(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ノズル組立体、分配システム、電極シートストリップ、及び電極
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20240321BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240321BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240321BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240321BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B05C5/02
H01M4/139
H01M50/586
H01M50/591 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563220
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2022087132
(87)【国際公開番号】W WO2022218418
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202120793551.3
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ヂォンクエン
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA23
4F041BA32
4F041BA34
4F041CA03
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA19
5H043GA22
5H043GA25
5H043HA22
5H043HA33
5H043HA36
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA17
5H050DA04
5H050DA09
5H050GA29
(57)【要約】
本発明は、ノズル組立体、分配システム、電極シートストリップ、及び電極に関する。ノズル組立体は、環状の本体部(70)と中央にダム部材(72)とを有するように構成されたリップ部材(7)と、リップ部材(7)に接続されるように構成されたカバー板(6)とを備え、ダム部材(72)は、リザーバ(721)がカバー板(6)とダム部材(72)との間に形成されるように、カバー板(6)に接続されたリップ部材(7)の表面に対して凹んでおり、リザーバ(721)は、矩形開口(71)と流体連通しており、カバー板(6)及びリップ部材(7)の互いに対向する2つの表面のうちの一方に凹部(73)が設けられ、凹部(73)は、流体が凹部(73)を通ってリザーバ(721)から帯状に流れ出ることができるように、リザーバ(721)と流体連通している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル組立体(60)であって、
環状の本体部(70)と、中央にダム部材(72)とを有するように構成されたリップ部材(7)であって、前記ダム部材(72)は、前記ダム部材(72)の上縁と矩形空間の上縁との間に矩形開口(71)が形成されるように、前記本体部(70)によって囲まれた前記矩形空間の下縁から上縁に向かって延在し、前記ダム部材(72)は、前記リップ部材(7)の横方向に前記矩形開口(71)の全幅に延在し、前記矩形開口(71)は、流体を受け入れるように適合されている、リップ部材(7)と、
前記リップ部材(7)に接続されるように構成されたカバー板(6)と、を備え、
前記ダム部材(72)は、リザーバ(721)が前記カバー板(6)と前記ダム部材(72)との間に形成されるように、前記カバー板(6)に接続された前記リップ部材(7)の表面に対して凹んでおり、前記リザーバ(721)は、前記矩形開口(71)と流体連通しており、
前記カバー板(6)及び前記リップ部材(7)の互いに対向する2つの表面のうちの一方に凹部(73)が設けられ、
前記凹部(73)は、前記流体が前記凹部(73)を通って前記リザーバ(721)から帯状に流れ出ることができるように、前記リザーバ(721)と流体連通していることを特徴とする、ノズル組立体(60)。
【請求項2】
前記凹部(73)は、前記カバー板(6)に面する前記リップ部材(7)の表面に設けられ、前記横方向において、前記凹部(73)の幅は、前記ダム部材(72)の幅以下であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル組立体。
【請求項3】
前記凹部(73)は、前記凹部(73)が設けられた表面に対して50~150μm凹んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル組立体。
【請求項4】
前記ダム部材(72)は、前記カバー板(6)と反対側の前記リップ部材(7)の側の表面に対して凹んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル組立体。
【請求項5】
前記カバー板(6)とは反対側の前記リップ部材(7)の側面の外縁部には、封止部材を受けるためのボス(74)が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル組立体。
【請求項6】
前記カバー板(6)の底面及び/又は前記リップ部材(7)の底面にガイドボスが設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル組立体。
【請求項7】
前記カバー板(6)と前記リップ部材(7)とは、ネジによって一緒に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル組立体。
【請求項8】
分配システムであって、
流体供給組立体と、
容積測定キャビティポンプの形態であり、前記流体供給組立体と流体連通して前記流体供給組立体から流体を受け取るように構成された計量組立体(3)と、
前記計量組立体(3)から前記流体を受け取るために前記計量組立体(3)と流体連通するノズル組立体と、を有し、
前記ノズル組立体は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のノズル組立体(60)であることを特徴とする分配システム。
【請求項9】
前記流体供給組立体は、流体カートリッジを収容するように、又は前記流体を供給するためのパイプに接続されるように構成された供給容器(9)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の分配システム。
【請求項10】
前記計量組立体(3)は、駆動歯車(31)及び被駆動歯車(32)を含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の分配システム。
【請求項11】
前記計量組立体(3)は、
前記流体供給組立体から前記流体を受け取るための上部板流路を有する上部板(2)と、
前記ノズル組立体(60)の矩形開口(71)と流体連通する底板流路を有する底板(5)と、
前記上部板(2)と前記底板(5)との間に配置され、前記駆動歯車(31)及び前記被駆動歯車(32)を収容するための開口を中央に有する歯車支持板(4)と、を有することを特徴とする請求項8に記載の分配システム。
【請求項12】
前記駆動歯車(31)及び前記被駆動歯車(32)のそれぞれの歯車軸は、前記歯車軸の位置決めを提供するために、前記底板(5)の対応する穴に挿入されることを特徴とする、請求項11に記載の分配システム。
【請求項13】
前記計量組立体(3)の一方の側の前記駆動歯車(31)と前記被駆動歯車(32)との間の隙間は、前記上部板(2)の前記上部板流路と流体連通しており、前記計量組立体(3)の他方の側の前記駆動歯車(31)と前記被駆動歯車(32)との間の隙間は、前記底板(5)の前記底板流路と流体連通していることを特徴とする、請求項11に記載の分配システム。
【請求項14】
封止部材が、前記歯車支持板(4)と前記底板(5)との間に設けられ、前記封止部材は、前記歯車支持板(4)の前記開口を取り囲むことを特徴とする、請求項11に記載の分配システム。
【請求項15】
前記ノズル組立体(60)の前記リップ部材(7)は、前記ダム部材(72)の上縁が前記底板流路の出口よりも高くなるように、前記底板(5)に接続されていることを特徴とする、請求項11に記載の分配システム。
【請求項16】
前記リップ部材(7)と前記底板(5)との間に封止部材(8)が設けられ、前記封止部材は矩形の中央開口(81)を有することを特徴とする、請求項11に記載の分配システム。
【請求項17】
前記中央開口(81)の幅は、前記矩形開口(71)の幅以上であり、前記中央開口(81)の高さは前記矩形開口(71)の上縁から前記底板(5)の前記底板流路の前記出口の下縁までの距離以上であることを特徴とする、請求項16に記載の分配システム。
【請求項18】
前記底板(5)は、前記底板(5)の前記底板流路の前記出口が設けられる突出部(54)を有し、前記突出部は、前記リップ部材(7)に接続されるように適合されることを特徴とする、請求項11に記載の分配システム。
【請求項19】
請求項8に記載の分配システムを使用して基板上に流体を分配する方法であって、前記基板は薄い部分を有し、前記方法は、前記分配システムを使用して、前記基板の前記薄い部分上に流体を分配することを含む方法。
【請求項20】
前記基板は、電池の電極を製造するための電極シート(10)であり、
前記電極シートは、厚い本体部(101)と、薄い縁部(102)とを有し、
前記縁部(102)は、前記本体部の側に位置し、前記本体部と連続しており、
前記方法は、前記分配システムを使用して、前記縁部(102)の表面上に前記流体を分配して、電極シートストリップ(10’)を製造することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電極シート(10)をスリッティング機械に供給することと、前記スリッティング機械を使用してスリット経路に沿って前記縁部(102)をスリット加工することと、前記電極シートストリップ(10’)を製造するために、前記スリット加工の後に前記分配システムを使用して前記縁部(102)の前記表面上に前記流体を分配することと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記スリッティング機械は、前記電極シートの先端(104)から一定の距離でスリット加工を開始し、前記電極シートの後端(105)から一定の距離でスリット加工を終了することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電極シート(10)の前記縁部(102)は、前記縁部(102)上のスリット(1023)の幅が、前記分配システムからの前記流体が前記スリット(1023)を完全に貫通するのに適するようなスリットであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記スリット(1023)の幅は、前記縁部の厚さ、前記流体の塗布温度、又はシート供給速度に応じて決定されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記スリット経路は、非直線状であることを特徴とする、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記縁部(102)は、前記スリット経路に沿って複数の電極耳部(1021)を形成するようなスリットであることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
セルの電極を製造するための電極シートストリップであって、前記電極シートストリップ(10’)は、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法を使用して製造されることを特徴とする、電極シートストリップ。
【請求項28】
前記電極シートストリップは、幅方向に沿って同じ形状を有する複数のシートセグメントに切断され、前記複数のシートセグメントは、一緒に積層されて前記電極を構成することを特徴とする、請求項27に記載の電極シートストリップ。
【請求項29】
請求項27に記載の前記電極シートストリップ(10’)から製造されることを特徴とする電極。
【請求項30】
前記電極は、セルのアノード又はカソードであることを特徴とする、請求項29に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ノズル組立体、分配システム、電極シートストリップ、及び電極に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年4月15日に提出された国際特許出願第PCT/CN2022/087132号の国内段階出願であり、2021年4月16日に出願された中国特許出願第202120793551.3号に対する優先権を主張するものであり、両出願の全開示は以下の通りである。これらは、あたかもその全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
電気自動車(EV)は、現在の自動車技術の発展方向である。耐久性は、電気自動車の性能を特徴付ける重要なパラメータである。耐久性は、主にEV用電池の性能によって決定される。いわゆるチップ電池などのリチウムイオン電池は、電池研究の非常に重要な方向である。典型的には、電気自動車用のリチウムイオン電池、特にチップ電池は、セルが内部に収容されるアルミニウムケーシングを有する。複数のリチウムイオン電池は、電池パックを形成するために並んで配置される。リチウムイオン電池は、可能な限り低いコーティング重量を追求しながら絶縁される必要がある。
【0004】
さらに、通常の状況下では、リチウム電池が充電されているとき、リチウムイオンは正極から放出され、次いで負極に挿入されるが、過充電、低温又は高電流などの異常な条件下では、正極から放出されたリチウムイオンは負極に異常に挿入される。この場合、リチウムイオンは、負極の表面にのみ析出することができる。これはリチウム沈殿として知られている。リチウム沈殿現象が発生すると、リチウムイオンは負極の表面で異なる形態の金属リチウムに還元され、その一つはリチウムデンドライトと呼ばれ、リチウム沈殿現象の進行に伴って樹枝状に成長し続け、この工程は不可逆的であり、リチウムデンドライトがある長さまで成長すると、正極と負極との間の隔膜を突き破り、セルの内部短絡を引き起こし、熱暴走又は爆発さえも引き起こす可能性が非常に高く、非常に危険である。
【0005】
したがって、非常に薄い接着材料を電池の表面にコーティングする必要がある。一般に、電池の電極シート上に10mm(幅)より大きく20μm(厚さ)未満の熱接着性材料を均一にコーティングすることが必要とされ、これは自動車用電池の信頼性を向上させるために非常に重要である。熱接着剤は、極めて薄く、電極シートの表面に均一に塗布されなければならない。また、電極を形成するための電極セグメントは、通常、電極シートを切断することによって形成され、電極シートの外縁部はまた、切断前に、特に電極シートをスリット加工して(細長く切って)電極セグメントを形成する間に保護される必要がある。これは明らかに、既存のコーティング製品にとって深刻な課題である。現在の方法及び製品は、電極シート上に20μm未満の均一なコーティング厚さを達成すること、及びカソードを形成するために使用されるカソードセグメントの表面全体に接着剤を塗布することが難しい。
【0006】
したがって、コーティング機器又は分配システム、並びに接着剤分配方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、極めて薄い接着剤層を実現するように、接着剤、特にポリウレタン液体接着剤などの流体を高精度で塗布することができるノズル組立体を提供することである。さらに、本開示は、分配システム、電極シートストリップ及び電極も提供する。
【0008】
本開示によれば、ノズル組立体であって、環状の本体部と、中央にダム部材とを有するように構成されたリップ部材であって、ダム部材は、ダム部材の上縁と矩形空間の上縁との間に矩形開口が形成されるように、本体部によって囲まれた矩形空間の下縁から上縁に向かって延在し、ダム部材は、リップ部材の横方向に矩形開口の全幅に延在し、矩形開口は、流体を受け入れるように適合されている、リップ部材と、リップ部材に接続されるように構成されたカバー板と、を備え、ダム部材は、リザーバがカバー板とダム部材との間に形成されるように、カバー板に接続されたリップ部材の表面に対して凹んでおり、リザーバは、矩形開口と流体連通しており、カバー板及びリップ部材の互いに対向する2つの表面のうちの一方に凹部が設けられ、凹部は、流体が凹部を通ってリザーバから帯状に流出することができるように、リザーバと流体連通していることを特徴とするノズル組立体が提供される。
【0009】
このようにして、所望の厚さ、特に極めて薄いコーティングを基板/ワークピース上に得ることができるように、凹部から分配される流体の厚さ及び幅を正確かつ安定的に制御することができる。
【0010】
好ましくは、凹部は、カバー板に面するリップ部材の表面に設けられる。その結果、凹部を簡単かつ効率的な方法で製造することができる。また、好ましくは、横方向において、凹部の幅は、ダム部材の幅以下であり、その結果、流体は、帯状の凹部を通って空間から均一に流れ出ることができる。
【0011】
好ましくは、凹部は、凹部が設けられた表面に対して一貫した深さを有し、凹部は、凹部が設けられた表面に対して50~150μmだけ凹んでいる。これにより、基材の表面に極めて薄い接着剤層を塗布することができる。
【0012】
好ましくは、ダム部材は、カバー板と反対側のリップ部材の側の表面に対して凹んでいる。
【0013】
好ましくは、封止部材の移動を制限するために、封止部材に接続されたリップ部材の側部の外縁部にボスが設けられる。
【0014】
好ましくは、カバー板の底面及び/又はリップ部材の底面にガイドボスが設けられている。
【0015】
好ましくは、カバー板とリップ部材は、この順序でネジによって一緒に固定されている。これにより、簡単な組み立てを実現できる。
【0016】
本開示によれば、流体供給組立体と、容積測定キャビティポンプの形態であり、流体供給組立体と流体連通して流体供給組立体から流体を受け取るように構成された計量組立体と、計量組立体から流体を受け取るために計量組立体と流体連通するノズル組立体と、を有し、ノズル組立体は、上述のノズル組立体であることを特徴とする分配システムも提供される。
【0017】
好ましくは、流体供給組立体は、供給容器を含む。供給容器は、流体カートリッジを収容するように、又は流体を供給するためのパイプと接続されるように構成される。
【0018】
好ましくは、計量組立体は、駆動歯車及び被駆動歯車を含む。駆動歯車はモータによって駆動される。
【0019】
好ましくは、計量組立体は、流体供給組立体から流体を受け取るための上部板流路を有する上部板と、ノズル組立体の矩形開口と流体連通する底板流路を有する底板と、上部板と底板との間に配置され、駆動歯車及び被駆動歯車を収容するための開口を中心に有する歯車支持板とを含む。
【0020】
好ましくは、駆動歯車及び被駆動歯車のそれぞれの歯車軸は、歯車軸の位置決めを提供するために、底板の対応する穴に挿入される。
【0021】
好ましくは、計量組立体の一方の側の駆動歯車と被駆動歯車との間の隙間は、上部板の上部板流路と流体連通しており、計量組立体の他方の側の駆動歯車と被駆動歯車との間の隙間は、底板の底板流路と流体連通している。
【0022】
好ましくは、歯車支持板と底板との間に封止部材が設けられ、封止部材は、歯車支持板の開口を囲む。
【0023】
好ましくは、ノズル組立体のリップ部材は、ダム部材の上縁が底板流路の出口よりも高くなるように、底板に接続される。
【0024】
好ましくは、リップ部材と底板との間に封止部材が設けられ、封止部材は矩形の中央開口を有する。中央開口の幅は、矩形開口の幅以上であり、中央開口の高さは、矩形開口の上縁から底板の底板流路の出口の下縁までの距離以上である。
【0025】
好ましくは、底板は、底板の底板流路の出口が配置される突出部を有し、突出部は、リップ部材に接続されるように適合される。
【0026】
本出願はまた、より薄い部分を有する基板上に分配システムを使用して流体を分配する方法であって、分配システムを使用して基板の薄い部分上に流体を分配するステップを含むことを特徴とする方法に関する。
【0027】
好ましくは、基板は、電池の電極を製造するための電極シートであり、電極シートは、より厚い本体部と、より薄い縁部とを有し、縁部は、本体部の側に位置し、本体部と連続しており、方法は、分配システムを使用して、縁部の表面上に流体を分配して、電極シートストリップを製造するステップを含む。電池は、チップ電池であってもよい。
【0028】
好ましくは、方法は、電極シートをスリッティング機械に供給することと、スリッティング機械を使用してスリット経路に沿って縁部をスリット加工することと、スリット加工の後に分配システムを使用して縁部の表面上に流体を分配することとを含む。
【0029】
好ましくは、スリッティング機械は、電極シートの先端から一定の距離でスリット加工を開始し、電極シートの後端から一定の距離でスリット加工を終了する。
【0030】
好ましくは、電極シートの縁部は、縁部上のスリットの幅が、分配システムからの流体がスリットを完全に貫通するのに適するようなスリットである。
【0031】
好ましくは、スリットの幅は、縁部の厚さ、流体の塗布温度、及び/又はシート供給速度に応じて決定される。
【0032】
好ましくは、スリット経路は、非直線状である。
【0033】
好ましくは、縁部は、スリット経路に沿って複数の電極耳部を形成するようなスリットである。電極耳部は、好ましくは台形である。
【0034】
本出願はまた、電池の電極を製造するための電極シートストリップであって、上記の方法を使用して製造されることを特徴とする電極シートストリップを提供する。
【0035】
好ましくは、電極シートストリップは、幅方向に沿って同じ形状を有する複数のシートセグメントに切断され、複数のシートセグメントは一緒に積層されて電極を構成する。
【0036】
本出願はまた、上記の電極シートストリップから製造されることを特徴とする電極を提供する。
【0037】
好ましくは、電極は、電池のアノード又はカソードである。
【0038】
本開示のノズル組立体及び分配システムは、例えば20μm未満の極めて薄い接着剤厚さを実現することができ、それによって、電気自動車のチップ電池の表面上への噴霧要件を満たす。この出願に記載された方法は、保護のためにチップ電池の電極耳部の外縁部を接着することができる。
【0039】
本開示のこれら及び他の目的及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に明らかになるであろう。図面全体を通して、同じ参照番号は同じ又は同様の部分を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本開示によるノズル組立体を示す斜め前方の分解図である。
【
図2】本開示によるノズル組立体を示す斜め後方の分解図である。
【
図3】本開示に係るノズル組立体を示す
図2のIII-III線における断面図である。
【
図6】本開示によるノズル組立体を備える分配システムを示す分解図である。
【
図8】分配システムの一部を示す斜め前方の分解図である。
【
図9】分配システムの一部を示す斜め後方の分解図である。
【
図10】電池セルの電極を製造するために用いられる電極シートの斜視図である。
【
図11】従来技術において電極シートがスリットされた後に得られる電極シートストリップの斜視図である。
【
図12】新しいスリット加工工程によって電極シートがスリットされた後の電極シート片を示す斜視図である。
【
図13】本開示による分配システムと新しいスリット加工工程との組合せの動作原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示による実施形態は、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明において、方向を表す「上」、「下」、「前」、「後」、「上」及び「下」などの用語は、図面を説明するためにのみ使用され、本開示に対する実質的な限定を構成しない。
【0042】
図1は、本開示によるノズル組立体を示す斜め前方の分解図である。
図1に示すように、ノズル組立体60は、リップ部材7と、カバー板6とを主に備えている。リップ部材7は、略矩形板状であり、環状の本体部70と、本体部70によって囲まれた矩形状の空間の下端から上端に向かって延びる中央のダム部材72とを有し、ダム部材72の上端と矩形状の空間の上端との間に矩形開口71が形成される。ダム部材72は、リップ部材7の幅方向において矩形開口71の全幅にわたって延在している。リップ部材7の横方向は、矩形開口71の横方向と同じである。矩形開口71は、流体を受け入れるように適合されている。例えば、矩形開口71は、流体供給源、流体供給源に接続された計量組立体などに流体接続することができる。
【0043】
カバー板6は、リップ部材7に接続されるように構成される。カバー板6の前面は平坦であり、後面はリップ部材7と接続されるようになっている。ダム部材72は、カバー板6に接続されたリップ部材7の表面、すなわち前面に対して所定の深さまで凹んでおり、その結果、リザーバ721がカバー板6とダム部材72との間に形成され(
図3参照)、リザーバ721は、矩形開口71と流体連通している。カバー板6及びリップ部材7の互いに対向する2つの面のうちの一方の面には、リップ部材7の短手方向の幅が深さよりも有意に大きい凹部73が設けられており、この凹部73はリザーバ721と流体連通しており、リザーバ721から凹部73を通って流体が帯状に流出できるようになっている。例えば、
図1及び
図3に示すように、リップ部材7のカバー板6に対向する面、すなわち前面には、凹部73が設けられており、凹部73の短手方向の幅は、ダム部材72の幅以下である。リップ部材7の横方向において、ダム部材72の幅は、矩形開口71の幅に等しい。
【0044】
凹部73は、凹部73が設けられる表面に対して50μm~150μmだけ凹んでいる。凹部73の凹み深さは均一であることが好ましい。
【0045】
また、例えば、
図3に明確に示されるように、ダム部材72は、カバー板6に面するリップ部材7の表面、すなわち前面に対して一貫した深さまで凹んでいる。しかしながら、ダム部材72の構成はこれに限定されず、ダム部材72は、ダム部材72の下部から上部に向かって斜め後方に延びていてもよい。
【0046】
図2は、本開示によるノズル組立体を示す斜め後方の分解図である。
図2に示すように、カバー板6の裏面、すなわちリップ部材7と接続される面は平坦であることが好ましい。
【0047】
図3は、本開示に係るノズル組立体を示す
図2のIII-III線における断面図である。
図3に示すように、ダム部材72は、リップ部材7のカバー板6とは反対側の面、すなわち裏面に対して凹んでおり、ダム部材72のカバー板6とは反対側にリザーバ722となる空間が形成されることが好ましい。なお、リザーバ722の凹み深さは0、すなわちリザーバ722が設けられていなくてもよいことは容易に理解できる。
【0048】
カバー板6とは反対側のリップ部材7の外縁部には、好ましくは、封止部材を受け入れて封止部材の移動を制限するためのボス74が設けられる。カバー板6とリップ部材7とは、例えばネジによって固定されている。
【0049】
ダム部材72の厚さは、ここでは特に限定されないが、一般的にはリップ部材7の厚さよりも薄い。ダム部材72の厚さ、及び両側の凹みの深さは、特定のコーティング要件にしたがって決定することができる。
図3に示すように、ダム部材72のカバー板6に面する側では、ダム部材72の底縁は、凹部73の上縁と滑らかに移行して、流体材料の流れを容易にする。リザーバ721の凹み深さは特に限定されない。例えば、リザーバ721の凹み深さは、開口71の高さと略等しい。リザーバ722の凹んだ深さは、開口71の高さ以下であり、換言すれば、リザーバ722の深さは、開口71の上端から下端までの距離以下である。リップ部材7は、カバー板6とほぼ同じ厚さを有する。リップ部材7及びカバー板6は、ほぼ同じ横断面外形を有する。
【0050】
図4は、本開示によるノズル組立体の側面図を示す。
図4に示されるように、好ましくは、カバー板6及びリップ部材7のコーティングされるワークピースに面する表面、すなわち底面は、それぞれガイドボス65及び75を有することができ、組み立て後、カバー板6及びリップ部材7の高さの均等性、平坦性、粗さ等は非常に小さく、それにより、作業状態でコーティングされるワークピースの表面のすり減り及び引っ掻きを回避する。
【0051】
図5は、本開示によるノズル組立体の正面図を示す。
図5に示すように、カバー板6のガイドボス65の底面は、段差651を有している。しかしながら、カバー板6及びリップ部材7の底面上のガイドボスは平坦であってもよく、代替的に又は追加的に段差があってもよく、段差は任意の位置に設けられてもよく、任意の長さ及び高さを有してもよいことが考えられる。ステップの具体的なサイズは、実際の噴霧要件にしたがって決定することができる。
【0052】
図6は、本開示によるノズル組立体を含む分配システムを示す分解図である。
図6に示すように、分配システムは、流体供給組立体と、計量組立体3と、ノズル組立体60とを含む。しかしながら、流体供給組立体及び/又は計量組立体3は必須ではなく、ノズル組立体60が流体供給源に直接接続されてもよいことが理解されるであろう。流体供給組立体は、供給容器9を含む。供給容器9は、様々な仕様の流体タンク、例えば300ccの接着剤タンクを内部に収容することができる。分配に適した流体材料は、液体接着剤に限定されず、噴霧工程における様々な他の流体材料であってもよく、液体接着剤は、絶縁性液体接着剤又は導電性液体接着剤であってもよい。一般的に、導電性液体接着剤は、導電性物質を含み、ワークピース表面に塗布された後に電気を伝導する。流体タンクを使用する代わりに、供給容器9をホース又は他の接続パイプに接続することができる。ホース又は他の接続パイプは、別の計量システム及び/又は流体源に直接接続される。本開示では、ホース接続が使用される場合、カットオフ制御モジュールは、流体が計量組立体3に流入し始める位置に設定されなければならない。
【0053】
計量組立体3は、一体化された計量システムであり、容積測定キャビティポンプの形態である。容積測定キャビティポンプは、様々な構成を有することができる。計量組立体3は、供給容器9から流体を受け取るために供給容器9と流体連通するように構成される。
図6に示すように、例えば、計量組立体3は、歯車セット、すなわち、駆動歯車31及び被駆動歯車32を主に含む。駆動歯車は、モータ1などの駆動装置によって駆動される。モータ1は、例えば、サーボモータである。駆動歯車31及び被駆動歯車32は、流体を輸送することができるマイクロ歯車セットを形成する。
【0054】
計量組立体3はまた、供給容器9から流体を受け入れるための上部板流路を有する上部板2と、ノズル組立体60、例えばノズル組立体60の矩形開口71と流体連通する底板流路を有する底板5と、上部板2と底板5との間に位置する歯車支持板4とを含む。歯車支持板4の中央部には、駆動歯車31及び被駆動歯車32を収容するための開口が形成されている。すなわち、駆動歯車31と被駆動歯車32とからなるマイクロ歯車セットが歯車支持板4内に配置されて、内部定量ポンプが構成されている。
【0055】
計量組立体3の一方の側の駆動歯車31と被駆動歯車32との間の隙間は、上部板2の上部板流路と流体連通しており、計量組立体3の他方の側の駆動歯車31と被駆動歯車32との間の隙間は、底板5の底板流路と流体連通している。したがって、流体は、上部板2から歯車セットを介して底板5に流れることができる。
【0056】
好ましくは、歯車支持板4と底板5との間に封止部材が設けられ、封止部材は歯車支持板4の開口を取り囲む。ノズル組立体60のリップ部材7は、ダム部材72の上端が底板流路の出口よりも高くなるように、底板5に取り付けられている。
【0057】
したがって、計量ポンプを用いて、熱接着剤などの流体をノズル組立体に正確かつ適切に分配することができる。具体的には、計量ポンプの内部空間、すなわち計量組立体3は、供給容器9から流体材料を受け取ることができるように、供給容器9と流体連通している。ノズル組立体60は、計量組立体3から流体材料を受け取ることができるように、計量組立体3と流体連通している。流体材料は、流体供給組立体、具体的には供給容器9、計量組立体3、リップ部材7の開口71を順次通過し、次いでリップ部材7とカバー板6との間の凹部73を通って正確な量でノズル組立体から流出することができる。
【0058】
供給容器9は、いくつかの方法で一緒に固定され、計量組立体3と流体連通することができる。好ましくは、供給容器9は、計量組立体3の上部板2上に直接配置され、上部板2内の上部板流路と流体連通する。計量組立体3を駆動するためのモータ1などの駆動装置、及び供給容器9は、上部板2上に並んで配置される。供給容器9からの流体材料は、上部板2内の上部板流路を介して計量組立体3に流入する。
【0059】
計量組立体3の駆動歯車31の歯車軸33及び被駆動歯車32の歯車軸34(
図8~
図9を参照)は、歯車支持板4を貫通し、次いで、両端部において上部板2及び底板5に挿入される。モータ1と歯車セットは、それぞれ上部板2の反対側に配置されている。駆動歯車31の歯車軸33は、上部板2に設けられた貫通孔を介してモータ1の出力軸(図示せず)に駆動連結している。被駆動歯車32の歯車軸34の両端部は、上部板2に設けられた孔と、底板5に設けられた孔とにそれぞれ挿入されている。したがって、被駆動歯車32の歯車軸34は、一方で被駆動歯車32を支持し、他方で歯車セットの位置決めを実現する。上部板2と歯車支持板4と底板5とは、ネジにより固定されている。
【0060】
分配システムは、分配システムの動作を制御するための制御組立体11も含む。制御組立体11は、供給容器9のハウジングに固定することができ、例えば、モータ1の反対側の供給容器9の側で供給容器9に固定して接続することができる。
【0061】
図7は、本開示による分配システムを示す断面図である。
図7は、分配システム内の流体材料の流路を示す。具体的には、
図7に示すように、供給容器9からの流体材料は、供給容器9の出口を通って計量組立体3の上部板2の上部板流路に流入する。上部板2は、例えば、内部に垂直流路21と、水平流路22と、垂直流路23とを順に含み、これらの流路は順に流体連通しており、課題を解決するための手段における上部板流路に相当する。供給容器9からの流体材料は、上部板2の垂直流路21に入り、次いで、水平流路22及び垂直流路23を通って流れる。上部板2の垂直流路23からの流体材料は、計量組立体3の入力側隙間に入り、次に、歯車対、すなわち駆動歯車31及び被駆動歯車32によって駆動される計量組立体3の出力側隙間に入る。計量組立体3の出力側クリアランスからの流体材料は、計量組立体3の底板5の底板流路に流入し、具体的には、まず底板5の垂直流路52に流入し、次いで底板5の水平流路53に流入する。底板5の水平流路53からの流体材料は、ノズル組立体60のリップ部材7の中心にあるダム部材72(
図3参照)とリップ部材7の環状の本体部70との間の開口71を通って流れ、次いで、リップ部材7とカバー板6との間の凹部73又はスロットから流出して、ワークピース又は基板の表面上に分配される。
【0062】
図8は、本開示による分配システムの一部を示す斜め前方の分解図である。
図8に示すように、ノズル組立体60は、計量組立体3と流体連通している。計量組立体3の歯車セットの出力側クリアランスは、底板5の垂直流路52の入口と位置合わせされ、それによって、計量組立体3の歯車セットからの流体材料は、底板5の底板流路に流入することができる。底板5は、略長方形の板であってもよく、この場合、底板5の垂直流路52及び水平流路53の両方が、長方形の底板5の本体の内部に形成される。しかしながら、底板5は、底面56から突出する突出部54を有していてもよい。垂直流路52は、底板5の上面55から突出部54内に下方に延在し、水平流路53は、(
図7に示すように)垂直流路52と流体連通するように突出部54内に設けることができる。この突出部54により、底板5の全体の厚さを適度に薄くすることができ、底板5を軽量化することができる。突出部54は、接合面541、好ましくは平面を有する。水平流路53の出口は、突出部54、具体的には、接合面541に配置されている。計量組立体3の底板5の接合面541は、ノズル組立体60のリップ部材7の対応する面に接続されるのに適している。垂直流路52及び水平流路53は、様々な断面形状、例えば、円形の断面形状を有することができる。好ましくは、水平流路53は、平坦な口形状の断面を有してもよく、換言すれば、その断面はスロット形状を有する。底板5の底板流路は、垂直流路52及び水平流路53に限定されず、他の形態の流路であってもよい。例えば、垂直流路52と水平流路53との間に別の流路を設けてもよい。
【0063】
底板5は、好ましくは、上面55に封止溝51を有する。歯車支持板4の下面には、この封止溝51に対応する封止溝が設けられている。封止溝51及びその対応する封止溝は、封止部材が配置される収容空間を形成する。封止部材は、計量組立体3の内部空間を取り囲んで液密性を達成する。
【0064】
ノズル組立体60のリップ部材7は、ダム部材72の上端が水平流路53の出口よりも高くなり、開口71が水平流路53の出口と流体連通するように、計量組立体3の底板5に直接接続されてもよい。開口71は、リップ部材7のリザーバ722(
図3参照)を介して水平流路53と流体連通しており、このリザーバは、カバー板6とは反対側のリップ部材7の側部又は底板5に面するリップ部材7の側部に配置されている。開口71と水平流路53の出口との間の流体連通の様々な構成が考えられる。カバー板6は、リップ部材7の底板5とは反対側でリップ部材7に接続されている。
【0065】
好ましくは、リップ部材7と底板5との間に封止部材8が設けられる。封止部材8が設けられている場合には、リザーバ722の深さはゼロであってもよい。封止部材8は、形状が実質的に矩形の中央開口81を有する。中央開口81及び矩形開口71の主要寸法は、互いに異なる。具体的には、中央開口81の幅は、矩形開口71の幅以上であり、中央開口81の高さは、矩形開口71の上縁と底板5の水平流路53の出口の下縁との間の距離以上である。リップ部材7及びカバー板6の両方は、封止部材8を通るネジを介して底板5に固定することができる。好ましくは、ネジは、カバー板6、リップ部材7、封止部材8、及び底板5上の対応するネジ穴をカバー板6の一方の側から順に通過し、それによって、これらの構成要素を一緒に接続及び固定する。
【0066】
動作状態では、底板5の水平流路53からの液体接着剤などの流体は、最初にダム部材72の裏側に到達し、裏側によって遮断される。次いで、液体接着剤は、ダム部材72のこの裏側に沿って上昇し、液体接着剤がダム部材72の上縁部まで上昇すると、液体接着剤は、ダム部材72の上縁部を越え、開口71を通って、カバー板6とリップ部材7との間の空間、すなわちリザーバ721に入り始め、最終的に凹部73を通ってノズル組立体から流出する。流体材料の流路は、
図8の矢印によって概略的に示される。
【0067】
図9は、分配システムの一部の斜め後方の分解図を示す。リップ部材7は、封止部材8と平面接触することができる。代替的に又は好ましくは、カバー板6とは反対側の、すなわち封止部材8に接続された側のリップ部材7の表面の外縁部は、ボス74を備えることができ、それによって封止部材8を受け入れるための凹部を形成する。このボス74は、封止部材8の移動を制限するものであり、封止部材8が圧縮された後にボス74と底板5の接合面541との干渉を避けるために、ボスの高さは、封止部材8の厚さの約60%以下であることが好ましい。
【0068】
好ましくは、リザーバ722の底縁部は、底板5の水平流路53の出口の底縁部と位置合わせされるか、又は同じ高さを有する。
【0069】
分配システムの様々な構成要素は、同じ材料から形成されてもよい。好ましくは、各部品はアルミニウム合金製である。加えて、システムの全重量を低減するために、構成要素に軽量化の穴を設けることができる。
【0070】
本開示の分配システムの組立体を以下に説明する。分配システムは、複数のサブシステムに分割することができ、分配システムは、これらのサブシステムを組み立てることによって得られる。まず、リップ部材7とカバー板6とをネジで固定してノズル組立体60、すなわち第1のサブシステムを形成し、歯車セットと歯車支持板4と底板5と上部板2とを固定して計量組立体3、すなわち第2のサブシステムを形成し、供給容器9を含む流体供給組立体を組み立てて第3のサブシステムを形成し、第1~第3のサブシステム群を組み立て、計量組立体3の上にモータ1等の駆動装置を組み立てて分配システム全体を形成する。上記の組み立てステップは固定されておらず、適切な方法で自由に変更され得ることが容易に理解される。
【0071】
本開示の分配システムの動作原理を以下に説明する。
【0072】
制御組立体11が開始コマンドを発行し、分配システムが開始されると、流体タンク又はホースから流れる流体は、流体供給組立体の供給容器9に入る。液体接着剤などの流体は、計量組立体3の上部板2の流路に入り、次いで、歯車セットの入口側クリアランスに入る。モータ1によって駆動されると、流体は、計量組立体3の歯車セットによって歯車セットの出口側隙間に供給され、すなわち、底板5に入る。底板5から流出した液状接着剤は、封止部材8を通過し、リップ部材7のダム部材72に堰き止められて上昇する。次いで、流体は、ダム部材72の上を通過し、開口71を通って、カバー板6とリップ部材7との間のリザーバ721に入り、最終的に、スロットの形態の凹部73を介してノズル組立体を出て、電池などのワークピース又は基板の表面上に分配される。したがって、分配システムは、スリットノズル又はノズルスクレーパを利用して、ターゲット基板上に所定の幅を有する極めて薄い液体接着剤を分配する。本開示の分配システムは、独自に設計されたスロットスプレー組立体又はノズル組立体を組み込んだバンドアプリケータとも呼ばれ得る。
【0073】
流体流路及び動作原理の観点から、本開示のノズル組立体及び/又は分配システムの設計思想は、スリットコーティングノズルの任意の以前の設計とは明らかに異なる。本開示の分配システムは、精密計量ポンプとスロットノズルとを統合し、高精度のコーティング性能を実現し、様々な高温液体接着剤供給を提供し、様々なタイプの液体接着剤パターンを提供し、フレンドリーなヒューマン-マシンインターフェース相互作用、信頼性及び耐久性のある予備部品、並びに容易なメンテナンスを提供する。加えて、本開示の配送システムは、自動生産ラインの高速生産ラインをサポートする。
【0074】
本開示の分配システムは、チップ電池、チップ電池の電極を製造するために使用される電極シートなどの表面をコーティングするのに好適である。チップ電池は、電気自動車に電力を供給するための電池であることが好ましい。電気自動車のパワー電池は、通常、リチウムイオン電池の形態をとる。典型的には、リチウムイオン電池のカソードはアルミニウムシートから作製され、アノードは銅シートから作製される。
【0075】
図10は、電池セルの電極を製造するために用いられる電極シートの斜視図である。電気自動車用のパワー電池は、通常、複数のシート型電池セルを積層することによって形成される。各単位セルのカソード及びアノードなどの電極は、電極シートをセグメントに切断し、切断されたシートのセグメントを一緒に積層することによって形成される。
図10に示されるように、電池セルの電極を製造するための電極シート10は、長い帯状を有し、通常、リールに巻かれてシートリールを形成する。電極シート10は、より厚い本体部101と、より薄い縁部102とを有する。縁部102の厚さは、例えば、数10μmである。縁部102は、本体部101の幅方向の一方側に位置している。本体部101と縁部102との接続部分には、上下にそれぞれ段差部103が形成される。本体部101及び縁部102は、それぞれ矩形の断面を有する。本体部101は、典型的には、腐食を防止するためにその表面上にコーティングを既に有する。縁部102は、典型的には、さらなるスリット加工を容易にするために裸であるか、又はテープが貼られている。
【0076】
図11は、従来技術において電極シートがスリット加工された後に得られる電極シートストリップの斜視図である。電池セルの電極を製造するための電極耳部を有する電極セグメントを形成するために、
図10に示される電極シート10は、通常、スリッティング機械によってスリット加工される。駆動ローラによって駆動されて、電極シート10はスリット加工機を通過し、スリット加工機は、電極シート10にスリット加工、例えばレーザスリット加工を行う。スリット経路は、電極シート10の縁部102上に電極シート10の長さ方向に沿って形成され、スリット経路は、一般に直線ではない。例えば、縁部102には、複数の耳部1021が等間隔に形成される。複数の耳部1021は、縁部102の一部、すなわち切欠き部1022(
図12参照)を切り欠くことによって形成される。スリット加工後、得られた電極シートストリップ10’は、シートストリップの幅方向の切断線Lに沿って切断され、複数のシートセグメントを形成する。次いで、複数のシートセグメントを一緒に積層して、チップ電池の電極を形成する。
【0077】
従来技術では、上述したように、スリット加工の前に、本体部101は、コーティングで被覆され、縁部102は、電極シート10全体を保護するために接着テープの層で貼り付けられ得る。スリット加工後、得られた耳部は、部分的に露出されたままであり、例えば、耳部1021の少なくとも外縁部が露出され、この状態で、電池セルの電極が形成される。動作状態では、電極は電解質に直接浸漬される。その結果、製造された電池が短絡して火災を引き起こすことがある。これは、大きなセキュリティリスクをもたらす。
【0078】
この問題を解決するためには、電極シートの表面全体、特に耳部を含む縁部をコーティングする必要があり、より低いコーティング質量比の要件を考慮すると、電極シートの表面を非常に薄いコーティングの層でコーティングする必要がある。例えば、電極材料を導電性結合剤と混合する新しい導電性接着剤が製造されている。接着剤は、電極シートの縁部上に非常に薄い層でコーティングされ、電極が電気を伝導する間、保護を提供する。コーティング又はプライマーの厚さは、厳密に制御されなければならない。厚さは、30μm未満、好ましくは20μm未満に制御される必要がある。本開示によるノズル組立体及びそれを組み込んだ分配システムは、ノズル組立体の凹部73が、流体の極めて薄い層を分配するために極めて小さい凹部深さを有することを可能にすることによって、上述の問題を解決することができる。
【0079】
特に、本開示による分配システムを使用して、より薄い部分を有する基板上に流体を分配する方法が提供される。この方法は、分配システムを使用して基板の薄い部分上に流体を分配するステップを含む。それによって、極めて薄い(20μm未満)流体層が、より薄い部分上に得られる。基板は、例えば、チップ電池の電極を製造するために使用されるシート材料であってもよい。
【0080】
図12は、新しい切断工程にしたがってスリット加工された後に得られる電極シートストリップを示す斜視図である。上述したように、従来技術では、カソードシート又はアノードシートとしての電極シート10は、スリッティング機械に送られ、その結果、電極シートは、様々なサイズの電極に適した細いストリップ、すなわち電極シートストリップ10’にスリット加工される。具体的には、電池電極を製造するための電極シートセグメントを準備するとき、まず、より長い電極シート10の縁部102をスリット加工して、縁部材料、すなわち切欠き部1022を完全に除去することによって電極耳部1021を有する電極シートストリップ10’を得て、次いで、少なくとも1つの電極耳部1021を含む電極シートストリップ10’の領域を横方向に切断して、同じサイズの複数のシートセグメントを得ることが必要である。従来技術では、電極シート10の縁部102は、非常に薄い厚さを有し、電極シートがスリット加工されるとき、縁部102は、通常、露出されるか、又は白色の平坦な接着テープが、電極シート10のコーティング領域、すなわち本体部101とブランク領域、すなわち縁部102との間に貼り付けられ、それによって形成された電極は、少なくとも部分的に露出される。これは、電池に対して特定の安全性リスクをもたらす。
【0081】
しかしながら、本開示による分配システムを用いると、スリット加工後に縁部102上に流体の非常に薄い層を分配し、それによって非常に薄いコーティングを形成することが可能である。コーティングの厚さは、通常20μm未満である。非常に薄いコーティングのために、コーティング質量は、縁部を保護しながら小さく保たれる。
【0082】
一方、
図11に示されるように、電極耳部1021は台形であり、スリット加工後の縁部102の外縁(又はスリット経路)は直線ではない。そのため、スリット加工後の電極シートの表面、例えば縁部102の表面に液体接着剤等の流体を直接塗布すると、ノズルエッジの幅が一定であるため、液体接着剤が電極シートを搬送する搬送ローラに付着し、スリット機を汚染することは明らかである。さらに、既存のトラフディスペンサーによって噴霧されるより厚い接着剤層のために、電極シートストリップのスロット状外縁部を直接包むように接着剤を分配することは不可能である。
【0083】
したがって、電極シートストリップ10’が最終電極を形成するためのシートセグメントにさらに切断される前に、電極シートストリップ10’の外縁部を接着剤で封止する必要がある。すなわち、電極シートストリップ10’の電極耳部も、シートセグメントを形成する前に十分に保護される必要がある。電極シートストリップのスロット状の外縁部が直接接着される場合、外縁部は薄すぎるので、外縁部を角部全体に沿って効果的に直接接着することはできない。
【0084】
しかしながら、本開示では、完全に新しいタイプのシートのスリット形成及びサイジングエッジシーリング工程(縁部封止工程)が提供され、流体分配ステップは、電極シートがスリット加工されるとすぐに実行される。具体的には、
図12に示されるように、本開示によれば、電極シート10がスリット加工されるとき、電極シートのエッジ材料、すなわち切欠き部1022は完全には除去されない。逆に、スリット加工するとき、スリッティング機械は、電極シートの先端104から一定の距離でスリット加工を開始する。加えて、スリッティング機械は、電極シートの後端105から一定の距離でスリット加工を終了する。すなわち、スリット経路は、電極シート10の全長にわたって延びていない。上述したスリット加工工程を通じて、電極シートの除去されるエッジ材料、すなわち、切欠き部1022は、スリット加工中に除去されず、それによって、シート本体及び切欠き部を含む一体型の電極シートストリップ10’を形成する。シート本体は、少なくとも本体部101と耳部1021とを含む。従来技術では、電極シートの切り抜き部分は、電極シートの本体から直接剥がされる。対照的に、この新しい工程では、連続的なスリット1023(
図13を参照)が供給方向に向かって電極シート10上に切断されるが、スリット加工後又は分配システムに搬送された後の電極シートストリップ10’は、除去される切欠き部1022を含む1つの片のままである。
【0085】
図13は、本開示による分配システムと新しいスリット加工工程との組合せの動作原理を示す概略図である。
図13に示すように、スリット加工後に得られた電極シートストリップ10’は、依然として、エッジ材料、すなわち切欠き部1022とシート本体とを含む一体部品であり、次いで、本開示によるノズル組立体60の下に供給される。その後、分配システムは、シートの縁部102上に均一に液体接着剤などの流体を噴霧する。シートの実際のサイズに応じて、最良のサイズのスリットパターンを選択することができる。縁部102が液体接着剤などの流体でコーティングされている限り、縁部102上のスリット1023内に流体の薄層が存在することになる。ノズル組立体60は、基板表面、すなわち、電極シートストリップ10’の縁部102の表面に近接しており、縁部102上の流体をある程度掻き取る。同時に、流体の重力により、流体はスリット1023内に落下し、場合によってはスリット1023を貫通する。この反応に起因して、流体は、スリット1023の対向する側面の周りを徐々に包み込む。また、スリット加工後に得られた電極シートストリップ10’を、片面塗工後に搬送ローラ上を逆送させると、電極シートストリップ10’の他方の面にも同様の塗工処理を施すことができる。最後に、不要な狭いトリム、すなわち切欠き部1022は、追加の分離工程が進行するにつれてシートの本体から剥がれる。したがって、スリット加工後に得られる電極シートストリップ10’の外側切断縁部も流体によって完全に包まれる。外側切断縁部は、耳部1021の外側縁部、及び耳部1021の間の外側縁部を含む。したがって、スリット加工後に得られる電極シートストリップ10’の電極耳部1021の完全なコーティング保護が達成される。
【0086】
既存のスリット加工工程は、レーザを直接使用して、電極シートを電極耳部の形状に連続的に切断する。本開示によれば、全く新しい電極耳部のスリット加工及びコーティング工程、特に縁部封止工程が提供され、これは、新しい電池セル製造技術を提供することができ、電気自動車用電池のエネルギー密度を増加させ、安全性リスクを低減され得る。この出願に記載されている技術は、スリット加工工程に分配ノズル/ヘッドなどの分配システムを追加することである。新しい工程要件によれば、それは、電極耳部のシート表面上に導電性接着剤などの非常に薄い特殊な接着剤を実現するだけでなく、スリット加工後に得られた電極シートストリップの外縁部が、コーティングなどの縁部封止によって保護される。
【0087】
この開示の解決策では、電極材料と導電性接着剤とが混合された新しい接着剤が特定の方法で形成される。接着剤は電気を伝導し、電極シートの表面上に非常に薄い層で被覆される。本開示の分配システム及びノズル組立体を使用することによって、コーティング厚さは、20~30μmの間又は、さらに薄く制御することができる。その結果、電極耳部を効果的に保護しながら、低いコーティング品質が達成される。
【0088】
図12~
図13に示すように、スリット加工後に得られた電極シートストリップの外側の非常に薄い縁部上に接着剤などの流体を直接コーティングすることを回避するために、連続的な電極シートスリット及びコーティング工程が微調整される。一実施形態によれば、シートは、シートのスリット加工工程後に依然として全体として残る。そして、液状の接着剤等の流体がノズルの先端によって縁部102の表面に擦り付けられて塗布され、スリット1023内に押し込まれる。次に、シートの他方の面に同様のコーティング処理が施される。最後に、流体はスリット1023に浸透することができ、それによって電極シートストリップの外側の狭い縁部全体を完全に封止する。
【0089】
シートのスリット1023のサイズは、最良の縁部封止効果を得るように、実際の必要性に応じて最適化することができる。例えば、スリット1023の大きさは、縁部の厚さ、流体の塗布温度、シートの移送速度などによって決定されることができる。分配システムは、スリッティング機械上に直接、又はシートの前進方向においてスリッティング機械の前に別個に取り付けることができる。これにより、スリット加工後のシートの表面にも側面にもコーティングを施すことができる。これは、既存のコーティング方法とは全く異なる、リチウムイオン電池の電極シートの電極耳部の外縁部をコーティングするための全く新しい方法を提供する。
【0090】
あるいは、本開示によるノズル組立体及び/又は分配システムは、
図11に示される電極シートストリップ上に直接コーティング処理するために使用することができる。この場合、接着剤出力及びコーティング速度を厳密に制御して、送りローラの汚染をできるだけ回避することが必要である。
【0091】
さらに、シートの本体部101と縁部102との間の段差部103において、段差部の表面を保護するために別個のコーティング工程を実行することが可能である。これにより、接着テープの使用が回避される。さらに、ノズル組立体のノズルエッジの幅を選択して一定に保つことができ、その結果、流体が基板上に分配されるとき、コーティング幅を一貫して保つことができ、ノズル組立体の凹部73の凹み深さを設定/選択することによって、30μm未満、好ましくは20μmの接着剤厚さが達成される。
【0092】
この開示では、電極シート製造工程の改善と組み合わされた帯状コーティング分配システムが得られ、これは、シート電極を製造するために使用される電極シートに30μm未満、好ましくは20μm未満の極めて薄い接着剤層を正確かつ一貫して塗布するだけでなく、シートの外縁を完全に封止する、最良の設備及び技術的解決策を提供する。
【0093】
本開示は、電極シートストリップにも関する。電極シートストリップは、上述の新規のスリット加工工程及び縁部封止工程を通して得られる。本開示はまた、複数の電極セグメントを含むチップ電池の電極に関し、電極セグメントは、上記の方法にしたがって得られた電極シートストリップから製造される。複数の電極セグメントが一緒に積層されて電極を形成する。本開示はまた、上記の方法によって得られた電極セグメントを積層することによって得られた電極を含むチップ電池に関する。このような電池を装備した電気自動車の性能及び安全性を大幅に改善することができる。
【0094】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して上記で詳細に説明された。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示に対して様々な変更及び修正を行うことができることが予想される。
【符号の説明】
【0095】
1 モータ
2 上部板
21 垂直流路
22 水平流路
23 垂直流路
3 計量組立体
31 駆動歯車
32 被駆動歯車
4 歯車支持板
5 底板
51封止溝
52 垂直流路
53 水平流路
54 突出部
541 接合面
6 カバー板
65 ガイドボス
651 段差
7 リップ部材
70 本体部
71 矩形開口
72 ダム部材
721 リザーバ
722 リザーバ
73 凹部
74 ボス
75 ガイドボス
8 封止部材
81 中央開口
9 供給容器
10 電極シート
101 本体部
102 縁部
1021 耳部
1022 切欠き部
1023 スリット
103 段差部
10’ 電極シートストリップ
11 制御組立体
【国際調査報告】