(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】管腔を形成するためのシステム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240321BHJP
【FI】
A61M25/10 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563257
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 US2022024803
(87)【国際公開番号】W WO2022221524
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522318380
【氏名又は名称】アキュメッド ラディカル システムズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】コロトコ、 ジョセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】リスワドカー、 ラジ
(72)【発明者】
【氏名】オニール、 ウィリアム ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB27
4C267CC08
4C267DD01
4C267GG02
4C267GG21
(57)【要約】
管腔を形成するためのシステムは、内壁と外壁とを含む管状バルーンと、内壁と外壁との間に画定された空間と、バルブと、バルブを介して空間と流体連絡している膨張チューブとを含む。管状バルーンは、低プロファイル動作モードにおける第1の直径及び高プロファイル動作モードにおける第2の直径を有する。第2の直径は、第1の直径よりも大きい。管状バルーンは、膨張チューブを介して流体を受けることにより、低プロファイル動作モードから高プロファイル動作モードに変換される。管腔を形成するためのシステムも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を形成するためのシステムにおいて、
内壁と外壁とを含む管状バルーン、及び前記内壁と前記外壁との間に画定された空間と、
バルブと、
前記バルブを介して前記空間と流体連絡している膨張チューブと
を備え、
前記管状バルーンは、低プロファイル動作モードにおける第1の直径及び高プロファイル動作モードにおける第2の直径を有し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きく、
前記管状バルーンは、前記膨張チューブを介して流体を受けることにより、前記低プロファイル動作モードから前記高プロファイル動作モードに変換される、システム。
【請求項2】
前記管状バルーンは、第1の端部と第2の端部との間に画定され、
前記バルブは、前記第1の端部及び前記第2の端部の一方にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記管状バルーンは、第1の端部と第2の端部との間に画定され、
前記第1の端部及び前記第2の端部の一方は平坦である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記管状バルーンは、第1の端部と第2の端部との間に画定され、
前記第1の端部及び前記第2の端部の一方は角度が付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記管状バルーンは剛性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記管状バルーンは柔軟性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記内壁と前記外壁との間に少なくとも1つ以上の接続部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接続部は、前記管状バルーンの軸方向の範囲に沿って延びるリブである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続部は複数の接続部であり、前記複数の接続部の各々は点状である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記内壁は、前記少なくとも1つの接続部において前記外壁に接合される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
管腔を形成するためのシステムにおいて、
略螺旋形状に巻かれた管状バルーンと、
前記管状バルーンを前記略螺旋形状に拘束する複数の小管と
を備え、
前記複数の小管の各々が前記管状バルーンの隣接する巻きの間にまたがり、
前記管状バルーンは、低プロファイル動作モードにおける第1の直径及び高プロファイル動作モードにおける第2の直径を有し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも大きい、システム。
【請求項12】
前記複数の小管は、前記略螺旋形状の軸に略平行な方向に延びる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の小管の各々は、その中の空間を画定し、
前記小管の空間は、前記管状バルーン内に画定された空間と流体連通している、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記小管は、前記管状バルーンが前記低プロファイル動作モードから前記高プロファイル動作モードに膨張されたときに膨張するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記小管は、前記管状バルーンの直径に略等しい直径を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の小管は、前記管状バルーンの円周の周りに等間隔に配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の小管は、前記管状バルーンの円周領域に集中している、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記小管は、前記管状バルーンと同じ材料から作られる、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記小管は、前記管状バルーンと一体である、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記小管は、前記管状バルーンに取り付けられる、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、管腔を形成するためのシステム、装置及び方法に関する。
(関連出願)
本出願は、2021年4月14日に出願された米国仮特許出願第63/174,718号への優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、本出願は、2021年7月19日に出願された米国特許出願17/379,423号の一部継続出願であり、これは、2018年1月26日に出願された米国特許出願15/881,280号の継続出願であり、これは、2017年2月28日に出願された米国特許出願15/445,234号の分割出願であり、2014年10月27日に出願された米国特許出願14/524,834号の継続出願であり、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の仮特許出願への優先権を主張している。すなわち、2013年10月26日に出願された米国出願第61/896,052号及び2014年4月1日に出願された米国出願第61/973,510号である。2021年7月19日に出願された米国特許出願第17/379,423号、2018年1月26日に出願された米国特許出願第15/881,280号、2017年2月28日に出願された米国特許出願第15/445,234号及び2014年10月27日に出願された米国特許出願第14/524,834号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、空間を形成するためのシステム、装置及び方法(以下、総称して「システム」という)である。より具体的には、システムは、血管におけるカテーテルの使用等の医療機器の使用を容易にするために、体内に管腔を形成する。「管腔」という用語は、「管状器官の管、導管、又は空洞」を意味する。このシステムは多種多様な異なる文脈で実装され得るが、システムの概念化のための最初の創造性は、ヒトの血管におけるカテーテル法の状況で生じた。このシステムは、患者の体内の所望の位置に追加の「作業空間」(すなわち管腔)を形成することにより、カテーテル法を容易にすることができる。追加の空間は、低プロファイル動作モードから高プロファイル動作モードに移行することにより形成することができる。
【0003】
I.カテーテル法
【0004】
「カテーテル」という用語は、(1)病状を診断し、(2)病状を治療し、(3)栄養を送達し、又は(4)薬を送達するために体内に挿入される広範な医療機器を総称する。「カテーテル」という用語は、より具体的には、(a)患者の体内の位置から物質を除去すること、及び/又は(b)患者の体内の特定の位置に医薬品及び/又は栄養物質を送達することを目的として、患者の体内に挿入されるチューブを指すために使用される場合が多い。カテーテルは、患者の体内の様々な目的のために、様々な場所で使用され得る。カテーテル法は、一般的に、患者の心血管系、排泄系、及び他の同様の系の診断及び治療に関与する。
【0005】
II.心血管疾患は世界的な脅威となっている
【0006】
血液の循環は健康な体に不可欠である。血液は器官及び個々の細胞に生命を維持するために必要な酸素及び栄養素を供給する。また、血液は、細胞の代謝老廃物を体外に排出する。適切な血液の流れは良好な健康状態の前提条件である。心臓は、心血管系の中心にあり、全身に血液を押し出す役割を担う器官である。心臓は、心血管系を構成する動脈及び静脈の複雑なネットワークの中心でポンプとして機能している。このように、心血管系は酸素及び栄養を全身に運び、所定の老廃物を除去する役割を担っている。心血管系の機能は心拍出量によって評価できる。
【0007】
残念ながら、年齢、疾患、外傷、及び/又は他の病気は、全身への血液の分配を妨げ得る。心血管疾患は、米国及び他の地域で深刻な健康問題となっている。米国における死亡の約3人に1人は、心臓発作及び脳卒中を含む心血管疾患によるものである。世界保健機関(「WHO」)によると、心血管疾患は世界の死亡原因の第1位である。2008年に推定1730万人が心血管疾患で死亡し、この数字はその年に発生した全死亡の30%に相当する。WHOの推定によると、心血管疾患による死亡数は2030年までに2340万に達するであろう。
【0008】
米国疾病管理予防センター(CDC)は、「心血管疾患は、アメリカのあらゆる人種及び民族集団における主要な死因である」と報告している。米国における多くの健康問題は心血管疾患に根ざしているか、又は心血管疾患として現れている。米国で最も一般的な心疾患は冠動脈疾患(CAD)である。冠動脈疾患は、心臓に血液を供給する動脈にプラークが蓄積することで生じる。これはアテローム性動脈硬化と呼ばれる過程で、動脈が時間と共に狭くなる原因となる。プラークの蓄積は、心筋への血液供給が不十分になることで、胸痛又は不快感を引き起こし得る。これは、一般に狭心症と呼ばれる状態である。CADは、時間の経過と共に、不整脈、さらには心不全として知られる不規則な心拍に至ることもある。
【0009】
III.心血管カテーテル法処置
【0010】
動脈疾患を診断及び治療するために、従来技術において様々なカテーテル法処置が使用されている。心血管疾患の文脈において、カテーテルは、身体の心血管システムにアクセスするために使用される、長く、薄く、柔軟で、中空の血管内チューブであることが多い。カテーテル法は、手首の橈骨動脈(経橈骨動脈カテーテル法)又は鼠径部の大腿動脈(経大腿動脈カテーテル法)を介して行われることが最も一般的である。カテーテル法は、肘、頸部、身体のその他の部位を介して行われることもある。
【0011】
ヒトの心血管健康問題に対処するために、多種多様な血管内処置が用いられる。経皮的冠動脈インターベンション(「PCI」)処置は、一般に「冠動脈形成術」、「バルーン血管形成術」又は単に「血管形成術」と呼ばれる血管内処置の一種である。アテローム性動脈硬化症に罹患している患者は、コレステロールを含むプラークの蓄積の結果、冠動脈セグメントが狭くなり又は閉塞する。血管形成術は、狭くなった心臓の冠動脈を治療するために用いられる医療処置である。
【0012】
血管形成術では、心臓専門医が空気を抜いたバルーン又は類似のデバイスを閉塞部位に注入する。その後、閉塞部位でバルーンを膨張させて動脈を開き得る。バルーンを収縮させて除去した後も動脈を開いたままにするため、閉塞部位にステントを留置することも多い。血管形成術は、医学的に難治性の心筋虚血患者に対して特に効果的な治療法であることが証明されている。残念ながら、血管形成術の目的のためにカテーテルを所望の位置に配置することは必ずしも可能ではない。
【0013】
IV.アクセスの問題
【0014】
カテーテル法は、心血管系の問題及び他の種類の医学的問題を診断及び治療するための、価値のある、効果的で、低侵襲な選択肢を提供することができる。残念なことに、従来技術のツール及び技術がカテーテルを用いて閉塞部位に到達することは必ずしも可能ではない。血管内の閉塞は、血流と同様にカテーテルを閉塞する可能性がある。アクセスの2つの一般的な問題は、血管の蛇行及び軽微な狭窄である。治療が必要な閉塞への血管経路は非常に曲がりくねっている可能性があり、これは非常に湾曲しているか蛇行していることを意味し、血管形成術バルーンカテーテルは蛇行した血管からは挿入できない。また、血管の一部が狭窄している可能性があり、これは血管を非常に狭くしてバルーンカテーテルの挿入を妨げる小さな閉塞があることを意味する。このような小さな閉塞は、通常、バルーン血管形成術による治療が意図されていない。閉塞部位への障害を回避するための強化されたツール及び方法論を医療提供者に与えることが望ましい。
【発明の概要】
【0015】
一例では、血管形成術を実行する方法は、動脈にアクセスすること、管状バルーンを低プロファイル動作モードで動脈に挿入することであって、管状バルーンは略螺旋形状に拘束されていること、及び管状バルーンを高プロファイル動作モードに拡張することにより略螺旋形状内に管腔を形成することを含む。
【0016】
一例では、管腔を形成するためのシステムは、低プロファイル動作モード及び高プロファイル動作モードで動作可能な管状バルーンと、管状バルーンを略螺旋状に拘束するマトリクスとを含み、マトリクスは編み込みを備える。管状バルーンは、低プロファイル動作モードにおける第1の直径及び高プロファイル動作モードにおける第2の直径を有し、第2の直径は第1の直径よりも大きい。
【0017】
別の例では、管腔を形成するためのシステムは、低プロファイル動作モード及び高プロファイル動作モードで動作可能な管状バルーンと、管状バルーンを略螺旋状に拘束するマトリクスとを含み、マトリクスは少なくとも1つの熱的に形成された接続部を備える。管状バルーンは、低プロファイル動作モードにおける第1の直径及び高プロファイル動作モードにおける第2の直径を有し、第2の直径は第1の直径よりも大きい。
【0018】
システムの多くの特徴及び発明の態様を以下の図面に示す。しかしながら、特許出願は、発明の潜在的な実施形態の全てを開示することはできない。特許法の規定に従って、システムの動作の原理及びモードを説明し、所定の好ましい実施形態で例示する。しかしながら、システムは、その精神又は範囲から逸脱することなく、具体的に説明及び例示される以外のやり方でも実施され得ることを理解しなければならない。
【0019】
システムの説明及びシステムの様々な例示は、本明細書に記載される全ての新規かつ非自明な要素の組み合わせを含むと理解されるべきであり、請求項は、これらの要素の新規かつ非自明な組み合わせに対して、本出願又は後の出願において提示され得る。さらに、前述の実施形態は例示であり、本出願又は後の出願において請求項に記載され得る全ての可能な組み合わせに対して、いかなる単一の特徴又は要素も不可欠ではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】管腔を形成するためのシステムの一例を示すブロック図である。
【0021】
【
図1b】管腔を形成するためのプロセスの一例を示すフローチャート図である。
【0022】
【
図1c】低プロファイル動作モードにおける拡張構成要素の一例を示す環境図である。
【0023】
【
図1d】高プロファイル動作モードにおける拡張構成要素の一例を示す環境図である。
【0024】
【
図2a】システムの直接的な拡張の実施形態及び間接的な拡張の実施形態を含む、システムの異なる実施形態の一例を示す階層図である。
【0025】
【
図2b】拡張構成要素バルーンの実施形態及び拡張構成要素非バルーンの実施形態を含む、システムの異なる実施形態の一例を示す階層図である。
【0026】
【
図2c】システムによって利用可能な異なる種類のバルーンの一例を示す階層図である。
【0027】
【
図3a】
図3bに示された管状バルーン拡張構成要素の部分拡大図を示す図である。
【0028】
【
図3b】管状バルーン拡張構成要素の軸方向図の一例を示す図である。
【0029】
【
図3c】管状バルーン拡張構成要素の上面図の一例を示す図である。
【0030】
【
図3d】管状バルーン拡張構成要素の側面図の一例を示す図である。
【0031】
【
図3e】管状バルーン拡張構成要素の側面図の断面図の一例を示す図であり、管状バルーン拡張構成要素内の空間を示す。
【0032】
【
図3f】
図3eに示された管状バルーン拡張構成要素の部分拡大図の一例を示す図である。
【0033】
【
図3g】管状バルーン拡張構成要素の一例を示す斜視部分図である。
【0034】
【
図3h】プリーツ管状拡張構成要素の正面図の一例であって、受動的拡張構成要素の一例を示す図である。
【0035】
【
図3i】管状バルーン拡張構成要素の斜視図の一例を示す図である。
【0036】
【0037】
【
図4a】システムのガイドバルーンの実施形態を用いて管腔を形成するプロセスの一例を示すフローチャート図である。
【0038】
【
図4b】ガイドバルーンが挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0039】
【
図4c】ガイドバルーンが膨張するプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0040】
【
図4d】カバーを低プロファイル状態から高プロファイル状態に膨張させるために、カバーの形態の拡張構成要素を膨張させたガイドバルーンの上に進めるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0041】
【
図4e】所望の位置に管腔を形成するようにカバーを患者の体内で所望の位置に配置するプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0042】
【
図4f】ガイドバルーンを収縮させて除去し、カバー内に管腔を形成するプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0043】
【
図4g】カバーによって形成された空間を介してステントカテーテルを挿入するプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0044】
【
図5a】システムの挿入構成要素の実施形態を用いて管腔を形成するプロセスの一例を示すフローチャート図である。
【0045】
【
図5b】カバーが患者の体内に挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0046】
【
図5c】拡張構成要素の遠位部を拡張して、所望の位置に所望の管腔を形成するように、挿入構成要素が患者の体内に位置するカバー(拡張構成要素の一種)に挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0047】
【
図5d】ステントカテーテルがカバーを通して挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0048】
【
図6a】システムのシース付きバルーンの実施形態を用いて管腔を形成するプロセスの一例を示すフローチャート図である。
【0049】
【
図6b】シース付きバルーンの挿入中にシースがシース付きバルーンを覆うプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0050】
【
図6c】シース及びシース内のシース付きバルーンが患者の体内で所望の位置に配置されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0051】
【
図6d】シースが引き出されるプロセスステップの一例を示す環境図である。これは、それがもはやシースによって拘束されていないため、バルーンを自己拡張させ、患者の体内に追加の作業空間(すなわち、管腔)を発生させる。
【0052】
【
図6e】拡張されたシース付きバルーンが、患者の体内の所望の位置にどのように管腔を形成又は増強できるかの一例を示す環境図である。
【0053】
【
図6f】ステントカテーテルが、高プロファイル動作モードでバルーンの存在によって形成された作業空間を介して患者に挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0054】
【
図6g】除去のためにバルーンを折り畳むためにシースが前進するプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0055】
【
図7a】マトリクスとして機能する編み込みによって螺旋形状に拘束された管状バルーンを含む螺旋及びマトリクス構成の斜視図である。
【0056】
【
図7b】
図7aの螺旋及びマトリクス構成の側面図の一例を示す図である。
【0057】
【
図7c】
図7a及び
図7bの螺旋及びマトリクス構成の軸方向図の一例を示す図である。
【0058】
【
図7d】
図7a-
図7cの螺旋及びマトリクス構成の斜視断面図の一例を示す図である。
【0059】
【
図7e】
図7dの例示の拡大図の一例を示す図である。
【0060】
【
図7f】システムの螺旋バルーンの実施形態において利用可能な異なる構成要素及び構成要素の構成の一例を示す階層図である。
【0061】
【0062】
【
図9a】(複数の)接続部を備えた管状バルーンの一例を示す。
【
図9b】(複数の)接続部を備えた管状バルーンの一例を示す。
【
図9c】(複数の)接続部を備えた管状バルーンの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は、空間を形成するためのシステム、装置及び方法(以下、総称して「システム」という)である。より具体的には、システムは、血管におけるカテーテルの使用等の医療機器の使用を容易にするために、体内に管腔を形成する。「管腔」という用語は、「管状器官の管、導管、又は空洞」を意味する。このシステムは多種多様な異なる文脈で実装され得るが、システムの概念化のための最初の創造性は、ヒトの血管におけるカテーテル法の状況で生じた。このシステムは、患者の体内の所望の位置に追加の「作業空間」(すなわち管腔)を形成することにより、カテーテル法を容易にすることができる。追加の空間は、低プロファイル動作モードから高プロファイル動作モードに移行することにより形成することができる。追加の空間は、血管の蛇行又は軽微な狭窄等の従来のアクセスの問題を克服することによって、他の医療機器の使用を可能にする。このシステムは、バルーン血管形成カテーテル又はステントカテーテルを、管腔の通路又はトンネルを通ってアクセスの問題を越えて所望の場所に挿入することを可能にする。
【0064】
プロセスステップではなく構造構成要素に関連する図面に示され、以下の本文で説明されている全ての番号付き要素は、以下の表1に記載されている用語集で定義されている。
【0065】
I.概要
【0066】
このシステムは患者の体内に管腔を形成することができる。その管腔を使ってカテーテル等の医療機器を配置することが可能であり、これは患者の命を救うことができる可能性がある。システムは、相互作用する実体、構成要素、動作属性、及びプロセスの観点から記載され得る。
【0067】
A.実体
【0068】
図1aに示すように、システム100は、医療提供者92と生体の身体、すなわち患者90との間の結合である。提供者92は、典型的には医師であるが、看護師、救急救命士、医師助手、獣医師、及び他の医療専門家も、特定の状況において潜在的に提供者92として作用し得る。患者90は典型的には人間であるが、他の生物も、所定の状況において患者90を構成し得る。システム100は、提供者92が患者90の健康状態に利益をもたらすために使用することができるツールである。
【0069】
B.システム
【0070】
システム100の目的は、患者90の体内においてカテーテル等の医療機器80の配置及び使用を可能にするのに十分な「作業空間」(すなわち、管腔120)を患者90の体内に形成することである。システム100は、多種多様な異なるやり方で実装され得る。システム100は、患者90の健康を改善し、さらには患者90の生命を救うために使用され得る。
【0071】
C.医療機器及び医療処置
【0072】
多種多様な異なる医療機器80及び医療処置81は、システム100によって形成される管腔120から利益を得ることができる。潜在的に有用な医療機器80の例は、全ての種類のカテーテル、ステント、患者監視アプリケーション、及び他の同様の侵襲的装置を含むが、これらに限定されない。
【0073】
カテーテルデバイスは、潜在的に患者90の体内に挿入される任意のデバイスである。「カテーテルデバイス」という用語は、(1)病状を診断し、(2)病状を治療し、(3)栄養を送達し、又は(4)薬を送達するために体内に挿入される広範な医療機器を総称する。「カテーテルデバイス」という用語は、より具体的には、(a)患者90の体内の位置から物質を除去すること、及び/又は(b)患者90の体内の特定の位置に医薬品及び/又は栄養物質を送達することを目的として、患者90の体内に挿入されるチューブを指すために使用される場合が多い。カテーテルは、患者90の体内において、様々な目的のために、様々な位置で使用され得る。カテーテル法は、患者90の心血管系、排泄系、及び他の系の診断及び治療に一般的に関与する。
【0074】
システム100は、当初、冠動脈血管処置等の医療処置81の提供に関与する提供者92にサービスを提供する目的で考案された。このような処置の例には、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、経皮的冠動脈造影(PCA)、慢性総閉塞(CTO)、ステント移植、アテローム切除、及び塞栓保護が含まれるが、これらに限定されない。システム100は、経橈骨動脈カテーテル法(カテーテルが最初に橈骨動脈を介して患者90の体内に入るカテーテル法)の文脈において特に有用であり得る。なぜなら、経橈骨動脈カテーテル法は、典型的には、比較的小さな外形で、動作する空間が比較的まばらなカテーテルデバイスに関与するからである。その様々な実施形態におけるシステム100は、心血管治療及び全く異なる状態の治療に関与する様々な文脈においても使用することができる。
【0075】
D.管腔
【0076】
管腔120は、システム100によって患者90内に形成される空間である。管腔120は、「管状器官内の管、導管、又は空洞」と呼ばれることが多い。管腔120は、医療機器80が配置される患者90内の「作業空間」である。システム100の多くの実施形態では、管腔120は、拡張構成要素110内に配置され、拡張構成要素110は、少なくとも実質的に中空チューブの形態であり、管腔120は、拡張構成要素110の中空コアを含む。
【0077】
E.拡張構成要素
【0078】
拡張構成要素110は、少なくとも2つの動作モード130、すなわち、低プロファイル動作モード132及び高プロファイル動作モード134で存在可能な装置である。
【0079】
システム100の多種多様な実施形態に組み込むことができる拡張構成要素110の多種多様な実施形態がある。システム100の多くの実施形態において、拡張構成要素110は、拡張構成要素110がもはや必要でなくなったときに、高プロファイル動作モード134から元の低プロファイル動作モード132に変換することができる。多くの実施形態において、拡張構成要素110が低プロファイル動作モード132であるときに、提供者92が患者90から拡張構成要素110を除去することは容易であろう。
【0080】
拡張構成要素110は、直接対間接に分類され得る。システム100のいくつかの実施形態は、拡張構成要素110としてバルーンを利用するが、システム100の他の実施形態は、非バルーン拡張構成要素110を利用する。
【0081】
F.動作モード/状態
【0082】
拡張構成要素110は、複数の動作モード130(状態130とも呼ばれる)で動作することができる。低プロファイル動作モード132は、典型的には、管腔120を形成する前に拡張構成要素110を患者90に挿入する最も便利な動作モード130である。低プロファイル動作モード132は、典型的には、管腔120が形成され、医療機器80が患者90内に正しく配置された後に、提供者92が拡張構成要素110を除去できる最も便利な動作モード130でもある。
【0083】
システム100のいくつかの実施形態は、低プロファイル動作モード132と高プロファイル動作モード134との間の1つ以上の中間動作モードを含む。
【0084】
G.プロセスフロー図
【0085】
システム100は、一連のプロセスステップ及び相互作用する要素の構成として記載され得る。
図1bは、管腔120を形成する方法の一例を示すフローチャート図である。
【0086】
ステップ200において、拡張構成要素110は患者90内に挿入される。システム100の異なる実施形態は、異なる種類の医療機器80のための管腔120を形成するために、異なる種類の拡張構成要素110を含んでもよい。
【0087】
ステップ202において、拡張構成要素110は、患者90内に配置される。システム100の異なる実施形態は、患者90の体内の多種多様な異なる位置を含んでもよい。
【0088】
ステップ204において、拡張構成要素110の動作モード130は、管腔120を形成するために、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に変更される。管腔120は、カテーテル等の医療機器80の適切な位置決め及び使用のための「作業空間」として機能する。
【0089】
多くの実施形態では、管腔120が形成され、かつ医療機器80が適切に位置決めされた後で、拡張構成要素110は、患者90の身体から拡張構成要素110の除去を容易にするために、高プロファイル動作モード134から低プロファイル動作モード132に変換される。
【0090】
H.動作環境
【0091】
システム100は、多種多様な動作環境及び場所に実装され得る。システム100のどの実施形態が特定の状況に最も適しているかを決定するプロセスは、所望の場所で使用される所望の医療機器80を識別することから開始されるべきである。その後、適切な拡張構成要素110が識別及び選択され得る。
【0092】
図1cは、低プロファイル動作モード132にある拡張構成要素110の一例を示す環境図である。拡張構成要素110は、患者90の血管91内の所望の位置88に配置されている。
【0093】
図1dは、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に変換(すなわち拡張)された拡張構成要素110の一例を示す環境図である。
【0094】
I.補助構成要素
【0095】
システム100の多くの実施形態において、拡張構成要素110は多くの構成要素の1つにすぎない。例えば、
図1c及び1dの図において、拡張構成要素110は、ガイドカテーテル121及びガイドワイヤ122等の特定の補助構成要素と結合することができる。種々の細い血管91を進む際に、拡張構成要素110を所望の位置88に位置決めするために、種々のガイドカテーテル121及びガイドワイヤ122が利用されてもよい。このような構成要素は、システム100の一部であってもよいが、補助構成要素の使用は、システム100の異なる実施形態間で大きく異なる。システム100は、患者90の要求に対処する際に提供者92に有用な実質的に任意の先行技術構成要素を含んでもよい。
【0096】
II.代替実施形態
【0097】
システム100の多くの特徴及び発明的態様が図面に示され、本出願の本文に記載されている。しかしながら、いかなる特許出願も発明の潜在的な実施形態の全てを開示することはできない。特許法の規定に従って、システム100の動作原理及びモードが説明され、特定の好ましい実施形態で図示される。しかしながら、システム100は、その精神又は範囲から逸脱することなく、具体的に説明及び例示されている以外のやり方で実装され得ることを理解しなければならない。
【0098】
システム100の説明及びシステム100の様々な例示は、本明細書に記載される全ての新規かつ非自明な要素の組み合わせを含むものと理解されるべきであり、請求項は、これらの要素の新規かつ非自明な組み合わせに対して本出願又は後の出願において提示され得る。さらに、前述の実施形態は例示であり、本出願又は後の出願において請求項に記載され得る全ての可能な組み合わせに対して、いかなる単一の特徴又は要素も不可欠ではない。
【0099】
システム100の様々な実施形態を記載する際に有用となり得る様々なカテゴリーがある。
【0100】
A.直接的対間接的
【0101】
システム100の全ての実施形態に関して、拡張構成要素110は、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に拡張して管腔120を形成する。拡張構成要素110のいくつかの実施形態では、動作モード130間の変換は拡張構成要素110によって直接的に達成されるが、拡張構成要素110の他の実施形態では、動作モード間の変換は拡張構成要素110によって間接的にのみ達成される。
【0102】
図2aは、直接的な拡張の実施形態101及び間接的な拡張の実施形態102の例を示す階層図である。間接的な拡張の実施形態102は、システム100の他の構成要素により拡張又は収縮する拡張構成要素110を含む。対照的に、直接的な拡張構成要素101は、システム100の他の構成要素を使用せずに動作モード130を変更することができる拡張構成要素110を含む。
【0103】
直接的な拡張の実施形態101は、管状バルーンの実施形態103及び螺旋バルーンの実施形態104を含んでもよいが、これらに限定されない。直接的な拡張の実施形態101は、典型的には、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に拡張するために、液体等の物質でバルーンを「膨張」させることを含む。いくつかの実施形態は、気体を利用し得るが、多くの場合、患者90の血管91に空気又は他の気体の気泡を挿入するリスクを冒すことは望ましくない。
【0104】
間接的な拡張の実施形態102は、ガイドバルーンの実施形態105(ここで、カバー116の形態の拡張構成要素110は、膨張したガイドバルーン115を前進させることによって拡張する)、挿入構成要素の実施形態106(ここで、カバー116の形態の拡張構成要素110は、挿入構成要素117を拡張構成要素110に挿入することによって膨張する)、及びシースの実施形態107(ここで、シース付きバルーン118は、シース119によってもはや拘束されなくなると膨張する)を含んでもよいが、これらに限定されない。間接的な拡張の実施形態102は、システム100の他の構成要素を利用して、高プロファイル動作モード134に「膨張」し、低プロファイル動作モード132に「収縮」する。システム100のガイドバルーンの実施形態105は、拡張構成要素110を膨張させるために、膨張したバルーン上を前進させる拡張構成要素110を使用する。システム100の挿入構成要素の実施形態106は、拡張構成要素110を拡張させるために、拡張構成要素110に挿入される挿入構成要素117を使用する。シースの実施形態107は、さもなければ拡張状態で存在するであろう拡張構成要素110を拘束するためにシースを利用する。
【0105】
B.拡張構成要素バルーン対非バルーン
【0106】
システム100の異なる実施形態が、拡張構成要素110が直接的又は間接的に拡張されるかどうかに基づいて分類され得るのと同様に、システム100の様々な実施形態は、拡張構成要素110がある種のバルーン(空気、他の気体、液体又は流体の何らかの形態を使用して、又は機械的手段を使用して膨張する)であるかどうか、又は拡張構成要素110がバルーンでないかどうかに基づいて分類され得る。
【0107】
図2bは、拡張構成要素バルーンの実施形態108及び拡張構成要素非バルーンの実施形態109の両方の例を示す階層図である。
【0108】
拡張構成要素バルーンの実施形態108の例は、管状バルーンの実施形態103、螺旋バルーンの実施形態104、及びシースの実施形態107を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0109】
拡張構成要素非バルーンの実施形態109の例は、ガイドバルーンの実施形態105及び挿入構成要素の実施形態106を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0110】
C.能動的拡張構成要素対受動的拡張構成要素
【0111】
システム100の様々な実施形態における多くの相違点は、異なる実施形態の拡張構成要素110における相違点によって規定される。拡張構成要素110の2つの包括的なカテゴリーは、それらが「能動的」であるか又は「受動的」であるかに基づいて区別され得る。
【0112】
1.能動的拡張構成要素/能動的装置
【0113】
a.シースなしバルーン
【0114】
図3a-
図3gに示すシステム100の実施形態は、拡張構成要素110として膨張可能なバルーンを含む。システム100のその実施形態は、低プロファイル状態132又は高プロファイル状態134(すなわち、拡張状態)のいずれかであり得る拡張構成要素110としてバルーンを有する。システム100は、拡張構成要素110(すなわちバルーン)を膨張又は収縮させることによって、状態130間で遷移する。システム100は、膨張及び収縮機能を介して「能動的」制御を有する。
【0115】
b.シース付きバルーン
【0116】
能動的制御システム100の別の実施形態は、拡張構成要素110としてシース付きバルーン118を有する自己拡張バルーンである。システム100は、自己拡張するバルーンを有する。システム100の能動的制御は、バルーンを覆うシース119の使用を介して行われる。シース119が自己拡張バルーンを覆っているとき、装置は低プロファイル状態132にある。この状態132では、システム100を必要な位置に挿入することができる。低プロファイル状態132は、非外傷的なやり方による挿入を容易にする。この状態132において、システム100は、0.014冠動脈ガイドワイヤ及びガイドカテーテル等の他の必要な装置と結合することができる。システム100が必要な位置に適切に配置されると、シース119は、拡張構成要素110が拡張された高プロファイル状態134に自己拡張することを可能にする能動的制御によって格納される。拡張された高プロファイル状態134において、システム100は、カテーテルデバイス等の他の医療機器80の挿入を含む医療処置81の実行を可能にすることができる。それは、他のデバイスを挿入することができる空間120を提供する。拡張状態134がもはや必要でなった場合には、シース119は、能動的制御によりバルーン118上を前進させ、システム100を低プロファイル状態132に戻すことができる。
【0117】
自己拡張する拡張構成要素110を達成するための他の可能な代替手段は、バネ特徴を有する材料を使用することである。ステンレス鋼等の多くの金属はバネ特徴を有する。代替的に、ニチノール等の形状記憶金属を用いて自己拡張特徴を達成することもできる。自己拡張特徴を達成するために用いられ得る金属又は非金属のいずれかの他の材料もあり得ることが想定される。これらの材料は、「シース付きバルーン」118として機能する構造を作るために使用され得る。いくつかの実施形態では、シース付きバルーン118は、他の種類のバルーン111と同様であり得る。他の実施形態では、シース付きバルーン118は、自己拡張編組構造124であり得る。
【0118】
2.受動的拡張構成要素/受動装置
【0119】
受動制御システムは、2つ以上の動作モード130を有するシステム100であり、システム100は、状態130間を能動的に遷移する代わりに、状態130間を受動的に遷移する。
【0120】
a.プリーツ拡張構成要素
【0121】
受動制御の一実施形態は、
図3h及び
図3iに示すプリーツ拡張構成要素110である。システム100の拡張構成要素110は、プリーツを備えるように作られる。プリーツにより、拡張構成要素110は、低プロファイル状態132を有する。拡張構成要素110は、プリーツ形状のため小さい。異なる医療機器80が空間120、すなわちプリーツ拡張構成要素110に挿入されると、それは他の医療機器80が通過できるように、より大きな拡張状態134に受動的に拡張する。他の医療機器80は、プリーツを外側に膨張させて、より大きな空間120及びより拡大した拡張構成要素110を形成する。この実施形態では、システム100は、オペレータによるシステム100の能動的動作ではなく、補助装置の挿入によって、2つの状態130間を受動的に移行する。
【0122】
b.弾性拡張構成要素
【0123】
受動制御システム100の代替実施形態は、弾性拡張構成要素110である。弾性拡張構成要素110は、弾性的又は伸縮可能な材料から作られる。拡張構成要素110は、低プロファイル状態132で作られる。その断面は円形である可能性が高いが、楕円等他の形状も可能である。弾性拡張構成要素110に他の医療機器80が挿入されると、他の医療機器が通過できるように受動的に大きな状態に膨張する。他の医療機器80は、弾性拡張構成要素110に大きな空間120を形成させる。このような実施形態では、システム100は、オペレータによって能動的に遷移する代わりに、2つの状態130の間で受動的に遷移する。この設計のシステム100は、医療用グレードのシリコーン又はウレタン等の様々な材料から製造され得る。
【0124】
D.実施形態のカテゴリー
【0125】
図2a及び
図2bの両方に示すように、システム100の様々な実施形態はカテゴリーに整理することができる。
図2cに示すように、システム100の多くの異なる実施形態は、バルーン111の何らかの形態を利用することができる。システム100のいくつかの実施形態は、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134(すなわち、管状バルーン112及び螺旋バルーン113)に移行するために膨張を必要とするデフォルトの非膨張状態のバルーン111を利用することができる。システム100の他の実施形態は、バルーン111を拡張構成要素としてではなく、拡張構成要素110を低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に拡張するための機構(すなわち、その上をカバー116が前進するガイドバルーン115)として使用する。さらに他の実施形態は、デフォルトの膨張状態を有する又は自己膨張するバルーン111(すなわち、シース付きバルーン118)を使用する。シース付きバルーン118は、拘束シース119から除去されると、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に移行する。シース付きバルーン118は、シース119内に戻るように配置されることによって、低プロファイル動作モード132に戻され得る。
【0126】
システム100は、(1)システム100の他の構成要素と共に単一のスタンドアロンデバイスに統合される構成要素、(2)特定の支持構成要素と共に機能するように構成される構成要素の非統合集合体、(3)これら2つの正反対の間にある大きさの統合である拡張構成要素110を使用して実装することができる。
【0127】
図1aの様々な矢印によって示されるように、システム100は、患者90及び提供者92の両方と直接相互作用することができる。このようなシステム100は、多種多様な代替実施形態で実装され得る。システム100のいくつかの実施形態は、拡張可能バルーン111等の単一のスタンドアロン構成要素であり得る。システム100の他の実施形態は、複数の構成要素の構成を含み得るが、これらは、相互に恒久的に互いに取り付けられ得るか、又は単に一時的に相互に協調して作用するように構成され得る。
【0128】
システム100は、実質的に任意のカテーテルデバイス80と共に、また実質的に任意のカテーテル法の一部として使用され得る。それは、低プロファイル動作環境132から高プロファイル動作環境134に移行するシステム100によって形成された空間120なしには他のやり方で到達できない患者90の体内の所望の位置80への種々のカテーテル及び潜在的に他のデバイス等の医療機器80の挿入を支援することによって、カテーテル法を容易にする。
【0129】
一例として、血管形成バルーンカテーテル又はステントカテーテルは、閉塞が位置する所望の位置88に他のやり方で配置することはできない。システム100は、バルーン又はステント123(すなわちカテーテルデバイス)を閉塞に挿入することを容易にすることができる。
【0130】
システム100の利点は、カテーテル等の医療機器80がそれ自身で挿入することができない必要な場所にそれ自身で挿入することができることである。2つの状態130のいずれかに存在する能力によって、システム100はこの利点を有することが可能になる。動脈の閉塞を除去するために拡張するカテーテルデバイス等の医療機器80とは異なり、システム100は、単にカテーテルデバイスのための動作空間を形成するために十分に拡張することを目的として構成され得る。動作空間120は、システム100の拡張状態によって形成される管腔又は通路の形態である。他のカテーテル法デバイスも、それらの所望の位置88に挿入されるために、動作空間120を通過し得る。動作空間120は、曲がりくねった(蛇行した)血管91を通って又は血管91に衝突する狭窄を越えてカテーテル法デバイス88のための安全な通路を形成し得る。システム100は、一時的に蛇行した血管をまっすぐにし、又は狭窄領域を拡張してもよい。
【0131】
システム100は、カテーテル等の医療機器80に関して支援的な役割を果たす。心血管カテーテル法の文脈において、システム100は、典型的には、冠動脈、又は他の動脈若しくは静脈(総称して「血管」91)に挿入される。システム100は、所望の場所88に所望のカテーテルデバイスのための追加の空間120を形成する所望のタスクを達成するために、適切にサイズ調整及び構築され得る。システム100は、装置の挿入及び除去のための低プロファイル状態132及び冠安定化のための拡張状態134を有する、2つ以上の状態130を有し得る。
【0132】
システム100の概念に創造性を与えた元の文脈は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)処置又は他の同様の血管内処置を容易にすることであった。しかしながら、システム100は、実質的に任意のカテーテルデバイス及び任意のカテーテル処置で使用するように構成され得る。
【0133】
システム100は、ポリマー(プラスチック)及び金属等の生体適合性医療グレード材料から製造され得る。システム100は、それに付加的な特徴を与える材料から製造され又はコーティングを有してもよい。それは親水性の特徴を有してもよい。それは、押出、射出成形、熱的形成、熱接合、ワイヤ成形、レーザ製造法、その他の製造法等の様々な製造法を用いて製造され得る。それは、適切に包装及び滅菌され得るように製造される。可能性の高い滅菌方法は、電子ビーム照射、ガンマ線照射、エチレンオキシド(EO)気体滅菌、又は亜酸化窒素(NO2)気体滅菌である。
【0134】
1.管状バルーンの実施形態
【0135】
システム100の管状バルーンの実施形態103において、拡張構成要素110は管状バルーン112である。
図3a-
図3iは、システム100の管状バルーンの実施形態103に関する。
【0136】
管状バルーン112は、空気、他の形態の気体、水、及び他の形態の液体又は流体で膨張させることができる。いくつかの管状バルーンの実施形態103において、管状バルーン112は、圧縮されていないバネ又は他の同様の手段のような機械的手段で膨張させることができる。
【0137】
2.螺旋バルーンの実施形態
【0138】
システム100の螺旋バルーンの実施形態104において、拡張構成要素110は、螺旋バルーン113、すなわち、少なくとも実質的に螺旋形状を形成するようにマトリクス114によって拘束される管状バルーン112である。
図7a-
図7eは、螺旋バルーンの実施形態104の例を示す。
【0139】
管状バルーンの実施形態103と同様に、螺旋バルーンの実施形態104は、多種多様な異なる膨張機構を利用し得る。
【0140】
螺旋バルーンの実施形態104は、マトリクス114のない管状バルーン112が到達できない位置88に挿入することができるように、拡張構成要素110の剛性を選択的に増加させることができるマトリクス114の衝撃のために、非常に望ましい。
図2cに示すように、螺旋バルーン113は、従来の膨張可能バルーンとして実装され得るが、自己拡張型螺旋状構成要素141又は機械式拡張型螺旋状構成要素142としても実装され得る。
【0141】
3.シースの実施形態
【0142】
システム100のシースの実施形態107は、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に移行するために膨張を必要としないバルーン111を使用する。
図6a-
図6gは、システム100のシースの実施形態107に関連する。シース付きバルーン118は、拘束シース119から除去されると、低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に移行する。シース付きバルーン118は、シース119内に戻るように配置されることによって、低プロファイル動作モード132に戻され得る。
【0143】
図2cに示すように、シース付きバルーン118は、編組バルーン124として実装され得る。
【0144】
4.ガイドバルーンの実施形態
【0145】
システム100のガイドバルーンの実施形態105は、バルーン111ではない拡張構成要素110を含む。むしろ、拡張構成要素110は、先行する膨張したバルーン、すなわちガイドバルーン115の上に前進するカバー116である。
図4a-
図4gは、システム100のガイドバルーンの実施形態105の例を示している。
【0146】
5.挿入構成要素の実施形態
【0147】
システム100の挿入構成要素の実施形態106は、拡張/収縮プロセスにおいていかなる種類のバルーン111も使用する必要はない。システム100の挿入構成要素の実施形態106では、挿入構成要素117が拡張構成要素110に挿入されることによって、拡張構成要素110が低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に膨張する。システム100の挿入構成要素の実施形態106における拡張構成要素110は、別のカテーテル等のカバー116であり得る。挿入構成要素の実施形態106は、
図5a-
図5dに示されている。
【0148】
III.管状バルーンの実施形態
【0149】
システム100のいくつかの実施形態は、患者90の体内の所望の位置88において、バルーン血管形成カテーテル又はステント123等の適用可能な医療機器80のための管腔120を形成することができる高プロファイル状態134と低プロファイル状態132との間の移行を容易にするために、拡張構成要素110として機能する単一の管状バルーン112を利用する。
【0150】
管状バルーン112の高プロファイル動作モード134への拡張によって形成される「作業空間」又は管腔120は、管状バルーン112内に形成される。異なる種類の拡張構成要素110の例は、「ドーナツ穴」空間を有する膨張可能バルーン112を含んでもよい(
図3a-
図3iを参照)。
【0151】
上述したように、システム100のいくつかの実施形態は、異なる技術及び異なる構成要素を用いて拡張/収縮するように構成され得る。システム100のいくつかの実施形態では、システム100の拡張は、システム100の一部である拡張構成要素110を介して達成される。他の実施形態では、システム100の拡張は、拡張され、その後、システム100の拡張又は拡張を可能にするために使用されるシステム100内の別個の構成要素/装置の拡張によって達成される。例えば、シース119の除去は、システム100のシースの実施形態107におけるシース付きバルーン118の拡張をトリガーすることができる(
図6a-
図6gを参照)。
【0152】
管状バルーン112は、多種多様な異なる方法で実装され得る。拡張構成要素110としての管状バルーン112のいくつかの実施形態は、管状バルーン112上のバルブ151に接続された膨張チューブ150を使用して管状バルーン112を膨張させることができる。バルブ151はコネクタとして作用し、いくつかの例では、選択的に流量制御特徴を含んでもよい。
【0153】
管状バルーン112は、空気、他の形態の気体、水、及び他の形態の液体又は流体を使用して膨張させることができる。管状バルーン112は、バネ等の機械的手段を使用して膨張させることもできる。管状バルーン112のいくつかの実施形態は、自己膨張するバルーン111を含んでもよい。
【0154】
能動的な膨張を必要とする管状バルーンの実施形態103の場合、バルブ151は、典型的にはバルーン112の近位端部に位置し、これはバルーン112の「尾部」端部のようになっている。バルブ151は、膨張チューブ150に接続される。チューブ150は、膨張可能な管腔120に長手方向に延びる。膨張可能な管腔は、遠位端にあり、これは「先端部」のようになっている。全長は約100-120cm(39.4-47.2インチ)である。膨張可能バルーン112は約35mm(1.38インチ)である。膨張可能チューブ150は、システム100のいくつかの実施形態において、約65-85cm(25.6-33.5インチ)である。システム100は、収縮又は折り畳み状態である低プロファイル状態132を有するように構成され得る。低プロファイル直径サイズは、必要な動脈位置に適合し、かつ処置中に使用される他の医療機器80と結合するのに十分に小さい。低プロファイル直径サイズは約0.030-0.060インチ(0.76-1.52mm)である。
【0155】
図3aは、
図3bのシステム100の部分拡大図を示す図である。膨張可能バルーン112の部分的な例は、付随する管腔120及び膨張/収縮を容易にするチューブ150と共に示されている。
【0156】
図3bは、システム100の軸方向図の一例を示す図である。システム100によって形成される管腔120は、拡張構成要素110の中心にある「ドーナツ穴」の形をしている。
【0157】
図3cは、システム100の上面図の一例を示す図である。
【0158】
図3dは、システム100の側面図の一例を示す図である。
【0159】
図3eは、システム100の側面図の断面の一例を示す図であり、システム100内にある管腔120を示す図である。
【0160】
【0161】
図3e-
図3gに示すように、いくつかの例では、管状バルーン112は、内壁400及び外壁402を含む二重壁構造を有する。内壁400と外壁402との間に空間404が定義される。空間404は、上述したように、膨張チューブ150を介して流体を受け入れるように構成される。空間404が流体で満たされると、管状バルーン112は、管状バルーン112が管腔120を画定する円筒形状を有する高プロファイル動作モード134に拡張される。膨張チューブ150は、バルブ151を介して空間304と流体連通している。
【0162】
管状バルーン112は、2つの対向する端部112a/112bを有する。バルブ151は、一方の端部112aに配置されてもよく、又は管状バルーン112の長さに沿って異なる位置に配置されてもよい。バルブ151が対向する端部112aの一方にある場合、対向する端部112の他方は、管状バルーン112が高プロファイル動作モードであるときに、空間404内の流体圧力を維持するように封止されるか又は他のやり方で閉じられてもよい。バルブ151が管状バルーン112の長さに沿って異なる位置にある場合、管状バルーン112の両端112a/112bは、封止されるか又は他のやり方で閉じられてもよい。
【0163】
上述したように、膨張チューブ150は、
図3jに示すように、バルブ151と反対側の端にコネクタ251を含んでもよい。コネクタ251は、管状バルーン112との間で流体を伝達するために、医療用途で知られているような注射器又は流体ラインと接続されるように構成され得る。
【0164】
管状バルーン112は、
図3jに示すように直線であってもよく、又は
図3kに示すように湾曲していてもよい。管状バルーン112は、非柔軟性(例えば、剛性)であってもよく、したがって、直線/湾曲形状に固定されていてもよい。別の例では、管状バルーン112は、半柔軟性又は柔軟性(例えば、可撓性)であり、直線形状と湾曲形状との間で交代し得る。
【0165】
図3jに示すように、管状バルーン112は、平坦な端部112a/112bを有し得る。平坦な端部は、管状バルーン112の軸Aに対して平行、同軸又は同一直線の平面を有する。
図3l及び
図3mに示す別の例では、管状バルーン112は、角度のある端部112a/112bを有し得る。一方又は両方の端部に角度が付けられてもよい。角度の付いた端部は、軸Aに対して角度の付いた平面を有する。
【0166】
図9a-
図9cに示されるいくつかの例では、管状バルーン112は、接続部406において内壁400と外壁402との間に空間404が存在しないように内壁400が外壁402に接続される1つ以上の接続部406を含む。接続部406は、管状バルーン112にさらなる構造的完全性を提供することができる。また、接続部406は、管状バルーン112が高プロファイル動作モード134にあるとき、内壁400が管腔120に崩壊するのを防止する。換言すれば、接続部406は、空間404が流体で満たされたときに内壁400に加えられる圧力に対抗して作用する。管状バルーン112は、1つ以上の接続部406を含んでもよい。
【0167】
接続部406は、様々なやり方形成され得る。例えば、接続部406は、内壁400及び外壁402の材料及び医療用途に適した任意の既知の接着剤を用いて、内壁400及び外壁402を共に接着することによって形成され得る。医療用途に適した任意の既知の材料が管状バルーン112に使用され得るが、いくつかの非限定的な例は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、人工ナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ナイロンエラストマー、及び他の熱可塑性エラストマーを含む。別の例では、接続部406は、レーザ溶接等の熱接合技術、又は内壁400及び外壁402の材料及び医療用途に適した任意の他の既知の技術を使用して、内壁400及び外壁402を一緒に融合することによって形成されてもよい。
【0168】
図9aの例では、接続部406は点又は点状である。換言すれば、接続部406は、管状バルーン112の実質的な半径方向又は円周方向の範囲を横切って延びていない。管状バルーン112は、1つ以上の点又は点状接続部406を含んでもよい。点又は点状接続部406は、円周方向又は軸方向の列等の任意のパターン、又は任意の他のパターンで管状バルーン112上に分散され得る。
【0169】
図9b-
図9cに示す別の例では、接続部406は、管状バルーン112の円周方向又は軸方向の範囲に沿って延びる線又はリブである。いくつかの例では、接続部406は、上述したように、膨張チューブ150から流体を受け入れるために、管状バルーン112全体にわたって単一の共通空間404を維持するために、管状バルーン112の全軸方向又は円周方向の範囲未満でそれに沿って延びる。
図9b-
図9cの特定の例では、管状バルーンは、管状バルーン112の円周方向の範囲の大部分、例えば、50%以上100%未満に沿って延びる複数のリブを含む。リブ又はライン接続406は、
図9b-
図9cに示すように、管状バルーン112の軸方向の広がりに沿って等間隔に配置され得るが、他の配置/分配も考えられる。
【0170】
IV.ガイドバルーンの実施形態
【0171】
システム100のいくつかの実施形態は、ガイドバルーン115がシステム100と共に使用されることを想定している。ガイドバルーン115は、患者90の体内でシステム100を位置決めするのを支援することができる。
【0172】
図4aは、システム100のガイドバルーンの実施形態105によって実行されるカテーテル法を強化するプロセスの一例を示すフローチャート図である。
【0173】
ステップ302において、ガイドバルーン115は患者90の体内に挿入される。
図4bは、ガイドバルーン115が挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。冠動脈カテーテル法の開始時に、ガイドカテーテル121又は同様の医療機器80が大腿動脈又は橈骨動脈に挿入されてもよく、ガイドカテーテルは右又は左の冠動脈口にアクセスするまで進められる。冠動脈口は冠動脈の開始点である。ここで動脈が大動脈から枝分かれしている。ガイドワイヤ122は、ガイドカテーテル121を介して、治療が行われるポイントを超えて冠動脈に挿入される。システム100のガイドバルーン115は、ガイドワイヤ122の上からガイドカテーテル121を介して動脈に挿入される。ガイドバルーン115は、挿入されている間、収縮状態にある。これは、曲がりくねった領域又は狭窄部を越えて挿入される。
【0174】
図4aに戻り、ステップ304において、ガイドバルーン115は膨張される。
図4cは、ガイドバルーン115を膨張させるプロセスステップの一例を示す環境図である。ガイドバルーン115は、適切に位置決めされた後で膨張される。それは、空気等の気体で空気的に、又は液体で水圧的に膨張させ得る。滅菌生理食塩水及び造影剤の50対50の混合物で膨張させる可能性が最も高い。1-4気圧の低圧又は16気圧までの高圧に膨張されてもよい。ガイドバルーン115の膨張した外径は、動脈の直径より小さいか、等しいか、又は大きい。ガイドバルーン115は、一時的に、動脈の蛇行した領域を完全に又は部分的にまっすぐにしてもよい。
【0175】
図4aに戻ると、ステップ306において、カバー116が、ガイドバルーン115の上を前進する。
図4dは、カバー116が膨張したガイドバルーン115の上を前進するプロセスステップの一例を示す環境図である。システム100のコア構成要素である拡張構成要素110は、ガイドバルーン115の上からガイドカテーテル121を介して挿入される。システム100のこの実施形態では、拡張構成要素110は、自己拡張設計又は固定直径設計のいずれかであってもよい。拡張構成要素110は、ガイドカテーテル121の遠位端部に存在するので、膨張したガイドバルーン115の上を辿る。ガイドバルーン115の外径及び拡張構成要素110の内径は、最適な結合のために専用に設計される。結合は、スリップフィット設計、ライン間フィット設計、又は締まり設計であってもよい。結合設計は、拡張構成要素110の挿入を支援し、動脈壁損傷を除去又は防止するために、挿入を可能な限り非外傷的にする。
【0176】
図4eは、ガイドバルーン115上に拡張されたカバー116の一例を示す環境図である。ガイドバルーン115は、拡張構成要素110の前縁がそれ自身の非外傷性先端で設計されていたとしても、それが挿入されている間、前縁から動脈壁損傷を除去又は防止する重要なタスクを果たす。この目的のために、ガイドバルーン115は、拡張構成要素110よりも意図的に長くしてもよい。それは、拡張構成要素110の長さの2倍以上であってもよい。
【0177】
図4aに戻ると、ステップ308において、ガイドバルーン115は収縮される。
図4fは、ガイドバルーン115が収縮されて除去されるプロセスステップの一例を示す環境図である。ガイドバルーン115は、拡張構成要素110が適切に配置された後で、収縮されて除去される。拡張構成要素110は、ガイドバルーン115が除去された後で、動脈の直線化を維持するように設計されてもよい。
【0178】
図4aに戻ると、ステップ310において、ガイドバルーン115が除去される。拡張構成要素110は、システム100のこの実施形態のための自己拡張設計又は固定直径設計のいずれかであってもよい。拡張構成要素110は、管腔の形態で動脈に空間120を形成する。他のデバイス80、例えば、血管形成バルーン、ステントカテーテル、又は類似の医療機器80の他の形態は、システム100が高プロファイル拡張状態134にあるときに、システムによって形成された空間120を通過することができる。
【0179】
ステップ312において、ステント123は、システム100を通して位置決めされる。
図4gは、システム100によって形成された空間120を通してステント123が挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。
【0180】
システム100は、それが不要になったときに動脈から除去される。動脈は自然な形状を取り戻すであろう。システム100のこの実施形態は、ガイドワイヤ122、ガイドカテーテル121、バルーンカテーテル及びステント123等の処置中に使用される他のカテーテル法デバイス80と結合するであろう。
【0181】
V.挿入構成要素の実施形態
【0182】
図5aは、システム100の挿入構成要素の実施形態106によって実行されるカテーテル法を強化するプロセスの一例を示すフローチャート図である。システム100のこの実施形態は、カバー116の拡張構成要素110に挿入される挿入構成要素117を使用する。いくつかの実施形態では、挿入構成要素117はガイドカテーテル121に取り付けられてもよい。
【0183】
ステップ322において、ガイドカテーテル121に取り付けられたカバー116は、患者90の体内に挿入される。
図5bは、カバー116が患者90の体内に挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。典型的な冠動脈カテーテル法の開始時に、ガイドカテーテル121が大腿動脈又は橈骨動脈に挿入され、カテーテル121が右又は左冠動脈口にアクセスするまで進められる。冠動脈口は冠動脈の開始点である。ここで動脈が大動脈から枝分かれしている。ガイドワイヤ122は、ガイドカテーテル121を介して、治療が行われるポイントを超えて冠動脈に挿入される。カバー116の形態である拡張構成要素110のこの実施形態では、カバー116は、ガイドカテーテル121の一体部分であることが多い。カバー116は、これらの構成要素の製造プロセスの一部として、ガイドカテーテル121の遠位端に接続され得る。
【0184】
図5aに戻ると、ステップ324において、挿入構成要素117がカバー116に挿入される。
図5cは、挿入構成要素117が、カバー116の遠位部を拡張するために、患者90の体内に位置するカバー116に挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。挿入構成要素117は、接続された拡張構成要素110(すなわちカバー116)及びガイドカテーテル121の全長の内側に挿入される。それは、挿入されると、拡張構成要素110(すなわち、カバー116)を高プロファイル状態134に拡張する。
【0185】
図5aに戻ると、ステップ326において、ステントカテーテル123が挿入構成要素117を介して患者90の体内に挿入される。
図5dは、ステップ326におけるプロセスステップの一例を示す環境図である。高プロファイル状態134の拡張構成要素110及び挿入構成要素117の入れ子構造は、血管形成バルーンカテーテル又はステントカテーテル123等の他の医療機器80を挿入可能な空間120を形成する。
【0186】
システム100の拡張構成要素110(すなわちカバー116)及び挿入構成要素117は、それらが不要になったときに除去される。
【0187】
この実施形態の拡張構成要素110は、形状記憶材料、編組構造、プリーツ設計又は他の任意の拡張可能な設計構造で作られ得る。
【0188】
形状記憶材料は、金属又は非金属であり得る。ニチノールは、使用され得る金属材料の1つである。拡張構成要素110はニチノールから作られてもよく、記憶された形状は低プロファイル状態132である。この記憶された低プロファイル状態132は、接続された拡張構成要素110及びガイドカテーテル121を、冠動脈口、蛇行領域及び任意の狭窄を越えて冠動脈に挿入することを可能にする。挿入構成要素117は、拡張構成要素110を低プロファイル状態132から高プロファイル状態134に能動的に移行させるために使用される。非金属形状記憶ポリマーも、拡張構成要素110を構成し、同じ結果を達成するために使用され得る。
【0189】
編組構造が、カバー116を構成するために使用され得る。編組は、低プロファイル状態132のサイズに作られ得る。編組の編み込みメッシュパターンは、そのワイヤ間の隙間に空間を有する。これは、挿入構成要素117が挿入されたときに、それが高プロファイル状態134に拡張することを可能にする。
【0190】
カバー116を作るためにプリーツ設計が使用されてもよい。プリーツ設計は、低プロファイル状態132のサイズに作られる。挿入構成要素117は、それが挿入されるとプリーツを展開し、それが高プロファイル状態134に遷移することを可能にする。
【0191】
VI.シース付きバルーンの実施形態
【0192】
図6aは、システム100のシースで覆われた実施形態107によって実行されるカテーテル法を強化するプロセスの一例を示すフローチャート図である。この実施形態のカテゴリーでは、システム100の拡張構成要素110は自己拡張型である。シース119は、拡張構成要素110を拘束することにより、拡張構成要素110が低プロファイルモード132で存在することを可能にする。拡張構成要素110がシース119から解放されると、拡張構成要素110(シース付きバルーン118等)は、高プロファイル動作モード134に拡張する。
【0193】
自己拡張特徴は、編組構造等の自己拡張材料で作られ得る。編組構造は円筒形である。円筒の壁は編組の編み込みメッシュで構成される。円筒の端は開いている。編組は、その編み込みパターンに空間を有するように設計され、それは、編組構造が高プロファイル自己拡張状態134又は低プロファイル状態132のいずれかに存在することを可能にする。
【0194】
ステップ350において、シース119を有するシステム100(及びシース付きバルーン118等のカプセル化拡張構成要素110)が患者90の体内に挿入される。
図6bは、シース119が挿入中にシステム100を覆うプロセスステップの一例を示す環境図である。拡張構成要素110は、低プロファイル状態132に圧縮され、シース119内に挿入され得る。シース119は拡張構成要素110を覆って、それを低プロファイル状態132に維持する。拡張構成要素110及びシース119は、ガイドカテーテル121を介して、一体として動脈91に挿入される。
【0195】
図6aに戻ると、ステップ352において、システム100は、患者90の体内に配置される。
図6cは、シース119及びシステム100が患者90の体内で所望の位置に配置されるプロセスステップの一例を示す環境図である。拡張構成要素110及びシース119は、任意の蛇行領域又は狭窄部を越えて挿入される適切な低プロファイルサイズ、強度及び柔軟性を有するであろう。
【0196】
図6aに戻ると、ステップ352において、シース119が引き出される。
図6dは、シース119が引き出されるプロセスステップの一例を示す環境図であり、システム100を自己拡張させ、カテーテル法のために患者90の体内に追加の作業空間120を発生させている。シース119は、システム100が適切に位置決めされた後に除去される。拡張構成要素110は、自己拡張特徴のために自動的に展開される。拡張構成要素は、動脈に空間120を形成する。
【0197】
図6aに戻り、ステップ354において、システム100は、高プロファイル状態134に拡張される。
図6eは、拡張システム100が患者90の体内で動脈をどのようにまっすぐにすることができるかの一例を示す環境図である。拡張構成要素110は、任意の動脈蛇行を部分的又は完全にまっすぐにし得る。まっすぐにする効果は一時的であろう。システム100が引き出されると、動脈は自然な形状を取り戻すであろう。
【0198】
図6aに戻ると、ステップ356において、ステントカテーテル123がシステム100を介して挿入される。
図6fは、高プロファイル動作モード134において、システム100の存在によって形成された作業空間120を介してステントカテーテル123が患者90に挿入されるプロセスステップの一例を示す環境図である。血管形成バルーンカテーテル又はステント123等の他の装置は、システムが高プロファイル拡張状態134にあるときに、システム100によって形成された空間120を通過することができる。
【0199】
図6aに戻ると、ステップ358において、シース119が除去のために前進されてシステム100を折り畳む。
図6gは、シース119が除去のために前進されてシステム100を折り畳むプロセスステップの一例を示す環境図である。システム100は、それがもはや必要でないときに除去され得る。シース119は、拡張構成要素110上を前進されてそれを低プロファイル状態132に折り畳み、次いで、拡張構成要素110及びシース119が一体として一緒に除去される。
【0200】
システム100のこの形態の別の実施形態は、シース付きバルーン118として機能する自己拡張編組構造124を使用する。編組124の構造は、最適な性能を提供するように設計され得る。所望の性能を得るために、ワイヤ数、ワイヤ形状、ワイヤ材料、ピッチ、均一ピッチ、可変ピッチ及び編み込みパターン等の編組124の特性が選択され得る。ワイヤ数及びワイヤ材料は、構成要素の強度及び柔軟性に影響する。丸ワイヤ又は平坦ワイヤは、壁の厚さに影響を与え得る。ピッチ及び編み込みパターンは、膨張強度及びプロファイルサイズに影響を与え得る。
【0201】
ステンレス鋼又はニチノールが編組124ワイヤの材料である可能性が高いが、他の金属又は非金属を使用することもできる。ステンレス鋼は、自己拡張を可能にする「バネ」特性を備えるように調整される。ニチノールはニッケル及びチタンの金属合金である。これは「形状記憶」として知られる金属の一種である。ニチノール型の拡張構成要素は、高プロファイル拡張状態134の形状記憶を用いて作られてもよく、それによって自己拡張を可能にする。拡張構成要素を構成するために使用することができる形状記憶ポリマーもある。
【0202】
編組124は、それを非外傷性にし、動脈壁損傷を防止するために、内側及び外側ライナーで覆われ得る。内側及び外側ライナーは、システム100と共に拡張し及び折り畳まれる。
【0203】
シース119は、挿入を支援し、動脈壁への損傷を除去又は低減するために、非外傷性先端を有してもよい。
【0204】
拡張構成要素110、シース119又は両者は、X線透視撮像によって可視化することができるように、X線不透過特徴を有し得る。
【0205】
システム100のこの実施形態は、ガイドワイヤ122、ガイドカテーテル121、バルーンカテーテル、ステント123、及び他の医療機器80等、処置中に使用される他のカテーテルデバイスと結合することができる。
【0206】
VII.螺旋バルーンの実施形態
【0207】
システム100の螺旋バルーンの実施形態104は、システム100の螺旋バルーンの実施形態104において、バルーン111の形状を螺旋バルーン113に構成するマトリクス114によってバルーン111が拘束及び形成されることを除いて、システム100の管状バルーンの実施形態103と類似している。螺旋バルーン113は、螺旋形状を形成する管状バルーン112の複数回の巻き213によって画定される。
【0208】
A.螺旋バルーン
【0209】
管状バルーン112が膨張可能、自己膨張可能、又は機械的に拡張可能であるように、螺旋バルーン113は、化学及び物理学の同じ技術及び原理を使用して、正確に同じやり方で動作モード130を変更することができる。管状バルーン112は、上述のように二重壁構造を有してもよく、又は連続チューブ等の別の構造を有し得る。
【0210】
螺旋バルーン113の例は、
図8a-
図8fに示されている(以下により詳細に説明する)。螺旋バルーン113は、対向する端部113a/113bの間に、軸Aに沿って画定される。軸Aは、
図8aのように直線であってもよく、又は
図8bのように湾曲していてもよい。螺旋バルーン113は、屈曲を可能にするために、柔軟性又は可撓性を有してもよく、又は直線又は屈曲形状で強固に固定されてもよい。
【0211】
図8fに示される一例では(以下でより詳細に説明する)、膨張チューブ150は、上述したように、バルブ151で管状バルーン112と接続されるように構成される。このようにして、膨張チューブ150は、管状バルーン112内の空間212を流体源(図示せず)と流体的に接続する。したがって、生理食塩水等の流体を管状バルーン112から供給又は除去して、螺旋バルーン113を、上述したように、低プロファイル動作モード132と高プロファイル動作モード134との間で収縮又は拡張させることができる。バルブ151は、螺旋バルーン113の対向する端部113a/113bの1つに対応する管状バルーン112の端部に配置されてもよく、又は螺旋バルーン113の長さに沿った別の位置に配置されてもよい。バルブ151が対向する端部113aの1つにある場合には、螺旋バルーン113が高プロファイル動作モード134にあるときに、管状バルーン112の他端(例えば、対向する端部113bの他方に対応する管状バルーン112の端部)は、空間212内の流体圧力を維持するために、密封されるか又は他のやり方で閉じられる。バルブ151が螺旋バルーン113の長さに沿って異なる位置にある場合には、管状バルーン112の両端は、密封されるか又は他のやり方で閉じられる。
【0212】
上述したように、膨張チューブ150は、バルブ151と反対側の端にコネクタ251を含んでもよい。コネクタ251は、管状バルーン112との間で流体を伝達するために、医療用途で知られているような注射器又は流体ラインと接続されるように構成され得る。
【0213】
B.マトリクス
【0214】
バルーン111を螺旋バルーン113の形状に維持する機構又はその機構の構成である。マトリクス114は、全ての動作モード130において、螺旋バルーン113の螺旋形状を維持する。マトリクス114は、限定されないが、編み込み145、接着剤146、熱的に形成された接続部147、マトリクスカバー148、及びフランジ149を含む、多種多様な異なる実施形態で実装され得る。螺旋バルーン113の断面形状は、異なる動作モード130において異なるように維持され得る。例えば、螺旋バルーン113の断面は、さもなければ膨張状態(高プロファイル動作モード134)では円形であり、収縮状態(低プロファイル動作モード132)では平坦である。マトリクス114は、両方の状態で螺旋形状を維持し得る。マトリクス114は、その機能を適切に実行するために柔軟性及び強度の両方を必要とする。
【0215】
マトリクス114は、システム100に対する医薬能力を可能にする機構又はその機構の構成である医薬要素126を含んでもよい。医薬要素126は、医学的状態の診断又は治療、又は医薬又は栄養素の送達を含んでもよい。マトリクス114は、必要とされるものに応じて、血管収縮又は血管拡張を引き起こす血管活性剤を含んでもよい。そのような薬剤は、一過性であるか又はより長い持続性であってもよい。一酸化窒素は、血管を拡張することができる血管活性剤の一例であり、これにより、薬剤が切れるまで血管が大きくなる(直径が大きくなる)。マトリクス114は、内膜過形成を防止する薬物コーティングの任意の部類を含んでもよい。内膜過形成は、しばしば血管形成術に対する生理的反応であり、その結果、治療された領域の再狭窄、平たく言えば、ステント123の詰まりが生じる。
【0216】
1.編み込み
【0217】
編み込み145は、螺旋バルーン113の形状のバルーン111を含み得る1つ以上の糸材144の構成であってもよい。編み込み145は、所望の数だけ多くの又は少数の糸材144を使用し得る。多くの実施形態において、螺旋バルーン113の周りに均一に分布する10-12の糸材144が、特定の所望の構成である。編み込み145は、螺旋バルーン113が螺旋形状の連続パスを行うときに、螺旋バルーン113の周りを包む。
【0218】
2.接着剤
【0219】
螺旋バルーン113の形状を拘束する化学的手段である。マトリクス114は、その形状を螺旋バルーン113として固定するためにバルーン111に塗布される接着剤146から作られ得る。接着剤146は、螺旋バルーン113の螺旋形状を維持するために単独で、又は他の構成要素と共に使用され得る。螺旋形状の連続パスは、隣接パスに接着され得る。限定されないが接着剤又はシリコーンを含む多種多様な接着剤が可能な接着剤146として使用され得る。接着剤146は、ディップコーティング技術を用いて塗布されてもよい。
【0220】
3.熱的に形成された接続部
【0221】
熱の適用によって実装される螺旋バルーン113の拘束。従来技術で知られている広範な熱的形成技術を用いて、螺旋形状の隣接パスを互いに接続することができる。熱的に形成された接続部147の集合構成は、それ自体又は他の構成要素と組み合わせて、マトリクス114を構成し得る。
【0222】
4.マトリクスカバー
【0223】
マトリクスカバー148は、バルーン111を重ね合わせて螺旋バルーン113に成形する比較的薄いシート又は薄いシートの集合体である。マトリクスカバー148は、螺旋バルーン113を含んでもよく、その螺旋形状を維持し得る。マトリクスカバー148は、患者90内の特定の位置88に適した布地又は他の類似の材料から製造され得る。マトリクスカバー148は、螺旋形状の単一のパス、複数のパス又は全てのパスをカバーし得る。マトリクスカバー148は、単独で又は他の構成要素と組み合わせて使用してマトリクス114を構成し得る。マトリクスカバー148は、ディップコーティング技術及び他の妥当な製造方法を使用して適用されてもよい。
【0224】
5.フランジ
【0225】
フランジ149は、バルーン111を螺旋バルーン113の形状に固定するリム、カラー、又はリングである。螺旋バルーン113の断面は、1つ以上のフランジ149を有し得る。螺旋形状の隣接するパスは、フランジ149によって互いに接続され得る。集合体における接続されたフランジ149は、マトリクス構成要素114を形成し得る。フランジ149は、編み込み145、接着剤146、熱的に形成された接続部147、マトリクスカバー148、及び/又は潜在的に他の手段を使用して接続され得る。
【0226】
6.小管
【0227】
図8a-
図8eに示す一例では、マトリクス構成要素114は、螺旋バルーン113の周囲に円周方向に配置された小管200を含む。小管200は、以下の説明から明らかになるように、螺旋バルーン113を螺旋状に拘束し、管腔120を維持するのを支援するために、螺旋バルーン113の隣接する巻き213a、213bの間で、螺旋バルーン113の軸Aに平行に走る。
【0228】
小管200は、螺旋バルーン113と同じ材料又は螺旋バルーン113とは異なる材料で作られ得る。医療用途に適した任意の既知の材料が使用され得るが、いくつかの非限定的な例は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、人工ナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ナイロンエラストマー、及び他の熱可塑性エラストマーを含む。小管200は、非柔軟性(例えば、剛性)、半柔軟性、又は柔軟性(例えば、可撓性)であり得る。同様に、螺旋バルーン113も、半柔軟性、又は柔軟性(例えば、可撓性)であり得る。小管200及び螺旋バルーン113は、同一、類似、又は異なる柔軟性を有し得る。
【0229】
各小管200は、対向する端部202a/202b間にまたがる。一方の端部202aは、螺旋バルーン113の第1の巻き213aに合流し、他方の端部202bは、第1の巻き213aに隣接する第2の巻き213bに合流する。
【0230】
小管200は、螺旋バルーン113と一体であり得るか、又は小管200及び螺旋バルーン113の(複数の)材料及び医療用途に適した既知の方法に従って螺旋バルーン113に取り付けられる別個の構造であり得る。いずれの例においても、小管200は、空間204を有する中空構造である。空間204は、管状バルーン112の空間212と流体連通しており、上述のように、螺旋バルーン113が低プロファイル動作モード132から高プロファイル動作モード134に拡張されると、小管が螺旋バルーン113と共に膨張する。小管200及び螺旋バルーン113は、破裂定格バルーンの任意の既知の方法に従って、最大約27気圧のバースト定格を有し得る。このようにして、小管200は、螺旋バルーン113が高プロファイル動作モード134にあるときに、螺旋バルーン113の管腔120への折り畳みを妨げる螺旋バルーン113の構造的支持を提供することによって、管腔120の維持を補助する。
【0231】
図8a-
図8bに示すように、小管200は、距離xだけ互いに離間している。小管200は、端部202間の距離として定義された長さyを有する。長さyは、螺旋バルーン113の隣接する巻き213a/213b間の距離(螺旋のピッチとして知られる)に対応する。
図8a-
図8fの例では、距離xは一定であり、すなわち、小管20が螺旋バルーン113の円周の周りに等間隔に配置される。しかしながら、他の例では、距離xは可変であり、すなわち、小管200が螺旋バルーン113の周りに異なる円周分布を有する。距離x及びyは、螺旋バルーン113が高プロファイル動作モード134にあるときに、それに柔軟性を与えるように選択され得る。例えば、屈曲を必要とする螺旋バルーン113の領域は、その局所領域における及び他の領域に対する螺旋バルーン113の移動を妨げないように、より少ない小管200を有してもよい。
【0232】
小管200は直径d(
図8e)を有し、これは、一例では、螺旋バルーン113を形成するように螺旋状に拘束される管状バルーン112の直径と同じである。他の例では、小管200の直径dは管状バルーン112の直径と異なっていてもよい。
【0233】
C.例
【0234】
図7aは、マトリクス114として機能する編み込み145によって螺旋形状に拘束された管状バルーンを含む螺旋113及びマトリクス114の構成の斜視図である。 螺旋内の中央管腔120は0.058インチであり、これは管状バルーン112をマンドレルに巻き付けることによって形成され、マトリクス114によって固定される。直径0.002インチの12本の糸材144がマトリクス114を形成する。
【0235】
図7bは、
図7aの螺旋113及びマトリクス114の構成の側面図の一例を示す図である。
【0236】
図7cは、
図7a及び
図7bの螺旋113及びマトリクス114の構成の平面正面図の一例を示す図である。図示されているように、12の糸材は、螺旋バルーン113の周りに均一に配置されている。
【0237】
図7dは、
図7a-
図7cの螺旋113及びマトリクス114の構成の斜視断面図の一例を示す図である。
【0238】
図7eは、
図7dの例示の拡大図の一例を示す図である。
【0239】
図7fは、異なる螺旋バルーン113及びマトリクス構成要素114の様々な例を示す階層図である。図の点線で示されているように、マトリクス114は選択的な構成要素であるが、多くの場合、非常に望ましい構成要素である。図示されているように、螺旋バルーン113は、自己拡張型螺旋状構成要素141、機械式拡張型螺旋状構成要素142、及び
図7a-
図7eに示されている膨張可能螺旋バルーン113として実装され得る。図示されているように、マトリクス114は、編み込み145、接着剤146、熱的に形成された接続部147、及びマトリクスカバー148として実装され得る。上述したように、マトリクス114は、医薬要素126を含んでもよい。
【0240】
VIII.用語集/索引
【0241】
次の表1は、要素番号、要素名、及び要素の説明を結びつける表である。
【表1】
【図】
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【国際調査報告】