時間共培養した後のNT NK細胞と比較した、種々のCD5 CAR-NK細胞のサイトカイン産生(IFNg、TNFα)および脱顆粒(CD107a)のパーセンテージを示す棒グラフ。
図2E】NK細胞生物学に関連する共刺激分子を組み込むことによるCD5 CAR構築物設計の最適化。種々のCD5 CAR-NK細胞またはNT NK細胞と4時間共培養した後のCD5+CCRF-CEMの溶解パーセントを示すグラフ。
【0034】
図3A】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、CD28またはDAP12共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、腫瘍制御を有意に向上させる。DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、CD28またはDAP12共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、腫瘍制御を有意に向上させる。ホタルシフェラーゼ(Ffluc)を形質導入し、そして未処置のままにしたか、またはNT NK細胞もしくはCD5-CD28-CD3ζもしくはCD5-DAP12-CD3ζもしくはCD5-DAP10-CD3ζ CAR-NK細胞で処置したCD5+CCRF-CEM腫瘍移植マウスにおいて、経時的な腫瘍増殖を示す生物発光イメージング(BLI)。
図3B】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、CD28またはDAP12共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、腫瘍制御を有意に向上させる。3Aパネルに示すマウスの様々な群を比較する、BLIデータの平均放射輝度をプロットしたグラフであり、各マウスのデータを別々にプロットしており、同じ群に属するマウスを異なる色で標識している(高CD5 CCRF-CEM単独が左の線である;CCRF-CEM+CD5 CAR CD28CD3ζが右側の線である)。
図3C】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、CD28またはDAP12共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、腫瘍制御を有意に向上させる。3Aパネルに示すマウスの様々な群の生存曲線を示すグラフ。
図3D】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、CD28またはDAP12共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、腫瘍制御を有意に向上させる。パネル3Aに記載する種々の群内のマウスの体重を示すグラフ。各マウスのデータを別々にプロットしており、同じ群に属するマウスを異なる色で標識している(NTは左側の垂直線であり;CCRF-CEM+CD5 CAR CD28CD3ζは右側の垂直線であり;CCRF-CEM+CD5 CAR DAP10CD3ζは、約40日後のそれ自体の上部の水平線である)。
図3E】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、CD28またはDAP12共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞と比較して、腫瘍制御を有意に向上させる。DAP10-CD3ζシグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、低CD5発現であっても、T-ALL細胞株に対して優れた活性を示す。CD5発現が低いCCRF-CEM腫瘍を移植してから、未処置のままにしたか、または非形質導入(NT)NK細胞もしくは設計が種々(CD5-41BB-CD3ζ、CD5-DAP12-CD3ζ、CD5-CD28-CD3ζ、CD5-DAP10-CD3ζ)のCD5 CAR-NK細胞で処置したマウスの様々な群の生存曲線を示すグラフ(低CD5 CRF単独が、最も左側の垂直線であり;低CD5 CCRF-CEM+CD5CAR DAP10-CD3ζは、上部の水平線であり;低CD5 CCRF-CEM_CD5CAR CD28-CD3ζは、生存率約60%にて最も右側で終わる短い垂直線である)。
【0035】
図4A】DAP10シグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、CD5+マントル細胞リンパ腫のPDXマウスモデルにおいて転帰を向上させる。0日目にマウスにPDX細胞株を皮下注射し、21日目にマウスに、DAP10共刺激と共にCD5-DAP10-CD3ζ CD5 CAR-NK細胞を尾静脈を介して注射し、そして60日目にマウスを屠殺して、フローサイトメトリによって組織を分析したことを示すマウス実験計画の概略図。
図4B】DAP10シグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、CD5+マントル細胞リンパ腫のPDXマウスモデルにおいて転帰を向上させる。処置を受けなかったマウス、またはDAP10共刺激と共にCD5 CARで処置したマウスにおける皮下腫瘍、脾臓、および骨髄におけるCD45+CD5+腫瘍細胞の絶対数を示す棒グラフ(腫瘍単独が左側の棒グラフである)。
【0036】
図5A】DAP10-CD3ζシグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、プロテオミクスレベルでの活性化プロファイルの増強を示す。一緒に組み合わせたNTおよびCD5 CAR-NK細胞由来の種々のクラスターを示すTSNEプロット。
図5B】DAP10-CD3ζシグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、プロテオミクスレベルでの活性化プロファイルの増強を示す。DAP10共刺激がある、非形質導入(NT)NK細胞およびCD5 CAR-NK細胞におけるクラスターを示すTSNEプロット。クローン8および11は、DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞に特異的であるようである。
図5C】DAP10-CD3ζシグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、プロテオミクスレベルでの活性化プロファイルの増強を示す。X軸上にNK細胞の種々のマーカーを、そしてY軸上に種々のクラスターを示すヒートマップ。これは、DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞に特異的なクラスター8および11の、NK細胞活性化マーカー(DNAM、NKG2D、CD69、成熟マーカー(EOMESおよびT-BET)、および細胞傷害性マーカー(パーフォリン、グランザイムB、およびTRAIL)が富化されていることを示す。
【0037】
図6A】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、多機能性および代謝フィットネスの増強を示す。非形質導入(NT)の、または種々のCD5 CAR-NK細胞を形質導入した(共刺激なし(CD3ζ単独)、またはCD5+抗原による刺激後の種々の共刺激ドメインを有する)NK細胞の多機能性を示す棒グラフであり、これは、抗原刺激に応答して、単一細胞レベルにて2、3、4、または5+タンパク質のいずれかを産生しているNK細胞のパーセンテージを示す。
図6B】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、多機能性および代謝フィットネスの増強を示す。単一細胞レベルでのサイトカインの産生を示す多機能性ヒートマップ。各行は、NK細胞の状態を表し、各列は、特定のサイトカインのセットを産生するNK細胞のクラスターを表し、クラスターが多いほどNK細胞は多機能性である。
図6C】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、多機能性および代謝フィットネスの増強を示す。多機能性強度指数を示す棒グラフであり、NK細胞(NTまたは種々のCD5 CAR-NK細胞設計)が幾らの割合で、単一細胞レベルにて、エフェクタ、刺激性、または化学誘引性サイトカインを産生するかを示す(化学誘引スコアリングがバーの上部にあり、エフェクタスコアリングがバーの下部にある)。
図6D】DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、多機能性および代謝フィットネスの増強を示す。NT NK細胞、または種々のCD5 CAR-NK細胞構築物を形質導入したNK細胞の酸素消費速度(OCR)を示すグラフである。これは、DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞の、ミトコンドリア活性および代謝フィットネスの尺度であるOCRが最も高いことを示している。
【0038】
図7A】DAP10-CD3ζシグナル伝達ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、記憶様特性を示し、そして複数回の腫瘍再チャレンジの後にCD5+CCRF-CEMを死滅させ続ける。複数回のCD5+CCRF-CEM腫瘍再チャレンジがあったIncucyteリアルタイム細胞傷害性アッセイについての実験計画を詳述する概略図。腫瘍細胞を赤色色素で標識してから、リアルタイムイメージングを行った。
図7B】DAP10-CD3ζシグナル伝達ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、記憶様特性を示し、そして複数回の腫瘍再チャレンジの後にCD5+CCRF-CEMを死滅させ続ける。生腫瘍細胞の負荷と相関する経時的な赤色のカウントを示すグラフ。これは、最初に、非形質導入(NT)NK細胞であっても、全てのNK細胞がCD5+CCRF-CEM腫瘍を死滅させることができ、次いで、複数回の腫瘍再チャレンジの後に、経時的に、DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞のみが腫瘍を制御することができることを示している。CD19 CAR-NK細胞およびCD19/IL-15 CAR-NK細胞を、無関係のCAR対照として用いた。
図7C】DAP10-CD3ζシグナル伝達ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、記憶様特性を示し、そして複数回の腫瘍再チャレンジの後にCD5+CCRF-CEMを死滅させ続ける。生腫瘍細胞の負荷と相関する経時的な細胞コンフルエンス(%)を示すグラフ。これは、最初に、非形質導入(NT)NK細胞であっても、全てのNK細胞がCD5+CCRF-CEM腫瘍を死滅させることができ、次いで、複数回の腫瘍再チャレンジの後に、経時的に、DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞のみが腫瘍を制御することができることを示している。
【0039】
図8A】CD5 CAR-NK細胞が持続して、インビボでの腫瘍再チャレンジに対するリコールを開始することができる。照射のタイミング、CD5+CCRF-CEM腫瘍注射のタイミング、CD5 CAR-NK細胞注入のタイミング、およびCD5+CCRF-CEM腫瘍(GFPを形質導入した)による再チャレンジのタイミングを示すインビボマウスモデルの実験計画の詳細を示す概略図。
図8B】CD5 CAR-NK細胞が持続して、インビボでの腫瘍再チャレンジに対するリコールを開始することができる。ヒトCD45+ゲートおよびNK細胞ゲート(CD56+およびGFP-)を示す、再チャレンジ前のフローサイトメトリデータ(左側パネル)および再チャレンジ後のフローサイトメトリデータ(右側パネル)を示すFACSプロット。これは、CD5 CAR-NK細胞が、腫瘍再チャレンジ後に増殖し、そしてCD5+CCRF-CEM腫瘍に対するリコール応答を開始することができることを示している。
【0040】
本開示の種々の実施形態が、本明細書中で示され、かつ説明されているが、そのような実施形態は、単なる例として提供されていることは、当業者であれば明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を行うことができる。本明細書中に記載される本開示の実施形態に対する種々の代替形態が使用され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
1.定義の例
長年にわたる特許法の慣例に従い、本明細書において、特許請求の範囲を含め、comprisingという語と共に使用される場合、「a」および「an」という語は、「1つ以上」を表す。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つまたは複数の要素、方法ステップ、および/または方法から構成されるか、またはこれらから本質的に構成され得る。本明細書に記載される任意の方法または組成物が、本明細書に記載される任意の他の方法または組成物に関して実施され得、異なる実施形態が組み合わされ得ることが企図される。
【0042】
本明細書全体を通して、文脈上他に必要とされない限り、「含む」、「包含する」および「含んでいる」という語は、記載されたステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を含むことを意味するが、他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を排除することを意味しないと理解される。「からなる」とは、「~からなる」という語句の後に続くものを含むこと、およびそれらに限定されることを意味する。したがって、「~からなる」という表現は、列挙された要素が必須または必須であり、他の要素が存在しない可能性があることを示す。 から本質的になる」とは、その語句の後に列挙された要素を含むことを意味し、列挙された要素について開示で指定された活性または作用を妨げないか、またはそれに寄与しない他の要素に限定される。従って、「本質的にからなる」という語句は、列挙された要素が必須または必須であるが、他の要素は任意であり、列挙された要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもしなくてもよいことを示す。
【0043】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある実施形態」、「追加の実施形態」、または「さらなる実施形態」、またはそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。 したがって、本明細書を通じて様々な場所に前述の語句が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「または」および「および/または」という用語は、複数の構成要素を組み合わせて、または互いに排他的に説明するために利用される。例えば、″x、y、および/またはz″は、″x″単独、″y″単独、″z″単独、″x、y、およびz″、″(xおよびy)またはz″、″xまたは(yおよびz)″、または″xまたはyまたはz″を指すことができる。x、y、またはzが実施形態から特に除外され得ることが特に企図される。
【0045】
本出願を通じて、用語「約」は、値を決定するために採用される装置または方法についての誤差の標準偏差を値が含むことを示すために、細胞および分子生物学の領域におけるその平明かつ通常の意味に従って使用される。
【0046】
本明細書で使用する「操作された」という用語は、細胞、核酸、ポリペプチド、ベクターなどを含む、人の手によって生成された実体を指す。少なくともいくつかの場合において、操作された実体は合成されたものであり、天然には存在しない要素、または本開示において利用される方法で構成された要素からなる。
【0047】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、分子または生物学的物質または細胞物質が他の物質から実質的に遊離していることを指す。一態様において、「単離された」という用語は、天然源に存在するような、それぞれ他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官から分離された、DNAもしくはRNAのような核酸、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官を指す。また、「単離された」という用語は、組換えDNA技術によって産生された場合には細胞材料、ウイルス材料、培養培地、または化学合成された場合には化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない核酸またはペプチドを指す。さらに、「単離された核酸」とは、断片として天然に存在せず、天然の状態では見出されない核酸断片を含むことを意味する。用語「単離された」はまた、本明細書において、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドを指すために使用され、精製ポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を包含することを意味する。用語「単離された」はまた、本明細書において、他の細胞または組織から単離された細胞または組織を指すために使用され、培養された細胞または組織および操作された細胞または組織の両方を包含することを意味する。
【0048】
本明細書で使用される「予防する」、及び「防御する」、「予防される」等の類似の語は、疾患又は状態、例えばがんの発生又は再発の可能性を予防し、抑制し、又は低減するためのアプローチを示す。また、疾患または病態の発症もしくは再発を遅延させること、または疾患または病態の症状の発生もしくは再発を遅延させることも指す。本明細書で使用される場合、「予防」および同様の語は、疾患または状態の発症または再発の前に、疾患または状態の強度、影響、症状および/または負担を軽減することも含む。
【0049】
本明細書で使用される「試料」という用語は、一般に生物学的試料を指す。試料は、個体の組織又は細胞から採取することができる。いくつかの例では、試料は、組織生検、血液(例えば、全血)、血漿、細胞外液、乾燥血液斑、培養細胞、廃棄組織からなる、またはそれらに由来する。試料は、採取前に採取源から分離されていてもよい。非限定的な例としては、血液、脳脊髄液、胸水、羊水、リンパ液、唾液、尿、便、涙、汗、または粘膜排泄物、および採取前に一次供給源から分離された他の体液が挙げられる。いくつかの例では、試料は、試料調製中にその一次供給源(細胞、組織、血液などの体液、環境試料など)から分離される。試料は、その一次供給源から精製または濃縮されてもされなくてもよい。場合によっては、一次供給源はさらなる処理の前にホモジナイズされる。試料は、バフィーコート、脂質、または粒子状物質を除去するために、濾過または遠心分離される場合がある。サンプルはまた、核酸について精製または濃縮されるかもしれないし、RNaseで処理されるかもしれない。サンプルは、無傷、断片化、または部分的に分解された組織または細胞を含んでもよい。
【0050】
本明細書で使用される「対象」という用語は、一般に、処理または分析中の生物学的試料を有する個体であって、特定の場合には、がんを有するか、またはがんを有する疑いがある個体を指す。対象は、哺乳動物、例えばヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、七面鳥、ニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類)、ウマ、およびトランスジェニック非ヒト動物を含む、方法または材料の対象である任意の生物または動物対象であり得る。対象は、例えば、良性もしくは悪性の新生物、またはがんなどの疾患(病状と称される場合がある)を有するか、または有する疑いのある患者であり得る。対象者は、治療中又は治療を受けたことがある。被験者が無症状の場合もある。対象者は、健康な個人であるが、がんの予防を希望している場合もある。「個体」という用語は、少なくとも場合によっては互換的に使用される。本明細書で使用される「対象」または「個人」は、医療施設に収容されていてもいなくてもよく、医療施設の外来患者として治療されていてもよい。個人は、インターネットを介して1つ以上の医療用組成物の投与を受けてもよい。個体は、ヒトまたは非ヒト動物の任意の年齢を含んでよく、したがって、成人および少年(すなわち、子供)および乳児の両方を含み、胎内の個体も含む。この用語は、医学的治療の必要性を意味するものではないため、個体は、臨床的であるか基礎科学研究の支援であるかにかかわらず、自発的であるか非自発的であるかを問わず、実験に参加することができる。
【0051】
本明細書で使用される「治療」または「治療する」には、疾患または病理学的状態の症状または病理学的状態に対するあらゆる有益なまたは望ましい効果が含まれ、治療される疾患または状態、例えばがんの1つまたは複数の測定可能なマーカーにおける最小限の減少さえも含まれ得る。治療は、任意に、疾患または病態の症状の軽減もしくは改善、または疾患または病態の進行の遅延のいずれかを含むことができる。「治療」は、必ずしも疾患もしくは状態、またはそれらに関連する症状の完全な根絶または治癒を示すものではない。
【0052】
本開示は、特にCD5陽性がん細胞を標的とする養子細胞療法を利用する、CD5陽性がんの治療法を対象とする方法および組成物に関する。特定の実施形態において、CD5陽性がんを標的とする、あらゆる種類の遺伝子操作された哺乳動物免疫細胞(少なくともヒトNK細胞が挙げられる)が生成される。本開示は、CD5に対するあらゆる種類の遺伝子操作された受容体(キメラ抗原受容体(CAR)が挙げられる)を包含する。特定の実施形態において、CARで使用されるCD5標的化単鎖可変断片(scFv)を発現し、場合によっては、細胞の生存および増殖を支援するためのIL-15等の1つ以上のサイトカインも発現するレトロウイルス構築物が挙げられる、いくつかの新規の発現構築物が提供される。
【0053】
本明細書中で提供されるのは、少なくともT細胞悪性腫瘍、例えばT細胞白血病(T-ALL)およびT細胞リンパ腫上で発現されるCD5を標的とする設計されたCARである。NK細胞は、正常T細胞とは異なり、全てのTリンパ芽球性白血病細胞ならびに正常T細胞上で発現される分子であるCD5を発現しないので、T細胞悪性腫瘍の免疫療法にとって、CD5を標的とするのにとりわけ有利である。したがって、CAR T細胞とは異なり、CAR NK細胞はCAR.CD5媒介フラトリサイドによって標的とされない。ゆえに、本開示は、CD5に対する単鎖可変断片(scFv)を発現し、場合によっては、NK細胞の生存および増殖を支援するためのIL-15も発現するいくつかの新規のレトロウイルス構築物を提供する。一連のインビトロ研究およびインビボ研究において、本発明者らは、T細胞悪性腫瘍に対するCAR5/IL-15を形質導入したCB-NK細胞の活性を確認した。
I.遺伝子操作された受容体
【0054】
本開示の免疫細胞は、CD5を標的とする1つ以上の抗原結合受容体、例えば操作されたCARまたはこれ以外にも操作されたTCRを発現するように遺伝子操作され得る。例えば、免疫細胞は、CD5に対する抗原特異性を有するCARおよび/またはTCRを発現するように修飾された免疫細胞であり得る。他のCARおよび/またはTCRは、CD5抗原受容体発現細胞と同じ細胞によって発現され得、そして異なる抗原に向けられ得る。一部の態様において、免疫細胞は、CRISPRを用いるCARまたはTCRのノックインによってCD5特異的CARまたはCD5特異的TCRを発現するように操作される。
【0055】
細胞の適切な修飾方法が、当該技術において知られている。例えば、上記のSambrook and Ausubel参照。例えば、Heemskerk et al.,2008およびJohnson et al.,2009に記載されている形質導入技術を用いて、細胞は、がん抗原に対する抗原特異性を有するCARまたはTCRを発現するように形質導入され得る。
【0056】
一部の態様において、細胞は、1つ以上の抗原標的化受容体(その少なくとも1つがCD5に対するものである)をコードする、遺伝子操作を介して導入された1つ以上の核酸、およびそのような核酸の遺伝子操作された産物を含む。一部の実施形態において、核酸は異種である、すなわち、細胞または細胞から得られる試料において、通常存在せず、例えば、例えば操作されることとなる細胞および/またはそのような細胞が由来する生物において通常見出されない、別の生物または細胞から得られるものである。一部の実施形態において、核酸は、天然に存在せず、例えば、天然に見出されない核酸(例えばキメラ)である。
【0057】
CARおよび組換えTCRが挙げられる例示的な抗原受容体、ならびに当該受容体を操作して細胞中に導入する方法として、例えば、国際公開第2000/14257号パンフレット、国際公開第2013/126726号パンフレット、国際公開第2012/129514号パンフレット、国際公開第2014/031687号パンフレット、国際公開第2013/166321号パンフレット、国際公開第2013/071154号パンフレット、国際公開第2013/123061号パンフレット、米国特許出願公開第2002/131960号明細書、米国特許出願公開第2013/287748号明細書、米国特許出願公開第2013/0149337号明細書、米国特許第6,451,995号明細書、米国特許第7,446,190号明細書、米国特許第8,252,592号明細書、米国特許第8,339,645号、米国特許第8,398,282号明細書、米国特許第7,446,179号明細書、米国特許第6,410,319号明細書、米国特許第7,070,995号明細書、米国特許第7,265,209号明細書、米国特許第7,354,762号明細書、米国特許第7,446,191号明細書、米国特許第8,324,353号明細書、および米国特許第8,479,118号明細書、ならびに欧州特許出願公開第2537416号明細書に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al.,2013;Davila et al.,2013;Turtle et al.,2012;Wu et al.,2012によって記載されているものが挙げられる。一部の態様において、遺伝子操作された抗原受容体として、米国特許第7,446,190号明細書に記載されているCAR、および国際公開第2014/055668号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
A.キメラ抗原受容体
【0058】
特定の実施形態において、a)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、b)膜貫通ドメイン、およびc)CD5に特異的に結合することを含む、CD5を標的とする少なくとも1つの抗原結合領域を含む細胞外ドメインを少なくとも含むCD5特異的CARが利用される。特定の実施形態において、抗原結合領域は、抗体またはその機能的断片であるが、他の場合では、CARの抗原結合領域は、抗体またはその機能的断片(CD5に対するリガンド等)ではない。一部の実施形態において、CD5特異的CARはCD5のみに結合するが、他の場合では、単一ポリペプチドとしてのCARは、2つ以上の抗原結合ドメインを含むことによって二重特異性であり、その一方はCD5に結合し、他方は別の非同一抗原に結合する。
【0059】
一部の実施形態において、操作された抗原受容体として、活性化もしくは刺激CAR、または共刺激CARが挙げられるCARが挙げられる(国際公開第2014/055668号パンフレット参照)。CARは一般に、一部の態様においてリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つ以上の細胞内シグナル伝達構成要素に連結される細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。そのような分子は、典型的には、天然抗原受容体を介したシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介したシグナル、および/または共刺激受容体単独を介したシグナルを模倣するか、またはこれに近似する。
【0060】
キメラ構築物は、裸のDNAとして、または適切なベクター内にあって免疫細胞中に導入され得ると考えられる。裸のDNAを用いるエレクトロポレーションによって細胞を安定して形質移入する方法が、当該技術において知られている。例えば、米国特許第6,410,319号参照。裸のDNAは、一般に、発現に適した向きにプラスミド発現ベクター内に含有される、キメラ受容体をコードするDNAを指す。
【0061】
これ以外にも、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクター)を用いて、キメラCAR構築物を免疫細胞中に導入することができる。本開示の方法に従って用いるのに適したベクターは、免疫細胞において非複製性である。細胞内で維持されるウイルスのコピー数が、細胞の生存率を維持するほど十分に低い、ウイルスに基づく多数のベクター、例えば、HIV、SV40、EBV、HSV、またはBPVに基づくベクターが知られている。
【0062】
本開示の特定の実施形態は、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ以上のシグナル伝達モチーフを含む細胞外ドメインを含む、場合によっては免疫原性(hCAR)を引き下げるためにヒト化されたCARが挙げられる、CD5特異的CARポリペプチドをコードする核酸が挙げられる核酸の使用に関する。特定の実施形態において、CD5特異的CARは、1つ以上の抗原間の共有空間を含むエピトープを認識し得る。特定の実施形態において、結合領域は、モノクローナル抗体の相補性決定領域、モノクローナル抗体の可変領域、および/またはそれらの抗原結合断片を含み得る。別の実施形態において、その特異性は、受容体に結合するペプチド(例えばサイトカイン)に由来する。
【0063】
ヒトCD5 CAR核酸は、ヒト患者のための細胞免疫療法を強化するのに用いられるヒト遺伝子であり得ると考えられる。特定の実施形態において、本開示は、全長CD5特異的CAR cDNAまたはコード領域を含む。抗原結合領域またはドメインは、特定のヒトモノクローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)のV鎖およびV鎖の断片、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,109,304号明細書に記載されるものを含み得る。また、断片は、ヒト抗原特異的抗体の任意の数の異なる抗原結合ドメインであり得る。より具体的な実施形態において、断片は、ヒト細胞内での発現のためのヒトコドン使用頻度に最適化された配列によってコードされるCD5特異的scFvである。
【0064】
構成は、ダイアボディまたはマルチマー等の多量体であり得る。マルチマーは、軽鎖および重鎖の可変部分の、ダイアボディへの交差対合によって形成される可能性が最も高い。構築物のヒンジ部分は、完全に欠失されることから、第1のシステインが維持されること、セリン置換ではなくプロリンになること、第1のシステインまで切断されることまで、多数の選択肢を有し得る。Fc部分は欠失され得る。安定および/または二量体化するあらゆるタンパク質が、この目的を果たし得る。Fcドメインの1つのみ、例えばヒト免疫グロブリン由来のCH2またはCH3ドメインのいずれかを用いることができる。二量体化を向上させるように修飾されたヒト免疫グロブリンのヒンジ、CH2およびCH3領域を用いることもできる。免疫グロブリンのヒンジ部分のみを用いることもできる。CD8アルファの一部を用いることもできる。
【0065】
一部の実施形態において、疾患細胞型上で発現されるCD5等のCD5に対する特異性を有するCD5特異的CARが構築される。ゆえに、CARは、典型的には、その細胞外部分に、1つ以上のCD5結合分子、例えば、1つ以上の抗原結合断片、ドメイン、抗体可変ドメイン、および/またはあらゆる種類の抗体分子を含む。ヒトCD5核酸の例が、受託番号NM_014207でNational Center for Biotechnology InformationのGenBank(登録商標)データベースにある。ヒトCD5ポリペプチドの例が、受託番号NP_055022でGenBank(登録商標)にある。当業者であれば、少なくともポリペプチドの知識および日常的な実施に基づいて、CD5に対するscFvを含む抗体を生成することができるが、多数の抗CD5 scFvおよびモノクローナル抗体が、当該技術において既に存在する。
【0066】
一部の実施形態において、CD5特異的CARは、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する単鎖抗体断片(scFv)等の抗体分子の抗原結合部分を含む。特定の実施形態において、抗体またはその機能的断片は、H65(Santa Cruz Biotechnology;Santa Cruz,Calif.);クローンCRIS1もしくはクローン4C7(Abnova Corporation;Walnut,Calif.);OX-19(Santa Cruz Biotechnology;Santa Cruz,Calif.);Leu-1(Becton-Dickinson;Mountain View,Calif.)およびUCHT2(Accurate Scientific;Westbury,N.Y.);53-7.3(Affymetrix;Santa Clara,Calif.);4H8E6(Life Technologies;Grand Island,N.Y.);T101;EP2952(Abcam,Cambridge Mass.);またはL17F12であるか、またはこれに由来する。他の実施形態において、抗体、例えばscFvは、抗CD5抗体D-9、H-3、HK231、N-20、Y2/178、H-300、L17F12、CD5/54/F6、Q-20、またはCC17(全てSanta Cruz Biotechnology,Dallas Tex.から入手可能)であるか、またはこれに由来する。また、抗体は、CD5に対してデノボで生成されるものであってもよく、scFv配列は、そのようなデノボ抗体から得られ得るか、または誘導され得る。
【0067】
特定の実施形態において、抗CD5 CARは、CD5に対するリガンドであるか、またはこれを含む細胞外ドメインを含む。特定の実施形態において、抗CD5 CARは、CD72(Lyb-2)、gp40-80、gp150、gp200、IgVHフレームワーク領域、IL-6、ならびにそれらの断片および模擬物を含む細胞外ドメインを含む。
【0068】
キメラ受容体をコードするオープンリーディングフレームの配列は、ゲノムDNA源、cDNA源から得ることもできるし、(例えばPCRを介して)合成することもできるし、それらの組合せであってもよい。ゲノムDNAのサイズおよびイントロンの数に応じて、cDNAまたはその組合せを用いることが望ましい場合がある。というのも、イントロンがmRNAを安定化することがわかっているからである。また、mRNAを安定化するために内因性または外因性の非コード領域を用いることがさらに有利である場合がある。
【0069】
一部の態様において、抗原特異的結合または認識構成要素が、1つ以上の膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。一部の実施形態において、CARは、CARの細胞外ドメインに融合される膜貫通ドメインを含む。一実施形態において、CAR内のドメインの1つと天然に結合する膜貫通ドメインが用いられる。一部の例において、膜貫通ドメインは、そのようなドメインの、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように、アミノ酸置換によって選択または修飾される。一部の実施形態における膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来する。源が天然である場合、一部の態様におけるドメインは、あらゆる膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域として、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、またはゼータ鎖、CD28、DAP12、DAP10、NKG2D、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357等に由来するものが挙げられる(すなわち、少なくともこれらの膜貫通領域を含む)。これ以外にも、一部の実施形態における膜貫通ドメインは、合成である。一部の態様において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリン等の疎水性残基を主に含む。一部の態様において、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端にて見出される。
【0070】
一部の実施形態において、CD5 CAR核酸は、膜貫通ドメインおよび1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン等の他の共刺激受容体をコードする配列を含む。CD3ζおよび/またはFcεRIγによって開始され得るような一次T細胞活性化シグナルに加えて、キメラ受容体の、標的抗原との結合後の免疫エフェクタ細胞増殖およびエフェクタ機能用の追加の刺激シグナルが利用され得る。例えば、インビボ持続性を向上させ、かつ養子免疫療法の治療的成功を向上させるのに役立ち得る、細胞の活性化の増強のためのヒト共刺激受容体の一部または全部が利用され得る。例として、DAP12、DAP10、NKG2D、CD2、CD28、CD27、4-1BB、(CD137)、OX40、ICOS、(CD278)、CD30、HVEM、CD40、LFA-1(CD11a/CD18)、および/またはICAM-1等の分子由来の共刺激ドメインが挙げられるが、代替の特定の実施形態において、列挙されるこれらのいずれか1つが、CARでの使用から除外され得る。
【0071】
特定の実施形態において、NK細胞等の免疫細胞を遺伝子修飾するための本明細書中で開示されるプラットフォーム技術は、(i)エレクトロポレーションデバイス(例えばヌクレオフェクタ)を用いる非ウイルス遺伝子導入、(ii)エンドドメインを介してシグナル伝達するCAR(例えば、CD28/CD3-ζ、CD137/CD3-ζ、または他の組合せ)、(iii)CD5認識ドメインを細胞表面に連結する可変長の細胞外ドメインを有するCAR、および場合によっては、(iv)CAR免疫細胞をロバストかつ数値的に増殖させることができるようにK562由来の人工抗原提示細胞(aAPC)を含む(Singh et al.,2008;Singh et al.,2011)。
B.特定のCAR実施形態の例
【0072】
特定の実施形態において、特定のCD5 CAR分子が、本明細書中に包含される。場合によっては、CARのCD5結合ドメインはscFvであり、CD5に結合するあらゆるscFv、および/またはCD5に結合するリガンドが、本明細書中で利用され得る。抗CD5 scFvがCARの細胞外ドメインに利用される場合、scFvの可変重鎖および可変軽鎖は、N末端からC末端の方向において、あらゆる順序であり得る。例えば、可変重鎖は、可変軽鎖のN末端側にあり得、またはその逆も同じである。CAR内のCD5に結合するscFvおよび/またはリガンドは、コドン最適化されていてもされていなくてもよい。特定の実施形態において、ベクターは、CD5特異的CARをコードし、そしてまた1つ以上の他の分子をコードする。例えば、ベクターは、CD5特異的CARをコードし得、そしてまた、別の目的のタンパク質、例えば、別の操作された抗原受容体、自殺遺伝子、および/または特定のサイトカインをコードしてよい。
【0073】
同じ分子上で、CD5特異的CARは、1つ以上の抗原特異的細胞外ドメイン、特異的ヒンジ、特異的膜貫通ドメイン、1つ以上の特異的共刺激ドメイン、および1つ以上の特異的活性化シグナルを含んでよい。例えば2つの異なる抗原(そのうちの1つがCD5である)を標的とするのに、複数の抗原特異的細胞外ドメインが利用される場合、2つの抗原特異的細胞外ドメイン間にリンカーが存在し得る。
【0074】
特定のCAR分子の特定の実施形態において、CARは、DAP10、DAP12、4-1BB、NKG2D、または他の共刺激ドメイン(本明細書中で細胞質内ドメインと称され得る)を利用してよい。場合によっては、CD3ゼータは、いかなる共刺激ドメインもなしに利用される。特定のCAR分子の特定の実施形態において、CARは、例えば、DAP12、DAP10、NKG2D、またはCD28から、適切なあらゆる膜貫通ドメインを利用してよい。
【0075】
特定の実施形態において、操作された特定のCD5特異的受容体をコードする配列を含む発現構築物が存在する。特定の実施形態において、あらゆるCD5 CARが、共刺激ドメインであるICDの不在下で、以下のうちの1つ:(a)CD28膜貫通ドメイン(TM)およびCD28細胞質内ドメイン(ICD);(b)CD28 TM、CD28 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(c)CD28 TMおよびDAP12 ICD;(d)CD28 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(e)DAP12 TMおよびDAP12 ICD;(f)DAP12 TM、DAP12 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(g)CD28 TMおよび4-1BB ICD;(h)CD28 TM、CD28 ICD、および4-1BB ICD;(i)CD28 TM、CD28 ICD、4-1BB ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(j)CD28 TMおよびDAP10 ICD;(k)CD28 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(l)DAP10 TMおよびDAP10 ICD;(m)DAP10 TM、DAP10 ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(n)NKG2D ICD;(o)NKG2D TM;(p)NKG2D TMおよびNKG2D ICD;(q)NKG2D TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(r)CD28 TMおよびNKG2D ICD;(s)NKG2D ICDおよびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;(t)CD28 TM、NKG2D ICD、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメイン;または(u)CD28 TMおよびCD3ゼータを含み得る。
【0076】
具体的な配列の実施形態の例を、以下に提供する。
1.抗原特異的細胞外ドメイン
【0077】
具体的な実施形態では、以下のような抗CD5 scFv(ヒト化)塩基配列が利用される:
ATGGAGTTCGGTCTCAGTTGGCTGTTTTTGGTTGCTATCTTGAAGGGCGTCCAATGCAGCCGGGACATCCAGATGACCCAGTCTCCCTCTAGCATGTCAGCGAGTCTTGGTGATCGAGTGACGATTACCTGCAGAGCCTCTCAAGATATAAACAGCTATCTTTCATGGTTCCAACAGAAGCCGGGGAAGTCCCCAAAAACTCTCATATACAGGGCGAATCGACTCGTAGACGGTGTGCCTTCAAGGTTTTCCGGGAGTGGTAGTGGCACAGATTACACACTTACAATCTCTTCATTGCAGTATGAGGATTTCGGGATCTACTACTGTCAACAGTACGACGAATCCCCATGGACGTTTGGGGGCGGGACCAAACTTGAGATAAAAGGGAGCACATCTGGAAGTGGTAAACCTGGGTCAGGGGAGGGTTCCACAAAAGGACAAATTCAACTTGTCCAAAGCGGTCCTGGTCTTAAGAAGCCTGGAGGGTCTGTCAGGATAAGTTGTGCGGCATCCGGCTACACCTTCACCAACTATGGGATGAACTGGGTGAAACAAGCGCCTGGGAAAGGTCTTCGATGGATGGGCTGGATTAATACCCACACTGGAGAGCCCACTTACGCTGATGATTTCAAAGGACGATTTACCTTCTCCTTGGATACTTCCAAGAGTACCGCGTACTTGCAAATCAACAGTCTCCGGGCTGAAGACACGGCCACATACTTCTGTACGCGGAGAGGGTATGACTGGTATTTTGATGTGTGGGGTCAGGGAACAACCGTGACTGTTTCAAGC (配列表の配列番号:1)
【0078】
翻訳scFv(ヒト化)(配列表の配列番号:1から翻訳)のアミノ酸配列は以下の通りである:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIQMTQSPSSMSASLGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQYEDFGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPGLKKPGGSVRISCAASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFTFSLDTSKSTAYLQINSLRAEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGQGTTVTVSS (配列表の配列番号:2)
【0079】
特定の実施形態において、抗CD5 scFv[マウス]塩基配列は、以下のように利用される:
ATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGC (配列表の配列番号:3)
【0080】
翻訳されたscFv(マウス)(配列表の配列番号:3から翻訳)のアミノ酸配列は以下の通りである:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSS (配列表の配列番号:4)
2.膜貫通ドメイン
【0081】
CD5特異的CARでは、任意の適切な膜貫通ドメインを利用することができる。 例としては、少なくともDAP10、DAP12、CD28、NKG2D、CD3ε、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、T細胞受容体a鎖またはb鎖、CD3ゼータ鎖、ICOS、それらの機能的誘導体、およびそれらの組み合わせからのものが挙げられる。具体的には、DAP10、DAP12、CD28、またはNKG2Dの膜貫通ドメインが利用される。特定の膜貫通ドメイン配列の例を以下に示す。
【0082】
4-1BB膜貫通ドメインの塩基配列:
ATCATCTCCTTCTTTCTTGCGCTGACGTCGACTGCGTTGCTCTTCCTGCTGTTCTTCCTCACGCTCCGTTTCTCTGTTGTT(配列表の配列番号:5)
【0083】
4-1BB膜貫通ドメインのアミノ酸配列:
IISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVV (配列表の配列番号:6)
【0084】
CD28膜貫通ドメインの塩基配列:
TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG (配列表の配列番号:7)
【0085】
CD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列:
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV (配列表の配列番号:8)
【0086】
DAP10膜貫通ドメインの塩基配列:
CTCCTGGCAGGCCTCGTGGCTGCTGATGCGGTGGCATCGCTGCTCATCGTGGGGGCGGTGTTC (配列表の配列番号:9)
【0087】
DAP10膜貫通ドメインのアミノ酸配列:
LLAGLVAADAVASLLIVGAVF (配列表の配列番号:10)
【0088】
DAP12膜貫通ドメインの塩基配列:
GGCGTGCTGGCAGGGATCGTGATGGGAGACCTGGTGCTGACAGTGCTCATTGCCCTGGCCGTG (配列表の配列番号:11)
【0089】
DAP12膜貫通ドメインのアミノ酸配列:
GVLAGIVMGDLVLTVLIALAV (配列表の配列番号:12)
【0090】
NKG2D膜貫通ドメインの塩基配列:
GCGGTGATGATTATTTTTCGCATTGGCATGGCGGTGGCGATTTTTTGCTGCTTTTTTTTTCCG (配列表の配列番号:13)
【0091】
NKG2D膜貫通ドメインのアミノ酸配列:
AVMIIFRIGMAVAIFCCFFFP (配列表の配列番号:14)
3.細胞質内ドメイン(ICD)
【0092】
1つまたは複数の細胞質内ドメイン(適切な場合には、本明細書においてコスティミュレイトリードメインとも呼ばれ得る)は、本開示の特定の抗CD5 CARにおいて利用されても利用されなくてもよい。具体例としては、4-1BB、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、BTLA;またはそれらの組み合わせからのICDが挙げられる。
【0093】
特定のICD配列の例は、以下のように、CARにおいて使用され得る:
【0094】
4-1BB細胞質内ドメイン塩基配列
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG (配列表の配列番号:15)
【0095】
4-1BB細胞質内ドメインアミノ酸配列
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL (配列表の配列番号:16)
【0096】
DAP10細胞質内ドメイン塩基配列:
CTTTGCGCACGCCCACGCCGCAGCCCCGCCCAAGAAGATGGCAAAGTCTACATCAACATGCCAGGCAGGGGC (配列表の配列番号:17)
【0097】
DAP10細胞質内ドメインのアミノ酸配列:
LCARPRRSPAQEDGKVYINMPGRG (配列表の配列番号:18)
【0098】
DAP12細胞質内ドメイン塩基配列:
TACTTCCTGGGCCGGCTGGTCCCTCGGGGGCGAGGGGCTGCGGAGGCAGCGACCCGGAAACAGCGTATCACTGAGACCGAGTCGCCTTATCAGGAGCTCCAGGGTCAGAGGTCGGATGTCTACAGCGACCTCAACACACAGAGGCCGTATTACAAA (配列表の配列番号:19)
【0099】
DAP12細胞質内ドメインのアミノ酸配列:
YFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK (配列表の配列番号:20)
【0100】
NKG2D細胞質内ドメイン塩基配列:
AGCGCGAACGAACGCTGCAAAAGCAAAGTGGTGCCGTGCCGCCAGAAACAGTGGCGCACCAGCTTTGATAGCAAAAAACTGGATCTGAACTATAACCATTTTGAAAGCATGGAATGGAGCCATCGCAGCCGCCGCGGCCGCATTTGGGGCATG (配列表の配列番号:21)
【0101】
NKG2D細胞質内ドメインアミノ酸配列:
SANERCKSKVVPCRQKQWRTSFDSKKLDLNYNHFESMEWSHRSRRGRIWGM (配列表の配列番号:22)
4.ヒンジ
【0102】
CARのいくつかの実施形態では、1つ以上の細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にヒンジ領域が存在する。具体的な実施形態において、ヒンジは、例えば、10~20、10~15、11~20、11~15、12~20、12~15、または15~20アミノ酸のような特定の長さである。ヒンジは任意の適切なヒンジであってよく、場合によってはIgG、またはCD28由来のヒンジを含む。具体的な実施形態では、ヒンジは、IgG FcのCH2-CH3ドメインとCH1ドメインとを連結する小さな可撓性ポリペプチドである。例えば、様々なIgGサブクラス(IgG1~4、修飾されていてもいなくてもよい)のCH2-CH3ヒンジ(一部または全部)を利用することができる。しかしながら、場合によっては、CH2-CH3ヒンジ全体が利用されるのではなく、ヒンジの一部が利用される(CH3単体またはCH3の一部単体など)。特定の実施形態では、IgG1由来のCH2-CH3ヒンジが利用され、場合によっては、CH2-CH3ヒンジ全体が利用されるか(229アミノ酸すべて)、CH3ヒンジ(119アミノ酸)のみが利用されるか、または短いヒンジ(12アミノ酸)が利用される。
【0103】
具体的な実施態様では、CARの効率を最適化するために、スペーサーおよび/またはヒンジの同一性または長さを変更することができる。例えば、Hudecekら(2014)およびJonnalagaddaら(2015)を参照されたい。具体的な実施形態では、CD5 CARは、例えば、IgG4ヒンジ+CH3を利用するか、CD8aストークを利用する。
【0104】
したがって、特定の実施形態において、利用されるIgGヒンジ領域は、典型的にはIgG1またはIgG4であり、場合によっては、CARはIgG FcのCH2-CH3ドメインを含む。IgG Fcドメインの使用は、CARに柔軟性を与えることができ、免疫原性が低く、抗Fc試薬を用いたCAR発現の検出を容易にし、異なるスペーサー長に対応するために1つ以上のCH2またはCH3モジュールを除去することを可能にする。しかしながら、一実施形態では、FcγR結合を回避するための特定のスペーサーの変異は、例えば可溶性および細胞表面Fcガンマレセプターの結合を回避するために、CAR+T細胞の生着および抗腫瘍効力を改善し、なおかつ抗原特異的溶解を媒介する活性を維持する可能性がある。例えば、CH2領域を改変したIgG4-Fcスペーサーを用いることができる。例えば、CH2領域は、点変異および/または欠失を含む、変異がされていてもよい。特定の改変は、CH2領域内の2つの部位(L235E;N297Q)で実証されており、かつ/またはCH2欠失を組み込んでいる(Jonnalagadda et al,2015)。特定の実施形態では、IgG4ヒンジ-CH2-CH3ドメイン(長さ229aa)またはヒンジドメイン(長さ12aa)のみを採用することができる(Hudececkら、2015)。
【0105】
具体的な実施形態では、ヒンジはIgG、CD28、CD-8α、4-1BB、0X40、CD3-ゼータ、T細胞レセプターa鎖またはb鎖、CD3ゼータ鎖、CD28、CD3e、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOS、またはCD154のいずれかである。
【0106】
利用できるヒンジの具体的な配列の例としては、少なくとも以下のものがある:
【0107】
IgGヒンジ塩基配列:
GTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATT (配列表の配列番号:23)
【0108】
IgGヒンジのアミノ酸配列:
TVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK (配列表の配列番号:24)
【0109】
CD28ヒンジ塩基配列:
ATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCC(配列表の配列番号:25)
【0110】
CD28ヒンジアミノ酸配列
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列表の配列番号:26)
5.シグナル活性化ドメイン
【0111】
具体的な態様において、抗CD5 CAR分子は、例えばCD3zetaまたはFcεRIγからのようなシグナル活性化ドメインを含む。
【0112】
利用され得るCD3ゼータ塩基配列の一例は、以下の通りである:
CGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGAC (配列表の配列番号:27)
【0113】
利用できるCD3ゼータアミノ酸配列の一例は以下の通りである:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRG (配列表の配列番号:28)
6.その他のタンパク質
【0114】
いくつかの実施形態では、1つ以上の他のタンパク質が抗CD5 CARとともに利用される。つまたは複数の他のタンパク質は、CAR自体および/またはCARを発現するあらゆる種類の細胞の効力を促進することを含む、あらゆる理由で利用することができる。場合によっては、他のタンパク質は、他のタンパク質(複数可)がCARまたは細胞の活性に直接的または間接的に影響を及ぼすかどうかにかかわらず、治療としてCARを発現する細胞を受ける個体の治療を促進する。場合によっては、他のタンパク質は、自殺遺伝子、1つ以上のサイトカイン、またはその両方である。具体的な実施形態では、1つ以上の他のタンパク質はベクターから産生され、最終的に2つの別々のポリペプチドとして産生される。例えば、抗CD5 CARおよび他のタンパク質(複数可)は、例えば、2A配列またはIRESによって分離され得る。
【0115】
具体的な実施形態では、IL-15のようなサイトカインが抗CD5 CARとともに利用される。
【0116】
IL-15の塩基配列の一例は以下の通りである:
【0117】
IL-15塩基配列:
GCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGACAATT (配列表の配列番号:29)
【0118】
IL-15のアミノ酸配列:
ISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:30)
【0119】
同じベクター中のCARと別のタンパク質が、2つの異なるポリペプチドに産生されることが意図される場合には、特定の2A配列が利用され得る。
【0120】
一例では、E2A塩基配列は以下のように利用される:
CAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCC (配列表の配列番号:31)
【0121】
E2Aのアミノ酸配列は以下のように利用できる:
QCTNYALLKLAGDVESNPGP (配列表の配列番号:32)
【0122】
他の2Aの例も利用でき、以下の通りである:
T2A: EGRGSLLTCGDVEENPGP (配列表の配列番号:49)
P2A: ATNFSLLKQAGDVEENPGP (配列表の配列番号:50)
F2A: VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP (配列表の配列番号:51)
【0123】
本開示はまた、あらゆるタイプの免疫エフェクター細胞における発現を含む、特定のCAR分子を包含する。
【0124】
一例では、IgG1ヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、およびCD3zetaを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-CD28TMD-CD3zeta-2A-IL15 ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:33)
【0125】
CD5-IgG1-CD28TMD-CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:34)
【0126】
一例では、IgG1ヒンジ、DAP10膜貫通ドメインおよびDAP10細胞質内ドメイン、ならびにCD3ゼータを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例において、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-DAP10TMD-DAP10 ICD.CD3zeta-2A-IL15
ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGCTCCTGGCAGGCCTCGTGGCTGCTGATGCGGTGGCATCGCTGCTCATCGTGGGGGCGGTGTTCCTTTGCGCACGCCCACGCCGCAGCCCCGCCCAAGAAGATGGCAAAGTCTACATCAACATGCCAGGCAGGGGCACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:35)
【0127】
CD5-IgG1-DAP10TMD-DAP10 ICD.CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWLLAGLVAADAVASLLIVGAVFLCARPRRSPAQEDGKVYINMPGRGTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:36)
【0128】
一例では、IgG1ヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよび4-1BB細胞質内ドメイン、ならびにCD3ゼータを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-CD28TMD-41BB-CD3zeta-2A-IL15 ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:37)
【0129】
CD5-IgG1-CD28TMD-41BB-CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである。:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:38)
【0130】
一例では、IgG1ヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよびDAP10細胞質内ドメイン、ならびにCD3zetaを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例において、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-CD28TMD-DAP10 ICD.CD3zeta-2A-IL15
ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGCTTTGCGCACGCCCACGCCGCAGCCCCGCCCAAGAAGATGGCAAAGTCTACATCAACATGCCAGGCAGGGGCACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:39)
【0131】
CD5-IgG1-CD28TMD-DAP10 ICD.CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVLCARPRRSPAQEDGKVYINMPGRGTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:40)
【0132】
一例では、IgG1ヒンジ、DAP12膜貫通ドメインおよびDAP12細胞質内ドメイン、ならびにCD3ゼータを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-DAP12TMD-DAP12 ICD.CD3zeta-2A-IL15
ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGGCGTGCTGGCAGGGATCGTGATGGGAGACCTGGTGCTGACAGTGCTCATTGCCCTGGCCGTGTACTTCCTGGGCCGGCTGGTCCCTCGGGGGCGAGGGGCTGCGGAGGCAGCGACCCGGAAACAGCGTATCACTGAGACCGAGTCGCCTTATCAGGAGCTCCAGGGTCAGAGGTCGGATGTCTACAGCGACCTCAACACACAGAGGCCGTATTACAAAACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:41)
【0133】
CD5-IgG1-DAP12TMD-DAP12 ICD.CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWGVLAGIVMGDLVLTVLIALAVYFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYKTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:42)
【0134】
一例では、IgG1ヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよびDAP12細胞質内ドメイン、ならびにCD3zetaからなる抗CD5 CARが利用される。 ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-CD28TMD-DAP12 ICD.CD3zeta-2A-IL15
ATGCTCGAGatggagttcggcttgagttggttgttccttgtggcgatactcaaaggcgttcaatgtagccgagacataaaaatgacccagtctccgtcatctatgtatgcaagcctcggcgagcgagtgaccatcacgtgcaaggcgagtcaagatataaacagctacttgtcatggttccaacaaaaaccagggaaatcacctaagaccctgatctatagagccaatcgcctggttgacggtgtcccctcccgctttagcggctccggaagcggtcaagattactctctcacaatttcttccttggattatgaagacatggggatctactattgtcaacagtatgacgaatccccgtggactttcggtggcggtaccaaattggaaataaagggctctacaagcggctcaggaaaacctggatcaggcgaagggtctacgaagggccagatacaactcgttcaaagtgggccagaactcaaaaaaccgggagaaacagtgaaaatttcttgtaaggcatcaggatacacattcacaaactacgggatgaattgggtcaaacaagcacccggaaaggggctgcgctggatggggtggatcaacacacatactggggaacctacttacgcagacgatttcaagggcagattcgccttttctttggagacctccgcctctactgcatacttgcagataaacaacctgaagaatgaagataccgccacctacttctgtacgcgcaggggctacgattggtattttgatgtatggggggcaggcaccactgttactgtgtcaagcCGTACGgTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGTACTTCCTGGGCCGGCTGGTCCCTCGGGGGCGAGGGGCTGCGGAGGCAGCGACCCGGAAACAGCGTATCACTGAGACCGAGTCGCCTTATCAGGAGCTCCAGGGTCAGAGGTCGGATGTCTACAGCGACCTCAACACACAGAGGCCGTATTACAAAACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:43)
【0135】
CD5-IgG1-CD28TMD-DAP12 ICD.CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVYFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYKTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:44)
【0136】
一例では、IgG1ヒンジ、NKG2D膜貫通ドメインおよびNKG2D細胞質内ドメイン、ならびにCD3zetaを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARは、2A配列によってCARから分離され得るようなIL-15と共に発現され得る。具体例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-NKG2DTMD-NKG2D ICD.CD3zeta-2A-IL15
ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGCGGTGATGATTATTTTTCGCATTGGCATGGCGGTGGCGATTTTTTGCTGCTTTTTTTTTCCGAGCGCGAACGAACGCTGCAAAAGCAAAGTGGTGCCGTGCCGCCAGAAACAGTGGCGCACCAGCTTTGATAGCAAAAAACTGGATCTGAACTATAACCATTTTGAAAGCATGGAATGGAGCCATCGCAGCCGCCGCGGCCGCATTTGGGGCATGACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:45)
【0137】
CD5-IgG1-NKG2DTMD-NKG2D ICD.CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWAVMIIFRIGMAVAIFCCFFFPSANERCKSKVVPCRQKQWRTSFDSKKLDLNYNHFESMEWSHRSRRGRIWGMTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:46)
【0138】
一例では、IgG1ヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよびNKG2D細胞質内ドメイン、ならびにCD3ゼータを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもよく、例えば2A配列によってCARから分離されてもよい。具体例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
CD5-IgG1-CD28TMD-NKG2D ICD.CD3zeta-2A-IL15
ATGCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGCGCGAACGAACGCTGCAAAAGCAAAGTGGTGCCGTGCCGCCAGAAACAGTGGCGCACCAGCTTTGATAGCAAAAAACTGGATCTGAACTATAACCATTTTGAAAGCATGGAATGGAGCCATCGCAGCCGCCGCGGCCGCATTTGGGGCATGACGCGTgtGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:47)
【0139】
CD5-IgG1-CD28TMD-NKG2D ICD.CD3zeta-2A-IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVSANERCKSKVVPCRQKQWRTSFDSKKLDLNYNHFESMEWSHRSRRGRIWGMTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:48)
【0140】
一例では、CD28ヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよびDAP10細胞質内ドメイン、ならびにCD3ゼータからなる抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもされなくてもよく、例えば、一例として、2A配列によってCARから分離されていてもよい。具体的な例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
iC9.CD5CARCD28hinge.tmdDAP103z.IL15
ATGCTCGAGGGAGTGCAGGTGGAAACCATCTCCCCAGGCGACGGGCGCACCTTCCCCAAGCGCGGCCAGACCTGCGTGGTGCACTACACCGGGATGCTTGAAGATGGAAAGAAAGTTGATTCCTCCCGGGACAGAAACAAGCCCTTTAAGTTTATGCTAGGCAAGCAGGAGGTGATCCGAGGCTGGGAAGAAGGGGTTGCCCAGATGAGTGTGGGTCAGAGAGCCAAACTGACTATATCTCCAGATTATGCCTATGGTGCCACTGGGCACCCAGGCATCATCCCACCACATGCCACTCTCGTCTTCGATGTGGAGCTTCTAAAACTGGAATCTGGCGGTGGATCCGGAGTCGACGGATTTGGTGATGTCGGTGCTCTTGAGAGTTTGAGGGGAAATGCAGATTTGGCTTACATCCTGAGCATGGAGCCCTGTGGCCACTGCCTCATTATCAACAATGTGAACTTCTGCCGTGAGTCCGGGCTCCGCACCCGCACTGGCTCCAACATCGACTGTGAGAAGTTGCGGCGTCGCTTCTCCTCGCTGCATTTCATGGTGGAGGTGAAGGGCGACCTGACTGCCAAGAAAATGGTGCTGGCTTTGCTGGAGCTGGCGCAGCAGGACCACGGTGCTCTGGACTGCTGCGTGGTGGTCATTCTCTCTCACGGCTGTCAGGCCAGCCACCTGCAGTTCCCAGGGGCTGTCTACGGCACAGATGGATGCCCTGTGTCGGTCGAGAAGATTGTGAACATCTTCAATGGGACCAGCTGCCCCAGCCTGGGAGGGAAGCCCAAGCTCTTTTTCATCCAGGCCTGTGGTGGGGAGCAGAAAGATCATGGGTTTGAGGTGGCCTCCACTTCCCCTGAAGACGAGTCCCCTGGCAGTAACCCCGAGCCAGATGCCACCCCGTTCCAGGAAGGTTTGAGGACCTTCGACCAGCTGGACGCCATATCTAGTTTGCCCACACCCAGTGACATCTTTGTGTCCTACTCTACTTTCCCAGGTTTTGTTTCCTGGAGGGACCCCAAGAGTGGCTCCTGGTACGTTGAGACCCTGGACGACATCTTTGAGCAGTGGGCTCACTCTGAAGACCTGCAGTCCCTCCTGCTTAGGGTCGCTAATGCTGTTTCGGTGAAAGGGATTTATAAACAGATGCCTGGTTGCTTTAATTTCCTCCGGAAAAAACTTTTCTTTAAAACATCAGCTTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGCTTTGCGCACGCCCACGCCGCAGCCCCGCCCAAGAAGATGGCAAAGTCTACATCAACATGCCAGGCAGGGGCACGCGTGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:52)
【0141】
iC9.CD5CARCD28hinge.tmdDAP103z.IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEGVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKVDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLESGGGSGVDGFGDVGALESLRGNADLAYILSMEPCGHCLIINNVNFCRESGLRTRTGSNIDCEKLRRRFSSLHFMVEVKGDLTAKKMVLALLELAQQDHGALDCCVVVILSHGCQASHLQFPGAVYGTDGCPVSVEKIVNIFNGTSCPSLGGKPKLFFIQACGGEQKDHGFEVASTSPEDESPGSNPEPDATPFQEGLRTFDQLDAISSLPTPSDIFVSYSTFPGFVSWRDPKSGSWYVETLDDIFEQWAHSEDLQSLLLRVANAVSVKGIYKQMPGCFNFLRKKLFFKTSASRAEGRGSLLTCGDVEENPGPLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVLCARPRRSPAQEDGKVYINMPGRGTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:53)
【0142】
一例では、CD28ヒンジ、CD28膜貫通ドメインおよびCD28細胞質内ドメイン、ならびにCD3ゼータを含む抗CD5 CARが利用される。ベクターにおいて、CARはIL-15と共に発現されてもされなくてもよく、例えば、一例として、2A配列によってCARから分離されていてもよい。具体的な例では、このようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列を有していてもよい:
iC9.CD5CARCD28hinge.28tmd3z.IL15
ATGCTCGAGGGAGTGCAGGTGGAAACCATCTCCCCAGGCGACGGGCGCACCTTCCCCAAGCGCGGCCAGACCTGCGTGGTGCACTACACCGGGATGCTTGAAGATGGAAAGAAAGTTGATTCCTCCCGGGACAGAAACAAGCCCTTTAAGTTTATGCTAGGCAAGCAGGAGGTGATCCGAGGCTGGGAAGAAGGGGTTGCCCAGATGAGTGTGGGTCAGAGAGCCAAACTGACTATATCTCCAGATTATGCCTATGGTGCCACTGGGCACCCAGGCATCATCCCACCACATGCCACTCTCGTCTTCGATGTGGAGCTTCTAAAACTGGAATCTGGCGGTGGATCCGGAGTCGACGGATTTGGTGATGTCGGTGCTCTTGAGAGTTTGAGGGGAAATGCAGATTTGGCTTACATCCTGAGCATGGAGCCCTGTGGCCACTGCCTCATTATCAACAATGTGAACTTCTGCCGTGAGTCCGGGCTCCGCACCCGCACTGGCTCCAACATCGACTGTGAGAAGTTGCGGCGTCGCTTCTCCTCGCTGCATTTCATGGTGGAGGTGAAGGGCGACCTGACTGCCAAGAAAATGGTGCTGGCTTTGCTGGAGCTGGCGCAGCAGGACCACGGTGCTCTGGACTGCTGCGTGGTGGTCATTCTCTCTCACGGCTGTCAGGCCAGCCACCTGCAGTTCCCAGGGGCTGTCTACGGCACAGATGGATGCCCTGTGTCGGTCGAGAAGATTGTGAACATCTTCAATGGGACCAGCTGCCCCAGCCTGGGAGGGAAGCCCAAGCTCTTTTTCATCCAGGCCTGTGGTGGGGAGCAGAAAGATCATGGGTTTGAGGTGGCCTCCACTTCCCCTGAAGACGAGTCCCCTGGCAGTAACCCCGAGCCAGATGCCACCCCGTTCCAGGAAGGTTTGAGGACCTTCGACCAGCTGGACGCCATATCTAGTTTGCCCACACCCAGTGACATCTTTGTGTCCTACTCTACTTTCCCAGGTTTTGTTTCCTGGAGGGACCCCAAGAGTGGCTCCTGGTACGTTGAGACCCTGGACGACATCTTTGAGCAGTGGGCTCACTCTGAAGACCTGCAGTCCCTCCTGCTTAGGGTCGCTAATGCTGTTTCGGTGAAAGGGATTTATAAACAGATGCCTGGTTGCTTTAATTTCCTCCGGAAAAAACTTTTCTTTAAAACATCAGCTTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCCTCGAGATGGAGTTCGGCTTGAGTTGGTTGTTCCTTGTGGCGATACTCAAAGGCGTTCAATGTAGCCGAGACATAAAAATGACCCAGTCTCCGTCATCTATGTATGCAAGCCTCGGCGAGCGAGTGACCATCACGTGCAAGGCGAGTCAAGATATAAACAGCTACTTGTCATGGTTCCAACAAAAACCAGGGAAATCACCTAAGACCCTGATCTATAGAGCCAATCGCCTGGTTGACGGTGTCCCCTCCCGCTTTAGCGGCTCCGGAAGCGGTCAAGATTACTCTCTCACAATTTCTTCCTTGGATTATGAAGACATGGGGATCTACTATTGTCAACAGTATGACGAATCCCCGTGGACTTTCGGTGGCGGTACCAAATTGGAAATAAAGGGCTCTACAAGCGGCTCAGGAAAACCTGGATCAGGCGAAGGGTCTACGAAGGGCCAGATACAACTCGTTCAAAGTGGGCCAGAACTCAAAAAACCGGGAGAAACAGTGAAAATTTCTTGTAAGGCATCAGGATACACATTCACAAACTACGGGATGAATTGGGTCAAACAAGCACCCGGAAAGGGGCTGCGCTGGATGGGGTGGATCAACACACATACTGGGGAACCTACTTACGCAGACGATTTCAAGGGCAGATTCGCCTTTTCTTTGGAGACCTCCGCCTCTACTGCATACTTGCAGATAAACAACCTGAAGAATGAAGATACCGCCACCTACTTCTGTACGCGCAGGGGCTACGATTGGTATTTTGATGTATGGGGGGCAGGCACCACTGTTACTGTGTCAAGCCGTACGATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCAACGCGTGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列表の配列番号:54)
【0143】
iC9.CD5CARCD28hinge.28tmd3z.IL15に対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
MLEGVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKVDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLESGGGSGVDGFGDVGALESLRGNADLAYILSMEPCGHCLIINNVNFCRESGLRTRTGSNIDCEKLRRRFSSLHFMVEVKGDLTAKKMVLALLELAQQDHGALDCCVVVILSHGCQASHLQFPGAVYGTDGCPVSVEKIVNIFNGTSCPSLGGKPKLFFIQACGGEQKDHGFEVASTSPEDESPGSNPEPDATPFQEGLRTFDQLDAISSLPTPSDIFVSYSTFPGFVSWRDPKSGSWYVETLDDIFEQWAHSEDLQSLLLRVANAVSVKGIYKQMPGCFNFLRKKLFFKTSASRAEGRGSLLTCGDVEENPGPLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSRTIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSTRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列表の配列番号:55)
C.T細胞受容体(TCR)
【0144】
一部の実施形態において、遺伝子操作されたCD5標的化抗原受容体は、組換えTCRおよび/または天然に存在するT細胞からクローニングされたTCRを含む。「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られている)または可変γ鎖およびδ鎖(それぞれTCRγおよびTCRδとしても知られている)を含有し、かつMHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合することができる分子を指す。一部の実施形態において、TCRはαβ形態である。
【0145】
典型的には、αβおよびγδ形態で存在するTCRは、一般に構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、異なる解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上で、または可溶性の形態で見出され得る。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上で見出され、そこで一般に主要組織適合性複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識を担う。一部の実施形態において、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質尾部を含有し得る(例えば、Janeway et al,1997参照)。例えば、一部の態様において、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端に短い細胞質尾部を有し得る。一部の実施形態において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質と関連する。特に明記しない限り、用語「TCR」は、その機能的TCR断片を包含すると理解されるべきである。当該用語はまた、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、インタクトTCRまたは全長TCRを包含する。
【0146】
ゆえに、本明細書における目的のために、TCRへの言及は、あらゆるTCRまたは機能的断片、例えばMHC分子に結合した特定の抗原性ペプチド、すなわち、MHC-ペプチド複合体に結合するTCRの抗原結合部分を含む。互換的に用いられ得るTCRの「抗原結合部分」または「抗原結合断片」は、TCRの構造ドメインの一部を含有するが、完全なTCRが結合する抗原(例えば、MHC-ペプチド複合体)に結合する分子を指す。場合によっては、抗原結合部分は、例えば、一般に各鎖が3つの相補性決定領域を含有する場合、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含有する。
【0147】
一部の実施形態において、TCR鎖の可変ドメインは結合して、ループ、または免疫グロブリンに類似する相補性決定領域(CDR)を形成する。これにより、抗原認識が付与され、TCR分子の結合部位を形成することによってペプチド特異性が決定され、そしてペプチド特異性が決定される。典型的には、免疫グロブリンと同様に、CDRは、フレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えば、Jores et al.,1990;Chothia et al.,1988;Lefranc et al.,2003参照)。一部の実施形態において、CDR3は、プロセシングされた抗原の認識を担う主要なCDRであるが、アルファ鎖のCDR1は、抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用することも示されており、ベータ鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用する。CDR2は、MHC分子を認識すると考えられている。一部の実施形態において、β鎖の可変領域は、更なる超可変性(HV4)領域を含有し得る。
【0148】
一部の実施形態において、TCR鎖は、定常ドメインを含有する。例えば、免疫グロブリンと同様に、TCR鎖の細胞外部分(例えば、α鎖、β鎖)は、2つの免疫グロブリンドメイン、N末端の可変ドメイン(例えば、VまたはVp;典型的には、Kabatナンバリング(Kabat et al.,″Sequences of Proteins of Immunological Interest″,US Dept.Health and Human Services,Public Health Service National Institutes of Health,1991,5th ed.)に基づくアミノ酸1~116)、および細胞膜に隣接する1つの定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインまたはC、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~259、β鎖定常ドメインまたはCp、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~295)を含有し得る。例えば、場合によっては、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメイン、およびCDRを含有する2つの膜遠位可変ドメインを含有する。TCRドメインの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成して2本の鎖間を連結する短い連結配列を含有する。一部の実施形態において、TCRは、TCRが定常ドメイン内に2つのジスルフィド結合を含有するように、α鎖およびβ鎖のそれぞれに追加のシステイン残基を有し得る。
【0149】
一部の実施形態において、TCR鎖は、膜貫通ドメインを含有し得る。一部の実施形態において、膜貫通ドメインは、正に帯電している。場合によっては、TCR鎖は、細胞質尾部を含有する。場合によっては、この構造は、TCRがCD3等の他の分子と結合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含有するTCRは、タンパク質を細胞膜内に固定して、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと結合し得る。
【0150】
一般に、CD3は、哺乳動物において3本の異なる鎖(γ、δ、およびε)およびζ鎖を有し得る多タンパク質複合体である。例えば、哺乳動物において、複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、およびCD3ζ鎖のホモ二量体を含有し得る。CD3γ鎖、CD3δ鎖、およびCD3ε鎖は、単一の免疫グロブリンドメインを含有する免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連する細胞表面タンパク質である。CD3γ鎖、CD3δ鎖、およびCD3ε鎖の膜貫通領域は、負に帯電しており、このことは、これらの鎖が正に帯電したT細胞受容体鎖と結合するのを可能にする特徴である。CD3γ鎖、CD3δ鎖、およびCD3ε鎖の細胞内尾部はそれぞれ、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られている単一の保存モチーフを含有するが、各CD3ζ鎖は3つを有する。一般に、ITAMは、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する。これらのアクセサリ分子は、負に帯電した膜貫通領域を有しており、TCRからのシグナルを細胞中に伝達する役割を果たす。CD3鎖およびζ鎖は、TCRと共に、T細胞受容体複合体として知られているものを形成する。
【0151】
一部の実施形態において、TCRは、2本の鎖αおよびβ(または任意選択でγおよびδ)のヘテロ二量体であり得るか、または単鎖TCR構築物であり得る。一部の実施形態において、TCRは、ジスルフィド結合等によって連結された2つの別個の鎖(αおよびβ鎖またはγおよびδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。一部の実施形態において、標的抗原(例えばがん抗原)に対するTCRが特定されて、細胞中に導入される。一部の実施形態において、TCRをコードする核酸は、公的に入手可能なTCR DNA配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅等によって、種々の源から得られ得る。一部の実施形態において、TCRは、生物学的源から、例えば、T細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公的に利用可能な源等由来の細胞から得られる。一部の実施形態において、T細胞は、インビボ単離細胞から得られ得る。一部の実施形態において、高親和性T細胞クローンが患者から単離されて、TCRが単離され得る。一部の実施形態において、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであり得る。一部の実施形態において、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、またはHLA)により操作されたトランスジェニックマウスにおいて生成される。例えば、腫瘍抗原(例えば、Parkhurst et al.,2009およびCohen et al.,2005参照)参照。一部の実施形態において、ファージディスプレイを用いて、標的抗原(例えば、Varela-Rohena et al.,2008およびLi,2005参照)に対するTCRを単離する。一部の実施形態において、TCRまたはその抗原結合部分は、TCRの配列の知識から合成的に生成され得る。
II.サイトカイン
【0152】
1つ以上のサイトカインが、遺伝子操作された1つ以上のCD5標的化受容体、例えばCD5特異的CARと共に利用さてもよい。場合によっては、1つ以上のサイトカインが、操作された受容体と同じベクター分子上に存在するが、他の場合には、別個のベクター分子上に存在する。特定の実施形態において、1つ以上のサイトカインが、操作された受容体と同じベクターから共発現される。1つ以上のサイトカインが、CD5特異的受容体とは別個のポリペプチドとして生成され得る。一例として、インターロイキン-15(IL-15)が利用される。IL-15が使用され得る。なぜなら、例えば、組織に制限されており、かつ病的条件下でのみ血清中で、または全身的に何らかのレベルにて観察されるからである。IL-15は、養子療法に望ましいいくつかの属性を有する。IL-15は、ナチュラルキラー細胞の発生および細胞増殖を誘導し、腫瘍内在細胞の機能的抑制の緩和を介して、確立された腫瘍の根絶を促進し、かつ活性化誘導細胞死を阻害する恒常性サイトカインである。IL-15に加えて、他のサイトカインが想定される。これらとして、サイトカイン、ケモカイン、ならびにヒト用途に用いられる細胞の活性化および増殖に寄与する他の分子が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、サイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、IL-7、またはそれらの組合せである。IL-15を発現するNK細胞が利用され得、そして継続的な支援サイトカインシグナル伝達が可能であり、これは、注入後の生存に有用である。
【0153】
特定の実施形態において、NK細胞は、1つ以上の外因的に提供されるサイトカインを発現する。サイトカインは、NK細胞に外因的に提供され得る。なぜなら、細胞内の発現ベクターから発現され、かつ/または細胞の培養培地中に提供されるからである。代わりの場合には、細胞中の内因性サイトカインは、サイトカインのプロモータ部位での遺伝子組換え等の内因性サイトカインの発現の調節操作によって上方制御される。サイトカインが発現構築物上で細胞に提供される場合、サイトカインは、自殺と同じベクターからコードされ得る。サイトカインは、自殺遺伝子としての別個のポリペプチド分子として、そして細胞の操作された受容体とは別個のポリペプチドとして発現され得る。一部の実施形態において、本開示は、特にNK細胞における、CARおよび/またはTCRベクターの、IL-15との共利用に関する。
III.自殺遺伝子
【0154】
特定の実施形態において、自殺遺伝子は、あらゆる種類の細胞療法と共に利用されて、その使用を制御し、かつ所望の事象および/または時間での細胞療法の終了を可能にする。自殺遺伝子は、必要に応じて形質導入細胞の死を誘発する目的で、形質導入細胞に使用される。本開示によって包含されるベクターを有するように修飾された本開示のCD5標的化細胞は、1つ以上の自殺遺伝子を含み得る。一部の実施形態において、本明細書中で用いられる用語「自殺遺伝子」は、プロドラッグまたは他の剤の投与により、その宿主細胞を死滅させる化合物への遺伝子産物の移行をもたらす遺伝子として定義される。他の実施形態において、自殺遺伝子は、所望の場合、自殺遺伝子産物を標的とする剤(抗体等)によって標的とされる遺伝子産物をコードする。
【0155】
用いられ得る自殺遺伝子/プロドラッグの組合せの例として、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)およびガンシクロビル、アシクロビル、またはFIAU;酸化還元酵素およびシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼおよび5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジラート(thymidilate)キナーゼ(Tdk::Tmk)およびAZT;ならびにデオキシシチジンキナーゼおよびシトシンアラビノシドがある。大腸菌(E.coli)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、いわゆる、プロドラッグ6-メチルプリンデオキシリボシドを毒性プリン6-メチルプリンに変換する自殺遺伝子が用いられ得る。プロドラッグ療法に用いられる自殺遺伝子の他の例として、大腸菌(E.coli)シトシンデアミナーゼ遺伝子およびHSVチミジンキナーゼ遺伝子がある。
【0156】
また、例示的な自殺遺伝子として、CD20、CD52、EGFRv3、または誘導性カスパーゼ9が挙げられる。一実施形態において、EGFRバリアントIII(EGFRv3)の切断型バージョンが、セツキシマブによって除去され得る自殺抗原として用いられ得る。本開示に用いられ得る、当該技術において知られている更なる自殺遺伝子として、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、シトクロムp450酵素(CYP)、カルボキシペプチダーゼ(CP)、カルボキシルエステラーゼ(CE)、ニトロレダクターゼ(NTR)、グアニンリボシルトランスフェラーゼ(XGRTP)、グリコシダーゼ酵素、メチオニン-α、γ-リアーゼ(MET)、およびチミジンホスホリラーゼ(TP)が挙げられる。
【0157】
特定の実施形態において、CD5標的化CARをコードするベクター、または本明細書中で包含されるNK細胞内のあらゆるベクターが、1つ以上の自殺遺伝子を含む。自殺遺伝子は、CD5標的化CARと同じベクター上にあってもなくてもよい。自殺遺伝子がCD5標的化CARと同じベクター上に存在する場合、自殺遺伝子およびCARは、例えば、IRESまたは2A要素によって分離され得る。
IV.ベクター
【0158】
CD5標的化CARは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターが挙げられる適切なあらゆるベクターによってレシピエント免疫細胞に送達され得る。ウイルスベクターの例として、少なくともレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターの例として、少なくともプラスミド、トランスポゾン、脂質、ナノ粒子等が挙げられる。
【0159】
免疫細胞が、CD5標的化受容体をコードするベクターにより形質導入され、そしてまた、自殺遺伝子および/またはサイトカインおよび/または任意選択の治療用遺伝子産物等の別の遺伝子の、細胞中への形質導入を必要とする場合、CD5標的化受容体、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子は、同じベクターに含まれても含まれなくてもよい。場合によっては、CD5標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子は、同じウイルスベクター分子等の同じベクター分子から発現される。そのような場合、CD5標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子の発現は、同じ調節要素によって調節されてもされなくてもよい。CD5標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子は、同じベクター上にある場合、別個のポリペプチドとして発現されてもされなくてもよい。それらは、別個のポリペプチドとして発現される場合、例えば、2A要素またはIRES要素によってベクター上で分離され得る(または双方の種類が、1回以上、同じベクター上で用いられ得る)。
A.一般的な実施形態
【0160】
当業者であれば、本開示の抗原受容体の発現のための標準的な組換え技術(例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれるSambrook et al.,2001およびAusubel et al.,1996参照)によってベクターを構築するのに十分な知識があろう。
1.調節要素
【0161】
本開示において有用なベクターに含まれる発現カセットは、特に、タンパク質コード配列に作動可能に連結された真核生物転写プロモータ、介在配列を含むスプライスシグナル、および転写終結/ポリアデニル化配列を(5’から3’方向に)含有する。真核細胞におけるタンパク質コード遺伝子の転写を制御するプロモータおよびエンハンサは、多数の遺伝要素で構成され得る。細胞機構は、各要素によって伝達される調節情報を集めて組み込むことができ、異なる遺伝子が、転写調節の異なる、多くの場合複雑なパターンを進化させることを可能にする。本開示に関連して用いられるプロモータとして、例えば、構成的プロモータ、誘導性プロモータ、および組織特異的プロモータが挙げられる。ベクターががん治療の生成に利用される場合、プロモータは、低酸素の条件下で有効であり得る。
2.プロモータ/エンハンサ
【0162】
本明細書中で提供される発現構築物は、抗原受容体および他のシストロン遺伝子産物の発現を駆動するためのプロモータを含む。プロモータは、一般に、RNA合成のための開始部位を配置するように機能する配列を含む。この最もよく知られている例が、TATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモータ、例えば、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子用のプロモータ、およびSV40後期遺伝子用のプロモータにおいて、開始部位自体を覆う別個の要素が、開始の場所を固定するのに役立つ。追加のプロモータ要素が、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これは、開始部位の上流の領域に位置決めされているが、いくつかのプロモータは、開始部位の下流にも機能的要素を含有することが示されている。コード配列をプロモータの「制御下」に置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端が、選択されたプロモータの(すなわち3’の)「下流」に配置される。「上流」プロモータは、DNAの転写を刺激して、コードされたRNAの発現を促進する。
【0163】
プロモータ要素間の間隔は高頻度で、要素が互いに対して反転または移動した場合にプロモータ機能が保存されるほどフレキシブルである。tkプロモータにおいて、例えば、プロモータ要素間の間隔は、活性が落ち始める前の50bpまで広げることができる。プロモータに応じて、個々の要素は、転写を活性化するように協働的に、または独立して機能し得るようである。プロモータは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す「要素」と併用されてもされなくてもよい。
【0164】
プロモータは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置決めされた5’非コード配列を単離することによって得られ得るように、核酸配列と天然に結合しているものであり得る。そのようなプロモータは、「内因性」と称され得る。同様に、エンハンサは、核酸配列と天然に結合して、当該配列の下流または上流のいずれかに位置決めされるものであり得る。これ以外にも、特定の利点が、コード核酸セグメントを、組換えまたは異種プロモータ(その天然環境において、核酸配列と通常関連しないプロモータを指す)の制御下に配置することによって得られることとなる。また、組換えまたは異種エンハンサは、その天然環境において核酸配列と通常関連しないエンハンサを指す。そのようなプロモータまたはエンハンサとして、他の遺伝子のプロモータまたはエンハンサ、ならびに他のあらゆるウイルスまたは原核細胞もしくは真核細胞から単離されたプロモータまたはエンハンサ、ならびに「天然に存在」しない、すなわち、異なる転写調節領域の異なる要素、および/または発現を変更する変異を含有するプロモータまたはエンハンサが挙げられ得る。例えば、組換えDNA構築に最も一般的に用いられるプロモータとして、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、およびトリプトファン(trp-)プロモータ系が挙げられる。プロモータおよびエンハンサの核酸配列を合成的に生成することに加えて、配列は、本明細書中で開示される組成物と関連して、PCR(商標)が挙げられる組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を用いて生成され得る。さらに、ミトコンドリア、葉緑体等の非核オルガネラ内の配列の転写および/または発現を指示する制御配列も同様に使用することができると考えられる。
【0165】
当然のことながら、発現のために選択された細胞小器官、細胞型、組織、器官、または生物におけるDNAセグメントの発現を効果的に指令するプロモータおよび/またはエンハンサを使用することが重要であろう。分子生物学の当業者であれば、一般に、タンパク質発現のためのプロモータ、エンハンサ、および細胞型の組合せの使用を知っている(例えば、参照により本明細書に組み込まれるSambrook et al.1989参照)。使用されるプロモータは、組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模生産において有利である等、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するのに適切な条件下で構成的、組織特異的、誘導性、かつ/または有用であり得る。プロモータは、異種または内因性であり得る。
【0166】
加えて、あらゆるプロモータ/エンハンサの組合せ(例えば、epd.isb-sibi.ch/のワールド・ワイド・ウェブを介した、Eukaryotic Promoter Data Base EPDBに従う)を用いて発現を駆動することもできる。T3、T7、またはSP6細胞質発現系の使用が、別の可能な実施形態である。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部として、または追加の遺伝子発現構築物として提供されるならば、特定の細菌プロモータからの細胞質転写を支持することができる。
【0167】
プロモータの非限定的な例として、初期または後期ウイルスプロモータ、例えばSV40初期または後期プロモータ、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモータ、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモータ、真核細胞プロモータ、例えば、ベータアクチンプロモータ、GADPHプロモータ、メタロチオネインプロモータ、および連結された応答要素プロモータ、例えば、サイクリックAMP応答要素プロモータ(cre)、血清応答要素プロモータ(sre)、ホルボールエステルプロモータ(TPA)、および最小TATAボックス付近の応答要素プロモータ(tre)が挙げられる。ヒト成長ホルモンプロモータ配列(例えば、GenBank(登録商標)、受託番号X05244、ヌクレオチド283~341に記載されるヒト成長ホルモン最小プロモータ)またはマウス乳腺腫瘍プロモータ(ATCC、Cat番号ATCC 45007から入手可能)を用いることも可能である。特定の実施形態において、プロモータは、CMV IE、デクチン-1、デクチン-2、ヒトCD11c、F4/80、SM22、RSV、SV40、Ad MLP、ベータ-アクチン、MHCクラスI、またはMHCクラスIIプロモータである。しかしながら、治療用遺伝子の発現を駆動するのに有用な他のあらゆるプロモータが、本開示の実施に使用可能である。
【0168】
特定の態様において、本開示の方法はまた、エンハンサ配列、すなわち、プロモータの活性を増大させ、かつシスで、そしてその向きに拘わらず、比較的長い距離(標的プロモータから最大数キロベース離れている)にわたってすら作用する潜在性を有する核酸配列に関する。しかしながら、エンハンサ機能は、必ずしもそのような長い距離に制限されない。というのも、所与のプロモータに近接して機能する場合もあるからである。
3.開始シグナルおよび連結された発現
【0169】
また、特定の開始シグナルが、コード配列の効率的な翻訳のために、本開示において提供される発現構築物に用いられ得る。当該シグナルは、ATG開始コドンまたは隣接配列を含む。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルを提供する必要がある場合がある。当業者であれば、これを決定して、必要なシグナルを提供することが容易にできよう。挿入物全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然または合成のいずれかであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサ要素を含めることによって増強され得る。
【0170】
特定の実施形態において、内部リボソーム進入部位(IRES)要素が、多遺伝子またはポリシストロン性メッセージをもたらすのに用いられる。IRES要素は、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回して、内部部位にて翻訳を開始することができる。ピコルナウイルス科の2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRES要素、ならびに哺乳動物メッセージ由来のIRESが記載されている。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。それぞれがIRESによって分離されてポリシストロン性メッセージをもたらす、多数のオープンリーディングフレームが、一緒に転写され得る。IRES要素のおかげで、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためのリボソームにアクセス可能である。単一のプロモータ/エンハンサを用いて単一のメッセージを転写することで、多遺伝子が効率的に発現され得る。
【0171】
本明細書中の他の箇所で詳述するように、特定の2A配列要素を用いて、本開示中で提供される構築物中での遺伝子の連結発現または共発現をもたらすことができる。例えば、切断配列を用いて、オープンリーディングフレームを連結して単一シストロンを形成することによって、遺伝子を共発現させることができる。例示的な切断配列として、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)またはF2A(口蹄疫ウイルス2A)または「2A様」配列(例えば、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A;T2A)またはブタテッショウウイルス-1(P2A)がある。特定の実施形態において、単一のベクターでは、多数の2A配列は同一ではないが、代替の実施形態において、同じベクターは、2つ以上の同じ2A配列を利用する。2A配列の例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0065779号明細書に記載されている。
4.複製起点
【0172】
ベクターを宿主細胞内で増殖させるために、ベクターは、1つ以上の複製起点部位(しばしば「ori」と称される)、例えば、上記のEBVのoriPに対応する核酸配列、または複製が開始される特定の核酸配列である、プログラミングにおける機能が類似するか、または高い、遺伝子操作されたoriPを含有してよい。これ以外にも、上記の他の染色体外で複製するウイルスの複製起点、または自己複製配列(ARS)が使用され得る。
5.選択およびスクリーニング可能マーカー
【0173】
一部の実施形態において、本開示のCD5標的化受容体構築物を含むNK細胞は、発現ベクター内にマーカーを含めることによって、インビトロまたはインビボで特定され得る。そのようなマーカーは、発現ベクターを含有する細胞の容易な特定を可能にする、細胞に特定可能な変化を付与することとなる。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。陽性選択マーカーは、マーカーの存在が選択を可能にするものであり、陰性選択マーカーは、その存在が選択を妨げるものである。陽性選択マーカーの例として、薬物耐性マーカーがある。
【0174】
通常、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングおよび特定に役立ち、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、その基礎が比色分析であるGFP等のスクリーニング可能マーカーが挙げられる他の種類のマーカーも考えられる。これ以外にも、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等の陰性選択マーカーとしてのスクリーニング可能酵素が利用され得る。また、当業者であれば、おそらくFACS分析と組み合わせて、免疫学的マーカーを使用する方法を知っているであろう。用いられるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現され得る限り、重要ではないと考えられている。選択マーカーおよびスクリーニング可能マーカーの更なる例が、当業者に周知である。
B.マルチシストロン性ベクター
【0175】
特定の実施形態において、CD5標的化受容体、任意選択の自殺遺伝子、任意選択のサイトカイン、および/または任意選択の治療用遺伝子は、マルチシストロン性ベクターから発現される(本明細書中で用いられる用語「シストロン」は、遺伝子産物が生成され得る核酸配列を指す)。特定の実施形態において、マルチシストロン性ベクターは、CD5標的化受容体、自殺遺伝子、ならびに少なくとも1つのサイトカインおよび/もしくは操作された受容体、例えばT細胞受容体、ならびに/または追加の非CD5標的化CARをコードする。場合により、マルチシストロン性ベクターは、少なくとも1つのCD5標的化CAR、少なくとも1つのTNF-アルファ変異体、および少なくとも1つのサイトカインをコードする。サイトカインは、ヒトもしくはマウス等、またはあらゆる種の特定の種類のサイトカインであり得る。特定の場合には、サイトカインは、IL15、IL12、IL2、IL18、および/またはIL21である。
【0176】
特定の実施形態において、本開示は、多数のシストロンを実質的に同一のレベルで発現する能力を有するポリシストロン性ベクターを利用するフレキシブルなモジュール系(本明細書中で用いられる用語「モジュール」は、例えば標準的な組換え技術を用いることによる、例えばシストロン全体の、またはシストロンの構成要素のそれぞれの除去および置換等によって、その互換性を可能にするシストロンまたはシストロンの構成要素を指す)を提供する。当該系は、多遺伝子の組合せ発現(過剰発現が挙げられる)を可能にする細胞工学に用いられ得る。特定の実施形態において、ベクターによって発現される遺伝子の1つ以上が、1つ、2つ、またはそれを超える抗原受容体を含む。多遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介性遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体等を含み得るが、これらに限定されない。ベクターはさらに、以下を含み得る:(1)1つ以上のレポーター、例えば、細胞アッセイおよび動物イメージング等のための蛍光もしくは酵素レポーター;(2)1つ以上のサイトカインもしくは他のシグナル伝達分子;および/または(3)自殺遺伝子。
【0177】
特定の場合には、ベクターは、2A切断部位等のあらゆる種類の切断部位によって分離された少なくとも4つのシストロンを含み得る。ベクターは、pUC19骨格内にpsiパッケージング配列を有する、3’および5’LTRを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLVまたはMMLV)ベースであってもなくてもよい。ベクターは、3つ以上の2A切断部位を有する4つ以上のシストロン、および遺伝子交換のための多数のORFを含み得る。当該系は、一部の実施形態において、サブクローニングによる迅速な組込みのための制限部位の側面に位置する多遺伝子(7つ以上)のコンビナトリアル過剰発現を可能にし、そしてまた、少なくとも3つの2A自己切断部位を含む。ゆえに、当該系は、多数のCAR、TCR、シグナル伝達分子、サイトカイン、サイトカイン受容体、および/またはホーミング受容体の発現を可能にする。また、当該系は、限定されないが、レンチウイルス、アデノウイルスAAV、および非ウイルスプラスミドが挙げられる他のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターに使用され得る。
【0178】
また、系のモジュール性は、ポリシストロン性発現ベクター内の4つのシストロンのそれぞれへの遺伝子の効率的なサブクローニング、および迅速な試験等のための遺伝子の交換を可能にする。ポリシストロン性発現ベクター内に戦略的に位置決めされた制限部位は、遺伝子を効率的に交換することを可能にする。
【0179】
本開示の実施形態は、例えば、ベクターのモジュール使用を促進するために同一性および位置が特異的に選択される1つ以上の制限酵素部位を利用すること等による、1つ以上のシストロン(または1つ以上のシストロンの構成要素)の除去および置換を可能にすることによって、ベクターの少なくとも一部がモジュールであるポリシストロン性ベクターを利用する系を包含する。また、ベクターは、多数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳されて、別個のポリペプチドにプロセシングされることによって、ベクターが実質的に等モル濃度で別個の遺伝子産物を発現する利点を付与する実施形態を有する。
【0180】
本開示のベクターは、モジュラリティがベクターの1つ以上のシストロンを変えることができるように、かつ/または1つ以上の特定のシストロンの1つ以上の構成要素を変えることができるように構成されている。ベクターは、1つ以上のシストロンの末端の側面に位置し、かつ/または特定のシストロンの1つ以上の構成要素の末端の側面に位置する、固有の制限酵素部位を利用するように設計され得る。
【0181】
本開示の実施形態は、それぞれが1つ以上の制限酵素部位の側面に位置する少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのシストロンを含むポリシストロン性ベクターを含み、少なくとも1つのシストロンは、少なくとも1つの抗原受容体をコードする。場合によっては、2つ、3つ、4つ、またはそれを超えるシストロンが単一のポリペプチドに翻訳されて、別々のポリペプチドに切断されるが、他の場合では、多数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳されて、別々のポリペプチドに切断される。ベクター上の隣接するシストロンが、2A自己切断部位等の自己切断部位によって分離され得る。場合によっては、各シストロンは、ベクターから別個のポリペプチドを発現する。特定の場合には、ベクター上の隣接するシストロンが、IRES要素によって分離されている。
【0182】
特定の実施形態において、本開示は、例えば、1つ、2つ、またはそれを超える抗原受容体を含み得る多数のシストロンの、過剰発現が挙げられるコンビナトリアル発現を可能にする細胞工学用の系を提供する。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるポリシストロニックベクターの使用により、ベクターは、同じmRNAから等モルレベルの多遺伝子産物を生成することが可能となる。多遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介性遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体等を含み得るが、これらに限定されない。ベクターは、細胞アッセイおよび動物イメージング等のための1つ以上の蛍光または酵素レポーターをさらに含み得る。また、ベクターは、ベクターを有する細胞がもはや必要とされない場合の、またはこれが提供される宿主にとって有害となる場合の、当該細胞の終結のための自殺遺伝子産物を含み得る。
【0183】
特定の実施形態において、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクター)または非ウイルスベクターである。ベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)5’LTR、3’LTR、および/またはpsiパッケージング要素を含み得る。特定の場合には、psiパッケージングは、5’LTRと抗原受容体コード配列との間に組み込まれる。ベクターは、pUC19配列を含んでも含まなくてもよい。ベクターの一部の態様において、少なくとも1つのシストロンは、サイトカイン(例えば、インターロイキン15(IL-15)、IL-7、IL-21、IL-18、IL-12、またはIL-2)、ケモカイン、サイトカイン受容体、および/またはホーミング受容体をコードする。
【0184】
2A切断部位がベクターに利用される場合、2A切断部位は、P2A、T2A、E2A、および/またはF2A部位を含み得る。
【0185】
制限酵素部位は、いかなる種類のものであってもよく、その認識部位に任意の数の塩基、例えば4~8塩基を含んでもよい;認識部位内の塩基数は、少なくとも4、5、6、7、8、またはそれを超えてもよい。切断された場合の部位は、平滑切断末端または粘着末端を生成し得る。制限酵素は、例えば、I型、II型、III型、またはIV型のものであり得る。制限酵素部位は、利用可能なデータベース、例えばIntegrated relational Enzyme database(IntEnz)またはBRENDA(The Comprehensive Enzyme Information System)から得ることができる。
【0186】
例示的なベクターは、環状であってよく、慣例により、位置1(円の上部の12時の位置、残りの配列は時計回りの方向にある)が5’LTRの出発点に設定される。
【0187】
自己切断性2Aペプチドが利用される実施形態において、2Aペプチドは、真核細胞における翻訳中にポリペプチドの「切断」を媒介する18~22アミノ酸(aa)長のウイルスオリゴペプチドであり得る。呼称「2A」は、ウイルスゲノムの特定の領域を指し、様々なウイルス2Aが一般的に、それらが由来するウイルスの後に命名されている。最初に発見された2AはF2A(口蹄疫ウイルス)であり、その後、E2A(ウマ鼻炎Aウイルス)、P2A(ブタテッショウウイルス-1 2A)、およびT2A(トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A)も特定された。2A媒介「自己切断」の機構は、2AのC末端でのグリシル-プロリルペプチド結合の形成をスキップするリボソームスキッピングであることが発見された。
【0188】
特定の場合には、ベクターはγ-レトロウイルス移入ベクターであり得る。レトロウイルス移入ベクターは、pUC19プラスミド(HindIIIとEcoRIの制限酵素部位間の大きな断片(2.63kb))等のプラスミドに基づく骨格を含み得る。骨格は、5’LTR、psiパッケージング配列、および3’LTRを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)由来のウイルス構成要素を有し得る。LTRは、レトロウイルスプロウイルスの両側に見出される長い末端反復配列であり、移入ベクターの場合、CD5標的化CARおよび関連する構成要素等の目的の遺伝的カーゴを囲っている。また、ヌクレオカプシドによるパッケージング用の標的部位であるpsiパッケージング配列は、シスで組み込まれて、5’LTRとCARコード配列との間に挟まれている。ゆえに、トランスファベクターの例の基本構造は、pUC19配列-5’LTR-psiパッケージング配列-目的の遺伝的カーゴ-3’LTR-pUC19配列のように構成され得る。また、当該系は、限定されないが、レンチウイルス、アデノウイルスAAV、および非ウイルスプラスミドが挙げられる他のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターに使用され得る。
V.細胞
【0189】
本開示は、CD5標的化受容体をコードし、かつ少なくとも1つのサイトカインおよび/または少なくとも1つの自殺遺伝子をもコードし得る少なくとも1つのベクターを有するあらゆる種類の免疫細胞または幹細胞を包含する。場合によっては、様々なベクターが、自殺遺伝子および/またはサイトカインをコードするのと対比して、CARをコードする。NK細胞が挙げられる免疫細胞は、臍帯血(複数の源からプールされた臍帯血が挙げられる)、末梢血、人工多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、骨髄、またはそれらの混合物に由来し得る。NK細胞は、例えば、以下に限定されないが、NK-92細胞等の細胞株に由来し得る。NK細胞は、CD56+NK細胞等の臍帯血単核細胞であり得る。
【0190】
本開示は、従来のT細胞、ガンマ-デルタT細胞、NK TおよびインバリアントNK T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、間葉系間質細胞(MSC)、またはそれらの混合物が挙げられる、あらゆる種類の免疫細胞または他の細胞を包含する。
【0191】
場合によっては、細胞は、適切なあらゆる比率が挙げられる有効量のユニバーサル抗原提示細胞(UAPC)の存在下で増殖された。細胞は、UAPCと、10:1~1:10;9:1~1:9;8:1~1:8;7:1~1:7;6:1~1:6;5:1~1:5;4:1~1:4;3:1~1:3;2:1~1:2;または1:1の比率(例えば1:2の比率が挙げられる)にて培養され得る。場合によっては、NK細胞を、例えば10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、100~500、100~400、100~300、100~200、200~500、200~400、200~300、300~500、300~400、または400~500U/mLの濃度でのIL-2の存在下で、増殖させた。
【0192】
ベクターによる遺伝子修飾の後に、NK細胞は、直ちに注入されてもよいし、保存されてもよい。特定の態様において、遺伝子修飾後、細胞中への遺伝子導入後の約1、2、3、4、5日以内に、またはそれを超えて、細胞をバルク集団としてエクスビボで数日間、数週間、または数ヶ月間増殖させることができる。更なる態様において、トランスフェクタントがクローニングされて(クローンは、単一の組み込まれたか、またはエピソームによって維持された発現カセットまたはプラスミドの存在を示す)、CD5標的化CARの発現がエクスビボで拡大される。増殖のために選択されたクローンは、CD5発現標的細胞を特異的に認識して溶解する能力を実証する。組換え免疫細胞は、IL-2、または共通のガンマ鎖に結合する他のサイトカイン(例えば、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23等)による刺激によって増殖させることができる。組換え免疫細胞は、人工抗原提示細胞による刺激によって増殖し得る。更なる態様において、遺伝子修飾細胞は、凍結保存され得る。
【0193】
本開示の実施形態は、本明細書中に包含される1つ以上のCD5標的化CARおよび1つ以上の自殺遺伝子を発現する細胞を包含する。NK細胞は、特定の実施形態において、1つ以上のCD5標的化CARおよび1つ以上の操作された、分泌不能な膜結合TNF-アルファ変異体ポリペプチドをコードする組換え核酸を含む。特定の実施形態において、1つ以上のCD5標的化CARおよびTNF-アルファ変異体ポリペプチドを発現することに加えて、細胞はまた、1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸を含む。
【0194】
細胞は、個体から直接得られてもよいし、保管所または他の貯蔵施設から得られてもよい。治療法としての細胞は、治療法として細胞が提供される個体に対して自己由来であっても同種異系であってもよい。
【0195】
細胞は、医学的症状について治療を必要とする個体に由来し得、そしてCD5標的化CAR、任意選択の自殺遺伝子、任意選択のサイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子産物を(例えば、養子細胞療法のための形質導入および増殖のための標準的な技術を用いて)発現させる操作の後に、最初に供給された個体に戻され得る。場合によっては、細胞は、個体または別の個体に後に用いるために保存される。
【0196】
免疫細胞は、細胞の集団内に含まれ得、当該集団は、大部分が、1つ以上のCD5標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインで形質導入されていてよい。細胞集団は、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の、1つ以上のCD5標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを形質導入した免疫細胞を含み得る。1つ以上のCD5標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインは、別個のポリペプチドであり得る。
【0197】
免疫細胞は、特定の目的に関してモジュールであるという意図のために、1つ以上のCD5標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインにより生成され得る。例えば、CD5標的化CARおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現する(またはその後の形質導入のために変異体をコードする核酸が分配されている)細胞が、例えば商業的流通用に生成され得、ユーザは、意図される目的に応じて、1つ以上の他の目的の遺伝子(治療用遺伝子が挙げられる)を発現するように細胞を修飾することができる。例えば、CD5陽性がんが挙げられるCD5陽性細胞の処置に関心がある個体が、自殺遺伝子発現細胞(または異種サイトカイン発現細胞)を得るか、または生成して、CD5特異的scFvを含む受容体を発現するように修飾することができ、またはその逆も同じである。
【0198】
特定の実施形態において、NK細胞が利用されて、1つ以上のCD5標的化CARおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現する、形質導入されたNK細胞のゲノムが修飾され得る。ゲノムは、あらゆる様式で修飾され得るが、特定の実施形態において、ゲノムは、例えば、CRISPR遺伝子編集によって修飾される。細胞のゲノムは、あらゆる目的について細胞の有効性を増強するように修飾され得る。
VI.CD5特異的CAR細胞の遺伝子編集
【0199】
特定の実施形態において、少なくとも、操作されたCD5特異的受容体を含む細胞は、細胞内での1つ以上の内因性遺伝子の発現を修飾するように遺伝子編集されている。特定の場合には、CD5特異的CAR細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の発現の阻害(ノックアウトと称され得る)が挙げられる、1つ以上の内因性遺伝子の発現レベルが引き下げられるように修飾されている。そのような細胞は、増殖されてもされなくてもよい。
【0200】
特定の場合には、CD5特異的CAR細胞の1つ以上の内因性遺伝子が修飾されて、例えば、発現が破壊されて、発現が部分的または完全に引き下げられる。特定の場合には、1つ以上の遺伝子が、本開示のプロセスを用いてノックダウンまたはノックアウトされる。特定の場合には、多遺伝子がノックダウンまたはノックアウトされ、これは、それらの生成における同じ工程において起こっても起こらなくてもよい。CD5特異的CAR細胞において編集される遺伝子は、いかなる種類のものであってもよいが、具体的な実施形態において、当該遺伝子は、遺伝子産物が、CD5特異的CAR細胞(一例として、臍帯血に由来するもの等のCD5特異的CAR NK細胞が挙げられる)の活性および/または増殖を阻害する遺伝子である。特定の場合には、CD5特異的CAR細胞内で編集される遺伝子は、CD5特異的CAR細胞が腫瘍微小環境においてより効果的に作用することを可能にする。特定の場合には、遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、CD38、CREM、IL10R、CD5、およびCD7の1つ以上である。特定の実施形態において、TGFBR2遺伝子は、CD5特異的CAR細胞においてノックアウトまたはノックダウンされる。
【0201】
一部の実施形態において、遺伝子編集は、1つ以上のDNA結合核酸を用いて実行され、例えばRNAガイドエンドヌクレアーゼ(RGEN)を介した変更である。例えば、変更は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)およびCRISPR関連(Cas)タンパク質を用いて実行され得る。一部の実施形態において、Cas9の代わりにCpF1が利用される。一般に、「CRISPR系」は、集合的に、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたは活性部分tracrRNA)、tracr-mate配列(「直接反復」、内因性CRISPR系の文脈においてtracrRNAプロセスド部分直接反復を包含する)、ガイド配列(内因性CRISPR系の文脈において「スペーサ」とも称される)、ならびに/またはCRISPR遺伝子座からの他の配列および転写物が挙げられる、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現に関与するか、またはCRISPR関連(「Cas」)遺伝子の活性を指示する転写物および他の要素を指す。
【0202】
CRISPR/CasヌクレアーゼまたはCRISPR/Casヌクレアーゼ系は、DNAに配列特異的に結合する非コードRNA分子(ガイド)RNA、およびヌクレアーゼ機能性(例えば2つのヌクレアーゼドメイン)を有するCasタンパク質(例えばCas9)を含み得る。CRISPR系の1つ以上の要素が、I型、II型、またはIII型CRISPR系に由来し得、例えば、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)等の、内因性CRISPR系を含む特定の生物に由来する。
【0203】
一部の態様において、CasヌクレアーゼおよびgRNA(標的配列に特異的なcrRNA、および固定tracrRNAの融合物が挙げられる)が細胞中に導入される。一般に、gRNAの5’末端の標的部位が、相補的塩基対合を用いて、Casヌクレアーゼを標的部位、例えば遺伝子に標的化する。標的部位は、典型的にはNGGまたはNAG等のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列のすぐ5’側の位置に基づいて選択され得る。この点において、gRNAは、ガイドRNAの最初の20、19、18、17、16、15、14、14、12、11、または10ヌクレオチドを、標的DNA配列に対応するように修飾することによって、所望の配列に標的化される。一般に、CRISPR系は、標的配列の部位にてCRISPR複合体の形成を促進する要素を特徴とする。典型的には、「標的配列」は、一般に、ガイド配列が相補性を有するように設計されている配列であって、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する配列を指す。ハイブリダイゼーションを引き起こして、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性があるならば、完全な相補性は必ずしも必要とされない。
【0204】
CRISPR系は、本明細書中で論じられるように、標的部位にて二本鎖切断(DSB)を、続いて破壊または変更を誘導することができる。他の実施形態において、「ニッカーゼ」とみなされるCas9バリアントが用いられて、標的部位にて一本鎖にニックを入れる。対になったニッカーゼは、例えば特異性を向上させるのに用いられ得、それぞれ、ニックが同時に導入されると、5’オーバーハングが導入されるように、一対の異なるgRNA標的化配列によって導かれる。他の実施形態において、触媒的に不活性なCas9は、遺伝子発現に影響を及ぼすように、転写リプレッサまたは活性化因子等の異種エフェクタドメインに融合される。
【0205】
標的配列は、あらゆるポリヌクレオチド、例えばDNAまたはRNAポリヌクレオチドを含み得る。標的配列は、細胞の核または細胞質内、例えば細胞の細胞小器官内に位置決めされ得る。一般に、標的配列を含む標的遺伝子座中への組換えに使用され得る配列または鋳型が、「編集鋳型」または「編集ポリヌクレオチド」または「編集配列」と称される。一部の態様において、外因性鋳型ポリヌクレオチドが、編集鋳型と称される場合がある。一部の態様において、組換えは相同組換えである。
【0206】
典型的には、内因性CRISPR系の文脈において、CRISPR複合体の形成(標的配列にハイブリダイズされて、1つ以上のCasタンパク質と複合体形成されるガイド配列を含む)は、標的配列内またはその近傍(例えば、標的配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、またはそれを超える塩基対以内)で一方または双方の鎖の切断をもたらす。また、tracr配列は、野生型tracr配列(例えば、野生型tracr配列の約20、26、32、45、48、54、63、67、85、またはそれを超えるヌクレオチド)の全部または一部を含み得るか、またはそれからなり得るが、例えば、tracr配列の少なくとも一部に沿った、ガイド配列に作動可能に連結されたtracr mate配列の全部または一部とのハイブリダイゼーションによって、CRISPR複合体の一部を形成し得る。tracr配列は、ハイブリダイズしてCRISPR複合体の形成に関与するのに十分な、tracr mate配列に対する相補性(最適にアラインメントされたときのtracr mate配列の長さに沿って少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の配列相補性等)を有する。
【0207】
CRISPR系の要素の発現が1つ以上の標的部位にてCRISPR複合体の形成を指示するように、CRISPR系の1つ以上の要素の発現を駆動する1つ以上のベクターが細胞中に導入され得る。また、構成要素は、タンパク質および/またはRNAとして細胞に送達され得る。例えば、Cas酵素、tracr-mate配列に連結されたガイド配列、およびtracr配列がそれぞれ、別個のベクター上の別個の調節要素に作動可能に連結され得る。これ以外にも、同じまたは異なる調節要素から発現される要素の2つ以上が、単一のベクター内で、第1のベクター内に含まれないCRISPR系のあらゆる構成要素を提供する1つ以上の追加のベクターと組み合わされ得る。ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列等の1つ以上の挿入部位(「クローニング部位」とも称される)を含み得る。一部の実施形態において、1つ以上の挿入部位は、1つ以上のベクターの1つ以上の配列要素の上流および/または下流に位置決めされている。多数の異なるガイド配列が用いられる場合、単一の発現構築物が用いられて、CRISPR活性を、細胞内の多数の異なる、対応する標的配列に標的化し得る。
【0208】
ベクターは、Casタンパク質等のCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結された調節要素を含み得る。Casタンパク質の非限定的な例として、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1およびCsx12としても知られている)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、それらのホモログ、またはそれらの修飾バージョンが挙げられる。これらの酵素は知られている。例えば、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9タンパク質のアミノ酸配列は、受託番号Q99ZW2でSwissProtデータベース内に見出され得る。
【0209】
CRISPR酵素は、Cas9(例えば、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)または肺炎連鎖球菌(S.pneumonia)由来)であってよい。場合によっては、Cas9の代わりにCpF1がエンドヌクレアーゼとして用いられてもよい。CRISPR酵素は、標的配列内かつ/または標的配列の相補体内等の標的配列の位置での一方または双方の鎖の切断を指示し得る。ベクターは、変異CRISPR酵素が、標的配列を含有する標的ポリヌクレオチドの一方または双方の鎖を切断する能力を欠くように、対応する野生型酵素に対して変異したCRISPR酵素をコードし得る。例えば、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)由来のCas9のRuvCI触媒ドメインにおけるアスパラギン酸からアラニンへの置換(D10A)が、Cas9を、双方の鎖を切断するヌクレアーゼからニッカーゼ(一本鎖を切断する)に変換する。一部の実施形態において、Cas9ニッカーゼが、DNA標的のセンス鎖およびアンチセンス鎖をそれぞれ標的とするガイド配列、例えば2つのガイド配列と組み合わせて用いられ得る。この組合せは、双方の鎖にニックを入れて、NHEJまたはHDRを誘導するのに用いられるのを可能にする。
【0210】
一部の実施形態において、CRISPR酵素をコードする酵素コード配列が、真核細胞等の特定の細胞における発現のためにコドン最適化されている。真核細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、または非ヒト霊長類が挙げられるがこれらに限定されない哺乳動物等の特定の生物のものであり得るか、またはそれらに由来し得る。一般に、コドン最適化とは、目的の宿主細胞における発現を、ネイティブアミノ酸配列を維持しながら、ネイティブ配列の少なくとも1つのコドンを、当該宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に、または最も頻繁に用いられるコドンで置換することによって増強するために核酸配列を修飾するプロセスを指す。種々の種が、特定のアミノ酸の特定のコドンについて、特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン使用頻度の差異)は、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関し、これは、とりわけ、翻訳されることとなるコドンの特性、および特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられる。細胞における選択されたtRNAの優位性は、一般に、ペプチド合成において最も頻繁に用いられるコドンの反映である。したがって、コドン最適化に基づいて、所与の生物における最適な遺伝子発現のために遺伝子を調整することができる。
【0211】
一般に、ガイド配列は、標的配列とハイブリダイズして、標的配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を指示するのに十分な、標的ポリ塩基配列との相補性を有するあらゆるポリ塩基配列である。一部の実施形態において、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、適切なアラインメントアルゴリズムを用いて最適にアラインメントされた場合、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはそれを超える。
【0212】
最適なアラインメントは、配列をアラインするのに適したあらゆるアルゴリズムの使用により決定することができ、その非限定的な例として、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、Clustal W、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies)、ELAND(Illumina,San Diego,Calif.)、SOAP(soap.genomics.org.cnにて入手可能)、およびMaq(maq.sourceforge.netにて入手可能)が挙げられる。
【0213】
CRISPR酵素は、1つ以上の異種タンパク質ドメインを含む融合タンパク質の一部であり得る。CRISPR酵素融合タンパク質は、追加のあらゆるタンパク質配列、および任意選択で2つのあらゆるドメイン間のリンカー配列を含み得る。CRISPR酵素に融合され得るタンパク質ドメインの例として、限定されないが、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、ならびに以下の活性:メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性、および核酸結合活性のうちの1つ以上を有するタンパク質ドメインが挙げられる。エピトープタグの非限定的な例として、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグが挙げられる。レポーター遺伝子の例として、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)ベータガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、および青色蛍光タンパク質(BFP)が挙げられる自己蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。CRISPR酵素は、マルトース結合タンパク質(MBP)、Sタグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4A DNA結合ドメイン融合物、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物が挙げられるがこれらに限定されないDNA分子または他の細胞分子に結合するタンパク質またはタンパク質の断片をコードする遺伝子配列に融合され得る。CRISPR酵素を含む融合タンパク質の一部を形成し得る追加のドメインが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0059502号明細書に記載されている。
VII.処置方法
【0214】
種々の実施形態において、その表面上で内因性CD5を発現する疾患細胞または他の細胞が、医学的症状を有する個体において医学的症状を向上させるために、あるいは個体において医学的症状のリスクを引き下げるか、または重症度および/もしくは発症を遅延させるために標的とされる。特定の場合には、内因性CD5を発現するがん細胞が、がん細胞を死滅させる目的で標的とされる。
【0215】
本明細書中で企図されるCD5標的化CAR構築物、核酸配列、ベクター、免疫細胞等、および/またはそれらを含む医薬組成物が、腫瘍性疾患等のがん性疾患の予防、処置、または改善に用いられる。特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、例えば、CD5を発現し、かつ固形腫瘍であってもなくてもよいがんが挙げられるがんの予防、改善、および/または処置に特に有用であり得る。
【0216】
CD5標的化受容体が利用される免疫細胞は、特定の実施形態において、NK、T細胞、ガンマデルタT細胞、またはNKTもしくはインバリアントNKT(iNKT)、あるいは哺乳動物用の細胞療法のために操作されたインバリアントNKT細胞であり得る。細胞がNK細胞である場合、NK細胞療法は、いかなる種類のものであってもよく、NK細胞は、いかなる種類のものであってもよい。特定の実施形態において、細胞は、1つ以上のCD5標的化CARおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現するように操作されたNK細胞である。特定の実施形態において、細胞は、CD5標的化CARを形質導入したNK細胞である。
【0217】
特定の実施形態において、本開示は、部分的には、標準的なベクターおよび/または遺伝子送達系を用いて単独で、またはあらゆる組合せで、そして少なくとも一部の態様において、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に投与され得るCD5 CAR発現細胞、CD5標的化CAR構築物、CD5標的化CAR核酸分子、ならびにCD5標的化CARベクターを企図する。特定の実施形態において、投与後、核酸分子またはベクターは、対象のゲノム中に安定して組み込まれ得る。
【0218】
特定の実施形態において、特定の細胞または組織に特異的であり、かつNK細胞内で持続するウイルスベクターが用いられ得る。適切な医薬担体および賦形剤が、当該技術において周知である。本開示に従って調製される組成物は、上記の特定された疾患の予防もしくは処置または遅延のために用いられ得る。
【0219】
さらに、本開示は、腫瘍性疾患の予防、処置、または改善のための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書中で企図されるような、かつ/または本明細書中で企図されるようなプロセスによって生成されるCD5標的化CAR、核酸配列、ベクターを発現する有効量の細胞を投与する工程を含む方法に関する。
【0220】
例示的なCD5標的化CAR細胞の組成物の投与の可能な適応症は、例えば、B細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、乳がん、神経膠芽腫、腎がん、膵臓がん、または肺がんが挙げられる腫瘍性疾患が挙げられるがん性疾患である。CD5標的化CAR細胞の組成物の投与のための例示的な適応症は、CD5を発現するあらゆる悪性腫瘍が挙げられるがん性疾患である。本開示の組成物の投与は、例えば、微小残存病変、早期がん、進行がん、ならびに/または転移がんおよび/もしくは難治性がんが挙げられる、全てのステージ(I、II、III、またはIV)および種類のがんに有用である。
【0221】
本開示はさらに、他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物、標的毒素、または免疫細胞を介して作用する他の化合物との同時投与プロトコルを包含する。本発明の化合物の同時投与のための臨床レジメンは、他の成分の投与と同時、前、または後の同時投与を包含し得る。特定の併用療法として、化学療法、放射線、外科手術、ホルモン療法、または他の種類の免疫療法が挙げられる。
【0222】
実施形態は、本明細書中で定義されるCD5標的化CAR構築物、本明細書中で定義される核酸配列、本明細書中で定義されるベクター、および/または本明細書中で定義される宿主細胞(免疫細胞等)を含むキットに関する。また、本開示のキットは、単独で、または医学的処置もしくは介入を必要とする個体に投与されることとなる更なる薬剤と組み合わせて、本明細書中で先に記載されるような医薬組成物を含むことが企図される。
A.医薬組成物
【0223】
また、本明細書中で提供されるのは、形質導入されたNK細胞および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物および製剤である。形質導入された細胞は、個体への移入に適した培地、および/または個体への移入前を含む凍結保存等の保存に適した培地中に含まれ得る。
【0224】
本明細書中に記載される医薬組成物および製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望の純度を有する活性成分(細胞等)を、1つ以上の任意選択の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 22nd edition,2012)と混合することによって調製され得る。薬学的に許容される担体は、一般に、使用される投与量および濃度にて、レシピエントに対して非毒性であり、以下に限定されないが:リン酸、クエン酸、および他の有機酸等のバッファ;アスコルビン酸およびメチオニンが挙げられる酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンが挙げられる他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書中の例示的な薬学的に許容される担体としてさらに、間質性薬物分散剤、例えば、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)が挙げられる。rHuPH20が挙げられる特定の例示的なsHASEGPおよび使用方法が、米国特許出願公開第2005/0260186号明細書および米国特許出願公開第2006/0104968号明細書に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
B.併用療法
【0225】
特定の実施形態において、本実施形態の組成物および方法は、少なくとも1つの追加の療法と組み合わせた免疫細胞集団(NK細胞集団が挙げられる)を含む。追加の療法として、放射線療法、外科手術(例えば、腫瘍摘出術および乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ホルモン療法、腫瘍溶解性ウイルス、または前述の組合せがあり得る。追加の療法は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態であり得る。
【0226】
一部の実施形態において、追加の療法は、小分子酵素阻害剤または抗転移剤の投与である。一部の実施形態において、追加の療法は、副作用制限剤(例えば、処置の副作用の発生および/または重症度を軽減することが意図される剤、例えば嘔吐抑制剤、その他)の投与である。一部の実施形態において、追加の療法は放射線療法である。一部の実施形態において、追加の療法は外科手術である。一部の実施形態において、追加の療法は、放射線療法および外科手術の組合せである。一部の実施形態において、追加の療法はガンマ線照射である。一部の実施形態において、追加の療法は、PBK/AKT/mTOR経路を標的とする療法、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、および/または化学予防剤である。追加の療法は、当該技術において知られている1つ以上の化学療法剤であり得る。
【0227】
特定の実施形態において、本開示の本発明の細胞療法に加えて、個体は、外科手術、放射線、免疫療法(本開示の細胞療法以外)、ホルモン療法、遺伝子療法、化学療法等のうちの1つ以上が挙げられる、がん用の特定の追加の療法が施されていてもよく、施されてもよく、かつ/または施されることとなる。
【0228】
免疫細胞療法は、追加のがん治療に対して前、間、後に、または種々の組合せで施され得る。施用は、同時~数分~数日~数週に及ぶ間隔であり得る。免疫細胞療法が、追加の治療剤とは別に患者に提供される実施形態において、当業者であれば、一般に、2つの化合物が、有利に組み合わされた効果を患者に対してなお発揮することができるように、重要な期間が各送達時間の間に失効しないことを確実にするであろう。そのような場合、互いに約12~24または72時間以内、より具体的には互いに約6~12時間以内に抗体療法および抗がん療法が患者に施され得ると考えられる。一部の状況では、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6、または7)~数週(1、2、3、4、5、6、7、または8)が経過する場合、処置期間を大きく延長することが望ましい場合がある。
【0229】
種々の組合せを使用することができる。以下の例では、免疫細胞療法は「A」であり、抗がん療法は「B」である。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0230】
本実施形態のあらゆる化合物または細胞療法を患者に施すには、もしあれば剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的なプロトコルに従うこととなる。したがって、一部の実施形態において、併用療法に起因する毒性を監視する工程が存在する。
1.化学療法
【0231】
多種多様な化学療法剤が、本実施形態に従って用いられ得る。用語「化学療法」は、がんを処置するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、がんの処置の際に投与される化合物または組成物を意味するのに用いられる。当該剤または薬物は、細胞内の活性様式によって、例えば、細胞周期に影響を及ぼすか、そしてどの段階で影響を及ぼすかで分類される。これ以外にも、剤は、DNAを直接架橋する能力、DNA中にインターカレートする能力、または核酸合成に影響を及ぼすことによって染色体異常および有糸分裂異常を誘導する能力に基づいて特徴付けられ得る。
【0232】
化学療法剤の例として、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ;エチレンイミンおよびメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチロメラミンが挙げられる);アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンが挙げられる);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成類似体が挙げられる);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189、およびCB1-TM1が挙げられる);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、およびウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンガンマII(calicheamicin gammaII)、およびカリケアマイシンオメガII(calicheamicin omegaII));ダイネマイシン(ダイネマイシンAが挙げられる);ビスホスホナート、例えばクロドロナート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連する色素タンパク質エンジインアンチビオティッククロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラルマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンが挙げられる)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラルナイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、プテロプテリン、およびトリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、およびフロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、およびテストラクトン;抗副腎剤(anti-adrenals)、例えば、ミトタンおよびトリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクォン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2´-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2トキシン、ベラキュリンA、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロナート;イリノテカン(例えばCPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリカマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、ならびに先のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
2.放射線療法
【0233】
DNA損傷を引き起こし、かつ広く用いられてきた他の因子として、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の指向性送達として一般に知られているものが挙げられる。また、マイクロ波、陽子ビーム照射(米国特許第5,760,395号明細書および米国特許第4,870,287号明細書)、およびUV照射等の他の形態のDNA損傷因子が企図される。これらの因子は全て、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に対する広範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週)の50~200レントゲンの1日線量から、2000~6000レントゲンの単回線量に及ぶ。放射性同位体の線量範囲は、広く変動し、同位体の半減期、放たれる放射線の強度および種類、ならびに新生物細胞による取込みによって決まる。
3.免疫療法
【0234】
当業者であれば、追加の免疫療法が、実施形態の方法と併用され得、または組み合わせて用いられ得ることを理解するであろう。がん処置の文脈において、免疫療法は、一般に、がん細胞を標的として破壊するための免疫エフェクタ細胞および分子の使用に依存する。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))がそのような例である。免疫エフェクタは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体は単独で、療法のエフェクタとして機能し得るか、または他の細胞を動員して細胞死に実際に影響を及ぼし得る。また、抗体は、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素、その他)にコンジュゲートされて、標的化剤として機能し得る。これ以外にも、エフェクタは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を担持するリンパ球であり得る。種々のエフェクタ細胞として、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が挙げられる。
【0235】
抗体-薬物コンジュゲートは、がん治療薬の開発への画期的なアプローチとして出現した。がんは、世界における主要な死因の1つである。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞死滅薬物に共有結合したモノクローナル抗体(MAb)を含む。このアプローチは、抗原標的に対するMAbの高い特異性を、高度に強力な細胞傷害性薬物と組み合わせて、抗原レベルが富化された腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装」MAbをもたらす。また、薬物の標的送達は、正常組織における曝露を最小限に抑えて、毒性の低下および治療指数の改善をもたらす。FDAによる2011年のADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)および2013年のKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシンまたはT-DM1)という2つのADC薬物の承認は、当該アプローチを検証した。現在、がん処置のための臨床試験の種々の段階において、30を超えるADC薬物候補が存在する(Leal et al.,2014)。抗体工学およびリンカー-ペイロード最適化がますます成熟してきているので、新しいADCの発見および開発は、このアプローチおよび標的化MAbの生成に適した新しい標的の同定および検証にますます依存している。ADC標的についての2つの基準は、腫瘍細胞における発現の上方制御/高いレベル、およびロバストな内在化である。
【0236】
免疫療法の一態様において、腫瘍細胞は、標的化に適した、すなわち他の細胞の大部分に存在しない何らかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらはいずれも、本実施形態の文脈における標的化に適し得る。一般的な腫瘍マーカーとして、CD20、がん胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erbB、およびp155が挙げられる。免疫療法の代替的な態様は、抗がん効果を免疫刺激効果と組み合わせるものである。また、IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、ガンマ-IFN等のサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8等のケモカイン、およびFLT3リガンド等の増殖因子が挙げられる免疫刺激分子が存在する。
【0237】
現在調査中または使用中の免疫療法の例として、免疫アジュバント、例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物(米国特許第5,801,005号明細書および米国特許第5,739,169号明細書;Hui and Hashimoto,1998;Christodoulides et al.,1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、およびγ、IL-1、GM-CSF、ならびにTNF(Bukowski et al.,1998;Davidson et al.,1998;Hellstrand et al.,1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、およびp53(Qin et al.,1998;Austin-Ward and Villaseca,1998年;米国特許第5,830,880号明細書および米国特許第5,846,945号明細書);ならびにモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、および抗p185(Hollander,2012;Hanibuchi et al.,1998;米国特許第5,824,311号明細書)がある。1つ以上の抗がん療法が、本明細書中に記載される抗体療法と共に使用され得ることが企図される。
【0238】
一部の実施形態において、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤であり得る。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば共刺激分子)を強くするか、またはシグナルを弱くする。免疫チェックポイント遮断によって標的とされ得る阻害性免疫チェックポイントとして、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られている)、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても知られている)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、ならびにT細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)が挙げられる。特に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1軸および/またはCTLA-4を標的とする。
【0239】
免疫チェックポイント阻害剤は、小分子等の薬物、リガンドもしくは受容体の組換え形態であり得るか、または特に、ヒト抗体(例えば、国際公開第2015016718号パンフレット;Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-64,2012;双方とも参照により本明細書に組み込まれる)等の抗体である。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の知られている阻害剤が使用され得、特にキメラ化、ヒト化、またはヒト形態の抗体が用いられ得る。当業者が知っている代替的かつ/または同等の名称が、本開示において言及される特定の抗体に用いられ得る。そのような代替的かつ/または同等の名称は、本開示の文脈において交換可能である。例えば、ラムブロリズマブは、MK-3475およびペンブロリズマブという代替的かつ同等の名称でも知られていることが知られている。
【0240】
一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-1リガンド結合パートナーは、PDL1および/またはPDL2である。別の実施形態において、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PDL1結合パートナーは、PD-1および/またはB7-1である。別の実施形態において、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PDL2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであり得る。例示的な抗体が、米国特許第8,735,553号明細書、米国特許第8,354,509号明細書、および米国特許第8,008,449号明細書に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書中で提供される方法に用いられる他のPD-1軸アンタゴニストが、米国特許出願公開第2014/0294898号明細書、米国特許出願公開第2014/022021号明細書、および米国特許出願公開第2011/0008369号明細書(全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、当該技術において知られている。
【0241】
一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。一部の実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびCT-011からなる群から選択される。一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPDL1またはPDL2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られており、国際公開第2006/121168号パンフレットに記載される抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、MK-3475、Merck 3475、ラムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られており、国際公開第2009/114335号パンフレットに記載される抗PD-1抗体である。CT-011は、hBATまたはhBAT-1としても知られており、国際公開第2009/101611号パンフレットに記載される抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られており、国際公開第2010/027827号パンフレットおよび国際公開第2011/066342号パンフレットに記載されるPDL2-Fc融合可溶性受容体である。
【0242】
本明細書中で提供される方法において標的とされ得る別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られている細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbank寄託番号L15006を有する。CTLA-4は、T細胞の表面上に見出され、抗原提示細胞の表面のCD80またはCD86に結合した場合に、「オフ」スイッチとして作用する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面上に発現されて、阻害性シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質CD28に類似しており、双方の分子は、抗原提示細胞上のそれぞれB7-1およびB7-2とも呼ばれるCD80およびCD86に結合する。CTLA4は阻害シグナルをT細胞に伝達するが、CD28は刺激シグナルを伝達する。また、細胞内CTLA4は、制御性T細胞において見出され、その機能にとって重要であり得る。T細胞受容体およびCD28を介したT細胞活性化は、B7分子の阻害性受容体であるCTLA-4の発現の増大をもたらす。
【0243】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0244】
本方法での使用に適した抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/またはVLドメイン)は、当該技術において周知の方法を用いて生成され得る。これ以外にも、当該技術において認識されている抗CTLA-4抗体が用いられ得る。例えば、米国特許第8,119,129号明細書、国際公開第01/14424号パンフレット、国際公開第98/42752号パンフレット、国際公開第00/37504号パンフレット(CP675,206号明細書、トレメリムマブとしても知られている;以前はチシリムマブ)、米国特許第6,207,156号明細書;Hurwitz et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95(17):10067-10071;Camacho et al.(2004)J Clin Oncology 22(145):Abstract No.2505(抗体CP-675206);およびMokyr et al.(1998)Cancer Res 58:5301-5304に開示される抗CTLA-4抗体が、本明細書中で開示される方法に用いられ得る。前述の刊行物の各々の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。また、CTLA-4への結合について、これらの当該技術において認識されている抗体のいずれかと競合する抗体が用いられ得る。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際公開第2001/014424号パンフレット、国際公開第2000/037504号パンフレット、および米国特許第8,017,114号明細書(全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0245】
例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られている)またはその抗原結合断片およびバリアント(例えば、国際公開第01/14424号パンフレット参照)である。他の実施形態において、抗体は、イピリムマブの重鎖および軽鎖のCDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、上記の抗体と同じ、CTLA-4上のエピトープとの結合について競合し、かつ/またはこれに結合する。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%、または99%の可変領域同一性)を有する。
【0246】
CTLA-4を調節するための他の分子として、米国特許第5,844,905号明細書、米国特許第5,885,796号明細書、ならびに国際公開第1995/001994号パンフレットおよび国際公開第1998/042752号パンフレット(全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようなCTLA-4リガンドおよび受容体、ならびに米国特許第8,329,867号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなイムノアドヘシンが挙げられる。
4.外科手術
【0247】
がんを患う人のおよそ60%は、予防的手術、診断手術、または病期分類手術、治癒的手術、および緩和手術が挙げられる何らかの種類の外科手術を受けることとなる。治癒的手術として、がん性組織の全てまたは一部が物理的に除去、切除、かつ/または破壊される切除が挙げられ、本実施形態の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法等の他の療法と組み合わせて用いられ得る。腫瘍切除術は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除術に加えて、外科手術による処置として、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡下手術(Mohs手術)が挙げられる。
【0248】
がん性細胞、組織、または腫瘍の一部または全てを切除すると、体内に空洞が形成され得る。処置は、追加の抗がん療法による領域の灌流、直接注射、または局所施用によって達成され得る。そのような処置は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日毎、または1、2、3、4、および5週毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月毎に繰り返され得る。これらの処置は、同様に、投与量を変えるものであってもよい。
5.その他の薬剤
【0249】
他の薬剤が、本実施形態の特定の態様と組み合わせて用いられて、処置の治療有効性を向上させることができると考えられる。これらの追加の剤として、細胞表面受容体およびGAP接合部の上方制御に影響を及ぼす剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導因子に対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる剤、または他の生物学的剤が挙げられる。GAP接合部の数を増やすことによる細胞間シグナル伝達の増大は、隣接する過剰増殖性細胞集団に及ぼす抗過剰増殖効果を増大させるであろう。他の実施形態において、細胞増殖抑制剤または分化剤が、本実施形態の特定の態様と組み合わせて用いられて、処置の抗過剰増殖効果を向上させることができる。細胞接着の阻害剤が、本実施形態の有効性を向上させると考えられる。細胞接着阻害剤の例として、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンがある。さらに、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる他の剤、例えば抗体c225が、本実施形態の特定の態様と組み合わせて用いられて、処置効力を向上させることができると考えられる。
VIII.本開示のキット
【0250】
本明細書中に記載されるあらゆる組成物が、キットに含まれ得る。非限定的な例において、細胞、細胞を生成するための試薬、ベクター、ならびにベクターおよび/またはその構成要素を生成するための試薬がキットに含まれ得る。特定の実施形態において、NK細胞がキットに含まれてもよく、これは、CD5標的化受容体、任意選択のサイトカイン、または任意選択の自殺遺伝子を発現してもしなくてもよい。そのようなキットは、細胞の操作のための1つ以上の試薬を有していても有していなくてもよい。そのような試薬として、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、バッファ、プライマー、ヌクレオチド、塩、および/またはそれらの組合せが挙げられる。1つ以上のCD5標的化CAR、自殺遺伝子産物、および/またはサイトカインをコードするヌクレオチドがキット内に含まれ得る。サイトカイン、またはモノクローナル抗体が挙げられる抗体等のタンパク質がキット内に含まれ得る。操作されたCAR受容体の構成要素をコードするヌクレオチドが、当該構成要素を生成するための試薬を含めて、キット内に含められ得る。
【0251】
特定の態様において、キットは、本開示のNK細胞療法および別のがん治療も含む。場合によっては、キットは、細胞療法の実施形態に加えて、例えば、化学療法、ホルモン療法、および/または免疫療法等の第2のがん治療も含む。キットは、個体の特定のがんに合わせて調整され得、かつ個体に対するそれぞれの第2のがん治療を含み得る。
【0252】
キットは、本開示の適切に等分された組成物を含み得る。キットの構成要素は、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかでパッケージされ得る。キットの容器手段として、一般に、その中に構成要素が配置され得、好ましくは適切に等分され得る、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段が挙げられる。キット内に複数の構成要素が存在する場合、キットはまた、一般に、追加の構成要素が別々に配置され得る第2、第3、または他の追加の容器を含有し得る。しかしながら、構成要素の種々の組合せがバイアル内に含まれ得る。本発明のキットはまた、典型的には、組成物および他のあらゆる試薬容器を商業的販売のために密閉して収容するための手段を含む。そのような容器として、所望のバイアルが保持される射出またはブロー成形プラスチック容器が挙げられ得る。
IX.実施例
【実施例
【0253】
以下の実施例は、本開示の特定の非限定的な態様を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、開示される主題の実施において良好に機能するように本発明者らによって発見された技術を表すことが当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更を行って、開示される主題の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を依然として得ることができることを理解すべきである。
(実施例1)
DAP10共刺激は、CD5標的化臍帯血由来CAR-NK細胞に記憶様の特徴を付与する
【0254】
本実施例は、CD5+がん細胞の処置のための養子細胞療法に用いられる種々のCD5キメラ抗原受容体(CAR)関連構築物の分析に関する。
【0255】
CD5 CAR-NK細胞の設計におけるT細胞中心性共刺激ドメインCD28または4-1BBの試験。CAR構築物における共刺激ドメインとしてCD28または4-1BBを組み込んだCD5 CAR-NK細胞の有効性を特徴付けた。CD28または4-1BB共刺激ドメインのいずれか、CD3ζシグナル伝達ドメイン、ならびにインビボ増殖および持続性を増強するためのサイトカインとしてのIL-15を有する、CD5抗原に対するscFvを有する2つのCD5 CAR構築物を生成した(図1A)。臍帯血(CB)由来NK細胞は、これらの構築物による形質導入に成功し(図1B)、フラトリサイドの証拠のない良好な増殖を示した(図1C)。また、これらのCD5 CAR-NK細胞は、CD5+T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)細胞株であるCCRF-CEMに対する非形質導入(NT)NK細胞と比較して、サイトカイン産生(IFNγ、TNFα)、脱顆粒(CD107a)、および細胞傷害性の増強を示した(図1D、E)。T-ALLのインビボマウスモデルでは、ホタルルシフェラーゼを形質導入したCCRF-CEM(CCRF-CEM-FFluc)を移植し、かつCD5-CD28-CD3ζ-IL-15またはCD5-41BB-CD3ζ-IL-15 CAR-NK細胞で処置したマウスは、腫瘍単独を移植したマウス、または腫瘍を移植して、NT NK細胞で処置したマウス(図1F~1H)と比較して、腫瘍制御および生存の向上を示した。しかしながら、全てのマウスは最終的に腫瘍に屈した。
【0256】
CD5 CAR-NK細胞のインビトロ機能におけるNK関連共刺激ドメインの役割の評価。CD28および4-1BBがT細胞中心性共刺激ドメインであり、かつCD28が非操作NK細胞で発現されないという事実を考慮すると、特定の実施形態において、NK細胞生物学およびシグナル伝達により関連する共刺激分子を組み込むと、CD5 CAR-NK細胞の有効性が増強すると考えられた。3つの追加のレトロウイルス構築物を設計した;当該構築物は、CD5に対する同じscFv、CD28膜貫通(TM)ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、ならびにインビボ持続性および増殖を増強するためのサイトカインとしてのIL-15を共通して有していたが、共刺激ドメインの選択が異なっていた(NKG2D対DAP10対DAP12)(図2A)。DAP10およびDAP12共刺激ドメインを有する構築物については、DAP10およびDAP12 TMドメインを有する設計も含めた(図2A)。共刺激ドメインを含まない第1世代CAR構築物を陰性対照として用いて、CAR-NK細胞の機能における共刺激の役割を調べた。CD5-CD28-CD3ζ-IL-15 CAR-NK細胞は、CD5+T-ALL標的に対するインビトロおよびインビボ有効性を示したので、T細胞中心性共刺激を有する陽性対照としての役割を果たした。感染多重度(MOI)を調整することによって、試験した全ての構築物について同様の形質導入効率が得られた(50~60%)(図2B)。種々のCD5 CAR-NK細胞の増殖は、以前に記載されたように12、増殖プロトコルが、ユニバーサル抗原提示細胞(uAPC)およびIL-2を含み、そしてその操作に拘わらず、NK細胞の増殖を最適化するので、インビトロで非常に類似していた(図2C)。CAR設計に拘わらず、全てのCD5 CAR-NK細胞は、無関係の標的CAR対照として用いた対照NT NK細胞およびCD19 CAR-NK細胞(IL-15ありまたはなし)と比較して、CD5+CCRF-CEM腫瘍細胞と6時間共培養した場合、サイトカイン産生(IFNγおよびTNFα)および脱顆粒(CD107a)の増強を示した(図2D)。51Cr放出細胞傷害性アッセイでは、全てのCD5 CAR-NK細胞がNT NK細胞よりも良好にCD5+腫瘍標的を死滅させた。しかしながら、種々のCAR-NK細胞設計の間で細胞傷害性の有意差は認められなかった(図2E)。
【0257】
DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞は、CD5+悪性腫瘍のマウスモデルにおいて腫瘍制御および生存の増強をもたらした。種々のCD5 CAR-NK細胞設計のインビボ抗腫瘍活性を調査するために、先に用いたCD5+CCRF-CEMの同じNSGマウスモデルを用いて、CD5-CD28-CD3ζおよびCD5-41BB-CD3ζCD5 CAR-NK細胞のインビボ有効性を試験した。腫瘍単独を移植したマウス、および腫瘍を移植し、かつNT NK細胞で処置したマウスを、陰性対照とした。マウスに、-1日目に照射(225cGy)してから、0日目にマウスあたり100,000個のCCRF-CEM-FFluc腫瘍細胞を静脈内注射した。2日目に、処置群は、2×10個のNT NK細胞または2×10個のCAR-NK細胞の種々の調製物のいずれかを受けた。DAP10シグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、対照マウス、および他の共刺激ドメインを組み込んだCD5 CAR-NK細胞を受けたマウスと比較して、明らかに優れた腫瘍制御および生存の有意な向上を示した(図3A~C)。さらに、これらのCAR-NK細胞で処置した動物は、体重モニタリングによって証明されるように、毒性の徴候を示さなかった(体重減少なし)(図3D)。興味深いことに、DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞によってもたらされる生存上の利点は、CD5発現が低いCCRF-CEMを移植したマウスにおいてすら維持されていた(図3E)。さらに、皮下注射したCD5+マントル細胞リンパ腫のインビボPDXマウスモデルにおいて、DAP10共刺激があるCD5 CAR-NK細胞は、腫瘍制御の向上をもたらし、腫瘍単独を移植した未処置マウスと比較して、CAR-NK細胞処置マウスの皮下腫瘍、脾臓、および骨髄からのCD45+CD5+リンパ腫細胞の絶対数の顕著な低下を伴った(図4A図4B)。
【0258】
DAP10共刺激は、CD5 CAR-NK細胞に活性化表現型を付与する。DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞が、他のCAR設計と比較して、インビボで著しく良好に機能する理由を特徴付けるために、そのプロテオミクスプロファイルをより深く検討した。NT NK細胞に関して種々のCD5 CAR-NK細胞の表現型を調査するために、マスサイトメトリを、そして活性化NK細胞受容体および阻害性NK細胞受容体に対する47抗体のパネル、ならびに増殖、分化、および成熟マーカーを用いた。t分布確率的近傍埋込み(t-SNE)アルゴリズムであるviSNEを用いて、DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞が、NT NK細胞と比較して、2つの特定のクラスター(クラスター8および11)を示すことが観察された(図5A図5B)。各クラスターを定義するマーカーの組合せをより詳細に検討することによって、これらのクラスター8および11は、活性化マーカー(NKG2D、DNAM、CD69、CD3ζ)、細胞傷害性マーカー(パーフォリン、グランザイムB、TRAIL)、および成熟マーカー(eomesodermin(eomes)およびT-bet)が豊富であった(図5C)。
【0259】
DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、多機能性および代謝フィットネスの増強を示す。
DAP10シグナル伝達があるCAR-NK細胞が、他のCAR-NK細胞設計と比較してインビボで機能的疲弊が少ないことを示す理由についての洞察を得るために、種々の共刺激ドメインを有するCAR-NK細胞の多機能性および代謝を評価するための一連の実験を実行した。サイトカイン分泌を単一細胞レベルで評価するために、免疫細胞効力と相関する多機能性を評価するための十分に検証されたツールであるIsoPlexis単一細胞セクレトームアッセイを用いた。プレートに結合したCD5抗原により4時間刺激した後に、DAP10シグナル伝達があるCAR-NK細胞は、最も高い多機能性を示し、単一細胞レベルで3、4、または5+サイトカインを分泌する細胞の割合がより高かった(図6A図6B)。DAP10含有CD5 CAR-NK細胞におけるこれらの分泌サイトカインのより高い割合が、エフェクタ、刺激性、または化学誘引性カテゴリーに属していた(図6C)。代謝の見地から、DAP10シグナル伝達を有するCD5 CAR-NK細胞は、他の構築物および対照NT NK細胞と比較して、有意に高い、酸化的リン酸化およびミトコンドリアフィットネスの尺度である酸素消費速度(OCR)を示した(図6D)。
【0260】
DAP10共刺激ドメインを有するCD5 CAR-NK細胞は、記憶様の特徴を示す。
次に、CD5 CAR-NK細胞におけるDAP10共刺激に伴う好ましいトランスクリプトーム、プロテオミクス、および代謝変化が、顕著なインビボ有効性を説明し得る記憶様の特徴に変換されるかを調べた。したがって、CAR-NK細胞が、腫瘍を十分に制御するために連続死滅能力を示さなければならないので、疲弊の傾向があるインビボ設定をシミュレートした。2~3日毎に実行される腫瘍再チャレンジが複数回ある長期のIncucyte(登録商標)細胞傷害性アッセイ(図7A)では、DAP10シグナル伝達があるCD5 CAR-NK細胞は、複数回の腫瘍再チャレンジ後に死滅させる持続的な能力を有する他のCAR-NK細胞設計と比較して、CD5+CCRF-CEMに対してより優れた細胞傷害性を示した一方、NT NK細胞、無関係の標的CD19またはCD19/IL-15 CARを形質導入したNK細胞、および他のCD5 CAR構築物を形質導入したNK細胞は、経時的に死滅させる能力を失った(図7B、C)。同様に、インビボモデルにおいて、長期間生存し、かつ疾患から治癒したと思われる、DAP10含有CD5 CAR-NK細胞で処置したマウスは、CD5+CCRF-CEMで再チャレンジして、腫瘍発生の証拠を呈さず、このことは、これらのCD5 CAR-NK細胞が記憶の特徴を備え、かつ再曝露後に腫瘍を根絶することができることを示唆している(図7D~7F)。
材料および方法の例
細胞株および培養培地
【0261】
CCRF-CEM(T-ALL細胞株)を、American Type Culture Collection(Manassa,VA,USA)から購入した。CCRF-CEM細胞に、インビボ実験のためにホタルルシフェラーゼ(CCRF-CEM-FFluc)を形質導入した。低CD5モデルについて、shRNAを用いて、CCRF-CEMにおけるCD5の発現をノックダウンした。K562ベースのフィーダ細胞を、4-1BBL、CD48、および膜結合IL-21を共発現するようにレトロウイルスにより形質導入した。これをuAPCと称する。全ての細胞株を、10%胎仔ウシ血清(FBS)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、および1%L-グルタミンを補充したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)培地中で培養した。NK細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、および1%L-グルタミンを補充した幹細胞増殖培地(SCGM)中で培養した。
臍帯血NK細胞増殖
【0262】
研究用のCBユニットが、MD Anderson Cancer Center CB Bankによって提供された。CBを、密度勾配技術(Ficoll-Histopaque;Sigma,St Louis,MO,USA)によって単離した。NK単離キット(Miltenyi Biotec,Inc.,San Diego,CA,USA)により精製したCD56+NK細胞を、0日目に、完全幹細胞増殖培地(CellGenix GmbH,Freiburg,Germany)中で、照射(100Gy)uAPC(フィーダ細胞:NK比2:1)および組換えヒトIL-2(プロロイキン、200U/ml;Chiron,Emeryville,CA,USA)により刺激した。ヒトフィブロネクチンでコーティングしたプレート(Clontech Laboratories,Inc.,Mountain View,CA,USA)内で+6日目に、活性化NK細胞をレトロウイルス上清により形質導入した。+7日目および+14日目に、NK細胞を、照射uAPCおよびIL-2により再び刺激した。+21日目に、CAR形質導入NK細胞を、前述の実験に用いるために収集した。
レトロウイルスの形質移入および形質導入
【0263】
種々のCD5構築物をコードするレトロウイルスベクターを社内で設計し、そしてプラスミドをGeneArt(商標)から注文した。CD19-CD28-CD3ζおよびCD19-CD28-CD3ζ-IL-15ベクターが以前に記載されている。以前に記載されるように14、一過性レトロウイルス上清を生成した。ヒトフィブロネクチンでコーティングしたプレート(Clontech Laboratories,Inc.,Mountain View,CA,USA)内で+6日目に、活性化NK細胞をレトロウイルス上清により形質導入した。+8日目に、CAR形質導入効率を、フローサイトメトリによって測定して、NK細胞を、照射uAPCおよびIL-2により再び刺激した。
機能的アッセイ
【0264】
100×10e3個の細胞/ウェルのCAR19もしくはCAR19/IL-15 NK細胞、またはCD5 CAR-NK細胞を、丸底96ウェルプレート内でブレフェルディンAの存在下で6時間、CCR-CEM細胞またはK562標的(陽性対照)と、エフェクタ:標的細胞比(E:T)2:1にて共培養した。脱顆粒を測定するために、共培養の開始時にCD107a抗体(Brilliant Violet 785(商標)抗ヒトCD107a(LAMP-1)抗体、Biolegend,San Diego,CA,USA)をウェルに加えた。CD56、CD3、およびCARについての細胞の収集および表面染色の後に、細胞を固定して、細胞内染色を、TNFα(TNFアルファモノクローナル抗体(MAb11)、Alexa Fluor 700、eBioscience Inc.,San Diego,CA,USA)およびIFNγ(BD Horizon(商標)V450マウス抗ヒトIFNγ、BD Biosciences,San Jose,CA,USA)について行った。細胞を、以前に記載されるように15、フローサイトメトリによって評価した。
細胞傷害性アッセイ
クロム放出アッセイ
【0265】
細胞傷害性を評価するために、エクスビボで増殖させた、NTまたはCAR形質導入NK細胞を、51Cr標識CCRF-CEM標的と多数のE:T比にて共培養した。細胞傷害性を、前述のように1551Cr放出によって測定した。
Incucyte生細胞イメージングアッセイ
【0266】
エクスビボ増殖させたNTおよびCAR形質導入NK細胞を、96ウェルまたは48ウェルプレート内で、レンチウイルスで形質導入したCCRF-CEM腫瘍標的と、1:1のE:T比にて共培養して、赤色色素(PE-Texas red)を発現させた。各ウェルは、5×104個のCCRF-CEM細胞および5×104個のNK細胞を含有していた。CellEvent(商標)カスパーゼ-3/7Caspase-3/7 Green Detection Reagent(ThermoFisher)を用いて、アポトーシスを検出した。腫瘍単独群またはNK細胞単独群を含有するウェルを陰性対照とした。IncuCyte S3生細胞分析システム(Sartorius)を用いて、10×対物レンズにより、ウェルあたり4つの別々の1.75×1.29mm領域から1時間間隔でフレームを経時的にキャプチャした。各ウェルの4つ全ての領域からの値をプールして、3つ全ての反復にわたって平均した。結果を、重なり合う赤色シグナルおよび緑色シグナル(画像あたりのカウント)を赤色シグナル(画像あたりのカウント)で割った比率を算出することによって、細胞毒性パーセントとしてグラフで表した。再チャレンジ実験について、CCRF-CEMを、全てのウェル(NK細胞単独群を含有する対照ウェルを除く)に2~3日毎に加えた。赤色カウントおよびコンフルエンスを経時的にプロットして、NK細胞による腫瘍の増殖または排除を追跡した。
マスサイトメトリ
抗体コンジュゲーション
【0267】
38個の金属タグ付き抗体を含むパネルを、NK細胞の詳細な特徴付けに用いた。対応する金属タグ同位体を有する抗体のリストを表に示す。全ての非標識抗体を、キャリアフリーの形態で購入して、Maxpar X8またはMCP9ポリマーを、製造者の説明書(Fluidigm)に従って用いて、対応する金属タグと社内でコンジュゲートさせた。全ての金属同位体は、塩化インジウム(III)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を除いて、Fluidigmから得た。抗体濃度を、Nanodrop 2000(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を用いてA280タンパク質の量を測定することによって判定した。次いで、コンジュゲートされた抗体を、0.05%アジ化ナトリウム(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を補充したPBSベースの抗体安定化溶液またはLowCross-Buffer(Candor Bioscience GmbH,Wangen,Germany)中で、0.5mg/mlの最終濃度に希釈した。段階滴定実験を実行して、抗体毎の最適なシグナル対ノイズ比により濃度を判定した。
【表1】
試料の調製および取得:
【0268】
NT NK細胞または種々のCD5 CAR形質導入NK細胞を収集して、4℃、400gにて5分間、細胞染色バッファ(PBS中0.5%ウシ血清アルブミン、0.02%アジ化ナトリウム)で2回洗浄して、2.5μMシスプラチン-198Ptと暗所で2分間インキュベートした。次いで、細胞を、FACSバッファ(PBS中2%胎仔ウシ血清)で1回、そして細胞染色バッファで1回洗浄した。10μlのヒトFc受容体ブロッキング溶液(Milteny Biotec,130-059-901)、室温にて10分間。次いで、細胞を、PBS中1%ウシ血清アルブミン中に希釈した細胞表面マーカーに対するフレッシュに調製した抗体混合液により、シェーカー(130rpm)上で室温にて40分間染色した。細胞を、細胞染色バッファで2回洗浄して、1.8%パラホルムアルデヒドを用いて暗所、室温にて10分間固定した。細胞を、細胞染色バッファで4℃、800gにて5分間、2回洗浄して、1mlのメタノール中で-80℃にて一晩保存した。翌日、試料を、細胞染色バッファで2回洗浄して、PBS中1%ウシ血清アルブミン+0.2%サポニン中に希釈した細胞内マーカーに対するフレッシュに調製した抗体混合液により染色した。細胞を、細胞染色バッファで2回洗浄して、1mlインターカレーターイリジウム(1mlPBS中1μlの125μM Ir)中で室温にて20分間インキュベートした。細胞を細胞染色バッファで2回洗浄して、Milli-Q(登録商標)dH2O中0.1%ウシ血清アルブミン1ml中に再懸濁させて、35μmナイロンメッシュ(セルストレーナキャップチューブ、BD,San Jose,CA)で濾過して、カウントした。分析前に、試料を、0.5×105/mlの濃度にてEQ(商標)four element calibration beadsを補充したMilli-Q(登録商標)dH2O中に懸濁させた。試料を、Helios 6.5.358取得ソフトウェア(Fluidigm)を用いてHelios機器(Fluidigm)により300イベント/秒にて得た。
データ解析
【0269】
マスサイトメトリデータを、Fluidigm正規化ソフトウェア2を用いて、経時的なEQ(商標)4エレメントシグナルシフトに基づいて正規化した。Flowjoバージョン10.2を用いて、初期データ品質管理を実行した。較正ビーズをゲートアウトして、シングレットを、イリジウム193染色およびイベント長に基づいて選択した。死細胞をPt195チャネルによって排除して、さらにゲーティングを実行して、CD45+細胞の後に目的のNK細胞集団(CD3-CD56+)を選択した。自動クラスタリングを実行するために、全試料から合計320,000個の細胞を比例的にサンプリングした。以前に公開された17のような免疫細胞のディープ表現型タイピングのためのクラスタリング用のFlowSOM16と組み合わせた(viSNE)を含む自動化次元削減を用いて、データを分析した。
Isoplexis単一細胞セクレトームアッセイ
【0270】
NT NK細胞または種々のCD5 CAR-NK細胞を蛍光色素(Isoplexis染色細胞膜405)により標識して、プレート結合CD5抗原で4時間刺激するか、またはCCRF-CEM細胞と4時間共培養してから、CD56+マイクロビーズによる陽性選択を用いて精製した。精製された集団から、3×10個のNK細胞を、製造者のプロトコル(Isoplexis,Branford,CT,USA)に従って、個々のIsoコードチップ上にロードして、IsoPlexis単一細胞プラットフォーム上でサイトカインの完全に検証されたパネルを用いて、単一細胞32プレックスサイトカインセクレトームプロファイリングに供した。以前に記載されるように18、19、IsoSpeakソフトウェアを用いて、多機能性NK細胞の数を定量し、多数のサイトカインを分泌する各試料中の細胞のパーセンテージを測定し(2+、3+、4+、または5+)、分泌されているサイトカインのカテゴリー(エフェクタ、刺激性、調節性、または化学誘引性)を割り当て、そしてNK細胞によって分泌されるタンパク質の平均蛍光強度(MFI)を乗算した多機能性細胞のパーセンテージとして定義される多機能性強度指数(PSI)を測定した。
Seahorseアッセイ
【0271】
NT-NK細胞または種々のCD5 CAR形質導入NK細胞を、Seahorse XF Glycolysis Stress Test KitおよびMito Stress Test Kit(Agilent)を用いてアッセイした。細胞外酸性化速度(ECAR)および酸素消費速度(OCR)を、Agilent Seahorse XFe96 Analyzer(Agilent)を製造者の説明書に従って用いて測定した。
異種マウスモデル
【0272】
インビボでのCD5 CAR形質導入CB-NK細胞の抗腫瘍効果を評価するために、CCRF-CEM細胞株を移植したNOD/SCID IL-2 Rγnull(NSG)異種移植モデルを用いた。マウス実験を、Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコルに従うNIH勧告に従って実行した。NSGマウス(10~12週齢;Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME,USA)に、-1日目に300cGyを照射して、0日目にホタルルシフェラーゼ標識CCRF-CEM細胞(1×10e5個)を静脈内接種した。示す場合、フレッシュな、増殖した、NTまたはCD5 CAR形質導入CB-NK細胞を、2日目に尾静脈を介して注射した。マウスを、毎週の生物発光イメージング(Xenogen-IVIS 200 Imaging system;Caliper,Waltham,MA,USA)に供した。光子/秒でのシグナル定量化を、Living Imageソフトウェア(Caliper)20を用いて、標準化された目的の領域内の光子束率を判定することによって実行した。NK細胞のトラフィッキング、持続性、および増殖を、フローサイトメトリによって測定した。また、マウスを、体重およびスコアリングを記録することによって、生存および毒性についてモニターした。
NK細胞のインビボ輸送、持続性、および増殖を調べるのに用いた抗体
【0273】
以下の抗体をフローサイトメトリ染色に用いた:APC/Cy7抗ヒトCD3抗体(クローンHIT3a、Biolegend)、Brilliant Violet 605(商標)抗ヒトCD56(NCAM)抗体(クローンHCD56、Biolegend)、抗CAR抗体ヤギF(ab’)2抗ヒトIgG(H+L)-Alexa Fluor 647(Jackson)、PEマウス抗ヒトCD7クローンM-T701(BD biosciences)、BV711マウス抗ヒトCD5クローンUCHT2(BD biosciences)、BV650マウス抗ヒトCD16クローン3G8(BD biosciences)、PerCP抗ヒトCD45抗体クローンHI30(Biolegend)、生/死アクア死細胞染色(ThermoFisher)。
統計
【0274】
二元配置Anova検定を用いて、群間の定量的差異(平均±sd)を比較した。P値は両側であり、P<0.05を有意とみなした。全ての生物発光実験について、強度シグナルを、ベースラインおよびその後の多数の時点での平均±sdとしてマウスの群毎に要約した20。生存確率は、Kaplan-Meier法を用いて算出した。示す統計学的検定を、Prismソフトウェア(GraphPadバージョン7.0c)を用いて実行した。
特定の実施形態の重要性
【0275】
CAR-T細胞の機能およびフィットネスに及ぼす種々の共刺激ドメインの効果が、十分に研究されてきた。CAR-NK細胞分野では、様々な共刺激分子の役割を調査する研究はほとんど報告されていないが、増殖、トランスクリプトームプロファイル、表現型、多機能性、代謝、細胞傷害性、および記憶形成に及ぼす共刺激の選択の影響を体系的に調べた研究はない。本研究は、これらの具体的な疑問を詳しく調べて、NK中心性共刺激ドメインであるDAP10が、好ましい表現型変化および相乗的シグナル伝達をもたらして、CD5 CAR-NK細胞の最適な全体的抗腫瘍活性およびフィットネス、ならびに記憶形成の特徴となることを示す。
【0276】
CAR-T細胞では、T細胞のシグナル伝達および代謝に及ぼす4-1BB対CD28共刺激の影響が徹底的に調査されており、細胞療法産物の持続性および消耗に関する臨床転帰およびデータと相関している21。DAP10は、CAR-T細胞およびNKG2DベースのCAR-NK細胞の機能を増強することが以前に示されている22、23が、他の共刺激分子に勝るその利点を説明するための機構的洞察は提供されていない。さらに、DAP10共刺激の下流のシグナル伝達経路は、CAR-TまたはCAR-NK細胞の状況では分析されていない。
【0277】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
1.Tsuyama N, Ennishi D, Yokoyama M, et al. Clinical and prognostic significance of aberrant T-cell marker expression in 225 cases of de novo diffuse large B-cell lymphoma and 276 cases of other B-cell lymphomas. Oncotarget. 2017;8(20):33487-33500.
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【0278】
本開示およびその利点について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換および改変を行うことができることを理解されたい。 さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、物質組成、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。 当業者であれば、本開示から容易に理解されるように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、または実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、または後に開発されるプロセス、機械、製造、物質組成物、手段、方法、またはステップが、本開示に従って利用され得る。 従って、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質組成物、手段、方法、またはステップをその範囲内に含むことを意図している。
図1A-C】
図1D-E】
図1F
図1G-H】
図2A
図2B-C】
図2D
図2E
図3A
図3B-C】
図3D
図3E
図4A-B】
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
【配列表】
2024514203000001.app
【国際調査報告】